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うばすてやまの雪ん子ちゃん(作者 野根津
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#サムライエンパイア  #戦後  #状態変化  #凍結  #固め  #宿敵主参加中です  #第2章リプレイ執筆中です  #第2章、新規プレイング受付終了しました 


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 嘗てその山では近隣の村々から口減らしの為に老人や子供が捨てられていた。
 それは働き盛りの若者が次々と徴兵されてしまう為に食糧を確保する事が出来ない村を存続させる為に泣く泣く行われてきた習俗であった。
 後に徳川家光が天下統一を成し遂げた事を切欠にこの悪しき習俗は終わりを告げる事になる。
 そして、習俗が終わりを迎えてから暫くして山で異変が起きようとしていた。


「皆様は『うばすてやま』と呼ばれる習俗をご存知ですか?」
 ドライプラメ・マキナスアウト(自称銀河帝国随一の管理AI・f25403)の招集に応じた猟兵はその多くが突然の質問に首を傾げた。そんな猟兵達に対しドライプラメは伝説の概要を説明する。
 うばすてやまとは生産能力を持たない者達を雪山に捨てる事により村の存続させる習俗であると。

「とある村でこの習俗が行われていたようなのです。」
 その村では近くで戦が起こる度に村を納める大名によって働き盛りの若者が全て徴兵されていたという。お陰でその村では食料を確保する前に冬を迎えてしまう事が度々起きていたらしい。
 そして、冬を越す為の食糧を確保する事の出来なかった村人達は村を存続させる為に老人や年端もいかない女児を山に捨てていたというのだ。
「なお、この習俗は徳川家光の采配により終わりを迎えています。」
 説明を聞いて猟兵達が騒がしくなっていくのを見たドライプラメは既に習俗が行われていない事を付け加えた。

「最近になって『うばすてやま』を行っていた村で異変が起きているようなのです。」
 事の始まりは山で狩りをしていた猟師がすげぼうしをかぶった子供達を見かけた事だ。猟師が子供を見かけた日を境に村の中でも子供達が目撃されるようになったという。
「その子供達は雪ん子であり、村人に対して悪戯をして回っています。」
 悪戯そのものは微笑ましいものなのだが昼夜問わず行ってくる上に折檻しようとしてもその身に纏う冷気が原因で捕まえる事が出来ないので村人達は困り果てているという。

「皆様には手始めに雪ん子達による悪戯を止めて頂きます。」
 ドライプラメは自らの周囲に無数の空間モニターを投影する。空間モニターには広大な雪原が映し出されていた。
「まずは山の麓にある雪原で遊び、雪ん子達を誘き寄せてください。」
 雪ん子は最低限の警戒心はあるようで人目のある場所では姿を現さない。しかし、楽しく遊んでいる光景を見るとそれに惹かれて一緒に遊び始めてしまうという。
 雪原には子供の膝下まで埋まる程度には雪が積もっており、なだらかな丘や隠れるのに最適な起伏に富んだ場所もあるので雪を使った遊びは一通りできるという。

「雪ん子を誘い出す事に成功したら雪ん子達を懲らしめてください。」
 誘い出された事に気が付いた雪ん子達は直ぐに逃げようとするが猟兵であれば逃がす事なく追う事が出来る。そして、逃げられない事を悟った雪ん子達はその身に帯びた冷気で猟兵を無力化しようとするという。
 冷気は対策なしだと猟兵であっても氷漬けにされかねない程に冷たいが裏を返せば冷気の対策さえしておけば後は猟兵が油断しない限り負ける事はないという。
「雪ん子達は極力殺さないようにしてください。」
 ドライプラメからの注文に猟兵達は首を傾げる。そんな猟兵達に対しドライプラメは神妙な顔つきになると猟兵達に殺さない様に求めた理由を語り始めた。

