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別つことなかれ、エースの絆

#クロムキャバリア #ACE戦記 #グリプ5 #フルーⅦ

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●フルーⅦ
「許されることではない! 諸君! 我々の作り上げた最新鋭キャバリア『ブレイジング・バジリスク』を強奪し、あまつさえは盗用した『グリプ5』を許してはならない!」
 それは壇上で力強く叫ぶ隻眼の男であった。
 歴戦のキャバリア乗りでありながら、戦うことではなく外交で持って幾度の戦争へと発展する衝突を諌めてきたアジン少将は拳を振り上げて語気を強めた。
 それは彼の怒りがどれほどのものであるか伺いしれるものであった。

 少国家『フルーⅦ』。
 それは同じくクロムキャバリアに存在する『グリプ5』と友好国であり、互いの間に衝突は此処十数年なかった。
 互いに不可侵の領域を作ることに寄って余計な衝突をさけ、プラントを奪い合う戦いを仕掛けてくる互いの敵国との共同戦線を張ることさえあったのだ。
 言ってしまえば、同盟国だ。
 だが、状況は一変した。
「彼らは私達の信頼を『裏切った』! 秘密裏に奪われた『ブレイジング・バジリスク』は、彼らの手によって無残な姿になっている。私は悲しい。戦いを終わらせるために戦ってきたつもりだった。銃ではなく言葉でだ。だが……」
 それは裏切られたのだ。
 だからこそ、報いを受けさせなければならない。そう強く拳を振り上げて語るアジン少将の瞳は怒りに真っ赤に染まっていた。
「『裏切り』には、『報い』を! 私達の手で、それをくださねばならないのだ!」

●疑念
『フルーⅦ』のキャバリア部隊は急造で編成されていく。
 もちろん、その中にはキャバリア乗りのエースの存在も多数見受けられた。
「なんで、私たちが第二波の部隊に組み込まれているの? 今からでも遅くない。私も第一波の部隊に組み込んでもらえるように進言してくるわ!」
 一人の女性キャバリア乗りが声を荒げて言う。
 本来であれば所属している部隊で戦ったほうがいいはずなのだ。それに恋人であるキャバリア乗りが第一波の部隊に編成されている。
 どうしたって気が気ではないのだ。

「そう言うな。俺も正直、この編成には驚いている。というより、あの温厚で外交手段ばかり取る穏健派って言われてるアジン少将が陣頭指揮を取る……しかも、キャバリアも持ち出しているんだ」
 女性キャバリア乗りの恋人であり、同じ部隊に所属していたキャバリア乗りの男性が怪訝な顔で肩を竦めた。
 そもそも、今回の『グリプ5』への侵攻もところどころ不可解な点が多い。
 これまで同盟国と言っていい関係を気づいてきた少国家同士。こちらの最新鋭キャバリアの情報が漏れ、あちらの国で存在が確認されたとは言え、それはアジン少将お得意の外交戦術で如何様にもできたはずだ。
「それでもキャバリア乗りである以上、上の命令には従うしかないさ」

 心配するなと女性キャバリア乗りの肩を叩いて男性キャバリア乗りが笑う。
「―――でも」
「安心しろ。必ず帰ってくるし、週末親御さんと会う約束は忘れていない」
 そう言って男性キャバリア乗りは己のキャバリアへと乗り込む。
 名を『オブシディアンMk4』。
 コクピットの堅牢さに定評のある量産型ではあるが信頼性の高い機体だ。それに今回の戦いもそう時間はかからないだろうと彼は考えていた。
 なぜなら、陣頭指揮を取るアジン少将は『キマイラ』と二つ名がつくほどに、戦闘と外交の二つの手段を織り交ぜて早期に戦争を終結させる手腕を持つキャバリア乗りであるからだ。

「今回も挨拶程度の小競り合いで死者無く終わらせるさ。アジン少将は、それができる御方だからな」

 だが、その期待は裏切られる。
 なぜなら、『フルーⅦ』が『グリプ5』へと侵攻をかけるキャバリア部隊の全ては、オブリビオンマシンであり、彼らがすぐさま心を歪まされ嘗ての友好国を蹂躙するのだから―――。

●侵略・迎撃
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。今回の事件は、鋼鉄の騎士が疾駆する争乱の世界、クロムキャバリアで起こってしまいます」
 そう告げる彼女の瞳は暗かった。
 彼女の予知が告げる事件とは、つまり『侵略』である。過去の化身、オブリビオンマシンが関わっていることは間違いない。

「今回の事件の舞台は『グリプ5』。先日、最新鋭キャバリアの暴走事件が起こった少国家です。その『グリプ5』は、皆さんの活躍により最新鋭キャバリアに擬態したオブリビオンマシンを撃破することによって救われました。あれから日が経っておりませんが……その時現れたオブリビオンマシン『ブレイジング・バジリスク』は『フルーⅦ』と呼ばれる友好国であった国の最新鋭キャバリアだったのです」
 しかし、それはオブリビオンマシンであったのだから、侵略の原因にはならないはずだ。もしも、それが問題になったとしても友好国であるのなら外交筋で解決されるのが戦争続く世界といえど、もっともリスクの少ない選択だ。

「はい……ですが、『フルーⅦ』側の決断は違います。第一波、第二波と続く大部隊によって、暴走事件が起こって間もない『グリプ5』を強襲し、一気に侵略しようとしているのです」
 言うまでもなく、その侵略行為の影にはオブリビオンマシンの影がある。
 おそらく陣頭指揮を取る指揮官の乗機がオブリビオンマシンであり、すでに侵略してくる大部隊のキャバリア全てがオブリビオンマシン化しているようなのだ。

「これらを撃退していただきたいのですが、キャバリア乗り……パイロットはオブリビオンマシンによって正気を失っているだけなのです。マシンだけを破壊すれば、彼らは正気に戻るはずです」
 そして、第一波、第二波と部隊を分けているところがオブリビオンマシンの悪辣なるところである。
 部隊を二つに分けたのは、それぞれに『絆』を持つパイロットを配置し、第一波のパイロットがもしも死亡などしていた場合、第二波のパイロットたちはさらに狂気に呑まれてしまい、その憎しみの連鎖を拡大してしまうのだ。

「ですので、お願いいたします。オブリビオンマシンによって心を歪められた彼らを助けて頂きたいのです。そうすれば、第二波の部隊もオブリビオンマシンを破壊するだけで、この事件の首謀者であるオブリビオンマシンの目論見を打破できるはずなのです」
 もちろん、この首謀者オブリビオンマシンに乗る指揮官もまた心を歪められ、正気を失っている存在だ。
 戦争ばかりの世界において同盟を組む少国家同士が潰し合う結末は避けたい。

 それは小さな一歩かもしれないが、大切な一歩になる。
 争いのない世界へとかわるかも知れない大切な『絆』だ。だからこそ、ナイアルテは頭を深く下げ、猟兵達を送り出すのであった―――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はクロムキャバリアにおける侵略を目論むキャバリアの大部隊を相手取り、オブリビオンマシン化した指揮官のキャバリアを撃破し、少国家同士の同盟崩壊の危機を救うシナリオになっております。

 キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
 ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。

●第一章
 集団戦です。
 首謀者によってオブリビオンマシン化されたキャバリアに乗って押し寄せる『フルーⅦ』の部隊の第一波と戦います。
 マシンだけを倒せばパイロットたちは正気に返ります。彼らは兵士ですので自分の身の安全は守れますが、保護してあげると良いでしょう。
 第二波が来るまでの間匿うなどあるとよいかもしれません。

●第二章
 集団戦です。
 さらに第二波の部隊が到着します。首謀者オブリビオンマシンの目論見によって、本来は同じ部隊の仲間であった者や、恋人、もしくは親子であったり、親しいものであったりする者たちが第一波と第二波の部隊にあえて別れて配置されています。
 彼らは第一波の部隊のキャバリアが撃退されている光景を見て、さらなる狂気に呑まれてしまうでしょう。
 これらを鎮め、マシンのみを撃破しましょう。

●第三章
 ボス戦です。
 首謀者のオブリビオンマシンとの戦いになります。
『キマイラ』と二つ名がつくほどに戦闘と外交手段を織り交ぜた手腕を見せる『アジン少将』の乗機であるオブリビオンマシンが現れます。
 元は上記の通り、立派な人物でしたが、オブリビオンマシンによって正気を失わされ侵略の正当化しながら襲いかかってきます。
 このオブリビオンマシンを打倒し、侵略行為を止めましょう。

 それでは争乱続く世界、クロムキャバリアにおけるオブリビオンマシンの暗躍によって仕組まれた侵略を止め、目論見を阻む物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『オブシディアンMk4』

POW   :    ホークナパーム
【油脂焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【高温の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ピアシングショット
【スコープ照準】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【RSキャバリアライフル】で攻撃する。
WIZ   :    マイクロミサイルポッド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【誘導ミサイル】で包囲攻撃する。

イラスト:逢須 かた丸

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 先日の戦いで『グリプ5』のキャバリア部隊や軍施設は殆どが機能しない状態へと追い込まれていた。

『セラフィム・リッパー暴走事故』。
 それが今まさに少国家『グリプ5』の背に重くのしかかる。本来であれば友好国である『フルーⅦ』。そのキャバリア大部隊がありえぬほどに『暴走事故』から間髪入れずに侵略してくるのだ。

 それらの全てはオブリビオンマシンが裏で糸を引いているに違いなく、さらに『フルーⅦ』のキャバリア部隊は全てがオブリビオンマシン化していた。
「『侵略』……! 俺たちの手で降りかかる火の粉を払わなければ! 『グリプ5』は悪辣な裏切り者……! 俺たちの国の最新型キャバリアのデータを盗用しただけに飽き足らず、きっと俺たちの大切なものたちを傷つける……!」
 彼らパイロットには正気が見受けられない。
 オブリビオンマシンたちによって歪めらた心は、オブリビオンマシンに乗る以上晴れることはないだろう。

 そして、今や『グリプ5』はキャバリアを迎撃に出すことも出来ず、蹂躙されるしかない。
 これが本来の人と人との争いであったのならばそうなっただろう。
 だが、それがオブリビオンマシンの手引に寄るものであるのなら、猟兵達は舞い降りる。
 オブリビオンマシンは過去の化身。
 世界を破壊する者であるのなら、世界を護る選ばれた戦士もまた存在するのだから―――。
フュテュール・ステラセ
・心情
絆や想いを利用する……オブリビオンマシンにも、このような悪辣な手を使う存在が居るのですね
ならばこそ、悲しみの連鎖を広げるようなことはあってはならないでしょう
故に、往きましょうセイヴェリオス
悲しみが広がる前に

・戦闘
光刃乱舞で敵オブリビオンマシンを、操縦席は避けつつも戦闘力は削ぐようにして攻撃します
脱出した操縦者の方々へ敵の攻撃が及ぶようならば、私とセイヴェリオスの力で【オーラ防御】のフィールドを生成し守護しましょう
できれば、安全な場所まで送り届けられるとよいのですが……

・その他
アドリブ等は大歓迎です
セイヴェリオスは意思を持つキャバリアで喋ったりもします



 少国家『グリプ5』に迫る『フルーⅦ』の侵略部隊の第一波が大地を疾走する。
 黒き装甲に包まれた重装甲のキャバリア 『オブシディアンMk4』 はすでにオブリビオンマシン化していた。
 パイロットたちの心は歪められ、自分たちの国を脅かす存在であると認識させられた嘗ての友好国『グリプ5』を攻撃することに何の疑問も持っていなかった。
 ミサイルハッチが展開する。
「―――……裏切りには報いを……! 報いを……!」
 そう、最初に裏切ったのは『グリプ5』の方だ。
 一度裏切ったものは、二度裏切る。それが世の習いであり、真理だ。ならば、二度目の裏切りで誰かが斃れてしまうかも知れない。
 自分の親しいものかもしれない。恋する者かもしれない。家族かも知れない。
「奪わせてなるものか!」
 ミサイルが発射され、『グリプ5』の市街地を燃やし尽くさんと飛来し―――。

「術式展開……お願い、セイヴェリオス!」
 ミサイルの雨が降り注ぐ『グリプ5』に白い騎士が舞い降りる。
 振るった魔法剣が幾何学模様を描き、次々と召喚される魔法剣が雨のように降り注ぐミサイルを全て撃ち落とす。
 青空の元に爆炎の火球が咲き誇り、その全てが撃ち落とされて『グリプ5』の市街地を燃やすこと無く霧散した。
「ミサイルの反応が消失!? なんだ、何が起こった!」
『オブシディアンMk4』 のパイロットたちがどよめく。
 確かにミサイルは放たれたというのにモニターに計測される数値は、全てがロストしたという表示のみ。
 それも一瞬で、だ。

 彼らの視線の先にあるのは、一機のキャバリア―――フュテュール・ステラセ(魔導機神セイヴェリオス・f29913)の駆る魔導機神セイヴェリオスの真白き姿であった。
「絆や想いを利用する……オブリビオンマシンにも、このような悪辣な手を使う存在が居るのですね」
 フュテュールはセイヴェリオスの中で瞳を伏せた。
 その青い瞳は憂いを帯びていたが、戦う意志を失ったわけではない。舞い降りる魔導機神が剣を向ける。
 目の前にはキャバリアの大部隊。
 多勢に無勢である。
「ならばこそ、哀しみの連鎖を広げるようなことはあってはならないでしょう。故に、往きましょうセイヴェリオス―――」

 その憂いを秘めた瞳が輝く。
 それはユーベルコードの輝きであり、魔導機神セイヴェリオスの力の発現でもあった。
 術式が周囲に展開され、魔法剣が一斉に並び立つ。
 まさに光刃乱舞(マスカレイド・レイスパーダ)と呼ぶべき凄まじき速度と、踊るようにして振るわれる剣がオブリビオンマシンと化した『オブシディアンMk4』を打倒していく。
「な、なんだ……! あの動き! 人間業じゃ―――があっ!?」
 眼前に迫る魔導機神セイヴェリオス。
 振るった剣がキャバリアの片腕を斬り飛ばす。コクピットの中にアラートが鳴り響き、自身の搭乗したキャバリアが追い詰められていることを知る。

 圧倒的なスピード。鋭い斬撃。そのどれをとっても、目の前のキャバリアは―――。
「こ、こいつ、エースか!」
 だが、その言葉が途切れる。
 次の瞬間魔法剣が飛来し、次々とキャバリアの武装、そして頭部、アンダーフレームを切り裂いていく。
 コクピットハッチが切り裂かれ、そこに悠然と立つ魔導機神の姿を見たパイロットは圧倒的技量さにおののきつつも、かの魔導機神が己にトドメを刺すつもりがないことを知る。

「パイロットの方、動けるのであれば脱出を。あなた方の生命は保証いたします」
 フュテュールの声が響く。
 それは不殺を為し得る技量を持った彼女だからこそ言える言葉であり、その実力はすでに見せつけられている。
 よろよろとコクピットからパイロットが這い出ると、周囲には似たようなキャバリアが散在していた。
 魔導機神から張り巡らされるオーラフィールドが降り注ぐミサイルの雨から、自分たちを守ってくれているのだと、正気に戻った彼らは理解した。

「安全な場所まで送り届けることができればよいのですが……ええ、セイヴェリオス。今は!」
 彼らの兵士としての生存力を頼るほか無い。彼らもまた訓練された兵士だ。自分たちの身を護ることはできるだろう。
 それよりも自身が此処にとどまり、ミサイルの爆風に彼らが晒されることのほうが危険である。
 ならば、と魔導機神セイヴェリオスが戦場を駆け抜ける。
 飛翔する魔法剣と共に圧倒的な力を見せつけ、戦場を踊るように横断した後にはキャバリアの残骸しか残っていない。
 だというのにパイロットの一人として死亡することはなかった。

 後に戦場の戦姫として語り継がれることになるであろう魔導機神セイヴェリオスの姿は戦場に花を咲かせるように乱舞するのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリッセ・トードゥ
整備で足止めされてたのが不幸中の幸いだったな。
この状況で整備を手伝ってくれたこの国の整備員達に礼を述べて緊急出撃。
スラスターでの【推力移動】で戦場へ向かう。…よし、安定してる。良い腕をしてるじゃないか。これならいける!
【加速機能】を発動し高速化。更に、技術提供して貰った新機能の一つ、アクティブジャマーを起動し【ジャミング】。
質量を持った無数の分身が、敵のあらゆるセンサーを誤認させる。混乱させて懐に飛び込む。
高速演算で攻撃を回避しつつ、加速した【早業】の【2回攻撃】。フォースチェーンで【捕縛】し動きを止めた所へ、パイロットに被害を出さずに機能停止出来る箇所をフォースセイバーで【切断】して回る。



 先日起こった最新鋭キャバリア暴走事件である『セラフィム・リッパー事件』において『グリプ5』で戦った猟兵の中には、己のキャバリアの機体に想像以上の負荷がかかったことによって未だ留まっている者たちもいた。
「整備で足止めされてたのが不幸中の幸いだったな」
 アリッセ・トードゥ(BE-MADER・f30023)はこの国の人間ではない。
 けれど、要請を受けて暴走を起こした最新鋭キャバリアを止めた猟兵の一人であり、キャバリア乗りである。

「頼む。こんな言い方しかできないが、アンタ達しか頼れないんだ!」
 自身のキャバリアを整備してくれていた『グリプ5』の整備員たちが出撃するアリッセの騎乗するキャバリアに向かって敬礼する。
 それに応えるようにしてアリッセはキャバリアのマニュピレーターで敬礼を贈る。こちらこそだ、と思ったのだ。
 こんな状況でも他国のキャバリアを整備してくれた彼らには感謝こそすれ、彼らの頼みを無下にすることなど彼女には考えられなかった。
「任された。緊急出撃―――ハッチをあけてくれ」
 開かれたハッチからアリッセのキャバリア、CZ-1=カスタムがスラスターを吹かせながら勢いよく飛び出す。

「……よし、安定してる。良い腕をしてるじゃないか」
 先日の戦いで相当な負荷がかかっていたようであったが、それでも見事な整備のおかげで復調している。
 スラスターを噴かせる感触も元通りであるし、何より技術提供された新たな機能が役に立つことが理解できた。
 すでに戦端は開かれている。
『フルーⅦ』。それはアリッセも知る通り、『グリプ5』の友好国であり同盟を組んでいる国の一つだ。
 先日倒したオブリビオンマシン化したキャバリア『ブレイジング・バジリスク』を最新型キャバリアとする国であり、そのデータの盗用の問題が起こっていることは認識していた。

「『オブシディアンMk4』……これが第一波だというのなら、やりすぎではないのか?」
 これでは『侵略』と同じだ。
 モニターの中でロックオンアラートが鳴り響く。『オブシディアンMk4』の持つキャバリアライフルのスコープに捉えられたのだ。
 弾丸が放たれ、アリッセのキャバリアへと命中する。

 だが、それは手応えのないものであった。
 そう、彼女のキャバリアに新たに設置されたフィジカルジャマーはサイキックエナジーにより擬似質量を持った幻影を投射する撹乱システムである。
 キャバリアライフルの弾丸が捉えたのは、擬似質量を持った彼女のキャバリアの幻影であったのだ。
「これなら……行ける! 加速!」
 スラスターを踏み込み、加速機能(アクセラレータ)を全開にする。次の瞬間戦場に現れるのはアリッセのキャバリアの幻影たちであった。
 それは彼女のキャバリアが動けば動くほどに数を増やし、『オブシディアンMk4』たちの狙いをつけさせることをさせない。

「―――まずは、一つ!」
 懐に飛び込んだアリッセのキャバリアが放つフォースチェーンが機体を拘束し、次の瞬間にはフォースセイバーがオーバーフレームを切り裂き、コクピットを露出させる。
 地響きを立てて一機の『オブシディアンMk4』が地面に倒れ込む。
 だが、それも一瞬であった。
 次の瞬間、まるで瞬間移動したのかと見紛うほどの速度で持って『オブシディアンMk4』の一機が同じ様に地面に倒れ伏すのだ。

「こいつ……! なんだ、データにあるキャバリアの機体とまったく違っ!?」
『オブシディアンMk4』のパイロットは見ただろう。
 目の求まらぬ速度でもって放たれるフォースチェーンとフォースセイバーの二連撃によって次々と自軍のキャバリアたちが解体されていくのを。
 そして、その全てがコクピットを外し、戦闘力のあるオーバーフレームだけを的確に切り裂いている姿を見た。
 圧倒的技量。
 それはまさに超常の領域と言っても差し支えのないほどの凄まじさであった。

 幻影が舞い、その姿を追うことは敵わない。
「7つ! パイロット、聞こているか。生命までは取らない。機体を降りろ。武装の全ては私が破壊している。もう一度いう。生命までは取らない。機体を降りろ」
 外部スピーカーから響くのはアリッセの年若い声。
 それはまさに年若き才能というに相応しきものであり、オブリビオンマシン化したキャバリアを破壊されたパイロットたちは正気を取り戻し、コクピットから這い出していく。

「兵士ならできるだろう。自分たちが何を為すべきか、正しいことがなんであるか。判断しろ。そして―――」
 生き延びろ、とアリッセは告げ、次なるオブリビオンマシンへと駆け抜けていくのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

獅子戸・玲桜奈
オブリビオンマシンってのは厄介だな。あっちでもこっちでも闘争の火種を撒きやがる。
なら俺たちで全部叩き壊すしかねえな!行くぜフレイムウィング!

遠距離戦も悪かねえが俺は殴り合いの方が得意でね。ガード固めながらダッシュで突っ込むぜ!
ナパーム撃たれたって関係ねえ!こっちには火炎耐性があるんだ。並大抵のもんじゃあビクともしないぜ!

体が温まるイイ熱さだ。こっちも熱い拳で返してやらねえとな!
必殺のフレイムナックルだ!……相手のパイロットの事もあるから全力は出せねえかもしれねえがな。
もし自力で逃げらんねえなら拾って戦線離脱してもいい。誰も殺す気はねえし、死なせねえよ。



 多数のキャバリア、黒き装甲に身を包んだ『オブシディアンMk4』が大地を疾駆する。
 彼らの目的は『侵略』である。
 己たちの大切な者たちを護るため、脅かされぬために隣国の誰かを傷つける。それはある意味で正しい願いであったけれど、誰かの願いが誰かを傷つけるというのであれば、それは人の業であったことだろう。
「裏切りには報いを……! 俺たちは護るんだ。親を、兄弟を、子を、国を……!」
 その人の業がいつだって人を狂わせる。
 オブリビオンマシン化した『オブシディアンMk4』の部隊はまるで獣の群れのように友好国であった『グリプ5』に攻め入らんとする。
 すでに『グリプ5』は先日の最新鋭キャバリア暴走事件によって、キャバリア部隊や軍施設が容易には出撃できぬようになっていることを彼らは知っていた。
 彼らの国『フルーⅦ』の最新型キャバリア『ブレイジング・バジリスク』のデータ盗用を端に発した侵略行為は、彼らの願いとオブリビオンマシンによって歪められ正当化せれる。

「ホークナパームセット……」
『オブシディアンMk4』の機体に装備された油脂焼夷弾が『グリプ5』の市街地へと打ち込まれようと放たれる。
 次の瞬間、飛来した一機のキャバリアぶつかり、爆炎が巻き起こる。あの焼夷弾の一撃を受ければキャバリアと言えど誘爆は免れない。
 それほどの威力を持った一撃なのだ。

 だが、爆炎の中に立つキャバリアは傷一つなく、大地に立っていた。
「オブリビオンマシンってのは厄介だな。あっちでもこっちでも闘争の火種を撒きやがる」
 その声は目の前の爆炎に包まれたキャバリアから響いた。
 コクピットの中は燃え盛る焼夷弾によって尋常ならざる温度に達している。人がそこで生存することは出来ず、例え機体が無事であったとしても、パイロットが耐えられない。
 だが、その声は苦しむでもなく涼し気な声を響かせた。

「女の声……!? 馬鹿な、ホークナパームの炎の中だぞ!?」
 驚愕に見開かれる『オブシディアンMk4』のパイロットの瞳に映るのは、『紅蓮神機フレイムウィング』の勇ましき姿であった。
 炎の中より現れたキャバリアの姿は、あまりにも神々しかった。
 どれだけの炎熱が、その機体を襲おうとも意味はない。なぜなら長き闘争を集結させるために開発された赤きキャバリアにとって炎とは、そのパイロットである獅子戸・玲桜奈(炎の翼・f30087)の宿した熱き魂の熱よりも熱いものではなかったからだ。

「オブリビオンマシン……お前らが戦いを終わらせないっていうのなら―――俺たちで全部叩き壊すしかねえな! 行くぜフレイムウィング!」
 『紅蓮神機フレイムウィング』が進む。
 それは遠距離戦を仕掛ける動きではなく、一気に間合いを詰める近距離戦へと移行する動きであった。
 両腕でガードを固めるように突進する姿は、まるでボクシングの試合でも見るかのようであったが、その鋼鉄の巨人が大地をヒビ割らせながら進む姿は、あまりにも圧倒的であった。
「敵は一機だぞ! 撃て、撃て! ありったけぶちこめば、あの機体だって―――!」
 ホークナパームが次々と飛来する。
 炎が撒き起こり、周囲は異常な温度の高まりを見せ、まるで地獄絵図のようであった。
 だが、それでも『紅蓮神機フレイムウィング』の突進は止まらない。

「身体が温まるイイ熱さだ。こっちも熱い拳で返してやらねえとな!」
 ガードが解かれる。
 放たれる拳の一撃は大振りであったが、接近を許したオブリビオンマシンには関係なかった。
 たじろぐように後退しようとした『オブシディアンMk4』の機体がよろめく。
「受けろ!一撃必殺!フレイムゥ……ナッコォ!破ぁぁッ!」

 フレイムウィングの拳の一撃が、『オブシディアンMk4』のオーバーフレームを融解させるが如く一撃の下に破壊する。
「―――ヘッ! 相手のパイロットのこともあるから全力じゃねえが!」
 それでも十分すぎるほどの拳の一撃。
 これこそが、『紅蓮神機フレイムウィング』の力!

 その拳の一撃の元に次々とオブリビオンマシンは打ち倒されていく。
 オーバーフレームを破壊し、戦闘能力を失ったオブリビオンマシンのコクピットからパイロットたちが這い出してくるのを待って玲桜奈は外部スピーカーで呼びかける。
「自力で逃げらんねえなら拾ってやる。だから、ちっとばかし、そこでおとなしくしてな。後はこの『紅蓮神機フレイムウィング』に任せとけ―――!」
 雄々しく吼えるようにフレイムウィングの機体が、彼女の熱き魂を象徴するかのごとく赤き炎の翼を背に負う。
 広げた炎は、焼夷弾の炎よりも凄まじく。けれど、どこか優しいものであったかもしれない。

 正気に戻った『フルーⅦ』のパイロットたちは呆然と見上げる。
 何故自分たちが侵略行為に踏み切ったのか。それすらわからずに、けれど、戦いを終わらせるために作られたというキャバリア『紅蓮神機』の広げた翼の元に集うのだった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

蛇塚・レモン
あたいは生身で頑張るよっ!
ひとまずフルーⅦのみんなは、冷静になって“おはなし”しよっか?

あ、友軍のみんなはこっち来ちゃ駄目だよっ!

身ひとつで敵機と同じ目線まで空中浮遊
即時UC発動させ、半径88m内の敵機や敵武装を神火に変換して攻撃
先制攻撃+咄嗟の一撃+念動力+範囲攻撃+属性攻撃+全力魔法+焼却+神罰+だまし討ち
いくら数多のミサイルを放とうが、あたいのUC射程内なら発射直後に火に変換されて誘爆!
爆圧もオーラ防御でへっちゃら!
更に敵機も炎に変わるので搭乗者も大炎上!

でもご心配なく!
この神火は敵と認識した対象のみ焼く
浄化の炎でみんなを正気に戻すよ

みんな、メンタルの鍛錬不足っ!
早く後方へ避難してっ!



 クロムキャバリアは言うまでもなくキャバリアが戦いの主戦力である。
 コクピット、オーバーフレーム、アンダーフレームから成る鋼鉄の騎士は、その汎用性の高さから一気に戦争の主役へと躍り出た。
 故に戦争が起こるとすれば、必ずキャバリア同士の戦闘になる。優れたキャバリアはパイロットたちを護り、彼らの敵を打ち砕く。

 幾千とある小国家や都市のひとつである『グリプ5』に迫るのは嘗ての友好国であった『フルーⅦ』のキャバリア大部隊。 『オブシディアンMk4』の名で呼ばれる量産型キャバリアが侵攻する。
「裏切りには報いを。我らの炎が裏切り者の国を焼き尽くすのだ……!」
 パイロットたちは皆、その瞳に狂気を宿していた。
 そう、彼らの駆るキャバリアは皆オブリビオンマシン化し、彼ら自身の心さえも歪ませてしまう。正気を失った彼らに物事を深く考えることはできない。
 ただ、歪められた心を駆り立てる激情のままに引き金を引くのだ。

『オブシディアンMk4』のパイロットたちの瞳に映るのは『グリプ5』の市街地。
 裏切り者たちの国は今、先日の最新鋭キャバリア暴走事件でこちらへとまともな対応ができない。今ならば容易く破壊と蹂躙ができるのだ。
「破壊する、破壊、破壊……裏切り者にさばきを!」
 マイクロミサイルポッドのハッチが開いた瞬間、その小さな姿がキャバリアのコクピットのモニターに映った。
 それは最初、何かの見間違いかと思ったが、次の瞬間マイクロミサイルポッドが爆炎を上げて弾ける。

「ひとまず『フルーⅦ』のみんなは、冷静になって“おはなし”しよっか?」
 キャバリアと同じ目線に浮かぶのは、蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)であった。
 彼女の姿は生身であり、キャバリアという鋼鉄の巨人が主戦力と成る世界にあって異様なる存在として彼らに認識された。
 憑装・蛇塚ホムラオロチ神楽(ソウルユニゾン・ヘビヅカホムラオロチカグラ)によって彼女は、周囲に在る無機物を裁きの神火に変換することができる。

 指差す先にある無機物。
 キャバリアを構成している無機物を次々と神火へと変換し、燃やしていく。どれだけ巨大であろうとも、彼女の目の前にある以上無機物は裁きの神火に変換されるのだ。
「あ、友軍のみんなはこっち来ちゃ駄目だよっ!」
 すでに迎撃も何もできないほどにオブリビオンマシンとなった最新鋭キャバリアの暴走事故の傷跡残る『グリプ5』は何もできない。
 それこそ、今も周囲で大部隊の第一波を食い止め戦う猟兵たちがいるからこそ、戦線が成り立っているようなものであった。
 キャバリアの機体が燃えていく。
 裁きの神火が燃やすのは、レモンが敵と認識した者のみである。

「ふふん、いくらミサイルが多くっても、あたいのユーベルコードの光が届く範囲なら全部火に変換されて誘爆しちゃうんだから。機体だって、それ!」
 オブリビオンマシンであるキャバリア事態も無機物で構成されているのであれば、彼女のユーベルコードから逃れることはできない。
 オーバーフレームが炎となって武装に誘爆していく。
 コクピットをも飲み込むが、中のパイロットは無事であった。それはあまりにも不可思議な光景だった。
「パイロット諸共大炎上!……なんて。ご心配なく! この神火はあたいが敵と認識したものだけを焼く。浄化の炎でみんな正気に戻すよ!」

 オブリビオンマシン化したキャバリアのオーバーフレームが次々と弾けて燃え盛り、パイロットたちが転げ落ちる。
 如何に正気を失ったパイロットたちと言えども、オブリビオンマシンから離れれば彼らの正気は元に戻る。
「みんな、メンタルの鍛錬不足っ! 早く後方へ避難してっ!」
 空を舞い飛び、キャバリアを神火へと変え討ち果たしていくレモンの姿は、まさに超常の人であった。

 鋼鉄の巨人たるキャバリアが何かをする前に倒されていく非現実的な光景を、『フルーⅦ』のパイロットたちは、正気に戻っても尚夢でも見ているかのように呆然とレモンの活躍と倒されていくキャバリアを見上げるほかなったのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブ・共闘歓迎

先の戦いに参加していた身としては看過できない状態だ
藍の災いは圧壊、コックピット以外を潰す
驚かせてすまない、君達の命までは取るつもりはない
安全な場所まで護衛する

キャバリアで出陣
【索敵】で敵を感知し【早業】【戦闘知識】【操縦】で攻撃を回避
それから【スナイパー】【クイックドロウ】で【全力魔法】【属性攻撃】【重量攻撃】の藍の災いをUCで敵に打ち込む。
【戦闘知識】【世界知識】でコックピット部分の場所を判断、そこを避けて機体の手足を圧壊させる
後は【落ち着いて】対応
【救助活動】をしてパイロットを助けて安全な所まで誘導しながら他の機体が来ないように【威嚇射撃】



 迫るキャバリアの大群。
 それら全てがオブリビオンマシン化したものであり、『フルーⅦ』のパイロット達は皆、その心を歪められていた。
「裏切りには報いを! 最初に裏切ったのはあいつらだ! 一度許しても二度裏切る。そういうやつらんだよ!」
 彼らの怒りはまるで別の何者かが乗り移ったかのように瞳に宿っていた。
 引き金を引くことに躊躇はない。
 もしも、ここで自分たちが負けてしまえば第二波の部隊に在る部隊の仲間や親しい者が危険に晒されてしまう。
 それだけなんとしても、と彼らの心は捻じ曲げられても尚純粋であった。けれど、正気を失ったか彼らに今自分たちがしていることを振り返ることはできない。
 これがただの侵略行為であり、自衛すらできな『グリプ5』の市街地へと侵入しようとすることは虐殺以外の何物でもないと理解できないのだ。

「なら―――熱しきった頭に冷や水を浴びせてやろう」
 先の戦いに参加していたルイス・グリッド(生者の盾・f26203)にとって、『グリプ5』と『フルーⅦ』の友好関係にヒビが入ることは看過できないことであった。
 キャバリア『銀の銃兵』を駆り、市街地から『フルーⅦ』のキャバリア部隊である『オブシディアンMk4』の機体を見据える。
 すでにキャバリアライフルのスコープが『銀の銃兵』に狙いをつけている。
 弾丸が飛び交う。

