●常冬の島の掟
異世界から落ちてきた様々な個性的な島が海に浮かぶ世界『グリードオーシャン 』。
この世界には呪いの秘宝『メガリス』というものが存在している。
それを手にして死んだものは、海の怪物『コンキスタドール』と呼ばれるオブリビオンとなる。
ここは全てが白銀の雪に閉ざされた『常冬の島』……所々が崩れた『遺跡』がジャングルの様に並ぶ様子は、知る者が見ればヒーローズアースに近い文明……それも大きな戦いと天変地異に見舞われた痕跡を垣間見るだろう。
そんな雪道を、雪が降る魔法のパラソルを手にした少女が歩いていた。
随伴するのは肩の巨大な貝殻が特徴的な戦闘員たち。
「今日もひんやり気持ちいいの~♪ あ、ねぇパール、次のお友達はまだなの?」
少女は問う。
この時、戦闘員の一人が「また?」という表情をしてしまった。
その瞬間、その個体は氷の津波をかぶり氷柱へと閉じ込められる……。
「今月のお友達を連れてきてほしいの」
少女は不機嫌そうに繰り返した。
この少女のわがままに従うこと……それがこの島の掟。
逆らったものは敵味方関係なく氷の中に閉じ込められてそのまま雪の底に埋まってしまうことだろう。
「じゃ、あたしは帰るの。じゃーんっ。『ジャックフロストMk-Ⅱ』なの!」
そう言うと少女は雪だるま型スマートフォンに見えるメガリスから大きなロボを取り出して乗り込むと、キャタピラをキュラキュラ鳴らして去っていった。
主が去った後、残された戦闘員たちはため息をつく。
「みんな用心深くなっててもう簡単にみつからないよー……」
「ここらはまだ遺跡に食べ物があるから、とりあえず罠でも仕掛けとこうか……」
●固まるか、隠れるか
グリモア猟兵の夕月・那由多(f21742)は生命を与えた創造物で人形劇をしながら先ほどの様なナレーションを入れた。
「まさにわがままお嬢さんじゃのう」
キャタピラに雪だるまが乗っかったようなロボを横に除けて説明を開始した。
「ざっくりとこの島を支配しとるコンキスタドール、もとい、オブリビオンを何とかしてほしいんじゃが……」
那由多はそう説明しながら粘土で作ったビルを並べさながらコンクリートジャングルの様にしていく。
「このボスの居場所がわからん。故にな、ちょっと罠にかかって捕まってみてくれんか」
先ほどの人形劇の内容を踏まえるのであれば、いわゆるお友達として連れていかれることを指す。
「こやつら捕えた住民を生かして連れ帰るつもりらしいんで、ちょっと凍ったり固まったりするかもしれんが、まあ命に別状はない。じゃが……あえて罠に掛からず隠れておいて、こやつらの後をつけて行くのも有りではある」
那由多がそう言うと、戦闘員の人形たちは別の人形を担いでとことこ歩き始めた。
「こやつは『パールウォリアー』という。貝がメガリスに触れてオブリビオン化した存在らしいのじゃ」
戦闘員たちは肩の巨大な貝殻が特徴的だった。那由多は続けて特徴を伝えていく。
「猟兵と比べれば強くはないが、貝の盾がかなり固いために正面から戦えば一撃で落とすのは難しいじゃろう……。こやつらは相手の表面を真珠の成分で固めてしまう粘液も出す様じゃ。が、お主らであれば内部から割って出られるじゃろうな。油断を誘うのに使えるかもしれん」
そして人形を担ぐ戦闘員の人形は、やがて雪だるまのようなロボの元へとたどり着く。
ここで那由多は残念そうに呟いた。
「この場所がはっきりわかれば、直接乗り込めたんじゃがの……」
以上が、今回の作戦の概要である。
●コンキスタドールの支配から解き放つために
那由多は一通り説明を終えると粘土を片付け始めた。
「この島の住民たちは、コンキスタドールに怯え、遺跡や地下の深くでひっそりと暮らしておる……が、食べ物は遺跡を漁るにせよ、魚や獣を捕るにせよ、地上に出れなければ話にならん。その者らを少しでも助けるために、皆の力を貸してはくれぬか」
那由多は袖口から小さな鳥居を取り出した。それはみるみる大きくなり猟兵を転移させるための門となる。
「準備ができたら飛び込むのじゃ。わらわは転移のため同行できぬ故、ここでお主らの吉報を心待ちにしておるぞ」
那由多はそう言って微笑むと、猟兵たちを送り出した。
ウノ アキラ
はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
11月までは少し暖かかったのに、急に寒くなりましたね。ウノ アキラです。
このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。
●※
被害に遭いたい場合はプレイングの最初に『固』をつけてください。
『固』が書かれていない場合は、固まらないか、固まるとしても普通の状態異常と同じあっさり描写になります。
●お得情報
今回は26日(土)から数日の間まとまった執筆時間が確保できているので、書けそうなタイミングでサクサク書いていく予定です。
章が変わった後も即受け付けになります。
他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
●依頼について
グリードオーシャンの依頼となります。
一章は冒険です。
雪が積もるコンクリートジャングルの中に仕掛けられたいろんな罠があるので、よしなにしてください。
罠は指定があればなるべく応えます。
二章は集団戦です。
罠に掛かった人はえっほえっほと運ばれて、ボスのアジトの手前あたりで元に戻ったりするので、そこで戦う感じになります。
ひっそり後をつける場合もアジト前が攻撃を仕掛けるタイミングになります。
三章はボス戦です。
無差別攻撃をしたり遊びに巻き込んで攻撃してきたりロボを暴れさせたりしてきます。
敵意は少ないですが、無邪気に周りを巻き込むので普通に危険です。
よろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『ジャングルの罠』
|
POW : トラップごと、ジャングルを薙ぎ払って進む。
SPD : トラップを解除して進む。
WIZ : トラップの位置を特定し、避けて進む。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●雪の中のコンクリートジャングル
転移を終えた猟兵たちの目の前にはそびえるビル群――ただし、所々が壊れて雪も積もり、人の気配はない――無人のコンクリートジャングルがあった。
雪の合間に見える広告看板からは、この島がヒーローズアースにあったどこかの街であろうことが察せられる。
見た目はただの廃墟だが、すでにあちこちに罠が仕掛けられている様だ。
敵の拠点を突き止めるためは、この罠に捕まり誘い出すのが早そうだ。
リルラ・メローメイ
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】
「迷惑な相手を退治しちゃうよぉ、でもその前にトラップを突破しないとねぇ」
コンクリートジャングルに突入すると同時に【艶獣化】を使い、20代前半の天使の羽をもつ人魚姿になって空を泳ぎながら奥へと進んでいくよー
てっきり寒いものかと思ったらサウナトラップで汗塗れ、しかも麻痺ガス噴射とか……とどめに拘束トラップで手も人魚の尾も天使の羽も拘束されて……梱包されたうえでパール・ウォーリアの元まで運ばれちゃうかも
●箱の中の人魚
雪が積もる白銀の廃墟群。
コンクリートジャングルと呼べるほどに並び立つビルの廃墟に空中をスイスイ泳ぐ姿があった。
それは、天使の翼を持つ妖艶な人魚の姿をしたリルラ・メローメイ(マジカルメロウ・f06017)だ。
ユーベルコード『艶獣化<<アダルティックローレライ>>』でハーピーとマーメイドの混血の血を覚醒させたリルラはトラップを探してきょろきょろ見回す。
「トラップはこの辺かなぁ……んー。この辺にはいないのかなぁ」
そう言いながら、リルラはすいーっと路地へ入っていった。
するとリルラはいかにもな足元を狙ったトラップ見つける。
「あったぁ♪ じゃあこの道ねぇ」
リルラは三体の人形を操るとトラップを破壊しながらさらに奥へ進んでいった。
(迷惑な相手を退治しちゃうよぉ、でもその前にトラップを突破しないとねぇ)
こうして罠に沿って進んでいけば、獲物が掛かったかを確認する巡回ルートが解るかもしれない。
もしくは戦闘員である『パールウォリアー』の姿を見つけられるかもしれない。
「どこに居るのかなぁ」
と、『パールウォリアー』を探しながらリルラが次の罠を壊したその時だ。
「ひゃっ!?」
これまでと違うことが起こった。
罠に仕掛けられていた白い気体が路地に充満したのだ。
それは、湯気の白。
「びっくりしたぁ。てっきり寒いものかと思ったら、サウナトラップなのぉ?」
リルラを襲ったのは、周辺の雪を溶かすほどの熱気だった。
その熱に晒され汗をかくリルラ。汗は島の冷気で体温を奪うが……指先に感覚が無いのはそれだけではない。
「しかも……麻痺ガスもセットとか……」
熱で膨張した空気が麻痺ガスを広く散布していた。
さらに、その熱は氷を融解して別のトラップを続けて発動させる。
「ひゃ!?」
トラップから投擲された網がリルラに絡みついた。
(拘束トラップで手も人魚の尾も天使の羽も拘束されて……)
網に捕らわれ動けないリルラはそのまま網と共に巻き上げられズルズルと箱へ回収されていく。
(梱包されちゃうー!)
