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消えぬ戦火の憎しみ

#クロムキャバリア #王国ガルヴァ

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#クロムキャバリア
#王国ガルヴァ


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「決起の時だ!!」
 強い意思を秘めた大喝が広場に響く。その場には数十機の人型兵器『キャバリア』が整列していた。
「我等が王国ガルヴァは長年争ってきた隣国アルスとの休戦協定を結んだ! それを喜ぶ者もいるだろう……だが我等は違う!!」
 演説をする将校が感情を籠めて声を張り上げる。
「長き戦乱に我等はどれだけ血を流した! 我等が同胞がどれだけ骸となった! 勝利の為! 家族の為! 仲間の為! 国はそう言って我等を戦場に向かわせたはずだ! なのに突然戦いを止めろという!」
 その言葉に兵士達も共感し、悔しそうに歯を食いしばり掌の皮膚が裂けるまで拳を握った。
「我等は倒れゆく同胞を前に誓ったはずだ、戦争の勝利を! 憎き仇への報復を!!」
「「報復を!!!」」
 将校の言葉に兵達が唱和し、恨みに満ちた目をつり上げた。
「ならばどうするか! 我等の戦争を続けるしかない! 戦い、殺し、掴み取るのだ! 勝利を!!」
「「勝利を!!!」」
 血に飢えたように兵の戦意が高まり、熱気が広場を覆った。
「では再開しよう。我等の戦争を!!」
「「戦争を! 戦争を! 友の仇を地獄に送り勝利を英霊に捧げん!!!」」
 狂気に酔った歓声が上がり、兵達は量産タイプの二種類のキャバリアを発進させていく。
「戦いを終わらせよう……我等の勝利で!!」
 将校は一機だけ形状の違う、流線形の女性をモチーフにしたキャバリアを起動すると、禍々しい力が放たれた。


「諸君、新世界クロムキャバリアにある小国の一つ王国ガルヴァの将校が、隣国である聖国アルスに休戦協定を破ってキャバリア部隊で攻め込もうとしている」
 新たなる世界の人型兵器キャバリアの姿を映し出すグリモアベースで、バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が集まった猟兵達に新たな任務だと説明を始めた。
「戦いを扇動する将校は『オブリビオンマシン』に乗り、他の量産機をオブリビオンマシン化して兵士達を洗脳しているようだ」
 洗脳された兵士達は敵国を倒す事が正義だと信じて戦争を始めてしまう。
「足の速いキャバリアが第一波として奇襲し、混乱したところに第二波の高火力キャバリアが襲い掛かる作戦のようだ」
 兵士だけあって連携が取れた作戦によって戦端を開こうとしている。実行されれば被害は甚大なものとなるだろう。

「洗脳された兵士達はキャバリアだけを破壊すれば正気に戻る。まずは第一波のマシンを破壊し、中の兵士を救助し次の波が来るまでに避難させてやりたい」
 兵士も訓練されていて自身の身を護ろうとするが、キャバリアが無い状態では危険だ。
「もしパイロットを殺してしまえば、第二波の戦友達は憎しみと怒りを以って襲い掛かって来るだろう。そうなれば狂気によってパワーアップしてしまう。それを阻止する為にも中の兵士は救助せねばならん」
 救助して何かしら仲間への言伝を得ておけば、逆に第二波の兵士達の戦意が落ちる可能性もある。

「兵士達を退ければ最後に首謀者である将校のオブリビオンマシンと戦闘になる。将校の名はヴィルヘルム。元は兵達に慕われる将校だったが、オブリビオンマシンに乗ってしまった為に正気を失い、戦争によって傷ついた心を剥き出しにして戦っているようだ。可能であればキャバリアから助けてやって欲しい」
 誰も彼もがオブリビオンマシンの狂気に蝕まれた被害者なのだ。一人でも多くの人を救いたい。

「戦争によって疲弊した兵士をさらに戦いに駆りたてるとはな。兵士とはいずれやってくる平和を信じて武器を手に取るものだ。終わった戦争を無理矢理続行させるなど許せるものではない」
 断固とした口調でバルモアは言い放ち、新たな世界に繋がるゲートを作った。
「隣国が被害を受ければ休戦も危うくなる。キャバリア部隊を迎え撃ち、戦火が再び燃え上がるのを防げ!」


天木一
 こんにちは天木一です。新たな世界クロムキャバリアでの初めての依頼となります。ロボットの部隊が隣国に攻め込むのを防ぎ、戦争が起こるのを防ぎましょう!

 第一章は敵軍の第一波、飛行型のキャバリア部隊を迎撃します。中のパイロットはマシンを破壊すると正気に戻ります。助けた後に安全な場所まで逃がす行動をするとプレイングボーナスが得られます。

 第二章は第二波である火力型キャバリア部隊との戦いとなります。第一章でパイロットを助けてその言葉を伝えればプレイングボーナスを得られます。第一章で死亡させていた場合パワーアップします。

 第三章では首謀者のオブリビオンマシンとの戦いとなります。マシンだけを破壊すれば将校も正気に戻ります。

 キャバリアを持っていなくても借りて乗ることができます。ユーベルコードをキャバリアから放つことも可能です。

 複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
 プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページにて。
 それでは新しいロボットの世界での戦いです。ロボット同士や、生身でロボットを倒すなど、派手な戦闘を繰り広げてください!
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第1章 集団戦 『ガーゴイル』

POW   :    ランス・チャージ
【ビームランスでの突撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    デルタ・ストライク
【僚機と連携すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【三機のコンビネーションアタック】で攻撃する。
WIZ   :    RS-Sミサイルポッド
レベル×5本の【実体】属性の【誘導ミサイル】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●飛行キャバリア部隊
 エネルギーの翼のようなものを広げ、ガルヴァ王国のキャバリア部隊が空を飛んで国境を越え聖国アルスの領土へと侵入した。
「アルスのキャバリアは周辺には確認できず」
「ふん、のうのうと平和を満喫しているようだな。好都合だ、作戦通りプラントへ向かう!」
 周辺を索敵した飛行キャバリア部隊は、そのままアルス国内のプラントへと針路をとる。
 人類の生命線であるプラントへの攻撃が今回の目標だった。不意を突いてテロのようにキャバリア部隊が襲い掛かろうとしている。休戦中の為、国の防備も甘い。皆が疲弊した戦後の復興へと労力を向けようとしている時期なのだ。
 その隙を突いて戦争を続行しようとする、戦いの狂気に魅入られたキャバリアの集団が迫る。プラントが破壊されれば確実に戦争は再開されるだろう。

 だがそれを察知し阻止しようと動き出している者もいる。猟兵達はその進路上にある今は人が住まぬ、戦いで崩壊した建物の瓦礫が積み重なった廃墟に待機し、準備万端で待ち構えていた。
 この先に行かせてプラントの破壊や誰かが殺されでもすればせっかく訪れた平和が崩れ去る。決してそのような悲劇は起こさせないと、敵軍の第一波である巨大な空飛ぶロボットの迎撃作戦を開始した。
グロリア・グルッグ
ロボットは破壊する。パイロットは助ける。
両方しなきゃいけないってのが正義の味方のつらいトコですよねー。

自前の量産型キャバリア改で出撃します。
だいぶ好き勝手にカスタムしたのでただの量産型と侮らない方がいいですよ!
戦闘ではレギオンを大量展開して物量で攻め立てます。
同時に搭載したミサイルを一斉発射して敵のミサイル攻撃を相殺してやりましょう。
サンダーブラスターの電撃でもミサイルを迎撃し、その隙にレギオンを敵に接近させます。
コックピット以外の部分を破壊し、内部にいるパイロットの救助活動を命じます。
そのまま数体のレギオンで守りながら安全圏へと逃がし、後でやってくる仲間に伝えるコメントをもらっておきましょう


シル・ウィンディア
キャバリアに乗って戦うのは初めてだね
ブルー・リーゼ、よろしくねっ!

ええと、出撃時には確か…
シル・ウィンディア、ブルー・リーゼ、行きますっ!

相手は空戦機だから
こっちも【空中戦】を挑むよっ!
敵機を補足したら、一気に加速してすれ違いざまに
敵の翼や足を『エトワール』で【切断】!

遠距離は
ランチャーだと強すぎるから
『リュミエール・イリゼ』の【一斉発射】の【誘導弾】で
コクピットを避けた部位を撃ち抜くっ!

敵の攻撃は【第六感】を信じて
【フェイント】と【残像】のジグザグ機動で回避だね

敵機のコクピットに【オーラ防御】を施して
落下の衝撃から守るよ

うーん、数が多いなら…
【高速詠唱】でUC行使っ!
纏めて撃ち抜く!



●空の戦い
「ロボットは破壊する。パイロットは助ける。両方しなきゃいけないってのが正義の味方のつらいトコですよねー」
 愚痴りながらもグロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)は、自前の魔改造された量産型キャバリア改に乗り込んで不敵な笑みを浮かべる。
「だからこそやり甲斐もあるってものです!」
 廃墟に隠れるようにキャバリアを出撃させ、グロリアは上空を空を通過しようとする敵部隊を迎撃準備を整える。すると電脳魔術の索敵に敵の部隊が引っ掛かり、そちらに視線を向けると飛ぶ軽量のキャバリア部隊を遠目に目視できた。

「さあ、もうすぐプラントが見えるはずだ。戦争再開の狼煙を上げるぞ!」
「「了解!!」」
 狂気に汚染した空飛ぶキャバリア『ガーゴイル』が瓦礫の上を通過しようとする。
「キャバリアに乗って戦うのは初めてだね。ブルー・リーゼ、よろしくねっ」
 同じくシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)が自分の専用機であるキャバリア、精霊機『ブルー・リーゼ』に乗り込んだ。
「ええと、出撃時には確か……シル・ウィンディア、ブルー・リーゼ、行きますっ!」
 名乗りを上げてシルがキャバリアを発進させた。青をベースとした流線型のキャバリアが飛翔して空を駆けて敵の正面へと迫る。
「相手は空戦機だから、こっちも空中戦を挑むよっ!」
 青い流星のように加速して一気に敵との距離を詰めていく。
「高速接近する機影を発見! ……識別不明のキャバリアです!」
「敵だ! 第一空戦部隊散開! 回避起動!」
 それに気づいた飛行キャバリア部隊がすぐさま回避しようとばらばらに散る。
「遅いよっ!!」
 だがそれよりも速くシルは敵とすれ違い、BXビームセイバー『エトワール』の光刃を振り抜いて敵キャバリアの翼を斬り裂いた。
「高度保てません! 落ちる!!」
 片翼を失った機体が高度を徐々に落とし、復帰できずに地上に緊急着陸した。

「06号機がやられた! 見た事のない機体だ!」
「アルス国の新型か!? 作戦の支障になる、ここで堕とすぞ!」
 ガーゴイル部隊が旋回し、シルを撃墜せんとミサイルをロックオンする。
「数には数で対抗します!」
 そこへグロリアはユーベルコード『サイバーレギオン』を発動し、400機を超える機械兵器のレギオンを召喚して、一斉に地上から敵に向かって飛び上がらせた。個々の火力は低いが数で補う物量作戦だった。
「敵影多数!!」
「敵は小型の無人機の模様!」
「撃て撃て! 撃ち堕とせ!! 近づかせるな!」
 対象をロックオンするとガーゴイルはミサイルを発射した。
「こちらもミサイルを発射です! 相殺してやりましょう!」
 対抗してグロリアもキャバリアに搭載されたミサイルを一斉発射した。多弾頭ミサイルランチャーが次々とミサイルを撃ち出し、空中で敵ミサイルを迎撃して爆発を起こす。だがガーゴイルの方がミサイル数が多く抜けて来る。その幾つかはレギオンに当たって爆発した。
「まだ手はあります!」
 グロリアはキャバリアの手を空に掲げ、指先に仕込まれた装備『BS-Aサンダーブラスター』を発射する。放射状に放たれる電撃がミサイルを爆散させた。そこから連鎖し誘爆し空に大爆発が起こった。
 その隙にレギオンがガーゴイルに接近し、取り付くようにして装甲を引き千切って手足をもぎ取り、翼を折って行動不能にすると、コックピットだけは無傷で地上へとパイロットを無事に運び下ろす。

「目標着弾前にミサイルが爆破された!」
「地上にいる量産型キャバリアの仕業だ!」
 ガーゴイルがミサイルの発射元を探し、地上のグロリアが乗る量産型キャバリア改を見つけた。
「ミサイルを大量に積んだ改造型か! なら動きは遅いはずだ! 近接戦で仕留める!」
 数機のガーゴイルがビームランスを構えて急降下しようとする。しかしそこに青き閃光が走り抜け、その腕を斬り飛ばしていた。
「空を自在に飛べるのはあなたたちだけじゃないよっ!」
 青きキャバリアを駆るシルは旋回してもう一度襲撃を行う。
「二手に別れろ! 少数が地上の量産型を、残りがこの新型をやる!」
 ガーゴイルが飛び退いてシルのビームセイバーの範囲から逃れ、少数が地上のグロリアを狙って特攻する。
「だいぶ好き勝手にカスタムしたので、ただの量産型と侮らない方がいいですよ!」
 それを迎え撃つグロリアは、機動力を活かしてこちらを攪乱しようと動き回るガーゴイルに、レギオンで包囲して動きを制限する。レギオンは破壊されていくが、次々と穴を埋めるように包囲が維持される。
「そこです!」
 敵の動きを誘導したグロリアがキャバリアの指先を向けてスイッチを押し、指先から電撃が放たれガーゴイルを纏めて感電させた。
「躱せん!」
「モニターが焼き付いて見えません!」
「動力も低下!」
 慌てて兵士達はガーゴイルを動かそうとするが、その前にレギオンが手足や翼をバラバラに分解してコックピットだけを地上に下ろした。

「地上に向かっていた部隊が全滅!」
「くっ、後回しだ! 制空権だけでも掌握するぞ!」
 ガーゴイル部隊は空を自由自在に飛び回るシルのキャバリアと競走するように空を駆ける。
「ちょこまかと!」
「当たれ!」
 追いかけるガーゴイルが誘導ミサイルを発射するが、それを残像を残してジグザグに動き、巧みに振り切ってシルは躱し続ける。
「当たらないよっ! でも数が多いね、うーん……それならっ!」
 このままでは近づいての接近戦は難しいと、シルが詠唱を始めてユーベルコードを行使する。キャバリアの周囲に巨大な魔法陣が描かれ魔力が集まった。
「纏めて撃ち抜く!」
 放たれるは4色が混じりあった魔力弾。次々とガーゴイルの手足を吹き飛ばし、翼を破って地上へと墜落させる。
「中の人は助けないとね!」
 シルは堕ちる敵機のコックピットにオーラによるバリアを施し、落下の衝撃から守られるようにしていった。

「大丈夫ですか?」
 地上に墜ちたコックピットのパイロットにキャバリアを降りたグロリアが呼びかける。
「ああ、なんだかまるで悪夢を見ていたみたいだ……ありがとう。助かったよ」
 洗脳から覚め、正気に戻った兵士がしっかりと視線を合わせた。
「ここはまだ戦闘が続きます。私のレギオンが案内しますので、安全圏まで避難してください」
「わかった。迷惑をかけてすまない」
 頭を下げた兵士がレギオンに誘導されて離れようとする。
「あ、それとですが、後続の仲間に伝えたい言葉はありますか?」
 そこへキャバリアに戻りかけたグロリアが尋ねた。
「『戦争は、俺たちの戦いはもう終わったんだ』と、そう伝えてくれ」
 兵士の言葉に頷き、グロリアはキャバリアで戦闘に復帰した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リンゴ・スターアップル
地獄に送るとか、殺意が凄い渦巻いてるねーここ
私の中の、殺された無念、アリスソウルも反応しちゃってるね
でもダメだよ『みんな』、悪いのは機械さんだけだからね!
だから、殺すのは機械さんだけ、ね?

アリスソウルを媒介にオブリビオンマシン『アヴェンジアリス』を実体化させるね!

ウィングで◆空中浮遊して
敵のミサイルは攻撃や殺意を◆第六感も加えて感知して回避するよ!

敵が固まってきたのを見てUCでアリス幽霊やミノタウロスを周囲に召喚して敵機体を迷宮で閉じ込めて貰うよ!
後はミノタウロスに迷宮ごとコクピットを避けて機体を食べて貰ってコクピットだけになったら迷宮を解除
がアヴェンジアリスで安全な場所まで運んでいくよー


獅子戸・玲桜奈
ちょっと待ったぁ!ここから先は行かせねえぜ!この国の平和は俺たちが守ってみせる!行くぜフレイムウィング!

殲禍炎剣の事もあるから空飛んでるって言っても大した速度じゃないはずだ。だったら飛び掛かってぶん殴るくらいワケないぜ。
それともあっちから向かって来るか?ならユーベルコードで迎え撃つ!チンケな槍ごとバラバラにしてやるぜ!

……ってそれじゃダメだ。加減しないと中のやつが危ねえ。少なくともコックピットっぽいとこは狙わないようにしないとな。
あとは仲間宛の伝言か。具体的な事はともかく、こういうのはハートが肝心だぜ?平和を愛する心を思い出させるような熱いのいっちょ頼むぜ!


ハルア・ガーラント
憎しみは憎しみしか生み出さないといいます、ここで食い止めないと

【POW】
キャバリア搭乗はまだ少し怖いので、敵の姿が見えたら即UC発動
キャバリアと同程度の大きさのアヒルに変身です

移動速度が速く、それでいて突撃を食らうと危険
それならば突撃タイミングに照準を絞り[第六感]で感知しましょう
その瞬間を感じ取ったら横方向へ飛翔回避
[対空戦闘]能力を生かして上方から襲ってくる敵の接続部位をくちばしで突っついて壊していきます
通常攻撃は[オーラ防御]で防ぎますね

敵のオブリビオンマシンが壊れたら[念動力]でコックピットのハッチをこじ開けパイロットさんを救出
オーラで包まれた背中のふわふわ羽毛に隠れて貰いましょう!



