それは不敗を象る名
●弱者の拳
放たれた拳は岩を砕き、打ち込まれた蹴撃は海を割る。
無手にして不敗。
その拳の前には生命である者であれば何者も勝つことはできない。それほどまでに、猟書家『アズマ』の拳は鋭く、神々であろうとも尽く打ち破ってみせた。
溢れる血潮の暖かさを感じることはあっても、猟書家『アズマ』の耳には死せる神の言葉は届いていなかった。
「私の、矢が効かない、なんて……」
拳によって貫かれた神の一柱が大地に倒れ伏す。どれだけ遠方より怪物を殺し尽くす弓矢を放っても、猟書家『アズマ』は尽く躱し、踏み込み拳の一撃によって神をも絶命せしめた。
「……次は」
目元を漆黒の仮面で隠したまま、猟書家『アズマ』は耳元に囁かれ続ける言葉に従うように、脚をすすめる。
そこにあったのは溶岩層の如く揺らめき続ける神代より封印され続けた『不死の怪物』の集合体。
それこそがこのヒーローズアース、『センターオブジアース』にてくべられ続け、燃え続ける地球の核である。
拳を振り上げた猟書家『アズマ』を制するのは、彼の背後より現れたスーツ姿の『サラリーマン』たちである。
あまりにもこの場に不似合いな者たちであったが、彼らもまたオブリビオンである。
「お待ち下さい! それを殺すとヒーローズアースが消滅します……アズマ様は、そのお力で『不死の怪物』から神話のエネルギーを吸収し、我等にお授けください。我等はスナーク化し、アズマ様のお力になりましょう……!」
その言葉は言外に、放っておけば猟書家『アズマ』が星の核となる『不死の怪物』をも殺してしまうことを示していた。
不死であるがゆえに殺すことは叶わないはずであるが、『サラリーマン』たちは、『アズマ』ならもしやという思いを抱くには十分すぎる力を見せつけられていた。
『神獣の番人』とも呼ばれる最強格の神々を無手で皆殺しにする光景を見せつけられれば、その判断はあながち間違いであるとは言い切れない。
「……――戦うことが怖くはないのか」
「は……? 何を? ……お、おお! ありがとうございます、アズマ様! なんという力だ、誰にも負ける気がしない……!!」
猟書家『アズマ』の言葉に怪訝な顔をした『サラリーマン』たちであったが、すぐさま与えられた『不死の怪物』の力に感嘆の声を上げ、喝采する。
漲る力。
それは彼らの体に不死たる怪物の『再生力』を与え、どんな攻撃すらもすぐさま再生し、無意味にしてしまう。
「我等スナークの力を思い知らせてやろう! 今ならば我等、『神獣の番人』たる神々も恐れるに足らず! 神々よ、恐れるがいい! 我等が『スナーク』! 『恐怖の代名詞』たるぞ!!」
彼らは防ぐことのできぬ圧倒的な恐怖として、神々に『スナーク』の名を植え付け、『超生物スナークの創造』を成就させるべく、神々住まう『センターオブジアース』へと迫るのであった――。
●泣き虫の炎
「ど、どうしよう……! ああ、なんということだろう!」
それは一人の人間が神々を屠殺する瞬間を見てしまった、炎の神イェンヨウの小さなつぶやきであった。
炎の神と言われて居ても、彼は未だ幼い神の一柱である。されど、その身に宿した力は強大である。潜在的な能力だけで言えば、『神獣の番人』たる神々と同格であった。
けれど、生来の気の弱さ、争いを好まぬ気性のせいもあって力を発揮することができなかった。
「『不死の怪物』……ハイドラの力を、あいつらは得ている……! 僕が、僕が、なんとかしなければ……! ああ、でも、でも……!」
ぐすぐすと涙が溢れて止まらない。怖い。怖くて、怖くて、仕方がない。歯の根が合わなくなって、お腹に力が入らなくなってしまう。
ガタガタと震えるしかない。
熱い炎の涙が頬をつたい続ける。力はでないのに、涙ばかりが溢れて止まらないのが情けなくて、自分が嫌いになってしまう。
けれど、今自分が立ち上がらなくては、『センターオブジアース』は『不死の怪物』ハイドラの力を得た超絶為る再生能力を持ったオブリビオンたちに蹂躙されてしまう。
「――……ッ!」
涙は止まらない。
けれど、それでも。震える足のままに、歯の根が合わぬままに、幼き炎神イェンヨウは駆け出す――。
●その拳、稲妻の如く
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はヒーローズアースに現れた猟書家『アズマ』が引き起こす事件を解決していただきたいのです」
そう言ってナイアルテは頭を下げて、集まった猟兵達の顔を見回す。
ついに猟書家たちがオブリビオン・フォーミュラ無き世界であるヒーローズアースへと侵攻を開始した。
猟書家『アズマ』は地球の中心たる『センターオブジアース』に封印されている『不死の怪物』の力を配下オブリビオンに与え、その力を持ってして神々に『スナーク』の名を恐怖の代名詞として固定させることによって『超生物スナークの創造』を成そうとしている。
「『不死の怪物』、星の核とも言うべき尋常ならざるエネルギーを与えられたオブリビオンは超強化されており、弱点を突かなければ一体たりとて倒すことができないかもしれません……」
それほどまでに『不死の怪物』のエネルギーは凄まじいのだ。
だが、これに対抗する術はある。この場に駆けつけた神――幼き炎神イェンヨウは、オブリビオンが纏った『不死の怪物』ハイドラについての専門知識があり、その弱点を知っていますが、彼だけでは倒すことができないのだという。
「はい……それはオブリビオンの背中から生えた蛇の首を全て切断し、その傷口を炎で灼くことなのです。炎は炎神イェンヨウが放つことができます。そうすれば、無敵の再生能力は喪われ、改めて撃破することができるのです」
現場で炎神イェンヨウと協力し、大量にいる配下オブリビオンを打倒し、後に控える猟書家『アズマ』を倒せば、直近の脅威は取り除かれ、神々によって『不死の怪物』の再封印が施される。
「猟書家『アズマ』は強大な存在である神々、その最強格である『神獣の番人』すらも皆殺しにすることができるほどの実力者です」
ただ、とナイアルテは前置きしてから猟兵達に自身の予知によってみた猟書家『アズマ』の印象を語る。
「……この行いが本当に『アズマ』本人の意志に寄るものであるか……どこか虚ろであるようにも見えるのです。それはある意味で完全ではない状態と言ってもいいのかもしれませんが……それでも、強力な敵であることは間違いありません」
どうかご無事で、とナイアルテは集まった猟兵達を送り出す。
始まった猟書家たちとの戦い……その戦端がついに開かれるのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はヒーローズアースにおける猟書家との戦いになります。舞台は地球の中心『センターオブジアース』で『不死の怪物』の力を得たオブリビオンと猟書家『アズマ』を打倒するシナリオとなっております。
※このシナリオは二章構成のシナリオです。
●第一章
背中から数多の蛇を生やしたオブリビオン『サラリーマン』との戦いになります。彼らは『不死の怪物』の神話エネルギーを得て超強化されています。
この場に駆けつけた幼き炎神イェンヨウは彼らが身につけた『不死の怪物』ハイドラの再生力を止めるための知識、術を持っています。
オープニングで提示されている弱点を突かなければ、大量の敵一体も倒すことすらできないかもしれません。
●第二章
ボス戦です。
猟書家『アズマ』は『不死の怪物』と融合していません。
単純ですが強敵であることにかわりありません。
※プレイングボーナス(全章共通)……神々と共に戦う、もしくは猟兵組織『秘密結社スナーク』の一員であると名乗る(敵がスナークの名のもとに恐怖を集める企みを妨害します。
それでは猟書家との戦い始まるヒーローズアースで、神と共に戦い、骸の月が覆うのを阻止する皆さんの戦いの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『サラリーマン』
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POW : シークレット・ガン
【手に持つアタッシュケースに内蔵された兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : エンシェント・マーシャルアーツ・カラテ
【カラテ】による素早い一撃を放つ。また、【武器を捨て、スーツとネクタイを脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 情報解析眼鏡
【スマート・グラスで敵の情報を解析し、】対象の攻撃を予想し、回避する。
イラスト:炭水化物
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヒーローズアース、『センターオブジアース』に現れたオブリビオンの群れ。
彼らは皆一様にどこにでもいるような『サラリーマン』であったが、それは世を忍ぶ姿。彼らは皆、その身に宿した業によって徒手空拳の技を納めた者たちである。
「我等は『スナーク』! 力によって、武によって、恐怖を体現する者! お、おお! 溢れる! 力が! フハハハ! これならば神など恐れるに足らず!」
彼らは皆、一様に背に数多の蛇の頭を生やしていた。
『不死の怪物』ハイドラの再生力を身につけた彼らは、どれだけ肉体的な損傷を受けても、即座に再生する。
だが、怪物には弱点が付きものである。
それは神話の時代を遡っても明白であり、しかしてその弱点を突かねば一騎当千の英雄であっても勝つことはできない。
「ぐすっ……! ここから……! ぐすん、先は! 行かせない!」
そんな中、一人の幼い炎神イェンヨウが立ちはだかる。
彼の力は未だ潜在的なものであるが、それでも震える足を、すくむ身体で『スナーク化』した『サラリーマン』たちの前に立ちふさがる。
恐ろしいのだろう。怖いのだろう。どうしようもなく身体が恐怖でこわばっている。
それでも己がやらなければと踏み出したのだ。
「……滑稽だな! そんな震える身体で何ができる! 好都合だ。我等『スナーク』を恐怖の代名詞として固定させるためにまずは貴様から、無残に殺して見せしめにしてろう!」
『不死の怪物』の力を得た『サラリーマン』たちが一斉に駆け出す。
その恐怖に震えながらも、立ちふさがった幼き炎神を、『スナーク誕生』の礎にしようと――。
ネメシス・インフィニー
「誰だ聞かれたら、答えてあげるが世の情け。
は猟兵組織『秘密結社スナーク』の戦士・ネメシス・インフィニー。
定刻通り、只今参上!!」
無駄に『存在感』溢れる名乗りを上げながら参上うさ~
ヒーローにとって名乗りのインパクトは重要うさ~
貴様らが『スナーク』を恐怖の代名詞として固定させるならおいらたちはヒーローの代名詞にしてやるうさ~。
『早業』+『ダッシュ』で敵中に飛び込むうさ~
『残像』で敵の攻撃回避。ウサギの速さは兎なの。
さあ、おいらの正義の時間うさ~
巨大化して小烏丸で『切り込む』+『切断』ひゃっは~い。
正義の無差別攻撃でも敵がいっぱいだから大丈夫うさ。
正義の大勝利。サインはV♪
アドリブ大歓迎です。
地球の中心たる『センターオブジアース』に殺戮が吹き荒れる。
神々の中でも最強格と言われる『神獣の番人』たちは猟書家『アズマ』の手によって皆殺しにされてしまった。
あとに残るは神々と言えど、ユーベルコードを持たぬ者たち。
そこに神話のエネルギーを吸収し、『スナーク化』したオブリビオンがなだれ込めば、虐殺に近いことが起こることは間違いなかった。
「何者にも負ける気がしない! これが『スナーク化』! 我等は恐怖を撒き散らそう。如何に神々と言えど、我等を阻むものなどいない!」
次々と『スナーク化』し、その背に『不死の怪物』ハイドラの如き多頭の蛇を生やしたオブリビオン『サラリーマン』たちが、今まで敵を欺くために身につけていた平凡なるスーツを投げ捨て、その力を誇示するように吠えたける。
「そんなことはさせないうさ~!」
「―――! 誰だ!」
「誰だ聞かれたら、答えてあげるが世の情け。猟兵組織『秘密結社スナーク』の戦士・ネメシス・インフィニー。定刻通り、只今参上!!」
『サラリーマン』達が見上げる先にあったのは、ひときわ小高い丘の上にたつもふもふ毛皮の時計ウサギ、ネメシス・インフィニー(ヴォーパルバニー・f21907)であった。
無駄に存在感溢れる名乗りを上げながら、誰もが注目せざるを得ない印象深い姿で登場したネメシスは小高い丘から飛び降り、もふもふした見た目からは想像もできない俊敏さで残像を残すほどの速度で『サラリーマン』たちの中心へと降り立つ。
「ぬぅ! 面妖なる兎! だが我等『スナーク』の名を騙るとは!」
「貴様らが『スナーク』を恐怖の代名詞として固定させるなら、おいらたちはヒーローの代名詞にしてやるうさ~」
一瞬でネメシスが囲まれてしまう。
それは神話のエネルギーを取り込んだオブリビオンならではの圧倒的な戦闘力であった。
放たれる極めしカラテの業は、次々とネメシスの残す残像をあっという間に貫き、霧散させていく。
「流石に超強化されているうさ~! でも、おいらは正義が火を噴くぜー」
ユーベルコードに、そのくりっとした兎の瞳が輝く。
そのふわもこな兎の身体が巨大化し、周囲を取り囲んでいた『サラリーマン』たちを吹き飛ばす。
だが、それだけでは超強化された『サラリーマン』たちは倒せない。
「さあ、おいらの正義の時間うさ~」
ウサギの正義は世界の義(ウサギノセイギハセカイノギ)である。巨大化したネメシスの手に握られていたのは古い両刃と片刃の入り混じった刀。
愛刀である小烏丸を手に、無差別に放たれる斬撃が一瞬で『サラリーマン』たちの背に生えた『不死の怪物』ハイドラの力の象徴である多頭の蛇たちの首を切り落とす。
「ひゃっは~い! 敵がいっぱいだと無差別攻撃でも安心うさ~!」
乱斬りに放たられる斬撃がネメシスに群がる『サラリーマン』たちを吹き飛ばすように切り刻み、乱舞する。
再生力と斬撃が拮抗している。斬り飛ばす端から再生し、首が生えてくる様子はネメシスに取ってはおもしろおかしい光景であったけれど、この『不死の怪物』の再生力は厄介というほかなかった。
「首を切っても再生するから……ぐすっ! 炎で傷口を焼いて!」
そう言葉が響き、炎が噴出する。
それは幼き炎神イェンヨウの放った炎。ネメシスの乱舞に合わせるように炎が『サラリーマン』たちの切断された首を焼き、さらに放たれたネメシスの斬撃によってオブリビオンは霧散し、骸の海へと還っていく。
「無限の再生力も、傷口を焼かれてしまえばふさがってしまううさ~! むん、正義の大勝利。サインはV♪」
そう言ってもこもこの指をネメシスは幼き炎神イェンヨウへとVサインを送るのだった――。
成功
🔵🔵🔴
アレクサンドル・バジル
「正義の秘密結社スナークから来たぜ~リーマンは大人しく仕事行け」
ハイドラ、不死の怪物ね。弱点は古典通りか。
炎は自前でも良いが、ここはイェンヨウ君に自信をつけさせる場面かね。
「俺が首を切断する。イェンヨウ君はその傷口を焼く。役割分担だ。出来るな?」
オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢に入り、敵の動きを見切って残像を残しながらスルスルと近づき、その背の蛇群を『万象斬断』で切除します。そして、炎神が焼いたタイミングで頭を刎ねたり、胴から真っ二つにして次へとどんどん排除していきましょう。
イェンヨウ君を褒めたりアドバイスをしたりしながら。彼にいく敵は優先的に排除。
アドリブ歓迎
「我等『スナーク』の名を騙るか、猟兵! 我等こそが恐怖の代名詞、『スナーク』だ! 奴等、我等の目論見を自分たちの騙る名で塗りつぶすつもりか!」
『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちが猟兵達の目論見に気が付き、そうはさせぬと手に入れた神話のエネルギーたる『不死の怪物』の力を発揮する。
次々と多頭の蛇が背中から吹き上がり、その『不死の怪物』ハイドラの力の象徴を現出させる。
「ならば、我等の取り込んだ『不死の怪物』ハイドラに対する知識と手段を有する、その炎神から始末するまで―――!」
そう、彼ら『スナーク化』し超強化されたオブリビオンたちは『不死の怪物』の力を取り込んだがゆえに、弱点を突かねば如何な猟兵と言えど一体も倒せずに敗れてしまうかもしれないのだ。
だからこそ、彼らの弱点を知る幼き炎神イェンヨウを始末せんと手にしたアタッシュケースを銃火器へと変形させ、その力を開放する。
放たれた弾丸は凄まじい数となって幼き炎神イェンヨウへと迫る。あわや幼き炎神イェンヨウが討たれんとした時、その間に割って入る影があった。
「正義の秘密結社スナークから来たぜ~リーマンはおとなしく仕事行け」
アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)が魔力纏った拳でもって、放たれる銃弾の全てを切り払い、幼き炎神イェンヨウをかばうように立つ。
「あ、あなたは――!」
「ハイドラ、不死の怪物ね。弱点は古典通りってやつか……なら、俺が首を切断する。イェンヨウ君は、その傷口を焼く。役割分担だ。できるな?」
短いやり取り。
顔を合わすことは、超強化されたオブリビオンを前にして決定的な隙となるであろう。
炎は自前でも良かったのだが、アレクサンドルは、ここは幼き炎神イェンヨウに自信をつけさせるべきだと判断する。
未だ涙が引かぬのか、泣きべそをかきながら炎を噴出させる彼の姿を見れば、そう思ってもしかたのないことであろう。
未だ恐ろしいのだろう。
それでもと、震える足を抑え、こわばった肩を精一杯に怒らせたイェンヨウ。数多の神々が猟書家『アズマ』によって殺された今、潜在的にでも『神獣の番人』と同格の力を持つ彼に自信をもたせるのは長い目で見た時、成長すればこれからの戦いにおいて支えになることは間違いなかった。
「ぐすっ……――は、はいっ!」
良い返事だ、とアレクサンドルは頷き、自身の魔力を展開させる。強化された銃弾であるが、オーラ防御によって防げないわけではない。
「なら、行くぜ!」
幾重にも張り巡らせたオーラの層を前面に押し出し、アレクサンドルが駆け抜ける。
その拳や足にまとわせた魔力によって放たれる斬撃の如き一撃は、万象斬断(ナンデモキレル)。
「それだけ強化されても尚、動きが直線的すぎらぁな! 力に振り回されてるぞ!」
『サラリーマン』たちは銃火器に変形させたアタッシュケースから放つ銃弾を手刀で切り払いながら、残像を残すほどの速度で駆け抜け、次々と『サラリーマン』の背中に生えた多頭の蛇たちの頭を斬り捨てていく。
「イェンヨウ――ッ!」
其処へ放たれる幼き炎神の炎が舐めるようにして彼らの傷口を焼き、塞いでいく。止血の方法として伝承となって残る逸話は、神話の怪物であっても弱点として機能するのだ。
「傷口が再生しない―――! これでは、我等の力が、何者にも負けぬ、剛力たる力が――!」
『サラリーマン』たちが再生しない体に驚愕する。
だが、その表情のままに次々とアレクサンドルの手刀が彼らの首を跳ね飛ばし、霧散させていく。
「この世に切れないモノなど存在しないぜ? 例えそれが神話のエネルギーを手にしたお前達であったとしても、だ」
弱点を知らなければ、突かなければ倒せぬ相手であるが、それでも炎を操るイェンヨウの助力があれば、どれだけ数がいようとも問題にはならない。
アレクサンドルは上出来だと褒めるように未だ涙溢れるままに力を振るう幼き炎神イェンヨウへと親指を立てるのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
「そこまでよ、パチ物スナーク!」
良く通る声で宣言するわ
街灯の上で腕組みし、蒸気ガジェットでライトアップ演出ね
「私は『秘密結社スナーク』の才堂紅葉。スナークを騙る偽物を排除しに来たわ!!」
と、皆の注目を集めて大見得を切るわね【パフォーマンス、メカニック、存在感】
「炎神様! 決着の為の舞台をお願いいたしますね!!」
方針は柔術とプロレスで対応。相手が脱ぐ前にその服を押さえ主導権を握るわ【先制攻撃、早業、捕縛】
当身や体捌きで【体勢を崩す】と、炎神様の用意した炎の床や壁にスープレックスで、その背中の蛇ごとの叩きつけを狙うわ【属性攻撃、怪力、重量攻撃、グラップル】
「リングネームはヘラクレス紅葉かしらね?」
幼き炎神イェンヨウの放つ炎が神話のエネルギーを得て『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちの切断された首を焼き、猟兵たちによる攻撃をトドメとして彼らを尽く骸の海へと還していく。
「我等は無敵のはずだ! 恐怖こそ『スナーク』の名を固定するために必要な要素! 無敵の力が、なぜこうも容易く!?」
彼らは知らないのだろう。
本当に強き者とは一体どのような者であるのかを。恐怖知らぬ者にはわからない。恐れをいだきながらも、捨てずに前に一歩を踏み出す者。
勇気ある者こそが、本当の強者である。
「我等『スナーク』は恐怖! 絶対的な恐怖だ! 奴等にかまうな! このまま『センターオブジアース』を――」
「そこまでよ、パチ物スナーク!」
彼らは対峙する猟兵達との戦闘を捨て、神々住まう『センターオブジアース』のさらなる神々がいるであろう場所へと向かおうとするも、そこによく通る声が宣言するように響き渡った。
「私は『秘密結社スナーク』の才堂・紅葉(お嬢・f08859)。スナークを騙る偽物を排除しに来たわ!!」
その宣言ははるか遠く、住まう神々の耳にも届いたことだろう。
神話のエネルギーを得たオブリビオンたちが恐怖の代名詞として『スナーク』の名を固定し、『超生物スナーク』を誕生させようという目論見を、猟兵たちは上塗りすることで防ごうと言うのだ。
蒸気ガジェットから放たれれるスポットライトが街頭の上で腕組みし、オブリビオン『サラリーマン』たちを見下ろす紅葉を照らしている。
それは周囲の注目を集める大見得であり、オブリビオンの目的である『スナーク』の恐怖による固定を防ぐためのパフォーマンスであった。
「『秘密結社スナーク』……! それがあの人達なのか……!」
涙を湛えたまま、猟兵たちと共に戦う幼き炎神イェンヨウが、噛みしめるように『スナーク』の名を呟く。
それは恐怖としての代名詞ではなく、希望としての代名詞としてヒーローズアースに刻まれ始めた瞬間であった。
「炎神様! 決着のための舞台をお願いいたしますね!!」
街頭から跳躍し、紅葉の身体が華麗に宙を舞う。
それは彼女が得意とする柔術やプロレスによる華々しい戦い方であった。しかし、神話のエネルギーで超強化された『サラリーマン』たちも『スナーク』の名を恐怖で染めるために、己達の身に纏ったスーツを脱ぎ捨てようとする。
その瞬間、紅葉が目にも留まらぬ速度で脱ぎ払おうとした『サラリーマン』の衣服を掴む。
「そうはさせないわ。脱がれては困るのよね、掴む所が少なくなってしまうから!」
襟を掴む。袖を掴む。
小指から人差し指まで巻き込むように衣服を掴む紅葉が不敵に笑う。これで敵のさらなる強化は防がれる。そのままその場で一瞬にして回転するように放たれるは一本背負い。
女性の細腕であっても結局の所、人体を相手取る以上、互いの姿勢を崩すことが肝要である。一瞬の早業で持って態勢を崩さされた『サラリーマン』の肉体が背中から大地に叩きつけられる。
だが、それで終わりではない。
リングのように展開された炎神イェンヨウの放った炎が彼らの叩きつけられた背中を焼き尽くす。
「ぐはっ―――!? この炎は、我等の再生力を奪うだと!? こんな、やり方でっ! 我等の無敵の力が!」
「さて、覚悟なさい」
紅葉の言葉が響き渡る。それはただの宣言であった。脅しでもなければ、虚勢でもない。純然たる事実。
「多頭の蛇が再生力の象徴なら、叩きつけた瞬間に炎神様に焼いて貰えばいい。あとは残ったアンタ達自身の首を―――!」
放たれるは、才堂式柔術居反り投げ・黒虎(ブラックタイガースープレックス)!
