●
「新しい世界が発見されたわね。そこで皆には滞納された家賃を回収してきてもらうわ」
グリモアベースに集った猟兵の顔を確認し、クリナム・ウィスラー(さかなの魔女・f16893)は平然と依頼の内容を口にする。一体どういうことだろうか。
「新世界の名前は『デビルキングワールド』。悪魔が暮らし、デビルキング法という独自の法律が定められ、悪事を行う存在が良しとされる魔界ね。そこでオブリビオンが住民と共に悪事を企んでいるから、それを阻止してきて欲しいの」
デビルキングワールドにおいては悪人こそ正義。つまりとんでもない悪人であるオブリビオンは住民達からめちゃくちゃ尊敬されてしまうらしい。
そんな状態でオブリビオンがとんでもない悪事を企めば、賛同してしまう人々が出てきてしまうのも仕方ない。
更にデビルキングワールドの住民は一人ひとりが『猟兵に匹敵する強大なユーベルコード使い』のため、事件解決に猟兵の手助けが必要なのだ。
「目的地はとある高層マンションよ。違法建築を重ねまくった結果、内部はダンジョンのように複雑化しているみたいね」
マンションダンジョンには様々な悪魔達が生息しており、彼らは悪いこと――家賃の滞納をし続けているようだ。
しかしそれでは大家さんが困ってしまう。だから定期的に雇われギャングがダンジョンに挑み家賃を回収しているのだが、オブリビオンの出現と統率により家賃回収が上手く行かなくなったらしい。
「オブリビオンはこのダンジョンを己の要塞にしたいみたい。きっとそこを起点に虐殺なんかを狙っているのでしょうね。だからこそ家賃を回収しに行くことが世界の平和につながるわ。正々堂々カチコミに行きましょう」
大家さんが困っているのも大変だが、何よりもオブリビオンは放置できない。
猟兵としての務めを果たし、しっかりと世界を守らなくてはならないだろう。
「マンションダンジョンについても説明しておくわね。このマンションは大まかに分けて3つのエリアに分かれているわ。最下層はオブリビオンには協力していないけれど危険な悪魔達が潜んでいる。中層にはオブリビオンに統率された住民が住んでいる。そして最上階にはオブリビオンが潜伏している。この3つ全てをどうにか攻略して来て欲しいわ」
最下層に住んでいるのは『爆発体質の悪魔』だ。彼らは猟兵達に直接危害を加えないものの、ちょっと強い衝撃を受けると爆発四散してしまい大変なことになる。
幸いなことに悪魔達は爆発した程度では死なないが、猟兵達がそのまま爆炎を浴びてしまうのは危険だ。
ダンジョンの内部は複雑なため、彼らの暮らす部屋や井戸端会議をしている彼らの側を通り過ぎる必要も出てくる。
どう爆発に対処するかが肝心だろう。
「中層の住民達は攻撃を加えてくるでしょうね。けれど彼らも極悪人ではないわ。適当に懲らしめておくのがいいでしょうね」
この世界の悪魔は頑丈だ。多少のダメージならば命までは落とさない。
それなりにしっかり懲らしめて、家賃を払ってもらおう。
「最上階のオブリビオンは煮るなり焼くなり好きにしてちょうだい。そういうことが許される世界だもの」
オブリビオン相手に遠慮は無用。最後はド派手に暴れるのが一番だ。
「家賃の回収といっても長い旅路になりそうね。初めての魔界、頑張ってきてちょうだいな」
緩い笑みを浮かべ、クリナムは話を締めくくる。
同時に転移の準備も整って――ゲートを潜り抜ければ、楽しい魔界が猟兵達を待っているはずだ。
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
新世界は魔界! 楽しそうな雰囲気がいいですね。
●一章「爆発注意!」
複雑に入り組んだマンションダンジョンの最下層です。
ちょっと強い刺激を受けると爆発する悪魔達の居住区域を抜けましょう。
●ニ章「ブラックローブ」との集団戦
オブリビオンの影響を受け、家賃を滞納する住民との戦いです。
彼らはオブリビオンくらいに強力ですが、極悪人ではありません。
倒されれば大人しく言うことを聞きます。
●三章『ボスであるオブリビオン』との戦い
マンションダンジョンを要塞化しようとしているオブリビオンとの戦いです。
こちらは遠慮も無用、大暴れしちゃいましょう。
●
どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
締め切りの告知もそちらで行っているので確認していただけると幸いです。
それでは今回もよろしくお願いします。
第1章 冒険
『爆発注意!』
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POW : 敢えて悪魔達をまとめて爆発させ、しばらく大人しくしてもらう
SPD : 混雑の隙間を上手く縫い、安全に通り抜ける
WIZ : 爆発を阻止する手段を考える
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
転移を終えた猟兵達は、早速マンションダンジョンへと足を踏み入れる。
内部は複雑に入り組んでおり、狭い廊下だけでなく住民の部屋すら通り抜ける必要がありそうだ。
最下層に住まうのは『爆発体質の悪魔』達。彼らは見た目こそ普通の悪魔だが、ちょっと強い刺激を受けると爆発四散してしまう。
幸いなことに彼らに害意はないのだが、何も考えずにフロアを突破するのは難しいだろう。
オブリビオンを倒すためにも、まずは爆発悪魔の居住区を抜けなくては。
マリア・ルート
こういう時はあえて遠くからの攻撃で遠距離で爆破させるに限る!
【使用UC】で思いっきり爆発体質の悪魔たちを爆発させてあげるわ!私の武器たちで思いっきり爆破させてあげる!こんなところで蹂躙の技術が使えそうなんてね!悪いけどしばらく大人しくしていてね……
爆発して大人しくなったのを見届けたら悠々と先へ進もうかしら……えっ、部屋からも悪魔が?そこの死角に隠れている悪魔が?
そ、その時は逃げるに限るわ!近くで爆破されたらたまったもんじゃない!
※アドリブや絡み合わせ等も歓迎です
●
殲滅を得意とする猟兵が、爆発体質の悪魔が犇めくダンジョンを攻略するのなら。
そう考えた時のマリア・ルート(千年の王国から堕ちのびた姫・f15057)の答えはシンプルだった。
「こういう時はあえて遠くからの攻撃で遠距離で爆破させるに限る! そういうのは得意だもの、張り切って行くわよ!」
気合を入れつつ、マリアは懐から次々に武器を取り出していく。
ガントレットに数本の剣、槍に偽神兵器といった変わり種まで。その全てに意識を集中し、発動するのは埒外の力だ。
「血見猛猟・百器野行――ここの住民には、嵐が来たと思って諦めてもらうしかないわ」
マリアの意思が籠められた武器には力が宿り、その全てが爆発如きでは壊れない頑丈さを手に入れる。
更には武器の一つひとつがマリアの思うままに動くだろう。これらを使ってやるべきことはただ一つ。
進む先に障害があるのなら、その全てを蹂躙するだけ。
勿論これは悪魔達が爆発しても命を落とさないから、というのが大前提だ。だからこそ、逆に遠慮はいらないという訳でもあるのだが。
建物の死角を利用しつつ、マリアは慎重に進路を確認していく。
「……大丈夫、全部いけそうね」
道を塞ぎそうな住民に目をつけ、必要な武器を選択していけば――始まるのは百鬼夜行だ。
「さあ、思いっきり爆破させてあげる!」
マリアが大きく声を発すれば、応じるように武器達がダンジョンを翔け抜ける。
無数の刃は住民達を軽く切り裂けば、その衝撃で小さな爆風が舞い上がり。
ガントレットが住民を小突けば返事のように爆炎がマリアの赤髪を揺らす。
その光景は住民達が無事だと分かっていてもなかなか壮絶だ。
「悪いけどしばらく大人しくしていてね……。でも、この世界ならこういう行動の方が正しいのかしら?」
爆発して気絶した住民達に少しだけ頭を下げながら、マリア自身も歩を進めていく。
しかし――ここで一つ誤算があった。
ここはマンション。つまり廊下の側には部屋があり、その扉が開かれる可能性も十分にあった。
目の前でガチャリと音がすれば、マリアと目が合うのはキョトンとした住民だ。
「……こんにちは?」
「ちょ、ちょっと待って。これは想定外よ……し、失礼するわ!」
ギリギリのところで身体を反らし、住民との接触を回避するマリア。
そのまま彼女は廊下を駆け抜け、上階を目指して走り続ける。
「ほんっと危ないマンションね……私が爆破される訳にはいかないのよ……!」
武器を引き連れた殲滅担当の少女は、ちょっとだけ涙目になりつつもしっかり先へと進んでいくのであった。
成功
🔵🔵🔴
フィロメーラ・アステール
「オラー、通るぞー! ジャマだー!」
まずは存在をアピールしながら行くぞ!
急にぶつかったりすると困るからな!
