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デッドマンズ・ハンド ストーキング ザ スナーク

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #ラグネ・ザ・ダーカー #ヴィジランテ #デッドマンズ・ハンド

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●ダストブロンクス
 世界が平和になったなんて嘘だったんだ。
 奴らはヒーローに成り代わっていた。
 尊い犠牲、仕方のなかったこと、聞こえは良い。
 けれど、それは嘘っぱちだ。
 奴――ウェポンベイの目は正確に息子を『視ていた』
 だからヴィランと息子がミンチになるようにトリガーを引いた。
 ならば、次は俺がトリガーを引く番だ。
 奴の場所は分かっている。

 ――ダストブロンクス。

 広大な下水道迷宮の中に奴はいる。
 下水を啜る悪党を退治すると嘯いて。
 怪力? そんなものはない。
 飛行能力? 俺の足は地べたから離れない。
 たった六つ、あの戦争で拾った宇宙人の装甲から作った弾丸だけが武器だ。
 俺はヒーローじゃない。
 そして奴もヒーローじゃない。
 ならば、俺は……。

「デッドマンズ・ハンドだ」

●グリモアベース
「グリモアが呼んでいる! 新たなる戦いに皆の力が必要だと」
 グリモア猟兵、雷陣・通(ライトニングボーイ・f03680)が左手に浮かぶグリモアを光らせて、猟兵に呼びかけた。
「猟書家の話は知ってるな? 今回、俺が予知したのはヒーローズアースの一件だ」
 少年が背中を向け、ホワイトボードにマジックを走らせる。
「猟書家――ラグネ・ザ・ダーカーって名前だけど、こいつは一般のヒーローに紛れて、任務中の不慮の事故を装って、残虐な殺人を繰り返すんだ。そうすることによって人々の間に不和の種を蒔き、いずれは人々が怪物『スナーク』の存在を信じる根拠を作る」
 書き込まれるのは下水道の地図。
「けれど被害者の遺族が一人、本能で偽物に気づき、ヴィジランテとなって猟書家を追いかけている。みんなは彼と合流して、一緒に戦いつつ、ラグネ・ザ・ダーカーを倒してほしい」
 追記されるのは『Dead man's Hand』という文字。
「本名は俺も予知出来なかった、今はデッドマンズ・ハンドと名乗っている。けれど彼はユーベルコードを持っていない、このままでは返り討ちだ」
 振り向いた少年の拳が握られると、ゲートが開かれる。

「猟書家の奴らがヒーローに紛れていることを俺は予知出来なかった、でも彼は本能で真実へたどり着いた。デッドマンズ・ハンドの正当な怒り――アヴェンジに敬意を払って奴を倒してほしい」
 猟兵を見つめるグリモア猟兵の目は新たなる戦いに緊張の色を宿していた。


みなさわ
 猟書家は暗躍し、そして闇の中をヴィジランテが歩く。時代を繰り返すかのように。
 こんにちは、みなさわです。
 今日は一人の男の復讐の話を。

●戦場
 ニューヨークの地下に張り巡らせている下水道迷宮『ダストブロンクス』になります。
 猟書家はヒーローの姿を装って虐殺を企み、ヴィジランテはそれを追っています。

●デッドマンズ・ハンド
 息子を殺され復讐に燃える黒いコートのヴィジランテです。
 かつてはポーカーが趣味の保安官でしたが、今ではリボルバー片手にラグネ・ザ・ダーカーを追いかけています。

●ラグネ・ザ・ダーカー
 今回の敵にして猟書家。
 ウェポンベイという、身体を銃火器に変えるヒーローの姿で流れ弾と称して殺戮を繰り返していました。
 ダストブロンクスでも同じように殺戮を行うでしょう。

●その他
 マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。

 それでは皆様、よろしくお願いします。
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第1章 日常 『掃き溜めのブルース』

POW   :    警備活動を手伝って住民と交流を取ろう

SPD   :    浄化設備を修理してより良い環境を作ろう

WIZ   :    迫害されてる善良なモンスターを保護しよう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ウォーキング・ザ・ブラックコート

 薄暗い現代のラビリンス、人はダストブロンクスと呼び、ジャスティス・ワンは戦いが起こることを危惧し、地上への道を閉ざした。
 アースクライシスという戦争が終わり、道が開かれた時、新たな犯罪が生まれた。
 その犯罪の温床に猟書家は潜り込み、そしてヴィジランテは追いかける。

「……なあ」
 闇の中を歩く黒いコートの男が振り向いた。
「いるのは分かっているんだ、姿を現したらどうだ?」
 その目は赤に染まり、その表情は刃のように研ぎすまされていた。
「俺は用事がある。用件があるなら、早くしてくれないか?」
 言葉に棘はあるが、全てを拒否する雰囲気は無かった。

 彼こそがデッドマンズ・ハンド――人として生きることを捨て、立ち向かうことを選んだ者。

 Dead man's hand
 死人の札を持つ男である。
月待・楪
くは、いい勘してんなァ、オッサン
それにその顔、覚悟が決まってる奴らのする顔だ
そーゆーのは、嫌いじゃねーぜ?

俺はアンタのその用事とやらに用があんだよ
ヴィジランテ、デッドマンズ・ハンド

せっかく鬱陶しい連中を蜂の巣にしたっつーのに、また違うところから勝手に入って来られて、俺も腹が立ってんだよ
なァデッドマン、アンタの復讐に一枚噛ませろ

手を貸してやる
トドメはアンタが撃てばいい
俺はヴィラン・トワイライト
ヒーローなんてくだらねー奴らよりは、アンタのその復讐、手伝ってやれるぜ?



●イッツ ア ウェィストゥ オブ ア タイム

「くは、いい勘してんなァ、オッサン」
 最初に姿を現したのは月待・楪(Villan・Twilight・f16731)。
 猟兵にして
「それにその顔、覚悟が決まってる奴らのする顔だ。そーゆーのは、嫌いじゃねーぜ?」

 ――ヴィラン。

H e r o
「ボーイスカウトの真似事なら帰った方が良い」
 男から帰ってくる言葉は拒絶。
「俺はアンタのその用事とやらに用があんだよ、ヴィジランテ、デッドマンズ・ハンド」
 楪の言葉にデッドマンは視線を向けた。

「せっかく鬱陶しい連中を蜂の巣にしたっつーのに、また違うところから勝手に入って来られて、俺も腹が立ってんだよ」
 黒いコートのヴィジランテはただ耳を傾ける。
「なァデッドマン」
 そこへ楪は一歩踏み込んだ。
「アンタの復讐に一枚噛ませろ」
 それは共闘の申し出ではなく。
「手を貸してやる」
 利害の一致の示唆。
「トドメはアンタが撃てばいい」
 デッドマンの鋭い視線とヴィランの視線が交錯する。
「俺はヴィラン・トワイライト――ヒーローなんてくだらねー奴らよりは、アンタのその復讐、手伝ってやれるぜ?」
 ヴィジランテは黒いコートの袖を動かし……
「お前は今、何て言った?」
 襟首を掴みトワイライトを壁に押しつけた。

「もう一度行ってみろ!」
 その瞳の白は既に赤に染まっていた。
「お前は、鬱陶しい連中を蜂の巣にしたと言った。つまりはあの戦争を知っているはずだ」
 けれど、虹彩は光を失っていない。
「ヒーローが、ヴィランが、人々と、猟兵と、手を組み、戦った日を」
 そこに居るのはヒーローではないが
「そんな彼らをお前はくだらないというのか? お前と同行する者もくだらないのか?」
 彼らの矜持を重んじ、それゆえに立ち向かう者。
 手を離し、デッドマンは背を向ける。
「お前がヴィランでヒーローをどう思っているかは構わん。だが、相手を軽んじるのはやめろ……お前がお前らしくありたいのなら」
 そしてヴィジランテは闇へと歩き出した。

「……分かってるに決まってるだろ、クソッタレ」
 消えゆく背中に毒づき、そして楪も歩き出す。
 やられっぱなしは性に合わない。
 そして証明しなくてはならない。

 ――自らがヴィランと名乗る矜持を。

 始まりはヒーローになれなかった者達の会話から。

成功 🔵​🔵​🔴​

木常野・都月
こんにちは、デッドマンズハンドさん。
俺は木常野都月です。
猟書家を倒す為に来ました。

貴方は復讐をしたい。
俺は猟書家を倒したい。
利害は一致している。
俺が出来る範囲になるけど、貴方に協力したい。
協力する自体、互いに損はないと思うんだ。

まずは[情報収集]だ。
ハンドさんに、何か手がかりはないか聞きたい。
具体的な個人の持ち物があれば、匂いで追えるんだけど。

あればその匂いを。
なければ、この世界とは違う生き物の匂いを探したい。
[野生の勘、第六感]も必要に応じて活用したい。

ハンドさんの情報で、該当のヒーローが出入りしてる付近にそんな匂いがないか。

UC【狐の追跡】を使用しつつ、俺も狐になって匂いを探したい。


ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
ヴィジランテには貴方呼び

気に障ったのなら申し訳ない、俺も貴方と用事は同じだ
良ければ一緒に行かないか、まあ断っても黙ってついていくが
これが終わったらどうするんだ?このまま戦い続けるのか?

SPDで判定
異常があれば見えるし聞こえるはずだ
浄化設備や下水道迷宮を【視力】【暗視】【聞き耳】を使って【情報収集】
異常があれば銀腕を【武器改造】で工具の形に変えて【世界知識】を元に治したり改善する
必要なら【怪力】【救助活動】【地形の利用】を使う

道中はヴィジランテと【落ち着い】て会話したい
最初は俺の種族を伏せておく、そうそう信用して貰えないだろうしな



●エクスプローラ ザ スーア

「こんにちは、デッドマンズ・ハンドさん」
 次に声をかけるのは木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)。
「俺は木常野都月です。猟書家を倒す為に来ました」
「……猟書家?」
 初めて聞く言葉にデッドマンズ・ハンドの眉が歪む。
「貴方が追っている、ヒーローに成り代わった奴の事だ」
 ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)が間に入り、言葉を繋げる。
「気に障ったのなら申し訳ない、俺も貴方と用事は同じだ」
 あくまでも、共闘を持ちかけるが故に、ルイスは言葉を慎重に選ぶ。
「……気にはしていない、ただ俺が倒す相手がお前達の『領域』だというのは分かった」
 その雰囲気を察し、デッドマンも言葉を選ぶ。
「貴方は復讐をしたい。俺は猟書家を倒したい」
 そこへ都月が話を切り込む。
「利害は一致している」
 獣の鼻は会話のタイミングすらもかぎ分けるようだ。
「俺が出来る範囲になるけど、貴方に協力したい。協力する自体、互いに損はないと思うんだ」
「良ければ一緒に行かないか、まあ断っても黙ってついていくが」
「……選択の余地はなさそうだな」
 もう一人のデッドマンの言葉に黒いコートのヴィジランテは嘆息をついた。

「K-9を思い出すな」
 狐の群れが先行する中、ヴィジランテが呟き、そして二人のデッドマンが進む。
 一人は人としての名を捨てた男、もう一人はメガリスによって目覚めた生きた死者。
「K-9?」
 一歩先を進むデッドマン――ルイスが問う。
「警察犬の事さ。保安官だったんだ、昔はな」
 後に続くもう一人のデッドマンが答えを返した。
「ハンドさん?」
 狐に姿を変えた都月が頭を向けて呼びかける。
「何か手がかりはない?」
「勘と今までの奴の傾向でいいか?」
「充分だ」
 黒いコートのヴィジランテの言葉にメガリスを持つ男は同意の意を示した。

「基本的に奴は子供を狙って殺していた」
 名を捨てた男の言葉には怒りが滲んでいた。
「弱い奴、幼い子供……人の怒りを呼び起こしやすい奴を対象にしていたんだ」
 コートのポケットに差し込み、見えないはずの拳が握られるのが二人の猟兵には見て取れた。
「だから、狙うのはダストブロンクスの子供――親などいない孤児だろう」
「つまりはそういう人間が潜むところを探せばいいんだな?」
 ルイスの言葉にデッドマンズ・ハンドが頷く。
「多分、その匂い……見つけたよ」
 都月が立ち止まり、鼻を鳴らせて答えた。
「行くかい?」
「……ああ」
 狐の言葉にヴィジランテは答え、走りだした。

「なあ」
 その最中、もう一人のデッドマンが問いかける。
「これが終わったらどうするんだ?」
 それは未来の話。
「このまま戦い続けるのか?」
 彼のこれから。
「俺は名を捨てた。そして真実を知った」
 答えは
「そして偽物とはいえ、ヒーローを殺すことになる」
 暗闇を歩く
「デッドマンズ・ハンドは死ぬまで奴らを追いかけるだろうさ」
 決意そのものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
時間も限られている以上、手短に
用件は共闘の申し入れです

ウェポンベイに成り代わった対象がこの地で起こす殺戮を阻止するため
貴方は敵の手掛かりを
貴方の用事を確実に遂げさせる為に私は戦力を
それぞれ提供するということです

多くの目が入用ならばご用意します
敵の元にいち早く辿り着ける手段に繋がるなら、下水に潜れと命じて頂いても構いませんよ
頑丈さには自信があります(環境耐性)

自力浮上は難しいので工夫が必要ですが…
(ワイヤーアンカーを命綱代わり)

…その覚悟に、己の意志で剣を握った者に
私からは何も言うことはありません

この地のヒーローの代理人たる騎士として
命と名誉を弄ぶあの敵の息の根を確実に止める為
力をお貸しください



●ディターミネーション

「時間も限られている以上、手短に」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が黒いコートを纏った復讐者の傍らに立つ。
「用件は共闘の申し入れです」
「単刀直入だな」
 幾分、柔らかい雰囲気を見せながら、デッドマンズ・ハンドが口を開く。
「生憎とこの世界の諧謔には乏しいと自認しております」
 トリテレイアの言葉に男が初めて笑みを見せたのは気のせいだろうか?