ブラックタイガーの持つ海老反りの如く放たれるのはスープレックス。炎のマットを敷かれた大地へと叩きつけられる『サラリーマン』の頭蓋がひしゃげ、砕ける音が響き渡る。
ユーベルコードによって強化された背筋と腹筋の力によってめり込んだ『サラリーマン』の体を話し、紅葉が起き上がる。
「さあ、次に脳天を割られたいのはどいつかしら? ふ、さしずめリングネームはヘラクレス紅葉かしらね?」
大地にめり込むように叩きつけられた『サラリーマン』が霧散していくのを尻目に、紅葉は新たなる挑戦者を前に不敵に、挑発するように笑うのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私/私たち のほほん
対応武器:漆黒風
つい先日、訪れたばかりなんですけどねー。
私は主な立ち回りは護衛&漆黒風での援護でしてー。
気を私のに反らし続けましょう。
ええ、傷つけさせはしませんから。
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし/わしら
対応武器:黒燭炎
わしは蛇の首を切断することに専念しよう。黒燭炎でのなぎ払い2回攻撃よな。
…わしも焼けることは焼けるが、速度が落ちる懸念がある。なので、頼れるものには頼る。
かか、それが武人というものよ!
防御は四天霊障でのオーラ防御よ。
ヒーローズアース、『センターオブジアース』を凄まじき速度で駆け抜ける影があった。
それは星の中心、核であるくべられ続ける『不死の怪物』の持つ神話のエネルギーを得たオブリビオン『サラリーマン』たちであった。
彼らは凄まじき再生能力を得て、これから神々を虐殺し、恐怖の代名詞として『スナーク』の名を固定させようとしていたのだ。
けれど、駆けつけた猟兵と幼き炎神イェンヨウの活躍によって、それは阻まれようとしていた。
「くっ、どこにでも猟兵はやってくる。だが、私達がこのまま『センターオブジアース』の神々を葬り去れば、『スナーク』の名は絶対的な恐怖としてヒーローズアースに刻まれる。それならば、我等の目的も為せ―――ッ!?」
『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』の頭蓋に叩き込まれる棒手裏剣。
それを放ったのは、一人の猟兵―――否、四人で一人の複合型悪霊である、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の第一の人格である『疾き者』であった。
「つい先日、訪れたばかりなんですけどねー」
彼らは『センターオブジアース』に起こった事件の解決のために訪れていたヒーローズアースに再び訪れることになるとは思っても居なかったのだろう。
棒手裏剣を投げ放ちながら、対するオブリビオン『サラリーマン』たちを絶命に至らしめることができない感触に頷く。
「なるほど。確実に急所を撃ち抜いているのに、死なない。それこそまさに神話の怪物ハイドラの逸話の通りですね。ならば、幼き炎神の助力を乞うとしましょう」
それに同意するようにユーベルコード、オルタナティブ・ダブルによって現界したもうひとりの自分、即ち第三の人格である『侵す者』が頷く。
「然り。ならば、わしは蛇の首を切断することに専念しよう」
手にした黒いスピアから噴出する炎を撒き散らしながら、扇状となった『センターオブジアース』を駆け抜ける。
放たれた斬撃が『サラリーマン』の持つ銃火器へと変形したアタッシュケースから放たれる銃弾を弾くように切り捨て、その背に膨れ上がるようにして出現している多頭の蛇の首を一瞬で斬り捨てる。
「……わしも焼けることは焼けるが、速度が落ちる懸念がある。なので、幼き炎神よ、助力を願おう」
そう言って、『疾き者』にかばわれた幼き炎神イェンヨウに声をかける。
それは誰かを頼ることであり、得た神話のエネルギーを得て力を誇示しようとする『サラリーマン』たちにとってみれば、あまりにも不可解なことであったのだろう。
「それだけの武を持ちながら、他者の力を頼るだと! 理解できない! 我等『スナーク』を見よ! 一人ひとりが神話の怪物の如き力を持つ! 他に何を頼る! あらゆる障害を排除でき―――」
だが、その言葉は最後まで紡がれることはなかった。
『疾き者』が放つ棒手裏剣によって、頭蓋を割られ、言葉は紡ぐことができなかったのだ。
「ええ、よそ見は現金でありますよ。貴方方の相手は私です。ええ、かと言って炎神は傷つけさせはしませんから」
微笑むような口調。
それは戦場にあっては不意打ちに、他者の力を頼るという『サラリーマン』たちにとってすれば、あまりにも不快なことであった。
「かか、それが武人というものよ!」
そう、持てる手段を全て使って相対する者に当たる。そこにあるのは勝利という生存競争の先にあるものを得ようとする貪欲なる意志。
そこに一切の恥もなければ、責められる謂れもない。ただ、そのために生きている。戦場における真理は、己の力を誇示する者にはわかることはないだろう。
「汝らは戦をする者ではないがゆえに、己の力を驕る。故に足元を救われるのだ。かか、そうさな。それこそ、主らの『武』は『武』にあらず。道場試合がしたければ、よそを当たれ。だが―――」
「ええ、それをさせるつもりなど毛頭ありませんが」
『疾き者』と『侵す者』の投擲と斬撃が閃く。
それぞれに幼き炎神の放った炎がまとわれ、次々と傷口を焼いていく。塞がらぬ傷口は、そのまま彼ら『不死の怪物』ハイドラの逸話のごとく、首を落とされ、最後には霧散し消え果てるほかない。
「相手が悪かったですね。我等は一人で戦うものではありませんので。こういう戦いのほうが慣れているのですよ」
「かか、然り!」
彼らは互いの役割をこなし続け、『スナーク化』したオブリビオンたちを尽く骸の海へと還していくのだった―――。
成功
🔵🔵🔴
陽向・理玖
神様だって怖いんだよな
大丈夫だ
俺が守る
覚悟決め
あんたの力が必要だ
一緒に戦ってくれ
龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
衝撃波撒き散らし残像纏い手近な敵にダッシュで間合い詰めUC起動しグラップル
拳で殴る
とりあえず首掴んどけば切れる?
ベアハッグ
蛇の骨全力で折る
やるじゃん
鼓舞し
あれからもう一年だ
俺は今度もこの世界守りてぇ
同じ気持ちなんだろ?
戦闘知識用い立ち回り神に攻撃届かせぬよう
カウンターで足払いなぎ払い
頼んだ!
操られてるだけなら出来るだけダメージ与えたくねぇけど
カラテか
いいな
…燃える
でももう見切ったぜ
攻撃避け武器受け
蛇狙って拳の乱れ撃ち
あんたらとは背負ってるもんが違う
負けらんねぇ…絶対に
『超生物スナーク』の誕生には、『スナーク』が在ると人々の心に刻み込むことが必須である。
だからこそ、強烈なる印象として神話のエネルギーを得たオブリビオンたちは『スナーク』を名乗り、その暴虐の力を振るって『センターオブジアース』に恐怖の代名詞として『スナーク』を刻もうとする。
だが、猟兵達の戦いによって、それは徐々に違うものへと姿を変えはじめていた。
「す、すごい……! これなら、押し返せる……!」
未だ恐怖に震える身体を振り絞るようにして幼き炎神イェンヨウは炎を噴出させる。その炎によって猟兵が傷つけたオブリビオン『サラリーマン』たちの傷口を焼き、その傷を再生させまいとしているのだ。
「このままでは――! あの神を殺せ! 猟兵たちはなんとでもなる!」
『スナーク化』したオブリビオンたちが幼き炎神へとアタッシュケースを変形させた銃火器の銃口を向ける。
放たれた弾丸から幼き炎神を抱えて陽向・理玖(夏疾風・f22773)が、その身を守り、着地する。震える幼き炎神の身体。
その震えはまごうことなき恐怖に寄るものであろう。
「神様だって怖いんだよな……大丈夫だ。俺が守る」
「あ、ありがとうございます……あ、あなたは……」
溢れる涙は未だ止まらない。
けれど、理玖はもう決めていた……覚悟を。手にした龍珠を弾いて握りしめる。その決意、覚悟は何者も侵すことなどできない。
龍の横顔を模したバックルを腰にかざして装着し、龍珠をはめ込む。
「変身ッ!」
衝撃波が放たれ、打ち込まれた弾丸を全て弾き返しながら、理玖の全身が装甲に包まれる。清流の如き青き装甲に身を包んだヒーローとしての姿に変身した理玖は駆け出す。
そのスピードは凄まじく残像を残しながらオブリビオン『サラリーマン』へと殴りかかる。
そのまま背後に回り込み、両腕で『サラリーマン』の体を挟み込み締め上げる。鯖折りの要領で全身の骨を砕くが、それでも即座に再生される。
「無駄だ、猟兵! 我等は神話の時代のエネルギーを得たオブリビオン! 即ち『スナーク化』した者! この無敵の力の前には猟兵と言えど負ける気などしない!」
『不死の怪物』ハイドラの再生力を得た彼らはどんな傷もたちどころに癒えてしまう。
どれだけ殴ろうが、全身の骨を折ろうが、彼らは即座に再生し、対応してくるのだ。
「へぇ……やるじゃん」
だが、それで理玖の心が折れることはない。己の心に去来するのは、アースクライシス2019。
それはヒーローズアースを賭けた猟兵とオブリビオンの激しい戦いだ。
あれからもう一年が経っている。激しい戦いの記憶があるだろう。どれだけ経っても戦いの記憶は薄れない。
「俺は今度もこの世界を守りてぇ……同じ気持ちなんだろ? だから―――!」
だから、頼んだ。
そういう様に理玖は駆け出す。己がやるべきことが既に定まっている。
「操られているだけならできるだけダメージは与えたくねぇけど、そういうもんじゃあないんだよな、あんたらは!」
拳を、蹴撃を放つ。
互いに得意とするのは無手の間合い。これが人の言うところのカラテであると知れる業の応酬。
だが、それはもうすでに―――。
「―――見えた」
激しき激情の如き感情はあれど、心は穏やかに。明鏡止水(メイキョウシスイ)の如く、その心に波立つ波紋のように。
すでに相手の動き、癖、パターン、隙の全ては理解している。
「……燃える。でも、もう見切ったぜ」
互いの拳が交錯する。
それは徒手同士であるからこそわかる互いの力量差。確かに『不死の怪物』ハイドラの力を纏ったオブリビオンは強力である。
だが、練磨された技の冴えは違う。どこまでいっても、徒手の間合いは連綿と紡がれてきた歴史がものをいう。
多くを積み重ねたものが勝利するのは必定である。
「そこ!」
放たれた拳が『サラリーマン』たちの背に生えた多頭の蛇たちを根こそぎ刈り取るように打ち込まれる。
そこに幼き炎神イェンヨウの放った炎が傷口を焼いて再生力を奪う。
「くっ、また再生力が……! 忌々しい! だが、我等の技が猟兵に敵わぬ道理などなし!」
『サラリーマン』が放つ拳を軽く腕を回して受け流し、理玖の瞳が輝く。それはユーベルコードの輝きであり、透き通る水鏡のようでもあった。
「あんたらとは背負ってるもんが違う」
放たれた拳が大地の力を汲み上げるようにして放たれる。
拳の力を伝えるのは、魔法やユーベルコードだけではない。繰り返し積み重ねられた鍛錬が反復練習によって研ぎ澄まされ、一切の無駄を廃するからこそ、放たれる必殺の一撃が在る。
その拳は『サラリーマン』の頭部を打ち砕き、霧散させる。
「負けらんねぇ……絶対に!」
彼の覚悟とともに放たれた拳が防がれることはない―――!
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
炎神は貴方と呼ぶ
怖いながらによく頑張った
俺が蛇の首を切り落とすから、その炎で焼いてくれ
ここからは秘密結社スナークが相手だ
SPDで判定
まずは炎神に【優しく】声をかけて【落ち着かせ】る
秘密結社を名乗り、まずは様子見
【視力】【聞き耳】で敵の【情報収集】をし【見切】って避ける
それから義眼の黄の災い:【感電】を【全力魔法】【スナイパー】【属性攻撃】を使いながら放ち動きを止める
止めたら銀腕を【武器改造】で剣にし【怪力】【早業】【鎧無視攻撃】を使いながら蛇の首を【切断】炎神に傷口を焼いて貰ってから改めてトドメを刺す【串刺し】
ヒーローズアースにおける猟書家との戦いは開かれた。
すでに多くの神々、その最強格とも言われる『神獣の番人』たちは猟書家『アズマ』によって尽く皆殺しにされてしまった。それは『スナーク』の名を恐怖の代名詞として伝えるには十分な出来事であり、『不死の怪物』の力を得たオブリビオンたちは、次々と『スナーク化』し、さらなる恐怖をヒーローズアースに振りまこうとしていた。
「『スナーク』の名は恐怖と共に語られる! これによって『超生物スナーク』は存在する! 人々の心に、神々の心に、ありとあらゆる場所に存在できる! だが、そのためにはお前たちは邪魔なのだ!」
「そんなことは、ぐすっ、させない!」
幼き炎の神イェンヨウの炎が猟兵達によって傷つけられたオブリビオン『サラリーマン』の傷を焼く。
そうすることによって彼らは『不死の怪物』ハイドラから得た再生力を発揮することができなくなってしまう。
傷が元にもどってしまうのならば、焼いて固定する。
それは神話に由来する対処法であったが、『スナーク化』したオブリビオンにとっても有効な手段であることが証明されていた。
「怖いながらによく頑張った。俺が蛇の首を切り落とすから、その炎で焼いてくれ」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は、幼き炎の神イェンヨウの元に駆けつけ、そう言葉をかける。
神々と言えど幼き姿をしている以上、ルイスにとっては守るべきものであった。
現に未だ恐ろしさが克服できていないのだろう。涙を湛えたまま、己の力を振るうイェンヨウの姿は痛々しいものであった。
あの恐ろしさを知っているからこそ、ルイスはこの場に駆けつけた。
もしも、自分たちがこの場に駆けつけなかったのならば、あの幼き炎神イェンヨウはきっと殺されていただろう。けれど、決して負けはしなかった。殺されてしまうかも知れないけれど、負けることはなかっただろう。
なぜなら、すでに彼は恐怖に打ち勝っている。
この場にいることは何よりの証明だ。誰かを護るために決意した瞳が涙の奥に見えたからだ。
だからこそ、ルイスは護る。自分が為すべきことを為す。
「貴方は俺たちが守る……だから、ここからは秘密結社スナークが相手だ!」
ルイスの瞳が輝き、メガリス・アクティブによって、銀腕がその力を増していく。
「猟兵め……我等が『スナーク』の名を恐怖と共に固定しようというのだ! 邪魔をするな!」
アタッシュケースが銃火器に変形し、その銃口から無数の銃弾が放たれる。
それ自体はルイスにとっては大した脅威ではなかった。銀腕を剣に変形させ、放たれた弾丸を切り捨てる。
さらに義眼のメガリスが黄色の災いに輝き、感電の力で持って『サラリーマン』たちの動きを止めるが、即座に立ち直ってくる。
「感電しない―――!?」
「いいや、しているとも! だが、その程度の力で我等『スナーク』を止めようなど!」
超強化されているオブリビオンたちにとって、その体を麻痺させるほどの力は動きを止めるにしても一瞬にしかならないのだ。
それほどまでに神話のエネルギーは凄まじい。
「だが、一瞬でも動きが止められるのなら!」
即座にルイスは駆け出し、『サラリーマン』たちの背後に回り込み、その背中に生えた多頭の蛇たちの首を刈り取る。
「―――頼む! その炎で!」
「その再生を止めます―――!」
幼き炎神イェンヨウの放った炎が刈り取った多頭の蛇の切断面を焼き尽くす。そうすることによって傷をやけどによって固定し、それ以上の再生を阻む。
「後は、その首だけだな!」
放たれた銀の剣閃が一閃され、『サラリーマン』たちの首を切り落とし、胸へと剣が突き立てられる。
「ぐっ、ぁ―――!」
すでに再生力を喪った『サラリーマン』たちは、それ以上再生することができずに次々とルイスの銀腕が剣へと姿を変えた銀の一撃によって霧散し、骸の海へと還っていく。
恐怖の代名詞として『スナーク』の名を固定しようとしたオブリビオンたちの企みは、しかして、幼き炎神の希望の名として猟兵たちは『スナーク』の名を塗りつぶすのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「随分と大きな口を叩いているが。
他から掠め取った力に酔っているだけだな。」
「そんなものでは何もできはしない。
俺たちが止めるからな。」
ディメンションカリバーを発動。
魔石をレッドシューターに搭載
炎に斬撃の力を宿し【範囲攻撃】で
蛇の首を切り裂く。
自分の力だけでは再生能力に
対抗する事はできない事は分かってはいるが。
「成程。その力が不死の怪物、か。
(イェンヨウの方を振り返り)
どうやら俺だけでは奴らには勝てない。
だから、力を合わせよう。
そうすればきっと奴らに打ち勝つ事もできる。」
励ます様にと語り。
共に戦う時は魔石をスカイロッドに付け替え。
風の刃で蛇の首の切断に集中。
再生能力への対抗はイェンヨウに任せる。
『不死の怪物』。
それはヒーローズアースにおける地球の核である。封印された怪物たちの力は、不死であるがゆえに殺すことはできず、炉に薪をくべるようにヒーローズアースにおける地球という星を活かし続けるために燃え続けるのだ。
その神話のエネルギーを得たオブリビオンはどうなるか。それは『スナーク化』し、不死の怪物ハイドラの超再生力を持ってして、死なないオブリビオンとして現界し、ヒーローズアースに暴虐の嵐を吹き荒らそうとしているのだ。
「ふ、ふはは! 素晴らしい! 力が漲る! この力があれば、何者にも負けはしない! 猟兵だろうが神々だろうが! 我等を止めることなどできるはずがない! 見るがいい! 我等と猟兵達の彼我の戦力差を!」
『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちの装着したスマートグラスが相対する猟兵、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)と己達の戦闘力の差を解析し、高笑いする。
そう、『不死の怪物』の力を纏ったオブリビオンたちはたしかに強い。超強化された能力に、決して死ぬことのない再生力。それはどれをとっても脅威であり、このままでは一体も倒すこともできないであろう。
「随分と大きな口を叩いているが。他から掠め取った力に酔っているだけだな」
だが、フォルクは冷静であった。
オブリビオンとどれだけ戦闘力の差があったとしても、フォルクには関係がなった。
己が猟兵で、対するはオブリビオンであるのならば、戦って滅ぼすほかない。今までも、これからもそうするのだから。
「―――……ほざいたな猟兵!」
その言葉に『サラリーマン』たちが一斉にフォルクに襲いかかる。
一般的な人間と同じ姿をしているが、彼らはカラテを修めた者たちである。無手であっても、その拳、蹴撃は人の生命を容易く奪うことのできる技だ。
「そんなものでは何もできはしない。俺たちが止めるからな―――広大なる大空の力を内包せし魔なる欠片。この手に宿りてその力を示し。聖も魔も、絹も鋼も等しく断ち切れ」
放たれるは、ディメンションカリバー。
距離を無視し、空間すら断つ斬撃を放つ魔石を炎の幻獣を封じた魔導書を再生成した黒手袋にはめ込み、その力を発揮するように拳を振るう。
炎の力を込めた一撃が、襲いかかる『サラリーマン』たちの背に生えた多頭の蛇たちの首を両断する。
だが、瞬間的に切断された多頭の蛇が再生される。
「馬鹿め! 我等の力を侮ったな!」
繰り出される拳を躱しながら、フォルクはやはり対抗することはできないかと考えを改める。
「成程。その力が不死の怪物、か……」
フォルクはかばうようにしていた幼き炎神イェンヨウに振り返る。どうしようもないことは、自分一人では解決しない。
大抵の場合は、誰かに頼ることで解決する。
人はいつだって一人きりでは生きていけない。生きていけるかもしれないけれど、それは難しいことだ。
だからこそ、人は寄り添い助け合っていくのだろう。それは猟兵と神であっても同じだ。
「どうやら俺だけでは奴等には勝てない。だから、力を合わせよう。そうすれば、きっと奴等に打ち勝つこともできる」
他人を信じる。それができるのもまた人間だ。
イェンヨウが頷く。その瞳には未だ涙が湛えられていたけれど、それでもその瞳に輝く意志はフォルクにとって十分な返答であった。
黒手袋から魔石を取り外し、 風の杖に付け替え、風の刃を生み出して多頭の蛇たちの首を一瞬で刈り取る。
「風は炎を強くする……単なる化学反応だとは言い換えることもできるが……それでも誰かの瞳に宿った決意の炎を後押しすることはできる―――今だ!」
その合図でイェンヨウの炎がフォルクの刈り取った多頭の蛇たちの首の傷跡を焼く。そうすることによって傷口がふさがり、刈り取られた首は再生しない。
それは神話の時代から語り継がれてきた『不死の怪物』退治の逸話。それになぞらえた形になったが、その効果は絶大である。
「ばかな、この程度のことで我等が―――」
オブリビオン『サラリーマン』たちの言葉が紡がれるより速く、フォルクの放った風の刃が彼らの首を切り飛ばし、その体を霧散させていく。
「この程度と侮るからそうなる……所詮、他から掠め取った力。ふ……多頭の蛇故に酔い易いか……その力の強大さが仇となったな」
フォルクはそう言い捨てる。
彼にとって力とは研究するものであり、探索していくものである。だからこそ言える。力とは常に正しく制御されなければならない。
どんなに大きな力であっても、それを扱うだけの知識がなければ、意味がないのだ。
それを証明するようにフォルクの風とイェンヨウの炎が次々と『スナーク化』したオブリビオンたちを討ち果たしていくのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
久瀬・了介
イェンヨウを【かばう】。優勢に進めてはいるが、彼をやられると詰む。
「スナークの名を騙るな偽者ども。スナークとは俺達の事だ」
戦場では流言が武器になる。情報を操作する。
「手順はもう分かるな?奴らの弱点を撃つ。止めを刺してくれ。」
イェンヨウに声をかける。怯えていようと構わない。彼はやるべき事を分かっている。恐怖も既に乗り越えた。信頼しない理由がない。
呪詛包帯を伸ばしスーツの上から敵達を縛りあげる。【範囲攻撃】で【捕縛】し【体勢を崩す】。
更に【2回攻撃】。怨念武器に【犬神】を宿し、飛翔する刃と化す。【スナイパー】【誘導弾】【追跡】。蛇の頭を纏めて切り落とさせていく。それで不死だと?笑わせるな。
『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちと猟兵達の戦いの趨勢は徐々に猟兵側に傾きつつあった。
それは本来であれば、猟兵達と言えど『不死の怪物』の力をまとったオブリビオンの力は強大であり、弱点をつかねばただの一体足りとて打ち倒すことは敵わなかっただろう。
けれど、此処には恐れながらも立ち上がった一人の幼き炎神イェンヨウがいる。彼は涙を浮かべながらも、その知識と炎の力によって猟兵達を助けていた。
即ち、『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちが身に纏う『不死の怪物』ハイドラの再生能力を無効化することができるのだ。
「あの炎神を殺せ! そうすれば、猟兵たちに我等の再生能力を防ぐ手立てはなくなる! 猟兵には構うな! 撃て! 蜂の巣にしてやるのだ!」
背に多頭の蛇を無数に現出させた『サラリーマン』たちは『スナーク化』した力と共にアタッシュケースを変形させた銃火器でもって幼き炎神イェンヨウを狙い、雨のような銃弾を放つ。
「ひっ―――!」
潜在能力は最強格の神々『神獣の番人』と引けを取らぬものであるが、その気性によって戦いには不向きな正確をしているイェンヨウにとっては躱すことのできない銃弾の雨だった。
だが、そこに彼をかばうように立ちふさがったのが、久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)である。
彼の体を盾に銃弾を防ぎ、イェンヨウをかばったのだ。
全身から血が吹き出すが、了介は構わなかった。なぜなら、幼き炎の神が殺されてしまえば、状況的に見ても猟兵は詰みの状態になってしまう。
そうなってしまえば、『スナーク』の名は恐怖とともに固定され、『超生物スナーク』の誕生を許してしまうことになる。
「スナークの名を騙るな偽物ども。スナークとは俺達のことだ」
戦場において流言が武器と為る。
それは情報と言うなの武器であり、それを制するものが戦いを制するのだ。それを了介はよくわかっていた。
だからこそ、恐怖の代名詞『スナーク』を希望の象徴である『秘密結社スナーク』として塗りつぶすのだ。
そうすれば、彼らの目論見は果たされなくなる。
かばったイェンヨウが了介に駆け寄ってくるが、それを了介は手で制する。己の体はデッドマンである。
ならば、この程度の傷は傷のうちには入らぬのだと。
「手順はもう分かるな? 奴等の弱点を撃つ。止めを指してくれ」
今だ怯えの残る瞳。
涙が溢れそうになっているのは了介もわかっていた。恐ろしいだろう。神と言えど幼い子供と変わらない。けれど、了介は彼を子供扱いしない。保護すべきものではあるが、彼は決して守られるだけの存在ではない。
それに彼はもう自分のスべきことを理解している。涙を湛えながらも、その瞳の奥に宿る意志を見過ごすことはなかった。
恐れをいだきながらも、乗り越えたのだ。一歩を踏み出したのだ。ならば、それは了介にとって信頼に値する理由であった。
「行くぞ―――」
駆け出す。銃弾によって穿たれた四肢は問題なく動く。痛みはない。己を突き動かすのは魂の衝動だ。
オブリビオンは全て殺す。
如何に不死であろうと関係ない。殺すと決め、殺す方法がわかっているのだ。できぬわけがない。
呪詛包帯を伸ばし、一瞬で『サラリーマン』たちを捕縛し、縛り上げる。一気に周囲のオブリビオン全てを絡め取る。
怨念籠もりし呪詛包帯はそう容易く引きちぎれるものではない。
「俺の怨念を……! 舐めるな―――食らい付け」
その姿は、犬神(イヌガミ)のようであった。
呪いのこもった視線。ユーベルコードによって輝き、怨念を物質化させた刃が飛翔し、一瞬で蛇の頭と『サラリーマン』たちの首を切り落とす。
斬り飛ばした首が笑う。
「無駄だ! この程度の傷、即座に再生―――なに!?」
次の瞬間、回転ノコギリのように怨念武器の刃が回転し、切り裂いた傷口に突き刺さり、傷口を刻み続ける。
「それで不死だと? 笑わせるな」
それも数瞬の時間稼ぎにしかならなかったことだろう。だが、それで十分だった。イェンヨウの放った炎が傷口を焼き、塞ぐ。
たったそれだけで再生力は喪われ、彼らは絶命する。それはあまりにもあっけない『不死の怪物』の死であった。
了介は冷ややかな瞳で言う。
「――オブリビオンは全て殺す」
ただそれだけのために己はあるのだと―――。
大成功
🔵🔵🔵
メリー・ブラックマンデー
(アドリブ連携歓迎)
あら、そんなのをくっつけて竜の真似事かしら。滑稽ね?
