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鏗鏘なるディソナンス

#クロムキャバリア #夕狩こあら #きのたけ連合 #機動殲龍『空翔』 #ディソナンスウェイブ #バルコニーパーティー

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「クロムキャバリアでは、どの小国家も主戦力はキャバリアで、空を自由に行き来はできないんだけれど、飛行手段が無い訳じゃないの」
 暴走衛星「殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)」により高速飛翔体が破壊されるこの世界では、輸送に「飛行船」を使うこともある。
 生産施設「プラント」から自国の市街地に向けて物資を運搬する際、飛行船は重要な役目を果たすのだと、その特性を語るはニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)。
 はたらくのりものについて誇らしげに語った彼女は、更に言を続けて、
「今回、とある小国家でプラントから飛行船を積載・牽引したキャバリア部隊が、自国に戻る道中でオブリビオンに襲われる事が分かったの」
 罅割れた道路を走る量産型キャバリア部隊。
 上空から後を追う双翼の機体。
 嵐の如く降り注ぐミサイルに次々と爆破されていく……飛行船を積んだ荷台。
「オブリビオンマシンは物凄い数で輸送部隊の上空に群がるから、部隊はあっという間に壊滅させられてしまう……この悲劇を防ぐ為に動いてくれないかしら?」
 ニコリネが持ち掛ける依頼に対し、集まった者達が示すは「是」。
 人々の命と生活を守ろうと意気込む猟兵の精悍なる表情を見た彼女は、コックリと肯くや詳述して、
「皆に護衛をお願いしたいのは、飛行船を運搬する量産型キャバリア部隊。彼等は躯体を折り畳んだようなビークルモードで走行していて、空からの急襲に反撃できないの」
 彼等の力を借りる事は出来ない。
 猟兵は自身が所有するキャバリアか、彼等と同等のスペックを持つ量産型キャバリアを借りて出撃するのが望ましい。
「敵は低空飛行に優れた空中戦特化型のオブリビオンマシンで、走行中の輸送部隊の後方から雨雲のようにやって来るわ。数が多いから気を付けて!」
 蜂の群れの如く襲い掛かる機動殲龍『空翔』。
 彼等は闇雲に飛んでいる訳ではなく、司令官から発せられる「音楽」によって操られているとは、ニコリネが更に説明して、
「敵機体を撃墜したら、彼等を率いるボスの機影が見えてくる筈よ。ボスは催眠や衝撃破といった多彩な破滅的音楽で此方を脅かしてくるけど、皆なら大丈夫」
 世界に選ばれた猟兵が操るユーベルコードは有用を失わず、超常の異能はキャバリアの武器から放つこともできるのだ。
 猟兵の勝利を確信するニコリネは、すこうし頬笑んで、
「依頼を受けた訳じゃないけど、オブリビオンマシンを撃退したら、輸送部隊や彼等の雇い主、それにオブリビオンマシンに乗っていたパイロットも皆に感謝して、十分な報酬を支払ってくれるわ」
 彼等の国に招かれ、歓待を受けるだろう。
 其処では整備場を借りてキャバリアをメンテナンスする事も出来るし、彼等がこの時期に行っているというパーティーに参加する事も出来るだろう。
「なんかね、この国ではバルコニーをキレイに飾り付けて悪戯なオバケを呼ぶ風習があっるんですって。実際に家に来てくれたオバケにはお菓子をあげるそうよ」
 勿論、本当のオバケではない。
 オバケの仮装をした者なら、大人であれ子供であれ、お菓子で歓待されるのだと楽し気に説明したニコリネは、ここで光を紡ぐ。
「クロムキャバリアにテレポートします。皆、頑張ってきてね!」
 斯くして、蓮の花びらが猟兵を温かく包んだ。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、クロムキャバリアのプラントから飛行船を輸送する量産型キャバリア部隊を護衛する「MISSION:飛行船護衛」シナリオです。

●戦場の情報
 クロムキャバリア各地に存在する小国家のひとつ「きのたけ連合」。
 若者を中心に構成された量産型キャバリア部隊を主力に、今回はプラントから大量の飛行船を積載・牽引して自国に運搬しようとしています。
 第一章と第二章の地形は、舗装路の他は荒野が広がる米国「ルート66」のような場所で、第三章の舞台は「セリグマン」のようなカントリー調の市街地となります。

●シナリオ情報
 第一章『機動殲龍『空翔』』(集団戦)
 空中戦特化型キャバリア。
 嘗て多くの戦闘機乗り達に愛用された機動殲龍シリーズのひとつ。
 殲禍炎剣から逃れるため、低空での飛行・停止・三次元機動を可能とし、空に想いを馳せる者には垂涎の機体だったのが、オブリビオンマシンとして蘇りました。
 多数の味方機で編隊を組んで強襲します。

 第二章『ディソナンスウェイブ』(ボス戦)
 機体の各部に音響兵器を搭載したオブリビオンマシン。
 動きの遅さを重装甲と音響兵器による広範囲攻撃で補っており、各部の音響兵器は催眠、衝撃破、不協和音と多彩な破滅の音楽を出力します。
 このうち頭部のスピーカーより出力される音楽によって、集団敵の『空翔』を操っています。

 第三章『バルコニーパーティー』(日常)
 飛行船の護衛に成功すると、輸送キャバリア部隊は猟兵に深い感謝を示し、十分な報酬を支払ってくれます。
 皆さんは案内された市街地で自機のメンテナンスをしたり、飛行船の運搬を手伝ったり、人々と交流を図って整備場のバルコニーを飾り付け、パーティーを開いたりしましょう。
 お手伝いやお話相手にニコリネを指定する事も可能です。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。お二人の関係や呼び方があれば、より踏み込んだ描写をさせて頂きます。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 集団戦 『機動殲龍『空翔』』

POW   :    ブリッツウィング
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリア】から【ミサイルと機銃による追尾攻撃】を放つ。
SPD   :    オーバーブーストマキシマイズ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリアを更に加速。敵に近づき翼】から【敵機を吹き飛ばす衝撃波】を放つ。
WIZ   :    ダブルバレルカノン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリア】から【鋼鉄をも貫くビームカノンによる連続攻撃】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 気温25℃、南西の風2m/s、天気は快晴。
 ビークルモードでアスファルト路を走る輸送部隊は、後部に飛行船を乗せた荷台を牽引しつつ、総距離327マイル(約526km)の道を半ばまで走っていた。
 重量のある荷台を牽引している為、あまり速度は出せない。
 それに加え、随分と昔に荒野に敷かれた舗装路には所々に亀裂があり、高速で走れば足を取られて事故を引き起こす可能性もある。
 己が運ぶ荷の重さを良く知るキャバリアのパイロット達は、慎重に操縦桿を握りながら西へ、西へ――我が心の在り処たる『きのたけ連合』を目指していた。
「我等のココロは常にひとつ!!」
「平和を望むココロはひとつ!!」
 平和を求める同志なれば、それこそキノコだろうと、タケノコだろうと心は一つ。
 通信機でいつものフレーズを交換し合った部隊は、この時、快晴の空を覆う黒い影――後尾より迫る黒翼の群れにハッをさせられる。
 雲脚の早い雨雲か。
 季節性の渡り鳥の群れか。
 ――否。
 其こそ狂熱を抱く有翼の躯体――世界に選ばれし猟兵なればこそ識別する事の出来る、オブリビオンマシンだ。
 音楽によって支配された機体は、低空飛行で後方から接近するや機銃を斉射し、荷台を包む白布を撃って飛行船を露わにする。
「ッ、ッッ!!」
 飛行船を護らなくては――!!
 操縦士が汗ばんだ手で操縦桿を握り込めた時、蒼穹が閃光に白んだ。
日留部・由穏(サポート)
こんにちは、日留部由穏と申します
これでも太陽神の生まれです
人々の生活はいつまでも見飽きないものですし、晴れやかに生きてほしいと考えます
人間同士の諍いならともあれ、オブリビオンの影に未来を曇らされるなら私が手を出さない道理はありません
光が届かない所へは、日輪たる私が手を伸ばせばよいのです
特に、各地の卑劣な神々には思う所がありますね

戦闘は超視力と暗視、UDC組織で身に着けた光線銃での銃撃戦です
催眠術は情報収集にも戦闘時の誘導にも使えますので、結構便利ですよ
アートも得意なので騙し絵や罠の隠蔽等も可能です

過剰に負傷を避けるつもりはありません
何があろうと、人の未来を照らし続けることが私の存在意義ですから


姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!


曽我部・律(サポート)
『この力を得たことは後悔していない……』
『私以外の人間が不幸になるところを見過ごすことはできないんでね』
『こういうのには疎いんだが……ふむ、こんな感じか?』
とある事件で妻子を失い、その復讐の為にUDC研究を続けているUDCエージェントです。ですが、UDCを強引に肉体に融合させた副作用として徐々に生来の人格は失われつつあり、妻子の記憶も彼らの写真によって辛うじて繋ぎ止めています。
多重人格者としての別人格『絶』は凶悪なオブリビオンの存在を察知すると、律に代わって表に出てきて戦います。その際、口調は『おい律……うまそうな匂いがするじゃねぇか。代われよ』みたいな凶悪な感じになります。


ラング・カエルム(サポート)
「なんだ、さては楽しいことをしているな!よし、私も混ぜるといい!」
何かと首を突っ込みたがる。とても偉そうだけど人類みな友達だと思っている毎日ご機嫌ハイカラさん。
別に男に間違われてもなんら気にしない。そもそも自分の性別を意識していない。
とてもポジティブ。人類みな友達だけど、悪いことした奴に叱るのも友達。なので誰にだって容赦もしない。容赦なく殴る。容赦なくUCも使う。だって友達だからな!


ケルスティン・フレデリクション(サポート)
みんな、がんばって!
わたしも、おてつだいするね!

こうかで複数攻撃を行う
こうかは光華。
武器を自身の花である勿忘草に変えて戦う
「みんなをいじめちゃ、めっだよ!」

一人称 わたし
二人称 名前を呼び捨て

口調は幼く
言い切る形や「〜なの」「〜よ」言葉尻を伸ばすことも多い

基本的には皆のお手伝い役
戦闘や情報収集、その他言われた事を行います。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。



 飛行船を輸送するキャバリア部隊を護る――。
 彼等を無事に故郷に送り届けるには、轟々と漸近する敵の軍勢を駆逐するだけでなく、飛行船を積む荷台を銃彈から守り、ビークルモードで走るキャバリアと其の進路を守り、そして、オブリビオンマシンの破滅的思想に狂わされた搭乗者をも保護せねばならぬ。
 全てのタスクを実行する事は難しいが、複数で分担すれば間に合うか――。
 猟兵が次々と敵機を撃墜する中、彼等が攻撃に専念できるよう支援に回る者も居た。

「大事な物を運んでいるそうで。手伝いましょう」
 焦眉にあっても日留部・由穏(暁天緋転・f16866)の聲は靜穩。
 白皙の麗顔に微咲(えみ)を湛えた儘、片手に乗せた折鶴をそっと懐に収めた由穏は、キャバリアが牽引する荷台へ軽やかに渡ると、被彈した白布から覗く飛行船を見る。
 まだ本体に大きな損傷は無い。
 だがこれ以上傷付けられては人々が哀しむと櫻脣を引き結んだ麗人は、細頤を上げるや碧落を覆い尽す黒叢――翼機『空翔』を仰いで囁(つつや)いた。
「……人間同士の諍いならともあれ、オブリビオンの影に未来を曇らされるなら、私が手を出さない道理はありません」
 太陽神の生まれたる由穏なれば、光を遮る黒鐵の翼機は看過出来ぬ。
 光が届かない所へは、日輪たる己が手を伸ばせば佳いと、徐に繊手を持ち上げた彼は、【私の慈悲】(カミノジヒ)――己が周囲に310本の白き火柱を顕現させると同時、白磁の繊指が示す方向へ一斉に向かわせた。
「物を灼くのが役目なら、遂げさせれば良いかと」
 驟雨と降り注ぐ鐵彈を、無属性の炎に迎える。
 閃光火花を彈いて向かったミサイルは、荷台に着彈するより先、由穏が紡いだ白き炎に包まれ、蒼穹の最中で炸裂した。
「飛行船の護衛はお任せ下さい。必ず送り届けましょう」
 爆音が大気を震わせる中、優婉なるハイ・バリトンが爽風に攫われた。

 由穏が飛行船の被彈を禦ぐ傍ら、其を牽引するキャバリアを護る者も居る。
「みんな、がんばって! わたしも、いっしょうけんめいおてつだいするね!」
 轟砲爆音に震える蒼穹に向けられる金絲雀の聲。
 聲主はケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)――お日様を集めたオレンジの佳瞳いっぱいに黒鐵の翼機を映した少女は、胸元で雪白の繊指をきゅっと握り込めると、空中で戰う仲間に負けぬ凛然を萌した。
「ここはぜったい、とおさないよ!」
 大事な物を運ぶキャバリアへの攻撃は一切通さない――。
 その為には――と、幾許の間か長い睫を伏せたケルスティンは、次に瞳を開けた時には玲瓏の彩を煌々と、揺ぎ無い信念をもとに光を紡いだ。
「きらめき、まもって!」
 須臾に燿うは【ひかりのまもり】――想像から創造された光の壁は、複数のキャバリアを覆うように大きく広がって、蒼穹より降り注ぐ光砲火彈を禦ぐ。
 丹花の脣は少女の決意を滑らせ、
「――みんなのかえりを、まっているひとがいるから」
 飛行船を無事に届ける。
 キャバリア部隊を怪我なく故郷に帰す。
 その為なら多少の怪我は厭うまいと、ケルスティンは防盾が放つ光に花顔を照らしつつ激戰が繰り広げられる蒼穹を見詰め続けた。

