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Trap and Trip

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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 薄闇に包まれた森。そこかしこに吊るされたカボチャのランタンが、橙色の光で辺りを仄かに照らし出す。
 森を抜ければ、長い長い大路とそれに寄り添い立ち並ぶパンプキンカラーの建物群。大路は無暗矢鱈に長く、これなら長い長い行列を形作れそうな程。
 そう。この国はハロウィンの国。年中ハロウィンを楽しむ国だ。

「お菓子をくれなきゃ悪戯するウサ♪」
「お菓子をくれても悪戯するウサ♪」
「なんでもいいから悪戯するウサ♪」
 口々に歌いながら大路で踊る、兎耳の愛らしい少女――の如く愛らしい少年達。踊るに合わせて、黒いマントやひらひらのフリルが宙を泳ぐ。彼らの装いは思い思いの仮装。ハロウィンをより楽しむ為の装いだ。

「やれやれ、今日も騒がしいことよの」
 大路に面した建物の一つ、小さなお城。大路を見渡すバルコニーから少年達の様子を見下ろし、一人の女性が呟く。豪奢な銀髪縦ロール、だがそれ以上に上半身の大半を覆ってしまわんばかりに熟れ実った巨大な肉果実、頂をスペードのニップレスで隠しただけのその装いが否応なく目を惹く女性だ。
「全く、彼奴らも暫くアリスを食ろうておらぬであろうに、元気なことよ」
 傍らに控えていた侍女めいた少女――女性には及ばずとも同様に豊満な肉丘を、同様にニプレスのみで隠した少女の手にしたトレイから紅茶のカップを取り、一口。
「然し間もなく真のハロウィン。妾も何やら昂ってきおるのう…」
 肩を揺らし、それ以上に胸を大きく揺らし。その女性――この国の女王たるオウガ、子豚・ヴァシリーサはくつくつと笑うのであった。



「皆、もうすぐハロウィンだね」
 ところかわってグリモアベース。集った猟兵達を、グリモア猟兵、霧沢・仁美(普通でありたい女子高生・f02862)が迎えた。
「仮装の用意は皆、できてるかな? あたしも一応、用意はしてあるけれども」
 因みに現在の仁美の服装はバニースーツだが、これとはまた別の装いらしい。
「と、それはともかく。そのハロウィンについて、皆にお願いしたいお仕事があるんだ」
 そこで話は本題へ。
「実は、アリスラビリンスに『ハロウィンの国』っていうのがいっぱい見つかったんだ」
 仁美曰く。
 かつてのアリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラであったオウガ・オリジンは、その有り余る現実改変ユーベルコードの力を用い、幾つもの不思議の国を生み出したり、改造したりしていたのだという。
 そうして作られたのが『ハロウィンの国』。あらゆるものが造形的にも用途的にも、ハロウィンを楽しむことに最適化されて作られている国――つまりハロウィンパーティ会場としてこの上なく適した国だ。
「でも、作ったのが『あの』オウガ・オリジンって時点で察しがつくと思うけど…この国も決して安全な国じゃないんだよね」
 ハロウィンの国にもオウガが住まい、訪れるアリスを喰らわんと手薬煉引いて待ち構えているという。このオウガを討伐し、以て安全にハロウィンを楽しめる国とすること。それが此度の依頼の目的だ。

「この国のオウガ達はオウガ・オリジンから直接力を分け与えられてるから、素でも結構強いんだけど…その上で、この国の特殊なルールを利用して攻めてくるよ」
 なので、そのルールを把握した上で戦う必要がある。仁美は説明を続ける。
「まず最初は、この国の外周部に広がる森で襲ってくる『イタズラ好きのウサギさん』達だね」
 これは兎耳を頭から生やした少女――のように見える少年のオウガ。つまり男の娘。
 彼女もとい彼らは、この森の何処かからともなく飛び出してくるコスプレ衣装を身に纏い仮装している。そうすれば戦闘力が大幅に増強される、というこの国の特性を利用しているのだ。
「仮装で強くなれるのはこっちも同じだから、飛んでくる衣装を着て戦えば、戦闘そのものは問題ない…のだけど」
 だけど? と問う猟兵に、仁美は苦笑しつつ。
「…森から飛んでくる衣装は完全にランダムだから、好みに合わない衣装が飛んでくる可能性も高いんだよね」
 しかも何故か、好みに合わない衣装を仕方なく着た方が戦闘力が高くなるらしい。好みの衣装が飛んでくるまで粘るか、嫌でも好みに合わない衣装を着るか。その辺は其々の判断に任せる、と仁美は言う。

 そしてウサギさん達を一掃したら、城にいるこの国の支配者たるオウガと戦いこれを倒すのだが、ここにも問題がある。
「このオウガ、ハロウィンの国の法則のおかげで『ほぼ無敵』なんだ」
 物理的にも精神的にも霊魂的にも存在的にも、あらゆる攻撃に対し完全な耐性を有している。一体どうやって倒せば良いのか。
「弱点はたった一つ――『美味しい料理』だよ」
 曰く、美味しい料理を食べ続けると眠ってしまい、そうなると無敵状態が解除されてしまうのだとか。そして無敵が解除されたら殆ど一撃で倒せてしまうらしい。
「オウガがいるお城には大きなキッチンがあるから、ここで料理を作ってオウガに出してあげてね」
 キッチンにはあらゆる世界のあらゆる食材が揃っているので、思いつく限りあらゆる料理が作れる。ただし、調理中でもオウガは容赦なく攻撃を仕掛けてくるので、これを凌ぎながら料理する必要はある。
 ハロウィンの国の法則により、オウガは出された料理を断ることはできない。きっちり食べて、且つ品評までしてくれるという。
 因みに、多少味が悪くとも、気持ちが籠っていれば問題ないようだ。
「このオウガは『子豚・ヴァシリーサ』。なんかこう…色々凄いオウガだよ」
 仁美は具体的な言及を避けた。その部位については思う処が少々ある故に。

「オウガ達をやっつけたら、この国でハロウィンパーティができるようになると思うけど…それだけじゃないかも知れない」
 具体的には、先の戦争以後潜伏したままの猟書家『鉤爪の男』ら。遠からず訪れるだろう彼らとの戦いにおいて、何らかの影響がありそうだと仁美は言う。
「それはともかく、まずはオウガをきっちり退治するところからだね」
 仁美は携えた魔導書を広げ、その中からグリモアの光を浮かばせて。
「それじゃ、転送始めるよ。皆、頑張ってきてね!」
 光が広がり猟兵達を包み込み。彼らをハロウィンの国へと送り出してゆく。


五条新一郎
 半月早いトリックオアトリート。
 五条です。

 というわけで此度は儀式魔術【Q】により発生したシナリオをお送り致します。
 アリスラビリンスのハロウィンの国、此処に潜むオウガを退治致しましょう。

●このシナリオについて
 このシナリオは『全二章』のシナリオとなります。三章はありませんのでご了承ください。

●目的
 ハロウィンの国のオウガ達の討伐。

●戦場
 アリスラビリンス、ハロウィンの国。
 第一章は国の外周部の森、第二章は国の中心部の城が戦場となります。

●第一章
『イタズラ好きのウサギさん』との「集団戦」となります。
「森から飛んでくるコスプレ衣装を着て戦う」ことでプレイングボーナスがつきます。
「好みではない衣装を嫌々着て戦う」とより大きなボーナスがつきます。
 飛んでくる衣装はランダムとありますが、プレイングで指定頂ければその通りの衣装が飛んできます。

●第二章
『『豚房流槍術士』子豚・ヴァシリーサ』との「ボス戦」です。
 ヴァシリーサには一切の攻撃が通用しません。
「料理を作って食べさせ続ける」ことで眠ってしまって無敵が解除されるので、そこを攻撃すれば一撃で倒せます。
 城にキッチンがあるのでここで料理を作れます。食材もあらゆるものが揃っています。
 ただし調理中にもヴァシリーサは攻撃してきますので、それを凌ぎながら料理する必要があります。
 プレイングは主に「作る料理」と「敵の攻撃を凌ぎながら料理する方法」を書いて頂ければと。

●プレイング受付について
 第一章はOP公開直後から、第二章は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以後からプレイングを受け付けて参ります。

●備考
 10/31までに成功したこのフレームのシナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日及び『アリスラビリンスでの猟書家戦』に何らかの影響があるかもしれません。

 それでは、皆様の美味しそうなプレイングお待ちしております。
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第1章 集団戦 『イタズラ好きなウサギさん』

POW   :    大怪獣ウサゴンだウサ~ッ!!
【自身の身体】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    逃げるが勝ちウサッ♪
技能名「【逃げ足】【ダッシュ】【ジャンプ】【残像】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    子供からやり直しちゃえウサッ♪
【首から下げた懐中時計】から【周囲の時間を巻き戻すサイキックウェーブ】を放ち、【対象の肉体、精神年齢を急速退行させること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・衣装:お任せ
・アド/絡◎

■行動
何となく、言及を避けた理由が解る様な。
お互い大変ですよねぇ(遠い目)。

問題は『着られるサイズの衣装が来るか』ですねぇ。
『極度に露出の高い衣装』なら『着られる可能性は高い』且つ『出来れば避けたいが、着られるだけ良い』ですし、この状況に最適でしょうかぁ。

着替えられましたら【銀翼袍】を使用、一気に上へ飛行しつつ『崩壊の波動』を放射しますねぇ。
これで『敵味方の区別』が曖昧になれば『味方を巻込んだ攻撃』を選択する可能性が高まりますし、此方は『範囲外の上空への退避』で回避可能ですぅ。
後は『FCS』で『FRS』『FSS』の弾頭を炸裂弾に変更、上空から[爆撃]しますねぇ。



「…お互い大変ですよねぇ」
 ハロウィンの国、その外周部の森の中、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は遠い目をしていた。
 彼女の足元には、森の何処からか飛んできたのであろうコスプレ衣装が数着。UDCアース風のアイドル衣装、ダークセイヴァー風のゴシックドレス、クロムキャバリアのキャバリア風装甲衣裳なんてものもある。
 しかしるこるがこれらの衣装を着ることはない。否、正確には『着られない』のだ。るこるの視線が己の胸元にある『原因』へと落ちる。
「やはり、私のこれが入る衣装はなかなか来ませんねぇ…」
 そこに在るのは彼女の乳房。常人のサイズを大きく超越した、まさに爆乳と称すに相応しい威容である。その圧倒的なまでの体積は尋常の衣服に到底収まるものではなく、故に普段は専用の改造を施した和風メイド服などを着用している程。
 そして案の定と言うべきか、ここまで彼女のもとに飛んできた衣装は、全て常人レベルの胸サイズを前提としたデザイン。即ち、精神的な抵抗よりも物理的な抵抗の方が、るこるにとっては難題であった。
 尚余談であるが、此度の任務を予知したグリモア猟兵も、るこる程ではないにせよ常人を大きく超える豊満な胸の持ち主であった。彼女が『そこ』に対する言及を避けた理由も分かる気がする、と何処か共感を覚えるるこるであったとか。
「こうなれば、着られる服であれば何でも――」
 最早贅沢は言えぬ。意を決しようとしたその時、一着の衣装が彼女のもとへと飛んできた。