異邦の炎神、私が蛇の首を落としたら火種を飛ばしてくれないかしら。
大丈夫よ、策ならあるわ!だから私と貴方ならできると信じなさい!
それにしても皆一様にスーツ姿とは仕事熱心ね…なら、私の名と力はさぞ効くでしょう!
【謳い示せや我が真名】、我が名はメリー・ブラックマンデー!スナークが誇る、月曜日の竜神!
一瞬でも時の<存在感>を思い起こした時点で私の掌の中、圧されてる間に『アトポロス』で刈り取るわ!
再生力と回避力が自慢のようだけど、備える前に燃え広がったならどうかしらね?
『ラケシス』で燃える速度を早めるわ!瞬きの内に終わらせてあげる!
自らを信じるからこそ、自信という。
それは最初からすでに備わっている者もいれば、後から備わる者もいる。前者は根拠のない由来不明の力として。後者は自身が勝ち得た力として。
ならば、幼き炎神イェンヨウはどちらであっただろうか。その答えは言わずもがなである。彼には自身がない。生来の彼の気性のせいもあろうが、決定的に戦いに向いていない性格のせいだ。
それは即ち自信がないということ。
「どれだけ数を用意しようと無駄だ、猟兵ども! 我等の数で押し切れる! 我等は『スナーク化』し、『スナーク』の名を恐怖の代名詞として世界に固定させる。そうすれば、『超生物スナーク』は在り続ける。そうすれば、貴様たちと言え終わりだ! 骸の月の元に我等のフォーミュラが誕生する!」
背に多頭の蛇を現出させたオブリビオン『サラリーマン』たちが、声高々に宣言する。彼らは神話のエネルギーを得て、『不死の怪物』ハイドラの再生力を手にしている。
その力は圧倒的であり、弱点を突かねば猟兵であってもただの一体も倒すことはできなかったことだろう。
「あら、そんなのをくっつけた竜の真似事かしら。滑稽ね?」
だが、それを一蹴する者がいた。
メリー・ブラックマンデー("月曜日"がやって来る・f27975)は強気に上から物を言うように自信に満ち溢れた言葉を紡ぐ。
信仰の力が落ち、零落しては居るものの、未だその尊厳は一欠片とて奪われていない。それはメリー自身がよくわかっていることだった。
「貴様―――! ……はっ! 零落した神が言うことか! 貴様の力など我等はもうとうに越えている! 竜神が何するものぞ!」
彼らは装着したスマートグラスによってメリーと『スナーク化』したことによって増大した自分たちの戦力差を測り、嗤う。
けれど、メリーはそれを無視して、幼き炎神イェンヨウへと言葉を投げる。
「異邦の炎神、私が蛇の首を落としたら火種を飛ばしてくれないかしら。大丈夫よ、咲くならあるわ! だから私と貴方ならできると信じなさい!」
その言葉は未だ涙を湛える炎神イェンヨウの背中を押すには十分な根拠のない説得力があった。
「はい―――ッ!」
彼は自分でもびっくりするくらい大きな声で返事をしていた。
その返事を聞いてメリーは笑う。その笑顔で十分だった。どれだけ自分が低く見られようが、関係なかった。
なぜなら、ここには自分を信じる者がいて、何より自分自身が自分を信じているのだから!
「良い返事ね! ふん、それにしても皆一様にスーツ姿とは仕事熱心ね……なら、私の名と力はさぞ効くでしょう!」
襲いかかるオブリビオン『サラリーマン』たち。
彼らはスーツに身を包み、その姿を擬態させし者たちである。企業戦士であり、忍びの者であり、その身にカラテの技を修めし者達。
だが、だからこそメリーの名は響くことだろう。
「謳い示せや我が真名(ブラックマンデーズ・カミング)! 我が名はメリー・ブラックマンデー! スナークが誇る、月曜日の竜神! ―――待たせたわね!月曜日がやって来たわよ!」
その口から紡がれるは、時間の存在を意識させる言葉。
そう、彼女の名に既に刻まれている時間の概念。それは『月曜日』。週の始まりにして、在る種の者たちにとっては陰鬱なる象徴そのもの。
「はっ―――!? 月曜日……! しゅ、出社せねば……!?」
悲しいかな。オブリビオンと言えど、その身を社会に置くものであれば、どうしようもないほどに時間の存在を意識させられざるを得ない。
一瞬でも時の存在を思い起こした時点でメリーの権能の支配下に置かれることは必定である。
紡がれた糸の如き時間。それは紡がれ、長さを決められる。
「すでにあなた達は私の掌の中。身動きなど取れるはずもないわ」
ひたりと足を踏み出すメリー。
すでに彼らの時間は紡がれ、その長さを決定した。それはメリーの権能であり、絶対なる理である。
手にするは、秒針剣。刻の終わりを定め、切り取る剣である。
「再生力と回避力が自慢のようだけど、備える前に燃え広がったならどうかしらね?」
放たれた斬撃が一瞬にしてオブリビオン『サラリーマン』と背に負う多頭の蛇たちの首を刈り取った。
「さあ、今よ! 異邦の炎神!」
放たれたイェンヨウの炎が傷口を焼き焦がし、再生力を奪う。さらにメリーの手にした分針剣『ラケシス』が時を加速させる。
「瞬きの内に終わらせてあげる!」
燃え広がった炎が一瞬で燃え尽きるようにして『サラリーマン』たちの体を蝕み、その体を霧散させ、骸の海へと還すのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
幸・桃琴
「猟兵組織『秘密結社スナーク』の拳士桃琴、
ただいま参上だよっ!」
おー!と気合を入れて登場するよ!
炎神イェンヨウ君と協力して、敵を倒していこう!
桃が体格と【怪力】を生かして抑え、
サラリーマンたちの背中から生えた蛇の首を
全て切断していくよ~!
そして傷口を焼いてもらって、撃破できるね!
「お願いね、イェンヨウ君!」
君付けしちゃったけど、桃より年上だよね
いいかな?
1体1体確実に倒すけど
囲まれそうな時は【吹き飛ばし】【念動力】を駆使し、
間合いを離して囲まれないようにするよ
桃の体格を生かした戦いは、囲まれないのが大事だよね!
接近し攻撃するのに加えて、《幸家・疾風》も使い
遠距離の敵の蛇の首を切断もしていくよ!
その威容は凄まじきものであった。
その体躯は見上げるほどであり、それを前にして抵抗は無意味と知ることだろう。大きさとは即ち物理である。巨大なる者は、それだけ膂力も桁違いであり、それが人と同じ形をしているというだけで、威圧感を放つことだろう。
それが例え、幸・桃琴(桃龍・f26358)のような可愛らしい少女の姿をしていたのだとしても例外ではない。
巨人の体躯は通常の人間出会っても見上げるほどであり、異世界の鋼鉄の巨人キャバリアよりも全長が低いとは言え、その姿は圧巻であった。
「猟兵組織『秘密結社スナーク』の拳士桃琴、ただいま参上だよっ!」
その言葉は巨大な肺から空気を吐き出し、喉を震わせる。
『不死の怪物』の神話エネルギーを纏い、『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちが、その力を振るい『スナーク』を恐怖の代名詞として固定させようとしていた。
だが、それは桃琴の一喝の如き名乗りによって水泡に帰す。
「ば、馬鹿な……! なんだ、あのバカでかい声は!」
オブリビオン『サラリーマン』たちは一斉に桃琴へと注視する。猟兵とは様々な種族がいる。
それこそ真なる姿にも規則性はない。それほどまでに生命の埒外にある存在であるが、巨人の猟兵ともなれば、相対するオブリビオンたちにとっては驚愕そのものでしかない。
「だから、『秘密結社スナーク』の拳士桃琴だってばー!」
気合の入った掛け声と共に桃琴が駆ける。
それだけで地面が揺れ、『サラリーマン』たちは手にしたアタッシュケースを銃器に変え、弾丸を放とうとするがそれよりも先に桃琴のユーベルコードが輝く。
「遠当て。いっくよ~!」
見えない練り上げた“気”を拳から放たれ、幸家・疾風(ハヤテ)と名付けられたユーベルコードが、遠当てのようにオブリビオン『サラリーマン』たちを吹き飛ばしていく。
「ぐっ! だが、この程度で我等の再生力を上回ることなど―――!?」
本来であれば、『サラリーマン』たちは銃火器によって桃琴を包囲し斉射によって仕留めればよかった。
けれど、彼女の立ち回りは遠距離攻撃をする者をまず先に潰し、遠当てによる一撃で戦線を崩した。そこへ体躯を活かした踏み込みは、ただの一歩であっても通常の人型には凄まじい速度で迫るのだ。
「捕まえた! その怪物の首、切断していくよ~!」
放たれた“気”が『不死の怪物』ハイドラの力が現出した証である背に負った多頭の蛇の首を切り裂く。
「お願いね、イェンヨウ君!」
そこへ幼き炎神イェンヨウの炎が吹き荒れる。
見た目的には変わらないように見えるのだが、桃琴とイェンヨウの年は大して変わらないようにみえるが、桃琴よりは年上であったのだろう。
てへ、と少し微笑んで桃琴が謝罪する。
「ごめんね、君付けしちゃったけど、桃より年上だよね。いいかな?」
「あ、えっ、はい。構いませんけど―――後ろっ!」
イェンヨウが叫ぶのと同時に桃琴が振り返りざまに遠当ての“気”を襲いかからんとしていた『サラリーマン』へとぶつけ、その動きを止めて捕縛し多頭の蛇の首を切断する。
「不意打ちなんてずるいんだ~! でもありがとね! さあ、囲まれないようにするのが大事だよね。どんどん倒していくよ! イェンヨウ君、一緒にがんばろう!」
そう言って桃琴とイェンヨウは年が近いせいもあってか、抜群のコンビネーションで互いの役割を果たしていく。
桃琴が捉え、首を落とし、イェンヨウが炎で焼く。
どれだけ数が多かろうが、巨人の膂力、体格を持ってすれば事足りるのだ。如何に『不死の怪物』の力を纏っていようとも、弱点を正確に着けば通常のオブリビオンと変わりない。
「さあ、次のお相手は誰かな? 桃の功夫でお相手するね!」
そう高らかに宣言し、オブリビオンの目論見である『スナーク』を恐怖の代名詞として固定することを防ぐのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ラファエル・ノックハーツ
そこまでっスナ!正義の秘密結社スナークのヒーロー、オーヴァーマンが相手っスナ!
コレ?スナークに親しみを持ってもらう為の語尾でスナ!スナークの者は皆この語尾を喋るんでスナ。
おっと早速ビジネススーツのサラリマンのカラテ!どんな速さだろーと俺の人間砲弾~名前の使用権の侵害に鉄槌のパンチ~の敵じゃねえ!…っスナ!
とどめの仕上げに首の切断…ん~、怪力で並みいる頭全部引き千切っちゃえ☆うわあ、神話的グロ攻撃でスナ!
さあ炎神サマ、ずずいっと傷口バーベキューを頼みまスナ!大丈夫、その使命感を忘れなきゃ、お前様は俺なんか比べ物にならないくらい強くなりまスナ!!
恐怖の代名詞『スナーク』。それを神々に固定させることが『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちの目的である。
『超生物スナーク』はどこにでもいる。
人々の中からでも、神々の流れる血潮からでも、少女の涙からも生まれる。そのために存在を恐怖で固定することが必要であったのだ。
故に彼らは『不死の怪物』から神話のエネルギーを猟書家『アズマ』から受け取って、その背に多頭の蛇を背負うような異形へと変貌する。
「神だ! あの炎神を殺せ! あの炎神こそが我等の計画を水泡に帰す者だ!」
猟兵たちと幼き炎神イェンヨウによって次々と『スナーク化』した『サラリーマン』たちが撃破されていく。
それだけではない。
「そこまでっスナ! 正義の秘密結社スナークのヒーロー、オーヴァーマンが相手っスナ!」
幼き炎神イェンヨウを亡き者にしようと迫る『サラリーマン』たちの前に立ちはだかったのは、ラファエル・ノックハーツ(オーヴァーマン!!!・f28352)であった。
少々首を傾げたく為るような不思議な語尾になっているのはなぜなのか。
そうでなくても猟兵たちは『秘密結社スナーク』を名乗る。
それは恐怖で固定しようとした『スナーク』の名を上書きし、希望の象徴として彼らの目論見を完全に阻止するためであった。
「巫山戯た語尾の男! 其処を退け!」
襲いかかる『サラリーマン』たち。
彼らが身に修めた技はカラテの技である。その徒手空拳は『不死の怪物』ハイドラの力を得て不死の再生力故に肉体の限界を越えても瞬時に傷が言えるという凄まじきものであった。
「コレ? スナークに親しみを持ってもらう為の語尾でスナ! スナークの者はみんなこの語尾を喋るんでスナ」
おっと、とラファエルは一瞬でTHE☆人間砲弾~(名前の使用権の侵害に鉄槌パンチ)~(ザ・ニンゲンホウダン)の如く自身の体を打ち出すように駆け抜ける。
それはどれだけの速さを『スナーク化』したオブリビオンが持っていようとも関係ない。瞬間移動の如き速度をもってすれば、どれだけ強大な力を持っていたとしても当たらない。
そう、今この場に置いて如何なカラテの技であろうがラファエルを捉えることはないのだ!
「この我等が背後を取られただと―――!?」
一瞬で回り込んだラファエルが放った拳が『サラリーマン』たちの顔面をしたたかに打ち付け、吹き飛ばす。
さらに多頭の蛇の首を怪力で引きちぎる。
「うわぁ、神話的グロ攻撃でスナ!」
怪力とはいえ、素手で多頭の蛇の首を引きちぎる様子は余程恐ろしい光景であったが、有効な手段が他に思いつかなかったのだから仕方ない。
「さあ炎神サマ、ずずいっと傷口バーベキューを頼みますスナ!」
微妙に明日から焼き肉が食べられないようなことをいいつつ、まあ、蛇だから蒲焼きでいいんじゃないかな、とかラファエルは考えながら炎神イェンヨウから放たれた炎に『サラリーマン』たちの傷口を曝す。
焼け焦げ、傷口がふさがった瞬間がトドメの瞬間である。
即座に拳を振るい、『サラリーマン』たちを骸の海へと還す。
「す、すごい……これなら、本当に彼らを倒すことができる……!」
未だ涙を湛えたままの瞳で幼き炎神イェンヨウが声を上げる。猟兵の凄まじき力を前にして、恐怖が完全に消えたわけではないけれど、それでも希望の光を見出し始めているのだ。
「大丈夫、その使命感を忘れなきゃ、お前様は俺なんか比べ物にならないくらい強くなりますスナ!!」
そういってニッカリ笑ってラファエルはサムズアップする。
彼の心に宿り続ける“諦めない” という信念と魂が、また一つ幼き炎神の心に伝播していく。
いつかの日に見た曇りない正義の心は秘められているが、ラファエルの心にはいつだってあの日の『ヒーロー』が燦然と輝いているのだ―――。
大成功
🔵🔵🔵
ジャム・ジアム
アドリブ歓迎
星の要を?さすが猟書家、大胆ね。でもね、猟兵も頼もしいのよ
「誰が呼んだか呼ばれたか、危機には馳せ参じましょう
猟兵組織『スナーク』が戦士・里帰りのジアム参上!」
大好きな人たちがいる世界なの、壊させない
怪物の力は甘くない。扱いを知る子がいるなら力を借りる
イェンヨウ、幼い神様、敵は多いわ。
私も彼らと首を狙う。共に世界を救いましょう?
『護り現』で彼に力添えを、私も『ガラス蜘蛛』でオーラ防御よ
敵の攻撃を少しでも【見切り】ながら、しっぽの針を放ち陽動
注意を引きつけて寄ってきたら【謎のレモンの蔦で体勢を崩させ】『サイキックブラスト』
動きを止めた瞬間に蛇の首を『朱雷枝』で全てなぎ払うわ
神様、今よ!