 多くの猟兵が敵機を撃墜する中、大地を疾走するキャバリア部隊を護る――。
 走行するキャバリアの肩部に降り立ち、背より戰ぐ風に月白の髪を靡かせる曽我部・律(UDC喰いの多重人格者・f11298)もその一人だろう。
「あれが……機動殲龍『空翔』、か――」
 聡い聴覚に轟音を拾って蒼穹を仰いだ律は、黒々と群集して飛行する翼機を捉えると、それらが“或る不協和音”に操られて飛んでいる事を思い起こす。
 光を秘めた黒眸は烱々と冱えて、
「……搭乗者はオブリビオンマシンの破滅的思考に狂わされ、其のオブリビオンマシンは別の機体の音楽に統禦されている、と……」
 ならば、と取り出すは『Az-EMP』。
 広範囲の電子機器に状態異常を発生させる「電磁パルス発生装置」を起動させた彼は、電磁パルスが届く限りの『空翔』に干渉し、首魁から発せられる音楽を撹乱した。
「随分とお行儀良く並んで飛んでいる様だが、其も直に崩れる」
 編隊が乱れた瞬間を律は見逃さない。
 彼は宛ら群れから溢れた獣を狩る如く『UDX-8レーザーキャノン』を放ち、超高彈速を誇る魔導砲に次々と『空翔』の翼を撃ち抜いていく。
「彈速は命中率に直結する。――これは持論だが」
 而して律の述べる通りの景が眼前に広がる。
 黒鐵の翼機は輸送部隊を襲う事は叶わず、翼を折られて墜下した。

 仲間の猟兵が次々と機動殲龍『空翔』を撃ち落とす中、呪われた機体に搭乗する操縦士に心を懸ける者も居る。
「彼等はオブリビオンマシンに囚われ、破滅的思考に狂わされた被害者です」
 救恤(すく)うべき命である、と戰場に染む優艶のソプラノ・リリコ。
 聲の主は姫神・咲夜(静桜・f24808)――爽涼の風に遊ばれる烏珠の黒髪を項へ流し、続々と墜下する翼機を乙女色の麗瞳に映した佳人は、白磁の繊指を差し伸べた。
「美し妖し櫻吹雪、荒々しい大地が彼等を打ち砕かぬよう――」
 斉放、【桜の癒やし】――。
 咲夜が丹花の脣に唱うや、祝詞はあえかな櫻の葩弁(はなびら)に、風を集めて疾風となり吹雪となり、半径77m圏内で墜落する機体をそうっと受け止めた。
「――この戰いが終わる迄、お眠りを」
 邪氣に狂う搭乗者の鼻腔を掠めるは、夢寐の花馨。
 櫻の精霊に紡がれる優しい馨りに包まれた操縦士は、極上の眠りに嚮導(みちび)かれると同時、心身に滲む負傷を癒された。
 咲夜は激痛を負う事なく荒野に着いた彼等を保護すると、輸送部隊が此度の長路に備えて用意したというキャンピングトレーラーに運び込む。
「ここなら安全です」
 荒野に置き去りには出来ない。
 其々の故郷は分からないが、取り敢えずは近くの集落で休んで貰おうと思った咲夜は、急いで彼等の救護に回った。

 翼を捥がれ、既に戰意を消失した操縦士を護る――。
 そんな時は、ハイカラさんたるラング・カエルム(ハイカラさんの力持ち・f29868)の存在そのものが有利に働こう。
「なんだ、さては楽しいことをしているな! もしか良いことか!」
 翼を撃ち落とされた『空翔』から次々と搭乗者が離脱し、キャンピングトレーラーへと運び込まれる。
 敵機の操縦士はオブリビオンの破滅的思考に囚われた被害者で、彼等も等しく保護されるべきと仲間より聽いたラングは、成る程と肯くや直ぐに爪先を彈いた。
「よし、私も混ぜるといい!」
 とても偉そうだが、頗るフレンドリーな彼女は敵も味方も気にしない。
 人類みな友達と操縦士に頬笑んだラングは、傍らの救急箱から繃帯を取り出すと、彼が負傷したという腕にグルグルと巻き付けてやった。
「友達だからな! お前も気軽にラン様と呼ぶがいい!!」
「ラ、ランさま……」
「ああ、そうだ!!」
(「声が大きい……それに凄く眩しい……」)
 笑顔が輝いて見えるのは、実際に光を放っているからだろう。
 息を呑む程の燦然は、【ハイカラさんは止まらない】――ラングが非戰闘行為に没頭している間、彼女の後光が眩く光り輝き、その淸らかなるは外部からの攻撃を一切遮断し、生命維持すら不要になる。
 救護にあたる今が其だろう。
 ラングはその存在を以てトレーラーに降り注ぐ光砲火彈を悉く禦ぎ、邪氣に操られていた搭乗者を護り抜いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

月夜・玲
なんてこった…
この世界では交わらない2つの派閥が1つになっているというのか…!
キノコ派が譲歩したのか…流石だなあ


望ましいのは分かってるけど、人の作ったもの使って噂されたら恥ずかしいし…
まあ生身で行く方がゾクゾクするからなんだけどさ
という訳で【Code:F.G】を起動
重力は我が手に有りってね
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
敵の衝撃波及び自分に掛かる負荷は『オーラ防御』で全身をガードして対処
敵に対して武器から重力を放ち地に落とす
後は低空から最大加速!
斬撃の『2回攻撃』で翼を落として機動力を奪い後はコックピットをもぎ取ろう
武器に充分な強度があれば、後は速度で威力はだせるのさ



 猟兵として数多の世界を巡った月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、アゲート(瑪瑙)と耀ける麗瞳に玲瓏も惨憺も映して来たが、中でもUDCアースで見た“或る内紛”は、この目で解決を見る事は無いと思っていた。
 それが、である。
「なんてこった……」
 名残惜しく靉靆(たなび)く光を解いて荷台に降り立った彼女は、飛行船を包む白布にプリントされた「the United Kinoko-Takenoko(きのたけ連合)」に佳聲を震わせた。
「この世界では、交わらない二つの派閥が一つになっているというのか……!」
 なんと、奇跡が此処に在る。
 山地に勢力を築くキノコと、村里で地盤を固めたタケノコの抗争は、選挙という民主的手段ですら幕引けなかったが――と、繊指を頤に宛てて唸った玲は、共に隊章に描かれる両者に感嘆を溢した。
「キノコ派が譲歩したのか……流石だなあ」
 蓋しその聲も、嚴々(いかいか)しく漸近する翼機の轟音に掻き消されよう。
 蒼穹を震わせる音に長い睫を持ち上げた玲は、赫緋の双瞳に軍影を映すや【Code:F.G】(コード・フル・グラビティ)――万物を大地に結ぶ不可視の鎖にアクセスした。
「――重力は我が手に有りってね」
 重力制御、リミッター解除。周囲空間の重力掌握開始。
 普く重力を統禦した玲は、模造神器『Blue Bird』及び『《RE》Incarnation』を抜刀し、間もなく滑空する敵機の衝撃波をオーラの防壁で防遏する。
「ッ、もっていかれそう……だけど!」
 吹き飛ばされそうになる處、重力を操作して持ち堪える。
 グッと脚を踏み込める彼女には矜持があって、
「望ましいのは分かってるけど、人の作ったもの使って噂されたら恥ずかしいし……」
 キャバリアでなく、自身の専用兵器『I.S.T』で戰う。
 UDCメカニックとして、神器遣いとして、己が武器で渡り合いたいとオーラを強めた玲は、旋回して再び接近する翼機を吃ッと睨めた。
「――まあ生身で行く方がゾクゾクするからなんだけどさ」
 スリルもリスクも愉しむ方だと、丹花の脣には微咲(えみ)を湛えて。
 而して降下した敵機は、麗人の小気味佳い艶笑を見るより先、二振りの兵器が振り下ろされるや超重力を叩き付けられ、その鋩が示す先――赤土の荒野へと墜落する。
 間隙を置かずして後続機が推進すれば、玲はタンッと爪先を蹴って蒼穹へ、風を摑むや低空から超加速! 最高速度9,100km/h、マッハ7.6を超す速度で敵機に迫り、擦れ違い様に一閃、また一閃して黒鐵の翼を斬り落とした!
 邪機に搭乗したパイロットは、破滅に狂う瞳に彼女の横顔を見たろうか。
 スッと通った鼻梁は進路に向けた儘、玲は流眄を結んで、
「武器に充分な強度があれば、後は速度で威力はだせるのさ」
 我が模造神器とユーベルコードが其を叶えるのだと示すように、翼機頭部のキャノピーに「音」を置く。
「ここ、毀損(こわ)すよ」
 佳聲は飄々と軽やかに。
 次の瞬間に閃いた斬撃が、コックピットをもぎ取った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シル・ウィンディア
空戦機か
空って気持ちいいからわかるんだよね
ということで、ブルー・リーゼ、羽ばたくよっ!

敵機に【空中戦】を挑むよっ!
機動力特化型だから、ちょっと厄介かな?

基本はリュミエール・イリゼのビームの【誘導弾】で敵機を追い込んで
動きが止まるタイミングを【見切り】ブラースクで狙撃していくよ

接近してくれたらね…
エトワールですれ違いざまに敵の腕を【切断】だね

敵の攻撃は【第六感】を信じて動きを【見切り】
【残像】と【フェイント】の急加減速やジグザグ機動で回避だね

被弾時は【オーラ防御】で防ぐよ

多くて埒があかない…
それならっ!

【高速詠唱】でエレメンタル・シューター
ブラースクとリュミエール・イリゼの砲門を全部使って撃つ!



 玲瓏と燿くグリモアが光を解く。
 名残惜しく靉靆(たなび)く光の帯を連れ、透徹の穹に解き放たれた流線形の躯体は、爽涼の風を摑むや西に進路を合わせた。
「相手は空戰機か――空って気持ちいいからわかるんだよね」
 コックピットに響くは美し金絲雀の聲。
 佳聲の主はシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)――白磁の繊指に操縦桿を握った少女は、湖水を思わせる佳瞳に黒翼の鐵機を映すと、凛然を萌して言った。
「ブルー・リーゼ、わたし達も羽ばたくよっ!」
 花車の躯に秘める厖大な魔力を動力に、精霊機『ブルー・リーゼ』を推進させる。
 ピーキーな相棒を御して蒼穹を翔けたシルは、次々と撃ち出されるビームカノンの射線を避けながら、全方位ビーム砲『リュミエール・イリゼ』より虹色の光条を彈いた。
「機動力特化型だから、ちょっと厄介……だけど!」
 誘導彈で敵機を追い込み、動きが止まるタイミングを狙う。
 己が魔力を注いだ躯体なれば、反射速度に遅延は無し、シルは彈幕に包まれた敵機影が僅かに翼を傾けた瞬間に全集中、ビームランチャー『ブラースク』に魔力を注いだ。
「頭部キャノピーは避けて――狙い撃つ!」
 滔々と迸発(ほとばし)る魔力は狂邪を灼くエネルギーに。
 刻下、細身の筒砲より撃ち出された一条の光束は、敵機双肩に備わるジェットエンジンに命中し、黒煙を上げて墜落させた。
 而して前方の機体が駆逐されれば、間隙なく進み出た後続機がビームカノンを斉射し、青を基調としたキャバリアの装甲に裂傷を走らせんとする。
 音楽に操られた邪機は『ブルー・リーゼ』の躯体に広がる青を穢せるか――否。
「残念! 今撃ったのは残像だよ!」
 研ぎ澄ませた「感」と「勘」で邪氣を察し、素早く躯体に出力したシルは射線を逃れ、急加減速やジグザグ機動で的を絞らせない。
 無数に飛び込むビームを限々(ギリギリ)で回避し、隙を見せた躯体から各個撃破する――唯だ敵数は圧倒的で、キリがないと判断した可憐は、ここに精霊に呼び掛けた。
「多くて埒があかない……! ――それならっ!」
 全砲開門、【エレメンタル・シューター】――!!
 瞬刻、淸らかなソプラノ・リリコに集められた精霊達は、火水風土の四属性を複合した魔力彈となって全砲口より斉射され、一度に880発の広範囲砲撃を幾度と重ねた。
「敵の武器は数……向こうの得意に押されないようにしなきゃ……!」
 操縦桿を握る手が汗ばむ。
 シルは曇雲の如く群がる敵機を輸送部隊に近付かせぬよう、不断に魔力彈を撃ち続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
セレーネさんと

空からなら【ネルトリンゲン】の出番だね。
速度は出せないけど飛べるみたいだから、輸送部隊の上空を固めよう。

【E.C.O.M.S】も使って【Octagonal Pyramid】を全力召喚。
対空ミサイルっぽく使っていくね。

セレーネさんも来てくれたし、いっしょに『空翔』を撃ち落としていこう。
「弾幕はパワーだよ!」

攻撃で狙うのは翼メイン。
コクピットやエンジンは避けて着弾させて、
空母に不時着できるくらいにしておいて、パイロットを保護したいな。

って、セレーネさんあぶない!?
セ、セレーネさんも保護しておいたほうがいい、のかな……?

それにしても国の名前が不穏……最後の最後でケンカしたりしないでね?


