5
夜宴の贄

#ダークセイヴァー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー


0




●贄は定まる
 ある屋敷の一室。床に座り込んだ娘を、黒衣の少女が見下ろしていた。
「私に、何を……? いえ、それよりもミナは? あの子はどこ?」
 恐怖と寒さで小刻みに震える体を抱きしめながら、娘は黒衣の少女へと問う。
「……お前の妹か? あれは私が貰った。宴に着ていく、新しい体にする。故に、丁重に扱うから安心するが良い。
 だが、お前は違う。……お前、私を突き飛ばしただろう?」
 僅かな怒りが籠もった言葉に、娘は、あ、と声を上げた。吸血鬼が自分達を攫っていく時に、己の腕を掴む手の冷たさに驚いて、反射的に突き飛ばしてしまった事を思い出す。当時は混乱していてよく覚えていないが、そういえば吸血鬼がその弾みで尻もちをついたような――。
「ようやく思い出したか、馬鹿が。よくも"私の髪"を汚したな? ……だが、お前の度胸は評価しよう。
 喜ぶがいい。お前は今宵の宴に、贄として招待してやる」
 宴。それを聞いた娘が青褪める。吸血鬼達の夜会、そこに贄として選ばれたという意味を正しく理解したのだ。
 その様子を見た黒衣の少女はクツクツと低く笑い、指を鳴らす。その音に答え、部屋の暗がりから朧気な輪郭を持つ犬が這い出てきた。犬は娘の服だけを器用に銜えて、ひょい、と背中に乗せると、軽やかな足取りで部屋を出ていく。
 それを見送り、黒衣の少女は笑みを深くした。
「ああ、ただ殺すだけではつまらない。今宵の目玉として、あいつを舞台に上がらせよう。あいつの妹の体で殺される様を眺め、あいつの妹の体で父親の元に返してやらねば。
 ……さて、真面目に働くあの男が、どのように嘆くのか。楽しみだな」

●従者は語る
「皆、集まってくれてありがとう」
 集った猟兵達に向かって、セシル・ラピエール(サーヴァント・f01008)が一礼する。
「今回はダークセイヴァー世界に行ってもらうよ」
 これから赴くのは、吸血鬼に服従する領主が統治している街だ。
 近隣に住まう吸血鬼は、領主の仕事ぶりを視察するために街を訪れ、その際に領主の娘二人を『宴用』と言って連れて帰ってしまったらしい。
 連れて行かれた娘達は、片方は宴会の余興として、もう片方は――吸血鬼"ゼラの死髪黒衣"のために使われる。
「ゼラという女吸血鬼の遺髪で編まれた黒衣のことだね。少女に憑依して、相手の自我をゼラの自我で塗り潰す能力を持っているんだ。
 仲間の吸血鬼を呼んで盛大な夜会を開くから、そのために綺麗な新しい体を欲しがっていたみたいでね」
 迷惑な話だが、人間で言えば『パーティに行くから、綺麗で新しいドレスを調達する』という気分なのだろう。この憑依される相手は、攫われた娘の年下の方――大人しくて気が弱い妹が選ばれている。
「娯楽用として確保されたのはお姉さんの方。その……捕まる時にうっかりゼラを突き飛ばしちゃったらしくて、それが気に食わなかったみたい」
 姉は吸血鬼たちの夜会に『メインイベント』という名目で投入される。プログラムに沿って殺される他の生贄とは違い、会場に集まった吸血鬼達が好みの殺害方法を上げて、その中で最も人気が高かった方法で、彼女は殺される。
 そうなる前に、いや、生贄達が皆殺しにされる前に、夜会を潰すのが今回の目的だ。

「残念だけど、ゼラがいる場所に直接乗り込むことはできないよ。
 ゼラが会場に来るのは夜――宴が始まる直前になるし、相手の自我を乗っ取る過程で邪魔が入らないように、あちらもすごく警戒しているからね」
 しかし、夜会の会場であれば話は違う。宴に集う吸血鬼の数は確かに多いが、ゼラ本人も含めて彼らは油断しているのだ。『わざわざこの夜会に乗り込んでくる、命知らずなど存在しない』と。
 ゼラは会場となる館に街の住民を集めて、掃除・料理の用意・拷問器具の整備など、宴の用意を命じている。そこに準備を手伝うフリをして罠を仕込んだり、会場内に細工を施す事ができそうだ。
 その後は夜会に忍び込んで仕掛けた罠を起動させたり、集められた生贄や手伝いとして招集された人々を助けることもできるだろう。もちろん真正面から乗り込んで、物理的に夜会を叩き潰しても構わない。変装して客に紛れ込みつつ、いざ事が起こったら巧みな話術で会場をひっかき回すのも良いかもしれない。
 そして、主催のゼラはというと、実は宴の始まりを宣言した後は後方に引っ込んで顔を見せない。彼女は『メインイベント』とその後の盛り上がりを楽しみにしており、雑用係が呼びに来るまで奥にいる事に決めたのだ。
 夜会に使われる領主館は、パーティホールのある本館、居室のある別館、その間に広がる庭園、書庫に来客用の宿泊室がある館……とやたら広いし、敷地内には番犬代わりのオブリビオンが放たれている。そんな敷地内を闇雲に探すのはあまりよろしくない。
 なので、その"呼びに行く予定"の雑用係を見つけて、ゼラの居場所を聞き出す必要がある。
「あとは、屋敷の敷地内にいる護衛のオブリビオンを薙ぎ払っていって、最後にゼラを倒せば事件は解決だよ」

 そこまで言って、セシルは「一つだけ注意を」と指を立てる。
「"ゼラの死髪黒衣"をそのまま倒すと、憑依された少女もまとめて死ぬことになるんだ。
 でも、黒衣だけを壊したりうまく引き剥がせれば、その子だけを助け出す事ができる。
 ……もし狙うなら、かなり工夫して戦わないといけないと思うから、気をつけてね」
 それに、今回の最終目的は"ゼラの死髪黒衣"の討伐だ。酷な事を言うようだが、憑依された少女の生死はそこまで重要ではない。

「まあ、何をどうするかはキミ達に任せるよ」
 それじゃあ、行ってらっしゃい。セシルはそう締めくくって、緩やかに手を振った。


すずのほし
 すずのほしです。
 2作目はダークセイヴァー世界から。

 ●第1章
 吸血鬼達が集う夜会をぶちこわします。思い思いの方法でやってあげてください。
 たくさんの吸血鬼と、彼らが連れてきた『ペット』、そして夜通し働かされる予定の給仕や雑用係がいます。
 基本的に描写されるのは宴の真っ最中となります。
 事前準備の光景は、SPD判定を行った方がいれば描写……するかもしれません。

