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銀河帝国攻略戦④～早撃ちの工作員

作者：灰色幽霊

「皆様、ご存じの通りスペースシップワールドで銀河帝国との戦争が勃発しました」
　神妙な面持ちで猟兵たちを迎えたのはアマータ・プリムス（人形遣いの人形・f03768)だった。既に猟兵たちが既知の通り銀河帝国と解放軍の決戦の火蓋が切って落とされた。
「当機が今回予知したのは工作員によるスペースシップのコアマシンの破壊。これを許してしまえば無辜の民もこれからの戦力も失われてしまいます。ですので皆様にはこれを全力で阻止していただきたいのです」
　そのための準備は整っている、とアマータは続ける。
「相手の狙いが分かるのですから皆様にはコアマシンの前で待ち構えていただきます。そこに罠を張るなり相応の準備をして工作員を撃破してください。相手はとあるガンマンの複製のようですが皆様の敵ではないでしょう。ですが相手のブラスター銃による攻撃にはお気をつけてください。複製とは言え宇宙でも名の知れたガンマン。気を抜けばなにがあるか分かりません」
　そして今回だけいつもと事情が違うのです、とアマータは呟く。
「今回は少々特殊な事情ですので当機がミディア様の元まで皆様をお送りした後ミディア様と共にワープしてスペースシップへ向かっていただきます」
　事情を説明した後もアマータは話を続ける。
「手短で最低限の情報しかお伝えできませんが今は何より速さが重要です。皆様の迅速な行動にこの戦いの未来がかかっているのです」
　どうか銀河の宇宙をお救いください。
　そう言ってアマータは深々と頭を下げた。

第1章 ボス戦 『ファントム・ガンマン』

POW   :    ボムファイア 【ブラスター銃の最大出力放射】が命中した対象を燃やす。放たれた【ブラスター銃の熱線の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。 SPD   :    クイックドロウ レベル分の1秒で【熱線銃(ブラスター)】を発射できる。 WIZ   :    ブラストキャンセラー 対象のユーベルコードに対し【ブラスター銃の一斉射撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。 👑17 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　戦争開始の知らせを受け、コアマシン防衛へと赴いた猟兵たち総勢11人。彼らの目的はただ一つ、この戦争の早期終結。ただそれだけだ。
　工作員を待ちかまえるのは芦屋・晴久（謎に包まれた怪しき医師・f00321）、デナイル・ヒステリカル（架空存在の電脳魔術士・f03357）、ジニア・ドグダラ（朝焼けの背を追う者・f01191）、ユウ・タイタニア（フェアリーの竜騎士・f03116）、ルセリア・ニベルーチェ（吸血鬼嬢は眠らない・f00532）、、聖護院・カプラ（旧式のウォーマシン・f00436）、神無月・継葉（紅と蒼・f03019）、、メルノ・ネッケル（火器狐・f09332）、総勢9名の猟兵たちだ。

　戦闘場所をあらかじめ決定し、猟兵たちは事前準備を開始する。継葉は工作員が現れる前にサライン３３０と名付けられたAI搭載型戦術ドローンたちを遠隔操作で多数展開。メルノは数の利点と船の中という死角の多さを生かし自身の身体を通路の先から現れる工作員からは目視できない位置に滑り込ませる。
「大規模な戦い…故郷を守らなきゃ…」
　エミリーも自身のユーベルコード【起動、殲滅せよ機械の僕たち】を発動し総勢７５機の浮遊砲台が複製される。エミリーの準備はこれだけでは終わらない。加えてさらに【Duplication】を発動し常時自身を防御している浮遊盾の枚数を増やす。それは今回エミリー自身を守るためではなくコアマシンを防衛するために展開された。

　今回の戦場を見渡せる最後尾に位置を取る晴久は周囲の戦闘力を増強させるユーベルコードの詠唱を行うが発動はまだ行わない。
「『其は四神の陰堕とし奉る共振の言霊』」
　晴久の詠唱と共に無数の符が宙を舞い猟兵たちの周囲に漂い、滞空する。しかしその符たちは未だ効力を発揮しない。
「あれ？芦屋さんまだ使わないんですか？」
「まだ、使いませんよ。まだ」
　おどけて晴久に問いかけるデナイルだったが晴久の真意を彼も理解している。まだ晴久のユーベルコードを発動させる時ではない。もっとその力を最大限に生かせるタイミングが存在する。

