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プラント奪還作戦~潜入、そして倒せ!救国のキャバリア

#クロムキャバリア #宝玉外史

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●救国のキャバリア
 クロムキャバリアの小国家、魔石の国『クライノート』。この国は霊峰を背に広がる君主国家である。
 この国が所有するプラントは堅牢な構えと施設化をしているのが通例だ。プラントの周辺には供給のために敷かれた道路と資源の加工施設が取り囲み、それをさらに鋼鉄製の壁がぐるりと囲んでいるといったように。

 そんなプラント施設のひとつ、クプファー。その一角にあるキャバリア工房の前で。
「聞け! 皆の者!」
 白く輝くキャバリアの上から一人の将校が演説をしていた。名は『エリック』。クライノートのキャバリア軍隊『宝玉騎士団』の若き将校である。
「多大な被害を受けた先の大戦より10年! 周辺国との小競り合いはあるものの、我らは平和に暮らしてきたと言えよう!」
 彼は人望も厚く、また聡明な青年である。
「しかし、しかしだ! それは偶然であったとしか言えない。何故なら先の大戦の敵であるかの大国はいまだ健在だからだ!」
 エリックの声に歓声が起こる。人々が徐々に集まり始める。『もし猟兵がこの場にいれば』、不可思議な『力』をその身で感じていただろう。
「それではいけない。ダメなのだ。かの悪国は必ず倒さねばならない! でなければ、我ら以外にも新たな被害を、犠牲者を生み出してしまうかもしれない!」
 徐々に熱を帯びてくる演説。その熱は必然と聴衆に広がっていく。
「ゆえに私はかの大国を討つ!
 見よ! 私の想いに『救国のキャバリア』が応えてくれた!!」
 エリックの声に、一瞬クプファーの中が静まり返る。それはあり得ないことであった。何故なら『救国のキャバリア』は誰が乗っても動かないはずなのだから。
 しかし、エリックが操縦席に乗り込み……そして白く輝く機体は、『救国のキャバリア』は動いた。
 沸き起こる聴衆の、割れんばかりの大歓声。
「もはや恐れることは何もない! これより、此処クプファーを我らの拠点とし、クライノートの、この世界の未来を救う!!」
 エリックが拳を天に突き上げ、それに合わせて再び大歓声が響き渡る。それはこのクプファーにいた皆ががエリックに賛同した瞬間であった。

●グリモアベースにて
「いつもお世話になっています」
 涼月・カティア(仮初のハーフムーン・f05628)が集まってくれた猟兵たちにぺこりとお辞儀する。
「皆さん、クロムキャバリアのことはもうご存知ですか?」
 それは数千の小国家が乱立し、遺失技術で建造された『プラント』を奪い合う戦乱の世界である。
「今回、予知(み)えたのはその小国家のうちのひとつ、魔石の国『クライノート』で起こるプラント占拠事件です」
 占拠されるプラント施設の名はクプファー。カティアが視たということはこの事件には必然として『オブリビオンマシン』が関わっていることになる。
「騒動の中心にいるクライノートの将校『エリック』。彼の乗っている『救国のキャバリア』こそがオブリビオンマシンなのです」
 そのために軍の中でも人望溢れる将来の有望株が思想を歪められて暴走し、突如として狂気のテロリストへと変貌してしまったのだ。
「この気が狂ったかのような変貌とプラントが占拠された事実を受けて、クライノートは彼の討伐に踏み切りました」
 そして今現在、クプファーをクライノートのキャバリア軍隊『宝玉騎士団』が取り囲んでいる。
「しかしオブリビオンマシンを倒せばこの事件は収束します。お願いです、皆さんの力を貸してください!」
 それが今回カティアが皆を呼んだ理由なのである。

●クプファー奪還作戦
 クロムキャバリアにおいてプラントは最重要すぎる施設である。そのため、外から攻撃して殲滅、という手段は絶対に無い。
「ですから作戦としては、クプファーへ潜入。そして中から解放するという流れになります」
 幸いにしてプラント施設は広い。キャバリア戦闘をするにも十分な広さがあるし、プラントそのものが無事なら仮に周辺の施設は壊れようともその責は問われない。

 だから重要なのはどうやって潜入するかである。

「堅牢なクプファーの出入り口は、4つしかありません」
 というのはクプファーの周辺は鋼鉄製の壁をぐるっと囲われているからだ。その壁が途切れている箇所は、東西南北にひとつずつ設置されているパイプライン(資源運搬道路)の関所だけだ。
 しかしこの4つの出入り口は今現在、エリック一派と宝玉騎士団が睨み合う形で陣取っており、封鎖されているに近い。
「その状況を利用します。皆さんは『エリックに賛同する傭兵』の振りをしてクプファーに潜入して欲しいんです」
 つまり、宝玉騎士団を蹴散らしてクプファーに赴くか、宝玉騎士団の目をかいくぐって鋼鉄製の壁を乗り越えるか、だ。
「『万難を排して馳せ参じた』感を出してもらえると助かります」
 そのためには宝玉騎士団と軽くキャバリア戦闘を行うのも手だ。この作戦には宝玉騎士団も乗っかってくれる。
 また壁には元々侵入者を排除するための罠がたくさん設置済だ。わざわざこれを越えてきたのか、という点がポイント加算になる。

「潜入できたら夜を待ってください。活動している人が少なくなったところで奪還作戦開始です」
 奪還作戦を始めたら、エリックの配下たちがキャバリアを持ち出してくるので戦闘でこれを撃破してほしい。
「クプファー内のキャバリアは例外なく、オブリビオンマシンと化しているようです」
 そのため、彼らも思想を歪められ、暴走している。これを止めるにはマシンのみを破壊してしまえばよい。
「マシンが無くなればその干渉もなくなります。そうすることでパイロットの皆さんも正気に戻るでしょう」
 なお、戦闘が始まれば、外で待機していた宝玉騎士団が突入してきて、キャバリアをはじめ、預けていた個人的な装備なども戦線まで届けてくれる。素早く体制を整えてエリック配下を無力化してほしい。
「そうしたら、次はエリックとの戦闘になります」
 彼の乗る救国のキャバリアを撃破することができれば、クプファーを解放することができる。なお、彼も配下と同様で、キャバリアのみを倒せば正気に戻すことが可能だ。

「色々と手がかかる作戦ですが、皆さんなら大丈夫だと信じています。どうかよろしくお願いします」
 そう言ってカティアは改めて頭を下げるのであった。

●シナリオデータ(参考)
『プラント施設・クプファー』
 プラントを中心に◎の構造をしています。外円の半径70mほど。
 真ん中の丸がプラント部分です。半径5mほど。
 内側と外側の丸の間にあるのが、道路、資源加工施設、工房など。幅65mほど。
 これに十字かつ東西南北に伸びるパイプラインがあります。
 外側の丸は鋼鉄製の壁です。高さ3m。侵入防止の罠がたくさんあります。電流柵、赤外線探知レーザー照射、トゲトゲ、催眠ガスなどなど。


るちる
 こんにちはとかこんばんはとか、るちるです。お世話になってます。
 やべぇ、オープニングの文字数全然足りない(汗)
 しかしやるぜ! クロムキャバリアのシナリオお届けします! 実はスパロボ大好きなるちるです。

 シナリオの補足です。

●全体
『キャバリア』
 必要に応じていつでも使用可能。
 キャバリアをジョブやアイテムで持っていない人は、借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つことも可能です。
『殲禍炎剣』
 これがあるために、空を自由に行き来することはできません。クプファーの上空から、とかいった作戦も取れませんので注意してください。
『禁止事項』
 プラントの破壊(一部破損含む)
 出来たらキャバリアは消滅させることなく修理可能な破壊程度で留めてください(貴重品なので)
 コクピットを狙う攻撃は禁止。またプレで言及しない限り、原則コクピットを避けて攻撃しているとみなします。

●1章
 冒険です。POW、SPD、WIZの選択肢は参考程度に。いかにエリック一派に合流するかをお書きください。キャバリア戦闘の場合、描写はお披露目程度になります。壁の罠は侵入防止トラップと聞いて思い浮かぶものは一通りあると思ってください。
 オープニング承認後、冒頭追記します。

●2章
 集団戦。キャバリアとの戦闘になります。自分の装備は宝玉騎士団が届けてくれますので、装備やアイテムの制限はありません。詳しい状況は1章を受けて改めて冒頭追記します。

●3章
 ボス戦。救国のキャバリアと呼ばれている、クライノート所有のサイキックキャバリア……に見せかけて封印されていたオブリビオンマシンとの戦闘になります。
 実際にこのキャバリアが過去、クライノートの危機を救ったことは事実です。詳しい状況は2章を受けて改めて冒頭追記します。

 あとはマナーを守って楽しくいきましょう。

 それでは参加お待ちしていまーす!
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第1章 冒険 『補給物資を届けろ!』

POW   :    物資の運搬を手伝う。

SPD   :    周囲の警戒や索敵、偵察などで安全確保。

WIZ   :    安全なルートを割り出す。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●side:クプファー
 食料も鋼材などの資源も生産できる『プラント』において、唯一補充できないもの。それは『人手』である。何をするにしても人手を増やすことは今後のプラスになる。
 だが、エリックの一派がクプファーを封鎖しているのは、『反乱分子が紛れ込めば一気に不利になる』ことを恐れているからだ。
 だからエリックはじめクプファーの中の人々は常に警戒している……『自分の知らない者』が紛れ込んでいないかどうかに。
 ゆえに面の割れている宝玉騎士団では潜入できず、入り口で睨み合うしかない。
 もちろん、こっそり忍び込んで事が始まるまで見つからなければ良いという考え方もあるのだが。皆が皆それでは身動きが取れない。
 だからこそ、潜入とはいえ、わかりやすくエリック一派の目に見える方が良いのだ。『我らは宝玉騎士団と敵対する者だ』と。

●side:宝玉騎士団
「さてどうするか」
 クプファー西を担当する宝玉騎士団分団長ケビンは頭を悩ませていた。戦力で言えば、相手に救国のキャバリアがいるとはいえ、こちらの方が上だ。
 しかしその間に万が一にでもプラントが破壊されれば、この戦い負けである。その可能性が消えない以上、突入は出来ない。
 潜入するにも警戒されまくってて警戒網を突破出来ない。八方手塞がり……そう考えていた時に王都から伝令が来た。
「傭兵? あー流行りのアイツらか……ふむ」
 伝令には『傭兵たちの潜入作戦および奪還作戦を支援せよ』とあった。
 彼らならば面は割れていない。後は……エリック一派に信頼されるか否か。簡単に考えれば『敵の敵は味方』というやつだ。
「よし、各分団に伝令。作戦を打診してくれ」
「どのように?」
「各分団内の1個小分団をクプファーに向けて展開。『傭兵たちを見かけたら威嚇射撃』だ!」
「は? そんなことして大丈夫なのですか?!」
「大丈夫だろ。アイツら生身でもキャバリアと戦えると聞いたぞ。ああ、でも当てに行くなよ? 向こうが勝手に当たるのは知らん」
「しかしそれを傭兵たちにどう伝えれば?」
「別の1個小分団を後方待機させる。そこで接触しろ。支援は惜しまんと伝えるんだ」
 こうして宝玉騎士団の、猟兵に対する支援体制が整った。

 後は、猟兵たちが如何にしてクプファーの中に潜入するか、だけである。
 その方法と手段は各猟兵たちに委ねられたのである。
フロース・ウェスペルティリオ
ほうほう。これがクロムキャバリア(世界)のプラント施設……
物資調達の要とも言うべき重要施設って事は、SSWのコアマシンみたいなのがあるのかな?

えっと、見つからないようにこっそり入ればいいんだよね……
ん。ナノさんに頼んで、安全に入れそうな場所を探してみようか
キャバリアはもちろん、人間さんでも入れないような隙間でも、元々が液状なウチなら入れるかもしれないしねぇ
ちょっとした壁の割れ目とか、排気管とか、キャバリアの機体の隙間とか
あ、念の為、宝玉騎士団さんからお借りしたキャバリアは『黒花印の目録本』に収納して持って行こうかと

ふふ、キャバリアって大きめのウォーマシンさんみたいで、遠目だとちょっと和む不思議




 プラント施設クプファーの外周は鋼鉄製の壁に囲まれている。侵入者の一切を阻む高さ3mの壁を、フロース・ウェスペルティリオ(蝙蝠花・f00244)は側から見上げていた。
「ほうほう。これがクロムキャバリアのプラント施設……」
 この世界の要ともいうべき重要施設。その性質は話を聞けば聞くほどに、ブラックタールの生誕の地であるスペースシップワールドのとある施設を思い出す。
「物資調達の要とも言うべきって事は、『コアマシン』みたいなのがあるのかな?」
 プラントの中身を覗いてみないとわからないが、役割としてはほぼ一緒のような気がする。ただ、ここで考察を重ねても答えが出ない問いではある。

 気を取り直して壁に向き直るフロース。
「えっと、見つからないようにこっそり入ればいいんだよね……」
 グリモア猟兵の話を思い出して、改めて周囲を見渡す。ぐるーりプラント施設を取り囲む鋼鉄の冷たい壁。一見、侵入経路は見当たらないようだが。
「ん。ナノさんに頼んで、安全に入れそうな場所を探してみようか」
 キャバリアはもちろん、人間のサイズでも入れないような隙間でも。元々が液状であるフロースなら入れるかもしれない。
 その希望に賭けて、【おでかけナノさん】で自身より小さな分身体をわらわらわらーっと呼び出すフロース。
 そして散開。侵入経路を探す。

 で。

「うん、さすがに穴とか排気管とかは無かったか……」
 戻ってきたナノさんや現地から感覚共有してくれたナノさんの情報を取りまとめるに、普通に『穴』となる箇所は見当たらなかった。
 しかし、ナノさんレベルの小ささなら、罠と罠の間をすり抜けることが出来るということがわかった。となれば、ナノさんに先導してもらってその隙間を縫って行くしかあるまい。
「いこうか」
 液状の姿に戻り、壁を這い上がっていくフロース。先導するナノさんの大きさに合わせて体のサイズを巧みに操り、赤外線の隙間をすり抜ける。トゲトゲはそもそも液体の身には効果が無い。ガスも同じく。
「…………」
 電流柵だけは触れると大変な目に合いそうだ。殊更慎重に柵の間をすり抜けていくフロース。

 そして壁の上に到達する。そこでひと息つきながら、フロースが振り返ると、プラント施設の入り口でキャバリアを展開している宝玉騎士団が見える。
「ふふ、キャバリアって大きめのウォーマシンさんみたいで、遠目だとちょっと和む不思議」
 柵の上から眺める宝玉騎士団の光景に、フロースは思わず笑みを浮かべる。そして、ぽむ、と懐を叩くフロース。そこにあるのは『黒花印の目録本』。宝玉騎士団に借り受けたキャバリアは既にこの中に収納してある。黒花印の目録本は1頁につき1種類、何でも保存できるとっても便利アイテムなのだ。
「さて……」
 ここから先は見つからないようにしなければならない。
 気を取り直して再び液状の姿に戻るフロース。慎重に壁を這って伝い、プラント施設への侵入を果たしたのである。

【侵入成功】【人目につかない場所で待機中】

成功 🔵​🔵​🔴​

政木・朱鞠
行動【WIZ】
まったく!…交渉の切っ掛けが威嚇射撃だなんて手荒い歓迎ね。
威嚇射撃に怯んでいるフリをしつつ『忍法・繰り飯綱』を潜入させて宝玉騎士団側に繋ぎを取って交渉や【情報収集】をさせて貰おうかな。
クプファー側にも戦闘は見えているはずだからそのまま利用して、本体の私は威嚇射撃で追い出された傭兵として助けを求めてエリック派と接触しようかな。
もし、入団テスト的なモノを求められたら【気絶攻撃】で兵を鎮圧して力を示すよ。

もしかすると、宝玉騎士団としては便利な露払いとして利用したいのかも…。
そうだとしても、私達のターゲットは飽くまでオブリビオンマシンだし、今はこの状況を利用させて貰うよ。

アドリブ連帯歓迎




 それはクプファー東側の入り口にて。
 その入り口に対して弧を描くように展開している宝玉騎士団のキャバリア隊、その後方から土煙をあげて地を駆ける『人影』があった。それはキャバリア隊のラインの切れ目から真っ直ぐクプファーに向かっている。
「……っ! 近付けるな!!」
 分団の指揮官から指示が飛ぶ。それに合わせてスムーズに方向転換したキャバリアが一斉にRSキャバリアライフルを発射した。
 弾丸が風を切って飛び、人影の周辺に着弾する。
「つぅっ!!」
 直撃ならずともその衝撃は決して無視できるものではない。
「まったく! ……交渉の切っ掛けが威嚇射撃だなんて手荒い歓迎ね」
 悪態をつきながら、それでも足を止めずに。妖狐の忍者、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)はプラント施設に向けて一直線に駆ける。爆風で巻き起こった土煙が収まるまでに次の弾丸が雨あられと降ってくる。どうやら宝玉騎士団の(威嚇)射撃は遠慮を知らないらしい。
「ちぃっ!」
 さすがにこのまま真っ直ぐ行くと威嚇射撃に吹き飛ばされそうだ。
(それなら……!)
 普段はこんな使い方をしないのだが。今だけはこれが正解だろう。『風狸ノ脛当』の、普段は武器にしかならない強力過ぎる跳躍力を以て、着弾地点から一瞬で方向転換&離脱する朱鞠。
 結果として威嚇射撃で進行を中断した形になった。
(とりあえず怯んでるフリで誤魔化そうかな……!)
 ドンパチ始めた状況を、宝玉騎士団だけでなく、クプファーにいるエリック一派も見ているはず。ならばこの状況が長く続けば続くほど、朱鞠にとっては『有利』になる。
 迂回しようと走り出した朱鞠を追いかけるようにして、さらに威嚇射撃が降ってくる。
「ほんっと、遠慮がない!!」
 3倍に増えた砲撃の数に、さらに大きく迂回するルートを取る朱鞠。というか、いくら朱鞠が猟兵だからといってここまでするか、という量である。
 しかし、宝玉騎士団が本気になる(と見せかける)ほどに、潜入した際の信頼性が増す。

 ――ここを潜り抜ければ!