「ウサウサ、人の気配がするウサ」
「アリスウサ? アリスが来たウサ?」
「何でもいいから悪戯するウサ!」
 一方此方はイタズラ好きのウサギさん達。魔女っ娘、メイド、吸血鬼など思い思いのコスプレ姿で森へとやって来た。どうやら猟兵達の訪れに気付いた様子。
 きゃいきゃい騒ぎながら歩むこと暫し、傍らの茂みが揺れるのに気付けば。
「いたウサ! アリス…か分からないけど人ウサ!」
「みんな悪戯の用意ウサ!」
 今にも飛び掛かり悪戯せんと身構える彼女――もとい彼らの前に現れたのは。
「…はうぅ、流石にこの恰好は恥ずかしすぎますねぇ…」
 現れたのは長い黒髪の美少女――無論、るこるである。が、その装いは大胆というにも程のある代物であった。
 自身の頭ほどはあろうかという巨大な乳肉、それに負けじとむっちり肉の乗った尻と太腿。それらに巻き付くような形で身に着けられた紐が食い込み、豊満を極めたような肉付きを更に強調してみせる。
 双丘の頂と太腿の根元は紫のファーで包まれ、人目に晒すべからざる部位を隠す。手足には獣の手足を模したような手袋とブーツ、更に猫のような耳と尻尾もついている処を見ると、猫系獣人のコスプレなのかもしれない。…それとしても、相当にデンジャラスな装いではある。
「…おっぱいウサ! 超でっかいおっぱいウサ!」
「こんなでっかいおっぱい初めてウサ!」
 それを目にした悪戯兎達、やはりと言うかるこるのその部位に全力で反応を示す。もとより圧倒的に過ぎるサイズであるものを、殆ど限界ギリギリまで晒け出しているのだ。無理もない。
「お、おっぱいのことばっかり言わないでくださいぃ!」
 羞恥心は人並みにあるるこる、全力のおっぱい言及に身体をぷるぷる震わせながら抗議の声を上げる。確かにこの衣装は彼女の体型でも問題なく着用できるが、極端なまでの露出の高さは彼女の好むところではない。かといってあれ以上待って好みにも合う衣装が来る保証など無い。故に仕方なくこの衣装を着ているのだ。
「そんな牛みたいにでっかいおっぱい、注目するなって方が無理ウサ!」
「思いっきり悪戯するから覚悟するウサ♪」
 そんなるこるの事情など知らぬとばかり、悪戯兎達が襲いかかる。だが衣装さえ着てしまえば後は戦うだけだ。
「お断りしますぅ! 大いなる豊饒の女神の使徒の名において、その御印たる裳を此処に!」
 ユーベルコードを発動すれば、その過激な紐衣装の上から、白とも銀とも見える長衣が纏われる。ただし透けているので隠せてはいない。だがこの場はやむを得ない。
 そのまま、衣はためかせて上空まで飛び上がり、悪戯兎達から逃れるるこる。だが兎達にも対抗手段はある。
「空飛んでも無駄ウサ!」
「第海獣ウサゴンに変身ウサ! ウーーーーサーーーー!!」
 叫ぶが早いか、悪戯兎達の身体が瞬く間に巨大化。森の一番高い木よりも更に大きくなる。
「捕まえてやるウサー!」
「遠慮させて頂きますぅ!」
 拳を大きく振りかぶり、るこるへ殴りかからんとする悪戯兎。だがるこるの対応が早かった。その両手を大きく広げれば、全身から放射されるは触れるものを自壊に追いやってゆく、強力な崩壊の波動。未だ巨大化していない悪戯兎達が波動を浴びて、次々倒れてゆく。
「その程度耐えられるウサ!」
 しかし巨大化した悪戯兎は波動の威力にも耐え、両腕を大きく振り回しるこるへ攻撃を繰り出す。更なる上昇によって躱するこる。そしてその時、彼女の作戦は成就していたのだ。
「「ウサーーーー!!?」」
 今しがた攻撃を行った悪戯兎以外の兎達が吹っ飛んでゆく。仲間であるはずの兎の攻撃によって。
「…ウサ?」
 一方、攻撃を繰り出した兎は不思議そうに首を傾げる。るこるの放った崩壊の波動には、敵味方の区別をも崩壊させる効果があったが為。それ故、悪戯兎は潜在的に仲間を敵と誤認してしまい、仲間を巻き込む攻撃を繰り出してしまったのだ。
「そして、あなたはこれでトドメですぅ!」
 意に添わぬ衣装を已む無く着たが故か。るこるの力は常より更に高まっている。
 応えて飛来したフローティング・システムの砲台群、合計24基。それらが放つ炸裂弾の威力もまた普段より格段に高く。一斉砲撃が、常以上の大爆発を巻き起こして、悪戯兎を吹き飛ばしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イヴェッタ・レチアーノ
早期にオウガを発見出来たこのチャンスは逃さないわ
犠牲者が出る前に潰すわよ
……例えこの破廉恥の極みの逆バニー服を着てでも(ギリギリ歯軋り

何もかもオウガのせいよ、パワーアップした追跡力で牡ウサギ達をしつこく追うわよ!
でも逃げ足速すぎよ、攻撃が当たったと思っても残像だし、
同じ所をグルグル通る位追いつけないし、根気比べで負けそう……

『ま、ウサギ君が油断した所をイヴェッタが射貫くけどにゃ☆』
もう一人の私が隠密してた場所に誘導された時点で私達の罠の勝利ね
『でもさすがのイヴェッタも逆バニーは恥ずかしいにゃ……』
うっさい、おかげで隠密力パワーアップしたんだから、等価交換よ
さ、どんどんウサギを狩って胡散晴らしよ



 続いてハロウィンの国へと降り立ったのは、額に瞳と同じ紅い石を埋め込んだ女性。イヴェッタ・レチアーノ(囚人番号壱零零壱・f24458)である。
「早期にオウガを発見できたこのチャンス、逃さないわ」
 この国のオウガ達は今のところ、積極的な行動には出ていない。そうなる前に予知を得られたのはまさしく僥倖。別の世界で事件を起こす前に潰す――イヴェッタは気合十分であった。が、その表情は何故か険しい。
「…例え、こんな破廉恥の極みの恰好をしてでも…!」
 イヴェッタの歯軋りの音が響く。その恰好は、頭に兎耳、足には黒のストッキング…という所謂バニースーツ――とは似て非なる全くの別物。両腕と鎖骨周りを覆う上着を着ている一方、胴体部は完全に丸出し。一応、見えてはいけない部位については前張り等で隠してはいる――所謂逆バニー。その装いは、あまりにも破廉恥と言えた。
「わー、おねーさんの恰好凄いえっちウサ!」
 更に追い打ちめいて浴びせられる悪戯兎の声。イヴェッタの頭に何やら怒りマークが浮かび上がったようにも見える。
「こんな格好しなきゃいけないのは…あんた達のせいよぉ!!」
「きゃー! 逃げるウサー♪」
 溢れる怒りと共に叫べば、何処か楽しそうな声で逃亡を開始する悪戯兎達。逃がすわけにはいかぬと追いかけるイヴェッタであったが。
「って速い!? くっ、待ちなさい…!」
「待てと言われて待つワケないウサー♪」
 逃げる悪戯兎の脚は、イヴェッタの想像以上に速かった。全速力で走らねば追いつけない程だ。
「捉えた…! って残像!?」
「鬼さんこっちウサー♪」
 漸く追いつき、軽機関銃の弾丸を浴びせんとすればそれは残像。本物は更に先の道を走る。
「くぅっ、逃がしはしないんだから…!」
 歯噛みしながらも何とか追いつこうとするが、彼我の距離は一向に縮まる気配がなく。最終的に、大木の周囲をぐるぐる回る追いかけっこへと至る。
「無駄無駄ウサー♪ ボクらに追いつけるワケがないウサ♪」
 逃げる悪戯兎はあくまで余裕、一方追いかけるイヴェッタはすっかり息が上がった様子で。
「くそっ…ま、待ちなさい…!」
 追いかけるつつの言葉にも、何処か諦めが滲んでいるようにすら聞こえる程。
「おねーさんが諦めたら待つウサ♪」
「そんでもっていっぱい悪戯しちゃうウサ♪」
 悪戯兎はすっかり余裕綽々。このまま疲れて倒れたイヴェッタに寄ってたかって悪戯を仕掛けよう、などと算段を始めさえしていた――が。その時である。
『残念だけど悪戯はお預けにゃ☆』
 追うイヴェッタとは全く別の方向から響いた声。直後、木々の合間から放たれた荷電粒子の砲撃が、怒涛の勢いで悪戯兎達を飲み込んで。
「「ウサーーーー!!?」」
 全く予想外の砲口からの攻撃に、悲鳴じみた叫びを残し、兎達は消し飛んでいった。
「……ふう。…うまくいったわね」
 一方それを見届けたイヴェッタ、特に驚くでもなく、ビームの放たれてきた木々の合間に目をやれば。
『イヴェッタが伏せてた場所に飛び込んだ、この子達の負けにゃ』
 姿現すのは、イヴェッタと瓜二つの――しかし纏う雰囲気の全くことなる女性の姿。それはイヴェッタのユーベルコード、もう一人の彼女たる拠点奉仕用人格を己から分離の上で行動させるもの。その彼女を森の中へ付せさせ、元のイヴェッタは先程までのように悪戯兎達を追いたてる。その作戦が奏功した格好だ。
『…でも、流石のイヴェッタも逆バニーは恥ずかしいにゃ』
 もう一人のイヴェッタは赤面する。拠点にて住人に奉仕するための人格である彼女だが、それでも羞恥心は確かにあるのだ。流石にこのような恰好には抵抗があるようであった。
「うっさい、これも等価交換よ」
 窘めるように本来のイヴェッタが言う。事実、こんな不本意な恰好のおかげで、本来のイヴェッタは悪戯兎達と追いかけっこが可能な体力と機動力を、もう一人のイヴェッタは彼らに気付かれない隠密性を獲得したが故に、
「この憂さは、ウサギ達を駆って晴らすとしましょうか」
「ウサギだけに、にゃ」
「違うわ!!?」
 そんな姦しい会話をかわしつつも。二人は更に行動を開始する。更なる悪戯兎達を追いたて、仕留める為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
うん、状況はわかった!
勝利条件もわかった!
それじゃ、帰っていい?

ダメみたいだからウィーリィくんと一緒にがんばる
その代わり一蓮托生だからね?

(飛んできたのは赤と青のムタンガ水着だった)

ウィーリィくんが逃げ出さないように【手をつなぐ】で捕まえ、【覇気】で威圧して一緒に着替えて、イタズラウサギたちに正義の怒りをぶつける
(【クイックドロウ】で【範囲攻撃】+【制圧射撃】の【乱れ撃ち】!)
キミは生きのびる事が出来るかな?

(※NG無し・アドリブ大歓迎です)


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
かなりめんどくさい条件だけど、この国を救うためにはやるしかない。
行くぞ、シャーリー。
…逃げるなよ?

飛んできた衣装をキャッチし、シャーリーと一緒に着替え
…ようとして手を止める。
衣装か、これ?
いや解説はいらないから。認めたくないだけで。
とりあえず俺は別のが飛んで来るのを待つ。
お前は普段から水着みたいなカッコだからいいだろうけど…
(ナニかを察したように)
アッハイ。着替えます。
決めるぜ、【覚悟】!

シャーリーとペアルックでウサギ達を迎撃。
【厨火三昧】の炎を操作して彼女と協力して敵を一掃!
さっさと片付けて元の服に着替える!

(※アドリブなどはお任せします)



 ハロウィンの国の森の中、新たに降り立った二人の猟兵。
「…えーと。今回のお仕事の勝利条件は何だったっけ」
 瑞々しく実った褐色の肢体を、スク水――宇宙空間での活動用のそれに包んだ少女、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が確認めいて同行するもう一人へ問う。
「…この森で飛んできた衣装を着ること。好みじゃないものを嫌々着れば効果はより大きい…だったな」
 赤い中華風衣装の少年、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)が、先程グリモア猟兵に説明された内容を思い出しつつ答えれば、シャーリーは頷いて。
「分かった! それじゃ――」
「逃げるな」
 そして踵を返し引き返そうとし――たところでウィーリィに肩を掴まれた。逃走失敗である。
「うぅっ、やっぱりダメ…?」
「当たり前だろ。この国だってオウガがいて、アリスや愉快な仲間を苦しめてるんだろうからな」
 涙目になるシャーリーに、ウィーリィは諭すように応える。この国のオウガを倒すためにそれが必要であるなら、やるしかない――と。
「で、でもでも! こんな格好は流石に恥ずかしすぎじゃないかな!?」
 だがシャーリーは相変わらず涙目で。その手にしていた『もの』を広げ抗議する。それは赤と青、二枚の布切れ――ではない。二本のリング状の帯が繋がった形状、着用すれば両肩から股間にかけてV字のシルエットを描く衣装。ムタンガと呼ばれるタイプの水着である。水着であるが――その布面積は極めて少なく、ほぼ全裸に近い装いである。
「いやまあ、確かにこれを衣装とは認めたくないけど」
 一方のウィーリィもまた、これを着用することには抵抗があるが。
「でも着たくない衣装を着る方が効果が高いってんなら、寧ろこれを着るべきなんだと思う。これもオウガ退治のためだ」
 それ故に有効なのだろう、と説得を試みる。暫し押し問答が続いた結果。
「う、うぅ…分かった。でも――」
 とうとうシャーリーが折れ、ムタンガを着用することを承諾した…が。
「――ウィーリィくんも、一蓮托生だからね?」
 ムタンガは二着ある。青い方は自分用とし、もう一方の赤い方をウィーリィへと突き付ける。それが意味する処は、無論のこと。
「え? いや俺は別の衣装が飛んでくるまで待とうかと。お前は普段から水着みたいなカッコだからいいだろうけど――」
 抗弁を試みたウィーリィの言葉が途切れる。己を見返すシャーリーから、ただならぬ気配を感じたが故に。それは有無を言わせぬ威圧感。かつて対峙したオブリビオン・フォーミュラ達さえもある意味超える圧力を、ウィーリィは感じたとか感じなかったとか。
「――アッハイ。着替えます」
 その上で、今までどんな強大な敵を前にした時でも籠めなかった程の力でもって手を掴まれては、抵抗は不可能である。ウィーリィは覚悟を決めた。