「多くの目が入用ならばご用意します」
 複数の妖精型偵察ロボがコントロールユニットから発進し、闇へと消えていく。
「便利なものだな」
「敵の元にいち早く辿り着ける手段に繋がるなら、下水に潜れと命じて頂いても構いませんよ」
「おい、待て……」
 デッドマンが言うが早いか、戦機は下水へと飛び込んだ。
「頑丈さには自信があります、自力浮上は難しいので工夫が必要ですが……」
「俺にはその一途さに工夫を入れてほしいと思うよ」
 命綱代わりに射出されたワイヤーを掴み、黒いコートのヴィジランテは皮肉った。
「そういうものですか?」
「そういうものだ」
 引き上げられつつ騎士が問えば、男はぶっきらぼうに応えた。

「にぎやかになりそうだな。おい?」
「そういうものでしょうか?」
 コートのポケットに手を突っ込み歩くデッドマン。
 不思議そうに問いかけるはウォーマシン。
 奇妙な光景であった。
「こっちは死ぬ覚悟でダストブロンクスまで潜ったというのに……調子が狂う」
「……その覚悟に」
 騎士は敬意を示し。
「己の意志で剣を握った者に私からは何も言うことはありません」
 それでも戦いに赴く只人を止めることは無い。
「……お前達の姿を見たときは、止められると思ったんだがな」
「我々には使命があります」
 男の呟きに戦機は正直に答えた。
「この地のヒーローの代理人たる騎士として、命と名誉を弄ぶあの敵の息の根を確実に止める為、力をお貸しください」
「俺には怪力も空を飛ぶ力もない」
 デッドマンズ・ハンドは懐からリボルバーを抜き、右手に握る。
「あるのはプルトン人とかいう宇宙人の金属から作った、この六発の弾丸だけだ」
 トリテレイアの視線がリボルバーに注がれた後、騎士は頭を振る。
「違います」
 そして答えを提示した。

 Your determination and will is the weapon to defeat the enemy 
「貴方の覚悟と意志が敵を倒す武器――つまりは本当の弾丸なのですから」

大成功 🔵​🔵​🔵​

グレイス・リリィ
WIZ
(ゆったりとした私服で現れる)
そんな、怒らないでよ
ちょっと尋ねたい事があるだけなんだから
ほら――保護したバイオモンスターの子供よ
本当だってば。この辺りは去年の戦争の爪跡も深い
こういう子供がどれだけいるやら……
言っておくけど、私は保母さんじゃないわよ
こう見えてもヒーロー、レッドウィングの名前を貰ったのよ
今、ここには居ない探偵さんにね

それで聞きたい事があるの
ウェポンベイ、いや……ラグネ・ザ・ダーカー
私も、私の仲間も追っているわ
奴は只者じゃ無いから共同戦線を、
何て言ってもただでは聞かないでしょ
だからあなたの本来の仕事を手伝うわ。今みたいにね

事故を装い生命を奪う
あのヒーローだって決して許さないわ


バーン・マーディ
事前
ウェポンベイについてとデッドマンズについての情報を細かく調べる
特にここ最近の事件の記録も閲覧
後はダストブロンクスでの地図も可能な限り収集する

…復讐とは
悪逆である

其処に正義はない

……故に我は力を貸そう
我はバーン・マーディ
ヴィランである

まず調べた内容と今迄の行動について情報のすり合わせ

UC発動
特に痕跡や調査を主流とした索敵部隊の騎士達を呼ぶ

後はこの下水道に住まうネズミなどの動物たちにも【動物と話す】で敵の足取りを追う

騎士団
マッピングと熱源や音響や血の痕跡等の調査

良いか
発見してもけして戦わず即座に離脱せよ(騎士団に命じ

仕留めるのは我と猟兵
そしてデッドマンズ・ハンドである

捜査に物量もまた有効よ



●ダストブロンクス トゥルース

「……復讐とは悪逆である」
 血の匂いが鼻につきはじめるタイミングでバーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)が口を開く。
「其処に正義はない」
「……何者だ?」
 デッドマンズ・ハンドが問う。
「……故に我は力を貸そう。我はバーン・マーディ――ヴィランである」
「そうか……」
 バーンの答えに一言、呟くとデッドマンは一人、歩を進める。
「そんな、怒らないでよ。ちょっと尋ねたい事があるだけなんだから」
「怒ってはいない」
 グレイス・リリィ(レッドウィング・f21749)の言葉を黒いコートのヴィジランテが否定した。
「急いでいるんだ」
「なら、ボーイスカウトの手は多い方が良いんじゃない?」
 グレイスは肩をすくめ、そして本題を切り出した。

「保護したバイオモンスターの子供よ」
 女の言葉に男は眉を顰める。
「本当だってば。この辺りは去年の戦争の爪跡も深い、こういう子供がどれだけいるやら……」
「わかっている」
 一言答えて、デッドマンが歩く。
「言っておくけど、私は保母さんじゃないわよ。こう見えてもヒーロー、レッドウィングの名前を貰ったのよ」
 グレイス――レッドウィングの言葉にヴィジランテの足が止まった。
「今、ここには居ない探偵さんにね」
「オーケー、レッドウィング。なら、そろそろ気づくだろう。鼻に着く臭いの正体が」
「……えっ?」
「見つけたぞ」
 黒いコートの男の言葉に女は疑問の声を発し、そして神が解を示した。
「……早いな」
「捜査に物量もまた有効よ」
 二人の男は同時に眉をゆがめた。

「良いか、発見しても、けして戦わず即座に離脱せよ」
 バーンがユーベルコードによって召喚した騎士団に指示を与え、索敵に放つ。
 今、この場にいる人間達には時間が必要だ。
 それが分かっているからこそ、神にしてヴィランは部下に手を委ねる。
「聞きたい事があるの」
 血だまりの床を歩き、ゆったりとした私服を脱ぐとグレイスは子供だったモノを優しく包み込む。
「ウェポンベイ、いや……ラグネ・ザ・ダーカー。私も、私の仲間も追っているわ」
 そこに立つのは赤い翼を持った一人のヒーロー。
 差し伸べられたハンドを掴み、名を得た女。
「奴は只者じゃ無いから共同戦線を、何て言ってもただでは聞かないでしょ」
 視線は子供の元へ膝をつく一人の男へ。
「だからあなたの本来の仕事を手伝うわ。今みたいにね」
 見開かれた亡骸の目を節くれの手で閉じていたヴィジランテは手を紅に染めて立ち上がる。
「これが、奴の……お前らの言うラグネ・ザ・ダーカーのやり方だ。弱い奴を殺す、人々の怒りを煽るように」
「ならば、仕留めるのは我と猟兵、そしてデッドマンズ・ハンドである……それでいいな?」
 バーンの言葉にグレイスは頷いた。

 事故を装い生命を奪う。
 彼女の知っているもう一人のヴィジランテもそれを許すことは無いだろう。
 これは確信だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユースティ・アストライアー
◆POW行動
◇アドリブ、絡みOK
◇一人称「私」、二人称以上「名前+さん」

うーん…ヒーローの身の上としてはとても心が痛いです
ヒーローにも限界というものがありますからね…勿論、その限界をいつも越えようと努力はしているのですが…

今回はその『限界』を悪いように使われていますね
由々しき問題です
なまじ敵はヒーロー活動をしているので質が悪いです
絶対許せません

技能【怪力】を使って警備活動に協力
こう見えても私とても力持ちなんですよ!
物を運んだり扉を破ったりはお任せください

またスーパー・ジャスティスで空を飛んで上空からも警備します
あわよくば敵を見つける…もしくは飛んでる姿を見せることでおびき寄せられればいいですね



●ヒーロー リミッツ

「うーん……ヒーローの身の上としてはとても心が痛いです」
 黄金のオーラを纏ったユースティ・アストライアー(スーパーウィッシュガール・f16665)が天井から襲い掛かるバイオモンスターを一撃で殴り倒す。
「ヒーローにも限界というものがありますからね………勿論、その限界をいつも越えようと努力はしているのですが……」
「だから、人々はお前達をヒーローと呼ぶ。俺にはできないことだ」
 拾い上げた鉄の棒で正面から襲い掛かるヴィランを殴り倒しつつデッドマンズ・ハンドは答えた。
 現状は混乱を見せていた。
 虐殺された子供たち、そして騒ぎ始めるダストブロンクスの人々。
 それに乗じたヴィラン達が牙を見せたのだ。
 今、二人を襲っているのはウェイストローグズと呼ばれるバイオモンスターの集団。
 改造された怒りを地上を歩く人間へとぶつけるために集った犯罪集団である。

「今回はその『限界』を悪いように使われていますね」
 スーパーウィッシュガールの拳が自分の二倍以上の体格を持つ、ミスターハイドロの鳩尾を貫く。
「由々しき問題です」
 そのパワーでヴィランを投げ飛ばせば、巻き込まれるのはノックスブラザーズ達。
「だが、今やることは別の事だ」
 起き上がろうとしたヴィランを蹴飛ばし、デッドマンは行動を促す。
 若者が憤る分、大人であろうとしているのであろう。
「はい、突破口を開きます!」
 それが痛いほどよくわかるからこそ、ユースティの返事は大きく響くのであった。

「敵はヒーロー活動をしているので質が悪いです」
「ああ、だから俺も騙された」
「絶対許せません」
「ああ、許せん……だからこそ」
 少女の言葉に男は道を示す。
「君はヒーローであってくれ。人々が……俺が信じられるような」
 ――自らが背を向けたものと違う道を。
「……はい?」
 デッドマンズ・ハンドの言葉にスーパーウィッシュガールは首をかしげることしかできなかった。

 ――答えはいつか知ることになる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコ・ベルクシュタイン
先ずはデッドマンズ・ハンド氏へ馬鹿正直にご挨拶
許せよ、そういう性分なんだ

嗚呼、俺は――副業で、文筆家を
そうだ、君のような「戦う者」を題材にしている
どうだろう、「with」――少しばかり共に在らせてはくれまいか
何、本業は一応戦闘員だ、足を引っ張らぬ自身はあるよ

何故戦うか、その先に何を見るか、色々あるだろう
憎しみでそれを見失うことのないように、どうか
失ったものへの追悼は、忘れないことでこそ果たされる
……俺なんぞに言われるまでも、無いだろうが

真面目に仕事をしよう、「視力」と「地形の利用」で下水道迷宮を掌握
「闇に紛れる」で来たるべき戦闘への伏兵となろうか
服が汚れる? はは、その程度気にしていてどうする


六条寺・瑠璃緒
「初めまして、デッドマンズ・ハンド」
君の時間は取らせない
どうぞ其の足を止めないで……歩きながらでも聞いてくれ給え

君の話は聞いている
本能で猟書家を見抜いて真実にたどり着いたと聞いたよ
ご子息のことは…さぞや口惜しいだろう、やり切れないだろう
だから君は今此処に居る

僕は君を手助けに来た
他の猟兵もそうだろう
ヒーローを騙る輩に大切なものを奪われた君が言葉の儘に受け取ってくれるか解らないから、FYIで構わない
僕たちは君と一緒にラグネ・ザ・ダーカーを追うけれど、邪魔だてはしない、流れ弾だって有り得ない
最後のトリガーは君が引け

…味方であると極力言葉で伝え、どうしても難しければUC発動
誘惑と催眠術で言いくるめる



●ビブリオマニア

「初めまして、デッドマンズ・ハンド」
「俺の名はニコ・ベルクシュタイン」
 ヴィランの襲撃から抜け出したデッドマンズ・ハンド。
 次の案内役は六条寺・瑠璃緒(常夜に沈む・f22979)とニコ・ベルクシュタイン(時計卿・f00324)。
「君の時間は取らせない、どうぞ其の足を止めないで……歩きながらでも聞いてくれ給え」
 瑠璃緒は会話を求め。
「許せよ、そういう性分なんだ」
 ニコも謝罪と共に同じように続きを望んだ。
「新手の就職面接かよ……」
 呟き、黒いコートのヴィジランテは歩く。
 続きを促すかのように沈黙しながら……。

「君の話は聞いている」
 まずスタアが口を開いた。
「本能で猟書家を見抜いて真実にたどり着いたと聞いたよ。ご子息のことは……さぞや口惜しいだろう、やり切れないだろう」
「……」
 瑠璃緒の言葉をデッドマンはただ聴いている。
「だから君は今此処に居る」
 今を確認するかのように。

「何故戦うか、その先に何を見るか、色々あるだろう」
 次にニコが言う。
「憎しみでそれを見失うことのないように、どうか……失ったものへの追悼は、忘れないことでこそ果たされる」
「……」
 そして時計卿の言葉にもヴィジランテは耳を傾けた。
「……俺なんぞに言われるまでも、無いだろうが」
 己の在り様を見つめるために。

「嗚呼、俺は――副業で、文筆家を」
 改めてニコは己の出自を名乗る。
「そうだ、君のような『戦う者』を題材にしている」
 なぜ、ここに居るかを話すために。
「with――少しばかり共に在らせてはくれまいか? 何、本業は一応戦闘員だ、足を引っ張らぬ自身はあるよ」

「僕は君を手助けに来た。彼と同じように」
 瑠璃緒も本題を持ち出した。
「他の猟兵もそうだろう」
 誰もがそうであると伝えるかのように。
「ヒーローを騙る輩に大切なものを奪われた君が、言葉の儘に受け取ってくれるか解らないから、FYIで構わない」
 そして意思は固い。
「僕たちは君と一緒にラグネ・ザ・ダーカーを追うけれど、邪魔だてはしない、流れ弾だって有り得ない――最後のトリガーは君が引け」

「……この件にはシナリオライターが関わっているな」
 沈黙を破り、デッドマンは言葉を紡ぐ。
「ああ」
 文筆家である時計卿が肯定し。
「僕たちは猟書家と呼んでいる」

 Bibliomania
「猟 書 家」

 黒いコートのヴィジランテが一節毎に区切るように呟いた。

「俺や息子、そしてお前達の生き方が取るに足らない狩り集める対象だというならば……」
 デッドマンが口を開く。
「俺達はその本に弾丸を撃ち込んで、孔から覗き込んでやらなきゃならない」
 そして、彼は立ち止まり二人を見た。
「そうだろう?」

 それは共闘に対する同意の意志であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
復讐は何も生まないってよく言うけれど、する側からしたらトンチキな説教よね。
元より何かを生み出すためでなく、抑えの利かない感情をぶつけるための行為なんだから。
私は良いと思うわ。嘗められっぱなしじゃ収まりがつかないのと同じでしょう?

……なるほど、感覚は鋭いみたいね。
まあ、そうでなければこんなことにもなってないか。

簡単な用件よ……あんたの復讐に、一枚噛ませてもらおうと思ってね。
連携しろとまでは言わないわ。
あんたは好きなだけ私達を利用すればいい。
勿論、あんたが望むなら連携だってするし、トドメもくれてあげる。
……どう? 悪い話じゃないと思うんだけど。
私達の「力」は、知ってるでしょう?