 ●第2章
 ボスの居場所へ進撃しつつ、襲ってくる警備のオブリビオンをなぎ倒していく集団戦です。

 ●第3章
 ボス戦です。OP冒頭で出てきた娘はここにいます。
 また、"ゼラの死髪黒衣"の肉体は、その娘の妹にあたる人物です。
 プレイングや判定次第では後味の悪い結果になる可能性があります。
38




第1章 冒険 『ヴァンパイアの夜会』

POW   :    真っ正面から敵に戦いを挑んだり建物等を破壊してまわる。

SPD   :    罠の設置や先回りして生贄のダッシュを行います。

WIZ   :    変装して侵入し話術によって敵を撹乱します。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リコリス・シュピーゲル
ずいぶん豪華なパーティーですこと
私もこの手の経験はそれなりに積んだつもりでしたが、こんなの初めてですわ
目一杯楽しませていただきましょう

【WIZ】で、招待客の彼女に対する信頼を叩き落としてみようかしら
『世界の独裁を狙っている』『処女の血を集め、ヴァンパイアを喰らい、最強のヴァンパイアになろうとしている』あたりがいいかしら

「変装」「礼儀作法」「世界知識」でそれなりに実力ある吸血鬼を演じて、「コミュ力」「誘惑」を駆使して説得力を高めていくの

さぁ、『敵』を増やしていきましょう?
あなたは正しく認識できまして?

絡みアドリブ等大歓迎



(ずいぶん豪華なパーティですこと)
 濃紺のAラインドレスに身を包み、目元を鳥の仮面で覆い隠したリコリス・シュピーゲル(月華の誓い・f01271)は、招待客のふりをして夜会に紛れ込む。
 経験に裏打ちされる、洗練された立ち居振る舞い。すれ違う者が思わず振り返るような色香を漂わせる彼女は、吸血鬼の中に違和感なく溶け込んでいた。

「やあ、お嬢さん。楽しんでいるかな?」
 横合いから声を掛けられ、そちらの方を見る。燕尾服姿の初老の男だ。彼の傍らには、目に涙を溜めながら震える、白いドレスの少女。
 どうやら猟兵だと見破られていないらしい。ええ、と微笑んだリコリスは、優雅にカーテシー。男吸血鬼と暫し和やかな――オブリビオンが犇めく只中で、当たり障りのない会話を楽しむ。
「そういえば、君はどんな人間を連れて来たのかな? 私のはあそこだよ、あの白い服の娘だ。良い顔をするだろう」
 男は会場の中心に設置された檻に入れられている、白いドレスの少女を指し示す。涙を浮かべて震えるあの少女が、男の連れてきた贄なのだろう。そう思いながら、リコリスは用意していた武器を持ち出した。
「いいえ、今宵は私一人で来ましたわ。……あなた、あの噂を知りませんの?」
「噂?」
 初老の吸血鬼が眉根を寄せるのを見て、リコリスは嫋やかに微笑む。
「あの女――ゼラは死してなお、この世界の独裁を狙っているという噂です」
「なんだと?」
 嘘だ。吸血鬼を混乱させるために考えた作り話。それをあたかも市井に流れている、本物の噂のように語る。
「まさか、そんな。ただの噂だろう? ゼラにそこまでの力は無いはずだ」
「そう、ただの噂だけれど……続きがありますの。彼女は処女の血を集め、儀式を経る事で力を付けて、私たち同族を殺すつもり。そうして全てのヴァンパイアを喰らい尽くして、最強のヴァンパイアになろうとしているの」
 ゼラは後ほど行われる『メインイベント』で再び姿を見せる。それはつまり、その時間までに何かしておきたい事があって、引っ込んでしまったのではないか。そう指摘を付け加えれば、初老の男は険しい表情となって黙り込む。
 何故ゼラが後方にいるか。その理由は猟兵であるリコリスは知っているが、招待されてやってきた吸血鬼には預かり知らぬ話だ。
 それにリコリスも、ただ"話しかけられたから"という理由で、こんな嘘を吹き込んだのではない。世界知識で事前に把握した情報によれば、この男吸血鬼は、"ゼラの死髪黒衣"の支配領域と隣り合った土地を領土としている。もしゼラが本当に世界征服に乗り出したとしたら、真っ先に狙われるのは彼だろう。
「だから、私は一人で。ゼラが何を仕出かしてくるか、分かりませんもの。……おじ様も、どうかお気をつけて」
 そう締めくくって、リコリスはその場を去る。
 ゼラに対する敵意と疑念をばら撒き、猜疑心を煽って信頼を地に墜とす。派手に動いて夜会を潰すつもりの猟兵達が現れた時、彼らへと向かう障害は少ないほうが良いはずだ。
 そのためにリコリスは、悪趣味な談笑と人間のすすり泣き、絶望の呻きが響く会場を渡り歩く。

 そして、檻に入れられた贄と外への扉を交互に見遣り、贄を連れ出す事が敵わないと悟った初老の男が、強張った表情のまま会場を後にする。
 その姿を横目に見ながら、リコリスは次なる話し相手を探し始めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

蛇塚・レモン
<WIZ>
ふっふ~ん!
霊能力探偵レモンちゃんにまっかせなさぁ~いっ!
早速ドミノマスクで変装して、会場に潜入するよっ
えっ、招待状?
君はこれが招待状に見えないのかなっ?(コミュ力+催眠術)

会場に潜入したら、世界知識と学習力で吸血鬼の振舞いを真似るよ
そして流言を飛ばして吸血鬼たちを疑心暗鬼にさせてみるよ(コミュ力)
「そこのあなた、知ってまして? この中に、この宴の主催者に刃向かおうとする裏切り者がいるんですって! いったい誰なのかしらっ!?」
(恐怖を与える+催眠術)
聞き耳を立てて他の猟兵たちが動き出したら、だまし討ち発動
「裏切り者が逃げましたわ! どなたか追って下さいまし!」
隙を作って生贄を逃がすよ



「失礼します。招待状を確認させていただいても……」
「え、招待状? 君はこれが招待状に見えないのかなっ?」
 会場の入り口で行われていた入場確認。恐る恐るという風に訊ねてきた受付係の青年に、手製の招待状を掲げた娘がいた。

 霊能力探偵レモン――もとい蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)である。
 こちらはXラインの黒いドレスを纏い、ドミノマスクを装着している。堂々とした態度だが、彼女が適当に好き勝手綴った招待状など、何の効力も――
「失礼しました! どうぞ、お入り……ください……良い夜を……」
 が、受付係はその招待状を見て慌てて頭を下げて、どこか虚ろな声音で蛇塚を会場へと通す。蛇塚の態度と合わさり、強烈な効果を持った催眠術の影響だ。
「ふっふーん、このレモンちゃんにかかればこんなものよ! ……と、さてさて、どこからいこうかな……?」
 首尾よく会場の中へと潜み、彼女もまた招待客達に疑心を植え付けるために行動する。
 ダークセイヴァー世界への知識と、周囲の吸血鬼たちを観察して学び取った振る舞い。現地の者達を参考にした仕草で会場を歩く姿は、本物の招待客のようにも見えた。

