山も積もればカタるんだから樅の木だって積もればカタる
●日刊世界の危機クリスマス号~何かと積もることに定評があってたまるか~
「ようみんな。メリークリスマス!」
猟兵たちを出迎えたのはいつもとは装いの違う地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)――の、真の姿。
何故わざわざ真の姿になったのかは多分アレだ、ホワイトクリスマスになぞらえてなんだろうか。いや何で??
「悪いな、わざわざきてもらってよ。
クリスマスだってのに何で呼び出したのかって言われるとな……まあみんな察してるとは思うが、カクリヨファンタズムの話だ」
カクリヨファンタズムは日刊世界の危機と揶揄される程頻繁にカタストロフが起きていることは猟兵諸君はご存知だろう。
そのカタストロフは非常に深刻なきっかけだったり、はたまたトンチキすぎて何で起こってんの??というような原因だったり様々である。
……そんな世界がクリスマスの時だけ自重するかって言われると、もちろんそんなワケないんですよねえ!
「もしかしたら知ってる奴もいるかもだが、カクファンで山が大量発生してカタストロフになったことあってな。それの亜種っぽい事態が発生してんだわ」
はい???――猟兵たちが一瞬にして真顔になる。
何言ってんだお前みたいな視線を向けると「まーそういう反応だよなー」と陵也は笑った。笑うところではないんだが。
「どういうことか具体的に言うと、樅の木が大量に降ってきてカタストロフ寸前になりかけてる。 何でこうなったかってーと、カクリヨファンタズムじゃクリスマスツリーデザインコンテストってのがクリスマスになると毎回開催されるんだが……それに骸魂が目をつけたみたいだぜ。
参加したかったんだろうな、そのコンテスト」
そんな呑気に説明していいものなのか。いや非常にトンチキではありますが。
「せっかくのクリスマスだ。世界や種族関係なくみんなが楽しめるもんが一番いい。ましてや妖怪たちが楽しみにしてるところにカタストロフなんて無粋だろ?
だから一仕事引き受けてやってくれねえか。多分樅の木に取り付いた骸魂共は飾り付けてやったら満足して帰っていくと思うからよ」
妖怪たちも大喜びでパーティー開いてくれるだろうしな、と陵也は笑いながら転移陣を準備する。
まあ、カクリヨファンタズムのクリスマスは他の世界とはまた一風変わった面白いものが楽しめるかもしれないし、色々とツッコミどころがたくさんあるが陵也の言うことも間違ってはいない。
クリスマスは万人に訪れて然るべきであり、そこに種族や身分は一切関係ない。
……仕方ねえ、ちゃちゃっと終わらせてクリスマス満喫するかー!
そう思った猟兵たちはカクリヨファンタズムへと向かっていくのだった。
御巫咲絢
※カタる:カタストロフが起こるの略。このシナリオはトンチキシナリオです。
俺は悪くない、カクファンのクリスマスって言うから思いついてしまっただけなんだ!俺は悪くない(言い訳)!
というワケでこんにちはこんばんは、あるいはおはようございます。新米MSの御巫咲絢です。
実は今月でMS歴がやっとこさ5ヶ月になります。今まで当シナリオにご参加くださった皆様には感謝に堪えません。改めてこの場で御礼申し上げます。ありがとうございます!
そしてこのトンチキシナリオにもお目通し頂きありがとうございます!!!!
御巫のシナリオが初めてだよ、という方はお手数ですがMSページを一度ご一読の上で以下にお目通しいただけますと幸いです。
●シナリオについて
当シナリオはクリスマスシナリオとなっております。
御巫の処女作「山も積もればカタストロフ(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=26381)」の続編?番外編?的なシナリオですが、別に内容を知らなくてもお楽しみ頂けます。
クリスマスもカクリヨファンタズムは世界の危機が訪れています。流石日刊世界の危機。
というワケで皆様には樅の木が大量に振ってくるカクリヨファンタズムを救って頂いた後クリスマスパーティーをお楽しみ頂きます。
クリスマスツリーコンテストがあるので降ってくる樅の木をせっかくなので片っ端から飾り付けていっちゃってください。参加したかったらしいしね!
