●グリモアベース
「メリークリスマスでございます、皆々様方」
グリモアベースにて。リーンハルト・ハイデルバッハ(黒翼のガイストリヒェ・f29919)は深く一礼をしながら、集った猟兵たちにそう言った。
いつものようにかっちりした服装だが、頭には先端に白いポンポンのついた赤い三角帽子。どうやら、クロムキャバリア出身の彼にも、クリスマスを祝うという概念はあるらしい。
にこにこと笑みを浮かべながら、ケットシーの歴戦兵は話し始める。
「明日はクリスマスでございますね。私共の世界でもこの日だけは争いの手を止め、プラントから齎される豊かな実りを享受しよう、という日となっております。私のおりますアーホルン宗主国においても、首都近隣のプラントがフル稼働し、辺境にも次々ごちそうが運ばれて行きますれば」
リーンハルト曰く、戦火の絶えないクロムキャバリアで、数少ない一日通して平和な日が、このクリスマスの日なのだという。プラントはごちそうをたくさん作り出し、首都から辺境に食糧輸送の飛行船がどんどん飛ばされ、国の皆々がこの幸せな日を楽しむのだそうだ。
勿論、首都アイト市でも大々的にクリスマスは祝われる。首都に存在する各企業が、それぞれ趣向を凝らしたパーティーを開くのだそうだ。
「それでですね。キャバリア製造会社のハイドリヒ商工社が、社屋で開催するクリスマスパーティーに猟兵の皆様もご招待しよう、と申しております。何度か事件にご対応いただきましたし、弊社社長も礼を申し伝えたいようでして」
そう話しながらリーンハルトが苦笑する。ハイドリヒ商工社の社長秘書も務める彼だ、自分の仕える「旦那様」がきっとあれこれ言ったのだろう。その様子が目に浮かぶようである。
「弊社のクリスマスパーティーはキャバリアを展示するショールームで行います。すごいですよ、展示される最新鋭のキャバリアたちが、色とりどりのオーナメントやモールで飾り付けられて。食料生産プラントをフル稼働させて作り出したごちそうも、飲料も多々並びます。毎年、社員一同この時期を楽しみにしているのでございますよ」
ハイドリヒ商工社はアーホルンを代表する大企業だ。クリスマスパーティーもきっと大規模なものになるのだろう。
たくさんのごちそう、たくさんのジュースにお茶、お酒。パイロットもオペレーターもライン工も、きっと猟兵たちとの――凄腕の戦士たちとの交流を待ち望んでいることだろう。
グリモアを回転させて、リーンハルトがポータルを開く。その向こうから賑やかなパーティー音楽が聞こえてきた。
「それでは皆様、準備はよろしゅうございますか? 是非とも、私どものクリスマスをご堪能いただければと思います」
屋守保英
こんにちは、屋守保英です。
クロムキャバリアでクリスマスですよ。
アーホルン宗主国の首都で行われるクリスマスパーティー、どうぞお楽しみください。
●目標
・クリスマスパーティーを楽しむ。
●場面・戦場
(第1章)
アーホルン宗主国首都アイト市、「ハイドリヒ商工社」の所有するショールームです。
展示されているキャバリアがツリー代わりに飾りつけられ、ショールームの中心に各種ごちそう、飲み物がたくさん並べられております。
お酒もありますが、未成年PCの飲酒は厳禁です。ここの辺りは厳しめにマスタリングします。
それでは、皆さんの楽しいプレイングをお待ちしています。
第1章 日常
『クロムキャバリアのクリスマス』
|
POW : 会場の設営をしてあり料理を作って、パーティーの準備をする。当日は、主にクリスマス料理を堪能する
SPD : 政府機関や町の有力者からパーティーの許可を取るなどして準備をする。当日は、歌って踊って場を盛り上げる
WIZ : 子供達をパーティーに招待したり、子供達へのプレゼントを用意する。当日は、子供達とパーティーを楽しむ
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ハイドリヒ商工社本社社屋・ショールーム
「メリーーー、クリスマーーース!!」
筋骨隆々のサンタクロースが、大声を張り上げてショールームに入ってくる。
沸き起こる拍手。光るキャバリアの目。会場の盛り上がりは最高潮だ。
