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【Q】おかしな鳥とハロウィンタイム!

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●オウガ・オリジンの置き土産
 その国は、パーティだった。
 森をお化け南瓜が飛び回り、木々の奥からご機嫌な衣装がぽんぽこ飛び出す。
 そして、あちこちで響く、鳥のさえずり。
「ちゅちゅぴっ」
「ちゅちゅぴぴっ!」
 ケーキにドーナツ、タルトに串団子……。さまざまなお菓子のコスプレをした一行が、てってこ長い道を練り歩く。
「ちゅちゅっ」
 オウガ・つばくらさまである。このお菓子なコスプレ軍団は、皆つばくらさまが着ぐるみに身を包んだ姿だ。
 みな揃ってテンション高め。ひときわはしゃいでいるのは、仮装行列を率いる南瓜女。ジャックランタンの化身のオウガだ。
「鳥さん鳥さん楽しくいこう♪ アリスのお肉をくれないと食べちゃうぞ♪ どっちにしろ食べちゃうけどね、キャハハ♪」
「ちゅちゅーん」
「おにーく」
 愉快で物騒な、南瓜行列。
 お菓子で可笑しな、オウガ行列。

●グリモアベース
 猟兵たちを迎えたのは、魔法使いっぽいコスチュームに身を包んだタビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)だった。
「アリスラビリンスで、新しい国がいくつも見つかったんだよ!どれも、あのオウガ・オリジンの現実改変ユーベルコードで『ハロウィンの国』になっちゃってるんだ」
 野生のしゃべる南瓜ランタンが飛んでいたり、やたら長ーい一本道があったり、食材完備のキッチンがあったりして、「ハロウィンパーティをしてよ! さあ、早く!」と誘っているかのようだ。
「でもまあ、オウガ・オリジンの作った国だしね、楽しいだけじゃないんだよ」
 オウガ・オリジンから直接力を与えられた凶悪なオウガが、ハロウィンの国の力を利用して襲いかかってくるのだ。
「もうすぐ南瓜行列だし、オウガを退治して、ハロウィンの国を楽しい国に変えちゃおう!」
 待ち受けているのは、凶悪なオウガ『つばくらさま』の大群だ。……凶悪、一応。
 元々愛らしい外見の鳥だが、森から飛び出してきたコスプレ衣装というか着ぐるみに身を包んで、パワーアップしている。
「色んなお菓子の衣装ばっかり身に着けてるよ。サーターアンダギーつばくらさまとか鳥さん型のおまんじゅうのつばくらさまとか、わかりにくいのもいるけど……」
 たまには気分を変えたいお年頃なのだろう。……お年頃って何。
 ここは、猟兵もコスプレで対抗するしかない。
 ただし、どんな衣装が出てくるかはわからないというリスクがある。
 自分にとって恥ずかしい衣装であっても、勝利のためには涙を呑んで装着しなければならないだろう……!
 そうしてコスプレバトルを切り抜けたら、オウガ行列のボスとの決戦だ。
 ボスは『マリア・デスランタン』。この時期に最も調子がよくなるタイプのオウガらしく、やたらテンションが高い。
「ハロウィンの国の法則を味方につけてるから、ほぼ無敵だよ。倒す方法は……『美味しい料理を食べさせること』!」
 幸い、この国には立派なキッチンと食材庫が存在する。
 デスランタンの攻撃に耐えつつ、美味しい料理を作るのだ。大事なのは気持ちを込めること。料理は愛情。
 これまたハロウィンの国の法則により、デスランタンは出来た料理をいやおうなしに食べてしまう。
 そして料理の感想をつらつらと述べた後、段々眠くなっていくという。
「そうやって料理を食べさせ続けて完全に眠らせれば、無敵状態はなくなって、倒せるようになるんだよ」
 基本的には料理を作って食べさせるのが目的となるが、料理にどうしても自信が無い、という場合は、他の猟兵が料理を作ったり、眠気がMAXになるまで攻撃を防ぎ続けてもいいだろう。
「じゃあ、みんなで頑張ってハロウィンの国を解放しよう~!」
 しゃらっ、とタビタビが魔法のステッキを振るった。


七尾マサムネ
 はっぴー・はろうぃーん!

 このシナリオは、なんと2章構成になっております。

●一章
 コスプレつばくらさまの大群と戦います。
 敵はコスプレでパワーアップしているので、こちらも森から出てくるコスプレ衣装を身に着けて対抗しましょう。
 なお、どんな衣装が出てくるかはランダムです。「本人的に苦手・恥ずかしいコスチューム」かもしれません。
 そのため、「本当は嫌なんだけど、勝つために仕方なく頑張って着るよ!」というプレイングにはプレイングボーナスがつきますよ。
 もちろん、「嫌なのが出たら着ないよ」というプレイングでも構いません。

●二章
 ボスであるマリア・デスランタンとの決戦です。
 用意されたキッチンを使って、料理を作りましょう。
 そうすればデスランタンが勝手に料理を食べて眠くなってくれるので、そこがチャンスです。

 なお、10/31までに成功したこのタイプのシナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日、そして後々の「アリスラビリンスにおける猟書家戦」に、何らかの影響があるかもしれないという噂です。

 それでは、レッツコスプレ&クッキング!
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第1章 集団戦 『つばくらさま』

POW   :    するどいつばさ
【翼】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    スワローテイル
【尾羽】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    きりっ
【きりりとした瞳】を向けた対象に、【翼】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ちゅっちゅっ、ぴっぴ♪
 くるくる踊って、オウガが迫る。
 ご機嫌ハロウィン、つばくらさま。お肉をよこせと取り囲む。……鳥だけに。
 身に着けたるは、お菓子の着ぐるみ。とっても強い、魔法の着ぐるみ。
 コスプレには、コスプレで対抗だ。
 何が出るかな、森から飛び出す、不思議な衣装。しゅぱっ、と着替えて、いざバトル!
リーゼロッテ・エアクラフト
まぁアリスラビリンスも変な場所(他世界基準)あるから驚いていてもしょうがないし衣装の森はそこまで珍しくはないだろう

まぁ衣装代浮くから一部の猟兵からは重宝されそうではあるとは思うが。
で、コスプレだっけ
まぁ何が来ても着るけど。
つーか今の恰好もそういや似たようなところから拝借してきたやつだったな…どうせだからついでだしいろいろもらってくか

