第1回チキチキ天空城金ぴか争奪グランプリ!
アックス&ウィザーズ、その遙か空高くには『群竜大陸』が浮遊している。
そこへ至る過程で、猟兵達は無数の空飛ぶ巨岩群に『天空城』があることを確認している。その天空城のひとつに、未だ手付かずの財宝が残されていた。
その天空城に、黄金の装飾品を纏った褐色肌のフェアリーが飛び回る。
その名は猟書家『財宝妖精ブラクテ』……大天使ブラキエルの目論む『天上界への到達』を実現すべく、行動しているのだ。
「感じる、感じる……! 金ぴかの気配……! 全部全部、このブラクテ様が戴いちゃおう! 金! ぴか! 金! ぴか!」
謎の掛け声とともに場内を探索するブラクテ。
すると、遠くから複数の人間の声が聞こえてくるではないか。
「こりゃスゲェ! 地上に運び出せるか、この量?」
「魔法を使っても何往復かかるかわからないわね。まさかこれ程の財宝が手付かずのまま放置されていただなんて……」
「あの伝説は本当だったんだな! ほら……『かつて戦乱に明け暮れていた古代帝国が、魔力の暴走により天空に放逐された』っていうおとぎ話!」
「つまり、この城の何処かに、、この空の上に存在するという伝説のナニカへの鍵があるかもしれないのでしょうか?」
「さあな? でも、誰も邪魔が入らないんだ、ゆっくり探してみるか?」
声の主達は、地上の冒険者達であった。
ブラクテは忌々しげに冒険者達を柱の陰から盗み見て、奥歯をギリギリ噛み締める。
「ゆ・る・せ・な・い! この城の金ぴかは全部ブラクテ様のものだー! あいつらの見つけた財宝もブラクテ様のもの! ころしてでもうばいとる!」
ブラクテは侵略蔵書代わりの竜眼の宝珠から、配下のオブリビオン『氷凝鳥』を大量に放ち始めた。この氷のような姿の蒼い鳥は、黄金や宝石の類に目がなく、それを持つ冒険者を殺してしまうのだ!
「やれー氷凝鳥たち! 冒険者を殺して金ぴかを奪えー!」
ばさささーっと冒険者達へ向かう氷凝鳥の群れ!
それらと一緒に突撃するブラクテ!
冒険者たちはオブリビオンに襲われ右往左往!
「まずい! オブリビオンだ! 特にあの金ぴかフェアリーはヤバい気がする!」
「俺達じゃ勝ち目はねぇ! 逃げるぞ!」
「一旦、バラバラになって逃げるぞ! 固まってたらすぐに全滅だ!」
「きゃー! 死にたくなーい!」
「誰か、助けて下さい……!」
「くそ! お宝を持ち出せずにここで終わって堪るか!」
5人の冒険者達は、城内へ散り散りになって逃げていくしか、生き延びる術はなかった……。
グリモア猟兵の蛇塚・ライム(その罪名は『憤怒』/IGNITE POP DiVA・f30196)は、厚真てくれた猟兵達にカーテシーで一礼すると、今回の任務の内容を伝達し始めた。
「ごきげんよう。今回の任務は、アックス&ウィザーズの猟書家『財宝妖精ブラクテ』の撃退ですわ。ブラクテは今、アックス&ウィザーズの上空に浮かぶ天空城のひとつで、底に眠る財宝を根こそぎ強奪しようと企てていますの。その中に、どうやら重要なアイテムが隠されているみたいでして、皆様にはその回収もお願いしたいですのよ」
ただし、どんなアイテムかは予知では確認出来なかったという。
ひとまずは、先行して城内を探索していた冒険者達が猟書家の部下であるオブリビオンに襲われているので、散り散りになった冒険者達を保護しながら部下達を撃破してほしい。
「冒険者の皆様は、既に城内の構造を熟知しておりますわ。有利に戦いやすい場所を聞き出して、地の利を得ることも出来るはずでしょうね。部下を撃破すると、猟書家の気配が強くなるはずですので、急ぎ向かってこれを撃退して下さいませ」
猟書家『財宝妖精ブラクテ』は、周囲の財宝や奪った財宝を操って戦うため、入手した財宝などが多いほどに強化されるらしい。更に金ぴかの物に目がないという。
「状況は一刻を争います。準備が出来た方から転送してまいりますので、どうかご武運を……」
ライムの声に送られ、猟兵達はアックス&ウィザーズの天空城へと向かう……!
七転 十五起
猟書家の侵略は2021年も続きます。
まずはアックス&ウィザーズの押し返しを目指して参りましょう。
なぎてんはねおきです。
●プレイングボーナス(全章共通)……冒険者達と協力する。
概要はオープニングの内容通り。
天空城の内部で散り散りになった冒険者達を氷凝鳥の群れから救助しましょう。
冒険者は天空城に来れる位なので優秀ではありますが、オブリビオンには勝てません。しかし、これまでの調査で、天空城の内部構造には詳しくなっています。冒険者の協力を得ることができれば、敵を罠にかけたり、逃げ場を奪ったりして、有利に戦うことも可能でしょう。
猟書家『財宝妖精ブラクテ』を撃破すれば、何かが見付かるかもしれません。
(此方からのアイテム発行はありません。各自でお願い致します)
それでは、皆様の挑戦をお待ちしております!
第1章 集団戦
『氷凝鳥』
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POW : 爪の一撃
【非情に素早い突進からの爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 氷柱雨
レベル×5本の【氷】属性の【鋭利な結晶体】を放つ。
WIZ : 大空を舞う
【空高く飛ぶことで】対象の攻撃を予想し、回避する。
イラスト:玻楼兎
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ケイティ・ネクスト
金ぴか系猟兵、猫登場。金が映えるのは褐色肌。意義は認めるにゃー。
「どうして迷宮に鳥を出したんですか?」
お陰で狩り放題。難しい事は何もないにゃ。物陰に潜み、跳躍で奇襲して【猫のお友達】でぐるぐる拘束して【猫の爪】で仕留めるにゃ。本日は暗殺猫仕様。
ちなみに、装飾の金品はひっそり光らない様に加工してるし音もならないようになってるから物陰に潜むと小ささも相まってまず見付からない。見付からなければ攻撃のされようもないにゃ。最悪【猫は柔らかい】でありえないような隙間に隠れたりするにゃ。
「猫は最強の暗殺生物」
天空城の回廊を飛び交う蒼き氷凝鳥の群れ。
その先を全力で走るのは、冒険者グループのリーダーであった。
「くそっ! こんなところで、くたばってたまるかよ!」
持ち前の剣の腕を振るおうにも、氷凝鳥は天井すれすれを高く跳び、冒険者の手の届かない場所から滑空し、その鋭い爪でこつにくをひきさかんと襲ってくるのだ。
「駄目か……俺もヤキが回っちまったみたいだな……。すまない、みんな……」
死を覚悟したリーダーが目を瞑って身を縮める。
その次の瞬間の出来事だった。
「どうして迷宮に鳥を出したんですか?」
ガリリッと何かが引っ掻かれる音がリーダーの目の前でしたと思えば、氷凝鳥は青い血液を吹き出して墜落していったのだ。
うっすら目を開けたリーダーの目の前には、二足歩行の猫がいた。
「金ぴか系猟兵、猫登場。名前はケイティだにゃー」
ケイティ・ネクスト(蠱惑の仔猫・f26817)は、露出の多い踊り子衣装を纏った、茶色の毛並みがセクシーなケットシーの女性だ。切り揃えられた金のショートボブの髪が揺れ、ケイティがリーダーへ振り返った。身に纏った金の装飾品が輝く。
「金が映えるのは褐色肌。異議は認めるにゃー」
「あ、ああ……。よく似合ってるんじゃないか?」
リーダーの男は思わず心の声が口から溢れてしまう。
「褒められた。嬉しいですにゃー」
それに、にへらと顔を破顔させたケイティ。
だが、そんな彼女へ氷凝鳥の群れが襲い掛かる!
「こっちだにゃ」
ケイティはリーダーの男の首根っこを軽々と掴むと、素早い身のこなしでオブリビオンの群れから離脱してゆく。
「このお城の中で、柱がいっぱいある場所ってどこかにゃ?」
「ああ、それなら! その先の鎧のオブジェを左に曲がった先にある!」
リーダーの言葉通り、ケイティは鎧のオブジェを左に曲がった先の柱が乱立する大広間に到達すると、リーダーの男を柱の陰に隠れさせた。
「ここから出てきちゃ駄目ですにゃー」
そう告げると、瞬時にケイティは別の柱の影に紛れていった。
と、そこへ突進してくる氷凝鳥の群れ!
高く飛翔して目標を探そうとする。
しかし、その更に頭上から、大量の攻勢植物の蔦が伸びてきたではないか!
「「ギエェェェーッ!」」
混乱する氷凝鳥の群れ!
そこへ、柱から飛び出して、ケイティは自身の爪から生成した投げナイフ『キャット・タスク』を群れへ連続投擲!
喉や翼を貫かれ、次々と床へ墜落する氷凝鳥達に、ケイティはふんすと得意げになっていた。
「今日の猫は暗殺仕様。装飾の金品はひっそり光らない様に加工してるし、音もならないようになってるから、物陰に潜むと小ささも相まってまず見付からない。見付からなければ攻撃のされようもないにゃ」
更に、この大量の蔦は彼女のユーベルコード『猫のお友達』で放った自分に寄生させている攻勢植物だ。
柱の陰に潜んでいる間に、柱に蔦を巻き付かせ、天井近くまで張り巡らせていたのだ。
あとは群れが通過したのを見計らい、上空から蔦で敵を絡め取ってしまった。
「猫は鳥の天敵。お陰で狩り放題。難しい事は何もないにゃ」
その手には投げナイフ、そして彼女の背中から伸びる大量の攻勢植物の蔦が、怪鳥の群れを無慈悲に屠っていった。
「猫は最強の暗殺生物。この程度、手も足も使わなくても何とかなるにゃー」
圧倒的なケイティの強さに、冒険者のリーダーは柱の陰から感嘆の声を漏らしていた。
成功
🔵🔵🔴
槐・白羅
(機神に乗って天空城に着地
猟兵とやらは凄いな
こんなに自由に空を飛べる世界があるとはな
楽しいなモルスよ
「悪くはないが原始的な世界だ。我に匹する敵などおるまい」
まぁそう言うな?俺は不思議とこの世界がとても懐かしく感じるんだよ
と、今日はお前の声がよく聞こえるな
「我が声が聞こえる…?嫌な予感がする……って彼奴(メルシー発見)…おい白羅…オブビリオンがいるぞ。死を与えてしまえ」
いや俺でも分かるぞ?あれは違うだろ?