ヒーローズアース、地球の中心たる『センターオブジアース』には、『不死の怪物』が封印され地球の核として燃え続けている。
それはこの世界において地球そのものであり、それを殺すということはヒーローズアース世界をも殺すということである。
その『不死の怪物』の神話エネルギーを奪い、配下オブリビオンである『サラリーマン』たちに与えたのが猟書家『アズマ』である。
そして、『不死の怪物』の力によって『スナーク化』した『サラリーマン』たちは、『超生物スナーク』を誕生させるために『スナーク』の名を恐怖の代名詞として、神々に刻み込もうと暴虐を開始しようとしていた。
「星の要を? さすが猟書家、大胆ね。でもね、猟兵も頼もしいのよ」
戦場となった地球の中心たる『センターオブジアース』に明色の羽を翻し、降り立つのは、ジャム・ジアム(はりの子・f26053)であった。
彼女の瞳はまっすぐに『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちを見据えている。
そこに恐れも怯えも今は見えない。
迫るは幼き炎神イェンヨウを亡き者にせんと迫るオブリビオン。ならば、彼女は背筋を伸ばして普段は小さく見せようとする姿勢を正した。
「誰が呼んだか呼ばれたか、危機には馳せ参じましょう。猟兵組織『スナーク』が戦士・里帰りのジアム参上!」
彼女の声が響き渡る。
それは恐怖の代名詞として『スナーク』の名を固定させようと目論むオブリビオンたちの計画を破壊する一手であった。
敵が恐怖とともに『スナーク』を語るのならば、猟兵たちは希望の象徴として『スナーク』の名を固定させる。
幼き炎神イェンヨウの前にジアムが立ちはだかり、護るように背にかばう。
「イェンヨウ、幼い神様、敵は多いわ。私も彼らと首を狙う。共に世界を救いましょう?」
編み込まれた念がベールのようにイェンヨウの体を包み込み、ジアムの体もまた水蜘蛛の泡の如き銀の薄布によって身を護る。
「はい……! 皆さんのお力添えがあれば!」
その瞳にあったのは未だ涙であったけれど、その意思はもはや恐怖によって侵されることはない。
燃え盛る炎と共にジアムが襲い来る『サラリーマン』たちの拳を受け止める。
「……重い……! でも、大好きな人たちがいる世界なの!」
このヒーローズアースはジアムにとって特別な世界であろう。
だからこそ、その瞳に宿るのは純然たる決意であった。護ると決めた。己の力を、全霊を持って当たるときめたのだ。
しっぽの針が放たれ、攻撃を躱す『サラリーマン』たちを陽動していく。当たらなくてもいい。相手がユーベルコードによってこちらの攻撃を予測するのならば、予測を上回ればいい。
必ず彼らは幼き炎神を守る自分を排除しようと近づいてくる。
そこへ謎のレモンの蔦が足に絡みつかせ、その体制を大きく崩す。それは僅かな時間だけの隙であったかもしれない。
けれど、ジアムにとってはそれで十分だった。
「―――壊させない、絶対に!」
放たれるはサイキックブラスト。両掌から高圧電流が放たれ、『サラリーマン』たちの体を内、感電させる。
それでも敵を倒すには居たらない。なぜなら、彼らは『不死の怪物』の力を纏った本物の不死を持つ者たちだからだ。
本来であれば、ジアムであっても一体も倒せずに終わっていたことだろう。
けれど、今の彼女は一人ではない。
手にした白銀の大鎌が大きくしなるように、鞭のような軌道を描いて『サラリーマン』たちの背に負った多頭の蛇の首を刈り取る。
それは一瞬の出来事であった。
「神様、今よ!」
どれだけ首を跳ね飛ばそうが、彼らは不死である。即座に再生してしまうが、その傷口をイェンヨウの放った炎で焼けば傷口はふさがってしまい、首は再生しない。
それは神話になぞらえたことであったが、その効果は絶大であり、持ち得た不死性すらも喪った『サラリーマン』たちは、次々とジアムの大鎌が放つ斬撃の前に骸の海へと還るしかなかった。
戦うことに躊躇いはない。
此処にはあの子もいるかもしれない。大切な思い出、記憶が詰まったヒーローズアースを壊すわけにはいかない。
その想いがジアムの足を止めさせることはなかった―――。
大成功
🔵🔵🔵
セルマ・エンフィールド
世界を滅ぼすために活動していると思っていましたが、不死の怪物を殺して星ごと破壊はしないのですね。
方法にこだわりがあるのでしょうか……まぁ、まずは骸の月を押し返してからですね。
切断した後に焼く必要がある、と。焼くのはできなくはありませんが、細かい制御ができませんし、ここは彼に任せましょうか。
恐れる必要はありませんよ、イェンヨウさん。私たちが……スナークがついています。
【鎖す氷晶】を使用。900本を超える飛翔する氷の刃で敵の集団を包囲し、背中から生える蛇の頭を切り落とします。囲まれた後で解析したところでもう遅い、逃げ道など作りません。
切り落としたらイェンヨウさんへ合図し、焼いてもらいましょう。
オブリビオンとは過去の化身であり、骸の海より染み出した未来を食いつぶす者たちである。
オブリビオン・フォーミュラとは世界を破壊するものであり、その欲望によって現在を破滅に導く者。だとするのならば、今のヒーローズアースほど世界の危機が差し迫った状況もないだろう。
なぜならば、ヒーローズアース世界の地球、その中心たる『センターオブジアース』には星の核として封印された『不死の怪物』が存在している。
それさえ殺してしまえば、世界は滅びる。
ならば、『不死の怪物』さえ殺してしまえば、オブリビオンの目的は達成されるのではないか。
「世界を滅ぼすために活動していると思っていましたが、不死の怪物を殺して星ごと破壊はしないのですね」
何か方法にこだわりがあるのでしょうか、とセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は思考を巡らせる。
だが、今は差し迫った脅威、『骸の月』の存在がある。
あの月が完全に骸の月へと変わった瞬間、オブリビオン・フォーミュラ亡き世界に再びオブリビオン・フォーミュラが誕生し、オブリビオンが世界に溢れてしまう。
「……まあ、まずは骸の月を押し返してからですね」
セルマが対峙する『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちは、『不死の怪物』の力をまとい、その完全なる不死性において猟兵を圧倒せんとしていた。
実際、弱点をつかねばただの一体足りとて猟兵は倒すことができないかもしれないと言わしめた力は絶大なものであった。
それでも猟兵たちは戦わねばならないし、そのための鍵は揃っている。
「恐れる必要はありませんよ、イェンヨウさん。私達が……スナークがついています」
それは何処にでも存在している生物の名。
本来であれば、『スナーク』の名は恐怖とともに固定されるはずであった。そうすることによって『超生物スナーク』は恐怖の代名詞として人々に認知され、その力を暴虐の元に振るうことであっただろう。
だが、猟兵たちはその名を、希望として塗り替えようとしていたのだ。
「はい……! 炎で焼き、その傷を塞げば彼らの再生能力は封じることができます、だから……!」
自分一人では同しようもない敵であるが、猟兵が加勢してくれるのならば、恐れる必要などない。
戦いに際して、未だ恐怖は拭えない。
けれど、それでも前に踏み出す勇気を持った幼き炎神をセルマは守る。
「奴等に逃げ道はない! ここで囲い込んで炎神ごと猟兵を抹殺してくれる―――!」
スマートグラスによる戦力差、行動の予測を終えた『サラリーマン』たちがセルマたちに襲いかかる。
『スナーク化』した彼らの戦闘力は凄まじいものであったが、セルマは落ち着いていた。一人ではないこととと、対処のしようがあることが彼女の心を雪原のように静かなものにしていた。
「逃げ道など作りません……いえ、これは私達に対した言葉ではありませんよ。貴方達に告げた言葉です」
彼女の周囲に浮かび上がるは氷晶の刃。数にして900本を超える飛翔する氷の刃が瞬時に産み出される。
セルマの瞳はユーベルコードの輝きに満ちていた。
複雑な幾何学模様を描きながら飛翔する氷晶の刃が一瞬で『サラリーマン』たちを囲い込む。
どれだけ高度な予測をすることができたとしても、敵の集団を包囲する千に近い刃を躱す術などあるはずもない。
それこそが、彼女のユーベルコード、鎖す氷晶(トザスヒョウショウ)。
一斉に放たれた刃が『サラリーマン』たちの背に生えた多糖の蛇の首を瞬時に切断する。
「ばかな、これだけの刃を制御するなど―――!」
「いいえ、どれだけ解析したところでもう遅い。言ったはずです、逃げ道など作りません、と―――」
そこへイェンヨウの放った炎が傷口を焼き払い、多頭の蛇の頭を再生させない。彼らはそうすることによって得た不死の再生力を奪われてしまうのだ。
「残すはたった一つの首のみ。再生力を喪った貴方たちなど」
恐れる必要はない。
ユーベルコードが再びセルマの瞳を輝かせ、氷晶の刃が一斉に『サラリーマン』たちへと降り注ぎ、彼らを骸の海へと還すのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
長丁場の戦い…イェンヨウ様、心身共にお疲れではありませんか?
休んで頂くことが出来ず申し訳ございません
ですが、どうかこの戦いに身を投じた初志を思い出し、今一度の奮起と助力を願います
私は『秘密結社スナーク』に身を置く一人の騎士
お相手いたしましょう
炎に専念してもらう為に炎神を●かばい銃火器を●盾受け武器受けで防御
脚部スラスターでの●推力移動で間合いを詰め、UC起動
鞭の様に自在に●ロープワークで●操縦するワイヤーと剣で●なぎ払い蛇の首切断
焼かれた端から格納銃器を展開し●乱れ撃ち●スナイパー射撃で止め
…蛇の首どころか武装まで同じ類
御伽の騎士よりも秘密結社の騎士が相応しいのやもしれませんね
(苦い笑い)
吐き出す息が辛い。
そんなふうに思うのは幼き炎神イェンヨウであった。これまで生来の気性故か、『神獣の番人』に匹敵する潜在能力を持っていても、振るうことのなかった力を振るう代償故、体力の消耗が激しかった。
今まではその身を奮い立たせていたためにごまかしが聞いていたが、無数にいるオブリビオン『サラリーマン』たちの猛攻の前に疲弊の色が色濃く滲み出ていた。
「長丁場の戦い……イェンヨウ様、心身共にお疲れではありませんか?」
そう彼を護るように傍に立つのは機械の騎士たるトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)であった。
肩で息をしながらも、その力である炎を噴出することをやめない幼き炎神イェンヨウを気遣ってはいるものの、この戦いにおいて彼の炎は重要な役割を果たしているのもまた事実である。
神話のエネルギー、『不死の怪物』の力を纏い『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちの弱点を突くにはどうしても彼の炎が必要であった。
「休んで頂くことが出来ず申し訳ございません。ですが、どうかこの戦いに身を投じた初志を思い出し、今一度の奮起と助力を願います。ですが、幾ばくかの時は私が稼ぎましょう―――」
そう言ってトリテレイアは、その大盾を構える。
護るために生まれた機体であればこそ、為せることがある。アイセンサーが輝き、その存在意義が、炉心に燃える騎士道精神がユーベルコードを発現させる。
「私は『秘密結社スナーク』に身を置く一人の騎士。お相手いたしましょう」
対する『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちの力は絶大である。それは言うに及ばずである。
『不死の怪物』から得た神話のエネルギーは凄まじく、その力の大半が再生力へと輪姦されていることは言うに及ばずである。
だからこそ、猟兵たちはそのままでは大量の敵を一体も倒すことができなかったことだろう。
だが、それでも希望はある。トリテレイアはその希望を護るために戦いの場へと参じたのだから。
「あの炎神を殺せ! そうすれば猟兵たちと言えど―――!」
『サラリーマン』たちの持つアタッシュケースが銃火器へと変貌し、その銃口からばらまかれる弾丸が幼い炎神イェンヨウを襲う。
だが、その弾丸の尽くを大盾でトリテレイアが防いでいる。しかし、神話のエネルギーによって強化された戦闘力は凄まじい。
大盾もいつまで保つわからない。ならば、打って出るが定石。
スラスターが火を噴き、トリテレイアの巨躯が跳ねるようにして飛ぶ。間合いを詰め、収納式ワイヤーアンカー・駆動出力最大(ワイヤーアンカー・ヒートエッジモード)で放たれた背中の装甲から放たれたアンカーが鞭のようにしなり、『サラリーマン』たちを翻弄する。
「それはさせません。私の存在意義のため、何よりも世界のために……その素っ首、落とさせていただきます」
複数のワイヤーアンカーが鞭のようにしなっては、熱伝導と高速振動によって『サラリーマン』たちの背に負った多頭の蛇の首を切り落とす。
さらにそこへイェンヨウの放った炎が舐めるようにして傷口を焼き尽くせば、残るは『サラリーマン』の首のみ。
「ぐっ! だが、まだ我等には神話のエネルギーが!」
そこへ放たれるは展開された肩部格納銃器の弾丸。乱れ撃たれる弾丸が、次々と『サラリーマン』たちの体を穿ち、その体を霧散させていく。
ワイヤーアンカーが役目を終えたようにトリテレイアの装甲の下へと格納されていく。
トリテレイアは僅かに苦笑いしたようにアイセンサーを明滅させる。
「……蛇の首どころか、武装まで同じ類。御伽の騎士よりも秘密結社の騎士が相応しいのやもしれませんね」
奇しくもワイヤーアンカーを操るのは、多糖の蛇の頭のようであり、その姿は『スナーク化』した『サラリーマン』たちと似通っていた。
これではどちらが悪役かわからない、というように困ったような声色になってしまうが、そんなことはないというイェンヨウの瞳には疲労はあっても恐怖は微塵もない。
それを確認してトリテレイアは己の存在が、誰かの希望に為る瞬間を目の当たりにするのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
勇気を出したイェンヨウを助ける為にも
秘密結社スナークの一員として戦いますか
今は戦わなければならない時だけど
一人だけでやる必要は無いんだ
僕達も手伝うよ
ガトリングガンで攻撃
再生能力に頼って近づいてくるだろうから
敢えて思い通りにさせよう
接近してのカラテの一撃は
上手く懐に潜り込んで捌くよ
近接戦が得意な猟兵には及ばないけど
これでもUDC組織のエージェントから
護身術を習うようにしてるんだ
少しの間くらいならいけると思うよ
捌いたら邪神の繰り糸で
相手の手足を操ってバランスを崩させよう
再生力に慢心して防御や回避が疎かになってるね
バランスを崩したところを
ワイヤーガンを使い切断するよ
その後はイェンヨウにお願いしようか
勇気を振り絞った時、人の心は大きく成長するだろう。
けれど、戦いは常に続き疲労は溜まっていく。今はいいだろう。限界を超えた力が肉体の疲労を感じさせないのだから。
けれど、長引けば長引くほどに戦う意思はあれど、肉体が追いついていかない。それは神の体であっても同じことだったのかもしれない。
幼き炎神イェンヨウもまた同様であった。
恐怖に震えていた瞳はもうどこにもない。あるのは戦う意思と、勇気だけだった。
その勇気に報いるために、そして彼を助けるためにも佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は戦う意思と共に『秘密結社スナーク』の一員として戦場にたつ。
「今は戦わなければならないときだけど、一人だけでやる必要はないんだ。僕も手伝うよ」
そう言って、優しく晶は幼き炎神イェンヨウへと声を掛ける。すでにオブリビオンの数は減ってきてはいるが、それでも今だ数は多い。
疲弊しきったイェンヨウの力を酷使するのは避けたいが、それに頼らなければならない。だからこそ、晶は奮起する。
「圧せる! このまま奴等を轢き潰してしまえば、我等の勝ちだ!」
一斉に『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちが、そのスーツを脱ぎ去り、晶たちに襲いかかる。
「その再生力を頼って接近戦を仕掛けようっていうなら―――!」
敢えて思いどおりにさせようと晶はガトリングガンで応戦しながら、接近する『サラリーマン』と相手取る。
放たれるカラテの一撃は、それだけで致命の一撃になり得るだろう。
それだけのエネルギーを纏っているのだ。弱点を突かねば、猟兵といえど一体足りとて倒すことが出来ないかも知れないと言われたのも頷ける話であった。
「何っ!?」
カラテの技は晶が懐に敢えて深く踏み込むことによって捌き切る。接近戦が得意な猟兵には及ばないかも知れない。
けれど、それでも晶もまたUDC組織エージェントから護身術を習っているのだ。幾ばくかの時間を稼ぐにしかならないのだとしても、少しの間であればなんとかなる。
其処に放たれるのは、邪神の繰り糸(オーダード・マリオネット)である。
それは人形化の呪いと人形操りの魔法である。本来であれば、自身の身に宿して扱うユーベルコードであるが、それを敢えて敵である『サラリーマン』に放つ。
カラテの技は反復練習である。
積み重ねられた型と練磨が繰り出す技だからこそ、必殺の一撃と為る。そこに魔法の糸でバランスを崩せばどうなるだろうか。
「体が、勝手に動く―――!? 止められ、ないだと!」
そう、超高速連続攻撃。一度放たれれば中断することのできない動きが強制的に続行されてしまう。
「再生力に慢心して防御や回避が疎かになっているね―――わかっていたよ。いつだって、傷が治るって思えば、回避なんかするだけ無駄だからね……だから、こんなふうに足元を掬われるんだ!」
晶の放ったワイヤーガンが背に生えた多頭の蛇の首を刈り取るように放たれる。
そこへイェンヨウのはなった炎が傷口を塞ぎ、その再生力を奪い取る。
「今です、頼みます!」
傷口が塞がれ、多頭の蛇の頭が無くなってしまえば、残すは本来の『サラリーマン』たちの首だけである。
「本当は接近戦は苦手なんだよ―――でも、そうも言っていられないからね!」
再び放たれたワイヤーガンが『サラリーマン』たちの首を跳ね飛ばし、骸の海へと還していく。
強大な力を持っていても、一人で戦い続ける事は難しい。
だからこそ、人は寄り添う。猟兵もそうだ。一人で全てできるものなどいない。晶はそれをよく知っている。
「さあ、『秘密結社スナーク』、次なる敵は誰かな?」
恐怖の代名詞を希望として晶は塗りつぶすようにガトリングガンを構え、新たなる敵と対峙するのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
レナーテ・フレンベルク
◎アドリブ等歓迎
――たとえ神であったとしても、人の上に立つ者は
ある義務を負わなければいけないわ
それは、弱き者を護ると言う事
炎神イェンヨウ、貴方は立派にその責務を
果たそうとしているのね
ならば私も果たしましょう、その責任を
秘密結社スナーク、『幽玄』のレナーテとして
■戦闘
ここは【死霊障壁】と【爆発髑髏】で攻撃を防ぎつつ死霊を使役、
霊障によって敵の情報解析眼鏡を故障させて
動揺したところを【呪詛】によって束縛しましょう
一瞬でも動きを止める事が出来れば十分
【UC】によって作り出した大鎌で、全ての蛇の首を一息で
刈り取ってあげるわ
そのまま首を刈り取った所をイェンヨウに焼いてもらいましょうか
お願いできるかしら?
責務。それは果たさなければならないものである。
いつだって人は、生命は、その責務を背負っている。けれど、それを自覚するものは少ない。
「――例え神であったとしても、人の上に立つ者はある義務を負わなければいけないわ。それは、弱きものを護るということ」
レナーテ・フレンベルク(幽玄のフロイライン・f25873)は静かに伏せた瞳を開き、眼前に残った『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちと幼き炎神イェンヨウとの間に立っていた。
くるりと日傘が周り、彼女はゆっくりとした動作で放たれるアタッシュケースが変形した銃火器の弾丸を死霊による障壁と炸裂する死霊と呪詛を振り撒く小型サイズの髑髏によって防ぐ。
戦いは佳境へと差し掛かっている。
無敵と思われた『不死の怪物』の神話エネルギーを纏ったオブリビオン『サラリーマン』たちであったが、幼き炎神イェンヨウの炎で傷口を焼くという神話に由来する方法で彼らの保つ不死性を尽く撃破していた。
「負ける……! 我等が負けるだと!? 『不死の怪物』の力を纏って尚、我等が―――!」
そんなことがあってはならない。
彼ら『スナーク化』したオブリビオンにとって、この力は暴虐を振り撒くものであった。けれど、猟兵たちはそんな力を使わずとも自分たちに対抗してくる。
それはあまりにもおかしい。
何処で計画が狂ったのだろう。思えば、あの幼き炎神をいたぶって殺そうと考えた時点からおかしくなっていた。いつでも殺せるはずだった幼き炎神はいつのまにか自分たちに対するワイルドカードへと変貌していた。
「炎神イェンヨウ、貴方は立派にその責務を果たそうとしているのね。ならば、私も果たしましょう、その責任を。『秘密結社スナーク』、『幽玄』のレナーテとして」
「……っ、はいっ!」
荒い息を吐き出す幼き炎神イェンヨウ。
慣れない力を酷使し続けたせいか、息が荒い。けれど、最後まで闘おうとする姿にこそ、人々の希望が集まる。レナーテもまたその一人であったことだろう。
「今からでも遅くはない! あの炎神さえいなければ!」
スマートグラスが輝き、あらゆる行動、攻撃を回避する予測能力と共に『サラリーマン』たちが駆け出す。
だが、レナーテの放つ爆発髑髏と死霊の障壁によってレナーテが使役する死霊の霊障によって敵の情報解析を阻害する。
「良い眼鏡ね? けれど……そんなものばかりに頼っているから、目の前のことを理解できない。何事も数字化することはできるかもしれないけれど……それでも、それ以外に目を向けるのと向けないのとでは雲泥の差であると知りなさい」
一瞬で良かった。
霊障によって動きを止めた瞬間、レナーテの瞳がユーベルコードに輝く。
「やりなさい、ヒルデ」
彼女が息をするように紡いだのは、融魂の秘術(ブラスフェミー・シュミート)である。周囲に存在する死霊達を集め、生み出したのは大鎌。
巨大なる大鎌を受け取った彼女の巨骸ヒルデが相対する『サラリーマン』たち背に負う多頭の蛇の首を一息に刈り取る。
それは一瞬の出来事であった。
瞬きすら必要のない瞬間。ヒルデの一閃は、残った『サラリーマン』たちの不死の象徴である多頭の蛇の首を跳ね飛ばす。
「お願いできるかしら?」
最後の力を振り絞ってイェンヨウが炎を噴出させる。放たれた炎が、刈り取った『サラリーマン』たちの背に跳ねた多頭の蛇の首の傷口を焼き、塞ぐ。
それこそが神話の時代から紡がれてきた逸話。
多頭の蛇を殺すためには、その刈り取った首の傷を焼けばいい。
塞がれた首は再生せず、その不死の力は失われる。
「ありがとう。炎神イェンヨウ。後は任せてちょうだい」
柔らかく幼き炎神の倒れ込む体を支え、レナーテの瞳が輝く。小さく、ヒルデに命ずる。
人々の心に恐怖と共に『スナーク』の名を刻み込み、代名詞として固定しようとした徒に怒れる死霊たちの鉄槌を。
放たれた大鎌の斬撃は、彼らの胴を薙ぎ払い、霧散させていく。
彼らが恐怖の代名詞『スナーク』を語るのならば、レナーテたち猟兵は、どこにいても、どんなときでも駆けつける『秘密結社スナーク』という希望として塗り替えるだろう。
それがレナーテたち猟兵の保つ責務。
「それが力在る者の責務。ええ、果たしましょう。弱き者を護る。それが私の責任――」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『アズマ』』
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POW : 決別拳
【拳】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 瞬断脚
【神速の蹴り】が命中した対象を切断する。
WIZ : 捨身投
【自身に近接攻撃】を向けた対象に、【投げ技によるカウンター】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:箱ノ山かすむ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ナイアルテ・ブーゾヴァ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『スナーク化』したオブリビオン『サラリーマン』たちは、その絶対的であった不死の力を尽く幼き炎神イェンヨウによって無力化され、猟兵たちに討ち取られていた。
もはや『スナーク』の名を語るのは、恐怖ではなく希望であった。
それを為したのは猟兵達であるが、きっかけを作った幼き炎神は力の使いすぎで、疲弊しきっていた。
『不死の怪物』の力をまとうのは猟書家『アズマ』の配下オブリビオンのみである。
猟書家と『不死の怪物』の力は相容れぬ。
それ故に残された最後の敵、猟書家『アズマ』に不死の力はない。
だが、刮目せよ。
そこに存在するのは、徒手空拳だけで最強格の神々『神獣の番人』たちを尽く鏖殺せしめた者である。
「……――」
ゆらりと現れたのは、あまりにも存在感が希薄な道着を身にまとった男であった。
漆黒の仮面で目元を覆ってはいるものの、確かに猟兵達の姿は見えているのだろう。
「……――殺す。おまえたちは殺す。此処で殺す。一切合切、殺す」
構える姿は流麗にして精緻。
だが一分の隙もなければ、どこから撃ち込んでいいのかもわからぬほどの圧倒的な存在感。先程までの希薄な存在感は立ち消え、あるのは強烈なる個。
どこか虚ろな意志を感じさせていたとしても、猟兵たち全員の背筋に走るのは怖気であった。
殺気を感じないのに、少しでも気を抜けば次の瞬間には猟書家『アズマ』の拳によって己が貫かれているという幻視はしっかりと感じる。
油断はならない。
此処より先は死地である、そう鮮烈に自覚させられる。
だが、それでも猟兵は戦わなければならない。
今までもそうであったように、これからも。恐怖満ちる世界を産み出さぬためにも――!