 その一心で、朱鞠が再び地を駆ける。あともう少しでクプファーに辿り着く……直前に、宝玉騎士団の射撃が真近くに着弾する!
「……!!」
 息を飲んだのは宝玉騎士団か、エリック一派か。
 土煙が収まらぬ中、クプファーの入り口前に空からしゅたっと人影が降ってきた。朱鞠である。
「ふぅ……どうにか無事に辿り着いたわね」
 無傷の朱鞠がそこにいた。その様子を見てエリックの一派から大歓声が起こる。
 本来、というか普通、キャバリアの砲撃はキャバリアに向けるものであって。決してヒトに向けるものではない。それをかいくぐってここまで来たのだ。称賛が無いはずがない。
「貴女は……いったい……」
 敵意の無い様子の朱鞠に、東入口を守っているリーダーらしき兵士が話しかけてくる。
「私? 傭兵よ」
「傭兵……そうか、貴女は近頃噂の……! しかし何故あのような……?」
 朱鞠の言葉に得心がいったように兵士は頷く。問題は朱鞠が砲撃されていた理由だ。
「追い出されてきたのよ。色々あって」
「なんと……!」
 もし、単にこの場に現われただけなら疑いの目も向けられたであろう。しかし、あの威嚇射撃の中を突っ切ってきた朱鞠に対して、今は称賛の方が強く、疑いを持つ者がいない。
 ぜひ、とクプファーの中に案内される朱鞠。その案内に従いながら、朱鞠は心の中で思索を巡らせる。
(もしかすると、宝玉騎士団としては便利な露払いとして利用したいのかも……)
 自分たちが苦労しなくて良いという点ではまさに猟兵の存在はうってつけだ。
 
 あてがわれた個室で休息する朱鞠の元へ、密かに戻ってきた【忍法・繰り飯綱】の子狐に似た分霊たち。それは潜入作戦の前に密かに放っておいたものであった。行先は宝玉騎士団。朱鞠の代わりに色々と探りと交渉を行っていた。
 およそヒトの目では発見されないその分霊たちはあらゆる警戒網をいとも簡単に潜り抜けて、主に得てきた情報を伝える。
(オーケー。準備はバッチリね)
 宝玉騎士団としては自国所有であるクプファーを安全に取り戻したい一心のようだ。そのためならば協力は惜しまない態勢である。
 朱鞠には戦闘が始まるまでに要望する物を整えてくれるそうだ。また子狐を使えば問題なく外の宝玉騎士団と連絡が取れるであろう。
 あとはタイミングを待つのみ、である。

【潜入成功】【宝玉騎士団に交渉成功(次章プレで依頼をひとつ指定可能)】【子狐を使えば常時連絡可能】

成功 🔵​🔵​🔴​

シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK

潜入作戦はシーフの得意とするところ。
キャバリアは呼べばいつでも召喚できますし、単身乗り込むとしましょう。

「さて…侵入ルートは、と。」
クプファーの兵士に気づいてもらえないと、こちらの実力も披露できませんし、侵入が分かるよう、少々派手に行くとしましょうか。

「未来予測、解析開始!」
【紅影の予告状】を使い、トラップの自動迎撃で発射される銃撃の弾道を予測、ギリギリのところで回避しながら、最短ルートで壁を乗り越えます。

ひらりと地上に舞い降りたら、両手を上げて戦意が無いことをアピール。
「こちらで腕利きを募集しているって聞いたんだが、あってますか?」

さて、うまく雇っていただければ良いのですが。




「ふむ」
 シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)はクプファーの東入口に近いところで、クプファーを包囲する壁を見上げていた。遠くで砲撃戦の音が聞こえる。誰か他の猟兵が宝玉騎士団の警戒網を突破する作戦を立てているのだろう。
 それを利用できるなら好都合だ。現にここまで何の問題も無く、辿り着くことが出来た。

 問題はここから。

 潜入作戦はシーフの得意とするところだ。
(キャバリアは呼べばいつでも召喚できますし)
 シンが乗る真紅のキャバリアは彼の呼ぶ声に応じてどこでも現れるモノ。であるなら、この後にあるキャバリア戦のことに心を砕く必要は無い。なので今回は。
(単身乗り込むとしましょう)
 つまり眼前にそびえる高さ3mの鋼鉄製の壁を攻略するのである。

「さて……侵入ルートは、と」
 周囲を見渡しつつ、いろんな視点から確認を行うシン。本来、潜入と言えば気付かれないようにするものだが、こと今回に限っては、クプファーの兵士に気付いてもらう必要がある。
(こちらの実力も披露できませんしね)
 逆に気付いてもらう方が色々と都合がいいのだ。
「では……侵入が分かるよう、少々派手に行くとしましょうか」
 シンの言葉に応じるかのように『怪盗の単眼鏡』が煌めく。
 見た目通りのモノクルと侮るなかれ、その実、スペースシップワールドの技術の粋で以て様々な機能を搭載した電脳ゴーグルなのだ!
「未来予測、解析開始!」
 モノクルの力を利用して【紅影の予告状】発動。高精度な未来予測がシンの脳裏に流れ込んでくる。それに倣うならば……!

 まずは『真紅銃<スカーレット・ブラスター>』を一射する。その熱量に反応したセンサーがガンポッドを展開。感知した熱源に対して斉射してくる。
「ふっ……」
 しかしシンは発射より『先に』動き出している。予測された銃撃の弾道をギリギリのところで回避しながら壁を駆け上がるシン。
 今度は赤外線センサーが感知、ガンポッドの数が3倍に増える。それから一斉に発射される弾幕を、しかしシンは壁を蹴って宙を舞うようにして軽やかに回避していく。壁から射出されたトゲ弾も既に弾道を予測済。ふわり、とマントで包み込んで叩き落とせば、後はこのまま電流柵を乗り越えるのみ。

 ひらり、と壁の中へ着地したシン。最短ルートで突破したがゆえに、そこからゆっくりと立ち上がる頃に、エリック配下の兵士たちが現れる。
「何者だ!」
 自動小銃を構えて警戒する兵士たち。それに対してシンは両手を上げて戦意が無いことをアピールする。
「こちらで腕利きを募集しているって聞いたんだが、あってますか?」
「何……?」
 悠然としているシンに対して動揺する兵士たち。
 人出は欲しい、しかし目の前の人物をどう評価したものか。壁の様子を見れば罠を速攻で突破するほどの実力があることはわかるのだが。
「いや、不穏分子は除くべきだ!」
 意外と過激派が来たらしい。兵士が声とともに自動小銃を連射する。
「これでも傭兵でして」
「……!?」
 目の前にいたはずの男の声は自分の真横から聞こえてきた。兵士が振り向く、そこにシンがいた。慌てて先ほどまでシンがいた場所を見るが、そこには銃撃の跡が残っているだけ。
 モノクルが告げた未来予測は、先の壁のトラップだけで終わっていなかったのだ。
「どうです? 雇っていただけないでしょうか?」
 いとも簡単に背後を取るシンに、実力で劣る兵士たちが拒否を示せるはずもなく。
 こうしてシンもクプファーへの潜入を果たしたのである。

【潜入成功】

成功 🔵​🔵​🔴​

メンカル・プルモーサ
改造装甲車【エンバール】に乗って…
さて、威嚇射撃……威嚇かなあれ?を掻い潜り全て回避しながらプラントに近づくとしよう…
…まあ、あたってもそうそう傷はつかないけど…それがばれると面倒だからね…
…で、「救国のキャバリア」を喧伝しているのであれば……密かに協力の打診を申し出るプラントが居てもおかしくはないかな…
(当然宝石騎士団に頼んで偽造して貰った物だが)運転の腕を買われてそういった書状をもってきた、と言う設定で中に入れて貰うとしよう…
装甲車ならキャバリアほど警戒もされないだろうし…責任者(エリック)の返答まで待たせて貰うと言うていで潜入だね…
次の作戦に移るまで長い時間はかからないだろう…




 宝玉騎士団がクプファーの前に敷いた防衛ラインから遥か後方にて。

 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は自身の『改造装甲車【エンバール】』に乗り込んでいた。スペースシップワールドに棲息するクエーサービースト『マインドミナVBA』の装甲増設により、この車はあらゆる状況を走破出来る万能の装甲車へと進化している。
 これでもって、クプファーへ乗り込む。
「いきますか……」
 エンジンスタート。クロムキャバリアの大地にエンバールがその軌跡を残して疾走する。
 エンバールを認識した宝玉騎士団が威嚇射撃を仕掛けてくる。遠くから響く砲撃の音。
「……威嚇射撃かなあれ?」
 モニターに映るデータ。エンバールに向けて降ってくる弾丸の速度と数と威力を見て、思わずメンカルは嘆息をつく。先程、後方にて宝玉騎士団と接触した際は確かに『威嚇射撃』と言っていたはずだが。
 とはいえ、止まるという選択肢は無い。ここは『シチュエーション的に』一気に乗り込むことが肝要だ。
「……っ!」
 レーダーで捉えた弾道に、巧みな運転テクニックで挑むメンカル。激しすぎる弾幕の中をエンバールが大胆に切りこんで、その砲撃のことごとくをかわしていく!
(……まあ、あたってもそうそう傷はつかないけど……)
 と密かに思いながら。まぁそれがばれると逆に面倒になることが想定される。変な面倒は弾と一緒で避けるに限るのだから。

 宝玉騎士団から仕掛けてくるのは威嚇射撃だけ。つまりこの弾幕を抜ければ、後はクプファーに辿り着く。
 乾いた大地に激しく轍を残しながら、メンカルの操縦する手が素早く次の動作を導いていく。
 あとは乗り込んだ後のこと。
(……『救国のキャバリア』を喧伝しているのであれば……密かに協力の打診を申し出るプラントが居てもおかしくはないかな……)
 『救国のキャバリア』の詳細はわからずとも、クライノートにとって象徴的な存在であることは確かなようだ。そんな協力者が現われても不思議ではない。
(装甲車ならキャバリアほど警戒もされないだろうし……)
 後は、交渉がどうなるか、だけである。

 大地を切り付けるような音を立ててクプファー入口の前にエンバールが停車する。
「いれて!」
 エンバールの中から響くメンカルの声に、逡巡する警備している兵士たち。しかし、いまだエンバールを狙って砲撃が続いている。もし流れ弾が飛んできたら。
 追い返すか引き入れるか。その判断を求められた現場指揮官は『敷地内に入れる』ことを選ぶ。

 程無くして砲撃が止まった。

(さて……)
 ここからが本番、とメンカルは装甲車から慎重に姿を現わす。相手は警戒態勢。しかし、宝玉騎士団に追われていた(ように見えた)メンカルはもしかしたら味方かもしれない。そんな雰囲気がわずかだが漂っている。
「これ……もってきたんだけど……」
 ぴっ、と指先から兵士たちに向かって投げた書類。地面に落ちたそれを拾った兵士たちが中を確認して驚愕する。
「これは……!」
 それは推薦状であった。他のプラントからのもので、運転の腕を買われたメンカルをそちらへ送るという。
(もちろん宝玉騎士団に頼んで偽造してもらったものだけど)
 というのは絶対に口に出せない秘密である。
 だが、宝玉騎士団が絡んだことで文章や内容などが迫真に迫ったものであったことは確かだ。
「雇ってもらえるかな……?」
 そう言うメンカルに対して、顔を見合わせる兵士たち。雰囲気としては歓迎ムードなのだが、ここの一存で決めるわけにもいかず、その書状をエリックの元へ持って行くと言いだした。それも当然の反応だろう。
 エリックからの返事があるまでの間、時間が出来る。
「どうぞ中へ……」
「いい……。責任者の返答があるまで、ここで待たせて貰う……」
 そういって装甲車の中に引き籠るメンカルであった。

 こうして入り口付近に陣取ったメンカル。
(次の作戦に移るまで長い時間はかからないだろう……)
 その時までしばし休息を取るのであった。

【潜入成功】【入口待機(2章の際、宝玉騎士団に指示することができる)】【装甲車(中はエリック一派に見られていません)】

成功 🔵​🔵​🔴​

西院鬼・織久
新たな敵は鋼鉄ばかり
しかし敵であるなら我等は狩らねばなりません
経験を積んでおかねば
傭兵は鉄砲玉として危険な所に出されるでしょう。丁度いい機会です

【行動】POW
戦闘知識を活かす為事前にクプファーの警戒網や戦力、罠の傾向を調べ潜入しやすい場所へ
UCで周辺の罠を破壊して外壁に近付き、壁を斬って入り口を作って炎を施設内まで延焼させ、熱源でセンサーを誤魔化して侵入
人が集まって来たら炎が作る闇に紛れて回り込み、範囲攻撃+なぎ払いやUCで攻撃、反撃は残像+武器受けの受け流しやなぎ払いで凌ぎ夜砥+麻痺毒で捕縛し交渉の余地を作る
殺意+呪詛+言いくるめで力を見せて雇われに来た体で戦いつつ敵戦力を体感しておく




 騒がしくなってきたプラント施設クプファー周辺。
 その中にあっていまだ騒ぎが起きていない北西方面。その外壁付近に佇んでいるのは西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)であった。

 クプファーの警戒網は入り口付近のみ。戦力もそちらに集中している。虎の子であるキャバリア隊は中にいるため、その数は伝聞でしかなく正確な数はわからない。空を飛べば偵察も出来るのだろうが、それを邪魔するのは『殲禍炎剣』だ。
 ゆえに手薄な場所を狙うなら、この外壁を突破するしかない。
「……」
 鋼鉄製の壁に触れる織久。触れた程度で罠が発動しないことは確認済。いや、罠の傾向は既に調査してある。その結論としてこの場所を『潜入箇所』に選んだのだから。