それに倒すのはこの鳥達だ(UC発動
攻撃は【受け流し】
【空中戦】で飛びながら
【殺気】を放ち敵を引き付け冒険者から目を逸らさせ
【貫通攻撃・重量攻撃・呪詛】
動きを止める呪いを篭めた斬撃で暴れまわる
カシム・ディーン
「ここがご主人サマの世界♪でも凄い技術だね♪」(少女形態
昔は魔法技術が発展してたんです
だからこういう場所には素晴らしい宝が満載という奴です
さて…(UC発動!ダイウルゴス軍団召喚
【属性攻撃・迷彩】
光属性を付与し光学迷彩で更に存在隠蔽
1番目だけ三体合体させて強化
メルシーを乗せ
散開っ
冒険者とお宝の探索開始です(スマホで各位置を把握
【情報収集・視力・戦闘知識】で地図と共に冒険者の隠れ場所を捕捉
発見次第救出合流
情報共有
メルシー
「この状態でもこれぐらいはできるよ♪」(【念動力】で戦闘時に障壁展開や敵の動きを止めて援護や冒険者救出
竜
【捕食・二回攻撃】で戦闘時は速やかに仕留め
「あ、モー君だ♪この間ぶり♪」
天空城に、体高5mのオブリビオンマシンが上陸する。
操縦するのは槐・白羅(白雷・f30750)、猟兵だ。
「猟兵とやらは凄いな。こんなに自由に空を飛べる世界があるとはな」
普段はクロムキャバリアを放浪している身からすれば、アックス&ウィザーズのように空を飛ぶことに何ら制約のない世界は驚きの連続であった。
「これほど高度を上げて飛行しても、暴走衛星に撃ち落とされる心配がない。楽しいな、モルスよ」
槐は自身の相棒であるオブリビオンマシンこと冥導神機『モルス』に語り掛ける。
するとモルスはきちんと言語化された音声で返答した。
「悪くはないが原始的な世界だ。我に匹する敵などおるまい」
「まぁそう言うな? 俺は不思議とこの世界がとても懐かしく感じるんだよ」
槐には自身の故郷の記憶がない。
手がかりになるであろう手元の品は、幼い頃から持っていたという異界の材質の服と名もなき魔剣のみ。
「もしかしたら、俺はこの世界にいたのかもしれないな」
「我はその考えに懐疑的だ。文明の発展度合いが違いすぎる。それはすなわち……」
「モルス、そうまでして否定しないでほしい。あくまで可能性のひとつを提示したに過ぎない。って、そういえば、今日はお前の声がよく聞こえるな?」
槐の何気ない一言に、モルスの声色が固くなる。
「我が声が聞こえる……? 嫌な予感がする……」
異様に警戒をしだすモルスに、槐は不思議に思うのであった。
一方、天空城内に先行して忍び込んでいたカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と、そのストーカーであり彼のキャバリアである界導神機『メルクリウス』……が変身した銀髪巨乳少女のコンビ。
「ここがご主人サマの世界♪ なんか牧歌的なところだけど、凄い技術だね♪ お城が空飛んでる~♪」
銀髪巨乳少女モードのメルクリウス……メルシーが、城内を珍しそうに見渡していた。
カシムは探索の準備を整えながら、メルシーに言葉を返す。
「昔は魔法技術が発展してたんです。だから、こういう場所には素晴らしい宝が満載という奴です」
「ご主人サマの大好きなお宝だね♪」
「そういうことです。さて……迷子の冒険者と、宝を横取りする鳥の群れを駆除しますか」
カシムはユーベルコード『帝竜眼「ダイウルゴス」(ブンメイヲシンリャクシユウゴウスルモノ)』を発動させる。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……文明を構成せしめし竜の力を示せ……!」
最近のカシムはメルシーに振り回されてばかりであったが、元来は奪った竜の力を行使する自称天才魔術盗賊という肩書なのだ。
召喚されたのは、眼球に『1』と数字が刻印された帝竜ダイウルゴスの小型版……ダイウルゴスを形成していた竜の一部だ。
「1番のダイウルゴスは2番と3番と合体して強化させます。メルシー、それに乗って、迷子を探してこい」
「ラジャったよ☆」
合体して眼球の刻印が『3』になった竜の背に、メルシーが飛び乗る。
そしてカシムは召喚した全ての竜にステルス光学迷彩フィールドを施し、周囲からの視認を困難にした。
「では、行け! 散開っ!」
他の88体の竜と共に、メルシーは城内へ散開していった。
カシムは竜たちの動きをシーフフォン・カシムオリジナルに映し出されるマッピング機能で追跡を開始。
「早速、冒険者とお宝の探索開始です。いやぁ、楽ですね。しばらくはうるさい奴から解放さ、れ……?」
ズゥゥゥンッと響く、唐突な轟音と振動にカシムは思わず振り返る。
「なんですか! え、キャバリア? いや、オブリビオンマシンか?」
『驚かせてすまない。モルスを城内に入れるには、門を突き破る他なかったのでな』
外部スピーカーから漏れる槐の声に、カシムは聞き覚えが合った。
「あっ! 以前、お会いしませんでしたか? うちのメルシーが……」
『ん? ああ、あのトリックスターっぽい機体の操縦者か? 奇遇だな』
「やはりか……。言葉がやけに伝わるのは、彼奴の権能のせいか。おい、あれはオブリビオンだ。見付けたら死を与えてしまえ」
モルスの言葉に槐が当惑の言葉を投げ掛ける。
『待て、あれは違うだろう。モルスの仲間じゃないのか? 俺でも分かるぞ?』
「そ、そうですよ! 不本意ながら、僕の相棒を破壊されては困るんですが!」
カシムも抗議の声を上げる。
もしメルクリウスが破壊されて、強制契約が解除されるなら自由の身となって万々歳なのだが、なんだかんだで便利で賑やかな存在なのでカシムも頼ってる節があることを自覚していた。
故に、手放しで破壊されることを容認できないのだ。
(何のためにメルシーが乗るダイウルゴスを強化して先行させたと思ってるんですか。あいつがやられたら困るのは僕じゃないですか)
心のなかで、カシムはメルシーの存在が相棒のポジションに収まっていることを認識せざるを得なかった。
と、その時、手元の端末に反応が。
「よりによって、メルシーが冒険者とオブリビオンの群れに遭遇かよ……! 他のダイウルゴスも現場へ急行! 僕も急いで……」
「急いでいるなら、我等と共に征くか?」
「え、いいんですか? では、お願いします!」
モルスの申し出にカシムは二つ返事で承諾。
「では、飛ばすぞ」
カシムはモルスの拳の中に収まると、凄まじい風圧に見舞われた。
「なんじゃこりゃあぁぁーっ!?」
モルスの背中のブレイドウイング『死の翼』は、いわゆる飛行ユニットだ。
城内をスラスター推力で高速移動して、城内の交戦反応ポイントへ急行していった。
すると、槐はモルスのカメラアイを通して、敵軍を視認した。
「モルス、分かってるな? 倒すのはお前の毛嫌いしているメル某ではない。倒すのはこの鳥達だ」
新たな猟兵の乱入に、氷凝鳥達は興奮しながら突撃してきた。
その足元の鋭い爪を突き立て、モルスの装甲を抉らんと上空から急接近!
だが、槐はモルスの武装であるRXキャバリアソード『死の運命』を振り上げ、その剣身で爪を受け流した。
更に強い殺気を放ち、メルシーと冒険者から氷凝鳥の群れの一部を自身へ引き剥がしてゆく。
「あ、モー君だ♪ この間ぶり♪」
だがモルスはメルシーの声を無視した。
「もー、モー君は相変わらずだね~?」
「おい、ポンコツ! 無事か?」
駆け寄るカシムに笑顔でメルシーは反応する。
「勿論だよっ♪ 冒険者さんも無事だよ!」
「助けていただき、ありがとうございます……!」
女性ウィザードが身体を恐怖で震わせながら、メルシーの展開する念動障壁に庇われていた。
降り注ぐ結晶体の弾幕は、全てこの障壁に弾かれているのだ。
また、障壁は鳥たちの動きを阻害し、カシム達が駆けつけるまでの時間を稼いでくれていた。
「この状態でも、これぐらいはできるよ♪」
「でかした、メルシー! もう少しで他の竜も集合する! それまで耐えますよ!」
「任せて☆」
カシムは冒険者の護衛に徹することにした。
その間、槐はオブリビオンの群れをユーベルコードで一層するべく詠唱を開始。
「……玄武門……開門……朱雀門……開門……白虎門……開門……青龍門……開門……四門開門!!」
突如、モルスの全体が“潜在能力を解放させる黄金のオーラ”で包み込まれてゆく。
「我が全霊! たっぷりと楽しめぇ!」
槐の叫びと共に、モルスはマッハ8弱の速度で城内を飛び回り、死の呪詛が漲るキャバリアサイズの大剣で鳥の群れを叩き割り、貫き、呪詛で汚染してゆく。
そうしているうちに、城内に散らばっていたダイウルゴス達も集結してきた。
「よし、あの鳥達を食ってしまえ!」
カシムの号令が下されると、竜たちは飛来する結晶体の弾幕を物ともせずに、たちまち氷凝鳥の群れを喰らいつくしていったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鳳凰院・ひりょ
アドリブ・連携歓迎
WIZ
冒険者と急ぎ合流
敵に狙われたら【かばう】
相手に空中を自由に動き回られるとかなり戦いにくい
冒険者に天井が低い空間など相手の飛行能力を制限出来る場所を教えてもらい、そこへおびき寄せる
そこへおびき寄せるまでは防戦一方の構えで、相手にこちらが誘導しているという事を悟らせないように行動
防戦の際には【落ち着き】相手の行動パターンを把握しておく
道中で手に取れる無機物があれば拝借
敵を目的地に誘導したらこっちの番
無機物を媒体に固有結界・黄昏の間を発動
【多重詠唱】で水・風・火の疑似精霊を同時召喚
1.水で相手を凍結、動きを封じる
2.風で鎌鼬を多数生成、相手の翼を切り刻む
3.火で火球生成し攻撃
エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎
うむうむ、絶景かな。
さて景色も楽しんだ事じゃし、まずは冒険者を探すとするかの。
【巨狼マニトゥ】に【騎乗】して、狼の野生の勘や嗅覚・聴覚を頼りに冒険者を探すのじゃ。
ここに人間は猟兵と冒険者しかいないのじゃ、痕跡を追っていけばそのうち見つかるじゃろう。
冒険者と合流できたら、精霊を呼び出して護衛につけて安全を確保しマニトゥに相乗りして一時撤退、冒険者殿に有利に戦える地形まで誘導して貰うのじゃ。
戦場は天井の低い部屋がよいのう、そこであれば【空高く飛ぶこと】もできぬじゃろう。
『氷凝鳥』の動きが鈍ったら、近接戦闘はマニトゥと冒険者殿に任せて大量の精霊と騎射で一気に数を減らすのじゃ。
天空城から外界を見下ろせば、眼下に見える集落が模型のように点在しているのが見て取れた。
「うむうむ、絶景かな」
エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は、相棒の巨狼マニトゥの背に乗ると、早速、城内へ進んでゆく。
「さて景色も楽しんだ事じゃし、まずは冒険者を探すとするかの。マニトゥ、その鼻に期待しておるぞ?」
エウトティアはマニトゥの嗅覚によって、冒険者達を探し出そうと試みる。
しばし、派手にブチ破られた城門の周辺を嗅ぎ続けるマニトゥ。
じっくり匂いを識別した後、ひと吠えして城内へ駆け出していった。
「その調子じゃ、マニトゥ。ここに人間は猟兵と冒険者しかいないのじゃ、痕跡を追っていけばそのうち見つかるじゃろう」
エウトティアは、己の野生の勘も働かせ、次第に冒険者のいる場所へ近付いていった。
一方、既に城内を探索していた鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は、一足早く冒険者グループの副リーダーである女義賊と合流を果たしていた。
「ありがとう! 私一人じゃ、この鳥どもは手に負えなかったわ……!」
「もう大丈夫です。俺から離れないで下さい。って、危ない!」
鳳凰院が女義賊をかばい、氷凝鳥の急降下攻撃をその身に受ける。
幸い、かすり傷程度で済んだが、カウンターで放った退魔刀『迅雷』の一撃は天井近くまで高く飛翔されて空を斬ってしまう。
「落ち着け、俺……。敵の回避は滞空によるアウトレンジへの退避。急降下の一撃はさほど威力があるわけではない。まずは囲まれないように移動しないとだね」
2人はジリジリと後退を始め、迫る氷凝鳥の群れの方位からどうにか逃れようと画策していた。
と、その時、包囲網の外から鳥たちの断末魔が聞こえた。
「そこを退かんか、鳥頭共! さもなくば射掛けてやるのじゃ!」
マニトゥに乗ったエウトティアが、手製の短弓から放った緑縞瑪瑙の鏃の矢を氷凝鳥の群れに命中させて包囲網を突破してきた!