 その戦場の中にあってルイスは冷静であった。
「激情に駆られた攻撃など!」
 機体を翻し、弾丸の雨を躱す。オーバーフレームは攻撃力重視でありながら堅牢なる装甲でコクピットを守っている。
 それが名機と呼ばれる『オブシディアンMk4』の所以であるのだろう。
 こんな世界である。プラントによって物資の生産はある程度はまかなえるが、パイロットという人材はそうはいかない。
 それ故にパイロットを守るための堅牢なるオーバーフレームなのだ。

「銃を使わせて貰うぞ―――銀の銃兵」
 ルイスの義眼でありメガリスである瞳が藍色に輝く。
 災いの如き力は圧壊。その力が属性付与(エンチャント)された弾丸が放たれ、オーバーフレームを根こそぎ押しつぶす。
 まるでそれは空間が歪んだのではないかと思うほどの力であり、如何に堅牢なる装甲であったとしてもひしゃげるようにして潰れはてるのだ。
「コクピットは狙わない……武装が上半身に固まっているのが災いしたな」
 そう、如何に侵略してきた部隊とは言え彼らはオブリビオンマシンによって心を歪められただけのものたちである。

 彼らを殺すということは、ただの憎しみの連鎖を紡ぐ行為にしかならない。
 むしろ、それがオブリビオンマシン側の思惑なのだろう。
 人の絆を決して軽視していない。それが如何なる力を生み出すのか理解した上で、それを利用しようとしているのだ。
「悪辣そのものだな……驚かせてすまない、君達の生命まで取るつもりはない。その機体から降りてくれ……俺の言うことがわかるだろう?」
 ルイスは外部スピーカーで圧壊させたオブリビオンマシンのパイロットに呼びかける。ほどなくしてコクピットからキャバリアのパイロットが手を上げて這い出す。
「安全な場所まで護衛する。こっちに」
 そう言って『銀の銃兵』のマニュピレーターにパイロットを乗せる。
 見やれば、それはまだ少年と言っていいほどの年齢のパイロットであることがわかる。

「争乱続く世界とは言え、これは……」
 遣る瀬無い。
 先日の事件でも少年と言っていい程の年若いパイロットがオブリビオンマシンによって運命を狂わされた。
 此処にもまた一人年若い生命がもてあそばれたのだ。
 それは許しがたいことだ。ルイスはその思いを、激情を秘めて打倒されたキャバリアのパイロットたちを集め、安全な場所まで護衛するのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
機甲式『GPD-331迦利(カーリー)』起動。(二度目以降の呼称は『迦利』で可)
「式神使い」と器物覚醒で、遠隔操縦を行うわ。

式に「オーラ防御」をかけて、レーザー攻撃を「高速詠唱」「全力魔法」光の「属性攻撃」「範囲攻撃」「なぎ払い」で連射しつつ、機体に搭乗者がいないことを活かした、有人機では不可能な動きで敵部隊を翻弄する。

追い込んだ機体から、雷の「属性攻撃」「破魔」の九天応元雷声普化天尊玉秘宝経でシステムを落とす。
『迦利』には精々目立ってもらって、あたしの存在を「目立たない」ようにしてもらいましょ。

あたしは『迦利』にかかりっきりだから、アヤメは周辺の警戒をお願い。
正気に返った搭乗者の保護もね。



 紫と白を基調とした逆三角形型の機体がクロムキャバリアの大地に降り立つ。
 全身にエングレービングのような呪が刻まれた装甲は、見るものにとっては馴染みのないものであったことだろう。
 その名を機甲式『GPD-331迦利(カーリー)』。
「急急如律令! 汝ら、我が下知に応じ、手足の如く動くべし!」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)の声が響く。
 それはユーベルコード、器物覚醒(キブツカクセイ)。
 式神が憑依することに寄って自由に動くことのできる付喪神に変換するユーベルコードである。
 俗にサイキックキャバリアと呼ばれるたぐいのキャバリアであるが、ゆかりが直接乗り込むことはない。

 隣に立つ式神アヤメが物珍しげな目でみているのは無理なからぬことであった。
「似たような術式で動くものなんですね……」
「まあね。キャバリアと言えど無機物。そういう意味じゃ、カラクリは似たようなものでしょう。リモートコントロールできるのは、他のキャバリアでも実証済みだし。あたしは『迦利」にかかりっきりだから、アヤメは周辺の警戒と正気に返った搭乗者の保護もね」
 軽く打ち合わせる二人。
 すでに『グリプ5』の周辺では猟兵達と『フルーⅦ』のキャバリア部隊による戦闘が繰り広げられている。

 オブリビオンマシン化した『フルーⅦ』のキャバリアは、コクピット周りを堅牢なる装甲で覆った攻守ともにバランスの取れた機体が多いようだった。
「まあ、それでもあたしの『迦利』は―――!」
 起動した迦利が宙に浮かぶ。
 急加速、急制動。
 その動きは直線的でありながら、急停止を行い有人機同士の戦いになれたキャバリアパイロットたちにとってはあまりにも奇妙な起動であったことだろう。

 マイクロミサイルポッドから放たれたミサイルが襲う。
 けれど、それは全て誘導式とは言え、有人機の機動を前提としたものだ。無人機ならではのパイロットの都合を考えなくていい機動の前にはミサイル同士がぶつかって暴発していくしかないのだ。
「こんな出鱈目な動きは教本にはないでしょう! 今よ!」
 放たれる雷撃は視界を明滅させる程の一撃。
 如何に堅牢なる装甲に覆われようとも、その電装は雷撃に寄って落ちることだろう。復旧するのだとしても、そのタイムラグを見逃すほどゆかりは甘くはない。
 放たれるレーザーによってオーバーフレームの武装を破壊し、アンダーフレームの脚部を溶断する。

 地響きを立てて崩れ落ちるキャバリアのコクピットから這い出すパイロットたちを式神であるアヤメが抱えて飛び出していく。
 そこにダメ押しの雷撃が放たれ、機体が爆散する。
「サイキックキャバリア……なかなか使えるじゃない。まだまだ敵はいるようだから、試験運転にはもってこいのシチュエーションね」
 凄まじい変速機動で迦利が戦場を駆け抜ける。
 光を放ち、雷撃を放つ姿は戦場にあって、凄まじきキャバリアの性能の高さを物語るには十分であった。
 オブリビオンマシン化したキャバリアが破壊されていく中、それでも尚数減らぬ大部隊。

 これら全てがオブリビオンマシン化しているというのであれば、以下にしてオブリビオンマシンはキャバリアと成り代わるのだろうか。
 それらの疑問は解けず、けれどこれがまだ第一波であり、第二波がそこまで迫っていることをゆかりは念頭に入れつつ迦利を操作し続けるのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
借りた量産型キャバリアで出撃だぜ。
かーっ、ロボットで戦うのはロマンだなッ!
「・・・遊びじゃないんだよ?」
でも相棒も好きだろこういうの?
んじゃ、はりきって行きますかッ!

どわああああ、もう大破寸前だぜッ!?
「やっぱり乗り方覚えたばっかで出撃は無理があるよ。」
みたいだなッ!
仕方ねぇ、乗り捨てるぞッ!

だが、俺達は生身で戦う方が強いぜ?
「・・・転身ッ!」
雷神霊装で駆け抜けるッ!

敵の攻撃を見切りつつ高速移動しながら雷撃を纏った妖刀の斬撃の放射で敵キャバリアの足をなぎ払っていくぜ。
動けなけりゃ戦えまい。

後は脱出したパイロットに結界霊符を貼って保護しておくか。


【技能・見切り、なぎ払い、結界術】
【アドリブ歓迎】



『かーっ、ロボットで戦うのはロマンだなッ!』
 神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)のはしゃいだような声が鬼面から借り受けた量産型キャバリアのコクピットの中にこだまする。
 新たな世界として知ることになったクロムキャバリア。この世界での戦いの主戦力はキャバリアと呼ばれる鋼鉄の巨人である。
 鬼面である凶津であっても、それはテンションのあがるものであったのだろう。
「……遊びじゃないんだよ?」
 彼の依代にして相棒である神代・桜が呆れたような物言いをするが、凶津は分かっていた。
『でも相棒も好きだろこういうの?』
 その言葉に押し黙るしか無いのが答えになっていた。
 嫌いではない。
 巨大なロボットという響きだけで心ときめくものがあるのは、異世界を渡る猟兵でなければ味わうことの出来ない感覚であったことだろう。
 それも実際に乗り込むことができるのならば、その高揚は隠しきれるものではなかったのかもしれない。
『んじゃ、はりきって行きますかッ!』

 小国家『グリプ5』は先日の最新鋭キャバリア暴走事故によってキャバリア部隊や軍施設に致命的なダメージを負わされている。
 本来であれば敵国からの侵攻に合わせ、友好国である『フルーⅦ』に救援を求めるのだが、事もあろうに侵略してくる部隊が『フルーⅦ』であったのだ。
 その理由は明快である。
 キャバリア暴走事故のおり、すり替わっていたキャバリアは『フルーⅦ』の最新型キャバリア『ブレイジング・バジリスク』であったのだ。
 それを同盟に対する裏切りとして、『フルーⅦ』は『グリプ5』に攻め込んできているのだ。
 そんな説明をグリモア猟兵から受けていたのが先刻のことである。

『どわああああ、もう大破寸前だぜッ!?』
 凶津の焦った声がキャバリアのコクピット内部に響き渡る。
 それはオブリビオンマシン化した『オブシディアンMk4』 のキャバリアライフルによる猛攻の前に量産型キャバリアが次々と致命的なダメージを負わされているからだ。
「やっぱり乗り方覚えたばっかで出撃は無理があるよ」
 桜が頭を抱えるのも無理なからぬことであった。
 この手の兵器が乗り方を覚えたから即座に対応できるものばかりではないのだ。ぼろぼろになった機体状況を知らせるアラートが鳴り響くコクピットで凶津と桜は互いに同じ結論に至ったことを確信する。

『みたいだなッ! 仕方ねぇ、乗り捨てるぞッ!』
 コクピットから飛び出す。
 この騒乱続くクロムキャバリアにおいてキャバリアの力は絶対である。生身の人間がキャバリアに勝てる道理はなく、コクピットから外に出るということは即ち死を意味していた。
 キャバリアライフルの銃口が二人を狙い付ける。

『だが、俺達は生身で戦う方が強いぜ?』
「……転身ッ!」
 凶津と桜の力が一つに合わさり顕現する霊装―――雷神霊装(スパークフォーム)を身にまとった姿がコクピットを蹴って飛び出す。
 その動きはまるで弾丸のようであり、ともすれば稲妻の如き軌道を描いて宙を舞う。
 例え相手が5mを超える鋼鉄の巨人であったとしても、彼らの戦い方が変わることはない。
 オブリビオンマシン化したキャバリアからすれば凶津たちは豆粒のようであり、狙いを付けることは困難きわまりことであったことだろう。
 ライフルから放たれる弾丸が大地を抉り、土埃を立てる。だが、次の瞬間キャバリアのパイロットは驚愕する。

 モニターに映るダメージ状況。
 そのアラートが鳴り響き、アンダーフレームの脚部が損壊したことを告げているのだ。ぐらりと揺れる機体。立て直そうとしても踏ん張りが効かないのは―――。
「な、なんだ……!? まさか本当に生身で―――!?」
 そう、雷撃纏った妖刀の斬撃がキャバリアの脚部を寸断したのだ。
 まさに雷神一閃である。
 その一撃は鋼鉄であろうとも容易く切り裂き、キャバリアの巨体を大地に鎮めさせる。
『動けなけりゃ戦えまい』
 凶津の言葉が響く。コクピットから這い出したパイロットに結界霊符を投げつけ、桜が保護する。

「パイロットは殺さない。キャバリアだけを無力化する……言うは易し、だけど」
『ああ、相棒。俺達には関係ないなッ! さあ、次に行こうぜッ!』
 二人の力が合わさった今、雷神の如き武勇を止められるキャバリアなど存在しない。戦場を雷鳴のごとく勢いで駆け抜け、次々とキャバリアを無力化していく姿は、まさに超常なる人そのものであった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジーノ・エヴァーソン
※アドリブ歓迎

部隊迎撃。パイロットを残して機体だけ破壊。…うし、りょーかい。
…未来が見えるなんて、これ以上安心できるブリーフィングも無いな。
さっ、仕事だ仕事。

UC始動、メビウスの高機動で敵陣低空から地上へ向け突入。
敵の攻撃は【フラッシュブースト】よるダッシュで回避。掴めねえよ、量産には…

ミサイルを撹乱として使い、両手のライフルを本命として足・ブースタ等戦闘不能にできる部位へ〈スナイプ〉。これで敵複数を落とす。

傭兵の俺に説教できる立場も気概も無いが…機体にノせられるなんてパイロットとして一番情けねーぞ。挽回の為にとっとと逃げな。
あんたらの命は保障する。そういうオーダーだ。



 グリモア猟兵に寄る事件の予知。
 それは猟兵達が戦いに赴く際に必ず耳に入る情報である。その情報の正確さは言うまでもない。
 そして戦いとは常に情報を制するものが戦いを制するものである。
 不確定な情報は、それだけ洗浄におけるドクトリンやメソッドに揺らぎを生じさせるものだ。だからこそ、確実な勝利は何処にもない。
「部隊迎撃。パイロットを残して機体だけ破壊」
 言葉にして繰り返す。
 目的は単純明快だ。先日の事件に寄って戦いの準備すら出来ぬ小国家『グリプ5』に変わって侵略してくる嘗ての友好国『フルーⅦ』のキャバリア部隊を人的被害なしに押さえればいい。

 言葉にすれば簡単なことでも、実行に移す側からすれば困難極まりない戦いだ。
 あちらはこちらを殺す気でかかってくるが、此方は不殺を貫かねばならない。まともな戦術指揮官であれば匙を投げるだろう。
「……うし、りょーかい」
 だが、ジーノ・エヴァーソン(Code:Zeno・f30003)は違う。
 うなずき、己の乗機である白きキャバリアを疾駆させる。コクピットの中は済んだ空のような透明感のあるミュージックが大音量で流れている。
 彼にとって、これは譲れぬこだわりであり、欠けてはならぬ戦いのファクターなのだ。
「……未来が見えるなんて、これ以上安心できるブリーフィングも無いな。さっ、仕事だ仕事。行くぜ、メビウス!」

 キャバリア『メビウス』がオーバーブースト・マキシマイザーによるユーベルコードの輝きに包まれる。
 圧倒的な加速。
 空に浮かぶ暴走衛星に感知されぬ低空飛行ながら、その速度は圧倒的である。
 低い角度から敵キャバリア部隊に突っ込んだメビウスの機体は彼らにとってまさに砲撃の砲弾のように映ったことだろう。
「なんだ、この加速はっ!」
 敵キャバリアのパイロットがうろたえる声が聞こえる。
 うろたえた方が負けだよ、戦場では。そう呟いたジーノのキャバリアが変幻自在なる機動でもってキャバリアライフルの弾丸を躱す。
 まるで地を這う蛇のように弾丸の雨を躱す姿は、まさに異様であった。

 放たれる連想型多弾頭ミサイルポッドがばらまかれ、敵機をバラけさせる。
「撹乱―――か! だが!」
 対峙する一機のキャバリア。だが、ジーノにとって、一対一の状況を生み出すことこそが、彼らを分断させた目的であった。
「連携ができていない……普段の編成部隊じゃない弊害が出てるな」
 ジーノは冷静に判断し両手に装備したライフルのトリガーを引く。
 狙いはアンダーフレームの脚部やブースターだ。敵機を無力化できればいいのだから、足元を狙うのは当然だろう。
 追いすがろうとする敵を躱し、次々とジーノはライフルの弾丸を放ち続ける。

「掴めねえよ、量産には……ましてや、普段の僚機がいないんであればな」
 もしも、普段の部隊編成で彼らが立ちふさがっていたのなら、ジーノの戦い方もまた変わっていたことだろう。
 だが、それも今やオブリビオンマシンの策略に寄って実力を最大に発揮できていないのだ。そんな彼らにジーノが捉えられるはずもない。

「傭兵の俺に説教できる立場も気概もないが……機体にノせられるなんてパイロットとして一番情けねーぞ」
 オーバーフレームの武装を破壊し、倒れ込んだキャバリアのパイロットへと告げる。
 それは勝利宣言であり、彼なりの葉っぱの掛け方であったのかもしれない。パイロットとしての技量は悪いものではないのだ。

「挽回のためにとっとと逃げな」
 そう言ってジーノはキャバリアに背を向ける。
 それは彼らにとって不可解な行動であった。敵は撃つものだ。どれだけ武装が無力化されたのだとしても、敵を生かせていれば必ず友軍に仇なすからだ。
 けれど、ジーノはまるで独り言のように透明感ある曲が流れるコクピットの中で嘯く。

「あんたらの生命は保証する。そういうオーダーだ」
 それが猟兵らしい答えであろうと、ジーノは終わらぬ戦いの渦中に飛び込んでいくのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
忙しい世界ね
でもまぁ商売繁盛で大変に結構
軽口は叩くが、好かないやり口だ。実益もかねて制圧させてもらおう

「お出でなさい、迦楼羅王」
リボンを解き愛機を喚ぶ

・方針
光学【迷彩】の【メカニック】と【忍び足】の併用でスコープをやり過ごし、戦場と言う【地形を利用】して接近
射程に収めれば、【早業】の六連射で複数纏めての【暗殺】をはかろう。【戦闘知識】で構造を【見切り】、敵機の出力系を狙って【部位破壊】する徹甲【属性攻撃】の銃弾を叩き込みたい

「さぁて、掛かってきなさい。私は素手でも結構強いわよ?」

討ちもらした敵は、軽量級の機体の重心を制御し、【衝撃波】を徹す柔術の打撃技法でだまらせたい【グラップル、重量攻撃】



 クロムキャバリアは争乱に塗れた世界である。
 生産施設であるプラントを巡る戦いは資源をめぐる戦いであり、人は他人よりも優れたものを追い求める生き物である以上、限られたものを奪い合うことをやめられない生き物出るのかも知れなかった。
 だからこそ、こんな世界において友好国が存在することは互いの利害が一致しているだけかもしれないが、それでも貴重なものであったことだろう。
 小国家『グリプ5』と『フルーⅦ』は、そんな関係が続いていた。

 だが、それも先日起こった最新鋭キャバリア暴走事故を端に発する禍根は、オブリビオンマシン化した大部隊の侵略という最悪の形で起こってしまった。
「忙しい世界ね。でもまぁ商売繁盛で大変に結構」
 そんな軽口を叩く才堂・紅葉(お嬢・f08859)であったが、内心は違うものであった。
 好かないやり口だ。
 それが彼女の本音であった。彼女もまた『グリプ5』の先日の事件に関わった猟兵である。
 もしも、あの事件すらもオブリビオンマシンの周到なる計画の一つであったのだとすれば、それはあまりにも戦乱を拡大させ、徒に戦火を広げるだけのものであった。
 それは許してはおけぬことだ。
「実益も兼ねて制圧させてもらおうかしら―――お出でなさい、迦楼羅王」

 紅葉のリボンがほどかれ、あr割れるはキャバリア『迦楼羅王』。
 黒を貴重とした高機動型キャバリアの姿が悠然と紅葉の背後に顕現し、開かれたコクピットの中に彼女の身体が収まる。
 ハイペリアの紋章が輝き、ジェネレーターが起動する音すらも静かに消えていく。それこそが『迦楼羅王』の本領であった。
 光学迷彩が作動し、大地を疾駆する。
「ったく……こんな古臭い武器は好みじゃないんだけどね」
 手にするは古びたリボルバー銃。
 敵機の数は6つ。ちょういい。こちらの光学迷彩を敵キャバリアは捕らえることはできていない。

 ならば、即効で無力化し、キャバリアのパイロットたちを正気に戻す。
 出力系を狙えば、動くことも敵わないだろう。
 トリガーを引く。銃声はただ一つ(ジュウセイハタダヒトツ)だけだった。目にも留まらぬ6連射。
 あまりにも早すぎる連射性能に寄って銃声が一つにしか聞こえないほどであった。

 込められた詠唱は『徹甲』。
 オーバーフレームに内蔵されていたエネルギーインゴットを格納するユニットが破壊され、一度に6機のキャバリアが行動不能状態に陥らされる。
「さぁて、かかってきなさい―――」
 狼煙を上げたつもりだ。
 ここに敵がいるぞ、と。いまの6機は撒き餌のようなものだ。続々と終結してくる敵キャバリアの部隊。
 これだけいれば商売繁盛というどころではないのだが、それでも紅葉は不敵に笑っていた。

「私は素手でも結構強いわよ?」
 そこからは後にキャバリアのパイロットたちが語ることであった。
 徒手空拳のキャバリアによって、まるで手品か何かを見ているようであったと。鋼鉄の巨人の重たい機体が宙に翻り、大地に叩き伏せられる。
 どんな不意打ちを撃ったとしても、背後に目が付いているのではないかと疑うほどに此方の銃撃が当たらない。

 だというのに、あちらの接近には一切抵抗ができず、気がつけばキャバリアごと大地に投げつけられているのだ。
『―――悪い夢を見ているようだった。けれど、目が覚めたのもまた事実だ』
 かの『迦楼羅王』に対峙したキャバリア乗りたちは、皆五体満足であった。
 誰一人として生命を落とすものはいなかった。
『あのパイロットは私達を相手に手加減をしていたんだ。まったく……底が知れないよ』
 後にそう語られる活躍は、今紅葉が知る由もない。
 けれど確実にオブリビオンマシンの企みを挫きはじめていたのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!(お約束

こほん
自己紹介は置いといて
アレ壊してくればいいんですね?
では、いきますっ!
かもんっ!『ファントムシリカ』!

シリカに乗って敵オブリビオンマシンと会敵した
先制攻撃でフローライトダガーを投げつけ!

敵の武器は…焼夷弾!
なら『ルベライトビット』で撃ち落としますっ!
爆風と炎の中をシリカの機動力を頼りに接近
刺さっているダガーを引き抜きつつ
【疾風怒濤】で一気に行きますっ!
「手数こそ正義!参ります!」
ダガーを両手に腕を広げて竜巻回転
その場にいる敵を一斉にざっくりばっさりですっ!

※アドリブ連携OK



 小国家『グリプ5』に迫る嘗ての友好国『フルーⅦ』のキャバリア大部隊。
 それはある最新鋭キャバリア暴走事故を端に発することであったが、『グリプ5』に住まう人々にとって、それは寝耳に水であり、知らぬ者が大半であった。
 だからこそ、彼らは市街地を逃げ惑う。
 突然始まった戦争。
 いや、戦争と呼ぶこともできない。ただの侵略だ。つかの間の平穏すら許されない。
「どうしてこんなことに……」
 助けを求める術も知らず、けれど目の前に迫った理不尽のような戦いの気配に心が叫ぶのだ。他の誰でもない。世界に助けを求める声があるのならば。

「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!」
 それはお約束なやり取りであった。サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は『グリプ5』の巨塔の如きビル群の頂点に立っていた。
 どこかお約束な名乗りであったが、それは彼女がバーチャルキャラクターであり、電子の海を漂う『忍者』という概念の集合であるが故だ。
 露出度の高い軽装、幼い顔立ちなのに胸が大きいコケティッシュな風貌。それらが相まって彼女はそういう名乗りをしてしまうのだが、こほんと空咳を打って誤魔化すようにサージェは頷く。
「自己紹介は置いといて。アレを壊してくればいんですね?」
 彼女の瞳に映るのは市街地の外、外壁の向こう側の荒野に迫りくる『フルーⅦ』のキャバリア部隊であった。

 言うに及ばず大群である。
 だが、サージェに恐る理由などなかった。
「では、いきますっ! かもんっ!『ファントムシリカ』!」
 ビルの屋上から飛び降りるサージェを包み込む様にして出現した淡い紫と白を貴重としたサイキックキャバリアが荒野へと降り立つ。
 その姿は通常のキャバリアよりも一回り小さな機体であった。
「キャバリア……!? どこから―――!」
『オブシディアンMk4』と快適したサージェに向けて放たれるホークナパーム。油脂焼夷弾が着弾する直前、目にも留まらぬ速度で放たれた淡い緑色のひかりを放つビームダガーが投擲されるのと同時にファントムシリカの左肩から真紅のスフィア型ビットが射出され、ホークナパームの弾頭を焼き切る。

 爆風が吹き荒れ、ビームダガーに投擲に寄ってメインカメラを破壊されたキャバリアが大地に倒れ伏すのはほぼ同時であった。
「て、敵襲―――!」
 だが、そんなキャバリアパイロットたちの声もすぐさまかき消される。
「そにっくぶろー!!」
 凄まじき踏み込みで、投げはなったビームダガーを引き抜きつつ、空中に舞う『ファントムシリカ』の機体。
 翻る女性らしいフォルムから放たれる疾風怒濤(クリティカルアサシン)の如き超連続攻撃。
 二本のビームダガーが新たに二機のキャバリアの頭部を穿ち、ワイヤーでつながったダガーが再び『ファントムシリカ』の手元に戻ってくる。

「手数こそ正義! 参ります!」
 ビームダガーを両手に広げ、回転し竜巻のように周囲に散在していたキャバリアたちを切り刻む。
 それは一瞬の出来事であり、その場に存在していたキャバリア部隊の全てが斬撃の嵐の前にオーバーフレームを斬り捨てられていた。
 コクピットを絶妙に外した斬撃は、その尽くをもって彼らの機体を戦闘不能へと陥らせる。
「さあ、クノイチらしく……え、逆に目立っている……? だ、だいじょうぶだもん! ちゃんとお仕事できてるもん!」
 サイキックキャバリアの『ファントムシリカ』もまた同様であったのだろう。
 目立たぬようにと隠密での行動であるはずなのに、彼女の活躍は逆に敵機を引きつけるものとなっていた。

 だが、それも僥倖である。
 どれだけの数が押し寄せようとも、サージェと『ファントムシリカ』の前には数で圧するは無意味。
 ユーベルコードが再び輝き、その凄まじき乱舞は彼女たちの本来のクノイチとしての概念とは裏腹に人々の目に刻まれ続けたのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
はあ。まあ戦争や国家って所詮こんなものよね。

キャバリアのみの破壊…面倒だけどやるしかないのよね。

学習型AI【ARICA】を搭載した量産型キャバリアは『援護射撃』よろしく。
さて、まずは『索敵』して『情報収集』っと。
うん、どーやら大きな改造はなしっと。コックピットや動力の位置も確認っと。この位置なら…狙いはこのあたりね。

オーバーブースト点火
高速機動で敵集団を突っ切って攪乱。僚機の『威嚇攻撃』も追加。
反転してアストライアの『制圧射撃』とイニティウムですれ違いざまに敵機を『切断』。
『瞬間思考力』で適切な回避運動を選択だね。
残念。ボクの『操縦』テクの前にはそのレベルの反撃じゃあ止められないよ。



 友好国、同盟、技術盗用、裏切り、禍根……そんな理由が幾つも重なって戦争は起こるのだろう。
 たった一つの事柄で戦争が引き起こされることはない。けれど、確実に戦争への階段を一歩進めさせることに違いはない。
 だからこそ、人々は慎重に己の行動を見極めなければならない。己の行動が何にどのように作用するのか知らなければならない。
 けれど、人すべてがそんな風にできるとは思えない。
 だからこそ、ユーリー・ザルティア(レプリカントのクロムキャバリア・f29915)は嫌気が指して出奔したのだ。
「はあ。まあ戦争や国家って所詮こんなものよね」
 溜息が出る。
 どうしたって、人間とはこういう生命なのかもしれない。
 いや、生命というもの全てがこうであるとも言えるのかも知れない。他者よりも優れたるを求める。自分が他者より劣っていることを認めたくはないが、他者より優れていることは認められたい。

 いつだって戦争の始まりは些細なことなのだ。
「キャバリアのみの破壊……面倒だけどやるしかないのよね」
 溜息の種は尽きない。
 けれどやるしかないのだ。そうしなければもっと多くのものが失われる。学習型AI『ARICA』を搭載した無人機キャバリアのセッティングを終え、ユーリーは乗機であるクロムキャバリアのコクピットの中で操縦桿を握りしめる。
「ユーリー・ザルディア、でるっ!」
 飛び出した機体が市街地を抜け、外壁の外である荒野に展開した『フルーⅦ』のキャバリア大部隊の存在を捕らえる。

 僚機である無人機キャバリアの遠望レンズが捉えた情報がユーリーの駆るキャバリアへと転送されてくる。
「うん、どーやら大きな改造はなしっと…… 『オブシディアンMk4』。俗に言う名機って言うやつよね。コクピット周りが堅牢な作りなのは、今回みたいな事態では逆に助かるね」
 データベースに収められている 『オブシディアンMk4』のデータと相違はないようだった。オブリビオンマシン化している情報は掴んでいるため、何か変更点があるのではと勘ぐったが、杞憂だった。

「これなら……狙うのは―――オーバーフレームのみ!」
 ユーベルコード、オーバーブースト・マキシマイザーの輝きがキャバリアを包み込んでいく。
 ユーベルコード覚醒者にしか扱えぬクロムキャバリア。
 その力の真価はユーベルコードを発現した時の凄まじき力である。それ故にチューンされた僚機である量産型キャバリアであってもユーリーの加速にはついていくことは困難であった。
 圧倒的な高速機動で敵キャバリア部隊の中を突っ切る。
 それは稲妻の如き素早さで持って、彼らのセンサーを一瞬の混乱に陥れる。

「爆撃開始。さあ、踊ってもらうよ!」
 僚機から放たれる援護射撃。
 それはまるで雨の中を踊るような戦術機動であり、アサルトライフルから放たれる弾丸が的確にオーバーフレームの接続部分を打ち貫いていく。
 見事な射撃技能。それも高速移動しながらの射撃で、此処まで性格な射撃を行えるのはユーリーの技量在ってこそだろう。
 すれ違いざまにアサルトライフルの弾丸によってもろくなったオーバーフレームの接続部分をキャバリア用のブレードが切り裂く。
 彼女のキャバリアが通った軌跡の痕には、オーバーフレームを引き剥がされた無残な姿の『オブシディアンMk4』しか残っていなかった。

「足を止めたら、そこでおしまいだよ―――なら、次はそう来るよね!」
 圧倒的な高機動。
 暴走衛星『殲禍焔剣』の脅威が拭えぬクロムキャバリアにおいて、高く空を飛ぶことは自殺行為にしかならない。
 故に敵機の頭を取ることは難しい。ならば彼らが取る行動は姿勢を低くし、精密射撃によってユーリーの駆るキャバリアを撃ち落とすことのみ。

 それが当然な戦法であったことだろう。
 だが、その当然が通じないのがユーリー・ザルディアというパイロットの技量であるのだ。
「残念。ボクの操縦テクの前には、そんなレベルの反撃じゃあ―――」
 空中で一回転するように機体が反転する。
 まるで空を蹴るようにしてバックステップを踏むユーリーのキャバリアが存在していた場所をキャバリアライフルの弾丸が通り抜けていく。
「止められないよ」
 曲芸の如き動きを見せつけながら、ユーリーはキャバリアと共に踊る。
 弾丸を放ち、無力化していく『オブシディアンMk4』の残骸たち。たった一つの生命すらも奪わずに、無力化していく技量は、圧倒的な理不尽として、『フルーⅦ』のパイロットたちに刻まれたことだろう―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
いぇいいぇい!
またやってきましたグリプ5
という訳でね今回はキャバリア…借りません!
だってよく考えたら、まだグリプ5君とは物の貸し借りする程親しくないし…
一緒の物使って友達に噂とかされると恥ずかしいし…

どう?暗い気分もちょっとは晴れた?

