筋肉大暴走! アルパカ邪拳!!
●筋肉は世界すらも征服する
骸の海に相対する二つの流派がある。
ひとつは清流の拳法、清流拳ラクーン。ひとつは濁流の魔術、濁流術ロンダリング。
この二つが一つに還る時、完成されるのは――。
「それこそが邪拳ロンダリングラクーン!」
『邪拳殿ラクーン』は今も大小様々な怪人たちが鍛錬に励んでいる。
それを見下ろすのが猟書家『ロンダリングラクーン』である。アライグマ怪人である彼の体は、この『邪拳殿ラクーン』の中で最も小さく、弱々しく見えた。
だが、その実力はこの中でも随一である。
「わが邪拳を修めし『邪拳士』にとって、体格差など恐るるに足らず。恐れるべきは、決して折れぬ『正義の心』」
それは戒めのように『ロンダリングラクーン』の胸に刻まれた決して忘れてはならぬ戒めでもあった。
どれだけ体躯の大きなものであっても関係なく邪拳によって打倒してきた『ロンダリングラクーン』にとって、唯一敗れたのが『正義の心』なのだ。巨悪を前にしても怯むこと無く、己の死をも厭わずに傷だらけになっても尚、悪を砕かんと拳を振るう姿を今でも夢に見るようであった。
「ゆえに我等が滅ぼすべきは、正義の種族ヒーローマスク! 肉体を持たぬ事など瑣末事。熱き正義の心こそ、われらが恐れるべき最大の仇敵」
怖気も走る。
どれだけ打ちのめしたとしても何度も立ち上がってくる嘗ての敵たち。
体力の限界など知らぬと言わんばかりに打ち倒されて益々力を増していく姿をまぶたの裏に刻みつけられている。
だが、今は違う。
己の身はオブリビオンであり、過去の化身。
そして、『邪拳士』として育て上げている怪人たちもまたオブリビオンである。猟兵でもないヒーローマスクであれば負けることなどありえない。
「悪事を働けば、彼奴らは必ず駆けつける。返り討ちにした後、邪拳士として蘇らせよ」
その必要性を『ロンダリングラクーン』はよくわかっていた。
どうすれば強きオブリビオンを生み出せるのか。
それは当然の帰結であった。最も強き者をオブリビオンとして蘇らせればいいのだ。過去の化身として蘇った者の生前の強さを誇れば誇るほどに、その力の強大さは言うまでもない。
「この世で最も強きは、正義の心。彼奴らは最強の邪拳士となるであろう!」
『ロンダリングラクーン』の言葉に応えるように3つの影が宙を舞い、彼の前に膝をついて着地する。
その姿は筋骨隆々たる凄まじく鍛え抜かれた肉体美を誇るように隆起した力こぶを見せつける。
「ならば、我等三兄弟、アルパカマッスルブラザーズにおまかせを!」
「コンコンからは鳥のささみ肉とオクラ、プロテインしかでないように!」
「あらゆる場所に赴きプロテインをぶち込んだり、規定の回数筋力トレーニングに勤しまねばまともに生活できないようにキマイラフューチャーをマッスルランドへと変えてみせましょう!」
それは恐ろしき全キマイラ、マッスルボディビルダー計画であった。
いや、筋力トレーニングや肉体を鍛えることは別に悪いことでもなんでも無い。だが、それを他者に強要し、自由を奪うことこそが悪事なのである。
それは自由を愛するキマイラフューチャーに生きる者たちにとっては耐え難いものであり、明るく楽しく生きることを奪うことと同義である。
「ふむ。ならば征けい! 自由を害する悪事ならば、彼奴らも現れる。見事返り討ちにしてみせるのだ!」
その号令と共に『邪拳殿ラクーン』から、オブリビオン『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』たちが勢いよく飛び出していくのだった――。
●笑う大胸筋
グリモアベースへとやってくる猟兵たちを出迎えるのは、宝龍印・ヂュイン(バオロン・f26469)であった。
「や、みんな。集まってくれてありがとう。今回の事件はキマイラフューチャー、イカした未来の世界だね。そんな世界でヒーローマスクを狙う猟書家『ロンダリングラクーン』が動き出したんだ」
ヂュインは自身が予知した内容を集まった猟兵たちに伝える。
迷宮災厄戦後、姿をくらませていた猟書家たち。彼等がオブリビオン・フォーミュラ亡き世界へと侵攻を企てることは知られていたが、遂にその時がやってきたのだ。
「みんなはプロテインって好きかな? あたしはやっぱり抹茶フレーバーが好きだよ。ブラウニータイプのものもいいよね。好みが分かれるみたいだけど……うん? なんでそんなことを聞くのかって?」
唐突に始まったプロテインの話に猟兵たちは怪訝な顔をしたことだろう。
今の話と猟書家が起こす事件にどんな関係があるのか見出だせなかったのだ。それもそうだろう。話が唐突すぎた。
「ああ、ごめんごめん。今回は猟書家『ロンダリングラクーン』が狙うのは正義の種族、ヒーローマスクなんだ。ヒーローマスクは正義の心を燃やす種族何だけれど、悪事を起こして彼等を呼び寄せ、返り討ちにしてから強大な怪人……オブリビオンとして蘇らせようっていう腹積もりなのさ」
なるほど、と一人の猟兵がうなずく。
その悪事がプロテインに関連したものであるのだと皆、得心の言った顔をする。
「うん、まあ、悪事といっても悪逆非道! って言うほどのものでもないけど……筋力トレーニングを強要したり、コンコンから出てくるものを全てプロテインや鳥のささ身肉やオクラにしたりとやりたい放題なんだ」
そこに悪事を見過ごせぬと現れるヒーローマスクを救い出し、オブリビオン怪人たちを撃破しなければならない。
「今回、皆が事件現場にたどり着くのは、おびき寄せられたヒーローマスク『インテリジェンスグラス』が『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』によって返り討ちにあいそうになっているところなんだ」
つまりは絶体絶命の状況なのである。
狙われたヒーローマスクは現地のプロテインや筋トレ強要に怒りを感じたキマイラと共に戦っているのだが、オブリビオン怪人に勝てるわけもなく殺されてしまいそうになっている。
これを助け、彼から声援を受けるように立ち振る舞ってほしいのだという。
「猟兵はキマイラフューチャーに生きる人々にとって『怪人をやっつけるめちゃくちゃカッコいいヒーロー』として大人気だから、応援してもらうのは難しくないと思うよ」
ただ、多分戦っているところは確実に動画をバシバシ取られてしまうとは思うとヂュインは苦笑いしている。
「怪人の風貌は冗談みたいな姿だけど、『邪拳ロンダリングラクーン』を修めた『邪拳士』、油断はしないで欲しい。彼等を倒したとしても、その場を包み込む謎の異空間に待ち受ける猟書家『ロンダリングラクーン』は言うまでもないけど、強敵だよ。危険な敵だけれど、どうかお願い」
そう言ってヂュインは猟兵達を転移させていく。
筋トレは素晴らしい文化ではあるけれど、それを強要していいことなんてない。むしろ、そうした行き過ぎた観念がボディビルダーたちに対する風評被害を引き起こす可能性だってあるのだ。
ならば、その文化の多様性を、自由を護るために猟兵たちは戦わねばならないのだ――!
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はキマイラフューチャーにおける猟書家との戦いになります。あらゆる場所で筋トレを強要し、コンコンの中身を全てプロテインや鳥のささ身肉に変えて、キマイラ総ボディビルダー計画を推し進めようとしている怪人たちの企みに気がついた正義に燃えるキマイラとヒーローマスクを助けるシナリオになっております。
※このシナリオは二章構成のシナリオです。
●第一章
集団戦です。
現れる『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』たちは皆、『邪拳ロンダリングラクーン』を修めた『邪拳士』です。
その手にはヌンチャクや棍、サイなどの武術関連の武具を持っており、三兄弟を名乗っていますが、ものすごい数の三兄弟が大挙して現れています。
押し寄せる筋肉。
躍動する筋肉。
黒光りする筋肉。マッスルフェスティバルとなったキマイラフューチャーで返り討ちに合いそうになっているキマイラに憑依したヒーローマスク『インテリジェンスグラス』を助け出しましょう。
●第二章
邪拳士である『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』たちを打倒した皆さんを包み込む光が晴れると、そこは謎の異空間であり、周囲は荒廃した大地に無数の木人が突き刺さっています。
そこに座す猟書家『ロンダリングラクーン』を打倒しましょう。
※プレイングボーナス(全章共通)……ヒーローマスクに応援される(ちなみに戦力はそこそこあります)。
それでは猟書家の配下たちがもたらす悪事が巻き起こるキマイラフューチャーにおいて、絶体絶命のヒーローマスクを救い出し、マッスルフューチャーとなりかけているキマイラフューチャーを救う戦いになります。
皆さんの熱きパッションと思いをぶつける物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』
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POW : ポージング
自身の【逞しい肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : ポージング
自身の【躍動する肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ : ポージング
自身の【洗練された肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
イラスト:ヤマトイヌル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
キマイラフューチャー、そこはすでに人類が滅亡した世界である。
だが、人類無き後、キマイラたちは面白おかしく生きている。それは自由であるということだ。何にも縛られることはない。本当の意味での自由とは違うものであったかも知れないけれど、それでもキマイラたちには関係ない。
「ぐぁ――!」
どさりと重たい音を立てて一人のキマイラが大地に倒れ伏す。
その顔には眼鏡を象ったマスクが着けられていた。そう、正義の種族、ヒーローマスクである。『インテリジェンスグラス』と名付けられたヒーローマスクと心を通わせ、人々にプロテインと筋力トレーニングを強いる『邪拳士』たちの企みを砕こうと立ち向かったキマイラは、しかし多勢に無勢によって追い詰められていた。
「かー、ぺっ! 貧弱! 現代っ子もやし野郎が!」
「タンパク質が足りないからそうなるのだ! さあ、今すぐ鳥のささ身肉をオクラで流し込めいっ!」
「さあっ、ワンモアセッ! 我等三兄弟『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』と一緒にトレーニンッ!!」
倒れ伏したヒーローマスクとキマイラの周囲を取り囲むは『邪拳ロンダリングラクーン』を修めしオブリビオン怪人!
三兄弟と言いながら、三兄弟のセットが無数に周囲に存在していた。
彼等は皆同様に肉体美を誇るようにマッスルポーズを決め、次々に怒りに震え立ち上がったヒーローマスクとキマイラをいたぶっていく。戦闘力の差は圧倒的であった。
「くっ――! 侮辱するな! 貴様たちがキマイラたちにしたことを忘れたか! もう飲めないというプロテインを流し込み、ハンガーノック寸前の彼等にさらなる筋力トレーニングを課したことを! 彼はそれに怒りを覚えて立ち上がったのだ! この勇気を侮辱することは私が――ッ!!」
鈍い音がして『インテリジェンスグラス』ごとキマイラを打ちのめす量産怪人アルパカマッスルブラザーズ。
それはもう信じられないくらいに昭和的ボコスカな雰囲気と共に立ち上がった彼等を叩き潰す。
「筋肉なきものに人権なし! 安心して死ぬがいい! 死して我等の仲間として蘇らせてくれる!」
満身創痍の『インテリジェンス』に打ち下ろされんとする拳。
その絶体絶命の危機に駆けつけるのは――!
