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ヤング・アームズ セットアップ

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #デストロイ・プライム #アームドヒーロー #ヤング・アームズ #フィジックス

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●ラグランジュポイント
 そこに現れたのは塊――プライムだった。
 最初に融合したのは金属。
 それは巨大な身体の素となり、全ての礎となった。
 次に身としたのは集積回路。
 それは情報を蓄積し、知をアップデートし、本来の役目に対する最適の答えを提示する。
 やがてそれは機械の竜へと姿を成しつつあった。

「みんな、発見したわ。オブリビオンだと思うけれど、身体が機械で構成されているみたい。センサーの分析結果がおかしいのよ」
「了解、ゴッドウィンド。データをみんなに同期させたら、先回りして頭を叩いてくれ」
 高機動に特化したアーマーに身を包んだ少女が無線から伝わる言葉に眉を顰める。
「フィジックス、オブリビオンよ!? このまま猟兵の到着を待った方がいいんじゃないの?」
「奴らはここの超兵器を材料に生まれた可能性がある、猟兵を待っていて、先に悪用される方が危険だ。C-7ポイントで叩いてくれ」
 問いに答える声は若いが、彼の言葉も納得できる。少女はスラスターの速度を上げていった。
「キャノンボーイは、動きが止まった一瞬で良いから大砲を叩き込んでくれ。ジェネシスパスター、君のアーマーが一番硬くてパワーがある、飛び込んで乱戦に持ち込むんだ。レッドスティール、君は僕と一緒に遊撃だ、一番苦労してもらうよ」
 次々と仲間に飛ぶ指示。
 敵はオブリビオンだが、不思議と怖くはなかった――自分達なら出来ると信じているから。
「じゃあ、行くよ……ヤング・アームズ、セットアップ!」

●グリモアベース
「グリモアが呼んでいる! 大いなる宇宙の戦いにおいて皆の力が必要だと!」
 グリモア猟兵、雷陣・通(ライトニングボーイ・f03680)が左手に浮かぶグリモアを光らせて、猟兵に呼びかけた。
「今回も猟書家案件だ! 場所はヒーローズアースのラグランジュポイント。そこで猟書家、デストロイ・プライムが周囲の超兵器やテクノロジーを吸収して自らを強化しようとしているんだ……けど!」
 そこでグリモア猟兵は悔しそうに拳を握りしめた。
「大気圏外に存在するラグランジュポイントは広大すぎて、俺でも場所は特定できなかったすまねえ!」
 悔しそうに頭を下げる少年。
「でも、まだ可能性があるんだ」
 けれど切り替えは速い。
 すぐに彼は頭を上げ、皆を見る。
「あるポイントでオブリビオンとアームズヒーローのチームが交戦している。ここに合流して彼らを助けていけば、手がかりが見つかるかもしれない。今、その一帯の超兵器を管理しているのはヒーロー達だからね」
 グリモア猟兵の左手が輝き、道が開かれる。
「彼らの名前はヤング・アームズ。アームドヒーローで構成された若者達の集団だ。ちなみに場所は宇宙だけど、今回は宇宙服を渡すから大丈夫。重力も発生しているから普段と変わらない――それじゃ、よろしく頼むよ」
 ゲートの向こうには広大な宇宙が広がっていた。


みなさわ
 若者は武器を取る、使命の為に。
 こんにちは、みなさわです。
 今回はあるヒーローチームと共に猟書家の打倒を。

●戦場
 大気圏外に存在する『ラグランジュポイント』
 ここのC-7ポイントという場所からシナリオは始まります。
 OP書いている通り、今回は宇宙服を用意しているうえに、重力も発生していますので、場所を移動しない限り、行動に何ら支障はありません。

●デストロイ・プライム
 今回の敵にして、猟書家の一人。
 他の機械と融合、巨大化する能力を持ち、ラグランジュポイントの超兵器やテクノロジーを吸収しようとたくらんでいます。

●集団敵
 デストロイ・プライムが創造した機械化オブリビオンです。
 機械で構成された外見をしており、またパーツの一部であります。
 デストロイ・プライムとの合体のため、ラグランジュポイントを移動しています。

●ヤング・アームズ
 機械化オブリビオンを食い止める若きヒーローチームです。
 リーダーのフィジックスを中心に、皆アームドヒーローで構成されているのが特徴です。
 今回の事件を察知し、機械化オブリビオン相手に奮戦しています。

●プレイングボーナス
 ヤングアームズと共闘する、もしくは猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る。

●その他
 マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。

 それでは皆様、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『ザウルスマン』

POW   :    ザウルスアタック
単純で重い【拳や尻尾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ザウルススライディング
【怒りの感情】を向けた対象に、【スライディングキック】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    ザウルスアーマー
全身を【爬虫類の鱗】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:ぱぶ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●フィジックス イズ ライイング トゥ ヤング・アームズ

 僕はアルベルト・アーミテージ、またの名をフィジックス。
 自慢じゃないが、ヤング・アームズというチームのリーダーをしている。
「タリホー!! イイのが決まったぜ」
「調子に乗らない、すぐに装填してよ! 散開されたら意味がないんだから」
 今、怒られたのはキャノンボーイ、アーマーの荷電粒子砲でオブリビオンの集団を叩いたところだ。
 お調子者を窘めているのはゴッドウィンド、カンが良くてフットワークも軽い。
 だから、今、僕たちがやっていることの弱点だって分かっている。
「そうだ、俺やフィジックス、レッドスティールだけでは長時間抑え込めないからな」
 落ち着いた口調でオブリビオンを振り回しているのはジェネシスバスター、あの大型アーマーだと出力コントロールが大変だけど、繊細なコントロールができる上に細かいところまで気が回る男だ。
「うむ、だからこそ我々は短時間で相手の戦闘力を奪わねばならない。戦術は授業で習わないのか? 君達は?」
 この皮肉が効いているのはレッドスティール。
 ロシアの軍学校からやって来た男だ、あのアーマーも自分で設計して軍の協力の元に作ったらしい。

 僕たちの名はヤング・アームズ。
 同じアカデミーの生徒で、全員がアームドヒーロー。
「ハイスクールと幼年学校を勘違いしてないか、レッドスティール」
 みんな、頭がいいから。
「でも、君の言う通りだ。短時間で徹底的に叩くぞ!」
 みんなで嘘をつく。

 四発目の粒子砲が叩き込まれる。
 だけど、効果が薄い。
 ……限界が近づいてきた。
 戦場は広がりつつあり、皆の姿は視界には映らない。
 レーダーと無線だけがみんなの場所を教えてくれる。
 あとは無線で知らせた援軍か、運が良ければ猟兵の登場を待つだけ。
 それまで――
「みんな、分かってるね」
「多分、貴方が一番分かってないわフィジックス」
 ゴッドスピードはこういう時、いつも不機嫌だ。
 理由は分からない、物理学以外は専門じゃないからね。
「オレ達はヒーロー」
「ならば、使命を果たすべきだろう」
 キャノンボーイとジェネシスバスターが続く。
「つまり、各自奮戦というところだな」
 レッドスティールが敢えて言葉にしたのは、自分がそういう役割だって分かってるからだ。
「そうだよ。僕たちはヤング・アームズだ。やれることをやろう」
 だから僕も役割を果たそう。

「ヤング・アームズ……」
 これが最後になるかもしれない
「セットアップだ!」
 ――チームへのコール。
 みんな……生き残るぞ!
荒谷・つかさ
ヒーローとして、役割を果たす……その意気、その覚悟、見せてもらったわ。
よく持ち堪えたわね。私はワイルドハントの……いえ、この世界だと「秘密結社スナーク」の猟兵「荒谷つかさ」と名乗った方がいいのかしら?

キャノンボーイの援護に行く
恐らく砲撃支援タイプであろう彼が一番孤立すると危険と推測した故
一応、到着したらすぐに彼を通じてヤング・アームズ全体に「猟兵の到着」を伝え、無理しないようにしてもらう

到着後すぐに【逸鬼闘閃・鬼神咆哮】発動
私にタゲを集中させることで間接的にキャノンボーイを守る
また敵が私に群がることで、彼の砲撃も効率的に当てられるはず
攻撃は持ち前の「怪力」を活かした徒手空拳で行う


オリヴィア・ローゼンタール
首魁は力を蓄えている最中ですか
まずは雑兵を片付け、本領を発揮できないようにしましょう

【巨躯変容・炎冠宰相】で5メートル近い天使の姿に変身
ヤング・アームズの方々が襲われているところへ吶喊し、聖槍で【なぎ払って】オブリビオンを【吹き飛ばす】
ご無事ですか?
私はオリヴィア・ローゼンタール、これなる邪悪を掃討するため、共闘を申し込みます

共闘が成立すれば、巨躯を活用して敵を惹き付け(存在感・おびき寄せ)前衛を務める
聖槍に炎を纏って(属性攻撃)並み居る敵を斬り打ち穿つ(蹂躙)
尻尾を引っ掴んで振り回し、【怪力】を以って別の敵へ【投擲】
砲手が狙われれば【オーラ防御】を展開して立ちはだかり壁となる



