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Great Glow Glasses!

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #バトラー・サファイア #クリスタリアン #漿船

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●輝ける眼鏡の祭典
 宝石の船体を持つ、意志のある宇宙船『クリアグロウ』。
 漿船(クリスタルシップ)の一つと数えられ、かつてはクリスタリアンの最長老『プリンセス・エメラルド』の所有物であったとされている。
 だが、それも今では過去の話。現在の船内には、そんな過去を知らないクリスタリアンが多く居住しており、栄華を極めていた。

 さて、宇宙船ごとに様々な文化を育むスペースシップワールドであるが、クリアグロウでは特に『美的センス』の鋭い者が多く輩出されていた。
 輝く美しい肉体とともに高い美意識を持つ彼らを、船外の人々は『モードの達人』と呼び、その奇抜で高度なセンスは他の追随を許さない。時には奇抜すぎて常人には多少理解に苦しむファッションなども流行るのだが、それも一目見てしまえばなんだかんだ美しく見えるのだから侮れない。

 そんなクリアグロウで現在流行しているものは、ズバリ眼鏡だ。
 視力の補助器具として生まれた眼鏡ではあるが、人の印象を決める最大の特徴、顔を着飾るにあたり、同時にその美しさも磨かれてきた。
 透明なものからサングラスまで多種多様なレンズはもちろん、つるの装飾、フレームの湾曲。一つ一つのパーツが違うだけで、その人物の印象を大きく変えてしまう。そんな眼鏡は、銀河を彷徨う世界においてもお洒落アイテムとしては大定番。だからこそ一度流行に火が付けば、その熱も一気に広がるというものだ。気が付けば、毎年開かれるファッションショーにおいても、今年のテーマは『眼鏡』に決定。多くのメガネニストが待ち望む祭典が開催される運びとなった。
 その名も『Great Glow Glasses!』。宇宙船『クリアグロウ』そのものが審査員の一人となり、名実ともにクリアグロウ一認められたベストメガネニストを決める祭典なのだ!

「楽しいお祭りの最中ですが、お邪魔しますよ」
 静かで冷たい口調で、突如船内にその女は現れた。
 クリアグロウはその姿を見て、懐かしさを感じると同時に異様な気配を感じ取る。
「まったく……忘れたとはいえ『転送装置』をこのような場にしてしまうとは。しかし、ある種都合が良いでしょう。ここは我がプリンセスの……」
 そこまで言いかけて、その女はピクリと眉を動かした。
「なに? そんなことはいいから眼鏡をかけろ?」
 溜息ひとつ。そして女は言う。
「……わかっていませんね。私に命令していいのはプリンセスだけ。あなたはただ、ここの民が虐殺されるところを見ていればいいのです」
 女の名はバトラー・サファイア。プリンセス・エメラルドの忠実なる下僕である。

●猟書家の侵攻
「猟書家達が各世界の侵攻を始めましたわ!」
 エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)が突如、猟兵達にそう切り出した。
 猟書家。先の戦争『迷宮災厄戦』にて出現し、オブリビオン・フォーミュラを滅ぼした世界への侵攻を始めた者達である。
 彼らはそれぞれの世界に存在する月を『骸の月』で覆おうと画策しており、月が『骸の月』に覆われれば、その世界を侵攻したオウガ・フォーミュラがオブリビオン・フォーミュラへと進化してしまう。
「そうなれば、平和になった世界に再びオブリビオンが蘇り始めますわ。それはなんとしても阻止しなくてはいけませんのよ!」
 エリルが力いっぱいに言う。猟兵達が命を賭けて守った世界を再び危険に晒すことなど、あってはならないのだ、と。

