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おもちゃの まちを とりもどせ! ▼

#アリスラビリンス #戦後

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#戦後


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●せんごしょりっていうのはだいじなんだよね
「にゃーん!みんなあつまってくれてありがとー!」

 集まった猟兵たちにぺこり、とふかーくお辞儀するのはエインセル・ティアシュピス(生命育む白羽の猫・f29333)。
 集まってくれたのが嬉しいらしくて緑のおリボンがついたしっぽがさっきからふりふりしている。

「んっとね。めーきゅーさいやくせんおわったけど、アリスラビリンスでまだまだこまってるゆかいななかまさんたちがいーっぱいいるみたいなんだ」

 エインセルのおこさまことばだと噛み砕くのに大分時間がかかりそうなのでこちらで解説しよう。
 オウガ・オリジンを討伐し、『迷宮災厄戦』は無事集結したが、オウガの全てがそれで死に絶えたワケではない。
 だが、"はじまりのオウガ"であるオウガ・オリジンが猟兵たちによって倒されたことは間違いなくオウガたちにとって大打撃に繋がり、支配体制が大きく揺らぎ始めていた。
 この機に乗じて愉快な仲間たちや時計ウサギらは力を合わせ、オウガたちに奪われた自分たちの国を取り戻そうと計画を立てているが、彼らだけでは間違いなくオウガに圧倒されてしまうだろう。
 エインセルが予知したのは、彼らがオウガによって一人残らず氷漬けになってしまう痛ましい光景だったそうでさっきまでふりふりしていたしっぽをしゅん、耳をぺたんと下げて予知の光景を語る。

「ゆかいななかまさんやとけいうさぎさんたちがすんでるおもちゃのまちはね、オウガがかっち―――――んってこおらせちゃったんだ。
 そのせいでと――ってもさむくっておうちにかえれないんだって。おうちにかえれないのかわいそうにゃーん……。
 だから、いぇーがーのみんなでオウガにおうちとっちゃめーだよ!っておしおきして、みんなをおうちにかえしてあげてほしいんだ!」

 もちろん、オウガを討伐しただけでは終わらない。
 「スノウ・ブライニクル」と呼ばれる雪狐のオウガを討伐した後は氷漬けになったおもちゃの街の立て直しが必要だ。何分ずっと氷漬けになって溶けたら溶けたで大量の水に塗れることになるワケでまあ、そりゃ錆びたり腐ったりしちゃうモノもありますよね?金属とか木とか。
 特に木製のモノは間違いなく使い物にならないので新しく組み立てる必要があるだろう。

「あと、それとたぶんみんなをおうちにかえしたら、てしたのオウガがびっくりしてなにごとだー!ってやってくるかも。そのオウガたちもめーってしたらおもちゃのまちはきっとへーわになるよ!」

 まあとりあえず、いつもの猟兵のお仕事ですよということだ。
 アリスラビリンスの愉快な仲間たちや時計ウサギたちが自由に動ける範囲を広げることができれば、今も尚迷い込んでくるアリスたちの助けにもなることだろう。
 オウガ・オリジンを討伐したとはいえ、猟書家の一人である『鉤爪の男』がアリスラビリンスに勢力を広げようと企てているのもあり、今のうちに討伐できるオウガは討伐しておくのは決して悪い話ではない。

「ぼくはいっしょにいけないけど、みんなとってもつよいからだいじょぶだよね!
 せーいっぱいおうえんするからがんばってね!にゃーん!」

 ぽん、と子猫の姿になったエインセルはポンポンを振って激励しながら転移していく猟兵たちを見送った。


御巫咲絢
 こんにちはこんばんはあるいはおはようございます、初めましての方は初めまして新米MSの御巫咲絢(みかなぎさーや)です。
 当シナリオをご閲覧頂きありがとうございます!初めての方はお手数ですがMSページをご覧頂いた上で以下の内容にお目通しをお願い致します。

 クロムキャバリアきましたね!御巫も早速キャバリア3機程作ってきました。
 そして早速クロキャバシナが溢れかえっている中一人空気読まずにアリスラビリンスの戦後シナリオをお届けします。
 今回猟兵の皆様に取り戻してもらう街は読んで字の如く、シンプルなおもちゃの街です。
 レ●ブロックとか積み木とかその他諸々でできたおもちゃの街をかちんこちんに凍らせたオウガを討伐し、街を復興してください。
 そんでもってやってくるオウガ共を蹴散らしてくださいませ。
 以下、簡単な概要解説。

●第一章『ボス戦』
 『スノウ・ブライニクル』との戦闘です。熱あるモノに何か恨みがあるのかってぐらい凍らせてきます。溶かしていきましょう。

●第二章『日常』
 凍ってしまったおもちゃの街の氷を溶かして適宜修復や再建築必要な施設を復興していきましょう。積み木とか絶対腐ってそうだし。

●第三章『集団戦』
 『ホライゾンストーカー』との戦闘です。復興したばかりのおもちゃの街だから狙えるだろうと忍び寄ってきます。迎撃してください。

●プレイング受付について
 受付開始は9/30(水)8:31からとなります。期日以前に頂いたプレイングは全て返却させて頂きますので悪しからずご了承ください。
 お気持ちが変わらなければ開始日以降に改めてご投函頂いたら採用させて頂きます。
 開始日までには断章を投下予定です。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ち致しております!
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第1章 ボス戦 『スノウ・ブライニクル』

POW   :    絶対零度の大狐
【氷柱の魔法陣】から、【全てを氷河に包み込む絶対零度】の術を操る悪魔「【絶対零度の大狐】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
SPD   :    ブライニクル・キャノン
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【凍結】属性の【巨大な氷柱】を、レベル×5mの直線上に放つ。
WIZ   :    ブライニクル・ストーム
【無数の氷柱による連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠凍雪・つららです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●温度の消え去った街
 かくして猟兵たちはアリスラビリンスにたどり着き、比較的もふもふな愉快な仲間たちの案内でおもちゃの街に降り立った。
 現状を一言で再現するなればまさしく氷の世界といった様相である。
 氷漬けになったあらゆる施設、花や草木も枯れることなく綺麗に補完するかのように凍った様はある意味時が止まったかのような錯覚に陥りそうだ。
 そして何より め ち ゃ く ち ゃ 寒 い 。
 全て凍っているから寒いのは当然なのだが、今もなお吹き続ける吹雪があらゆる体温を奪おうと荒れ狂っていた。
 防寒具で備えていても辛い程の圧倒的冷気、吹き付けてくる先から足音がする。

「……熱の気配」

 やってきたのは一人の狐だった。白くもふもふな九尾のしっぽに霜を垂らし、顔すらも半ば凍りつき始めているもこもこなフードに顔を覆った狐。
 こいつこそグリモア猟兵の予知にあった「スノウ・ブライニクル」と呼ばれるオウガで間違いないだろう。

「熱は殺す。容赦なく殺す。あったかいのなんていらない。冷たいのだけがあればいい……よって凍らす。慈悲はない」

 確かに猟兵の一人ひとりに体温というものがあるので平熱だろうが微熱だろうが熱なのは間違いないが、現在のこの状況において熱を殺されるということは間違いなく死ぬ。
 死なずとも低体温症でしばらく悲鳴を上げることになるのは明らかだ。
 ただでさえ現状の寒さがとてつもなくヤバくて悲鳴を上げそうな状態なのにそこから体温まで徹底的に奪いにくるなどたまったものではない!
 案内人があまりにも寒さで震えているので外に避難させつつ、猟兵たちはいざ武器を構えた――!
星群・ヒカル
あったかいのいらないなら、おれにそのモフモフコート分けてくんねぇーかなぁ?
おっと怒らせちまったようだ。まぁ、今から喧嘩するんだからいっか!

敵は直線にしか攻撃を撃てない
『銀翼号』に『騎乗』し、周りを回り続ければ、奴は照準を絞ることができないッ!
完璧な対策だ……床が凍ってるからブレーキが利かないこと以外はなッ!あっやべ(漏れる心の声)

だが心配ご無用
【超宇宙・武勇星舞台】で身体能力を上げ、『ロープワーク』で敵にワイヤーを投げて捕らえる
そのまま回ってるだけで敵にロープが巻き付いていく
いいタイミングで回転を利用して敵を振り回し、叩きつけるぞ!
その反動で自分もすっ飛ぶけどな……UC利用して受け身をとろう。



●凍った地面を走る時はタイヤにチェーンを忘れずに
「あったかいのいらないなら、おれにそのモフモフコート分けてくんねーかなぁ?」

 オウガの宣戦布告に対しての星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)の綺麗な切り返し。
 確かにあったかいのいらないならそのもふもふなコートははっきり言って必要ないんですよね。
 さらに付け加えるとそのしっぽがめちゃくちゃもふもふな辺り体毛も中々しっかりした雪狐だし……
 しかしオウガは血管に筋を浮き上がらせててめえ何言ってやがる的な目線でヒカルを睨みつけてきた。
 もしかしたら図星を突かれたのかもしれないしそうじゃないのかもしれない。

「(おっと、怒らせちまったようだ)」

 まあ、今から喧嘩するんだからいっか、と視線をさらりと流す。
 超宇宙番長がたかだかガン飛ばされた程度で怯むワケがない。
 喧嘩一本目、先手を取ったのはオウガだ。
 予め詠唱を練り上げていたのか、ヒカルへ向けて直線上に魔法陣が展開される。

「"集え砕氷、形を成せ、この世のありとあらゆる熱を全て奪い尽くせ"――!」

 締めの詠唱が紡がれると巨大な氷柱が次々と立ち上った。
 詠唱が聞こえた時点で既にヒカルは相棒のバイク『銀翼号』でとっくに離れていたから無事なものの、氷柱はおもちゃの街の凍りついた施設の真下からも容赦なく立ち上る。
 もちろん、真下から突き上げられたらどんな施設だろうがどんだけかちんこちんに凍りつこうがたまったものではない。
 街の外観を破壊しながら氷柱が凍てつく冷気をさらに辺りに発生させる――寒い。めちゃくちゃに寒い。
 だがこの程度の冷気で怯む超宇宙番長ではないのである。『銀翼号』のエンジンをかけ、高速で飛び回ればその度にオウガが直線上に氷柱を放ち街がたちまちめちゃくちゃだ。
 
