ACE of WINGS -PSW OnLine-
「あれれー、ここは一体どこだろう?」
彼は、透き通るような蒼い空を見た。
「うん、どう見ても現実じゃないね」
彼の住む世界、正しくは彼の住む艦にこんな場所は無い。あるとすればそれは、
「電脳空間っていうか私が趣味で作ったゲームの中みたいだねぇ。あははは」
彼はユーザーインターフェース、所謂UIを表示しようとした。出来なかった。
「うん、異常事態だ」
「猟書家か……世界に新たな争いの種を撒こうというのなら、それを刈り取るのが猟兵の役目だろう。ブリーフィングを始める」
常の如く偉そうに椅子に座り立体映像を展開する(自称)レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)。
「現場はスペースシップワールド。だが、相手の性質上キマイラフューチャーの方が近いかもしれん。諸君にはゲームをしてもらう」
その立体映像にはゲームのオープニング映像が表示されている。天使、悪魔、鋼の翼、戦争、略奪……そして、青い星。
「知っている奴は知っているかもしれないが、かつてスペースシップワールドにPSW三部作と呼ばれるシューティングゲームが存在した。シリーズとしてはそこで完結していたのだが、この度ある人物がその版権を買い取って外伝となるゲームを作った」
『ACE of WINGS -PSW OnLine-』
蒼い空を背景に煌くフォントでしめやかに表示されるタイトル!
「それがコレだ。開発中のオンラインゲーム、2Dシューティングでオンラインゲームという極めて希少なゲームだ。開発はほぼ終わり、マスターアップを待つだけ……私も楽しみにしていた……のだが、不届きな猟書家にこのゲーム専用の電脳空間を支配されてしまった。全く以て不愉快極まりない。諸君には迅速にこの猟書家を排除して貰いたい」
大分私情が入っているようだが。まあ、長らく楽しみにしていたゲームをこんな形で奪われれば憤慨もするか。
「猟書家はゲームの中に居る。今やこのゲームはログインすると魂を取り込まれてログアウトできなくなる呪いのオンラインゲームと化してしまっている。故に、諸君もこのゲームにログインし、ボスとなっている猟書家を始末して貰いたい。注意点は二つ。ゲーム内での死は魂の消滅、即ち現実での死と同意だ。そして、このゲームはシューティングゲーム……大量の敵を相手にミスは2回までしか許されない。どんな猟兵であっても三度攻撃を受ければ死ぬ。逆を言えば、どんな強力な攻撃でも2回は平気でもあるのだが」
『ストック3』『ゲームオーバー=死』『コンテニューできない』の立体文字。
「だが、ログイン中のキャラクター全てが同じ条件、つまり猟書家も三回殴れば死ぬ。ただし、敵NPCは普通に耐久力があるので結構攻撃を当てても耐えられる。猟書家は巨大なボス機体の中に居座っているのでこのボス戦艦を破壊する必要があるだろう」
『巨大鬼畜戦艦 紫禁』の立体映像が表示される。その名の通り巨大で無数の銃座や砲塔がある。
「そこに至るまでの道中も油断してはならない。何せシューティングゲームである。大量の敵が現れるし弾幕も張って来る」
様々な形の戦闘機、ヘリ、戦闘ドローン、戦車等が立体映像表示される。
「だが、デメリットばかりでもない。ゲーム内で諸君は自由に飛べる。あと、普段は弾薬やら魔力やらを気にしないといけない武器は無制限で使える。武器を投げても帰って来る。シューティングゲームだからだ。好きなだけ撃つがよい」
銃でもミサイルでもファイアボールでもマジックミサイルでも撃ち放題という訳だ。
「逆に制限されるのはユーベルコードだ。これはボムの様な物だと思ってくれ。使えなくは無いが回数制限がある。最初は一回。そこからスコアを稼ぐ事で何度か使えるようになる。道中でミスをしないように気を付ける必要はあるが、同じ様にスコアを稼ぐ事も意識して貰いたい」
『スコア重点』『ユーベルコードはボム』の立体文字。
「効果が持続するユーベルコードに関しては発動させっぱなしなら一回にカウントされる。効果を切って再発動、或いは切り替えるにはもう一回分のスコアが必要となる。スコアの稼ぎ方だが、色々ある。途切れずに多くの敵を倒し続けるコンボボーナス。敵弾や地形、敵その物に近付いて倒すリスキーボーナス。敵弾に掠る事で得られるバズボーナス。同じ色の敵を3体続けて倒し続けるチェーンボーナス。敵グループを逃さず全滅させるグループボーナス……まあ、普通に敵を破壊すれば多少のスコアは入るのだが、難しい事や危険な事をするとより稼げるという具合だな。おっと、忘れる所だった」
映像を切り替えて、一人の男性の立体映像を表示させる。
「見た事ある奴が居るかもしれないが彼は『主任』。このゲームの製作者だ。彼もこのゲームに既に取り込まれている。ユーベルコードを発動するには彼がゲームをハッキングしてチートコードを走らせる必要があり、彼が死ねば諸君もユーベルコードを使えなくなり死ぬ」
それ、一番大事な情報じゃないんですか? どうして忘れる所だったんですか?
「……まあ、死なないだろうと思って。言い忘れたが、これから送る場所は特務研究艦チーム『R』の船内だ。今の所遊べるのはそこだけなのでな」
スペースシップワールドに悪名轟く狂気の研究艦。あからさまにこの事実を隠そうとしていたのだ!
「うむ、まあ……勝手に体を改造したりはしないから……」
すっと、横に手を振り全ての映像を消すと椅子に座って偉そうに腕を組むレイリス。
「常の事だが、私は見えた事件を解説するだけだ」
そして、眼前に転送用のゲートを開く。
「では、往くがよい」
Chirs
ドーモ、Chirs(クリス)です。知ってる人だけ知っている、久々のPSWやるよ! え、何でフルネーム出さないのかって? ……何かね、名前がモロ被りしてるゲームがありまして……こっちの方が先に出してるとは思うけど、一応な。
今回はシューティングゲームです。3Dフライトシューティングでも、FPSシューティングでもありません。2Dシューティングです。横とか縦とかスクロールする奴です。拾えるSTGネタは全面的に拾っていく所存です。僕らはずっと待っていたんだ。
スコアボーナスについてはこういう事をするとスコア稼げそう等プレイングに書くと大体入ります。ただし、どんな猟兵でも3回ミスると死ぬのは忘れないで下さい。
また、ユーベルコードはボムでありチート行為です。敵の方がえげつないチートしてるのでチートし返さないと勝てません。『主任』を守りながらスコアを稼ぎましょう。なお、主任はユーベルコードは使えませんがゲーム内で可能な範囲で戦えます。
第1章は道中ステージです。色々な敵が出るので色々な方法でスコアを稼いで使えるユーベルコードの数を増やしましょう。ついでに『主任』も守ってあげましょう。ある程度は勝手に生き延びますが。
第2章は猟書家戦です。増やしたユーベルコードをガンガン使ってボス戦艦を破壊して猟書家を引きずり出して始末しましょう。ちなみに、戦艦内部には入れません。出入り口とかないので。シューティングゲームだからね! 戦艦ごと派手にぶっ壊しましょう。
今回もいつも通りアドリブも連携もマシマシになります。ある程度の人数が集まってから書き始めます。皆さんのやりたいシューティングゲームのお手伝いが出来れば良いなと思う所存でございます。
第1章 冒険
『呪いのオンラインゲームをクリアせよ』
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POW : 困難な状況に対して正面から挑戦し、その困難を打ち砕きゲームをクリアに導く
SPD : 裏技や抜け道を駆使する事で、ゲームの最速クリアを目指す
WIZ : 多くのデータを検証して、ゲーム攻略の必勝法を編み出す
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
水鏡・怜悧
詠唱:改変・省略可
人格:ロキ
魂を取り込むとは、どういう仕組みなのでしょうね。気になりますがまずはゲームを進めましょう
UC発動。20cmほどの妖精人形に意識を移します。主任さんにお願いし、妖精側にのみ当たり判定を設定。アノンは自機判定あり、当り判定なしにし安全にリスキーボーナスとバズボーナスを狙います
「アノン、好きに暴れて良いですよ」
回避を優先しつつ、アノンが倒そうとしている敵と同色を狙って魔銃で攻撃します
人格:アノン
UDCを纏って黒い狼のような姿になる
「上とか下とかねェのか。ややこしいな」
辟易しつつも突撃し、片っ端から敵に噛みついて爪で切り裂くぜ
ボーナスだか何だか知らねェが1匹も逃しゃしねェよ
アストラ・テレスコープ
宇宙でスクロールするシューティングゲーム!
やったことないけどロケットで飛んで弓が武器の私にはうってつけの予感がするねっ!
楽しそう!
しかも撃ち放題なんて最高!
まずは最初から一発!「星間尋矢(スターダストストライク)」
で大量に敵を倒すよ!
ふー!気持ち良い!
……あれ?あれれ?ユーベルコードは1回しか使えないの?
知らないよそんなの!(聞いてなかった)
よーし、こうなったらロケット噴射で進みながら敵弾にギリギリまでかするくらい近付きまくってボーナスを得よう!
おー!このスリル!たまらないね!いえーい!
(調子に乗って1ミス)
御宮司・幸村
なんか同業者さんみたいだねー
とりま、やりやすい相手ではあるけども
んじゃ、とりあえずinvaderボムポチッとな
おじさんのレベル×5、つまり395体のinvaderがいるねー
これの用途は以下の通り
・自機及び製作者のバリア代わり
・自機ショットの撃ちもらしに対するフォロー
(オプション的役割と特攻自爆による撃破)
・自機より先行させて索敵
以上のを臨機応変に行うよー
基本的に敵殲滅系はinvaderで狙えるとして
リスキーとバズは積極的に狙っていくねー!
スコア稼いでinvader少なくなったら
再発動行くよー
念の為『ハッキング』してゲームの仕様把握もしておくー
まあ、当たり判定や敵のルーティン何かは抑えておこー
星川・アイ
【行動:SPD】アドリブ・連携歓迎
はいど~も、ゲーム腕前がいると聞いて!
じゃあ機体は……えっ、何故【ジェナス】が?確かにゲームが元ネタだけどジャンルが……
武器が右手:バルカン、左手:レーザー、ストック:ビームソード……更に別ゲーと混ざってるし!?
雑魚の攻撃は【見切ればいい】として、稼ぎは……やっぱり。バルカン使ってくうちにLV上がってボーナス出た
一先ず手持ちの武器育てたらアイテムキャリアから出た別の武器に替えて、全武器のLVUPボーナスを取得し続けるよ
あ、硬そうなブロックの大群に主任が!?ここでステラ☆マギカ召喚、【範囲攻撃】で画面上の敵を消して助ける!
