【旅団】龍神温泉郷の秋祭り
これは旅団シナリオです。
旅団『恋華荘』の団員だけが採用される、EXPとWPが貰えないショートシナリオです。
●ここではないどこかの温泉郷
「あ、そういえば、もうすぐ桐子さんの所の例大祭じゃありませんでしたっけ?」
相変わらず、今回も発端は恋華荘管理人たる彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)の台詞からだった。
ただ、今回は独り言ではない。
いちごが話しかけている相手は、いちごとも昔馴染みで親戚の妹分のような間柄の寮生、九尾・桐子(蒼炎の巫女・f28109)だった。
桐子の実家は、恋華荘のある龍神温泉郷を守護する神社の一つ、九尾神社だ。
いちごが育てられた白銀神社同様、この龍神温泉郷に封じられた神を祀る神社のひとつである。
「ええ。ちょうど今度の三連休ですね。今年は連休も重なったので、3日間縁日を出して盛大な祭りにするようですよ」
「いいですね。桐子さんのお邪魔にならないのでしたら、皆さん誘って遊びに行きましょうか?」
いちごはそう言って微笑む。
縁日をみんなで回るのは楽しそうだと想像を巡らせているらしい。……恋華荘でみんなというと、どれくらいの人数に膨れ上がるかはともかく。
「そんな迷惑ではありませんよ。私は巫女として仕事もあるので、あまりお相手はできないと思いますが、縁日巡りを楽しんでくれるといいです」
桐子も、祭りが賑わうのはいいだろうということで、軽い微笑みを見せていた。
ここで終わればよかったのだが。
「いやー、いちごパイセン、それはダメっしょー?」
そこに現れたのは第3の人物。
今どきの女子高生といった感じの風貌の少女、白銀・八重(白銀の御神刀・f29980)だった。
見た目も言葉遣いもJKな八重だが、実はこれでもいちごが育った白銀神社の御神刀のヤドリガミだったりする。なぜJKムーブしているのかは果てしなく謎だ。
「八重さん、ダメって何がです?」
「せっかくの縁日デートのチャンス、みんなでなんか勿体ないっしょ? それに、恋華荘の皆でって言ったら、相当な人数になって桐子ちゃんにだって迷惑かかるかもしれないしー?」
「うっ……」
縁日デートはともかく、恋華荘での大人数を考えると少々申し訳なく思ってしまったいちごは、八重の勢いに圧されるまま言葉に詰まってしまった。
なので、八重はここからさらに叩き付ける。
「だから、いちごパイセンは3日間お祭りに出ずっぱりでー、あとは時間区切ってみんなとデートすればいい、みたいな?」
「なんでそうなりますかっ!?」
割と無茶な八重の提案に声をあげるいちごだったが、八重はもちろんいちごの言う事など聞いていない。んじゃ、あーしはみんなにこのことつたえてくるよー、とあっという間に行ってしまった。
「あ、ちょっと、八重さーん!?」
「……まぁ、集団で来られるよりは、こちらは楽ですけどね。3日間頑張ってください、いちごさん」
呆れたように桐子もため息をつくのだった。
雅瑠璃
こんにちは。またはこんばんは。
雅です。
というわけで恋華荘の旅団シナリオになります。
なので当然ですが、参加可能なのは恋華荘の団員だけです。ご了承ください。
今回は神社の秋祭りということで、縁日デートの回になります。
シナリオ内時間は、11月21日から23日まで。
この間、龍神温泉郷の神社のひとつ、桐子さんの実家の九尾神社の例大祭という設定で、縁日デート、という事になります。
八重が宣伝してしまったことにより、いちごには縁日デートの申し込み殺到……といった体で、いつものようにいちごの時間の争奪戦をしてもらう事になります(笑)
なので今回は、3日間の午前午後夕方夜の12枠ということにしますね。
【21日午前】【21日午後】【21日夕方】【21日夜】
【22日午前】【22日午後】【22日夕方】【22日夜】
【23日午前】【23日午後】【23日夕方】【23日夜】
今回はこの中から一つ選んでください。
それぞれの時間帯でいちごを誘っての縁日デートということになります。
露店なんかは思ったものはだいたいあると思います。
わたあめ、りんご飴、チョコバナナ、焼きそば等の屋台の食べ物。
金魚すくい、ヨーヨー釣り、射的、輪投げなどのゲーム系の屋台も。
なんでも思いつくままにどうぞ。
……それとまぁ、その他とらぶるなんかもご自由にどうぞ?(笑)
もちろん、今回も寮生同士での談合や相談は禁止です!【重要】
被った場合は、みんなでお祭りになるだけですね(笑)
さて、今回も連休に執筆行いますので、プレイングの提出は、11月20日8:30~21日8:29までの間にお願いします。この間に提出していただけると、締め切りが連休明けの24日の朝になりますので。
質問等があれば旅団でお願いします。
それではプレイングお待ちしています。
第1章 冒険
『ライブ!ライブ!ライブ!』
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POW : 肉体美、パワフルさを駆使したパフォーマンス!
SPD : 器用さ、テクニカルさを駆使したパフォーマンス!
WIZ : 知的さ、インテリジェンスを駆使したパフォーマンス!
👑1
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カラー・モーティマー
【21日午前】
※自分をサラさんと呼ばせる
グッデイ、イチゴ!
最近はさみーよな
波に乗ってないと鈍っちまうぜ…!
なぁなぁ、エンニチ…だっけ?
そういうフェスがあるって聞いたぜ
賑やかさは歓迎だ、連れてってくれよ!
よっしゃOKだ、行こうぜっ
…寮の連中ほど色気ねぇのは勘弁な
※小麦色の健康美だが胸は控えめ
※厚着のパンツルック、帽子に謎の目玉柄
お、ガンファイトの出し物(射的)もあんのな?
少しやろうぜイチゴ、ゲットした数で勝負だ!
※結果一任、反応は総じて男子の悪友風
いーねえ、楽しいぜ♪…イチゴは楽しいか?
だってお前の周り、ロマンスばっかりだろ
オレもアツいのに憧れてるんだけど、さー…
※照れて頬を掻く、実情は知らない
ルイザ・シャーロット
【21日午前】
アドリブ大歓迎です。
日の高いうちから縁日を味わうなんて不思議な気分です。
九尾神社の鳥居の下でいちごさんと待ち合わせして……。
そんな私が見つけたのは縁日の定番、射的の屋台です。
私といちごさんで、どれだけ的を射抜けるか勝負ですよ。
……なんだかんだ言って熱くなってしまいました。
ゲットした商品は、謎の箱です。
中に何が入っているかわかりませんが、とりあえず開けてみましょう。
……な、なんですか、これは。
うん、私にはまだ早い……ような。
(何が入っているかはお任せします)
もし鉢合わせしてしまったら、その時はみんなで射的勝負です。
私、負けませんよ!!
織笠・アシュリン
【21日午前】
秋祭り……んー、遊びた~い!
でも、いちご誘っても大概誰かいるんだよね……
うーんうーん……まぁいっか!(悩むのを止めた)
というわけで、いちごを射的へ連れて行くよ!
「いちご、やってみようよ!」
あたしは慣れてるからすぐ構えるけど、いちごは……慣れてないか
「あ、構え方教えるよ!うん、まずはストックを肩につけて、頬をむにっと押し付けてから、目の前のアイアンサイトを……」
そうして、あたしの手で肘を落とさせたり、脇を締めさせたりして、姿勢を整えていって……
「いいよ、それで撃ってみて!」
結構いい感じじゃないかな!あとは弾道補正で……
……あ、気がついたらいちごの身体触りまくってる!?(かぁぁ)
月読・美琴
【21日午前】
「九尾神社の例大祭となれば、きっと桐子さんが忙しいに違いありません。
神様、ちょっとお手伝いに行ってきますね」
閑古鳥が鳴いているボロボロの月読神社を見て、ひとつ溜息をついてから、九尾神社に向かいます。
「桐子さん、お手伝いに来ました。
何でも言いつけてくださいね」
社務所の仕事から神楽舞まで、何でもこなせますので、桐子さんのお役に立ちましょう。
休憩時間に境内をふらふら歩いていると……
ばったりといちごお兄様に出会います。
「あ、いちごお兄様!?
ええ、今、休憩中でして……」
そのまま、しばらくいちごお兄様と縁日を見て回ります。
「いつもお祭りは神社側なので、こうして参加するのも楽しいですね」
フロウヴェル・ゼフィツェン
【21日午前】にいちごを誘うの。
今回も一番乗りは頂くの…この時間なら、まだいちごもそんなに疲れてないと思うし。
浴衣は、頽廃たる夜会の招待状で作った白基調のゴスロリ浴衣。
いちごも、良かったら着る?