●救助作戦
「こんなとこで足を止めている暇はない! 第二空戦部隊攻撃開始、こいつらを先に地獄に送ってやれ!」
 ガーゴイル部隊は上昇して体勢を立て直し、連携してミサイルを発射する。
「地獄に送るとか、殺意が凄い渦巻いてるねーここ」
 リンゴ・スターアップル(魔法少女スターアップル・f19739)はそのロボット越しにでも伝わる殺意をアリスソウルが感じ取りざわつき始めていた。
「私の中の、殺された無念、アリスソウルも反応しちゃってるね。でもダメだよ『みんな』、悪いのは機械さんだけだからね!」
 リンゴは己が内で復讐心を高めるアリスソウルへと呼びかける。
「だから、殺すのは機械さんだけ、ね?」
 そう言い聞かせて、アリスソウルを媒介にしてオブリビオンマシン『アヴェンジアリス』を実体化させる。その女性型キャバリアの内部に入り込むと、抑えきれぬ破壊衝動に震えるように動き出した。
「こっちも空で戦うよ!」
 翼を広げてアヴェンジアリスが重力を失ったようにふわりと浮かび、空へと飛び上がる。そして飛び交うミサイルの中を回避しながら進んだ。


「撃て撃て! 撃ち殺せ!」
 恨みや憎しみの感情に覆いつかされた兵士達は、殺戮に酔ったようにミサイルを発射し続ける。
「憎しみは憎しみしか生み出さないといいます、ここで食い止めないと」
 そんな憎しみの連鎖をここで止めようと、ハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)は心操られた兵士達と戦う為に翼を広げて戦場に出る。
「キャバリアは大きいですね、対抗するにはキャバリアに乗るのが一番ですが、搭乗はまだ少し怖いので違う手段で戦いましょう」
 飛翔すハルアが体を丸め翼で全身を包み、ユーベルコード『アーンヴァルの灯』を発動する。すると全身が光に包まれ、その姿がふわもこの羽毛に覆われ、どんどんとふわふわもこもこが大きな毛玉のように巨大化し、光が収まるとそこにはキャバリアと同等サイズの巨大アヒルの姿があった。
「ガァ―ガァ―!」
 可愛いアヒルになりきったハルアは優雅に空を飛び、敵部隊へと近づく。
「なんだあれは?」
「キャバリア……じゃないな。鳥? にしてはデカすぎる」
 アヒルの姿を見た兵士達は驚いて一瞬攻撃の手を止めた。
「なんであろうと作戦の邪魔になりそうなら排除しておくだけだ」
「了解! 串刺しにしてやりますよ!」
 ガーゴイル数機がアヒルを仕留めようとビームランスを構えて突っ込んで来る。
「ただの鳥と思って油断しているようですね。好都合です!」
 無造作に滑空するように突っ込んで来るガーゴイルをハルアは体を傾け横へと飛翔して回避する。
「何!? 躱しやがった!」
 旋回して驚く敵の頭上を取ったハルアは、くちばしで肩や首の装甲が薄い場所を突っつき、内部を破壊して動力を断って動けなくする。
「機体が動かん? どうなってる? ……俺はいったい……?」
「では救出しますね」
 システムダウンしたキャバリアの中で兵士が正気に戻る。ハルアは念動力でコックピットのハッチをこじ開け、パイロットを外へと飛び出させた。
「うわっ!!」
「もう大丈夫です。わたしのふわふわ羽毛に隠れていてください!」
 ハルアは背中の羽毛に兵士を隠し、オーラで包み込んで身を護る。


「いかん、このままでは作戦に支障が出る!」
「ここにある程度の人数を置いて先を急ぐか?」
 ガーゴイル部隊はプラント急襲の前に起きた思わぬ戦いに、作戦通り動く為に部隊を別けようかと考える。
「ちょっと待ったぁ! ここから先は行かせねえぜ! この国の平和は俺たちが守ってみせる! 行くぜフレイムウィング!」
 しかし考える間は与えないと、獅子戸・玲桜奈(炎の翼・f30087)がスーパーロボット『紅蓮神機フレイムウィング』に搭乗して跳躍すると襲い掛かった。
「チッ、やはりこの邪魔なキャバリア連中を倒しておかねば、後続もまたここで足止めをくらうことになる」
「そうだな、なら全力で仕留めるぞ!」
 ガーゴイル部隊は敵を撃滅するべく、ビームランスを手に急降下を始めた。
「来やがったな! ぶん殴ってやるぜ!」
 上昇するフレイムウィングの炎を纏った拳とランスがぶつかり合う。ランスの光が打ち消され、拳がランスを粉砕し持っていた右手をも破壊した。


「ランスが力負けした? なんという威力だ!」
「接近戦特化機体か! 離れてミサイルを撃ち込んでやれ!」
 数機のガーゴイルが落下する玲桜奈に向けてミサイルを発射する。
「ちょっと待て! 動けないところに卑怯だぞ!」
 落下中で身動きの取れない玲桜奈は機体を捻って拳でミサイルを粉砕する。だが次々とミサイルが放たれて直撃コースを取っていた。
「攻撃するのに集まったね! みんな! 迷宮に閉じ込めて!」
 リンゴがユーベルコードでアリス適合者の幽霊やミノタウロスを周囲に召喚し、一瞬にして迷宮を作り出してミサイル攻撃をしていたガーゴイル達をミサイルごと閉じ込めた。
「助かったぜ! よーし、次だ!!」
 礼を言いながら着地した玲桜奈は、また地面に穴が出来るくらいの勢いで跳躍し、迷宮に閉じ込められるのを免れたガーゴイルを殴りつけた。
「殲禍炎剣の事もあるから空飛んでるって言っても大した速度じゃねえ! 確実に一機ずつ殴り落としてやるぜ!」
 玲桜奈が跳躍を繰り返して疑似空中戦を演じる。
「くっ、相手は陸戦タイプだぞ! 空中で我等が負けるはずがない!」
 兵士は跳躍の軌道を読み、反撃のタイミングを見計らう。
「空中戦ならわたしも負けません!」
 そこへハルアが飛び込み、アヒルのくちばしを背中に突っ込んで翼を潰した。
「なにーー!?」
「鳥が邪魔をするなー!」
 飛ぶアヒルをガーゴイルが追いかける。
「こっちですよー」
 ハルアが飛んで敵を誘導すると、怒りに冷静さを失った兵士はただハルアの背中だけに集中していた。
「隙だらけだぜ!」
 そこへ地上から跳躍した玲桜奈が、がっしりとガーゴイルの脚を掴み、そのまま地上へと引きずりおろした。

「それじゃあ私は閉じ込めた敵の相手をするね! コックピットを避けてキャバリアを食べてね!」
 リンゴがお願いすると、ミノタウロスが迷宮ごとばりぼりとガーゴイルの機体をかじっていく。
「うわー食われる!?」
 半狂乱になるパイロットのいるコックピット以外を食べて、何機ものガーゴイルがバリボリとミノタウロスの胃の中へと呑み込まれていった。
「あっちはスゲーことになってるな、こっちも負けてられねえぜ!!」
 地上に引っ張り落としたガーゴイルを無力化していた玲桜奈は気合を入れ、ビームランスを構えて突進してくるガーゴイルを迎え撃とうとユーベルコードを発動する。フレイムウィングの全身が燃え上がりその熱で周囲の空間が揺らいだ。
「チンケな槍ごとバラバラにしてやるぜ! ……ってそれじゃダメだ。加減しないと中のやつが危ねえ。少なくともコックピットっぽいとこは狙わないようにしないとな」
 調子に乗ってパイロットごと倒してしまうところだったと心を落ち着かせ、玲桜奈は炎を少し弱めてフレイムウィングの拳を固めた。
「死んで我等が同胞に詫びを入れろ!!」
「死なない程度に、痛い目にあってもらうぜ!」
 ランスチャージするガーゴイルに、フレイムウィングはカウンターで拳を叩き込み、右腕を玩具のように粉砕し余波で炎が右翼を吹き飛ばす。すると飛行力を失ったガーゴイルはそのまま地面を削るように滑って廃墟に突っ込んだ。
「な、なんてパワーだ……」
「あれは俺たちと同じキャバリアなのか? 出力が違い過ぎる……!」
 そのあまりの破壊力に怯えた兵士達はガーゴイルの高度を上げて他の小部隊へと合流に向かった。
「ちゃんと手加減したからな、死んでないはずだ……だよな?」
 少し心配になって玲桜奈が廃墟に埋もれた敵を掘り起こし、コックピットをこじ開けると、呻き声が聞こえた。
「よかったよかった、ちゃんと生きてるな!」
 コックピットから兵士を摘まみ出す。
「では一度助けたパイロットさんたちを避難させましょうか」
 先ほど玲桜奈が無力化していた機体のパイロットもハルアがそのふわふわな羽毛に隠し、羽ばたいて戦場から離れる方向へと飛ぶ。
「そうだな。このままじゃ流れ弾に当たる可能性もあるか」
、玲桜奈も戦場のど真ん中から離れた場所に逃がそうとフレイムウィングで移動を始めた。


「うぅ……食べられる……」
「食べないでくれぇ!」
 アヴェンジアリスが運ぶ兵士達は悪夢にうなされるように脂汗を掻いて気を失っていた。
「私は食べないよー。『みんな』も食べないよねー?」
 戦場の外へと避難させたリンゴは、そんな怯える兵士達を介抱していた。
「あっちは大変みてえだな」
「う……俺は、なにを……」
「よう、正気に戻ったかい?」

 玲桜奈が目覚めた兵士に呼びかける。
「あ……あ、そうだな、止めてくれてありがとう。助かった。今となってはどうしてあそこまで戦いに呑み込まれていたのか……」
 軽く頭を振った兵士が、酔いが覚めたようにふらつく体で立ち上がった。
「ここなら安全ですよ」
 そこへ同じようにアヒルのハルアに介抱された兵士達も背中から下ろされて並ぶ。
「この戦いに勝っても第二波の部隊が来るんですよね、彼らに伝える言葉はありますか?」
「そうか、あいつらは今でもまだ戦争の中にいるんですね……」
 ハルアの問いに兵士達は何と言おうか考え込む。
「仲間宛の伝言か。具体的な事はともかく、こういうのはハートが肝心だぜ? 平和を愛する心を思い出させるような熱いのいっちょ頼むぜ!」
 玲桜奈が難しく考えるより、心からの熱い言葉をくれと訴えた。
「それなら、『俺たちは生きなくてはならない!』と」
「そうだな……『死んだ仲間の分まで、俺たちは生きて明日を作らなきゃならないんだ!』」
「お願いします。あいつらも助けてやってください!」
 兵士達は頭を下げ、仲間を頼むと願う。それに対して猟兵達は任せておけと頷いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

霧島・絶奈
【Ahnenerbe】で連携

◆心情
これもまた、勝利の為の布石です

◆行動
敵兵士の生存を優先

『暗キ獣』を使用
生身の儘味方に随行しつつ、【罠使い】の技を活用
「魔法で敵を識別するサーメート」を各所に設置

罠による損傷やバジルさんが戦闘不能にしたキャバリアから兵士達を救出
軍勢による数を活かし、安全地帯まで搬送します
場合によってはコア部分ごと軍勢に運ばせます
救出に際し「後から来る兵士達への言伝」も預かっておきましょう
軍勢が同行する場合はボイスレコーダー等を活用しましょう

直接私を狙って来る敵には【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


アレクサンドル・バジル
【Ahnenerbe】で連携
(オブリビオンマシン『スルト』に乗り、敵軍の飛来を見て)
おーおー楽しそうに飛んでるな。
殲禍炎剣はあの高度なら大丈夫なのかね。あるいは速度か。
まあ、良いか。
じゃあ、いっちょ叩き落としまくるから絶奈はパイロットの救出、宜しく頼むぜ。
(戦闘モードⅠを発動。黄金の魔力でキャバリアを包み空中へ)
空中では主に翼を狙って破壊していきます。飛行能力を奪い、あまり上空だと命が危ないので四肢破壊を行いながら地上にゆっくりと落とし、あとの処理を絶奈に任せて再び空へ、を繰り返します。
(戦闘はゴッドハンドの体術をキャバリアで再現したような動き)
敵POWUCは見切ってカウンターで対応します。



●ドッグファイト
「おーおー楽しそうに飛んでるな」
 漆黒のオブリビオンマシン『スルト』に乗ったアレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)が空を飛んで戦うガーゴイル部隊を視認する。
「殲禍炎剣はあの高度なら大丈夫なのかね。あるいは速度か。まあ、良いか」
 何にしてもやることに変わりはないと、アレクサンドルはユーベルコード『戦闘モードⅠ』を発動した。するとスルトの全身が黄金の魔力に包まれ、ふわりと浮かび上がった。
「じゃあ、いっちょ叩き落としまくるから絶奈はパイロットの救出、宜しく頼むぜ」
「救出の方は任せてください。バジルさんは自由に暴れてもらって構いませんよ」
 アレクサンドルの言葉に、生身のまま宙に浮かぶ霧島・絶奈(暗き獣・f20096)が頷いて空に飛んでいく機体を見送る。
「ではこちらも準備をしましょう。これもまた、勝利の為の布石です」
 敵兵を倒さずに救出することが次の勝利に繋がると、絶奈はサーメートを設置していく。そしてユーベルコード『暗キ獣』によって屍の獣と兵による軍勢を召喚し、地上に配備した。

「くそっ! 第一第二ともに壊滅状態か!」
「どうやら相当な精鋭が待ち構えていたようです!」
「こちらに向かって来る機影……一!」
 仲間の部隊が壊滅し、第三空戦部隊は僅かな残存兵を集めて再編成しているところだった。
「一機だけだと? 舐めやがって!」
「空は我々の領域だ、撃ち落としてやれ!」
 ガーゴイルからミサイルが発射される。しかしその攻撃は加速してするりと抜けられ一気に間合いを詰められた。
「な、速い!?」
「空が自分達だけのものだと思ってるなら甘いぜ」
 すれ違いながらアレクサンドルは拳を叩き込んでガーゴイルの翼を粉砕した。
「翼が! うわぁああああ!」
 片翼では飛行できずに地上へとくるくる回転しながら落下していく。
「この高度じゃ不味いか」
 そこへ降下したスルトが追いつくと、ガーゴイルを捕まえて減速させ手足を破壊し、地上にゆっくりと落とした。
「ドッグファイトは我々空戦隊の華だ! 奴を仕留めるぞ!」
「了解!」
 ガーゴイル部隊もビームランスを構えて急降下し、スルトに向かって突進を始めた。
「そっちから向かって来てくれるなら好都合だ」
 反転したスルトは敵を正面から迎え撃つ。
「串刺しにしてやる!」
 ガーゴイルの放つランスチャージを、アレクサンドルは見切って紙一重で躱す。
「なっ!?」
「どれだけ速くても、直線的な攻撃を見切るのは簡単だ」
 スルトの裏拳がガーゴイルの顔を粉砕し、視界を失った敵は高度を回復し損ねて瓦礫に突っ込んだ。

「くっ、モニターは死んだが、肉眼で見れば援護くらいできる!」
「いいえ、貴方の戦いはここまでです」
 ガーゴイルの胸元のハッチが開いて兵士が姿を現わすと、目の前には宙に浮かぶ絶奈の姿があった。
「いつの間に!」
 兵士がガーゴイルを動かそうとしたところで、周囲で爆発が起きる。するとガーゴイルの手足が破壊されて機体が大きく揺れて動かなくなった。その衝撃で兵士も気を失っていた。
「これで汚染されている機体が停止しました。洗脳も解けるはずです。安全な場所に保護しましょう」
 絶奈は屍兵を使ってコックピットから兵士を運び出した。
「次が落ちて来るようです。備えておきましょう」
 空を見上げると、アレクサンドルが駆るスルトが次の敵を蹴り落としていた。

「くそぉっ上に逃げろ!」
「待て! これ以上高度を上げるのは拙い! この場を離れて後退するんだ!」
 ガーゴイル部隊は空で大暴れするスルトを抑え切れず、何とか距離を取ろうとしていた。
「逃がすかよ、最後まで相手をしてもらうぜ!」
 アレクサンドルが背を向けた敵に急接近し、拳を叩き込んで翼を粉砕した。
「向こうの方が速い! このままでは逃げ切る前に捕まる!」
「こうなったら何が何でも倒すしかない!」
 ガーゴイル部隊は逃げるのを諦め、反転してスルトへと攻撃を仕掛ける。連携してビームランスを四方から連続で突き出すが、アレクサンドルは右に左にと巧みに躱し、反撃にカウンターの拳を叩き込んでいった。
「いいぜ、どんどん来い!」
 リズムに乗ったようにアレクサンドルはスルトの拳を叩き込み、ガーゴイルの四肢や翼を打ち砕いていった。

「上が駄目なら下からだ!」
 ガーゴイルが地上すれすれにまで高度を落として低空飛行し、下からミサイルを発射しようとする。
「残念ですが、下も駄目です」
 絶奈が罠を起爆し、爆炎によってセンサーが焼かれる。
「ブラックアウト!?」
 慌ててガーゴイルは地上に着地する。そこへ屍兵が槍を脚の装甲の隙間から槍を突き入れ、さらに屍獣が機体を駆け上がってあちこちのケーブルを噛み切る。
「なんだ? 機能が停止していく!」
 次々と機体が動かなくなり、焦っているとハッチが切断された。
「もうこのキャバリアは動きません」
 絶奈が剣を振るってハッチを切り取っていた。そして屍獣が入り込み、兵士の襟を咥えて引きずり出した。

「そろそろこの辺りを飛んでる奴は打ち止めかね」
 アレクサンドルはボクサースタイルでスルトの拳を構えて最後の一機と向かい合う。
「舐めやがって! やってやる!」
 残り一機となったガーゴイルはビームランスを構え、真っ直ぐに突っ込んで来る。
「来い!」
 アレクサンドルは胸を貫く一撃をダッキングで躱し、掬い上げるアッパーで顔を吹き飛ばす。そして背後に回るとフックで翼を根本からへし折った。
「ぐわっ、く、このぉ!」
 まだ右手にあるビームランスを振り返りながらガーゴイルが突き出す。しかし振り抜く前に手を掴まれていた。
「終わりだ」
 スルトの手がガーゴイルの手を握り潰し、鋭い拳を四肢に叩き込んで残ったコックピットだけを抱えて地上へと降りた。


「この辺りなら戦火に巻き込まれないでしょう」
 瓦礫の町を出たところまで兵士達を運搬した絶奈は、正気に戻った兵士達と顔を合わせた。
「どうやらオブリビオンマシンの影響は抜けたようですね」
「ああ、まさか戦争をまた起こそうとしてしまうなんて」
「ありがとう。あんたたちのお蔭で悲劇を起こさずに済んだ」
 絶奈に向けて兵士達が頭を下げて感謝の言葉を述べる。
「後詰めのキャバリア部隊が来るようですね。其の兵士達への伝言はありますか。あるならば預かっておきましょう」
「それなら……『俺たちは多くの仲間を殺されたが、俺たちも多くの敵を殺してる。憎いのは俺たちだけじゃないんだ』」
「そうだ。『憎しみの連鎖はどこかで終わらせなけりゃ、俺らの子供たちまで戦場に送ることになっちまう』」
「『戦争を続けたら、まだ生きてる家族だって死んじまうことになる。これ以上誰かが死ぬのは、もうご免だ……』」
 気持ちの籠った言葉を、絶奈はボイスレコーダーで録音した。
「其の気持ち。確かに伝えましょう」
 絶奈は兵士達の気持ちを汲み取り、次なる戦いに備えてアレクサンドルと合流した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草野・千秋
【全世界サイボーグ連盟】で参加