ま、要は戦い方だよ戦い方
『天候操作』を起動して周囲を嵐に、まずは敵の視界と機動力を奪おう
こっちは私謹製の魔法の鏡で周囲の『情報収取』をしながら敵機の位置を把握
風雨や敵の攻撃は『オーラ防御』を展開して捌こう
後は簡単、敵を見つけて剣先を向けるだけ
【ソード・ファントム】起動
まずは頭を潰す、二の太刀要らず…とはいかないかな『2回攻撃』で確実にいこう
後は足、手と順番に料理だ



 争乱続くクロムキャバリアにおいて、娯楽というものは在ってないようなものであろう。
 戦いこそが日常。
 どこか人々も諦めているのかも知れない。平和出会った頃を知る者はもはや何処にも居ない。100年戦争とまで言われる戦争状態が、それほど長く続いていれば人々の心も荒んでいく。
 だが、それでも人の心は癒やしを求めるし、笑い合うことができる。

「いぇいいぇい! またやってきましたグリプ5。という訳でね」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)の軽快な言葉が響く。
 まるで異世界行脚。
 動画配信してギャランティを貰うようなノリ。サブカルマニアである彼女にとって、この程度の遊び心は常に持ち合わせているものだ。
 先日、この小国家『グリプ5』で起こった最新鋭キャバリア暴走事故に関わった猟兵である彼女にとって、クロムキャバリア全体を包み込む空気は好ましいものでなかったのだろう。
 それに前回の戦いでは、結局キャバリアを操縦することはなかった。
 メカニックたる彼女にとっては興味深い対象であったのだが、借りる暇もなかったのもあるだろう。それに今回は……。
「今回はキャバリア……借りません!」
 えぇー!?
 と何処か遠く、もしかした動画配信を見ているPCの前の視聴者たちがずっこける姿が在ったかも知れないし、なかったかもしれない。

「だってよく考えたら、まだグリプ5君とは物の貸し借りするほど親しくないし……一緒の物使って友達に噂とかされると恥ずかしいし……」
 もじもじ。
 JKみたいな雰囲気になる玲。それも純情乙女な感じ。
 普段の彼女を知るものが見れば、困惑……するかもしれないし、通常運転と感じる者もいるかもしれない。
 どちらにせよ、彼女のノリは周りの空気を変えていく。
 どれだけ戦いに塗れた世界であったとしても、サブカルチャーは人の心に癒やしを齎すものだ。

「どう? 暗い気分もちょっとは晴れた?」
 そう問いかける先に居たのは、かつての事件の被害者とも言うべき少年であった。
 戦いから数日も経っていない。
 けれど、彼女は自分が彼の怒りもまどいも受け止めると言ったのだ。少し茶目っ気が過ぎるが、その約束を違えるつもりはない。
 笑って、玲はひらりと手を降って戦場へと掛け出す。彼の気分が晴れたかどうかは、また別の機会に尋ねるとしよう。

 そんなことを思いながら玲は戦場を見下ろす。
 圧倒的な数の不利。
 どこまで言っても、この『グリプ5』には『フルーⅦ』から襲い来る侵略部隊であるキャバリアの大群を退ける力はない。
「ま、要は戦い方だよ戦い方」
 彼女の手が掲げられる。
 それは嵐を呼ぶ力だった。天候すらも操作する凄まじき力。彼女の黒髪と一房の青い髪が揺れる。

 青空であった空は嵐へと様変わりし、打ち付ける雨や風によってキャバリアの視界と機動力は奪われていく。
「なんだ……この天候は。ここまで急速に天候が変わる土地だったか、『グリプ5』は!」
 『オブシディアンMk4』 のコクピットの中でパイロットたちが毒づく。
 それもそのはずだ。天候条件などはすでに情報として得ているはずなのだ。こんな風に天気が急速に崩れることなど観測しようがない。
 これではマイクロミサイルポッドも使えず、かと言ってライフルを使おうにも視界が不良であるが故に誤射もありえてしまう。

「そうだよね。ちゃんと経験在るパイロットなら、迂闊には動けないよね」
 玲は魔法の鏡の機能をプログラムで再現したシステムによって彼女の周囲の情報を収集し、視界がくらむほどの嵐の中で在っても敵キャバリアの姿と位置を正確に把握していた。
「後は簡単。敵を見つけて―――見えざる刃にて切り刻む」
 彼女の持つ模造神器が抜き払われ、その切っ先を向けた瞬間、不可視の斬撃が見舞われる。
 それは一瞬でキャバリアの頭部を切り飛ばし、続く二撃目で武装を持つ両腕を。そして更に続けて足を切り裂く。
 まるで達磨のようなコクピットだけしか機能しない状態までキャバリアを追い込み玲は息を吐き出す。
 オーラによって雨風は弾いているが、二の太刀要らずとまではいかない。
 確実に無力化するためには、この方法が一番だ。パイロットの生存が求められている以上、これが正解。

「さあ、順番に料理だ。おいで。荒んだ気持ちにキャバリアなんてものは危なかっしすぎて見てらんないからね」
 嵐の中で玲の持つ模造神器がきらめくたびに、敵キャバリアの手足が斬り飛ばされる。それはまるで暴風雨のように振るわれ続けるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
懐かしのグリプ5……って、全然間が空いてねーじゃねえか。
まあ、いいか。『スルト』にもだいぶ慣れた。
今回は大群相手ってことでそこそこ楽しめそーだな。

ゴッドハンドの体術をスルトで再現。四肢に宿した『万象斬断』をもって手刀や蹴りで敵機のコックピット以外を破壊していきます。
ある程度破壊したら破壊され動けない敵機に呼びかけ。

どうだ、正気に戻ったかい?
見ての通り、俺はお前らの命を奪う気はねえ、だが、ここでその棺桶の中にいるのは危険だ。降りてこの中に入りな。(とスルトを屈ませ、その手に『無限収納』につながる魔法陣を)
なに、戦いが終わったらすぐに解放してやるよ。まあ、無理にとは言わねーぜ。
アドリブ歓迎



「懐かしのグリプ5……って、全然間が空いてねーじゃねえか」
 一度訪れたことのある小国家『グリプ5』の惨状を目の当たりにして、アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は思わず突っ込んでしまった。
 ノリツッコミというやつかもしれないが、そう言わざるを得ないほどに、以前最新鋭キャバリアがオブリビオンマシンと入れ替わっているという暴走事故に関わった猟兵としては、複雑な気持ちになるものであった。
 戦いの連続。
 息をつく暇もないほどの争乱の種が芽吹く世界。それがクロムキャバリアだというのならば、アレクサンドルは不敵に笑うのだ。

「まあ、いいか。『スルト』にもだいぶ慣れた。今回は大群相手ってことで、そこそこ楽しめそーだな」
 跪くようにアレクサンドルを頭上に乗せて待機している漆黒のオブリビオンマシン『スルト』の瞳が主人に合わせるように明滅する。
 それは主人にして王であるアレクサンドルに対する忠義であったことだろう。
 アレクサンドルと『スルト』の出会いが如何なるものであったのかを余人が知る由もないが、それでも彼らの間柄に在るのは絶対的な力による関係であった。
 軽く踵で頭部装甲を小突くと、コクピットハッチが開く。
 そこへアレクサンドルが飛び乗ると『スルト』が悠然と立ち上がる。

「さあ、征くぞ。『スルト』」
 短くアレクサンドルが告げる。
 それは戦いのはじまりであり、これより行われるアレクサンドルの圧倒的な力を見せつける合図でもあった。
 荒野に展開する『フルーⅦ』のキャバリア『オブシディアンMk4』の大群。
 雑多な部隊展開を見るに、普段から編成されている部隊ではないのだろう。数で押す作戦であるはずなのに、慣れぬ連携は逆に彼らの戸惑いを産み出していた。
 そこに漆黒のオブリビオンマシンが駆け込めば、その対処は一拍遅れてしまうのは理解できぬことではなかった。

「―――反応が遅いな! そんなんじゃあ!」
 それはアレクサンドルの体術をトレースするが如く反映した『スルト』の凄まじき反応速度であった。
 ホークナパームを放つ暇すらも与えずに振るわれる『スルト』の四肢。
 それはユーベルコードの輝きを放つ魔力を纏った斬撃の如き拳足。名をつけるのであるとすれば、万象斬断(ナンデモキレル)。
 放たれた魔力を纏った『スルト』の拳と蹴撃が一瞬で『オブシディアンMk4』の四肢を斬り飛ばす。
「この『スルト』は止められんよ―――」
 漆黒の機体が戦場を蹂躙する暴風の如く駆け抜ける。
 その後にあったのは四肢を跳ね飛ばされたキャバリアの残骸のみ。コクピットは全て外して破壊されていた。

「どうだ、正気に戻ったかい?」
 それら全ての残骸の中心に立つ『スルト』から発せられる声は、荒々しい戦い方からは想像もできないような声色であったことだろう。
 正気を取り戻したキャバリアパイロットたちは困惑しながらもコクピットから這い出してくる。
 彼の瞳に映ったのは、自分たちを一瞬で苦もなくいなすように倒した漆黒のキャバリアだった。
「見ての通り、俺はお前らの生命を奪う気はねえ、だが、ここでその棺桶の中にいるのは危険だ。降りてこの中へ入りな」
 主の命を受けて『スルト』が膝をつく。その手に浮かぶ魔法陣はアレクサンドルのユーベルコードに寄って生み出されたものである。
 その中は無限に物が入り込む収納庫であり、外界からの干渉を受けぬ鉄壁のゲージであった。

「なに、戦いが終わったらすぐに開放してやるよ。まあ、無理にとは言わねーぜ」
 捕虜みたいな扱いになると考えるのもうなずけることであった。
 だが、正気を取り戻した彼らにとって、これまでの行動や上層部に対する不信感は拭えるものではない。
「そうそう、何事も素直が一番だぜ?」
 キャバリアのパイロットたちが次々と投降するように魔法陣の中へと収容されていく。
 立ち上がり、『スルト』が視線を向けた先、荒野の向こうに新たなるキャバリアの大群を感知し、アレクサンドルは笑う。

「まだまだおかわりはいっぱいありそうだな、『スルト?』」

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
クロムキャバリア。鉄騎が戦場を舞う騒乱の世界。
だが、そのような世界でも俺の戦いは変わらぬ。
■闘
俺は生身で出陣する。
猛禽の翼で羽ばたき、キャバリア相手に【空中戦】だ。

基本は空中を【ダッシュ】するように飛び回ることで敵の射程から
逃れ、隙を見て背後に潜り込む。
銃を向けられそうになったら【残像】を見せ狙いを定めにくくし、
軌道を【見切り】つつその場から離れる。

背を取ったら【早業】の抜刀から胴体に存在する連結部らしき
場所目掛けて【剣刃一閃】を放ち、身体を斬り離す!

■助
マシンが止まったのを確認したらコクピットを斬り救出、
安全な場所へ移送しよう。
む、“危ないヤツ”?誉めて頂き恐縮でござる。

※アドリブ・連携歓迎



 暴走衛星『殲禍炎剣』。
 それはこの世界、クロムキャバリアにおいて制空権を持つものであり、空高く舞い上がることを許さぬ絶対たる存在。
 鋼鉄の巨人であるクロムキャバリアが低空を飛ぶ分には、見境なく拘束飛翔体を狙撃する『殲禍炎剣』の影響はないとはいえ、未だに空は人のものでないのだ。
 そんな中、生身のまま猛禽の翼を広げ感知されぬギリギリを飛ぶ猟兵の姿があった。

「クロムキャバリア。鉄騎が戦場を舞う騒乱の世界。だが、そのような世界でも―――俺の戦いは変わらぬ」
 愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は猛禽の翼を羽撃かせる。
 それは彼の有り様を示していた。どれだけ世界が、空が窮屈な者に変わろうとも、清綱の有り様は変わることはない。
 羽撃く翼によって『フルーⅦ』のキャバリア 『オブシディアンMk4』に肉薄する。それは彼らキャバリアのパイロットにとっては異常なる事態であった。
 クロムキャバリアにおいて、人と人との戦いにおける力とはキャバリアを示す。キャバリアなく戦争が起こることはなく、キャバリアなくば力とも呼ぶこともできない。

 だからこそ、生身でキャバリアに戦いを挑む猟兵の存在は、彼らキャバリア乗りの戦術の中に存在しない敵性であった。
「このっ、空を飛ぶ―――人!?」
 どれだけオブリビオンマシンによって正気を奪われたパイロットであったとしても、眼前を飛ぶ生身の清綱の姿を見れば、自分の目を疑うだろう。
 それは戦いにおいて、もっとも在ってはならぬ隙であった。
「隙あり―――」
 猛禽の翼が羽ばたき、清綱はキャバリアの背後から飛来し、そのオーバーフレームに装備されたミサイルポッドを刀剣の一撃に寄って切り離す。
「武装のコネクタを切り裂くだと!?」
 重たい音を立てて地面に落ちるミサイルポッドのコンテナ。
 通常の人間が出来ていい芸当ではない。彼らはオブリビオンマシンに乗っているが、オブリビオンではない。
 彼らに猟兵という存在は超常の存在として映ったことだろう。

 もしくは夢ではないかと。
 生身の人間がキャバリアに敵う道理などないのだから。
「むっ……やはりコクピットと上半身、下半身を繋ぐ連結部……! これが話に聞くオーバーフレームにアンダーフレーム! ならば!」
 銃口を向けても残像を遺す超スピードに寄って空を駆ける清綱を捕らえることはできない。
 背後を取った瞬間、剣刃一閃の如く放たれた一撃がオーバーフレームとコクピットを繋ぐ連結部をバターでも切るように切り離す。
「コクピットは、ここだな。御免!」
 裂帛の気合と共にコクピットハッチを切り裂き、中のパイロットを掴み、その場から離れる。
 次の瞬間、清綱を狙ったであろう『フルーⅦ』のキャバリアが放ったホークナパームが炎を吹き上げる。

「な、なんだお前は! こんな生身でキャバリアに挑もうなど、正気の沙汰ではない! 危なっかしすぎる!」
 抱えたパイロットが嫌に軽いと思ったら、女性であったかと清綱は抱え救出したパイロットが喚くのを聞き流しながら笑う。
「む、“危ないヤツ”? ふ、褒めて頂き恐縮でござる」
 正気を取り戻したパイロットがコレほど元気なのならば、後遺症などは気にしなくてよいだろう。
 清綱はパイロットの言葉に余裕を持って返しながら、彼女を安全な場所に下ろす。

 そしてまた猛禽の翼を広げ、焼夷弾の炎渦巻く戦場へと舞い戻り、同じ様にパイロットをオブリビオンマシンから救出し続けるのだ。
「巨人殺し、ならぬ鉄騎殺し。この剣の前には如何様にも為せるものと知っていただこう。オブリビオンマシンならば、震えよ。人の生命を弄ぶ策動など、我らには意味ないものと知れ―――!」
 裂帛の咆哮と共に振るわれる剣刃がオブリビオンマシンを尽く膾切りにしていく。
 清綱の鬼神の如く戦いは、未だ尚続くのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
わたしは【ネルトリンゲン】で出撃して、前線での拠点と避難所代わりになろうかな。
これでも空母だし、キャバリアの応急修理や補給は得意分野だし、
敵パイロットの保護とかもなんとかなるよね。

【ネルトリンゲン】にはAIで敵を迎撃してもらいつつ、
わたしは【モーター・プリパラタ】を使って、
こちらのキャバリア部隊の修理や補給をして、数で押し切られないようにしよう。

敵のキャバリアは倒しきっちゃうと次が大変っぽいし、
パイロットが避難してくるようならしっかり助けてあげたいな。

できればキャバリアごと鹵獲して、操ってるしくみとか解明したいけど戦闘中はちょっと無理かな。
あとで研究できるように、とっておけたらいいんだけど。



 普段はボトルシップと化しているミネルヴァ級戦闘空母『ネルトリンゲン』が、その威容を荒野に表す。
 空へ浮かべることは暴走衛星『殲禍炎剣』によって撃ち落とされる危険性が在るゆえに、大地に着陸した状態で『グリプ5』と『フルーⅦ』の間に繰り広げられる紛争の前線での拠点―――避難所として鎮座していた。
 そのミネルヴァ級戦闘空母『ネルトリンゲン』の主である菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、次々と送られてくる『フルーⅦ』のキャバリアパイロットたちの避難所としての役目を忙しくこなしていた。

「まさかまさかだよ……こんなにも戦力差があったなんて。『グリプ5』から出張ってるキャバリアは猟兵が借り受けたものだけ……幸いに此方側の被害は最小限に抑えられているからいいけど……」
 忙しい理由は一つしかない。
 前線で襲い来るオブリビオンマシン化したキャバリアを打倒し、コクピットから救出してきたキャバリアパイロットたちの収容が混雑しているのだ
 それほどまでに『フルーⅦ』のキャバリア部隊の全てがオブリビオンマシン化しているという事実は理緒の想定を遥かに超える事態であったのかもしれない。
「敵パイロットの保護もなんとかなると思ったけど、ほんとに多い―――敵!?」
 猟兵の力は絶大であるが、その数は大群で押し寄せるキャバリア部隊を全てカバーしきれるものではない。

 前線を突破してきたキャバリアの存在を『ネルトリンゲン』のAIが検知し、砲撃を行っている音が響くのだ。
「こちらのキャバリアは先日の事件で消耗しきってるみたいだし……なら、今のうちに私が修理や補給を済ませてあげれば……数で押し切られない!」
 彼女の瞳がユーベルコードの輝きを放つ。
 それはモーター・プリパラタと呼ばれるユーベルコードである。彼女が非戦闘行為に没頭すればするほどに、その作業精度は通常に12倍にも及ぶ。さらに速度もまた同様なのである。

 彼女の瞳が輝きを増すたびに、彼女のユーベルコードの力は増していく。
 次々と『ネルトリンゲン』に運び込まれてくる『グリプ5』のキャバリアたち。それらを補給し、修復し、修繕していく。
 彼女の持つ機材に対する能力の全てが圧倒的なスピードと精度でもって傷ついたキャバリアたちを修復していくのだ。
「な、なんてことだ……大破したキャバリアももってこいというから……」
 どうなることかと『グリプ5』の技師たちは思っていた。
 けれど、今目の前で行われている修繕は、まさに神の御業とも呼ぶべきものであったことだろう。

 理緒がタブレット端末を操作するたび、彼女がメンテナンスハッチを開くたびに、キャバリアたちの傷ついた機体が次々と修復されていくのだ。
「うーん、できれば敵キャバリアごと鹵獲して、操ってる仕組みとか解明したいけど、戦闘中はちょっと無理かな……後で研究できるように、とっておけたらいいんだけど……」
 凄まじい速度での修繕修復を行いながら理緒はタブレット端末のデータを読み解いていく。
 オブリビオンマシン。
 それは搭乗者の心を歪める怪異なるマシン。
 そのオブリビオンマシンに囚われた者は、どんな英傑であろうと心を歪まされ、歪んだ思想のままに戦いを呼ぶ存在となってしまう。

 彼女と同じ猟兵であるのなら、オブリビオンマシンの狂気に犯されることなく乗りこなせる者もいるというのが……。
「今はできることをやらないとね。外の敵キャバリアのコクピットは狙わないでください。機体は壊れても、私が直しますから! 生命を大切にしてくださいね!」
 艦長として理緒が告げる。
 その期待に応えるように修復されたキャバリアたちが『ネルトリンゲン』を護るように敵キャバリア……オブリビオンマシンの波状攻撃を押し返していくのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
目立たないように隠れて
戦場の様子や相手の陣容を情報収集
ゴーグルの機能で映像を皆に共有しよう

えらく大勢で押しかけてきてるなぁ
折角守った平和を壊させる訳にはいかないね
それにしても入念に仕込まれてるけど
どこまでオブビリオンが入り込んでいるんだか

UCで少女型の使い魔を召喚
周囲に金属柱を生成するよ
使い魔が念力で金属柱を飛竜型に形成
邪神の聖域から取り出した操縦席をはめ込み
両肩にガトリングガンを搭載するよ

搭乗したら低空飛行で横合いから急襲
射撃と体当たりで攻撃しよう

ミサイルの包囲攻撃は正面のをガトリングガンで迎撃
残りのを神気で時間を停めて抜け出そう

四肢を射撃で破壊したり
噛みつきで単なる金属に変えて無力化しよう



 ゴーグル越しに覗く視界にあるのは、戦場だった。
 どこもかしこも戦いの痕だらけであり、キャバリアの残骸が転がっている。そのキャバリアは全て『フルーⅦ』……つまりは『グリプ5』の友好国であった国のキャバリア部隊のものであった。
 友好国であった、と表現するのは、先日の最新鋭キャバリア暴走事故を端に発するかの国の最新鋭キャバリア『ブレイジング・バジリスク』の盗用問題が理由として挙げられる。

 だが、それは外交筋で解決できる問題であった。
 けれど、対話による解決は為されず、『フルーⅦ』は即座に侵略部隊を送り込んできたのだ。元からこういう計画であったというかのように。
「えらく大勢で押しかけてきてるなぁ……」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)がゴーグル越しに覗く情報を端末で持って他の猟兵たちと情報を共有していた。
 こうすれば、数で劣る猟兵たちが面で押してくる敵キャバリア部隊とぶつかった時、カバーすべき場所がわかるからだ。
「折角守った平和を壊させるわけにはいかないね。それにしても入念に仕込まれてるけど……どこまでオブリビオンが入り込んでいるんだか」
 晶の考察も穿ったものであった。
 けれど、それがどこまで正しいのかまではわからない。晶がそう感じたように、入念すぎるほどに緻密に組み上げられた計画の気配を感じさせられる。

 最新型キャバリアの二機。『ブレイジング・バジリスク』と『セラフィム・リッパー』がフレーム段階で入れ替わっていたこと。
 そして、それを理由に侵略してくる嘗ての友好国。
 あまりにも唐突過ぎる事態であったが、もしもこれが全ていきあたりばったりではないのであれば、その背後に居るオブリビオンはどれほどの知性を有しているのかわからない。
「けど、だからって目の前の火の粉を払わないのは違うよね……さあ、おいで」
 そう言って晶は式神白金竜複製模造体(ファミリア・プラチナコピー・レプリカ)―――金属中を元に構成される超硬装甲を持つ使い魔を呼び寄せる。

「ご褒美くれるなら頑張るのですよー!!」
 元気いっぱいに召喚された白金竜複製模造体が跳ねるように飛び上がると飛竜型へと変形し、晶が乗り込む。
 両肩にガトリングガンを搭載し、低空飛行でゴーグルから送られてくる情報を元に展開されている敵キャバリア部隊の元へと急行する。
「しかもこれが、第一波……第二波が来るっていうんだから、本当にどれだけの数のオブリビオンマシンがいるんだかわからないな」
 それでも戦うしか無い。
 横合いからつっこむように敵キャバリアを強襲する。
 ガトリングガンが火を噴き、応戦する『オブシディアンMk4』のマイクロミサイルポッドから放たれるミサイルを撃ち落とす。

「こっちは神気だってあるんだからね!」
 撃ち漏らしたミサイルを停滞の権能を持つ神気によって空中に固定し、包囲を抜け出す。
 振り返りざまに放つガトリングガンがキャバリアの四肢を穿ち、その動きを止める。これで無力化できるのだが、いかんせん数が多い。
 さらに空へと舞い上がろうにも暴走衛星『殲禍炎剣』の狙撃があることを忘れてはならない。
 あの衛星が在る限り、空を自由自在に駆け巡ってのヒット・アンド・アウェイの戦法が取れないのが口惜しい。

「でも、やれるよね。式神白金竜複製模造体ならさ―――!」
「はいですのー!!」
 飛竜に変形している式神が吼えるようにして、その牙を組み合ったキャバリアの装甲に突き立てる。
 次の瞬間、その牙から放たれる魔力がキャバリアの装甲を単純な金属に変え、頑強なる装甲を引き剥がし砕いていく。

 コクピットは残してなぎ倒し、次なるキャバリアを求めて戦場を疾駆する。
 多くの猟兵と合わせて、相当な数のオブリビオンマシン化したキャバリアを倒してきたが、そろそろ第二波が到着しそうであった。
 ゴーグルの先にある荒野から多数の動態反応が検出される。
「……いよいよ第二陣ってことだね。あれは……長距離仕様! また厄介な……! 近づかれて市街地に砲撃されたら、『グリプ5』はひとたまりもない……!」
 そう、今や『グリプ5』を守れる戦力は猟兵たちだけだ。
 あの数を打倒し、なおかつパイロットを殺さずに止めなければならない。明らかに猟兵たちの消耗を狙った動き。
 この背後に居るオブリビオンマシンは、思った以上にしたたかで、悪辣である。そう晶は確信し、次なる戦いに備えるのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
先日の件に関わった以上、騎士として責任があります
悪意と狂気振り撒く同類が放つ戦火に国を、人々を焼かせはしません

ロシナンテⅣの整備状況にも問題はありません
…ありません

(騎士っぽい特注外装は間に合わず、所々代用品)

ナパームを●盾受けや銃器での●武器落としで防ぎ、●推力移動で敵の一群の中央へ

敵が同士討ち躊躇う瞬間●見切り脚部スラスターのパイル作動
それを軸に片脚スラスタ吹かし駒の如く回転
●瞬間思考力で照準する頭部、腕部、肩部格納銃器、サブアームの二丁のライフル、合計七門で乱れ撃ちスナイパー射撃

360度全周の敵の重要関節や武装破壊し一気に無力化

お怪我はありませんか?
安全域まで皆様を護衛いたします



 最新鋭キャバリア暴走事故。
 それは『グリプ5』で起こった事件である。だが、その事件の後遺症とも言うべきキャバリア部隊や施設に対する打撃は相当なものであった。
 故に日を置かずして再び騒乱に巻き込まれた『グリプ5』にとって友好国であった『フルーⅦ』の突然なる侵略行為に対処することなどできようはずもなかったのだ。
「先日の件に関わった以上、騎士として責任があります。悪意と狂気振り撒く同類が放つ戦火に国を、人々を焼かせはしません」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は己のキャバリア―――『ロシナンテⅣ』の姿を見上げ、決意を新たにする。

 ただ、前述した通り、あの事件から日をおかずに起こった『フルーⅦ』の侵略戦闘のせいもあって、彼の機体は万全に整備されたものであるとはいい難かった。
 騎士のような外観の特注外装は間に合わず、所々代用品で贖われている。それはまるで不格好なパッチワークのようであった。
「ロシナンテⅣの整備状況にも問題はありません」
 そういい切ってトリテレイアは整備をしてくれていた『グリプ5』のキャバリア技師たちをねぎらった。
 彼らは少ない時間と物資の中でトリテレイアの特注キャバリアを此処まで修復してくれたのだから、文句を言う筋合いはないとトリテレイアは考えていた。
 それによく見ればなんとも味がある風貌になったではないかと、己の電脳をごまかそうとするあたりが、事態の緊急さを、そして逼迫したものを感じさせた。

 戦場へと飛び出したキャバリア『ロシナンテⅣ』を出迎えたのは、コクピット周りを堅牢なる装甲で覆ったオーバーフレームを持つ『オブシディアンMk4』であった。
 その機体の名を冠した数字は4度の開発を示す。
 それだけ慢性的な人材枯渇に陥りやすいパイロットを護る構造が優れているのだろう。
 そんな傑作機とも言える量産型キャバリアの部隊を前にトリテレイアは代用品で容易されたシールドを掲げる。
「いざ、参りましょう。お相手願います―――!」
 たった一機のキャバリアを取り囲む『オブシディアンMk4』の部隊。
 だが、連携が微妙に取り切れていないのは、元々の部隊編成を無理矢理に第一波と第二波で分けたオブリビオンの策動のせいであろう。
 人々の致死率を上げつつ、後続の部隊をさらなる狂気に絡め取ろうとする思惑が思わぬところでトリテレイアを助けた。

「連携が取れていないというのなら―――!」
 ホークナパームが周囲に飛び交い、爆炎が巻き起こる。
 威力の高い油脂焼夷弾ではあるが、ウォーマシンであるトリテレイアには効果が薄い。生身の人間がパイロットであるのなら、外気温の上昇に寄ってコクピット内は高温に晒されて疲弊するだろう。
 だが、トリテレイアにはその心配がないのだ。
 さらに敵がトリテレイアのキャバリアを取り囲んでいることも大きかった。彼らはぐるりと一機のキャバリアを取り囲むように位置しているが故に、射線上に友軍機がいることを失念していたのだ。

「やはり、フレンドリーファイア防止のトリガーロックがかかりますか!」
 それは友軍機を傷つけぬように射線上に友軍機がいる場合においてのみ、ライフルのトリガーがロックされるというものだった。
 それを逆手に取って一瞬の隙を得たトリテレイアの絶技が放たれる。
 電脳が演算をなし、その精密精緻なる動作が生み出す不殺の弾丸。頭部、腕部、肩部格納銃器、サブアームに持たせた二丁のライフル……実に七門にも及ぶ重火器による360度全周全てをカバーする乱れ打ちが敢行される。

「出力、動作制御は私の得手。お望みなら何度でも再現してみせましょう」
 その放たれた銃弾の全てが狙いを違えない。
 敵キャバリアの関節部、武装のジョイント、武器そのものを狙い過たずに撃ち貫き無力化させる。
 それは機械騎士の精密攻撃(マシンナイツ・プリセッションアタック)と呼ぶ以上の神がかった銃撃であったことだろう。
 一瞬で8機ものキャバリアが戦闘行為を行うにはあまりにも手痛い打撃を受けて、かく座する。
 彼らはコクピットから這い出し、見上げた先にある『ロシナンテⅣ』が差し伸べるマニュピレーターを見上げていた。

「お怪我はありませんか? 安全域まで皆様を護衛いたします」
 それは今の今まで敵対していたキャバリアが発していい言葉ではなかった。
 今まで正気を失っていたとは言え、銃口を向けていた相手に手を差し伸べるなど、『フルーⅦ』のキャバリアパイロット達は訝しむのだ。
 捕虜としての扱いをする。
 そういうことであるのならば、問答無用で捕まえればいい。
 だが、それをしないということが彼らの心を動かした。そう、トリテレイアは兵士ではない。
 人間でもない。
 ウォーマシン。戦機だ。戦うための存在理由がある。だが、その炉心を動かすのは騎士道精神である。

「ご安心を。私は騎士でありますから。騎士道に誓って、あなた方に危害を加える者は阻みましょう」
 それが己の全うすべき本分であるというようにトリテレイアは救出したパイロットたちは安全領域まで護衛するのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ギムレウス』

POW   :    砲撃モード
自身の【背部大型キャノン砲】を【砲撃モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    メタルファング
自身の身体部位ひとつを【機械で出来たワニ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    接近阻害地雷敷設
自身からレベルm半径内の無機物を【対キャバリア地雷】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:逢須 かた丸

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あ―――ああ……! なんてことだ!」
 それは『フルーⅦ』のキャバリア部隊の第二波に配属されたパイロットの呻くような声であった。
 キャバリア『ギムレウス』に装備された狙撃スコープから得られる情報は、第一波のキャバリア部隊の全滅を示していた。
 この戦争もすぐに終わると思っていたのだ。
 けれど、現実は違う。
「こんな、こんなはずじゃなかったはずだ……親父……! まさか、本当にやられちまったっていうのかよ!」
 キャバリアのパイロットの父親もまた軍人であった。
 彼の父親は第一波のキャバリア部隊に配属されていたのだ。けれど、この惨状を見れば、父親の生存は絶望的であると思っても仕方のないことであった。

「―――ゆる、さねぇ……! 許さねぇ! 許さねぇ! 許さねぇ!!」
 操縦桿を握りしめる拳から血が滲むようであった。
 それほどの怒りが彼らの心をオブリビオンマシンがさらに捻じ曲げていく。さらなる狂気に犯された彼は、その怒りに染まった瞳を『グリプ5』へと向けるだろう。
 どうしようもないほどに、戦争続く世界であったとしても、自分の親しい者たちは、どこか無事であるという楽観があったのだ。
 いつだってそうだ。

 人はその時が訪れるまで、自分の身にそれが襲い掛かるとわからない。
 だが、猟兵達は知っている。
 オブリビオンマシンが狂気によって人の正気を奪うのであれば、その正気を取り戻させるのもまた人であると。
 そのために第一波のパイロットたちの不殺を決め、誰一人として犠牲を出さずに保護してきたのだから。

 キャバリア大部隊の第二波が『グリプ5』に迫る。
 それはもはやどうしようもない大攻勢であるが、それでも猟兵達は再び不殺の戦いに挑まねばならない。
 人が人らしく、争いの無い世界を作り上げるためには―――!
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

機械のワニ、そんな事が出来る機体もあったのか
黄色と藍色がいいか、また使うぞ
先ほどのパイロットの縁者か、彼は無事だ

【索敵】を使って敵の位置を把握し、【早業】で距離を取るが遠距離攻撃をされたら【見切り】【操縦】で回避
黄色の感電【マヒ攻撃】、藍色の圧壊【重量攻撃】を弾丸にUCを使い付与
【スナイパー】【全力魔法】【クイックドロウ】で弾丸をパイロットのいない場所に打ち込む
パイロットを【救助活動】し【落ち着き】【言いくるめ】で説得して先程のパイロットを避難させた場所へ案内・護衛する



 第二波キャバリア部隊が『グリプ5』へとたどり着いたのは第一波のキャバリア部隊が全て猟兵たちの手に寄って打倒された後であった。
 彼らにとってそれはあまりにも無残な光景であったに違いない。
 キャバリアとはこの世界においての主戦力であり、絶対的な力の象徴であった。けれど、それを尽く凌駕する存在が在るとは夢にも思わなかったのだろう。
『グリプ5』近郊の荒野に広がるキャバリアの残骸。
 それが意味するところを第二波のキャバリアパイロットたちは理解した。
「ぜん、めつ……だと? あれだけの部隊を投入して、あれだけのキャバリアが全て……破壊されている?」
 呆然と呟いてしまうのも無理なからぬことだ。
 彼らの乗るキャバリア『ギムレウス』は砲撃戦用の装備の施されたキャバリアである。前衛である第一波のキャバリアと連携して『グリプ5』を攻める予定であったし、この戦闘を指揮する『キマイラ』アジン少将の元では戦闘はそう起こらないだろうと思われていたのだ。

「―――砲撃戦のキャバリアまで用意してきていたとはな。やはり、オブリビオンマシンか」
 ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)はキャバリア『銀の銃兵』のコクピットの中でモニターに映る『フルーⅦ』のキャバリア部隊の第二波の軍容を見て、そう呟いた。
 あれだけの砲撃戦用のキャバリアならば足が遅いのもうなずける。そして、それを理由に人々の狂気を更に深きものにしようとするオブリビオンマシンの目論見の悪辣さもまた同じであった。
「距離をとっていれば、こちらがやられるのはどうりだな……」
 ルイスは『銀の銃兵』を走らせる。
 その流れは至極当然なものであった。あちらは長距離砲撃を可能とするキャバリアでありオーバーフレームを装備している。
 時間と距離を相手に与えてしまえば、一方的に砲撃を与えられてしまうのはこちらだ。

「―――!? 何ッ!?」
 だが、その思惑とは別にキャバリア『ギムレウス』がルイスの駆る『銀の銃兵』へと吶喊してくる。
 その光景はまるで重機が押し寄せてくるかのような威容があった。砲撃戦のフレームであるのに何故―――。
 その答えはすぐにわかった。彼らはオブリビオンマシンによって心を歪められている。さらに彼らはこの光景を見たのだ。
「なるほど、我を忘れての吶喊……冷静さを欠いた行動というわけか……だが、その怒りが力に変わるのが人間というものであるのなら」
 その突撃もあながち自棄糞ではないのだとルイスは判断した。

「パイロットの居るコクピットは外す……銃を使わせて貰うぞ」
 放たれるは属性付与(エンチャント)されし魔銃から放たれる弾丸。義眼のメガリスが黄色に輝き、その銃弾に込められた力が開放される。
 放電するように弾丸から電撃が放たれ、『ギムレウス』の機体を撃つ。だが、それでは止まらない。
 重装甲故にその電撃が機体の深部まで到達しないのだろう。
「兄弟の仇―――! 潰れて、死ねぇ!!」
 肩のパーツが展開され、ワニの如き機械の獣の頭部が再現される。それはアリゲーターワンドと呼ばれる隠し武器である。
 オプションパーツで展開されるワニの顎の如きアームが『銀の銃兵』へと迫る。

