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妖刀伝・焔

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #『刀狩』 #妖剣士

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 時は戦国……サムライエンパイア、数多の血塵潜り抜け、切った張ったの羅刹業。
 刃交えたその先に、あるのは勝利か屍か。
 各地で新たなる蠢動が武芸者が最強を目指し己の剣を磨き合う中、天下無双と謳われた豪快な剣士の影に猟書家の魔の手が伸びていた。
 その一つがいわゆる『刀狩』と呼ばれていた個体、だがすでにその目は摘んだはずであった。
 だというのに同系統の事件はまだまだ巻き起こってしまう、猟書家の侵攻とは実に恐ろしき所業なのだと人々は恐怖に怯えるしかない。

 日々鍛錬欠かさぬ妖剣士の男、焔何某(ほむら・なにがし)。
 豪快な性格で街道中の武芸者に一騎打ちを挑んでは勝つも負けるも一発勝負、だがそれもこの男の剣には理性があった。
 兜割りをも可とする剛腕でありながらも止める時には止めそしてしのぎを削り合う強敵には死力を尽くすという快男児。
 それが変化したと言われるのが先月の話だ、伊勢国桑名の名工が鍛えたとされる大太刀を数奇な事で手に入れてからというもの彼の名は地に堕ちた。
 この1か月で彼の手により命を落とした者数知れず、まさに天下無双と豪語しながら新たなる剣客と死合うのももはや限界。
「オイオイオイオイ、なんだオイ? もう俺より強ぇ奴はいないってか? 情けないとは思わねえのかバカヤロー!」
 挑発なのはわかっている、だが一度剣の道に足を踏み入れた者達は我慢できずに剣を抜き悉くが鬼門を越えていってしまった。
 もはやこの男に勝てる者はいないのか? そんな噂が広がるのも早い。
「噂に聞く島原で暴れまわった“猟兵”とやらも口だけ三寸の腰抜け共だろうよ」
 そう言ってのける男が手にした刀から怪しげなオーラが漏れ出していた。

●グリモアベース
「なーんてなことを言われたら猟兵の出番ですよね~」
 グリモアベースに集った猟兵達の前で今どき珍しい紙芝居を見せつつグリモア猟兵の村雨・ベルは一同を見渡した。
 どうやら妖刀に魅入られた男が殺戮を繰り返している……という単純な事件なのだがこれはそれだけではない。
 その妖刀に宿り悪行を繰り返しているのが猟書家幹部による侵略なのだとすれば放置するわけにはいかない。
「とにもかくにもまずは焔影って人から刀を引き離すのが第一なわけですが……まずは戦闘不能になるぐらいボッコボコにしないと手放さないようなんですよね実際」
 武器落とし等の妙技で一撃で決めるわけにもいかないようだ、そしてその剣技はかなりのものでそれを倒すにはより強い力で叩きのめすしかない。
「妖刀を手放させる事に成功しましたら本命の登場となります、手強い敵ですが容赦なく成敗してもらえればなと~」
 まだ紙芝居の続きでも見せてるように演技っぽく喋るベル、そしてもう一つ忘れてたとばかりに話を付け加える。
「妖刀の呪いから解放された焔影さんは怒りに燃えて共に戦ってくれると思いますので、ぜひぜひ共闘などしていただければ~♪」
 死線を潜り抜けた強敵と共闘だなんて燃えますよね、ご褒美ですよね!などと一人で盛り上がってるが気にしなくていい。
 最終的に猟書家の野望を一つ打ち砕けばいいだけなのだから。
「戦場なのですが……ちょうどいま彼はとある寂れた稲荷神社の建物で雨宿りしています、ここなら他に迷惑もかかりませんし存分に戦えますよ!」
 そう言ってベルは周囲には人っ子一人いないことを再確認し猟兵達を現地へと送り出す準備を始める。
 転送されれば即目の前が戦いの場だ、剣豪との一番勝負……存分に堪能あれ。


轟天
 この依頼は2章構成の猟書家による侵攻シナリオとなります。

 まずは第一章、妖刀に操られ鬼と化した焔影との戦いとなります。
 この戦いでは章クリアまで呪われた武器を落とす事はありません。
 一章クリア時に初めて武器を落とす事になります。

 二章では妖刀より今回の事件の元凶が出現します。
 正気を取り戻した焔影と共に戦いを挑み撃退してもらえればなと思います。

●プレイングボーナス
 ……正気に返った妖剣士と共に戰う(第2章)。
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第1章 ボス戦 『灰都の将・焔影』

POW   :    覇壊
【大太刀と其の鞘に因る斬撃と乱打】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    獣往
【鞘を捨てる】事で【背水の陣を敷く手負いの獣状態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    瀑怨
【大太刀の叩き付け】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を燎原へと変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:敷島あや

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は鷲生・嵯泉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルシア・ハーヴェイ
結局のところ、私にはコレ(銃と刀)しかねぇんだなぁ……。
戦って、生き延びて、せっかく他の道もできたってのに、また死と隣り合わせの日々に戻ってくるってのは皮肉なモンだな。
といっても、そんなのは相手にとっちゃ関係のない事だわな。
「お手合わせ、よろしくお願いします」
ん-と、頭を下げるのが礼儀……だったっけ?

射程の有利はあれど、距離を取るのは粋じゃないな。
と言っても、正面からの打ち合いは勝てる気がしないし、逸らして耐えるのが精一杯かもな。
相手の攻撃後の隙に合わせて銃を撃って、攻め込まれないように注意を払おうか。
チャンスがあれば【UC:刀銃一双】を叩き込んでいく。刀で切り付けてからの近接射撃を見舞うぞ。




 雨が降りしきる中を濡れる事も厭わず階段を登り見えてきた稲荷神社、そこにいるのは妖刀に魅入られし偉丈夫が待ち構えている。
 ルシア・ハーヴェイ(人間のサバイバルガンナー・f30940)は愛用の獲物を手にしながらその強敵との戦いへ一歩一歩近づきつつ自傷気味に口元を歪めた。
(結局のところ、私にはコレしかねぇんだなぁ……)
 コサックや竜騎兵がよく使っていたという鍔の無い曲刀シャシュカ、そしてルシアの身の丈に合うようカスタムを施した単発銃。
 生き延びるために手にしていたはずがいつしかそえこそが自らの本質とばかりに死と隣り合わせの日々。
 皮肉でしかない……いつのまにか目的と手段が入れ替わっているかのような錯覚すら覚えてしまう。
「応、ちびこい割にけっこう死線くぐって来たみたいじゃねーか嬢ちゃん」
「……っ」
 妖剣士・焔何某が扉を開け放ち正面に立つルシアへと眼を飛ばす、それを眉間に皴を寄せつつ睨み返すと少し横着だが頭を垂れ返すルシア。
「お手合わせ、よろしくお願いしまう」
「はっ、敵を前にして視線を外すなんざ……首を刎ねてくれって言ってるようなもんだぜ!」
 大太刀を抜刀し大上段から斬りかかる焔何某、その重厚な刃が豪快な弧を描き地面に亀裂が入る。
 今の今までルシアがいた場所はすでに真っ二つ、だがそれを予想していたルシアは敵刃の腹へと横側より叩きつけるように振った愛刀がわずかに軌道を逸らせ一撃必殺はさすがに阻止をした。
(距離を取るのは粋じゃないが……正面から打ち合うのも、無理っ!)
 両手で振るわれる剛刀と打ち合うにはシャシュカの刃はそこまで強度が無い、それに動きがまるで違う……空気まで切り裂くような動きにただただ翻弄されるばかり。
 ……となると誰もが思うタイミングでもう片方の手にある銃が容赦なく火を噴いた。
「うおっ、種子島かよっ……火縄が無ぇからハリボテだと思ってたぜっ!」
「残念、こいつは本物……そして一つ隙が出来ればそこが弱点になるっ!」
 流れるように勢いをつけくるりと回転しつつ振るう刃が追い打ちをかける、それはバックステップをし焔何某はその間合い外へと取り残される。
 だがこれさえも想定済み、片手でリロードし次弾を急ぎ装填すると今度は腹を狙って引き金を引いた。
「チキショウめ! そう来るかよ!」
 焔何某の腰に撃ちこまれた必殺の弾丸、だがどうやらそれは致命傷には遠くまだまだ戦いはこれからといったところ。
 そう考えると背筋に快楽が走ったようにルシアは行く、命の削り合いの場所へと。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユメ・ウツロギ
可能であれば接触前に事前に焔影さんの剣技について、立会人や見物人、彼を知る剣士等から事前情報を仕入れておきたいです。
無理なら仕方ないので現地で直接仕入れるしかないですが…。

とりあえず、私は剣士ではないので、【スパーダ】により操る剣と魔術でお相手するです。


無限の書、蒐集開始

戦闘開始と同時に【スパーダ】で守りに徹し、無限の書で彼の動き、太刀筋等の【情報収集】。
事前情報と併せて動きを解析し、スパーダへ反映。
敵の動きに併せてスパーダを最適化させ、蒐集完了と同時に反撃開始、です。

後は解析したデータに連動させたスパーダによる攻撃で焔影さんを追い込み、その刀に出来るだけダメージを与えるです。




 降り注ぐ雨の音が境内に響く中、激しい斬撃音がそこに加わり殺気が蠢く。
「ハハッ、なんだよオイ嬢ちゃん……面白しれえ芸を持ってるじゃねーか!」
 呪われた大太刀を振るい妖剣士焔何某が飛び交う魔法剣を一本叩き落とし豪快に笑った。
 すでに数合の攻めを繰り返しているというのにユメ・ウツロギ(蒐集の魔女・f30526)が放つミゼリコルディア・スパーダ、800本を越える数の飛翔する魔法剣の怒涛の攻撃を凌ぎきって見せているのだから恐ろしい。
(事前に見聞きできた焔影さんの剣技、豪快にして大胆……守りよりも攻めに特化したって聞いてたんだけど……)
 ならば剣士ではない門外漢のユメが立ち会うには自分の得意分野、無限の書と魔術で攻めて攻めて攻め続けるのが一番とそう睨んでいたのに。
「思ってた以上に無茶苦茶ですこの人……っ」
「ハッ、こんだけ剣をビュンビュン飛ばしまくる妖艶鬼才が何言ってやがらあ!」
 まただ、取り囲む魔法剣が襲い掛かるのをこの焔何某は防御しているのではない……ただただ豪快に大太刀を振り回し間合い内の全てを切り捨てているだけにすぎないのだ。
 地に降り注いだ雨がジュワと音を立て蒸発し湯気が立ち込める、ただでさえ視界が悪いというのにこの男には関係ないようにその剛腕で大太刀がユメにも届きそうな距離まで詰め寄ってくる事もある。
(さっき避けた一撃、地面を砕くどころか焦がしつかせて燎原にしてしまったアレから計算が合わなくなってきてる……)
 焔何某の得意技の一つ、自らの立つ大地を燃え焦げさせ実力以上のものを見せつけるその妙技がユメの計算を狂わせてきているとさすがに理解はできている。
 無限の書に蒐集した動きを最適化しさっそく修正した動きを加えた魔法剣がさらに死角を突き焔何某に迫る。
「憤っ!!」
 大上段からの打ち下ろしで正面の数十本を一気にへし折りユメまでの血路が開かれる、地を踏みしめまるで振り絞ったバネが弾けるように飛び出し繰り出される左片手平突き。
「甘いですっ!」
 ユメは無限の書のページを一気にめくり幾何学模様を描く陣を正面に敷いた、地面付近に発生した蒸気の中から何本も突き立てられ槍衾が焔何某を待ち受ける。
「うぉぉぉっ、何だとっ!?」
 攻め一辺倒の男はそこにまともに突っ込み飛び散る血飛沫。
「はぁはぁっ……どうですか、動きのデータは全ていただきました……」
「ケッ、何だか知らねぇが俺ぁまだまだこんなもんじゃないぜ!」
 血みどろになりながらも狂気じみた笑いでさらに踏みこんでいく焔何某、凶刃はまだ止まろうとはしないようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジェイク・リー
「口喧嘩しにきたわけじゃねえだろ」
挑発してきても流し、八邉鬼衆を抜いて浄化の力を持つ不殺の光刃、霊光刀に変える。
ジヴァ・アラスの魔力とリミッター解除で身体能力の強化を行いつつ継戦能力で負荷調整をする。
早業による素早い連撃と受け流しを行い、相手の行動パターン及び無意識に生じる隙を探る。
フェイントを織り交ぜ、浄化の力を纏った蹴撃や徒手等も撃ち込み少しでも妖刀との繋がりを弱らせるよう試みる。

