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うばすてやまの雪ん子ちゃん

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 嘗てその山では近隣の村々から口減らしの為に老人や子供が捨てられていた。
 それは働き盛りの若者が次々と徴兵されてしまう為に食糧を確保する事が出来ない村を存続させる為に泣く泣く行われてきた習俗であった。
 後に徳川家光が天下統一を成し遂げた事を切欠にこの悪しき習俗は終わりを告げる事になる。
 そして、習俗が終わりを迎えてから暫くして山で異変が起きようとしていた。


「皆様は『うばすてやま』と呼ばれる習俗をご存知ですか?」
 ドライプラメ・マキナスアウト(自称銀河帝国随一の管理AI・f25403)の招集に応じた猟兵はその多くが突然の質問に首を傾げた。そんな猟兵達に対しドライプラメは伝説の概要を説明する。
 うばすてやまとは生産能力を持たない者達を雪山に捨てる事により村の存続させる習俗であると。

「とある村でこの習俗が行われていたようなのです。」
 その村では近くで戦が起こる度に村を納める大名によって働き盛りの若者が全て徴兵されていたという。お陰でその村では食料を確保する前に冬を迎えてしまう事が度々起きていたらしい。
 そして、冬を越す為の食糧を確保する事の出来なかった村人達は村を存続させる為に老人や年端もいかない女児を山に捨てていたというのだ。
「なお、この習俗は徳川家光の采配により終わりを迎えています。」
 説明を聞いて猟兵達が騒がしくなっていくのを見たドライプラメは既に習俗が行われていない事を付け加えた。

「最近になって『うばすてやま』を行っていた村で異変が起きているようなのです。」
 事の始まりは山で狩りをしていた猟師がすげぼうしをかぶった子供達を見かけた事だ。猟師が子供を見かけた日を境に村の中でも子供達が目撃されるようになったという。
「その子供達は雪ん子であり、村人に対して悪戯をして回っています。」
 悪戯そのものは微笑ましいものなのだが昼夜問わず行ってくる上に折檻しようとしてもその身に纏う冷気が原因で捕まえる事が出来ないので村人達は困り果てているという。

「皆様には手始めに雪ん子達による悪戯を止めて頂きます。」
 ドライプラメは自らの周囲に無数の空間モニターを投影する。空間モニターには広大な雪原が映し出されていた。
「まずは山の麓にある雪原で遊び、雪ん子達を誘き寄せてください。」
 雪ん子は最低限の警戒心はあるようで人目のある場所では姿を現さない。しかし、楽しく遊んでいる光景を見るとそれに惹かれて一緒に遊び始めてしまうという。
 雪原には子供の膝下まで埋まる程度には雪が積もっており、なだらかな丘や隠れるのに最適な起伏に富んだ場所もあるので雪を使った遊びは一通りできるという。

「雪ん子を誘い出す事に成功したら雪ん子達を懲らしめてください。」
 誘い出された事に気が付いた雪ん子達は直ぐに逃げようとするが猟兵であれば逃がす事なく追う事が出来る。そして、逃げられない事を悟った雪ん子達はその身に帯びた冷気で猟兵を無力化しようとするという。
 冷気は対策なしだと猟兵であっても氷漬けにされかねない程に冷たいが裏を返せば冷気の対策さえしておけば後は猟兵が油断しない限り負ける事はないという。
「雪ん子達は極力殺さないようにしてください。」
 ドライプラメからの注文に猟兵達は首を傾げる。そんな猟兵達に対しドライプラメは神妙な顔つきになると猟兵達に殺さない様に求めた理由を語り始めた。

「雪ん子達はユーベルコードにより妖怪にされた女児達の可能性があります。」
 ドライプラメが観測した限りでは雪ん子達からオブリビオンの気配は感じとれなかったという。魑魅魍魎の類が滅びたサムライエンパイアにおいてオブリビオンではない妖怪とはユーベルコードによりその身を作り替えられた生物に他ならない。
 加えて言えば村に現れた雪ん子達が悪戯程度とはいえ村人に害を成している事を踏まえると女児達を雪ん子に変えた者がオブリビオンである可能性が高いという。
「山にオブリビオンが潜んでいるのであれば放置するわけにはいきません。」
 オブリビオンが山に生息する獣ではなく山に捨てられた女児達を保護して配下に作り替えた理由は不明だ。しかし、雪ん子達を村に嗾けた以上オブリビオンも近い内に村に襲撃をかけてもおかしくはない。
 もしもオブリビオンが村を襲撃すれば村人達は成す術もなく蹂躙されてしまうだろう。それを防ぐ為にも山に潜むオブリビオンを見つけ出し討伐しなければならない。

「雪ん子達を尾行してオブリビオンを見つけ出してください。」
 猟兵達に懲らしめられた雪ん子達は自分達を保護して育ててくれたオブリビオンに助けを求める可能性が高いという。故に逃げる雪ん子達を尾行すれば自ずとオブリビオンを見つける事が出来るという。
 オブリビオンの能力は生物を妖怪に変える技を持つ事以外は不明だが猟兵達であればきっと勝てるであろうとドライプラメは締めくくった。

「それでは皆様の健闘を祈ります。」
 説明を終えたドライプラメは転送装置を起動させた。


野根津
 皆さんこんにちは或いはこんばんわ、野根津です。

 今回は雪の積もる野原と山を舞台とした依頼となります。
 以下、補足事項です。

●1章
 村と雪山の間に広がる平原で雪遊びをします。
 雪像やかまくらを作る、丘で滑って遊ぶ、雪合戦をする等、雪遊びであれば基本的に制限はありません。
 ただ、あまりにも過激な行動をとるとペナルティがかかる場合がありますのでご注意願います。

●2章
 雪ん子となった女児達との集団戦となります。
 厳密にはオブリビオンではない為プレイングで明言しない限り殺傷を目的とする攻撃は行われず、子供達にお仕置をする行動に修正されるのでご注意願います。

●3章
 山に潜むオブリビオンとの戦いとなります。
 詳細は断章にて語りますがオブリビオンが使用するユーベルコードの一つに『条件を満たした対象を妖怪に変える』という副次効果が付加されているものとして扱います。

●備考
 2章以降からは状態変化の要素があります。変化過程の描写等で盛大なキャラ崩壊が起こる可能性がある為、それを踏まえた上で参加して頂けると幸いです。
 また、タグにて各章の成功保証条件を提示させて頂きます。
 故意にやられるプレイングを行う場合はタグで提示された条件を満たす様な行動が盛り込んであれば成功として扱います。
 オブリビオン討伐後に残されるであろう雪ん子達は猟兵側から特別な干渉がない限り江戸幕府が派遣した者達に保護されます。

●受付期間について
 1章のみ即時受け付け開始、2章以降は断章投稿後から受け付け開始となります。
 受付締め切りに関してはタグにて提示させて頂きます。
 受付期間中に投げられたプレイングは原則として採用しますが戦後シナリオの達成度やスケジュールの関係で執筆が間に合わず複数回に渡り流してしまう事がありますのでご了承願います。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
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第1章 日常 『寒いからこそ、雪合戦!』

POW   :    剛速球や硬い球を投げる!

SPD   :    下手な雪玉数宇ちゃ当たる!

WIZ   :    相手の動きを見て効率的に!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神代・凶津
今回は山に潜むオブリビオン退治っわけか。
にしても『うばすてやま』ねぇ。
「・・・悲しい習俗ですね。」
まあ、幸いにもとっくに廃れたらしいがな。
ともかく、ここら辺で雪遊びして悪ガキ共を誘き出すとしようや、相棒。

こんだけの雪が積もってるんだ。かまくら作ろうぜ、かまくら。
どうせなら大きいヤツ作ってやろうぜッ!

よし、完成ッ!
中は結構暖かいな。
せっかくだ、持ってきた『湯呑セット』にお茶入れてティータイムといこうぜ。
お茶請けに『おはぎ』もあるしな。

(巫女と浮遊している鬼面がかまくらの外の雪景色を眺めながらお茶している)
「・・・のんびりですね。」
だな、相棒。こういう雪遊びも悪くねえな。


【アドリブ歓迎】




『今回は山に潜むオブリビオン退治ってわけか。』
「……あの山の何処かに潜んでいるのでしょうか?」
 晴れ渡った空の下を鬼の仮面を抱えた少女が雪の降り積もった平原に佇んでいる。平原を佇むのは意思を持つ仮面の猟兵神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)と凶津と共に様々な世界を渡り歩く退魔士の巫女である神代・桜だ。
 二人が見上げる先には雪で白く染まった山が聳え立っている。この山の何処かに潜むオブリビオンを討伐する事が今回の依頼の要なのだが、山の威容はそれが一筋縄ではいかない事が容易に想像できる程度には立派であった。

『流石にあの中を虱潰しに探し回るのは勘弁だな。』
「……だからこそ、雪ん子達の協力が必要です。」
 現在、この山の近辺にはオブリビオンの関係者である雪ん子が潜んでいる。グリモア猟兵が言うには彼女達を利用する事によりオブリビオンの元へ辿り着く事が出来るという。
 眼下の雪原を見回してみれば雪遊びに興じる猟兵達の姿が見える。端から見れば依頼をそっちのけで遊んでいる様にも見えるが雪遊びに興じる事こそが雪ん子達を誘き寄せる為に必要な事なのだ。
『よぉし! 俺達もまずは移動をするぜ!』
 そして、一通り雪原を見回した凶津達も雪ん子達を誘き寄せる為の雪遊びに興じるべく移動を開始した。


『見ろよ相棒! 絶景だぜ!』
「……確かに素晴らしい景色です。ですが、こんな所まで来てどんな雪遊びをするのですか?」
 雪原を歩いた凶津達が辿り着いたのは雪原と山を一度に見渡せる小高い丘の頂上であった。
 丘からの光景は正に絶景といえるのだが、頂上に辿り着くには雪の積もった急斜面を登らなければならず、雪原と比べて降り積もった雪もぶ厚い。雪ん子達も急斜面と厚く積もった雪を敬遠したのか雪ん子達が訪れた跡はなかった。
 簡単に言えばこの丘は雪ん子を誘き寄せるという意味では微妙な場所であった。

『こんだけの雪が積もってるんだ。かまくら作ろうぜ、かまくら。どうせなら大きいヤツ作ってやろうぜッ!』
 丘の上でする雪遊びとくれば斜面を利用して滑る遊びが主流だ。しかし、凶津が提案した雪遊びはかまくらを作りであった。
「……理由を聞いても?」
 かまくらを作るのであれば眼下の雪原で十分であり、敢えて雪ん子の寄り付かない丘で作る意味はない。凶津の意図を測りかねた桜が理由を尋ねれば凶津は淀む事無く答えた。

『山の中に潜んでいる悪ガキがいるかもしれないと思ったんだよ。』
 凶津はグリモア猟兵からの説明を聞く最中、村に悪戯に向かわず山の中に留まる雪ん子がいる可能性を懸念していた。仮に山に潜む雪ん子が雪遊びに興じる猟兵達に気づかなかった場合、そのまま猟兵や後から来る幕府の者達に見つかる事無くそのまま行方を眩ませる恐れがあると考えたのだ。
『丘の上にバカでかいかまくらがあれば山の中にいる奴らも気が付くよな?』
「……一理ありますね。」
 凶津は自身の抱いた懸念を晴らす為の策として考えたのが山の中にいても見やすい場所に巨大なかまくらを作る事であった。凶津の思ったよりも筋の通った回答に桜は内心驚きながらも納得した。

『相棒も納得したようだし、そろそろかまくら作りを始めるぜ!』
 こうして凶津と桜のかまくら作りが始まった。


『それにしてもうばすてやまねぇ。幸いにもとっくに廃れたらしいがな。』
「……悲しい習俗ですね。」
 かまくら作りを始めてから暫くして土台となる雪のドームを作り終えた凶津達はかまくらの肝と言える中を繰り抜く作業をしていた。加減を誤れば天井が崩落して生き埋めになる恐れがある為に慎重に雪を掘り進めてゆく中、不意に凶津が今回の事件の原因とも言える習俗の名を呟いた。
 老人や子供を山に捨てて口減らしをする事により村を存続させる。相応の事情があるとはいえ現代社会を生きて来た桜には受け入れがたい習俗であった。

「……彼女達は村の人達を恨んでいるのでしょうか?」
『生憎と俺には分からねぇな。だが、悪ガキ共を放置するわけにはいかないぜ。』
 今回の依頼の要と言える雪ん子達は山に捨てられた女児達の成れの果てであるという。その出自を考えると雪ん子達が村人に悪戯をして回っているのは自分達を捨てた村人達に対して復讐していると捉える事も出来た。
 桜の呟きに対し凶津は毅然とした口調で答える。今は微笑ましい悪戯で済んでいるものの今後悪戯がエスカレートしていってもおかしくはない。
 もしも、過激になった悪戯によって村人達に大きな被害が出てしまえばその出自に関係なく雪ん子達は討伐されてしまうだろう。

『お仕置で済む内に悪ガキ共を止めてやらないとな。』
「…………。」
 宥める様な凶津の言葉を最期に会話は途絶え、雪を掻きだす音だけが丘に鳴り響く。黙々と掘り進めていけばやがてかまくらの崩落を防ぐ境界線を示す目印が顔を出した。
 そして、雪を掻きだす作業を中断して辺りを見渡せば事前に突き刺しておいた目印が全て顔を出していた。

『よし! 完成ッ!』
 凶津の喜びの声がかまくらの中に響き渡った。


「……のんびりですね。」
『だな、相棒。』
 無事にかまくらを完成させる事の出来た二人は凶津がさり気無く準備していた湯呑セットとお茶請けのおはぎでティータイムに洒落込んでいた。かまくらの入り口からは平原や山に降り積もった雪が日の光を反射して輝く幻想的な光景が雪原と山は空から降り注ぐ日の光を受けて輝く幻想的な光景を一望できた。
『しかし、意外と中は暖かいな。』
「……話には聞いていましたが想像以上です。」
 かまくらの内部は風下に入口を配置した関係で丘の冷たい風が吹き込まず、かまくらを形作る雪そのものが断熱材となっている為に外に比べて暖かかい。これならば雪原に雪ん子達が集まってくるまで凍える事はないだろう。

『たまにはこういう雪遊びも悪くねえな。』
 巨大なかまくらの中で凶津は桜の傍らに浮遊しながら景色を楽しみ始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



 雪の降り積もった山道の中、一人の少女が歩いていた。
「ねーさま、なんでおかしくなったのかな?」
 遡る事十数年前、山奥に捨てられた少女は山に住むという女性に命を救われた。親に捨てられた事に打ちひしがれていた少女が救いの手を差し伸べた女性に懐くのにそう時間はかからなかった。
 そして、女性の振舞う料理を食べ続ける事により妖怪に成り果ててからは冬になる度に女性が拾ってくる子供達のまとめ役となり、自由奔放な義妹達に振り回されながらも楽しく暮らしてきた。
 しかし、楽しい暮らしは山に子供が捨てられなくなって暫くしてから終わりを告げた。

「やっぱり、あの子のせいだよね?」
 異変の始まりはいつの間にか雪ん子が一人増えてからだ。その日を境に女性は少しづつおかしくなりはじめた。
 自分や義妹達はおかしくなってゆく女性に戸惑いながらも離れようとはしなかった。しかし、数日前に女性は突如として件の雪ん子を除いて全員住処から追い出してしまったのだ。
 突然の事態に混乱した義妹達が麓の村を目指し山を降りていくなか、少女だけは未だに女性の住処の近辺に留まっていた。

「あの子をどうにかすれば元のねーさまにもどってくれるかな……おかのうえにかまくら?」
 重い足取りで仮の住処へ帰ろうとしていた少女は丘の上に巨大なかまくらが出来ている事に気が付いた。その丘は斜面がきつい上に下手すると頭まで埋もれかねない程に雪が積もる事から義妹達が殆ど寄り付かない場所であった。
 そんな丘の上に巨大なかまくらが出来ているとなれば丘の周辺にそれが出来るだけの力を持った者がいる事に他ならない。女性の事ばかり気にしていた少女はここにきて村へ降りていった義妹達が村人達に危害を加えている可能性に気が付いた。
「みんなをたすけにいかないと……!」
 そして、義妹達の身を案じた少女は山を下り始めるのであった。
御影・雪乃
昔すてられた子が擬似的っぽいオブリビオン化ですか
背景や事情はさておき、倒すものは倒しときたいところですね
ボスを倒せば良いんですかね
などと考えつつ

雪のひんやりした感じとほのかな湿り、サラサラした感触などを楽しむ森林浴的な楽しみ方をしつつカマクラを作ります
良い雪質ですね
サラサラしていると、遊ぶにはすこし溶かしながらとなりそうですが
カマクラが完成したら、今度は鍋を取り出して持ってきた具材をお味噌で煮込み始めます
遊んでる他の皆さんもお腹すくでしょうし、ついでにお雑煮でも作りましょうか
この後に雪ん子たちが出たら、その時にも食べさせようと思っています




「昔すてられた子が疑似的っぽいオブリビオン化ですか。」
 御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)は今回の依頼の要と言える雪ん子達について思考を巡らせる。
 人が後天的にオブリビオンとなる。一見すると滅多に起きない出来事の様に思えるが実際の所はアリスラビリンスに迷い込んだアリスやグリードオーシャンのメガリス等、後天的要因でオブリビオン化する事例は頻発している。
 雪遊びを通じて誘き寄せようとしている雪ん子達も捨て子であったという背景事情を顧みれば完全にオブリビオン化していてもおかしくはない。しかし、子供達は肉体的には妖怪に成り果てていても完全なオブリビオン化は果たしていないという。

「面倒な事情があるようですが、ボスを倒せば良いんですかね?」
 驚きを求める癖はあるものの、それ以外に関しては割と適当なところがある雪乃は一先ず山に潜むオブリビオンの討伐を最優先事項に定めた。
「それでは、まずは雪質を確認しましょう。」
 そして、オブリビオンを討伐する上で必要となる雪ん子を誘き寄せる為の雪遊びの決める為に雪原に降り積もった雪を掬い取るのであった。


「悪くない雪質ですね。」
 雪乃は掬い取った雪を弄びながら呟く。柔らかな感触で手を傾ければ砂の様に零れ落ちてゆくその雪は空気を豊富に含んだ粉雪と呼ばれる雪質であった。
「ただ、固めて遊ぶならすこし溶かしながらとなりそうですが。」
 粉雪はその柔らかさから雪の上をすべる遊びや直接雪を浴びる様な遊びに向いている。一方で粉雪は固まり辛い為に雪合戦やかまくら作り等の雪を固める必要のある遊びには向いていなかった。

「森林浴的に雪を楽しみつつカマクラを作りましょう。」
 雪質を吟味した末に雪乃がする事にした雪遊びはカマクラ作りである。先程の自らの発言を真っ向から無視する選択だが雪乃にとって問題はなかった。
「ある程度形を整えたら凍らせれば問題なしです。」
 雪乃はその名に恥じない雪と氷を操る能力を持つ猟兵だ。その気になれば空気中の水分から雪や氷を作り出せる雪乃にとって粉雪を固める程度の事は朝飯前である。
「それでは始めましょう。」
 こうして雪乃のカマクラ作りが始まった。


「後はこれをはめ込めば……完成です。」
 カマクラ作りが始まってから少しして雪乃は立派なカマクラを作り上げていた。雪のレンガを積み上げて造り上げられたそのカマクラは俗にイグルーと呼ばれる簡易シェルターであった。
「隙間はないようですね。即興でつけた窓もなかなか良い感じです。」
 細長い出入り口から内部に入った雪乃は隙間風が入ってきていない事を確認する。更にカマクラの一角に視線を向ければそこからは外の景色が朧気ながらに見えていた。
 雪乃はカマクラを作る際に一部にだけ氷のレンガを使う事により簡易的な窓を作り上げていた。氷のレンガはそれほど透明度高くないものの、それが逆に曇り硝子のような役割を果たしている。