 だが、覇気のある振る舞いも最初だけ。途中からは何か恐ろしいものを見てしまったとばかりに俯き、周囲を気にするように会場内を歩き回る。何度か誰かにぶつかり、その度に怯えを含んだ表情でそそくさと立ち去ることを繰り返した。
「そこの貴女、大丈夫?」
 明らかに宴を楽しんでいない態度。それを見かねた一人の吸血鬼が声をかけてくる。若い女の吸血鬼だ。
 蛇塚はその声にぱっと顔を上げて、縋るように女の方へと駆け寄った。
「ああ、聞いてくださいまし! 私、先ほど恐ろしいことを聞いてしまって……!」
 胸元で不安げに両手を握りしめる蛇塚。女吸血鬼は『恐ろしい事』に首を傾げながらも、蛇塚の話を聞こうと少し膝を屈めた。
 先ほどより距離の近くなった吸血鬼の耳に、蛇塚は上擦ってしまいそうな語調を抑えて、囁く。
「先ほど、この宴の主催者に刃向かおうとする話を、この会場の中で……! そんな恐ろしい裏切りを、誰が企んでいるのかしら! 私、分からなくて、それで……!」
 荒唐無稽な作り話だ。それを女吸血鬼の目をまっすぐと見て、真実であるかのように声を震わせて語る。
「そん、な――……そんな、話……」
 そんな話、あるわけがない。一笑に付して流そうとした吸血鬼の目が見開かれ、信じられないという風に顔が歪む。猜疑と怖気が入り混じる吸血鬼の表情を見て、蛇塚は内心でほくそ笑んだ。
 ――催眠術。偽の招待状で受付係を惑わせた時にも用いた術を、今度は這いずるように内面を侵す恐怖を乗せて、行使したのだ。
 そんなはずはないと繰り返し呟く吸血鬼を残して、恐怖を振りまく娘は再び会場を彷徨い歩く。

 次の獲物を定めるために、「恐怖に震える少女吸血鬼」を演じながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロウ・タツガミ
他猟兵と連携、アドリブ歓迎だ

【POW】

さて、真正面から突っ切らせてもらおう

【三位龍装】で攻撃力を強化して、突っ込むつもりだ。武器はサカホコ(ハルバート)、邪魔する敵がいれば【戦闘知識】を利用して【怪力】の【2回攻撃】で攻撃させてもらう。敵を攻撃しつつ、【情報収集】を行いながら奥へと進んでいくつもりだ

吸血鬼以外は下がれ、加減はしない邪魔をするなら倒させてもらう

敵から攻撃を受けたらガンドレッドで【盾受け】しつつ、近くに猟兵や一般人がいれば【かばう】事も考慮しないとな。


フェン・ラフカ
着替える様に攫って、楽しむだけに人々が殺されるなんて聞くだけで悪辣なパーティですね…
そんなモノは正面から潰してしまいましょう。

文字通り正面から盛大に始めます。
襲ってくる連中は殴って、払って、蹴り飛ばし、愛銃で撃ち抜く。
ライフルでガン・カタなんて派手で見栄えが良いでしょう?
ついでに絵画や像等の飾りも狙っていきましょうか。

もしかしたら状況によっては私が危険になるかもしれませんが、死線が近づけば、ユーベルコート【戦場の亡霊】を発動して巻き返せると思います…使わない状況を維持するのが望ましいですけどね。
それで他の方が動きやすくなるのであれば良しとしましょう。

※絡み・アドリブ等歓迎です。


リリィ・オディビエント
姉妹の姉、イベリア・オディビエント(姉さん)と一緒に宴をぶち壊しにいく


宴にエントリーする狼人っぽいキマイラ!
騎士道を心に、こんなふざけた宴は絶対に許さない!!


雑用係については他の者にまかせて大丈夫かな?私はそういったのが苦手だしな。
なに、盛大に暴れたら出てくるという可能性もある
他の者達が聞き出すのに成功したら最大限にぶち壊してやろう!
番犬?犬が狼に勝てると思うなよ!ワオーーン!!


イベリア・オディビエント
妹のリリィと参加。
お互いあんまり離れないよう気をつけようね。

悪いヴァンパイア……
狼の血が混ざってるキマイラの処刑人の私にとって最高の戦場だよね…!

【POW】
とりあえず宴をぶち壊せばいいんでしょ?
細かいこととか裏をかくとか、そういうのは苦手なんだ。
【早業】【2回攻撃】を惜しみなく使おう。
ユーベルコードは攻撃回数を重視するよ。
壊して台無しにする。
敵は斬首刑にする。
単純明快!

ペットとか雑用係程度で私らを止められると思わない事だね!


須賀原・あすむ
うちの部族には「弱者しか弄べないものには苛烈なる痛みを与えるべし」っていう訓示があるんだよね。徹底的にやっちゃうよ!

POWで判定 自前で用意してきた携帯型の使い捨てバズーカを門やパーティ会場の建物に撃ち込みます
ただし給仕や奴隷などのいる場所は避けて攻撃
さらに大きな音の鳴る爆竹などを投げ込み囮となって生贄の救出や潜入を行う猟兵たちの援護を行います。
「そろそろ使用期限が近い武器の処分に打ってつけだね」


トリテレイア・ゼロナイン
以前にも別個体と戦ったことがありますが、相変わらず悪趣味なことですね、『ゼラの死髪黒衣』

騎士として、会場に集められた生贄達、処刑される姉、乗っ取られた妹、彼ら彼女らを救いに馳せ参じましょう

機械馬に「騎乗」し、パーティホールへ直接馬に乗って殴り込みます
タイミングは他の猟兵の妨害工作が効果を表した時がベストですね

立ち塞がるものは「怪力」で振るう槍と盾の「なぎ払い」と馬の「踏み付け」で蹴散らし、会場に集められている生贄達の元に急行し、すぐに「かばう」ことが出来るような位置に居座りましょう