エウトティアは鳳凰院と女義賊が無事な事を確認して安堵の笑みを浮かべた。
「間に合ったようじゃな。さあ、2人ともマニトゥの背に乗るんじゃ!」
促されるまま、鳳凰院と女義賊は巨狼の背に乗っかる。
「マニトゥ、突破じゃ!」
風精霊の加護を受けた矢が、氷凝鳥の群れの空気を撹拌して飛行を阻害する。
取り乱した群れに出来た包囲網の穴から、巨狼は弾丸のように駆け抜けていった。
「副リーダーさん、この城内に『天井の低い部屋もしくは通路』はあったりしませんか?」
鳳凰院の問いに、エウトティアも言葉を重ねた。
「どうやら考えていることが一緒じゃったか。天井が低ければ、彼奴ら、わし等の頭上へ高く飛んで逃げることは出来ぬ。そこを叩けば一網打尽じゃな?」
「だったら、この先に応接間みたいな場所があったわよ。そこならここの回廊よりも天井は低いし、籠城も出来るわ」
「では、そこへ誘い込みましょうか。まさに敵を部屋へ招き入れるわけですね」
愛刀を正眼に構えた鳳凰院は、向かってくる氷凝鳥の群れの急降下を刀の峰で払い除け続ける。
「この……!」
鳳凰院は回廊に立っていた鎧のオブジェクトが持っていた長槍を奪うと、それを振り回して防戦に徹する!
「こういう時、槍の長さは便利だね!」
刀よりリーチが長い分、氷凝鳥の群れも迂闊に近付けなくなっていった。
「見えたわ! あの部屋よ!」
「解錠が面倒じゃ。マニトゥ、そのまま扉を蹴破れ!」
巨狼はぐんと床を蹴る力を増して、勢いよく豪奢な扉に体当たり!
その凄まじい重量と慣性エネルギーにより扉は粉々に砕け散った!
そのまま応接間の中へ転がり込む猟兵達と女義賊。
氷凝鳥の群れは一斉に彼等を追って部屋の中へ侵入してきた。
しかし、その出鼻を挫くかの如く、マニトゥの牙が氷凝鳥の喉元を噛みちぎった!
「この狭い空間、低い天井、そしてこの密度、逃しはしない! 今度はこっちの番だ!」
鳳凰院はこの好機を逃すまいと、すぐさまユーベルコードを発動!
「場よ変われ! 固有結界・黄昏の間!」
手にしていた長槍を始めとする、応接間にある無機物を媒介とし、多重詠唱によって水・風・火の疑似精霊を同時召喚する鳳凰院。
「高く飛べないなら、そこは俺の射程圏内だよ!」
水の疑似精霊は、大気中の水分を操作して氷凝鳥の群れを瞬間冷凍!
まずは身動きを止めた。
そこへ風の疑似精霊による無数の風の刃を生成し、氷凝鳥の群れへ解き放つ!
氷凝鳥の群れは翼や身体を斬り刻まれて次々と墜落していった。
同時に、火の疑似精霊が逃げようとする敵個体へ火炎弾を命中させて燃やし尽くし、増援を防いでいた。
「マニトゥと女義賊殿は接近してきた鳥どもを頼むぞ。わしはユーベルコードで一気に彼奴らの数を減らしてゆこうかの」
エウトティアは祈りを捧げると、この世界の精霊たちが彼女に力を貸すべく周囲に顕現してゆくではないか。
「精霊よ、大いに歌い騒ぐのじゃ! これより始まるは、精霊の招宴じゃ!」
大量の小型の戦闘用精霊達がエウトティアの周囲を夜光虫のように光を放ちながら飛び交う。
その数、なんと470体!
鳳凰院の攻撃で混乱しているところへ、精霊達の猛攻が氷凝鳥の群れを駆逐していけば、エウトティアも自慢の弓術の腕を遺憾なく披露し、遂には氷凝鳥の群れを完全に討ち果たすことに成功したのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ベルサリア・シックス
冒険者を見つけたら護衛しよう。他のやつらも探さないと…面倒だな、UCを使おう
コードレッド発動!自分の首を斬り落としてどばーっと血の海を放出。敵を押し流すぞ
更に変化能力を使い、血の海を無数の狼や蝙蝠のような獣や武器に変身させてグサグサしたりバクバク食ったり、血液のまま沈めたりして攻撃だ。わし本体も転移を使いながらローリエンでぶった斬るぞ!
冒険者の周囲にも血液を張り巡らせ護衛しよう。それと城の構造とかを聞いて、他の冒険者や猟兵も血液で探して援護しよう
(冒険者に対し)見ての通りわしは化け物だが安心しろ。わしは良い化け物だからな!さあ悪者共、大人しくわしに食われるがいい!お宝はわしのものだわははー
ベルサリア・シックス(赫焉流の剣士・f31037)はオブリビオンの討伐を生業とする、吸血鬼のような西洋妖怪だ。
今回が猟兵としての初の任務である。
絹のような白い髪が、彼女の浅黒い肌によって際立って輝き、金の眼は猛禽類のような強い意志を宿していた。それは悪目立ちするという点もあるが、今回の場合は好都合だ。
早速、侵入者を見付けて襲いかかってくるオブリビオンの群れが登場だ。
「手厚い歓迎、ご苦労だ。悪者共、冒険者を見掛けなかったか? わしをその者共のところまで案内しろ」
ベルサリアは突っ込んでくる氷凝鳥の群れへ不遜に問い掛ける。
だが、氷凝鳥の群れは聞く耳を持たずに、その鋭い爪で彼女を掴んで引き裂こうとする。爪が骨肉に食い込み、そのまま深く抉られてしまうベルサリアだが、彼女は吸血鬼の力を体に宿している。みるみるうちに傷口が塞がり、抉れた肉が元に戻ってゆくではないか。
「客人に対しての礼儀がまるでなってないな! ったく、早く他の冒険者を探さないと……面倒だな、ユーベルコードを使おう」
そう言うと、ベルサリアは自らの頸動脈に刃渡り二尺七寸ほどの愛刀の刃を添えた。
「Code Red発動! 押し流せ!」
ズルリ、と刃を引き抜き、自らの頸動脈は勿論、頸部ごと断ち切ってみせるベルサリア!
何たるスーサイド・アタック! 転がるベルサリアの生首!
しかも、溢れる血液の量が凄まじかった。
自身の血液を秒間最大10万キロリットルも放出し、氷凝鳥の群れを問答無用で城内の奥へと押し流してゆく。
更に、溢れ出た血液自体が再生能力を有しており、血の河からベルサリアが再生されてゆくのだ。
「この血河はわしの生命力そのもの。そして、変身能力も有しているぞ?」
鮮血の濁流の中から、無数の狼や蝙蝠、はたまた人食い魚の群れを生み出し、溺れる氷凝鳥の群れを容赦なく喰らい尽くして取り込んでいってしまう。
「これだけではないぞ? 血液の中なら、わしは瞬時に移動できる」
そう告げた次の瞬間、氷凝鳥の背後へ血の河から這い出てくるベルサリア。
「このようにな! さあ悪者共、大人しくわしに食われるがいい!」
赫焉流秘伝の刀を打ち直した彼女の愛刀『ローリエン』が、氷凝鳥をたやすく真っ二つに切断してしまった!
そのまま血液の氾濫はそのまま城内を押し流し、オブリビオンと交戦中の冒険者の戦士をも飲み込んでいった。
「ぷはぁっ! なんだ、こりゃっ?」
「ようやく見つけたぞ! 喜べ、助けに来たぞ!」
ベルサリアはにんまりと笑みを浮かべ、血の河の上に悠然と爪先立ちしていた。
戦士は状況が飲み込めず、怯えた視線を彼女に向ける。
「あ、あんたが、これを操ってるのか?」
「如何にも! 見ての通り、わしは化け物だが安心しろ。わしは良い化け物だからな!」
「そう、なのか……」
戦士は自分に害を成さないと理解すると、血の河の中で浮かび始めた。
「助かったぁ……! あんた、俺の命の恩人だ!」
「ヒトではないんだが、まあいい。このままお前をわしの血で守りつつ、お宝のある場所を目指そうではないか!」
「だ、だったら、まだ探索してない場所が……あ、そこを左だ!」
戦士の言葉通りに進むと、確かに手付かずになっている金のインゴットが山積みになった金庫室を発見!
「でかした、冒険者! お宝はわしのものだー! わははー!」
高笑いしながら、戦士とともにインゴットを回収し終えたベルサリアは、他の冒険者達と合流を果たすべく、再び血液の奔流に乗って捜索を再開したのだった。
成功
🔵🔵🔴
シノギ・リンダリンダリンダ
お宝の気配です。匂いがします。
陸の上空の上だろうと関係ありません。強欲の大海賊に見つかったのが最後です。
さぁ、略奪の時間ですね!!!
