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裏バレンタイン ~悲しき男子校の風習~

#UDCアース #マイ宿敵 #エージェント・アマガエル #私立男前崎学園

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●UDCアース とある学校
「ハァ…」
 ため息が溢れる。鏡に映るのはセーラー服を着た黒髪の少女…いや、体つきを注意深く見れば女装している少年であることがわかるだろう。
「僕、何でこんなことしてんだろうな」
 私立男前崎(おまえざき)学園には『裏バレンタイン』なる風習がある。自薦他薦で選ばれた生徒達が女子生徒に扮してチョコを配るというイベントだ。女性との関わりが持ちにくい男子校において生み出され、何十年と続く悲しい風習である。
「お、なかなかの美少女はっけーん!ま、俺ほどじゃあねえけどな」
 そう言って出てきたのは、少しギャルっぽく女装した茶髪の少年。自分とは違い、ノリノリな彼に黒髪の少年は再びため息をつく。
「お前さ、気が重くなったりしない?これから女装した姿を全生徒に晒すんだぞ?」
「それが?大丈夫、似合ってるから」
「そう言う問題じゃないだろ?」
「それに、この裏バレを乗り切った勇者にはご褒美が待ってるんだぜ!」
 ご褒美…それは、学校に在籍する数少ない女性…美人教師や養護教諭からチョコを貰うことが出来るのだ。
「あいつらは男からしかチョコを貰えなかった。でも、俺達はちゃんと異性からチョコを貰ったというアドバンテージを得られる!これだけでも参加する意義があるってもんだろうが!あー、俺、アンナ先生からのチョコがいいな」
「なんかさ、他でチョコを貰えないこと前提で話してて悲しくならない?」
「事実を受け入れるのも男の度量だ」
「そういうものなの?」
「そういうものだ」
 自信たっぷりに話す悪友を見て、呆れると同時に今更悩んでいることもバカバカしくなってきた。
「僕は購買部のお姉さんのがいい」
「おま!なんか目の付け所がすげえな」
「そう?」
 そんなことを喋りながら部屋を出る。だが、そこで予想外のものと遭遇する。
「突然だが、裏バレンタインは中止とさせてもらう」
 目の前に現れたのは、人型でありながら、ヒトとは違う異形の存在だった。
「うわあああああああああああああああ!」

●グリモアベース
「…裏バレンタイン…男が男にチョコを堂々と渡せるイベント…なんて素敵なのかしら。…きっとあの二人は親友っぽかったけど…何かきっかけがあればそれ以上の関係に進みそうだったのに、何故そこで『僕は君のチョコが欲しいな』とか言わなかった!?」
 いつもはテンションが低く、言葉も途切れ途切れで喋って人見知り感満載なグリモア猟兵、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)の様子が今回はどこかおかしかった。
 いろいろな意味を込められた猟兵達の視線を感じ、裕美は咳払いをする。
「…今回…邪神の眷属が…男子校のイベントを妨害して…邪神の復活を…試みようとしている」
 裕美が言うには、その学校で行うバレンタインイベントを邪魔することで、チョコがもらえなかった生徒達の悲しみや怒りなどの負の感情を糧に、邪神を甦らせるということらしい。そして、その為の手っ取り早い方法として、イベント当日、女子に扮する生徒達を拉致したり、配る用のチョコを強奪する作戦らしい。
「…みんなには…阻止してきて欲しいのだけど…それには…裏バレンタインの詳細を…調べてほしいの」
 裏バレンタインという行事の存在自体は突き止めたのだが、どういうスケジュールで行われるのか、生徒の着替えはどこで行われ、チョコレートなどもどこに用意されているのかなど、詳しいことは不明だという。
「…実際に事件が起こるまで…何日か猶予はある。…だからその間に……学校に潜入してほしいの」
 UDCエージェントから協力は得ており、学校の制服なども用意されているらしい。
「…男子校ではあるけど…生徒に扮するだけが…潜入じゃないわ。……みんなの得意な方法で…調べてきて。…それと……」
 もう一つ言いたいことがあったと、彼女は言葉を続ける。
「…儀式自体は…終了していて……裏バレンタインの当日に…邪神が復活することは決まってるみたいなの。…でも…それまでに吸収した負の感情の量で…敵の強さは決まる」
 つまり、裏バレンタインを見事成功させれば、邪神の復活は不完全に終わり、猟兵でも倒せる強さだという。
「……だからお願い。…裏バレンタインを…邪神たちから守って。……あと…イベント当日の様子を…写真か映像に収めてきて」
 さらりと自分の欲望も混ぜつつ裕美は猟兵達を送り出すのだった。


麦門冬
 こんにちは、気づけば2月ですね。麦門冬(むぎとふゆ)と申します。今回の依頼では、手順を踏んで、邪神とその眷属の野望を打ち砕いていただきます。
 第1章では男子校に潜入し、裏バレンタインの詳細(スケージュールや女子生徒役は誰か)を調べていただき、眷属達の襲撃に備えていただきます。男子校への潜入ですが、方法はいろいろあるはずなので、年齢や性別、種族などで参加が制限されることはありません。また、フラグメントの『邪神の手がかり』は『裏バレンタインの手がかり』と読み換えていただくと動きやすいと思います。
 また、どういった情報について調べるなどをプレイングに書いていただければ、得られた情報などをリプレイに反映しやすいです。その際、集める情報に偏りがあっても、足りない情報はリプレイ描写外で集められたものとします。
 第2章では、イベントを妨害する眷属達を倒していただきます。眷属達の襲撃ポイントは複数あるようなので、特定の誰かと行動するプレイングがなければ、別々の場所で戦っているものと扱わせていただきます。
 第3章は裏バレンタインが無事終わった後、邪神と対決する場面を想定しています。

 以下、補足事項です。

●私立男前崎(おまえざき)学園
 中高一貫の男子校です。生徒の自主性を重んじ、それに伴う責任感も学ばせることを大事にしています。そのせいで裏バレンタインのような妙な行事が生まれたり、個性の強すぎる生徒が多いようですが、依頼自体にはそこまで関わってきません。
 男子校ですが、女装するイベントのために女子の制服が設定されています。

●黒髪の少年と茶髪の少年
 高等部に所属らしい。裕美は『絶対デキてる』と主張しますが、根拠はありません。また、彼ら以外にも女子役の生徒はいるので、彼らだけを見つけたからと言って、防衛対象が確保できたとは言えません。

●眷属
 発案者は『こういった作戦を考えつくとか俺って天才じゃね?』と自画自賛ですが、どう考えても、もらえない側からしか出てこない発想です。

●邪神
 生徒達が欲してやまないチョコレートに関係があるようですが、詳細は不明です。

 それでは、皆様の冒険をお待ちしております。
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第1章 冒険 『潜入!秘密の学園生活!』

POW   :    学校でトラブルを起こしたり首を突っ込んだりして情報を炙り出してみる

SPD   :    邪神の手がかりになりそうな場所や物品などを歩き回って探してみる

WIZ   :    学校関係者(生徒や教師などなど)に扮して人から情報を集めてみる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マリン・ラピス
その男性2人の関係はわかりませんけれど異性の格好をしてチョコを配る
少し変わった風習でなんだか面白そうですね
邪神を放っておくわけにもいかないですし
まずは学校に潜入して情報を集めることにします
ひとまずはスケジュールを詳しく調べておいた方がよさそうですね
【早着替え】でささっと男子生徒に【変装】します
なるべく自然に聞きだせるようにしたいですが怪しまれたりバレそうになったら【クリスタライズ】の使用も考えておきましょう