もし生贄達を人質に取られたら手持ち武器の武装を解除しつつ、格納銃器での「だまし討ち」で打開します



 猜疑の渦巻く館の前に、五人の猟兵が立っていた。

「良い頃合いでしょうか。自分達もそろそろ行きましょう」
 有翼の白蛇をハルバードに変じさて、クロウ・タツガミ(昼行灯・f06194)は静かに告げる。
「ええ、盛大にやりましょう。こんな悪辣なパーティは、正面から潰されるべきです」
 フェン・ラフカ(戦場傭兵な探索者・f03329)もそれに頷き、魔弾が装填された狙撃銃を取り出した。
「うちの部族には、『弱者しか弄べないものには苛烈なる痛みを与えるべし』っていう訓示があるんだよね。これは徹底的にやらないと!」
 快活な笑顔を浮かべる須賀原・あすむ(ファントムブラック・f03833)も、こくこくと頷いて同意を示す。
 ここに集った猟兵達の目的は至極単純。小細工など不要、正々堂々と正面突破――気持ち良いほど清々しい破壊活動だ。
「姉さん、行こう。こんなもの、思い切りぶち壊しにするべきよ」
「うん。リリィ、あんまり離れないように気をつけようね」
 年相応の口調で傍らの姉に語りかけるリリィ・オディビエント(パラディンナイト・f03512)。姉のイベリア・オディビエント(引っ込み思案な処刑人・f02463)も妹の言葉にこっくりと頷いた。二人とも準備万端だ。
 全員の意思表示を受けて、須賀原は用意していた武装を取り出す。
 彼女が構えたのは、黒光りする巨大な筒――バズーカだ。耳栓もしっかり用意して、準備完了。バズーカの砲口が向かう先は、吸血鬼達が夜会をする大きな館、その入口。
「みんな、準備はいいね! 派手にいっくよーっ!」
 最初の破壊は、弱者を弄ぶ夜の王達が宴を楽しむ館の扉。元気のいい宣戦布告は、バズーカの発射音と共に行われた。

 館を揺るがす震動と爆音、そして巻き起こる黒煙。会場内にいた吸血鬼と給仕、そして贄達は何事かと破壊された扉の方を見る。
 吸血鬼の視線が注がれる煙の中――そこから、二人の少女が飛び出してきた。
「こんなふざけた宴、絶対に許さない!」
「皆、悪いヴァンパイア……私にとって、最高の戦場だよね……!」
 言葉と同時に振り抜かれたのは、禍々しい黒い剣と処刑用の斧。オディビエント姉妹が魁となり、手近な吸血鬼の体をそれぞれの得物で両断した。一瞬の内に行われた殺戮に、人々の悲鳴が一斉に上がる。
「猟兵だ!」
 人間たちの悲鳴の中、会場にいた吸血鬼の一人が叫ぶ。宴を楽しむつもりでやってきた彼らに武器はない。戦力になる従者も連れていない。ここで猟兵達とやり合うのは不利だと理解した、彼らの行動は――
「くそ、お前が裏切っていたのか!」
「何を言う、貴様が手引きしたのだろう!」
 先に潜入した二人による妨害工作の成果。互いの信頼を破壊され、殺戮者達の乱入が自分ではない誰かのせいだという、根拠のない猜疑のぶつけあいだ。
 会場のそこかしこから聞こえてくる、吸血鬼同士の醜い罵り合い。これといった能力を持たず、猟兵と丸腰で戦わねばならない状況だというのに、この絶望的な事態を招いた犯人探しへと意識が向いていた。
「おいおい、今はそんな事言っている場合か!?」
 幾人かは冷静なようだが、彼らの言葉に同族同士に蔓延する疑心を止めるほどの力はない。周囲の怒鳴り声に紛れて、制止の言葉が虚しくかき消されていく。
 さらに声を張り上げようとすれば、まともな思考力を持った吸血鬼は邪魔になるとばかりに、フェンの放った魔弾がその吸血鬼頭を消し飛ばした。黒いコートの裾をはためかせ、彼女は吸血鬼の群れの中へと飛び込んでいく。
「こちらは私が引き受けましょう。皆さんは他のヴァンパイアを」
 銃を撃ち、時として肉弾戦を交えて戦うフェン。相手は銃火器を手にした集団ではないが、卓越した体術で確実に吸血鬼の集団を掃討していく。
 フェンとは離れた場所で戦端を開くイベリアとリリィもまた、彼女と似通った言葉で他の猟兵たちへと声を上げた。
「ああ、適材適所だ。暴れるのは任せろ!」
「宴をぶち壊すのは、わたし達がやるから」
 咎人殺しと黒騎士の姉妹は、互いをカバーし合うように立ち回りながら、その圧倒的な破壊力で吸血鬼ごと床を叩き割り、肉料理が載せられていたテーブルを木っ端微塵にする。
 その横を駆け抜けながら、他の猟兵達はそれぞれの戦いを開始した。
「酒は飲ませる、サカホコ、マガホコ、力を寄越せ」
 低い声で行われる詠唱、【三位龍装】で自身の攻撃力を強化したクロウは、駆け抜けざまに人外の域へと到達した怪力を以て立ち塞がる吸血鬼を纏めて薙ぎ払う。そして、呆然と吸血鬼が倒れていく様子を眺めていた人々へ向かって、よく通る声で呼びかける。
「吸血鬼以外は下がれ。自分は加減しない。邪魔をするなら倒させてもらう」
 ハルバードと化したサカホコを自在に操り、吸血鬼をまるで紙切れか何かのように払い、返す刀でその後方にいた他の吸血鬼を刺し貫くクロウ。その姿を見た上で、わざわざ飛び込んでくるような人間など存在しない。突然の出来事に理解が追いつかず立ち竦んでいた人々は、弾かれたように壁際へと退避し始めた。
 その様子をちらと見て、クロウは部屋の奥へと進撃する。今はまだ敵が多いが、数が減ってくれば自身の望む情報を持つ人物も見つかるはずだと考えながら。

 数多の吸血鬼たちを物ともせず進んでくる猟兵。立ち向かおうとする者もいれば、逃げようとする者も出る。
「くそ、こうなれば俺の物だけでも――ん!?」
 その逃げようとする一人。自分の連れてきた奴隷だけでも回収しようとした吸血鬼が、贄の入れられていた檻を見て、ギョッと目を見開く。檻が空になっていたのだ。その傍らには、集められた贄を誘導していくドレス姿の娘が二人。
「あいつらかッ!」
 逃げる事も戦うこともせずに、ただの人間たちに過ぎない贄に構う二人。猟兵たちと手を組んでいるのは彼女らに違いないと、憤怒の表情を浮かべて檻へと向かおうとする吸血鬼。だが、その場から動き出した直後、頭上より襲来した機馬に踏み潰されて絶命する。機械仕掛けの馬を駆るトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)だ。
 馬上槍を振り回し、長大なシールドで殴りつけて吸血鬼を蹴散らしていく。トリテレイアは己の後方で贄を助け出していく二人を、そして贄となっていた人々を守護するように、吸血鬼たちの前に立ち塞がった。
「させませんよ。あの方々を傷つけるというなら、私が相手になりましょう」
「そうそう! こっちには武器もたくさんあるんだからね!」
 生贄の救出の動きを見た須賀原もトリテレイアの傍らに駆けつけて、持参した武器の数々を見せつける。実はそろそろ使用期限が近かったりする、ちょっと曰くの付いた武器ばかりだが、関係ない。今夜全て使い切れば良いのだ。
「武器の処分にうってつけだね、ここは」
 丸腰で猟兵とやり合う吸血鬼たちにとっては有り難くない言葉を呟きながら、目眩ましとして大量の爆竹を吸血鬼たちの只中へと投げ込む。殺傷力こそ無いが、怯ませるには十分な威力だ。
「させないと言ったでしょう。私はここに集められた人々を、そしてこの部屋の先にいる少女達を救いに来たのです」
 騎士として馳せ参じたトリテレイアの宣言。必ずそれを為すという決意に満ちた言葉。
 爆竹を物ともせず強引に突破しようとした命知らずの吸血鬼には、狙い澄ました馬上槍が突き刺さり、後に続こうとした者達の足ごと止める。
「ここから先は通行止め! 回り道も禁止だよ!」
 二人の間合いを迂回しようとする動きを見せた吸血鬼には、須賀原が構える重火器の一撃が叩き込まれ、その余波で他の吸血鬼も纏めて吹き飛ばされる。これも砲弾に用いた素材が劣化しかかった物ではあるが、問題なく作動しているようだ。
 生贄を助ける猟兵たちと、彼女らを守護する者。この一帯には、完璧な布陣が敷かれていた。