でもそうなると乱入してくるオブリビオンが邪魔だよなぁ…UC使って若干ながら侵入を阻むか。強引に突破してくる頃には敵も疲弊してるはずだからあとは叩き落すだけだな



 オウガに先導され、練り歩く、スイーツコスプレ鳥の群れ。
 ……だが、リーゼロッテ・エアクラフト(混ざりものの『アリス』・f30314)の興味は、むしろ森の方。
 ぽんぽん、と飛び出してくる衣装一式。着ぐるみまで混じっている。
「まぁアリスラビリンスも変な場所あるから(他世界比)、驚いていてもしょうがないし」
 覚醒時期の関係でリーゼロッテ自身は体験していないが、先の戦争でも色んな国が出て来たというし、衣装が出てくる森くらい、そこまで珍しくはないだろう。
「まぁ衣装代浮くから重宝されそうではあるとは思うが」
 一部の猟兵からは。
 さて、どれにしようか。ぶっちゃけ、何が来ても別にいいかと思っているのだが。
 そもそも、今の恰好も似たようなところから拝借してきたものだし、色々もらっていくのも悪くない。
「まぁ少しは選びたいところだな」
「ちゅちゅーん!」
 リーゼロッテが本格的に見繕おうとすると、鳥が群がって来た。
 つばくらさま・スイーツ着ぐるみフォームだ。必死にキメ顔を作って、翼の一撃を……。
「ちょっと静かにしてな」
 ぱちん。
 リーゼロッテが指を鳴らすと、ずももっ、と地面から巨大な迷路がせり上がって来た。
 つばくらさまたちは為すすべなく取り込まれ、迷い人……もとい、迷い鳥となった。
「今のうち。少しでも気になった奴はとりあえずキープしとくか」
 そんなこんなで。
「ちゅ、ちゅちゅん……!」
 遂に、つばくらさまたちが、迷路を突破してきた。
 だが、出口にたどり着くまでに思いのほか大冒険を経験したらしく、疲労の色が濃い。
「んじゃ、あとは叩き落とすだけだな」
「ちゅちゅっ!?」
 せっかく脱出を果たしたつばくらさまたちを待ち受けていたのは、ロケットパンチ風パンチだった。
 ロボットの衣装というか着ぐるみに身を包んだリーゼロッテの一撃である。ずんぐりむっくりして、ほのかに懐かしさすら感じさせるフォルム。
「何でもいいとは思ってたけどこれか……」
 強さと引き換えに、リーゼロッテの美は覆い隠された。
 スーパーロボット乗り? いや俺がスーパーロボットだ。
 べしべし。
 一か所しかない出口から飛び出してくるつばくらさまを、次々蹴散らすリーゼロッテ。
 その背後には、確保した衣装が畳まれていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

砂羽風・きよ
【菊】

…なんか旨そうな奴らもいるが
理玖、食っちゃだめだぞ?

肉くれ?上げねーし、お前も肉みてーじゃねぇか!
サーターアンダギーの仮装をしてるつばくらさまをつんつん触る

てか、俺達も仮装しないとなんだよな?
何着る――
急に飛び出た服装に目を見開き

おいおい!これ着んのかよ?!
くそ!着るけどよ!

逆に堂々として
理玖着たか?!俺は着たぞ!
べ、別に恥ずかしくもねーし、平気だわ!
大丈夫だ理玖!似合ってるぞ!

…なんか、つばくろさまに見られている気がする(気がするだけ)
理玖さっさとやっちまうぞ!

つばくろさまを見て
そんな顔で見るんじゃねー!やりにくいわ!
触れつつ、顔を突かれる

いてーいてー!

さんきゅ!
合わせてモップで叩く


陽向・理玖
【菊】

だよなぁ
丸々してんのに
食いもんの仮装とか
…食われてぇの?
真剣な顔で大福姿の奴ぷにぷに
でも燕は食えないだろ?

そいつも丸々してて美味そう
一緒に突こうと
兄さん
これはこれで美味そうだけど
…やっぱ焼き鳥か照り焼きじゃね?

そうだな一丁仮装して軽く…
…マジか
こんなくそ可愛いの男子が着れるか!
なぁ兄さん
…って着てるし!?
いや恥ずいだろ!
そう思ってっから恥ずいのか!?
確かに堂々としてれば似合う…のか?
首傾げつつ着替え
ってやっぱ恥ずいわ!!
リボンぺしっ
大丈夫じゃねぇし
結局付け直し

おおさっさと倒そうぜ
腹も減ったし

よそ見してんじゃねぇ
兄さん突くの見切り割り込もうと
カウンターでUC
恥忍んで着てんだ
折角だし見てけよ



 砂羽風・きよ(忠犬きよし・f21482)と陽向・理玖(夏疾風・f22773)の2人は、一足早い南瓜行列を発見した。
 オウガだ。
 もちろん、悪い奴らなのだが……。
「ぴぴっ♪」
 お菓子の着ぐるみに身を包み、満足そうに歩くつばくらさまたちを見て、きよは半目になった。
「……なんか旨そうな奴らがいる」
「だなよぁ。丸々してんのに食いもんの仮装とか……食われてぇの?」
 やけに真剣な顔のまま、理玖は、大福着ぐるみのつばくらさまを、後ろからぷにぷにした。
「ちゅーん」
 大変よい触り心地。まるでぬいぐるみのよう。それに丸々肥えている。
「理玖、食っちゃだめだぞ?」
 理玖に釘を刺すきよ。
 すると、つばくらさまたちが、きよたちの方に群がって来る。
 片方の翼を、さっ、と出して、
「おにーく」
「にくにくぷりーず」
「いやあげねーし、てか、お前も肉みてーじゃねぇか!」
 きよがサーターアンダギーの仮装中のつばくらさまを触ると、ちゅぅーん、と鳴いた。
「うん、そいつも丸々してて美味そう」
 きよにならって理玖も一緒に突こうとするが、「なにするねん!」と翼で払いのけられた。
「ケチだなー。兄さん、これはこれで美味そうだけど……やっぱ焼き鳥か照り焼きじゃね?」
「ぴっ!?」
 理玖の提案に、つばくらさまたちが敏感に反応した。
 食べるのはいいけど食べられるのはイヤゼッタイ。
 無表情のまま並んで震えるつばくらさまを見ていたきよは、ふと思い出す。
「てか、俺達も仮装しないとなんだよな? 何着る――」
「そうだな一丁仮装して軽く……」
 理玖もやる気をのぞかせると。
 ぽむん。森から何か出て来た。
「え」
「……マジか」
 きよと理玖が、同時に目を見開いた。
 木々の間から不思議に飛び出してきた衣装は、学校の制服だった。ブレザータイプ。
 しかもただの制服じゃない、女子用だ。とどめに、アイドル風のアレンジを加えられたステージ衣装。
 ちなみに色違いが二着。これは森からの贈り物……。
「おいおい! これ着んのかよ?!」
「こんなくそ可愛いの男子が着れるか!」
 ぺしん、とスカートを地面に叩きつける理玖。
「……なんか、見られてる気がする」
 ふと、背後に気配を感じるきよ。……気がするだけ?
 そう。恥ずかしいのは、自分だけじゃない。理玖は、さっ、と、きよの方を振り返り、
「いくらなんでもこれは着れない、なぁ兄さん……って着てるし!?」
 ばーん。
 きよは、堂々としていた。ささっ、と森に入り着替えを済ませて。
 びしっ、と堂々とポーズを決めるきよを見た理玖は、「恥ずかしがってる方がむしろ恥ずかしい」みたいな空気を感じた。
 なので、顔を赤くしつつ、
「べ、別に恥ずかしくもねーし、平気だわ!」
「だよな!」
「……って、いや恥ずいだろ! んん、でも、そう思ってっから恥ずいのか!? 確かに堂々としてれば似合う……のか?」
 理玖は自分で言って首を傾げつつ、草木の繁みに隠れて着替えに移った。
 ほどなく、アイドル理玖が爆誕した。
「……ってやっぱ恥ずいわ!!」
 ぺしっ、とリボンを地面に叩きつける理玖。
 きよは、ぐっ、と親指を立てて、
「大丈夫だ理玖! 似合ってるぞ!」
「大丈夫じゃねぇし」
 などと言いつつ、結局リボンを拾って付け直す理玖。
 ここに即席のアイドルユニットが爆誕した。
「理玖さっさとやっちまうぞ!」
「おおさっさと倒そうぜ。腹も減ったし」
 森から飛び出し、再びオウガ行列の前に躍り出るアイドルユニット。
 何処からともなく振り注いだスポットライトの光が、2人を照らし出す。
「ちゅっ!?」
 おののくつばくらさまたちを敵として、挙動と構えはいつも通り、びしっ、と決めるきよ。
 だが。
「ちゅっ……」
 きよたちを見て、その場に固まるつばくらさま。「あ、うん、そうね、人の趣味はそれぞれだもんね……」てな感じで生暖かくも気まずげな視線をちらちらと送って来る……。
「そんな顔で見るんじゃねー! やりにくいわ!」
「ちゅぴぴっ!」
「いてーいてー! なんで!? ツッコんだのこっちだし!」
 翼でぺちぺちされるきよ。
 そういえばこいつオウガだった。戯れに見えてユーベルコードの力は恐ろしく……。
「……って、そんなに痛くない?」
 これがコスプレの力か。これくらいの恩恵がなくちゃ、恥ずかしさをこらえた甲斐がない。
 だが、つばくらさまのきよへの攻撃はやまない。そして今、渾身のきりりアタック……!
「よそ見してんじゃねぇ」
「ちゅっ!?」
 理玖が、つばくらさまに割り込んだ。
 カウンターの龍拳が炸裂し、雷撃がほとばしる!
「ぴーっ!?」
「理玖さんきゅ!」
 丸焦げになっておいしそう度を半減させたつばくらさまに、きよがモップをお見舞いした。
 ゴミ袋で視界を塞がれたつばくらさまは、味方とぶつかって相打ちになる。
「やったな兄さん。こちとら恥忍んで着てんだ。折角だしちゃんと見てけよ」
「ぴっ……」
 JKアイドル衣装でかっこよく啖呵を切る理玖から、つばくらさまは、そっ……と視線を逸らした。
 神速の雷撃キックが、つばくらボディに炸裂した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