もっと派手な感じのほうがいいかな?
【日輪の帷帳】を発動だ!
炎を全身に纏ったり周囲に引き連れたりして目立つ!
コレは守護結界の炎だから基本的にダメージは無い!
ただ結界なので爆発されても被害を防げる!
そして見た感じは炎だから「うわなんか燃えてるヤツ来るよ、ヤバそう」って思ってもらえるかもしれない!
どかないヤツは炎の結界で包み【念動力】でどかす!
妖精ファイヤー! 相手は燃える! コワイ!(ダメージ0)
でも結界なので衝撃から保護してあげられる!
安全を確保してあるので容赦なく雑に扱って脅して押し通る!
●
マンションダンジョンの内部は複雑に入り組んでおり、更には住民の持ち物も乱雑に置かれている。
そして最下層ともなれば常に薄暗い状態なのだが――。
「オラー、通るぞー! ジャマだー!」
不意にダンジョンの内部を流星が駆けた。その正体は眩い光を発するフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)だ。
彼女の輝きと大声は乱雑なダンジョン最下層にあっても凄まじい存在感を発している。
気づいた住民達は次々に道を開き、その合間をフィロメーラがひたすら飛んでいく。
しかし現状は最良ではない。声や光はよく目立つけれど、気づくのにワンテンポ遅れる住人達もちらほらと存在している。
このままでは交通事故が起こるのも時間の問題。対策が必要だ。
「もっと派手な感じのほうがいいかな? だったら……燃え盛る星の護りよ――!」
フィロメーラが埒外の力を発揮した瞬間、彼女の纏う光は更に強さを増していく。
その正体は守護結界の炎だ。見た目は派手だが、この炎に触れたとしても誰かが怪我をすることはない。
更にこの炎はバリアの役割も果たしてくれた。おかげで乱雑に積み上げられた家財道具に向かって突っ込んでいったって大丈夫。
より激しく、勇ましい強行突破で流星の妖精はダンジョンの中を突き進んだ。
「どいたどいたー!」
派手な掛け声と共に火の玉が迫ってくるとなれば、住民達の意識はより変わっていくだろう。
「あっちから炎が!」
「やばい! あんなのにぶつかったら爆発するぞ!」
住民達も大声で情報を共有しあい、次々に部屋の中へと避難していく。
ここまでやれば十分だろうか。
そう思い、フィロメーラも一息つこうとしたのだが――進路にはよぼよぼのおじいちゃん悪魔が寛いでいる。
それだけならまだしも、彼の周囲は道幅も狭く物も多い。このまま強行突破するのは危険だろう。
そこでフィロメーラが選んだのは、さらなる結界の炎を生み出すことだった。
「おじいちゃん、ちょっとごめんな! 妖精ファイヤー!」
念動力で炎を手繰り、悪魔をそっと包み込んだのならそのままリリース。
彼の身体はメラメラ燃えているもののダメージはナシ。多少着地が乱雑にはなってしまったが、衝撃は結界が吸収してくれた。
「今のはなんじゃ?」
「じいさん燃えてたんだぜ! 逃げるぞ!」
他の住人がおじいちゃん悪魔を回収したのを確認し、フィロメーラは更に強く翅を羽ばたかせる。
「みんなも燃えたくなかったら、家に帰るんだぜー!!」
爆発悪魔達に別れを告げつつ、燃え盛る流星はひたすらダンジョンを突き抜けていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
七瀬・麗治
※()内は、闇人格ロードの台詞です
※アドリブ諸々OK
ここが、オブリビオンのハウスか。
家賃の取り立てなんて、面倒な仕事をやらせやがって…
(ククク…いいじゃないか。合法的に、存分に暴れられるぞ)
ハァ…どうやらこの世界も、お前向きの世界のようだな。ロードよ。
(聞くところによると、最下層の住民は物凄く爆発しやすいらしい)
どんな体だ…とにかく、《目立たない》ようにこそこそ歩いて
上を目指すぞ。
道中で【カルマハウンド】を放ち、先行させて住民が井戸端会議したり
子供が遊んだりしていないか調べさせよう。もし住民が通行の
邪魔になりそうなら、多少遠回りになっても迂回すればいいだろう。
●
「ここが、オブリビオンのハウスか」
聳え立つマンションダンジョンを見上げ、ぽつりと呟くのは七瀬・麗治(ロード・ベルセルク・f12192)。
次に彼の口から出てきたのは大きな溜息だ。
「家賃の取り立てなんて、面倒な仕事をやらせやがって……」
「(ククク……いいじゃないか)」
麗治のぼやきの返答は彼自身にしか聞こえていない。その声の主はUDC由来の裏人格『ロード』のものだ。
「(合法的に、存分に暴れられるぞ)」
「ハァ……どうやらこの世界も、お前向きの世界のようだな。ロードよ」
ロードは非常に凶暴な闇の人格。自由に暴れることが出来、それを良しとされる世界は彼にとって好ましいものだろう。
しかし、麗治にとってはどうだろうか。彼もUDCのエージェントで猟兵、荒事には慣れているがそれを良しとするかは別問題。
けれど仕事ならば話は別だ。とにかく今は進まなくては。
「最上階にいるオブリビオン討伐も目的だったな。下から順番に上っていくしかないか……」
エントランスに足を踏み入れ、麗治は周囲を観察していく。
内部構造は複雑で、行く先々には住民のものと思しき道具も散乱している。普通に進むだけでもなかなか大変そうだ。
そして何より――。
「(麗治よ。聞くところによると、最下層の住民は物凄く爆発しやすいらしい)」
「どんな体だ……いや、悪魔に常識を求める方がおかしいか」
そう、最下層に住まうのは『爆発体質の悪魔』達。彼らと鉢合わせする事態は出来るだけ避けたい。
更に相手は社会性のある(?)存在だ。いつ部屋から飛び出してくるかも分からないし、廊下で雑談するマダムや遊び回る子供達だっているだろう。
「なら……こいつの出番だな」
こういう時は埒外の力に頼るのが一番だ。麗治が己の影へと意識を向ければ、飛び出してきたのは大きな黒犬『カルマハウンド』だ。
カルマハウンドは「業」の匂いを嗅ぎ分け、よく働く忠犬のようなUDC怪物。彼に斥候を任せれば、より安全に進めるだろう。
「さあ、行ってこい!」
麗治の声に従い、カルマハウンドは音もなく床を蹴る。周囲の危険を察知すればすぐに知らせてくれるはずだ。
「(クク、しっかりと用心を重ねるのだな。別に悪魔達も爆発して死ぬ訳ではないのだから、暴れまわってもいいと思うのだが)」
「流石に罪のない相手には遠慮するぞ。それに……井戸端会議や遊びの邪魔をしたら悪いだろ?」
過激派のロードに対し、麗治の考えはあくまで常識的だ。この辺りのスタンスの違いもある意味で彼ららしい。
少しだけ脳内での会話を重ねつつ、麗治達も静かにダンジョンを進んでいった。
成功
🔵🔵🔴
オニキス・リーゼンガング
心情)なるほど。なるほど…? よくわからないなりに納得しました。
悪事と言えど、本気でどうしようもない悪事はアウトそうですね。
家賃の滞納か……。いえ悪いですけど。収入がなくなりますし。
まあ、なんとかしましょう。
行動)わたくし悪いので、自分は何もせずに部下に任せますね。
氷龍と氷鳥を束で出してぶつかりそうな悪魔に先んじて当てます。
悪いので話しかけたりしません。無視です。
爆炎の対策として、《氷晶》で衝撃・《凍気》で熱を防ぎます。
オーラを走らせることで脳内でマッピングしつつ、目的地へと急ぎましょう。
ケガで解除されてしまうので慎重に、ですね。
●
デビルキングワールドはデビルキング法が定められ、マンションはダンジョンと化し家賃が滞納されている。
更に最下層に住まうのは『爆発体質の悪魔』なる存在達。
これらの説明をしっかり聞いたし事実はしっかりと認識している。けれどオニキス・リーゼンガング(月虹に焦がれ・f28022)の頭の中には未だふわふわとした感覚が残っていた。
「なるほど。なるほど……?」
よくは分からない。けれど納得はしている。世界の理もやるべき事もしっかりと認識し、オニキスは緩く笑みを浮かべた。
「悪事と言えど、本気でどうしようもない悪事はアウトそうですね。家賃の滞納も勿論……」
いや、家賃の滞納というのはどのくらいの悪さだろうか。大家さんはとりあえず収入が絶たれて困ってしまうだろうが。
それに原因がオブリビオンなら放置は出来ない。今のオニキスはオブリビオンを狩るために現世に存在しているのだから。
「まあ、なんとかしましょう」
決意の言葉と共に溢れるのは龍神のオーラ。真冬のような凍てつくその氣は少しずつ形を取って、オニキスの周囲を舞い踊る。
そこから姿を現すのは氷でできた龍と鳥だ。
「ええ、ええ。わたくしも悪いので、ここは部下に任せましょう。自分は何もせず部下に任せる。この世界では良しとされる在り方でしょう」
ゆるりと服の裾を揺らしつつ、オニキスは悠々と足を踏み入れる。
そんな彼に先行するように、氷の配下がマンションの中を突き進んだ。
きっとここからは激しい爆発が巻き起こる。無計画に進むのは危険だろう。
そう判断したオニキスは権能の残滓で氷の盾を、そして氷点下の波動を生み出した。
彼の目は開かれないが、氷の力が危険を察知し身を守ってくれるはずだ。
「さて、向こうの様子はどうでしょうか?」
進行方向に意識を向けた瞬間、凄まじい轟音がオニキスの耳に入ってきた。
盾と波動のおかげで熱風や爆炎の被害はない。安全に進むことができそうだ。
オニキスが配下達に下した命令はシンプルなものだった。行く先々で邪魔な悪魔がいるのならば、先に接触して爆発させてしまえ、と。
オーラのお陰で爆ぜた悪魔が気絶していることも、命に別状がないことも把握している。
「……なるほど、入り組んでいますね」
しかし、オニキスが悪魔達を気にかけることはない。何故なら悪人はわざわざ巻き込んだ一般人を気にかけない、そういうものだから。
それよりも強く気にかけたのはダンジョンの構造だ。出来るだけ細かくオーラを手繰り、しっかりと頭に地図を叩き込む。
細心の注意を払い、そしてスマートに。
「こういう世界も悪くないものですね」
微笑を浮かべつつ、龍の神は楽しげに爆炎の中を歩んでいった。
成功
🔵🔵🔴
鍋島・小百合子
SPD重視
猟兵との連携可
地獄の悪魔達が己の心が綺麗であるが故に悪を美徳とする世界…
さながら「悪徳の世界」とするかえ?