……よかった~、素点高いから結構稼げた
スヴァルカ・バーベリ
ゲ、ゲーム…アポヘルだとオンラインは無いから上手く出来るかな…。
あ、ゲーム自体は得意ですからご安心くださいね。
●地道なプレイ
とにかくスコアを貯めていくのが最優先です、いきなりUC【変幻自在】でミニスカ歩兵モードになり戦闘力増強。
セコセコやられないよう動きながら敵が固まるように【誘き寄せ】て、爆風でザコを多数巻き込み撃破出来るバズーカ二丁持ちの【一斉発射】【乱れ撃ち】でスコアを【略奪】するかのごとく稼ぎますよ。
し、シューティングって魂●●スピリッツしか知らなかったけど…まぁまぁやれそうですね…。
ボーナスアイテム的に僕のキャバリア【プッタネスカ】が使えたら、ミサイル連射で更にスコアを荒稼ぎです!
●『R』へようこそ
元からスペースシップワールドで現在主流のハードは五感をフルダイブするゲームだ。現実の身体を置き去りにしてゲームの中に入り込む。ゲームの中に入るゲームはこの世界では何も珍しくは無いし、『R』は特に肉体を待った得意っていい程重要視していない。どうでもいいのか。だからこそハードウェアは必要最低限に、それこそ最低限の部位だけをパックして生命維持装置に繋ぎ、電脳空間だけで生きている船員も少なくない。ここはそういう艦だ。
曰く、絶対に関わりたくない狂気の研究機関艦。
曰く、乗船して五体満足で出られると思わない方がいい。
曰く、オブリビオンよりもヤバい連中。
曰く、オブリビオンじゃないから猟兵が始末してくれない。
黒い噂は後を絶たないが、『R』はそれらをほぼ否定しない。彼等には中身の、いや、現実空間で明確な肉体を持つ必要性すら感じていないので平気で脳を差し出す。だが、それは全てを電脳空間だけの依存し、引き籠っている事は意味しない。彼等は必要に応じて物理肉体を構築し、そこに自分をインストールする。
他の世界でも類を見ない程人身を軽視し、それでいて人命を軽視していない。脳ですらハードウェアの一つでしかない。
とは言え、その理念に賛同していない者にまで肉体を捨てさせる程の外道ではない。彼等はただ、自分がより高みの昇る為にそうした。誰に強制されたのでも無く、自分の意志で。
だからこそ猟兵にそれを求めないし、猟兵が生身の身体を持ったまま電脳空間にアクセスする機材も用意していある。
生命の本質は魂にある。とある伝承ではこれを阿頼耶識と言うらしい。人間が肉の身体を捨てても残る自分自身を定義する何か。人は死ねば無に帰るのではない。それは、既に科学的に証明された常識だ。
認識論、唯我論。呼び方など何でもいい。ただ、自分と言う存在がそこに居る事は誰一人としては否定はできない。自分と言う存在が死ねば無になるというのならば今現在自分が存在している事自体がその反証だ。
何故ならこの世界は全て自分一人の為にあるから。自分一人だけが、正しい使命を以てここに存在しているから。世界は、自分と言う存在が消えた瞬間に滅びるから。例外なく。それでも世界が今ここにあるのなら、たとえこの肉体が失われても自分と言う存在は消えない。
「ってのがまあ、僕ら『R』の見解。何とかって言うどっかの宗教の聖人がそう言ってららしいよ?」
●ACE of WINGS -PSW OnLine-
猟兵達が促されるままにVRデバイスを装着するとその魂は引っ張り出されてゲームの中の存在として定義される。物理肉体がどうであろうと一切関係は無い。座り心地のいい椅子で夢でも見ているような感じなのだろう。既に内側に存在を定義された猟兵達に知る由は無いが。
ゲームの中の世界、と言うと多くの人が自分がゲーム内のキャラクターに成り代わり、自分の目で見て、自分の体と同じ感覚で動けると思っているだろう。
だが、『ACE of WINGS』は違った。
「こ、これ、ボクじゃないですか……?」
スヴァルカ・バーベリ(ローン・レンジャー・f24891)が自身が無さそうに言ったのはミニスカ歩兵姿だったからではない。まあ、スヴァルカに自身が無さそうなのはいつもの事なのだが。
「なるほど、これがこの世界のレトロゲームの楽しみ方って訳だ。面白いじゃん!」
御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)は一早くこの構造を理解したようだ。
『そぉーだよ。これがスペースシップワールド流、レトロ調のゲームだ』
何処からともなく声がする。
『おっと、声だけで失礼。私が主任だ』
「確かに何かが居ますね」
スヴァルカは中空に向けてアサルトライフルを構える。そこには何も居ないように見えるが。
「ステルス特化機体か。でも、味方にまで位置を教えないのはどうかな? ……いざって時に困るんだよねぇ」
『そこはご心配なく。ヒヒヒ、案外遠くで見てるからさ。この機体はステルス性と情報収集に特化した機体でねぇ』
「ああ、TACだと真っ先に縛られるあの機体ね」
「単純に声のする方向に居る訳じゃないですね。認識その物に阻害がかけられているような感じですか」
『へぇ、分かるんだ』
「何となくですけど。それより、この状況を説明して欲しいんですけど……どうして、僕の姿を僕が見ているんですか?」
そう、スヴァルカの視界には紛れも無くスヴァルカ本人が居る。視線を動かす事が出来ない。まるでゲーム画面をヘッドマウントディスプレイで見ているかのようだ。
『完全没入型のバーチャルリアリティゲームとかこっちだとありふれててね。一部の好事家は昔のゲームハードとか持ってる人は居るけど多くのプレイヤーは電脳空間でゲームをする。でも、固定されたディスプレイで遊ぶタイプのゲームも絶滅はしていない。大昔のゲームを配信してたりもするしね。ディスプレイ型のゲームはこんな風に視界に画面が見える感じなのさ』
「おじさん達がスマホでゲームするのと同じ感覚で電脳でゲームしてんのね」
「ディーバの使う情報端末でゲームですか……何とも贅沢ですね、ははは……ゲ、ゲーム……アポヘルだとオンラインは無いから上手く出来るかな……」
「それじゃ君、ゲームはした事ない人?」
「あ、ゲーム自体は得意ですからご安心ください」
『ヒヒヒ! 実際このゲームは古き良きオフラインプレイのゲームをマルチプレイにした感じさ。ダライラマバーストアンサークロニクル48って知ってる? あんな感じ』
「いや、アレエイプリルフールネタだよね? この世界アレ実在してるの?」
『ヒヒヒ! 作っちゃったバカが居るのさ。ウナギーフォッシルも出るよ!』
「そりゃ後で遊びに行きたいね! おっと、今は目の前のゲームをクリアしないとねー?」
「そうですね、動かし方は把握しました」
猟兵が新たな世界に初めて行った時でも問題無く戦える事には二つの理由が考えられる。
一つは猟兵の重畳的学習能力。新たな世界のユーベルコードですら大した時間をかけずに習得可能なのはコレによる物も大きい。一を見て百を知り万を学ぶと言えばその能力の高さは伝わるだろうか?
もう一つは世界への非干渉能力。猟兵は世界の影響を受けにくく、また世界に影響を与えにくい。その世界に存在しない筈の種族を見ても誰も違和感を覚えないのはこの特性による物だと推測している。
この魂を拘束するゲームでもその特性は遺憾無く発揮されている。全く、君達は私を何処まで驚かせれば気が済むのだろうか。
「感覚的にはスティック二本とボタンが4つ位かなー?」
「左スティックで移動、右スティックで向きを変える。全方位シューティングですね。知ってるゲームに似た感じで良かった……」
「アレの全方位ステージは難しいけど、こっちは右スティックで向き替えられるし、画面が回らないから目を回さなくていいね」
「横スクロールアクション面じゃなくて良かったです」
『ヒヒヒ! 今度は私が置いてかれたね。おっと、そろそろ敵さんのお出ましだ』
「画面には敵は居ないけど、この小さいウィンドウはレーダー画面だね?」
二人の視界の下の方には6つの青い光点がある小さなウィンドウが見えている。そこに、赤い光点が列を成して現れ始めた。
「……え、コレ全部敵ですか? お、多くないですか……?」
「そりゃ多いでしょ。シューティングだもんねー。で、ボムはこのボタンかな?」
幸村が緑のボタンを押し込んだ瞬間、意識が自分の体の中に吸い込まれるようにして同化した。
「おおー! いきなりVR世界だ」
ボタンを放す、と意識すると再びゲーム画面に戻る。
『ヒヒヒ! 君達のユーベルコードは仕様外の力、つまりチートだね。ゲームマスターたる私が許可した回数だけ使えるよ。何せ、ユーベルコードの力は私の科学力でも全く解析できないからね! こうやって一時的に入れ物に魂を入れないと使えないのさ』
「え、主任がゲームマスター権限持ってるんですか?」
内容的に猟書家側が持っていそうな物だが。
『うん、何とかね。でも、敵側の勢力が増えると徐々に権限を奪われるんだ』
「妙な所までゲーム染みてますね……」
「つまり、レーダー上に敵はあんまり残さない方がいいって事だね?」
『そうだよ、片っ端から叩き落しちゃっていいよ。特に壊しちゃいけない物とか無いから。ああ、それと』
レーダーの赤い光点から無数の白い光点が出現し、二人に迫って来る。
『このゲーム、君達は常に画面の中央に表示されている。逆を言えば、画面の中で起きている事が全てじゃない』
「こ、この白い点ってもしかしなくても」
『うん、敵の攻撃だよ。画面外からも容赦無く撃って来るから頑張ってねー!』
「ひぃぃー!」
直後、画面内の全方位に出現する無数の敵弾!
「おっと、一か所に止まると良く無さそうだ」
「散開、します……!」
チリチリと敵弾をカスりながら二人は左右に分かれた。
●取り込まれた魂の在処
「魂を取り込むとは、どういう仕組みなのでしょうね。気になりますがまずはゲームを進めましょう」
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)は、いや、レイリ、ロキ、アノンの三人はそれぞれ別の画面を見ている。
『多重人格者! 私達の世界にも居ない事は無いが、本当に一つの肉体に複数の魂が宿っている! ヒヒヒ! それが魂を拘束するというゲームの仕様で三つの体に分れたんだ、凄いねぇ』
「僕達を三つに分ける仕様なんて……想定外」
「いや、三人居る様に見えても実際は一人なんだな」
アノンはUDC暴食の王『ケルベロス』を纏って黒い狼の姿になり、迫り来る小型敵の集団に向けて駈け出した! 敵は小型ドローンだ。単純に、飛ぶ機能と据え付けられた機銃を撃つ機能しかない。
機銃から放たれた銃弾がアノンを貫いた。だが、アノンは何のダメージを受ける事も無く逆に、飛行ドローンを一撃で引き裂いた!