●サーモン オブ アヴェンジャー

「……そろそろ出て来たらどうだ?」
 デッドマンズ・ハンドが立ち止まり、こめかみを指で叩く。
「教えてくれ、何人来ているんだ」
「それは分からないわ」
 荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)は答えを返す。
 実際、個人単位で動く猟兵の人数を正確に把握するのは難しい。
「でも……なるほど、感覚は鋭いみたいね。まあ、そうでなければこんなことにもなってないか」
「何が言いたい?」
「速まらないで、別にあんたを止めに来たわけじゃないから」
 敵を追い、逸る気持ちを抑え込めないデッドマンを諭すようにつかさは言葉を続ける。
「復讐は何も生まないってよく言うけれど、する側からしたらトンチキな説教よね」
 語るのはよくある台詞のアンチテーゼ。
「元より何かを生み出すためでなく、抑えの利かない感情をぶつけるための行為なんだから」
 けれどそれは真実であり
「私は良いと思うわ。嘗められっぱなしじゃ収まりがつかないのと同じでしょう?」
 つかさにとっては是とする行為であった。
「何が言いたい?」
 もう一度、ヴィジランテは同じ質問をした。
 ニュアンスというスパイスを変えて。

「簡単な用件よ……あんたの復讐に、一枚噛ませてもらおうと思ってね」
 改めて羅刹の女は用件を告げた。
「連携しろとまでは言わないわ。あんたは好きなだけ私達を利用すればいい」
 協力は求めず
「勿論、あんたが望むなら連携だってするし、トドメもくれてあげる」
 けれど、望むものはくれてやる。
「……どう? 悪い話じゃないと思うんだけど」
「甘い話過ぎて、裏を感じるくらいだ」
 デッドマンは渋面を見せた。
「私達の『力』は、知ってるでしょう?」
「知ってるさ……セントラルパークで見た」
 だからこそ。

 I'm a revenge, not an ――avenger
「けれど、俺の復讐はそんな綺麗なものじゃないさ」

 ヴィジランテは歩く。
 けれど、同行を拒みはしなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

臥待・夏報
や、折角だから、ダストブロンクスの酒を呑みに来ただけなんだ。
そのくらいがちょうどいいよ。
ヒーローという仮面に裏切られた人に、猟兵という肩書を無条件に信じろって言うのは違うでしょ。

こう見えて一応ちゃんと猟兵なんだ(NYの戦いやアシュラの『写真』を出してみせる)
ああ、別につまんない武勇伝を聴かせたい訳じゃなくって。
僕はこうして、一度『視』たものは絶対に忘れず残しておくことができるから、
――この復讐も『視』ておきたい。それだけだよ。

しかし肝心の酒はまずいな、これ何混ぜてんの?
……ま、悪くはないっていうか。
ここだけの話、僕はこの地球の善悪二元論がちょっと苦手だ。こういう場所のほうが落ち着く。
あなたは?


ミハエラ・ジェシンスカ
正義(ヒーロー)を装う悪(ヴィラン)
ふん。私とてとやかく言える立場ではないがな
有効な策である事は認めよう
であるからこそ、早いうちに「手」を打たねばならん
……しかし手(ハンド)とは
奇妙なエンもあったものだ

フォースレーダーによる【情報収集】
迷宮めいた下水道の構造を把握しつつ進む

言葉を尽くした接触は他の猟兵に任せる
しかし、万が一に拗れるようであれば
【催眠術】や【精神発破】による干渉も考えておく
無用な心配とは思うがな

ヒーローへの不信を植え付けられた今
たとえ猟兵だとて無条件に信頼するのは難しかろう
だが、目的が同じという事さえ理解できるなら
お互いに利用し合えば良い
必要と思えばその程度の損得勘定はできる筈だ



●ディストラスト オブ ヒーローズ

「や、折角だから、ダストブロンクスの酒を呑みに来ただけなんだ」
 臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)が酒瓶片手に傍らを歩く。
「そのくらいがちょうどいいよ。ヒーローという仮面に裏切られた人に、猟兵という肩書を無条件に信じろって言うのは違うでしょ」
「どうやら、酔っ払ってはいないようだな?」
 アルコールの匂いに顔をしかめ、デッドマンズ・ハンドが答える。
「こう見えて一応ちゃんと猟兵なんだ」
 写真を見せようとする夏報の動きをヴィジランテは制した。
「見せなくてもいい、知っている。俺はあの場にいたからな」
「ああ、別につまんない武勇伝を聴かせたい訳じゃなくって、こういう『能力』なんだ」
 改めて写真を見せるUDCエージェントに「なるほど」とデッドマンは呟いた。
「僕はこうして、一度『視』たものは絶対に忘れず残しておくことができるから――この復讐も『視』ておきたい。それだけだよ」
「つまりはウォッチャーというわけか」
「そういう事」
 黒いコートのヴィジランテの言葉を肯定し、夏報は酒瓶を傾けた。
「しかし肝心の酒はまずいな、これ何混ぜてんの?」
「ここの酒はメチルアルコールが入っていると聞くぞ」
 その言葉にエージェントは思わず、酒を吐き出した。
 勿論、劇物である。

「……ま、悪くはなかったよ」
 何度か咳込んだ後、改めて夏報は問う。
「ここだけの話、僕はこの地球の善悪二元論がちょっと苦手だ。こういう場所のほうが落ち着く」
 この世界の在り方を。
「あなたは?」
「一人の男の話をしようか」
 デッドマンが言葉を紡ぐ。
「ウェポンベイという男が居た」
 それはあるヒーローの物語。
「身体が銃火器になるミュータントでヒーローだ……と言えば聞こえがいいが。世界はそんなに優しくない。誰だって火薬庫の隣に住みたくないからな」
「そうだろうね」
 エージェントは同意した。
「そんな男も子供には優しくて、いつだって子供のために武器を振るい、そして危険すぎる力に怯え、泣いていた」
「…………」
 ヴィジランテの話は続く。
「まあ、ヒーロー、ヴィランと色々といるが結局は人間だったのさ、力がありすぎた人間とそれと持たない人間の世界。それが俺たちの住む地球だ……答えになるかい?」
「――随分と詳しいな」
「友人だったんだ。だから気づいた」
 突然、言葉を挟めたミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)に対してデッドマンズ・ハンドは寂しく笑った。

「そういうわけか。ふん。私とてとやかく言える立場ではないがな、有効な策である事は認めよう」
 フォースレーダーで迷宮と化した下水道を走査しつつミハエラは猟書家の手段を悪である自らの視点で評価する。
「であるからこそ、早いうちに『手』を打たねばならん」
「そうだ。お前らが居るってことは、奴は複数居るってことだろう?」
 デッドマンが口を開く。
「遊んではいられないってところか?」
 答えは返ってこない。

「……しかし手――Handとは、奇妙なエンもあったものだ」
 呟きと共に視線は黒いコートへと落ちる。

 ヒーローへの不信を植え付けられた今、たとえ猟兵だとて無条件に信頼するのは難しいと邪剣の騎士は見ていた。
 だが、目的が同じという事さえ理解できるなら、お互いに利用し合えば良い。
 必要と思えばその程度の損得勘定はできる筈。
 しかし、ミハエラの考えは杞憂に終わった。
 そこに居たのは、ヒーローに不信感を持った男ではなく。
 ヒーローを信じていたからこそ、真実に気づき、そして友人と息子を失った男だったからだ。

 だからこそ、黒き手には魔弾が必要で、騎士は邪剣を携え、そして全てを視る者がなくてはならなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラファエル・ノックハーツ
※アドリブ歓迎!

(溝を掬いながら)とんでもねえ、あたしゃただのドブさらいで御座います。こうして落ちてくる金品を……やっぱナシ。ジョークかます気分じゃねえわ。

あんたと同じ用事さ。この先にいるファッ〇ン偽善者野郎をブチのめしたい…。勿論あんたの邪魔はしないさ、けど忘れてくれんな。
アンタの殺しに賛同するんじゃない。これから殺す奴は命の保証はしなくていい相手だその価値も無い。
けどもう一つ…アンタが息子の為に戦うから邪魔はしないんだ。

他の誰かの為に戦うんならアンタはヒーローさ、あんたがそう思わなくったって。
…はぁーヤダ湿っぽい!!ただでさえジメジメしてんのに!!
さーッゴミ掃除よー!!いざ鎌倉!!!



●フォー フゥム

「とんでもねえ、あたしゃただのドブさらいで御座います。こうして落ちてくる金品を……やっぱナシ。ジョークかます気分じゃねえわ」
「ゴールドラッシュは西海岸で、ここは東海岸だからな」
 ラファエル・ノックハーツ(オーヴァーマン!!!・f28352)に対して、デッドマンズ・ハンドが溜息を洩らした。
「で、お前も同じ用件か?」

「ああ。あんたと同じさ。この先にいるファッ(ピー!)偽善者野郎をブチのめしたい……」
 ラファエルが話を切り出した。
「あんたの邪魔はしないさ、けど忘れてくれんな」
 共闘に見せかけた、本当に伝えたかったことを。
「アンタの殺しに賛同するんじゃない。これから殺す奴は命の保証はしなくていい相手だその価値も無い」
 それは罪の重さを取り除くためであろうか?
「けどもう一つ……アンタが息子の為に戦うから邪魔はしないんだ」
 それとも男の復讐に意味を持たせるためであろうか?
「他の誰かの為に戦うんならアンタはヒーローさ、あんたがそう思わなくったって」
 その答えを――
「……はぁーヤダ湿っぽい!! ただでさえジメジメしてんのに!!」
 ラファエルは敢えて問わない。
「さーッゴミ掃除よー!! いざ鎌倉!!!」
「いざカマクラか……サムライの言葉だな」
 だからこそ、デッドマンも苦笑し、答えを返すことは無かった。

 ……例え、それが正しき行いであり、相手が猟書家であろうとも。
 法を守る保安官のバッヂを捨て、無法を以って討ち果たさんとした時点で、彼は失ったと認識しているのだ。

 Right Stuff
 正しい資質を。

 だからこそ、目の前のオーヴァーマンの言葉が嬉しくも眩しく、そして手に取れないものであった。
 すれ違う志。
 それでもデッドマンとオーヴァーマンは闇を進まねばならない。
 倒すべき敵がその向こうに居るのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
ハァイ、アヴェンジャーさん。
あたし?そぉねぇ、あなたの敵の敵、ってとこかしらぁ?
味方とまでは思ってくれなくてもいいけれど。少なくとも「共闘」くらいはできるんじゃないかしらねぇ?
ああ、事情とか身の上とかは別に必要ないわぁ。「件の武器庫をブッ殺す」その目的だけ共有してれば十分でしょ。立場上、詳しいこと知らないほうがお互いに便利でしょぉ?Need not to know、ってね。
…ああ、呼び名?
それじゃ、「イエロー・パロット」とでも呼んでちょうだいな。


This is a poker――『人生は理不尽の連続だ』って映画の台詞があるけれど。
理不尽をそのまま受け入れなきゃならない、なんて法はないのよねぇ。



●イエロー・パロット

「ハァイ、アヴェンジャーさん」
 打ちっぱなしのコンクリートを背にティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)が待ち合わせしたかのように軽く手を振った。
「あたし? そぉねぇ、あなたの敵の敵、ってとこかしらぁ?」
 甘く高いトーンのヴォイス。
 けれど、それが響き渡ることは無い。
「味方とまでは思ってくれなくてもいいけれど。少なくとも『共闘』くらいはできるんじゃないかしらねぇ?」
 そういう風にコントロールしているのだ。
「ああ、事情とか身の上とかは別に必要ないわぁ。『件の武器庫をブッ殺す』その目的だけ共有してれば十分でしょ」
 デッドマンズ・ハンドが警戒する中、ティオレンシアは話を続けた。
「立場上、詳しいこと知らないほうがお互いに便利でしょぉ? Need not to know、ってね」
「そうだな、お前に対してはそのように接してほしい……そういう事だろう?」
 不必要に干渉しない意思を示し、その態度に糸目の女は笑った。
 今はそういう距離がちょうど良い。

「まあ、名前ぐらいは聞いておこうか。俺はデッドマンズ・ハンド――アヴェンジャーなんてガラじゃない」
「……ああ、呼び名?」
 改めてティオレンシアが考え、そして選ぶのは。
「それじゃ、『イエロー・パロット』とでも呼んでちょうだいな」
「シャルトリューズ・ジョーヌ、アプリコット・ブランデー、アブサン……ただしアブサンはパスティスで」
 黄色いオウムという意味を持つカクテルの名。
 そしてデッドマンはそのレシピを呟く。
「くわしいわねぇ」
「騙されたくないからな」
 二人の視線が交錯し、そして誰が申し出るわけでもなく、互いの足が闇へと進む。

 This is a poker――『人生は理不尽の連続だ』という映画の台詞がある。
 だが、理不尽をそのまま受け入れなきゃならない、なんて法はない。

 先を進む黒いコートに視線を移しながら、糸目の女は男が理不尽を撃ち抜くことを祈った。
 言葉にするには二人とも大人すぎて。
 断念するには二人とも大人ではないのだから。

 足音は闇へと消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
──良い勘だ
自力で真相に辿り着いたってのもうなずける
ハローアヴェンジャー
アンタと同じターゲットを追ってる者だ
ウェポンベイを殺りに来たんだろう?オーケー!手を貸してやる

アンタの思う通り、アレはヒーローじゃあない
不信感を撒き散らす厄介なスパイだ
自力で倒そうとする根性、賞賛に値するが…それだけじゃ駄目だ
未完成の脚本じゃ、良い結末は訪れやしない
だから助っ人が来たってわけよ
安心しな、止める気なんてさらさら無いぜ
復讐の焔、大いに結構さ!
だが闇雲に燃やしちゃいけない──一発の弾丸のように、研ぎ澄ませ
きっちりアシストしてやる

ん?俺の名前かい?
ンッンー、随分前に名乗ってた名前だが…
『ネームレス』だ
覚えなくていい



●ネームレス ジョン・ドゥ

「──良い勘だ、自力で真相に辿り着いたってのもうなずける」
 存在しないはずのイオンが添加されたようなヒリついた空気が辺りを支配した。
「ハローアヴェンジャー。アンタと同じターゲットを追ってる者だ」
 そこに立つのはヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)。
「ウェポンベイを殺りに来たんだろう? オーケー! 手を貸してやる」
 口にするのは無駄を削いだシンプルなワード、回りくどいトークは無駄だというが如く。
「無駄のない言葉は嫌いじゃないが、このシチュエーションでは裏を感じるな」
 デッドマンズ・ハンドの言葉に、ヴィクティムは笑った。
 それで良いのだと伝えるために。

「アンタの思う通り、アレはヒーローじゃあない」
 舞台へと上がった端役が今、名を捨てた男へと真実を伝える。
「不信感を撒き散らす厄介なスパイだ」
「俺達、この世界の人間達に対してか?」
「ご名答」
 デッドマンの答えにヴィクティムは花丸をつけた。
「そして、そいつを自力で倒そうとする根性、賞賛に値するが……それだけじゃ駄目だ」
 だが、全てが満点というわけではない。
「未完成の脚本じゃ、良い結末は訪れやしない、だから助っ人が来たってわけよ」
 舞台に立つのは生身の人間。
 銃弾一つで退場してしまう存在。
「安心しな、止める気なんてさらさら無いぜ。復讐の焔、大いに結構さ!」
 だからこそ、端役は来た。
「だが闇雲に燃やしちゃいけない──一発の弾丸のように、研ぎ澄ませ! きっちりアシストしてやる」
 猟書家が作るデウスエクスマキナという結末を叩き潰すために。