絡み・アドリブOK




 稲荷神社に響く金属音、互いの斬撃を凌ぎ合う攻防……小雨が降る中に対峙する二つの人影。
 ジェイク・リー(影の護り手・f24231)が八邉鬼衆の刃に浄化の力を注ぎ込み妖刀へと対抗する霊光刀を作りあげ手数で圧倒しようとその刃を振るう。
 豪快に笑いそして吠える焔何某とは真逆にその動きは静かに敵の息の根を屠る凶刃、とはいえ四肢を強化する魔力と筋力の限界を越える肉体改造を施しどうにか戦えるという状況は普通であれば短期決戦しか出来ない不安定な戦法だ。
 そこは数々の経験をもとにそれなりに持久戦出来るよう力加減を調整してはいるがなかなかに勝負を決めるにはほど遠い。
「あぁそりゃ殺しに特化した動きだなオイ、くたばりやがれ黒ずくめ!」
「フン」
 焔何某の横薙ぎの一閃をジャンプで避けた後ろで真一文字に斬られた樹が倒れていく、境内を逆の方向へと走り倒れこむような姿勢から繰り出す意表を突いた一撃。
 焔何某の胸から血が噴き出すがまだまだその傷は浅い。
「忍だか何だが知らねえが、踏み込みが足りねえんじゃねえか? 軽く首出せよ? 一撃で落してやっど?」
「フン……口喧嘩しに来たわけじゃねぇ」
 対峙する両者、焔何某も鞘を投げ捨てその全身に漲る気はまさに獣そのもの、吠えるかのような雄たけびと共に飛び出し妖刀がジェイクの間合い外から一気に喉元を狙い振るわれた、それを避け隠れた樹は一撃の下に切り裂かれズレ落ちる。
 だがそれも織り込み済、樹を駆け上がり頭上からの振り下ろし、当然の如くそれは刃で受けられるが続いてのジェイクの蹴りは焔何某の頭にクリーンンヒット。
 別に剣豪でも戦士でもないジェイクの技は一騎打ちなどをわざわざするようには出来ていない、だが相手を殺すという一点においてに研ぎ澄まされた一撃。
「カハッ、蹴りは軽いが痛えじゃねえかコノヤロウ!」
「フム、まだ正気に戻らないとは……よくよく妖刀に魅入られてるようだなお前」
 振り払う刃の勢いを持って間合い外まで飛びのくジェイク、どうやら少々の浄化の力では元には戻らないようだ。
 睨み合う二人の咆哮が境内に響いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
これは、早目に止めた方が良さそうですねぇ。
参りましょう。

『雨宿り中』となりますと『屋根の有る場所』でしょうから、『飛行からの[砲撃]』よりも此方が良さそうですねぇ。
『FBS』『FSS』を展開し【燦華】を使用、全身を『光』に変換して接近戦を行いましょう。
相手の武器は『妖刀』、非実体を捉える能力はあり得ますが、あくまで『武器を振るう』ことによる攻撃であれば、『光速』と『隙間に入り込む能力』を利用し『攻撃の隙間』を抜けてしまえば回避可能ですぅ。
『FBS』による各方向からの斬撃に加え、『FSS』を壁として扱うことで『相手の型』を制限、すれ違いざまの『光速斬撃』を繰返しますねぇ。




「アァッ、何だコノヤロウ?」
 雨宿りしていた建物から飛び出し焔何某は襲い掛かって来た“無人の”浮遊する戦輪とビームシールドを切り伏せる。
 バキンと音がして真っ二つにされた浮遊兵器が地面に転がるがその主の姿は見えていない。
「ここは止めにいかせてもらいますぅ!」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の声だけが聞こえた。
薄暗い境内に光が通り過ぎ焔何某の肩から鮮血が飛び散る。
「あぁ? なんで声だけなんだオイ? 近くにいやがるなら姿を現せやコラ」
 見えているのは周囲を取り囲む複数の浮遊兵器のみ、剛剣がそれらを真っ二つにし砕けた破片が境内に散らばる。
(あれらを簡単に切り捨てるとか……まともに食らいたくないものですぅ)
 るこるはそれを真正面から見て唸りたくもなる、女神の加護で光に変換した肉体は目視しにくいのもあるが建物の隙間などからでも平気で間合いへと近づける恐るべきもの。
 だがそれをこの男は勘だけで気付きそして傷がまだ浅いうちにこうして広い場所へと飛び出し警戒しているという。
(あのまま中にいてくれた方がもっと切りつけれたのですがぁ)
 今更言っても仕方がない、ビームシールドを四方より突入させ戦輪を盾に間合いを詰める。
 大太刀がいくつかを一気に薙ぎ払った隙を狙い脇腹へと繰り出す一撃、光速の斬撃で駆け抜けた直後に爆発するかのように地面へと叩きこまれた大太刀。
「ケッ、手品のネタはわからねえが、まあとにかく何でもかんでも斬ってりゃいつかは見えねえ手前も斬れてるだろうよ」
(無茶苦茶ですぅこの人!?)
 大太刀どころか鞘まで使い浮遊兵器が次々と破壊されていく、そんな死角からさらに光速の斬撃を繰り出し背中へと切りつけた直後に襲い掛かってくる鞘の一撃。
「きゃあ!?」
「おっ、その声は女かよっ。まっ……それでも加減は無しだ諦めな!」
 おそらくは見えていないが勘だけでるこるがいるであろう方向へと切りつけてくる恐るべき斬撃。
 妖刀から発する妖気が触れれば光と化した肉体でもおそらくは無事では済まないとるこるに神の啓示がそう囁いている気がする。
(出来る所まで消耗させて見せますぅ)
 残った武器はあと3つずつ、もう数合の嫌がらせは出来るとばかりにるこるは武器達に突撃を命じた。

成功 🔵​🔵​🔴​

月白・雪音
…積み上げた武、その中で培った精神の在り様。
それを踏み躙り歪める所業、憤懣遣る方ないものです。


UC発動にて、残像で距離を詰め野生の勘、見切りにより相手の速度に対応しつつ、
その速度と反応速度のまま怪力、グラップルにて動作の初動を抑え、『刀を振らせない』立ち回りにて戦闘展開
フェイントにて誘った斬撃をカウンターにて白刃取り、怪力と2回攻撃による打撃を叩き込む


…貴方は、豪胆なれどその刃には理性と誇り、そして情が宿った剣客と聞き及んでおります。
今は同じ武門の者を狙えど、いずれその呪われた刃を向けるは無辜の民。
積み上げたその剣を、これ以上の穢れに染め上げぬ為に。

――我が武を以て、その刃を討たせて頂きます。




 殺気を感じ取り稲荷神社から飛び出した焔何某が見たのは可憐な純白の女性、だがその身に宿すのは虎の如き闘争心と恐るべき戦闘センス。
 感情をあまり表に出さないよう月白・雪音(月輪氷華・f29413)は心掛け精神を集中させる。
 積み上げた武はそれと同時に培った精神の有様も表す、今目の前にいる焔何某から感じるのはその修業の成果を台無しにする妖刀による呪い。
 殺戮だけにその矛先を向けた有様は到底高みに通じるナニかからはほど遠いとも雪音は思う。
(ならば……ここで止めてあげるのが情けというものです)
 恐るべき殺気に負けぬよう気合を入れて手足に力を籠める、これから試すのはそんな恐怖心などあると手違いが起こる危険極まりない戦い方なのだから。

「応、今度は虎の姐ちゃんが相手かよ、つくづく今日は殺し合う相手に苦労しねぇなオイ!」
 焔何某が大太刀を抜刀……する前にすでに間合いどころか触れる距離まで飛び込んできている雪音、その掌底が叩くのは抜刀する前の柄の先端。
(刃が抜けねぇ!?)
 焔何某の初動よりも早く反応し抜刀前の柄を通じては刃は抜けず一刀目を完全に封殺する、その勢いのまま繰り出される膝蹴りが焔何某の鳩尾へと叩きこまれた。
「……先手必勝です」
「ぐっ、ヤルじゃあねえか姐ちゃん」
 ダメージそのものは低い、だがその初動で不意を突きさらには完全に密着した状態では大太刀で戦うにはあまりにも間合いの内側所ではない。
(とにかく刀を振らせないこの距離をキープしないと……)
 関節を極めようと繰り出す手を焔何某がどうにか払いのける、この距離であれば雪音の領域。
 拳武による徹底した戦い方にさすがの焔何某も振り切れずに防戦一方。
「…貴方は、豪胆なれどその刃には理性と誇り、そして情が宿った剣客と聞き及んでおります」
「ケッ、こそば痒いぜ、コラァ!」
 雪音の言葉にさらに激昂するがそれでもこの拘束は外れない、恐るべき怪力がその動きを無理やりに阻害しているからだ。
「いずれ刃を向けるであろう無辜の民、その積み上げられた剣をこれ以上穢れに染め上げさせぬためにも私はっ!」
「殺し合えりゃあそれでいい、今みたいになっ!」
 無理やり力任せにに振り払われ距離が離れてしまう、さらには鞘を投げ捨てて獣の如き構えで焔何某は地を蹴り大上段から振り下ろされる凶刃。
「ではっ――我が武を以て、その刃を討たせて頂きます」
「なっ!?」
 頭を叩き切るはずの刃は白刃取りでその動きを止められる、信じれない腕力でそれを可能にし雪音は思い切り大地を踏みしめた。
 震脚、叩きつける如き地面を踏みしめ肘鉄を腹へと叩きこみさらに踏み込み反転させた背で体当たり。
 スピード勝負をせずにただただ自分の戦い方を貫いた雪音、吹き飛ばされた焔何某の巨躯が宙を舞い大樹へと叩きつけられた。

成功 🔵​🔵​🔴​

長坂・由有子
桑名ね、つまりはあれに累する刀工の刀ね。
あの人も、魂込めて打っただろうけど、ワシは妖刀なんざ作っとらん。何て言うんじゃないんかね、個人の勝手な想像だけど。

さてはて、妖刀使いと。
鞘を捨てる攻撃ね。焔敗れたりとでも言うてやろうかしら。
みんな言ってそうだけど。

人間無骨で大身槍ぶん回しながら攻撃。
天下無双名乗るんならこれぐらい余裕だろうけど、間合いを詰めてもらうのが狙い。
距離が詰まったら大身槍を捨てて、佩いてる打刀の抜き打ちで攻撃。
乾坤一擲、相手のが傷が重けりゃ私の勝ちでひとつ。

まあ、あれよ。操られたからって、お前さんの手は軽いまんまじゃない。確実に血で重たくなってる。どうケリつけるかは今後にだけど。




 小雨振る境内に響き合う剣戟の音、その一つ一つが重く鋭い斬撃が長坂・由有子(願身不復生王家・f17688)に襲い掛かる、
 妖刀に魅入られた焔何某という男、巷で悪行を為しきるほどに恐るべき剛剣でありその身体から溢れ出る殺気には“凶”が感じられた。
(これはやはり桑名の……つまりはアレに類する刀工の物ね)
 由有子は伊勢国桑名と耳にしただけで妖刀と名高いとあう銘をその心に思い浮かべる、魂籠めて打ったとはいえ妖刀なんざ作っとらんと作り手は言うのだろうと思い浮かべる。
 それはあくまで勝手な想像、だがそれぐらいの想像ぐらいは許されて欲しいものだ……こうして幾合もしのぎを削り合えているのだから。
 由有子の総蒔絵柄大身槍もまたなかなかの業物、間合いだけでいえばこちらのほうが遥かに有利なはずなのだがその内へとさらに踏み込むほどの気合で焔何某は剣を振るうのだ。
 切っ先を突きつけ合い睨み合う二人、互いの様子見は終わるそして必殺の攻防を狙い大地を踏みしめた。
「ハッ、お前みたいな奴を正面から切り伏せるってなぁ……心地がいいだろうよ」
 言うなり鞘を投げ捨て溜めの構えを取る焔何某、絞ったバネのようにその獣性が今にも解き放たれそうだ。
「妖刀使い……それは下手じゃない? あえて言ってあげるわ……焔破れたり」
 巌流島に準え言葉を放つ由有子。その槍の切っ先は常に喉元に狙いをつけ力を解き放つタイミングを計る。
 バチャバチャバチャ
 稲荷神社の屋根から雨水が地面に激しく音をたて落ちたと同時に二人は動いた。
「武蔵守殿に及ぶかどうかその身で確かめるかい?」
「破っ!! 誰でも彼でも斬ってやらぁっ!!」
 人間無骨で高めたその威力、槍をあえて振り回す由有子に対し焔何某はなんと真正面から初撃に全てを注ぎ斬りかかる。
 互いの剛力がぶつかり合うその直前、なんと由有子が槍を手放し大太刀のさらに間合いのうちへとっ踏み込んでいく。
「死ぬ気かよオイッ!」
 それは限りなき死への片道切符、だが本来は刃を上向きに差すべき打刀をあえて佩いている愛刀をすかさず抜刀し脇を駆け抜ける由有子。
 大太刀の一撃を受け地面に叩きつけられる愛槍を背に焔何某のわき腹から吹き出る鮮血。
「残念、この通り……生きてるのよね」
 振り返り打刀を構え直す由有子、乾坤一擲……一太刀は浴びせた、後はどうケリをつけるのか。
 由有子は雨に濡れた大地を蹴り跳び出していく。

成功 🔵​🔵​🔴​

キョウ・キリノ
妖刀に魅入られていようが剣豪との手合わせは望むところ…それも俺と同じく一ノ太刀に全てを懸ける剛剣の繰り手ならば尚更だ。
斬機一刀…その真髄を以ってその剣豪を呪縛より解き放とう。

一刀両断、ニノ太刀要らず…それをただ単に勢いよく全力で考え無しに切り込んでも待っているのは死のみだ。
ゆえに俺は【見切る】のだ、相手の【殺気】や所作、挙動、呼吸、その全てを【瞬間思考力】で完全に把握した上で【切り込み】をかけニノ太刀要らずの【蜻蛉】一閃にて相手の斬撃を【受け流し】ながら【薙ぎ払い】【切断】する。