(新たな敵は鋼鉄ばかり……しかし敵であるなら我等は狩らねばなりません)
 その身がオブリビオン狩りを至上目的とする一門であるがゆえに、敵がマシンであっても成さねばならぬ。
(経験を積んでおかねば……傭兵は鉄砲玉として危険な所に出されるでしょう。丁度いい機会です)
 そのように考えを整理した後、織久は行動を開始した。

「我等が怨念尽きる事なし」
 織久の言葉に応じて、自身に宿る怨念と殺意の黒い炎が沸き起こる。それは壁を伝うようにして這い上がり、発動した罠を元ごと破壊していく。
「……ハッ」
 短い呼気とともに『闇焔』の一撃にて壁を斬り裂く織久。その入り口から再び黒き炎が侵入する。熱源センサーの類を狂わせ、罠が反応しない内に炎が舐めて破壊する。

 盛大な破壊行為。その異変を感じたクプファーの兵士たちが駆けつけてくる。
「な、なんだこれは」
「鋼鉄製の壁が斬り裂かれているだと……」
 呆然とする兵士たち。目の前に映る光景は鋼鉄の影が燃え盛る異常事態。わずかとはいえ、出来た隙へ。織久は炎が作る闇に紛れて回り込み、死角から闇焔を一閃する。
「ぐあっ!?」
「な……!」
 声をあげる間もなくなぎ払われていく兵士たち。
「敵襲! 敵襲だ!」
 倒れていく仲間に兵士たちが叫ぶ。
 当然だろう。前触れも無く、攻撃を仕掛けられたのなら敵とみなして反撃するのが生き物の本能だ。
 そこまでは想定内かあるいは想定外か。しかし織久の動きは止まらず、攻撃を続ける。なぎ払い、態勢を崩した兵士のひとりを暗器である『夜砥』で絡め取り、さらに麻痺毒を注入する。
「がっ……!」
 悲鳴を上げて動きを止める兵士。その兵士を拘束した織久が声を出す。
「ここは力ある者を求めていると聞いたのですが」
 これはそのデモンストレーションだ。そう言外に告げながら。織久は交渉を開始する。
「どうでしょう? この力、お貸ししますが?」
 殺意、そして呪詛の力。それでもって言い包めるつもりの織久から放たれる圧力たるやいかなるものか。

 しかし、それは悪手である。何故なら『彼らはここに立て籠もっている』のだから。

「動くな! 今、プラント班に連絡した! これ以上攻撃を続けるならプラントを破壊する!」
「……!」
 その言葉に織久は動きを止めざるを得ない。何故なら『プラント破壊だけは絶対に行わせてはいけない』ものである。エリック一派にこの手があるからこそ、宝玉騎士団は強硬手段に出れないのだから。
「本当に動くなよ。ああ、俺を一瞬で倒せばとかそういうのも無しだ。これ以上、ここに被害が出ればどうやってもプラントは破壊されると思え」
「……」
 ゆっくりと殺意を自身の周辺に留める織久。解放された兵士たちが一斉に距離を取る。
 相対する形で睨み合う両者。
「だが言いたいことはわかった。こちらに与してくれるというのなら力強いが……お前は同志を傷つけすぎた。もはや判断は我らではできん」
「エリック様に判断を仰げ!」
 そうして伝令の兵士たちが走っていく。

 クプファーへの侵入は成功だ。しかし、他の猟兵に比べて身動きがとり辛い状況ではある。逆の視点を言うなら、より多くの兵士を引き付けているとも言える。
 そんな膠着状態の中、織久は兵士たちの次のアクションを待つしかなくなったのである。

【侵入成功】【膠着状態(2章開始まで幕間で攻撃・調査など行動することができません)】【プラント危機(膠着状態を無理やり解除する行為は採用されません)】【敵戦力分析(現われたのは一般兵士のみ。一般兵士だけなら何人いても猟兵ひとりで制圧可能でしょう。ちなみにキャバリア乗りはここには現れていません)】【序の口(2章では万全の体勢で戦えますが、行動開始箇所は侵入地点になります)】

成功 🔵​🔵​🔴​

支倉・錫華
【セレーネ大佐と】

クプファーまでは大佐のストライダーに乗せてもらっていくね。

ストライダーが陸上戦艦モードで乗り付けるみたいだから、
わたしはそれに乗じて中に潜入させてもらおう。

クプファーは占拠されたものみたいだし、
見取り図くらいはお願いすればもらえるよね。

アミシアにはそれを見てもらって、
ストライダーから位置とトラップ解除をお願いしよう。

まずはクプファーの司令室でエリックさんたちにご挨拶。

『軍事組織ガルヴォルン』所属、支倉錫華っていうよ。
エリックさんに賛同する派として、力になりにきたんだけど許可もらえるかな?

格納庫のハッチを開放してもらったら、
大佐とストライダーの戦力をクプファー内に引き入れるよ。


セレーネ・ジルコニウム
錫華さんと(途中まで戦艦で同行し、潜入は別行動)

「こちらは私設軍事組織ガルヴォルン大佐、セレーネ・ジルコニウムです。
傭兵の仕事があると聞き、クプファーに馳せ参じました。
繰り返します……」

宝玉騎士団と事前に打ち合わせを行い、『機動戦艦ストライダー』の地上戦艦モードでクプファーに向かいつつ通信を送りましょう。

「さすがに戦艦が増援に来たとなれば、エリック一派も歓迎してくれるはずです」

【特殊部隊】と【傭兵部隊】を艦内に待機させつつ、艦長席で【機動戦艦全力攻撃】の指示を出しましょう。

「ストライダー、宝玉騎士団に威嚇射撃!」

派手に目を引いた隙に潜入した錫華さんが内部から手引してくれれば完璧ですね。




 土煙をあげながら大地を疾走する巨大な影。いや、疾走(はし)っているというよりは大地を滑っているというべきか。その影、『機動戦艦ストライダー【ワダツミ級強襲揚陸艦】』はその巨体ゆえ、隠れることも無く、しかし隠すこともなく。
 クプファーの南入口。エリック一派と宝玉騎士団の緊迫したその間に強引に割り込んだ!

「さすがに戦艦が増援に来たとなれば、エリック一派も歓迎してくれるはずです」

 その判断は、艦長のセレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)によるもの。14歳150cmの小さな体躯を艦長席に沈めて。帽子のつばを摘まんで被り直したセレーネはその奥にある赤い瞳を輝かせる。
「総員、第一種戦闘配備……は終わってるんでした。全力攻撃用意!」
 艦内に指示を飛ばす。ここから示すのは『増援に来た』という事実だ。
「ストライダー、宝玉騎士団に威嚇射撃!」
 セレーネの言葉を受けて、ストライダーの砲門が開かれる。派手な音とともにビームキャノンが宝玉騎士団の隊列に突き刺さる。
 威嚇射撃なのに全力攻撃とはこれいかに、とかツッコんではいけない。現に宝玉騎士団も結構本気(!)だから。いや、ちょっと本気度が上がった気がする!
 しかし、反撃の砲弾の雨(と化した宝玉騎士団の威嚇射撃・実弾)をストライダーの巨体が弾き返していく。さらにお返しとストライダーの砲門が火を噴く。
「通信、まだ繋がりませんか?!」
 セレーネが叫ぶ。

 ――こちらは私設軍事組織ガルヴォルン大佐、セレーネ・ジルコニウムです。
 ――傭兵の仕事があると聞き、クプファーに馳せ参じました。
 ――繰り返します……。

 その様子を見て、艦橋からすっと動いた影がひとつ。支倉・錫華(Gambenero・f29951)、影を名乗る者。彼女はストライダーから音も無く抜け出して。
 砲撃戦の戦火の中で浮足立つクプファー南入口を影のごとくすり抜けていくのであった。

 クプファーの狭い路地を密かに駆ける錫華。
(アミシア、解析は?)
 小さく誰にも聞こえない声で問いかける先は、パートナーユニットでもある女性型AI『アミシア・プロフェット』。誰にも聞こえない声をアミシアだけが拾い上げる。
(完了)
(お願い)
 短い言葉だけがやりとりされ、錫華の前に潜入ルートが指示される。

 ――クプファーは占拠されたものみたいだし、見取り図くらいはお願いすればもらえるよね。

 という至極簡単な作戦。しかしそれは的確すぎるほど的を射ていて。あっさりと宝玉騎士団から見取り図を得ることが出来た。また入口であれば罠も無い。
(大佐のストライダーなら皆そっち見るし)
 その状況を利用してなら、錫華にとって潜入など造作もない。

 目指すは……クプファーのリーダーにして司令官でもあるエリックの元。


 それは音も無く現れた。クプファーの司令室、エリックたちの前に。見れば十中八九、目を惹きつけてやまない肢体であるのに、目の前の女は一切の存在感を感じさせない。その様子に警戒するエリックたちを、しかし錫華は意に介さず、言葉を紡ぐ。
「『軍事組織ガルヴォルン』所属、支倉・錫華っていうよ」
「……何?」
 錫華のひと言に眉をひそめるエリック。ガルヴォルンといえば、最近噂に聞く、私設軍事組織。意図は見えないが、戦乱あるところ助力をして回っているという。
「エリックさんに賛同する派として、力になりにきたんだけど許可もらえるかな?」
「……そんな唐突な提案を信じられるとでも?」
 だがその言葉には信憑性が無い。錫華がガルヴォルン所属であるかなど証明できないからだ。
 しかし錫華は腕組みをしながら人差し指で窓の外を指す。
「……?」
 錫華から目を離さず、しかし兵士のひとりが窓の外を確認する。
「エリック様! 外で戦闘が! というよりあの戦艦は!?」
「なんだと!?」
 距離があったせいか、機動戦艦ストライダーの存在を認識していなかったらしい。視認したエリックは目を見開いて錫華を見る。
「それに、通信。いつまで無視しているのかな?」
「……まさか。おい!」
「は、ハッ!」
 エリックの声に待機していた兵士が敬礼の後、立ち去る。いかな増援の打診とはいえ、エリックの元まで届いていなければ意味は無く。その懸念はクリティカルヒットであった。
「まさか、かの私設軍事組織が助力してくれるというのか?」
 エリックの言葉には答えず、ただ錫華はその場に佇むのみ。
 話は、トップ同士で行う者だ。

 埒が明かないとなったのか、宝玉騎士団からの砲撃が止む。
「おい、その戦艦、味方だ! 傭兵だ! 中に入れるぞ!」
「は、はい!」
 兵士たちが慌ただしく、ストライダーをクプファーに招き入れる準備を。
「いや、でけぇよ。格納庫とか入らねぇよ!」
「ええい、もうこの入口塞いでもいいからとにかくクプファーの中に入れろ!」
「日が暮れるまでに早くするんだ!」
「えー……なんか雑じゃありませんか?」
 大雑把な兵士の対応に、スピーカー越しに涙目で応対するセレーネ。

 そんなこんなでクプファーの南の入り口にあった障害物の全てを撤去して、そこにでーんとストライダーが陣取ったのである。

 ……セレーネの指示の中に、『特殊部隊および傭兵部隊の艦内待機』があったことは、まだ誰にも知られていない。


【潜入成功】【戦艦防壁(南の入り口を封鎖しました。宝玉騎士団も入れませんが、クプファーの中からも出られません)(他の方の入口待機とは被りません)】
【交渉成功(戦力が増強できたことでエリックの気が少し緩んでいます)】
【戦力温存(各種部隊を艦内待機させています。バレていません。ガルヴォルン所属であれば2章はここから出撃が可能です)】

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ナイトゴースト』

POW   :    パラライズバレット
命中した【RSキャバリアライフル】の【特殊弾】が【エネルギー伝達阻害装置】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    ゴーストミラー
【両肩のシールド】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、両肩のシールドから何度でも発動できる。
WIZ   :    装甲破砕杭
対象の攻撃を軽減する【電磁装甲モード】に変身しつつ、【手持ち式パイルバンカー】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●夜の帳が降りて……
 プラント施設クプファーが闇に包まれる。外に漏れている灯りと言えば。敵の侵入を一晩中警戒する3つの入り口(ひとつは戦艦で封鎖されている)とプラントの周りだけ。
 入り口は煌々と照らされているが、プラントの周りは警備兵が持っているわずかな松明の火しか照明が無い。

 敵を惑わせるための暗闇。しかし中に飛び込めばそれは身を隠す外套となる。暗闇に沈んだクプファーにおいて、猟兵たちが作戦のために動き出した。

 まずはプラント。ここには少数の警備兵が待機している。外からの攻撃に対する警戒もそうだが、万が一プラントに異常が発生した場合、対処が必要だからだ。
「……ごめんね!」
「手加減はしておくよ」
 その警備兵たちの背後へ音も無く忍び寄り、あっという間に気絶させていく猟兵たち。一般兵士の戦闘力がたいしたこと無いというのは先の侵入の時に猟兵間で共有された事実。ならば制圧も容易い。
 プラントを警備していた一般兵の悉くを気絶させ、少し離れたところに縛って放り出し。
「えーと、確か……」
「こっちだ、たぶん」
 闇に紛れて隠れていた別の猟兵たちが手招きする。
 今、猟兵たちが向かっているのはクプファーのプラントに備え付けられている『緊急防御装置』の起動スイッチ。それは宝玉騎士団から密かに伝えられた情報である。
「これ、かな?」
「たぶんね」
 かくして言われた場所にスイッチらしき宝玉が静かに佇んでいた。手をかざし、騎士団より教えられた言葉を唱える。それが起動のキーワードなのだ。

 直後。プラントが光り輝くバリアに覆われていく!
 これこそ緊急防御装置の効果。長時間は無理だが、バリアが効いている間は一切の衝撃を遮断する。
 これを起動させるのが奪還作戦の第一段階。


「バカな! あれは魔石の、エルプシャフトの輝き!? 何故アレが作動している!?」
 自室の窓からプラントを確認し、エリックが叫ぶ。あの装置の存在は宝玉騎士団、しかもそれなりに階級の高い、それこそ士官クラスしか知らないはずだ。
 それが起動したということは。いや、宝玉騎士団の者が入ってきたはずは無い。その遮断は機能している。
「……まさか。そういうことか!」
 昨日まで無くて今日増えたもの。それに思い当ったエリックは、急ぎ身仕度を整え、部屋の外に控えていた兵士を呼びつける。
「すぐにキャバリアでプラントへ向かえ! 雇った傭兵たちは全て敵と思え!」
「ハッ! エリック様は?」
「私は救国のキャバリアのメンテナンスを終わらせる! くっ、戦力が増えたと気を緩めるべきでは無かったか……!」
 戦艦まで味方に付いたのだ、と万全の体勢を整えるためにメンテナンスを始めてしまった救国のキャバリア。それを戦闘できる状態にせねば。
(やはり人手が足りないとはいえ、私の言葉を聞いていない者を受け入れるべきでは無かった……!)
「プラントを取り戻せ! あるいは私が行くまで耐えよ! それがこの国を救うことになる!」
 部屋から慌ただしく駆け出していくエリックとその配下。

 それはクプファーの中で熾烈な戦闘が始まる予兆であった。


 宝玉騎士団の先行部隊がプラントの元へ辿り着く。猟兵たちから預けられた装備とキャバリアを運搬してきたのだ。

 プラントを背に戦闘配置につく猟兵たち。

 その前に現われたのはエリック配下が乗るキャバリア『ナイトゴースト』の一群。本来はその高性能な機能により、優れた生存性とステルス性能を持つ量産機だ。しかし、今その性能は魔石の輝きとプラント施設という限られたフィールドによって大きく減少している。
 それでも兵士たちは躊躇しない。
「怯むな! 数ならこちらが上!」
「エリック様の手を煩わせるな!」
「プラントを取り戻し、来たる戦役に備えるのだ!」

 敵対姿勢のナイトゴーストたち。乗っているパイロットはナイトゴーストの干渉によって、思想を歪められ正気を失っているエリックの配下たち。ナイトゴーストとは彼らの愛機が変化したものだ。ゆえにナイトゴーストを撃破すれば、愛機もパイロットも正気に取り戻す。
 そうして彼らを無力化するのが奪還作戦の第二段階である!
 

