観測者効果ってつけたら何でも許される気がする
●惑星ロボの完成。そして新たな脅威
居住可能な惑星を求める人類の前に立ちはだかるクェーサービースト。
その壁に立ち向かうための『決戦用惑星ロボ』の建造が進められていく中、探査艦が新たなクェーサービーストを発見した。
その新たな脅威は『フリシレアンMOS』と名付けられる。
しかしこの新たな脅威の発見は、スペースシップワールドにとって実に幸運であった!
何故なら――その発見という縁が『猟書家』の行動の予知に繋がったためである。
――未踏宙域の一角。
クェーサービーストの『フリシレアンMOS』へ近づく存在が居た。
それは小惑星級のサイズであるクェーサービーストから見ればノミのようなもの。
故に、寸前まで気づかない。
その存在はクエーサービーストの表面にとりつくと内部へ侵入を開始した……。
「支配ヲ開始スル」
●まずはクェーサービーストを狙撃しよう
グリモア猟兵の夕月・那由多(f21742)は生命を与えた創造物で人形劇をしながら先ほどの様なナレーションを入れた。
「未踏宙域の探査が進んでいた故に、この動きは早めに発見できた。これは未踏宙域の探査を手伝った皆のおかげじゃな」
そう言いながら那由多が横へ置く探査艦の模型と新たなクェーサービーストの人形は、そのサイズ比がとてつもない。
探査艦だけで複数の街を内包できる大きさがあるというのに、クエーサービーストはそれを上回りまるで大陸のような大きさであった。
「さて、ここで『良い情報』と『悪い情報』がある。まずは『良い情報』から知らせるとしよう。三つあるぞい」
すると、那由多は人型のロボットを取り出した。
その大きさクエーサービーストと同じ小惑星級……!
「まず、クエーサービーストとの決戦用に建造中のこいつがとりあえず完成したらしい。まだ数が揃っておらん様じゃがな」
一つ目は、惑星ロボ完成という情報だった。
とはいえまだ本格的な実践投入には至らない段階。別の機会であれば試作型の出番もまだあることだろう……。
続けて取り出されたのはこの小惑星級ロボ専用と思われる巨大な銃。
「ついでに、このロボ専用装備の『惑星破壊級ブラスター』も少数が出来ておる」
この武器が二つ目の良い情報だった。
決戦用惑星ロボとその専用ブラスター……これらの存在は非常に心強い。
ここまで説明すると、那由多は「最後に」と付け加えてクエーサービーストの人形をパカッと明ける。
「今回はクエーサービーストの弱点も解っておるぞ。体内の何処かある『制御宝珠』……というものが、こやつらの核らしい。これを『破壊』することでクエーサービーストは確実に停止する」
これも朗報であった。
弱点が解れば今後の対処の幅は広がる……これも良い知らせだ。
「今回は『猟書家』が『制御宝珠』に関わったためこの部位の位置が予知で仔細に分かった次第じゃ。座標は後に送るゆえ作戦時に確認してもらいたい。さて、続けて『悪い情報』じゃ。これは二つある」
そう言うと那由多はクエーサービースト人形の中にある『制御宝珠』から黒い何かを引っぺがす。
「これが今回の猟書家じゃ。残念ながらこの乗っ取り阻止は間に合わん。しかも姿を見せてしまえば速攻で逃げてしまうじゃろう。猟書家単体なら宇宙船で追いつけるが、クエーサービーストごと逃げられては接近そのものが危うく、宇宙船では難しい」
気付かれてしまえばクエーサービーストごと逃げられてしまう、というのが一つ目の悪い情報の様だ。
そして二つ目は――。
「この『惑星破壊級ブラスター』な……わらわで手配可能な先行生産分が、関わった科学者の趣味で要らん機能がついておる」
要らん機能とは一体……。
その機能の詳細は、次のようなものだった。
「今回用意ができるブラスター、目立てば目立つほどぶっといビームになる仕様じゃ」
操縦桿を握る人物に対する注目や視線などの観測者効果の影響でエネルギーが云々とかどうとか。
「まあ、どうせ視界外の超遠距離からぶっ放すゆえ、目立つことそのものは問題なかろう!! 狙撃が苦手な者はなんかこうイイ感じに工夫すると極太ビームで確実に狙えるということじゃ」
……二つ目の『悪い情報』はこうやって締めくくられた。
●成功したら一挙両得
「まあ、今回は完成した惑星ロボを敵に見せず遠距離狙撃してクエーサービーストを停止。後に逃げ出す『猟書家』を宇宙船で追って直接ぶん殴る。この二本立てじゃ」
そう締めくくりながら、那由多は袖口から小さな鳥居を取り出す。
それはみるみる大きくなり猟兵を転移させるための門となった。
「この作戦が成功したならば、『猟書家』の妨害だけでなく惑星ロボの稼働データも増え、さらに未踏宙域の探索も進む事じゃろう……。成功したなら一挙両得というわけじゃ」
那由多はそう言って微笑むと、猟兵たちを送り出す……。
「わらわは転移のため同行できぬ故、お主らの活躍を、ここで楽しみに待っておるぞ」
ウノ アキラ
はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
惑星探索がそのうち出来ると信じて、楽しみにしているウノ アキラです。
このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。
●お得情報
執筆は主に土日になるので、プレイングの受け付けは主に【毎週木曜の8時30分から土曜の午後まで】になりますことをご了承ください。
他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
●依頼について
スペースシップワールドの幹部猟書家の依頼となります。
一章はボス戦。二章がボス戦。
二章構成です。
ロボはプレイングで特に指定が無ければひとり一体の想定です。
一章は惑星ロボによる狙撃です。
探査艦に牽引されて狙撃ポイントまで移動したところからスタートになります。
探査艦で勤務している狙撃の名手から超遠距離狙撃のコツを聞く(ブラスターガンナーと協力する/超遠距離狙撃のコツを聞く。)ことも出来ますが、今回限りの『操縦者がまわりの視線を集めているとビームが太くなる仕様』を活かし射撃の範囲を広げても有効です。
クエーサービーストは『制御宝珠』が砕けるまでは再生を続けます。
また、今回は敵はこちらの位置が分っていません。
なので敵からの反撃はありません。
二章は『幹部猟書家』をぶん殴ります。
クエーサービーストが動かなくなると逃げだすので宇宙船で追って、追いついたところからのスタートです。
着てないように動ける極薄の高性能宇宙服を着ての宇宙戦となります。
イイ感じのスラスターを背負ったりできます。
周囲の岩なんかを足場にするのも良いでしょう。
よろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『クエーサービースト・フリシレアンMOS』
|
POW : MOSウインガル
【翅状の器官を震わせながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【体内の制御宝珠】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : MOSスピモルファ
【制御宝珠からの命令を受ける】事で【星間飛行形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : MOSブレステルデ
【制御宝珠がクエーサービーストへの命令】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●惑星級の狙撃
というわけで転移を終えた猟兵たちはそれぞれ探査艦と合流して未踏宙域の奥へと向かう。
目標はクェーサービースト『フリシレアンMOS』の狙撃地点。
超巨大な惑星ロボの完成品を牽引する姿は少々シュールであるが、それは宇宙の無重力を視覚的に解りやすく理解しやすい状況でもあった。
移動中はソーラーセイルなども活用しているので移動速度はあまり気にならないことだろう。
間もなく狙撃地点に着く……。
猟兵たちはそれぞれ自身の担当する惑星ロボへと乗り込んだ。
その巨体が持つのは専用武器の『惑星破壊級ブラスター(余計な機能付き)』――。
.
●一方で探査艦とその中にある街の人々
ここスペースシップワールドでは、人々は宇宙船で生まれ育つ。
ゆえに宇宙船そのものが街であることは珍しくなく、そこには『コアマシン』が大きな役割を果たしている……。
未踏宙域の探索の探索を進める探査艦も例外ではなく、挑戦を名乗り出た勇敢な志望者たちが移り住んだこの船には複数の街が内包されていた。
……ここは探査艦の中にある街。
「うおおおおっ!!」
街中の人々が興奮に声を荒げる。
モニタに映るのは惑星サイズの巨体ロボが数体……これは居住可能惑星を発見する可能性がある『未踏宙域』の探査をより進めるための、人類の決戦兵器だ。
それは希望であり、夢でもある。
その先行生産されたロマンの結晶が、動いている!
探査艦数隻が内包する複数の街が、この攻撃をモニタ越しに見ることが出来る状態だった。
新型兵器を手に狙うのは宇宙の旅の障壁である『クエーサービースト』。
猟兵たちの話によると世界の危機に繋がる敵も同時にそこにいるらしい。
「よくわからないけど人類のちからを見せつけてやれー!」
探査艦のクルーとその家族たちはとにかく盛り上がっている。
そう……人々は娯楽に飢えていた。
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
※愛機のキャバリアに搭乗、気密は対処済
うん、この機能あればイロm…いろんな猟兵が来そう
だからインパクトが埋もれる前に一番乗りするよ
…ま、クロムの住人に宇宙なんて縁ないし、一目位はね?
ブラスター制御システムとキャバリアOSをリンクして
【セラフ・アンサラー】で狙撃体制…だけじゃないよっ
光学【迷彩】とかバリアシステムを
『コード・テスタロッサ』の生体電脳で【ハッキング】
惑星ロボの全周に巨大なホログラフを被せるのさ
何の?女神とか歌姫っぽいコスしたアタシの♪
そうして十分目立ったら、ホログラフの両手から発射っ
極太ビームなだけでなく、狙いも完璧な【スナイパー】さ
(ついでにロボやブラスターの設計データを拝借♪)
●キュートでセクシーな狙撃ショー
大地のない闇と光の空間――宇宙。
その珍しい空間にリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は興味を惹かれていた。
(……ま、クロムの住人に宇宙なんて縁ないし、一目位はね?)