縁日とかお祭りって、夕方から夜のイメージが強かったから…なんだか新鮮なの。
この時間でも、結構人多いの…いちご、手を繋いで欲しいの。はぐれないように…。
しっかり手を繋いだら、露店巡りをするの。
りんご飴を半分ぐらいずつ食べあったり、たこ焼きを食べさせあいっこしたり。
あと、輪投げもやってみるの。【投擲】はオブリビオン相手によくやってるから得意なの。
ぬいぐるみゲットなの。デートのお礼も兼ねていちごにあげるの。
●21日午前
11月21日から23日。
龍神温泉郷にある3つの神社の中でも最も大きな九尾神社の例大祭の日。
今回は連休と重なったという事もあって、3日間続く盛大なお祭りになっていた。
一番賑わう夕方から夜の時間にもなれば、温泉郷に住む人が皆来ているのではないかというかの人出で賑わうだろう。これを目当ての観光客も来ているはずだ。
ところ変わって。
そんな大賑わいの九尾神社とは異なり、ここはいかにも貧乏な小さな神社。
龍神温泉郷の三社のひとつではあるのだが……閑古鳥が鳴いているボロボロの月読神社である。
そんな自分の実家を見てため息をついている少女がひとり。
月読神社に生まれ育ち、最近は使命をもって恋華荘に引っ越してきた月読・美琴(月読神社の退魔巫女・f28134)である。
「……九尾神社の例大祭となれば、きっと桐子さんが忙しいに違いありません。神様、ちょっとお手伝いに行ってきますね」
顕現している祭神にそう断りを入れて、美琴は早朝から九尾神社に向けて出発した。幼馴染の妹分、九尾・桐子(蒼炎の巫女・f28109)の手伝いをするために。
……なお、祭神も美琴も、うちの神社と違って、とはさすがに口にはしなかった。
「桐子さん、お手伝いに来ました。何でも言いつけてくださいね」
「助かります、美琴姉様。私は奉納演舞の準備で手が離せませんから、OLの巫女さんたちと一緒にお守りや御朱印の売り子をしていてもらえますか?」
「分かりました。お任せください」
機械音痴でドジっ子な美琴に余計なことをやらせてはかえって手間……とまでは口にしないが、まぁ昔ながらのそろばんで勘定を計算しながら商品の受け渡しするくらいなら大丈夫だろうと、桐子は美琴に仕事を割り振る。妹分ではあるが、桐子は美琴よりもはるかにしっかり者なのだ。
大きな九尾神社なので、桐子や美琴と違って神社の秘儀は受け継いでいないOLとして就職している巫女の数も多い。が、それでも例大祭では人手不足になりがちなので、手伝いがありがたいには違いはない。
というわけで、3日間売り子として働くことになった美琴であった。
さて、場所は変わってこちらはその九尾神社の境内に向かう鳥居の前。
この先は縁日の露店が立ち並んでいる場所だ。
そこには恋華荘の少女たちが何人か集まっていた。
「今回も一番乗りは頂くの……この時間なら、まだいちごもそんなに疲れてないと思うし」
というのは、ユーベルコード【頽廃たる夜会の招待状】で作った白基調のゴスロリ浴衣を身に纏うベルことフロウヴェル・ゼフィツェン(時溢れ想満ちて・f01233)だ。
やはりというかなんというか、この3日間いちごを誘ってお祭りにという話が出た時、真っ先にいちごを捕まえて時間を約束させたのは、フロウヴェルだった。
祭りの初日の露店が開き始める午前のうちからさっそくいちごを連れまわそうと、九尾神社の鳥居を待ち合わせ場所に指定したのだが……。
「……一番乗りにはなったけど、ちょっと人数が多いの」
フロウヴェルが振り返った先には、同じことを考えてここに集まった少女たち。
「いちご誘っても大概誰かいるんだよね……うーんうーん……まぁいっか!」
秋祭り遊びたーいと早速行動を起こしたけれども、本人も諦め気味のようにやはり被ってしまった織笠・アシュリン(魔女系ネットラジオパーソナリティ・f14609)であった。
「最近はさみーよな……波に乗ってないと鈍っちまうぜ……!」
厚着のパンツルックを身に纏い、謎の帽子をかぶっているサラさんことカラー・モーティマー(大波の出る水曜日はいつだってゴキゲンな【サラさん】・f17248)は、南国生まれの小麦色の肌を寒そうに抱えながら、それでも瞳はこの後のお祭りを思ってキラキラとさせていた。
「なぁなぁ、エンニチ……だっけ? そういうフェスがあるって聞いたぜ。賑やかさは歓迎だ」
「……日の高いうちから縁日を味わうなんて不思議な気分です」
縁日を良く知らないカラーの呟き(というかけっこうな大声)に応えるように呟いているのは、ルイザ・シャーロット(冷静な弓箭衛士・f27402)だ。いちごを誘ったところ、この時間に鳥居に来るように言われたルイザ、来てみると自分が4人目だったという事もあって、少し苦笑している。
もっとも、被ったなら被ったで、皆と競い合うつもりも満々だったが。
という訳で、こんな4人娘の待ち合わせの相手、彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)がやってきた。
「皆さん、お待たせしました。それでは行きましょうか」
浴衣姿のいちごに連れられて、4人の少女は縁日へと繰り出すのだった。
「いちご、りんご飴なの。一緒に食べるの」
「お、ありゃなんだ? デビルフィッシュ焼き?」
「タコ焼きだね。せっかくだからみんなで食べようか」
「いいですね」
広い境内に所狭しと立ち並ぶ縁日の露店。
いちごと4人の少女たちは、さっそく露店の買い食いを楽しんでいた。
フロウヴェルが買ったりんご飴を、いちごと2人で舐め合ったり、パックのタコ焼きを5人で分け合い……時にはあーんと食べさせ合ったり。
そんな風にのんびりと歩いていると、ふとカラーが何か見つけたようだ。
「お、ガンファイトの出し物もあんのな?」
カラーが指さしたのは、射的の屋台だった。
まだ始まったばかりなので挑戦者は誰もいない様子。4本のコルク銃が挑戦者を待っていた。
「少しやろうぜイチゴ、ゲットした数で勝負だ!」
「どれだけ的を射抜けるか勝負ですね。負けませんよ?」
いちごよりも先に反応したのはルイザだ。勝負となれば熱くなるたちなのか、かなり強い口調でそう宣言している。
「ほら、いちごも、やってみようよ!」
3本目のコルク銃を手にしたのはアシュリンだ。そして4本目をいちごに差し出している。
「いちごは……銃は慣れてない? 構え方教えるよ!うん、まずはストックを肩につけて、頬をむにっと押し付けてから、目の前のアイアンサイトを……」
「い、いや、それくらいわかりますから、大丈夫ですからっ」
……まぁ、戦闘スタイルが召喚魔法と剣によるいちごは確かに銃には慣れていないけれども、さすがに射的のコルク銃でそこまで必要なのだろうか……などという疑問もあったりするが、ともあれアシュリンはいちごの世話を焼くチャンスとばかりに、気付けばいちごの身体にベタベタとフォームの矯正までやっていたりする。
(「……あ、気がついたらいちごの身体触りまくってる!?」)
途中でそのことに気付いて真っ赤になってしまうアシュリンに、つられていちごもぎこちなく銃を構えながら頬を朱に染めるのだった。
「イチゴなさけねーなー? 銃も撃てないのかよ?」
「これでは勝負の結果も見えていますね」
そんないちご達の様子を見て、カラーは笑い、ルイザは何やら勝負に燃え始めるのだった。
「いちご、あんなこと言われてるの」
そして、コルク銃の数が足りなかったので観戦に回っていたフロウヴェルからは、なんとなく同情するように肩をたたかれたいちごであった。
さて、そんな4人で始まった射的勝負は、案の定カラーとルイザとアシュリンのトップ争いだった。
3人とも全弾命中させ、勝負の結果はとった商品の内容で決めることに。
「一番大きいのは……ルイザさんのとったその箱ですかね?」
「中身は何だ?」
「中に何が入っているかわかりませんが、とりあえず開けてみましょう」
とりあえず暫定的にルイザの優勝……という事になり、その決め手となった大きな箱をみんなで開けてみることにする。
「あ、いちご兄様。皆さん、ここにいたんですね」
そこにタイミングがいいのか悪いのか、仕事が休憩時間になって散歩していた美琴が、いちごを見かけて声をかけ駆け寄ってきた。
その瞬間、箱が爆発したような音を立てる。
突然バネ仕掛けが弾いたかのような勢いで飛び出す邪悪な妖魔の顔。それが、通りがかった美琴へと襲い掛かったのだった。
「ひゃぁっ!?」
「危ないっ!?」
……とまぁ、絶好のタイミングで真正面から見ることになってしまった美琴だったが、よく見るとその飛び出した妖魔の顔は、ちょっとかわいい鬼の人形で、箱の底につながったばねでビヨンビヨンと揺れているだけだった。
つまり。
「び、ビックリ箱……でしたか……」
「驚きました……」
「美琴さん、大丈夫ですか?」
思わず庇いに行ったいちごが、しっかりと美琴を抱きしめる格好になってしまっていたので、美琴が赤面したり、フロウヴェルがずるいのとむくれたり、カラーがやっぱりいちごの周りにはロマンスが溢れてるんだなと謎の納得をしたりとちょっとした騒ぎになったのは言うまでもない。
「それで美琴さん、お仕事の方はどうされたんです?」
「ええ、今、休憩中でして……」
「それなら美琴も一緒に回るの」
美琴も交えて6人になった面々は、のんびりと屋台巡りを再開した。
再び買い食いしながら歩き回る一行。
「いーねえ、楽しいぜ♪ イチゴは楽しいか?」
「ええ、もちろんですよ。皆さんはどうです?」
まるで男友達のようなノリで楽しんでいるカラーに微笑みつつ、いちごは他の面々にも話を聞いてみた。
「そうですね。いつもお祭りは神社側なので、こうして参加するのも楽しいですね」
「まぁ、なんだかんだでみんなで一緒にはなったけど、これはこれで楽しいしね!」
「ですね」
美琴もアシュリンもルイザも、十分に楽しんでいるようだ。
そしてフロウヴェルも、あまり変わらない表情ながら少しだけ楽しそうに声を弾ませ、いちごの袖を引っ張った。
「いちごと2人でデートはしたかったけど、楽しいから問題ないの。……あ、いちご、今度はあれやるの」
という訳で、今度はフロウヴェルの希望で輪投げに挑戦することに。
射的を楽しんだ3人は観戦に回り、フロウヴェルと美琴といちごの3人での対戦となった。
「あの大きなぬいぐるみ……この輪が入るのでしょうか?」
「見てて、美琴。コツがあるの」
輪投げの勝負は、投擲に自信のあるフロウヴェルの独壇場だった。
美琴の指した大きなぬいぐるみに、しっかりと輪をひっかけてゲットするフロウヴェルに、いちごも美琴も観戦組も称賛の拍手を送る。
「もふもふで大きなぬいぐるみですね……」
「気に入ったの、いちご? なら、デートのお礼も兼ねていちごにあげるの」
「ありがとうございます……これをデートと言っていいのかはともかく」
ぬいぐるみを受け取ったいちごはそう言って苦笑するが、フロウヴェルは首を横に振って、あくまでもデートだというのだった。
「楽しかったから、デートでいいの。ね?」
「そうですね」
周りもどうやら同じ考えのようで。
6人はこのままもうしばらく、美琴の休憩時間が終わって昼ご飯の時間になるまで、集団デートを楽しむのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エイル・ドルイディア
【21日午後】
縁日…それすなわち、質の悪いヤツが違法カード(コピーカード、縁日レアとも)をばらまく日っ!