「……敵は直線にしか攻撃を撃てない」

 この数回の攻撃でヒカルの眼は敵の攻撃の特徴を完璧に捉える。
 そう、今オウガが放つユーベルコードは直線上にしか展開することができない術式を用いられていたのだ。
 故に現在、周回するように飛び回るヒカルを捉え切ることができず空振りを繰り返すしかない状況となっている。

「周りを周り続ければ、奴は照準を絞ることができないッ!完っ璧な対策だ……床が凍ってるからブレーキが利かないこと以外はなッ!」
「ほう?」
「あっやべ」

 心の声を完全に口にしてしまっていたようでオウガがにやりと笑う。番長ったらお茶目さんね!
 ブレーキが利かないというのを聞いたオウガは当てることを考えずとにかく氷柱をいくつもの直線上に一射線ずつ展開し始めた。
 どうやらブレーキが利かないなら障害物を増やして自滅させてやろうという狙いのようだ。
 だが詠唱時間を長く要するこの術式、一つ一つを展開するまでの隙も非常に大きくチャンスでもあった。

「姿を見せろ、ガントバス!!」

 掛け声と共にユーベルコード【超宇宙・武勇星舞台(チョウウチュウ・ステゴロコスモフロア)】が発動。
 ヒカルの最大の武器の一つである魔眼の根源、超宇宙望遠鏡「ガントバス」が姿を現し、戦士の影を照射する。
 影がヒカルと一体となり、まるで術者を操っているとは思えぬ動きで『超宇宙牽引ワイヤー』をオウガ目掛けて投げつけた。
 
「ぐえ!?」

 オウガのもふもふコートのフード部分にいい感じにフックが引っかかる。

「ふふふ……ここから先の超宇宙番長は一味違うぜぇーッ!!」

 次に『銀翼号』のエンジンを全開にして大回転!
 勢いよくオウガの周囲を周回してワイヤーをぐるぐるぐるぐる巻きつけてやる。
 引っかかったフックを起点としてオウガの身体がワイヤーで雁字搦めにされていく。

「そぉ――――――らッ!!」

 そして程よく巻き付けたところで回転の遠心力をそのまま利用し、オウガを思い切り振り回して叩きつける!
 皮肉にもオウガがユーベルコードで作り上げた氷柱は叩きつける壁としては実に最適だ。
 『銀翼号』のスピードと回転の遠心力が相まった一撃は、その巨大で極太な氷柱すら簡単に砕け散る程の威力を生み出し、オウガは砕けた氷塊に埋もれることに。
 そしてヒカルもまた、それだけの勢いをつければ反動で自分もすっ飛んでしまうワケで――あるが、そこでユーベルコードで『ガントバス』が生み出した影の出番。
 一体となった影が彼の身体を動かし、受け身を取らせた後飛び上がり、『銀翼号』の座席に着地する。
 痛烈な一撃を与えることに成功した超宇宙番長はそのまま高速で華麗に去って行った。
 ――ここの外に出ないとブレーキをかけられないのでとりあえず一旦退くしかなかったとも言うが、それはここだけの話ですよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビリー・ライジング
ミリィ(f05963)と共に行動。

……言ったな? それは俺に対する挑発と見た。
【高速詠唱・全力魔法】でUCを発動。
特別にマインゴーシュにも発動させて、炎の剣の二刀流だ。

【大声】で、
「やれるならやってみろ! 出来る自信があればな!」と【挑発】。

敵がUCを使う前に【切り込み・先制攻撃・2回攻撃】で攻撃。
敵のUCには【武器受け・盾受け・氷結耐性】で対抗だ。

あの召喚された悪魔を断つには、魔方陣を消す必要があるな……。
【スナイパー・誘導弾・範囲攻撃・焼却】のグレネードランチャーで、
魔方陣に狙いを定めて発射! 炎の【属性攻撃】のおまけ付きだ!
「剣しか使わないなんて、俺は一言も言ってないが?」


ミリィ・ライジング
ビリー(f05930)と共に行動。

ううっ……防寒着を着てても寒い……。
一応【環境耐性】で動きに支障をきたすのは対策しておく。

【高速詠唱】でUCを発動して、武を召喚。
武の木剣を握り、五行の【属性攻撃】で木生火。
召喚した武に火属性の力を宿らせる。
「熱いけど、しばらく我慢してね。すぐに終わるから」

敵のUCで召喚された悪魔なんて怖くない!
【ダッシュ・オーラ防御・氷結耐性】で敵に突撃しながら、
武の【見切り・先制攻撃・2回攻撃】の居合斬りで、氷柱も氷河も斬る!



●全てを焼き尽くすは剣――だけではなく
「ううっ……防寒着を着てても寒い……」

 ミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)は白い息を吐いてかたかたと震えていた。
 化身忍者としてあらゆる環境に適応できるよう耐性を鍛えており動くことに支障はない……ないのだが、それでも寒いものは寒い。
 とはいえ、オウガはだからと言って容赦をしてはくれない。
 目の前に姿を現した狐のオウガは新たな熱源に対し殺意の視線を向けてくる――氷塊の山から顔だけ出してるとかいう状態だが気にしてはいけない。

「また熱の気配。しつこいな猟兵って……熱なんて冷気の前には無力じゃん。魔法なんか使ってもこの冷気は溶けませんよーだ」

 眉間に皺を寄せて、ミリィの双子の片割れであるビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)が一歩前に踏み出て自らの愛剣たるルーンレイピア……と、もうひとつのマインゴーシュを引き抜いた。

「……言ったな?それは俺に対する挑発と見た」
「挑発でも何でもなく事実だし」

 せせら笑うオウガ。
 氷塊の山から顔しか抜け出せていないというのい随分と自信満々な表情である。
 そこまで言うならと、ビリ―はユーベルコードを高速詠唱で起動し、炎属性の魔力を二つの剣に宿らせ構える。

「じゃあやれるならやってみろ!出来る自信があればな!」
「ふーん、自信だけは一人前だね。そっちもやれるならやってみ――ひぎゃっ!?」

 高みの見物をしようと思っていたオウガであるが、先制攻撃で切り込んできたビリーのルーンレイピアの一突きでそのフードの毛を焦がされてしまう。
 さらにマインゴーシュの一閃が氷塊の一部を溶かしてもふもふコートとしっぽの一部が露わに。
 まずは一発を叩き込み、ビリ―は距離を取って再び剣を構える。

「あつっあっつつつつ!!!こ、こいつ人が動けないのをいいことにっっ……そっちがその気ならこっちだって考えがあるんだからね!!」

 オウガは動かせるようになった手を翳し、氷柱を具現して自らの足元――正確には自分が埋もれている山の麓――にどすどすどす!と突き刺した。
 六方の地に根を下ろした氷柱から霊脈のように魔力のラインが引かれていく……もしや敵の大型魔術かとビリーは一旦距離を取る。
 魔法陣となった氷の柱から立ち上る猛吹雪。そして聞こえるこ――ん、という野太い鳴き声。
 猛吹雪が収まった頃には、オウガを型に乗せた大きな大きな狐の悪魔がそこにいた。
 その悪魔から発せられるオーラだけで、ビリ―もミリィも極度の寒さに身体が震える。

「先輩!やっちゃって!」

 オウガの掛け声と共に悪魔狐はこ――ん、と鳴き声を挙げた。
 目の前に魔法陣が展開され、襲いかかる絶対零度の息吹。速度からして回避は困難だと判断し、ビリ―は即座にマインゴーシュを盾として炎の魔力で可能な限り威力を削ぐ。
 しかし、炎で相殺しても何という寒さかという程の冷気が彼を襲った。
 元より氷結に対する耐性を所有している彼でさえ、身体が凍りつき始める程の強烈な冷気はまさしく氷獄の如き熾烈さだが、後方からミリィが五行の印を高速で切る。
 木生火による炎の力を送りビリ―の炎の魔力を高め、なんとか動かせる程の防護膜の形成に成功し距離を取った。

「ビリー、大丈夫?」
「ああ、助かったよミリィ」
「よかった……それにしてもとてつもない冷気、相当な強さを持つ悪魔みたいね」
「恐らくあの召喚された悪魔を断つには魔法陣を消す必要があるな……よし。ミリィ、もう一度行くぞ!」
「ええ!」

 それは双子故の意思疎通か、互いのやるべきことを少ない言葉のやり取りで把握し再び立ち向かう。

「"色即是空、空即是色、立ち合え、武!"」 

 まずミリィが高速詠唱を用いてユーベルコードを発動、化身の剣豪・宮本武が二刀の木剣を構えて姿を現した。
 直後に武の木剣を自らも握り、先程ビリーに送ったのと同じ木生火による炎の力を宿らせる。

「熱いけど、しばらく我慢してね。すぐに終わるから」

 武は問題ないと答えるかのように頷き、早速悪魔へと突撃する。
 ミリィも木生火による炎のオーラを身に纏い、自らの氷結耐性を高めてから彼に続いた。

「諦め悪いなあ!熱が冷気に勝てるワケないでしょ!先輩!」

 オウガの声に応じてこ――ん、と鳴き声が上がると同時に氷河が押し寄せる。
 だが武の居合いの一閃はミリィにより付加された炎の力によりより勢いよく加速、氷河そのものをあっさりと斬り捨てた。
 
「ユーベルコードで召喚された悪魔なんて怖くない!」

 ミリィの五行の印が武の刀に宿る木生火をより強め、武の居合いの一撃は次に展開された氷柱を一瞬にして真っ二つに。
 二天一流の居合いを極めし剣豪・宮本武のその一閃は、主であるミリィの力も相まって炎の刃となって可視化された上で次々と迫りくる氷河も氷注も切り捨てていく。
 オウガはそれに応戦しようと必死で悪魔をけしかけるが、それは大きな悪手であった。
 ……何故なら、ミリィのこの攻撃はそれを狙った誘導であったのだから。

「ふきゃーっ!?」

 唐突に悪魔の足元付近から響き渡る痛烈な爆発音。
 オウガと言えど狐……狐といえば人間では聞き取れぬ2万サイクル以上の高い音すらも聞き取れる程の鋭い聴覚の持ち主であり、それが近場となればどれだけダメージになるかは明白である。
 ぺたんと耳を畳むと同時にオウガは目を見開いた。

「ちょ、せ、先輩!?何で、魔法陣は――」

 召喚した悪魔の身体が透け始め、足元から消え始めている。
 魔法陣を構成している魔力のラインも氷柱も無惨に爆発四散したかのようにどろりと溶けて、ここでオウガは先程のミリィが陽動であったことを知る。
 後方に目をやれば、ビリーが白煙を吹くグレネードランチャーを構えている。
 ぽかんと嘘やろ、と言いたげに呆然とするオウガに、ビリーは不敵な笑みを浮かべてこう返してやった。

「剣しか使わないなんて、俺は一言も言ってないが?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティファーナ・テイル
SPDで判定を
*アドリブ歓迎

「寒さなんて鍛えているからへっちゃらさ!」と拳を向けます!
『スカイステッパー』で接近仕切らない距離を保ちながらジグザグに縦横無尽に移動しながら『セクシィアップ・ガディスプリンセス』で♥ビーム攻撃を仕掛けます!
敵の避け切れ無い攻撃には『神代世界の天空神』で空間飛翔して、敵のUCは『天空神ノ威光・黄昏』で封印/弱体化をします!
『ジェットストリーム・ラヴハート』でSPDを強化しつつ『ガディスプリンセス・レディース』で従属神を召喚して攪乱と援護射撃を仕掛けてもらいます。
効果が少なければ『ヴァイストン・ヴァビロン』で豪華絢爛な苛烈な猛攻に切り替えて強力な♥ビームを仕掛けます!



