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クレリックを狙う盗賊、毒胞子を添えて

作者：唐傘

●群竜大陸
「どう、して……？　確かに、修道院に居たはずなのに……ここは、どこ……？」
「ううん、それより……姉ちゃんに『群竜大陸で死ね』って言ってなかった……？」
「君たち大丈夫？　ちょっと、心臓を抜き取ってあげようか？」
　2人を取り囲む存在は、心臓を狙うオブリビオン――そして、逃げ回るたびに舞い上がる、毒。恐らくオブリビオンが仕留めそこねても、キノコの毒素で仕留める二段構えだろうか。

●グリモアベース
「という感じで、二人きょうだい……クレリックと騎士見習いが群竜大陸の一角、万毒の群生地に放り込まれたんだ。」
　……姉と弟だから「きょうだい」で合ってるよね、と不安げな占い師は適当にあしらわれたが、気付かず話を続ける。
「それで、転送先の毒キノコは……遅効性の即死毒、なんだけど。特殊な環境下でしか胞子が毒素を出さないから、連れ帰って1時間もすれば自然に治るんじゃないかな？」
　逆の言い方をすれば、遅効性故に対策もほとんど必要なく、そして姉弟も毒に蝕まれていることに気付いていない。

「それで、この2人をハートロバーの手から護って欲しいんだ。」
　オブリビオンといえど、相手は盗賊――姉のクレリックも弟の騎士見習いも、一人倒せれば良いほうだろうが、群生地に集った盗賊は10人を超える。倒した直後に不意打ちを受けて倒され、破邪の言葉を放つだろう――ターリアの狙い通りに。
「2人を護る方法は任せるけど、少なくともハートロバーが全滅すれば、主犯のターリアって魔女が出てくると思う。」
　眠りの森の魔女ターリア、彼女がしびれを切らして出てくるだろう……という予想だが、きっとターリアは破邪の言葉を引き出すために出てこざるを得ないだろう。
「そのターリアって魔女を倒せば、自動的に転送が解除されて、2人とも元の場所に戻るみたい？」
　どういう原理か今ひとつわかってない様子のヤドリガミだが、まぁターリアの魔法の根源的な何かがあるのだろう。
「気をつけて欲しいのは、ターリアは破邪の言葉が目的だから、隙あらばクレリックの子を狙うみたい……。」
　極端なことを言えば、猟兵からの攻撃を受けてでもクレリックに攻撃さえ当てられれば、別タイミングの『自分』に任せる形で天上界を目指すこともありうる。
　それを防ぐためにも、対ハートロバーと同様に、クレリックを護りつつ戦う必要が出てくるだろう。
「ちょっと難しい戦いかも知れないけど、よろしくお願いするね？」
　手元のグリモアを操作して転送ゲートを開く、グリモア猟兵。
　姉のクレリックと弟の騎士見習いを護るための、戦いが始まる――。

第1章 集団戦 『ハート・ロバー』

POW   :    こんなに近いとハートがドキドキするね 【心臓を抉るナイフ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。 SPD   :    アナタに一目惚れしたの！ 【告白】が命中した対象を爆破し、更に互いを【運命の赤い糸】で繋ぐ。 WIZ   :    アタシとイイコトしない？ 【興味】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【ハートマーク】から、高命中力の【キューピッドの矢】を飛ばす。 イラスト：透人 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「ううん、それより……姉ちゃんに『群竜大陸で死ね』って言ってなかった……？」
「まったく、群竜大陸も広いでしょうに、万毒の群生地を島流し扱いとは領主の私に失礼じゃないですかね？」
　目覚めた姉弟のそばに、予知で現れるはずだったハート・ロバーの代わりに現れたのは黒いスライム――黒玻璃・ミコ（f00148）、万毒の群生地の領主だった。
「逃げない、と……？　……領主？？」
　状況が飲み込めずに混乱する姉と、混乱しているながらも姉を連れて逃げようとする弟――二人の顔には「領主ってどういう事？」だとか「黒スライムが人語をしゃべった？」だとか、色々な疑問符は出ているようだが……それでも黒玻璃に刃を向けないのは、彼我の実力差を本能的に察したためだろうか。
「……なんだか失礼なことを考えてる気はしますが、互いに守ろうとする姿勢と、私に襲ってこない事に免じて、修道院に帰してあげましょう。……とはいえ、邪魔なお客さんを排除してからですが。」
　言うが早いか、周囲に壁を作るように風を吹かせ――ハート・ロバーたちをあしらう黒玻璃。
「……おかしいですね、帝竜戦役で戦った時に比べると、手応えがないようです。」
　放出する『屠竜の魔女に宿る魔力』が増えた事、あるいは前回の遭遇とは別の毒キノコだったこと――色々と要因は考えられるが、いずれにせよ遅効性とはいえ致死毒、高濃度で流し込まれれば症状も出るらしい。
　黒玻璃に近付こうとする盗賊は、強風で身動きが取れないか、毒の作用で苦しむか――あるいは、その範囲から漏れたために風が止むのを待つかに分かれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「やれやれ……盗賊が相手なら、一つ僕の出番ですかね？」
　盗賊には盗賊だと言いたげな、カシム・ディーン（f12217）。
　転送された位置から、彼我の位置関係を――敵となるハート・ロバーと、護衛対象となる姉弟の位置を確認し、最も敵の多い一角に降り立つ。

