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その宝珠を穿てブラスター

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #クエーサービースト #ジュエル・ドミネーター #ブラスターガンナー #プロメテウス

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●フリシレアMOS
 それは宇宙開拓を阻むクエーサービーストの一体であった。
 まるで臓器を組み合わさたかのようなおぞましい姿。それがクエーサービースト『フリシレアMOS』の姿であった。
 だが、その姿の真価は見る者に悍ましさを与える形ではない。
 惑星サイズの巨躯。
 それこそがクエーサービーストの脅威の一端でしかない。
 翅状の器官を震わせれば、宇宙区間を強烈なる速度で飛び宇宙船など海の波間に漂う木片のようにしてしまう。
 さらに星間飛行すら可能にする形態は宙域のあらゆる場所へと飛ぶことができる。
 このクエーサービーストから逃れることはできないのだ。
 目に当たる器官がないというのに鋭敏に知覚し、さりとて意思疎通などできない破壊の権化。
 それがクエーサービースト『フリシレアMOS』である。

 その恐るべき脅威こそが嘗ての銀河帝国を未踏宙域より退けたる元凶である。
「ダガ、ソレモ終ワル。私ガ支配ヲ開始スル」
 猟書家『ジュエル・ドミネーター』がその液体の如き宝石の体をもって、クエーサービースト『フリシレアMOS』の体内へと侵入する。
 心臓に当たる臓器を前に、その液体宝石の体を変化させ同化させていく。
「排除デキナイノデアレバ支配スレバイイ。簡単ナコトダ」
 時間は掛かるが、確実にクエーサービーストの力は『プリンセス・エメラルド』の『帝国継承軍』の戦力へと変わることだろう。
 そうすれば、如何な猟兵と言えどクエーサービーストの猛攻の前に為す術などない。
『帝国継承軍』の銀河支配は盤石なものとなるだろう。

「ソウ、コノチカラヲ支配スル。ソウスルコトデ、スベテヲ手ニ入レルコトガデキル――」

●開拓船団
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はスペースシップワールドに現れた猟書家……いえ、クエーサービースト『フリシレアMOS』の脅威をお伝えせねばなりません」
 ナイアルテは未踏宙域に存在するクエーサービーストに新たなる新種が発見されたことを告げる。
 それは未踏宙域を開拓するために必須たる決戦用惑星ロボの建造が進められる中において、凶報と言ってもいいものであった。
 既存の宙域には最早人が居住可能な惑星はない。
 残された希望は未踏宙域しかないのだ。

「はい。ですが、未踏宙域には嘗ての銀河帝国ですら手出しできなかったクエーサービーストがいます。今回発見された『フリシレアMOS』は猟書家『ジュエル・ドミネーター』によって支配されようとしているのです」
 もしも、そうなってしまえば、開拓船団の宇宙船などひとたまりもない。
 それどころか『帝国継承軍』の戦力拡充を招くことになってしまう。クエーサービーストを引き込まれることだけは在ってはならぬことであろう。

「そのための決戦用惑星ロボなのですが……巨大なため猟書家『ジュエル・ドミネーター』に感づかれ闘争されてしまいます。かといって通常の宇宙船では小惑星サイズのクエーサービーストと戦うことは力不足と言っていいでしょう……」
 それは打つ手がないということなのではないかと思われた。
 だが、ナイアルテの瞳は絶望には染まっていない。何故ならば、この程度の絶望など猟兵達にとっては絶望のうちには入らないからだ。

「惑星ロボでは気が付かれてしまうのであれば、クエーサービーストを知覚される外側から攻撃すればいいのです。ですが、一撃でこれを撃滅するのは至難の業でしょう」
 確かに理屈は通っている。
 だが、言うは易く行うは難し。クエーサービーストを逃さぬようにその場に留めるためにあえて不利な近接戦闘を行う猟兵、仮に遠距離狙撃が成功したとしても、トドメを刺すに至らぬかもしれない。
 そのトドメを担当する猟兵などなど、考えなければならないことは多い。

「皆さんの担当していただきたのは三つ。クエーサービーストを狙撃する担当。宇宙船で近接戦闘を行い、クエーサービーストをその場に釘付けにする担当。そして、狙撃が成功した後、倒しきれて居ない場合はトドメを刺す担当。この三つです」
 また開拓船団には銃の名手である『ブラスターガンナー』もいる。
 彼と協力し戦うも良いだろう。超長距離狙撃のコツを伝授してもらうこともできるかもしれない。
 やるべきことは多い。

「クエーサービーストは『制御宝珠』によって制御されています。これを本来惑星ロボに装備されるはずであった『惑星破壊級ブラスター』を用いて超長距離狙撃で破壊し、その後に猟書家『ジュエル・ドミネーター』を撃破してください」
 作戦は以上であり、非常にタイトなスケジュールに失敗を許されないリハーサルなしのぶっつけ本番、さらには一度しか放てないブラスター射撃である。
 それは言葉にすれば単純なものであったが、容易ではないことは誰もが推して測ることのできるものであった。

 だが、それでもやらねばならない。
 クエーサービーストの猛威を取り除きスペースシップワールドに生きる人々の安寧のために猟兵たちは、その制御宝珠を打ち抜き、猟書家を打倒しなければならないのだ。
「どうか、お願い致します。この作戦、必ずや成功させねばならぬのです」
 そういってナイアルテは頭を下げる。
 彼女に出来ることはこれくらいだからだ。祈らずにはいられない。何に、と問われればナイアルテは微笑むだろう。

 猟兵たちの力によって為すことのできる奇跡の光に、と――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はスペースシップワールドにおける猟書家との戦いになります。
 舞台は未踏宙域。そこに現れた猟書家『ジュエル・ドミネーター』とクエーサービースト『フリシレアMOS』を超長距離狙撃に寄って打倒するシナリオになります。

 ※このシナリオは二章構成のシナリオです。

●第一章
 ボス戦です。
 宇宙空間で『フリシレアMOS』と交戦します。
 クエーサービーストは強敵ですが『惑星破壊級ブラスター』によって体内の『制御宝珠』を撃ち抜けば、大きく弱体化することでしょう。
 ただし、一度撃つと気づかれてしまいます。二度目の射撃は不可能です。

 この章ではいずれかの行動を選択してプレイングを頂く形になります。
 1:超遠距離狙撃担当。
 2:狙撃するまでの間、宇宙船に乗って近接戦闘を挑み接近を阻んだり、足止め担当。
 3:超遠距離狙撃によって弱体化したクエーサービーストへのトドメ。

 プレイングの頭にいずれかの数字を記入頂けたらありがたいです。
 例えば、『1』などのように。
 また、今回に限りますが、1を選ばれた方が複数いらっしゃった場合は纏めてのリプレイになり、即座にお返しすることができないです。
 ご了承頂けたら幸いです。

●第二章
 ボス戦です。
 超遠距離狙撃の成功によって打倒された『フリシレアMOS』から飛び出してきた猟書家『ジュエル・ドミネーター』と超巨大なクエーサービーストの屍の上での戦いになり、これを打倒しなければなりません。

 ※プレイングボーナス(全章共通)……ブラスターガンナーと協力する。超遠距離狙撃のコツを聞く。

 それでは『帝国継承軍』の力を削ぐために猟書家『ジュエル・ドミネーター』の目論見を阻み、未踏宙域にさらなる開拓を推し進めましょう。
 超巨大生物との戦いに身を投じる皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『クエーサービースト・フリシレアンMOS』

POW   :    MOSウインガル
【翅状の器官を震わせながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【体内の制御宝珠】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    MOSスピモルファ
【制御宝珠からの命令を受ける】事で【星間飛行形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    MOSブレステルデ
【制御宝珠がクエーサービーストへの命令】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。

イラスト:山庫

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「急げ――! 急げ! 惑星ロボから『惑星破壊級ブラスター』を外して開拓船に取り付けんだよ!」
 未踏宙域において開拓船団の装備は潤沢とは言えなかった。
 それはどんな危険が待ち受けているかわからない未踏宙域において不足しがちな物資をやりくりしながらの開拓であるからだ。
 今回もそうだ。
 クエーサービースト『フリシレアMOS』。
 その存在は脅威そのものであり、猟兵たちは超長距離射撃を持って、これを打倒しようというのだ。
「惑星ロボが使えないとか、そんなのアリかよ……!」
 開拓船団に参加しているメカニックたちは急ピッチで作業を進行させる。
 兎にも角にも時間が足りないのだ。
「いいから手を動かせ」
 そういうのはこの開拓船団に参観している老練なる『ブラスターガンナー』の男性であった。
 彼の眼光は鋭い。
 それは彼の持つ技量が凄まじいだけではなく、これまでも銀河帝国と戦ってきたことを示す歴戦の証。

「五郎さん!」
「ああ。猟兵にすべてを預ける形になるが。それでも俺達は俺達にできることをしようじゃねぇか。そうじゃなけりゃあ、クエーサービーストなんつうけったいなヤツも倒せねぇってんならな!」
 おら、やるぞ、と五郎と呼ばれた『ブラスターガンナー』はメカニックたちと『惑星破壊級ブラスター』の準備を万端にしていく。
 さらにはクエーサービーストを足止めするために猟兵の足代わりになる宇宙船のメンテナンスもあるのだ。
 この作戦を必ず成功させなければ、未踏宙域の調査もおぼつかない。

 そう、もう時間がない。
 けれど、やるべきことは多い。猟兵たちは選ばなければならない。
 自分が何を為すべきか。
 懸命に生きる者たちに何が出来るのか。
 それは戦うこと。
 戦う力のない者のために戦う。そのためにここに在るのだから――。
村崎・ゆかり
『2』

クエーサービーストの新顔ね。まだ惑星ロボの準備も出来てないのに、向こうからやってくるなんて。

相手がこのサイズなら、キャバリアを出してもいいわよね。
『GPD-311迦利』、起動! 今回はその上に乗って戦闘に臨む。
ちょっと勝手が違うけど「空中戦」でビーストの攻勢に対抗するわ。

『迦利』、「レーザー射撃」の「範囲攻撃」「弾幕」「一斉発射」「衝撃波」で、ビーストに対抗してちょうだい。

この露払い、しっかり勤めさせてもらうわ。
ビーストの攻撃に隙が出来たら、七星七縛符でユーベルコードを封じてあげる。
この隙に狙撃してもらえれば、命中率も上がるんじゃないかしら?