●プレイング受付について
クリスマスシナリオの為OP承認と同時に受付開始予定です。
トンチキシナリオなのでゆるっとしたノリで気軽にご参加くださいませ。
それでは、皆様のフリーダムなプレイングをお待ち致しております!
第1章 日常
『カクリヨファンタズムのクリスマス』
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POW : カタストロフを力ずくで解決して、妖怪達とクリスマスパーティーを楽しむ
SPD : カタストロフから妖怪達を救出して、クリスマスパーティーを楽しむ
WIZ : カタストロフの解決方歩を考えたり、クリスマスパーティーの企画や準備をする
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒木・摩那
モミの木が大量に降って来る、と。
それはどんな天変地異でしょうか……と言っても、ここカクリヨでしたね!
山がぼこぼこ湧いて出る世界ですから、モミの木ぐらい降りますよねー(棒)。
ともかくモミの木、何とかしないといけませんね。
ここはモミの木を製材して、木を積み上げてジ〇ンガにしましょうか。
目指すはモミの木を積んで、モミの木を作る。
UC【蒼鷹烈風】でヨーヨーを高速回転。
ふさふさのモミの木を、外周から刃を生やしたヨーヨーで切り出して、それを空中で回して……と、パズルゲームのように積み上げます。
クリスマス終わっても、モミの木材残って、一石二鳥。
そのまま焚き木として燃やしてもいいですよ。
●やはり経験者もやってきていた
「モミの木が大量に降ってくる、と……それはどんな天変地異でしょうか……」
黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は目の前で起こる樅の木スコールを遠い目で見ていた。
いやあ、樅の木が雨の如く降ってくるって色々な意味で壮観ですよね。妖怪達もわーわー騒いでおります。主に悲鳴だけど。
「――と言ってもここカクリヨでしたね!」
カクリヨだったわという一言で全部片付けてしまえる安定のカクファンクオリティでお送りされております此度のカタストロフ。
「山がぼこぼこ湧いて出る世界ですから樅の木ぐらい降りますよねー」
死んだ目になりながら摩那はいつぞやの真夏に山を3つ登らざるを得なかった苦行を思い出す。
そう、あの時はこんな樅の木レインがまだ可愛いもんだと言うぐらいの苦行であった。
アイゼンもピッケルも持ってきていない中、ヨーヨーでロープ代わりにしてひーひー登ったのは特に忘れられない。
いや、本当に考えれば考える程これはまだ軽い方なのでは?摩那は訝しみ始める。
でも多分それ感覚麻痺って奴ですよ戻ってこようねー。
「とにかく樅の木、なんとかしないといけませんね……」
どすーんどすーんと降り注ぐ樅の木は場所によっては綺麗に積み上がっている感じも見せている――もちろん偶然です――。
その光景から摩那は一つのインスピレーションを得た。
――そうだ、ここはいっそのこと製材して積み上げてジ●ンガにしてしまえば良いのでは?と。
決めたならば早速とりかかろうと摩那は愛用武器の一つ、超可変ヨーヨー『イクリプス』を取り出した。
「"励起。昇圧、目標を確認……加速開始"」
【蒼鷹烈風(シュペール・サイクロン)】を発動し、樅の木目掛けてヨーヨーを飛ばす。
高速回転したヨーヨーから刃が生え、まるでチェーンソーのように綺麗にギュイィィィィンと音を立てて樅の木の一本を綺麗に整形。
綺麗な巨大ジ●ンガの積み木が一本できあがり、それをヨーヨーで掴んで狙った位置に置く。
おおー、と妖怪たちからこれだけで拍手の嵐。えっ君ら逃げなくていいのかって?逃げてる最中でもうっとりする程綺麗だったんですよ。
摩那は次に索敵用ドローン『マリオネット』が飛ばした。
上空や左右から、樅の木の雨を華麗に避けて地形を撮影、分析したデータがスマートグラス『ガリレオ』に転送されるのでそこから次に配置すべき位置を算出する。
「ふむふむ……じゃあ次はこの角度で……」
再び飛ぶ高速回転の『イクリプス』。ギュイィィンギュィィィイインと音を立てて次々樅の木をジ●ンガに仕立て上げ、狙った位置に対して的確にかつ迅速にどんどん積み上がっていきます。
そう、まるでコインタワーができあがるかのように。
ジ●ンガはカクリヨファンタズムでもよく遊ばれているようで子供たちが「ジ●ンガだ!おっきいジ●ンガだ!」と早速大はしゃぎ。カタストロフなの忘れてないか君ら?