セシリア・サヴェージ
健全な精神は健全な肉体に宿ると言いますが、すると彼らの肉体は不健全と言うことになりますか。
いずれにせよ健全な精神、正義の心を宿すのに肉体の有無は関係ないようですね。
それ以上の蛮行はおやめなさい。ここからは私が相手になります。
ヒーローマスクさんは下がっていてください。暗黒を宿す身なれど、正義の炎は私の心にも灯っています。私がキマイラたちの怒りに応えましょう。
UC【虚無なる闇霧】を発動。敵の強化を無効化します。
いくらポーズをとったところで無駄ですよ。……まあ続けたいのなら構いませんが。
鍛え抜かれた筋肉も暗黒剣の前では無力。正義は必ず勝つという事を身をもって味わいなさい。
高らかな勝利宣言のように量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちのコールが鳴り響く。
それは明らかに度を越したものであり、敗者に対する仕打ちとしては凄惨なものであった。打ちのめし、叩きつけ、さらに持ち上げる。
ヒーローマスクと心通わせ、義憤に駆られたキマイラが傷だらけになりながらも、未だ心折れぬ瞳で量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちをにらみつける。
「ふぅむ! やはり『ロンダリングラクーン』様の言う通り、やはり死すまで正義の心は折れぬか! ならば、その生命此処で断ち切って筋肉の礎としてくれる!」
一人のアルパカマッスルブラザーズがヒーローマスク『インテリジェンスグラス』と一体になったキマイラの体を地面に叩きつけようとした時、清らかなる女性の凛とした声が響き渡る。
「それ以上の蛮行はおやめなさい。ここからは私が相手になります」
それは黒き鎧を纏う女騎士。
名をセシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)。彼女は女性ながらに圧倒的な強者としてのオーラを携え、キマイラフューチャーの大地に降り立った。
「ほう、我等三兄弟に逆らう者がまだ居たとはな! いいだろう!」
「貴様から筋肉のサビにしてくれる!」
「レッツマッスルポーズ!!」
『インテリジェンスグラス』を投げ捨てるように解放すると量産怪人アルパカマッスルブラザーズの三兄弟の一組がセシリアに向き直る。
3対1とは卑怯であるが、セシリアは何も言う気はなかった。
「ヒーローマスクさんは下がっていてください。暗黒を宿す身なれど、正義の炎は私の心にも灯っています。私がキマイラたちの怒りに応えましょう」
開放された『インテリジェンスグラス』たちを慮るようにしながらセシリアはその背に彼等をかばうようにして立つ。
その身にまとった暗黒の鎧から溢れ出す黒い霧が周囲に広がっていく。それは量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちだどれだけ洗練されたマッスルポーズを取ろうとも、彼等の身体能力を強化しない。
「ぬぅ! 何故だ! いつもならばマッスルポーズを取るだけで体から力が溢れてくるというのに!」
「ち、ちからが抜けていく……! 馬鹿な、筋肉は裏切らないはず……!」
「ならば、この邪拳ロンダリングラクーンの拳法によって貴様を倒す」
とぅー! と奇妙な掛け声と共にセシリアへと飛びかかる三兄弟。
彼等は一様にヌンチャクやサイを手にし、彼女を打倒せんとするのだ。だが、セシリアは落ち着いていた。
「健全な精神は健全な肉体に宿るといいますが、すると貴方方の肉体は不健全そのもの。弱きを挫き、いたぶる者のどこに健全なる肉体に宿る精神があるのでしょう」
彼女の鎧から放たれる虚無なる闇霧(ダークミスト)は常に、相対するオブリビオンのユーベルコード強化を無効化していく。
抜き払った暗黒剣ダークスレイヤーが闇の力を噴出させる。
その圧倒的な力の奔流は、どれだけ邪拳を修めようとも到達できることのない力の極地。
「いずれにせよ、健全な精神、正義の心を宿すのに肉体の有無は関係ないようです。見なさい、あなた達が虐げた者の瞳を。どれだけ痛めつけられても尚、曇ることのない瞳を。私はそれを護るために闇の力をふるいましょう」
どれだけポーズを取ろうとももはや量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちのユーベルコードは無意味。
飛びかかる姿を見据え、横薙ぎに振るった一撃が三兄弟を纏めて切り払う。
「鍛え抜かれた筋肉も暗黒剣の前では無力。正義は必ず勝つということを身を以て味わいなさい」
暗黒のオーラが剣へと収束した瞬間、薙ぎ払われた三兄弟たちが上空で爆発し、霧散し消えていく。
その圧倒的な力は確かにヒーローマスクと一体になったキマイラの瞳に輝かしい正義の炎として刻み込まれるのだった――!
この後ものすごく騒ぎを聞きつけたキマイラたちに写真をおねだりされまくったりすることになるのだが、これは余談である。
大成功
🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
◆POW
無理強いは良くない、力ずくなど以ての外だ
まずは狙われたヒーローマスクへ助力を行う
ヒーローマスクとキマイラに近付く敵を蹴り飛ばし、彼等から遠ざける
その後も交戦を続けつつ、ヒーローマスクへの被害を防ぐように意識する
肉体を誇示する暇など与えないように射撃で牽制
囲まれたら流石のヒーローマスクも不利だろう、任せろと告げてユーベルコードの範囲攻撃で多数の敵の撃破を狙う
…包囲されると更に暑苦しい事この上ない、一刻も早く減らしたい
動画?…そんなものを撮るとは、案外余裕があるな
積極的に映りたいとは思わないが、パニックに陥るよりはマシだろうと割り切って
撮影者には危険だからあまり近寄るなとだけ伝えるに留める
量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちは三兄弟ワンセットで行動している。
三兄弟たちは多勢に無勢でヒーローマスクと一体となったキマイラを痛めつけていたが、駆けつけた猟兵によって救われた。
だが、未だその数は多い。
どれだけの数の三兄弟がいるのかも要として知れず。だが、それでも彼等を野放しにしていては、コンコンはプロテインと鳥のささ身肉まみれになり、キマイラたちは日々の自由な暮らしから強制筋力トレーニングばかりの生活になってしまうことは想像に難くない。
「無理強いはよくない。力づくなど以ての外だ」
シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は、猟兵によって間一髪のところを助けられたヒーローマスク『インテリジェンスグラス』の元へ駆けつけ、彼を再び筋トレ漬けにしようとする量産怪人アルパカマッスルブラザーズの一人を蹴り飛ばす。
「あ、あなたは――!」
キマイラたちにとって猟兵とは怪人から助けてくれるめちゃくちゃかっこいいヒーローである。
それは過去の戦いにおいても同様であり、今現在でも続くものであった。
「ここは危険だ。離れていろ……なんだ、そのカメラは」
あ! と気まずそうにシキにカメラを向けている『インテリジェンスグラス』と一体化したキマイラ。
憧れのヒーロー、猟兵を前にして怪我もなんのその、この活躍を動画に修めたいという欲求にかられてしまったのだろう。
「……そんなものを撮るとは、案外余裕があるな」
積極的に移りたいとは思わないのだが、下手にパニックになって被害を被るよりは増しであろうと即座にシキは割り切る。
「ぬぅ! 我等を差し置いて勝手に動画撮影に入るなど!」
「撮るのならば、我等の三角筋を! 大胸筋を!」
「上腕二頭筋を撮れい!」
ばーん! と冗談みたいな爆発音とともに量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちがマッスルポーズを高台で決める。
だが、即座に視線を走らせたシキのハンドガンの銃口が彼等を狙い、ブレイズ・ブレイクの連続射撃が彼等の脳天へと打ち込まれる。
「……不利な行動をして何がしたいんだ……? だが、包囲されると更に暑苦しいことこの上ないのは事実。一刻も速く減らそう」
あっという間の三連射によって量産怪人アルパカマッスルブラザーズの三兄弟ワンセットを片付けるシキ。
未だ彼等は多数存在している。ただでさえ、むくつけきアルパカマッスルブラザーズたちの肉体は暑苦しいと感じていたのだ、わらわらとシキと『インテリジェンスグラス』の元に集まってくる彼等に囲まれてしまうのは得策ではない。
「撮影するのはいいが、危険だっからあまり近寄るな」
そっけないクールな視線をカメラに送り、忠告しつつシキは戦場となったキマイラフューチャーを駆け抜ける。
手にしたハンドガンで次々とアルパカマッスルブラザーズたちを撃ち抜いていく姿は動画として世に配信され、早速ミリオンを達成する。
あまり目立つことは好きではないシキであったけれど、それでも画面越しに送られる声援は彼の力を増していく。
「悪くはないが……なんともむず痒いものだな」
銃声が鳴り響き、シキの周りに集まってきたアルパカマッスルブラザーズたちを撃ち抜く。マッスルポーズを取った瞬間に撃ち貫かれる彼等は、断末魔の如きコールを叫びながら骸の海へと還るほかなかったのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
神羅・アマミ
あのアライグマに多少の手ほどきを受けた手合いか?
しかし所詮は草食動物!
筋トレせねばマトモに戦えぬとは哀れよの〜!
虎がプロテインを飲みスクワットに励んだりするかね?
最早ただの煽り…
しかしこれなるは敵をムキムキさせる(ダブルミーニング)撒き餌。
安い挑発に乗り殊更にポージングで自らの肉体を誇示したならば好機到来!
こちらもUC『 結髪』の【エネルギー充填 】に入り、然るべきタイミングでブラストを【 一斉発射】!
知的生命体であれば文明の利器に頼るもまた必定!
我らは畜生に非ず!
肉体などという野蛮かつ原始的な暴力に頼らずとも、奴らを尽く蒸発せしめてくれるわ〜!
なっ、そうじゃろメガネくん(知性派アピール)!
猟書家『ロンダリングラクーン』。
それはアライグマ怪人であり、骸の海に存在する二つの流派、清流の拳法と濁流の魔術を合わせた『邪拳ロンダリングラクーン』を持つ凄まじきオブリビオンである。
その小さな体躯に見合わぬ力は、それだけで体格の差が決定的な差になどなり得ぬというこを知らしめるには十分なものだった。
「あのアライグマに多少の手ほどきを受けた手合か? しかし所詮は草食動物!」
神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)は事件を知り、キマイラフューチャーに駆けつけた猟兵の一人である。
ヒーローマスク『インテリジェンスグラス』は猟兵によって絶体絶命のピンチを間一髪のところで救い出されていた。
だが、量産怪人アルパカマッスルブラザーズの三兄弟は未だわんさかと何セットも存在している。
もはや何が三兄弟なのかわからぬほどにアルパカの頭を乗っけたボディビルダーの如き肉体美を誇る怪人たちが無数に集結していた。
「草食動物とて野生の力は宿るもの! 見よ、この筋肉の躍動を!」
「我等アルパカマッスルブラザーズの唾を受けよ! 侮蔑の唾は、はちゃめちゃにクッサいぞ! かーっ、ぺっ!」
「筋肉は裏切らぬ! 我等を支えるは日々のトレーニング! この筋肉の前には猟兵と言えどひれ伏す!」
思い思いのマッスルポーズを取り、己の筋肉を誇示する量産怪人アルパカマッスルブラザーズたち。
戦闘の最中、彼等は不利なこと……つまりは、あんまり意味のないマッスルポーズを撮ることによって、その戦闘力を強化するのだ。
だが、アマミは一笑のもとに、彼等の言葉を否定する。
「筋トレせねばマトモに戦えぬとは哀れよの~! 虎がプロテインを飲み、スクワットに励んだりするかね?」
答えは否である。
虎は生まれながらに虎故に。筋トレなどという弱者の理など関係ない。煽りに煽りまくるアマミの言葉に量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちの堪忍袋の緒が切れた!
もはやただの煽りである! 痛烈なる煽りは、それが言い返しようのない正論であればあるほどに、彼等を煽り散らす。
だって事実だから!
結局の所肉食獣の筋力、しなやかさ、速度には草食動物は敵わないのである!
「許せぬ! ならば我等の肉体美!」
「そのちっこき真っ赤なウサギさんのような瞳に!」
「焼き付けよ! ぬぅん!」
一斉にマッスルポーズを決め始める量産怪人アルパカマッスルブラザーズたち。
あえて戦闘に不利なマッスルポーズを戦いのさなかに決めることによって強化される肉体。
だが、それはアマミの撒き餌であった。
あんまりにも安い挑発。あんまりにもあんまりな煽り。たった一瞬の隙でよかったのだ。
「眩き光子に誘われ、自らその身を焦がしに来たか!妾が水先案内人となりて、直々に躯の海へと渡してやろうぞ!死ねーッッ!!」
それはほぼ一瞬の出来事であった。
煽り散らしていた時に、和傘に装着された円筒状の小型反重力装置が五分割され、両手足首と髪に装着され篭手と鉄靴へと姿を変える。
凄まじく高速移動で一瞬の間に量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちへと肉薄し、余剰エネルギーから生じるフォトンブラストを炸裂させる。
その一撃の前には筋肉の鎧など無意味そのもの。
「知的生命体であれば文明の力に頼るもまた必定! 我等は畜生に非ず!」
三兄弟ワンセットを即座に骸の海へと還したアマミは、すぐさまたまたま近場に居た量産怪人アルパカマッスルブラザーズの別の三兄弟ワンセットへと飛びかかり、一瞬の内にフォトンブラストの輝きの前に消し飛ばす。
「肉体などという野蛮かつ原始的な暴力に頼らずとも、お主らを尽く蒸発せしめてくれるわ~!」
それは言葉通りの戦い方であった。
文明の利器ってすげー! とかそんな悠長な感想を抱くキマイラキッズやヒーローマスクたちであったが、わりかし一方的な戦いであった。
周辺のアルパカマッスルブラザーズたちを尽く蒸発させるように消し飛ばしたアマミはにっかり笑う。
「なっ、そうじゃろメガネくん!」
まるで自分が知性派だというようにキラリとギザ歯を光らせるアマミ。
内心ヒーローマスク『インテリジェンスグラス』は思った。
割と戦い方はゴリ押しだったけど――と。だが、彼は空気を読んでにっこりサムズアップするのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
マヒル・シルバームーン
白昼堂々のマッスルハラスメントとは、何でもありが売りのこの世界にとっても由々しき事態ですわ
え?筋トレ?わたくしのようなか弱い乙女がちょっと鍛えただけでそんなムキムキになるわけないじゃないですか、お断りですわ
いつものゴスロリドレスで存在感をアピール、キマイラ達やヒーローマスクさんの視線を奪った後、UCでヒーローマスクさんに支援と共闘の呼び掛けを
世界を守ることこそは正義の行い、どうか力をお貸しください
そしてアルパカ某、あなた方はわたくしの『歌ってみた動画』のバックダンサーとなった後、潔く爆散なさい!