●ドキドキの潜入ミッション
(その男性2人の関係はわかりませんけれど異性の格好をしてチョコを配る…少し変わった風習でなんだか面白そうですね)
 そう考えながら、学校の廊下を歩くのはマリン・ラピス(禁忌に生み出されし姉妹・f08555)だ。中等部の男子学生に変装した彼女は、それでもかなり小柄でもあるが…その正体は気づかれていないようだ。
「ひとまずはスケジュールを詳しく調べておいた方がよさそうですね」
 そう言って彼女はきょろきょろと見回し、上級生と思われる少年に話しかける。
「あの、すみません。裏バレンタインのことで聞きたいことがあるんですけど…」
「ああ、なるほど、一年生か。なら、このイベントは初めてだね」
 小柄なラピスを一年生だと早合点したのか、上級生は裏バレンタインのスケジュールについて色々と教えてくれる。
 裏バレンタインは学年別にチョコを貰える時間帯などが決まっており、食堂や多目的ホールなどで配ることになっているようだ。
「低学年は早朝の登校時間に配られることになるから、遅刻しないように気をつけるんだぞ」
 そう、上級生は優しくアドバイスしてくれる。
「しかし君ほどの逸材であれば、僕も女子生徒役に推していたんだがな。うーむ、4月からの10ヶ月で僕のチェックから外れていたとは…」
「ありがとうございます。それでは、失礼しますね」
 話が変な方向に行こうとし、バレるかもしれないと思ったものの、マリンはそういったことを表情に出さず、立ち去ることにした。念の為、曲がり角を曲がると同時に【クリスタライズ】で姿を消し、様子を窺ったが、特に追いかけてくる様子もないようだ。
(ひとまずこれで、当日のスケジュールは把握できましたね)
 とりあえず得られた成果にマリンは胸をなでおろすのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
女装かぁ…
な、なんか…他推された子にはちょっと同情するな…

とりあえず転入直後でなにも知らない男子生徒として潜入するね
(けれど声も容姿も少女)

誰が男装女子だ
ま、まぁでも…必要情報の大半が、女装役やれば確認出来そうだし
他推してもらえるなら(渋々)受け入れるとして
まず説明してほしいな

女装はやってもいいけど…
その場合スケジュール表とかメンバー表とかは貰えるのかな
大きい学校みたいだし、やっぱり分担しないと効率悪いじゃない?

あ、あとついでに…
ごめんね、転入直後でほんとにわかってなくて…
チョコの場所とか着替え場所とか、聞いても迷子になりそうだから…
学校…少し案内してくれたら嬉しいな?(裾を掴んで上目遣い)


木乃花・蓮司
●WIZで調査

裏バレンタインとか男子校独特のノリっぽくてなんか楽しそ〜!こんな楽しそうなイベント参加しない手はないよね!

ここは堂々と生徒として潜入したいな〜。まぁ童顔って言われるし、いけるいける!
そんで女生徒役に立候補しちゃおうかな。スケジュールとか他の女生徒役を調べるなら自分がそっち側に行くのが良さそうだし!今こそこのダンピールの美貌を活かす時…!

女生徒役になれたら事前準備っていう理由で当日のスケジュールとか他の女生徒役について色々聞いて回ろう。
得た情報は仲間達と共有していくよ。


涼風・穹
……中村…腐女子属性持ちだったんだな…

【設定】
俺の年恰好だと色々と都合が良いので、最近学園にきた転校生で、裏バレンタインの女性役に推薦された、としておこう
実際に知らないんだけど、何か言われてもよく分からないうちに決められて困っていて、何をすればよいのかも分かっていないような感じを装っておく

【調査】
軽く挨拶をしてから最近転校してきた、学園の事を教えてくれ、という感じでクラスの方々に声をかけて、ある程度話せたなら裏バレンタインについて聞いてみる
女生徒役をやれと言われたんだけどいつどこで何をすれば良いんだ…という感じかな
気付かずに相手に妙な顔をされるような話をしてしまっていたなら転校生設定で押し通す



●天使と吸血鬼と現地人
(女装かぁ…な、なんか…他推された子にはちょっと同情するな…)
 男子生徒に扮した栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はそんなことを考えながら、校内を歩く。先程のクリスタリアンの少女と違い、澪は正真正銘の男子である。だが、その見た目はどこからどう見ても少女であるし、制服姿もあまり似合っていない。知り合いが見たら、一体何を言ってくるか…
「誰が男装女子だ」
 そんな想像へのツッコミを入れていると、何だか口論になっている姿が見える。
「だから俺は他薦されて来たはいいけど、何すればいいか分からないって言ってるだろう?」
「他薦されているなら、すでに実行委員会から先月の内に通達が来ているはずだぞ」
「せ、先月!?」
 まずい、と実行委員会の男に話しかけていた涼風・穹(人間の探索者・f02404)は自分の前提条件が崩れていたことに気づいた。どうやら裏バレンタインは穹が思っていた以上に長い準備期間をかけて準備されているイベントのようだ。何十年と続けられた伝統の重みを、甘く見すぎていた。
「募集はすでに締め切られているし、通達漏れだったのなら他薦した生徒に謝ろう。だから、君は無理に参加しなくてもいいぞ」
「え?」
 ヤバイ、このままだと情報を得るための道筋が絶たれてしまう。焦る穹のもとに救いの手が入る。
「えー、募集ってもう締め切られてたんだ。自薦で参加しようと思ったんだけどな」
 ふらりとやってきたのは木乃花・蓮司(ダンピールの精霊術士・f03953)だ。29歳ではあるのだが、その童顔で美男子高校生としてうまく通せているようだ。
「あと、この子と彼も他薦として立候補させたいな♪」
「ん?」
「ふぇっ!?」
 そして穹と澪を指差す。
「天使だ…天使がいる」
 澪のあまりに愛くるしい姿に実行委員は呆然と立ち尽くす。
「ねえ、この子もつけるからさ、参加させてもらえないかな?きっとイベントが一層華やぐよ?」
「僕を新聞購読のおまけみたいに言わないでください!」
「ううむ…しかし……」
 ぷんすこ怒る澪を尻目に蓮司と実行委員は話を進める。
「当日のスケジュールや配置の決定、それに合わせての道具の準備、衣装のフィッティング等にだいぶ時間を費やしてきたんだ。今更変えるわけにも…。その子は惜しいが」
「惜しいの!?」
 申し訳無さと名残惜しさを滲ませながら、実行委員は話す。
「そこをなんとか!実は僕たちさ、転校してきたばかりだから、学校のみんなに早く馴染むためにも、こんな楽しそうなイベント参加しない手はないよね!って思ったんだよね。だから、そこをどうにかできないかな?」
 何とか食い下がろうとする蓮司。
「ううむ…これは俺の一存では決められん。ちょっと委員長に話してくる」
 そう言って実行委員はどこかへと去ってゆく。
「助かった。まさか、そんな前から募集が締め切られていたとは」
「スケジュールや参加者を調べるには実際に参加したほうが早いからね~」
「それよりも、まず説明してほしいな。何で僕も巻き込んだのか」
 3人だけになって、穹と蓮司が話し始めた所に澪が割り込む。
「えー?だって、裏バレンタインとか男子校独特のノリっぽくてなんか楽しそ〜でしょ?それに、澪くんが参加してくれるって言ったほうがうまくいくと思ったからね。実際そうだったし」
「ま、まぁでも…確かに必要情報の大半が、女装役やれば確認出来そうだし。女装はやってもいいけど…その場合スケジュール表とかメンバー表とかは貰えるのかな」
「多分、もらえるんじゃねえかな?あと、面倒事を押し付けられるような嫌な予感がするが、それがもし当たるのなら…」
 蓮司の話に不承不承ながら他薦を受け入れる澪の心配に穹が口を開く。
「もっと良い状況になるかもしれん」
「ああ、君達。ちょっと来てくれないか?」
 実行委員に連れてこられた部屋には、実行委員長と思しき人物がいた。
「君達が新しい希望者だね。ちょうど生徒会長もいたので、君達のことを話したのだが、『自主性を重んじるのが我が校風』と言われてな。参加することは認めよう」
 3人はほっと胸をなでおろす。
「だが、『自主性に伴う責任も取ってもらうのも我が校風』ということで、イベント当日まで、我々につきっきりで他の女子生徒役の予定を崩さないようにスケジュールを組み直したりイベントの設備の再配置等をしたりするのに協力してもらう。それと、衣装に関しても君らに合うものを用意する手間もないので、支給された服の手直しが必要な場合も各自でやること。これが条件だ」
 つまり、新しくこの3人を組み込んだイベントのための色々な再調整に、蓮司達が手伝わなければいけないということだ。大変な作業ではあるが、逆に言えば他の女子生徒役のスケジュールや担当場所なども調節した上で、自分たちを護衛に送り込むことも可能なのだ。
「ありがとうございます!」
 蓮司達は礼をした後、早速会議に取り掛かる。イベント当日までに忙しい日々が始まったのであった。
 なお、調整のアイディア出しや、女装用の制服の手直しなどに関しては現地のUDCエージェントも手伝ってくれたそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黛・夕子
みんながチョコレートを貰えるって素敵な行事だと思うわぁ
それを邪魔するだなんて酷いことするわねぇ