●寒さなんてへのへのかっぱ
 「ま、待って猟兵さん!そんな格好じゃ風邪を引いちゃうよ!?」

 サモエドの姿をした愉快な仲間が次いで極寒の街へ向かっていくティファーナ・テイル(ケトゥアルコワトゥル神のスカイダンサー・f24123)を引き止める。
 確かにサモエドのもこもこふわふわな毛並みとは違い、ティファーナの装いは非常に薄着。猟兵と言えど何の防寒具もなしに挑むのは非常に危険に見えるのは尤もだ。
 心配そうに耳をしっぽをぺたんとしている愉快な仲間に向けて大丈夫だと拳を握り、笑顔で返す。

「寒さなんて、鍛えているからへっちゃらさ!だから安心してボクに任せて!とうっ!!」

 そして上空に拳を向けながらユーベルコード【スカイステッパー】を発動。
 華麗なステップで極寒のおもちゃの街へと向かう――!

●疾風怒濤の天空神
「あーつーい―――――!!!」

 一方こちらは頼みの綱の先輩(悪魔)を消され、若干熱の残る地面に放り投げられたオウガ。
 流石にこの極寒の領域では大分冷めて精々ホットカーペット程度に収まっているが、熱は殺すと豪語しているだけあってその程度ですらむきー!と苛立ちを隠さない。
 熱い熱いと喚き立ててユーベルコードを起動、あちこちに氷の柱がどごーん!と上がる。
 最早おもちゃの町並みは何処へ……まあ、倒した後の取り壊しの手間が省けたと思えば幸いなのかもしれないが。
 オウガはまだ機嫌が直らないようでさっきからどごんどごんどごーんと氷の柱を立て続ける。
 しかし、その合間を縫うように素早く飛んでいく人影が見えた。ティファーナだ。

「何、また猟兵!?しつこいなあ!」

 ティファーナに向けて直線上に氷柱を突き上げてやろうとするが、非常に機敏な動きでジグザグに動き回る為オウガはターゲットを定めることができない。

「人々の活気を奪うオウガはボクが成敗だ!"神々の絢爛豪華な全てを見せてあげる"!」

 オウガが今使用しているユーベルコードはあくまで直線上にしか放てないことと詠唱時間を要するデメリットを利用し、ティファーナは接近し切らない距離を保ちながらの機動を維持しつつユーベルコード【セクシィアップ・ガディスプリンセス】を発動。
 絢爛豪華な美しい女神の姿へと変身した。その身に纏う装飾は照り返しで輝き、さながら氷獄に降り立った一筋の光が如し。
 そしてハートの形を手で描き、強化された『プリンセスガディスハート』によるレーザーを発射、ほわんほわんほわんとふんわりした音を立てて発射される波動がオウガの立てた氷柱をいとも簡単に砕いた!

「ちょ、まっ、うきゃ――――っ!?」

 ハート型のレーザーは次々と氷柱を貫通し、砕けた破片がオウガへと降り注ぎ再び山が出来上がる。
 もちろん、その中から顔を出すオウガは身動きが取れない。
 また山に埋もれるハメになった怒りでオウガは詠唱を短縮してユーベルコードをガンガンと四方八方に撃ち始める。
 詠唱時間がなく威力が大幅に減る分発動頻度が格段に上昇し、【スカイステッパー】による高速機動にも追いつかれてしまうティファーナ。
 だが焦ることはなく即座に新たにユーベルコード【神代世界の天空神(エデンズ・ラビュリストン)】を発動し空間転移を行うことで回避。
 神代の神々と共にオウガの背後に姿を現し、彼女らと共に威光・後光・天空神護光を放つ。

「まぶしっ!!!」

 ただでさえ動けないオウガ、そこに防ぐのが難しい光とあればモロに浴びてしまうワケであり、その肉眼にしっかりと光が入り込んだ。

「め、目が……目が……っ!!」

 目を塞ぎたいが丁度氷塊の山に埋もれて手を動かせない。ぎゅむ、と目を瞑って眩しさに呻く。
 これもまたユーベルコード【天空神ノ威光・黄昏】によるものでありユーベルコードをこれで封じられたオウガであるが、それ以前に眩しすぎて恐らく反撃という発想が今消えている。
 まさに好機とティファーナは続けてさらに【ガディスプリンセス・レディース】を発動し自らのレディース(従属神群)を呼び寄せる。

「さあ、レディース(従属神群)の能力(チカラ)を今こそ見せる刻だよっ!」

 ティファーナの指示でレディース(従属神群)は動けぬオウガに対し一斉に射撃。
 神の威光による攻撃が集中することで氷塊の山を溶かす程の高熱となり、オウガは悲鳴を上げて地面に落ちる。

「あ―――――つ――――――い――――――――!!!!もーやだ!!!何なのあんたたち!さっきから人の家に土足で上がりこんで邪魔をしてぇ!!」
「元々ここはキミのお家じゃないでしょ!」
「うーるーさーいー!!」

 熱さのあまり地団駄を踏み始めるオウガ。どうやら反省の色はないようだしまだまだ元気そうだ。

「もう、まるで子供みたいだね。そんな悪い子にはお仕置きだよっ!」

 ぷく、と頬を膨らませてティファーナは【ジェットストリーム・ラヴハート】【ヴァイストン・ヴァビロン】の二つのユーベルコードを同時発動。
 レディース(従属神群)たちとの正義の友情により機動速度が格段にアップした状態で自身の持つ財宝・金貨・宝石を代償にあらゆる行動に成功する天運を身につけ、疾風怒濤の如くラッシュを打ち込む!

「そーれそれそれそれそれそれそれそれそれそれそれそれそれそれ――――――っ!!」

 スカイダンサーとして鍛え上げられた肉体が繰り出す高速パンチの連打がオウガを襲った。
 その一つ一つがユーベルコードの力でさらに加速し一発一発怪力並のパワーを誇り、まともに叩き込まれればもちろんまともで済むハズはない。

「あばばばばばばばばばば――――――っ!?」

 ティファーナがトドメかというようにアッパーカットを叩き込み、オウガが宙を舞う。
 勝利を誇るかのようにその体勢を維持するティファーナ。その拳から飛び散った汗がまるで光のように輝いて見えた――。

成功 🔵​🔵​🔴​

紬雁・紅葉
熱を憎む…雪女郎なれば然も在りなん
とは言え捨て置くに能わず
御鎮めします

先制UC発動

地形を利用し氷の魔力を増幅
氷雷属性を攻撃力に
氷属性を防御力に
付与

九曜、巴、鳳翔を適宜使い分け
残像忍び足で正面からゆるゆると接敵

射程に入り次第破魔氷雷属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う

敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像などで躱し
さもなくば破魔衝撃波オーラ防御武器受けUC等で防ぐ
何れもカウンター破魔氷雷属性衝撃波UCを以て範囲ごと薙ぎ払う

氷は凍らない…

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

その憎悪に解凍は無いのでしょう…
なれば我等、押し通るのみ

去り罷りませい!

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※



●然も在りなん、なれど度を過ぎれば捨て置いてもらえぬは運命です
 アッパーカットで派手に飛ばされたオウガ。
 ひゅーるるるーぽてん、と雪原とかしている街の地面に顔面から綺麗にダイブを決めてからべしゃりと倒れ伏す。

「………う゛え゛えええ!!もう絶対許さないんだからぁ……!!!」

 氷柱で性懲りもなく魔法陣を展開し、先程呼んでいた先輩(狐の悪魔)を呼び寄せた。
 こーん、と大きさに見合った野太い鳴き声が響けば辺りを絶対零度の氷河が包み込む。
 非常に規模の大きい氷河は街の外までに及びそうな程のとてつもない冷気を放ち、ますます街はめちゃくちゃである。
 最早取り壊し作業の手間が省けたと思うしかない状態だ。

「熱を憎む……雪女郎なれば然も在りなん」

 氷河で包み込んでご機嫌で先輩と戯れるオウガの前に新たに姿を見せた猟兵、紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)。
 まあ確かに雪女は熱いの嫌いですからね。
 じゃあ何で何度も邪魔するんだよ、と言いたげな視線が向けば当然のように、そして非常に落ち着いた声音で紅葉は返答する。

「――とは言え、捨て置くに能わず。御鎮めします」
「何でよ!!?」
「"弐の式……来たれ"」

 問答無用と言うかのように紅葉はユーベルコードを発動。
 【トリニティ・エンハンス弐式】、これは【トリニティ・エンハンス】で使用できる魔力と対になる属性の魔力で自らの能力を強化するもの。
 従来のを壱式と定義し、それらで付与される炎・水・風の魔力を陰陽の陽とするなれば弐式は陰側。即ち氷、雷、地属性の魔力になる。
 今回戦場が氷河に覆われた絶対零度の地である故に氷属性の魔力は増幅され、強化に充てがうにはうってつけの環境だ。
 その増幅された氷属性の魔力を自らの攻撃力と防御力の増強に回し、さらに攻撃力強化には雷の魔力も付加してより威力を高めた上でまずは『鳳翔』の矢に氷雷を纏わせ牽制射撃を行う。
 一気に2,3本引っ掴んで放ったそれが地面に落ちると、どごん!と雷が落ちるような音を立てて地面に突き刺さった。
 狐の聴覚は人間とくらべて非常に敏感な為それが見事にクリティカルヒット、オウガも悪魔も轟音に驚いて硬直する。
 その間に紅葉は薙刀『巴』に持ち替え、静かに正面から接敵を開始。残像を生み出す程の素早い足取りはあっという間に距離を縮めていく。