マスター、付き合ってください!
お礼にデートしちゃいますからっ!
…って思ってたけど…全部本物…?
桐子ちゃんちすごーい、性質悪いのは弾いてくれてるのね(おお~)
って…
ま、マスター!あの射的の的になってるカード!
マスターのお役にもっとたてるから…欲しい、なぁ…手伝ってほしいなぁ…(うるうる、お願いモードっ!)
ぇへへ…ありがとうマスターっ!
(大事そうに『ドルイディアのからくり士』を預かり…)
これはこうして…ってわ、わ、わ!?
からくり飛び出して周りもろともどんがら皆の下着が見えちゃうとらぶるに…
黄泉原・伽夜
【21日午後】
にゃぁ、ご主人様とお出かけ……です
誰かが一緒でも構わない……です
僕はご主人様がいれば、それで幸せ……です
にゃぁー、ご飯の時間……です
ご主人様が屋台で買ったものを分けてもらう……です
うにゃぁ、ご主人様から貰った、ご主人様と分け合ったご飯、美味しい……です
生きてた時みたいに、またご主人様から餌付けしてもらえて嬉しい……です
みゃぁ、昔みたいに、生きてた時みたいにご主人様の手に乗せた状態のご飯を食べたい……です
だめ、ですか?昔みたいにしたいだけなのに……です
僕はご主人様のことが大好きなのに……です
にゃー、ご飯食べ終えたら、昔みたいにお礼でご主人様の顔を舐める……です
●21日午後
「縁日……それすなわち、質の悪いヤツが違法カードをばらまく日っ!」
九尾神社の境内に並ぶ大量の露店を前に、エイル・ドルイディア(ドルイディアの翼術士・f28718)は燃えていた。
というのも無理はない。縁日の業者……的屋といえば、地元のやくざ組織とつながりがあるものも多く、コピー品などの怪しげな品が並ぶことも多いからだ。
そしてトレーディングカードゲームの新しい妖怪であるエイルにとっては、下手すると自分の偽物とかばらまかれているかもしれないのだ。
それはもう気合も入るもので。
「というわけで、マスター、付き合ってください! お礼にデートしちゃいますからっ!」
「は、はい……?」
気合の入ったエイルは、自らのマスター……召喚主であるいちごを見かけると、偽物摘発に突き合わせようとしたわけである。デートが本命かもしれないが、それは内緒だ。
で、そのいちごはというと、急にそんなことを言われてきょとんとしていた。
というのも、午前中の集団デートを終えた後、いちごはのんびりと露店で買った焼きそばで昼食をとっていたところだからだ。
それもひとりではない。
「うにゃぁ、ご主人様から貰った、ご主人様と分け合ったご飯、美味しい……です。生きてた時みたいに、またご主人様から餌付けしてもらえて嬉しい……です」
いちごから焼きそばのおすそ分けをもらって嬉しそうに食べている黄泉原・伽夜(寂しがり屋の悪霊猫又・f28852)も一緒だった。
「みゃぁ、でも、どうせなら、昔みたいに、生きてた時みたいにご主人様の手に乗せた状態のご飯を食べたい……です」
「いや、さすがに今それはどうかと思いますよ!?」
その伽夜は、おすそ分けは直接手で渡してほしいと、それをペロペロいちごの手の上から舐めるように食べたいと、まるで猫のようにいちごにおねだりをしている。
……まるでも何も、元々いちごが可愛がっていた野良猫から転生した妖怪なので、普通に猫なわけではあるが。
「だめ、ですか? 昔みたいにしたいだけなのに……です。僕はご主人様のことが大好きなのに……です」
「さ、さすがに今は猫の姿じゃなくて、人に近い姿になってるんですから、それは見た目がよろしくないと言いますか……」
そしてじゃれるように迫って上目遣いにうるうるとねだってくる伽夜の姿に、いちごも赤面しつつ、何とか説得しようと四苦八苦していた。
……が、はたから見るとこれはいちゃついているかのようで。
しかもエイルが話しかけてきている最中に、である。
「あ、マスター、お邪魔でした?」
さすがにいちごと伽夜のやり取りを見て、エイルは気まずそうにしていた。
勢いのあまりに突っ込んできたとはいえ、そのあたりの常識はわきまえているエイルだ。マスターのデートの邪魔はするべきではないと……少しだけ寂しそうに。
「い、いえ、邪魔なんてことはありませんって!」
むしろ助かった、いいタイミングで来てくれたと、今度はエイルの方を向いて慌てて言いつくろういちごであったとさ。
「にゃぁ、誰かが一緒でも構わない……です。僕はご主人様がいれば、それで幸せ……です」
「そ、そう? 悪いわね」
特に2人きりにはこだわらない伽夜なので、落ち着いた後はすんなりと3人での行動となった。
まぁ、食事を終えた後、伽夜がお礼にといちごの頬をペロッとなめた時には、やっぱりもうひと悶着あったのだけれども。
「それで、エイルさん。どこに向かいますか?」
「もちろん、怪しげなカードが景品になっているお店を巡るんですよ!」
「にゃぁ。ご主人様が行くなら、僕はどこまでもお供します……です」
という訳で3人で、射的とかくじ引きとかのゲーム系の露店を巡って、偽カードがないか探すことになった。
「偽カードかどうかなんてわかるんです?」
「うちはカードの精霊だから、見ればわかりますっ!」
と、自信満々のエイルだったが……めぐるにつれて次第にその声も小さくなっていった。
「あれも本物……あれも本物……あれー……全然偽物見分けつかない……」
エイルの目から見ても、どれも本物にしか見えないのだ。
でもそれは、縁日の露店は怪しいというエイルの先入観なだけかもしれない。
伽夜は普通に小首をかしげて、そう指摘する。
「にゃぁ……偽物ないんじゃない……です?」
「まぁ、桐子さんのところですからね……怪しげな偽ブランド品を売るような業者は最初から締め出しているのかも」
いちごも、しっかり者な妹分のことを思い出して、伽夜に同意して苦笑する。
「はー……桐子ちゃんちすごーい、性質悪いのは弾いてくれてるのね……」
勢いが空回りに終わったエイルも、そんな桐子には感心するだけなのだった。
偽物探しはもういいだろうと、改めて縁日を楽しむことにした3人。
そして通りがかった射的の屋台。そこでエイルが声をあげる。
「ま、マスター! あの射的の的になってるカード!」
さっきまで本物か偽物かだけ考えて気を張っていたエイルは、一息ついて落ち着いたら、本物のカードの中にレアな品があることに気が付いたのだ。
「ど、どうしました?」
「あのカードがあれば、マスターのお役にもっとたてるから……欲しい、なぁ……手伝ってほしいなぁ……」
エイルは、うるうるとした上目づかいでいちごにおねだりをする。
先程の伽夜を思い出させるようなそんなおねだりに、逆らえないものを感じたいちごは、コクコクと首を縦に振るのだった。
午前の射的勝負でも散々だったいちごだったが、それでもねだられたら意地にもなるのか、見事にエイルの欲しがったカードを射抜くことに成功していた。
「あれで、よかったんですよね?」
「もちろん! ぇへへ…ありがとうマスターっ!」
エイルはとても大事そうに、店主から渡されたカードを胸にぎゅっと抱きしめるのだった。
「にゃぁ。それ、どんなカード……です?」
猫の好奇心のままに尋ねる伽夜に、嬉しそうなエイルはカードを見せて……。
(「……エイルさんのカードって確か、効果が現実に現れるのでは」)
カードの妖怪であるエイルは、カードの効果を実際に現実化することができる。
それを思い出したいちごは慌てて止めようとしたが、時すでに遅し。
「この『ドルイディアのからくり士』は、こうして……ってわ、わ、わ!?」
「にゃぁ!?」
「ああ……遅かった……」
カードに描かれていたからくり、相手を転ばせて妨害するからくりがエイルの説明と共に飛び出して、3人を巻き込んでしまうのだった。
どんがらがしゃーん。
もつれ合って転んでしまった3人。
周りの屋台に被害が及ばなかったことは不幸中の幸いだったが……いちごを巻き込んで転んだりするとどうなるかは火を見るより明らかで……。
「にゃぁ……ご主人様に見られた……です」
「マスター、どこ触ってー!?」
「ごめんなさいー!?」
伽夜のスカートが盛大に捲れていたり、いちごの手がエイルの胸の上にあったりと、いつものようなとらぶるになったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●21日夕方
ひと騒動の後、いちごは2人と別れて1人になっていた。
この時間は特に誰からも声がかかっていないので、桐子の奉納演舞を見に行くことにしたのだ。
演舞台の上で、儀礼用の巫女装束に着飾った桐子が、神秘的に舞う。
それをいちごは最後まで応援するように眺めていたのだった。
ロザリー・ドゥメルグ
【21日夜】
アドリブ大歓迎よ。
ロマンチックな夜をいっしょに過ごしましょ。
ということで、青の浴衣を着ていちごさんといっしょに縁日を。
というか、こんなロマンティックな空間で一緒にいられるの、素敵。
屋台でわたあめを食べて、その後に神社の裏に。
「ここなら、二人っきりね。ねぇ、ぎゅーっと、して……」
そう言って、ちょっと誘惑してみるわ。
こうしているのも、なかなかよいわね。
できるなら、ちょっととらぶる、してみたいな……。
あ、浴衣の下は……それは教えてあげないわ。
気になるのなら、手を入れても、いいんだからね……。
……って、そこにいるのは……?!!!