魔法のマイクで歌いながらサビになったら全力魔法で衝撃波を放ち、あとは何かいい感じに編集してカットです
人類無き後の世界、キマイラフューチャーはイカした未来である。
ある特定の場所をコンコンすれば食べ物は出てくるし、衣食住足りて後に来るものといえば娯楽である。
そう、ここはハチャメチャながらにワンダーランドである。
だが、そんなキマイラフューチャーにもオブリビオンは存在する。オブリビオン・フォーミュラ無き後の世界に猟書家が侵攻したことは記憶に新しいだろう。
その一人、猟書家『ロンダリングラクーン』によって邪拳士となった量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちが正義の種族ヒーローマスクを狙って、街にプロテインと筋トレ施設を乱立。
キマイラと見れば即座に筋トレを強要し、食事は全てプロテインか鳥のささ身肉。彼等の行いは残虐非道そのものであると言ってもよかっただろう。
だが、邪悪なる行いの前には必ず正義の心が燃えがるものである。
「白昼堂々のマッスルハラスメントとは、何でもありが売りのこの世界にとっても由々しき事態ですわ」
マヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)は色白の肌と銀髪の髪をなびかせて、キマイラフューチャーに降り立つ。
清楚可憐がゴシックロリータを纏って舞い降りたかのような姿にキマイラフューチャーのキマイラたちは大熱狂である。
それがめちゃくちゃかっこいいヒーローである猟兵でるのだとすれば、当然の反応であったことだろう。
「ぬぅ! 何奴!」
「あれは猟兵! 見るからに病弱深窓の令嬢!」
「そんな君にも筋肉があればなんでもできる! さあ、一緒にトレーニンといこう!」
量産怪人アルパカマッスルブラザーズの三兄弟がマヒルを取り囲む。
すでにヒーローマスク『インテリジェンスグラス』と一体化したキマイラは他の猟兵達によって助けられているが、それでもこの街にひしめくオブリビオン、怪人の姿は一向に減ることをせず、このまま放っておけばキマイラフューチャーは筋肉おばけだらけになってしまうことは想像に難くない。
「え? 筋トレ? わたくしのようなか弱い乙女がちょっと鍛えただけでそんなムキムキになるわけないじゃないですか、お断りですわ」
釣れなくあっさり筋トレ、筋肉のめくるめく甘美為る世界への誘いを突き放してマヒルは、その可憐な姿と翻るゴスロリドレスによって、その存在感を街中に発揮する。
キマイラたちにとって猟兵は言わずもがなヒーローである。
彼等が戦う姿をアップロードすれば、それだけでミリオン再生など簡単なもの。故に人々の声援こそが猟兵にとっての力と為るのだ。
「世界を守ることこそは正義の行い、どうか力を貸してください」
第一幻想(ファースト・ファンタジア)。それは世界を守るという強い意志。その言葉を聞いて共感した全ての者の戦闘力が強化される。
マヒルの言葉は過酷な筋トレに倒れ伏したキマイラの心を奮起させ、プロテインをお腹に流し込まれたキマイラの魂に火を着けた。
そして、『インテリジェンスグラス』と一体化したキマイラもまた、叩きのめされても尚、立ち上がる。
「ええ、共に世界を守りましょう。そして、アルパカ某、貴方方はわたくしの『歌ってみた動画』のバックダンサーとなった後、潔く爆散なさい!」
マヒルが手にするは蒸気機関式拡声器。
それはどんな音痴でも上手に歌える不思議なマイクであり、マヒルの歌声をさらなる美声へと昇華し、凄まじい衝撃波となって量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちを打つ。
「ぬぅ! これが歌の力!」
「大胸筋に響く振動!」
「体が勝手に踊りだす!」
量産怪人アルパカマッスルブラザーズは何故かマヒルの歌声に逆らえずに彼女のバックダンサーとしてひとしきり踊った後、体の内側から爆発四散し、霧散して骸の海へと還っていく。
「あ、ここは最後カットしてくださいね?」
爆発四散する量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちを尻目にマヒルがカメラに向かってちょきちょき、と指で合図をして、彼女の『歌ってみた動画』は幕を閉じるのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
「貴方達には知性が欠けています」
知性の輝きである眼鏡に指を当てる
「インテリジェンスグラスさん。力を貸してください」
【メカニック、情報収集】で眼鏡に、奴等の数字化されたデータを転送してもらいます
柔術は物理学です
支点・力点・作用点を見極め、タイミング良く力を加える事で、相手を自在に投げ飛ばしたり関節を極める事が出来ます
知性ある戦いを見せつけてやりましょう【見切り、グラップル、捕縛、ふきとばし、投擲】
知性のタッグですね
ですが、これだけは言わせてください
アルパカさんの掌を受け止めて握力をかけます【気合、怪力】
「あなた方にまず足りないのは筋肉です。スクワットからやり直してください」
黒虎で教育しましょう
正義の種族、ヒーローマスクは肉体を持たない。
だが、その心に燃える正義の炎を同じくする者に憑依することによって、その力を何倍にも高めることができる。
だからこそ、ヒーローマスク『インテリジェンスグラス』は筋トレを強要し、コンコンから出てくる食べ物全てプロテインか鳥のささ身肉に変えてしまった量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちに義憤の怒りを燃やすキマイラと心を通わせ、彼等に戦いを挑んだ。
けれど、オブリビオンに対してどれだけ正義の炎が燃え上がろうとも敵うことはない。オブリビオンに対抗できるのは猟兵だけなのだ。
「か~ぺっ! いいところを猟兵に邪魔されたが!」
「これだけの我等量産怪人アルパカマッスルブラザーズ三兄弟たちを前にして」
「そうそうに勝てると思うなよ! 筋肉の力を見よ!」
一斉にマッスルポーズを取り、漲る肉体美を披露する量産怪人アルパカマッスルブラザーズたち。
猟兵によってヒーローマスクは助けられていたが、未だその数は健在である。あまりの肉体の群れ、ひしめく筋肉は世界を圧壊させるには十分すぎる数を誇っていたのだ。
「貴方達には知性が欠けています」
きらん!
それは物理的に謎の擬音となって周囲に響き渡る。それは謎のメガネ美人となった才堂・紅葉(お嬢・f08859)の声であった。
知性の輝きである眼鏡を指でくいーってしながら紅葉は、助けられたヒーローマスク『インテリジェンスグラス』に向き直る。
「インテリジェンスグラスさん。力を貸してください。その分析力を私の眼鏡に転送を! あとは私が!」
彼女の言葉に『インテリジェンスグラス』がうなずく。
眼鏡は知性の証。
溢れるインテリジェンスの輝きが紅葉の掛ける眼鏡に知性の輝きを灯す。
「柔術は物理学です。支点・力点・作用点を見極め、タイミング良く力を加えることで、相手を自在に投げ飛ばしたり関節を極めることが出来ます」
流れるような解説と共に襲いかかる量産怪人アルパカマッスルブラザーズの一人の動きを見切り、まるで魔法のように、筋肉という鎧に覆われた肉体を大地に投げ飛ばす。
「がはぁ――!?」
「あ、あにじゃー!?」
「己、よくも兄者を! 筋肉の前には全て無意味だということを教えてやろう!」
しょうもこりなくもうひとりの三兄弟の次兄が紅葉に掴みかかる。
だが、その掴みかかった手をこともなげに振り払って紅葉の腕が次兄の腕を極める! ぎりぎりとものすごい音が響く。
骨が軋む音がして、大地に沈む次兄。
「これが知性ある戦いというものです。私とインテリジェンスグラスさんの知性タッグですね。ですが、これだけは言わせて下さい」
末弟の量産怪人アルパカマッスルブラザーズが紅葉に凄まじき膂力でもって殴りかかる。
だが、その拳を掌で受け止めて、拳を握りつぶすのは紅葉の圧倒的な握力。
「なにぃ――!?」
「あなた方にまず足りないのは筋肉です」
にこり、と紅葉が微笑む。眼鏡美人の笑顔に一瞬ぽっと頬が赤くなりそうであったが、次の瞬間放たれるのは、才堂式柔術居反り投げ・黒虎(ブラックタイガースープレックス)であった。
海の生物『ブラックタイガー』の海老反りの能力を強化された一撃は、ムキムキなる筋肉おばけであるアルパカマッスルブラザーズをこともなげに投げ放ち、大地に沈める。
「さて、覚悟なさい。まずはスクワットからやり直してください」
それからというものの、知性あふれる眼鏡を賭けた紅葉による地獄のマッスルトレーニングが開始されるのだが、後に動画としてアップロードされ、大人気動画となるのは余談である――!
大成功
🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
トレーニングは大事ですが、
無理強いはよくありませんよ
それに、あなた方の量だけの筋肉には負けませんとも!
ヒーローマスクさん、必ず私たち猟兵が悪に打ち勝ちます
応援、よろしくお願いしますね!
敵の攻撃は【見切り】、大ダメージを避け
【オーラ防御】【激痛耐性】であえて受けるスタイル
邪悪な筋肉なんて、その程度のものっ!
私の高性能な筋肉の一撃……【力溜め】た【鎧砕き】の
打撃を、受けなさいっ!!
【怪力】の打撃でマッスルブラザーズを打ちのめしていきます
囲まれないよう、【吹き飛ばし】や【衝撃波】も駆使し、
1体1体確実に仕留める
相手の体勢を崩しては、必殺の!
《轟鬼羅刹掌》を叩き込んで仕留めていきますよ!