さて、反撃される前に宙域から離脱よ、『迦利』。



 スペースシップワールドの宇宙に広がる未踏宙域。
 そこは居住可能惑星を喪った人類にとって、未知なる領域であり、同時に最後の希望でもあった。
 しかし、どれだけ希望に溢れた場所であったとしても、希望の隣には必ず困難が付き纏うものである。
 それがクエーサービースト。
 未踏宙域が未踏宙域と呼ばれる所以である。
 その小惑星サイズの怪物とも言うべき宇宙怪獣はかの銀河帝国ですら手が出せぬほどの強大な力そのものであった。
「小型の宇宙船を使ってくれ! 惑星破壊級ブラスターの調整がまだなんだ!」

 開拓船団を支えるメカニックたちが村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)を送り出す。
「あたしの方はだいじょうぶ。こっちで自前のキャバリアを出すから!」
 彼女は自身のキャバリアである機甲式『GPD-331迦利(カーリー)』を駆り、宇宙空間を飛ぶ。
 本来無人機での運用を前提としている機体であるが、今回は未踏宙域に潜むクエーサービースト『フリシレアMOS』を足止めするためにゆかり自身もまた赴く必要があったである。

 眼前に見えるは巨大なる臓器の結晶のような巨体。
 小惑星サイズと言われても、スケールがあっているのかどうかすらわからなくなるほどの巨大さ。
 宇宙空間にこれらクエーサービーストが闊歩しているという事実が、スペースシップワールドの広大さを示しているようであった。
「クエーサービーストの新顔ね。まだ惑星ロボの準備もできてないのに向こうからやってくるなんて」
 それが猟書家の目論見である。
 戦力拡充もまた一つの目的であるが、『帝国継承軍』を阻む要因となりえる『惑星ロボ』の開発を妨げるのまた目的であろう。

「けど、相手がそのサイズなら、キャバリアで十分対処できる! 『GPD-331迦利』、駆け抜けなさい!」
 一気に飛翔する逆三角形の奇妙なる機体。
 その背に乗りながらゆかりは宇宙を駆ける。側面のスリットから放たれるレーザー射撃の一斉攻撃が『フリシレアMOS』の巨躯に穿たれる。
 だが、臓器の如き体は押し止めることしかできない。
 それほどまでに巨大なのだ。やはり『惑星は階級ブラスター』でなければ、かのクエーサービーストに致命傷を与えることはできない。

「けど、ここから先にはいかせない! この露払い、しっかり勤めさせてもらうわ」
 レーザー攻撃の乱舞が『フリシレアMOS』を襲う。
 未だ本格的に猟書家の支配は完了していないのだろう。その表面をレーザーが焼きながら、その場に留めるようにゆかりと『GPD-331迦利』が飛ぶ。
「まだ本格始動には至っていないっていうのなら、ここでユーベルコードを封じさせてもらうわ! ――七星七縛符!」
 放たれた護符が無数に『フリシレアMOS』の体に張り付いていく。
 かのクエーサービーストのユーベルコードは殆どがあの翅状の器官をもっての突撃だ。
 その動きを封じれば、『惑星破壊級ブラスター』の命中率もあがるはずだ。

 動きを止める『フリシレアMOS』。
 その巨体から考えられないほどの力を感じる。本当にこれだけの怪物が未踏宙域にはまだまだ存在しているということが信じられない。
 銀河帝国が手出しできなかったというのもまた無理なからぬことであろう。
「けど、動かないデカブツであれば、与えるのは容易でしょう。狙撃担当の人達に任せるしかないわね……さて、反撃される前に宙域から離脱よ」
 ゆかりは『迦利』と共に前哨戦とも言うべき、足止めに貢献しつつ、反撃を受ける前に宙域から離脱するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
『2』
アドリブ・連携OK

まったく、せっかくのクエーサービーストを操る技術、
もっとまともな事に使ってほしいんだけどねえ。
まあいいや、今は足止めに集中しよう。

とりあえず飛び道具は無さそうだし、近付かせないように足止めしようか。
小型宇宙船である程度まで近付いたら外に飛び出して、
【三界巨怪】で出来るだけ大きいウナギみたいな細長い怪魚に変身。
長い胴体で巻き付いて捕まえる事で開拓船に近付くのを阻止するよ。

ついでに巻き付いたまま発電器官を使って全身から放電して、
ダメージを与えつつマヒで動きを鈍らせようか。

さて、出来るだけ粘るつもりだけど、どこまで時間が稼げるかねえ。



 クエーサービースト『フリシレアMOS』。
 それは未踏宙域に存在する巨怪である。その臓器のような器官が集合して合わさったかのような醜悪なる姿は、見る者に根本的な恐怖を与えることだろう。
 だが、それでも人々はそれらを乗り越えて未踏宙域へと至らなければならない。
 そこには未だ手つかずの宙域が残っており、居住可能惑星をすべて失った人類にとって最後の希望なのである。
 故に、クエーサービーストはそれを阻む。
 猟書家が体内へと入り込み支配し、『帝国継承軍』の戦力にすべく画策していることが知れた以上、それを容認することなどできない。

「まったく、せっかくのクエーサービーストを操る技術、もっとまともなことに使って欲しいんだけどねえ」
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)にとって、猟書家『ジュエル・ドミネーター』のもつ制御宝珠を支配する能力は本来、クエーサービーストを使役スルのではなく、宇宙船から遠ざけるだとか、それ以外のやり方でもって貢献できる能力であった。
 それを『帝国継承軍』の戦力拡充に使うのは、愚かと言わざるを得なかった。
 けれど、それが猟書家の企みであるというのならば、これを止めなければならない。
「まあいいや、今は足止めに集中しよう」
 ペトニアロトゥシカは開拓船団から小型宇宙船を借り受けて、クエーサービースト『フリシレアMOS』が未だ足止めされている宙域に向かう。
 事前の情報を信じる限り、飛び道具はないはずだ。ならば、その驚異は惑星ロボに接近してから発揮されることだろう。
 ならば、ここから一歩も動かさせないことが肝要である。

「小型宇宙船、ありがとうねえ! 後は巻き込まれないように離れていて」
 ペトニアロトゥシカは小型宇宙船を出してくれたクルーたちに礼を告げ、宇宙空間に飛び出す。
「三界巨怪(イノーマス・クリーチャー)……大きくなろうか」
 彼女のユーベルコードが輝く。
 その瞳から溢れた光が、彼女の体を大きく変化させていく。その姿はまさに大きなうなぎのような、細長い怪魚の姿であった。
 ともすれば龍にさえ思えたことだろう。
 その巨体へと変じたペトニアロトゥシカが宇宙空間という名の海原にて、クエーサービースト『フリシレアMOS』の体へと巻き付く。

「星間飛行形態になんてさせない。開拓船団には向かわせない!」
 そう、どれだけ早く動こうが巻き付いていれば何の問題もない。
 翅状の器官が速度を出すために必要なものであるというのなら、地上に住まう鳥と同じ様にはばたかせなければいい。
「さあ、電撃をくらってしびれてしまえ!」
 怪魚の姿から放たれる電撃は、宇宙空間に明滅する光を迸らせる。
 それは発電器官をも持つペトニアロトゥシカが変じた怪魚の持つ力だ。麻痺させ、その内臓の如き器官の外殻を焼き焦がしていく。

「……出来るだけ粘るつもりだけど……!」
 どこまで時間が稼げるだろうか。
『惑星破壊級ブラスター』の準備はまだ完了していないだろう。
 時間が稼げるのならば、十全の状態であとに続く猟兵にバトンタッチしたい。もがくように翅のような器官をばたつかせる『フリシレアMOS』の巨体をペトニアロトゥシカの変じた怪魚の細長い身体がまるでロープのように押し止める。
 ぎしぎしと骨が軋む。
 それでもやらなければならない。

 万全には万全を。
 あのクエーサービーストが開拓船団に向かえば、今まで以上の被害がでる。
 それをさせぬとペトニアロトゥシカの瞳はユーベルコードに輝き、さらなる放電でもって『フリシレアMOS』の身体を締め上げ、焼き焦がしていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

髪塚・鍬丸
『2』

ブラスターガンナー達に、どれだけの距離と時間を稼げばいいのか聞いておく。
任務了解、だ。任せて貰う。

「忍鎧·天戎」を装備し、スラスターの噴射とマフラー型慣性制御装置「野臥間」の推進機能で【空中戦】。敵の高速の動きを強化された【視力】で【見切り】、【早業】で回避し引き付け時間を稼ぐ。
【罠使い】。敵の進路上に「八法手裏剣」を打ち相手の勢いを利用して突き刺す。
麻痺毒を仕込んだ特殊手裏剣。【練丹の術】で、巨大宇宙生物に特化した麻痺毒を錬成している。
加速しているという事は代謝も高速化しているという事。推進剤の続く限り高速で飛び回り、全身に毒を回してやろう。



 未踏宙域の開拓にとって宇宙船は勿論のこと、決戦用惑星ロボもまた欠かせぬものである。
 惑星ロボなくば未踏宙域に犇めくクエーサービーストの脅威は打ち払うことはできない。その決戦用惑星ロボの装備であった『惑星破壊級ブラスター』は今、一度装備を解かれ、開拓船団の宇宙船へと装着されていた。
 とは言え、未だ完全に接続が完了したわけではない。
 超長距離射撃を行うために必要なエネルギーを転送するためのケーブルや送電のための装備が未だ完了していないのだ。
「くそっ、まだ時間がかかりやがるか……猟兵たちが、頑張ってくれてるってぇのに……!」
 歯噛みするのは老練なる『ブラスターガンナー』である五郎であった。
 彼の射撃技術は猟兵にも劣らぬものである。
 だが、そんな彼とて『惑星破壊級ブラスター』を扱えるわけではない。トリガーは猟兵に任せなければならない。いや、託したのだ。

「あとどれだけ距離と時間を稼げばいい」
 準備に忙しない彼等を前に現れたのは、髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)であった。
 彼は落ち着いた様子で五郎に尋ねる。
 自分に何が出来、今この場に置いて何を成さねばならぬかを鍬丸はよく理解していた。
「後、半刻は掛かる……! やっこさんがこっちの目的に気がつく距離に入られたら元も子もねぇ……! なるべく距離を稼がにゃならんのだ!」
「任務了解、だ。任せて貰おう」
 鍬丸はそのまま、『忍鎧・天戎』――宇宙服を改良した忍び装束に装備されたスラスターを噴かせ、宇宙空間を疾駆する。
 その姿は宇宙忍者と呼ぶに相応しいものであった。たなびくマフラーが慣性を制御し、矢のように星々の海を真っ直ぐに進む。

 目指すさきに在るのはクエーサービースト『フリシレアMOS』の臓器が集合したような醜悪なる姿。
 鍬丸はその姿を視認した瞬間、『フリシレアMOS』が先行した猟兵に寄って傷つけられ、その翅状の器官を羽ばたかせる姿を見た。
 星間飛行形態。
 それは速度を上げ、その小惑星サイズの巨躯でもって障害全てを弾き飛ばす形態だ。
 あの速度であの質量がぶつかれば宇宙船と言えどひとたまりもないだろう。
「速度は出ているが、単純だな――ならば!」
 放つは手裏剣。
 これだけの速度で宇宙空間を飛んでいるのだ、どれだけの外殻を持っていたとしても突き刺さらぬわけがない。

「その巨大さがお前の仇となる。陰陽の気転じて薬毒と為す――錬丹の術(レンタンノジュツ)」
 撃ち込んだのはただの手裏剣ではない。
 仕込まれた麻痺毒。
 それは巨大宇宙生物に特化した毒である。
 言葉にしてしまえば簡単なものであったことだろう。だが、それは銀河帝国ですら生み出す事の出来なかったクエーサービーストに有効なる毒だ。
「加速しているということは代謝も高速化しているということ」
 そう、その速力を生み出すために生物であるがゆえに体内の如何なる原理か、その代謝は進んでいるはずだ。