「雪ん子達はユーベルコードにより妖怪にされた女児達の可能性があります。」
 ドライプラメが観測した限りでは雪ん子達からオブリビオンの気配は感じとれなかったという。魑魅魍魎の類が滅びたサムライエンパイアにおいてオブリビオンではない妖怪とはユーベルコードによりその身を作り替えられた生物に他ならない。
 加えて言えば村に現れた雪ん子達が悪戯程度とはいえ村人に害を成している事を踏まえると女児達を雪ん子に変えた者がオブリビオンである可能性が高いという。
「山にオブリビオンが潜んでいるのであれば放置するわけにはいきません。」
 オブリビオンが山に生息する獣ではなく山に捨てられた女児達を保護して配下に作り替えた理由は不明だ。しかし、雪ん子達を村に嗾けた以上オブリビオンも近い内に村に襲撃をかけてもおかしくはない。
 もしもオブリビオンが村を襲撃すれば村人達は成す術もなく蹂躙されてしまうだろう。それを防ぐ為にも山に潜むオブリビオンを見つけ出し討伐しなければならない。

「雪ん子達を尾行してオブリビオンを見つけ出してください。」
 猟兵達に懲らしめられた雪ん子達は自分達を保護して育ててくれたオブリビオンに助けを求める可能性が高いという。故に逃げる雪ん子達を尾行すれば自ずとオブリビオンを見つける事が出来るという。
 オブリビオンの能力は生物を妖怪に変える技を持つ事以外は不明だが猟兵達であればきっと勝てるであろうとドライプラメは締めくくった。

「それでは皆様の健闘を祈ります。」
 説明を終えたドライプラメは転送装置を起動させた。





第2章 集団戦 『オブリビオンの雪ん子』

POW ●あそぼ
【大雪が降る中、当たると凍てつく雪玉】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD ●いかないで いっしょにいて
自身に【触れたもの全てを凍らせる冷気】をまとい、高速移動と【吹雪の竜巻】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ ●おともだちづくり(雪)
自身の創造物に生命を与える。身長・繁殖力・硬度・寿命・筋力・知性のどれか一種を「人間以上」にできる。
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 雪遊びを利用して無事に雪ん子達を誘き寄せる事に成功した猟兵達だが速やかにお仕置開始とはいかなかった。
 というのも雪合戦が思った以上に功を奏してしまったようで雪ん子が猟兵に対する警戒を解いてしまっているのだ。
 今も雪ん子達は一か所に集まりフェアリーの猟兵と共に猟兵達の一人が振る舞った暖かい鳥ガラと生姜のスープを堪能している。
「おいしーね。」
「あねきのなべとおなじくらいうまい。」
「やけどしたよぅ……。」
 最早その場の空気は雪ん子達をお仕置をするという感じではなくなっている。
 一部の猟兵が先に雪ん子達を説得してオブリビオンの元に案内して貰った方が良いのではと思い始めた正にその時、山の方から声が響いた。

「みんな、はやくにげて! その人たちはりょーへいよ!」
 猟兵と雪ん子達が視線を向けた先には一人の雪ん子が立っていた。他の雪ん子達と比べて明らかに大人びたその雪ん子には必死に他の雪ん子達に呼びかけている。
 そして、大人びた雪ん子の声を聞いた他の雪ん子達の間に動揺が広がってゆく。
「りょーへい?」
「たしか、かーさんがいっていたすごいこわいやつらだよな?」
「わ、わたしたちをころしにきたの!?」
 先程まで和気藹々とした雰囲気から一転して雪ん子達の顔が恐怖に染まってゆく。どうやらオブリビオンは雪ん子達に猟兵が大層恐ろしい存在であると言い聞かせていたらしい。
 雪ん子達は恐怖に打ち震えながらその身に強い冷気を纏うと猟兵達の包囲を抜ける隙間を必死に探り始めている。
 どうやら当初の予定通りに行く必要がありそうだ。或いは敵意を見せる事無く説得をすれば雪ん子達の協力も得られるかもしれない。
 こうして猟兵達は各々の思惑の元に行動を開始するのであった。