セレーネ・ジルコニウム
理緒さんと

「理緒さん、ネルトリンゲンの格納庫をお借しいただき、ありがとうございました!
スティンガー、通常フレームから狙撃フレームに換装後、出撃します!」

狙撃フレームに換装したスティンガーに乗り込み、ネルトリンゲンの甲板に陣取ります。
狙うは接近してくるオブリビオンマシンです。

「対オブリビオンマシン戦のために組織されたガルヴォルンの大佐として、オブリビオンマシンは許せません!」

狙撃用ライフルで敵を射撃し、飛行能力を奪っていきましょう。

敵に接近されたら無線操作式射撃兵器を展開。
撃ち落としていきます。

「スティンガーに死角はありませ……きゃああっ」

敵の衝撃波で危うくネルトリンゲンから落ちるところでした。



 西へと一走(ひたはし)る輸送部隊のキャバリアに影が落ちる。
 陽の光を遮られた操縦士がキャノピー越しに上空を見れば、其処には蒼き穹に浮上するミネルヴァ級戰闘空母『ネルトリンゲン』が船腹を晒していた。
「空戰ならこの子の出番だね。輸送部隊の上空を固めるよ」
 速度は出せないが、場所を問わず運用できる航空母艦は荒野でも飛べる。
 赤土の大地を海原にして進む空母の艦橋から、轟々と漸近する翼機『空翔』を視認した菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、通信機より届く金絲雀の聲に呼ばれるやモニターに出力される白皙の少女に琥珀色の麗瞳を結んだ。
「理緒さん、ネルトリンゲンの格納庫をお借しいただき、ありがとうございます!」
「セレーネさんこそ、来てくれてありがとう。心強いよ」
「お陰様でこの通り、通常フレームから狙撃フレームに換装を終えました!」
 佳聲の主は、セレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)。
 目下、最上甲板ではエレベーターが動いており、下層の格納庫から飛行甲板へ搭載機が――セレーネが乗る試作型クロムキャバリア『スティンガー』がその偉容を暴く。
 肉眼とモニターの両方から状況を見守る理緒は、太陽を浴びて光を彈くキャバリアと、其の操縦士たるセレーネより迸発(ほとばし)る凛然に佳瞳を細めた。
「スティンガー、これより出撃します!」
「うん、いっしょに『空翔』を撃ち落としていこう」
 勇壮と一歩を踏み出すスティンガーを援護する様に展開する【E.C.O.M.S】。
 正八角形型のユニット『Octagonal Pyramid』445機を召喚した理緒は、スティンガーの脇を抜けて上に、上に――艦対空ミサイルの如く、向かい来る翼機を迎撃した。
 敵陣頭が爆煙と轟音に包まれたのは間もなくのこと。
「彈幕はパワーだよ!」
 間隙を許さず、連続不断に撃ち出される火力は圧倒的だが、精度を失っていないとは、次々に躯体を傾ける敵機の様子で判然(わか)る。
 理緒の琥珀と耀ける瞳は烱々と、鳥型の躯体頭部に在る操縦席を射止めて、
「狙うのは翼メイン。コックピットやエンジンは避けて、パイロットを保護したいな」
 搭乗者はオブリビオンマシンに狂わされた無辜の命。
 攻撃は黒鐵の翼に着彈するに留め、揚力を失って墜下するところを空母に不時着させる――然れば彼等の破滅的な思想も潰えるだろう、と注ぐ眼差しに敵意は無い。
 理緒の眼前で次々と『空翔』が被彈・墜落し、ネルトリンゲンの甲板で腹を削る最中、上空を飛行する同胞は未だ「音楽」に操られながら、ビームカノンを撃ち続けた。
(「ここで押されたら、皆が危ない……!」)
 空母の下には、飛行船を輸送するキャバリア部隊。
 甲板には翼機を撃墜されて戰意を失ったパイロットたち。
 そして、此処を足場に戰うスティンガーとセレーネ。
 空母の重要性を知る理緒は花脣を結んで凛然と、彈幕から続々と向かい来る黒鐵の邪機めがけて『Octagonal Pyramid』を撃ち続けた。

 斯くして上空が砲火轟音に搖れる中、ネルトリンゲンの上甲板に陣取ったセレーネは、勇敢にも超接近してくる『空翔』を精確精緻に撃ち落としていた。
「対オブリビオンマシン戰のために組織されたガルヴォルンの大佐として、オブリビオンマシンは許せません!」
 クロムキャバリアの私設軍事組織ガルヴォルンを率い、最新鋭の試作キャバリア『スティンガー』の開発者にしてパイロットたる少女は、眼路に迫る邪悪な鐵機に遅れを取らぬ自負がある。
 紅玉と煌めく麗眸に敵影を捉えたセレーネは、反射能力も極めて優れており、格納庫内で換装した無線操作式射撃兵器――ビットにて『空翔』の黒鐵の翼を狙撃した。
「狙い撃ちますっ!」
 狙撃用フレームに換装したスティンガーは、3,844m内に映る目標を的に出来る。
 セレーネが先天的に備える瞬間思考力(フォーアンサー)に加え、機械知性体ユニット『ミスランディア』のサポートがあれば、ビットのレーザーは一縷と射角を違える事なく翼だけを灼き落としていった。
 丹花の脣を滑る佳聲は義気凛然、
「搭乗者の命までは取りません。機体の飛行能力を鹵掠(うば)っていきましょう」
 技術者であり操縦士でもある身だからこそ、搭乗者を破滅に沈めるオブリビオンマシンが許せない。
 セレーネは遠距離に於いては狙撃用ライフルで牽制し、彈幕を抜けた翼機が接近した際には、宛ら生き物のように無線操作式射撃兵器を展開して撃ち落とした。
 遠近に攻撃を網羅したスティンガーに死角は無し――。
 敵数の逓減を見たセレーネは、ここで不図、疎らになる軍勢の中に一騎、機影の異なるマシンを捉える。
 あれこそ、『空翔』を音楽で操っているという巨魁かと目を凝らした時だった。
「――って、セレーネさんあぶない!?」
 彈幕を抜け、超低空で滑空した敵機が両翼より強力な衝撃波を放ち、スティンガーの躯をも浮き上げて吹き飛ばす!
「……きゃああっ」
 凄まじい波動に機体を押されたセレーネは、危うくネルトリンゲンから落ちる――! という所で縁に留まり、苦しい体勢ながらもライフルで撃って敵機を墜下させた。
「セレーネさん!」
「……ふぅ……何とか持ち堪えました」
 甲板の際に膝を立てたスティンガーのメインカメラは、今も空母の下で走り続けるキャバリア部隊を映す。
 セレーネの佳聲に胸を撫で下ろすと同時、艦橋司令塔に転送される映像を見た理緒は、彼等のキャバリアに描かれた「the United Kinoko-Takenoko(きのたけ連合)」なるロゴとマークに聲を漏らして、
「それにしても国の名前が不穏……最後の最後でケンカしたりしないでね?」
 と、優しく語尾を持ち上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

獅子戸・玲桜奈
平和を望むココロか……気に入った!なら平和を守るのは俺たちの仕事だ!
行くぜフレイムウィング!あいつらに好き勝手やらせてたまるかよ!

ちょこまか動きやがるな……ぶん殴ってやりてえところだが、一体一体相手にするのはちょいと骨が折れそうだ。
つーわけでクリムゾンサンダーを浴びせてまとめて墜としてやるぜ。
だがこいつを使うにはエネルギーの充填が必要だ。完了するまでは連合のやつらの防衛に回るぜ。

機銃やミサイルなんかで狙われてたらかばってやる。この程度の攻撃じゃあ神機はビクとも……って衝撃波!?
舐めるな!地面に足がめり込むくらい踏ん張って耐えてやるぜ!
エネルギーも溜まったみてえだし反撃の時間だ。覚悟しろよ!



 西へと一走(ひたはし)るキャバリアのキャノピーに影が落ちる。
 上空より飛来した敵の機影かと唾を飲んだ操縦士の男は、目下、グリモアの光を解いて降り立った女性に今度は息を飲んだ。
「平和を望むココロか……気に入った!」
「!? !?」
 風を集めたパーカーのフードが、炎の如く燃える赤髪を暴く。
 スッと通った鼻梁は蒼穹に向けた儘、強い意志を感じさせる金の麗眸を注ぐ。
 ニッと咲んで八重歯を覗かせた獅子戸・玲桜奈(炎の翼・f30087)は、轟々と漸近する軍影を捉えるや、突き上がる熱い魂の儘に『フレイムサイン』を掲げて號した。
「平和を守るのは俺たちの仕事だ! 行くぜ、フレイムウィング! あいつらに好き勝手やらせてたまるかよ!」
 佳聲が呼ぶは、炎神の如き力を宿す紅蓮神機フレイムウィング!!
 此度は荒野の果てから爆煙を上げてやって来た眞赭の鐵機は、コックピットに玲桜奈を迎えるやスキャンし、彼女の挙動を一縷の差異なく反映する。
 而して神機と視覚を共有した玲桜奈は、透徹の空を我物顔で飛行する黒き邪翼『空翔』を吃ッと睨めた。
「低空でちょこまか動きやがるな……。四の五の言わずブン殴ってやりてえところだが、一体一体相手にするのはちょいと骨が折れそうだ」
 これだけの数を各個撃破していては埒が明かない。
 向こうが数で押してくるなら、纏めて相手してやろうと金瞳を赫々とさせた玲桜奈は、【クリムゾンサンダー】――電撃の嵐を以て撃ち墜としてやらんとするが、この超神技は直ぐに発動できる代物ではない。
「こいつを使うにはエネルギーを溜める必要がある。充填が完了するまでは連合のやつらの防衛に回るか……つーわけで、邪魔するぜ」
 云って、ビークルモードで走行中のキャバリアの肩部に据わる。
 間もなく『空翔』が砲筒の先をフレイムウィングに集めるも、玲桜奈は次々と降り注ぐ機銃やミサイルを十字に組んだ腕で禦いだ。
「この程度の攻撃じゃあ神機はビクとも……って衝撃波!?」
 猛禽類の如く滑空した翼機が凄まじい波動を放ち、吹き飛ばされそうになる。
 神機の『EPトレースマニューバシステム』は、機体に齎される影響が操縦者に伝わる短所もあるが、玲桜奈は強く足を踏み締めて耐えると、衝撃波を手刀で両断したッ!
「舐めるな!! ――ぉぉおおおお!!」
 正中線上で二分された波動がキャバリアの両側を抜け、砂塵を連れて走っていく。
 遠くの岩山ビュート(孤立丘)が砕かれる音が聽こえた時分か、滾々と湧き上がる闘志にエネルギーの充填を実感した玲桜奈が、小気味佳い艶笑(えみ)を浮かべた。
「――反撃の時間だ。覚悟しろよ!」
 美しブロンズの花顔が雷光に白む。
 丹花の脣は熱き想いを言葉に變えて、蒼穹を貫かんばかりに叫んだ。
「響け閃光! 貫け雷破! クリムゾン……サンダァァァアアア!」
 極限まで溜めたエネルギーは電撃と放たれ、眼路5,041m圏内を紅い霹靂に包む。
 然れば飛行中の『空翔』は雷槍の雨に装甲を撃ち抜かれ、次々と墜落していった。
「おっと、下敷きになるなよ! このまま疾走(はし)れ!!」
 玲桜奈は己を乗せて走る操縦士にそう言うと、荒野の舗装路を颯爽と駆け抜けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
◆POW
キャバリアを借りて出撃
他機体の操作の経験はある、細かい感覚の差は実戦の中で把握していけばいいだろう
護衛対象と敵の間に割って入るように横切って、意識をこちらへ向けさせて交戦に入る

高速で飛ぶ相手を狙うなら、点ではなく面を意識して攻撃を仕掛けたい
ユーベルコードを発動、攻撃にはキャバリアに搭載されている遠距離攻撃武器を使用する
小銃等の見慣れた物の他に、レーザーやらミサイルやら普段は扱わないような武器もある
弾幕のように射出して展開、逃げ道を塞いで動きを止め、翼やエネルギータンク等を破壊したい

コックピットは狙わず、機体だけを攻撃して機能を停止させる
機体さえ破壊すればパイロットは元に戻せる筈だからな



 輸送部隊の最後尾に位置した操縦士の視界に、或る機影が過ぎる。
 其の見慣れたシルエットは、己が部隊と同じ型の量産型キャバリアで、機動力と砲撃に優れたロボットモードだと確認した青年は、危殆の中に一縷の光明を見た。
「その儘、進路を西へ――追手は任せて欲しい」
 限々(ギリギリ)まで寄せた躯体から通信が入る。
 警急にも冷靜を失わぬハイ・バリトン。聲の主はシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)。
 輸送部隊と敵の間に割って入るように横切ったシキは、轟々と漸近する翼機『空翔』の砲口が自身に集まるのを確認すると、湖水の如く澄める青瞳を烱々とさせた。
「高速で飛ぶ相手を狙うなら、点ではなく面を意識して仕掛けようか」
 狙うべき対象へ鋭利(するど)く視線を走らせる。
 群がって飛行する邪悪な軍影を鋭眼に捉えたシキは、【ブレイズ・ブレイク】――肩部に備わるホーミングレーザーにて前列を薙ぎ払い、先ずは敵の陣頭を切り崩した。
「全方位誘導レーザー砲……オートとマニュアルの切り替えは此処か」
 借り物のキャバリアだが、他機体の操作の経験はある。
 細かい感覚の差は、実戰の中で把握していけば佳い。
 元々ハンドガンを得物に、機械の取り扱いも慣れた身なれば、咄嗟に遠距離攻撃用兵装を操ったシキは、今の一撃で感覚を馴染ませ、早々に要領を掴んでいく。
「小銃等の見慣れた物の他に、レーザーやらミサイルやら……随分と贅沢な仕様だ」
 出し惜しむ必要は無い。
 素早くコックピットを見渡し搭載兵装を確認したシキは、普段は扱わない大型砲熕武器を全砲開門、ホーミングミサイルとマイクロミサイルを射出して彈幕を張り、敵操縦士の視界を脅かすと同時、左腕のビームガトリングで黒鐵の翼を破壊した。
「翼かエネルギータンクか……コックピット以外を攻撃して機能を停止させる」
 機体さえ破壊すれば、パイロットは元に戻せる。
 シキの優れた視力には、破滅的思考に狂い、音楽に操られる操縦士の顔が見えたか――片翼を失って墜下していく一機を確認すると同時、後続から機銃を斉射して推進する一機を捉え、再び操縦桿を握り込める。
「――沈默(だま)らせるしかない」
 烈々と降り注ぐ砲煙火彈を俊敏に躱し、マシンキャノンで応戰する。
 輸送部隊と同型のキャバリアは、人型でしか叶わぬ攻撃を以て敵機『空翔』を牽制し、彼の翼機が飛行船に接近するより速く撃ち落としていった。
 透徹(すみわた)る碧落に砲音が響き、火煙が広がる。
 シキが交戰を始めて四半刻を経た頃、曇雲と迫り来る黒叢に漸う隙間が見え始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リダン・ムグルエギ
アタシ、疑問が一つあるのよ
空翔って、音よりずっと速いじゃない?
それを音で操る…どんなデザインでそれを行うか気になるわ