「さて、カマクラ作りの次は腹ごしらえです。」
 雪乃は即興で氷の机と椅子を作り出すと懐からガスコンロや大きな土鍋、更には沢山の具材を取り出し机に置いてゆく。それらの品々は明らかに懐に入らない大きさなのだが気にしてはいけない。
「寒い冬には鍋に限ります。」
 雪乃は手早く具材を切り刻むと雪を溶かして作った水で満たされた鍋に投入し味噌と一緒に煮込み始める。程なくしてカマクラの中に具材の煮える音と味噌の香りが充満してゆく。
 そして、具材が程よく煮えた頃になって雪乃は何処からか視線を向けられている事に気が付いた。


「どうやら雪ん子が誘われて来たようですね。」
 視線に気が付いた雪乃はゆっくりと辺りを見回してみれば即興で設置した窓から誰かが中を覗き込んでいた。窓の透明度が低い為に大まかな輪郭しか分からないものの、それは黄色い三角形の物体をかぶっているようであった。
 雪乃は事前情報から雪ん子達がすげぼうしと呼ばれる三角形の笠をかぶっている事を把握していた。そして、窓から三角形の帽子が見える事から雪乃は窓越しにこちらを覗き込んでいる者が雪ん子であるという結論に至った。

「出来ればカマクラの中に誘い込みたいですね。」
 誘き寄せた後にする事を考えると雪ん子をカマクラの中に誘い込んだ方が色々と効率的だ。しかし、ここで雪乃が下手な動きを見せれば雪ん子は逃げ出してしまうだろう。
 如何にして雪ん子を中に誘い込むか思考を巡らせる中、雪乃は雪原で猟兵達がチームに分かれて雪合戦をしていた事を思い出した。そして、目の前には材料の煮えた鍋がある。
 雪乃は雪ん子を誘い出す策を思いついた雪乃は早速実行する事にした。

「しまったー。鍋を作りすぎてしまったわー。」
 雪乃は敢えて外にいる雪ん子にも聞こえる様に大声をあげる。すると雪乃の言葉を聞いた雪ん子は一瞬震えると更に顔を窓に近づけてゆく。
 雪乃は目論み通りに雪ん子が動いた事に笑みを浮かべると更なる言葉を紡いでゆく。
「そういえば、外で雪合戦をしている人がいましたねー。折角だからその人達にも鍋を振る舞う事にしましょうー。」
 言葉を紡ぎ終えた雪乃は念の為にコンロの火を弱めると椅子から立ち上がりカマクラの外へと出る。そして、そのまま後ろを振り返る事無くカマクラが見えなくなる場所まで歩くとその場に留まった。
「……そろそろ戻りましょうか。」
 暫くして雪乃は再びカマクラへと引き返してゆく。そして、カマクラの入り口に入らず即興が設置された場所を目指し進んでゆく。

「ふふっ無事にかかりましたね。」
 雪乃が慎重に窓を覗き込んでみればカマクラの中では小さな人影が椅子に座っていた。朧気なので断言はできないものの十中八九雪ん子が鍋を堪能しているのだろう。
「それでは、お仕置の時間と行きましょう。」
 そして、笑みを浮かべた雪乃はカマクラの中へと入ってゆくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

音月・燈夏
捨てられたことに比べれば悪戯は些細な事でしょうが、いつまでも放っておくわけにはいきませんからね。可能ならばさっさと保護してしまった方が良いでしょう。

さて、その為にまずは雪遊びですか。昔は雪の下で冬眠してる小動物を引っ張り出して遊んだりもしましたが、流石に現在ではそんな悪戯をするのは憚られますね。
時間があればかまくらも良いのですが、雪ん子達がいつ現れるか分かりませんし、手早く作れる雪兎を作りましょうか。手頃な葉っぱと木の実が見つかると良いのですが。

材料を確保したら、踏まれなさそうな場所に作った雪兎を次々に並べていきます。
「ふふっ。何だかまるで和菓子でも作ってるような気分になってきましたね」




 雪原で猟兵達が雪遊びに興じる中、音月・燈夏(麗耳の狐巫女・f16645)は1人雑木林を歩いていた。
「村を存続させる為とはいえ酷過ぎます。」
 燈夏は雪を踏みしめながら雪ん子達に想いを巡らせる。雪ん子達は元々村を存続させるという名目で山に捨てられた子供達であるという。
 当時の村人達は子供が村に戻ってこれない様に事前に知らせる事もなく寝ている間に山奥へ捨てたという。突如として何処とも知れぬ山の中で目覚めた子供達の絶望はどれ程のものであっただろうか。

「捨てられた事に対する復讐と考えるには些細な悪戯ばかりなんですよね……。」
 村へと降りて来た雪ん子達は隙あらば閉められた戸を全開にする、干された洗濯物を落とす、作りかけの料理をつまみ食いをする等の悪戯をしているという。仮に捨てられた事に対する復讐として行っているのであればそれらの悪戯は余りにも生ぬるかった。
「とはいえ、いつまでも放っておくわけにはいきませんよね。」
 雪ん子達は肉体こそ妖怪となっているもののオブリビオン化しているわけではない。しかし、その境遇を考えると些細な切欠で完全なオブリビオンになってもおかしくはないのだ。
 完全にオブリビオンになってしまえば元に戻す事は叶わない。オブリビオンに成り果てた雪ん子に対して猟兵達が出来る事は惨劇を起こす前に骸の海へ還す事や猟兵の糧としてその魂を取り込む事くらいだろう。

「可能ならさっさと保護してしまいたいですね。」
 こうして燈夏は目的を果たすべく雑木林を進み始めるのであった。


「中々見つかりませんね。」
 雑木林に燈夏が足を踏み入れたは雪遊びをする為に必要な物を集める事が目的だ。それは例え雪が積もっていたとしても容易に判別できる程度には特徴的な外見を持っている。
 しかし、探し始めてからそれなりに時間がたったにも関わらず燈夏は目的の物を見つけられずにいた。
「昔は隠れた小動物を簡単に見つけられたのですけどね。」
 燈夏が思い返すは幼少期の冬の思い出だ。当時の燈夏は暇を見つけては冬眠している小動物を引っ張り出して遊んでいた。
 今になって思えば自分が辛い修行をしている中で眠りこけている動物達に嫉妬して彼らの眠りを妨げる事によって厳しい修行によるストレスを発散していたのかもしれない。

「流石に今になってそんな悪戯をするのは憚られますね。」
 燈夏は嘗ての自身の所業に苦笑すると改めて目的の物を探し始める。暫くして燈夏は雪が降り積もりながらも瑞々しい緑色の葉と沢山の小さな赤い木の実を実らせる木を見つけた。
「漸く見つけました!」
 燈夏が探し求めていた物、それはナンテンと呼ばれる樹であった。目的の物を見つけ出した燈夏は手早く葉と果実を収穫すると平原へととんぼ返りするのであった。
 


「それでは雪遊びを始めましょう。まずは雪を握って押し固めて……。」
 雪原へと戻った燈夏は降り積もった雪を掬い取ると両手で包み込む様にして握り始める。少しして手を開けば手の中には俵型に固まった雪があった。
「これに葉っぱと木の実を付けてあげれば……出来上がりです。」
 続けて押し固められた雪にナンテンの葉を挿し込み、実を埋め込んでゆく。こうして出来上がったのは木の葉の耳と赤い果実の瞳を持つ雪兎だ。

「出来ればかまくれを作りたい所でしたが、流石にアレは真似できませんね。」
 完成した雪兎を平原の隅に生えた木の根元に置いた燈夏は軽く触れただけで雪をレンガ状に押し固めて積み上げてゆく猟兵を見ながらため息をつく。
 事前情報ではある程度誘き寄せれば雪ん子達に逃げられる心配はないとの事であったが燈夏としては万全を期しておきたかった。そういう意味で上手く誘い込めれば相手を逃す事のない籠を作れる雪遊びは魅力的であった。
 しかし、燈夏が雪原へ辿り着いた時点で雪遊びは本格化しており、かまくらが完成する前に雪ん子が現れる可能性が高かったのだ。故に燈夏は仕方なく材料さえ見つかれば手早く沢山作る事の出来る雪兎作りをする事にした。

「ふふっ。何だかまるで和菓子でも作ってるような気分になってきましたね。」
 雪を俵型に押し固めて飾りを取りつければ完成する雪兎、掌に収まる雪で出来た兎は味方によっては饅頭の様に見えなくもない。
 勿論、齧った所で楽しめるのは水の味と食感だけだろう。故に燈夏僅かに湧き上がる衝動を抑え込みながら雪兎を量産してゆく。
 そして、ナンテンの葉と実が残り少なくなってきた所で雪兎に異常が起きている事に気が付いた。


「……雪兎が減っていますね。」
 燈夏が覚えている限りでは作り終えて並べた雪兎は30匹を優に超えている。しかし、燈夏の眼には10匹しか雪兎はいなかった。
 確かに雪兎作りに夢中になっていた自覚はある。それでも誰かが近づいてくれば妖狐特有の狐耳が雪を踏みしめる足音の聞き逃す筈がなかった。
「これは確かめる必要がありますね。」
 燈夏は丁度雪兎の材料が尽きた事も相まって雪兎が消えた原因を調べる事にした。最後の材料で作り上げた雪兎を並べると燈夏はそのまま雑木林へと移動を始める。そして、手頃な木を見つけるとその陰に隠れて雪兎の並べられた一角の監視を始める。
「あれは……粉雪でしょうか? 雪兎が動き始めました!?」
 監視を始めて少しして、雪兎の周囲に白い靄が漂い始める。それは一見すると風で巻き上げられた粉雪の様に見えるがその動きは明らかに風を無視して動いている。
 やがて靄が雪兎の1つに集まったかと思えば雪兎はまるで生きているかのように木の葉の耳や鼻先を動かし周囲を探り始めた。
 そして、雪兎は再び動き始めた靄に誘導されて何処かへと移動を始める。燈夏は雪兎に気づかれない様に気を付けながら後をつけてゆく。
「どうやら雪兎を気に入って貰えたみたいですね。」
 雑木林へと駆けてゆく雪兎を追い始めて少しして、雪兎は開けた場所に飛び込んでゆく。飛び込んだ先では雪ん子が沢山の雪兎と戯れていた。
 雪ん子は思った以上に幼く、それこそ燈夏の両腕に収まりそうな程に小さい。そんな雪ん子の周りで沢山の雪兎が跳ね回り雪ん子と楽しく遊んでいた。

「……もう少し様子を見ましょう。」
 燈夏は雪ん子と雪兎達が遊ぶ微笑ましい光景に足を踏み入れる事を忘れ、見とれてしまうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

美波・蜜香
【かに×かま】
雪合戦だね!こう見えても得意なんだよ?
チェルノさんとペアでウィーリィさん&シャーリーさんチームに戦いを挑むね
【怪力】に物を言わせてバスケットボールサイズの大きな雪玉を相手チームに投げ込んで驚かせてチェルノさんが攻め込むチャンスを作るよ
チェルノさんが狙われたら身を挺して【かばう】!

身体は暖まったけど濡れて冷えちゃったね
何か暖かい物ないかな?
(ウィーリィさんに期待のまなざし)


在原・チェルノ
【かに×かま】
蜜香ちゃんとペアでシャーリーちゃんたち相手に雪合戦で遊ぶ
相手がウィーリィくんとシャーリーちゃんなら手加減無しで全力で行くわよ!

【迷彩】で雪に紛れて【忍び足】で近づいて【早業】+【先制攻撃】でアンブッシュ
【残像】で相手を翻弄して同士討ちを誘うなど、忍者らしいテクニカルな戦い方で勝ちを取りに行く

(でもいい所で身体が冷えちゃってお花摘みに。残念!)


シャーリー・ネィド
【かに×かま】
ボクはウィーリィくんと一緒にチェルノさん&蜜香ちゃんチームと雪合戦
遊んでいれば雪ん子も出てくるんだよね?

【乱れ撃ち】で雪玉の【弾幕】を張りながら逃げ回り【フェイント】で予め【罠使い】で仕掛けておいた落とし穴(膝までの深さ)に誘い込んで転んだところで【クイックドロウ】+【スナイパー】で雪玉の集中砲火!
ところで勝ったら何か商品出るの?


ウィーリィ・チゥシャン
【かに×かま】
任務に乗じて思いっきり遊ぶぜ!
そんな訳で俺とシャーリー、チェルノと蜜香の2チームに分かれて雪合戦。
【足場習熟】で滑って転ばないようにしながら【物を隠す】で身体に雪をまぶしてカモフラージュし、【地形の利用】で岩や樹を遮蔽物として利用して敵に接近し側面から奇襲を仕掛けシャーリーと連携して相手チームを攻撃。
いざとなったら最後の切り札、【地形破壊】で樹に積もった雪を雪玉で落として相手を埋める。

遊び疲れたら予め【料理】して魔法瓶に入れておいた鶏ガラと生姜のスープでみんなで暖まろうぜ。


ポーラリア・ベル
何々?雪合戦?まーぜーてー!(空から雪と一緒に落ちてきて)
【ローリングスノーマン】で、おっきな雪玉作ってどかーんするの!
即席で作った雪だるまや物陰に隠れて、雪を集め集めに集中して、
おっきな雪玉、空に浮かべたら、【怪力】で持ち上げて飛んで、空中爆撃するよ!
そーれ♪どーん♪どーん♪
身体を雪で埋めた雪だるまにしてあげるのー♪
他の人の雪玉に当たったらおっきな雪玉と一緒に墜落しそう!気を付けて【空中戦】で回避するよ!
(やられロール可)
あはは、たーのしー♪




「ウィーリィくん、遊んでいれば雪ん子も出てくるんだよね?」
「そうだぜ。だから任務に乗じて思いっきり遊ぶぜ!」
 暖かな日差しが降り注ぐ雪原の中心で4人の猟兵が集まっている。事の始まりはウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)が任務に乗じて雪遊びをするという名目で相方であるシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)と同じ旅団に所属する美波・蜜香(ブルーメンリッター・f20221)と在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)の二人を誘った事だ。
 雪遊びはオブリビオンの討伐に必要不可欠な雪ん子達を誘き寄せる事を目的としたものなのだが折角ならば全力で激しく遊びたいというウィーリィの提案から2組に分かれての雪合戦に興じる事になった。
「雪合戦だね! こう見えても得意なんだよ?」
「ウィーリィくんとシャーリーちゃんの二人が相手なら手加減は無用ね!」
 組み分けは特に揉める事もなくウィーリィとシャーリーのペアとチェルノと蜜香のペアに分かれる事になった。ウィーリィとシャーリーのコンビネーションを良く知る二人は相手にとって不足なしと気合も十分だ。

「ところで勝ったら何か商品出るの?」
「商品? そうだな、勝ったチームには俺の作ったお菓子なんてどうだ? まだまだ練習中だけど不味くはない筈だぜ。」
 前準備である雪玉作りの最中、シャーリーがふとした疑問をウィーリィに問い掛ける。シャーリーの問い掛けに対してウィーリィは軽い気持ちで答えたのだが返答の直後からウィーリィを除く3人の雰囲気が変わった。

「ウィーリィくんのお菓子?」
「それは見逃せないんだよ。」
「これは全力で行かないといけないわね!」
 実の所、今この場にいる面子の中で料理がもっと上手なのはウィーリィだ。彼自身が料理人を志して修行をしているので一番上手というのは当然なのだが問題は残る3人の料理の腕だ。
 手始めにシャーリーは海賊として活動が殆どであった為に料理を殆どしたことがない。ウィーリィの師事を受ける事により多少はマシになってきているがまだまだ上手とは言えない。
 続いてチェルノは嘗て実験体として囚われの身であった上に施設を脱走した後もスーパーヒーローとしての活動にその身を捧げて来た為に料理の経験はほぼ皆無。やはり料理が得意とは言えない。
 そして、トリを飾るのは蜜香なのだが彼女は二人と違い学校を通じて最低限の料理の教養は備えている。しかし、どういうわけか彼女は料理が壊滅的に下手であり学生時代には料理を作る事を半場金糸されていた。
 そんな3人にとってウィーリィのお菓子とはご馳走に他ならず、到底見逃せるものではなかった。

「皆急に気合いが入ったな……。そ、それじゃあ、始めるぜ!」
 ウィーリィは突如としてやる気になった3人に困惑しながらも事前に取り決めていた合図をする。こうしてお菓子を賭けた雪合戦の火蓋が落とされた。


「シャーリー、手筈通り頼むぜ!」
「分かったよウィーリィくん!」
 開幕はシャーリーによる雪玉の乱れ打ちの弾幕だ。狙いは甘いもののそれが逆に軌道の予想を困難にしており、あまり大きく動くとそれが原因で被弾しかねない。シャーリーが攻撃を始めるのと同時にウィーリィは自らの身体に雪をまぶしてその身を隠し始めた。
 二人の作戦はシャーリーが雪による絶え間ない弾幕で牽制をしながら相手の動きに制限をかけ、雪の迷彩を纏ったウィーリィが相手の逃げる場所へと先回りをして奇襲をかけるというものだ。
 いざという時の隠し玉は準備してあるものの、今はまだ使う時ではないだろう。
「特性大玉、受けてみるんだよ!」
 物凄い量で飛んでくる雪玉に対して蜜香も負けてはいない。多少の被弾をものともせず、持ち前の怪力で両腕一杯に雪を抱え込むと全力で抱きしめてバスケットボール程の大きさに圧縮するとシャーリーに目掛けて投げつけた。
 巨大な雪玉に対しシャーリーは弾幕を撃ち込むが質量だが大きすぎて止まらない。咄嗟に横に飛びのけば巨大な雪玉が着弾して周囲の雪を撒き上げた。
 こうして蜜香とシャーリー戦いは質と量の戦いと言った様相を呈してゆく。一方で蜜香の投げた雪玉によって巻き上げられた粉雪に紛れてウィーリィも行動を開始した。

「よし、雪の煙幕に紛れて一気に接近させて貰うぜ……っ!?」
 雪の煙幕を利用して蜜香に捕捉されない様に気をつけ、時折飛んでくるシャーリーの弾幕の流れ弾を地形を利用して凌ぎながらウィーリィは雪原を進む。しかし、あと少しで蜜香に奇襲をかけられるという所で背後に殺気を感じ取ったウィーリィは見つかる事も厭わずに全力でその場を飛びのいた。
 そして、飛びのいた直後にウィーリィのいた場所に大量の雪玉が殺到した。
「惜しいわね。あと少しで倒せたのに。」
「流石に気合いが入りすぎだぜ。まぁ、それはそれで燃えるがな!」
 ウィーリィに対し奇襲をかけたのはチェルノであった。チェルノの身体は化身忍者特有の迷彩で朧気であり、その傍らには戦術ドローンが飛行しておりその口調もどことなく無機質だ。
 簡単に言えば今のチェルノはオブリビオン相手でも戦えるガチモードであった。これには全力で遊ぶ事を提案したウィーリィも顔を引き攣らせるが直に獰猛な笑みを浮かべる。
「どうやらお互いに似たような作戦を考えていたみたいだな!」
「あなたを先に雪に埋めてしまえば問題はないわ。」
 互いに奇襲が失敗に終わった以上、後は真っ向勝負でけりをつけるしかない。ウィーリィとチェルノは雪玉の欧州を始める。
 片やウィーリィはシーフとしての脚運びで柔らかく崩れやすい地形を物ともせず駆け回り雪玉をチェルノ目掛け投げてゆく。対するチェルノは時折雪に足を取られそうになるものの、光学迷彩と戦術ドローンによる補助によりウィーリィの投げる雪玉を避けて反撃する。
 ここにきて2組のチームによる雪合戦は激しさを増してゆく。雪原には絶え間なく小振りな雪玉の弾幕と大きな雪玉による爆撃が飛び交い、飛び交う雪玉の間を2人の猟兵が目にも止まらぬ速さで駆け抜ける。
 その光景は最早雪合戦の域を超えており、常人であれば近づく事すら躊躇うだろう。だが、そんな激しい戦いも突如として終わりを告げる。