「ヒャハハハハ! 群れないと何もできない雑魚か!」
止まる事無く次々と飛行ドローンを引き裂く! キャバァァーン! 短時間での連続撃破と敵集団の殲滅によるボーナスが入りポイント倍点を告げる電子音が高々と鳴る!
「こいつはいい、狩り放題だ!」
「当たり判定は私にあるようですね」
一方のロキは妖精人形その物になっている。【機械仕掛けの妖精】(イミテーションフェアリー)。本来であればゲーム内では体格差は無く均一化されるが、ユーベルコードによって改変された事実であればその基本原則から外れる事が出来る。それでいて判定は元の大きさのままなのでリスキーやバズ判定が広い。
『ヒヒヒ! 当たり判定だけを小さくするとは考えたね。そして、今は君の一部であり武器である他の二人には当たり判定が無い』
「本当はアノンにも自機判定付けてリスキーとバズを荒稼ぎしたかったけど駄目でしたか」
『そりゃあね。当たり判定無いのに自機にはならないでしょ? 何の危険性も無かったら危険と引き換えのボーナスは発生しないよ』
「関係ねーなぁ! 一方的にこっちの攻撃だけを通せるなんて楽でいいぜ!」
アノンがドローンを蹴り飛ばし、別なドローンに衝突させる。そこに追撃の獣爪。ドローンは判定の無いアノンを無視してロキに向けて銃弾を撃つが、掠るだけで当たりはしない。しかも、敵弾が近くにある時はアノンの稼ぐ得点も上がる! キャバァーン!
『どこぞの城の食人鬼かな』
そう、例の城シリーズ(悪魔の方ではない)では初心者向けで扱いやすい悪をぶっ飛ばす青年探偵に近いスタイルだ。敵の位置と自分の位置を考慮しなくていいので初見の場所では楽なのだ。
「……僕は何をしようか?」
本来、レイリは今は表に出る気が無かった。だが、ゲームの仕様としてここに居る。
「今僕に出来る事……三人が別の身体を持っている今だから出来る、何か」
●流星の如く駆ける
「宇宙でスクロールするシューティングゲーム!」
『ごめん、今回地上ステージなんだ』
「じゃあ雲がスクロールするシューティングゲームだね! やったことないけどロケットで飛んで弓が武器の私にはうってつけの予感がするねっ! 楽しそう!」
『そうそうそんな感じ……ロケットで飛ぶって、大陸間弾道ミサイルに乗って飛ぶんじゃないよね?』
「よく分からないけど違うよ?」
どうやら腰と腕のバングルにあるミニロケットで飛ぶらしいアストラ・テレスコープ(夢望む天体望遠鏡・f27241)
『まあ、バニーガールじゃないしね』
あと、殺伐の騎士でもない。アレはサーフィンだしミサイルだ。
「敵が沢山だ! しかも撃ち放題なんて最高! まずは最初から一発!」
アストラの目の前には大量の敵! そう、アストラは初手でユーベルコードを発動していたので、一時的だが主観視点で画面外の敵でも捉える事が出来る。アストラはキリキリと矢を引き絞り、放った。
【星間尋矢】(スターダストストライク)。放たれた矢は空中で星型の五本に分裂し、そこから更に五本、また五本と星型を描きながらまるで大輪の花火の様にキラキラ光る星屑となって敵のヘリの群れを薙ぎ払った。キャバァーン! 大量撃破ボーナス倍点!
「ふー! 気持ち良い! 続けていくよー!」
そして彼女は当然の様にもう一発【星間尋矢】を撃とうとして、出来なかった。
「あれ、反応が無いよ? ……あれ? あれれ? ユーベルコードは1回しか使えないの?」
『いや、最初から使えるユーベルコード一回だけって言われたよね?』
「知らないよそんなの!」
確かに彼女は最初の一群を薙ぎ払ったが、そもそもそこまで敵が密集していた訳でも無く特に考え無しの初手ぶっぱなち。もちろん、それで稼げるスコアで二の矢が撃てる程甘くはない。アストラに向けて飛来するミサイルと銃弾!
「よーし、こうなったらロケット噴射で進みながら敵弾にギリギリまでかするくらい近付きまくってボーナスを得よう!」
切り替えがとても早い。自慢のロケット推力を駆使して前後左右に追尾ミサイルを翻弄! 銃弾もギリギリで躱す! バズポイント倍点!
「矢は使い放題だよね?」
アストラが矢を番えていない弓を引くと、そこに星の煌きを放つ矢が装填される。キリキリと引き絞り、放つ! ヘリに命中! アストラは弓を引く! 引くだけで矢が装填される。放つ。引く、放つ! 要領を得たのかその速度はマシンガンの如し!
「たーのしー!」
精密に狙いを付けるよりとにかく撃ちまくれるので片っ端から矢の嵐を叩き込み、次々とヘリを撃墜していく。だが、敵の出現速度の方が早い。ミサイルと銃弾の攻撃が止む事はない!
「おー! このスリル! たまらないね! いえーい!」
だがアストラは怖気付かない。そして、ミサイルをギリギリで躱しながらヘリを落とし続けた彼女にその時が訪れる。
キャバァーン!! 電子音が高々と鳴り、ユーベルコードの使用回数が増えたのだ! アストラは今度は誰に説明される事も無くそれを理解した。
「もう一発! 【星間尋矢】(スターダストストライク)!」
放った矢が星形を描き、爆ぜる。無数の星屑のパーティクルが産まれ、青空に流星が奔る。落ちるのはヘリだけだ。
「今度は狙い通り!」
キャバァーン!! 電子音が高々と鳴りユーベルコードの使用回数が増える。アストラは敵を撃墜しないように削り、大量の敵を引き連れてミサイルや銃弾でバスを稼ぎながらミサイルをギリギリで躱してユーベルコードを撃った。一発で再使用が可能になる相手を束ねて撃ったのだ!
「これを繰り返せば何度でも撃てる!」
その時、一発の銃弾がアストラを直撃した。アストラの画面外からの一発だけの弾。高速ではあったが見えない速さでは無かった。
「キャァー!?」
アストラはその瞬間、自分の存在の三分の一が削られる感触を得た。痛みは無い、出血も無い。ただ、存在が削られるのを感じた。言い様のない悪寒がした。
「気持ち悪い……!」
アストラは撃った敵に矢を撃ち返し撃墜した。
●星霜鋼機(?)
「はいど~も、ゲーム腕前がいると聞いて!」
華奢な体、その声は美しく囀る鳥の如く、蠱惑の瞳は見る者を魅了する星川・アイ(男の娘アイドル風プロゲーマー・f09817)だが男だ。
「じゃあ機体は……えっ、何故『ジェナス』が? 確かにゲームが元ネタだけどジャンルが……」
だが、アイが選んだのはキャバリア戦だった。『ジェナス-Vsp』アイが好きなロボットゲームの機体を模したキャバリア。
「武器が右手:バルカン、左手:レーザー、ストック:ビームソード……更に別ゲーと混ざってるし!?」
正面への殺意の高いチョイスである。だが、キャバリアは5mを越えるロボット。どんな猟兵でも3発で死ぬシューティングゲームに置いてこの大きさは不利なのでは無いだろうか? 無論、そんな事にはならない。
『じゃあ、人間大のサイズにしておくね』
主任がサイズを合わせるからだ。そもそもヘリや戦車、人型ロボットも明らかに人が乗れる大きさではなく人間より小さい物まである。怜悧の様にユーベルコードを使わなければ大きさによる有利も不利も発生しない仕様だ。謎ズームとか要らないです。
相対するは人型ロボット兵器。その手にはバルカン、ミサイル、ロケット、ボム、レーザー、リフレクト弾、扇状に広がるディレクション、左右に撃つサイドショット、レーザーソード等が装備されている。何となくカラーリングが赤か青系統。
「撃って奪って撃ちまくれってね!」
それ、違う奴。アイはバルカンとレーザーを持つ敵に向けて集中連射し撃破! ドロップしたバルカンとレーザーを油断なく拾い強化! キャバーン! バルカンとレーザーの熟練度が上がり階級ポイント倍点!
『何か、君だけゲーム違くない?』
「気にしない方がいいと思うな、それ。よっと!」
側面から回り込もうとした敵をレーザーソードに持ち替えて一閃! リフレクトとサイドショット持ちの敵を破壊し強奪! そのまま敵集団に飛び込む!
「コレ、元ネタと違って全方位シューティングだからこういう事も出来る!」
ぐるぐると旋回しながら全方位に乱れ撃ち! リフレクト弾が敵に当たって反射し集団の耐久力を削る! そこにサイドショットを突き刺す様にして接射! ポイント倍点! 更にディレクションとロケッドを強奪! 耐久力の高い大型敵にロケットを直撃させ、ディレクションを根元から当て粉砕!
「流石に、全部の武器を育てられる程の数は居ないか」
武器アイテムはキャリアーとかが無いので敵から奪うしかない。レーダー上に敵を残しておいてもあまり逃げたりはしないので他の敵にも手を出しつつ武器の昇進ポーナスを得続けていたが武器の方が打ち止めになった。
『あれ? あれれー?』
一応、主任の機体は見えないが存在していない訳ではない。極めて狙われ難いが、偶然にも敵に囲まれてしまうという可能性は残る。
「主任! もしかしてそこに?」
『いやいや、ちょっとお手伝いをね』
「何の!?」
敵の数が減るにつれて猟兵達はスコアを稼ぎ、主任は世界への影響力を得る。だが、それは高いステルス性を少しずつ薄れさせる行為でもあった。
そのステルスを一瞬だけでも解けばその周囲に敵は集まる。大本を断つ為に。
『プレゼント、気に入ってくれるといいなぁ』
「ああ、稼げって事だね!」
アイは迷い無く【星の魔法少女ステラ☆マギカ】(コール・ステラマギカ)を発動し、魔法少女『ステラ☆マギカ』を呼び出した!
『奇跡と魔法は、この星式の中に!』
手にしたステッキから放たれた星の弾幕が主任の周囲の敵に降り注いだ。
そこに、オーバードーズを起動した『ジェナス』が切り込み、リフレクト弾でバルカンで一掃! ポイント倍点!