この鉄の世界にも新たなる戦争の火種が起きようとしているのですか
あたらなる世界の大地にも平和の芽を、僕はそう思うのです
怒りも憎しみも何も生み出さないのですから
我々全サ連が一体となって正面突破する!
パイロットさんは絶対生かして返したいですね

修羅雪姫さんのロボと合体します
いきますよ姫さん!
ゴーオン!青い翼、アラエ・カエルレアエ!
ロボ合体時は殴るのを担当(右腕)
UC【Vivere est militare!】を歌いつつ歌唱、鼓舞
この歌よ届け!
勇気と限界突破で立ち向かい、怪力、2回攻撃で応戦
怪力はパフォーマンスとしても使い敵を怖じけさせる
中のパイロットは傷つけないよう留意


河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟】で参加。アドリブ絡み歓迎
「敵機体のみを破壊して、敵兵は助ける。フフ、武士道だわねぇ」

この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。
戦闘開始時は、逃げも隠れもせずに、88㎜レーザーバスターランチャーで敵機を狙撃します。

「みんなの命、私が預かる! 超絶合体、サイバーリリィGO!」(ロボ合体のセンターへ)
ガーゴイルの「ランス・チャージ(POW)」に対しは、 UC「ハイパー合体」を使うことで、巨体とパワーでちぎっては投げし、 圧倒的な戦力差を見せつけ敵の戦意を削ぎます。
(新兵器が初登場時は強いお約束)

最大の目的は、いち早く敵(ではない)の群れを無力化することです。


ドロレス・コスタクルタ
「ここから先は通しません。捻じ曲げられた憤怒で平和を壊させるわけにはいかないです」
敢えて隠れず仁王立ちで待ち構える。飛べない機体なので鉄棒Tyrantを力任せにブン投げて攻撃。外れてもブーストナックルを飛ばし攻撃しつつ回収。鉄棒を握ったまま飛ばしての攻撃もする。「飛べないと思って侮りましたね?」

派手に暴れる一方でUCを展開しミサイルを腐食させて無効化。攻撃は敵機の翼の発振器を狙い、飛行能力を奪い墜落させる。落ちた機体には鬼の咆哮と共に襲い掛かり完全に潰さない程度に滅多打ちにしてパイロットの心を折る。

河原崎・修羅雪姫のUCに呼応して腰から下の脚部とを担当。「合体、承知しました! 参ります!」


クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
「元凶はあのキャバリア達ですか」

【WIZ】市街戦
「起動シーケンス、1番から126番までスキップ。クロムキャバリア: Arges機動」
 自前のクロムキャバリアを駆りRS装備を両腕に戦場に繰り出します。

「CODE:PILE OF RUBBLE。市街戦ですか、致し方無し」
 周囲の瓦礫を遮蔽物を活かし『ガーゴイル』を迎撃します。敵が突撃してくるようなので先制して翼の付け根を狙撃、突撃はガトリングで撃ち落とし無力化する狙いです。// 河原崎・修羅雪姫のUCに呼応して合体時には遠距離武器担当。



●合体ロボット
 過去の戦闘で荒れ果てた町の残骸に、全世界サイボーグ連盟のメンバーがロボットと共に足を踏み入れる。
「この鉄の世界にも新たなる戦争の火種が起きようとしているのですか」
 硝煙の臭いに包まれた廃墟を草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は見渡す。
「新たなる世界の大地にも平和の芽を、僕はそう思うのです。怒りも憎しみも何も生み出さないのですから」
 争いによって姿を変えた瓦礫の山を見てその思いはさらに強くなる。
「「起動シーケンス、1番から126番までスキップ。クロムキャバリア: Arges機動」 クネウス・ウィギンシティはクロムキャバリア『Arges』に搭乗し、そのマシンの機能を使い周辺を索敵する。
「元凶はあのキャバリア達ですか」
 空を飛ぶ敵の位置や性能、そして周辺の地形まで調べ上げ仲間とデータを共有した。
「敵機体のみを破壊して、敵兵は助ける。フフ、武士道だわねぇ」
 洗脳されている兵士は助け、汚染されたキャバリアのみを破壊する作戦に、河原崎・修羅雪姫(プリンセス・スノーブラッド・f00298)は困難だからこそ不敵に笑みを深める。
「パイロットさんは絶対生かして返したいですね」
 千秋も操られている兵士は助けてあげたいと空飛ぶキャバリアを見上げた。
「そうねぇ、ならまずは空飛ぶ敵を落とすわよぉ」
 堂々と女性のシルエットを持つ白いスーパーロボット『サイバーリリィ』を敵の視界に晒した修羅雪姫は、敵が反応する前に『88㎜口径レーザーバスターランチャー・ドラグーン』を構え引き金を引いた。放たれる光線は狙い違わずガーゴイルの片翼を根本から撃ち抜く。
「被弾! 高度維持不能!!」
 そのままガーゴイルは煙を上げて地上へと緩やかに落下していく。それを見た僚機が修羅雪姫から回避行動を取る。
「CODE:PILE OF RUBBLE。市街戦ですか、致し方無し」
 そこへ瓦礫の障害物に身を隠したクネウスがArgesの右腕に持ったRSロングレンジライフル『RSイーグルレイ』を構える。そして弾を発射すると同じようにもう一機の翼の付け根を撃ち抜いて地上へと落とした。

「航行不能二機! 敵キャバリア部隊が地上にいるようです!」
「我ら空戦部隊が地上を這う奴らに負けて堪るか!! 蜂の巣にしてやれ!」
 ガーゴイル部隊が空から攻撃せんとミサイル攻撃を始める。
「ここから先は通しません。捻じ曲げられた憤怒で平和を壊させるわけにはいかないです」
 そのミサイルを前にドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)が搭乗する、真紅のクロムキャバリア『Red Dragoon』が仁王立ちで待ち構えていた。接近するミサイルにクロムキャバリア用戦槌『Tyrant』をブン投げ、空中で爆発させた。さらに戦槌は爆風を抜けて飛び、ガーゴイルの脚を吹き飛ばした。
「馬鹿な!? そんな投擲がここまで届くだと!!」
 慌てて体勢を立て直そうとするが、そこへドロレスの放つブーストナックルが目の前に迫っていた。
「飛べないと思って侮りましたね?」
 キャバリアの腕がガーゴイルの首を掴み、そのまま地上へと叩き落としてドロレスの元へと戻ってドッキングした。
『オオオオオオオォォォッ!!』
 そして鬼の如く咆哮を上げると、殴り掛かって落ちたガーゴイル達の手足を粉砕していく。
「ひぃいいいい!!」
「や、やめてくれっ!」
 悲鳴が上がりパイロットたちの心が折れて洗脳が解ける。

「撃て! 誘導ミサイルを発射したら後退しろ!」
「誘導ミサイルですか、引き付けてから回避すれば誘導も利かないでしょう」
 前に出たスーパーロボット『Alae caeruleae』に乗る千秋が飛んでくるミサイルを引き受け、ギリギリまで接近するのを待つと、横に跳んで軽やかに回避した。ミサイルは追って曲がろうとするが、時すでに遅く廃墟に着弾して爆発した。
「くっ、急襲するぞ! 一当てして敵陣を乱す!」
「了解!」
 距離を開けて部隊の態勢を立て直すと、ガーゴイル数体がビームランスを構えて急降下突撃を開始する。
「弾幕を張ります」
 それを阻止せんと、クネウスはArgesの左手に構えたRSガトリングキャノン『RSエクスパンド』を発砲した。連続して撃ち出される大口径弾がガーゴイルに当たり、被弾して装甲を抉られた敵は勢いを弱め突撃を諦めて散開する。
「遠距離戦に優れたキャバリアがいるのか、厄介な!」
「迎撃されないよう四方から間断なくミサイルで爆撃! 突撃の隙を作る!」
 ガーゴイル部隊はそれなら四方から攻め立てようと別れてタイミングを見計らいミサイルによる波状攻撃を行う。
「ここは私にお任せを! 近接戦以外にも隠し玉はありますわ!」
 ドロレスがナノマシン群を放ち、それが空に展開するとミサイルに付着しあっという間に腐食させ、爆発もさせずにただの鉄屑と化して無力化した。
「ミサイルが爆発しません!」
「なんだと!?」
 信じられないとガーゴイル部隊が旋回していると、修羅雪姫やクネウスから銃撃を受ける。
「ミサイルだけではありません!」
 ナノマシンは範囲を広げ、ガーゴイルにも届き翼だけを狙い、飛行機能を停止させた。
「うわぁぁああ! 落ちる!!」
 翼を失ったパイロットは悲鳴を上げながら落下した。

「こうなれば形振り構ってられん! 特攻だ! 全機によるランスチャージを行う!」
「了解! 目にもの見せてやる!」
 残ったガーゴイル部隊全機が、ビームランスを構えて空の狩猟者の如く猟兵達を獲物として襲い掛かる。
「全機突撃してくるわねぇ、こっちも力を合わて合体よぉ!」
 仲間に声をかけた修羅雪姫がユーベルコード『ハイパー合体』を発動する。するとそれぞれのマシンが変形を始める。まずは修羅雪姫のサイバーリリィの手足が格納され、胴体部分へ代わる。
「合体、承知しました! 参ります!」
 続けてドロレスのRed Dragoonが腰から下の脚へと変形してドッキングする。
「了解です。我々全世界サイボーグ連盟も力を合わせましょう!」
「いきますよ姫さん! ゴーオン! 青い翼、アラエ・カエルレアエ!」
 クネウスのArgesは変形して左腕に、千秋のAlae caeruleaeが変形して右腕になった。
「みんなの命、私が預かる! 超絶合体、サイバーリリィGO!」
 修羅雪姫の掛け声と共に、最後に顔が飛び出し。全世界サイボーグ連盟のマシンが合体し巨大ロボットへと姿を変え、ポーズを決めると全身から光が放たれた。

「が、合体しただと!?」
「見掛け倒しだ! 図体だけ大きくなった張りぼてに過ぎん! やれ!!」
 ガーゴイル部隊は驚きながらも速度を緩めずに突進する。
「張りぼてかどうか、試してみるといいわぁ!」
 それに対して修羅雪姫は一歩も引かずに堂々と合体ロボで迎え撃つ。
「我々全サ連が一体となって正面突破する!」
 千秋の乗る合体ロボの右腕が振り向かれる。
「その程度!」
 ガーゴイルは機敏な機動力を活かして巨大なパンチを躱す。だがその一撃から放たれた衝撃波が周囲を薙ぎ払った。
「ば、馬鹿な!? ぐああああっ!」
 直撃を受けずとも衝撃波によってコントロールを失ったガーゴイルが回転して宙に飛ばされる。
「姿勢制御を!」
「とんでもないパワーだ! あの図体は飾りじゃない! 近づくな! 距離を保って攻撃しろ!」
 近距離は無理と見てガーゴイル部隊は空中からのミサイル攻撃に切り替える。
「遠距離攻撃は任せてください」
 クネウスは合体ロボの左腕に装着されたガトリングとライフルの照準を合わせて敵を撃ち落とす。ばら撒く弾は敵の行動を阻害し、狙い撃つ弾が翼を破壊して飛行能力を奪って無力化する。

「馬鹿な馬鹿な! こんな事があってたまるか! 我等はガルヴァ王国が誇る空戦部隊だぞ!!」
「我等の意地を見せてやる! 援護射撃をしろ! 幾らパワーがあってもこちらの方がスピードは上のはずだ! 回り込んで背後から突貫するぞ!」
 ガーゴイル部隊は決死の覚悟でミサイルを放ち、それに紛れるように巨大ロボに接近する。
「大きいからといって動きが鈍いとでも思いましたか? 甘い判断ですわよ」
 ドロレスが合体ロボの脚の出力を上げ、その巨体が横にステップして突撃を躱した。
「なんだとぉ!?」
「もう一度だ! 最高速度で突っ込む!」
 ガーゴイル部隊は旋回してまた突撃態勢に入り、玉砕覚悟で最大出力で加速する。今度は躱せまいと、兵士達は狂気に顔を歪ませた。
「自爆する気ですか……そうはさせません! この歌よ届け!」
 千秋はユーベルコード『Vivere est militare!』を歌い始める。勇気を奮い立たせる力強い歌が戦場に響き、仲間達の内から湧き出るように勇気が漲り、それを反映するように合体ロボットの出力が上昇してゲージがMAXを越えた。
「機動力上昇してますわ。これなら簡単に躱せます!」
 ドロレスの言葉通り、機動力の上がった合体ロボットは先ほどよりも余裕を持って回避した。
「くそっ、次こそ!」
 ガーゴイルはまた旋回して当たるまで攻撃を繰り返そうとする。
「次はありません。狙い撃ちます」
 そして通り過ぎた敵が旋回するところへ、クネウスが弾丸を撃ち込み翼をもいだ。
「これが合体ロボの力よぉ!」
 初登場の兵器は強いのだと、修羅雪姫が操作する合体ロボは圧倒的パワーで残った敵を掴んでは捨て、手足を潰して無力化すると次々と地面に放り投げた。


「第一波は全て倒せたようです」
 ドローンで周辺を確認したクネウスが、近くにガーゴイルが残っていない事を仲間に報告した。
「怪我人はいるけど、死者はいないみたいねぇ」
 修羅雪姫が故障したガーゴイルから引き摺り出された兵士達の正気の顔を見て、作戦が上手くいったと笑みをみせる。
「では次のキャバリア部隊を駆るパイロットに伝言があるか尋ねましょうか」
 ドロレスが機体から下りて顔を見せると、ひぃっと怯えた声が上がった。
「あ、あの紅い機体のパイロット!」
「……少々やり過ぎたようですわね」
 機体をぼこぼこに殴ったドロレスが近づくと兵士に怯えられ、このままでは会話にならないと後ろに下がった。
「平和の芽を守るために、あなたたちの仲間の暴走を止めたいんです。仲間に伝える言葉はありませんか?」
 真剣な表情で千秋が兵士に尋ねると、兵士達は頷いて言葉を紡ぐ。
「俺たちもあいつらを止めたい! だから伝えてくれ『俺たちは平和のために戦って、それを手にしたんだ!』と」
「そうだ! 『もう俺達は戦わなくっていいんだよ! 戦争は終わったんだ!』」
「あいつらも俺たちみたいに訳が分からなくなって戦ってるんだ。止めてやってくれ!」
 兵士達は猟兵に仲間の事を託し、また戦場に戻っていく背中に願いを籠めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ギムレウス』

POW   :    砲撃モード
自身の【背部大型キャノン砲】を【砲撃モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    メタルファング
自身の身体部位ひとつを【機械で出来たワニ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    接近阻害地雷敷設
自身からレベルm半径内の無機物を【対キャバリア地雷】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●重装キャバリア部隊
「そろそろ先行部隊がプラントを攻撃する頃合いか」
「煙が……前方の廃墟から煙が上がっています!」
 地上を進む重装甲で鈍重なキャバリア部隊が、進路上の煙に気付いた。
「あれは……戦闘準備!! 恐らく先行部隊が敵部隊と戦闘をしたのだろう。戦闘中なら援護する! 既に先行部隊が敵を倒しているならそのまま進むぞ!」
「了解であります!!」
 キャバリア『ギムレウス』は背部から伸びる大型キャノン砲を前方に向け、臨戦態勢に入って廃墟へと近づいた。
「これは!」
 そこで地面に落ちた破片を目にした。それはガーゴイルの手のパーツだった。
「警戒レベルを最高に上げろ! 敵が居るぞ!」
「アルスのやつらか! よくも仲間をやってくれたな! 皆殺しにしてやるぞ!!」
 仲間が殺されたと思い、狂気の伝播した部隊は殺意に塗り固められる。
 小隊に別れて展開し、重々しい機体で瓦礫を粉砕しながら前進を始めた。

 その廃墟には先行していたガーゴイル部隊を全滅させた猟兵達が潜み、第二波のキャバリア部隊が来るのを待ち構えていた。
 まともに戦えば怒りに燃える兵士は高い戦闘力を発揮するだろう。だが猟兵にはそれを鎮める言葉がある。救った兵士達に託された言葉を胸に、猟兵達はまだ洗脳されている兵士達を救おうと行動を始めた。
グロリア・グルッグ
洗脳されているとはいえ彼らの中で『戦争』はまだ終わっていないのでしょうね。
きっと時間が解決してくれると信じ、まずは彼らの未来を取り戻すとしましょうか。

自機の量産型キャバリア改で出撃。
まずはミサイルの一斉発射で弾幕を張り相手の進軍を足止めしましょう。
その間にUCで宿敵の霊を召喚し地雷原を駆け抜けてもらいます。
「こういうの得意でしょう?」
お互いの電脳魔術で地雷の位置を計算し、影のようにするっと敵機に取り付いてもらいます。
コックピット付近まで登ったら至近距離で電脳魔術を展開してもらい、先ほど入手した『戦友の言葉』の映像を伝えます。
うまく戦意を削げたならコックピットを剥がしてパイロットを救出!


シル・ウィンディア
『俺たちは生きなくてはならない!』
『死んだ仲間の分まで、俺たちは生きて明日を作らなきゃならないんだ!』

あなた達に伝えてって言われたよ
だから…
洗脳なんかに負けないでっ!

相手は高火力重装甲型
機動力で撹乱して一撃、かな

低空飛行の【空中戦】で【残像】を生み出して【フェイント】をかけて機動
狙いは、標準を絞らせないことだね

隙を見て、ビームセイバーで砲身を切り裂いていくよ
対地雷は、肩部ビーム砲を【第六感】を信じて
地面に向かって【一斉発射】!

地雷を薙ぎ払ったら、ビームランチャーで
脚部を【貫通攻撃】で撃ち抜くっ!

数が多いなら
コックピットだけは避けて
エレメンタル・シューターっ!

さぁ、乱れ撃つよっ!



