三位一体のひずみを探せ!
#クロムキャバリア
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●快進撃の陰
トドメを決めたキャバリアが、天に拳を突き上げ勝利を告げた。
コロシアムが一気に沸き立つ。
勝利したのは、同機種三機一組のチームだ。誰も注目していなかった穴馬中の穴馬。
「や、やったぁ……やっぱりキミはすごいよ、ブレイク!」
「へっへへー」
「調子に乗るなよ。僕とサドゥンのフォローあってのことだ」
「わぁかってるよイントロ! アタシたち三人で掴んだ勝利だッ!」
キャバリアの内部で喜びを分かち合う少年少女パイロット三人衆。
思わぬダークホースの見事な決着ぶりに、観客のざわめきはいつまでもやまない。
どよめき混じりの歓呼に応える三機のキャバリア。
孤独なコクピットでニヤリと怪しい笑みを浮かべたパイロットの一人に、気づく者は誰もいない。
●グリモアベース:ゲネ
「クロムキャバリアでオブリビオンマシンの反応だ! 討伐作戦に参加願う!」
ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)はホロモニターに武骨で荒廃した世界を映し出す。
段階的にフォーカスが絞られ、最終的に映し出されたのは地下工場を改造したものと思われる闘技場だった。
「多少治安の悪い小国家ではこの手のコロシアムが定番になっている。もちろん戦うのはキャバリアで、毎夜大金の動く賭け試合。あまり健全な娯楽とは言い難いかもしれんが、ま、お国の事情だ、これ自体は目くじら立てて非難するほどのこっちゃない」
問題は、参加キャバリアの中に「オブリビオンマシン」が混ざりこんでいることだという。
「コイツが厄介なもんで、謎のユーベルコードによって他の闘士達のキャバリアも徐々に「オブリビオンマシン化」していく性質を持っている。放置すれば間違いなく殺戮の饗宴一直線だ。なんとしてもオブリビオンマシンを破壊しなきゃならん」
しかし事は一筋縄にはいかない。敵はうまく気配を消しているらしく、グリモア猟兵の予知をもってしても、当のオブリビオンマシンを特定できていないのである。
「容疑者は三人までには絞ったんだが……すまん。犯人特定は諸君の現地での調査に委ねることになりそうだ」
力不足を詫びつつ、ゲネは新たに三枚のホロモニターを展開した。
意外なことに、提示された「容疑者」は見るからに子供だった。多く見積もっても十代前半、いかにも貧しい育ちといった少年少女である。
「神経質そうな長身眼鏡の少年が『イントロ』。
ロボットアニメの熱血主人公みたいな少女が『ブレイク』。
気弱そうで優しげなそばかす少年が『サドゥン』」
近頃コロシアムで急激に頭角を現し始めた三人組である。
このうち誰が「犯人」なのかを特定するため、まずは予選を勝ち抜き決勝に進出する必要がある。
出場するキャバリアはオブリビオンマシンのような見た目こそしているが、これは「闘技場映えのために外見や設定を盛っているだけ」だ。ようするに偽物なので、猟兵の力なら難なく撃破できるだろう。
予選から決勝までにはまとまった時間がある。三人組はコロシアムに併設させた巨大なアミューズメントパークで英気を養うつもりだ。
パークはパンチマシンやダーツのようなアナログから、音ゲー格ゲーなどのデジタル、ライドマシンやコースターに乗ってのシューティングゲームといった、ゲームセンターとテーマパークがくっついたような施設になっている。
ここで三人組と交流しながら犯人の目星をつける必要がある。
「知っての通り、オブリビオンマシンは搭乗者を破滅的な思想に狂わせる。加えて今回の場合、搭乗者の基礎身体能力が異常に向上している可能性が高い。搭乗者を特定するにはその辺りをつついてみるしかないだろう」
搭乗者はそれらの特性を隠して行動するだろうから、猟兵側から何かアクシデントを起こして咄嗟の反応を見たり、言葉で誘導して言動を確かめたり、といった工夫があるといいだろう。
「搭乗者を特定したらいよいよ決勝だ。他のキャバリアは無視して、オブリビオンマシン一体だけを狙って攻撃を集中させてくれ! 他のキャバリアからの妨害もあるだろうが、そこは上手くいなしてやってくれよ」
力強く託しながら、ゲネはモニターを一つに統合し、転送術式の輝きで満たした。
「オブリビオンマシンを倒せば搭乗者を救出して正気に戻せる。惨劇を食い止めるため、そして搭乗者を救い出すために、きっちり「敵」をぶちのめしてくれ! 健闘と諸君の勝利を祈っている! ──いざ、クロムキャバリアへ!」
そらばる
クロムキャバリア、MISSION:コロシアム。
コロシアムに紛れ込んだオブリビオンマシンを搭乗者から特定し、撃破してください!
●第一章:集団戦
コロシアム予選、バトルロイヤル方式。キャバリアに乗っての戦闘です。
敵はオブリビオンマシンの外見をしていますが、全部偽物なのでさくさく倒せます。
いろいろな機体があることを想定しているので、敵情報はあくまで参考程度で大丈夫です。
20機程度まで減ったところで予選終了となります。
●第二章:日常『娯楽の城』
ゲームセンターとテーマパークが合わさったような巨大アミューズメントパークで遊びます。
容疑者の三人組『イントロ』『ブレイク』『サドゥン』と交流しつつ、オブリビオンマシンの搭乗者(犯人)が誰なのか探りを入れてください。
犯人は「破滅的な思想に狂っている」「身体能力や反射神経が異常に向上している」状態にありますが、それを隠して行動しています。
犯人が馬脚を露すようなアクシデントや言葉や行動による誘導などを仕掛けて様子を見るといいでしょう。
二章をクリアすることによって、三章冒頭で犯人が確定します。
●第三章:ボス戦
決勝戦、同じくバトルロイヤル方式。キャバリアに乗っての戦闘です。
冒頭で犯人が確定します。
他のキャバリアは無視してオブリビオンマシンだけを攻撃してください。
時々他の闘士達(特に三人組の他の二人)が邪魔をしてくることがあるので、うまくかわすプレイングがあると良いでしょう。
オブリビオンマシンを破壊すれば、搭乗者を救出して正気に戻せます。
執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
第1章 集団戦
『ギムレウス』
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POW : 砲撃モード
自身の【背部大型キャノン砲】を【砲撃モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD : メタルファング
自身の身体部位ひとつを【機械で出来たワニ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : 接近阻害地雷敷設
自身からレベルm半径内の無機物を【対キャバリア地雷】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:逢須 かた丸
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●予選開始
『さあ今宵もやってきたぜ荒くれどもの狂った饗宴が! てめぇら準備はいいかー!?』
ショービジネスに特化した司会の荒っぽい口上が響き渡り、応えて観客の歓声がコロシアムを揺るがした。予選もすでにショーなのだ。
真昼より明るいライトが闘技場に並み居る多種多様なキャバリアを煌々と照らし出す。猟兵達は思い思いのキャバリアに乗り込み、闘士達に上手く溶け込んで予選出場を果たしている。
今宵の注目株を紹介して観客を盛り立てていた司会が、手招きでライトを誘導すると、似通った三体の白いキャバリアにスポットが当たった。
『今回は注目のスーパールーキーズも参戦だ! チーム戦で荒稼ぎするだけじゃ飽き足らず、バトルロイヤルにまで出張って来やがった! こいつは波乱の予感だぜ……この熱い戦いを見逃すんじゃねぇぞ野郎ども、さぁ張った張った!』
札束飛び交う野卑な昂揚の中、いよいよ予選開始のゴングが鳴る。
『ルールは簡単、自分以外をぶちのめせ!! レディー……ゴーッ!!』
とりあえずの敵は、オブリビオンマシンを上手く模倣しただけの、一般的なキャバリア達。無名の新人である猟兵達は標的にされやすいだろうが、勝ち抜くのは簡単だ。
ショーを適度に盛り上げつつ、まずは決勝へ勝ち進もう。
黒木・摩那
バトルロイヤルです。
まだオブリビオンマシンの正体はわかりませんが、
新人だと思ってなめてかかると、痛い目見ますよ。
キャバリアは専用機『エクアトゥール』でいきます。
搭載の盾にUC【偃月招雷】で帯電します【属性攻撃】。
この盾を正面にしながら、ホバー移動による【ダッシュ】からの【シールドバッシュ】で、相手を蹴散らしていきます。
地雷はスマートグラスのセンサーで探知し、【念動力】で位置をずらしたり、盾からのビームライフルで撃破します。
●雷光轟く
オブリビオンマシンもどきのキャバリア達は舌なめずりでもするように猟兵を取り囲む。
「今回はずいぶんと新人が多いなぁ、えぇ?」
「ちょうどいい肩慣らしができそうだぜぇ」
拡声器越しから聞こえる、笑い含みの下卑た声。
「へっへっへ……闘技場の洗礼ってやつだ、悪く思うなよルーキー!」
多数のキャバリアが一斉に襲い掛かる。黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)の駆る零式操念キャバリア『エクアトゥール』へと。
一番槍の一体が、バーニアで地を滑るように突撃してくる。爬虫類に似た形状に変化した薙刀型の武器が大仰に振り下ろされ──
強靭な大型盾にしかと受け止められた。
「何……っ!?」
「バトルロイヤルです」
芯を捉えてびくともしない盾に狼狽する闘士へ、摩那は忠告代わりにそう言った。
自分以外は全てが敵。誰かを標的にすれば、全力で抵抗される。それにしては行動が迂闊にすぎる、と。
オブリビオンマシンの正体はわかっていないが、目の前のそれでないことは明白である。
「ウロボロス起動……励起。昇圧、集束を確認……帯電完了」
大盾がふわりと淡い輝きを帯びたかと思った瞬間、バリィ!と強烈な電流が瞬いた。
轟き渡った醜い悲鳴はぶつ切りに途切れ、黒い煙を上げながら薙刀のキャバリアは膝を折ってその場に撃沈した。
摩那は帯電した盾を正面に構えたままホバー移動で一気に滑走し、動揺する闘士達へと突撃を仕掛けて次々と蹴散らしていった。あたかも機体そのものがいかずちと化したが如き瞬足。
スマートグラスには常に戦場の解析データが提示され、邪魔な地雷や罠の類は盾に付属したビームライフルで素早く除去、あるいは──
「クソッ、そっちこそナメてんじゃねぇぞ……!」
遠距離タイプはけたたましい射撃音を立ててしつこく抵抗を示すが、大盾の電流は弾丸も砲弾もあっさりと防いで破壊する。
「新人だと思ってなめてかかると、痛い目見ますよ」
必死に距離を取ろうとする敵の動きを利用して、摩那は敵を巧みに誘導していく。
──カチリ。
キャバリアの一体が、不吉な音を踏んだ。
そこは、摩那の念動力で移動され、適度に密集させられた地雷の森だ。
連鎖する爆発と絶叫。まさに一網打尽。
もうもうと巻き上げられた砂煙が落ち着きを取り戻した時、その一帯に佇んでいたのは無傷のエクアトゥール一機だけだった。
大成功
🔵🔵🔵
杼糸・絡新婦
ちいと、物騒やけどこれがこの世界の娯楽や言うんやったら、
楽しまな損やろなあ。
いつもと違うやり方やけど、やること変わらんか、ほな行きましょか。
錬成カミヤドリで鋼糸・絡新婦をレベル分召喚。
【パフォーマンス】でこちらに気を引き、
【フェイント】をいれ攻撃と
【見切り】で回避を行っていく。
張り巡らせるように展開し【罠使い】
絡みつくように拘束した【敵を盾にする】
ことで他の敵からの攻撃を防ぐ。
ひい、ふう、みい、とさてあとどれくらいや?