「さて、今回皆様に行っていただくのはスペースシップワールド。場所はクリスタリアン達が住む宇宙船『クリアグロウ』! そこに猟書家の幹部が現れると予知されましたの!」
 エリルが言うには、出現するのは猟書家『プリンセス・エメラルド』の配下、バトラー・サファイア。その女が『クリアグロウ』へ突如出現し、住人を皆殺しにしようとしているのだという。
「目的は宇宙船『クリアグロウ』の奪取。かつてクリアグロウは意志を持つ古代移民船で、プリンセス・エメラルドの所有物『漿船(クリスタルシップ』だったのだと言われていますわ」
 元所有物だったものとはいえ、何故そんなものに固執するのか? そんな疑問に、エリルは言葉を続ける。
「漿船(クリスタルシップ)にはプリンセス・エメラルドだけが知る『転送装置』が組み込まれているらしいのですわ。おそらくプリンセス・エメラルドは、それを銀河の侵略に使用したいと考えているのじゃないかしら」
 理由はどうあれ、罪のない人々を虐殺させるわけにはいかない。そこで、虐殺が始まる前に幹部迎撃の準備を整えなくてはならない。
「幹部はまさしく、その『転送装置』を使って船内に出現しますわ。つまり、転送装置の場所を突き止めれば迎撃が可能なのだけれど、あまりに古い装置であるためか、残念なことにその正確な位置情報を知る者はこの船にはいませんの。それは意志を持つ『クリアグロウ』ですら同様で、クリアグロウは転送装置の存在を忘れてしまっているとか」
 エリルが首を傾げながら言う。残された時間は短いが、まずは転送装置の場所を突き止める必要があるのだ。
 ではどのように――?
 エリルはふふんと鼻を鳴らし、高らかに告げた。

●眼鏡オブ眼鏡
「皆様、眼鏡をかけてファッションショーに参加してくださいまし!!」
 えぇっ。
 これまでの真面目な説明との温度差が凄い。一体どういうことだ。
「このクリアグロウでは、美的センスの高い人々が多く暮らしており、定期的に開かれるお祭りの中でも一番賑わうのがファッションショーなんだとか!」
 エリルは転送装置の捜索など一切関係が無さそうな話題を楽しそうに続ける。
「今年のテーマは眼鏡! 眼鏡はもちろん、眼鏡の似合う服装、立ち振る舞いが評価されるようですわ」
 ステージに立つ参加者は勿論、観客たちも皆眼鏡。メガネニストには堪らない祭典だ。だがこれが結局転送装置捜索となんの関係が?
「このファッションショーの歴史はかなり古く、それこそこの宇宙船が稼働してあまり間がないうちに始まったと言われていますわ。つまり、このお祭りに参加して歴史を紐解けば、転送装置についての情報も出て来ると予知しましたの」
 調査する対象として、例えば審査員、例えば過去の資料、例えば集まったメガネニスト達、観客たち。そして例えば、クリアグロウ本体が挙げられる。
 微弱ながら意志を持つクリアグロウは、住民であるクリスタリアンとならテレパシーにて意思疎通が出来る。住民の誰かと親交を深め、クリアグロウに直接聞き出せば何か思い出すこともあるかもしれない。
「その為に、眼鏡なのですわ!!」
 なんだか強引な気もするが、猟兵も祭りに参加して楽しみ、クリスタリアン達と親交を深めることが出来たならば、転送装置前の迎撃戦にも協力をしてくれるに違いない。
「眼鏡はご自分で用意するのもよし、クリアグロウに移動してから選ぶもよし! 眼鏡が大流行しているクリアグロウでは、沢山の眼鏡店があるから、好きなものが選べるはずですわ!」
 そう言って、エリルのグリモアが輝き始めた。
「さぁいきますわよ! 輝けるメガネの祭典へ!」


G.Y.
 こんにちは。G.Y.です。
 今回はスペースシップワールドの猟書家幹部との対決シナリオを描かせて頂きます。

 対抗する幹部は『バトラー・サファイア』。
 漿船『クリアグロウ』の転送装置から出現する彼女を迎撃しましょう。

 クリアグロウは古代より存在し、全てが宝石で出来た非常に神秘的な船です。
 住民は全てクリスタリアンであり、独自のファッションセンスが発達しています。

 第1章は日常です。
 眼鏡の祭典『Great Glow Glasses!』に参加し、注目を集めたり話題を総なめにしたりしながら、情報収集をしましょう。
 ファッションショーに参加する他、観客として楽しむことも可能ですが、この船に住むクリスタリアン達のセンスは中々鋭いので、例え一般人として参加していても、猟兵の皆さんはなかなか良い評価を貰えることでしょう。
 ひとしきり楽しみ、クリスタリアン達と親交を深めることが出来れば第2章で協力を仰ぐことが出来ます。

 第2章はバトラー・サファイアとの対決です。
 第1章で無事転送装置の位置を割り出せたならば、転送してきたところを迎撃することが可能です。その際、クリスタリアンの皆さんも協力してくれます。猟兵ほどの力はありませんが、地の利を生かした奇襲はバトラー・サファイアの注意を逸らしてくれるでしょう。
 また、クリスタリアンに指示を出せば、その通りにも動いてくれます。

 それでは、皆様の輝かしいプレイングをお待ちしております!
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第1章 日常 『行楽船を楽しもう!』

POW   :    ノリと勢いで、とにかく楽しむ。

SPD   :    あちこち回って、たくさん楽しむ。

WIZ   :    頭を使って、冷静に楽しむ。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

支倉・錫華
え? 眼鏡?
目は良い方だったから潜入でもかけたことなかったね。
どうなんだろう、わたしに似合うのかな?