アタシがやる事は単純よ
敵と輸送隊の間で目立つ
それだけよ
このキャバリアは言うならキマフュ式お立ち台
乗組員を目立たせるパフォーマンス特化機

いやー、まぁ、無理無理
ビームなんて耐えられるわけないじゃない
風も弱いし事前に狙いを定め緊急脱出装置作動、荷台の上へ逃げるわ
『アタシじゃ』敵を倒せない

でも、自壊なら話は別
アタシの服を『見た』ら、上下左右の感覚や視覚の喪失は避けれないわ
音よりも速い機体がそうなれば…普通は墜落する

さて、音楽はマッハを越えて視覚喪失した機体に作用できるのかしら
観察の時間ね



 模様、流言、毒、馨香――。
 諸有る手法を用いて対象の五感を狂わせ、其の思考や感覚を支配する「暗示使い」たるリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は、目下、轟々と漸近する黒叢に“或る疑問”を投げかけていた。
「――アタシ、今ひとつ判然らない事があるのよ」
 其はある意味“同業”としての疑念であったろう。
 彼女は整然と隊形を組んで飛行する翼機を見ながら言を重ねる。
「この『空翔』って、音よりずっと速いじゃない? 音速を超える戦闘機を音で操るって……どんなデザインで行うのかしら」
 佳聲は淡然とした儘、花顔は感情の色を示さず。
 自作機『スター・オブ・シェル』の上蓋部を開口しつつ、敵と輸送隊の間に滑り込んだリダンは、半球の内部に堂々屹立して『空翔』の標的を代わった。
「アタシがやる事は単純よ」
 目立つ、それだけ。
 謂わば「キマフュ式お立ち台」なる宣伝能力に特化したパフォーマンスキャバリアに、ビーナスの誕生する如く出現したリダンは、果然、多くの敵機に狙われる事となったが、鋼鐵をも貫通するダブルバレルカノンに対抗する術を用意した訳では無い。
「いやー、まぁ、無理無理。ビームなんて耐えられるわけないじゃない」
 幸いにして風は弱く、事前に指定した座標が狂う事はなかろう。
 緊急脱出装置作動――アサリが水を吐く如く機外排出されたリダンは、聢と荷台の上に着地するや視線を蒼穹へ、群集して飛ぶ黒鐵の翼機の“變容”を見守った。
「……『アタシじゃ』空翔を倒せない。でも、『自壊』なら話は別よ」
 而して彼女が思い描いた通りの結末が佳瞳に投影(うつ)される。
 嘴を揃えて飛んでいた翼機は、突如として両翼で風を叩く様に泳ぎ出し、不安定に機体を揺らすと、互いに躯体を衝突(ぶつ)け始めた。
 彼等が距離や平衡を失ったとは、丹花の脣が語ってくれよう。
「アタシの服を『見た』ら、上下左右の感覚や視覚の喪失は避けれないわ。音よりも速い機体がそうなれば……普通は墜落する」
 云い終わらぬ裡、その語尾は轟音に掻き消される。
 敵機の飛行能力と命令が伝達される速度に差を見出していたリダンは、続々と墜下する翼機を赤土の大地に迎えると同時、漸う隙間を見せる群集に隠れた「司令塔」へと烱眼を繋いだ。
 佳聲は變わらず飄然と、
「――さて、音楽はマッハを越えて視覚を喪失した機体に作用できるのかしら」
 観察の時間ね、と囁くものの、既に彼女はその答えを知っていよう。
 キャバリアが連れる風に艶髪を梳られたリダンは、爆轟に震える蒼穹の下、湖水の如き淡い群青の色を躍らせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ディソナンスウェイブ』

POW   :    ヒュプノシス・コンダクター
【全身のスピーカー】から【自身からレベルm半径内の全員に催眠音波】を放ち、【精神を支配すること】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ノイズウェイブキャノン
【両肩のスピーカーから放つ強力な騒音】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【音の衝撃破】で攻撃する。
WIZ   :    ディソナンス・オーケストラ
【全身のスピーカーから強烈な不協和音】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠夢幻・天魔です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 翼を捥がれて続々と墜下する翼機『空翔』。
 呪われしオブリビオンマシンに搭乗していた者は慈悲の風に抱かれ、或いは用意された空母に受け止められ、操縦桿を手放すなり民間人として保護された。
 目下、飛行船を輸送するキャバリア部隊は仲間のサポートによって光の防壁に護られ、彼等が牽引するキャンピングトレーラーに収まった民間人も、外部からの攻撃を一切遮断されている。
 守るべきものの保護と警護に不安は無い――。
 なればと攻撃に専念した猟兵らは、蒼穹に群集して飛行する黒鐵の翼機を次々と撃ち落とし、黒叢の中心に居る巨悪を暴き出した。
「あれは――」
 機体の随所にスピーカーを搭載したオブリビオンマシン。
 グレーを基調とした機体から赫黒く迸発(ほとばし)る邪悪なオーラ。
 機動殲龍『空翔』を音楽で操っていたのは、この機体か――全ての手駒を失い、静粛を取り戻した蒼穹に機影を暴いた『ディソナンスウェイブ』は、その狂眼に猟兵を映すなりタクトを一振りすると、音響機器の出力を大にした。
「ッッ、これは……!!」
「頭がおかしくなりそうだ……ッッ」
 決して機動に優れた機体では無い。
 俊敏く無いが、各部位に取り付けた音響兵器の頑健さと効果を及ぼす範囲は驚異的で、その禍々しい不協和音はキャバリアに搭乗していても鼓膜を脅かしてくる。
 扨て、どうするか――。
 柳葉の眉を顰めつつ、それでも猟兵は動いた。
シル・ウィンディア
な、なんか、楽しそうな機体だけど…
でも、暴走の原因になるから、ここで止めるよっ!

いくよ、ブルー・リーゼ!!

敵の音響兵器はどうするかなぁ…
…よし、ここは

【オーラ防御】で機体全身を覆って【属性攻撃】で音属性を付与
音で音を軽減するって感じだね

それじゃ、いくよっ!

【空中戦】で飛んで【フェイント】のジグザグ機動

接近して、ビームセイバーで敵機の腕部を【切断】!
そのまま離脱して、後ろを取るように動いて…
ホーミングビーム砲で牽制を行いつつ
本命は、詠唱を続けていた、このUC

【限界突破】で【魔力溜め】を行って
【全力魔法】のヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト!

ブラースクを構えて、UCを撃ち放つよっ!



 蒼穹を覆う黒鐵の群集を解き、邪の音源を暴いたシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は、その機影に透徹の青瞳をぱちくりとさせた。
「な、なんか、楽しそうな機体だけど……」
 スイスイとタクトを揮い、各部位に搭載した音響機器を操る重厚な機体。
 骸の海を潜る以前は、躯の大きさを活かした壮麗な音楽を戰場に広げ、戰士の荒んだ心を潤したろうが、今や狂えるスピーカーは禍々しい樂音と噪音しか出力しない。
 その不協和音に柳眉を顰めたシルは、敵機額部に飾られた音符記号を睨めて、
「暴走の原因になるから、ここで止めるよっ!」
 狂奏を止める。邪氣を止める。
 音楽が悲劇を生んではならぬと操縦桿を握り込め、青き羽翼に風を集めた。
「いくよ、ブルー・リーゼ!! パイロットを助けよう!!」
 颯爽と推進する精霊機『ブルー・リーゼ』の全身を空色のオーラに包む。
 躯に宿す魔力を惜しみなく注ぎ音属性を付与したシルは、アクティブ・ノイズキャンセリング――向かい来る音波に逆位相の波を対抗させ、互いを打ち消して靜謐を敷いた。
 装甲に損傷は無し、飛行に影響は無し。
 双翼を広げて蒼穹を自在に翔けたシルは、尚もタクトを揮い続ける邪機『ディソナンスウェイブ』に向けて凛乎と佳聲を発した。
「あとは方向に注意して……接近するよっ!」
 緩急を付けたフェイントを挟みつつ、予測し難いジグザグ機動で接近を図る。
 敵機額部のメインカメラが我が機影を必死に追うのを聢と捉えたシルは、煌星と輝けるビームセイバー『エトワール』の光刃を暴くと、蒼穹を駆け上がる勢いで上に、上に――敵機の左腕関節部を灼き切ったッ!
「重厚な機体だけど、タクトを揮う上腕部だけは防禦が甘く見えたから――!」
 読みは至当。
 重力に鎖がれて墜下する左腕とは逆に、青き碧落へと推進した『ブルー・リーゼ』は、敵機の背後を取らんと機体を翻すと、ホーミングビーム砲『リュミエール・イリゼ』にて牽制しつつ、己が魔力を高めていく。
「これが、本命――!」
 解放、【ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト】――ッ!!
 闇夜を照らす炎、命育む水、悠久を舞う風、母なる大地、暁と宵を告ぐ光と闇……六つの属性を六芒増幅術で強化したシルは、ビームランチャー『ブラースク』の砲口より巨大な魔力砲を撃ち出し、背面腰部に備えられた増幅器を破壊した!!
 凄まじい直射砲撃に美し白皙を白ませた少女は、不協和音の波及範囲が狭められたのをモニタで確認すると、幾許かの安堵を花脣から滑らせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エル・クーゴー
【物九郎(f04631)と】
●相手への二人称「マスター」


L95式キャバリア【アルテミス】、Go ahead.

躯体番号L-95
当機は流動的な戦況下に於ける超リアルタイム解析に高い適性を発揮します


・自キャバリア『アルテミス』を【操縦】し出撃

・敵攻撃に対し、物九郎機『ストームライダー』の影に隠れるよう、後ろっかわをくっついて機動(推力移動)
・敵攻撃の性質/挙動/音波波形等を、コクピット内で電脳魔術を走らせとことん「見る」(情報収集+学習力+瞬間思考力)

・解析完了次第【ミレナリオ・リフレクション】発動
・こちらも山程繰り出すスピーカーからドンピシャ逆位相の音波を放ちいざ相殺、物九郎機が肉迫する隙を稼がん


白斑・物九郎
【エル(f04770)と】
●相手への二人称「エル」


踊りますでよ
着いて来なさいや、エル

起きろ『ストームライダー』
ワイルドハントの時間っスよ!


・自キャバリア『ストームライダー』を召喚し出撃
・エル機『アルテミス』を敵攻撃から護るよう自機の影に入れつつ、敵機に対し弧を描くように機動

・敵攻撃の緩急強弱等を【野生の勘】で予見しつつ、エルのコード発動を受けて最大戦速で接近(推力移動+ダッシュ)

・接近次第、自機を通し【ビーストドライブ】発動
・エルの相殺が効いている間だけきっかり攻勢、鋼の白兵格闘戦、キャバリアネコパンチで【蹂躙】せん

・こちとら猫のキマイラ
・黒猫型四脚機獣を手足の如く【操縦】するのは造作も無い!



 調和を失った樂音に混じる、耳障りな騒音と雑音。
 目下、赤土の大地は騒々しいノイズに溢れていたが、“彼等”は舞台がどれだけ狂気に塗れていようと、踏み込む一歩を躊躇わなかった。
「踊りますでよ。付いて来なさいや、エル」
「Yes, Master.」
 晴朗なる碧落に浮かんだグリモアが光を花葩と散らし、新たなる影を暴く。
 名残惜しく靉靆(たなび)く光を解きながら降下した二つの影は、荒野に延々と伸びる舗装路に着地するより先、颯然と吹き抜ける砂嵐に包まれた。
「覚醒(お)きろ、『ストームライダー』――ワイルドハントの時間っスよ!」
 冷艶のハイ・バリトンが呼べば、其はキャバリアながら音もなく駆けて来よう。
 モザイクの空間より現れた四脚の黒猫型機獣『ストームライダー』は、己が主と認めた唯一の王――白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)に手綱(操縦桿)を委ねると、虚空に爪を立てて疾る、走る。
 物九郎の鋭利(するど)い金瞳が烱々と敵機影に繋がれる眼路の脇では、彼の右腕たるエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)が、環状に燐光を輝かせる魔法陣から専用機を召喚しており、
「L95式キャバリア【アルテミス】、Go ahead.」
 現下、最新鋭のキャバリアが太陽の光を彈いて顕現れる。
 颶風の戰ぐ宙空でコックピットに迎えられた彼女は、電脳魔術によって躯体と機体に双方向性を持たせると、今度は物理的な操縦桿を握り込めて言った。
「躯体番号L-95_当機は流動的な戰況下に於ける超リアルタイム解析に高い適性を発揮します」
 解析開始、と丹花の脣が感情の色なき佳聲を滑らせるや、電脳ゴーグルは高速で燐光を往復させ、戰場に降り注ぐ不協和音を詳細に「見」始める。
「不協和を成す複数の和音の分解_完了」
 周波数及び帯域、音波波形の解析_完了。
 可聴域及び波及範囲の演算_完了。
 不可視情報の数値化_処理中。
 エルが躯体より感受する情報を凄まじいスピードで収集・分析する最中、通信機からは怜悧な聲が「下」も見るよう囁(つつや)いて、
「こちとら随分と下手糞なオーケストラを聽かされてるトコですけども。荷物を運んでるカタギの連中の躯体にも影響があるんでしょっかや」
「光壁が92%を緩衝していますが十全ではありません」
「早めに止めたい處ですわな。いい加減、俺めの猫耳も萎えそうですしよ」
 こんな時、聽覚が優れていると割りを喰う――と。
 幾許の悪態を溢しつつも、敵機を引き付けるよう弧を描くようにして疾る物九郎。
 彼は不可視の音撃を解析するエルを護るべく、我が機影に『アルテミス』を隠しつつ、悪魔の域に達した野生の勘でスピーカーの向けられる方向を予見し、機獣ならではの動きで敵を撹乱し続けた。
 邪奏は二人を仕留められるか――否。
 前後にピッタリとくっついた両機は、緩急や強弱を變えて襲い来る音の波動をギリギリで回避しつつ、装甲に干渉を受けながらも戰場を躍る、踊る。
 二人が反撃の機を得たのは、エルの電脳魔術が全ての情報の数値化に成功した時だ。
 不断に進捗を報告していた彼女が息を置き、決然と告ぐ。
「解析完了_これより『ディソナンス・オーケストラ』を再現します」
 目には目を、齒には齒を。
 音には音を。
 電脳ゴーグルに走らせていた燐光を全灯したエルは、電脳魔術を機外展開し、敵の音響兵装を『アルテミス』に再現すると、アクティブ・ノイズキャンセリング――不協和音の波と真逆の形(逆位相)の波を発生させ、互いを打ち消した!!
 間もなく音訪(おとず)れた靜寂が、エルの佳聲を歴々と際立たせる。
「相殺範囲を戰場全域に拡大_持続時間は39秒です」
「ン。よき」
 それで十分、と物九郎が佳脣の端を持ち上げ、野性味鋭く金瞳に光の帯を引く。
 脚力を増幅させ、最大戰速で空を翔けた黒き機獣は、敵機に接近する最中に左腕を――左前脚を振り被り、膂力の限りを籠めたキャバリアネコパンチを炸裂させたッ!
「直ぐに沈默(だま)らせてやりまさァ!!」
 デッドリーナイン・ナンバーツー、【ビーストドライブ】――!!
 エルの相殺が効果を及ぼす39秒きっかり攻勢に傾注し、蹂躙の拳撃を閃かせる。
「ネコパンチラッシュの命中率99%_キャバリア出力時の命中率は148%を超過」
 實は鋼の白兵格闘戰は相性が佳いとはエルの計算通り。
 既に獣の脚をした『ストームライダー』は、腕を獣化させるに刹那の時も必要とせず、更に物九郎の力を誤差無く出力する機獣にて、優れた反射が連続攻撃を成功させた。
 彼に幾秒も與えてはならぬとは、歪に拉げる音響兵装が示そう。
「音速くらい軽く超えてやりまさァ!!」
 其は344m/sに勝る超速剛力の獣■拳。
 猫のキマイラたる物九郎が、黒猫型四脚機獣を手足の如く操縦するのは造作も無く――彼はたった39秒間で無数のネコパンチを繰り出し、左右の脚部に搭載されたスピーカーを悉く粉砕した!
 ――而して、刻下。
 ガーガーと叫ぶ悲鳴のような音も、粉々に散る破片も、熱気帯びた砂嵐が攫い往く。
 赤土の大地に満ちたノイズを、吹き荒ぶ嵐の音に變えたるは、『ワイルドハント』――その機影を視た敵対者は、恐怖を叫喚(さけ)ぶ口も噤むしかなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
◆SPD
…耳が痛む、眩暈がする、頭が割れそうだ
五感を狙う攻撃とは相性が悪いな
だからと言って諦めるつもりは毛頭無いが