名雪・瑠珠
おお、美味そうな集団であるな!
なに、菓子ではない?仮装?
むむむ…鳥も丸くて食べ物に見えるであるな

仮装して力を得られるなら拒む理由は無いのである
鳥を見る限りわたしも菓子姿になりそうな気がするが、手足さえ自由に動かせれば問題ないである(仮装内容お任せ)

仮装させられたらまずはどれくらい動けるか試しにどかん!(グラウンドクラッシャーを近くで試し撃ち)
お次は鳥の集団目掛けてどーん!である
重い金棒を振り上げて怪力任せに振り下ろせば(=重量攻撃)落下する力と合わさって破壊力抜群であろう
地面に叩きつけた衝撃で地表のものが飛び、鳥を巻き込めば多く倒せるな
当たらなくても構わん、金棒担いで追いかけまわすだけである!



「待つのである!」
「ちゅぴっ!?」
 森の大路で、名雪・瑠珠(羅刹のバーバリアン・f25092)は、歩くお菓子を追いかけていた。
「なんとも美味そうな集団であるな!」
「ぴっ!」
 お菓子は、ぴた、と逃げ足を止めて、翼で瑠珠を差した。
「ちゅちゅーん!」
「なに、菓子ではない? 仮装?」
 動物の言葉はわからなかったけれど、よーくお菓子を見れば、着ぐるみを被った鳥だとわかる。
「むむむ……鳥も丸くて食べ物に見えるであるな」
「ちゅっ!?」
 まじまじと瑠珠に見つめられ、つばくらさまたちはおののいた。食べられるの怖い。
 なら、食べられる前に食べてやる。つばくらさまたちは、一転、瑠珠に襲い掛かった!
 ささっ、とかわしたが、その翼の一撃は、道を陥没させた。
 仮装によるパワーアップだ。単に美味しそうな姿になったわけではないらしい。
「なるほど、これが仮装の力か。実証された以上、これはわたしも仮装しなければなるまいな」
 ちょうどその時、横手の森から、衣装が、ぽーんと飛び出した。
 その衣装、いただき! とばかり、瑠珠はつばくらさまに先んじて跳躍、空中で早着替えを披露した。
 しゅたっ。
 つばくらさまの前に着地した瑠珠、その新たな装いは……。
 ようかん。栗ようかんだ。
 瑠珠が身にまとったのは、これまた着ぐるみタイプの仮装。艶めくボディは長方形。つばくらさまたち以上に食欲をそそる。
 ただ、瑠珠の顔は出ているので視界は確保できているし、手足もきっちり出ているので、問題は何一つない。たぶん。
 まずは試運転。瑠珠はとりあえず、手近な岩目がけて棍棒を叩きつけてみた。
 岩は粉々になった。
 ぞぞっ。青ざめるつばくらさまたち。その威力は、すぐに彼らへと牙を剥く。
 どーん!
「ぴぴーっ」
 仮装パワーで威力を増したグラウンドクラッシャーが、つばくらさまたちを一度に空中に舞い上げた。
 重い金棒を振り上げて怪力任せに振り下ろせば、落下する力と合わさって破壊力抜群だ。
 加えて、砕かれ巻き上げられた地面の破片がつばくらさまの体を打ち、威力は更に倍。
 ようかんとしては最強クラスであろう。ようかんじゃないけど。
「さあ次はどの鳥であるか?」
「ぴぴーっ!?」
 襲い来るようかん……瑠珠から、お菓子つばくらさまは、ただ逃げ惑うしかなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

木元・祭莉
【かんにき】だよー。

つばくらお菓子行列ー♪
わあー、まるまるのころころだ。
おいらも負けないような衣装がいいなあ♪

アンちゃんはどんなの……あ、もう着てた。
うん、カワイイカワイイ♪(なんでもカワイイ兄ちゃん)
アキちゃ……おおー。
スゴイ! カッコイイ!!(一緒にポーズ)

おいらも、お菓子系がいいなー♪
さあ、何が出るかな?(わくわく)
装着!

にく。(←お肉着ぐるみ)
えー!
なんかちょっといいニオイしてるー?

わわ、アンちゃんの目がコワイ!?
あれ、つばくらさまも、コッチ見てる?
お肉だから??

ギャー!!(行列の先頭で逃げまどう)

うぅー、反転!
からのー、カウンター・行列拳!

ふー。またやぁらかいものを殴ってしまったー☆


木元・杏
【かんにき】
アキと久しぶりのおっでかっけー♪
まっつりんっりん♪今日も一緒~♪

テンション高いつばくらさま
わたしもテンションあっぷ、ハイ!(決めポーズ
歌いながら森を、す・す・む!

はうっ!
つばくらさま……お菓子であざとかわいおいしそう

はっ…(がくりと膝をつき

もふると食べるどちらを選べと……人生最大の選択

…む?何か着た
今はこすぷれ的な気分ではないけれど
つばくらさまをもふったり戴いたりする為には致し方なし

(ぴく)お肉…(じゅる)
よし、アキの生クリームと合わせてわたしはチョコソースをバターナイフ(懐刀)につけ、しゅばばっと塗りつけて
よし、だーぃぶ!

まつお肉共々もふっとして美味しく齧りついて(怪力)堪能する


駒鳥・了
【かんにき】
アキだよ!双子ちゃんたちとハッピーハロウィン!
お菓子をくれてもいたずらしちゃうぞ!