※アドリブ歓迎
「トレーニングは大事ですが、無理強いはよくありませんよ」
その声は静かであったが、キマイラフューチャーに響き渡る。
ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)はその日焼けした健康的な姿を量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちの前に見せる。
幼くも鍛え抜かれた肉体。
いわば、それは実利を極めたような肉体美であったことだろう。量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちとは違う肉体美でもあった。
「ぬぅ! 我等が堕落極めしキマイラたちの体を引き絞ってやろうというのだ!」
「我等がやらねば、キマイラたちの体はぶよぶよ不健康な体になってしまうだろう!」
「故に我等が筋トレを課し、奴等の肉体を管理してやるのだ! 邪魔をさせぬ!」
三兄弟の量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちが一斉にマッスポーズを取る。それは躍動する筋肉とオイルによってテカテカした黒光りする肉体の祭典。
「あなた方の量だけの筋肉には負けませんとも! ヒーローマスクさん、必ず私達猟兵が悪に打ち勝ちます。応援、よろしくおねがいしますね!」
にっこり天真爛漫な笑顔でヒーローマスク『インテリジェンスグラス』に笑いかけるユーフィの笑顔は小さな体であっても無限大の力を発揮することを証明するかのように量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちに駆ける。
「真正面から来るとは!」
「我等の筋肉が恐ろしくないと見える!」
「ならば、我等のマッスポーズから流れる正拳突きを喰らうが良い!」
放たれる拳。
だが、ユーフィは真っ向から拳を受け止める。それは絶大なる拳の一撃。マッスルポーズによって強化された量産怪人アルパカマッスルブラザーズの拳は凄まじき威力であった。
しかし、ユーフィはグラつきもせず、痛みにあえぐでもなく、その一撃を見事耐えきってみせたのだ。
「邪悪な筋肉なんて、その程度のものっ! 私の高性能な筋肉の一撃……この打撃を受けなさい!」
放たれたユーフィの拳は量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちの拳の一撃を軽く凌駕するものであった。
あの小さな体躯からどのような理屈で、アレだけの怪力が放たれるのか誰も理解できなかった。
現実に目の前で起こっている巨漢を打ちのめし続けるユーフィの小さな体はキマイラたちにとって憧れの的であった。
無理に筋肉をつけなくてもあれだけの戦いができるのだという希望の象徴でも在った。
「ば、ばかな! こんな理不尽!」
「筋肉は裏切らぬはず!」
「こんな小さな筋肉に我等が負けるだと――!?」
ふきとばされる量産怪人アルパカマッスルブラザーズ。そこへ駆け込み、ユーフィの必殺――轟鬼羅刹掌(オニガヒソムゴウワンノショウテイ)が放たれる。
「我が振るうは鬼の力を借りし破鎧の拳…受けてみよ!」
鬼の力が宿りし、如何なる相手の防御も何もかもをも貫通する拳が、必殺の一撃となってアルパカマッスルブラザーズたちの筋肉の鎧を穿つ。
その拳の衝撃は一人のアルパカマッスルブラザーズを撃ち抜いても止まることなく、次々と周囲に集まってきていた量産怪人たちの肉体をも貫き、霧散させ、骸の海へと還していく。
「これが本当に質の良い筋肉というものです! 無駄に筋肉を大きくすればいいというものではないのですよ!」
ユーフィの拳の一撃は高らかに、邪悪なる筋肉を打ち砕き、正義の筋肉としてヒーローマスクの声援を受けて映えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
またしても故郷が荒れ出すとはな。
だが、嘆くことはない。乱は鎮めればいい話。
八江山隠流、愛久山清綱……推して参る。
■決
ヒーローマスクを護りながら戦うぞ。
彼が狙われたら、庇うように割って入り、【カウンター】の
一撃を仕掛け阻害する。
■闘
先ずはその場で居合の構えを取り、【早業】の抜刀から
【空薙】による【範囲攻撃】を放ち、その優れた肉体を
ばっさりと【切断】するのだ。
ヒーローマスクの付近にいる敵を優先して倒していくぞ。
勿論、向こうも黙ってはいない筈だ。
敵の攻撃は【残像】を見せつつ惑わし、合わせるように
【武器受け】しつつ【怪力】を以て押し返してやろう。
邪なる者共は、我等が斬り祓う。
※アドリブ・連携歓迎
オブリビオン・フォーミュラが打ち倒された世界にはオブリビオンの残党あれど、それ以上オブリビオンが増えることはない。
それはほんとうの意味での平和へと至るための過程に過ぎないのだとしても、それが仮初の間の平穏だとしても、それを崩すことは許されていいわけがない。
このキマイラフューチャーを故郷に持つ愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)にとって、猟書家の侵攻とは故郷が再び荒れ出すことであり、快く思えるものではなかったことだろう。
「だが、嘆くことはない。乱は鎮めればいい話」
単純明快である。
オブリビオンが世界の平和を乱すというのならば、猟兵として清綱は刃を振るうのみである。
静かながら清綱は居合の構えを取る。
自然体から流れるような動作。それは何度も鍛え上げられ、己の肉体に最適化された洗練された動きであったこととだろう。
「八江山隠流、愛久山清綱……推して参る」
静かな声は、キマイラフューチャーの騒々しい世界に溶けて消えた。瞬間、放たれるは空薙(ソラナギ)の一撃。
空間を断ち斬る斬撃は、あらゆる空間を超越して狙った者――即ちオブリビオン、量産怪人アルパカマッスルブラザーズの一人を即座に斬り捨てる。
「――弟者?! な、何奴!」
「斬撃……! 一体何処から!」
彼等は即座に斬り捨てられた量産怪人アルパカマッスルブラザーズの一人の霧散していく肉体を抱えながら周囲を見回す。
ヒーローマスク『インテリジェンスグラス』は痛めつけられ戦える状態ではない。ならば、誰が。
「すでに名乗りは終えている故。二度も名乗ることはござらんが」
清綱の姿がゆらりと揺れる。
量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちは見ただろう。
あらゆる肉体美も、それを誇るだけでは意味がない。肥大化した筋肉も正しく使われないのであれば、宝の持ち腐れである。
故に邪悪なる思考に染まった者が、どれだけ肉体を鍛えようとも正義の心が灯す炎の前には意味をなさない。
「空薙……」
再び放たれる斬撃が量産怪人アルパカマッスルブラザーズ達を尽く斬り捨てていく。
「居合! 抜刀術のたぐいか! 己! 我等の肉体美を舐めるな――!」
音が為るほどの筋肉の軋みと共に刻まれるは、その絶対なる筋肉の黒きダイヤモンドのごとき輝き。
それはマッスルポーズによって強化された肉体そのものであり、清綱へと拳の一撃を叩き込まんと駆け抜ける。
「凄まじき速度。だが、もっと疾き者を知っている。それは――」
拳が清綱へと打ち込まれる。
だが、手応えがない。量産怪人アルパカマッスルブラザーズが叩き込んだのは清綱の残像。
一瞬で背後の回り込んだ清綱を襲うのは後ろ回し蹴りである。反応速度もあがっているのだろう。だが、それでも清綱は太刀で受け止め、圧倒的な膂力でもって押し返す。
「即ち俺である。どれだけ肉体を鍛えようとも、その志が歪んだものであれば、倒れる道理などあるわけもなし。邪なる者共は、我等が斬り祓う」
放たれた太刀の一撃が量産怪人アルパカマッスルブラザーズの胴を両断する。
その一撃を持って霧散し消えていくアルパカマッスルブラザーズたちは、骸の海へと還るだろう。
猟書家が訪れた平穏を乱すというのならば、清綱は何度でも現れ、彼等を斬り祓うだろう。
堂々巡りのような戦いであっても終わりは必ず訪れる。
「生憎と俺は辛抱強いのである。嘆く前に斬り祓う。そちらが根負けするまで、存分に続けよう――」
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
あー…うん
そうだねプロテインだね
筋トレは大事、確かに大事
そういう訳で、皆さんにはその自慢の筋肉を拾いして頂きたい訳ですね
動画も撮影するからしっかり魅せポーズ取ってね!
助手のヒーローマスク君!早く手伝いたまえ!!
いよ!ナイスバルク!お、そこのアルパカ野郎、キレてるよ!キレてるよ!
腹斜筋で大根をすりおろしたい!
はい、くるっと回って背中見せて!
背中に羽がはえてるよ!!
はいそのまま背中見せたポージング続けて!
【I.S.T.起動】
『忍び足』でそーと近付いてそのまま無防備な背中に対して斬り付けるね
まあ別にお前等みたいな見せ筋が欲しい人はごく少数だからなー!
そんな戦いに無駄な筋肉付ける訳ないだろ草食動物野郎
「ぬぅん! 見よ! 我等の肉体美を!」
「これこそがに肉体の至高! 最高峰!」
「この肉体を手に入れたいと思うのは全人類の夢!」
量産怪人アルパカマッスルブラザーズの三兄弟が思い思いのマッスルポーズを決め、その肉体美を周囲にひけらかすように輝きを放つ。
いや、輝きというには嫌にギラギラテカテカした食傷気味になりそうなほどの光であったが、それは冗談でも比喩でもなく、キマイラフューチャーを滅亡へと導かんとしていた。
キマイラフューチャーにおいて食物とはコンコンとある特定の場所を叩くことによって齎されるものである。
だからこそ、キマイラたちは衣食住足りて悠々自適なるある意味自堕落でありながら、楽しく生活していたのだ。
だが、そこへ現れたのは量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちである。彼等は自堕落な生活を送るキマイラたちの肉体を改造し、健康なるマッスルに鍛え上げようとしていた。
「あー……うん。そうだねプロテインだね」
確かに筋トレは大事、確かに大事、と月夜・玲(頂の探究者・f01605)は頷き同意した。
確かに量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちの言い分も尤もである。だが、だからといってやりすぎもまた体に毒である。
肉体には限度というものがあるのだ。度を越したトレーニングは還って肉体を傷つけてしまう。
「そう! プロテイン! タンパク質!」
「ホエイにソイ! なんならバータイプ、ブラウニータイプもあるぞ!」
「君は猟兵ながら筋肉の重要性をよく分かっているようだな!」
関心関心と猟兵とオブリビオンという間柄ながらも、ある程度の理解をしめした……示したか? な玲を前に量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちはうんうんとうなずきマッスルポーズを決める。
「うん、そういう訳で、皆さんにはその自慢の筋肉を披露していただきたい訳ですね。動画も撮影するからしっかり魅せポーズ取ってね!」
そう言ってカメラを構える玲。
すでに監督のオーラを放っているのは気のせいだろうか。まるで往年の名作監督の如きオーラは、量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちをその気にさせるには十分であった。
「助手のヒーローマスク君! 早く手伝いたまえ!」
メガホンを持ってポコポコ肩を叩きながら玲がヒーローマスク『インテリジェンスグラス』を顎で使う。レフ板持たせたり、演者――量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちの汗を拭ったり照明を調整したりと大忙しである。
「いよ! ナイスバルク! お、そこのアルパカ野郎、キレてるよ! キレてるよ!」
玲のコールが鳴り止まない。
肉体美を誇る量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちにとって、コールを投げかけられることこそ快感であろう。
自分たちの肉体を誇ることはあっても、称賛されることのなかった彼等にとって、玲の言葉はまるで麻薬のごとく脳に快楽を送り込む。
そうなれば必然とポージングに夢中になってしまうのも無理なからぬことであった。
「腹斜筋で大根すりおろしたい! はい、くるっと回って背中見せて! 背中に跳ねが生えてるよ!!」
止まるところを知らぬ玲のコール。
それはなんとも名状しがたき状況であったが、ヒーローマスク『インテリジェンスグラス』はなるほどな、と得心が言っていた。
あのコールの仕方、只者ではない。ごくりんこ……。
とかそんな玲にとってかなり都合の良い理解者となった『インテリジェンスグラス』の応援も相まって撮影に熱が入っていく。
「はい、そのまま背中見せたポージング続けて!」
撮影は最高潮になった瞬間、玲は人知れず、I.S.T.起動(アイエスティーキドウ)を起動させ、無防備な背中を晒し続ける量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちを背後から串団子よろしく模造神器によって一撃のもとに斬りつけて、彼等を叩き伏せる。
「ぐわー!?」
「な、何故だ。君は我等筋肉信奉者ではなかったのか!?」
「し、信じていたのに! あのコールは嘘じゃないって!!」
ばっさり背後からやられた量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちが口々に玲をなじるが、彼女はどうじた様子などなくにっこりと微笑む。
「まあ別にお前等みたいな見せ筋が欲しい人はごく少数だからなー! そんな戦いに無駄な筋肉付ける訳ないだろ草食動物野郎ー!」
だ、だましたんだね!? とアルパカマッスルブラザーズたちは玲を前に断末魔の如き叫びと共に骸の海へと還っていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
城野・いばら
こらー!ムリやりはダメなのよ
アナタ達のスキを否定するつもりはないけど
強要するのがイカす行為?
皆の為に頑張るマスクのアリスの方がいばらは素敵だとおもうわ
これ以上悪さが出来ないように、バラさん達の蔓でしっかり捕縛
でも…素肌に刺さる棘は痛そうで、
つぶらな瞳で見詰められると可哀そうに…え?
いばらもレッツトレーニン?
無いより有った方が良いだろうって??
……どうして胸元をみるのかしら
良くわからないけどお喋り鏡なマダム・リリーの
乙女の敵よー!すり潰すべし!
って声援には奮い立つものがあるわ
この世界のアリス達、乙女の為に
覚悟と怪力籠めて揮いましょう
そう、コレ(拳)はアイのムチ
マスクさんにかわって、おしおきです!
キマイラフューチャーは空前絶後の筋トレブームであった。
街行くキマイラたちの手にはプロテインバー。ちょっと時間も惜しんでの筋トレ。だが、それは彼等が自主的に行っているわけではない。
量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちが彼等に強要した行いであったのだ。
「ふぅむ。中々筋肉が付かぬな。だが大丈夫。これからこのプロテイブラウニーをトレーニングの後に食べれば大丈夫さ!」
「何、お腹いっぱいになって動けないというのであれば、筋トレすればいいのさ」
「腹ごなしにプランクはどうだい!」
量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちはキマイラたちを捕まえては、その肥大化した筋肉と共に筋トレを強要していたのだ。
断ればどうなるかは言うまでもない。
無言の筋肉の圧力は、その大きさも相まって非常に断りづらいのだ。
だが、その悪逆非道なる行いを前に駆けつけるのは、城野・いばら(茨姫・f20406)であった。
「こらー! ムリやりはダメなのよ。アナタ達のスキを否定するつもりはないけど、強要するのがイカす行為?」
いばらは可愛らしい顔のほっぺたをぷっくり膨らませて、ぷんすこ怒っていた。
今、キマイラフューチャーにはオブリビオン・フォーミュラ無き後の世界へと侵略してきている猟書家の存在がある。
その尖兵である量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちの行いは彼女の目にも余るものがあった。
「ぬぅ! 我等の行いを弾劾するか」
「筋肉の前には全てが瑣末事!」
「素晴らしき筋肉の前には時として抑圧もまた必要なのだ!」
だが、彼等は筋肉至上主義者である。
筋肉なきものの言葉など聞く気がないのだ。そのために立ち上がったヒーローマスク『インテリジェンスグラス』をも痛めつける事にためらいなどない。
「もう! 皆の為に頑張るマスクのアリスの方が、いばらは素敵だと思うわ! そんな聞き分けのない子たちには、これ以上悪さが出来ないようにバラさん達の蔓でしっかり捕縛してあげる!」
不思議な薔薇の挿し木がいばらの魔力を受けて伸縮し、一瞬で量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちの体を縛り上げようとする。
だが、その蔓には棘がある。
綺麗な薔薇には棘があるように、いばらのはなった蔓にもまた棘があった。
「……でも、素肌に刺さる棘は痛いわよね……」
それは彼女の優しさから来るものであったことだろう。見れば、アルパカマッスルブラザーズたちはビキニパンツ一丁である。
いばらの放つ蔓の棘は素肌には痛そうであり、そんな姿を見るのもいばらは悲しく思えた。それにアルパカのつぶらな瞳は、何かを訴えているようにも見えるのが可哀相に思えてならないのだ。
「お優しいお嬢さんである!」
「その優しさに我等は心打たれた!」
「さあ、レッツトレーニン!」
量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちは一斉にいばらの前でマッスルポーズを取る。
しかし、いばらはよくわからないのだ。何故トレーニングを自分がしなければならないのか。
「無いよりは在ったほうが良いものであるから! さあ、大胸筋に響くトレーニングをしようではないか!」
「……どうして胸元を見るのかしら」
不躾な視線である!