「悪戯ターゲット発見ウサ!」
「って、なんかすごい恰好ウサ!」
 数分後。森にやってきた悪戯兎達が目にした二人の猟兵の姿は、彼女もとい彼らをして驚嘆せしめる程のものであった。
「き、来たなオウガ!」
「うぅっ、やっぱり恥ずかしいな…!」
 少年らしさは残しつつも確りと鍛えられたウィーリィの肉体。年齢に比しても豊かに発育したシャーリーの肉体。そんな二人の肉体に纏われる着衣は唯一、それぞれの身体の上に描かれた赤と青、V字のラインを描く水着のみ。それぞれの見事な肢体は、ものの見事に晒け出されていた。
「なんか放課後に電磁波出してそうウサ」
「はみ出してもモザイクの用意はできないウサよ?」
 ネイティブアメリカンっぽい仮装の兎と、河童っぽい仮装の兎が口々に言う。何のことか分かる猟兵はあまり多くないと思われる。
「――何のことかなっ?」
 勿論未成年の二人にも分からない。誤魔化すでもなく、単純に興味無いという意を込めた言葉と共にシャーリーは笑顔を向ける。笑うという行為は本来攻撃的な行為である、と納得せざるを得ない笑顔を。
「「ウサっ!?」」
 その笑顔から放たれる圧倒的なまでの覇気、抵抗の意思を一瞬で奪い取りかねない威圧感に気圧される悪戯兎達。
「こんな格好してるのも、全部あなた達をやっつける為なんだから!」
 自棄とも見えるような大声で叫び、シャーリーは携えたマスケット銃型ブラスターを抜き、構え、射撃を開始。この間ほぼコンマ1秒の早業。
「生き延びられるものなら生き延びてみなさい! 正義の怒りを喰らえー!」
「「ウサあああああ!!?」」
 そして放たれる熱線も、1秒間で90発近い数が乱射される。森の中で突如降り注ぎ始めた熱線の雨に逃げ惑う悪戯兎達。運悪く命中し倒れる者も多数。
「俺としてもこんな格好、さっさと着替えたいんでな!」
 運よく火線を逃れた悪戯兎も、ウィーリィが逃がさない。その手で燃え盛るは、チャーハンをパラッと仕上げられること確実な強火の炎。
「強火で一気に片づけさせてもらうぜ!」
「「ウサーーーー!!?」」
 その炎を次々と悪戯兎達に浴びせ、こんがり丸焼きとしてゆく。まあ丸焼きとして完成する前に骸の海へ還ってしまうのだが。

 着たくない衣装を着ざるを得ない怒りの熱と炎が、あっという間に領域内の悪戯兎達を殲滅。
 それを確かめた二人は、早々に元の服へと着替え直すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミルケン・ピーチ
17歳ボディの桃姫で出撃します

仮装しなければ戦えないのですか…
飛んできた衣装は…えーと、ピンク色のバニーでしょうか?これなら…
あれ、なんか耳が短くて、あと尻尾が細い…
…もしかしてこれ、兎じゃなくて豚ですか!?
またですか!またこの手の話ですか!
何でこんなの着なきゃいけないんですかぁぁぁぁ!!

体重を気にしてるので仮装に物凄く文句がありますが、【恥ずかしさ耐性】で頑張ります
巨大化した敵は【残像】で足元を走り回って回避
無差別版を売ってくるなら敵の間を動き回ることで【敵を盾にする】で同士討ちさせます

足並みが乱れた所で【ミルケンインパクト】で巨大化した敵を突き倒します
どうですかこの【重量攻撃】!(半泣き)



「仮装しなければ戦えないのですか…」
 ハロウィンの国の森の中、桃色の髪の少女が戸惑い気味に辺りを見回す。彼女の名はミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)、その目元を覆うバイザー型ヒーローマスクを装着したことで魔法少女となった少女である。
 豊かに熟れ実った肢体は惜しげもなく晒け出され、特に胸の双房はその頂をハート型ニプレスで覆っただけというあられもない姿。これが魔法少女としての戦闘服とはいえ、年頃の少女たるピーチ――正確にはそのボディの持ち主たる『花園・桃姫』にとっては全く羞恥を感じないわけではない。
「この恰好より恥ずかしい仮装も、そうそう無いとは思いますけれど…あっ」
 そう思案していた矢先、一着の衣装がピーチのもとへと飛んできた。ややオレンジがかったピンク色のレオタードと、何やら動物の耳っぽいものがくっついたカチューシャ。
「これは…バニースーツ、でしょうか? これなら…」
 割合大胆な部類に入る衣装ではあるが、今着用している戦闘服に比べれば露出は低い。故に問題なく着用可能だ。早速とばかり着替え始めるピーチ。
 …だが。
「…あれ? なんか変ですね…?」
 レオタードを着終え、カチューシャを頭に着けようとしたところで気付く。この耳、兎のモノとしては明らかに短い。短いピンク色の耳…といえば…
「…まさか!?」
 身を捻り、己の尻を確かめる。そこにくっついていたのは、白く丸い尻尾ではなく、細く短い、中ほどでくるりと丸まった尻尾である。これは即ち…
「…もしかしてこれ、豚ですか…!?」
 気付いた瞬間、ピーチの顔が真っ赤に染まる。それは羞恥か怒りか、或いはその両方か。
 というのもピーチ――というか桃姫、少女としても人一倍体重を気にしているのだ。同年代の少女に比べて遥かに豊満な体つきの彼女である。必然的に、体重も同年代の少女に比べて重くなってしまう。
「何でこんなの着なきゃいけないですかぁぁぁぁ!!」
 よりにもよって豚の仮装――差し詰めバニーガールならぬピッグガールというところか――を押し付けられた事実に憤慨し、叫ぶピーチ。だがここまで着た以上、今更脱ぐのもよろしくない。渋々とカチューシャも付けて、ピッグガール姿となるピーチであった。
 と、そこに。
「なんか凄い声が聞こえてきたウサ」
「あ! 豚…じゃない、むちむちのおねーさんウサ!」
 先程のピーチの絶叫を聞きつけ、悪戯兎達がやってきた。そして目の前の豊満なピッグガールを目にすれば、そのあまりにも物珍しい装いに、一気に嬉しげな様相となって囃したてにくる。
「むっちむちの豚さんウサ!」
「おっぱいでっかいから牛かもしれないウサ」
「むちむちぽよぽよの豚さんウサー!」
 小悪魔、妖精、プリマドンナ。細身の肢体を見せつけるような仮装の悪戯兎達に囃したてられて、ピーチは。
「…いい加減にしてくださーい!!」
「ウサー!?」
 怒りのグーパンチ。不本意な仮装による能力強化の恩恵かその拳は予想外に速く。悪戯兎の一人が回避に失敗して吹っ飛ばされた。
「豚さんが怒ったウサ!」
「思ったより怖いウサ!」
 これには悪戯兎達も焦りを覚えたか、一斉にユーベルコードを発動。次々と巨大化していく。
「豚さんはミンチにして揚げるウサ!」
「メンチカツにするウサ!」
 いきなり妙にオウガらしいことを言いながら、ピーチを巨大化した足で踏み潰しにかかるが。
「そんな大雑把な攻撃は当たりませんよ!」
 巨大兎達が踏み潰すピーチは全て残像。本物は更なる残像を残しながら、彼らの足元を走り回り。
「わ、そっち行ったウサ!」
「何処ウサ! こっちは違うウサ!」
 彼女を探す悪戯兎達は混乱し、あっという間に足並みが乱れてゆく。そしてそここそピーチの見出した好機。
「女の子に豚なんて酷過ぎですー!」
 森の木を跳び上り、その頂点近くから悪戯兎の一人を目掛けて跳躍。空中で姿勢を変え、尻を突き出し、跳躍の勢いに重力加速を乗せて悪戯兎の下腹部目掛け突っ込んで――
「吹っ飛んでしまいなさーい!!」
「ウサぁ!?」
 そして激突。重量と速度と、尻の弾力を乗せた一撃は、悪戯兎を吹き飛ばし。
「「ウ、ウサあああああ!!?」」
 そして傍にいた悪戯兎から順に巻き込んで。次々とドミノじみて纏めて吹っ飛び倒れていった。
「どうですか…! この、重量…攻撃…!」
 半泣きの表情で、ピーチは自棄になって叫ぶのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩姫・いちご
【姫】
※オリジナルのいちごに擬態モードです

「さくら、どうかした?」
小首傾げているさくらに、こちらも疑問を浮かべつつ、2人でいきましょう
「いえ、そりゃバニーは好きですけどね?」
さくらの物言いに苦笑しつつ、戦闘のためにはまずはコスプレを…
飛んできた衣装の結果、2人して幼稚園のスモックですか
しかもさくらが幼児退行…こんな可愛い妹はオリジナルの記憶にもないですよ
※さくらとは長年生き別れていたため、幼稚園時代は本当に知らない

いつもこんな素直な状態ならいいんですけどね
「ええ、一緒に楽しみましょう」
【『姫』の言葉】を乗せつつ、さくらの援護をして
軽く抱き寄せて頭を撫でつつ、さくらの天使で敵を攻撃させましょうか


彩波・さくら
【姫】

「あれ、今日のいちご、なんか普段と雰囲気違うような……?」

なんだか、私の中の天使がざわついてるような……
ちょっと警戒しながら、いちごと一緒にハロウィンの国に向かうね。

「バニーとか、いちごの目の毒なオウガは、私がやっつけるんだから!」

【守護天使】を召喚して攻撃するけど……
効かないっ!?

「しょうがない、こっちもコスプレして……
って、な、なに、これっ!?」

飛んできたのは幼稚園児服!?
ちょ、ちょっと、これ、ぱんつ丸見えじゃっ!?

その格好のところに敵が懐中時計を使ってきて……!?
精神だけが幼稚園児に退行してしまい……

「いちごおにーちゃん!
きょうは、はろうぃん、たのしもうね!」(にっこり


彩波・いちご
【恋華荘】
美弥子さんとデート…でいいんですかね?

確かにバニー好きですけど…だからって敵に目移りとかは…
コスプレしないと、狐火の効果も薄いですね…どうしましょう

って、美弥子さん!?
それ、一時流行った逆バニーというやつでは…(汗
いえ、似合う似合わないでいうと、似合ってはいる、でしょうけど…
思わずまじまじと見てしまい…真っ赤になって視線逸らします

と、とりあえず私も何か着ないと…で、飛んできた衣装を適当に捕まえて
…え、私がバニー着てどうするんですかーっ!?
※でも多分すごく似合ってます

うぅ、【フォックスファイア】で美弥子さんの援護を

…って、美弥子さん、色々見えてはいけないものが見えてますってばっ!?


高原・美弥子
【恋華荘】

久しぶりにいちごとデートだ!
あはは!今のあたしに怖いものはないね!

くっ、敵はバニーさんか!
バニー好きのいちごが目移りしないように、あたしもバニー服着ないと!
飛んでくる衣装からバニー服を見極めるんだよ!
見えた!水の一滴……じゃない、バニー服!どりゃぁぁ!取ったどー!
………逆バニーだ、これー!?
いやいや!流石にこれは恥ずかしいよ!?
でも、いちごが見たいっていうなら……が、我慢する
はぅ!着替えたけど、やっぱり裸より恥ずかしい
って!いちごがバニーなの!?似合ってるのが複雑!?