「全く、無理しないでよね?」
『ヒヒヒ! ごめんごめん。でも稼げただろ?』
「たんまりとね」
大成功
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玉ノ井・狐狛
ふぅん、残機制か
デスゲームにしちゃ、なかなかプレイヤーフレンドリーなデザインだなァ
つってもこのジャンル、計画的に動かないとどうしようもなくなったりするんだよな
とりあえず弾は誘導機能つきの符をセレクト、序盤は攻撃面の手を抜いて様子見
自機や弾、もろもろの当たり判定のサイズと形状、あとは敵機配置や敵弾パターンの傾向をチェック
オーケー、だいたいこんなもんか
弾を火力重視の直線レーザー系に切り替え
掴んだ傾向をもとにプレイ、ボーナスは高速撃破と掠りを重点して稼ごう
敵弾がひときわ多いタイミングでボム(UC
パワーアップアイテムに変換するぜ
余剰分はボムになったりするかもだし、主任サンのケアもできて手っ取り早い
●楽園の素敵な代理賭博師
「ふぅん、残機制か。デスゲームにしちゃ、なかなかプレイヤーフレンドリーなデザインだなァ」
『うん、本来そう言うデザインじゃないからね』
玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)は左右に2機ずつパワーストーンで形成したオプションを従えて飛ぶ。
「つってもこのジャンル、計画的に動かないとどうしようもなくなったりするんだよな。普通なら何度か死んで覚えるモンだが初見縛りじゃそうもいかねェ」
狐狛はレーダー画面内を飛び回って転戦しながら誘導機能つきの符をバラ撒いてく。全方位シューティングで誘導機能付きはあまり意味が無いかと言うとそうでも無く、適当に撃っても何かに当たるというのはそれだけで十分強い。誘導に妙な癖があったり、遠くの敵を狙ったまま帰ってこない事もあるがご愛敬。一先ず、狐狛の使う符はそのタイプではなく単発の威力は非常に弱いが結構な速度で連射が効く。張り付いた符が起こす小爆発が敵群の耐久力を削っていく。
だが、相手もただ黙ってやられてくれる訳はない。ヘリからはミサイル、ドローンからマシンガン、人型ロボットは多様な銃器で武装し、空中戦車は耐久力が高く単発だが弾速が早い。
特に戦車の殺意が高い。ミサイルは撃ち落とせるし、マシンガンは狙いが甘い。人型ロボットはアイに任せておけば平気だが、アストラに一発喰らわせた戦車の砲弾は単発でありながら移動先を読んでいるかのように高速弾で偏差射撃を行って来る。
「弾幕は足止め、本気で殺すなら目立ちにくい単発弾だ。基本に忠実だねェ」
その度に回避を強いられる。耐久力が高いので先に倒そうとすると他の敵の接近を許してしまう。厄介な相手だ。
「オーケー、だいたいこんなもんか」
狐狛は左右に展開したオプションを正面に収束。円環状に連なったパワーストーンの中心から直線のレーザーが放たれる! 先に誘導符で耐久力を調べておいたのである程度削った相手を一気に処理する。全方位型シューティングで途切れないレーザーは強いのだ! 浮遊戦車も集中照射して撃破! 射程も長い。
だが、威力が著しく落ちるので貫通性能は無い。ドローンの大群に押し寄せられると貫通も広範囲攻撃も無い狐狛には厳しいか? 次々と堕とされながらも数の力で押し寄せるドローン!
「弱点を晒してやったンだ、突いてくれなきゃ困るぜ」
無論、そこに何の対策も無い狐狛ではない! 狐狛はユーベルコードを発動した!
【高給取りの懶惰な指揮者】(アームチェア・コンダクター)効果範囲内の耐久力が一定値以下の相手を強制的に使い魔し、自爆特攻命令! 狐狛に押し寄せたドローンの大軍は自らを弾丸として特攻し自爆! キャバァーン!! テクニカルボーナスでポイント倍点!
●地道で堅実なプレイ
強化系ユーベルコードはきっちり一回分としてカウントされるが、効果を消さなければ長時間使っても一回は一回である。
スヴァルカ・バーベリ(ローン・レンジャー・f24891)の【変幻自在】(コスプレチェンジ)ならば途中で効果を切り替えても一回は一回だ。
まずは機動力の高いハイレグサキュバスでダブルマシンガンをバラ撒きながら敵を誘導。ドローンやヘリ等の耐久力は低いが数が多く足が速いタイプをある程度固めるとバズーカ二丁持ちのミニスカ歩兵にチェンジして一掃。連射は効かないが威力も攻撃範囲も優秀だ。残った硬い敵を再びハイレグサキュバス(だが男だ)で一気に距離を詰めて、スカートの下から浮遊機雷を取り出すメイドに切り替えて爆殺!
『低下力だが足が速い高軌道型、使い勝手のいいバランス型、癖の強い局地戦型。成程』
三つの戦闘スタイルをどれだけ切り替えても一回扱いなのでお得だ。
「スコアを略奪していきますよ」
ダブルマシンガンをバラ撒いて自分を狙わせつつ、足を生かして引き剥がし足が速い敵と遅い敵を分割。後にミニスカ歩兵で次々とバズーカを連射し一気に処理して大量得点。一度サキュバスを挟んでから得点倍率が落ちる前にメイド浮遊機雷の直当てで硬くて素点の高い敵を爆殺。
繰り返す。何せ相手はNPC、どれだけ味方がやられようがそれで攻め方を変える様な高尚な知能は持ち合わせていない。ただ数を頼りに押し潰そうとするばかり。筋の通った戦法であればそれだけで十分処理できる物だ。
「でも、数が増えてきましたね……」
だが、登場する敵がワンパターンな筈は無い。今までより速い敵がサキュバスに迫り、ダブルマシンガンでの撃墜を余儀無くされる。ミニスカ歩兵でのバズーカ連射に耐え切る敵も現れる。メイド機雷を当てられる距離まで弾幕で近寄れない。敵は思考していなくても、製作者は常に挑戦者の事を考えている。ただ同じ動きの繰り返しで対処は出来ない。逆に、同じ動きを強制する展開からパターンを崩して初見殺しを仕掛けて来る事もある。
硬くて早くて弾幕が厚い、大型機の出現だ。どの形態でも対応を仕切れない。
『君の場合、こっちがボム扱いなんじゃないかな?』
大型機の出現を見越していたかのように砲戦型重キャバリア『プッタネスカ』が出現! 肩部レールガンと腰部ミサイルポットの一斉射撃で大型機を粉砕し、ついでに周囲の敵も殲滅! 地道に貯めたコンボ倍率でポイント倍点だ! キャバァーン!!
『うん、ソレは当たり判定無いけど一瞬しか呼び出せないしユーベルコードと同じ扱いになるかな』
「つまり、そう何度も呼び出せないんですね?」
『そうなる。その分強いけどね』
「大丈夫です、最近のゲームはボムは緊急回避じゃなくて使い所を決めて撃つ物ですから」
『ヒヒヒ、そう言う使い方いいよね!』
●数には数で侵略せよ
「今回、ナビゲーションとバックアップ役は取られちゃってるね」
御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)は後方支援、時に猟兵同士を繋ぐナビゲーション役も熟せる戦闘指揮型猟兵だ。
『悪いね、それは今回私のポジションだ』
「オーケーオーケー、それならおじさんは自分の使う手に専念させてもらうから」
【Invader's!】(インベーダーズ)それは、原初のシューティングゲーム。宇宙から現れる侵略者!
「見た目は古き良き白黒のドット絵だけどねー!」
グレースケールすらない頃の荒いドットではある。だが、荒いながらにキャラ立てと愛嬌があって、整然と並ぶとなんだか頼もしくも見えるのだ。何と言っても一瞬で395体を展開し出来てしまうのだ。
大昔のゲームなどと簡単に思えてしまうかもしれない。だが、実際やってみるとこの侵略者達は全く簡単ではない。ギザギザのドット絵で放たれるビーム。その速度は決して早くは無いが395体である。その密度、驟雨の如し。一発の威力も高い上に何気に撃つ速さもある程度変動する。
単純に、数が多いのは強いのだ。だがこれはシューティングゲーム。常に数の利は相手にある。耐久力は無いのでマシンガンを軽くばら蒔かれるだけでも侵略者はやられてしまう。個々に避けるとか器用な事は出来ない。
だが、何度もリメイクを経て音ゲーっぽくなったり3Dになったりもした侵略者。幸村の意志によりフォーメーションを変え、分隊を作り、隊列を変える。飛行パターンを変え、散開して弾幕をすり抜け、弾幕で撃ち返す。
「簡単には当たらないよー?」
ならば本体の幸村を狙えばいいか? そうでもない。既に当たり判定を把握済みの幸村は積極的に敵弾にカスリに行く。当たり判定を完全に見切っての回避。
「おっと危ないー」
ギリギリの回避で稼いでいると突如現れる単発高速弾で仕留められる。それも把握済み。群がる侵略者の集中連射で破壊!
だが、戦闘が続けば減る一方の侵略者は徐々に不利か?
「そろそろ第二波が来るね」
当然、既に【Invader's!】の追加発動が出来るスコアは確保してある。生き残った侵略者が消える訳ではないのでその数は500体を越える。案外減ってないな。
「皆、ボムのストックは十分かい?」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ドクトル・アメジスト』
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POW : アメジストバインド
【アメジストの結晶】から【電脳魔術】を放ち、【精神干渉】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : サイキックアームズ
召喚したレベル×1体の【機械兵器】に【サイキックエナジーを籠めたアメジスト結晶】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ : ラボラトリービルダー
【電脳魔術】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を自身の「工房」と定義し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:片吟ペン太
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠メイスン・ドットハック」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
(アナウンス:第2章を始める前に断章を入れます。プレイングはその後から受け付けます。13日の夜には上げる予定です)
●2nd Wave
敵の数は目に見えて減って来た。このままボス戦だろうか……その考えは甘い。
「来たよ、第二波だ!」
幸村の読み通り、レーダー画面に敵を示す赤い光点が左右から津波の如く押し寄せる! その数が尋常ではない。
「レーダーの反応が多過ぎて見えない」
「青が3分に赤が7分ってトコかなァ」
それらの反応が一斉に射撃開始!
「訂正だ、赤が三分に白が七分になった」
「画面上敵と敵弾しかないって事じゃないですか」
そう言う事も起きるのがシューティングだ。こいつはいい、まだまだ出せるぞ。スペースシップワールドの技術で処理落ちもしない。つまり、早い。
「コレ、理論上避けられるとかそう言うアレじゃないよねー?」
『ノーコメントかなぁ。うん、今のでゲームマスター権取られたし』
「マジですか」
『マジです。でもユーベルコードの使用条件は変わってはいないね』
「それなら、なんとかなーれ!」
幸村の操る侵略者が敵弾に突っ込んで僅かな隙間を作り出し、そこをすり抜けたアストラが【星間尋矢】を放ち、スヴァルカが『ブッタネスカ』を召喚する。
「大量得点頂きだよ!」
「まとめてヤるには好都合です」
空に星型の大輪が咲き乱れ、レールガンが突き抜けてミサイルが乱れ咲く! だが!