幸・桃琴
※アドリブ歓迎
相手は猟書家の空手家か~。
猟兵の拳法家としては負ける訳にはいかないよね!
真向勝負で挑むよ!
まずは【念動力】で動きを止めての【二回攻撃】!
さぁ桃の拳技、受けてみてっ!
今回の相手はとても強いから、きっと技では劣る
危なくなれば、【怪力】での【重量攻撃】を軸に
ダメージを与えていこうとするね!
パワーでも押し返されれば、
一度あえてボディに拳を受け、捕まえる
ぐぇっ……!
でも動きは止めて
【吹き飛ばし】て体勢を崩してから
めいっぱい【力溜め】た、飛び上がっての
《幸家・桃龍/未完成》を狙う!
闘気を目いっぱい込めた肉厚のお尻で勝負に行くよっ
相手がカウンターを狙っても、押し切る勢いで
これなら、どうだーっ!
相対するだけで身体がこわばるという感覚を、幸・桃琴(桃龍・f26358)は巨人の身体で持ってしても味わうことになった。
猟書家『アズマ』。その風貌からして空手家であると理解できる。彼女は猟兵の拳法家として負けるわけには行かぬと真っ向から対峙する。
相手がどれだけ強いのかわからないわけではない。
けれど一歩も引くわけにも行かない。覚悟は決めている。きっとあの拳はものすごく痛いのだとわかる。
「……――殺す。お前は殺す。どれだけ巨躯誇ろうとも、殺す」
ずしりと、空気が重くなる。
猟書家『アズマ』の構えはこれまで見てきたどんな格闘家のものよりも重圧を放っていた。
「真向勝負! さぁ桃の拳技、受けてみてっ!」
相対する桃琴もまた構え、放たれる念動力によって『アズマ』の身体を止める。それは一瞬の出来事であった。
放たれた念動力が『アズマ』の体に到達した瞬間、彼の放った拳が見えぬはずの念動力を打ち貫く。
それは圧倒的な武によるものか。
けれど、桃琴は止まらない。止められない。放たれた拳のに連撃は互いの拳がぶつかり合って火花が散るような感触を与える。
巨人の体躯であったとしても、その拳の一撃は互いの拳で止まる。
「……善き拳だ……だが、重たい『だけ』だ」
「強い……けど、わあっ!?」
ぶつかった拳を押し返され、態勢を崩す桃琴。跳躍する『アズマ』の姿を見上げる。彼我の力量差は歴然である。それは自分もわかっている。
けれど、退くわけにはいかない。そんなこと端から考えていない。だからこそ、その拳の一撃をあえてボディで受け止める。
めり込む拳。
思わず声が漏れる。痛みに涙で視界が滲む。けれど、それでも腕は動かした。藻掻いて、藻掻いて、あえぐように手繰り寄せた勝機。それを逃さぬことこそ、諦めぬことそが拳法家としての矜持である。
未だ自分は拳法家としても未完成であろう。そんなことわかっている。
「――……っ、捕まえたぁ!」
両手で『アズマ』を捕まえ、そのまま大地へと叩きつける。地面がひび割れ、粉塵が舞い飛ぶ。そこへ目いっぱいの力を籠めて飛び上がり、その身に闘気を籠めた巨躯ごと『アズマ』へと叩きつける。
それこそが、幸家・桃龍/未完成(トウリュウ)。
放たれたヒップアタックの一撃が隕石の如き衝撃波を伴って『アズマ』の体をしたたかに大地と挟み込む。
穿たれた一撃は『アズマ』であっても避けることはできなかったことだろう。
「これなら、どうだ――っ!」
大地が砕け、衝撃波が周囲に吹きすさぶ。
まさに闘気の塊をぶつけるが如き一撃。本来であれば拳や蹴撃にまとわせて放つ一撃であるが、未だ未熟な琴桃には丹田に練った闘気を肉体に集中させるしかない。 故に未完成。
けれど、今の桃琴にとっては、それが為せる最大の一撃。倒せなくてもいい。けれど、ダメージの蓄積を為す。
「――っ、わっ!」
自身の体を持ち上げ、投げ飛ばす『アズマ』。
練り上げられた闘気の一撃によって、その体はどこもかしこも傷だらけである。けれど、それでも立ち上がり、琴桃の巨躯を投げ飛ばす力は一体何者であるのだろうか。
しかし、投げ飛ばされた桃琴はたしかに見た。
彼女の一撃によって膝を大地に突く『アズマ』の姿を。
ならば、彼女は託すのだ。猟兵は一人で戦う者たちではない。どれだけ強大な者であったとしても、他につなぐことで倒す。
それが猟兵の戦いであるのだから―――。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
こちらこそだ、お前を絶対に倒す
これ以上の蹂躙は許さない
お前に技量が及ばなかろうがそう簡単に殺せると思うな
SPDで判定
【戦闘知識】【見切り】【早業】などで攻撃を避けながら【視力】【聞き耳】で敵の【情報収集】
銀腕を【武器改造】で剣にして【覚悟】【勇気】【気合い】で攻撃を受け、脚部を【怪力】【早業】で払って【体勢を崩さ】せてからUCで【カウンター】を狙う
UCは【怪力】【鎧無視攻撃】【限界突破】【捨て身の一撃】を使用して行う
巨人の一撃は戦場となった大地という大地を砕き、粉塵を舞い上がらせる。
まるで空より隕石が落ちたかのような衝撃の後、そこに立っていたのは猟書家『アズマ』であった。
ボロボロの姿になっているが、膝をついたのも一瞬であった。
即座に立ち上がり、仮面で覆われた目元を巡らせる。
「……――殺す。全て、殺す……」
その言葉はどこか虚ろであったが、その言葉どおりに相対するものは尽く殺されてしまうであろう予感だけは確実に感じるものであった。
「こちらこそだ、お前を絶対に倒す。これ以上の蹂躙は許さない」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は駆け出す。
相対する猟書家『アズマ』の力は絶大なものであることは、見ただけでわかる。漲る力は『不死の怪物』の力を纏った配下オブリビオンたち以上である。
放たれる拳を既のところで躱す。
けれど、放たれた拳速によって産み出される風圧がルイスの頬を裂く。血が噴出する。
「蹂躙を許さない。ならば、なんとする」
静かな言葉が響く。
それは穏やかな日常に響く言葉のようであったが、放たれる拳、蹴りの一撃一撃が絶命の一撃である。
義眼のメガリスなくば、ルイスは拳の一撃の元に絶命させられていたことだろう。
「お前に技量が及ばなかろうが、そう簡単に殺せると思うな」
その言葉ははったりでもなんでもない。ただのルイスの覚悟だった。
銀腕、そのメガリスを剣へと変形させ、拳や蹴りを受け止め続ける。きしむ。メガリスである銀腕を持ってしても、かの猟書家『アズマ』の拳は重たすぎる。
受け続けていれば負ける。
それは直感というよりも予感であった。
守りに入っては負けてしまうと理解さられるような攻撃の数々。違和感を感じる。なぜ、力量差があるのに一撃で仕留めに来ないのか。
「――……遊んでいるつもりか!」
もてあそばれている。そう感じるのも無理なからぬことであった。けれど、それは事実ではなかったのかも知れない。
こちらの力を引き出させようとしている。全力で戦わせようとしている。様子見は無意味だと、そう言われているような気がした。
「なら! 俺と踊って貰おうか。どちらかが倒れるまでな!」
メガリスが輝く。
それは銀腕を剣に変形させた状態で舞う連続攻撃。それは超高速なる連続攻撃。一撃目を外してしまえば、中止できず、決定的な隙を生み出してしまう。
だが、構わなかった。
どのみち、この銀武の舞(ギンブノマイ)が通用しなければ破れるのは自分の方だ。だからこそ、ルイスは覚悟を決めたのだ。
『アズマ』の放つ蹴撃に合わせて、相手の軸足を払う。
まるで大地に根が生えているかのような感触。互いの蹴撃が肩と足にぶつかり、態勢が崩れる。
其処へ放つは銀腕が変形した剣による超高速連続攻撃。
目にも留まらぬ剣戟と拳の連撃が交錯する。ぶつかりあい、互いの骨がきしむ音が響き渡る。
拳風と斬撃の烈風が交錯し、周囲に吹き荒れ、嵐のように巻き込んでいく。
「これで――ッ! 倒れろ――!」
捨て身の斬撃。ルイスは己に拳が降り注ぐのも構わず体を押し込み折れた銀剣をそのまま『アズマ』に押し込む。
鋼のような肉体に刺突の感触が伝わり、そのまま吹き飛ばす。
ルイスは肩で息を吐き出しながら、『アズマ』を吹き飛ばした方角を見やる。そこにあったのは、胸から血を噴出點せながらも、未だ倒れることのない『アズマ』であった。
しかし、それでもダメージを蓄積させることができた。
それは鋼のような肉体に与えた勝利への楔であった―――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
第三『侵す者』
武器持ち替え『灰遠雷』
こやつ、まさか…別人格たちが以前打ち倒したオブリビオンが言うておった相手か!
近接は不利。されどこの状況にて向くはわし。
作りたてじゃが、この弓とUCでどうにかするか。
この矢はかわしても無駄である。その身を穿つまで、どこまでも追尾する!
攻撃は第六感と戦闘知識にてどうにか避けるしかなかろ。当たったら
…戦うのが怖くない、といえば嘘になる。だが、それ以上に…放っておけぬのよ。守るものがある以上、放っておけぬ!
猟兵組織『秘密結社スナーク』の一員としてもの。
「――……戦うのが怖くはないのか」
その問いかけはあまりにも素朴な疑問であり、戦いの最中に問いかけられるものではなかったのかもしれない。
けれど、ボロボロになり、胸から血を噴出させながらも猟書家『アズマ』は猟兵達の攻撃を全て受け止めながら立ち上がってくる。
その姿は宛ら幽鬼であった。
修羅の如き力を振るいながらも、どこか覇気を感じさせない佇まい。漆黒の仮面で目元を覆っているが故に、その瞳が何を宿しているのかもわからない。
「こやつ、まさか……別人格たちが以前打倒したオブリビオンが言うておった相手か!」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の中の一人格である『侵す者』が、雷の力籠められし強弓を構え、『アズマ』と対峙する。
徒手空拳にて戦う者にとって、弓矢による遠距離射撃は為すすべのないものである。だが、相対する『アズマ』は弓矢を尽く躱す。
何か見えぬ物が見えているかのような足さばきにて神々が放った弓矢ですら躱してみせたのだ。
「近接は不利。されど、この状況にて向くはわし。作りたてじゃが!」
灰遠雷と呼ばれた強弓が呪詛を籠められ、その色を黒へと変貌させる。それこそが、彼らのユーベルコード、四天境地・雷(シテンキョウチ・カミナリ)である。
放たれた弓矢は雷そのものであり、雷鳴よりも疾き速度で飛来する弓矢を交わすのは至難の業である。
だが、放たれた弓矢を『アズマ』は僅かな体捌きで躱す。
それは驚愕なる光景であったが『侵す者』は構わなかった。ユーベルコード、四天境地・雷(シテンキョウチ・カミナリ)は彼ら悪霊の呪詛が籠められし弓矢を放つ。
その弓矢はたとえ躱されたとしても、分裂し追尾し続けるのだ。
「その矢は躱しても無駄である。その身を穿つまで、どこまでも追尾する!」
放たれた一矢が分裂し、次々と躱す『アズマ』を包囲するように周囲にまとわりつくように飛び続ける。
「それでも躱し続けるか……! だが!」
放たれた弓矢の一矢が、『アズマ』を捉え、動きを止める。そこへ次々と追尾していた弓矢が突き刺さり、その肉体を焼く。
「――……お前たちは戦うのが怖くはないのか」
再び飛来する雷の矢を、神をも断つ蹴撃が切り捨てる。避けられぬと悟った瞬間、その矢を撃ち落とす事に決めたのだろう。
次々と放たれる弓矢を拳で、蹴撃で叩き落とす姿は、まさに一騎当千であった。
「……戦うのが怖くない、といえば嘘になる。だが、それ以上に……放っておけぬのよ。護るものがある以上、放ってはおけぬ!」
そう、戦うことはいつだって恐ろしい。
痛みを伴う。喪うことがあるかもしれない。それは生命であるかもしれないし、己の生命よりも尊きものであるかもしれない。
それが耐え難い。
嘗て失いし者たちにとって、それこそが戦いにおける恐怖であったことだろう。
だが、それでもと彼らは己達を一纏めにしてでも立ち上がる。
何のためにと言われれば、彼らは応えるだろう。
「これ以上失わせぬために! 猟兵組織『秘密結社スナーク』の一員としてもの!」
再び万雷の如き弓矢が放たれる。
それは雨のように、雷鳴が鳴り止まぬ嵐のように『アズマ』へと降り注ぐ。
どれだけ手数が多かろうとも、雨の一粒を躱すことができるものなどいない。分裂し、追尾する雷の矢は、『アズマ』の体を焼き続ける。
嘗て喪った守るもの。
今はもう取り戻すことなどできようはずのないもの。
その記憶の残滓こそが、彼らの戦う理由であり、戦いの恐怖を踏み込めるための絶対たる理由。
「だからこそ戦うか。俺にはできぬことであったが――……」
その言葉は万雷の如きユーベルコードの輝きの元にかき消される。護るために戦う。そのために馬県・義透は戦う。
放たれた雷の矢が『アズマ』の肉体へと癒えぬ傷跡を刻み込んでいく。
倒しきれなくてもいい。
後につなぐのだ。消耗させ、傷を穿ち続ける。そうすれば、どれだけ強大なる者であったとしても、倒せぬ道理はない。
猟兵達の戦いは個にあらず。個として己の欲望を優先させるオブリビオンたちは、それを理解していない。
「わしらはもう失わぬために! もう他の誰も喪う哀しみに暮れさせぬ――!」
喪う恐怖を抱え、それでもと前を向いて戦い続ける。それを過去の化身が止めることなどできようはずもないのだから―――。
大成功
🔵🔵🔵
陽向・理玖
変身状態維持
こりゃすげぇ
マジ隙がねぇ
気圧されそうになるぜ
けど
背負ってるもんが違う
覚悟込め
イェンヨウが頑張ってくれた
次は俺の番だ
待ってろ
今片付ける
衝撃波飛ばし紛れる様残像纏いダッシュで距離詰め
暗殺用い死角からグラップル
拳で殴る
隙がねぇなら作ってやる
っかし
…強ぇ
どうしたらここまでなれんだ?
けど
どんな奴でも攻撃する瞬間は隙が出来るはず
凄ぇ一撃だけど
その瞬間狙うぜ
意識研ぎ澄まし
攻撃の瞬間狙いぎりぎりを見切りカウンター
ここだ!
UC
避け切れぬ時武器受けし流す
最悪武器も腕も一本位くれてやる
分かってんなら痛くねぇ
備えてりゃ踏ん張れる
ただ殺すだけのあんたとは違う
守るもんがある
だから俺は
まだ強くなる
蹴りの乱れ撃ち
万雷の如き雷の矢が降り注ぐ中、猟書家『アズマ』は未だに立っていた。
あれだけの攻撃の中、未だ倒れない姿は驚異的なものであった。だからといって猟兵たちが退くかと言えば、そんなことはない。
彼らとて生命の埒外にある者である。
例えオブリビオンがどれだけ強大な存在であろうと世界の趨勢がかかっている以上、退くことは決してない。
「こりゃすげぇ。マジ隙がねぇ……気圧されそうになるぜ」
陽向・理玖(夏疾風・f22773)は変身した姿である青い装甲の全身鎧に身を包んだまま、猟書家『アズマ』から発せられる重圧と傷を負いながらも一分の隙もなく乱れることのない構えの前に一瞬たりとて気が抜けぬ緊張の中にあった。
だが、彼とて猟兵である。
「背負ってるもんが違う……イェンヨウが頑張ってくれた……次は俺の番だ。待ってろ、今片付ける!」
背後に護るものがあるのならば、どんな敵にだって立ち向かうことのできる存在である。青い装甲が輝くように戦場となった大地を駆け抜ける。
幼き炎神イェンヨウがあれだけ死力を尽くして配下オブリビオンを倒すことに協力してくれたのだ。此処で立たねばなんとする。
拳から放つ衝撃波に紛れるように残像を纏い、一気に距離を詰める。
互いに徒手空拳であり、間合いは同じであろう。だが、それは見込み違いであった。己の踏み込みと『アズマ』の踏み込み、それがどうして同じであると言えようか。
踏み込みは神速のごとく。
一瞬で理玖の間合いに踏み込んでくる『アズマ』に苦し紛れであるが死角から放たれる鉤爪の如き奇跡を描く拳を振るう。
「……――殺す。おまえたちは例外なく殺す。わかるぞ……お前も、猟兵、だな」
その死角からはなった拳は確かに『アズマ』の顔面を捉えたはずだ。けれど、その拳をいなすように拳が放たれ、軌道を変える。
放たれた拳の一撃が理玖の装甲をひしゃげさせ、ヒビ割れる。
「隙がねぇなら作ってやる……なんて、っかし……強ぇ。どうしたら、ここまでなれんだ?」
あまりにも重い拳。装甲に包まれていなければ、いまの一撃で勝負は決していただろう。だが、紙一重とは言え、拳の一撃を凌いだことには変わりがない。
「――……業を背負うのではなく、宿すことだ……」
思いがけぬ返答。
けれど、それ以上の問答など必要なしと踏み込んでくる『アズマ』。あの拳を二度も受け止められない。
理玖は瞬時に理解し、けれど、覚悟を決める。
どんな相手でも攻撃する瞬間は隙ができるはずである。拳の一撃は確かに最強格の『神獣の番人』を一撃のもとに殺す威力である。
だからこそ隙が生まれるはずだ。
意識を研ぎ澄まし、攻撃の瞬間を狙い、ギリギリを見切る。
生死を賭けた戦い。
こちらの拳が届けばいいが、もしも届かなかったのならば。その先にあるのは死である。避けようのない運命。
だが、その運命を手繰り寄せ、己の拳で切り開くことができる。
「――ここだ!」
放つは灰燼拳。超高速の拳に寄る一撃。だが、理玖は見てしまった。
カウンターを狙って見きったはずだった。拳の一撃。それは『アズマ』より放たれる必殺の一撃。
しかし、『アズマ』から放たれたのは牽制の一撃であった。
最速の拳。それは所謂ボクシングで言うところのジャブ。放たれる速度と引き戻す所作はあらゆる格闘技の中で最速。合わせたはずのカウンターが見破られている。
凄まじき勝負勘。
「――ッ! 最悪武器も腕も一本位くれてやる。分かってんなら痛くねぇ!」
放った拳を立てにするように引き戻した拳から放たれる本命の拳を拳同士で受け止める。骨がひしゃげる音がする。
激痛が体を駆け巡る。だが、それでも止まらない。備えていたのならば踏ん張れる。
踏み込む。片腕の拳が砕けたのだとしても、関係ない。
「ただ殺すだけのあんたとは違う! 守るもんがある! だから俺はまだ強くなる!」
放たれた拳がひしゃげた拳のままユーベルコードの輝きを放ち、『アズマ』へと叩きつけられる。
その一撃は重たく拳が砕けようとも威力は変わらなかった。
「まだ、まだぁ――!」
裂帛の気合とともに放たれる蹴りの連打。
それに押されるようにして『アズマ』の身体が吹き飛ばされる。荒い息を吐き出す。未だ理玖は立っている。
「俺は――まだ立っているぞ!」
その咆哮は拳が砕けようとも折れぬ心と共に戦場に響き渡るのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
レナーテ・フレンベルク
◎アドリブ等歓迎
――なんて、圧倒的な存在感
単純故に強い……いいえ、単純にも関わらず
ここまでの強さを持つだなんて、一体何者なの?