※※※2章の補足※※※
・魔石障壁が展開されました。これにより2章でプラントが破壊される可能性はゼロになりました。全力で戦闘が可能です(ほかの施設は壊れても大丈夫なため)。
・今更ですが、プラントとプラント施設は別物(プラントを含めた工場地帯をプラント施設と呼んでいます)
・宝玉騎士団はクライノートの国軍です。騎士団という名前ですが、中身は軍隊なので階級もそれに倣っています。
・戦場(イメージ)
バームクーヘンです。戦闘可能位置は生地の上のみとお考えください。障害物はありません。穴の位置にプラント。
・キャバリアレンタル
必要な人は借りてください(既に届いている状態)。どのような機体かはプレに記載あると助かります。
・初期配置
以下より選んでください。
A:プラント周辺
B:バームクーヘンの外側
Aは迎撃態勢、Bは攻め込む形。AとBがいれば挟み撃ちになります。

・各種ステータスの状態
【人目につかない場所で待機中】―ABにかかわらず、好きな場所から行動を開始できます。
【入口待機】【装甲車】―東の入り口に装甲車が置いてあります。道路を通ってプラント施設内を自由に行動可能です。
【膠着状態】【プラント危機】―2章開始にあたり、自動的に解除されました。
【序の口】―強制的にB側から開始になります。
【戦艦防壁】―南の入り口に機動戦艦は置きっぱ。ここから動けません。ただし人や兵器の往来を封じています。
【交渉成功】―エリックの油断を誘うことに成功し、結果として魔石障壁が展開されました。
【戦力温存】―戦艦の中から増援を呼び出すことができます。

上記含め、【侵入成功】【潜入成功】以外のステータスはコメント通りの効果を発揮します。

・宝玉騎士団
魔石障壁が展開されたことで量産キャバリア隊がクプファーへ突入してきます。
【宝玉騎士団に交渉成功】【子狐を使えば常時連絡可能】【入口待機】にて支援やその他行動を依頼することが可能です。

・総合
色々書いてありますが、『面倒!!』と思ったら無視してもらって大丈夫です。活用できる設定のみを拾い上げてください。
るちるのほうで適当に状況に合わせて執筆します。

ただいまよりプレイング受付開始します。
この章からでも参加歓迎です。
よろしくお願いします。
政木・朱鞠
あらら…この騒ぎ方はこちらの魂胆がバレたみたいだね。
荒っぽい対処法になっちゃうけど、少しでも敵戦力を削って正気に戻さないとヤバいかも…。
宝玉騎士団さん達には、仲間が巻き添え喰わないように広範囲の射撃は避けるよう飯綱に伝言を託しておこうかな。

エリック君達は騙されたと思って怒っているだろうな…依頼とはいえ悪い事しちゃったね。

戦闘【WIZ】
ちょっと命のリスクが有るけど…露払いとして『忍法・鋳薔薇姫』でほんの数秒だけど拘束して隙を作りたいね…。
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使い敵の四肢に鎖を絡めつつ【傷口をえぐる】で絞め潰すダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎


シン・ドレッドノート
A:プラント側から迎撃

潜入に成功した後、夜闇に紛れてプラント近くに潜伏。
「さぁ…そろそろショーの始まりですね」

ナイトゴーストが起動していくのを前に、こちらも貴紅を召喚します。

「来い!ノーブル・スカーレット!」
指を鳴らして呼び出したキャバリアに搭乗すると、R/BSスナイパーライフルを構えて迎撃態勢。
プラントへの接近を阻止するべく、長射程の狙撃で足止めを優先した攻撃をしていきましょう。

「その罪を祓いましょう!」
【天国へのカウントダウン】で銃口に魔法陣を描き、破魔の力を込めた圧縮粒子弾でナイトゴーストの脚部や腹部の関節を狙い撃ち。

くれぐれもコクピットに当たらないよう、十分注意しますね。



●闇に潜む狐忍と闇を斬り裂く真紅
 プラントを包み込む魔石障壁の輝き。それは太陽の光のごとくプラント周辺を照らし出す。闇が塗り潰されていく中、光と闇の狭間よりゆらりと現れる影。それはエリック配下たちが乗るキャバリア『ナイトゴースト』たち。元の姿はいかなるものか、されどオブリビオンマシンと化した今、その形状と兵装は全機が同じ黒い姿をしている。
 本来は闇に潜み、死角より敵機を仕留めるのがこの機体の特徴だ。しかし今はその潜むべき闇がない。ゆえに慎重に距離を詰めてくる。いずれにしても彼らの目的はプラントを再び自分らの手に取り戻すことなのだ。

(あらら……この騒ぎ方はこちらの魂胆がバレたみたいだね)
 にわかに騒がしくなっていくプラント周辺を、かなり距離のある未だ闇に沈んでいる工房の屋根から眺めながら。政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は『やっちゃったっ』といった感じに表情を浮かべる。もう少し隠密にやり遂げるつもりだったが、まぁ仲間の猟兵たちが動いたのだから致し方ない。
 起動音を響かせてプラントへ向かうナイトゴーストたちを見ながら、朱鞠は覚悟を決める。
(荒っぽい対処法になっちゃうけど、少しでも敵戦力を削って正気に戻さないとヤバいかも)
 屋根から路地に飛び降り、暗闇の中を忍び足で素早く移動していく朱鞠。
(エリック君達は騙されたと思って怒っているだろうな……依頼とはいえ悪い事しちゃったね)
 とはいえ、この騒動こそがオブリビオンマシンの影響で引き起こされたものならば。もしかするとこの騒動を制圧することで乾坤一擲の妙手となるかもしれない。
 いずれにしてもそれを考えるのはオビリビオンマシンの全てを破壊し終わった後でいいだろう。朱鞠は闇の中を駆けていく。

 ナイトゴーストたちがプラントへ迫る。
「さぁ……そろそろショーの始まりですね」
 その声は呟くように、宣言するように。輝くプラントから伸びる運搬アームの上。ナイトゴーストたちのカメラがその者を捉えれば、光の中にひとりの影が浮かび上がっている。
 それはクプファー潜入に成功した後、夜闇に紛れてこのプラント近くでこの時まで潜伏していたシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)であった。もはや姿を隠している必要も無く、そしてショータイムだ。

「来い! ノーブル・スカーレット!」

 シンが指を鳴らす。その音に応じるかのようにシンの背後の空が歪み、その中から姿を現わす1機のサイキックキャバリア。純白のラインと黄金の縁取りが見た者に高貴な印象を与える、真紅のサイキックキャバリア『貴紅<ノーブル・スカーレット(PCE)>』である。
 重力に従って降下するノーブル・スカーレットに、白いマントをなびかせながらシンが華麗に飛び降りてそのまま乗り込む。主を得たノーブル・スカーレットに輝きが灯る。

 破砕音が響き渡る。それは外壁の方向から。すなわち宝玉騎士団が突入してきた証拠だろう。上手くすれば挟み撃ちに持って行ける。
「では……!」
 こちらの有利を活用する持久戦。それを決めたシンは着地よりも素早くノーブル・スカーレットの腕に『R/BSスナイパーライフル』をマウント、照準も適当に、プラントに迫ろうとしていたナイトゴーストへ実体弾を撃ち込む。
「……!?」
 突如現れたノーブル・スカーレットに呆気にとられていたナイトゴーストが慌てて後退する。続けざまに数発発射して制圧射撃。
「プラントへの接近を阻止するとしましょう」
 着地するや否や、態勢を整えスナイパーライフルを構えるをシン&ノーブル・スカーレット。狙い澄ました一射が接近してきたナイトゴーストの頭部を吹き飛ばすのであった。

 キャバリア戦闘が激化する中、路地を通り、プラントへ急ぐ朱鞠。
(……!)
 目の前にふっと現れたのは自身が放った飯綱(子狐に似た分霊)。追跡という名のお使いを終えて戻ってきたようだ。
「伝えて来てくれたみたいね」
 宝玉騎士団の突入に際し、朱鞠が依頼したのは『仲間が巻き添えを喰わないように広範囲の射撃は避けてほしい』というもの。飯綱を通じて一方的に伝えるだけの依頼だが、上手くやってくれるだろう。
(後は……!)
 路地から抜けて視界が広がる。映る光景はキャバリア同士が戦闘を繰り広げる広場。
 そう、後はこの目の前のナイトゴーストたちをどうにかするだけである。

●騎士の亡霊穿つは咎打つ鎖と破魔の光
 現われたノーブル・スカーレットを警戒して、ナイトゴーストたちは足を止める。相手もシンの背後にあるプラントを誤射したくないのか、ライフルは使わず、電磁装甲モードになって手持ち式パイルバンカーで突撃という作戦らしい。
 ならば、とその脚を狙撃して足止めしていくシン。動いた敵機から狙撃していけば突撃の動きはさらに鈍っていくのだが。
「ちっ、数が多いですね」
 新たにナイトゴーストを撃ち抜いて、しかしシンは舌打ちする。今のところ、接近は防げているが、敵陣営に加わってくるナイトゴーストの増援が多すぎる。
 数が揃って頭数を盾に突撃されてこられたら?
「くっ……何か」
 思案を巡らせ、口を動かしている間にも新たにナイトゴーストの足を撃ち抜くシン。だが決定打が無い。このままでは……。その懸念がちらついたその瞬間であった。

「ちょっとの間だけ、大人しくしていてくれるかな……!」

 響くその声は朱鞠のもの。そしてナイトゴーストの背後からだ。
「【忍法・鋳薔薇姫】!」
 朱鞠の声に応えて、朱鞠の足が踏みつけているナイトゴーストの影から金属鎖状の触手が放たれる。それは物凄い勢いで戦場を駆け巡り、その場にいた攻撃態勢のナイトゴーストたちを完全に拘束した。
(ちょっと命のリスクが有るけど……露払い、ほんの数秒だけど!)
 朱鞠のその意思に従って金属鎖の触手はぎっちりとナイトゴーストを捕まえ押え込む。その攻撃態勢を無力化するほどに。

 ――その間、ほんの10秒ほど。しかし、シンが次の手を打つには十分すぎる時間だった。

「その罪を祓いましょう!」
 スナイパーライフルのモードを実体弾から圧縮粒子弾へ切り替えながらシンが叫ぶ。力ある声に導かれ、ノーブル・スカーレットの銃口の前に破魔の魔方陣を描かれる。それは【天国へのカウントダウン】。
「さぁ、自身の罪を数えなさい!」
 モニターの中、照準を捉えたシンがトリガーを引く。放たれた圧縮粒子弾が魔方陣を通過し、破魔の力を纏いながらナイトゴーストに炸裂する。必殺の一射はしかしコクピットを避けて、脚部や腹部の関節を狙い撃ち、ナイトゴーストを稼働停止に追い込んでいくのみに留める。
「このまま、押し切るとしましょう!」
 次弾装填。即座に放つシン&ノーブル・スカーレット。

 【忍法・鋳薔薇姫】を解いた朱鞠もまた戦場へ躍り出る。ナイトゴーストの性能では生身で跳び回る朱鞠をセンサー類で捉えても、攻撃するまでは難しい。
「もらうよ!」
 素早くナイトゴーストの足元で飛び上がった朱鞠は手にした『拷問具『荊野鎖』』を膝関節に向けて叩き付ける。ランダムに付いたスパイクが関節部の装甲を砕きながら絡みつき。
「せいっ!」
 独楽を回す勢いで荊野鎖を引き抜く朱鞠。がりごりべりと重くて嫌な音を立てて関節部を抉り壊していく。重心を失ったナイトゴーストが倒れ込んでくるのをかわして、朱鞠が次のナイトゴーストへ向かう。

 シンと朱鞠の、そしてキャバリアと生身での挟撃にナイトゴースト陣営は混乱を極めていく。
「ええい! うろちょろと!」
「おい、よそ見してたらやられるぞ! 前見ろ!」
「あの粒子弾は防げん! かわせ!」
「かわそうにも、突然あの鎖が出てきたら無理だろ!?」
「射撃くるぞ! かわ……」
「その前に鎖をかわ、うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
 シンの的確な狙撃と足元を奪う朱鞠の攻撃に、大混乱のナイトゴーストたちは前に進むことを許されず。
 シンと朱鞠に戦況が一気に傾いた後、プラント周辺へ出撃したナイトゴーストたちは二人の連携によって、悉くを無力化されたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

西院鬼・織久
状態【序の口】

兵士は不殺、オブリビオンマシンに血肉はなし
餓えてしまいますが仕方ありません
兵士の方々死なないよう気を付けて下さい

狩るべき敵を前にした我等が怨念、先の比ではないぞ

【行動】POW
先制攻撃+UCでセンサーを破壊、爆破と残像+ダッシュで兵士の意識を引きつけ回り込んで範囲攻撃+なぎ払い
怨念の炎(呪詛+生命力吸収+継続ダメージ)で兵士を心身共に弱ら早業の夜砥+範囲攻撃の麻痺毒で戦闘不能に

敵UCは残像+ダッシュの回避しながらUCやなぎ払いで特殊弾を破壊
回避できない物は武器防御で凌ぎ、ダメージは各種耐性等で耐え接近
損耗した装甲になぎ払いで手足を落とす。まだ戦うならUCで内部回路や動力源を破壊



●闇より暗き怨炎
 クプファー北西方面。外壁を破壊して侵入した西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)に対して、エリック配下の兵士たちは監視の目を常に向けていた。それは兵士たちの目を十全に織久が引きつけていたとも言える。
 ゆえに、プラントを覆う魔石障壁、その発動をその場にいた兵士たちは見守るしかなかったのだ。そして同時に織久に対する拘束力を失ったことを知る。
「て、撤退しろ!」
 慌ててその場から撤退しようとする兵士たちを、しかし織久は【殺意の炎】の一撃でなぎ払う。先ほどの戦闘が消化不良だと言わんばかりに。
「兵士は不殺、オブリビオンマシンに血肉はなし……餓えてしまいますが仕方ありません」
 あくまでなぎ払って気絶させただけで、兵士たちの命まで奪うようなことはしていない。敵を狩り怨念の糧とする事が『彼ら』の目的ならば、この戦場の制限は無償労働に近いだろう。
 嘆息のひとつもつきたいところだろうが。

 闇の中から響いてくるのはキャバリアの駆動音。現われたのは『ナイトゴースト』の一個分隊である。
「侵入者はすべて敵だ。遠慮はいらん! 殺せ!」
 明確な敵意を向けられ、さらにはナイトゴーストの構えたRSキャバリアライフルの銃口が織久を向く。
「兵士の方々……死なないよう気を付けて下さい」
 しかし織久はその銃口を鋭い眼光で制する。
「狩るべき敵を前にした我等が怨念、先の比ではないぞ」
 織久から膨れ上がる殺気はナイトゴーストというキャバリア越しですら兵士たちを怯ませるに十分なものであった。

 その怯んだ瞬間。織久が動く。ユーベルコード【影面】。
「何人たりとも死の影より逃れる事能わず」
 織久の視線の先、ナイトゴーストへ飛翔する黒い影。狙いは外見から確認できるセンサー、すなわちナイトゴーストの頭部だ。それを瞬く間に爆破して破壊、そのまま影の腕でお互いを繋ぐ。その腕を方位針として織久が地を蹴る。
 相手の索敵手段を視覚のみに絞らせてからの、残像によるかく乱。兵士の意識と視覚が織久を捉える前に、織久はナイトゴーストの背後へ回り込む。
「……」
 事も無げに『闇焔』を一閃。その一撃で以てナイトゴーストの脚部をなぎ払う。
「ちくしょうっ!」
 脚を奪われ、叫ぶ兵士。そのまま倒れ込んだナイトゴーストの背に織久が飛び上がり、無造作に闇焔を突き刺す。刃より流し込むのは怨念が具現化した血色の炎。呪詛で以て生命力を奪う炎が兵士の心身を行動不能まで弱らせる。