このモヤモヤ、お前にぶつけてやるー!
斬馬刀・白陽で【血炎斬】だ!
あっ、切っ先が巨大化した敵のバニー服の又を斬って炎が



「久しぶりにいちごとデートだ! あはは! 今のあたしに怖いものはないね!」
 狐の尻尾をぱたぱた振って、高原・美弥子(ファイアフォックスのファイアブラッド・f10469)は上機嫌であった。
「これはデート…でいいんですかね?」
 一方、お相手の彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)は困惑げであった。一応れっきとした猟兵の任務であるはずだがと。
「いいのいいの! 折角二人きりなんだしそういうことで!」
 テンション高く笑い飛ばす美弥子。何しろいちご、美弥子も住んでる猟兵用女子寮の管理人を務めているせいか、兎角多くの女性達から好意を寄せられており。二人きりの時間を作ろうにも大体同じことを考えた別の女性とかち合うので、こういう時でもないとデートといえる状況を得られないのだ。
「そういうわけで! お仕事、頑張っていこう!」
「そ、そうですね…では、頑張っていきましょう」
 美弥子の気炎に頷くいちご。彼自身、美弥子と二人きりという状況はどちらかといえば好ましく思ってはいるのだ。それに美弥子が任務を忘れていないのならば、デートという認識でも問題ないのかもしれない。そんな判断に至ったとか、いなかったとか。

 一方、此方は森の別の領域。
「さて、お仕事頑張っていきましょうか」
 そう言って微笑むのは――美弥子と一緒に居るはずのいちごだ。姿形は完全にいちごと同一、なれど距離的に彼方と此方とが同一人物であることは有り得ない。
(…あれ、今日のいちご…なんか普段と雰囲気違うような…?)
 微笑みかけられたいちごの双子の妹、彩波・さくら(龍神の聖女・f25299)はふと感じた違和感に内心首を傾げる。自分の気のせい――とは考え難い。彼女の身に宿った天使も、何かを訴えるかの如くざわついているように感じられるからだ。
「さくら、どうかした?」
 訝しむような視線を向ける妹に『いちご』は小首を傾げて問う。その表情も兄そのものだが、何かが違う気がする。
「…ううん、何でもない」
 ここで詮索するのは良くない気もする。故に、誤魔化すように首を振る。
「バニーとかいちご好きそうだし、誘惑されないように気を付けないと、って思ってただけ」
 続けた言葉は半分本心だったりする。故に『いちご』も。
「いえ、そりゃバニーは好きですけどね?」
 大事なのは中身であると。いちごそのものの苦笑を浮かべつつ応えるのであった。

 ――実際のところ、さくらの違和感は正しい。今彼女と共に行動する『いちご』は、いちご本人ではない。いちごの中に宿る邪神によって生み出された、かの邪神の眷属を基とせしクローン――彩姫・いちご(貌のない『姫』・f29728)である。数年間生き別れていたとはいえ、双子の妹であるさくらにさえ確信を以て見破らせはしない完璧な擬態ぶりだ。
 尚、本報告書においては以後、本来のいちごを「いちご」、クローンの方を「『いちご』」と呼称するものとする。

 そして再びいちごと美弥子。
「くっ、敵はバニーさんか! なんか色々コスプレしてるけど!」
 二人はオウガ――悪戯兎達と対峙していた。アメスクにチャイナドレス、魔法少女衣装と各々が様々にコスプレしているものの、自前の兎耳は共通なので、まあバニーと言っても間違いではあるまい。
「これは強敵だね…! いちごはバニー好きだから目移りしかねないよ!」
「いえ、確かにバニーは好きですけどね!?」
 たじろぐ美弥子に、いちごがツッコミを入れる。バニー好きとてオウガ――敵にまで目移りするほど彼は節操無しではない。そもそもあのバニー達は男だ。いちごにそっちの趣味は無い。
「ウサウサ、それなら捕まえてたっぷり悪戯するウサ!」
 そのやり取りを見て喜色を浮かべた悪戯兎達が、一斉に二人を目掛け飛び掛かってくる。
「お断りですっ!」
 繰り返すがいちごに男の娘嗜好はない。拒否の声と共に自らの周囲へ無数の狐火を浮かべ、兎達へと一斉射出。通常の集団性のオウガならばこれで一掃し得る強力なユーベルコードは、だがしかし。
「ぬるいウサ!」
 だが今の悪戯兎達には碌なダメージになっていない。身に纏うコスプレ衣装を焦がすことすら叶わぬ勢いだ。理由は言うまでもなく。
「くっ、やっぱりコスプレしていないと効き目が薄いですね…!」
 どうにか悪戯兎の手を逃れつつ、いちごは呻く。敵はコスプレによって大幅に強化されている、というグリモア猟兵の言は確かであった。
「こっちもバニーを着ないとダメだね!」
「いえ何でバニー限定なんですかっ!?」
 美弥子も同意を示すが、彼女は完全なるバニー決め打ちであった。思わず突っ込むいちご。
 と、そこに森の奥から何かが飛んでくるのが見える、数着のコスプレ衣装だ。
「いちご! 来たよ衣装! あの中からバニー服を見極めて捕まえるよ!」
「いえバニーでなくても良いと思いますっ!」
 そして美弥子は意識を集中し始める。再度のいちごの突っ込みも耳に入らなくなる程に。悪戯兎達が再度の攻撃を仕掛けようとした、その時。
 ――美弥子の視界に、水面へ波紋広げる水の一滴のヴィジョンが見えた。気がした。
「どりゃぁぁぁ!!」
 気合一声、腕を伸ばし掴み取ったは一着の衣装。黒い長袖の上着とタイツ、そして兎耳のカチューシャ。
「取ったどー!! …って、あれ?」
 快哉を上げる美弥子であったが…そこで違和感に気付く。このバニー服、造形がおかしい。胴部を覆うような布地が無い。代わりにあるのは、ハート型のニプレス…
「…美弥子さん、それ、もしかして一時期流行った…」
「…逆バニーだこれー!?」
 そう、バニーはバニーでも逆バニー、四肢をきっちり覆う代わりに胸から下腹にかけてが丸出しという酷い代物。幸いこれは股間周りは隠すタイプのようだが。
「いやいや、流石にこれは恥ずかしいよ!?」
 通常のバニーなら抵抗ないくらいには大胆な方である美弥子だが、流石に逆バニーとなると羞恥が勝る。だが。
「…でも、いちごが見たいって言うなら…」
 それに敵が迫っているのだ、選り好みはできそうもない。見たいわけじゃないといういちごの突っ込みをよそに着替える美弥子。
「…はぅ、やっぱり裸より恥ずかしい…」
「…うわ、すっごいえっちな恰好ウサ…」
 形よく実った双の肉果は、その頂を除き全て晒け出され、下腹もギリギリまでが露出。無論、滑らかな腹部も丸見えで。首周りや腕や脚はきっちり布地で覆われているのが、却って胴部の素肌を強調する。
 そんな己の有様に、美弥子は激しく羞恥を覚え。迫っていた悪戯兎達も、あまりに大胆な有様を前に思わず見入ってしまう。そしていちごも。
「に、似合うかどうかといえば、間違いなく似合ってますけど…」
 そんな美弥子の痴態を、思わずまじまじ凝視してしまい。己もまた顔を真っ赤にしてしまう。
「…って、とりあえず私も衣装を…!」
 しかし見てばかりはいられない。自分も早くコスプレせねば。美弥子から視線を逸らしたいちご、丁度よく飛んできた衣装を掴み取れば。
「…私がバニー着てどうするんですかーっ!?」
 黒のレオタードと兎耳カチューシャ。いちごが手にしたのはまさしくバニー服であった。此方は逆バニーではない普通のもの。
「何でいちごにバニーなの!? しかも似合ってるし!?」
 着替えたいちごの姿に気付いた美弥子、驚きながら複雑な表情。れっきとした男性でありながら、愛らしい顔立ちに華奢な体つきでバニー服を見事に着こなす姿は、女性としては何とも言えぬ気分になるようだ。
「…ええい、このモヤモヤお前らにぶつけてやるー!!」
「ウサー!? や、八つ当たりなんて酷いウサー!!」
 半ばヤケになったような声と共に、白銀色の斬馬刀を振り回しだす美弥子。悪戯兎の衣装を裂けば、そこから白い炎が噴出しその身を焼き焦がす。
「ウサあああぁぁぁぁ!!?」
「…うわぁ」
 そのうちの一人は、股間部の着衣を裂かれたことで悶絶していた。彼の股間で燃え上がる炎。何を燃やしているかは――お察しください。
 いちごにとっても股間の縮み上がる光景であったが、怯んでばかりもいられない。
「わ、私も援護しますっ」
 再び狐火を生み出し、続く悪戯兎達へと撃ち出してゆく。コスプレによって高められた力によって、今度は充分な威力をもって悪戯兎達を焼き払っていくのであった。

 一方のさくらと『いちご』もまた、悪戯兎の一団に遭遇していた。
「て、天使達が…!?」
「ざぁこウサっ♪」
 さくらがユーベルコードを行使して呼び出した天使達を向かわせるも、さくらが未だコスプレをしていない故にその力の差は歴然。セーラー服やナース服といった悪戯兎の衣装は鋼鉄の鎧じみて天使達の聖剣を退け、ただ振り回しただけの手足の一撃で彼らを次々粉砕してゆく。
「やはり、コスプレしないと戦いになりそうにないですね…」
 その様子を冷静に見て取る『いちご』。敵はコスプレによって大幅に強化されている、というグリモア猟兵の言は確かであった。
「となれば、あの天使達が足止めしてる間に衣装を…」
 呟き、『いちご』が辺りを見回せば。ちょうど二着の衣装が彼のもとへと飛んでくるところであった。それらを捕まえ。
「さくら、ここはコスチュームに着替えましょう! これを!」
「しょうがないね…! って、な、なに、これっ!?」
 さくらに呼びかけつつ、捕まえた着衣の片方を渡す『いちご』。受け取ったさくらが広げて見れば、上がる驚愕の声。何故ならば。
「…まさか二人してこんな格好とは」
 そのコスチュームというのは、水色のスモックと赤いスカート、黄色い帽子――幼稚園児スタイルであったためだ。それも二着とも。二人とも既に高校生、そんな衣装を着るだけでも羞恥を感じるものではあるが、現状を鑑みれば贅沢は言えぬ。着替える二人。だが。
「…ちょ、ちょっと、これ、ぱんつ丸見えじゃ…!?」
 更にスカートの丈は股下5cmにも満たないマイクロミニ丈。最早歩いただけでも中身が丸出しになりかねない代物に、さくらの羞恥心にも火がついてしまう。因みに『いちご』も同じ状態なので、前が割と大変なことになっているとかそうでもないとか。
「贅沢は言っていられません、これで何とか戦いを…」
「そんなこと言って私のぱんつ見る気でしょ! このへんた――」
 それでも戦おうと促す『いちご』に、最初からこれ目当てだろうと食ってかかろうとするさくら――であったが。
「だったら子供になってやり直せばいいウサっ♪」
 天使達を全滅させた悪戯兎達が迫る。そして先頭の一人が懐中時計を掲げれば、そこから放たれたサイキックウェーブが二人を襲う。
「あうっ!? ぅ…ぁ、あぅ…」
「さくらっ!?」
 直撃を受けたさくらが蹲り呻く。どうにか抵抗に成功した『いちご』が心配げに見守る彼女の姿に変化はなく――何とか抵抗に成功したのだろうか。いや、そうではない。
「…ぁ…い、いちご、おにーちゃん…っ?」
「…さくら?」
 顔を上げたさくらが発したその声は、それまでに比して酷く幼い声音であった。思わず間の抜けた声を漏らす『いちご』。
「…大丈夫?」
「ん? うん、さくら、どこもいたくないよー?」
 確認めいて問う『いちご』に、舌足らずの幼い口調で返すさくら。これはつまり。
(…精神だけが幼児退行した、ということでしょうか)
 肉体の幼児化には抵抗できたものの、精神の方は抵抗できなかった。その結果が現状であろう。『いちご』はそう推測した。
「ねえねえ、いちごおにーちゃん」
「ん、何?」
 不意に問われ、『いちご』が返事をすれば。
「きょうは、はろうぃん、たのしもーねっ」
 現状を理解しているのかいないのか、あまりにも無邪気なさくらの言葉。そもそもまだハロウィン当日ではないのだが、この際そんなことはどうでもいいだろう。
(…こんな可愛い妹の姿、オリジナルの記憶にもないですよ)
 実際、いちごとさくらは生まれて間もなく引き離され別々に育ってきた。故に、幼稚園時代の――無邪気で愛らしいさくらの記憶は、本来のいちごも知らず、故に彼の記憶を有する『いちご』も知らないのだ。
(いつもこんな素直な状態ならいいんですけどね)
 オリジナルが持つさくらの記憶といえば、何かにつけて口煩く干渉してくる印象がとにかく強い。無論、それでも大切な妹には違いないというのがオリジナルの認識ではあるが、素直な方が好ましいのは確かだろう――内心で苦笑しつつも。
「ええ、一緒に楽しみましょう」
 微笑みながら、優しくさくらの頭を撫でる『いちご』。
「そのために――あの、悪い兎さん達をやっつけてしまいましょうね」
 そして続けた言葉は、『いちご』が――その正体たる「貌のない『姫』」が有する力の一端。魅了の力を込めた言葉を以て、それを聞いた者に身も心も全て己へ捧げさせんとするユーベルコード。
「はーいっ♪ じゃあ…てんしさんたち、おねがいっ!」
 その言葉に逆らうことなく、さくらは再度天使達を召喚。現れた天使達は一斉に悪戯兎へと向かってゆく。
「ウサウサ! 雑魚天使を何回呼んだって無駄ウs…ウサー!?」
 そしてさくらがコスプレしたことによって天使達の力は先程の数倍にまで高まっていた。舐めてかかった悪戯兎達が一瞬で斬り伏せられる。
「さ、さっきの天使と全然違、ウサぁぁぁ!?」
「い、一気に強くなりすぎウサーーー!?」
 先程のものとは別物と理解した兎達も、逃げること叶わず。天使達が天より呼び寄せた裁きの雷が、森の一角ごと彼らを吹き飛ばしていくのであった。
「ふふ、心強い天使達だね。偉いよ、さくら」
「えへへ、さくらがんばったよー♪」
 さくらの活躍を労い、優しく抱き寄せながら頭を撫でてやる『いちご』。その表情は、影に隠れて伺い知れなかった。