気にはなるけど、悠長に聞いている余裕は無さそうね
■戦闘
圧倒的な個の力に対し、個の力で立ち向かうのは不利
ならば此方は、それをも圧し潰す数の力で対抗しましょう
他の猟兵が戦っている間に【UC】の詠唱を開始
……流石に魔力の流れや気配で気付かれるでしょうけど
詠唱が終わるまでの間、ヒルデと死霊達に文字通り
死守させる事で【時間稼ぎ】を図る
詠唱が終了次第【UC】発動
まずは召喚した船を相手に向かい落とす、大質量による【重量攻撃】
その後は船から出てくる死霊の戦士達の【集団戦術】で仕留めるわ
猟兵に寄る打撃にふきとばされた猟書家『アズマ』が再び態勢を整えて立ち上がる。
ゆらりと幽鬼のような佇まいは、その意志の希薄さをしめすかのようであり、未だ衰えぬ拳足の技の冴えは猟兵たちにとって脅威そのものであった。
「――……何者も殺す。殺されぬ者だけが生き残ればいい。殺す……殺す……」
目元を漆黒の仮面で覆った顔からは感情の起伏を見出すことはできない。
けれど、一つだけはっきりとしていることがある。
彼はオブリビオンであり、その経緯がどうあれ猟兵とは滅ぼし合わなければならない存在であるということだ。
「――なんて、圧倒的な存在感。単純故に強い……いいえ、単純にも関わらず、ここまでの強さをもつだなんて、一体何者なの?」
レナーテ・フレンベルク(幽玄のフロイライン・f25873)は対峙する猟書家『アズマ』の凄まじき力を目の前にして感嘆する。
単純故の力。
そんな生易しいものですらない。修羅の如き力は、徒手空拳であったとしても生命の埒外にある猟兵すらも追い詰める。
その生涯に如何なることがあって、この様な事態になったのか。そこに興味を見出すことはできても、悠長に聞く余裕などあるわけもなかった。
だが、それでも猟兵達の攻撃によって消耗してきているのだろう。
構える姿は一分の隙もない。けれど、あちらから打って出てくることはない。カウンター狙いなのだろうかと思うほどに地に足をつけた構え。
「……圧倒的な個の力に対し、個の力で立ち向かうのは不利…‥ならば此方はそれをも押しつぶす数の力で対抗しましょう――来たれ、黄昏の海を駆ける船よ。その忌まわしき姿を此処に現し給え」
その詠唱は彼女の死霊術でありユーベルコードである。
その詠唱は彼女の言う通り、数で個を圧殺する力。強大故に魔力の流れは感知されるだろう。そうでなくても対峙するのは猟兵とオブリビオンである。
滅ぼし合わなければならないのであれば、静観する理由などなく。
「――……ッ、ヒルデ!」
それは偶然であったのかも知れない。レナーテの瞳がふせられた瞬間、瞬きの如き間隙に『アズマ』が神速の如き踏み込みでレナーテへと突っ込んでくるのだ。
それを巨骸ヒルデが押し止める。
死霊たちも『アズマ』を押し留めようとするが、その拳、蹴撃は尽くを打ち払い、死霊達を霧散させていく。
死霊すらも打ち倒す拳は、凄まじき力を宿しているにもかかわらず、どこか美しさを感じさせるものであったかもしれない。ヒルデたちはレナーテを死守するべく抵抗を続ける。
特別である巨骸ヒルデでさえ手を焼く『アズマ』の拳足の鋭き一撃は、その巨骸の身体を打ち貫かれていく。
「控えなさい……貴方が如何なる者であるかは知りません。ですが、それ以上の狼藉は許さない。終焉の時より来たる船(ヴェルトエンデ・ナグルファル)よ、彼の者に、その終焉を与えなさい」
彼女のユーベルコードが輝く。
それは巨大なる死者の船。天空より召喚された大質量の船が頭上より『アズマ』を襲う。本来であれば、その船に載せた朽ち果てた姿の戦士たちの幽霊を送り出す船であったが、今回は違う。
「これだけの大質量であれば―――!」
船自体をぶつける。これだけの大質量であれば圧壊させることも敵うだろう。だが、それは驚愕為る光景であった。
船の先端を掴み、まるで投げ技をするように船を『アズマ』は投げはなったのだ。骨が軋む音は、船の竜骨か、それとも『アズマ』の腕か。
だらりと落ちた『アズマ』の腕。おそらく関節が外れたのだろう。
地響きを立てるようにして死者の船が大地に失墜する。だが、そこでレナーテのユーベルコードは終わらない。
船内から幾多もの死霊の戦士たちが剣や槍、弓で武装し『アズマ』を押し込むように襲いかかっていく。
「なんて、出鱈目な……! でも、これで消耗させられるはず!」
次々と襲いかかる死霊の戦士たちを『アズマ』はその鋭き拳足で吹き飛ばしてはいるが、勢いがない。
船を投げ飛ばすという離れ業を行ったせいだろう。消耗も激しいはずだ。外れた肩を入れる間すら与えずにレナーテの召喚した戦士たちが時間を稼ぐ。
「――……これだけの数を用意しても、尚戦うのね。恐ろしく強い……けれど、悲しい人ね。己の欲望無く、けれど誰かの願いを叶えるためだけに戦っているような……」
レナーテは巨骸『ヒルデ』にガードされたまま、死霊の戦士たちと戦い続ける『アズマ』を見やる。
あの戦い方はどこか破滅的であった。いまは仕留められなくても、恐らく消耗し自滅するだろう。
だからこそ、レナーテは見守ることにしたのだ。嘗て在りし日を幻視しながら―――。
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
恐ろしい強敵ね
カラテの練度ではまだ及ばないし、相当のリスク背負う必要があるわ…
・方針
カウンター狙い一択ね
真っ直ぐ立って、奴の桁外れの殺気を脱力で受け流すわ
「来なさい」
恐れずに奴の拳を受けて立つ
姿勢を乱さず、体幹を意識し、真っ直ぐに見据えて真っ直ぐに食らうわ
僅かでも怯んでは駄目だから【気合】ね
体勢が崩れなければ、【野生の勘】で致命的な個所をずらしにいくわね
骨は砕けるけど【激痛耐性】で
反撃に、その腕を飛び十字固めで【カウンター、捕縛】
片足で頭部を固定し、反対の膝を跳ね上げ、獅子の顎のように頭部を挟み潰すわ。威力増加には重力ね【グラップル、怪力、属性攻撃、重量攻撃】
「獅子噛よ……冴えた名前でしょ?」
死霊の戦士たちが猟書家『アズマ』に群がるように殺到し、その肉体を消耗させていく。ふきとばされる死霊の戦士たちの最後の一体が立ち消えた時、才堂・紅葉(お嬢・f08859)は、その戦い振りを見て『恐ろしい強敵』であるという認識を改めた。
恐らく紅葉の徒手空拳の練度と『アズマ』の練度は未だ及ばぬものがある。戦うというのならば、相当のリスクを負わねばならない。
紅葉をして、そう覚悟させるオブリビオン……それが『アズマ』であった。
「――次は……お前か」
外れた肩を入れ直し、『アズマ』が紅葉へと視線を向ける。
怖気が背中に走り抜ける。
荒々しい殺気ではない。ただ、目の前に在るというだけで向けられる意識。それを殺気と認識していしまうほどの凄まじさ。
この殺気を向けられれば、誰もが慄くことだろう。
けれど、猟兵は違う。彼らはどれだけの殺気にさらされようが臆することなく立ち向かう。それは彼らが生命の埒外に在る者であり、真に心に勇気を保つ者であったからであろう。
「――来なさい」
恐れは在る。けれど、恐れない。
そう言葉を紡いだ瞬間、紅葉の眼前に迫っていたのは最強格の神々すらも一撃のもとに皆殺しにした『アズマ』の拳であった。
肩の力を抜く。
脱力というものがある。それは一切の力を受け流す力である。姿勢を崩さず、意識するのは体感。
脱力が極まれば、それすなわち己の体は水と為す。いくら拳を水に突き立てたとて、水は殺せぬ。
ただ形を変えるだけである。それもまた人体であるが故の特性であろう。
「……脱力……己を水と為すか。だが――……」
放たれた拳を真っ向から見据え、紅葉は額で受け止める。骨が砕けるような音がする。頭が揺れる。
だが、それは僅かでも怯んでしまえば、紅葉の頭はきっと西瓜のように砕かれ、割れていたことだろう。
額から血を流しながらも、紅葉の瞳は閉じられることはなかった。真っ直ぐに見据える。
漆黒の仮面に覆われて、『アズマ』の瞳は見えない。
けれど、互いの視線が交わるような気がした。一瞬の交錯。
放たれた拳の一撃の痛みは凄まじいものだった。けれど、紅葉はまばたき一つ、悲鳴の一つも上げず、額を割って溢れる血潮のままに『アズマ』を見据える。
本来であれば、このような体術は己には似合わないと紅葉は思っていた。けれど、今はなりふりをかまっていられる状況ではない。
瞬時に放たれた拳を捕まえ、トビ十字がためで捕縛する。完全に極まった瞬間、流れるような動作で片足で『アズマ』の頭部を固定し、反対の膝を跳ね上げ、獅子の顎のように頭部を挟み込む。
それこそが、ハイペリア重殺術・獅子噛(シシガミ)!
「コード・ハイペリア!」
その拳に輝く紋章とともに封印限定解除の高重力場によって加重された重さが開放され、挟み込んだ『アズマ』の頭蓋を砕かんと放たれる。
頭蓋が砕ける音がした。
そのまま潰し噛み砕かんとするが、その重力場であっても紅葉の体を振りほどく『アズマ』。紅葉は振りほどかれて大地に降り立つ。
「――……見たことのない技だ。名は」
『アズマ』の口が響く。
それはどちらに対してであっただろうか。技の名か。それとも紅葉の名に対してか。
「獅子噛よ……冴えた名前でしょ?」
額を割って流れる血潮は互いに同じ。
けれど、不敵に笑って紅葉は流れる血を舌で舐め取る。互いに一進一退。けれど、凄まじき獅子の顎によるハイペリア重殺術の一撃は、『アズマ』に癒えぬ傷を刻み込むのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ネメシス・インフィニー
「猟兵組織『秘密結社スナーク』の戦士・ネメシス・インフィニー。
引き続き、只今参上!!この地球は狙われている」
くるくるしゅぴん!!
格闘家vsうさぎ…。ギャー毛皮抜かれる―。
あ、山じゃないから大丈夫か(ぁ)
『早業』『ダッシュ』で『存在感』ある『残像』生み出して、翻弄しつつ接近うさ~
残念。それは存在感ある残像だ!
残念。それは質量がある本物だあべしッ。
それじゃあ行くの~。
ユーベルコード『ウサギの勇気が世界を救うと信じて』を発動うさ。
UCの効果を纏った小烏丸で『切り込み』『切断』するうさ~。
おいらに断てぬものなし~?
うさ~~~(ノックバック現象にのたうち回る毛皮)
アドリブや連携は大歓迎うさ
どれだけ敵が強大なるオブリビオンであったとしても猟兵たちは諦めない。
退くことはない。どれだけの恐怖に苛まれていたとしても、退いてしまえば即ち世界の崩壊である。
『スナーク』は恐怖の代名詞として世界に刻まれ、『超生物スナーク』の誕生に一歩また近づくだけだ。
「猟兵組織『秘密結社スナーク』の戦士・ネメシス・インフィニー(ヴォーパルバニー・f21907)。引き続き、只今参上!! この地球は狙われている」
空中で一回転し、華麗に降り立った時計うさぎのネメシスは、猟書家『アズマ』と対峙する。
すでに『アズマ』は猟兵達の攻撃によって消耗させられている。額は割れ、肩は一度抜け落ちている。
さらに体はどこもかしこも傷だらけだり、無事な部分などどこにもない。
「……猟兵は殺す。例外はない」
構える姿に未だ衰えはない。
どれだけ消耗させられていても、その構えは優美であり精緻。これで本当に消耗しているのかと疑うほどの重圧であったが、ネメシスは構わなかった。
敵が消耗しているのならば一気に勝負を着けなければならない。
すでに『スナーク』の名は恐怖の代名詞ではなく、希望の代名詞へと固定されようとしていた。
だからこそ、猟書家『アズマ』を討たねば、再び配下オブリビオンを『スナーク化』されてしまう。
残像を残すほどのスピードで翻弄しながら『アズマ』に接近するネメシス。
時計うさぎのふわもことした毛皮がなびきながら、その残像に次々と『アズマ』の拳が放たれていく。
「残念。それは存在感ある残像だ! 残念。それは質量がある本物だあべしっ!」
時折本物のネメシスにも打撃が飛んでくるのは、『アズマ』が正確に拳を放っているせいだろう。
その拳の速度は尋常ならざるものであった。どれもが『神獣の番人』たる最強格の神々を葬り去った一撃である。
当たれば痛いで済まない。
「それじゃあ行くの~!」
それでもネメシスは態度を崩さない。痛みにあえぐのは今でなくていい。なぜなら、ウサギの勇気が世界を救うと信じて(ウサギノユウキガセカイヲスクウトシンジテ)いるからだ。
ユーベルコードにそのつぶらな瞳が輝く。
それは手にした小烏丸にまとわせたユーベルコードが放つ輝きであった。振るわれる斬撃の一つ一つに麻痺の力、吸血の力、毒の力が宿り、奮う度に『アズマ』の肉体を切り裂き、血を噴出させる。
吸血の力によって『アズマ』の体力を奪い、毒を流し込む。麻痺させる力によって『アズマ』の動きが鈍るが、すぐに動き出すのが猟書家としての実力なのだろう。
「おいらに断てぬものなし~?」
だが、限界を超えた動きの代償はすぐさまネメシスの体を蝕む流血となって現れる。
「代償を使ってでも止めようとするか――……痛みを恐れないのならば」
放たれた神速の蹴撃がネメシスの毛皮を刈り取る。
はらりと落ちる毛皮を尻目にネメシスは戦場を賭け続ける。流血しつづけながらも、それでも小烏丸を振るい続ける。
少しでも『アズマ』の体力を削り取らなければならない。
誰もが一人で『アズマ』を倒すことはできない。個としてのオブリビオンは個としての猟兵を凌駕する。
それは変わらない。だからこそ、ネメシスも次につなげるのだ。限界を超えて振るったネメシスが最後に一刀深く『アズマ』の体へと斬撃を繰り出し、そのまま駆け抜けていく。
「うさ~~~」
どこか遠くでユーベルコードの代償による流血の痛みにのたうち回るふわもこ兎のネメシスの声が響き渡るが、それでもネメシスは『アズマ』の力を大きく損なうことに成功したのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
久瀬・了介
殺すだと?言うのが半世紀程遅いぞ。
今度は俺の番だ。殺すのは俺だ。殺されるのは貴様だ。
正面から向かうな、策を打て…理性の声を無視し、怨念武器を大鉈に変えて真正面から斬りかかる。合せ鏡の様な殺意が無限に重なり衝動が暴走。エンジンの電力で肉体を強化し防御を捨てた全力攻撃。
反撃を食らい体が破壊されても、肉体を捨て復讐の怨霊…【戦場の亡霊】と化し攻撃。
暴力による復讐は正しいのか、無意味なら未しも悲劇を重ねる愚行ではないのか…僅かに残った自身の行為への迷い…戦う事への恐怖が霧散する。最早殺意しかない。
武器も電撃もいらない。凝縮した純粋な【呪詛】を込め【貫通攻撃】【精神攻撃】。怒りの拳で敵の魂を撃ち抜く。
猟兵の放った斬撃が猟書家『アズマ』の肉体に癒えぬ傷跡を残していく。
止まらぬ流血は、それ自体がユーベルコードによって刻まれた毒そのものである。だが、血まみれになりながらも『アズマ』は構える。
どれだけ消耗させられても構える姿に崩れ、衰えはない。否。傷つけられて益々力が漲るようであった。
「……殺す。目の前に立つ生命は全て殺す。鏖殺する。それが、この業ならば」
漆黒の仮面に覆われた目元は未だわからない。
けれど、その言葉は確かな重圧となって対峙する猟兵達の肌を焼く。ただ其処に在るという重圧だけで対峙する者へと掛けられる圧は凄まじい。
「殺すだと? 言うのが半世紀程遅いぞ」
だが、その重圧に屈する猟兵は誰一人としていない。
久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)の重たい言葉が響き渡る。オブリビオンによって全滅させられた舞台の最後の一人にして、亡霊。デッドマンである彼にとってオブリビオンとは強弱の差はあれど殺すことに変わりはない。
「今度は俺の番だ。殺すのは俺だ。殺されるのは貴様だ」
漲る殺意が了介の体の内側から広がっていく。
それはともすれば、その体に埋め込まれたヴォルテックエンジンが変換する魂の衝動であったのかも知れない。
その衝動は尽く理性を凌駕していく。
僅かに残った理性が言う。
あの怪物の如き『アズマ』と正面から向かうなと。策を講じ、かの敵を討てと。そうささやく理性がある。
だが、そんな理性が了介を止められるわけがない。
魂の衝動の前に理性など立ちはだかる障害はなりはしない。今まさに了介はオブリビオンと対峙しているのだ。止められるわけがない。
怨念が姿を変えた大鉈を手に真正面から駆け込む。振りかぶった怨念が物質化した刃を振るうが、それよりも速く岩をも砕く拳が了介の顔面を打つ。
血が吹き出し、鼻がひしゃげる。
だが、その程度で止まるわけがない。振るった大鉈が空を斬る。圧倒的な体捌き、最小の動きで躱されてしまう。
再び了介の肉体を打つ蹴撃。腕がへし折れる。
「これだから――……戦いは怖いのだ」
それは鬼気迫るものがあった。了介は、その殺意を膨れ上がらせ魂の衝動が暴走していくのを止められなかった。
止められるわけがなかった。悪霊にしてデッドマンである彼にとって、それこそが存在意義である。
オブリビオンは殺す。全て殺す。
それが彼の為すべきことであり、魂としての在り方であった。それを止めるということは即ち死ぬということだ。
「お前は殺す。俺が殺す。全て殺す」
それは合わせ鏡のようなものであった。『アズマ』もまた同じであろうが、その内面は全く別物であった。
肉体が破壊されていく。それはヴォルテックエンジンが変換し、出力する電流に肉体が耐えられないという意味で、だ。
「暴力に寄る復讐は正しいのか、無意味なら未しも悲劇を重ねる愚行ではないのか……」
それは彼の心の内側の葛藤であり、ためらいであったのかも知れない。戦うことが恐ろしいと言ったのは『アズマ』であり了介であった。
だが、すでに彼の肉体はボロボロである。それでも前に進む。どれだけ肉体を破壊されても止まらない。
魂の衝動が在る限り、了介は戦うことをやめない。
戦場の亡霊の如く肉体から復讐の怨霊として電流迸るような魂の形が現出する。それは肉体を捨て、純粋なる魂のそのものとして『アズマ』に迫る。
もはや言葉はいらない。武器も、電撃も必要としていなかった。
そこにあったのは凝縮した純粋な呪詛。
オブリビオンを呪い、オブリビオンの存在を許さぬ呪詛。放たれた拳の一撃は、怒りそものであった。
何故失われなければならなかったのか。
その問いかけだけが魂の衝動の中で駆け巡り、放たれた怒りの拳が『アズマ』の肉体を通り抜け、魂そのものに打撃を加える。
「―――ッ!」
僅かに残っていた自分自身の行為への迷いは、もはやどこにもないのだ。
恩讐の彼方にあるものも見つからない。見つけられない。猟書家『アズマ』の魂に触れる拳の一撃だけが、その事実を了介の魂に教えているのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
アレクサンドル・バジル
殺す殺すうるせーよ。せっかく良い腕してるのに台無しだぜ?
行動で示して見せろ。『スナーク』の一員として相手をしてやるぜ。
あ〜イェンヨウ君は下がってな。コイツは俺のお楽しみだ。
同じ素手巧者としてゴッドハンドの技巧を尽くして戦います。
一撃必殺の『万象斬断』は常時発動
(グラップル×怪力×第六感×見切り×カウンター)
戦いなかで相手の動きを見極め(瞬間思考力×見切り×学習力)
チャンスを作って渾身の一撃を。(貫通攻撃)
生前のお前と戦ってみたかったぜ。
(腕はオブリビオンの今が上としても戦って怖いのは生前であろうと)
アドリブ歓迎
猟兵と猟書家との戦いは苛烈を極める。
数多の猟兵たちが強大な力を持つ猟書家『アズマ』を徐々に消耗させていく。それは猟兵たちにとってオブリビオンと戦うことにおいて常なることであった。
個であるオブリビオンの力は強大であり、個としての力の差は歴然である。だというのに常に猟兵たちはオブリビオンに勝利してきている。
それはなぜか。
たった一人という個で戦っていないからだ。オブリビオンを打倒し、世界を救う。ただその目的のために様々な猟兵達集い、力をつくし、紡いでいくからこそ強大なるオブリビオンを打倒せしめるのだ。
「猟兵は殺す。それはオブリビオンであるがゆえに避けられぬ戦い……殺す。お前も、殺す――……」
猟書家『アズマ』の視線は漆黒の仮面に隠されているが、それでも対峙する猟兵を見据える。
「殺す殺すうるせーよ。せっかく良い腕してるのに台無しだぜ?」
アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は呆れたように視線を『アズマ』と合わせる。
対峙するだけでわかる。あの力量の凄まじさ。ゴッドハンドと呼ばれる力を有しているが故に、鮮烈なる印象としてアレクサンドルに伝わってくるのだ。
「殺れるものなら殺ってみな。行動で示してみせろ。『スナーク』の一員として相手してやるぜ」
幼い炎神イェンヨウを下がらせ、アレクサンドルは構える。
同じ素手巧者である以上、ゴッドハンドたる技巧を全て出し尽くすつもりなのだ。
その手に纏うは万象斬断(ナンデモキレル)の力。魔力がまとわりつき、その拳足の全てが鋭き斬撃のような力を発揮する。
そここそがアレクサンドルのユーベルコードであった。
「全く同感だ……ままならないな――……」
瞬間神速の踏み込みで互いに踏み出す。
それはほとんど同時であった。互いの踏み込む速度は互角。鋭き拳が勝つか、それとも巨岩を砕く激烈なる拳が勝つか。
離れる拳足の応酬が『センターオブジアース』に吹き荒れる。
互いの一撃一撃が重い。『アズマ』はこれまで数多の猟兵たちと戦い、消耗してきているというのに、未だ業の冴えは衰えない。
それどころか攻撃の質がましてきているようにさえ思えてしまう。
「生前のお前と戦ってみたかったぜ……!」
アレクサンドルは拳を交えながら、そう呟く。
オブリビオンと化して能力は向上しているのだろう。だが、アレクサンドルは今、『アズマ』に恐怖を感じていなかった。
虚ろなる意志。
そうとしか感じないのだ。どれだけ技量が、力量がかけ離れていたとしてもアレクサンドルは負ける気がしなかった。
「ああ、そうさ、負ける気がしねぇ! お前はすでに過去の化身! そこで止まっているんだからな!」
それに負けるわけがない。
今よりも、もっと先へ。己はそこへ行くことができる。『アズマ』の名を持っていたとしても関係がない。戦いの最中にアレクサンドルは成長する。
互いの拳は常に必殺の一撃。
それをギリギリのところで互いに躱し、受け流し、受け止めながら互いの拳を測り続ける。
「そこだ―――ッ!」
渾身の一撃。
すでに『アズマ』の動きは見切っていた。
これが生前であれば、こちらの学習にすら対応してきたことだろう。『アズマ』の戦いのスタイルは徒手空拳であるが、相手の力量を限界まで引き上げた上で相手を下すものだ。
それは常にギリギリの戦い。相対するものの全力以上を引き出すが故い『アズマ』自身もまた限界を越えていく。そんな戦いを生前にしていたのだろう。
だが、今は其処には居ない。
あるのは過去の化身という存在のみだ。放たれた手刀の一撃が『アズマ』の胸を貫く。
「勝負あったな―――次は……いや、次などないか」
アレクサンドルは貫手を引き抜き『アズマ』を吹き飛ばす。
己の全力は全て引き出した。
後は続く猟兵たちに任せるほかない……オブリビオンと化したからこそ、人外ならざる力を発揮する。
今のアレクサンドルは嘗て在りし日の『アズマ』を打倒したにすぎないのだ。だからこそ、アレクサンドルは惜しいと、そう思うのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
(犠牲となった神々に黙祷を捧げ)遅くなりましたが、今からでも為すべき事を為しましょう。
相手は神をも殺す拳士。
近距離戦では敵いませんね(同胞を殺された怒りはあれど、同じ轍を踏まぬ様、冷静に)。
UC発動して花びらを空中に散布。
同時に空中浮遊で浮かびつつ距離を置いて、多重詠唱による風と雷の属性攻撃を高速詠唱で放とうとします。
彼ならば瞬時に詰め寄って必殺の一撃を放てる筈。
故に第六感と見切りでタイミングを読んで、オーラ防御を纏った残像を残しつつ、念動力で詩乃の身体を水平に高速移動、空中戦能力で彼を躱しつつ、花びらで彼を包んで攻撃。
そして念動力で彼の身体を捕捉し、彼の身体を宙に浮かせたまま攻撃継続です!