「こんなに近いと、ハートがドキドキするね？」
「はぁ……、本当はお前等とは、イイことをしたかったんですけどね……。――万物の根源よ。我が手に全てを奪う力を示せ。」
　ため息を付きつつも、ユーベルコードを発動し――ハート・ロバーが気付いた時には、カシムの手には脈打つものが持たれていた。
「お前等の欲しいものはこれだろ？　盗ろうとするなら盗られる覚悟もあるんだろ？」
　……まぁ、僕はそんな覚悟してないし、心臓を盗るのも趣味じゃないんですけどね？　強いて言えば、正当防衛ってとこですかね？　という呟きは、ハート・ロバーに届いたかどうか……いずれにせよ、すぐに倒れた彼女には確認できないだろう。
　心臓を盗む攻撃を防ぎ、逆に心臓を盗み出す――むしろ過剰防衛のような気もするが、心臓を次々に抜き出していくカシムに対して、近付かないと心臓を抜き出せない盗賊たちはなすすべもなく。次々と心臓を抜かれて、物言わぬ骸となっていく……。

成功 🔵​🔵​🔴​

「攻撃は任せて、防御を先に設置したほうがいいかな……。」
　防毒の結界を張る、リューイン・ランサード（f13950）。しかし、攻撃の手を
「助けて弩羅轟えもん、オブリビオンが僕達をいじめるんだよぅ。お願いだから助けてよ！」
　そうして、自律稼働する……ように見える弩羅轟えもんがエネルギーを充填し始める。

「アナタ素敵ね、一目惚れしたの！」
「困ります、僕にはひかるさんが……って、なんで赤い糸が付いてるんですか！」
　腕を振り回したりその場でぐるぐる回ったり、糸を取り除こうと頑張るリューインだが……糸は彼と告白したハート・ロバーを結ぶように残り続け――最短距離を結ぶように、絡まってもすぐすり抜ける。
　そしてすぐ、「リア充爆発しろ」と言わんばかりの爆発が二人を包む！
「ケホッ……、弩羅轟えもん、僕だから耐えられるけど、いきなり爆発はやめてね！」
　リューインと違って爆発に耐えきれなかったらしいハート・ロバーは姿がなく、繋がっていたはずの赤い糸もリューインの指から垂れ下がっている。

「爆発しても耐えるなんて素敵ね、一目ぼへっ！」
「だから、僕には！　心に決めた人が！！」
　風の魔力を込めることで、斬撃または強風で告白を妨害し、赤い糸が増えることを防ぐ。
　――いや、彼が防ぎたいものは、爆発に巻き込まれる事かも知れない。

成功 🔵​🔵​🔴​

　戦場に到着してすぐ、護衛対象の姉弟（と幾重にも張られた毒対策）を見て、タクトを振るう七那原・望（f04836）。
「さぁ、開演なのですよ！」
　彼女のタクトは、あくまでユーベルコードの発動イメージを明確化するだけで省略できるのだが、そこは気分の問題だろうか。
　ともあれ、内側に無数の猫を、外側を無数の影を――外周は猟兵をイメージしたらしいが、影なので断言できない――を配置し、防御と攻撃の構えを取る。
　そして動揺する姉弟には、「あなた達とわたしを守ってくれる味方です」と笑顔で説明する。……実際、七那原もダメージを受けると解除されてしまうため、彼女も護衛対象に含まれている。

　そんな物量に負けまいと侵攻しては返り討ちに合うハート・ロバー達も、流石に突破を諦めたらしく、七那原へのアプローチに方針を変えたらしい。
「ねぇそこのお嬢さん、アタシとイイコトしない？」
　指でハートマークを作ってアピールする盗賊や、ウィンクを飛ばす盗賊に対して――
「は？　お前達のような、性根の腐った有象無象に興味なんて微塵もあるわけないでしょう？」
　七那原は無関心のまま、猟兵をかたどった影に指示を出し、蹂躙していく。
「仮に興味の有無を別としても、わたしには大切な人がいるのです。どこの馬の骨とも知れない相手の誘いには乗るはずないでしょう？」