 再び視点はいちごと美弥子に戻る。
「ふう、こんなところかな」
 周辺の悪戯兎達を一掃し、一息つく美弥子。いちごの方を振り向くと、何やらいちごが顔を真っ赤にして震えていた。
「あ、み、美弥子さん…み、見え…」
「…え?」
 己の身体を見下ろす。ニプレスが剥がれ、タイツがずり下がり、それは即ち――
「――きゃーーーーーーー!!?」
 ハロウィンの国全域にまで響き渡りそうな程の絶叫が、美弥子の口から迸った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『豚房流槍術士』子豚・ヴァシリーサ』

POW   :    豚房流槍術・我が肉を昂らせることを許す
【装備部位の強烈な感度上昇】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【体の三つのマークを両乳と股間に装備する槍】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    豚房流槍術・我が乳に平伏することを許す
【爆乳を激しく揺らしながらの高速連続突き】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    豚房流槍術・我が肉槍となることを許す
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【巨乳女に限り、裸にマークを張り付けた槍兵】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠子豚・オーロラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 イタズラ好きのウサギさん達を一掃した猟兵達。コスプレのままの者も、元の衣装に着替え直した者もいるが、目指す先は同じ。この国に君臨する女王たるオウガの座す城だ。
 門扉を破り、駆けた先は王の間。その最奥の玉座に、そのオウガは座っていた。
「――森の方が騒がしいと思えば。とんだ珍客もあったものよの」
 尊大に、だが何処か色気も滲む声音で、オウガは語り、玉座から立ち上がる。豪奢な縦ロールの銀髪が揺れ、その頭部より尚巨大な双の肉房が、その巨きさを誇示するかのように鳴動する。
「猟兵共。我らの主たるオウガ・オリジン様をも打ち倒したというその力。大したものじゃ」
 その事実を口にしつつも、オウガの表情は尚余裕の笑み。そう、彼女は。
「じゃが。この妾、子豚・ヴァシリーサを倒すことは何人にも叶わぬ。それがこの国の絶対の掟じゃ」
 オウガ――ヴァシリーサは傲岸に告げる。だがそれこそがこのハロウィンの国の法則。ハロウィンの国の王は不滅。ただ一つの例外を除いて。
「乳の豊かな者は賓客として遇してやらぬでもないが、そうでない者は疾く妾の槍の錆となるが良い」
 指を鳴らせば、その片手にはスペードを模した穂を有する槍。背後に進み出るは、彼女程ではないにせよ人並み外れて豊かな胸部を誇示するメイド服を着たメイド達。その顔は拘束具めいた覆面で覆われ見えない。
「或いは、豊かな乳に仕立て上げ、下僕として使ってくれようか。この者達のようにのう」
 どうやら、このメイド達はかつてこの国に住んでいた愉快な仲間達や、迷い込んだアリス達の成れの果てらしい。死して尚、オウガに苦しめられているというのか。
「いずれにせよ――これより行うは戦ではない。処刑じゃ」
 槍を構え宣言するヴァシリーサ。成程、普通に戦うだけではそれこそ戦いにすらならぬ。此度戦う手段とは即ち料理。
 故に猟兵達は駆け出す。ヴァシリーサのもとではなく、この城のキッチンへと――!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
今の私の衣装ですと、この方の露出度をどうこう言えませんねぇ(遠い目)。
そして、確実に『胸』の事は言われそうですぅ。

【燦華】を使用し全身を『光』に変換、『光速』を利用して攻撃を回避しつつ厨房へ向かいますねぇ。
この状態であれば『隙間』等も抜けられますし、短時間で到着出来るはずですぅ。

到着しましたら[料理]開始、『サンドイッチ』を作りましょう。
此方の品であれば『追撃に合わせ時間を調整する』ことも『他の方の料理完成まで作る』ことも可能でしょうかぁ。
『卵サンド』『BLTサンド』の様な定番の品を中心に、『海苔チーズサンド』『チキンサンド』等、出来るだけ豊富な種類を取り揃えますねぇ。



 女王の城の中を駆ける夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。城の中はそれなりに広く、キッチンの場所を探すのも簡単ではない。
「それにしても…」
 廊下の途中、大きな姿見の鏡に映った己の姿。豊満も豊満、過剰なまでに熟れ実った己の身体に今纏われているのは、局部のみを小さなファーで覆っているのを除けば、その肢体に食い込む紐しかないという過激な獣人風衣装。改めて、羞恥にるこるの身が震える。
「…この恰好、あの方の露出度をどうこう言えませんねぇ…」
「ほう、それは妾のことかぇ?」
 不意に聞こえた声に振り返ったるこる、向かおうとしていた廊下の先に、女王――子豚・ヴァシリーサの姿を見出していた。
「誇るべきこの双乳、隠す必要などなかろう。晒け出し、誇示するが良かろうて。貴様もそれだけの価値ある乳を持っておるのじゃからの」
 言葉通り、己の胸――ドレスの胸元を開け放ち晒け出し、頂にスペードのニプレスを貼っただけの巨大な肉果実を見せつけるかのように大きく揺らしてみせるヴァシリーサ。睥睨するその瞳は、るこるにもそうするべしと言わんばかりの輝きを帯びて。
「貴様の乳、実に見所がある。妾に忠誠誓うならば、我が槍の業、指南するも吝かではないが――」
「お断りですぅ!」
 るこるの胸を見ながら続けるヴァシリーサの言葉を跳ねのけ、るこるは祈る。己の奉ずる豊乳と豊穣の女神へと。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ――!」
 祈りが結ばれ、るこるの身が形を失い光と変じる。そしてそのまま、文字通りの光速にて城内を駆けていくのであった。

 そして程無く、るこるは城のキッチンへと到着する。
 壁際を見れば何十斤とある食パン、巨大な冷蔵庫の中にはありとあらゆる食材が揃う。これならば予定の料理も問題なく作っていけるはずだ。
「さてぇ、追いついてこられる前に色々作っていきましょうかぁ」
 言いつつるこるが冷蔵庫から取り出してきたのは、幾つかの卵とレタス、それにトマトとベーコン。
 材料が揃えば早速料理を開始。卵を茹でて殻を剥き、マヨネーズと和えながら潰していってフィリングを作ったり、レタスを千切り広げたりトマトを輪切りにしたり。着々と料理を進めていく。

「ほう、よもや料理を行っているとはのう。じゃが、ここまでよ!」
 料理開始から少しして、ヴァシリーサがキッチンへと進入。その手の槍を構え、るこるへ突きかからんとする――が。
「そう仰らず、此方を頂いてくださいませぇ」
 その機先を制するかのように、るこるは一枚の皿を差し出す。その上に乗っているのは、三角形に切られた食パンの間に、様々な食材が挟まれた料理――そう、サンドイッチである。
「なんと? ――うむ、良いじゃろ」
 差し出されたそれを、特に疑問を浮かべることもなく受け取るヴァシリーサ。女王はこの国で作られた料理を断ってはならぬ。それがこの国の掟であるが故に。
 細い指が、サンドイッチの一つ――間に卵のフィリングを挟んだ卵サンドを手に取る。そして口に運ぶ。
「…うむ。砕いた卵の溶けるような食感に、マヨネーズのクリーミーな舌触りがよく合っておる。それに、この卵は半熟か。尚のこと溶けるような味わいを感じると思えば――うむ、美味よ」
 その味わいを、ついつい解説してしまうヴァシリーサ。表情の傲慢さは消えないものの、目つきは先程より柔らかく感じられるように見受けられる。
 そして卵サンドを完食すると、次に手を伸ばすはトマトとレタス、それにベーコンを主に挟んだBLTサンド。
「…瑞々しき野菜と、塩気のきいたベーコン。互いが互いを引き立てあっておる。そこにトマトの甘みも感じられ、それぞれの素材の味わいを存分に活かしておるのう」
 頷きながら、BLTサンドを食べてゆくヴァシリーサのもとに、再びるこるが皿を持ってやってきた。
「次は少し変わり種ですよぉ」
 実はるこる、ヴァシリーサがサンドイッチを食べている間も調理を進めており、完成次第追加で彼女のもとへ持って行くという作戦を立てていた。これにより調理中に攻撃される危険を最大限減らし、且つ可能な限り長時間彼女を食事に縛ることを意図したものだ。
「ほう、これは何とも味の想像がつかぬものよ」
 受け取ったヴァシリーサ、BLTサンドの完食と共にそれらを食し始める。
「海苔とチーズ。このような組み合わせを見る日が来ようとはのう。じゃが悪くない。甘味と塩辛さは混ざっても決してミスマッチとは言えぬ感じじゃな」
「ハニーマスタードで味付けしたチキンか。これもまた甘く辛く、実に食欲を煽ってくる味わいよ。チキンもよく肉が詰まって食べ応え充分じゃ」
 サンドイッチを食すたび、逐一その味を語るヴァシリーサ。その瞳が僅かにとろんっと垂れてくる。情報通り、食事によって眠気が増してきたらしい。
 このまま色々な料理を食べさせ、眠りに追いやるのが此度の勝利条件。その為には更なる料理が必要だ。るこるは改めて意を決し、追加のサンドイッチを急ピッチで作ってゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イヴェッタ・レチアーノ
殺され働かされ個性も奪われる、ブラック中のブラックね
今はメイドでも個性が尊重される時代よ、メイドの見本を見せてあげるわ

調理中は野菜やハムに海老をまな板の上ではなく空中で
華麗に皮むきしたり包丁さばきでバラバラに切る演出や、
ピザ生地を踊る様に回して広げるパフォーマンスしていくわ

UCの『御客様の為の時間』も使用して楽しんでいれば何事もないけど
少しでも楽しめないなら行動速度を遅くなって貰うわ
王には効かないでしょうけど無理やり下僕にされた
アリスや愉快な仲間は楽しめないでしょうね、
遅くなった彼らで足止めして攻撃の射程範囲から踊る様に避けるわ