「みなさん！来ますよ！」
　【白黒無常】により放たれた白と黒の双剣がそれぞれ光と影に同化し既に工作員を探索していた。そしてその接近を探知したルセリアの声が鳴り響き猟兵たちは各自戦闘態勢を取る。ルセリア自身の身体は自身のユーベルコード【吸血鬼嬢は眠らない】により万物を透過するヴァンパイアへと覚醒し船の床をすり抜け、沈んでいく。
「宇宙っすか…宇宙に来たの初めてなんすけど…」
　そう自信なさげに呟いたのユウに声をかけるのはジニアだった。
「心配、ないですよ……。船の中、なら、何も、変わりません」
　それは猟兵としての経験が豊富なジニアの経験からくる言葉だった。実際この船の中はユウの知る世界の大地となんら遜色がなかった。これならば十二分に戦える。

　通路の先の曲がり角からちらりと工作員の影が見えた瞬間、猟兵たちは即座に行動を開始する。
　工作員へと駆けだしたのはジニア、それと同時に圧倒的な存在感を放ち工作員の目をくぎ付けにするカプラ。
接近するジニアへと工作員が苦し紛れにブラスター銃の速射を放つが視界の端々に入るカプラの存在感、そしてジニアの第六勘による回避によりその攻撃は当たらない。カプラは工作員の注意が自身に向き始めていることを察しその場に座り込み座禅を組み瞑想を始める。そのあまりに奇異な行動に工作兵は驚きを隠せず思わず前に迫るジニアではなくカプラに向けてブラスターを放ってしまう。しかしカプラは瞑想を続け迫る熱線を避けようともせずその身に浴びる。象徴として、御輿として、仏として存在しているカプラにとってこの程度の熱線は涼しいものだ。
　工作員の攻撃がカプラに向いたことによりジニアも次の行動に移る。
「……なるほど、見たところ、その銃によるものが、主を担っていますね」
　自身の攻撃が届く範囲まで接近することに成功したジニアは背負う棺桶の鎖を解き放ちその封印を解く。するとそこから現れるのは数多の闇の手、その数え切れないほどの手が工作員の手に持つブラスター銃を奪うべく一斉に狙う。工作員も己の相棒たるブラスター銃を奪われまいと抵抗を試みるがそれこそがジニアの、他の傭兵たちの狙いだった。
「あんたもガンマンなら、一瞬だけ付き合ってくれへん？ってそれじゃ撃てへんか」
「生憎だけど卑怯なんて言わないよね」
　メルノの二丁のブラスター銃と継葉自身の銃と数多のドローンの銃口が工作員へと向けられる。
「さぁ、状況開始ですね。さくっと片づけてしまいましょうか」
　デナイルも指を鳴らし100を超える小型の戦闘用電子精霊で構成された機械兵器達を呼びだす。それは隊列を組み主たるデナイルの号令を待っていた。そしてその隊列の先頭に立つのは相棒たるホワイトドラゴン型のドラゴンランス、ネメシスに跨るユウ。
「指揮権は預けます、どうぞやっちゃってくださいユウさん」
「忝いっす。全力全壊!!突貫するっす！」
　ルーンソードを構え機械兵器を引き連れたユウが工作員へと突貫する。

「さて、そろそろですね」
　晴久も詠唱が完了し発動を遅延させていた三之式・四神創奏を解放し周囲の味方の戦闘能力を増強する。今この場にはエミリーの自律式浮遊砲台、継葉のAI搭載型戦術ドローン、デナイルの電子精霊で構成された機械兵器が存在する。晴久の術は人だけではなく機械仕掛けさえも共感を呼びその戦力を増強させる。そしてこの数、一つ一つの力は微々たるものでもこれだけの数が集まればそれは何物にも耐えがたい矛となる。
「…行って」
「こっちも行って！」
　エミリーと継葉の操る自律式浮遊砲台とドローンもまた工作員を包囲し弾幕を張り続ける。
　突貫するユウの動きに合わせ進軍するデナイルの機械兵器達。そしてそれを援護すべく弾幕を張る継葉の数多のドローン。メルノは二丁のブラスター銃で工作員の四肢を撃ち抜きその行動を阻害する。エミリーの自律式浮遊砲台たちもまたレーザーで工作員の視界を奪う。そしてジニアの棺桶もまたブラスター銃だけではなく工作員の身体ごとその身にしまうべく闇の手を伸ばしていく。