●成功条件
 『何らかの冷気に対する対策を講じている事』
 上記条件を満たしているプレイングであれば故意にやられる様な内容であっても成功以上が保証されます。

●備考
 お仕置の具体的な方法に特に制限はありません。但し、内容次第では不明瞭な表現になったり省略される恐れがあります。
 加えて、プレイング上で殺す事を明言しない限り雪ん子が死に至る様な行動はとりませんのでご注意願います。
 プレイングの受付締め切りに関してはシナリオタグ及びマスコメにて提示予定です。
 また、1章での行動の結果以下の4名の方に関しては状況や雪ん子に対する認識等に変化が表れています。

①音月・燈夏(麗耳の狐巫女・f16645)
 雑木林の中の小さな広間の中、一際幼い雪ん子と対峙しています。
 雪ん子の放つ冷気は人を害せない程に弱い代わりに人を超える耐久力を持つ20体程の雪兎に守られています。

②御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)
 カマクラの中で1体の雪ん子と対峙しています。
 雪ん子の強さは雪原で囲まれている個体と同程度であり入り口側に雪乃が陣取っている為に逃げられません。

③神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)
 猟兵に囲まれた義妹達を助けようとしている年長の雪ん子の前に立ちはだかっています。
 その強さは雪ん子達の中で最も強いものの村への悪戯に関わってはおらず、今も自身を犠牲にしてでも義妹達を守る事を目的に動いています。

④ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)
 周囲を雪ん子達に囲まれた状態です。
 フェアリーの外見的特徴と第1章での行動から雪ん子達から警戒されていません。
 ポーラリア側から雪ん子達を害そうとしない限り雪ん子達がポーラリアを害する事もありません。

 上記4名以外の方や2章から参加する方は原則として雪原で8人の雪ん子を取り囲んでいるものとして扱います。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
神代・凶津
おっと待ちな、見たところ雪原にいる悪ガキ達より年上だな。
一番強い雪ん子って訳か。
「・・・手荒な真似は駄目だよ。」
分かってるよ、相棒。炎神霊装でいくぜッ!
「・・・転身ッ!」

これで俺達に冷気は無意味だぜ。
さて、どうお仕置してやろうか?
「待って、山から下りてきたんならこの子は悪戯に関わってないんじゃない?」
あー、確かにそうか。
ならここは敵意を見せずに説得してみるか。

落ち着け、雪ん子の嬢ちゃん。
悪戯のお仕置は必要だと思うが、別に俺達は命を取ろうなんて欠片も思っちゃいねえよ。
寧ろ嬢ちゃん達の命を脅かす奴がいたら護ってやるし
「何か困り事があるなら相談に乗ります。」


【技能・コミュ力、心配り】
【アドリブ歓迎】



「はやくむかわないと!」
 日差しを浴びて光く雪を踏みしめながら雪ん子の少女は駆ける。目指す騒がしさを増してきた雪原の中心部だ。
 幸い猟兵の名を出す事により罠にかかりかけていた義妹達を警戒状態にする事は出来た。義妹達は個々の力は弱いが協力すれば多少は耐える事が出来る筈だ。
「あとすこし……!」
 少女が抱えるのは義妹から目を離した事への後悔と女性に託された義妹達を守るという使命感だ。仮に少女が雪原の中心に到達すればその身を犠牲にしてでも義妹達を逃がそうとするだろう。

『おっと待ちな。』
「っ!?」
 しかし、少女が雪原の中心が見えて来るまであと少しのところで鬼の仮面をかぶった巫女服を纏う女性が行く手を阻んだ。


『そんなに急いで何処に行くつもりだ?』
 丘の斜面を利用して勢いをつける事により丘から雪原まで一気に移動する事に成功した凶津達は目の前の少女を見据える。少女は大人の女性となる間近間と言える容姿をしており、その身に纏う雰囲気も幾分か大人びて見える。
 そして、凶津達の問い掛けに対し少女はその身に冷気を纏うと凶津達に向けて手を差し向けた。

「じゃまをしないで!」
『どうやら、こいつが一番強い雪ん子の様だな。』
 差し向けられた手の動きに合わせる様に吹雪が吹き荒れると凶津達に襲い掛かる。吹雪はまるで生きているかのように凶津達の身体に纏わりつき、霊的な防御の施された巫女服が少しずつ凍り付いてゆく。
 しかし、吹雪に晒されその身が凍り始めているにも関わらず凶津達に慌てる様子は見られない。何故なら二人はこの吹雪に対する対抗手段を持っていたからだ。