こういう時、人海戦術ができるのはありがたいです
【飽和埋葬】で死霊を召喚。城内に解き放ちます
ある程度の人数は固めておいて、敵が出てきてもいつも通りの集団戦術ができるようにしておきます
冒険者を見つけたら私に連絡してもらいましょう
有利に戦えそうな場所や、お宝の詳細などを聞きます。えぇ穏便に。恫喝や覇気を見せたり殺気を出すなんてもっての外ですよね
あ、なんか邪魔な鳥はMidās Lichで撃ち落としましょう
羽を部位破壊したり、コアをスナイピングします
強欲とは、時と場所を選ばす、自身の蒐集するべき目的物がそこにあるならば、いの一番で駆け付けて略奪することを表す。
それを体現するのが、海賊という存在なのかもしれない。
「お宝の気配です。匂いがします」
わざとらしくスンスンと天空城の空気を嗅ぐミレナリィドールの海賊でゴーストキャプテンのシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)。
知る人ぞ知る海賊団しゃにむにーの船長であり、まだ見ぬ36の世界と海に眠る財宝は全て自分の物だと豪語する、コスプレ大好きなエキセントリックな猟兵だ。
「陸の上空の上だろうと関係ありません。強欲の大海賊に見つかったのが最後です」
すぐさまシノギは瞳に1と刻印された戦闘用に死霊従者達を顕現させる。
これが彼女のユーベルコードのひとつ、『飽和埋葬(リッチ・システム)』である。
「惜しげもなく、リッチにいかせていただきます。さぁ、略奪の時間ですね!!!」
堂々としゃにむにー海賊団、ここに罷り通る。
死霊従者達は全部で88体。それらを城内へ解き放って捜索に当たらせる。
「こういう時、人海戦術ができるのはありがたいです。ああ、3人1組で向かってくださいね」
すると、あれよあれよとグループが出来上がり、死霊メイドだけが取り残されてしまった。
戦闘用とはいえ、戦闘に不向きなメイドは周囲からハブられてしまったようだ。
だが肩を落とす死霊メイドの手を、シノギが優しく取る。
「私は残ったボッチの死霊メイドと2人で探索しますので。何かあったら、私にすぐ連絡をお願いします」
そう告げて死霊メイドと共に城内の奥へ進むシノギ。
こころなしか、死霊メイドは嬉しそうに歩を進めていった。
暫くして、死霊達の連絡を受けたシノギが現場に駆け付ける。
交戦しているのは、冒険者の僧侶のようだ。
「よもや、私が亡者と肩を並べて戦う日が来ようとは……」
困惑する僧侶。
だが、死霊達の戦闘力は確かだ。
主であるシノギ抜きでも、集団の暴力で氷凝鳥の群れを矢の雨や魔法の弾幕で撃ち落として行くほどの実力を有している。
しかし、敵も数で押してくる。
状況は拮抗していた。
「遅くなりました。よく私が来るまで持ち堪えてくれましたね」
シノギは僧侶の前に立ちはだかり、頭上を飛ぶ氷凝鳥の群れを見上げる。
「このあたりで、狭い通路はありませんか? そこへこの鳥たちを追い込みたいのですが」
「でしたら、すこし遠いですが、ご案内しましょう」
僧侶の言葉にシノギは頷いた。
「お願いします。皆さん、出来るだけあの鳥の足止めをお願いしますね!」
シノギは僧侶を死霊騎士の青白い馬の背に乗せると、乗り手の死霊騎士を蹴り落として自身が変わりに馬へ跨った。
「馬、お借りしますね。騎士さんはあの鳥をなんとかしておいて下さい」
死霊騎士は『オイオイ、マジかよ?』みたいなリアクションをしつつも、主の命令をしっかり守るべく剣を振るってみせる。
青白い馬をシノギは走らせると、目的の狭い通路へたどり着いた。
当然、追い掛けてくる数匹の氷凝鳥達。
死霊達が頑張っているお陰で、シノギへ向かってくる敵の数は激減しているようだ。
「ここなら、適当にやっても外しようがありませんので、盛大にぶっ放します」
Midās Lich――アルダワ魔法学園の地下迷宮で勃発した大戦の際、大魔王に黄金化された右腕パーツを前方に突き出すシノギ。その掌から、呪いの黄金の弾丸を乱射し始めた!
「狭い通路で遮蔽物のないここなら、この弾丸はかわせません!」
氷凝鳥の翼とコアが面白いように撃ち抜かれてゆき、次第に鳥の死骸の山が築き上げられてゆく。
「そういえば、この氷凝鳥の体は高純度の魔力を保有する結晶を体内に持っていまして、その結晶が相当の高値で取引されると聞いたことがあります……。酒場のクエストでも要求されることがありますが、難易度最上級のSSSなので、誰も手が出せない代物なんですよ……」
「本 当 で す か !?」
シノギの目の色が途端に変わった。
どうやら、あの鳥から採取できる結晶とやらは希少品らしい。
「つまり、私は今、お宝を撃ち落としているのですね? いいでしょう。お前達を撃ち殺して、身体から剥ぎ取って、全て地上で売り捌きますね!!!!!」
シノギは殺気や恫喝のオーラを氷凝鳥達へ向け始めた。
穏便に話をつけるべく僧侶へは決して向けなかった恫喝や覇気、殺気を一気に放出するシノギ。
「強欲の海賊が、その身に宿したお宝を根こそぎ略奪してあげます!!!」
撃ち落としてはその場で解体し始めるシノギの姿に、僧侶は無言で圧倒さていた。
成功
🔵🔵🔴
ビッグ・サン
天空の城のお宝ですか
それは心が踊りますねー
魔法のアイテムや古代の秘宝、魔術書などもあると良いですねー
なんせ錬金術にはお金がかかりますからねー
郡竜大陸浮かべる成分から作った水晶を、サムライエンパイアのセイメイの技術を使って取り付けた水晶屍人
なん十体も作ったその水晶屍人飛ばして天空の城に向かいます
そのうちの一体にサーフィンのように乗って
そしてそのままゾンビで氷擬鳥と戦いますよ
【フライングゾンビ対アイスバード】
なんともB級な勢いで、一体の鳥に何体もゾンビが群がり、噛み付き引っ掻き戦います
やられたゾンビが落ちたら
下の方で「親方、空から女の子のゾンビが!?」って感じでパニックになるかもしれませんね
ここにもひとり、天空城の財宝を目指す猟兵がいた。
一見すると、人形遣いのイケオジが少女型フレッシュゴーレムを操っているかに思えた。
だが、実際は2人とも肉人形で、本体はモノクル型の仮面なのだ。
名前をビッグ・サン(永遠を求める研究者・f06449)。不老不死の研究をするネクロマンサーが、 研究の過程で自分の魂を切り分けてマスクに宿した存在だ。ちなみに切り分けた3番目の魂なので『サン』という名が与えられた。
「天空の城のお宝ですか。それは心が踊りますねー。魔法のアイテムや古代の秘宝、魔術書などもあると良いですねー。なんせ錬金術にはお金がかかりますからねー」
肉人形の錬成と鮮度維持はとにかく費用がかさむ、らしい。
ともかく、サンは懐事情を少しでも潤すべく、天空城内部の探索を開始した。
ひとりで歩き回るには、この城内は広すぎた。
「ここは人海戦術ですねー。郡竜大陸浮かべる成分から作った水晶を、サムライエンパイアのセイメイの技術を使って取り付けた水晶屍人。改良を重ねてようやく良いものができましたね~♪」
ユーベルコードで召喚した水晶屍人(クリスタルゾンビ)の少女達は、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を有している。
総勢73体の浮游する水晶屍人の少女達を城内に散り散りに放ち、財宝と索敵を行わせるサン。
この時点で、彼に冒険者を探す気はほぼない。
「まぁ、そっちはついでですかねー?」
あくまでも、サンの第一優先は研究費用の足しになる財宝を見つけることだ。
サンも城内を見て回るべく、飛翔する水晶屍人の少女の背に飛び乗り、バランスを保ちながらスイスイと飛んでいった。
「助けてー! そこの空飛ぶゾンビに乗ってる人ー! って無視しないでくれー!」
少年ドワーフのアーチャーの頭上を通過仕掛けたサンが空中で停止する。
「呼びましたかー?」
「さっきから呼んでるって! なあ、助けてくれよ! あいつら、僕が宝を持ってると思って襲ってくるんだ!」
「そうですかー。頑張ってくださいねー?」
我関せずと通過しようとするサン。
それをドワーフ少年が引き止めた。
「いやいや違くね? ここは助けてくれよ! 頼むよ、助けてくれたら、お宝の眠ってる部屋に案内するからさ!」
「それ、約束ですよー?」
財宝を聞いて、手のひらを返すサン。
すぐさま飛行する水晶屍人の少女達を結集させ、高く飛ぶ氷凝鳥の群れに対抗し始めた。
「さあて、見たところ、高濃度の魔力を体内に宿しているみたいですねー? それ、いただきましょうか~♪」
ソウルイーターと銘打った、オブリビオンを材料にして作った生命吸収の剣で氷凝鳥の身体を抉るサン。
氷凝鳥の体内の高魔力結晶を無理矢理に引き剥がして、次々と獲物を始末してゆく。
【フライングゾンビ対アイスバード】
1匹の鳥に何体もゾンビが群がり、噛み付き、引っ掻き、まるでB級ホラー映画のようだ。
だが氷凝鳥達も必死の抵抗を始め、水晶屍人の一部が天空城の外へ吹っ飛ばされ、地上世界へ堕ちていった。
それでもサンはまるで新しいおもちゃを使い潰すがごとく、乱暴に氷凝鳥達を捌いてゆき、すぐに群れは全滅してしまった。
「それでは、お宝の場所へ案内してくれませんかー?」
「あ、ああ……。アンタが敵じゃなくて、心底良かったよ……」
少年ドワーフは引きつった笑みを浮かべながら、サンを財宝が眠っている部屋へと案内していった。
その頃、地上では……。
「親方! 空から水晶が生えた女の子のゾンビが!」
「40秒で支度しな! あの娘を回収するよ! グズは嫌いだよ、あたしゃね!」
地上へゆっくりと落下していった水晶屍人の少女と、彼女を助けた熱血漢の少年の大冒険が始まろうとしていたが、それはここで語るまでもないだろう。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『財宝妖精ブラクテ』
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POW : 財宝の竜<グランツ>
自身からレベルm半径内の無機物を【合体させ、巨大な財宝竜】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD : 収集欲<ベギーアデ>
【財宝】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[財宝]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ : 竜の眼<アオゲ>
【【竜眼の宝珠】の呪詛】によって、自身の装備する【3秒以上視続けた財宝】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
イラスト:なかみね
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ナミル・タグイール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フリーダムに財宝を回収してゆく猟兵達に、猟書家『財宝妖精ブラクテ』はカンカンに怒っていた。
「むきーっ! 此処の金ぴかは全部ぜ~んぶブラクテ様のものなのに! 猟兵はまとめてやっつけてやるーっ!」
彼女の怒りは、どの猟兵でも居場所が特定できるほど凄まじい悪感情を発した。
猟兵達はこの悪感情を辿れば、猟書家『財宝妖精ブラクテ』のいる一番大きな宝物庫へ辿り着けるだろう。
だが注意せよ! 猟書家『財宝妖精ブラクテ』の真価は、周囲の財宝を操る能力!
宝物庫はいわば彼女の支配領域である!
猟兵達は敵地へ踏み込み、どう戦うべきか?
いよいよ、天空城の金ぴか争奪戦に終止符が打たれようとしていた……!
キャンディ・スカイランド(サポート)
猟兵の「キャンディ・スカイランド」と能力で召喚した「井熊・アユム」の2人組です
キャンディはアリスナイトの能力でアユムを強化したりアリスランスで攻撃したりします
バトルゲーマーの能力は基本使いません
アユムはコントローラーで攻撃する腕や足を召喚したり
キャンディからの強化で戦います
基本キャンディはアユムに肩車してもらってます
キャンディは普段は喋りません
人見知りとかではなくテンションが上がると普通に喋りだします
アユムで面白いことをする作戦が思いついた時、アユムが活躍している時はテンションが高いです
それ以外でもなんか突然に喋ります
アユムは引きこもりゲーマー(?)です
嫌がっても最終的にはキャンディに従います
ミリィ・マルガリテス(サポート)
『いとしい、想い。きっといつか、空へ届くから』
ミレナリィドールの聖者×シンフォニア、16歳の女です。
普段の口調は「ドルチェ(わたし、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、時々「ミルフィーユ(自分の名前、~様、まし、ませ、ましょう、ますわね?)」です。
性格は物静か、好きなものには真っ直ぐ。
父親代わりの創造主に命を吹き込まれた、今は独りの人形です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わずサポートを主に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
宝物庫には、怒り心頭でプンスコしている猟書家のフェアリーこと『財宝妖精ブラクテ』が暴れまわっていた。
「ムッキー! 大体、なんで猟兵が押しかけてくるのさー! ブラクテ様の金ぴかを横取りしようとするなー!」
壁を蹴ったり、金貨を放り投げたりしても、ブラクテの怒りは収まらない。
そこへ駆け付けるはサポート猟兵達。
先んじてブラクテの体力を削るべく、増援として派遣されたのだ。
「金色の財宝、それは本当に貴方にとって大切なもの?」
そう問い掛けたのはミリィ・マルガリテス(静謐の籠・f05912)だ。
彼女は、とある高齢の伯爵が36回目の挑戦で得た『娘』であり、彼の趣味を詰めた人形聖女だ。
「こんな狭い部屋に積まれた黄金の品々、本当に価値ある品々なの?」
ミリィは伯爵が亡くなったあと、たった独りで白亜の宮殿に籠もっていた。
だが彼女は外の世界に『人の優しさ』を求めた、知ろうとした。
それは彼女にとっておっかなびっくりの勇気がいる行動であったけども、ヒトの感情を識るために必要なことだった。
だからミリィは問う。
目の前の黄金に目の色を変えるブラクテの有様に、何故そうまでして強欲でいようとするのか、を。
「可哀想に。この子達、こんな場所に閉じ込められて。道具は、誰かのために使われてこそ、初めて“存在意義(レーゾンデートル)”を有するというのにね」
それは、ミリィ自身への今の境遇にも当てはまる言葉であった。
――お父様、私は貴方にとっての理想の『娘』だったかしら?