愛機のキャバリア『MPC-RW9r-LEX ナインス・ライン』の気密を再チェックするとリーゼロッテはしばし宇宙の景色を眺める。
「ブラスターなら反動は小さそうだけど……狙撃態勢のために惑星ロボのブラスター制御システムとキャバリアOSをリンクしておいた方が良いかな?」
今、リーゼロッテの乗る『ナインス・ライン』は線で惑星ロボと繋がった状態で傍に浮いている。
実際に撃つのはこの惑星ロボであるけれど……その惑星ロボを電脳で制御して外付け武器として使うつもりなのだ。
「うん、この機能あればイロm……いろんな猟兵が来そう」
『惑星破壊級ブラスター(余計な機能付き)』の仕様を確認したリーゼロッテはそう呟くと、組み上げたプログラムをひとつ実行する。
「だからインパクトが埋もれる前に一番乗りするよ」
エンターキーがぽちっと押されると、リーゼロッテの惑星ロボの姿が変わっていった。
「惑星ロボの全周に巨大なホログラフを被せるのさ」
これがリーゼロッテが用意していた仕掛けだった。
バリアシステムと光学迷彩の組み合わせが、惑星ロボそのものを巨大なモニタとして機能させる。
包む映像は――。
「何のホログラフだって? 女神とか歌姫っぽいコスしたアタシの♪」
宇宙に超巨大なリーゼロッテが現れた。
「みんな、今日はよろしくね♡」
悪戯っぽい小悪魔の微笑みを浮かべて、中継を見ている人々に向けてウインクをするリーゼロッテ(惑星ロボ)は次に『射撃体勢』のポーズをとっていく。
それはブラスターを固定させながらも尻と足がすらりと強調される姿勢だった。
ユーベルコード『Op.IX:SERAPH ANSWERER』による狙撃特化モード……ではあるが、今回は人々の目も重要だ。
(重心の位置と発射の瞬間の反動にさえ気を付けてれば大丈夫そうだし)
と、細かい制御はスラスターの制御で調整する前提で、かわいくセクシーな感じを重視していく。
「それじゃ、いくよー」
標的は超望遠レンズの向こうに見えるクエーサービースト『フリシレアンMOS』。
小さな小惑星であれば飲み込むであろう光が宇宙を貫いていった。
『惑星破壊級ブラスター』から放たれたエネルギーが『フリシレアンMOS』に中央に大きな穴を空けた。
すると『フリシレアンMOS』は崩れるように消え、その後すぐに貫かれた中央から再生を始めていく。
どうやら『制御宝珠』を中央に捕らえて射抜いた様だ。
狙撃が成功すると、リーゼロッテ(惑星ロボ}はブラスターを抱える様に抱き寄せてカメラへ笑みを向ける。
「狙いも完璧♪」
そんなパフォーマンスが行われている傍らで、リーゼロッテ本人は……。
(ついでにロボやブラスターの設計データを拝借♪)
こっそりと自分用の収穫もゲットしていた。
成功
🔵🔵🔴
白霧・叶
【桔梗】※3
紅と蒼は今回は一緒に来てくれてありがとな。巨大ロボット、浪漫感じちゃって興味あったんだ―…と、受かれてる場合じゃないか
なんだ、蒼はああいうのが好きなのか。変わった趣味してるなぁ、俺はちょいと苦手な見た目かも。ま、なんにせよ今回はあれをどうにかしないとならないってことか
しかし目立つと言ってもどうやって―…おお? 紅のUCって始めてみたけどなんだかでぶんとしてて可愛らし―…ってお前、俺の刀しれっと持っていってんじゃねぇよ!? 確かに目立ってるけどさ―…!(シャキーンとSEなってそうな紅をみつつ)
ええい、こうなったらヤケだ! いっけぇ蒼、カッコいい必殺技を叫んで―……って紅は起きろー!!
戎崎・蒼
&&&【桔梗*3】
あのクェーサービースト、何やら面白い形をしているね
…まあ人によっては気持ち悪いと言うのだろうけど
兎も角、出る杭は打っておくべきか
2人はスナイパーの経験がないようだから、必然的に3人でロボに
普段スナイパーをしている身としては目立つのは苦手だけれど、的中率を上げる為には目立たないといけない…目立つ、目立つか……
?確かに紅の人形はデカいし目立つとは思うが…て、…僕のブローチを奪うな!
……ブローチを光らせるUCを僕が使って、加えて叶の高価そうな刀を持たせれば十分目立つんじゃないかって?いや、まず盗んだら駄目だろ…!
決めゼリフを僕に押し付けるのは良くないんじゃないか2人とも…!?
宮前・紅
&&&【桔梗*3】
蒼くんも叶くんも今回の依頼たっぷり楽しもうね♪
なんか凄い形してるね?クエン酸ビースト
狙撃……目立つ……ああ、そっか!目立つ狙撃って事か!
UCを発動してでっかいLiddelを召喚
目立てばいーんだから、目立てば♪
ロボと合体して、蒼くんのブローチ(ブチィッともぎ取る)と叶くんの刀(ひょいと取る)を、合体!!!!!!
盗ってないって、借りてるだけだよ♪
後は叶くんと蒼くんが、戦隊モノよろしくカッコイイキメ台詞で超必殺技をぶっぱなして、皆の視線を釘付けにしてくれるだろうし(無茶振り)──俺は寝ようかな!
………もう食べられないよ……ZzzzzzzZzz……ムニャムニャ
●闇に浮かぶ星々の癒し
「おおっ、これかあ」
落ち着いた声色の端々に歓喜の色を滲ませ、白霧・叶(潤色・f30497)は惑星ロボを見ていた。
ここは狙撃ポイントへ向かう途中の探査艦の展望ブリッジ。
宇宙の研究はサクラミラージュでもロケットがどうとかで全く無いわけでもないけれど。
帝がさほど関心を払っていないのか大規模な研究の話は聞かず、サクラミラージュではロボットだの宇宙だのは大衆文学のSFジャンルで語られる方が多い印象がある。
叶はそんな浪漫をこの目で見て、肌で感じ堪能する。
「紅と蒼は今回は一緒に来てくれてありがとな。巨大ロボット、浪漫感じちゃって興味あったんだ―……と、受かれてる場合じゃないか」
叶は同行してくれた二人……宮前・紅(三姉妹の人形と罪人・f04970)と戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)に感謝を述べた。
その言葉に蒼は涼やかに。
「構わないよ」
と、答える。
叶が見せたつかの間の童心も含め、普段見ないものを見られる時間は蒼にとっても悪くはない。
そこへ被さるように紅も。
「ロボット!! つよそうだもんね! 楽しいのは大事だよ。蒼くんも叶くんも今回の依頼たっぷり楽しもうね♪」
と続けた。
一見すると二人の少年と一人の青年。見た目では叶が保護者の様に見えるが、しかしその中で最も年下なのが叶だ。
そんな三人は展望ブリッヂから宇宙と惑星ロボを眺めながらしばし言葉を交わしていった。
それぞれが抱えるしがらみや罪を、珍しい光景が薄れさせてくれる事を願い……。
――そして、狙撃ポイント付近。
三人は同じ惑星ロボへと乗り込んだ。
たまたま同じ事件に興味が向いたと言ってしまえばそれまでだけど。
それでも三人がこうして出会い助け合っているのは、桔梗の咲く古宿が繋いだ縁に違いない。
叶は内部の設備と敵の情報を確認しながらつぶやいた。
「さて……そろそろ行動に移そうじゃないか」
●敵の姿
叶は今回の作戦を二人に共有するために頭の中で情報を整理していた。
(目立つ。目立つ……か――)
ここに来るまでに確認した内容だと、コックピットの出来事も近場の探査艦の中の街へ中継されるとかどうとか。
コックピット内は存分に広く、必要に応じて拡張ができるらしい。
今回は数人で相談するためのテーブルも備えつけられ、運動が出来そうなほど余裕がある。
モニタには超望遠レンズによって撮影された敵の姿が映し出されていた。
その周囲には他の敵影も無く、レーダーにも敵の反応は無し。
事前に行われた周囲の偵察や索敵の結果を確認しても特に怪しい部分は無い。
叶の持つ軍人としての戦闘知識や戦術眼から見ても、この作戦は至ってシンプルだった。
巨大な目標を撃破した後に、逃亡する首謀者を直接叩きにいく電撃作戦で問題は無いだろう。
しかしここで『目立つ』ほど有効範囲が増すと言う要素が少々頭を悩ませる。
「あのクェーサービースト、何やら面白い形をしているね」
その傍らで蒼は映し出されている映像をじっと見ていた。
『フリシレアンMOS』の姿に惹かれる蒼に対して。
「なんだ、蒼はああいうのが好きなのか」
と、叶が声をかける。
(変わった趣味してるなぁ、俺はちょいと苦手な見た目かも)
と内心思いつつ改めて目標の姿を観察する叶だが、巨大な蛾の様でもあり、どことなく肉塊の様にも見えるその姿にちょっぴりまゆをひそめてしまう。
パーツ的には翼の様な耳のようなものが対になっていて丸っこいので、もっと毛がモフモフしていたら可愛かったもしれない。
そして紅は目をくりっとさせながらなんとも言えないリアクションをしていた。
「なんか凄い形してるね? クエン酸ビースト」
「クェーサービーストだよ紅」
即座に訂正を入れる蒼。
「……まあ人によっては気持ち悪いと言うのだろうけど。兎も角、出る杭は打っておくべきか。」
理解を得られなかった悲しみを秘めつつ、蒼も叶の作戦立案に加わった。
「叶、僕に手伝えることは?」
●作戦会議
「普段スナイパーをしている身としては目立つのは苦手だけれど、的中率を上げる為には目立たないといけない……。他に懸念事項がないのが幸いとはいえ、……目立つ、目立つか……」
叶から戦場の分析結果の共有を受けると蒼は顎に手を当てて考え込む。
探査艦の中の街に中継される予定だそうなので、発射前にこの場で何かやれば自然と注目はあつまるだろうけれど……しかしその何をするかで悩んでしまうのだ。
そんな中で紅がある案を思い付く。
「狙撃……目立つ……ああ、そっか! 目立つ狙撃って事か! 俺と蒼くんと叶くんの三人で女装を」
「断る」
「えー、すっごく似合ってたのに」
紅が女生徒の制服を取り出したが、蒼は嫌そうに首を振り断った。
紅は残念そうに制服を仕舞うのだった。
一方で顔には出さなかったが内心動揺していた叶。
何故ならその制服は叶にも見覚えがあったからだ。
(……はい? まて、なぜ紅がその制服をっ!? まさか……!?)