「うっ! ご、ごめん、蜜香ちゃん! 少し戦線を離脱するよ!」
「えぇっ!? そんないきなり……わぷっ!?」
 チェルノの動きが鈍ったかと思えば、突如として雑木林に目指し駆けだしたのだ。これには相方である蜜香も驚愕し抗議しようとした所で顔面に雪玉が直撃する。
 チェルノの突然の戦線離脱には勿論理由があるのだが、その理由は彼女が股間に両手を当てている事から察して欲しい。そして、チェルノが雑木林の中に消えようとした瞬間にそれは起きた。

「あたしもまーぜーてー!」
 幼い少女の声と共にチェルノは突如として降ってきた巨大な雪玉に押しつぶされた。


 ここで時間を雪合戦が激化した直後にまで遡る。
「ねぇ、どうやってあれにまざるの?」
「いやいや、あんなのにとびこんだらたいへんなことになるだろ。」
「でもぉ、かたないとおかしもらえないよぅ……。」
 雪原の直ぐ近くの雑木林の中で少女達は相談していた。髪型や背丈などに多少の違いはあるものの、一様に同じデザインの衣類とすげぼうしを被っている。
 彼女達は猟兵達の雪遊びに惹かれて集まってきた雪ん子達であった。雪ん子達は雪合戦の勝者がお菓子を貰えるという話を聞いていた様だが雪合戦というにはあまりにも激しい戦いを目にして二の足を踏んでいた。
 そして、そんな雪ん子達に上空から近づく影があった。

「ねーねー! こんな所で集まって何をしているの?」
「わわっ!?」
「なんだおまえ?」
「すごくちっちゃいよぅ。」
 雪ん子達に近づたのは無邪気な妖精のポーラリア・ベル(冬告精・f06947)だ。雪ん子達は突然現れたポーラリアに驚いたものの、始めてみる妖精と言う存在に興味深々と言った様子で集まって来た。

「あたしはポーラリア・ベル、ポーラって呼んで欲しいの。あなた達はなんて名前なの?」
「えっと、やよいです。」
「ながつきだ。」
「しもつきだよぅ……。」
 その容姿故か警戒よりも興味が勝ったようで雪ん子達はポーラリアから逃げる様子はない。対するポーラも集まってきた沢山の雪ん子達に引く事はなく対話を通じて仲良くなってゆく。
 そして、一通りの自己紹介が終わった所でポーラリアは改めて雪ん子達が集まっている理由を聞く事にした。

「雪合戦に混ざりたいけど怖くて入れないんだねー? それならポーラにお任せだよ!」
「ほんとうにあれをどうにかできるの?」
「おまえみたいなチビじゃうちおとされるんじゃないのか?」
「あぶないよぅ……。」
 お菓子を狙って雪合戦に参戦しようとしたが雪合戦が激しすぎて参加できない。そんな雪ん子達の愚痴を聞いたポーラリアはわたしに任せろと言わんばかりに胸を叩く。
 ただ、自分達よりも遥かに小さいポーラリアの言葉に雪ん子達は疑問視する声や心配する声が殆どだ。しかし、一度やると決めたポーラリアはそう簡単には止まらない。
「あたしがあの人達の動きを鈍らせるから、みんなは動きが鈍った隙にやっつけてね!」
 こうして心配する雪ん子達を余所にポーラリアは激しい戦いが繰り広げられる雪原の上空へと舞い上がる。そして、両手を掲げて雪を集め始めながら眼下の戦いに介入する隙を探し始める。

「いまだよ! あたしもまーぜーてー!」
 そして、突如として雑木林に逃げようとした猟兵目掛けてポーラリアは自らの作りだした雪玉と共に落下した。


「みんな! いまだよ!」
「と、とつげきー!」
「おかしよこせー!」
「ま、まってよぅ!」
 ポーラリアの奇襲攻撃によってチェルノが雪玉に押しつぶされた直後、雑木林から沢山の雪ん子が雪玉片手に飛び出してゆく。突然の第3勢力の出現に雪合戦をしていたウィーリィ達は驚いたものの、すぐに立ち直り応戦を始める。
 雪ん子達の雪玉は1人1人は大したことはないが人数でそれをカバーしている。更に上空ではポーラリアが巨大雪玉による爆撃を続けておりウィーリィ達は思う様に動く事が出来ない。

「そーれ♪ どーん♪ どーん♪」
「さ、流石に一人でこれは無理なんだよ?! ふぎゃっ!」
 三つ巴の戦いが始まって少しして蜜香が四方八方から飛び交う雪に動きを封じられている隙を狙われてポーラリアの落とす巨大雪玉の下敷きとなった。
 ここで残るチームはウィーリィとシャーリーのペアとポーラリア率いる雪ん子達の2組となった。そして、ここにきて乱入者が雪ん子である事に気が付いたウィーリィとシャーリーは先程の様な激しい攻撃が出来なくなり、ポーラリアからの爆撃も相まって防戦を強いられていた。

「あはは、たーのしー♪」
「くそっ、このままじゃジリ貧だぜ。」
「雪ん子達は兎も角、妖精の子をどうにかしないと勝ち目はないよ。」
 飛び交う雪玉を避けながら二人は作戦会議をする。目下の問題は上空で笑いながら雪玉を落として回っているポーラリアの存在だ。
 雪玉は相当に強固な様で雪玉の下敷きにされたチェルノと蜜香は頭だけ雪玉から出て来た雪だるま状態となったまま脱出する様子はない。……チェルノの眼が虚ろなのが気にかかるものの下手に突いても蛇が飛び出しそうなので二人は再びポーラリアに意識を集中させる。

「こうなったら隠し球を使うしかなさそうだな。シャーリー、何とかしてあいつを雑木林に誘導してくれ。」
「ウィーリィくん、無茶はしないでね?」
「分かっているぜ!」
 シャーリーがポーラリア目掛けて雪玉の弾幕を貼り始めるのと同時にウィーリィは雑木林目掛けて駆けだしてゆく。
「にげてもむだだよー! あなたもゆきだるまにしてあげるのー♪」
 ポーラリアはシャーリーの放つ雪の弾幕を華麗に避けながらもウィーリィ目掛けて突撃する。その姿はまるで高高度爆撃を仕掛けようとする爆撃機の様だ。
 そんなポーラリアに対しウィーリィは笑みを浮かべる。それはポーラリアが彼の狙い通りに動いているからに他ならない。

「かかったな! これでも喰らいやがれ!」
「ふぇっ? ひゃあああ!?」
 急接近するポーラリアが雑木林に突入した直後、ウィーリィは樹を全力で蹴飛ばした。すると蹴飛ばされた樹は大きく揺れて枝に降り積もっていた雪が不利悪阻されてゆく。
 そして、木の枝から落ちた雪はウィーリィに雪玉を叩きつけようとしているポーラリアに降り注いだ。

「どうやら無力化出来たみたいだな。」
 ウィーリィは降り注ぐ雪の下敷きとなったポーラリアが動き出さない事を確認すると一息つく。最大の脅威が無力化された以上、後は油断さえしなければウィーリィ達が負ける事はないだろう。
 ウィーリィは改めてシャーリーと雪ん子達が戦いを繰り広げる雪原へと戻り始めた。
「雪ん子達も集まったみたいだし逃げられない様にしないとな。」
 少ししてシャーリーと合流を果たしたウィーリィは雪ん子達に逃げられない様に気をつけながらも猟兵が集まってくるまで雪合戦に興じるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『オブリビオンの雪ん子』

POW   :    あそぼ
【大雪が降る中、当たると凍てつく雪玉】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    いかないで いっしょにいて
自身に【触れたもの全てを凍らせる冷気】をまとい、高速移動と【吹雪の竜巻】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    おともだちづくり(雪)
自身の創造物に生命を与える。身長・繁殖力・硬度・寿命・筋力・知性のどれか一種を「人間以上」にできる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 雪遊びを利用して無事に雪ん子達を誘き寄せる事に成功した猟兵達だが速やかにお仕置開始とはいかなかった。
 というのも雪合戦が思った以上に功を奏してしまったようで雪ん子が猟兵に対する警戒を解いてしまっているのだ。
 今も雪ん子達は一か所に集まりフェアリーの猟兵と共に猟兵達の一人が振る舞った暖かい鳥ガラと生姜のスープを堪能している。
「おいしーね。」
「あねきのなべとおなじくらいうまい。」
「やけどしたよぅ……。」
 最早その場の空気は雪ん子達をお仕置をするという感じではなくなっている。
 一部の猟兵が先に雪ん子達を説得してオブリビオンの元に案内して貰った方が良いのではと思い始めた正にその時、山の方から声が響いた。

「みんな、はやくにげて! その人たちはりょーへいよ!」
 猟兵と雪ん子達が視線を向けた先には一人の雪ん子が立っていた。他の雪ん子達と比べて明らかに大人びたその雪ん子には必死に他の雪ん子達に呼びかけている。
 そして、大人びた雪ん子の声を聞いた他の雪ん子達の間に動揺が広がってゆく。
「りょーへい?」
「たしか、かーさんがいっていたすごいこわいやつらだよな?」
「わ、わたしたちをころしにきたの!?」
 先程まで和気藹々とした雰囲気から一転して雪ん子達の顔が恐怖に染まってゆく。どうやらオブリビオンは雪ん子達に猟兵が大層恐ろしい存在であると言い聞かせていたらしい。
 雪ん子達は恐怖に打ち震えながらその身に強い冷気を纏うと猟兵達の包囲を抜ける隙間を必死に探り始めている。
 どうやら当初の予定通りに行く必要がありそうだ。或いは敵意を見せる事無く説得をすれば雪ん子達の協力も得られるかもしれない。
 こうして猟兵達は各々の思惑の元に行動を開始するのであった。

●成功条件
 『何らかの冷気に対する対策を講じている事』
 上記条件を満たしているプレイングであれば故意にやられる様な内容であっても成功以上が保証されます。

●備考
 お仕置の具体的な方法に特に制限はありません。但し、内容次第では不明瞭な表現になったり省略される恐れがあります。
 加えて、プレイング上で殺す事を明言しない限り雪ん子が死に至る様な行動はとりませんのでご注意願います。
 プレイングの受付締め切りに関してはシナリオタグ及びマスコメにて提示予定です。
 また、1章での行動の結果以下の4名の方に関しては状況や雪ん子に対する認識等に変化が表れています。

①音月・燈夏(麗耳の狐巫女・f16645)
 雑木林の中の小さな広間の中、一際幼い雪ん子と対峙しています。
 雪ん子の放つ冷気は人を害せない程に弱い代わりに人を超える耐久力を持つ20体程の雪兎に守られています。

②御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)
 カマクラの中で1体の雪ん子と対峙しています。
 雪ん子の強さは雪原で囲まれている個体と同程度であり入り口側に雪乃が陣取っている為に逃げられません。

③神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)
 猟兵に囲まれた義妹達を助けようとしている年長の雪ん子の前に立ちはだかっています。
 その強さは雪ん子達の中で最も強いものの村への悪戯に関わってはおらず、今も自身を犠牲にしてでも義妹達を守る事を目的に動いています。

④ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)
 周囲を雪ん子達に囲まれた状態です。
 フェアリーの外見的特徴と第1章での行動から雪ん子達から警戒されていません。
 ポーラリア側から雪ん子達を害そうとしない限り雪ん子達がポーラリアを害する事もありません。

 上記4名以外の方や2章から参加する方は原則として雪原で8人の雪ん子を取り囲んでいるものとして扱います。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
神代・凶津
おっと待ちな、見たところ雪原にいる悪ガキ達より年上だな。
一番強い雪ん子って訳か。
「・・・手荒な真似は駄目だよ。」
分かってるよ、相棒。炎神霊装でいくぜッ!
「・・・転身ッ!」

これで俺達に冷気は無意味だぜ。
さて、どうお仕置してやろうか?
「待って、山から下りてきたんならこの子は悪戯に関わってないんじゃない?」
あー、確かにそうか。
ならここは敵意を見せずに説得してみるか。

落ち着け、雪ん子の嬢ちゃん。
悪戯のお仕置は必要だと思うが、別に俺達は命を取ろうなんて欠片も思っちゃいねえよ。
寧ろ嬢ちゃん達の命を脅かす奴がいたら護ってやるし
「何か困り事があるなら相談に乗ります。」


【技能・コミュ力、心配り】
【アドリブ歓迎】




「はやくむかわないと!」
 日差しを浴びて光く雪を踏みしめながら雪ん子の少女は駆ける。目指す騒がしさを増してきた雪原の中心部だ。
 幸い猟兵の名を出す事により罠にかかりかけていた義妹達を警戒状態にする事は出来た。義妹達は個々の力は弱いが協力すれば多少は耐える事が出来る筈だ。
「あとすこし……!」
 少女が抱えるのは義妹から目を離した事への後悔と女性に託された義妹達を守るという使命感だ。仮に少女が雪原の中心に到達すればその身を犠牲にしてでも義妹達を逃がそうとするだろう。

『おっと待ちな。』
「っ!?」
 しかし、少女が雪原の中心が見えて来るまであと少しのところで鬼の仮面をかぶった巫女服を纏う女性が行く手を阻んだ。


『そんなに急いで何処に行くつもりだ?』
 丘の斜面を利用して勢いをつける事により丘から雪原まで一気に移動する事に成功した凶津達は目の前の少女を見据える。少女は大人の女性となる間近間と言える容姿をしており、その身に纏う雰囲気も幾分か大人びて見える。
 そして、凶津達の問い掛けに対し少女はその身に冷気を纏うと凶津達に向けて手を差し向けた。

「じゃまをしないで!」
『どうやら、こいつが一番強い雪ん子の様だな。』
 差し向けられた手の動きに合わせる様に吹雪が吹き荒れると凶津達に襲い掛かる。吹雪はまるで生きているかのように凶津達の身体に纏わりつき、霊的な防御の施された巫女服が少しずつ凍り付いてゆく。
 しかし、吹雪に晒されその身が凍り始めているにも関わらず凶津達に慌てる様子は見られない。何故なら二人はこの吹雪に対する対抗手段を持っていたからだ。

「……手荒な真似は駄目だよ」
『分かってるよ、相棒。炎神霊装でいくぜッ!』
「……転身ッ!」
 掛け声と共に鬼の仮面と巫女服の一部が橙に染まり、背中から炎が噴き出し翼を形作ってゆく。炎翼は二人を取り巻いていた吹雪を吹き飛ばし、氷を溶かしてゆく。
 これこそが凶津と桜の力を1つにする事によって顕現する炎の力、炎神霊装である。噴き出す炎の熱は凄まじく、少女も堪らず顔を庇いながら後ろに下がってゆく。
『これで俺達に冷気は無意味だぜ。』
「わたしのちからはこんなものじゃないわ!」
 炎を纏った凶津が少女に挑発をすれば少女は激昂し再び吹雪を凶津達に嗾けた。
 しかし、吹雪は凶津達に纏わりつく前に炎の熱に溶かされそのまま蒸発してゆく。それでも少女は諦める事無く吹雪を強めるがそれでも凶津の身体から噴き出す炎の翼を突破する事は出来なかった。

『さて、どうお仕置をしてやろうか。』
「……待って。何かおかしいです。」
 勝てないとわかっているにも関わらず必死に抗う少女に対してお仕置の内容を凶津が考え始めたところで桜が待ったをかけた。


『相棒、何がおかしいんだ?』
「……この子はなんで逃げようとしないのですか?」
 桜は少女の行動の不可解な点に気が付いた。それは目の前の少女の行動が事前説明で聞かされていた雪ん子の行動と食い違っている事だ。
 事前情報では雪ん子は猟兵から逃げる事を優先し、逃げられない場合には冷気による抗戦を始めるという。しかし、目の前の少女は出会った直後から凶津に対する光線を始めている上に少女は背後に聳える山ではなく沢山の猟兵が待ち受ける雪原の中心を目指し移動しようとしている。
「……それにあの子は我が身を顧みていません。」
『あー、確かにおかしいな。』 
 少女は自らの吹かせる吹雪が炎の翼を突破できていないにも関わらず少しずつ凶津達に近づいてきている。当然、近づいて来る少女に対し炎の翼の熱が容赦なく襲い掛かりその身を蝕んでゆく。
 今は少女の妖力により形成された衣類が溶ける程度で済んでいるものの、このまま先に進もうとすれば少女自身もただでは済まないだろう。しかし、少女は必死の形相で先に進もうとしている。

「……もしかして、この子は悪戯に関わっていないのではないですか?」
『ならここは説得をしてみるか。』
 村人に悪戯をして回るような子供がこれほどまでに鬼気迫る表情を見せるとは思えない。目の前の少女が村への悪戯に関わっていない可能性に至った凶津達は一先ず対話による説得を試みる為に炎神霊装を解除した。


『少し落ち着け嬢ちゃん。』
「……わたしをころすんじゃないの?」
 突如として炎を消して語り掛けて来た凶津達に少女も警戒したのか動きを止める。凶津達は少女が動きを止めた事にこれ幸いと言わんばかりに語り掛けてゆく。
『勘違いしているようだが、別に俺達は命を取ろうなんて欠片も思っちゃいねえよ。』
「でも、ねーさまはりょーへいはこどもあいてでもようしゃしないって……。」
 少女の口から語られた猟兵の在り方に凶津達は顔を引き攣らせる。その内容は少女がその身を顧みず義妹達を助けようとするのも納得できる程に酷かった。
 幸い、冷静さになった少女は矛盾点を指摘すればそれを理解できる程度には賢明であった。そして、凶津達の懸命な説得の末に少女の警戒を解く事に成功した。

「ほんとうに、ほんとうにいもうとたちをころしたりしないのね?」
『流石に悪戯に対するお仕置は必要だと思うが、それ以上の事は誓ってしないぜ。』
 如月と名乗った少女と共に凶津達は雪原の中心を目指し進む。雪原に集まった雪ん子達は如月の呼びかけにより警戒状態となったようだが、雪原に集まった猟兵達は事を荒立てる事無く対応出来ている様だ。
 後は如月が義妹達を再び説得すれば雪ん子達を保護を確実なものにできるだろう。その為にも他の猟兵達が過激すぎるお仕置を敢行していない事を凶津は内心祈っていた。
「……何か困り事があるなら相談に乗ります。」
「……さいきんになって、ねーさまがへんになったの。」
 そして、桜は如月から困りごとの相談を受けながらも山に潜むオブリビオンに関する情報の収集を試みるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

音月・燈夏
雪兎と遊んでいる幼い子を無闇矢鱈に怖がらせるのは気が引けますね。
すぐに逃げてくれると、『不可視化』でこっそり付いて行くだけで済むので助かるのですが。

そうでなくとも、極力敵対行動はしないようにしましょう。
幸い、あの子自身の能力は高くないようですし、雪兎に攻撃されても大して痛くないでしょうから。
何とか宥めてオブリビオンの元に案内して貰えるのであれば、それでも良しとしましょう。

