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Destroy is Destiny

#デビルキングワールド #デストロイ

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#デビルキングワールド
#デストロイ


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「お前達! 家賃は払っているか!」
「「「フンガー!!」」」
「大変良い心がけである! 支払い期限などデストロイだ!」
「「「フンガー!!」」」
「取り立てに来たギャング共をデストロイしたと! 大いに結構!」
「「「フンガー!!」」」
「だがまだまだ足りぬ! 我々には更なるデストロイが必要である!」
「「「フンガー?」」」
「即ち! 我らの今いるこのマンションをデストロイするのだ!!」
「「「フンガー!?」」」
「この狭いマンションを飛び出し、世に更なるデストロイを齎す! これこそ我らの在るべき生き様よ!!」
「「「フ、フンガー!!」」」
「さあ行くぞ! 我らの人生とはデストロイである!」
「「「フンガー!!」」」



「というわけで猟兵諸君、彼奴らから家賃を取り立ててきて欲しい」
 グリモア猟兵、ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)…通称ギジィのあまりにも端的な説明に、猟兵達は困惑を禁じ得なかった。
 此度彼女が予知を見たのは、つい先日より転移が可能となった新たな世界『デビルキングワールド』のもの。悪事を奨励する『デビルキング法』なる掟の布かれたこの世界においては、悪くて派手な悪事を為す者こそが格好良いと見なされる。
「故に、マンションの住民も素直に家賃を払いなどはせぬ。より長く滞納する事こそ美徳、というわけだな」
 勿論、それではマンション運営が成り立たないので、大家は「ギャング」と呼ばれる悪魔を雇い家賃を取り立てて貰う。これも「強引な取り立て」という悪事なので格好良い、というわけだ。
「だが、最近ギャング達による家賃の取り立てがうまくいっておらんらしい。いつの間にかマンションに住み着いていたオブリビオンのせいでな」
 曰く、そのオブリビオンが住民達を統率しギャングの撃退を促しているのだという。
「このオブリビオンの名は『デストロイキングボス』。破壊という概念が形になったかの如き魔王のオブリビオンだ」
 彼は住民達を統率してマンションを破壊、外へ飛び出し街へ更なる破壊と虐殺を齎そうとしているのだという。如何に悪事が奨励される世界とは言え、虐殺は見過ごせぬ。
「という訳で、貴殿らにはこのデストロイキングボスの殲滅と、住民達からの家賃取り立てを頼みたい」
 あくまで家賃取り立ても任務らしい。

「かのマンション…『エルヴォーグ・ハイツ』は、マンションとは言うが中は迷宮の如く入り組んでいる」
 ギジィ曰く、この世界のマンションは大体そういうものなのだとか。
「更に、老朽化に伴って内部の至る処が崩落したり、放置された家具で道が塞がっている。これは全て破壊して良い、と大家からも言質は得ている」
 遠からず取り壊す予定ではあったらしく、その前に住民から滞納した家賃を取り立てたい、というのもあるようだ。
「マンションの住民である『フランケンシュタイン』達に遭遇したら、これを打ち倒し家賃を取り立ててくれ」
 但し彼らは長年このマンションに住んでいるだけあり内部構造を熟知している。不意打ちには気をつけた方が良いだろう、とギジィは言う。
 尚、彼らはオブリビオンではない、この世界の住民達である。この為殺害は避けるべきであるが、単に剣で斬ったり銃で撃ったり火炎魔法で燃やしたりするくらいなら致命傷にはならない。なので遠慮なく叩きのめして構わないとの事だ。
「まあ、流石に首を刎ねたり物理的に捕食したり存在ごと消し飛ばしたりすれば死ぬので、そのレベルの攻撃は避けるべきだが」
 戦闘不能に追い込めば、フランケンシュタイン達は素直に滞納していた家賃を払う。この世界の悪魔達はみな根が善良なので、意識しなければ悪事を働けないのだとか。

「一通り家賃を取り立てたら、後はデストロイキングボスを打ち倒すのみだ」
 此方は普通にオブリビオンなので、全力で当たって構わない。寧ろ、猟兵複数名と渡り合える強者なのでそうせねばならないだろう。
 因みに彼はマンションの構造には詳しくないため、逆に不意打ちをかけることも可能かもしれない、とのこと。

「と、まあ色々妙な世界ではあるが、オブリビオンの脅威があるならばこれを打ち倒す事。これはこの世界でも同じ事だ」
 そしてギジィは掲げた掌にグリモアを浮かばせる。己の率いる大隊の紋章を模したグリモアを。
「宵闇忘れし者に黄昏を。征くがよい、猟兵諸君。貴殿らに武運あれ」


五条新一郎
 デストロイあるのみ。
 五条です。

 さてやって参りました新世界デビルキングワールド。
 当方よりもシナリオを一つお届けさせて頂きます。
 老朽化したマンションダンジョンにて何処かで会ったような奴らを叩きのめし、家賃を取り立てましょう。
 最初から最後までデストロイ分増し増しでお送りしたいと思います。

●目的
『エルヴォーグ・ハイツ』の住民『フランケンシュタイン』達から家賃を取り立てる。
 オブリビオン『デストロイキングボス』の殲滅。

●戦場
 デビルキングワールドの都市部にあるマンション『エルヴォーグ・ハイツ』。
 元々複雑な構造をしているのに加え、老朽化による崩落と家具の放置でほぼ迷宮と言って良い状態です。
 近々取り壊し予定なので、内部の破壊は問題ありません。

●第一章
 マンション内を探索する「冒険」です。
 邪魔な障害物などを破壊したり、壁を破ってショートカットしたりして住民を探しましょう。

●第二章
 マンションの住民である『フランケンシュタイン』達との「集団戦」です。倒せば家賃を払わせることができます。
 彼らはオブリビオンではないので殺害は避けましょう。但し普通に攻撃するくらいでは死なない程度には頑丈なので、明確に殺害を意図した攻撃でなければだいたい大丈夫です。
 尚、彼らはマンションの構造を熟知しているので、それを利用した不意打ちを仕掛けてくる可能性があります。

●第三章
『デストロイキングボス』との「ボス戦」です。
 彼はオブリビオンなので遠慮なく殲滅してOKです。
 マンションの構造には詳しくないので、不意打ちを仕掛けることも可能です。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章以降は章以降後の断章投稿後からプレイングを受け付けさせて頂きます。

 それでは、皆様の破壊力溢れるプレイングお待ちしております。
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第1章 冒険 『派手にぶっ壊そう!』

POW   :    とにかくパワーに任せて壊しまくる

SPD   :    華麗な身のこなしで素早く壊しまくる

WIZ   :    頭脳プレイで効率的に壊しまくる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
取り立て、了解致しましたぁ。

『建造物自体は破壊してよい』とのことですが、やり過ぎて住民の皆さんの発見前に全壊させてしまっても問題でしょうし、不意打ち対策等も考えますと、この方法が良いでしょうかぁ。
『効果弱め・効果時間長め』の『秘薬』を摂取し【霊結】を使用、『注意力』を強化して参りますねぇ。
その上で『FSS』の弾頭を『FCS』で炸裂弾に変更、『FRS』の[砲撃]と『FSS』の[爆撃]で破壊しながら進みますねぇ。
足場の問題は『FBS』による飛行で対処、途中の抜け道や隠れ場所、不意打ち等は、強化した『注意力』で対処して参りますぅ。

何とか無事に発見したいですが。



 老朽化したマンションダンジョン『エルヴォーグ・ハイツ』へと足を踏み入れる猟兵達。
(今回のお仕事は、まず家賃の取り立てですねぇ)
 壁にも天井にも床にも罅が走り、いつ崩れてもおかしくない内部を、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が進む。その足は床を踏んでおらず、四肢に嵌めた戦輪の回転によって僅かに浮遊している。
 このマンションの住民達は、団結してギャングを撃退し家賃滞納を続けているという話だが、今の処その姿は確認できない。もっと奥のフロアに潜んでいるのか、或いは。
(何処かに隠れて不意打ちを狙っているのでしょうかぁ)
 となれば、警戒しておくに越したことはない。その過剰な程に膨れた胸元より、白磁の陶製小瓶を取り出すと。
「大いなる豊饒の女神、その鴻大なる知と力をお貸しくださいませ――」
 祈りと共に中身を一気に呷る。その中身は己の行動の精度を高める効果を有する秘薬。副作用として体型への一時的変化が生ずるものの、此度は効果を抑え目としたため副作用も微小。
(――今のところ、気配は感じませんねぇ)
 高められた注意力は、周辺に生ずるあらゆる違和を知覚する。なれど、己以外の何者かの存在を示す要素は認められず。そのまま道なりに進んでゆく。
 進むこと暫し、崩れた瓦礫が通路を塞いでいる処へ行き当たる。思案するるこる。別の通路へ向かう手もあるが。
(ここの住民さん達が、わざと塞いだ可能性もあるでしょうかぁ?)
 いずれにせよ、この通路の先も調べねばならないのは確かだ。るこるの背後に、十六基の浮遊砲台と、八基の盾付き砲台が浮かび上がる。弾頭は炸裂式のものに変更済みだ。
 るこるが瓦礫へ意識を向ければ、砲台群は即座に反応。一斉に放たれる砲声、命中と破壊に伴う爆音が轟き、振動がマンション全体を揺さぶって。
 爆発と共に巻き起こった粉塵が晴れ、瓦礫が完全に吹き飛んだのを確認して。るこるは更に進――もうとして。
(上――崩れてきますぅ!)
 浮遊する身の前進を、咄嗟に止め。直後、天井に走る罅が一気に拡大、崩落。瓦礫となって、次々と真下の通路へと落下してきた。通路を埋める程の量ではないが、強化された注意力が無ければ、巻き込まれた可能性もあっただろう。
(危ないところでしたねぇ…さっきの砲撃の衝撃の影響でしょうかぁ)
 流石に二十四基もの砲台を全て使っての砲撃は、些か過剰であったろうか。瓦礫を越えて更に進みつつ、そう思ったとか。