●キャノンボーイ ミーツ アン エンジェル & ア オーガ

 ガンホー! ガンホー! ガンホー!
 ご機嫌なトカゲ野郎だぜ。
 畜生、数が多くて粒子砲を撃つチャンスすらねえ!
 ガトリングとソニックハンドで蹴散らすのが精一杯だ。
 フィジックスのペタワットレーザーやレッドスティールのクラスターミサイルが欲しいぜ!
 ……なーんてな。
 我儘言ったって始まんねえ。
 むしろ贅沢言って、ロクなことになった機会もねえ。
 弾丸切れるまで、ひきつけてやる。
 キャノンボーイ様の荷電粒子砲。
 近距離でお見舞いしたらどうなるか……楽しみにしてろよ。

 だが、そんな刹那的な楽しみすら薙ぎ払う何かが彼の視界を塞いだ。

「首魁は力を蓄えている最中ですか」
 聖なる槍はオブリビオンにとっては巨大な何かであった。
「まずは雑兵を片付け、本領を発揮できないようにしましょう」
 そびえ立つ5mに届こうかと思われる天使の姿は勇ましく、美しく、そして気高い。

 Metatron・scale
 巨躯変容・炎冠宰相

「私はオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)」
 それこそが彼女の秘められし力――ユーベルコード。
「これなる邪悪を掃討するため、共闘を申し込みます」
「ええと……なんて呼べばいい? エンジェルジャイアント?」
「普通に名前で呼んであげて。それはさておき」
 軽口交じりのアームドヒーローを嗜めるのは荒谷・つかさ。
「よく持ち堪えたわね。私はワイルドハントの……いえ、この世界だと『秘密結社スナーク』の猟兵、荒谷つかさと名乗った方がいいのかしら?」
「秘密結社スナーク!? ネットで聞いてるよ! オレの名はキャノンボーイ。まあ、見ての通り、大砲が自慢のアームドヒーローだ」
「では……」
 頃合いを見て、オリヴィアが口を開くと、三人は恐竜人間を思わせる鋼鉄の群衆へと視線を向けた。
「皆さんで共同戦線という事で」
「いいわ、前衛は任せて。それと他の仲間にも猟兵の到着を知らせて」
 つかさの言葉にアームドヒーローは頷いた。
「任せて、動画付きで送信するよ。ところでローアングルでカメラ回して……」
 キャノンボーイのアーマーから出てきた小型カメラを羅刹の女は即座に握りつぶした。

「まずは私から」
 つかさが足元を確かめるように軽くフットワークを刻む。
 トントントン……。
 小気味良い音が響き、そして終わった後。
「一気に行くわよ!」
 漆黒の髪は色を失い、羅刹は今、鬼となる!

 Wild Hunt・War cry
 逸鬼闘閃・鬼神咆哮

 真の姿から放たれる圧倒的なプレッシャー、それに当てられてザウルスマン達が警戒を強める。
 しかし――
 オブリビオンの意識がつかさに向いたときにはもうその顔は握りつぶされ、ラグランジュポイントの大地に引き倒され、飛翔と同時に削りつぶす。
 次に恐竜人の頭を掴めば、ストールを巻くように自分の身体に巻き付け叩きつける。
 その衝撃に耐え切れず、オブリビオンの機械の身体は木っ端微塵となった。
 全ては羅刹が振るう怪力。
 人外に等しき腕力、そこから裏打ちされるプレッシャー。
 必然と逃げられないと悟ったザウルスマンが一縷の望みをかけて、つかさへと殺到する。
 けれど、猟兵は独りではない。
 轟音とともに長柄の一撃が振る下ろされ、巻き起こる炎がオブリビオンの侵攻を止めた。

「させませんよ」
 オリヴィアの手が伸び、恐竜人の尻尾を容易く掴む。
 つかさほどの怪力は無いにしても、普段の三倍の身長が生み出すパワーと高さはオブリビオンを投げ飛ばすに苦労はない。
 ハンマー投げのように振り回されれば遠心力も手伝って、機械の身体は弾丸となって、オブリビオンを――味方を吹き飛ばす。
「私も居ることを忘れずに」
 機械生命体の前には炎の槍を持った天使が立っていた。
「――今です!」
 そして機を逃さないオリヴィア。
「もう狙ってるよ」
 応えるのはキャノンボーイ。
 破壊力が故に、形は必然と砲となる。
 そうでなければ排熱や出力の調整が難しいからだ。
 そして、砲身を支えるのは鈍重なアーマー。
 放つのは荷電粒子、その姿は人間大砲。
 だからこそ、彼は――キャノンボーイと呼ばれる。
「タリホー!!」
 つかさとオリヴィア、天使と鬼に気を取られていたオブリビオンが砲撃で崩れていく。
「オッケー、それじゃパーティーの続きと行こうか!」
 ヒーローの言葉に応えて、二人の女が前に出る。

 逆転の進撃が、今、始まる!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
【エクストリームミッション】を発動させてウィーリィくんを抱えて戦場へ向かい、【視力】で戦っている彼らの姿を発見したら【制圧射撃】+【援護射撃】でフォローしながら合流する
「困った時のサメ頼み!秘密結社スナーク所属の宇宙海賊シャークトルネード参上!」
無理やりねじ込んだ感強いけど勢いで納得してくれるよね?

ヤングアームズを【鼓舞】しながら協力し、力を合わせて敵をやっつける
猛スピードで周囲を飛び回りながら【乱れ撃ち】+【範囲攻撃】で熱線の雨をお見舞いし、同時に【罠使い】+【ロープワーク】でワイヤーを張り巡らせて彼らを縛り上げ、あとはウィーリィくんとヤングアームズとで力を合わせて一斉攻撃!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
俺は料理人であってヒーローじゃない。
それでも。
「お前たちの正義、味方させてもらうぜ!」
C-7ポイントに急行し、ヤングアームズに加勢する。

前に出て鉄鍋の【盾受け】の【ジャストガード】で彼らを【かばう】事で体勢を立て直す時間を稼ぐ。
そしてシャーリーと一緒に彼らと共闘して敵を撃退する。
【地形の利用】で近くの岩塊を盾にして敵の攻撃を防ぎ、【足場習熟】で飛び散った瓦礫を足場に【ジャンプ】して奴らを飛び越え、そしてシャーリーやヤングアームズと敵を挟撃する形で【飢龍炎牙】でまとめて一掃する。

ひと段落したら自己紹介。
「俺は猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員の料理人、ウィーリィだ。よろしくな!」



●ジェネシスバスター ウィズ パイレーツ&シェフ

 アーマーの腕が振るわれれば、オブリビオンと言えど吹き飛ぶ。
 殺すには足りないが、一時的に動きを止められるだろう。
 だが、それも限界だ。
 クライング・ジェネシスの脅威に対抗するために作られた最終兵器、ジェネシスバスター。
 それが俺のアーマー。
 だが完成を急いだが故に、長時間の運用は難しく、繊細の操作も求められる。
 既に関節のサーボモーターは焼きつき、指はろくに動かない。
 それでも進まねばならないのだ。
 人が悪意から身を守る鎧を身に着けられる日が来るまでは。
 俺の名はジェネシスバスター。
 人が鎧を纏う日が来るまでは、俺がその役割を担う。

 男が決意を新たにオブリビオンに立ち向かおうとした時、目の前を炎が舞った。

「見つけたよ、ウィーリィくん!」
「分かってる!」
 宇宙空間を飛ぶシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)の言葉に抱えられているウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)が答える。
「じゃあシャーリー……タイミングあわせて」
「うん、1……2……3!!」
 少女の手が離れ、ウィーリィが自由になったと同時に、シャーリーが纏うサメ型パワードスーツから砲火が放たれ、戦場を制圧していく。
「俺は料理人であってヒーローじゃない、それでも!」
 銃弾が跳ねまわる中、料理人が転がるように着地して、勢いをコントロールすると
「お前たちの正義、味方させてもらうぜ!」
 鉄鍋をザウルスマンの顔面に叩き込んだ。
「君達は……?」
「困った時のサメ頼み! 秘密結社スナーク所属の宇宙海賊シャークトルネード参上!」
 ジェネシスバスターの問いに代わりに答えたのは宇宙海賊。
「サメ……ひょっとして、これはイエーガームービー?」
「違う、違う」
 考え込む大型アーマーのヒーローにウィーリィが突っ込んだ。
「そうか、なら現実だな」
「ああ」
「だから、やっちゃお!」
 ジェネシスバスターの言葉に料理人が頷き、シャーリーが先を促す。
 三人が構えたところにオブリビオンが一斉に襲い掛かった。

 大型のアーマーを纏ったアームドヒーロー。
 パワードスーツを纏った宇宙海賊。
 そして、炎の料理人。
 三者の得意とするものが違えば、おのずと役割は決まる。
「さあ、来い!」
 ジェネシスバスターが両腕を広げ、悠然と構える。
 勿論、彼一人で倒せないことは自身が知っている、だが敵が注目すれば、それで充分なのだ。

 Extreme mission!