脳裏に浮かぶのはツインテール。
そして桔梗の旅宿で知り合う前に知らずに顔を合わせていた可能性――。
そのまま引き続きコックピット内で方法を考える三人。
ここで紅が再び、目立つ方法を思いついた。
「あ、じゃあこれはどうかな? いくよ、Liddelっ♪」
紅はユーベルコード『人形劇より嬉遊曲:Liddel<<マリオネット・ディヴェルティスマン・リデル>>』を使用する。
現れたのは三メートルを超える大きい人形だ。
続けて、紅は――。
「? 確かに紅の人形はデカいし目立つとは思うが……」
――と話す蒼の服の襟からブローチを取り。
「おお? 紅のUCって始めてみたけどなんだかでぶんとしてて可愛らし――」
――と話す叶から、妖刀をひょいと取っていく。
「ちょっと借りるねー♪」
「……て、……僕のブローチを奪うな!」
「……ってお前、俺の刀しれっと持っていってんじゃねぇよ!?」
紅はそのままLiddelによいしょとよじ登った。
「目立てばいーんだから、目立てば♪ 蒼くんが光らせたこのブローチを、Liddelにつけて、叶くんの高価そうな刀を持たせれば……」
そう言いながら、Liddelのおでこにブローチをつけてみる紅。
叶の霊刀『散桜』はすでにLiddelの装備品になっていた。
●賑やかな狙撃
「確かに目立つだろうけど……いや、まず盗んだら駄目だろ……!」
「盗ってないって、借りてるだけだよ♪」
「確かに目立ってるけどさ―……!」
頭が痛くなりそうになっている蒼と、半ば諦め始めている叶の二人をよそに、紅はLiddelにポーズを取らせながら自身もその上でドヤっとキメ顔をする。
「合体!!!!!!」
そして、ふとモニタを覗いた紅はその効果にさらに満足するのだった。
「あ、ほらほら、二人とも。『惑星破壊級ブラスター』の出力が上がってない?」
「何だって? ……本当だ、上がっている……」
蒼も同様にモニタに表示される数値を確認した。
この出力上昇は注目が集まっていることを意味する。つまり――。
「……もしかすると、中継はとっくに始まっていたのか? つまり今までのやり取りは全部外に見えていた……」
蒼が叶の方を見ると、叶も気づかなかった様で恥ずかしそうにその場にうずくまっている。
「ええい、こうなったらヤケだ! このままいくぞ!」
叶は立ち上がった。
現在の注目度はおそらく最高潮。
今撃たずしていつ撃つのか、と叶は蒼の背中を押す。
そして紅はカメラを探してキョロキョロしながら。
「後は叶くんと蒼くんが、戦隊モノよろしく『カッコイイキメ台詞』で超必殺技をぶっぱなして、皆の視線を釘付けにしてくれるだろうし!」
と視聴者の期待値を上げていくのだった。
「確かに撃つのなら経験的に僕だけれど、この流れでやるのか……!?」
注目が集まる中、発射装置へ連れていかれる蒼。
照準など含めて使い慣れたマスケット銃そっくりに作られてはいるが、果たして蒼はこのプレッシャーに勝てるのか……!
「いっけぇ蒼、カッコいい必殺技を叫んで――」
「決めゼリフを僕に押し付けるのは良くないんじゃないか2人とも……!?」
「ブローチを光らせるのも忘れないでね! じゃあ俺は寝ようかな!」
「……って紅は起きろー!!」
「……もう食べられないよ……ZzzzzzzZzz……ムニャムニャ」
「もう寝てる!?」
ものすごく賑やかな空間で、『惑星破壊級ブラスター(余計な機能付き)』の出力はぐんぐん上がっていく。
●星を墜とす者
「蒼、今がおそらく注目度の最高潮だ! 困ったとばかり嘆いても仕方ない、撃つんだ。必殺技を叫んで!」
「やるしかないのか……」
戸惑いを残しながら、蒼は発射装置になっているマスケット銃を手に照準を合わせていく。
「紅き燐光、蒼呪の金剛より創世力を得る――」
蒼がユーベルコード『呪願の天碧魔石』を発動させると、紅(寝ている)の乗るLiddelのおでこに付けられたブローチが輝いた。
同時に叶のユーベルコード『潤色の立案』も効果を発揮し始める。
仲間たちがここまで支えて、こんなにも目立つ状況を作り出した――。
叶が言う通り、これが敵に大ダメージを与えるチャンスなのだろう。
蒼は自身の知識を総動員して人々に受けそうな技名を考え、意を決して叫んだ。
「――咎を償え! 魔星滅墜閃<<マショウメッツイセン>>!!!」
閃光が『フリシレアンMOS』という星を飲み込んだ。
後に再生が始まるが、その遅さがこの一撃によるダメージを物語る。
……なお、最も視聴率が良かったのは発射後に我に返った蒼が、恥ずかしさのあまりにのたうち回ったシーンだったという――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
エドゥアルト・ルーデル
&&&
だが待ってほしい極太ビームは良い情報じゃないでござるか?
やっぱふっといビームって男の子でござるよねロマン溢れてて!何よりカッコいいだろう!!!(ギャキィ)
太いビームが撃ちたい
乗り込んだら全身を【ドット絵】に変換!【ハッキング】により電子データの体そのものをロボに乗り移らせるでござる!ついでにロボもドット絵調に変換ですぞ
これなら注目間違いなしだが驚くのはまだ速い!全身のドット絵を256色フルに使って虹色に輝かせる!これぞゲーミングロボ・ジツでござるよ!
こういう時ってビームも虹色なんでござるかね?であれば強烈な光は船員に多大な影響が出かねないので…例のセリフを
総員、対ショック・対閃光防御!
●極太ビームを撃ちたい
「だが待ってほしい極太ビームは良い情報じゃないでござるか?」
『惑星破壊級ブラスター(余計な機能付き)』の説明を受けたエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は素朴な疑問を返した。
それどころか満面の笑顔で語り出す。
「やっぱふっといビームって男の子でござるよねロマン溢れてて! 何よりカッコいいだろう!!!」
最後は拳を固め斜めの角度でニヤリと笑い『ギャキィ』と言った感じで語るエドゥアルト。
――太いビームが撃ちたい。
狙撃ポイント付近へと移動する間、彼はその浪漫に胸を躍らせ、まだかな? まだかな? とルンルン踊っていた。
そしてポイントへ到着。
――太いビームが撃ちたい!
その思いに突き動かされるままに走るエドゥアルト。
――太いビームが撃ちたい!!
その思いのままにエドゥアルトは惑星ロボへ乗り込むと。
「拙者はフリーSOZAIですぞーーーー!!!1!」
ユーベルコードを発動させた。
『ドット職人の朝は早い』――いえ話を変えるのではなくそういう名のユーベルコード名なんです本当です。
とにかくユーベルコードを発動させたエドゥアルトはドット絵となった。
そのまま惑星ロボ内部の隙間に入り込むと……。
「電子データの体そのものをロボに乗り移らせるでござる!!!」
と、システムに侵入し惑星ロボが搭載するメモリの許す限りドット絵の自分をコピーアンドペーストさせ拡大していった。
こうして一気に増えたエドゥアルトは、やがてついに惑星ロボを包んで一体化――小惑星級ドットエドゥアルトの誕生である。
●そして虹の彼方へ
コンピュータウイルスみたいなことをして惑星ロボのシステムを掌握、見た目も包んでしまったエドゥアルト。
この時点では注目している者の大半は探査艦に乗船していた惑星ロボに関する技術者たちである。
彼らは一様に目を丸くし、電子制御システムの担当などは泡まで吹いていた。
しかし街の一般人たちからは「???」な状況なためエドゥアルトは『太いビーム』を撃つための次のフェーズを開始する。
「これなら注目間違いなしだが驚くのはまだ早い!」
そう言うと、小惑星級ドットエドゥアルトは256色に激しく輝きだした!
同時になんだか無敵感の溢れる軽快な音楽も流れ出す。
ピカピカ光りながら時にグラデーションを交えて輝く小惑星級ゲーミングエドゥアルト。
「全身のドット絵を256色フルに使って虹色に輝かせる! これぞゲーミングロボ・ジツでござるよ!」
ここまでがほんの10分間の出来事だ。
突然宇宙に現れた256色に輝くドット絵の髭のおっさんという異様な存在感に自然と人々の注目が集まっていく。
こうして太いビームを撃てる条件が揃った――小惑星級ゲーミングエドゥアルトはニコッと満足そうにほほ笑んだ。
小惑星級ゲーミングエドゥアルトはねんがんの極太ビームを撃つためにゲーミングブラスターを構えると、自身のスナイパーの技量を活かして狙いをつけ始める。
(こういう時ってビームも虹色なんでござるかね? であれば強烈な光は視聴者に多大な影響が出かねないので……)
視聴者への配慮を考えた彼は、クワっと目を見開いて、叫んだ。
「総員、対ショック・対閃光防御!」
すると、ゲーミングブラスターから小惑星を飲み込みそうな極太ゲーミングビームが発射された。
カラフルな輝きが『フリシレアンMOS』を貫く――。
成功
🔵🔵🔴
白斑・物九郎
【リダン(f03694)と】
目立てば目立つほど……?
なんスかそのトンデモデザイン
その科学者、リダンのねーさんの親戚か何かなんじゃニャーですか?
ったく、付き合い切れませんわな――
(とか言いつつ、リダンの動画撮影にすごいカメラを意識したクールな顔角度で映る)
ってゆーか何が『愛の共同作業』ですかよ
こんなん火器管制用の補助AIですっつの
・リダンの『スターオブシェル』と己の『ストームライダー』のデザインをベースにした惑星ロボへ二人して搭乗
・【狩猟の魔眼(攻撃力重視)】――相棒からの電脳魔術支援に惑星破壊級ブラスターの管制を任せ、よきところで己の操るエネルギー『モザイク状の空間』をブラスターに込め発射!
リダン・ムグルエギ
さぁ、始まったわ!
未来のトレンドを埋め尽くす圧倒的王者!
ワイルドハントが猟団長、ぶっちー(f04631)による
『惑星サイズの敵をぶちのめしてみた』の時間よ!
やー、1回やりたかったの
キマフュ以外での『トレンドバトル』
今回はぶっちーを全力を目立たせるわ!
コードで『流行に乗るほど強くなる』状態にし
催眠話術を用いた解説入り動画を周囲に流しブームを起こすわ
惑星ロボの見た目をキャッチーに防壁改造し視線誘導
二人のキャバリアをベースにしたストームオブシェル!
猫の腕型砲塔が招く度、中央にモザイクがチャージされるわ!
今回は狙撃任務
彼と相棒の愛の共同作業な事にも注目よ!
皆、カウントダウンの準備はいーい?
3,2,1!