私は、そうねぇ
購買部なんてあるみたいだから、そこの資材搬入のお手伝いとして潜入してみようかしらぁ
来てくれた子たちにちょっとしたおやつなんて渡しつつお話できたら良いわねぇ
女子役の子たち同士はお互いに知り合ってるのかしらぁ
できるなら例の二人と接触して、とかの子たちの話を聞きたいわぁ




(みんながチョコレートを貰えるって素敵な行事だと思うわぁ。それを邪魔するだなんて酷いことするわねぇ)
 そんなことを思いつつ黛・夕子(妖狐のシャーマン・f04307)がいるのは学園の購買部。資材搬入のお手伝いとして潜入しているのだ。
「あら、新人さんですか?」
 夕子の姿を見て、購買部のお姉さんが声を掛ける。
「えぇ、少しの間だけなのだけれどぉ」
「ああ、もうすぐ裏バレンタインだからお菓子の搬入もあるし、それでかしら?」
(あらぁ、予想外の所で情報が出てくるかしらぁ?)
 お姉さんの言葉に、夕子は更に乗っかり、会話を続ける。
「ここの学校って結構面白い催事やるわよねぇ。よかったら、教えてくれないかしらぁ?」
「ええ、いいですよ」
 夕子の質問にお姉さんは色々と答えてくれる。更に、
「長年ここで購買部をやっていると、女子生徒役の子が誰だか、何となく分かるようになってくるのよね。あの子とかは最近になって化粧水とか買うようになったから分かりやすいんだけどね」
 そう言って彼女が指差す先には茶髪の少年と、彼と談笑する黒髪の少年がいる。
(あの子達、確か予知に出来た子達かしらぁ?だとしたら、結構当てになるかもしれないわねぇ)
「ところで、女子役の子たち同士はお互いに知り合ってるのかしらぁ?」
「さあ?顔合わせをしているのなら、知っているかもしれないけど、それでも担当が違う子同士だと、あまり覚えていなかったりするんじゃないかしら?」
「そうなのねぇ」
(だったら、他の子のお話はこのお姉さんからも訊けるかしらぁ?)
「じゃあ、例えば、他にはどんな子が女の子役なのかしらぁ?」
「そうねえ…」
 そんな感じで夕子は情報を集めてゆく。

「でさー、アンナ先生に指された時は正直どうしようかと…」
「島戸先生、そう言うとこ、きっちりしてるからね」
「ねえねえ、君達ぃ」
 茶髪の少年と黒髪の少年がそんなおしゃべりをしている所に夕子が声を掛ける。
「ん?俺らになんか用すかお姉さん?」
「ちょっと聞きたいことがあるのだけれどぉ」
 物怖じ様子の茶髪の少年を中心に、夕子は裏バレインタインの参加者について質問してみる。
 彼ら二人からは流石に全員の情報を集められなかったが、購買部のお姉さんから教えてもらった生徒からも話を訊くことで、大分参加する生徒の名前や顔などを把握することが出来た。特に生徒の顔などは女子生徒役のメンバーは確認している余裕などなかっただろうから、彼らを守るのにいい手がかりとなるだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

マリン・ラピス
よし、ひとまず時間や大まかな場所はわかりましたね
危うくバレるかと思いましたけど…
次は護衛すべき対象の女子生徒役の方達の人数を調べておきたいところですね
なるべく行動も監視したいですし人目のつかないとこにいって【早着替え】で今度は女子生徒役の男子生徒に【変装】しましょう
イベントの準備で集まるでしょうしそこに混ざります
一緒に準備をやればチョコの場所なんかもわかりそうですし
私が女装をしている男性の変装をするなんて随分とややこしいですね…
まあでもこれでイベントの詳細を全て把握すれば事件への対処もやりやすくなるでしょう
もちろん危ない時は【クリスタライズ】でやり過ごせるよう警戒もしておきます


ラーゴ・ラック
・WIZ

裏バレンタイン、初めて聞くイベントの上詳細な情報は今の所無し、か。上手く情報が集まればいいのだが…
他の猟兵たちも各々の方法で上手く捜索しているようだし、私も自分の強みを活かしていこう。

とりあえず男子学生の制服を着て、留学生という程で校舎を練り歩いてみようか。身体の一部を切り離して身長を低くしよう。切り離した一部はバックに入れて持ち歩こうかな。
イベントに詳しそうな人がいたら話しかけて女子学生役をする人達について聞いてみよう。護衛対象が絞れれば当日の計画も立てやすくなるだろう。