「ええい! 巻き込んでもいい! 撃て! とにかく撃て!」
 分隊長の号令にナイトゴーストたちが一斉にキャバリアライフルを発射する。放たれた特殊弾の弾幕を視認するや否や、織久はナイトゴーストの装甲を蹴って地に降り立つ。そのまま足を止めることなく駆け出し、攻撃を機動力で回避していく織久。
「……」
 一発、直撃コースだった特殊弾は闇焔でなぎ払い、自身の進路より排除する。そこら中に炸裂していく特殊弾がエネルギー伝達阻害装置に変形していくが、繋ぎとめるは大地のみ。不思議な突起状の障害物を作るのみだ。
 障害物をブラインドにしながら、さらに【影面】を放つ織久。繋がれた影の腕を逆に伝って、織久がナイトゴーストの死角に回り込む。
「我等が怨念の炎、捉えること能わず」
 解き放たれた炎が刃となって、ナイトゴーストの手足を切り落とし、稼働停止へ追い込んでいくのであった。

 炎という、闇にあって闇を飲みこまんとするモノ。その派手な見た目にプラントへ向かうはずのナイトゴーストが次々と織久の元へ集まってくる。プラント奪還のためには不確定要素は排除せねばならないという意識で以て。
 かくして図らずも戦力分断させる形に持ち込んだ織久が敵機を引き付ける形で次々とナイトゴーストを稼働停止状態にして、着実に戦力を削り取っていたのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

メンカル・プルモーサ
(引き続き【エンバール】に乗って参戦)
……ん、始まった始まった……
…まずは入り口に居る兵士達を医療製薬術式【ノーデンス】による麻酔ガスを【エンバール】から噴出する事で眠らせて宝石騎士団を引き入れよう…
…そして【夜飛び唄うは虎鶫】により偵察用ガジェットを周囲に展開、ナイトゴーストの位置を確認、宝石騎士団とデータ共有しながら攻め込んでいくよ…
…電磁装甲は偵察用ガジェットを介してナイトゴーストへハッキングする事で解除、さらにセンサー類を狂わせる事で弱体化…そこを宝石騎士団に叩いて貰おう…
…ただ攻め込むだけならともかく、プラント施設の占拠となれば人手が必要だからね…て騎士団と連携して制圧していこう…



●東より宝玉騎士団とともに進む
 責任者、すなわちエリックの了承を取ってから後。メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は理由を適当にあげて『改造装甲車【エンバール】』の中に引き籠っていた。
 否、そのタイミングを待っていた、という方が正しい。何故なら、宝玉騎士団を効率よくクプファーの中へ突入させるにはこの位置がベストなポジションだったからだ。

「……ん、始まった始まった……」
 エンバールのモニターでも視認できたプラントの魔石障壁。事前に聞いた話ではこの輝きが灯っている間はプラントが破壊されることは無いらしい。
 だからこそこれが『合図』だ。

「……いこうか」
 待機時間は終わり、と運転席に座り直してメンカルがコンソールに手を伸ばす。
(……まずは)
 装甲車の付近……というより東の入り口で夜の見張りを行っている兵士たちを沈黙させる。素早くメンカルの手が動き、直後エンバールから白い煙が噴出する。
「なっ、なんだ!?」
「故障? いや、これは……」
 煙に包まれた兵士たちは最後まで言葉を紡ぐことなく、その場に崩れ落ちていく。
「……すやぁ」
 命に別状はなく、ただ眠っているだけ。白い煙の正体は、『医療製薬術式【ノーデンス】』で以て生成された麻酔ガスである。
 メンカルもただエンバールに籠もっていたわけではない。合図があればすぐ動けるように周辺の走査はバッチリである。センサーで捉えた兵士たちを診断し、それに合わせた麻酔は確実に兵士たちを行動不能にしていく。

 周辺の兵士たちが音も無く完全に沈黙したことを確認して、メンカルはエンバールを入口の外まで移動させる。ライトを点灯させ、宝玉騎士団に合図。それを見た宝玉騎士団の先発隊、量産型キャバリア隊がクプファーに接近してくる。
 クプファー東入口の前で合流するメンカルと宝玉騎士団。
「……索敵はこっちでする」
「了解した。頼む」
 短く通信を交わし、エンバールを戦闘に宝玉騎士団はクプファーへ乗り込んだのである。

 クプファー内道路を進行していくメンカル&宝玉騎士団。
「我が従僕よ、集え、出でよ。魔女が望むは到来告げる七つ笛」
 詠唱短縮、その数を絞り込んで。メンカルは【夜飛び唄うは虎鶫】により、小型の戦闘用かつ通信・索敵機能のついたガジェットを呼び出す。それでも200を超える偵察用ガジェットが召喚され、夜の闇へ紛れ込んでいく。
 無線通信で繋がれたがジェットたちとエンバールの間を情報が飛び交い。
「……敵機。複数、近付いてきてる」
「宝玉騎士団、迎撃態勢。迎え撃つぞ」
 メンカルの言葉に幅が広くなっていた道路の最中で停止&迎撃態勢を整える宝玉騎士団。
 その前に、闇に紛れながら『ナイトゴースト』が姿を現わす。
「案の定だ! あの装甲車の運転手、やっぱり敵だ!」
 宝玉騎士団とともにいるエンバールを見て、激昂するナイトゴーストのパイロットたち。即座に電磁装甲を展開して、パイルバンカーを腕にマウントしつつ、脚を止めるどころか、スラスター噴射で突撃してくる。
「くっ」
 エンバールの前で迎撃ラインを敷く宝玉騎士団。装甲車よりキャバリアの方が耐久力は上、前に出るのも必然だが、機動力と攻撃力ではナイトゴーストの方が上だ。さらに電磁装甲によってこちらの攻撃は半減される。
「退くな! ここで退いたら相手を勢いづかせる!」
 戦況を見た宝玉騎士団の指示に素早く反応したのはメンカル。
「……じゃあ、こうか」
 メンカルの指令によって、ナイトゴーストと宝玉騎士団の周辺に偵察用ガジェットが集まってくる。戦闘に直接介入したところですぐに墜とされるだけだ。やることは別。
 偵察用ガジェットを介してメンカルがナイトゴーストへハッキングを仕掛ける。数で言えば偵察用ガジェットの方が上。1体のナイトゴーストに対して複数機で連結してハッキングを仕掛けることで効率よく、ナイトゴーストの装備制御に介入する。
「……っ?! 何!?」
 電磁装甲が突如解除され、スラスターの出力が下がり、さらにはセンサー類がいう事を聞かなくなった。がくん、と目に見えて勢いと力強さを失うナイトゴースト。
「……今」
「わかった!」
 完全に動きが鈍ったナイトゴーストへ、RSガトリングキャノンを斉射する宝玉騎士団。ナイトゴーストはパイルバンカーでどうにか弾丸を受け止めるも、身動きが取れず、そのまま装甲を抉られていく。そこで油断せず、弾幕で押して押して、この場を確実に制圧する宝玉騎士団。
「……索敵。うん、この周辺はクリア」
 メンカルが念のため、周辺を索敵。当面の敵機がいないことを確認して。

 再びメンカル&エンバールと宝玉騎士団が素早く進行を開始する。眼前は闇とはいえ、プラントまでの経路は他の偵察用ガジェットが既に確保済である。
(……ただ攻め込むだけならともかく、プラント施設の占拠となれば人手が必要だからね)
 ナイトゴースト及び救国のキャバリアを倒すだけではなく、その間から後にかけて着実にクプファーを取り戻すために。
 メンカルは宝玉騎士団と連携して、東入口からプラントに至るまでの道路を完全に制圧する。
 こうしてプラントまでのラインを確保したメンカル&宝玉騎士団は次の行動に向けて、更なる準備を整えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セレーネ・ジルコニウム
【ガルヴォルン】
「南門の封鎖には成功しました!
ストライダーの制御はAIに任せ、私はスティンガーで出ます!」

キャバリアに乗り込みストライダーのカタパルトから発進。
外周部からプラントに向けて攻め込みましょう!

「敵は隠密性に優れた機体ですか!
錫華さん、援護しますっ!
ストライダー、スティンガーのスナイパーフレームを射出してください!」

戦艦のAIにフレームを射出させ、空中で通常フレームから【狙撃フレーム】に換装しようとし……

「なっ、敵の妨害がっ!?」

シールドで機体が押しのけられ、スナイパーフレームがナイトゴーストに装着されてしまいましたっ!?

「きゃっ、きゃああっ」

ライフルとビットから逃げ回るのでした。


支倉・錫華
【ガルヴォルン】

大佐も前線好きだね。
あ、いや、好きなのはスティンガーかな?

こっちはストライダーから出撃だし、
外周部から攻め込んでいく形だね。

キャバリアはストライダーにあるのを借りていくよ。
チューンは今回、移動力を5倍、射程を半分かな。

射程で勝負するつもりはないからね。
大佐の援護を受けながら懐に入り込んで、
行動不能にして……って、あれ?

あれって、スティンガーのフレーム?
大佐、あれじゃノーマルのままなんじゃ……?

アミシア、ストライダーに追加でフレーム射出してもらって。
大佐、わたしが時間稼ぐから換装早めにね。

換装が終わるまでは【モーターブーム】で敵を牽制。
大佐が動けるようになったら、反撃いくよ。



●出撃の刻
 私設私設軍事組織【ガルヴォルン】。
 その名と戦力で以てクプファーに乗り込んだセレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)と支倉・錫華(Gambenero・f29951)は、『機動戦艦ストライダー【ワダツミ級強襲揚陸艦】』の中でその時を待っていた。
「さて……」
 そろそろ時間のはずだ。身内しかいない戦艦の中で思わず声が零れた錫華。その時であった。

 ピピッ。

 センサーに反応。モニターに映し出されるクプファー中央、すなわちプラント部分。そこが輝かしい光の障壁に覆われているのを確認する。

 直後、ストライダーが始動する。艦体の角度、そして位置を微調整し、完全に南側出口を封鎖するに至る。
「南門の封鎖には成功しました!」
 艦内に響く大佐――セレーネの声。
「ストライダーの制御はAIに任せ、私はスティンガーで出ます!」
 スピーカーから聞こえてくるセレーネの声に錫華は肩をすくめて吐息をひとつ。
「大佐も前線好きだね。あ、いや、好きなのはスティンガーかな?」
 そう言いながら自身の足も素早く、ストライダーにあった量産型キャバリア――識別コード:ストレイワンへ。
 装備を確認し、カタパルトへ移動するとそこには先客――もちろんセレーネの『試作型クロムキャバリア『スティンガー』』である。
「チェック……オール、グリーンじゃ」
 『EP機械知性体ユニット『ミスランディア』』の音声。それを受けてセレーネがスティンガーのレバーを引く。
「スティンガー、出ます!」
 勢いよくカタパルトから出撃するスティンガー。
 それに続いて、錫華のストレイワンがカタパルトへ。
「ストレイワン、出るね」
 錫華もまたカタパルトを滑るように出撃。

 こうしてガルヴォルン勢力の2機がクプファーへ降り立ったのである。

●あれ?
 着地後、スラスターを起動するスティンガーとストレイワン。
「外周部からプラントに向けて攻め込みましょう!」
「了解。外周部から攻め込んでいく形だね」
 ストライダーの位置は完全に外周部。カタパルトを使用したところでも中央までは無理だ。必然外から中へ攻める形になる2機は、暗闇に沈むクプファーの中をプラント目掛けて疾走する。
 整備された道を推力移動で突き進むスティンガーのセンサーが反応する。
「敵機じゃ!」
「大佐、避けて!」
 スティンガーの中のミスランディアの声とスピーカー越しに聞いた錫華の声がほぼ同時。
「くっ!」
 二人の声と同時に、機体を急制動しながら進路をわずかに左へ。咄嗟に回避行動を行った2機のすぐ真横をパラライズバレットが通過する。そのまま後方の工場の壁に突き刺さり、直後エネルギー伝達阻害装置に変形して、禍々しいオブジェへと変化する特殊弾。
「食らうとマズイですね」
 そう言いながら操縦者たるセレーネの手は止まっていない。
「ナイトゴーストじゃな」
 ミスランディアが示すのはストライダーに蓄積された過去の戦闘データ。
「敵は隠密性に優れた機体ですか!」
 即座に錫華のストレイワンとデータを共有しながら、再び飛んできたパラライズバレットをかわすスティンガー。1体ならまだしも複数体いる以上、単発のライフルとて弾幕となりえる。
「私が前に出た方が良さそうだね」
 そう言って錫華がストレイワンのスラスター出力をあげる。直後、ポジションを入れ替わるようにして、スティンガーの横をすり抜け、前に出るストレイワン。
(今回のチューンは移動力を5倍、射程を半分)
 つまり高機動近接戦を想定した仕様。
(射程で勝負するつもりはないからね……!)
 錫華がわずかなGを感じた直後、ストレイワンが加速する。チューンによって実現した細かなスラスター噴射、それが可能とする絶妙な機体制御で以て弾幕を潜り抜けるストレイワン。
「そこ!」
 突進の勢いそのままにストレイワンの右手から展開したRX-Aパイルバンカーがナイトゴーストの腹部を貫く。
「錫華さん、援護しますっ!」
 完全に注意がストレイワンに向けられた今がチャンス、とセレーネが叫ぶ。
「ストライダー、スティンガーのスナイパーフレームを射出してください!」
 セレーネの指令は【狙撃フレーム換装】。それを受けたストライダーのカタパルトから『狙撃フレーム』が射出される。試作型、すなわちワンオフ機であるスティンガーに搭載された機能のひとつ、フレーム換装だ。
(これで狙い撃ちします……!)
 その意思のもと、飛んできた狙撃フレームに空中でフレーム換装を行うべく、スティンガーが飛翔する。
 このフレームで以て、外から錫華をフォローする……つもりだったのだが。
「なっ、敵の妨害がっ!?」
 たぶんめっちゃ目立っていたんじゃないでしょうか。
 密かに暗闇とステルスを利用してスティンガーに接近していた1体のナイトゴースト。それがジャンプ&肩のシールドによるシールドバッシュでスティンガーを押しのける。衝突の勢いでランデブーポイントを奪われるスティンガー。

 結果。

 射撃フレームをナイトゴーストがキャッチして装着する。あの……試作型の規格どーなってるんです?
 とか言ってはいけない。敵機の能力をコピーして奪い取るのがオブリビオンマシンと化したナイトゴーストの能力なのだから。

 工場の屋根に着地したナイトゴーストが狙撃用ライフルを構える。高度からの狙撃は……危険すぎる!
「きゃっ、きゃああっ」
 咄嗟に回避行動を取ろうとしたスティンガーの進路を阻むのは射撃フレームのビットであった。四方からレーザー攻撃を行い、スティンガーの機動力を奪う。どうにかかわすのが精一杯のスティンガー。今はとにかく逃げ回る……!