ま、たまにはファッションだと思ってかけてみるのもいいかな。
これも任務ってことにしておこう。

眼鏡自体はよくわからないから、アミシアに選んでもらおうかな。

「って……これ?」

アミシアが選んでくれたのは、
太めの黒フレームで大きなレンズのついた、いわゆる『ア●レちゃん眼鏡』

これに縦セーターとロングスカートを合わせるの?
アミシアのセンスを疑うわけではないけど、いきなりマニアックすぎないかな?

いつも露出が多いからたまには地味子もいいもの?
そういうものなのかな? ってそれ、アミシアの趣味じゃないのかな?


アリス・フォーサイス
わぁ、素敵な船だね。
え?眼鏡をかけないといけないの?じゃあ、この船の眼鏡を見せてもらいに行こうかな。

スマートグラスでもこんなおしゃれなデザインがあるんだ。さすが、眼鏡ファッションが進んだ船だね。

じゃあ、これを参考に眼鏡型電脳ゴーグルを作っちゃうよ。
こんなところかな。けっこうキュートで自信作だな。

さあ、情報収集だね。『転送装置』を探すんだっけ。
予知によると忘れられてるみたいだし、そのまま聞いてもわからなそうかな。
でも、忘れられてるってことは、あまりみんなの美的感覚にあわなかったってことだよね。そういうのが集められてそうな場所を聞こう。


クネウス・ウィギンシティ
「眼鏡が似合う服装、それは白衣に違いない!」

【POW】ノリと勢いで、とにかく楽しむ(UC無し)

●白衣
「眼鏡といえば知恵の象徴、それに学者が纏う衣である白衣こそが眼鏡に似合うはず」
 例えファッションショーであろうと、いやだからこそ白衣で参加します。 【情報収集】は集いし眼鏡フレンドや眼鏡紳士相手に行いましょう。眼鏡はこの宇宙船に住民がいた頃からあるはず。ならば眼鏡の歴史を紐解けば、眼鏡屋店主なり眼鏡一家の伝承なりが残っていると信じています。

 グリモア猟兵の予知を踏まえると、何となく此処、眼鏡の祭典会場が怪しい気もしますが眼鏡エリートが集まる場所ならばきっと大丈夫でしょう。

 眼鏡の導きよ、あれ


メイスン・ドットハック
【SPD】
メガネでクリスタリアン?
よろしい、ならば僕の出番ではあるのー

ただファッションの方はそこまで自信がある方ではないので、メガネの良さを引き立てる方で控えめに参加
そして地味な衣装に身を包んだUC「迷宮主の領域に踏み込みし権能」の自分のコピー劣化体達は観客や観光客として紛れ込み、その数による情報収集能力で船に関する情報を集める

僕はバリエーションはあるわけではないけど、友人がセンスあるけー、それなりに着こなせておるとは思うがのー

友人が考えたコーディネートと自慢のメガネでアピールしつつ、参加しているクリスタリアン達から情報を集めたりする

アドリブ絡みOK



●祭典の始まり
 暗闇の大宇宙に輝く漿船『クリアグロウ』。
 宝石で出来た船体の内部は、それに負けじとキラキラしていた。
『レェディイィース、エェーン、ジェントルメェァン!』
 サングラスをかけたタキシードのクリスタリアンが、マイクを手に叫ぶ。
『貴方の顔を彩るものは? そう! 眼鏡だ!』
 ちゃきっと自身の眼鏡をつまんで見せて笑う歯はクリスタルの輝きを放っている。
『今宵はGreat Glow Glasses! さぁ皆様、美しき眼鏡の祭典を是非お楽しみあれ!!』
 わぁっと歓声が上がり、ステージクラッカーが弾ける。軽快な音楽と共に、ファッションショーが始まるのであった!