その後どうなったのかは、お楽しみ……ということで。
●21日夜
夜の帳が下りても、お祭りはまだまだこれからが本番だ。
浴衣を着た客で神社の境内も賑わってくる。
そんな中に、青い浴衣を着たロザリー・ドゥメルグ(無鉄砲なおてんば姫・f26431)もいた。
「あ、いたいた。いちごさん」
ロザリーは、いちごがひとりでいるのを見つけると、小走りで近付いてくる。
「あ、ロザリーさんですか。浴衣お似合いですね」
「ありがとう、いちごさん。ねぇ、ロマンチックな夜をいっしょに過ごしましょ?」
浴衣を褒められ軽く頬を朱に染めたロザリーは、他に誰もいないことを確認して、少しだけ大胆にいちごの傍にくっついた。
(「こんなロマンティックな空間で一緒にいられるの、素敵♪」)
内心が透けて見えるような笑顔で腕を組んでくる者だから、いちごも少々苦笑気味にそれを受け入れ、そのまま2人で縁日巡りをすることにしたのだった。
屋台で見かけたわたあめを買い、2人で1つのわたあめを食べながら、のんびりと歩いていく。
和やかに話しながら2人でのデートの時間が過ぎていき、やがてわたあめがなくなる頃には……いつの間にか人気の少ない縁日の裏側、神社の裏手の方へと足を踏みいれれていた。
「あれ、いつの間にこんな所に……?」
縁日の方に戻りましょうと、いちごは方向転換しようとするが……それをロザリーが腕を引いて止める。
「ここなら、2人っきりね」
「いえ、まぁ、そうですけれど……」
お祭りからは外れてしまっていますよと苦笑気味のいちごに、ロザリーがしなだれかかった。少しだけ誘惑するように。
「ねぇ、ぎゅーっと、して……」
「え、あ、ちょっと……」
少女の顔から女の顔に。
その変化に戸惑いはするものの、さすがにある意味慣れているいちごは、わかりましたとロザリーをぎゅっと抱き寄せるのだった。
こうしてそのまま幸せなひとときとなればよかったのだが……。
(「できるなら、ちょっととらぶる、してみたいな……」)
などとロザリーが余計なことを考えていたのがいけなかったのか、人気のなかったはずのそこで、ガサガサっと草を踏む音がした。
「……って、そこにいるのは……?!!!」
「あ、ちょ、ロザリーさんっ!?」
その音に驚いて慌ててしまったロザリーが足を滑らせ、ぎゅっとしていたいちごを巻き込むように盛大に転んでしまった。
その際、はだけた浴衣の中、あまり大きくない胸のあたりにいちごの手が入ってしまったのは、お約束だろうか。望み通りのとらぶるであった。
「……こんな裏側で何してやがりますか、いちご兄様」
「き、桐子さん……お仕事お疲れ様です……」
ちなみにやってきたのは、奉納演舞を終えて休憩中の桐子だった。
人のいないはずの神社の裏手に人の気配を感じて様子を見に来たらこのザマだったのである。
このあと縁日会場から外れて裏に回ったりしないようにと桐子から説教される2人だったとさ。
大成功
🔵🔵🔵
アイ・リスパー
【22日午前】
「チューリングの神託機械を発動!
いちごさんが他の女の子と出かけない日時をシミュレート!
ここですっ!」
【チューリングの神託機械】で(以下略
「というわけで、いちごさん、お祭りに行きましょうっ♪
午前中なら、まだ人も少ないはずですし」
浴衣を着て気合を入れていちごさんを誘います。
しかし、ここで大きな問題が。
「困りました。
美味しそうな食べ物が多くて、どれから食べるか悩んでしまいます。
ここは神託機械でシミュレートです!
見えましたっ、神の一手!」
副作用で吐血しながらも最適な順番で露店を回り、食べ物を全制覇です!
「あ、さすがに一人で食べるには量が多いので、いちごさんも半分食べます?」(もぐもぐ
●22日午前
この日、我々は奇跡を目撃することになる。
未だかつて、はたしてこんなことがあっただろうか……?
いや、ない(断言)
ある訳がないのだ、こんなことは。
だがしかし、この日ばかりは、あるはずのないことが実際に起きてしまったのだ。
それは……。
「【チューリングの神託機械」を発動! いちごさんが他の女の子と出かけない日時をシミュレート! ここですっ!」
そう、アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)のお馴染みぽんこつ神託機械。いつもは変な演算結果でアイをエロい目に合わせるために使われているともっぱらの噂のそれが、なんと!
本当に正しく、いちごとアイが2人きりになれる時間帯を導き出したのだ。
これを奇跡と言わずしてなんと言おう。
「というわけで、いちごさん、お祭りに行きましょうっ♪ 午前中なら、まだ人も少ないはずですし」
「はい。行きましょうか」
浴衣を着たアイは、同じく浴衣姿のいちごと2人で寄り添って、午前の縁日デートへと出かけるのだった。
「うわぁ……♪」
縁日に多数並ぶ屋台を見て目を輝かせるアイ。
宇宙世界出身のアイにとって、日本の縁日の屋台は、何を見ても珍しいものだろう。恋華荘で暮らすようになってから1年以上は断っているが、それでも珍しいものは珍しいので、屋台にあるさまざまな食べ物に目を輝かせている。
「何か食べながら行きますか?」
なので、といういちごの軽い問いに、いちごが驚くほどに真剣に悩んでしまうアイであった。
「りんご飴にチョコバナナにわたあめにフランクフルトに焼きそばやタコ焼きも……困りました。美味しそうな食べ物が多くて、どれから食べるか悩んでしまいます」
「あはは。そこまで悩まなくても……とりあえず目についたものから……」
「いえ!」
苦笑するいちごに対し、ここは譲れませんとばかりに真剣な目できっぱりと断言するアイ。
「ここは神託機械でシミュレートです!」
「えっ……」
何もそこまでしなくても、というか、また変なフラグをたてるのでは……と恐れるいちごだったが、安心してほしい。今日の神託機械さんはぽんこつじゃないよ!
「見えましたっ、神の一手!」
最も効率よく美味しく食べるルートを完璧に計算してしまう神託機械さんである。計算の副作用で吐血をしていちごに背中をさすさすと撫でられていることを視なかったことにすれば、何と本日2連勝の神託機械さんなのである。
「それでは行きましょう、いちごさんっ」
そうして意気揚々と歩を進めるアイだが、ここでいちごからの無慈悲な指摘が。
「……あ、はい。でも、アイさん小食ですし、全部食べられるんですか……?」
ピタッ。
忘れてましたと言わんばかりにピタッと足を止めてしまうアイであった。
「え、えっと……さすがにひとりで食べるには量が多いので、いちごさんも半分食べます……?」
「ええ、喜んで」
やっぱりそうなりますよねという顔でクスッと微笑んだいちごの笑顔を見て、ちょとだけ頬を朱に染めつつも、2人はこの後仲良く食べ物を分け合いながら縁日食べ歩きデートを楽しんだのでした。
2人で1本のチョコバナナとか、今更間接キスくらいは平気な2人。
傍から見るととてもバカップルっぽかったそうな。
大成功
🔵🔵🔵
宮村・若葉
【22日午後】
…そろそろ、お疲れではないですか?
お疲れ、ですよね…?
…いつもあなたのお側に…で、お馴染みの存在になりたいワカバです
少し、休憩しませんか?
人払いして、ほんのすこしだけ、お休みなどどうでしょう
ぐ、ぐたいてきには、ひひひざまくら、とか…
(緊張で微笑みが固い)
あ、人払いをするならこの辺り一帯を更地にしますね…!
人気のない場所でゆっくり、風に当たりながら休むいちごさんを見つつニコニコして
初日からすっと見ていました
希望者になるべく等しく接しようと身を削るあなたの優しさは、ステキだと思います
私はそんなあなたが好きです
いちごさん
最後まで、見届けます…ふふ
と、栄養ドリンクを残して立ち去ります
●22日午後
彼女はここまでずっと見ていた。
誰にも気付かれず、ただじっと、ずっと。
大勢に振り回されているときも。ひとりの女の子に振り回されているときも。あるいはひとりになってのんびり演舞を見ていた時も。
彼女……宮村・若葉(愛に飢えた脳筋お嬢さん・f27457)は、初日からすっと見ていました。
「……いつもあなたのお側に……で、お馴染みの存在になりたいワカバです。ふふっ」
誰に向かって言っているのか。もちろんその対象はひとりしかいないわけだが。ともあれ、そんなことを呟きながら、彼……いちごがひとりになったタイミングを見計らって、若葉は近づいていく。
昨日はまだ初日だったからいちごの疲労もそれほどではないだろうと、ひとりになった時も陰ながらじっと見ているだけで済ませたのだが、それから一晩、昨夜も今朝も女の子に振り回されているのを見て、少し癒した方がいいかもと思ったわけだ。
というわけで、人知れず若葉はいちごの背後に近付いていく。気配を殺して、声をかけるまで気付かれることなく。プロストーカーの面目躍如である。
「……そろそろ、お疲れではないですか? お疲れ、ですよね……?」
「ひゃぁっ!?」
あまりに気配を殺し過ぎて、声をかけられたいちごは心臓が飛びあがるほどに驚いたのだが、それはいつものことだった。
「あ、ああ、若葉さんでしたか……」
「ふふ。少し、休憩しませんか? 人払いして、ほんのすこしだけ、お休みなどどうでしょう?」
「そう、ですね。ちょっとさっきの全屋台制覇で疲れましたし……」
見ていたからよくわかると言わんばかりに頷く若葉。
「あ、人払いをするならこの辺り一帯を更地にしますね……!」
「やめてください!?」
ストーカー以外はまともかと思いきや、脳筋で力技解決したがる若葉である。
「そ、それじゃ、人気のない所に行って休みましょう……ぐ、ぐたいてきには、ひひひざまくら、とか……」
ポッと頬を染めて口ごもる若葉である。ちょっと意外かもしれない。常日頃からストーキングを平然としているわりには、いざ2人きりだとちょっとだけ純情になってしまう若葉である。力技解決を口にしたのも、照れ隠しもあったのかもしれない。
「希望者になるべく等しく接しようと身を削るあなたの優しさは、ステキだと思います」
「そうですか……結局皆さんにいい顔してるだけの優柔不断のような気もしますけれど……」
縁日の屋台から外れ、人気のない境内の外れのベンチに腰掛けた若葉の膝の上に、望み通り膝枕状態でいちごが横になっていた。
そしてやんわりと頭を撫でながら、若葉はいちごを癒していく。
「それで皆が喜んでいるのだからいいんですよ。私もそんなあなたが好きです、いちごさん」
「あ、ありがとうございます……」
優しく頭を撫でる若葉の手の感触に眠気を誘われ、そのままいちごは静かに寝息をたてはじめた。
「今はおやすみなさい、いちごさん。起きたらまた頑張ってくださいね。最後まで、見届けます……ふふ」
しばらくたって、いちごが目覚めた時にはすでに若葉の姿はなく、ただそこには若葉が用意したであろう栄養ドリンクだけがあったそうな。
……若葉は、また気配を消してどこかで見続けるのでしょう。ええ。
大成功
🔵🔵🔵
ネウィラ・カーレンベート
【22日夕方】
しっとりした秋の夕暮れをいちごさんと一緒に過ごしたくて、洋蘭の柄の浴衣で同行。
いちごさんの手を握り、神社の賑やかさに顔をほころばせつつ思う。
(たまには私もいいところを見せなければ……)
そこで指さした先にあったのは射的の露店。
まずは軽く一発、お菓子の箱をゲットし、いちごさんへ差し上げます。
『ふふ、意外かもしれませんが、けっこう得意なんですよ』
続く二発目、景品に当たり跳ね返った弾は弧を描き、私の浴衣の背中にすっぽり。
『やだ、こんなところに……。すみません、いちごさん、ちょっと手伝って……』
(※いちごさんが手伝ってどうなったのかはお任せします)
結局いつもの感じなのでした。
*アドリブ可
白銀・ゆのか
【22日夕方】
お待たせーいちごーっ!