「……手荒な真似は駄目だよ」
『分かってるよ、相棒。炎神霊装でいくぜッ!』
「……転身ッ!」
 掛け声と共に鬼の仮面と巫女服の一部が橙に染まり、背中から炎が噴き出し翼を形作ってゆく。炎翼は二人を取り巻いていた吹雪を吹き飛ばし、氷を溶かしてゆく。
 これこそが凶津と桜の力を1つにする事によって顕現する炎の力、炎神霊装である。噴き出す炎の熱は凄まじく、少女も堪らず顔を庇いながら後ろに下がってゆく。
『これで俺達に冷気は無意味だぜ。』
「わたしのちからはこんなものじゃないわ!」
 炎を纏った凶津が少女に挑発をすれば少女は激昂し再び吹雪を凶津達に嗾けた。
 しかし、吹雪は凶津達に纏わりつく前に炎の熱に溶かされそのまま蒸発してゆく。それでも少女は諦める事無く吹雪を強めるがそれでも凶津の身体から噴き出す炎の翼を突破する事は出来なかった。

『さて、どうお仕置をしてやろうか。』
「……待って。何かおかしいです。」
 勝てないとわかっているにも関わらず必死に抗う少女に対してお仕置の内容を凶津が考え始めたところで桜が待ったをかけた。


『相棒、何がおかしいんだ?』
「……この子はなんで逃げようとしないのですか?」
 桜は少女の行動の不可解な点に気が付いた。それは目の前の少女の行動が事前説明で聞かされていた雪ん子の行動と食い違っている事だ。
 事前情報では雪ん子は猟兵から逃げる事を優先し、逃げられない場合には冷気による抗戦を始めるという。しかし、目の前の少女は出会った直後から凶津に対する光線を始めている上に少女は背後に聳える山ではなく沢山の猟兵が待ち受ける雪原の中心を目指し移動しようとしている。
「……それにあの子は我が身を顧みていません。」
『あー、確かにおかしいな。』 
 少女は自らの吹かせる吹雪が炎の翼を突破できていないにも関わらず少しずつ凶津達に近づいてきている。当然、近づいて来る少女に対し炎の翼の熱が容赦なく襲い掛かりその身を蝕んでゆく。
 今は少女の妖力により形成された衣類が溶ける程度で済んでいるものの、このまま先に進もうとすれば少女自身もただでは済まないだろう。しかし、少女は必死の形相で先に進もうとしている。

「……もしかして、この子は悪戯に関わっていないのではないですか?」
『ならここは説得をしてみるか。』
 村人に悪戯をして回るような子供がこれほどまでに鬼気迫る表情を見せるとは思えない。目の前の少女が村への悪戯に関わっていない可能性に至った凶津達は一先ず対話による説得を試みる為に炎神霊装を解除した。


『少し落ち着け嬢ちゃん。』
「……わたしをころすんじゃないの?」
 突如として炎を消して語り掛けて来た凶津達に少女も警戒したのか動きを止める。凶津達は少女が動きを止めた事にこれ幸いと言わんばかりに語り掛けてゆく。
『勘違いしているようだが、別に俺達は命を取ろうなんて欠片も思っちゃいねえよ。』
「でも、ねーさまはりょーへいはこどもあいてでもようしゃしないって……。」
 少女の口から語られた猟兵の在り方に凶津達は顔を引き攣らせる。その内容は少女がその身を顧みず義妹達を助けようとするのも納得できる程に酷かった。
 幸い、冷静さになった少女は矛盾点を指摘すればそれを理解できる程度には賢明であった。そして、凶津達の懸命な説得の末に少女の警戒を解く事に成功した。