自分で言うのも変であるがわらわに悪徳など積めるのであろうか…
「気づかれねば問題なかろうぞ。先行して様子を見てしんぜよう」
UC「無明瞑想術」と隠密技能(忍び足、目立たない、闇に紛れる併用)の併せで常時行動
悪魔共を刺激せぬように慎重に移動しつつ悪魔共の配置や安全な経路を捕捉
他の猟兵と行動を共にする場合は安全な経路の情報を共有しその先導を自ら打って出る
どうしても通れない悪魔がいれば猟兵に注意を促し、長弓に矢劇薬塗布の矢を番い悪魔を射て排除試み(マヒ攻撃、毒使い、視力、スナイパー併用)
●
事前に受けた新世界の説明を思い返し、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)は唸る。
「地獄の悪魔達が己の心が綺麗であるが故に悪を美徳とする世界……さながら『悪徳の世界』とするかえ?」
仕組みはふんわりと理解が出来た。けれど、それに自分がどう関わるかは別の話だ。
「自分で言うのも変であるが、わらわに悪徳など積めるのであろうか……。ううむ、進んでみるしかあるまい」
小百合子は義を重んじる女武者。これまでの在り方とは違った方針を求める世界にはほんの少し不安を感じる。
けれど足は止められない。オブリビオンを倒し、家賃をしっかり回収しなければ皆がきっと困ってしまう。
意を決し、小百合子もまたマンションダンジョンへと足を踏み入れていく。
「気づかれねば問題なかろうぞ。先行して様子を見てしんぜよう」
意識を集中し、発動するのは『無明瞑想術』。自身の気配を限界まで薄め、誰にも気付かれることなく進むための術式だ。
母から術を習った時のことを思い返しつつ、小百合子は静かに歩を進める。
「(わらわとしては、やはり悪徳を積むよりは皆の教えを重んじる方が向いておるかのぅ)」
武士としての戦い方や母から仕込まれた隠密斥候術、それに侍女に教わった舞踊。これらが今の小百合子を形作っているのは間違いない。
その教えに反するような悪魔の世界の在り方も、決して間違いでないのは分かっている。
猟兵である以上、今後も様々な世界を訪れ様々なことを学ぶだろう。その時はまた、このように考える機会もあるかもしれない。
「(じゃが、為すべき事はいつも同じ。魔を祓い闇を斬るのがわらわのすべき事じゃ)」
そのためにも今はひたすらに突き進まなくては。
出来る限り息を殺し、しっかりと周囲を観察しつつ小百合子は更に奥へと進んでいく。
しかし、対応すべき相手はごく普通の生活を営む悪魔達だ。
彼らの動きは予想が不可能。近所付き合いの一環として、たまたま廊下を塞いだ状態で話し込んでいる人だっているものだ。
「(ううむ、やむを得まい。悪魔達は爆発しても命は落とさないと聞いておる。それなら――)」
壁や積み上げられた荷物の影を利用しつつ、小百合子が構えたのは鹿島弓だ。
矢には矢劇薬も塗布しておくが、効果は出来るだけ控えめに。ちょっと気絶してもらうくらいがちょうどいいだろう。
そしてしっかり狙いを定めて矢を射てば――見事に悪魔達は射抜かれ、ちょっとした爆炎が舞い上がる。
悪魔が倒れ伏したのを確認し、小百合子は彼らの脇を素早く通り抜けていく。
「(これでも無事とは……やはり、わらわの常識とはまた違った世界なのじゃな……)」
これがかるちゃーしょっくと言うものだろうか。そんなことを考えつつ、女武士はしっかりと道を切り開いていった。
成功
🔵🔵🔴
廻屋・たろ
あたらしい世界は面白いほうりつ?があるんだね
悪いことをするとカッコいいのか
よし、いっぱいカッコいいことするから見とけよ!(ふんす)
建物に入ったらバディペットに先行してもらい住民を[索敵]
ターゲットを発見したらペットに愛想を振る舞ってもらい広いところに[おびき寄せ]、
遠くからUC【相棒】で武器を[投擲]して爆破!
UCの効果で威力はちょっと落ちてると思うけど、爆風を直に受けそうな時は持ち物の傘で[盾受け]
害意があろうと無かろうと関係ないね、何故なら俺はワルでカッコいいから
視界に入った奴は汚い花火になるぞと[殺気]を出しながら先に進もう
宣言通り視界に入った住民には武器を投げつけてドカーンしてもらうよ
●
新しく見つかった悪魔の世界は悪いやつほど格好いい。何故なら法律がそう定めているから。
その話を聞いて、廻屋・たろ(黄昏の跡・f29873)の表情はどこか華やいでいるようだ。
普段はぼんやりダウナーなたろだけど、悪ふざけをするのは好きだし楽しみ。その上、悪いことをしても合法なら遠慮も無用だ。
「よし、いっぱいカッコいいことするから見とけよ!」
ふんふん、と意気込みながら、たろは意気揚々とマンションへと突入していく。
「そうだね、最初は派手に行きたいし……お前にちょっと任せてもいいかな?」
手を振って歩くたろの傍らには、愛らしい子犬のバディペットが一匹。
子犬はたろの要望を理解したのか、ぶんぶんと尻尾を振りつつマンションの廊下を進み始めた。
頼んだのは進行方向にいる住民の索敵と、それから――。
「お、迷い犬か? よーしよし」
廊下の先から聞こえてきたのは呑気な悪魔の声だ。
可愛い子犬が迷い込んだとなれば、例え悪魔だろうと放置は出来ないだろう。バディペットに引き寄せられ、次々に住民が集まる音が響く。
頃合いを見計らい、子犬が悪魔達を開けたフロアまで誘導すれば準備は完了。
「……今だね!」
突如、たろが悪魔達へ向けて愛用のカラトリー達を投擲!
その先端が住民達を突き刺せば、次々に連鎖の爆発が巻き起こる!