麻痺ガスで上手く動けない状態のままリルラは箱の中へと回収されてしまった。
この箱は後に『パールウォリアー』によって拠点へと運ばれることだろう。
中身が島の住民ではなく猟兵であると知らずに……。
成功
🔵🔵🔴
ポーラリア・ベル
■人形館・アドリブ可・『固』
わ、わ、真夏の氷の神様が、普通に冬に来ちゃったわ?
夏でも冬でも遊び足りないのね!冬ならポーラも怒られないかしら♪
ここはまだまだ雪が少ないの。
【天候操作】で雪を降らせながら、不用意に飛び込んで、【空中戦】で頑張って回避して回るのだわ。
【罠使い】のよしみで、途中罠を見つけたら、何かしらー?って調べてみるの。
それで巻き込まれちゃうかもしれないわー。
冷たい氷の神様の悪戯罠だから、雪だるまにされちゃうかしら?
それともパールの玉に捕獲されちゃうかしら。
言葉も出せずにもがくけど、誰かやってきたら素直にお持ち帰りされちゃいそう。
ポーラ、大事に扱われるかしらー。されたらいいなー。
テフラ・カルデラ
※アドリブ可
【人形館】で参加
固
ボスの場所まで行くためにわざと罠に…これは是非掛からなければ!
…というか、シエナさんもポーラさんも各々行ってしまいましたね
とりあえずわたしはゆっくり歩いて罠にかかりましょうかー?
それにしても雪の積もるビル群ですか…人がいれば雰囲気はありそうですが…
…と、下を見ずに歩いていたら…突然、下から風が…スカートが捲れちゃいます!?
同時に冷たい冷気が身体中を包んで…凍り付いていって…なんて…卑劣な罠なので…しょう…か…
(スカートがめくれ上がったままの恥ずかしい氷像へと変わり果てるテフラ)
シエナ・リーレイ
■人形館・アドリブ可・『固』
お友達と共に常冬の島へ降り立ったシエナ
島の主が『お友達』を求めてるという自身と同じ目的である事を知ったシエナの気分は初っ端から最高潮に達してしまいます
この下かな?とシエナは瓦礫を押しのけます。
気分が高揚しきったシエナは隠れた『お友達』候補を求めて[地形破壊]をする勢いでジャングルを突き進みます
仕掛けられた罠で氷漬けにされても[怪力]で自身の衣類諸共に砕き、捜索を再開しますが探せど探せど『お友達』候補は見つかりません
見つからないよぅ……。とシエナは落ち込みます。
やがて気分が落ち込んできたシエナは氷を砕けなくなり、あられもない恰好の氷像として回収されてしまうのでした。
●それぞれの目的
常冬の島に冬告精が舞い降りる。
冬の香りを運ぶ小さなフェアリーは雪に覆われたコンクリートジャングルの合間をふわりと飛んで楽しそうに言った。
「夏でも冬でも遊び足りないのね! 冬ならポーラも怒られないかしら♪」
冬に縁深き妖精としての勘だろうか?
ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)は、この島に夏に冬を呼ぶ存在が居ることを確信していた。
そんな冬告精と共に島を訪れたのはテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)とシエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)の二人。
「ボスの場所まで行くためにわざと罠に……これは是非掛からなければ! ボスの場所に行くのに必要ですからね!」
テフラが興奮気味に目を輝かせる横で、シエナもまた妖しい輝きを目に灯す。
シエナが繰り返し思い浮かべるのは、先の説明で聞いたコンキスタドールの少女の言葉、『お友達』。
「島の主も『お友達』という同じ目的を持つと知ったことで、シエナは気分が最高潮に達してしまいそうです」
自身と同じ人形の仲間を求めて、候補となる亡骸やオブリビオンを求めるシエナ。
彼女にとってお友達を求める今回のオブリビオンは、合意的に『お友達』を増やせるかもしれない貴重な機会の様子だ。
「『お友達』候補の捜索を開始しましょう、とシエナは突き進みます」
常冬の島に降り立った三人。
それぞれ期待するものが三者三様であれば行動もおのずとバラバラとなる。
メキ、メキ、とコンクリートの建物のドアがシエナの怪力で破壊された。
「『お友達』候補の島の主は何処かな? とシエナは高揚する気分のままに捜索を続行します」
ビルの暗がりを見回すが何かが居る気配は無い。
ビルを出ると、今度は近くの瓦礫を持ち上げてひっくり返した。
「この下かな? とシエナは瓦礫を押しのけます」
しかし、何かが居る気配はない。
周囲を破壊しながら突き進むシエナの周囲には壊れたトラップが残されていた。
トラップから吹き付けられる冷気と凍り付く水分を怪力でパキパキと割りながら、シエナはパワフルに突き進む。
●氷結の罠
「ここはまだまだ雪が少ないの」
そう言うと、ポーラリアもシエナと同様に思うままに先行した。
『冬告げのベル』をちりん、ちりんと鳴らし雪をちらちらりと降らせながら、コンクリートジャングルの大通りや路地を飛び回っていく。
一方で、ひとり残されたテフラ。
「どんな罠があるのでしょうか……元から冷気が満ちた島なら冷凍は定番ですが、潰されるのも有りですよね。ヒーローズアースの名残が見られるので、もしかしたらバイオモンスター的な不思議な薬品で一時的にドロドロにとかも……」
と、罠への期待に胸を高鳴らせていたのだが……。
「……というか、シエナさんもポーラさんも各々行ってしまいましたね」
ふと、置いていかれていることに気が付いた。
「とりあえずわたしはゆっくり歩いて罠にかかりましょうかー?」
周囲の景色を見れば崩れたビルは多いが形を保っているものもそれなりにあり、場所によっては雪化粧に彩られた街並みにも見える。
建物の入り口や階段は場所によっては半分埋もれているが、かといって退かせない程でもなく、コキンスタドールさえ撃退してしまえば脆くなった場所を補強しながらそのまま生活に使えそうだ。
「それにしても雪の積もるビル群ですか……人がいれば雰囲気はありそうですが……」
その時だ。
ビルの廃墟を見上げながら歩いていたテフラは、階段で何かをカチリと踏んでしまった。
冷気をともなう激しい風がテフラを襲う――。
「うわっ、風でスカートが……!?」
性別は男の子。とはいえむやみに下着が丸見えになるのは恥ずかしいと咄嗟に捲れる布を抑えるが、しかし階下から吹く水分を含んだ冷気が布を瞬時に凍らせた。
張り付いた水分は服を濡らし、冷気が濡れた服を拘束具に変える。
続けて肌に張り付いた水分が四肢の関節を固定していった。
「スカートが凍っ――」
(……腕の裾やニーソックスが凍って動けない!?)