到底レディに向けていい視線ではなかった! いばらは未だによくわかっていなかったが、みなまで言うな! それ以上は紳士的ではない。
いばらの手元で百合装飾の美しい鏡、マダム・リリーが叫ぶ。
『いばら、彼等は乙女の敵よー! すりつぶすべし!』
それはあまりにもあんまりなことであった。
残酷な現実なのかもしれない。けれど、無知であり無垢である者に向けていい視線ではなかったのだ。
「さぁ…みんな、おきて?」
よくわからないのだけれど、それでも声援には奮い立つものがある。不思議な感覚だった。
「この世界のアリスたち、乙女の為に覚悟と怪力籠めて揮いましょう」
ローズパーティーのように不思議な薔薇の挿し木から飛ばされた種が地面に突き刺さり、次々といばらの力を底上げする地形へと変わっていくのだ。
ひぃ、と量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちがつぶらな瞳で見つめるも、もう遅い。少しでも大胸筋を薄いなぁって思ったのが運の尽きである。
大きさだけが全てではないと何度言ったらわかるのだ!
「そう、コレはアイのムチ。マスクさんにかわって、おしおきです!」
放たれた怪力籠められた一撃が小さな体から放たれ、量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちの体を天高く吹き飛ばす。
それはまるで銀河を砕く拳そのもの! アルパカマッスルブラザーズたちは鈍い音を立てて大地に落ち、その体を霧散させ、骸の海へと還る他なかった。
そう、これは全大胸筋薄めの乙女の怒りなのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…その前に筋肉は滅ぼします!(キリッ
いいですか?!
確かに筋肉は理想の体型を保つのに必要です
しかしお腹がシックスパッドな12歳が可愛いかといえばNO!
ダイエットしてるのは痩せたいからであって筋肉質になりたいわけじゃないのです!
つまり、あなたたちのやっていることは完全なる悪!
ゆえに倒します!
数が鬱陶しいのでこちらも増えます!
【かげぶんしんの術】です!
そこから一斉ドロップキック!
とりあえず吹っ飛ばします
インテリジェンスグラスさん!
私の体使ってください!
一緒にボコボコにしましょう!
いえ、私はカタールで斬りますけども!
※アドリブ連携OK
乙女の肉体は、それは素敵なものである。
いろんなスパイスやら甘いものやらなんやらいっぱいてんこ盛りなのである。
だが、無粋なる者は何処の世界にもいるのである。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……その前に筋肉は滅ぼします!」
キリッ! といつもとは違って決まりに決まった文句のままサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)はキマイラフューチャーに降り立つ。
いつもならば、なんとも締まらぬ雰囲気のまま戦い始めるのだが、今回は違う。
いつもとは違う尋常ならざる覇気。
どこを取って出しても正義のクノイチそのものなサージェの姿に量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちはたじろいだ。
「ぬ、ぬぅ……! 藪から棒に筋肉を滅ぼす宣言とは!」
「このクノイチの気迫……! 只者ではない!」
「忍べてないとかそんなこと突っ込んだら我等が終わると野生の本能が告げておる!」
好き勝手に普段からのサージェを見ているかのようなことを口々に言うアルパカマッスルブラザーズたちを尻目にサージェの瞳は燃えに燃えていた。
「いいですか?! 確かに筋肉は理想の体型を保つのに必要です。しかし、お腹がシックスパッドな12歳が可愛いかと言えばNO!」
そういう需要もあるんじゃない? とかそんな言葉は続くサージェの言葉にかき消されてしまう。
「ダイエットしてるのは痩せたいからであって筋肉質になりたいわけじゃないのです! つまり、あなたたちのやっていることは完全なる悪! 故に倒します!」
ずびし! と指差すサージェの姿に完全に圧倒されるアルパカマッスルブラザーズたち。
言っていることはわかるのだが、もはや言いがかりに近い何かを感じるし、何かそれ以上の思い入れとか情念とか、サージェの過去に何があったのかとか、最近何かとお腹がたるんでるんじゃない? とか誰か白猫に言われたのかなとか、要らん勘ぐりが出てしまいそうに為るが、それを言った瞬間きっとクナイが飛んでくる。
「そこまで言われたら我等とて引き下がれぬ!」
「ならばお望み通り、ダイエットに最適な腕立て伏せ、スクワット、有酸素運動!」
「貴様のつるんとした玉のようなお肌をバッキバキに割ってくれよう!」
飛びかかり襲いかかろうとするアルパカマッスルブラザーズたち。
三兄弟と言いながら、その数は尋常ではない。彼等はサージェを打倒し、彼女の腹筋を6つに割ることだけに己達の怪人魂を燃やしているのだ。
「数が鬱陶しいですね! しゃどーふぉーむっ! しゅばばばっ!」
かげぶんしんの術(イッパイフエルクノイチ)によってサージェそのものな分身が現れ、一斉に駆け出す。
飛びかかるアルパカマッスルブラザーズたちをドロップキックでとりあえず吹っ飛ばす。
「インテリジェンスグラスさん! 私の体を使って下さい!」
分身の一体に『インテリジェンスグラス』を憑依させ、サージェとヒーローマスクはアルパカマッスルブラザーズたち筋肉の申し子たちをボコボコにしていく。
それはもう昭和のアニメかな? と見紛うくらいにボコボコ土煙を上げながら、アルパカマッスルブラザーズたちをちぎっては投げ、カタールで切り刻み、凄まじい勢いで彼等を骸の海へと還していくのだ。
「ダイエットは世の女の子の嗜み! きれいなからだをつくりたい! かわいいねって言われたのは、みんないっしょなのです! 努力なしでは綺麗な体は作れないですけど、たまにいるんです! 努力してないで超絶なボディーラインを持つ人が!」
でも、諦められない。だって女の子だもの。
サージェは、そんな女子、乙女たちの万感の思いを籠めてカタールを振るい、程よい有酸素運動と共に今日のタスクを昇華してみせるのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ロンダリングラクーン』
|
POW : 洗熊拳・濁流の型
【怪人拳法「洗熊拳」】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 洗熊拳・清流の型
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【突き出した掌】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ : 洗浄魔術「怒螺無式」
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【水】属性の【魔法の大渦】を、レベル×5mの直線上に放つ。
イラスト:青空皐月
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠京奈院・伏籠」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「なるほど。これが猟兵達……あのアルパカマッスルブラザーズたちが歯が立たぬのも無理なからぬこと。あれだけ己の肉体を誇ることなく、驕ることを諌めてきたが……結局恵まれた肉体を持つ者は、小さきものに足元をすくわれるしかないのだ」
その声はどこからともなく現れた猟書家『ロンダリングラクーン』のものであった。
アライグマ怪人である『ロンダリングラクーン』の姿は小さきものだった。だが、その身から放つ重圧の凄まじさは、これまで対峙してきたオブリビオン怪人とは一線を画する。
「ならば、我がお相手するとしよう! 我が体躯小さけれど、侮ることなかれ。我が流派、邪拳『ロンダリングラクーン』の前には体躯の差など些細なこと!」
周囲に光が満ち、駆けつけた猟兵たちとヒーローマスクを包み込んでいく。
光が晴れた瞬間、そこは謎の異空間であり、荒廃した大地に無数の木人が突き刺さる光景が猟兵達の瞳に映ったことだろう。
それは決戦の舞台。
「我が邪拳の前に露と消えるがいい!」
猟書家『ロンダリングラクーン』の凄まじき重圧が世界に満ちる。
だが、ここで退くわけにはいかない。
猟兵達の背中にはキマイラフューチャーの未来がかかっているのだから――!
神羅・アマミ
山椒は小粒でもぴりりと辛い、そいつは妾が散々使ってきた専売特許よ!
故に一切の油断なし!
貴様が水なら妾は傘、UC『明転』にて道を切り開く!
然して迫りくる激流は、受けるでなく敢えて身を任せるべし。
相手の詠唱を切り詰めるべくまずは【ダッシュ】。
拙速にて放たれた大渦へ自ら飛び込み、モーターの回転力も加味した勢いによって最速で台風の目を目指すというわけよ!
作戦が功を成したならば中心点から傘を土台に【ジャンプ】、中空から目標のアライグマ目掛け渾身の【カウンター】パンチをお見舞いじゃ!
奴の水流が予想以上に強ければ自爆必至、妾の慢心ということになる。
逆に、初撃で見切りが成功すれば精神ダメージも大きかろう!
猟書家『ロンダリングラクーン』はアライグマ怪人である。
その体躯は矮躯というにふさわしいものであったが、その身に宿した力は体躯の大小など関係ない。
練り上げられた拳士としての力は本物であり、操る魔術は圧倒的な水流の力を宿している。
「決して諦めぬ正義の心こそが真に恐るべきもの。それを彼奴らは忘れたが故の敗北。数を頼み、己の肉体を誇ったがゆえに敗れたのだ。ならば我が出向くが道理」
猟兵とヒーローマスクを取り込んだ謎の異空間は荒涼とした大地であり、無数の木人が拳法家を育む大地であることを知らしめる。
骸の海において二つの流派を束ねた者、猟書家『ロンダリングラクーン』は、その名の通り邪拳『ロンダリングラクーン』を極めし者である。
「相手が猟兵と言えど相手にとって不足はなし。我を小兵と侮るのならば、その身に癒えぬ傷を刻むこと夢々忘れるな」
凄まじき重圧が放たれ、猟兵たちはまさに今、猟書家として強大なオブリビオンと対峙することを肌で感じたことだろう。
「山椒は小粒でもぴりりと辛い、そいつは妾が散々使ってきた専売特許よ!」
神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)は和傘を広げ、大見得を切るように『ロンダリングラクーン』と相対する。
互いに上背はない。けれど、その力が身の丈通りであるとは限らぬことをこれまで相対してきた敵に味あわせてきた者たちである。
そこに一切の油断など無い。
「洗浄魔術『怒螺無式』……! 我が魔術の前には如何なる者も押し流されずにはいられない。我の操る水流こそが濁流であり、全てを飲み込んだ後にこそ、清流が生まれるのである!」
『ロンダリングラクーン』の放った魔法の大渦がアマミの体を飲み込まんと大挙して押し寄せる。
あの激流を前にして抗おう事は誰もができぬことであった。
だが、アマミは不敵に笑う。
「貴様が水なら妾は傘! 百花繚乱、剣山刀樹!玄妙にて幻惑せし荘厳なる紅き華の刃を、其方の血煙でもってより鮮やかに彩ってくれようぞ!」
和傘から無数の刃が展開され、超高速回転機構を回す。
それは迫る激流を切り裂くでもなく、受け止めるでもない。そう、敢えて身を任せるのだ。
自ら飛び込み、激流の中を傘が回転することによって進行方向を変える。和傘に搭載された回転力が一気に激流の中を進む。
回転する刃が水を切り裂き、詠唱続く『ロンダリングラクーン』へと迫る。
「敢えて水の流れに身を任せ、その回転の力を利用するか! 大渦であること、貴様の武器が回転するものであったのが僥倖か!」
まさしく台風の目の如き中心にある『ロンダリングラクーン』を最速で詰めるアマミの姿はまさに激流の中に咲いた一輪の華のようであった。
水を切り裂く無数の刃が、今はオールのように水流の流れを読み取り、一気に中心へと突き進む。
「お主の魔術が大渦であったのが命取りよ!」
『ロンダリングラクーン』へと迫るアマミ。しかし、待ち受けるのは拳法家でもあるアライグマ怪人である。例え、大渦の魔術を切り抜けたとて、彼女を待ち受けるのは百戦錬磨のオブリビオン。
水流に乗るだけでは到底『ロンダリングラクーン』へと打撃を加えることなどできようはずもなかった。
「甘い! 我が拳法は近接に置いても遅れを取るものでなし! 油断したな、猟兵!」
放たれる邪拳。
しかし、その拳がアマミを捉えることはなかった。
「ふん! 確かにそのとおり! お主の水流が妾の予想以上であれば自爆必至の攻撃である。妾の慢心と言われても仕方のないことであろう。しかし!」
和傘を台座に水流からひときわ高く飛び上がる体。
『ロンダリングラクーン』の放った邪拳は空を切る。それは『ロンダリングラクーン』の予想のはるか上を行く行動であった。
放たれた拳とカウンター気味に交錯したアマミの拳は上空からの加重と相まって渾身の一撃となって『ロンダリングラクーン』へと叩きつけられる。
「死ねーッッ!!」
盛大にアマミの一撃が決まり、『ロンダリングラクーン』は己の生み出した激流の中へと飲み込まれていく。
拳の一撃は未だ『ロンダリングラクーン』を倒すには足りなかっただろう。
だが、初見で彼の邪拳は見切られ、合わせるカウンターまで一撃を入れられたのだ。肉体以上に精神へとダメージを与えることに成功したアマミは華麗に和傘の上へと降り立ち、勝利の高笑いをあげるのであった――!