ゆってる間になんだコレ!
ヒロアスヒーローかっつか回るベルトちょー意味ない?!
カッコイイ?マジで!男の子だねえ
よしアリラビの平和を守るぞ!(自棄っぱち戦隊モノポーズ

ところでつばくらちゃんさあ
練切り風コスプレって変わり映えしない上においしそーじゃん

ダイジョーブだよ杏ちゃん!
こーゆー時こそ唸れ!オレちゃんの(ホントはスミちゃんの)UC!
翼が出た状態で動きをキープ!
さあ好きな場所を存分にもふるんだ!
生クリームもたっぷり…ってダイブしたら杏ちゃん
クリーム&チョコにまみれない?

最後はナイフの乱れ撃ちで仕留めとこ!



 【かんさつにっき】の面々が、南瓜行列の森を、ピクニック。
 先頭を行く木元・杏(マスター縁日・f16565)は、とりわけご機嫌。テンション高めなつばくらさまたちにも負けていない。
「アキと久しぶりのおっでかっけー♪ まっつりんっりん♪ 今日も一緒~♪」
 リズミカルにステップ踏んで、歌を口ずさむ杏。
 唄いながら進めば、どんな恐ろしいオウガも怖くない。つばくらさまはオウガだけど怖くない。
「わたしもテンションあっぷ、ハイ!」
「ハイ!」
 すちゃっ、と杏に合わせて、木元・祭莉(まつりんではない別の何か・f16554)もポーズを決めっ。
 そんな双子たちと一緒の冒険、駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)の足取りだって、とっても軽やか。
「ふっふっふ、双子ちゃんたちとハッピーハロウィン! お菓子をくれてもいたずらしちゃうぞ!」

 そうして杏たちが、森を進んでいると。
「はうっ!」
 突然、杏が卒倒した。
「ぴっぴっ」
「ぴぴっ」
 とことこ歩いているお菓子の行列。つばくらさまである。
 気絶した杏を連れ、祭莉と了が、とっさにすぐそばの繁みに身を隠す。
 そっ、と木陰から顔を出し、愉快な行列を観察するかんさつにっきの面々。
 祭莉の瞳には、ぴっぴと愉快なお菓子行列が映っている。
「つばくらお菓子行列ー♪ わあー、まるまるのころころだ。おいらも負けないような衣装がいいなあ♪」
「つばくらさま……お菓子であざとかわいおいしそう」
 いつの間にか意識を取り戻した杏も、こくこくうなずいている。
 本体のもふもふさに加え、それぞれ身に着けているお菓子着ぐるみももふもふ。なんという禁断の合体……!
「これは……たまらない……」
「杏ちゃん相変わらず食欲旺盛……って、わっ!?」
 ぽーん!
 了の前に、塊が飛び出してきた。
 これぞ森の恵み、謎の衣装玉だ。
 つんつん。とりあえず危険なものでないことを確かめた了は、衣装一式を解いて、早速着替えてみると……。
「なんだコレ!」
 ばばーん!
 全身を覆う赤のボディスーツ、腰には無駄に立派なベルト。
 バックルの風車みたいな装飾は、風を受けてぐるんぐるんと回る。
「これってヒロアスヒーローかっつか回るベルトちょー意味ない?!」
「アキちゃ……おおー」
 コスチュームに思わずツッコむ了を見て、祭莉が……感動していた。
 目をきらっきらさせて、
「スゴイ! カッコイイ!!」
「カッコイイ? マジで! 男の子だねえ」
 そんな風に言われれば、了だってもちろん悪い気はしない。なんかこう乗せられてる気もするケド。
「ううっ、よしアリラビの平和を守るぞ!」
「おー!」
 自棄になって、戦隊モノぽいポーズを取る了に続けて、祭莉もポーズ!
「ヒーロー……お肉……」
 ぽーん。
 悩める杏の元にも、衣装セットが飛び出した。
 杏は、むむっ、と眉間にシワを寄せた。欲しいのはコレじゃないかも。
「今はこすぷれ的な気分ではないけれど……つばくらさまをもふったり戴いたりする為には致し方なし」
 しゅばっ、と着替える杏。
 ヒーロー了と遊んで……もとい! 仮装の性能を確かめていた祭莉が、ふと杏を振り返る。
「アンちゃんはどんなの……あ、もう着てた」
 王子様だった。
 ザ・白馬の王子さまといった趣。白を基調とした衣装に金の刺繍が施され、真紅のマントが凛々しさを引き立てている。
「うん、カワイイカワイイ♪」
 なでなで。杏を愛でる祭莉。なんでもカワイイお兄ちゃん。
「うん可愛いよ!」
 了も一緒になってなでなで。
 なでなでなで。
 さあさあ、いよいよ祭莉の番。
「おいらも、つばくらさまたちみたいにお菓子系がいいなー♪ さあ、何が出るかな?」
 ぽーん、と飛び出してきた衣装に向けて祭莉もジャンプ、空中で装着!
 ばしっ、とポーズを決めてみれば……。
 にく。
「えー!」
 祭莉が引き当てたのは、立派な骨付き肉の着ぐるみだった。割とリアルな出来栄え。
「しかもなんかちょっといいニオイしてるー?」
「お肉……」
 じゅるり。
 王子様杏の双眸が輝いた。
「オニク……タベタイ……」
「わわ、アンちゃんがコワイ!?」
 祭莉がついつい引いちゃうくらい、杏の目からは理性が失われ、どこかつばくらさまみたいになっている。
「おにく……」
「ああ、アンちゃん、言葉までつばくらさまみたいにカタコトに……ってこれ本物のつばくらさまだ!?」
 いつの間にか、練り歩くのをやめて繁みを覗くつばくらさまたち。お肉の気配には敏感だった。
「おにーく」
「おいしーい」
 ぎらり。つばくら行列が襲い掛かった。
「ギャー!!」
 逃げるお肉祭莉。追うお菓子つばくらさま。
「おっと、そのお肉は渡さないよ!」
「ぴっ!?(あれはなんだ!?)」
 つばくらさまが、高いところを差した。
 森一番かもしれない大樹の天辺に立っていたのは、逆光の戦士……1人戦隊、JKヒーロー・アキ!
「オレちゃん参上! とおっ!」
 しゅたっ、と、祭莉肉とつばくら行列の間に着地する了。
「さあヒーローの出番だ! ところでつばくらちゃんさあ」
「ぴっ?」
 了に指差されたつばくらさまが、首を傾げた。
「練切り風コスプレって変わり映えしない上においしそーじゃん」
「ぴっ!?」
 おいしそう? 確かに!
 まるで今初めて気づいたかのように、つばくらさまたちはお互いを見て、じゅるりとよだれをぬぐった。
 でもお肉じゃないしなーっと、我に返る。
 束の間、つばくらさまたちの注意が逸れた今が、絶好のチャンス! 祭莉は、つばくらさまの食欲の恐怖をこらえて、ずざざっ、と急停止、反転!
「からのー、カウンター・行列拳!」
「ぴっ!?」
 ぽむん。
 先頭にいたつばくらさまが吹き飛んだ拍子に、後ろに並んでいたたくさんのつばくらさまたちもドミノ倒しになった。
「えっなんかいつもより強い? コスプレ効果? お肉最強?」
 祭莉は、自分の拳と、こてんと倒れるつばくらさまを交互に見た後、
「ふー。またやぁらかいものを殴ってしまったー☆」
 何事もなかったかのように、きらっ、と決めた。
「はっ……」
 不意に、杏が、がくりと膝をついた。
 不毛な戦いに絶望した……なんてことはさらさらなく。
 美味しくもふもふなつばくらさまたちの勇姿を目の当たりにして。
「もふると食べるどちらを選べと……人生最大の選択」
「ダイジョーブだよ杏ちゃん!」
 救世主現る。
 ぐっ、とJKヒーロー・アキが、親指を立てた。
「こーゆー時こそ唸れ! オレちゃんのユーベルコード!」
 ホントはスミちゃんのだけど。
「ぴっ!?」
 了の指先からほとばしった神秘の力が、つばくらさまの動きを、ぴたっ、と止めた。翼を出した状態で。動かない、動けない。
「さあ好きな場所を存分にもふるんだ! ほら、生クリームもたっぷり!」
 了に手招きされた杏は、とろりチョコソースをバターナイフ……もとい懐刀につけ、しゅばばっと塗りつけたら準備完了。
「よし、だーぃぶ!」
「ってダイブしたら杏ちゃん、クリーム&チョコにまみれない?」
 了の制止もどこ吹く風。
 杏王子は、幸せの塊にうずもれていた。
「もふもふ……」
「ぴぴぴーっ!」
 必死に杏を振りほどこうとするつばくらさまだが、王子様の仮装でパワーアップした杏の怪力は脅威だった。いつも以上に。
「もぐもぐ……」
「いつの間にかオイラももふもふされてかじられてるー!?」
 祭莉の悲鳴が混じっていたのは気のせいだろうか。
 そんな感じで、まつお肉共々、もふっとして美味しく齧りついて堪能する杏だった。
「おっと、忘れるところだった。オウガはきちっと退治しとかないとね!」
 ばばっ!
 アキの必殺ムーブ・ナイフの乱れ撃ちが、つばくらさまたちをまとめて成敗した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『マリア・デスランタン』