勝負は一度、刹那の一瞬、ゆえにその瞬間に至るまで自身の全てで相手を識るのだ。

アドリブ、絡み、歓迎。




 稲荷神社の境内に最大級の殺気がぶつかり合う、双方共に偉丈夫にして剛剣の使い手。
 常人であればこの殺気のただなかにいるだけで心が折れ気絶するに違いない恐るべき者達の気迫。
(妖刀に魅入られようが剣豪との手合わせは望む所……それも俺と同じく一の太刀に全てを懸ける操り手とならば……本望!)
 キョウ・キリノ(斬機一刀・f30324)もまた人外の巨大兵器を切り裂く太刀『斬機丸』を静かに抜刀し大上段に構え間合いを計る。
「斬機一刀…その真髄を以ってその呪縛より解き放とう」
「ハッ、刃交える時にゴチャゴチャ理屈はいらねえわな。後の事ぁ考えず全力で切り伏せてやらぁ!」
 鞘を投げ捨て呪われた妖刀を担肩刀勢に構える焔何某、互いに二の太刀を考えぬ全身全霊の刃を信条とする二人。
「ハッ、示現か……俺のタイ捨とどっちが上か勝負だオラッ」
「フム……斬機一刀、お相手仕る」
 異世界で磨かれた剣術が同じ形へと帰着する偶然にキョウは思う所があるが、あえて口にせず目の前へと集中を高めていく。
 防御を共に全く考えぬこの刀法がぶつかり合えば共に相打ちという未来が見える、キョウは全神経が研ぎ澄まされ互いの間合いをそしてその挙動を“見る”のではなく“織る”のだ。
 互いの呼吸が次第に一つのリズムとなり降り注ぐ雨がその身体を濡らす、踏み込みに十分な足場へと僅かず位置をずらし狙うべきは互いの脳天。
(勝負は一撃にて……決まる!)
 稲荷神社の屋根から落ちた水音、跳ねる泥、それと同時に飛び出す荒武者達。
「チェェェェストォォォォッ!!」
「キェェェェェェッ!!!」
 互いの叫びはまさに獣の咆哮、互いに上段からの刃が交差し双方の剛剣がその命を絶とうと唸りをあげる。
 刹那の攻防、すれ違う互いの刃……キョウの一撃は袈裟斬りとなり焔何某の大上段からの一撃を斜め方向へと僅かに逸らす。
「!!」
 キョウの肩より噴き出す鮮血、だがそれと同時にキョウ渾身の『蜻蛉』が焔何某の胸倉へとその刃を届かせていた。
「ぐおっ……」
 互いに止まる事を知らない剛剣使いがすれ違い泥水の中へと膝をつく焔何某、残心を忘れず振り返り太刀を構える事をやめないキョウ。
 恐るべき達人同士の一撃が互いの一の太刀を相殺し合った、ゆえにここからは剣士としての意地の張り合いだ。
 丹田に力を籠め互いに深手を負いつつも向かい合う二人、勝負の行方はまだわからない。

成功 🔵​🔵​🔴​

宴・段三郎
桑名打ちで鍛えられた妖刀と言えば、千子殿の刀かのう。まあ、そんなことはどうでもよい。

【行動】
妖刀に魅入られるなんてのは剣客なら誰しもが覚悟しておかねばならんことじゃ。たとえ魑魅魍魎に取り憑かれた刀だとしてもの

使用する妖刀は太閣殿が刀狩を始めた時にわしが鍛えた刀じゃ。号を原刀狩令、そして無声慟哭と申す

まず原刀狩令を使いて、刀身を重ねて、奴の刀の一部の能力と刀身を我が子に喰わせる。

次いで無声慟哭でも刀身を重ね、じわじわと刀身を崩壊させてゆく

頃合いを見て、妖刀見本市で今まで鍛刀してきた妖刀を召喚し
暴走させる

攻撃は全て武器受けで受け流す。

呪いには呪いじゃ




 雨の降りしきる階段を登り辿り着くは寂れた稲荷神社、その中から漂うは張り詰める殺気と纏わりつく妖気。
(フム……この気は妖刀から発する物で間違いなさそうじゃな)
 ビリビリと肌に感じる慣れた気配に宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)の顔が思わず緩む。普通であれば敬遠するであろう邪気に属するそれらも段三郎にとっては日常茶飯事。
 そもそもが妖刀ばかりを打つ刀鍛冶であるがために刀工としての興味のほうが先についてしまうほどだ。
(桑名打ちで鍛えられた妖刀……千子殿の刀かのぅ?)
 日の本の国において妖刀と呼ばれる物の中で一際有名な銘を思い浮かべその考えを振り払う。
 たとえそれが何であれ人に仇為す魑魅魍魎が取り憑いているとなれば見逃すわけにはいかない。
「あぁ、妖魅に魅入られるなど剣客ならば誰しも覚悟しておかねばな……そうは思わぬか焔何某?」
「アァン? 何だこの童子、人様を値踏みするような目をしやがって」
 すでにここへと訪れた気配には気づいていたのだろう、焔何某が大太刀を肩に担ぎ段三郎を見下ろしていた。
 ぶつかり合う静かな殺気、だがそれは戦前の一瞬の静寂にすぎない……地を蹴る音がした時には横薙ぎの一閃が段三郎を襲う。
「生意気な童子だ、首おいてけや」
「せっかちじゃな……お主は」
 抜刀し逆袈裟に振り上げた刃が首狩りを試みた大太刀の軌道を逸らし空を斬る、だがその反動はすさまじく段三郎の小躯は5間(9m強)近くも弾き飛ばされてしまった。
(原刀狩令の刀身にこれほど衝撃が届くとは、さすが見事な出来栄えじゃな)
 自らが鍛えた打刀で無ければ受ける事など出来ず砕かれたいたかもしれない強打に感嘆の声が漏れる。
 だがその刃に秘められた力はそれだけではない、刃を重ねた相手の刀身を喰らい無限に成長する……それが妖刀・原刀狩令なのだ。
 今のは受けきるのではなく刃を重ねるのが目的、であれば受けると同時に背後へと跳ぶことで衝撃はほぼほぼ相殺されている。
 さらには刀身の形状がまるでカミソリの如き風貌に変化するのを見、やはりこれはかの名工の手による物なのだと確信することができた。
「おっ? なんでぇ……今ので首が落ちねえとは手前、タダの餓鬼じゃねえな?」
「なに、ちと妖刀の扱いに長けただけのただのワッパじゃ、気にせぬことじゃ」
 そう口にしながら逆手でもう一振りの刃を抜き構える段三郎、無声慟哭という銘の刃を突き出しジリジリと間合いを詰めていく。
「今度はこちらからじゃ、焔の!」
 自ら間合いへと飛び込むと同時に地面から何本もの妖刀が槍衾のように焔何某へと襲い掛かる、それらを地を薙ぐように払った焔何某に迫る凶刃。
「小細工をっ! キエエエエエエッ!」
 横薙ぎから力任せに垂直に振り上げられるその大太刀を二刀を持って受け止め今度は10間近くも高々と舞い上がってしまった段三郎の小躯。
 着地まで回避する事もできず絶好の機会だというのに何故か焔何某は追撃を放たない、それどころか自らの大太刀の刀身を見分し手前ぇと唸りをあげる。
「どうじゃな焔の、呪いには呪い……いかな妖刀といえどわしの刃はどうやら届いておるようじゃの?」
「ケッ、喰えねえ餓鬼だぜ……ったくよう」
 不敵な挑発を耳にしてなお焔何某は不用意には飛び出さない、この幼子の刃は人を斬るのではなく“刀を蝕む毒”なのだと本能的に悟ったに違いない。
 人を斬る者と刃を砕く者、両者が交える刃がいかな結果をもたらすのか……戦いは未だ決着はつかない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
妖刀の力で気持ちも昂っておられるのでしょう
そうした中で、猟兵との戦いを望むのならば応えるのみ
では倫太郎、往きます

倫太郎と共に敵へ接近、連携を取りながら隙なく攻撃を繰り返す
視力と見切りにて敵の攻撃手段を確認
攻撃は武器受けと武器落としにて攻撃を受け止め、弾く
一撃が重い場合は残像にて回避を優先

大太刀と鞘による連撃が来ると判断した際には一度納刀
精神を集中している間は倫太郎に防いで貰った後、早業の抜刀術『八重辻』
2回攻撃、鎧無視併せ攻撃を凌ぎながらカウンターにて斬り返す

日々鍛錬し技を磨く、それは精神も然り
それに終わりはございませんが……驕り、周囲が見えなくなる時こそ
弱さというものは出るものです


篝・倫太郎
【華禱】
好き勝手言う奴には言わせとけ
それが俺の主義ではあるんだけども

それ以上に
オブリビオンに好き勝手されんのは気に入らねぇ
理由なんざ、それだけで充分

往こうぜ、夜彦

攻撃力強化に篝火使用
鎧無視攻撃と破魔を乗せた華焔刀での先制攻撃
なぎ払いから刃先返してフェイントも交ぜつつ2回攻撃
攻撃は妖刀を狙う形で行い、部位破壊も使ってく
必要に応じて夜彦のフォローも行う

敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御で防ぎ
武器受けからのカウンター

負傷は激痛耐性で耐え
以降は生命力吸収も乗せてく

てめぇの在り方を歪めてる刀に
いいように使われてんじゃねぇよ
天下無双の名が泣くぜ

そうじゃねぇってンなら、覚悟と矜持を見せやがれ




 静かな降り注ぐ雨音が境内に響く中、新たなる来客を感じさせる唐傘の音が聞こえてくる。
 それはその存在を隠すことなく堂々と境内に現れた二人の猟兵の姿。
 雨粒の音を響かせ月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は唐傘ごしに稲荷神社へと視線を向ける、その横で肩に担いだ薙刀と共に雨に濡れるも気にせず篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)もまたその視線を先へと見据えた。
 そこに居座るのは手負いでありながらも刀を抱えながら堂々と座っている男の姿、妖刀に魅入られし焔何某(ほむら・なにがし)は一般人であれば卒倒するほどの殺気を放ちつつ大太刀を杖代わりにゆっくりと立ち上がる。
「ハッ、今日は何とも来客の多い日だ、なんだぁオイ……弱え奴ほど群れるっていうが俺は別に気にしないぜ?」
 あきらかな挑発だ、短気な者であればそれだけで平常心をうしなうかもしれないがそんな怒気を二人は受け流す。
「好きに言ってろ、俺ぁそんな安い挑発にゃあ乗らないぜ?」
「えぇ、妖刀に魅入られ昂っておられるのでしょう」
 自然な動作で唐傘を投げ捨てると愛刀を静かに抜き夜彦は静かなる闘志を見せる、倫太郎もまた薙刀を頭上で振りまわり雨粒を一閃すると切っ先を向け殺気を絞り集中を高めていった。
「いいぜ、お前らみたいな奴ほど斬り甲斐があるってもんだ!」
「戦いを望まれるなら……応えるのみ、そうでしょう倫太郎?」
「まあこいつに好き勝手されんのも気に入らねえしな。……往こうぜ、夜彦」
 両者にとっての静かなる時は終わりを迎え張り詰めた弦が弾かれるかのように場の空気が変わった。

「キィィェェェェェェッ!!」
 烈火の怒号と共に大太刀を抜刀し“担肩刀勢の構え”のまま飛び込んでくる焔何某、その刃に触れれば全てを切り裂くとばかりに一の太刀は必殺の領域で二人へと迫る。
「祓い、喰らい、砕く、カミの力……味わいな!」
 篝火の神力が注ぎ込まれた華焔刀 [ 凪 ]が豪快に振り回され大太刀の横っ腹へと叩きこまれると軌道が逸れた必殺の太刀は両者のちょうど間へと叩きつけられ泥が盛大に跳ねた。
(この剛剣、まともに受ければ刀身が持ちませんか……)
 夜彦は横へと跳びまともに受け止めるのを断念しアイコンタクトのみでその間合いを計る。
「まだまだぁ!」
 倫太郎は振り切ったはずの薙刀の刃を返すと無理やりに軌道を変え逆袈裟に得物を振るった。
 それを大太刀で受け止めるも数間は弾き飛ばされ焔何某が泥水をはねつつ境内に着地する。
「それほどの技量、よほどの鍛錬の賜物でしょうが……」
「てめぇの在り方を歪めてる刀にいいよう使われてるんじゃ天下無双の名が泣くぜ」
 夜彦と倫太郎の言に苦悶の表情を浮かべるがそれはすぐに憤怒の表情へと変化する、焔何某自身の覚悟や想いも飲み込んだこれが妖刀の呪い。
 意思を無理やりに抑え込みただただ人斬りへと堕とす魔性の力は二人の揺さぶりに揺らぎ駆けた精神を内へと封じ込めたようだ。