ああ…ラピス(f08555)は今どうしてるだろうか…妙な事に巻き込まれてなければいいのだが…



●それぞれの役目を
「よし、ひとまず時間や大まかな場所はわかりましたね。危うくバレるかと思いましたけど…」
 そう言ってマリンは女子生徒役に変装する。本来女子であるマリンなので、男子の時の格好よりも似合っている。
「これでイベントの準備をしている所に混ざれば情報収集を…」
「妙な事に巻き込まれてなければいいのだがと思っていたが…お前は何をやっている」
 そんなマリンの襟首を掴み、向かうのを抑えたのはマリンの保護者のような存在、ラーゴ・ラック(記憶をなくしたブラックタール・f08563)だった。ちなみに彼はスポーツバックを肩に下げている。長身過ぎる彼はブラックタールという種族の強みを活かし、体の一部をバッグの中に詰めることによって身長を調節しているようだ。
「ラーゴ!」
「女子生徒役に立候補した猟兵がいた。その時の様子を見ていたが、女子生徒役はイベントの実行委員会に把握されていて、混ざり込もうとしてもつまみ出される可能性が高いぞ」
「え?そうだったの?」
 いざとなったらまた透明化して逃げようとは思っていたが、繰り返せば怪しまれるだろう。
「ありがとうラーゴ」
「裏バレンタイン、初めて聞くイベントの上詳細な情報は全く無し。その状態で何とか情報を集めようと躍起になる気持ちはわからないでもない」
 面倒見のいいラーゴはマリンに優しく語りかけてゆく。
「だが、他の猟兵たちも各々の方法で上手く捜索しているようだし、結果として上手い具合に情報が手に入ってきている。まずはそれを確認してから行動を決めよう」
「どんな情報が集まっているの?」
 そこで二人は集まってきた情報を整理する。
「んー、チョコの場所は資材搬入の人に調べてもらえば分かりそうかな?」
「ああ、そうだな。あとは護衛対象がはっきり分かれば、問題ないか。女子生徒役で潜入した猟兵から、参加者の名前は分かると思うが、全員と顔合わせできるとは限らない。護衛対象の顔の確認などは我々がやっていくべきだろう」
「そうだね。なんだか、女子生徒役の人達は話を聞いてるとすごく忙しそうだし」
「ああ。我々も自分の強みを活かしていこう。それぞれの特性を活かせば、無理なくこなせるはずだ」
 透明化の出来るクリスタリアンに流動生命体のブラックタール。怪しまれずに護衛対象の確認をすることはそう難しくないだろう。
「よし、じゃあ早速確認に行こうか」
「ああ。だが、まずお前は男子の服に着替えてからだな」

 女子生徒役となった猟兵たちから得られた女子生徒役の名簿と、資材搬入のお手伝いとなった猟兵からの情報の穴を埋める形でマリンとラーゴは女子生徒役全員の顔を確認することにも成功した。当日のスケジュールやチョコレートの保管場所なども確認できた。これで、護衛対象に被害が出る前に対処することが出来るだろう。
 後は当日、ノコノコとやってきたオブリビオン達を迎え撃つだけだ。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『エージェント・アマガエル』

POW   :    はねかえる
【強靭な肉体 】による素早い一撃を放つ。また、【あらかじめ跳ね回る】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    いろいろつかえる
いま戦っている対象に有効な【エージェントひみつ道具 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    死亡フロッグ
自身の【死亡フラグをつい立ててしまう言動 】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●裏バレンタイン当日
「ゲ~ロゲロゲロ、ついにこの日が来た。男にすらチョコがもらえぬという怒りや悲しみやその他諸々の負の感情が我らが神を復活させる礎となる」
「勝った!第2章、完!」
「ゲッゲッゲ、最近は猟兵という存在が邪魔しているようだが、水面下でひっそりと進めてきた計画。予知能力でもなければ見抜けなかろうて!」
「俺、この作戦が終わったら、彼女にプロポーズするんだ」
 なんだか、色々とフラグを乱立させながらゲコゲコ言っている輩がわらわらと学園にやってきた。
「では、みんな、手はず通りに分かれ、襲撃を行う。作戦開始だ!」
「「「了解!」」」
 彼らは知らない。すでに猟兵達が待ち受けているということを。
栗花落・澪
うーん、学校では膝上3センチが定番って聞いたけど…
裾上げすぎた?風大丈夫かな
(念のため下着も女性物)

まぁ、配置調整出来たのは都合よかった
敵が来たら【誘惑、催眠】を乗せたUCの【範囲攻撃】でお迎えするね
「私のお菓子…貰ってほしいな」

生徒達を巻き込まない距離に飛行し敵を誘導
覗いたら蹴り飛ばすよ

誘導成功で新技の実験台に
僕の魔力を入れた手作り飴を★瓶から取り出し
カエルさん達のおっきいお口にぽいぽーい
「飴の意味は、貴方が好き…
私の気持ち、受け止めてくれる?」

了承を得たら満面笑顔でお礼を告げ
★杖で光の【全力魔法】発動
渡した飴を火種として
光の爆発攻撃

受け止めてくれるって…言ったでしょ?

※演技中のみ一人称私



●チームA
(騙された!)
 ロッカールームで澪は他の参加者の着替えるところを見てそう気づいた。学校やUDCエージェンの人達に『膝上3センチが定番』とは言われていたのだが、他の参加者の姿を見ると、大体が膝下丈である。準備まで時間がなく、他の生徒の衣装を確認する余裕もなかったのもこうした事態を引き起こしさ原因である。
(裾上げすぎた?風大丈夫かな)
 念の為、下着も女性物ということだが、他の参加者としては男物の下着とか筋肉質な足とかを隠すのに長めのスカートを履いていたりするので、考え方からもズレがあった。
「アイツ、すごい気合入ってるなー」
「あそこまで短くしてくるとは…」
(違う!僕は巻き込まれただけだって!…そうだ。それよりも彼らを巻き込まないようにしないと)
 UDCアースはオブリビオンや猟兵の存在は世間には知られておらず、記憶消去装置などはあるものの、一般人に気付かれないようにする立ち回りなども要求される。
 所定の時間になるまで、しばらくは待機ということらしく、着替えた後もロッカールームで待っている生徒達を尻目に澪は立ち上がる。
「ちょっと、お手洗い行ってくるね」
「おー、いってら」
「その格好だと特に冷えるもんな」
 特に疑われることなく、ロッカールームを後にする

「ゲコゲコゲコ、それでは我々はこちらの低学年の女生徒役が待機しているところを狙うぞ」
「了解であります!」
「この作戦が成功すれば昇進間違いなしだ!」
「あのぅ…」
 そんなカエルたちの前に現れたのは、天使のような可愛らしい少女…に見える澪である。
「た、隊長!男子校に女の子が!」
「う、狼狽えるな!女装している生徒だ!想定内のことだ!作戦に支障はない!やることには変わりないのだから」
 澪の可愛さに狼狽えるカエル達に、彼女…ではなく彼はすっとお菓子を差し出す。
「私のお菓子…貰ってほしいな」
 そう言って取り出したのは『Candy pop』と呼ばれるお菓子の入った瓶。微笑む彼には後光がさしているようにも見えた。
「た、隊長、どうしますか?」
「う、うむ。たかが飴をもらうくらいなら何も問題あるまい」
 そんな体調の漏らした言葉こそが【死亡フロッグ】ならぬ死亡フラグであるが、誰も抗うことはできない。何故なら、すでにカエル達は澪のユーベルコード【エンジェルスマイル☆】の虜になっており、彼に魅了されているのだから。
「それじゃ、おっきいお口をアーンして。そうそう、いいよ」
 カエル達の口にポイポーイと飴玉を放り込む。
「飴の意味は、貴方が好き…私の気持ち、受け止めてくれる?」
 完全に魅了されて訳も分からず頷くカエル達。
「えへ、ありがと☆」
 満面の笑みで礼を言うと、聖杖『Staff of Maria』を取り出し、振るう。すると…
「ゲ?…ゲコォォォ!!!」
 カエル達の頭が光りに包まれて爆発する。先程の飴玉に込められた魔力が澪の全力の魔法の力によって呼応し、爆発したのだ。
「受け止めてくれるって…言ったでしょ?」
 そう言って彼は消滅するカエル達から回れ右すると、待機場所のロッカールームに戻るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

木乃花・蓮司
やっと当日!衣装の手直しとか色々忙しかったけど、新鮮な体験が出来て楽しかったな〜。
せっかくここまで関われたんだから、しっかり護衛して裏バレンタインを成功させないとね!