●戦友
 廃墟の陰に量産型キャバリア改を隠したグロリアは、ちらりと隙間から敵の様子を窺う。
「洗脳されているとはいえ彼らの中で『戦争』はまだ終わっていないのでしょうね」
 兵士達は長い戦争で受けた心の傷が癒えておらず、頭では分かっていても未だ終戦を受け入れることができていないのだと感じる。
「きっと時間が解決してくれると信じ、まずは彼らの未来を取り戻すとしましょうか」
 時間は多くの傷を癒してくれる。その為にも洗脳から解放しなくてはならないと、敵が射程に入ったところでグロリアは機体を出撃させた。
「まずは進軍を足止めしましょう」
 量産型キャバリア改のミサイルランチャーから大量のミサイルが一斉に発射される。
「2時の方向からミサイル! 多数来ます!」
「迎撃! 撃ち漏らすなよ!」
 対してギムレウス部隊はすぐさま大型キャノン砲を発射し、空中でミサイルを爆発させる。しかし砲撃を抜けたミサイルが爆発を起こし、直撃した前衛の機体は損傷し足を止めた。さらに地面に着弾したミサイルが土煙を上げる。
「煙幕か! 地雷を撒け! 敵を近づかせるな!」
 ギムレウス部隊は猟兵との間にある瓦礫を地雷へと変換して設置し、接近されないように警戒する。


『俺たちは生きなくてはならない!』
『死んだ仲間の分まで、俺たちは生きて明日を作らなきゃならないんだ!』

 そこへ少女が張り上げる声が届く。
「なんだ?」
 どこかその言葉に惹かれるものがあり、兵士達はその声の主を探す。
「あなた達に伝えてって言われたよ。だから……洗脳なんかに負けないでっ!」
 そこには青いキャバリア『ブルー・リーゼ』を駆るシルの姿があった。
「洗脳だと?」
「俺たちが操られてるとでもいうのか!」
「戯言を!!」
 兵士達は反論しながらも、その操るキャバリアの動きが鈍る。心のどこかで現状が何かおかしいと思っているのだ。その気持ちが増幅され殺意が鈍った。
「撃て! やつが何かしているに違いない!」
「そうだ! 我々の戦争を続けるのだ!」
 兵士達は迷いながらも大型キャノン砲を発射してシルを狙う。
「必ずここで止めてみせる!」
 シルはブルー・リーゼを上昇させて砲撃を躱し、地面で起きる大爆発を抜けて敵部隊へと迫った。
「飛行型か!」
「地雷原抜けられました!」
「なら対空砲火だ! 撃って撃って撃ちまくれ!!」
 ギムレウス部隊は空飛ぶブルー・リーゼを狙って砲撃するが、機動力を活かしてシルは敵を翻弄した。


「相手の注意が逸れています、今のうちですね。お仕事の時間ですよ」
 ゴーグルをかけたグロリアがユーベルコード『邪智暴虐の電脳機兵』を発動し、宿敵である銀河帝国のエージェントの霊を召喚した。
「こういうの得意でしょう?」
 エージェントは容易いことだと頷き、お互いの電脳魔術で地雷の位置を割り出し、ふらりと散歩にでも行くように地雷原に向かって歩み出すと、どこに地雷があるのか把握している動きで、するりと影のように駆け抜けた。
「上手く抜けれたようですね、では次はコックピット付近に近づいて電脳魔術を展開してください」
 グロリアの指示に従い、エージェントはするすると上方向へ砲撃を続けるギムレウスに登ってコックピットに近づくが、兵士はそれに全く気付けなかった。
 まるで子供のお使いのように簡単にエージェントは電脳魔術を展開した。
「流石ですね。では映像を流し、戦友の言葉を伝えましょう」
 それにグロリアが電脳魔術でリンクし、先ほど入手した映像を流す。
「なんだこれは!?」
「モニターがハッキングされています!」
 キャバリア内の外部を映していたモニターが乱れ、先行していたガーゴイル部隊の兵士達を映し出していた。
「『戦争は、俺たちの戦いはもう終わったんだ』と、そう伝えてくれ」
 そう返事をする憑き物が取れた表情の兵士の顔が現れた。
「馬鹿な……さっきの戯言は真実だったというのか……」
「あいつら生きてたのか……よかった。だけど戦争は終わった? まだ終わってないはずだ……」
 その映像を見た兵士達の心にノイズが走り、戦闘の手が止まる。


 戦意を失った兵士が作った地雷が元の瓦礫に戻り、その安全なルートを通ってグロリアがキャバリアで近づき、コックピットをこじ開けた。
「戦争の亡霊から助けにきました。キャバリアから出ましょう。外には平和が待っていますよ」
 グロリアが優しくパイロットを救出する。すると眉間にしわを寄せた険しい表情が穏やかなものとなる。
「まだだ! まだ終わっていない! いや、終われないんだよ!」
「そうだ! 俺たちはまだ戦える!」
 兵士が震える手で操縦桿を握り、狙いを兵士を救助するグロリアに合わせる。
「戦争はもう終わってるんだよっ!」
 砲撃が止まった隙に、シルがブルー・リーゼを急下降させて敵陣に突っ込ませ、ビームセイバーをすり抜けながら振るい、まだ戦おうとする敵機体の砲身を切り裂いて戦闘不能に追い込んでいく。
「戦う気のあるものは密集しろ、地雷を盾にして敵の接近を防げ!」
 まだ戦意のあるギムレウス部隊が密集し、周辺の瓦礫を地雷に変えた。
「そこだっ!」
 シルは肩部のBS-Sホーミングビーム砲『リュミエール・イリゼ』から無数の虹色の光線を放つ。一斉に降り注ぐ光は大地を薙ぎ払い地雷を消し飛ばした。
「地雷消滅! 敵機見失いました!」
「探せ! 見つけ次第撃て!!」
 爆煙によって視界が塞がれ、ギムレウス部隊は周囲を索敵する。
「脚を撃ち抜くっ!」
 そこへ煙を吹き飛ばすようにビームが貫き、ギムレウスの脚を破壊した。
「6時の方向だ! 撃て撃て!」
 ビームが飛んで来た方向に向かってギムレウス部隊が反撃する。脚が破壊された機体も倒れながら撃つが、手応えはなく弾は遠くへ飛んでいく。
「頑丈だね。それならコックピットを避けて破壊するよっ! エレメンタル・シューターっ!」
 飛行して攻撃を避けながらシルがユーベルコードを発動し、機体の肩と手の銃器に魔法陣が展開された。
「さぁ、乱れ撃つよっ!」
 ブルー・リーゼが手にしたBSビームランチャー『ブラースク』と肩のビーム砲が同時に無数の魔力弾を放ち、カラフルな火水風土の複合弾がギムレウスの四肢やキャノン砲を撃ち抜いた。

「くっ、まだ、まだだ!」
「まだやれる! 戦争を続けるんだ!」
 動かぬ機体を何とか動かそうと、兵士達は操縦桿を動かしあちこちのスイッチを押す。だがぼろぼろの機体はもはやいう事を利かなかった。
「どうしてそこまでして戦うのですか?」
 グロリアがコックピットのハッチを抉じ開け、顔を合わせて尋ねる。
「終われないんだ、俺たちに帰るところなんてないんだ……」
「俺たちの手は血に塗れてるんだ! 戦場以外のどこに居場所がある!」
 帰る場所がある者はいい。だがそれがない者は戦場に居場所を求めていたのだ。
「居場所がないなら、仲間と共に作ればいいだけです! 戦友とはそういうものでしょう?」
「居場所を……作る……戦友と…………」
 グロリアは戦闘不能になったマシンから意識を失ったパイロットを助け出し、洗脳によって増幅された負の感情から解放した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンゴ・スターアップル
次の人たちも殺意が凄いなー
やっぱり復讐心も混ざってるっぽいね!
うんうん、私の中の『皆』も覚えはあるもんねー
じゃ、そろそろいこっか!

UC使いたいけど攻撃が激しすぎ!
◆空中浮遊のパピヨンウィングで攻撃や地雷を回避しながら
さりげなくさっき録音しておいた助けた人たちの音声を戦場に流すよ!
『生きなくちゃいけない!』『死んだ人の分まで生きないといけない』
さっきの人達は生きてるけど、その前に死んだ人いたんだよね?
死んだ人もきっと残った人が生きてるのが一番だよ!
私が保証するよ!

動きが鈍ったらUCで敵機体を出現させた巨大ギロチンに転移させて機体頭部を切断!
稼働可能か関係なく機体としての命だけを完全に殺すよ!


獅子戸・玲桜奈
来やがったな。どうやら勘違いしてるようだが無理もねえか。行くぜフレイムウィング!こいつらも助けてやるんだ!

あのキャノン砲で狙われたんじゃ説得どころの話じゃねえな。まずはダッシュで接近して懐に入っちまおう。今回も接近戦だ!
殴る蹴るならともかく噛みつき攻撃とは驚いたが、怪力で顎押さえつけて防御するぜ。しかしこいつらフレイムウィングのパワーに負けてねえな。これが仲間を失った怒りの力か……!

だがよ、今なら誤解を解くチャンスだ。さっきの連中は全員無事な事、そしてあいつらの伝言を大声で伝えるぜ。
力が弱まった事を確認したらすかさずぶん投げる!そして体勢を立て直される前にメテオインパクトで決めてやるぜ!


ハルア・ガーラント
【WIZ】
対キャバリア地雷というのなら、このままの姿で近寄らず戦闘します

背の翼で[空中浮遊し空中戦・対空戦闘]を意識し立ち回ります
恐怖で毛羽立つ翼を奮い立たせ飛翔し[銀曜銃による誘導弾]で味方が攻撃した部位を追撃
敵の攻撃は真正面から受ける自信はないので……[第六感と視力]で感知、回避するか近くの瓦礫に咄嗟に身を隠します

状況を見て[セイクリッドデバイス]を最大出力にしUC発動、伝言を心に響かせやすくするお手伝いを
わたしも[優しさと祈り]、強い意志を込め伝えます

「死んだ仲間の分まで、生きて明日を作らなきゃならない」

先行部隊のキャバリアのパーツを見て激昂した彼らだもの
言葉に込められた思いは伝わる筈



●明日へ
「向こうの部隊がやられたようだぞ!」
「クソがッ! 俺たちガルヴァ王国が誇る陸戦部隊を手玉に取るなんて連中は何者だ!?」
「アルスのキャバリアじゃないな、いったいどこの部隊だ?」
「どこだって構わねぇ! 仲間がやられたならやり返すだけだ!」
 ギムレウスの部隊が殺気を放ち、キャバリアを操縦して瓦礫を粉砕し、更地に変えるように進軍してくる。

「来やがったな。どうやら勘違いしてるようだが無理もねえか。行くぜフレイムウィング! こいつらも助けてやるんだ!」
 確かにあれだけ派手に友軍のキャバリアの残骸がばら撒かれていれば勘違いもするかと、玲桜奈は納得しながらもフレイムウィングを発進させる。
「見つけたぞ! 5時の方向にキャバリアを発見!」
「撃て! 蜂の巣にしてやれ!」
 ギムレウス部隊が一斉に大型キャノン砲を発射した。砲弾が飛来し瓦礫の山を吹き飛ばす。
「あのキャノン砲で狙われたんじゃ説得どころの話じゃねえな……」
 その威力に玲桜奈は当たればただでは済まないと、吹き飛ぶ瓦礫を自身に重ねてイメージする。
「遠距離攻撃なら近づけば撃てないはずだ。まずはダッシュで接近して懐に入っちまおう。今回も接近戦だ!」
 自分の得意領域が最も安全だと、玲桜奈は砲撃を恐れずに前進する。
「こっちに来るっ!」
「接近タイプか! 近づかせるな! 弾幕を張れ!」
 ギムレウスは砲撃を集中し、玲桜奈の進路上を爆撃する。
「流石に直撃は拙いか!」
 玲桜奈は仕方なく旋回して回り込み、回避行動を取りながら近づく。

「次の人たちも殺意が凄いなー。やっぱり復讐心も混ざってるっぽいね!」
 そんな様子を見たリンゴは、その復讐に酔う心を離れていても敏感に感じ取った。
「うんうん、私の中の『皆』も覚えはあるもんねー。じゃ、そろそろいこっか!」
 身体の内に存在する狂気を撒き散らすアリス達と会話し、リンゴは背中から蝶翅『BX-Bバーサークパピヨンウィング』を生やして宙に飛び上がった。
「レーダーに新たな反応!」
「あれは……人か? 何にしても味方でないなら敵だ! 撃て!!」
 ギムレウス部隊が見つけたリンゴにも砲撃を行い、放物線を描く砲弾が雨のように降り注いだ。
「ユーベルコード使いたいけど攻撃が激しすぎ!」
 その弾幕にリンゴは余儀なく回避に専念して距離を詰め始める。
「すばしっこい!」
「近づかせるな! 地雷を設置して罠で仕留めろ!」
 周囲の瓦礫を変換し、あちこちに地雷の罠を仕掛ける。砲撃で頭を押さえて地雷を爆発させる作戦に移行する。

「対キャバリア地雷というのなら、このままの姿で近寄らず戦闘します」
 愛嬌のある大きなアヒルから人の姿に戻ったハルアは、翼を羽ばたかせて空中から白い小型銃『銀曜銃』を構える。
「大丈夫……大丈夫……」
 人サイズなら大型の地雷に引っ掛かる可能性は低いと思いながらも、どこにあるのか分からぬ地雷に怯え、恐怖でざわっと毛羽立つ翼を奮い立たせ、銃の射程まで飛翔すると引き金を引いた。放たれる光弾は軌道修正しながら部隊中心の指示を出すリーダーらしきギムレウスの顔に命中し、メインカメラを破壊した。
「被弾! メインカメラがやられた!」
「こちらで状況を報告します!」
 遠距離攻撃を受けて敵の連携が乱れる。
「この隙に近づけるはずです!」
 仲間達の為にハルアが砲撃の隙を作り出した。

「下に地雷があるねー、でも地面に近づかなければいいよね」
 弱まった砲撃の中を飛びながら、リンゴは録音しておいた先ほどの兵士達の音声を流す。

『俺たちは生きなくてはならない!』
『死んだ仲間の分まで、俺たちは生きて明日を作らなきゃならないんだ!』

 聞き覚えのある兵士の声が戦場に響く。
「なんだこの声は?」
「これは空戦のダニーとマークの声だ!」
 兵士達が反応し、攻撃の手が緩む。
「これはさっきの人達のみんなへのメッセージだよ!」
 リンゴが音声を流しながら説明して兵士達の士気を下げる。
「しっかりしろ! こんなものは敵の陽動作戦に過ぎん!」
「はっ了解であります!」
 まだしっかりと洗脳の残る指揮官が叱咤し、砲撃を再開させる。だがそこで近くの地面で爆発が起こった。

「もう遅ぇ! 既にここは俺の間合いだぜ!」
 地雷原に度胸一つで突っ込んだ玲桜奈が最短距離を走り、地雷を爆発させながら強引に突破し、近接距離まで近づいていた。
「いつの間に!」
「目を覚ましやがれ!」
 振り向いたギムレウスの顔をフレイムウィングの拳が捉えて粉砕する。
「近づけば手が出せぬと思ったか!」
 ギムレウスの右腕が生物のような形状に変形する。それはワニ。機械仕掛けのワニの頭部と化し、その鋭い牙で噛みついてきた。
「うおっ!」
 驚きながらも玲桜奈は反射的に身を引いて躱す。ガキンと目の前でワニの大きな口が閉じられた。そのままでいたら腕を噛み千切られていただろう。
「外したか! ならもう一度だ!」
 ワニがもう一度大きく口を開け、顔から噛み砕かんと迫る。
「殴る蹴るならともかく噛みつき攻撃とは驚いた……ならパワー勝負だ!!」
 玲桜奈はそのワニの口を閉じさせないように上と下の牙を掴んで抉じ開けようとする。だがその噛む力は強くフレイムウィングの腕力と拮抗した。
「こいつらフレイムウィングのパワーに負けてねえな。これが仲間を失った怒りの力か……!」
 玲桜奈は量産型でありながら発揮されるパワーに驚き目を見張る。
「だがよ、今なら誤解を解くチャンスだ」
 この至近距離なら言葉が伝えられると、玲桜奈が声を張り上げる。
「さっきの連中は全員無事だ!! パイロットは全員保護してある!」
「なんだと? それは本当か!」
 その言葉に兵士が動揺しワニが動きを止めた。

「口だけなら何とでも言える! 足を止めている今がチャンスだ! 後ろから噛み千切ってやれ!」
 その間に他のギムレウスが回り込んで同じように右手を機械のワニに変えて迫る。
「戦いを止めてください! 皆さんも本当は戦いなんて望んでいないはずです!」
 『セイクリッドデバイス』の出力を最大にして声を増幅させたハルアが訴えかけ、ユーベルコード『ディアネスソング』を発動し天使言語による親愛歌を歌う。祈りを籠めた優しい歌声が戦場に響き、その温もりを感じて殺気だっていた兵士達の闘争心が下火になっていく。それに従い砲撃音も少なくなっていった。
「この歌は……」
「なんて優しい歌なんだ」
 歌に聞き入った兵士達は戦いを止めて、コックピットのハッチを開けてハルアの歌声をはっきりと聞こえるようにした。
「これなら話を聞いてくれそうですね……」
 ハルアは停止したキャバリアを見下ろして託された兵士の言葉を伝える。
「死んだ仲間の分まで、生きて明日を作らなきゃならない。……これが先ほど助けた兵士の方々の言葉です!」
 そこには未来に向かって生きようという強い意思が込められていた。
「生きて明日を……」
「死んじまったあいつらの分まで生きろってことか………」
 伝えられた言葉に感化した兵士達の戦意が完全に失われる。

「生きろだと、どうやって生きろっていうんだ! 俺は戦争しか知らないんだぞ!」
「そうだよ! 平和な生き方なんて、殺し方ばかり上手くなった俺たちにできるかよ!」
 その緩んだ空気の中、ずっと兵士として生きて来た男達の叫びが轟く。そして腕を機械のワニに変えて襲い掛かろうとする。それを玲桜奈のフレイムウィングが受け止めた。
「力が弱まってるぜ、お前のハートにもちゃんと仲間の熱い言葉が届いてるんだろう?」
 先のワニよりも出力が抑えられていて、容易く抑え込むことができた。ワニを背負うようにしてキャバリアを投げ飛ばす。
「まだ目が覚めねぇなら、キツイ一発をお見舞いしてやる!」
 フレイムウィングが跳躍し、その脚が炎に包まれる。
「これで頭をスッキリさせやがれ! メテオインパクトォォォ!」
 飛び蹴りが矢のように起き上がろうとするギムレウスの顔に突き刺さり、そのまま貫いて背負う砲まで打ち砕いた。
「俺は……ああ、目が覚めちまった……こんな一発を喰らっちまったら、もう起きるしかねえ……」
 狂気から解放された兵士は、正気に戻って固く握っていた操縦桿から手を離し、コックピットのハッチを開いた。