「うう~耳がいtはっ!?そんな場合じゃない!!せんぱーい!!」

 こーん、と悪魔が氷の刃を飛ばし、オウガがそれに合わせるように氷柱を打ち上げる。
 だがあからさまに動揺が見える動きなど紅葉にとっては可愛らしいものでありすぐに挙動を見切って氷注を躱し、氷の刃は『巴』で薙ぎ払う――否、打ち返した。
 【弐式】により付与された雷属性と紅葉の持ち得る破魔の魔力が絡まった氷の刃が衝撃波と共に飛び、悪魔の身体を斬り刻んでいく。
 雷の魔力により迸る電流が熱を発し、悪魔は呻き苦しむような悲鳴を上げた。

「ちょっと先輩に何すんのよっ!!」

 オウガが魔法で吹雪を叩きつけるが、紅葉の纏った氷の魔力がそれを全てかき消す。
 氷は凍らない――というか、既に凍っている故これ以上凍りようがない。
 辺り一体が氷河に覆われ、氷の魔力がより高められている現状ではある意味では炎より最適な防御手段たり得るのだ。
 続けざまに放たれた氷柱も『九曜』に持ち替えてからの一刀両断によってあっという間に真っ二つ、オウガは紅葉の接敵を許すこととなる。

「その憎悪に解凍はないのでしょう……なれば我等、押し通るのみ」

 【トリニチ・エンハンス弐式】の魔力が『九曜』に集中する。
 氷と雷の魔力を纏ったそれは最早羅刹とは言えど人のサイズでは扱えるようには見えぬ程の大剣へと変化し――

「――去り罷りませいッ!!」

 放たれる雲燿の如き一閃。
 稲妻が走る衝撃に氷河は割れ、大地は震えてオウガはまた吹き飛ばされる。
 もちろん、召喚の魔法陣など跡形も残るワケがなく、悪魔は一刀両断にされながら再び姿を消すこととなったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

凍雪・つらら
【テフラ・カルデラ(f03212)】さんと同行
【とどめ希望】
はわわっ、皆かちんかちんに凍っちゃってます、寒いぃ...
早く倒さないと、私まで凍っちゃいます!

冷気の流れを読むのは得意です、相手の放つ絶対零度を【第六感】で避けつつ、相手がユーベルコードを使ってきたら【全力魔法】を使った【獄炎も凍る絶対零度】
この寒さの中で相手の凍結耐性を攻撃、氷の【属性攻撃】による追い討ちもしつつ、自分の放った絶対零度で凍ってもらいます!

かちんかちんに...凍っちゃって下さいっ!


テフラ・カルデラ
※つらら(f14066)と同行
※アドリブ可
POW

うぅ…こんなに着込んでいるのに寒い…このままでは何もかもが氷像に変えられてしまいます…
でも、つららさんがなんとかしてくれるそうなのでここはわたしが囮になります!

敵の注意をこちらに引き付けつつ【サイキックブラスト】で何とか動きを止めます!
くっ…召喚した大狐が厄介です…ですが敵本体にもしっかり当てているので妨害もできています…!

大狐に捕まっ…寒いいいぃぃぃーーーー!?
寒いを通り越して…凍る!?凍っちゃう!?氷像になってしまいます…
力も抜けて…ふえぇ…寒い…凍…ぁ…
(大狐に愛でられる兎の氷像が佇む)



●目には目を理論
「はわわっ、皆かちんかちんに凍っちゃってますっ……どころか砕けちゃってますっ!?」

 凍雪・つらら(凍える雪狐・f14066)は周りの町並みが凍っている――どころか先程からオウガが癇癪でどごんどごんと立ち上げた氷柱による無惨な有様に思わず驚いた。
 まあそりゃ町並みがまさかこんなことになってるなんて思うまい。
 だがそれよりもこの戦場の熾烈な寒さ、寒がりになる呪いがかかっているつららには地獄であった。
 何せただでさえ自分の冷気でめちゃくちゃ寒いのに、そこに極寒の冷気が加わればたまったものではない。

「寒いぃ……早く倒さないと私まで凍っちゃいます!」
「うぅ……こんなに着込んでいるのに寒い……!このままでは何もかもが氷像に変えられてしまいます……!」

 つららに助力すべく同行したテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)もかたかたと震えている――内心氷漬けにされるの楽しみとか思っているところもあるが――。
 とにもかくにも、早いとこオウガを倒してこの寒さを何とかしなくてはならない。
 一方先程派手にふっ飛ばされて地面にずべしゃっと叩きつけられていたオウガは新たな敵にぴくっと耳を動かし立ち上がった。

「な――――ああああああああも―――――――猟兵猟兵猟兵猟兵と何人猟兵くるのよもう!!熱があちこちに入ってんのマジふざけんななんだけど!!!」
「その言葉熱を寒さに変えてお返ししますよっ!あなたはここで倒します!」
「うーるさーい!!人んちに上がりこんで偉そうなこと言うんじゃないよっ!!」

 人んちと言っているがそもそも先に人んちに上がりこんで好き勝手やっているのはオウガの方である。
 しかし既に取ったからには自分のものだと言わんばかりにオウガは絶対零度の息吹を二人に目掛けて放ってきた。
 盗っ人猛々しいとはまさにこのことである。
 だが冷気を操ることに長けているのはオウガだけではない、呪いをかけられたせいでめちゃくちゃ寒いだけでつらら自身は冷気を操ることに長けた強力なウィザードなのだ。
 極寒の地を故郷とする彼女にかかれば、意図的に操作された冷気の行き先を察知するなど朝飯前。
 テフラを連れて冷気の射程圏外へとさっくり回避した。

「何で!?寒がりなのに!」
「好きで寒いんじゃありませんもんっっ!!」

 そもそも好きで寒がる人などいない。
 いやそこに実は密かに必死に戦ってる様を装って氷漬けにされたい!……という願望を持っている特殊性癖を持つキマイラはいるがそれはそれ、これはこれである。

「そっちが二人でかかってくるならこっちだって先輩呼んでやるもんねっっ!!」

 先輩――という名の氷の悪魔、これで三度目の登場である。
 お前いい加減にせえよって顔をオウガに向けているが契約している以上協力はする模様。
 猟兵たちが上手く頭を回して何度も倒しているとはいえ、それでも厄介なものは厄介だ。
 つららもテフラも寒さで体力をじわじわと削られてきている以上、時間は長くかけられない。

「つららさん、ここは私が囮になります!敵の注意を引きつけつつ動きを止めますから、その間に攻撃してください!」
「わかりました!……自分の放った絶対零度で凍ってもらいましょう!」

 つららは距離を取って詠唱を始め、その間にテフラは前に出た。
 オウガへと一目散に飛び込みにくるその姿は格好の的だと思ったのか、にやりと笑って冷気を向けようとする。

「そうはさせませんよっ!」

 即座にテフラは両手を前に翳し、ユーベルコード【サイキックブラスト】を発動、掌から放たれる高圧電流がオウガを拘束する!

「しびびびびびっ!?」

 絶えず放たれ続ける高圧電流は相応の熱を生み、オウガの身体を覆っている霜がじゅわ、と解けて蒸発していく。
 周辺の地形もほんの少しではあるが氷が溶解していく様子が見られオウガの表情が非常に苦しそうなものへ。
 どうやら、拘束手段としては有効打だったようだ。
 しかし、悪魔は契約主を縛るだけでは動くのに何ら支障がなく、詠唱中のつらら目掛けて攻撃しようと動き出す。
 兎のキマイラであるテフラはその動きを鋭敏な聴覚にて即座に把握。オウガに向けていた掌の片方を悪魔へと向け、同じように拘束を試みた。
 こーん、と野太い声の呻きが響く。しかしその大きさでは完全には捉えられないようで鈍いながらも拘束から逃れようと身じろぎしている。

「(くっ、厄介です……ですが妨害はできていま……)」

 妨害できている――と、思っていたら悪魔は電圧に蝕まれながらもこっちに向かってきているではないか。
 とはいえこの場で放電を止めればオウガの拘束も解かれてしまうワケで。
 どう乗り切るべきか思考をとにかく回転させるもその前に悪魔が動き始める方が早く、その大きなしっぽがぎゅむっ!とテフラの身体を捕まえた。

「しまっ、大狐に捕まっ……寒いいいいいいいいいぃいいいいいぃぃぃ――――っっ!?!?!?」

 流石絶対零度の氷河を呼び寄せる大狐の悪魔である。しっぽはもふもふながらも非常に冷たかった!
 もふもふしているのに氷点下、ある意味ではとてつもなく地獄と言う他ないのではないだろうか、もふもふなしっぽは本来暖かいものですからね。
 とにかく、そんなとてつもない冷気は最早寒さなんてものを通り越していた。

「寒いを通り越して……凍る!?凍っちゃう!?氷像になってしまいますっ……!」

 段々と自分の身体が霜を帯びてきているのを嫌でも感じざるを得ないテフラ。
 恐れが全面に出ると同時に非常にぞくぞくとしたものが駆け巡っていたがある意味それどころではない。
 ぴきぴきと体中を氷が覆っていく……

「力も抜けて……ふえぇ……寒い……凍……ぁ」

 そうして兎の氷像がこうして完成してしまったのだった。
 悪魔はしっぽで氷像と化したテフラを撫でた後、満足げに鼻でつんつんと突いている。どうやら気に入ったらしい。
 同時にテフラの【サイキックブラスト】の効果も解除され、オウガは自由の身に。

「あ゛ー痺れた!散々やってくれたね猟兵!今度はこっちが――」
「いいえ、あなたたちはここで終わりですっ!」

 だが確かに、テフラは囮としての役目を十全に果たしていた。
 つららの魔力を全部込めた全力魔法のユーベルコードの術式は完成していたのである。

「"あらゆる物が凍えて止まる、凍てつく氷獄にあなたは落ちる"……かちんかちんに……凍っちゃってくださいっ!ふ~~~~~~~~っ!!!!」

 思い切り息を吸い込んで放たれた絶対零度の呪われた吐息がオウガたちに降りかかる。
 ユーベルコード【獄炎も凍る絶対零度】は、つららにかかっている寒がりになる呪いをブレスによって押し付けることで相手の凍結耐性と体温のみを攻撃するもの。
 つまり、先程まで熱は殺す!と言っていたオウガたちにかかると……?