「煩ぇぞ、雑魚共がぁぁっ!俺は俺様はっ最凶の剣を手に入れたんだ……手前ら如きに遅れは取らねぇっ!」
 大太刀と鞘の二刀の構え、これが伝え聞く覇壊の構えなのだとすればその力は計り知れないと二人は静かに頷き合う。
 精神統一のため納刀した夜彦、その絶好の隙へと斬りかかる焔何某に無理やりに割り込む倫太郎。
 正面から打ち合う二人、全身のオーラを集中しその恐るべき斬撃の衝撃に耐えつつも次第に裂傷が増えていくが倫太郎は悲鳴すらあげず歯を食いしばり時を稼ごうと必死に踏ん張り続けた。
「オラオラオラ、なんだコラ!」
「往かせねぇ……よっ!」
 激しい連打に薙刀の突き払いで返し、捻りを加えその斬撃を中断させる。
 それでも鞘による打撃が足を打ち刃は肩を切り裂きそしてぬかるみがふんばりを効かせず受け止めた剛剣にそのまま数間真横へと跳ばされた倫太郎、だがその黄金よりも貴重な一瞬を稼いだ先へと至った夜彦へとバトンを渡しニヤリと口元を歪めた。
「くたばりやがれぇっ!」
 納刀し身動き一つとらない夜彦に焔何某の凶剣が迫る、その切っ先が脳天へと触れるか否やそれは起こった。
「――全て、返そう」
 大太刀に比べれば細身の玩具程度のサイズでしかない夜彦の夜禱、曇り無き刃がそれら全ての剣筋を見切りそして全てを払い流し寄せ付けないのだ。
「何だ?何だ手前、ふざけるなコノヤロウ!」
 ムキになり袈裟、逆薙ぎ、上段、下段と次々と繰り出される剣戟がまるで夜彦には届かない。
 抜刀術『八重辻』、その全身全霊を集中させた剣技に妖刀の技は全てが弾かれ無効化されてしまうかのような錯覚。
 自信の根底を崩すこれには動揺が隠せない焔何某。
「俺も忘れるんじゃねぇぜ!」
 弾き飛ばされるも地を蹴って繰り出される焔の切っ先、倫太郎の迷い無き突きが脇腹へと突き刺さり後ろへと飛びのく焔何某。
「日々鍛錬し技を磨く、それは精神も然り……驕りは周囲を見えなくする……ということですよ」
「き、貴様ッ」
「……ハッ、そうじゃねえって言うのならよ、覚悟と矜持を見せやがれ!」
 必殺の一撃を返されあまつさえ手玉に取られているかのような焦燥感、さらには妖刀に飲まれた己へと問いかける二人の言。
「……クソッ、俺は……手に入れたはずなのだ、クソックソッ!!」
 それはあまりにも焔何某には重く圧し掛かり、ただの雨粒に濡れた肩がどこまでも重く感じてしまうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
人斬りの妖刀とは
その刀身はさぞ血肉に塗れた事でしょう

我等が獲物に相応しい
使い手が強者であれば尚の事
我等が怨念の良き糧となろう

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ行動の前兆読み予測

先制攻撃+UCに夜砥を忍ばせ爆破と同時にダッシュ
UCの影+麻痺毒つきの夜砥で捕縛で抵抗を封じ串刺し
槍伝いに怨念の炎(呪詛+焼却+生命吸収)を流し込み傷口を抉り、継続ダメージを付与
捕縛から逃れる前に二回攻撃の早業で足元をなぎ払い機動力を削ぐ

敵UCは残像+ダッシュのフェイントで別方向に誘って回避、または武器受けと体術で受け流しカウンター
間合いが遠いならUCで捕縛し怪力で引き寄せ
傷の痛み等は無視。攻撃の手を止めない




 爆音が響き稲荷神社の境内に破片が降り注ぐ、黒衣の男がその爆風を駆け抜け間合いへと飛び込んでいく。
 西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)にとってこの戦いは己が糧を得る対象との……いわば捕食でしかない。
(人斬りの妖刀とはさぞ……血肉に塗れたでしょう……)
 織久にとって彼は眼鏡にかなう美味なご馳走、それも強者となれば吸った血の量も尋常ではないだろうと愉悦さえ覚える。
「人を斬り……あなたは何を得ましたか?」
「ケッ、弱者が喚くさまはなかなかに楽しいぜオイ」
 赤黒い槍を振るい織久はその答えを最後まで聞かずにさらに連打を打ち込み続きを許さない。
 外道に堕ちた男の弁など最後まで聞くまでもない、この男は今……殺したところで何の感慨もわかない餌でしかない。
「手前も刀の錆に……ってなんだこりゃあ!?」
 焔何某がその巨大な得物を振るい迎え撃とうとし思わぬ抵抗を感じ視線を刀身へと送る、そこに巻き付いた無数の細い糸……それは織久が爆発に紛れて仕込んだ髪と血を練り上げて作りあげた極細の糸。
 それが刃や全身に巻き付きその動きを封じていたわけだ、受けが出来ぬままに槍の穂先が肩へと突き刺さるが声は出さずに歯を噛み締め耐えきるあたりがなかなかの手練れ。
「何人たりとも死の影より逃れる事能わず……」
「しゃらくせぇぇぇ!!」
 剛力を持って無理やりに糸を引き千切り全身から噴き出す血、それすらを厭わず振るう大太刀に弾かれた槍をそのままの勢いで反転し足元へと横薙ぎに振り回す。
 一直線の男にあくまで搦め手を尽くし追い込んでいく織久、怨念の炎が焔何某の傷口より内部を焼きとうとう零れる絶叫。
 だがその痛みすらを耐えきった妖刀の一撃が織久を襲う、残像を駆使し左右に揺さぶるのも構わず大太刀と鞘の二刀をもって追い込まれていくが未だ致命にはほど遠い。
「あてずっぽうの刃では、我等を倒すのは無理ですよ?」
「うるせぇ! 殺すつったら殺すんだコラ!」
 まるで狂戦士の如き突進、力任せのその一閃を受け取め背後へと跳びすさる。
 ただ槍で受けただけで握る腕が痺れるほどの剛腕、妖刀に魅入られるとはかくも人外へと成り果てるのか。
 そう思いつつもその妖気から伝わる邪気そのものは織久にとっては心地良き物、怨念にとっての素晴らしき糧を得て今まさにこの瞬間は愉悦以外の何物でもない感情が満たされていく。
 後退を知らぬ男と怨念と共に進む者の戦いは未だ決着がつきそうにはない。

成功 🔵​🔵​🔴​

無銘・サカガミ
【水響館】

「…感じる。」
この感覚、俺と同じ「呪詛」。
その刀…どこで手に入れた?

あの男のことはどうでもいいが…その刀は見過ごしてはいけない…そんな気がする。

「強い強くないなどどうでもいいさ。」
内に眠る八百万の呪いが一つ、感覚過敏を強制的に発動させる。
呪いを刃に込め振るい、即座に朽ち果てればまた新たな刃を取り出し。
普段から刃物を集めてるのはこのためだ。

打ち合って確かに分かる。妖刀から伝わる感触。
これは…憎悪、無念…懐かしさ?
ああ、これは…父様…。
間違いない、この妖刀に込められてるのは、「神」に滅ぼされた故郷のみんなの憶い。

「よこせ…その刀は、俺が振るうべきものだ。」


日下部・舞
【水響館】

「男子って、こういうところあるよね……」

もっとも、こちらの二人はタイプが違うらしい
マイペースな二人を尻目に、私は
影を滑るように疾駆して【先制攻撃】

夜帷を【怪力】任せに薙ぎ払う

咲夜ちゃんの援護の下、妖刀使いに間断なく攻撃
咲夜ちゃんは円月君が見てる
なら私はサカガミ君をサポートしよう
彼への攻撃を【かばう】
ダメージは【肌】の機能で痛覚を遮断【継戦能力】を発揮する

「サカガミ君には覚えがあるのね」

この世界に来た時から予感はしていた
サカガミ君の因縁、呪いの一端に関係するのだろうこと

【黄昏】を発動

刹那だけ、世界は誰彼時だ

「目覚めよ」

呼び声にかつてのUDCが手の中で歓喜に震える
妖刀を味わいなさい


東雲・咲夜
【水響館】
これはまた、随分威勢のええこと
元々のお人柄やろか
はたまた取り憑いてはる妖刀はんの影響か

なんにせよ争いは好きやあらへん
それにうち、刀は扱えへんし
勝負や死合や云うてもジャンルがちごとるような…
今は唯、あんさんを正気に戻すだけです
…気掛かりなんはサカガミくんの様子
何や知ったはるみたい?

《神籠》開きて舞踊れば
水神様の聖檻にて動きを封じまひょ
轟轟たる剣筋は…成程、其の名に相応しく
大太刀の豪快な振り、彼の気迫に圧されてまう
せやけど同時に舞ちゃんの果敢な姿に見惚れたり

花の神霊へ希い、桜吹雪で視界を奪って
えっくん、今よ…!
味方への攻撃には留意し水の結界術にて防ぎます
うちに出来るんは、愛し皆を護ること


東雲・円月
【水響館】
ァー、なるほど。そういう……
イイですねェ、嫌いじゃないですよそういうの!
やっぱり剣士って言うか、戦士って言うか、闘う者ってのはそれぐらいでないと
挑発とは受け取りません、挑戦と受け取ります
まァ、俺は誇りより勝つ方を選ぶんで、正々堂々ってわけにはいきませんけどねェ!

咲夜、援護して!
俺個人じゃなくて猟兵としての戦いをしてやろうじゃないの
俺の大斧は遅いし単純だけど、当たると超痛いから我慢してくださいねェ!

咲夜への攻撃は絶対に許さない
この身を盾にしてでも受け止めてやる

後の二人は……ええっと、まァ大丈夫でしょう。強そうですし
必要なら合わせるよ、もう一度言うけど、俺の攻撃は単純ですからねェ!




「応、なんだなんだ? いよいよ女餓鬼共も交えてのお遊戯会ってか?」
 雨はどうやら小降りのまま降りやむ気配もない、幾多の猟兵が戦いを挑みさすがの妖刀使いにも負傷と疲労の蓄積が溜まり切りもはや後はない状態。
 そのような窮地であろうとも焔何某(ほむら・なにがし)は豪気に笑い飛ばす、妖気に飲み込まれようとも本質は変わらない……ただ強い者と戦いそして生き抜いたという生の実感を感じ続ける事がいかに充実したものであるかを。
 その意味ではその日訪れた猟兵達は皆なかなかの手練れ、そしてその中でも約一名は焔何某とその妖刀から発せられる妖気に過剰に反応を示している。
「……感じる」
 無銘・サカガミ(「神」に抗うもの・f02636)はただ静かにそう口ずさむ。
 肌に伝わるこの感覚、そして眼前の男が飛ばしてくる殺気をものともせず睨み返すと一歩前へと踏み出した。
(この感覚、俺と同じ”呪詛“だ)
 サカガミの興味は完全に妖刀へと向いている、男の事などどうでもいい……だがその刀は、見過ごしてはいけない、そんな気がするのだ。

「アー、なるほど、そういう~イイですねぇ、嫌いじゃないですよ?」
 その横で並び立ち一人で行かすまいと前に進み出る東雲・円月(桜花銀月・f00841)、同じく戦士としての在り方として強い者と戦いたいという想いはある。
 だがその構え方は少しばかり違うのだ……剣士いや戦う者にとってはそれぐらいの気概が無くてはやはり面白くないと思う。
 だからこそ当初に焔何某が言い放った暴言すらも挑発とはとらず挑戦なのだと気持ちの切り替えがスムーズにできた。
 だがこの男、見た目に関わらず曲者である……誇りよりも勝利を選ぶクレバーさをその内に秘めているのだから。