「機械のワニ、そんな事ができる機体もあったのか―――だが! 輝け!」
 藍色の弾丸が放たれ、そのワニの頭部をもしたアームに穿たれる。
 瞬間そのアームパーツが圧壊するようにひしゃげて潰れ、脱落する。さらにルイスと『銀の銃兵』を取り囲む『ギムレウス』たち。
 肩であったり、膝であったり各々によって変形する隠し武器の場所が違うのだろう。ワニの顎が次々とルイスを襲う。

 だが、ルイスは叫ぶ。
「先程の一陣のパイロットたちの縁者か、彼らは無事だ!」
 その言葉に『ギムレウス』のパイロットたちは正気を失っていながらも動揺する。そんなはずは、という疑念と微かな希望がないまぜになった感情が膨れ上がる。
 その一瞬の隙をルイスは見逃さず、メガリスの輝き放つ弾丸が次々と『ギムレウス』の機体を感電、圧壊しつくすのだ。

「嘘だと思うのならば、お前たちも往くといい。前線に鎮座している空母がある。そこが彼らの避難所だ。捕虜としてではない。俺たちが保護すべき人たちとして守っている」
『銀の銃兵』のマニュピレーターが示す先には、猟兵の一人が持ち込んだ空母が鎮座している。
 そこがいまのキャバリアパイロットたちの安全域として機能しているのだ。
「俺はお前たちを騙す理由なんて無い。その破壊された機体から降りて、進め。護衛が必要なら俺がする。何も絶望する理由なんて無いんだ」
 何も失われていない。
 そういうかのようにルイスのメガリスの義眼が輝く。
 人の歩みを止めさせる絶望があるのならば、燦然と輝く希望の光を見せなければならない。

「どれだけ苦しくても、人の道行きには希望がある」
 その光をルイスは指し示すのであった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

村崎・ゆかり
引き続き、「式神使い」と器物覚醒で『迦利』を遠隔操作する。
同時に、黒鴉召喚で戦場にカラスに似た黒鳥の式神を展開させ、彼我の距離を把握する。複数の式による三次元的戦場把握よ。

理性を失って狂気に走る場合、全員が熱狂的に同じ行動を取るか、規律を失い隊列が乱れていくかだけど、今回は後者のようね。「集団戦術」のセオリーを適用して、突出した部隊から『迦利』の「全力魔法」光の「属性攻撃」「制圧射撃」の「レーザー攻撃」を仕掛けるわ。

敵の仕込みが普通の地雷だけなら、宙に浮かぶ『迦利』には意味が無い。「衝撃波」で一掃する。
ただ、UDCアースでいう指向性地雷クレイモアみたいな遠隔起爆タイプだと、ちょっと面倒ね。



 戦場となった『グリプ5』の荒野に黒い鴉が飛び交う。
 それは全滅したキャバリアの残骸に集るように、『フルーⅦ』の第二波としてキャバリアを駆るパイロットたちの瞳に映ったかもしれない。
 彼らの乗機である『ギムレウス』は砲撃戦の装備を施された機体だ。そのスコープが捉えていたのは無残にも全滅させられたキャバリアの残骸。
 一機たりとて第一波のキャバリアは残っていなかった。
 それほどまでに『グリプ5』のキャバリアは圧倒的であったのか。ここまでされなければならないのだろうか。
「こんな、こんなことって―――」
 あっていいのだろうか。いや、あっていいはずがない。だって第一波には、自分の弟だって居たのだ。
 視界が揺らぐ。
 どうしようもないほどに動悸がする。堪えていなければ吐き出してしまいそうだった。

 鴉が、黒い鴉が、煩わしい。まるで死肉をあさりに来ているようにしか思えなかった。
 オブリビオンマシン『ギムレウス』が咆哮するようにジェネレーターを稼働させ、次々と背部ユニットから接近阻害地雷が展開され、敷設される。
 それらは対キャバリア用の地雷であり、指向性をもたせた鉄球が前面へと放たれるようになっている。
「殺してやる……! 『グリプ5』の連中はみんな―――! みんな殺してやるっ!」
 彼女たちの狂気はさらに捻じ曲げられていく。
 どうしようもないほどに膨れ上がった殺意が、まるで戦う敵を求めるように広がっていくのだ。

「なるほどね……ああやってオブリビオンマシンは人の心を捻じ曲げて後戻りできないようにするのね。あたしたちが第一波を全滅させることも織り込み済みってわけ」
 それは悪辣なる手段であると言わざるを得なかった。
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は器物覚醒(キブツカクセイ)によって遠隔操作する機甲式『GPD-331迦利(カーリー)』と黒鴉の式神によって戦場の状況を理解していた。
 複数の式神を使って戦況を把握するのは彼女にとって常套手段であり、欠かせぬ手段であった。

 すでにオブリビオンマシン化した『ギムレウス』に乗るパイロットたちは我を忘れている。自分たちの親しい者たちが第一波のキャバリアパイロットとして参加し、尽く全滅させられている光景を目の当たりにして冷静で居られるはずがないのだ。
「その気持はわらかないでもないけれど……乗せられている自覚は、やっぱりないのね」
 ならば、それを断ち切るのが猟兵の努めである。
「オブリビオンマシンが狂気に寄って人の心を扇動するのなら、あたしは人の心でもって相対しましょ」
 そう、彼らすべたが狂気に走った場合、全員が熱狂的に同じ行動を取るか、規律を失い隊列が乱れていくか。その二択だ。
 黒鴉の式神から送られてくる情報を見るに、今回は後者である。
 彼らは皆指向性をもたせたクレイモアタイプの自走式地雷を放っていた。それらは対キャバリア用の地雷であり、ともすれば乱戦の最中に使用していいものではない。

「そう、誰も彼もが敵を、自分の親しい人を殺した相手を、仇を討ちたくって仕方ないのね……」
 ならば、その熱狂。利用しない手はない。
 放たれる迦利が指向性を持ったクレイモアの鉄球を躱す。
「前面に指向性をもたせたのが仇となったわね! 三次元機動を行う迦利には、縦の動きもできるのよ」
 急停止、急加速、急制動を可能にした無人機ならではの動きで前面にしか指向性を保たせられないクレイモアを躱していく。
 それに一度放たれてしまえば、装填されることもない地雷など、三次元機動を行う迦利の前には無意味である。

「その冷静さを欠いた行動、一端頭冷やしなさいよ!」
 放たれるレーザーによる制圧射撃が『ギムレウス』の機体を穿つ。
 重装甲と言えど熱攻撃に耐性があるわけではあるまい。溶断するように次々と装甲を切り裂くレーザー。
 オブリビオンマシン『ギムレウス』が次々と擱座していく。武器を失い、手足をもがれた機体から降りるほか無いパイロットたちの顔が見える。
 絶望に打ちひしがれた顔だ。

 そんなかおを見るために、ゆかりたちは戦っていたわけではない。
 オブリビオンマシンが企て、我が物としようとした彼らの心を晴らすためにゆかりたちは戦っているのだ。
 だからこそ、一喝する。
「顔を上げなさい! 何のためにあたしたちが戦ったと思っているの! あなた達の親しいもの、キャバリアのパイロットたちは皆無事よ。いまは信じられないでしょう。けれど、前を向きなさい! 下を向いては良くないものに飲み込まれる」
 だから顔を上げろと一喝するのだ。
 人は下を向いてばかりいると壁にあたってしまう。いつだってそうだ。
 人の人生は前を向くからこそ懸命に生きていける。そんな風に人間は出来ているのだら。

 その希望を見せるためにゆかりは言う。
 オブリビオンマシンが陰らせ、その心を捻じ曲げてさらなる戦いの惨禍を広げようとした目論見を打ち破るために―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリッセ・トードゥ
第二波、確認。迎撃する。
この後に主力が来る、と猟兵のオペレーター?が言っていたか。加速機能停止。機体強制冷却開始。さて、温存しながら戦えるか…?
スラスターでの【推力移動】で間合いを調整しつつ、敵と通信。
「第一波の人員は全員生存してる。通信で確認してみろ。」
正気を奪われ話が通じないなら
「命がそこまで大事だと知ってるなら何故戦場にいる?
兵士としての覚悟は理解する、だがこの進攻に疑問はないのか?」

地雷原を造られたら機動力が奪われるか。ならば【サイキックロード】を使う。
通信と会話でパイロット達の存在を認識した。彼らを効果から除外し機体のみを攻撃。お前達の生まれてきた棲家に帰れ。さもなくば自壊しろ。



「第二波、確認。迎撃する」
 アリッセ・トードゥ(BE-MADER・f30023)は量産型キャバリア『CZ-1=カスタム』のコクピットの中のモニターが遠望機能によって捉えた『フルーⅦ』のキャバリア部隊の第二波の存在を確認し、息を吐き出す。
 第一波のキャバリア部隊を不殺の元に全滅させた後に再び同じ量のキャバリアを相手取るのは、連戦に継ぐ連戦で機体の消耗も激しい。
 だが、それでもアリッセは止まるわけにいかなかった。
「この後に主力が来る、と猟兵のオペレーターが言っていたか。加速機能停止。機体強制冷却開始」
 機体の冷却が始まる。
 加速機能を使った尋常ならざる速度での高速戦闘は圧倒的な力を発揮するが、それだけ機体にかかる負荷が激しいものと成る。
 機体のあちこちから排熱され、蒸気が溢れ出る。機体の冷却時間を示すパーセンテージが減っていくのを横目でみやりながら、オペレーター……おそらく猟兵としての自覚なきままに戦っていた彼女にとっては、漸く自覚した猟兵として感覚。
 グリモア猟兵が告げた本命。
 この侵略を先導したであろうオブリビオンマシンの存在を思えば、どれだけ機体を持たせられるかがアリッセにとっての問題となっていた。

「さて、温存しながら戦えるか……?」
 不安は尽きない。
 けれど、それでもやらなければならない。相手がオブリビオンマシンであるのならば尚更である。
 人の心を捻じ曲げ、操るような真似をする者のことをアリッセはどうにも好きにはなれない。
 彼女自身も国家の所有物であると扱われている。軍人らしく振る舞ってはいるが、自己裁量を認められ自由行動を行えるようになっている。
 そこに疑問はない。
 けれど、自身の力と責任の使いみちは、未だ決めあぐねている。
 どうあるべきか。その答えはもう、彼女の行動が示している。

「どうするかじゃない。どうしたいかだ。私はあの敵を、キャバリアを打倒したいのか」
 スラスターを噴かせ、キャバリアが大地を疾走する。敵は地雷敷設をも行えるタイプその装備を持っている。
 対キャバリア用の地雷は、アリッセの駆るキャバリアにとっても有効打を与えるには十分な威力を持っている。
「『フルーⅦ』のパイロット。聞こえているか。第一波の人員は全員生存している。通信を確認してみろ」
 その呼びかけは、広域に広まる通信帯を使ったものであったが、狂喜に呑まれた彼らには届かない。

 彼らは口々に殺戮の意志を見せていた。
 全滅したキャバリアの残骸を見せられ、自分の親しい者が死んだと思えば、それこそオブリビオンマシンの思惑である。
 第一波と第二波にわざわざ部隊の仲間や親類縁者を分けたのには、意味があったのだ。
「―――……悪辣な」
「許せない! 許せない! 許せない!」
 彼らの心は既に捻じ曲げられている。更にその歪みを強固にするための布石、捨て石に第一波の戦力を利用したのだ。
 その悪辣さは言うまでもない。こうやってオブリビオンマシンは平和を望む者たちの心を踏みにじってきた。

 自然とアリッセの心から湧き上がるものがあったかもしれない。
「許せない、か―――生命がそこまで大事だと知っているなら何故戦場にいる? 兵士としての覚悟は理解する。だが―――」
 アリッセは誰かに言わされた言葉ではない。自分自身の言葉でもって呼びかける。それは魂から出た言葉であったことだろう。
「この侵攻に疑問はないのか?」
 自分が他者を傷つける存在であるのならば、自分の大切なものを踏みにじられてもおかしくはないのだと気がついてほしいと願った。

 敷設された地雷原が見える。
 あれに巻き込まれてしまえばアリッセのキャバリアとて無事ではすまない。
「でも、失ってからでは、もう何も遅い! 私達の家族が喪われてしまったのなら―――誰かの家族を奪ってもいいでしょう!」
 それは悲痛なる叫びであったのかもしれない。
 けれど、心が歪められて発した言葉であるかもしれない。アリッセは頷く。
「ならば―――! お前たちの生まれてきた棲家に還れ。私は認識したぞ、オブリビオンマシン。パイロットたちは敵ではない。お前達こそが、彼らの心を歪める存在―――!」
 アリッセの機体から溢れ出るサイキックエナジーが生み出す竜巻が地雷原を巻き込んで巻き上げていく。
 オブリビオンマシン『ギムレウス』の巨体が軋む程の力。
 それは竜巻に巻き込まれた者たちを棲家へと転移させるユーベルコード、サイキック・ロードである。

「おとなしく還るのならば、それでいいだろう。だが、さもなくば―――自壊しろ」
 オブリビオンマシンが、それに同意するわけがない。
 彼らはサイキックが生み出す竜巻に巻き込まれ、散々に機体を損壊させていく。コクピットから放り出されたパイロットたちがサイキックの竜巻に巻き上げられる。
 それをアリッセのキャバリアが飛び上がり、マニュピレーターで優しく抱きとめていく。
 誰一人として生命を奪わせない。

 戦いが続く世界だとしても、無辜なる人々が傷ついていい理由がない。
 アリッセは彼女が救った生命を機体のマニュピレーターで受け止め、それをきっと信念と呼ぶのだろうと、理解したのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
おうおう、第二波も大勢でお越しと来たもんだ。
せっかくだ、相棒。
あんなに大量のキャバリアがいるんだから、対キャバリア用に編み出した新しい式神を試してみようぜ。
「・・・式、召喚【戦駆け劔武者】」

行きな、【戦駆け劔武者】ッ!
このキャバリアに酷似した式神を操り戦場に高速移動で突っ込ませるぜ。
敵キャバリアの遠距離攻撃を見切って避けたり武装した太刀で迎撃したりしながら距離を詰めて、敵キャバリアの砲身や腕や脚を叩き斬ってやるぜ。

脱出したパイロットには声を掛けとくか、相棒。
「・・・安心してください。第一波のパイロットの方達は皆無事ですよ。」


【技能・式神使い、見切り】
【アドリブ歓迎】



 荒野の彼方が揺らめき現れるのは『フルーⅦ』のキャバリア部隊であった。
 オブリビオンマシン化している彼らの機体は言うまでもなく、パイロットの心を捻じ曲げる。彼らは見ただろう。
 第一波のキャバリア部隊が尽く破壊され、無残にも残骸となって荒野を埋め尽くしているのを。
 それが如何なる事柄に寄って為されたものであるかは、もはや関係ない。彼らの親類縁者、部隊の仲間たち、あらゆる生命が喪われてしまったと思ってしまったとしても無理なからぬ光景であった。
 猟兵達は皆、パイロットの不殺を心がけついぞ誰一人として犠牲を出すこと無く助け出していた。
 この戦いが彼らの意志ではなくオブリビオンマシンの思惑に寄って為されたものであるがゆえに、オブリビオンマシンのみを破壊してパイロットを保護したのだ。
『おうおう、第二波も大勢でお越しと来たもんだ』
 神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は荒野の向こうから進んでくるキャバリア『ギムレウス』の姿をみやり、大仰に驚いてみせたような声を上げる。

 もしも、これが通常の戦いであれば第二波の軍容に人々は驚いたかも知れない。
 けれどグリモア猟兵に寄る予知によって第二波の後に待ち受ける、この侵略の黒幕であるオブリビオンマシンの存在を知っている凶津からすれば、乗り越えるべき障害でしかなかった。
『せっかくだ、相棒。あんなに大量のキャバリアがいるんだから、対キャバリア用に編み出した新しい式神を試してみようぜ』
 先程の戦闘ではキャバリアに乗っての戦闘は自分たちにとって不向きであることを痛感させられた。
 敵が鋼鉄の巨人出るのならば、己たちも鋼鉄の巨人を生み出せばいい。

 そうして生まれたユーベルコード。それこそが―――。
「……式、召喚。【戦駆け劔武者】」
 依代である桜が召喚するは、全身に霊力の炎を纏う体高5mの機動鎧武者の霊。
 黒い鎧の隙間から噴出する霊力の炎は、その力の凄まじさを物語っている。敵が巨人であるのならば、巨人を持って制する。
 それこそが凶津と桜の編み出した戦法であった。
『行きな、【戦駆け劔武者】ッ!』
 その式の構造は単純である。
 キャバリア戦を想定しているのならば、構造そのものをキャバリアへと寄せればいい。

 敷設された地雷が指向性を持っていたとしても、地中に敷設された踏み抜いた瞬間に炸裂する地雷であったとしても、かの『戦駆け劔武者』には関係がない。
 圧倒的な速度で駆け抜ける劔武者には炸裂する鉄球など止まって見えるようなものだ。
 遠距離に優れるキャバリアである『ギムレウス』であるからこそ、接近されるのを妨害する地雷敷設は必須なるものであったのだろう。
 本来であれば砲撃点を確保した上での敷設であろうが、かの劔武者の威容を見れば、たじろぐのも無理なからぬことである。
『その程度で止められるものかよッ!』
 炸裂する地雷原の中を構うこと無く疾駆する劔武者。
 構えた大太刀が最上段に振り上げられ、噴出した炎が裂帛の気合のように立ち上る。

 その一撃はオーバーフレームからコクピットを避けてアンダーフレームまで到達するVの字斬りであった。
 一刀の元に両手両足を切り裂くにはこれしかない。
 だが、それはあまりにも凄まじき剣速で放たれ、不可能を可能にするのだ。
「コクピットを避け、両腕両足を無力化するなら、こうであるべきです」
 桜が指示したのだろう。
 神速の居合術は凄まじい威力で持って次々と『ギムレウス』を無力化していく。コクピットのハッチに降り立つ。
 オブリビオンマシン化したキャバリアからパイロットが降りないことには、彼らを苛む狂喜は晴れることはない。

 オブリビオンマシンがハッチを開けまいとするかもしれないと桜は太刀を振るってコクピットハッチを切り離す。
 這い出してきたパイロットは呆然としてはいるものの、憑き物が落ちたような顔で桜を見上げていた。
『相棒』
「……安心してください。第一波のパイロットの方たちは皆無事ですよ。私達の仲間が保護していますから」
 だから、あの光景に絶望しなくていいと伝える。

 どれだけ戦争が続いたかもわからぬ世界、クロムキャバリアであったとしても、オブリビオンマシンによって生み出された絶望は拭われていいはずだ。
 ただオブリビオンマシンを倒すためだけなら、こんな回りくどいことをしなくてもいい。
 けれど、猟兵達は皆、自分の意志で言葉を投げかける。
 彼ら自身の足で再び立ち上がるために。
 一度絶望に塗れたとしても、誰かの言葉で立ち上がることができるのだと、凶津と桜は言葉を尽くすのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フュテュール・ステラセ
・心情
さて、些か面倒なことになりますね
すみませんセイヴェリオス、あなたに負担をかけてしまいますが……敵の目論みなど、正面から打ち砕きましょう

・戦闘
引き続き『光刃乱舞』による魔法剣で敵キャバリアを攻撃します
このユーベルコードが、今使える中では操縦者を救出しつつキャバリアを無効化しやすいので

本来ならばその場から一歩も動かず攻撃して対キャバリア地雷を無意味とすることも出来るのですが、それでは正気に戻った操縦者達の避難等に影響があるかもしれませんしね
足回りに【オーラ防御】を貼りつつ、対キャバリア地雷は全て踏み抜いて安全なルートを作りつつ動きましょうか

・その他
アドリブ等は大歓迎です



 小国家『グリプ5』と『フルーⅦ』との間に起こった最新鋭キャバリア暴走事故を端に発する争いは新たなる局面を迎えていた。
 第一波のキャバリア部隊を全て全滅させ、パイロットたちをオブリビオンマシン化したキャバリアから引き離すことに成功した猟兵たちに迫るのは第二波のキャバリア部隊。
 言うまでもなく第二波のキャバリア部隊も全てがオブリビオンマシン化している。
「あれだけのキャバリア部隊が壊滅している、だと……どういうことだ、アジン少将は『グリプ5』には残存キャバリア部隊が殆ど居ないとおっしゃっていたはずだぞ……!?」
 第二波のキャバリア部隊『ギムレウス』を駆るパイロットたちは皆、動揺を隠しきれなかった。
 同時に彼らの元々の部隊の仲間たちや、親しい者たちが全て死亡してしまったと捉えても仕方のない光景が広がっている。
 無残にも破壊されたキャバリアの数々。
 それは全て『フルーⅦ』側の機体ばかりだ。それらが意味するところを彼らは理解し、そしてオブリビオンマシンによって心が捻じ曲げられていく。
 同しようもないほどの憎しみが心の底から、腹の底から湧き上がってくるのだ。

「さて、いささか面倒なことになりますね。すいません、セイヴェリオス、貴方に負担をかけてしまいますが……」
 フュテュール・ステラセ(魔導機神セイヴェリオス・f29913)は魔導機神であるセイヴェリオスに侘びた。
 キャバリアと、それを駆る者の間に通じる何かがそうさせているのだろう。
 彼女にとってこれから行うであろう戦闘機動は乗機であるセイヴェリオスの機体に多大なる負担をかけることになる。
 だが、それでも為さねばならぬことがある。

 この侵略を裏で糸引くオブリビオンマシンの策動はもはやわかりきっている。
 この光景を第二波のキャバリアパイロットたちに見せるために、わざと情報を小出しにしているのだ。
 第一波のキャバリアパイロットたちは捨て石に過ぎない。
 彼らの死によってさらに強化される第二波のキャバリアパイロットたちの心の歪みにつけ込み、さらなる戦争の惨禍を広げようというのだ。
 その悪辣なる振る舞いを許してはおけぬ。
「……敵の目論見など、正面から打ち砕きましょう」
 魔導機神セイヴェリオスが飛翔する。
 お願い、と小さくつぶやくフュテュールが祈るように、そしてその瞳を前に見据える。

 幾何学模様を描く魔法陣が生み出され、魔法剣が現出する。
「セイヴェリオスは攻撃に集中……私は、地面に敷設された地雷を―――!」
 セイヴェリオスの瞳が輝く。
 それはユーベルコードの輝きであり、宙に浮かぶ魔法剣の全てをコントロールする光であった。空に浮かび上がった魔法剣の数はおおよそ500を超える。
 その全てがコントロールされ、敵キャバリアを無力化するのは、策動するオブリビオンマシンの目論見など無意味であると知らしめるには十分過ぎる威容であった。

 大地を踏みしめる魔導機神セイヴェリオス。
 しかし、その大地には対キャバリア用地雷が敷設されている。例え、魔導機神と言えどもキャバリア用に威力をあげられた地雷は、その脚部を吹き飛ばすには十分な威力を持っていた。
 けれど、魔導機神セイヴェリオスは一人ではない。
 その内に猟兵であるフュテュールがいる。彼女のオーラの力が足まわりに防御を張り巡らせ、踏みしめるたびに地雷が爆発しても、その全ての衝撃を吸収し防ぐのだ。
「セイヴェリオス! 彼らを傷つけずに、手足を無力化!」
 放たれた魔法剣がキャバリアの『ギムレウス』の手足を貫き無力化していく。

 地雷原があるのであれば、本来一歩も動かずに魔法剣による光刃乱舞(マスカレイド・レイスパーダ)によって敵を無力化するだけでいい。
 けれど、それは即ち無力化したキャバリアのパイロットたちが避難する際に影響がるかもしれないという優しさ故であった。
「彼らもまたオブリビオンマシンに心を捻じ曲げられた者たち。彼を救ってこそ、はじめてオブリビオンマシンの目論見もくじくことができるでしょう」

 オブリビオンマシンのコクピットから這い出てくるパイロットたちを見下ろすフュテュールの表情はわずかに和らいでいた。
 徒に彼らの心を乱し、狂喜へといざなうオブリビオンマシンの存在。
 その黒幕がこの先に控えていることを思い出し、フュテュールの表情が引き締まる。
 彼女は戦わなければならない。
 この無意味な騒乱を引き起こし、クロムキャバリアに戦争を終わらせまいとする意志と―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蛇塚・レモン
オブリビオンマシンのせいとはいえ、全滅って聞くと確かに心を病むよね……っ!

今回も生身でゆくねっ!
大声でパイロット達へ叫ぶよっ!

安心してっ!
そっちの仲間はみんな無事だよっ!
あたいらは猟兵っ!
埒外の存在で、超常を操る世界の守護者っ!
この戦闘を終わらせに来たんだよっ!

念動力で空中戦+空中浮遊
地雷と敵機を神火に変換して、射程内を無力化させるよっ!

ほらねっ?
パイロットのみんなは火傷しないで無力化出来たでしょっ?
あなたたちは、オブリビオンマシン化したキャバリアに乗り込んでしまったから、暴れまわってたんだよっ!

こうみえて、あたいの半分は神様なんだよっ!

神々しく神楽を舞いながら戦うよ!



「全滅……したのか? あの数のキャバリアが、全て?」
 それはあまりにも信じがたい報告だった。『フルーⅦ』の『グリプ5』へと侵攻するキャバリア部隊の中に緊張と動揺が走る。
 当然のことであった。
 なぜなら、『グリプ5』に残存するキャバリアの数は限られており、侵攻する側のこちらには、それらの数倍どころではない圧倒的兵力が用意されていたのだ。
 さららにこちらの陣頭指揮を取るのは『キマイラ』と呼ばれるほどに卓越した外交手段と戦闘の力量を持つアジン少将である。
 万一に負ける要素はなく、同時に死傷者が互いに出るような戦闘行為に及ぶとは考えられていなかったのだ。

 だからこそ、『グリプ5』側の反撃にあって己たちの部隊の仲間たち……今回の侵攻において部隊編成によって分かたれた同僚や親しいものたちが第一波に参加していた第二波のパイロットたちは深い哀しみと絶望に叩き落された。
「嘘だろ……嘘だって言ってくれよ!」
 けれど、彼らの言葉は届かない。
 オブリビオンマシンと化したキャバリア『ギムレウス』のコクピットの中で彼らの心がどす黒く染まっていく。
 在るのは殺意だけだった。『グリプ5』の住人は一人残らず殺す。殺戮しても飽き足りない。自分たちの親しい者たちを殺された恨みは怨念のようになって彼らの体を突き動かすのだ。

「オブリビオンマシンのせいとは言え、全滅って聞くと確かに心を病むよね……っ!」
 蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は生身のまま、第二波として荒野に到着したキャバリア部隊を目前にして、そう言葉をこぼした。
 彼女たち猟兵はこうなることがわかっていた。
 オブリビオンマシンの黒幕が何故、このようなことをしたのかも理解していた。彼らは手駒がほしいのだ。
 より歪んだ心に人々が陥るように、戦いが続くように、その心を歪めどす黒い狂喜で染め上げたい。そのために第一波を猟兵達に倒させた。
 言わば捨て石にして布石なのだ。

 だからこそ、猟兵達は不殺を掲げた。
 オブリビオンマシン化したキャバリアのパイロットたちを開放し、保護する。それらは誰ひとりとして犠牲に成ること無く行われ、オブリビオンマシンの策動を無意味へと帰すのだ。
 けれど、キャバリアの残骸しか残らぬ荒野を見れば、誰しもが心を痛めてしまう。
「安心してっ! そっちの仲間はみんな無事だよっ!」
 レモンは声を張り上げて知らせる。
 その言葉は届かないかもしれない。彼らはすでに深く絶望し、オブリビオンマシンによって心を歪められてしまっている。
 けれど、言わずには居られないのだ。
「あたいらは猟兵っ! 埒外の存在で、超常を操る世界の守護者っ! この戦闘をおわらせに来たんだよっ!」
 その言葉の意味を解する者たちはいなかった。
 けれど、レモンは意に介さない。なぜなら、それは宣言以外の何物でもなかった。

 戦闘は終わらせる。
 この無意味な戦いに終止符を打つ。
 念動力に寄って空へと舞い上がる。どれだけキャバリアが鋼鉄の巨人のごとく巨大な存在であったのだとしても、レモンが立ち向かわぬ理由はない。
 憑装・蛇塚ホムラオロチ神楽(ソウルユニゾン・ヘビヅカホムラオロチカグラ)によって周囲の無機物を裁きの神火へと変換させる。
「ライム、あたいに力を貸してっ!」
『仕方ないなぁ、姉さん……』
 次々と荒野に敷設された地雷を神火へと変換し、無力化させていく。大地に華が咲いたように地雷が炎となって立ち上り、レモンの手が指揮するように振るわれれば、神火がオブリビオンマシン『ギムレウス』へと飛び火していく。

「ほらねっ? パイロットみんなはやけどしないで無力化出来たでしょっ?」
 燃え盛るキャバリアから転げ落ちるようにしてパイロットたちが這い出す。
 あらゆる無機物を神火へと変換するユーベルコードの輝きのままにレモンは声を張る。
 言葉を尽くさなければ、彼らはきっと絶望に呑まれたままだろう。オブリビオンマシンから降りたことで理性は取り戻したとしても、彼らが己の親しい人々を失ってしまったという哀しみまでは拭えない。
 だからこそ、言葉を紡ぐのだ。
「あなたたちはオブリビオンマシン化したキャバリアに乗り込んでしまったから、暴れまわってたんだよっ! それにね、こうみえてあたいの半分は神様なんだよっ! だからほら、あっち、あそこに空母があるでしょう。あそこにあたいらの仲間が、あなたたちの仲間を保護しているから、向かってご覧よっ!」

 きっとそこには彼らが臨んだ未来があるはずだ。
 失ってしまったと思った大切な誰かが、きっと喪われずに在る。そのために猟兵達は力を尽くしたのだから。
 レモンは神々しく神楽を舞うように戦場を駆け抜ける。
 誰かのために戦うことはいつだって正しいことだ。
 けれど、此処クロムキャバリアには、それすら許されぬ者たちがいる。心を捻じ曲げるオブリビオンマシンがあるからだ。

 その黒幕がこの後に控えている。
 全てはオブリビオンマシンの策動故。それを打破するためにレモンは戦い続けるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
ったく、二重三重に周到な事
一個ずつ片づけるしかないのが歯痒いわね

出来るだけ死人は出したくなけど、あれを無力化するのは大変ね
手っ取り早くいきましょう

・戦闘
相手の射角を【戦闘知識、メカニック】で【見切り】、地面を這うような低い疾走で的を小さくして間合いを盗む
直撃弾は紋章の力で重力【属性攻撃】を纏った両手で廻し受け【グラップル、オーラ防御】でいなしたい。砲でもミサイルでも持ってこいってもんだ
反撃は、UCで持ち上げた敵機を【敵を盾にする】ように遮蔽にし、【投擲、重量攻撃】で敵機同士を鉢合わせにする
パイロットならきっちり耐衝撃訓練はしてるだろうから、まぁ死にはしないだろう
同じ戦闘動作を手早く繰り返したい



 砲撃戦装備のキャバリア『ギムレウス』の背面ユニットに装備された背部大型キャノン砲の砲身が展開される。
 それらは元々『グリプ5』への牽制と威嚇のために用意された武装であり、使用される予定はなかった。
 けれど、第一波のキャバリア部隊が全滅したとの報告を受けて、『ギムレウス』のパイロットたちは無断で使用に踏み切ったのだ。
 彼らを突き動かすのは、ただの怨念だった。
「クソッ! クソッ! あいつらただじゃおかねぇ! 俺たちの仲間をやったツケは払わせてやる!」
 怒りに震える『ギムレウス』のパイロットたち。
 彼らは全滅した第一波のキャバリアの残骸を見ていた。アレを見て第一波のキャバリアパイロットたちが無事であるとは到底思えなかったのだろう。

 だからこそ、その瞳はオブリビオンマシン化したキャバリアのコクピットの中で妖しく輝く。
 憎悪に染まった瞳は、オブリビオンマシンが望む駒になったことを意味していた。
「ったく、二重三重に周到なこと。一個ずつ片付けるしかないのが歯がゆいわね……」
 才堂・紅葉(お嬢・f08859)は歯噛みするような思いだった。
 一連の騒動はオブリビオンマシンの策動あってのことだろう。本来であれば、外交筋で終わる話を侵略行為にまで踏み切らせたのは言うまでもなくオブリビオンマシンが心を捻じ曲げたからだ。

 それも一つや二つではない。
 最新鋭キャバリア暴走事故もその一環だろう。これからどれだけの策動の結果が表面に出てくるのかもわからない。
「……できるだけ視認は出したくないけど、あれを無力化するのは大変ね」
 敵キャバリア『ギムレウス』の威容を見れば紅葉の溜息も分かるというものだ。展開された大型キャノン砲は明らかに『グリプ5』の市街地を狙っている。
 あの砲撃に晒されれば、何の防衛力もいまは持たない都市が破壊的ダメージを受けてしまうのは想像に難くない。

 ならば、打たせる前にこちらが仕留めてしまえばいい。
「手っ取り早くいきましょう」
 彼女の右手に浮かぶはハイペリアの紋章。
 その紋章が輝く時、彼女の心は既に決まっている。荒野に駆け出す。何処まで行ってもキャバリアの残骸しか無い大地。
 この光景を見て、絶望に沈まぬ心強き者がどれだけいようか。
 友が、同僚が、仲間が、恋人が、親が、兄弟が。
 死せると知って心を揺らがさぬ者は多くはない。紅葉だってそうかもしれない。心が全く揺れないとは言えない。