「さ、さささささ寒いぃいいいいいい―――――――――――――っっ!?!?!?」

 この通り、その暖かそうなもふもふコートと狐の体毛があっても体温が急激に下がる上に冷気に非常に弱くなってしまったことで両腕を抱えてがたがたと震え始めた。
 召喚した悪魔も「こ―――――――んっ!?」と野太い悲鳴を上げてがたがたと震え上がる。
 サイズがサイズなだけに震える度に地面に振動が伝わってテフラだった氷像がつららの方へと転がってきた――が、今は治療よりも先にオウガを討伐しなければ。

「(テフラさん、もう少しだけ待ってくださいね……!)」

 必ず助けるという決意の下、つららは放つ吐息に氷魔法を絡めて追い打ちをかける。
 凍結への耐性と体温を著しく削られたオウガたちは自分たちの放つ冷気によって段々と凍っていく。

「待ってあたし凍ってる!?嘘、やだ、そんなこと……ふえぇ……寒い、さむ、凍る、こ……」

 抵抗しようにも主にダメージ源となっているのは自らの放つ冷気そのものである。
 体温を奪われ思考能力も著しく低下したオウガはユーベルコードを解除するという発想にすら至らず、一人と一匹(?)揃って綺麗な狐の氷像と化した。
 それに伴い、先程から街中を包んでいた冷気がぱたりと止み、本来のアリスラビリンスの気候(?)が戻り始める。
 すると、オウガの氷像がぴきぴきと音を立てて割れ始めた。恐らく常に冷気で辺りを覆っていなければ自らの身体を保つことすらできなかったのだろうか。粉々に砕けて風に攫われていく。
 オウガの肉体が砕け散ったことにより大狐の悪魔も同じく消え去り、悪魔に凍らされたテフラも徐々に元に戻っていった。

「……はっ!私はいったい」
「テフラさぁん!無事でよかったあ~……!!」
「つららさん!オウガを倒したんですね!よかった~……!」

 手を取り合いきゃっきゃと喜び合う二人の猟兵。
 そこに街の様子が変わっていくのを見て駆けつけた時計ウサギ、愉快な仲間たちもその様子で安堵した表情を浮かべたり喜んだり。
 街は無惨な有様ではあるが、どの道凍りすぎてだいたいが腐って再利用もできないだろうのでひとまずは街に帰ってこれたということ自体を喜ぼうじゃないか、ということだそうで。

「猟兵さん、本当にありがとう!」

 サモエドやパンダ、アザラシ等様々な姿をしたもふもふな愉快な仲間たちと時計ウサギらは揃って猟兵たちに感謝の意を告げたのであった。

 オウガ「スノウ・ブライニクル」撃破完了である。さあ次は復興作業が待っているぞ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『おもちゃの街修復作戦』

POW   :    瓦礫をよける、大きな資材を運ぶ

SPD   :    おもちゃを組み立てる、高所作業を行う

WIZ   :    設計図を引く、道を整備する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【MSより】
 第一章ご参加ありがとうございました!
 第二章のプレイング受付は10/14(水)8:31~とさせて頂きます。
 それまでに断章を投下予定です。
 途中からの参加も大歓迎ですのでお気軽にプレイングをご投函くださいませ。
 引き続き素敵なプレイングお待ちしております!
尚、プレイングに関してですが能力値は気にせず好きにプレイングを書いて頂ければと思います。
トンチキなのも大歓迎です。

 街を覆っていた氷河が解けたはいいが、オウガが好き勝手に暴れまくったせいで最早廃墟も同然の様相である。
 とはいえ、形が残っているものもロクに使えそうにはないぐらいに損傷しており、どのみち一から建て直す必要がありそうだ。
 取り壊し作業を省けただけまだ楽と言えば楽だが、ここからまた建物を一つずつ建てようとなると中々骨が折れそうな作業である。

「仕方ないよ、また作り直せばいいさ」

 と、街の住民たちが前向きに捉えているのは救いといったところか。

「また前と同じのを作るのでもいいけど……せっかくだから前よりももっと楽しい感じの作りたいなあ。猟兵さんも、何か良い案がないか一緒に考えてくれないかな?」

 猟兵たちのイマジネーションパワーが試される。

※MSより
 断章前にも言った通りトンチキ大歓迎です。公序良俗に反しないのであればあらゆるカオスを許容致します。
 途中からの参加も大歓迎です。
ティファーナ・テイル
SPDで判定を
*アドリブ歓迎

おもちゃの瓦礫を見て大きな瓦礫は両手で掴んで小さい・細かい瓦礫は髪の毛で掴みながら上まで飛翔して組み上げて行きます。
設計図を見て読める猟兵や住人の指示には出来得る限りしたがって動きます!
手速く運んだ方が良い瓦礫は『スカイステッパー』で高速移動して運んで、『ガディスプリンセス・レディース』で従属神群を召喚して従属神群に運べる範疇の瓦礫を協力し合って運んでもらいます♪
猟兵・住人・従属神群・テイルに『』エデンズ・アップルで黄金の林檎を創造して配って肉体疲労を癒して貰います。

「ねぇねぇ、すっごく大きな長~いスベリ台とか作ってみたらどうかな?」と瞳を輝かせて両手を握って言う。



●再建計画だったハズなんだ
「よいしょっと」

 ティファーナ・テイル(ケトゥアルコワトゥル神のスカイダンサー・f24123)は自分の頭と同じ大きさはあるであろうおもちゃの瓦礫を軽々と持ち上げる。
 見た目からして重たそうな印象があるが素材は結構軽いものでできているようで、思ったより重くないな……と少しだけ目を丸くした。

「わあ、猟兵さんすごい!」
「えへへ、物運びと力仕事ならお任せだよ!」

 子パンダの愉快な仲間がぽふぽふと拍手するのでえっへん、とVサインをして返してから瓦礫を運んでいく。
 使えそうなおもちゃの瓦礫は接着剤で塗り固めて施設の壁にしてしまおう、という計画が現在進行中であり、ティファーナは今丁度それに使えそうな瓦礫の回収を任されているところだ。

「あ、猟兵さんそれいいサイズだね!こっちでもらっていい?」
「はーい!」

 熊の愉快な仲間に瓦礫を手渡し、ティファーナは次なる瓦礫を運びに行く。
 その一方でユーベルコード【ガディスプリンセス・レディース】で呼び寄せた従属神群がそれぞれ設計を行っている愉快な仲間や時計ウサギたちに瓦礫を運んでいっている姿も。
 こういう時こそ戦力というものは必要ということで、先程の戦いで呼び寄せた従属神群(レディース)たちにはそのまま残って手伝ってもらうことにしたのである。
 設計図を読める者や設計している住人らの指示に従い、てきぱきてきぱきと運んでいく。
 使えそうな部分は再利用しなきゃもったいない!ということで使えそうな瓦礫はそのまま再利用、使えないものは一先ずひとまとめにしてあとで処分なり何なりを考えようという話だそうで。

「んっしょ……ん――――――、っしょ……」

 その途中、道を整備する為の整地ローラーを引っ張ろうとして子ライオンの愉快な仲間が苦戦している様子に遭遇。
 流石にまだ子供には厳しい重さのようでびくともしないが、手伝いたいのだろう。引っ張れなくてしょんぼり落ち込んでいる。

「手伝うよ!一緒に引っ張ろう?」

 子供が落ち込んでいる姿を見たとあればティファーナに放っておくという選択肢はない。子ライオンと一緒にローラーを握り、相手に合わせてゆっくりゆっくり引っ張っていく。

「わあ!動いた!お姉さんありがとう!」
「よーし、このまま道を綺麗にしていこうね!」

 瓦礫は従属神群に頼んで、子ライオンと一緒に道路整備をしていくティファーナ。
 彼女と子ライオンの通った道は細かい瓦礫が砕け、均されて綺麗な道ができあがっていく。
 ローラーも一度軌道にのればするするとよく滑るように転がり、子ライオンと共に楽しそうに引っ張っているとからん、と目の前に針のような瓦礫が落ちてきた。

「わ、ごめんなさい!怪我はないですか?」

 上から声をかけてくるのは時計ウサギだ。
 丁度時計塔を作り直していたようで、どうやらこれは時計の針に使う予定の瓦礫らしい。
 今取りにいきますと降りる姿勢を見せる時計ウサギにティファーナは大丈夫、と声をかけてユーベルコード【スカイステッパー】を発動。
 華麗な足取りで一気に時計塔の時計付近まで上り、針を手渡した。

「はいどうぞ!次は落とさないようにね」
「す、すみません!ありがとうございます!」

 針を手渡して戻ろうとしたら、次は紙が風に飛ばされてくるのでこれまた【スカイステッパー】でキャッチ。
 内容を確認するとそれは設計図であった。

「すみませーん!」

 慌てて駆け寄ってくるのは別の時計ウサギ。設計図を取り出そうとしてうっかり手を滑らせてしまったようだ。
 それを渡したら次は別の瓦礫が転がってきたり、道具が落ちてきたり。
 いつの間にか大分時間をかけて作業していたのだろう、疲れが溜まってきていると判断したティファーナは住人たちに声をかけた。

「おーいみんなー!甘いもの食べて休憩しようよー!」

 ティファーナの手元にはいつの間にか籠いっぱいに入った黄金のりんご。
 ユーベルコード【エデンズ・アップル】で創造した栄養満点活力全快間違いなしの天空神殿の神々に許されし"魅惑の食べ物"である。
 そのうちの一個をティファーナ自身もかじって見せて、おいしそうな顔を浮かべれば動物の姿をした住人たちには抗う術などあるワケがなく。

「わーい、いただきます!」
「お言葉に甘えて一つもらうねー!ありがとー!」

 みんなこぞって黄金のりんごを取りに来て、従属神群も含め全員でりんご休憩である。
 一口かじれば瞬く間に口の中いっぱいに広がる甘酸っぱい果汁、そしてしゃきしゃきとしたみずみずしい食感。
 そこらの普通のりんごなんて当然の如く目じゃないおいしさに全員がへにゃりと顔を綻ばせて幸せそうな表情だ。
 そしてユーベルコードの力により全員の細胞が超神的に活性化され、やる気が先程よりも溢れてくる。
 よーしやるぞー、と気力に満ち溢れた住人たちが作業に戻ろうとしたタイミングでティファーナに天啓とも思える案が降ってきた。