「わぁ、素敵な船だね」
 アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は興味深げに船内をきょろきょろと見て回っていた。
 眼鏡が大流行している船内で、眼鏡の祭典が開催中とあっては、道行く人の誰もが眼鏡、眼鏡、眼鏡。
「やぁお嬢さん。あなたも眼鏡で着飾ってみては?」
 眼鏡をしていない方が目立つのだろう。客引きがアリスを呼び止める。
「じゃあ、この船の眼鏡を見せてもらいに行こうかな」
 アリスも興味津々で、眼鏡が並ぶ商店街へと歩き出した。
「ふーん、スマートグラスでもこんなおしゃれなデザインがあるんだ。さすが、眼鏡ファッションが進んだ船だね」
 アリスが連れられた店には、機能性の高い、機械仕掛けのスマートグラス専門店であった。様々なデータをレンズ上に映し、かけた人物の様々なアシストを行うスマートグラスは、銀河を駆ける時代となれば薄くて軽くて、そしてお洒落なのだ。
 情報大好きなアリスはそれぞれの機能を試してみたりしながら、そのうち手に取った1個をぐるりと見返して言う。
「じゃあ、これを参考に眼鏡型電脳ゴーグルを作っちゃうよ」
 代金を支払い、アリスはその眼鏡の情報を分解してゆく。
「……こんなところかな?」
 出来上がったのは、アリスに良く似合う、丸くて可愛いゴーグルだ。出来上がったものを見て、アリスは満足気に頷いた
「けっこうキュートで自信作だな」
 そんなゴーグルを目にかけて、アリスは街へと繰り出すのであった。

 支倉・錫華(Gambenero・f29951)も通り沿いの眼鏡店にいた。眼鏡と聞いて最初は首を傾げたが、これも任務だと言い聞かせつつ、眼鏡を選ぶことにする。
「目は良い方だったから潜入でもかけたことなかったね。どうなんだろう、わたしに似合うのかな?」
 並べられた色とりどりの眼鏡を眺めながら、うーんと悩む。諜報員としての活動中であっても馴染みのないその器具に、不安と期待が入り混じった感覚だ。しかしたまのファッションだと思えば、その感覚も悪くない。
「アミシアはどれがいいと思う?」
 錫華がパートナーであるAIユニットに聞く。そのアミシアが選んだ眼鏡は……
「……これ?」

●いざファッションショー!
『さぁそれでは登場頂きましょう、輝ける眼鏡の使徒たちよ!!』
 ステージの上ではタキシードの司会が場を盛り上げる。スモークと共に美しい眼鏡と、それに似合う服装のクリスタリアン達が登壇すると、周囲は一気に湧き上がる。
「メガネでクリスタリアン? よろしいならば僕の出番ではあるのー」
 メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)はそんなことを言いつつも、ステージのそんな湧き上がりに対しては控えめな参加となった。
 理由としては簡単。生来自堕落気味なメイスンは、あまりファッションに自信がないのだ。
「友人がセンスあるけー、それなりに着こなしておるとは思うがのー」
 メイスンの衣装はセーターにストール、ミニスカートといった出で立ちだ。大人しさと活発さを両立させていて可愛らしい。セーターの萌え袖とメガネがよく似合い、どこか親近感のある、いわゆる幼馴染的な印象を与える。この格好での参加ならば、多くのメガネニスト達を納得させるに違いない。だが、眼鏡アピールと同時に忘れてはいけないことがある。
「情報もあつめんといけんしのー」
 そう言うと、メイスンのアメジストが輝いた。すると、メイスンとよく似た、しかしどこか本人とは違って見えるクリスタリアン達が現れる。彼女達はメイスンの『劣化コピー』。そんな彼女たちをメイスンは観客の中に紛れ込ませ、転送装置に関する情報の収集を始めた。
 地味なTシャツ姿というラフな格好をした彼女らであるが、そんな姿であってもメガネニスト達は見逃さない。
「ほう、あれは堕コーデ」
「知っているのですか」
 クリスタリアン達はそんな劣化コピーのメイスンの姿に自身の眼鏡を光らせた。
「美しく着飾る知的なメガネとは対極。仕事帰り、休日……何者の目にも触れない空間で、何物にも咎められない絶対的自由。その姿は自堕落そのものですが、それこそが心の解放を現すのです」
「ほう……」
 こんな調子で、メイスンの劣化コピー達は観客や観光客達から様々な情報を聞き出すことが出来たようである。
 その時、激しいスモークがステージに吹きあがる。一瞬の静寂。そして。
「眼鏡が似合う服装……それは白衣に違いない!」
 スポットライトがガンガンと当たり、その中央に立つ男、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)が叫んだ。
 同時に再び湧き上がる観客たち。クネウスは白衣を靡かせながら颯爽とステージを闊歩する。
「眼鏡といえば知恵の象徴、それに学者が纏う衣である白衣こそが眼鏡に似合うはず!」
 クネウスがバシッと決める。そのメガネはライトに反射しギラリと光り、そのインテリジェンスな雰囲気を遺憾なく発揮している。
「きゃぁぁあーーーっ!!」
 黄色い歓声が上がる。堂々とした立ち振る舞い、びしっと伸びた背筋が、鍛え抜かれたクネウスの肉体のスマートさがスーツを通し、いや、スーツだからこそより際立たせているのだ。
「眼鏡の導きよ、あれ」
 クネウスがポーズを決めた。
「ブラボー……ブラボー……」
 それに泣いている者もいる。白衣というシンプルな選択は船内を大いに盛り上げたようだ。
(「さて、予知とフレンズからの情報を踏まえると、眼鏡の祭典会場が怪しい気もしますが……」)
 眼鏡の奥の鋭い眼光で、クネウスはステージを見渡す。事前に仲良くなっていた眼鏡フレンドや眼鏡紳士達、そして古くより経営している眼鏡屋や、代々眼鏡の眼鏡一族……そんな彼らからクネウスが得た情報を統合すればするほど、このステージが怪しくなってくる。
(「しかし、果たしてどこに――……?」)
 そんな時、突如観客席が再び湧き上がった。