「く、くそ、こんな所にいられるか! 私は館に帰らせてもらうぞ!」
 猟兵達の破壊活動で崩れかけた壁を殴り、横穴を作って強引に会場を抜け出そうとする一人の吸血鬼。その背後に白銀の処刑人が降り立つ。
「逃さない。貴方は有罪。死刑。たった今、私が決めた」
 無慈悲に言い渡される死刑判決。壁を破ろうと腕を振り上げた吸血鬼が振り向くより先に、目にも留まらぬ早業で振るわれたイベリアの斧が吸血鬼の体を滅多打ちにした。
 斬刑を執行する姉を狙おうとする不届きな影には、妹のリリィが対応する。
「させるものか――!」
 姉の背後を狙おうとした吸血鬼の爪を、携えた大盾で受け止めたリリィ。力任せに盾で弾いて、よろめいた隙を狙ってナイトメアソードを一閃させる。
「ありがとう、リリィ」
「いいのよ、姉さん。守りは私に任せて」
 声を掛け合い、互いの防御を万全に固める姉妹を見遣り、フェンはそっと息を吐く。
(これなら、亡霊に頼らなくても良さそうですね)
 フェンはいざとなったら【戦場の亡霊】を用いて、戦況をひっくり返すつもりだった。しかし、現状を見る限りではその必要はなさそうだ。
 長大なライフルを己の手足の如く操り、有利な位置に立ち回りながら吸血鬼たちを翻弄する。鋭い爪で接近戦を挑んできた吸血鬼の顎を蹴り上げて、跳躍。別の集団の中へ飛び込み、再び銃撃。流れ弾として、部屋に飾られていた絵画と装飾も粉々に撃ち抜いていく。
「宴の内容も悪趣味なら、装飾も悪趣味ですか」
 本当に嫌な領主だ。まともな感性では理解できない芸術品を粉々にしながら、フェンは次なる標的へと狙いを定めた。

「お待ちなさい、どこへ行くのですか?」
 人々が比較的安全な壁際へと固まり、装飾物やテーブルを用いた即席のバリケードが築かれる中。バリケードの下から這い出して、あらぬ方向へ歩き出そうとした男の動きを見咎めたトリテレイアが、馬と共にその行く手を阻む。赤いベストを着用した眼鏡の男は、その巨体に気圧されて視線を泳がせた。
「……お前は、ゼラの居場所を知っているのか」
 手刀で攻撃しようとしてきた吸血鬼の一撃をガントレットで弾き、ハルバードで相手を切り払ったクロウもその様子を見て駆けつけてくる。
 二人と一頭に囲まれた男は、おろおろと視線を泳がせて、助けを求めるように給仕の方を見る。が、頼みの同僚たちはそっと目をそらすか、バリケードの影へと引っ込んでしまった。
「知っているなら、教えてほしい。ゼラは何処にいる?」
 クロウは男の顔を覗き込み、再度訊ねる。ベストを着た男は観念したように、あるいは耐えられなくなったかのように口を開いた。
「べ、別館からいける、裏庭の……温室に。あの扉から中庭に出て、あとは別館を、突っ切って、いけば……」
 長身の男二人に囲まれる威圧感。その中で何とか言葉を返せたのは、トリテレイアが醸し出す優しげな雰囲気のお陰か。赤いベストの男は、あの扉から奥に行けると部屋の一角を示し、俯く。
「どうすれば、いいか、分からず……ゼラ様の指示を、仰ごうと……」
 周囲の壁と同じ色に塗られて、目立たないように細工された小さな扉を示して俯いたまま、ぼそぼそと付け加える男。恐らくこの男が『雑用係』なのだろう。意志薄弱な表情からは、自身で思考する能力を根こそぎ奪われた、卑屈な奴隷を思わせる色が滲んでいた。
「……そうでしたか。大丈夫ですよ、私達に任せて下さい」
 トリテレイアはそんな雑用係にそっと声をかけて、バリケードへ戻るように促す。クロウは頷き、よく言ってくれたと雑用係の肩を軽く叩いてから、顔を上げて息を吸う。
「あそこだ。あの扉から進んだ先にゼラはいる……!」
 会場中に響き渡る、猟兵たちへの周知。クロウが示した場所に視線が集まり、彼がこの先に必要な情報を引き出せた事を知る。
「クロウさん、感謝しよう。それが分かったのなら、私は――遠慮せず、最大限にぶち壊してやろう!」
 姿の見えぬ雑用係への不幸な事故を警戒して、今まで力を抑えていたリリィは獰猛な笑みを浮かべる。
 斬った敵に悪夢を見せる剣が一閃し、吸血鬼の傍らにあった造花ごと斬り飛ばす。加減無く奮われる力を胸に溢れる正義の心と共に叩きつけて、彼女は妹と肩を並べて思うままに戦い始めた。
 フェンもまた、会場から逃げ出そうとする吸血鬼を中心に銃撃し、誰一人逃さないと体術での戦いを挑む。
 救出した贄達を守るように一箇所に留まり、大量の火器と爆竹で吸血鬼を牽制する須賀原。トリテレイアは機馬の機動力を活かしながら、バリケード周辺から吸血鬼たちを散らしていく。
 そして、クロウは扉へと繋がる道を文字通り切り拓くため、再びサカホコを携えて、会場を駆け抜ける。

 前線が押し上げられ、挟まれるように追い詰められていく吸血鬼たち。万が一の流れ弾や事故、無理やり突破してこようとする吸血鬼を駆逐していく戦士たち。バリケードの影から見ている人々の表情に、希望の色が差す。
 自分達は殺されずに済んだ。そして、恐ろしい吸血鬼たちを倒す勇士が現れた。そう理解した人々の歓声が湧き上がり、会場を包み込んだ。