大成功
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ユーフィ・バウム
相手が小さき者だとて油断はしませんよ
私も、いつも自分より大きい者を倒してきたのです
【気合い】十分、【覚悟】を持って臨みますとも
間合いに気を付けながら、【力溜め】た
【属性攻撃】で雷の属性を込めた打撃で戦います
手数では劣っても、【怪力】の1発の威力でカバーします
ですが、長期戦はジリ貧かもしれず。
ならば賭けに出ましょうか
一度間合いを取り【挑発】、相手のユーべルコードを誘います
【見切り】【戦闘知識】【野生の勘】をフル稼働させ
紙一重で避け……いいえ、避けきれないなら
【激痛耐性】【オーラ防御】で耐え抜き
【カウンター】の【鎧砕き】の拳!
相手を吹き飛ばすことに成功したなら
追撃の《トランスクラッシュ》で決着を!
猟兵の一撃によって猟書家『ロンダリングラクーン』は、大渦の魔術を打ち破られた。それはカウンターの一撃であったが、未だ肉体的には健在であっても、初見で破られたという精神的なダメージのほうが大きいようであった。
「我の水の魔術を初見で破るだと……! やはり猟兵は侮れぬ! だが我には未だ破られぬ拳がある」
『ロンダリングラクーン』は体制を整え、すぐさま猟兵へと迫る。
「相手が小さき者だとて油断はしませんよ。私も、いつも自分より大きい者を倒してきたのです」
漲ると気合と覚悟を胸にユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)が立ちふさがる。
その体は確かに小さく少女そのものであったが、彼女とて猟兵である。これまでの猟兵としての戦いを顧みた時、彼女の相手は常に自身よりも巨大な敵ばかりであった。
だからこそ、猟書家『ロンダリングラクーン』の言う言葉にも彼女は頷ける部分があったのだ。
「互いに体躯の小ささはあれど、己の力に自信を持つか! その気合と覚悟、敵ながらあっぱれである!」
互いの視線が交錯する。
ユーフィの拳に雷の力が宿り放たれる。『ロンダリングラクーン』の必殺の拳の間合いは近距離。それも至近距離と言っていいほどの距離で最大に効果を発揮する邪拳だ。
ならば、その間合いに入らせぬことが肝要である。しかし、その間合いに入るまでの手数こそが邪拳『ロンダリングラクーン』の要。
どれだけ自身の拳を必殺の間合いまで寄せるかの詰み将棋のごとき手数でユーフィを追い詰めていく。
対する彼女の拳は小さな体に似合わぬ圧倒的な怪力に寄る剛の拳である。
手数で迫る『ロンダリングラクーン』の拳を重たい拳の一撃でカバーするが、相手は猟書家である。
強大なオブリビオンを前にして個としての力で劣る猟兵は消耗戦に向いていない。結局のところジリ貧でしかない。
「くっ……このままでは」
「甘い! どれだけ強大な拳の一撃があろうとも、手数で持って圧する」
このままではユーフィは手数に押されて、必殺の間合いまで押し入られてしまう。ならばと、ユーフィは敢えて誘い込むのだ。
距離を詰めようと後ろに飛び退る。
しかし、それを読んでいたかのように『ロンダリングラクーン』は一瞬で間合いを詰める。それは神速の踏み込みであり、後退したのは決定的なミスであった。
「後ろに退いて勝てるものなどありはしない。その判断、未だ青いと言わざるを得ないな、猟兵」
迫る至近距離の『ロンダリングラクーン』。その必殺の拳、洗熊拳・濁流の型が炸裂する。
「――ッ!!」
ユーフィにとって、それは賭けであった。
『ロンダリングラクーン』の拳は必殺の拳。けれど、その間合いは至近距離でなければならない。
ならば、誘い込むのであればこちらのミスを敢えて見せるしかない。
だが、失敗してしまえばユーフィは必殺の拳を受けることになる。野生の勘の如きひらめきを得るも、その動きは同じく野生であるアライグマの本能を持つ『ロンダリングラクーン』に先回りされてしまう。
「――獲ったぞ、猟兵!」
放たれる拳の一撃。
ユーフィの体へと吸い込まれるようにして放たれた一撃は一瞬でオーラの防御を突き破って彼女の胴を打つ。
凄まじい激痛。
血反吐が吹き出そうなほどの感触がこみ上げてくる。しかし、ユーフィは踏みとどまった。だが、耐えるだけでは勝てない。
故に彼女の拳は『ロンダリングラクーン』の一撃を受ける前から始まっていた。交錯するように放たれた拳が『ロンダリングラクーン』を穿ち、吹き飛ばす。
「ぐっ、ふぅ――! まだ! 鍛えられた肉体を、めいっぱい叩き込みますっ!」
跳躍し、闘気をまとったボディアタックの一撃がふきとばされた『ロンダリングラクーン』へと降り注ぐ。
それは、トランスクラッシュ(クラッシュ)の一撃。
単純でありながらも重たき一撃は『ロンダリングラクーン』ごと周囲の荒涼とした大地をえぐるように破壊され、その一撃の凄まじさを誇るのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
「ロンダリングするのならマネーが良いですね」
本音半分で挨拶し戦闘に入る
大事なのは正義の心!
方針
格闘戦での攻防を挑み
強烈な洗熊拳を貰いつつ、何度も立ち上がろう。急所さえずらせば早々は倒れない【オーラ防御、野生の勘、激痛耐性】
小柄とは言え達人の絶技を何度も食らうのはきついが、そこは【気合】だ
「技が粗くなってきてるわ。何が怖いのかしら?」
ボロボロの身で笑みを浮かべ挑発したい
何度も食らえば【見切り】も出来る
甘い一撃を狙ってブリッジ回避し、斥力で上空へ弾こう
後は真の姿での空中関節技で血反吐を吐かせ、超重力で地面に叩きつけるフィニッシュを狙いたい【封印を解く、捕縛、グラップル、怪力、属性攻撃、重量攻撃】
猟兵の一撃が大地を穿ち、木人が突き刺さった異空間をも変形させるほどだった。
クレーターのようにえぐれた大地の上に猟書家『ロンダリングラクーン』が立ち上がる。
「なんという一撃……! これほどまでの重き一撃をあの小さな体で放つとは……」
自身も小さな体躯であるにも関わらず、猟兵の渾身の一撃を受けて素直に称賛する。それはオブリビオンである前に一人の拳法家であるがゆえであったのかもしれない。
邪拳を修めていても、目指す先である武の極みという到達点は等しかったのであろう。
しかし、過去の化身である以上、歪んだその欲望の発露は世界を破壊するのだ。
「ロンダリングするのならマネーが良いですね」
そんなふうに本音半分を挨拶のようにしながら才堂・紅葉(お嬢・f08859)は、扇状となった異空間に降り立つ。
世の中お金で大体のことはどうにかなるものである。
お金とは力であるし、お金で買えないものは殆どないであろう。買えないものもあるが、それはお金で買えるものでどうにかできてしまうのもまた世の理であろう。
だが、それ以上に大切なものを紅葉は知っている。
「大事なのは正義の心!」
駆け抜ける。戦場を疾駆し、猟書家『ロンダリングラクーン』へと間合いを詰める。
互いに格闘戦に持ち込むのは、己の拳が、格闘術が必殺の一撃であるという自負が在るからだろう。
「正義の心燃える者こそ、我等の仇敵。我等は何度も見てきた。正義の心を燃やす者が、どれだけ打ちのめされようと立ち上がってきた姿を。故に油断も満身もない!」
放たれる洗熊拳・濁流の型。その拳の一撃は至近距離で放たれるも、その拳の威力を増大させる。
まさしく濁流の如き拳の一撃の重みが紅葉の体を打つ。
「がっ――! くっ……!」
強烈なる洗熊拳の一撃を受けて紅葉の体がのけぞる。
体中を走り抜ける打撃の衝撃は耐え難いものであった。オーラの防御も間に合わぬほどの絶技。
それは紅葉の体に痛みとして刻み込まれる。僅かに急所をずらしているものの、それすら意味がないと思うほどの激痛であった。
「急所はずらしたようだが! 一撃で倒れなければ二撃! 二撃で倒れぬのであれば倒れるまで打ち込むまで!」
次々と放たれる洗熊拳の凄まじき打撃。
それは紅葉の体を穿ち続け、小柄とは言え達人の絶技を何度も何度も体に打ち込まれてしまう。
しかし、紅葉は倒れない。
倒れるわけにはいかないのだ。その心に正義の炎が燃える限り、彼女は倒れない。倒れられるわけがないのだ!
「くっ……不死身か、貴様! 我が濁流の型を何度受けていると思っている――!」
『ロンダリングラクーン』は驚愕する。
この必殺の一撃の威力は言うまでもない。これまでも幾人もの達人たちを打ちのめしてきた拳なのだ。
それを紅葉は何度も受けているというのに、未だ立っている。
「技が粗くなってきているわ。何が怖いのかしら?」
すでに紅葉の体は満身創痍。
だが、その顔に浮かぶ表情は不敵ながら笑みであった。
「ならば、この一撃で……濁流の型!」
再び放たれる絶命の一撃。
しかし、紅葉の瞳にはすでに光が宿っていた。ユーベルコードの輝き。
すでに何度もこの体が受けてわかっている。かの猟書家『ロンダリングラクーン』が達人であればあるほどに、その攻撃は正確であり鋭く重い。
最適化された体の動きこそが、肉体の大小を覆す。
「何度も喰らえば、流石に見切れる! そこっ! まだ引斥自在って訳でもないけど……あんたを沈めるには十二分ね!!」
それは何度も放たれた拳故に甘さとして紅葉の視界に映る。
ブリッジするようにのけぞって拳の一撃を回避せしめた紅葉の拳にハイペリアの紋章が輝く。
斥力制御によって投げ飛ばされ、空中で関節を極める。
「ぬっ、貴様、まさか……はじめからコレを狙って……!」
「ええ、そのとおり。超重力でたたきつぶされなさい!」
放たれる超重力の柔術――名をハイペリア重殺術・裏天殺(リテンサツ)!
叩きつけるようにして『ロンダリングラクーン』の体を大地に打ち付ける。それは回避不可能なる絶対なる一撃。
ハイペリアの紋章が輝く拳が超重力を載せた拳を放ち、『ロンダリングラクーン』の体を大地に沈ませる。
紅葉の体は『ロンダリングラクーン』の打撃によって満身創痍であったが、それでもなお、彼女の拳に浮かび上がったハイペリアの紋章が異空間を切り裂くように燦然と輝くのであった――!