●最高潮のステージを
『さぁ、このショーは飛び入りだって歓迎だ! 誰にだってそのセンスを発揮し、伝統ある表彰台に上ることが出来るチャンスがある! ここで! 新たな眼鏡の使徒をご紹介しよう!!』
 司会が手をかざすと、スポットライトがその手の先を追うようにステージ袖を照らす。
 そこにいたのは……。
「こ、これでいいの?」
 ふわりとロングのスカートを揺らめかせた、黒縁眼鏡の少女であった。
「アミシアのセンスを疑うわけではないけど……」
 戸惑う少女のその声には聞き覚えがあった。そう、その少女は錫華。しかしその格好は先ほどまでの錫華とはまったく真逆なのだ。
 黒い縁は太く、レンズは瓶底のように厚い。どこか野暮ったい印象のある眼鏡であったが、縦セーターとロングスカートという鉄板の組み合わせが、文学少女のような大人しさの中に知性を匂い立たせていた。
「……いきなりマニアックすぎないかな?」
「わぁああああーーーーっ!!」
 そう疑問を呈する錫華とは裏腹に海上は大盛り上がりだ。
「案外受けてるね」
 いつもは露出が多いのだから、たまには地味子も良いものだ、とAIのアミシアにそそのかされて着たファッションではあったが、悪い判断ではなかったようだ。
「けどやっぱりこれ、アミシアの趣味じゃないのかな?」
 首を傾げた拍子に、厚くて重くて大きい眼鏡がずれる。それをそっと指で直すと、盛大な拍手と指笛が彼女に浴びせられた。
「さあ、ぼく達も出番だよ」
「この自慢の眼鏡をアピールする番じゃの」
 直後、ステージ脇からメイスンとアリスが現れた。
『ここで新たな眼鏡の使徒の登場だぁっ!! これは目が離せなくなってきたぞ! あの表彰台に上るのは……!』
「そう、その表彰台なんだよね」
 アリスが司会の言葉を遮って言った。
「劣化コピーからも集めた情報じゃけ」
 メイスンもぴしっと指をさす。
「……そうか、そういうことか!」
 猟兵達の登場に、クネウスも閃いたように眼鏡を光らせた。
「伝統、祭り……その始まりは古代の美しきオブジェからだという情報があった」
 今ではそのオブジェの前に表彰台を取り付け、華麗なる美を披露した者達を見守る守護神のような存在となっているのだと。
「皆が忘れてるってことは美的感覚に合わなかったってことかと思ったけど、逆だったんだね」
 アリスが笑って言う。そう、この船の転送装置は、『美しすぎて』それ以外の機能が後世に伝わらなかったのだ。
「オブジェはかつてクリスタリアンの長をもてなした際に必ず傍らにあったというんだのー」
 メイスンが補足する。おそらく、転送装置としての伝承が失われた結果、辻褄が合うように改変されたのだ。
「なるほど、それならあそこから出てくるんだね。……眼鏡をしてない猟書家の幹部が」
 錫華の言葉に会場中がどよめいた。
「そうだよ、折角の眼鏡の祭典なのにね」
 アリスが残念そうに頷いた。その時。
「どうやら、来たようです」
『な、なななんと、伝統ある表彰台が輝いているぅぅーー!! ステージ上の彼らの言うことは本当なのかぁぁーー!?』
 クネウスの言葉に、司会が実況を加えて観客に解説する。その間にも表彰台に飾られたオブジェは輝きを増し続け、眩い輝きが会場中を包み込んだ。
「……楽しいお祭りの最中ですが、お邪魔しますよ」
 静まり返った会場に、静かに、冷たい口調の声が響く。
「まったく……忘れたとはいえ『転送装置』をこのような場にしてしまうとは……」
 その声の主、バトラー・サファイア。突如出現した彼女は、観客達の注目を一身に浴びていながらも、涼し気な顔で言う。
「……何ですか? 私の顔に何かついているとでも?」
 彼女は、とんでもない思い違いをしてしまったようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『バトラー・サファイア』