●蜘蛛の巣を統べる者
閃く刃、火を噴く火器。体当たりに組み付き、足払いに目潰し。なんでもござれの野蛮なバトルロイヤルが目前に展開されている。
「ちいと、物騒やけどこれがこの世界の娯楽や言うんやったら、楽しまな損やろなあ」
杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)はコックピット内で、口許を綺麗な上向きの三日月型に釣り上げた。
「いつもと違うやり方やけど、やること変わらんか、ほな行きましょか」
初動の鈍いルーキーを食いつぶしてやろうとばかりに、大量の闘士達が迫りくる。
しかし絡新婦は怯まず慌てずキャバリアを操った。優雅に動く機械の指先に、キラリと光を反射するかそけき鋼糸。
それは指先の繊細な動きに合わせて多重に光り波打ち、赤、緑、黄、黒へと色変わりしながら、キャバリアの周囲に美しく絢爛なる檻を成していく。
「あぁ!? なんだそりゃ!?」
「そんな細っこいもんでどうしようってんだぁ?」
「大道芸なら余所でやんな!」
荒事専門の闘士達はその優美さを嘲笑い、いっそうの戦意を絡新婦へと向けてくる。
絡新婦は小さく嘆息する。
「美を理解する心の豊かさもないとは、嘆かわしいなぁ。ま、こちらとしちゃ、気が引けりゃそれでいいんやけど」
敵前に上向きに差し出したキャバリアの手を、挑発を兼ねて小指から滑らかに握りしめる。
と同時、周囲を取り巻いていた鋼糸が一気にキャバリアの内側へと収束した。闘士達が四方八方から一斉に絡新婦に飛びかかったそのタイミングに、あえて合わせるように。
「もらったァッ!」
各々の凶悪な武具を掲げて、闘士達が勝利を確信した──瞬間。
「──あまい」
絡新婦は、一度収納した鋼糸を一気に広げた。
幾何学状の美しい文様を辺りに広げて張り巡らされる鋼糸の罠。囚われた大量のキャバリアは、さながら蜘蛛の巣に囚われた羽虫だ。
「なっ……一瞬で!?」
「う、動けねぇ……」
「あの新人やべぇぞ! 撃て、撃ちまくれぇ!」
遠距離からの射撃砲撃が絡新婦を狙って火を噴いた。が、絡新婦は糸を巧みに操り拘束した機体で全ての攻撃を防ぎ、あるいは機体ごと投げつけて激突、双方を沈黙させる。
「ひい、ふう、みい、とさてあとどれくらいや?」
鮮やかに糸を躍らせる蜘蛛の巣の王は、一歩たりともその場を動くことなく、大量の羽虫を片っ端から平らげていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
グレアム・マックスウェル
標準的なクロムキャバリアを借り参戦
コクピットに乗るのは初めてなのに、何故かここは落ち着くんだ
外界の喧騒を離れ機械に囲まれたこの空間は、僕の心に馴染む
「人類を新たな進化に導く」というのが本当なら
僕に見せてくれ。新たな未来の進化系を
対戦相手には容疑者たち以外にも、僕より年下の年端もいかぬ子供もいるかもしれない
貧困と荒廃が生み出す歪みか
とはいえこれもオブリビオンを狩り出すための任務だ
手加減はしない
UCは命中率重視
瞬間思考力を常時働かせ敵の動きを察知し回避
「スナイパー」で武器と動力部を狙い、攻撃と機動力を封じてTKOを狙う
上位20位以内に入れば当初の目的は達成できる
余計な消耗は避けたい
速攻で決める
●静かなるスナイパー
暗く狭く薄暗い空間に、目を瞑るグレアム・マックスウェル(サイバーバード・f26109)の姿があった。
騎乗する標準的なクロムキャバリアは借り物だ。しかし初めて乗ったコックピットに何故か心落ち着く自身を、グレアムは自覚していた。
外界の喧噪から隔絶され機械に囲まれたこの空間は、グレアムの心に馴染む。
「……「人類を新たな進化に導く」というのが本当なら」
静寂を染み込ませるように下ろしていた目蓋を、静かに持ち上げる。
「僕に見せてくれ。新たな未来の進化系を」
瞳を見開くと同時、全てのモニターが一斉に点灯し、薄闇に光をもたらした。
目の前にあるのは、多種多様な機体が頂点を競うべく集うコロシアムの情景。
中には容疑者の三人以外にも、グレアムより年下の、年端のゆかぬ子供もいるのかもしれない。貧困と荒廃が生み出す歪みか。
しかしグレアムは小さくかぶりを振り、敵機の向こうに知りもしないパイロットの顔を思い浮かべるのをやめた。
これもオブリビオンを狩り出すための任務だ。
体内の内蔵兵器が静かに灼熱する。呼応するように、キャバリアが銃器を構える。
照準を絞る先は、大挙して襲い来る色とりどりのキャバリアの、武器と動力部。
「──手加減はしない」
ズガンッ……
キャバリアの手からコックピットにまで伝わる、重い余韻を引く衝撃。
放たれた弾丸は宙を疾り、先頭の一機に命中する。動力部を一撃で正確に撃ち抜かれた機体は瞬間的に制御を失い、慣性を乗せて前のめりに倒れ込んだ。
間を置かず、二射、三射。弾丸はいずれも精密な軌道を描いて宙を抉りながら、キャバリアの掲げる武器や機動部を撃ち抜き、次々に敵機を行動不能へ追い込んでいく。
グレアムの覚醒した脳はあらゆる状況を逃さない。背後に回り込んだ機体も視界の端で仕掛けられるフェイントも見逃さず、的確に正解の軌道を選び抜いて確実に弾丸を叩きこんでいく。
当初の目的のために目指すべきは、上位二十位以内。余計な消耗は避けたい。
「速攻で決める」
引き金を引く仕草も、リロードの動作さえ無駄なく流麗に、素早く、速く、正確に。
戦場に君臨するスナイパーは、大量のテクニカルノックアウトを量産していった。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
容疑者候補、まだ子供じゃん!
これならうるうが出ても不自然じゃない、かな?
出番だよテルビューチェ!
うちの子はかっこいい呪文を唱えて呼べばどこにだって来るんだから!
唱えなくても来るけど。
とにかく乗り込んで戦うぞ!
うるうのオーラ防御と装甲の継戦能力で攻撃に耐えながら相手に近付いて武器や手で殴るぞ!
うちの子の重さを生かして重量攻撃だ!
歯で捕食する見たいに噛み付いてもいいし、相手が転んでたら踏みつけてもいいね。
囲まれたらユーベルコードで攻撃!
キャバリア相手だからおっきい剣を出したいな。
うちの子の剣みたいなごついやつ!
どの攻撃でも相手の手足くらい壊しとけば、乗ってる人は無事……だよね?