 そうなれば撃ち込んだ毒は体液とともにクエーサービーストの体内を駆け巡り、その神経に作用する毒でもって、その動きを鈍らせる。
「例え耐性を獲得しても構わない。俺がするのはお前さんの足止めだ……! そのままこの場に留める!」
 さらに高速で鍬丸は推進剤の続く限りクエーサービーストを翻弄し、飛び続ける。
 撃ち込んだ手裏剣の数は数えることも億劫になるほどであった。

 だが、生み出した麻痺毒によってクエーサービーストの足は止まる。
 まだ稼いだ時間は足りない。
 けれど、鍬丸は己の任務遂行のために力の続く限り戦い続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
『2』

うわあ、怖いとか大きいとか言う以前に、何か生理的に嫌な形状<汗>。
でも人々の被害を出さない様、頑張ります…嫌だけど。

弩羅轟えもんに乗り込んでクエーサービーストを足止め。
第六感・瞬間思考力で相手の突進や各種攻撃を読み、弩羅轟えもんを操縦しての空中戦・見切り・残像で回避。
避けきれない場合はビームシールド盾受けとオーラ防御で耐える。

お返しにダブルビームライフルの2回攻撃・砲撃・スナイパー・貫通攻撃で撃ち抜きつつ相手に接近。
流水剣によるUC:ソウルスラッシュ・闇の属性攻撃・精神攻撃でクエーサービーストの魂と精神を斬り裂く。
如何に巨体でも魂と精神への攻撃は効くかも?と、相手の注意を引き付けます。



 クエーサービースト『フリシレアMOS』。
 その姿は生物的な臓器のような器官が集合して出来上がった翅在りしモノの姿をしていた。
 その薄ピンク色の体表は脈動し、たしかに『フリシレアMOS』が生物であることを示していた。
 これが銀河帝国すら寄せ付けなかった強大なる力。
 その威容は言うまでもない。
「うわあ、怖いとか大きいとか言う以前に、何か生理的に嫌な形状」
 冷や汗を垂らしながら、リューイン・ランサード(竜の雛・f13950)はドラゴニアン型スーパーロボットである『弩羅轟えもん』のコクピットの中でつぶやいた。
 その威容、異形。
 あらゆる部分がリューインの心を逆なでするようであった。
 脈動するたびにアレが生きているモノであるということが信じられない。

「でも人々の被害を出さないよう、がんばります……」
 嫌だけど、とつぶやいた言葉はコクピットの中に溶けて消える。
 リューインはドラゴニアン型スーパーロボットを駆り、宙域へと急行する。そのモニターの中に映るのは小惑星サイズのクエーサービースト『フリシレアMOS』。
 5m級のキャバリアであっても巨大さを感じさせ、その姿はまさに怪物と呼ぶに相応しいものであった。

「翅状の器官……あれが、スピードを生み出すっていうのなら、突進……その質量を武器に変えての攻撃が主体のはず……なら!」
 それならば読みやすい。
 彼の身に秘めた力、第六感とも言うべき勝負勘とあらゆるものを瞬間的に思考し決断を下す判断力でもって『フリシレアMOS』の攻撃を読み切るまで。
 だが、それ以上に先行した猟兵たちが足止めをしてくれたおかげで、戦いやすい。今まで無数の動きを止めるユーベルコードを受けてきたのだろう。
『フリシレアMOS』の動きは精彩を欠いていた。

「ビームシールドで受けるまでもない!」
 ドラゴニアン型スーパーロボットが宇宙空間を華麗に舞い飛ぶ。
『フリシレアMOS』にとってキャバリアのサイズのものなど障害物にもならない。
 だからこそ、ここで止める。
 あの体当たりを受けては宇宙船と言えど砕け散る運命だ。
 構えたダブルビームライフルの砲撃が『フリシレアMOS』の巨躯を焼く。どれだけ強大な外殻に覆われていようとも、砲撃を受ければこちらに攻撃の意識が向く。

「動かせない! この一閃で悪しき魂を斬り断ちます!」
 あのクエーサービーストを制御しているのが猟書家であるというのならば、今まさにあのクエーサービーストの魂とも言うべき核だけを攻撃すれば動きは鈍るはず。
 魂のみを攻撃する術を持つリューインにとって、それこそが最大の時間稼ぎであった。
 清冽な清水の如き蒼い光を放つフォースセイバーが振りかぶられる。
 極大の刀身へと姿を変えた蒼い光の一撃が振り下ろされれば、その一撃はクエーサービーストの外殻をすり抜け、その体を操っている猟書家へと振り下ろされる。

「――っ! 硬い……! これが猟書家!」
 だが、その一撃は猟書家の張り巡らせた防御に止まる。
 両断しきれない。
 一撃では倒すことはできない。それはある意味で苦戦であったのかもしれない。けれど、それでいい。
 リューインにとって今為すべきことは時間稼ぎだ。相手の注意を引き、クエーサービーストをこの宙域に固定することが、真なる目的。
 そういう意味ではリューインはクエーサービーストを引きつけ、この場にとどまらせることに成功するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
還る星を探す旅の最中に現れた、猟書家の軍勢。
果て無き闇を往くこの旅は、何処まで続くのか。

■闘
『2』
俺は足止めを。宇宙服だけ借りて船を飛び出し
【剣宿・現】を発動、【空中戦】形態へ突入。
本気かと聞こえたが、サムズアップのみ返す。

先ずは纏われた剣気で敵の意識を此方に向けさせ、
宇宙船がある場所とは逆の方向に突進させる。
その際は器官の動きを【見切る】ように注視しつつ、
【残像】を伴う緊急回避で惑わす。

だが、足止めする以上は俺も攻撃せねば。
【視力】で目を凝らし『器官が集中している場所』を探り、
発見したら一気に斬りかかって【切断】するぞ。

止めは刺せずとも、少しでも戦闘力を削げれば満足。

※アドリブ歓迎・不採用可



 見果てぬ夢が見せるのは人々にとっての希望であったことだろう。
 何処までも続く銀河。
 無限にも思える宇宙空間は人間にとって広すぎる。居住可能惑星を喪ったスペースシップワールドの人々にとって、大地に足を根ざすことは根源的な欲求であり、叶えなければならない夢であったことだろう。
 故に未踏宙域は最後の希望であった。
 銀河帝国によって尽く居住可能惑星を破壊された人々にとって、銀河帝国すら征服することのできなかった未踏宙域こそが最後の寄す処となるのかもしれないのだ。
「還る星を探す旅の最中に現れた、猟書家の軍勢。果てなき闇を往くこの度は何処まで続くのか」
 愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は、道なき道を征くようなスペースシップワールドの人々の心を考えると、それがかすかな糸に過ぎないのだとしてもすがりたく成る気持ちがわかるような気がした。

 宇宙服を借り受けて猛禽の翼を広げた清綱の瞳がユーベルコードに輝く。
「剣の神は、我と共に在る……」
 その光が星々の輝きのように明滅し、清綱の身体を天空舞う剣神の力の一部を操る憑神体へと姿を変える。
 本気かと誰かが叫んだ気がしたが清綱は笑った。
 笑って親指を立て、『惑星破壊級ブラスター』の設置、整備に負われるクルーたちへと設置を急ぐように促す。
「俺に心配は何も要らない。あるのは事を必ずや成し遂げるという意志のみ。さあ、いざ参ろう。星の海、今が駆ける時!」

 一気に猛禽の翼を広げ、羽ばたく。
 地上に在りて空を飛ぶのとは勝手が違うだろう。だが、それがどうしたというのだ。
 何の問題もない。
 ユーベルコード、剣宿・現(ツルギヤドシ)によって得た飛翔能力は矢のようい一直線に目標であるクエーサービースト『フリシレアMOS』へと向かう。
「先ずは俺を認識してもらう!」
 解き放った剣圧によって、クエーサービーストの意識をこちらへと向けさせる。
 敵意を感じ取れば、必ずやあのクエーサービーストは己を排除しようとするだろう。それが居生物的な反射というやつだ。

 だからこそ、清綱は単身戦いを挑む。
 かのクエーサービースト『フィールドMOS』の特性はその速度である。
 圧倒的な速度で持ってあの巨体をぶつける攻撃方法は巨大な宇宙船と言えどひとたまりもないものだ。
「小惑星サイズ……とは言え!」
 ユーベルコードの輝きをまとって飛翔する清綱に躱せぬ道理はない。
 圧倒的な速度で持って残像を残しながら宇宙空間を駆け抜ける。その姿はクエーサービーストをして無数の敵が存在しているようにさえ思わせただろう。

「止めをさせずとも! 生物であるというのならば!」
 その瞳が捉える。
 いくつもの臓器が重なったような身体。
 その巨躯に集中した部分を切り刻む。放った斬撃が『フリシレアMOS』の身体を引き裂く。
 だが、まだ浅い。 それほどまでに巨体なのだから致しかたない。
「少しでも戦闘力を削げれば……! 必ずや後詰めの猟兵たちがやってくれる」
 ならばこそ清綱は時間を稼ぐ。
 倒せないでいい。
 少しでも長く、この場にクエーサービーストを足止めする。

「――今か!」
 その瞳が見開かれる。
 そう、準備が整っただ。『惑星破壊級ブラスター』による超長距離射撃。
 一撃必殺のために費やしたのは数多の猟兵たちと、宇宙船のクルーたち。
 信念の一撃が今、放たれようとしていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
1
ガンナー達には貴方呼び
AIは女性口調で敬語

今回は別の世界だ、よろしく頼むぞ、銃兵、Minerva
狙撃仕様のキャバリアとはいえ、ガンナーには敵わないからな。援護する

SPDで判定
まずはAIと一緒に【視力】【暗視】【情報収集】で周辺地域を確認
ガンナーの狙撃に邪魔になりそうな物があれば、義眼の藍の災い:圧壊【重量攻撃】をUCで付与した弾丸で【地形破壊】して視界を確保する
そのまま圧壊を付与した弾丸で行い【スナイパー】【鎧無視攻撃】【全力魔法】を使って攻撃
攻撃よりも援護を優先し必要なら【救助活動】を行う


シキ・ジルモント
『1』
惑星破壊級ブラスターによる狙撃を行う

現地のブラスターガンナーに協力を頼む
惑星破壊級ブラスターを扱うに当たっての注意点、狙撃の際のコツも聞いておきたい
自分が普段扱う拳銃とでは、大きさはもちろん挙動のクセも違うだろうからな

それからもう一つ、制御宝珠の位置を確認しておく
あの巨体のどこに的があるのか、正確に把握する必要がある

狙撃の際は先に確認した注意点やコツ、制御宝珠の位置を改めて確認して実行する
ユーベルコードを発動、惑星破壊級ブラスターの持つ性能を最大限に引き出し、超遠距離狙撃を成功させたい

どうあっても成さなければならないと強く考える
その緊張感もプレッシャーも、その瞬間だけは意識の外へと置いて


ファランス・ゲヘナ
【心境】
ふはははははは…クェーサービーストヨ。
人類の英知は貴様の驚異を超えたのダ。

【担当】
1

【行動】
ウム、『惑星破壊級ブラスター』に乗り込み狙撃準備ダ。
宇宙海賊流の『スナイパー』技術を魅せてくれるゾ。
ユーベルコード大軍団を発動。
分裂したオレ達で発射の準備を進めるゾ。
A班は『魔力溜め』『力溜め』でチャージを開始
B班は『情報収集』でクェーサービーストへの射線を計算し確保。
C班は『メンテナンス』確認。急ゲッ