●放送準備中
「やー、1回やりたかったの。キマフュ以外での『トレンドバトル』」
と語りながらニッコニコで機材チェックを進めるのはリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)。
「もしもし探査艦の放送担当の方? 映像どうかしら。繋がってる? OK! それじゃあ合図をしたら街のモニターへ中継お願いね!」
と通信でやりとりをしつつ自前のカメラを手にする。
あとは放送開始の合図を送れば、複数の探査艦が内包する全ての街の大型モニターにリダンが撮る映像が流れる形となる。
「今回はぶっちーを全力を目立たせるわ!」
と、ぐっとサムズアップするリダンの前にいるのは、ぶっちーこと白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)だ。
「ロボの使い方はだいたい理解したわな。ンでこの武器、目立てば目立つほど……? なんスかそのトンデモデザイン」
「ええ、まさに『トレンドバトル』にピッタリよね。アタシのコードで『流行に乗るほど強くなる』状態にするし、相乗効果で『迫力ある砲撃』が撮れるはず! この機能を組み込んだ科学者に感謝ね」
そう言うと、リダンはコックピット内にカメラを残しつつ外からも撮影するためにウッキウキな状態でロボの外に出ていくのだった。
残された物九郎はぼそりと呟く。
「その科学者、リダンのねーさんの親戚か何かなんじゃニャーですか?」
外の宇宙空間へ出たリダン。
高性能な極薄の宇宙服と背負ったスラスターでシューッと滑る様に飛ぶと引きながら惑星ロボを映していった。
その姿は、猫のような姿の獣型をしており、上下にはギラギラと輝く半球状の物体が浮いている。
これは物九郎の『M96式キャバリア【ストームライダー】』とリダンのキャバリア『スター・オブ・シェル』の二機がベースとなっているためだ。
名付けて『ストームオブシェル』――。
惑星ロボ、ストームオブシェルの内部で物九郎は操縦席に座る。
「ま、ウチらのキャバリア模したカスタマイズをしてもらッた上に、管制は補助AIに任せるンで、多少の操縦系統の違いはほぼ問題にはニャりませんわな」
●『惑星サイズの敵をぶちのめしてみた』前半
探査艦内に存在する街。
そのあらゆる告知用のモニターに『ど派手な半球に上下を挟まれた猫』という惑星ロボの姿が映った。
同時に軽やかなミュージックが流れて司会のトークが始まる。
「さぁ、始まったわ! 未来のトレンドを埋め尽くす圧倒的王者! ワイルドハントが猟団長、ぶっちーによる『惑星サイズの敵をぶちのめしてみた』の時間よ! 実況はアタシ、リダンがお送りするわ」
ピローンと場面が移ればそれはコックピット内の映像。
うつり込んだ物九郎は。
「ったく、付き合い切れませんわな――」
と、やれやれと言った様子ではあるが、彼はこれまでもオブリビオンをブチのめす生配信でいいねを稼いできた猛者。
きっちりカメラを意識したクールな顔角度で映り込んでいる。
この時点で既にリダンのユーベルコード『ゴートリック・フェイス』が発動しており、周囲一帯が『流行が強さに直結する』環境に変化している。
加えて、リダンは自身のもつブームの仕掛け人としての技能を遺憾無く発揮して街の人々の注目を集めていた。
短いダイジェストで今までの『オブリビオンをブチのめす』の名シーンを流し、今回の期待値を上げていくリダン。
同時に射撃準備の時間も稼き、猫の腕型の砲塔に合図があったのを確認すると視聴者の意識を物九郎へと戻した。
「今回は狙撃任務。彼と相棒の愛の共同作業な事にも注目よ!」
ダイジェストが終わり、映像は再びコックピット内へ――。
一方で、コックピット内の物九郎。
ユーベルコード『狩猟の魔眼<<ザミエルシステム>>』を発動させた物九郎は遠隔で受領した電脳魔術のバックアップを受けていた。
『>6,021km先に小規模なブラックホールを示唆する光学的ズレを確認_『補正を修正』します』
「おう、そーいう細かい所は全部エルに任せるわな。照準はこんなカンジかね。エネルギーはどんニャもンですかね?」
『>“リダン・ムグルエギ“の作戦により上昇中_90秒後に目標値へ達すると予想されます。エネルギー充填の時間を考慮_予定通り先行して惑星破壊級ブラスターへの充填を開始します』
●『惑星サイズの敵をぶちのめしてみた』後半
もうすぐ発射可能であることを確認した物九郎は、自身の意思で励起できる現象『モザイク状の空間』を発現させて惑星ロボ『ストームオブシェル』へと注ぐ。
すると猫の腕型の砲塔が招く動作を始め徐々に砲塔に派手なモザイク状のエネルギーがミョンミョンと集まっていった。
そのモザイク状のエネルギーの装填を合図に、リダンは視聴者の意識を物九郎へと戻していく。
「今回は狙撃任務。彼と相棒の愛の共同作業な事にも注目よ!」
映像が再びコックピットに戻り映し出される物九郎。
「ってゆーか何が『愛の共同作業』ですかよ。こんなん火器管制用の補助AIですっつの」
と、後で相棒に拗ねられそうな事を言いつつきっちりカメラを意識した顔角度はキープ。
リダンの司会もノッている。
「猫の腕型砲塔が招く度、中央にモザイクがチャージされるわ!」
モニターに映し出される映像は、コックピット内の物九郎とエネルギーの装填が進んでいく惑星ロボ『ストームオブシェル』の2画面へ。
「皆、カウントダウンの準備はいーい? 3、2、1!」
「「0!」」
猫の腕に備え付けられた砲塔からエネルギーが発射された。
その閃光は視聴者数に比例した太さで宇宙を貫くとそのまま『フリシレアンMOS』の全身を焼き、『制御宝珠』にダメージを与える。
……暫くすると再生が始まったが、その再生には最初の頃のような速度は無い。
クェーサービースト『フリシレアンMOS』は確実に弱っていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
カーバンクル・スカルン
ほーん、注目が集まれば集まるほど出力が上がるビームですかー、ほーん。
私射撃武器ってあんまり使ったこと無いのよなー、でもこんだけ最大範囲広ければ隅っこでも当たるだろ。でももし外したら?
自分自身へのプレッシャーが増したことにより、【集団心理】が発動。大量の群衆が私を取り囲む。
群衆は今はまだ黙って見てるだけ。動くのはビームを撃つボタンを押してから。当てれば歓声、外せば罵倒と投石。……まさにdead or alive。
本当は他人に撃たせたいんだけど……腹括るかぁ!
ぶっ飛べやフリシレアンMOS!
ナイ・デス
&
万人に注目される程の行動も、百人しかいない空間では百の注目
観測者を、つくりましょう……限界に、挑戦してみます
惑星ロボさん
今日の私達は、文明を守護する竜……ダイウルゴス、です
『文明守護竜』
彫像千体が変形合体している「ダイウルゴス」体高5mが変身で10m
長さも幅も倍、構成する竜の数は8倍
小惑星ロボが、変身の度に小さな竜(オブリビオンではない)の群れに変わり、ダイウルゴスの一部となって
15回
小惑星級の約163km、約3京5千兆の竜の集合体
爆散しそうな頭【覚悟念動力、限界突破激痛耐性継戦能力】根性と再生力で維持してるだけ
私は撃てない
でも竜達が、仲間の観測者に
変身解除すると竜達は元の惑星ロボに戻ります
●発想の転換
遠距離からの一撃でクエーサービーストへ有効打を与える……そのための『射撃の命中を出力による範囲拡大で補う』ために注目を集めたいのが今回のミッションのオプションである。
ちなみにここスペースシップワールドで猟兵たちは伝説の『解放軍』の再来とも言われ、復活した『銀河帝国』を打ち破る戦いで重要な役割を果たした知る人ぞ知るヒーロー。
……しかしそれは二年も前の出来事。
この『惑星破壊級ブラスター(余計な機能付き)』の真価を発揮させるにはもうすこし追加で観測者が欲しいところだ。
ならば『観衆そのものを増やせばよい』――。
猟兵たちの中にはそういった視点からアプローチをする者も居た。
「万人に注目される程の行動も、百人しかいない空間では百の注目。観測者を、つくりましょう……限界に、挑戦してみます」
『SOD-71D「ダイウルゴス」』へ乗り惑星ロボの頭上から宇宙を見据えるナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は、静かに深呼吸をすると覚悟を決める。
何故ならこれから彼が行うことは、自身にとっても負担が大きい行為だから。
同様に、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)もまた、観衆そのものを増やそうと考えていた。
「ほーん、注目が集まれば集まるほど出力が上がるビームですかー、ほーん」
と軽い口調で仕様を確認しているが、彼女がやろうとしていることもまた自身に大きな負担をかける行為だ。
超望遠レンズで観測可能なクエーサービースト『フリシレアンMOS』はまだ逃亡の気配はない。
おそらく、むやみに逃げるより再生と索敵を優先しているのだろう。
つまりこの猟書家は、これ程の遠距離から狙撃が行われているとは微塵も思っていないのだ。
そして、この後に規格外のエネルギーに焼かれることも想定していなかった。
●精神の限界
「本当は他人に撃たせたいんだけど……腹括るかぁ!」
そう言い、強がりの様な笑みを浮かべるとカーバンクルはユーベルコードを発動させる。
それは何かしらの攻撃行動に付随する恐怖に対して、群衆を模した幻影を召喚するというもの。
――『集団心理<<ミンナデワタレバコワクナイ>>』。その群衆の幻影は対象の一挙一動を観察し些細な揚げ足すら取って罵声を飛ばし石を投げてくる。
そして今回その『対象』となるのが、カーバンクル自身である。
(私射撃武器ってあんまり使ったこと無いのよなー。元々の注目度だけでも射撃の範囲は広いし、こんだけ最大範囲広ければ隅っこでも当たるだろ。でも『もし外したら?』)
ユーベルコードが『恐怖』に反応して大量の人々の幻影を召喚していく。
纏わりつくのは中継のカメラ越しではない、生々しい視線。
「――ふぅ」
と一度息を吐き、続けて息を吸うが息苦しい。
自分で作り出したとはいえ、増大するプレッシャーが鼓動を早め思考を白くし始める。
酸素が足りない――否。意識して吸わなければ呼吸もままならない。
手が震える。視線のピントが上手く合わず目が霞む。
それ程の緊張。
(群衆は今はまだ黙って見てるだけ。動くのはビームを撃つボタンを押してから。当てれば歓声、外せば罵倒と投石。……まさにdead or alive)
カーバンクルは流れる汗をぬぐった。
既に何人かの猟兵が射撃を終えてしまった。皆、上手く当てている。
私は当てられるのか? という重圧がさらに増していく。
増加する『恐怖』に比例して幻影も増えていく。
ヒソヒソ、と聞こえる筈のない声が聞こえた気がした。
まだ罵声は無いはずだ。
何を話ているんだ?