(むぎゅっとたわわさ増しな胸を押し付けるようにくっつき♪)
(ほんのり甘い香りも…白玉パフェの出店も出してるせいか…はたまた大人っぽくなったからか…)
ちょっと匂うかしら…寧ろいちごに甘い匂い、つけちゃうのも悪くないかも?
ほら、あっちの出店で巨大わたあめ作ってますし…昔みたいにわけっこ、しましょ?
小さい時には一抱えだった綿あめの袋も、
大人になると小さく感じられて…
昔と比べて、いちごを取り巻く人も増えて嬉しいような寂しいような…
「うん、でもいちごが昔から可愛くて大好きなのは変わらないかも。
あ、ほっぺの綿あめちょうだい…んっ♪」(ぺろっとひとなめ、これも昔のままに♪
セナ・レッドスピア
◎
【22日夕方】
※もし誰かと被っちゃったら
その人が他の人とのバッティングNGでなかったら
出来るだけみんなと一緒に、縁日を楽しみたいですっ!
髪と瞳の色に合わせた
流線形な赤とグレーのライン(グレーメイン、赤は少し)
が入った白い浴衣を着て縁日へ
いちごさんと相談して
そこで一緒に過ごしていきます
複数回りたいなら、どんどん連れまわしてもおっけーですっ
…出店や催し以外でも、いちごさんが行きたいなら、一緒に…
食べ物なら1つの物を2人で(ひょっとしたらみんなで!?)食べたり
ゲーム系で頑張るいちごさんを応援したり
アクセサリがあったら、お揃いの物を買っていきたいですっ
最後は景色がいい所で、夕日を一緒に眺めたり…
●22日夕方
赤とグレーのラインが入った白い浴衣を着たセナ・レッドスピア(blood to blood・f03195)と、洋蘭の柄の浴衣を着たネウィラ・カーレンベート(銀糸の術士・f00275)の2人が、待ち合わせ場所の鳥居の前で、いちごがくるのを待っていた。
「やっぱり被ってしまいましたね」
「いちごさん、忙しいですから、仕方ないかとっ」
しっとりとした秋の夕暮れをいちごと一緒に楽しみたいと思ってこの時間を指定した2人だったが、案の定バッティングしてしまい、苦笑しつつも一緒にいちごを待っているところだった。
「すみません、お待たせしましたか?」
そこに、昼間少し寝てしまったこともあって、遅れてしまったかと慌てながら、いちごが駆けてきた。
「いえいえ、いちごさんいつもお疲れ様ですっ」
「遅れないようにって思ってたんですけど……すみません。2人とも、浴衣とてもよく似合ってますよ」
「あ、ありがとうございます。えっと、それでは3人で縁日まわりましょうか」
合流するなりナチュラルに浴衣を褒めてくれるいちごに、少しだけ頬を朱に染めながら、セナとネウィラは、いちごの手を引いて縁日へと向かおうとした。
だが、いちごはそれをいったん止める。待ち合わせているのはもう1人いるというのだ。
「あ、ちょっと待ってください。あと1人……」
どうせ被ったのなら、みんなで楽しく回ればいい。そう思ってセナもネウィラももう1人を待つことにした。
そのもう1人は、九尾神社と同じく龍神温泉郷の三社のひとつの白銀神社の巫女であり、今回は祭りの手伝いとしてこの縁日で働いていた少女。
「お待たせーいちごーっ!」
「ひゃわっ!?」
遅れてやってくるなり、浴衣越しにもたわわに育った胸を押し付けるようにいちごに抱きついて来た、白銀・ゆのか(恋華荘の若女将・f01487)だった。
むぎゅっといちごにしがみつくゆのかからは、ほんのりと甘いにおいがする。それは大人びてきた身体から漂う色気なのか、それとも……。
「あ、あれ、ゆのかさん、なんだかいい香りが……?」
「なんだか甘い臭いしますね?」
「えっ……ああ、白玉パフェの出店手伝ってきたから、匂い移っちゃったかな……?」
今のところはまだ、スイーツの砂糖の匂い、だったかもしれない。
「……むしろいちごに甘い匂い、つけちゃうのも悪くないかも?」
「何言ってるんですかっ!?」
「あはは、あっちにわたあめのお店あったし、みんなで食べながら行きましょ」
昔みたいに2人で分け合いながら食べれればよかったんだけど、とは口に出さずに。
ゆのかも合流して、4人になった一行は、縁日巡りに向かうのだった。
まず最初に手を出したのは、先程ゆのかが言っていたわたあめだ。
「小さい時には一抱えだった綿あめの袋も、いまだと小さく感じられるのね……」
「さすがに4人で別けるには小さいですねぇ……」
「ええっ!? わ、わけ……!?」
幼馴染ないちごとゆのかは、ナチュラルにわたあめを分けて食べるような事を言っているが、いちごと同じものを一緒に食べるという事でセナは一瞬で顔を赤くしてしまった。
「あらあら。でも、大きめのを頼んで、みんなで別けて食べるのは楽しそうですね」
「じゃあ、ちょっと大きいの作ってもらうように頼んでみるかしら?」
一方のネウィラは、セナが慌てているからかえって落ち着いたのか、特に抵抗なさそうだ。
なのでゆのかが露店の店員に頼んで、大きめのわたあめを特別に作ってもらい、いちごが手にしたそれを周りから3人の女の子がぱくぱくと齧りつくような事になっていた。
「あうう……いいんでしょうか、これは……こんなどきどきなこと……」
「いいのよ。割といつもの事みたいなものだしね?」
「いつもではないと思いますけど……」
真っ赤になって照れるセナに、これもいつものことだとゆのかは諭す。さすがにそれはいちごも苦笑するが否定もできない。ネウィラはそんな3人のやり取りを見てくすくすと笑っていた。
「確かにいちごさんの周りには人が多くて、こういうのもいつもの感じですものね」
「そうそう。昔と比べて、いちごを取り巻く人も増えて……嬉しいような寂しいような……」
幼馴染ゆえに、いちごの周りに人が増えるのは少しだけ寂しくも感じるゆのかだが、ゆのかだってこうしてみんなで賑やかなのは嫌いではないのだ。
なにより……。
「うん、それに、いちごが昔から可愛くて大好きなのは変わらないかも」
「な、何言ってるんですかっ!?」
そんなゆのかの言葉に、今度はいちごが赤面する番だった。
「あ、ほっぺのわたあめちょうだい……んっ♪」
「ふぇっ!?」
「あらあら」
「ゆ、ゆのかさん大胆、ですっ」
最後にトドメとばかりに、頬についていたわたあめを舐められるいちごだった。
わたあめを食べ終えた後、一行が向かったのは射的の屋台だった。
いちごは他の人とも何度か既にやってはいるが、やはり射的は縁日屋台の花形でもあるので、今回はネウィラの提案で向かう事になったのだ。
(「たまには私もいいところを見せなければ……」)
と、内心気合を入れるネウィラに手を引かれたまま連れていかれた射的の屋台。
セナとゆのかは後ろで応援の構えなので、ネウィラといちごの2人で挑戦することになった。
「いちごさんも、ネウィラさんも、頑張ってくださいっ」
「ありがとうございます。まぁ、見ていてくださいな」
セナの応援に答え、自信ありげにコルク銃を構えるネウィラ。
意外と言ったら失礼か。しっかりと狙われた銃から放たれたコルク弾は、狙い違わずお菓子の箱に当たって倒していた。
「一発ですか。ネウィラさん、すごいですね」
「ふふ、意外かもしれませんが、けっこう得意なんですよ」
得意げに、落としたお菓子の箱をいちごに渡すネウィラ。
その後も、いちごがなかなか当たらないのに対し、ネウィラは全発命中でゆのかやセナにもお菓子を配っていた。
「ほんとすごいわねぇ」
「お菓子が持ちきれなくなりそうですっ」
「……では、次はちょっと大物を」
そして皆に褒められるものだから、調子に乗ったネウィラは、目玉商品であるゲーム機の大きな箱に狙いをつけた。
「えいっ……あっ」
ぼこん。
だが、さすがに露店の側も目玉商品はそうやすやすとはとらせない。
少し甘く見ていたネウィラの弾は、箱を倒すほどの衝撃を与えられず、逆に跳弾してネウィラの方に跳ね返ってきてしまった。
すぽん。
そして、ネウィラの浴衣の合わせの中に飛び込むコルク弾。
「ひゃぁっ!? やだ、こんなところに……。すみません、いちごさん、ちょっと手伝って……」
「手伝いとか言われてもぉ!?」
中に入ってしまったコルクが変に浴衣の中で転がっているのか、ネウィラは身体をよじらせ、浴衣がはだけ始めていた。
さらにそこで足をもつれさせ、いちごとセナを巻き込んで転んでしまう始末。
「あいたたた……あっ」
「えっ」
「あ、あのっ……」
2人を押し倒す格好になったネウィラは、ぺろんと浴衣がはだけて胸が出てしまい、そして倒されたいちごの手はしっかりとセナの浴衣を引き剥がすように脱がしていたのだった……。
「お、お騒がせしましたー!?」
ゆのかが慌てて怪力で3人を引っ張って、逃げるようにこの場を後にするのだった。
「はぁ、はぁ……えらい目に遭いました……というかセナさんもネウィラさんも済みませんっ」
「い、いえ、いちごさんのせいではありませんから……私の方こそ……」
「き、気にしないでくださいっ」
真っ赤になってペコペコ頭を下げている3人。ゆのかはこれもいつもの事よねと、なんとなく悟ったような遠い目をしているのだった。
「……あ、ほら、3人とも、夕焼けが綺麗なのよ」
「あ、ほんとですねっ」
逃げてきたこの場所は、ちょうど西日が良く見える場所で。
4人は先程のいつものとらぶるも忘れたように、綺麗な夕日を眺めていた。
なんとなく寄り添って仲睦まじく。
もう少しだけ、ここで一緒に夕日を眺めていたい。
そんな気分になったとか、なんとか。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
静宮・あかね
【22日夜】
※桜色の和装姿
※いちご等には京言葉
まいど、いちごはんっ
…「今日の納品は終わった」って?