さあ私自慢の海老・ハム・明太子・アスパラの四色ピザを召し上がれ♪



「…む。何やら眠気が来おったわ。いかん、眠る前に不届き者を処刑せねば」
 瞼をしぱたかせつつ、女王、子豚・ヴァシリーサは再びキッチンを歩む。視線を前へと向ければ、その先には調理作業中のメイドが一人。なれど身に纏うメイド服は、随所にサイバーチックな意匠を有し、色も派手な赤基調。何より、上半身を大きく露出させ、豊かな胸元を強調した装いは、正道のメイドからは離れた代物である。
「来たわね、ブラック女王様?」
 気付いたメイド――イヴェッタ・レチアーノ(囚人番号壱零零壱・f24458)は、作業の手を止めることなく言い放つ。
「何じゃと?」
 唐突な物言いに怪訝な表情をするヴァシリーサ。確かに己の装いは黒が多いが。
「だってそうじゃない、殺され働かされ個性までも奪われるなんて、ブラック中のブラックでしょ?」
 答えながら、イヴェッタはその両手に海老を一尾ずつ取る。器用な指捌きにより頭がもぎ取られ、殻が剥かれて。
「あれのことかえ? あれらは最早妾の所有物、如何に扱うとて妾の勝手じゃ」
 どうやら、引き連れたメイド達――殺した愉快な仲間達やアリス達を、ユーベルコードで己の下僕に相応しい姿で操っていることを言っているらしい。そう判じたヴァシリーサの答えは、正しく暴君の論理。
「時代遅れの遺物の思考ね。今はメイドでも個性が尊重される時代よ?」
 正道のメイドからは大きく外れた、イヴェッタのメイド服。しかしそれもまた多様性の一環であると。そう誇るかの如く、スカートを翻して。くるり、その身を一回転させながら、皮を剥いた海老をボウルへ放り込む。
「下らぬ。貴様如き貧相な乳の娘の戯言など無価値よ」
 イヴェッタも常人の基準で言えば充分に豊かな胸の持ち主だが、この爆乳女王の目には貧相と映るらしい。
「殺せ。死した後、妾の僕に相応しき乳に作り直してくれようぞ」
 背後のメイド達に命令を下す。応え、メイド達は槍を手にイヴェッタへ迫ろうとする――が。
「――何じゃ。貴様ら、何をしておる」
 眉間に皺を寄せ、訝しげにヴァシリーサ。メイド達の動きが、不自然な程に緩慢である。ふざけているのか。否、そのような自意識などとうに奪ったはずだ。ならば何故。
「当然でしょ? そんな状態で『楽しむ』ことなんてできるわけがないじゃない」
 ハム、玉葱、アスパラガス。食材を宙空へ放り上げては、包丁を素早い手捌きで振り回しながらイヴェッタが応える。宙空の食材は、落下を始める頃には細切れとなって、そのまま俎板の上へと落ちてゆく。
 その動きは、あまりにも華麗なクッキングパフォーマンス。単なる作業に留まらず見る者を楽しませもする、二重の意味にてメイドの仕事として相応しき行い。それは彼女のユーベルコードと合わさって、パフォーマンスを楽しめぬ者の時間を置き去りとする力を発揮する。その結果が、現状だ。
「貧しき乳の分際で妾に意見するか! なんたる増上慢…!」
 侭ならぬ状況が、苛立ちを募らせるか、ヒステリックな声を上げるヴァシリーサ。自らイヴェッタに突きかかろうとするも、彼女自身もまたイヴェッタの術中。メイド達程ではないものの速度は遅い。
「その言葉、そっくりそのままお返しするわ。少しは謙虚さを覚えなさいな」
 片手の指の上、ピザ生地を回しながら言葉を返すイヴェッタ、その足取りは踊るように軽やかで。迫らんとするヴァシリーサから巧みに距離を取ってゆく。

 そして広げたピザ生地の上、トマトソースを塗って。切った食材と殻を剥いた海老、それらに加えて明太子、そしてチーズを乗せたらピザ窯へ投入。ユーベルコードの効果が切れる。
「忌々しい貧しき乳めが! 妾の乳に平伏せよ!」
 元の速度を取り戻したヴァシリーサ、その旨の巨峰を激しく揺さぶりながら槍を繰り出す。巻き込まれたメイド達が次々と引き裂かれ倒れてゆく。イヴェッタもまた躱し切れず、赤のメイド服や地肌を裂かれてゆく。その
 一気に止めを刺さんと繰り出された槍の一突きを後方宙返りで回避すると、着地地点は丁度ピザ窯の前。時間だ。
「さあ完成よ、私自慢の海老・ハム・明太子・アスパラの四色ピザ!」
 ヘラを窯へ突き込み、引き出す勢いのままヴァシリーサの前へと突き出せば。その上には赤・白・緑の彩り鮮やかな焼き立てのピザ。
 召し上がれ、とイヴェッタに促されれば、異論を挟むこともなくヴァシリーサはその一切れを取って食す。差し出された料理を断るは許されぬ、その掟に従って。
「ぬ…これは…」
 ヴァシリーサの瞳が見開かれる。純粋な驚きで以て。
「…海老の弾力豊かな歯応え、アスパラの瑞々しき食感。ハムの塩気に明太子の辛味。このピザ一枚に、これ程までに多様な味わいと食感を両立させおったか…」
 素晴らしい、そんな純粋な称賛さえ漏らしながら、ピザを口に運ぶヴァシリーサの手は、最後の一切れを食すまで止まることがなかった。その瞼の重たげに閉じかかる様もまた、同じく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
敵の相手はシャーリーに任せ、俺は【料理】に専念する。
(理由:目の毒だから)
「オウガを倒す為に料理を作る」んじゃない。「美味い料理を作る」。それだけだ。
あ、でも邪魔する奴は【不可侵厨域】で蹴り飛ばすから1m以内に近寄るなよ?

相手は女性だからスイーツ系で。
アーモンドミルクとココナッツペーストのパンナコッタにカラメルソースでスペード柄を描いて出来上がり。
パンナコッタってクリームを使うのが多いけどこういうのも面白いだろ?

もちろん、こいつは倒すべき敵だってのには変わりない。
それでも料理を振る舞う以上は心も趣も込める。
せめて最期に最高の食事を楽しんで欲しい。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ううっ、彼我の戦力差(※どこがとは言わない)は歴然としてるけど戦いは物量だけで決まるんじゃないんだよっ!

だけど女王にはボクの攻撃は通じない
けど、ウィーリィくんが料理を完成させるまでの時間は稼いでみせるよ!
【エクストリームミッション】を発動させて、【制圧射撃】で足止めしながら周囲を飛び回ってその大きなお胸を【ロープワーク】で縛り上げる
攻撃が通じなくても束縛は有効なはずだし、何より感覚までは無敵って訳にはいかないよね?
ロープを操ってUCの代償で感度が上昇した胸を刺激して無力化させる

これだけがんばったんだから、後でボクの分もデザートお願いね?



「…俺は料理に専念する! シャーリー、相手は任せた!」
 キッチンにて子豚・ヴァシリーサに出くわしたウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は、即座にその相手を相棒に任せることを決定。理由は単純明快。ヴァシリーサのその姿、巨大な双の胸房を惜しげもなく晒け出した姿が、あまりにも彼にとって目の毒であったためだ。
「って、ウィーリィくーん!? でもまあ、仕方ない…!」
 いきなりの丸投げに驚くシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)だが、すぐに気を取り直し迫るヴァシリーサを見据える。元より料理はウィーリィの領分、ならば己は己の領分を果たすのみだ。
(でも…うぅっ。彼我の戦力差は歴然…!)
 迫るヴァシリーサ、迫る爆肉連峰。シャーリーも十二分に豊かなものを持ってはいるが、眼前のそれは己を更に圧倒して余りある。
「で、でも戦いは物量だけで決まるんじゃないんだよっ!」
「叶わぬと見て尚強がるか。いじらしいことよの」
 己を鼓舞するよう叫ぶシャーリーに、傲慢な憐憫を以てヴァシリーサは返す。
「じゃがその意気は認めようぞ。其に免じ、我が肉を昂らせることを許す」
 続けての宣言と共に、ヴァシリーサに変化が生じる。その胸と下腹を覆うスペードの印が形状を変え、前方へと突き出てゆく。その様は槍。元より手に持っていた一本を併せ、計四本の槍をその身に携えた姿へと、ヴァシリーサは変化を果たす。
「な、何なのそれー!? でもボクだって…!」
 その異様な威容を前に怯みかけるシャーリーだが、何としてもウィーリィが料理を完成させるまでの時間は稼ぐ。その意思のもとユーベルコードを発動。呼び寄せたサメ型宇宙バイクをパワードスーツと変形させて装着、戦闘態勢を取る。
「史上最大の凶暴すぎる竜巻、戦う覚悟はあるっ!?」
「斯様に貧相な乳で史上最大とは片腹痛いわ!」
 見得を切って見せるシャーリーに対し、ヴァシリーサは嘲笑と共にその双乳を大きく揺さぶってみせる。その頂より伸び出る黒き槍が、荒波じみてうねる軌道を描きシャーリーへと襲い掛かる!
「なんのぉ!」
 空中へと飛び上がり、スーツに内蔵した機銃とその手に抜いた熱線銃とを掃射する。敵が無敵であるのは百も承知、足止めを目的として放った攻撃であるが。
「痒みすら感じぬわ!」
 だがヴァシリーサは怯みすらせず跳躍。弾幕を真正面から突っ切ってみせシャーリーへと迫る。
「えぇっ!? 止まりすらしない!?」
「貧しき乳に勝てる道理無しじゃ! 喰らえい!」
 振るわれた爆乳――の先の黒槍が、シャーリーを強かに打ち据え。右方、遥か向こうまで吹き飛ばしてゆく。
「……おぉぉぉ…んっ」
 着地したヴァシリーサ、悩ましげな声と共に身を震わす。この槍は彼女の胸の頂きを揺さぶり、常より感度を大幅に増したそこを刺激するのだ。

 一方、ウィーリィは早速料理に取り掛かっていた。
「オウガといっても女性だしな…ここはスイーツでいくか」
 今やかの女王はオウガであるより前に『己の料理を食べさせる相手』。故に己の手を尽くし、心も趣も籠めて『美味い料理を作る』。それが料理人たるウィーリィの矜持である。
 ゼラチンを用意する間に、アーモンドミルクとココナッツペーストを鍋に投入、加熱しながら混ぜてゆく。温度は80~90度程。焦がさぬように注意しつつ。
「ほう、貴様も料理をせんとするか。妾の城で、断りもなく」
 そこに迫るヴァシリーサ。四槍をかざし、彼女に背を向けたまま料理に専念するウィーリィ、その身を串刺しにせんと槍を――
「――料理の邪魔だ!!」
「んなぁっ!?」
 唐突に割り込むウィーリィの怒声。と同時に繰り出された強烈な後ろ蹴りが、ヴァシリーサの巨大な肉果、その狭間に埋もれた鳩尾へ見事に命中。ダメージ自体は無くとも、その衝撃は無視できぬ。堪らず元来た道を逆に吹き飛ばされていくヴァシリーサ。
「お、おのれ不敬な…んおぉっ!?」
 怯まず起き上がり、再度ウィーリィへと攻撃を仕掛けんとするヴァシリーサだったが。不意にその口から裏返り気味の声が漏れる。
「む、胸が…はひぃぃっ!?」
 胸から伝わる猛烈な刺激。背筋がびくびくと震え、足腰から力が抜ける。見下ろせば、胸の頂に備わった槍に、何やら細い紐状のものが擦れて――
「ぅ…っぐ、動けぬ…ぅひぃぃ!?」
 気付けば身動きも取れなくなっていた。その身を何かが物理的に戒めると共に――槍へと擦れて、猛烈な刺激で脱力を強いてくる。何があったというのか。辺りを見回すヴァシリーサは、程無くその原因を見出す。
「やっぱり! ダメージは受けなくたって、刺激はしっかり伝わっちゃうんだねっ」
 ヴァシリーサの傍ら、勝ち誇ったように笑ってみせるシャーリー。先程の攻撃を受けた後すぐに復帰した彼女、ちょうどウィーリィの攻撃を受けたヴァシリーサが吹き飛んできたのを見て、ワイヤーによる拘束を試みたのだ。
「んぉぉ…っ、こ、この程度、ぉほぉぉぉぉ!?」
 ワイヤーを引き千切らんと身体に力を籠めるヴァシリーサであったが、その動作で槍へとワイヤーが擦れ。伝わる刺激が脱力を強いる。
「逃がしはしないんだからっ! 黙ってウィーリィくんがお料理仕上げるのを待っててもらうよ!」
 より強くワイヤーを引き絞り、ヴァシリーサの拘束の度を強めながら、シャーリーの視線はキッチンの奥へ。
「よし、これで後は冷やすだけだな」
 料理を続行していたウィーリィ。先程加熱していたアーモンドミルクとココナッツペーストを混ぜたものにゼラチンを加え、鍋を氷水にあてて粗熱を取り、器に注ぐ。それを冷蔵庫に収め、待つこと暫し。
 尚、実際は1時間以上待つことが必要となるが、そこは不思議の国の冷蔵庫ということか、僅か数十秒ほどで適切な温度まで冷えていたとか。