 サメが空を疾走する。
 いや、サメではない、シャーリーだ!
 高速移動からの熱線の乱れ撃ち。
 熱量の雨がザウルスマンに注ぎ込まれ、その動きが止まる。
 動きが止まれば走り出す道が出来上がる。
 ウィーリィがその道を目指して駆け出した。
 岩塊を盾に地形を利用し、そして飛び散った瓦礫を踏み込んで、オブリビオンを飛び越えるようにジャンプ。
 姿勢を立て直し、空中で構える炎――それこそが。

 Greed Blaze
 飢龍 炎牙

 紅蓮の龍が顎を開き、飢えを満たさんと恐竜人へと牙を向ける。
 ザウルスマンが逃げよう走り出す。
 だが、ジェネシスバスターの剛腕で吹き飛ばされ、シャーリーのブラスターに足止めされたオブリビオンを飢龍が逃すことは無かった。
 機械生命体たる恐竜人は全て炎に呑み込まれた。

「ところで……」
 全てが片付き、戦況を確認しつつアームドヒーローは問う。
「君達の本当の所属はどこなんだい?」
「ああ。それか……」
 ウィーリィが笑い。
「俺は猟兵組織、秘密結社スナークの一員の料理人、ウィーリィだ。よろしくな!」
 改めて自らの名を名乗った。
「なるほど……こちらにも通信が入った。サメの組織じゃなかったんだな」
 その言葉にシャーリーは笑い、改めて否定した。

 戦況はまた一つ、猟兵の方へと傾いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
遅れて申し訳ございません
『秘密結社スナーク』構成員が一人、トリテレイア
皆様の勇気と奮戦に敬意を表し、助太刀させて頂きます

射出したUCで形成した電磁障壁で敵の攻撃から彼らを●かばいつつ●騎乗した機械馬で●推力移動の勢い乗せ突撃
動きを止めた敵群を●怪力で振るう馬上槍と●乱れ撃つ格納銃器で●なぎ払い踏みつけ蹴散らし

この場所のマップデータを頂けますか?
先回りして先程の『壁』で敵の進行食い止め一網打尽とする布石を打ちます
(●瞬間思考力と地形の利用で設置ポイント●見切り)

大地も鋼の床も命の揺り籠には違いありませんが
眼下に蒼き星臨める良き場所ですね、ここは

さあ、迎撃を開始いたしましょう
突撃します、援護を!



●ゴッドウィンド サウ ザ スターズ フロム クレイドル

 あーもー、みんな馬鹿じゃない!
 こんなところで自己犠牲精神発揮しちゃって。
 死んじゃったらどうするの?
 意味ないじゃない。
 ……それ言ったら、私も人の事言えないけど。
 本当、あの物理学バカ、ほっとけない。
 いい? 分かってる? 私の仕事、これからが本番よ。
 できる限り、食い止める。
 突破されたら一気に逃げるか、誰かと合流する。
 私のアーマーが一番足が速いの。
 分かってる?
 ……うん、分かってる。

 だからこそ、彼女の仕事を成し遂げるために杭は振り下ろされ、ヒーローの視界を壁が塞いだ。

「遅れて申し訳ございません」
 機械白馬のスラスターが酸素を喰らい炎を吐き出す。
 怒涛の如き勢いで繰り出した槍はオブリビオンを串刺しどころか、機械の胴を吹き飛ばし二つの鉄に変えてしまった。
「秘密結社スナークの構成員が一人、トリテレイア。皆様の勇気と奮戦に敬意を表し、助太刀させて頂きます」
「秘密結社スナーク? あの、最近賑わせている都市伝説ね」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の名乗りにゴッドウィンドが応え、そして
「貴方達が黒幕……じゃないわよね」
「ご明察の通り、詳しくは――敵を蹴散らしてから説明します。まずはこの場所のマップデータをいただけますか?」
 トリテレイアが言い終わる前に周辺のマップが戦機のデバイスに同期される。
「これで、良かったかしら?」
「なんとも、お早いことで」
 これには騎士も言葉が出なかった。

「さあ、迎撃を開始いたしましょう」
 情報を集約したトリテレイアが機械白馬の鐙に体重を掛け、速度を上げていく。
「突撃します、援護を!」
「ちょっと? このまま飛び込んだら逃がしちゃうわよ」
 慌ててゴッドウィンドが騎士に追従し、問いかける。
「ご心配なく」
 戦機が頭を向けた先には
「奴らは逃げられません」
 電磁障壁に遮られ、動きを止めるザウルスマンの姿。

 Multiple barrier generator launcher
 多機能型電磁障壁発振器射出ユニット

 騎士が最初に撃ち込んだ数々の杭、それこそがトリテレイアの装備にして、ユーベルコード。
 大出力の電磁障壁を発生させるその杭はオブリビオンの逃げ道を塞ぎ、そして恐竜人の目的を阻む。
「先回りして先程の『壁』で敵の進行食い止め一網打尽とする布石を打ちます」
「分かったわ!」
 真意を理解したアームドヒーローが先行して、牽制の砲火を叩き込み、騎士がそれに続いた。

「それにしても」
 展開した右腕の銃器を撃ち込みつつ、左手でオブリビオンを障壁に叩きつけながらトリテレイアは言葉を紡ぐ。
「大地も鋼の床も命の揺り籠には違いありませんが、眼下に蒼き星臨める良き場所ですね、ここは」
「案外、ロマンチストね貴方」
 勢いを乗せた蹴りでザウルスマンを吹き飛ばしつつゴッドウィンドが返した。
「でも、そういうのは悪くないわ」

 戦術がオブリビオンの企てを阻み、後に残るは二つの使命。
 ヒーローを助け、そして敵を打ち倒すこと!!
 戦いはまだ続く。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミネルバ・レストー
ここは颯爽とヒーロー見参して、おいしいトコ全部
かっさらっていくのが一番手っ取り早いんでしょうけど……
彼らだってヒーローなら、共闘しない手はないわね
べ、別にていのいい盾にしようだなんて思ってないんだから!

ハロー、こちら「ブリザード・ネリー」!
遠距離砲台型って言えば話は早いかしら?

大魔法ぶっぱで雑魚を蹴散らすのは問題ないけど
その間わたしがノーガードになるのが難点なのよね
防御でも攪乱でもいいわ、何とか時間を稼いで頂戴

【逃れ得ぬ氷結世界】、このフィールドでも有効かしら
氷柱が当たれば上等、外してもどこかしらを凍らせて
向こうが強化するだけこっちも強化で追いすがってやる
爬虫類なら寒いの苦手でしょ? 凍えてよ


織部・樒
ザフェルさん(f10233)と行動
アドリブOK

確かに危急の案件ではありますが、万一彼らが壊滅してしまう可能性も…
とにかく急いで合流しなくてはなりませんね

交戦ポイントへ急行、ざっと戦況を見て把握に努め劣勢になっている所へは
【早業】【高速詠唱】等併用し護法を呼んで援護するなど適宜サポートしましょう

他の護法たちはザフェルさんのフォローと攻撃メインで
人手が足りなかったり念の為の護衛の場合は【式神使い】を使用します
私自身はヒーローたちにスネークの一員と名乗って挨拶しつつ共闘をもちかけます
錫杖を構え【武器受け】【見切り】【ジャストガード】【オーラ防御】で身を守りつつ【マヒ攻撃】【呪詛】で行動阻害を狙います


ザフェル・エジェデルハ
樒(f10234)と共闘
宇宙ってのは勝手が掴めなくて苦手だが、
行動に支障がねぇのはありがてぇな

ポイントに到着したらヤング・アームズに、自分たちはスナークの
一員であると告げ、【コミュ力】を使って協力要請する
俺は宇宙での戦いに不慣れでな。数も多いし援護を頼む!

敵を射程距離に捉え次第【高速詠唱】でUCを発動、【範囲攻撃】を行う
ここで数を減らさないと、後々合体されて厄介になりそうだな

敵の攻撃は【第六感】での回避や【怪力】で【武器受け】し防ぐ
地形が破壊されても状況から【情報収集】し、足場になる場所を見つけ
【地形の利用】を行う

さあて、有能な若者達の手本になれる働きをしねぇとな!



●レッドスティール イズ タクト バイ イエーガー

「確かに危急の案件ではありますが、万一彼らが壊滅してしまう可能性も……とにかく急いで合流しなくてはなりませんね」
 織部・樒(九鼎大呂・f10234)が現場に急行しつつ呟いた。
 戦場は分散しており、猟兵達も分散して行動するしかなかった。
 故に彼とその友は宇宙を駆ける。
「ああ」
 ザフェル・エジェデルハ(流離う竜・f10233)が短く答える。
 二人の間にはそれだけで充分。
「それにしても……宇宙ってのは勝手が掴めなくて苦手だが、行動に支障がねぇのはありがてぇな」
 そして、ここでザフェルが呟くのは張り詰めた緊張をほぐすため。
 それが分かっているからこそ樒は頷いた。

 兵士たる者、命令あるまで撤退はない。
 ヒーローとなっていてもそれは変わらない。
 なぜなら、私は国を守る者であり、そして英雄だからだ。
 国は応えてくれた、私の設計した『誰もが戦えるアーマー』というものに。
 だが、時には考える。

 ――ヤング・アームズ

 私と共に戦う同じ世代の戦士達。
 志は違うが、それでも私の意志を尊重してくれた。
 ならば――私も彼らを尊重すべきなのだろう。
 そうだ、今がその時なんだ。

 若者が友を理解した時、宇宙に冬が訪れた。

「ハロー、こちらブリザード・ネリー!」
 通信機を介してミネルバ・レストー(桜隠し・f23814)の声が響いた。
「遠距離砲台型って言えば話は早いかしら?」
「明確だな、ならば私がやるべきことは足止めか? 盾か?」
 颯爽と登場し、美味しいところをかっさらうのを我慢し、共闘の道を模索するネリーがアームドヒーローの言葉にわずかに心拍を上げる。
「正解よ。大魔法ぶっぱで雑魚を蹴散らすのは問題ないけど、その間わたしがノーガードになるのが難点なのよね」
 ここは正直者になるのが速い。
 こおりのむすめは自分の得意とする事と欠点を告げる。
「防御でも攪乱でもいいわ、何とか時間を稼いで頂戴」
「了解した。レッドスティール、これより状況を開始する」
 赤いアーマーのヒーローがライフルを構えて一歩前に出た。
 猟兵が来たのなら、彼らの力になろう。
 それが友の為なのだから。