騒音のダメージを和らげる為に距離を取る
あの音は遮蔽物では防げないが、離れる事で少しでも受ける影響を減らしたい
無理に接近せず、遠距離から攻撃を行う

敵機の攻撃を止めるには音の発生源を破壊するしかないようだ
兵装をライフルに切り替えて反撃の好機を待つ
狙いがブレないように騒音が途切れるまで耐え、一瞬でも途切れた隙にユーベルコードを発動
敵機に取り付けられたスピーカーを狙撃する(『スナイパー』)

オブリビオンマシンの力を行使し続けているパイロットは無事だろうか
一刻も早く解放する為、敵機の破壊を急ぐ



 銃砲火彈なれば、軌跡を手折るか躱せば佳い。
 然し音の波動は、人間の可聽範囲を大きく上回るシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)には中々厄介な代物だったろう。
 邪氣に満ちた波動と振動が、集音に優れた狼耳を食い破る。
 異なる帯域から不断に降り注ぐ雑音が脳内を暴れ回る。
「……ッ、ッッ……!」
 耳が痛む。眩暈がする。頭が割れそうだ。
 戰闘中に感覚を摑み、人機一体となっていたシキが、堪らず顳顬を抑える。
「……五感を狙う攻撃とは相性が悪いな」
 汗ばむ手で操縦桿を操作し、機体を進路から脇へ――騒音のダメージを和らげる為に、敵機から距離を取ったシキは、視線はその儘、各部に搭載した音響兵器を確かめる。
「敵機の攻撃を止めるには、音の発生源を破壊するしかないようだ」
 遮蔽物に隠れて音を禦ぐ事は叶うまい。
 無理に接近せず、遠距離からスピーカーを破壊しようと波及範囲を逃れた彼は、機体の座標を變更する傍ら兵装をライフルに切り替え、反撃の好機を待った。
「相性は悪いが、だからと言って諦める心算(つもり)は――毛頭無い」
 一度受けた仕事は完遂する。
 嘗て裏切られた過去が、約束を違え、信用を損なう事を許さない。
 必ず為留めてみせると、冱ゆる烱眼に機影を捉えたシキは、佳脣をきつく結んだ儘――更に鋭利(するど)く聽覚を研ぎ澄ませた。
(「……騒音が途切れる隙がある筈だ」)
 耳を欹てるほどノイズが鼓膜を叩くが、極限の集中を以て耐える。
 内耳神経から脳を伝う激痛を感覚から排除したシキは、音が時を置く瞬間だけを待ち、刹那の寂寞に銃聲を差し入れた。
「――――」
 手に握るものがグリップから操縦桿に代わっても、この瞬間は常に靜かだ。
 生身と同じ体勢で繰り出される【ブルズアイ・エイム】――『ハンドガン・シロガネ』の前の持ち主から最初に教わり、以来幾度と繰り返した射撃姿勢から撃ち出された彈は、遠く離れた邪機『ディソナンスウェイブ』の左肩を狙撃し、噪音の出力を妨害した!
「一機撃滅。次は右肩だ」
 端整の脣を滑るハイ・バリトンは極めて冷靜だが、シキの青く澄める烱眼は、敵機胸部のコックピットに人影がチラつくのを聢と捉えている。
(「――オブリビオンマシンの力を行使し続ける操縦士が何時まで持つか分からない」)
 一刻も早く解放せねばと、敵機の破壊を急ぐ。
 邪機が一瞬の静寂を許す度、またひとつ、銃聲が響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
セレーネさんと

うあ、これは……。
洗脳と雑音がいっしょになったような感じだね。
ずっと聞いていたら、ちょっと厳しいかも。

ということで! 波には波!
【情報収集】で相手の音波を解析したら、
【ネルトリンゲン】の外部スピーカーから、
【等価具現】で同周波数の波をぶつけて相殺していくよ。

速度はだせないけど、こちらは空母だから、
燃料や弾の心配はしなくていいし、
めいっぱい援護させてもらっちゃうよー!

え?セレーネさん?超音速機動?
いや、そんな早く飛んだら!?

「ま、まにあってー!」

【E.C.O.M.S】をデコイにして、
『殲禍炎剣』の一撃目を、なんとかスティンガーから逸らせよう。

あ、あぶなかった……


セレーネ・ジルコニウム
理緒さんと

「音を武器とするキャバリアですか。
相手が悪かったですね!
スティンガー、リミッター解除ですっ!」

狙撃フレームの機体に乗ったまま、【オーバーブースト・マキシマイザー】を起動!
スティンガーの動力炉の高濃度圧縮粒子を解放し、超音速で飛行しましょう。

「音波兵器の弱点……
それは超音速機動する相手には命中しないことですっ!」

超音速で飛翔しながら、狙撃用ライフルと無線射撃兵器で敵を攻撃です!

「これなら一方的に攻撃が可能……
って、きゃあああっ」

うっかり『殲禍炎剣』の存在を忘れて、攻撃対象になる高度・速度に達してしまい、慌ててオーバーブーストを切ってネルトリンゲンに避難するのでした。



 空飛ぶ基地、ミネルヴァ級戰闘空母『ネルトリンゲン』の艦橋にて戰況を見守っていた菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、甲板に不時着した機動殲龍『空翔』が、降り注ぐ不協和音によって歪に拉げ、装甲が引き裂かれる惨憺を目の当たりにした。
「うあ、これは……」
 而して雑音は己が身にも浸蝕する。
 耳障りな音樂は、鼓膜を食い破って脳内を暴れ回るような不快感を與え、柳眉を顰めた理緒は堪らず顳顬を抑えた。
 セレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)が通信を挟んだのはこの時である。
「理緒さん! 大丈夫ですか?」
「うん、なんとか……。これ、洗脳と雑音がいっしょになったような感じだね」
「この威力でこれだけ広範囲に影響を……敵の巨躯は伊達ではないようです」
「――ずっと聞いていたら、ちょっと嚴しいかも」
 若しか下甲板に避難させた操縦士達にも影響があるかもしれない。
 艦腹の下で走行中のキャバリア部隊も無事ではいられないかもしれない。
 なるべく早期に音波を禦ぎたいと、上甲板に降り注ぐ音の波長や振幅、周波数や帯域等の解析を始めた理緒は、不可視の音を全て数値化し、ネルトリンゲンの外部スピーカーに出力した。
「波には波! 同周波数の波をぶつけて相殺するよ!」
 電脳魔術で等価の存在を――此度は敵の不協和音と逆位相となる波を不断に発生させ、互いを打ち消させる。
 斯くして己の鼓膜と空母内外の民間人を護った理緒は、これより蒼穹に飛翔するというセレーネを発艦装置へ誘導した。
「速度はだせないけど、こちらは航空母艦だから、燃料や彈薬の心配はしなくていいし、めいっぱい援護させてもらっちゃうよー!」
「ありがとうございます! 敵機を撃ち落としに行ってきます!」
 モニター越しに佳聲を交し、微咲(えみ)を結ぶ。
 理緒の支援に雄渾を得たセレーネは愈々凛然と、烱々たる緋瞳に敵機を映した。
「音を武器とするキャバリアですか。脅威の程は認めますが、相手が悪かったですね! スティンガー、リミッター解除ですっ!」
 愛機『スティンガー』は狙撃用フレームに換装した儘、高濃度の圧縮粒子を解放する。
 其は【オーバーブースト・マキシマイザー】――鋼鐵の躯に玲瓏と耀ける燐光を纏ったキャバリアは、上甲板より発艦するや最大速度6,500km/h、マッハ5を優に超える超音速で飛び立った。
「碧落(そら)へ――!!」
 重力の鎖を断ち切った少女は、彗星の如く粒子を尾と引きながら推進し、邪機『ディソナンスウェイブ』を射程に入れるや狙撃用ライフルと無線射撃兵器で狙い撃つ――!
 この時、敵機も躯体をスティンガーへ向き直り、各部に搭載したスピーカーから強烈な不協和音を彈くが、最新鋭の試作機が捕まる事は無い。
「音波兵器の弱点……それは、超音速機動する相手には命中しないことですっ!」
 大気中における音の速度は凡そ344m/s。
 一方のスティンガーは、最大で1,805m/sもの速さで駆け抜けるのだから、邪機は如何な音楽を奏でようとも、セレーネを音撃に撃ち落とす事は叶わない。
 故に彼女は、狙撃用ライフルとビットによるレーザー攻撃で次々と音響兵装を破壊し、広範囲に満つ不協和音の影響を狭めていった。
 蓋しドジッ娘要素は、優勢を得た時にこそ暴かれ、
「これなら一方的に攻撃が可能……――って、きゃあああっ!」
 なんと、うっかり『殲禍炎剣』(ホーリー・グレイル)の存在を忘れていた!!
 彼の暴走衛星は、高速飛翔体を無差別砲撃する審判者にて、攻撃対象となる高度と速度に達したスティンガーも、例に漏れず撃ち落とさんとする。
「え? セレーネさん? 超音速機動? ――いや、そんな早く飛んだら!?」
 数秒前に気付いていた理緒はすっかり蒼褪め、紅脣を滑る聲も上擦るばかり。
 彼女は咄嗟に電脳魔術を二重展開し、【E.C.O.M.S】――合計445体の戰闘用小型ユニット『Octagonal Pyramid』を展開し、『殲禍炎剣』より降り注ぐ初撃を代わらんとした。
「ま、まにあってー!」
「――ッ、ッッ――!」
 理緒の聲に促されるように、セレーネが急いでオーバーブーストを切る。
 躯の反転を以て何とか冱撃を躱したスティンガーは、己が間際でデコイが破壊されるのを見届けると、元の速度でネルトリンゲンへと戻った。
 その着艦を見届けた理緒は、ホッと安堵の息を吐いて、
「あ、あぶなかった……」
「た、助かりました……」
 この時、同じく胸を撫で下ろしたセレーネと聲が揃う。
 モニター越しに無事を確認し合った二人は、未だドキドキと早鐘を打つ胸に手を宛て、互いに強張る花顔を見つめて幾許――、
「…………ふふ」
 と、竊笑を溢した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

獅子戸・玲桜奈
うるっせえ!耳塞がねえとうるさ過ぎて死んじまいそうだ!

耳塞いでたんじゃ殴れねえ……音響兵器ってのはここまで効果があるものなのかよ。クソッ!あのにやけ面に腹が立つぜ!
こうなりゃヤケだ!体当たりぶちかましてあの音をやめさせてやる!

思いっきりぶつかって体勢を崩したところにすかさず蹴り入れてダウンさせる。
まだ終わりじゃねえ!寝てる奴の首根っこ掴んで無理やり立たせた後に頭突きかまして顔面破壊してやるぜ!
お前が音を止めるまでいつまでだって殴り続けてやる!