「だからこそ、手っ取り早く! 死人は誰ひとりとして出させない! 街の人も、キャバリアパイロットもね!」
 輝け、とユーベルコードを囁く。
「コード:ハイペリア承認。軽重力場限定展開ランク1実行」
 手の甲にハイペリアの紋章が輝き、その力を現出させる。キャバリア『ギムレウス』に肉薄した紅葉が巨大なキャノン砲の砲身を掴む。
 それはあまりにも唐突な行為であり、相対した『ギムレウス』のパイロットは理解に苦しむ行為であったことだろう。

 だが、それはあまりにも不用心であった。
 ユーベルコードの輝き放つ手で触れたものを軽々と持ち上げる紅葉。それは神話に出てくる怪物の如き力であった。
 まるで重量など関係ないとばかりに持ち上げ、機体を大地に叩きつける。
「ば、ばかな!? キャバリアがどれほどの重量があると……化け物か、あれは!?」
 その動揺は決定的な隙となる。
 紅葉は叩きつけたキャバリアを更に持ち上げ、縦にするように自身の身を隠し、キャバリア同士をぶつけ、装甲をひしゃげさせるのだ。
「パイロットなら耐衝撃訓練は行っているでしょう! 首を護りなさい!」
 裂帛の気合と共にキャバリアを持ち上げ、再び大地に叩きつける。
 機体のフレームがひしゃげ、折れ曲がり行動不能と成れば即座に標的を切り替え、砲撃を行おうとする『ギムレウス』へと掴みかかる。

 紅葉に銃弾を打ち込もうとしても無駄だった。
 そのハイペリアの紋章輝く手がある以上、あらゆる攻撃は両手で回し受けられ、魔法の如き技術でもって銃弾すらも受け流してしまう。
「砲でもミサイルでももってこいってんだ!」
 再び『ギムレウス』の機体を軽々と持ち上げ、叩きつける。そこからはもはや悪夢のような光景であった。

 掴みかかり投げつけ、叩きつける。
 それの繰り返しであるというのに、『ギムレウス』は歯がたたないのだ。なぜなら、誰も想定していないからだ。
 キャバリアを格闘戦で投げ飛ばし、叩きつけて撃破しようとする……それを考え実行する者が現れるとは思っていないのだ。
 その点において紅葉の存在はイレギュラー中のイレギュラーであったに違いない。

 彼女のオブリビオンマシン化したキャバリアへの攻撃は苛烈を極めた。
 パイロットたちはコクピットの中の耐衝撃素材に守られていたが、機体が五体満足であった者はひとつもなかったのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
引き続き『ファントムシリカ』に乗ったまま参戦です

アレが第二波ですか
囚われている時間は少ない方が影響も少ないはず

「いっきまーすっ!」
一直線に敵集団へ突撃
敵の迎撃…は
「地雷設置ー!?だったら!」
急制動&フローライトダガーを構え
「罪深き聖女よ……祈り、叫び、打ち砕け!」(詠唱は適当)
無機物とキャバリアだけを壊す効果を持たせた【快刀乱麻】で!
進路上の機雷を全部破壊して対処
爆風をやり過ごした後、土煙が収まる前にその上を突破
視界の悪さを利用して一気に接近してからの
フローライトダガー二刀流で倒しますっ!
「今回は私、かなりクノイチらしいんじゃないでしょうか!?」
え、目立ってる?そんなぁ…

※アドリブ連携OK



 次々とキャバリア『ギムレウス』が対キャバリア地雷を敷設していく。
 彼らの機体は砲撃戦を想定した装備ばかりだ。近接戦闘に持ち込まれてしまえば、備えが在るとは言え心もとないのは事実である。
 故に砲撃を止めようと接近するキャバリアに対しての対策を打つのは当然のことであった。
「なんだってこんなことに……! あるのかよ、第一波のキャバリア部隊が全滅なんて、そんなことがよ!」
 彼らが忌々しげに毒づくのも理解できる。
 圧倒的数の優位に立っていた『フルーⅦ』の部隊だったというのに、蓋を開けてみれば第一波は全滅。
 一体何がどうなれば、そんな事態に陥るというのだ。
 涙が零れそうに成る。彼らの中には第一波と第二波で別れた親しい者たちも居た。全滅したキャバリアの残骸が残る荒野をみれば、その生存が絶望的であるのは間違いないように見えてしまう。

 だからこそ、オブリビオンマシン化した『ギムレウス』に乗り込む彼らは心をさらに深く歪められる。
 怨念を、怨嗟を撒き散らすオブリビオンマシンの手駒に落ちてしまうのだ。
「アレが第二波ですか……オブリビオンマシンに囚われている時間は少ないほうが影響も少ないはず……」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は淡い紫と白のカラーリングの女性型キャバリア『ファントムシリカ』のコクピットからオブリビオンマシン化したキャバリア『ギムレウス』の姿を捉えていた。

 彼らの心を黒く染め上げる憎悪は、オブリビオンマシンの策動に寄って生み出されたものだ。時間が立てば立つほどに彼らの心はさらに深く闇色になってしまうだろう。
 そんなことはさせてはならない。
「いっきまーすっ!」
 間髪入れずファントムシリカが戦場を駆け抜ける。
 それは疾風のようであり、また稲妻のような速度だった。だが、彼女が駆け込む戦場の先にあるのは敷設された地雷に寄って地雷原と化した大地。
 対キャバリア用地雷である以上、ファントムシリカと言えど、踏み込めばただで済むことはないだろう。
 けれど、サージェには考えがあったのだ。

「地雷設置ー!? だったら!」
 急制動を掛け、淡い緑色のビームダガーを構える。
 地雷原直前で止まったファントムシリカのコクピットの中でサージェの詠唱が始まる。
「罪深き聖女よ……祈り、叫び、打ち砕け!」
 その詠唱が呼び起こすのはユーベルコードの輝き。詠唱時間に応じて無限に威力の上昇する力。
 フローライトダガーにビームの勢いが増す。そのビームダガーに付与されし力は無機物とキャバリアにのみ破壊を齎す。
「受けてもらいます―――そうるぶれいかーっ!!」
 放たれるは巨大な三日月状のエネルギー波。ニ刀に構えたダガーが描く軌跡は十字。その巨大なエネルギーの奔流がファントムシリカを阻む地雷原を全て薙ぎ払っていく。

 それこそがユーベルコード快刀乱麻(ブレイクアサシン)の力。
 あらゆる無機物を破壊する力は敷設された地雷を次々と破壊し、爆炎を巻き上げる。土埃と煙が舞い上がる荒野を疾走する機体があった。
「一気に決めさせてもらいますよっ!」
 ファントムシリカのカメラアイが輝き、土煙の中から『ギムレウス』を強襲する。放たれる斬撃は次々と『ギムレウス』のコクピットを外して機体を無力化していく。

 一機が土煙の向こうに倒れ込む気配があれば、次の瞬間には別の方角から機体が倒れ伏す。
 それはまさに姿現さぬ暗殺者の如く。
 けれど、その姿はきらめくユーベルコードのままに『ギムレウス』のパイロットたちを震撼させたことであろう。
「今回は私、かなりクノイチらしいんじゃないでしょうか!?」
 確かに彼女の言う通り、ファントムシリカのスムーズな敵機撃破はアサシン、忍者と言っても差し支えないものであったことだろう。

 けれど、地雷原を突っ切る攻撃。
 あれはとても目立っていた。悪い目立ち方ではないけれど、忍ぶ者としては……。
「え、目立ってる? そんなぁ……せっかくがんばったのにぃ」
 そう、忍者としてはどうなのかと問われたら、残念ながら。
 けれど、彼女のお陰で救われた生命も在るのだ。それは言うまでもなく、彼女の功績なのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【ネルトリンゲン】はこのまま前線で拠点になるね
防御に専念して被害のでないように気をつけよう。

できれば復活したキャバリアの部隊のみんなにもいっしょに戦ってもらえたら嬉しいけど、こちらも防御を最優先。
怪我のないようにしてもらいたいな。

それと、避難したパイロットのひとたちには最優先のお願い!
第2波に参加しているひとたちに知り合いがいるなら、呼びかけてもらいたいと思ってるよ。
自分たちは生きている。そして、みんな操られているんだ、と訴えてもらいたいよー。

わたし自身は整備が落ち着いていたら、キャバリアを借りて防御にでよう。
【モーフィング換装】で防御を上げれば墜とされないよね。
半分にするのは、攻撃力、かな。



 ミネルヴァ級戦闘空母『ネルトリンゲン』は、前線に在って猟兵たちが保護した『フルーⅦ』の第一波のキャバリアパイロットたちの保護を目的とした拠点となっていた。
 それは戦い続ける猟兵たちにとっては守らなければならないパイロットたちの保護という重要な事柄を一手に請け負うものであった。
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はすでに『グリプ5』に残されていた大破したキャバリアを全て修復し終えていた。
「ふぅ……なんとか今あるキャバリアたちは修復が完了したよ」
 額に汗しながら、彼女の神業の如き作業効率と速度、そして精度によってキャバリアは完全稼働できるまでに復調していた。

 すでに複数のキャバリアが『ネルトリンゲン』の防衛にあたってくれている。
 収容している『フルーⅦ』のキャバリアパイロットたちも正気を取り戻している。彼らの生命が奪われず、誰ひとりかけることなく保護できたことは大きい。
「できれば修復したキャバリアで部隊を組んでみんなと一緒に戦ってもらえたら嬉しいけど……まずは『ネルトリンゲン』の防衛を最優先。できれば怪我をしないようにね」
 艦長として理緒が号令を飛ばす。
 それは猟兵としてもそうであるのだが、一人の人間としての願いであった。
 せっかく拾った生命である。粗末に扱って欲しくはないし、戦乱が続くクロムキャバリアにおいて、誰かとの繋がりは大切なものである。
 それがどんな力になり得るか、理緒はわかっている。

 すでに『フルーⅦ』のキャバリア部隊の第二波が荒野に到着していることは、他の猟兵たちの戦いぶりから分かっている。
 そして彼らの背後で糸を引く用に策動しているオブリビオンマシンの存在のことも。
 第一波のキャバリア部隊は捨て石にして布石なのだ。
 破壊され尽くしたキャバリアの残骸を見て、第二波のパイロットたちは思うだろう。
 第一波の作戦に参加した己たちの親しいものたちの生命が喪われてしまったと。そうなれば、オブリビオンマシン化したキャバリアに乗る彼らの心はさらに捻じ曲げられ、歪んでいってしまう。
「それは取り返しの付かないことだから! だからお願い!」
 理緒は艦内放送で呼びかける。
 収容したキャバリアパイロットたちに立場も、身分も越えて頭を下げるのだ。
「第二波に参加している人達に知り合いがいるなら、呼びかけてほしいの! 自分たちは生きている。そして、みんな操られているんだって」
 オブリビオンマシンであることを知覚できるのは猟兵だけだ。

 普通のキャバリアパイロットたちには知覚できない。
 操られていると言われても、理解できないだろう。それにオブリビオンマシン化したキャバリアに乗り、さらなる絶望に見舞われ歪められた心に、第一波の彼らの言葉が届くとは誰も思わなかった。
 けれど、理緒だけは信じている。他の猟兵だってそうだ。
 人の心が見せる光や暖かさが、人を救うことだって在るのだと。だからこそ、駄目で元々でもいい。
「外部スピーカーの使用を許可します。だから、お願い。誰一人欠けて欲しくはないから―――!」
 理緒の言葉は、『フルーⅦ』のパイロットたちの心を打った。

 誰しもが声を上げた。
 スピーカーから溢れる呼びかける声。
 自分は生きていると。
 誰も憎まなくていいのだと。
 そんな声が戦場に溢れる。そんな中、理緒は修復したキャバリアを借り受けて『ネルトリンゲン』の防衛に当たる。
 キャバリアの操縦は初めてであったが、モーフィング換装(モーフィングカンソウ)によって防御に最適化した機体であれば、早々に落とされることはないだろう。

「攻撃力を犠牲にして、防御力を高めてある……きっと裏で糸引くオブリビオンマシンが狙うなら……」
 そう、キャバリアパイロットたちを保護している、この『ネルトリンゲン』だ。
 この空母を落とされてしまえば、オブリビオンマシンは次に傀儡として操るのは『フルーⅦ』に残された人々だろう。
 そうなればいよいよ戦争は止まらない。
 戦いと憎しみの連鎖は広がっていくばかりだ。だからこそ、理緒は空母『ネルトリンゲン』の防衛に専念するのだ。

「絶対に、ネルトリンゲンは落とさせはしない。何もかもオブリビオンマシンの思い通りに行くなんて、そんなこと絶対にさせないんだから―――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
しかし、オブビリオンの策略とはいってもさー。
アンタたち…戦争する覚悟が足りないよ。討ったら討ち返される…悲しいけど、それが戦争よ。
まーボクは戦争する気はないから、君たち誰も殺す気はないけどね。

さってと、全域【索敵】終了。
敵機の現在位置と機体の移動能力から軌道を【瞬間思考力】でさくっと予想。
んじゃ、チェンジマイズ・トリル…αにオーバーフレームを換装っと。
砲撃戦だよ。
【エネルギー充填】100%のダークマンティスの【レーザー射撃】で【砲撃】していくよ。
コックピットと動力の位置はもうわかってるからね。
大丈夫、第一波の人たちは無事だよ。
なら、あとは君たちが無事じゃないと…


アドリブは大歓迎だよ。



 戦争する意味とは一体なんであろうか。
 生まれた頃からずっと戦争は生活の一部だった。100年戦争とも言われるクロムキャバリアの戦争はいつ終わるとも知れぬ戦いの中に日常を見出すほかなかった。
 だからという言い訳が効くわけもない。
 誰も彼もが争いに塗れた生活を贈るのであれば、そこに生まれるのは信条であったり、考え方の相違であった。
 この争乱続く世界において、オブリビオンマシンの策動は常につきまとう。
 何処の紛争を見てもオブリビオンマシンが必ず一枚噛んでいる。それはオブリビオンマシンを知覚できぬ人々にとってはどうしようもないことだが、猟兵にとってはそうではない。
「しかし、オブリビオンの策略とはいってもさー」
 クロムキャバリアのコクピットの中でユーリー・ザルティア(レプリカントのクロムキャバリア・f29915)は『フルーⅦ』のキャバリア部隊の第二波の陣容を見てつぶやく。

 彼らはいま、第一波が全滅した現状を見ていることだろう。
 破壊されたキャバリアの残骸が雄弁に語るのは、第一波のキャバリア部隊の無残な敗北。数で勝る『フルーⅦ』にとってそれは想定外の事態出会ったことは間違いない。
 それに彼らは死傷者が互いにでることはないと踏んでいたのだ。この第二波のキャバリア『ギムレウス』にしてもそうだ。長距離砲撃の装備だってただの威嚇だと思っていた。
「なのに、なんで……」
 呆然とつぶやくキャバリアのパイロット。
 震える手を抑え込んで操縦桿を握る。歯を食いしばる。ぎりぎりと音を立てる。それはもうどうしようもないほどの憎悪が体を支配する音にしか聞こえなかった。
「憎い……憎い……! あの人を殺した奴らが……!」
 第一波には恋人のキャバリアパイロットも居た。
 兄弟もいた。
 それらが全て喪われてしまった。そう思わせるには十分な光景だった。それこそがオブリビオンマシンの策略であることに彼らは気がつけない。

「アンタたち……戦争する覚悟が足りないよ。討ったら撃ち返される。悲しいけど、それが戦争よ」
 ユーリーがつぶやく。
 悲しいことばかりの世界。それがクロムキャバリア。戦争が続くということはこういうことを言うのだとユーリーは一瞬腹立たしげな表情に成る。
 すでに戦場全域の索敵は終わっている。
 無人機から送られてくる情報には『ギムレウス』のコクピットの箇所や砲撃姿勢に移るまでの時間まで詳細に記されている。
 ユーリーの頭の中で戦術が組み上がる。
 レプリカントである彼女にとって、一瞬とは熟考そのものである。敵機位置と自身の位置、そして互いの移動能力から割り出すエンゲージポイント。

「撃たれる前に撃つ! オーバーフレーム強制排除!!」
 ユーリーのキャバリアのオーバーフレームが白煙を上げて強制解除される。
 排出されたオーバーフレームが地面に落ち、量産型キャバリアから排出された砲戦フレームαがアンダーフレームとコクピットだけになったキャバリアに乾燥される。
「チェンジマイズ・トリル……砲撃戦だよ!」
 BS-S-BL09ダークマンティス。
 それが砲戦フレームαの最大にして最高の火力を誇る超巨大荷電粒子砲の雄姿であった。

「エネルギー重点100%……アンカー固定。出力固定。トリガーのコントロールをボクに!」
 背面からせり出す超巨大荷電粒子ビーム砲が二門、地面と水平に構えられる。砲門に充填されていく光は荷電粒子の輝き。
「荷電粒子砲!? させるか! 砲撃―――」
「間に合わないよ。君達の機体は砲撃戦用だけど、砲撃姿勢を取るのに時間がかかる……まーボクは戦争する気はないから、君たち誰も殺す気はないけどね」
 引き金を引く。
 放たれる荷電粒子ビームの奔流がすでにコクピットと動力の位置を把握したスナイパーの如き一撃でキャバリア『ギムレウス』の動力部を打ち貫く。
 エネルギーインゴットに誘爆しないギリギリの出力。
 あらゆるデータを揃えたからこそできる神業の如き射撃技能だった。

「大丈夫、第一波の人達は無事だよ。なら、後は君達が無事じゃないと……」
 ユーリーたちの戦いに意味はない。
 倒すだけでは終わらない。討ち果たして、そのままで終われるのならば、こんな回りくどいことはしなくていいのだ。
 けれど、あえてユーリーたち猟兵は回り道をする。

「結局の所、最短の距離を走るより、回り道のほうが早かった、正解だったなんてことは世の中ざらにあることだよ」
 だから、遠回りでもいい。
 生きてさえいれば、道は開けるのだから―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
第一波のキャバリア残骸から通信機の使えそうなの漁って…
『メカニック』の知識でちょっと修理して弄って敵軍の回線に割り込もう
後は椅子とテーブル用意して、はい完成
此処が戦場ラジオ局
オシャレなAMの番組っぽいBGM流しながら放送開始だね
はい、では毎度お馴染み戦場猟兵ラジオのお時間です
今日のゲストはフルーⅦのパイロットの皆さんでーす
第二波所属の皆さんに一言メッセージお願いしまーす

まあそんな訳で、皆さん無事な訳ですけど貴様はどう思う?
じゃ後は皆さんごゆるりと…

これで少しは動揺してくれたら良いんだけどね
高所で【高速演算】を起動
敵機の砲塔を狙って最大射程から斬撃で攻撃しよう

さあ、斬撃による遠距離戦を始めようか



 オブリビオンマシンは常に闘争を求める。
 どれだけクロムキャバリアの世界が平和へと一歩を踏み出そうとも、その一歩すらも許さぬとばかりに破滅への道を歩ませようとする。
 今回の『グリプ5』と『フルーⅦ』の侵略戦もまた策動の一つであることだろう。
 この諍いがただ最終目標ではないことはもはや猟兵にはわかっていることだ。例え、この侵略戦の背後に控える黒幕であるオブリビオンマシンを打倒したとしても、戦いは終わらない。
 どれだけ言葉を尽くしても、一度生まれてしまった諍いの種は芽吹いた後に種子を撒き散らす。

 どこに飛んだのかもわからない種子は知らぬ間に芽吹き、また争いの花を咲かせる。
 それがオブリビオンマシンのやり口なのだ。
 だとするれば、猟兵はどのようにして戦うべきであろうか?
「おっと、これも使えそうだね……あー……これは、ポッケにインっと」
 戦場となった荒野に緊迫した戦争の雰囲気とは似つかわしい声が響く。月夜・玲(頂の探究者・f01605)は第一波のキャバリア部隊の残骸から通信機の使えそうなものを漁っていた。
 別に火事場泥棒をしているわけでは断じて無いんだからね! と玲は誰にともなく言い訳をしつつ、ちゃっかりポッケインしているところからして確信犯である。
 メカニックの性なのだろう。

 そんな彼女が何をしているかと言うと敵機から拝借した通信機を修理しているのだ。更に改良を加えていく。
 第二波のキャバリアもオブリビオンマシン化していることはわかっている。
 当然、オブリビオンマシンの策動の傾向から察するに第一波の通信機も第二波のものとはつながらないように細工しているはずだ。
「その程度で人間を嘲笑っているのなら、ちゃんちゃらおかしいね」
 オブリビオンマシンが人智を越えた者であるのならば、猟兵もまた生命の埒外にある者である。
 その程度の謀略を乗り越えられないで何が猟兵か。
「ほいほいっと……後は椅子とテーブル用意して、はい完成」

 誰もが目を疑ったことだろう。
 玲の周りには『フルーⅦ』のキャバリアパイロットたちが集まっている。
 他の猟兵の働きによって多数の『フルーⅦ』のキャバリアパイロットたちは保護されている。けれど、未だ保護しきれていない者たちを玲は集め、保護していたのだ。
 そんな彼らの目の前に置かれた椅子とテーブル。
 そして通信機。皆、正気に戻っているのだが、戦場にはあまりにも似つかわしい雰囲気。
 おしゃれなAMの番組っぽいBGMを流しながら唐突に始まるのは―――。

「此処が戦場ラジオ局。貴方のお耳の隣に月夜・玲がお邪魔します。はい、では毎度おなじみ戦場猟兵ラジオのお時間です。今日のゲストは『フルーⅦ』のパイロットの皆さんでーす」
 どういうことだと、全員が思っている。
 キャバリアパイロットも、他の戦場で戦っている猟兵達もみんな同じ気持ちであったかも知れない。
 心持ちパイロットたちの表情が硬いのが気になった玲は雑談とばかりに話題をふる。

「『フルーⅦ』ってあれかな。花の七番とかそういう意味? 『グリプ5』ももしかしてそんな? ああ、茸の5番とか、そういうふうな意味なのかな? え、知らない?」
 そんなこんなで彼らの緊張を解きほぐしながら玲は本題に入る。
「ここで第二波所属の皆さんに一言メッセージお願いしまーす」
「つ、つながっているのか? 俺たちも散々試したんだ。でも、どうやっても本隊につながらない……」
「まあまあ、物は試しにやってごらんよ。あ、もう声は届いてるからね。オンエアーってやつ」
 玲は軽快に笑いながら、通信機の向こう側で第二波のキャバリアパイロットたちが動揺しているのわかる。
 情報が錯綜しているのだろう。

「どういうことだ! 第一波の部隊は全滅したはずじゃ……夢を見てるのか? まだ悪夢の続きなのか、これは……!」
 動揺が伝わる。そんな彼らに第一波のパイロットたちが次々に無事を伝える声を届ける。
 それは感動とかそんなちゃちなものではない。
 その感情の波が一つの大きなうねりに成っていく。オブリビオンマシンが目論んだ深き狂気と絶望に人々を飲み込もうとする策略。それを打ち砕いたのは玲ではない。人々の心にあるものだ。

「まあ、そんな訳で、皆さん無事なわけですけど……貴様はどう思う?」
 チャンネルを変える。
 それが何処につながっているか玲はわかっている。この事件の最後に控えるオブリビオンマシン。そこにつながっているのだ。
 一瞬真面目な顔になるが、すぐに表情を崩してチャンネルを変える。

「なんちゃって。じゃ、後は皆さんごゆるりと……」
 そう言って玲は高所へと移動する。見下ろす先にあるのは、オブリビオンマシン化したキャバリア『ギムレウス』の姿。
 彼らは通信を聞いて動揺している。どうしていいかわからないのだ。ならば、玲が為すことは決まっている。

「動揺しているね……I.S.T起動。サポートモード、敵行動予測開始。さあ、斬撃に寄る遠距離戦を始めようか」
 高速演算(コウソクエンザン)による未来予測の如く敵機の動きを予測して模造神器の一振りが、斬撃による衝撃波を伴って、『ギムレウス』の部隊を薙ぎ払う。
 尽くがコクピットを外した斬撃であったが、それだけで十分だった。
 高所からの斬撃。それを予想できるパイロットなどいようはずもない。それがキャバリアではなく生身の人間から放たれるなど、ありえないからだ。

「こそこそ、人の影に隠れて何やら動き回っているようだけど、見えていないと思っているのなら大違いだよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
あれは砲撃陣地…
騎士として正面からの接近も吝かではありませんが…ここは消耗を抑えましょう

砲撃を●推力移動による滑走で躱し、砲撃用武装が無いと観測させつつセンサーでの●情報収集で陣地の位置など計測
キャバリアの物資収納スペースの手榴弾を●怪力で山なりに●投擲
悟らせないよう投げる瞬間は●防具改造で装着したスモークで隠蔽

陣地に落ちた小型手榴弾の中身の普段使いの妖精ロボ達を遠隔●操縦
敵の砲弾倉や武装へのレーザーでの●破壊工作や機体への●ハッキングで無力化
沈黙した部隊に接近し近接武装で機体を破壊

(1章で救助した人々に渡しておいた通信機で妖精ロボ経由で声を届かせ)
縁者の方は皆様ご無事です、どうかご安心を



「あれは砲撃陣地……」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、キャバリアのコクピットからモニターに見える第二波の陣容を見て、そう判断した。
 砲撃戦用の装備を展開するキャバリア『ギムレウス』の姿は遠目から見ても、その砲撃の威力を想像させるには十分な姿であった。
 まともに正面から向かっては撃ち落とされるのが関の山であろう。
「騎士として正面からの接近も吝かではありませんが……ここは消耗を抑えましょう」 トリテレイアにとって、それは可能なことだった。
 通常のキャバリアでは一方的に砲撃の雨にさらされて残骸を晒すだけであったことだろう。けれど、トリテレイアは違う。
 どれだけ戦争の歴史が紡がれたクロムキャバリアに生まれ育った人間でも、元より戦う存在として生まれた戦機であるウォーマシンに敵うべくもない。
 それが誇らしいことかどうかは、別として。

「くそ……!『グリプ5』の連中め……! よくも、仲間をやってくれたな……!」
 砲撃戦の巨大キャノン砲の砲身を展開し、『ギムレウス』のパイロットが吐き捨てる。第一波のキャバリア部隊の中には、本来の部隊の同僚が多数参加していたのだ。
 それが今は見るも無残な残骸に成り果てている。
 あの状況では彼らは誰一人として生き残ってはいないだろう。
 苦楽をともにしてきた。同じ釜の飯を食う仲だった。下手をすれば家族よりも一緒に居た時間が長い。
 そんな仲間を殺した者たちを許してはおけない。けれど、それはオブリビオンマシンによって歪められた心が走らせる幻影であった。
「必ず奴らも同じ目にあわせてやる……! 敵は一機だ! 楽には死ねると思うなよ!」
 引き金が引かれ、砲撃が開始される。

 だが、『ロシナンテⅣ』の戦闘機動はそれを凌駕する。
 長距離から放たれる砲撃。その全てを推力移動による滑走で躱す。大地を疾駆する姿はまさしく戦馬の如く。
 その機体は砲撃を打ち合う装備がないとおもわせるように『ギムレウス』へと接近しようと大地を疾駆する。
「接近を許すと思うか!」
 放たれる砲撃。
 アイセンサーが捕らえるのは、その砲撃の正確さ。
 どれだけオブリビオンマシンによって心を歪められ正気を失っているのだとしても、そのキャバリアパイロットの技量は確かなものであった。
「この長距離で確実に当ててくる技量……! 感服いたしました。ですが、私も騎士として一歩も退くわけには参りません!」
 砲弾を盾で受け止める。砕ける大盾と共に粉塵が舞う。
 けれど、砲弾が着弾した衝撃に寄って舞う粉塵にしてはあまりにも濃い。

「―――着弾……いや、煙幕か!」
 キャバリアパイロットは即座に気がつく。
 けれどもう遅い。トリテレイアが『ロシナンテⅣ』によって投げは成った小型手榴弾はすでに彼らの間合いの中だ。
 わざと煙幕を張り巡らせ、トリテレイアは主榴弾の投擲を悟らせなかったのだ。山なりに投げ放たれた小型手榴弾は弧を描いて『ギムレウス』の部隊の中心に落ちる。
 だが、その手榴弾が爆発することはなかった。

 不発―――?
 否。その手榴弾の中身は爆発物ではなく、自律式妖精型ロボ 遠隔操作攻撃モード(スティールフェアリーズ・アタックモード)。
 手榴弾からまるで蜂の巣をつついたように飛び出す妖精型ロボが装備されたレーザーで『ギムレウス』の弾倉や武装を焼き切る。
「私の目的は貴方たちの撃破ではありません。あくまで私は騎士。人道に反する悪意には槍を向けましょう。ですが―――!」
 人の心を歪ませたものを討つためには、このような手段も必要なのです、とトリテレイアは遠隔操作の妖精型ロボのレーザーによって尽く駆動系や武装を破壊し尽くす。

 擱座した『ギムレウス』部隊へとトリテレイアの『ロシナンテⅣ』が悠然と接近し、その機体を破壊していく。
 コクピットを狙ったものは一つもなく、次々とパイロットが脱出する。それは情けをかけられたわけではないと知るだろう。
「皆様、どうかご安心ください。あなた方の縁者の皆様はご無事です」
 すでに第一波のパイロットたちに手渡していた通信機。
 トリテレイアが手渡したものであれば、オブリビオンマシンの妨害も入らないだろう。その通信機から溢れるようにして聞こえる第一波のパイロットたちの声。
 それこそが彼らが戦いよりも、最も求めたものであろうとトリテレイアは思う。

 それが正しいのかどうかはわからない。
 けれど、彼の電脳の中に収められた騎士道精神が言うのだ。
 これこそが人の戦いであると。
 他者を傷つけ退けるだけが力ではないのだ。それを理解せぬオブリビオンマシンに、その人道の力を教えなければならない。
 トリテレイアは『ロシナンテⅣ』の機体を立ち上がらせる。
「―――ならば、最後に出てくるのは。この事件の首謀者ですね」
 そのアイセンサーの先にある最後のオブリビオンマシンの姿が現れようとしていた―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
さて、第二波か。つーか、人材は健在とは言えあれだけのキャバリアを潰されてフルーⅦだったか。傾かねーと良いがね。
まあ、先の事より目先の人命だ。きっちり、全機、破壊してやるよ。

『スルト』に搭乗、『戦闘モードⅠ』を発動して、低空高速機動で接近して第一波同様にコックピット以外を破壊していきます。
敵POWUCは攻撃力、攻撃回数、射程は当たれねーから関係ねー
移動力はその程度では焼け石に水だ
装甲は関節部を狙って破壊、みたいな感じで対応します。

第一波の奴等も今のお前さん達と同じ様にした。
この中に入ってみな。知り合いがいるかもしれねーぜ。
(と先ほど同様に無限収納への入口の魔法陣を)

アドリブ歓迎



 オブリビオンマシン化したキャバリア部隊『ギムレウス』が大挙して『グリプ5』に押し寄せる。
 その光景はまるで復讐に燃える悪鬼の如く、そのアイセンサーをギラギラと輝かせていた。そこにあるのは捻じ曲げられた思いと絶望、そして狂気であった。
「さて、第二波か。つーか、人材は健在と言えどあれだけのキャバリアを潰されて……『フルーⅦ』だったか。傾かねーと良いがね」
 アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は、『ギムレウス』部隊の陣容を見てそうつぶやく。
 生産施設『プラント』から生み出せるものが食物だけに留まらず鋼材すらも生み出すのは、その遺失技術の凄まじさを物語っていることだろう。
 だが、それに限界はないのだろうか?
 材料があったとしても、それを加工し組み上げる人材がフル稼働しても、あれだけのキャバリアを破壊されては『フルーⅦ』の軍は傾かぬわけがない。

「それもオブリビオンマシンの策略の一つ……なのか? まあ、先のことより目先の人命だ。きっちり、全機破壊してやるよ」
 今はまだわからないことが多い。
 この策略の果てにある争いの火種が芽吹くことがオブリビオンマシンの目的なのだとしても、これが最後という保証は何処にもない。
 周辺国家がこの結果を受けてどう動くのか。それもまた猟兵達に課せられた問題であるのかもしれない。

 漆黒のオブリビオンマシン『スルト』の瞳が輝く。
 主命に応じて、その黄金の魔力を纏いし戦闘モード Ⅰ(ディアボルス・ウーヌム)へと移行する。
「砲撃戦のフレームであろうが! 超スピードで間合いを詰めればなぁ―――!」
 圧倒的な加速。
 オブリビオンマシン『スルト』にとって、纏う魔力の強さは主人であるアレクサンドルの魔力の強さと同義である。
 即ち、『スルト』とはアレクサンドルの力を発現させるためのコネクタに過ぎない。それがわかっているからこそ、『スルト』はオブリビオンマシンでありながら猟兵であるアレクサンドルに従っているのだ。
 間合いを詰めた『ギムレウス』と『スルト』の彼我の距離は徒手空拳の距離。

 すでに砲撃の雨に晒されようと超スピードで低速飛行によって水切り石のように大地を跳ねる『スルト』に弾丸が当たるわけもない。
「その程度では焼け石に水ってわけだ!」
 放たれる『スルト』の手刀。
 オーバーフレームの腕を斬り捨て、脚部の関節部を破壊する。その場で一回転し、コクピットを覆うオーバーフレームごと横薙ぎに蹴り飛ばす。
 そこへ砲弾が降り注ぐ。
 敵味方お構いなしの砲撃は、彼らが狂気に晒されているからだ。目の前の敵だけを排除しようとする行為。
 もしも、アレクサンドルがいまの『ギムレウス』を蹴り飛ばさなければ、そのままあの『ギムレウス』のパイロットは砲火に晒され生命はなかったことだろう。

「ちっ、頭に血が登ってやがるな……なら、こうすれば冷静になるかよ!」
 圧倒的な戦闘力で『ギムレウス』を無力化していく『スルト』。黄金の魔力を纏った手足は鋭き剣と同じである。
 関節部分を破壊し、次々とかく座していく『ギムレウス』の機体。
「第一波の奴等も今のお前さん達と同じようにした。この中に入ってみな。知り合いがいるかもしれねーぜ」
 コクピットから這い出すパイロットたちを見下ろし、その『スルト』の手に生み出された魔法陣を示す。
 そこには第一波のキャバリアパイロットたちの姿があった。
 こうして保護してきたのだと、目の当たりにすれば彼らとて信用するほか無い。