そんなミリィの思惑と言動似、ブラクテはわなわなと怒りで身体を震わせた。
「価値があるかって? あるに決まってるでしょ! 金ぴかだよ!? キラキラだよっ? すっごく高価だよっ? いやむしろ聞かれるまでもなく金ぴかは偉大だからね!?」
反論する猟書家に、今度はバーチャルキャラクターのキャンディ・スカイランド(肩車 RUN RUN RUN・f21284)……を肩車している井熊・アユム(※キャンディに召喚されたゲームキャラクター)が言い放った。
「いやでも、いくら価値があるからって、ここの財宝、アンタ独りでどうこう出来ないよな? 売り払うにも地上に降りる必要あるし、引き篭もって鑑賞するだけなら、なにもこの城を襲う必要性もないよな?」
「……え?」
ブラクテはアユムの疑問に思考を巡らせてみた。
「た、確かに! 保管とか移転とか、そのあたり何も考えてなかった! イヤでも、ここの金ぴかは全部ブラクテ様のものだってことは揺るがない事実! だからお前らはとっとと城から出てけー! 今だったら命は見逃してあげるぞ!」
怒鳴るブラクテの態度に、アユムは嘆息を吐いた。
「……ってことらしいぜ? どうするよ?」
見上げるアユム。その視線の先には、自身を召喚したキャンディがニコニコと微笑んでいた。キャンディは、手に持っている棒付き飴をブラクテに突き付け、こう告げた。
「……とりあえず、ぶん殴るよ☆」
「はいはい、俺が殴るんだけどな?」
アユムはゲームコントローラーを手元に取り出すと、素早くコマンド入力を開始した。
すると、空間から多数の拳が出現したではないか。
これに対抗するべく、ブラクテも周囲の財宝を操ってみせる。
「うおー! これがブラクテ様のユーベルコードのひとつ! 『財宝の竜<グランツ>』だー!」
金ぴかの財宝がガシガシッと合体を始めると、巨大なドラゴンの形になって猟兵達に立ちはだかった!
「これは……なんて大きさなのかしら?」
人形聖女は物珍しそうに、目の前の巨体を見上げた。
ミリィの背丈の数倍はあろう黄金財宝の竜が鎌首をもたげる。
そのまま、がぱっと大口を開けたドラゴンが、ミリィを噛み砕こうと突っ込んできた!
「おい、逃げろ!」
アユムがコントローラーを駆使して、財宝竜の鼻っ柱を横殴りにしてみせる。
顎が大きく横へ逸れ、そのまま財宝竜の頭が地面の財宝の山に突っ込む!
一瞬の出来事で呆然としていたミリィも、アユムの攻撃にハッと我に返った。
「ありがとうございます。ちょっと、驚いてしまったわ……!」
「まぁ、財宝がドラゴンに変形した時点で俺もビックリだけどな?」
立ち上がろうとする財宝竜へ、アユムは立て続けにコマンドを連続入力!
「よし、このまま壁に追い込むぜ! おっ、ハメ技いけそうじゃん?」
殴打に次ぐ殴打の連打に、財宝竜は右へ左へと体を揺らして後ろに下がってゆく。そして、遂に壁際に追い込まれていった。
これにブラクテが黙っているわけがなく、果敢に自らアユムへ向かって妨害を試みる。
「おい、やめろー! あんまりボコボコ殴るなー! 金ぴかが傷付くだろうが!」
突っ込んでくるブラクテに、キャンディがニッコリ微笑みかけた。
「アユム君の邪魔しちゃ駄目だよ☆」
手にしていた棒付き飴が、たちまち白銀のアリスランスへ変形!
「右投げ右打ち、カッキーン☆」
「いや槍ってそういう使い方じゃねー!?」
ブラクテは槍の柄のフルスイングに命中して、宝物庫の金貨の山の中へホームラン!
「おい、アンタも手伝ってくれ!」
アユムの頼みに、ミリィも応える。
「ええ、今、参りますの」
敷き詰められた金貨の上を、勇気を出して駆け抜けてゆくミリィ。
その手にはメアリーアンブレラ――『Have a sweet dream +*°』と名付けた、アンティーク調の豪奢なデザインかつフリルの付いた真白い大きな日傘が握られている。
ミリィはそ日傘を閉じたまま、その先端を財宝竜の左足の膝へ目掛けて突き出した!
日傘の先がグサリと財宝竜の左膝に深々と差し込まれると、途端、そこから構成されていた財宝が崩壊を始める!
「ええ、ええ、ただの傘ではありませんの。これは私のユーベルコード。甘い夢は、転じて一瞬で暗い奈落の底へ。キラキラの黄金も、閉じ込められてばかりでは我楽多同然よね?」
崩壊は徐々にドラゴンの全身に伝播してゆき、遂にゆっくりと巨体が左へ傾き始めた!
「――『Despair umbrella(ナイトメア)』……。いい夢、見れたかしら? それとも……?」
崩れ落ちる財宝の雨の下には、金貨に埋もれたブラクテがもがいている!
「うわー! 待って、ストップストーップ! ぎゃーっ!!」
「……あら残念。“悪夢”だったようですわね?」
降り注ぐ黄金の財宝、それらが崩れ落ちる大轟音と猟書家の悲鳴を背に、ミリィは優雅に踵を返すのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎
ほうほう、金ぴかが大好きなのじゃな、じゃが独り占めはいかんのう。
確かに金ぴかは美しい物ではあるが、眺めて愛でる分だけあれば差支えあるまい。
ここは皆で仲良く分けてはどうかのう?
と言って聞く様な輩でもないか、業突張りにはお仕置きじゃな。
まず人を狂わすような財宝があるから駄目なのじゃ。
とりあえず範囲内の財宝は全て生い茂る蔓植物に変換しておくかの。
部屋の中を自然一杯の植物で覆いつくすのじゃ。
うむうむ、幻想とは言えやはり自然の中はよいのう。
どれ、『ブラクテ』殿にも自然浴を満喫して貰おうか。
蔓植物を操作して全身を絡め取るのじゃ。
自然と触れ合えばその物欲も洗い流される事じゃろう。
鳳凰院・ひりょ
アドリブ・連携歓迎
WIZ
戦場は宝物庫か…、という事は無機物が豊富じゃないか!
(有機物もある可能性は0じゃないかもだけど…)
ブラクテ、財宝争奪戦といこうじゃないか!
【高速詠唱】【多重詠唱】にて敵がジッと眺めている財宝を片っ端から固有結界・黄昏の間の媒体へと使用する
召喚するのは風の疑似精霊
精霊への指示は味方には「風の防御膜を付与し防御性能&機動性の向上」、敵には「風を纏わりつかせ行動阻害の試み」
万一UCの媒体に出来ない財宝があった場合は【破魔】の力を込めた光陣の呪札の【乱れ撃ち】で迎撃
射線上に味方がいない場合はさらに貫通効果も付与し敵を【貫通攻撃】でダメージ与える
万一接近戦となったら退魔刀で迎撃
金ぴか財宝の山の中から、モゾモゾと這い出てくる猟書家『財宝妖精ブラクテ』。
サポート猟兵の思わぬ猛攻に遭い、危うく財宝の中で生き埋めになるところだった。
「酷い目に遭った……! なんでこのブラクテ様がこんな目に! 本当に猟兵って奴はムカつく!」
プンプン怒り散らしながら、宝物庫を飛び回るブラクテ。
そこへ新たに宝物庫へ足を踏み入れてきたのは、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)と鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)の即席コンビだ。
「ほうほう、これは見事な宝物の数々じゃ。よほど猟書家のブラクテ殿は金ぴかが大好きなのじゃな、じゃが独り占めはいかんのう」
「なんだってっ?」
エウトティアの言葉にブラクテがすかさず反応した。
「この金ぴかはぜ~んぶ! このブラクテ様のものだぞ! こんな美しいもの、独り占めしたいに決まってるじゃないか!」
「確かに金ぴかは美しい物ではあるが、眺めて愛でる分だけあれば差支えあるまい。ここは皆で仲良く分けてはどうかのう?」
「嫌なこった! べろべろぶわぁ~っ!」
ブラクテの変顔での対応に、エウトティアは思わず溜息を吐いてしまう。
「やはり、言って素直に聞く様な輩でもないか、業突張りにはお仕置きじゃ」
「ブラクテ、ここは財宝争奪戦といこうじゃないか! ここの金ぴかが誰に相応しいか、俺達と勝負だ!」
鳳凰院の挑発!
今のブラクテには十分すぎる効果を発揮した。
「ムッキーッ! 勝負するまでもなく、ここの金ぴかは全てこのブラクテ様がいただいていくんだ! 猟兵は殺しちゃうぞー!」
怒髪天を向くブラクテは、手に持っている竜眼の宝珠を怪しく輝かせ始めた。
凄まじい呪詛のエネルギーがブラクテの全身に満ち溢れると、手近の黄金剣をじっと見詰めだす。3秒後、黄金剣が独りでにふわっと浮遊すると、猟兵達へ向かって切っ先を向けたまま飛来してきた!
「危ない!」
鳳凰院は咄嗟に、光陣の呪札から破魔の祈りを籠めた光の束を発射、飛来してきた黄金剣を撃ち落とし、そのまま弾幕でブラクテを攻撃!
「無駄無駄! この【竜の眼<アオゲ>】にかかれば、こんな事だって出来ちゃうぞ!」
今度は黄金の盾がブラクテの前に浮き上がり、乱れ打ちされた光の束を遮ってみせた。しかも、ブラクテ自身は自由に宝物庫を飛び回ることが出来るため、猟兵の手の届かない上空へ逃げていってしまう。
「へへーん! 此処までおいでー!」
ブラクテの猟兵達を舐めきった言動の数々に、並の猟兵ならば取り乱していたであろう。
しかし、エウトティアと鳳凰院は違った。
「やれやれじゃな。あんなふうに性根がねじ曲がってしまったのは、間違いなくこの宝物庫が原因じゃな。人を狂わすような財宝があるから駄目なのじゃ」
まるで悪戯っ子を嗜めるかのごとく、エウトティアは呆れ返っていた。
対して、鳳凰院は戦況を見極めるべく、頭の中で素早く作戦を立てていた。
(落ち着け、俺。冷静になるんだ……。戦場は宝物庫か…、という事は無機物が豊富じゃないか! 有機物の宝物も……なくはないだろうけど、見る限りそれらは見当たらない。だったら……)
鳳凰院はエウトティアに告げた。
「エウトティアさん、無機物を変換できるユーベルコード、持ってますか?」
「持っておるぞ、ひりょ殿。ふむ、二人同時に発動させてみるかの?」
この提案に鳳凰院も頷く。
「ええ、名案だと思います。では……」
「なにコソコソ話し合ってるのかなーっ!?」
ブラクテは周囲の財宝を操作し、浮遊させたまま威圧する。
剣やナイフ、斧や金貨、更には板金鎧やツボなど、どれも高速で射出されれば無傷では済まされない類のものばかりだ!