「用件は分かった」
 ヴィジランテが答えを返した。
 少なくとも拒否の意志は無い。
「……名前を聞こうか。俺は名を捨てた、今はデッドマンズ・ハンドだ」
「ん? 俺の名前かい? ンッンー、随分前に名乗ってた名前だが……」
 名を捨てた男に対し、ヴィクティムは悩み、そして。
「『ネームレス』だ」
 かつての名を口にした。
「覚えなくていい」
 彼もまた、名を捨てた男だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
彼は命の使い方を決めた人間です。
それを止めるのはオレの趣味ではありません。

邪魔をする気も、特に用事もないですよ。
強いて言えば道を教えて欲しいんですけど、
あなたの行く方向へついていけば解決します。

用向きが同じなんです。オレはヒーローもどきを殺しに来ました。
当然、タダで道案内をしろとは言いません。

取引をしませんか。
オレを弾丸のひとつとして数えて頂いて結構です。生憎、銀のそれではありませんけど。
あなたが自分の手で殺したいなら、その絵図を引きます。

「復讐は何も生まない」なんてのは、身に覚えのあるヤツが使う言い訳ですしね。
オレは簡単にシゴトを進められる。あなたはスッキリする。
ほら、いいこと尽くめですよ。



●アイ ウォンチュー トゥ テルミー ザ ウェイ

「邪魔をする気も、特に用事もないですよ」
 矢来・夕立(影・f14904)は興味などないという素振りで口を開いた。
 命の使い方を決めた人間を止める趣味は持っていないからだ。
「強いて言えば道を教えて欲しいんですけど、あなたの行く方向へついていけば解決します」
 だから伝える言葉も直接的ではない。
「俺が狙っている相手は相当に嫌われているようだな」
 デッドマンズ・ハンドもそれが分かってか、皮肉で返した。
「まあ、そんなところです。オレはヒーローもどきを殺しに来ました。当然、タダで道案内をしろとは言いません」
「現実的だな、だが嫌いではない」
「ええ、オレも楽でいいです。軽口に付き合わなくていいですから」
「で、具体的には?」
 妙に慣れたやり取りは互いの生き方のせいだろうか?
「取引をしませんか」
 デッドマンの促しに、夕立は本題を切り出した。

「オレを弾丸のひとつとして数えて頂いて結構です。生憎、銀のそれではありませんけど」
「魔弾は間に合っている」
「あなたが自分の手で殺したいなら、その絵図を引きます」
「俺にとって有利な条件が多いな」
「考え方の違いですね」
 訝し気に答える黒コートのヴィジランテに対し、影はスタンスの違いで片付けた。
「正直、誰が殺してもいいんですよ。オレにとっては。それに……」
 一度、言葉を区切った後、夕立は言葉を続けた。
「『復讐は何も生まない』なんてのは、身に覚えのあるヤツが使う言い訳ですしね」
「耳が痛いな。昔はそれを信じていたし、職務上使っていた」
 デッドマンは眉をひそめた。
「昔は保安官だったんだよ」
「昔の話はまたいつか」
 影は話を戻す。
「とりあえず、オレは簡単にシゴトを進められる。あなたはスッキリする。ほら、いいこと尽くめですよ」
「なるほどな。そういう事なら話は分かる。なら、俺もカードを切ろう」
 懐に手を伸ばし、ヴィジランテはリボルバーを抜いた。

「誰かにも言ったが、この銃にはプルトン人とかいう奴の金属から作った弾丸が入っている」
 シリンダーをスイングアウトし、薬莢に収まった武骨な弾をデッドマンは節くれ立った指で掴む。
「原理は分からないが、一度当てた相手が死ななかったり、効かなかった場合、弾丸の性質が変わり二発目以降で殺せたり、装甲を貫けるらしい――学習する弾丸と言った所だ」
「便利ですね」
「作った時に学習されたらしくて、もう六発だけだがな。ところで……」
 ヴィジランテが弾を込め、拳銃をホルスターへと収め、そして問う。
「お前は去年、セントラルパークに居なかったか?」
「居ませんよ」
「……そうか」
「……では、オレも準備があるのでこれで」
 そこで会話は終わり、影は消えた。
 戦いの絵図を引くために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

河津・跳太郎
※アドリブ歓迎

行動
ラグネ・ザ・ダーカーの情報を開示して
偽のヒーロー活動とその犠牲者たちについて話す
その上で
今回の事件が奴の活動だと睨んでいるので協力してほしいとお願いする

「これ以上の犠牲者が増える前に、
なにより人々のヒーローへの憧れや想いを汚させないためにも
吾輩たちにはハンド殿の協力が必要なのであります」

・彼の復讐について
あまり認めたくはないでありますが
「それ」が片付かない限りどうしようもない
未来を考えることが出来ない事柄というのは
誰にでもあるでありますからな
せめてよりよい未来を迎えられるようにお手伝いするであります



●ルック ド アップ トゥ ヒーローズ

「どうなってやがる……」
 河津・跳太郎(🐸負けるなピョン太ここにあり・f18965)の姿を見て、デッドマンズ・ハンドが苦虫を噛んだ。
「ここはセントラルパークか? カエルヨージンボーまで出てくるとはまた戦争でも始まるのか!?」
「まずは落ち着くであります、ハンド殿」
 跳太郎が自分の姿を見て言葉を浴びせてくるデッドマンを制する。
「吾輩たちは戦争をさせないためにやってきたであります」

 ピョン太はまず敵の情報を開示した。
 相手の名はラグネ・ザ・ダーカー。
 彼女の目的が偽のヒーロー活動により、人々へ不信感を結び付けること。
 そして、今回の事件にも絡んでいるという事。

「つまり、ウェポンベイは……」
 跳太郎が首を振る。
 少なくとも、生きているという確証はない。
「奴は友人だったんだ、そして俺の子供は奴に……ヒーローに憧れていた。去年なんかセントラルパークで一人、クライング・ジェネシスの前に飛び出したんだぜ。ヒーローや猟兵の代わりに戦おうとして」
「……そうでありますか」
 ピョン太の中で合点がいった。
 デッドマンがヒーローへの不信感を持っていないことや、自らを含め猟兵を知っている理由が。
 見ていたのだ、去年の戦争で戦った姿を。
 そして、かつてヒーロー達が救った勇気ある少年はもう居ないという事。
 その上で、跳太郎は話を切り出さなくてはならない。
「これ以上の犠牲者が増える前に、なにより人々のヒーローへの憧れや想いを汚させないためにも、吾輩たちにはハンド殿の協力が必要なのであります」
 彼への助力を。
「分かっている。もう何人もの猟兵が協力を申し出てきた。そしてそういう敵だと知った」
 その言葉には複雑な意思が燃えていた。

 Bibliomania
「猟 書 家 にはデッドマンズ・ハンドを引いてもらわなければならない」

 それは殺意という名の黒コートを纏った男の姿だった。

 跳太郎は彼の復讐を認めたくは無かった。
 だが『それ』が片付かない限りどうしようもない、未来を考えることが出来ない事柄というのは誰にでもある。
 だからこそ、よりよい未来を迎えるための道を――示したかった。

 それが出来るだろうか?
 だが、やらなくてはならない。
 一年前のセントラルパークの大地で自分はヒーローになると決意したのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイニィ・レッド
……、どうも
「雨の赤ずきん」です
安心して下さい
問答をしに来たわけじゃない

――アンタ
このまま突っ込むだけじゃ負けますよ

理解ってンでしょ?
餓鬼に言われるなんて頭にクると思いますけど
今一度状況を見た方がいい

ヒーローを殺す手合いです
そのブツと身体一つで勝てる策でも?

自暴自棄にならねェことです
殺意で目を曇らせるな
理性を手放すな
それで目的を達成できないような奴は三下でしょ

いいですか?
どうせ此処に集まってる連中は
アンタに利用されたとて欠片も文句言わねェ

ヴィジランテ
自分は自分の好きにする
奴を命を賭けてでもブチ殺したいなら
アンタは勝つために何でもすることです

言いたいのはそれだけ
では
悔いのない雨の日にしましょ


エル・クーゴー
●デッドマンズ・ハンドに接触を



当機は『成り代わった何者か』の看破_及び_追跡に高い適性を発揮します
(ハンドと追う者を同じくしている旨をまず表明)

――“警告”
照準に対し望み通りの威を示し得る魔弾は“六発まで”です
そのリボルバーのシリンダーの装填数の通り、七発目は存在しません
(謎の空飛ぶデブ猫、サーチドローンの『マネギ』がハンドの周りをフヨフヨ旋回しちゃ鼻をめっちゃクンクンさせたりする)

>ですが
当機が貴方の“七発目”として機能した場合、そのアヴェンジの成功確率を大きく向上させ得る多角的な支援の提供が可能です

躯体番号L-95
エル・クーゴー
――当機を、貴方のザミ“エル”として随伴させることを推奨します



●デビル オン ア レイニィ デイ

「……、どうも」
「お前で最後か?」
 レイニィ・レッド(Rainy red・f17810)の言葉にデッドマンズ・ハンドが問い返す。
 ほぼ同じタイミングで、頭上の腐食した配管がずれ、雨のようにその場を濡らしはじめる。
「いえ、他にもう一人。そういうわけで『雨の赤ずきん』です。安心して下さい、問答をしに来たわけじゃない」
「では、何のために?」
 もう一度、デッドマンが問えば、レイニィは嘘偽りのない真実を告げる。
「――アンタ。このまま突っ込むだけじゃ負けますよ」

「……そうだな」
 コートが水を弾き、ヴィジランテの足元を濡らす。じきに外套も水を吸うだろう。
「理解ってンでしょ? 餓鬼に言われるなんて頭にクると思いますけど、今一度状況を見た方がいい」
「ああ、分かっている。俺は二発以上当てないと勝てないが、あっちにはユーベルコードがある」
 水気を帯びた前髪が垂れ、研ぎすまされた瞳を隠す。
「まずは死ぬな」
「ヒーローを殺す手合いです。そのブツと身体一つで勝てる策でも?」
「魔弾が六発……全部当てれば、ひょっとしたら倒せるかもしれない」
 猟兵達の会話で幾分か和らいだ口調で、赤ずきんの言葉に答えていくデッドマン。
 その姿が、心の天秤を揺らしていくように思えた。
「なら自暴自棄にならねェことです。殺意で目を曇らせるな、理性を手放すな、それで目的を達成できないような奴は三下でしょ」
「そうだな……」
 男は肯定し
「いいですか? どうせ此処に集まってる連中は、アンタに利用されたとて欠片も文句言わねェ」
 雨男はそれでも言葉を続ける。
「ヴィジランテ、自分は自分の好きにする。奴を命を賭けてでもブチ殺したいなら、アンタは勝つために何でもすることです」
「なあ、赤ずきん」
 いつの間にか、雨は止んでいた。
「お前はもし困難が訪れた時、自分がやらねば状況が悪化する時、どうする?」
 デッドマンが問いかけるのは
「立ち向かうか? 仲間を呼ぶか? それとも誰かに託して逃げるか?」
 心の在り方。
「答えはどれでも正しい。だが、その中でカードを選ぶなら」
 そして自らの
「俺は立ち向かう方を選ぶ」
 ――在り方。
「俺は父親なんだ。復讐もあるが、その前にパパは子供のヒーローでなくてはいけないのさ……もっとも、俺はその資格を失ったがね」
 男が笑った。
 猟兵の言葉がアヴェンジャーの炎を全てを燃やすものから、信念の炎へと変えていった。
 だから、笑った。
「まだ、何か言いたいかい?」
「いいえ、さっきので全部」
 デッドマンの問いにレイニィは答え。
「では――悔いのない雨の日にしましょ」
 雨の意味を変えるべく、ヴィジランテをいざなった。
 最後に待つ、猟兵の元へ。

「“確認”貴方をデッドマンズ・ハンドと認識します」
 エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)がデータベースに記録した情報と目の前に立つ男を照合する。
「――“警告”」
 そして、告げる。
「照準に対し望み通りの威を示し得る魔弾は“六発まで”です。そのリボルバーのシリンダーの装填数の通り、七発目は存在しません」
「試し撃ちする必要があったからな、俺もそれは懸念している」
 空を飛ぶデブ猫を模したサーチドローン、マネギがデッドマンのコートの匂いを嗅ぎ、泥水の臭いに顔をしかめた。
「ですが、当機が貴方の“七発目”として機能した場合、そのアヴェンジの成功確率を大きく向上させ得る多角的な支援の提供が可能です」
「弾に使ったプルトン人の金属は、もう無いぞ」
 ヴィジランテが問題を口にする。
「問題ありません」
 しかし、エルは首を振った。
「当機はプルトン人との交戦経験があります。当該する金属に関しての情報も記録済みです」
 躯体番号L-95がコンクリートの大地から足を離し、浮遊する。
 それはまるで悪魔が契約を持ちかけるような仕草。
「躯体番号L-95『エル・クーゴー』――当機を、貴方のザミ“エル”として随伴させることを推奨します」
「俺は既婚者だぞ、明日、結婚式の予定もない」
 Zaki“el”の言葉に対しデッドマンは自らをオペラの配役に例え、皮肉った。
「だが、赤ずきんも言っていた。お前の力――貸してもらう。相手が違う奴に化けていたら無駄足かもしれないがな」
「その点に関しては障害はないと認識済みです」
 ヴィジランテを左側へと移動したエルが笑みを浮かべた。
「当機は『成り代わった何者か』の看破_及び_追跡に高い適性を発揮します」

 かくして、デッドマンズ・ハンドは手札をそろえた。
 後は場に上がるのみ――ラグネ・ザ・ダーカーの元へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ラグネ・ザ・ダーカー』

POW   :    ダーカー・インジャスティス
全身を【鮮血の如きオーラ】で覆い、自身の【悪意】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    侵略蔵書「キル・ジ・アース」
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【侵略蔵書「キル・ジ・アース」】から【具現化された「死のイメージ」】を放つ。
WIZ   :    マッド・デッド・ブラザーズ
【死せるヴィラン】の霊を召喚する。これは【強化された身体能力】や【悪辣な罠】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ラグネ・ザ・ダーカー

 ダストブロンクスの奥深く、高すぎるほどの天井を持った広い空間にそいつは居た。
「仕事は済ませたようだな?」
「やあ、久しぶりだね」
 黒いコートのヴィジランテ、デッドマンズ・ハンドの言葉に挨拶を返すかのように口を開くのは右腕をガトリング砲に変えた若いミュータントヒーローらしき姿。
「こっちは終わったよ。悪党どもはみんな片付いた。そういえばご子息は……ああ、失礼した、あの時はすまなかったと――」

 BLAM!!