このサンタクロースに扮した男性こそ、ハイドリヒ商工社社長、アーダルベルト・ハイドリヒである。
猟兵たちの傍で拍手をする整備班長のクリスチャン・ズベレフが、苦笑を零しながら言う。
「今年のクリスマスも、社長は気合を入れてきたな」
「毎年、クリスマスを一番楽しみにしていらっしゃるのは、社長ですから」
オペレーター班長のレオナ・フリージンガーも、眼鏡を直しながらにこにこと笑っている。
このハイドリヒ商工社でのクリスマスパーティーは、本社の社員や工員のみならず、辺境地域に勤務する社員も集めて開催される。まさに、一大イベントだ。
壇上に立つサンタクロース姿のアーダルベルトを、社員全員が見つめている。
「諸君! 今年も我々ハイドリヒ商工社は、無事に一年を乗り切ることができた。それもこれも、諸君の尽力と献身があってのことだ。ぜひとも一年の疲れを癒やし、来年に向けて活力を蓄えてもらいたい」
挨拶の言葉がショールーム内に響き渡る。その話を聞いている全員が、笑顔を浮かべていた。
今年一年も無事に終わった、来年も無事に終わるように。その言葉は、間違いなくこの場の全員が願うことだ。
話が進む中、アーダルベルトの手が猟兵たちに向けられる。
「そして! 今日はこのパーティーに、猟兵の皆さんもお招きした! 弊社の危機を幾度となく救ってくれた皆さんのことを、諸君もよく知っているだろう。皆さんにも楽しんでいただくべく、社員一同手を尽くしてもらいたい!」
再び拍手が沸き起こった。何度もクロムキャバリアでの機器を救ってきた猟兵たちは、彼らにとってのヒーローだ。きっと、いろいろと話を持ちかけられたり、料理を持ってこられたりするだろう。
アーダルベルトの話が一段落し、各人のグラスに飲み物が注がれたところで、司会進行役を務める事務部部長のエルンスト・ロイターが声を上げる。
「えー、それでは飲み物の準備も整ったようなので、乾杯と行きましょう。社長、ご発声をお願いいたします」
その声を受けて、アーダルベルトがビールの入ったグラスを手に持つ。それを掲げながら、彼は声を張った。
「社員一同の健康と、ハイドリヒ商工社のますますの発展、そして猟兵の皆さんのご活躍を祈念して……かんぱーーーい!!」
「「乾杯!!」」
掲げられる多数のグラス。飲み込まれていくビールやジュース。こうして、ハイドリヒ商工社でのクリスマスパーティーが幕を開けた。
●特記事項
・この現場には社長から平社員、パイロットに整備士、ハイドリヒ商工社に属する様々な人がいます。役職持ちの何人かは断章で名前を出しています。
・リーンハルトは裏方として仕事をしていますが、プレイングでお呼びいただければリプレイに登場いたします。
バロン・ゴウト
わーい、クロムキャバリアのクリスマスパーティーなのにゃ♪
わあ、クリスマスデコレーションのキャバリアが沢山並んでるのにゃ。あ、あっちにレルヒェもあるのにゃ!
以前もレルヒェの事でお世話になった、整備班長のクリスチャンさんにご挨拶に行くのにゃ。
「いつもレルヒェを使わせていただいてありがとうございますなのにゃ。これからもクロムキャバリアの戦いではお世話になりますにゃ。」
感謝を込めて、アルダワ魔法学園で人気のお菓子を整備の人達の分も含めてプレゼントするのにゃ。
ご挨拶した後、リーンハルトさんにもお菓子をプレゼントするのにゃ。
絡み、アドリブ大歓迎にゃ。
●クリスチャン・ズベレフ「弊社は一般的な体格の方から、体躯の小さい方、大きい方に至るまで、安全に快適にキャバリアに登場いただけるよう、日頃から細やかに整備をしております」
パーティーが執り行われるハイドリヒ商工社のショールームにて。いつもよりちょっぴりおめかししたバロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)は、ずらりと並べられたキャバリアに目を奪われていた。
赤と緑にペイントされたり、モールやオーナメントが取り付けられたり。その大きさも相まって、存在感はものすごい。
「わあ、クリスマスデコレーションのキャバリアが沢山並んでるのにゃ! クリスマスパーティーなのにゃ♪」