……ハァ。いつの間にか音も止んでたが、我を忘れて関係なく殴り続けちまった。
怒り過ぎると周りの音が聞こえなくなるってのは本当だな……。



 獅子戸・玲桜奈(炎の翼・f30087)は直情的で、己を取り繕ったりは為ない。
 碧落より降り注ぐ耳障りな音に対し、彼女は誰もが思った事を気取らずに言った。
「うるっせえ! 耳塞がねえとうるさ過ぎて死んじまいそうだ!」
 畜生ッ、と紅脣に悪態を吐く。
 柳眉を顰めて敵機『ディソナンスウェイブ』を睨めた佳人は、闘志をオーラと展開して輸送中のキャバリアを守るも、攻勢に転じなくては勝機は摑めそうに無い。
 緩急と強弱をつけて戰場を揺らす音の波濤が途切れる事は無く――広範囲に満つ異音に顳顬を抑えた玲桜奈は、我が劣勢をメインカメラに映しているであろう額部を眞ッ先に殴る事に決めた。
 然し、あれだけの音を出力する巨躯を殴りに行くのは中々に難しかろう。
「耳塞いでたんじゃ殴れねえ……音響兵器ってのはここまで効果があるものなのかよ……クソッ! あのにやけ面に腹が立つぜ! 絶対殴り飛ばしてやる……ッ!」
 言葉が力を與えると彼女は知ろうか。
 痛撃や焦燥、嚇怒や瞋恚……己を駆け巡る激情を焚木と燃やし、熱血エンジンを全開にした玲桜奈は、其を糧に莫大なエネルギーを捻出し、眞紅のオーラとして噴き上げた。
「こうなりゃヤケだ! 体当たりぶちかましてあの音をやめさせてやる!」
 雄渾を増幅させるは、【クリムゾンモード・怒】――。
 彼女は敵対する者より怒りを表す事で、強靭や俊敏、攻撃精度を飛躍し、其を推進力として高く高く蒼穹へと躍した。
「俺の心が怒りに燃える! 悪を倒せと猛って叫ぶ!」
 己が受ける痛みなど構わない。
 音の波動を喰らいつつ、思いっきり衝突(ぶつ)かった玲桜奈は、敵の重厚なる機体が体幹を崩した隙にすかさず蹴撃をブチ込み、虚空を泳がせる。
「まだ終わりじゃねえ! 倒れるにゃ早えーよ!!」
 邪機が躯を折った瞬間には、頭部を摑んで無理やり顔面を持ち上げ、頭突き――!
 当初に決めた通り、相手の額に痛烈なダメージを與えてメインカメラを壊したッ!!
 而して『紅蓮神機フレイムウィング』は、機体が受ける衝撃を操縦者に伝えるシステムにて、玲桜奈の額部にも相応のダメージが伝わるが、彼女は痛撃を奥歯に噛み殺して敵機を睨め据える。
「お前が音を止めるまで、いつまでだって殴り続けてやる!」
 怒れる心の儘に! 猛々しく燃える儘に!!
 殴る! 殴るッ! 殴る!! 殴るッ!! 殴る!!! 殴るッ!!!
 炎と燃える拳打のラッシュが敵機各部に搭載した音響兵装を次々に破壊し、不協和音の波及範囲を狭めていく。
 気付けば玲桜奈は、水を打った様な靜寂の中で我が拳の炸裂する音を拾っており、
「……ハァ。我を忘れて殴り続けちまった」
 不図、己が口脣を滑る荒々しい呼吸を聽く。
 気付けば両拳は宛ら炎の燃える如く鮮血に塗れており、
「怒り過ぎると周りの音が聞こえなくなるってのは本当だな……」
 ほたり、コックピットの床面に血斑を落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
さあて、どーするかな…
五月蠅いのは嫌だなー…うーんお高い耳栓でも買っとけばよかった
なんか通販セールやってたみたいだし…
残念、おのれ密林!!



まあ、ちょっとでも対策しておこう
【天候操作】で、私の周囲に風の流れを作って風のカーテンにしよう
多少は紛れるっしょ

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀

『Code:F.F』を起動
音の衝撃波ってのは厄介だけど…要はスピーカーの直線状に居なきゃいいだけでしょ
高速移動小回りを利かせながら、衝撃波の射程上から逃れる
それから一気に敵機に接近して
零距離からエネルギー球をぶつける!

図体でっかいばかりが良いと思うなよー
あと騒音問題は戦争だぞこらー!



 猟兵として数多の世界を巡る月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、此処がUDCアースならば、嘗てはハイエンド機種にしか搭載されていなかったノイズキャンセリング機能付ワイヤレスイヤホンを激安の殿堂でさっさと買って来たろうが、生憎、手元にはブブゼラしか無い。
「さあて、どーするかな……五月蠅いのは嫌だなー……」
 己が大きな音を出すのは構わないが、聽かされる音は選ぶ方である。
 玲は騒音に柳眉を顰める傍ら、掻き乱される脳内で自身がプライム会員であった事や、数日前にビッグセールが開催されていた記憶を辿り、顳顬を抑える。
「うーん、お高い耳栓でも買っとけばよかった……残念、おのれ密林!!」
 櫻脣に悪態を吐くものの、後腐れはしない性格だ。
 手ずから対策を打つしかない、と両腕を胸元から突き出した玲は、己が周囲の風の流れを操り、降り注ぐ騒音を風のカーテンに緩衝させた。
「まあ、多少は紛れるっしょ」
 全てを解決するのは後で構わない。
 大音量に震える両肩部の音響兵装に視線を結んだ玲は、模造神器『《RE》Incarnation』及び『Blue Bird』を抜刀すると、【Code:F.F】(コード・ダブルエフ)起動――模造神器に秘めたる力の全てを己に、蒼白い光と纏った。
 一たび爪先を彈けば、彼女は佳聲を置き去りに碧落を翔けゆく。
「要はスピーカーの直線状に居なきゃいいだけでしょ」
 音の攻撃は中々に厄介だが、其も大気中では344m/sが精々。
 不可視の衝撃波も、視認可能な音響兵装の向きを注視すれば回避出来ると読んだ玲は、音速に並ぶ高速移動に小回りを利かせながら、音撃の射程上から巧みに逃れた。
 凄まじい衝撃波が肌膚一枚を過ぎる感覚を味わいつつ、赫緋の麗眸は常に前へ。
 敵機『ディソナンスウェイブ』額部メインカメラが、玲の高速機動を遅れを取った隙、眼路の脇より一気に肉薄した刀鋩が肩部に侵襲した。
「――全てを零に!!」
 時は須臾、美し白皙が霹靂に白む。
 全き零距離から厖大なエネルギー球を衝突(ぶつ)けた玲は、瞬刻、巨大なスピーカーが大破し、大ダメージに彈かれた巨躯が蒼穹に轉がる珍しい景色を視た。
「図体でっかいばかりが良いと思うなよー」
 之に竊笑を溢した玲は、悪戯な口調でそう言うと、敵機の重厚な躯体にトンッと靴音を置き、胸部ハッチをコンコンと敲いて直に苦情を申し立てる。
「あと騒音問題は戰争だぞこらー!」
 見れば搭乗者は正気を取り戻し、玲の英姿を喫驚いっぱいの眸に映していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リダン・ムグルエギ
納得したわ
あの音は厄介
でも「音」の範疇だと

でも面白いわね
本来いがみ合う(?)茸筍が共存する国に
「不協和音」の化身が現れるなんて
あの機体もしかして共存する前の象徴とか?

さて、今回の行動は
攻撃はアキラさんらに任せて
一般人を守るべく遮音を行うわ
五感レベルでの、ね

今のコートを脱いだら、ハッピーハロウィン!
見た人の聴覚を一時的に封じる催眠模様の描かれた(MSにおまかせの仮装衣装)のお出ましよ
可能なら事前にスマホから通信して説明した上で、
「音を消すから、アタシを見て!」の札と共に荷台の上でアピール
不協和音を「聞かせない」事で彼らを守るわ

声かけなくとも彼らの心は一つよ
あの闘争を乗り越えたのなら、そうでしょ?



 自作機『スター・オブ・シェル』は量産型にて惜しくない。
 ご苦労様、と爆散を見届けたリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は目下、自身が着地した荷台を牽引するキャバリアに「前進」を指示していた。
「隊の先頭へ、操縦士全員が視認できる位置に進んで」
 戰場全体に不協和音が降り注ぐ中では通信機もロクに使えず、我が身を運ぶ一機にのみそう言い渡したリダンは、飛行船を覆う布にプリントされた「the United Kinoko-Takenoko(きのたけ連合)」なる語を、つと翠瞳に捺擦(なぞ)る。
「――面白いわね。本来いがみ合う存在であったキノコとタケノコが共存を目指す国に、『不協和音』の化身が現れるなんて」
 邪機『ディソナンスウェイブ』は若しか連合が共存する前の象徴では?
 彼の機体にはキノコかタケノコか、いずれか一方の機章が記されているのでは?
 リダンが暫し思案する傍ら、彼女を最前線に連れたキャバリアの操縦士は、今の状況に焦燥を隠さず口を開く。
「……ま、まさか、我々の抗争に巻き込まれ衰退・消滅した“すぎのこ”の逆襲か……? 或いは第三勢力と言われる“切株”が連合の不和を煽ったかもしれない……!!」
「落ち着いて。分からない事は多いけど、分かっている事もあるわ」
 あの音は慥かに厄介だ。
 然し其も「音」の範疇に過ぎない。
 畢竟、敵は音速344m/sを超える攻撃は叶わぬと、翠緑の麗眸を蒼穹に繋いだリダンは、すっくと荷台に立つや千鳥格子のお洒落なコートを脱いだ!
 佳人は不協和音が降り注ぐ中でも塊麗の微咲(えみ)を注いで、
「ハッピーハロウィン! 思い出して、“我等のココロは常にひとつ”!!」
 顕現発露、【ゴートリック・ファウスト】――!!
 其はデザイナーたるリダンしか考案できぬ、キノコとタケノコを融合した新たな存在、「きのたけ」なるイラストを描いたイシスウイングのワンピースドレス。
 身丈の低い者でも圧倒的な存在美を魅せられる衣装には、一瞬で輸送部隊全員の視線を釘付けにすると同時、視る者の「聽覚」を一時的に封じる催眠模様が施されている。
「声を掛けずとも彼らの心は一つ――あの闘争を乗り越えたのなら、そうでしょ?」
 彼等は既に勝利している、と麗瞳を細めるリダン。
 音速で降り注ぐ攻撃に対し、その88万倍で伝わる光速で五感を支配した彼女の前に、言葉は慥かに必要なく、
「おお、あれがキノコもタケノコも超越した存在……まさに、きのたけ!!」
「なんて美しいんだ……彼女に平和を見る以外、もう何も耳に入らない……」
「帰ろう! 飛行船を持ち帰って、皆を喜ばせるんだ!!」
 斯くして不協和音を完全にシャットアウトした輸送部隊は、變わらず進路を西へ、西へ――我が心の故郷を目指して走り続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『バルコニーパーティー』

POW   :    機材を運び込み楽しむ。

SPD   :    細々した飾りを持ち寄り楽しむ。

WIZ   :    不思議な力で会場を盛り上げ楽しむ。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 機動殲龍『空翔』を見事排撃し、翼機を操っていた邪機『ディソナンスウェイブ』をも破壊した猟兵達は、多くの者を喜ばせた。
「まさかオブリビオンマシンに乗っていたとは……助けてくれて、ありがとう」
「邪悪なマシンに囚われていた我々を救出してくれた事、深く感謝する」
 保護したパイロットは、その儘「きのたけ連合」に保護して貰う事となった。
 彼等は暫し休養が必要となろうが、数日後には元気な顔を見せてくれるに違いない。
 市街地に到着するなり病院へと運ばれるパイロット達を見送った猟兵らは、時を置かずして市民に歓迎された。
「君達のお陰で、飛行船を無事に故郷まで運ぶ事が出来た!!」
「我々は重要な空の輸送手段を確保できたよ。ありがとう!!」
 輸送部隊のメンバーは勿論、彼等の帰還を待っていた同胞が次々にお礼を述べる。
 特にキャバリア部隊の雇い主である有力者は、諸々の無事にホッと胸を撫で下ろすと、猟兵に十分な報酬を支払い、自身が所有する整備場の使用を認めた。
「どうぞ、ドックでキャバリアのメンテンナンスを行って下さい! キャバリアを休めた後は、皆さんもこの街で暫し身体を休めると良いですよ」
 折しも、この街はハロウィンで盛り上がっている。
 街中が秋色に彩られる中、特にバルコニーを豪華に飾り付けるのが「きのたけ連合」の風習で、街を練り歩くおばけ達は、賑やかなバルコニーを目印に家を訪れると言う。
「皆さんもどうぞ、仮装してハロウィンを楽しんでいって下さいよ」
「お菓子はキノコもタケノコも貰えますよ!」
 この街に抗争は一切無い、と笑顔で説明する住民たち。
 然う、最早彼等はキノコだろうとタケノコだろうと、なんならスギノコや切り株だって受け容れられる度量があり、平和を愛するココロをひとつに、垣根の無いパーティーを開いているのだった。
「えっ? キャバリアの仮装? それは面白い!!」
「整備場を飾り付けても良いですよ。可愛いオバケが来てくれるでしょう!」
「お茶を用意してティーパーティーを開きましょうか」
 嬉々と手を引いて誘う市民たち。
 彼等の笑顔につられ、猟兵達もワクワクと動き出すのだった。
シキ・ジルモント
パイロットの無事な様子を見て安心した
キャバリアは返却して、飛行船の運搬の手伝いをする
戦闘を終えて多少疲れはある上に報酬のおかげで懐も温かいが、ただ休むというのはどうにも落ち着かない

しかし、キノコもタケノコも分け隔てなく、か
なるほど、確かに平和的な街だ
別の場所でなら、争いの元になる場合もあると聞いた事があるからな(大真面目に感心)

ハロウィンの仮装?…遠慮しておく
こういうイベントには疎く経験がない、どんな格好をすればいいのか見当もつかない
運搬作業を進めながら手近な輸送部隊員にでも、こういう場ではどんな仮装をするものなのかと聞いてみてもいいかもしれないな
実際に仮装をするかどうかは別として、参考までに