 そのまま通路を進み、道を塞ぐ瓦礫は砲台数基を用いた砲撃で撤去し。そうした行動を暫し続けていたところに。
(――この辺り。居ますねぇ…)
 周辺に感じた、視線と気配。どうやら、住民達はこの辺りにいるらしい――

成功 🔵​🔵​🔴​

サエ・キルフィバオム
「何も考えず、とにかく壊しまくって進めばいいのかな?」
周囲に人の気配がしないのを感じながら進みます

「派手にやっていった方が、取り立ての時に脅しになるかも♪」
【終焉の凶音】を放つブザーを部屋に投げ込んで爆音を鳴らしながら、部屋の中の脆い物を根こそぎ破壊します

「こんだけやって出てこないのは、割と臆病だったり?」
爆音で住民をおびき出せないかと思いましたが、そちらは上手くいかなかったようです



 罅の入った床の上を軽やかに歩む、桃髪の少女。埃っぽい環境を嫌ってか、頭の上の狐耳が頻繁にひくひく震える。
(何も考えず、とにかく壊しまくって進めばいいのかな?)
 マンション内のものは破壊しても良い、というグリモア猟兵の話を思い返し、サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)は思案する。遠からず取り壊す予定の建物ならば、破壊を躊躇する理由は確かに無いか。
(そういうことなら♪)
 徐にサエが取り出したのは、防犯用の携帯式ブザー。だが只のブザーではない、ユーベルコードの産物たるブザーだ。
 紐を引き、手近な扉の向こう、人の住む気配残る室内へと放り込めば。ブザーは猛烈なボリュームの爆音を放ち、室内の割れ物や木製家具、更には罅の入った壁や天井を次々と破壊していく。
(派手にやっていった方が、取り立ての時に脅しになるかも♪)
 それこそがサエの狙い。あちらこちらに爆音放つブザーを放り込み、破壊行為を繰り返していることをアピールすれば。以て住民への恫喝と為し得るか。その判断のもと、次々にブザーを部屋や通路の随所へと投げ込んでは、その爆音で以てあちらこちらを破壊して回ってゆく。
(…けど…)
 だが、サエの思っていたような効果は発揮されない。その効果というのは。
(こんだけやって出てこないのは、割と臆病…?)
 爆音で住民を誘き出す――或いは引き籠っているのを脅かして引きずり出せれば。そんな意図もあったが、其方の当ては外れたようだ、
(まあ良いか。今は留守みたいだけど、そのうち帰ってくるかもだしね)
 入り口付近の住居は、その全てがもぬけの殻であった。オブリビオンのもとへと居を移したのだろうか。或いは単に外出しているだけか。どちらかと言えば後者であって欲しいとは思っているようだ。
 そのまま手当たり次第に破壊音をばら撒きつつ、サエは更に奥へ。

成功 🔵​🔵​🔴​

プリ・ミョート
アドリブ歓迎

あんれまあ、ずいぶんとパワープレイだべなあ!
んでもな。大家さんからぜーんぶぶっ壊せ、なんて言われたからにゃ、やったるべ

《バトラーズ・ブラック》でリミッター解除と早業をレベルアップ!
て早くかつ大胆に壊しまくるべー!
うっひょー!! なんだか気持ちよくなってきたべ!
おっかあ、おっとお、悪い子になってるぞおら!

住民さんどこにおるだー!? いるなら返事してけろー!
いなきゃぜんぶぶっ壊しまくっちまうぞ!



 エルヴォーグ・ハイツの一角に轟音が轟く。瘴気の弾丸を撒き散らすガトリングガンの発砲音と、それによって撃ち抜かれ崩れてゆく壁とが生み出す音だ。
「うっひょー!! なんだか気持ちよくなってきたべー!!」
 ガトリングガンの発射音と共に、訛った声が響く。見れば、それは白い布をすっぽり被った小柄な人型と思しきモノ。プリ・ミョート(怪物着取り・f31555)、そのガトリングを始めとした各種銃火器のマナーに自信あるブギーモンスターである。
 その銃撃は、余計なものを壊さないように繊細、だが壊すべきものを粉々にする力強さ、それらを兼ね備える。

 さて、彼女が何ゆえにマンションを破壊するべくこうして暴れ回っているかと言えば。
(随分とパワープレイするんだっぺなぁ)
 道中の障害を排除しつつ、住民をボコボコにして家賃を徴収せよ、との任務内容。破壊行為についても問題ない、と大家の許可を得たは良いが、どうやら其処を読み違えた様子で。
(ぜーんぶぶっ壊せ、なんて言われちまったらば、やったるしかねぇべな!)
 その決意と共に、背中から立ち上るは具現化された闇。命令の受諾を以て発動する、闇執事のユーベルコードだ。高められた技術による狙いは正確、確実に壁や家具を破壊し吹き飛ばしてゆく。
(おっかぁ、おっとぉ、見てるべか…!おら、悪い子になっとるべ…!)
 砲声の中、ふとプリの脳裏を両親の姿が掠める。故郷を旅立つ己を黙して見送ってくれた両親。彼らが、今の己の姿を見れば――
(だどもまだまだ、オラはもっと大きくなるべ!)
 ――恐らく悲しむどころか喜ぶだろう。悪事こそ美徳とする、この世界ならではの価値観。プリの破壊行為は、広く悪行として認められるものであろう。

(…しっかし、住民さんがまだ出てこねぇべな)
 破壊行為を続ける合間、プリはふと気づく。住民の姿が見えぬ。結構な人数がこのマンションには住んでいるはずだが。
(マンションぶっ壊すはええけども、家賃もちゃんと取り立てんとな)
 此度の任務の本来の目的を思い出す。相変わらず、主客は入れ替わったままではあるが。其方も確実に遂行せねばならない。故に。
「住民さーん! 何処におるだー!? おるなら返事してけろー!!」
 ガトリングの連射を緩めることなく呼びかける。上がる声はガトリングの発射音に掻き消えることなく、周囲へ響き渡る。
「おらんなら、全部ぶっ壊しまくっちまうぞー!!」
 要求を呑まねば暴れるのを止めぬという脅しめいた呼びかけも、悪人らしい立ち回り。ノリノリで呼びかけながら、ガトリングは絶えず火を噴き、壁も部屋も変わりなく破壊していく。

成功 🔵​🔵​🔴​

メナオン・グレイダスト
大帝国も一日にしてならず、であったな。
まずは地道に功績を積もうではないか。

迷宮めいた集合住宅をいざ進まん。
…ふうむ。この煩わしいほどの複雑さ、良くも悪くも参考になろう。
しかし荒廃ぶりは目に余る。美しさを感じぬし…何より目障りだ。

我輩の道を阻むものは排除すべし。
【グレイダスト・レギオン】。みな、力を貸せ。
適した姿を取って(身体の一部または全体を変化させ、物理またはエネルギーの攻撃で)障害を片端から破砕し、何であれば壁も床も打ち壊し。
柱と壁は崩落を防ぐ程度に残しつつ、傷害となり得るものは全て排除してしまえ。