そうしている間にも、胸元から首へと氷は迫ってくる……。
「なんて……卑劣な罠なので……しょう……か……」
容赦なく吹き付ける水分と冷気がテフラの全身を完全に覆い尽くした。
●氷像たち
不思議と凍死しない氷。しかしこの氷はテフラから一瞬で自由を奪う。
屋外の階段に出来たウサギの耳オブジェは、捲れる布を抑える直前の瞬間でいながら首から上は拘束から逃れようともがいた痕跡が見られる。
それは焦りと羞恥の氷像だった。
その頃、周囲を思うままに壊しながら『お友達』候補を探すシエナ。
最初の高揚は何処へやら、現在は完全に意気消沈している。
「探せど探せど『お友達』候補は見つかりません……。見つからないよぅ……。とシエナは落ち込みます」
度重なるトラップの強引な突破により、綺麗な衣服は所々が破れ仮初の身体の肌が所々で露わになっている。
ヤドリガミであるシエナは本体が破壊されない限り肉体の再生が可能ではあるが……。この気持ちの落ち込みが、彼女の動きを鈍らせていた。
それは同時に、襲い来るトラップへの抵抗も鈍くなることを指す。
先ほどのトラップで浴びた水が冷気で固まり、シエナの四肢を重くしていった。
動くたびにその氷はパキリと割れて剥がれるが、同様に衣類も欠ける。
「……『お友達』候補が現れてくれません……。とシエナは悲しみを言葉にします」
身体を重くする氷に抵抗する気力も無くし、シエナは大通りの真ん中で力なく座り込んでしまった。
動きが止まれば、全身を濡らす水はますます固まり、その厚みを増していく。
……やがて雪が積もる大通りに座り込む氷像が出来上がった。
それはわずかな布しか残らないあられのない姿の人形。
うっすらと雪が積もるその像は、氷に閉ざされたうつろな瞳に悲しみを宿していた。
ちらり、ちらり、と雪が降り続け氷像達に積もっていく。
これらの氷像はやがて『パールウォリアー』により拠点まで運ばれることだろう。
……その中身が島の住民ではなく猟兵であると知らずに。
●冬の妖精人形
雪が降っている。
この『常冬の島』では雪自体は珍しい事では無い。しかし今は、雪と同時にベルの音が鳴り響いていた。
ちりん、ちりん。
ポーラリアの小さな体はトラップをすり抜け、飛翔により地面のボタンの類も回避していく。
「どこまで積もるのかな? 建物の二階、もっと三階まで? ずっとずっと冬で雪があるのなら、ポーラ好みの雪の世界にしても怒られないかしら?」
この『冬告げのベル』で起こせる範囲では、大雪の条件が揃わなければ一階分を埋めるのは難しそうだけれど。
それでも冬告精は上機嫌に雪を降らせてまわった。
けれど、地下に隠れているとされる島の住民たちは閉じ込めてしまわないように地下に通じそうな場所では抑えていく。
今のこの島の状況は、住民たちはコキンスタドールを恐れて地下に避難済みと言える状況。
つまり、地下と地上を繋ぐ出入り口さえ塞がなければあとは迷惑をあまりかけずに好き放題に出来る状態でもある。
そんな中、雪を降らせることに夢中だったポーラリアはやがてトラップの存在に気付いた。
「あら、何かしらー?」
よく見れば、紐に引っかかったり触って氷が解けたりすると作動するトラップがそこかしこにある。
「わ、気がづかなかったのだわ。こんなにトラップがあったのね」
そう言うと興味深そうにトラップに近づいていくポーラリア。
「トラのトラップもあったりするのかしら? トラックがぶつかってくるのもあったりして!」
と、たまのダジャレを混ぜながら興味津々。
「雪だるまにされちゃうかしら? それともパールの玉に捕獲さ――」
その時だ。
目の前のトラップに気を取られすぎて、ポーラリアの羽根が赤い光に触れてしまった。
すると、パキ、パキンとポーラリアの身体が動かなくなり、そのまま雪の上にぽふりと落下する。
(わ、わ、動けなくなっちゃったわ?)
ポーラリアが浴びたのは『パールウォリアー』が分泌すると言われる粘液。
凍結に耐性を持っていたポーラリアだったが、凍結以外であれば効く――そのため、表面を真珠で固められたポーラリアは、なす術も無くそのまま雪の上に転がってしまったのだ。
雪の上に転がる妖精のフィギア人形……その中ではポーラリアが抵抗しようともがいていた。
(誰かやってきたら素直にお持ち帰りされちゃいそう)
しかし、その時ポーラリアは敵の拠点に運ばれるためにトラップにかかるという当初の目的を思い出した。
(あ、ならこのままでいいのかしら?)
やがて『パールウォリアー』たちが巡回してきたならば、トラップが作動したことはすぐに解るだろう。
その時、雪の上に転がる22cmほどの等身大の真珠製フェアリー人形に気が付くはずだ。
(ポーラ、大事に扱われるかしらー。されたらいいなー)
ポーラリアはそのまま真珠の中で持ち帰られるのを待つことにした。
その先には、この島のどこかに居るとポーラリアの勘が告げる『真夏の氷の神様』の拠点があるはずなのだから。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
マキナ・マギエル
&&&
「興味深い生態です。」
他の世界では見られない性質を持った生き物です
簡単に脱出出来るのであれば敢えて捕まってみるのも一興ではありますが…
不測の事態を考慮するならば、私は敢えて捕まらない方針で行動すべきでしょうね
では【ガジェットショータイム】と参りましょう
ほう、これは「量子ステルスのガジェット」ですね
成る程、今私が戦っている対象とは「私を補足し得る存在」と言うわけですか
では【空中浮遊】にて地上の罠を避けつつ、量子ステルスにて姿を隠して追跡すると致しましょう
量子ステルスは暗所にても効果を発揮しますが…
完全に姿が消える訳ではありませんので、暗がり等も活用し見つからぬ様な工夫は凝らしておきましょう
緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。
基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。
武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。
クロムキャバリアでも生身で戦います。
不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。
●本筋とは別の戦い
各々がトラップに捕まり『パールウォリアー』に運ばれるのを待つ間――。
ここは廃墟のコンクリートジャングルの地下に広がる空間。
所々に点灯する灯りが通路を辛うじて照らしており発電施設がまだ生きていることを物語る。
その地下空間には、かつてショッピングモールであった面影が残っていた……。
時おり天井が崩れそこから雪が舞い込んでいるが通路の両サイドには朽ちた店舗や物品が転がっている。
地上に比べれば、空気が滞る分だけ多少は暖かい。
ここからさらに地下へと潜れば、最初の説明で触れられた島の住民たちが隠れ住むスペースにたどり着くのだが……それは、今回のコンキスタドール討伐には関係のない領域だ。
そんな地下に炎が奔った。
「桃火の一撃! 火迅滅墜焼!!!」
振るわれた斧から桃色の炎が放たれ辺りを一瞬照らす。
すると同時に、少数で行動していた『パールウォリアー』が焼き払われた。
力尽きた『パールウォリアー』はそのまま消えて骸の海へと戻り消えていく……。
炎の宿る斧を振るうのは、サポートとして訪れていた緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)。
「敵の拠点が解ってたら最初から突撃したんだけど。ま、今は住民のとこにオブリビオンが来ない様にするだけでいっか。戦闘もできるしね!」
たまたま偶然、気まぐれの気分転換で訪れていた彼女は好きな戦闘をするために地下に張り込んでいた。
今回コンキスタドールは、わがままに付き合わせる遊び相手として島の住民を求めていた。
その部下である戦闘員の『パールウォリアー』は、その捕獲のために地上に罠を多数仕掛けていたわけだが……それとは別に地下の探索も始めていたのだ。
その侵攻を阻んでいたのがサポートの透乃だった。
大きな群れでなければ、ボス格ではないそれは猟兵の脅威にはならない。
『パールウォリアー』たちは身に着ける貝の盾で防御をするが、並の猟兵では砕くのが困難なその守りも透乃の圧倒的な怪力の前には無力。
「片っ端から叩き割っていくよ!」
透乃は愛用の重戦斧『【緋月】』を手に地下をうろつく敵を割っていった。
●拠点の発見
――その戦いを隠れ見ている者がいる。