 そんな見えない心のやり取りを後ろから見守り日下部・舞(BansheeII・f25907)はサカガミと円月を見やりその殺意を高めていく。
 舞はこのマイペースな男二人と違い戦いに際しても普段通り感情などあまり表へは出さない、敵を屠るのに必要なのはその経緯と結果……つまりは感情を乗せて戦うなどはトラブルの元であるとも思えてしまう。
 だがそれを全て否定する気にはならない、その感情が巻き起こす爆発力は決して無下に出来るものではないのだから。
「さぁ……往くよ」
 まるで影を疾駆するが如く飛び出していく舞、その背後から舞い散る桜吹雪が共に焔何某へと迫り二択を迫られてしまう。
「チッ、そっちの姐ちゃんのほうが手が早いとはな!」
「随分威勢ええんやね、元々のお人柄やろか? まぁええ……どっちにせぃ争いは好きやあらへんしな」
 扇で口元を覆いやれやれとばかりに東雲・咲夜(桜妃*水守姫・f00865)は言う、決して争い事に親しくはないその仕草ではあるが大事な仲間達のためとあっては一肌脱がずにはいられない。
(刀扱われへんうちに出来るのは合力するぐらいや、正気に戻したるぐらいしかでけへんわ)
 そう思った矢先さっそく飛び出していく円月、大斧を担ぎ真正面から飛び込んでいく背を見るに守りはこちらでやらねばと思わずにいられない。
「昨夜、援護して!」
 叫ぶ円月、どうせ全部昨夜に巻かせ自分は攻め一辺倒なのは容易に想像がつくのだから。
「澄み渡る水源を与えし神よ 我が平穏の祈りを聞き届け給え 恐み恐み申す……」
 水龍を呼ぶ舞を可憐にこなせば周囲に満ちる雫が水の結界を作り出し円月ごと焔何某を飲み込んだ。
「おりゃああ!」
 円月はその援護を初めからわかっていたかのように飛び蹴りを放ち動きの鈍くなった大太刀を思い切り蹴飛ばす。
 だがそれだけで封じきれる焔何某ではなく力任せに豪快に大太刀を一閃し僅かにだが水の結界が緩んだ。
 だがそれだけでは息の合ったコンビネーションは止められない、サカガミは出し惜しみなどせずその手を翳し内なる呪いへと呼びかける。
「全身が軋む…騒音が止まない…血の臭いが消えない…世界が、止まって見える…!」
 呪いが全身に行き渡り過敏になっていく感覚が妖刀より発する妖気を感じとりミシリと唸る四肢、八百万の呪いが行き渡り一直線に焔何某へと大地を蹴る。
 その刃はまさに猛攻、振るい打ち付け叩きつけまさに呪いの暴力と妖刀とがぶつかり合い飛び取る破片と砕け散る呪いの刃。
 だが砕けても砕けても次の刃を取り出しサカガミは止まらない。
「チイッ、手数ばかり多くても一撃で終わりなんだよオラァ!」
 受けに回っていた焔何某が力任せに振るった一撃がサカガミを襲う、だがその間に割り込み全力で叩きつけられる舞の一刀。
 呪いの大太刀に比べれば二回りは小さい愛刀「夜帷」はなんとその剛剣に耐えきりそれどころか弾き返したのだ。
「サカガミ君、守りは任せて……」
「えっくん、今よ!」
 サカガミのフォローに入る舞の怪力無双な一撃に大きく隙が出来たところに、昨夜の声に背を押され円月の斧がさらに叩きこまれる。
 大振りの斧による打撃は単純であるがゆえに強力、焔何某がようやく鞘でその一撃を受けようとするがさすがの剛腕……鉄鞘ですらも打ち砕き完全にそれを破壊してのけた。
「強い強くないかなどどうでもいいさ……っ」
 完全に足にきて動きがあきらかに鈍くなった焔何某を打ち据えるサカガミの斬撃が幾度も幾度も大太刀と打ち合い金属の音色を鳴らす。
(これは……憎悪、無念? ……懐かしさ?)
 一刀ごとに伝わるそれを感じ取りながら呪いの刃は確実に焔何某の動きはただただ致命傷を避けるだけの受けになっていく。
 その間にも昨夜の桜吹雪が、舞の容赦ない斬撃が、そして円月の打撃が逃げ場を失わせ正面のサカガミと対峙するしか選択肢を無くし追い詰めていく。
(あぁ……、これは、父様……間違いないこの妖刀に込められているのは……)
 なにか懐かしいどこかの光景が脳裏に浮かぶ、そしてその先に見えたのは「神」に滅ぼされた皆の記憶。
「ぐおおお、こんな、こんなことがあってたまるかぁぁぁっ!」
「よこせ……その刀は、俺が振るうべきものだ!」
 間合いの内の内まで踏み込みそして容赦なく地面スレスレより振り上げられる一刀、それは呪われし妖刀を空中へと弾き飛ばしこの戦いの一つの結末が訪れた事を告げる。

「クッソ……まだ届かねえってのか、よ……」
 妖刀から解放され前のめりに倒れこむ焔何某、妖刀の呪縛から解放され一気にダメージの蓄積が襲い掛かり血の池が広がる。
 だが一同の視線の先にあるのはそちらではない、弾き飛ばされた妖刀は稲荷神社の屋根の上まで回転しながら飛ばされていきその瞬間、大きな稲妻がその刀身へと落ち周囲は閃光に包まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『名も無き憎悪の残滓』

POW   :    一刀を以て森羅万象を断たん
【常軌を逸した威圧感を伴う妖刀の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    既に矛先は無く、しかして憎しみは晴れることなし
自身に【尽きることない憎悪】をまとい、高速移動と【全方位に無差別かつ 絶え間ない呪いの波動】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    不条理に朽ちた朋よ、共に行かん
【高耐久かつ大量の死した村の者たち】の霊を召喚する。これは【聞いた者の精神を狂わす嘆きの咆哮】や【体に取りつき恐怖心を増加させる呪い】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:猫背

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は無銘・サカガミです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 弾き飛ばされた妖刀に落ちた突然の稲妻、その閃光が収まった時に一同が目にしたのは妖刀より湧き出る憎悪の化身。
 およそ人とは思えぬそれは狂気を宿した憎悪で出来ているかのような異形。
 もはや人としての形を成しているのが不思議なぐらいの悪鬼がその姿を現していた。
「たかだかこの程度の者ども相手に苦戦するとは腹かっさばいて死ぬれ小僧」
「手前ぇ……俺の獲物に何しやがった……っ」
 血みどろの重傷でありながらも気合で立ち上がる焔何某、その瞳には先ほどまで感じていた狂気は感じない。
 まっすぐに己の不始末を恥じるもその元凶が目の前にいれば寝ころんでなどいれないのだろうか、気合でどうにか立っているという現状だ。
「ハッ、千子の糞餓鬼が打った一刀を用いてこの程度とは貴様はげにうつけじゃ、呆けか? クケケケケケケ」
「煩せぇこの野郎、人様の身体使ってやりやがった業、手前には償ってもらうからな!」
 吠える焔何某の言を悠々と聞き流し嗤う異形の化物は転がった大太刀を拾い投げてよこす、まるでその血塗られた剣を取れと言わんばかりに。
「拾え若造、まだそれを手にする覚悟があるならな」
「応さ、化物! 手前だけは俺の手でぶった斬らねば腹の虫が収まらねえ……覚悟しやがれ!」
 手にした大太刀を払い付着した泥を弾き飛ばす。
その内なる怒りと恨みは瀕死であったはずの焔何某を活性化しそして常人離れした力を一時的にだが与えていた。
その実力は猟兵に匹敵するであろう高みへと昇りつめるもそれも時間の問題、もはや止まらぬであろう。
“担肩刀勢の構え”のままにズカズカと間合いなど関係なく進んでいく男が激突するのはもはや時間の問題。
猟兵達はこの真の黒幕との戦いにいかなる結末をもたらすのか……勝負の時はもはや目の前に迫っていた。
キョウ・キリノ
刀に宿し悪しき妖…あれが此度の元凶か。

剣士とは刀の優劣にて競うに非ず、ましてや刀に振り回されるなど言語道断。
焔の怒りは至極当然…俺とてあの悪鬼に一太刀浴びせねば収まりはつかぬというものだ。

見せてやろう…十年一剣を磨き至った、真実の強さを。

髪を掻き上げ【覚醒】し【切り込み】
超絶強化された【瞬間思考力】と超反応を融合させた【見切り】で悪鬼の太刀筋、動きを完全に読み切って【受け流し】つつ斬機丸の【薙ぎ払い】を幾重にも重ねて悪鬼を微塵に【切断】してくれよう。

剣の道に終わりなし、過去に生きる貴様らでは前へと進み続ける我ら剣士に勝てる道理もない。
散れ、微塵に砕けろ!

NG無し、アドリブ大歓迎




 妖刀より現れた異形、その怨念を形にしたかのような邪悪なる剣士が境内に降り立った。
 その周囲だけまるで雨音がしていないかのような静かな殺気が漂っていた。
「刀に宿りし悪しき妖……あれが此度の元凶か」
 愛刀“斬機丸”を握る手に力が篭りキョウ・キリノ(斬機一刀・f30324)は並び立つ焔何某にも気を配りつつ距離を取る。
(剣士とは刀の優越にて競うに非ず、まして道具に使われるなど……言語道断、焔の字の怒りも至極当然だ……)
「しゃらくせぇ、この俺にあんなみっともない事させやがってよ!」
 キョウの視線の先では焔何某が怒りを抑えきれずに激昂し今にも飛び出していきそうだった。
 だがそれでも目の前にいる異形の殺気と間合いを感じ取り何も考えず飛び出していかないあたりはまだ冷静さが残っているのか。
 とはいえこの膠着が長く続くとも思えずキョウもまた静かな怒りを刃へと広げていく、キョウとて一太刀浴びせねば収まりつかぬ怒りをやはり燃え上がらせているのだから。
「来るがいい青二才共、我らが妄執の果てに至った境地にて彼岸送りにしてやろうぞ」
 悪鬼が動いた、ぶつかりあう殺気の中へと平気で足を踏み入れ間合いを詰めてくる。
「なんの、見せてやろう……十年一剣を磨き至った、真実の強さを!」
 前髪を掻き上げキョウはその力を覚醒させる、その研ぎ澄まされた感覚が見た敵の真なる間合い。
 かなりの間合い外であるにも関わらず受け流す刃、眼にも止まらぬ速さでそれは致命を与える位置にまでその憎悪の剣を届かせてきていたのだ。
「今のを見切るか……御見事也!」
「よく言う……まだ様子見だろうによ」
 怨念を乗せた刃を悉く弾き流しそして受け止めてキョウはその集中力の限り全てを防ぎきる。
「キィェェェェェェェッ!!」
 その猛攻に横合いから焔何某の豪快なる剣が割り込み悪鬼がそれを嫌い遥かな後ろへと跳び跳ね距離を取り直す。
 もちろん受けたくはなかっただろう、一撃必殺の一の太刀はその地面を切り裂きもしもそのまま斬り合っていたならば悪鬼は真っ二つにされていたであろうから。
 だがその動きさえも感覚を研ぎ澄ませていたキョウには“観えて”いた、地を蹴り跳びこみ足元を薙ぎ払うかのような一閃。
 だがそれは一撃に止まらない、2閃、3閃……幾多の斬撃が悪鬼へと迫り行く。
「剣の道に終わりなし、過去に生きる貴様らでは進み続ける我らに勝てる道理無し……散れっ! 微塵に砕けろっ!!」
「憤怒ぅぅぅぅぅぅっ!」
 受けに徹した剣をも弾かれ隙だらけの胴に横薙ぎに一撃が食い込み血とも怨念とも言えない何かが噴出し足元へと飛び散る。
 日々これ鍛錬を実践した男の刃は確かに悪鬼へと届きそして戦いの火蓋はこうして幕を開けたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月白・雪音
…あの者の刃から見えるのはただ『殺す』意思と欲望のみ。
『殺す道具』として作られた刀の有り様。それは正しきことなのでしょう。

… されど、ヒトが練り上げた剣の業…、『武』とはそれに在らず。
培った有り様をただ殺意によって染め上げるその所業、ここにて阻ませて頂きます。


…些か分が悪いですね、こうも絶え間なく憎悪を振り撒かれては近付くこともままなりません。
ですが焔様、貴方なら。

――あの者の妄念を、『斬り開く』ことが出来ましょう?


焔何某によって開かれた道を縫って、
残像にて肉薄し怪力、2回攻撃、グラップルにて打撃及び投げによる攻撃を重ね、
直感、野生の勘により敵の動作を感知、
再度の攻撃に移る間もなく畳み掛ける




 ビリビリと肌に伝わる憎悪の波動、間合いの外だというのにそれは全身に寒気を催すほどの恐るべき邪悪。
 月白・雪音(月輪氷華・f29413)の人並外れた野生の勘が言っている、これは刃から発せられた“殺す”という意思がまるで実体化でもしたかのような圧迫感、不用意に近づけば死あるのみなのだと……。
「刀としてならば“あれもあり”でしょう、ですがヒトが練り上げた“武”はそれに非ず……」
 口にしなければその圧迫感に神経が参ってしまうかもしれない、総毛立つのを我慢しながら間合いをいつ詰めればいいのか悩んでいた。
「ケッ、あんな奴に操られていたかと思うと情けなくて仕方ねえや」
 抑えた口調とは裏腹に今にも飛び出していきそうな焔何某、正気に戻ったとはいえ今は怒りと恨みが彼の身体を動かし尋常ならざる力を与えている。
 その二人をもってしてもこの憎悪はあまりにも激しく肌に刺さる。
「些か分が悪いですね……ですが焔様ならば、きっと……」
(――あの者の妄念を、『斬り開く』ことが出来ましょう?)
 雪音と焔何某に交わされる言葉はない、だが共通の敵を目の前にした一種の連帯感のようなものが二人を繋ぐ僅かな糸のようなものだ。
 そしてこの拮抗を破るのはやはり烈火の如く怒りを刃に乗せた焔何某の突進からである。
「キィェェェェェェェッ!!」
 必殺の太刀と共に獣じみた咆哮が境内に響きその巨躯が地を駆ける、それと同時に雪音も真後ろに追随し身を丸めまるで引き絞った弦のようにその機会を待った。
「結局は正面から斬るしか出来ぬか愚か者がっ!」
 怨念の悪鬼が振るう太刀と焔何某の大太刀が正面から打ち合い互いに一歩も引かずに鍔迫り合いとなる。
 それこそを待っていた雪音が地面スレスレを這うようにステップし肉薄する、その動きは余りの速さに残像を残すほどで下半身のバネを全開にし蹴撃が足元を襲い向う脛を蹴り上げる。
 さらにはまるで蛇が巻き付くが如く纏わりつきガッチリとしがみつき背中から四肢をホールドすればこれはまさに絶好の隙を生まれさせる。
「今です!」
「応さっ! 恨むなよ、虎の姐ちゃん!」
 大上段に振り上げられた大太刀、烈火の咆哮と共に振り下ろされその切っ先は邪悪なる悪鬼の肩口から容赦なく切り裂いていく。
(今っ!)
 間一髪のタイミングで雪音はその背から離れ地面へと転がった。
 ……容赦がない、と思う。 あのまましがみついていたら雪音ごと真っ二つにするであろうほどに刃には迷いなど無く地面までを一閃する。
「うぬら……このような手で儂を斬るじゃ、と……っ」
 血飛沫の代わりに怨念や悪意が漏れ出したかのように苦しむ怨念の悪鬼、刃は確かに邪悪へと届いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
黒幕のご登場ですねぇ。
参りましょう。