POW   :    ナイブスストーム
【サファイアでできた無数の暗器】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    アカンプリッシュメント・オブ・アサシン
レベル分の1秒で【麻酔針】を発射できる。
WIZ   :    サファイア・フラッシュ
【サファイアの肌】から【蒼く眩い閃光】を放ち、【目を眩ませること】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:白菜ポンズ

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エリル・メアリアルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリス・フォーサイス
何かついてるっていうか、ついてないんだよね。メガネが。

このお祭りを壊すのなら退場してもらうよ!

頭上からメガネの雨を降らせるよ。それに気をとられた隙にクリスタリアンと協力して奇襲攻撃を仕掛けるよ。


メイスン・ドットハック
【SPD】
まったく、メガネの祭典に乱入してくるは無粋じゃのー
邪魔者は退場して貰って、表彰式はやり直しじゃのー

麻酔針は能力「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」を発動させて、電脳アウルム・アンティーカを前に出して防ぐ
機械であれば効かないとばかりに自身も巨大化したKIYOMORIを遠隔操作で操りつつ、周囲を薙ぎ払う一斉砲撃を敢行する
ちなみに漿船とクリスタリアン達には全力で防壁を張って貰って、船体にダメージがいかないようにお願いしておく
ちょっと広範囲な上に結構すごいけー、しっかりサイキックエナジー展開してのー

隠れてやりすごそうとするサファイアを逃がさないような弾幕射撃を叩き込む

アドリブ絡みOK


クネウス・ウィギンシティ
(バトラー・サファイアに)
「メガネレスで眼鏡の聖地に上がり込むとは……貴方、正気ですか」

【SPD】

●UC対抗
「生憎ですが、サイボーグでしてね」
 種族:サイボーグで【肉体改造】済み、麻酔針は機械の身体で防ぎます。

●戦闘
「CODE:FORTUNA。このまま削り取ります」
 UCを用いて『アームドフォート』と『マシンガン』の連続射撃を行い、弾幕を浴びせます。周囲のクリスタリアン達には非メガネへの罵倒による精神的奇襲を頼みます。

「せめて防弾メガネを付けていれば良かったものの」
 狙いは「眼」(【スナイパー】)。眼鏡を掛けてこなかったことを後悔させましょう。


支倉・錫華
『転送装置』本来の目的からはかけ離れているとはいえ、
せっかくのお祭りなのに眼鏡をしてこないなんて、それはないかな。

クリスタニアンのみんなには、
サファイアさんに向けて『眼鏡コール』を上げてもらって、
サファイアさんの集中力を削ぎながら、アウェイ感満載な感じにしてもらえると嬉しいかな。