 邪悪な機体から救出された操縦士達は、「どうにか礼をさせて欲しい」と願い出たが、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は「先ずは精密検査が先だ」と担架を運んでくる救急隊員を手招く。
「無事な姿を見て安心した。それでいい」
 其れで十分、と穏やかに染むハイ・バリトン。
 どれだけ破滅的思想に狂わされていたかは判然らないが、程度によっては己よりずっと疲れている筈だと労うシキの聲は凪の如く穏和で、彼等を大人しく担架に横臥らせる。
 続々と病院に運ばれるパイロット達を見送った彼は、次いで格納庫へと向かう飛行船の積み下ろしを手伝わんと、こつり、コンクリート床に跫を響かせた。
「おお、ミスター・ジルモントも休んでくだされ。貴方だって疲れているだろう」
「やらせてくれ。気嚢やエンジンに損傷が無いかも確かめたい」
 整備士らが休息を勧めるが、シキは頭を緩く振って搬送を手伝う。
 仕事は完璧にこなしたい性分だし、ただ休むというのはどうにも落ち着かない。
 既に十分な報酬を受け取った身なれば、仕事終わりの一杯を飲みに行って良かったし、彼が望めば連合は宿の手配もしてくれたろうが、シキは全員で護り抜いた飛行船の状態を確認すべく、機体の周りを巡った。
 明日にも気嚢部分に連合のマークを――キノコとタケノコが寄り添った絵を塗るのだと聽いたシキは、嬉々と画材を運ぶ塗装工の傍らで呟いて、
「――キノコもタケノコも分け隔てなく、か」
「ハイッ、“我等のココロは常にひとつ”です!!」
「……成る程、確かに平和的な街だ」
 キャバリアを返却した時から抱いていた所感を口にする。
 シキは市街地に入るなり目に飛び込んだバルコニーの飾り付けに、賑々しさと長閑さを感じていたし、このフロアで見る者達も皆々が朗らかだ。
「所変われば、双方が争いの元になる場合もあると聞いた事があるからな」
 と、シキが大真面目に感心していると、何やら派手に着飾った隊員が、向こうから莞爾(ニコニコ)と手招きしている。
「――ハロウィンの仮装?」
 見れば彼等はキノコやタケノコ、そしてスギノコや切り株の仮装をしており、シキにも其々がプリントされたチョコレート色のマントを勧めているらしい。
 促される儘、衣装の山に近付いたシキは竊笑を溢して、
「俺は遠慮しておくが……こういう場ではどんな仮装をするものなのか教わろう」
 こういうイベントには疎く、仮装の経験がない。
 故に、どんな格好をすればいいのか見当もつかない。
 唯だ、人々の無垢な笑顔を見るのは好ましいからと皆々を眺めたシキは、「カボチャ頭は地味に重い」とか「クモの巣タトゥシールがお手軽」など、あれこれと勧めてくる人々に淡く目尻を緩めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エル・クーゴー
【物九郎(f04631)と】



・物九郎機の隣に『アルテミス』を駐機
・機体の肩上に腰掛けて、きのこのお菓子をドローンのマネギと一緒にポリポリ食べながら物九郎とパーティーの模様を見物

・傍ら、物九郎をハロウィン仕様にデコる
ステップA:王冠を載っける
ステップB:えらそうなマントを巻き付ける
ステップC:小道具・王笏を持たす
ステップD:物九郎をよいしょって持ち上げて大道具・玉座(ハリボテ)に座らせる
>>>タロット『皇帝』コス完成<<<

・自分は自分で「庶民服姿&マネギにライオンの着ぐるみ」でタロット『力』コス

ハロウィンの気運を観測しました
“猟兵”の周知の為にも、当該パーティにノッておくことが推奨されます


白斑・物九郎
【エル(f04770)と】



・自機『ストームライダー』をその辺の邪魔にならなさげな所に駐機
・香箱座り中の黒猫型四脚機獣の額の上に寝っ転がって、たけのこのお菓子をボリボリ齧りながらエルとパーティーの模様を見物


ハロウィンパーティーだァ?
(頭へ王冠を載せられる)

ったく、どこにもお祭り騒ぎ好きが居たモンですわな
(マントを巻き付けられる)

今さっきまでドンパチしてたトコでしょうわ
(手に王笏を持たされる)

ちったァ休みゃイイでしょうによ――
(ハリボテ玉座に座らされる)

ってさっきから何してくれてんですよ!?
(タロット『皇帝』コス完成)

……ま、イイですわ
なかなかワイルドハントのし甲斐がある世界みたいですしな、ココは



 ――The United Kinoko-Takenoko(きのたけ連合)。
 山地に勢力を築くキノコと、村里で地盤を固めたタケノコの敵対の歴史は60年に及び、人類は選挙という民主的手段を試みるも終ぞ解決できなかったのだが、両者の抗争に巻き込まれ衰退・消滅したスギノコ、そして第三勢力と言われる「切り株」の台頭によって、なんやかんやで一つになったのが、この「きのたけ連合」である。
「連合の発足に至る経緯を出力します」
 国土に風土、人口統計、そして歴史と文化……諸有る情報を電脳魔術を使って収集したエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は、作業の傍らキノコのお菓子をポリポリ、僚機『マネギ』と共に美味を堪能している。
 そして、
「――で、めでたく一つになった連合の風習が目下の“コレ”なんですわな」
 彼女から送出されるホログラムウィンドウを視界の脇に、タケノコのお菓子をボリボリと齧る白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は、眼下の景色に睫を落していた。
「市民の実に八割がキノコかタケノコの仮装をする調査結果があります」
「見たとこタケノコが多……いや、半々か? でしょうわな」
 高みの見物とは正にこの事。
 輸送部隊の駐留地に自機『ストームライダー』を駐機した物九郎は、お行儀よく香箱を組む黒猫型四脚機獣の額(せまい)の上に寝っ転がりながら市民の仮装行列を見下ろし、物九郎機の隣に『アルテミス』を駐機したエルは、機体の肩上に腰掛けつつ人々の様子を見物していた。
「年一度の収穫祭は『ハロウィンパーティー』と呼ばれ、仮装が推奨されています」
「ハロウィンパーティーだァ?」
 胡亂臭そうに語尾を持ち上げる物九郎。
 彼がごろんと足を投げ出す傍ら、この土地の風習を把握したエルは電脳ゴーグルに燐光を走らせながらシュババッと動き出す。
「ステップA:王冠を載っける_完了」
 云って、白い斑とヘアピンだらけの黒髪の頂に王冠をちょこん。
 以後、彼女は物九郎が片肘を突いて行列を眺める間に着々と作業ステップを踏んだ。
「――ったく、どこにもお祭り騒ぎ好きが居たモンですわな」
「ステップB:えらそうなマントを巻き付ける_完了」
 めでたい奴はどの世界にも居ると、と言い捨てる物九郎に眞紅のマントをファサァ。
「今さっきまでドンパチしてたトコでしょうわ」
「ステップC:小道具・王笏を持たす_完了」
 キャバリアで、ドンパチを、と硬質の指で自機の額をトントンと敲く物九郎に、黄金と耀ける王笏をスッ。
「ちったァ休みゃイイでしょうによ――」
「ステップD:玉座に座らせる_開始」
 殊勝な事だと佳脣に溜息を滑らせる物九郎を、よいしょっと持ち上げる。
 而してマネギ隊がフヨフヨと運んで来たハリボテの玉座に鎮座させる。
「全ての作業を完了しました」
 片方の肘掛に腕を預け、足を組み――半跏思惟にも似た格好で王笏を持った物九郎は、ここでやっと視線をエルに、噛み付くように声を荒げた。
「――ってさっきから何してくれてんですよ!?」
「タロット『皇帝』コス完成」
「ァ!?」
 エルに視線を合わせて漸ッと気付く。
 彼女はいつの間にか自身の作業も完了させており、美しい銀髪に素朴な月桂樹を冠し、全き庶民を思わせる純白のワンピース姿で金色の獅子を……いや、ライオンの着ぐるみを着たマネギをスッスッと撫でていた。
「タロット『力』コス完成」
「……。…………。………………。」
 瞶め合って幾許。
 足許の賑わいが聽こえるほど靜粛を共有したエルは、データに示さずとも瞭然であろう人々の笑聲に水を向けて、
「ハロウィンの気運を観測しました」
 嬉しさ、楽しさ、倖せな空気が其処にあると言う。
 花脣は凡そ感情の色を示さぬが、雪白の繊手はめちゃくちゃマネギを撫でており、
「“猟兵”の周知の為にも、当該パーティーにノッておくことが推奨されます」
 而して言って直ぐである。
 駐留地の脇の道を練り歩いていたオバケキッズらは、珍しいキャバリアの姿を仰ぐや、そこに『皇帝』と『力』が一際存在感を示しているのに惹き付けられ、笑顔を繋いだ。
「あっすごい。えらそうなおうさま!! すごくえらそう!!」
「ライオンを手懐けているなんていいな!! かっこいいな!!」
 わぁわぁと呼び掛ける魔女に狼男。
 キラキラと目を輝かせて仰ぐ吸血鬼や骸骨。
 100年程抗争が続く殺伐の世界だが、二勢力の一致の下に平和を得た「きのたけ連合」の子供達は、彼が拠点を置くキマイラフューチャーのキッズと何ら變わらない。
「……ま、イイですわ」
 エルの強攻な南瓜仮装メイキングを受け容れた物九郎は、片肘に預けていた頤を離すと少し身を乗り出し、端整の脣に囁(つつや)いた。
「なかなかワイルドハントのし甲斐がある世界みたいですしな、ココは」
 狩場に申し分無し――。
 砂嵐の王を満足させる馳走がある、と舌を舐めずって睥睨したならば、オバケキッズらはきゃあきゃあと怖そうに嬉しそうに、ブンブンと手を振り返すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

獅子戸・玲桜奈
うぅ……消毒液が染みるぜ……。(裂けた拳を治療してもらった)
でもまあ、苦労の甲斐あって全員助けられた。めでたしめでたしだ。

ハロウィンか……毎日戦いばっかりでこんなイベントに参加するって事も最近はなかったな。いい機会だから楽しませてもらうか。
つっても手がこれだから飾り付けの手伝いなんかは無理そうだ。大人しく菓子食いながら街の様子でも眺めるかな。

キノコもタケノコもうめえな!どっちの方が美味いとかじゃねえ。どっちも違ったおいしさがあるんだ。食べ比べると余計にそう感じるぜ。
平和を望むココロはひとつ!!いつか世界中の人がそう言える日が来るといいな。



 熱く滾る拳閃の一打一撃に魂が震えた。
 激情の儘に炸裂した炎拳が、破滅的思想を打ち砕いたのだ、と――邪機に囚われていた操縦士が感謝を伝えるべく『紅蓮神機フレイムウィング』のパイロットを探していると、その者は紅いキャバリアの足許で、救護班に救急処置を受けていた。
「うぅ……強烈に染みるぜ……容赦ねぇな……」
 噴き掛けられる消毒液に蛾眉を顰める、獅子戸・玲桜奈(炎の翼・f30087)。
 あの雄々しい躯体を操縦していたのが、斯くも年若く美しい女性であった事に驚くが、搭乗者の無事を見るなり愁眉を開き、頬笑む――その屈託の無さにも驚かされよう。
「でもまあ、苦労の甲斐あって全員助けられた。めでたしめでたしだ」
 ならいいや、と両拳が繃帯に包まれるのを待つ。
 安靜にするよう言われた玲桜奈は、パイロットが頭を下げるのに合せて立ち上がると、聢と礼を受け取り、彼を病院に送るついでに街を散策する事にした。
 市街地に入る時も見たが、目下「きのたけ連合」は年に一度の収穫祭で賑わっており、秋色に彩られた街々で市民が飾り付けを愉しんでいる。
 人々の笑顔を燃える金眸に映して歩いた玲桜奈は、ふと言ちて、
「ハロウィンか……毎日毎日戰いばっかりで、こんなイベントに参加するって事も最近はなかったな」
 いい機会だから楽しませてもらうか、とオープンテラスのカフェに向かう。
 ウッドデッキには山ほどのカボチャが積まれていて、多くの人が中身を刳り抜いたり、表情を付けた其をバルコニーに並べたりしている様だが――。
「つっても手がこれだから、手伝いは無理そうだ。ここは大人しく……」
「ハイ、どーじょ!」
「……菓子喰うか」
 配りたがりのオバケキッズから次々に渡される菓子を受け取る。
「おねーちゃん、ミイラ?」
「手だけだけどな」
 魔女に骸骨、吸血鬼に狼男……我も我もと群がる小さな怪物達を満足させた玲桜奈は、両腕に抱えきれない程のお菓子を卓に広げると、街の賑いを眺めながら食べ始めた。
「おっ、キノコもタケノコもうめえな! どっちが美味いとかじゃねえ。どっちも違ったおいしさがあるんだ。片方だけじゃ、この事実には気付かない」
 食べ較べるからこそ瞭然(わか)る、其々の味わい。
 玲桜奈は二つあるから楽しめるのだと、キノコとタケノコを一つずつ手に取ると、
「平和を望むココロはひとつ!! いつか世界中の人がそう言える日が来るといいな」
 と双方を合わせ、平和を望む心を寄り添わせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
ぐぬぬ何という事だ…
スギノコや切り株すら許容するなんて…!
キノコとタケノコは争ってこそなんぼじゃないのか…!
闘争が…躰が闘争を求めないというのか…!
お前等変わっちまった…変わっちまったよ!
あの頃のギラギラした闘争の日々はどうしちまったんだよ!
キノコの勝利を信じて疑わなかった日々は何処に行ったんだよ!
大体タケノコに負けてたあの悔しさの日々を忘れたのかよ!
今のお前らは石突を切り取られたキノコと一緒だ!
うおーちくしょー!