ちなみにタイミングを合わせて子犬は脱出済みだ。あの子もすぐにたろの元へと戻ってくるだろう。
「い、一体何だ!?」
「あそこの兄ちゃんが犯人か!?」
混乱する住民の元へ、たろは悠々と歩み寄る。その手にはしっかりと真黒のカラトリーが握られ、表情もワルそうで楽しそうだ。
「害意があろうと無かろうと関係ないね、視界に入った奴は汚い花火になるぞ。覚悟してもらうよ」
宣言通りに行く先々の悪魔達を爆撃しつつ、たろはひたすら突き進む。
ちょっと爆発の距離が近そうな時はしっかり身を守ることも忘れない。ここで怪我をしてしまっては殺気も薄れてしまいそうだ。
そして何より――今のたろは、ワルでカッコいいのだから油断はしない。
「やばいぞ、爆発させられるぞ!」
「でもああいうムーブ格好いいよ……ぎゃああ!」
次々に混乱を巻き起こしつつ、たろの進軍は止まらない。
いつの間にか戻ってきていた子犬もなんだか足取りが軽やかだ。爆炎さえ巻き上がっていなければ、主人とペットの愉快な散歩のようにも見えるだろう。
「ふふん、カッコいいって言われたよ。楽しいことして褒められるのは嬉しいね」
住民達の言葉を聞きつつ、青年の楽しい道行きはまだ続く。
次のフロアではどう悪いことをしてみよう、そんなことを考えながら。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『ブラックローブ』
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POW : ダブルブラックローブ
自身の身長の2倍の【巨大ブラックローブ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD : コールドハンド
【冷たい手による引っ掻き】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【知恵の布】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
WIZ : ブラックアウト
【冷たい手で触れることで驚き】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【黒い知恵の布】から、高命中力の【意識を奪うような冷気】を飛ばす。
イラスト:synn
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
猟兵達は各々の手段を用いて、無事に最下層を通り抜けた。
次に待ち受けるのは中層、オブリビオンに感化された住民達の住まうフロアだ。
「家賃回収班が来たぞー!」
「しかもボスを倒しに来たらしいぞー! やばいぞー!」
騒がしい声と共に姿を現すのは、幽霊のような姿をした『ブラックローブ』達。
彼らは最下層の悪魔と違い、敵意をもって猟兵達へと向かってくるだろう。
幸いなことにブラックローブ達は悪魔だ。多少痛い目に遭わせても、それこそ切ったり爆発させたりしても死にはしない。
このフロアを突破し家賃を回収するためにも、まずは歯向かう悪魔達をやっつけよう!
鍋島・小百合子
WIZ重視
真の姿解放!
払うべきものを支払わんとは領民の恥ぞ
それ年貢の納め時じゃ!
真の姿たる黒鋼甲冑に身を包めばUC「勇者乃武器」発動
わらわの薙刀に勇気を具現化した光を宿し、自慢の武技をもって傀儡たる幽霊共をお仕置きしてくれる
目視で常に幽霊共の姿を捉え、不意に顔を触られたり背後を取られぬように間合いを意識しつつ、破魔と神罰の力を併せてなぎ払い(範囲攻撃、切り込み、属性攻撃併用)
万が一不意を突かれて冷気を放たれたら氷結耐性をもって凌ぐ
倒した幽霊共は滅さず戦意だけを奪い、手出しできぬように簀巻きにして敵への人質にしてくれる(=幽霊の安全の確保)
ついでに滞納していた年貢も洗いざらい払ってもらおうかの!
●
わいわいがやがやと騒ぎ立てる悪魔達の元へ、がしゃり、と大きな音が響く。
次に聞こえてきたのは、鍋島・小百合子の凛とした一声だった。
「払うべきものを支払わんとは領民の恥ぞ、それ年貢の納め時じゃ!」
真の姿である黒鋼甲冑に身を包み、堂々と佇む小百合子の姿はちゃらんぽらんとした悪魔達からすれば眩しく、いや神々しくすら見えている。
彼らは慌てて顔を突き合わせ、何かを考えている様子。
「どうしよう、雇われギャングなんかよりもしっかりしてそう」
「とにかく追い返すしかない……」
焦る悪魔達に対し、降り注ぐのは本物の神々しい光。
小百合子は輝く勇気のオーラを纏いつつ、一歩一歩悪魔達との距離を詰め始めていた。
「追い返されるのは貴様らの方じゃ。我の心に灯す勇気の心と共に……いざ参る!」
薙刀『竜王御前』を振りかぶり、一気に床を蹴る小百合子。
そんな彼女に対応すべく、悪魔達も必死で行動を始めていた。
「囲めー! そうすればどうにか出来るぞー!」
悪魔達は散り散りになりつつ、骨ばった不気味な手を小百合子へと振りかぶる。
あの手自体に危険な呪いなどはかかっていないだろう。しかし、囲まれて脅かされれば危険だ。
小百合子もいち早く状況を理解し、竜王御前で敵を牽制しつつ距離を取る。
「貴様らの好きにはさせぬ!」
薙刀に纏われた勇気のオーラは神聖な輝きと化し、振り下ろされる度に光の刃が周囲を舞い踊る。
しかし、そこに籠められたのはただの殺気だけではない。
光に切り伏せられた悪魔はその場に倒れ伏すが、命までは奪われていないのだ。
「あ、あれ? 生きてる?」
「領民たるもの、しっかり年貢は払ってもらわんといけないからのぅ。少々手荒だが、観念してもらうぞ!」
無力化した悪魔達は手早く簀巻きにし、その辺に転がしておく。
こうしておけば人質としても利用できるし、何よりこれ以上危険な目にも遭わせずに済む。
「貴様は人質じゃ」
「おお……そのムーブ、格好いいぜ……」
「褒められるのは悪い気もせんが……じゃが、ついでに滞納していた年貢も洗いざらい払ってもらおうかの!」
ひぇー、と情けない悲鳴を発する悪魔をよそに、小百合子はひたすらに薙刀を振るい続ける。
彼女の放つ勇気と神罰の刃はしっかりと敵を無力化し、家賃を回収するための確かな一手となるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
廻屋・たろ
おらっマンションジャック猟兵だぞ覚悟しろ!
今からこの建物は俺の俺による俺の為のデパートに改装してやるぜ
本屋には○滅の刃全巻揃えちゃうしフードコートにはオムライス専門店を作ってやる
お前達は今日から住民じゃなく従業員だよ。毎日8時間(たまに残業あり)強制労働させてやるから覚悟するんだな
と自分のワルさをアピールし[恐怖を与える]で牽制
家賃回収?そうだったっけ(すっとぼけ)
バディペットを抱っこしながら戦闘するよ
お前達が俺に攻撃したらこのかわいいわんこにも攻撃が当たるぞ、それでもいいのかと
まぁ降参するならちょっとだけモフってもいいんだからね
これでもまだ立ち向かう勇敢な悪魔さんはUC【中傷】でドーンするよ
●
「おらっマンションジャック猟兵だぞ覚悟しろ!」
「な、何者だ貴様ー!」
悪魔達の元へ、ずんずんと歩み寄るのは廻屋・たろ。
腕にはバディペットの仔犬を抱え、けれどたろ自身は威圧感でたっぷりだ。
「今からこの建物は俺の俺による俺の為のデパートに改装してやるぜ。恐ろしい計画を聞かせてやる」
「で、デパートだって……?」
「俺達の家なのに……」
たろの宣言にざわざわする悪魔達。家賃は滞納しているが、なんだかんだでこのマンションには家としての愛着があるのだろう。
それなら尚更脅し甲斐がある。たろはニヤリと悪い笑みを浮かべ、どんどん己の計画を述べ始めた。
「本屋には○滅の刃全巻揃えちゃうし、フードコートにはオムライス専門店を作ってやる」
「あ、それは嬉しいかも……通いたい……」
「何を言っているんだ? お前達は客じゃない、住民ですらない。お前達は……今日から従業員だよ」
まさかの雇用宣言に思わずひっくり返る悪魔達。
住処を追い出さないだけ情があると言えるだろうか。それとも強制的に立場を変えられるのはそれこそ悪魔的だろうか。
「毎日8時間(たまに残業あり)強制労働させてやるから覚悟するんだな」
「意外とホワイトだぞ……!?」
「でも強制労働はやだぁ……」
わいわいがやがや。たろのまさかの宣告に悪魔達はがたがたと震えている様子。
しかしここでもまだ冷静なやつは残っていた。
「はっ っていうかお前、家賃を回収しにきたんじゃ……」
「そうだっけ? 分かんないなぁ。とにかく……逆らうなら容赦はしないぞ!」
ツッコミを誤魔化すように、たろが更に前へと踏み出す。
悪魔達も臨戦態勢を取っているが、たろの腕の中――ふわふわの仔犬に気がつけば、ついついその手を引っ込めてしまう。
「仔犬を抱っこしながら戦うなんて卑怯なー!」
「流石の悪魔もこのかわいいわんこには敵わないんだな。降参するならちょっとだけモフってもいいんだからね」
「残酷ゥ!!」
可愛い仔犬を傷つけたくない悪魔達は降伏し、ちょっとだけもふもふさせてもらってからお縄についていく。
それでも歯向かう悪魔は枯れかけたイラクサでぺしぺしして、更にそいつらもお縄へGOだ。
「よーし、これからこのマンションを魔界最高のデパートにするんだからな」
「家賃回収よりも怖いよぉ……」
ぶるぶるしている悪魔達を余所に、たろの表情はいつもより華やいでいる様子。
彼の盛大な計画はここから始まっていくのかもしれない――!