POW   :    パンプキン・オン・パレード!
自身の【戦場に存在する全てのカボチャ】を代償に、【代償と同数の子供ジャックランタン】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【強制カボチャ化光線】と【自己増殖】で戦う。
SPD   :    小粋なジョークですこと!
対象のユーベルコードに対し【それを悪戯グッズに変える魔法】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ   :    SOUL CONFUSION
【戦場にいる全員の魂をシャッフルする魔法】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ウヒャー、よくもやってくれちゃったねキミたち♪」
 くるくるくるり。
 ジャックランタンの女オウガが舞う。
 すっかり広々としたハロウィンロードで1人、舞い踊る。
「これじゃあ行列できないし♪ ならキミたちを美味しくいただいちゃおう♪」
 ぱちん、とマリア・デスランタンが指を鳴らせば、鬼火が灯る。魂寄越せと、ふわふわ浮かぶ。
 ハロウィンの国の法則に守られて、ユーベルコードも寄せ付けぬ。
「さーあ、魂いただくよっ♪」
 不可視のドレスに守られた、オウガの南瓜女を倒す術はただ1つ。
 森の広場にあつらえられたキッチン。冷蔵庫にはなんでもそろってる。
 この食材、そして器具を用いて、美味しい料理を作るのだ。
 魂大好きデスランタンも、美味しい料理の誘惑には勝てぬ。食すほどに腹は満たされ、眠気が襲う。
 スヤァ……となったら、千載一遇、大チャンス!
 だからこそ。
 レッツ、ハロウィンクッキング!
名雪・瑠珠
おにぎりを作るのである!
わたしが自信をもって作れるのがこれだけなのだ
その分、自信はたっぷりであるぞ

白飯は勿論炊き立てを使う
洗いすぎず旨みが残るように洗って炊飯器で炊く
釜炊きしている余裕はないのでここは妥協であるのだ
こら南瓜、邪魔は行儀が悪いであるぞ!(光線撃たれる前に子供南瓜をUC足棍で踏む)

炊いている間に冷蔵庫で具を選ぼう
定番の鮭、明太子、昆布に梅干し
梅干しからは種を取っておこう、知らずに噛んだら悲劇であるからな

白飯が炊き上がる直前に海苔を火で炙る
これで香りが引き立つのである

手に塩をまぶし白飯と具を乗せ握る
不思議なもので手で握るほうが美味い
海苔を巻いて完成!

どうであるか、美味か?(そわそわ)



 名雪・瑠珠は、新たなる戦場……キッチンに立った。
「何々? 何かお料理ご馳走してくれるの♪」
 期待に胸膨らませるデスランタンに、瑠珠は自信満々に、こう答えた。
「おにぎりを作るのである!」
「おに……ぎり?」
 小首をかしげるデスランタン。
「わたしが自信をもって作れるのがこれだけなのだ。その分、味は保証するのである」
「ふぅん……なら、楽しみにするね♪」
 瑠珠はさっそく、米を確認。
 おにぎりに適した品種を選ぶと、適度に研いで、炊飯器にセット。
 釜炊きしたいところだが、さすがにそこまでの余裕はない。ある程度の妥協も必要だ。
「こら南瓜、邪魔は行儀が悪いであるぞ!」
『ぎゃふっ』
 ばしっ。
 イタズラを仕掛けようとした子ジャックランタンたちを、すかさず踏む瑠珠。
 が、それくらいで南瓜のイタズラ心は止められない。
 ぽこんと増えたり、お前も南瓜にしてやろうか光線で、瑠珠を何度も邪魔してくる。
 そんなデスランタンの執拗なちょっかいをかわしながら、瑠珠は冷蔵庫を開く。おにぎりの具を選ぶためだ。
 これまた食材の宝庫。瑠珠のお目当てのものも、もちろんある。
 鮭、明太子、昆布に梅干し。おにぎりの定番中の定番を選択する。
 なお……梅干しからは、種を取っておく。
「知らずに噛んだら悲劇であるからな」
 そうこうするうち、そろそろ、御飯が炊き上がる頃合いだ。
 海苔を火で炙ると、食欲をそそる香りがデスランタンにも届いた。
 それから、手に塩をまぶすと、炊き立ての白飯と、見繕った具を乗せ、握る。
「不思議なもので手で握るほうが美味いのだ」
 子ランタンを蹴飛ばして、海苔を巻いたら、さあ完成!
「あーもうこの海苔の匂い♪ いただきまーす♪」
 辛抱たまらず、子ランタンを押しのけたデスランタンが、おにぎりにかぶりつく。
「どうであるか、美味か?」
 そわそわ。デスランタンの感想を心待ちにする瑠珠。
「うん♪ 白飯のふっくら感がサイコー♪ 塩加減もちょうどいいし、1つ1つの大きさも絶妙。具も色々だから、飽きずにどんどん手が伸びちゃう♪ んまー……」
 こてっ。
「えやっ」
 まんまと眠りに落ちたデスランタンに、瑠珠は金棒をお見舞いした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーゼロッテ・エアクラフト
とりあえず調理しろよーってことだから調理開始はするけども、ジャックランタンどもが邪魔なのもあるので先んじてアリスナイト・イマジネイションを使って身を固めておく。

で、調理なんだが…まぁーハロウィンだし菓子でも…って思ったけど
ここでちょっと考える。
ちょっと作ったくらいでこいつを安全に倒そうと思ったらもっと量はいるだろうな。と