「ねぇねぇ、すっごく大きな長~い滑り台とか作ってみたらどうかな!?」

 両手を握り、瞳をきらきらと輝かせるティファーナの頭には、それこそ自分の全長327.6cmなんて目じゃない長さのさながらジェットコースターに等しい滑り台の図が浮かんでいた。

「滑り台!いいね!すごく楽しいと思う!」
「いいなー滑ってみたーい!」
「街中を囲うぐらいの長さのもの作っちゃおうよ!」

 案は無事採用の運びとなりそうである。
 街中を囲うぐらいの滑り台は果たして普通の滑り台と言うのだろうか、というツッコミはこの場に置いては野暮というものだろう。多分。
 その為にはまず今組み立てているモノを完成させなければと住人たちのやる気がさらに増し、この後怒濤の勢いで一部の再建築が行われ、滑り台の設計図案も瞬く間にできあがってしまった。【エデンズ・アップル】の効果恐るべし。
 そして他にもコーヒーカップやメリーゴーランドなどの案もできあがったりとかして取捨選択が住民たちの多数決によって行われていたりもしたとかどうとか。
 そしてティファーナ自身もその施設というよりアトラクション作製に辺り、ノリノリで意見を出したり造るのを手伝ったり。滑り台で滑りたいんだなあ、と周りには見えたそうな。

 ……「街を再建する」じゃなくて「遊園地を建造する」になってませんかって?それを言うのは野暮ってもんですよ。たぶんね。

成功 🔵​🔵​🔴​

ビリー・ライジング
ミリィ(f05963)と共に行動。

とりあえず人手は必要だろうな。
まずはUCで分身を発現させて、其々の分身に作業を分担させる。

金の瞳&青い瞳:
協力して、道を整備してもらう。
土の力で道を造り、水の力で道の整備。
ミリィの五行の力を利用して、道の隣に街路樹も創ろう。

緑色の瞳:
高い所の瓦礫撤去や高所作業を任せる。
風の力で高く跳び、街におくオブジェのような物も創ってみるか?

赤い瞳(本体):
ミリィに大穴を作ってもらい、廃墟になった物をその穴の中へ。
炎の力でそれを焼却した後、ミリィの力でそこから新しい金属や木を作る。
後は溶かしたり、乾燥させるなどで資材を作る。
「使えないのなら、もう一度使えるようにすればいい」


ミリィ・ライジング
ビリー(f05930)と共に行動。

金属や木が腐ってるなら、五行の力で再利用できそうだけど、
それだけだけどなぁ……。

そうだ。こういう時こそ「閃き」が肝心だよね。
UCを発動して、化身の力を借りよう。

お兄ちゃんは分身を使って、作業してるみたいだし、
お兄ちゃんの作業のお手伝いや、建物を作ってみようかなー。

うーん、でもこの瓦礫の山どうしようか……。
え、大きな穴を掘る? そこに瓦礫を入れて、燃やしてもらう?
……あ、それなら土が出来るし、そこから金属も掘り出せる。
後はそこに水の力を込めれば、木材も出来あがるね。
「閃きの天才の名前は、伊達じゃないからね」



●再建は99%の魔術と五行と1%の閃きでできる
 さて一方は何か遊園地建造計画を建て始めたが、そもそも他の施設やらお家やらがちゃんとしていないと話にならないんですよね。
 ということで滑り台建設予定地、など看板だけは建てておいて一旦中断、街自体の再建を再開することに。

「金属や木が腐ってるなら五行の力で再利用できそうだけど、それだけだとなぁ……」

 ミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)は瓦礫をかき集めた山を見てううん、と唸っていた。
 ここにかき集められているのは被害が酷く、そのままでは再利用できない謂わば廃棄処分行きの瓦礫。
 五行の力を以てすれば確かに生まれ変わらせることができるがそれだけ――ならばどうするのがベストなのか、というのがミリィには思いつかないでいるのである。

「――そうだ、こういう時こそ「閃き」が肝心だよね」

 自分の知恵だけでたどり着けない時こそ他者に頼る時である。ミリィはユーベルコードを使い、化身の発明家を呼び寄せた。

「……"我が剣風に宿る水よ、風よ、土よ。今ここに発現せよ"」

 一方、ビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)はユーベルコードを使って自らの分身を呼び出していた。
 自身と同じ顔で瞳の違う分身のビリーたちはそれぞれ瞳の色に応じた属性を操る。
 それらの力を使って効率よく再建を進めていこう、という考えによるものだ。

「よし。金の瞳と青い瞳の俺は道の整備、緑色の瞳の俺は高いところの瓦礫撤去を始めとした高所作業だ。
 不要な瓦礫はあそこの瓦礫の山に持っていってくれ」

 分身のビリーたちはこくりと頷くと迅速に作業に移っていく。
 まずは風を操る緑色の瞳のビリー、風の力でふわりと瓦礫を舞い上げて効率よく撤去した後使える瓦礫と使えない瓦礫を分配。
 これまた風の力で効率よく廃棄行きのものは瓦礫の山へと運んでいった。
 使えそうなものは何か思いついたようで、風の力でより高い位置へと飛び何かを作り始める。
 次に金の瞳と青い瞳のビリーたちはそれぞれ属性の力を行使して均されていない道を均しては整備を繰り返していた。
 先程ローラーで均された道も水の力を使って綺麗に整える過程は土と水の力が合わさったことによりコンクリートを流し込んでは即固めていくかのような光景である。
 そして本人、赤い瞳のビリーはその場にあった瓦礫を抱えて瓦礫の山の麓にいる妹の下へ。

「あ、お兄ちゃん。丁度いいところに……それここに入れてくれる?」

 ミリィは化身の科学者と共に地面に大きな穴を掘っていた。
 瓦礫の山をどうしようかと悩んでいたミリィに、科学者は穴を掘って瓦礫を放り込み、ビリーの力で燃やしてもらうことを提案したのである。

「なる程。使えないのならもう一度使えるようにすればいいってワケだな……流石だ」
「閃きの天才の名前は伊達じゃないからね」

 化身の科学者に向けてにこりと微笑みかけると礼を言われる程じゃないと言いたげに眼鏡をくい、と上げる仕草で返ってくる。
 ともあれ、そうと決まれば早速作業に移すのみだ。
 二人で協力して瓦礫を次々掘った大穴に放り込んでいき、全部詰めたのを確認してからビリーが炎魔術を展開。
 キャンプファイヤーなど目でない大きな炎が立ち上り、それにミリィが五行の印を結ぶ。
 瓦礫だったものにそれぞれの五行の力が合わさり、土、金属、木材……瓦礫が放られていた大穴は街の再建に必要な素材がぎっしりと詰まった宝の穴と化した。

「うわっ、すごい!これ全部猟兵さんたちが作ったの!?」

 子供の時計ウサギが目を輝かせてやってきた。
 それに釣られるように他の愉快な仲間たちもやってきては大喜びしては素材を運んでいく。これで再建に必要な素材は一通り揃ったのであとは一つずつ建てていくだけとなった。
 皆が喜ぶ様子に双子はこっそりとハイタッチして互いを労う。

「おーい、ミリィ!手伝ってくれないかー?」
「あ、うん!今いくね!」

 金の瞳と青い瞳のビリーに声をかけられ、ミリィは彼らの下へと小走りで駆け寄る。
 彼らの指示を受けて結ばれる五行の印が街道を彩る街路樹を作り出せばますます街に活気が戻っていく。
 その上部で緑色の瞳のビリーは組み立てていたものが丁度完成したのかふう、と汗を拭っていた。
 どうやら街のシンボルとなるオブジェを作り上げていたようだ、おもちゃの街らしくおもちゃの兵隊を模したオブジェが街の中央にある時計塔の屋根の上に立っている。
 一休みがてら眺めようと向けた町並みは彩りと活気に溢れた賑わいを見せていて、緑色の瞳のビリーはふっと微笑んで住民と猟兵たちのやり取りを眺めていた。

 街の復興度:猟兵たちの働きにより8割まで完了。

 残り2割?アトラクション建造分です。
 ……ほぼほぼ終わってないかって?それは言ってはいけないお約束ですよ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

星群・ヒカル
よし、【超宇宙・絆生大星群】で、舎弟たちを呼び出したところで……
只今より超宇宙作戦会議を行う!(ばーん)
この滅茶苦茶になった街をどうにかしようって話だな。何かアイデアがある人は挙手!

というわけでおれ達は学校を作った!
ただの学校じゃないぞ!勉強ばっかりすんのもやる気が出ねぇからな、遊び心ってやつを追加したんだ
例えば下り階段がわりに滑り台を、教室の椅子がわりにブランコを……
ふふふ、大人達も羨ましくなっちまうだろ〜?
……って、おめーらおれを差し置いて学校に遊びに行くんじゃねぇ!

おれも舎弟たちも気合を入れて作ったんだ
ここで新たなる番長が生まれてくることを期待しているぜ!

※アドリブ連携歓迎



●超宇宙学校、爆誕!
 街の再建が粗方終わりつつある中、街の広場辺りで大量の宇宙バイクに囲まれながら声を張り上げる少年が一人。

「只今より――超宇宙作戦会議を行うッ!」
『『おお――ッ!!』』

 超宇宙番長、星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)だ。
 彼はユーベルコード【超宇宙・絆生大星群(チョウウチュウ・ジモトアステリズム)】により中学時代の舎弟たちを呼び寄せ、人員の増強の他建築施設案をこうして定期的に輩出していたのである!