だが摩那はただジ●ンガを作るためだけにこれをしているワケではない。
ある程度形になった樅の木巨大ジ●ンガの上に、摩那は実に挑戦的な覚悟とバランスでまた一つ樅の木を積み上げる。
それを一つずつ確実に、かつ衝撃で形が崩れないように……その繊細さたるやまさに芸術の一言。
いつしかあらゆる妖怪たちがその細やかな作業にごくりと唾を飲み込み視線を向けていた。何故ならそこには、樅の木で作られた、巨大な樅の木が出来上がっていたのだから!
「これが、私のクリスマスツリーです!」
「「おおおおおおおお!!!!」」
妖怪たちは拍手大喝采。そらそうだ、カタストロフで降ってくる樅の木の雨をこうも芸術的なものに作り変えたんだからますます「猟兵ってすげー!」と目を輝かせないワケがない!
子供たちも大喜び、大人も大絶賛。文句なしのクリスマスツリーがここに完成した。
「これならクリスマスが終わっても木材が残って一石二鳥です。そのまま焚き木の薪として燃やしてもいいですよ」
「流石猟兵さん!芸術と利便性を両立させるなんて凄いや!」
「ねえねえ猟兵さん、他にも何か作れたりしませんか!?よかったら見せて見せてー!」
「おっと、ではどうしましょうか……」
妖怪の子供たちがわくわくうきうきと目を輝かせて集まってくる。
この樅の木による樅の木の効果は絶大だったようで、樅の木に宿っていた骸魂が勢いよくぽひゅーんと抜けて飛んでいくのが見えた。
少なくとも今摩那がいるこの場所の安全は確保されたと言ってもいいだろう。
それに、子供たちは付き合ってくれないと離してくれなさそうだ――と、いうところで先程捌いた樅の木の枝葉等が目に映り……
「丁度枝や葉っぱがたくさんありますし、みんなでクリスマスリースでも作りましょうか」
「「わーい!」」
「じゃあ早速みんなで材料を集めていきましょうね」
はーい、と妖怪の子供たちは摩那について枝葉を拾っていく。
当日に作るクリスマスリース、というのも何か色々とズレている気がするがこれはこれで子供たちにとっては一生モノの思い出になることだろう。
子供の笑顔はやはり見るものの心を暖かにするのだと、楽しそうに作業にする妖怪の子らを見守る摩那も自然と柔らかな微笑みを浮かべていた。
因みに、今日できた木材は後ほど家具に使われたり焚き木の薪になったり様々な用途で用いられてカクファンの経済を大きく潤わせたそうですよ。
成功
🔵🔵🔴
鳳凰院・ひりょ
アドリブ・キャラ崩壊大歓迎
この樅の木の雨…、とんでもない事になってるな(冷や汗
でも、そうか…飾り付けて欲しかったんだな…
よし、わかった俺も男だ
その思いに全力で応えよう!(ほとんど体育会系のノリである)
一陣の風、疾風怒濤を発動
本来はこれを発動前に自分の周りに風の防御壁を展開して風圧制御するんだけど…、今日はなしだ
俺も体当たりで行ってやる!(マテ
移動速度は自分の限界ギリギリ、いや、【リミッター解除】で一歩その先だ!
まぁ、後で大変な事になるだろうが、それはそれ
飾りを手に空中で怒涛の飾りつけ攻撃
これが俺の、心意気だぁっ!