一応、狐火はいつでも出せるようにしておきます。
暖を取れますし、雪兎への威嚇目的にも使えます。とはいえ、自分の作った雪兎を溶かしてしまうのは忍びないですし、雪ん子の心情的にも良くないでしょうから、最後の手段にしたいですね。




「さて、これからどうしましょう。」
 木の影に身を隠した燈夏は見つけ出す事に成功した雪ん子に対する対応を決めかねていた。
 グリモア猟兵からの事前説明では山に潜むオブリビオンを見つけ出す為に雪ん子にお仕置をする等の方法で追い立てる事が推奨されていた。しかし、目の前で雪兎と戯れる雪ん子は幼女といって良い程に幼かった。
 いくらオブリビオンを倒す為とはいえ幼女を怖がらせる事を燈夏は躊躇った。次善策として雪ん子が自発的に移動した所を狙い追跡する事も考え付いたがその方法では雪ん子がオブリビオンの住処へ向かうか分からないという問題があった。

「こうなったら出たとこ勝負に出るしかなさそうですね。」
 悩んだ末に燈夏は一先ず雪ん子の前に姿を現し雪ん子の反応次第で対応を変える事にした。それは仮に雪ん子や雪兎から攻撃されても問題にはならないと判断してのものであった。


「こんな所で何をしているのですか?」
「ひゃあっ!? ……うぅ、いたいでしゅ。」
 意を決した燈夏は木の影から出て雪ん子の前に姿を晒すと当り障りのない質問を問い掛けた。だが、タイミングの悪い事に雪ん子は雪兎を抱えてくるくると回って遊んでおり、突然現れた燈夏に驚くとそのまま転んでしまった。
 そして、転倒して涙ぐむ雪ん子を見た雪兎達の反応は劇的であった。
「「「……っ!!」」」
「な、なんですかこの統制の取れた動きは!?」
 20体程いる雪兎達は素早く2組に分かれると一方は燈夏を取り囲み、もう一方は尻もちをついた雪ん子を守るかのように陣形を組んでゆく。その動きは熟練の軍人を思わせる程に足並みが揃っていた。
 燈夏は予想外の光景に本当に自分の作った雪兎から生まれた存在なのかと目を疑い隙を晒してしまう。当然、燈夏を取り囲む雪兎達はその隙を見逃す事無く一斉に突撃を開始する。
 そして、突撃してくる雪兎に気が付いた燈夏は回避しようとはせず受け止めるべく体勢を整えた。

「雪兎さん、勇ましいですがあなた達では私を倒す事は……あいたぁっ!?」
 それは燈夏が雪兎の攻撃を無傷で受けとめる事により自分が強敵であると雪ん子に認識させ、オブリビオンに助けを求めさせる事を狙ってのものであった。しかし、雪兎の突撃を受けた燈夏はその場に崩れ落ちた。

「む、向う脛をピンポイントで……ぐふぅっ!?」
 雪ん子により命を与えられた影響なのか雪兎達は異様な硬さを得ていた。更に雪兎達は燈夏の向う脛に突撃する事により体勢を崩し、間髪入れずに鳩尾と顎を狙う事により燈夏を瞬く間に無力化した。
「うしゃぎしゃん……。」
「「「……っ。」」」
 ただ、雪ん子自身も雪兎達の行動は予想外だったようで雪兎に咎める様な視線をむけており、雪兎達も心なしか申し訳なさそうにしている。
 暫くしてダメージから立ち直った燈夏は雪兎達を警戒しながらも心配そうにこちらの見つめる雪ん子との対話を改めて始めるのであった。


「あなたは村で何をしていたの?」
「おうちをしゃがちてたの。」
 対話が始まってから暫くして燈夏は師走と名乗った雪ん子の幼さ故の舌足らずな口調に苦戦しながらも雪ん子側の事情を大まかにだが把握する事が出来た。
 どうやら雪ん子達も望んで村に降りてきたわけではないらしい。加えて言えばまとめ役の雪ん子が付いてきてくれなかった為に村に降りた雪ん子達は各々の判断で行動していたという。
「どのいえもおとながいたからしゅぐににげてきたの。」
「それって、もしかして……。」
 師走の場合は空き家に住み付こうとしたものの、全ての家に人が住んでいた為に村に住む事を諦めたという。そして、住処を作ろうと雑木林に向かう途中で偶々見つけた雪兎を拠点作りのお供に加えようとした所で燈夏に捕捉されたのだ。
 この時燈夏は家の戸が全開にするという悪戯の犯人が彼女である事に気が付いた。しかし、それを指摘した所で雪ん子との関係が悪化するだけな事が目に見えていたので指摘はしないでおいた。

「お母さんのお家に帰ろうとは思わなかったの?」
「おかーしゃんはにどとかえってくるなって……。」
 少女が自発的に悪戯に加担していない事を確信した燈夏は続けてオブリビオンの住処について聞き出そうとする。しかし、師走は質問に答えた結果当時のやり取りを思い出してしまったようで涙ぐみはじめた。
 師走が涙ぐむのに呼応する様に燈夏を取り囲んでいた雪兎達が殺気立ってゆく。このままでは再び雪兎の猛攻に晒されかねないと燈夏は慌てて宥め始めた。
 しかし、燈夏自身も慌てている事も相まって上手く宥める事が出来ない。そして、雪兎達の殺気が最高潮に達し万事休すかと思われたその時、師走の視線が自身の尻尾に向けられている事に気が付いた。

「えっと、よければ触ってみますか?」
「……ふわふわであったかいでしゅ……。」
 燈夏が尻尾を差し出せば師走も恐る恐る尻尾に触れる。燈夏は思ったよりも冷たい雪ん子の身体を尻尾が振り払いそうになるを必死に堪えながら尻尾で包み込んでゆく。
 そして、雪兎達が見守る中で燈夏の尻尾の中から安らいだ幼女の声が漏れた。


「次はどちらにいけばいいの?」
「みぎでしゅ。」
 尻尾を活用する事により無事に危機を乗り越えた燈夏はオブリビオンの住処を目指して山道を登っていた。道案内である師走の声は燈夏の尻尾の中から聞こえてくる。
「お母さんのお家についたら出てくださいね?」
「……うん。」
 師走はもふもふな燈夏の尻尾が大層気に入ったようで出てこようとしなかったのだ。燈夏としては雪ん子の纏う冷気が地味に辛いので出てきて欲しいのが本音であった。
 しかし、師走を尻尾から出そうとすると途端に涙目となり周囲を取り囲む雪兎達が燈夏の脚目掛けて突撃をしてくるのだ。お陰で燈夏はオブリビオンの住処に到着するまでを条件に師走が尻尾の中に籠もる事を許さざるを得なかった。

「狐火を準備しておいたよかったです。」
 燈夏は雪ん子と戦闘になってしまった時に備えて準備をしていた狐火で暖をとりながら山道を進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御影・雪乃
おびき寄せた雪ん子を、さてどうしましょう…
悪戯をしているそうですね?
ダメですよ…他人に迷惑をかけては…
知ってますか?悪い子は、氷に仕舞っちゃっても良いんですよ…?
と、UCの効果で真の姿である雪女に返変身しつつ
(真の姿では口調が代わり、敬語がなくなります)
さあ、悪い子を仕舞っちゃいましょう?…フフフフフフ
と、お仕置きタイム

氷結耐性で雪ん子の攻撃を軽減しつつ、自身の纏う冷気で反撃
雪の創造物は凍らせてしまいましょう
先に凍るのは服や手袋やブーツかしら
兎に角まずは動けなくしましょう
逆らう気が起きないよう、身体に教え込んであげる…♪
もし従順になったら、他の雪ん子へのお仕置きを手伝ってもらおうかしら




 猟兵達が雪遊びを一段落させて暖かいスープを飲み始めた頃、狙い通りに雪ん子を誘き寄せる事に成功した雪乃は雪ん子にお仕置をする為にカマクラの中へ入ろうとしていた。

「誰かいるのですか?」
「えぇ!? かえってくるのがはやすぎるよ!」
 雪乃がカマクラの入り口から声を掛けてみれば中から慌てた様子の少女の声が聞こえてくる。
 カマクラの建てられた場所から雪原まではそれなりの距離がある。雪原へ人を呼びに行っている間に事を済ませるつもりであった雪ん子にしてみれば雪乃の帰還はあまりにも早く慌てふためくのも仕方のない事であった。

「……何をしているのですか?」
「あわわわわ。」
 通路を進み居間に入ってみれば青褪めた顔で身体を震わせる雪ん子の姿、その手には湯気の立ち昇る茶碗が握られている。誰がどう見てもつまみ食いの現行犯である。
 そして、雪ん子につまみ食いされたであろう鍋の中を覗いてみればその量は当初の半分未満にまで減っていた。なんだかんだいって鍋を楽しみにしていた雪乃の雰囲気が一変する。
「質問しますが、あなたは雪ん子ですか?」
「そ、そうだけど……ひぃっ!?」
 突如として雰囲気の変わった雪乃からの質問に雪ん子はしどろもどろになりながらも返答し直後に悲鳴をあげた。雪ん子が悲鳴を上げたのは雪乃が笑みを浮かべた事が原因だ。
 ただの笑みであれば雪ん子も悲鳴は上げなかっただろう。ただ、雪乃の浮かべる笑みは口だけであり目が笑っていない。
 雪乃が怒っている事は一目瞭然であった。

「聞きましたよ。あなた達は悪戯をしているそうですね?」
 そして、雪乃が一歩前に踏み出した。


「えっと、それは、そのぉ……。」
「ダメですよ……他人に迷惑をかけては……。」
 雪乃が笑みはそのままに近づけば雪ん子は後退る。更に雪乃が近づき雪ん子も後退ろうとするがカマクラの壁にぶつかり下がれなかった。 
「知ってますか? 悪い子は、氷に仕舞っちゃっても良いんですよ……?」
「し、しまうって……こないで!」
 言い聞かせる様な言葉と共に雪乃の身体が吹雪に包まれその身に纏う学園服が青白い和服に変化してゆく。その姿は雪乃というミレナリィドールに宿る魂、その前世の記憶が顕在したものだ。
 同時に雪乃がしようとしている事を悟った雪ん子はその身に纏う冷気を強めて雪乃の接近を拒もうとする。だが、雪乃は雪ん子の発する冷気を遥かに凌ぐ強さの冷気を纏っており全く効果がない。

「こうなったら……おねがい!」
「可愛い騎士さんね。だけど、私を倒すには力不足よ。」
 追い詰められた雪ん子は咄嗟に足元に積もった雪と偶々傍にあった鍋の材料の余りを使って雪だるまを作るとそれを雪乃へ嗾けた。雪だるまは長ネギの槍を雪乃に向けると創造主の敵を打倒さんと突撃する。
 勇敢な雪だるまに対し雪乃は吹雪を吹かせて雪だるまを包み込んでゆく。吹雪に包まれた雪だるまは瞬く間にその身を青く透き通ってゆき、長ネギの槍を雪乃に突きたてる事無く氷像に成り果てた。

「ウフフ……これであなたを守る子はいなくなりましたね?」
「そ、そんな……。」
「それでは、お仕置を始めましょうか。」
 雪乃の宣言と共にカマクラ内に吹雪が吹き荒れた。


「まずはこれ以上おイタが出来なくしましょう。」
「ふ、ふくが……。」
 吹き荒れる吹雪は雪ん子を包み込むと瞬く間に衣類や履き物、すげぼうしを凍り付かせた。雪ん子が凍り付いた衣類に驚き身じろぎすればそれだけで衣類にひびが入った。
「別に動いてもいいのよ? 服が粉々になるかもしれないけれどね。」
「うぅ……。」
 雪乃は嗜虐的な笑みを浮かべながら遠回しに動かない様に忠告をする。雪ん子も幼いながらも羞恥心は芽生えているのか動こうとはしなかった。

「さあ、悪い子を仕舞っちゃいましょう? ……フフフフフフ」
「ひゃぁ!?」
 雪乃は衣類が凍り動けなくなった雪ん子の足目掛けて息を吹きかける。すると吹きかけられた息が小さな吹雪となり雪ん子の脚を擽りながら氷で覆ってゆく。
 足を擽る感覚に雪ん子が思わず身じろぎをすれば衣類の一部が砕けて零れおちてゆく。雪ん子の脚が完全に氷に覆われる頃にはスカート状の衣類は膝上まで曝け出されてしまっていた。
「次は腕を凍らせましょう。」
「いやぁ……やめてよぅ……。」
 雪ん子の脚を氷で覆い終えた雪乃が次に狙うのは両手だ。脚の時同じ要領で息を吹きつければ雪ん子の腕が氷に覆われてゆく。
 雪ん子もこれ以上凍らされたくないと雪乃へ懇願する。しかし、元より雪ん子にお仕置をする事が目的な上に鍋を殆ど食べられて怒っている雪乃は止まらない。
 そして、雪ん子の腕を氷に包み終えた所で雪乃はある事に気が付いた。青白く凍り付いていた雪ん子の衣類の一部が透明な氷に変化していたのだ。

「あぁ、衣類はあなたの妖力で作られた物だったのね。」
「うぅ……みないで……。」
 雪ん子達の纏う衣装は自身の妖力により生み出された物であった。それが雪乃の力の篭った冷気で凍り付く事により浸食が始まり、雪ん子の身体が雪乃の氷で覆われた事により供給が断たれた結果、雪乃の力に染め上げられて透明な氷に変化したのだろう。
「こうなると衣類も殆ど意味がないですね。いっその事砕いてあげましょうか?」
「ひっく……いやぁ……。」
 雪乃が笑顔で問い掛ければ雪ん子は羞恥に顔を真っ赤に染めて涙目になりながらも拒否をする。そんな雪ん子の態度が雪乃の嗜虐心を掻き立ててゆく。

「そそられますね……ねぇ、あなたの名前はなんていうのかしら?」
「えっ? えっと……うづきだよ……。」
「卯月さん、あなたを氷に仕舞った後の事を話してあげる。」
 突然の雪乃の質問に雪ん子は反射的に答えてしまう。そして、雪ん子の名前を知った更に笑みを深めると雪ん子に告げた。
「今のあなたの姿は私だけ独り占めするには勿体ないと思ったの。」
「そ、それって……まさか……。」
「氷に覆われたあなたを村人に公開してあげる。」
「そんなっ!?」
 雪乃の告げた内容は雪ん子を戦慄させるのに十分であった。
 雪ん子が全身を氷に覆われれば衣類は全て透明な氷になり、雪ん子は衣類を着ているにも関わらず裸体が見えるという淫らな氷像になるだろう。雪乃はそんな氷像となった雪ん子を大衆の面前に晒そうというのだ。
「村の人達があなたに飽きたら、改めて私の家に持ち帰って永遠に愛でてあげるわ。」
「やだやだ! そんなのやめてよ……!」
 あまりにも酷なお仕置に雪ん子は必死にやめるように懇願する。しかし、雪乃は笑みを深めるばかりで止まる気配はない。
 そして、雪乃が雪ん子のお腹目掛けて吐息を吹きかけ始めた。吹きかけられた息が雪ん子の身体を氷で覆ってゆき、身体が氷に覆われるの合わせる様に衣類も透き通ってゆく。

「ウフフ……後は頭を氷で覆えば終わりね。」
「ぐすっ……。」
 笑顔で頭を除く全てが氷に覆われた事を雪乃は雪ん子に告げる。しかし、雪ん子は自身の末路を告げられた上にそれが現実となる事を実際に衣類越しに裸体を曝け出された事により悟った事により心が挫け、ただ泣きじゃくるだけになっていた。
 こうなってはあまり楽しめないので雪乃は早々に仕上げを済ませべく雪ん子の顔へと近づいてゆく。雪乃が狙うは雪ん子の小振りな唇だ。

「恨むのなら悪い子になって悪戯をした自分を恨みなさい。」
「あっ……。」
 雪乃の唇と雪ん子の唇が重なり合い、口づけをされた事に対し雪ん子が驚き眼を見開く。そして、雪乃が唇越しに雪ん子の体内に息を吹き込めば瞬く間に雪ん子の頭が氷に覆われた。

「すげぼうしが透明にならない辺り、オブリビオンの贈り物だったのかしら? ……そういえば、どうやって案内をして貰いましょうか。」
 雪ん子を氷像に変えた雪乃は何故か透明にならないすげぼうしを不思議そうに観察する。そして、すげぼうしの出所を考察した所で雪ん子にオブリビオンの住処に案内してもらうという目的を思い出し、暫く観察してから解放する事にするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴェルモ・バグトルーパー
仲間を守ろうとする子もいるし、手荒な真似はしたくないかな

敵意を出さない様武装も出さずに近づいていく。
冷気が来ても構わずに話しかけ続ける。
ボクはデッドマン、元々体温はありはしない
痛覚を遮断すれば寒さも感じない
後は物理的な氷結だが、これは仕方ない
喉と口だけでもヴォルテックエンジンの◆限界突破の熱で守り、凍っていっても声を掛け続ける。

「ボクたちは君達を殺さない。『殺さないで』『触らないで』と命令したならボクはそれを受諾する」
UCで彼女らに触れたならボクの首を斬り裂く接続ユニットを召喚

「でもどうか信じて欲しい。ボクらは君達を守りたい。そして君達を助けたい。お願いだ」
と凍り続けても訴え続ける。


在原・チェルノ
【かに×かま】
あたし、17なのに…
みんなよりおねーさんなのに…
(虚ろな目でぶつぶつ)

気を取り直して雪ん子たちを説得してみる
思えばこの子たちは何も悪くないんだもんね
「おかーさん」って言ってたし、この子たちが雪ん子にされた元凶についても聞けるかも?
ウィーリィくんの炎で冷気を防ぎながら、それでも敵意がない事を示す為に武器は持たないまま雪ん子に質問する
「ねえ、おかーさんってどんな人なの?」
「あなたたちはおかーさんに育てられたみたいだけど、小さい頃の事って覚えてる?」
たとえオブリビオンでもこの子たちにとっては助けてくれた恩人だから慎重に言葉を選びながら情報を聞き出す

(パンツの冷たさは忘れる)


美波・蜜香
【かに×かま】
どうしよう、攻撃もしたくないしこのままだと逃げちゃいそうだし…

【アリスナイト・イマジネイション】で戦闘鎧を身に纏い、ウィーリィさんの作ってくれた炎と共に冷気を防ぐね
(寒さに対する無敵の戦闘鎧なので外見はドテラ)
雪玉で氷漬けにされそうになったら【オーラ防御】と傘状に展開したアリスランスの【盾受け】でガード
もし仲間が氷漬けにされそうになったら【かばう】
そうやって凍結攻撃を防ぎながら雪ん子たちを説得する
「教えて、どうして村の人たちにいたずらするの?」
捨てられた恨みならともかくもし誰かに命令されているのなら?
「いたずらばかりしてると誰も一緒に遊んでくれなくなっちゃうよ。それでもいいの?」


シャーリー・ネィド
【かに×かま】
雪ん子たちにしてみればボクたち猟兵は怖い敵だもんね
まずその誤解を解くのが先かな
冷気対策はウィーリィくんの炎に任せて、熱線銃を足元に放り捨てて敵意がない事をアピール
「大丈夫。ボクたちは怖くないから」
そのまま怖がらせないようゆっくりと歩み寄り、
「ごめんね。元はといえばキミたちが悪い訳じゃないし、むしろキミたちは被害者なんだよね」
そっと【手をつなぐ】事で【慰め】る
ウィーリィくんの炎があるとはいえ至近距離で手をつなげば当然冷たいだろうし、雪ん子が全力を出せばボクも氷像にされちゃうかも知れない
でも、少しでも彼女たちの敵意が和らいで、他のみんなの声が届いてくれればそれでいい