なに、もともと壊す予定なのであろう? 近い将来の仕事を奪ってやったまでだ。

※共闘など歓迎



 迷宮じみた古いマンションを、灰色の影が征く。この世界のトレンドより外れた灰色の装束、その上から纏う外套もまた灰色、歩めばその後に灰色の砂塵が随う。
 彼の名はメナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)、猟兵の力へ目覚めたことにより、数年を過ごせし廃墟都市から旅立った『灰色の魔王』である。
 何を成すにもまずは地道な経験と功績の蓄積が必要であろう、と此度の任務に参加した次第であるが。
(…ふうむ。この煩わしいほどの複雑さ。良くも悪くも参考になろう)
 無秩序な増改築、その上で老朽化により随所が崩れ落ちたことによる、迷宮が如き内部構造に、そんな感慨を抱きもするが。
(…しかし、荒廃ぶりは目に余る)
 行く手に積み上がった瓦礫が、彼の足を止めさせる。
 己がかつて住んでいた廃墟都市と比較しても遜色無い荒れ具合。今なお少なからず住民が住まう住宅が、このようなもので良いのか。彼の美的感覚にも全くそぐわぬという事もあり、苛立ちが先に立つ。
「――なれば。みな、力を貸せ」
 誰ともなく――否、明確に認識せし存在へ向け呼ばわる。外套の下から流れ出る灰色の砂塵がその量を増し、やがてメナオンの背後数か所にて渦巻きながらその体積を増やし。立ち上がったその姿は、先端が球状となった柱、或いは大砲を思わせる形状。
 これこそは、灰色の魔王たる彼の配下『グレイダスト・レギオン』。変幻自在の身体を有する人工生命体だ。
「吾輩の行く道阻むもの。全てを破壊し、排除せよ」
 命令を下せば彼らは一斉に動き出す。柱状の身体をしならせ、反動を利して瓦礫を打ち、砕き。大砲じみた口部から魔力光線を放ち、その先の壁までをも撃ち、砕き。主たる魔王の行く道を、拓いてゆく。
 歩みを進めながら、メナオンは更なる命を下す。即ち、壁や床をも破砕し、前進を更に容易とせよと。灰塵の臣下らは忠実に動き、行く手の壁を、床を砕く。その後を、魔王は歩む。
(――そういえば。元々この迷宮は取り壊す予定、と言っていたな)
 ふと、グリモア猟兵の説明を思い出す。なれば、無為に己が破壊を為すべきでもなかっただろうか。そんな思考が脳裏を過ぎるが。
(――何、近い将来の仕事を奪ってやったまでよ)
 悪為すが正義であるならば、他者の仕事を奪ってしまうもまた正義であろう。口元を笑みの形に歪め、魔王は行く。配下達の手により切り拓かれた道を、ダンジョンマンションの更に深層へと。

成功 🔵​🔵​🔴​

スピカ・ネビュラスター
うん、それじゃあ盛大にぶっ壊して進もうか!
ふふふっ。派手に行くよ!
ボクのウィッチクラフトを見せてあげよう!
フォーリングスターを使用、『星杖ギャラクシア』でドアを指し示し、小隕石でぶち破ってマンションに侵入するよ

ある程度の広さがあるなら、空中浮遊する魔星『アークツルス』に乗ったまま進むね

さて、住人はどこにいるかな……?
まあいいか。適当に進めば見つかるよね
フォーリングスターで邪魔な障害物を破壊しつつ進んでいくよ
もし住人を巻き込んだら? そっちの方が悪っぽくていいよね!

傍若無人にマンションを破壊しつつ突き進むよ
この程度で倒壊するなら、そんなボロボロの建物が悪いんだからね



『エルヴォーグ・ハイツ』の古びたエントランスに、蒼い星が降りる。一人の見目幼き少女を、その上に乗せて。スピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)、星々を司る魔女、を称するラスボスである。
「お仕事の為なら、ぶっ壊したって構わない…だったね」
 傾いだ門扉へ向けた瞳は愉しげに煌めく。まるで、新しい玩具を見つけたかのように。
「それなら!」
 片手の杖を掲げる。渦巻く銀河頂く先端を門扉へ向ければ、星の渦は広がって――その底から『何か』が浮かび上がってくるのが認められたかと思えば。
「派手に行くとしようか! ボクのウィッチクラフトでね!」
 砲弾めいて射出されたそれ――小型の隕石が門扉へと直撃。これを完膚なきまでに撃ち砕いてみせた。
 そう。彼女の語るウィッチクラフトとは、小手先の技術や先制術には決してない。まさに宇宙の秩序、星々を支配する力であると彼女は語る。
 ともあれ、砕け壊れた門扉を、彼女の腰掛ける蒼星が浮遊にて乗り超えて。迷宮と化したマンション内へと踏み入ってゆく。

 内部はそれなりには広く、浮遊する蒼星――『アークツルス』を伴うスピカもその行動には障りなく。いや、仮に障りがあったとて。
「ほらほら、邪魔するものは全部叩き壊しちゃうよ」
 星杖掲げるスピカ、彼女の行使する魔術を以て無理矢理に破壊していた可能性も高かろう。現に今、彼女は破壊の限りを尽くしている最中である。
「それにしても、住んでる人達が見つからないものだね?」
 壁を小隕石によって撃ち抜きながら、ふと思い出したかのようにスピカが呟く。かなりの数の部屋を踏破し破壊してきたが、住民には一度とて遭遇していない。適当に進んでいけばそのうち見つかるだろう、とは思っていたが。
(もしかして、破壊に巻き込んだ?)
 その可能性にさえも思考は及び。もし仮にそうであったとすると――
「――そっちの方が悪っぽくて良いよね!」
 あっけらかんと結論づけた。少なくとも精神的には、住民を巻き込むことに忌避感が無いらしい。繰り出す破壊のペースは更に上がる。
「いくらボロいマンションだからって、この程度で倒壊はしないよねぇ?」
 仮にそうなったとて、悪いのは己ではなくその程度で倒壊してしまったマンションである。そんな傍若無人の思考のもと、銀河の魔女は更なる破壊を重ねてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルゼブ・アズモリィ
へへっ、取り立てのためにマンションを破壊とは、悪カッコイイじゃん!

まずは、《炎の魔王軍》で炎の眷属たちを召喚し、マンションの内外に放つ。
お前たち!この建物に焦げ跡をたくさん作ってやれ!
あいつらも中にまで火が入ってきたらビビるはずさ!
ただしやりすぎるなよ!全部燃やしたら崩れてオレも下敷きになるからな!

程々に時間が経ったらオレも中に入って、焦げて脆くなったところを蹴破ったり殴ったりして穴を開けて行くぜ。
そして悪魔どもに向かって叫んでやるんだ。
おい、悪魔ども!黒焦げになりたくなかったら出てこい!!
ってね!

*アドリブ可



 めいめいにマンションダンジョンを探索してゆく猟兵達。此方でもまた、一人の猟兵がその入り口に立ち、堂々と腕組みしてマンションを見上げている。頭部から天井向けて生える、二本の大きな角が特徴の少年である。
「へへっ、取り立てのためにマンションを破壊とは、悪カッコイイじゃん!」
 鼻の下を人差し指で擦りながら不敵に笑う少年――アルゼブ・アズモリィ(玉座を見据えし悪魔・f31513)。この世界の王――デビルキングを目指して偉大なる一歩を踏み出したばかりの猟兵にして悪魔だ。
「よーし、オレも派手にやってやろうじゃんか!」
 気合を入れるかのように一声上げると、次いでその手を掲げ、声を張る。
「来い、炎の魔王軍! このオレの忠実なる部下たちよ!」
 呼ばわる声に呼応するかの如く、アルゼブの周りの空気が陽炎めいて歪み。空間に生じた複数の炎、それらが一瞬にして肥大化したかと思えば、悪魔じみた人型を形作り空間に滞空する。魔王を目指すアルゼブの、忠実なる眷属。配下モンスター達だ。
 命令を待つかのように彼を見つめる配下達へ、アルゼブは胸を張って命を下す。
「お前たち! この建物に焦げ跡をたくさん作ってやれ! 燃えてしまうかもしれない、って思うくらい派手にな!」
 その様相、見目のあどけなさ故か威厳よりは微笑ましさを感じさせるものではあったが。命を受けた眷属達は応えるように移動を開始。ある者は建物の中へ、ある者は外周りへ。
「…あ、でもやりすぎるなよ! 全部燃やしたら崩れてオレも下敷きになるから!」
 思い出した注意事項を追加で下命する、アルゼブの声を背に受けて。

 眷属達はそれぞれ、その身から炎を噴き上げると、建物に炎を浴びせてゆく。外壁が焼け焦げ、室内の可燃物が次々と燃え上がり。建物全体までは火は回らずとも、その随所が火災の様相を呈し始める。
「よーっし、そろそろ頃合いだな! さぁ行くぜー!」
 火の影響が出てきた頃か、と判断しアルゼブもまたマンション内へ。その内壁は炎に炙られ、真っ黒に焼け焦げ。
「てぇいっ!」
 アルゼブが一蹴りすれば、脆くも崩れ、壁には大きな穴が開く。その先の焦げた壁も、殴れば同様に崩れ落ちて。その先には、未だ燃える炎に包まれた廊下がある。
「ばっちり燃えてるな! 完璧だぜ!」
 配下の仕事ぶりに満足に頷けば、大きく息を吸い込んで。
「おい、悪魔ども! 黒焦げになりたくなかったら出てこーい!」
 降伏勧告じみて、その先にいるであろう悪魔達へと呼ばわりつつ。少年魔王はマンションダンジョンの更なる奥へと歩みを進めてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『フランケンシュタイン』