「さあ完成だ、アーモンドミルクとココナッツペーストのパンナコッタ!」
 そうしてヴァシリーサのもとへと出されたのは、透明な器に盛られた褐色のパンナコッタ。上面にはカラメルソースでスペード柄が描かれている。ヴァシリーサの局部を覆うスペード型に由来したものか。
「ほう…?パンナコッタといえば、生クリームを用いるのが定番じゃが」
 面白いのう、と興味深げに呟くヴァシリーサ。拘束が解かれたところで器を受け取り、食し始める。
「…うむ、アーモンドの香ばしさとココナッツとカラメルの甘みが口の中で無理なく混ざりあってきおる。何より、このとろけるような口当たり。これこそパンナコッタじゃ」
 半ばうつらうつらしながらも、口は止まらず。スプーンを繰り、パンナコッタを食してゆく。
「…ねえ、ウィーリィくん」
「ん?」
 その様を眺めつつ、徐にシャーリーがウィーリィに問う。
「ボクも足止め頑張ったんだからさ…ボクにも、デザートお願いね?」
 もとい、己にもスイーツを、とのおねだりであった。お前の分も作ってやるから後でな、と苦笑交じりでウィーリィが答えれば、シャーリーの表情が一気にぱっと明るくなったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミルケン・ピーチ
アドリブ連携歓迎

引き続きピッグガール衣装
こっちの人の方が豚さんじゃないですか、何で私の方がこんな格好を…

相手はたくさんの槍で攻撃してくるみたいなので、敵の目の前で料理するという不利な行動で【ジャスティス・ペイン】発動、強化された体で動きを【見切り】つつ、【早業】と【念動力】を駆使して料理します

料理は大きめの塊のままの色々なお肉やバイナップル、大きなキノコなどを竈に放り込んでいくつも焼きます
焼きあがったら竈からだし、【カウンター】で敵の突き出した槍に放り投げて次々と【串刺し】にしていきます
というわけで敵の武器を串にした巨大バーベキューの歓声です!
相手が食べている間にも追加で焼いては刺して行きます



 眠い目を擦りながら、子豚・ヴァシリーサは新たにキッチンに現れた猟兵へと視線を向ける。現れたのは、豚の耳と尻尾をつけたレオタード姿の少女――ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)だ。
「…あなたの方がよっぽど豚さんじゃないですかー!」
 ヴァシリーサと向き合った瞬間、何やら激した様子でピーチが叫ぶ。己のコンプレックスを存分に刺激する衣装の着用を余儀なくされている彼女、己より肉付きの良い女王の姿に思わず溜まったものが爆発してしまった様子。
「…何を言っておるのか分からぬが。それは誇るべき我が乳への侮辱と見た」
 名前に『豚』と入っているが故か、豚呼ばわりそのものは問題としない構えのヴァシリーサであったが。寧ろその発言意図を推察し、悪意ある言葉と理解したらしい。
「我が僕に相応しき乳の持ち主と言えど。その不敬は死を以て贖って貰うぞ」
 ヴァシリーサは槍を構える。その胸の頂と股間、三つのスペード型ニプレスもまた槍の形を取り、計四本の槍がピーチへと向けられる。隙なき構え、そして確かな殺意。
「そうはいきません! 豚さんには豚さんに相応しい姿になってもらいます!」
 なれどピーチも無論怯んでなどおらぬ。女王を指差し堂々と宣言してみせれば、徐に走り出す。向かう先はヴァシリーサ――ではなくキッチンの冷蔵庫だ。素早く入り口を開き、その中で食材の選定を開始するピーチ。
「ええと、これとこれと…これも持っていきましょう!」
 幾つかの食材を抱え冷蔵庫を出れば、狙い澄ましたようにヴァシリーサの胸の槍が突き出されてくる。そこを狙い穿つべく、扉の前で待ち構えていたのだ。
「邪魔をしないでください!」
「んおぉっ!?」
 だがピーチが迫る槍穂を睨めば、発現した念動力が反発力を形成。胸槍を弾き、感度の上昇したそこへの衝撃にヴァシリーサがのけ反る。その隙にピーチは料理を開始。
 包丁を手にパイナップルの皮を剥き、大きなキノコを半分に切る。それらを肉の大きな塊共々、竃の中へと放り込んで強い火で一気に焼き上げていく。
「ええい、小癪なやつめ!」
 そこに復帰したヴァシリーサが迫り、今度は股間部の槍を突き出してくる。
「言ったはずです、邪魔はさせないと!」
 再び念動力で槍を逸らせば、すぐさま調理に戻るピーチ。その切り替えはまさに早業。そして何より、「敵の目の前で料理を行う」という不利な状況に敢えて自ら飛び込んだことがユーベルコードを励起し、ピーチの身体能力を大きく底上げしていた。今の彼女ならば、ヴァシリーサの振るう槍の機動も見切り、躱すことが充分に可能となっているのだ。
 そうこうしているうちに、パイナップルとキノコが焼ける。素早く竃から取り出すピーチ。そこへ幾度目かのヴァシリーサの槍が迫る。
「丁度良いです、これを喰らいなさい!」
 だがそこでのピーチの反応は違った。今しがた取り出したパイナップルとキノコを、次々にヴァシリーサ目掛けて投擲したのだ。まさかの己が作った料理を自ら放棄する行為、とも見えたが、そうではない。
「ぬおっ!?」
 驚き、反射的に己の手の槍を突き出すヴァシリーサ。するとパイナップルとキノコは槍に貫通され、文字通りの串刺し状態となる。
「そしてこれが本命ですよ!」
 更にピーチが投げたのは分厚い牛肉だ。ほどよく焼けたミディアムレア。ヴァシリーサがこれも串刺しとすれば、そこに現出したものは。
「こ、これは、まさか…!?」
 槍に一列で串刺しとされた牛肉、キノコ、パイナップル。それはさながら、巨大なバーベキューの串のようにも見えた。
「さあ、どうぞ召し上がってください!」
「む、ぬ、ぐぅ…!」
 投げ渡すという形ではあるが、これも立派な料理。故に食べないと選択肢は無い。先頭の肉から齧りついてゆく。
「ほう…調味料はブラックペッパーのみ、あくまで素材そのものの味に拘った牛肉、というところか。良いではないか」
 シンプルな味付けにより、肉そのものの味わいが存分に感じられるその肉を、ヴァシリーサはあっという間に食べきった。続いてキノコ。
「これは…焼いたキノコがここまでの香ばしい味を出すのか。肉とは違った意味では食べ応えのあるものよ」
 そしてパイナップルを口にすれば。
「パイナップルを焼いた上で肉などと共に食す…! ゲテモノの類と思っていたが、甘味がより強くなったように感じられるな…!」
 あっという間に三つの食材を食べきったヴァシリーサ。だがそこに更に飛んでくる、皮を剥いだだけの南瓜や一羽丸ごとの鶏肉、芯を抜いただけで一玉丸ごとのキャベツ。これも思わず串刺してしまったヴァシリーサ。
「おかわりは沢山ありますから!存分に召し上がってください!」
 尚も様々な食材を竃に放り込みながら促すピーチ。ヴァシリーサが食べている間に次々と追加の食材を焼き、供していく作戦だ。
 これが功を奏し、ヴァシリーサはひたすら飛んでくる肉や野菜を串刺しとしては食べていく流れを余儀なくされ。食べきる頃には、すっかりウトウトしてきてしまったようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

彩姫・いちご
【姫】
妹がすっかり幼児化してます
普段を考えると、ある意味このままでもいい気も

まあ、おままごとやらせて、代わりに私が守る役を…
…いや待て、このクローンボディにはまだそこまで戦闘能力は持たせてない
しかたない、【言葉】巧みに妹の料理への期待を煽りつつ、時間稼ぎに閲しましょう
「もう少しお待ちを。妹の心のこもった料理が出てきますので」
おままごとの料理ですがね…

妹から泥団子渡されてそれを口車で食べさせて
…あとはどうにでもなれですね

で、さくらは何を言って?
オリジナルの代わりにいただいてやろうかしら……?
いや、それよりこれ録画してあとで正気に戻ったら見せてあげたいかも?
どうせそれで殴られるのはオリジナルだし


高原・美弥子
【恋華荘】

と、とりあえずイグニッションカードでイグニッション!して、大事なところ丸出し状態な逆バニーから銀誓館学園高校女子制服に着替えるよ!
ふぅ、いちごのラッキースケベで見られただけなら、まだいい方かな?(感覚マヒ)

いちごと一緒にキッチンに走って調理するよ!
あたしは焼き鳥作るけど、いちごが主に調理だね!
敵の攻撃を斬馬刀・白陽と妖刀・黒陽で槍を切り払ったりで防いで、調理中のいちごを護るよ!
というか元々持ってる焼き鳥(ソウルフード(サムライエンパイア))も食べさせてやる!
いちごから焼き鳥受け取って、熱々のまま串ごと口に放り込む!
ひゃん!?やっぱりラキスケを!
あ、あとであーん!とかしてもらうからね!


彩波・いちご
【恋華荘】
美弥子さんの逆バニー姿、というかその後のが目に焼き付いてますが…ええ、着替えあるなら着替えてくださいね
…私バニーのままですけど

というか敵の姿がさっきの逆バニーみたいで思い出してしまいそうですがっ

ともあれ料理なら私メインでいけます
美弥子さんお得意の焼き鳥を私も
手際は私の方がよかったりしますし…
美弥子さんに守られながら手際よく焼いて、焼いた先から美弥子さんに渡して食べさせますねっ

受け渡しの時に手足が滑って事故が起きたような気がしますけど、気にしてる場合ではっ
…すみません
でもそんなスリットつきミニスカートに下着なしは色々見えてしまうのです(赤面
事故のお詫びは私の手料理でなんとかーっ


彩波・さくら
【姫】
「わーい、いちごー、おりょうりだってー!
きっちんにいこっ!」

けど、なんか、わたしたちに、やりをむけてくるひとがいるね?
おにごっこかな?

「じゃあ、いちご、わたしがおよめさんやくね!
りょうりができるまで、おしごと(おにごっこ)がんばってね!」

えぷろんをつけて、だんなさまに、こころのこもった、おりょうりをつくるよ!

「はい、いちご、わたしがつくった、おりょうり、めしあがれっ!」(泥で作った料理を笑顔で差し出す

あ、じゅんばんがちがったけど、これ、いわなきゃ。

「いちご、おふろにする?
ごはんにする?
それとも、わ、た、し?」

えへへ、いちごなら、わたしをたべちゃっても……いいよ?(にっこり



「イグニッション!」
 悪戯兎達を全滅させたばかりの森に、高原・美弥子(ファイアフォックスのファイアブラッド・f10469)の声が響く。その手に掲げたカードから銀色の炎が溢れ出し、彼女の身を包み込んだかと思えば、その着衣が先程まで着ていた逆バニーから濃茶色のセーラー服へと変化した。スカートに入ったスリットとそこを結ぶリボンが特徴的だ。
「…これで一安心、ですね…」
 露出は控えめな美弥子の姿に、彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)はほっとしたように一息つく。先程までの逆バニー姿、寧ろその後のあられもない姿が瞼裏に焼き付いてはいるが、実際に見る彼女の姿がそうであるのとでは流石に違う。
「まあ、いちごのラッキースケベで見られただけなら、まだいい方かな」
 頷いて美弥子は応える。過去にもいちごとの間に似たようなとらぶるを幾度も経験しているせいか、異性に裸体を見られたにも拘らずあっけらかんとしていた。尤も、まだいい方と言うように、羞恥を感じていないわけではないが。
「ところで、いちごは着替えないの?」
 一方のいちごは、先程までのバニー姿のままであった。
「私はまあ、このままでも悪くはないかなと…」
 実際、男性であるにも拘らず、その装いに全く違和感がないいちごである。美弥子も納得したかのように頷いたとか。