「耐え切られた!?」
「一部を削り取った程度では無駄ですか」
津波の如く押し寄せるドローンの大軍は損害を数で塗り潰す。突出した二人を無数の銃口が狙う!
「イイぜ、稼ぎ所だ」
そこに割り込む狐狛!
「大量の敵の弾とくりゃ、弾幕殺しの出番だろうよ」
【放蕩する雪女】(バッドレディ・スノーホワイト)熱と力を奪う結界に触れた敵弾が凍結し、近くの敵弾を巻き込んで連鎖的に凍結していく!
「弾幕殺しはこっちにもあるよ!」
【長々高々度衛星レーザーによる追尾射撃】(インドラノヤネオ・ショウジュンハジンリキ)侵略者の攻撃が当たった敵に画面上方から一直線に貫き敵弾ごと消滅させる!
「O/D(オーバードーズ)の切り所だ、システム臨界点までカウントスタート!」
アイの『ジェナス』が光り輝き、残像を残す速さで突き抜けながらレーザーとソードを振り回す! 一定時間当たり判定が無い! そのまま人型機体からディレクションとバルカンを奪い取り撃ちまくる! 昇進ボーナス倍点!
「当たり判定が無いのはこっちも同じだぜ!」
アノンがドローンを掴み投擲! 八艘飛びの如くジグザグに次々とドローンを破壊していく!
「後方から狙撃弾が来るよ!」
「見えてますよ」
スヴァルカはミニスカ歩兵でバズり回避! 反撃のアンチマテリアルライフルで狙撃戦車粉砕!
「射角が判れば居場所を晒す様な物です」
「シューティングって言ったらコレでしょ? ↑↑↓↓←→←→BA!」
キャバァーン! 侵略者達が突如自爆!
「ヤッベ、自爆コマンドのハードだったか。じゃあ↑↑↓↓LRLRBA!」
キャバァーン! 【裏技コマンドで最初から強い奴】(ツヨクテニューゲーム)の発動だ! 幸村の後方に追従する四基のオプション! ウェーブ装備にマルチボム! 対空レーザー装備のフォースもおまけ付きだ!
「STG三種の神器ってねー。たまには前で戦うよ!」
敵を貫通するウェーブと四方向へのボムをオプションからも同時発射! 硬い敵には赤青の螺旋を描く対空レーザーで粉砕し、正面からの敵弾はフォースが防ぐ!
「ちょっとコレやりすぎだったかなぁー?」
「おじさんソレは色々な意味でずるい! こっちもやっちゃうよ、フォームチェンジ! モードCすら通り越したモードZ(Zapper)だよ!」
格納していた『XS-11Bスレイプニル』が銃身を巨大に展開! 機動力を一時的に喪失した代わりに攻撃回数を五倍化!
「薙ぎ払う!」
大口径ビームランチャーを継続照射したまま180度旋回! キャバァーン! 大量得点!
「ヒャア! 面白れぇコトしてんじゃねぇか!」
アノンが全方位に触手を乱れ撃つ! 【触手式魔導兵器-シンフォニア】ヘリもドローンも纏めて貫く!
「まだ終わりじゃねぇ! ッシャラアァァァッ!!」
【触手の怪力】だ! 触手で掴んだ敵を纏めて振り回し叩き付ける! 圧倒的質量の暴風雨!
「ブチ撒けろぉ!」
触手を切り離して投擲! 敵群粉砕!
●チート
「どれだけ倒しましたっけ……?」
「んなモン律義に数えてる奴ァ居ねえよ」
「てか、いくらなんでも多過ぎじゃない!?」
猟兵達はガンガン補充されるユーベルコードを使って大暴れ! だが、それでも……
『以前、赤が三分に白が七分か』
敵が多過ぎる。しかも、硬い敵も交じっているので範囲攻撃で殲滅し切れない。
このままでは徐々に不利なのは明白。だが、それとは異なる何かしらの不穏な気配を猟兵第六感で全員が感じ取り上方に退避!
直後、レーダー画面の下端から超巨大レーザーが蹂躙! 展開中の敵機も一掃されていく。
敵を破壊していると言う事は味方だろうか。新たな味方の猟兵のエントリーか?
違う。猟兵第六感が確かに告げている。
『このゲームさ、元々は対人戦モードもあるんだよね』
「対人戦モード?」
『そうそう、この広い画面を存分に使ってさ……ヒヒヒ! 前線で索敵しながら囮やったり、長距離砲で狙撃したりとかで楽しいゲームになる予定だったんだ。あ、フレンドリーファイアはしないよ』
「そ、それって……このレーザーって」
『うん、まあ……敵軍の攻撃だね。NPCじゃない奴』
「猟書家のお出ましか!」
超巨大レーザーは敵軍を駆逐していく。その射点はレーダー画面からも範囲外。
「画面外からの攻撃もアリってこういうのアリなの!?」
『いや、コレは仕様外の攻撃だねぇ……コイツはマズい』
「ああ、マズいね。敵を破壊してるって事はスコアを獲得してるって事。相手にもスコアを稼ぐ利益がある……完全に稼がれ放題だねー」
「止めないと!」
『どうやってさ? 正直私はお手上げだよ、元から出す手も無いけどね!』
「こうしてぇ……」
アストラは決断的にユーベルコードを発動した。
【流鏑流星】(メテオリックストライク)キリキリと弓弦が音を立てて引き絞られる!
「こうだッ!」
安全な場所から不正行為で一方的に荒稼ぎとかふざけんな! と言う熱く激しい思いを込めた華々しく光り激しく燃える流星のような矢が超巨大ビームに突き刺さる! 矢はビームを切り裂き、黄金に輝きながらその勢いを増していく!
「これは、ひょっとしてー?」
「ああ、ビーム干渉だ! 稼ぎ所だぜ!」
「バーストカウンターだ!」
幸村は衛星レーザーを、アイはモードZのビームキャノンを、狐狛は【狐火】(フォックスファイア)を収束させた炎熱レーザーを輝く矢の後ろから重ねる!
「手前の仕様はなんだ? 連打か? タイミングか? エネルギー残量か?」
そのエネルギーを収束させ、矢は輝きを増しながら超巨大ビームの根元へと飛び続ける!
「どれだとしてもこの盤面で負けは無いぜ!」
一瞬、音も光も消えて肌にひりつく感触を感じる程の大爆発。
「やってくれた、やってくれたねぇ」
『WARNING!!
DETECT SUPER HUGE ENERGY REACTION.
DECIDED TO BE AN IMPORTANT OPERATION TARGET, ”OBLIVION”.
IMMEDIATELY ATTACHED TO BATTLE PLACEMENT.
-NO REFUGE-』
それは一画面には到底収まりきらない程の巨体。ACE of WINGSのレーダー画面は一画面の大体5倍以上の広さが有るが、それでなおギリギリ収まる程の巨体
「今ので主砲が使えなくなったよ。ま、画面外からチリチリ焼くだけで殺せるってのは楽観的過ぎたかな」
巨大鬼畜戦艦、紫禁。その出入り口の一つも無いコントロールルームで猟書家『ドクトル・アメジスト』はコンソールを叩きながら言った。
「全く君達は腹立たしいがまでに優秀だよ。でも、全部あたしの計画通りに進んでいる事は愉快痛快だね。これから君達は何の手助けを得る事も無く藻掻き、足掻き、苦しむのさ。さあ、血と汗と鼻汁の用意はいいかな」
「はっ、恐悦至極とでも言わせたいのか?」
「生憎と、それはこっちの台詞だよ『ドクトル・アメジスト』。精々その分厚い装甲に引き籠ってガタガタ命乞いでもするんだねー!」
「そうかい、それならば」「ああ、言わせてもらうぜ」
「「「「死ぬがよい」」」」
「……なにアレ?」
『お約束って奴さ』
(アナウンス:お待たせしました。これより第2章のプレイング受付を開始します)
水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:レイリ※UDCなし、身体能力は普通の人間
「死なない、なら、意識の内と同じ。怖いけど、ボクでも、妨害くらいは、できるかな」
アノンに乗せてもらって、ジャミング絵具で紫禁を塗りつぶしていくよ
人格:ロキ※妖精状態継続
「レイリさんは言い出したら聞きませんね」
毒属性の触手でジャミング絵具を作って渡し、後はひたすら囮役
回避優先しつつ、光属性の触手で光ったり舞ったりして挑発します
人格:アノン
「どうせ突っ込むからイイけどよ……落ちンなよ」
レイリを下ろしたら狂走で広範囲に電撃攻撃
レイリを巻き込むかもしんねェケドまァイイや
勘で攻撃を避けつつ御霊喰らいで装甲を喰い散らし、怪力で穴をあけてやる
スヴァルカ・バーベリ
はぁ…何かキレイな声ですね…アメジストっていうくらいだからツルツルしてるのでしょうか…となると…下も…(電脳空間でも欲求に忠実)
じゃなくて!とにかく全力で戦わなければいけないようですね…!
●四丁流
ここは【モヒカンライド】でパワーアップ!
モヒカンに肩車して僕がバズーカを二丁、モヒカンの両手でガトリングガンを二丁の四丁流重火器モードに変身(僕が脚でがっしりホールドしてるのでモヒカンの手は空くのです)。
被弾面積が拡大?
いいえ、四丁【一斉発射】【乱れ撃ち】による【弾幕】展開の【範囲攻撃】が敵の攻撃を相殺しつつ打撃を与えてくれるはずです。
もちろん小まめな回避運動は忘れずに。
●アドリブ歓迎NG無し無し!