POW   :    マッドネスサンダー
自身の【知性】を代償に、【電撃】を籠めた一撃を放つ。自分にとって知性を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    フランケンナックル
【強靭な拳】で攻撃する。[強靭な拳]に施された【電撃発生装置】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ   :    ファイナルフランケン
【体内を流れる電流】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達によって破壊されてゆく『エルヴォーグ・ハイツ』。彼らがマンションの更なる奥へと歩みを進めんとした時であった。
 突如廊下の壁が激しく粉砕され、中から大きな人型存在が一行目掛け飛び掛かってきた!
「フンガー!!」
 丸太めいた大きな腕を振り下ろすその一撃を、各々回避する猟兵達。振り下ろされた拳は床に大きな罅を作る。
「フンガー…!」
「フンガー! フンガー!」
 その破砕音に呼ばれたかの如く、建物の部屋、廊下の曲がり角、更には天井や床に開いた穴から、次々に同じ姿の者達が現れ、猟兵達に敵意を向けてくる。
 彼らこそがフランケンシュタイン、このマンションの住民達だ。尚、「フンガー」としか喋らないものの、その意味する処は猟兵達にもなんとなく分かるかもしれないし、分かるかも知れない。
 分かることは二つ。そんな様相ではあれど彼らには明確な知性と、長年このマンションに住み続けた故の地の利がある。油断すれば、今しがたのような奇襲を受ける可能性も考えられるだろう、というのが一つ。
 そしてもう一つは、彼らが数十年単位で家賃を滞納し続けているという事実である。滞納し続けた家賃は払わなければならない。払わないならば力ずく、それもまたこの世界の流儀と言えよう。
 彼らを殺さぬ程度に叩きのめし、家賃を徴収せよ!
スピカ・ネビュラスター
奇襲はちょっと面倒だね
そうすると……うん、アレがいいかな
フランケンシュタインなら即死はしないだろうしね

『コズミックフィールド』を発動させるよ
宇宙空間にご招待、だね
真空は絶縁体だから電気も通しにくい
隠れても無駄だ。まとめてお仕置きしてあげよう

あ、ちなみにボクはこんな見た目でもラスボスだからね
宇宙空間でも問題ないよ
というか、むしろ宇宙空間の方が得意なくらいかな

フランケンシュタインが死なない程度のところで
ゴズミックフィールドは解除するよ

もう一度宇宙空間を味わいたくないなら
さっさと家賃を払うことだね



「フンガー!」
「フンガー!」
 入り組んだマンション内のそこかしこから、フランケンシュタイン達の声が聞こえる。存在自体は分かるが、壁やら天井やらに反響してか正確な位置は今一つ分かりにくい。
「これはちょっと面倒だね…」
 そんな混沌たる様相に、スピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)は小さく嘆息。油断すれば不意を打たれかねない状況。どう対処するべきか。思案すること暫し。
「そうすると…うん、アレが良いかな」
 スピカが頷けば、その座する球状の物体――星の魔力を支配するという彼女のウィッチクラフトにて造り出された魔星が、蒼から紅、緑に黄、紫――七色に光り輝き。都度放たれてゆくのは流星。色の変化に従って放たれるそれらは七色の流星雨となって、戦闘領域を駆け抜けて――
「………!?」
「…!? …!!」
 やがて、驚き、困惑した様子のフランケンシュタイン達の姿が現れる。何事か声を上げているようだが、スピカには届かない――否、彼ら自身にも聞き取れていないのだ。
「ようこそ、真空の極寒領域――宇宙空間へ。さあ、お仕置きの時間だよ」
 不敵な微笑みと共にフランケンシュタイン達へ告げてみせるスピカ。先に放たれた七色の流星群は、ユーベルコードとなった彼女の魔術。その駆け抜けた領域を、宇宙空間――大気無き極寒の空間と同一の環境へと変化させてしまうものだ。
「……!!」
「……、……!」
 真空中では音は伝わらぬが故に声は発せられず、ユーベルコードで反撃しようにも真空に電気は通らぬ。どうにかスピカへ駆け寄った者が振るった拳も、余裕を以て回避される。
「悪いけれど、宇宙空間での戦いは得意だからね」
 可憐な容貌なれどスピカはラスボスである。ラスボスの戦場といえば宇宙空間か異次元空間と相場が決まっているもの。そうでなくとも彼女は星を司る魔女だ。宇宙に適応しているのは必然とすら言えるだろう。
「………」
「……、……」
 碌な抵抗のできないままであったフランケンシュタイン達、その動きが徐々に鈍ってゆく。衰弱が目に見えて分かる。真空と極寒。人間が放り出されれば一瞬で絶命するような環境。魔界の住民故に即死はしないが、それでも長く生存できる環境ではない。
「おっと、そろそろまずいかな」
 彼らはオブリビオンではないこの世界の住民。死なせてしまうのはよろしくない。スピカは魔術を解除し、環境を元に戻す。
「フ、フンガー…!」
「フンガー…フンガー…」
 空気が戻ってきたことでフランケンシュタイン達の声が届く。衰弱は明らかだが、命に関わるほどではないはずだ。そんな彼らのもとへスピカが近づく。
「さて。君達が滞納している家賃。耳を揃えて払ってもらおうかな?」
 睥睨と共に告げてみせる。断れば、もう一度宇宙空間へ放り出す、との脅しも添えて。フランケンシュタイン達に、拒否の選択肢を選べようはずもなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
大人しく取り立てられてはくれないようですねぇ。
それでは、始めさせていただきますぅ。

『FBS』を四肢に嵌め浮遊、『FRS』『FSS』を『FCS』により『自動操縦』に設定しますねぇ。
これで、私自身が動けなくても意識さえあれば[砲撃]可能ですぅ。

そして【月衣奏】を使用、全身を『女神の鏡』に変換しますねぇ。
この結果私は動けなくなりますが、フランケンさん達の『電撃』等も全て『吸収&反射』で防ぎつつ[カウンター]可能ですし、不意打ちの影響も有りません。
『知性』を失っている状態では『如何に破るかを考える』のは難しく、何もしなければ[砲撃]の餌食ですぅ。

後は降参するまで継続しますねぇ。



「フンガー!!」
 振るわれた拳を躱せば、傍らの壁が砕け穴が開く。その破壊力、成程、オブリビオンではないとはいえ猟兵に対しても一定の脅威となり得よう。夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は舌を巻く。
「大人しく取り立てられてはくれないようですねぇ…」
 眼前のフランケンシュタインも、その背後に見える者達も。皆、やる気満々といった様相。まずは彼らの戦意を挫かねばならぬか。
「それでは、始めさせていただきますぅ」
 四肢に嵌めた戦輪が回転し、るこるの身を浮遊させる。その背後には、自動操縦状態に設定した浮遊砲台群。これならば、るこるの意識さえあれば砲撃を行える。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて御贄を捧げましょう――」
 そして奉ずる女神へと祈りを捧げれば、るこるの全身が光沢を帯び…周囲の風景がその肌に、着衣に映り込む。己の身を『女神の鏡』へと変化せしめるユーベルコードだ。
「フンガー!!」
 だが、フランケンシュタイン達にその変化の意味は理解できない。先程拳を振るってきた一体が拳を振りかぶり駆け迫る。その拳へと、輝く電流が迸り――るこるの身へと叩き付けられる!
「…フンガーーーー!!?」
 そして上がった悲鳴はフランケンシュタイン自身のもの。今のるこるは、被弾した攻撃を吸収し、その上で攻撃者自身へ反射する状態となっている。叩き付けた渾身の拳、その威力は全て、フランケンシュタイン自身に返って来たのだ。
 自らの攻撃ダメージをまともに受け、倒れるフランケンシュタイン。続いて現れた仲間達もまたるこるへ対峙するものの、如何に知性あるとて己の攻撃を反射する敵への対策は容易に思いつかない。
(攻めあぐねているようですねえ)
 対策が思いつかず、攻撃を躊躇するフランケンシュタイン。だが、当然るこるは黙って攻撃を待ってなどいない。
「其方が来ないのでしたら、此方からいきますよぉ!」
 待機させていた浮遊砲台群へ思念を送る。応えた砲台群は、フランケンシュタイン達へと照準を定め――再度のるこるの思念に応え、一斉にその火砲を発射する。
「「ふ、フンガーーー!!?」」
 熱線と炸裂弾とが荒れ狂い、辺りに破壊を巻き起こし。フランケンシュタイン達を纏めて吹き飛ばしていく。
「さあ、降参すると良いですぅ!」
 尚も砲撃を繰り返し、都度オーガ達を吹き飛ばしていって。彼らが降参し、素直に家賃を払うまで、長い時間はかからなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メナオン・グレイダスト
…来たか。
言わずとも解るだろうが、取り立ての時間だ。

集合住宅の住人達と遭遇。
初撃こそ凌いだが、なるほど。力任せの奇襲とはやるではないか。
…では、こうしてやろう。【グレイダスト・クライシスゾーン】。
さあ、全て我輩の意のままだ。

他の猟兵達を巻き込まぬよう留意しつつ、一定の領域内の無機物を…集合住宅そのものを灰色砂塵に変換し制御する。
単純に広範囲に渡り“灰色砂塵”の粒子と化すことで床を抜けさせ、住人達を何階層も落下させるのは序の口。
灰色砂塵らしく形状・性質を変化させることで、多数の武具・兵器・拘束具を創造し遠隔制御。
それらを駆使して実力で打ちのめし、または他の猟兵を助けるのも良かろう。

※共闘など歓迎


アルゼブ・アズモリィ
【SPD】
おいお前らー!取り立て屋を追い返したぐらいでいい気になってるなよ!
本当に喜ぶのは、オレたちを倒してからにするんだな!!
レブヤ・ベザル、行くぜ!
『貴様の手並み、拝見といくか。我を失望させてくれるなよ』

地の利が相手にあるなら、レブヤ・ベザルを一振りし〈地形破壊〉、奴らが二度と隠れられなくできるかな。
そして魔力を使い〈生命力吸収〉で弱らせる。
それでも暴れるなら、攻撃を正面に受けないよう〈闇に紛れ〉て〈なぎ払い〉。もちろん加減をしてな。

奴らが観念したら、武器を突きつけ〈悪のカリスマ〉を発揮しちゃうぜ。
真っ二つになるか、おとなしく家賃を払うか、好きなほうを選べ!