敵が襲ってきた時に近くに女生徒役の子がいたらとりあえず遠くに避難させて、彼らを守るように陣取るよ。
残念だったな、お前らの作戦はぜーんぶお見通しなんだよ!

オーラ防御を使いつつ、エレメンタル・ファンタジアで氷の雨を降らせて攻撃。すばしっこそうな敵だから、足元を凍らせて動きを封じる作戦でいこう。

※アドリブや絡み歓迎



●チームB
(やっと当日!衣装の手直しとか色々忙しかったけど、新鮮な体験が出来て楽しかったな〜。せっかくここまで関われたんだから、しっかり護衛して裏バレンタインを成功させないとね!)
 蓮司はそんなことを思いつつ、待機場所からスッと抜け出す。すでに着替えは済ませており、女子高生姿の彼は元々中性的な顔つきも相まって、どこか怪しげな雰囲気を醸し出している。そんな彼の前にカエル頭の邪神の眷属達が現れる。
「ケロケロケロ、団体行動を見出しちゃいけないって学校で習わなかったのか?」
「楽しいイベントは残念ながらここで終了だ。ゲッゲッゲ」
 一人でいる蓮司に向け、カエル達が口々に囃し立てる。
「残念なのはそっちだよ。お前らの作戦はぜーんぶお見通しなんだよ!」
 ただの学生と見くびっていたカエル達に自信たっぷりに言い返す蓮司。
「グゲ…なんとも生意気なガキだ。たった一人で何が出来るとでも」
「そうだね、このくらいのことはできるかな?」
 カエルの言った言葉を呼び水にしたかのように、突然、カエル達の上から雨が降ってくる。蓮司の【エレメンタル・ファンタジア】の力である。
「ゲッゲッゲ!雨を振らせた程度で何だというのだ!むしろ、我々は雨が降っている方が調子がいい!なんとも間抜けな奴め!」
「おや、自分の足元に気づいていないなんて、そっちの方が間抜けじゃないかな?」
「何!?」
 見ると、カエル達の足元がパキパキと凍ってゆく。【エレメンタル・ファンタジア】は『自然現象』に『属性』を合成する魔法。今回彼が『雨』に混ぜた属性は『氷』だ。
「さ…寒い」
「身体が…凍える」
 元々返るである彼らは寒さに弱かったらしい。冬場でも動けるようなにか対策はしていたかもしれないが、ここまで冷却されるのは想定外だったようだ。
「き、貴様ァ!」
 それでも、隊長格のカエルは懐から拳銃を取り出すと蓮司に銃口を向ける。
「ああ、そうそう」
 蓮司は思い出したように呟く。
「君達は僕が一人だって言ってたけど、一人じゃないんだよね」
「一体何を…グワッ!」
 隊長カエルの横から突然大型の犬が現れ、拳銃ごとその腕を食いちぎる。
「僕にはいつでも仲間がついてる」
 精霊使いにしてシャーマン。そんな蓮司の傍らには、戻ってきた犬型UDCと蓮の精霊が控えていた。
「ポチ、ロト、それじゃあ行くよ」
 身動きの出来ないカエル達には彼らに抗う術などなかった。

「ああいた。木乃花君、こんな所にいたんだね」
 カエル達を倒してから少しして、女生徒役の学生が蓮司に声を掛ける。
「そろそろ、チョコを配る準備に入るみたいだから行くよ」
「うん、わかったよ」
 先程まで戦っていた様子など微塵も見せず、蓮司はふんわりした笑顔で答える。
「それにしても、今日は特に冷えるね。天気予報で言ってたっけ?」
「そうかな?」
 そんな会話をしながら、蓮司は戦場を後にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

涼風・穹
【作戦の流れ】

ねんがんの チョコをてにいれたぞ!

そう かんけいないね →殺してでも うばいとる  ゆずってくれ たのむ!!

な なにをする きさまらー!

……みたいな感じで襲ってくる方々を返り討ちにするとするさ
色々なものから目を逸らして、女装して女子生徒役を全うすれば良いんだろう

他の女子生徒役を巻き込みたくはないし、開始時間よりほんの少しだけ早くチョコを配り始めれば一時的に学園内でチョコを配っているのは俺一人だけという状況になるから囮になるだろう
もしチョコの準備に問題があれば、『贋作者』で包装されたチョコの偽物を量産してそれらしく持っておく
オブリビオンに襲われれば『贋作者』で『風牙』を作成して斬る



●チームC

 ねんがんの チョコをてにいれたぞ!

 そんな風にチョコを掲げる穹。ちなみに配る用のチョコは学校に搬入されたものが直接チョコを配る会場まで運ばれるので、手に持っているチョコは彼のユーベルコード【贋作者】で作り出した偽物である。チョコレートはある意味乙女の武器とも言えるが、造り自体は荒い。ただ、囮として使用する分には問題ないだろう。
(あいつらを巻き込む訳にはいかないからな)
 着替える際に一緒にいた黒髪の少年と茶髪の少年を思い出す。おそらくはグリモア猟兵の予知にあった二人か。
 先にチョコを配りに行き、自分一人だけが狙われるシチュエーションを作ろうかとは思ったが、チョコを配る会場にも設営のスタッフがいるため、彼らも巻き込む訳にはいかない。
 そんな訳で、適当な理由をつけて抜け出し、こうしてチョコを掲げて眷属達に自分の存在をアピールしているのだ。
「集団で出てきたところを捕まえようと思ったが、まさか一人だけ出てくるとはな」
(よし、出てきた)
 穹の囮作戦に引っかかり、カエル達が出てきたようだ。
「ふむ、我々の姿を見て驚かないとは…まあいい。大人しく我々についてきてもらおう。であれば、手荒な真似はしない」
(へえ、『殺してでも うばいとる』みたいなことになるとは思ったが、妙に穏便だな)
 とは言え、相手は邪神の眷属。捕まった先にどんな仕打ちが待っているか、知りたくもない話だ。
「嫌だ、と言ったら?」
 穹はカエル達に向けて戦闘態勢をとる。
「力づくで来てもらおう。やれ!」
 隊長格の命令で周りのカエル達が穹に向かって襲いかかる。
「投影」
 チョコの偽物を投げ捨てると、穹は短く呟く。すると、手元に彼の刀型アーティファクト『風牙』…正確にはその偽物が出現する。
「何!?」
 カエル達が驚くのもつかの間、穹は襲いかかってきたカエル達を一刀のもとに斬り捨ててゆく。
「貴様、猟兵か!」
 隊長カエルはユーベルコード【いろいろつかえる】の力で懐から何やら不思議な機械を取り出す。
「よし、これならば…」
「遅い!」
 隊長カエルが機械の使い方を理解するよりも早く、穹が隊長を機械もろとも切り刻む。
「馬鹿な…我ら精鋭がこんな一瞬で」
 そう事葉を残し、カエル達は倒れ伏し塵となり、骸の海へと還ってゆく。
「これでこっちはひとまず大丈夫か」
 【贋作者】を解除し刀を消した穹はそう独りごちる。
「おま!なんか目の付け所がすげえな」
「そう?」
 そんな会話をしながら更衣室から出てくる黒髪の少年と茶髪の少年を見かける。
(あとはまあ、色々なものから目を逸らして、女装して女子生徒役を全うすれば良いんだろう)
 彼らの格好から、ふと自分の姿を再確認してため息をつく。自分もイベントの参加者となった以上、やり遂げなければ依頼にどういった悪影響が出るか分からない。
 蒼は彼らと合流して、チョコレートを配るための会場へと移動を始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリン・ラピス
情報をあらかじめ入手したかいがありましたね
あまり時間もかけたくありませんので素早く処理します
【早着替え】で変装を解いて身を軽くしたうえで【シーブズ・ギャンビット】で懐に飛び込んでまず一人
【瑠璃月】に持ち替えて【なぎ払い】で一掃します
【傷口をえぐる】ことで悲鳴を上げさせて恐怖で敵の戦意をなくし
それで逃げるようなら【誘導弾】で追い打ちをかけます
もし周りの方に被害が出そうであれば【武器受け】で【かばう】ことで逃げるまで【時間稼ぎ】をします
すべて片付いたなら【早着替え】で【変装】してまた紛れ込むとしましょう
まあ戦っているうちに目立ってしまうかもしれませんが被害が出ることだけは無いようにしなければ…