大成功
🔵🔵🔵
オニキス・リーゼンガング
心情)こんなに強いのに、根が善良なのですよね。なんともまあ。彼らを"悪魔"と名付けたのは、いったいどこのどなたなのやら。とにかく、どいていただきましょうね。
行動)1章から貯めていた魔力を使い、零下の風で凍らせた上で大雹弾を降らし当て。その間に力を貯めておき、《枝》で思い切り殴ります。できれば壁などに埋めておきます。1体ずつ確実におとなしくしていただきましょう。ああ、背後から来ていただいても構いませんよ。わたくし、強襲には強いので。色とカタチは明確ではありませんが、殺意害意に音衝撃などはよく"視"えるんです。オーラで。
●
悪魔達の言動は緩くとも、彼らから漂う気配の濃さは理解出来る。
改めて状況を確認し、オニキス・リーゼンガングは大きく息を吐いた。
「こんなに強いのに、根が善良なのですよね」
なんともまあ、彼らを『悪魔』と名付けたのは誰なのやら。
しかし、気配の強さならばオニキスも負けていない。彼から佇む何かを感じ、悪魔達がしっかりと身構えているのが見て取れた。
「とにかく、どいていただきましょうね」
ゆらり、周囲の気配が揺れる。
オニキスが纏う龍神の力は、氷のように冷たい悪魔達を凍えさせる程に強烈だ。
「このままじゃまずいな……来い、ダブルブラックローブ!」
慌てた悪魔が呼び出すのは巨大な黒影。マンションという狭い空間において、大きな存在が暴れるというのは危険だろう。
それでもオニキスの表情は変わらない。氣で立ち塞がる敵の大きさを感じても、やるべきことは変わらないのだ。
「なにもかも凍りなさい」
龍の神が宣言したのは幻冬の到来。
零下の風が吹き荒び、打ち出される大雹弾はあっという間に巨大な悪魔をねじ伏せた。
その隙にオニキスは前へと駆け出し、驚く悪魔達へとあっという間に距離を詰める。
「大人しくしていただきましょうか」
いつの間にか握りしめていた『枝』を振るえば、その一撃は容易く悪魔を昏倒させていく。
なるべく邪魔にならないよう、気絶させた敵は壁の方へと押し付ける。大丈夫、まだ息はあるようだ。
「このっ……!」
仲間を倒されたからか、それともオニキスが圧倒的だからか。数体の悪魔が連携し、どうにか彼に不意打ちしようと動いているようだ。
しかし、それに対しても龍神が焦ることはないだろう。
「ああ、わたくし、強襲には強いので」
オニキスが纏う氣は、殺意害意に音衝撃などをよく捉える。
目の前の存在の色やカタチは分からなくとも、動きや気配が読み取れれば十分だ。
奇襲を仕掛けようとした悪魔達には大雹弾をプレゼントしつつ、オニキスは機敏に敵へと対処していく。
「あなた達の強さをより良い方向に使えればいいと思うのですが……これがこの世界の在り方のようですし」
それなら自分も相応に立ち回るだけ。
彼の振るう杖は着実に敵を倒し、齎す冬は悪行の終わりを告げる。
最後に残ったのは――しっかりと反省しつつ倒れ伏す、根は善良な悪魔達と、その中央で微笑む龍神だけだ。
成功
🔵🔵🔴
七瀬・麗治
※()内は、闇人格ロードの台詞です
「悪魔の皆さん、家賃滞納とは、感心しませんね。きちんと家賃を払っていただけないなら、強制退居になりますよ?」
眼鏡越しに悪魔を睨み付け、几帳面そうな男を演じる。相手が仕掛けてきたらこちらのもの、闇人格のロードに切り替わって【蒼魔侵食】が自動で発動する!
(三下どもが……王の前だ、頭が高いぞ!)
青い全身鎧を纏ったロードはブレードラプターに跨がり、廊下を全力疾走!剣を振り回しながら、《騎乗突撃》で悪魔の一団をなぎ倒す!仕上げにロケットランチャーをぶっぱなし、《恐怖を与え》ながら盛大に《吹き飛ばす》。
(ワハハ、これは愉快!)
相手が死なないからってやりたい放題だなお前。
●
猟兵達による家賃の回収が本格化し、マンションの廊下は更に賑やかになっているようだ。
その最中、悪魔の一団が目を遣ったのは――真面目そうな眼鏡の男性・七瀬・麗治の姿だった。
「悪魔の皆さん、家賃滞納とは、感心しませんね。きちんと家賃を払っていただけないなら、強制退居になりますよ?」
シルバーフレームのメガネをクイッと上げつつ、悪魔を睨む麗治の様子はさながら本物の不動産事業者のようだ。
その几帳面そうな姿は人間ならば怖気づいたかもしれないが……悪魔達はそう考えないだろう。
「あいつならどうにか出来そう! やっつけてやる!」
調子に乗った悪魔達は一斉に麗治へと殺到し、凍える掌をそちらへ向けるが――。
「かかったな、三下共が」
次の瞬間、青い混沌の炎が悪魔達を薙ぎ払う。
彼らが次に目にするのは麗治ではなく、彼の内に潜む闇の人格・ロードの姿だった。
「――王の前だ、頭が高いぞ!」
ロードは即座に青い全身鎧を身に纏い、戦闘用オートバイ『ブレードラプター』へと勢いよく騎乗する。
そのままエンジンを大きく稼働させれば、突き進むのは炎の流星だ。
邪魔な集団はそのままバイクで轢き殺し(生きてます)、それでも捉えきれない相手には魔剣による激しい斬撃をプレゼント。
どんどん悪魔を吹き飛ばしつつ高笑いするロードの姿はそれこそ『魔王』と呼ぶのに相応しいだろう。
「ぎゃああ! なんだあのハンドルテクニックは!」
「廊下がサーキット状態だよぉ! あの剣も怖いし!」
悪魔達は必死に逃げ惑い、狭い廊下や物の積み重なった区域へと逃げ込んでいく。
ロードのバイク捌きならば、悪魔達が逃げ込んだ先に攻め込むことも可能だ。
しかし――魔王の脳内には、それよりも楽しい手段が思い浮かんでいた。
「ネズミのように逃げ惑うとは情けない。それならば、王が相応しい最期をくれてやろう」
そう言いつつ彼が構えていたのは……ロケットランチャーだ。
しっかりと狙いを定め、悪魔達が逃げ込んだ方向へと撃ち込めば――爆炎が全てを飲み込んでいく。
その様子を眺めるロードの顔は何よりも楽しそうだ。
「ワハハ、これは愉快! やはりこの世界は私に合っているようだな!」
「(相手が死なないからってやりたい放題だなお前)」
呆れる麗治の言葉にも耳を傾けつつ、闇の魔王は笑い続ける。
あとで復活した悪魔達が、そんなロードを崇め奉ったのは――言うまでもないだろう。
成功
🔵🔵🔴
フィロメーラ・アステール
「ヒャッハー! 家賃をよこせー!」
……こりゃ別の世界のノリかな?
悪者っぽくてわかりやすいのでつい。
さーて、とうとう本格的な敵が現れたか!
でも主な攻撃方法は近接技のようだな!
じゃあ【星界式光速魔法術】で遠距離攻撃していこう!
この魔法の光の【先制攻撃】で、敵を【目潰し】して足止め!
それでも向かって来たら出力を上げて【焼却】【属性攻撃】だ!
これなら仮に、敵が攻撃で受け止めて、転移されてしまっても……今度は布の中で燃える!
もしかすると下層の住人から、炎が熱くなかった! ハッタリ!
みたいな話を聞いているかもしれないけど今度はちゃんと燃やす!
ボロ布は消毒だー!
さあ、焦げた建物の修繕費がかさむ前に降参しろ!