*『』は喋る武器の声
*アドリブ可



 マンションの一角に轟く重い激突音。次いで飛散するは灰色の砂塵。マンションの住民たるフランケンシュタインの不意打ちを、メナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)が己の身を形作る砂塵を集束させ受け止めた故に生じたものだ。
「…成程、力任せの奇襲とは。やるではないか」
 壁を破った勢いのまま振り下ろされた拳、その重さは砂塵の盾越しでも存分に感じられた。オブリビオンならずとて油断はできぬと、改めて認識する。
「だが、言わずとも解っていよう。此度、吾輩らが此処を訪れた理由を」
 即ち、借金の取り立てである。蒼の瞳が鋭く、今しがた不意打ちを為した電気悪魔と、その奥から現れたその仲間達を見据える。
「フンガー!」
「フンガー、フンガー!」
 一方のフランケンシュタイン達、威圧感纏うその視線を受けても尚怯むことなく。意気高く吼えてみせることで抗戦の意志を示してみせる。差し詰め『借金取りなんざオレ達の力で追い返してやるぜ』というところだろうか。
「おいお前らー! 取り立て屋を追い返したぐらいでいい気になってるなよ!」
 だがそんな彼らを一喝する声が、メナオンの後ろから響く。住民らの視線を追いメナオンの振り向いた先、アルゼブ・アズモリィ(玉座を見据えし悪魔・f31513)が腕を組み不敵な笑みを浮かべ仁王立ちしていた。
「本当に喜ぶのは、オレたちを倒してからだ! さもなきゃ大人しく家賃を払うんだな!」
 組んだ腕を解き、背負った剣を引き抜けば、彼らへ突き付け言い放つ。
「「…フンガー!!」」
 望むところだ、と言わんばかり吼え返すフランケンシュタイン達。一斉に足を踏み出し攻勢に出んとする。
「来るか、ならば叩きのめし力ずくで徴収するより他に無いな」
 冷静に見据えるメナオン。飛散していた灰色砂塵が舞い戻り、彼の周囲で渦を巻き臨戦態勢を示す。
「大人しく払うのは悪カッコ良さに欠けるからな! やってやろうぜ!」
 そんなメナオンに明るく応えつつ、アルゼブもまた構える。と、そこに更なる第三者の声。
『さて、貴様の手並み、拝見といくか』
 声の主はアルゼブの構えた剣。レブヤ・ベザル、意思持つ剣。アルゼブと共に戦場へ赴くはこれが初めてと見え。
『我を、失望させてくれるなよ?』
 持ち主を試すかの如く不敵に言い放つ。己に相応しくないと見做したならば、いつでもその首刎ねてくれよう。そう言わんばかりの物言いだが。
「へへ、見てなって! 行くぜ、レブヤ・ベザル!」
 その表情には恐れも畏れも全く見せず。意気揚々と構え直すアルゼブ。戦いの始まりである。

「しかし、やはり正面から来ない者も多いか」
 己らと交戦を開始したフランケンシュタイン達の数が明らかに少ない。左右から迂回し奇襲を試みる腹積もりだろう。
「だよな。それなら、こうだ!」
 同意を示すが早いか、正面からの拳を跳び退き躱しながら、アルゼブが剣を大きく振り抜く。尊大なる語りに相応と言うべきか、その刃は石っぽい壁をも豆腐か何かの如く斬り裂き、その裂け目から崩れ落ち。反対側から向かってくるフランケンシュタインの姿を明らかとする。
「フ、フンガー!?」
 気付かれぬように壁際まで近づくつもりだったのに。驚くフランケンシュタインに、アルゼブは剣持たぬ手を掲げ。
「これくらいオレにはお見通しだぜ! じゃ、大人しくしてもらっちゃおうか!」
 掌に青白い光が灯ったかと思えば、渦を巻きだすそこへ向かってフランケンシュタインの側から青白い光が抜けてゆく。見る間にフランケンシュタインの動きが悪化し、やがてその場に膝をつく。生命力吸収の魔術だ。
「フ…フン…ガー…」
「そこで大人しくしてなよ! 後でみんな纏めて取り立ててやるからな!」
 命に関わる程には吸っていないが、まともに身動きできないレベルの筈だ。アルゼブは残る敵を再び見据え――そこでは、メナオンが動きだしていた。
「この類の建造物ならば…全て、吾輩の意のままだ」
 メナオンの周囲を渦巻く灰色の砂塵が、その量を増やしたかのように濃度を増す。いや、実際に増えているのだ。己と相手との周囲の壁、その全てを砂塵と変えることで。僅か数秒のうちに、戦闘領域内の障害物その一切は全て灰の砂塵と化していた。
「フンガッ、フンガー…!」
 最早身を隠すなど望めぬその状況。悔しげな様子のフランケンシュタイン達だが、これで終わりではない。
「落ちるがいい」
「「フンガッ!?」」
 彼らの視界が、突然がくんと落ちる。否、足元が急に床に沈み込み、そこに埋まってしまったのだ。見れば、そこは白っぽい石質の床ではなく、灰色の砂塵めいた――
「「フンガーーーーー!?」」
 砂塵は一瞬で散って、そのまま彼らは下階層へと落下。下階層も同様に穴が開き、結果彼らは何階層分もの高さを落ちてしまうのであった。

「フンガー…」
「フンガ…フンガ…」
「おー、ばっちり拘束済みじゃんか」
 落下したフランケンシュタイン達を追って降りてきたアルゼブが見たものは、砂塵を固めた拘束具で四肢を戒められたフランケンシュタインの姿だった。見た目は砂塵を固めただけの手枷足枷、なれどメナオンの魔力が込められたことで、かの電気人間達の怪力を以てさえ破壊できぬ頑丈な戒めとなっていた。
「大人しくなってくれたようで何よりだ」
 後から降りてきたメナオンが、その様子を確かめ満足げに頷く。アルゼブ、頷き返すと得物を住民達へ突き付けて。
「よーし、観念したな? 真っ二つになるか、おとなしく家賃を払うか、好きな方を選べ!」
 発されるは、駆け出しながら確かな威圧感と存在感を感じさせる悪しきカリスマ。
「「フ、フンガー…!!」」
 すっかり圧倒されたフランケンシュタイン達、抵抗の意志も完璧に折れてしまったらしく。大人しく家賃を払ったのだとか。

『…我が斬ったのは石壁のみではないか』
「悪いな、次までのお預けってことで!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

プリ・ミョート
ぎゃあああああ! 腕が、もげたあああ!?(じたばた)
ひいいい!!? 容赦ねえワルだあ! 何言ってっかさっぱりわからねぇけんども
そして、ごめんべな! 騙しうちだべ! 取れた腕も動かせるんだな、これがまた

明らかに動きが鈍そうだし、瓦礫の影とかをちょこまか動き回りながらハイド! シーク! デストローイ! だべー!!
横文字使うとちょっとカッコいい四天王ぽくないべか? ならないべ?? んもー



 猟兵達によって着実に制圧されてゆくマンションの住民達。だが残るフランケンシュタイン達は尚も戦意折れず、取り立て屋たる猟兵達を追い返さんと駆け回る。
「隙ありだべ!」
「フンガー!?」
 だが、そんな彼らの横合いからぶちまけられる弾丸状の毒液。プリ・ミョート(怪物着取り・f31555)が放ったデビルガトリングガンの斉射がフランケンシュタイン達を捉え、命中の衝撃と染み込む毒とで彼らの活力を奪ってゆく。
「ハイド! シーク! デストローイ! だべー!!」
 その戦果に快哉を上げながら、プリは駆け出す。崩れ落ちた瓦礫の影、未だ残る壁の影、或いは陥没した床。そうした隠れ場所を経由しながらちょこまか動き回り、フランケンシュタイン達の側面や背後を取って一気に仕留める。プリは此度そんな作戦にて任務に臨んでいた。
(横文字使うとちょっとカッコいい四天王ぽい気ぃがするべぇ♪)
 現状の自らの動きを称したのが先程の言葉らしい。四天王の血筋にある者として、その権威を示す努力は怠らないのが彼女である、とも言えるだろうか。