ジュースのグラスを手にしながら、バロンは陳列されたキャバリアの前を歩く。と、視界によく見た形状の黒いキャバリアが目に入った。
「あ、レルヒェもあるのにゃ!」
「おお、さすがはバロン殿。お分かりになりましたか」
バロンがその機体の前に駆け寄ると、そこに居た男性社員が身をかがめてバロンに声をかける。整備班長のクリスチャンだ。
彼はにこやかに笑いながら、バロンの目の前にある、色とりどりのモールがかけられたキャバリアに手を伸ばす。
「弊社の量産型キャバリア、近接戦用機体『レルヒェ』、その最新機である第四世代となります。バロン殿に貸与させていただいている機体の、一つ新しいバージョンとなりますな」
「そうだにゃ、いつもレルヒェを使わせていただいてありがとうございますなのにゃ。これからもクロムキャバリアの戦いではお世話になりますにゃ」
説明を受けながら、バロンはぺこりと頭を下げた。ハイドリヒ商工社には、クロムキャバリアで……というより、アーホルン宗主国で依頼があるたびにお世話になっている。この「レルヒェ」の第三世代を一機自分用に確保してもらっていて、整備と管理を委託しているのだ。
バロンの言葉に、クリスチャンが自信満々に胸をたたいた。
「ええ、勿論。あの機体はバロン殿の専用機として、整備班にも念入りに整備するよう申し伝えておりますのでな。今後も、ご用命いただければいつでもお貸しいたしますとも」
クリスチャンの発言に、バロンは少し恥ずかしそうに目を細めた。完全にあれは自分専用の機体のようだ。買い取れればよいのかもしれないが、整備の腕に自信はないわけで。どうせなら、プロに管理してもらったほうがいい。
「やっぱり、ボク以外には乗れなくなっているにゃ?」
「そうですとも、武装のレイピアソードは勿論、コックピットの座面も各種スイッチ類もバロン殿の体格に合わせた配置にしておりますし……ああ、あと武装用装甲部のパージスイッチの位置も調整いたしましたよ」
バロンの問いかけに、クリスチャンが笑って答えた。その痒いところに手が届く細やかさに、バロンがもう一度頭を下げた。
そして、持ってきたかばんの中から大きな包みを取り出す。中身はアルダワ魔法学園で人気のクッキーだ。
「ありがとうございますにゃ! これ、いつもお世話になっているお礼のお菓子ですにゃ。整備の人たちの分もありますにゃ」
「これは有り難い。甘い物好きは多いので助かります」
その包みをうけとったクリスチャンが笑みを浮かべる。それに微笑みを返したバロンが、きょろきょろとあたりを見回した。
「喜んでもらえてよかったのですにゃ。あとはリーンハルトさんにも渡したいんにゃけど……」
「リーンハルト殿ですか? 彼でしたら先程……」
「おや、私にご用事が?」
クリスチャンも周囲、床の近くの辺りを見回すと、ちょうどそばを黒い影が通りがかって。そこには給仕中のリーンハルトが立っていた。
クリスチャンの顔を見上げるリーンハルトに、二人はぺこりと頭を下げる。
「ああ、そちらに。お疲れさまです」
「グリモア猟兵のお仕事、いつもお疲れ様なのですにゃ! これ、プレゼントですにゃ」
「おや、私にもいただけますとは恐縮でございます。有り難く頂戴いたします」
バロンがリーンハルトの手にあるトレイにクッキーの包みを置くと、彼はにこやかに笑ってそれを受け取る。そして一礼すると、自分の仕事をこなすべくまた歩いていった。
大成功
🔵🔵🔵
木常野・都月
チィ!おいで!
ご馳走だ!
美味しそうな料理と、果実酒のソーダー割りがあれば飲みたいな。
最新のキャバリア、ピカピカだな!
他のパイロットって、精霊様が宿ってないから、自分で操作するんだよな?
俺の場合は、いなり寿司1号に古代の精霊様アエラが宿ってくれてるから、操縦できるんだ。
俺とアエラが精神と魔力を接続して、アエラにいなり寿司1号を動かして貰うけど…
他のパイロットって、俺達みたいな二人羽織?はしてないんだよな?
操縦桿で自分でキャバリアを操作するんだろ?
凄いよな。
チィ知ってるか?
そういう人を匠っていうらしい。
パイロットは、匠だ!
そして、そんな操作するキャバリアを作ってるここの人達も匠だ!
凄いぞ匠!