ラーゴ・ラック
ラピスはなぜ私にも服を用意したのか…態々用意してくれたのだし一応着るけれど…
私は【第六感】で敵が通りそうな道に待ち伏せして【強化繊維糸】を使って【早業】【範囲攻撃】【ロープワーク】でぐるぐる巻きに拘束しよう。

こ、今回のオブリビオンは随分と人間臭いな…?多少の融通も利くようだし帰ってはもらえないだろうか…無理か?
まぁ、無断で校内に入ってきた時点でアウトだ、即刻お引き取り願おう。

拘束したカエルの服の中にチョコを忍ばせて【ポゼッション】を使用し【霊式半自律人形】でハンマー投げの要領でカエル達を星にする。
もし、次に出会うことがあればシャーマンズゴーストにでもなっててくれよ、愉快なカエル達。



●チームD
(情報をあらかじめ入手したかいがありましたね)
 マリンは生徒の格好で食堂の近くで待機していた。事前の情報収集で護衛対象の位置やスケジュールを把握した今、護衛することは容易い。女生徒役の生徒はすでにそちらへ潜入している猟兵がいるので問題ないだろう。
「あまり時間もかけたくありませんので素早く処理します」
 カエル達の動きを補足したマリンはそのまま身を潜め、敵の方へ向かっていく。一方、その動きに気づかないカエル達は…
「女生徒役襲撃犯から連絡が途絶えた」
「なんだと?もしや、猟兵が嗅ぎつけたのか?」
「ゲッゲッゲ、案ずるな。その為の我らよ。向こうでアクシデントが起きてもいいよう、こちらはこちらでイベントのスタッフやチョコを急襲し、台無しにする。これぞ隙のない二段構えの作せ」
「隙ありです」
「グワー!!」
「隊長!」
 マリンの【シーブズ・ギャンビット】が炸裂し、ダガーの一撃でカエル達の隊長が倒れる。すでにマリンは少し身の丈にあっていなかった男子生徒の服装を脱ぎ捨て、女子生徒の格好になっており、動きやすくなっている。
「よくも隊長を!」
 他のカエルが懐から熱線銃のようなものを取り出し、マリンに狙いをつける。しかし、突如現れた細長い物体に動きを封じられてしまう。
「ラピスはなぜ私にも服を用意したのか」
 そう言って現れたのラーゴだ。彼の格好は女生徒役の格好となっている。イベントで配る役として参加していない彼だが、家族がわざわざ用意してくれた衣装…ということで、一応着ることにしたのだ。
「こ、今回のオブリビオンは随分と人間臭いな…?多少の融通も利くようだし帰ってはもらえないだろうか…無理か?」
 ラーゴは自身の持つ強化繊維糸に【ポゼッション】によってオブリビオンの霊を降ろして巧みに操り、カエル達を拘束してゆく。
「まぁ、無断で校内に入ってきた時点でアウトだ、即刻お引き取り願おう」
「それがいいですね」
 武器を薙刀『瑠璃月』に持ち換えたマリンは動きの止まったカエル達を薙ぎ払ってゆく。そして
「こうすれば、戦う気も失せるでしょうか」
 そう言って倒れているカエルの傷口に刃を突き立て、抉る。
「~~~~~~!!!」
 悲鳴を上げようとしたが、ラーゴがすかさず口を縛り、声が出ないようにする。
「戦っているうちに騒ぎになってしまうかもしれんが、わざわざ周りに気づかせる必要はないだろう」
「ありがとう、ラーゴ」
 幸い、戦闘の騒ぎは周りには気づかれておらず、マリンの行動にカエル達も心が折れたのか、生き残ったカエル達も無事捕縛できた。そして…
「もし、次に出会うことがあればシャーマンズゴーストにでもなっててくれよ、愉快なカエル達」
 ラーゴは自身の持っていた粘土状の物質に【ポゼッション】をかけると、粘土が人型の霊式半自律人形になる。そして、カエル達の懐にチョコを忍ばせる。
「シャーマンズゴースト…貴様、あの計画の事を知ってるのわああああああああ!」
 何かのフラグなりそうなことを言いかけたカエル達は霊式半自律人形に、自身を縛り上げている強化繊維糸をむんずと掴まれ、そのままハンマー投げの要領でぶん投げられ、星となった。
「とりあえず、ここはこれで片付いたか」
「ええ、そうですね。私はしばらく周りに紛れて様子を見ることにします」
「君達、こんな所に何しているんだい?」
 マリンとラーゴが話をしている所にイベントのスタッフらしき生徒が現れる。もしかしたら、最後のカエルの悲鳴を聞きつけたのかもしれない。
「こんな所にいても寒いだろう。君も裏バレンタインの参加者なんだね?ささ、中に入って」
「いや…私は…ラピスもなにか言って…」
「そうです。待ちきれなくて来てしまった兄をよろしくお願いします」
 マリンの方はいつの間にか早着替えで男子生徒の格好に戻っていた。
「では、また後で」
「ラピス!」
 哨戒に向かうマリンを背に、食堂まで連行されるラーゴ。ちなみに、急な増員にも対応できるよう潜入メンバーと実行委員会で配置を組んでくれたようで、ラーゴは何の問題もなく受け入れられたようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黛・夕子
みんなに迷惑をかけるカエルさんはお仕置きしちゃいましょうねぇ

とりあえず把握できた子たちの安全の確保かしらぁ?
カエルさんに襲われているようならその子は守るべき子よねぇ
おねぇさんにお任せよぉ

チョコは熱に弱いけど狐火はどうなのかしらぁ?
できるだけお菓子などのプレゼントには遅焼や熱が届かないように気を付けないとねぇ
カエルさんたちはちゃんとごめんなさいできるまで許してあげませんからねぇ

後手に回るみたいで嫌だけど私ではちょっと学生になりきるのは難しいものねぇ……
その代わり迅速にみんなの事を守るわよぉ



●チームE
 学校内にある多目的ホール。こちらは様々なイベント事に使用され、今回は食堂と一緒に裏バレンタインの会場として使われることになっている。実行委員の生徒が、委員長の指示の下、女生徒役がチョコを配る場所の設置や、行列の並ばせ方の確認、生徒に配るチョコの搬入などが行われている。
 そして、イベントを成功させようと頑張っている生徒達を陰から見ている集団がいた。
「ゲコゲコゲコ、奴ら、これからイベントが台無しになるとも知らず」
「全くめでたい連中よ」
「して、手はずの確認だが」
「スタッフはこのまま拉致、チョコレートは運びきれないから、この小型火炎放射器で炙り」
「熱で溶けてオシャカというわけか。まったく、恐ろしい作戦を考える」
「グワッグワッグワ!完璧な作戦よ!」
「そんな風に、みんなに迷惑をかけるカエルさんはお仕置きしちゃいましょうねぇ」
 カエル達の会話におっとりとした声が混ざる。
「何奴!?」
 現れたのは、のんびりとした雰囲気を身に纏った妙齢の女性、夕子だ。
「そんなことよりぃ、自分の心配をした方がいいんじゃないかしらぁ?」
「自分の心配だと?何を言ってグワー!」
 火炎放射器を持っていたカエルが突然炎上する。
「あらぁ、思った以上によく燃えるわねぇ。相性の問題かしらぁ?」
 気付けば、夕子の周囲に10を超える狐火が浮かんでいる。夕子のユーベルコード【フォックスファイア】によるものだ。狐火の熱でチョコに被害が出ないか心配していた夕子だが、現在の位置はチョコから離れている。これならば、心配はなさそうだ。
「カエルさんたちはちゃんとごめんなさいできるまで許してあげませんからねぇ