【接穣】を使用して先程破損した品を含む全ての『祭器』を強化、付与された『即時修復機能』で全て修復しますねぇ。
焔さんは私の姿は見ておりませんが、この『祭器』を見れば『見えなかった女』と判るでしょう。

そして『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FRS』による[砲撃]で対処しますぅ。
『FSS』は半数を焔さんの護衛に、私も剣術の心得は有りますから『焔さんと私の隙』を塞ぐ様防御と[援護射撃]を行いますねぇ。
『FSS』が斬られても『即時修復機能』が付与されている以上、即座に修復可能ですぅ。
後は、地上の焔さんと上空の私で注意を分散させて叩いて参りましょう。




「どうやら黒幕の登場のようですねぇ」
 稲荷神社上空に浮かぶ夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はその凶悪な憎悪が姿を現した事でようやく本腰をあげて攻め立てる覚悟を決めたようだ。
 先ほどまでは焔何某を消し飛ばすかのような攻撃も出来ず多少の加減はしていたとはいて両断された浮遊兵器達をこのままにするわけにもいかず、ならばと頼るのはやはい女神様よりの加護。
「大いなる豊饒の女神、豊かなる器を今一度、新しき力へとお導き下さい……」
 祝詞を唱えその新たなる加護が周囲に満ち満ちていく、それは砕かれ切り裂かれ破壊されつくした浮遊兵器や祭器などを瞬時に再生し再び戦線へと押し上げていく。
「むっ……またこの鉄の塊共が息を吹き返しやがった……てぇことはこいつを操ってる奴がそこらにいるってことか」
 左右を見渡すがそこには怨念の悪鬼しかおらずそれ以上は意識を割くわけにもいかない。
 それもそうだるこるは遥か上空を浮遊していているのだから……。

「忌々しい鉄屑め!」
 怨念の悪鬼が迫りくる浮遊兵器による嫌がらせに痺れをきらしていた、浮遊砲台によるしつこい砲撃、さらにはビームシールドが次々と迫り来て焔何某への集中もなかなかに出来ない状態。
 しかもいやらしい事に切り伏せても瞬時に再生されてしまってはトドメの差しようもない有様だ。
「なんか知らねえが、こりゃ助っ人って奴かよ」
 大太刀を肩に担ぎ焔何某は一気に悪鬼へと迫る、それを迎え撃とうという凶刃は群がるビームシールドなどを切り裂く手間の分どうしても対応が遅れてしまい……。
「キェェェェェッ!」
「チョコマカと煩いぞ雑兵ぅぅぅっ!!」
 大上段から振り下ろされる刃と無茶苦茶に振り回される凶刃が交差する、ありえない事に間に展開していたビームシールドが全て砕かれ瓦礫と化して飛び散った。
(す、すごいですぅ……互いの剣圧で私のFSSが一瞬で全滅なんてぇ……)
 るこるは上空でその恐るべき攻防を垣間見てここから先にどう介入すべきかを考える。
「ですが再生するまでの間……これ以上はさせませぇぇん!」
 残った戦輪も一部を残して射出し上空から幾多にも降り注ぐ金属の塊、それを刃を一閃し振り払う悪鬼。
 だがそれは今度こそ焔何某に対して大きな隙となってしまう、横一文字に振られた気合の一閃がその胸倉へと至り憎悪とも呪詛ともいえるものが思い切り吹き出ていく。
 るこるのフォローで優勢に戦い続ける焔何某、戦いはまさに最高潮へと駆けのぼっていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
狂気と憎悪、染みついた血肉
喰らい尽くさばさぞ我等が怨念も滾るだろう
死合いを以て喰らい合おうぞ

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ状況を把握し焔何某と敵の行動を予測
焔何某を攻撃に巻き込まずかつ互いの攻撃が噛合うよう調整する

先制攻撃+ダッシュ+串刺しで接近、UCを流し込んで傷口を抉り、同時に怨念の炎(呪詛+生命吸収+焼却)の継続ダメージを付与
敵攻撃を武器受け+体術で受け流してすり抜けざまに早業+夜伽で捕縛。敵の回避防御を妨害し、焔何某の攻撃に合わせなぎ払いで両腕を切断

敵UCの回避に失敗しても各耐性と手足がなくとも命があれば戦う西院鬼の覚悟+殺意とUCや隻腕や足でも武器を使える怪力で戦闘続行




 妖気と邪気そして闘気渦巻く境内に尋常ならざる者達が集結する、それは妖刀に宿りて男を狂わせた邪悪なる妄執の悪鬼。
 そしてもう一人は操られ憎悪と怒りに飲まれた妖刀使いの男、そして最後に狂気と憎悪を喰らうべく現れた第三の男。
 それが西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)のこの戦いにおける立ち位置だった。
(染みついた血肉……喰らい尽せばさぞ我が怨念も滾るだろうよ)
 死の間合いすらを気にせず静かに歩を進め織久は絶対なる死の臭いのする間合いへと飛び込んでいく。
 待っているのは生か死か、その静かなる瞳に映るのは何であるのかを知る者は誰もいない。
「さぁ悪鬼よ、死合いを以て心行くまで喰らいあおうぞ!」
 それが戦いの合図となった。

「破っ!!」
 唐突に足場を蹴り突き進む織久、伸びた影が恐るべき猛威を振るい刃の間合いの外から奇襲をかける。
 瞬発力を生かしたその影による突きが肩口に刺さり貫くと同時に燃え上がる怨念の炎、怨念で出来た悪鬼でさえもが苦しむというこの世の地獄かと思えるがそこはタダでは帰さない。
 引き付けてから繰り出す斬撃はその胴を一刀両断にするかに見えた、だが咄嗟に身体を捻りそして影による防御を行うもその威力は相殺しきれずに今にもその命を奪いそうなまでに迫って来た。
「キェェェ!」
 その真横から唐突に振り下ろされる焔何某の一撃、織久と悪鬼の双方を繋ぐ影の腕が身動きを封じそれは悪鬼の腕へと叩きこまれた。
「貴様ら、慣れ合うかっ!」
「我等だけで戦ってると一言でも言ったかな……?」
「知るかっ! 斬りやすい馬鹿野郎がいたから斬っただけだっ!」
 挑発するような織久とただただ馬鹿の焔何某。
 そして織久はそこで止まる事無く次へとつなげる動きを見せた。急に屈みそして超極細の糸が悪鬼の脚へと絡みつきその歩法すらをも封じる。
……つまりこれこそが織久の作り出す最大のチャンス。
「やれっ焔何某! 我等にその剣、見せて見ろ!」
「言われなくても……応さっ!!」
 地面スレスレを横薙ぎに切り裂きにかかる織久、それに呼応し刃を振るう焔何某
……それに対して常軌を逸した悪鬼の剣戟が目の前に嵐を起こす、飛び散る血飛沫と熱さが身体に駆け巡り腕が飛ぶもそれすらも厭わずその殺意は終わりを見せはしない。
「うおおおおおおおおおっ!」
「キィェェェェェェェッ!!」
 下段から千切れかけた腕を影の腕で覆いつつ切り裂く織久と防御など考えずただ一刀を振り下ろす焔何某。
 その上下からの同時攻撃に絶叫と共に血飛沫舞う悪鬼の身体、死闘と呼ぶしかないこの戦いに空気が震え獣じみた声が鳴り響く。
 それは狂気と怨念の漏れ出した悪鬼の壊れたかのような声、恐るべき怪力で大地を踏みしめ織久は緩まぬ殺気を放ちながら大地を蹴った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
彼の陰に居たのは奴ということなのですね
自ら姿を現して頂いたのならば重畳
彼を狂わせ、矜持を踏み躙る行為、外道と呼ぶに他無し
――御覚悟を

霞瑞刀 [嵐]使用、刃には破魔の力を付与
倫太郎と動きを合わせ、駆け出して接近
2回攻撃を基本とし、時折倫太郎が仕掛ける所で間を空けて
攻撃をずらしてフェイント
敵が攻撃を受ける等して怯んだ隙に早業の抜刀術『断ち風』
憎悪の化身ならば、この刃も効きましょう

敵の攻撃は武器受けにて防御後カウンター
視力による敵の目視、第六感にて威圧感を感じた際には
威力の高い攻撃と判断し、残像にて回避

焔何某殿は私達が言うのもですが、無理をなさらずに
しかし奴と戦いたい気持ちも理解しております


篝・倫太郎
【華禱】
煽るだけ煽ったんだ
当然、てめぇも命を賭けるだけの
覚悟はあるんだよな?

人の在り方、生き方……
その内にある矜持と覚悟
そうした『その人たらしめている』モノ
それを踏み躙るやり方は一番いけ好かねぇ

夜彦、往こうぜ

技能の手をつなぐを代償に始神界帰使用
衝撃波と破魔を乗せた華焔刀で先制攻撃のなぎ払い
ダッシュで接近して刃先を返して2回攻撃で吹き飛ばし

敵の攻撃は見切りと残像で回避
威圧感には臆する事ないよう覚悟を持って対処
回避不能時はオーラ防御で防ぎ
以降は生命力吸収も攻撃に乗せてく

焔の兄さんの攻撃の邪魔は出来るだけせず
敵からの攻撃に関しては適時フォローを入れ
極力行動の阻害はしない

但し、命に係わる場合はかばう




 妖刀より現れた事件の黒幕、怨念と妄執と憎悪を織り交ぜた唾棄すべき悪鬼……それこそが目の前にいる“悪”なのだと月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は一目見て確信した。
(彼の影に居たのは奴、ということなのでしょうね……)
 人を操り悪行を為させる外道、妖刀の中にいられては直接斬る事も叶わないがわざわざ出てきてくれたというなら話は別だ。
「矜持を踏み躙る行為、外道と呼ぶに他無し――御覚悟を」
 鯉口を切り一歩前へと踏み出る、それは敵の間合いへと進みゆく宣戦布告、その唯一無二の相棒が往くならばと篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)もまた朱で描かれた焔舞い踊る黒塗りの槍を一振りすると同じく前へと進み出る。
「煽るだけ煽ったんだ、当然、手前も命賭けるだけの覚悟はあるんだよな?」
 ガンを飛ばし殺気をぶつけた相手はただただ不気味に嗤うのみ、怨念で出来たかのような刃を自然体で持ちながら両者へと舐めるような殺気をぶつけ返してきた。
「クケケケケケ、青二才が知った風な口を……げに笑止、笑止じゃ!」
 その笑いは大太刀を杖代わりに立ち上がった焔何某にも向けられる、妖刀に操られ彼が今日まで積んできた修業を全て台無しにするかのような狼藉を働かせた事へと見下した感覚がありありと見て取れる。
「手前ぇ……っ」
 ギリっと歯を食いしばる屈辱、それを見て倫太郎もまた語気を強め切っ先を外道な悪鬼へと向けた。
「人の在り方、生き方その覚悟……矜持を踏みにじるやり方は一番好かねぇ……夜彦、往こうぜ」
「応、倫太郎……遅れを取るなよ?」
 息の合った二人が想いを共にし肩を並べる、互いを汝刃我盾と見る両者の覚悟はこうして決まる。
「来い青二才共、格の違い……教えてやろうぞ。命という対価でなぁぁっ」