「まあ、信じられねーかもしれないが、それでも俺たちはパイロットを誰も殺してはいない。此処だけじゃない。他の奴等もみんな安全域で確保してる」
 だから少しは目を冷ますといい。
 そういう様にアレクサンドルは展開された魔法陣から第一波のキャバリアパイロットたちと第二波のパイロットたちが邂逅する様子を見下ろすのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
先程のパイロット、とても元気そうだったな。
されど、操られている者はまだいる模様……
一刻も早く助けねば。
■話
先ずは、先程助けたパイロットが無事であることを伝えよう。
皆、俺の事を「正気の沙汰ではない」と言ったのだ。

■闘
引き続き、猛禽の翼で【空中戦】を挑む。
狙いやすい敵目がけて刀を振るう動作を見せつけ、
装甲をも絶つ【貫通攻撃】となった【無刃】で絶つ。
停止が確認できたら救出を試み、逃げるよう指示。

地雷は操作が可能……となれば地上から浮上する可能性もある。
ここは常時【聞き耳】を立て、物が動くような音が聞こえたら
すぐさま【ダッシュ】でその場から逃れる。
敵から極力眼を離さず、音を頼りに。

※アドリブ・連携歓迎



 第一波のキャバリアパイロットを安全域に下ろすと愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は再び猛禽の翼を広げ、飛び去った。
 どうやら『フルーⅦ』のパイロットたちは、自分たちの扱う通信機が使えないことに首を傾げていた。本来であれば損害の報告や、自身の生存を知らせるために必要不可欠な通信である。
 だというのに一向につながらないのだという。
「それもまたオブリビオンマシンの策動か……なるほど。第一波のパイロットが無事かどうかわからない……通信もできないとなれば、この惨状をみれば、すでに生命はないものと考えるが道理か……」
 オブリビオンマシンの策略の悪辣なることに清綱は頷く。
 救出した第一波のパイロットもまた兵士であれば、自身の身は自身で守れることだろう。

「ならば俺が貴殿の無事を伝えよう」
 そう言って清綱は再び飛び立つ。
 あのパイロットはとても元気そうだった。だが、第二波のキャバリアパイロットたちもまた操られている様子であった。
 それがオブリビオンマシンの特性である。搭乗した者の心を捻じ曲げ、正気を喪わせる。そうすることによってクロムキャバリアを争いの絶えない世界へと変えたのだ。
「まずは、先程助けたパイロットが無事であることを伝えよう」
 眼下には大地を疾走する『ギムレウス』の姿がある。
 彼らは血眼になって『グリプ5』を目指している。やはりオブリビオンマシンによって正気を喪わされているとは言え、彼らは誰かの生命を悼んで行動しているのだ。
 それがどれだけ正当性を持たされているのだとしても、理性が働かぬ力は暴力以外の何物でもない。

「……ならば」
 清綱の手が刀を降るような動作をする。
 すると突如起こる斬撃の嵐が『ギムレウス』の頭上から放たれ、鋼鉄の装甲すらも切り裂く無刃(ムジン)となってキャバリアを無力化するのだ。
「ふむ。装甲の分厚さもまた格別。だが、斬れぬわけではない」
 無力化した『ギムレウス』のコクピットを切り裂き、そこからパイロットを引きずりだす。
 パイロットをオブリビオンマシンから引き離せば、喪われていた正気もまた取り戻されるだろう。
「―――……っ、なんてことだ、生身の人間が、こんな」
 正気の沙汰ではない。
 キャバリアは絶対なる力の象徴だ。生身の人間が勝てる道理など無いというのに、清綱はそれを為す。
 まさしくそれは化け物じみた力に彼らは見えたことだろう。

「皆、俺の事を『正気の沙汰ではない』と言うが……まあ、それも致し方あるまい。だが、第一波のパイロットたちは皆無事である。今すぐ武装を解除して……―――!」
 その場をパイロットを抱えて飛び退る清綱。
 放たれた鉄球の散弾の如き一撃が、擱座した『ギムレウス』の装甲を貫き爆散させる。
 それは指向性の浮遊機雷。『ギムレウス』に装備されたクレイモアタイプの地雷が作動した証だった。
 それも友軍機諸共清綱を狙っていた。

「……音を頼りにしていて正解であった。やはり地雷は操作が可能。そして友軍の違いもわからぬほどに正気を失っていると」
 ならば、とパイロットを下ろし、猛禽の翼を広げる。
 かのオブリビオンマシンたちがパイロットたちの正気を喪わせ、同士討ちでも構わぬと銃口を向けるように仕向けているのであれば、清綱はそれを許すわけにはいかない。

「ならば、全て無力化するのみ―――参るっ!」
 斬撃の嵐が巻き起こる。
 それはオブリビオンマシンの悪辣なる手段の尽くを切り裂くように振るわれ、圧倒的な力で持って鋼鉄の巨人たるキャバリアをねじ伏せ、パイロットたちを救い出し続ける。
 それは見るものにとっては鬼神の如き振る舞いであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジーノ・エヴァーソン
猟兵になった時から、連中の手口には辟易する。
義憤じゃない、ただ俺の生き方と反してるだけ。

好きなように戦い、好きに満足して死ぬ。

その自由に…仕組まれた闘争なんぞ必要ない。
だから。この突撃も早々に片付けるだけだ!

【Altair】、モード切替。攻撃力重視、メテオ1で複数体を射撃。
【世界、戦闘知識】でギムレウスの構造は把握済みだ。極太レーザーだろうが、コクピット部を避けて連続で落とすのは狙撃技能で容易だ。
キャノン砲はブーストのダッシュで最小動作で回避。

弁明とかはしないぞ、お仲間は死なせてないし、その怒りは仕組まれた紛い物だし。
そんな大切なら無事を確認しとけ。

…不殺仕事も楽じゃねーなぁ…



 キャバリア部隊の第一波は全ての機体が破壊されていた。
 それはまさしく全滅というのに相応しき惨状であった。戦いが続くクロムキャバリアにおいて、それは即ち人命が損なわれたという事実に他ならない。
 どれだけ猟兵たちが不殺を貫いたのだとしても、戦いが日常であるキャバリアパイロットたちにとっては、その光景を見て物事を正しく認識できるほど冷静ではなかった。
 そして、オブリビオンマシン化したキャバリアに乗っている以上、彼らの心は捻じ曲げられる。
 どう抑えようとしても溢れ出てしまう憎悪。
「第一波の連中はみんないいヤツばっかりだった……! なのに! ああ、なのに! どうしてこんなことになっちまうんだよ! どうしてこんなひどいことができやがるんだ!」
 キャバリア『ギムレウス』のパイロットが半狂乱になって叫ぶ。
 それは悲痛な叫びであり、その瞳がギラギラと狂気に犯されていく。それこそがオブリビオンマシンの策略である。
 第一波を捨て石にして、第二波のキャバリアパイロットをさらなる狂気と絶望のそこへと叩き落とし、己たちの傀儡としようとしているのだ。

「猟兵になった時から、連中の手口には辟易する。これは義憤じゃない。ただ俺の生き方と反しているだけ」
 ジーノ・エヴァーソン(Xeno_Fire・f30003)の心に、今はコクピット内に流れる音楽も届かない。
 義憤ではない。己の生き方。
 ポリシーと言ってもいいだろう。それにオブリビオンマシンの連中のやり方が尽く反りが合わないだけの話だ。たったそれだけなのだ。

「好きなように戦い、好きに満足して死ぬ」

 それがジーノの信条であり、生き方だ。
 だが、オブリビオンマシンはそれすらも捻じ曲げようとする。戦場に生きる傭兵である。猟兵となった今でもその気持に偽りはない。
「その自由に……仕組まれた闘争なんぞ必要ない。だから」
 彼のキャバリア『メビウス』が白き装甲を震わせて、咆哮するようにジェネレーターの出力を上げる。
 肩部に備え付けられたBS-CRF-TA07【Altair・α】のモードを切り替える。
「この突撃も早々に片付けるだけだ! メテオ1!」
 【Altairα】三段照射(アルタイルアルファ・トライアングル)。それは白き装甲のキャバリアが持つユーベルコードの輝き。

 星の輝きと運行が示す軌跡は、あらゆる敵を穿つことだろう。
 出力の上がったレーザーが放たれる。それは極大にまで肥大したレーザーであり、『ギムレウス』の重装甲であろうと問題なく貫通できる威力を持っていた。
「どれだけ重装甲だろうが! もう見えてるんだよ!」
 放たれるレーザーが『ギムレウス』のコクピットを避けて放たれ続ける。
 ポジショニングを変えての照射。
 どれだけ不安定な地形であろうと、耐性であろうとジーノの冴え渡る狙撃技能の前には『ギムレウス』がどれだけ応戦しようとも無意味である。
 砲撃を加える前に、砲身を貫くレーザーが彼らの行動を阻害する。

「ぐぁ―――! この距離でレーザーを当てる、だと!? 屈折率も何もかも織り込み済みだというのか!」
 爆発する砲身の衝撃で『ギムレウス』の巨体が傾ぐ。
 そこに再び放たれるレーザーが機体の装甲を灼き、無力化していく。
「くそっ―――、あいつらの仇を撃てないで、俺は……!」
「弁明とかはしないぞ、お仲間は死なせてないし、その怒りは仕組まれた紛い物だし」
 ジーノの通信が割って入る。コクピットハッチが開き、這い出したパイロットが見上げた白い機体の姿はあれだけの砲撃に晒されているのに傷一つついていなかった。
 これがエースというやつなのかと、呆然とするキャバリアパイロットにジーノがコクピットハッチを開いて通信機を放り投げる。

「そんな大切な仲間なら無事を確認しとけ。仲間の空母でお前たちの仲間は皆無事に保護してる」
 そう言ってジーノは再びメビウスのコクピットハッチを閉じ、未だ戦闘続く戦場へと舞い戻る。
 彼らが仲間を大切にする心を持ったパイロットであることはわかっていた。機体から発せられるビリビリとした怒り。
 アレは確かに仕組まれたものであったかもしれないけれど、偽りのない怒りだった。
 だからこそ、殺してはならない。

「……不殺仕事も楽じゃねーなぁ……」
 そうポツリと呟いたが、不思議と嫌な気持ちにはならない。
 コクピットの中に響く透明感を感じさせる空のような曲が、どこか耳に心地よかった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

獅子戸・玲桜奈
さっきの連中は誰も死んじゃいねえっての!チッ、聞く耳なしかよ。
やるしかねえか……ったく世話の焼ける連中だな。行くぜフレイムウィング!

主砲が使いにくい懐に入っちまえばと思ったが、格闘戦も苦手じゃあなさそうだな。上等ッ!やり合いてえなら付き合ってやるぜ!
その頑丈そうな装甲も、力溜めしてからぶん殴れば突き破れるだろうよ。
噛みつき攻撃されたら顎を怪力で押さえつけて、そのまま引き裂いてカウンターだ!
トドメだ!メテオインパクトで終わりにしてやるぜ!

……加減してやったんだ、立てんだろ?お前の縁者なら向こうにいるぜ。面見せに行ってきな。



 第二波のキャバリア『ギムレウス』のパイロットたちは半狂乱になって、敵性キャバリア……猟兵達に襲いかかっていた。
 彼らは皆、第一波のキャバリア部隊が全滅したと思っている。なぜなら、荒野に広がるキャバリアの残骸は全て『フルーⅦ』のものであり、『グリプ5』のものは一機もなかったからだ。
 どんなカラクリがあったのか、どんな戦闘があったのか、生存者はいないのか。
 そんな情報の錯綜が起こっても仕方のないことであった。生存者たちは皆猟兵たちに保護されているが、一切の通信が行えないでいた。
 それこそがオブリビオンマシンの悪辣なる手腕の一つであったことは言うまでもない。

 第一波のキャバリア部隊は捨て石なのだ。
 第二波のキャバリアパイロットたちを深き絶望と狂気に落とすための布石。そのために猟兵達の力を利用したのだ。
「仇を討つ……! 俺の生命に変えても! あああっ―――!!」
 キャバリア『ギムレウス』の肩装甲が機械のワニの頭部のように変形し、獅子戸・玲桜奈(炎の翼・f30087)の駆る赤きキャバリア『紅蓮神機フレイムウィング』に掴みかかる。
 ワニの頭部は鋼鉄の顎でもってフレイムウィングの機体に食いつく。
 炎神の如き力を宿すスーパーロボットであるフレイムウィングの装甲に傷はつかないが、それでも組み付かれてしまえば戦いづらいのは言うまでもない。

 なぜなら、『ギムレウス』たちは皆、味方ごと敵であるフレイムウィングを討ってくるのだ。それはもはや正気とは言えない。
「さっきの連中は誰も死んじゃいねえっての! チッ、聞く耳なしかよ……!」
 それもまたオブリビオンマシンの策略だ。
 深く絶望した心ほど捻じ曲げやすい。そうなれば、こちらの言葉などオブリビオンマシンに乗っている限り届くはずなどないのだ。
 だからこそ、玲桜奈は憤る。人の心をいたずらにかき乱し、傷つけるオブリビオンマシンの所業を許してはおけない。
 燃えがる魂が言うのだ。

「やるしかねえか……ったく世話の焼ける連中だな。行くぜフレイムウィング!」
 組み付いたワニの頭のような鋼鉄の顎を振り払う。
 格闘戦が苦手ではないと『ギムレウス』の性能を判断し、玲桜奈は吼える。
「上等ッ! やり合いてえなら付き合ってやるぜ!」
 態勢を崩した『ギムレウス』の一機をフレイムウィングの拳が穿つ。どれだけ重装甲であっても、フレイムウィングの渾身の一撃を受けて耐えられる道理など何処にもないのだ!

「よっし、次! 今度はどいつがぶん殴られたい!」
 赤き炎神の如き力を振るうフレイムウィングの前に次々と『ギムレウス』が肩や、脚部をワニの顎に変えて組み付く。
 肩に、腕に、足に……一斉に機械のワニの牙と顎が突き刺さる。だが、玲桜奈は構わなかった。
 その豪腕が機械のワニの顎を押さえつけ、その圧倒的なパワーで持って引きずり回すように機体を振るわせる。強く組み付いた『ギムレウス』の3機は圧倒的な出力の違いを見せつけられるようにしてフレイムウィング一機に振り回され、その機体同士をぶつけてしまう。
 3機の機体が重なり合った所に炎を纏ったフレイムウィングが飛び上がる。

「トドメだ! 全身全霊をこの一撃に籠める! 受けてみろ! メテオインパクトォ!」
 放たれるは炎を纏いし飛び蹴りの一撃。
 それは『ギムレウス』の頭部を捉え、一機、二機、三機と、彼らの頭部を破壊し穿つ。地面に倒れ伏す『ギムレウス』の機体。
 コクピットから這い出したパイロットたちが見上げた其処に在ったのは、炎の翼を広げ、雄々しく立つ紅蓮神機フレイムウィングの姿であった。

 そこから飛び降り、コクピットに降り立つ熱血闘士レオナが手を差し伸べる。
「……加減してやったんだ、立てんだろ? お前の縁者なら向こうにいるぜ。面見せに行ってきな」
 そう言って指差す方向には猟兵が構える空母。
 そこに殆どのキャバリアパイロットが保護されている。玲桜奈は戦う相手を間違えない。
 これだけの争乱を引き起こすのは人ではない。
 オブリビオンマシンが心を捻じ曲げるからだ。終わらない戦争を続ける者を彼女は許さない。
 この後に控えるオブリビオンマシン。その首魁を倒すことによって、平和への第一歩を踏み出すのだ―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
悪辣な手を使ってくるね
犠牲者が出ないように戦うよ

第一陣のパイロットが巻き込まれない様に
早く近づいた方が良さそうだね

女神降臨を使用し低空飛行で接近しつつ
強化したガトリングガンで相手のキャノン砲を攻撃
相手の攻撃力を削いでいこう

砲撃は神気で時間を停め防御
地雷は爆発する前に使い魔の金属化攻撃で
ただの金属に変えてしまうよ

近付いたらガトリングガンと噛みつきで四肢を壊したり
尻尾の薙ぎ払いで脚を壊したりして無力化しよう

脱出して正気に戻ったパイロットが攻撃に巻き込まれそうなら
翼を盾にして攻撃を防ぐよ

この超硬装甲を簡単に抜けると思わない事だね

これくらいへっちゃらなのですよー!

さて、そろそろ真打の登場ってとこかな?



 第二波のキャバリア部隊『ギムレウス』の機体は、大地を疾走する。
 それは全滅させられてしまった第一波の部隊の弔い合戦となるべく、憎き敵『グリプ5』を目指す。
「うぅ……! 兄さん……! そんな、本当に……」
 彼らの中には第一波のパイロットと縁故ある者が多数いた。
 兄弟であったり、恋人であったり、親子であったりと、その様相は様々である。本来であれば、彼らは同じ部隊であったりと分かたれることはなかったのだ。
 けれど、それはオブリビオンマシンの策略である。
 わざと縁故在るものを引き離して部隊を編成し、第一波のキャバリア部隊を猟兵に撃破させる。

 そうすれば、第二波のパイロットたちは憎しみと怨嗟でもって心を支配され、さらなる歪みを生み出すことができる。
 後はオブリビオンマシンの一パーツとして永遠に戦い続ける傀儡が出来上がるというわけだ。それが悪辣なるオブリビオンマシンの策略。
「悪辣な手を使ってくるね……これがオブリビオンマシンとの戦い。犠牲者をこれ以上出させない……!」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は第一波のキャバリアパイロットたちが戦いに巻き込まれぬようにと女神降臨(ドレスアップ・ガッデス)の力に寄って宵闇の衣を纏い、空を舞う。
 あのキャバリア『ギムレウス』が砲撃戦仕様であるというのならば、素早く近づかねば戦闘の巻き添えを喰わせてしまう。

 それは晶の本意とするところではない。
 宵闇のドレス姿が恥ずかしいのは、もういっそのこと開き直ってしまえばいいのではないかと思うほどであったが、それでもこっ恥ずかしいのには変わりないのだ。
 ユーベルコードによって強化されたガトリングガンを『ギムレウス』へと放つ。
「まずは、その巨大キャノン砲から無効化させてもらうよ!」
 あの砲撃を好きに撃たせてはならない。
 強化されたガトリングガンの弾丸が砲身を貫いていく。相手の攻撃力をそいでいくことが晶の目的だった。

「くそっ、なんだコイツ―――! ちょこまかと!」
 一機の『ギムレウス』を相手取っていた晶へと向けられる別の『ギムレウス』の砲身。それは味方をも巻き込みかねない距離であったが、正気を失った彼らにとっては無意味な事柄であった。
 放たれた砲弾が晶へと迫る。
「此処は味方もいるって、なんでわからない!」
 彼女の体から邪神の権能である停止の神気が放たれる。砲弾が中で止まり、その砲弾を敷設された地雷原へと叩きつける。
 爆風が巻き上がり、砂塵が周囲を包み込む。使い魔たちが飛竜の姿へと変われば、即座に『ギムレウス』の脚部に噛みつき砕き、しっぽの薙ぎ払いで機体を横転させる。

「そんなに戦いのことばかりで頭に血が登っているのなら!」
 再び放たれる砲弾。
 それは横転した機体をも巻き込む距離だ。コクピットから這い出そうとするパイロットなんてひとたまりもない。
 晶は舞い降り、使い魔たちが翼を広げる。それは超硬装甲の翼。以下にキャバリアの砲弾が強力であろうが、その超硬装甲を抜けるわけがない。
「このくらいへっちゃらなのですよー!」
 使い魔たちが傷つかぬ超硬装甲の翼を翻し、次々と『ギムレウス』を無力化していく。

 オブリビオンマシン化したキャバリアから降りたパイロットたちは皆、正気に戻っている。
 彼らの心を捻じ曲げているのは、オブリビオンマシンと絶望の光景だけだ。ならば、彼らには伝えなければならない。
 第一波のパイロットたちの生命は損なわれておらず、無事に保護されていると。晶は再び空へと舞い上がる。
 その視線の先にあるのは、第一波、第二波のキャバリアパイロットたちを敢えて死地へと赴かせた、この侵略戦の首謀者……そのオブリビオンマシンの姿があった。

「さて、そろそろ真打ち登場ってとこかな?」 
 だが、晶も負けるつもりはない。
 どれだけ人の心が捻じ曲げられようとも、人の心はたやすく壊れるものではないと見せつけなければならない。
 人はそれを希望と呼ぶのだから―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『モノアイ・ゴースト』

POW   :    バリアチャージ
【バリアを纏った】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【支援機】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    パルス・オーバーブースト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【オブリビオンマシン】から【光学兵器による一斉攻撃】を放つ。
WIZ   :    ゴーストスコードロン
自身が【敵意】を感じると、レベル×1体の【支援キャバリア】が召喚される。支援キャバリアは敵意を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:タタラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「な、なんてことだ……何故、戦闘が……?」
 それは『フルーⅦ』において少将の階級を持つ『キマイラ』と二つ名で呼ばれるほどの戦闘と外交の技術に長けたアジンの呆然としたつぶやきであった。
 それは、もはや同しようもないところまで事態が動いていることを証明していた。
 彼はオブリビオンマシンによって心を、思想を捻じ曲げられていた。

 それは常人にとって抗いがたいものであり、猟兵でなければどうしようもないことであった。だが、今オブリビオンマシンは敢えて、その狂気からアジン少将を開放していた。
 正気を取り戻したアジン少将の前に広がるのは自軍のキャバリアが全て破壊された惨憺たる惨状であった。
「こ、これが、私が指揮した、結果、だというのか……?」
 震える。
 身体が震える。自分の決断が、無駄にしなくていい生命を無駄死にさせてしまったという呵責となって襲い掛かる。

 そう、それこそがオブリビオンマシンの最後の狙い。
 記憶になくとも薄っすらと覚えているだろう。捻じ曲げられた己の心のままに怒りを発露させた結末。
 それをオブリビオンマシンは見せつけ、彼の強靭なる心をへし折り、貶めようとしていた。第一波も第二波も、彼らの生命はこの凄まじきパイロットとしての技量を持つアジンを手に入れるための捨て石。

「あ、あああああ―――!!!」
 己が許せない。
 その心の同様にオブリビオンマシンは入り込み、楔を打ち込む。もうどうしようもないほどに広がった心の亀裂を押し広げ、アジンという最後のファクターをオブリビオンマシンは手に入れたのだ。

「私は、私自身を許せない……! この怒り、この憎しみ、この悲哀……全ては、血によって灌がねばならないのだ―――!」
 その咆哮に応えるようにオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』の機体から怪しげなオーラが噴出し包み込む。
 その尋常ならざる力の気配は、猟兵を持ってしても個としての力の凄まじさとして感じられる。

 だが、猟兵は恐れない。
 どれだけの怒り、哀しみ、憎しみがあろうとも、それを乗り越えるだけの力が人間には宿っているのだと彼らは知っているのだから―――。
村崎・ゆかり
引き続き「式神使い」と器物覚醒で『迦利』を操って戦う。

この気配。こいつが一連の事件を引き起こしたと見てよさそうね。
救出した搭乗者たちの情報から考えれば、少々とやらもこの機体に乗っている。
最後の一人、全力で助け出しましょ。

「全力魔法」光の「属性攻撃」の「レーザー射撃」「制圧射撃」で「弾幕」を張る。支援キャバリアはこれで足止めか撃破を。

「オーラ防御」展開。『迦利』の平べったい機体を地面と平行に。二等辺三角形型の鋭角を向けて、オブリビオンマシンに「空中戦」からの「衝撃波」「破魔」の突撃を敢行する。「串刺し」と言うには串が太いけど、そこはそれ。全力で後背部まで穿ち抜いてみせる。

ん、限界か。後はお願い。



 どれだけ戦っても戦争は終わらない。
 どれだけの傷を負ったとしても、誰も過ちに気が付かない。
 どれだけの血が流れたと思っているのだろうか。犠牲に次ぐ犠牲。屍を重ねても得られるものは何処にもなく。
 けれど、そうしなければ生きていくことの出来ない世界。
「最も屍を高く積み重ねた者が戦争の勝者であるというのならば、私は否定しよう。そんなことはないと声高々に言おう。人は戦いのみで生きるものではない。何のために言葉が発達したのかを考えるといい」
 嘗て在りし日の己が言う。
「だが、それはただの妄執に過ぎない」
 それが今目の前に広がる現状であり、結果だ。己が産み出した阿鼻叫喚地獄。失った生命は戻らない。

「あああああ―――!!!」
 咆哮が己の喉から出たとは思えぬほどの怒りが溢れ出す。
 キャバリア『モノアイ・ゴースト』。
 それはオブリビオンマシン化した嘗ての『キマイラ』とまで二つ名をつけられた少将―――アジンの愛機であった。
 噴き出す禍々しいオーラは彼の怒りに触発されたようであり、戦場を包み込む憎悪がオブリビオンマシンの真なる狙いであったのだろう。この手駒を手に入れるためにあらゆるものを犠牲にしてきたのだ。

「この気配。こいつが一連の事件を引き起こしたと見て良さそうね」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は対峙するオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』の噴出するオーラを見て、そう判断した。
 あまりにも強力なオーラ。
 それはオブリビオンマシンの単体としての性能だけではない、その搭乗者のちからも加わっているのだろう。
 第一波、第二波のキャバリアパイロットたちの情報をから察するにあれが、アジン少将と呼ばれるキャバリアパイロッとなのだろう。
「最後の一人って言うわけね……全力で」
 そう、全力で。彼女のユーベルコード、器物覚醒(キブツカクセイ)の輝きが眩く戦場を照らす。

「―――助け出しましょ! 急急如律令! 汝ら、我が下知に応じ、手足の如く動くべし!」
 彼女の背後から機甲式『GPD-331迦利(カーリー)』が空を舞い、一直線に低空飛行し『モノアイ・ゴースト』へと飛び込んでいく。
 放つレーザーが夕暮れに差し掛かる戦場をあまねく照らし出す。
「助け出す。私を、そういったか―――!」
 アジンがコクピットで叫ぶ。
 己を助けると言った者がいた。それはどうしようもなく罪を重ねた者へと手を差し伸べる行為だった。
 人として当たり前のことであったのかもしれない。
 けれど、心折れた己は救うに値しない者だ。だからこそ、吼える。

「私は、戦いの中で死ぬしかない! 怒りが、怒りだけが私の心を埋め尽くしていく!」
 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』の周辺にキャバリアが怨念のように浮かび上がる。それらは破壊されたキャバリアを依り代にして幽鬼の如く立ちふさがる。
 レーザーの制圧射撃が次々と支援キャバリアを撃つ。
 爆発が周囲に生まれ、火球となって消えていく。それは今までの戦争で喪われた生命の明滅のようであり、アジンの心を苛む。
「だから、それがなんだって言うのよ! 誰も死んでほしくないって願うことが、そんなに愚かだというのなら―――!」
 迦利の平べったい機体を地面と平行にし、逆三角形の機体の鋭角にオーラを展開する。それは槍の穂先のようであり、鏃のようであった。
 ゆかりの持てる力を全て注ぎ込んだ一撃。
 ユーベルコードの輝きが増していく。
 その瞳が紫色の輝き、どれだけの力が注ぎ込まれたかわからない。全力の一撃。

「その馬鹿げた怒りごと―――! あたしが粉微塵に刺し穿ち、砕いてやるわよ!」
 その輝きは星の輝の如く。
 放たれた一撃は空をかけ、『モノアイ・ゴースト』のシールドを突き破り、飛翔してひび割れていく。
 機体が持たない。
 それ以上にゆかりの全力を出し切った一撃が、彼女に予想以上の消耗を齎していた。

「シールド発生装置の一枚は、もらっていくわ……限界、か……後は、お願い」
 膝から崩れ落ちるようにしてゆかりが倒れ込む。
 そこに式神アヤメが駆け寄って抱え、戦線を離脱する。
 全力を出し切った一撃は、貫くことのできぬはずのバリアを尽きやぶり、そのシールドすらも砕いた。
 己自身への怒りに苛まれたアジンを鎧う鋼鉄の巨人に楔を撃ち込んだのは、ゆかり自身の信念であったのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブ・共闘歓迎
一時的に狂気から解放して心を折るなんてな、悪どい手を使うもんだ
悪いのはその悪手に誘導したオブリビオンのみ、人命は無事だったと伝えないとな
猟兵とは言え腕はあちらの方が上、普通に戦ったらジリ貧だ
申し訳ないが背後から狙わしてもらう

【挑発】し攻撃を誘発した後、【見切り】【操縦】で回避
攻撃の隙をついて破棄された敵のキャバリアを【投擲】して目くらましをし、自分は【迷彩】隠れながら【早業】【悪路走破】で背後に回る
そこからUCで弾丸に義眼のメガリスの藍の圧壊【重量攻撃】を付与し【スナイパー】【全力魔法】【クイックドロウ】を使用しながら【2回攻撃】で飛行ユニットに撃ち込む



「一時的に狂気から開放してから心を折るなんてな、悪どい手を使うもんだ」
 オブリビオンマシンの悪辣なる手腕を見せつけられ、ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は静かに憤っていた。
 平和という概念すら薄れた世界であるクロムキャバリア。
 戦いだけが続き、人々の心はすでに荒みきっていたのだろう。そんな中、オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』に搭乗し、心を歪められたアジンは稀有なる存在であったのだろう。
 戦いだけではなく対話、外交に寄って争いを回避する手腕。
 それこそが彼の理想であったのだろう。

 血が流れぬのならば、それに越したことはない。
 その理想すらもオブリビオンマシンにとっては歪めるべき思想でしかないのだ。
「私は取り返しのつかない選択をしてしまった。人の生命は戻らない。喪われてしまったものは、決してもどらないのだ。私は、私自身が憎い……!」
 怒りに震える声が響く。
 それは己の悪手を憎む声だった。他の誰でもない己の選択で喪われた生命の数に絶望しているアジンにとって、オブリビオンマシンが歪める心は劇薬に等しかった。

「悪いのは、その悪手に誘導したオブリビオンマシンのみ。あんたが護りたかった生命は、部下は―――みんなまだ生きているんだぞ!」
 ルイスは『銀の銃兵』を駆り、荒野を疾走する。
 対する『モノアイ・ゴースト』は凄まじい勢いで低空飛行し、ルイスを翻弄する。圧倒的なスピード、制動。どれをとってもパイロットとして一流である。
「確かに、腕はあちらが上か……! だが!」
 ルイスの背後を取った『モノアイ・ゴースト』がビームライフルを向ける。光が放たれ、ビームの直撃弾が『銀の銃兵』の背中を捉える。

「普通に戦ったらジリ貧……こういう戦い方もできるってことを見せてやろう!」
 破棄されたキャバリアの残骸を掴み、投擲する。それは直撃弾であったビームにあたり、爆散する。
 周囲に撒き散らされる爆風を目くらましにルイスの機体が反転する。跳躍し、空中で一回転するようにスラスターをふかせ、翻る機体。
 フレームが軋む音を立てるが、勝負はこの一瞬。

「その程度で私の背後を取ったつもりか!」
 前方に向けていたライフルの銃口を背面を見ずに『銀の銃兵』へと向ける『モノアイ・ゴースト』。まるで背中に目がついているのかと思うほどな正確な狙い。
 ビームの光が放たれ『銀の銃兵』を撃つ。
 右腕がビームに貫かれ、爆散する。だが、それでルイスが諦めるわけがない。勝負はまだ決していないのだから。
 メガリスの義眼が輝く。

「目の色を変えるとはこのことだな……!」
 義眼が藍色の輝きを放つ。
 その藍色の災いが放つ力は『圧壊』。爆風に紛れながら『銀の銃兵』が『モノアイ・ゴースト』の背後を捉える。
「つぶ、れろ―――!!」
 放たれた弾丸は二発。
 目にも留まらぬクイックドロウ。属性付与(エンチャント)された弾丸がメガリスの力を開放し、背面ユニットを押しつぶさんする。

 バリア発生装置は片方が破壊されている。
 もしも、それがなくば圧壊の属性が付与された弾丸は十全に力を開放できなかったことだろう。
 背面ユニットの翼がひしゃげ、折れ曲がる。
「なんだ、この力は―――!?」
 飛翔していた『モノアイ・ゴースト』が推力を失って失速していく。
 その背中にルイスは言葉を投げかける。
 それは銃弾では意味がない言葉だった。どうしてもルイスは伝えなければならない。猟兵として戦うだけではない、己が伝えたいと思った言葉だからこそ、その言葉は怒りに呑まれたアジンの心に届く。

「誰もアンタを責めてなどいなかった。アンタは自分の不手際、悪手だと言ったが、彼らはみんなアンタのことを信じていたんだ。だから、アンタは、アンタを信じろ―――!」
 ルイスの駆る『銀の銃兵』が膝をつく。
 右腕を失ったのは大きいが背面ユニットにダメージを与えられたのは大きい。失速しながらも遠ざかっていく『モノアイ・ゴースト』。
 けれど、確かにルイスは伝えた。
 キャバリアパイロットたちが以下にアジンを信頼していたのかを―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
新鋭機とエースパイロットが怒りで攻撃力アップか……なかなかに怖いとりあわせだね。

とはいえ、その怒りや悲哀の原因は、半分くらいはなくせるからね!
だいじょーぶ! パイロットのみんなはちゃんと生きてる!
壊れてたキャバリアもだいたい直した!

残りの半分は……アジンさんを正気に戻すためにも、
いまこそ『フルーⅦ』のみんなの力を借りたいな。
戦いに参加したみんなからの呼びかけが、いちばん効くと思うから、ね

ま、ちょーっと頭を冷やしてからじゃないとダメかもだけど、
そこは仲間にお願いしたいかな、なんて。
わたし、ちょっと操縦に自身がないんだもん!