「これからお前たちを金ぴかで潰して生き埋めにしてやる! ゆっくりとブラクテ様に逆らったことを後悔しながら死んでゆけー!」
浮遊していた金ぴか財宝が一瞬、動きが止まったかと思えば、一斉にそれらは猟兵へと殺到する!
「あはははは! 無様に潰れちゃえ! お前らの血は何色かなー!?」
ブラクテの嘲笑が高く響く!
だが、それは長く続かなかった。
殺到する財宝が、一瞬で植物の蔓や風に変換されてしまったのだ!
「……はぁぁぁぁっ?」
ブラクテにとっては想定外の出来事だった。
「金ぴかが消えた! なにそれ! ふざけんなー!」
「ふざけてなどおらぬ。とりあえず、ここら一帯の財宝はすべて『生い茂る蔓植物に変換しておく』かの」
エウトティアは、ユーベルコード『掌(たなごころ)の創造』によって、無機物である金ぴか財宝の数々を蔓植物に変換してしまった。
「部屋の中を自然の植物で覆い尽くすのじゃ」
「でしたら、風も吹いたほうがより自然ですよね? こんなカビ臭い部屋の空気は、いっそ換気するに限ります」
鳳凰院もまた、ユーベルコード『固有結界・黄昏の間』を発動させ、無機物を風の疑似精霊として召喚していた。
金ぴかが部屋から消えるたびに、蔓植物が生い茂り、暴風が宝物庫を荒れ狂う。
ブラクテが財宝を見詰めた箇所などもはや関係なく、2人のユーベルコード射程内の全てが変換されてしまうため、ブラクテは武器にできる財宝が限られてしまった!
「俺の疑似精霊が巻き起こす暴風は、ブラクテが飛ばす財宝を弾き返す! そしてフェアリーである以上……“空中を飛ぶには風の影響を受け続ける”!」
ゴォウッと暴風が唸りを上げると、気流が乱れてブラクテはまるでミキサーに掛けられたかのように錐揉み回転しながら宝物庫内を吹き飛ばされてしまう。
「うわわわわーっ! やめ、やめろー! 目が回るうぅぅぅぅ~!」
「ならば固定してやるのじゃ」
「ぐえっ!」
エウトティアが操る蔓植物が、ブラクテの身体をがっちりと縛り上げて圧迫してゆく!
「どれ、『ブラクテ』殿にも自然浴を満喫して貰おうか。自然と触れ合えばその物欲も洗い流される事じゃろう」
ギリギリギリと蔓で全身を締め上げられるブラクテ。
「うむうむ、幻想とは言えやはり自然の中はよいのう」
清涼な風が吹く宝物庫内は蔓植物がなびいて、なさがら植物園のようだ。
エウトティアは深呼吸をしてリラックスムード。
一方で、凄まじい圧迫に小柄なブラクテは、為す術なく顔がうっ血して真っ赤に染まっていった。
こういう時、フェアリーの小さな体が仇になってしまう。
「よし、今だ!」
鳳凰院は追い風を背に受けて高速移動!
一気に捕縛されたブラクテに肉薄すると、退魔刀『迅雷』の刀身を鞘から抜く。
更に光陣の呪札を柄に巻きつけて光の束のエネルギーを刀身へ伝播させる。
「ブラクテ! どうやら此処の金ぴかは、宝の持ち腐れだったようだな!」
破邪の光を帯びた退魔刀の牙突が、ブラクテの身体を躊躇なく貫いてみせたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ビッグ・サン
良いですね、あっちもこっちも金ぴかだらけじゃないですか
ゾンビをつかい財宝を回収していく
王冠や指輪、宝石、どんどん金ぴかになっていくゾンビたち
そのあいだに宝物庫に術を仕掛ける
財宝の隙間から、ビッグと金ぴかゾンビが見えたらブラクテは襲ってくるかもしれませんが、宝物庫には迷宮の魔法をかけておきます
右に行こうが左に行こうが飛ぼうが走ろうが、金ぴかが邪魔してビッグにたどり着けない
素敵な財宝ですね~
「この財宝の中にいたら幸せでしょう
永久にこの財宝のダンジョンをさまよっておくが良いですよ」
ビッグの声が財宝の迷宮にこだまする
彼自身も持てるだけの財宝を身に着けて、ゾンビとともに凱旋するのであった
ビッグ・サン(永遠を求める研究者・f06449)は宝物庫に辿り着くやいなや、すぐさま使役するゾンビたちに財宝を外へ持ち出すよう指示する。
「良いですね、あっちもこっちも金ぴかだらけじゃないですか。是非、外で換金して、研究費用に当てましょう~」
ビッグは最初から猟書家を倒すつもりはない。
目的は宝物庫の財宝であり、猟書家はユーベルコードで足止めすればいいと考えていた。
ビッグ自身とフレッシュゴーレムの少女も、ゾンビに混じってエッサホイサと金ぴかを宝物庫の外へ運び出してゆく。
最初は手に抱えるだけ抱えて往復していたが、次第に装飾品をゾンビに纏わせてから回収してゆくビッグ。
気が付けば、腐乱死体が金ぴかに輝き出す。
頭は王冠、首はペンダント、腕はバンクルに指輪、胴は黄金の鎧に剣、足元は金の装飾が眩しいブーツ。
着飾ったゾンビが、ゆらゆらと列をなして宝物庫から出てゆくさまは、まるで何処かの王族の墓から這い出した呪われたゾンビのようだ。
だが、当然、猟書家『財宝妖精ブラクテ』がそれを許すはずがない。
「こらー! ブラクテ様の金ぴかを盗むな、ドロボー!」
「おやおや、ドロボーはそちらではないでしょうか~? これは見つけたもの勝ちですからね~」
「そんなわけないだろー! 世界中の金ぴかはブラクテ様のものだって決まってるんだぞ!」
「それはなんて理不尽で強欲な主張。ですが、だからといって素直に金ぴかを差し出すつもりはないですね~?」
「うるさいうるさい! とにかくそのゾンビに纏わせた金ぴかを返せー!」
ブラクテはゾンビが身に纏う金ぴかをじっと3秒間見つめると、スポーンと全てゾンビから外れてブラクテのもとへ戻っていってしまう。
これはいけないと悟ったビッグは、すぐさまユーベルコードを発動させる。
途端、宝物庫が複雑な迷路に早変わりした!
「さっきまでは宝物庫でしたね~。ですが、もう此処は財宝の迷宮。この財宝の中にいたら幸せでしょう。素敵な財宝ばかりですからね~。永久にこの財宝のダンジョンをさまよっておくが良いですよ」
ビッグの声が財宝の迷宮にこだまする。
そのままビッグは持てるだけの財宝を身に着けて、ゾンビとともに凱旋する、はずだった。
「金ぴかの壁だー! つまり、これも財宝だな! よーし、だったらこんな迷宮、楽勝だぞー!」
ブラクテのやけに気合の入った声が聞こえてきた。
ビッグは金の装飾でずっしりとする足元を一歩一歩踏みしめながら、迷宮の何処かにいるブラクテへ叫んだ。
「無駄ですよ~。この金ぴかの壁はかなりの硬度がありますので。そう簡単に壊れませんからね~」
「壊す? あはははは! 壊す必要なんてないぞ!」
ブラクテの嘲笑が迷路の奥から聞こえてきたかと思えば、突如、迷路全体がゴゴゴ……と音を立てて振動を始めたではないか!
そしてビッグは信じられない光景を目の当たりにする。
「そ、そんな! 迷宮の壁が、勝手に動いてます~!」
ビッグは大きなミスを犯した。
迷路のユーベルコードは、確かにブラクテの視界を遮るのに有効であった。
だが、迷路の壁を財宝にしたのは痛恨のミスである。
「ブラクテ様は、3秒間見詰めた財宝を自由に操作できるのだ! つまり、財宝で出来た迷路の壁だって、見詰めれば操作できてしまうのだー! フハハハハー!」
もしも迷路の壁がレンガ等の『財宝以外の材質』だったならば、そのままビッグは悠々と凱旋出来ただろう。
壁が1枚、また1枚と動いてゆき、遂にブラクテは迷宮内に出口までの直線通路を作り上げてしまった!
「大変ですね、逃げましょう!」
ビッグは慌てて宝物庫から逃げ出そうとするが、身に纏った黄金の重さでなかなか足が前に出ない!
「ドロボーは出てけー!」
ブラクテは周囲の金ぴか財宝を操作してビッグとゾンビたちへ容赦なく投げつけてゆく!
黄金の剣や黄金の槍、はたまた黄金のハンマーがボカスカと彼等を襲う!
「あいたたた~! 退散、退散ですよ~!」
ゾンビを肉の盾にすることで、どうにか命からがら財宝を持ち出して逃げ帰るビッグであった。
苦戦
🔵🔴🔴
シノギ・リンダリンダリンダ
ほう。ほうほう素晴らしい宝物庫ですね
管理していただきありがとうございます。後は勝手にこっちで持って帰るので、大丈夫ですよ
あ、大丈夫ですよ。っていうのは、さっさと死ね。って意味ですからね?
さきほどの鳥から奪った財宝達
勿体ないですが、一つや二つ持ってかれれば御の字ですね
純度の高い魔力の結晶。SSS級。さぞ強力な海賊が出るでしょう
分厚い魔導書を取り出し、【海賊蔵書】を使用
結晶を弾けさせながら、妖精を蹂躙
その一撃で傷口をえぐり、別の一撃で鎧を砕き、別の一撃で串刺しにし、別の一撃で吹き飛ばす
結晶を割りまくり、その度にイライラしながら蹂躙する
財宝を支配できるのが自分だけだと?
よもや、強欲さで私に勝とうと?
ケイティ・ネクスト
「超高級ワインでもドロ水一滴で駄目になる」
純金の金貨と金メッキの黄銅偽装金貨を派手にばら蒔くにゃ。
「偽物を取り込めば弱体化するにゃ」
と、言うのはブラフ。
「にゃんとぉー!?」
ぴょんぴょん逃げ回って狙った場所までおびき寄せるにゃ。何せ、地形情報はこっち物。罠は張り放題。
「オブリビオンの死因の4割はトドメのタイミングの読み違い……で、オマエはそれでいいんだにゃ?」
まずは【猫のお友達】で拘束狙い。出来ればヨシ、でももう見せた手だし。これもブラグ。
「にゃっはー! 本命はコイツだにゃ!」
バラバラにして潜伏させたアスモデウスマキナのパワーで財宝を掴んで引き千切るにゃ!
カシム・ディーン
冒険者と情報を共有
更に地図を確認して効率的に罠を仕掛けて貰
(財宝竜を見上げ
相変わらず大きいですね
だが…盗り放題ですね(目ぎらり
メルシー…いくぞ
「合点♪」(神機に戻り搭乗
「あれ…これは…」手にある杖型銃器
やっぱりキャバリア系でしたか
何か妙に見覚えがあったんですよ
「これメルシーが失くした杖だ!時空の狭間に落としたからもう回収無理だと諦めてた!」
まぢで!?