ヒーローズアース、地球の中心たる『センターオブジアース』にて、一人の神が祈りを捧げる。
それは死せる神々を悼むものであり、『不死の怪物』の封印を守っていた『神獣の番人』たちの遺骸を弔う時間が今はないからである。
手早く略式であるが祈りを捧げた大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)もまた神の一人である。
駆けつけることが遅くなったことを侘びつつも詩乃は立ち上がる。
「今からでも為すべき事を為しましょう」
彼女の瞳は同法を殺された怒りを宿していたが、努めて冷静であろうとしていた。それは猟書家『アズマ』によって殺された『神獣の番人』である神々と同じ轍を踏まぬようにと冷静さを取り戻す。
数多の猟兵たちが戦いに参加し、猟書家『アズマ』を消耗させていく。
それは猟兵達の戦いにとって見れば当然の戦いであった。個での能力はオブリビオンが勝る。
けれど個としてではなく猟兵という全体で戦いに赴く彼らにとって戦いとは繋いでいくものである。
どれだけ強大な存在であっても、己が倒せなくても続く猟兵たちに託す形で紡がれてきたチャンスだ。
「ご、ふ―――っ……!」
猟兵が放った貫手が『アズマ』の胸を貫く。血反吐を吐きながらも幽鬼のようにゆらりと立ち上がる『アズマ』の姿は、オブリビオンであったとしても見事であった。
その体は度重なる攻撃によって消耗していたが、それでも構える姿に乱れはなく、優美にして精緻なるものであった。
「……猟兵は殺す。神であろうと、人であろうと、前に立つ以上、殺す……」
そこに在ったのは凄まじき重圧。
空中に浮遊し、花嵐(ハナアラシ)のように光をまとい全てを浄化消滅する桜の花びらを舞い散らせながら、詩乃は『アズマ』を見下ろす。
「今より此処を桜花舞う佳景といたしましょう―――貴方の凶拳、ここで止めてみせましょう」
『アズマ』の得意とするのは徒手による攻撃。
詩乃は距離を取りながら風と雷の多重詠唱と高速詠唱によって、懐に入らせぬようにと『アズマ』を足止めする。
それは油断ならぬが故であった。
かの猟書家『アズマ』であれば、これだけ距離をとっていても瞬時に詰めてくるだろうことは容易に想像できた。
それほどの相手なのだ。だからこその空中戦。念動力によって水平に飛ぶ詩乃を捉えることは至難の業であろう。
花嵐の花びらは触れるだけで浄化する力を持っている。迂闊に触れることはできないだろう。だからこそ、『アズマ』を此処に押し留め続ける。
「……足場がないわけでは、ない――……」
その言葉に詩乃の背筋が泡立つ。
瞬間、『アズマ』は触れれば浄化消滅するはずの舞い散る花びらを足場に詩乃との距離を詰めてきたのだ。
「なんたる絶技――! ですが!」
迫るは『アズマ』の拳。あの拳が神々を次々と屠った拳であることは間違いない。あれを受ければ詩乃とてタダでは済まない。それこそ、脳裏に浮かぶは『死』のイメージ。どうしようもないほどの痛烈なる一撃であった。
だが、その絶技を持ってしても詩乃には届かない。ユーベルコードが輝き、詩乃放った花嵐の如き光放つ花びらが『アズマ』の体を包み込み、捉え念動力によってさらぬ捕縛する。
「……二重の捕縛……持ち込みたかったのは空中戦か」
「そうです。貴方が徒手にて戦う者であるのならば、その体を支える大地こそが、貴方の真なる味方。此処空中に置いては、その力は発揮できないでしょう!」
放たれる雷撃と風の刃。
それは捕縛した『アズマ』の体をさらに打ち据え、その力をそいでいく。けれど、念動力とユーベルコードに寄る捕縛も振りほどかれてしまう。
「……同胞を殺された怒りはあります……ですが、貴方になぜとは問いません。その虚ろなる魂に救いが訪れることを……」
詩乃はわかっていた。
虚ろなる意志。それが何を示すのか。戦ってみてわかる。本当に『アズマ』にこちらを殺す意志があるのであれば、瞬時に勝負を決めていたであろう。
だが、それをしなかった。
それを詩乃は感じ取り、だからこそ願うのだ。あの虚ろなる意志に救いがあって欲しいと―――。
大成功
🔵🔵🔵
緋薙・冬香
ちょっと出遅れちゃったけどメインディッシュには間に合ったかしら
さ、気合入れていくわよ!
体格もパワーも負けてそうだし出し惜しみはナシ
【血統覚醒】で強化してから【魅せる脚】で仕掛けるわ
ダッシュで一気に間合いを詰める…と見せかけて(フェイント
第六感で拳が動くのを察知したら
即座にスライディング
拳を掻い潜りつつ
下から顎目掛けて蹴り上げる!
「ごめんなさいね、足癖悪くて!」
蹴りが当たった場所を基軸に蹴り技の連続攻撃(攻撃回数重視
反撃はシュピーゲルの障壁で受け止めつつ後ろに飛んで衝撃を相殺
それじゃトドメいきましょうか
「冬の香りがもたらすのは、あなたの終わりよ」
勢いをつけた後ろ回し蹴りで勝負!
※アドリブ連携OK
猟兵のユーベルコードと念動力に寄る捕縛を振り切った猟書家『アズマ』は空中から大地に激突する。
受け身を取れる態勢ではなかったけれど、それでも見事に受け身をとって立ち上がる姿は既に満身創痍であった。
胸は貫かれ、一度は肩を外していた。さらに体に打ち込まれる攻撃の数々は、猟書家と言えど消耗を隠し通せるものではなかった。
けれど、構えた姿は未だ衰えを見せない。
どこまで体力があるのか。化け物じみたタフネスは、オブリビオンであるからという言葉だけでは証明できない凄まじさが在った。
だからこそ最強格の神々『神獣の番人』たちをも皆殺しにできるほどの力があるのだろう。
「ちょっと出遅れちゃったけど、メインディッシュには間に合ったかしら! さ、気合い入れて行くわよ!」
ヒーローズアース、『センターオブジアース』に駆けつけたのは、緋薙・冬香(針入り水晶・f05538)であった。
つややかな黒髪をなびかせ、大地を疾走し一気に『アズマ』との距離を詰める。
だが、その動きは直線的すぎた。
並のオブリビオンであれば、その踏み込みだけで大抵の場合は攻撃の予備動作として完璧であったのかもしれない。
けれど、冬香は対峙してよくわかっていた。
この重圧。気を抜けば次の瞬間に大地に倒れ伏しているのは自分自身であると幻視できるほどの圧倒的な力量。
それは体格やパワー、それぞれにおいて己が負けているという自覚から来るものであったが、それはある意味で正しかった。
「でも、だからといって戦わないという選択肢は――ないのよね!」
それは第六感のような勘所の冴えであった。
『アズマ』の拳が動く。神々であっても防ぐことのできなかった拳の一撃。瞬間的に冬香は身をかがめ、勢いのままにスライディングして拳の一撃を躱す。
拳圧が衝撃を海、彼女の髪を一気に薙ぐ。
一瞬でもタイミングがずれていたら、吹き飛んでいたのは己の頭であったことだろう。
「ごめんなさいね、足グセが悪くって!」
そのまま低い体勢の下から放つは『アズマ』の顎を狙う蹴撃。完全なる不意を付いた一撃は、しかし、既の所で『アズマ』の顎をかすめる。
「……ッ! お前は……殺す。その、足技は、見事だ――……」
グラリと、かすめただけでも『アズマ』の態勢が傾ぐ。
「あら、見たいの? 魅せられないよう気をつけなさい?」
そのままレガリアシューズの爪先を『アズマ』の首に引っ掛けつつ、状態を起こし、その足を起点に連続で蹴り技が顔面に炸裂する。
その妙技とも言うべきは、魅せる脚(トウカ・ザ・アーツ)。まるで空中に舞うように冬香の身体が翻り、着地する。
「――ッと! 即座に反撃って、本当に頭揺れてないのね!」
確かに蹴撃は『アズマ』の能を揺らしたはずだ。けれど、それを物ともせずに着地した冬香めがけて放たれるは神々すらも砕く拳。
それを掌に展開させた『鏡』の名を持つ赤光の障壁が防ぐ。だが、その拳は障壁を砕き、冬香へと迫る。
「障壁が役に立たないなんて―――……でもね!」
放たれた拳を掴み、ぐるりと一回転するように体を捻り、鉄棒でもするように空へと舞い上がる身体。
こちらが体格とパワーで劣るのであれば、その力を利用するまでである。女性としてのしなやかさ、柔軟さは男性の身体にはないものだ。
それは『アズマ』も理解していたことだろう。補うのは速度によってだ。
「冬の香りがもたらすのは、あなたの終わりよ!」
空に舞い飛ぶ冬香の勢いに乗せた踵落としが『アズマ』へと叩き落される。しかし、その一撃すらも『アズマ』の交錯させた腕が防ぐ。
「そうよね、そうなるわよね! だから!」
振り抜いた踵落とし。その足を軸足として勢いをつけた後ろ回し蹴りが炸裂する。『アズマ』の側頭部をしたたかに打ち据え、そのユーベルコードの名『魅せる脚』の如く、華麗なる舞を披露するように吹き飛ばすのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ラファエル・ノックハーツ
……ヴィランなり普段のオブリビオンなら、口喧嘩タイムなんだけどナ~…殺す一辺倒かよ…
悪いが俺ァ殺せねえ。命は正義に捧げたんでなぁ!!!
蹴りで物も切れるたぁね!カラテカじゃないな!?サムライだな!!
いくぜ【UC】インパルス!切れるほど早い蹴りだろうと、その足を〈怪力、早業〉の肘と膝で挟み砕く!動かねえなら切れる道理は無え、ものの見事に白羽取りだぜぇ?!膝肘で足りねえってんなら両手もあるぜ!!
会話パートが無いなら無いで単純!Just do it!!!
その身体だけで神さえ倒せる男…俺はあんたをォ!!超えて(OVER)いく!!
猟兵たちの戦いは常に人繋ぎの数珠である。
一人が渾身の一撃を籠めてもオブリビオンが倒れないのであれば、次なる猟兵が力を尽くす。
そうすることによって個としての力が勝るオブリビオンを数々打倒してきた。それが猟兵の最大の強みであったことだろう。
盛大に回し蹴りを受けてふきとばされた猟書家『アズマ』が立ち上がる。
その姿はすでに満身創痍であった。胸は貫かれ、肩は外れていたが入れ直していた。体中のあちこちに裂傷が走り、打撃を受けて本来であれば立ち上がることすらできなかったはずだ。
けれど驚異的なタフネスのままに立ち上がる姿は幽鬼のようでありながら、構える姿の優美さ、精緻なる構えはどこも損なわれていなかった。
「……猟兵は殺す。全て殺す。目の前に立つのなら殺す」
その漆黒の下面の奥にある瞳の動きはわからない。
「……ヴィランなり普段のオブリビオンなら、口喧嘩タイムなんだけどナ~……殺す一辺倒かよ……」
呆れたように、けれどどこか残念がるようにラファエル・ノックハーツ(オーヴァーマン!!!・f28352)が息を吐き出す。
その舌がオイルを差したように饒舌なのは改造の結果であったが、それでもそれはラファエルのポリシーのようなものであった。
「悪いが俺ァ殺せねぇ、生命は正義に捧げたんでなぁ!!!」
そう、殺されるわけにはいかない。
その魂に、心に正義が在る限り、ラファエルは死なない。駆け出した先に一瞬で間合いを詰めてくる『アズマ』。神速の踏み込みとはよく言ったものだ。
神々の最強格『神獣の番人』たちが尽く鏖殺されてしまったのも頷ける重圧である。これほどの相手をして一切の怯みがラファエルにはなかった。
放たれた蹴撃が空を斬る。
それは文字通り神すらも切断せしめる威力であり、ラファエルの真横を通り抜け、背後に在った大岩を両断する。
「蹴りで物も切れるたぁね! カラテタカじゃないな!? サムライだな!!」
その凄まじき蹴撃の威力に目をむいたのは一瞬だった。
即座に連撃が飛んでくる。
「いくぜ! IMPULSE "OVER" CLOCK!!!(インパルス・オーバークロック)! 切れるほど早い蹴りだろうと、その脚を―――!」
神経と感覚を意図的に研ぎ澄ます事で超々高速モードに変身したラファエルの瞳が『アズマ』の放った岩をも切断する蹴撃を見切る。
超々高速モードに変身した彼の視覚をして『アズマ』の蹴撃は凄まじい速度だった。目にも留まらぬというにはあまりにも速い。
最初の一撃を躱せたのは奇跡だ。
だが、その一つの奇跡で十分だった。ラファエルは視た。あの蹴撃の鋭さを。たったそれだけでよかった。
一度見たのならば、それに対応することは可能だった。
「躱せないってんならぁ! 超反応! 超反射! 超音速! 超高速ゥ!!!」
己の胴を両断せしめようとする蹴撃。
それを受け止めるのではなく、肘と膝で挟み込む。真剣白刃取り。その肘と膝を使った水平方向から放たれる一撃を凌ぐ業。
「――……懐かしい」
それは『アズマ』の口から漏れ出た言葉であった。火花散るように『アズマ』の脚とラファエルの膝と肘が激突し、刃の如き蹴撃を止める。
「動かねぇなら切れる道理は無ぇ! ものの見事に白刃取りだぜぇ?!」
だが、そのラファエルの胴を薙ぐのは蹴撃の衝撃波。
内臓が揺れる。
防いで尚、体に打ち付けられる衝撃はラファエルにとって未知のものであったかもしれない。
それでも折れはしない。この正義が燃え盛る心はいつだって何かを越えていくためのものであるからだ。
「その身体だけで神さえ倒せる男……俺はあんたをォ!!」
肘と膝の間で骨が砕ける音がした。パワーで劣る。技で劣る。ならば、後は。その心に宿る正義と勇気だけがラファエルの身体を押し上げる。
足りないものは己の生命を燃やして底上げする。それでも足りないかも知れないのならば、今此処で――!
ラファエルの胴を両断しようと放たれようとした2つ目の斬撃の如き回し蹴りはラファエルを両断することは敵わなかった。ラファエルは身体を押し込む。
密着した態勢からの打撃。大地を踏みしめる。その瞳が『アズマ』を見定め、その先を見る。
「超えて―――OVER―――いく!!」
放たれる拳が『アズマ』を捉える。
超々高速モードから得られるスピードを上乗せした拳の一撃が『アズマ』の肉体を吹き飛ばし、超常なる速度で追い越していくのだ。
それこそが、彼―――オーヴァーマン!!!
大成功
🔵🔵🔵
セルマ・エンフィールド
……そういえば、あなたは「スナーク」を名乗らないのですか?
そうなるとここで私が「スナーク」を名乗って敗北し、「猟兵組織スナークが負けた」と噂が広がる事の方がリスクですが……私たちがスナークです。
負ければ死ぬ戦いで、その後のことなど考えません。
【ニヴルヘイム】を使用、自身の半径92mに冷気を展開し、敵の動きを鈍らせると同時に自身の身体能力を強化。
さらに両手でデリンジャーを『クイックドロウ』、氷の弾丸の『乱れ撃ち』『弾幕』で接近させないように戦います。
こちらの弾幕を縫って踏み込まれ蹴りを放たれたら『見切り』ギリギリで回避、足を戻すよりも早い『クイックドロウ』で撃ち抜きます。
『超生物スナーク』の誕生に必要なのは、恐怖である。
その名が恐怖の代名詞として固定されることがオブリビオンにとっての最大の目的である。どこにでもいて、どこにもいない。けれど、人々の心の中から湧き上がる正体不明の敵『スナーク』は、それ故に無敵である。
だが、同時にその名は不安定なものである。
そこを猟兵たちは突いた。
未だ恐怖の代名詞として『スナーク』の名が固定されていないのであれば、己たちがスナークを名乗り、希望の象徴としての『秘密結社スナーク』をオブリビオンの目論見の上から重ねて塗りつぶせばいい。
だからこそ、今回の事件において猟兵たちは『スナーク』の名を名乗るのだ。
ゆらりとふきとばされた猟書家『アズマ』が立ち上がる。
すでに数多の猟兵達によって消耗させられているにも関わらず、それでもなお立ち上がってくる姿は尋常ならざるタフネスを持っていると言わざるを得ない。
「……殺す。全て殺す。人も、神も、何もかも殺す」
それは殺意というにはあまりにも虚ろなる意志であった。
目元を覆った漆黒の仮面の奥にある瞳は見えず、その虚ろなる意志がいかなるものかを知らしめることはなかった。
「……そういえば、あなたは『スナーク』を名乗らないのですか?」
猟書家『アズマ』に退治するセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は疑問を口にした。
これまでの経緯を見るに『アズマ』が返答するとは思えなかった。
セルマにとって、すでに答えは得ていたようなものだった。自身が『スナーク』を名乗らぬ理由。
それは猟兵が『スナーク』を名乗ることによって、これまで塗り重ねた猟兵たちの『秘密結社スナークが敗北した』という事実を強化するためだ。
セルマが『スナーク』を名乗り、『アズマ』に敗北することによって浮き上がるリスク。
「……――その名は俺には意味がない」
意外にも返答が帰ってきたことは驚きであったが、それはほんの数瞬。目の前にはすでに『アズマ』が神速の踏み込みで距離を詰めていた。
無手にて神々をも鏖殺する実力。
それをセルマは見誤っていなかった。
「私が限界を迎えるのが先か、あなたが斃れるのが先か……勝負といきましょうか」
セルマの瞳がユーベルコード、ニヴルヘイムに輝く。
それは限定的な時間であるが、周囲を絶対零度の冷気で覆う。『アズマ』の動きを鈍らせ、己の身体能力を底上げする。
だが、それでも『アズマ』の蹴撃の速度は凄まじい。
目で追うのがやっとである。冷気で鈍らせても尚、この速度。両手に携えたデリンジャーから放たれる氷の弾丸で距離を取りながらセルマは戦う。
どれだけ弾丸を放とうとも『アズマ』は何が見えているのか、その尽くを拳で、蹴りで撃ち落とし続ける。
「距離が……離せない……!」
どれだけ弾幕をはろうとも、『アズマ』は踏み込んでくる。
すでに多くの猟兵が消耗させた傷跡がある。胸は穿たれ、額は割れ、肉体のあちこちい裂傷が穿たれている。
さらにセルマのユーベルコードによって動きが鈍っているのに尚、食らいついてくる。
限界を超えている。
セルマもまたどうようである。超強化された体は、その代償に体のあちこちから血が吹き出している。
血管が耐えられずに流血しているのだ。だが、それがなんだというのだ。
負ければ死ぬ。
それが戦いの真理だ。後のことなど考えることなどセルマはしない。その青い瞳がさらにユーベルコードの輝きを放つ。
「――……自ら死地に置くか」
「私達がスナークです。この名を希望とともに語るためには――!」
デリンジャーの一丁が神速の蹴撃によって破壊される。武器破壊。
やはり、とセルマは思い至る。これまでの猟兵達の戦いを見てもそうだった。仕留めようとすれば一撃で仕留められるはずの実力。
だが、『アズマ』は尽く猟兵の攻撃を受け続けている。それはまるで相手の限界を引きずり出すかのような戦い方だった。
今の武器破壊もそうだ。
セルマの手の内を全て引き出そうとしている。この猟書家『アズマ』はそういう敵なのだと理解した瞬間、セルマは放たれる蹴撃の一撃を輝く瞳のままにギリギリで躱す。けれど、凄まじい蹴りの衝撃波が脳を揺らす。
歯を食いしばる音が頭に響く。瞬間、目にも留まらぬ速度で別のデリンジャーを引き抜く。それすらも見透かされ、引き抜いたデリンジャーを蹴りの一撃で破壊される。
「それは――……囮です」
そう、本命はもう一丁のデリンジャー。放たれた氷の弾丸が、『アズマ』の左胸を貫き、絶対零度の雪原に赤き血潮を咲かせるのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ジャム・ジアム
アドリブ歓迎
必要に応じ炎神に『QQ箱』で応急手当
神様、ありがとう。とても強い敵が来たわ。最後に少し力を借りてもいい?
サイコキャノンで『楔なる鋼』に【力溜め】を
動きを見せぬ瞳、恐ろしいわ
仮面と彼の言葉、どういう事なの?
近接戦を好むならきっと間合いも詰めてくる
戦士の力を借りるわ。『夢の御伽話』で召喚
私は敵と常に距離を取り炎神を【庇いつつ空中戦、ガラス蜘蛛でオーラ防御】
しっぽの針と謎のレモンの蔦を地面に放ち
【貫通攻撃・捕縛し足を鈍らせたい】
接近戦は戦士に託しカウンターに備え鼓舞し続けるわ
カウンターは全身の力を込めてこそ、一瞬の隙があるはず
『楔なる鋼』でありったけの念動力を乗せて魔力溜めの2回攻撃を!