アジンさんの攻撃は【等価具現】で無効化していけたらいいと思ってる、よー。



 バリア発生装置の片割れと背面の飛行ユニットにダメージを与えられた『モノアイ・ゴースト』の前に現れたのはミネルヴァ級戦闘空母『ネルトリンゲン』であった。
 暴走衛星『殲禍炎剣』の存在するクロムキャバリアにおいて、空を高く高速で飛ぶことは不可能である。
 全て暴走衛星によって撃ち落とされてしまうからだ。
 そんな世界において、海洋でもないのに空母が鎮座しているのは、長い戦歴をもつアジンにとっても初めての光景であったのだろう。
「空母―――? こんな所に何故……だが、それが『グリプ5』のものであるというのなら……私の怒りの矛先を受けて頂く!」
 周囲に展開される怨念の如きオーラによって動く支援キャバリアが駆け出す。
 彼らの狙いは『ネルトリンゲン』だ。おそらくあれが猟兵の母艦であると考えたのだろう。

 それは半分が正解であり、半分が不正解だった。
 次々と『ネルトリンゲン』から射出されるキャバリアたち。それらは『グリプ5』の者も在れば、『フルーⅦ』のキャバリアもあったのだ。
「だいじょーぶ! パイロットのみんなはちゃんと生きてる! 壊れてたキャバリアもだいたい直した!」
 そう自信に満ち溢れた声が荒野に響き渡る。
 それは『ネルトリンゲン』の主である菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の声であった。
 彼女は未だ成れぬキャバリアの操縦に手間取りながらも、修復したキャバリアを『グリプ5』、『フルーⅦ』のパイロットたちに惜しむことなく渡していたのだ。
 彼らが『ネルトリンゲン』を護るように展開する。
 それはもはや敵と味方という垣根を越えたものであった。

「あなたが心折られてしまったのは、あまりに多くの血が流れてしまったから。けれど、安心して。誰も死んでいない。私達が誰一人犠牲にしなかったから!」
 理緒が叫ぶ。
 けれど、その叫びはアジンには届かなかったことだろう。それは理緒自身も理解していた。自分の叫びではアジンを救うことはできない。正気に戻すことはできないと。

 ならば、心折れたアジンの心を癒やすのは何か。
 正気に引き戻す声とは何か。
 自ずと答えは出ているし、理緒にとってはこれまでの戦いで積み重ねてきたものだ。手っ取り早く、ではない。地道に、一つ一つ丁寧に積み重ねてきたものが今芽吹くのだ。
「だって、今もそうだもの。『グリプ5』だとか『フルーⅦ』だとか関係ない。貴方を助けようって、みんなが協力してくれている」
 キャバリアたちが次々とオブリビオンマシンが産み出した支援キャバリアを次々と撃墜していく。
 次々と回線が開いてき、アジンの乗る『モノアイ・ゴースト』のコクピットへと言葉が届けられる。

 口々に彼らは言うだろう。
 今の自分たちがあるのはアジンのお陰だと。誰ひとりとして今回の作戦に疑問を持っていなかったのだと。
 けれど、それが重荷になっていたのなら。
「それは俺ら全員で背負うものですぜ!」
 その言葉にオブリビオンマシンがたじろぐように身震いしたのを理緒は見逃さなかった。不慣れなキャバリアの操縦のままに前に飛び出す。
 構えたビームライフルの銃口に光が集まる。それはオブリビオンマシンがキャバリアのパイロットたちを排除しようとする一撃だった。

 たった一人でも彼らが犠牲になれば、アジンの心はさらに己への怒りをつのらせ、沈んでいくことだろう。
 けれど、それをさせないのが猟兵であり、理緒という一人の人間のあり方だった。
「同位、検索……具現化シークエンス起動……!」
 ビームの輝きが放たれ、直後、理緒の放ったユーベルコードの輝きが相殺する。
 それは等価具現(トウカグゲン)。
 彼女が電脳世界の情報を元に具現化した『モノアイ・ゴースト』の持つユーベルコードと同じ等価存在を現出させ、相殺させたのだ。
 ユーベルコードの輝きが、周囲に展開された支援キャバリアたちと包み込んでいく。

「どれだけ強力なユーベルコードでも……同位が検索できるのなら!」
 そう、理緒の力に寄ってユーベルコードは相殺できるのだ。
 次々と姿を消していく支援キャバリアたち。『モノアイ・ゴースト』は怒りに震えるようにしながら、機体を翻す。
「まだ、頭が冷えていないのかな……? でも、だいじょーぶ! みんな心配しないで。絶対にアジンさんは私達が助けるから! ……まだ、わたしちょっと操縦に自信ない……けど、それでも絶対助けるから!」
 少し前であれば、理緒の言葉は絵空事にキャバリアパイロットたちの耳に響いたことだろう。

 けれど、今は違う。
 キャバリアを修復し、保護された敵キャバリアのパイロットたちに呼びかけ、言葉を尽くしてきた理緒の言葉だからこそ、キャバリアのパイロットたちは彼女の言葉に従うのだ。
 自分たちが向かっても足手まといに成ると理解し、空母に戻っていく。
 理緒は一瞬の煌めきによって人々を束ねるものではない。
 一つ一つを丁寧に積み重ねることによって厚い信頼を獲得していったのだ。それは他の誰にでもできることではない。

 その結実した花はきっと、もっと先……争いに終止符が打たれるそのときにこそ芽吹くことだろう―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フュテュール・ステラセ
・心情
さて、これが指揮官機ですか……
凄まじい力を感じますが、見過ごす訳にもいきません
必ず、助け出して見せましょう

・戦闘
【オーラ防御】や【念動力】で敵の攻撃をいなしつつ、『戦嵐刃雷撃』でコックピットは避けつつ機体を斬りさきます。

この争いを引き起こしたという自責の念があるのならば……尚更、死なせる訳にはいきません
あなたがここで死んでしまうことこそ、双方の国に大きな痛手となるでしょうから

だから、この想いを刃に籠めましょう……セイヴェリオス!

・その他
アドリブ等は大歓迎です
セイヴェリオスは意思を持つキャバリアで喋ったりもします



 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』が飛ぶ。
 飛行ユニットはすでに猟兵からの攻撃によってひしゃげ、歪んでいる。飛んでいると言っても低空飛行のように滑空しているが、十全ではない。
 それに展開されるバリアも片割れが損なわれている。そして、何よりも怒りに呑まれたはずのパイロットであるアジンの心は、わずかに揺らぎを見せていた。
「何故だ……パイロットは皆、死んだはずでは……? 私は、何を見ているのだ……?」
 猟兵たちの活躍によって『フルーⅦ』のキャバリアパイロットたちは全て無事に保護されている。その姿を、声を見せつけられ、オブリビオンマシンによって歪められたアジンの心は揺れていた。
 己を許せぬという怒り。裏切られたという哀切。そのどれもがぐちゃぐちゃに彼の心を歪ませる。
「そうだ……! 許されぬ。裏切られたのだ! 私は! 友好という甘言に惑わされて裏切られ、自国に不利益を齎したのは、他ならぬ私だ……!」

 その咆哮はオブリビオンマシンの力となって怪しげなオーラを装甲から噴出させる。
 その力にはいささかの陰りも見えない。オブリビオンマシンは機械であるが、搭乗者の心を歪ませることにかけては類を見ない存在である。
「これが指揮官機ですか……凄まじい力を感じますが、見過ごす訳にもいきません」
 フュテュール・ステラセ(魔導機神セイヴェリオス・f29913)は彼女の乗機である白き騎士『魔導機神セイヴェリオス』と共に戦場に立つ。
 彼女の瞳の先に在るのは、禍々しいオーラと共にバリアを展開し、猛烈なる勢で此方へと突進してくる『モノアイ・ゴースト』の姿であった。

 その速度は魔導機神であるセイヴェリオスをも上回っている。バリア発生装置の片割れが破壊されているとはいえ、それでもその強度は凄まじい。
 バリアと言えど、あれを直接ぶつけられては―――。
「押し負けるのは私達の方でしょう」
 セイヴェリオスの言葉とフュテュールの考えは同じであった。
 どれだけ自分たちが強固な防御を張り巡らせたとしても、あの速度で持って突進してこられては此方の強度が持たない。

 オーラと『モノアイ・ゴースト』が衝突し、力の奔流が溢れ出す。
「何故止める! 何故阻む! 私はただ報いを! 私自身にも罰を! 争いに犠牲がつきものであるというのなら、私が真っ先に犠牲になるべきであったのに!」
 オーラ防御が割れる。
 そう確信した瞬間フュテュールは念動力でなんとか『モノアイ・ゴースト』の突進をそらす。
 凄まじい力。
 荒れ狂うアジンの心は、その力の振るい方を完全に失念している。
「この争いを引き起こしたという自責の念があるのならば……尚更、死なせる訳にはいきません。あなたが、此処で死んでしまうことこそ、双方の国に大きな痛手となるでしょうから……」

 そう、戦いだけの手段ではなく戦争を終わらせようとした手腕と思想。
 それは争いだけのクロムキャバリアにおいて得難い存在であることは言うまでもない。だからこそ、フュテュールは彼のような存在を捨て置け無い。
 セイヴェリオスの瞳が輝く。
 彼女の意思を受け、ユーベルコードの力の奔流が魔導機神の体に流れ込んでいく。
「だから、この想いを刃に籠めましょう……セイヴェリオス!」
 フュテュールのユーベルコードが発現する。
 それはサイキックの竜巻。
 ほとばしりサイキックによる術式が仕込まれた竜巻が『モノアイ・ゴースト』を捉える。
「嵐よ、雷よ、我らに勝利の一撃を」
 構える剣の刀身に浮かび上がるルーンの文字が輝く。
 雷鳴が轟き、雷の力がやどりし鶴居が掲げられ、捕縛された『モノアイ・ゴースト』を捉える。
 放たれる一撃こそが、戦嵐刃雷撃(サンダーストーム・ギガスラッシュ)。フュテュールの想いが、セイヴェリオスの力が籠められし一撃は、バリアを引き裂き、オブリビオンマシンの装甲を袈裟懸けに切り裂く。

 竜巻が晴れた時、魔導機神セイヴェリオスの瞳が輝く。
「己を責めることもあるでしょう。生きている以上、人は過ちを犯す。けれど、あなたはもう知っているはずです」
「人が前を向いて歩けることを。誰も彼もがその力を持っていることを」
 だから生きて欲しい。
 そういう様にフュテュールとセイヴェリオスは失墜していく『モノアイ・ゴースト』を見下ろすのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
見つけたぜ、今回の事件の元凶ッ!
あのオブリビオンマシンをぶっ壊して
「・・・パイロットの方を助けますッ!」
おうよ、相棒。行くぜッ!

召喚し続けている式神【戦駆け劔武者】の肩に乗って敵キャバリアに接近するぜ。
結界霊符で敵の攻撃を防ぎながら、高速移動で戦場を駆け巡りつつ敵の動きを見切り、隙をついて距離を詰めてコクピット以外の場所に斬撃をぶちこんでやる。

タイミングを見計らって劔武者の肩から破魔弓を構えて敵キャバリアのモノアイを射抜いてやるぜ。
敵キャバリアが怯んだら劔武者の神速居合術をお見舞いしてやるッ!

その憎しみを断ち斬ってやるぜッ!


【技能・式神使い、結界術、見切り、破魔、スナイパー】
【アドリブ歓迎】



 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』が失墜する。
 その機体状況は未だ健在であるが、装甲は切り裂かれバリア発生装置は片割れが破壊されてしまっている。
 だが、それでも尚、大地に失墜した『モノアイ・ゴースト』が立ち上がり、装甲から溢れ出す禍々しいオーラに呼び寄せられるように次々と支援キャバリアの姿が出現する。
 それは怨念のようなものであった。
 オブリビオンマシンに乗るアジンにとって、それは己が奪ってきた生命であり、己の悪手によって喪われた生命であった。
「……私を許さないか。許すわけがないか……そうだ。私は奪った。奪い続け、失い続けた。戦いを終わらせたい。だが、終わらない……どうすれば終わるというのだ、戦いは、裏切りは!」
 咆哮する。
 それは歪められた心が発する悲鳴のようであり、慟哭だった。
 幽鬼の如く支援キャバリアたちが蠢く。大地には再びキャバリアの群れが闊歩し、あらゆる生命を停止させようと得物を求めるようにして『グリプ5』の市街地へと向かわんとする。

『見つけたぜ、今回の事件の元凶ッ!』
 神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は、式神【戦駆け劔武者】(シキガミ・イクサガケツルギムシャ)の肩に依代である相棒、桜と共に立つ。
 彼らの瞳に映るのは、この事件を引き起こした元凶。
 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』であった。かの機体に搭乗しているアジンもまたオブリビオンマシンの策動によって心を歪められた人間である。
 ならば、やるべきことは決まっている。

『あのオブリビオンマシンをぶっ壊して―――』
「……パイロットの方を助けますッ!」
『おうよ、相棒。行くぜッ!」
 全高5mの機動鎧武者、劔武者が戦場をかける。全身に纏うは霊力の炎。支援キャバリアが組み付くように群がってくるが、特殊金属の太刀で切り払い、近づけさせない。
 支援キャバリアは人が乗っていない。
 だからこそ単調な動きしかできないのが幸いした。

『相棒、こいつらにかまってる暇はねえッ! 一気に決めるぜ!」
 結界霊符がばらまかれ、劔武者の周囲に展開するように浮かび上がる。
 それらはあらゆる攻撃を阻む結界であり、防御の要。群がる亡者の如き支援キャバリアたちの奥に禍々しいオーラを放つ『モノアイ・ゴースト』の姿がある。
「あれが、パイロットの方を縛る怨念そのもの―――ならッ!」
 結界の中で劔武者が破魔弓を構える。
 一意専心。
 その心にあるのは敵の打倒ではない。
 
 凶津と桜の心にあるのは、たった一つ。
 助けなければならないということだけ。ならば、彼らの構えた破魔の力が宿りし一矢は過たず、そのモノアイを打ち貫く。
「この、距離を当てる、だと―――!?」
 コクピットの中でメインカメラが損失したことを知らせるメッセージがけたたましい警告音とともにアジンに知らされる。
 即座にサブカメラに切り替わったコクピットのモニターに映るのは―――。

 凄まじい速度で持って結界霊符の中から踏み込んでくる劔武者の姿であった。
 太刀を肩に背負うようにして振りかぶる姿は、まさしく荒ぶる戦士そのもの。まさしく必殺。
「その憎しみを―――」
『―――断ち切ってやるぜッ!』
 放たれる神速の一撃。
 それは『モノアイ・ゴースト』のオーバーフレーム、その装甲を一撃の下に切り捨てる。

「中のパイロットは傷つけない。私達は戦いに来たんじゃない。貴方の中にある憎しみを断ち切りに来た……それはもう、貴方が知っていることであるけれど」
 桜の言葉を受けて凶津の鬼面が断言する。
『どれだけ心を歪められようともあんたの心根は何一つ曲がっちゃいねぇッ! だから、いくらでもやり直せる。そのために俺たちが、猟兵がいるんだからなッ!』
 そう、何度でもやり直せる。
 人はみな、挫けて倒れ伏してしまっても、立ち上がることができる。
 前を向いて、新たな道を模索する時、手にしたものはいつだって白紙のように純粋なものであるのだから―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリッセ・トードゥ
機体冷却完了、再加速。
【推力移動】【空中戦】。スラスター全開で地表を滑る様に低空飛行。【肉体改造】の限界の高G機動で敵の超音速飛行に対抗。
【念動力】で【オーラ防御】。大気の屈折を乱しレーザーを拡散。高速演算で射線を計算しフィジカルジャマーの【残像】を盾にして防御する。
本来、戦場で敵に手加減するのは味方の命を危険に曝す禁忌。だがこいつは戦争じゃない。オブリビオンから人間を守る戦いだ。搭乗者に被害の無い箇所を狙う。
フォースチェーンを改良して貰った新機能。力場の鎖の輪の一つ一つが高速回転して【切断】能力を持つ。
演算し敵軌道上にチェーンを伸ばして【カウンター】。敵の飛行の勢いを利用して機体を切り裂く。



 量産型カスタム機である、CZ-1=カスタムの機体は度重なる戦闘機動によって機体に熱がこもりがちな機体である。
 加速機能(アクセラレータ)の力は凄まじいものであるが、乱用が出来ぬことをアリッセ・トードゥ(BE-MADER・f30023)は正しく理解していた。
 使い所が肝心なのである。
 常時発動していれば、確かに凄まじい戦力となることだろう。
 だが、機械である以上必ず限界が訪れる。
「機体冷却完了……再加速!」
 アリッセの機体が再び超加速へと移行する。全てのスラスターが全開にされ、地表を滑る様に低空飛行する姿は、圧倒的な速度を誇っていた。

 だが、それに猛追する機体があった。
 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』である。だが、その機体は今や猟兵たちの攻撃を受けて傷だらけになっている。
 最も大きな損傷は、その機体の名の由来ともなっている頭部のモノアイセンサーである。弓矢が穿たれ、突き刺さったままであるが高速飛行には問題ないようであった。
 それが搭乗者である『キマイラ』アジンの持つ圧倒的な技量によるものであるとアリッセは戦慄する。
「『キマイラ』……! それほどの技量を持ちながら、オブリビオンマシンに囚われたか!」
 アリッセの機体の超加速に食らいついてくる。
 それは他の猟兵によってダメージを与えられていなければ、加速機能によって超スピードを得ているアリッセと互角のスピードであった。

「私は私自身が許せない。戦いのさなかに言葉を交わすなど! これから互いの間に在るのは生命のやり取りであると! 貴様もキャバリアパイロットであるのなら承知のはずであろうが!」
 光学兵器が展開され、追跡ビームがアリッセの機体を襲う。
 それらを念動力とオーラによって大気を屈折し乱しながらレーザーの出力を拡散させようとする。
 だが、出力が落ちない。それほどまでの威力なのだ。
「くっ―――! だが、『キマイラ』、お前はそうしなかった! 戦場にあっても救える生命は敵であろうと救ってきたはずだ! それが外交手段の一手に過ぎないのだとしても!」
 アリッセの機体が超加速と共にフィジカルジャマーの起動によって残像を生み出しながら、レーザーを躱していく。

 アリッセはわかっていた。
 今、己がやろうとしていることは戦場に置いて己の生命を最大の危機に晒そうとしていることを。
 だが、彼女はためらわない。
 戦場で敵に手加減をするのは、味方の生命をも危険に曝す禁忌。わかっている。けれど、それでもとアリッセの心が叫ぶ。
「こいつは戦争じゃない! オブリビオンから人間を護る戦いだ! 私はそのつもりでいるんだ!」
 キャバリアの残像がレーザーに貫かれ、霧散していく。
 けれど、フィジカルジャマーを止めない。超加速を止めない。機体のフレームが嫌な音を立て、ジェネレーターの熱が凄まじい勢いで上がっていく。止められない。止まらないかも知れない。

 ここで一撃を受けてしまえば、爆散するのはアリッセの方だ。
 だが、それでも。
「ぬかせ―――! これは戦争だ! 私が望んだ戦争であり、私が血を流すべき闘争なのだ! それを―――!」
 アジンの咆哮と共に飛翔する『モノアイ・ゴースト』から再び凄まじい出力にレーザーが放たれる。
 フィジカルジャマーの残像が無数にアリッセのキャバリアの姿を結ぶ。
「いいや、違う! それを私が証明してみせる。フォースチェーン! アサルト!」
 放たれたフォースチェーンが『モノアイ・ゴースト』の左腕に絡みつく。
 それは本来敵機の高速に使われる捕縛用のサイキックエナジーを活用した武装だ。

 だが、アリッセはそれを改良したのだ。
 サイキックエナジーで作られた鎖の輪。それぞれ一つ一つが高速で回転し、切断する。言ってしまえば、チェーンソーの縦回転と横回転を同時に行う凄まじき切断能力を持った武装としてアリッセは己のサイキックエナジーを総動員し、演算によって生み出された角度で、『モノアイ・ゴースト』の飛行の勢いを利用し、急制動を掛け、左腕をもぎ取るようにして切断せしめる。

「加速、終了……ここまで、か。だが、腕一本は頂くぞ」
 飛び退る『モノアイ・ゴースト』。確実に消耗させている。
 アリッセは強制排熱を行う己の機体のコクピットの中で、息を吐き出す。土壇場での武装の改良。ぶっつけ本番での新機能を試す行為は、あまりにも無謀であったかもしれない。
 けれど、その無謀が勇猛さとなって、かの『キマイラ』の二つ名戴くアジンに競り勝ったのだ。
 それは猟兵達にとって、掛け替えのない一手となるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
「血で濯ぐ……ね」
静かに呟き、指を鳴らして「迦楼羅王」を呼ぶ

方針
「コード・ハイペリア」
真の姿の【封印を解く】事で、機体に流す出力を上げ黒の機体が焔を纏う
やる事は簡単だ

「あんたが流すべきは血ではないわ……」

静かな構え。冷徹な【戦闘知識】で敵を【見切り】、後は右の拳を合せるだけだ【カウンター、グラップル、オーラ防御、怪力】
当り負けしないように自身に重力【属性攻撃】で質量増加、そのまま【重量攻撃】に転化しよう
右腕は砕けるだろうが勢いを殺せば十二分
本命はその反動を乗せた左拳だ

「絶ッ!!」

威力ではなく【気合】を篭めた迦楼羅焔で、歪んだ性根をぶちのめそう

「血ではなく汗を流しなさい……“みんな”と一緒にね」



 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』の名の通り、その機体のアイセンサーはモノアイタイプの単眼であった。
 けれど猟兵の放った矢によってモノアイは穿たれ、サブカメラに切り替わっている。右腕はチェーンソーで切り裂かれたように切断されているが機体は未だ健在である。
 機体の前面にバリアが展開される。それは本来機体を全て覆う円形のバリアであったが、バリア発生装置の片割れを破壊さているがゆえに不完全だ。
 それでも尚前面に張り巡らせたバリアの強度は言うまでもない。
「これだけの失態! 万死に値する……私は、私自身が許されないことを知っている。ならば、血を贖うために血で、死せる彼らの汚名を濯ぐしかないのだ!」
 アジンはすでにオブリビオンマシンによって心を歪められている。
 彼の心を占めているのは己の失策によって喪われた生命。
 けれど、それらはすべて猟兵達によって保護されている。あれだけの戦闘が合っても尚、誰一人として欠けること無く、だ。

「血で濯ぐ……ね」
 指が打ち鳴らされる音が荒野に響いた。
 才堂・紅葉(お嬢・f08859)の直上から舞い降りるはキャバリア『迦楼羅王』。黒を基調とした機体にアイセンサーが輝く。
「コード・ハイペリア」
 彼女の拳に燦然と輝くは『ハイペリア』の紋章。機体と共に封印の解かれた出力が凄まじい勢いで炉心からキャバリアの機体全体に行き渡っていく。
 装甲の下で充填されていくエネルギーが焔となって噴出し、その力の奔流をもって『モノアイ・ゴースト』と相対する。

 方や前面にバリアを展開し、猛烈なるスピードで持って猟兵の駆るキャバリアを打ち砕かんとするオブリビオンマシン。
 一方、紅葉は激情を秘めながらも、どこか冷静であった。
 オブリビオンマシンのやり口は悪辣そのものだった。それは許してはおけぬことであり、同時にアジンもまた心を歪められ、その清廉なるが故に己を許すことの出来ない強情さが、この事件の事態をさらに悪くしていた。
 血で血を濯ぐ。
 その行為の愚かしさを最も知っているのがアジンであるが故に。
「あんたが流すべきは血ではないわ……」
 迦楼羅王が身に纏う焔の激しさとは対象的に静かに構える。
 腰を据え、低く落とした重心。
 彼女と迦楼羅王を取り囲むように凄まじい速度で大地を疾駆する『モノアイ・ゴースト』。何処から突っ込んでくるかわからない上に速度が上昇し続ける。

 だが、それでも紅葉は冷静な瞳で挙動を捉えていた。
「ならば、なんとする! 私が贖うべきは罪であり、罰を受けねばならぬのだ! それが人の上に立ち、人の生命を預かる者の責務であるのなら!」」
 オブリビオンマシンに思想を歪めれても尚、そこにあるのは高潔なる思想。根本までは変えられぬアジンの理想は、理想故に己を許せない。
 だからこそ、紅葉は静かに言い放つのだ。
「歪められても、譲れないものはある、か……だったら、この迦楼羅の焔でその歪んだ性根をまっすぐにしてやるわ」
 放たれるは右の拳。
 ストレートに放たれた拳が『モノアイ・ゴースト』の突撃と衝突し、バリアの前にマニュピレーターがひび割れていく。

 当たり負けしないようにと自身を重力で質量を増加し踏ん張る。
 衝撃波が大地を割り、周囲に破片を飛び散らせる。大地が迦楼羅王を支え、その力が拳に伝播する。
 拳とはつまるところ大地の力を流し、出力する先端でしかない。けれど、機体がその力に耐えられなければ―――。
「見事! だが、その機体の強度では、こちらのバリアを破れまい! 拳が砕けるぞ!」
 そのとおりだった。
 マニュピレーターが砕け散り、右腕が肩まで砕ける。

「だろうね……絶ッ!!」
 右腕が吹き飛ぶ。
 その刹那、勝機がある。拳が砕けるほどの衝撃を受けて迦楼羅王の腰が回る。弾けるような反動はそのまま左腕に流れ込み、その乗算された力が放たれる。
 それこそが、ハイペリア重殺術・迦楼羅(カルラ)。
 迦楼羅の焔を籠めた生動一体たる一撃。
「馬鹿な―――右腕を犠牲にして、威力を乗せるだと!?」
 それは自殺行為だ。
 ともすれば機体が持たない。けれど、紅葉の瞳は戦いのさなかに合っても尚、澄んでいた。打倒すべき敵と、救わなければならない者の区別がついていた。
 放たれる拳がバリアを突き破り、『モノアイ・ゴースト』の頭部を撃つ。

 吹き飛ぶ『モノアイ・ゴースト』。
 その機体は凄まじい衝撃を受けて荒野に叩きつけられ、倒れ伏す。
「血ではなく汗を流しなさい……“みんな”と一緒にね」
 戦う相手は間違えない。
 どれだけオブリビオンマシンが性根を捻じ曲げようとも、何度だって叩き直せばいい。
 それができるだけの時間も、何もかも彼にはまだ残されているのだから―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
う~ん。前回と違ってオブビリオンマシンに飲まれちゃってるわねー。
これって普通に機体から排除しても、精神がオブビリオンに持っていかれかねない気がするわねー。
責任感強いってのも考え物ねー。

はぁ。ボク達猟兵が受け止めてあげるよ。その怒り。

量産型キャバリアは『援護射撃』よろしく。
ARICAにはボクの『戦闘知識』をインストールしておいたから、ボクとの『集団戦術』はお手の物だよ。

さって、一気に行くよ。
ボクの切り札見せてあげる。
敵の支援キャバリアは『索敵』で『情報収集』して発見したすき間を41秒の無効化された時間で抜いてモノアイ・ゴーストに一気に接近。
イニティウムで敵機を『切断』するよ。

アドリブはご自由に♪



 キャバリアの拳の一撃によってオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』は大地に叩きつけられた。
 その拳は機体そのものを破壊するのではなく、その歪まされた性根を叩き直すものであった。
 けれど、それでも『モノアイ・ゴースト』はアジンを手放さない。
 この男の技量を、力を、権力を。
 手に入れるために用意周到、悪辣そのものな手段でもって囲ったのだ。どうあってもオブリビオンマシンはアジンを離さない。
「ぐっ―――……私は……! 私の汚名を晴らす。死を持って、血を持って……! 邪魔を、するな―――!」
 禍々しいオーラが機体から噴出し、次々と支援キャバリアを呼び出していく。
 幽鬼のようにゆらりと起き上がるように出現する支援キャバリアの数はあまりにも多い。猟兵たちの攻撃によって無傷ではないはずなのに、それでもなおオブリビオンマシンは戦いを続ける。

「う~ん。前回と違ってオブリビオンマシンに飲まれちゃってるわねー。これって普通に機体から排除しても、精神がオブリビオンマシンに持っていかれかねない気がするわねー」
 ユーリー・ザルティア(レプリカントのクロムキャバリア・f29915)は前回、強制脱出装置をハッキングによってパイロットとオブリビオンマシンを切り離したことを思い出していた。
 あれは機体とパイロットの心が完全に繋がる前出会ったからこそ、出来た芸当であろう。今回はこの侵略戦の前からオブリビオンマシンに搭乗してしまったが故に起こった事件だ。
 パイロットとオブリビオンマシンの結びつく時間はあまりにも長い。そうなれば、機体に紐付けられたパイロットの精神が肉体から持っていかれることは想像に固くなかった。

「責任感強いってのも考えものねー」
 それが少将という階級を持つ者であるがゆえなのかもしれない。そういうものはユーリーにとっては煩わしいものでしかないからか、もっと肩の力を抜けばいいのにと思ってしまう。
「私は、私の責の是非を問う! 私はなんのために、戦うのか―――!」
 その怒りを、哀切を、己の憎悪に変えてしまう。
 そうすれば益々持ってオブリビオンマシンから逃れることはできず、さらに心が歪められていくだけだ。

「はぁ。ボク達猟兵が受け止めて上げるよ。その怒り」
 溜息をつく。
 けれど、そんな風に自分自身を追い込むほどに清廉であるというのならば、尚更死なせることはできない。
 リモートコントロールする量産型キャバリアには学習型AIにユーリーの蓄えた戦闘知識をインストールしている。
 言わば複数のユーリーがキャバリアを同時に動かしているようなものだ。あちらが集団戦に持ち込むというのならば、こちらも数で応対する。
「さって、一気に行くよ。ボクの切り札を見せてあげる―――」

 そして、彼女の頭脳から溢れるタキオン粒子。
 それは戦場となった荒野に存在する全ての存在の主観時間を無力化する。それがどれほどのことであるのかをユーリーは理解しているであろうか。
 言わば、時を吹き飛ばす行為。
 その凄まじき力の代償は、己の生命。一日に72秒以上使用すれば、己の生命はない。

 ―――。
 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』は困惑した。
 その潰れたモノアイが見たのは、支援キャバリアの大群を一瞬で抜いて目の前に現れたユーリーのキャバリアの姿だった。
 何が起こったのかわからない。
 瞬間移動?
 だが、そんな素振りは見せなかった。何が起こった? 何をした?
 歴戦のパイロットであり英雄でもあるアジンの技量を持ってしても、こんなことは不可能である。何を見誤ったのかわらかない。
 確実に言えることは、目の前のキャバリアを駆る猟兵は―――。

「……―――化け物め」
 ユーリーのキャバリアがブレードを振るう。
 とっさに張ったバリアも間に合わぬほどの速度。ビームライフルの銃身が切り裂かれ、吹き飛ぶ。
 アンダーフレームのスラスターが切り裂かれる。理解不能なるユーベルコードの力―――クロックアップ・オメガの前に数は無意味である。

「怒るだけじゃ、人間は生きていけないよ。確かにすごい力を発揮するだろうけれどね。でもね。自分を許せない人は、誰かに赦してもらわないといつまでたっても前を向けないんだよ。怒っていても人生は続くんだから―――」
 ユーリーの言葉が刺さる。
 それはどれだけ鋭いブレードであっても刺さることない強固なるオブリビオンマシンの呪縛を、がんじがらめにされた心を、切り裂く刃であった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蛇塚・レモン
アドリブ連携歓迎

相手が指揮官機
友軍を召喚して猟兵達に数で圧倒してくるはずっ!
だったら、あたいも数で対抗するよっ!

空中浮遊+空中戦で、445人の眷属(埴輪兵)を乗せた八首の巨大有翼蛇神様を召喚!
念動力で飛ぶあたいと蛇神様と眷属に、アジンは怯むかなっ?
(恐怖を与える+精神攻撃)
蛇神様の8ツ首から放たれる破壊ブレス(全力魔法+呪詛+衝撃波+範囲攻撃+吹き飛ばし)で支援キャバリア達をなぎ払い、あたいと眷属達が斬撃の衝撃波をアジン機の脚部に集中させて破壊を試みるよっ!