 銃弾が一発、ウェポンベイの姿を借りた存在に撃ち込まれ、その額に孔を穿つ。
「化かしあいは終わりだ、ラグネ・ザ・ダーカー。お前のからくりは猟兵が教えてくれた」
 紫煙立ち上る銃口の先には血だまりのブラッドバス。
 孔を開けられた偽物のヒーローを仰向けに朱に浸かった後、笑みと共に身を起こす。
「本当にそう思うのかい?」
 問いかけながら、自らが作り上げた死者の泉から立ち上がる、その姿は白衣を羽織った銀髪の女の様。
「君は猟兵が成り代わってる可能性を考えなかったのかい? 君はその中の誰かがエイリアンだと考えなかったのかい? なあ、君は本当に君なのかい……スナーク?」
 ラグネ・ザ・ダーカー、その笑みは妖しく、そして醜悪であった。
「最初はそう考えた。けれど、それは無いな。誰も靴を磨きはしなかったし、お前を探す希望をくれた」
 黒いコートのヴィジランテは短編詩になぞらえ、ラグネの言葉を否定した。
「こいつらは猟兵で、お前はビブリオマニア、そして俺は――」
 リボルバーを構える男の名は。
「デッドマンズ・ハンドだ」

 これより始まるのは、ある男の復讐ではない。
 名を捨てた一人の男とそれに協力する猟兵達による、見えざる敵を打ち倒す物語である。
 
六条寺・瑠璃緒
嗚呼、此れが元凶か
猟兵も随分集まっているし安心してね、デッドマンズ・ハンド
安心して…暴れると良い

Serenadeのオーラ防御を纏ってやや後衛で眺めつつ、攻撃を受けたら惰性でカウンター
…飛び回られると鬱陶しいなぁ
其れだけなら追いかけても良いけれど、死霊共のパレエドは皆に迷惑だし…
…そうだ、此処には此れだけ役者がいるのだし、今回は主役を譲ってあげようか
UC発動
「さぁ、君たちのステージだ」

催眠術で味方を鼓舞しつつ自身は動かず眺めるだけ
と、見せかけてRequiemで遠近問わず騙し討ち
デッドマンズ・ハンドに危険が迫るなら身を挺してかばう
君さっき就職面接に合格しただろ?此れは使用者の責務だよ…と戯けつつ



●アポカリプス オン ステージ

「デッドマンズ・ハンドか……」
 ラグネ・ザ・ダーカーが侵略蔵書を片手に呟き、笑う。
「ならば、私はさしずめワイルド・ビルで、ここはデッドウッドと言った所か……木のかけらもありはしないが」
「すぐに枯れ木の十字架が立つさ、お前のな」
「それはどうかな? 力なき人間よ」
 デッドマンズ・ハンドの言葉を鼻で笑えば、猟書家の足元を濡らす血だまり――それが泡立ち、何かがはい出るように現れ、コンクリートの大地を踏む。
「かつての戦争、アライズメンによって倒されし枢軸の魔団――ブロッケンディヴィジョン」
 それは超兵器を持った兵士達の集団、力に支配されしカルト。
「亡霊の師団が君達を殺すだろう」
 ビブリオマニアの顔に笑みが浮かんだ。

「嗚呼、此れが元凶か」
 六条寺・瑠璃緒の目に映る死せるヴィランはまるで臨時雇いの通行人役の様。
「猟兵も随分集まっているし安心してね、デッドマンズ・ハンド。安心して……暴れると良い」
 彼の視線はその向こうの脚本家に向けられていた。
「弾が足りねえよ」
「確かにそうだね」
 男の皮肉にスタアは笑った。
「死霊共のパレエドは皆に迷惑だ……そうだ、此処には此れだけ役者がいるのだし、今回は主役を譲ってあげようか」
 瑠璃緒の灰色の瞳に色が宿ったように見えた時、空に門が開かれる。
「さぁ、君たちのステージだ」

 Apocalypse ――now
 人よ、汝が罪を嘆け

 其は穢れ
 其は怨嗟
 かつて、亡霊達が殺め糧としたものが今度は呪いとなり、ヴィランを無力化する。
「――今だ」
「ああ」
 言葉に応じ、拳銃を構えるデッドマン。

「遅いよ」
 目の前に鮮血の弾丸が迫りくると同時にヴィジランテは猟書家の言葉を聞いた。
 直後、割れるように音とともに空気が破壊され、衝撃波が空間を破壊した。

「大丈夫かい、デッドマンズ・ハンド」
「鼓膜を……やられた、ゆっくり話してくれるとありがたい、そして」
 身を挺して、自らを床に倒し庇った瑠璃緒を、立ち上がったデッドマンが引き起こす。
「ありがとう」
「君さっき就職面接に合格しただろ? 此れは使用者の責務だよ……」
 高速飛行の結果発生したソニックブームにしたたかに全身をシェイクされながらも、スタアは彼らしく戯けてみた。
「さあ、君の舞台はこれからだ……行くんだ、デッドマンズ・ハンド」
「……すまない、後でコーラをおごってやる」
「よしてくれ」
 ヴィジランテの言葉に瑠璃緒は首を振った。
「骨が溶けるじゃないか」
 それは彼なりのお巫山戯であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
ヴィジランテは貴方呼び

ありがとう、デッドマンズ・ハンド。俺達を信じてくれた心に必ず報いる
俺は一度死んだ身、一度失った命を懸けるくらいなんでもない

SPDで判定
まずは敵を【挑発】して引き付け、出入口から離すように【おびき寄せ】る
ヴィジランテを【かばい】ながら、双方の動きを【視力】【聞き耳】で【情報収集】し彼が戦いやすいように動く
銀腕を【武器改造】で剣にし【怪力】【早業】【鎧無視攻撃】【貫通攻撃】で俺も攻撃する
敵が逃げようとしたら【大声】で周囲に知らせ、義眼の黄の災い:感電【マヒ攻撃】を【スナイパー】【全力魔法】【属性攻撃】で動きを止める


木常野・都月
ハンドさんは、初めて会った猟兵の俺達を信用してくれた。
今回の任務とは別に、俺はハンドさんの信用に応えられる狐…妖狐でありたい。

まずはハンドさんに[オーラ防御]を。
[野生の勘、第六感]で敵の挙動に注意したい。
俺は有事にハンドさんを[かばう]事が出来る位置で応戦したい。

敵の攻撃は[高速詠唱、属性攻撃、カウンター]で対処したい。

UC【精霊共鳴】で威力を底上げしたい。

敵の隙を伺って闇の精霊様の[属性攻撃(2回攻撃)、全力魔法]で攻撃したい。
闇の力で敵を圧し潰したい。

万が一まだ敵が生きているなら、ダガーとエレメンタルダガーに持ち替えて迎撃に努めたい。
必要に応じて精霊の石から魔力供給も視野に入れたい。



●トラスト ミー

「やはり人間とは脆いものだな。ヒーローやヴィランのように強靭な身体を持っていない」
 空を舞い、嗤うのは猟書家ラグネ・ザ・ダーカー。
「音速を超えて飛行する。それだけで衝撃波に飛ばされて私に触れることもできないのだから」
「触れずとも、弾丸を当てればいい」
 鼓膜を破られ、平衡感覚を失う中、デッドマンズ・ハンドが銃を構える。
「出来るのかね? 音よりも速い私に対して」
 女は嗤った。
 だが、忘れていた。
 猟兵という名のもう一つの弾丸を。

 デッドマンを光が覆った。
「これは……?」
「ありがとう、デッドマンズ・ハンド」
 ふらつく男に肩を貸すのはルイス・グリッド。
「俺達を信じてくれた心に必ず報いる」
「ハンドさんは、初めて会った猟兵の俺達を信用してくれた」
 オーラによる力場を形成しつつ、木常野・都月が一歩前に出る。
「今回の任務とは別に、俺はハンドさんの信用に応えられる狐……妖狐でありたい」
「友情ごっこは終わったかね?」
 猟兵の姿を認め、ビブリオマニアが訪ねる。
「デッドマンを一人犠牲にして戦えば、勝てるチャンスもあろうに」
「馬鹿を言え」
 ルイスがラグネ・ザ・ダーカーの言葉を一蹴した。
「人に希望をもたらさない勝利など、お前らの目論見通りだろう。それに……」
 もう一人のデッドマンは手袋を捨て、銀の右腕を剣へと変化させる。
「俺は一度死んだ身、一度失った命を懸けるくらいなんでもない」
「そういう奴ほど、すぐに死ぬ」
「――来るぞ!?」
 猟書家の動きに黒いコートのヴィジランテが警告を発した。
 彼女の足元には背むしのように身体を丸めた白い防護服に身を纏った男が立っていた。

「ビーキーパーを知っているかね?」
 侵略蔵書片手にビブリオマニアが語る。
「かつて、ファースト・ヴィジランテに殺された。養蜂家にして殺人鬼、彼が飼育するスズメバチは普通の蜂の二百倍の毒を持つ」
「だ、そうだ……狐は蜂の天敵だったりしないか」
 冷や汗を拭うデッドマン。
「ちがうよ」
 彼の言葉を都月は否定し、そして。
「でも、やってみる」
 詠唱を始めた。
 そのタイミングでルイスが動いたのもヴィジランテは視界に収める。
 ならば、自らの役割は……。

 殺人養蜂家が自らの可愛い子供達を妖狐へと放つ。
 死せるシリアルキラーに飼育された死せる蜂は死をもたらすために都月へと襲い掛かろうとした。
 だが、遅い。
 詠唱は終わり、精霊の使い手が杖で地面を叩いた時、闇がその場を支配した。

 Spirit resonance
 精 霊 共 鳴

 それは闇、それは新月。
 月の精霊チィによって力を増した闇はまさに光を浴びない月にして、海の満ち引きを操るに等しい力を圧力へ変え、蜂達を呑み込んだ。
 どんなに強い毒であろうが。
 どんなに深い闇を抱えたヴィランであろうが。
 猟書家自身の言葉を借りるなら「人間とは脆いもの」
 それは彼らとて、例外ではない。
 ましてや生前に持っていた偏執狂たる精神すらなければ、その霊は月の闇に帰っていく。
 ビーキーパーはその殺意を振るうことなく闇へと消え、そしてラグネ・ザ・ダーカーへ銀の刃が襲った。

「おっと」
 身を翻し、猟書家がルイスの刃を避ける。
「空も飛べない、その身でどうやって戦うのかね?」
 着地したメガリスの戦士へ向かった訪ねるのは二つの意味。
 一つは言葉通り。
 そしてもう一つは――死。
 侵略蔵書『キル・ジ・アース』が具現化するのは、上空よりの銃撃。
 攻撃ヘリが超遠距離から機関砲で人を分断するが如く、大口径の鉛が雨となってルイスへと降り注いだ。
「言ったろ」
 自らへ迫る弾丸を前にもう一人のデッドマンの左目が黄色に輝き。
「一度失った命を懸けるくらいなんでもない」

 Enchant
 属性付与

 感電の力を帯びたキャバリアの魔銃から、一発の弾丸が放たれ、ビブリオマニアの肩を貫いた。
「――今だ」
 ルイスの言葉にデッドマンが頷き、銃を構えた。

 雷管が叩かれ、信頼に応えた猟兵達の想いをアップデートした弾丸が火を吹き、再びラグネ・ザ・ダーカーの額を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

河津・跳太郎
※アドリブ歓迎

SPD判定

・行動
下水道内の広場という限定空間をギリギリまで使って
壁や天井を滑走したり
水場に着水してから急転換するなどトリッキーな軌道を描くように
サーフィン魔法でのパフォーマンスを見せる
UCを発動して敵の移動速度に追随しながらビッグウェーブを起こし
波に飲み込むように敵の足止めをさせる
(空中戦、衝撃波、パフォーマンス、サーフィン、吹き飛ばしなど)

・セリフ
確かに、完璧なヒーローなんて本当はいないのでありましょうな
常に正しい訳でもなく、全てを救えるわけでもない……

だがそれでも、あの日ヒーローに憧れた気持ちは!
皆が信じるヒーローという幻想(ゆめ)は!
確かにこの胸に燃えているのであります!


荒谷・つかさ
生憎、私に難しい事はよくわからないし気にしないのよ。
問答してる暇があったらさっさと逃げるべきだったわね、オブリビオン。

私自身は徒手空拳で対峙
前衛として持ち前の「怪力」を活かした近接戦闘を行う
戦闘中は【妖術・九十九髪】を発動し、ワイヤーアクションの要領での移動や空中に網を張ってのトラップ、空中での足場に活用
切断されても操作できるので、それらは敵本体にくっつかせて体内侵入、花の奥や気管支の入口等敏感な部分をチクチクして戦闘行動全般の妨害も狙う

何を信じればいいかわからない中で、己を……己の感覚を信じる。
彼のそのブレなさが、お前をここまで追い詰めた。
悪趣味な自作自演はこれで終わりよ。



●フィーリング オブ ドリームズ

「なるほど、プルトン人の金属。オーバーロード・エクスマキナによって施された学習する金属を弾丸にしたのか?」
 鮮血を拭ったラグネ・ザ・ダーカー。
 その額に穿たれた孔はみるみるうちに塞がっていく。
「確かにその弾丸なら、いつかは倒せるかもしれない。だが、その時に弾は残っているかな?」
「問題ねえさ」
 猟書家の言葉をデッドマンズ・ハンドは一蹴した。
「これはザミエルが伝えし魔弾だからな」

「オペラか短編詩か……どちらにしても」
 浮遊するビブリオマニアの身体が鮮血が如きオーラに包まれる。
「これは私の作った物語だ。ならばどうなるかも分かっているだろう?」
「生憎様」
 空を舞うラグネ・ザ・ダーカーへと力強い一撃が撃ち込まれ、猟書家は吹き飛ばされる。
「私に難しい事はよくわからないし気にしないのよ」
 荒谷・つかさであった。
「このパワー……生来の物に修練を重ねた結果か」
 体勢を立て直し猟書家が呻く。
「問答してる暇があったらさっさと逃げるべきだったわね、オブリビオン」
 突き上げるようなアッパーが空中で炸裂し、両腕でそれを受け止めたラグネ・ザ・ダーカーがさらに空を舞った。

「確かに、完璧なヒーローなんて本当はいないのでありましょうな」
 吹き飛ばされるビブリオマニア。
 そこへ追いつく影一つ。
「常に正しい訳でもなく、全てを救えるわけでもない……」
 河津・跳太郎であった。
「そう、犠牲はつきものだ。これはそういう物語だよ」
 ホバリングサーフボードを駆る跳太郎へ向けて猟書家は嗤い、そして侵略蔵書を開き、死を顕現させる。
「蛙なら蛇だろう」
 それは蛇。
 それは化生
 多頭を持った蛇の怪物がピョン太へ襲い掛かる。

 Heil Hydrā
「死よ、万歳」

「だがそれでも」
 不規則な軌道を描き襲い掛かる蛇の頭に対し、バレルロールから急上昇で逃れると跳太郎が叫ぶ。
「あの日ヒーローに憧れた気持ちは!」
 魔法が起こった。
「皆が信じるヒーローという幻想――Dreamは!」
 ハワイに伝わる海の魔法――その名はSurfing Magic.
「確かにこの胸に燃えているのであります!」

 Frog Surfer
 波乗りピョン太

 顕現した大波は蛇を、猟書家を、全てを呑み込み、空を海に変えた。

「古い魔法を持ち出してくる……」
 海から抜け出したラグネ・ザ・ダーカーの顔が醜悪に歪んだ。
 そこへ迫るつかさ。
 空を蹴り、まるで足場があるかのように。
「脚力で飛んできたと言うのかい?」
「出来るけど、それは別の機会に取っておくわ」
 軽口と共に放たれる拳を躱し、羅刹の女はビブリオマニアの顔面を蹴り飛ばした。
 直後、猟書家が感じるのは何かが切れた音。
「糸……いや、髪の毛か」

 Spirit of Hair
 妖術・九十九髪

「何を信じればいいかわからない中で、己を……己の感覚を信じる」
 つかさが語る中、海を抜けて、電光丸を口に咥えたピョン太が急降下する。
 狙うは勿論、ラグネ・ザ・ダーカー。
「彼のそのブレなさが、お前をここまで追い詰めた」
 羅刹の女が黒いコートのヴィジランテへ視線を落とし、そして張り巡らした髪の毛を蹴る。
「悪趣味な自作自演はこれで終わりよ」
 刀と拳のコンチェルトは猟書家の作詞した歌を力づくで引き裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミハエラ・ジェシンスカ
やはり……いや、想定以上の杞憂だったか
ならば、あとは鬼札を切るだけという事だ

ふん、随分と馴染みのある色合いだな?
こちらも【念動力】で飛翔
フォースレーダーの【情報収集】で敵を追い
その弾丸を【見切り】、【武器受け】ながら
相対速度を利用した【カウンター】を狙う

この手の輩がこうした空間で狙う悪意なぞ凡そ決まっている
跳弾と、崩落による圧し潰しだ
ここに民間人がいれば当然巻き添えを狙っただろうな
破壊しうる脆い箇所を戦いながら【情報収集】で走査
敢えてその付近へと追い込まれる振りをする

そうして敵が狙い通りに崩落を起こしたなら
圧し潰された振りをして【念動変異】で変異、霧散
そのまま【騙し討ち】【暗殺】を仕掛けてやる


月待・楪
うっせーおっさん…言われなくても、わかってる
俺は俺のしたいままに
手を貸すって決めたから貸す
それだけだ
デッドマン、道は開いてやる…上手くやれよ?