ま、まぁいい…早速試運転だ!
【スナイパー・属性攻撃】
光弾を連射して牽制
罠へと誘導
UC発動
高速銃撃で怯ませれば突撃
【空中戦・盗み攻撃・盗み・二回攻撃・念動力】
斬撃で合体を崩してそのまま強奪強奪強奪!
全力でそのお宝奪い尽くします!
金ぴかは僕達のです!!
槐・白羅
冒険者達と情報共有
更に追い込みやすい場所を把握
モルスよ…お前も人に成れるのか?
「…昔はなれた気がしたが今は無理だ。寧ろあの駄神機がおかしいのだ…!ヘカテならばなれるかもしれんがな」
残念だ
「何が!?」
敵の攻撃は【受け流し】
【威嚇射撃・属性攻撃】
熱線を打ち込み威嚇射撃して動きを止め
UC発動
【殺気・呪詛・貫通攻撃・重量攻撃】
小さい相手は苦手かモルスよ
「苦手ではあるが手がない訳ではない。というより分かっているのだろう?」
勿論だ
死の閃光を振りまき生命力強奪
更に死の運命で切り裂きに係る
戦闘後
宝は今回は譲ろう
だがそうだな
この天に舞う城を貰いたい
国を作る事を目指す以上
城の一つは持ちたいのでな(ふんす
ぜーはーぜーはーと肩で息をする猟書家『財宝妖精ブラクテ』。
そこへ今度は、一気に4人の猟兵達が宝物庫へ押し掛けてきた。
「ああ、もー! 次から次へと鬱陶しいぞ!」
既にブラクテは怒り心頭だ!
そんな猟書家へ、シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)は宝物庫を見渡しながら告げた。
「ほう。ほうほう素晴らしい宝物庫ですね。いやはや、管理していただきありがとうございます。後は勝手にこっちで持って帰るので、大丈夫ですよ」
シノギがシッシッとブラクテを手で払う仕草をすれば、当の本人が怒鳴り散らした。
「何が大丈夫だー! 勝手に持って帰るなって言ってるだろうがー!」
これにシノギがハッと思い出すように言葉を漏らす。
「ああ、失礼しました。訂正します」
「そうだぞ! 訂正しろ!」
ブラクテはそのまま彼女が出ていくと思った。
しかし、シノギの口から出てきた言葉は、全く想定の範囲外のものだった。
「あのですね? 私が言った『大丈夫ですよ』っていうのは……
You must die as soon as possible.
(さ っ さ と 死 ね)
って意味ですからね?」
「え、え、今、なんて言った?」
ブラクテは英語が分からなかった。
世界を渡らなければ英語という言語に触れることもないはずなので、相手をおちょくるには最適である。
「意味は分からなかったけど、すごく気分が悪いことを言われた気がするぞ!」
「あらま、言葉のフィーリングは伝わるのですね」
シノギは思わず感心していた。
その横で、ケイティ・ネクスト(蠱惑の仔猫・f26817)がニタニタと笑いながらブラクテに『口撃』する。
「超高級ワインでもドロ水一滴で駄目になる。つまり、こういう事にゃ」
ブラクテの目の前で、ケイティは純金の金貨と金メッキの黄銅偽装金貨を派手にばら蒔きはじめた。
「偽物を取り込めば、オマエのユーベルコードは弱体化するにゃ。にゃにせ、猫の周りには、真贋半々の金貨が混じってるにゃ~。それで『財宝』を操れるならやってみるにゃ~!」
「こんのォ~!」
ブラクテは自身のユーベルコードを誇示するかのように、周囲の金ぴか財宝を操作! 地鳴りとともに財宝が隆起する!
「どうだー! そんなちっぽけな量の偽物が混じったところで、他の本物の金ぴかを操ればいいだけだもんね!」
「にゃんとぉー!?」
ケイティは慌てて後退してゆく。
だが、これは彼女のブラフに過ぎない。
(そのままこっちへ来るにゃ。何せ、地形情報はこっち物。罠は張り放題。他の猟兵もいるし、猫は楽させてもらうにゃ~)
怯えて逃げ出す演技につられ、全力で財宝を操るブラクテ。
操る財宝が、巨大な黄金の竜へと変形合体して襲いかかる!
「これはちょっと、私も下がるべきですね?」
シノギは宝物庫内で暴れる黄金財宝竜の巻き添えにならぬよう、黄金化した右腕のパーツ『Midās Lich』の呪殺弾を放って牽制する。
黄金財宝竜はシノギの抵抗を嫌がり、逃げるようにケイティへ向かってゆく!
ケイティは猫特有の身軽さで、黄金財宝竜の攻撃をぴょんぴょん飛び跳ねて回避し続けてゆく!
「そこの猟兵たち、猫を援護するにゃ。まだこっちは準備不足だにゃ~」
ケイティの要請を受け、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が相棒のメルシーに告げた。
「あんなモフモフでエロい猫のお姉さんに助けてと言われて、何もしないわけにはいかないですね! 不肖、紳士でカッコイイ天才魔術盗賊のカシムさんが、貴方をお助けしましょう! おいポンコツ、というわけで本来の役割を果たせ!」
「ご主人サマ、私よりも露出の多いモフみを選ぶの!? ひどーいっ!」
「うっせーよ! お前は出会ったときから愛が重いんだつーの! あと雌雄同体だから僕的にアウト!」
「あの、痴話喧嘩はあとにしてほしいにゃ~!?」
ズドンッと財宝竜の尾の一撃が、カシム達を吹っ飛ばす!
「「グワーッ!!」」
ケイティは空中三回転でひらりと着地するが、カシム達は薙ぎ払われた財宝が一変に殺到していった!
「あっぶねぇ! ってメルシー!」
「ご主人サマ、大丈夫っ?」
カシムを庇って、メルシーが美少女の姿から巨大な白銀スライムモードに変形!
その弾性でカシムを護ってみせた。
「ご主人サマにアウトって言われても、メルシーはご主人サマが大好きだもん! 絶対護ってみせるよ!」
『2人は仲睦まじいね……』
同じく、先程の一撃をオブリビオンマシンである冥導神機『モルス』で受け止めた槐・白羅(白雷・f30750)が、外部スピーカー越しにボヤいてみせた。
『ところでモルスよ……。お前も人の形に成れるのか?』
意思を持つ冥導神機『モルス』へ、槐はふと尋ねた。
これにモルスは嫌々ながら答えた。
「……昔は変化できた気がする。よく覚えていないが、今はまず無理だ。寧ろ、目の前の駄神機がおかしいのだ……!」
『そうか、他にできる機体はあるのか?』
「ふむ……冥府の女神を冠するあいつならば、娘の姿になれるかもしれんがな? 最後に見た時は猫になっていたが……。ともかく、このモルスにそのような機能を期待するな」
モルスの回答に、槐は声色に嘆きを混ぜて言葉を吐き出した。
『くっ……残念だな……!』
「おい待て? 何だその反応は? このモルスを仮に美少女に変化させたとして、貴様はこの身に何をするつもりだったのだ! 言え!」
『言えるか。公衆の面前だぞ? フッ……』
槐の恥じらうような口ぶりに、猟兵のみならず、猟書家も数秒間、絶対零度の空気に包まれた。
「……おい、メルシー? あの人、ひょっとしたらお前よりヤベーぞ?」
「モーくん、ドンマイ☆ ……うん、ドンマイ☆」
「まぁ、性癖って多種多様ですからね???」
「ブラクテ様も、流石に金ぴかに劣情は抱かないぞ……?」
「そういうのは家でやってくれなのにゃ……」
シノギもブラクテもケイティも、宝物庫内の女性陣は一斉に槐へ嫌悪感を顕わにした。
『モルスよ。何故、女達はモルスを蔑む目付きで見ているのだ? 主である俺がキチンと言ってやろうか?』
「貴様はもう喋るなーッ!! 貴様が蔑まれているのだぞ!」
「む? 何故だ?」
主の鈍感さに、今度はモルスの思考が凍りついた。
後日、思い知るだろう。
モルスの受難はこの日から始まった、のかもしれない……。
「ハッ! 変態の相手をしている場合じゃなかった! 死ね! 変態!」
ブラクテは財宝竜の中核に潜り込むと、集まった金ぴかパワーをその身に充填!
財宝と自身の性能が跳ね上がり、今やブラクテは財宝竜の心臓部と同化して暴れまわり始めた!
「あはははは! これこそ! 『財宝の竜<グランツ>』と『収集欲<ベギーアデ>』のあわせ技だー!」
「なるほど、ここからが本番ってわけですか。いくぞ、メルシー! もうおふざけはナシだ!」
「合点だよー♥」
白銀スライムがみるみるうちに、体高5mの界導神機『メルクリウス』へと姿を変えた! これこそがメルシーの本来の姿である!
と、ここでメルクリウスの手元に、何かが握られていた。
「おい、メルシー? さっきからそれ、何を持ってるんですか?」
「あ、これ? さっき、ご主人サマを庇った時に、私の身体に突き刺さってきたんだけど……?」
「おい、突き刺さってたのかよ。早く言えって。てか、それ、どう見ても……キャバリアサイズの武装ですよね……?」
カシムの指摘通り、金ぴかの巨大な杖のようなナニカは、よくよく見ると銃口が備えられているキャバリア用のライフルであった。
「……って、ご主人サマー! これ、大昔にメルシーが失くした杖だ! 時空の狭間に落としたから、もう回収無理だと諦めてたやつ!」
「ま ぢ で か !」
こんな偶然があるのだろうか?
まさかの専用武器の発見に、メルクリウスは喜びで声を震わせ、その武装の名を告げた。
「間違いないよ……! 目覚めよ、汝はここにあり。その存在意義を再び神の前で示せ! 汝の名は……万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』!」
バチバチチッと銃口の先に紫電が散ったかと思えば、巨大な財宝竜へ光弾が発射された!
雷のような轟音と共に命中すると、財宝竜の身体――集まった財宝が吹き飛ばされてゆく!
「すっげぇ! よしメルシー! 反撃だ!」
「うん、撃ち抜いちゃおっ! ご主人サマ♥」
ここでメルクリウスが反撃に転身!
「此方も合わせるぞ、白羅」
『フッ……やってやろう』
更にモルスがこれに続けとBSプラズマライフル『黄金の矢R』から放たれる熱光線が黄金を溶解させてしまう。
『愚かな。小さいまま飛び回ていれば良いものを。自ら的を大きくしてくれて感謝するぞ、猟書家よ』
「まぁ、小さいままでも我々の勝利は揺るがない。そうだろう?」
『無論だ』
モルスも心臓部へ目掛けて攻撃を集中させる。
次第に、二体の神機の猛攻によって、心臓部の財宝が剥がれ落ち、中のブラクテの姿が露出しだした。
と、その時、植物の蔦が自由意志をもって、内部のブラクテを捕縛する!
「引っかかったにゃ。これで身動きを封じたにゃ」
ケイティの背中からは、ニョロニョロと伸長する攻性植物の蔦が飛び出しているではないか!
だが、身動きを封じたとはいえ、財宝はまだブラクテの周囲に集まったままだ。
「こんな植物で、ブラクテ様を封じられると思ったかー!」
周囲の財宝を操り、ザクザクと蔦を切って脱出するブラクテ!