寮で縁日や聞いて、誘いに来たんよ
昔みたいに遊びたいなぁ思て…
おおきになぁ。ほな、行きまひょか♪
※腕に抱きつく、抑えていてもふにゅり
あ、金魚すくい…なぁなぁ、ちょっと競ってみぃひん?
大丈夫なんよ、いくらセイレーンでも金魚は管轄外やし♪
ほな、いこかっ
※結果は一任、勝敗に関わらず嬉しそう
こういうの、ほんに久しぶりやわぁ…♪(にこにこ)
綿あめもええなあ♪…大きめのを1個下さい
「なんで2個やあらへんの?」って…
もう…いちごはん、いけずやわぁ
はい、あーんっ。で、ウチは逆から…♪(はむはむ)
…んっ!?(ちゅっ)
●22日夜
夜、いちごが九尾神社から恋華荘へと戻る道をひとりで歩いていると、桜色の和服姿の静宮・あかね(海慈屋の若き六代目・f26442)が、たたたっと小走りで近付いてきた。
「まいど、いちごはんっ」
「ああ、あかねさん。こんばんは。今日の納品終わったところですか?」
あかねの実家である商店もこの近辺にあったなと思いだし、いちごはそう尋ねてみたわけなのだが、あかねは首を横に振る。
「お仕事やないんよ。寮で縁日や聞いて、誘お思おうて探しに来たんよ。昔みたいに遊びたいなぁ思て……」
「そういうことでしたか。いいですよ。それじゃ改めて神社に向かいましょうか」
いちごは今日はここまでかなと帰る途中だったが、あかねの誘いの快く回れ右をする。
「おおきになぁ。ほな、行きまひょか♪」
「ああ、だからってそんなにくっつかないで……」
嬉しそうに腕に抱きついてくるあかねの、和服でも隠し切れない柔らかいものをふにゅりと腕に感じて、思わず赤面するいちごだった。
そして縁日に戻ってきた2人。
さて、何か食べようか、それとも遊ぼうかと言ったところで、あかねが金魚すくいに興味を示した。
「あ、金魚すくい……なぁなぁ、ちょっと競ってみぃひん?」
「勝負ですか……いいですけど、勝ち目なさそうな?」
「大丈夫なんよ、いくらセイレーンでも金魚は管轄外やし♪」
相手は水の専門家セイレーン。さすがにハンデが強すぎるのではと冗談めかして言ういちごに、あかねもまた冗談めかして答えた。
もちろん水中活動をするわけでもない金魚すくいだ。セイレーンだから得意とかそういう事はないわけで……。
「ほな、いこかっ」
と、自信満々に繰り出したあかねだが、1匹掬ったところで早々にポイを濡らして破いてしまう。
「あ、あら……?」
「早かったですね……もしかして手元が良く見えていないのでは?」
「そんなはずやないんやけどなぁ……?」
小首を傾げながらも、でも楽しそうなあかねである。
……まぁ、巨乳に遮られて近場が見難いせいで細かなところでミスを誘発しているらしいことには、触れないでおきましょう。
勝負自体は、手先器用ないちごの圧勝で終わっていたが、あかねも特に気にはしていないようだ。
「こういうの、ほんに久しぶりやわぁ……♪」
「楽しんでるなら何よりですよ」
にこにこと笑うあかねに、つられていちごも笑うのだった。
金魚すくいを終えて、また散歩に戻った2人。
「わたあめもええなあ♪ ……大きめのを1個下さい」
「あ、それじゃ私も……」
「もう……いちごはん、いけずやわぁ」
「えっ?」
屋台でわたあめを買うあかねを見て、自分もと買おうとしたいちごだったが、それはあかねが止める。
代わりに自分が勝ったわたあめをいちごに差し出して。
「はい、あーんっ。で、ウチは逆から……♪」
「そういうことですか……はい」
いちごも苦笑しつつ、あかねと1つのわたあめを食べながら歩いていく。
そして談笑しながらわたあめに口をつけ……
「……んっ!?」
「あっ……」
勢い余って唇が触れたのは、どちらからだったのか……。
2人とも瞬間的に赤面してしまうのでした。
大成功
🔵🔵🔵
ミラ・グリンネル
【23日午前】
朝の空気は澄んでいて気分が良いデスネ!
連日の疲れで眠そうなイチゴの顔を見つつ腕を引っ張り境内を散策デス
さすがに面白そうな出店はまだ空いてないデスネ
まあイチゴは既に遊んでそうデスシ?二番煎じも面白くないデスヨネー
散歩していると元気な子供達の声が聞こえマスヨ
境内は子供達の遊び場でス。ん?泣いているのデスカ?
泣いている子供を抱きしめ頭を撫でるデス
男の子は簡単に泣いちゃダメデスヨ?
イチゴ、どうしたデス?子供に嫉妬してるデスカ?仕方ないデスネ、イチゴにもしてあげマスヨ!
慌てるイチゴを胸の中に押し付け頭を撫でてあげマスネ!
このぐらいはしても許されマスヨネ?
誰かと被ったら絡みアドリブお任せ
●23日午前
「朝の空気は澄んでいて気分が良いデスネ!」
「そうですね……」
九尾神社の例大祭のお祭りも今日が最終日。
2日間縁日を回りっぱなしだったいちごだが、今日も朝一番から元気いっぱいのミラ・グリンネル(妖狐の精霊術士・f05737)によって連れ出されていた。ミラも浴衣姿ではあるが、その豊か過ぎるアメリカンサイズな身体を浴衣では隠し切れず、とても扇情的な格好になっていたりするのだが、ミラは特に気にはしていない様子。
さて、さすがに3日目ともなるといちごも少し眠そうではあるが、ミラは構わず腕を引っ張って連れまわしていく。疲れの見えるいちごへの気遣いは忘れていない……とは思うが、その気づかいが、疲れを吹き飛ばすくらい遊びましょうという方向になっているのがミラらしいところか。
「さすがに面白そうな出店はまだ開いてないデスネ」
「まだまだ朝も早いですからねぇ。賑わうのは昼過ぎくらいからですし……」
「まあイチゴは既に遊んでそうデスシ? 二番煎じも面白くないデスヨネー」
「そうでもないですよ?」
ここまで2日間いろいろ露店を巡ってきているいちごだが、一緒に回る相手が変われば楽しさも変わる。なのでこのいちごの言葉は本心ではあるのだが、それでミラが満足するかどうかはまた別だ。ミラの場合、他の人と違う事がしたいという意識も強いのだろう。
なのでとりあえず露店巡りはするものの、どこかの店に突撃することもなく、2人はのんびりと散歩のように歩いていた。
「ん、何か元気な子供達の声が聞こえマスヨ?」
「ああ、普段はここは近所の子供たちの遊び場ですからね。まだお祭りで賑わう前の時間なら、遊びに来ている人がいるのかも?」
いちごの言葉に、声の方向を見てみるミラ。
露店から外れた境内の隅で何人かの子供たちが遊んでいるのが見えたが……その子供たちの輪から外れて1人、俯いている男の子も見えた。
「ん? あの子は……?」
「仲間外れですかね……?」
気になった2人は、その男の子の所に向かっていった。
「どうしマシタ? 泣いているのデスカ? 男の子は簡単に泣いちゃダメデスヨ?」
その子の前にしゃがんで、軽く抱きしめて頭を撫でるミラ。
普段は明るく元気に猪突猛進といった感じのミラだが、子供には優しいのだ。
ただまぁ、ミラの豊かな胸の中に抱きしめるその状態は、子供に余計な性癖を芽生えさせそうな気もして、いちごは微笑みと、ちょっとだけ複雑な顔で、そんな様子を見ていた。
「お姉ちゃん達、ありがとう。またねー!」
やがて、泣いていた子も落ち着き、2人のお姉さん(もちろん子供からはいちごもそう見えている)にお礼を言って、他の子の元に駆けていった。
「うんうん。子供は元気が一番デスヨ」
「ですねぇ……」
「ん? イチゴ、どうしたデス? 子供に嫉妬してるデスカ?」
子供を見送るいちごの表情にちょっとだけ複雑な色を見かけたミラは、悪戯っぽくそう言う。
「違いますよっ!? 私はただ……」
あの子の様子が気になっただけ……などと言い訳を口にする暇もなく、ミラは実に楽しそうな顔でいちごを捕まえて抱き寄せてしまうのだった。
「仕方ないデスネ、イチゴにもしてあげマスヨ!」
「もがっ!? ち、ちが……」
急に抱き寄せられたいちごは慌てるが、ミラの豊満な胸の谷間に頭を押さえつけられ、逃がさないとばかりにぎゅうっと抱きしめられてはだんだんと息が詰まっていく。
ミラはそんないちごの様子を楽しみながら、そのまましばらく頭を撫でているのでした。
「……このぐらいはしても許されマスヨネ?」
「ゆ、許しますけど……息が……」
「イチゴ、ミラのおっぱいもっと楽しんでもいいんデスヨ?」
浴衣の合わせに頭がはまり込んでいることもあって、いちごがもがくたびに浴衣もはだけていく気がしているが、ミラはそれすらも楽しそうに、しばらくいちごを抱きしめて遊んでいるのでした。
「なんならイチゴ、揉みマス?」
「何言ってるんですかぁっ!?」
このやり取りは、さっきの子供たちが何事かと近づいてくるまで続いたそうな。
大成功
🔵🔵🔵
如月・水花
【23日午後】
夜は混む…絶対混む…!