「う、うおおおお!!」
 もう一機の敵がやけくそに至近距離から砲撃しようと、前傾姿勢となって大型キャノン砲を向けた。
「よせ! その距離で撃ったらみんなを巻き込むぞ!」
 制止しようとする仲間の声も届かずに、砲にエネルギーが集まり始める。
「俺たちもあいつらみたいに戦場で死んじまったほうがいいんだ!」
 今にも引き金が引かれようとしている。そこへ人影が頭上に現れた。
「さっきの人達は生きてるけど、その前に死んだ人いたんだよね? 死んだ人もきっと残った人が生きてるのが一番だよ!」
 リンゴがユーベルコード『再演・召喚断頭台』で巨大なギロチンを転移させた。それが落下すると、ギムレウスの砲身ごと頭部が切断された。すると機体の命が殺され機能が停止する。
「私が保証するよ!」
 無邪気なリンゴの声は、不思議なことにまるで死者の声のようにも聞こえ、兵士の死にたがろうとする心まで殺したように戦争の亡霊を追い払った。

「殺すしかしてこなかった俺達が……生きてていいのか……」
 機体が動かなくなり、這い出たパイロットが呆然と空を見上げる。そんな兵士にハルアが声をかけた。
「戦争で犠牲になった人は敵も味方も大勢いるでしょう。そして戦争によって傷ついた人はもっと多くいます。その人々はみんな戦争の犠牲者なんです。あなたもその仲間も、それに敵ですらも……だから平和になったのなら、手を取り合って明日に向かって進んでもいいはずです。みんな立場は同じなのですから」
 何とか兵士達を救いたいと願うハルアが心から溢れるように言葉を紡ぐ。すると兵士の目からぽろりと涙が零れ落ちた。
「そうか、みんな苦しんでるんだな……なら俺も苦しくても生きてみよう……」
 機体を降りた兵士達は、狂気の消えた清々しい顔をしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草野・千秋
【全世界サイボーグ連盟】で参加

訳がわからなくなって戦っている のなら、言葉を届けようにも少しおとなしくさせないとですね
情報収集、戦闘知識、第六感、見切りで敵の銃弾をよけようと
属性攻撃で弾に雷の属性を込めて打ち出しつつ
大型キャノン砲を狙ってスナイパー、一斉発射、2回攻撃で攻撃 敵攻撃に備えて【Heroes anger awakening】で対抗
僕の仲間に触れようものなら許さない
紅い機体のパイロットさんはこうも言っておられました 『平和のために戦う』って
平和を求め戦う兵を待っているのは暖かい家 誰しも帰りを待ってる大切な人がおられるのですよ
戦争はいつか終わりの時を迎えるのです


河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟】で参加。アドリブ絡み歓迎


「サイボーグ+キャバリアは、正面攻撃以外もできるのよぉ」
 この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。

 戦闘中、戦いながらも、戦場全体や仲間の状態に常に気を配ります。
「森羅万象、あらゆる機械は私に跪く。行け、電脳ゴースト!」
 ギムレウスの「砲撃モード(POW)」に対し、
機内から、UC「グレムリン・エフェクト」を使うことで、敵機の通信装置を乗っ取ります。

第1章で救出した兵士たちの、
『もう俺達は戦わなくっていいんだよ! 戦争は終わったんだ!』
という心の叫びを通信に流し、休戦することを説得します。
 最大の目的は、いち早く相手の戦意を削ぐことです。
 


クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
「『戦争は終わったと伝えてくれ』だそうです」

【POW】

●戦闘
先程(第一章)で周辺確認に出したドローンで、敵の配置等の情報収集を行います。
殺気立っている相手には荒療治ですが、話を聞いてもらうには先ず落ち着かせねばなりません。
「GEAR:ARMED FORTRESS。脚部パイル打ち込み、肩部アームドフォート展開完了」UCで固定砲台に換装、移動力を半分に攻撃力を5倍に。ドローンで見た瓦礫の先の敵を砲撃します。

「照準位置、敵個体 背部キャノン砲」 遠距離攻撃の手段を奪い、近づいて『ガーゴイル』の残骸を見てくれれば、不自然なコクピットに気づいてくれるでしょう。


ドロレス・コスタクルタ
【全世界サイボーグ連盟】で参加

【地形の利用、情報収集】で瓦礫の山を遮蔽物として利用し敵の射界から逃れ、死角から死角へと渡り歩く。

UCと【怪力、投擲、見切り】で、敵のミサイルに大小様々な瓦礫を正確に投げつけて相殺&攻撃。避けきれない場合の盾代わりにも使用。仲間へのフォローも瓦礫投擲で。「レーダー波も熱も出ませんし、弾はいくらでもあります」

「もう誰かの大切な人を殺すことはない、待っている人のもとに帰れる、と平和を喜ぶ気持ちを忘れたのですか? 貴方たちの怒りは確かに心の中にあったかもしれませんが、戦争という地獄を呼び戻すほど見境のないものでしたか? その狂熱のごとき怒りは不自然なのです!」


サブナ・ダディ
【全世界サイボーグ連盟】で途中参加//炊事車【膳茶簾】で仲間の元へ駆けつける//「すまん、遅くなった」//【POW】//UC【タケミカヅチ】で相手の砲撃に対して【怪力、武器受け】を行い、敵部隊に対しては素手での非殺傷攻撃で鎮圧に努める//「戦争は互いの正義の行き違いが起こすが、人殺しの上に成り立つ正義なんて脆いもんよ」



●終わった戦争
「次々と我が小隊が未登録のキャバリアに撃破されております!」
「圧倒的破壊力でアルスを押し返していた我等陸戦部隊をこの短時間で撃破するだと!?」
 兵士達がざわつき驚きの声を上げる。
「どこの国のキャバリアかは知らんが、これは戦争だ! 戦うからには勝たねばならん! 我等が自慢の砲撃で沈黙させよ!」
「了解!!」
 ギムレウス部隊は全てを粉砕する砲撃モードで猟兵を探し始めた。その様子を全世界サイボーグ連盟の面々は瓦礫に隠れながら見ていた。

「敵はある程度集まって砲撃陣形を組んでるようですね」
 クネウスはドローンを飛ばして敵の配置情報を調べ、仲間達にも通達する。
「殺気立っている相手には荒療治ですが、話を聞いてもらうには先ず落ち着かせねばなりません」
 そして洗脳された兵士を止める為に行動を開始した。
「GEAR:ARMED FORTRESS。脚部パイル打ち込み、肩部アームドフォート展開完了」
 敵を視認できない位置でArgesの脚部からパイルが飛び出して地面に突き刺さり、固定砲台となって装着された肩のアームドフォートの砲身が視界を塞ぐ瓦礫へと向けられる。
「照準位置、敵個体 背部キャノン砲、シュート!」
 マップデータを元に狙いを付けたArgesから高出力の光線が放たれ、瓦礫を容易く貫通し真っ直ぐ飛んだ光はギムレウスの砲身を違わず撃ち抜いた。小爆発が起こり、砲身が割れその衝撃で機体にまでダメージが入る。
「狙撃だ! 3時の方向!」
「遠距離型キャバリアの位置を測定……遠い、こちらの有効射程距離外です!」
「反撃だ! 牽制しつつ前進! 第二射を撃たすなよ!」
 ギムレウスが反撃しようと前進を始め、クネウスを狙って砲撃を始めた。だが距離が遠いため、狙いが定まらずに周囲の瓦礫を砕いた。そして前進してると、ガーゴイルの残骸が目に入る。
「ん? おい、このガーゴイルの機体おかしくないか?」
「あん? ……コックピットがないのか?」
「あいつら捕虜にされてる可能性があるんじゃないか!」
 仲間が生きてるかもしれないと、兵士達に希望が湧く。するとどす黒く固められていた殺意が弱まった。
「近づいて『ガーゴイル』の残骸を見れば、不自然なコクピットに気づいてくれるでしょう」
 クネウスの狙いは、第一波のパイロットが死んでいないことを報せることだった。その思惑通りに砲撃も数が減少する。

「訳がわからなくなって戦っているのなら、言葉を届けようにも少しおとなしくさせないとですね」
 戦争の狂気に呑み込まれた様子に、千秋はまずは機体を叩く必要があると出撃した。
「撃て撃て! スクラップにして瓦礫の山の仲間入りをさせてやれ!」
 まだ殺意に囚われているギムレウス部隊の苛烈な砲撃が続き、幾つもの弾が千秋の元に届く。
「右、左、右、次は避けられませんか」
 砲弾の予測地点を予測して千秋はAlae caeruleaeを操って回避し、掌を向けると雷を放出して直撃コースの弾を空中で爆発させた。
「直接キャバリアを叩かないときりがないですね」
 砲弾を防いでも次々と休むことなく飛んでくると、千秋は回避行動を取り続ける。

「近づくには瓦礫を利用したほうが良さそうですね」
 ドロレスはRed Dragoonを駆って、瓦礫の山を遮蔽物として利用し、敵の視界から外れるように死角から死角へと移動して距離を縮める。
「今何か動くものがいなかったか?」
「はい? いいえ、私は何も……いました! 側面から赤いキャバリアが隠れて近づいています!」
「派手に動き回ってるやつは陽動か? そちらには最低限を残し、こちらを集中砲火で撃破するぞ!」
「了解!」
 ギムレウス部隊はドロレスに気付き、すぐさま部隊を分けて砲撃を行う。
「流石に長く戦争をしていただけあって対応が早いですね」
 Red Dragoonが屈んで近くで着弾した砲撃の爆風を凌いだ。そして手頃な瓦礫を拾い上げると投げつける。それが空中で弾に当たり爆発を起こした。
「レーダー波も熱も出ませんし、弾はいくらでもあります」
 そうして直撃しそうな砲弾を相殺して、また姿を晦ませるように瓦礫を移動して狙いをばらけさせた。

「すまん、遅くなった」
 そこへ『炊事車【膳茶簾】』に乗ってサブナ・ダディ(サイボーグの破戒僧・f21228)が駆けつけた。
「新手か! 何だ? 装甲車? そんなもので何をするつもりだ!!」
 ギムレウス部隊が新たに現れたサブナの車に向かって発砲する。それをサブナはハンドルを切って回避するが、次々と撃ち込まれ、その内の一発が直撃コースを取っていた。
「吹き飛べ!」
 砲弾が車に当たる直前、巨大な腕が現れて砲弾を受け止めた。
「我が招来せしは戦場の神、我の声に応え具現せよ」
 サブナがユーベルコード『力の法力・タケミカヅチ』によって呼び出した4m近くある巨人がぬうっと現れ、刀を一閃して砲弾の雨を払い除けた。
「なんだあれは? キャバリア?」
「いや、あれは巨人!?」
 その姿に兵士達が目を見開いてモニターを凝視した。
「落ち着け! 巨人だろうが敵ならば撃ち滅ぼすのみ! ギムレウスの力を見せてやれ!」
 ギムレウス部隊は連続して砲撃を行いタケミカヅチを狙う。だがその攻撃を見切ったように、タケミカヅチは刀を振るって切り払い続け、サブナの運転する車へは届かせない。

「森羅万象、あらゆる機械は私に跪く。行け、電脳ゴースト!」
 仲間が交戦して相手の気を引いている間に、サイバーリリィに搭乗したまま修羅雪姫がユーベルコード『グレムリン・エフェクト』を使い、自身の電力を代償に電脳ゴーストを放つ。電脳ゴーストはギムレウスに憑りつきハッキングを開始した。
「何だ? 通信装置の故障か?」
 兵士達は突然通信が切れ、混乱したようにキャバリアの動きが乱れる。
「サイボーグ+キャバリアは、正面攻撃以外もできるのよぉ」
 その様子に修羅雪姫は長い舌を出してほくそ笑み、通信装置に割り込んで録音していた音声を流した。
『もう俺達は戦わなくっていいんだよ! 戦争は終わったんだ!』
「なんだこれは?」
「この声……空戦のジョンの声じゃないか?!」
 その声が先行していた仲間の声だと気付き、兵士達に動揺が広がる。
「あなたたちの仲間は生きているわぁ。そしてもう戦いを望んでいない。あなたたちの戦争はもう終わってるのよぉ」
 その心の乱れを突くように修羅雪姫が語り掛け、戦争が終わっていると告げて戦意を削ぐ。


「終わっている……俺達の戦いが……」
「もう、戦わなくていいのか……?」
 士気を下げた兵士達のキャバリアの砲撃が止んでいく。
「そんなこと分かってる! 分かっていても……死んだ仲間が夢に出てくるんだよ! そして言うんだ。俺は何のために死んだんだってな!」
 叫んだ兵士がキャバリアを動かしてキャノン砲をぶっ放した。
「ああ、そうだな……オレも夢に出てくることがあるよ。血に塗れて、悪魔みたいな形相で何かを叫んでるんだ……仇は討ってやらねえとな」
 それに触発されるように、戦意を完全に失っていない兵士達は戦闘を継続する。

「『戦争は終わったと伝えてくれ』。そう託されましたからね。強引にでも彼等の戦争が終わっていることを教えましょう」
 まだ戦争を続けようとする兵士に、クネウスは叩きのめしてでも止めようとアームドフォートを向けて射撃した。放たれる光条がギムレウスの砲身を破壊する。
「まだだ! まだやれる!」
 砲撃だ駄目なら接近戦を仕掛けようとギムレウスが前進するが、今度はその脚を銃弾で撃ち砕かれて前に倒れ込む。
「残念ですが、そこまでです」
 遠距離からArgesが構えたロングレンジライフルで、さらに手まで正確無比な射撃で撃ち抜かれ、動力が生きているのに何もできなくなった。
「動かねぇ! ちくしょう!」
 まったく動かなくなった機体に悪態をつき、兵士は悔しそうに涙を流してコンソールを叩いた。

「敵は全部殺さなくっちゃいけないんだよ! そうしなきゃずっと悪夢に囚われたままなんだ!」
 仲間がやられたのも視界に入らず、兵士は狂気に魅入られたように暗い眼をして、キャバリアを操り砲撃をあちこちに撃ちまくる。それは戦いを止めてキャバリアを降りた味方の近くにも着弾して瓦礫の破片が飛ぶ。
「うぉっ!?」
 驚き地に伏せて身を守る兵士。だが破片は飛んでこず、おずおずと顔を上げる。するとそこには壁のように巨大なRed Dragoonの手があった。
「仲間のために戦ってるのでしょう? 味方を攻撃してどうするのです!」
 そしてRed Dragoonは何メートルもある巨大な瓦礫を軽々と持ち上げ、放り投げてギムレウスにぶつけた。衝撃で砲をへし折り、装甲もぼこぼこに凹ませて、下半身を砕けた瓦礫に埋めた。
「もう誰かの大切な人を殺すことはない、待っている人のもとに帰れる、と平和を喜ぶ気持ちを忘れたのですか?」
 ドロレスが暴走するキャバリアに向けて強く言い放つ。
「貴方たちの怒りは確かに心の中にあったかもしれませんが、戦争という地獄を呼び戻すほど見境のないものでしたか? その狂熱のごとき怒りは不自然なのです!」
 ドロレスの言葉は兵士の心に楔を打ち込んだ。
「お、俺は……俺は確かに仲間の仇を……でも、殺し合いはもう嫌だったはず……」
 強く握っていた操縦桿から兵士の手が離れ、キャバリアが動きを止める。

「俺たちは正義だ! 敵は悪だ! そう言ってたのは国だろう!? 何で正義が悪と和解するんだよ!!」
 兵士は怒鳴りながらギムレウスを動かし、至近距離からドロレスに向けて発砲する。
「始まったものは、いつかは終わるもんだ」
 そこへ車で割り込んだサブナがタケミカヅチで受け止める。砲弾を大きな手で掴み取り、握り込むとパラパラと鉄屑が零れ落ちた。そしてサブナは車を相手に向けて走らせる。
「ば、馬鹿な。砲弾を手で……来るな化物!!」
 狂乱したように兵士は砲弾を撃ち続けるが、その全てがタケミカヅチによって防がれた。
「戦争は互いの正義の行き違いが起こすが、人殺しの上に成り立つ正義なんて脆いもんよ」
 タケミカヅチが素手でキャバリアを殴りつけ、顔ごと砲を粉砕し、手足をへし折って行動不能にした。
「だからこれからは、平和な世の中で互いが手を取り合う正義を探すんだな」
「平和な世界……」
 タケミカヅチがコックピットをこじ開け、車を降りたサブナは中の憔悴した兵士を救出した。

「戦争は終わってない。戦争は終わってない。戦争は終わってない……」
 呪文のように言葉を繰り返す兵士は、正気を失った顔で砲口を向ける。
「どれだけ自分を偽っても無駄よぉ。目を見開けば分かるでしょう? ここは既に国境を越えた場所。だけど見張りの兵一人置かれてないのよぉ」
 その砲身をサイバーリリィが掴んで上に向け、修羅雪姫が言い聞かすように兵士に喋りかける。
「違う違う違う! 戦争は続いてるんだ! 続かないと、俺は今まで何のために殺してきたんだ!」
 叫びと共に砲弾が空へと撃ち出される。
「殺したことを後悔してるなら、生きて償えばいいのよぉ」
「……生きて償う?」
「そうよぉ。誰もが人を傷つけなくて済むように、平和を維持するためにでも働けばいいわぁ」
 修羅雪姫の言葉が胸に響き、兵士は戦意を失ってキャバリアのハッチを開けた。
「そうか……殺したなら、償えばいいんだな」
 心を取り戻した兵士は過去ではなく未来を視るように空を見上げた。

「戦争が終わるわけない……俺が生まれたときから殺し合ってたんだぞ! 今さら終わりと言われて終われるかよ!」
 頭を掻きむしった兵士はギムレウスで特攻する。前傾姿勢となり砲身を突きつけて発砲するつもりだった。
「僕の仲間に触れようものなら許さない」
 千秋はユーベルコード『Heroes anger awakening』を発動し、自らの機体に怒れるヒーローの闘気を纏う。猛々しく力が解放され、手から雷光が迸り離れたギムレウスの砲身だけを精確に撃ち抜いた。
「貴様!」
 もう一機のギムレウスが仲間を援護しようと砲弾を発射する。
「紅い機体のパイロットさんはこうも言っておられました 『平和のために戦う』って」
 攻撃を避けながら千秋は兵士達に語り掛ける。
「平和を求め戦う兵を待っているのは暖かい家 誰しも帰りを待ってる大切な人がおられるのですよ」
 兵士達の脳裏にその優しい映像が思い描かれる。千秋は兵士達に帰るべき場所を思い出させた。
「帰る家……」
「母ちゃん元気かな……」
 兵士達は望郷の念に囚われて操縦桿から手を離し、機体が減速して止まった。
「戦争はいつか終わりの時を迎えるのです」
 それが今だと、千秋は戦争を継続しようとする兵士達を諭した。そうして周囲の兵士達は全員投降し、キャバリアから降りた。

「戦争は終わってたんだ」
「ああ、俺たちの戦争は終わった。生きて家に帰ろう……」
 機体の外に出た兵士達は戦争への呪縛から解放され、穏やかな表情で集まり仲間の無事を喜びあっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・バジル
【Ahnenerbe】で連携
(第一波後、絶奈と合流時にボイスレコーダーの内容を聞いておく)
第二波は重装甲型か。イイね、なかなか格好いい。
これからスクラップにしないといけないと思うと胸が痛いぜ。

戦闘はスルトに搭乗。前回同様、ゴッドハンドの体術をキャバリアで再現したような動きですが、今回はそれに加え『万象斬断』の技をもってスパスパ四肢や武器を切断していきます。
戦闘になれば「よお、攻め込んでおいて負けたら激高って面白い奴等だな。まあ、心配するな。お仲間は生きてるぜ。信じられない?『ボイスレコーダーで聞いた言葉』。これが言伝だ。戦場にも響いてるだろ?まあ、あとで会わせてやるよ」と宥めながら(?)