●無差別級異種格闘戦
「容疑者候補、まだ子供じゃん! これならうるうが出ても不自然じゃない、かな?」
容疑者に挙がった少年少女と歳の変わらぬ杓原・潤(人間の鮫魔術士・f28476)は、かくて堂々とコロシアムに乗り込んだ。
生身で。
「なんだぁ? ちまっこいチビが紛れ込んでるぞ!」
キャバリア達が馬鹿にして潤を指差し、野卑な笑い声で取り囲む。
しかし潤はまるで意に介さず、高らかに手を上げ相棒を呼ばわった。
「出番だよテルビューチェ!」
足元に巨大魔法陣が展開したかと思えば、燦然たる輝きと共に魔法陣から一機のキャバリアが出現した。潤の専用機『テルビューチェ』だ。
「うちの子はかっこいい呪文を唱えて呼べばどこにだって来るんだから! 唱えなくても来るけど!」
唖然としている闘士達に自慢げに胸を張ってみせると、潤は軽やかにテルビューチェのコックピットに乗り込み、無策にすら見える突撃を開始した。
「な、ナメんじゃねぇぞド新人がッ!」
得体の知れない機体への驚きを誤魔化すように、短気な闘士達が火器で応戦する。
飛んでくる弾丸や砲弾を、潤はオーラを纏った頑丈な装甲で耐え抜いた。視界を賑やかす弾幕を真っ向から切り抜け、敵機の懐へと一気に肉迫、重火器タイプをテルビューチェの重量を乗せた体当たりで景気よく吹き飛ばす。
「くそがぁ!」
近接タイプが闇雲に斬りつけてきたが、潤はその斬撃も装甲でやすやすと受け止めると、逆に敵の腕部を捕らえて引き寄せた。
途端、テルビューチェの頭部が生え揃った歯を剥き、くわと口を開いて敵機の頭部を呑み込んだ。怪物の捕食行為の如き恐怖映像をコックピットで目撃してしまったパイロットは、情けない悲鳴を上げたのち失神したようだ。
損耗は気にせず殴り込み、噛みつき、転んだ機体は踏みつける。まさに無差別格闘の様相である。
「あいつぁやべぇ……囲め囲め!」
咄嗟に共闘した闘士達がテルビューチェを物理的に取り囲む。
が、もちろん、潤にとっては屁でもない。
「ふむ。おっきい剣がいいな。うちの子の剣みたいなごついやつ!」
即座に発動するユーベルコード。
瞬く間に周囲に無数の輝きが生じ、凶悪なまでに武骨な大剣へを顕現させた。
「どんな攻撃でも、手足くらい壊しとけば、乗ってる人は無事……だよね?」
重々しい殴打音の連鎖と絶叫の重唱が、コロシアムに轟き渡った。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
此処にもコロシアムがあるのか。
だが、先ずはキャバリアを用意せねばな。
■騎
剣を装備した『総重量85t』以下のキャバリアを貸してほしい。
インゴット無しね。
■闘
【牛鬼】で足元を掴み、【空中戦】で低空飛行し出陣。
何をすると?素手で振り回す。
キャバリアの背後に隠れ、【残像】を伴った『キャバリアとは
思えぬ不可解な動き』を見せ相手を惑わしつつ立ち回る。
砲弾が来たら剣の部分で【武器受け】するように合わせ、弾く。
頃合いが来たら姿を現しタネ明かし。
敵の集団目がけてキャバリアを【怪力】全開でぶん回し、
剣の部分を当てて真っ二つに【切断】だ!
うむ、『狂っている』という声がした。
※アドリブ歓迎・描写が難しい場合は不採用可
●それはバットじゃありません
「此処にもコロシアムがあるのか。だが、先ずはキャバリアを用意せねばな」
武芸を披露するのならば得意分野。が、キャバリアに関しては明るくない愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は、現地で調達せねばならなかった。
「ご注文のキャバリアだ。総重量85t以下、剣装備、インゴット無し! これでいいかい?」
メカニックの示した武骨なキャバリアを見上げ、重量計を確かめて、清綱は大いに満足げに頷くと、やにわにキャバリアの脚部を掴んだ。
「此れで充分だ。世話になったな」
「いいってこと……よ……」
グゴゴギギギゴゴゴ。
大質量の金属が軋む特有の音を立てて、動力もないのにキャバリアが浮き上がった。その足元でキャバリアを掴んで持ち上げているのは、もちろん清綱。
「──乗らねーのかよッ!!!?」
メカニック渾身のツッコミに送り出されてそのままコロシアムに乗り込んだ清綱は、キャバリアの陰に身を隠し、一般的な闘士として上手く場に溶け込んだ。
「いざ、参る」
試合開始と共に黒い翼を広げ、低空飛行。何をするかと言えば。
素手で、キャバリアを、振り回すのである。
「ヒェッ」
「ななななんっだありゃぁ!?」
ぶんっ、ぶんっ、と威圧すら感じる風切り音を立てて振られるキャバリアに、闘士達は早くも及び腰である。
なにせキャバリアの動きが、率直に言って、キモイ。素早く残像を引きながら剣かバットの如くぶん回されるのである。人型兵器かくあるもの、という常識との乖離に脳が拒絶反応を起こすのも致し方あるまい。
パニックを起こしたかのように火砲という火砲が火を噴いた。が、清綱は巧みにキャバリアを振り、飛来する数多の弾丸砲弾をキャバリアの持つ剣で受けて打ち返さんばかりに弾いていく。
「ふむ、頃合いか」
敵群が怯えた様子で包囲を後退させ始めた気配に、清綱はキャバリアの陰から姿を現した。わかりやすくキャバリアを一振り。
「はぁぁ!?」
「うっそだろ!?」
ますます混乱極まる闘士達の集団へと、清綱はキャバリアを掲げたまま自前の翼で瞬時に飛来した。
「……ふんっ」
気合いの軽さに見合わず、とてつもない速度で横薙ぎに払われるキャバリア。
「く……狂って……る」
ずんばらりんと真っ二つに斬り払われた敵機の誰かが呟いた言葉を、清綱はまんざらでもない気分で聞きながら、剣ならぬキャバリアを納めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
フェイルシア・インパーサ
闘技場は都の華、と思いましたがこういうのも風情があって良いですわね
ガミザーヌで参戦致しましょう
オブリビオンマシンですが、周りはこちらよりもそれっぽくデコレーションされているので
特に言及されることはないでしょう
キャバリアの剣で【盾受け】しつつ動き回り【見切り】で回避
【なぎ払い】で数を減らしていきます
速度で食いつく機体がいるなら薔薇の棘で動きを阻害致しましょう
それでも残るなら【学習力】で攻撃パターンを把握して切り崩していきますわ
ああ、流石に砲撃モード等で火力を強化した機体がいると
ガミザーヌでも傷つく恐れがあるので、その場合は他の機体を盾にするように動きましょう
では皆様、今宵もともに舞い踊りましょう
●破壊の円舞曲
「闘技場は都の華、と思いましたがこういうのも風情があって良いですわね」
いかにもお嬢様然としたフェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)は、コロシアムの野卑な雰囲気にまんざらでもなく視線を馳せた。
騎乗するのは『偽神ガミザーヌ』。紛うかたなきオブリビオンマシンであるが、一般人に見分けられるものではない。自機を派手にデコレートするのが流行りのコロシアムでは尚更だ。
「ずいぶんとお上品なヤツが混ざってんなぁ」
「ちょろそうなお嬢ちゃん、いっただっきまーす!」
舐めてかかってくる大量の闘士達。
殺到するキャバリアへ、フェイルシアはガミザーヌの剣を掲げる。
「まずは数を減らしましょう」
ガミザーヌは軽やかに踏み込み、振り下ろされた武骨な斧を銀色の刃で受け止めた。軽い力で支点を外して難なくいなし、前のめりに転げた敵機を足元に置いてけぼりにして、別の敵機の攻撃を華麗に回避。その都度一閃する銀色の剣閃が、キャバリア達を次から次へと真っ二つに解体していく。
「やるな……だが速さなら負けないぜ!」
シャープなフォルムの機体がガミザーヌの斬撃に逐一反応し回避してみせた。なかなかの腕前に、フェイルシアは微笑む。
「あら、リズムが性急ですわ。もう少しエスコート頂いても良いでしょう?」
瞬間、どこからともなくガミザーヌを取り巻き一斉に放射された薔薇の蔦が、敵機の脚部や腕部に絡みつくや無数の針へと変じ、駆動部にテクニカルダメージを叩きこんだ。動きを阻害された機体はあえなくガミザーヌの剣の錆となる。
順調に切り崩されていく敵陣。……が、しかし。
「今だ、撃て撃てぇーーーーッ!」
周囲を取り囲む近接キャバリアが沈んだことで、射線が通った瞬間を待ち構えていた砲撃手達の火砲が一斉に火を噴いた。
轟音、爆発、高熱。降り注ぐ砲弾の雨が、瞬く間にガミザーヌの姿を爆発と煙の向こうに隠した。
ひとしきりの弾幕が集束し、ゆっくりと煙が晴れ……
そこには、まったくの無傷のガミザーヌが佇んでいた。
驚愕に言葉もない闘士達の足元に、砲撃の盾にしたキャバリアを放り出し、フェイルシアはにっこりと微笑む。
「では皆様、今宵もともに舞い踊りましょう」
華麗なダンスは、今少し続くようだ。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『娯楽の城』
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POW : 体力の続く限り遊ぶ
SPD : マップを活用し、効率よくルートを取って施設を巡る
WIZ : 座れる場所でのんびり過ごす
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●犯人を捜せ!