 銃声が響く中、ネリーの指が動く。
 描くのは門。
 それは道、それはアンテナ、場を自らの領域へと変えるユーベルコード。
 その名を――

 Icicle Killing Fields
 逃れ得ぬ 氷結 世界

 降り注ぐ氷柱に次々とザウルスマンは押しつぶされ、そして凍結した大地に足を滑らす。
「爬虫類なら寒いの苦手でしょ?」
 こおりのむすめが追い打ちで吹雪を発生させながら呟くと
「……あれ、機械だぞ?」
 レッドスティールは空気を読まず、言葉を挟む。
「……いいから凍えてよ!」
 吹雪が猛威を振るい、次々と機械の竜人は氷像と化す。
 だが、敵の勢いが衰えることは無い。援軍とばかりに次々とオブリビオンが殺到しているからだ。
「数が多いわね、問題ないけど」
「そうだな、問題な無さそうだ」
 二人は呟く。
 何故なら援軍の姿を視界に収めていたのだから。

「秘密結社スナークのザフェルだ、助けに来たぜ」
「私は織部・樒。皆さん、ご無事ですか?」
 ザフェルと樒が名乗るとネリーは腰に手を当てて不満気だ。
「遅い」
「戦場は広い、仕方があるまい。だが、エンシェント・椀とその友が来たというなら、もう戦況はこちらに傾いた」
 冷静に状況を分析するレッドスティールにこおりのむすめは怪訝そうな表情を向ける。
「イントネーションおかしくない?」
「俺が考えた」
「ラスベガスで名乗った以来ですね」
 ネリーの突っ込みに対して、竜の使い手は自慢げに応え、天目茶碗のヤドリガミは過去を思い出す。
「旧交は温めたか? ならば仕事をしてくれ」
「悪いけど、話をしたのは初めてなの? 二人とも行ける?」
 アームドヒーローの言葉を受け流し、こおりのむすめは二人へ問う。
「問題ありません」
「さあて、有能な若者達の手本になれる働きをしねぇとな!」
 ここからは学びの時間。
 若きヒーローが、猟兵達の戦い、そして生き方を学ぶ時。

「護法! 頼みます」
 樒が印を結び錫杖で地面を突く。
 鈴が鳴るような金属の響きと共に現れるのは――

 Summon・Goho-Doji
 召 喚・護法-童子

 数字が刻印された童の神霊がヤドリガミの傍らに並び立つ。
「参ります」
 80体の式神を引きつれて、樒はオブリビオンへと飛び掛かった。
 錫杖が音を鳴らすたびに、一体、また一体とザウルスマンが動きを止めていく。
 不安定な足元では恐竜人得意のスライディングも効果を発揮せず、戦況は猟兵優勢のままとなり、オブリビオンの進軍もここで止まる。
「ここで数を減らさないと、後々合体されて厄介になりそうだ」
 そこへザフェルの詠唱が響く。
 その言葉は力強く、そして速い。
「我が槍よ」
 編んだ魔力は星の如く恐竜人の天に光り。
「嵐が如く敵を穿て!」
 槍となって降り注ぐ。

 Javelin Blast
 ――槍  嵐

 全てを呑み込むが如く荒れ狂う無数の槍がザウルスマンを射抜き、そして墓標となって大地にそびえ立った。

「……終わった?」
 ネリーが問う。
「いいや、まだだ」
 ザフェルが否定する。
「他の戦場でも戦いは続いています」
 樒が状況を解説し
「ならば、そろそろ終わりの一撃を下すべく、合流するという事だな」
 レッドスティールの言葉に三人の猟兵が頷き。
「ならば、私も君達に習おう。チームの為に」
 そしてヒーローは改めて協力を求める。
 友のために。

 形勢はほぼ決まった。
 後は決着の時が来るのを待つのみ。
 だが、それはそう遠い話ではなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ミハエラ・ジェシンスカ
フィジックス、ラスベガス以来か
等と悠長に挨拶を交わしている暇はなさそうだ

フォースレーダーによる【情報収集】
他の猟兵の動向も照らし合わせつつ
向かうべき対象を絞り込んで急行する

さらに【変形進化】させたウォーマシンどもを
最低でも射程分、可能な限り先行させる
この文明であれば対象となる機械には困るまい

敵との間に割り込ませるなりして合流
よく耐えた新兵。いいや、ヒーローか
ウォーマシンどもはそのままヒーローのフォローに当てつつ
反撃を開始する

アーマーの継ぎ目、鱗の方向性
そういう脆弱な点を【見切り】
攻撃の【受け流し】や【念動力】で敵の【体勢を崩す】
そうして着実に【切断】を
負傷を蓄積して増強を許すような真似はしない


御桜・八重
【SPD】

フィジックスに敵のキックが直撃する寸前、
花吹雪と共に現れ二刀を交差して受け止める!
「今だよ、撃って!」
敵が怯んだ隙に一緒に彼の仲間の元に転送する。

「初めまして!わたしは八重。皆を助けに来たよ!」

挨拶の後フィジックスに作戦を提案。
1対1じゃ分が悪くても、
全ヤングアームズVS敵1体なら楽勝だよね♪

戦闘中の味方の元に自分を転送。
敵を一体桜吹雪に巻き込み、
ヤングアームズが待ち構える中に転送する。
集中攻撃で一体ずつ確実に潰すよ!

敵が集団で向かって来たら、
ヤングアームズと一緒に他の猟兵の元へ転送。
皆でカウンターをお見舞いしてやろう!

彼らが伸ばした手をわたしは掴んだ。
掴んだその手は、絶対離さない。



●フィジックス ミーツ ザ イエーガー アゲイン

 ああああああっ!?
 僕、何、言ってんの?
 何がヤング・アームズ、セットアップだよ!
 何がみんな生き残るだよ!
 物理的に無理じゃん?
 敵、多すぎるってレベルじゃないよ!
 オブリビオンだよ!?
 ああ、こういう時は何て言えばいいんだっけ?
「精霊が言っている、今日が年貢の納め時だと」
 いや、違うな。
「今日は死ぬのにいい日だ」
 これも違うな。
 少なくとも僕のキャラじゃない。
 落ち着け、落ち着け……ペタワットレーザーはもうなくなったけれど、まだ戦える。
 やってやろうじゃないか。
 まずは僕を蹴ろうとする恐竜野郎を吹き飛ばすぞ!
 いくよ! 1……2……

 若きヒーローのその決意。
 それは視界を遮る桜によって報われた。

 右に陽刀、左に闇刀、二刀を構えて御桜・八重(桜巫女・f23090)がザウルスマンの攻撃を受け止める。
「今だよ、撃って!」
「分かった!」
 ヒーローの言葉と同時に少女の耳元を光線が通り過ぎ、漆黒の髪を揺らす。
「ああ、ごめん。光線が近かった……大丈夫?」
 謝罪するフィジックス。少年と少女の目の前ではオブリビオンが一体吹き飛ばされた。
「ええ、大丈夫よ。コホン……では改めて、初めまして! わたしは八重。皆を助けに来たよ!」
「ありがとう、ヤエ。じゃあ早速、こいつらをぶちのめ――」
 前に出るアームドヒーローを八重が制した。
「ううん、その前に。まず話を聞いて」
 そして告げられた言葉、フィジックスはスーツの下で笑みを浮かべた。
 勝算が見つかったのだから。。
 何も知らない恐竜人が一体、隙があると見て、二人に飛び掛かる。
 直後、桜吹雪が周囲を包み、二人と一体は姿を消した。

「フィジックス、ラスベガス以来か」
 桜が舞い散れば、現れるのは二人に飛び掛かったザウルスマンにフォールンセイバーを突き立てるミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)。
「……等と悠長に挨拶を交わしている暇はなさそうだ」
「そうだね、その手のトークは他に人に任せるよ」
 ミハエラが理力剣を薙ぎ、鉄の塊となったオブリビオンを尻目にアームドヒーローは言葉を返す。
「じゃあ、早速だけど彼らを巻き込んでパーティと洒落込もう。ヤエ、頼むよ」
「次はどこへ?」
 問い返す八重の周りを桜が舞う。

 SAKURA Alley
 桜  小  路

 それは桜の旋風が誘う、ほんの近道
「ゴッドウィンド。今、チームには足が速い奴が必要だ」
 桜吹雪は猟兵とヒーロー、そしてオブリビオンを巻き込んで移動する。
 ――仲間の元へ。
「……遅い!」
「援軍を連れてきたんだ、勘弁してくれよ」
 電磁障壁へとザウルスマンを追い込みながら、ゴッドスピードは自分達のリーダーに対し不機嫌に言い放ち。
 フィジックスは肩をすくめて、それに応えた。

「よく耐えた新兵。いいや、ヒーローか」
 ミハエラが前に出る。
「人手は多いに越したことは無いな?」
 邪道の騎士が伴うのは同じ戦機。
 だが、それは魂無き鋼鉄の従者。