は、よォ見知らぬ同業
いつもなら気にしねーけど…今夜はそういかねェんだよ
俺は俺のプライドのために【覚悟】のためにテメーらをぶっ倒す
デッドマンの行動を誤魔化すついでに【乱れ撃ち】してヴィランを牽制
罠を狙って【クイックドロウ】で発動する前に【破壊工作】
接近してくるなら好都合だ
ここはダストブロンクス
使える無機物なんざそこら中にあるからなァ?
【EasterLily】発動
瓦礫もゴミもまとめて俺の銃として【念動力】で操って
ヴィランと本バカに弾丸をプレゼントしてやるよ!



●ディフェレンス スタイル オブ ヴィラン&イヴィル

 デッドマンズ・ハンドがリボルバーを構える。
「……無理だな」
 苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべ、黒いコートのヴィジランテは走り出した。
 銃を持っているとはいえ、元保安官とはいえ、お世辞にも彼は射撃の名手ではない。
 数少ない魔弾を音速に近い速度で飛翔する存在に当てるのは至難である。
 そしてそれを理解し、方法を模索するのがデッドマンの強さであった。
 チャンスをうかがいヴィジランテは闇に消える……。

「やはり……いや、想定以上の杞憂だったか」
 鮮血のようなオーラを纏い、体勢を立て直すラグネ・ザ・ダーカーの頭上で嘲笑うかのようにミハエラ・ジェシンスカが呟いた。
「それにしても……ふん、随分と馴染みのある色合いだな?」
 自分もまた鮮血のようなサイキックエナジーを纏い念動力を以って飛行する。
「まあいい、死ね」
 猟書家の弾丸のような拳を跳ねのけ、フォールンセイバーを振るうミハエラ。
 だが、悪意によって強化されたそのオーラと拮抗し、閃光が散る。

「拮抗ってところか……そっちは上手くやれるか?」
「うっせーおっさん……言われなくても、わかってる」
 デッドマンに対し月待・楪が吐き捨てるように答えた。
「俺は俺のしたいままに手を貸すって決めたから貸す――それだけだ」
 ヴィランたる楪が自らの意志を改めて口に出す。
「デッドマン、道は開いてやる……上手くやれよ?」
 そこにあるのはなんであるか、それを知るには。
「出来ればアスファルトで舗装しろよ」
 託された男の答えで探るのみ。

「は、よォ見知らぬ同業」
 カスタマイズされた彫金細工のドイツ製の拳銃を二丁、ビブリオマニアへ向けてトワイライトは呼びかける。
「私はヒーローだよ? それとも本を嗜むのかね?」
「いつもなら気にしねーけど……今夜はそういかねェんだよ」
 猟書家の皮肉を無視してヴィランはトリガーに力を入れた。
「俺は俺のプライドのために覚悟のためにテメーらをぶっ倒す」
 ヴィランたる矜持は時に利用しあい、時にぶつかり合う。
「誇り高き君には、彼がお似合いだろう――ドクター・ポリグラフ、相手をしてくれたまえ」
「心得た」
 だからラグネ・ザ・ダーカーはこのヴィランを選び、その言葉に応えた初老の男は機械を片手に歩み出た。
「やあ、クランケ君。私の話を聞いてくれるかね」
 銃声が鳴り、死せるヴィランの霊が吹きとばされた。
「まあ、そんな乱暴にしないでくれ。それとも――『これ』がしたくて君はヴィランを名乗っているのかな?」
 額に孔を開け、ドクターは笑みをたたえ、問いかける。
「ヴィラン、良い免罪符だ。何をしても悪党だから許される……ああ、君をどうこうしようとするつもりはないよ。私はただ……真実を知りたいのだ、このポリグラフの反応を通してね」
 銃声が続く。
 二発、三発、四発。
 それはドクター・ポリグラフが動かなくなるまで続いた。
「……テメーに付き合っている暇はねえ」
 例えどうであろうと、トワイライトの道は決まっている。
 それはヴィランやヒーローというくくりではなく、月待・楪としての選択肢。

「……」
 ラグネ・ザ・ダーカーが視線を落とす。
 消え去るマッド・デッド・ブラザーズ、その前に立つ楪、そして黒いコートのヴィジランテ。
 準備は整った。
 後はそう――この腕を隔壁に叩きつけるのみ。
 ミハエラの理力剣を掻い潜り、猟書家は全力を以って、隔壁を破壊した。
 目指すは崩落による圧殺。
 皆、ガレキの中に消えるがよい。
「ならば、あとは鬼札を切るだけという事だ」
 落下する隔壁だった物を見て、口角を釣り上げた邪剣の騎士の表情はコンクリートの破片に消えた。

「好都合だ」
 自らを押しつぶさんとするコンクリートに対してトワイライトが笑った。
「ここはダストブロンクス――使える無機物が天から降って来たぜ」
 そう、それが楪の切り札。

 EasterLily
 復活祭の百合

 トリガーハッピータイムが始まった。
 瓦礫は銃弾へと変わり、スノードロップの弾倉を満たし、光への憧れを鉛弾へと変えていく。
「くっ……器用な真似を」
 鮮血の如きオーラで自らの悪意にて強化しても、その衝撃は防ぎきれない。
 銃弾の威力にビブリオマニアが動けなくなった時、背後より声がした。
「こうした空間で狙う悪意なぞ凡そ決まっている」
 サイキックエナジーへその身を変えたミハエラが実体化する、無から有が生まれるように。

 Psycho trans
 念 動 変 異

 振るわれた赤黒い刀身がラグネ・ザ・ダーカーの背中を切り裂いた!

 悪であろうとヴィランであろうと、譲れないものはある。
 だからこそ、猟書家は一人であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユースティ・アストライアー
◆POW行動
◇アドリブ絡みOK
◇一人称「私」二人称以上「名前+さん」
△(ロボ娘故メカバレとか

確かに残念ながらヒーローでも全て救えるとは限りません
不幸な事故も起こります
その度に私は悔いてきました
私だけでなくヒーローなら誰しも同じ悩みを抱えるでしょう
それでも私達は前を向き努力しなければなりません
少しでも不幸を無くす為に
それを…故意に悲劇を起こすなんて言語道断
ヒーローの尊厳を踏みにじる貴女の行為断じて許せません

その意志を力に変えスーパー・ジャスティス使用で空中戦

戦闘では技能【怪力】使用
徒手空拳だけでなく槍や大剣も盾も使用
デッドマンズ・ハンドさんを守りつつ協力して戦闘

ピンチでも諦めない
ピンチはチャンス


トリテレイア・ゼロナイン
追跡の最中、中座し申し訳ありません
『着替え』に手間取りまして…
(グリモアで転送してもらったUCを装着した姿で)

ことを為した後、貴方には義務が生じます

…ご子息とご友人に花を供える事です
意外ですか?
戦機の騎士は悼むものなのですよ

さて、騎士として少々格好はつきませんが…御覚悟を、『悪党』

最高速に慣性制御の小回りで対抗
●空中戦で近接戦●怪力盾受けで防御

…重い
ですが、捉えました(●スナイパーでレーザー照準)

再度の攻撃を●瞬間思考力で●見切り未来位置を座標指定
重力波で撃墜

セントラルパークですれ違った勇敢な少年、この地の人々、ウェポンベイ…
そして彼の為…先ずは地に墜ちて頂く

重力加速で追撃
全備重量乗せ踏みつけ



●アイアンウィル フロム ウォーマシン

 ラグネ・ザ・ダーカーへとリボルバーの照準定めるデッドマンズ・ハンド。
 四人の猟兵によって積み上げられたコインを使う機会が訪れようとしていた。
 チャンスを逃してはならない。
 弾丸はあと四発だけなのだから。

 追撃の一条がビブリオマニアへと叩き込まれた。
 それはユースティ・アストライアーの黄金の光。
「確かに残念ながらヒーローでも全て救えるとは限りません」
 鮮血を黄金が貫くように拳が振るわれる。
「不幸な事故も起こります」
 それは悔恨。
「その度に私は悔いてきました」
 それは懺悔。
「私だけでなくヒーローなら誰しも同じ悩みを抱えるでしょう」
 それは誰もが背負いしもの。
「それでも私達は前を向き努力しなければなりません、少しでも不幸を無くす為に」
 だからこそスーパーウィッシュガールは戦うのだ。
「それを……故意に悲劇を起こすなんて言語道断!」
 故にその拳は怒りに満ち。
「ヒーローの尊厳を踏みにじる貴女の行為断じて許せません」
 それこそが……

 SUPER JUSTICE!
 ヒーローたる所以

 その力は猟書家を吹き飛ばし、コンクリートの壁に叩きつけた。
「許せないのなら……どうだというのだ!」
 蜘蛛の巣上に亀裂の広がる壁を蹴り、ラグネ・ザ・ダーカーが弾丸のように飛び、拳を叩き込む。
 咄嗟に盾を構えるユースティ。
 だが盾はひしゃげ、ヒーローが床に叩きつけられた。

「立てるか?」
 一瞬だけ、途切れた意識。
 その肩を背負う、男の姿。
「重たいな……まあ、その身体じゃ仕方ないか」
 デッドマンの言葉に自分の皮膚装甲が破壊され、内部から火花が散っていることにユースティは気づいた。
「デッドマンズ・ハンドさん……」
 スーパーウィッシュガールが視線を向ければヴィジランテは猟書家を睨みつつも笑う。
「大丈夫だヒーロー、お前の言葉は皆に届く……そうだよな?」
「ええ、もちろん」
 騎士の言葉と共に空気の切り裂く音が響いた。

「追跡の最中、中座し申し訳ありません『着替え』に手間取りまして……」
 そう謝罪したトリテレイア・ゼロナインの姿は騎士と称するには近代的過ぎた。

 Extension parts Type-G
 戦機猟兵用重力制御兵装

 重力・慣性制御機構を備えたスラスターバックパック。
 二門のキャノン型グラビティガン。
 明らかな砲戦兵装であった。
「さて、デッドマンズ・ハンド様。ことを為した後、貴方には義務が生じます」
「警察には行かんぞ」
 前に出ながらトリテレイアは言葉を紡ぎ、デッドマンも言葉を返す。
「……ご子息とご友人に花を供える事です」
「……」
 男は答えを返さない、いや返せなかった。
「意外ですか? 戦機の騎士は悼むものなのですよ」
「分かったよ」
 戦機の言葉にヴィジランテは肩をすくめた。
「ブローディアでも用意しておく」
 もし、その装甲が血肉と肌を持っていたら、おそらくは笑っていただろう。
 けれど、戦機たるその騎士には無い。
 代わりに――
「さて、騎士として少々格好はつきませんが…御覚悟を、『悪党』」
 悪党を一人討つのみ。

 スラスターが噴射されトリテレイアが飛ぶ。
 速度で上回るラグネ・ザ・ダーカーに対し、慣性制御システムを駆使し最小限の軌道で前をふさぐ。
 それは思考とプログラムを分散させることが出来る戦機に対し、思考と反射神経に頼らざるを得ない肉ある身の差。
 咄嗟、悪意の拳が振るわれ、騎士の盾をへこませる。
「……重い」
 勢いに負け、距離を開けるトリテレイア。
「ですが、捉えました」
 直後、戦機の頭部が光り、レーザーが猟書家をターゲティングした。
「レーザー照準!? そうはさせない」
 意図に気づいたラグネ・ザ・ダーカーが距離を詰め、拳を握る。
 それに対し、戦機は少しだけ後ろに下がった。
 それだけで充分であった。
 一本の槍――ユースティの投げた一条がビブリオマニアの動きを止めるのだから。
「感謝を」
 礼と共に座標を指定し、両肩の砲門から重力波が解放された。

「ぐはぁ!」
 鮮血の如きオーラすら吹き飛ばされ、墜落していくラグネ・ザ・ダーカー。
 だが、戦いはまだ終わらない。
「セントラルパークですれ違った勇敢な少年、この地の人々、ウェポンベイ……」
 重力加速で迫るトリテレイア。
「そして彼の為……先ずは地に墜ちて頂く」
 踏みつけるような一撃が、猟書家をコンクリートの大地へと縛り付けた。
「今です!」
「――OK」
 デッドマンズ・ハンドの両手に握られた拳銃。
 そのシリンダーが回転し、魔弾がまた一つ、ラグネ・ザ・ダーカーを貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラファエル・ノックハーツ
※アドリブ連携歓迎

そうさ、靴は磨かねえ…泥はテメエに押し付けようと思ってたんでねェーーッ!

wow!ブンブン飛んでるラグネを尻目に来る死のイメージ!焼死?凍死?暴走車?何が来ようと〈環境・地形・激痛耐性、怪力〉のマイボディで耐える☆

汚名を被ったウェポンベイの名誉の為-
命を奪われたデッドマンズ・ハンドの息子の、魂の安息の為-
お前に正義の鉄槌を下す。良く回るその汚え口で防げるならやってみろや-!!!