そしてオレは最終形態に形状変化したらトリガーに指をかけル。

A「エネルギー充填OK」
B「目標ヒトマルナナハチ。照準OK」
C「ブラスターの調子問題ナシ。いつでも撃てるぞオレ」
オレ「死に晒セー!!」


セルマ・エンフィールド
【1】

初めて見るタイプのクェーサービーストですね……
これまでのものと違い遠距離攻撃はなさそうですが、その分機動力があるタイプですか。

コツを聞くのもいいですが、まずは敵の動きを見極めることからですね。
宇宙船のモニターで敵を観察し、その動きを見切ります。
地上の生物の枠からは完全に逸脱していますが、一応生物らしいですからね。何らかの意図を持って行動しているのであれば、動きを予測することは可能です……特に、猟書家に支配されている今であれば。

見定めた後は五郎さんに撃ち方を教えてもらい、【1】担当の猟兵が他にいれば【アヴァランチ】を使用し狙撃を。



「初めて見るタイプのクエーサービーストですね……」
『惑星破壊級ブラスター』の設置が急がれる開拓船団の宇宙船の中から、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は、モニター映し出されたクエーサービースト『フリシレアMOS』の威容を見つめていた。
 これから『惑星破壊級ブラスター』によって撃滅しなければならない敵。
 かの銀河帝国ですら手が出せずにいた脅威。

 本来であれば戦わずにこしたことのない相手だろう。だが、それでも猟書家によってコントロールされたあの巨怪が動き出せば開拓船団及びに宇宙船に住まう人々もタダでは済まない。
「今回は別の世界だ、よろしく頼むぞ、銃兵、Minerva」
 己のキャバリアとAIに語りかけ、ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は着々と狙撃の準備を整えていく。
 あのクエーサービースト『フリシレアMOS』はその巨体を持ってあらゆる障害を弾き飛ばし、体当たりをぶつけてくる存在だ。
 単純な、と言えるのであれば、それがどんなに気楽なことであったか。
 あの小惑星サイズの物質が凄まじい勢いで突撃してくるのは悪夢でしかない。ルイスはAIと共に銃兵のカメラアイ、そして義眼のメガリスで見据える。
 障害物、あらゆる状況を想定しておくことにこしたことはないのだ。

「あんたが、達人級のブラスターガンナーであることは聞いている。惑星破壊級ブラスターの取り扱いについてレクチャーを受けたい」
 そう、いつもと変わらぬ気負いを感じさせぬ態度でシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は老練なるブラスターガンナー、五郎へと尋ねる。
 彼は今、他のクルーたちと同様にせわしなく『惑星破壊級ブラスター』の設置に勤しんでいる。
 僅かな時間でも惜しいのだろう。
 その合間を縫って、シキは彼に教えを乞おうとしていた。
「デカさが折り紙付きだからな……エネルギーの投射、その理屈はわかってるな? 鉛玉を打ち出すのとは違う。それにここは宇宙空間だ」
「ああ、オレが使う拳銃とでは大きさは勿論、挙動の癖も違うだろうからな」
 お互いが射手であることも手伝ってか、二人の情報交換は驚くほどスムーズに共有化が成されていく。

 そして、もうひとりの猟兵が不敵な笑みを浮かべる。
「ふはははははは……クエーサービーストヨ。人類の叡智は貴様の脅威を超えたのダ」
 ファランス・ゲヘナ(     ・f03011)は笑った。
 笑わずにはいられない。どれだけ強大なる敵であろうとも、打ち倒せることはわかっているのだ。
 ならば、笑うしかない。
 打倒できぬモノなど何一つないのだとファランスは笑う。それは在る種の自信となって宇宙船のクルーたちに伝播していく。
 急ピッチに準備が進んでいく。
 だが、それでも時間が足りない。猟兵たちが先行して『フリシレアMOS』の行動を阻害してくれているが、ギリギリ間に合わないのだ。

 だが、そこをなんとかするのが猟兵である。
「かつテ、とある宇宙攻撃軍総司令官が言っタ。「戦いは数ダ」とナ
 ならば、大軍団(ムレルモノ)である。
 無数に、それこそ無限に親しい数まで増殖するような勢いでファランスの分身たちが整然と並ぶ。
 号令を飛ばし、班を分け、作業を手伝っていくのだ。
 エネルギーチャージ、コンピューターを用いた情報収集。さらには『惑星破壊級ブラスター』のメンテナンス。
 ファランスのユーベルコードに寄って準備は完璧に近い状態まで仕上げられていく。

 ファランスの情報収集と現地の猟兵たちの活躍に寄って情報が続々と集まってくるのだ。
「制御宝珠の位置はわかるか。あの巨体のどこに的があるのか、正確に把握する必要がある」
 シキがファランスから受け取った情報を元にブラスターを打ち込む射線を確認していく。
 シキのユーベルコード、バレット・イン・ハンズが輝き、『惑星破壊級ブラスター』の能力を底上げしていく。
 それは極限まで高められたエネルギーチャージを、さらに超えていくものだった。
 あの巨体に存在する制御宝珠。
 それを確実に破壊しなければならない。かつての出逢ったクエーサービーストたちもそうであったように、如何に臓器のように見える柔らかそうな外殻であっても、どんな機能を有しているかわからない。

 高められていくエネルギーの輝きが『惑星破壊級ブラスター』の砲口を輝かせていく。
「まずい……! 障害物が多すぎるぞ! ブラスターの熱量が減退されてしまう!」
 ルイスが叫ぶ。
 彼のメガリスが捉えていた。AIから算出された数字が僅かに外殻を突破できないことを示していたのだ。
 それは射線の途中にある障害物、デブリや岩石などがブラスターの熱量を奪ってしまうことに起因していた。
 だが、もう変更はできない。
 あのクエーサービーストがこちらを発見してしまえば、あれは全速力で逃げるだろう。
 そうなってはもう破壊する術がない。
 だからこそ、ルイスは銃兵と共に宇宙空間に飛び出す。
「俺が射線上の障害物を排除する! キャバリアから情報を送る。それで射線の見極めを!」
 銃兵の魔銃が輝く。
 属性付与(エンチャント)によって付与された藍色の輝きが放つ弾丸に乗せられ、無数に漂う障害物の全てを破壊し取り除いていく。
 圧壊の災いたる藍色の輝きが宇宙空間に明滅する。さらにキャバリアである銀の銃兵から送られてくる情報を受け取って、セルマが叫ぶ。

「クエーサービーストが動き出しました……! あの動き……翅状の器官で飛ぶ……いえ、速度を出しているのですね」
 地上の生物の枠組みにない存在。
 どれだけ似通った部分があろうとも、それを額面通り取ることはできない。今なお、あの宙域では猟兵たちが足止めしてくれている。
 だからこそ、セルマはその瞳を凝らして見つめるのだ。
「あれでも一応は生物……ならば」
「ああ、無重力内に飛ぶ生物……あれが獣だっていうのなら規則性が在る。いや、合理性と言えばいいか」
 老練なるブラスターガンナーである五郎がセルマと共に頷く。

「最終形態へと移行完了! オレたちよ!」
 ファランスは分身体たちが形状を変えた『惑星破壊級ブラスター』のロングバレル仕様へと形状を変化させる。
「エネルギー充填OK!」
「目標ヒトマルナナハチ。照準OK」
「ブラスターの調子問題ナシ。いつで撃てるぞ」
 分身たちが矢継ぎ早に言う。
 それと同時にセルマのユーベルコードが輝く。それは雪崩――アヴァランチの輝き。
 他者の攻撃とユーベルコードを束ねるユーベルコード。
「合わせます」
 ここに来てセルマのユーベルコードに寄ってシキのユーベルコードの効果が上乗せされる。極限まで上乗せされたエネルギー。さらにルイスの義眼が輝き、藍色のエネルギーへと変化を遂げた『惑星破壊級ブラスター』の方針が伸びる。

 ファランスの分身体たちが作り上げたロングバレル。
 その砲口から輝く藍色の熱線が、その砲身すらも溶かし尽くさんほどの熱量を湛えている。
「―――」
 それは四人の猟兵の誰がつぶやいたかわからぬ言葉であった。
 この場にいた猟兵の誰もが欠けていては為し得ぬ業。
 限界を超えてさらに充填されたブラスターの一撃は惑星を撃ち抜く以上の出力で持って一瞬で『フリシレアMOS』の制御宝珠を打ち貫く。

 ルイスが障害を排除し、ファランスが強化した砲身。シキが最大限まで性能を引き上げた。セルマの力が4人のユーベルコードを束ね、限界を超えさせた。
 その一撃が『フリシレアMOS』に知覚されぬ超長距離射撃を見事に完遂させる。

 本来であれば、制御宝珠を破壊しただけでは『フリシレアMOS』は討ち果たせない。
 だが、彼等は凌駕したのだ。
 どれだけ強大なる敵であったとしても、それを乗り越えられぬ道理などないというように、藍色の砲撃の光痕がそれを示す。
 どうあっても成さねばならないと強く想い、それを実行する。
 緊張感もプレッシャーも、その瞬間だけは意識の外に置いておく。そうすることによって撃ち抜くことの出来るものがある。

 それを四人は確かに示し、未踏宙域を照らす一条の光としてクエーサービースト『フリシレアMOS』を見事に撃滅させたのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ジュエル・ドミネーター』

POW   :    ジュエル・キエリビウムJOX
【宝石浸食化したキエリビウムJOX】に変身し、武器「【物質分解光線を放つ頭部の水晶体】」の威力増強と、【高速回転しながら、物質分解波動の連射】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    ジュエル・マインドミナBVA
対象の攻撃を軽減する【宝石浸食化したマインドミナBVA】に変身しつつ、【無限に変化する外殻が変形した殺戮兵器】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ジュエル・ヴァギアスEAT
【存在を喰らうという暴食の感情を爆発させる】事で【宝石浸食化したヴァギアスEAT】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エィミー・ロストリンクです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 藍色のブラスターの一撃がクエーサービースト『フリシレアMOS』を穿つ。
 その一撃で持って、かの巨怪は見事に制御宝珠を討ち貫かれ、その活動を止める。その残骸とも言うべき臓器の如き器官の中から現れるは、液体宝石の姿をした猟書家『ジュエル・ドミネーター』である。
「……クエーサービーストガ一撃デ……」
 それは彼にとって予想外の結末であったことだろう。

 例え制御宝珠が貫かれても、『フリシレアMOS』の身体さえあれば、『ジュエル・ドミネーター』は己を制御宝珠の代わりにして、開拓船団を蹂躙するつもりであったのだ。
 だが、猟兵たちの一撃は予想外すぎた。
 限界を超えた出力、それを束ねまとめる力。そして、決して外さぬ技量。足止めに徹した猟兵たちの攻撃さえも『フリシレアMOS』の巨大な身体を押し留め、位置をずらさせなかった。