 Transform
 変形 進化

 一定水準以上の機械をウォーマシンへと変化させ、操るユーベルコード。
 そしてこの場はラグランジュポイント。
 材料に不足はなかった。
 さらなる援軍が挟撃の手助けに場の戦況は終わりに向かい、一体のザウルスマンが逃れるように抜け出してくる。
 だが、それを阻む様に立つのはミハエラ。
「アーマーには継ぎ目があり、鱗には方向がある」
 流れるような動作で、オブリビオンの四肢を切断する邪剣の騎士。
「負傷を蓄積して増強を許すような真似をすると思ったか?」
 問いかけた相手は既に首が刎ねられ、その機能を停止していた。

 ――彼らが伸ばした手をわたしは掴んだ。

 宇宙に桜が舞う。
 八重とミハエラが伴うのは若きアームドヒーローチーム、ヤング・アームズ。
 そして猟兵達。

 ――掴んだその手は、絶対離さない。

 桜の巫女の決意に応えるかのようにフィジックスは無線へ向かって叫んだ。
「イエーガー&ヤング・アームズ――セットアップ!!」

 総勢十五人の一斉攻撃。
 猟書家の配下にして部品たるオブリビオンは一体残らず鉄くずの仲間入りを果たした。

 ヒーロー達は猟兵と出会い、そして仲間と再会する。 
 ……本当の脅威に立ち向かう為。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『デストロイ・プライム』

POW   :    グラウンド・ゼロ
単純で重い【足や尻尾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ジェノサイド・ブラスト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【全身のビーム砲】から【破壊光線の雨】を放つ。
WIZ   :    トリニティ・バースト
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【悪】属性の【破壊光線】を、レベル×5mの直線上に放つ。

イラスト:aQご飯

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミネルバ・アレキサンドリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●デストロイ・プライム ザ ワールドイーター

「猟書家――ビブリオマニア」
 猟兵の話を聞き、フィジックスは考え込み、そして――
「ひょっとしたら、僕たちが追っているものかもしれない」
 皆が求める道への灯りをともす。
「今から一時間前、微量なエネルギー反応を察知した」
 レッドスティールが言葉を継ぐ。
「そいつは十分で巨大な質量体となり、危険を感じた我々は出動したのだが」
「そこで、オブリビオンとかち合ったわけよ」
 キャノンボーイが肩をすくめる。
「そうなると、これから追撃に移るのが常道だと思うけれど……」
 ゴッドウィンドが次に行動を提案するが
「どうやら、その必要はなさそうだ」
 ジェネシスバスターが否定する。
「そうだね、やっこさんからやって来た」
 若きアームドヒーロー達の視界に何かが迫っていた。

 剣と魔法の世界なら、それはドラゴンと呼ばれるだろう。
 だが、その身体は未知の金属で構成され、機械の竜と呼ぶのがふさわしかった。
「大きいな」
「ざっと全長にして十五メートルだな」
 ジェネシスバスターの言葉に、レッドスティールがおおよその数字を割り出す。
「……スナークたらん、我の邪魔をするのは貴様らか?」
「ハハ……何かしゃべっているよ」
 巨大な機械竜――デストロイ・プライムが問いかければ、キャノンボーイが乾いた笑いを見せる。
「だとしたら、どうするの?」
 ゴッドスピードが挑発する。
 気のせいか、声がわずかに震えている。
「貴様らを殺戮し、我こそがスナークであると世に知らしめる。それが必然」
 猟書家の言葉には一切の情けはない。
「だ、そうだ。みんな……やるしかないようだね」
 その言葉にフィジックスは肩をすくめ、猟兵に向き直った。
「さて、本番だよ。御覧の通り強敵だ、僕たちだけじゃ勝てない。だから、僕たちを上手く支援に使ってくれ。弾避け、牽制、妨害工作、大抵のことは出来るはずだ」
 そして、デストロイ・プライムへと向き直る。
「デカブツのビブリオマニア、お前に伝える言葉はこれしかない」
 アーマーの中で冷や汗をかきながら、若者は笑った。

「イエーガー&ヤング・アームズ――セットアップ!」
ミネルバ・レストー

竜使いのわたしが、機械仕掛けのドラゴンに負ける道理はないけど
猟書家なんでしょ? なら、手こずるのは織り込んでおきましょう

なるほどね、手の内は分かったわ
じゃあ速攻で行こうかしら、悠長に詠唱してる時間なんてあげない
高速詠唱と多重詠唱の併用で極限まで発動を早めた
【戦女神の眼光】で、ひと睨みすれば降り注ぐ氷柱が穿つ
……っていう寸法で行きたいから、また力を貸して欲しいの

今度はわたしが先手を取るわ、それでも討ちもらしや反撃は喰らうかも
そこでチームの誰でもいいから援護をしてくれるかしら?
わたしをかばう必要はないわ
そんな暇があったら、少しでも多くあいつに攻撃を叩き込んで

大丈夫よ、体勢を立て直せたら加勢するわ



●ネリー イズ アン オープニング ギャンビット

「なるほどね、手の内は分かったわ」
 戦いの口火を切るのはミネルバ・レストー。
 ギムレットの為に魔術を使う役割がない今、彼女は身軽であり、その性格が最初の一手を担う事を選ばせた。
「今度はわたしが先手を取るわ、それでも討ちもらしや反撃は喰らうかも」
 だが、懸念を考えないほどの猪武者でもない。
 常勝不敗の女神だったのは過去の話。ならばそこへ至った理由は彼女の知性が証明するのだ。
「そこでチームの誰でもいいから援護をしてくれるかしら?」
 提案と同時に、一歩、二歩と、踏み込んで瓦礫を駆けあがればミネルバ=ネリーの視界はあっという間に猟書家と同じ高さ。
「危険だぞ、ブリザード・ネリー」
 レッドスティールがミサイルを発射する。
 出身国からなぞらえてカチューシャと呼ばれる多連装の小型誘導弾が機械竜の視界を塞いでいく。
「わたしをかばう必要はないわ」
 詠唱と同時にネリーの言葉が響いた――多重詠唱。
「そんな暇があったら、少しでも多くあいつに攻撃を叩き込んで」
 メッセージが終わり、詠唱に集中すると言語は可聴域を超え、歌に、鳴き声になって響く。
 直後、煙の向こうから殺意を発揮するこおりのむすめ。
 視界に移るのは、三つ首のシング ア ラウンド――同じく多重詠唱。
「伊達に首は三つあるわけではない」
「……そういう事」
 竜使いたる自分が機械仕掛けのドラゴンに負ける道理はない。
 だが、相手は猟書家。手こずるのは織り込まねばならない。
 だからこそ――ネリーは速度を選んだ。
 高速にして多重の詠唱、プロセスを極力排除した高速の術式は動作ではなく視線によって実現される。

 Icicle Rain
 戦女神の眼光

 降り注ぐ氷柱が竜の頭をしこたまに叩き伏せる。
 だが、猟書家もやられるだけでは終わらない。
 ワンテンポ遅れて放たれた破壊光線が氷を貫き、水蒸気によって減衰しながらもこおりのむすめを貫いた。
 左肩、右足、腹。
 光線に焼かれたはずなのに喉から血が溢れる、その隙を逃さずに眉間めがけての光線が飛んだ時、何かがネリーを庇い、そして破壊光線の領域から引き離した。

「無茶するわね!」
「ゴッド……ウィンド?」
「しゃべらないで! 舌を噛むわよ!」
 こおりのむすめを救った高機動型アームドヒーローは大地へ滑り込む様に着地し、そして転がった。
「メインのスラスターがやられたわね……そっちは立てる?」
「大丈夫よ」
 ネリーを庇ったことで外装のほとんどを失いながらゴッドウィンドが立ち上がり、少女もそれに続く。
「もう一発……行くわ」
「いいわ、支えてあげる」
 ネリーに肩を貸し、ヒーローは答える。

 猟兵が目を見開き、視線をデストロイ・プライムへと叩き込む。
 氷柱が再び降り注ぎ、機械竜の動きが止まったと同時にネリーの意識は闇に沈み、バトンは次の者へと託された。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

荒谷・つかさ
竜の肉ってとても美味しいから、斃した後が楽しみな相手なんだけど。
竜は竜でも機械の竜じゃあねぇ……仕方ないけど、スクラップにするしかないわね。

相手の体格が大きいのなら、むしろ好都合
恐れず気圧されず、真っ直ぐに飛び掛かっていく
足や尻尾の叩きつけに対しては「怪力」で以て真っ向から受け止め、そこを基点にして奴の身体をよじ登っていく
目標地点は頭部、顎の下……普通の竜であれば「逆鱗」があるであろう場所
着いたなら両脚でしっかり首を締め付け体勢を固定し、逆鱗ぽい場所へ向けて全力の【螺旋鬼神拳】を撃ち込む
まあ逆鱗じゃないにしても、砲口近いし弱点には違いないでしょう

アレ見てたらお腹空いてきたわ……焼肉食べたいわね



●アラヤ ストライク ザ ドラゴンスケイル

 火と氷が渦巻く中、フィジックスも攻撃に加わりつつ、戦況を見定める。
 今はレッドスティールが過去に言った『戦いは砲撃で頭を叩け』を地で行っているところ。
 教本通りなら、誰かが動くはず。
 ヒーローの予想通り、一人の女が距離を詰め、フィジックスも己の仕事をするために自らも敵陣へと飛び込んだ。

「竜の肉ってとても美味しいから、斃した後が楽しみな相手なんだけど」
 健啖家たる一面を持つ荒谷・つかさの表情には溜息一つ。
「竜は竜でも機械の竜じゃあねぇ……仕方ないけど、スクラップにするしかないわね」
 見上げた先に居るのはデストロイ・プライム。
 テクノロジーを喰らう機械の竜にして猟書家が一体。