敵の攻撃は、眷属の盾受け+継戦能力で凌ぐ

怒りの矛先を間違えないでっ!
フルーⅦのみんなは全員無事だからっ!
無理矢理にでもペイルアウトさせるね



 支援キャバリアが荒野に揺らめくようにし現出する。
 その姿は宛ら幽鬼のようであり、彼らを生み出したオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』の怨念めいたオーラがそうさせているのかもしれない。
 そう思わせるほどにオブリビオンマシンの目論見は用意周到であり、悪辣そのものであった。
「許されない。許してはならない。生命は戻らない。生命は帰らない。何をどうあがいても喪われてしまったものは、別のなにかで成り代わることなどできないのだから! 私は私が許せない!」
 オブリビオンマシンのコクピットの中でパイロットであるアジンが咆哮する。
 それは心を歪められた者の末路であったのかもしれない。
 もはやどうにもならないほどに歪められた心。それがオブリビオンマシンの狙いであったのだろう。
 猟兵達は心と言葉を尽くす。
 けれどオブリビオンマシンは違う。捻じ曲げ、歪ませ、人の人生を嘲笑う。無意味であると。何もかもが過去である骸の海へと流れ込むだけの存在でしか無いのだと。

 だが、猟兵は違う。
「村のみんな……蛇神様とあたいに力を貸してっ! 顕現せよ、最古の人類悪……っ! 汝の名は、八岐大蛇!」
 ユーベルコードが輝く。
 戦闘召喚使役術式・目覚めよ、暴虐を奮いし古の蛇神(バトルサモンコード・ライズ・オブ・ヤマタノオロチ)と蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は言った。

 白き蛇神が巨大な八首の有翼蛇神へと変じ、その背に蛇神オロチヒメの信者たちを乗せ戦場へと降り立つ。
「あたいも数で対抗するよ!」
 その陣容は支援キャバリアに負けず劣らずの凄まじき数であった。
 衝撃波を放つ万物を切り裂く霊剣と水の大盾を装備した信者たちがなだれ込む。
「―――生身の人間を戦わせるだと!? キャバリア相手に無謀なことを……いたずらに血を流すのを好むか!」
 アジンにとって、その光景はあまりにも見ていられない光景であった。
 支援キャバリアといえど、鋼鉄の巨人に変わりない。
 だというのに挑むは生身の武装した人間。敵うわけがない。けれど、次の瞬間その考えは変わることだろう。
 万物を切り裂く霊剣がキャバリアの装甲を引き裂く。
 圧倒的とまでは行かないが、キャバリアと人間が互角にたtか合っている光景は、あまりにも悪夢であった。

「さあ、蛇神様! やっちゃって!」
 八首の蛇神が大きく息を吸い込み、一気に放つ破壊の息吹は支援キャバリアたちを吹き飛ばす。
 レモンと眷属たちが一気に戦場を駆け抜け、オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』に迫る。
 どれだけ敵が巨大であろうとも、猟兵である以上怯む者はいない。
 体高が5m。
 それが一体なんだというのだ。それ以上に巨大なる存在とも何度も戦ってきた。それが猟兵という存在であるのならば、今更だ。

「怒りの矛先を間違えないでっ! 『フルーⅦ』のみんなは全員無事だからっ!」
 だから、その怒りは間違いだらけなのだとレモンが叫ぶ。
 捻じ曲げられ、歪められた心が見せる幻影に過ぎないのだ。
 何も悪くはない。それが罪だというのならば、罰などあってはならない。裂帛の気合と共にレモンと眷属たちが放つ斬撃の衝撃はが『モノアイ・ゴースト』の脚部をしたたかに打ち据える。

 スラスターが弾け、その推力を奪う。
「誰も奪われてない! あなたのやったことは、何も間違ってない! 戦うだけが終わりじゃないって知っているから、あなたは言葉で対話しようとする! なら、今度だってわかるはず!」
 まだ何も失っていないのだから。
 オブリビオンマシンの策略がどれだけ悪辣で用意周到であっても。
 何一つ喪われていない。
 そのために猟兵として、レモンたちが心を尽くしたのだから―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
おお、なかなかの気迫に……良い腕だ!
ご褒美に良いこと教えてやるぜ。
もう聞いてるかもしれねーが、今回の戦闘における死者は敵味方ともゼロだ。本当だぜ?
とは言えキャバリアはまあまあぶっ壊したからこの後が大変だ。
お前さんが責任を感じているなら、やること、できることがあるよな?
もちろん、この戦闘のことじゃねーぜ。

スルトに黄金の魔力を纏わせ戦闘です。(戦闘モードⅠ)
今回はその手に『炎の剣』を持って戦いますが、体術の延長線上にある剣術といった感じです。(剣を受けたら足技がくるとか、殴りに対応したら剣が来るとか)
敵POWUCは支援機がいればそれを叩き潰した上で真正面から受け止めてみましょう。
アドリブ歓迎です。



 戦いとは常に犠牲のつきまとうものだ。
 戦争とも成れば地の流れぬものはなく、喪われた生命は帰ってこない。
 どんなに帰りを待ちわびる者がいるのだとしても、死せる生命は帰らえない。そういうものだと知っていた。
 だからこそ、その悲しみを。
 だからこそ、その苦しみを。
 他者に味あわせてはならぬと、己の責務として戦ってきた。
「この結果が、その末路がこれか! 結局の所、私自身が逃れ得ぬのだ! 戦いの連鎖から、憎しみの連鎖から! ならばその全てを私が背負おう。それを私の罪として、罰として!」
 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』の装甲から溢れ出る禍々しいオーラと共に未だ戦場に残る支援キャバリアたちが蠢く。
 バリア発生装置の片割れが破壊されていたとしても関係ない。
 戦って、戦って、血を血で贖わなければならない。例え、敵が世界に選ばれた戦士なのだとしても。

「おお、なかなかの気迫に……」
 漆黒の機体と『モノアイ・ゴースト』がぶつかり合う。
 互いに同じオブリビオンマシン。漆黒の機体『スルト』が吼える。それに共鳴するように『モノアイ・ゴースト』から溢れるオーラの濃さが代わり、展開されたバリアの熱さはもはや鋼鉄以上であった。
「おおお―――ッ!!」
「良い腕だ!」
 アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は純粋に戦いを楽しんでいた。目の前のオブリビオンマシンに乗っているパイロットはこれまで相手取ってきたパイロットとは違う。『本物』だ。
 機体越しでも伝わる気迫。
 そして、スルトを抑え込むだけの技量。己の機体性能を熟知し、手足の延長線上に扱うことがキャバリアの本質であると理解している。

「ご褒美にいいこと教えてやるぜ。もう聞いているかもしれねーが、今回の戦闘における死者は敵味方ともゼロだぜ?」
 それは事実であった。
 他の猟兵達も伝えている。けれど、それはオブリビオンマシンに心を捻じ曲げられたアジンにとっては、世迷い言にしか聞こえなかったことだろう。
 彼の心が捻じ曲げられ、歪んだのはひとえに犠牲者が在るという一点。
 だからこそ、信じられない。
「たわごとを! この光景を見ても! それを信じられるものか!」
「はっ―――! それもそうだな! だが、本当のことだぜ?」
 お前も見ただろう、とアレクサンドルは笑う。
 猟兵の齎した空母にて敵味方関係なく修復されたキャバリアに乗り、保護された仲間を護ろうとする『フルーⅦ』と『グリプ5』のパイロットたちの姿を。

 頭が痛む。
 ここに来て尚、オブリビオンマシンはアジンを手放さない。
 どうあってもこの男を狂気に沈めなければならないとばかりに禍々しいオーラが機体を包む。
「往生際が悪いぜ、オブリビオンマシン。いや、『モノアイ・ゴースト』!」
 スルトの手にした炎の剣が禍々しいオーラを切り裂く。
 その身纏った黄金の魔力が噴出し、『モノアイ・ゴースト』の禍々しいオーラと激突する。
「とは言え、キャバリアはまあまあぶっ壊したから、この後が大変だ。お前さんが責任を感じているなら、やること、できることがあるよな? もちろん、この戦闘のことじゃねーぜ?」

 振るった炎の剣が『モノアイ・ゴースト』を吹き飛ばす。
 周囲に散財していた支援キャバリアたちが一斉に『スルト』を囲い込み、『モノアイ・ゴースト』を護る。
「邪魔だ―――!」
 振るった拳が、剣が、支援キャバリアたちを尽く破壊せしめる。
 キャバリアと言えど、無人機ならばこの程度である。

 そこに一直線に凄まじい速度で突っ込んでくるのはバリアを前面に展開した『モノアイ・ゴースト』である。
 その衝撃はあまりに凄まじく、オブリビオンマシンの『スルト』であっても腕の装甲がひしゃげる。
「踏ん張れよ、『スルト』!」
 黄金の魔力が膨れ上がり、押されていた『スルト」の機体が止まる。咆哮する『スルト』のひしゃげた装甲が弾け飛び、その素体たるフレームがむき出しになる。
 けれど、それに構う余裕はない。
 目の前のオブリビオンマシンに乗るのは、『本物』のエースだ。
 あちらが全力で来るのならば、こちらも答えねばならない。
「あんたが『本物』だって言うんなら―――その邪魔くせぇオブリビオンマシンを取り除いてやるよ! 聞こえてるな、オブリビオンマシン。てめぇは、パイロットの足枷だ。足を引っ張ってんだよ! だから! この程度のことに対処できねぇ!」
 ひしゃげたスルトの腕が『モノアイ・ゴーストの無事な右腕を掴み引き寄せる。

 それは言ってしまえば一本背負いのような形であった。
 投げ放たれた『モノアイ・ゴースト』が大地に投げ放たれ、地面をバウンドしてふきとばされる。
「次、やるなら―――そんなしみったれた機体じゃあなく……本来のアンタと手合わせしてみてーな?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
引き続き『ファントムシリカ』に乗ったまま参戦

それじゃ全力出していっきまーす!
エンジェライトスラスター起動っ!
フローライトダガーを構えつつ
一気に肉薄して接近戦
休む暇なく攻撃を繰り出しながら
ついで短距離通信です

「血で濯げるものなんて何もありませんよ?」
血には力が宿ります
そう、使命や想い、呪いがね?
血を浴びるとはそれを受け取る事に他ならないのです
「しかし戦わねば晴れぬというなら、そのお相手仕りましょう」
お説教は聞く気が無いと意味がありませんからね

チャージに対して真正面からいきます!
「強き一撃は信念をも砕く! 参ります!」
【疾風怒濤】攻撃力重視verで相殺しつつ
機体の手足の1本でもいただきましょうか!



 戦場に天使の光輪の如き光が現出する。
 それはキャバリアの放つ光であり、背に負った羽根のように展開されたエンジェライトスラスターが放つ光の帯であった。
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)の駆るキャバリア、『ファントムシリカ』が放つ光は禍々しいオーラを纏うオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』と対極に位置していた。
「てん、し……? 馬鹿な、私は何を!」
 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』のパイロット、アジンが頭を振る。
 猟兵たちの攻撃にさらされて、機体状況は悪化の一途を辿っている。
 頭部のモノアイセンサーは穿たれ左腕は破壊されている。背面ユニットは歪み、脚部スラスターも完全ではない。
 さらにはバリア発生装置もまた片割れが破壊されている状況にある。

 だが、それでもオブリビオンマシンの力は未だ衰えることをしない。
 それはサージェもわかっていた。
 あのオブリビオンマシンがどれだけの計画と策略で持って少将という権力とパイロットとしての技量を持つ得難い存在を貶めようとする理由。
 それは戦争を再び勃発させ、互いに血と血で洗う闘争へと人類を落とす第一歩なのだ。
「―――それじゃ全力出して……」
 ファントムシリカのスラスターから光が噴出する。光の帯が展開され、幾重にも輪が形成される。
 光が収縮し、粒子がきらめいた瞬間、その機体は凄まじき速度で荒野を駆け抜ける。
「いっきまーす!」
 肉薄するは『モノアイ・ゴースト』。フローライトダガーによる連撃が『モノアイ・ゴースト』を追い詰めていく。
 だが、相手はエース。
 キャバリアの操作技術は尋常ならざるものであった。息をつかせぬ連続攻撃。それらの尽くをバリアで防ぎ、躱し、いなしていく。

「血で濯げるものなんて何もありませんよ?」
 鍔迫合う両機の間に通信が行われる。
 互いのモニターに映る互いの顔。どうしようもないほどにやつれた表情のアジンの姿は胸が痛くなる。
 どれほどの責務と重圧に晒されてきたのだろう。この心を折るために二重三重に策略を張り巡らせたオブリビオンマシンの悪辣さが浮き彫りになる。

「だからこそだ! 何も濯げないのなら―――! 勝利をもって喪われた生命に贖罪するしかない!」
 サージェはフローライトダガーを振るいながら、その痛切なる叫びを聞く。
 それはもはや―――。
「血には力が宿ります。そう、使命や思い、呪いがね?」
 呪詛だ。
 死者の怨念という見えぬ力によって絡め取られている。どれだけの血をかぶったのだろう。
「血を浴びるとは、それを受け取ることに他ならないのです」
「ならば、なんとする!」
 フローライトダガーの一振りが切り払われる。近接戦闘と速度に特化した機体であっても、アジンは対応してくる。
 それも完全な状態ではない傷ついた機体であっても。これが本物のエースの技量であると知らしめられる。

 だが、サージェは諦めない。
「お相手仕りましょう」
 そう、その怒り。悲しみ。憎悪。全てを受け止める。戦わねば晴れぬものがるのというのならば、戦って晴らす。
 互いに距離をとった瞬間、互いが何をするかわかった。
「サージェ・ライト、参ります!」
 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』の機体が反転する。展開されたバリアを前面に押し出し、突撃してくる姿は雄牛の如く。あの突撃を受ければ、こちらの機体が持たない。

 けれど、サージェが選んだのは真正面から受け止めることだった。
「だって、いいましたから! 全て受け止めるって! それで貴方の心が晴れるのなら! そにっくぶろー!!」
 それは疾風怒濤(クリティカルアサシン)の如く。
 互いにぶつかる機体同士。天使の光輪が現れ、加速した力と共に禍々しいオーラとぶつかり光の奔流が周囲に膨れ上がる。
「強き一撃は信念をも砕く! 参ります!」
 その一撃はただの一撃ではない。そう、バリアを砕く一撃。此方の機体も装甲が剥離し、フレームがきしんでいく。

 だが、その強き一撃は。

「機体の手足一本でもいただきましょうか!」
 両腕が砕けた。
 フローライトダガーが宙に舞う。攻撃の手段はもはやない。けれど、それはオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』もまた同じであった。
 バリアを砕け、その機体を護るものはない。
 だが、強き一撃には、信念が宿っている。それは勝利への執着でもなければ、敵意でもない。

「シリカ!」
 機体が飛び上がる。それは人間の動きではなく、猫のような俊敏さ。女性型機体の頭部に備えられたアタッチメントにフローライトダガーの柄が装着され、エネルギー供給されたビームの刃がほとばしり、一直線に『モノアイ・ゴースト』の左肩を付け根から切り裂く。
 執念の一撃が、妄執の如き怨念を切り裂いた瞬間だった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
さてと、じゃあ本丸を落としに行こうか
最後くらいは真面目にね
いや真面目だからね、常に


《RE》IncarnationとKey of Chaosを抜刀
支援キャバリア邪魔だなあ…
召喚された支援キャバリアはこっちの動きで翻弄しよう
足元狙って攻撃して、転倒させたりキャバリア同士を『吹き飛ばし』てぶつけたりして対処
細かい攻撃は『オーラ防御』で受け流そう

支援キャバリアに対処しつつモノアイ・ゴーストに接近
こっちの射程に入ったら【疑似神性・解放】を起動
間合いを取りながら詠唱開始、可能な限り近付こう
詠唱は最小限さっさと撃ってダメージを重ねる
所詮は機械、狙うべき場所は分かり易い
稼働に影響のある部分を狙って光を放とう



 遂にオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』の左腕が脱落する。
 それは猟兵たちが紡いできた戦いの軌跡であり、かの『キマイラ』とも渾名されたアジンを捉えたことにほかならない。
 ここまで追い込まれることはオブリビオンマシンにとって想定外であったのだろう。
「―――……!どこまでも私を……攻め立てる! 私は、私の血で持って、この罪を灌がねばならないというのなら!」
 強化されるオブリビオンマシンの洗脳めいた力。
 それはアジンの心を捻じ曲げていく。歪ませ、さらなる混沌へと、その身を堕とすのだ。
 禍々しいオーラが機体の装甲から溢れ出し、周囲に幽鬼の如き支援キャバリアを生み出していく。
 それはここまでオブリビオンマシンを追い詰めても尚、その力が未だ健在であることを示していた。

「さてと、じゃあ本丸を落としにいこうか。最後くらいは真面目にね」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は少しだけ目を細めて、未だ咆哮するようにエンジン音を響かせるオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』をその赤き瞳の中に捉えた。
 あれが本丸。
 今回の事件の首魁たるオブリビオンマシンである。モノアイはすでに猟兵に放った矢によって穿たれて、左腕は遂に脱落している。
 背面の飛行ユニットはひしゃげ、歪んでいるせいで飛翔能力が減退している。
「後はバリア発生装置の盾か。片側が砕けているけど、バリアを張っての突進は前面だけ晴れればいいから問題ないのか」
 冷静に分析する。
 それは彼女がメカニックであるからという理由もあろうが、卓越した選別眼があればこそだろう。
 もはや玲の瞳の中にあるオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』は技術面から見ても丸裸同然であった。
 真面目にやれば、この程度造作もない。
「いや、真面目だからね、常に」
 やはり保たなかった。が、それでも二振りの模造神器を抜き払う。再誕と混沌。その切っ先が見据える先にあるのは、オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』の姿だった。

「支援キャバリア邪魔だなあ……」
 ため息交じりに玲が戦場を駆け抜ける。
 どれだけのキャバリアが彼女の行く手を阻んだとしても関係ない。無人のキャバリアなど、彼女にとっては道行く路傍の石程度でしかないのだ。
 抜き払った模造神器が放つ衝撃波が彼女を押しつぶさんとするキャバリアのアンダーフレームを打つ。
 生身の玲に対して、重心が低いキャバリアにはその一撃は態勢を崩すには十分であった。さらに振るった模造神器の衝撃が傾いだ機体に打ち込まれ、転倒させる。
「あっ、これダルマ落としっぽくていいかもしんない。あ、うそうそ、今のとこカットで」
 そんな誰に言っているのかわからぬことをいいつつ、指をちょきちょきさせる仕草と共に玲は支援キャバリアの群れを尽く破壊していく。

 クロムキャバリアにやってきてわかったことがいくつかある。
 この世界はキャバリアを主戦力としている。それはオーバーフレームとアンダーフレームに機体の構造を分けることによって整備の簡易さとバリエーションを豊富にできる点だ。オーバーフレームが破壊されても新たなるオーバーフレームを乾燥すれば、様々な戦場に適したキャバリアとなれる。
「けどさあ。アンダーフレームの作り的にスラスターや移動だけにしか使わない、機動力の確保だけに使ってる機体が多いっていうのは、ちょっと残念だよね」
 だから、したからの攻撃に弱い。
 玲の振るう模造神器の衝撃波によって機体同士がぶつかって一気にふきとばされ、一網打尽にされてしまう。

「そう思わない? 少将さん。いや―――『モノアイ・ゴースト』って言った方が話通りやすい?」
 赤い瞳がついに『モノアイ・ゴースト』を捉える。
「生身でキャバリアに対抗できる人間だと―――!? 馬鹿な! こんなことが―――!」
 肉薄する玲をモニターに捉えるアジンがうろたえる。
 主戦力がキャバリアである以上、今目の前で起こっている光景は、信じがたいものであったことだろう。

 生身の、それも女性の玲が模造神器を振るうたびに無人とは言えキャバリアが吹き飛んでいくのだ。
「再誕の剣・混沌の鍵・帰路を示す鳥・いつか見た空…込められし力を此処に」
 輝くは、疑似神性・解放(ギジシンセイ・カイホウ)されし、神器が持つ混沌の力。
 それは全てを無に還す光。
 禍々しいオーラであろうと、オブリビオンマシンであろうと、その光の前おいて抵抗は無意味である。
「いつだってそうだけれど、戦う人は大変だよね。やらないといけないこと、責任……まあ、色々あるけれど。それでも生きていくって決めたのなら」
 放たれる光。
 無人機キャバリアたちが次々と光に飲み込まれ消えていく。
 その奥で『モノアイ・ゴースト』が禍々しいオーラを噴出させ、壁を作る。
 けれど、その程度のオーラで防げるほど、神性を開放した力は甘くはない。オーラが尽く霧散していく最中、『モノアイ・ゴースト』のアンダーフレームが塵のように分解され、光に飲み込まれていく。

 それは圧倒的な力だった。
 擬似的とは言え、混沌の力を再現した玲の力はユーベルコードと彼女のたゆまぬ研究の結果であろう。
 その力が振るわれる相手は決まっている。
「まだ、限定的だけれどね。それでも……所詮は機械。アンダーフレームを失えば、稼働には影響大でしょう」
 彼女の赤い瞳が輝く。
 それはオブリビオンマシンをして、恐れを抱かせるほどに鮮烈なる輝きを放つのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
精神負荷を掛けることで完全に搭乗者を手中に収める…
ウォーマシンとしてはその選択を評価いたしましょう
ですが、騎士としては許し難い行為
その所業、破壊と少将の解放という形で贖っていただきます

装備銃器での●乱れ撃ちスナイパー射撃で支援機を破壊しつつ●瞬間思考力とセンサーでの●情報収集で突撃を●見切り●推力移動で躱し、●盾受け●武器受けで凌ぎバリアを叩く近接戦

自機●ハッキングの直結●操縦でも機体性能と熟練度は埋め難いものがありますが…限界を迎えるまで耐えましょう

迫る敵機に対しロシナンテⅣから飛び出し●だまし討ち
戦闘開始時から充填していたUCを巨大剣として●なぎ払い一閃

その鋼の悪意、断たせていただきます



 アンダーフレームを失ったオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』が支援キャバリアのアンダーフレームを奪い、その機体を維持しようとしていた。
 脚部であるアンダーフレームは推進機が多い。姿勢制御、推進力を一手に背負い、オーバーフレームは火力を担当する。
 それがクロムキャバリアにおいては、ほとんどのキャバリアがそうした設計思想のもとに作り上げられていたことだろう。
「まだ、私は! 何も濯げてはいない! 敵の一人も! その血で我が同胞の生命を贖っていない……!」
 コクピットの中でアジンが吼える。
 それは彼の心がどうしようもなくオブリビオンマシンによって歪められているからだ。

「精神負荷をかけることで、完全に搭乗者を手中に収める……」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、オブリビオンマシンの目的を正しく理解していた。
 二重三重にも張り巡らせた思惑。
 それは全てにおいて、彼―――アジンをオブリビオンマシンが手に入れるためだった。キャバリア操作技術、外交、そして権力。
 どれをとっても、このクロムキャバリアに争乱の種を撒くには相応しい力であったからだ。
 そうすることの重要性をトリテレイアもまた『自身がそうするのであれば、そうしたであろう』と評価していたのだ。

 ただし、それはウォーマシンとして、である。
「騎士としては許し難い行為。その所業、破壊と少将の開放という形で贖って頂きます」
 キャバリア『ロシナンテⅣ』が戦場を疾駆する。
 装備された銃器が展開され、周囲に存在する無人の支援キャバリアたちを穿ち、自身へと近づけさせない。狙うは首魁であるオブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』のみ。
「私を狙うか! だが、キャバリアの層を突破できまい!」
 次々と禍々しいオーラに当てられたように無人の支援キャバリアたちが『ロシナンテⅣ』を組み伏せようと幽鬼の如く迫りくる。
 圧倒的な数での圧殺。
 あちらは損壊が激しいとは言え、アンダーフレームを交換し、その力を徐々に取り戻そうとしている。
「いいえ、できますとも。この程度の戦力で私と『ロシナンテⅣ』を止めようなど……失礼ながら、アジン少将。その戦術眼……そのキャバリアに搭乗されてから曇ってしまったようですね?」

 慇懃無礼な物言い。
 それは心を歪められたアジンにとっては耐え難いものであったことだろう。もしも、心を歪められていない彼であれば、さらりと受け流した皮肉であった。
 けれど、今はそれすらできない。
 不完全なアンダーフレームとの融合のままにバリアを前面に展開する。一気に加速し、『ロシナンテⅣ』へと突進する『モノアイ・ゴースト』。
 あれだけの損壊を受けて尚、受ける重圧。
「ならば、受けてみせろ―――!」
 凄まじい衝撃が機体を襲う。
 大盾で受け止めても尚、衝撃が機体を通して突き抜けてくる。

 どれだけトリテレイアが機体と直結し、駆動系の限界を越えたとしても機体性能と操縦練度の差は埋められない。
 それはウォーマシンであるトリテレイアが一番理解していたことだ。
「確かに埋めがたいものがありますが……限界を迎えるまで耐えることができるのが戦機」
 機体がきしみ、装甲がひしゃげていく。大盾はすでにぐしゃぐしゃに潰され、盾を持っていた腕部が砕け散る。
「潰れてしまえ!」
 装甲が剥離し、アンダーフレームの脚部が地面に突き刺さるように沈み込む。
 限界を越えてフレームが耐えられなくなり、態勢が崩れた瞬間、放たれた重火器の弾丸がバリアを打ち砕く。

「その鋼の悪意、断たせて頂きます」
 その言葉は開放された『ロシナンテⅣ』のコクピットハッチから飛び出したトリテレイア自身から発せられていた。
 その手にもつは刀身のない柄―――コアユニット直結式極大出力擬似フォースセイバー(ダイレクトコネクトセイバー・イミテイト)
 溢れ出る白き粒子が翼のようにトリテレイアを包み込む。

 開放された粒子が刀身を形成し、巨大な剣……それこそキャバリアサイズほどもあろう巨大な刃となって振り下ろされる。
 とっさに出力されたバリアが刀身を受け止めるも、すぐに砕け散った。
「馬鹿な―――!」
 バリアを砕かれ、その刀身はバリア発生装置を切り裂き、完全に破壊する。
 背後で『ロシナンテⅣ』が崩れるようにして倒れ込み、その上にトリテレイアが膝をつく。
 あれだけの強度を誇るバリアを打ち破って打撃を与えるためには、それ相応の粒子の消耗があるのだ。

「ですが―――その悪意。断ち切らせて頂きました」

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
そこまでやるかって感じだけど
相手が悪かったね

第一波も第二波もパイロットは死んでないよ
まだ取り返しはつくんだ
どこまで信じて貰えるかはともかく
何度も呼びかけよう

バリアチャージはあえて受けよう
こちらの呼びかけを信じて貰いたいしね

神気で勢いを殺しつつ
超硬装甲で突進を受け止めるよ

キャバリアと違って
こっちは軽量化する必要ないからね
みっちり密度の高い希少金属が詰まってるから
簡単には弾き飛ばされないよ

それに皆の活躍で支援機もほぼ残ってないんじゃないかな
受け止めつつ説得を続けよう

とはいえ最後は少し荒っぽくなるけどね
ガトリングガンと装甲を分解し
RS-Bメタルハリケーンを生成
至近距離からお見舞いして機体を削り落そう



 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』にとってバリア発生装置は攻守一体の装備であった。
 それがあるからこそ強靭なる防御力と高い突進能力を可能にしていたのだ。
 けれど、その優位性は猟兵たちの攻撃によって喪われてしまった。
「バリア発生装置は―――……やられたか。復旧は不可能。だが! だが、私はまだやるべきことがあるのだ! 失ってしまった生命は戻らない。だからこそ……彼らに報いなければ―――!」
 アジンの心は歪んでいる。
 正しく世界を認識できない。どれだけ猟兵たちが言葉を尽くしたとしても、彼のミミには届かない。
 それはオブリビオンマシンの策略の積み重ねであろう。
 精神的に心を折った上で、心を歪ませる。そうすることでアジンの精神も肉体をも傀儡にしてしまおうという悪辣さがあった。

「そこまでやるかって感じだけど、相手が悪かったね」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は、オブリビオンマシンの策動の結果を見てもなお、希望を喪わなかった。
 なぜなら、彼らはアジンの心を歪ませている要因の一つであるキャバリアパイロットたちの人命を全て喪われること無く確保していたのだから。
 それは一見すれば遠回りの道であったことだろう。オブリビオンマシンには理解できないことであったかもしれない。
 一切が無駄であったから。

 戦いにおいて情けは無用である。
 敵と味方の生命を天秤にかければ、当然に味方に傾く。それはどの立場にあるものだってそうだ。そんな中、敵を助けるのであれば、その数倍の労力がかかる。
 そうなれば味方をさらに窮地に追い込んでしまう。
「第一波、第二波もパイロットは死んでないよ。まだ取り返しはつくんだ」
 その言葉がどこまで届くか、晶はわからなかった。けれど、何度でも呼びかけようと心に決めていた。

 バリアなくとも突撃してくるキャバリアの質量はそれだけで脅威だ。兵装創造(オルタナティブ・ウェポン)によって飛竜型の使い魔たちが超硬装甲に覆われた機体で、『モノアイ・ゴースト』を受け止める。
「取り返しのつく生命などあるものか! 私はそれを知っている! 知っているからこそ、戦いを―――!」
 アジンの咆哮が響く。
 アンダーフレームは破壊され、急造の支援キャバリアのものを無理やり接続しているだけだ。
 踏ん張りが効くわけがない。
 それにこちらの使い魔の機体には軽量化する必要がない分、密度の高い希少金属が詰まっているが所以に簡単に弾き飛ばされることはない。

「何度でも言うよ! 取り返しのつかないことなんてない! あなたが絶望する理由なんて、どこにもないんだ! その目がまだ醒めないっていうんなら―――!」
 ならば、晶が為すべきことは一つだ。
 あらっぽくなることは承知の上だった。
 けれど、それでもやらないといけない。仲間が、猟兵が紡いだオブリビオンマシンに囚われたアジンを救い出す道筋をここで途絶えさせるわけにはいかない。

「さぁて、でかいの一発いってみようか」
 ユーベルコードが輝く。
 超硬装甲が分解、再構成され、晶の持つガトリングガンをも分解し、キャバリア兵器―――RSーBメタルハリケーンを生成する。
 それはキャバリアの持つ戦術性を拡張する装備であり、圧倒的な連射速度を持つ兵器。
 放たれる弾丸は毎分3000発。
 弾丸は超硬装甲から再構成されるがゆえに、その高密度の弾頭が『モノアイ・ゴースト』の装甲をまるであってないがごとく削り取っていく。
 至近距離で放たれる弾丸が火花を散らし、モノアイ・ゴーストのオーラすらも削り取っていく。
「いつだって、人はやり直せる。その人がやり直そうと前を向いて居る限り、過去のことはなかったことにならなくても!」
 ガトリングガンの銃身が白熱していく。
 排熱が間に合わないのだ。けれど、構わない。今なすべきことを為せないのならば、銃身が保たなくてもいい。

「どす黒い血に塗れた過去から続く未来は、それでもまだ真っ白なんだ! これからの道行きを決めるのは、アジン、貴方だけなんだよ!」
 放たれた弾丸が遂に『モノアイ・ゴースト』の機体を穿ち、爆風とともに吹き飛ばす。
 銃身が溶け落ち、晶のユーベルコードの光が消えていく。
 猟兵が紡いだ軌跡が今、結実しようとしていた―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
御安心を……パイロットの皆は全員無事でござる。
拙者、愛久山清綱。アジン少将、今お助けする!

■闘
相手は歴然の兵……されど真正面から行かせて貰う。
【剣宿・現】で神霊を纏い、【空中戦】形態へ。

先ずは【破魔】の力を宿した『心切』を構え突進を仕掛け、
バリアを剥がしつつ耐性を崩させる。
また周囲にいる支援機には剣気を当て、【恐怖を与える】
ようにエラーを誘発させ無力化だ。

バリアを破れたら一気に行くぞ。
その巨体目掛けて【浄化】の霊力を宿した太刀を振り下ろし、
オブリビオンマシンの邪な力を斬り祓う!

帰りましょう、少将。皆が貴方を待っていますよ。

※アドリブ歓迎・不採用可



 オブリビオンマシン『モノアイ・ゴースト』の機体が爆風と共に荒野へと失墜する。
 バリア発生装置は尽く破壊され、アンダーフレームも支援キャバリアのものへと交換せざるを得なかった。
 その上装甲は全て削り取られ、満身創痍であった。
 だが、それでもオブリビオンマシンはアジンを離さないだろう。
 この人物が死せるだけでも、オブリビオンマシンにとっては僥倖である。かの外交と戦闘における英雄が死すことがあれば、『グリプ5』と『フルーⅦ』の関係は今度こそ決裂し、二度と結びつくことはないだろう。
 そうなれば、争乱は一層混沌へと叩き落される。
 むしろ、そうなればいい。オブリビオンマシンの矢に穿たれたモノアイが妖しく嗤う。

「私は、終わらない……! 死せる兵士たちのためにも……!」
 禍々しいオーラが噴出する。
 それは機体の状況が痛々しいまでに損壊していたのだとしても、終わらぬ闘争を示していた。
 まだ戦う気なのだ。それも偏に、喪われてしまったキャバリアパイロットのことを思ってのことだろう。
 彼が英雄と呼ばれるエースたる所以であった。

 だからこそ、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は彼を死なせるつもりはなかった。
「御安心を……パイロットの皆は全員無事でござる。拙者、愛久山清綱。アジン少将、今お助けする!」
 猛禽の翼を広げ、ユーベルコードの輝きに包まれる清綱。
 それは天空舞う剣神の力の一部を宿す憑神体へと己の体を変ずる力。剣宿・現(ツルギヤドシ)。
 その凄まじき神気は、禍々しいオーラがバリアのように清綱の接近を許さぬと張り巡らされるが、破魔の力宿した『心切』の前には霞と同じであった。
「無駄なあがきを―――! オブリビオンマシンよ! その禍々しいオーラが何故たやすく切り裂かれるか、その理由を知らぬであろう!」

 振り払った刀身が輝く。
 その光は希望の光だ。猟兵達は皆、キャバリアパイロットたちの不殺を心がけてきた。誰一人欠けること無く、血の一滴すら流さぬ戦い。
 それがどれほどの労力を要するものであったかは想像を絶する。
 けれど、猟兵は自分たちの力がアジンを救うものではないとわかっていた。彼を救うのは、彼を慕い、彼を信じてついてきた部下であるキャバリアのパイロットたちの願いと祈りだ。

 その祈りを受けた刃が、過去の化身たるオブリビオンマシンの放つオーラに負ける道理などないのだ。
「故に、この一刀の前に断てぬものなどない!」
 飛翔し、上段から振り払う一撃はユーベルコードと人々の祈りと願いを乗せた一撃。
 オブリビオンマシンの装甲を切り裂き、その機体を一撃の下に霧散させる。
 それは清綱一人で為したことではない。
 数多の猟兵、キャバリアパイロットたちが為した奇跡。切り祓った一撃と共に清綱はアジンを抱え、離脱する。
 爆風が巻き起こり、オブリビオンマシンがアジンを求めて手を伸ばす光景を見下ろしながら、清綱は刀を収める。
 背に負ったアジンと共に、清綱は凱旋する。

 この戦いに勝者はいない。
 けれど、敗者もまた存在しない。今はそれでいいのだ。
 なぜなら、争いはなかった。二つの国は、未だ友好国だ。なぜなら、何も喪われていないから。
 決定的なものは何一つ。オブリビオンマシンに奪わせはしなかった。
「帰りましょう、少将。皆が貴方を待っていますよ」
 その言葉とともに清綱は空を舞う。
 目の前にはキャバリアパイロットたちが出迎える空母。そこにひしめく彼らの顔を見て、アジンは微かに表情をほころばせるのであった。

 ここに分かたれる絆は一つもない―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月05日


挿絵イラスト