霧島・絶奈
【Ahnenerbe】で連携

◆心情
引き続き尽力しましょう

◆行動
敵兵士の生存を優先

先のボイスレコーダーの言伝をバジルさんにも伝達

生身の儘『暗キ獣』を使用

言伝を敵兵に伝えます
直接伝える以外にも、軍勢に持たせた拡声スピーカ―にボイスレコーダーを繋ぎ広域拡散
私の声が響かなくとも、戦友の声を聴き間違える事は無いでしょう

【罠使い】の技を活用し「魔法で敵を識別し起爆するアンホ爆薬」を各所に設置

罠やバジルさんが戦闘不能にしたキャバリアから兵士を救出
軍勢の数を活かし安全地帯まで順次搬送

私を狙う敵は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



●平和な世界を願って
 アレクサンドルと絶奈はボイスレコーダーに収められた兵士の言葉を確認し、次の戦いへと向かう。
「第二波は重装甲型か。イイね、なかなか格好いい」
 アレクサンドルは重装甲のキャバリア部隊を見て、その重厚な機体に好感を持つ。
「これからスクラップにしないといけないと思うと胸が痛いぜ」
 どれだけ格好よくとも戦争を始めるつもりなら破壊せねばと、気を引き締める。
「戦争阻止の為、引き続き尽力しましょう」
 絶奈も頷いて、油断なく次なる戦いへと身を投じる。
「まだ距離がありますね。これでは声が届く前に砲撃を受けてしまうでしょう。ですが直接伝える以外にも方法はあります」
 作戦を考えた絶奈はユーベルコード『暗キ獣(ソラト)』によって屍の軍勢を周囲に召喚した。
「軍勢に拡声スピーカーを持たせれば広範囲に音声を届けることが可能です」
 屍兵がスピーカーを持って進軍を始める。
「私の声が響かなくとも、戦友の声を聴き間違える事は無いでしょう」
 その背中を見送り、絶奈は罠を仕掛ける為に動き出した。

「何か音が聞こえるな?」
「あれです。近づいてくる歩兵部隊が何か音を流してるようです」
 ギムレウス部隊がその音を聞いて何事かと、歩兵の軍勢の方へと視線を向けた。
「このキャバリア相手に歩兵で戦うつもりか? 用兵を知らん敵のようだな。木っ端微塵にしてやれ!」
 ギムレウスの砲が向けられ大きな弾が発射される。砲弾が軍勢の真ん中に着弾すると、歩兵が何十人も一気に吹き飛んだ。
「どうだ! これがキャバリアの力だ!」
「命中、敵被害……お、起き上がりました!」
「ん? 何を言っている! 詳細に話せ!」
「歩兵が……身体がばらばらなのにっ、這って動いてます!」
「なんだと!?」
 カメラを望遠にして確認すると、そこには手足がもげようとも這って進み、死を恐れぬ屍兵の姿が映った。
「ば、化物だ!」
「ええいっ狼狽えるな! 再生せぬのなら完全に破壊してしまえばいい!」
 その身体を粉々に粉砕しようとギムレウス部隊の歩兵の進路上にある瓦礫を地雷に変換した。

「よお、軍勢に気を取られ過ぎて、索敵がお粗末になってるぜ」
 注意が逸れている隙に接近したアレクサンドルが、すれ違いながらスルトの手刀を一閃する。するとスパッとギムレウスの巨大なキャノン砲が両断された。
「あれは囮か! 仲間の仇だ! 必ず仕留めるぞ!」
 士気を高めたギムレウス達がスルトも向けてキャノン砲を向けた。
「攻め込んでおいて負けたら激高って面白い奴等だな。まあ、心配するな。お仲間は生きてるぜ」
「生きてるだと? 嘘を吐け!」
 動揺しながらもギムレウスが砲弾を発射しようとする。
「信じられない? 『戦争を続けたら、まだ生きてる家族だって死んじまうことになる。これ以上誰かが死ぬのは、もうご免だ……』。これが言伝だ」
「な、なんだと。自らの意志で戦うのを止めたというのか……そんな嘘を吐くな!」
 嘘であって欲しいと願うように叫び、兵士はトリガーを引いた。至近距離から砲弾が放たれるが、アレクサンドルは僅かにスルトの上体を反らしただけで躱した。
「信じられないというよりも、信じたくないといった感じだな。だが真実だぜ」
 スルトが脚を跳ね上げて蹴ると、ギムレウスの砲身が斬り飛ばされた。ユーベルコード『万象斬断』により、魔力を纏ったスルトの手足は刃物のように鋭さを得ていた。さらに両手を振るい、四肢を根本から断ち切って無力化する。
「嘘だ嘘だ! そんな言葉は信じない!」
 狂乱したように、兵士達はキャノン砲を発射しようとする。だがそこで周囲に爆発が連続して起こる。
「何だ!?」
「ひぃっ! 化物が地雷を越えてきてるぞっ!」
 見れば屍の軍勢が地雷原に突っ込み、次々と吹き飛んでいるところだった。何人バラバラに砕けようとも、足と止めずに屍は近づいて音声を流す。

『俺たちは多くの仲間を殺されたが、俺たちも多くの敵を殺してる。憎いのは俺たちだけじゃないんだ』
『憎しみの連鎖はどこかで終わらせなけりゃ、俺らの子供たちまで戦場に送ることになっちまう』

「この声は………」
「ロジャーとケビンだ! 間違いない!」
 その声に聞き覚えのある兵士が声を上げて反応した。
「本当に生きてるのか……それにこの言葉」
 戦いを制止するような仲間の言葉に、とうとう兵士達の戦意に影響を与えて砲撃音が収まり始める。
「子供を殺されたらどうなる! もう俺の未来はもう奪われてるんだぞ!」
「その通りだ! 奪われたものは帰ってこない。」
 その言葉に反感を買う者も現れる。戦禍によって子供を失った親たちだった。
「俺たちは死んじまった家族の無念を晴らす!!」
 少数の兵士達は戦意を保ち、ギムレウスを操って戦闘を続ける。接近戦は不利とみて距離を取るように移動を始めた。しかし機体が瓦礫を踏み潰したところで、爆発が起こり足が損傷する。
「地雷!? 我々はここには設置していないぞ!」
「長く戦争を続けた分だけ、深い憎しみが根付いているようですね」
 驚愕して動きを止めたキャバリアを、罠を仕掛けた絶奈が観察する。
「しかし憎しみ続ければさらに根は深く広がります。ここで禍根を断たねばなりません」
 絶奈が爆煙に紛れて近づき、手にした剣と槍を振るってギムレウスの脚を切断した。
「何!」
 ギムレウスが傾き地面に倒れる。絶奈は留まらずに次々とキャバリアの太い脚を斬り落としていった。
「脚部損傷! 移動できません!」
「くっ……ならここから撃つ!」
 這いつくばるような姿勢で、背中のキャノン砲を向ける。
「子供を亡くしたのか……だけどよ、このまま戦争を続けたら、子供の犠牲はどんどん増えていくんだぜ? お前等の手で子供を殺すのかよ?」
 その前に堂々とスルトを立ち塞がらせたアレクサンドルが語り掛ける。
「どうなんだ? それでいいのかよ?」
「それは……」
「この手で子供を……」
 その事実に今気づいたように、呆然として兵士達の動きが止まる。
「洗脳されてもまだ良心は残ってるみたいだな。なら止めてやるぜ」
 スルトが素早く敵群の中を駆け抜け、広げた両腕を振り抜く。するとスライスされるように、キャバリア達がコックピット部分を残して輪切りにされて崩れ落ちた。


「もう、俺たちのように苦しむ人間を増やしちゃいけない」
「そうだな、これからは平和に、親子で暮らせる国にしなくちゃな」
「ありがとう。あんたらのお蔭で目が覚めた。だけどまだこの決起を計画したウェストン大佐が残ってる。大佐も俺たちと同じようにおかしくなっちまってるんだと思う。できるなら助けてやってくれ」
 機体を降りて自分を取り戻した兵士達は、澄んだ目をして語り合い、猟兵達に最後に残った首謀者である将校の事を頼むと、邪魔にならないように戦場から避難していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『電脳巨兵オリバレス』

POW   :    ユミルの落とし子
自身の身体部位ひとつを【プラントで生まれ損なった巨人】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    シンクロゲイザー
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【電脳】から【洗脳電波】を放つ。
WIZ   :    UCフィールド
【電磁バリア】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、電磁バリアから何度でも発動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギ・ヌドゥーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●オブリビオンマシン
「空戦部隊も陸戦部隊も壊滅したか……友よ、安らかに眠れ……」
 この決起のリーダーである口髭を蓄えた壮年のウェストン大佐が先んじた部隊と連絡が取れなくなり、迎撃を受けて壊滅したと判断して黙祷した。
「だが私一人でも成し遂げよう、この戦争を。お前とならなんだってできるはずだ」
 その目には狂気が宿り、それに呼応するように搭乗する女性型のジャイアントキャバリアも甲高い唸り声を上げた。
「妻も子も親も死んだ。仲間も死んだ。残ったのはこの身一つ。ならば命を燃やし、報復を続けよう。我等は生まれた時から戦争の為にと教育された。敵を人と思うな。敵を一人生かせば仲間が一人死ぬと。そう教育され、私もまた新兵を教育した。してしまったのだ!」
 狂ったように将校は笑い声をコックピットに響かせる。
「我等には戦争しかないのだ。戦争! 戦争! 戦争! 我等の居場所は戦場のみ! 兵士は戦い続ける! 勝利を手にするまで!!」
 キャバリアと同化したように思考が負の感情に染め上げられ、我が身を燃やし尽くすような闘争本能が湧き上がる。戦争を、果てない闘争を求めるマシンの一部と化した将校は、ただ真っ直ぐ戦場となる廃墟へと飛翔した。

 争いを求めるオブリビオンマシンの進軍を許せば、プラントを守るキャバリアすら汚染されてしまう。そうなれば同士討ちの地獄絵図が繰り広げられるだろう。たった一機のオブリビオンマシンにより、国を滅ぼす戦火が燃え上がるのだ。
 そんな悪夢のような未来を阻止せんと、猟兵達は戦争を撒き散らす狂気のマシンへと戦いを挑む。
シル・ウィンディア
隊長樹、来るね
でも、戦争戦争って…
戦争は終わったのって言ってたよ
だから、新たな争いの火種の元になんかにさせはしないっ!

あっちも飛行型ならこっちも
【空中戦】だね
【フェイント】でのジグザグ・急加減速で【残像】を生み出して撹乱しつつ

接近時はビームセイバーで切りつけつつ離脱
【属性攻撃】で雷を付与して【スナイパー】で機械部分を狙って【切断】!

回避行動は【第六感】を信じて動きを【見切り】上記機動で回避

操縦中【多重詠唱】でUCを詠唱しながら行動

行使するUCは
ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラストっ!
バリアで受け止めるってことなら…
それごと【貫通攻撃】で撃ち抜くっ!

発動時は、ランチャーを両手で構えて発射っ!


獅子戸・玲桜奈
国や家族を守る為に戦うことはあっても、戦いそのものを望んじまったらお仕舞いだ。
それが分からなくなっちまったんなら、一発お見舞いして正気に戻してやるぜ!行くぜフレイムウィング!

洗脳電波だかなんだか知らねえが、うざってえ攻撃してきやがる。これで他の兵士たちを洗脳したのか?頭ん中で響くぜ!
舐めやがって……自分の顔ぶん殴ってでも正気を維持してやる!気合いだ気合い!

結構な速度で飛び回ってやがるな。あれに追いつくのは骨が折れるぜ。
だったら撃ち落とすまでだ!エネルギー充填!クリムゾンサンダーだ!雷に打たれて堕ちやがれ!



●洗脳
「隊長機、来るね」
 シルが堂々と廃墟へと飛んでくるキャバリアを視界に収めた。
「でも、戦争戦争って……戦争は終わったのって言ってたよ。だから、新たな争いの火種の元になんかにさせはしないっ!」
 ブルー・リーゼを上昇させ、空飛ぶ敵の空路に立ち塞がった。
「未登録キャバリア……これに我が部隊はやられたのか。一機だけということはあるまい。どこかに潜んでいるのか――だが構わん。この『電脳巨兵オリバレス』ならば数の利を覆せる!」
 ウェストン大佐は現れた不明キャバリアに戦闘を仕掛けるべく加速して接近した。
「あっちも飛行型ならこっちも空中戦だね!」
 シルもまた加速しながら交差し、すれ違いながらビームセイバーを振り抜いて斬りつける。だがオリバレスは降下して躱し、上昇しながら反転し背後を取る。
「ドッグファイトは背後を取った方が勝つ」
 ウェストン大佐が隙だらけの背中に洗脳電波を放つ。だが波はブルー・リーゼの機体をすり抜けて拡散した。
「命中していない!? 残像だと!」
 機体の姿がぼやけて消えると、残像ということに気付いてウェストン大佐は敵影を探す。
「上だよっ!」
 すると上昇して躱していたシルがブルー・リーゼを急降下させ、雷纏うビームセイバーを振り下ろした。
「緊急回避!」
 機体を傾けて回避行動を取るが、ブルー・リーゼの刃が届き6枚あるウイングの一つ、左肩の翼を深く切り裂いた。
「バーニア噴射! 姿勢制御! よくもやってくれたな!」
 オリバレスは加速してブルー・リーゼの速度を上回り、洗脳電波を浴びせてコントロールを奪おうとする。
「追いつかれるっ!」
「貴様のキャバリアがあれば我等の戦力が上がる。戦団に加えてやろう!」
 シルはジグザグに動いて逃げるが、それを予測するようにオリバレスが距離を詰めていた。

「国や家族を守る為に戦うことはあっても、戦いそのものを望んじまったらお仕舞いだ」
 空中戦を演じるキャバリアを玲桜奈が見上げる。
「それが分からなくなっちまったんなら、一発お見舞いして正気に戻してやるぜ! 行くぜフレイムウィング!」
 返事をするようにエンジンを唸らせるフレイムウィングを跳躍させ、ドッグファイトに割り込むように接近すると、不意をついて敵のボディを殴りつけた。だが咄嗟に敵機体が上昇し手応えが浅い。
「陸戦タイプか! この跳躍力とパワー、我が国には無い性能だ。ならば貴様も我が戦団の駒となれ!」
 オリバレスは腹部の装甲をへこませながらも、落下するフレイムウィングに洗脳電波を放った。それを浴びると、脳に直接声が響く。

 ――戦え、武器を持て、目の前の敵を打ち砕け、血飛沫を浴びろ、断末魔に酔え。敵を殺さなければ自分が殺される。敵を殺さなければ仲間が殺される。敵は殺せ。殺せ。殺せ。殺せ……。

「洗脳電波だかなんだか知らねえが、うざってえ攻撃してきやがる。これで他の兵士たちを洗脳したのか? 頭ん中で響くぜ!」
 頭痛に耐えるように顔をしかめた玲桜奈は、落下しながら頭上の敵を睨みつける。少しでも気を緩めれば、その声に取り込まれてしまいそうだった。
「舐めやがって……自分の顔ぶん殴ってでも正気を維持してやる! 気合いだ気合い!」
 そして宣言通り拳で自らの頬を殴り、頬を赤くして気合を入れ洗脳電波に耐える。
「お前の顔もぶん殴ってその煩い電波を止めてやる!!」
 着地と同時にもう一度殴りつけてやろうとフレイムウィングが跳躍した。
「何だと! この洗脳電波に耐えているというのか!!」
 驚きながらもウェストン大佐は旋回して回避行動を取り、拳の射程から逃れる。

「機体性能か、パイロット特性か、どちらにしても手駒に欲しい。耐えきれなくなるまで浴びせ続けてやろう!」
 オリバレスがまた電波を浴びせようとする。しかしそこに青い流星が飛び込んだ。
「もう電波は出させないよ!」
 体勢を立て直したシルが突撃し、避ける間もなくビームセイバーを胴に叩き込む。
「UCフィールド展開!」
 オリバレスの周囲に光の膜が現れる。それがあらゆるエネルギーを拒絶し、張られた電磁バリアがビームセイバーを弾いた。
「無駄だ。このオリバレスの防御性能をその程度の火力では突破できん」
 バリアに護られながらウェストン大佐は攻撃に移ろうとする。
「ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラストっ!」
 シルは相手が何かする前にビームランチャーを両手で構えてユーベルコードを発動する。
「バリアで受け止めるってことなら……それごと貫通攻撃で撃ち抜くっ!」
 火・水・風・土・光・闇の6つの複合属性を持つ膨大なエネルギーが放出された。キャバリアを覆うような巨大な魔力の光が空を照らす。
「この巨大なエネルギーは!?」
 オリバレスはバリアを最大出力にして攻撃に耐える。しかしバリアが耐えきれずに小さな綻びを生んでいき、機体のあちこちに穴を穿っていった。
「UCフィールドを貫くだと!!」
 ウェストン大佐はすぐさま機体のブースターを吹かせ、バリアが完全に破れる前に射線から逃れた。
「危なかった……とんでもないビーム兵器だ。だがコピーを完了したぞ。その威力を自ら味わえ!」
 電磁バリアから同じ6色の巨大光線が放たれシルを襲う。
「倒しきれなかったよっ!」
 ブルー・リーゼを最大速度で飛ばし、光線の射線を逃れる。それを追うように光線を放ちながらオリバレスも空を駆けた。