予選終了の合図が高らかに鳴り響いた。
勝ち残ったのは猟兵全員と、容疑者三人、あとは有象無象のキャバリアが十体程度。
まずは第一目標達成。次は容疑者三人との接触だが……これはすんなりと事が運んだ。
「あんたらもルーキーなんだな! アタシもアタシも!」
容疑者の一人『ブレイク』少女が興味津々に声を掛けてきたのだ。必然的に他の二人とも交流することになる。
「おいブレイク、「アタシも」じゃない、「アタシたちも」だろうが」
「っさいなぁ、いちいち細かいんだよイントロは」
「まあまあ二人とも。新人さんたちが見てるよ?」
神経質そうな『イントロ』少年と、優しげな『サドゥン』少年。
「アタシらここらのパークでひと遊びしてくつもりなんだ。新人のよしみだ、試合のことはぱーっと忘れて、一緒に遊んでいこうぜ!」
イントロは渋い顔をしているが、サドゥンのとりなしもあって異を唱えようという気配はない。この三人は絶妙なバランスで成り立っている関係性なのだろう。
なんにせよ、猟兵にとっては願ってもない誘いだ。一同は連れ立って、街の目玉である巨大アミューズメントパークへとやってきた。
パークにはあらゆるゲームが取り揃えられている。パンチマシンにビリヤードにエアホッケー、格ゲー音ゲーシミュレーション、ライドマシンに乗ってのシューティングなどなど。アナログデジタルなんでもござい。
ここで容疑者三人と交流を深めつつ、「破滅的な思想に狂って」おり「身体能力や反射神経が異常に向上して」いる、オブリビオンマシンの搭乗者を炙り出さなければならない。
犯人はそうした性状を隠しているが、猟兵の仕掛けるアクシデントや誘導が重なっていけば、自ずと決勝までに確定させることができるはずだ。
ネオン煌めく不夜城にて。楽しいゲーム三昧の裏側で、駆け引きが始まる。
杼糸・絡新婦
こりゃ目移りしそうなぐらいの施設やねえ、
色々楽しみたいし、自分は順繰り巡っていこうかな。
その中で見かけたメンバーの様子を【情報収集】しつつ、
向こうが気づいていないなら【忍び足】で近づいて
軽く脅かす体で向こうさんの反応見る、気づかれるかな?
【コミュ力】謝罪しつつ、自分もゲームに誘ってみて様子見る。
【読心術】でコロシアムやゲームににつてい話しながら
『思想』を探る。
音ゲーを【パフォーマンス】で魅せつつゲームを展開していく。
杓原・潤
さーて、ここからは推理の時間!
まずは情報収集だね。
うーん、でもゲームとは言えあんまり破滅的な所を引き出したくはないかなぁ……じゃあ反射神経とか、かな?
うるうもちょっと得意な音ゲーで勝負してみよう!
年も似たようなもんだし、ちょっと挑発すればきっと皆が受けてくれるはず!
キャバリアならともかく、これならうるうには三人がかりでも勝てないんじゃないかなー?みたいな感じで。
ダンスしながらたんたんたんっと足で踏んでくやつね。
多分これなら運動能力とか分かりやすいんじゃないかな?
後は怪しい子をユーベルコードで見張って、言動がおかしいかどうか調べよう。
狂うほど破滅的なら、見てれば分かる……はず!
●音ゲー勝負!
人でごった返す巨大アミューズメントを見渡して、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は感心の声を上げる。
「こりゃ目移りしそうなぐらいの施設やねえ」
「だろだろ!? いろいろあるんだぜー、何遊びたい!?」
我がことのように自慢げなブレイクに、絡新婦はへらりと笑い返す。
「そやねぇ。色々楽しみたいし、自分は順繰り巡っていこうかな」
「ふっふふ、わかってるじゃないか! もちろん時間の許す限り遊び回るぞぅ!」
先頭切って煌びやかなパークに繰り出すブレイク。イントロとサドゥンは当たり前のようにその後に続く。
「初対面の相手にまったく……少しは警戒くらいしろ」
「うるっせ」
「まあまあ」
ちくりと一言言わずにはいられないイントロ、舌を出すブレイク、とりなすサドゥン。いつもこんな応酬なのだろう。
三人の意識が互いの軽口に向いている隙に、絡新婦はそろりとその背後に忍び寄った。軽く脅かすつもりで近づけば、気づくかどうか……
並んだ背中をどやしてやろうと手を上げた、瞬間。
「「──っ!?」」
触れられる直前に超反応で振り返ったのは二人。ブレイクとサドゥンだ。
「びっ、びびったっ、なにすんだ!?」
「ごめんなぁ、ちょっとした悪戯心や。えらい反応ええなぁお二人さん」
にこやかに謝罪する絡新婦に、二人はあっさりと肩の力を抜く。
「あはは、ぼくはブレイクにつられちゃって。ブレイク、運動神経いいから」
「むしろ気づかないイントロが鈍いんだっつーのー」
「うるさいぞ」
などとうやむやになりつつも、なんとなくの傾向は見えてきた頃。ブレイクが示したのは目がチカチカするようなネオンで彩られた巨大ゲームセンターだった。
(「さーて、ここからは推理の時間! まずは情報収集だね」)
三人組に勘付かれないよう気合いを入れつつ、杓原・潤(人間の鮫魔術士・f28476)はふと首をひねった。
「うーん、でもゲームとは言えあんまり破滅的な所を引き出したくはないかなぁ……じゃあ反射神経とか、かな?」
「ん? うるう、何ブツブツ言ってんだ?」
人懐こいブレイクは厚かましくもすでに呼び捨てである。
「ううん、なんでもない! それよりみんなで音ゲー勝負しよう! うるう得意だよ!」
「ああそらえぇなあ。自分も誘お思うとったとこや」
潤の提案に絡新婦も賛成し、ブレイクもやる気満々。反応が鈍いのは男子二人だ。
「僕はいい」とそっけないイントロ。
「見てるのが好きだから」とはサドゥン。
「なんだオマエら、今さら人見知り発動してんじゃねーよ!」
とゲラゲラ笑い飛ばしつつも、ブレイクも気が乗らない二人を無理に引っ張り込んだりはせず、ゲーム機に一直線だ。
問題は面倒な男どもだが、年齢の近い潤には勝算があった。ブレイクの後に続いてゲーム機を覗き込みながら、あえて後方に聞こえるように声を張り上げた。
「うん、いけそう! キャバリアならともかく、これならうるうには三人がかりでも勝てないんじゃないかなー?」
「……。」
これに顔色を変えたのはイントロである。眼鏡の下ですぅっと目を細めると、突如大股でブレイクの隣の筐体に歩み寄った。上着まで脱いで、やる気満々である。
「気が変わった」
からかわれる前にそう言い放ちつつ、顎をしゃくってサドゥンを巻き込むイントロ。意外と挑発に弱い。
結果、五人並んでの音ゲーバトルとなった。ダンスをしながらステップでリズムを打ち込む、運動能力が問われるタイプのゲームだ。
猟兵二人は突出した身体能力で美技を連発、目にも華やかなパフォーマンスで高得点を次々叩き出し、いつのまにか人だかりになっていたギャラリーを涌かせまくった。
一方の三人組は苦戦気味。イントロは記憶力で序盤をこなすが、終盤は反射神経がついていかない。ブレイクはリズム感が壊滅的だが、慣れてきた終盤は持ち前の反射神経で食らいつく。サドゥンは良くも悪くも平均的。誰が犯人にせよ、まだ正体を隠している感じだ。
もう少しつついてみようと、一曲終わったインターバルに、絡新婦が息一つ乱さず声をかける。
「えらい苦戦してはったけど、負けん気は大したもんやなぁ。コロシアムでもそんな感じなん?」
「まぁなっ!」
「勝負は勝たなければ意味がない」
「だよね。ぼくら三人で勝てないなんて、嘘だよね」
初めて見せた意見の同調。影の追跡者に三人の様子を見張らせ続けていた潤には、明らかな違和感が感じられただろう。
一人だけ……最後に零された言葉に、抑制されていながらもどこか暗い響きがあったことに。
「あと一曲! 泣きの一勝負頼むっ!」