「この滅茶苦茶になった街もおめーらと住民のみんなと仲間の猟兵たちによって大分再建できてきた!だがせっかくなら何か一つ新しく建ててみてもいいんじゃねえかと思うワケだ。
 てなワケで何かアイデアがある人は挙手ッ!!」
「はい番長!オレは綺麗なお姉ちゃんがたくさんいるところが欲しいっす!」
「それはここの住民が使ったところで意味ねえだろ!却下!」
「すんません言ってみただけです!!どの道大人向けだからオレたち未成年だから無理っした!!」
「はい次!」
「はい番長!俺は――」

 そんな感じで舎弟たちの意見を一人ひとり聞いててきぱきと採用と却下で捌いていく姿はまさに舎弟を従える超宇宙番長だ。
 そうして数え切れない程の意見を捌き切り、ヒカルを始めとして全員が満場一致の案を出したものが――

「というワケで、おれ達は学校を作ったッ!!」

 学校であった。
 ばばーん、という効果音が聞こえるような錯覚と共に街の一部にできあがった学校を住民たちにお披露目である。
 スペースシップワールド出身の超宇宙番長であるヒカルとその舎弟たちによるものらしい宇宙学校的な風貌。
 アリスラビリンスの街に置かれると一見場違いなように見えなくもないが、アトラクション施設のように他者の目を惹きつける絶妙なデザインだ。
 事実、街の住民の子供たちは皆目を輝かせている。

「うわあ、すごーい!」
「でも学校って、お勉強するところだよね。毎日勉強ばっかりだと疲れそう……」
「ふっふっふ……ただの学校じゃないぞ!勉強ばっかりすんのもやる気が出ねぇからな、遊び心ってやつを追加したんだ」

 ニヤリと、笑ってヒカルによる超宇宙学校のプレゼンが始まった。

「まずこれが教室の光景だ!椅子代わりにブランコを配置してるぜッ!」
「ええっ!?ブランコで遊びながら勉強できるってこと!?」
「その通りだ!そして下り階段代わりには滑り台を設置!あっという間に降りれるし楽しいぞッ!」
「うわあ、こんな学校ならぼく卒業まで通えそう~!」

 子供たちはヒカルのプレゼンにより学校に夢中である。
 事実、授業を行うに当たって子供たちの集中力を高める為に教室の椅子にペダルを付属する等といった試みが行われ集中力の向上に繋がっているという結果は記録されている。
 つまり、番長たちは学校環境の改善に大きく成功するであろう学校を完成させたのである――もちろんこの結果記録に関しては全く知らない上で自然に思いついた発想だ。
 そういった発想が出るのは10代の彼らならではだろう。

「ふふふ、大人たちも羨ましくなっちまうだろ~?」
「うおお我慢できねえ!番長!俺早速遊び行ってきます!!」
「っておめーらッ!おれを差し置いて遊びに行くんじゃねぇーッ!!」
「ぼくもいくー!」
「わたしもー!」

 ヒカルと舎弟たちに続いて愉快な仲間や時計ウサギの子供たちも次々学校へ走っていく。
 教室のブランコで二人乗りして遊んだり、階段を駆け上っては一気に滑り台で滑っていったり……みんな輝いた表情を見せて学校を楽しんでいる。

「どうだ!楽しいだろ!」
「うん、すっごく楽しい!これならお勉強頑張れるよ!」
「そうかそうか!そりゃあよかった、おれも舎弟たちも気合を入れて作ったからな!」

 子供たちの頭をぽんぽんと撫でてにかっと笑うヒカル。
 この超宇宙学校で新たな番長が生まれてくるだろう――そんな期待に胸を膨らませながら学校内の遊具を今のうちにと全力で遊び満喫するのであった。

 そしてヒカルたちの発想がとても画期的だったようで街一つ囲う長い滑り台とは別に各施設や家を繋ぐロープウェイも造られることになったそうな。
 これなら遅刻する子供たちも多分いませんね!

 かくしてオウガにより氷漬けにされていたおもちゃの街は、遊園地のような楽しさと街としての機能両方が備わった活気溢れる賑やかな街として無事生まれ変わったのである。
 あとは予知にあった通り、騒ぎを聞きつけて訪れるオウガたちを成敗するだけだ。
 それまでに思う存分この街を楽しむ猟兵たちもいたかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 集団戦 『ホライゾンストーカー』

POW   :    チェイサーズポイズン
自身に【ばらばらにしたおもちゃのブロックの尻尾 】をまとい、高速移動と【遅効性の麻痺効果を持つ毒液】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    チェイサーズインスティンクト
【アリスや対象を追いかけた 】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
WIZ   :    フライングチェイサー
【星空の翼を広げ羽ばたく 】事で【高機動追跡モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【MSより】
第二章もご参加ありがとうございました!
第三章のプレイング受付開始日は10/26(月)8:31からとさせていただきます。
フライングで投げられた場合は開始日以降に再送の程をよろしくお願い致します。
断章は10/25(日)中に投下予定です。
●こっそり忍び寄れると思っているのか
「何があったのかと思ったら。復興してやがるぜ」

 新しく生まれ変わったおもちゃの街を上空から見つめるオウガが一匹。
 おもちゃのブロックでできたしっぽをゆらゆら揺らしながらふーん、といった表情で見つめている。

「ま、どーせオレたちオウガに適うような動物共じゃねえだろ。こんだけ平和そうな様子だと気づくことはないだろうしなァ……」

 ふーむ、とハサミを顎に手を置くようにして考えて。

「よぉし、襲っちまうか。野郎ども!」
『『おおーっ!』』

 親分(?)の言葉に反応するように同じ姿のオウガがぞろぞろと現れ、それぞれバラバラのルートでおもちゃの街へ侵入していく。
 侵入されたと気取られぬようこっそりと入ることでゆっくりじんわりと街を蝕んでいくつもりなのだろう。
 だが、それらもグリモア猟兵の予知に記されていたことをこのオウガは知らない。
 故に猟兵たちが待ち構えていることももちろん知らない。

 つまり、返り討ちにするチャンスである。

 街の住人は予め安全な場所に避難させ準備は万端だ。
 さあ猟兵たちよ、その力を以て侵略者を追い払え!
ティファーナ・テイル
SPDで判定を
*アドリブ歓迎

『スカイステッパー』でジグザグに高速飛翔して同時に『ジェットストリーム・ラヴハート』でSPDを強化しながら『ガディスプリンセス・レディース』で従属神群を召喚して牽制と攻撃を仕掛けて『セクシィアップ・ガディスプリンセス』で♥ビーム攻撃を仕掛けます!
『神代世界の天空神』で避け切れ無い攻撃を空間飛翔して避けて『天空神ノ威光・黄昏』で敵のUCを封印/弱体化をします。
『ヴァイストン・ヴァビロン』で豪華絢爛な苛烈で猛攻を仕掛けます!
『ゴッド・クリエイション』で射手座の神を創造して敵の次継ぎ目や甲羅の薄そうな箇所を攻撃させます。
『エデンズ・アップル』で疲労回復の甘味を創造します!


ビリー・ライジング
ミリィ(f05963)と共に行動。

緑色の瞳の俺が何かに気づいてる?
どうした、オウガか!?

【視力】でオウガを確認したら、グレネードランチャーを構える。
「数が多いなら、こいつの出番だな!」

グレネードランチャーから発射するUCには、
【誘導弾・スナイパー・貫通攻撃・鎧無視攻撃・吹き飛ばし】を付与。
どんなに高速移動しようが、魔法の矢はどこまでもお前を追いかける!
「俺の攻撃だけに気を取られて大丈夫か?」

毒液攻撃には【毒耐性】を持っているが【見切り】による回避や、
ファイアーウォールの【盾受け】で防御しておこう。


星群・ヒカル
どうやら平穏を脅かす奴らがやってきたようだな
折角皆の楽しい街ができたっていうのに、シケた野郎どもだぜ
だが心配ご無用。この超宇宙番長に任せておけ!

『地形の利用』で、作った建物の上から奇襲だ!
宇宙バイク『銀翼号』に『騎乗』し、ジャンプダイブ!
頑張って作った街だから、尚更地形は頭に入ってるってもんよ。

追いかけた時間が鍵か……なら、追いかける隙を与えないどころか、追われる側にすればいいッ!
【ゴッドスピードライド】で超加速し、敵群を軒並み跳ね飛ばすぞ!
どうしたどうした、相手になってやるから出てこいよ!
出てこなくても星の目の『視力・第六感』で見つけ出すんだけどな!

※アドリブ・連携歓迎


ミリィ・ライジング
ビリー(f05930)と共に行動。

せっかく復興したのに、もう狙ってくるなんてね。
だけど来るのなら、好都合!

UCを発動して、馬の一体に騎乗。合図と共に一斉突撃!
「かかれー!」

武装した隊士たちには【2回攻撃・重量攻撃・気絶攻撃】で、
『誠』の隊旗の叩き付けや、日本刀でのみねうちで無力化させる。

私は五行の【属性攻撃・貫通攻撃・クイックドロウ】で、
護符や手裏剣を【投擲・誘導弾・スナイパー】!
「私がいるのも忘れちゃダメだよ!」



●STANDBY READY?
 まず最初にオウガの気配を察知したのはビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)――がユーベルコードで生み出した分身。
 風を操る緑色の瞳のビリーは、オウガの飛翔による風の流れの変化を敏感に感じ取ったのである。

「どうした、オウガか!?」
「……くるぞ。三時の方向、結構な数迫ってきている」
「せっかく復興したのに、もう狙ってくるなんてね……」

 本体である赤い瞳のビリー、そしてミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)がオウガのくるであろう方向を見据える。
 緑色の瞳のビリーの言う通り、三時の方向から敵影と思しきモノが大量に押し寄せてきていた。
 だがまだ到達するまでには時間があり、そして恐らくこちらが気づいていることはあちらは知らない。

「――だけど、くるのなら好都合!」

 故に、迎え撃つ準備を整えるには十分だった。
 ミリィはユーベルコード【化身招来・新選会】を発動し、新選会隊士たちを呼び寄せた。
 その数にして425人、その全てが馬に乗り機動力を高めている。そのうちの一体の馬を借り受け、ミリィもまた馬の背に。
 そしてビリーはというと。

「数が多いなら、こいつの出番だな!」

 愛用の武器の一つ、回転弾倉式のグレネードランチャーを取り出し構えていた――。

「……どうやら平穏を脅かす奴らがやってきたようだな」

 敵影を確認した猟兵はライジング兄妹だけではない。
 星の眼を宿す超宇宙番長、星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)……人を外れた超常の力を秘める魔眼を所有する彼が敵襲を察知しないワケがなかった。
 超宇宙学校の屋上からしっかりと押し寄せる玩具のブロックのしっぽを余裕そうに振る飛びサソリの姿をしっかりと眼に焼き付けている。

「折角みんなの楽しい街ができたっていうのにシケた野郎どもだぜ――だが!」

 愛用の宇宙バイク『銀翼号』に颯爽と騎乗するヒカル。
 エンジン全開、いつでも飛び出せる構えを取り、住民の避難先の一つである超宇宙学校の体育館へと視線を向けて。

「心配ご無用。この超宇宙番長に任せておけッ!」

 にか、と笑い、アクセルを思い切り振り絞る。超宇宙番長の出撃だ――!