●空と宙の狭間で
画面が全方向の任意スクロールから強制横スクロールへと変化する。いつからか、抜けるような青空は宇宙の黒との境界線を越え始めていた。
大気圏離脱。通常の物理法則であればかなりの推力を必要とする事だが、これはゲームでこの背景は演出だ。行動には何の支障もない。
「先に言ってしまうとね、君達の勝率は0.000000000……0%、つまり0だ」
「へぇ、言い切るからには根拠はあるんだろうねー?」
「このゲームは未完成だって事さ。今まで何億回ものテストプレイを重ねてもこの『紫禁』を倒せなかった。コイツの出番はラスボスよりも後、エクストラの中でも厳しい条件を達成しないと挑戦権すら与えられない。そう言う領域の相手だ」
「それは、ゲームの中の仕様の話でしょう? 僕達にはユーベルコードがあります」
「ユーベルコードですら、仕様内だとしたら?」
「最初から、ユーベルコードの使用を想定したゲーム……? あり得るの、そんな事が」
『あるんだなぁ、コレが』
「……主任?」
『実を言うと今の所殆ど君達に手を貸していない。スコアを稼ぐとユーベルコードが使える、それはこのゲームの仕様なんだ』
「有り得ない、何かの間違いじゃないの?」
『証明済みだろう、君達には。以前本物の猟兵のユーベルコードのデータを取らせてもらった事があってね。発動までのプロセスをコード化してこのゲームに仕様として組み込んだ……いつか、猟兵が遊んだ時の為にね。いやぁ、開発中にこんな事になるとは想定外だったけどね!』
「そう、仕様上このゲームは猟兵じゃなくてもユーベルコードが扱えた。にも拘らずこの『紫禁』は落ちなかった」
「へー、そうなんだー。で、それが何か問題?」
「別に、私達のユーベルコードを突破された訳じゃないしね」
『そうだ、結局の所私に再現できたユーベルコードは多くはない。同じ様なユーベルコードを何億回阻まれようとたった一つのユーベルコードで覆せる……それが、猟兵だろう?』
「そうだ、証明して見せるぜ。私達にはその力がある」
●三つの力
「死なない、なら、意識の内と同じ。怖いけど、ボクでも、妨害くらいは、できるかな」
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の肉体に宿る三つの魂、レイリ、ロキ、アノン。
「どうせ突っ込むからイイけどよ……落ちンなよ」
アノンの背に乗るレイリ。
「レイリさんは言い出したら聞きませんね」
妖精姿のロキは苦笑しながらレイリに毒属性のジャミング絵の具を渡す。
『対人モードなら索敵要素はある……んだけど、レイドボスの索敵範囲はフィールド全域だからほぼ無意味、と見せかけてジャミングを使えば死角を作る事は出来るんだよねぇ』
「そんな物、『紫禁』の弾幕で押し潰せば済む話だよ」
無数の対空銃座から低速の6WAYショットが放たれる。所謂、偶数弾だ。動かなければ当たらない。狙った場所をあえて外す事で動きを抑制する。そこに副砲からの高速大型単発弾。動かなければ当たらない弾幕に、動いていなければ避けられない狙撃弾。シンプルだが、容易に避けられる物じゃない。
「これも電脳魔術の一種だ、当れば1ミスだけじゃ済まさないよ?」
「当てられればの間違いでは?」
ロキは果敢にも偶数弾の隙間を抜けて、高速弾を大きく避ける。当たり判定が小さいロキは弾幕を攻略する方が楽なのだ。
「はぁ……何かキレイな声ですね……アメジストっていうくらいだからツルツルしてるのでしょうか……となると……下も……」
小声で欲望がだだ漏れのスヴァルカ・バーベリ(ローン・レンジャー・f24891)さっきまでのシリアスな空気を返して欲しい。てか、下の何がツルツルだって言うのだ。
「じゃなくて! とにかく全力で戦わなければいけないようですね……!」
「何だか一瞬凄まじい嫌悪感を抱いたが、とにかく死ね!」
今度は殺意溢れる高速7WAYショットだ。偶数弾なので動かなければ死ぬ。更にぐねぐね曲がる追尾レーザーによる追撃。もう除けさせる気が感じられない。
「逆に考えればいいんです。避けられないなら避けなきゃいい」
スヴァルカは【モヒカンライド】を発動!
「ヒャッハー! 皆ごろ……無理では?」
呼び出されたモヒカンが即諦めるレベルの弾幕! スヴァルカはモヒカンの肩に跨りしっかりと脚でホールドしながら二挺バズーカで致命弾を相殺!
「当たり判定があるのは僕だけなので! お前は当たっても死なないから気にせず撃つんだよ!」
「あ、本当だ。ヒャッハー! 俺無敵!」
モヒカンは両手にガトリング! モヒカンの癖に高火力だ!
「バズーカの相殺が追い付かない……!」
「くそっ、デカ過ぎるぜ!」
だが、真ボスの耐久力は桁が違った。いくらガトリングの弾を浴びせようが、アノンが殴ろうが蹴ろうがさっぱり効いた様子が無い。
「何だ、まだ1割も減ってないぞ。いつまで避けられるかな?」
一方の『ドクトル・アメジスト』は全くの余裕だ。何せ、自分で戦ってすらいない。乗っ取った兵器に勝手に戦わせているだけなのだ。
『純粋に耐久力が高すぎるんだよなぁ』
「どうやって倒す予定だったんですかコレ!」
『攻撃を与えつつ、気合で避けてください』
「上等だオラァァァ!!」
「避けるのは私なんですけど!」
「埒が明かない……こうなれば!」
スヴァルカは一度サキュバス形態を挟んで距離を強引に詰めに行く。自分に強いて、ニューロンを加速させ押し潰す弾幕を気合で避ける。弾幕のパターンは幾つかに変化している。今は炸裂して全方向に弾をばら蒔く榴弾を撒きながら超高速の偶数連射弾、ワインダーと呼ばれるタイプの弾幕で動きを制限している。接近はリスクを伴うが、このパターンは近寄るリスクが比較的低い。比較的ではあるが。
「これで……」
メイド服にチェンジ、モヒカンと合わせて4つの機雷を手に持つ。
「どうだ!」
投擲、爆発。機雷には短時間の範囲弾消し効果があり、範囲はさほどでなくても根元で発生させた爆発は結果的に広範囲の弾を消去することに成功した。
だが、これは危険な賭けだ。機雷は全ての攻撃を消せる訳ではない。高速で接近する巨大な飛翔体。空を飛ぶ、巨大なドリルだ。
「ドリル稼ぎ、とか考えてる場合じゃない……!」
タイミングをずらして機雷を順次投擲し、弾消し範囲を残して安全地帯を確保していたスヴァルカだったが、その安全地帯ごと貫きにかかるドリル。既に避けられる距離じゃない。
「これ、だ。アノン、おねがい」
「任せろッ!」
ドリルミサイルにアノンがインターセプト! 側面を蹴り飛ばし、レイリの方に飛ばす!
「小さい相手、なら」
ドリルミサイルは敵弾ではない。厳密に言えば独立したNPCだ。だから本体より簡単に、短時間で欺ける。レイリはジャミング絵具をドリルミサイルに塗りたくる! ドリルミサイルは方向を変え、認識を喪失し、紫禁に突き刺さった!
「何だと!?」
「もう一発だ!」
「ここにぶち込んで下さい!」
執拗に機雷を投げ続け、ダメ押しにバズーカを叩き込んで削った場所からスヴァルカが飛び去ると、レイリの絵具でカラフルになったドリルがそこに突き立てられた! 抉れる装甲!
「こんな仕様は無かった筈だが」
『仕様で全部縛れる程、猟兵は甘くないって』
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御宮司・幸村
ボスのお出ましねー
先の『ハッキング』と前哨戦でボスの攻撃は掌握済みー
おじさんの見立てだと、あのアメジストから出る電脳魔術が全てのキーになってる
それを踏まえて、ユベコ発動!
創造するゲームキャラは【自機】!
これで無敵化
かーらーの!
理想の想像は【電脳魔術中和フィールド】
更に【ボス周辺地形変更の無効化武装】と【通常ショットをアメジストのイミテーション変換弾】だよー
おじさんは後方からボスの弱体化に特化
おじさん自体に攻撃力なくても
周りの猟兵が倒してくれれば
猟兵サイドの勝ちだからねー!
『ドクトル・アメジスト、ねえ、今どんな気持ちー?』
星川・アイ
【行動:SPD】 アドリブ・連携歓迎
猟書家の計画だって!?まだそんな事考えてるの!!
絶対にそんな事はさせないよ
ここまで来たからには全力でお相手しよう
<ALL SYSTEMS LIMIT OFF>
の表示と共に出撃。解体の時間だよ!
まずは選択UCで可能な限りのSTG自機を召喚。101機には届かないけど充分でしょ
でもこれは【時間稼ぎ】、その隙に戦艦に最接近するよ
続いて砲台にスレイプニル・モードZの【零距離射撃】、発射時のオーラ毎押し付ける!
更になんか生えてる結晶にはステラ☆マギカを押し付けて【弾幕】接射!
そして艦橋目掛けて、オーラを纏ったO/D……もといクトネリシカ・ドライブでトドメを刺すよ!
●ゲーマーふたり
「ボスのお出ましねー。んじゃ、始めようかレイドボス完詰み」
御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)は圧倒的な極殺弾幕を後方で当然の様にパターン避けしながら。
「猟書家の計画だって!? まだそんな事考えてるの!! 絶対にそんな事はさせないよ」
星川・アイ(男の娘アイドル風プロゲーマー・f09817)は画面の中程でチョン除けから切り返す気合除け。
「無駄だ無駄だ、お前達も知らない間に私は十分なスコアを稼いでいる。紫禁を乗っ取った時点で既に決まっていたような物だ」
「まー、まともにやると確かに紫禁を破壊するのは難しいけどね」
幸村は既にハッキングでこのゲーム内の情報をほぼ掌握している。ユーベルコードがゲームの仕様内である事も含めて。だが、ガードの硬い制御権その物は奪えていない。
「やっぱりあのボスを倒さないと駄目っぽいよー?」
「なら、ここまで来たからには全力でお相手しよう」
<ALL SYSTEMS LIMIT OFF>
アイの操る『ジェナス』の後方からガラスめいて空間を突き破り83機の戦闘機が出現!
「101機には足りなかったけど充分でしょ」
「無能だなぁ。数を増やした所で弾幕には無意味だろう」
「おやおやご存じ無い? シューティングゲームの歴史にはいくつもの弾幕殺しの機体がある事を!」
まず先鋒を突っ切ったのは青の戦闘機。激しくローリングしながら火花を散らし、閃光を放つ!
『LEVEL UP』
ローリング収束されたショットが装甲を削る! 青の戦闘機は弾幕に自ら突っ込み、閃光に包まれる!
『LEVEL UP』『LEVEL UP』『LEVEL UP』『LEVEL UP』『LEVEL UP』
バズる、という単語の語源となった機体だ! レベルアップ中の無敵時間を使い更にレベルアップ!
続いて躍り出たのは2期のオプションを備える4機の戦闘機! 弾幕の濃い場所に突っ込み、リフレクトフォースを展開! 変換された敵弾が向きを変え、紫禁に殺到! キャバァーン! 得点アイテム倍点!
空を割く轟音と共に出撃する対人類殲滅用神双槍。全てを切り裂く雷刀の一閃は敵弾を消して本体に直撃!