●
「ヒャッハー! 家賃をよこせー!」
「わーっ!? モヒカンかー!?」
突如、勢いよく突進してきた流星により、数体の悪魔が大きく吹き飛ばされた。
その正体はフィロメーラ・アステール。彼女は悪魔達の言葉を耳に入れつつ、どこか恥ずかしそうに頬をかいている。
「ああ……こりゃやっぱり別の世界のノリかな? 悪者っぽくてわかりやすいのでつい」
確かにヒャッハーで突撃してくるのはアポカリプスなヘルっぽいが、それはそれとして。
いよいよ本格的な敵との戦いとなれば気合も十分。
相手は接近戦が得意なようだ。それに数も多いとなれば、取るべき戦法は――。
「こっちは遠距離攻撃で行ってみるかな。星界式光速魔法術だ!」
フィロメーラがびしっと悪魔を指差せば、そこに灯るは星のような眩い光。
そう言うとなんだか可愛らしく思えるが、実際目の前に凄い光源が現れたら大体の人はびっくりする。
「ぎゃっ」
「おまけに……ぴぴっと!」
怯んだ相手にはすかさず魔法術をもう一度。
先程よりも強烈な光が悪魔達の元へと灯され、次の瞬間には大きな炎として爆ぜる。
この光の正体は光に変換した魔法だ。出力を調整すれば強力な発火魔法としても扱うことが可能だった。
「ちっこいのに暴れられるとまずい!」
「一斉にやっつけるぞ!」
悪魔達もどうにか連携を取り、フィロメーラを捕まえようと立ち回る。
彼らの冷たい掌がフィロメーラへと触れてしまえば、彼女の小さな身体はローブの中に収納されてしまった。
「これで逃げられないぞ!」
「しまった……とは言わないぜ! 逃げられないのはそっちの方だ!」
フィロメーラはすかさず魔術式を展開し、悪魔のローブを内側から燃やしていく。
悪魔も慌てて暴れまわるが、そうなれば脱出も簡単。
慌てふためく悪魔を余所に、フィロメーラは悠々と廊下を飛び回る。
「下の階の悪魔がなー、きらきら光る妖精の炎はハッタリだって言ってたのによぉ!」
「残念だったな! お前達はちゃんと燃やすぞ、ボロ布は消毒だー!」
再び世紀末な感じのセリフを叫びつつ、フィロメーラは次々に魔法の炎を灯していく。
気がつけば悪魔達のローブは炎でボロボロ、彼らの骨ばった身体が廊下の上へと放置されていく。
「さあ、焦げた建物の修繕費がかさむ前に降参しろ! 家賃もちゃんと払ってもらうからな!」
燃え盛る炎とは裏腹に、悪魔達の財布の中身を寒々しい感じにしつつ、フィロメーラもしっかりと家賃を回収していくのであった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『デビルドラゴン』
|
POW : ドラゴニックコンボ
【黒竜の爪】が命中した対象に対し、高威力高命中の【尻尾攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ノヴァブレス
【漆黒の炎】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 魔竜軍団
召喚したレベル×1体の【ドラゴン】に【黒き炎の翼】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
イラスト:棘ナツ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
猟兵達のお陰で、家賃を滞納していた住民達は皆降参。
これにて家賃回収の仕事は完了だが――もう一つ、やらなければならないことがある。
猟兵達が辿り着いたのはマンションダンジョン最上階。
そこに佇むのは黒いドラゴンの姿をしたオブリビオン。
「よくも部下を倒してくれたな。ならば私が直々にお前達を倒してやろう」
圧倒的な存在感を放つこのドラゴン、どうやら伝説的なラスボス系ドラゴンのようだ。
ダンジョンの最深部に待ち構えるラスボス、倒さなければ話にならない。
このマンションの治安のため、そして世界平和のためにも――この強敵を討ち倒そう!
オニキス・リーゼンガング
心情)ようやくラスボス(*種族でない方)のお出ましですか。わたくし勇者ではございませんが、これもお仕事。心を込めて斃させていただきますね。
行動)火を吹くドラゴンでしたら、寒冷が得意でらっしゃらないのでは。凍気をからめたオーラで自分を厚くくるみまして。力を込めた杖を、お相手の放つ炎に叩きつけ。突撃してお相手を氷晶で包んで差し上げましょう。一瞬もてばよろしい。顎を思い切りカチ上げて差し上げます。とうに命を失くした身。組み付いて翼の一枚も捥げたなら楽しいですね。
●
最上階にて姿を現した、圧倒的な存在感を放つ存在。
その気配を己の氣で感じ取りつつ、オニキス・リーゼンガングは息を吐く。
「ようやくラスボスのお出ましですか」
ここで言うラスボスは魔界に点在している不可思議種族ではなく、もっと広い意味のラスボスだ。
古今東西、ラスボスと対峙する者がやるべきことは一つ。
「わたくし勇者ではございませんが、これもお仕事。心を込めて斃させていただきますね」
「貴様は……成程、ある意味勇者より厄介な存在かもしれんな。こちらも全力で叩き潰してやる」
ドラゴンも恐らくオニキスの氣や気配から何かを感じ取ったのだろう。
黒い竜の口元が三日月のように愉しげに歪み、次の瞬間放たれるのは――全てを焼き尽くさんばかりの漆黒の炎だ。
「……ああ、火を吹くドラゴンでしたか」
広がる炎の規模は分からずとも、その熱量は身体中に伝わってくる。
けれどオニキスの表情は涼しげだった。相手は炎を操る竜、こちらは氷を纏う龍。ぶつかり合うのもある種の運命だろうか。
「でしたら、わたくしはこういたしましょう」
漂う冷気を衣に変えて、オニキスは一歩一歩前へと踏み出す。
手には『枝』をしっかりと握り、邪魔な炎は氷の力で薙ぎ払ってしまえば対処も簡単。
「貴様、私の炎が見えていないのか。恐れていないのか……?」
「十分すぎるほどに『視』えていますよ。ですので、恐れる必要もございません」
敵の気配を強く感じるほどに己のオーラも高めつつ、更にオニキスは進んでいく。その足取りは悠々としたものだ。
しかし、熱源に近づけば近づくほど冷気の防御も心許ないものへと変わっていく。
ならば頼るべきは、己自身の肉体だ。
「発気揚揚、参りますよ」
突如、オニキスの身体が宙へと舞い上がる。人に似た身でありながら、人ならざる力を発揮した彼の肉体が勢いよく地を蹴ったのだ。
冷気は全て自身の前方へ。一瞬だけ炎から身を守れれば十分だ。捨て身に近いようなその判断が功を奏し、ドラゴンの対処が一手遅れる。
龍神の身体は星のような勢いでドラゴンの懐まで潜り込み、振るうは枝による全力の一撃。
凄まじい衝撃がドラゴンの顎へと叩き込まれ、黒い巨体は後方へとゆっくり倒れていく。
「何だその滅茶苦茶な突進は、死すら恐れないのか!?」
「とうに命を失くした身、この程度のことを恐れはしません。そして――捕まえましたよ」
ドラゴンが倒れ伏すより早く、オニキスの腕が黒い羽根を掴んだ。
そしてそのまま腕を後方へと引っ張れば――炎と鮮血が周囲に飛び散る。
降りしきる赤と黒の中でもオニキスの様子は穏やかなもので。口元には緩い笑みが結ばれて、ものやわらかな神は確りと役割を果たしていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
鍋島・小百合子
SPD重視
真の姿解放!
このような禍々しい竜が年貢の滞納を指揮していたとは…
…他にやるべきことがあったじゃろうて
「肥前が女武者・鍋島小百合子!竜相手であろうが推して参る!」
真の姿たる黒鋼甲冑に身を包めばUC「鎧装馬騎乗」発動
召喚した鎧軍馬に騎乗、破魔と神罰の力を蓄えた薙刀の一閃と一撃離脱を意識した騎乗突撃を行う(なぎ払い、切り込み、咄嗟の一撃、属性攻撃、串刺し併用)
硬い竜鱗なぞ鎧砕きにて木っ端微塵にしてくれるわ!
敵からの攻撃には薙刀の武器受けで防御もしくは見切りにて回避を意識
敵の放つ漆黒の炎には火炎耐性と環境耐性で凌ぎ、延焼するようであれば薙刀を風車の如き回して衝撃波を放ちては吹き飛ばしてくれる
●
身体の一部を失おうとも、黒竜から放たれる存在感は揺るがない。
その気配をしっかりと肌で感じつつ、鍋島・小百合子は薙刀『竜王御前』を確りと握りしめていた。
「このような禍々しい竜が年貢の滞納を指揮していたとは……」
正直、このようなボスならば別の悪事をやる方が良かったのではないだろうか。
心の隅にそんな思いも過ぎったけれど、兎にも角にも目の前のドラゴンが倒すべき相手であることに変わりはない。
「肥前が女武者・鍋島小百合子! 竜相手であろうが推して参る!」
黒鋼甲冑を纏いつつ、小百合子は高らかと名乗りをあげる。
ドラゴンもその様子を愉しげに眺めつつ、鋭い牙の並ぶ口を大きく開けた。
「勇ましいな。異世界の勇者のようなものだろうか……。いいだろう、デビルドラゴンが直々に貴様を殺す!」
互いに戦いへと向けた気概は十分。
あとはどちらが勝つか、全力のぶつかり合いだ。
ドラゴンが大きく息を吸い込めば、次に吐き出されるのは漆黒の炎。
その中を突き進むには力強い味方がいる方が望ましいだろう。
「我は呼び出す敵を踏み潰せし蹄持つ騎馬……出でよ!」
愛馬の生まれ変わりである鎧軍馬の背に飛び乗り、小百合子は漆黒の中へと飛び込んでいく。
熱気と邪悪な気配が肺を侵すのを感じるが、それは足を止める理由にはならない。
ここには民を苦しめる魔がいて、それを祓うために小百合子はやって来たのだから。
「はぁぁあッ!」
バランスを崩さないように全力で竜王御前を振り回せば、生み出されるのは強烈な風だ。
その衝撃波は黒い炎を打ち破り、小百合子が進む道を切り開く。
「随分と無茶をするのだな、異世界の勇者よ」
「これがわらわの為すべきことだからの。貴様のような輩に敗ける訳にはいかぬのじゃ!」
小百合子に敬意を払っているのだろうか。ドラゴンは逃げも隠れもせず、ひたすらに炎で猟兵を迎え撃っている。
ならば堂々と立ち向かうのが武士の定めだろう。小百合子は更に薙刀を握る手に力を籠めて、そこに破魔の力を宿していく。
「硬い竜鱗なぞ、木っ端微塵にしてくれるわ!」
例え相手が強靭な存在だろうと、一歩も退かない。自分の全てを形成している技術や経験、そして自分自身を強く信じて突き進めば――あとは結果が答えを教えてくれる。
ドラゴンの懐に飛び込むと同時に、小百合子は全力で竜王御前を振りかぶる!