 隠密からの不意打ちにて、それから更に何体かのフランケンシュタインを無力化していったプリ。だが次なる標的を求め、駆けだそうとしたその矢先であった。
「フンガーーーーー!!」
「な、何だべーーー!?」
 突如、プリの真横の壁が爆発粉砕。飛び出してきたフランケンシュタインの一団、その最前の一体が、大きな拳を硬く握り、プリ目掛け振り下ろしてきた。そう、此度はプリが不意打ちを受ける側であった。
「ぎゃああああ!! 腕、腕がぁぁぁぁぁ!!?」
 咄嗟に身を躱すプリ、だが突然の不意打ちは、彼女の反応を鈍らせていた。躱し切れなかったその一撃に、プリの片腕が、その身を包む布ごと千切れて落ちた。
「フンガーーー!! フンガーーーー!!」
「ひぃぃぃぃ!? 容赦ねえワルだぁぁぁ!」
 何を言っているかは分からないが、激しい怒りと興奮は存分に伝わってくる。猛り吼えるフランケンシュタインの前、プリはすっかり竦み上がり、膝をついてしまう。
「フンガーーー!! フンガーーーー!!」
「ごめん、ごめんべ! おめぇがこんなワルだと知らねぇでごめんべさ…!」
 迫るフランケンシュタインを前に、ひたすら詫びて頭を下げるプリ。力とワルさを見せつけられたことで戦意も折れてしまったか――そう見えたが。
「ほんにごめんべな…騙し討ちだべ!!」
 頭を下げ続けていたプリが、不意に頭を上げた、その直後。千切れ飛んでいた彼女の腕が、物凄い勢いで飛翔を開始。それは空中で幾つにも分裂し、無数の腕の群れとなって、マンション内を処狭しと飛び回る。
「ふ、フンガーーーー!?」
「フンガーーーー!?」
 今しがたまでプリに迫っていた者も、その背後から追従していた者も。勝利の証と見えたプリの腕が、まさかこれ程の――ユーベルコードによる反撃を仕掛けてくるなど夢にも思わなかったようで。次々その身を打ち据える腕の群れを前に、肉体的にも精神的にも叩きのめされ倒れていき。
「見たべか! こいつがオラの力だべ!!」
 最早完全に戦意を喪失したフランケンシュタイン達の前で、プリは片腕のまま勝ち誇ってみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『デストロイキング』

POW   :    デストロイキング軍
レベル×1体の【ビューティスパイダー】を召喚する。[ビューティスパイダー]は【女郎蜘蛛】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    デストロイ光線
レベル分の1秒で【背中の魔力角から破壊光線】を発射できる。
WIZ   :    デストロイウェポン
【腹部の巨大な口に取り込んだ物体】から、対象の【全てを破壊したい】という願いを叶える【破壊兵器】を創造する。[破壊兵器]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 エルヴォーグ・ハイツの中で暴れ回っていた住民たるフランケンシュタイン達だったが、猟兵達の力の前に敢え無く制圧。全員が滞納していた家賃を払い、立ち退いていった。
 これで残る目標は唯一つ、彼らを扇動していたオブリビオンであるが――
「デェェェェストロォォォォォォイッ!!!」
 そこへ突如轟き渡る大音声。半ば反射的に飛び退いた猟兵達の、つい今しがたまで立っていた床をぶち抜き、砲弾じみた勢いで何かが飛び出してきた!
「いつの間にか住民が居なくなっていたと思ったら、お前達が追い出したようだな!」
 そして着地を果たしたその姿は、青銅色の隆々たる巨躯。燃えるような赤髪を靡かせ、腹に裂けた大口が鋭い牙を覗かせる。間違いない、猟兵達は直感する。
「我が名はデストロイキング! このマンションより始まり、この世界の全てをデストロイする者なり!」
 堂々と名乗りを上げるオブリビオン――デストロイキング。尚、グリモア猟兵の説明では『ボス』がついてたような気がするが、どうやらその存在感故の勘違いだったらしい。
「お前達の力ならば、存分にこの世界を隅々までデストロイすることが叶うだろう! どうだ、我と共にデストロイ軍団として征かぬか?」
 フランケンシュタイン達を制圧した猟兵達の力量を認めたか、勧誘を試みてきたデストロイキング。しかし勿論、首を縦に振る猟兵は居ない。彼の『デストロイ』とは破壊のみに非ず、虐殺をも含むが故に。
「…惜しいな! 実に惜しい! だが我が前に立ち塞がるならば、その結果は一つ!」
 交渉決裂と見て、破壊魔王は身構える。その身より漲るは、はち切れんばかりの破壊的な魔力。破壊という概念を形としたかの如き威容が、猟兵達の前に立ちはだかる。
「即ち! デェェェェェストロォォォォォイッ!!」
 そして、咆哮と共に。破壊力が疾走する。猟兵達よ、かの破壊の化身をデストロイせよ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
済みませんが、それをさせるわけには参りませんので。

『FBS』を四肢に嵌め浮遊、私への『足場の影響』を無効化した上で【崇卓】を使用、戦場全体に『局地的な超震動』を発生させますねぇ。
召喚された『女郎蜘蛛』達もこの『超震動』に巻込んでしまえばほぼ動けないでしょうし、それ自体のダメージに『FRS』の[砲撃]による[範囲攻撃]を重ねれば、問題無く対処可能でしょう。
キング本人へは『超震動』に加え、相手の『浮遊』を封じる為『翼』を[砲撃]で[部位破壊]しますねぇ。
相手の攻撃は『超震動』で足場を崩して狙いを阻害、当たりかけた分は強化した『FSS』で防ぎますぅ。

確実に叩いて参りますねぇ。



 デストロイキングの勧誘を跳ね退けた猟兵達。その理由は其々ではあったが。
「済みませんが、それをさせるわけには参りませんので」
 最たる理由は夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の返答に。猟兵たる者、世界の破壊を防ぐが為に此処に在る。破壊に加担するなど有ってはならぬ。
「惜しいな、貴様は特に惜しい! その肉体、その武装! さぞや良きデストロイが実現できたろうに!」
 対するデストロイキング、るこるを己の軍門へ加えるが叶わなかったことを惜しみつつも、その挙動に迷いは無く。巨躯に見合わぬ俊敏さで疾走、一気にるこるを間合いに捉え。
「なれど我に敵するならば! デェェェェストロォォォォォイ!!」
 丸太めいた脚が、大気の唸りを伴って振るわれるこるを襲う。
「きゃう!?」
 るこるは飛び退き回避を試みるも、襲い来る暴威より逃れきるには足りず。回し蹴りの凄まじき衝撃に吹き飛ばされる。
「く、なんのぉ!」
 なれど直撃は避けた。空中で姿勢を立て直し、四肢に嵌めた戦輪の回転を開始。以て滞空し反撃を試みる。
「流石に一撃でデストロイは叶わぬか! ならば!」
 それを見て取ったデストロイキング、追撃ではなくその場に留まり、何やら奇妙な印を結ぶ。訝しむ間も無く変化は即座に。戦場の上空へ突如、眩い閃光が走ったかと思えば。
「俺は!」
 閃光の向こうより響く声。見れば、上空より降下してくるのは大きな女郎蜘蛛――ただしその頭部は麗しき美少年の貌を具える。滑稽とも不気味とも見える存在――そしてそれは一体ではない。
「「俺達は!!」」
 見ればその周囲にも同様の存在が数多――なれど顔の作りは個体ごとに異なる。群れ成しるこるへ襲い来るかの存在らの名は。
「「「そう、ビューティスパイダー!!」」」
 それこそはデストロイキングの配下、デストロイ軍団を成す生物達。彼らは空中より直接、或いは一度地へ降り立ち再跳躍から、其々るこるへ襲い掛かろうとする。
「くう、数が多いですねぇ…!」
 四肢の戦輪を以て、襲い来る女郎蜘蛛達を斬り払ってゆくるこる。一匹一匹は大した力はないが、兎に角数が多い。更に。
「「俺達ビューティスパイダー!! そして!!」」
「デェェェェェェストロォォォォォイ!!」
 群がるビューティスパイダー達が飛び退くと同時、その背後からデストロイキングが砲弾じみた勢いで飛来。飛び蹴りを仕掛けてきた!
「くぅっ!」
 咄嗟に急上昇、辛うじて飛び蹴りを躱するこる。だが群れ成す女郎蜘蛛、彼らにかかずらう隙を狙う破壊魔王。この連携を崩さねば対抗は叶わぬだろう。
「…でしたら!」
 だがるこるは頷く。この状況を打破する一手を、彼女は備えていたのだ。戦輪の回転を高め、高度を上げると共に、瞳を伏せ祈る。己の奉ずる豊饒の女神へ。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その祭壇の理をここに――!」
 祈りはユーベルコードとして結実し、戦場の空気が一変する。崩れかけたマンションの混沌たる空気を払い、清浄な気配が戦場を包む。
「ぬ…これは…」
 変化を悟ったデストロイキングが訝しむ間もあればこそ。
 彼の、彼らの立つマンションの床が、激甚なる振動を開始。その戦場一体に、地震じみた超振動が発生したのだ!
「「「おおおおおれれれれれ達ははははは」」」
 ビューティスパイダー達はその振動に抗えぬまま、右へ左へ揺れよろめく。最早跳躍どころか歩行さえ侭ならぬ。更に。
「ここからは私の番ですぅ!」
 るこるの背後に展開された砲台が、一斉に砲撃を開始。マンションの床を撃ち壊し、女郎蜘蛛達を次々と吹き飛ばしてゆく。
「ふはははは! この振動、この砲撃! 良いデストロイだ!」
 デストロイキングへも降り注ぐ砲撃が、彼の身を撃ち据える。跳躍を以てるこるを強襲せんとするも。
「させませんよぉ!」
 降り注ぐ砲撃は床を撃ち崩し、元々の振動と相俟って足場を不安定なものとする。如何にデストロイキングと言えど、ここから上空のるこるまで飛びかかるは厳しいと見えた。
「このまま、撃ち砕いてみせますぅ!」
 更に撃ち下ろされた砲撃が、彼の背に広がる刃じみた翼の一つを捉え。これを撃ち砕いてみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スピカ・ネビュラスター
【アドリブ歓迎】