重圧と恐怖に比例して幻影がさらに増える。
カーバンクルは、再び深い呼吸をした。
肺を絞り出すように深く息を吐き。呼吸を一拍止め、そして吸う。
吸ったら再び、すぐに吐き出す。
深い呼吸はほんの一瞬だけ思考をクリアにした。
今はこの一瞬だけでいい。
トリガーに指をかけ、カーバンクルは吠えた。
「ぶっ飛べやフリシレアンMOS!」
●身体の限界
ナイは乗り込んだ『SOD-71D「ダイウルゴス」』の中から電脳ゴーグルを通して敵の姿を見ていた。
「大丈夫そう、です、ね」
超望遠レンズで捉えられた情報は問題なく受け取れている。
準備が整っていることを確認すると、ナイはユーベルコードを発動させた。
ユーベルコード『文明守護竜<<フロンティア・ライン>>』。
それは、ナイを中枢とした新生ダイウルゴス――かつて『帝竜戦役』で現れた帝竜『ダイウルゴス』に似た性質の竜の融合体――へと変貌するチカラ。
中核になるナイが乗っている『SOD-71D「ダイウルゴス」』は千体の黒い宝石製の模型を合体させているらしい。
ユーベルコードを介した変身でその千体の模型は万物と融合する竜となり、同時に体積を増やしていく。
しかし体積は増えても一体ごとの竜の大きさは変わらない。それは、竜の数そのものの増加を意味していく。
「惑星ロボさん。今日の私達は、文明を守護する竜……ダイウルゴス、です」
増える竜はそのまま惑星ロボとの融合を始めた。
融合する竜が増えるに連れて、増大する念動力がナイに負荷をかけていく。
(頭が、爆発しそう、です)
もう何回変身しただろうか?
(でも、まだ、です。つくる観測者は、この竜なのです、から)
ヤドリガミであるナイは本体さえ無事なら肉体は再生可能だ。
だからこそ、無理も出来るのだろう。
それでも、苦痛はある。
高い負荷が肉体を弱め、仮初の肉体から血が流れる。
頭が痛い。
けれど、ナイは耐えた。
――こうして、竜の群れは時間をかけて惑星ロボと融合を果たす。
『賛成、約3京5千兆。反対0、棄権1……。現在議長は融合体の維持で決議に参加できないが、棄権票として処理し、決議に変化はない』
『我ら新生ダイウルゴス文明は、目標に対する超遠距離攻撃の実行を選択する』
竜と融合した『惑星破壊級ブラスター(余計な機能付き)』は現在、その頭部に移動していた。
つくりだした多くの観測者により生み出されたエネルギーは、ブラスターの破壊と引き換えに燃える恒星すら飲み込むチカラになるだろう。
文明守護竜が動き始める。
『決議に従い、処理を実行する』
竜の顎が開くと、全てを飲み込む光が生まれた――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『ジュエル・ドミネーター』
|
POW : ジュエル・キエリビウムJOX
【宝石浸食化したキエリビウムJOX】に変身し、武器「【物質分解光線を放つ頭部の水晶体】」の威力増強と、【高速回転しながら、物質分解波動の連射】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD : ジュエル・マインドミナBVA
対象の攻撃を軽減する【宝石浸食化したマインドミナBVA】に変身しつつ、【無限に変化する外殻が変形した殺戮兵器】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : ジュエル・ヴァギアスEAT
【存在を喰らうという暴食の感情を爆発させる】事で【宝石浸食化したヴァギアスEAT】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠エィミー・ロストリンク」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●二章についてのお知らせ
一章へのご参加、ありがとうございます。
引き続き二章のプレイングの受付は予定通りに木曜の01月14日(木)からとなる見込みです。
よろしくお願いいたします。
●『ジュエル・ドミネーター』
猟書家『ジュエル・ドミネーター』は逃走していた。
何故なら支配に成功したクェーサービースト『フリシレアンMOS』が機能を停止したためだ。
高速移動のために『キエリビウムJOX』の姿を取っている『ジュエル・ドミネーター』だったが、しかしそのサイズはクエーサービーストと言うにはあまりに小さく、せいぜい『五メートル』ほど。
もし『フリシレアンMOS』の身体が残っていれば、それを素材に質量を増やせただろう……しかし『フリシレアンMOS』の身体は遥か彼方から襲ってきた過剰なほどのエネルギーに焼き払われて跡形もない。
――有リ得ナイ。
――索敵ノ範囲外カラノ狙撃など。
しかし現にこうして『制御宝珠』が撃ち抜かれた。
明らかに『制御宝珠』が狙われていた。
いくら猟兵が規格外であろうとも、体格差による『射程の差』はどうにもならない筈だった
――何カ新兵器ガ在ルニ違イナイ。
(我ガ造物主、ドクトル・アメジストへ、報告シナケレバ)
ふと『ジュエル・ドミネーター』が振り返ると、高速移動用の宇宙船が一隻がこちらへ迫ってきている。
――追イツカレタ。
このまま背中を見せるわけにもいかず、猟兵たちを迎え撃つため『ジュエル・ドミネーター』は反転した。
.
●『フリシレアンMOS』の撃墜
――次々と放たれる巨大な光線が、遥か遠方のクエーサービーストを貫いていく。
この光景は人々に大きな勇気を与える事だろう。
これまで『クエーサービースト』にまともな打撃を与える手段は一部の者にしか扱えない超常能力『ユーベルコード』しかなかった……。
その巨体は、かつての『銀河帝国』さえも排除しきれなかった程である。
そんな未踏宙域の脅威が今、人々の研究の結晶である惑星ロボとその専用装備で退けられたのだ。
ここに試作型で進んでいる思念兵器としての研究も加わったなら『クエーサービースト』との決戦も不可能ではないだろう。
圧倒的な体格差……そしてそこから生まれる圧倒的な射程の差。
新兵器がその不利を退ける鍵であることはこの結果から明らかだ。
宮前・紅
&&&(桔梗*3)
【WIZ】
相手は相当追い詰められているみたいだね?
まあ、いいや。ちゃっちゃと終わそっか──蒼くんが
俺は完全にサポートなので、よろしく♪
二人なら一分もあれば、十分でしょ?
無茶振り?………んや、『信頼』だよ、俺にとってはね
UCを発動して敵の動きを制限
心的外傷を負うといっても相手はオブリビオン
数秒しか完全に動きは止められないと思う
けど、行動範囲は制限したからね……
Elsie、Lacie、Tillie、攻撃を躱す様にフェイントを
躱しきれない場合は耐える(激痛耐性)
一瞬の隙を狙い攻撃(暗殺+貫通攻撃)
ちょっとは翻弄されてくれたかな
後は頼んだよ二人とも
あ、決め台詞は忘れずにね!
戎崎・蒼
&&&【桔梗*3】
いよいよ猟書家との戦いか
完全に逃げ腰の所申し訳ないが…勝てば官軍、負ければ賊軍。エゴを正当化する為に倒されて貰おうか
(紅の言葉を聞いて)…って、それだと僕だけが戦う事にならないか!?
あと叶は戦隊モノよろしく、決め台詞を期待するような目で見てこないでくれ…!あれ、滅茶苦茶恥ずかしかったんだからな…!
取り敢えず叶と紅のサポートがあった所で銃弾を敵に当てられたのなら、UC発動
課す規則は『逃げてはいけない』こと
…もっとも、逃げたくても逃げられないとは思うけれどね
威力が足りないようならSyan-bulletで追加ダメージを狙おう
(戦隊ものに憧れてはないのに何故こんなに推してくるんだ…)
白霧・叶
&&&『桔梗※3』
逃げようとしてたところにすまんがちょいと時間をもらうぜ? なに、すぐ終わらせるさ―……戦隊モノに憧れし蒼がな!
さて、冗談はほどほどにしても紅の技の性質上、一分か。 んじゃあその信頼に答えてその半分で間に合わせてやるさ。 まっ、今回は俺も蒼のサポートに回るから良いとこ見せてくれよ、蒼
既にお互い姿を確認しあっちまったがUCで二人をサポート。 隙があれば折角の見せ場になにもしないというのも寂しいし刀を抜いて切り込みに行こうか
相手が弱ってきたのがわかれば『鼓舞』を駆使して蒼を応援しようかな。 なんてったって一番の見せ場だろ? さぁ、かましてやれ―……くすっ
火土金水・明
「今、あなたを逃がすわけにはいきません。確実に足止めをさせてもらいます。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】で【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【サンダーランス】で、『ジュエル・ドミネーター』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
カーバンクル・スカルン
ハッハー、逃すかよジュエル・ドミネーター! きっちりボコボコのボコにしてやるんだからな!(緊張から解放されておかしなテンション突入中)
指差し、カタリナの車輪【出発しんこー!】 どれだけ高速で動こうと私自身かロボの視界に入っている限り車輪はアンタを追いかけ続ける! 私に映らなくても画面を見ればどこにいるかは一目瞭然だかんなー! 喰らい壊そうって無駄、すぐに次の車輪を向かわせますので!