 地面を蹴った、まるで元からそこにいたかのように倫太郎の槍が悪鬼へと迫る、真言を口ずさみその封印は解かれた。
 神力が宿った槍先はまさに“破魔”の力を得た悪鬼殺しの槍を化す、一番槍のお務めとは何か……それはまず相手の気勢を削ぎそして相棒へと繋ぐこと。
 剛腕にて振るわれた横薙ぎが一閃、それは見切られ回避させる……だがそれでは終わらずもう一歩踏み込み返す刃が逆薙ぎの先の塊として襲い掛かり悪鬼はさすがにそれを刃で受け止めた。
 それはまさに狙い通りの僅かな隙、夜彦は軸足となる一歩を踏み出し濃口を切った刃が瞬時にその鞘から抜かれていく。
 それはほんの瞬きするかのような刹那の一瞬、破魔の嵐を纏った刃は無防備な悪鬼を切り裂き怨念とも憎悪とも見える血飛沫を舞い散らせたかに見える。
 抜刀術“断ち風”、それは肉体ではなく穢れや邪心のみを切り裂く秘剣、存在そのものが穢れともいえる悪鬼にとってこれは相性最悪の凶刃となり絶叫があがった。
「猪口才な技を使いおるわこの小僧、許さん許さん許さんぞおおおおおおおっ!!」
 剣気が解き放たれ無茶苦茶に振るわれる凶刃、それは見事な連携を取る二人を押し返すかのような剛剣。
 二人はそれを刃で受けるのを止め間合いを一度外すことを選ぶ、受け損ねれば一撃必殺の威力はそれには宿っていそうな気配を感じ取ったからだ。
 切り裂かれたかに見えた夜彦はどうやら残像であったらしく事なきを得る、伸びた槍の間合いの内へと入りこまれた倫太郎はオーラを纏わせ武器破壊を阻止しつつ受け手に回るしかなく次第に気が削られていく。
「さすが大口を叩くだけの事はありますが……」
「“俺達”を仕留めるにゃあ足りてねえよう、だぜ?」
 その二人の視線がチラリと横を見た先には憎悪が爆発したかのような悪鬼の殺意へと振り下ろされる剛剣の姿があった。
「キィェェェェェェ!」
 まるで狂戦士と化したかのような咆哮、獣じみた掛け声と共に振るわれた大太刀が悪鬼の刃を地面へと叩きつけさせる。
「まだ生きておったかこの小僧めがっ!」
「煩せぇ、やられぱなしで倒れていれるかよオイ!」
 焔何某が全身から血を噴き出させつつも繰り出した一撃は戦いの流れを大きく変えた、勢いを削がれた悪鬼の連携が止まった事により二人は無言で言葉を交わし合いそして攻勢へと転じる。
「今ここに戻れ、カミの力っ!」
「吹き荒れよ……嵐っ!!」
 悪鬼の散った二人が両側へと跳びそして自らの得物にその全力を注ぎ込んだ、神力宿す剛槍と神速の抜刀術……十字に交差したその刃が悪鬼の脇腹へとその破壊力を存分に奮い噴き出し弾ける憎悪の力。
「ぐああああ、貴様ら、儂にこのような振る舞いをしてタダで済むと……」
「思う訳ねえってのはこっちの台詞だコノヤロウ!」
 思い切り悪鬼を蹴飛ばし焔何某の表情にも不敵な笑いが帰ってくる、それは自らにもう一度立ち上がる機会を作ってくれた言葉交わさぬ二人へと静かな礼でもある。
 剣客たるもの語るのは口ではなく刃、そしてそんな場面を演出するに蹴られるなどという屈辱を味わされ絶叫する悪鬼。
 戦いのボルテージはさらに燃え上がり、双方共に引かず戦いはますます激しさを増していく……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユメ・ウツロギ
うつけは貴方です。猟書家。
確かに、操られてた頃の方が身体能力等は上だったかもしれません。
ですが、理を失くした剣に真の強さはないです。
猟兵に負けたのは貴方の弱さです。

無限の書、蒐集開始

戦闘開始と同時に、無限の書で敵の【情報収集】・解析を行いつつ、聖属性の破魔の結界【結界術、高速詠唱、属性攻撃、破魔】で自身と焔影さんの周囲に展開し、霊による呪い等を軽減。

更に【多重詠唱】して聖属性の攻撃魔術【属性攻撃、高速詠唱、全力魔法、誘導弾、一斉斉射】を仕掛けるです。

無限の書による解析完了と同時に【蒐集行使】。
敵の動きを予測し、焔影さんのデータから【瀑怨】を使用。
焔影さんの剣、お借りするです。

これが、理の力です




 蒐集した新たなる知識はユメ・ウツロギ(蒐集の魔女・f30526)に叡智を与えて見せた、焔何某の剣技はその半分がこの取りついていた悪鬼の物であると今ならばわかる。
 であれがゆえにわかるのだ……、操られていたほうが確かに焔何某の身体能力は上だったかもしれないと。
 だが理を無くし狂気に陥った状態での剣に真の強さはないであろうということも、だからこそユメははっきりと口に出して言うのだその言葉を。
「うちけは貴方です猟書家の意思を継ぐ者。これから猟兵に負けるのは貴方の“その弱さ”ゆえであると覚えておいてください」
「小癪な小娘め」
 その殺意がユメへと向いたところで悪鬼に突如として届く刃がある。
「オイオイ、余所見たぁ……油断がすぎねーか?」
「き、貴様ぁ」
 大太刀を振るった焔何某の一閃が利き腕に大きな傷跡を残し悪鬼は後ろへと跳躍し距離を取り直す。
 それと同時に全身から噴き出す怨念、まさに悪鬼はここから闇深い戦いへと二人を誘おうとしているかのようだ。
 “蒐集開始!”
 ユメは無限の書に命じ高速で解析を進める、このまま戦うのもいいがやはりその無策のまま進むのはユメの主義に反するというものだ。
「まずは……こうですっ!」
 書を片手に展開した結界術、それは悪鬼の放つ怨念を軽減し呪いの力を弱めるのに大いに貢献していた。
「ケッ、チビ助に手助けされるたぁ……俺もまだまだのよう、だぜっ!!」
 霊験新たかという言葉がよく似合うユメの結界術は確かに重くなっていた四肢の動きを復帰させ十二分に実力を発揮できる場を作り出していた。
 これなばらいけるとばかりにさらに刃を振り続けていく、それに呼応しユメもまた結界と同時進行で詠唱を重ね魔力弾を左右から時間差で何発も撃ちだして支援を始めた。
 それは解析されたデータから見える焔何某の剣戟から逃れにくくする足場へと連続攻撃、そこへと足を踏み込めば大打撃を受けるであろうイヤラシイ誘導。
「おしめも取れぬガキにここまで手こずるとは、クッ」
「ハッ、ケツの青い嬢ちゃんにしちゃ上出来だ!」
(ここまでは計算通り、そしてそれを越えて見せるのが私の仕事……っ)
 思い返すのは先ほどまで戦った焔何某の剣術、そして普段は目立たぬよう所持している刃物は何気にその手に収まっているという事実。
「焔影さんの剣、お借りするです」
 ユメが手にした刃物で切り付けるもそれは当たらず躱されるのだが本命はそこではない、地面に触れた先から燎原へと変わっていく境内の姿。
「お、オオオオウ!?」
「な、なんだこりゃ俺の瀑怨じゃあねえかこいつは!」
 驚く焔何某に今がチャンスだと目で伝えユメは刃物を翳しボソリと呟く。
「これが、理の力です」
 その力に後押しされ振るわれた大太刀が真一文字に悪鬼の身体に一刀を浴びせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

長坂・由有子
多分、リーチ上では私の槍のが有利。
それを活かして相手によらせず相手に有効打を軽くていいから当てていく。
怨念の類だし、有効なんかわからんけども、関節、足、腕等急所をついて相手の動きを制限かけていきたい。

あんだけ大言吐いてるんだ、なかなか隙は出さんだろうけど不意の閃光なら少しでも出来るんじゃないんかな。
蛍光灯が光り輝く、で相手の目を焼く。
隙ができたのなら、そこからは焔の番。仮にも手練れを気取るならその隙に乗じて見せてよ。


生きてる間にできてない時点であんたは負けたんだって。その妄執抱いて消えていきなよ。

焔はどうすんだろ。自分の意志でなく人を斬った訳だけど。生きるも死ぬも自由だけどさ。




 剣戟の音が舞う、雨滴る境内に響くそれは一つ二つではない……怨念と憎悪の化身のような悪鬼に対して長いリーチを生かし攻めの手を緩めない長坂・由有子(願身不復生王家・f17688)。
 一撃二撃で倒せる相手でもないのは理解している、だからこそ手数を減らすわけにはいかないこの化物は隙あらば常軌を逸した一撃を放とうとその凶刃を振るうのだ。
(怨念の類、これの四肢なんてアテにはならないけれど……)
 かといって手を弛める必要はない、有効であろうと無かろうと由有子の槍が狙うのは怨念の関節部。
 “人の形”に拘った相手なればこその弱点を突かずして勝利はありえないとも思う。
「猪口才な女め、小手先の技で儂は倒れぬぞ、クハハハハハ」
 槍は確かに突き刺さってはいるはず、だがそれでもなおその動きは限界を越えたかのように加速して押し返して来ようとしている。
「……くっ」
「クハハハ、その程度か槍使い!」
 大きく振り上げられた刃に槍の柄が弾かれ慌てて後ろへと跳躍する由有子、その胴はガラ空きだとばかりに詰め寄る悪鬼。
 だが由有子の懐から転がり出た棒状の何かが宙を舞いそして双方の中央で眩しく輝いた、それは由有子愛用の蛍光灯でありこの世界ではあり得ぬ眩しい人口光。
 一挙一動がギリギリの戦いでこの突然の不意打ちに双方の攻撃は止ま……らなかった、そのような大きな隙を見せるということを見逃さない男がもう一人ここにはいるのだから。
(仮にも手練れを気取るなら、この隙を突いて見せてよ!)
 そう願った由有子の心配は杞憂、身体はすでに勝手に動いているのだろう大太刀を担いだままで間合いへと飛び込んでいく影が視界の隅に映る。
「キィェェェェェェッ!!」
 真横から割り込み振り下ろされる一の太刀、焔何某の必殺の一撃が横合いから悪鬼を切り裂く。
 怨念がまるで血飛沫のように吹き出てその動きにさらに大きな隙が出来た、少なくとも凶刃を振るう腕を切られすぐに対応は出来ないにちがいない。
 着いた地面を蹴り直し引きから押しへと瞬時に切り替える、腰に生じた気を肩を腕をそして手を通じて槍へと伝え必殺の突きが腹へと突き刺さる。
「生きてる間にできてない時点で、あんたの負けだって……っ!」
「グオオオ、なんの儂は儂はぁぁっ」
 烈火の怒号と氷のような妄執とがぶつかり合い互いの闘気が張り裂けそうに満ち満ちていく。
「俺を忘れんなダボがっ!」
 焔何某のさらに振るう刃が背を打ち今度こそ吐血したかのようにドス黒い何かが噴出し始めた。
 刹那の攻防はほんの僅かな隙を作りだした事で大きく転がり始めた、戦いの趨勢はもはやここで決したといっても過言ではない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宴・段三郎
おんしゃ、妖刀になれ
このエンパイア最悪の妖刀になるのじゃ

【行動】
足りぬ、足りぬ、まだあの怨恨だけではわしの望む妖刀にはなれぬ

もっと怨み、もっと妬み、もっと憎まなくては練り上がらぬ

使用する妖刀は二振り、

号『豊稲丸地国』
号『化生炉』

まずは一の太刀
わしが鍛えし妖刀の中でも指折りの怨嗟を持つ妖刀 号『豊稲丸地国』で【早業】を用いて奴に出来るだけ多くの手数で斬る。傷をかすり傷でもよいからどこかに与えられれば傷口の内側から大きく実る稲穂が生えよう。

ついでニの太刀。
わしの仕事道具、化生炉を使いて、奴を極悪非道の妖刀へと鍛刀
する。化生炉の内包するユーベルコードを使用する

焔にはわしの持つ妖刀から何か貸し出す




 世の中にはどうしようもならない人種というものが確かにいる、常識ではダメであるとわかっていてもたとえそれが非道と謡われよとしても止めれぬものは止められぬ。
 それは妖刀に宿ってなお人斬りを行う恩讐の塊である悪鬼もではあるが、血に飢えた妖刀を生み出す刀鍛冶という人種もまた同類である。
 恨み、妬み、嫉み、もっともっと練りこまねば真の妖刀にはほど遠い……たかだかこ程度の人斬り程度で為せるほど目指す領域は低くはない。
 妄執に囚われているのはこの幼い刀鍛冶、宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)もまた同じ事。
 真の一振り、人の皮を脱ぎ捨て悪鬼に外道にそして魔道に堕ちねば打てぬそれを求めるのは作り手の行き付く先にある業というものだ。
(足りぬ、足りぬ、まだあの程度の怨恨だけではわしの望む妖刀にはなれぬっ!)
 じれったい、猟兵としての仕事がこれ以上の彼奴の非道をさせるわけにはいかぬと言っているが求めるものはもっと外道の先にあるというジレンマに段三郎は苦々しい想いに歯ぎしりする。
 ならばさらにその高みへと導くのが魔導に墜ちた刀鍛冶の仕事というもの、腰より一振りの刀を抜刀しそして正眼に構える。
号を 『豊稲丸地国』、段三郎渾身の妖刀の一振り。その刀身に刻まれた刃紋は独特で刀身より滲み出る何らかの負の気配が見る者に何かが足りないと思わせるほどの妖気。
「おんしゃ、妖刀になれ……このエンパイア最悪の妖刀になりはてよ!」
「クハハハハハハ! わかるぞ儂には、貴様はその幼い身で儂と同じ道を歩むか外道!」
 互いの剣が、呪いが、妄執が飛び交えた刃が火花を散らす。
 互いの四肢から血が吹き合いそしてそれは衣を紅く染め狂気への道を開いていく。
「あぁ……きっと貴様を斬れば至れるであろうかのぉ、フハハハ」
「まだじゃ! その程度の恨みで至れると思うでない!」
 段三郎の叫びと時を同じくして悪鬼の身体から突如として稲穂が生えてきた、それは妖刀たる豊稲丸地国によって受けた傷から生える魔なる稲穂。
 最大飢饉で死んだ者達の妄執が篭められた恐るべき魔素の塊、呻き動きが止まったその矢先に段三郎が取り出したのはトドメの一撃ではない。
それは『化生炉』、大太刀でありながらもその本質は妖刀を鍛えるための槌と炉を兼ね備えた物。
そして目の前には妖刀へと至れるに相応しい魔を秘めた材料がいるのだ……それを見て打たぬなど刀鍛冶の矜持に関わるというもの。
「うがっ、やめっ……やめろ、グアア、貴様ぁ貴様わぁぁっ」
「天に冥府 地に魔道 我が求めるは真なる一振り……妖刀はかくあらねばならぬ!」