(簡単に脱出出来るのであれば敢えて捕まってみるのも一興ではありますが――)
その観察者の名はマキナ・マギエル(機械仕掛けの魔術師・f05106)。
彼は透乃が蹴散らす『パールウォリアー』に注目していた。
(――他の世界では見られない性質を持った生き物ですね)
「……興味深い生態です」
マキナは、メガリスに触れたことで変化した存在に興味を惹かれていた。
「メガリス……機会があれば研究をしてみたいものですね」
そう呟きながら、撤退していく『パールウォリアー』の後を追うマキナ。
(こうして隠れ続けることは、確かにある意味では戦いです)
不測の事態を考慮し、トラップに捕まらずに隠れて後をつけることに決めていたマキナ。
彼はユーベルコード『ガジェットショータイム』によって得た量子ステルスに関する道具を得ていた。
(完全に姿が消える訳ではありませんので、暗がり等も活用し見つからぬ様な工夫は凝らしておきましょう)
地上ほどではないとはいえ、地下の浅い領域も罠はある。
マキナは魔術で得た空中浮遊で足音を消すと同時に足元の仕掛けを避けて『パールウォリアー』の後をついていくのだった。
撤退する『パールウォリアー』はやがて地上へと出ると、他の仲間と合流して再び別の地下通路へと潜っていった……。
(ふむ……この地下通路は整備がされていますね。これらの設備のために、この島の発電設備も維持されているといったところでしょうか……街の地下はその恩恵を偶発的に受けていた、ということですね)
この島の事情を考察しながらマキナは進んでいく。
再び地上に出ると、『パールウォリアー』たちはそのまま柵で囲まれた敷地に入っていった。
そこは倉庫のような建物が規則的に並ぶ空間になっており、奥にはアンテナのような建築物や多用途に使えそうな広い空間が点々とある。
これはまるで――。
(――軍事基地……その設備を拠点としている、ということですか)
常冬の島にある柵に囲まれた空間。
『パールウォリアー』の後をつけたマキナはこの島を支配するコンキスタドールの拠点に辿り着いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『阿古屋貝の戦闘員『パールウォリアー』』
|
POW : アコヤガイシールド
【肩の巨大貝殻を前面へかざしての防御モード】に変形し、自身の【移動速度】を代償に、自身の【高い防御力】を強化する。
SPD : トライデントスロウ
【手に持つトライデントを投擲】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : スタチューパールズ
【肩の巨大貝殻の内側】から【真珠色の粘液】を放ち、【真珠化】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:小鬼田平子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●拠点の入口
『パールウォリアー』たちは罠にかかった猟兵たちをえっほえっほと担いで行く。
向かう先は、拠点にしている軍事基地の跡地。
しかし『パールウォリアー』たちは捕獲した者が猟兵だとまだ気づいていない。
何故なら、捕獲したその尽くが全身を何かに覆われて直接見えない状態になっているからだ。
拠点の敷地内へたどり着くと『パールウォリアー』たちは担いでいた者たちを地面に置く。
「ここでいちど元に戻して念のため確認しよう」
「うん、そうだねー。うちのボス怒ると怖いし……遊びに少しでも耐えられそうな『お友達』じゃないと私たちにも被害が来るよー」
そう言いながら特殊な薬品やらお湯をかけるなどなどで『お友達』候補の拘束を解いていく『パールウォリアー』。
しかし『パールウォリアー』は途中で大変なことに気が付いた。
「「「あっ、猟兵だこれ!?」」」
リルラ・メローメイ
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】【固】
引き続き【艶獣化】で天使の羽をもつ人魚の大人となって行動
「ようやく、拘束が解けたしぃ、これから反撃しちゃうよぉ」
拘束が解除されれば人魚の尾を使ってどんどんとパールウォーリアを攻撃していくよ
でもどんどんと集まってアコヤガイシールドで防御され続けられたら疲労困憊で汗まみれでぐったりしちゃうかも……
そうなったら、手も羽も尾もしっかりと押さえられて……焦り泣きながら、丁寧に真珠色の粘液を服の中の肌や髪、人魚尾、羽に塗られちゃうかも……そうなったら服はそのままに真珠像にされちゃうかもぉ
●真珠の中の人魚
罠にかかった相手を拠点まで運び、確認を開始する『パールウォリアー』たち。
投網で捕まった誰かが入っている箱をひとつ開けると、魚の尾が『パールウォリアー』をびたん! と弾き飛ばした。
「ようやく、拘束が解けたしぃ、これから反撃しちゃうよぉ」
箱から飛び出したのは、投網に捕まって梱包されていたリルラ・メローメイ(マジカルメロウ・f06017)。
リルラはユーベルコードによる覚醒で得た翼を羽ばたかせて跳ねるように空中に飛び上がった。
「どんどん退治しちゃうよぉ~」
その姿は、天使の翼と人魚を思わせる下半身を持つ豊満な大人の姿。
対する『パールウォリアー』たちは焦りを見せる。
「ボスに気づかれる前に何とかしなきゃ!」
「騒いだらバレちゃう! 早く、早く」
――面倒事を増やしてしまえば自分たちも危険なのだ。
リルラを再び捕まえるため次々と集まる『パールウォリアー』。
大人の姿になったリルラは戦闘能力が爆発的に増大しており、敵の巨大な貝殻も難なく砕いてみせるが……。
(もぉ、どんだけいるのぉ~! カチカチでぇ、とぉっても固くて、疲れちゃう~)
大量の『パールウォリアー』を相手に、リルラは疲れを見せ始めていた。
そこへ……。
「つかまえた!」
ひとりの『パールウォリアー』がリルラの腕を掴んだ。
続けて複数の『パールウォリアー』も羽を、尾をと掴んでくる。
リルラはそれを強引に振り払おうとするが……。
「あれ? うそぉ……」
『パールウォリアー』はリルラの身体を貝殻から出る粘液で固め始めていた。
力を込めればパキンと割れるけれど、その上からこれでもかと追加の粘液を塗られていく。
「ボスを怒らせて凍らされるのは嫌だよー」
『パールウォリアー』の方も必死だ。
「や……まって、うそ、やだぁ……!」
身体の自由が奪われていくリルラ。
確実に動きを封じるために服の中まで丹念に粘液を塗り込まれ、もはや首から下は動かない。
リルラは焦りから涙が溢れそうになりながら声を――。
「やめ――」
――声をあげる間もなく、口をべちゃりと塞がれた。
そのまま、リルラはパニック状態のまま残る視界も真珠に覆われていく。
……気持ちさえ落ち着けば、後に真珠の層を割って出ることは可能だろう。
「……静かになった?」
「たぶん……」
翼をもつ人魚の真珠像を警戒しながら、会話をする『パールウォリアー』。
けれどここまでの騒ぎで十分に大きな音が出ていたことだろう。
この騒ぎで、拠点の中でアイスを食べてくつろぐわがまま少女のコンキスタドールはちょっぴり外を気にし始めた。
遊び相手がなかなか届かないイライラは、おいしいアイスだけでは収まらない。
大成功
🔵🔵🔵
ポーラリア・ベル
【人形館】&&& 固
おかしな薬で自由が利くようになったら…わ、お姉さん誰?
とりあえず逃げるのよー!(【地形の利用】で足元氷に変えてスケートするように攻撃をかわそうと)
相手もつるつる、氷に足を取られてきたら【雪兎軍団】で雪兎を沢山!
人形館の皆やテフラんの妖精さんと協力して、かちんこちんの水着美女さんにしてあげる…わーっ!?
不意をつかれて貝殻に閉じ込められて、同行した雪兎さんごと真珠に変わっていって、
雪兎と戯れてる冬の妖精真珠オブジェになっちゃうわっ
でも、外側に逃げた雪兎さんがうぉりあーさんを上手い事凍らせてくれる筈…。
収まった後、雪兎さんやシエナんのお友達に次の戦場まで運んでもらえたら、なんて。
テフラ・カルデラ
【人形館】で参加
&&&
固
てぇーい!氷を破って復活!まさかスカート捲れたまま凍らされるなんて…
こうなったら仕返しに【全てを凍てつかせる小さな妖精】で反撃!ポーラさんとも連携して相手を凍らせまくりですっ!!
…と必死になって抵抗するも、真珠粘液を浴びせられて身動きが取れず逆転されてしまいます
真珠へと変わっていくわたしに追い討ちのごとく粘液を浴びせられ続け…
物言わぬ真珠の像へと変わっていくこととなります
しかし!これもまたボスの元へと運ばれるための算段です!