大成功
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マヒル・シルバームーン
まあ、奇遇ですわねアライグマ師匠
わたくしも水の魔法には多少の心得がありましてよ
ここはひとつ、勝負と参りましょう
ヒーローマスクさんも、引き続き応援よろしくお願いいたしますね
猟書家の勢力は少しでもそいでおかなければなりませんからね
UCで銀の雨を降らせ結界を構築
自身とヒーローマスクさん達を守る場を形成します
あなたの水が渦を巻く動の水ならば、さしずめわたくしの術は大地にとどまる静の水
果たして残るのはどちらの水でしょう
…と、カッコつけてはみましたが、ここが正念場です
押し負けるわけにはいきませんね
幸い、激痛くらいなら耐性もありますし
出力全開の全力魔法で耐えてみせますわ
猟兵とヒーローマスクを飲み込んだ光が晴れた時、そこにあったのは木人が突き刺さった荒涼とした大地であり、異空間であった。
そこは決戦の地。
しかし、猟兵達によって猟書家『ロンダリングラクーン』は未だ健在であっても消耗を強いられていた。
えぐられた大地は猟兵達の攻撃に寄る余波であり、その中心にたつ『ロンダリングラクーン』の体は徐々に傷つきつつあった。
「ここまでやるとは……だが、我の目的だけは達成させてもらう! ――洗浄魔術『怒螺無式』!」
『ロンダリングラクーン』の掌の中に集まっていく激流のような水流。
それは彼の操る魔術であり、大渦を放つことによってヒーローマスクである『インテリジェンスグラス』を抹殺せんとするのだ。
しかし、ヒーローマスクを護るために馳せ参じた猟兵――マヒル・シルバームーン(銀の月・f03414)は彼の前に立ち、その小さな体ながらかばう。
「まあ、奇遇ですわね。アライグマ師匠。わたくしも水の魔法には多少の心得がありましてよ」
彼女を中心に銀色の雨が降り注ぐ。
「ここは一つ、勝負と参りましょう。ふたつめの音…それは、世界を護る銀色の誓い」
銀色の雨はそれだけでオブリビオンにダメージを与えるものであるが、地面にあたった瞬間それは結界となってマヒルとヒーローマスクを包み込む。
それは第二結界(セカンド・レイン)。
彼女のユーベルコードであり、銀色に輝く世界へと異空間を変えていく。
降りしきる雨の中で『ロンダリングラクーン』の操る大渦が結界ごとマヒルたちを飲み込まんと激流を伴って放たれる。
「その程度の結界で我の魔術が阻まれると思ったか!」
全てを飲み込み、あらゆるものを押し流す濁流の魔術。その大渦の威力は凄まじいものであった。
だが、マヒルの瞳はユーベルコードに輝く。
その意志が挫けぬ限り、彼女の紡ぐ結界は敗れることはない。
「あなたの水が渦を巻く動の水ならば、さしずめわたくしの術は大地に留まる静の水。果たして残るのはどちらの水でしょう」
激流と大地に留まる銀色の雨が激突する。結界が軋む。
それでもマヒルはここが正念場であると踏みとどまるのだ。押し負けるわけには行かない。
どれだけの魔術の激流がマヒルの体を軋ませ、痛みを伴わせようとも、彼女はひるまない。
「我が濁流の魔術に正面から抗うだと!? ばかな! 我が大渦は激流にして濁流! 何もかも飲み込むはずだ!」
『ロンダリングラクーン』が驚愕に目を見開く。
何もかもをも押し流す濁流の大渦の中に在ってマヒルの瞳だけが燦然と輝き続けるのだ。
それはなぜか。
そう、簡単な話であり、『ロンダリングラクーン』こそが、その理由を最も知る者であったはずだ。
彼女の背後には守るべきものがいる。
ヒーローマスク。正義の心を燃やし、敵わぬ相手であっても立ち向かう義侠の者。その心に燃える正義が在る限り彼等は負けない。
マヒルもまた、彼等を護ろうと己の身を顧みずに戦うものであるのならば、そのユーベルコードは正義の心に燃えていたことだろう。
「押し負けるわけにはいきませんもの――出力全開!」
痛みなど関係なかった。
耐えられるかなんて知らない。
けれど、その胸にあるのは誰かを護るという決意のみ。
その決意がマヒルのユーベルコードを輝かせ、銀色の雨が濁流を押し留め、遂には異空間に残るのは銀色の雨だけであった。
「これが世界を守る銀色の誓いですわ――!」
大成功
🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
◆SPD
ヒーローマスクたちへの攻撃は庇ってても防ぐ
元々標的にされていたのは彼らだ、猟書家が狙わないとも限らない
真っ先に世界を救おうと動いたヒーローを、こんなところで失うわけにはいかない
相手のカウンターを警戒
正面から戦い注意を引いてフック付きワイヤーを投擲、足を払って体勢を崩す
立て直されても対応の為に構えることにはなる
脱力したカウンターの体勢は取れないはずだ
その反撃不能の瞬間に、ユーベルコードで確実に射撃を叩き込む
相手は強敵だが、怯まず堂々と対峙する
異空間に引き込まれたヒーローマスクとキマイラに不安を与えない為
…それに先の動画配信で分かったが、ああも期待されているからには下手な戦いは見せられない
猟書家『ロンダリングラクーン」の放った濁流がヒーローマスクを襲う。
だが、その激流の一撃は猟兵によって防がれた。
「この一撃を凌ぐか、猟兵! ならば、何度でも我は狙おう。それが我等が力となるのだからな!」
そう、『ロンダリングラクーン』の狙いは最初からヒーローマスクの抹殺である。正義の種族であるヒーローマスクをオブリビオンに変えることができれば、強大なオブリビオンが生まれる。
正義の心が何者にも負けぬ強大な力であるというのならば、それをオブリビオン側に引き込めば自ずと己達の陣営は強化されるのだから。
激流の一撃が大渦となって再びヒーローマスク『インテリジェンスグラス』を襲う。
だが、それを横からかばうようにしてシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)の身体が押しのけた。
「くっ――……!」
激流の一撃はそれだけでシキの肉体をきしませる。
流石は猟書家というほかない。ただの一撃であっても、その一撃は致命に至る一撃である。急所は外れて居るとは言え、シキの身体は消耗していく。
「やはりヒーローマスクをかばうか!」
「元々標的にされていたのは彼等だ。あんたたちが狙わないわけがない。真っ先に世界を掬おうと動いたヒーローを、こんなところで失うわけにはいかない」
シキの瞳が『ロンダリングラクーン』と真っ向からぶつかり合う。
それは互いに退けぬものであり、シキの瞳にもまた正義の心が炎となって燃えていることを『ロンダリングラクーン』が理解したからだ。
あの炎を宿す者は容易には倒れない。
「ならば、倒れるまで打ちのめすのみ」
「それをさせないと言った」
堂々とシキは『ロンダリングラクーン』と戦う。
それは異空間たるこの大地に巻き込まれたヒーローマスクとキマイラに不安を与えないためであった。
「無茶だ! さっきの一撃であなたも傷ついている!」
自分たちのことは気にしないでくれと、キマイラとヒーローマスク『インテリジェンスグラス』が言う。
だが、シキは頭を振った。
そうではないのだと。死を恐れるから逃げるわけではないのだと。立ち向かうのはそれだけが理由ではないのだと。
「先の動画配信で分かったが、ああも期待されているからには下手な戦いは見せられない」
それはある意味で意地であったのかも知れない。
正面から戦いを挑み、フック付きワイヤーを投擲する。ハンドガンの銃弾に気を取られていた『ロンダリングラクーン』の足元をかすめる。
「苦し紛れの策だな! この程度のことで我を捉えられると思うてか!」
だが、それでも態勢は崩れた。
即座に態勢を整えるために立て直してくる姿は流石は達人級の拳法家であると言わざるを得ない。
だが、シキにとってはそれだけでよかった。
「ああ、思っていない。だが、その状態では脱力状態にはなれないだろう……」
両手で構えたハンドガンの銃口を『ロンダリングラクーン』へと向ける。
ブルズアイ・エイム。
それはシキユーベルコードであり、単純な一撃であったのかもしれない。だが、しっかりと狙いを定めた銃撃の一撃はどれだけ『ロンダリングラクーン』がこちらのユーベルコードを反射させようとしても、すでに脱力状態を破っている。
「この一撃……反射も回避もさせない」
放たれた銃弾が『ロンダリングラクーン』の体に打ち込まれ、反撃不能のままに吹き飛んでいく。
それは達人と言われる拳法家をしても見極めることのできない一撃。
「がっ――!? このっ、あえて我の脱力を奪う為のブラフか!」
「今もこの戦いを動画配信で見ている者たちがいる。お前達猟書家がどれだけ世界征服を企もうが、俺達が阻む。そのために敗北だけは許されない」
再び放たれた弾丸が『ロンダリングラクーン』の体を盛大に打ち抜き、その野望を打ち砕く楔とするのであった――!
大成功
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セシリア・サヴェージ
あなたが邪拳を極めたように、私も暗黒騎士流の剣術を修めました。邪なる者の拳と弱きを護る者の剣、どちらが上回るか……いざ勝負!
彼の小さな体躯、そして身のこなしに小回りの利かない暗黒剣を当てるのは至難でしょう。更にその一撃はまさに必殺の拳。
攻撃を当てる事も無傷で勝つ事も難しい。ならばとるべき戦法は一つ。
どんな達人でも体に拳を突き入れる一瞬には必ず隙が生まれるはず。その瞬間を見逃さず【怪力】で拳を捻り上げます。
予めUC【血に狂う魔剣】で痛覚を遮断しておけば、体にダメージを負っても痛みで怯むことはありません。
肉を斬らせて骨を断つ……拘束してしまえば暗黒剣を当てられぬ道理はなし。正義の刃を受けるがいい。
弾丸が猟書家『ロンダリングラクーン』を穿つ。
それはキマイラフューチャーに希望をもたらすためであった。どれだけの悪意が世界を襲おうとも猟兵たちが必ず駆けつけてくれる。キマイラたちにとっては、だからこそ猟兵はめちゃくちゃかっこいいヒーローとして認知されているのだ。
故にキマイラの中にも正義の心を燃やす者がいる。ヒーローマスクもまた同様である。猟兵は敗けてはならない。
どれだけの苦境に立たされようともくじけることをしてはならない。なぜなら、それは世界の破滅へと繋がるからだ。
「くっ……此処まで我を追い詰めるか……!」
『ロンダリングラクーン』はすでに相当なる消耗を猟兵たちから与えられ、しかしてそれでも立ち上がる。
未だその瞳に闘志は尽きず。
「あなたが邪拳を極めた様に、私も暗黒騎士流の剣術を修めました。邪なる者の拳と弱きを護る者の剣、どちらが上回るか……」
セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)は暗黒剣ダークスレイヤーを手に『ロンダリングラクーン』の前に立ちふさがる。
その瞳に宿るのは正義の光。
どれだけ暗黒のオーラに身を包もうとも、その瞳に宿るのは純然たる弱き者を護るという気高き誇り。
「よかろう。ならば……!」
「……いざ勝負!」
互いに譲れぬ道があるのならば激突するのは必至である。
駆け出す。
暗黒の鎧を纏ったセシリアへと放たれるは洗熊拳。その一撃は小さな体躯からは想像もできぬ重さであった。
鎧越しであるというのに骨まで届く衝撃は凄まじいの一言に尽きる。
そして、その身のこなしは体躯が小さいことも相まっての当てづらさ。暗黒剣を振るっても、その切っ先ギリギリを見切っての回避に剣速が追いつかないほどであった。
「くっ! 流石の身のこなし! ですが――!」
互いの身体が交錯する。
振り返って振るう剣を『ロンダリングラクーン』は一瞬の見切りによって躱し、拳を振るう。
「倒す為ならば……護る為ならば、この程度の代償など……!」
セシリアは覚悟を決める。
攻撃を当てることも、無傷で勝つことも難しい。ならば、彼女が取れる戦法は一つであった。
どんな達人でも体に拳を突き入れる一瞬には必ず隙が生まれる。
それは打撃のインパクトの瞬間であり、その場をおいてセシリアに『ロンダリングラクーン』の隙を見出すことはできなかった。
だからこそ、彼女の瞳にあるのは諦観ではなくユーベルコードの輝きであった。
「どれだけの痛みが襲い来るのだとしても……! 私の血に狂う魔剣(ブラッドウェポン)ならば!」
己の痛覚を喪失させる。
瞬間、彼女の手にした暗黒剣の封印が解かれる。すでに肉体にダメージがあったのだとしても、彼女は痛覚を喪失させている。
痛みはない。
だが、それが何を意味するのかも彼女は理解していた。
痛覚とはつまるところ肉体の限界を越えぬために施されたセーフティだ。それを喪った彼女は己が止まることもできないことを知っている。
しかし、だからそれがどうしたのだと彼女の信念が燃える。この痛み、この恐れ、何もかもをも乗り越えるからこそ華てる絶技がある。
「肉を斬らせて骨を断つ……か!」
「そのとおりです。どれだけの速い拳であったとしても! 動きが止まるのならば、暗黒剣を当てられぬ道理はなし!」
拳が鎧を貫通し己の肉体を打つ。
凄まじい衝撃が体を襲う。
だが、彼女の瞳に迷いはなかった。
放たれる開放された暗黒のオーラが噴出し、異空間の世界をも塗り替えるほどの膨大な力が放たれ『ロンダリングラクーン』の体を打つ。
それでもその刃を受け止めるは流石は猟書家と言わざるを得ない。だが、セシリアの心は折れない。
「正義の刃を受けるがいい」
振り切った剣が『ロンダリングラクーン』の体を袈裟懸けに切り裂く。
それは彼女の瞳に宿った正義の炎が燃え盛り、悪を為すものを決して許さぬという信念の元に振り切られたのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
え!?
この流れでその真面目なテンションで来るの!?
いやいいけどさ…いいけどさ…
そうだよね…猟書家だもんね…愉快なキマイラフューチャーの連中じゃないんだもんね…
残念
●
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
折角だから、そっちの一撃正面から受け止めたげる
『オーラ防御』で前面にシールドを展開しつつ、二刀で敵の一撃を『武器受け』してがっつり食い下がる!
同時に【アームデバイス起動】
副腕転送、そしてロンダリングラクーンをがっつり捕縛
水辺が近くにあるなら、このまま逆に洗っちゃうんだけどね…
ただのアライグマなら可愛いで済んだのに!