残念だけど、誰かの下に付く気はないよ

さて、それではこの世界を侵食する異物であるキミには、消えて貰うとしようか

『銀河の大災厄』を使用して真の姿を現すよ
(真の姿は黒い靄(暗黒物質)の中に、目のように銀河が、口のように星雲が浮かんでいる異形です)

キミの攻撃は最早ボクには通じない
先ずは這いつくばって貰おうか?
(超重力を発生させることで、破壊兵器ごと地面へ引きつける)

そして……コレで終わりだよ
ウィッチクラフト・スーパーノヴァ
(超新星爆発のエネルギーを呼び出し、デストロイキングを攻撃する)

全力魔法5、高速詠唱3を適宜使用


ボクの遊び場に、キミたちオブリビオンはいらないんだよ



 マンションの中に轟き響く爆発音、そして破壊音。発される毎に壁が、床が、天井が爆ぜ砕けてゆく。
「へえ、流石に破壊の魔王を名乗るだけはあるね」
 巧みな蛇行機動を繰り返す魔星の上、スピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)はその破壊を為すものに対し、感心したかのように笑う。その発生源とは、言うまでもなく。
「無論! デストロイこそは我が生の意義、我が運命! 我が前に立つもの、悉くデストロイである!」
 堂々たる仁王立ちにて宣ってみせるデストロイキング。その間にも、彼の腹に大きく裂けた口が開かれ、伸びたる長い舌が手近な瓦礫を絡め取っては口中へと飲み込んで。一度閉じた口が再び開かれると同時、そこから放たれるは着弾と共に大爆発を生じせしめる炸裂弾。スピカが回避すれば、その先の壁へと命中し、轟音と共に爆裂、着弾点周囲を粉砕し瓦礫と変えてゆく。
「ふぅん」
 哄笑と共に破壊を撒き散らすデストロイキングを前に、スピカは鼻を鳴らす。その音は、いずれかと言えば呆れた様子をこそ示すかのようで。
「元より誰かの下に付く気は更々無いけど」
 それはラスボスという種の矜持か、スピカという個体の気質か。或いはその両方か。
「この世界を破壊しようというなら、キミは異物以外の何物でもない」
 跳躍、両の足もて魔星の上へと着地。蒼き魔星が脈打つかのように光を放ち、その色が闇へと沈んでゆく。
「――消えてもらうとしようか」
 魔星が一際強く脈打ったかと思えば。闇と紛う漆黒の光がそこより放たれ、スピカを包み込む。その身は黒き光の蟠った靄に隠れ、姿を視認すること叶わぬ――否、そこにこそ、スピカの姿は存在していた。
 即ち、漆黒の靄の中に、二つの銀河と一つの星雲を浮かばせる姿。それこそは『銀河の大災厄』たる、スピカの真の姿である。
「――ほう!」
 対するデストロイキング、興味深そうな声を漏らしながらも攻撃の手は緩まず。瓦礫を次々と炸裂弾へと変えて、スピカ目掛けて撃ち出してゆくが。
『無駄無駄。宇宙にそんな攻撃、通じるはずがないだろう?』
 爆発こそするものの、スピカには一切通じない。その肉体は宇宙を形作る暗黒物質。ただの炸裂弾で吹き飛ぶような物質ではないのだから。
「成程、小さくも宇宙! それはデストロイのし甲斐も一際であるな!!」
 それを認めて尚、否、それ故にこそ。デストロイキングは楽しげに宣う。そして両の拳を握り込み、スピカを目掛け飛翔せんとし――
『させると思うかい? キミには地へ這いつくばってもらうよ』
「ぐおぉっ!!」
 そんな動きを許すスピカではない。瞳じみた銀河が明滅すると共に、空間の重力が一気に増大。飛び掛からんとした破壊魔王は一瞬で地に叩き付けられ、スピカの宣言通り地を這いつくばるような体勢を余儀なくされる。この形態でこそ用い得る、彼女の魔女術。
「ぬうぅぅ! これは…実に動き難い!」
 どうにか立ち上がらんとするデストロイキング。常人ならば増大した自重に耐えきれぬ程の重力をかけて尚、立ち上がらんとする様。スピカは心中舌を巻く。
『けれど。これで終わりだよ』
 ならば悠長にしている間はあるまい。デストロイキングの直上、空間にエネルギーが渦を巻く。
『ウィッチクラフト――スーパーノヴァ』
 それは超新星爆発に伴い生ずるエネルギー。あまりにも膨大なそれは、臨界点へ達すると同時に四方へ拡散。文字通りの爆発的な光と嵐の奔流を巻き起こし。デストロイキングをもその中へと飲み込んでいった。
『この世界はボクの遊び場。キミ達オブリビオンは不要なんだよ』
 世界一つをそう称する傲岸さで以て、スピカは光の嵐の向こう側へと言い放ってみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルゼブ・アズモリィ
【POW】
はっ、世界をデストロイなんかしたらオレの楽しみがなくなるだろうが!
そんなことさせないように、ここでお前をデストロイしてやるぜ!
レブヤ・ベザル、ビビるなよ!
『ふん、貴様こそ捻り潰されんように気をつけるんだな』

奴がデストロイキング軍を出してくるなら、こちらも《炎の魔王軍》をぶつけてやるぜ。
突撃だ!気合いを見せろ!!

その間に時間を稼いで〈魔力溜め〉をし、
〈衝撃波〉で女郎蜘蛛どもを吹き飛ばしつつデストロイキングも怯ませられないかな。
もしうまくいったら奴の懐に飛び込み〈鎧無視攻撃〉で貫いてやるか!

我が名はアルゼブ・アズモリィ!
冥土に行っても忘れるんじゃねーぞ。

*『』は喋る武器の声
*アドリブ可


プリ・ミョート
デストロイ軍団んんん?!! そこはかとなくワルの香り、くっ、おらの四天王力を試されてるべ! 世界の半分をやるから手を組め、的な……ってぬわー!? 容赦なしだべ!
おお、ならばこちらも考えがあるべ! デビルガトリング! 奴の生命を終わらせるべ! そのでっけえ大口目掛けて、銃弾の嵐をお見舞いだ! たらふくくらってくんろー!
ふっふっふ、正義なき戦場に悪は勝つ! 最後まで立ってたおらが一番のワルだべ


メナオン・グレイダスト
流石に先達、強敵であるな。
だが、我輩とて魔王の端くれ。破壊と虐殺だけが目的の“二流”に、易々と下されるつもりは無い。

外套を翼に変じて飛び、灰色砂塵で創り出した武具や籠手を利用して一撃離脱の接近戦を仕掛ける。
とはいえ“灰色の魔王”は未熟、正面切っての戦いで倒せるとは思わぬ。
牽制の末にユーベルコードでの争いに持ち込み、そこで決着をつけるとしよう。

【グレイダスト・ウィッチクラフト】……「精神の嵐」の魔法。
大仰な破壊兵器を持ち出すのは結構だが、こちらは奴を討てばそれで済むことだ。
この魔法で、奴の心と魂を引き裂かんばかりの狂気的負荷を叩き込んでやる。

泣け。叫べ。その兵器を上手く使えぬまま屈するがいい…!