っていう主張をパーティー会場の片隅でブブゼラ吹きながら言ってよう
ブベーブベーブッブー
くそーキノコもタケノコも食べ放題だなんて良い人だなあ
食べ放題だよね?違うか…まあいいや
黙々食べてよ



 猟兵として数多の世界を巡った月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、その瑪瑙と燿く瞳に惨憺や無情を映し過ぎた故に、眼前の奇跡を受け容れられずにいた。
「ぐぬぬ何という事だ……スギノコや切り株すら許容するなんて……!」
 美し双眸に宿る玲瓏の彩が戰慄く。
 目下、キャバリア部隊の駐留地で、目の前のパーティー会場に集まる市民を見た玲は、キノコにタケノコ、そしてスギノコや切り株の着ぐるみを着合う子供達の柔和な笑顔に、疑懼に塗れた視線を注いだ。
「キノコとタケノコは争ってこそなんぼじゃないのか……!?」
 己は知っている。両者の血の歴史を。
 キノコとタケノコの対立は深刻で、その抗争に巻き込まれたスギノコは衰退・消滅し、そして第三勢力と言われる「切り株」の台頭によって事態は更に混迷したのだ。
 玲は手を繋いでお遊戯する子らや、其を温かい目で見る大人達に訴え、
「闘争が……躰が闘争を求めないというのか……!」
 キノコがタケノコを恨む情動が、タケノコがキノコを憎む激情があった筈なのだ。
 ショックに震える手を握り込め、ダンッと地に打ち付けた玲は、目の前にある不条理を認める訳には往かぬと佳聲を震わせた。
「お前等変わっちまった……変わっちまったよ!! あの頃のギラギラした闘争の日々はどうしちまったんだよ!」
 己が知るキノコは、抜身の刀の如く冱え冱えとしていた。
 研ぎ澄まされた刃を以て、タケノコを袈裟に斬らんと光彩赫奕としていたものだ。
 それが、である。
「キノコの勝利を信じて疑わなかった日々は何処に行ったんだよ! 大体タケノコに負けてた、あの悔しさの日々を忘れたのかよ!」
 侃々諤諤、飾り無く云い放つ今こそ佳く判然る。
 己は彼の闘争を愛していた。タケノコの圧倒的優勢を前にしながら戰い続けたキノコの眞直ぐな闘争心を、撓まぬ挑戰の精神を好んでいたのだ。
 故に玲は敢えて言おう、
「今のお前らは石突を切り取られたキノコと一緒だ!」
 箱の中、袋の奥で泣き別れた! 笠と石突を別った、あの情けない――!!
 最早其がキノコであろうかと、冷たいコンクリート路を幾度と叩いた玲は、不図、己が手元からブブゼラが零れるのを見ると、其が轉がり離れる前に手を伸ばして摑み取る。
「うおーちくしょー!」
 ブベーブベーブッブー!!
 ブベーブベーブッブッブーーッ!!
 ストレートに伸びる身から奏でられる大音量は、パーティー会場の市民の注目を一気に集め、視覚ならぬ聽覚で喫驚(おどろ)かされた彼等は、笑顔の仮装行列を玲へ、キノコとタケノコのアソートパックを次々にプレゼントしてくれた。
 両腕に抱えきれぬ程の豊作を得た玲は、袋を開ける為にブブゼラを置いて、
「くそー、キノコもタケノコも食べ放題だなんて……良い人だなあ……」
 今度は黙々と食べる。
 黙々と、食べ続ける。
 きのたけ連合の人々の温かさに触れた玲は、お互いまろやかになったものだと、ミルク感を増したチョコレートの美味を存分に味わい、嚥み下すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リダン・ムグルエギ
さて、それじゃ町へ繰り出しましょっか
キノタケ衣装で準備は万端
ニコにはこちらなんていかが?
ウッディな感じだけど背中が開放的な杉の小枝&切株な森ガール衣装よ
あの『不協和音』の逆で、この衣装を着たアタシとニコで、この国の度量の広さや未来を暗示しましょって感じね!
あ、もちろん気に入らなかったら他のも…(がさごそ)

アタシの今回のお目当てはバルコニーの飾りつけ
目をキラキラさせてニコと話しつつカメラに収めまくるわ

ココにはココにしかない文化とデザインがある
なら、それを勉強して己の糧にするのはアタシのサガ
今年のクリスマス商戦は「家デコフラワー」なんていかが?
まぁ、そうじゃなくても勉強半分遊び半分で見て回りましょ



 山地に勢力を築くキノコと、村里で地盤を固めたタケノコの敵対の歴史は60年に及び、人類は選挙という民主的手段を試みるも終ぞ解決できなかったのだが、両者の抗争に巻き込まれ衰退・消滅したスギノコ、そして第三勢力と言われる「切り株」の勃興に対抗する形で一つになったのが、この「きのたけ連合」である。
「The United Kinoko-Takenoko(きのたけ連合)――国に歴史あり、ね」
 人々をトレンドに染めるには、その国を知る必要があると、事前に情報収集して歴史や文化を真摯に學んだリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は、この国で仮装行列するに最適な衣装を既にデザインしていた。
「さて、これから街に繰り出す訳だけど……ニコにはこちらなんていかが?」
 プロが使うミシンは疾い、速い。
 思い描いた衣服を一瞬でカタチにするリダン専用ミシンは、杉の小枝と切株をモチーフにした森色のティアードロングワンピースを縫い上げ、ニコリネに広げて見せる。
「わぁ……可愛い……!!」
「ウッディな感じだけど背中が開放的で、重たく感じさせないの」
「リダンさんの“きのたけ”と合わせて、スギノコと切り株の調和を感じるわ」
「そう、あの『不協和音』の逆で、アタシとニコでこの国の人々の度量の広さや、恒久の平和を目指す未来を暗示しましょって感じね!」
 其は邪機『ディソナンスウェイブ』と戰った者ならでは、不協和音を以て連合の部隊を脅かした彼の機体を弔う――ハロウィンならではのデザイン。
 嬉々として身体に宛てるニコリネに対し、リダンは『GOATia』の衣装用トランクからごそごそと他の衣装を取り出して、
「あ、もちろん気に入らなかったら、他のもあるわよ……」
 ピーナッツとアラレの割合が、度々熱い議論を生む「柿ピー」のワンオール。
 常に想像の上をゆく味を模索し続ける「ゴリゴリ君」のフレーバードレス。
 周辺国の情勢も調べた彼女は、そのユニークな思想を次々とカタチにしたものだから、衣装に惹き付けられた者達が続々とミシンの周りに集まった。
「あら、もし良ければ……」
「勿論、着ます!!」
「わぁ、オシャレ!」
 連合の人々は、血の歴史を経て頗る寛容になった。
 ファッションに敏感な女性達がキャッキャウフフと袖を通すのを見たリダンは、彼女達も誘って街へと繰り出す事にした。

「バルコニーの飾りつけ、見たかったのよ」
 今回のお目当てだったと、大通りに軒を連ねる家々のバルコニーにカメラを向ける。
 目下、キラキラと耀くリダンの瞳には、南瓜ランタンを積み上げたり骸骨を飾ったり、リアルにクモを飼ってクモの巣だらけにしたバルコニー等が次々に映り、彼女のカメラは住民のキラリと光るアイデアを、パチリ、パチリと収めていく。
 森ガールとなったニコリネも、歩くがてら趣向溢れる飾り付けを指差して、
「リダンさん、あの家! バルコニーが棺桶と墓石だらけになってる!!」
「いいわね! あのリアル、パワーを感じるわ」
 イイネを置くようにシャッターを押す。
 宛如(まるで)バルコニーが其々の家の個性を表す、作品展の様だと口角を持ち上げたリダンは、無数のアイデアに己の創作意欲が掻き立てられるのを実感していた。
「ココにはココにしかない文化とデザインがある。なら、それを勉強して己の糧にするのはアタシのサガ」
 其は銀河を跨ぐデザイナーの流儀。
 リダンは世界を冒険しながら文化を學び、我が血肉としていく貪欲さがある。
 而して己が糧と吸収したなら、其を種と蒔く事にも長けており、
「ねぇニコ、今年のクリスマス商戰は『家デコフラワー』なんていかが?」
「家デコ……なんて素敵な響きかしら!! 家中をお花で飾るトレンドが生まれたなら、それだけ沢山のお花が必要になるわねぇ……!!」
 これを聽いたニコリネは、年を追う毎に嚴しくなる聖夜の商戰を乗り切るにピッタリだと綻び、瞳にドルマークを浮かべた。
「ふむふむ、どんな世界にもアイデアに溢れているものねぇ」
「そうそう、勉強半分遊び半分で見て回りましょ」
「はーい」
 斯くして調和の証たる“きのたけ”と“スギカブ”は、幾度とカメラにフラッシュを焚きながら、秋色に賑う街をのんびりと歩き回るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セレーネ・ジルコニウム
理緒さんと

「無事に敵を撃破できましたね。
けど、『殲禍炎剣』に狙われた時は冷や冷やしました……」

理緒さんにお礼をいいつつ、きのたけ連合のドックでスティンガーの修理をお願いしましょう。

「理緒さん、修理までしていただいて……
って、なんですか、このキノコやタケノコのデコレーションはっ!?」

驚いてスティンガーに駆け寄ろうとしたところで、足元のバケツ(チョコ入り)をひっくり返して、全身チョコまみれに。

「うう、着替えまで用意してもらってすみません……」

軍服から、理緒さんに用意してもらった服に着替えますが……

「なんですか、この服ーっ!?」

大正ロマン?(他世界のことは知らない
こんな格好では大佐としての威厳がっ!


菫宮・理緒
セレーネさんと

まずはスティンガーの修理からかな。
わりと無茶させちゃったし、整備はしっかりしておかないとね。

うん。せっかくだし、ハロウィン仕様にしてみようか。

カボチャはもちろん、キノコ、タケノコ、スギノコ、切り株。
いろんな飾り付けでスティンガーをおいしくしちゃおう。

……さすがにチョココーティングはやりすぎだったかな?
ま、まぁ、お祭りだし、短期間だしたまにはいいよね!

あ、そだ。
せっかくだから、セレーネさんもおいしくしちゃおう。
「セレーネさん!どっちが着たい?」

選択肢は、ゴシックお嬢か大正ロマンですが!

お、大正ロマンの方をご所望ですか、お目が高い。
いげん?そんなのよりも可愛さ!えへへ、かぁいいー♪



 戰闘中はモニターを介して会話していた菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)とセレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)は、キャバリア駐留地で合流すると、互いの肉聲を聽いて安堵の微咲(えみ)を浮かべた。
「無事に敵を撃破できましたね」
「うん、オブリビオンマシンに囚われていた人達も救出できて、一安心!」
「けど、『殲禍炎剣』に狙われた時は冷や冷やしました……」
「私も一時はどうなるかと思ったけど……何とかなんて良かった」
 危うく撃ち落とされる處だったと、改めてセレーネの爪先から頭までを見る理緒。
 流石はアンサーヒューマンと言うべきか、あれだけの戰闘をしておきながら雪白の肌膚には傷ひとつなく、花顔も疲労の色を見せるより晴れやかな勝利に耀いていた。
 なればと琥珀色の佳瞳は、セレーネの後ろに立つキャバリアに結ばれて、
「それじゃ、まずはスティンガーの修理からかな? わりと無茶させちゃったし、整備はしっかりしておかないとね」
「! 色々とお気遣いをありがとうございます!」
 きのたけ連合のドックでメンテナンスをしようと、整備士たちに聲を掛ける理緒と共にぺこりと頭を下げたセレーネは、次に顔を上げた瞬間、彼女の指示で次々と運び込まれるキノコとタケノコに目を丸くした。
「――って、なんですか、このキノコやタケノコのデコレーションはっ!?」
「うん。せっかくだし、ハロウィン仕様にしてみようかと思って」
「!?」
 最新鋭の試作キャバリア『スティンガー』の肩部にジャック・オー・ランタン。
 ハロウィンらしく三角帽子を被せた南瓜は勿論、キノコ、タケノコ、スギノコ、切り株……と、様々なモチーフが鋼鐵の英姿を飾っていく。
「いろんな飾り付けでスティンガーをおいしくしちゃおう!」
「スティンガーを……おいしく……!!」
 莞爾(ニコニコ)と頬笑む理緒の隣、可愛らしいオレンジのリボンが腕部に結ばれるのを見たセレーネは、慌てて駆け寄ろうとした矢先、足許のチョコレートが入ったバケツを引っ掛け、床に轉ぶと同時にチョコ塗れになってしまった!!
「わっ、とと……きゃぁあああっ!」
「セレーネさん!? 大丈……わわ、全身チョコまみれに……!!」
 パリッとした軍服も、橄欖色の外套も、とろり蕩けるチョコレート色に。
 美し銀髪も、透き通る雪膚も、甘く馨れるチョコレートを潜らせれば、セレーネは顛倒の痛みを味わうより喫驚で瞳をぱちくりとさせていた。
 これには理緒も慌てて駆け寄り、
「……さすがにチョココーティングはやりすぎだったかな?」
 キャバリア用に準備した量なれば、華奢なセレーネが一瞬でチョコレート塗れになってしまったと拭ってやるが……間に合いそうもない。
「ま、まぁ、お祭りだし、短期間だし。たまにはいいよね!」
 たまにはこんな事があっても――と、半ば宥めるように言って手を差し伸べた理緒は、整備場の向こうに見える待機室へと案内するのだった。

 芳香も油分も強いチョコレートはシャワーで流した。
 濡れ髪は丁寧にドライヤーをかけた。
「うう、ご迷惑をお掛けしてしまってすみません……」
「全然!」
 ドレッサー越しにしょんぼりと詫びるセレーネを見た理緒は、軍服の代わりにガウンを羽織る彼女に、ピン! と何か閃いたようだった。
「あ、そだ。せっかくだから、セレーネさんもおいしくしちゃおう」
「――おいしく?」
 不思議そうに語尾を持ち上げる佳人を余所に、嬉々と洋服を用意する理緒。
 欣々(いそいそ)と戻ってきた彼女は、鏡越しに可愛らしい衣装を見せて言った。
「セレーネさん! どっちが着たい?」
「なんですか、この服ーっ!?」
 右手には、フリルをたっぷりあしらったゴシックなお嬢様ワンピースドレス。
 左手には、古き良き時代の粋美を感じる、ハイカラさんのファッションドレス。
 身も気も引き締まる軍服は今は洗濯機の中にて、セレーネはどちらかの服を着るしかないのだが……、
「で、では……こ、こ……こちらで……」
「お、大正ロマンの方をご所望ですか、お目が高い」
「大正ロマン?」
 他の世界は知らぬ身にて、大正という言葉も浪漫も判然らないのだが、ふわふわレースの甘やかなドレスよりはと選んだ方も、理緒を喜ばせるには十分。
 衣装を受け取って更衣室に消えたセレーネは、暫し「うーん」とか「ふむ?」とか言う聲を溢していたが、モジモジとしながらも姿を現した時は、理緒の佳顔をパアァ……ッと輝かせた。
「セレーネさん……!!」
「あの、理緒さん……やっ、矢張りこんな格好では、大佐としての威厳がっ!」
 キラキラと玲瓏の彩を煌かせる理緒の前で、淡く頬染めるセレーネ。
 私設軍事組織ガルヴォルンを率いる身として、大佐を名乗る身として、このような服を着る訳には往かぬと踵を返すところ、理緒はグイと押し留める。
 丹花の脣は嚴然と、揺ぎ無き真実を告げて、
「いげん? そんなのよりも可愛さ!」
「かわいさ」
「……えへへ、かぁいいー♪」
 噫、やっぱりセレーネさんは可愛いと、「素材の美味しさ」を噛み締めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月24日


挿絵イラスト