「正面から来るとは、蛮勇も甚だしい。潰してくれる」
 デストロイ・プライムがその鋼鉄の後肢で叩き潰さんとつかさ目掛け足を降り落とす。
 空気の震えることが響き、足元が陥没した……が。
「……ふぅ」
 深く息を吐き、片手で受け止めた羅刹の女が逆に猟書家の足を押し返す。
「なん……だと」
「世の中には普通の身体で10トン持ち上げる人間だっているんだよ。非物理的だけどね!」
 バランスを崩す機械竜。
 間髪入れずにフィジックスが内蔵火器を展開してその全てを一気呵成にとばかりに叩き込む。
 気を逸らす必要があるからだ。
「――邪魔だ」
 猟書家の破壊光線がアームドヒーローを襲う。
 咄嗟にエネルギーフィールドで防いだが損傷は大きい、各所から内部機構を露出し火花を散らせながらフィジックスは地面に叩きつけられ、大地を転がった。
「闘争の世界に存在し英雄と言えど、やはり人間……なんだと?」
「お話は終わったかしら」
 デストロイ・プライムのセンサーに響くのは、竜の首を足で締めて、自らの身体を固定するつかさの声。
 倒れ伏す若者はマスクの下で笑みを浮かべた。

 バランスを崩し、そしてヒーローの攻撃を受けた、その一瞬のチャンスを羅刹の女は見逃さなかった。
 よじ登るのも面倒とばかりに地面を蹴ればその反発力で首筋まで跳び上がり、拘束する。
 全ては羅刹の怪力がなせる業。
「ヒュウウウウウウ」
 深い呼吸音、放つのは動作の遊びを排し、極限までコンパクトに研ぎ済まされた一撃。
 技は正拳、名は――

 Spiral Ogre Knuckle
 螺 旋 鬼 神 拳

 強烈無比な一撃がデストロイ・プライムの顎の下に叩き込まれ、衝撃からか猟書家は口から炎を噴く。
 火炎舞う中、つかさは着地すると機械竜を睨む様に見上げた。
「……やったかい?」
 フィジックスが問う。
 だが、返ってきたのは溜息と意外な答え。
「アレ見てたらお腹空いてきたわ……焼肉食べたいわね」
 終わった後の事を考えてなのだろうか?
 そう考えるとヒーローの心は軽くなった。

 勝てるとあの拳が確信させてくれたのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

織部・樒
引き続きザフェルさん(f10233)と行動
アドリブOK

絡繰り仕掛けの竜…確かに強敵ですね
ですが、此処で仕留めてみせます

ヤング・アームズの皆さんには敵詠唱の妨害をお願いします
気を逸らさせるなど無茶しない範囲で

此方はザフェルさんの側、やや後方にて敵の動きを常に確認しつつ
彼の動きに合わせます
【式神使い】【地形の利用】、符を【誘導弾】にて操作するなどして
敵の意識を逸らし、ザフェルさんの
攻撃にて隙が生じたら
【高速詠唱】併用しUC発動
必要なら炎を合体させます
敵の攻撃には可能なら【結界術】【浄化】【オーラ防御】にて対処
物理攻撃が来るなら【武器受け】【見切り】【ジャストガード】で凌ぎます


ザフェル・エジェデルハ
引き続き樒(f10234)と共闘
機械で出来た竜か。色んなドラゴンがいるもんだな

慣れない地であるため周囲を【情報収集】しながら
【地形の利用】を行って接敵し、ユーベルコード(UC)を撃ち込む。
特に樒が敵の意識を逸らせた場合などの隙は見逃さず、
【怪力】をUCに上乗せして敵足元や尻尾などの【部位破壊】を試み、
重心を崩すことを狙う。

的はデカい方が当たりやすいからな。狙わせて貰うぜ
敵がバランス崩したらチャンスだ、ヤング・アームズ!!

敵の攻撃は【第六感】を頼りに回避し、地形破壊で飛来した無機物は
【オーラ防御】や【衝撃波】で弾きとばす
また、敵の視界直線上には止まらないよう常に意識し、行動する。



●アート オブ ファイティング ジ エンシェント・椀&ザフェル

「機械で出来た竜か。色んなドラゴンがいるもんだな」
 鬼神の如き一撃にて仰け反り、たたらを踏む竜を見てザフェル・エジェデルハが呟いた。
「絡繰り仕掛けの竜……確かに珍しく、そして強敵ですね」
 隣に立つエンシェント・椀こと織部・樒も友より後ろに立ち、言葉を繋いだ。
「ですが、此処で一気に追い込みます」
「行けるのか?」
 猟兵と竜を視線に捕らえながら、ライフルを持ったレッドスティールが問う。
 設計思想の関係で内蔵兵器の少ない赤いアームドヒーローにとって武器はハードポイントと両手にある武器のみ。
「こっちはフィジックスとゴッドウィンドがやられた、命に別状はないが戦闘には参加できない」
「大丈夫だ、まだお前が居る」
 レッドスティールの報告を受けて、ザフェルは親指を立てる。
「貴方には敵詠唱の妨害をお願いします」
 樒もそれに続き、支援を要請する。
「気を逸らさせるなど無茶しない範囲で」
 あくまで身の安全を第一にと――。
「さて、やっこさん動き出したぜ」
「参りましょう、今が好機かと」
 猟兵が走り出し、アームドヒーローがそれに続いた。

「状況を開始! 全弾叩き込む、行け、猟兵!」
 無数の弾丸とミサイルがデストロイ・プライムの動きを止めるために放たれる。
「子細、及ばず……無力とは言わぬが非力なりヒーローよ」
「敵と会話するのは降伏勧告の時と学ばなかったのか、デストロイ・プライム」
 赤いアームドヒーローの言葉に猟書家は疑問を浮かべる。
 ヒーローという者は力が及ばないと悟っても戦うが、無策で飛び込む蛮勇の徒でもない。
 ならば――囮か。
 直後、質量を持った何かが衝撃となって竜の身を震わせた。
「弾丸、いや……これは呪の類?」
 視界に認めるは樒の姿。
 ラグランジュポイントの地形を活かし、遮蔽物からの符の誘導弾。
「ご明察、恐れ入ります……ですが、こちらも囮です」
「――!?」
 デストロイ・プライムがもう一人の猟兵が居ないことを確認する。
 だが状況を打開しようにもヤドリガミとレッドスティールの攻勢は激しく、隙を見出されてしまう。
「的はデカい方が当たりやすいからな」
 地形の情報は既に頭に叩き込んだ。
「狙わせて貰うぜ」
 だからこそ、最短距離でザフェルは戦斧をその後肢へと叩き込んだ。

 Ground  Crusher
 グラウンドクラッシャー

 膝が砕け、竜が片膝を突き、衝撃の余波が足元を陥没させる。
「チャンスだ、樒! ヤング・アームズ!!」
 竜の使い手の言葉に好機を見たヤドリガミが方術の印を組み真言を唱える。
「させぬ!」
 猟書家が吠え、そして光が襲う。
 ――無詠唱による破壊光線。
 詠唱時間と引きかえに威力が増す技を、敢えて無詠唱で放つことにより光線の属性たる高速を武器に猟兵を貫かんとする。
 倒すことは出来ずとも、動きを止め、負傷を狙うことは出来る。
 そうすれば相手のターンは終わりこちらの手番は続く。
 だが、機械竜の作戦はある若者の献身によって止められた。
「レッドスティール!?」
「相手はスピードで流れを変えると予測した。ならば可及的速やかに行動せねばならない」
 光線が走る直線上に立ったのは赤のアームドヒーロー。
「レッドスティールさん……」
「撃て。私のアーマーは内蔵火器が少ない分頑丈だ」
 光を受け止め、若者は叫ぶ。
「撃つんだ、エンシェント・椀!!」
 猟兵へと希望を託し。
「劫火招来喼急如律令!」

 Goka-syorai
 劫 火 招 来

 八十を超える炎を一つとなり、まさしく劫火となりてデストロイ・プライムを吹き飛ばした。

「馬鹿野郎、無事か!?」
「問題ない、戦闘は不可能だがな」
 自らを抱え起こして叫ぶザフェルに対し、レッドスティールは状況を正確に分析し答えた。
「なぜ、あそこで前に?」
 樒も駆け寄り、赤いアームドヒーローへと問うた。
「分からない……だが」
 鋼鉄の鎧に身を纏いし若者は猟兵の手を離れ、その身を起こすと。
「お前たちも同じ状況なら、そうしていたと思った。おそらくはそれが最善の方法だったのだろう」
 ふらつきながら歩き始めた。
 彼の姿を見て、竜の使い手は笑いながらヒーローのヘルメットを小突き、そして猟兵は若者を抱えた。
 戦の流れはつかみ取った。
 後は終局までのプレリュードが始まる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
竜退治は騎士の…英雄(ヒーロー)の誉れ
御伽噺というには少々金属の比率が多すぎるやもしれませんが、共に勝利を掴みましょう

援護を願えますか
竜殺しの武器は時間が掛かる物でして

片手に機関砲打ち放つ馬上槍、片手に充填中UC
機械馬に●騎乗し突撃
●瞬間思考力で攻撃●見切り大地●踏みつけ推力移動で飛び越え回避
そのまま竜の身体に飛び移り駆け上がり
(センサーの●情報収集と●地形の利用)
移動ルートをヤング・アームズの皆様に●ハッキング経由で送り誤射を防ぎつつ援護攻撃してもらいます

敵直上に辿りつけば機械馬から飛び降りUC解放
落下しながら巨大光剣でヒーロー達の砲火阻む装甲切り裂き、着地後脚部を●なぎ払い

さあ、今です!