ウィーリィ・チゥシャン
【かに×かま】
遊ぶのに夢中になってて雪ん子が出てきたらどうするかをまるで考えてなかったな。
ともあれ、今はこの冷気をどうにかするのが先決か。

【厨火三昧】で創り出した炎を操作して俺やシャーリー達を温めて雪ん子たちの冷気を防ぐ。
とはいえ、複数の炎を操作するので手いっぱいだし雪ん子達に手荒な真似はしたくないから攻撃行動は取らない。
雪ん子を害する事のないよう火勢をコントロールしながら彼女達に呼びかけて、協力してくれるよう頼む。
「待ってくれ。俺達の話を聞いてくれないか?」
「さっきまで一緒に遊んだ相手と戦いたくないし、俺達はお前達を助けに来たんだ」
「話を聞いてくれたら後でお菓子作ってやるからさ」




「あたし、17なのに……みんなよりおねーさんなのに……。」
 雪ん子達を率いた猟兵が乱入するというトラブルにより勝者が曖昧なまま雪合戦が終了してから少しして、雪だるま状態から救助されたチェルノは一人雪原の片隅で座り込み黄昏ていた。
「もんくをいいたいけど……いったらばれちゃうし……。」
 雪合戦の最中、チェルノは自らの身に起きた危機から脱する為に仲間を裏切り勝負を捨てた。しかし、あと少しという所で乱入者してきた猟兵の攻撃により行動不能となりそのまま限界を迎えてしまったのだ。
 チェルノとしては乱入してきた猟兵に文句を言いたいのが本音だ。しかし、文句を言えば必然的にチェルノがやらかした事もばれてしまう。
 成人間近の女性であり共に依頼に参加してきた猟兵達の中では最年長であるチェルノとしてはそれだけは避けたかった。

「チェルノさん、大丈夫かな?」
「ミカちゃん、あたしはだいじょうぶ、なんのもんだいもないわ。」
「全然大丈夫そうにみえないんだよ……。」
 虚ろな眼で座り込んで呟き続けるチェルノが心配になったのか蜜香が声をかけてきた。蜜香の問い掛けに対しチェルノは問題ないと虚ろな瞳で返答する。
 明らかに様子のおかしいチェルノに蜜香は何か隠しているのではないかと怪しみ問い詰めようとしたその時、雪原に少女の声が響き渡った。

 場所変わって雪原の中心部では少女の声を聞き身を寄せ合い始めた雪ん子達に対し猟兵達がどう雪ん子達との対応で相談をしていた。その中にはウィーリィとシャーリーの姿もあったのだが少し様子がおかしかった。
「遊ぶのに夢中で雪ん子達の事をすっかり忘れていたぜ。」
「ウィーリィくん、流石にそれはどうかと思うよ……。」
 雪ん子達を誘き寄せる事に一役買った勝者景品付きの雪合戦の発案者であるウィーリィだが雪ん子達の誘き寄せるという本来の目的を完璧に忘れていたのだ。そんな相方に対しシャーリーは呆れながらも雪ん子達の対応についての話を切り出した。

「まずはあの子達の事情を聞いた方が良さそうだね。」
「問答無用でお仕置をするという空気じゃないぜ。」
 二人は雪遊びを通じて雪ん子達が根っからの悪い子ではない事を感じ取っていた。仮にお仕置を実行するにしても雪ん子側の事情確認を終えてからにする事で方針を決定する。
 とはいえ蜜香とチェルノの意思確認がまだ済んでいないのでウィーリィ達は雪ん子達の動向を見守りながら二人が戻ってくるのを待つ事にした。

「念の為に聞き込み調査をしておいたよかったです。」
 猟兵達が雪ん子に対する対応を決め手ゆく中、遅れて雪原に到着する猟兵もいた。甲殻類を思わせる装甲を身に着けたヴェルモ・バグトルーパー(蟲鎧屍兵・f24549)もそんな猟兵の一人だ。
 荒廃した世界で集団を率いて来たヴェルモは情報を鵜呑みにする事の危険性を良く知っている。今回の依頼でも情報の真偽を確かめる為に雪原ではなく村に転送して貰い雪ん子達がしたという悪戯に関する調査をしていたのだ。
「まさか、全員が状況証拠だけで雪ん子が悪戯をしたと断定していたとは思いませんでした……。」
 村人達は雪ん子が現場から去る姿は見ていても悪戯をしている姿は見ていなかったのだ。
 山に捨てた子供達が妖怪となって戻ってきたという村人側の事情を考えれば仕方ないと思える部分もある。しかし、より劣悪な環境で生きて来たヴェルモはそれを受け入れ切れなかった。
 村への調査を終えたヴェルモは雪ん子達にお仕置を行うべきか否か雪ん子側の事情を聞く必要があると考えた。そして、雪原に到着した直後に仲間に危険を知らせる雪ん子の声が響き渡り、ヴェルモは雪原の中心を目指し駆け出した。


 雪原の中心部に身を寄せ合った雪ん子達は力を合わせて猛烈な吹雪を吹かせ、近づいてくる猟兵に雪玉を投げつけ始めたのだ。その威力は生半可な防寒具諸共に凍り付かせる程に強力だ。
 とはいえ猟兵が本気を出せば容易に鎮圧出来る程度の強さでもある。しかし、猟兵側も雪ん子達に手荒な真似をする事を躊躇しており結果として事態は膠着状態に陥っていた。

「どうしよう、攻撃したくないんだよ。」
「雪ん子たちにしてみればボクたち猟兵は怖い敵だもんね。」
「あたしもあの子達に手荒な事をしたくはないの。」
 ウィーリィから依頼に誘われた者の、依頼の細かい事情を知らなかった3人は雪ん子達の境遇に同情していた。
 子供達は村人に対して悪戯をしているのかもしれないがそもそも雪ん子達も親の手により山に捨てられているのだ。捨てられた挙句にオブリビオンの手により妖怪にされて猟兵に命を狙われるなんてあまりにも酷である。

「意見が纏まった所で悪いが、まずは冷気をどうにかするのが先決だぜ。」
「確かにこのままじゃ説得するのは難しいね。」
 全会一致で雪ん子達の説得を行う方向で意見が纏まった4人に立ちはだかる次なる問題は如何にして雪ん子達を説得できる状況に持ち込むかだ。
 雪ん子達は猟兵達の姿を認めるだけで大量の雪玉を投げつけてくるので接近が難しく、安全な場所から声を掛けようとしても雪ん子の周囲に吹き荒れる吹雪が声を掻き消してしまう。
 相談の末にウィーリィと蜜香が吹雪と雪玉への対応をする事になった。
「それじゃあ、吹雪は俺に任せるんだぜ! 『極めた火工は、原初の火さえも従える!』」
 ウィーリィの詠唱と共に4人の周囲に100個近い小さな炎が出現した。ウィーリィは無数の炎を操り4つの大きな炎に纏めるとそれぞれの周囲に漂わせる。
 炎からの熱は常であれば近づくだけでも火傷しかねない程に強力だが吹き荒れる吹雪の冷気がそれを程よく打ち消していた。そして、ウィーリィに続く様に蜜香も詠唱を開始する。
「寒さに対する無敵の鎧といえば……これだよ!」
 詠唱の完了と共に蜜香の纏う衣装が光りに包まれその戦闘鎧へと姿を変えてゆく。光が晴れれば蜜香の纏っていた魔法少女の衣装はピンク色を基調に花の模様があしらわれたドテラに変化していた。
 自らの想像した戦闘鎧が問題なく機能している事を確認した蜜香はアリスランス『シュテンペランツェ』の花弁を展開すると3人の前に立った。
「それじゃあ、行くよ!」
 こうして準備を終えた4人は雪ん子達を目指し吹雪の吹き荒れ、雪玉が飛び交う只中を進み始めた。


 吹き荒れる吹雪と雪玉の猛攻を無事に乗り越え4人は無事に雪ん子達と会話の出来る距離まで近づく事に成功した。しかし、肝心の説得は難航を極めていた。

「大丈夫。武器なんて持ってないよ。」
「そんなこといって、そのほのおでわたしたちをやくんだわ!」
「そんなことないよ! あたし達はあなた達を助けに……ひゃぁ!?」
「りょーへーはすででもあたしたちをころせるってかーさんはいってたぞ!」
 手始めにシャーリーが熱戦銃を捨ててその身が凍り付く事も顧みずに無手で近づく事により戦意がない事を示そうとした。しかし、雪ん子達は武器を捨てた程度では信用できないのか警戒を解こうとせず、握手で落ち着かせようと接近を試みたシャーリーを強烈な吹雪を浴びせて凍結させた。

「待ってくれ! 俺達の話を聞いてくれないか。」
「はなしって、なにを?」
「さっきまで一緒に遊んだ相手と戦いたくないし、俺達はお前達を助けに来たんだ。」
「りょーへいがわたしたちをたすける?」
「もしかして、わたしたちをおもちかえりしにきたの!?」
 続けてウィーリィが殺すつもりはなく助けに来たのだと説得を試みる。しかし、雪ん子達は逆に猟兵達に対する怯えを強めて全力で距離を取り始めてしまう。

「えっと、あなた達は猟兵がどんな存在だと思っているのかな?」
「「「わるいことはすべてりょーへいのしわざなの!」」」
 雪ん子達の余りにも過剰な反応に疑問を抱いた蜜香が雪ん子達の抱く猟兵象について聞いてみた。そして、雪ん子達の口から語られた猟兵の在り方は吐き気を催す邪悪そのものであった。
「いくら悪口を吹き込むにしても限度があるだろ!?」
「割と間違っていない辺り、質が悪いの……。」
 雪ん子達の挙げた猟兵の所業にウィーリィは凍結したシャーリーを解凍しながらも頭を抱え、大分過剰に表現されているが所業そのものには心当たりのあるチェルノは遠い目で呟いた。

「こうなったら、いちかばちか……。」
「このままだと逃げちゃいそうなんだよ。」
「だけど、下手に説得を試みても逆に警戒を強めそうだね。」
 雪ん子達も猟兵に対する恐怖が限界に近いのか不穏な相談を始めている。このままではオブリビオンの元に案内してもらうという主目的は兎も角、雪ん子を保護に失敗してしまうとシャーリーと蜜香が焦る中、吹き荒れる吹雪を超えてヴェルモが現れた。

「どうやら間に合ったようですね。」
「おいおい、お前大丈夫なのか?」
 吹雪を超える際に防寒対策をしていなかったのかヴェルモの身体は動けている事が不思議な程に凍り付いていた。ウィーリィはヴェルモの惨状に驚き安否を確認する。
「ボクは大丈夫。元々体温はありはしないし、最低限の機能は確保済みだ。」
 ヴェルモは禁断の技術により黄泉の世界から舞い戻ったデッドマンだ。その肉体は既に死者であり、体温は存在せず痛覚も任意に遮断できる疑似的なものに過ぎない。
 更にヴェルモは死者の身体を動かす動力源であるヴォルテックエンジンを過剰に動かす事による熱を使い最低限の移動能力と会話を行う機能を確保していた。
「どうやら説得は難航しているようだね。ここはひとつボクに任せて貰えないかな?」
 ウィーリィ達から現状の説明を受けたヴェルモは4人に対し雪ん子達が本格的に逃げ出す前に説得を試みる事を告げる。そして、ヴェルモは説得に失敗した場合の後詰めを4人に託すと再び吹雪の中を進み始めた。

「また、あたらしいりょーへいがきたよぅ……。」
 ヴェルモの接近に気が付いた雪ん子達は雪玉を投げつけ始めた。ヴェルモは自身に向けて飛来してくる雪玉を避ける事無く受け止めた。
 雪玉に籠められた冷気は瞬く間にヴェルモの身体を侵し氷で包み込んでゆく。それでもヴェルモはヴォルテックエンジンが発生させる熱を全て声帯に回す事により発声機能を維持すると雪ん子達に語り掛け始めた。
「キミ達が猟兵をどう思っているのかは聞かせて貰った。それでもボクの話を聞いて欲しい。」
「こんどはなにをいうきだよ……?」
 雪玉を受ける事により全身が凍り付き行動不能になった事に少しだけ安心したのか雪ん子達はヴェルモを警戒はしていても逃げる様子はない。ヴェルモは雪ん子達が話を聞く気になってくれた事に一安心すると語り掛ける事を再開する。

「口だけでは信用出来ないのなら、まずはキミ達が信用する為の保証をボクはつけよう。『命じてくれ。ボクは君の願いを必ず叶えよう。』」
「えっと……それじゃあ……。」
「「「わたしたちをきずつけるのはやめて!」」」
 ヴェルモからの突然の提案に雪ん子達は戸惑いながらもヴェルモに命令を下す。するとヴェルモの背中に鎖が接続され、鎖の先端についた首輪がヴェルノの首に装着された。
「な、なんだよそれ……?」
「これはボクがキミ達の願いを叶える為の装置だ。もしもボクがキミ達を傷つけようとすれば装置がボクの首を切り裂くだろう。」
 首輪とヴェルモの首の間には僅かに隙間があり、その隙間を埋める様に無数の刃が並んでいた。それはヴェルモが雪ん子を傷つけようとすればヴェルモの首を切り裂く恐るべき装置であった。
 ヴェルモの言葉を聞いた雪ん子達は驚愕し中には心配そうに見つめる者すらいる。この視線からヴェルモは雪ん子達が本質的には良い子であるという確信を得てほほ笑んだ。
 そして、改めてヴェルモは雪ん子達の説得を開始する。
「どうかボクらを信じて欲しい。ボクらは君達を決して殺さない。お願いだ。」
 ヴェルモの願いに対して雪ん子達は寄り集まり相談を始めた。そして、相談を終えた雪ん子達の結論はヴェルモの身に免じて猟兵達の話を聞くというものであった。


 ヴェルモの交渉により少しだけ警戒が解けた雪ん子達とウィーリィ達は対話を始める。
「ねえ、あなた達のおかーさんってどんな人なの?」
「かーさんはすごくめんどうみがいいんだぜ。……おこるとこわいけど。」
「ながつきっていつもれきげつねぇのことをかーさんとよぶよね……。」
「うっせー! あたしにとってはあのひとこそかーさんなんだよ!」
 手始めに雪ん子達との対話を始めたのはチェルノだ。チェルノは雪ん子達の語りに度々登場した母親や姉がオブリビオンであると考え人柄を聞いてみる事にした。
 得られた情報としては怒ると怖いけど凄く面倒見の良い人物のようだ。ただ、当人は『母親』ではなく『姉』と呼ぶ様に雪ん子達にお願いしていた様である。

「あなたたちは小さい頃の事って覚えてる?」
「みんなといっしょにごはんをたべたり、たのしくあそんだりしてたよ!」
「……いっておくが、わたしたちのほとんどがおしめもとれていないうちにすてられてるぞ。」
 続けてチェルノは雪ん子達の幼少の思い出を聞いてみれば雪ん子の殆どが物心つく前に捨てられていたらしい。そんな雪ん子達にとっての小さい頃の思い出とはオブリビオンとの暮らしに他ならなかった。

「みんな、近くの村で何かをしていないかな?」
 チェルノに続き蜜香が問い掛けるのは雪ん子達が行っているという悪戯についてだ。雪ん子達が猟兵達に捕捉された原因であり雪ん子達が保護される上でけじめをつけなければ案件でもある。
 流石に直接聞くと雪ん子達に警戒されかねないので蜜香は遠回しに雪ん子達に聞いてみる事にした。
「わたしはむらにはいってないよ。」
「おとながいっぱいいるむらなんてちかづきたくないよぅ……。」
 しかし、雪ん子達の殆どが大人が怖いので村に足を踏み入れていないというではないか。そこで蜜香は僅かにいる村に入った事のある雪ん子達に村で行っていた事を聞いてみる事にした。
「なんで洗濯物を取り込もうとしたのかな?」
「おてつだいすればうけいれてもらえるとおもったの……。」
「もしかして、間違えて洗濯物を落とした上に怒られると思って逃げちゃったのかな?」
「……うん。」
 洗濯物を落として回る悪戯は雨に晒されそうな洗濯物を回収しようとして失敗していしまい怖くなってそのまま逃げたというのが真相であった。逃げた事に関しては褒められた行為ではないが村人に受け入れて貰おうと行動を起こしている辺り、オブリビオンは至極真っ当な教育を雪ん子達にしていたのかもしれない。
「そういえば、しわすちゃんがすみかをさがしにむらにむかっていたはずだよぅ。」
「つまみぐいとなるとうずきのしわざか? あいつ、すごくくいしんぼうだからなぁ……。」
 更に話をしてみれば扉を開けて回る悪戯やつまみ食いの犯人に雪ん子達は心当たりがある様だ。とはいえ、それらの雪ん子もオブリビオンに唆されて行為に及んでいる可能性が低い事だけは確かであった。

 一通り話を終わりこの場に村に入った雪ん子がいない事を確認した蜜香は少しだけ悲しそうな顔をすると雪ん子達に語り掛ける。
「悪戯ばかりしてると誰も助けてくれなくなっちゃうよ。それだけは覚えておいて欲しいんだよ。」
 それは目の前の雪ん子達の中に嘘や隠し事をしている子がいる事に気が付いた蜜香からの忠告であった。気づいた理由は単純で洗濯物を落とす悪戯や戸を開けて回る悪戯は1度だけではなく数日にわたって続いていたからだ。
「……わけ……ないだろ……。」
 そんな蜜香からの忠告を聞いた雪ん子の内の一人が呟いた言葉が蜜香の耳に届く事はなかった。

「みんな、だいじょうぶって、なにしているのよ!?」
 そして、凍結から復帰したシャーリーが仲直りの握手をしようとして雪ん子達の冷気により再び氷漬けにされたところで聞き覚えのある少女の悲鳴が雪原に木霊した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

この雪ん子達は元々が人間…傷つけずに説得して仲良くしたいです♪
【氷結耐性】は少なからずありますが…どこまで耐えれるかですね…
【全てを凍てつかせる小さな妖精】を召還して、警戒を解きましょう!
雪と氷…似た者同士仲良くすれば、戦うことはないのです!

…と、仲良くなったのは良いんですが、何故かこっちを見ているんですが?
ひゃわぁぁぁ!?なんでみんなで抱き着くのですかー!?
た…確かに仲良くしたいですけどこれは…激しすぎます…!?
あっ…待って…身体が…凍―――
(雪ん子・妖精達共に凍ったテフラをかわいがっているオチ)


ポーラリア・ベル
―ぷはっ!(雪から飛び出て)
やったなー!…あら?みんなどこ?
お菓子(お餅アイスとかフルーツアイスとか)あるよー!
一緒に食べて、まだまだあそぼー♪

【コールドクリエイト】で氷のすげぼうし作って被って、お揃い雪ん子に!
氷で雪結晶閉じ込めた鏡とか、雪だるま作ったりまったりして
雪ん子のご両親(ボス)の情報も聞くの。

滑りっこであそぼー!
氷のそりを作って、皆で斜面を滑るの!
途中はぐれて吹雪いた子がいたら、ベルの音で導いて合流。
今度ははぐれないように…そだ!
【属性攻撃・氷】で、皆で一緒に氷の塊に閉じこもって滑ろー♪
丈夫だし、重心傾けて曲がれるし、スリリングなの!

十分遊んだら帰ろー。一緒にお家入ってもいい?