なら満漢全席とはいかんでもフルコース用意した方がいいんじゃないかこれは…

とするなら前菜からドリンクまで一通り作るしかねぇ
こいつはハードだぜ…まぁ調理しながら攻撃もするがな



 豪華キッチンに向かうリーゼロッテ・エアクラフトに、デスランタンの魔の手が伸びていた。
 子どもジャックランタンたちの襲来だ。
「せっかく美味しい料理をご馳走しようっていうんだ、邪魔すんな!」
『わー』
 ジャックランタンが弾き返される。リーゼロッテのまとう鎧の力だ。
 想像より創造されたそれは、デスランタンの得た加護同様、無敵の力を発揮する。
 キッチンにたどりついたリーゼロッテは、冷蔵庫に食糧庫を確認する。
「まぁーハロウィンだし菓子でも……」
 と、そこでリーゼロッテは自らの思考にブレーキをかけた。
 ちろーり。振り返ったデスランタンは、子ランタンを引き連れ、イタズラのタイミングを見計らっている。
(「こいつを安全に倒そうと思ったらもっと量はいるだろうな……」)
「どうしたのん♪ ご馳走してくれるなら私は待つよん♪ あ、暇つぶしに攻撃しちゃうかもだけど♪」
 うきうき。デスランタンが楽し気オーラを放つ。
 人の気も知らないで、とリーゼロッテは思ったが、あえて言葉にはしないでおいてやった。
(「満漢全席とはいかんでもフルコース用意した方がいいんじゃないかこれは……」)
 リーゼロッテは決めた。
 いっそ、前菜からドリンクまで一通り作るしかねぇ、と。
 幸い、調理器具と食材に困る事はない。決めたら行動、やるしかない。
 まずは前菜から、リーゼロッテの戦いは始まった!
「ほらほら、早くしないとわたしのお腹が我慢できないってサ♪」
「子どもじゃねえんだ、少しは大人しく待ってやがれ、ってお前らは子どもか!」
『わー』
 催促するが如き子ジャックランタンの攻撃を蹴散らしながらのクッキング。ハードモード。
 なんやかんやで、しつこい妨害を無事クリアしたリーゼロッテは、デスランタンにフルコースをお見舞いした。
「ほら前菜! ほらスープ! メイン! ドリンク!」
 怒涛のメニュー連打!
「んん♪ おいしーい♪ 次に何がでてくるかわからないとか、これぞ料理のミステリーツアーだね♪ キャハ」
 すやあ。
 スプーンを持ったまま、笑顔で椅子からひっくり返るデスランタン。
 よく眠っている。
「ZZZ……」
「寝込みを襲うみたいで悪いがこれも仕事なんでな!」
 すっかりお休みデスランタンに、リーゼロッテの炎槍が突き立てられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

砂羽風・きよ
【菊】

よっしゃ、魂より旨いもん作ってやろーぜ
…目玉が飛び出ちまうかもな

理玖、このデケーカボチャだが
頭を切り落としてチンしてあるから
種抜いて、中身をスプーンでくり抜いてくれるか?

俺は“中身”を作るぜ
フライパンにバターを入れて
ホワイトソース作り
理玖がくり抜いてくれたカボチャの中身もちゃんと使う

――理玖、ほれ
スプーンを理玖に向けて味見させようと
旨いか?
よし、飾りつけは任せたぞ

その間に俺はザッハトルテを作る
お菓子作りは結構大変だがこれはこれで楽しい
型は猫の形で
顔は粉砂糖でデコレーションしてやる
理玖、終わったらこっちも手伝ってくれ

ん、可愛く出来てる

カボチャグラタンに黒猫ケーキの完成だ!
腹一杯食いやがれ!


陽向・理玖
【菊】

すっげぇ
兄さんこの冷蔵庫マジで何でも入ってる!

おお、だな!
世の中美味いもん沢山あるのに
きっとあいつ旨いもん食べた事ねぇんだ

そんで兄さん何作るんだ?
南瓜ぽんぽん
えっ準備万端じゃん
レンチン済みなら簡単だな了解だぜ

中身?
くり抜きつつ兄さんの作業の様子眺め
えーすげぇ!
ホワイトソース手作りだ!


表情緩め
焦げないですんの難しいのに
さすが兄さん
ってマジか

そんじゃ皮だけ上手く切って顔でも作ろ
出来たら中身入れ
ヘタを蓋代わりに添え

おおオッケー
ってうわぁ
これまた可愛く出来てる

やっぱ上手いのこなもんだけじゃないんだ
オシャレじゃん

手伝うから
あっちも確認してくんねぇ?