大成功 🔵​🔵​🔵​

「まずは2人を守護する事を優先に頑張ろう！☆」
　フェアリーランドから妖精や天使を複数呼び出す祝聖嬢・ティファーナ（f02580）。
　そして、妖精や天使たちが各々攻撃をする一方で、その力を借りた攻撃を祝聖嬢からハート・ロバーにも振る舞う。
「歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪　歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪　素ノ源ヨリ来タレリ……」
　力を借りて魔法の矢を放ち、ハート・ロバーを次々と撃破していくが……盗賊も黙ってやられっぱなしではない。

「ねぇそこの妖精さん、アタシとイイコトしない？」
　ハートマークを召喚して、こっそり攻撃の準備をするハート・ロバー……だが、そこから矢は放出されない。
「みんなー、もう一息だよ、頑張ろうねー！」
　七色金平糖を味方の妖精や天使に、護衛対象の姉弟にも「護りきるから安心してね」と配る祝聖嬢――盗賊にとっては残念な事に、祝聖嬢には言葉は届いておらず、必然興味の感情を与えることもできなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 ボス戦 『眠りの森の魔女ターリア』

POW   :    ようこそ眠りの森へ 戦場全体に、【「眠りの森」 】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。 SPD   :    醒めざる夢の茨 【棺の中から伸びる「眠りの茨」 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。 WIZ   :    忘却の眠り 【記憶を一時的に奪う呪詛 】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【過去の記憶】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。 イラスト：梅キチ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

「まったく、破邪の言葉はまだですか！」
　どこからともなく、棺が現れる――いや、棺に入った猟書家、ターリアが本命か。
「盗賊を仕向けて、最悪でも致死毒で死ぬはずなのに、どうして邪魔が入るんですか！」
　……万毒の群生地は流刑地ではなく、保険として扱われていたらしい。

「えぇい、かくなる上は私が自ら、引導を渡してあげます！」
　苛立った様子の猟書家との戦いが始まる――。




　猟兵たちが集まった頃を見計らって、その周囲に空間を残して森を生み出すターリア。
　しかし、その森の睡眠効果に疑問を持つ黒玻璃・ミコ。
「ふぅむ……？　さらった時に直接手を下さないので、眠らせては意味がないのかと思いましたが……眠らせても平気なのですかね？」
「場所によっては、破邪の言葉で……様々な現象が起こる……らしいです……。」
　舟を漕ぎつつも、黒玻璃の疑問に答える姉。
「破邪の言葉で起きる『何か』を目的に、遠くから見ていたんですかね……？」
　巨大な何か、あるいは規模が小さくとも指向性を持った何か――を観察するために遠くから観察したと推理するカシム・ディーン。
「それはそれとして、気持ちよく眠りたい……んですが、寝るのはダメそうですね。」
　仕方ない……と言いたげにユーベルコードを発動するカシム。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……竜の中の竜……世界を蹂躙せしめた竜の王の力を示せ……！」
　――そして、ユーベルコードの効果により結界を張り、睡魔を退ける。
「では、私は迷路を攻略しましょうかね……。いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第玖の竜よ！」
　自分のレベルに合わせたらしい、7744個の魔力を操作し、放出可能な残り1000個近くは手元に――あるいは体内に残しておく。

「ふぅむ……？　脱出はできそうですが、少々遠回りですね？」
　どれほどの時間が経過したのかは不確かだが、迷宮内の経路を把握したらしい黒玻璃が首をかしげる。
　そして皆を先導するように、分岐点には目もくれずに――あたかも一本道を道なりに進むかのように進むが、不意に立ち止まり矢印を2本生やす。
「直進すれば道なりに脱出できますが、右手の袋小路を左手側に突き抜けられれば、大幅にショートカットできますね。」
「なら次は僕の出番ですね……」
　右手側に進み、適宜黒玻璃の道案内を受けて袋小路に到着し……結界を押し付ける形で、壁となる樹木に亀裂を与える！
「まぁ人がすり抜けられる程度の隙間があれば大丈夫でしょう……って、もう少し結界を広げないとはみ出ますね。」
　辛さは顔に出さず、結界を広げ――壁の両側を覆い隠すほどにする。

「やっと出れました、という訳で反撃のプレゼントです！」
　以前に万毒の群生キノコから抽出した、神経毒を濃縮してターリアに撃ち込む黒玻璃。
　種族を問わずに痛覚を刺激する毒だが、濃縮したせいか呼吸程度の少ない動きですら痛そうな表情を浮かべる。

「何でしょう、昔を思い出しますね……。こんなちびっ子達と一緒だった時もありましたか……。」
　どこか懐かしそうな表情を浮かべる、カシム。……一応、毒をターリアに流し込んでは見たが、黒玻璃の濃縮毒には負けるらしく、苦悶の表情に変化は見られない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