尻尾を掴み直して地面へ何度も叩き付ける
絵面がヤバいけど気にしない
暗黒剣の一撃は袈裟懸けに猟書家『ロンダリングラクーン』の体を引き裂いた。
しかし、それでもなお立ち上がってくる。その姿は鬼気迫るものがあった。異空間に引きずり込まれるまでの量産怪人アルパカマッスルブラザーズたちの戦いが、まるで何かの悪い冗談であったかのような、そんな雰囲気に思わず、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は驚愕してしまっていた。
「え!? この流れでそんな真面目なテンションで来るの!?」
多分、他の猟兵も思っていただけで口にしなかったであろう事実。
アルパカマッスルブラザーズたちの暑苦しい筋肉祭りからのまさかの真面目なトーンで現れた猟書家『ロンダリングラクーン』の雰囲気は、落差が凄まじかった。
先程までの時空というか、世界線が変わってしまったのではと玲は一人で混乱していたのだ。
「いやいいけどさ……いいけどさ……そうだよね……猟書家だもんね……」
一人ぶつぶつと釈然としない気持ちを言葉にして、自身を落ち着かせる。
そうでもしないとやってられないほどの急降下。いやさ乱高下とでも言えばいいのだろうか。気圧差で自律神経がやられてしまうほどのテンションの違い。
わかる。
だが、それでも叩かねばならぬのが猟兵の辛いところである。
「愉快なキマイラフューチャーの連中じゃないんだもんね……」
残念、と玲は独り言ちる。
しかし、眼前に迫る拳は『ロンダリングラクーン』の洗熊拳! 邪拳の必殺の一撃であった。
瞬時に抜き払った二振りの模造神器が受け止めるも、その拳の一撃は小さな体躯に似合わずの重さであり、彼女の足は地面に電車道を生み出すほどの威力であった。
「我が拳を受け止めるか。女だてらとは言うまい!」
すでに多くの猟兵達によって消耗させられているとは言え、未だ技の冴えは衰えることはない。
それが拳法家としての矜持であろう。
次々と繰り出される一撃は模造神器でなければ打ち砕かれていたことだろう。
「デバイス転送。動力直結。攻勢用外部ユニット、起動完了――ま、そういうこと! 油断しないのはいいことだけど。でも、それでもなんとかしてしまうのが私達ってわけ!」
アームデバイス起動(アームデバイスキドウ)によって玲の背に副腕ユニットが転送され、その巨腕が『ロンダリングラクーン』を掴み、捕縛する。
「くっ! この巨腕……! 何を――!?」
「水辺が近くにあるなら、このまま逆に洗っちゃうんだけどね……ただのアライグマなら可愛いで済んだのに!」
しかし、相手はオブリビオンであり猟書家である。
加減などできようはずもなく、今も副腕によって捕縛されているが、その副腕のマニュピレーターすらも振りほどかんとするほどの力を持っている。
「この程度の拘束!」
振りほどかれる副腕のマニュピレーター。だが、飛び上がった『ロンダリングラクーン』の尻尾を掴み直し、拘束し直す玲。
その瞳には僅かに憐れみがあった。
多分きっと、その可愛らしい風貌から威厳がないとか、部下からおじいちゃんとか言われて慕われていたかもしれない。いや、多分そんなことはないかもしれないけど、玲の脳裏には捏造された謎の映像が流れていた。
人懐っこい顔ながらも厳しい師匠。
弟子との交流。時折見せる優しさと愛くるしさ……謎のストーリーが開催されていたが、それでも玲はやらねばならぬ。
「絵面がヤバいけど――!」
掴んだ尻尾のままに『ロンダリングラクーン』を地面に何度も叩きつける玲!
玲さんやばい! それ以上は動物愛護団体的なあれから炎上必至なやつが起こってしまう! SNSとかで拡散されて非常にまずいことに!
「――気にしない!」
だが、悲しいかな。
ここは異空間である。
動画撮影される心配もなければ拡散の心配もない。なぜなら、此処で猟書家は猟兵に倒される運命であるからだ――!
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
悪しき(?)筋肉は滅びました
あとはあなただけです!
って筋肉に対する評価低っ!?
そうですよね筋肉いりませんよね
アライグマ可愛いのですが私たちは不倶戴天の敵
いざ、勝負です!
ハリケーンスラッシュカタールを手に
あえて接近戦を挑みます
カタールの分だけリーチの差は私の方が有利のはず
その利点を活かして連続パンチの要領で突きまくります!
とはいえ小競り合いでは勝負つかないのは明白
隙を見て果敢に踏み込みます!
「この一撃に勝敗を賭けて、いざ! 参ります!」
【乾坤一擲】の一撃で!
濁流の型とどちらが上か勝負です!
※アドリブ連携OK
大地に叩きつけられた猟書家『ロンダリングラクーン』の身体が跳ねてふきとばされる。
それは猟兵達による攻撃であり、それでも尚『ロンダリングラクーン』は立ち上がってくるのだ。
「く……! 我をよくもボールのように扱ってくれたな……!」
未だ健在であることもまた驚きであるが、その小さな体躯の何処に力がみなぎっているのか。それこそが邪拳を修めし者の力であるのだろうか。
「どれだけ筋肉という肉体で身体を覆うとも、精神までは鍛えられぬのだ。脆弱なる精神がどれだけ筋肉に鎧われようとも、強くならぬのは必定である」
だからこそ、邪拳ロンダリングラクーンは正義の心の前に油断はしない。どれだけ痛めつけようとも、死せるまで立ち上がってくる正義の心こそが邪拳最大の敵であるからだ。
「悪しき筋肉は滅びました。後はあなただけです! って筋肉に対する評価低っ!?」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)にとって、猟書家『ロンダリングラクーン』の言葉は意外であった。
拳法家であれば、肉体を誇ることこそあれど、低く見積もることはないだろうと思っていただけに驚きであった。
「そうですよね筋肉いりませんよね」
うんうんと一人納得するサージェ。
いや、最低限の筋肉はいるんですけど……という『ロンダリングラクーン』の言葉は彼女に届かない。
寧ろ適度な筋肉があるほうが消化や燃焼のためにはいいはずなのだけれど、日々の筋トレ、ダイエットで心をすり減らしているであろうサージェにとってはあまり関係のない言葉であった。
「アライグマ可愛いのですが私達は不倶戴天の敵。いざ勝負です!」
カタールを構え、一気に距離を詰めるサージェ。
しかし、その距離は『ロンダリングラクーン』にとっても同じ間合いである。腕に握るカタールの刃渡りの分だけサージェのリーチが長いのだが、それでも刃をいなすような流水の如き捌きで中々致命傷を与えられない。
「この程度の小競り合い! 我が洗熊拳・濁流の型の前に露と消えい!」
裂帛の気合と共に放たれる絶命の一撃。
その一撃は猟兵と言えど凄まじき衝撃となって肉体を突き抜ける。
サージェにとってもそれは同様であった。だからこそ、彼女は果敢に踏み込む。引いては拳の一撃によって沈められてしまう。
なれば、前のめりに踏み込むしかない。
「この一撃に勝敗を賭けて、いざ! 参ります!」
それは乾坤一擲(ヒッサツノイチゲキ)。
両手で突き出したカタールの両刃が『ロンダリングラクーン』の放った洗熊拳の一撃とぶつかる。
凄まじい力の奔流。
刃の切っ先と『ロンダリングラクーン』の拳とがぶつかり火花を散らせる。
しかし、サージェはさらなる気合と共に拳を突き出すのだ。
「くろすっ! いんぱくとーっ!!」
体重を載せた一撃。両手で放ったカタールの両手同時攻撃は、その分だけ濁流の型を押し込む、さらなる激流の一撃となって『ロンダリングラクーン』を圧す!
「この、重みは――! たいじゅ……」
言わせないとばかりにサージェが顔を真っ赤にしつつ、拳を叩き込む。
乙女に向かってなんてことを言うのだ!
言っていいことと悪いことがある。
もしも、『ロンダリングラクーン』に敗因があるのだとすれば、余計な一言を言ってサージェの闘志に火を着けたことだろう。
絶対に言ってはならない言葉――『体重』。そのワードを口にした瞬間のサージェのちからの発露は凄まじいものであった。
なんとしても言わせぬと放たれた両の拳が『ロンダリングラクーン』の顔面に盛大にヒットし、その一撃でもって不埒なる乙女の羞恥を煽る言葉を封殺せしめるのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
正義の剣豪、参上でござる。
なぬ?“そう名乗る割には眼がおかしい”と?
貴方程の達人が言うなら、そうかもしれぬな。
■闘
一か八か、威力2倍を狙うぞ。
刀を構え、一直線の【ダッシュ】でラクーンに接近を図る。
此処はまだ小細工なし。
懐に入ったら刀を構え、【残像】を伴う動きで突き出される
拳を【見切り】つつかわし、真横から一気に断つ!
……と見せかける【フェイント】を仕掛ける。
実際はこうだ。真横に入ったら更に【ダッシュ】し距離を取り、
気づかれる前に背後から【追霊】発動。
力強く刀を投げつけ、風車の如く回転する刀で滅多斬りにする。
ラクーン殿、貴方の言うとおりだ。俺はやはり、
正気でないのだろう。
※アドリブ歓迎・不採用可
乙女の一撃を受けて小さなアライグマ怪人――猟書家『ロンダリングラクーン』の身体が異空間に存在する荒涼とした大地に突き立てられた木人にぶつかって止まる。
「ふっ、ぐ……! やはり、正義の心は危険である。強大すぎる……! この力こそ我等がモノにしなければ!」
立ち上がる『ロンダリングラクーン』の肉体はすでに満身創痍であった。
数多の猟兵による攻撃。それはどれもが『ロンダリングラクーン』を消耗させ、未だ現界している事自体が、猟書家としての力の凄まじさを物語っている。
「正義の剣豪、参上でござる」
そこへ舞い降りるは猛禽の翼を広げる愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)であった。しかし、その瞳に宿るものを見上げても、そこに『ロンダリングラクーン』が恐れるものは宿っていなかったように思えたことだろう。
「正義を名乗るにしては、その瞳……何を見据えている。正義というには程遠い!」
「貴方ほどの達人が言うなら、そうかもしれぬな」
だが、それと今から行われる戦いは関係がない。
どちらかが倒れるまで行われるオブリビオンと猟兵の戦いである。
そこに介在していいものはない。清綱にとって、それこそが戦いの本文である。オブリビオンは滅する。救いを求めるのであったとしても、そうしなければ世界が滅んでしまう。
「だが、戦う事に変わりはなし」
刀を構え一直線に『ロンダリングラクーン』との間合いを詰める。小細工など弄することなどない。
懐に入り込んだ瞬間、清綱の身体が残像を残して分かたれる。一瞬の明滅の如き残像。それは相対する者の視界を眩ませるものであった。
放たれる裂帛の一撃。
洗熊拳の一撃を見切り、『ロンダリングラクーン』の真横から一気に断ち切らんとする。
「中々の速度――だが、甘い!」
完全なる脱力から生み出される、受け流し。それは太刀の一撃であっても変わることはない。
洗熊拳とは濁流と清流が合わさったものである。
なればこそ、あらゆる攻撃を受け流すは流水のごとく。
「こいつから逃れられるかな……」
しかし、その言葉は背後から放たれた。
正面切ってからの攻撃。それは全て囮であった。真横からの斬撃。それすらも残像のフェイントであった。
一瞬の踏み込みによってさらに回り込んでの追霊(ツイレイ)、ユーベルコードの一撃。
それは刀の投擲ではなく、投げ放つ攻撃。
風車のごとく回転する刃は、奇しくも『ロンダリングラクーン』が修めた邪拳、洗熊拳と理を同じくするものであった。
大渦の如き激流によって生み出される体躯の差を瑣末事に変える流派。
それを体現する肉体に迫るは、風車の如く風切り音を立てて放たれた斬撃であった。
その一撃が『ロンダリングラクーン』の胴を一撃のもとに薙ぎ払い、両断する。
「がはっ――! みご、と……」
猟書家『ロンダリングラクーン』が倒れ伏し、その肉体が霧散し消えゆく。
それは骸の海へと還っていく光景であったが、清綱はそれを見下ろす呟く。かの拳法家に言われた言葉が脳裏をよぎったのだろう。
「ラクーン殿、貴方の言う通りだ。俺はやはり、正気ではないのだろう」
自覚は在る。
けれど、それで何が変わるというのだろうか。
己の為すべきこと、過程は違えど結果は同じである。そこに正気、狂気は介在しないはずだ。
結果として世界が護られるのであれば、己の正気は保たれなくてもいい。
何のために刀を振るうのか。
その理由さえ己の心のなかに在るのであれば、自身は間違えることはないであろうから――。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年11月11日
宿敵
『ロンダリングラクーン』
を撃破!
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