●砲撃の雨を影が舞う
「どうなってるの?」
 このシチュなら大佐は援護行動に出るはずである。
 なかなか援護射撃が来ないなーと思って振り向いた錫華が見たものは。自分自身の武器で追い回されているセレーネ&スティンガーであった。
 このままでは色んな意味でヤバい。具体的にはスティンガーのダメージとセレーネのネタ堕ちとこの戦況の3つくらいで。
「アミシア、ストライダーに追加でフレーム射出してもらって」
「了解しました」
 錫華のパートナーユニットである『アミシア・プロフェット』を通じて、ストライダーのAIに通信。判断もストライダーに任せるため、ほんの少し時間がかかるだろうが、これで戦況を盛り返せるだろう。換装できれば。
「ふぅ」
 闇に紛れて接近してきたナイトゴーストを左手のRX-Aアームブレイドで振り払うようにして一閃する錫華。
「大佐はお茶目なのが珠に瑕だね」
 そう言ってストレイワンのスラスターを噴射。スティンガーの向こう、射撃フレームナイトゴーストに向けて突撃しながら、腰のアタッチメントからBXビームサイズの柄を取り出し、大きく振り回しながら刃を展開する。
「……!」
 ナイトゴーストがストレイワンの接近に近づき、ライフルの銃口を向ける。発射された弾は、しかしストレイワンの高機動力で回避され、接近を許す。
「烈破……!」
 放たれるのは【モーターブーム】。ストレイワンの質量とスラスターの推力とそして研ぎ澄まされた一閃をミックスした必殺の一撃。
 振り抜かれたビームサイズが射撃フレームナイトゴーストの足場であった工場をバターのように斬り裂く。アニメのようにずるりとずれて、工場の屋根の部分が崩落した。あまりのことに反応できず、崩れ落ちる工場に飲みこまれていくナイトゴースト。
 直後、制御を失ったビットが地面に落ちてようやくスティンガーが落ち着きを取り戻した。
「大佐、わたしが時間稼ぐから換装早めにね」
「あ、ありがとうござ……あれ? 私の射撃フレーム埋没して使えないのでは?」
「え? ストライダーに追加しておいたけど」
「そんな回転スシじゃないんですから!!」
「敵は待ってくれないから。大佐早く」
「私の狙撃フレームー!!」
 そんなやりとりの中、きらっと空が光って送られて来たのは『重砲撃用フレーム』でした。

 そんなわけで無事に重砲撃用フレームへ換装を完了したスティンガー。移動速度と回避性能が犠牲になっているが、弾幕や支援行動ならこちらでも十分な性能がある。むしろ牽制や制圧行動ならこっちのほうが上では?
「大佐。動けるようになったら、反撃いくよ」
「問題ありません! では改めて!」
 セレーネの声に応じてスティンガーがミサイルポッドとロケットランチャーを展開。ばがんっ、と全兵装のロックが外れる。
「ファイアっ!」
 セレーネがトリガーを引き、スティンガーからミサイル、ロケットランチャー、果てはレールガンまで全ての武器がナイトゴースト陣営に叩き込まれる。
 直後、ものすごい勢いで爆発するナイトゴースト陣営。しかし直撃はしていない……はずだ。爆発の余波で兵装は使えなくなりそうだけれども。
「直撃すると死んじゃうからね」
 そう言いながら錫華のストレイワンがその爆風の中を駆ける。左手のアームブレイドを
「しばらく大人しくしていてもらうよ」
 【モーターブーム】による一閃がナイトゴーストの機動力を奪っていく。

 程無くして、眼前の戦力を制圧したセレーネと錫華。
「敵機、完全沈黙。錫華さん、行きましょう!」
「了解」
 機体チェック、問題無し。2機は改めてプラントへの道を疾走するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『電脳巨兵オリバレス』

POW   :    ユミルの落とし子
自身の身体部位ひとつを【プラントで生まれ損なった巨人】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    シンクロゲイザー
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【電脳】から【洗脳電波】を放つ。
WIZ   :    UCフィールド
【電磁バリア】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、電磁バリアから何度でも発動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギ・ヌドゥーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●救国のキャバリア(この情報は潜入前に得ていたものとする)
 『救国のキャバリア』――白く輝くこのキャバリアの名は『オリバレス』という。
 オリバレスはその名の通り、クライノートの危機を何度も救ってきた『歴史』を持つサイキックキャバリア、というのがこの国の一般常識だ。

 このマシンは乗り手を選ぶ。この一点のみでオリバレスはサイキックキャバリアに分類されている。ちなみに10年前の大戦では乗り手がついぞ現れなかった。
 だが真実は違う。オリバレスとは本体の上からナノクラスタ装甲とフルアーマーを装備させてその力――オブリビオンマシンとしての力を封じているキャバリアなのだ。

 ゆえに常に『封印』された状態であり、その力を引き出すにはオブリビオンマシンの狂気に負けない者……すなわち猟兵の協力が必要だ。

 この封印が何故かクプファーで解けてしまった。
 そしてオリバレスはその時たまたま乗り込んでいたエリックを悪意で染めはじめたのである。最初はゆっくり……そして徐々に強く。自身の悪意で以てエリックの忠国心を、正義感を捻じ曲げていく。

 結果。その影響を受けたエリックはクプファーを乗っ取る。そして自身の言葉で周囲の人たちを自軍に引き入れていく。熱狂的な勢いで。
 密かに。オリバレスから洗脳電波が出ていたことは誰もわかっていないだろう。その電波の影響受けて。クプファー内にいる全ての人がエリックに賛同するという事態になったのが、今回の『真実の発端』である。

●救国のキャバリア(現在)
 エリックがオリバレスをオーバーホールしていた工房へ辿り着く。
「……ばかな。いや、今はそれどころではない!」
 そこで見たのは取り外していたパーツすらも自力で装備して、既に出撃態勢となっていたオリバレスの姿であった。小さな疑念が残るが、それを振り払い、エリックはオリバレスへ乗り込む。
「救国のキャバリアよ! 敵襲だ出るぞ!」
『ソノ前ニ待タレヨ、主人(あるじ)ヨ』
「なんだ!?」
『敵ハ強イ。我ニ委ネヨ。ヨリ強大ナ力ヲ与エヨウ』
「……!」
 オリバレスの言葉にエリックの心が更なる強化へと揺れる。その瞬間。オリバレスのバイオニューロンがエリックの脊髄から脳へと達して、『彼』という存在の制御を奪い取る。
『アハハハ! 得た、得たぞ! 電脳の力!』
 オリバレスが高らかに笑い、エリックから生命力というものが消えた。オリバレスとエリックが同化したのだ。エリックの全てが奪い取られた瞬間であった。

 そして救国のキャバリアが魔石障壁に包まれたプラントの前に姿を現わす。
『この程度の障壁……砕いてくれる』
 その言葉にぞわりと悪寒を感じる猟兵たち。目の前のキャバリアがただのオブリビオンマシンではないことをその身で感じ取る。
 そしてオリバレスもまた猟兵たちの存在を確認する。
『構えよ猟兵。我ら不倶戴天の敵なれば』
 そう言って兵装を構えるオリバレス。

 既にエリックの意識はないようだ。このままでは体中を侵食され、戻ってこれなくなる。そうなる前にオブリビオンマシンを破壊してエリックをコクピットから救い出す。これしかない。

 こうしてクプファーを巡る最後の戦いが始まろうとしていた。


※※※3章の補足※※※
・魔石障壁展開中。3章でも戦闘の余波で壊れることはありませんが、オリバレスの直接攻撃を10回も叩きつけられれば破壊されてしまいます。依然、全力で戦闘が可能です(ほかの施設は壊れても大丈夫なため)。
・戦場(イメージ)
バームクーヘンです。戦闘可能位置は生地の上のみとお考えください。障害物はありません。穴の位置にプラント。
・キャバリアレンタル
必要な人は借りてください(既に届いている状態)。どのような機体かはプレに記載あると助かります。ユーベルコードもキャバリアの武器・手足から放つことができます。

・初期配置
以下より選んでください。
A:プラントを背に迎撃態勢
B:救国のキャバリアの背後から奇襲態勢
Aは迎撃態勢、Bは攻め込む形。AとBがいれば挟み撃ちになります。

・各種ステータスの状態
前章にて特に【】でタグはつけていませんが、以下の効力は継続中です。
【装甲車】――道路を通ってプラント施設内を自由に行動可能。キャバリアより狙われません。
【戦艦防壁】―南の入り口に機動戦艦は置きっぱ。ここから動けません。完全に人や兵器の往来を封じました。
【キャバリア騎乗】――プレイングを送る際に、乗ったままか一回下りたかをご記入頂けると助かります。
【生身】――オリバレスの注意がキャバリアに向いているため、影や路地、物陰に潜んでいることが可能です。奇襲もOK。
【宝玉騎士団】――プラントまで到達しました。しかし戦闘が激化してきたことと、オブリビオンマシンの影響で意識が飛びそうなので、パイロットや工房にいた人などをクプファーの外周部まで撤退させています。
【ナイトゴースト】――全機沈黙です。残骸が残っていますが戦闘の邪魔にはなりません。障害物として利用することは可能です。パイロットは全員退避済。

・総合
色々書いてありますが、『面倒!!』と思ったら無視してもらって大丈夫です。活用できる設定のみを拾い上げてください。
るちるのほうで適当に状況に合わせて執筆します。

エリックへの説得、熱い思いは彼の意識の覚醒を促し、オリバレスの動きを鈍らせます(プレイングボーナス)。

プレイング受付開始です。この章からでも参加歓迎です。
よろしくお願いします。
政木・朱鞠
A:プラントを背に迎撃態勢
生身の状態で聴こえるかわからないけど…エリック君に語りかけるよ。
君は不合理に抗う術のない人達の剣として切磋琢磨してきたんでしょ?
その曖昧な状態じゃ、ただの『パイロット』って名前の部品だよ。
今から喝を入れに行ってあげるから…自分の意思を手放さずシャキッとしていてね!

戦闘【SPD】
飛翔能力って所が厄介だよね…。
追い付けるかわからないけど、『忍法・狐龍変化身』を使用して仮初めだけど真の姿の足部分の強化。
さらに武器の『風狸ノ脛当』をチョイスして跳躍、【2回攻撃】や【傷口をえぐる】の技能を使いつつ【鎧砕き】蹴りでコックピットの蓋をこじ開けるきっかけを作りたいね。

アドリブ連帯歓迎


シン・ドレッドノート
A:プラントを背に迎撃態勢

貴紅に騎乗したままプラントを背にライフルを構え、長距離からの狙撃でオリバレスを攻撃します。
操縦席に当てないよう注意。

敵の放つシンクロゲイザーに対しては、ハッキングの要領で怪盗の単眼鏡を用いて洗脳電波を解析、同じ周波数で妨害電波を出してジャミング。
ついでに音声メッセージも送ります。
「洗脳電波。これがそのマシンの正体、貴方の国を愛する心を利用する悪しき存在です!」

続けて【銀翼の奇術師】による斥力場にブースター・バインダーの推力を加え、爆発的な加速力で一気に距離を詰めて空中戦。

「いい加減、目を覚ましなさい!」
ライフルの連射で弾幕を張りつつ、ビットを敵頭部宝玉に撃ち込みます。


メンカル・プルモーサ
ふーむ……救国のキャバリア……とおもいきや洗脳マシンだったとはね…
…まあ、かなりとても怪しかったけど……
…さて、撤退前の宝石騎士団に置いておいて貰った実弾や補修用装甲は【アヴァドン】内への格納は充分…
さてやろうか…飛行式箒【リントブルム】に乗って接近…空中戦で回避しながら【投じられ士は空裂く巨岩】を発動…
…袖の【アヴァドン】から実弾やら補修用装甲やらを高速射出…これならUCを直接当ててるわけじゃないからコピーされないしね…
ついでに隙を見て術式組紐【アリアドネ】を接触させてオリバレスを地面に射出しよう…

…エリックとやら、聞こえてれば…こんな不様な操縦のマシンに言いようにされて良いのかな…



●偽りの救国射抜くは、真紅と姫忍と灰魔女
 ゆっくりと浮遊しながら、しかし確実にプラントに迫ってくる救国のキャバリア『オリバレス』。全ての封印を解き、オブリビオンマシンの力を取り戻したオリバレスは、クプファーの闇の中にあって、光り輝いていた。
『構えよ猟兵。我ら不倶戴天の敵なれば』
 オリバレスから声が響く。
「言われなくても……!」
 その背にプラントを庇うようにして在る、真紅のサイキックキャバリアはシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)の『貴紅<ノーブル・スカーレット(PCE)>』。
 ナイトゴーストたちの攻勢からプラントを守り切ったシン&ノーブル・スカーレットが『R/BSスナイパーライフル』を構え、即座にトリガーを引く。銃口から吐き出された実体弾がいまだ距離のあるオリバレスを捉えるが、しかし展開されていた電磁バリアに弾かれる。
「くっ、面倒な……」
 ノーブル・スカーレットの中で舌打ちするシン。しかし、狙撃の衝撃にオリバレスの進行が止まったものの、ほぼ無傷。エリックという疑似生体コアを得たせいか、バリアの出力が高い。
 決して突破できない壁ではないだろうが、狙撃だけでは決め手に欠けるのも事実。幸いなのはシンの攻撃がユーベルコードではないため、あのバリアはただの障壁でしかないことだ。
 再びオリバレスの機体が進攻を開始する。
「……!」
 その時シンは気付く、オリバレスの上空に舞う姿に。
「では……連携といきましょう」
 再度スナイパーライフルを構えたノーブル・スカーレットがトリガーを引く。放たれた弾丸がオリバレスのバリアを正面から激突するのであった。

 ノーブル・スカーレットの狙撃で思うように前に進めないオリバレス。だが依然としてその動きに焦りなど見て取ることはできない。
 オリバレスの上空へ、密かに『飛行式箒【リントブルム】』で飛んで上がったメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、飛行術式を刻んだ箒の柄に横座りしつつ、状況を確認していた。
(ふーむ……救国のキャバリア……とおもいきや洗脳マシンだったとはね……)
 開けてびっくりというやつである。
(……まあ、かなりとても怪しかったけど……)
 そうでもなかったかも。まぁ状況を整理していけば、この救国のキャバリアが騒動の中心に在ったのは理路整然として出される結果ではある。
(……それがわからないくらい、洗脳されちゃってるってわけか)
 それこそがこのクプファー占拠における最大の要因にして黒幕。ならばこれを排除するしかない。
「……さて」
 眼下には真紅のキャバリアの狙撃でその場に留まり続けているオリバレス。
 そしてメンカルの手元には。
(……アヴァドン内への格納は充分……)
 袖口に仕込んである空間歪曲・物体格納術式。その中には撤退前の宝玉騎士団に置いていってもらった実弾や補修用装甲がこれでもかというくらい放り込んである。
「さてやろうか……」
 瞳を閉じて深呼吸。紡ぎ出すは【投じられしは空裂く巨岩】の詠唱。
「見えざる腕よ、投げろ、放て。汝は剛力、汝は投擲。魔女が望むは大山投じる巨神の手」
 メンカルの周囲に青く光る魔方陣が展開され、袖口が触れる。そしてメンカルの攻撃意識がオリバレスに向いた瞬間。
 キャバリア用の弾丸、砲弾、補修用装甲、はては追加装備まで。宝玉騎士団から提供されたあらゆるものが袖口のアヴァドンから高速射出される。
 それらもまた電磁バリアで阻まれ、直接的なダメージにはならないものの。
(……これならユーベルコードを直接当ててるわけじゃないからコピーされないしね……)
 反撃を考慮する必要はない。後は質量とか物理的な衝撃とかの問題。現にバリアにぶつかった砲弾や爆弾は爆破の衝撃でバリアを揺らし、さらに高速で衝突していく補助用装甲は速度を乗せた質量でオリバレスの巨体を地面へと追いやる。
 正面と真上からの攻撃に対して、体勢を崩していくオリバレスは電磁バリアの維持に注力するを得ない。

 そこへ。【投じられしは空裂く巨岩】が発動してから92秒間の間に放たれたキャバリア兵装の雨あられの中へ。ひとりの影が駆ける。

(飛翔能力って所が厄介だよね……)
 仲間の攻撃に当たらないように、クプファーの闇の中から疾走する政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)。生身の彼女とオリバレスであれば、その飛翔能力はかなりのハンデになる。しかし、今の、動きが止まったオリバレスであれば。
「抑えし我が狐龍の力……制御拘束術第壱式にて…強制解放!」
 【忍法・狐龍変化身】。仮初めではあるが、足を真の姿へと変異させて強化。その脚力で素早く地を駆ける。次いで『風狸ノ脛当』の跳躍力を頼りに、地を蹴る朱鞠。その反動と跳躍力で地面から対空ミサイルのように跳ね上がる!
「はぁッ!」
 全ての勢いを乗せた回し蹴りで、朱鞠が斜め下からオリバレスを蹴り上げる。その攻撃もバリアで阻まれるが、蹴りの衝撃そのものはバリアを突きぬけて、オリバレスの巨体を揺らす。