「ほんとうに、ほんとうにいもうとたちをころしたりしないのね?」
『流石に悪戯に対するお仕置は必要だと思うが、それ以上の事は誓ってしないぜ。』
 如月と名乗った少女と共に凶津達は雪原の中心を目指し進む。雪原に集まった雪ん子達は如月の呼びかけにより警戒状態となったようだが、雪原に集まった猟兵達は事を荒立てる事無く対応出来ている様だ。
 後は如月が義妹達を再び説得すれば雪ん子達を保護を確実なものにできるだろう。その為にも他の猟兵達が過激すぎるお仕置を敢行していない事を凶津は内心祈っていた。
「……何か困り事があるなら相談に乗ります。」
「……さいきんになって、ねーさまがへんになったの。」
 そして、桜は如月から困りごとの相談を受けながらも山に潜むオブリビオンに関する情報の収集を試みるのであった。
大成功 🔵🔵🔵

音月・燈夏
雪兎と遊んでいる幼い子を無闇矢鱈に怖がらせるのは気が引けますね。
すぐに逃げてくれると、『不可視化』でこっそり付いて行くだけで済むので助かるのですが。

そうでなくとも、極力敵対行動はしないようにしましょう。
幸い、あの子自身の能力は高くないようですし、雪兎に攻撃されても大して痛くないでしょうから。
何とか宥めてオブリビオンの元に案内して貰えるのであれば、それでも良しとしましょう。

一応、狐火はいつでも出せるようにしておきます。
暖を取れますし、雪兎への威嚇目的にも使えます。とはいえ、自分の作った雪兎を溶かしてしまうのは忍びないですし、雪ん子の心情的にも良くないでしょうから、最後の手段にしたいですね。



「さて、これからどうしましょう。」
 木の影に身を隠した燈夏は見つけ出す事に成功した雪ん子に対する対応を決めかねていた。
 グリモア猟兵からの事前説明では山に潜むオブリビオンを見つけ出す為に雪ん子にお仕置をする等の方法で追い立てる事が推奨されていた。しかし、目の前で雪兎と戯れる雪ん子は幼女といって良い程に幼かった。
 いくらオブリビオンを倒す為とはいえ幼女を怖がらせる事を燈夏は躊躇った。次善策として雪ん子が自発的に移動した所を狙い追跡する事も考え付いたがその方法では雪ん子がオブリビオンの住処へ向かうか分からないという問題があった。

「こうなったら出たとこ勝負に出るしかなさそうですね。」
 悩んだ末に燈夏は一先ず雪ん子の前に姿を現し雪ん子の反応次第で対応を変える事にした。それは仮に雪ん子や雪兎から攻撃されても問題にはならないと判断してのものであった。


「こんな所で何をしているのですか?」
「ひゃあっ!? ……うぅ、いたいでしゅ。」
 意を決した燈夏は木の影から出て雪ん子の前に姿を晒すと当り障りのない質問を問い掛けた。だが、タイミングの悪い事に雪ん子は雪兎を抱えてくるくると回って遊んでおり、突然現れた燈夏に驚くとそのまま転んでしまった。
 そして、転倒して涙ぐむ雪ん子を見た雪兎達の反応は劇的であった。
「「「……っ!!」」」
「な、なんですかこの統制の取れた動きは!?」
 20体程いる雪兎達は素早く2組に分かれると一方は燈夏を取り囲み、もう一方は尻もちをついた雪ん子を守るかのように陣形を組んでゆく。その動きは熟練の軍人を思わせる程に足並みが揃っていた。
 燈夏は予想外の光景に本当に自分の作った雪兎から生まれた存在なのかと目を疑い隙を晒してしまう。当然、燈夏を取り囲む雪兎達はその隙を見逃す事無く一斉に突撃を開始する。
 そして、突撃してくる雪兎に気が付いた燈夏は回避しようとはせず受け止めるべく体勢を整えた。

「雪兎さん、勇ましいですがあなた達では私を倒す事は……あいたぁっ!?」
 それは燈夏が雪兎の攻撃を無傷で受けとめる事により自分が強敵であると雪ん子に認識させ、オブリビオンに助けを求めさせる事を狙ってのものであった。しかし、雪兎の突撃を受けた燈夏はその場に崩れ落ちた。