だから夜は避けて、ほどほどな時間帯を狙ってみようかな?
昨日一昨日って、大分みんなに振り回されてただろうし、この時間帯ぐらいはゆっくりさせてあげたいかも?
のんびりりんご飴とかわたあめ食べたり…
ふふっ、いちごくんの頬とか指に飴とか付いてたら取ってあげようかな?ついでに口づけとか指咥えちゃったり…
ま、まあ!いちごくんに癒されてもらうのが第一の目的だし、ほどほどにしておこうかな?
でも、いつかは二人っきりでゆっくりじっくり楽しんでみたい…なあ……
●23日午後
夜は混むだろうなぁ……絶対混むだろうなぁ……。
そんな思いから、如月・水花(輝き秘めし水宝玉の姫・f03483)は夜は避け、まだ人も集まり始めたばかりの昼の九尾神社へとやってきた。
これくらいの程々な時間帯がいいよね、とあたりをきょろきょろ。
探し人の姿は、思いのほか早くに見つかった。
「あ、いたいた。いちごくん、今ひとり?」
「あ、水花さん、こんにちは。ええ、今は特に誰とも……」
「よかった。それじゃ、一緒に縁日まわろう?」
「ええ、いいですよ」
思いがけず2人っきりの時間となったことを理解し、水花は内心でぎゅっとガッツポーズ。たまには2人きりでのんびりゆっくり過ごせたらいいなぁという想いが叶った瞬間だった。
とはいえ、これがいちごにとって3日目であることは水花も理解している。
(「昨日一昨日って、大分みんなに振り回されてただろうし、この時間帯ぐらいはゆっくりさせてあげたいかも?」)
いちご自身は、水花の前で疲れを見せるような事はないが、それでもここまで2日間朝から晩まで縁日巡りをしていたのだから、疲労は溜まって当然だ。
だから、水花は、自分ものんびり過ごしたいからというのもあって、軽く買い食いしながらの散歩を提案した。
「歩き疲れたら、どこかで座って休んでもいいしね?」
「すみません、気を使ってもらっちゃって」
「いいのいいの。いつもいちごくんはわたし達に気を使い過ぎなんだから」
水花はそう微笑みと、いちごの手を引いてゆっくりと露店を巡っていくのだった。
しばらく手を繋いで露店を歩いたのち、水花は2人分のりんご飴を買って、境内のベンチへと向かった。
そこで2人で腰掛けて一休み。
「はい、いちごくん、あーん」
「あ、あーん……って、普通に2本あるんだから渡してくださいよぅ!?」
「ふふっ」
水花にあーんと差し出されたりんご飴をペロッとひとなめしてから、いちごは自分の分としてそれを受け取る。
ただ、水花が差し出した際に、ちょっとだけ頬に飴が擦れてしまったらしく。
「あ、いちごくん、頬についてるよ?」
「えっ?」
「とってあげるね……」
ぺろっ。
「水花さん!?」
「ふふっ。綺麗に取れたよ?」
水花はいちごの頬をペロッと舐めとっていた。
不意打ちに真っ赤になってしまういちごを見て、可愛いなぁときゅんとした水花は、そのままつい無意識的にもう一度唇を近づけた。いちごの顔を手で押さえ、そのまま軽く舐めるように、唇へと。
軽く唇同士が触れあったことに気付いて、ますます赤くなるいちご。
やった水花の方も、少しだけ頬を赤く染めていた。
そしてそれを誤魔化すかのように笑みを浮かべ、更に爆弾を投げかける。
「えと、ごちそうさま。……いちごくんも、わたしのこと食べる? わたしはいつでもいいんだよ?」
「何言ってるんですかぁ!?」
冗談っぽく言いながら、いちごの手を取って自分の胸に導こうとする水花。
……だが、さすがに慌てふためくいちごを見て、冗談だとくすっと笑うのだった。
「まぁ、いちごくんに癒されてもらうのが第一の目的だし、ほどほどにしておこうかな?」
「……ほんとにほどほどにしてくださいよぅ」
りんご飴よりも赤くなってしまったいちごだったとさ。
大成功
🔵🔵🔵
ミホ・ペルウィーシュ
【23日夕方】
※普通の冬服姿
※着膨れしてもガリガリ無乳
い、いちごさん…ご一緒していいですか?
今日は体調がいいので…
…ありがとうございますっ
実はボク、人混みは不安で…
『また』後から嘲笑われ殴られそうで
…いちごさんがいて良かったです
あっ、甘い匂いが…リンゴ?
飴なんですか?…2つ下さい
1つはいちごさんに
ささやかな今日のお礼です
えへへっ…(大事そうにちろちろ)
キレイな夕日…
昼ほど眩しくなくて、夜より暖かくて…
あの…手、握ってくれますか?
…以前は拾ってくれて、ありがとうございます
ボクには可愛さも愛嬌もありませんけど
少しでも、恩返しできれば…
でもいつか、いちごさんに…(ぽそっ)
…い、いえ、何でもないですっ
●23日夕方
夕方の九尾神社。
祭りの最終日の夜に向けて、境内に浴衣姿の老若男女が集まりだす時間帯。
そこに、普通の冬服を着膨れさせている中性的な少女がいた。着膨れはしているものの、まだまだ痩せているのがわかる彼女は、恋華荘には最近加わったばかりのミホ・ペルウィーシュ(凶鳥に魅入られし虚刃の魔女・f29987)だ。
ミホは、出身世界で色々あって行き倒れていたところ、偶然出会ったいちごに拾われ恋華荘へとやってきている。
それゆえ、いちごには懐いているようで、いちごの姿を見つけると嬉しそうに近付いていった。
「い、いちごさん……ご一緒していいですか?」
「私は大丈夫ですけれど、ミホさんの体調は大丈夫です?」
痩せ細っていて体調も崩しがちなミホの身体を心配するいちごだが、ミホは大丈夫と言わんばかりに首を横に振った。
「今日は体調がいいので……」
「それなら無理しない程度に行きましょうか」
「……ありがとうございますっ。お祭りは楽しそうなんですけれど、実はボク、人混みは不安で……いちごさんがいて良かったです」
嘲笑われたり殴られたりした過去の記憶が、人混みを見てフラッシュバックしたのか、少しだけ目を背けるミホの様子を気遣うように、いちごは軽くミホの頭に手を乗せて優しく撫でるのだった。
出身世界の異なるミホにとっては、縁日は何を見ても珍しいようで、辺りにある一風変わった食べ物の値に眼鏡の奥の瞳を輝かせていた。
「あっ、甘い匂いが……リンゴ?」
「りんご飴ですね」
「飴なんですか? へぇ……」
いちごは歩きながら、初めて見る食べ物に興味津々なミホに、りんご飴がどういうものか説明する。
それで興味を惹かれたか、ミホは屋台の方へと歩を進め、小銭を取り出した。
「えっと、それじゃ2つ下さい」
「ああ、私が買いますよ?」
「いえ、買わせてください。1つはいちごさんに、ささやかな今日のお礼です」
そう言ってえへへとテレら笑いしながら、2つ買ったうちのひとつをいちごへと差し出す。
いちごもそういう事ならと素直にお礼を言って、りんご飴を受け取る。
ミホは、いちごに受け取ってもらってますます嬉しそうな笑顔で、ちろちろとゆっくり舐めながら歩いていくのだった。
「わぁ……キレイな夕日……」
「このあたりは夕焼けが良く見えますからねぇ」
露店巡りもひと段落した後、2人あ夕日が良く見える境内の外れへとやってきていた。いちごが夕日の綺麗な場所へと連れてきたのだ。
「昼ほど眩しくなくて、夜より暖かくて……」
「この光景、気に入ってもらえたならよかったです」
しばらく夕日を見ていたミホだが、いつのまにか視線はいちごの横顔へと移っていた。
「あの……手、握ってくれますか?」
「はい? かまいませんけれど……」
「……拾ってくれて、ありがとうございます。ボクには可愛さも愛嬌もありませんけど……少しでも、恩返しできれば……」
少しだけ思いつめたように真剣に。
ミホは不安を覆い隠そうとするかのようにぎゅっといちごの手を握っていた。
だからいちごも真面目に、そして優しく答える。
「いいんですよ。こうして元気に恋華荘で過ごしてくれればそれで。それより、今日は歩きましたけど、無理はしていませんか?」
「はいっ。大丈夫です」
ミホは最後にもう一度、今日一番の笑顔を浮かべたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
高原・美弥子
【23日夜】
いちごと縁日デート!
恋人の一人としてこれは、あたしはデートする権利が、そしていちごにはデートする義務があるよね!
花火柄の浴衣用意しなきゃ!
さて、ブッキングはしたくない……けど、外せないイベントがあるだよねー
そう、最終日の打ち上げ花火!デートならこれ外せないでしょう!
例えブッキングしても、あらかじめ確保していた穴場の場所にいちごを誘うよ
なんなら、あたしが浴衣着て穴場で待ってて時間になったらいちごに来るよう言っててもいいしね
浴衣披露して感想貰ったら花火を見ていちゃらぶして、更に花火終わったら余韻に浸りつつ用意してた閃光花火とかを一緒にするよ
そして最後に、油断したいちごにキスしちゃうね!