 時は少し遡り雪原の中心部に猟兵と雪ん子達が集まり始めた頃、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f0321)は雑木林を目指し歩いていた。彼が雑木林を目指しているのはそれなりの頻度で共に依頼に赴く仲間であるポーラリアと合流する為であった。
「ポーラさんの身に何も起きていないと良いのですが……。」
 先駆けて雪ん子達と遊んでいる筈のポーラリアが見つからない事を不思議に思ったテフラは近くにいた猟兵にポーラリアを見ていないか聞いてみる事にした。するとポーラリアが雪合戦の最中に雑木林に入ったのを最後に行方知れずになっているというではないか。

「さて、この雑木林何処かにいるらしいですが……これは苦労しそうですね……。」
 情報が正しければポーラリアはこの雑木林の何処かにいる筈だ。
だが、テフラが探しているポーラリアは身長30cm未満の小さなフェアリーなので普通に見つけ辛い。更に雑木林には枝に積もった雪が落ちる事により出来たと思われる小山が至る所にあり、何かの拍子にポーラリアがそれらの小山に埋もれている可能性すらある。
 広大な雑木林の中で雪の中に埋もれている可能性すらある小さなフェアリーを探す。それは言葉にするだけでも困難である事が簡単に想像できる作業であった。

「流石に一人で探すのは無理がありますね。ここは妖精さん達の力を借りましょう。」
 そして、早々に一人で探す事が無理と判断したテフラは人手を得る為に詠唱を開始した。


「妖精さん、妖精さん、出て来てください~。」
 テフラが詠唱を進めると共に周囲に沢山の氷の結晶が現れ段々と大きくなってゆく。そして、結晶がテフラの手の平ほどの大きさになった直後に結晶は弾けて中から氷の羽根を持つ妖精が現れた。

「なんのようー?」
「この辺りで行方不明になった妖精さんがいるんです。探すのを手伝ってくれませんか?」
「まいごのようせいさんをさがしてほしいのー? いいよー!」
「妖精さん、頼みましたよ♪」
 普段はテフラにも被害が及ぶ勢いで悪戯三昧な妖精達も迷子の同族を探すという願いには素直に応じてくれた。後で色々要求されそうな気はするが今はポーラリアと合流する事が先決と考えたテフラはそれを頭の片隅に追いやった。
 妖精達を見送ったテフラは改めてポーラリアを探し始めた。ポーラリアが全然見つからない事に気を落とすテフラの元に妖精達が飛んできた。
「みつけたよー!」
「本当ですか! 案内お願いします!」
 妖精達に案内されて暫くしてテフラは沢山の妖精に囲まれた雪の小山へと辿り着いた。どうやらあの小山の中にポーラリアが生き埋めにされているらしい。
「はやく掘り起こしてあげないと……うわぁ!?」
 一刻も早くポーラリアを助け出す為にテフラが小山へと駆け寄った瞬間、小山が内側から爆ぜた。そして、テフラは猛烈な勢いで飛び散る雪にふきとばされて近くの木に激突し、激突の衝撃で枝から零れ落ちた大量の雪に埋もれるのであった。

「ぷはっ! やったなー! ……あら? みんなどこ?」
 大量の雪の下敷きにされた衝撃による気絶から目覚めたポーラリアは自身に覆いかぶさっている雪を怪力で吹き飛ばした。そして、ここからが本番だと言わんばかりに気迫の篭った声と共に辺りを見渡してからようやく周囲に誰もいない事に気が付いた。
 不思議そうに周囲を見渡すポーラリアに機敏な動きで飛び散る雪を回避した氷の妖精達が集まってくる。ポーラリアは見覚えのある妖精達と挨拶を交わすと情報収集を始めた。
「ねぇねぇ! この辺りで遊んでいる雪ん子と猟兵を見なかったかしら?」
「ゆきんことりょーへー? みてないよー。」
「わたしもみてないけれど、せつげんのほうがさわがしかったよー!」
「きっと、みんな雪原であそんでいるんだわ! あたし達もあそびに混ぜてもらいましょー♪」
「「「はーい!」」」
 ポーラリアは沢山の妖精を引き連れて雪原を目指して移動を始めた。そして、ポーラリア達が去ってから暫くして雪に埋もれていたテフラが雪を押しのけて立ち上がった。
「酷い目にあいました……あれ? みんなどこにいったのですかっ!?」
 テフラは状況を確認しようとして辺りを見回してみて周囲に誰もいない事に気がつくと慌てて雑木林を駆け出した。


 時は再び現在の雪原へと戻る。雪原の中心部では雪ん子達が集まり相談をしていた。
「これからなにをしてまとうか?」
 猟兵達の必死の弁明と年長雪ん子の協力もあり猟兵達は雪ん子達が抱いていた凄まじい猟兵の在り方を正す事に成功していた。そして、対話の末に雪ん子達がほぼ無罪であると判断した猟兵達は雪ん子達に雪原で待つようにお願いをすると年長の雪ん子を案内役に山の中へと入っていった。
 そして、雪原でお留守番をする事になった雪ん子達は猟兵が戻ってくるまで何をして待つか相談をしていた。

「またゆきがっせんであそぶ?」
「つかれてるからはげしいあそびはいやだよぅ……。」
「それじゃあ、むらでいろいろやろうぜ!」
「そんなことしたらりょーへーにおしおきされちゃうよ!?」
 雪合戦の再開や村に遊びに行く等、雪ん子達は候補を次々と挙げてゆく。しかし、吹雪を吹かせ続けた疲れが取れていない、今度こそ猟兵のお仕置を受けかねない等の理由により却下されてゆく。
 そして、雪ん子達の相談が紛糾しかけたところで妖精を引き連れたポーラリアが現れた。雪ん子達はポーラリアの存在に気が付くと駆け寄ってゆく。

「ポーラちゃんどこにいってたの? それにそのこたちはだれ?」
「ちょっと雑木林の中で埋もれてたの! それと、この子達は氷の妖精さんだよ!」
 ポーラリアは雪ん子達に妖精達の紹介をすると雪ん子達が何をしていたのか聞いてゆく。そして、何をして遊ぶのか迷っている事を知ると雪ん子達に対してある遊びを提案した。
「みんなで色んなものをつくっちゃおー♪」
 ポーラリアが提案した遊びとは雪や氷を使って色んな物を作る事であった。お手本と言わんばかりに【コールドクリエイト】で氷のすげぼうしを作り出してかぶると氷の妖精達に雪ん子達を手伝う様にお願いをする。
 そして、雪ん子達は妖精の助けを借りながら色んな物を作り始めた。

「ゆきだるま、かんせいです。」
「かざりつけするよー!」
 ある雪ん子は沢山の雪だるまを作り、妖精が雑木林から集めて来た木の枝や木の実で完成した雪だるまを飾り付けてゆく。
「こんなかんじかな?」
「ようせいさん、こおらせてほしいの。」
「いいよー!」
 数人の雪ん子達は協力して巨大なかまくらを作り上げると妖精にお願いして表面を凍らせる事により容易に崩れない様に補強をしてゆく。
「あとはこれをこおりにかえてもらえば……かんせいだよぅ!」
「おぉー! しもつきちゃんすごーい!」
 更にある雪ん子は妖精と協力して雪結晶を装飾にあしらった氷の手鏡を作り出し、他の雪ん子達からの称賛を得ていた。

「ポーラちゃん! ようやく見つけたですぅ!」
 そして、ポーラリアがスノードームの中から取り出した氷菓を雪ん子や妖精達と共に食べ始めようとした所でテフラの声が雪原に響き渡った。


「やっぱり、てふてふもきていたのね!」
「来ているのが分かっていたのなら置いて行かないで欲しかったですぅ!」
 陽気に挨拶をするポーラリアに対しテフラは普段の猫かぶりが剥がれた素の口調で抗議をする。その言葉には皆を探して延々と雑木林を彷徨ったテフラの怒りが籠められていた。
「ポーラちゃん、そのひとはしりあいなの?」
「そうだよ! てふてふといってあたしと妖精さんのお友達なんだよ!」
 明らかに怒っているテフラを遠巻きに観察していた雪ん子達の内の一人が恐る恐るポーラリアにテフラが何者なのか質問をすればポーラリアはテフラが友達であると即答した。
 そして、元よりポーラリアと妖精達を敵ではないと判断していた雪ん子達はテフラも敵ではないと認識したのか警戒を解いて近づいてきた。

「……てふてふちゃんはうさぎさんなの?」
「おぉっと!? 確かにわたしにはうさぎさん要素がありますね。」
 テフラは雪ん子からの突然の質問にテフラは驚きながらも間違ってはいないと返答する。兎であると断言しないのはテフラが複数の動物の特徴を持つキマイラと呼ばれる種族であるからだ。
 外側からは兎の要素しか見当たらなかったとしても目に見えない部分に他の動物の特徴があるのだろう。
「えっと、やよいです。てふてふちゃんよろしくです。」
「よろしくお願いしますねー! あっ、ちなみにわたしの名前はテフラですよー。」
 テフラは雪ん子と会話をしながらも妖精達が図らずも雪ん子達の警戒を解いてくれていた事に内心で感謝していた。テフラは雪ん子達が元人間である事から傷つける事を躊躇していたからだ。
「今回は凄く良い感じに事が進んでいますね!」
 出だしこそ生き埋めにされた挙句に放置される等散々であったが、それ以降はとんとん拍子で事が進んでいる事にテフラは機嫌を良くする。だが、この時テフラは大事な事を忘れていた。
 自らの呼び出した妖精がテフラに対して悪戯を仕掛けないわけがないという事を。

「えっと、皆さん何でわたしを見ているのですか?」
 異変に気が付いたのはポーラリア達と雪ん子の遊びを遠巻きに見守り始めてから少ししてからだ。どういうわけか雪ん子達の殆どがテフラを……厳密にはテフラの頭部で揺れる兎の耳を注視しているのだ。
「テフラちゃん、つめたいのへいきってほんとう?」
「確かに多少は冷気に耐性はありますがって、なんで近づいて来るのですか!?」
 更に雪ん子からの何気ない質問に答えてみれば雪ん子達が目に見えて接近を始めたではないか。これには流石のテフラも慌てふためき雪ん子達に近づいてくる理由を問いただした。
「うさぎさんのみみ、もふもふしたいです!」
「ふつうのうさぎさんはにげちゃうんだよぅ……。」
「それに、てふてふはこおるのがすきなへんたいさんなんでしょ?」
 雪ん子達が近づいて来た理由はテフラのうさ耳をもふもふする為であった。どうも雪ん子達はその身に纏う冷気が原因で兎を筆頭とした動物が近づいてこない為にもふもふを堪能した事がないらしい。
 そして、テフラであれば冷気への耐性や持ち前の被虐嗜好により逃げる事もなくもふもふを堪能させてくれると聞いたらしい。
「待ってください! 一体誰がボクの事を変態だなんてって……妖精さんの仕業ですか!?」
 ここにきてテフラは雪ん子達の耳元で何かを囁く妖精の存在に気が付いた。どうやら妖精達による今回の悪戯は雪ん子達に抱き着きにより凍結させる事の様だ。

「もふもふしちゃ、だめなの?」
「うっ……そ、そんなことはないですよ……ひゃわぁぁぁ!?」
 拒絶する様な態度をとられた事から雪ん子達の表情がくもり落ち込み始めればテフラは慌てて自身に抱き着く事を許可してしまう。すると雪ん子達は満面の笑みを浮かべてテフラに全力で抱き着いた。

「もふもふ……きもちいいです。」
「待って……流石に冷気が……身体が……凍…………。」
 確かにテフラは常人に比べれば高い冷気に対する耐性を持っている。だが、あくまでも常人と比べて高い程度の物であり、力を合わせれば吹雪を起こせる雪ん子達の冷気を至近距離で耐え続けるには無理があった。
 雪ん子が頬ずりをした場所から少しづつテフラの身体は凍り付いてゆき、雪ん子達がテフラのもふもふを堪能し終えた頃にはテフラは立派な氷像と化していた。
「あはははは! やっぱりよろこんだかおでこおってるー!」
 そして、悦びに惚けた顔で凍り付いたテフラを雪ん子達に囁いて回っていた妖精達が笑い弄ぶのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

赤嶺・ふたば
服に体温調節機能があるから寒さは問題無いとはいえ生まれも育ちも南国の身には銀世界と言うのはやっぱり慣れないモノだな。
極力殺さないようにと言うのなら実弾は使えん、ビーンバック弾に変更、冷気の対策はオーラ防御だ。
それとそうだな・・・変身魔法で雪ん子達を雪だるまにでも変えてやろう。あっちも遊び半分っぽいしこっちも遊んでやるとするか。ちょっとしたお灸にもなりそうだしな。
(アドリブ、絡みOKです)
(雪だるまにされる展開を希望したいです




 雪ん子に案内されて猟兵達がオブリビオンの住処を目指し移動を始めた頃、赤嶺・ふたば(銃と魔法が好きな傭兵魔術師・f15765)は1人雪の積もったけもの道を進んでいた。
「銀世界と言うのはやっぱり慣れないモノだな……。」
 生まれも育ちも南国であるふたばにとって雪とは映像や写真の中でしか見ない無縁の存在であった。猟兵となり数多の世界を渡り歩く様になってからは実物の雪を見る機会には恵まれる様になったもののどうにも慣れる事が出来ずにいた。

「うーむ、念の為に別行動をさせて貰ったが心配のし過ぎだったようだな。」
 ふたばが一人山を進んでいたのは山に潜む雪ん子の確認の為であった。
 雪ん子達の話を聞く限りではオブリビオンに育てられていた子供は11人いるという。そのうちの8人は雪原の中心部でお留守番、1名がオブリビオンの住処に猟兵達の道案内、残り2名の居場所が不明であった。
「やれやれ、折角準備したビーンバック弾も無駄になりそうだな……。」
 雪原以外の場所で雪遊びに興じた猟兵により残る2名が保護ないしお仕置を受けている可能性はあるものの、万が一にもそのどちらもなされていなければ最悪そのまま行方知れずとなる恐れがある。それを回避する為にふたばは遠隔魔法起動デバイスを他の猟兵に預けてワープ魔法で即座に合流できるようにした上で山の中を探る事にしたのだ。

「よし、それではワープ魔法をって、あれは……?」
 そして、ワープ魔法を発動させて仲間と合流しようとした正にその時、ふたばは何かを探している雪ん子を見つけた。


「みんなあっさりときをゆるしやがって。」
 雪の降り積もった山道を長月と呼ばれていた雪ん子は悪態をつきながらも歩いている。
 雪原で行われた対話において殆どの雪ん子達は物心がつく前に捨てられたとう情報が齎された。その情報は物心がついてから捨てられた者がいる事を暗示していたのだが、長月はその例外の一人に他ならなかった。
 そして、長月が雪原を離れ一人山道を移動しているのは猟兵達により保護から逃れる為であった。

「ぽっとでのやつらにほごされるなんてまっぴらごめんだ。」
 嘗て人であった頃の長月は村長の家の子供であった。
 村全体が貧しい為に贅沢は叶わなかったものの『うばすてやま』の対象となる事を逃れ続けていた。しかし、自身の両親が村長を引き継いだ直後に実行された『うばすてやま』において対象外の年齢まで育っていたにも関わらず長月は対象に選ばれ山に捨てられた。
「これいじょう、たにんのつごうにふりまわされてたまるかよ!」
 長月は自身が捨てられた理由は理解している。物心つく前の自身が捨てられなかったのも対象外となった筈なのに捨てられる事になったのも自身の祖父である前村長の我儘によるものである事を。
 大人の都合に振り回されてきた長月は大人に対する重度の不信感を抱いていた。故に猟兵達が自分達を保護する事が目的である事を知った時点で逃げる決意していた。

「ほとぼりがさめてりょーへーがかえったら、あらためてやつらにふくしゅうしてやる。」
「復讐とは物騒な事を考えているな。」
 そして、猟兵から逃れた後の事を考えている所で長月は魔女帽をかぶった猟兵に捕捉された。


「お、おまえ、なんでこんなところに……っ!?」
「おっと、動くなよ。死にはしないが当たると恐ろしく痛いぞ。」
 ふたばは自身の存在に気がつき逃げようとする雪ん子に対しショットガンの銃口を向けた。雪ん子は自身に向けられた物が猟銃の一種である事を悟ったのか一先ず逃げる事をやめた。
 尚、銃に充填された弾丸は鎮圧用を目的としたビーンバック弾なので当たり処が悪くない限り死に至る可能性は低い。だが、目の前の雪ん子がその事実を知るわけがないのでのこの場においては充分な効果を発揮していた。

「改めて聞くがお前はこんな所で何をしている?」
「そ、それは……。」
 ふたばは何故こんな所にいるのか問い掛けるが雪ん子は答えようとしない。ただ、雪ん子が呟いていた復讐という言葉から真っ当な目的ではない事をふたばは悟っていた。
 恐らくは村で悪戯をしていた犯人も目の前で沈黙を貫いている雪ん子なのだろう。しかし、彼女が犯人であるという証拠もないのでお仕置を実行するわけにはいかなかった。
「一先ず、先程の呟きは聞かなかった事にしてやる。だから、自分と一緒に雪原まで来て貰うぞ。」
 考えた末に色々と面倒になったふたばは一先ず目の前の雪ん子を雪原まで連れていく事にした。幸い、今から雪原にトンボ帰りしたとしてもデバイスを経由したワープ魔法を使えばすぐに仲間と合流する事が出来た。
「そ、そんなのごめんだ!」
「ぬぉっ!? こ、これは……!」
 ふたばの手が雪ん子の腕を掴もうとしたその時、雪ん子は拒絶の言葉と共に強烈な吹雪をふたばに浴びせた。至近距離から浴びせられた吹雪は強力であり、ふたばの服に備え付けられた温度調整機能の許容量を大きく超えていた。
 そして、雪ん子が吹雪を吹かせる事をやめるとそこには魔女帽をかぶった雪だるまが鎮座していた。


「……とっさにやっちまったが、あんがいなんとかなるものだな。」
 長月はその場に座り込み、猟兵の成れの果てである雪だるまを観察する。真ん丸な胴体には猟兵が手にしていた銃と腰に差していた山刀が腕の如く突き出しており、首元には黒い蝶ネクタイで飾り付けられている。
「よし、せっかくだからぶきをもらっていこう。」
 ふたばを無力化出来たと判断した長月は戦利品として銃と山刀を頂こうとした。だが、長月がそれらを手に入れる事は叶わなかった。

『警告なしでの攻撃と窃盗の現行犯、情状酌量の余地はないな。』
「っ!? な、なんだよこれ。」
 突如として背後から聞こえて来た猟兵の声に長月が振り返ればそこには謎の物体が浮遊しており、猟兵の声はそこから発せられていた。更に謎の物体からは光が灯りはじめていた。
『とはいえ、ここでお前を殺すと他の猟兵から何を言われるか分からん。』
「うわぁっ!?」
 猟兵の声と共に奇妙な物体から光弾が発射され長月の身体に命中した。そして、公団が命中した直後、長月の身体は光に包まれてゆく。

(か、からだがうごかないっ!?)
『だから、ここはひとつお前も雪だるまにするので勘弁してやろう。』
 暫くして光が晴れれば長月の身体は雪だるまに変化していた。真ん丸の身体にはピンク色の手袋が埋め込まれており、頭にはすげぼうしをかぶっていた。
 そして、奇妙な機械が猟兵であった雪だるまに向けて光弾を放てば、そこには元の姿に戻った猟兵が立っていた。

「安心しろ余程の事がない限り半日もすれば元に戻る。だから、元に戻るまでの間はその姿で反省しろ。」
 そして、長月をその場に残して猟兵は何処かへと去ってゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『羅刹雪山姥と雪ん子』