●レオナ・フリージンガー「サイキックキャバリアは機体によって駆動の原理が大きく異なるので、オペレーションに気を使います」
木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)とチィは、初めて立ち入るハイドリヒ商工社のショールーム、その綺羅びやかな様子に目を輝かせた。
テーブルの上に並べられたたくさんのごちそう。壁際に陳列されたたくさんのキャバリア。戦火の絶えないクロムキャバリアでのパーティーとは、思えないほどの豪華さだ。
「チィ! ご馳走だ!」
「チィ!」
都月とチィは、一目散にごちそうの並べられたテーブルに駆け寄る。バイキング形式のごちそうを好きなように取っていると、スーツ姿の人間の女性が都月に近寄ってきた。
「お客様は、未成年ですか?」
「え……えーと。8月で20歳になったけど……強いお酒は、あまり得意じゃない」
女性の問いかけにまごつきながら答える。一応成人済みではあるが、まだそこまで酒に慣れているとは言い難くて。都月の答えに、女性が小さく頭を下げる。
「かしこまりました。リキュールのソーダ割りをお持ちします」
「ありがとうございます」
都月が例を言うと、女性はその場から離れて、リモンチェッロのソーダ割りを持ってきてくれた。それを手にしつつ、パーティーに出ている料理をチィと一緒にもぐもぐ食べながら、都月は陳列されて飾り付けられたキャバリアに近寄った。
見上げるほど大きなキャバリアは、ロープが張られて足元には寄れないようになっているけれど。それでもとても綺麗で、念入りに磨かれてピカピカと輝いている。
都月の瞳が、ますますキラキラと輝いた。
「すごいなー、最新のキャバリア、ピカピカだな!」
「あら、弊社のキャバリアに興味がおありですか?」
と、見上げている都月のそばに、先程リキュールのソーダ割りを持ってきてくれた女性が近づいてきた。女性の顔を見ながら、都月が感動の面持ちで言う。
「普通のキャバリアのパイロットって、精霊様が宿っていないから、自分で操作するんだよな?」
「ん……あら、貴方は、サイキックキャバリアの搭乗者ですか?」
都月の、ともすれば要領を得ない発言に、目を見開く女性。聞き返すことなくその発言の意図を汲み取れたのはさすが、キャバリア制作の会社に勤める人間だ。女性の言葉に都月が頷く。
「ああ、俺のいなり寿司1号は、そういう種類だって言われた。古代の精霊様アエラが宿っているって」
「へぇ……精霊が憑依して、キャバリアと搭乗者の仲立ちをするタイプなのですね、新しいスタイルだわ。リーンハルトさんの発掘した『ガイストリヒェ』とは原理が大きく違うみたい」
都月の発言に、女性が驚きに目を見開いた。その反応にキョトンとする都月である。
どうやら自分の駆るいなり寿司1号は、結構特殊な操縦の仕方をするキャバリアらしい。
女性に話を聞くと、サイキックキャバリアは古代魔導帝国が制作したのを発掘している関係で、操縦方法が多岐にわたるらしく。通常のキャバリア同様操縦幹で操縦するもの、今で言う自律思考AIが搭載されていて操縦を一任できるもの、そもそも搭乗せずに遠隔操作するもの、色々あるらしい。
その言葉に、はーっと息を吐く都月だ。
「そうなのか……俺はアエラと精神と魔力を接続して、アエラに動かしてもらってるけど……」
「他のキャバリアはそうした操作はしていませんね、クロムキャバリアの中には、高性能の自律思考AIを搭載して、AIに操縦を一任するケースもありますが」
女性の言葉に、都月は目を大きく見開かせて彼女を見た。
自分は精霊の協力を得て、初めてキャバリアを操縦できる。しかし、一般の搭乗者はその助力を受けず、自分の技術でキャバリアを操縦している。
すごい。
「すごい……パイロットは、匠だ! そして、そんな操作するキャバリアを作ってるここの人達も、そのキャバリアを支援する人達も、匠だ!」
「ふふっ、お褒めいただき恐縮です」
感動のあまり発せられた都月の言葉に、女性がはにかみながら頭を下げる。そのまま、都月は陳列されているキャバリアを見ながら、匠の所業に目を輝かせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
※アドリブ絡み大歓迎
んー、リーンハルトさんと旅団で縁があるだけだけど…
折角だから彼経由で話通して、ご相伴に与ろうか
食料のグレードは普段シビアだしねぇ
メリークリスマスっ♪
実家の企業グループではキャバリアや軍事車両も作るし
飾られてるキャバリアツリーや展示物は気になるねぇ
…故郷の地下工業都市はガチのディストピアだから
実家には絶ッッッ対フィードバックしないけどっ
逆に誰かから聞かれた質問には答えてみたいなー…?
うーん、このケーキおいしー♪(もきゅもきゅ)
あ、魚料理なにかいいのある?