「随分と考えが浅かったのですね……。仮にも猟書家の幹部、猟兵の介入は前提として作を練っているものだと思っていました。」
　挑発のつもりか、ただの疑問か――迷路の出口で、七那原・望は首をかしげる。
「仕方ないでしょう、『私』にとっては初めてのクレリックだったんですから！」
　複数回送り込んで、破邪の言葉を発動させたターリアが居るのかも知れないが、少なくとも目の前で対峙している魔女は違うらしい。

　そんなやり取りを尻目に、ターリアの死角に回り込む透明な祝聖嬢・ティファーナ。
　そしてフェアリーランドから仲間を――妖精や天使を呼び出し、七色金平糖を配りつつ小声で「頑張ろうね！」と気合を入れ直す。……クリスタライズの制約で自分以外に1人しか選べないために、一度フェアリーランドに戻ってもらったらしい。

　そして、戦いの火蓋は不意に落とされる――。
「わたしは望む……ウィッシーズミラー！」
　七那原がユーベルコードを発動し、ターリアが2人になる……いや、一方がアイマスクでもう一方が目隠しなのと、元々の位置からほぼ動いていないため、間違える可能性はないだろう。
「「全てを忘れて、眠りなさい！」」
　そして2つの呪詛が同時に放たれ、2人の魔女の中間地点で魔力が衝突を――いや、ターリアに向かって徐々に押し込まれていく。
「光りを怯える闇と悪よ、悔い改めなさい……」
　そして祝聖嬢の聖属性攻撃がターリアに命中する形で拮抗が崩れ、七那原の放った呪詛が命中する！

「何もかも忘れて困惑していますか？　それとも忘れたのは断片的でしょうか？　どちらにせよ、今のうちです！」
「歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪　歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪　素ノ源ヨリ来タレリ……」
　追撃として、大量の魔法猫と200本近い魔法の矢がターリアに降り注ぐ……。
　しかしターリアの表情は変わらず苦しそうで、表情の変化は感じられない――どの程度のダメージを与えたかを推し量ることは難しそうだ……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

「ひどい目に遭いました……それもこれも、元凶の魔女のせいですよね。」
　ハートを（物理的に）狙う盗賊から赤い糸を結び付けられたのも、爆発に巻き込まれたのも、全て魔女ターリアのせいだ……と言いたげな雰囲気で怒った表情のリューイン・ランサード。
「再び戦争を起こそうとする存在は見逃すわけにはいきません。」
　その隣で、決意をあらためて口に出す火土金水・明（f01561）。
「どんな目に遭ったかは知りませんが、破邪の言葉を引き出せばひどい目は回避できたのでは？」
　苦しそうな表情をしつつも、リューインにツッコミを入れるターリア。――とはいえ、言外に「クレリックの姉を殺せ」と言っているので、従う猟兵は居ないだろう。
　3度目の火蓋が、静かに切られた――。

　最初に行動したのはターリア、棺の中から茨を四方八方に伸ばす。
　しかし、姉弟に向かった茨は、2人の怯えた表情と裏腹に、壁にぶつかったように停止し――そのまま、火土金水が切り落としてしまう。
「事、此処に至ったならば、とりあえず吸い込んで解決しましょう。」
　そして、猟兵に向かった茨は――いや、フェイントや奇襲のために明後日の方向に向かったものも含めて、リューインの左腕に――左腕だったブラックホールに吸い込まれ、消失していく。
　運良くブラックホールの引力を逃れ、結界に阻まれなかった茨――火土金水に向かったものは、しかしその狙いに反して火土金水をすり抜け、地面に刺さる。
「残念、それは残像です。」
　すぐ近くに姿を現す火土金水。……彼女の言葉通り、残像に茨が刺さったためにすり抜けたらしい。

「では、こちらからもお返ししますね！　目覚めの一発です。早く起きて骸の海にお帰り下さい。」
「この攻撃が最後の一撃です！　流れる星に、魔を断つ力を！！」
　仕返しとばかりに、直視できないほどに眩い火球を生み出すリューインと、その斜線を防がないように銀の剣による斬撃を打ち込む火土金水。
　2つの攻撃を受け、棺から崩れ落ちるターリア。そして少しして、徐々に姿が薄れるクレリックの姉弟。
　原理は不明だが、グリモア猟兵の言った通り、ターリアを倒したことで2人を群竜大陸に縛り付ける枷は消えたようだ。
「あ、ありがとうございます！　次は皆さんに負けないぐらい――」
　弟の騎士見習いの発言途中で姿が完全に消えたが、きっと「負けないぐらい立派な騎士になる」か「負けないぐらい強くなる」だろうか。
　何と言おうとしたのかは不明だが、きっと彼なら強く――あるいは立派な騎士になれるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2020年11月17日 宿敵 『眠りの森の魔女ターリア』 を撃破！