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“くれなゐ通り”の儚き再会(作者 甘党
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#サクラミラージュ  #幻朧戦線  #篭絡ラムプ 


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 会いたかった。
 会いたかったよ。
 ずっとずっと会いたかったよ。

  ――――真っ赤なリボンを結びましょう。

 抱きしめてほしかった。
 頭を撫でてほしかった。

  ――――桜の枝に結びましょう。

 嬉しいときは一緒に笑って。
 悲しいときは一緒に泣いて。
 そうやって、ずっとずっといたかった。


  ――――くれなゐが私を呼ぶでしょう。

 どうしていなくなってしまったの。
 どうして私をおいていってしまったの。

  ――――あなたが望むのデあレば。

 もう二度と離れないで。
 ずっとずっと一緒にいて。

  ――――私ハ、側ニ居ルデショウ。

 ◆

「サクラミラージュの流行でね、大切な人に、赤い色をしたプレゼントを贈る、というものがあるのだけど」
 集まった猟兵たちに、ミコトメモリ・メイクメモリア(メメントメモリ・f00040)は神妙な顔をして告げた。

「“くれなゐ通り”は、そんな流行に乗っかった商店街でね。売っているものはアクセサリから雑貨、食べ物も飲み物も、はたまた武器まで……とにかく全部赤づくしなんだ」
 リンゴ飴やいちご飴といったスイーツも目立つし、濃淡や装飾の違いはあれど、赤く染められた着物の数々には、道行く人々も思わず目を奪われることだろう。

「そんな“くれなゐ通り”の一番の売れ筋商品が、これさ」
 そう言って、ミコトメモリが取り出したのは、細長い、どこにでもあるような、なんの変哲もない、真っ赤なリボンだった。

「夜零時、“くれなゐ通り”の真ん中にある、大きな桜の木の枝にこれを結ぶと、死んでしまった人と再会できる――――――って言ったら、キミたちは信じるかい?」
 ぱちん、と指を鳴らすと、グリモアが明滅して、空間に一人の人物を映し出す。
 漆黒の長い髪、血のように赤い瞳、赤い着物に身を包んだ、妙齢の女性。

「彼女は杠・紅(ゆずりは・くれない)、“くれなゐ通り”の主にして――――籠絡ラムプの所有者だ」
 籠絡ラムプ。
 それは影朧を宿した不思議なオイルランプであり、悪しき【幻朧戦線】が市井にばらまいた、【影朧兵器】の名前でもある。
 一般人に、道理から逸脱したユーベルコードの力を与え、その力に溺れきった果てに暴走へと至らしめ、多大な被害を撒き散らす。

「この籠絡ラムプに封じられている影朧は『寄り添う存在』と呼ばれている。特定の姿や形を持たず、相対した者にとって忘れがたい……“もう一度会いたい誰か”の姿で現れるオブリビオンだ」
 それは死者であるかもしれない。生き別れになった家族かもしれない。あるいは、ペットかもしれない。

「…………紅女史に悪意があるかどうかはわからない。ただ、様々な人々が『もう一度、失った人』に会うために、その力を頼って“くれなゐ通り”を訪れる。親をなくした子供や、子供をなくした親、なんかがね」
 だが、そうやって力を使い続ければ、籠絡ラムプの中にいる影朧はいずれ暴走する。
 それが善意であれ、悪意であれ、止めなければならないのだ。

「さて、キミたちにはこの“くれなゐ通り”で、この赤いリボンを買って、実際に桜の木にリボンを結ぶ、“おまじない”をしてもらう。時間になれば紅女史が現れて、籠絡ラムプの力を使うだろう」
 猟兵達の前にも、『寄り添う存在』は現れるだろう。彼らとどんな会話をし、どんな結末が訪れるのかは、実際に遭遇してみなければわからない。

「出現した『寄り添う存在』さえ処理できれば、あとは力づくで籠絡ラムプを奪って破壊することは簡単なはずだ。注意することがあるとするならば――――」
 ――――たとえ、どのような存在が現れたとしても。
 決して、心を許し、側に行こうと思わないように。

「………………ま、夜まで時間はあるし、流行そのものはまっとうに素敵な文化なんだ。折角だから“くれなゐ通り”を見て回って、大切な人へ贈り物でも選んで、時間を潰してもいいんじゃないかな?」
 ミコトメモリはひらひらと手を降って。

「あ、なんならボクにお土産を買ってきてくれてもいいからね!」
 そう言って、キミたちを送り出した。





第3章 日常 『籠絡ラムプの後始末』

POW本物のユベルコヲド使いの矜持を見せつけ、目指すべき正しい道を力強く指し示す
SPD事件の関係者や目撃者、残された証拠品などを上手く利用して、相応しい罰を与える(与えなくても良い)
WIZ偽ユーベルコヲド使いを説得したり、問題を解決するなどして、同じ過ちを繰り返さないように教育する
👑5 🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 かくして、一夜の邂逅は終わった。
 残された猟兵達がするのは、残されたことへの後始末。

 ……ありえざる邂逅に、何を想ったのか。
 ……これから先を、どう歩んでいくのか。

「…………いい夢を、見せてあげられたと思うんだけどねえ?」
 籠絡ラムプの所有者。
 杠・紅は――…………怪しげな靄を漂わせるランプを撫でながら、窓の外をぼうっと見つめていた。