「……見事。ダガ」
 そう、それでも猟兵恐れるに足らず。
 この体にはこれまで遭遇したクエーサービースト、全てを記録している。
 その都度形状を変え、その場に最適な姿へと変貌することができる。まだ遅くはない。猟兵たちを蹂躙し、開拓船団を破壊する。
 新たなるクエーサービーストを捕獲し、戦力拡充にする計画は些かも瓦解していない。
「コレカラダ、猟兵ドモ。オ前達ノ絶望ヲ喰ラッテ、我ハ征ク――」
 全てを支配するために。
『ジュエル・ドミネーター』の瞳が怪しく輝き、そのユーベルコードの禍々しき光を銀河の海に迸らせる。

 どれだけ強大な敵でも猟兵は立ち向かう。
『フリシレアMOS』の巨大な残骸が最後の戦いの舞台。そこに座す『ジュエル・ドミネーター』を排除し、未踏宙域をさらに切り開く。
 それこそが、開拓船団の最後の希望となるのだから――。
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
ガンナーには貴方呼び
AIは女性の声で敬語

攻撃の軽減と無限に変化する兵器、近くで戦ったら痛い目を見そうだ
あくまでも攻撃を軽減するだけなら断続的にダメージを与え続けてやる

SPDで判定
まずはAIと協力し【情報収集】
義眼の赤の災い:炎熱【焼却】をUCで弾丸に付与、【スナイパー】【全力魔法】【範囲攻撃】で【継続ダメージ】を与える
外殻を兵器にしたら藍の災い:圧壊【重量攻撃】を付与した弾丸を【スナイパー】【クイックドロウ】【全力魔法】【範囲攻撃】で壊す
炎が消えたら追加で炎熱の弾丸を打ち込みダメージを与え、兵器は攻撃されるより前に潰して敵を妨害する



 猟書家『ジュエル・ドミネーター』。
 その名のごとく液体宝石の体に寄ってあらゆるものを支配し、融合し、侵食していく。
 故に、その体の中にはこれまで取り込んできたクエーサービーストの因子がある。
 銀河帝国すらも手出しの出来なかった未踏宙域に長らく存在していたクエーサービースト。それらの力を己のものとして扱うことが出来る猟書家『ジュエル・ドミネーター』こそ、スペースシップワールドの住まう人々の希望たる居住可能惑星の発見を妨げる次第の障害であったのかもしれない。
「支配スル。全テ、支配スル。ソレコソガ我ノ目的」
 ぐにゃりと歪む液体宝石。
 その体が作り上げるのは『マインドミナBVA』。
 無限に変化していく外殻は殺戮兵器と化し、あらゆる攻撃を軽減していく。それはこの未踏宙域に置いては絶大なる力であった。

 だが、その『マインドミナBVA』ですら猟兵たちは乗り越えてきたのだ。
 一度乗り越えた相手に勝てぬ道理などない。
「ああ、そのとおりだ。どれだけお前の外殻が硬かろうが、無限に変化する兵器だろうが、打倒できぬ理由にはなっていない」
 ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)の義眼のメガリスが輝く。
 確かに『ジュエル・ドミネーター』が変化した『マインドミナBVA』の外殻は攻撃を軽減し、無限変化の殺戮兵器は近接戦闘になればルイスのかるキャバリアですら破壊するだろう。

 だが、それでもルイスは宇宙空間を飛ぶ。
「あくまで攻撃を軽減するだけなら――!」
 そう、無効化するわけでもなければ、吸収するわけでもない。 
 ならばやりようはいくらでもあるのだ。
「Minerva!」
 戦場を駆け抜ける。
 AIのサポートによって周辺の情報を収集していく。
 周囲にあるのは『フリシレアMOS』の遺骸とも言うべき残骸ばかりだ。マインドミナBVAの殺戮兵器が振るわれる。
 ドリルのように連なった腕がルイスをおそうが、残骸を盾にしながら攻撃を交わしていく。

「支配スル――!」
 その液体宝石に絡め取られればルイスとて危うい。
 だからこそ、ルイスは義眼のメガリスを起動する。
「銀の銃兵――銃を使わせてもらうぞ! 属性付与(エンチャント)!」
 キャバリアに装備された魔銃が輝く。
 その輝きは赤。
 付与される力は炎熱。放たれた弾丸が外殻へとあたり、その外殻を炎で包んでいく。
 例え延焼の力を軽減したとしても、断続的に与えられる炎の力は僅かであっても徐々に『ジュエル・ドミネーター』の力を削いでいくだろう。
「無駄ダ! コノ程度ノ攻撃ナド!」

 振るわれる殺戮兵器がルイスと銀の銃兵を襲う。
「そう来るだろうと思ったよ!」
 メガリスの義眼が藍色に輝く。
 放たれた弾丸から開放されるのは圧壊の力。
 マインドミナBVAの外殻を覆っていた炎が重力の力によって吹き飛ばされ、殺戮兵器を弾き飛ばす。
 さらに矢継ぎ早に打ち込まれた炎の弾丸がさらに『ジュエル・ドミネーター』の体を焼く。

 それは鬱陶しいことこの上のない攻撃であったことだろう。
 徐々に『ジュエル・ドミネーター』は己の力が削がれていくことに苛立ちを感じていた。
 完璧なる生命になるために支配を重ねてきたのだ。
 それがこんな炎一つで覆されてはならない。
「いいや、覆されるのさ。生命の輝きを知らず、何かを支配するだけのお前には」
 この炎が似合いだと言うようにルイスは再び赤の災いの力込められし弾丸を乱れ打ち、その外殻を徐々に焼き削っていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファランス・ゲヘナ
【心境】
貴様がどれだけクェーサービーストを捕獲しようとも結局は全てオレ達が滅ぼすだけの話なのダ。

【行動】
ブラスターガンナー、オレ様が前衛で戦ウ。
援護射撃は任せたゾ!!

【戦闘】
先ほどの最終形態の姿を維持したまま戦いを続行。

まずは『オーラ防御』を広く展開シ、ブラスターガンナーへ攻撃が流れないよう防ぎつツ、両腕から発射する『光子力』で外殻を切り裂クッ!!

ム、さすがに硬い…ン?レーザーの狙いが甘い…ほうこう撃つといいのカ。
アドバイス感謝

『ダッシュ』して接近したラ、懐から取り出したバス停で『傷口をえぐる』ように殴リ、その傷から体内へ『素潜り』スル。
体内から『捕食』し『生命力吸収』で『蹂躙』すル!!



 外殻が燃える。
 クエーサービースト『マインドミナBVA』の外殻はあらゆる攻撃を軽減する。それは無限に変化する外殻の特性故であったが、それを解除してしまえば炎が己の身を焼き焦がしていくことを猟書家『ジュエル・ドミネーター』は知っていた。
 それ故に今は解除できない。
 しかし、徐々に外殻にダメージが入っている煩わしさもまた言うまでもないことであった。
「煩ワシイ……! 一気ニケリヲツケル!」
 その外殻が変化し、殺戮兵器の如き凶悪なる腕へと変貌を遂げる。

 巨腕へと変化した殺戮兵器の一撃が『フリシレアMOS』の残骸の上に振り下ろされ、あらゆるものを破壊する。
 臓器の如き器官が飛び散る中、ファランス・ゲヘナ(     ・f03011)は、ブラスタガンナー五郎の放つ熱線の援護を受けて、飛ぶ。
「貴様がどれだけクエーサービーストを捕獲しようとも結局は全てオレ達が滅ぼすだけの話なのダ! 援護射撃は任せたゾ!!」
 熱線がファランスの突撃するコースを妨げる全ての障害を打ち貫いていく。

「邪魔ダ――!」
 殺戮兵器の腕が再び振るわれる。
 小惑星サイズの巨大なる腕は、それだけでも圧倒的な威容となってファランスの道行きを妨げる。
 だが、それをオーラの力で受け止め、ファランスは吠える。
 ブラスタガンナーである五郎に攻撃がいかぬようにと防ぎつつ、両腕から発せられる光子力の一撃が『マインドミナBVA』の外殻を切り裂く。

 だが、それは外殻の一枚を切り裂いただけに過ぎない。
 あらゆる攻撃を軽減するというのは誇張などではなかったのだ。光子力の一撃ですら防ぐ外殻の厚さに舌を巻きながらファランスは耐性を整える。
「ム、流石に硬い……」
「狙いが甘いんだ……! あの外殻の隙間を狙え! 変化している時に外殻がスリ合わさっていく所が狙い目のはずだ!」
 五郎の言葉がファランスに飛ぶ。
 なるほど、ファランスは得心がいく。確かにあの外殻の無限変化の力は凄まじい。

 それがあの攻撃を軽減するからくりであることは言うまでもない。
 だが、外殻が変化する際にずれる隙間。確かに一瞬であるが、つけぬわけではない。
「こうっ、撃つんだよ!」
 五郎の熱線銃の一撃が『ジュエル・ドミネーター』の変化した外殻の隙間を穿つ。だが、威力が足りないのだ。
 だからこそ、ファランスの持つ力が必要なのだ。
「なるほど……こう撃つといいのカ。アドバイス感謝」
 ファランスが『フリシレアMOS』の残骸の上を疾駆する。五郎がうがった外殻の隙間を狙って懐から取り出したバス停で傷口をえぐるように殴りつける。

「僅かでも隙間があるのなラ!」
 ファランスならばば潜り込むことができる。
 ブラックタールたる体であれば、形状を還ることなど容易だ。押し込んだバス停がつっかえとなって外殻が閉じきらぬ間にファランスは針のように体を鋭くさせ、『ジュエル・ドミネーター』の体内へと侵入する。
「オ、オオオ!! 我ノ中ニ、侵入スルナ――!」
「もう遅イ!」
 体内へと侵入したファランスが内側から捕食し、生命力を吸収し、その蓄えた力で持ってユーベルコードを発言させる。

 その輝きは液体宝石の体に劣らぬ輝きであった。
 光子力(キメワザ)の放たれたレーザーが『ジュエル・ドミネーター』の体を内部から焼き、その身を貫く。
 絶叫が響き渡り、そのすさまじい光の一撃と共にファランスが体内から飛び出していく。
「言っただろウ! 全てオレ達が滅ぼすと! お前の企みは全て潰える! 滅びるのダ!」
 更に放たれた光子力の一撃が、『ジュエル・ドミネーター』を『フリシレアMOS』の残骸へと叩きつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
出てきたわね、猟書家。ここがあなたの終着点。

忌々しいクエーサービーストに変身するのは厄介だけど、原型と同じ大きさじゃなさそうね。それなら手管は色々ある。

「全力魔法」酸の「属性攻撃」「結界術」の紅水陣展開。溶け崩れるがいいわ。
足止めに不動金縛り法を放って。

絶陣の強度が心配だけど、こちらも全力。そう簡単に破られるとは思っていない。
酸の靄にいつまで耐えられるかしら?