それに、そんな埒外の存在にコロコロと化けてたら体も長くはもたねぇでしょ? 私達の勝利条件はもう満たした。あとはあなたをいたぶるのみよ。
エドゥアルト・ルーデル
&&&
Let's study
(まだ虹色に輝きながらBGMを流すUCを使っている)
引き続き全身を【ドット絵】にしておきますぞ
さらに全身の色を宇宙に合わせた暗い配色にすることで視認性を下げる、これぞ宇宙迷彩・ジツでござる
飛んでくる【光線】は視認性の低さを活かして狙いをつけづらくしたりペラペラボディを傾けて被弾面積を小さくして回避ですぞ
後はこちらを見失って動きが鈍るのを待ってから張り付きですぞ
張り付いたら再び虹色に輝き回転しながらBGMを流す!これはお約束なので仕方ないね
流石に攻撃無しだとアレなので適当に頭部の水晶体に爆弾を貼り付けて爆破ぐらいはしますぞ
The answer is
Death
●いざ追撃へ
「よっしゃ! 当てた! どうだ!」
カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)はガッツポーズと共に歓喜の声を上げた。
攻撃の失敗への重圧から解放されたことでカーバンクルを追い込んでいた群衆の幻影たちも消えていく。
けれどカーバンクルは帰還するや、休むことなく飛び出した。
それは、猟書家へ追撃を入れるため。
カーバンクルは『機械仕掛けのワニ』を連れて作戦のために用意された高速移動用の宇宙船に飛び乗った。
「ハッハー、逃すかよジュエル・ドミネーター! きっちりボコボコのボコにしてやるんだからな!」
緊張から解放されたおかしなテンションのままにカーバンクルは叫ぶ。
こうして、直に『猟書家』と戦う者たちを乗せた宇宙船は、搭載されている『ワープドライブ』により超空間へと移動していった。
目標の座標は『フリシレアンMOS』が先ほどまで存在していたポイント……その距離およそ六十億キロメートル。
地球から土星まで往復するほどの距離だが、この『ワープドライブ』であればすぐにたどり着けるだろう。
ワープで近づいた後は、宇宙船が装備する追加ブースターで一気に『猟書家』との距離を詰めることになる。
●先行の足止め
「――追イツカレタ」
猟書家『ジュエル・ドミネーター』は反転した。
同時に頭部の水晶体から物質分解光線を迫る宇宙船へと放つ。
その光線は、回避するように動いた宇宙船の追加ブースターに命中し――。
『透明な何か』が砕けた。
「……!?」
「残念、それは氷に映った残像です。……我、求めるは、新たな雷撃の力――!」
声と同時に、四百八十本もの雷の槍が『ジュエル・ドミネーター』へ突き刺さる。
「今、あなたを逃がすわけにはいきません。確実に足止めをさせてもらいます」
――それは火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)による攻撃だった。
惑星ロボに乗らず待機していた明。
そのため彼女は誰よりも早く出発し、誰よりも早くたどり着いていた。
先ほど『ジュエル・ドミネーター』が見ていたものとは別の方向から明を運んだ宇宙船が飛来して通り過ぎていく……。
氷の魔法で作った板を宇宙空間に流してから別方向に周り込むことで、宇宙に鏡の虚像を作り出していたのだ。
「ヒトリカ――舐メラレタモノダナ」
降り注ぐ雷の槍を受けながら『ジュエル・ドミネーター』の姿が変化する。
それは、巨大な顎を持ちあらゆる生物・物質を喰らうクエーサービースト『ヴァギアスEAT』の姿……存在を喰らう暴食が爆発的に増大した速度で明を襲う――。
「――残念。それも偽物です」
しかし、かみ砕いたのは氷に映る虚像。
高速の詠唱で広範囲にばらまかれた氷の魔法が、ミラーハウスの様に明の残像を増やしていった……。
(逃さないことが最優先です……そして、少しでもダメージを与えて次の方に)
明は再び高速で詠唱を行うと『七色の杖』を振るう。
「――求めるは――!」
再び降り注ぐ雷の槍。
その数は、いかに高速で動くヴァギアスEAT――五メートル程のサイズ――と言えど避けきれるものではない。
その時、もう一隻の宇宙船が飛来した――惑星ロボに乗っていた面々が到着したのだ。
●幕間
時刻は少し遡り、ワープ中――。
「おおおおおっ、これが本物のワープかっ……!」
白霧・叶(潤色・f30497)は感嘆の声を上げた。
巨大ロボット、宇宙、無重力、そしてワープ……いずれも大衆文学のSFで見かける未知の世界。
(現実は小説より奇なりと言うが……こんな経験、サクラミラージュの知り合いに話しても信じてもらえるだろうか)
グリモアを通じて他の世界へ行けるという猟兵ならではの特典を噛みしめる叶。
けれど、その至福の時は余韻に浸る時間さえない。
「感激に浸っているところ悪いが……叶、いよいよ猟書家との戦いだ。いつでも出られるよう準備をしておこう」
戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)の声が叶を現実へと引き戻す。
『ワープドライブ』により超空間へ移動した宇宙船は、六十億キロメートル――地球と木星を往復するほど――の距離の移動を一分もかからず終わらせてしまう。
その後、追加ブースターにより一気に猟書家との距離を詰めることになるのだが……。
しかし、ある程度の装甲があるとはいえまともに攻撃を受けたらこの船も無事では済まないだろう。
そのため先手を取られないよう早めに船外に出おきたい。
そんな短い旅の中、宮前・紅(三姉妹の人形と罪人・f04970)がふとこんなことを言い出した。
「こういうチームの出撃って、ちょっと戦隊ものっぽいよね」
「ははっ、戦隊か。これから怪人をやっつける訳だし確かに近い気がするな」
と笑う叶だが、蒼にとっては猟書家と戦うための備えの方が重要だった。
「ほら紅も。すぐ着くんだからエアロックへ行くぞ」
蒼は、マグネットの靴底を使わずフワフワ浮いている紅の手をとるとそのまま風船のように引っ張っていった。
その後ろを叶がついていく。
「しかしこの宇宙服もすごいよなー。本当に着ていないみたいだ」
「ねー。透明じゃなかったら戦隊もののスーツみたいだよね」
と会話が進む中、宇宙船はワープを終えて通常の宇宙空間へ――。
●追撃開始!
――そして、惑星ロボに乗っていた面々が到着した。
明が先行して足止めをしたこともあり、『ジュエル・ドミネーター』は元の位置から殆ど移動できておらず何の準備も出来ていない。
「――時間ヲ掛ケスギタカ」
「見つけたーーー!」
緊張から解放されたテンションのまま飛び出したカーバンクルは連れていた『機械仕掛けのワニ』と合体。
そのまま人型のロボになると右腕につくワニの頭の『回転機構』を起動させる。
そして右腕のワニの頭をドリルの様に回転させながら『ジュエル・ドミネーター』へ飛び掛かった。
「こっちはクエーサービーストとの戦争で忙しいんだよ!」
余計な事件を増やすんじゃねえという拳が『ジュエル・ドミネーター』へ叩き込まれた。
同時に飛び出した虹色に輝くドット絵状態のエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)も追撃を入れていく。
惑星ロボでの狙撃からずっとユーベルコード『ドット職人の朝は早い』でドット絵の姿を維持していた彼は、四輪の乗り物に搭乗したようなドット絵になると、虹色に輝き無敵っぽいBGMと共に加速する。
「Here we go!」
エドゥアルトは亀の甲羅っぽいドット絵テクスチャを張り付けた『Panjandrum』を取り出すと、投げた。
甲羅は火を噴いて回転しながら目標へ向かい、『ジュエル・ドミネーター』をスピンさせる。
「ハッハー! Let's study!」
「グ――」
この一瞬の連撃でダメージを受けた『ジュエル・ドミネーター』は、再び『キエリビウムJOX』の姿をとると『物質分解波動』をばら撒こうとする……しかし、伸びる無数の腕がその行動を阻害した。
「――他ニモ居タカ」
腕はトランクケースから伸びていた。
トランクケースの上では無垢な少年の姿が仄かな闇を滲ませて微笑んでいる。
「──逃れられないのに、どうして逃げようとするのかな?」
それは紅のユーベルコード『追憶の語り手<<レヴェイユ>>』。
トランクケースから伸びた腕が遠距離への攻撃と移動を妨害した。
●逃走阻止
「後はよろしくお願いします」
そう言うと、足止めという目的を果たした明は後退する。
全力で魔法を行使し続けたことによる消耗が大きいためだ。
そんな明へ叶は礼を言う。
「ああ、任された。それにここに来る間に望遠で戦いを見せてもらったぜ。お陰で敵の情報が得られた。ありがとうな」
礼を伝えると、叶は到着までに立てた『潤色の立案』の実行を開始した。
伸びる無数の腕――紅のユーベルコードによって『ジュエル・ドミネーター』は物質分解光線や物質分解波動を封じられている。
その腕の発生源である紅の隣で蒼はマスケット銃の『Sigmarion-M01』へ銃弾を装填していく。
「完全に逃げ腰の所申し訳ないが……勝てば官軍、負ければ賊軍。エゴを正当化する為に倒されて貰おうか」
「――コンナモノ」
再び変身しようとする『ジュエル・ドミネーター』。
しかし――振るわれた刀が『ジュエル・ドミネーター』を二つに切断した。
「――紅の技の性質上、一分か。んじゃあその信頼に答えてその半分で間に合わせてやるさ」
敵が紅のユーベルコードに気を取られている間に懐へ飛び込んでいた叶。
霊刀『散桜』による切断面に『制御宝珠』が覗いている。
「蒼!」
叶は合図を叫んだ。
だがその時、既に蒼は宝石へ銃弾を撃ち込んでいた。
「『逃げてはいけない』。これが君に課す規則<<ルール>>だよ……もっとも、逃げたくても逃げられないとは思うけれどね」
蒼の宣告に伴い、銃弾が『ジュエル・ドミネーター』へ『ルールを破るとダメージを与える』呪縛を刻み込む――その力は、ユーベルコード『第一楽章 「94」より:最悪の銃式について<<パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ>>』。
ここまでが叶が立てた作戦のひとつだ。
「これなら一部だけ切り離すなんてことも出来ないだろう。逃げようとしてたところにすまんがちょいと時間をもらうぜ?」