その隙をついてわたしは【次元召喚分離攻撃】を使って、
予備の眼鏡(めっちゃ度がきつい)をサファイアさんにかけにいきたいと思うよ。

眼鏡をかけたら、クリスタニアンのみんなといっしょにひと盛り上がり。
アミシアにお願いして、写真とか保存してもらっておこうかな。

倒すのはその後。
眼鏡イベントが終わったら、しっかり戦わせてもらうね。



「私の顔に何かついているとでも?」
 その言葉は猟兵のみならず、ステージ全体を震撼させた。
「な、なんてことだ……」
「あぁ、恐ろしい……」
 クリスタリアン達が口々に、信じられないといった声を上げる。
「何かついてるっていうか……ついてないんだよね。メガネが」
「は?」
 アリスの言葉に、バトラー・サファイアが怪訝な顔をする。
「メガネレスで眼鏡の聖地に上がり込むとは……貴方、正気ですか」
 クネウスも信じられなさそうな表情で言う。
「それに何の問題が?」
 バトラー・サファイアは涼しい顔で聞く。その態度は、周囲の者達の神経を逆撫でしてゆくばかりであり、錫華は呆れたような口調で言う。
「転送装置本来の目的からはかけ離れているとはいえ、せっかくのお祭りなのに眼鏡をしてこないなんて、それはないかな」
 メイスンも「はぁ」とため息を一つつく。
「まったく、眼鏡の祭典に乱入してくるとは無粋じゃのー」
 メイスンの言葉に、観客達が大きく頷いた。今この場において、バトラー・サファイアは完全に敵となったのだ。
「……まったく、理解に苦しみます。これから皆さんを殺すのですから、残された時間を考えれば私に怒る暇など無いでしょう?」
 挑発的な物言いをしながら、バトラー・サファイアはごく自然な動作でスーツの裏から無数の麻酔針を抜き取り、投げつけた。
 しかしその暗器を、クネウスが全身で受け止める。麻酔針のほとんどはクネウスの身体に弾き返され、ぱらぱらとステージに転がった。だが、それでもバトラー・サファイアにとっては十分。1本でも刺されば十分に動き止められるからだ。
 クネウスに刺さった針を見てそう思いながらも、バトラー・サファイアは静かに新たな麻酔針を抜き取り、構える。クネウスが平然と針を抜き取ったからである。
「……何故動けるのです?」
「生憎ですが、サイボーグでしてね」
 クネウスの肉体は、外見的には普通の人間然としていた。しかしその実、四肢、そして臓器までもが機械化しており、対人間の麻酔などに効果を受ける事は無い。
「ならば」
 バトラー・サファイアは麻酔針を対ウォーマシン用に切り替える。だがその隙が猟兵達に反撃のチャンスを与えていた。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり!!」
 メイスンが叫ぶ。呼び出したのは『電脳アウルム・アンティーカ』。そして、二足歩行戦車型キャバリア『KIYOMORI』である。
「巨大二足歩行戦車と大魔王との共演、とくと味わうとよいのー!」
「なにっ……」
 バトラー・サファイアが目を見開いた。メイスンの前に突如現れた2体の機械。それがさらに巨大化していく。例えウォーマシン用の麻酔針であろうと、これでは効果が薄い。
「ちょっと広範囲な上に結構すごいけー、しっかりサイキックエナジー展開してのー」
 メイスンの呼びかけに、クリスタリアン達が防壁を張り始めた。
 それは自身の身を守るためであることに違いはない。しかし、同時に攻める為でもあった。
「一斉砲撃、敢行じゃのー!」
 電脳アウルム・アンティーカとKIYOMORIから激しい砲撃が降り注ぐ。船が大きく揺れ、爆炎が激しく上がる。それをクリスタリアン達の障壁により、戦場にだけ影響していた。
「いけませんね、これは」
 ステージから跳ね飛び、身を隠そうとするバトラー・サファイアであったが、それをメイスンの弾幕は許さない。
「CODE:FORTUNA。このまま削り取ります」
 そこに、クネウスが照準を定める。アームドフォートに搭載された重火器と、手にしたマシンガンがバトラーサファイアへと放たれる。
「……!!」
 けたたましい炸裂音と共に、土煙が舞う。その中央に立つバトラー・サファイアの肌には数々の銃痕が刻まれており、服の裾はビリビリに破れている。まだ致命傷には至っていないが、かなり負傷していることは誰の目から見ても明らかであった。