 数刻も経たない内に吸血鬼は会場から一掃され、感謝の言葉を述べようと駆け寄る人々。
 感謝されるにはまだ早いと、彼らを押し留めた猟兵達は、館の奥へと足を踏み入れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『オルトロス』

POW   :    くらいつく
自身の身体部位ひとつを【もうひとつ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    ほえる
【悲痛な咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    なかまをよぶ
自身が戦闘で瀕死になると【影の中から万全な状態の同一個体】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 宴会の会場を抜けて、館の中庭へと進む猟兵達。その行く手を阻むように、揺らめく影が現れる。
 影の数は一つ二つと増えていき――あっという間に猟兵達を取り囲める程の数となる。

 番犬として放たれたオブリビオン――オルトロスが侵入者を排除すべく、続々と集いつつあった。
クロウ・タツガミ
他の猟兵と連携、アドリブ歓迎だ

【POW】

次は獣か、押し通らせて貰おう

辺りを【情報収集】し【地形を利用】して囲まれにくい狭い通路などで戦うつもりだ。武器はサカホコ(槍)、狭い場所だ突く攻撃が有効ではないかな。【戦闘知識】を用い、【怪力】による【2回攻撃】で敵を【串刺し】にして、狙えるなら【傷口をえぐる】つもりだ

新手か、だがここなら

新手には【力を溜め】たレプリカの【投擲】で【先制攻撃】だ。敵の攻撃はガンドレットによる【盾受け】で防ぎ、近くの猟兵への攻撃は極力【かばう】つもりだ、多少の攻撃ぐらいなら【激痛耐性】で動きが鈍ることもあるまい

ここで、避けれるか?

敵の群れに対しては纏めて黒帝九相で攻撃だな



「次は獣か……押し通らせて貰おう」
 じりじりと距離を詰め、こちらを追い込もうとする番犬達。囲まれそうになりながらも、クロウは冷静な表情のまま、外套の前を僅かに広げる。そこから這い出て来るのは、有翼の黒蛇だ。
 黒蛇は数度空中で羽撃いた後、音もなくその姿を異種の物へと変容させる。
「――滅べば皆、九相に至る」
 生きた拷問器具であるマガホコのもう一つの姿。数多の拷問器具が包囲網を敷く番犬達目掛けて、一斉に襲いかかった。
 周囲に散った猟兵を避けて、思うままに番犬のみを蹂躙する【黒帝九相】。包囲網の一部を食い破り、クロウは庭園を疾駆する。先ほど盛大に仲間割れをした吸血鬼たちとは違い、互いに連携を取って着実に猟兵たちを取り囲もうとする番犬と戦うために、最も適した地形を探し始めた。

(――あそこだな)
 月明かりだけが光源となる乏しい視界の中、漆黒の瞳が捉えたのは歪な形を描く長いアーチ。庭園の一角、温室へと繋がる通路代わりになっているそれは、クロウが求めていた地形に近いものだった。
 洒落た煉瓦敷きの大地を蹴り、クロウは通路の中へ飛び込む。支柱に沿って蔓薔薇がびっちりと、隙間なく絡みついた一本道の通路。背後から襲撃されることも、頭上から強襲されることも無いだろうと踏んでの事だ。
 それに狭い一本道ということは、刺突が最も効果を発揮できる状況。己の武装であるサカホコの性能を、最大限に振るうことができる。
 その狙いに気付かず、あるいは気付いた上で飛び込んできたか。クロウを追い回してきたオルトロスも、同じように通路へと突入してきた。そのまま通路の先で待ち受ける男へと、尾についた頭部で食らいつこうする。しかし振り回されながら迫る長い尾は、薔薇のアーチに引っかかってしまい、勢いは大幅に減じていた。
 速度の乗らない攻撃など、何の脅威でもない――クロウは迫る頭部を片手で鷲掴みにして、ぐいと力任せに番犬を引き寄せた。対するオルトロスも地に爪を立てて抗うも、その怪力の前では無駄な抵抗として終わる。
 そのまま引き寄せられ、サカホコで刺し貫かれるオルトロス。それを入り口の方へと投げ飛ばしたクロウは、その影から揺らめく陽炎のような輪郭を見る。他の個体が仲間の影に隠れていたらしい。
(……新手か、だが)
「ここなら、問題ない……!」
 外套の袖に仕込んでいたレプリカを、影へ向けて投擲する。きゃん、という哀れっぽい鳴き声でナイフの命中を知らせながらも、番犬は尾を操り、もう一つの頭部としてクロウを噛み砕かんと迫る。
「どうした?」
 響く金属音。オルトロスの鋭い牙をガントレットに食い込ませたクロウは、顔色一つ変えずに無機質に問いかけた。
 食らいつかせたまま間合いを詰めて、再び槍を突き出す。狙うのは額。恐らくはレプリカが刺さったであろう、血を滲ませる箇所。頭部を正面から叩き割られたオルトロスは、脳漿を撒き散らしながら崩れ落ちた。

 徐々にその姿を薄れていく骸には目もくれず、薔薇のアーチの下、黒の外套を纏う男は次の獲物を待ち受けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソモ・サン
ちっ!一足遅れた!
もう一歩早ければ、下準備もできたのに…

これだからほかの奴らは信用できないのよ!
こうなったら仕方ない『絶望の福音』を使いながら懐に飛び込んで喉元を切り裂くしか…!

(怪力・暗殺)
攻撃に細心の注意を払いつつアイツの死角から喉笛に思い切り突き刺してやるっ!

(SPD)
こうなったら早さが勝負、一瞬で近づいて即時離脱!



(誰も信用できないわ……アタシ一人でやってやる)
 至る場所で戦闘が始まった庭園を睥睨して、ソモ・サン(闇夜の暗殺者・f13667)はひっそりと夜闇に潜む。
 狙い定めたのは、群れより離れて他の猟兵の隙を伺っている個体。遊撃手のような立ち位置なのだろう。付かず離れずで戦場の外周を彷徨いつつ、時として仲間のフォローに入るような立ち回りを見せる。面倒なのは、ああいうタイプの敵だ。
 それを仕留めるべく、ソモは身を隠していた茂みより動き出す。
 だが、一体だけ群れを離れていたオルトロスは、何者かの気配が動くのを察知したのだろう。その場で空を仰ぎ見た直後――広範囲を無差別に攻撃する、悲痛な咆哮を放った。
 手入れされた花壇が刻まれ、宵闇に花が散る。散った花弁も空気を震わせる悲鳴に晒され、瞬く間に粉微塵へと変わる。道を飾る煉瓦が罅割れ、瓦礫と化す。
 己を狙う敵がどこにいようが関係ないとばかりに放たれる無差別攻撃。無限に続くかと思われた攻撃は、十秒も経たない内に、耳障りな余韻だけを残して終わる。
 その瞬間。