ブレイクにねだられるまま再戦が始まった。
結果はやはり猟兵の勝利。しかし三人はかなり食らいついてきた。
飛躍したそのスコアを見比べて、絡新婦と潤は先ほどの一人への疑惑をより深めたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フェイルシア・インパーサ
【POWで対処】
ガミザーヌはサイキックキャバリア特有の謎の異空間に置いて、
容疑者探しと参りましょうか
破滅的な思想となるとやはり対戦ゲームですわね
PvPでは人間の本性が出ると言います
となるとやはりここはロボット対戦ゲーム、
それも『動物園』と称されるほど性質の悪いプレイヤーが出没するゲームに誘いましょう
現実という枷が外された分そのプレイスタイルは残虐的になるはず
ついでにスタミナや反射神経も見て置きましょうか
さて、私も暫し戯れに興じましょうか……
「好きな機体を使いこなさなければ真のゲーマーとは言えませんわ!」
「私を守っている暇があったら少しでもスコアを稼ぎなさりませ!」
「……お排泄物(クソ)ですわ」
グレアム・マックスウェル
容疑者の3人をゲームに誘おう
対戦するゲームは……そうだな、お互いキャバリア乗り同志だ
反射神経を競うものがいいな
対戦格ゲー、シューティング、リズムゲーム……
君たちの好きなもので構わないよ
でも僕は「絶対に負けない」
楽しむ心も礼節も捨てて、ただ相手を打ちのめすことに特化した
【完全なる自律式人型機械】の前に、敗北の二文字はない
新進気鋭のルーキーというから期待したけどその程度なの
大したことないね
決勝で勝つのは君たちじゃない。この僕だ
非難の眼差しも罵声も浴びるだろう
だがそれでいい。これも犯人を挑発する作戦のうち
常人の怒りや屈辱の範疇を超えた「破滅的な狂気」を滲ませた者
恐らくそいつが……犯人だ
●暴き出されてゆく
「あー遊んだ遊んだ。次はどこいく!?」
屈辱の負け越しもカラッと忘れて、ブレイクは猟兵を振り返った。
「対戦するゲームは……そうだな、お互いキャバリア乗り同志だ、反射神経を競うものがいいな」
淡々と答えるグレアム・マックスウェル(サイバーバード・f26109)。
「対戦格ゲー、シューティング、リズムゲーム……君たちの好きなもので構わないよ」
「張り合いねぇこと言うなよー。てかオマエ、なんか機械みたいでおもろいなー!」
ブレイクはグレアムの背中をバシバシどやした。その失礼さにキレているのはイントロばかりで、グレアムは体幹をミリもぶらさず平然とされるがままである。
その様子を少し遠巻きに見ながら、フェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)は思案する。
(「破滅的な思想となるとやはり対戦ゲームですわね」)
PvP、すなわちプレイヤーVSプレイヤーのゲームでは人間の本性が出るとも言われる。となれば、やはり。
「ここはロボット対戦ゲーム……それも、なるべくエキサイトできるものが良いですわ」
「ほほう。それならいいのがあるぜっ☆」
「おいブレイクまさか……!」
「さーこっちだ!」
ブレイクは気色ばむイントロを振り切るようにフェイルシアの手を引いて駆け出した。当然他の面々もそれを追いかける羽目になる。
たどり着いたのは、コンパクトなスタジアムのような形状の施設だった。中央の多数の巨大ディスプレイにはロボット同士の対戦が映し出されている。
プレイヤーは皆殺気立ち、筐体越しに罵詈雑言が飛び交っている。画面上もルール無用の乱闘の様相だ。
「これ、動物園って悪名高いやつ……」
困ったように苦笑するサドゥン、何も言わずに苦虫を噛み潰したような顔のイントロ。
「何言ってんだ、これがいいんじゃねぇか!」
「でも、初めての人にこれはちょっと……」
「問題ない」
引き留めようとするサドゥンを制するともなく遮ったのはグレアムだった。
「僕は「絶対に負けない」」
断言し、さっさと空いた筐体につくグレアム。
他の面々も顔を見合わせたのち、意気揚々と、あるいはにこやかに、あるいは苦々しく、あるいはなし崩しに、ゲームに参加することとなった。
(「現実という枷が外された分そのプレイスタイルは残虐的になるはず。ついでにスタミナや反射神経も見て置きましょうか」)
フェイルシアは愛機に似たロボットを選択しながら三人組の様子をさりげなく窺った。ちなみに本物のガミザーヌはサイキックキャバリア特有の謎の異空間に格納中である。
「さて、私も暫し戯れに興じましょうか……」
フェイルシアが静かに気持ちのスイッチを切り替えると同時、バトルロイヤルマッチが始まった。
「おぉ!? ソレ玄人向けの機体だぜ!? 大丈夫か?」
「好きな機体を使いこなさなければ真のゲーマーとは言えませんわ!」
「言うじゃん! ま、最初の内はアタシらが守ってやらぁ」
「私を守っている暇があったら少しでもスコアを稼ぎなさりませ!」
「ハッ、上等ぉ!」
打って変わって刺々しくなったフェイルシアをブレイクは痛く気に入った様子で、二人は攻撃的な言葉を応酬しながら、先を争うように乱闘に突入した。イントロがぼそりと「……動物二匹」と腐したのは聞こえなかったことにしておく。
イントロとサドゥンは当然とばかりにブレイクの補佐に回り、三位一体の連携で悪質なプレイヤーを見事に退けていく。
しかし数戦のマッチングを経た果てに、彼等の前には最大の敵として猟兵が立ちはだかった。
フェイルシアがブレイクを釣りだしている間、グレアムが男子二人を相手取る。これがまたひどく凶悪だった。
「……くそっ、さっきから卑怯な……!」
「動物どころじゃないねこれは……悪魔だ」
イントロとサドゥンの目つきがどんどん荒んでいく。当然だ。楽しむ心も礼節も捨てて、ただ相手を打ちのめすことに特化した【完全なる自律式人型機械】の前に、敗北の二文字はない。
フレーム単位でロボットの動きを制御するグレアムに二人が追い詰められているうちに、ブレイクの機体の大破メッセージが瞬いた。
「……お排泄物(クソ)ですわ」
転がった機体を、ゴミのように踏みつけるフェイルシア。
「「ブレイクッ!!」」
二人が同時に気を逸らした瞬間、グレアムの武器が一閃した。
「新進気鋭のルーキーというから期待したけどその程度なの。大したことないね」
二体大破のメッセージに被せて、グレアムは挑発的に言い放つ。
「決勝で勝つのは君たちじゃない。この僕だ」
「──ふざけるなよ」
尋常ならざる怒り漲るそれは、イントロのものではなかった。先を越されたらしく、意外そうに目を瞬いて傍らを見ている。
「……あぁごめん、ちょっと熱くなりすぎちゃった」
瞬間的に沸騰した破滅的な狂気を一瞬で綺麗にしまい込んで、「容疑者」は笑った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒木・摩那
さて、三人の中から、オブリビオンマシンに憑りつかれている方を探し出すわけですが、ここはゲームセンター。ゲームさえプレイしてくれたら、自然とボロが出てきそうです。
であるならば、絶対にプレイしなくてはいけないように仕向けて行きましょう。
ここはご飯を賭けてゲーム勝負を申し込みます。
ノリが悪い方もいるでしょうから、そこは軽く挑発して勝負せざるを得ないようにします【言いくるめ】。
ゲームは何でもよいですが、ダーツなんかは集中力や体幹が必要なので、特徴が出やすいのではないでしょうか。
愛久山・清綱
なんとか初戦を突破できたが……
うむ、俺の噂話がちょいちょい聞こえる。
化け物、ミュータント、狂った乗り手。
■行
【POW】
さて、時間潰しとしよう。何をしようか……むむ?