犠牲者らしく演じて相手に怪しまれないようにわざと…なのです♪
シエナ・リーレイ
■人形館、&&&、固
ユーベルが機能不全に陥るほどに落ち込み凍りついたシエナ
そんな彼女がようやく出会えた『お友達』に全力で抱き着くるのは当然の既決です
見た目からは想像できない怪力による抱擁は背骨を容易くへし折り、咄嗟に貝殻で防げてもそのまま貝殻で挟み込まれ動きを封じられます
そして、シエナの身体から滲み出る呪詛が貝殻の防御を突き抜けてパールウォリアーの心を鬱に誘い、身体を人形に作り替えていきます
逃げないでよ!とシエナは『お友達』候補を追いかけます。
パールウォリアー達がシエナを無力化して生き延びるには呪詛に心身を侵され貝殻に収まった『お友達』にされる恐怖を乗り越えなければならないでしょう
●想定外
罠にかかった相手を拠点まで運び中身の確認を開始する『パールウォリアー』たち。
捕らえた獲物は島を支配するコンキスタドールの少女の遊び相手。
気に入らなければ凍死させ、気に入ってもうっかり凍死させ。
その度に新たな『お友達』の補充を命じられるので、なるべく長持ちするように問題がありそうな相手はここで弾きたいのが『パールウォリアー』たちの実情である。
しかし今回の『お友達』候補の検品作業はいつものようにはいかなかった。
「うん、そうだねー。うちのボス怒ると怖いし……遊びに少しでも耐えられそうな『お友達』じゃないと私たちにも被害が来るよー」
そう言い合いながら、持ってきた像の氷を溶かし、真珠の成分を落としていくと……。
「それにしてもこの島にフェアリーなんて珍し――」
「わ、お姉さん誰?」
覆う真珠を溶かしたら中に居たのはポーラリア・ベル(冬告精・f06947)。
ポーラリアがきょとんと見上げれば『パールウォリアー』を目が合った。
しばし止まる時間……すこし時間を置いた後に『パールウォリアー』はオブリビオンとしての直感から相手の正体を察した。
「あっ、猟兵だこれ!?」
その頃、シエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)もまた氷から解凍されていた。
凍死しない不思議な氷の力で意識がぼんやりしているシエナは寝起きの様に『パールウォリアー』を見つめる。
視線の先にいるのは、猟兵だと気づいて慌てる『パールウォリアー』たち。
「ま、まだぼんやりしているみたい」
「じゃあ早く封じちゃおう!」
前回服がパリパリ割れてほぼ裸なので絵面的にも隠したいところ。
シエナがぼんやりしているうちに真珠になる粘液で再封印しよう考える『パールウォリアー』たちだったが――シエナの目が大きく見開かれた。
「『お友達』候補!!!!!! とシエナは喜びのあまり興奮を抑えきれません!」
「ひぇっ!?」
シエナは興奮のままに近くにいた『パールウォリアー』に抱き着いた。
その表情はどこか尋常ではない、瞳孔の開いた満面の笑みだったという。
「く、苦し……あああっ」
メキ、メキ、と音を立てて背を反らす『パールウォリアー』。その全力の抱擁は表面を傷つけず中身だけを砕く――。
やがて『パールウォリアー』は沈黙してしまった。
死んだのだろうか? しかし、その亡骸は骸の海へ還らない。
……ユーベルコード『友愛のハグ<<ニンギョウヘトサソウホウヨウ>>』により絶命と同時に『人形となる呪詛』を受けたのだ。
微笑むシエナの腕の中には新たな『お友達』が残った……。
●反撃へ
「とりあえず逃げるのよー!」
ポーラリアは、猟兵だと気づき驚く『パールウォリアー』の手をするりと抜けた。
そして魔法の杖『スノーマンロッド』を振ると、魔法で水と冷気を撒きながら氷の上を滑って逃げていく。
「ま、まてー!」
追いかけようとする『パールウォリアー』たちだが、地面がつるつるでうまく走れない。
さらに……。
「ウィンターアーミー、セット! だよ!」
ポーラリアはユーベルコード『冬精式・雪兎軍団<<ウィンターアーミー・セット>>』を発動させた。
逃げるポーラリアの後ろへぽぽん、ぽん、と400近い数の雪うさぎが召喚される。
それは、踏んで壊してしまえば強い冷気が放出される上に戦闘力も程ほどに強い雪うさぎたち。
凍る地面を逃げ回るポーラリアの周囲へ、壊してしまえば足が凍る雪うさぎが地雷のようにばら撒かれ、しかもその雪うさぎは体当たりを仕掛けてくる。
「雪うさぎはくるなー! そこのフェアリーはまてー!」
こうなれば周囲は大混乱だ。
そしてタイミング的にひとり解凍されないまま放置されていたテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)。
混乱が始まる中、凍死しない不思議な氷の力でぼんやりしていた意識は混乱のにぎやかさで戻りテフラは目が覚めていた。
(まさかスカート捲れたまま凍らされるなんて……ところでみんなに忘れ去られている気がしますね)
このままジッとしていたらオイシイ目にあえない、もとい仲間のピンチを助けられない。
(恥ずかしい恰好のまま放置という状況も悪くは無いのですがっ……!)
「てぇーい!」
テフラは意識を集中すると、力を込めて氷を内側からぱりーんと割った。
「シエナさん……は大丈夫そうですね。ポーラさん大丈夫ですか!」
『パールウォリアー』を追い回すシエナは大丈夫そうだと判断したテフラは、逃げるポーラリアの援護へと加わる。
「これはさっき罠で、しかもあんなポーズで凍らされたことへの仕返しですっ! 妖精さん……頼みましたよ!」
テフラはユーベルコードの『全てを凍てつかせる小さな妖精<<アイシング・フリーズ・フェアリー>>』により、悪戯妖精を召喚した。
●大混乱っ!
その妖精は触れた相手を凍らせていく。
「きゃあ、なにこれーっ! 凍っちゃう!? ていうか、あのポーズはわたしたち狙って無い……――!?」
仕返しの理由に反論しつつ凍っていく『パールウォリアー』。
全てを凍てつかせる妖精は『パールウォリアー』の肉体を氷で覆わずに直接凍らせる……そのため表面の色合いは鮮やかで今にも動きそうだ。
しかし目や口内など水分の多い部位は霜でほんのり白くなっており、それは体内の水分の凍結を物語る。
「わあ、かちんこちんで素敵! じゃあポーラも!」
ここで逃げに徹していたポーラリアが反転して雪うさぎを防御から攻撃へまわす。
「かちんこちんの水着美女さんにしてあげる!」
体当たりで『パールウォリアー』にまとわりついた雪うさぎたちはそのまま体温で溶け、消滅時に放出する強い冷気を連続して放った。
「きゃっ、冷た――」
この冷気と溶けた水で『パールウォリアー』の表面が薄氷に覆われる。
氷は薄いのに動かないのは、その冷気が身体の芯まで凍らせたためだろう。
凍った『パールウォリアー』たちはすこしの間を置いた後に指先から消えて骸の海へと還っていった。
トラップと異なる、捕獲用途ではない純粋な冷気が『パールウォリアー』たちを襲っていく。
ろくな接近戦が出来なければ槍も貝の盾も十分に有効活用が出来ない。
触れると凍らされる妖精と、溶けると凍らされる雪うさぎの群れに『パールウォリアー』は押され始めていた。
「うわー、凍らされちゃう!」
あたふたする『パールウォリアー』たち。
さらに脅威はこの悪戯妖精と雪うさぎの群れだけではない。
「来ないでぇー!」
「逃げないでよ! とシエナは『お友達』候補を追いかけます」
人形のお友達を増やすために亡骸がほしい。
けどむやみに生き物を殺す訳にもいかない。
でもオブリビオンなら!
と『お友達』候補を追いかけまわすシエナ(衣類についてはあえて説明しない)。
「あなた達は『お友達』を探していると聞きました。だからわたしと『お友達』になろう! とシエナは合意とみなして迫ります」
「友達を探してるのはボスの方だよー! しかもお友達の意味がわたしたちと違う気がするんだけどー!?」
期待に胸膨らませた後に大きく落胆した反動もあり、ようやく出会えた『お友達』にシエナの心は興奮に満ちていた。
●混乱の収束
ごろん、と貝がころがる。
それはシエナに捕まりそうになり肩の巨大貝殻へ緊急避難した『パールウォリアー』……の人形。
捕まってしまえばユーベルコードによる『人形化の呪詛』を流し込まれてしまうため、諸々の耐性が高くなければ触れた時点で変化させられてしまう。
特に今のシエナは興奮のあまり『たくさんお友達がほしい』という想いで頭が一杯で、次から次へと『お友達』を増やしていた。
そんな大混乱の中。
「――真夏の氷の神様?」
ポーラリアがふと建物の方へと振り向く。
冬の縁が、真夏の氷の接近をポーラリアに告げていた。
わがまま少女のコンキスタドールが外の騒ぎに気が付いてここに近づいている。
その不意に。
「やっと捕まえた! 猟兵はお呼びじゃないからこのまま封印されてもらうよー!」
「わわっ、真珠オブジェになっちゃうわっ!」
むんずと『パールウォリアー』に掴まれたポーラリアは、そのまま肩の貝殻に突っ込まれてしまった。
ポーラリアの近くにいた雪うさぎもどろりとした粘液をかぶり真珠でコーティングされていく……。
「ポーラさん!? 助けないと……!」
けれどそのためには、いちど貝からポーラリアを取り出さなければならない。
(うらやまし……じゃなくて、いちど敵を凍らせてそれから……)
助ける算段を立てながら、美味しいシチュエーションのフラグを感じるテフラ。
その中で導き出した作戦とは――。
(――ボスの元へと運ばれるため、もう一度固まるのも良いかもしれませんね!!)