「うるさいのよ、静かにしなさい」

 叫喚し終えた直後のオルトロスの喉元に、異形の暗器が勢いよく突き立てられる。背後から奇襲をかけた女は、突き刺した暗器でオルトロスの首を引き裂き、その巨体を蹴倒した。
 周囲を無差別に傷つける遠吠の範囲、威力、そしてそれが終わる瞬間。それら全てを予測し、番犬を葬る瞬間を狙っていたソモ。【絶望の福音】が齎す回避能力で、攻撃のぎりぎり範囲外となる場所に陣取って、この時を待っていたのだ。
 仲間が斃される瞬間を見て暗殺者を包囲しようと追い縋る他のオルトロスを振り切り、彼女はすばやくその場を離れる。一瞬で近づき即時離脱する術は、暗殺の基本だ。元より集団戦も乱戦も、正面切った戦いも望んでいない。

 己に有利な立ち位置を確保し続けるべく、ソモは再び夜闇に身を隠した。

成功 🔵​🔵​🔴​

リコリス・シュピーゲル
可愛くないわんわんね
ほら、骨をあげるから地獄まで取りに行ってらっしゃいな
…失礼しました、そのなりじゃ骨はなさそうね

少し離れたところから【ドラゴニック・エンド】
「スナイパー」の狙撃力で頭部を狙い、「槍投げ」で貫いてみせましょう
当たったのならフラム、地獄へご案内なさい
「2回攻撃」「属性攻撃」「範囲攻撃」であれの周りを炎の海にして差し上げるの

増えた頭部は「オーラ防御」で注意しておきますわ
「誘導弾」で私と反対方向にいるわんわんに意識をそらせれば少しは楽かしら

絡みアドリブ等大感激


トリテレイア・ゼロナイン
さて、番犬達の排除と参りましょう

機械馬に「騎乗」し、突撃しながら「怪力」で槍と盾を「なぎ払い」攻撃します。噛みつき攻撃には「武器受け」、咆哮には「盾受け」で対処

相手の生命力を体温や息遣いなどからセンサーで「見切り」瀕死になりそうな個体を見つけたら馬で「踏みつけ」た直後に槍で確実に止めを刺します
仲間など呼ばせるつもりはありません

警戒されて距離を取られたら格納隠し腕を「だまし討ち」するように放ち、拘束。
そのままワイヤーを巻き取り槍の穂先で突き刺すように戻しましょう


須賀原・あすむ
さぁ ワンちゃん達遊んであげるよ!

垣根を遮蔽物にしつつオルトロスたちをドラゴニアンチェインで繋いでいきます。ある程度繋いだら鎖を使い、まとめて拘束したところで黒剣で首を刎ねていきます。
仲間を呼ばれたら垣根を使いつつまたドラゴニアンチェインを撃ち込んでいきます


フェン・ラフカ
次は獣の群れですか……吸血鬼よりは手強そうですがやる事は変わりません。
ただ今回は後方での支援攻撃を主体としましょう。

後方から増える増援、味方の死角をカバーする様に立ち回ります。
私のは狙撃銃ですから本来の使い方をするだけですので。


愛銃の『スナイパー』で『2回攻撃』すればいくらかは止めれると思います。
私の周囲にはUC【レプリカクラフト】で作った仕掛け罠を。
そしてソレを超えて近づいてくるのは『フック付きワイヤー』で縛り上げて素早く倒す。

この群れを抜けれるよう、ただひたすら的に、愛銃を撃ち続けます。

※絡み・アドリブ等歓迎です。



 包囲網が崩れても、新たな番犬が影より現れ、加勢する。だが、猟兵達の勢いも衰える事はなかった。
「さて、番犬達の排除と参りましょう」
 真っ先に飛び出していったのは、巨大な白馬を駆るトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)だ。馬上槍を携えて突貫し、立ち塞がろうと飛び出してきたオルトロスを轢き潰すく。鋼鉄を身に纏った騎士は、敵の只中で愛馬と共に奮迅する。
「さぁ、ワンちゃん達、こっちにおいで! 遊んであげるよ!」
 黒剣を構えて、広い庭園の敷地で低空飛行する須賀原・あすむ(ファントムブラック・f03833)は、オルトロスの集団へ向けて闘気を撃ち込んでいく。炸裂する闘気は鎖と化して番犬同士を繋ぎ、拘束していく。犬に追いかけられ、時として繰り出される増えた頭部を避けながら、須賀原は冷え冷えとした空気を裂きながら、垣根を遮蔽にしつつ飛び回る。
「でも、可愛くないわんわんね」
 愛嬌の一つでもあれば、たくさん遊んであげるというのに。そう嘆息しながら、リコリス・シュピーゲル(月華の誓い・f01271)は群れより離れた番犬へと氷の誘導弾を飛ばして、気をそらせる。
「ええ。それに、先ほど仲間割れしていた吸血鬼よりかは手強そうです」
 リコリスの言葉に答えたフェン・ラフカ(戦場傭兵な探索者・f03329)が、誘導弾に気を取られた個体へと狙いを定めた。
「ですが、私のやる事は変わりません。この群れを抜けられるよう戦う。それだけです」
 照準は一瞬。フェンの愛銃が短い咆哮を上げると同時に、番犬がもんどりうって倒れ伏す。
 館内にいた時は体術と合わせて用いられていた武器の、本来の使い方。増える増援と味方の死角から襲撃する敵を狙撃し、後方支援を主体とする戦法だ。
 自身の周囲に精巧な仕掛け罠を展開する狙撃手は、味方の支援へと再び動き出した。