 玉鋼を鍛える音がする、それは境内に響く槌の音、絶叫が響き渡りそしてそこには新たなる妖刀が生まれ出そうとしている。
 刀工「地国」の新たなる新作が今ここに……その異様を曝け出そうとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日下部・舞
【水響館】

あのひとがサカガミ君の?
その残留思念なのか、もう言葉を交わすことはできないらしい

「あなたの道を開くわ」

行手を阻む霊たちをサカガミ君には近づけさせない
撒き散らされる狂気と恐怖を、私は夜帷を振るい【恐怖を与える】
恐怖をもって恐怖を制する
夜帷が軋んだ音で哭く

「咲夜ちゃん」

だけど彼女なら浄化できるかもしれない
呼びかけて、それでも溢れる霊たちには【抹消】を発動

「無は無に」

骸の海があの世なのか、天国なのかはわからないけど、還る場所はそこだから

戦いが終われば想定外に消耗が激しい
それでもサカガミ君に上着を羽織らせてねぎらうように

「大変だったね」

でも戦いは終わりじゃない
もう少しだけ頑張りましょう


無銘・サカガミ
【水響館】

「……父様。」
分かってる。
あれは所詮憎悪の残滓。
記憶も無ければ、ただ本能のままに暴れるだけの残留思念。

それでも…せめて、安らかに眠らんことを。

「呪怨解放…!」
身に秘めし八百万の呪い、【呪詛】を解放する。
呪いには呪いで対抗するのみ。
呪いの波動を【呪詛】で打ち消し、皆が足止めしてる間にありったけの呪いを込めて一撃を叩き込む。

…意気込んでる男について?邪魔しなければどうでもいいさ。

父様の姿をした残滓が残した妖刀を拾う。
「うん、思った通り。」
妖刀の呪いなど気にならない、むしろ、身に宿る呪いをありったけつぎ込んでもなお朽ちる様子はない。

これが…「逆神」の刃か。


東雲・咲夜
【水響館】
嗚呼、なんて禍々しい…
ぼろぼろになっとる焔さんの傷みが和らぐよう
花神様へと祈り歌い
えっくんも、無理はせんといて

サカガミくんの…お父さま?
そう……せめてうちらに出来るんは
骸の海へお還しすること
其れが暗澹たる感情なら尚更
苦しみから解き放たれるように

えっくんの攻撃の合間を縫うよう
幾百の氷針で隙を埋めて
大切な弟が傷つく姿は見たくあらへんの

狂気と嘆きに蝕まれては
舞ちゃんの合図に頷いて
浄化を孕んだ花風を周囲へ満たしまひょ
あたたかく、淡い香りの桜舞
呪いの除去と伴に破魔の光で憎悪の残滓を包みます
巫女としてうちに出来る精一杯で送ります
あんさんたちも…永く囚われ苦しかったでしょう
もう、眠ってええんよ


東雲・円月
【水響館】
状況把握って苦手なんですよねェ
なんか出てきた奴を倒せばイイってことですね?
見た感じタダモノではないだろうし、そう簡単に行かないんでしょうけど
でもまァ、それ言ってても仕方ないですしねェ

あ、手伝うとかは言いませんよ。勝手にやるだけです
お互い邪魔にならないようにしましょうね、ええと、ナントカさん

咲夜、またちょっと無茶するから、援護お願いね
ァー、心配なら舞さんやサカガミさんの方も見てあげて

威圧感には威圧感。この大斧だって伊達じゃない
どれだけの領域に至ろうと、剣は剣
刃に対して打ち合えば斬られはしない
見るのは刀身ではなく手元、刃はその先に必ずある
これは防御ではなく攻撃です。敵の体勢を崩すためのね




 幾多の戦いを経て怨念と憎悪に囚われた化物は真の妖へと覚醒することとなった、その身から噴き出す怨念はもはや瘴気と化し常人ならば気がふれよう。
 その理不尽なまでも歪な剣技は並大抵の者のそっ首叩き落とすかの如く空気すらを切り裂く勢いだ。
 さらには死した村人たちの怨霊が魂さえをも震わせ怯えさせる咆哮と恐怖心をも増長させる忌々しい力をも解き放つ始末。
 そのように“成り果てた”極悪な悪鬼を前にし日下部・舞(BansheeII・f25907)は先ほどから何やら因縁深かりし無銘・サカガミ(「神」に抗うもの・f02636)の様子がおかしい事には気づいていた。
(あの人がサカガミ君の……)
 それはもはや言葉など交わせるとは到底思えない歪な相手、だがもしも彼がそれを望んでいるのだとすれば……。
「あなたの道を開くわ」
 そう口にして舞は前へと飛び出ていった。

「嗚呼、なんて禍々しい……」
 連戦に次ぐ連戦でボロボロになった焔何某に花神の舞を彷彿とさせる嫋やかな歌声を聞かせその疲労と傷を癒しながらも東雲・咲夜(桜妃*水守姫・f00865)はさらに邪悪へと染まったかに見える妄執の悪鬼より感じる寒気に身の毛が立つ思いだった。
 その口から洩れるは邪悪なる意思と妄執に囚われた者達による呪いの言葉、とてもではないが正視できないほどのそれらに立ち向かう仲間達が心配でならない。
「えっくんも、無理はせんといて……」
「無理はせんといてって言ってもね、なんか立ち塞がるなら倒せばイイってことなんですよね?」
 これほどの妖気と呪いを目の前にして東雲・円月(桜花銀月・f00841)はいつもの調子を崩さない。
 憂鬱な表情を見せようものならこの妖気に飲まれ戦わずして敗北すらもありえるほどなのだろうが円月はそれを笑い飛ばす。
 口元に力をこめ不敵に笑ってみせようやく立ち上がった焔何某の横に並び立ち声をかけた。
「あ、手伝うとか言いませんよ。 勝手にやるだけです」
「なっ……」
 おそらくは俺に構うんじゃねえとでも言いたかったのだろうが、円月に先に梯子を外され言葉の行き先を失いかけるが、それならそれで正面の悪鬼に向かえばいいのだと焔何某は妖刀を杖にして立ち上がる。
「邪魔すんじゃねえぞ」
「ええ、お互いにじゃまにならないようにしましょうね、ええと、ナントカさん」
 軽口を交わし合い大斧と大太刀を担いだ両雄が前方へと視線を伸ばす、そこに立ち塞がるは死せる村人達……まるでゾンビのようにただただ行く手を遮り同じ地獄へと引き摺り込もうと絡みついてくる。
「咲夜、またちょっと無理するから……お願いね!」
「えっくんは後ろは任せて前だけ見ててくれたらええよ」
 二人はただそれだけで全てを共有する、そうして目の前に円月のグラウンドクラッシャーによる大爆発が巻き起こった。

「……父様」
 サカガミはそう口にせざるをえない、それがたとえ憎悪の残滓でしかなく記憶なども何もないそのようなモノだというのはわかっている。
 だがそれでもなお信じてみたくなる想いに揺れ未だ迷いは晴れてはいない、少し悩んだ後にボソリと呟き静かに想いを告げる。
「それでも……せめて、安らかに眠らんことを」
 ……やるべき事は決まった。

「させないっ」
 未だ動かぬサカガミへと迫る脅威を舞はただただ滅していく、幾多の封印が施された長剣は実に手に馴染み死せる村人達を容赦なく切り裂いていった。
 彼らは怪異の力で無理やりに呼び出された者達、であれば一刀の下に切り捨て彼岸の彼方へと送り返すのがまだ優しさというものだ。
 恐怖を与えてくるであろう霊達を逆にその不可逆の刃で切り捨て放つ殺気が周囲を満たす。
 刃が軋んだ音で哭きUDCの恐怖と狂気が伝染すると霊達にも変化が見られ始めた、だがこの程度ではこの数を捌くにはまだ足りない。
「咲夜ちゃん!」
「ここが正念場やね」
 前へ前へと飛び出していっている円月を氷針で支援し続けていた咲夜が舞の声に大きく頷く、狂気と嘆きをこれ以上見ているのは心情的もきついうえに先ほどから心配なサカガミの事もある。
 シャンと何処かで音がする、咲夜の舞いに合わせ舞い散る桜吹雪……それは周囲を包み込み陰鬱になっていた澱んだ空気を浄化していく。
 それは温かく淡い香りの桜舞、呼び出されていた死人達もそれに包み込まれると動きが次第にゆっくりとなっていきそして足元から崩れ去っていった。
「さすが咲夜、とこうなりゃ俺も負けてられないです!」
 大斧が地面に叩きつけられ正面の霊達が吹き飛ぶそしてそこには怨念の根源たる悪鬼が凶刃を手に待ち構えていた。
「無は無に……」
 舞の持つ剣の封印が解かれた、刃より生じる暗黒物質(ダークマター)が解き放たれ進行方向にいた霊達が次々とその存在をかき消されこの世からまるで最初からいなかったかのように消え去ってしまった。

 そして“道は開けた”。
仲間達が作ってくれたその道の先には因縁浅からぬ敵がいる、覚悟は決まったそしてやるべきことも決まった。
 だからサカガミは駆ける、一直線に。
「呪怨解放…!」
 真言を唱えると同時に周囲の魔素が濃密になる、身体の内から湧き出る恐るべき数の呪いが周囲の気を狂わせ視界が歪む。
「アァァァァァァァァッ!!」
 悪鬼より発せられる尽きることなき憎悪と妄執そして狂気が呪いとなってサカガミへと襲い掛かった、だが“サカガミから”発する呪いもまた恐るべき勢いで噴き出し両者は目の前でぶつかり合いまるで蠱毒のような悲鳴などが聞こえ始める。
「周りは俺達に任せておけばいいです!」
「サカガミ君、周りに邪魔はさせないから……」
「これがサカガミくんのお父さま? せめて……うちらに出来るんは骸の海へお還しすることやしね」
 仲間達の声が聞こえてくる、八百万の呪いを一斉に解き放ちあまりにも枯れていく心。
 だがそんなサカガミの心に3人の想いが纏めて伝わる。
「「「……だから、頑張って!」」」
 
 呪いと呪いがぶつかる周囲で円月の大斧で地面ごと砕かれながら霊達が舞い飛び、舞の“抹消”でさらに完膚なきまで消し去る。
 そして優しく抱き留めるかのような咲夜の優しさに包まれながら霊達は残らず浄化されていく。
 その傍らには呪いのぶつかり合いに当てられ片膝をつき焔何某がその成り行きを見守る、ここまでの無理が祟り身体は悲鳴をあげそして刃にもヒビが入っていた。
「こりゃ……もう剣がどうこうの勝負じゃねぇな」
 そう焔何某の目の前にあるのはまさに常軌を逸した戦い、少年とその父親の形をした悪鬼との熾烈な精神戦。
「せめて……安らかにっ!! 破っ!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアッ」
 均衡は破れた、仲間達の声援に力貰ったサカガミと操る霊達を失った妄執の悪鬼とではもはやこれ以上の力の拮抗はありえない。
 パァンと弾けるかのような音と共に弾けた憎悪の残滓、片腕が消し飛んだ、次に片足が崩れ去る。
 刀を地面に突き立て支えようとするもその腕すらが消え去り身体も頭部もがまるで漏れ出す煙のように吹き出て散り散りに消え去っていく。
 サカガミが天を見上げるとそれらの残滓はまるで天へと昇っていくかのように霧散しそして消えて行った。


 雨があがり差し込む日光、その光が境内に突き立てられたまま残された妖刀へと降り注ぐ。
 それにゆっくりと近づき手にしたサカガミ、その刀には恐るべき呪いが満ち満ちているはずだった。
 だというのに感じられる感覚は全くの別物。
「うん、思った通り」
 その呪いを一身に浴びてなおサカガミの身体に変化はなくそして逆に呪いを流し込んでも刃が朽ちる気配もない。
(これが……「逆神」の刃か)
 それは人が持つに余る力、だがサカガミはそれをそれ以上は口にしない、そんな肩にそっと羽織らされる上着。
 当初からずっとサカガミを心配していた舞はその戦いが終わった後もその僅かな感情の機微を見逃さなかったのだろうか。
「大変だったね」
 労いの言葉がかけられる、戦いはまだこれで終わったわけではなくまだまだ続いていくのだ。
「みんな無事でほんまに良かったんよ」
 咲夜も駆け寄り互いの無事を祝った、一人も欠ける事無くこうして無事に笑い合えるというのが一番の報酬なのかもしれない。
「まずは一件落着ってことで!」
大斧を担いだ円月もまた合流しグっと親指を立てる、それを見てサカガミはコクリと頷くと“帰ろう”と小さく呟き皆もそれに続いた。

転送の輝きに導かれ帰還していく4人を見送り境内に座り込んだ焔何某、その目に焼き付けられたのは妖刀のおぞましき姿とそれに関わる者の悍ましい運命。
 妖刀に魅入られた者の行き付く先を見せつけられた男は何を思うのか……、それを見届ける者はもうこの地にはいない。
 猟兵達は一つの平和を手に入れそして新たなる戦いの場へと去っていったのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月25日
宿敵 『灰都の将・焔影』 『名も無き憎悪の残滓』 を撃破!


挿絵イラスト