変わったゲームがあるぞ。
『キャバリアができるまで』。リアルなキャバリア設計を
体験しましょう!とある……やってみるか。
(ところがゲームは設計図や予算設定から始まり)
うむ、リアルすぎだ。
問題の三人は……少々荒い方法で探るか。
三人と出会ったら【礼儀作法】を以て挨拶し、予選の話を。
ある程度会話が進んだら「キャバリア振り回しの再現」と
称してブレイク殿たち三人の近くで腕を力強く振るうぞ。
軽やかに避けた者が、怪しいかもな。
※アドリブ歓迎・不採用可
●そして剥がれる化けの皮
愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は三人組とは合流せず、一人アミューズメントパークをそぞろ歩いていた。
「なんとか初戦を突破できたが……うむ、俺の噂話がちょいちょい聞こえる」
さすがに清綱の顔まで認識している人間は見かけないが、現地民には相当な衝撃を与えたらしい。化け物、ミュータント、狂った乗り手。好奇心と恐怖心がないまぜになった噂があちこちから聞こえてくる。
しかし噂の張本人はどこ吹く風。
「さて、時間潰しとしよう。何をしようか……むむ?」
ふと目に入った筐体に、興味深い文言が綴られている。
『キャバリアができるまで』。
「変わったゲームだな。「リアルなキャバリア設計を体験しましょう!」……やってみるか」
しかしこれがまたずいぶんと玄人志向。設計図に予算設定、強度計算やら素材選択やらから開始する始末であった。
「うむ、リアルすぎだ。……む?」
早々に匙を投げる清綱の隣の筐体に、見覚えのある少年の姿があった。三人組の一人、サドゥンだ。
「確か三人組の……」
「え……ぁあ、キャバリア振り回してた人」
サドゥンは清綱を見上げて目を瞬いた。あの混乱のコロシアムで、清綱の顔を認識できていたらしい。
「他の二人は如何した」
問われ、サドゥンは軽く苦笑した。
「ちょっと神経すり減らしちゃって、ぼくだけ休憩中です……ぼくの適正、本当はこっちなんですよ」
見れば、サドゥンはキャバリア設計ゲームを猛然と攻略している。相当にやりこんだのだろう熟達した動きだ。……いや、それにしても、この速度は少々……
清綱にじっと見守られたまま、設計ゲームは瞬く間にクリアされていった。
一方、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は他の二人と共に、施設内の小休止用ソファに腰かけていた。
三人の中からオブリビオンマシンに憑りつかれている一人を見つけ出せばいいわけだが、ここはゲームセンター。ゲームさえプレイしてくれたら自然とボロが出そうなものだ。
しかし相手は本性を隠しているうえ、三人組はここまでゲーム三昧の負け越しで、若干倦怠気味。何か、プレイをしなければならないという強い動機付けができれば良いのだが……
「あーなんか小腹が空いてきちまった。サドゥンとっとと帰ってこねぇかなー」
ブレイクが伸びをしながらぼやいた。これはチャンス。
「では、次のゲームはご飯を賭けて勝負というのはどうかしら?」
「えっ奢ってくれんの!?」
「ええ、あなたたちが私に勝ったらね?」
「まっじでぇ!?」
単純極まるブレイクはすでに乗り気。
イントロは案の定その逆。聞えよがしの溜息を吐いて、勝手にやってろと言わんばかりである。
「あら、負けが込みすぎて嫌になっちゃった? 案外根性ないのね」
「……何」
「それとも……女に負けるのは怖い?」
イントロの目が不穏に細められた。軽く煽ってやればこのざまだ、こちらはこちらで扱いやすい。
さて、残るは離席中のサドゥンだが。
「遅れてごめん!」
折よく戻ったサドゥンは剣豪連れだった。清綱は礼儀に則った挨拶でブレイク・イントロとも打ち解け、摩那とは視線だけ交わして概ね互いの状況を察した。
「なげー便所だったなサドゥン。さっ、次のゲームだ! で、何やるんだっけ?」
「私はダーツがいいわ」
「じゃ、それで。気合い入れろよ野郎ども、今日のメシがかかってるんだからな!」
一同はなし崩しにダーツコーナーへ。ちょっとしたバーのような装飾を施された一角だ。
ダーツは集中力や体幹が重要になる。身体の使い方に三者三様の特徴が表れていた。
ブレイクは天性のセンスで豪快かつ力強く身体を操る。が、繊細さには大いに欠け、コントロールはいまいちだ。
イントロは見ての通りの慎重派。ブレイクには劣る身体能力を、計算と緻密なコントロールで補って高得点を取っていく。実は三人の中で一番ダーツが得意らしい。
サドゥンは良くも悪くも平均ど真ん中。キャバリア乗りをやらせておくのが若干心配になるような、特徴のない平均点だ。……いや、だからこそかえって違和感が……
「なんだと? あの異常なキャバリアの……?」
ブレイクの手番の最中、予選の話を聞いたイントロが声を潜めた。サドゥンが苦笑しながら頷く。
「そうだよ、気づかなかった?」
「あの状況で乗り手を識別できるほうが異常だろう」
「そ、そっかな」
「しかし、そんな異常者には見えないが……」
「ふむ。ならば再現して見せよう。キャバリアの脚部をこのように持ち──一気に振るう!」
その動作はあまりにも出し抜けだった。清綱の骨太な腕が大振りに辺りを薙ぎ払い、ぶんっ、と空を切る音まで響く。
手番を切り上げて帰ってきたブレイクは「うおっ」と声を上げて軽く後ずさり、イントロは咄嗟に腕で顔を庇う仕草で硬直。──そして。
サドゥンだけが、異常なまでの反応速度で、軽やかに回避してみせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『十字皇SHURAUD第14号機』
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POW : 緋燕十字斬
【破戒の槍と再世の槍】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【の半径レベル3乗mの空間を新世界に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 最終衝撃
【破戒の槍と再世の槍】を降らせる事で、戦場全体が【人類が如何なる状態でも生存不可能な新世界】と同じ環境に変化する。[人類が如何なる状態でも生存不可能な新世界]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ : 第三の衝撃
【人類生存不可能な新世界創生の衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
イラスト:key-chang
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠白石・明日香」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●犯人を追い詰めろ!
『さぁ野郎ども、とうとうこの時が来たぜ──そう、決勝だ!』
歓声に満たされる観客席の見下ろす円形闘技場には、予選を勝ち抜いた猟兵、三人組、その他有象無象を合わせたキャバリアが約二十体、互いを牽制するように各々陣取っている。
『やはり今回の注目株もコイツらだ! イントロ、ブレイク、サドゥンの序破急トリオ! もうルーキーだの大穴だのは言えねぇなぁ!?』
いっそう盛り上がる観客達。すでにファンもついているようで、賭け金も釣り上がっているのだろう。
しかし、この三人の内一人が、確実にオブリビオンマシン搭乗者なのだ。
猟兵は確信を得ていた。
まず、ブレイクは論外。類稀な反射神経と身体能力が紛らわしくはあったが、乱暴な口調や態度の地盤の性格は、明朗かつ他者に対して非常に寛容。最も捜査の助けになったのは彼女の素直さと言えるだろう。
イントロは態度こそ攻撃的だったが、それも神経質な性格によるものであって、破滅的なほどの狂気を抱えているようには見えない。何より、いかなる場面においてもその身体能力は一般的なキャバリア乗りの範疇を出ないものだった。
残る一人、サドゥン。
彼はほとんどの場面で平均点だった。だが、リズムゲームで一度だけ見せた異常な高得点、言葉の端々に滲む暗い色、アクシデントを仕掛けた時の異常な神経反射や身体能力。
そして何より、大きな浮き沈みもない「平均点ど真ん中」……それこそ、平均点だけを取ることに執着し事実それを貫けているような不自然さ。
間違いない。犯人は……敵は『サドゥン』だ。
猟兵が狙うべきは、サドゥンの騎乗するキャバリア──いや、オブリビオンマシン一機のみ。
白く煌びやかに装飾されただけの他二人のものとは似て非なるそれは、『十字皇SHURAUD第14号機』。十代前半の少年少女以外には動かすことすらできない、世界に破壊と再生をもたらすと言われるオブリビオンマシンだ。
猟兵から集中攻撃を浴びれば、サドゥンはもはや破滅的思想を隠さないだろう。
厄介なことに、他のキャバリアからの妨害も予想される。特にブレイクとイントロはサドゥンを守るために激しい抵抗を示すだろう。彼等への対処も考えておくべきだ。
そして……これは三人と交流した猟兵だからこそ感じる直感だが、『サドゥンは、ブレイクとイントロだけは絶対に攻撃しない』ような気がしてならない。
とにもかくにも、オブリビオンマシンを破壊しなければサドゥンを救うことも叶わない。
『泣いても笑ってもこれが最後! 全部ぶっ飛ばして最後まで立っていた猛者だけが勝者だ! さあ、戦って戦って戦いやがれぇぇぇぇッ!!』
乱打される銅鑼の音が、試合開始を告げた。
黒木・摩那
オブリビオンマシンの搭乗者がサドゥンであることがわかりました。
あとは倒すだけです。
問題は他の二人からの妨害と危険なユーベルコードです。
ここは二人をけん制しつつ、発動キーである槍を狙います。
引き続き専用機『エクアトゥール』で、
ヨーヨー『エクリプス』をキャバリア用にサイズUPして戦います。
UC【蒼鷹烈風】でヨーヨーの反応速度を上げます。
まずは他の二人をメインに攻撃することで、こちらからサドゥンの意識を遠ざけます。
そして、機会を見計らって、他の二人に向けていたヨーヨーの軌道を【念動力】で曲げて、サドゥンの槍を【武器落とし】して、【念動力】で回収します。
これで危険なユーベルコードの発動を抑えます。
杓原・潤
そっか、あの子かぁ……。
待ってて、うるうとテルビューチェが助けてあげるから!
ちょっと悪いけど、邪魔する一般キャバリアはやっつけちゃおう。
パイロットにも退場してもらえば敵のユーベルコードに巻き込まなくて済むしね。
うるうも人類だからそれを受けるとヤバいけど、さっき壊したキャバリアの残骸とユーベルコードでおっきなサメのロボットを作って、その上にテルビューチェごと乗って盾にしよう。
それと【オーラ防御】と【継戦能力】があればきっと耐えられるはず!
後はそのまま近付いて【重量攻撃】だ!
十字だか何だか知らないけど、【念動力】なんかも使って上手に【操縦】して、あの子に怪我させないように【踏みつけ】てやる!