『……!』
 3方向からの攻撃にオリバレスの浮遊制御が急に不安定になる。地面に墜落しかけた巨体の制御にリソースを回したせいか、電磁バリアの出力が緩む。
「チャンス!」
 シンがそこへ圧縮粒子弾を叩き付ける。それもバリアに阻まれるが、実弾と違ってその表面を徐々に削り取っていく。バリアの制御と姿勢制御のジレンマに、さらに態勢が不安定になるオリバレス。
「……今」
 その隙を逃すメンカルでは無かった。両手を広げ、放つは『術式組紐【アリアドネ】』。【投じられしは空裂く巨岩】に触れたアリアドネは高速で以てオリバレスへ射出される。
『ム、ゥゥゥ!!』
 自身の真上から高速射出されたアリアドネを回避できず、その身で受けるオリバレス。直後、メンカルの制御でアリアドネがオリバレスの機体を絡め取る。それを見たメンカルが即座に魔力を込めると硬化し始めるアリアドネ。
 射出された勢いが止まらず、そのままオリバレスを地面に叩き付け、硬化したアリアドネはオリバレスを地面に縛り付ける。
『貴様!』
 オリバレスが声をあげるも、機体を起こすことはできず。
「やった!」
 朱鞠が着地しながら歓声をあげるのであった。

●声よ、届け
 地に縛り付けられたオリバレス。
 これで戦闘にしてもエリックの救出にしても何をするにもやりやすくなる。そう考えながら、追撃のためにオリバレスに迫る朱鞠。

 その時。

 オリバレスのスラスターが急速噴射する。無理矢理飛び上がろうとするオリバレスだが、それはメンカルのアリアドネが許さない。
『ならば……!』
 作戦を変えて、縛られたままオリバレスが電脳から洗脳電波を放った。

 洗脳電波に飲みこまれる3人。
「うぁぁっ!!」
 朱鞠が悲鳴をあげる。脳に直接響く声のような呪いのような振動。それが朱鞠の中をぐちゃぐちゃにかき回して、攻撃の意志や敵対心といったものを撹拌していく。
「くっ……」
 それはメンカルも同じ。上空にも響く洗脳電波にメンカルの魔力が思わず緩む。
『愚かな』
「しまっ……くぅ……」
 必然、アリアドネの硬化も解け、その隙にオリバレスが脱出する。舌打ちするもリントブルムの制御と洗脳電波への抵抗で精一杯のメンカル。
「ちぃっ……!」
 ノーブル・スカーレットの中で舌打ちするシン。洗脳電波に抗いながら、シンは『怪盗の単眼鏡』を起動させる。
 オブリビオンマシンとはいえ、使っているのは電脳の力。ならば同じ電脳の力で対抗することは、不可能ではない。
 怪盗の単眼鏡から洗脳電波のハッキングおよび解析。電『波』であるならば、同じ周波数を叩き付ければ相殺できる。
「ノーブル・スカーレット!」
 洗脳電波に負けないよう叫ぶシン。シンの操作と意志に応えてノーブル・スカーレットがジャミング機能を起動させる。洗脳電波に対して、同じ周波数の妨害電波を出すシン。2つの電波がぶつかりあい、相殺されていく。
「……やってくれたね」
 洗脳電波に耐え凌いだメンカルが静かに、呟く。素早く態勢を整え直して【投じられしは空裂く巨岩】で再びアリアドネを射出。今度は組紐を檻のように展開して、空中に拘束する。

 空中に固定されたオリバレスに向けてシンが叫ぶ。
「洗脳電波。これがそのマシンの正体、貴方の国を愛する心を利用する悪しき存在です!」
 それは音声メッセージとして、オリバレスに叩き付けられる。一方的な、しかし力強い言葉がオリバレスの中にも届く……エリックの耳にも。

 その時、わずかにオリバレスの動きが鈍った。

●かすかに灯る、希望
 オリバレスの変調に、洗脳電波を跳ね除けた朱鞠とメンカルが動く。
「……エリックとやら、聞こえてれば……こんな不様な操縦のマシンに言いようにされて良いのかな……?」
 シンに続いてメンカルもまたエリックに問いかける。それは戦略的かもしれないし、あるいはメンカルの心の吐露だったのかもしれない。
「君は不合理に抗う術のない人達の剣として切磋琢磨してきたんでしょ?」
 ここがその時、と朱鞠がエリックに語りかける。これまで見てきたエリックの言動とオリバレスの存在。そこから導き出されるものは。
「その曖昧な状態じゃ、ただの『パイロット』って名前の部品だよ」
 部品。その言葉にオリバレスの動きがさらに鈍る。

 エリックが抵抗している。そのことが見て取れる。

「今から喝を入れに行ってあげるから……自分の意思を手放さずシャキッとしていてね!」
 そう言って朱鞠が再度、地をを蹴った。

 地を駆け出した朱鞠を見て、メンカルが呼吸を整える。
「……それじゃ、もう一度だ」
 三度、メンカルの【投じられしは空裂く巨岩】。これで最後と、アヴァロンの中にあるありったけの残弾を放つ。高速に射出された弾丸やら追加装備やらが、エリックの抵抗のせいかバリアを展開できないオリバレスに直撃する。その装甲を強引に削り取っていく高速射出弾。

 不意に。魔石障壁にも負けないほどの輝きが辺りを包んだ。それはノーブル・スカーレットの背中から白銀に輝く光の翼とともに。

 追加兵装『フレキシブル・ブースター・バインダー』によって、ノーブル・スカーレットが飛翔する。
「斥力制御フィールド展開」
 シンの言葉に合わせて、不可視の力場が展開される。そこから生み出される反発力を加えて、爆発的な加速力で以て真紅のキャバリアが空を駆ける。
「目標に向けて飛翔する! 行きますよ! 【銀翼の奇術師】!」
 一気に距離を詰めながら、機体に固定したスナイパーライフルから実体弾を連続連射。弾幕と化した実体弾とともにノーブル・スカーレットが急加速突撃!
「いい加減、目を覚ましなさい!」
 くんっ、とノーブル・スカーレットの機体が急上昇する、と同時に射出されたソードビット。実体弾の弾幕がオリバレスの装甲を抉り取り、そして突撃の勢いの全てを乗せたソードビットがオリバレスの頭部宝玉に突き刺さる!

 オリバレスの動きが完全に動きが止まる。

 そこへ再び朱鞠が駆ける。再度使用した【忍法・狐龍変化身】。無理矢理に法則を曲げる強化法ゆえに常に付き纏う『生きたまま石化するリスク』。それすらも振り払うようにして、疾走する!
 風狸ノ脛当を使っての再度の跳躍。今度の狙いは……エリックがいるコックピットのハッチ。
(この蹴りなら……!)
 その位置への攻撃はキャバリア兵装による攻撃だとエリックを押し潰す可能性もある。しかし、生身の、朱鞠の蹴りならば!
「いっけーっ!!」
 爪先に力を込めて、鎧砕きと傷口をえぐる要領で。空中で身を翻しながら素早く2回、朱鞠の蹴りがコックピットに突き刺さる。ハッチの一部が砕かれ、コックピットの中が見える。
「エリック君!」
 朱鞠の声に、エリックが薄く目を開けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

西院鬼・織久
状態【生身】B

戦場は猛りされど我等の餓えは増すばかり
だが我等の血肉もまた糧となる
救国と呼ばれたその力に相応しい死合いを望む

【行動】POW
可能なら敵機と同型か近い機体、武器の性能や欠点の情報を得ておく
常に五感と第六感+野生の勘で状況と敵行動の把握と予測

先制攻撃+UCの範囲攻撃で各部位にダメージを与えると同時に怨念の炎(呪詛+生命力吸収+継続ダメージ)で装甲を損耗

敵攻撃を残像+ダッシュのフェイントで回避、早業+夜砥で捕縛し糸の巻き上げで接近。損耗した箇所に串刺しで傷口をえぐりUCを内部に流し込んで回路などを焼いて行く
ダメージを受けても各種耐性と精神系技能で対応し攻撃の手を止めない



●しかし希望は再び
 猟兵たちの激しい攻撃、そして呼びかけによって、救国のキャバリア『オリバレス』の生体コアと化していたエリックにかすかに意識が戻る。
『認メぬ。オ前は我ノ物だ……!』
 強烈な衝撃波を放ちながら一度プラントの前から離脱するオリバレス。着地点は工場地帯の中。ひとつの工場を踏み潰すことで工場の中に紛れ込む。
『さァ……思イ出せ。オ前の忠国ヲ、コの国ノ怠惰を!』
「ぐぁぁぁぁ!」
 直接電流のような洗脳電波を脳に流し込み、再度エリックの意識を奪い取るオリバレス。機体の性能が再び格段に上がる。
『後れを取った。だがこれからだ』
 ふわりと浮きあがったオリバレス。方向転換をしようとしたその瞬間。
『……!』
 強烈な炎が機体の表面をなめていく。炎を振り払い、その起点を見据えるオリバレス。
 そこには、プラントへ駆けつけようとしていた猟兵、西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)がいた。

「戦場は猛りされど我等の餓えは増すばかり……」
 オブリビオンを狩り、その怨念を糧にすることを至上目的とする一族である織久。
 しかしこれまでに屠ってきたオブリビオンは元はキャバリア。ゆえにそのようなものは発生しうるはずも無く。
「だが我等の血肉もまた糧となる。救国と呼ばれたその力に相応しい死合いを望む」
 そう言って、織久は獰猛な笑みを口端に浮かべる。
 直後、織久が動いた。

【殺意の炎】によって発生した黒い炎がオリバレスの全身を包みこむ。
「我らの怨念、ただの炎と思うな」
 そう、その炎は織久に宿る怨念の形でもある。その呪詛が装甲の各所に炎の形として残り、さらには装甲を徐々に削っていく。オリバレスに生命力があるかといえば疑問だが、しかしそのエネルギーは確実に抜けていっているようだ。
『小賢しい』
 その場で機体を高速回転させつつ、炎に対して電磁バリアを展開。浮かせたところで全ての炎を振り払うオリバレス。
『その程度で、人の身で抱えられる殺意で我を食らうとは片腹痛い』
 そう告げたオリバレスの右手がユミルの落とし子としてプラントで生まれ損なった巨人の頭部に変形し、織久に襲い掛かる。炎と牙、形は違えど相手の喰らい尽くすのは一緒。
「……!」
 しかし織久も攻撃ばかりにかまけていたわけではない。常に五感と第六感を、そして幾ばくか野生の勘を働かせていたがために、その攻撃は見て取れる。素早く飛び退き、攻撃を回避する織久。
 着地したならば、そのままオリバレスに向けてダッシュ。残像を残しながらフェイントを入れて、次々と襲い掛かるオリバレスの右手を回避していく。
 そして射程内!
「……っ」
 小さな呼気とともに早業にて『夜砥』を放つ。無念の死を遂げた者の髪と血を撚り合わせて加工し砥上げた超極細の糸がオリバレスの巨体に絡みつき。
『貴様!』
 オリバレスの怒号が響く中、糸を巻き上げて急速に接近する織久。オリバレスの攻撃をかいくぐり、右腕の装甲に取り付く。
 遠目ではわからなかったが、近くまで来ればこれまでの猟兵たちの攻撃で装甲のいたる所に傷がついている。そのひとつに『闇焔』を突き立て、装甲を抉っていく。
「我等が怨念尽きる事なし」
 闇焔を伝って【殺意の炎】がオリバレスの内部に流し込まれていく。コックピットまで焼き尽くすのはグリモア猟兵との約束に反する。ゆえにまずは腕の回路を焼き尽くす!
『おのれ!!』
 自身の腕をもう片方の手で殴りつけるオリバレス。だがいかにダメージを与えようとも耐え、攻撃の手を止めない織久。
『ならばこの腕くれてやる!』
 今度は左手をユミルの落とし子と化して、回路を焼き尽くされた右腕を肩から破壊するオリバレス。砕けた肩部からも黒い炎が漏れ出る。躊躇っていたらおそらく心臓部まで、頭部やコックピットまで炎が届いていただろう。そこまでダメージがいかなったのは幸いというべきか、あるいは右腕部の損傷は大きな痛手と見るべきか。
『チッ!』
 再び衝撃波を放って右腕、そして織久を遠ざけるオリバレス。
 織久の執念は確実にオリバレスを追い込んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フロース・ウェスペルティリオ
【人目につかない場所で待機中】
B:救国のキャバリアの背後から奇襲態勢

UCの射程的にある程度距離からでも狙えそう
[視力/情報収集]で敵機の位置把握もし易そうだし、
液状の身体を活かして、狙うのに良さげな位置に移動
目録本に収納していた機体を出し、弓矢で腹の辺りでも狙おうか

さて、折角お借りしたのだし、ウチもキャバリアで[援護射撃]といこうかな
まだまだキャバリアには慣れていないので、ああも動き回りながらは難しいけど、よく狙って射るくらいなら問題なさそうかなぁ

エリックさんも、元は国の未来を考える立派なキャバリア乗りさんなんだっけ
キャバリアに全て奪われようとしている今のお姿は、本当に望んだ未来だと思うかい?



●クプファーの闇より出ずる者
 猟兵の攻撃に右腕部を犠牲にしつつ、その場を離脱する『オリバレス』。いかなナノクラスタ装甲とはいえ、このダメージは回復しきれない。
『最早猶予は無い。遊びも終わりだ』
 その判断を下したオリバレスは遠距離からの狙撃を試みる。オリバレスとてオブリビオンマシン、標準兵装というものがある。
 背中に展開する血と漆黒の如きサイキックエナジーの翼。それを凝縮した呪殺の弾丸にて猟兵ごとプラントを撃ち抜く。プラントを守っていた猟兵たちがこちらに気付くが、対応するには距離がある。
『終わりだ、猟兵』
 しかし呪殺弾が放たれようとしたその瞬間。背後から飛翔した何かが呪殺弾に炸裂、そのまま漆黒の呪いを霧散させる。
『おのれ……』
 オリバレスが機体を反転させる。その発射元とおぼしき地点にいたのは1体の量産型キャバリア。それはフロース・ウェスペルティリオ(蝙蝠花・f00244)が駆るキャバリアであった。

 猟兵のユーベルコードはキャバリアに乗っていたとしても有効だ。フロースのキャバリアに装備されていたRX-Aパイルバンカーが【千里眼射ち】の矢となって飛翔した結果が先の呪殺弾粉砕である。
(ユーベルコードの射程的にある程度距離からでも狙えそう)
 と考えていたフロースの思惑はバッチリ的中というわけだ。先のナイトゴースト戦をやり過ごしてまで潜伏していた甲斐があったというものだ。その間に見つけた狙撃ポイントも十全に役に立っている。

 今の位置関係は、プラント―――オリバレス―フロース。距離が近い、という意味でオリバレスの注目がフロースに向く。

(さて、折角お借りしたのだし、ウチもキャバリアで)
 ブラックタールの特徴、液状の身体を活用して。
 闇の中にありながら、プラント周辺におけるナイトゴーストとの戦闘を近距離から確実に観察することができた。その優れた視力で以て情報収集、クプファー内の地形も把握した。
 オリバレスの死角から狙撃する……その意思の元、位置を調整していたところへ、まさかの相手が飛んで火にいる夏の虫であったが、ここからが本番だ。

 再度パイルバンカーの射出機能を弓の弦のように絞り込む。
(まだまだキャバリアには慣れていないので、ああも動き回りながらは難しいけど……)
 思い出すのは先の戦闘で仲間たちが駆っていたキャバリアの動き。あそこまでの動きは到底無理だが、それでもよく狙って撃ち抜くことくらいなら。
 10秒の集中の後、再びパイルバンカーの鉄杭が風を切り裂くて飛翔。振り向いたオリバレスの左肩部に大きな鉄杭が直撃する。
(これくらいなら問題なさそうかなぁ)
 相手が動かなければ、だが。