あー兄さんの料理美味そう
俺も食いたい
悔しげにUC



「うわあ……!」
 冷蔵庫の扉を開いた陽向・理玖は、宝物を見つけたトレジャーハンターのように、表情を輝かせた。
「すっげぇ、兄さんこの冷蔵庫マジで何でも入ってる!」
「一台持って帰りたいくらいだな」
 理玖ともども、ふしぎ冷蔵庫に魅了された砂羽風・きよは、きゅっ、と腕まくり。
「よっしゃ、魂より旨いもん作ってやろーぜ。……目玉が飛び出ちまうかもな」
「おお、だな! 世の中美味いもん沢山あるのに、きっとあいつ旨いもん食べた事ねぇんだ」
 あいつ……マリア・デスランタンは、理玖たちを邪魔しようと、虎視眈々とチャンスをうかがっている様子だ。
「そんで兄さん何作るんだ?」
 見つけた立派な南瓜をぽんぽん叩く理玖は、やる気も十二分。
 きよには、しっかりプランがある。
「ああ、もう決めてある。とりあえずこのデケーカボチャだが、頭を切り落としてチンしてあるから、種抜いて、中身をスプーンでくり抜いてくれるか?」
「えっ準備万端じゃん。レンチン済みなら簡単だな、了解だぜ」
「頼んだ。その間に俺は“中身”を作るぜ」
「中身?」
 理玖は、南瓜とスプーンを手に取りながら、きよの作業を眺めた。
 するときよは、フライパン……取っ手に南瓜お化けっぽい意匠がこらされたお洒落カワイイフライパン……にバターを入れて、ホワイトソース作りを始めたのだ。
「えーすげぇ! ホワイトソース手作りだ!」
 理玖がくり抜いてくれたカボチャの中身も、ちゃんと使うきよ。
「ちょっとー? うちら無視して楽しそうなのずるくない♪」
 デスランタンはというと、手出しする機会を待っているが、きよたちが料理に集中しているので、タイミングを見失っている様子だ。
「――理玖、ほれ」
 きよは、ソースを一さじすくうと、スプーンを理玖に向けた。
「んじゃお味見」
 ぱく。
「旨」
 ただ一言。だが、その中に、果てしない至福が込められている。
「焦げないですんの難しいのに、さすが兄さん」
 すっかり表情筋をゆるゆるにして、美味を堪能する理玖。
「美味しそうー……ってもういいや、いっけー南瓜軍団♪」
『おー!』
 しびれを切らしたデスランタンが、子ジャックランタン軍団を理玖たちにけしかけた。
 が、きよの発動したユーベルコードの力が、敵を食い止めた。デスランタンのちょっかいも、その間はのろのろになって、手出しできないという寸法だ。
 子ランタンをあしらいながら、平然と料理を続けるきよ。
「よし、理玖、飾りつけは任せたぞ」
「オッケー……ってマジか」
 きよに託された理玖は、一瞬ビビッたけれど、引き受けた。
「そんじゃ皮だけ上手く切って顔でも作ろ」
 決めたら早い。手際よく済ませていく理玖は、中身を入れて、ヘタを蓋代わりに添える。
 その間にきよは、次なるメニュー作りに着手する。ザッハトルテだ。
 お菓子作りは結構大変だが、これはこれで楽しいので問題なし。
 美味しさを追及するのは当然ながら、せっかくなので、見た目にもこだわってみる。猫の形だ。
 命ともいえる顔は、粉砂糖でデコレーション。
「理玖、終わったらこっちも手伝ってくれ」
「おおオッケーってうわぁ」
 理玖が感激した。猫ザッハ!
「これまた可愛く出来てる。やっぱ上手いのこなもんだけじゃないんだ、オシャレじゃん。あ、そうだ、あっちも確認してくんねぇ?」
 南瓜料理を示す理玖。その手による飾りつけを確認したきよは、うん、とうなずく。
「ん、可愛くできてる」
「だろ!」
 お化け南瓜の表情にも、愛嬌が感じられる。どこか理玖自身を思わせて。
 そして遂に、その時は来た!
「よし、カボチャグラタンに黒猫ケーキの完成だ! 腹一杯食いやがれ!」
 きよは、デスランタンに、完成した料理を披露した。
「わーいなにこれ凄い☆」
 はしゃぎながら、スマホ的な端末でグラタンとガトーショコラを撮影するデスランタン。オウガ専用SNSでもあるのだろうか……。
「あー食べるのもったいないけど、食欲には勝てないし。んじゃ、いただきまーす♪」
 もぐ。
「んまーい♪」
 かっ、とデスランタンの双眸が、光を放った。
「見た目でテンションアゲてからのこのお味! ほくほくの南瓜の素材の味を生かしつつ、外側も無駄にしないこの精神! それに猫ザッハ! 焼き加減も絶妙で甘すぎずビター過ぎない……」
「あー兄さんの料理美味そう……俺も食いたい」
 デスランタンの至福の食事風景を、ぐぬぬっと見つめる理玖。自分の分もこっそり取っておいてくれたりしないだろうか……。
「あー美味しい、もっと食べたいー……」
 すやあ。
 デスランタンは眠りに落ちた。大変満足げな寝顔だ。
 主の影響を受けたのだろう、子ランタンたちも一緒に活動を停止している。
「さっ、それじゃ後片付けだ。食器の前に、まずはこいつからだな」
 きよは、デッキブラシ(戦闘用)を手に取ると、まるで無防備なデスランタンの『掃除』を開始した。
 子ランタンを蹴散らして、残りはデスランタン。
「よっし、兄さん、後は任せてくれ!」
 理玖は、隙だらけのデスランタンの前に立つと、ぽきり、と指を鳴らす。
「敵に接近しないと全力出せない技だけど……今ならいけるぜ!」
 理玖の拳が唸る。
 渾身必殺の豪拳をお見舞いする。きよの料理を独り占めされた恨みを込めて!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

駒鳥・了
【かんにき】
舞い踊りお料理してる双子ちゃん眺めながら
料理しない系女子はピーンチ!
いやガッコで調理実習してるだろー別人格サトちゃんの記憶と文明に頼る!

南瓜をレンチン、ざっくり潰して
バターと砂糖、油にホットケーキミックス
混ぜてタッパに流したら、砕いたナッツをまぶして再びレンチン!
ざっくり南瓜ケーキの出来上がり!

祭莉くん主食、杏ちゃん副菜でオレちゃんデザートでカンペキじゃね?
オーガに食べさせるの勿体なって思う間もなくテーブルについてる
双子ちゃん流石すぎ!

よーし折角だから美味しくいただこ!

最終的には寝ても寝なくてもUCでぶっかますんだけどね!
悪戯グッズになってもこの大きさと重みに耐えられっかな?


木元・祭莉
引き続き【かんにき】でっす!

ふー。逃げ切ったー。(フラグ)
で、踊るんだったっけ?(合わせてくるりくるり)

荷車屋台、めーくあーっぷ!(キラキラ)
木元村名物、まつわんこ蕎麦を召し上がれー♪(捩り鉢巻き)

アンちゃんアキちゃんと共にスタンバイ!
薬味たっぷり、お箸の使い方もレクチャーしてっと♪

お椀の蓋を取ったら開始の合図ね?
よーい。ドン!
喉ごし爽やかなお蕎麦が、ずんどこ注がれまーす♪

ケーキもチキンもどうぞ♪
そっち食べてる間に、屋台でお蕎麦をゆがく!
茹でたてが美味しいからねー♪

お料理の感想に、お花咲いたり舞い踊ったり。
ん、お腹いっぱいになると眠くなるよね?(揺りかご)

美味しい幸せの中で、お休みなさいー♪


木元・杏
【かんにき】
歌と踊り。負けない

よくもやってあげたわたしたち~♪
(くるくる)
行列したい?なら練り歩く仲間を作ってあげる♪
すちゃっと包丁(灯る陽光)♪
まな板(オーラ)構え
れっつ、くっきん♪

かぼちゃは身をくり抜き器に
身は蒸してほ・ぐ・す♪
ゆで卵に玉ねぎあえて、マヨネーズ、イン!
出来れば器にリターン♪
その上からビスケット、トマト、キュウリに、お・肉☆
あ、まつりんじゃない大丈夫>お肉