●生存を拒む力
「オブリビオンマシン、及びその搭乗者が判明しました」
零式操念キャバリア『エクアトゥール』の拡声器越しに響く黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)の声色には、静かに高まる怒りにも似た戦意が満ちている。
「サドゥン。あとはあなたを倒すだけ」
「ハァ!?」
「なんだと……」
色めき立ったのはブレイクとイントロ。サドゥンは沈黙を保っている。
「そっか、あの子かぁ……」
杓原・潤(人間の鮫魔術士・f28476)は『テルビューチェ』のコックピットで小さく吐息をつきつつ、その推理を肯定する。
「待ってて、うるうとテルビューチェが助けてあげるから!」
「──いらないよ」
静かに、サドゥンが答えた。……その語尾に、笑いを含めて。
「キミたちごときの助けはいらない。──ぼくらの勝利は邪魔はさせない」
瞬間、真白いキャバリア──否、オブリビオンマシンの両手に携えた槍が強烈に発光した。ただの金属製の槍を装飾・塗装しただけだったはずのそれは、今や十字を描く光そのものへと変じている。
相対した敵の力を読み取り、潤は素早く標的を切り替えた。
「あれ、よくないやつだね……ちょっと悪いけど、他の人たちには退場してもらっちゃおう!」
怖いのは敵が使用してくるであろう危険なユーベルコード。
しかしこの場には、状況を理解できずに襲い掛かってくるその他大勢の闘士達も存在する。もちろんコロシアムで説得はナンセンス。潤は巧みに攻撃を躱しつつ、適度にキャバリアを破壊し戦闘不能に持ち込むことで、パイロット達の戦線離脱を促していく。
もう一つの問題は、サドゥンの変貌に気づいていない他の二人。
「なんかわかんねぇけど、アンタらがサドゥンを狙うってんなら、まずはアタシが相手だ!」
「暴れてこいブレイク、援護は任せろ」
ブレイクは二本の槍(こちらはもちろん普通の金属製)を巧みに振り回し突撃、イントロは一回り小さい槍型銃を水平に構えて先端の銃口から弾丸を飛ばしてくる。いいコンビネーションだが、猟兵やオブリビオンの領域には到底及ばない。
「そう、あなたたちはこちら。──励起。昇圧、目標を確認……加速開始」
サドゥンを狙う動きで二人を釣りだすことに成功した摩那は、超可変ヨーヨー『エクリプス』をキャバリア用にサイズアップして繰り出した。蒼い風を纏わせたヨーヨーを自在に操りブレイクを牽制し、イントロの射撃はエクアトゥールの機動力でやすやす凌ぎ、二人を翻弄していく。
一方、サドゥンの狙いは潤へと向いている。
「あぁ、この槍だと二人を巻き込んじゃうな……もう隠れてちくちくフォローするのは無理か……でも、これも共闘ではあるよね?」
どこか上の空のような笑みを含んだ呟きと共に、破戒の槍と再世の槍、二条の槍をゆるりと持ち上げた。
周囲の闘士達をあらかたKOした潤ははっと振り返り、咄嗟に力を発動した。
「来ると思ってたよ! さー・むぇふぁー・どぅ・あー!」
瞬時にして周辺に散らばるKOされたキャバリアの残骸が寄せ集まり、巨大なサメ型ロボットを成していく──
と同時、無造作に振り下ろされる二条。巻き起こる漆黒の衝撃波が宙を疾り、潤へと殺到した。
が、その軌道に割り込んだサメロボットが盾となって衝撃波を受け止めた。
「ッ……この程度、なら……っ」
生存を妨げる衝撃波の余波が潤の身を苛むが、オーラを展開すれば耐えられぬほどではない。サメロボットのジグザグ泳法に任せて、テルビューチェは衝撃波を躱し、いなし、隙を窺う。
「しつこいね。早く倒れてくれないかなぁ」
サドゥンが構えを切り替えた瞬間を、摩那の瞳は逃さない。
「──曲がれ!」
摩那はブレイク・イントロへと疾らせていたヨーヨーの軌道を、念動力で直角に捻じ曲げた。強化した反応速度はそのまま、サドゥンの横合いからその手元へと。
ガキィッ──!!
強烈な衝突が、破戒の槍を撥ね飛ばした。摩那は即座に念動力の対象を切り替え、宙に弧を描く槍を手元へと引き寄せた。
あの機体にとって、二条の槍は全てのユーベルコードの発動キー。ならば、一時的にでもこうして引き離してしまえば……
「十字だか何だか知らないけど──」
「……!?」
十字皇SHURAUD第14号機が槍を取り落としたとほぼ同時、頭上に差した翳にサドゥンははっと顔を上げた。
人馬一体となったサメロボットとテルビューチェの巨大な質量が、念動力による巧みな操縦によりパイロットへの直撃を避けながら、しかし容赦なく降り落ちてくる──
「──悪い子にはおしおきだよッ!」
咄嗟に掲げられた再世の槍も、その踏み潰しを食い止めることはできない。
甚大な一撃が、頑健な白い機体を震撼させた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
グレアム・マックスウェル
予想通りか
悪魔は弱い心に付け込むものだから
ここは決勝、真剣勝負の場
手加減しろとも邪魔をするなとも言わない
だが、僕も本気でいかせてもらう
この新型機『VALIS』でね
序盤はイントロ機、ブレイク機に張り付いて牽制
サドゥン機に隙が見えたら指定UC発動
当たれば連撃可能だが、外れた時の隙も大きい
反撃を受けても、他の猟兵の勝機となればそれでいい
僕はサイボーグ。人と呼べるのはこの脳だけ
そして今はVALISと一つに繋がっている
人類の限界だって突破して見せる
全てが終わったら先刻の非礼を詫びたい
さっきはすまない。オブリビオンマシンの犠牲者を炙り出すためにはああするしかなかった
次に会う時は、正々堂々のバトルをしよう
フェイルシア・インパーサ
サドゥンさん、まずは先ほどの貴方達への非礼を詫びましょう
ですが貴方を勝たせるわけにはいきません!
他の参加者を「なぎ払い」「カウンター」で捌きつつ
魔力による「盾受け」「見切り」を多用して十字皇を堅実に攻めていきます
ブレイクさん達と連携を取られるなら距離を置く
痺れを切らしたなら単独で第三の衝撃を放ちに来る
この好機を逃しません
咎流しの曼珠沙華を発動し「決闘」に持ち込みます
発動できる約80秒の間に出来る限り剣戟を叩き込んで差し上げますわ!
十字皇の『新世界』は否定します
貴方のいるべき世界は今ここにあるのですから
ユーベルコードの詳細については他の猟兵の邪魔にならないように
事前に作戦を共有しておきますわね
●新世界を拒絶する閃光
「……やるね。でも、勝つのはぼくたちだ」
損傷を負ったサドゥン機の手元に、破戒の槍は瞬時にして返る。それは確かにオブリビオンマシンである証明。
「予想通りか」
露見した犯人の正体は、グレアム・マックスウェル(サイバーバード・f26109)にとって別段意外なものではなかった。
悪魔は、弱い心に付け込むものだから。
猟兵に情が移りすぎたか、ブレイクがぼやく。
「ちぇっ、なんかやりにくいぜ……サドゥン、生きてるよなァ!?」
「うん、大丈夫」
朗らかな答えが返った。ブレイクは何か言いたげな沈黙を挟んだが、深くは詮索せず、猟兵へと覚悟を決めた視線を返した。
望むところだ、とばかりにグレアムは宣言する。
「ここは決勝、真剣勝負の場。手加減しろとも邪魔をするなとも言わない。──だが、僕も本気でいかせてもらう。この新型機『VALIS』でね」
VALISの素早い軌道と正確な射撃でイントロ機とブレイク機を牽制していくグレアム。
「サドゥンさん、まずは先ほどの貴方達への非礼を詫びましょう」
『偽神ガミザーヌ』を駆るフェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)は、他の闘士達を捌きながら高らかに声を上げる。
「ですが貴方を勝たせるわけにはいきません!」
攻撃を躱した慣性を乗せた薙ぎ払いで闘士達を吹き飛ばし、すぐさま魔力による盾を展開。飛来する衝撃波を受け止めさせ、余波は回避運動で堅実にいなしていくガミザーヌ。
「くそっ、ちくちくと……!」
「サドゥン、いつものだ!」
VALISに手を焼くイントロとブレイクが焦れたように声を上げた。
サドゥンはわずかな逡巡ののち、呟く。
「……そうだね。三人で勝たなきゃ意味ないもんね」
ほの暗い声色に反して、サドゥンの動きは速かった。ブレイクの後方につき、彼女の攻撃の隙を埋めるように、イントロの射撃と共に槍や防御でのフォロー。これがいつもの連携なのだろう。
問題は、サドゥンの反応速度も攻撃力も、ブレイクのそれとは比較にならぬ精度であるということ。フェイルシアとグレアムは射撃と防護の牽制を継続しつつ、即座に距離を取る。
苛立ちも露わな舌打ちが拡声器に乗って響いた。続けざま、狂暴な怒鳴り声。
「──逃げてんじゃねぇよッ!!」
それは、間違いなくサドゥンの声だった。
「……は?」
「え、おいサドゥン!?」
戸惑うブレイクとイントロを置き去りにして、サドゥン機が猛スピードで飛び出した。通常のキャバリアの出力でも、ただのキャバリア乗りが耐えうる速度でもない。弾丸の如き突撃のさなかに振りかぶられる二条の光槍。
「やはり突出してきましたわね……!」
サドゥンは他の二人に害が及ばぬよう動くだろう、と踏んだ猟兵の勘は確かだった。
まだ他の二人に猫を被っているのか……いや、もうそんな必要はないはずだし、言動もおかしい。……この戦いが始まってからずっと、彼の言葉が本心だとしたら……
「ぼくたちが! ぼくたちが最強なんだ! そうじゃない世界なんて──いらないッ!!」
光槍が振り下ろされようとした瞬間。
グレアムは、ユーベルコードを解放した。
(「僕はサイボーグ。人と呼べるのはこの脳だけ。そして今はVALISと一つに繋がっている」)
「──人類の限界だって突破して見せる」
脳内に仕込まれたプログラムが励起され、グレアムはVALISと一体となって白い機体へと襲い掛かった。
急には止まれぬ速度と一度振り下ろし動作に入った光槍。サドゥンは咄嗟に反応できない。
プログラムに埋め尽くされ、スピードに引っ張られる脳の片隅で、グレアムはぼんやりと思う。
(「全てが終わったら、僕も先刻の非礼を詫びよう」)
さっきはすまない。オブリビオンマシンの犠牲者を炙り出すためにはああするしかなかった。
次に会う時は、正々堂々のバトルをしよう。
……湧き上がる透明な気持ちに、口許が緩むような錯覚を覚えながら。
グレアムとVALISはプログラムされた超高速連撃を寸分たがわず再現した。閃光がランダムな網の目となって幾重にも駆け抜け、オブリビオンマシンを覆う残像を描く。
たまらず悲鳴を上げながら押し込まれるサドゥン。その目の前を紅く細長い花弁が横切り、同時、二条の光槍が忽然と消え失せる。
グレアムの作り出した好機を、フェイルシアは逃さなかったのだ。
「動力変換完了、AMARYLLIS開放……我らは赦す、汝の罪を。我らは誓う、其の魂の安息を。眠りなさい、美しい夢の中で」
辺り一面を赤い彼岸花で埋め尽くして、フェイルシアは決然と顔を上げる。
「私は十字皇の『新世界』を否定します。──貴方のいるべき世界は今ここにあるのですから」
ガミザーヌの繰り出す剣舞が、さらなる光条を真白い機体へと叩きこむ。
少年の絶叫が、コロシアムに響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
杼糸・絡新婦
二人への攻撃はせえへんか、ええねえ。
ほな、とっとと中身を出したろか。
周囲の戦況や立ち位置を【情報収集】しつつ、
【フェイント】をいれ動き、
ブレイクとイントロの動きは翻弄させることで阻害、
ほら、どうしたご自慢の三位一体なりきっとらんで。
周囲からの攻撃を回避利用することで【罠使い】で
足止めと阻害、その合間を縫ってサドゥンへの攻撃を試みる。
【見切り】によるタイミングを図り脱力して攻撃をうけとめる、
また他者への攻撃を【かばう】形で受け止め流し、
オペラツィオン・マカブルを発動、
排し、返せサイギョウ。
二人のところへ帰したり。
愛久山・清綱
犯人が現れたか……よし。
此処からはルール無用だ。
■現
借りたキャバリアに燃料を積む。武装は全解除。
何をするか?今からわかる。
サドゥン殿がいる場所に辿り着いたらキャバリアの内部から
派手に登場、大薙刀『真武』を手に取り生身で戦闘を挑む。
他の参加者には『生身を撃てるのか』と告げるように
アピールし、【恐怖を与える】ことで戦意を削ぐ。
■闘
先ずは槍の軌道を【見切り】つつ【武器受け】し、
【怪力】を込めて全力で押し返し体勢を崩させる。
相手が倒れたら、宴だ!