弱ってきたら、「全力魔法」雷の「属性攻撃」「衝撃波」の九天応元雷声普化天尊玉秘宝経を叩き込む。

そろそろ術式が限界ね。反撃が来る前に一旦離れましょう。
『迦利』に乗って、帰投するわ。

それにしても猟書家は何だって利用するのね。厄介な敵だわ。



 オブリビオンフォーミュラ亡き世界を狙う猟書家にとって戦力の拡充は急務である。
 猟書家『プリンセス・エメラルド』率いる『帝国継承軍』は、『ジュエル・ドミネーター』の能力に寄って銀河帝国すら手を付けられなかった未踏宙域においてクエーサービーストすらも使役しようとしていた。
 だが、その『ジュエル・ドミネーター』の目論見は猟兵たちの活躍に寄って阻まれている。

『惑星破壊級ブラスター』による超長距離射撃は見事にクエーサービースト『フリシレアMOS』の制御宝珠を討ち貫き、その巨躯すらも破壊してみせた。
 今も『ジュエル・ドミネーター』は猟兵たちの一撃に寄ってクエーサービーストの残骸の上に叩きつけられる。
「ガァ――! コノ、我ヲ! 我ハ喰ラウ! 存在スベテヲ!」
 その体が宝石侵食した『ヴァキアスEAT』へと変貌させる。全ての存在を喰らうクエーサービーストは、暴食の欲望を爆発させ、凄まじい速度で宇宙空間を飛ぶ。

「出てきたわね、猟書家。ここがあなたの終着点」
 忌々しいクエーサービーストに変身する能力を擁する『ジュエル・ドミネーター』は厄介と言わざるを得ない。
 クエーサービースト一体一体が尋常ではない戦力を有しているのだから仕方のないことであるが、それでも猟兵たちはクエーサービーストを確実に一体一体葬りさってきた実績がある。

 今更過去に現れたクエーサービーストを模したところで村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)にとっては脅威ではない。
「原型と同じ大きさ……といっても見劣りするわね! それなら手管は色々ある!」
 ゆかりを中心にあらゆるものを腐食させる赤い靄を発生させる。
 それは彼女のユーベルコードの齎す輝きであった。

 赤い輝きはまるで其処だけが赤い惑星のように包まれ、その中に存在する『ジュエル・ドミネーター』の体を腐食させていく。
 真っ赤な血のような強酸性の雨が降り注ぎ、宇宙空間であっても、ここはゆかりの領域なのだ。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。魂魄までも溶かし尽くす赤き世界よ、我が呼びかけに応え、世界を真紅に塗り替えよ。疾っ!」
 唱えるは、力ある言葉。
 敷くは紅水陣(コウスイジン)。

 この強酸性の雨が降り注ぐ真っ赤な血の戦場にありて、ゆかり以外は適応などできないだろう。
 どれだけ『ヴァキアスEAT』が存在を喰らう暴食成る欲望を持っていたとしても、身を溶かす程の強酸性の雨は飲み込むことはできない。
「絶陣の強度が心配だったけど、こっちも全力。そう簡単に破れるとは思わないこととね!」
 さらに足止めに不動金縛り法によって『ジュエル・ドミネーター』の体をつなぎとめる。
 だが、それでも『ジュエル・ドミネーター』は動く。軋む腕を引きちぎるようにして液体宝石の体でもって強酸性の雨の中を進む。

 それは驚異的な成る姿であったことだろう。
 まさしく猟書家『ジュエル・ドミネーター』が強大なオブリビオンであることを示していた。
「スベテヲ喰ラウ!」
 それは信じられない光景であった。
 金縛りの法を受けてなお動き、さらに強酸性の雨すらも飲み込んでいく。酸の靄にいつまで耐えられるかと思っていたが、これは凄まじい暴食の欲望。
 変化したのが『ヴァキアスEAT』でなければ、勝負が決まっていただけに、これはゆかりにとっても予想外……ではなかった。

「そこまで適応しようってすることは追い込まれているってことでしょう! 術式が限界に来る前に……!」
 ゆかりの身体が『迦利』の機体の上に飛び退く。
 その手にはユーベルコードの輝き。全てを撃滅する雷撃の一撃が『ジュエル・ドミネーター』へと放たれ視界を明滅させるほどのすさまじい光景を生み出して、ゆかりは帰投する。

 反撃をわざわざ受ける必要など無い。
 危なげなく勝つ。
 それが最大の目的だ。一人で戦うわけではないのだから、それでいい。
「それにしても猟書家は何だって利用するのね。厄介な敵だわ」
 ため息交じりにゆかりは未だ宝石の如き輝きを失わせない『ジュエル・ドミネーター』の咆哮を背に、宇宙船へと帰投するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK


どんなに強くたって、対抗する手はあるものさ。
絶望なんてするのは、死んだ後で十分だよ。

さて、攻撃を軽減して兵器に変形する外殻か。
どれだけ頑丈でも、同じ素材をぶつければ壊せるはず。

殺戮兵器の攻撃を見切って回避しながら、
兵器になった分脆くなった箇所を探そうか。
離れた所から見てるガンナーの人なら、見つけやすいかな。
見つけたらそこに斧を叩きつけて、壊して外殻の一部をもぎ取ろうか。

壊した外殻を掴んで投げつけたら、マインドミナVBAにぶつかる直前に、
【飛天襲爪】で投げた外殻を後ろから蹴って勢いよく叩きつけるよ。



 嘗ての銀河帝国でさえ手を出すことのできなかった未踏宙域。
 そのゆえんたるクエーサービーストの力は言うまでもない。だが、猟書家『ジュエル・ドミネーター』は、その力を侵食し支配する能力を持つ。
 それはあまりにも強大な力であり、使い方如何では、あらゆる宇宙船や組織を滅ぼすことができるだろう。
 小惑星サイズのクエーサービーストにとって宇宙船など、その巨大なる質量で破壊することは容易いのだ。
「支配スル……我ハ侵食シ、支配スル……」
 度重なる猟兵たちの攻撃を受けて、液体宝石の体を持つ『ジュエル・ドミネーター』の体は消耗へと追い込まれていた。

 だが、その体が変化する。
 あらゆる攻撃を軽減する『マインドミナBVA』の体へと変化する姿こそが、これまで『ジュエル・ドミネーター』が侵食し奪ってきたクエーサービーストのちからであった。
「どんなに強くたって、対向する手はあるものさ」
 それはクエーサービーストという名の絶望を前にしても一切に引くことのない力強い言葉であった。
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は、その瞳を前に向ける。
 どれだけ強大なる存在を前にしても彼女は退くことはしない。これまでだって何度も自身よりも巨大で強大なオブリビオンと戦ってきたのだ。
 その結果は、今、ペトニアロトゥシカが此処に立っていることが証明している。

「絶望なんてするのは、死んだ後で十分だよ」
 宇宙空間を疾駆する。
 後悔も絶望もする必要なんて無い。必要なのは前に踏み出す勇気だけだ。
「支配スル! オ前タチ猟兵モ侵食シ、支配スル!」
 振るわれるは殺戮兵器へと姿を変えた『マインドミナBVA』の外殻。その一撃を受けてしまえば、宇宙船と言えど一撃で大破してしまうほどの威力。
 さらにはあらゆる攻撃を軽減する装甲。
 打つ手がないと思わせるような力。だが、ペトニアロトゥシカはひるまない。

「どれだけ頑丈でも――!」
 振るわれた殺戮兵器を躱し、その腕が『フリシレアMOS』の破壊された残骸とも言うべき遺骸に叩きつけられる。
 複雑に変形し、殺戮兵器として成り立っている『マインドミナBVA』の装甲のつなぎ目を目ざとく見つけ、ペトニアロトゥシカはその装甲に手をかける。

 何を、と誰もが思ったことだろう。
 何をするつもりなのだと思ったことだろう。老練なるブラスターガンナーである五郎をしてもそう思わせた。
 ペトニアロトゥシカは言ったのだ。
 あの装甲の剥がれかけている場所、もろくなっている場所を教えてほしいと。
「だが、まさか――」
 そう、そのまさかであった。五郎は確かに見た。装甲がつなぎ合わせられる部分。そこが一番装甲の脆い場所であると。
 伝えた瞬間、ペトニアロトゥシカはまるで恐れなど知らぬとばかりに掴みかかっていた。
「同じ素材をぶつければ壊せるはず!」
 叩きつける斧が凄まじい火花を散らし、一気に外殻をひしゃげさせる。次の瞬間、怪力に任せてペトニアロトゥシカは外殻の一部をもぎ取る。

 それはまるで果物の皮を引き剥がすようなものであった。
「だから!」
 引き剥がした外殻を『ジュエル・ドミネーター』へと投げつける。
 そう、同じ素材同士であれば矛盾と同じだ。どちらも壊れる。絶対に防げるものなんてない。
 そして、それだけでは足りないことを彼女はよくわかっていた。
 ぶつかる瞬間に、彼女の瞳がユーベルコードに輝く。

「どこに居ようが、ひとっ飛びだよ!」
 放たれるは、飛天襲爪(レイダース・リープ)。
 瞬時に間合いを詰める凄まじい跳躍の勢いにのせて、ペトニアロトゥシカの蹴撃が『マインドミナBVA』の外殻とともに『ジュエル・ドミネーター』へと叩きつけられる。
 外殻が砕け、これまであらゆる猟兵たちの攻撃を軽減してきた『ジュエル・ドミネーター』本体へと、その痛烈なる一撃を見舞うのだ。

「どれだけ強大な力を奪ったところで――」
 使いこなせなければ意味がない。
 そういうようにペトニアロトゥシカは、そのユーベルコードの輝きを希望として宇宙空間に輝かせるのだっった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
本体はブラックタールのような、クリスタリアンのような……クェーサービーストを支配する特殊な能力を持っていることを考えると生まれも特殊かもしれませんね。

ここまでの宙域で他のクェーサービーストの力も得ていましたか。
ですが……ここまでにいた敵であれば、全て一度は越えている。またそうするのみです。

鳥の形の「氷晶ゴーレム」に乗り、宙を飛び戦闘を。
最初はフリシレアMOSの身体付近を低空飛行し、殺戮兵器の攻撃がフリシレアMOSに当たるようにしつつ攻撃を避けていきます。

殺戮兵器の攻撃によりさらにボロボロになったフリシレアMOSの残骸が宙を舞い始めたらそれに隠れつつ接近、【凍風一陣】の零距離射撃を撃ち込みます。



 叩きつけられた猟書家『ジュエル・ドミネーター』の身体がクエーサービースト『フリシレアMOS』の残骸に沈む。
 砕けた『マインドミナBVA』の外殻を即座に再生し、複雑に汲み上げた殺戮兵器へと変化させる。
 それは猟兵たちの猛攻に『ジュエル・ドミネーター』が押されていることを意味していた。あらゆる攻撃を軽減する外殻。
 それがなければ今頃『ジュエル・ドミネーター』は銀河の藻屑へと変わっていたことだろう。
 破損した外殻の隙間から見える『ジュエル・ドミネーター』本来の姿を見て、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は、確信していた。

「本体はブラックタールのような、クリスタリアンのような……クエーサービーストを支配する特殊な能力を持っていることを考えると生まれも特殊かもしれませんね」
 その恐るべき能力。
 銀河帝国ですら手を出せなかった未踏宙域。
 その要因たるクエーサービーストを操る能力は凄まじいの一言に尽きる。『ジュエル・ドミネーター』がいるだけで、『帝国継承軍』には強力な手駒が未踏宙域から補充できるのだ。
 それは猟兵たちにとっても、宇宙船にて居住可能惑星を探す開拓船団にとっても脅威そのものであった。