猟兵だと解った後だと厳しい気もするけれど、ともかくテフラはその作戦を実行した。
「ポーラさん今助けますー!」
ポーラリアを捕らえた『パールウォリアー』目掛けて駆け寄るテフラ。
手を伸ばすとそのまま表面が真珠になる粘液をかぶってしまう。
「ああっしまった! 助けるつもりが逆にっ……!」
表面を真珠に覆われ動かなくなった指にうろたえる様に立ち止まるテフラ。
するとチャンスとばかりに『パールウォリアー』が一斉に襲い掛かった。
(犠牲者らしく演じて相手に怪しまれないように……♪)
そこには真珠の層に丸く包まれて名残が羽根しか見えない艶やかな球となったポーラリアと、嬉しそうに見えなくもない状態で白く輝く真珠の層に包まれたテフラが残された。
「……やっと収まったー。残る猟兵も止めたら、これは海に沈めて無かった事にしよう」
残るシエナをどうやって止めるのかという課題を残しつつ、そんな会話をする『パールウォリアー』たち。
しかし、先ほどポーラリアが察知したように、島の主――遊び相手を待つ不機嫌なわがまま少女が、騒ぎに気づいてこの場に近づきつつあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マキナ・マギエル
&&&
「油断が過ぎます。」
それ程までに現地住民との間には隔絶した差があるのか、それとも単純に愚かであるのか…
何れにしても驕りは容易に足を掬います
固められる猟兵が一定数存在すると言う状況も追い風です
「猟兵など大した事が無い」と言う油断が更なる隙を生むでしょう
脅威と思った相手が肩透かしであって欲しいと言う「願望」が、やがて「そうであるという事実」に変わる
強大な存在の傘下にて、恩恵と恐怖を受ける知的生命体であれば尚の事そうでしょう
滑稽です
…さて、そろそろ良い頃合いでしょうか?
多量の【ウィザード・ミサイル】を撃ち込み、敵集団を蹂躙せしめます
一発一殺とまでは行かないでしょうが、物量で押し切るとしましょう
●最後の殲滅
そんなこんなで拠点の入口でわちゃわちゃとゆるく戦闘が進む様子を建物の上から観察している者が居た。
その人影は、戦闘慣れしていない『パールウォリアー』たちを見て目を細める。
「油断が過ぎます」
そう建物の上で呟くのはマキナ・マギエル(機械仕掛けの魔術師・f05106)。
『パールウォリアー』の後を追いここまで来たマキナは、そのまま魔術による空中浮遊で建物の上に潜み様子を伺っていたのだ。
ここまで見てきた『パールウォリアー』たちの行動は、規定外の状況に対する判断が遅く、手際も悪い。
島という閉鎖環境であることも影響しているのだろうか、とマキナは考察を進めた。
(それ程までに現地住民と隔絶した戦闘力の差があるのか、それとも単純に愚かであるのか……)
下で繰り広げられた騒ぎもやがて収まり始め、静かになってくる。
「……さて、そろそろ良い頃合いでしょうか?」
するとmマキナは立ち上がると魔力を練り始めた。
間を置かず周囲には魔法による炎の矢が展開されていく。
「『猟兵など大した事が無い』もしくは『既に勝敗は決した』という油断。それが更なる隙を産むでしょう。脅威と思った相手が肩透かしであって欲しいと言う『願望』が、やがて『そうであるという事実』に変わる……」
マキナは眼下を見据えた。
姿を見せていないマキナはともかく、他にまだ片付けるべき敵がいるのに雑談に耽る『パールウォリアー』たちの姿がそこにはあった。
見るからに『パールウォリアー』たちは勝ったと思い込んでいるのだ。
「そのような驕りは容易に足を掬います。強大な存在の傘下にて、恩恵と恐怖を受ける知的生命体であれば尚の事そうでしょう。滑稽です」
言葉と同時にマキナは炎の矢を放った。
地面へ降り注ぐのは、大量の炎の矢……ユーベルコード『ウィザード・ミサイル』だ。
猟兵たちに当たらない様、狙いを定めて放たれたそれらは地上に残る『パールウォリアー』を殲滅した。
炎の矢が一時的に温度を上げ周辺の氷や雪を溶かす――。
湯気が立ち込める中で声がした。
「パール! いつまでも遊んでないで『お友達』を――な、なんなのー!?」
島の主――遊び相手を待つわがまま少女がここまでの騒ぎに気づいて現れた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『サマースノウガール』
|
POW : ミッドサマーフローズンウェーブ
【陽を遮る雪の津波】と【海を凍らす氷の津波】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD : 今は戦闘より遊びたい気分なの。
【極寒の中(スイカ割り等の)夏遊びがしたい】という願いを【呼出した水着の雪像人間達と周囲の存在全員】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
WIZ : メガリス『悪魔の取引鏡』(スマホ改造版)
【雪だるま型スマートフォン】から、【氷菓から巨大ロボットまでなんでも取り寄せ】の術を操る悪魔「【と名乗る者の声】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
イラスト:kamiya jun
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ポーラリア・ベル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●冬の島の夏
「パール! いつまでも遊んでないで『お友達』を――」
外の騒ぎに気が付いた島の主――遊び相手を待つわがまま少女が外に通じるドアを開ける。
そこには戦闘員の『パールウォリアー』たちが居る筈だった――。
お友達はすぐ凍死しちゃうし、だから今月のお友達を連れてきてほしいのにぎゃあぎゃあと騒ぐ戦闘員たち。
そんな彼女らに文句を言ってやろうと来てみれば。
外はミサイルでも降って来たかのような穴と雪解けと、一時的な温度の上下による霧で充満している。
「えっ、えっ、これは何があったの……?」
よくよく見れば真珠に閉じ込められた何かが居るけれど、戦闘員たちの姿は見当たらない。
いや――すこし居るけれど人形のように生気が無くて様子がおかしい。
「あたしは戦闘より遊びたい気分なの。メガリスも『代償』で連発できないし……」
霧で視界が悪い中、わがまま少女は異常を察知して雪だるま型スマートフォンの様なメガリスを手に辺りを警戒した。
彼女が『常冬の島』を支配する真夏の氷、『サマースノウガール』だ。
●
※真珠化からの復帰について
戻るにはそこらへんに落ちている元に戻る薬を使うか、時間経過で自然復活か、内側から力を込めて暴れたら割れます。
メガリスによる『交渉』は、『捧げる代償』の交渉になります。
.
●警戒
「パール! いつまでも遊んでないで『お友達』を――」
外で何やら騒がしい戦闘員たちに対し苛立ちながらやってきた『サマースノウガール』。
けれど、目の前に広がる光景は解けた雪に抉れた地面。
他にもいろいろあるけれど、何より急な温度変化で立ち込める霧で視界が悪かった。
(もしかして他の島からの侵略なの?)
この『島』を奪うために別の島から何かが攻めてきたのかもしれない……。
『サマースノウガール』は雪だるま型スマートフォンの様なメガリスを手に警戒をする。
マキナ・マギエル
&&&
「巨大ロボットですか。」
ならば私も、キャバリアの試運転を行いましょう
【Cancer】に搭乗し己の【限界突破】を果たします
何分初めての使用ですので加減が利かないとは思いますが、要練習ですね
他の猟兵も真珠化の打破に手古摺っている様です
敵を消耗させつつ目を引き付け、少しでも時間を稼ぐとしましょう
【空中浮遊】による対地攻撃を敢行し視線を空に向けさせます
味方の猟兵を撃ち抜かない様に気を付ける必要はありますが…
【ウィザード・ミサイル】のつるべ打ちなど如何でしょうか?