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
フィジックスのコールと共に行動開始!

行動を共にするのはジェネシスバスター
さっきの共闘で戦い方も特性も知ってるからね
ウィーリィくんと三人で連携すれば、でっかい敵相手でも怖くない!

ボクは宇宙バイクを【操縦】して【フェイント】でボスの攻撃を回避してわざと地面を破壊させながら【乱れ撃ち】+【制圧射撃】でボスの注意を集めてウィーリィくんをサポート
準備が整ったら【罠使い】+【フェイント】で破壊された地形を利用した落とし穴にボスを誘導、バランスを崩したところを狙って【ラスト・チェーンソー】の一撃で足を破壊して転倒を狙うよ!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
前回に引き続きジェネシスバスターと組んで行動。
パワーと精緻さを兼ね備えた彼は俺達にとって心強い味方になってくれるだろう。

作戦としてはシャーリーが囮になっている隙にバスターと協力して即席の落とし穴を作る。
【地形の利用】で機械竜の攻撃で地面に穿たれた大穴を、大きな破片を集めて蓋をして【物を隠す】でカモフラージュ。
完全に脚が嵌らなくてもバランスを崩せれば上出来だ。
準備が整ったらシャーリーに合図し、機械竜をそこに誘導してもらう。
そして機械竜がバランスを崩したところへ彼女の攻撃に合わせて俺も【料理の鉄刃】で反対側の足を攻撃、
更にバスターに全力でぶん殴ってもらってバランスを崩して転倒させる!



●ドラゴンスレイヤー オブ ウィーリィ&シャーリー&トリテレイア

「流れは我々が掴んでいます」
 トリテレイア・ゼロナインが炎に吹き飛ばされた竜を機械白馬にまたがって追跡しながら発言した。
「だけど、ここでもう一発決定打が必要だ」
 同行するウィーリィ・チゥシャンが呟けば
「正直、でっかいもんね!」
 宇宙バイクに跨ったシャーリー・ネィドがそれに続く。
「つまりは大きさのハンデを潰す――足を狙うのだな?」
 ヤング・アームズの一人にして最年長たるジェネシスバスターが意図を察して、言葉にする。
 言語化による意識の共有と確認は連携において重要。
 その役割に担う若者に対して、三人の猟兵は頷きを返す。
「竜退治は騎士の……英雄の誉れ」
 トリテレイアが視線を竜に、そしてヒーローへ。
「御伽噺というには少々金属の比率が多すぎるやもしれませんが、共に勝利を掴みましょう」
 協力を望まれた英雄は力強く頷いた。

「援護を願えますか? 竜殺しの武器は時間が掛かる物でして」
 先行するシャーリーに続く形でトリテレイアが望めばジェネシスバスターは「ああ」と短く答える。
 その言葉を聞き、騎士は宇宙海賊とアームドヒーローから離れた。
 先に動くのはシャーリー、体勢を立て直したデストロイ・プライムの尾に対し、バイクのスロットルを開放しバレルロールで回避。
 同時にブラスターをフルオートで叩き込む。
 一発の威力ではなく手数。
 勿論、それが囮なのは猟書家も承知している。
 だが、うかつに手を出し、隙を作るわけにもいかなかった。
 その機を逃さずに機械白馬が突進する。
 邪魔だとばかりに機械竜の足が降り下ろされれば、戦機はその動きを見切り、投擲したランスで一瞬だけ勢いを殺すと、踏み潰しを飛び越えてデストロイ・プライムの身体を駆けあがる。

 ――首か?

 これまでの経験から砲門のある頭部を狙われると想定した猟書家が頭を向けると騎士の姿はない。
 スラスターが燃料を燃やす音を聞き、視線を更に上にあげた時だった。
「いまだ、シャーリー! ジェネシスバスター!」
 料理人の声が響いた。
「いっくよー!」
「わかった」
 直後、宇宙バイクと大型アーマーの突撃が機械竜にたたらを踏ませ、そして右後肢を足首まで地面へとめり込ませた。

「落とし穴とはな、古典的な方法だ」
 掘削ドリルと化した両手に視線を落とし、アームドヒーローは呟いた。
「だが、悪くはないだろ?」
 後ろに下がるジェネシスバスターに変わって前へと飛び出すウィーリィが言葉を返す。
 地形を変えるほどの重たい一撃。
 トラップを作るには充分な状況だった。
 後はアームドヒーローが即席で穴を広げ、料理人は盛り付けをするようにその場を平地と偽装する。
 シャーリーとトリテレイアの動きも幸いした。
 デストロイ・プライムの意識が上方向へ向いたために、足元の罠に気づかれずに済んだのだ。
「行くぞ、シャーリー!」
「うん、ウィーリィくん!」
 料理人が大包丁を構え、宇宙海賊のフォースカトラスはチェーンソーへと姿を変え、わざわざエンジン音まで響かせて、動きの止まった猟書家へと刃を振るう。

 Last Chainsaw
 料理 の 鉄刃

 鋭利な切断と連続する刃による引き裂きが機械竜の両肢を破壊する。
 だが……。
「大きすぎる」
 大型アーマーのヒーローが状況を把握する。
 巨大すぎるがゆえに、完全な切断に至らない。

 ――せめてあの大きさに負けない巨大な刃が有れば!

 ジェネシスバスターが願う。
 それはすぐに叶えられた。

 デストロイ・プライムの遥か上空。
 重力が届かない空にトリテレイアは居た。
 ランスは牽制に使い失われ、あるのは左手にある剣の柄。
 そして、それはケーブルを介して戦機の身体に繋がっていた。
「刀身――解放!」
 機械白馬より飛び降りた騎士から遅れて光の帯がたなびいた。
 それは純粋なるエネルギー。
 それは彼自身の力であり魂。
 それは竜殺しの魔剣。

 Direct  Connect
 コアユニット直結式
 Saber  The  Immitate
 極大出力擬似フォースセイバー

 エネルギーを充填する時間は皆が稼いでくれた。
 ならば騎士は作戦を完全なものにするために剣を振るう。
 光が稲妻のように大地へ落ちれば、猟書家の肩が切り裂かれ火花が血の代わりに散る。
「離れて!」
 攻撃は終わりではない。
 力強い踏み込みと共にトリテレイアは両手に持った巨大光剣を横に振るう。
 狙うは二人が破壊したデストロイ・プライムの両足。
 ヒーローとセンサーを同期しているがゆえに箇所は把握済み、だから――正確に損傷個所を薙ぎ払った。
 機械竜は両の後肢を失い、その場に膝をつく。
「さあ、今です!」
 突進するは彼らより大きな鋼鉄の戦士。
 クライシス・ジェネシスを倒すために作られた拳が今――猟書家の頭部に叩き込まれた。
「これで……」
 直後、過負荷に耐え切れずジェネシスバスターの腕が爆発した。
「同じ視線だな」

 巨大な竜たる優位は猟兵とヒーローの連携が生み出す竜殺しによって覆された。
 猟兵による作戦の積み重ね、若者達の献身が猟書家の牙城を崩し、そしてバトンは次に託される。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミハエラ・ジェシンスカ
ふん。いつぞやの大君主といい
図体を大きくするばかりが能のマシンとは
随分と芸がないようじゃないか

緒戦から隠し腕を解禁
セイバードローン2基と【念動力】による干渉も織り交ぜる
ヤング・アームズとも連携して手数で攻め、詠唱の妨害を狙い
破壊光線の威力上昇を最大限警戒……しているように見せかける

その戦いの中で詠唱時間による上昇率を【見切り】
詠唱を妨害し切れなかった風を装い威力上昇を許す
そうして敢えて高威力の一撃を誘い
それが放たれると同時、悪心回路(アイテム)起動
破壊光線を【騙し討ち】【一刀両断】に
これで敵が隙を晒したならそこに追撃【2回攻撃】をくれてやる
悪いが、悪たるマシンは貴様ばかりではないという事だ


オリヴィア・ローゼンタール
邪悪なるドラゴンを討つは我らが使命、総身が鋼であろうと変わりなく
いざや、龍殺しを成し遂げん!