「全テヲ支配スル……! 銀河ノ全テヲ!」
 振るわれる殺戮兵器の一撃をセルマは鳥の形をした氷晶ゴーレムの背に乗って躱さう。
「ここまでの宙域で他のクエーサービーストの力も得ていましたか」
 殺戮兵器の一撃は『フリシレアMOS』の遺骸ですらたやすく粉砕するほどの一撃である。
 内臓の如き器官がぶちまけられた宙域を氷晶ゴーレムとともにセルマは飛ぶ。恐れは焦りを産む。冷静にならなければならない。どれだけ強大な存在であったとしても、セルマたち猟兵はこれまでも打倒してきたのだ。
 これからもそうする。
 そうしなければならない。人々を守り、居住可能惑星を見つける。
 その目的のために開拓船団の人々は危険な航海に乗り出したのだ。

 彼等の勇気に応えることこそが、猟兵達にできることだ。
「ですが……ここまでにいた敵であれば、全て一度は越えている。またそうするのみです」
 そのとおりだ。
 今まで乗り越えてきた敵の数をオブリビオンは知らないであろう。何度も、何度も、打ちのめされるほどの強大な敵であっても猟兵たちは乗り越えてきた。
 再び振り下ろされる殺戮兵器の一撃が、また『フリシレアMOS』の内蔵じみた器官を破片として飛び散らせる。
 あたりは最早残骸によって無数のデブリが密集するような状態になっていた。
 視界も通らない。
 だが、それがセルマの狙いであった。

 氷晶ゴーレムがデブリの如き『フリシレアMOS』の残骸の合間を縫って飛ぶ。
 確かに『マインドミナBVA』の外殻の強靭さは言うまでもない。
 あらゆる攻撃を軽減させるという外殻は伊達ではないからこそ、同じクエーサービーストの外殻ですらたやすく破片へと変えてみせるのだ。
「『寒い』と思う暇も与えません――勝負はこの一撃に」
 一気に駆け抜けるセルマと氷晶ゴーレム。
 その軌跡はまるで正確無比なミシン目のように宙域を縫っていく。破片に塗れた視界であれば、『ジュエル・ドミネーター』はセルマの姿を捉えることなどできはしない。

 同時に他の猟兵たちが『マインドミナBVA』の外殻を破壊している。
 その一点を貫く。
「――遅い!」
 手にしたマスケット銃、『フィンブルヴェト』の銃口が引き剥がされた装甲に突き立てられる。
 ゼロ距離。
 それはセルマのユーベルコードを明滅させる。

 勝負は一瞬だった。
 凍風一陣(イテカゼイチジン)のように放たれた絶対零度の冷気。
 それが『ジュエル・ドミネーター』本体へと打ち込まれる。針を刺すような一撃。
 けれど、それはクエーサービーストを取り込み、己の力とする『ジュエル・ドミネーター』の本体を貫く一射。
「ゴ、ァァァァァァ――!?」
 それはこれまで『ジュエル・ドミネーター』が感じたことのない痛みであったことだろう。

 液体であれば凍らせれば膨張する。
 液体宝石の体を持つ『ジュエル・ドミネーター』は内部から針で刺すような痛みに絶叫し、その姿を変貌させていく。
 そおの致命たる一撃を与えたセルマは氷晶ゴーレムの背から、その絶叫を見下ろすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
引き続き弩羅轟えもんに搭乗。

かつて遭遇したクエーサービーストの力を自分のものにしますか。
さすがは猟書家です。
とはいえ、ここで引き下がるわけにはいきません。
貴方をここで倒します。

UC発動しての高速機動・空中戦で自在に宇宙空間を動きつつ、オーラ防御を纏った残像を多数発生させて、相手の照準を惑わせ、更に第六感・見切り・瞬間思考力で回避。
躱しきれない攻撃のみビームシールド盾受けで弾く。

高速機動のまま、エネルギー充填・魔力溜めを行い、スナイパーで照準合わせた上で、ハイパー・バスター・キャノンの砲撃・光の属性攻撃・全力魔法・貫通攻撃を発射!

更に接敵して流水剣の光の属性攻撃・2回攻撃で斬り上げ、斬り下げる!



 ドラゴニアン型スーパーロボット『弩羅轟えもん』が未踏宙域を飛ぶ。
 その光は遠く控える開拓船団の宇宙船からも観測することができた。宇宙船のクルーたちは、その光に希望を見出したことだろう。
 言うまでもなく未踏宙域は危険極まりない場所である。クエーサービーストが跋扈し、未だ見ぬ種類のものすらも存在しているかも知れない。
 そんな宙域にあって恐れを抱えてもなお、飛ぶものがいる。
「かつて遭遇したクエーサービーストの力を自分のモノにしますか。さすがは猟書家です」
 ドラゴニアン型スーパーロボットのコクピットの中でリューイン・ランサード(竜の雛・f13950)はキエリビウムJOXの同じ頭部へと変形する猟書家『ジュエル・ドミネーター』の姿を見つめ、つぶやいた。

 確かに驚異的な能力である。
 あの能力が在れば、たしかに『帝国継承軍』の軍容はさらなる脅威を見せることだろう。
 それは同時に未踏宙域を開拓せんとする人々の希望を詰むことになる。
「とはいえ、ここで引き下がるわけにはいきません。貴方をここで倒します」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 ドラゴニアン型スーパーロボットの機体を包み込む損傷無効化バリア。
 その光はリューインの心に巣食う恐怖を克服していくたびに強化されている。どこまでも湧き上がる恐怖。
 戦いに際しての恐ろしいと感じる心。
 そのどれもが生命である以上、なくすることのできないものである。

 だが、それを人の心は克服していくことができる。
 未踏宙域を飛ぶリューインの心は今、それを克服する。その恐怖は未来を切り開く為に培われたものだ。
「――行きます!」
 展開されたバリアの強度が上がる。
 その機体を撃ち落とさんと放たれれるレーザーを物ともせずにリューインは突き進む。
 躱しきれぬほどの量のレーザーが宙域を埋め尽くしていく。
 そのどれもがドラゴニアン型スーパーロボットのバリアを貫くことはできなかった。リューインの克服した恐怖全てが力となって、どれだけ強大なレーザーであっても寄せ付けないのだ。

 高速機動のままにエネルギークォ充填していく。
 リューインが駆け抜けた後にはレーザーの乱反射を受けて明滅するデブリの如き『フリシレアMOS』の残骸ばかり。
「ハイパー・バスター・キャノン!」
 ドラゴニアン型スーパーロボットの頭部に設置された大型砲が光を湛える。
 それは限界まで充填されたエネルギーを投射する光であった。
 規格外の破壊力を生み出す必殺兵器が今、真っ向からキエリビウムJOXのはなったレーザーとぶつかり、エネルギーの奔流を迸らせる。

 拮抗する出力。
 明滅する視界。
 押し負けてしまうかも知れないという恐怖。だが、それでもリューインは、己の心に巣食う恐怖を振り払う。克服する。
 乗り越えなければと強く思うたびに機体の出力が上がっていく。
「行けぇ――!」
 ぶつかったエネルギーの奔流が『ジュエル・ドミネーター』へと押し戻されていく。
 その光景をリューインはも見ていなかった。

 その瞳にあったのは次なる一手。
 フォースセイバーを輝かせながら、爆発の最中から飛び出す機体。その手から振るわれる斬撃が振り下ろされ、『ジュエル・ドミネーター』の本体を切り裂く。
 さらに切り上げる一撃によってあたかも一瞬の一撃のような斬撃の痕を刻み込み、リューインはユーベルコードの輝きを迸らせながら、宙域に希望の輝きでもって、恐怖を克服した証を知らしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
◆SPD
宇宙バイクに乗って敵の対応に向かう

ダメージを軽減されるなら闇雲に攻撃しても効果は薄い
バイクブラスターによる狙撃で同じ個所へ何度も攻撃を重ねる
正確に同じ個所へダメージを与え続ければ、強固な装甲でも限界が来る筈だ

敵の兵器での攻撃にはユーベルコードを発動し対抗
増強した速度で回避を試みる

狙撃の際は敵の気が逸れる瞬間、味方ブラスターガンナーの攻撃にタイミングを合わせ、
先に教わった惑星破壊級ブラスターを扱うコツを取り入れる
これもブラスターだ、狙い方の注意点や実際に撃った感覚を思い出し、命中率を上げたい

そのコツを教えてくれた五郎に感謝しつつ
友軍である開拓船団に手出しをさせない為、猟書家へ攻撃を続ける



 斬撃の一撃が猟書家『ジュエル・ドミネーター』の体に刻まれる。
 本体である液体宝石の体に傷跡は意味がない。
 だが、猟兵たちが攻撃し、消耗を強いた体には別である。それ以上にクエーサービーストを侵食し支配するも、『惑星破壊級ブラスター』によって打ち貫かれた消耗の方が大きいのだろう。
「……コノママデハ……!」
 その全身を覆うのは『マインドミナBVA』の外殻である。
 あらゆる攻撃を軽減させる外殻。
 その中にこもることに寄って消耗を回復させなければならない。殺戮兵器へと変貌した外殻の腕を振り回し、猟兵たちを寄せ付けぬとばかりに回転する体。

 それは支配者として在るまじき姿であったのかもしれない。
 クエーサービーストという名の獣を侵食支配した者のすがたとしては、正しい。もはや獣でしかない。
 追い立てられ狩られるだけの運命を待つしかないのだ。
「ダメージを軽減されるなら闇雲に攻撃しても効果は薄い……」
 ならば、やるべきことは一つだとシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は無限に変化する外殻に覆われた『ジュエル・ドミネーター』を宇宙バイクでもって周囲を駆け巡りながら判断する。
「コツを教えてくれた五郎に感謝しなければならないな……」
 言葉少なであったが、あの宇宙船にいたブラスタガンナーである老練なる五郎の教えはシキの中に今も存在している。

 教えを請うたことは間違いなどではなかった。
「ならば、俺は応えよう。ゴッドスピードライド……」
 宇宙バイクが変形する。
 それはバイクブラスターを効率的に放つことのできる形態であった。ダメージを軽減されるのならば、同じ箇所に何度も攻撃を重ねればいい。
 どれだけ変化しようとも、相手の形状をつぶさに観察し、的確に正確にその一点のみを撃ち貫き続ける。

 それは五郎の教えでもあった。
 増強された宇宙バイクの速度でもって宙域を駆け抜けながら、振り回される殺戮兵器の腕を躱し続ける。
「無駄ダ――! コノ外殻ハ穿ケナイ!」
 本体にダメージの入っている『ジュエル・ドミネーター』が吠える。
 それはある意味で恐怖にかられていたのかも知れない。冷静さを喪っていたのかも知れない。
 これまで猟兵達に『フリレシアMOS』の制御宝珠を撃ち抜かれた事を始め、『ジュエル・ドミネーター』は確実に追い詰められていた。