「ふ、ふざけるな!これくらいで我々が退くと思ったか!」
「そうだ!それにお前はみるところ一人のようだな!いくら手数が多かろうと貴様一人を倒せば済むこと!」
 カエル達は懐から拳銃を出し、応戦の構えだ。
「あらぁ、それなら仕方ないわねぇ。迅速に終わらせてもらうわぁ」
 他の面子と違って自分では生徒に紛争するのは難しいと思っていた夕子にとっても、下手に逃げられたり生徒を人質に取られるより好都合な展開だ。
「かかれ!」
 号令のもと、カエル達は銃を構えるが、夕子のほうが行動が早かった。
「後手に回る訳にはいかないのよねぇ」
 引き金を引くよりも早く、狐火でカエル達を焼き尽くす夕子。炎症範囲も調節できこの炎が消えた時には、焦げ跡すら残っていなかった。
「これで生徒のコたちは無事みたいねぇ」
 生徒たちの様子を見届けると、気づかれる前に夕子はその場を去ってゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『四四八『デビルズナンバーおかし』』

POW   :    悪魔の戦棍(デビルメイス)
単純で重い【鈍器クッキー】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    悪魔の甘味(デビルスイーツ)
【全身】から【食べずにはいられない甘くて美味しいお菓子】を放ち、【幸福感】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    悪魔の菓子(デビルスナック)
【クッキー】【マカロン】【オランジェット】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は六六六・たかしです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●裏バレンタイン
「はい、チョコレートどうぞ♪」
「チョコです」
「ハッピーバレンタイン♪」
「…どうぞ」
「大事に食べてね」
 食堂で、多目的ホールで女子生徒に扮した少年達が訪れた生徒たちにチョコレートを手渡ししてゆく。ある者はノリノリで、ある者は恥らいながら。彼らからのチョコを受け取ることで、生徒達はチョコがもらえないという絶望を回避することができた。それが、たとえ義理であろうと相手が男であろうと関係ない。とにかく、チョコをもらうことができたのだから。
 さらに今年はかわいい子が多いと話題になり、一部の猟兵が扮していた女生徒役のところに長蛇の列が並ぶといったハプニングがあったようだが、無事裏バレンタインは放課後のチョコ配りも無事終了し、女生徒役の少年達は学校の女教師をはじめとした女性職員からご褒美のチョコをもらうことができたのだった。
●猟兵達のメインイベント
「…足りぬ。…怒りが…悲しみが…絶望が。そして何よりも菓子が欲しいという欲望が足りぬ!」
 学校の裏庭、復活の儀式により呼び出された【四四八『デビルズナンバーおかし』】だったが、完全復活に必要なエネルギーが不足しているため、当初よりもかなり弱体化しているようだ。
「…足りぬ。何か贄によりて力を補給せねば」
 動き出す邪神。そして、待ち構えていた猟兵達に目が留まる。
「貴様らが、我が贄か!」
 邪神は自らのエネルギーを補給するために猟兵たちへと襲いかかった。
栗花落・澪
なんやかんやで着替える時間が取れなかった…
こうなったら八つ当たりです

お菓子を求める欲求ねぇ…
僕そういうの興味無いんだよね
だって元々あげる方が好きだもん

苦手な接近戦を避けるため【空中戦】主体

お菓子…ロボ?
どっちにしろ水が有効そう…かな?
メイン装甲が水を吸いやすそうに見えるので
★杖を使い水の【全力魔法】による
回避すら難しい程の【範囲攻撃】で攻撃
集中豪雨にご注意ください♪(ウィンク)

敵が強化を図るなら
【歌唱】で操るUCの花弁で
敵の装甲の隙間を狙い攻撃
強化には強化対抗

味方が攻撃受けそうな場合
翼を閉じる事による落下速度で攻撃力を上乗せしつつ
敵の顔面に全力で飛び蹴り

※火力不足のため可能であれば連携希望です


黛・夕子
あらあら、出てきちゃったのねぇ
しっかりとわるーいカエルさん達の後始末もしておかないとねぇ

んー、あまり完全には復活していないのかしらぁ?
でもちょっと近づくのは危なそうよねぇ
見る限りお菓子でできているっぽいけど強度はどうなのかしらぁ?
面も多そうだし騎士さんにお任せしちゃいましょうかぁ
槍の点攻撃と炎の面攻撃、どちらが効くのかしらねぇ?

あなたの様な存在を野に放つわけにはいかないもの
全部、とは言えないけどおねえさんにお任せよ?

まぁ、騎士さんにお願いしちゃってるけどねぇ


マリン・ラピス
ようやくメインのお出ましですか
変装しての潜入は楽しかったので少し名残惜しいですがささっと倒して帰りましょう
【シーブズ・ギャンビット】で先手をうちます
とはいえ相手も手強そうですから【武器受け】で【時間稼ぎ】をしながら【誘導弾】で少しずつ体力を削りましょう
もし隙ができたら【盗み攻撃】で武器を奪ってしまえばあとはこちらのものです
生徒の方々には指一本たりとも触れさせませんよ


グァンデ・アォ
《アドリブ、連携、苦戦描写、その他何でも歓迎です》
みんな頑張って!ボクも上空から援護す……わー、お菓子のいい匂ーい(ふわふわ)
思わず敵のくり出すお菓子の数々を食べちゃうよー。
ちなみに、どこから食べてるのか、食べたものがどこへ行ってるのかはヒミツだよー(笑)

わー、クッキーだ!マカロンだー!オランジェットもあるー!
……え?これは食べちゃダメなの?

ぴこーん(閃き)

敵のデビルスナックに困ってる皆を助けるために、ボクは頑張るよ!
うう、つらいなぁ、くるしいなぁ……これは大苦戦だなぁ(パクパクもぐもぐ)
でも、みんなのために食べなきゃ!……ああ、こんな時に熱いお茶で攻撃されたら怖いなぁ(敵さんをチラッチラッ)


木乃花・蓮司
よし、あとはこいつを倒すだけだね!弱体化してるとはいえ邪神は邪神、気を抜かずにやろう!