POW   :    『防いで!』『こおらせて』『刈り潰す!』
【雪山姥と雪ん子の連携攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD   :    『雪ん子泣かせた奴はどいつだあああああ!!!』
自身の【炎も凍らす冷気持つ雪山姥は雪ん子を守る心】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    『腹ごしらえの時間だ!』
小さな【雪から瞬時に作ったかまくら】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【鍋が煮えており、つついて食べる事】で、いつでも外に出られる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「そろそろどうくつにたどりつくわ。」
 日が傾き辺りが暗くなり始めた山の中、猟兵達は雪ん子の案内を受けながら歴月という名のオブリビオンの住処を目指し移動をしていた。更に猟兵達は移動の最中に雪ん子達が村の近辺まで降りる事になった経緯を聞いていた。

「あのこがきてからねーさまはおかしくなりはじめたの。」
 事の発端は睦月と名乗る雪ん子が現れた事だ。雪ん子達は離れ離れになっていた歴月の最初の家族であるという睦月を温かく向かい入れたという。
 しかし、睦月が来た日を境に歴月はおかしくなりはじめた。雪ん子達と触れ合う頻度が減り、苛立ちながら周囲の物に当たり散らす様になったのだ。
 その行動自体は睦月が来る前から一定周期で行っている行動であった為に雪ん子達は気にしていなかったという。しかし、普段なら行動が収まる期間を過ぎても歴月が元に戻る事はなく逆に悪化の一途を辿ったという。
 そして、睦月を除く雪ん子を意図的に無視する事が多くなり、常に苛立ち周囲の物に当たり散らす頃になって歴月は雪ん子達を集めると住処から追い出したという。
 雪ん子達の話を聞いた猟兵達は睦月こそが今回の事件の元凶であると確信した。同時に睦月を通じて歴月がオブリビオンとしての衝動を抑えきれなくなり、世界を滅ぼそうとする存在に成り果てている可能性を懸念した。

「あのなかにねーさまたちがいるの。……あれ、ねーさま?」
「良かった、まだ帰っていなかったのだな。」
「れきげつ、ちゃんとみんなにあやまるのよ?」
 暫くして猟兵達は歴月が根城にしているという洞窟の前に到着した。その洞窟は常人なら登山用の装備なしには辿り着けない程に険しい道のりの先にあり洞窟の入り口も茂みにより巧みに隠されていた。
 雪ん子達が歴月を呼ぼうと洞窟の入り口前に駆け出した直後、洞窟の中から黒曜石の角を生やした女性が現れる。背中に雪ん子がしがみついたその女性は雪ん子達の前に立つと土下座をした。
「お前達、突然追い出してしまい本当にすまなかった。」
 突然の歴月からの謝罪に猟兵だけでなく雪ん子達まで困惑するなか頭をあげた女性の顔は雪ん子達に対する慈愛に満ちていた。
 しかし、そんな慈愛に満ちた顔を向けられた雪ん子は恐れ戦いていた。理由は簡単で歴月の瞳が深淵を思わせる程に暗く淀んでいたからだ。
「睦月のお陰であたしはお前達を傷つけないようにする方法に気が付いたのだ。」
「れきげつをせっとくするのにくろうしたわ。かんしゃしてよね!」
 雪ん子達が恐怖に震えている事に気が付いていないのか歴月は雪ん子達を追い出した理由を語り始める。雪ん子達を追い出したのは睦月と合流した事により強まった衝動に負けて雪ん子を傷つける事を恐れたからであると。

「お前達が完全なオブリビオンになれば、あたしがお前達を傷つける事はなくなる。」
「ついでにあなたたちはむらびとにふくしゅうするちからをえられるわ!」
 歴月の言葉の意味を察した猟兵達が雪ん子達を救助しようと駆けだした。しかし、歴月は睦月と協力して目にも止まらぬ速さでかまくらを作り出すと雪ん子達を抱きかかえてかまくらの中へと入ってしまった。
「お前たちは美味しい鍋を食べて待っているんだぞ。」
「とくせいなべをたべてりっぱなオブリビオンになってね!」
 そして、歴月と睦月だけがかまくらの中から出てくるとかまくらの中にいる雪ん子達に言いつけるのであった。

「さて、よくもあたしを殺す為に雪ん子達を利用しようとしたな。」
「おぉ~、れきげつおこってるわねぇ……。」
 歴月が猟兵達に向ける顔は雪ん子達に向けていた慈愛に満ちた表情ではなく憎悪に満ちており、その視線には猟兵に対する明確な殺意に満ちている。
「大方、あたしが死ぬ瞬間を見せて絶望させた後に殺すつもりだったのだろう?」
「くすくすくすっ! やっぱりりょーへーはげどうのきわみね!」
 歴月の言いがかりにも程がある言い分を雪ん子が賛同すれば歴月の殺気が更に膨れ上がってゆく。そして、歴月は虚空から氷で出来た巨大な大鎌を作り出すとその矛先を猟兵達に向け、雪ん子が歴月の背中に飛び乗った。

「貴様ら全員八つ裂きにしてオブリビオンとなった雪ん子達を祝う鍋の材料にしてやる!」
「まってよ、れきげつ。なんにんかはあたいにちょうだい! そろそろかぐをつくりたいの!」
 こうして猟兵とオブリビオンの戦いが始まった。

●成功条件
 『ユーベルコードを使用して攻撃や防御、味方の補助等を試みている事』
 上記条件を満たしているプレイングであれば故意にやられる様な内容であっても成功以上が保証されます。

●ボスの技について
 ボスのWIZ技『腹ごしらえの時間だ!』において、かまくらを出る条件にもなっている鍋料理には副次効果として『戦意を失う程の美味』と『食べた者の体を変異させオブリビオンに近づける効力』が付加されており、歴月と睦月が生きている限り鍋の中身が常時供給されるものとします。
 かまくらは歴月の撃破か外部からのユーベルコードによる攻撃で破壊可能です。但し、ユーベルコードによる攻撃で破壊された場合は中にいた者の安全が保障されません。
 WIZ技を使い戦う際には『回復序でに雪ん子に鍋を食べさせようとする歴月の妨害』か『睦月が嗾けて来る人外の硬度を誇る雪で出来た獣との戦闘』のどちらかを想定して頂けると幸いです。

●備考
 睦月は凍結させた相手に加工を施し家具や調度品に変えて弄ぶ癖があります。故意に凍結される行動を行う上でそれらの加工描写を希望する方はプレイングの最初か最後に◎の記載をお願いします。
 鍋を食べる事による化生への変化は指定がない限りマスター側の独断で決定しますのでご注意願います。

 また、2章における行動の結果により以下の方々は戦闘介入のタイミングや戦闘開始時の状態に変化がありますのでご注意願います。

①ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)
 戦場に到着した時点で歴月、睦月共に消耗し撃破が狙える状態になっています。
 任意で雪原で留守番をしている雪ん子達を戦場に連れて来ることが出来ますが戦闘の補助をして貰う事は出来ません。

②テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)
 ポーラリアと同タイミングで戦場に到着します。
 2章で呼び出した氷の妖精達は雪原で留守番中の雪ん子の遊び相手をしている為に戦場にはついてこないものとします。

③ヴェルモ・バグトルーパー(蟲鎧屍兵・f24549)
 2章において召喚された装置が接続されたままとなっています。
 雪ん子である睦月への攻撃を試みた場合、装置の起動条件が満たされて首が切り裂かれるのでご注意願います。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
リアン・ブリズヴェール
【◎】【ソロ希望】【アドリブ歓迎】【WIZ判定】

まずは戦闘前に【オルタナティブ・ダブル】を使ってファムを召還します、そしてファムと一緒に戦いますが……

【『腹ごしらえの時間だ!』】を2人とも受けてしまいます、その後……2人とも氷で拘束されてしまい、ファムは睦月に凍らされた上で加工されちゃいます……そしてリアンは氷で拘束されたまま無理やり歴月に鍋を食べさせられ徐々に身も心も変化されていきます(完全着衣+手袋)

身も心も完全に妖怪になったリアンは加工されたファムを渡されて使いながら忠誠の証として【コールレギオン】を使ってラミアと魔物娘幽霊を召還しk手1人残らずリアンとは別の妖怪か氷の加工品にされます




「事情はよく分かりませんが、雪ん子さん達が危ないのは理解しました!」
 リアン・ブリズヴェール()は猟兵達がオブリビオンの住処へと向かう最中に合流した猟兵だ。合流が遅れた為にリアンは子供達と歴月の関係を知らない。
 リアンが把握出来ている事は歴月が雪ん子達をとても愛している事であり、睦月に唆されて歴月が雪ん子達を完全なオブリビオンに変えようとしている事だ。リアンとしてはそれだけで戦うには十分であった。

「雪ん子さん達をオブリビオンにされるわけにはいきません。ファム、いきましょう!」
「……っ!」
 リアンは相手が二人組である事から単独で挑む事は悪手と考えもう一人の自分であるフェムを呼び出すと歴月に殴り掛かった。


「素手で挑んで来るとはあたしも舐められたものだな!」
「そんな事を言っていられるのは今の内です!」
 拳を振りかざし突撃してくるリアン達に歴月はその手に持つ大鎌を振るい返り討ちにしようとする。巨大な鎌はただ振り回すだけで周囲の雪を吹き飛ばし、刃の軌道上にある物を切り裂いてゆく。
 轟音を立てて振るわれる大鎌をリアンとファムは息の合った動きでかわし少しづつ距離を詰めてゆく。
「隙ありです!」
 大鎌の振り下ろしをファムが極限まで練り上げられた覇気を纏った両手で受け止めた。リアンはその隙を逃さず、歴月へと殴り掛かかる。
 歴月はリアンを迎撃する為に大鎌を戻そうとするがファムに刃を掴まれ戻せない。そして、リアンの拳が歴月に当たるかと思われた次の瞬間、リアンに吹雪が襲い掛かった。

「う、動けないです!?」
「おねえさま、だいじょうぶ?」
「睦月、助かったぞ。」
 その吹雪は睦月が吹かせたものであった。その威力は他の雪ん子達が吹かせたものとは比べ物にならずリアンは頭より下を氷漬けにされてしまった。
 リアンが氷漬けにされた事に気が付いたファムは掴んでいた大鎌を払いのけると救助に向かおうとする。しかし、そんなファムの動きを何処からともなく飛び出してきた雪で出来た兎や狼が妨害した。
「睦月よ、そいつは何にするつもりなのだ?」
「それなんだけどおねえさま、すこしみみをかして。」
「な、なにを話しているのでしょうか?」
 沢山の雪の動物にファムが翻弄される中、睦月が歴月に何かを耳打ちする。リアンも動けないながらも睦月の言葉を拾おうとするが直傍で雪の動物が暴れまわる音が響くせいでそれも叶わなかった。
 そして、話が終わったのか睦月が歴月から離れると歴月は凍り付いたリアンを抱えてかまくらを目指して進み始めた。

「さて、おねえさまのようじがすむまで、あたいがあそんであげる。」
「……っ!?」
「ファム! 『み、皆さん……助けてください!』」
 ファムが沢山の雪の動物に取り囲まれる中、凍り付き身動きの取れなくなったリアンはせめてもの助けとして沢山の魔物娘達を呼び出すと歴月と共にかまくらの中へと消えてゆくのであった。


 リアンがかまくらの中へ連れ去られて少しして洞窟の周辺は戦場を思わせる様相を呈していた。というのも歴月がかまくらの中に消えた途端に至る所から雪で出来た様々な動物が現れ猟兵に襲い掛かり始めたからだ。

「くすくすくすっ! ほらほら、頑張らないと動物さんにやられちゃうわよ!」
 更に睦月の口調は歴月がいた時とは比べ物にならない程に活舌が良くなり、その動きも幼い容姿からは考えられない程の妖艶さを漂わせている。
 その姿をみた猟兵達は睦月が歴月に対して猫をかぶっている事を確信した。しかし、襲い掛かる動物の物量に押されてその事を指摘する余裕はなかった。

「……っ!」
 ファムは己が半身の安否を気にしながらも戦線を維持する為に魔物娘達の指揮を執っていた。
 雪の動物達は元が雪とは思えない程に硬く、不用意に触れればそこから凍り付く程の冷気を纏っている。更に種類も小さな兎に始まり狼や巨大な熊等種類も豊富である。
 歴戦の猟兵なら兎も角、ユーベルコードにより呼び出された魔物娘達では考えなしに戦っては勝てない相手であった。

「その蛇さんは滑り台に丁度良いわね!」
「……っ!?」
 そんな戦いの中で魔物娘達の中核と言えるラミアが真っ先に倒されてしまった。蛇の要素を持つ為に強い冷気を纏う雪の動物との相性がこれ以上ない程に悪かったのだ。
 冷気で動きを鈍ったラミアは襲い掛かって来る雪の熊に必死に抵抗したが敵わず、組み伏せられてしまった。ラミアを組み伏せた熊は己の身体にラミアの長い体を撒きつけると睦月の吹かせる吹雪を浴びて凍り付いてゆく。
 そして、吹雪が晴れればラミアと熊を組み合わせて作られた巨大なすべり台が完成していた。

「あなた達もあたいの家具にかえてあげる!」
「……っ!!」
 結果的に睦月の最大戦力を無力化出来たものの小型や中型の雪の動物は健在だ。ファムと魔物娘達は少しでも雪の動物を減らす為に相打ち覚悟で挑む。

「みんなー、攻撃を中止するですー!」
 しかし、そんなファムと魔物娘達の意思はかまくらから聞こえて来た気の抜けた声で挫かれる事になる。


「……リアン?」
 それは一瞬の出来事であった。かまくらから声が響き渡った直後に魔物娘達の動きが止まったのだ。当然、雪の動物達がその隙を見逃すわけがなく魔物娘達は次々と雪乃動物の攻撃を受けてその身を凍り付かせていった。
 そして、リアンは声の聞こえてきた方向を見て唖然とする。そこには変わり果てた姿のリアンがいた。
 若草を思わせる緑髪とその身に纏うドレスは純白に染まり、その手には遠目からでも分かる程の冷気を纏った手袋をつけていた。

「歴月さん、魔物娘さんをやっつけたよ。ほめてほめて!」
「あぁ、よくやったな。」
 リアンは先程まで殴り倒そうとしていた歴月に抱き着き甘え、歴月もリアンの頭を優しく撫でる。それはリアンが歴月の側に堕ちている事をこれ以上ない事にファムに知らせた。
 そんな二人に再び猫を被った睦月が近づいてくる。なお、歴月が出てきた直後から猟兵達に襲い掛かっていた雪の動物達の殆どが何処かへと退散している。
「リアンちゃん、まだこおってないこがいるよ?」
「あぁ! まだファムがいたです!」
 睦月の指摘によりファムの存在に気が付いたリアンが顔を向ける。リアンの顔は笑顔だがその瞳は虚ろであった。

「ファムはリアンが素敵な家具にしてあげます。」
「……や、やめて。」
 リアンは笑顔でファムに近づくと優しく撫でてゆく。冷気を纏ったリアンの手がファムの身体を撫でる度に撫でられた個所からファムの体が凍り付いてゆく。
「ファム、脚を挙げるですよー。」
 更にリアンはファムの右脚を掴むと足先を空高く掲げる様に開いてゆく。そして、掲げられた脚をファムの右手で支える様に掴ませるとそのまま凍り付かせた。
 そして、時折ポーズを変えながら全身を満遍なく撫で終えたリアンがファムから離れればそこにはY字バランスのポーズで凍り付いたファムの姿があった。

「ファムの帽子掛けの完成です!」
「へぇー、なかなかいいかんじじゃない。でも、ぼうしをかけるのにこれはじゃまね。」
 嬉しそうにリアンが披露した凍り付いたファムを見分していた睦月はフリルのきいたスカートが邪魔なのか乱暴に撫でてゆく。すると薄い氷の幕と化したスカートは簡単に砕けてファムの下着が完全に晒しだされてしまった。
 睦月がファムを家具として邪魔な物を取り除いてゆく中、リアンは歴月に駆け寄りすがりついた。その表情は歴月に対する期待に染まっていた。

「歴月さん、そろそろご褒美が欲しいです」
「そうだな、お前は十分に働いたしあたしの鍋を喰わせてやろう。」
 歴月にかまくらの中に連れ込まれたリアンはかまくらの中で歴月に鍋を無理やり食べさせられていた。体が凍り付いた状態で抵抗できるわけがなく、鍋を食べさせられ続けたリアンは瞬く間にその身を化生へと堕とされ同時に歴月の作る鍋の虜にされてしまった。
 そして、歴月はリアンから鍋を取り上げる事により禁断症状に陥らせ鍋を代価に自身に従う様に調教したのだ。それは睦月から齎された猟兵を味方に引き込む手段であった。
 こうして自らの半身と仲間達を無力化に貢献したリアンは歴月特性の鍋を食べる為に意気揚々とかまくらの中へと戻ってゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

二尾・結


ヒーローは遅れてくるもの!結様参上……ってかまくらの中に逃げようとしてる!中の子達のためにも気を引かないと!

というわけで『伝統と挑発の名乗口上』発動!「自分の子供を悪の道に引きずり込むなんて親の風上にも置けないわね!この二尾・結が成敗してやるわ!」
これでこっちに注意を向けてくれれば……わぷっ!鍋の中身投げつけてこないでよ!何入ってるかわからないのに口に入ったじゃない!