パーティーは戦闘(?)の反動で真っ白に燃え尽きつつも、妖怪達のおもてなしを受ける
●燃えたよ。燃え尽きました。ホワイトクリスマスなだけに真っ白にな……
「……とんでもないことになってるな」
百聞は一見に如かずとはまさにこのことか、鳳凰院・ひりょ(人間の聖者・f27864)は冷や汗を流しながら樅の木の雨が降り注ぐ光景を見ていた。
そしてそんな彼の脳内へと直接声が聞こえてくる……これはもしや骸魂の声だろうか。
"クリスマスやりたかった……"
"ツリーコンテスト参加したかった……"
"俺たちを派手に飾り付けてくれ……誰か……!!"
何でそんな声が彼に聞こえているのかは多分ビーストマスターというジョブの特性がクリスマス補正により特殊な方向に作用したからなんだろう多分。
普段は聞こえないと思います、聖夜限りの特別なプレゼント的な奴です。誰得かは知らない。
「そうか……飾り付けてほしかったんだな……」
しかしひりょは何で聞こえてきたんだろうとかそういうのはさておいて骸魂の切実な叫びにしっかりと耳を傾けていた。
こういうところが恐らく彼が聖者である所以だろうか。飾り付けを求める悲壮な叫びに一つ決意する。
「――よし、わかった。俺も男だ、その思いに全力で応えよう!」
飾り付けてやればカタストロフが止まるのだから、彼らの本懐の為全力を尽くさねば男がすたるというものである。せやろか?
ひりょの瞳に情熱の紅き炎が灯り、意気揚々とユーベルコードを発動する。
【一陣の風、疾風怒濤(ゼンリョクゼンカイ・ミダレウチ)】、これは大凡8900km/hの勢いで飛翔しながら絶え間ない連続攻撃を放つユーベルコード。
本来なら最低限風圧制御もしなければ本人の体に負担がかかるものであるのだが……
「今日はなしだ!俺も体当たりで行ってやる!!」
何てこった、自らの体にとてつもなく負担がかかることを体育会系のノリで実行してしまわれましたよこのお方。
「まあ後で大変なことになるだろうがそれはそれ!」
それはそれで済ませていい問題じゃありませんが???いや、大丈夫ですかひりょさん?
カタストロフ終わった後にクリスマスパーティーあるんですよ?あっダメだこれ聞いてませんね。
「うおおおおおおおおおおおッ!!これが!!俺のッ!!!心意気だぁああああああああああッッ!!!!」
ひりょ選手、自らの限界を越え怒涛の勢いで降り注ぐ樅の木に片っ端から飾り付けていきます!
あっという間に降り注ぐ樅の木全てにオーナメントボールが飾られまし――ああっ!さらにベル!天使の飾りに「Merry Christmass」のロゴまで!
我々の目ではいつ取り付けているか全く捉えられません!まさに神速が如き勢い!実況席からはただ通り過ぎていっただけにしか見えないのに気づけば色鮮やかに彩られクリスマスツリーと化した樅の木が落下してきます!!
その数……何と100本は越えています!流石猟兵!我々には決して追いつかぬ領域に軽々と足を踏み入れております!お見事!
今年度のクリスマスツリーコンテストのスピード部門最優秀賞は鳳凰院・ひりょ選手に間違いないでしょうッッ!!
"ああ……素敵な飾り付け……素晴らしい技の数々……"
"お見事としか言う他ない……ありがとう猟兵……"
"これで我々も満足して骸の海へと帰ることができるよ……"
骸魂たちの穏やかな声がひりょの脳裏に響くと同時に、降り注いだクリスマスツリーの雨から一斉に骸魂が飛んでいった――……
●
その後。
「猟兵さーん!ケーキ持ってきたよー!」
「ああ……ありがとうございます……」
「いやあすごかったよ猟兵さん。チキンとかも置いとくから、食べれるようになったら食べてね」
「はい……」
「肩凝ったでしょー、あたしが揉んであげるねー!」
力を使い果たし真っ白に燃え尽きたひりょに、妖怪のみんながあれやこれやとクリスマスパーティーでおもてなしをしている図が繰り広げられておりましたとさ。
成功
🔵🔵🔴
馬飼家・ヤング
※アドリブトンチキ超展開大歓迎!