彩波・さくら
【23日夜】
「お祭り最終日の夜……
いちごのことだから、きっと何か問題を起こすに決まってるよね。
最終日の夜は、毎年、花火が打ち上げられて綺麗だし」
そんなロマンチックなシチュエーションで、いちごを他の女の子と二人きりにさせるわけには……
じゃなかった、いちごを野放しにするわけにはいかないよね!
「ここは私がしっかりいちごを監視しなきゃ!
というわけで、最終日の夜は私と一緒だよ、いちご?」
せっかくだから、浴衣を着ておめかし。
……べ、別に、いちごのためじゃないんだから、勘違いしないでよね!
「お祭りかぁ……
そういえば、私が恋華荘に来た頃も、お祭りに誘ってくれたよね、おにい……」(最後の方は花火の音で聞こえない
霧沢・仁美
【23日夜】にいちごくんを誘ってお祭りに行くよ。
この三日間ずっと遊び通しで疲れてると思うけど…折角の機会なのだし、あたしとも…ね。
服装はもちろん浴衣(今年の浴衣コン全身図のもの)
時期的に寒いかもだけど、お祭りだしね。
焼きそばやハニーカステラを半分こしたり食べさせあいっこしたりと食べ物も食べるけど、ゲームの屋台で遊ぶのがメインかな。
金魚すくいにヨーヨー釣り、あと射的。全部失敗しちゃうけど、でも楽しいのは楽しいかな。
一通り遊んだら、神社の方から屋台並んでる一帯を一緒に眺めてつつお話でも。
いちごくん、今日はお疲れ様と…ありがと。
もし二人きりだったら、そのまま流れで口づけして…その先も、なんて?
●23日夜
九尾神社の例大祭もよいよ最後の夜。
最終日の夜は、花火も打ち上げられるので、肌寒くなってきた季節にもかかわらず、浴衣を着た老若男女がひしめいていた。
もちろん、恋華荘の少女たちも。
その筆頭は、いちごの双子の妹である彩波・さくら(龍神の聖女・f25299)だ。
「お祭り最終日の夜……いちごのことだから、きっと何か問題を起こすに決まってるよね。最終日の夜は、毎年、花火が打ち上げられて綺麗だし」
双子の兄に対して人知れず恋心を抱いているはずのさくらだが、にもかかわらず兄のことは何一つ信用していない。さもありなん。
「そんなロマンチックなシチュエーションで、いちごを他の女の子と2人きりにさせるわけには……じゃなかった、いちごを野放しにするわけにはいかないよね!」
という感じで、一部内心もバレバレなような気はするが、さくらは強引に最終日の花火の夜のいちごの時間を確保していた。妹に頭が上がらない兄なので、強気で押し切られては断ることもできない。
「ここは私がしっかりいちごを監視しなきゃ!」
とは本人の弁である。
もちろん内心は……だが、そこは置いておこう。
もちろんさくらも浴衣を着ておめかししている。それを指摘すればきっと「別にいちごの為じゃないんだからね!」とテンプレのツンデレ台詞を聞かせてくれるだろう。
「……まぁ、そうなるよねぇ。ブッキングはしたくない……けど、外せないイベントがあるからねー……」
そんなさくらの隣には、やはり花火目当てでいちごに声をかけた高原・美弥子(ファイアフォックスのファイアブラッド・f10469)がいた。こちらも花火柄の浴衣を着ておめかしして気合を入れている。
いちごの恋人の一人を自認する美弥子だ。花火イベントはどうしても外せないと、ブッキングの危険性を承知でこの時間を指定し、花火を診るためのいい場所も確保していたのだが……まぁ、案の定うるさい小姑が付いてきたという訳だ。
「いえ、例えブッキングしたとしても、最終日の打ち上げ花火! デートならこれ外せないでしょう!」
と力説する美弥子。
さくらもそれを聞いて、内心ではうんうんと頷いているのだが、もちろん表向きは、そんなことはさせないんだから!とお邪魔蟲な言動を繰り広げているのだった。
ともあれ、そんな2人で確保した花火を見るに絶好のポジション。
あとは呼び出したいちごがくるのを待つばかり……なのだが。
「いちご、何してるの……花火始まっちゃうじゃない」
「いちごが約束した時間に遅れるなんてないと思うけど……むむむ」
待ち人はなかなか現れないのだった。
「やっぱり直接監視しておくべきだったわね! 美弥子さん、場所確保しておいて。いちごを連れてくる!」
あまりに来るのが遅いので、さくらはいちごを連れてくるためにこの場を離れようとする。
「わかった……けど抜け駆けは無しよ、さくら」
その時背後から聞こえてきた美弥子の言葉に、ギクッとなったかどうかは、内緒にしておきましょう。
さて、そのいちごはどうしていたかというと。
「あ、いたいた。いちごくん」
「あれ、来てたんですか? 浴衣もよくお似合いですね」
「ふふ、ありがとう。今年新調した甲斐もあったかな。……この季節になるとちょっと肌寒いけどね」
「ですねぇ……」
いちごは指定された花火スポットに向かう途中、遊びに来ていた霧沢・仁美(普通でありたい女子高生・f02862)と出会っていた。
恋華荘に住んでいるわけではない仁美なので、事前にお祭りの約束はできていなかったのだが、なんとか最終日のこのタイミングでいちごと合流できたわけだ。
「いちごくん、話を聞くとこの3日間、ずっと遊び通しで疲れてると思うけど……折角の機会なのだし、あたしとも……ね?」
「ええ、いいですよ。子rから行くところありますけど……そこに向かいながら夜店覗いていきましょう」
一瞬約束の時間が頭によぎったが、まだ余裕もあるという事で、露店を歩きながら2人で向かう事にしたのである。
「さすがに食べ物もいろいろあるね。いちごくん、夕食は食べた?」
「いえ……ずっとここにいたのでまだ」
「それなら、ちょっと食べていこう。2人で半分こしてさ」
楽しそうに言う仁美に付き合い、焼きそばやらハニートーストなんかを2人で半分ずつ、食べさせ合ったりしつつ歩いていく。
「あ、ヨーヨー釣りやってみようか?」
「まだ時間もありますし、いいですよ」
さらには遊びの屋台にも立ち寄ったり。この後待ち合わせがあるとは思えないほどの、仲のいいデートであった。
「きゃっ!?」
「仁美さん、大丈夫です?」
「あはは……ちょっと濡れちゃった」
釣ったヨーヨーの水風船が破裂し、浴衣が濡れてしまった仁美。
「ちょっと失礼しますね」
「あ、うん……」
いちごはハンカチを取り出し、濡れてしまい豊か過ぎる胸のラインが浮き彫りになってしまった浴衣を拭いていく。
「いちごくん、ありがとうね。……吹いてくれる野茂だけおd、時間もあまりないのにデートも」
「いえ、まだ待ち合わせには間に合いますから大丈夫ですし……」
「だから、これはお礼、だよ?」
水に濡れた浴衣を拭くために、そしてこのあと花火を見るのに穴場スポットまで移動するために、いちごと仁美は、露店からは少し外れた場所で2人きりになっていた。
だから仁美は、今のうちに……と、さっといちごに顔を近づける。
ちゅっ。
軽く唇を触れさせるキス。
更にはいちごの背に手を回してその先も……という思惑もあったのかもしれない。
が。
「あーーーーー! いちご、遅いと思ったらまた手を出してる!!」
ここで、いちごを迎えに来たさくらが現れてしまったのだった。
「ひゃっ!?」
「さ、さくら!? 待ち合わせはここじゃなかったはず……!?」
慌てて後ずさる兄に、ジト目で圧を加えていく妹。
「あはは……いちごくんの待ち合わせ相手って、さくらさんだったんだね。これから花火見に行くんだっけ?」
「ほら、もうすぐ花火始まっちゃうから、行くよ、いちご」
「あ、ちょっ……」
そのままさくらは、頬を膨らませたままいちごをずるずると引きずるように連れていく。ドナドナドナ……と物悲しい歌が聞こえそうないちごの顔を見て、仁美もどうしようかと少しだけ思案するが。
「……あたしも行こっかな?」
なんとなく流れでついていくことにしたのだった。
「いちご、さくら。ほら、もう花火始まるよ……って、仁美さんも?」
「あはは、なんとなく流れで……」
「まぁ、いいけど……被るのは想像してたし」
そして美弥子とも合流して、祭りの〆の打ち上げ花火を4人で見ることになった。
といっても、これ以上は申し訳ないかなぁ……と仁美はいっぽ後ろに引いているので、いちごの両脇にはさくらと美弥子が陣取っていた。
どーーーーーーーーん。
「たーーーまやーーー!」
いちごの左側で美弥子が大きく合いの手を入れてはしゃいでいる。
ほら、いちごも一緒に、と腕を組んでくっついて……。
とはいえ逆側ではぴたりとさくらが寄り添っているので、美弥子と一緒にはしゃぐわけにもなかなかいかないいちごだった。
「わぁ、綺麗……そういえば、私が恋華荘に来た頃も、お祭りに誘ってくれたよね、おにい……」
珍しくいちごではなく、お兄ちゃんと呼びかけながら、しみじみと懐かしそうな優しい笑顔でいちごに語り掛けるさくら。とはいえ、残念ながらお兄ちゃんと呼びかけた部分は、花火の音にかき消されてしまって、いちごには聞こえていない様子。
いちごの反応がないなと、ふと隣を振り返ったさくらは……そこで見てはならないものを見てしまった。
「ふふっ。いちご、隙ありよ?」
「み、美弥子さん……」
花火がどーーーんと大きな音をたてた瞬間、つまりさくらの言葉がかき消されてしまった瞬間、いちごの隙をついた美弥子が、さっといちごに顔を近づけてキスをしていたのだった。
「いーーー!ちーーー!ごーーー! なにしてるのーーーーー!!」
「私ですかっ!? ちょっと、さくらっ!?」
そしてもちろん、さくらのカミナリが落ちた。
花火にも負けない勢いだったと、背後から見ていた仁美は、のちに語ったそうな。
「まったく……いちごってば……いちごのバカ」
「さくら、だからごめんなさいって……」
このあと4人で、花火の余韻とばかりに〆の線香花火を始めたのだが、さくらの機嫌が直るまでいちごはたいそう苦労したのだった。
大成功
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