切断された『ジュエル・ドミネーター』は液体のように再び繋がり別の姿へ……。
「――煩ワシイ小細工ナド!」
次に取った姿は『ヴァギアスEAT』――伸びる腕をすり抜けると、爆発的に増大したスピードと反応速度で攻撃を再開した。
●それぞれの信頼
『ジュエル・ドミネーター』は伸びる腕に移動を阻害されうねるような進路をとりながら紅を狙っていた。
存在を喰らうという暴食の感情に混ざるのは焦りと怒り。
その理由は紅のユーベルコードのもう一つの性質にある。
――それは、腕に捕らえられて捕捉された際に与えられる精神的な傷。それは増幅させられた一抹の不安からもたらされた。
(我ガ造物主、ドクトル・アメジストガ、我ヲ捨テ駒二スル筈ガ……)
万が一にあるかもしれない、意識の外に追いやっていた有り得えない可能性。
コノ不信ハ在ッテハナラナイ。
爆発的な反応速度で迫る『ジュエル・ドミネーター』に対し、紅は興味深げな笑みを浮かべていた。
「腕に捕まれて『何を視た』のかな? まあ、いいや。ちゃっちゃと終わらそっか──蒼くんが」
「それだと僕だけが戦う事にならないか!? というか気が散る!」
蒼は卓越した狙撃の技で冷静に迎撃をしていくが、敵は肉を抉られながら捨て身のように迫っており、装填の度に距離を詰められてしまう。
そんな中、狙われているにも関わらず紅は。
「俺は完全にサポートなので、よろしく♪」
とのん気にしていた。
(無茶振り? ………んや、『信頼』だよ、俺にとってはね)
Elsie、Lacie、Tillieの三姉妹の人形が紅を守るように立ちふさがるが、それさえもすり抜けて――紅に向けてヴァギアスEATの口が大きく開かれる。
しかしその牙は届かない。
「ひとり忘れてただろ?」
声とともにヴァギアスEATの上顎が斬り取られたためだ。
「おまえさんだいぶ遠回りをしていたからな。戻るには十分、あとは隙を狙うだけだったぜ。……紅は囮にする作戦ですまなかったな」
そう言いながら、叶は霊刀を構え敵の動きへと備えながら言葉を続ける。
「なにやら耐え難い心的外傷を受けちまったみたいだが、すぐ終わらせるさ――……戦隊モノに憧れし蒼がな! なんてったって一番の見せ場だろ?」
叶が『ジュエル・ドミネーター』の注意を引きつける間に蒼は硝子製弾丸『Syan bullet』の装填を終え、露出する『制御宝珠』に銃口を当てていた。
(戦隊ものに憧れてはないのに何故こんなに推してくるんだ……)
などと疑問に思いつつも狙いを定め……。
「あ、決め台詞は忘れずにね!」
と紅に煽られながら蒼は無言で引き金を引く。
液状火薬の炸裂が『ジュエル・ドミネーター』へ大きなダメージを与えて吹き飛ばした。
「決め台詞は無いのか……」
「聞きたかったのになー」
と残念がる叶と紅に対してため息をつきながら、蒼は。
「あれ、滅茶苦茶恥ずかしかったんだからな……!」
と不満を口にするのだった。
●追い込む……さらに追い込む
弾丸の炸裂でダメージと共に吹き飛んだ『ジュエル・ドミネーター』は再びその姿を変えていく。
『ジュエル・ドミネーター』の動きを制限していた無数の腕は制限に達したのか既に無い。
――今ナラバ纏メテ。
『ジュエル・ドミネーター』が再びキエリビウムJOXの姿をとり、物質分解光線を放とうとしたその時だ。
ここまで大きくUターンしながら加速していた虹色に輝くドット絵――エドゥアルトが無敵っぽいBGMと共に突進してきた。
「Okey Dokey!」
エドゥアルトは再び甲羅のテクスチャを張り付けた『Panjandrum』を投げまくる。
「フザケテイルノカ!」
その甲羅を『ジュエル・ドミネーター』は物質分解光線で迎撃したが……しかし、『ジュエル・ドミネーター』はこの目立つ虹色に気を取られすぎていた。
「よそ見する余裕は無いんじゃないですかね!」
ロボ形態のカーバンクルが接近し、右腕のワニの頭を触手の根元へと噛みつかせる。
「千切れろ!!」
カーバンクルはワニの頭を触手の束に噛みつかせたまま『回転機構』を起動させた。
「グアアアッ」
触手が根こそぎ引き抜かれていく。
「そんな埒外の存在にコロコロと化けてたら体も長くはもたねぇでしょ? 私達の勝利条件はもう満たした。あとはあなたをいたぶるのみよ」
そう言うと、カーバンクルは触手を失った『ジュエル・ドミネーター』をワニの頭で挟み込もうとした。
しかし、『ジュエル・ドミネーター』は再びヴァギアスEATの姿となりその顎を避ける。
「逃がすか! カタリナの車輪、出発しんこー!」
カーバンクルが『ジュエル・ドミネーター』を指さすと、針が複数ついた巨大な車輪が飛来して敵を追っていく――カーバンクルのユーベルコードだ。
「どれだけ高速で動こうと、どれだけ遠くにいようと、私自身かロボの視界に入っている限り車輪はアンタを追いかけ続ける! 喰らい壊そうって無駄、すぐに次の車輪を向かわせますので!」
「クッ……!」
襲い来る車輪を避け、食らい破壊していく『ジュエル・ドミネーター』だが大きな負担がその命を削りとっていく……。
そんな最中、『ジュエル・ドミネーター』が姿を模したヴァギアスEATの側面でドット絵が蠢いていた。
(全身の色を宇宙に合わせた暗い配色にすることで視認性を下げる、これぞ宇宙迷彩・ジツでござる。さらにペラペラボディを傾けて被弾面積も小さくしたなら例え光線を撃たれても接近はたやすいですぞ)
カーバンクルのワニの顎が触手を挟んだ際に張り付いていたエドゥアルト。
そのままペラペラとヴァギアスEATの内部に潜り込めば内部の『制御宝珠』付近へと爆弾をセットする。
(The answer is……)
エドゥアルトは、ニンマリとした悪い微笑を浮かべ爆破のスイッチを押した。
「Death」
その後、内部から爆破された『ジュエル・ドミネーター』の表面で虹色に輝きながら顔をグルグル動かすエドゥアルトの姿があったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
&&&
※愛機に搭乗
速い宇宙船は他の猟兵に回して
アタシは大きめのドック船で十分
代わりにエンジニア貸りるよ
7号【ラプチャー】起動、全フレーム展開
副腕『フレア・ヴェンデッタ』にパイル接続
主腕と足は追加外装や補助推進機等で固定
そして機体下面に『プロキオン』を懸下
上面接続の前進翼機…もとい『アーリー・バード』には
追いつけるワープ装置なり推進機を付けてもらったよ
『お礼』は後でたんまりね♡…あ、設計データも拝借♪
距離を詰めたら格闘型戦闘機として発進
Gに耐えつつ超高速で追撃するよ
猟書家が見えたら全弾連射しつつ組み付き
副腕のパイルと『プロキオン』で串刺し
更にビームや破砕衝撃波を叩き込むよ
半端なサイズが命取りさっ
白斑・物九郎
【リダン(f03694)と】
『ストームライダー』を【操縦】してエントリー
宇宙空間だろうが【野生の勘】と【推力移動】でカッ飛ばしてキリキリ立ち回りますでよ
スターオブシェルが派手にデコイやってる間は『モザイク状の空間』を【迷彩】的に塗布して隠遁
緊急脱出始まったら、リダンのねーさんの目立たせ上手ッぷりに便乗ざま【#ワイルドハント】発動、矢面に立ちに行ってやりまさ
バズればバズるほど強くなんのはキマイラだって同じなんスよ
そのヘンのデブリでもなんでも、ネコパンチ・ネコキック・テイルスイングで打ち出してドミネーターに喰わせるように【投擲】
オラオラ遠慮しなさんなよ!お代わりはまァだまだいくらでもありますでよ!
リダン・ムグルエギ
さぁ、行くわよぶっちー(f04631)
魂の親戚?のためにも全力で、ね
『スターオブシェル』で先行出撃
派手な光や音を発して注意を引き付け『見てもらう』わ
コードの狙いは
スターオブシェルや周囲の物を食べようとする暴食モードな敵の味覚を
『全てが死ぬほど不味く苦痛に感じる』ように操る事
精神攻撃催眠術…メシマズテロよ
変身解除したら後のぶっちーの攻撃を避けれず
解除しなければ味地獄!
「宇宙人のメシマズドッキリ
はじまるわ!
捕食開始時に緊急脱出機能で逃げる
逃げやすいよう防御機構改造済だけど…ぎゃー!敵早い
ぶっちー!妨害兼おかわりはよ!
ぶっちーの配信とリンクし
両方の世界に#ワイハンブームを仕掛けつつ
ワイワイ逃げるわ
ナイ・デス
&&&
先行生産分の(余計な機能で余計に)貴重なものを、壊してしまいました……
限界突破した、貴重なデータがとれた、ということで許してもらえるか、にゃあ
……一応、直して、おきましょう
聖者パワーでなんやかんや直しながら猟書家を追う宇宙船に乗って戦場へ
あとは、ちゃんと使えるか確認できれば……よし
猟書家さんに、もう一度付き合って、もらいましょう
この辺りの、みんなにも……
『文明守護竜』発動
前回より少ない13回で、気持ち楽に
領地大地のように、周囲の岩など星間物質が小型の竜に変わり、集う
約40km
約549兆の群体
アニマルアーマー搭載武器のように、ブラスターを装備して
【リミッター解除】
【範囲攻撃】で、猟書家を!
●こちらドック船
先発した猟兵たちを見送りつつ別の船に乗り込むリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)。
彼女が乗るのは機動兵器の運搬・整備・組立が可能なドック船だ。
こちらも同様に『ワープドライブ』を搭載している。
「それじゃ、エンジニア貸りるよー」
リーゼロッテは事前にツバをつけていた数名のエンジニアをドッグ船に招くと、ドッグの隅へ向かった。
そこにあるのは事前に運び込みをお願いしていた装備の数々。
リーゼロッテはそれらを自機の『ナインス・ライン』へと取り付けていく。
このドック船に乗るのはリーゼロッテの他にも二名いた。
白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)とリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)だ。
「ま、『ワープドライブ』で近くまで行くンで体感上は直ぐ到着しそうスけど」
「キマフュ以外での『トレンドバトル』に続いて宇宙でのロボ戦! これは迫力のある画になりそうね。ぶっちーの配信とリンクして両方の世界に<<#ワイハンブーム>>を仕掛けましょう!」
と、二人はやる気を滲ませている。
ん? 両方の世界に配信……?