それとアタシ27歳だし、お酒飲みたいな
※外見年齢が14歳前後なので可否一任
※OKなら種類はお任せ、NGならレモネードでガマン
●アーダルベルト・ハイドリヒ「弊社のキャバリア用武装は、あらゆるパイロットにとって使いやすく、かつ使いでがあるものであらんとしております」
リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)はきょろきょろとショールームの中を見回しながら、知り合いの人物の姿を探した。
国家によって差はあるが、基本的に人間ばかりのこの世界。ケットシーである「彼」の姿は目に付きやすいはずだ。
「んーと、リーンハルトさんは……」
「おや、ローデンヴァルト様。ようこそお越しくださいました」
と、自分の後方から声がかかる。後ろを振り向き、視線を下に向ければ、そこにはよく知る黒猫のケットシー。胴体に巻いた機械からアームを伸ばして、人間サイズの皿やトレイを持っている。リーゼロッテは彼に小さく手を振って笑った。
「や、ご相伴に与りに来たよ。メリークリスマスっ♪」
「はい、ハッピーニューイヤーでございます。どうぞ心ゆくまで、お楽しみくださいませ」
うやうやしく一礼すると、リーンハルトはそのまま給仕のために去っていく。やはりもてなす側の人間、結構忙しいらしい。
そんな彼を見送ると、リーゼロッテは陳列されているキャバリアへと目を向けた。
やはりショールーム、いくら綺羅びやかに飾り付けがされていても、そこにあるのは最新鋭のキャバリアたちだ。ハイドリヒ商工社という会社の技術の粋が、余すところなく並べられて飾られている。
「うーん、なるほど。他社製のキャバリアってこんな感じなんだねぇ……あ、これってもしかして、このあいだ発表された新型のビット?」
キャバリアから新作兵器の陳列エリアに目を移し、リーゼロッテが目を奪われたのはハイドリヒ商工者が先月に発表した、新型のクリスタルビットだ。曰く、三次元映像を展開して擬似的な召喚ユニットとして使用できるらしい。
なるほど、この技術を応用すれば、キャバリアに乗ったままで召喚系のユーベルコードも使えるかもしれない。リーゼロッテは素直に感心して、そして目から光を消しつつ頭を振る。
「……うん、実家には絶対、絶っっっ対フィードバックしないっ」
故郷の地下工業都市は文句なしのディストピア、技術を巡って血で血を洗う場所だ。ここの国の技術を持ち込んだら、戦争が起こる。間違いない。
気を取り直して料理の方に向かおうとすると、ちょうどこちらにやってきたサンタクロースと目が合った。
「お、お嬢さん、うちの製品に興味がある感じかい?」
気さくな調子で話しかけてくるサンタクロースに、面食らうリーゼロッテ。おかしい、この男性は間違いなく、パーティー開始時にステージに立っていた、社長と言われていた人物のはずなのに。冷や汗をかきながらも、リーゼロッテは頷く。
「うん、一応キャバリア乗りでもあるから」
「そうかそうか、是非とも色々と見ていってくれたまえ! まあ、その前にどうぞ一杯」
「あ、旦那様、お酒は……あ、いえ、ローデンヴァルト様なら大丈夫でございますね」
にこやかに笑いながら社長、すなわちアーダルベルトがリキュールのソーダ割りで満たしたグラスを差し出してくる。給仕で歩き回っていたリーンハルトが止めに入るも、相手がリーゼロッテと知って言葉を収めた。
リーゼロッテ・ローデンヴァルト。幼く見えるがこれでも27歳である。アーダルベルトからグラスを受け取って笑うと、折よくやってきたリーンハルトに目を向けた。
「ありがとう。あ、ところでリーンハルトさん、魚料理なにかいいものある?」
「かしこまりました、お持ちいたしますのでしばしお待ち下さい」
「お願いするわ。ケーキも持ってきてもらえると嬉しいな」
声をかけつつ微笑めば、使われる側の人間であるリーンハルトは嫌な顔ひとつせず、一礼してテーブルの方に向かう。あの小さな体で、よく働くものである。
彼の背中を微笑ましく見ていると、アーダルベルトが白いひげを撫でながらリーゼロッテに笑いかけた。
「そうかそうか、彼の友人か。キャバリア乗りとのことだが、どこの会社さんの機体を使っているんだね?」
「あ、アタシの? 具体的な企業名はちょっと明かせないんだけどー……」
そこから始まる、濃密なキャバリア談義。リーゼロッテとしてもキャバリア乗りとして、キャバリアを造る側の人間との会話は心地よいものがあって。
リーンハルトが料理を手に戻ってくる頃には、アーダルベルトとの間で大いに話に花が咲いているのであった。
大成功
🔵🔵🔵