「む、向う脛をピンポイントで……ぐふぅっ!?」
 雪ん子により命を与えられた影響なのか雪兎達は異様な硬さを得ていた。更に雪兎達は燈夏の向う脛に突撃する事により体勢を崩し、間髪入れずに鳩尾と顎を狙う事により燈夏を瞬く間に無力化した。
「うしゃぎしゃん……。」
「「「……っ。」」」
 ただ、雪ん子自身も雪兎達の行動は予想外だったようで雪兎に咎める様な視線をむけており、雪兎達も心なしか申し訳なさそうにしている。
 暫くしてダメージから立ち直った燈夏は雪兎達を警戒しながらも心配そうにこちらの見つめる雪ん子との対話を改めて始めるのであった。


「あなたは村で何をしていたの?」
「おうちをしゃがちてたの。」
 対話が始まってから暫くして燈夏は師走と名乗った雪ん子の幼さ故の舌足らずな口調に苦戦しながらも雪ん子側の事情を大まかにだが把握する事が出来た。
 どうやら雪ん子達も望んで村に降りてきたわけではないらしい。加えて言えばまとめ役の雪ん子が付いてきてくれなかった為に村に降りた雪ん子達は各々の判断で行動していたという。
「どのいえもおとながいたからしゅぐににげてきたの。」
「それって、もしかして……。」
 師走の場合は空き家に住み付こうとしたものの、全ての家に人が住んでいた為に村に住む事を諦めたという。そして、住処を作ろうと雑木林に向かう途中で偶々見つけた雪兎を拠点作りのお供に加えようとした所で燈夏に捕捉されたのだ。
 この時燈夏は家の戸が全開にするという悪戯の犯人が彼女である事に気が付いた。しかし、それを指摘した所で雪ん子との関係が悪化するだけな事が目に見えていたので指摘はしないでおいた。

「お母さんのお家に帰ろうとは思わなかったの?」
「おかーしゃんはにどとかえってくるなって……。」
 少女が自発的に悪戯に加担していない事を確信した燈夏は続けてオブリビオンの住処について聞き出そうとする。しかし、師走は質問に答えた結果当時のやり取りを思い出してしまったようで涙ぐみはじめた。
 師走が涙ぐむのに呼応する様に燈夏を取り囲んでいた雪兎達が殺気立ってゆく。このままでは再び雪兎の猛攻に晒されかねないと燈夏は慌てて宥め始めた。
 しかし、燈夏自身も慌てている事も相まって上手く宥める事が出来ない。そして、雪兎達の殺気が最高潮に達し万事休すかと思われたその時、師走の視線が自身の尻尾に向けられている事に気が付いた。

「えっと、よければ触ってみますか?」
「……ふわふわであったかいでしゅ……。」
 燈夏が尻尾を差し出せば師走も恐る恐る尻尾に触れる。燈夏は思ったよりも冷たい雪ん子の身体を尻尾が振り払いそうになるを必死に堪えながら尻尾で包み込んでゆく。
 そして、雪兎達が見守る中で燈夏の尻尾の中から安らいだ幼女の声が漏れた。


「次はどちらにいけばいいの?」
「みぎでしゅ。」
 尻尾を活用する事により無事に危機を乗り越えた燈夏はオブリビオンの住処を目指して山道を登っていた。道案内である師走の声は燈夏の尻尾の中から聞こえてくる。
「お母さんのお家についたら出てくださいね?」
「……うん。」
 師走はもふもふな燈夏の尻尾が大層気に入ったようで出てこようとしなかったのだ。燈夏としては雪ん子の纏う冷気が地味に辛いので出てきて欲しいのが本音であった。
 しかし、師走を尻尾から出そうとすると途端に涙目となり周囲を取り囲む雪兎達が燈夏の脚目掛けて突撃をしてくるのだ。お陰で燈夏はオブリビオンの住処に到着するまでを条件に師走が尻尾の中に籠もる事を許さざるを得なかった。

「狐火を準備しておいたよかったです。」
 燈夏は雪ん子と戦闘になってしまった時に備えて準備をしていた狐火で暖をとりながら山道を進むのであった。
大成功 🔵🔵🔵