『スナーク化』したオブリビオンの数は膨大であった。
それ故に協力してくれた幼き炎神イェンヨウの消耗は凄まじいものであったことだろう。そうでなくても戦いに慣れていない彼にとって、これだけ力を使ったのは初めてのことだった。
ジャム・ジアム(はりの子・f26053)はAIの搭載されたポータブルERを展開し、消耗しきった幼き炎神イェンヨウを休ませる。
「神様、ありがとう。とても強い敵が来たわ。最後に少し力を借りてもいい?」
その言葉にイェンヨウは頷く。
振り絞った炎の力がジアムの体を温める。
それはほんのりとした暖かさであったけれど、それでもジアムの体の奥底から力が湧き上がってくるのを感じた。
「ありがとう、神様。がんばってくるわね」
そう言ってジアムが駆け出す。腕に嵌めた腕輪が増幅器となってサイキックエナジーを装飾の施された黒褐色の精霊銃に充填されていく。
対峙するは猟兵達との戦いで消耗しきったはずの猟書家『アズマ』であった。
胸は穿たれ、氷の弾丸の名残であろう背にまで到達した氷の華の如き氷柱。肉体のあちこちに刻まれた裂傷や、額がわれ溢れる血潮は、それまでの戦いの壮絶さを物語るには十分であったことだろう。
「殺す……全て、殺す。猟兵も、全て、殺す」
言葉は強いものであった。けれど、相対するジアムにとって彼の言葉はどこか虚ろであった。殺意をほのめかす言葉であったけれど、そこにあったのは殺意ではなく重圧だった。
漆黒の仮面の下に在るであろう瞳が恐ろしいとジアムは感じる。
視点がどこにあっているのかもわからない。けれど、その仮面、その言葉がジアムを揺り動かす。
「どういう事なの……?」
だが、その疑問に応える者はいない。消耗しきったはずの『アズマ』の構えは優美にして精緻。
未だ衰えることなく神速の踏み込みでジアムへと距離を詰める。
近接戦を好むならと間合いを詰めることを見越していたジアムの瞳がユーベルコードに輝く。
それは夢の御伽話(グリッサンド)のような光景であった。
「とっておきの、手よ」
己の精神を削る神と融合した古の戦士が召喚される。それはジアムの心に宿った炎神の暖かな火が灯す力だった。
手にするは力を逆転させる念動の刃。
刃と拳が打ち合う。
互いに一歩も引かぬ『アズマ』と古の戦士。その戦いは壮絶なるものであった。念動力で飛ぶジアムにすら『アズマ』は攻撃を届かせる。隙がなさすぎる。
しっぽの針が雨のように降り注ぎ、『アズマ』をその場に止めさせ、謎のレモンの蔦がその脚に絡みつく。
「これなら、動きは止まるはず―――!?」
だが、僅かな足の動きで蔦が引きちぎられ、放たれた針を踏み砕く『アズマ』。重圧が増す。
ジアムの額に脂汗が吹き上がる。怖気が走るような感覚。内蔵という内臓がせり上がるような、恐ろしいまでの重圧を感じジアムは後ずさりしそうになる。
けれど、その足を止めたのは心に宿った炎神の暖かな光であった。
誰だって戦うのは怖い。
傷つくのは、痛みを追うのは怖い。だけど、それでもと勇気を振り絞る者がいる。それに応えるために己はやってきたのだ。逃げない。背を向けない。
どれだけの恐怖が己の身に降りかかろうとも、ジアムはもう一歩も退かない。
古の戦士が『アズマ』の放った拳の一撃の前に崩れ落ちる。
だが、その手が『アズマ』の腕にすがりつき、動きを止める。
「そうよね、怖いもの。恐ろしいもの。けれど、それでもって、勇気を出した人がいるのだもの」
ここで自分が退いてしまっては、心に宿してくれた暖かな光が潰えてしまう。それはしてはならないことだ。
ジアムは前を向く。念動力を最大にして飛び、全身の力を籠めて精霊銃を『アズマ』へと突きつけ、引き金を引く。
「――……それでこそ」
その言葉はどこか優しかった。
引き金を引く指が一瞬ためらいそうに為る、けれど、それでもジアムは引き金を引く。そうしなければならない。
そのための“楔なる鋼”。ありったけの念動力を載せて、溜め込まれた魔力を、サイキックエナジーを放出する。
その光は楔の如く『アズマ』の肉体へと打ち込まれ、内部から爆発するように彼を吹き飛ばす。
最後に告げられた言葉。
その意味はなんであっただろうか。勇気を持って前に踏み出したジアムにとって、わからないことばかりであったけれど……それでも、ジアムは誰かを護るためにこそ、力を振るうことのできる勇気ある者に違いはなかった―――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
その者は無手にて最強
その拳は岩を砕き、脚撃は海を割り…
まさか、神譜奏者達の声に謳われた…
いいえ、だとしても彼女らが称えたその精神が見当たらぬ以上、眼前の猟書家は『脱け殻』
私は戦機
戦いの恐怖少なき人の戦いを代行する種族
ですが恐れましょう
戦いによって齎される喪失と、己が力の矛先の誤りを恐れましょう
弾など相手にとって児戯
勝負は一瞬
●推力移動で接敵
●瞬間思考力で拳●見切り自己●ハッキングで●限界突破した●怪力で●盾受けで盾ごと片腕犠牲に受け流し
UC起動
ほぼ全ての出力を残った腕が振るう剣に込め
腕の崩壊引き換えに放つは拳を越える一閃
それらを顧みれぬ貴方には騎士として私は…私達は負ける訳には行かないのです!
その者は無手にして最強。その拳は岩を砕き、脚撃は海を割り……。
それは神代より紡がれた歌声によって語られる者であったのかもしれない。『神獣の番人』たる最強格の神々であったとしても、その拳を止める事は能わず。
人の身でありながら、その五体によってのみ為し得る奇跡の如き業は、言葉にすれば陳腐であったかもしれない。
けれど、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の目に前にいるオブリビオン、猟書家『アズマ』は、その歌に謳われし者と言われても何の疑いを持つ理由もないほどに圧倒的な姿をしていた。
すでに数多の猟兵達によって消耗させられているにも関わらず、その構えに揺らぎはなく。消耗すればするほどに、その精彩は欠くどころか、益々持って隆盛を迎えるが如く。
だからこそ、トリテレイアは『違う』と判断した。
「まさか、神譜奏者達の声に謳われた……いいえ、だとしても彼女らが讃えたその精神が見当たらぬ以上、眼前の猟書家は『抜け殻』」
重圧は本物であったかもしれない。
そこに虚ろなる意志があるのならば、トリテレイアにとって、それは本物であるとはいい難かった。
「……――恐れはないか」
額は割れ、胸は穿たれ、裂傷だらけの体からとめどなく流血する血潮の姿のままに『アズマ』は言葉を紡ぐ。
どれだけ殺意をほのめかす言葉を紡ごうとも、そこにあったのは重圧のみであった。
岩をも砕き、神々すらも鏖殺せしめる拳。それが神速の如き速度で踏み込んでくるのをトリテレイアは感知していた。
己の電脳が判断する。
勝負は一瞬である。
弾丸を放ったところで対する『アズマ』にとって児戯に等しい行為であろう。妨害にすらなりえない。
ならば、己が為すべきことは一つしか無い。前に踏み出すことだ。大盾を前面に突き出す。
「私は戦機。戦いの恐怖少き人の戦いを代行する種族。ですが恐れましょう」
何を。
その問いかけをトリテレイアは聞いた気がした。
「戦いによって齎される喪失と、己が力の矛先の誤りを恐れましょう」
それこそが戦機としての在り方であり、矛盾。システムのエラーが鳴り響く。けれど、そのエラーを電脳は否定する。
放たれた『アズマ』の拳が大盾の重装甲を飴細工のように貫きトリテレイアの片腕をも貫いてバラバラに破壊する。
システムのエラーが、警告音が鳴り響く。
彼我の戦力差を如実に知らしめる光景が、電脳から撤退を示唆する。だが、トリテレイアは、その電脳がはじき出した答えを否定する。
譲れぬものがある。
戦機として、騎士として、猟兵として。決して譲ってはならなぬものがある。それがなんであるのか。
言葉にしてしまえば、何もかもが嘘になってしまう。
恐れよ。
他者より与えられるものは何者も恐れる必要はない。だが、己の過ちこそを恐れよ。人は間違える。生命は間違える。
人の手により産み出された者であったとしても間違えないことはない。自由意志が在る以上、影響されるものを揺らぎというのであれば、そこに絶対はない。
だからこそ、トリテレイアは恐れる。
「――……ならば乗り越えてみせろ」
トリテレイアのアイセンサーが輝く。それは機械騎士の最終手段(ラストリゾート)であった。トリテレイアが持ち得る全ての出力を拳に集める。
片腕はすでに『アズマ』によって砕かれた。
だが、もう一本の腕が残っている。己の機体が自壊しても構わない。いや、そうしなければならない。己の中にある騎士道精神が咆哮するようにジェネレーターからエネルギーを捻出する。
最後の一滴まで搾り出した一撃が、崩壊する腕と共に衝撃となって『アズマ』を穿つ。
「それらを顧みれぬ貴方には騎士として私は……」
放たれた拳がぶつかった。
相殺される。渾身の、全ての出力を出し切っても尚、『アズマ』の神屠る拳はトリテレイアの全出力を殺す。
だが、見るがいい。
そのユーベルコードの輝きを。ユーベルコードにトリテレイアが載せたのは、出力だけではない。倒さねばならぬ理由。
ただ、その一つだけが『アズマ』を上回る。
「私達は負ける訳には行かないのです!」
崩壊する腕部のままに振り抜いたトリテレイアの一撃が『アズマ』の肉体を吹き飛ばす。
両腕を喪ったトリテレイアが大地に立っていた。
アイセンサーが明滅し、全ての出力を出し切ったままに決して倒れることはなかった。
時期に予備電源が入ることであろうが、それでもトリテレイアは倒れることをしない。『アズマ』を上回った力、それを人は『信念』と呼ぶのだろう―――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
これは小手先でどうにかなる相手じゃなさそうだね
不本意ながら一番使い慣れて
一番応用の幅の広い女神降臨を使って戦うよ
徒手空拳で最強ってある種の浪漫
憧れを感じる所もあるけれど
アズマは何を求めてあそこに至ったんだろう
正々堂々なんて言ってられる相手じゃないから
空を飛びつつガトリングガンで射撃
弾幕と集中射撃を使い分けて逃げ撃ちし
接近を阻もう
地面に触れて創った使い魔の石化攻撃や
空気から創った使い魔の窒息攻撃で
攻撃の邪魔したり気を逸らしたりして隙を狙うよ
接近されたらガトリングガンの銃身を盾にしたり
神気を集中させて凌いだりして致命傷を避けよう
凌いだら隠してたワイヤーガンで拘束
再構成したガトリングガンで攻撃するよ
猟兵たちが力を振り絞って放つ攻撃の数々を受けても尚、立ち上がるのは猟書家『アズマ』であった。
尋常ならざる体力。
それはあまりにも異常な事態だった。消耗させられているはずなのに、消耗すればするほどに隆盛を増す『アズマ』の力。
果てはないのかと思うほどであったが、その程度で猟兵たちは立ち止まらない。絶え間なく攻撃を続けた。
額を割り、胸を穿ち、その鋼鉄の如き肉体の尽くを打ち据えてきた。
「……殺す。全て、殺す。殺し尽くす」
幽鬼のように立ち上がってくる姿は、未だ凄まじき重圧を放っていた。
「これは小手先でどうにかなる相手じゃなさそうだね……」
その姿を宵闇の衣の如き可憐なるドレスへと変えた佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)が戦場に降り立つ。
不本意なことであったが、一番使い慣れていて、一番応用の幅の広いユーベルコードで事に当たると決めたのだ。
徒手空拳で最強というのは在る種のロマンを感じずにはいられなかったかもしれない。元が男性であるということもあるのだろう。
憧れがないわけではない。
猟書家『アズマ』が何を求めて、その境地にまで至ったのだろうか。それを考えずにはいられない。
けれど、今はオブリビオンである。倒さなければならない。
魔力の翼を広げ、晶は空より携行型ガトリングガンの射撃で持って弾幕を張り、『アズマ』の近接戦闘を封じる。
「空には手出し出来ないでしょう!」
接近されてしまえば、最強格の神々である『神獣の番人』をも鏖殺せしめた拳の一撃が飛んでくる。
それはどう考えても晶にとっては許容できないものであった。だからこそ、正々堂々とは言えない。言っていられる相手ではなかった。
「――……皆、そう言う」
放たれた弾丸。
ガトリングガンの弾丸の上を足場にして、一瞬の間隙を付いて『アズマ』が空へと舞い上がる。
それは絶技と言っていい代物ではなかった。出鱈目がすぎる。高速で飛翔する弾丸を足場にする? 誰がそんな事を考える。誰がそれができると考える。
何もかもが出鱈目であった。
けれど、晶はその身に宿した邪神の権能を全開にし、『アズマ』の振りかぶる拳を固定させる。
「拳は止め、た―――ッ!?」
拳は止まる。けれど、途中まで突き出された拳の衝撃波が晶の体を打つ。
なんとか銃身で受け止め、致命傷は避けることができたけれど、それでも肉体的なダメージは否めない。
したたかに打ち据えられた背中が晶の呼吸を妨げ、肺に酸素を取り込むことを拒否する。
「っ、はぁ―――っ! ぐっ……!」
そこに降り立つ『アズマ』。踏み出してくる。こちらに一歩、また一歩と。
呼吸が乱れ続ける。
傷みが走り続ける。拳の衝撃波だけでもこのダメージ。けれど、晶の瞳には未だ敗北の二文字はない。
あるのは、最後まで足掻き続けるための意志だけだった。銃身がひしゃげたガトリングガンを抱えたまま、予め隠していたワイヤーガンを作動させる。
完全なる不意。
ワイヤーが『アズマ』の肉体に絡みつき、その動きを阻害する。
頑強なるワイヤーであっても持って僅かな時間であったことだろう。だが、それだけでいい。
「確かにロマンを感じないわけでもないけれどさ!」
使い魔たちが『アズマ』の肉体を石化させ、空気を奪い呼吸を妨げる。ひしゃげた銃身のガトリングガンを再構成し、銃口を突きつける。
使い魔達の攻撃が裂帛の気合と共に弾かれ、ワイヤーが引きちぎられる。
「それでも、止めなければならないんだよ! その拳は、そんなことのために振るうものじゃないだろう!」
ガトリングガンから放たれたおびただしい数の弾丸が『アズマ』を穿ち続ける。一発一発に邪神の権能を籠め、『アズマ』の防御を間に合わせない。
銃身が熱を持ち、溶け落ちる頃、ようやくにして『アズマ』をその場から吹き飛ばす。
ガトリングガンが地面に落ちる。
けれど、『アズマ』に多大なる消耗を与えたことは確実だった。
「――……そうさ、そんな力じゃなかった。何を求めて、その拳を振るうのさ」
仮面の下に在った眼差しを知ることは叶わない。
けれど、虚ろなる意志のままに振るわれる拳を前に晶は退くことはなかった。あの拳は、誰かのために振るわれてこそ、そう感じたのだから―――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
成り行き…といったところでしょうか。
『アズマ』がサー・ジャバウォック。書家の王達と如何なる繋がりが有ったかは知る由もない
しかし侵略儀式。骸の月の渦中に在って、彼の振る舞いは暗中術策とはまるで真逆
ならば此方が秘密結社スナークの牙。またの名を猟兵と宣言しましょう
何を探して誰を殺す
憎んでいるのか
恐れているのか
◆
外法・宿業無間輪廻を発動する
今一度現れよ虚ろなる雫
その飢餓を以て
彼の者のカルマを奪い尽くせ!!
『スターヴ』!
【喰わせろ】でアズマに屠られた『神獣の番人』達の無念を取り込み。怪力+グラップルの重量攻撃
自滅も厭わない限界突破
自身はクイックドロウ+早業で戦輪を投擲し、アズマとスターヴを諸共に切り裂く
「成り行き……といったところでしょうか」
それはさしずめ、この戦場に戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)が現れた理由であった。
猟書家『アズマ』との戦い。
地球の中心たる『センターオブジアース』における『不死の怪物』の力による配下オブの『スナーク化』。それに伴い『スナーク』の名を恐怖の代名詞としてこ停止させる作戦。
それを立案したのは『アズマ』本人ではないだろう。
『アズマ』が今は亡きサー・ジャバウォック、書架の王達と如何なる繋がりがあったのかは知るよしもない。
だが、侵略儀式による骸の月の渦中にあって、『アズマ』の振る舞いは暗中術策とはいい難いものだ。
「まさに真逆の振る舞い……ならば、此方が秘密結社スナークの牙。またの名を猟兵と宣言しましょう」
恐怖の代名詞として固定させるのであれば、猟兵はその上から上塗りのごとく恐怖を希望の象徴として塗りつぶす。
それこそがオブリビオンたちの目論見を潰す一手である。
「殺す……猟兵は全て殺す」
どれだけの攻撃を受けたのだろう。『アズマ』の姿は満身創痍そのものであったが、それでもなお構えは未だ隆盛を知らずと言わんばかりに益々の冴え渡りを見せていた。
額は割れ、胸は穿たれ、あらゆる裂傷が刻まれても尚、立ち上がってくる姿は幽鬼のごとく。けれど、そこにあったのは虚ろなる意志でしかない。
故に殺意ほのめかす言葉が紡がれようとも、あったのは重圧だけであった。
「何を探して誰を殺す。憎んでいるのか、恐れているのか……その答えは、その伽藍堂の体の中にはもはやありますまい」
ならば、と蔵乃祐は唱える。
ユーベルコードが輝く。
それは、外法・宿業無間輪廻(ゲホウ・シュクゴウムゲンリンネ)。己の善性、戦場に満ちる鏖殺されし『神獣の番人』たちの無念が漂う。
「終焉刻みし忘却の虚空界より来たれ、滲出した滴は刻刻と廻り死者の影は微塵にして無尽なる憎悪の器を閉ざす永劫の呪縛とならん! 今一度現われよ虚ろなる雫。その飢餓を以て、彼の者のカルマを奪い尽くせ!! 『スターヴ』!」
それは嘗てヒーローズアースにて現れしオブリビオンの残霊である。
決して同一の存在ではないかも知れないが、骸の海より染み出した者であることは間違いない。
現れた赤き四肢の嘗て『飢餓』と呼ばれた神の一柱が顕現する。
その口腔に集まり、飲み込まれるは『神獣の番人』たちの無念。盛り上がる巨躯。その拳の一撃は満身創痍たる『アズマ』の拳とかち合う。
激突した拳の衝撃が波となって周囲に吹き荒れる。
自滅をも厭わぬ限界を越えた拳の一撃であっても、『アズマ』の拳は砕く。
それが生命であるのならば、砕けぬものはないと言わんばかりの拳。それが尽く神々を屠りさってきた拳にほかならない。
「――……今一度言おう。戦うことが怖くはないのか」
それは静かな言葉であった。
戦いのさなかに聞く言葉ではなかったかもしれない。
けれど、その言葉は蔵乃祐の耳に確かに届いた。
戦うことが怖いと言った嘗ての英雄がいた。その言葉の真意を今はもう漆黒の仮面の下にしか知ることはできず、叶うことはない。
「恐れを知るからこそ、人は留まることができる。他者を識ることができる。恐れとは即ち克服できるものであれば!」
放たれる戦輪の投擲が『スターヴ』諸共、『アズマ』の肉体を切り裂く。
あるいは嘗て在りし日の戦いの再現であったのかもしれない。
『スターヴ』の体はすでに『アズマ』のはなった拳の一撃によって崩壊しかけていた。凄まじいまでの拳。
けれど、それでも届かぬ拳がある。
『アズマ』の放った拳、その腕が戦輪によって切断される。吹き出す血潮は、冷たかった。
まるで、その身の内側にある虚ろなる意志と同調するかのような冷たき血潮に魂は通っていないようにも蔵乃祐は感じたかもしれない。
「せめて、鏖殺されし神々の無念を晴らす。それだけが今できる最善でありましょう……我等『秘密結社スナーク』はどこにでもいつでも駆けつけましょう。救いを求める声が在る限り―――!」
大成功
🔵🔵🔵
メリー・ブラックマンデー
(アドリブ連携歓迎)
武器も不死の力も持っていない…いえ、必要ないというのが正しいかしらね?
それほどまでの力、長い月日を研鑽に捧げた結果か、天賦の才故か…
いずれにしても、過去が世界を侵すなどあってはならないこと。
終わりを刻み、始まりを告げる我が権能を以てここで倒す!
『クロト』―今やスナークの名は猟兵という希望の証、その希望を剣の光に。
『ラケシス』―その神速の脚を鈍らせる。
『アトポロス』―過去の化身オブリビオン、その存在ごと断ち切る!
<リミッター解除>、【神器解放】!複製した神器の群れの包囲攻撃で終わらせる!
放たれた戦輪の一撃に、ついに猟書家『アズマ』の片腕が切り裂かれた。
その肉体はすでに満身創痍であった。額は割れ、胸は穿たれ、体の至る所に裂傷が走っている。
そして、片腕をも喪った『アズマ』は何をするでもなく立っていた。
傷みにあえぐでもない、己の敗北を悟ったわけでもない。ただ、立っていた。
「武器も不死の力も持っていない……いえ、必要ないというのが正しいかしらね?」
メリー・ブラックマンデー("月曜日"がやって来る・f27975)は猟書家『アズマ』の最期に立つ猟兵であった。
凄まじい戦いであった。
この場に参じた猟兵達の一人が欠けても得ることの出来ない勝利であったかもしれない。それほどまでに『アズマ』との戦いは凄まじかった。
それをメリーは理解し、『アズマ』の持つそれほどまでの力に称賛を送る。
「長い月日を研鑽に捧げた結果か、天賦の才故か……いずれにしても、過去が世界を侵すことなどあってはならないこと」
どちらも兼ね備えた結果が『アズマ』という名なのであろう。
そして、そのどちらもが正しくはなかったのかも知れない。その身に秘めた業こそが『アズマ』の名を持つ者にふさわしかった。
だが、世界を滅ぼす存在であるオブリビオンである。
「終わりを刻み、始まりを告げる我が権能を以て、ここで倒す!」
それは神器解放。
手にするは剣。
秒針剣、分針剣、時針剣。
その3つは宙に浮かび、封印がほどかれていく。
「『クロト』――今やスナークの名は猟兵という希望の証、その希望を剣の光に」
それは猟兵たちが恐怖の代名詞として固定されるはずであった『スナーク』の名を希望で塗りつぶした結果であった。
本来の彼らの作戦は神々に恐怖を植え付けるほどの虐殺でもって『超生物スナーク』の誕生を計るものであった。
だが、秘密結社スナークとして猟兵たちが名乗り、戦うことで『スナーク』の意味は変質したのだ。
「『ラケシス』――その神速の脚を鈍らせる」
時計の針が止まる。
それは神速の如き踏み込みを見せる『アズマ』の動きを封じる。全盛の彼であれば、その拘束すらも振りほどいたことだろうが、虚ろなる意志の前では意味をなさない。見上げるようにメリーを見つめるのは漆黒の仮面の下の瞳であっただろうか。
「『アトポロス』――過去の化身オブリビオン、その存在ごと断ち切る! 神器解放!」
その言葉とともにメリーの周囲に顕現するは無限複製によって産み出された時を司る三種の神器。
それらは空を埋め尽くすほどの数となって『アズマ』の体を貫く。
時の流れが過去に押し出されて続け、時を進ませるというのであれば、堆積した過去はにじみ出る。
それが過去の化身となるのであれば、『アズマ』という名こそが過去の集積であったのだろう。そこに彼らの意志はなく、ただ不敗を象る名だけが残った結果であるのならば。
その名は真に不敗を象徴する名であったことだろう。
それを識る者は居なくていい。
「過去は終わってしまったもの。故にめぐり、始まりを告げるのよ。そうして時は逆巻くことなく進んでいける。だから、その名は過去に沈みなさい。どれだけ積み重ねられてきた不敗があろうとも、それが今を生きる者たちに害を為していい理由など無いし……」
それに、とメリーは呟く。
その不敗を象る名は、決して『恐怖』と共に在っていい名ではない。
嘗ては『希望』と共に語られた名であったことはずだ。それ故に人々の想いを、祈りを、願いを籠めて呼ばれた名。
だからこそ、それは不敗を象る名ではなく―――。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2020年11月04日
宿敵
『『アズマ』』
を撃破!
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