せやな!山が大量に降ってくるんならモミの木ぐらい降ってきてもおかしくないわな!……って、んなわけあるかーい!
まあええわ、とにかくド派手にデコったらええんやな!
ここはひとつヤング様に任しとき!
なんてったってナニワ民族は派手好きやからな!
スーパーですらパチンコ屋とタメ張るぐらいにギンギラギンやからな!
ジャンジャンバリバリ電飾飾るでー!
せや、飾りもいるんやっけか?
商店街の雑貨屋覗いたら……おっ、ええのあるやん
おみやげ用のマスコットに縁起物の張子!
鯛に小判に宝船、ついでにナニワ名物カニやフグも!
…なんか一気に年越してしもた感あるなあ
ま、ええか!
おめでたければええんやで!
●年末年始はイベントがこれでもかと詰め込まれているので多少合体しようがセーフ(?)
「せやな!山が大量に降ってくるんやさかい樅の木ぐらい降ってきてもおかしくないわな!」
と、説明を聞いた時馬飼家・ヤング(テレビウムのちっさいおっちゃん・f12992)はそう言った。
「…………ってんなワケあるか――――い!」
そしてノリツッコミのハリセンがグリモア猟兵に炸裂……したのだが何ということでしょう。
ツッコミが全うすぎて悲しいかな、だいたいがうんうんと頷くだけで笑いは……起きなかった。
「ちょっと待ちぃや何でギャグのノリでツッコんだんに全うな返事になってしもうとるん???」
と聞くがグリモア猟兵からはさあ?としか帰ってこなかったが、とりあえず見送られたので元気よくいってきまーすとまあそんなノリでカクリヨファンタズムにやってきたのでありました。
「あのグリモア猟兵ボケ殺しが過ぎるんとちゃうか……?まあええわ、とにかくド派手にデコったらええんやな!ここはひとつヤング様に任しとき!」
ぴょいん!とヤングおじちゃんの小さなテレビウムボディが高く飛び上がり――回転!
回転と同時になにかが飛び出して樅の木という樅の木に飾りつけられていく!何だアレは!?と妖怪が目をこらせばぴっかぴっかと七色に光り始める。
――そう!イルミネーションである!!
昨今のクリスマスツリーってだいたいイルミネーションライトついてるよね、うんうん。それに習った王道な飾り付けですね!
「わー!ぴかぴか光ってきれーい!」
「はっはっはー!せやろせやろ!なんてったってナニワ民族は派手好きやからな!スーパーですらパチンコ屋とタメ張るぐらいにギンギラギンでさりげないのさの字もないぐらいやからな!
ジャンジャンバリバリ電飾飾るでぇ――――――!!」
ぴかぴかイルミネーションを高速回転で切り込みながら飾り付けていくヤング、その姿は宛ら七色に光る竜巻の如し。
そんな感じで樅の木を片っ端からイルミネーションしたは良いが。
「……せや、飾りもいるんやっけか?」
もうひとつの大事なものを完全に失念してしまっていた!何ということでしょう!
まあそんな時もある。せっかくなのでカクファン商店街の雑貨屋覗いたろ~とイルミネーションを一通り飾り付けたら樅の木を放って商店街へ。
「おっ、ええのあるやん!」
お土産用のマスコットや縁起物の張り子をささっと買い物かごに放り込む。
他にも色々な縁起物があった。鯛に始まり小判、宝船等の定番の縁起物を始め、ナニワでは名物とされているカニやフグ等も盛りだくさん。
「猟兵さんこれ何に使うんだい?」
「クリスマスツリーや。樅の木がわんさか降ってくるんは飾り付けて欲しいかららしゅーてなあ。せやからいいもん飾り付けたろってな?」
「そういうことならお代は結構さ!金より命の方が大事さね。綺麗に飾り付けてあの樅の木を止めとくれ!」
「いやあすんませんなあ!ほなありがたく頂きますわ~おおきに!」
カクファンの雑貨屋さんは実に懐が広かった。
こうして手に入ったたくさんの縁起物を――ヤングは余すこと無くクリスマスツリーに飾り付ける!