一方で、先に出発した宇宙船ともドック船とも別の場所にいるのがナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)だ。
「先行生産分の貴重な武器を、壊してしまいました……」
キャパシティをはるかに超える大出力を放ったことで壊れた『惑星破壊級ブラスター』を前に、ナイはオロオロしている。
惑星ロボ用であるため、そのサイズはひとつのちょっとした県並の巨大サイズ……使われた資材も膨大なものになるだろう。
「限界突破した、貴重なデータがとれた、ということで許してもらえるか、にゃあ……一応、直して、おきましょう」
しばらく悩んだナイは『EP修理装置』をイイ感じに使い頑張って再生を試み始める。
(直ったら、ちゃんと使えるか確認できれば……。ワープドライブで、運べます、でしょうか)
目標の座標は『フリシレアンMOS』が先ほどまで存在していたポイント……その距離およそ六十億キロメートル。
地球から土星まで往復するほどの距離だが、『ワープドライブ』であればすぐにたどり着けるだろう。
ワープで近づいた後は、それぞれ乗り込んだドック船または貨物船から出撃して『猟書家』へ攻撃を行うことになる。
そして現在、『ジュエル・ドミネーター』はクエーサービースト『マインドミナBVA』の姿をとり無限に変化する外殻で守りを固めていた。
移動能力と引き換えの千差万別に変化する武装はあらゆる技に対応することだろう……『同サイズの質量さえ来なければ』。
●出撃
――ドック船のカタパルト。
リーゼロッテの乗るキャバリア『MPC-RW9r-LEX ナインス・ライン』はキャバリアの規格を大きく外れた大型推進機を装備していた。
追加装甲と補助推進機等が機体を着ぶくれさせており、腕と胴の間で折りたたまれていた副腕には大型のパイルバンカーが備え付けられている。
そして、機体の下には大型ビームランスの『プロキオン』が吊り下げられていた。
「手伝ってくれてありがとね。『お礼』は後でたんまりね♡」
(それと、推進機の設計データもありがと♪)
心の中で追加のお礼をしつつリーゼロッテはエンジニアたちへにこやかに手を振ってコックピットを閉じる。
「7号【ラプチャー】起動、全フレーム展開……副腕『フレア・ヴェンデッタ』にパイル接続っ」
ここで『ナインス・ライン』のAIが警告を表示した。
しかし、リーゼロッテはその警告を無視して発進準備を続けていく。
「その為の追加外装だし? さて全ブースター点火……それじゃ、発進っ!!」
カタパルトから打ち出されると『ナインス・ライン』は追加ブースターによる加速でその速度を増してく。
その装備は『DA-07:RAPTURE<<ラプチャー>>』……地上であれば重力を振り切るほどの加速を生み出せるだろう。
「あん? まだ相当距離あるんじゃなかったかニャ? あと5分っツー話だったか――」
出撃のカタパルトが動いたことに気が付いた物九郎は首をかしげる。
彼は今、自分のキャバリア『ストームライダー』の中で待機中だった。
「『ワープドライブ』のワープは終わッちゃいるンですが……ま、俺めらも行きまスかね」
そんな物九郎に気がついたリダンが自機の『スター・オブ・シェル』のコックピットから通信で話しかけた。
「あら、ぶっちーもう行くの? 燃料足りるかしら?」
「俺めはほぼ待ち伏せなンで、早めでもなんとかなるんじゃニャーですかね。リダンのねーさんよか燃費は少ない筈。ま、先にドローン展開しときまスわ」
「なるほどね! 放送用の回線は調整済みだから、スペシの方にも放送可能よ」
「おっけ。ンじゃ、推力でカッ飛ばしてキリキリ立ち回りますでよ」
こうして宇宙仕様に換装されたキャバリアは順次出撃していったのだった。
●岩礁宙域
マインドミナBVAの姿をとって守りを固めていた『ジュエル・ドミネーター』……しかしその無限に変化する外殻も高速で迫る質量には無力だった。
――むしろ移動を犠牲にした分ただの的になっていたとも言える。
それは一発の砲撃から始まった。
追加ブースターによる加速の最中で放たれた大型対物ライフル――その弾が、加算される速度で増したエネルギーで外殻の盾を突き破ったのだ。
続けてばら撒かれるビームマシンガンが細かい砲台をつぶし、そして――。
――避けずに真っ直ぐに突っ込む『ナインス・ライン』が下部に固定した大型ビームランス『プロキオン』を突き刺した。
以上が先ほど起こったほんの0.8秒間の出来事だ。
そして『ジュエル・ドミネーター』はそのまま『ナインス・ライン』と共に岩礁宙域に突き刺さると小さな小惑星に衝突して停止した……。
……もし音が伝わる大気があったなら、激しい衝撃音が空間を裂いたことだろう。
大型ビームランス『プロキオン』を切り離した『ナインス・ライン』は漂う様に離脱していく……。
「……なんか猟書家のやつ、スゲー傷物になッてんスが」
物九郎は岩礁宙域の小さな小惑星に突き刺さる、小さなマインドミナBVAを発見した。
どてっ腹に大きな槍がぶっ刺さっているものの、まだ骸の海へ消えていないので生きてるはずだ。
とりあえず『モザイク状の空間』を展開して迷彩として使い自機を隠す物九郎。
一方で『ジュエル・ドミネーター』の方はぬるりと液体のようになってビームランスから離れると『ヴァキアスEAT』の姿を取り始めた。
しかしその姿は、相当消耗しているのか二メートルあるかどうかだ。
(ほー、まるでブラックタールだわな。と見せかけて、宝石みたいなモンが核っぽく……クリスタリアンの特徴もあるッてワケですかい)
隠れる物九郎が観察する中、『ジュエル・ドミネーター』は周囲の岩を食べながら徐々に失った力を回復させていく……。
(ッつーか今あいつは腹ペコってワケですかい? こりァ使えそーですニャー。早速リダンのねーさんにこのネタ送信しときまさあ)
物九郎はここからどう盛り上げるかを思案する。
配信する番組としてどうやったらおもしろいか――。
●暴食への対策
場所は宇宙の岩礁宙域……障害物の多い場所でリダンの宣伝能力特化の『スター・オブ・シェル』がミラーボールのごとくキラキラ光りながら飛んでいた。
中央に透明なコックピットを挟み込む形になっており、中のリダンが非常に良く見える作りである。
ところでリダンさんのプレイングのアイコンはどういう感情なのでしょうか。
「ぶっちーもこの辺にいるはずなのだけど……」
「おう、いるぜ。あと敵さン腹空かしてるみたいなンで、リダンのねーさんは『一飲みで』喰われねー様にな」
物九郎からの通信を受け取ったリダンは合流に安堵しつつ返答をする。
「おっけー! じゃあ敵が現れたらコードの催眠精神攻撃で『全てが死ぬほど不味く苦痛に感じる』ようにしてやるわ。さぁ、行くわよぶっちー。魂の親戚? のためにも全力で……ってぶっちー今何ていったのかしら? 『一飲み』?」
と内容を反芻したところで『ジュエル・ドミネーター』扮するヴァキアスEAT(十メートル)が現れた。
「――迂闊ダナ猟兵。ソノママ喰ラワレテ養分トナレ」
周囲の岩を食べてちょっぴり大きくなった『ジュエル・ドミネーター』は良い感じにリダン機を一飲みできそうなサイズになっていた。
「大きくなってるかもとは聞いていたけど! とにかく手はず通りにコードを……」
迫る『ジュエル・ドミネーター』に対してリダンがユーベルコードを発動させる。
それは衣装に仕込んだ暗示により対象の五感に嘘の情報を流し込む催眠の精神攻撃――。
――そして、リダン機がバクンと食べられた。
「――っ! 緊急脱出機能で逃げたけどほんとに一飲みね!」
リダンは透明なコックピットの中で冷や汗をかいていた。
真ん中のコックピット部分がボール状となりしゅぽーんと脱出したリダン。
一方で『スター・オブ・シェル』の本体を飲み込んだ『ジュエル・ドミネーター』は吐き気をもよおしている様だ。
「ウエッ……何ダコレハ……」
「ニャはは上手くいったみたいでスよ、リダンのねーさん。そんじゃ俺めも動きまさあ!」
物九郎はユーベルコード『#ワイルドハント』を発動させた。
展開されたドローン『茶斑の三毛』は、ユーベルコードの効果により世界を超えて『キマイラフューチャー』へと動画を配信し始める。
●『宇宙人のメシマズドッキリ』
「ぎゃー! 敵早い! ぶっちー! 妨害兼おかわりはよ!」
「腹へッてんでしょーが。これでも喰らいなさんな!」
動画にいきなり映ったのは、透明なコックピットで逃げ回るリダンとそれを追う大きな宇宙怪獣。
そしてその口へ岩を放り込む『ストームライダー』の姿だった。
『え、宇宙?』
『リダン女史いきなりキャッチボール寸前で草』
『早い、強い、ケモい』
キマフュー民の訓練された応援やコメントが早速動画に飛び交っていく。
そしてネコパンチで飛ばされた岩がヴァキアスEAT(十メートル)の口に入るたび、的は動きを止め吐き気をもよおしている。
「はぁいリダンよ! 説明するわね! 宇宙のわるい『怪人』に精神攻撃催眠術……つまりメシマズテロを仕掛けてる最中なの。今回の動画は『解除しなければ味地獄! 宇宙人のメシマズドッキリ』よ! ってギャー! 速い速い! ぶっちー! おかわりはよ! はよ!!」
「オラオラ遠慮しなさんなよ! お代わりはまァだまだいくらでもありますでよ!」
次々と周辺の岩を飛ばしていく『ストームライダー』。
『ジュエル・ドミネーター』は口を閉じると標的を『ストームライダー』へ変えるが……動画のコメントで強化されていく『ストームライダー』と物九郎の野生の勘がその攻撃を避けていく。
「バズればバズるほど強くなんのはキマイラだって同じなんスよ。ッて、ちょっとずつ小さくなってニャーか?」
元から弱っていたのに加え、形体の維持に必要な消耗とぶつけられる岩のダメージでジワジワ消耗している様である。
さらに今はリダンのユーベルコードの効果で捕食の行為が行えないため補給もままならない。
「オノレ……猟兵メ……」
元の五メートル程度まで縮んでしまった『ジュエル・ドミネーター』は『キエリビウムJOX』の姿へ切り替えた。
「はッ、その形態じゃア俺めのキャバリアの攻撃は避けきれネーでしょうや!」
チャンスとばかりに『ストームライダー』が飛び掛かる。
対する『ジュエル・ドミネーター』が物質分解光線を放とうとした……、その時だ。
『ナイきゅん機キターーーーー』
『あれ? デカくね?』
『ダイ! ウル! ゴス!』『ダイ! ウル! ゴス!』
『でかい』『えっでかい』
コメントがさらなる活気を見せ始めた。
――岩礁地帯を、小惑星規模のサイズの竜が覗き込んでいた。
●――そして光へ
岩礁地帯に姿を見せた巨大なドラゴン……それは、ナイの機体『SOD-71D「ダイウルゴス」』――を構成する千体の黒い宝石製の模型を合体させたものをナイのユーベルコードで万物と融合する竜へ変化させ、その体積を増やしていった存在だ。
「ようやく、修理、終わりました。ちゃんと使えるか……猟書家さんに、もう一度付き合って、もらいましょう」
前回より少ない十三回の変身とのことだがそのサイズを比較するとナイ機の四十キロメートルに対し、今回の『ジュエル・ドミネーター』および『ストームライダー』は五メートル。
ナイは岩礁地帯にはたどり着いておらずまだかなり離れている状態だが……富士山でさえ高さは1/10未満の約三キロメートルであることから、その大きさはご想像頂けるだろうか。
『ダイウルゴス』が両手に抱えるのは、ナイが修理をした惑星ロボ用の『惑星破壊級ブラスター(余計な機能付き)』……。
通常であれば、ノミのように小さな五メートルの的に当てるのは非常に困難なのだが……現在、この様子は『キマイラフューチャー』にも動画配信されている。
つまり観測者効果の影響でエネルギーが云々とやらで太いビームを発射して一帯を焼き払うことが可能なのだ。
加えて十三回の変身で竜の数は約五百四十九兆。
改めて、観測者効果ってつけたら何でも許される気がしますね。
ナイは味方用の暗号通信で近辺へと呼びかける。
「この辺りの、みんな、退避をお願い、です。修理したブラスターの、試し撃ち、兼ねて、猟書家さんを、撃ちます」
同時に『惑星破壊級ブラスター(余計な機能付き)』の銃身が輝きエネルギーがチャージされ始める……。
「観念して、ください。猟書家さん。逃げ場は、ありません」
味方機の信号が射程範囲から退避したことを確認すると、ナイは猟書家の居る方向に向けてトリガーを引いた。
全てを消し飛ばす光が再び周囲を包む――。
……この場に現れた猟書家『ジュエル・ドミネーター』は、こうして岩礁宙域もろとも光の中に消え去った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