 そしてやってきた女王の城。
「さっきの逆バニーみたいな恰好じゃないですかー!?」
 現れた女王、子豚・ヴァシリーサの姿を見たいちごの第一声はそれであった。確かに、手足にはドレスとニーハイソックスを身に着けているものの胸も股間も局部以外丸出しというその姿は逆バニーに通じるものがある。
「…妾の正装に異論を唱えるか。不敬よの」
 一方のヴァシリーサだが、既にここまでで色々な猟兵から食事を食べさせられてきたせいか眠そうな様子である。いちごの様子を見て不快げに反応するものの声音は眠たげだ。
「もう大分眠そうだね! よし、後一押し頑張っていくよ!」
 美弥子の声にいちごも頷き、二人でキッチンに走ってゆく。追うヴァシリーサ。

「あたしといったらやっぱりこれだよね!」
 キッチンにて美弥子が冷蔵庫から引っ張り出してきたのは多数の鶏肉、そして木串。彼女の実家の家業、即ち焼き鳥である。
「ええ、手早く作って焼いていきましょう」
 モモ、皮、せせり、胸肉。二人で処理をし、木串に刺してゆく。
「妾の城で勝手なことを。疾く処断してくれようぞ」
 そこに追いついてきたヴァシリーサ。その胸と下腹に貼りついたスペードの印が形を変え、三本の槍となってそそり立つ。
「げっ、もう追いついてきた! いちご、続きお願い!」
 炭火を用意していた美弥子だったが、迫るヴァシリーサに気付けば即座に動く。白銀の斬馬刀と漆黒の妖刀、二刀を抜いて、四槍を構える爆乳女王へ斬りかかってゆく。
「わ、分かりましたっ」
 いきなり飛び出していった美弥子に驚くいちごだが、己に任ぜられた役割を果たすべく気を取り直し動く。即ち二人で用意した焼き鳥を焼いていく作業だ。
 美弥子が炭火を用意している間に作ったタレを肉へと塗っていき、炭火の上で焼き始める。別の串幾つかには塩を振り、これも同様に焼く。こうした作業は無論美弥子もこなせるが、いちごの方が手際が良かったりする。
 串を回して焼け具合を確かめつつ、いちごは足止めを買って出た美弥子へと一時意識を向ける。そこでは、刀と槍の丁々発止が展開されていた。

「変幻自在の燃える二刀流、受けてみろっ!」
「ふん、我が豚房流槍術の前には児戯同然じゃ!」
 白き破魔の炎纏う斬馬刀を振るう美弥子、その手に携えた槍で受け止めるヴァシリーサ。返しとばかり左胸の槍が伸び、美弥子の脇腹を狙う。美弥子、黒き呪詛の炎纏う妖刀にて斬り払う。
「んおぉぉ…っ」
「っ!?」
 不意にヴァシリーサの口から漏れる悩ましげな声。槍持つ部位の感度を増すという、彼女のユーベルコードの代償ではあるのだが、戦闘中に漏らす声とは思えず。驚いた美弥子の姿勢が崩れる。
「――隙ありじゃ!」
 そしてそこを見逃すヴァシリーサではない。手に持つ槍を突き出し、美弥子の胸を貫かんとする。
「やばっ!? ええい、これでも喰らえっ!」
 防御は間に合わない。ならば、と美弥子は妖刀を捨てつつ身を反らして刺突を回避。そして空いた手から何かをヴァシリーサ目掛けて放った。
「むっ! …これは?」
 受け止めるヴァシリーサ。それはよく見れば木串、それも肉――焼けた鶏肉の刺さったもの。そう、焼き鳥である。
「あたしの実家直伝の焼き鳥だよ! しっかり味わって食べなさい!」
 それは美弥子が常備している、実家直伝の技で焼いた焼き鳥。どうやらこれにも食べることを拒めないルールは有効らしく、受け取ったヴァシリーサは攻撃の手を止めそのまま食べ始めた。
「…ほう、ほどよい塩気に少々ピリっとした辛味が肉の旨味をよく引き出しておる。何がかかっておるのじゃ?」
 そしてしっかりと品評もしてみせるが、先程まで以上に眠そうな様子は見せない。食べることは食べるが眠気は誘えないらしい。
「実家秘伝の調味料だよ! 配合は企業秘密!」
 だが時間を稼ぐ役には立った。直後に響くいちごの声。
「美弥子さん! せせりタレと皮タレ出ます!」
「はいよぉ!」
 素早く反応した美弥子、いちごから焼けたせせりと皮の乗った皿を受け取れば。
「こっちが本命! さあ召し上がれ!」
「むおっ!?」
 先程投げ渡した分の焼き鳥を食べきったヴァシリーサへと徐に投げ放つ。放たれた串は真っ直ぐヴァシリーサの口中へと飛び込み、そのまま彼女は咀嚼しだした。
「…うむ、脂のよく乗った皮じゃ。パリっとした表面に対しぷるぷるの食感を醸す中身。絶妙な焼き加減よの。そして此方の肉は引き締まった肉が良い噛み応えじゃ。甘辛いタレがよく合っておる」
 品評しながら食べてゆくヴァシリーサ。その間にも次々と追加の焼き鳥が焼き上がり、都度いちごから美弥子のへと渡されていくのだが。
「あっ!?」
「ひゃんっ!? や、やっぱりラキスケがー!?」
 手早さ重点で受け渡しているせいか、勢い余っていちごの手が美弥子の胸に当たってしまったり。
「いちごー、何処に目ぇつけてるのかな!」
「す、すみませんー!?」
 美弥子のスカートに入ったスリットから、彼女の健康的に引き締まった太腿どころかその更に上まで見えてしまって、思わずいちごの目線がそこへ向いたり。尚、美弥子ははいてないらしい。
「あ、あとで『あーん』とかしてもらうからね!」
「そ、それくらいでしたらいくらでも! 私の手料理でなんとかーっ」
 などといった遣り取りを挟みつつも、ヴァシリーサにしこたま焼き鳥を食べさせることには成功。かの女王は最早船を漕ぎかけている程の状態に至っていた。後一息である。



「…む…まだ不埒者共がおったか。処断せねば…」
 キッチンの一角にて、すっかりうとうとしていた女王、子豚・ヴァシリーサ。だが猟兵達の接近に気付けば、槍を杖替わりに大儀そうに立ち上がる。果たして、そこに現れた猟兵達とは。
「わー、いちごー! おっきなきっちんだよー!」
 先程悪戯兎から受けたユーベルコードの効果がまだ継続しているらしく、幼児化したままの言動を見せる彩波・さくら(龍神の聖女・f25299)と。
「そうですね、ここでお料理をするように、というお話でしたか」
 無邪気な様相のさくらに対し応えるいちご――と同じ姿をした邪神の眷属、彩姫・いちご(貌のない『姫』・f29728)――以下『いちご』の両名であった。
「まったく、次から次へと害虫じみて…妾の槍にて疾く死に果てるが良いわ」
 眠気を振り切らんばかり頭を振り、その手の槍を二人へ突き付けるヴァシリーサだが。
「なんだろ、このおばさん? なんで、わたしたちに、やりをむけてくるのかな?」
「お、おば…!?」
 不思議そうに首を傾げながら『いちご』に問うさくら。その中の一言がヴァシリーサにぐっさり刺さった模様。
「それよりいちご、おままごとしよっ! わたしがおよめさんやくね!」
「はいはい、じゃあ私はお仕事行ってきますから、お料理お願いしますね」
 そしてそれを気にすることもなく、さくらはおままごとを提案する。本来のさくらであれば正しく料理ができるのだが、幼児化に伴いそれらの技能も失われてしまっているらしい。苦笑しながらも頷き、話を合わせる『いちご』。
(普段を考えると、このままでも良い気はしますが…)
 ぱたぱたとキッチンへ駆けていくその背中を見送りつつ思案する『いちご』。無邪気で素直なその様子を思えば、元に戻ってしまうのが惜しくはなるが。
「ともあれ、足止めは果たさせて――」
 青筋立ててるヴァシリーサへ向き直る『いちご』であったが――ふと、そこで気付く。いちごのクローンとして造り出したこの肉体であるが、その戦闘力は本物に遠く及ばず、猟兵として最低限の戦闘能力しか持たされていないことに。単独で女王たるオウガと渡り合うには、あまりに心許ない。
「良かろう。あの小娘より先に、貴様を串刺しとしてくれようぞ…!」
 眠気で苛立っているのか、ヴァシリーサの声音にもそれまでの余裕は無く。半ばヒステリックにも思える荒い声で槍を構える。
「…いえ、お待ちください女王陛下。私達は陛下にとっておきの料理を献上したく思っておりまして」
 そんな彼女を食い止めるには、一旦遜っておくべきか。慇懃な声音でヴァシリーサに呼びかける『いちご』。
「…何?」
「先程は妹の無礼な発言、大変申し訳ございませんでした。その償いとして、只今心を込めてお料理の最中ですので…暫し、お待ち頂けますでしょうか」
 エプロンを着け、旦那様――『いちご』の為にと一生懸命料理…らしき事をしているさくら。彼女の様子を横目に見つつ、卑屈とも見える程に低い物腰で『いちご』は続ける。その様子に毒気を抜かれたか、ヴァシリーサも槍を下ろして。
(…おままごとの料理ですがね)
 つまりまともな料理は望めない――その点は黙ったままの『いちご』であった。

 そして数分後。
「はい、いちご、わたしがつくった、おりょうり、めしあがれっ!」
 さくらが盆に載せて持ってきたその料理は――
「――何だ、これは」
 茶碗に入った泥の山。大きな皿に乗った泥団子。深い器に並々注がれた泥。幼児のままごとで料理と言えばこういう形にもなろう、と言わんばかりの泥尽くしであった。
「えへへ、きょうのごはんは、たきこみごはんと、ハンバーグと、コーンスープだよっ」
 さくらとしてはそういう意図で作っていたらしい。ままごとに大事なのは想像力。言われてみれば、茶碗に盛った御飯と、ハンバーグと、スープに見えないこともない。
「――というわけです。妹の心の籠ったお料理…『食べてくれますよね』?」
 それを確かめた『いちご』、これを料理であるとしてヴァシリーサに勧める。
「…ぐ、ぬぬ…!」
 苛立たしげなヴァシリーサだが、それが『料理』として作られたものであるならば、食べないという選択肢は無い。そういうルールだ。観念し、添えられたスプーンで食べ始める。泥を。
「…うむ、美味しい。泥水の苦みと、土の食感が互いに存分に主張してきおって…」
 それでも真面目に品評する、律儀な爆乳女王であった。それも、目の前で無邪気な笑顔を浮かべるさくらに配慮したのか、ままごとに付き合うようなノリで。流石に泥以上でも以下でもないその味は正直に言及せざるを得なかったようだが。
「…うむ…随分と…腕によりをかけた…よう、じゃ…な……」
 そしてヴァシリーサの食べる動きは、徐々に緩慢となっていき。やがてはテーブルに突っ伏し、動かなくなってしまった。とうとう、眠気が限界に達したらしい。
「…あ。これ、いうのわすれてた」
「何です?」
 そこでふと、思い出したようにさくらが一言。『いちご』が問えば。
「いちご、おふろにする? ごはんにする? それとも…わ、た、し?」
「…何を言って…?」
 何処でそんな言葉を覚えたのだろうか。唖然とする『いちご』に、さくらは更に。
「…えへへ、いちごなら、わたしをたべちゃっても…いいよ?」
 あまりにも純真無垢すぎる笑顔で宣ってみせるさくら。普段の彼女ならば絶対に言わないだろうその言葉を前に『いちご』は思案する。
(…折角ですし、オリジナルの代わりにいただいてやろうかしら…?)
 邪神の眷属として、欲望には忠実な『いちご』である。オリジナルの実の妹であろうが躊躇する理由など無いのだが。
(…いや、それよりこれ録画して、後で正気に戻ったら見せてあげたいかも)
 ある意味において更に悪質なそのアイデアに思い至ったらしい。どの道、最初から最後までさくらは『いちご』を本物のいちごだと認識しているのだ。彼女がどんな反応を見せるとて、それで被害を受けるのはあくまで本物のいちごだ。
「…さくら。もう一度、最初から言ってもらってもいいですか?」
 スマホのカメラを録画モードに切り替えて、同じ台詞を再度リクエストしてみせる『いちご』。正気に戻った彼女が実際にこの録画を見たのか、そして本物のいちごはどうなったのか。それはまた別のお話である。

 尚、すっかり眠ってしまった女王ヴァシリーサは、猟兵達の一斉攻撃であっさり消滅。
 以て、このハロウィンの国は無事解放と相成ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月30日


挿絵イラスト