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 3章は日常フラグメントです。
 大きく分けて三つのプレイングを想定しています。
 また、2章がある意味本番だったので、3章は不参加でも問題ありません。
 逆に、3章からの参加は想定していません、ご了承ください。

 1)杠・紅に接触する。
  杠・紅は幻影ラムプの所有者です。
  猟兵が現れた時点で観念し、幻影ラムプを差し出してきますので、攻撃したり説得したりする必要は特にありません。
  なんなら誰も接触しなくても自首してくるぐらいなので、触らなくても問題はありません。
  何か特別、伝えたいことややりたいことがある場合はどうぞ。

 2)感情を整理する。
  2章の結果を受けて、キャラクターがどう思ったか、これからどうしていくのか等、
  感情を整理したり今後のことを考えたりするようなリプレイになると思います。

 3)その他
  くれなゐ通りで改めて買い物をする。カップル同士でいちゃつく。その他思いついたことをご自由にどうぞ。

 プレイング受付は5:30(日)0:00から6/2(水):0:00までになります。
 
ティオレンシア・シーディア
〇・1)

はぁいこんにちはぁ、杠サン。それともこんばんは、かしらぁ?
そのラムプ、渡してもらいに来たんだけれど…やけにあっさり渡してくれるわねぇ?
正直鉄火場は無いにしても逃げ隠れするなりごねるなりもう一幕くらいあると思ってたから。余計な手間かからなくてよかったけど。
それと、調書ってわけじゃないけれど入手経路とか経緯とか聞かせてもらえるかしらぁ?
…多分、あたしたちが報告すればそうだった「ことになる」と思うし。

…あー…それと。一応お礼言っておかないとねぇ。
夢幻とかドッペルゲンガーみたいなものとはいえ。骸の海から還ってきたわけじゃない「あたしの知ってるあの子」に会えたってのは事実だもの。


 くれなゐ通りの一番奥。
 狭い道を通り抜けた先には、大きいけれど、老朽化して古ぼけた、今にも朽ち果てそうな屋敷があった。
 門は錆朽ちて、扉の鍵も開いている。入るものを拒む要素はどこにもない。

「はぁいこんばんわ、杠サン。それともおはようございます、かしらぁ?」
 真っ先にその場所にたどり着いたティオレンシアは、一応、いつでも銃を抜けるようにしながら――――唯一人の気配がする、屋敷の最奥にあっさりとたどり着いた。
 黒い長髪と、赤い着物が特徴的な女、杠は、それで初めて誰かの存在に気づいた、という様に、首をゆっくり動かして、そちらを向いた。

「――――ああ、貴女は、“ユーベルコヲド使い”……ですね。“これ”を回収に来ましたか」
 顔を見て、納得言ったように頷いて、膝に乗せていた籠絡ラムプを撫でる手を止める。

「それをこっちに渡してもらえるかしらぁ? って言ったら、聞いてくれる?」
「良いですよ」
「あら」
「どうぞ。どちらにしても、私に逆らう力はないでしょう」
 言葉に嘘はなく、あっさりと渡されたそれを確認して、ティオレンシアは眉をしかめた。

 …………この力は、魔性だ。

 自分がそうだったように、他に誰かにとってもまた、“死者との再会”は魅力的なものだろう。
 まして、それを自分の思い通りに使えるのであれば、執着しても何らおかしくはない。
 ごねるか、逃げ隠れするか、もうひと悶着、あると思っていたのだが…………。

「抵抗、しないのねえ」
「する意味も、もうないので」
「どういう意味かしらぁ?」
 返答は、着物の袖をめくることだった。
 陶磁器のように真っ白だった。肉がほとんどなくて、骨と皮しか残っていなかった。
 恐らく、もう大した時間は残っていないだろう、とわかった。

「私は満足しました。この街の人々も、外から来た人々も、大事な人に、会えたでしょう」
 だから、もう良いのです、と。
 杠は、ただ静かに繰り返した。

「…………じゃあ、これは預かっておくわねぇ」
 籠絡ラムプを確かに受け取って、本物であることを確認してから。

「………………」
 言うか言うべきか。
 少し悩んでから、ティオレンシアは口を開いた。

「杠サン」
「はい、なんでしょう?」
「…………一応、お礼は言っておかないとねぇ」
 籠絡ラムプを配った組織には、悪しき企みがある。
 この事件はその一つであり、決して見過ごせないものだ。
 けれど。




「夢幻とかドッペルゲンガーみたいなものとはいえ、『あたしの知ってるあの子』に会えたんだもの」




 それは、紛れもない事実。
 今宵、たった一時だけとは言え。
 あの時間は、たしかに合った。
 それが、自分を慰めるためだけのものだったかも知れなくても。

「…………大事な人に、おかわりはありませんでしたか」
「ええ、いっそ笑っちゃうぐらいにねぇ」
「……そうですか」
 やせ細った、幽鬼のように覇気のない女は。

「それは、よかった」
 その瞬間だけは、柔らかな笑みを浮かべるのだった。
大成功 🔵🔵🔵