 オリバレスのスラスターが展開する。直後、衝撃波をまき散らしながら急上昇してオリバレスがフロースのキャバリア向けて飛翔する。
「……ちょっとヤバいかも?」
 狙撃態勢であったキャバリアの機体を起こして後退しようとするフロース。しかしオリバレスの洗脳電波の方が早い。
「くぅ、ぅ……」
 洗脳電波が浸透するにつれて、手足の、思考の動きが鈍っていく。後退しようとしていたキャバリアが止まり、そして逆にオリバレスが距離を詰めて至近距離に降り立つ。
 このままではやられる……そんな時にあってフロースは問いかけた。
「……今のお姿は、本当に望んだ未来だと思うかい?」
 フロースのキャバリアに攻撃を仕掛けようとしていたオリバレスの動きが……止まる。

 オリバレスが迫った瞬間、フロースの脳裏に浮かんだのはオリバレスに取り込まれているエリックのことだ。
(エリックさんも、元は国の未来を考える立派なキャバリア乗りさんなんだっけ)
 そう考えた時、思わず言葉が出たのだ。
「キャバリアに全て奪われようとしている今のお姿は、本当に望んだ未来だと思うかい?」
 ぎちっ、と変な音がしてオリバレスが制止する。それは強引に中から止めているような。同時に洗脳電波も止まって。
『ぐっ、貴様まだ……!』
 焦るオリバレス。そしてオリバレスの意識が自身の中、コックピットへ向く。しかしそれはフロースから意識が逸れたということに等しい。それはつまり、チャンスだ。
「……」
 この至近距離で10秒の集中は難しいかもしれない。その短いようで長い時間を……フロースはどうにか掴み取る。なればこの至近距離はフロースにとって利点でしかない。
「『そこ』でも貰おうか」
 オリバレスの腹部、コックピットを外したその位置へパイルバンカーの発射口を向けて。【千里眼射ち】の本来の用途とは違うが、これも射撃には違いない。
「この距離で外したら、二度と弓矢使えないよねぇ」
 フロースがゆるっとした口調で、しかし鋭く射出した鉄の矢が、オリバレスの腹部を貫くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セレーネ・ジルコニウム
B:【ガルヴォルン】
「ストライダー、砲撃フレームの補給弾薬を射出してください!」

ストライダーのAIに指示を出し、撃ち尽くした【重砲フレーム】の弾薬を補充します。
これでまだ戦えますっ!

「行きましょう、錫華さんっ!
スティンガー、リミッター解除です!」

【オーバーブースト・マキシマイザー】でスティンガーに秘められた機能を解放。
高速飛行しながら、全武装を敵に叩き込みましょう。

「これならば敵の速度にもついていけますっ……!
って、ああっ!?
魔石障壁にっ!?」

うっかりプラントにミサイルがっ!?

「って、さらに、エネルギー残量がゼロですかーっ!?」

エネルギーを使い果たしてしまい、墜落するスティンガーでした。


支倉・錫華
A:【ガルヴォルン】
【キャバリア騎乗】
キャバリアのチューンはこのまま。
移動力5倍、射程半分のまま、接近戦を挑むよ。

アミシア、当たるわけにはいかないから、全開で行く。
機体の動力補正と攻撃予測、よろしく!

バームクーヘンだから真っ直ぐって訳にはいかないし、
大佐の援護を受けながら攻撃していこう。

って、大佐!? 援護なんだけど……魔力障壁壊すつもりなのかな?

あー、もう。
マキシマイザーの弾幕を囮にするしかないか。
【モーターブーム】で相手の関節狙って攻撃していこう。

あ、大佐、あまり前に出ると危ないからね。
エネルギー残量少ないだろうし、機体壊すと罰ゲームだよ?
……整備班のみんなは楽しみにしてるっぽいけどね。



●激闘の終焉
 右腕部損失に続き、腹部を貫通するダメージを受けた『オリバレス』。
『グ、ゥゥァアア!!』
 獣のようにも聞こえる叫びをあげて、スラスターを噴射する。直上に向かって飛翔するオリバレス。その衝撃と鉄杭による楔によって腹部より下の機関が引きちぎれるがお構いなしに上昇し続ける!
『コれデ終わリにシよウ!!』
 クプファー上空で兵装を展開して広範囲爆撃の態勢を取るオリバレス。
 そして。
 不意に下から飛んできたミサイルやロケットランチャーの一斉射撃がオリバレスの背面に直撃する!
『ナっ……!?』
 攻撃態勢に入っていたせいか、回避行動もとれず、背面スラスターを破壊されたオリバレスの機体が重力に従って落下していく。

「大佐、落ちてきた。今ならクール・タイムに入れる」
 落下してきたオリバレスを確認して、支倉・錫華(Gambenero・f29951)が通信を入れる。
「了解しました。ストライダー、砲撃フレームの補給弾薬を射出してください!」
 錫華の報告を受けて、少し後方、母艦『機動戦艦ストライダー【ワダツミ級強襲揚陸艦】』に近い位置で待機していたセレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)が『EP機械知性体ユニット『ミスランディア』』を通じて指示を出す。
 直後、空を飛んできた弾薬パックを『試作型クロムキャバリア『スティンガー』』でキャッチして、撃ち尽くした重砲フレームの弾薬を補充する。多大な火力を有するものの、ほぼ実弾で構成されている重砲フレームの唯一の弱点、弾切れ。それを克服したセレーネがスティンガーの最終チェックを走らせて。
「これでまだ戦えますっ!」
 そう叫んだ時、派手な音を立ててオリバレスが地面に激突する。
「行きましょう、錫華さんっ!」
「了解。私が先に仕掛けておく」
「お願いしますっ」
 セレーネとの通信を終えた錫華が自身の駆る量産型キャバリア――識別コード:ストレイワンのエンジンを起動させる。潜伏時間は終わり。
「アミシア、いくよっ!」
『システム、オールグリーンです』
 『アミシア・プロフェット』が錫華に状況を報告。キャバリアチューンは先のまま接近戦仕様。射程は半分ほどだがその分機動力は折り紙つき。
 その機動力で以てオリバレスとの距離を一気に詰めるのであった。

 力無く、しかし明確な敵意を失ってはおらず。人で言えば『よろよろ』と、しかし確実にオリバレスが再び浮上する。
『クっ……』
 あらゆる出力が低下している。機動力、洗脳電波の強度、そしてエリックに対する洗脳もだ。それはオリバレスのオブリビオンマシンとしての力が半減したことを示す。
「ぼーっと突っ立っているなら、遠慮なく行くよ!」
 明らかに行動に精彩を欠くオリバレスへストレイワンが急接近。左手のRX-Aアームブレイドを展開する。
『オノれ……!』
 おそらくはオブリビオンマシンとしての兵装が上手く使えない。ゆえに標準兵装であるBS-Sホーミングレーザーを展開、迎撃するオリバレス。
「アミシア、当たるわけにはいかないから、全開で行く。機体の動力補正と攻撃予測、よろしく!」
『了解しました』
 アミシアの声とともに、ピッ、と小さな起動音。直後、レーダーに映る攻撃予測パターン、回避行動、最適な行動ルート。それを瞬間、確認して錫華がレバーを引く。ストレイワンが錫華の意志に従って、ホーミングレーザーの雨をかいくぐっていく。絶妙にアミシアの補助が入って、ついにストレイワンがオリバレスの懐に飛び込む。

 一閃。

 オリバレスの真横をすり抜けながらアームブレイドで斬りつける錫華。
(思った以上に、敵機の動きが鈍い!)
 これなら、とストレイワンの勢いを殺さずに反転。構えるは必殺の一撃【モーターブーム】!
『マダ、完全に制御ヲ失っタわけデはなイ!』
 しかしオリバレスはストレイワンを振り切るように無理矢理に急上昇。そしてプラントへ向かって飛翔する。その速度は設定上の最高速には届かないがそれでもストレイワンを振り切るには十分な速度。
「くっ、大佐っ!」
 錫華が咄嗟に支援要請を送る。それは補給を終えてこちらに駆けつけていたセレーネのスティンガーに即座に伝わり。
「こちらに任せてください。スティンガー、リミッター解除です!」
 スティンガーの各部から小さなパーツが射出される。直後、背面スラスター以外からも噴出される推力。スラスターそのものも出力が格段に上がって、その推力で以て、スティンガーの機体が浮上する。
「いきますっ!」
 これこそが試作型と言われるスティンガーに秘められた機能。重厚な砲撃戦仕様だったとしても、高機動戦闘を可能とする奥の手!
「これならば敵の速度にもついていけますっ……!」
 そう言うセレーネ。しかしその速度は損傷しているオリバレスより格段に上。錫華のストレイワンを追い抜き、そのままオリバレスに並ぶ。
「これでどうですか!!」
 一瞬だけ制動、強烈なGに耐えつつ、セレーネがトリガーを引く。全武装のロックが解除され、オリバレスに向かって一斉発射される!
 乱れ飛ぶミサイル、ロケットランチャー弾。オリバレスを逃さないと、再度加速しながら手にしたマシンガンの弾丸を叩き込み続ける。
『ぐ、ア、がァァァ!!』
 その勢いとダメージに耐え切れず、地面に墜落、激突するオリバレス。それを確認したセレーネが。
「……って、まってくださーい?!」
 速度が出過ぎたようです。
 キャバリアは急に止まれない。そのままオリバレスを追い抜かすスティンガー。そうすると進行方向にはプラントがあります。高速で武装を展開している関係で発射した一部のミサイルが慣性の法則で以て直進方向へ飛んでいきます。
「ああっ!? プラントにミサイルがっ!?」
 直撃である。まぁ魔石障壁が防ぎましたけれども!!
 しかし問題は止まれないスティンガーである。このまま直進すればプラントに直撃する。その場合、さすがに魔石障壁で守り切れる保証はない。
「くっ、スティンガー上昇。ミスランディア、コントロールを全てスラスター制御に集中してください!」
『了解……じゃが、もう終わりじゃぞ?』
「……はい?」
『エネルギーを見よ』
「って、さらに、エネルギー残量がゼロですかーっ!?」
 ミスランディアの言葉でモニターをチェックしたセレーネが叫ぶ。補給した分を使い切ったらしい。
 そんなわけで急速に速度を失っていくスティンガー。もちろん上昇することなどなく、地面に墜落、のちに地面を滑って行く。
「きゃぁぁぁぁぁ!?」
 プラント下部の搬出用デッキに激突してようやくスティンガーは止まったのである。

 そんな瞬間の攻防を後方から確認していた錫華は。
「大佐!? 援護なんだけど……魔力障壁壊すつもりなのかな?」
 オリバレスを叩き落とした後、そのままプラントへ突っ込んだスティンガーを見て、さすがの錫華さんもビックリである。
 さて問題はこの後。スティンガーの援護があればもっと確実にオリバレスを追い込めるのだが。
「あー、もう。マキシマイザーの弾幕を囮にするしかないか」
 時間差攻撃も加味していたのだろうか。スティンガーが墜落してなお上空よりミサイルがオリバレスに降り注いでいる。
「ここを、狙う……!」
 ストレイワンのスラスター最大出力。多少のミサイルは無視して、一直線に躊躇うこと無く錫華が突撃する! 手に展開しているのはBXビームサイズ。エネルギーの刃が全てを刈り取る鎌の形で顕現する。
「烈破……!」
 急速接近の後、一閃。錫華とストレイワンの全てを乗せた【モーターブーム】の一撃がオリバレスの首、頭部を切断する。

『ア、ガ、グアアアァァァァ!』
 それはオブリビオンマシンとしての最期の絶叫。機械音のような声を響かせてオリバレスの頭部から光が落ちる。

 激闘の末、猟兵たちが勝利を掴んだ瞬間であった。

●戦後処理の前に
 戦いが終わり、ストレイワンが滑るように地面を走り、スティンガーの前に到達する。
「大丈夫?」
「な、なんとか……」
 幸いにしてプラント側もスティンガー側も致命傷にはなっていないようだ。
「大佐、あまり前に出ると危ないからね。機体壊すと罰ゲームだよ?」
「そんなルールいつ出来たんですかっ?!」
「……整備班のみんなは楽しみにしてるっぽいけどね」
「ううう、そんなの楽しみにしないでください~~」
 少しばかり愉快そうな錫華の声に、中破(主に墜落によって)したスティンガーの中でセレーネは涙目になるのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●クプファーの夜明け
 救国のキャバリア――『オリバレス』は猟兵たちの活躍で、プラント施設クプファーに致命的なダメージを与えること無く、完全に残骸と化した。そしてプラントを包み込んでいた魔石の光が、消える。

 再び闇の中に沈むクプファー。

 その中にあって、猟兵たちと宝玉騎士団は休むことなく活動していた。
 夜明けまでにはどうにか事態を収拾しなければいけない。そのために、まずはお互いの情報を交換して共有する。宝玉騎士団としてはにわかに信じがたい事実もあろうが、今はそれを前提にして動くしかない。
 ゆえに真っ先に行われたのはエリックの身柄の確保であった。首謀者を逃がすわけにはいかないという意味もあるが、今後のことを考えると死なせるわけにはいかない。
 オリバレスのコックピットから救出されたエリックは、命に別状がなく、しかし強制的な洗脳という外部からの刺激によって意識が混濁した状態であった。とりあえずこのまま王都の病院に運ぶしかない。
 そして配下たちと今回の騒動に与していた者たちを拘束する。こちらはさしたる抵抗も無く、大人しく宝玉騎士団の管理下に入った。
 戦闘で壊れたキャバリアや工場は今後直すとしても、オブリビオンマシンであるオリバレスの残骸は回収せねばならない。
 そんなこんなで完全に事態が落ち着いた頃には朝日が。

 プラント占拠事件に対する、潜入からの制圧作戦。その成功は夜明けとともに告げられたのである。

「正直、俺たち宝玉騎士団だけではここまでスムーズに事が運ばなかっただろう」
 再びクプファーをクライノート国の管理下に取り戻すことができた宝玉騎士団。そのひとり、騎士団分団長ケビンは猟兵たちを前に、状況の共有を行っていた。
「エリックもこの騒ぎに参画していた者も処罰は下されるだろうが、まあ死ぬようなことはないだろう」
 救国のキャバリアの暴走。それを証明するモノとしてオリバレスの残骸がある。救国のキャバリアの中に隠されていたこのキャバリアの禍々しさがエリックたちの暴走を裏づけする証拠となる。
 ただ、立場あるエリックには、責任のもと厳重な罰が下ってもおかしくはない、という。
「それでも生きてりゃどうにかなるさ」
 とケビンは肩を竦めながら言う。

 となると破壊された救国のキャバリアはどうするのか。このキャバリアは伝説を背負った国の象徴という役目もあったはずだ。
「そっちはハリボテでも作るしかないだろう。上の人らが考えるさ」
 なお、エリックがオーバーホールしていた工房に、『救国のキャバリア』としての外部装甲が残されていたらしい。つまり、オリバレスを封印していた外側だ。
「アレを使えば、それっぽいモノは作れるさ」
 動かなくても構わない。そもそも簡単に動くものでは無かったわけだし。
 国の象徴をそう簡単に失う訳にはいかない、ということだ。

「今、こちらから言えることはこの程度だな。いずれにしても助かった。ありがとう」
 そう言ってケビンは踵を返す。報酬は国からもらってくれ、と添えて。
「またこの国に来ることがあれば騎士団に寄るといい。エリックの進退なら教えてやるよ」
 最後にそう告げて。
 宝玉騎士団がクプファーから撤退していく。

 こうして、魔石の国『クライノート』における、プラント施設クプファー占拠事件は解決したのである。
 クライノートの歴史に傭兵――猟兵の活躍を刻んで。

最終結果:成功

完成日:2020年11月09日


挿絵イラスト