【野生の勘】を働かせエネルギーが強い場所を感知し、
発見したらそこに向かって【ダッシュ】で接近。
力を込めた【真爪・剛】を放ち破壊するぞ。
※アドリブ歓迎・不採用可
●急所を貫け!
「犯人が現れたか……よし。此処からはルール無用だ」
愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は再びキャバリアへと仕込みを施した。とは言っても、今度はちゃんと燃料を積んで、ちゃんとコックピットに乗り込んでいる。
ただちょっとばかり、全武装を解除しているだけだ。
「……って、武装なしで何しにきたんだテメェは!?」
思わずブレイクの乱暴なツッコミが炸裂した。
「何をするか? 今からわかる」
平然と宣言すると同時、あろうことか、キャバリアのハッチが勢いよく開かれた。吹き上がる蒸気の中で人影が厳かに立ち上がり、一気に跳躍! 逆光の青空にド派手な空中アクションを描きながら、コロシアムの地面に着地。
大薙刀『真武』を手に、構える清綱。……もちろん、生身で。
「ってアホかあぁぁーーー!?」
ブレイクの罵声が大音量で吹き付けた。しかし清綱は顔色一つ変えやしない。
「俺は本気だ」
「馬鹿野郎、死にてぇのか!?」
「生身を撃てるのか」
「っ、アタシらの度胸を試してんのかよ、イイ趣味だなオイ……!」
告げるような問いかけに、ブレイクは文句垂れつつも及び腰だ。清綱の迫力と友人を殺すかもしれない事実への恐怖が、彼女を戸惑わせている。
が、次の瞬間、イントロの銃口が火を噴き、清綱の背後のキャバリアが呆気なく吹っ飛んだ。
「これでルール上は敗退だ。その男のことはほっとけ。──まだ戦いは終わってないぞ」
イントロはにべもなくブレイクの意識を戦場へと引き戻す。
二人が視線をやる先には、大量の破損したキャバリアの中央に立つサドゥン機と、相対する杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)の姿。
ブレイクはサドゥンの前に滑り込み、イントロはサドゥンの隣につく。
「アイツを一緒に叩くぞ!」
「わかってる」
「……うん、やるよ」
最前線で槍を振るうブレイク、中衛でフォローをするサドゥン、正確な後方支援に徹するイントロ。
良いコンビネーションだ。サドゥンの動向を観察していた絡新婦は感心する。
「二人への攻撃はせえへんか、ええねえ」
どうやらサドゥンは、二人に危害が及ぶような行動は徹底して避けているようだ。連携のさなかにも、新世界の能力は極力抑えているのがわかる。
「ほな、とっとと中身を出したろか」
絡新婦は欺く動きで三位一体の攻撃を躱し翻弄していく。
徐々に生まれるひずみ。サドゥンの人ならざる反応速度、身体能力。それが「いつもの連携」に罅を入れる。一体だけが突出して、リズムが合わない。
「くっ……サドゥン、先走りすぎだ!」
「ほら、どうしたご自慢の三位一体なりきっとらんで」
状況の主導権は絡新婦にある。が、傍から見れば一方的な劣勢に見えたのだろう、まだ残っていた闘士の機体が、漁夫の利を狙って空気も読まずに突っ込んでくるのが目の端に見えた。
「もらったぁ──あぁッ!?」
まるで社交ダンスのパートナーにでもなったように、絡新婦と闘士のポジションがくるりと入れ替わる。と同時、闘士の掲げていた盾に突き刺さる再生の槍。
瞬間的に身動きを阻害されたサドゥン機の脚部を、色とりどりに輝く鋼糸が巻き取る。
サドゥンは咄嗟に破戒の槍を突き立て、駆動系に深刻なダメージが及ぶ直前に難を逃れた。その力を支点に再生の槍を引き抜き、今度は闘士機のコックピットを正確に狙って突き出してくる──
「待っとったよ、それを」
絡新婦は即座に闘士機を後方に押しやって、槍の軌道の前に身を晒した。新世界の力を帯びた再生の槍は、完全に脱力した状態の絡新婦機を貫き──
「うそだ……」
サドゥンが狼狽する。槍は絡新婦に届かない。見えぬ力場に拒まれるように、その攻撃は完全に無効化されている。
「──後ろががら空きだぞ!」
突如飛び込んだ声に、サドゥンははっと視線を返した。
宙に跳躍する烏天狗の如きシルエット。それが清綱だと認識するより速く、サドゥンは残る破戒の槍を繰り出した。
清綱は軌道を読み、穂先を真正面から真武の刃で受け止め、全身全霊の怪力を込めて対抗した。
「うおおおォォォォ──!」
咆哮の如き裂帛の気合いと共に、清綱がサドゥン機を一気に押し返した。人間がマシンを押し倒すという冗談のような光景に、他の二人は戦いも忘れて呆然としている。
「──宴だ!」
清綱は一寸の休息もなく、倒れ込んだサドゥン機へと詰め寄った。野生の勘の囁く場所……最もエネルギーを溜め込んだ、オブリビオンマシンの核へと。
胸部コックピット真下、機体の腰部に深々と突き立つ真武。膨大なエネルギーの輝きが、視界を白く埋め尽くす──
「──排し、返せサイギョウ」
静かな絡新婦の声が響く。
「二人のところへ帰したり」
仰向けに倒れたオブリビオンマシンの直上、飛びかかったからくり人形から、再生の槍の力が重ねてコアに突き立てられ──光は、やんだ。
●いつか、勝利へ
『こ、こりゃ一体どうしたってんだ……!?』
戸惑う司会者、ざわめく観客。
闘技場にはまだ数体のキャバリアが無事でいる。しかしその全員が戦いをやめていた。
オブリビオンマシンは完全に沈黙している。コアを破壊され、二度と動き出すことはないだろう。
ブレイクとイントロはキャバリアを降り、必死にそのコックピットへと取り付いた。
内部には激しく消耗しながらも、サドゥンは無事だった。胸を撫でおろす二人。
「ごめん……ぼく、どうしても勝ちたくて……ぼくら三人が最強だってこと、証明したくて……」
サドゥンの狂気は、結局それだった。三人ずっと一緒にいること。三人で勝利し続けること。……戦いには不向きな自分が、足手まといにならないこと。
だから、オブリビオンマシンに呑み込まれた。
ブレイクはあっけらかんと手を振る。
「いっていって! ま、今回は散々だったけど、次がある次が!」
「また戦略の練り直しだがな。あと、単独の突出は今回限りにしてくれ。ブレイクもだぞ」
オブリビオンマシンのことなど知る由もなく、二人はあっけなくサドゥンを受け入れた。……いや、薄々勘付いているのかもしれないが、どちらにしても二人がサドゥンへの態度を変えることはないのだろう。
『くっそ、盛り下げてんじゃねーぞチャンピオン! 機体が動くヤツは動けなくなるまで戦え! とっとと決着つけちまえ!』
司会にどやされ、ブレイクとイントロは戦いの渦中へと戻る。戦場から下がりながら、二人の背を誇らしげに見送るサドゥン。
三人が実力でコロシアムを沸かせる未来は、きっとそう遠くない。
大成功
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