「これが眼鏡の力だ!」
「眼鏡の無い奴は去れー!!」
 クリスタリアン達から、罵倒が浴びせられる。これもクネウスが仕組んだことであるが、傷ついたバトラー・サファイアにとってはなかなか屈辱であったようだ。
「これが猟兵達の力……っ」
 悔しそうにバトラー・サファイアが呟く。だが負けることは許されない、愛するプリンセスの為に、任務を忠実にこなさねばならないのだ。
「一人でも多く殺して、漿船をプリンセスに……!」
 バトラー・サファイアが暗器を取り出し、クリスタリアン達を睨みつける。
「このお祭りを壊すのなら退場してもらうよ!」
 彼女の狙いを察知し、叫んだのはアリスだ。
「邪魔をするなっ!!」
 バトラー・サファイアがアリスに向かい、露出した肌を激しく発光させた。サファイアの青い光が戦場を眩しく包もうとした時。
「……くぅっ!?」
 その光が、突如乱反射し始めた。不規則な光にあてられ、バトラー・サファイア自体が怯んでしまう。
「これは……」
 気付けば、アリスとバトラー・サファイアの間に、眼鏡が雨のように降っていた。
「め、眼鏡ですって?」
「ぼくにかかれば、なんでも作れるんだよ」
 にこりとアリスが笑った。そこにすかさず錫華がクリスタリアン達に呼びかける。
「いくよー、皆!」
「おーっ!!」
 わぁっとクリスタリアン達が湧く。そして始まったのは。
「めーがーねっ!」
「メーガーネッ!!」
 眼鏡コールであった。
「な、は、え?」
 降り注ぐ眼鏡に、観客からの眼鏡コール。あまりの出来事にバトラー・サファイアは混乱の色を隠せずにいる。
「そーれ、めーがーね!」
「めーがーねっ!!」
 鳴りやまない眼鏡コールの中、気付けば錫華はバトラー・サファイアの背後にいた。
 いいや、錫華本人はまだ、バトラー・サファイアの視界の中にいた。バトラー・サファイアの背後に立つのは、近い次元のもう一人の錫華であった。
「はいっ」
「えっ」
 もう一人の錫華が、アリスの作り出した眼鏡をバトラー・サファイアにかけた。
「くっ、あっ??」
 かけられた眼鏡の度数は半端なく高い。裸眼でもよく見えるバトラー・サファイアにとっては、もう目が回るほどに視界がくるってしまう。
「わぁぁぁあーっ!!」
 とうとう、バトラー・サファイアも眼鏡の一員となった。クリスタリアン達は彼女を暖かく迎え、チェキとか撮ったり、肩を組んだりして盛り上がる。そう、眼鏡は平和を呼ぶのだ……。
「って、何させるんですか!!」
 バトラー・サファイアが眼鏡を投げ捨てた。しかしもう遅い。
「今だよ!」
 アリスの号令に、クリスタリアン達が一斉に襲い掛かる!
「くっ、しまっ、ひっ!!」
 もみくちゃにされるバトラー・サファイア。もはや彼女にこの状況を覆す力は残されていなかった。
「邪魔者には退場して貰って、表彰式はやり直しじゃのー」
 メイスンがクリスタリアン達に呼びかける。彼らはそれに応じ、再び船内に障壁を張り巡らせた。
「「さて、わたしもしっかり戦わせてもらうね」」
 二人の錫華の声が重なって二人の両手に構えられた、都合4本の刃がエメラルドに輝く。
「ぷ、プリンセス……っ!!」
 主を想起させたか、バトラー・サファイアが許しを乞うように叫んだ。
 刃が煌めき、続けて弾幕の雨が降り注ぐ。
「これももってってよ」
 アリスの眼鏡がさらに降り注いで、無防備になったバトラー・サファイアを狙うのは。
「せめて防弾メガネを付けていれば良かったものの」
 クネウスだ。狙撃ライフルの照準は、バトラー・サファイアの眼にぴったりと定まっていた。
「……ッ」
 引き金を弾く。直後、銃弾がバトラー・サファイアを貫いた。
「申し訳、ありませ……」
 そう懇願するように呟きながらバトラー・サファイアは崩れ落ち、骸の海へと再び還ってゆくのであった。

 こうして、眼鏡の祭典は守られた。ボロボロになってしまったステージも、この船を守った証だとそのまま残され、表彰式が開催される運びとなった。
 スポットライトを浴びた司会が、クリスタルの歯を輝かせて高らかに叫んだ。
「さぁ、登壇したメガネニスト達の中から選ばれる、Best of Great Glow Glassesは――!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月19日


挿絵イラスト