お菓子で出来てるなら湿気には弱いんじゃないかな。「エレメンタル・ファンタジア」で水の竜巻を作り出して攻撃しよう。

甘い香りで動きを止めてこようとしたら雨を降らせてその香りを洗い流すよ。甘いのは裏バレンタインで充分堪能したからもう結構です!ってね。

※アドリブや絡み歓迎



●甘い甘い大決戦!
「あらあら、出てきちゃったのねぇ。しっかりとわるーいカエルさん達の後始末もしておかないとねぇ」
「よし、あとはこいつを倒すだけだね!弱体化してるとはいえ邪神は邪神、気を抜かずにやろう!」
 動き出した邪神の様子を見て、夕子と蓮司の年長組が声を掛ける。
「ようやくメインのお出ましですか。変装しての潜入は楽しかったので少し名残惜しいですがささっと倒して帰りましょう」
「なんやかんやで着替える時間が取れなかった…こうなったら八つ当たりです」
 その呼びかけに澪とマリンが答える。ちなみに澪は放課後も長蛇の列で並ばれたり、女性職員の大部分からチョコを貰ったりと他の猟兵より忙しかったため、女生徒の格好のままだ。
「…菓子を…求めよ」
「まずは私が先手を」
 マリンが何やら呟いている邪神に【シーブズ・ギャンビット】の一撃を叩き込む。攻撃の相性はよいようだが、相手も不完全とは言え邪神。一撃だけではクッキー生地の表面を削るだけであった。
「見る限りお菓子でできているっぽいけど、結構強度はあるのねぇ」
「…甘味を…求めよ」
 夕子が感想を口にしている間にも、邪神はすかさず【悪魔の甘味(デビルスイーツ)】でチョコレートを飛ばしてくる。食べずにはいられない甘い香りが猟兵達の鼻孔をくすぐる。このチョコを食べたら幸福感で動けなくなる。分かってても抗えない。飛んでくるチョコを手にしてしまおうとしたその時…
「わー、お菓子のいい匂ーい」
 近未来的な姿をしたドローンが飛んでくるチョコレートに向かって飛んでゆき、パクっとチョコレートを食べた。
「うーん、幸せー」
 現れたのはヘルメット型のヒーローマスク、グァンデ・アォ(敖 広徳・f10200)だ。彼は邪神との決戦に向けてグリモア猟兵から送り込まれたのである。
「みんな頑張って!ボクも上空から援護す……」
 グァンデがそう言いかけた時、邪神から第二波が飛んでくる
「…菓子を…求めよ」
「わー、クッキーだ!マカロンだー!オランジェットもあるー!……え?これは食べちゃダメだった?」
 敵の放つお菓子をもぐもぐと食べながら、味方に訊いてくるグァンデ。
「僕そういうの興味無いんだよね。だって元々あげる方が好きだもん」
「甘いのは裏バレンタインで充分堪能したからもう結構です!」
 即答で答える澪と蓮司。それを聞いてグァンデにピコーン!と電流走る。
「敵のデビルスイーツに困ってる皆を助けるために、ボクは頑張るよ!うう、つらいなぁ、くるしいなぁ……これは大苦戦だなぁ。でも、みんなのために食べなきゃ」
 とか言いつつ敵の飛ばすお菓子をバクバクもぐもぐ食べ続けるグァンデ。実際、襲いかかる幸福感や満足感が動きを止めようとするが、そこは【ジャスティス・ペイン】で食欲を増大させることで、なんとか乗り切る。決して、お菓子を食べ続けたいという気持ちだけで戦っているわけではないのだ。
「……ああ、こんな時に熱いお茶で攻撃されたら怖いなぁ」
 敵をチラッチラッと見るグァンデ。
「調子に乗るな!」
 流石にグァンデの態度に見かねたのか、邪神がお茶の代わりに【悪魔の戦棍(デビルメイス)】の一撃を見舞う。
「あ、ダメかも」
 クッキー製の戦棍の一撃がお菓子を食べ続けるグァンでに直撃しそうになったその時!
「させません」
「危機一髪ねぇ」
 マリンが薙刀『瑠璃月』で軌道を逸し、夕子が【サモニングガイスト】で召喚した古代の騎士がグァンでを抱えて安全圏まで運ぶ。
「ここは体力を削らせていただきます」
「槍の点攻撃と炎の面攻撃、どちらが効くのかしらねぇ?」
 マリンと夕子の攻撃に翻弄される邪神。
「…舐めるな!」
 しかし、【悪魔の菓子(デビルスナック)】で先程まで投げていたお菓子を今度は自分の身に纏わせて戦闘力の強化を図る。それを見て夕子の騎士とマリンは後ろに下がる。相手の強化に攻めあぐねているのか…否。
「時間稼ぎは終わりました」
「そっちはお任せするわよぉ」
 マリンと夕子の視線の先には蓮司と、その上で浮いている澪の姿があった。
「お菓子で出来てるなら湿気には弱いんじゃないかなって思ってね」
「お菓子…ロボ?どっちにしろ水が有効そう…かな?」
 二人の狙いは一緒だった。その為、それぞれの全力の魔力を込めて魔術の構築を行っていたのだ。
「集中豪雨にご注意ください♪」
 まずウィンクと共に放ったのは澪。大量の雨を邪神の上に避けられようがないほどに振らせる。邪神の体に纏っていたクッキーが、マカロンが、水を吸って膨れてゆく。
「唸れ竜巻」
 続いて蓮司が放ったのは【エレメンタル・ファンタジア】によって作り出された『水の竜巻』だ。
「うおおおおおおおお!」
 先程、豪雨で降ってきた水をも巻き込み、邪神は竜巻にその身を削られる。強化していた分はもちろん、元々あったクッキー生地の装甲も剥がされてしまう。
「お、おのれ…」
 ボロボロになりながらも戦棍を引きずり向かってゆく邪神。
「後は任せたよ」
「あとはお願いします」
 魔力を使い切り、あとのことは任せる二人。
「分かりました」
「全部、とは言えないけどおねえさんにお任せよ?まぁ、騎士さんにお願いしちゃってるけどねぇ」
 それに答えるマリンと夕子。
「武器を奪ってしまえばこっちのものです」
 マリンが戦棍ごとボロボロになった邪神腕を切り落とす。
「ここまで湿気ちゃうと炎よりこっちの方がいいかしらぁ?」
 夕子の騎士が邪神の足を貫き、崩す。
「何故私がこのようなことに!私は神だぞ!」
 なお、掴みかかろうと邪神は残った腕を伸ばす。
「知りません。ですが、生徒の方々には指一本たりとも触れさせませんよ」
「あなたの様な存在を野に放つわけにはいかないもの」
 ラピスの薙刀と騎士の槍の一撃が邪神を貫く。
「私は…」
 何かを言い残そうとしたが、邪神はボロボロと崩れ去っていった。
「やっと終わったね。お疲れ様」
 猟兵達に蓮司がねぎらいの言葉をかける。
「やったね、みんな!」
 澪も宙に浮かんではしゃぎ気味であった。そこにグァンデが声を掛ける。
「お嬢さん、そんな格好で飛んでいるとスカートの中が丸見えですよ。あれ?お嬢さんじゃぷぎゅる」
 グァンデに向けて、澪の翼を折りたたんでからの全力の跳び撃が突き刺さった。

●続く伝統
「お前、良かったよな、購買部のお姉さんからチョコもらえて」
「…うん」
「どうした?」
「僕、誰にも購買部のお姉さんから欲しいって言ったことなかったんだよね。でも、何でもらえたんだろ?」
「大人の女はお見通しだったじゃねえの?」
「!?…そ、そういうものなの!?」
「そういうもんじゃね?」
 かくして、男子校の伝統は守られ、裏バレンタインは来年も再来年も続いてゆくだろう。
 だが、そのためにはオブリビオンから世界を守らねばならないのだ。戦え、猟兵。人々の平和と笑顔を守るために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日
宿敵 『四四八『デビルズナンバーおかし』』 を撃破!


挿絵イラスト