天辺の星の代わりにカニだったり宝船だったり小判だったり。樅の木の葉という海を泳ぐフグがいたり、お土産用マスコットが可愛らしく顔をのぞかせていたり。
「あっはははは!何このクリスマスツリー!お星さまじゃなくてカニが乗ってる!」
子供たちを始めとした妖怪には大いにウケたようで世界の危機だというのに笑いが絶えない明るい雰囲気になっている。
こういう空気こそ求めているもの、ヤングおじちゃんも思わず笑顔不可避の光景です。
樅の木に取り付いた骸魂もその微笑ましい光景に満足したのかぽひゅん、と抜けて空に消えていき、樅の木たちは静かになり始めた。
しかし改めて自身が飾り付けたツリーを見てみると。
「……何か、一気に年越してしもた感あるなあ」
まあ、確かに縁起物はどっちかというと年末年始ですからね?
「ま、ええか!おめでたければええんやで!」
それもそう。
妖怪の皆さんにも大ウケしたので結果オーライです。
おめでた気分を味わいながらのクリスマスパーティーというのも乙なものなのだ。
大成功
🔵🔵🔵
天玲寺・夢彩
(※今回の夢彩はテンション高めでお送りします)
またパワーワードな気がしたのでっていうのは冗談だけど、また面白そうな体験が出来そうだよう!
…うん、山が増えるんだもん。木が降ってもなんなら川や滝が増えても可笑しくないよね!!
実はちょっと夢彩は楽しみにしてたりなんて。
そうそう大量の樅ノ木は‥じゃーん!
連れてきた春姫(戦闘機)で運んじゃうよ!
せっかくだしRX春颯で動物型に加工したり、ケルくんに手伝ってもらって雪の結晶とか白いクリスマスツリーにしても良いよね!
【アドレスなど何でもあり】
●川や滝までは生えてほしくないと思いつつ
るんたったーるんたったーとテンションアゲアゲモードで次にカクリヨファンタズムを訪れたのは天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)。
「また面白そうな体験ができそうだよう♪」
だそうです。うーんメンタルがタフですね!
元気よく訪れた彼女の目の前にまー見事なまでにどっすどっすと樅の木が降り注いでおります。
わーわーきゃーきゃーと住人たちがあっちこっち逃げ回っている中、夢彩は全く動じないどころかうんうん、と納得したような顔をしていた。
「うん、山が増えるんだもん。木が降っても何なら川や滝が増えても何らおかしくないよね!!」
増えてたまるか――と言いたいところなんですがカクリヨファンタズムだとマジであり得るから困る。
何がきっかけでカタストロフが起きるかわかったもんじゃないこのカオスの権化のような世界。恐ろしいぜ。
この世界を楽しむことができる人はこの先何があっても大丈夫な気がしますね!
「とりあえず、この大量の樅の木を運ばないとね。よーっし!おいでー春姫!」
彼女の呼びかけに応じてずんずんと訪れたのは霊力を動力源とする丸いボディが愛らしさ抜群、達磨自転車にも変形できる戦闘機『霊式・春姫』だ。
夢彩の指示に従って落ちてくる樅の木を一本一本「よっこらしょ」と言うかのように持ち上げて意気揚々と運んでいく。
霊力を与える側がテンションが高いのをそのまま反映しているのか、春姫も心なしか楽しそうに運んでいるように見える。
「わー!何あれ!ロボットが樅の木運んでるよ!」
「ぼくたちもついてこー!」
「あたしもー!」
子供はロボットが大好きである、それはカクリヨファンタズムの妖怪の子たちも例外ではないのだ。
ずんずんと樅の木を運んでいく春姫に続くようにいつしか子供の行列ができており、それを引率するように春姫の真後ろを夢彩が歩いていた。
ハーメルンの笛吹きかな?