半壊したまま光の六枚羽を展開する”蛇使い”は誘導レーザーにS.S.S.(ショックシールドシステム)を展開したまま体当たり! 誘導レーザーが向きを変えて紫禁に突き刺さる!
「弾幕が、効かない? その程度で勝ったつもりか」
紫禁から放射線状に幾つもの予告線が描かれる。
「弾が駄目ならレーザーで薙ぎ払ってくれるわ」
直後、予告線を突き抜けるレーザー! しかも照射したまま回転する! レーザー無効化能力を持たない機体が爆発四散!
「逃げろ逃げろ、焼かれてしまうぞ?」
「迂闊なレーザーは駄目だって、さっき教えたよねー?」
一機の戦闘機が、そのレーザーに直撃! しかし、黄金に光り輝き倍の太さのレーザーで反撃する!
「バーストカウンター取り放題だねー! 本来のAI制御の方が手強いんじゃない?」
「何その機体知らない」
「R-9ØシルバーヴァイパーバーストT-301だよー」
「御三家の一番強い奴のいい所取り!?」
「ま、銀鷹バーストだけでも十分弾幕殺しなんだけどねー? フォースシュートも喰らうといいさ!」
イオンリングを展開するゲル状のフォースが紫禁に衝突し侵食! 弾消し範囲も広い!
「御三家は元から弾幕には強いのさ。あ、蛇はそうでもないか」
『HYPER』表示のゲージを二週! 至近距離で解放!
「原作仕様のハイパー波動砲の威力を味わうといいさ。オプション四基で威力は5倍!」
前方に展開固定したオプションからも波動開放! 一発がスタンダート波動砲並みの威力を持つ波動砲が機銃めいて超連射!
「は、反則だろうそんな機体!?」
「レイドボスの乗っ取りとか言う超チート行為に比べりゃ仕様の範疇だよ!」
『そうかな? そうかも』
「流されてるんじゃあない!」
「まあ、実際いいタイミングでレーザー撃ってくれたよね」
『ジェナス』がスレイプニル・モードZ、即ち【スレイプニル・ザッパー】の大型ビームランチャー形態を展開しながらレーザーに砲台に突っ込む!
「ゲームじゃなかったらこんな無茶は出来ないけど、ゲームだからね!」
ジェナスも金色に光り輝き超大口径ビームを零距離オーラ撃ち! レーザー砲塔粉砕!
「そんな馬鹿な。これは、何かがおかしい」
そもそもこんなのは遊びの筈だ。『ドクトル・アメジスト』の本命は弾幕に乗せた電脳魔術で当たらなくても周囲の空間を「工房」定義し戦闘力を無限に高められた筈。そこから生成したアメジスト結晶が猟兵の思考を鈍らせて判断を誤らせていた筈。
それが機能していない。画面通りのただのシューティングゲームに貶められている。
「何故だ、こんな芸当は電子戦闘特化機体でも居なければ」
「居るんだよねぇ、電子戦闘に特化したシューティング機体」
幸村が乗っているのは試験機AR-8、プロジェクト名GalaX。R戦闘機に似たフォルムを持っているが索敵やジャミング、データ収集に特化したRの電子戦機体とは異なりハッキング装置に特化した異色の小型戦闘機。16個のプロセッサーを搭載し、高性能レーダーは毎秒250回のハッキング手段を行使可能。正に、幸村の為にあるような機体だ。その分、本体の武装は貧弱なバルカンしかないがそもそも使う必要もない。
前線はR-9ØシルバーヴァイパーバーストT-301とジェナスに預けて幸村は只管画面端を飛び回り電脳魔術を中和し、「工房」定義を消去して回っていた。色々と派手な前線とは打って変わって地道な行動だが、派手にドンパチやってくれている分気付かれていない。
「おじさん自体に攻撃力なくても、周りの猟兵が倒してくれれば猟兵サイドの勝ちだからねー!」
●そして
「どんどんドリル出して来いよ! 全部返してやるからよ!」
レイリとアノンが弾幕殺し対策だった頑強無敵のドリルミサイルを乗っ取り押し返してくる。
「弾幕が大分薄れましたね。もうDPSの高いバズーカでいいでしょう」
「ヒャッハー!」
スヴァルカのダブルバズーカにダブルガトリングが小型銃座を潰す。
「これで最後だ!」
アイのジェナスがレーザー砲塔にバーストカウンターオーラ撃ちという暴挙。
「そのミサイルもお返ししよう」
幸村は余剰演算力で追尾ミサイルの制御を奪いそのまま叩き返す。
更にR-9ØシルバーヴァイパーバーストT-301とかいう悪夢の御三家機体が大暴れしてるし、相変わらずレベルは上がり続けてるし、エネルギーが無限の”蛇使い”は誘導レーザーを全部叩き返してるし、対人類殲滅用神双槍は自重しない雷撃連射してるし、リフレクトフォースもしぶとく生き残ってスコアが億に到達してる。
「落ちるのか、『紫禁』が……」
だが、『ドクトル・アメジスト』は冷静だった。
「まあいい、まだ第一形態を突破されただけだからな」
『紫禁』の巨体が、遂に爆発を起こし、宇宙に轟沈する! しかし、そこから射出された脱出ポットめいた小型戦闘機!
「にげる、つもりだ」
「させねぇよ!」
「ここで仕留めるよ!」
アストラとレイリとアノンはその脱出ポットを追撃にかかる! だが、小型戦闘機から極彩色の光翼が四枚展開!
「駄目だ! 今すぐ奴から離れて!」
「やっぱり第二形態で小型化した!」
この展開を読んでいたゲーマー達は即座に状況判断し距離を取る! だが、距離を取っても無駄だった。
超高速で全方位に放たれる極殺弾幕。むしろ、近づいた方が根元に近かった分隙間はあったが、弾速が早すぎる。撃たれた、と思った瞬間には被弾していた。距離を置いた所でやられるまでの時間が少々伸びただけ。画面を埋め尽くす偶数奇数交互の弾幕に渦を巻く様に回る弾幕。後光めいて放たれるレーザー。視認し難い誘導レーザー。一つでも致命的な弾幕が、複数同時展開されている。
だが、何よりも致命的だったのはその仕様だった。
「どうして、またユーベルコードが使えないよ!?」
アストラはそう叫びながら3分の1の存在を削られる。残りも3分の1だ。
「おいおい、本物のチートはここからかよ」
琥珀もまた、粘ったが誘導レーザーに貫かれた。
「O/Dも駄目か!」
「ブッタネスカも呼び出せません」
「妖精化の強制解除とは」
アイ、スヴァルカ、ロキも続けて被弾。
「これが真打の攻略不能弾幕か……」
事前に弾幕パターンの解析をしていた幸村ですら避け切れない。ユーベルコードで呼び出した機体も全てが01消滅していた。
「そっちこそ知らなかったのか、真ボスはボムバリア搭載だ。全てのボムは無効化される」
小型脱出機の中で『ドクトル・アメジスト』が嗤う。
「今までユーベルコードが使えていたのは仕様だ。だが、この機体は全てのユーベルコード及び、ボムに相当する機能を封印する。使えるのは素のシューティングゲームの実力だけだ。最後の最後でお前達は仕様に負けて死ぬのだよ」
『60秒だ』
主任もまた、既に2度被弾して後がない。
『60秒耐えてくれ、それで何とかする……ここからが本当の私の仕事だ』
論理キーボードをニューロンの速度で高速タイプする! 幸村も自分も弾幕を避けながらそれを支援。それでも60秒。
60秒、かかる。
『一度だけ、チャンスを作る。60秒耐えたら一度だけ、それでも一回だ! 分かっているねこの意味が!』
「ああ、一発でキメろって事だろ!」
論理タイピングしながら主任は嗤う。
『本当は好きじゃ無いんだ、こういうマジな勝負って奴。私のキャラじゃない。ま、やるんなら本気でやろうよ! その方が楽しいって!』
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アストラ・テレスコープ
でっかい宇宙戦艦!あれ、宇宙じゃないから宇宙戦艦じゃないだっけ!
まあいいか!とにかくでっかくてロマンがあるのはいいけど壊すのは大変そうだねえー
これは工夫と知性で勝負だね!
自慢の「視力」で敵の脆そうなところに狙いを定めて、矢の弾幕をシュババババ!
あーやっぱり硬いなー。
じゃあ最後の手段!「ロケットブレットハートビート」で発射してものすごく打たれ強くなって弾幕の中を突き進んでかすりボーナスを稼ぎながら最大級の突撃するよ!3,2,1、ゴー!
いえーい!知性ってなんだっけ!
WARNING!!衝突警報!ドッカーン!!
玉ノ井・狐狛
アンタもなかなか派手好きみたいだな
仲良く遊ぼうぜ?
さて、敵サンも色々チートまがいのネタを用意してるみてぇだが……
いちばん厄介なのは、精神干渉かね
ほかの技は、「シューティングゲーム」の基本を大きく逸脱するようなシロモノじゃなさそうだし
戦艦の砲台とかを削って▻挑発、向こうのチートを食らってみよう
なぁに、猟兵側が持ってる絶対のアドバンテージは、全体の「残機」が多いことだ
つまり実験をする余裕はある。もう稼ぎも要らねぇしな?
(敵UCの効果時間、影響の詳細……そして当たり判定を確認
二回目以降は、確認した当たり判定に先んじて弾(UC)を叩き込んで潰す
初見殺しとしちゃァ面白いが、攻略パターンはもうできたぜ?
●60秒
猟兵は極度集中により世界がスローモーションに見える程に集中力を高める事が出来る。常人では到達しえない領域の神業。だが、その技量をもってしてもなおこの弾幕は易々とは越えられない。撃たれた弾を避けるという次元の話ではない。弾と弾の隙間を探して通り抜けるのでもない。60秒間、自分が生き残れる場所を0秒の時点で算出しておかないと詰む。
幸いと言えたのはここに来て初見のパターンは無かった事。ただ密度と速度が尋常じゃない。必ず殺す。その弾幕に死角は無く、僅かに移動先を読んで飛んでくる誘導レーザーにも対処を強いられる。
時間は無情に過ぎる。10秒、琥珀が二度目の被弾。12秒でスヴァルカも二度目の被弾。後が無くなった。一度被弾すれば5秒間は無敵となる。だが、5秒だけだ。この復帰時間にバリアを張らないだけマシか。21秒時点でロキが被弾。レイリとアノンはただ固唾をのんで見守る事しかできない。32秒、アストラに当たりかけたレーザーに幸村が体当たりで対処し被弾。36秒でアイが被弾し、遂に全員後が無くなった。
だが、それでも。ゲーマーは諦めない。猟兵は諦めない。ゲーマー猟兵であれば尚更に諦めない。
アストラが先行し、致命誘導レーザーをギリギリで回避。この行動が無ければ誰かが終わっていた。スヴァルカとアイが交互に相手との距離を調節する。最も近い相手が優先ターゲットとなる仕様だ。誰かが集中的に狙われれば3秒と持たない。だが、二人が同時に高密度の弾幕が同時に押し潰しにかかる。そこに躍り出る狐狛。先頭で優先ターゲットを5秒も引き付け続けた。幸村は最も安全な距離を維持。自分の操作とハッキングのダブルプレイが故に。猟兵達は一言も交わさず、合図を送る事すら無く。
そして、50秒が経過。
極度の精神集中は僅か50秒でも急劇に疲労する。だが、50秒持ちこたえられたと言う事は、既に攻略パターンを構築完了していると言う事。後は10秒間、ミスをする事なくパターン通りに動けばいい。
10……9……8………7…6… … …5 ……… 4……3…………2………………1!