等身大の天使の姿に
巨大化に使っていた力を聖槍に集中

三つ首の砲門、火力は尋常ではないでしょう
ですがその分、消耗も大きい筈
我が全霊の一撃を以って相殺します、キャノンボーイさんはそこへ畳みかけてください
上手くいったら、皆さんで記念撮影でもしましょう

聖槍に聖なる力を集中・圧縮(全力魔法・属性攻撃・破魔)、【嚇怒の聖煌剣】を形成
邪悪を斬り伏せる黄金の極晃を解き放ち、デストロイ・プライムの破壊光線と真っ向勝負
無限の破壊力であろうと、悪ならば我が聖煌剣に斬れぬ筈がなし!(気合い・限界突破)



●スラッシュ ザ ブラスト トゥ オリヴィア&ミハエラ

 竜は今跪き、そして這いつくばる。
 けれど、そのまま頭を垂れる存在ではない。
 スナークであろうとする意志、猟書家たる自負。
 それが前肢に力を与え、顔を上げた三つ首の機械竜は猟兵を見た。

「ふん」
 その姿をミハエラ・ジェシンスカが鼻で嗤った。
「いつぞやの大君主といい図体を大きくするばかりが脳のマシンとは随分と芸がないようじゃないか」
 かつて打ち倒した宇宙よりの侵略者を思い出し、ミハエラの口角は吊り上がるばかり。
「オーバーロード・エクスマキナ……この世界に縛られた神気取りと我が同じと言うのか?」
「ちがうのか?」
 邪剣の騎士の挑発に猟書家は詠唱を以って答えとした。
 戦いは既に始まっていた。

「邪悪なるドラゴンを討つは我らが使命、総身が鋼であろうと変わりなく」
 聖槍片手に高らかと叫ぶのはオリヴィア・ローゼンタール。
「いざや、龍殺しを成し遂げん!」
「で、実際はどうすんだい?」
 その横でキャノンボーイが問いかける。
「こっちは荷電粒子砲も他の武器も後一回攻撃をかけたら終わり。残るのは鉄の棺桶が一つってところだ」
「問題ありません」
 アームドヒーローにオリヴィアは微笑みかける。
「相手も満身創痍、強大な火力を以って起死回生を計るでしょう」
 右手に握る聖なる槍が淡く光る中、シスターは猟書家の絵図を読み。
「ですがその分、消耗も大きい筈。そこを狙います」
「……そこへ畳みかけろってことか?」
 オリヴィアが頷けば、キャノンボーイが前に出た。
「騎士には従者がつきものだ。任せとけ、あんたもみんなもドン・キホーテにはさせなねえ」
「お願いします」
 シスターはアームドヒーローにその場を託した。
 デストロイ・プライムの技を打ち破るには時間が必要なのは確かだったからだ。

「ガンホー! ガンホー! ガンホー!」
 機械竜に向けてキャノンボーイが吠える。
「威勢がいいな、女の前だからか?」
 ミハエラが続くようにセイバードローンを飛ばし、猟書家へ一撃を叩き込む。
「そうだぜ! まあ、後は動けるのがオレしかしないっていうのもあるけどな」
「そうか、ならば死ぬほど働いてもらおう。ホワイトカラーには残業という概念は存在しないらしいからな」
 邪剣の騎士が隠し腕を展開し距離を詰める。
 合わせるようにアームドヒーローの銃砲が炎を吐き、戦機の行進を援護した。
「速攻で沈めようと企むか」
 デストロイ・プライムが嗤う。
「馬鹿な鉄屑ほど、良く喋る」
 敢えて毒舌を披露し、ミハエラは四つの腕全ての手首を回転させる。
 二対四本の理力剣が円を描き竜の装甲を切り裂くべく、火花を散らした。
「無駄だ」
 だが刃は届かず、時間はむなしく減っていく……。
「貴様らは短期決戦かもしくは詠唱を邪魔する作戦で動いていた。だが、悲しいかな、ヒーロー一人、猟兵一人では我を止められることは出来ぬ」
 デストロイ・プライムが語る。
 猟兵達の敗因を。
 そして告げる。
「徒労を胸に死ね」
 三つ首の竜の顎が開き死の閃光が走った。
「お前は何を言っているんだ?」
 破壊光線が迫る中、スラスターを全開にしてバックしつつキャノンボーイが問う。
「誰も貴様の言う通りの事をしようとは考えてはいない」
 邪剣の騎士が鼻で嗤い、答えると、後方へと跳ぶ。
 着地したその隣にはシスターが一人。
 今まで振るわれたのは欺きの太刀。
 真の一刀は、今――振るわれる。

「無窮の光よ!」
「悪心回路起動」
 オリヴィアの槍より強大な光の刃が顕現し、槍は剣に。
 ミハエラの一刀は極限まで細く薄い刃となり、ブレードはエッジに。
「無限の破壊力であろうと、悪ならば我が聖煌剣に斬れぬ筈がなし!」
「……だ、そうだ」
 シスターは力強い踏み込みと共に真正面から。
 邪剣の騎士は手首のスナップを効かせ、素早くいなす様に。

 ――斬撃を光線に叩き込んだ。

 Raging Photon Caliber
 赫 怒 の 聖 煌 剣

   &

 Simple Plan
 一刀 両断

「――馬鹿な!?」
「馬鹿は貴様だ」
 時間を込めた詠唱より放たれた渾身の破壊光線。
 閃光が切り裂かれる光景にデストロイ・プライムは驚愕を隠せず。
 そのチャンスを逃さずにミハエラは皮肉と共に飛び込み、片手のフォールンセイバーで三つ首の一つを叩き割り、返す刀でその首を刎ねた。
「キャノンボーイさん!」
 オリヴィアが叫ぶ。
「へいへい、分かってますよ」
 鈍重なアームドヒーローが敢えて呑気な口調で荷電粒子砲を構えた。
「姉ちゃんたちがオレに託してくれるっていうなら――ここで良いところ見せないとな」
 光が竜の首をまた一つ吹き飛ばし、そしてキャノンボーイの砲は過負荷に耐え切れず爆発した。
「これが……」
 倒れ伏しながら、ヒーローは呟く。
「Man with a MISSIONってやつなのかね?」
「そういうものだ、覚えて置け新兵」
 若者の顔を覗き込む様にミハエラが答える。
「終わったら、皆さんで記念撮影でもしましょう」
 オリヴィアが口を開くと、キャノンボーイはアーマーから壊れたカメラを出して、そして笑った。

 竜の首はあと一つ。
 決着の時が来た。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御桜・八重
よかった、ヤングアームズは全員無事だね!
…仲間想いの彼らを見てて、思いついた。
あれ、試してみようかな。
「フィジックス、今度はわたしに力を貸してくれる?」

【桜彗星】は応援で威力を増す。
加速距離を長く取って、その間にみんなからの応援が得られれば、
きっと、強力な尾の一撃でも止められない!

「行くよー!」
プライムの周りを彗星の軌道の様に走り出す。
ヤングアームズから肩を叩かれ、背中を押され、声援を送られ、
その度にオーラの輝きが強くなり、彗星の尾が長く伸びる。
皆の力を得た桜色の彗星を止めることなんて出来やしない!

ねえ、わたしにもクールなニックネームをつけてくれないかな?
みんなの力でアイツを倒した記念にね!



●サクラ・コメット セットアップ!

 ラグランジュポイント。
 機械で出来た大地に倒れ伏すヒーロー達。

 フィジックス
 ゴッドウィンド
 キャノンボーイ
 ジェネシスバスター
 レッドスティール
 
 彼らの名はヤング・アームズ。
 そして、戦う力を失ってもなお、意志が消えることは無かった。

「ヤング・アームズは全員……無事だよね?」
「生きているっていう意味なら物理学的には無事だよ」
 心配する八重の言葉に口癖のように答えるのはフィジックス。
 物理学の天才にして、ヤング・アームドの一人。
「ならフィジックス、今度はわたしに力を貸してくれる?」
 安堵の溜息の後に続く桜の巫女の言葉。
 それを聞いたヒーローは上半身を起こした。

 デストロイ・プライムが吠える。
 それは死への恐れか、猟兵への怒りか。
 その前に立つのは一人の少女。
「行くよー!」
 八重は走る、機械竜の周りを走るように。

「邪魔だ!」
 猟書家が尾を振るう。
「させない!」
 腕の機能を失ったジェネシスバスターの体当たりが足を失った機械竜の体勢を崩し。
 鋼鉄の尾は桜の巫女の頭をかすめる。
「――行け」
 大型のアーマーを纏った若者の言葉に八重は頷く。
「そうだ」
 這いつくばりながらレッドスティールがライフルを拾い、引鉄を引く。
「真っ直ぐ進んで」
 ゴッドウィンドが立ち上がり、デストロイ・プライムの前に進む。
「オレ達が着いている」
 キャノンボーイがそれに続く。
「だから、進むんだ――ヤエ!」
 火花散るアーマーを動かしフィジックスが叫ぶ。
 それは囮、猟書家の視線から八重を逃すため。
 それは声援、桜の巫女のユーベルコードに力を与える。

  Spell
 ――呪文!

 彗星がヒーロー達に気を取られた機械竜の腹に飛び込んだ。

 SAKURA Comet
 ――桜 彗 星 

 桜色のオーラは彗星の如く。
 それは流星、それは弾丸。
 流れ星に三度願えば、叶うという迷信がある。
 ならば、導かれる結果は必然であった。
「このまま!」
 八重が叫んだ時、デストロイ・プライムの巨体が浮き上がり重力圏から引き離される。
「壊れろー!!」
 吹き飛ばされる猟書家。
 機械の身体はその衝撃に耐え切れず、そして流星となって地球へ降下していく。
 炎に包まれたデストロイ・プライムはそのまま燃え尽きて、塵と消えた。

「限界だ……もう動けないよ」
「ねえ」
 稼働限界を超え、アーマーは機能しない。仰向けに倒れ込む僕へ、ヤエが声をかけた。
「わたしにもクールなニックネームをつけてくれないかな?」
 アーマー姿だったのが幸いだった。
 その時の僕は多分、すごい困っていたから。
「みんなの力でアイツを倒した記念にね!」
 記念か……。
「じゃあ、そうだね」
 僕は頭をフル回転させて、何とか名前をひねり出す。
「サクラ・コメットはどうかな?」
 僕の名はアルベルト・アーミテージ。
 今度からネーミングセンスの予習を始めることにする。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月24日


挿絵イラスト