圧倒的物量ですので、生半可な強さでは対処不可能です
易々と倒し切れると自惚れるつもりはありませんが、精々多大な代償を払って頂くとしましょう
●ロボvsロボ
立ち込める霧の中から声が聞こえた。
「――隙だらけです。どうやら戦い慣れていない用ですね。その経験不足は、島の気候が心地よく滞在を長くしている等の要素に起因するのでしょうか」
声の主――マキナ・マギエル(機械仕掛けの魔術師・f05106)は潜んでいた屋上から離れるとゆっくりと浮遊して広い場所に降り立つ。
そして風属性の魔術で霧を晴らし『サマースノウガール』に自分を視認させた。
(味方の猟兵を撃ち抜かない様に気を付ける必要がありますからね……)
その目立つ行動は、動けない味方をなるべく巻き込まないために敵を誘い出す意図もある。
そのマキナの行動――たったひとりで姿を見せる敵に『サマースノウガール』は明らかに気を緩めていた。
「びっくりして損したの。一人なら怖くないのよ! せっかくだから、あたしと遊んでいくといいの!」
そう言うと『サマースノウガール』はメガリスのタッチパネルを操作する。
「せっかく取り寄せた『ジャックフロストMk-Ⅱ』なのに、あまり使いドコロがなくてつまらなかったの」
建物の灯りが数秒、ブチンと途絶える。
すると雪だるまのようなシェルエットのキャタピラのロボが何処からともなく現れた。
「事前に作ったものを呼ぶだけなら、事前に予約してる発電電力で『代償』の簡単決済なの!」
ジャックフロストMk-Ⅱの取り寄せが完了すると周囲の電力は元に戻ったのか建物の灯りが戻った。
莫大な電力を『代償』とする様だが元より灯り以外に電力を用いていない『サマースノウガール』にとっては些細なことなのだろう。
その巨大な雪だるまロボを見たマキナはキャバリア『Cancer』を呼び出す。
「巨大ロボットですか。ならば私も、キャバリアの試運転を行いましょう」
鍔の広い三角帽子の様な頭部の意匠が魔法使いを思わせるキャバリアが現れた。
魔術の如く顕現したそれは高度な科学を技術の根源とする。
現れたキャバリアへ、マキナは搭乗した。
●その代償
「さっぱーん! 水鉄砲なの!」
『サマースノウガール』の乗り込むジャックフロストMk-Ⅱが、肩のキャノンから大量の水――過冷却水を吐き出した。
それは触れたものを片っ端から氷へ閉ざしていく脅威を持つ。
それをマキナの『Cancer』は空中へと浮遊して回避した。
「さて、敵を消耗させつつ目を引き付け、少しでも時間を稼ぐとしましょう」
「飛ぶなんてズルいのー!」
眼下では腕のドリルをバタバタさせるジャックフロストMk-Ⅱの姿。
「ふむ……どうやらあの水鉄砲は連射出来ない用ですね。水の生成と冷却に多少の時間がかかると言った所でしょうか」
その様子を冷静に分析しながら、マキナは反撃を開始した。
「では次は此方から。ウィザード・ミサイルのつるべ打ちなど如何でしょうか?」
三百本を超える炎の矢が『Cancer』の周囲に生成される。
「チャージはまだ? はやく、はやくなの!」
一方でジャックフロストMk-Ⅱは先ほどの水鉄砲以外に遠距離攻撃を積んでいない様子だ。
「武装が少ない――やはり、想定が甘いですね」
そう呟くと、マキナは無数の炎の矢を打ち下ろした。
「悪魔さん、『なんでもいい』からバリアを寄こすの! はやく!」
その時、突如ジャックフロストMk-Ⅱの胸元に新たなパーツが増えて氷のバリアを形成する。
バリアが炎の矢を防いだ。
「部品が増えましたか……メガリスを使った様ですね。易々と倒し切れると自惚れるつもりはありませんが、精々多大な『代償』を払って頂くとしましょう」
マキナは立て続けてウィザード・ミサイルを放った。
途切れることのない炎の矢は『サマースノウガール』にメガリスの使用を強いていく……。
「へくちっ」
その時だ。
『サマースノウガール』がくしゃみをした。
悪魔に全てを委ねた取引で彼女は『凍結や寒さに対する耐性』を徐々に失っていたのだ。
「え、どうして『寒い』の――きゃあー!?」
疑問は隙を生む――炎の矢が降り注ぎ、『ジャックフロストMk-Ⅱ』は損壊した。
大成功
🔵🔵🔵
テフラ・カルデラ
【人形館】で参加
&&&
固
WIZ
真珠の殻をぶち破り…サマースノウガールの目の前でかっこよくキメッ!魔法少女テフラ参上なのですっ!
【らいおんさんあたっく!】で一気に決めて…って何ですかあの機械は!?アレもしかしてサマースノウガールが召喚した…
ひゃわわ…捕まってしまいました…というかこれ…嫌な予感が…
にゃぁぁぁーーー!?冷た…い…で……
(サマースノウガールの召還した謎機械によってカーボンフリーズ処理をされてしまう)
(その後、ポーラリアによってスノーボード代わりにされてしまい、何とか元に戻った後)
今回、凍結に真珠化・カーボンフリーズと変化尽くしでしたね…
それはそれで…悪くないかも…です♪
シエナ・リーレイ
■人形館・$$$・固
わたしと一緒に遊びましょう!とシエナは『お友達』候補を誘います。
沢山の『お友達』が出来てご機嫌なシエナ、新たに現れたスノウガールの願いを快諾して遊び始めます
その身に纏わりつかせながらも楽しく遊ぶシエナ、その気分は再び高揚としてゆき、その身から呪詛が滲み出し始めてしまいます
それっ!とシエナは棒を振り下ろします。
呪詛を纏ったシエナは無意識の内に怪力を振るい始め、ボスへの不満に満ちた『お友達』の誘導を頼りに”スイカ”目掛けて棒を振り下ろします
みんなも遊ぼうよ!とシエナは『お友達』を誘います。
そして、逃げ出したスノウガールを『お友達』と共に追いかけ始めるのでした
ポーラリア・ベル
人形館 &&& 固【宿敵主】
神様の気配が、するー!
シエナんから逃げてきた所を転がって近づき、弄られたらくすぐったさで【怪力】使って真珠から出るよ!
【氷耐性】で沢山遊べるけど、昔は構い過ぎて嫌がられたのよね。
でも折角冬に来てくれたし、沢山遊ぼー♪
流れついたてふてふ(テフラ)の氷の板乗って、津波をサーフィンしながら
【霜雪巨人の氷手】でちゃぶ台返し、氷海の津波で対抗!
【天候操作】【全力魔法】で雪と氷海の水を集めて、過冷却で巨大な氷水の雪玉を隙あらばどーん!
ジャックフロストさん氷漬けにして【怪力】で叩き割って、本体を雪だるま型の氷に、閉じ込めるー♪
その後大丈夫なら【フリーズコレクション】に保存するの!
●幕間
時は少し戻り、建物から離れた広い場所――元は滑走路だったのだろう――で戦闘が始まるその頃。
「魔法少女テフラ参上なのですっ!」
パリパリーンと真珠の層を割って出てきたテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は魔法の杖『ラビット・ラビッツ』で魔法少女服の姿に変身していた。
ブイの字の指を眼前に掲げビシッとポーズをとると、テフラはすぐさまユーベルコード『らいおんさんあたっく!<<カワイイライオンサンダ>>』を使って片手をかわいいデフォルメ調ライオンに変形。
戦闘態勢をとって現れたはずの『サマースノウガール』の姿を探す。
「これで一気に決めて……って何ですかあの機械は!?」
その時、テフラが目撃したのは巨大な雪だるま型のロボ『ジャックフロストMk-Ⅱ』だった。
「アレもしかしてサマースノウガールが召喚した……」
などと言いながら既に始まっている戦闘に加勢しようと近づくと、放水される大量の過冷却水に巻き込まれてしまう。
「にゃぁぁぁーーー!? 冷た……い……で……」
戦闘に巻き込まれたテフラはそのまま凍てつく氷に閉ざされてしまった。
●積もる違和感
わがまま少女の『サマースノウガール』。
今までこの島では全てが彼女の思うがままだった。
何故ならここで一番強かったから。
けれどその天下は猟兵たちが来たことで終わってしまう。
「きゃあー!?」
先の戦闘で『ジャックフロストMk-Ⅱ』を失い、放り出された『サマースノウガール』。
しかし彼女の身に起きた異変はそれだけでは無かった。
「うう……ひどい目にあったの……」
そう言いながら身を起こす『サマースノウガール』……その姿は身を温めるように肩を寄せている。
「へくちっ。……さっきからなんだか涼しすぎる気がするの」
先の戦闘で『代償』の内容を悪魔に任せていた『サマースノウガール』は、その結果として『凍結や寒さに対する耐性』が大きく低下している。
けれどこの違和感への疑問と思考はすぐに中断されてしまった。
何故なら、霧が晴れて視界が良くなったことでシエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)が駆け寄って来たためだ。
「わたしと一緒に遊びましょう! とシエナは『お友達』候補を誘います」
とても上機嫌に目をキラキラさせて『サマースノウガール』の手を握るシエナ。
突然の追加の敵の出現にびっくりした『サマースノウガール』だけれど、よく見るとシエナは『パールウォリアー』と一緒にいた。
このパールウォリアーはシエナのユーベルコードの呪詛ですでに人形となってしまったものだが、ぱっと見ではそれはわからない。
それ故に、異変に『サマースノウガール』はすぐ気づけない。
(パールたち一体どうしたの……? 猟兵は敵じゃないの?)