奴の高速移動を見切り、【人間砲弾~もう一つの弾丸~】発射!!
地上へ向けて蹴り落とす!


レイニィ・レッド
グダグダうるせェな
テメェは正しくねェンだよ
『赤ずきんの噂話』も知らねェ余所者が

――、正しくねェモノが雨の中に立つなよ

雨の中に奴らを閉じ込め
雨音の中に潜み姿を消します
わざと赤色を晒して姿を見せたり
鋏の音を響かせたりしてフェイントかけ
狩場で奴らを刻んでやりましょ

罠、ね
正しくねェな
そんなモノが雨の中通用すると思いますか

攻撃は全力で行い
猟書家の注意を自分に惹き付けます

一瞬でもいい
奴の頭から"射手"の存在が消えれば
その瞬間が好機となる

お膳立てはしました
さ、しっかり狙って下さいよ

父親はヒーロー、なんでしょ
じゃあ最後までなってみせろよ
テメェのガキにとってのヒーローは
アンタだけなんですから



●アイ スウェア イン ザ レイン

 手ごたえはあった。
 だが、両手に握ったリボルバーから感じる熱量にデッドマンズ・ハンドは舌打ちを禁じえなかった。
「弾丸がアップデートされた――敵はまだ生き残っているのだ!
 ヴィジランテは走る。
 今の彼にはそれが最善手なのだから。
 現に衝撃を伴い、ラグネ・ザ・ダーカーは再び空へ舞い。
 デッドマンは吹き飛ばされるようにコンクリートを転がった。

「まだだ!」
 肩を貫かれ、背中を焼かれ、全身を打ちのめされようとも猟書家は敗北者に甘んじない。
「私の侵略蔵書には私の死は書いていないのだから」
 だが、最初にあった余裕は消えている。
 猟兵による波状攻撃。
 そして取るに足らないはずのヴィジランテの弾丸。
 ビブリオマニアにとっては脅威と仮定すべきものと変わった。
「ブージャムによって死ね」
 だから、口にした。
 スナークを狩る者を消す死の言葉を――デッドマンズ・ハンドへ向けて。

「そうさ、靴は磨かねえ……泥はテメエに押し付けようと思ってたんでねェーーッ!」
 立ち上がろうとしたデッドマンの前に立つものが居た。
 ラファエル・ノックハーツはある短編詩を知っていただろうか。
 それは分からない。
 だが、その身は何かに食い破られたかのように引き裂かれ、その場に膝をつく。

「おい!?」
「生きてるぜェ!」
 ヴィジランテの答えにオーヴァーマンは声を上げる。
「やらなきゃいけねえことがあるからよォ!」
 立ち上がり進めば、視線の向こうにはラグネ・ザ・ダーカー。
「なるほど、さしずめお前は裏切り者のブーツというところか」
「テメエが何の物語に当てはめているか知らねえが、ここは現実だ」
 猟書家の言葉をラファエルは切り捨てた。
「汚名を被ったウェポンベイの名誉の為」
 抑えた右肩から手を離せば、傷口からおびただしい出血があふれ出る。
「命を奪われたデッドマンズ・ハンドの息子の、魂の安息の為」
 血に塗れた指はビブリオマニアへと突き刺さる。
「お前に正義の鉄槌を下す。良く回るその汚え口で防げるならやってみろや-!!!」
 それは宣告であった。
 そしてオーヴァーマンの姿は消えた。
 爆音とともに。

 Another bullet
 人 間 砲 弾

 それは自分を発射するという単純かつ効果的なユーベルコード。
 飛翔のように正確なコントロールは出来ないが、狙いを見切れば――速さに勝る。
「コンクリートに叩きつけられろやァ!!」
 猟書家が床に叩きつけられ、そして雨が降りはじめた。

「グダグダうるせェな」
 雨が降る。
「テメェは正しくねェンだよ」
 強く強く、ざあざあと。
「『赤ずきんの噂話』も知らねェ余所者が――、正しくねェモノが雨の中に立つなよ」


 Red Riding Hood――Rainy red
 赤ずきん――レイニィ・レッド

 今、ここは伝承が支配する地となった。
「君が狼で、私を食べると言うのかね? ならば猟師が必要だろう――ディア・ハンターが君を狩ろう」
 終わらない戦争を続けるスナイパー、ギリースーツを外套のように羽織った死せるヴィランが狙撃銃を構える。
「彼が銃を構えた場所は最早戦場。もう君は彼の罠に嵌り、ハントされる存在だ」
「罠、ね」
 互いの外套が濡れる中、レイニィが呟く。
「正しくねェな」
 銃声は雨音にかき消され
「そんなモノが雨の中通用すると思いますか」
 ディアハンターは首筋へ鋏を突き立てられ、今度こそ自分の戦争を終わらせた。

「お膳立てはしました。さ、しっかり狙って下さいよ」
 血は雨に洗い流され、匂いも消える中、ラグネ・ザ・ダーカーは罠に気づく。

 Rainy's Secrecy
 赤ずきんの噂話

 雨は人を迷わせる。
 雨は人を狂わせる。
 そこには出口は無い。
 そこには入口も無い。
 ただ、雨という壁があるのみ。

「父親はヒーロー、なんでしょ」
 雨雫がコンクリートを叩く中、赤ずきんの言葉が響く。
「じゃあ最後までなってみせろよ」
 それは願いだろうか?
「テメェのガキにとってのヒーローはアンタだけなんですから」
 それは世界を見たいが故の言葉なのだろうか?
「そうだな」
 雨がやみ、銃声が響いた。
「俺はもうヒーローと言える資格はないが」
 猟書家の胸に孔が穿たれ、背中へと抜ける。
「死せる息子の前だけはヒーローであろう。これ以上、悔いある日々を過ごさないために」

 魔弾は四度、ラグネ・ザ・ダーカーに叩き込まれた。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート
涙ぐましいね
まともにやったら勝てないから、せせこましく陰謀巡らせてるわけだ
「同じ弱者」だからよぉぉくわかるぜ
辛いよなァ?ん?

【挑発】はこんなもんでいい
忙しなく飛び回ってるんだろうが、関係ない
どうせ『死』を飛ばしてくるなら、待てば良い
長ェこと『死』とは愛し合ってるからな…殺したいって意志を【読心術】で読めば、タイミングは分かる
死を受け入れるように、抱きしめるように…この身に受け止める

では、こちらのターンだ
増幅エネルギーはアンタのリボルバーに放出してやる
スペードの10、ジャック、クイーン、キングは揃えた
後はアンタの、エースオブスペーズで完成する
さァ、叩きつけてやれ!
執念が生み出した最強の役をなァ!


臥待・夏報
さてさて、今日の夏報さんはスクープ狙いのパパラッチだ。

デッドマンズ・ハンド氏には事前にひとつ相談しておく。
間近で証拠を撮りたいんだよね。
飛び回って一方的にオーラだのイメージだの撃ち込まれるんじゃ敵わない。
幸いここはダストブロンクス、地形利用には持ってこい。……奴が地上に降りざるを得ない場所を知らないかな?

戦闘中はそこに身を潜めてひたすら待機。
機があれば、敵の目の前に躍り出て注意を惹く。戦闘自体への貢献は、一瞬の隙を作るくらいで許してね。

死に物狂いで指一本でも敵に『触れる』のが僕の目的。
お涙頂戴の過去話なんて別に期待してないから、
49枚きっかりたっぷり、お前が働いた蛮行の証拠を視せてもらおうか!



●ロイヤルストレートフラッシュ イン ザ リボルバー

 シナリオが狂うことにラグネ・ザ・ダーカーが憤りを隠せない。
 我々の計画は完璧だったはずだ。
 自警団の誕生も織り込み済みだった。
 猟兵――第六のキーパーソンがそれを狂わせたのだ。
 ならば真っ先に殺すべきは猟兵なのか?
 否、やはりヴィジランテだ。
 彼らはあの黒いコートの男に自分を殺させようとしている。
 奴を殺すことが、戦う意義を殺すことになるのだ。

 だが、それすらも猟兵達は把握している。
 ポーカーゲームから場を降りることは誰も許しはしなかった。

「涙ぐましいね」
 ヴィクティム・ウィンターミュートが演者を思わせるように両腕を広げる。
「まともにやったら勝てないから、せせこましく陰謀巡らせてるわけだ」
 それは心理的なトリック。
 両腕を広げ、自らを大きく見せることで……
「『同じ弱者』だからよぉぉくわかるぜ、辛いよなァ? ん?」
 挑発を強調させる――猟書家をポーカーの場から降ろさないために。

「さてさて、今日の夏報さんはスクープ狙いのパパラッチだ」
 鮮血の如きオーラ纏わせ飛翔するラグネ・ザ・ダーカーを視界に入れながら、臥待・夏報はデッドマンへと近づいていく。
「間近で証拠を撮りたいんだよね」
「どういうことだ?」
 夏報の言葉にヴィジランテは問い返した。
「飛び回って一方的にオーラだのイメージだの撃ち込まれるんじゃ敵わない」
「つまり地上に縫い留めたいってことか?」
 意図を察して、デッドマンは口を開く。
「なら、普通に前に出るのが一番だな。幸いにも相手の頭は沸騰したティーポットも同然だ」
「じゃあ、話は速い。早速やろうではないか」
 パパラッチは写真を撮るために自らという名のカメラを戦場へと投げだした。

「やあ」
 夏報がラグネ・ザ・ダーカーの前に躍り出る。
「良い姿を一枚とらせてはくれないか?」
「良いだろう」
 猟書家が拳を握る。
「お前が血の花となる一枚だ」
 今、まさに叩き込まれんとする拳へパパラッチは手を伸ばし、そして弾かれるのはビブリオマニア。
「触れてみなよ、できるものならね」

 Flashback montage
 通りすがりの走馬灯

 そこにあるのは49枚の写真。
 ラグネ・ザ・ダーカーがウェポンベイに成り代わった姿から、意図的に子供とヴィランへ向けてトリガーを引いた瞬間。
 そしてバイオモンスター達を虐殺した先程までの出来事までの全ての所業が写し出されていた。
 そんな好機をヴィクティム・ウィンターミュートは逃さない。
 それすらも挑発かもしれない満面の笑みを浮かべ、ミラーシェード越しに猟書家を見た。

「――くっ!?」
 咄嗟にビブリオマニアが死を叩きつける。
 何の変哲もない脚への狙撃。
 動脈を撃ち抜き、動くことを封じ、そして出血で死ぬ。
 違うのは、死に至る時間が長いだけ。
 それだけラグネ・ザ・ダーカーにとって猟兵という存在は許しがたいものへと変わりつつあった。
 だが。
「『それ』とは愛し合っているからな――だから待てばいい」
 唇の動きからタイミング読まれたことを猟書家が悟るのと、両腕を広げた端役へ弾丸が撃ち込まれるのは同時であった。

 Reuse Program『Balmung』
 モタザルモノノリュウゴロシ

 ヴィクティムは魔剣も魔弾も持ち合わせてはいない。
 躯の海をその身に宿してはいるが、今はそれを使う必要は無かった。
 ――相手が力を持っているのなら、それを使えばいいのだから。
「では、こちらのターンだ」
 端役が指をさせば、デッドマンのリボルバーが輝く。
「スペードの10、ジャック、クイーン、キングは揃えた」
 ヴィクティムに向けられた死は増幅され、この場において一番人を殺すを概念へと移動した。
「後はアンタの、エースオブスペーズで完成する」
 つまりは銃という凶器。
「さァ、叩きつけてやれ! 執念が生み出した最強の役をなァ!」

 回転するシリンダーをハンマーを起こすことで止め、そして引鉄に力を込める。
 デッドマンズ・ハンドのリボルバーは音もなく死の概念を吐き出し、本来の使い手へと還っていく。
 空気が裂け、何かがラグネ・ザ・ダーカーの右足を撃ち貫いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニコ・ベルクシュタイン
死せる?
お前が殺した、の表記間違いでは無いのか
なあ、猟書家よ

偽書、偽典、読む価値も無い本
デッドマン――先刻の言葉通りにしてやろうでは無いか
『其の本に弾丸を撃ち込んで、孔から覗き込んでやらねばならない』!

俺はデッドマンの支援に回ろうか、敢えて攻撃は任せよう
余りにも負担なようなら援護する
手にするのは「Blauer Himmel」、由緒正しき魔導書だ
此れを【花冠の幻】で無数の虹の花弁へと変える
「範囲攻撃」と「全力魔法」を掛け合わせて
地下下水道目一杯に花弁を広げ、攻防一体の障壁と為す
此れで足止めをしている間に、攻撃だデッドマン!

「時間稼ぎ」が有効そうなら花弁で霊を押しとどめ
デッドマンにラグネを狙わせる


ティオレンシア・シーディア


デッドマンズ・ハンドは黒のエースと8のツーペア、残り一枚は諸説あり――どちらが引いたのかは知らないけれど。
今回はどうやら、ジョーカー(切り札/死神)だったらしいわねぇ?

ゴールドシーンにお願いしてリベンジャーさんにエオロー(結界)とティール(勝利の剣)で支援、後●黙殺で○範囲攻撃を展開。
描くルーンはイサ(停滞)・ソーン(障害)・ニイド(束縛)。さらにソーンには「破魔」の意味もあるの。あたしはあくまで仕掛け、仕留めはあっちだもの。この状況での〇援護射撃にはうってつけでしょぉ?

――ティールの別意は「秘伝の授与」。同じリボルバー使いとして、多少の加護くらいは…あったらいいんだけどねぇ。



●プレイ ワンズ マジック バレット

 デッドマンズ・ハンドが肩で息をした。
 疲労もある、だが演技をする必要があった。
 ロイヤルストレートフラッシュが見せ札だったことに気づかれてはならない。
 だから、荒く息を吐く。
 人生という経験を武器に、ビブリオマニアを出し抜くために……。

「さすがはサー・ジャバウォックを殺した集団だけあるというわけか」
 足を引きずり、ラグネ・ザ・ダーカーが眉に皺を寄せる。
 死の概念を叩き込まれたのは痛い。
 回復に時間を要する。
 ならば、どうするか。
「時間を稼げ――プルトン人」
 豚の頭を連想させる、未知の金属に包まれたオブリビオンにしてかつてのヴィラン。
 冥王星の人類、プルトン人が一列に並び光線銃を構えた。

「死せる? お前が殺した、の表記間違いでは無いのか?」
 冥王星人の前に歩み寄る二人の男女。
 そのうちの男の方――ニコ・ベルクシュタインが問いかける。
「なあ、猟書家よ」
 ラグネ・ザ・ダーカーへと。
「偽書、偽典、読む価値も無い本」
 時計卿にとっては趣を諧することがない猟書家という存在を好ましくは思っていない。
 ましてはその非道を知ってしまった以上、することは決まっていた。
「デッドマン――先刻の言葉通りにしてやろうでは無いか」
 後ろに控えるヴィジランテを横目にニコは宣告した。
「其の本に弾丸を撃ち込んで、孔から覗き込んでやらねばならない!」
 ビブリオマニアはプルトン人の向こうで、ただ睨み返しているだけであった。

「デッドマンズ・ハンドは黒のエースと8のツーペア、残り一枚は諸説あり――どちらが引いたのかは知らないけれど」
 そしてもう一人、ティオレンシア・シーディアが何気なくトランプからカードを一枚抜き出す。
「今回はどうやら、ジョーカーだったらしいわねぇ?」
 そこには数字は無く、ただ道化師の姿が描かれているのみ。
「もう詰みよ。猟書家さん」
 カードを投げ、コンクリートの床へと落ちる直前、一条の光をそれを撃ち抜く。
 戦いの火蓋が切られ、プルトン人の一斉攻撃が始まった。

 ティオレンシアの手からシトリンのペンが投げられ、空に文字を刻む。
 ニコの手に持った魔導書が開かれ、瞬く間にページが開かれ、そして――花となる。

『ᛉ』結界は復讐者を守り。
『ᛏ』勝利の剣を授ける。

 Blauer Himmel――青空は今は虹色の花弁となり、光線を弾き、猟兵と結界と勝利のルーンに守られたヴィジランテの姿を隠す。

『ᚦᚾᛁ』停滞し、障害を以って、束縛せよ。

 遅延を意味する三つのルーンをティオレンシアは刻んだ時、全ての魔力を注がれた虹色の花弁は嵐となってその場を荒れ狂い。
 花に隠れた魔力の矢と刃がプルトン人を切り刻んだ。

 Desire to
 黙殺を望め!