「結構な速度で飛び回ってやがるな。あれに追いつくのは骨が折れるぜ」
 二つの軌跡が空に描かれるのを見上げ、玲桜奈は跳躍による攻撃を諦める。
「だったら撃ち落とすまでだ! エネルギー充填!」
 フレイムウィングのユーベルコードを発動して右拳にエネルギーを集める。すると紅の放電が起こりバチバチと音を立てた。
「クリムゾンサンダーだ! 雷に打たれて堕ちやがれ!!」
 その右拳を空に向かって突き上げる。すると紅の雷光が上空へと迸り、空飛ぶオリバレスを貫いた。
「なっ!」
 一瞬機体がブラックアウトし、ウェストン大佐はすぐさま再起動する。だがその僅かな間に機体は失速し墜落しようとしていた。
「くっ、飛べオリバレス!」
 操縦桿を引っ張りオリバレスは何とか墜落前に体勢を立て直した。そして地上の瓦礫を風圧で薙ぎ払って低空を飛ぶ。
「堕とせはしなかったが、その高さなら簡単に手が届くぜ!」
 フレイムウィングが地を駆けて失速している敵を追い抜くと、前方に出て反転し、瓦礫を削りながらブレーキをかけて相対する。
「目覚ましに効く一発をぶち込んでやるぜ!!」
 跳躍したフレイムウィングが右アッパーを放ち、それがオリバレスの顔面を捉えた。左の顔が歪み口から鮮血が舞う。
「どうだ!」
 確かな手応えに玲桜奈が笑みを浮かべると、ぐらりと体勢を崩したオリバレスが瓦礫の山に突っ込んだ。
 着地し敵がどうなったかと視線を向けると、瓦礫が吹き飛び6色の巨大光線が放たれる。
「やべっ!」
 咄嗟に玲桜奈が飛び退くが、そのエネルギーの余波に巻き込まれて吹き飛ばされた。
「まさか私が墜落させられるとはな。だが戦いは終わってはいない!」
 そして上空から近づこうとしていたシルにも光線が放たれた。
「これじゃあユーベルコードの効果が切れるまでは近づけないねっ」
「仕方ねえか、一旦離れようぜ」
 シルと玲桜奈は追撃を諦め、敵のコピー能力が切れるまで回避に専念することにした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

霧島・絶奈
【Ahnenerbe】で連携

◆心情
其れ程までに闘争を求めるのならば…
存分に踊りましょう

◆行動
とは言え、大佐の生存は最低条件です

大佐殿
彼らは何の為に戦い、死んだのですか?
貴官が其れに責任を感じるのであれば、徒に戦乱を続ける愚行を理解出来る筈
生き延びた者達に新たな道を示す事も、道を誤った指揮官の責任の取り方です

生身の儘戦闘
【空中浮遊】を活用し、バジルさんのスルトを盾や目晦ましとして利用
私自身はバジルさんの遊撃ビットの様な形で立ち回り、バジルさんを援護

『獣ノ爪牙』で呼び出した軍勢と共に【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


アレクサンドル・バジル
【Ahnenerbe】で参加
さーて、今回の騒動はあいつで最後か。
戦争、戦争、戦争か。勝利を目的と言ってるが空々しいんだよなぁ。
戦争すること自体が目的としか思えんぜ。今のあんたはな。
まあ、オブリビオンマシンのせいだししゃーないか。
幸い死者はこの戦いででてねぇ。
そいつから解放してやるからゆっくり今後を考えな。

黄金の魔力に包まれたスルトに搭乗、飛翔して戦闘へ。(戦闘モードⅠ)
ゴッドハンドの体術をスルトで再現して戦います。
(スルト・コックピット)
生身で空を飛ぶ絶奈と連携。彼女の盾となったり足場となったりしつつ、こちらも彼女の攻撃で出来た隙などを突きます。
コックピット以外の部分を破壊していきます。 



●戦争の呪縛
「戦争を。激しく一心不乱の戦争を。勝利を得るまで戦い続けてみせよう!」
 ウェストン大佐はオリバレスを駆って空に飛び上がり、まだまだ戦えると気勢を上げる。
「其れ程までに闘争を求めるのならば……存分に踊りましょう」
 満足するまで付き合おうと、絶奈は屍者の軍勢を率いて敵を迎え撃つ。
「とは言え、大佐の生存は最低条件です。仕留めてしまわないように気をつけねばなりません」
 軍勢が勢い余らないように気を配らねばと、絶奈は援護を主体とした戦術を練る。

「さーて、今回の騒動はあいつで最後か。戦争、戦争、戦争か。勝利を目的と言ってるが空々しいんだよなぁ」
 その言葉はどこか空虚で、中身を伴っていないようにアレクサンドルには感じられた。
「戦争すること自体が目的としか思えんぜ。今のあんたはな。まあ、オブリビオンマシンのせいだししゃーないか」
 マシンに操られ、その思考は戦争に染め上げられている。この状況では戦いを止めるのは難しいだろう。
「幸い死者はこの戦いででてねぇ。そいつから解放してやるからゆっくり今後を考えな」
 他の兵士同様マシンを破壊すれば元に戻るはずだと、アレクサンドルは黄金の魔力に包まれたスルトを空へと飛翔させた。

「先とは違うキャバリアか、だが構わん。敵であれば全て撃破し、戦争を遂行するのみ!」
 迎え撃とうとウェストン大佐はオリバレスをアレクサンドルの方へと向ける。両者が交差すると、オリバレスがよろけて軌道が逸れる。
「殴られたのか? 速すぎてほとんど視認できなかったぞ」
 すれ違う瞬間にスルトの拳がオリバレスの顔を捉えていた。
「だがこちらも手応えはあった」
 オリバレスが体勢を立て直して旋回すると、その右の翼がひとつ巨人の頭部へと変形していた。
「やるじゃねーか。華奢な見た目と違って近接戦もできるみてーだな」
 アレクサンドルはすれ違いざまに敵の翼が巨人の頭部に変形して、スルトの左わき腹にかじりついたところをしっかりと見ていた。
「相討ちならばこちらに分がある! このオリバレスには自己修復能力があるのだ!」
 オリバレスの殴られた頬が補修されていく。かじったパーツを分解して自らのエネルギーへと変換しているのだ。そしてまた飛翔してアレクサンドルへと接近戦を仕掛ける。

「修復能力とは厄介ですね。ですが其れならば修復力を上回るダメージを与えればいいだけのことです」
 絶奈が地上から軍勢に砲撃を行わせる。砲弾が空に次々と飛び空中で爆発を起こし敵の動きを阻害した。
「地上からの攻撃か、邪魔をされてはこちらが不利になるか、ならば先に叩いておくとしよう」
 ウェストン大佐は狙いを変えて急降下し、オリバレスの翼に生えた巨人の口が砲兵を砲台もろとも喰い散らかしていった。
「やはり空を駆ける敵には少々相性が悪いようですね。では軍勢はデコイとして活用しましょう」
 絶奈が軍勢に紛れて敵の接近を待ち、食い散らかす為に地上に近づいた瞬間を狙い、飛び掛かって剣を振るう。その斬撃は巨人の顔を斬りつけ鮮血を撒き散らした。
「馬鹿な! 人がキャバリアに傷をつけたというのか!?」
 その生身の人間の攻撃に驚いたウェストン大佐の意識が絶奈に向けられる。

「これは戦争なんだろ? よそ見してる暇はないぜ」
 そこへアレクサンドルが後方から追いつき、背中に拳を連続で叩き込んだ。
「ぐっ、ぬかった!」
 すぐにウェストン大佐は意識を切り替え、振り向きながらスルトに向けて巨人の顔を噛み付かせる。
「そういう得物があると分かってりゃー食らわないぜ」
 その顔に向けてスルトが左のジャブを放ち、怯ませたところへ右ストレートを叩き込んで翼ごと粉砕して吹き飛ばした。
「強い! まともにやりあっては勝てんか!」
 ならばとウェストン大佐は洗脳しようと攻め方を変えた。
「その機体もろとも、我が軍に引き入れてくれる!」
 振り向いたオリバレスの額が輝き、強力な電波が放たれる。
「洗脳ですか、確かに強力な兵器ではありますが、そう易々と洗脳できるとは思わないことです」
 そこへ絶奈は砲撃を指示し、さらに自らも浮遊して背後から忍び寄って槍を背中に突き立てた。
「キャバリアにも乗っていない人間が!」
 邪魔だとオリバレスの背から巨人の口が生えて絶奈を喰らおうとする。しかしその大きな口に黒い拳が突っ込まれた。
「そんなに喰いたいなら、こいつを喰らわせてやる」
 アレクサンドルがスルトの拳を押し込み、巨人の顔を引き裂いた。

「離脱だ! 損傷は――最低限を修復。まだだ、冥府の同胞達よ、私がそちらに行くのは戦争に勝ってからだ!」
 飛び退きながらウェストン大佐は機体の状況を確認し、戦闘続行可能だと機首を猟兵へと向けた。
「大佐殿。彼らは何の為に戦い、死んだのですか?」
 そんな戦争への強迫観念に呑み込まれた敵へ絶奈が問いかける。
「貴官が其れに責任を感じるのであれば、徒に戦乱を続ける愚行を理解出来る筈。生き延びた者達に新たな道を示す事も、道を誤った指揮官の責任の取り方です」
 出鼻を挫くように絶奈は斬撃を衝撃波として飛ばし、オリバレスを押し留める。
「同胞は祖国の勝利の為に死んだのだ! 私は真に戦乱を終わらせる為に戦っている! まだ戦争は終わってはいない! 皆の心にまだ戦火が燃え上がっているのだ!! これを消すには決着をつけるしかない!」
 言い返すウェストン大佐がオリバレスを絶奈に向けて飛ぶ。
「戦争に、そして死者に囚われてるみてぇだな。それじゃあ死んだ仲間も報われねぇよ。こいつで解放してやるぜ」
 その前に割り込んだスルトが拳を固め、アレクサンドルの気迫と共に真っ直ぐパンチが放たれる。翼の巨大な口がその拳を噛み砕こうとするが、硬い歯を折り、口の中から突き破って頭部を粉砕した。翼が根元から折れて飛び散り、オリバレスが吹き飛んでいった。
「まだだ! まだそちらへは行けんのだ!」
 墜落しそうな機体を制御し、ウェストン大佐はふらふらと飛ぶ機体を上昇させてその場を離脱する。
「まさに呪いとでもいうべき戦争の呪縛ですね、負の感情の渦に呑み込まれているようです」
 そこから掬い上げるのは簡単ではないと、絶奈は群れからはぐれた鳥のように飛ぶ機体を見上げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟】で参加。アドリブ絡み歓迎
「オブリビオンマシン、争いを生むマッスィーンよ。お前は見逃すわけにはいかないわぁ!」
 この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。

戦闘中、敵の死角や射程外からの攻撃を狙います。
「みんなの命、私が預かる!」
 電脳巨兵オリバレスの「ユミルの落とし子(POW)」に対し、UC「ハイパー合体」を使うことで、こちらをパワーアップします。
敵機の急所に、クネウスさんのロボが変形した右腕パンチを叩き込みます。
 最大の目的は、戦闘を有利に進め、勝利に導くことです。
そしてウェストン大佐を助けること。
「争いを憎んで人を憎まず、ってねぇ」
 


草野・千秋
【全世界サイボーグ連盟】

オブリビオンマシンの進軍を阻止します
戦争は何も生み出しません、産むのは悲しみだけです
この戦いだって終わらせるつもりでやってきました
そして助けられる人は助けるんです
待ってて下さいウェストン大佐

GO!Alae caeruleae(アラエ・カエルレアエ)!
青き翼よ、今みんなと一体になる時!
姫さんを中心として皆のキャバリアとスーパーロボット合体し敵に勇気で立ち向かう
左腕となり狙って撃ち抜くスナイパーによる銃撃を補佐
僕らの力は「団結力」そうでしょう?
UC【冷たい雨に撃て、約束の銃弾を】で武装を解放しつつ一斉発射、2回攻撃
接近戦になれば怪力でパンチ


クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
「国家の犠牲か、あるいは罪か」

【POW】

●戦闘
「戦い続けたければ傭兵にでも成れば良い」
同じ軍属なので叱咤の意味も込め厳しく行きます。
敵は戦場である廃墟地帯に向こうからやってくるのでRS装備でこれを迎撃します。

その後、修羅雪姫さんの合体に右腕として参加。敵の急所にヒットした際にPOWでドレインされる前に自爆します。

下記自爆スクリプト(コマンド)をキャバリアに入力
#/usr/local/sbin/autodestruct start.
「例えジャイアントキャバリアでも穴さえ空けばどうにでもなるでしょう。後は任せました」
機体の【リミッター解除】を行い、自爆します。


サブナ・ダディ
【全世界サイボーグ連盟】で参加。アドリブ絡み歓迎//【POW】//「くだらねぇ、くだらねぇ、くだらねぇ!!!間違いを起こすのも、それを受け入れ、直す事が出来るのも人間だ!!!今のてめぇを見て死んだ家族や仲間が喜ぶのかよ!!!」//UC【タケミカヅチ】を発動し、UCで巨大化した金砕棒で相手のUCの噛みつきに対し【武器受け、怪力】で力の続く限り抑え続ける//「お前さんも時代の犠牲者だったんだろうが、前を向く事を辞めたあんたに俺たちが負けるつもりはねぇんだよ」


ドロレス・コスタクルタ
【全世界サイボーグ連盟】で参加。

「明らかに様子がおかしいですが……あの機体から引きずり出さないことにはこちらの言葉は届きそうにないです」

【地形の利用、戦術知識】を用いて廃墟の地理を把握。UCは直接当てないで腐食能力と地形操作能力を利用。味方の射線は瓦礫をどかして意想外の位置から通す。敵の射線は瓦礫を倒れ込ませるなど遮蔽物を生成して妨害。瓦礫を倒したり地面を持ち上げ敵の移動を阻害。

攻撃は二丁拳銃とロケットパンチで、一回当てたら地形操作も利用してすぐ逃げて敵の集中力を削ぎ、怒らせて判断力を鈍らせる。

河原崎・修羅雪姫のUCに応じて脚部を担当。頑丈さとパワーで合体を支える。「一気に決めてください!」



●囚われの心
「オブリビオンマシン、争いを生むマッスィーンよ。お前は見逃すわけにはいかないわぁ!」
 他者を狂わせ争いを生むキャバリアに、修羅雪姫は必ずここで仕留めると鋭い狩人の視線を向けた。
「明らかに様子がおかしいですが……あの機体から引きずり出さないことにはこちらの言葉は届きそうにないです」
 ドロレスは敵の様子を観察し、見つからないように周辺の廃墟の地形を把握し、ユーベルコード『エクリプス』によってナノマシンによる腐食を行って邪魔な瓦礫を退かし、味方から敵への射線と瓦礫を使った遮蔽物を生成して、有利な地形を作って戦いに備える。

「国家の犠牲か、あるいは罪か」
 負の感情に呑み込まれた敵指揮官に対し、クネウスはそこまで追い込まれてしまった過去を想う。
「しかしどちらであっても、その負の連鎖をここで止めなくてはなりません」
 これ以上戦争を続けさせる訳にはいかないと、クネウスはいつでも動けるようにアルゲスに臨戦態勢を取らせた。
「くだらねぇ……」
 サブナはただ一言、吐き捨てるように言い放って車を降りて敵を見上げて睨みつけた。

「戦争は何も生み出しません、産むのは悲しみだけです」
 戦争による負の連鎖に取り込まれた敵を、千秋は悲しそうな目で見上げる。
「この戦いだって終わらせるつもりでやってきました。そして助けられる人は助けるんです。待ってて下さいウェストン大佐」
 必ず助けてみせると誓い、Alae caeruleaeを瓦礫から飛び出させる。
「新手か!」
 それに気づいたウェストン大佐がオリバレスの針路を変え、猛禽のように上空から急降下して襲い掛かった。
「速いっ、だけど回避に専念すれば!」
 千秋はAlae caeruleaeを全速力で駆けさせ、頭上からの攻撃を辛くも逃れた。
「よく避ける、だが逃げているだけでは勝てんぞ! 貴様も戦え! ここは戦場だぞ! 背中を見せた者は撃ち殺されるしかない!」
 どんどんとオリバレスが速度を上げて千秋を追い込んでいく。

「戦い続けたければ傭兵にでも成れば良い」
 同じ軍属の者としてクネウスは厳しく叱咤するように、瓦礫から姿を現したアルゲスの持つロングレンジライフルとガトリングキャノンを連射する。
「我等は祖国の為に、同胞の為に戦っているのだ! 金勘定で戦う傭兵と同じにするな!」
 一喝したウェストン大佐はオリバレスを旋回させて被弾を少なくし、直撃を避ける。
「流石に歴戦の兵といったところですね」
 ならばとクネウスは弾幕を厚くして敵を追い込んでいく。
「こうして己が身体のようにキャバリアを操れるのもずっと戦場で戦い続けていたからだ。私を守る為に死んだ同胞達の為にも、私は勝利するまで戦い続ける!!」
 ウェストン大佐は弾幕の僅かな隙間を強引に抜けてクネウスへと迫る。

「残念ですが、あなたが勝利を得ることはありえません。何故ならもう戦いは終わっているからです」
 そこへ遮蔽物に隠れていたドロレスがRed Dragoonに二丁拳銃を持たせて発砲する。命中した弾丸が敵の装甲を穿ち、身体に穴を開けていった。
「くっ、まだ伏兵がいたか!」
 オリバレスが針路を変えるが、既にRed Dragoonの姿はなく、ドロレスは遮蔽物を利用して移動し、違う地点からまた射撃を行う。
「こそこそと! ゲリラ戦のつもりか!」
 飛翔するオリバレスは風圧で瓦礫を吹き飛ばすが、やはりそこにもドロレスの姿は見つけられなかった。
「怒りに集中力を乱しているようですね」
 敵の判断力を鈍らせようと、ダメージよりも苛立たせるのを目的としてドロレスは射撃を繰り返す。するとオリバレスは瓦礫を粉砕して遮蔽物を失くし、Red Dragoonの姿を強引に曝け出した。
「見つけたぞ! もう逃がさん!!」
 加速してオリバレスが喰らいつこうとする。