うっ、すっごい美味しいけど戦う力が抜けていく……髪も白くなって……

※その後は髪の白い雪女のような化生に変化していき、無抵抗になります。
末路はお任せしますが、家具調度品の場合は人型を残したものを希望。

アドリブ、絡みOK
無様描写歓迎




「ヒーローは遅れてくるもの! 結様参上!」
 猟兵達が歴月と雪の獣達が戦う戦場のど真ん中で二尾・結(通りすがりのツインテール・f21193)がポーズを決める。周囲にいる猟兵達は戦闘に集中しておりポーズを決める結を気にする者はいないのだが結は気にしない。
 何故ならスーパーヒーローにとって決めポーズと名乗り上げをする事そのものが重要であるからだ。そして、無事に決めポーズと名乗り上げを決めた結は早速戦いに加わるべく歴月達の居場所の確認を始めた。

「すまない睦月、あたしは少し傷を癒してくる……。」
「って、歴月がかまくらの中ににげようとしているわ!」
 結が見つけた歴月は正にかまくらの中へと入ろうとしていた。かまくらの中では歴月に連れ込まれた雪ん子達がおり歴月が傷を癒す序でに何かされてもおかしくはない。
 これは不味いと考えた結は歴月がかまくらの中に消えた途端に急増した雪の動物を搔い潜りながらかまくらの中へと突入した。


「お前達、まだ鍋を食べていなかったのか?」
 かまくらの中へと突入した結が目にしたものは雪ん子達を優しく語り掛ける歴月の姿であった。歴月は穏やかな様子で雪ん子達に語り掛けているのだが、語り掛けられている雪ん子は明らかに怯えていた。

「ねーさま、なべはあのこにひとりじめにされていてたべられないわ……。」
「おっと、確かにこれではお前達が鍋を食べられないな。少し待っていろ。」
 雪ん子が指差す先にはコタツの中で鍋を一心不乱に食べる白い少女がいた。雪ん子達とは明らかに容姿が異なる事から猟兵である事は確実なのだが、歴月を前にしても攻撃をする事はなく只々鍋を食べ続けていた。
 歴月もそんな雪ん子からの指摘に歴月は納得すると地面に手を置いた。すると地面から新たな炬燵が生えて来て、その炬燵の上には湯気を挙げる鍋が鎮座していた。

「これでよし。さぁ、お前達も鍋を食べて立派なオブリビオンになるんだ。」
「えっと、ねーさま、そのぉ……。」
「このままだとあの子達がオブリビオンにされちゃうわね。どうにかして気を引かないと!」
 あっと言う間に追加の鍋の準備を終えた歴月が改めて雪ん子達に迫る。このままでは雪ん子達が鍋を食べさせられてしまうと考えた結は歴月を妨害すべく行動を起こした。


「待ちなさい!」
「っ!? 誰だ!」
 手始めに結が起こした行動は力強い声で歴月の注意を引く事であった。搭乗時と異なりこれから結がしようと思っている行動は相手に結の存在を確りと認識してもらう必要があるが為の行わなければならない措置であった。

「我が名は鉄壁のスーパーヒーロー、二尾結! 歴月、あなたの悪事は私が許さないわよ!」
「悪事だと? あたしは悪事などしていない!」
 結の名乗り向上に歴月は怒りを露わにすると歩み寄って来た。これこそがユーベルコード『伝統と挑発の名乗口上』、名乗り上げる事により相手の怒りを確実に誘う挑発を決め、相手に結を倒す事を優先させる技だ。
 大鎌を振りかざし迫りくる歴月を結は剣で迎え撃つ。歴月の大鎌と結の剣がかち合うとガリガリと氷の削れるような音が鳴り響くと不自然な位置で大鎌の刃が止まった。
 そして、結が自らの剣を捻れば歴月の持つ大鎌の刃が甲高い音と共にへし折れた。結の持つ剣は相手の武器を破壊する事に念頭を置いて設計された武器であったのだ。

「なんだと!?」
「そんな物騒な物を子供の前で振るうんじゃないわよ!」
 大鎌の刃を折られた事に驚愕する歴月の顎に結はオーラを纏った拳を叩き込んだ。オーラにより強化された拳で殴り飛ばされた歴月は熱々の鍋の鎮座する炬燵に激突し周囲に木の破片を撒き散らしそれを見た雪ん子達が悲鳴を上げる。
「さぁ、このままガンガン殴らせて貰うわよ……わぷっ!?」
「殴り飛ばすのも大して変わらないだろうが! お前達、ちゃんと鍋を食べるんだぞ!」
 倒れ伏した歴月に追撃の振り下ろしを仕掛けようとした結に対し歴月は傍らに落ちていた鍋を決に投げつけた。投げつけられた鍋はその距離もあって結の顔に直撃し結は鍋をぶつけられた衝撃で後退った。
 歴月はその僅かな隙を活かし、手についた鍋の中身を一舐めするとかまくらの外へと逃げてゆくのであった。


「あぁもう! 鍋なんて投げつけてこないでよ! 鍋の中身が口に入ったじゃない!」
 結は鍋を投げつけて来た歴月に対する文句を溢しながらも自らの口に入った鍋の中身を吐き出そうとする。鍋の中身は食べた者を化生に作り替えてしまう危険物であり結の行動は間違ってはいない。
 しかし、結が鍋の中身を吐き出す為に口に唾液を貯め始めた所で鍋の中身が結の舌に僅かに触れた。結の舌がその味を認識した瞬間、結の脳裏に電撃が迸った。

「なにこれ、すっごい美味しい……。」
 それは結が今まで経験したことがない程に美味であった。結の脳裏で鍋の味を表現する単語が飛び交うがこれだという表現を定める事が出来ない。
 言葉で表現する事の出来ない鍋の味は僅かな量であったにもかかわらず結を魅了した。そして、鍋の味に魅了された結は咄嗟に自身に投げつけられた鍋の方へと視線を向ける。
 そこには熱々の具材で満たされた鍋が鎮座していた。
「もっと、もっと食べたいわ……。」
 結は熱に浮かされた様な足取りで鍋を手に取ると近くにあった炬燵……白髪の少女が鍋を食べている炬燵へと移動を始める。程なくして鍋を炬燵の上に置き、自身も炬燵の中に入った結は鍋を食べ始めた。

「駄目、これ本当に美味しすぎるわ……。」
 鍋を食べる度に結の姿が変化してゆく。金色の髪が純白に染まりその身から冷気が漂い始めた。
 数分も経てば結は冷気を纏う雪女の様な化生に成り果てていた。そして、結は自身が化生になっている事にも気が付かず一心不乱に鍋の中身を食べ続けている。

「おいしい、歴月様のお鍋、凄くおいしいです……。」
 こうして化生に成り果てた結は戦意を喪失し美味しい鍋を只管に食べ続ける者の一員に加わるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴェルモ・バグトルーパー
変化する化生の種類はお任せ
外見、口調変化可

元凶はあの雪ん子か……彼女を倒すのが一番いいが
雪ん子を傷つけない制約を課した以上傷を負わせればボクの首は飛ぶ
デッドマンでも行動不能だろう
それくらい懸けないと信じて貰う代償に釣り合わなかったしね

黒糸蜘蛛を下半身に装着
制約はあるが逆を言えば技能強化もまだ続いている
◆ロープワーク(100)で糸を放ち味方を援護
冷気をUCで発生したシールドで防ぎ
その隙に増えた糸を大量にかまくらに伸ばし
雪ん子にもシールドを張り鍋だけをかまくらから出し◆捕食(100)

戦意が無くなっても
睦月以外の雪ん子達と歴月を死なせないようシールドを張るのだけは止めず
化生としての能力も使用してでも




「がんばらないとどんどんどうぶつさんがふえちゃうよ!」
「元凶はあの雪ん子か……。」
 襲い掛かる雪の動物を両手に装備した巨大鋏で切り払いながらヴェルモは雪の動物を増産している睦月を睨みつける。その容姿は雪原で出会った雪ん子達と大差はないのだが、雪の動物を猟兵達に嗾ける睦月の笑みは邪悪なものであった。
 更にここにくる前に雪ん子達から聞いた話からヴェルモは彼女をどうにかしない限り今回の事件の解決はあり得ない事を確信していた。しかし、ヴェルモはそれが分かっていながらも睦月を攻撃する事が出来ずにいた。

「彼女を傷つければボクは戦闘不能になるだろう……。」
 ヴェルモの首には巨大な首輪が装着されていた。それは雪原において雪ん子達の信用を得る為にヴェルモが自ら装着した装置であった。
 この装置はヴェルモが雪ん子を傷つける事を条件にヴェルモを断ち切り断罪する。ヴェルモ自身はデッドマンである為に首が断ち切られようと死にはしないものの、行動不能になる事は確実であった。
 そして、睦月はその性根が腐り切っていたとしても雪ん子である事に違いはない。故にヴェルモは睦月を攻撃する事が出来なかった。

「信じて貰う代償として必要だったとはいえどう動いたものかな。」
 ヴェルモは背後から飛び掛かってきた雪の兎を機械尾で迎撃しながら自身のするべきことを考え始めた。


「ここは雪の動物を無力化に努めるとしよう。幸い、技能強化がまだ続いている。」
 ヴェルモは雪の動物の攻勢が緩んだ僅かな隙を狙い自らの下半身に黒糸蜘蛛を接続した。
 黒糸蜘蛛はヴェルモが所有する戦闘戦車の中では戦闘能力が控えめだが雪で出来た動物相手であれば支障はない。更に黒糸蜘蛛のみが持つ機能が現状において有効に働く事をヴェルモは確信していた。

「黒糸蜘蛛の糸、避けられるものなら避けて見ろ!」
 黒糸蜘蛛が鋏角を振るえば、先端から糸が放出される。放出された糸はある程度の距離を飛来した所で広がり巨大な網となって雪の動物達に襲い掛かる。
 蜘蛛糸の網が雪の動物達に絡みつくと動物達の纏う冷気で凍り付き動物達の動きを封じてゆく。そして、糸により動きが封じられた雪の動物達が猟兵達の攻撃により破壊された。

「あたいのどうぶつたちになにするのよ!」
「おっと、君の吹雪を受けるつもりはないよ。」
 当然ながら雪の動物達の動きを封じてゆくヴェルモを睦月が面白く思うわけがなく吹雪により凍り付かせようとする。しかし、ヴェルモは自身に目掛けて吹き込んで来る吹雪を強固なバリアを展開する事により防いだ。

「さて、次は雪ん子達の安全を確保するとしようか。」
 ヴェルモは睦月の吹雪をシールドで防ぎながら次の一手を打つ為の準備を始めた。


「あんなに怯えて……助けに行きたいがここは我慢だ。」
 ヴェルモはシールドで歴月と睦月の猛攻を凌ぎながらかまくらの外から鍋が見える位置を探していた。鍋を探す最中に化生と成り果てた猟兵達に怯える雪ん子達の姿が見えて助けに行きたいという衝動に駆られるが、それを堪えて湯気をあげる鍋が見える位置を割り出した。

「ここからなら鍋を狙えるな。」
 鍋を狙える位置を見つけ出したヴェルモは睦月に悟られない様に気をつけながら黒糸蜘蛛の尾部をかまくらの入り口に向ける。黒糸蜘蛛の尾部には装着直後から生成され続けた糸が貯蓄されていた。
「いいかげんにこおりついてよ!」
 やがて、しびれをきらした睦月が一際激しい吹雪をヴェルモに浴びせた瞬間を狙い尾部に貯蓄された糸をかまくら目掛けて射出する。猛吹雪により視界が白く染まる中、射出された糸がかまくらの入り口に飛び込むとコタツの上に鎮座した鍋を絡め捕った。

「鍋さえなければ雪ん子達をオブリビオンに出来ない筈だ!」
「あぁ!? あたいたちのなべが!」
 ヴェルモが糸を巻き戻せば糸に絡め捕られた鍋がかまくらの外へと飛び出すとヴェルモの手の中に納まった。更にヴェルモは鍋を黒糸蜘蛛の捕食機関へと投げ込み捕食させる事により処理をした。
 そして、鍋を台無しにされて怒っているであろう歴月達の方を見てみればヴェルモの思惑に反して歴月達はヴェルモを嘲笑していた。

「よくもわたしたちのなべを……なんていうとおもった?」
「……新しい鍋だと?」
 雪ん子達をオブリビオンに変えるのに必要な鍋がなくなったにも関わらず動じた様子のない歴月と睦月に疑問を抱くヴェルモであったがその疑問はすぐに解決された。 いつの間にか歴月の手の中に湯気を挙げる鍋が収まっていたのだ。


「あたしが生きている限り、鍋はいくらでも補充がきくんだよ。」
「むだなどりょくごくろうさま! ついでにあなたはもうおわりよ!」
「それはどういう……うぐぅ!?」
 まさかの補充可能な鍋にヴェルモが驚愕した直後、ヴェルモはナカで何かが脈動した。デッドマンとなってから味わった事のない感覚にヴェルモが蹲る中、ヴェルモの身体に異変が起きていた。
 機械的な部品で構成された黒糸蜘蛛の脚部装甲に罅が入り剥がれ落ちてゆく。剥がれ落ちた装甲の中からは黄色と黒の縞模様で描く有機的な歩脚が姿を現した。
 更に胴体部の装甲に罅が入れば中から黄色を基調に赤いアクセントの入った腹部が姿を現した。

「うぅ……ボクは……わたしは……。」
「あたしの特性鍋を丸ごと食えば化生になって当然であろう。」
「これってじょろーぐもかな?」
 歴月の鍋を丸ごと平らげてしまったヴェルモは蜘蛛の化生に変異していた。
 戦闘戦車である黒糸蜘蛛がそのまま有機的な蜘蛛に変異しヴェルモの身体と完全に一体化している。加えて頭に手を当て呻くヴェルモの額には本来の瞳とは別に6つの複眼が現れていた。
「これならすてきなオブリビオンになってくれそうね。」
「そうだな。あたしは新しい鍋をかまくらに運んでくるぞ。」
 蹲ったまま動かないヴェルモが自分達の脅威にならないと判断したのか睦月は新たな雪の動物の増産を始め、歴月もその手に持つ鍋をかまくらの中へと持ち込もうとする。
 しかし、歴月がかまくらの中へ入ろうとした瞬間にかまくらの入り口が大量の糸によって封鎖された。

「貴様、なんのつもりだ?」
「わたしの子供……守る……。」
 糸の出所はヴェルモであった。歴月がヴェルモを訝し気に睨みつけるがヴェルモは動じる事無く歴月の前に立ちはだかる。
 この時、ヴェルモの意識は化生としての本能に半場飲み込まれていた。しかし、化生としての本能は雪ん子達が閉じ込められたかまくらを自らが産み落とした子供の収まる卵嚢と認識していた。
 蜘蛛はその多くが自らの身を顧みる事無く子供を守り育てる習性がある。蜘蛛の化生となったヴェルモもその例に漏れず、最寄りの猟兵に襲い掛かり飢えを満たす事よりも子供が収まった卵嚢を守る事を優先したのだ。
 そして、化生に成り果てながらもより強靭になった糸でかまくらを包み込んだヴェルモは歴月という脅威に対抗すべく鋏角を振り上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​


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※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
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ポーラリア・ベル
てふてふ(f03212)と雪ん子と、
合流したゆきのん(f06012)と一緒に洞窟へ
あ、冬の羅刹のおばちゃお姉さん!面倒見良くて怖い人!
あたしポーラ!今夜は泊りにお邪魔しまーす!

襲ってきたら、皆で雪玉投げて反撃
ほわぁ、てふてふやきゃんぱすさん達が氷のオブジェに!
…はっ、良い匂い。どさくさでこっそりかまくらに入るの

はわぁ、ゆきのんがお鍋凍らせちゃった!まだシャーベット状だからいける!
食べると【雪人転身】が発動、真の姿の氷の銀髪の雪女の少女
雪を降らせる冬の化身に。

雪乃と意気投合して、調度品と化した方を愛でたり物扱いしながら
歴月達を凍らせ【アート】で氷の調度品に。
わるいこは もらっていくね

アドリブ歓迎


テフラ・カルデラ
※ポーラリア(f06947)・雪乃(f06012)と同行
※アドリブ可・◎

ポーラさんと共に戦場に到着!それと同時に雪乃さんとも合流をします

【性癖少女『はいいろ・きゃんぱす』】さんを召喚!触れるだけでも凍っちゃう触手の塊を出して攻撃!
わたしも【氷結の指輪】で凍結合戦に!

ですが、冷気は向こうの方が強すぎて…はいいろ・きゃんぱすさんが凍っていく…
わたしの…身体も…凍っちゃ―――
(氷の彫像と化した二人は睦月に椅子の調度品へと加工されてしまい。さらに同行者達に弄ばれる)


御影・雪乃
解凍した雪ん子に案内される途中でポーラさん(f06947)とテフラさん(f03212)と合流
お二人も来ていたんですね
と話をしつつ到着

雪ん子を夢中にさせようとする鍋が被っていて…気に入りませんね
そんな対抗心でかまくらへ入り、中の鍋を【属性攻撃】115による氷属性の『冷気』で凍らせようとしつつUC発動
雪ん子たちを誘惑してみましょう
ふふ…綺麗に、美しくなってみませんか…?

ポーラさんに言われて外に出るために凍った鍋を口にすると今度は嫉妬
鍋を無かったことにしようと、ポーラさんと雪山姥を狙います
そして鍋の効果で姿は氷の髪の雪女へ
ポーラさんが加工してる間はテフラさんの椅子に座って休みます
アレンジokです



「あたしポーラ! 今夜は泊りにお邪魔しまーす!」
「なんだい、お前は」
 洞窟へ乗り込んできたポーラリア・ベル(冬告精・f06947)の名乗りを聞き、歴月はぎろりとそちらを睥睨する。
「泊まりたければ泊めてやろうさ」
 ただし客人としてではなく調度品としてな!!
 ……そんなふうに吼える歴月の放つ冷気がたちまち暴風となり、邪魔者の猟兵を氷像に変えようと吹き荒れる。氷雪に満ちた戦場の光景を見回したテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)がくふ、と肩を揺らして密かに笑んだのは、戦闘への高揚か――或いは、別種の期待か。
「絶対、まけません……っ!」
 どことなく力の入った声で言うなり、テフラは指先で宙にひとつの印を描く。その中心からするりと身体を伸ばすようにして現れたのは、『はいいろ・きゃんぱすさん』と彼が呼ぶ怪異。ひと触れしただけでオブリビオンすら氷に閉ざす『彼女』の触手が妖艶にのたうつのを楽しげに眺め、それを追うようにしてテフラ自身も指輪の魔力を解き放つ。ぐう、とオブリビオンが呻く声が北風の中に確かに聞こえた、けれど。
「ふふーん、あたいたちにれいきでたいこうするなんて、おばかさん!」
 睦月の口元が幼い少女のそれとは思えぬ笑みの形に歪み、その袖が、裾が、翻る。ああそうだね、と頷いた雪山姥も、血走った目をテフラに向けて。
「思い知ってもらうほかないねえ……!」
「あぁっ……!」
 ぱきぱきと音まで立てて、触手が、そして『彼女』の本体までもが端から凍っていく。絶望したようにそちらへ手を伸ばすテフラの目の奥に、欲望を宿した光がちらついたのは――気のせい、だろうか。
 冷気は留まることを知らず、テフラ本人にも覆い被さるように迫る。伸ばした手を下ろすことも忘れて、彼はその感覚に抱かれていた。
(「わたしの……身体も、凍っちゃ――」)
 声すら凍り果てたように、言葉ひとつ零すことすら許されず、そうして氷像に変えた少年を、睦月は楽しげに弄ぶ。
「このこはねえ、このこはねえ……きめた! ちょうどいいおおきさだもん、あたいせんようのいすにしてあげる!」
 きゃっきゃと高い声を上げ、新たな獲物をかまくらへ運び込もうとする睦月をまず目で追いかけて、ポーラリアはつられるように同じかまくらの中へと飛んでいく。彼女と合流した御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)もまた、己の意思であえて抵抗することなくかまくらへ踏み込みつつ、その中にしつらえられた鍋へと目を向ける。……何と言うか、どうもこれは気に食わない。雪乃の感情を反映したかのように、その周囲で冷気が揺れた。たむろしている雪ん子たちに視線を送り、雪乃は唇の端を上げる。
「ふふ……綺麗に、美しくなってみませんか……?」
 放たれた冷気に当てられ、たちまち鍋の中身が凍り付いていく。そのさまを目にした少女のだれかが、綺麗、と呟いた。まるで、その様を羨むように。
「はわぁ……!」
 声を漏らしたのはポーラリアも同じ。まだシャーベット状だからいけるとばかりに鍋の中身を口にすれば、たちまち彼女は己のユーベルコードの恩恵もその身に纏い、氷の髪持つ雪女へとその姿を変えていく。
 かまくらの外へ出るには、鍋を口にせねばならない。そうポーラリアから伝え聞き、自身もシャーベットと化した鍋の中身をひとくち口に運んだ瞬間、雪乃の眉間に皺が寄る。そうしてかまくらを出るなり、やはり雪女の姿となった雪乃も嫉妬に満ちた視線を雪山姥へ向けた。
「こんな……」
「なんだい」
「……いいえ、何も?」
 なかったことにしてしまえば全て同じだ。既に眼前のオブリビオンは傷付き、猟兵の力で押し切ることが可能に見える。ならばと深く息を吸い、雪乃は湧き上がる力を容赦なく振るって敵の命を氷の底へ閉ざしにかかる。
「なっ――」
「うそ、あたい……こおっちゃう……」
「だいじょうぶ、可愛く飾ってあげるから!」
 無邪気に笑いながらポーラリアの降らせる大量の雪もどこまでも冷たく、重い。ここにきて恐怖に顔を歪める睦月に無邪気に笑みかけ、ポーラリアは吹雪の中で小さな指を一本立てた。
「わるいこは、もらっていくね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月15日
宿敵 『羅刹雪山姥と雪ん子』 を撃破!


挿絵イラスト