「その焦りが、焦燥がお前の運命を決定づける」
 今もなお、トリガーにかけた指に感触が残っている。
 超長距離射撃。
『惑星破壊級ブラスター』の一射。
 あれは己だけの力で為し得たものではない。あの場に居た猟兵達全ての力が束ねられたからこそ得た経験。
 だが、その経験はシキの技量にさらなる躍進を齎す。

 どれだけ射撃するポイントが不安定であろうとも、己の視線は外さない。
 感覚を思い出す。
 トリガーの重みすら感じない。まるでそう撃つことが運命づけられたいたかのような感覚。
 引き金を引くたびに打ち出されるブラスターが『ジュエル・ドミネーター』の外殻の一点のみを貫いていく。

「無駄だ……それは無駄な行いだ」
 シキは冷静だった。
『ジュエル・ドミネーター』とは対極の位置にいた。
 どれだけ己の耐性を崩させようとしても、無意味だった。引き金を引くたびにブラスターの熱線が外殻を徐々に貫いていく。
「友軍である開拓船団に手出しはさせない……」
 その一点においてのみシキの技量は限界を超える。
 超精密射撃。
 ただ一点のみを貫くこと数百発。その全てが外殻の一点だけを穿ち、ミリ単位の誤差すらなくブラスターの熱線を届かせる。

 まさに超絶為る技巧。
 それはこれまで培われた老練なるブラスターガンナーの技量を持ってして完成した、シキだけの技術。
 その一撃一撃が『ジュエル・ドミネーター』をさらなる境地へと追いやっていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
その姿が、別の存在に変わっていく……
あれは、俺も一度見たことがある存在だ。
間近で見ると迫力のあった、JOX。
■闘
引き続き、【空中戦】形態で戦闘へ。
確か奴は物質に干渉する攻撃を使えた筈だ……
なれば『心切』に【破魔】の力を宿して非物質化し、
受け止められるようにするぞ。

まずは敵の放つ光線を『心切』で【武器受け】し、
受け止めた状態で追いかける。なお追跡の際は回転する
瞬間を【見切り】つつ波動攻撃を警戒、仕掛けられたら
タイミングに合わせて【衝撃波】を放ち、振り払う。

近づいてきたら一気に行こう。
咄嗟の【ダッシュ】で距離を一気に縮め、横切るように
【夜見・改】を放ち、その霊魂を絶つ。

※アドリブ歓迎・不採用可



『キエリビウムJOX』。
 物質分解光線を放つ頭部を持つクエーサービーストである。
 その砲撃能力は言うまでもない。
 すべての物質を分解し、破壊せしめる力は脅威でしかない。それを猟書家『ジュエル・ドミネーター』は侵食し支配していた。
 変形した頭部を向ける。
 あらゆるものを侵食し、支配するという欲望のみにおいて過去の化身として滲み出た『ジュエル・ドミネーター』は、その破壊の力を猟兵に向ける。

 それは本来であれば開拓船団に向けるべきものであった。
 だが、『ジュエル・ドミネーター』は追い詰められていた。無敵に近い外殻も尽くが猟兵達によって貫かれ、本体である『ジュエル・ドミネーター』へと攻撃を届かされていた。
「その姿が、別の存在に変わっていく……あれは、俺も一度見たことがある存在だ」
 間近で見ると迫力があった『キエリビウムJOX』。
 その威容を愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は思い出していた。

 だが、それが恐れを引き起こすことはない。
 むしろ、懐かしさすら清綱の胸中に去来する。
「物質に干渉する攻撃……なるほど。なれば!」
 その手にした『心切』。
 刀身に宿したのは破魔の力。刀身を非物質化し、その光線を受け止める――否、切り裂く!
 放たれた破壊光線が清綱を襲う。
 極大の光の中に飲まれる清綱であったが、破魔の力宿した『心切』が破壊光線すらも切り裂く。
 それは超絶為る光景であったことだろう。

 破壊光線のエネルギーの本流ですら切り裂く姿。
 それは宇宙船のクルーたちにとっては驚異的であれど、希望の輝きにも思えたことだろう。
「この程度のことで、我ら猟兵が退くとでも?」
 誰も退くものはいないだろう。
 それは清綱が一番良く知っている。
 誰かのために戦う。誰かが理不尽なる思いをせぬようにと心を砕く。
 そのために戦うからこそ、猟兵には力が宿る。世界の悲鳴を聴き、それを救う。

 切り裂きながら進む清綱の猛禽の翼が広げられる。
 波状攻撃を放たれても関係がない。
 手にした『心切』の刀身は折れることはない。その尽くを切り払いながら、清綱は『フリレシアMOS』の残骸が浮かぶ宙域を飛び、その瞳に『ジュエル・ドミネーター』の姿を捉える。
「捉えた――お覚悟」
 霊力の込められし『心切』の刀身がユーベルコードに輝く。
 それはどれだけ強固な外殻に覆われていても関係のない、清綱のユーベルコード。

 霊魂のみを切り裂く一刀。
 その名を――秘伝、夜見・改(ヨミ)
 距離を詰めて横薙ぎに放たれる一閃は、たしかに『ジュエル・ドミネーター』の核たる霊魂を捉える。
「――ッ!」
 声にならぬ絶叫が聞こえた。
 これまで手にした力によって本体に攻撃を与えられることが殆どなかった『ジュエル・ドミネーター』にとって、その一撃はさらなる痛みを齎すものであったことだろう。

 猟兵たちが齎した痛み。
 それが『ジュエル・ドミネーター』を散々に狂わせる。
 痛み。
 痛み。
 痛み。
 そこまで言ってもそれしか感じられない体。強固なる支配を持つからこそ、脆い。
「痛みを知って骸の海へと還るがいい。猟書家『ジュエル・ドミネーター』。その能力、未踏宙域を切り開くために使えたのならば、お前が支配する以上のものを持たしただろうに」
 だが、それを惜しむことはない。

 未踏宙域を切り開くのは、能力でもなければ力でもない。
 開拓船団に集った人々の意志のちからによってのみなされる偉業なのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

髪塚・鍬丸
推進剤が心許ない。残骸の上に降り立つ。
現状、機動力も攻撃力も敵の方が上回る。宇宙での地の利も奴にある。
問題無い。御下命如何にしても果たすべし。
地の利が無いなら作るまで。【木の葉隠れの術】を使う。真空の宇宙空間に、木の葉舞う旋風の領域を発生させる。
防御力強化。木の葉が俺の姿を隠し、風が攻撃を受け流す。
推進剤が無くとも、UCの効果で領域内を自在に転移可能。
【早業】の高速転移を繰り返し【残像】で敵の気を引く。援護射撃を頼む、ガンナー。
ガンナーへの攻撃は風と木の葉で【庇う】。敵の気が俺から逸れた瞬間を狙う。
攻撃力強化。奴の死角に瞬間転移し【暗殺】。旋風を纏った「双身斬刀」による【2回攻撃】。



 猟書家『ジュエル・ドミネーター』の絶叫が響き渡る。
 それはこれまで外殻に覆われ、己に痛みを知らしめることなく他者を支配し、侵略してきた『ジュエル・ドミネーター』にとって初めての経験であったことだろう。
 己の痛みを知ることのない液体宝石の体は今、猟兵たちの攻撃によって確かに痛みを知らしめられていた。

「痛イ。痛イ。痛イ。コレハ知ラナイ! 我ハ痛ミナド知ラナイ!」
 頭部が変形していく。
 それはかつてのクエーサービースト『キエリビウムJOX』の力。
 変形した頭部はあらゆる物質を破壊する光線を放つ装置にして力。あの光線にさらされてしまえば、如何な猟兵と言えど防ぐことは難しい。
 だが、それでも髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)は征く。
 推進剤が心もとない。
 だが、征く。
 クエーサービースト『フリレシアMOS』の残骸の上に降り立ち、目の前の『ジュエル・ドミネーター』を見据える。
 現状を冷静に俯瞰すれば、機動力も攻撃力も敵の方が上回る。
 宇宙での地の利も『ジュエル・ドミネーター』にある。
 だが、征く。

 そう、それでも鍬丸には果たすべきものがある。
 そのために己の命をかけるのだと、その瞳がユーベルコードに輝く。
「問題ない。御下命如何にしても果たすべし」
 その瞳に絶望はない。恐怖はない。
 在るのは果たさねばならぬ使命。それを果たさずして死せることへの恐怖のみ。
 故に己の身命を賭して戦うのだ。

「……木の葉隠れの術。地の利がないなら作るまで」
 真紅の宇宙空間に木の葉舞う旋風の領域を生み出す。
 それこそが、彼のユーベルコード、木の葉隠れの術(コノハガクレノジュツ)。己の防御能力を底上げし、己の身にまとう旋風と木の葉によって身を守る。
 放たれた破壊光線が宇宙空間に明滅する。
 凄まじい抵抗。
 己の命を守ることだけにかまけている『ジュエル・ドミネーター』の攻撃は苛烈を極めていた。

 これまで支配し、侵略することしかしてこなかったのだろう。
 初めて己が滅ぼされるという痛みを知った者にとって、鍬丸の言葉は届かないだろう。どこまでも理解ができないものであったことだろう。
 己の生命をとしてでも為すべきこと。
 それを理解できない。
「無駄だ。この空間に在りて俺の足は縮地自在」
 レーザーの砲撃が乱れ撃たれる中にあってなお、鍬丸を捉えることはできない。
 そんな彼を援護する老練なるブラスターガンナー、五郎のはなったブラスターの熱線が『ジュエル・ドミネーター』を撃つ。

「援護ありがたい、ガンナー」
 そして、『ジュエル・ドミネーター』の気が鍬丸からそれた。
 それは彼にとって絶好の好機であった。
 ガンナーに意識が向いている。それは五郎にとっての窮地。それを救うのは鍬丸の身にまとっていた木の葉と旋風。
 その力の全てが五郎を守るために動いていた。
「ああ、それでいい。俺は俺のやるべきことを為す」
 気配が消える。
 破壊光線の一撃が木の葉と旋風によって防がれ、明滅する宇宙空間にありて鍬丸の存在はどこまでも希薄であった。

 次の瞬間、鍬丸の姿は『ジュエル・ドミネーター』の背後に在った。
 知覚させることすらない一瞬の空白。
 意識と認識。その全てを欺く足運びで持って鍬丸は『ジュエル・ドミネーター』の核に旋風を纏う一撃――……いや、二連撃を放つ。
 突き立てひび割れた核にさらなる打撃で持って砕く。
 それは一瞬の出来事であったことだろう。
「これにて御下命は果たされた。任務完了だ」
 霧散し、消えていく『ジュエル・ドミネーター』の体に背を向け、鍬丸は五郎とともに開拓船団へと祈祷する。

 他者を支配するだけの力しか持たなかった『ジュエル・ドミネーター』には決して待ち得ぬ者たち。
 開拓船団の勇気あるクルーたちの元へと鍬丸は戻っていく。
 力だけでは未踏宙域は切り開けない。
 其処に必要なのは勇気ある意志。
 開拓船団の彼等の意志こそが、この暗闇に満ちた宙域を切り開く力になるのだと、鍬丸は確信するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月24日


挿絵イラスト