警戒しながら『サマースノウガール』はパールウォリアーと着せ替え合っているシエナを見ていた。
ふと横を見ればそこには過冷却水に巻き込まれて凍ったテフラの氷像がある。
「あ、ここにも猟兵がいたの。こいつはこのまま動けない様にしておくの」
(あわわ……気づかれてしまいました、氷が厚くて動けませんしどうしましょう……)
成す術なく慌てるテフラをよそに『サマースノウガール』はメガリスを操作していく。
「もしもし悪魔さん、新しくカーボンフリーズ処理の機械が欲しいの。お代はあたしの部下をひとり……え、ダメなの?」
自分の所有物としてパールウォリアーを『代償』にしようとした『サマースノウガール』。
しかし今ここにいるのは人形であり『サマースノウガール』の配下ではない……。
●冬の再会
「何かがおかしいの……。じゃあ、秘蔵のアイス一週間分でお願いするの……」
交渉を終えた『サマースノウガール』は状況の違和感を強めながらも、取り寄せた機械を作動させた。
その機械に取り込まれていくテフラ(氷)。
(ひゃわわ……捕まってしまいました……というかこれ……嫌な予感が……)
機械に取り込まれたテフラは、ガリガリと加工されたあとにプシューとガスなどを吹きかけられ、強固な板に閉じ込められた状態で排出された。
ごとり、と転がるテフラ。
「ふぅ……これで脅威がひとつ減ったの」
板に浮き出た姿がテフラの存在を主張しているが……こうなってしまえば自力で戻るのは非常に困難だろう。
その時、『サマースノウガール』足元へ丸い真珠がころころ転がってくる。
「これは何なの……?」
それは丸い真珠に封じられているポーラリア・ベル(冬告精・f06947)だった。
(神様の気配が、するー!)
ポーラリアはガタガタともがくと目いっぱいの力を込めた怪力でパカーンと割って飛び出した。
「夏の混ざった素敵な気配! スノウちゃん遊ぼー!」
くるりくるりと『サマースノウガール』の周囲を飛び回るポーラリアは、スノウガールの手をとると嬉しそうに微笑む。
(昔は構い過ぎて嫌がられたのよね。でも今度は)
以前にもヒーローズアースで『サマースノウガール』と相対したポーラリア。
その時は面倒くさがられてしまったけれど、今度こそ! と目を輝かせている。
(な、なんなの……? あたしと知り合いみたいだけど思い出せないの……)
けれど、オブリビオンは世界に染み出た時点で別個体になるため、こちらの『サマースノウガール』には身に覚えがない。
戸惑う『サマースノウガール』を他所にポーラリアは嬉しそうにはしゃいでいた。
「折角冬に来てくれたし、沢山遊ぼー♪」
目の前には攻撃をする様子がないばかりかニコニコして手をとるポーラリア。
近くにはパールウォリアーと仲良くしているシエナ。
この状況から『サマースノウガール』はこういう結論に至った。
(この二人はオブリビオンをいじめる猟兵じゃないのね!)
「遊ぼう! 二人は寒いの平気みたいだから、思いっきり遊べそうなの!」
『サマースノウガール』は、ポーラリアの誘いに笑顔で答えた。
●人形たちとの夏遊び
「「「じゃんけーん、ぽん!」」」
「スノウちゃんの負けー」
「じゃあ罰ゲームだね、とシエナは棒を用意します」
じゃんけんをした三人+αは罰ゲームの準備を開始していく。
それは、雪に埋まった敗者に向けて軟質素材の棒でスイカ割りごっこをするというもの。
「次は絶対勝つのー!」
悔しそうに口をとがらせる『サマースノウガール』。彼女は、まわりのパールウォリアーたちがシエナの呪詛で人形となっていることにまだ気がついていない。
一方でじゃんけんに勝ち残って罰の執行役となったシエナは目隠しをすると笑顔で素振りしていた。
沢山の『お友達』が出来てかなりご機嫌な状態である。
「思いっきりやらないでほしいの、痛いのは嫌なの!」
罰ゲームの手加減を要求しながらも、『サマースノウガール』は大人しく雪に埋まった。
その後、あっちだよ、こっちだよと声を頼りに『サマースノウガール』へ近づくシエナ。
ゆっくりと歩きながら……片手で抱く緑髪の人形(シエナの本体)から何やら呪詛があふれだし形容し難い輝きを放っていく。
「凄く楽しくなってきたよ! とシエナは気分の高揚を訴えます」
「えっと、ちょっとたんま、なの! このお姉さん様子がおかしい気がするの!!」
異変に気付き中止を訴える『サマースノウガール』だがシエナは止まらない。
「それっ! とシエナは棒を振り下ろします」
同時に怪力で思いっきり振り下ろされた棒が呪詛を纏って、ゴォ、と黒い風を生む――。
棒は『サマースノウガール』を外れ、すぐ横の雪を抉った。
「――!!」
軟質素材とはいえ、その威力に身の危険を感じた『サマースノウガール』。
眼前には目隠しをとったシエナが、どことなく狂気を込めた張り付く笑顔でニコニコ見下ろしていた。
「……残念、とシエナは次の機会を楽しみにします」
「冗談じゃないの! 痛いのは嫌なの!」
慌てて雪から這い出すとそのまま逃げ出す『サマースノウガール』。
その時、彼女は進路を塞ごうと出てきたパールウォリアーとぶつかってしまった。
「パール、邪魔をするななの! あなたたちずっと様子が変――ひぁ!?」
この時、『サマースノウガール』はようやくパールウォリアーが人形になっていることに気が付いた。
「あ、あなたたち、一体パールに何をしたの……?」
近づくシエナから逃げる様に後ずさる『サマースノウガール』。
周囲は人形たちが囲み逃げ場はない……。
シエナはその問いには答えず、周りの『お友達』――人形たちへと呼びかけた。
「みんなも遊ぼうよ! とシエナは『お友達』を誘います」
●遊びの終わり
「嫌なの! あたしは人形にはなりたくないのー!!」
秘蔵のパフェを『代償』にメガリスでサーフボードを取り出した『サマースノウガール』は、自身の氷の能力をフル稼働させた。
生み出されたのは雪と氷の津波。
「待って! とシエナは――」
雪に飲まれるシエナと人形達……『サマースノウガール』はサーフボードで雪の波に乗って逃走した。
「このまま海まで逃げるの!」
雪は陽を遮り、凍りは海さえも凍らせる。
全てを凍らせる極寒の津波――いつもならこのまま逃げ切れるはずだった。
「わー♪ 素敵な波! 乗りがいがあるわ!」
声がした方を見てみれば、そこには板で波に乗るポーラリアが居た。
寒さや凍結への耐性が高いポーラリアはこの極寒の津波でも平気の様子で。
「夏の海の遊びだね!」
と、波乗りを楽しんでる。
ちなみにポーラリアが乗っているのはさっき板状に固められていた元テフラだ。
「このまま競争なのかしら。行き先は海? それとも山? サーフィンの次はどんな遊びをするの?」
そう問いかけるポーラリアへ、『サマースノウガール』は津波を重ねて雪と氷に沈めようと攻撃する。
「もう遊びはいいの!」
ポーラリアが乗る波が崩れてポーラリアを飲み込もうとする……しかし。
「ちゃぶ台返し! 波のお返しだよー♪」
ポーラリアは巨大な氷の手――ユーベルコード『霜雪巨人の氷手<<フローズンワンダーハンド>>』――を作り出すと、ザブンと波をすくって返した。
ぶつかる波。冷たい水しぶきが飛び散る。
「ひゃっ!? つ、冷たいの! え、冷たい……やっぱりなんだかおかしいの!!」
この時『サマースノウガール』は忘れていた違和感を思い出した。
●永遠の中へ
緊急時に行った、悪魔に丸投げした一部の『代償』……その支払いで『サマースノウガール』はいま、『凍結や寒さに対する耐性』が大きく減っている。
その『代償』が『サマースノウガール』を危険な状態に晒していた。
バランスを崩して津波に堕ちたら最後、自らの技で自分自身が凍ってしまうことだろう。
「あ、悪魔さん、壊れたのとは別の『ジャックフロストMk-Ⅱ』をもう一体寄こすの! 代償は『なんでもいい』のー!!」
冷水から避難しようと『サマースノウガール』は焦った。
けれど、ポーラリアは取り出された『ジャックフロストMk-Ⅱ』へと過冷却の氷水を浴びせていく。
「隙ありー! 巨大な氷水の雪玉をどーん!」
そうやって凍り付いたソレに近づくと、ポーラリアは搭乗口を怪力でバキッと壊して覗き込む。
「乗る場所は前と一緒なのね!」
と、縁に嬉しさを感じながら覗くと中には震える少女がただひとり。
「とても弱っているのだわ。でも、せっかく仲良くなったのだし……」
ポーラリアは、どうやったら『ずっと一緒に居られる』のかなと考える。
そして……。
「じゃあ、こうしましょ! ずっと溶けない、真冬の世界へようこそ♪」
ポーラリアは小さなスノードームを取り出すと、にこりと微笑んで少女を吸い込んだ。
スノードームの中は極寒の氷雪世界……。
ユーベルコードという超常能力による束縛は、力尽きた彼女を世界の理から外して半永久的に閉じ込めることだろう……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2021年01月04日
宿敵
『サマースノウガール』
を撃破!
|