「くだらねぇ、くだらねぇ、くだらねぇ!!!」
 そこへ怒鳴りつけながら割り込んだサブナがユーベルコードによって4m近くあるタケミカヅチを招来した。
「どこに隠れていた? オリバレスと同じジャイアントキャバリアか? 装甲を纏っていない。軽量タイプか」
 すぐにウェストン大佐は相手を同型の機体だと判断し、その両肩から上に生える装甲が変形し、2つの巨人の頭部になると接近戦に備えた。
「間違いを起こすのも、それを受け入れ、直す事が出来るのも人間だ!!! 今のてめぇを見て死んだ家族や仲間が喜ぶのかよ!!!」
 叫びながらサブナが金砕棒を振り抜くと、その動きをトレースしたタケミカヅチも巨大な金砕棒を振るってオリバレスに叩きつけた。それを巨人の顔で受け止めるが押し切られ、巨人の額が割れて地で顔が染まり、肩の装甲にひびが入りオリバレスが吹き飛ばされる。
「喜ぶかだと? 喜ぶはずがなかろう! だがこれはけじめなのだ! 戦いに決着を付けねば、全てが無駄になる!! 勝利の為に多くの犠牲が生まれたのだ! ならば最後に勝たねばならん!! 勝って終わらなければ全ての犠牲が意味を失う!!」
 怒鳴り返しながらウェストン大佐は、体勢を立て直して加速し、迎撃の金砕棒を掻い潜ってタケミカヅチの腹を噛み千切った。

「援護するわぁ」
 廃墟に隠れた修羅雪姫は、死角を突こうとサイバーリリィに『88㎜口径レーザーバスターランチャー・ドラグーン』を持たせて狙撃した。放たれる光線が敵の大きな右翼を撃ち抜く。
「狙撃か! どこだ!!」
 ウェストン大佐は空から修羅雪姫を探すが、すぐに機体を屈ませて視界から隠れていた。
「そんなに注意を逸らすと危険よぉ」
 修羅雪姫を探すことに集中するオリバレスの背後から紅のロケットパンチが迫り、背中を打ち抜いた。
「どれほど強力な機体であっても、冷静さを失えば真価を発揮できません」
 敵を殴りつけたロケットパンチが飛んで戻るとRed Dragoonに接合し、ドロレスは射撃に移行する。

「このままでは拙い! 損傷が大きい、自己修復を行わねばならん」
 オリバレスの肩の巨人の頭が歯を剥き、大きく獰猛な口は飢えた獣のように獲物を求めていた。
「こいつで喰らったものは全て自己修復の為の素材やエネルギーとなる。このオリバレスはまさに無限に戦闘する為の機体なのだ!」
 オリバレスがキャバリアを喰らおうと加速して接近する。

「もう一度合体するわよぉ! みんなの命、私が預かる!」
 それに対抗しようと修羅雪姫がユーベルコード『ハイパー合体』を発動し、サイバーリリィを変形させて胴体とし、仲間のキャバリアも変形していく。
「GO! Alae caeruleae(アラエ・カエルレアエ)! 青き翼よ、今みんなと一体になる時!」
 千秋が機体を左腕へと変形させて胴体に接続する。
「我々全世界サイボーグ連盟の力を知らしめましょう」
 反対側の右腕にはクネウスの機体が変形合体した。
「こちらも参ります!」
 最後にドロレスがRed Dragoonを下半身に変え、両脚となってドッキングした。すると胴体から顔が飛び出し、前進から眩い光を放ってビシッとポーズを決めて合体ロボが完成する。

「合体しただと!! だが大きくなったならば鈍重なはずだ!」
 そこへオリバレスが噛みつくが、強固で大きな装甲を前に歯が立たない。
「硬い! だが全てが強固なはずがない。必ず脆い場所があるはずだ!」
 ならばと背後に回って装甲の弱い部分を探そうとする。
「鈍重扱いされるのは不愉快です。脚を担当するRed Dragoonのパワーを舐めないでください」
 ドロレスが脚の出力を上げて合体ロボを素早く振り向かせる。
「この巨大な合体ロボを食べられるかしらぁ!」
 その巨体が振り向きながら修羅雪姫はサイバーリリィで裏拳を放ち、右肩の顔目掛けて叩き込み巨人の顔を一撃で粉砕した。衝撃にオリバレスも吹き飛んで廃墟に突っ込む。
「くっ、何というパワーだ! 素晴らしい! その機体を味方にすれば戦争に勝てる!!」
 狂気に塗れた笑みを浮かべ、ウェストン大佐はオリバレスから洗脳電波を放つ。
「ロボットに乗ってねぇ俺には関係ねぇ話だな!!」
 サブナがタケミカヅチの金砕棒で空間を薙ぎ払い、その電波を消し飛ばした。
「お前さんも時代の犠牲者だったんだろうが、前を向く事を辞めたあんたに俺たちが負けるつもりはねぇんだよ」
 そして跳躍しながらタケミカヅチが金砕棒を振り下ろす。しかしそれをオリバレスの左翼から生える巨大な口が噛みついて止めた。
「過去を清算したならば前を向こう。その為には貴様等を全て倒し、アルスを打倒せねばならん!」
 左肩の巨大な口がタケミカヅチの喉に噛みつこうとする。だがその口に銃弾が飛び込み、悲鳴を上げて顔が後退した。

「僕らの力は『団結力』そうでしょう?」
 千秋はユーベルコード『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』発動し、ロボットに備わる銃器を一斉に発射した。
「回避!」
 対してオリバレスがすぐさま回避行動を取ろうとする。しかしタケミカヅチが下半身を掴んでいた。
「そうだな、仲間と力を合わせて道を切り拓く。過去しか見えてねぇあんたにはねぇものだ」
 タケミカヅチが引き寄せ体重を掛けて逃がさない。
「放せ!」
 オリバレスが逃れようと身体を振り回すが引き剥がせず、身体のあちこちに被弾して高度が落ちる。それはちょうど合体ロボの目線に位置していた。そこでようやくタケミカヅチが手を離す。
「ちょうどいいところに墜ちてきたわねぇ、思い切りいくわよぉ!」
「一気に決めてください!」
 修羅雪姫が合体ロボで殴り掛かろうと振りかぶり、それに息を合わせてドロレスが下半身の出力を最大にして力強く踏み込む。凄まじい風圧と共に拳が放たれ、空中のオリバレスを逃れられない速度で右拳のストレートが捉える。
「ば、バリアを!」
 その攻撃をウェストン大佐が防ごうとバリアを展開して拳を受け止める。
「この一撃を防ぎますか、ではそれを上回るエネルギーで破るとしましょう」
 そこでクネウスがスクリプトをキャバリアに入力した。

 #/usr/local/sbin/autodestruct start.

 すると巨大ロボの右腕のリミッターが解除し、限界を超えるエネルギーが集まり始める。
「例えジャイアントキャバリアでも穴さえ空けばどうにでもなるでしょう。後は任せました」
 そう仲間に告げると、迷いなくクネウスは機体を自爆させた。

 Destruct activated: [ OK ]

 合体ロボの右腕が爆発し、クネウスは機体の外へと吹き飛ばされて戦闘不能となる。だがその膨大なエネルギーはバリアを容易く破ってオリバレスを無防備な状態で剥き出しにした。
「正気に戻ってください!」
 そこへ千秋の乗る左拳が殴りつけ地面に叩きつける。機体はバウンドし瓦礫を吹き飛ばしながら地面を転がり、それを追って合体ロボは地を揺らしながら歩いて近づき、敵の前で脚を止めて静かに見下ろした。

「……何故止めを刺さない」
 攻撃を止めた合体ロボをウェストン大佐が見上げて問う。
「争いを憎んで人を憎まず、ってねぇ。あなたの部下も全員無事よぉ」
「馬鹿な、これは戦争だぞ! 戦争ならば敵は全て殺さねば……違う、無抵抗な人間は殺さない……いや、駄目だ。殺さなくては……死ぬ。誰が? ぐぅっ……」
 修羅雪姫の言葉を聞いて、激しい頭痛に襲われたようにウェストン大佐は頭を抱え、操縦桿を引いて空へと飛翔した。
「もう戦争は終わっています! ウェストン大佐! あなたの戦いも終わっているんです!」
 戦争は終わっているんだと、千秋も声を張り上げて伝える。
「そうです。他の兵士達は納得して終戦を迎えました。まだ足掻いているのはあなただけです」
 ドロレスも厳しい口調で現実を思い出させるように言葉を紡ぐ。
「負ければ死ぬのが戦争だ……命尽きるまで足掻くのは当たり前ではないか……」
 認めれば全てが終わってしまうとウェストン大佐は首を振る。
「過去に囚われてるあんたが、未来の為に戦ってる俺たちに勝ち目はねぇ。諦めな」
 いい加減目を覚ませと、サブナが冷や水をかけるように鋭く言葉で切りつけた。
「戦争なら敵を殺さなくては……だがもう戦争は……」
 正と負の感情がせめぎ合いウェストン大佐が正気に戻りかける。そこでオリバレスの額の石が輝いて洗脳を強くした。
「ぐああっ! ああ、まだだ、まだ、戦える。戦えるなら、戦争を続けなくては……」
 そのままぼろぼろのオリバレスが飛翔していくのを猟兵達は見送る。
「洗脳が解けかけているようです。もう一押しですね」
 戦闘不能となったクネウスが瓦礫に埋もれて倒れたままその様子を見上げていた。そんなクネウスを救助しようと仲間達が敵を追わずにマシンを降りてきた。
「指揮官なら敵を倒すのと同じくらい仲間を救ってきたはず。そのことを思い出してもらいたいですね」
 部隊を指揮していたならば敵の犠牲を多くするよりも、味方の犠牲を少なくする為に頭を悩ませたはずなのだ。そうして救われた部下たちは上官の無事を願っていた。そのことを思い出してほしいと、仲間から手当てを受けながらクネウスは想った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グロリア・グルッグ
兵士は戦場で生き、戦い、そして死ぬ…それは確かなことだろう。
彼らの信念や生き様に異論を唱えるつもりはないが、さりとて戦火を広げさせるわけにはいかぬ。
互いの主張の是非は横に置き、戦場の掟…すなわち単純な暴力でもって事態の解決に当たらせてもらおうか。

真の姿を解放して魔力の出力を上げよう。
当然キャバリアには乗ったまま応戦する。
強化された電撃のレーザー射撃やミサイルの残弾を撃ち込みながら距離を詰め、敵の攻撃を見切りながら接近戦を仕掛けるぞ。
至近距離では噛みつき攻撃を紙一重でかわし、慈悲をかける気持ちで手を触れたらUCを発動しよう。
「貴君の戦友は生きて待っているぞ。彼らと共に新しい生き方を探すがよい」


ハルア・ガーラント
フォル、よろしくね
[OM-ID〈フォールダウン〉]に搭乗して戦闘

【WIZ】
戦闘開始と同時にUC発動、歌に[鼓舞と祈り]を込めます
倒れた仲間の分まで生きて明日を作るようにと

歌を届ける為使った[BS-B常闇の詩]、次は本来の音波兵器として使用し声無き絶叫で電磁バリアの破壊を狙います
わたしとフォルの連携がまだ上手くいかない為敵の攻撃は[第六感]で予感し[オーラの障壁を張り防御]
その状態で味方を[かばい]フォロー重視で

大事な存在を失い戦争に身を投じることでしか生きられない
あなたの経験した辛苦は計り知れないものでしょう――だけど
同じ痛みを他者に与えるより、忘れないようにと後世に伝えて行く方がきっといい



●伝える痛み
「兵士は戦場で生き、戦い、そして死ぬ……それは確かなことだろう。彼らの信念や生き様に異論を唱えるつもりはないが、さりとて戦火を広げさせるわけにはいかぬ

 真の姿を解放したグロリアは相手の主張を認めながらも、こちらにも守るべきものがあるのだと相対する。
「互いの主張の是非は横に置き、戦場の掟……すなわち単純な暴力でもって事態の解決に当たらせてもらおうか」
 力を振るう相手に無防備では会話すら成り立たない。まずは武力でもって一当てすると量産型キャバリア改『ニトロパルサー』を発進させる。

「私はまだ……まだ戦える。そうだ、キャバリアが動く限り、私は戦い続ける。戦争を続ける!」
 眼を血走らせ、狂気に侵されたようにウェストン大佐はぼろぼろの機体を操縦して見つけたグロリアへと急降下を始めた。

「フォル、よろしくね」
 ハルアも白いオブリビオンマシン『OM-ID〈フォールダウン〉』に乗り込み、続けて戦場に飛び出す。
「戦場で倒れた仲間たちの分まで、生きて明日を作ってください……」
 祈るようにハルアは美しい声で歌い出し、天使言語による凛々しい歌は『BS-B常闇の詩』によって増幅され戦場に響き、仲間を勇気づけて鼓舞する。
「なんだこの歌は……仲間……そう、仲間と共に未来を語ったときの事が思い浮かぶ……」
 その歌を聴いたウェストン大佐はぼんやりし、心惑わされるように速度を緩めて高度を上げる。

「これが最後の戦いならば出し惜しみはなしだ」
 グロリアは溢れ出るほどの魔力によって機体を強化する。
「これを躱せるか」
 ニトロパルサーの指先から放つ電撃のレーザーが閃き、一瞬にして飛ぶオリバレスの身体を貫いた。
「ば、馬鹿な! なんという速度の攻撃だ!」
 慌てて制御を取り戻し、ウェストン大佐はランダムに方向を変えて機動回避を行う。
「見事な動きだが、兵装はこれだけではないぞ」
 グロリアは多弾頭ミサイルを一斉発射し、空の逃げ場がないほどの物量で機動力を無意味にする。
「避けられん! ならばバリアだ!!」
 オリバレスが身を包むように電磁バリアを張り、ミサイルを防ぎきる。
「このオリバレスのバリアは突破できないようだな。では次はこちらの番だ!」
 ウェストン大佐は機体を降下させ、下半身を巨人の頭部に変えて接近戦を挑む。加速して射撃武器を使う余裕のない距離まで達するとバリアを解いた。

「バリアがあると攻撃が通らないようですね。ではこれを防げるか試してみましょう」
 ハルアはフォールダウンの『BS-B常闇の詩』を本来の音波兵器として使い、声無き絶叫を放つ。音波が空気を振動し、ウェストン大佐の鼓膜を叩いた。
「がぁっ、何のこれは!?」
 血の流れる耳を押さえたウェストン大佐がモニターから周囲を確認するが、攻撃らしきものは見当たらない。だが見えない攻撃によって機体の内部で爆発が起こり、蓄積していたダメージが露わになるようにマシンの出力が低下する。
「出力……20%ダウンだと!? このままではバリアが張れん! 急ぎ自己修復しなくては!」
 ウェストン大佐は機体の不調を押して攻撃を続行し、グロリアに向けて特攻する。
「その機体を喰らえオリバレス!」
 下半身の巨人の顔が頭上からニトロパルサーの頭部に噛みつこうと襲い掛かる。
「接近戦ならば勝てると思ったか? 侮られたものだ」
 すっと機体の上体を反らし、紙一重で噛みつきを躱すと、慈悲をかけるようにグロリアはニトロパルサーの手でそっと敵に触れる。
「高性能であるほど、電気回路を乱されれば脆いものだ」
 触れた掌から電磁パルスが流し込まれ、防壁を突破して機体のメイン回路にまで達した。
「駆動部にエラーが! 止まるな! 私の戦争が終わってしまう!!」
 叫びながらウェストン大佐が幾つもシステムを切り最低限動作を行う手動モードにして機体を動かす。
「オリバレス! 私の戦いを続けさせてくれ!」
 最後の力を振り絞るように、オリバレスの口が開き噛みつこうとする。だがその顔がフォールダウンに届く前に、オーラの障壁によって阻まれた。
「あなたの戦いをここで終わらせます――いえ、もうすでに終わっているのです」
 ハルアはオーラの障壁を厚くして仲間に攻撃を届かせない。
「動け! 動けオリバレス!!」
 もはや限界だったぼろぼろのオリバレスは軋むように動きを止めた。
「貴君の戦友は生きて待っているぞ。彼らと共に新しい生き方を探すがよい」
 グロリアが胸部のコックピットをこじ開け、疲れ果てた様子のウェストン大佐の姿をさらけ出した。


「仲間が生きていると……君達はアルスの者ではないのだな」
 よろりとウェストン大佐がコックピットから出て猟兵達を見上げた。
「そうだ。我々はただ無益な争いを止めにきただけだ」
 グロリアもコックピットから姿を現して返事をした。
「洗脳が解けたんですね」
 よかったとハルアも姿を見せて話しかける。
「仲間を救ってくれたことは感謝する。だが過去の恨み憎しみから解放されたわけではない。戦争は大切なものを簡単に奪っていく。そして奪われた者は復讐に囚われ、戦い続けるしかなくなる……私のようにな」
 仲間が無事な事を喜びながらも、陰鬱な負の感情は消えず、何もかもを諦めた顔をしていた。
「思えばオリバレスが私を洗脳したのは、私が望んだからかもしれん。休戦と聞かされて……そう、私は何もかもを失ったと思った。唯一残っていた復讐心まで取り上げられ、生きる望みを失ってしまったのだ」
 その負の感情が増幅され、今回の事件が起きてしまった。そのきっかけは自分にあるのではないかと己の心と向き合う。
「大事な存在を失い戦争に身を投じることでしか生きられない。あなたの経験した辛苦は計り知れないものでしょう――だけど」
 相手の気持ちを痛いほど感じたハルアは胸を押さえながら、少しでも想いを伝えようと言の葉を編む。
「同じ痛みを他者に与えるより、忘れないようにと後世に伝えて行く方がきっといい――わたしはそう思います」
 痛みを忘れずに残すことで、戦争の悲惨さを伝えることができる。それは戦争を再び起こさせない為に必要なことだった。
「この痛みを後世にか……」
 目を閉じてウェストン大佐は辛く心搔き乱す過去を思い出す。
「痛みを感じているならまだ貴君の心は生きている。生きているなら前に進むしかあるまい」
 グロリアも疲れ切って立ち止まってしまったその背を押すように声をかけた。
「……そうか、私にもまだ役割があるのか……私にどれだけのことができるのか。それは分からないが、命尽きるまで生き恥を晒そう。まずは兵を扇動した責任を取らねばならんな」
 進むべき道が見えたウェストン大佐の声に張りが、そして目には意思の光が戻る。
「君達に感謝を」
 集まってきた猟兵達を見回し、敬礼するとウェストン大佐は歩き出す。それは心配そうにこちらを近づいてくる兵士達の居る方向だった。
「どうか傷ついた人々の未来に希望を……」
 ハルアは戦争で傷ついた人々の為に祈り、もう誰も傷つかぬ平和を願った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月17日


挿絵イラスト