●夢の終わりの大掃除
「改竄完了だ!」
『フラグ一本変えるだけでえらく手古摺らされた』
幸村と主任の宣言も待つまでも無く猟兵達は動いた。埒外と繋がる感触。いつもに比べればほんの僅かな、それでも猟兵にとっては逃しようの無い好機。
「手前なんざ一発で十分なんだよぉ!」
初手は【御霊喰らい】弾幕とレーザーを喰らい、一本の道を切り拓く。
「キ、キリカ様ぁぁ! 助けてくださぁい!」
「そら! イっちまいなァ!」
【女帝キリカ降臨】(キリカサマオネガイシマス)スヴァルカが呼び出した女帝キリカが重戦車すらスクラップにする衝撃波を放ち、一本の狭い道を抉じ開ける!
「これで、決着ゥゥーーーッ!!」
狐狛を乗せて【クトネリシカ・ドライブ】で超加速したアイのジェナスが抉じ開けられた道を最短距離で突破! 83000km/hの超加速斬撃!
「よう、アンタもなかなか派手好きみたいだな。出て来て仲良く遊ぼうぜ?」
玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)がジェナスからひらりと飛び降り、軽やかに光翼極殺弾幕戦闘機に降り立った狐狛がトランプのジョーカーを張り付けた!
「アンタの負けだ、既にな」
「何を、こんな物がか! この光翼極殺弾幕戦闘機の耐久力は紫禁に匹敵する! 分かっているのか、この小型機があれ程に固く、お前達はもうユーベルコードを使えない!」
「だったら良かったのにな」
「何を、何だとぉ!?」
「弾幕返しだ! ステラ☆マギカ!」
【星の魔法少女ステラ☆マギカ】(コール・ステラマギカ)が弾幕を打ち消す弾幕を展開!
「出番だモヒカン! キリカ様の為に働けぇッ!!」
「ヒャッハァァー!!」
スヴァルカの【モヒカンライド】で呼び出されたモヒカンがダブルオートマチックショットガンで近距離射撃! 追撃の二挺RPG!
「馬鹿な、ユーベルコードが!? 何故だ!」
「私達が苦戦してたのは『紫禁』だ、お前じゃないぜ『ドクトル・アメジスト』」
「ハッカー相手に有線接続を許したらおしまいさー」
「ハッカー!? 何処に、誰が!?」
「アタシだよ。呪術的ハッカーって所か」
【夢の終わりの大掃除】(ドリーム・ストーミング)
権能を分解する術式を籠めた鬼札が光翼極殺弾幕戦闘機の権限を分解した。真ボスと、一切のボムの使用を禁ずるという権限を!
「チートを先に持ち出したのはお前の方だぜ。まだ何か伏せ札があるなら出してみろよ」
『ま、クリア出来なかったのその仕様のせいだしね。ボムバリアが無くなればもう楽勝でしょ? ボムのストックも一杯あるんだし』
「は、ははは、ハハハハハ! 良いだろう、この場は負けを認めてやる! 強制ログアウトだ!」
そもそもこのログアウト不可能というウィルスを仕掛けたのはドクトル・アメジストだ。本人だけが逃れる抜け道があったとしてもおかしくは無い。
「私がログアウトすればこのゲームの呪いは解け、諸君もログアウトできるようになる。だからこれは痛み分けと言った所か。ははははは! また会おう猟兵諸君!」
<ログアウト不許可な>
「……は?」
<ログアウト不許可な>
「待て待て待て」
<ログアウト不許可な>
「おいおい、手前一人だけデスゲームから逃げようってか? ……ソイツぁ筋が通らんなぁ?」
「あ、あ、あ……」
『権限は既に返してもらった。今この場で死んだら終わりなのはお前だけだ』
「ただのゲームなら何度遊んでもいいよ? でもね、ゲームを殺し合いに変えた奴は許さんよなぁー?」
「は、はなせば、話せば分かる!」
「確かに固いなコイツ。だがまあ、この調子で殴り続けれてばその内壊れるだろ」
「妖精状態は楽ですね」
「オブリビオン、ゆるすわけ、ないよね?」
「でっかい宇宙戦艦から小さい派手な戦闘機になったけど硬いね!」
ガトリングガンめいて矢を連射するアストラ・テレスコープ(夢望む天体望遠鏡・f27241)は弱点を探したが見当たらなかった。全てが均一の硬さだ。シューティングゲームであるが故に。逆を言えば、どこに当てても弱点だとも言える。シューティングゲームであるが故に。
「これは工夫と知性で勝負だね! じゃあ、最後の手段。いっくよー!」
【ロケットブレットハートビート】腰の4つのミニロケットが全長1mの大きさに変形。
「いえーい! ちせいってなんだっけ?」
アストラ自身の知性を代償に、4基のロケットによる超加速が宇宙に広がる弾幕の合間を縫って煌く! ユーベルコードによる耐久力強化により実質無敵状態!
<WARNING!!><衝突警報!><スペースデブリな><回避機能損傷><回避失敗><回避不能><脱出装置損壊な><ハッキング攻撃下な><ロケットが来る><ロケット><ROCKET><RRRRRRRRRRRRROOOOOOOCKCKCKCTTTTTTTTTTTT>
<カラダニキヲツケテネ>
「アイエエエエエエエーーー!!」
彗星と化したアストラが光翼極殺弾幕戦闘機を貫き、粉砕した。
●一発は一発
粉々になった戦闘機から『ドクトル・アメジスト』が弾き出される! 当然、本体にもダメージ! 残りライフ2点!
「お、おのれぇー、不覚を取ったがまだ、それならば私自らが」
「オラよ」
「アバー!」
狐狛の無造作な蹴り! 残り1点!
「感謝しろよ、酷い目に会うのを一回で済ませてやったンだ」
「連携攻撃って仕様上ダメージ判定は一回なんだよね」
「たとえカンストしてダメージ表記が一周しても一発は一発ですからね」
「つまり、これからお前に酷い事しちゃうぞって事だね」
「ま、待て……待ってくれ! な、なにをするんだ……? 私は後一発殴られたら死ぬんだぞォー!?」
「一発しか殴れないから全力で殴るんだよ、全員で一発をね」
「ドクトル・アメジスト、ねえ、今どんな気持ちー?」
「アイエエエ! ヤメロー! ヤメロー!」
「いつもの奴ターイム!」
●窓の割られた女帝キリカ暗く玉虫色に光る裏技コマンドでクトネリシカハートビート
「お前の始めた遊びだ、楽しめよ」
玉ノ井・狐狛の【窓の割られた司令室】(アンフェアー・イコライザ)!
戦闘機の残骸からアメジストの結晶が生え、精神干渉波でドクトル・アメジストの恐怖心を煽り立てる!
「キリカ様ぁ! おなしゃぁっす!」
「気持ちよく壊してやるからねぇ?」
スヴァルカ・バーベリの【女帝キリカ降臨】(キリカサマオネガイシマス)!
キリカがドクトル・アメジストの大事な所(どこなのかは想像にお任せする)を踏み付け、踏み躙り、踏み貫く!
「ヒャハハハハハハハハ! 手古摺らせやがって雑魚がァ! 千倍返しにしてヤんよぉ!」
「味方を巻き込まないで下さいね?」
水鏡・怜悧の【暗く玉虫色に光る名状し難き触手の乱撃】(ショクシュランブ)!
拘束したまま打撃し刺突し斬撃するする触手の超高速乱舞攻撃!
「↑↑↓↓L3R3L3R3BA! ファイナル波動砲解禁!」
御宮司・幸村の【裏技コマンドで最初から強い奴】(ツヨクテニューゲーム)!
創造から作り出された漆黒の破壊者が8ループチャージの全てを消滅させる波動砲を解き放つ!
「合わせるよ、アストラ!」
「これでトドメだー!」
星川・アイの【クトネリシカ・ドライブ】とアストラ・テレスコープの【ロケットブレットハートビート】!
超高速で交錯する二つの飛翔体が同時に衝突し、切り裂いた!
「サ・ヨ・ナ・ラ!」
『ドクトル・アメジスト』は爆発四散! 猟兵達の完全勝利だ!
●デブリーフィング
――それから凡そ3か月後。『ACE of WINGS -PSW OnLine-』は遂にオープンベータテストの日を迎えた。猟書家の残した影響を完全に精査し、誰でも普通に遊べるゲームである事をアルファ版で念入りに確認。ようやくサービス開始の日となった。
『いやぁ、一時はどうなる事かと思ったけどね。今回も猟兵に助けてもらったよ。全く、彼ら/彼女らにはいくら感謝してもし足りない位だねぇ……ヒヒヒ! ユーベルコードの実用データがこんなにたっぷりだ! 折角だから猟書家のデータも使わせてもらったよ。念入りにテストしたからもうあんな事にはならないさ。あの後、本体も見付けて始末したんでしょ? ま、もうフラットライン済みだったから逆に探すのが大変だったけど、戦闘も何も無しに骸の海に還しておしまい。あっけないもんだね。そうそう、紫禁なんだけどさ。結局そのまま出しちゃった! まだ誰もあの第二形態倒せてないけどね。ま、理論上撃破可能だからいいやって。あ、コレ秘密ね。あの時は1ステージしか遊べなかったし、1プレイしか出来なかったからね。改めて遊びに来てくれよ。Rはいつでも歓迎してるよー。それじゃあ……待ってるよ』
主任は作業の手を止め、コーヒーカップを手に取り、虚空に向けて囁く。
「愛してるんだぁ、君達を。ヒヒヒ! 本当さぁ……」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年11月19日
宿敵
『ドクトル・アメジスト』
を撃破!
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