●恐怖の鬼ごっこ、開幕
 さて、まんまと迎え撃つ準備をされているとは思いもよらず街へと侵入を開始したオウガたち。
 わらわらぞろぞろと入っていくのを見て、親分と思しきオウガは手ならぬハサミを顎に当て――あの、顎どこっすか?
 とにかく、考え込む姿勢を見せる。

「……おかしいな、やけに静かだぞ?」

 アリスラビリンス内の街とはいえ、アリスを迷い込ませる為の作り物ならともかく愉快な仲間や時計ウサギの住む街でこうも静かになるだろうか?
 そんな思考をよそに子分共は次々と街へと忍び込んでいくのを一旦静止しようとしたその時だ。

「な、なんだアレ!?」

 子分の一人が指――というかハサミを目の前の上空に向ける。
 何者かがジグザグとした機動でこちらに向かってくるのを捉えたのだ。

「だ、誰だあいつ!蛇……竜……どっちだ!?」
「どっちでもないよっ!」

 そう、何故なら天空神だから。
 ユーベルコード【スカイステッパー】と【ジェットストリーム・ラヴハート】で自らの飛翔能力を極限まで高めたティファーナ・テイル(ケトゥアルコワトゥル神のスカイダンサー・f24123)が突撃する!

「街を襲う悪いオウガは成敗だ!さあ、"レディース(従属神群)の能力を今こそ見せる刻だよ"っ!」

 ティファーナの号令と共にユーベルコード【ガディスプリンセス・レディース】により顕現したティファーナの従属神群が一斉に光弾を放つ。
 不意を撃たれたオウガたちは各方向に散開を試みそれらは回避、だがそれが牽制ということに気づかず追撃を許す形となる。
 手でハートの形を作り、【セクシィアップ・ガディスプリンセス】で変身したティファーナによる『プリンセスガディスハート』の鼓動を極限まで高めたレーザービームがオウガの群れに直撃したのだ。

「ぎゃ―――――!!」

 悲鳴を上げながらそのドキドキハートの波動により浄化されていくオウガ共。
 やられてなるものか、と何とか逃げ延びた一部のオウガがティファーナの背後を取るが、それもユーベルコード【神代世界の天空神(エデンズ・ラビュリストン)】により回避された。

「な、何なんだこいつ!猟兵か!?野郎共一旦退け!散開だ―――!!」

 親分オウガの命令により、おもちゃブロックのしっぽをした空飛ぶサソリの群れは次々に隠れ蓑にせんと街へ下りていく。
 しかしティファーナはそれを追いかけることはせず、まずは目の前にいる連中から片付けることにした。
 何故なら……猟兵は彼女一人だけではないのだから。

「みびゃ―――――っ!!?」

 降り立ったオウガがビリーのグレネードランチャーから放たれた【ウィザード・ミサイル】により次々と駆逐されていく。
 ビリーの魔力が込められたミサイルはどこまで逃げても敵を追いかけ続ける強力な誘導性を秘めていた。
 諦めて止まったが最後、サソリの硬い鱗すら簡単に貫く程の火力であっという間に爆散間違いなし。必死に逃げていくのだが。

「かかれ―――――っ!!」
「嘘ォ――――――っっ!?」

 ミリィの合図により新選会の隊士軍が馬を狩って突撃、ミサイルと共にオウガたちを追いかけ出した!
 止まればミサイルか馬に跳ね飛ばされて終わってしまう地獄の鬼ごっこの開幕である。
 やられてたまるか、と必死に逃げ続けるオウガたち。逃げ切れなかったモノは皆一様にミサイルで吹き飛ばされるか、隊士たちによる誠の旗の叩きつけや刀背打ちによりぽてんぽてんと地に落ちていく。
 だがしかし、参戦者はこれで全部ではない……

「逃がすかァッ!!」
「ひぎゃ―――――――また新手だとォ――――――――っ!?!?」

 建物の上から『銀翼号』に乗ったヒカルがジャンピングダイブ!
 ユーベルコード【ゴッドスピードライド】により限界までスピードを高め、別に逃げていたオウガの群れを跳ね飛ばしながら追いかけてきた。
 マッハ5なんて目じゃないスピードで追いかけてくるそれからも必死に逃げることになったオウガの群れ。
 止まればミサイルか馬か宇宙バイクのどれかに跳ねられて死ぬというハードな鬼ごっこ、まさに地獄としか言いようがない。

「どうしたどうしたァ!相手になってやるから出てこいよッ!!」
「やだ――――――――轢かれる――――――――!!!」

 エンジン全開の全力アクセルで『銀翼号』に乗ったヒカルの挑発に情けない声で返す子分オウガの群れ。
 何故こんなことになっているかというと、実は戦闘する前に学校を建てた件からヒカルを慕う愉快な仲間や時計ウサギの子供たちからこんな情報を得ていたのだ。

『あのねあのね、サソリみたいなオウガはアリスをず――――っと追いかけるんだ』
『それでね、追いかければ追いかける程強くなっちゃうの!』
 
 それを他の猟兵たちに共有した上で、追いかけた時間が鍵になるなら隙を与えないどころか相手を追われる側にしてしまえば良いという結論に行き着き、結果として現状のようなオウガにとって地獄の如きハードな追いかけっことなっている。
 空中にいる群れはティファーナと従属神群でカバーし、街に忍び込んだオウガはライジング兄妹とヒカルが相手するとういう手筈だ。
 空陸両用を兼ね備えた万全の迎撃体制を強いていたことに気づかなかったオウガの群れはまさに飛んで火にいる夏の虫なのである。

「畜生、猟兵がこんなにいるなんて聞いてねえぞ!?こうなったら一番仕留めやすい奴から仕留めてやるっ!!」

 頭に血が上った親分オウガはグレネードランチャーを絶えず撃ち続けるビリーに狙いを定めた。
 ビリーは気づいているのかいないのか、他の群れに対してランチャーを撃ち続ける姿勢を崩さない。
 だが、彼を仕留めれば少なくとも誘導性の高いミサイルを止めることは可能だ。
 他はスピードがとんでもないが、それよりもどこまでも追いかける誘導性を危険視した結果だろう。

「すました面でミサイル撃ってるそこのてめえから針をぶっ刺してやっぜェェェ!!」

 星空の翼を広げ、爆発的なスピードで迫る。
 今気づいたところで手遅れになるだろうといったタイミングで迫られてもビリーは決して焦らない。それどころか――

「俺の攻撃だけに気を取られて大丈夫か?」

 ふっと笑ってみせた。
 何がおかしい、と言おうとしたオウガの口――いや口どここいつ?
 ともかく、その辺りに向かってカウンターのように五行の力を纏った護符がぺたりと貼り付けられた。

「むがむがっ!?」
「私がいるのも忘れちゃダメだよ!」

 馬を縦横無尽に駆りながら、ミリィが残るオウガの群れに次々と護符や手裏剣に五行の力を纏わせて投げつけたのだ。
 ビリーのミサイルと同じように誘導性と貫通性を備えたそれらはクイックドローによる素早い手付きで目に止まらぬ速さで飛んでいってはサソリの鎧を貫き、燃やし、あるいは切り裂いていく。
 慌てて空中に逃げれば今度はオウガよりさらに上空から矢が甲羅の接目や薄いところに次々と突き刺さった。

「逃さないよーっ!」

 【ゴッド・クリエイション】で創造した射手座の神に射撃を命じながら、ティファーナが上空から突貫する!

「むがっがぁっ!?むむ、むがむがむがっ!(訳:何ッだとォッ!?こ、子分共はどうしたっ!)」
「もちろん全員ぶっ飛ばしたに決まってんだろッ!」

 ヒカルもティファーナに続くかのように、街にできたジェットコースターの如き滑り台から『銀翼号』と共に飛び上がる!
 上空にも、街にも自分と同じ星空の翼を広げるオレンジ色のサソリの姿はどこにもなかった。
 間違いなく負けだと確信したオウガは自分だけでも逃げようと試みるが――

「"天空神の庇護と加護と祝福の威光に黄昏る"!」

 ティファーナの【天空神ノ威光・黄昏】により放たれた威光がその神速の加護を打ち消した。
 爆発的なスピードを出すことが叶わなくなった口を塞がれたオレンジ色のサソリはまさに格好の的であった。
 今、猟兵たちによるトドメの一撃が放たれる!

「"神々の無限の宝物庫の真の効力を"っ!それそれそれそれそれ―――――っ!!」

 まずはティファーナが【ヴァイストン・ヴァビロン】による絶対成功と必中の天運を得た怒濤のラッシュを叩き込み――

「これでも……」
「喰らえッ!!」

 ビリーとミリィの放ったミサイルと護符、手裏剣の群れが波のように押し寄せ――

「こいつで――終わりだッ!!」

 最後にヒカルが、『銀翼号』と共に一閃の如く貫いた。
 まさしくオーバーキル、オウガは悲鳴すら挙げる暇もなく灰になってそのまま崩れ去る。
 街に残っていたオウガも全て見逃すことなく仕留めた猟兵たちは、こうして無事街の平和を護ったのであった。

●エピローグ
「猟兵さん、本当にありがとう!」
「お礼にと思って今ご飯を作ってるんだ、よかったら食べていってよ。大丈夫大丈夫、人間さんでも全然食べられるよ!」

 住民たちに報告すると、お礼の一つもできずに終わるのは申し訳ないということで密かに食事の支度を進めていたようだ。

「猟兵さん、食べたいものはある?」
「あ、じゃあよかったらこれ使って!」

 ティファーナが【エデンズ・アップル】で再び黄金の林檎を生み出し、住民に手渡した。
 酸味抜群新鮮しゃきしゃきの金の林檎……デザートに使えば美味なこと間違いなしである。
 さらに疲労回復もできて一石二鳥だ。

「これでおいしいデザートを作ってくれたら嬉しいな♪」
「うん!じゃあ腕によりをかけてアップルパイ作るね!」

 無事平和を取り戻したアリスラビリンスのとある街。
 オウガ・オリジンを倒した今でも、アリスは尚迷い込んでしまう現状が続いている――だが、きっとこの街はそんなアリスたちを助けてくれるだろう。
 自分たちを助けてくれた猟兵のように、アリスを助けようとしてくれるに違いないという一縷の希望を、猟兵たちに抱かせたのだった。

 そして作ってくれた料理は疲れているのを差し引いてもとてもおいしかったそうです。
 黄金の林檎で作ったアップルパイがあまりにも美味しすぎてたくさん作ったのに争奪戦が起きた程なのだが――まあ、それはまた別のお話ですよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月30日
宿敵 『スノウ・ブライニクル』 を撃破!


挿絵イラスト