　弾幕とレーザーと熱線が工作員の身体を貫いてその身体中に風穴を開けていく。そしてそこへと突貫していくフェアリーの竜騎士にしてマジックナイトたるユウ。ネメシスと共に戦場を駆けその小さい身体を生かし工作員を翻弄するように宙を舞う。その手で振るわれるルーンソードから放たれる衝撃波は小さいながらも確実に工作員の身体を切り刻んでいく。そして機械兵器達は切り刻まれる工作員へと砲撃を開始する。
「隙だらけ……というのは少々酷ですの？」
　【吸血鬼嬢は眠らない】により透過し味方の弾幕も物ともせず工作員の背後から現れたルセリア。ルセリア命を削りながら操られる12本の黒剣もまた雷を纏い、踊るように工作員の身体を斬りつける。
　数多の銃撃、砲撃に晒され二人の剣士の斬撃を刻まれる工作員。彼の複製たる意識は既になくその身体は今にも崩れ落ちそうだった。
「彼の命も風前の灯。然るべきところに送って差し上げましょう」
　カプラのその言葉に猟兵たちは皆頷く。戦場はここだけではない。ここに時間をかけてはいられない。猟兵たちは自身の持てる最大火力を持って工作員を消し飛ばさんとする。
　エミリーの自律式浮遊砲台による掃射が晴久の符術により創生された津波がカプラの圧倒的存在感から来る徳が継葉の射撃ドローンから放たれる一斉射撃がメルノの跳躍の後、地上へと放たれるブラスターによる一斉射撃がデナイルのつきだした掌から放たれる雷の槍がユウとネメシスによる突貫がルセリアの12本の黒剣による単純で思い一撃が工作員を呑み込んでいく。

　猟兵たちの最大火力に晒され辛うじてカタチを保っていたその身体もジニアの背負う棺桶から伸びる手に掴まれ引きずり込まれていく。
「ここはこれにて防衛完了です。次にいきましょう。さくさくと、世界を守りましょうか」
「ええ、戦いはこれだけではありません。次も早々に終わらせますよ」
　工作員の終焉を見届けたデナイルと晴久は早くも次の戦場へと意識を向ける。

「戦争とは嘆かわしいものです。早急にこの戦争を終わらせましょう」
　カプラもまた戦闘が終了したことにより座禅を解く。仏たるカプラにとってこの戦争は到底看過できるものではない。スペースシップワールドの明日のため、カプラもまた次の戦場へと向かう。

「次や次。今回は早撃ち勝負できへんかったし次に期待や」
「次も迅速に解決したいね」
　ドローンを格納する継葉と二丁のブラスター銃をホルスターに収めるメルノ。メルノの方は勝負ができなかったので少々不満げだが継葉は今回の結果に満足しているようだ。二人それぞれのガンマンの銃口も次の標的へと向けられる。

「…勝った」
「ええ、勝ちました」
「正義は勝つっす！」
　疲労を感じている様子も見受けられないがどこか嬉しそうなエミリーと先陣を切るという危険度の高い行いをしながらもジニアは何事もなかったのかのようにこの勝利を噛みしめる。ユウもまた騎士たる本懐を満たせ満足したようだ。しかしこの戦はまだ終わらない。三人もまた次の戦場へと向かって行った。

「まだまだ戦場はなくなりませんの。ルセリアさんも頑張りましょう」
　滞空させていた黒剣をしまい息を整えるルセリア。急ぐためとはいえ少々無茶をした。しかし戦場は待ってくれない。ルセリアもまた次の戦場へと馳せ参じる。

　猟兵たちの活躍によりこの船のコアマシンは守られた。船民たちの平和は守られ、彼らはこの後解放軍の一員として銀河帝国との決戦に加わるだろう。しかしまだこの戦いは始まったばかり。猟兵たちが訪れるべき戦場はこの宇宙に浮かぶ星の数ほどあるだろう。猟兵たちは自身を求める次の戦場へと歩を進めていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月02日