「ねーねーお姉ちゃん、この樅の木どうするの?」
「んー、そうだねえ……飾り付けるんだしせっかくだから動物の形にしてもいいかもしれないねえ♪」
「えっ樅の木で動物作れるの!?すごーい!見せて見せて!」
「もっちろん!夢彩にお任せだよう!」
夢彩が霊力を春姫に渡すと、じゃきん!と春姫の手に戦闘機用の巨大霊力刀『RX春颯』が姿を現す。
子供たちへのパフォーマンスの意味合いもあるのか、やたらカッコよく構えた後にじゃきじゃきじゃきん!という音と共に樅の木が綺麗にカッティングされて樅の木サイズの大きな木彫りの猫が出来上がった。
おおーっ、と子供たちから歓声が上がる。それで嬉しくなったのか春姫は元気よく樅の木を片っ端からカッティング!
木彫りの犬に熊にとたくさんの樅の木サイズの木彫りの動物たちがやってきました。
「んー、でも動物だけだと何か寂しいかも……あっそうだ。ケルくんケルくん」
インスピレーションが降りてきた夢彩はダイモンブックからタロットを一枚取り出し、幻と氷の悪魔クロケルを召喚する。
心底面倒くさそうに溜息をついているのはきっと気のせいではない。
『はあ……何ですか?』
「ねえねえ、この樅の木をケルくんの力でホワイトなクリスマスツリーにできないかな?」
『……まあ、できないことはありませんが……』
「ホント?じゃあお願いするよう♪」
『はいはい……こうなったら貴女は聞きませんからね……』
仕方ないなというようにクロケルは自らの力を行使、白銀の吹雪が樅の木を白く染め上げる。
さらに子供たちが喜ぶような雪だるまを飾りつけたり、てっぺんの星の代わりに雪の結晶を飾ったり。
……あれ?クロケルさん気が利きますね?めちゃくちゃ利きますね?
『こんなものでいいでしょう?』
「わーっ!雪だるまが凄く可愛いし雪の結晶が飾られてるの綺麗!ありがとうケルくん~♪」
『次呼ぶ時はもっとまともな用事の時でお願いしますよ』
とか言いつつ子供が喜びそうなツリーを誂えてくれる辺りこの悪魔中々優しい。それでいいのか悪魔、いや多分契約主に感化されているのかもしれない。
ついでに辺り一面を雪景色にしてくれたのだがこれはあれだろうか、雪だるまを作れというお達しだろうか。
「ねえねえお姉ちゃん!雪だるま一緒に作ろうよ!」
「もちろんいいよう!みんなでおっきな雪だるま作ろうねえ!」
やはり雪だるまを作れというお達しだった。
子供たちと一緒に雪をかき集めて雪だるまを作り始める夢彩。
頭の桜の枝から落ちる桜の花びらがいい感じに口になったりとかもしてまるで春と冬がコラボしたかのようなものができたり、削り落とした樅の木の枝を腕に使ったり。
そうしてできた雪だるまは春姫によって拵えられた木彫りの動物の隣に置いてみたり、動物たちとじゃれているかのようなシチュエーションを想定して配置してみたり。
散々遊びつくした頃には子供たちとの合作とも言える冬の森の中のような光景に。
その微笑ましさにぽひゅん、と骸魂が抜けていき、樅の木の雨はぴたりと止んでそれから降り注ぐことはなかった。
「あー、いっぱい遊んだねえ!」
「うん!楽しかったー!ありがとうお姉ちゃん!」
「どういたしましてだよう♪夢彩も凄く楽しかったよ~」
「猟兵さーん、クリスマスケーキ食べるー?」
「わー、食べる食べる!」
丁度小腹が空いたなーと思い始める絶妙なタイミングでクリスマスケーキ到来。ありがたく頂くのでありました。
●
さて、一応これはクリスマスツリーコンテストである。
今回は猟兵の皆さんの参加により非常に優秀な作品が大量に出来上がりましたので、今年は全員が最優秀賞ということにしたいと思いますだそうで。
それでいいのかコンテストと思ったが、カクリヨファンタズムの住人の皆さんもそれで全く問題ないみたいなので良いんでしょう、うん。
無事カタストロフも止まったし結果オーライということで。
かくして世にも奇妙なクリスマスは住人と猟兵の皆の笑顔で締めくくられたのでありましたとさ。
めでたし、めでたし。
大成功
🔵🔵🔵