「――フ、フフ、フ――」
 敷地の半分が吹き飛んだマンション、露わとなった地面に倒れ伏すデストロイキング。その全身には無数の傷を負い、出血も決して少ないものではない。そんな有様に在って尚、彼の口より漏れるは、笑い。
「――フハハハハハ!!」
 その笑いは程無く哄笑となり、同時に青銅色の巨体が発条仕掛けめいて跳ね起きる。傷だらけの肉体から溢れるは、力強き覇気。傷ついて尚、いやそれ故にこそ、猛り昂る戦への意志。
「良い、良いぞお前たち! ともすれば我こそがデストロイされかねぬその力!」
 それでこそデストロイの甲斐がある、と。凄絶なまでの笑みと共に、現れた猟兵達を見渡す。
「こ、これがデストロイキングっちゅう奴だべか…!」
 溢れる覇気、溢れる悪のカリスマ。プリ・ミョート(怪物着取り・f31555)はただただ圧倒されていた。
(おらの四天王力が試されてるべ…!)
 四天王たるプリ、強大なる魔王を前とすれば膝を屈したくもなる。なれど四天王にも魔王を選ぶ権利はある。まして眼前のこの魔王はそれ以前にオブリビオン。それらの事実以て己を奮い立たせる。
 だが先の勧誘。かつて偉大なる竜の魔王が、己へ挑み来た勇者に対し「世界の半分をやるから手を組め」と誘いをかけた逸話を思い起こす。この魔王、その域の傑物か――!
「はっ、世界をデストロイなんかしたらオレの楽しみがなくなるだろうが!」
「我輩とて魔王の端くれ。破壊と虐殺だけが目的の『二流』に易々と下されるつもりは無い」
 プリの背後から放たれた、不遜な少年の声音と重々しい声音。そのうち少年の声音に、プリは聞き覚えがあった。
「…アルゼブさんでねぇか!」
「おお、プリじゃんか! お前もこの仕事受けてたんだな!」
 その声の主、アルゼブ・アズモリィ(玉座を見据えし悪魔・f31513)は、プリと同じ旅団の仲間であるが故に。
「顔見知りか。なれば、このまま我ら三者にてかの魔王を打ち倒そうではないか」
 アルゼブの隣には今一人。メナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)が二人へ共闘を呼びかければ、先のフランケンシュタイン達との戦いから続けて同道のアルゼブは頷き。
「おお! アルゼブさんに、えーと」
「メナオンだ」
「メナオンさん! 二人もいりゃ百人力だべ!」
 プリも心強いと頷く。最早迷いは無い。視線を戻し、眼前に迫った破壊魔王を――眼前?
「デェェェェェェェストロォォォォォイ!!」
「ぬわーーーーーっ!?」
 咄嗟に横っ飛びしたプリ、コンマ1秒前まで彼女が立っていた地面が、デストロイキングの振り下ろした拳によって爆ぜ飛び、クレーターを形作る。
「よ、容赦なしだべ…!」
「敵と見做せば最早破壊に躊躇無し、であるか。然し流石に先達、強敵であるな」
 メナオンもまた跳躍し、破壊の一撃を回避。同時、その身を包む灰色の砂塵が両手でその密度を高め、籠手とそこから伸びた鉤爪を形成すると共に、纏う外套が翼を形作る。
「おう、でもこれ以上破壊なんかさせねえ! レブヤ・ベザル、ビビるなよ!」
 そんな彼に並ぶように跳躍していたアルゼブは、片手に剣を抜き放つ。意思持つ剣、レブヤ・ベザル。
『ふん、貴様こそ捻り潰されんように気をつけるんだな』
 尊大なその言葉を気に留めず、彼の切っ先を破壊魔王へ突きつけ宣言する。
「オレが! オレ達が! ここでお前をデストロイしてやるぜ!」
 若き魔王と、遠き過去の魔王の視線が交錯し。ここに、決戦の幕は切って落とされた。

「出でよ、デストロイ軍団! 奴らをデストロイせよ!」
 両手で奇妙な印を結ぶデストロイキング。呼ばわる声に応えるが如く、空へ眩き光が走れば。
「俺が!」
「俺達が!!」
「「「そう、ビューティスパイダー!!」」」
 夥しい数の、美少年の頭部具えた女郎蜘蛛――『ビューティスパイダー』達が、上空から一斉に降下してくる。
「はっ、軍団には軍団だ! 炎の魔王軍、突撃!! 気合を見せろ!!」
 アルゼブも対抗せんとばかりにユーベルコードを行使。彼の周囲の大気が陽炎めいて歪み、次々と炎纏う悪魔達が飛び出して。そのまま、着地を果たしたビューティスパイダー達へと向かい、次々と炎を放つ。
「お、俺は…!」
「「俺達は! ビューティスパイダー!!」」
 炎を浴びて崩れ落ちる仲間を乗り越え、更なるビューティスパイダー達が迫る。その力は互角と見えるが、ビューティスパイダー達の数はかなり多い。一体また一体と倒れてゆく炎悪魔達。このままではジリ貧か、そう見えた矢先である。
「容赦なく来るっちゅうんなら、おらにも考えがあるべ!」
 やる気満々なプリが、デビルガトリングを構える。そして、此度はこれだけではない。
「獅子は兎っこを狩るのも全力! 蜘蛛を狩るのも全力だべ!」
 射出される毒液弾丸は嵐の如く。更にその弾丸を浴びせられたビューティスパイダー達が、損傷の程に関わりなく次々と力尽き倒れてゆく。それは『終わらせる』呪詛の籠った弾丸である。
「お…俺達、は…! ビュー、ティー…」
 炎の悪魔と巨大女郎蜘蛛とが激突し、戦場が乱戦の様相を呈しつつある中、灰色の翼にて飛翔するメナオンがデストロイキングを捉える。鉤爪を構え、高速にて接近。
「行くぞ、デストロイキング…!」
「来るがよい! デストロォォォォォォォイ!!」
 一瞬の交錯。デストロイキングの胸に爪痕は刻んだが、メナオンの脇腹にも小さからぬ痛み。正面きっての打ち合いでは不利か。ならば。
「鏡よ鏡――である」
 小さく呟き、両手を大きく広げれば。そこにはメナオンの背丈ほどもあろうか大きな鏡が現れる。
「彼奴を排除する術を、我輩に!」
 更に願いを告げれば。鏡の表面が波打つと共に、現れ出たのは正八面体じみた結晶体。その内側に、溢れんばかりの魔力を湛える。
「その鏡! なんともデストロイのし甲斐があるな!」
 鏡に気付いたデストロイキング、腹部の口から舌を伸ばし。周囲の瓦礫を絡め取り、腹の口へと次々飲み込んでゆく。その内側にて、瓦礫を変質させ破壊兵器を生み出す。彼のユーベルコードだ。
「させるものか…喰らうがよい!!」
 そのただならぬ状況に、この後の展開を予期したか。メナオンは意を決したかの如く、その手の結晶体を握り込み――砕き割る!
「デェェェェェェェストロォォォォォォォ…オォォォォォォォ!?」
 そして今まさに、口中の破壊兵器を撃ち放たんとしたデストロイキングに変化。その射出叶わず、突如頭を押さえて見悶える。果たして何が起きたというのか。
「肉体は鍛え抜かれているが、精神まではそうもいかなかったようだな…!」
 結晶体に封じられていたのは、『精神の嵐』の魔法。心と魂とを引き裂かんばかりの狂気的なまでの負荷を齎す魔法。常人ならば脳死は免れ得ない、精神をかき乱す波動の猛威は、かの破壊魔王にさえ届いた…!
「泣け、叫べ! その兵器を上手く使えぬまま屈するがいい…!」
「ほんで、おらが逆に活用させて貰うっぺな!」
 そこへビューティスパイダーの軍団を突破したプリが現れる。構えるは、生終わらせる銃弾を装填したデビルガトリング。狙うは、半開きとなった腹部の口。
「おらの銃弾も一緒に、たらふく喰らってくんろぉ!!」
 斉射。夥しい量の弾丸は、一点を狙い殺到。それらが破壊魔王の腹部、口の中へと飛び込んでゆけば。体内で響くくぐもった爆発音、上下の口から漏れる黒煙と苦悶の呻き。
「ぐふ、ぉ…!? わ、我の兵器が、よもや逆に、利用されようとは…!」
 内側から溢れる破壊の暴威は、さしもの破壊魔王もすら揺るがす。そして。
「おらぁぁぁぁぁ!!」
「「お、俺達、ビューティ…スパイダー…!!」」
 後方で轟く衝撃音。アルゼブが放った衝撃波が、残るビューティスパイダー達を吹き飛ばす。のみならず、それはプリとメナオンの間を駆け抜け、デストロイキングへと命中。倒れそうになる身を踏ん張り耐える破壊魔王の前に、少年魔王が駆け迫る。
「こいつで、トドメだ!!」
『破壊の魔王、此度破壊されるは貴様の方だ』
 振り下ろされた意思ある剣が、青銅色の胸板を深く、深く斬り裂いて。破壊魔王に、致命の傷を齎した。

「ガ、ハ…ッ。見事な、デストロイだ…お前達…」
 喀血混じりの声で、猟兵達を称えるデストロイキング。その表情は、敗北を喫したにも拘わらず、何処か満足げとも見え。
「破壊と殺戮、それ以外を忘れたが貴様の敗因よ。魔王たる者、そればかりでは立ち行かぬというに」
 メナオンの糾弾は、嘗ての――オブリビオンならぬ生者として在った頃を思い出させるかのようであり。
「ふっふっふ、最後まで立ってたおら達が一番のワルだべ!」
 勝ち誇るプリの様相は、正義無き戦場に於いてはより強き悪が勝つという理を示し。
「我が名はアルゼブ・アズモリィ! 冥土に行っても忘れるんじゃねーぞ!」
 堂々名乗りを上げるアルゼブの姿に、新たな時代の魔王の姿を、在り方を見ただろうか。

 ――なれば、己は最期に、己の在り方を今一度示すのみ。

「我が生――それは――」
 天を仰ぐ。嘗ても今も変わらぬ、赤と黒。焼尽の空を。その身が背後へ、ゆっくりと傾ぎだす。その前に。

「――デェェェェェェェストロォォォォォォォイッ!!!」

 残る力の全てを以て叫ぶと共に。
 デストロイキングの肉体は爆炎に包まれ、灰も残さず消え失せたのであった。



 斯くして、エルヴォーグ・ハイツの全ての住民は立ち退きを終え。数日後、早速とばかりに取り壊し工事が開始となったが。
 猟兵達とデストロイキングの手で八割がたが破壊されていたため、工期は驚く程短くなる見込みであるらしいとか、そうでもないとか。
 ともあれ、事件は無事に解決である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年01月16日


挿絵イラスト