財宝竜の爪でケイティを引き裂こうと、その腕部を振り上げた!
「あははは! ずたずたに引き裂いてあげる!」
ケイティはじっと、振り下ろされる爪をじっと見詰めたまま言い放った。
「――それはこっちのセリフだにゃ~! そんじゃ……『猫と邪神』を発動するにゃ」
轟音。
そして、腕部がズシンと床に落ち、形を保てなくなってジャラジャラと周囲に飛び散っていく。
ブラクテは何が起きたのかと、ちぎれた腕部の裂け目を見遣る。
と、次の瞬間!
財宝の中から、わらわらと這い出てくる大量の触手の群れがブラクテを飲み込んだ!
「にゃっはー! 本命はコイツだにゃ! 淫靡な空より来たりて、果てなき欲望を胸に、猫は邪なる手を結ぶ……契約を果せ、触装蹂躙機! アスモデウスマキナッ!」
触手で構成された異形の機体『触装蹂躙機アスモデウスマキナ』の断片が、ブラクテの穴という穴へ侵入して生命力を吸い上げてゆく!
実はケイティ、先程まで逃げ回るふりをしながら、宝物庫の中へアスモデウスマキナの破片を放り込んでおいたのだ。
あの贋作の金貨も、そのフェイクだったのだ!
「あっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっ」
臓器や脳髄などを触手で隅々まで掻き回され、ブラクテの精神が犯される。
いまだかつて体感したことがない快楽に、猟書家は骨抜き状態だ。
「今だにゃ! ぶっ飛ばすにゃ~!」
2体の神機は同時にユーベルコードを発動させる!
「加速装置起動……メルクリウス……お前の力を見せてみろ……!」
「行くよご主人サマ! 神速戦闘機構! 『速足で駆ける者(ブーツオブヘルメース)』!」
一気にマッハ27まで超加速したメルクリウスを操り、カシムはブラクテに群がる金ぴか財宝をメルクリウスの体内に取り込むことで強奪してゆく!
「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅いィー!」
超高速銃撃からの鎌剣ハルペーの剣舞によって、財宝竜の体格がみるみるうちにしぼんでいった。
「強奪強奪強奪強奪ゥッ! その金ぴかは、全力で僕達が奪い尽くします!」
「では、俺は猟書家の命を奪おう。モルスよ……今こそ其の権能を示せ……強欲なる者へ死の眠りを与えよ!」
「対生物戦殲滅機構……『死の眠りの神(タナトスノユウワク)』……!」
生命力やエネルギーを奪う死の閃光が、マッハ8弱で動き回るモルスから照射されると、触手塗れになっていた猟書家の命が急激に削れていってしまう。
「ごフッ……!」
触手とともに吐血するモルス!
しかし、瀕死ながらも黄金の強欲さが勝り、寸前で踏み留まってみせた。
「ハァ……ハァ……! やった、耐えた! 耐えたぞ! やっぱりブラクテ様は強いんだ!」
勝利を確信するブラクテ。
邪魔な触手は死の閃光で吹き飛んでいった。
もう彼女を邪魔するものはない!
思わず高笑いが溢れ出る!
「うははははー! 周りの金ぴか財宝はだいぶ吹き飛んでいったけど、また集めればまだまだ勝てる! 此処にいる限り、このブラクテ様は不死身で無敵だー!」
「ほう? それでは、その不死身で無敵具合を今から試してみますか???」
不意に、ブラクテの操る財宝竜の足元から声が聞こえてきた。
その声は、憎しみ、悲しみ、怒りと、悪感情の煮こごりの如き想いを宿していた。
「え、まだ、いたの……?」
財宝竜はゆっくり足元を見据える。
「ええ、最初から、ずっとここに」
そこには、とんでもない鬼の形相を浮かべるシノギがいたのだ!
「怪獣vsロボの超決戦を傍から観戦していれば、何をしてくれてやがるんですか? よくも私の金ぴかを溶かしたりぶっ壊してくれましたね?」
「ちょ、溶かしたり壊したりしたのは、猟兵の方で……」
「言い訳無用です。海賊の掟により、お宝を粗末にするやつはギルティ。それ即ち死罪です。私財だけに」
シノギは先程戦った氷凝鳥から剥ぎ取った結晶を取り出すと、なんと拳でガツンと粉々に砕いてしまった。
「さきほどの鳥から奪った財宝達……勿体ないですが、一つや二つ持ってかれれば御の字ですね。これ自体が純度の高い魔力の結晶。獲得難易度は最難関のSSS級だそうで」
シノギの手元に召喚される、一冊の魔導書……これこそがユーベルコードの海賊蔵書『ロスト・ビンゴブック』である。此処には名だたる賞金首の大海賊達が網羅されており、シノギが失った財宝の価値に応じて、その価値と同等価の賞金首海賊の亡霊が召喚されるのだ!
そして闇から出現してくる大海賊達!
「おや、3人も出てきましたか。珍しいこともありますが、まぁ当然ですね」
シノギは確信していた。
この世の全てのお宝は自分の物であり、目の前の戦闘で破壊された財宝も、このユーベルコードの損失分にカウントして当然なのだ!
よって、粉砕した魔法結晶の金額と合計すると、最強クラスの大海賊船長が3人も同時に召喚されることは、決して不思議ではない!
「私に財宝を手放させるんです。半端な仕事じゃ承知しませんからね?」
黒い髭を蓄えた大海賊に白い髭を生やした老海賊船長、そして全身がゴムのようにしなやかな体を持った大海賊の3人の亡霊が、一気に財宝竜へ攻撃を仕掛けてゆく!
「まずはその足が邪魔ですね、黒髭さん、ぶった切ってくださいね」
巨大な宝剣が黒ひげ海賊の手で振るわれると、まるでバターを抉るように軽々と財宝竜の足が消し飛んでいった!
体を支えることができなくなった財宝竜は、床に激突して身体の大半が崩壊する!
「白ひげのお爺さん、猟書家を財宝から摘出してください」
シノギの指示に頷いた白ひげの老海賊は、クイックドロウの連続で財宝を猟書家から弾き飛ばし、銃弾で財宝竜から猟書家の身体を引き剥がしてゆく。
そして、ゴム海賊が拳を何度も突き出して殴り倒せば、槍のように財宝竜ごと猟書家の体を貫き、ぶん殴っていった!
「ゴム海賊さん、あとは私が!」
可愛らしいピンクのチェーンソーこと『E.B.T.G』のエンジンを蒸し、サメのような刃を回転させる!
唸りを上げるチェーンソーの振動を抑えながら、シノギは散らばった金ぴか財宝の上を駆け抜ける。
「ああ、イライラしますね。こんなに金ぴか財宝が壊れてしまいました。たくさん、たくさん、本当にたくさん!!! 全部全部、あなたのせいですからね?」
「そんな! これって自業自得じゃ……!」
「黙れ、死ね」
「ぎゃああッ!」
ブラクテの身体をチェーンソウーの刃が撫でる!
金の鎧のおかげで、一撃目は即死を免れるブラクテ。
だが、もう逃げる体力もなく、金ぴか財宝の上でへたり込んでしまう。
ドルンドルンッとエンジン音を響かせたまま、シノギは目を血走らせつつ宣告した。
「財宝を支配できるのが自分だけだと? よもや、強欲さで私に勝とうと? 所詮、あなたはこの宝物庫だけしか見えていない。私は違います。何故なら、まだ見ぬ36の世界の財宝全てが……」
ぎゅぃぃぃぃんっとエンジンの回転数が上がり、回転刃のギア音が甲高くなった!
「この“強欲”の二つ名を持つシノギ・リンダリンダリンダの! 大海賊団しゃにむにーの! 所有物ですから!!!!!!!!」
「イギャアアアアアアアアァァーッ!!!」
フェアリーサイズの身体が回転刃に巻き込まれると、骨肉を砕いてグチャグチャにかき混ぜ、あっという間にブラクテはミンチに成り下がったのだった。
猟書家はバラバラになった!
戦闘後、シノギは金貨の中へ飛び込み、クロールをしながらはしゃいでいた。
「おったから♪ おったから♪ 金ぴか財宝は、月に代わっておシノギちゃんが、まるっと戴いていきますね!!!」
「えー、猫も欲しいにゃ。頑張ったにゃ。働いただけの分前は欲しいにゃ~」
そう言いつつ、既に攻性植物に財宝を拾わせているケイティである。
そして、カシムとメルシーのコンビは……。
「メルシー、首尾はどうだ?」
「ばっちりだよ♪ この身体の中にたんまり金ぴか財宝を取り込んであるから、あとで私の体から出産だね♥」
「その方法、まじでやめてくれ! スライムモードから素直に外へ出せば済むだろうが!」
「いつか、本当のご主人サマとの愛のお宝を産むための予行練習だよ♥」
メルシーの悪ノリに脱力するカシム。
そして、それを悠然と眺めるは、今日一番ヤベー奴に認定された槐と、その被害者のモルスである。
「白羅よ、宝は欲しくないのか?」
「今回は皆に差し上げよう。どうやら、俺の何かが皆の癪に障ったようだ。詫び賃代わりに黄金が役立つのならくれてやろうじゃないか」
何が原因なのかを理解できていない槐に、モルスは薄ら寒い思いをしてしまう。
「そうだな……その代わりといっては何だが……皆、どうだろうか? この城を俺に譲ってくれないか?」
槐の発言に、再び場が凍り付いた。
「……どうした? 俺はこの天に舞う城を貰いたい、と言っているのだ。その代わり、この場にある黄金はくれてやろう。なに、俺自身の国の建国を目指す以上、城の一つは持ちたいのでな」
「いえ、財宝の“器”であるこの城も、私ことおシノギちゃんの所有物です。そこは譲れませんので」
「なんだと!」
シノギの言葉に槐が食らいつく。
しかし、シノギから提案が出された。
「ですが、私達は海を根城にする大海賊団しゃにむにー。正直、陸の城を持っていても無碍にしてしまうでしょう。そこで、リース契約をしませんか?」
「リース契約?」
槐が首をかしげる。
シノギが悪い顔になっていた。
「そうです! 毎月、一定額を支払うだけで、このお城が使いたいホーダイ! 更にお城周辺の土地も無料で付いてきます!」
「なんだって! それはお得だ!」
槐は提示された条件に目を剥いて驚く。
「しかも! 今後、あなたが大海賊団しゃにむにーの一員になれば、定額金もほぉら、こんなにお買い得に!」
「な……っ! タダ同然だと! いいのか?」
「ええ、入団してくれれば、の話ですが?」
「ううむ、海賊への入団はさておき、それを省いてもこんな良い話は他にない。よし、そのリース契約とやら、結ぼうじゃないか」
「ハイ、ヨロコンデー! シャッチョサン、ダイスッキー!」
シノギの両目が金貨のように輝いた瞬間である。
「よかったな、白羅。親切な契約の話をもらって」
「ああ、助かったな、モルス!」
へっぽこ主従の会話に、他の猟兵達は思わず目を逸らしてしまう。
(あのコンビ、海賊に搾取されてる……!)
かくして、猟兵の強欲パワーによって、猟書家『財宝妖精ブラクテ』の野望は潰えた。
なお、金ぴか財宝の中から謎の輝く輝石が発見された。
猟兵達は用途不明のこれらを持ち帰り、保管することにした。
もしかしたら、天上界への手かがりになるやも、と信じて。
大成功
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