そこから生まれた神罰の刃はドラゴンの胸元へと叩き込まれ、その鱗に大きな傷を残していく。
「貴様はわらわを勇者と称したが……わらわは女武者として貴様に挑んだ。これがわらわの戦い方じゃ」
炎の中から鎧軍馬と共に離脱した小百合子の言葉も、きっとドラゴンへと刻み込まれていくだろう。
彼女の悪を祓うための一撃は、魔界においてもしっかりと成果を残していったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
廻屋・たろ
中層でお縄につけた悪魔さんを数人引き連れて対峙
見て、あのトカゲマンションを改造したり家賃取り立て屋を追い払ったりしてみんなが住むところを守ろうとしてくれてるね
なんて心優しい良いやつなんだ!デビルキング法違反で袋叩きの刑にするしかない
と風評操作して悪魔さんを味方につけて戦ってもらう作戦
え?無理がある?うるせえぶつぞ!(恐喝)
SPDで勝負
炎の無差別攻撃は傘と味方の悪魔さんで[盾受け]
距離を詰めてUC【悪癖】で[切断][串刺し]
悪いやつも度がすぎると命を取られる事もあるからね、みんなは要領用法を守って楽しくワルしようね
悪魔さん達にお礼と教訓を伝えて一発手加減してぷすっとするよ(UCの代償のため)
●
マンションの最上階に、ぞろぞろと複数の影が姿を現す。
その先頭に立つのは、縄を握った廻屋・たろだ。
「ねえ見て悪魔さん」
たろはラスボスを指差しつつ、縄の先――そこで身柄を拘束されながら引き連れられている、中層の悪魔達へと声をかける。
「あのトカゲ、マンションを改造したり家賃取り立て屋を追い払ったりしてみんなが住むところを守ろうとしてくれてるね」
「ああ、俺達のボスだからな」
悪魔達は反省はしているものの、オブリビオンという巨悪への憧れは残っている様子。
しかし、彼らの想いを覆すようにたろは言葉を紡ぎ続ける。
「そっか、なんて心優しい良いやつなんだ! そういう人ってデビルキング法ではどう扱われるんだっけ?」
「……あ」
「気づいた人もいるみたいだね。そう、法律に違反している。みんなで袋叩きの刑にするしかないよ」
実際オブリビオンは私利私欲のために悪魔を誑かす極悪人なのだが、ある意味悪魔さん達を庇っているのも事実だろう。
例え恩義があったとしても、法に背く相手ならば倒すしか無い――そう主張するたろに、頷く者もいれば戸惑い続けている者もいる様子。
「で、でもやっぱりあの人は俺達の悪事を手伝ってくれて……」
「うるせえぶつぞ!」
「ひぃっ」
口出ししようとした悪魔にぶつけられたのは鋭い恐喝だ。
これはこれで魔界的にはアリだろう。こうしてたろに連れてこられた悪魔さん達も協力体制は取ってくれた。
あとは全力で敵を倒すだけだ。
「貴様ら、倒されただけでなく私に歯向かうか! 恥を知れ!」
たろに引き連れられた悪魔さんを見て、ラスボス激怒。漆黒の炎ブレスで纏めて焼き殺しにきたようだ。
そこですかさず縄を引き、たろは悪魔さんと共に前方へと飛び出した。
「少しの間、時間を稼いで。俺がなんとかしてくるから」
悪魔さん達は頑丈だ、少しくらい燃やされてもきっと大丈夫。
彼らで作った盾を利用しつつ、たろは素早く戦場を駆ける。
「あのトカゲは悪い奴。ならきっと殺していい存在だ。だから――それじゃあさよなら悪い人」
内に秘めた衝動を解放し、真っ黒に輝くカラトリーナイフをしっかり握って敵を睨む。
ご馳走を切り分けるような手早い一閃が放たれれば、その斬撃は見事にドラゴンの胴を裂いた。
「兄ちゃんすげぇ……格好いいぜ……」
焦げ焦げになった悪魔達がたろへ尊敬の眼差し(?)を向け、きゃいきゃいはしゃいでいるのが聞こえる。
たろはそんな彼らの元へと歩み寄り……手加減しつつ、ナイフでぷすっと頭を突いた。
「ギャッ」
「悪いやつも度がすぎると命を取られる事もあるからね、みんなは要領用法を守って楽しくワルしようね。でも、助けてくれてありがとう」
教訓と衝動を抑えるための一突きと、お礼の言葉を悪魔さんへと授けつつ、たろは微かに緩い笑みを浮かべていた。
大成功
🔵🔵🔵
フィロメーラ・アステール
「おおー、これは紛れもないラスボス感!」
コイツと正面から戦うのは大変そうだな!
主に大きさ的な意味で!
でもそれは相手にとっても同じ事!
小さいマトを狙うのは難しい……ついでに【迷彩】魔法も使って隠れつつ、味方を支援するぜ!
【オーラ防御】バリアを飛ばして攻撃を防いだり、鋭い【視力】や【聞き耳】で【索敵】して不意打ちを防いだり!
もちろん【目潰し】もできる! その辺は必要に応じて!
ただそういう事をやっていると敵も邪魔に感じてくるかな?
もしこっちを狙って来たら【聖星辰・飛龍段波】だ!
敵の技は近接攻撃だから、間合いバッチリ!
オーラの【衝撃波】で【カウンター】してやるぞ!
爪にカウンターって凄く痛そうだな……。
●
「おおー、これは紛れもないラスボス感!」
最上階に佇むドラゴンを見遣り、感嘆の声をあげるのはフィロメーラ・アステール。
決して相手を恐れている訳ではないが、自分があのドラゴンと正面からぶつかり合うのは難しそうだ。
何故ならフィロメーラはフェアリーで相手は巨竜、サイズ感がまるで違うのだから。
けれど条件は相手も同じ。このサイズ差はきっと武器にもなるはずだ。
「よーし、それなら……」
きらきらと煌めく光を纏いつつ、フィロメーラは前方へと飛び出していく。
光は次第に透明な膜へと変わり、その煌めきは敵の目を欺く迷彩にもなってくれるだろう。
「小さき者よ、すぐに捻り潰してやる!」
ドラゴンが光へ向かって腕を振り下ろすのが見えたが、その攻撃がフィロメーラに直撃することはない。
「そんな大振りじゃあ、あたしを捕まえられないぜ!」
素早く翅をはためかせつつ、フィロメーラは縦横無尽に飛び回る。
光の迷彩による防御だけでなく、五感全てを使って敵の動きを察知しつつの行動だ。
合間合間に魔術をお見舞いすることも忘れない。
フィロメーラが生み出す眩い輝きは敵の動きをより翻弄し、その視界を釘付けにしていった。
「おのれ、ちょこまかと鬱陶しい!」
自身の周囲に漂う星の煌めきに、どれだけ手を振るおうとも当たらない攻撃。
ドラゴンはそれらへの苛立ちを示すかのように、更に激しく爪を振り乱し始めた。
「おっと、こっちに注目してるみたいだな。それならあたしだって……!」
敵の狙いがこちらへと定まったのなら、反撃の手立てにもなりそうだ。
フィロメーラもよりしっかりと敵の手元に集中し、次々に振り下ろされる攻撃を回避していく。
何度も何度もそれを繰り返せば――最適なタイミングで敵の攻撃を待ち構えることだって可能だ。
ドラゴンの赤い瞳が妖精の少女を睨み、漆黒の爪が振り下ろされようとした瞬間、フィロメーラは手元に魔力を集中させていく。
「――ここでッ、必殺の、オーラ攻撃だぁー!!」
次の瞬間、凄まじい光がマンションの最上階を照らし出した。
フィロメーラが放った渾身の『聖星辰・飛龍段波』が炸裂し、振り下ろされた腕を弾き飛ばしたのだ。
強烈な攻撃への、そして爪への見事なカウンター。忌々しげに顔を歪めるドラゴンからも、そのダメージは伝わってくる。
「爪に攻撃ってやっぱり凄く痛かったか……。それだけ効果てきめんってことだよな!」
狙い通りにいったことを確信し、フィロメーラは拳をぐっと握りしめる。
相手が大物だろうとも、的確に弱点を狙い冷静に立ち回る。流れ星の妖精は見事な作戦で巨悪の力を削いでいったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
マリア・ルート
【真の姿解放!】
いいだろう。そちらが最上階という格のある場所でラスボス系と言うなれば、こちらも真の姿で挑まねば失礼というもの。
まあこの姿を使う機会があまりないのもあるが…
遠距離から武器を飛ばしても良いが、今一つ興にならないな。
そちらが爪と尻尾で至近の戦いを挑むなら、こちらも至近での戦いを挑むとしよう。
――起きろ、煉獄剣「プルガトリウム」・θ。
喰らいつけ。夕食の時間だ。
――この煉獄の炎は、貴様の肉を悉く焼き尽くす。
貴様の攻撃をこれで受けるか或いは回避した後、喰らわせて強火で焼いてやろう。
漆黒の炎と煉獄の炎、さてどちらが勝るか――見物だな。ああ、一方的にやるよりは幾分か興が乗るだろう?