 Rainbow・Flowers
 花 冠 の 幻 よ!

 虹と刃、そして魔力の矢が光線の雨とぶつかり合い、エネルギーの奔流を生む。
 猛威に耐え切れなかったプルトン人は消え、時計卿とイエロー・パロットは体中を熱線で貫かれ、吹き飛ぶようにコンクリートへ転がった。
「――ティールの別意は『秘伝の授与』」
 人とヤドリガミの違いか、同じ負傷でもニコは身体を起こせるが、ティオレンシアは立ち上がることすら出来ない。
 それでも彼女は呼吸を整え、言葉を続ける。
「同じリボルバー使いとして、多少の加護くらいは……あったらいいんだけどねぇ」
 イエロー・パロット視線は一人の男――デッドマンズ・ハンドへと注がれ、やや遅れて時計卿もそれに習った。
「攻撃だデッドマン!」
「――ああ」
 ニコの叫びに黒いコートのヴィジランテは応え、そして銃声が響いた。

 切り札たる魔弾は回復を待っていたラグネ・ザ・ダーカーの右足に再び孔を開けた。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

エル・クーゴー
●WIZ



最終撃破目標を目視で捕捉しました
これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します


・電脳リソースの傾注と「五発まで」という手の内の開示を代償に【仮想悪魔疑似顕現「ザミエル」】発動、超追尾の魔弾を製造
・この魔弾は、発砲後の軌跡の【操縦】に加え、着弾後も慣性を維持し続ける超常を持つ(誘導弾+呪殺弾)

・召喚された「死せるヴィランの霊」に関する情報を電脳ゴーグル内で即時検索(情報収集+瞬間思考力+学習力)
・各ヴィランに有効と思われる軌跡/射角/ストッピングパワーで魔弾を運用

・五発を使い切った所こそが隙――と、敵に思わせるのが狙い
・己のザミエルが弾切れ次第、ハンドの魔弾に発砲機会をトス


矢来・夕立
▼方針
・式紙による妨害
・弾丸に+1

おいしいとこ取り、腹は立ちますが嫌がらせに留めてあげます。
死人さんの仇を横取りしたりはしません。
復讐は観客席のほうが楽しいくらいですからね。
《闇に紛れて》見物といきましょう。

観客席からものを投げるのは一種の文化です。
偶然、偶然ですよ。偶然ぶつかるかもしれませんけど、ぶつかる方が悪い。

まあ何も本当にくだらない嫌がらせだけで終わろうとは思っていませんよ。
【紙技・紫煙】――――“弾丸の式紙”。
薄く静かに入り込んで、薬室で待っています。

死人さんには言っておきました。
「空だと思っても、もう終わりだと思っても、そう思わなくても、とりあえず引き金を引いてください」って。


グレイス・リリィ
偽りの姿に仮初の技、オリジナリティの欠片も無い
挙句の果てには顔を割られて猟兵に囲まれて
……同情するわ、あなた不幸よ
恨むなら己の出自を恨みなさい、猟書家
紡がれたヒーロー達の意志と意地と思い、受け止めて貰うわ

死んだ奴の亡霊ねえ。だったら破魔属性の散弾で蹴散らすわ
魔晶の鋼の連装砲塔から一斉射し霊を一掃しつつ
爆縮砲に同じ属性のエネルギーを溜めて一気に開放
強化されようが罠を張ろうが纏めて吹き飛ばしてあげるわ
この砲は前の戦争の決戦兵器、三下ごとき相手じゃあないわよ

そうして隙を作り、復讐の御膳立てを
ヴィジランテ、メインディッシュよ
レッドウィングからの贈り物、偽りの英雄の終焉
引き金を引くのはあなた。さあ……!



●デッドマンズ・ハンド デア・フライシュッツ

 ――勝った!

 満面の笑みを湛え、ラグネ・ザ・ダーカーが立ち上がる。
 六発……確かに『六発』喰らった。
 だが、生きている。
 理由? 簡単だ、あの人間の弾丸が私に及ばなかったのだ。
 何たる喜劇、何たる悲劇。
 さようなら、ひ弱な人間よ。
 君にはプレゼントを上げなくては――そう!

 Vigilante is die.
 立ち向かう者に死を

 猟書家の笑い声にデッドマンズ・ハンドは何も答えなかった。

「偽りの姿に仮初の技、オリジナリティの欠片も無い」
 だが、その笑いはヒーローによって遮られる。
「挙句の果てには顔を割られて猟兵に囲まれて」
 レッドウィング――グレイス・リリィは氷のように冷たいレッドアイでビブリオマニアを見た。
「……同情するわ、あなた不幸よ」
「同情されるとは私も舐められたものだなぁ!」
 ラグネ・ザ・ダーカーが堰を切ったように感情を見せた。
「もう、男の弾丸は尽きた。例え、君達猟兵が私を倒しても、そこには何もできなかった者が残り――その徒労感と無力感がスナークを生む」
 それは死が近づいている故か、それともデッドマンの手段を潰したと確信する故か。
「本当に分かってないようね……」
 グレイスが溜息をつく。
「恨むなら己の出自を恨みなさい、猟書家。紡がれたヒーロー達の意志と意地と思い、受け止めて貰うわ」
 その傍らで一体のミレナリィドールが空より着地した。

「照合――個体名、猟書家『ラグネ・ザ・ダーカー』と確認」
 エル・クーゴーの電脳ゴーグルが緑色に明滅し、視界に収めた猟書家の存在を確かめる。
「最終撃破目標を目視で捕捉しました」
「残念だが、その目標は達成できない」
 エルの言葉を侵略蔵書を片手に否定するのはラグネ・ザ・ダーカー。
「ヴィジランテは復讐を果たせなかった。そこには何もできなかった男が居て、君達は私を殺しても、それを拭うことが出来ない」
「発言に対し、訂正を求めます。彼はこれから使命を果たし、そして――」
 だが、エルは突きつける――Noと。そして……

 Man with a mission is change the world.
「使命を持った者が放つ一撃は世界を変えます」

 全てを決めるのはヴィジランテであることを。
「魔弾無き男に何が出来る……全てを終わらせよう。アービトゥレイターとその軍勢によって」
 猟書家は眉をゆがめ、怒りを隠さずに死せるヴィラン――機械生命体とそのコピー体を呼んだ。
「人類が作りし、英雄を狩る機械。その上位機種にして意志を持ち、人類を管理しようとした哀れなコンピューター……人類を守る猟兵を倒すに相応しいものだろう?」
「問題ありません」
 鋼鉄の軍勢を前に高らかに語るラグネ・ザ・ダーカー。
 だが、Zaki“el”は心揺れることはない。
「これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します」
 最後の戦いが始まった。

「電脳リソース傾注……生成する魔弾は五発――条件達成により、ダイモンデバイスエミュレーターのロックを解除」
 エルの周りの空間が拡張現実に支配され、そこに並ぶのは0と1の羅列。
 そして足元に現れる電脳魔法陣から現れるのは仮想悪魔疑似顕現、名は『ザミエル』
 疑似顕現された存在は五発の弾丸へと形を変え、アンチマテリアルライフルの弾倉に込められる。
 ボルトを引き、ワイルドハントがその引鉄を絞れば、強烈な反動と共に魔弾が機械生命体を次々と貫いていく。

 Zakiel=Samiel-system『´』
 仮想悪魔疑似顕現『ザミエル』

 それは本物の魔弾。
 狙ったものを追尾する誘導弾にして、目標を貫いてもなお、慣性を維持し続ける呪いの弾丸。
 それを止めるには複数の機械生命体の装甲によって慣性そのものを減衰させるしか手が無い。
 だが、魔弾はまだ四発あり。
 そして魔弾の持ち主はエル以外にも居た。

「死んだ奴の亡霊ねえ」
 なおも迫りくるアービトゥレイターの軍勢にグレイスは再び溜息をつく。
「鉄の塊じゃない――でも、破魔属の散弾で蹴散らすわ」
 レッドウィングの武器たる魔晶の鋼。
 万能属性結晶兵器と呼ばれる武装に取り付けられている連装砲頭が動き、無数の結晶弾が機械生命体を孔だらけにしていった。

 Outrange Outrage
 強 制 暴 風 圏

 破魔の魔弾がアービトゥレイターの動きを止め、そこへ大口径爆縮砲が魔力を放つ。
 エルが放った貫く魔弾とは違う、全てを呑み込み、動きを止め破壊する魔弾。

 制圧と狙撃、二種の魔弾の前には機械生命体の軍勢も為す術を持たなかった。
 死せる鋼鉄のヴィランは物言わぬ鋼となって消え去っていく……。

 ワイルドハントの五発目の弾丸が、最後のアービトゥレイターを頭を貫き、ラグネ・ザ・ダーカーへと迫る。
「……」
 沈黙と共に猟書家は弾丸を掌で受け止め、それを握りつぶした。
「魔法は終わりだ」
 笑みを浮かべるビブリオマニア。
 二人がユーベルコードを使い果たしたことを悟ったのだ。
 ならば、後は力で圧倒できる。
「ヴィジランテ、メインディッシュよ」
 だが、その笑みはレッドウィングの叫びによって驚愕の表情へと変わる。
「馬鹿な……弾は撃ち尽くしたはず!?」
「試してみるか? ザミエルの魔弾の話は知っているだろう」
 リボルバーを構えるのはデッドマンズ・ハンド。
 疲労ゆえか、その銃口は小刻みに揺れている。
「させるか!」
 ラグネ・ザ・ダーカーが飛翔する。
 プレッシャーをかけ、侵略蔵書にあるユーベルコードでデッドマンを殺すため。
 そう、彼の息子を殺したガトリングガンで蜂の巣にするために。
 だが、モーターが駆動し猟書家の弾が吐き出された時、蝙蝠を模った千代紙が弾丸を受け止めた。

「なんだと!?」
「観客席からものを投げるのは一種の文化です」
 物陰より姿を現すのは矢来・夕立。
「偶然、偶然ですよ。偶然ぶつかるかもしれませんけど、ぶつかる方が悪い」
「邪魔をするかぁ!?」
 激高するビブリオマニアが急上昇する。
「おいしいとこ取りです。嫌がらせですよ、ただの嫌がらせ」
 紙を折り、何かを作ればそれを振る。
 パン! と音が鳴った時――影の姿は消えた。
「復讐は観客席のほうが楽しいくらいですからね」
 どこからか声が響く。
「見物といきましょう」
 夕立の姿を探していたラグネ・ザ・ダーカーは、その意図に気づき、視線を下に向ける。
「レッドウィングからの贈り物、偽りの英雄の終焉」
 グレイスの言葉に応え、ヴィジランテのトリガーに力が込められる。
「引き金を引くのはあなた。さあ……!」
 導かれるように七発目の弾丸は発射された。

 胸に弾を受け、転落する猟書家。
 銃創に指を突っ込み、弾丸の秘密を探ろうと引きずり出したのは……
「紙?」
「ああ、弾丸の紙だ。あの若いのから言われたんだ『空だと思っても、もう終わりだと思っても、そう思わなくても、とりあえず引き金を引いてください』とな」
 起き上がったラグネ・ザ・ダーカーの背後からヴィジランテの声が聞こえた。

 ――紙技・紫煙

 戦っている対象に有効な式紙――つまりは弾丸の式紙がその正体であった。
 夕立はそれを薬室に潜り込ませたのだ。
 だが……。
「私を倒すには一歩足りなかったようだな!」
 猟書家が笑い、振り向きざまに貫手を繰り出す。
 自分を撃った男の心臓を抉るために。
 ……不幸があるとすれば、デッドマンは式紙の使い方を理解しきれていなかったこと。
 故に、殺すに至らなかった。
 だが、それは問題ではない。
「まだ、気づいてないんですか?」
 影の言葉にビブリオマニアは一瞬だけ意識を取られ――そして、それが決め手となった。

 BLAM!!

「な……ぜ……?」
「ペテンにかけたのさ」
 額に孔を開け、顔面を血に染めるラグネ・ザ・ダーカーに対し、熱の残る銃口を向けたデッドマンズ・ハンドが答えた。
「お前の足を撃ち抜いた二つの内の一発、あれは空砲だ」
 端役より受け取った力をヴィジランテは空の薬莢へと導き、弾丸として開放した。
 シリンダーを回転させたのは弾丸の位置を合わせるため、銃声が鳴らなかったのは空の薬莢故に火薬が燃えなかったから。
「そして、紙の弾丸という一発を見せ札として、最後のカードを切った」
「そん……な……」
 信じられないという表情を見せる猟書家の前でデッドマンはシリンダーをスイングアウトし空薬莢を床に落とした。

 Your draw Dead man's hand and die
「お前は死人の札を引き、そして死ぬ」

 黒いコートのヴィジランテが背中を向ける。
 その背後には何も残らなかった。


●デッドマンズ・ハンド ストーキング ザ スナーク

「世話になったな」
 コートの襟を直し、男は歩く。
「行くのか?」
 誰かが問うと、男は答える。
「俺は真実を知った。ならばそれを証明するためにも戦わなくてはならない」
「協力は仰がないんですか?」
「また出会ったら、助けてもらうさ。まあ、それまでのお別れだ。墓に花を供え、そして追う」
 男の姿が闇へと溶け込む。

 Dead man's hand Stalking ――the Snark
「デッドマンズ・ハンドはスナークを追うのさ」

 そう言い残し、男は消えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月16日


挿絵イラスト