ん、フライドチキンとかぼちゃのサラダ、完成

アキのケーキ美味しそう
まつりんは?(わくわく)
ランチマット敷いて、いただきます♪

ん?オウガ…(はっ
大丈夫忘れてない
さ、一緒に食べよう

メイドさん達は元から悪戯グッズ
さ、いってらっしゃい



 長ーい道を駆け抜けた木元・祭莉は、額の汗をぬぐって一休み。
 振り返っても、つばくら行列はもう影も形もない。
「ふー。逃げ切ったー」
 と思ったら。
 目の前に奴がいた。
「さあイタズラしちゃうぞ食べちゃうぞ♪」
 マリア・デスランタンと愉快な子ジャックランタンたち!
 子ランタンたちのくり抜かれた目から、ビームが迸る!
「うわー全然逃げきれてない!?」
 ざっ。
 敵とピンチな祭莉の間に割って入ったのは、木元・杏。
 杏の眼差しに宿るは、強い意志。妙に熱意が感じられる。
「歌と踊り。負けない」
 ……そっちの方?
 すると、森の方からそこはかとなく流れてくるBGМ。まあアリスラビリンスならそういうこともあるでしょう。
「よくもやってあげたわたしたち~♪」
 杏がくるくる。
 祭莉も、くるくるり。
「行列したい? なら練り歩く仲間を作ってあげる♪」
 すちゃっと包丁♪
 まな板構え♪
「れっつ、くっきん♪」
 くるくる。
「かぼちゃは身をくり抜き器に 身は蒸してほ・ぐ・す♪」
 ゆで卵に玉ねぎあえて、マヨネーズ、イン!
「出来れば器にリターン♪」
「ターン♪」
 器かぼちゃの上から、
「ビスケット、トマト、キュウリに、お・肉☆」
「お・肉☆ ……って、おおおお肉!?」
「あ、まつりんじゃない大丈夫」
 ぞぞっ、と青ざめる祭莉(元お肉)に、杏が手をヒラヒラ。
 駒鳥・了は、というと。
 そうして愉快に舞い踊りながらお料理している双子を、満足げに眺めていた。ずーっと。
 だが、そんな了のこめかみを、つたーり、冷や汗が流れていく。なぜならば!
「料理しない系女子、ピーンチ!」
 いや!
 奥の手がある。
 アキは、別人格であるサトの記憶と文明に頼ることにした。学校で調理実習しているに違いない!
 信じる心は力になる。というか。経験は裏切らない。
「わかる……料理の手順が……」
 かっ!
 開眼したアキは、南瓜をレンチン、ざっくり潰して。
 バターと砂糖、油にホットケーキミックスを混ぜてタッパに流したら、砕いたナッツをまぶして再びレンジにしゅーっ!
 チーンとご機嫌な音が響いたら!
「ざっくり南瓜ケーキの出来上がり!」
 ドヤ顔のアキ。だが、ほぼほぼサトの手柄である事を忘れてはならない。
 このケーキは1パーセントのアキと99パーセントのサトからできています。
 しかし、大事なのは結果である。
「これは2人の共同作業」
 杏は、レンジ仕上げとは思えぬ了のケーキの出来栄えに、思わず拍手。
 そして、こちらも手際よく、すっきりさっぱり、杏の料理もご完成!
「ん、フライドチキンとかぼちゃのサラダ、完成」
「おっ、同時に二品とか、さすが杏ちゃん!」
「アキのケーキも美味しそう。まつりんは?」
「ふっふっふー、コレだ! 荷車屋台、めーくあーっぷ!」
 キラキラ、不可思議な輝きと共に、祭莉の屋台が変身した。
「木元村名物、まつわんこ蕎麦を召し上がれー♪」
 ばーん。捩り鉢巻きの祭莉。
「双子ちゃん流石すぎ! 祭莉くん主食、杏ちゃん副菜でオレちゃんデザートでカンペキじゃね?」
 了が自画自賛したくなるのも無理はない、この連携。かんさつにっきに隙は、無い!
 だが、この料理を食べられるのは、デスランタン……ではない。
 ランチマットを敷きながら、杏、わくわく。
 了も、こんだけの料理、オウガに食べさせるの勿体なーって思う間もなくセッティング完了。……自分たちが食べるための。
「よーし折角だから美味しくいただこ!」
「ん、いただきます♪」
「いっただきまーす♪」
 もぐもぐ。
 かんさつにっきのお食事タイム。
 料理も三者三様で、どれも美味しい。楽しい。
「ちょっとちょっと、誰か忘れてませんかあ?」
「なに? 今幸せそうにご飯食べてる双子ちゃんたちを幸せそうに観察してるとこなんだから邪魔しないでくれる?」
 ちょいちょいと触れてくる誰かの手を、テキトーにあしらう了。
「えーっ、ここはうちらのナワバリなんだけどなあ♪」
「ナワバリ……はっ」
 首から上だけを動かした杏の視線の向こうには……繁みの陰からこちらを恨みがまし気に見つめるマリア・デスランタン。
「……大丈夫忘れてない」
「いやそれ絶対嘘!」
「さ、一緒に食べよう」
「食べる♪」
 しれっと杏に勧められ、手のひらくるりのデスランタン。
 いそいそ。祭莉が食卓についたデスランタンのため、準備を始める。
「え? 普通にお蕎麦食べるんじゃないの?」
「ちっちっちっ、オイラたちのは一味違うんだなー♪」
 得意げに、祭莉が指を振った。
 そして、杏と了も、颯爽とスタンバイ!
 薬味たっぷり、お箸の使い方もきっちりレクチャー。
「お椀の蓋を取ったら開始の合図ね?」
「えっ、あっ」
「よーい。ドン!」
 祭莉に急かされ、慌ててデスランタンがチャレンジ!
「ちゅるっ……えっ、これだけ?」
 一口で完食したデスランタンは、実に不満げだ。
「ダイジョーブ! 喉ごし爽やかなお蕎麦が、ずんどこ注がれまーす♪」
 ずんどこ。
「なるほど、お代わりシステム♪ わかったよ♪」
 ルールを理解したデスランタンが、ノリノリになった。
「はいどんどん!」
「ちゅるっ」
「はいどんどん!」
 デスランタンが一杯分を完食するなり、祭莉が次のお蕎麦を注いでいく。
「お蕎麦だけじゃなく、ケーキもチキンもどうぞ♪」
「もぐもぐ……」
 デスランタンが杏や了の料理を食べている間に、屋台でお蕎麦をゆがく祭莉。お蕎麦は茹でたてが美味しいのだ。
「チキンの程よい柔らかさとジューシーさ! サラダも、南瓜自体の甘さが生かされてるね♪ それに、こっちのケーキも焼きたてほかほか、ふわふわで素敵♪」
 杏と了の料理を絶賛しながら、お腹に収めていくデスランタン。
「どう? 満足した?」
「普通に美味しい料理はいっぱいあったけど、こういう食べ方は初めて♪ 空腹が一番のスパイスとか言うけど、楽しさもスパイスだね♪」
 デスランタンの感想に、祭莉の周りのヒマワリたちも、ご機嫌に踊る。
「え、何々?」
「ん、お腹いっぱいになると眠くなるよね?」
 がっし。
 まつりん揺りかごに揺られて。
「スヤァ……はっ!」
 まんまと眠りに落ちかけたデスランタンが、すんでのところで覚醒した。
 と言っても、目がとろんとしたままなので、今がチャンスである事に変わりはない。了がここぞと、『dancing Butterfly』を投擲した。
 杏も、増員したうさみみメイドさんたちで援護、アタック。
「むにゃ……させないよ♪」
 デスランタンは、眠りに落ちる最後の瞬間、なんとか指を鳴らして魔法を発動した。
 すると、『dancing Butterfly』が、触るとびりびり電流を発する、お化け南瓜つきボールペンに変化したではないか。
 だが、杏のメイドさん達は、元から悪戯グッズ。影響はない。
 そして何より!
「悪戯グッズになってもこの大きさと重みに耐えられっかな?」
 了の笑みが深くなる。
 最大の武器は、鋭利さなどではなく……そのサイズ自体だったからだ。
 どおん!
 巨大化した『dancing Butterfly』は、取り巻きの子ランタンごと、デスランタンを押し潰す。
「はい次祭莉くんいってみよー!」
「任せてー! 美味しい幸せの中で、お休みなさいー♪」
 びたーん!
 祭莉が、巨大びりびりペンの下でお休み中のデスランタンを引っ張り出して、地面に叩きつけた。
「さ、いってらっしゃい」
 杏に送りだされ、うさみみメイドさんたちが、デスランタンに殺到した。
 ひとしきりドタバタがあった後、魔法が解ける。
 そしてその場に残されたのは……デスランタンの被っていたお化け南瓜1つのみ。杏は、こくりとうなずき、手を合わせた。
「またハロウィンの時期にお会いする……かもしれない」

 かくして、ハロウィンの国は、オウガの支配から解放された。
 ……という事は。
 この長ーい道、猟兵たちの南瓜行列に使い放題なのでは? オウガ・オリジンの置き土産も、捨てたものじゃないかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月28日


挿絵イラスト