●
最上階へと上る階段を踏みしめつつ、マリア・ルートは思案する。
格のある場所にラスボスが待ち受けているのであれば、自身も相応の立ち振舞で挑むのが礼儀だろう。
ならば纏うべきは――。
「貴様は勇者、というよりは……また別の存在か」
階段を上りきったマリアを見遣り、ドラゴンは口元を愉しげに歪める。
今のマリアは真の姿、残酷なる紅の姫としての姿に変わっていたのだ。
紅いドレスを翻しつつ、マリアはドラゴンを確りと睨む。
「私が何者だろうと関係ない。私は貴様を倒しに来た猟兵だ」
「そうか。ならば全力の戦いをしようではないか」
煉獄の姫と漆黒の竜が対峙すれば、あとは命を削り合うだけ。
二つの存在は己の力を高めていき――それがぶつかり合った瞬間、マンションダンジョンが大きく揺れる。
ドラゴンは翼をばさりと広げると、一気にマリアとの距離を詰めてきたようだ。
「遠距離から武器を飛ばしても良いが、今一つ興にならないな。ならば、こちらも至近での戦いを挑むとしよう」
戦いへ向ける意欲を高めつつ、マリアが握るのは剣の形をした偽神兵器。
「――起きろ、煉獄剣『プルガトリウム』・θ。夕食の時間だ」
重々しい呟きに応えるように、煉獄剣の刃にその名の通りの炎が宿る。
同時にドラゴンも口元から漆黒の炎を零し、マリアへ向けて吼え猛った。
「ほう、面白いものを扱うのだな。だがその炎で私を殺せるか?」
「勿論だとも。この煉獄の炎は、貴様の肉を悉く焼き尽くす、必ずな」
ぶつかり合うのは言葉だけではない。ドラゴンの巨大な身体がマリアの元へと迫りくれば、圧倒的な威圧感と熱量が彼女の身体を薙いでいく。
けれど足は床から離さない。目も敵から逸らさない。意識を集中し、マリアは煉獄剣の柄を強く握る。
そしてドラゴンが大きく腕を振るい、その鋭い爪でマリアの身体を裂こうとした瞬間――。
「――喰らいつけ」
マリアは一気に刃を振るい、周囲に煉獄の炎を吹き上がらせた。
炎の柱は飛び込んできたドラゴンに直撃し、黒い身体を激しく焼き焦がしていく。
「これが貴様の炎か……!」
「ああ、そうだ。漆黒の炎と煉獄の炎、さてどちらが勝るか――見物だな。一方的にやるよりは幾分か興が乗るだろう?」
どこか愉しげな様子のドラゴンに対し、マリアは更に刃を振るう。
その度に炎の柱が最上階を埋め尽くせば、煉獄が全てを燃やしていくだろう。
悪政を働く者に煉獄の炎を。どんどんその身を焦がしていくドラゴンを見遣り、マリアは少し大きく息を吐いていた。
大成功
🔵🔵🔵
七瀬・麗治
いたぞ。あれが家賃滞納の首謀者か、手強そうだぞ。
(ふん、竜など何度も屠ってきたではないか。今更臆するでないわ!)
臆してなどいないぜ。アイツをどうやって斃すか、考えていただけさ!
(知れた事よ、我が覇道を阻む者は力でねじ伏せるのみ!)
攻撃を躱すと同時に【地獄への扉】を発動。悪魔の翼を背中に生やし、
空中へ飛翔する。そのまま飛行状態で《空中戦》開始。
《火炎耐性》《戦闘知識》で竜の攻撃を凌ぎつつ、寄生体の力で
ロケットランチャーと利き腕を融合させる!
(消し飛べ!)
《対空戦闘》《吹き飛ばし》でドラゴンを蹴散らしつつ、ボス
本体へ急接近。目の前で急降下しつつ、《踏みつけ》で
顔面に跳び蹴りを食らわせてやるぜ。
●
「いたぞ。あれが家賃滞納の首謀者か、手強そうだぞ」
身体から黒炎をあげつつ佇む魔王を睨みつつ、七瀬・麗治は意識を集中させていく。
緊張感に身体を強張らせる麗治に対し、彼の脳内に潜む人格『ロード』の方はどこか愉しげだ。
「(ふん、竜など何度も屠ってきたではないか。今更臆するでないわ!)」
「臆してなどいないぜ。アイツをどうやって斃すか、考えていただけさ!」
心持ちに少々の違いはあれど、二人の目指す場所は同じ。
別の世界では荒ぶる暴君の如き竜すら倒してきたのだ、今更ラスボス程度に怯えやしない。
『ロード・ベルセルク』の名に恥じない戦いをするためにも――全力で敵へと挑むだけ!
「(知れた事よ、我が覇道を阻む者は力でねじ伏せるのみ!)」
脳内に響く声を受けつつ、麗治は走る。
ドラゴンもそんな彼の姿を見遣り、迎撃の準備を整えたようだ。無数の黒竜が最上階に呼び出され、黒き炎の翼がゆらりと世界を照らし出す。
「(麗治よ、あの程度の敵に遅れは取るなよ?)」
「分かってる!」
ひたすら前へと駆け、敵の攻撃を回避し続ける麗治。
彼の心臓が強く脈を打てば打つほど、身体の内部にある寄生体が力を高めていく。
「――幾千の過去を屠り、冥府魔道の果てに目指すは血の玉座」
力を高めきった寄生体は眩く輝く結晶に変わり、麗治の身体を覆い尽くした。
魔人形態と貸した麗治は悪魔の翼で空を飛び、迫りくる敵を乱暴に薙ぎ払っていく。
「ほう、勇者かと思えば貴様も悪魔のようなものではないか!」
「ある意味そうかもしれないな。だが……オレ達が何者であろうとも、お前を倒すことに変わりはない!」
そう叫びつつ、麗治が取り出したのはロケットランチャーだ。
腕を通じて結晶が更に形成され、握られた武器はその中へと融合していく。
人の叡智と人ならざる力。その二つを組み合わせ――更に強力な武器を手に、麗治はまだまだ前に進む。
邪魔をしてくる黒竜達を全て撃ち落としつつ、目指すはラスボスの懐だ。
「――らぁぁッ!!」
敵の目の前まで突き進んだ瞬間、魔人の身体は更に高く飛び上がった。
ここまでの戦いで最上階の天井はボロボロだ。麗治の上空を邪魔するものは何もない。
「貴様、ラスボスたる私よりも高く飛ぶとは……頭が高いぞ!」
「(貴様なんぞよりも私達の方がよっぽど優れているからな、当然だろう!)」
ドラゴンの怒号を掻き消すように、麗治とロードが繰り出すのは渾身の跳び蹴りだ。
流星のようなその一撃は見事にドラゴンの身体を貫き――その場で大きくエネルギーが爆ぜる。
暫くして爆炎が収まれば、残ったのは猟兵達だけだ。
「(これにて一件落着だな)」
「ああ、あとは家賃の回収とかマンションの修繕とか……ああ、なんだか細々とした仕事ばっかりじゃないか?」
戦いを終え、ロードと麗治も息を吐く。
あとのややこしいことはきっと大家さんがやってくれるだろう。今は戦いを終え、休む時だ。
●
こうして猟兵達は戦いを終え、マンションダンジョンの平和を取り戻した。
家賃の回収とか元々住んでた住人の諸々はきっと大丈夫。魔界の住人ならばトラブルも慣れっこだろう。
猟兵達もマンションダンジョンを離れ――それぞれの帰るべき場所へと戻っていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