「そろそろいい感じかな?」
 自身の手に伝わる重さを感じた須賀原は、自身を追うオルトロスの数を見る。垣根より高く飛翔して見た数は、須賀原が想定していた数を上回っていたが――『問題ない』と判断できる頭数だった。
 飛翔したまま黒剣を持たない手で鎖を操り、己を追ってきたオルトロスを一纏めに拘束する。
「まとまっていると、こうなるんだよ?」
 一纏めとなった番犬達へ、須賀原の黒剣がすれ違いざまに暗闇の中で閃く。咆哮で迎撃することも、仲間を呼んで助けを求める事も出来ず、オルトロス達の首がごろりと落ちていった。
 その様子を傍目に見ながら、トリテレイアも怪力を活かした槍と盾の一撃で、自身を取り囲むオルトロスを屠っていた。全身に装備された様々なセンサーで得た情報を解析しつつ、迫る頭部をランスで弾き、カウンターとばかりに貫いてやる。
「む……っ」
 この一撃で、深い刺し傷を受けた個体が群れの中へと消える。姿を隠して、仲間を呼ぶつもりなのだろう。外見的な差異が殆どない同族の群れの中に紛れ込めば、特定の個体を探し当てるのは困難だが――。
「残念ですが、私には通用しませんよ」
 ロシナンテⅡと共に、瀕死のオルトロス目掛けて跳躍する。外見的な差異のない同族同士の群れの中、トリテレイアのセンサーは個体ごとの状態もしっかりと捉えていた。
 そのまま瀕死の個体を踏み潰し、槍を突き刺して確実に止めを刺す。運良く生き残られて、新手を呼ばれるわけにはいかない。
 敵わないと悟った数匹が、他の者を狙おうとして騎兵の周囲から離れていく。その行動への対策も織り込み済みだ。
「騎士の戦法ではありませんが……不意を討たせて頂きます」
 うち一体目掛けて、格納されていたワイヤー制御隠し腕を放ち、掴み上げて拘束した。オルトロスを掴んだ腕のワイヤーをすぐさま巻取り、槍の穂先で突き刺してから戻す。トリテレイアから離れる事に成功した個体はいたが、それを許さない者達がいた。
「止まりなさい」
 連続で撃ち込まれた魔弾。それ以上動くことは許さないとばかりに、狙い澄ましたフェンの連撃が、次々に番犬へと襲いかかる。
「ほら、わんわん。いいものをあげるわ。地獄まで取りに行ってらっしゃいな」
 リコリスもまた、舞踏を思わせるターンから携えた槍を投擲する。細い弾丸と化した槍は彼女の狙い通りに、こちらへ迫ろうとするオルトロスの頭部へと突き刺さった。
「リコリス様、こちらへ!」
「ええ、お願いします」
 武器を投げたことで丸腰となったリコリスの元へ、番犬の群れより再び跳躍したトリテレイアが颯爽と駆けつけて、馬上へと導く。
「よし、ならボクは……!」
 垣根越しにその様子を確認した須賀原が、闘気で援護する。二人と一頭を追おうとするオルトロス達にオーラが炸裂し、鎖で繋がれた番犬達を群れの中へと押し戻した。
 首を繋がれた番犬達が行き着くのは、同族の群れの中――リコリスの槍が命中した仲間が転がり込み、今は赤の火竜が頭上に待ち受ける庭園の広場。
「フラム、地獄へご案内なさい」
 主の命を受けた赤竜は、返事代わりにその口腔を赤く染める。夜闇に映える赤光が膨れ上がって放たれれば、眼下に広がる庭園を焦熱地獄へと変貌させていく。
「おっと! わんちゃん、ハウスだよ!」
 難を逃れようとした番犬達は、須賀原の撃ち出す闘気で弾き飛ばされ、地獄の中へと纏めて投げ入れられた。全身を焼かれ、数多の番犬達の苦痛の叫びが、炎の中から上がる。
「――皆さん、私の後ろへ!」
 番犬達の悲鳴に不穏な気配を感じたトリテレイアが、仲間へ向かって叫ぶ。共に騎乗するリコリスも彼の意図を察して、自身のオーラを展開した。
 その直後、猟兵達へ悲痛な咆哮が襲いかかる。全身を焼かれ、逃げる事もままならないオブリビオンが一斉に放つ、末期の絶叫。トリテレイアとリコリスは、それぞれ身の丈程もある縦長のシールドと咲き誇る花のオーラで、咆哮による無差別攻撃を受け止め、後ろに立つ仲間達を守護する。
「させません――!」
 死に物狂いとなって業火を突破し、火の粉を撒き散らしながらも、防御の隙を狙って騎士と人形に迫るオルトロス。そんな根性のある番犬に、フェンの魔弾が雨霰と浴びせられる。
「ほら、戻って戻って!」
 魔弾が致命傷とならず、あるいは即死に至らなかった個体には、須賀原の闘気が炸裂した。オーラの鎖で繋ぎ止められ、須賀原が鎖の端を手繰って振り回せば、再び焦熱地獄に叩き込まれる。
 逃げる事も、抗う事も、救いを求める事も許されない地獄。夜空を赤く照らす炎の中で、一つ、また一つと、黒い影が姿を消していった。


 永遠に燃え続けるかと思っていた炎が、穏やかな熾火へと変わる頃。
 無限とも思える程の数を誇っていた番犬たちは、一匹残らず滅ぼされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ゼラの死髪黒衣』

POW   :    囚われの慟哭
【憑依された少女の悲痛な慟哭】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    小さな十字架(ベル・クロス)
【呪われた大鎌】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    眷族召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【眷族】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 別館から続く裏庭。先ほど戦場となった中庭ほどではないが、十分な広さを持つそこに、少女達はいた。
「……」
 開け放たれた温室から出てきた黒衣の少女が、無表情に猟兵達を見つめる。
「え、ぁ……?」
 少女の背後では、両手足を縛り上げられて椅子に座らされている娘が、困惑の――助けが来たと思っていいのか、それとも自分の迎えが来てしまったのか、判断が付かない表情でこちらを見ていた。
「そうか。……やけに騒がしいと思っていたが、それは宴を楽しむ友の声では、無かったのか」
 十に届くかどうか怪しい外見の少女の口から放たれる、成熟した女の声。
「つまり、こうか。お前達は、私の楽しみを奪い、蹂躙してきたというのだな」
 少女が虚空へ手をかざすと、自身の体躯を大幅に超える大鎌が現れる。
 大鎌を軽々と持ち上げて構えた少女は、す、と目を細めた。

「よくもやってくれたな、命知らずめ。まさか――生きて帰れるとは、思ってはいないだろうな?」
フェン・ラフカ
セシルさんから事前に聞いていた話によれば本体のゼラはあくまで黒衣との事。
そして”彼女”の生死不問…とはいえ出来る事があるのに諦めるのは私の信念に反します。


彼女を助ける為に1つ面白い話をしましょう。(銃から弾倉を外す)
私、気が付いたら”敵”を確実に撃ち抜ける様になったんですよ。(ボルトハンドルを引いて銃内の弾も抜く)
ほら、この様に弾の無い銃なんて只の鈍器なのですが…(空に向けてトリガーを引く)

弾すらも装填されていない銃を『ゼラに囚われた少女』ではなく『ゼラの死髪黒衣』へと真っ直ぐ狙う。

「我らが往く道を阻む障害、仇なすモノを射抜く力と成れ」

…こうすると、撃てるんですよね?


※絡み・アドリブ歓迎です。


ソモ・サン
アンタが、今回のターゲットね?
話では、少女に憑依して操ってるって話だったけど

まさか、ここまで小さな子だなんてね……

でも、ごめんなさい。
今回の仕事は貴女の生死まで含まれてないの…

だから……
我が血を代償に、よこせ!鬼神の如き力!『降鬼顕彰』!!

アタシの「第六感」に従って「先制攻撃」を仕掛ければ
「忍び足」からの「だまし討ち」で「暗殺」だって可能なはずよ。

最悪、失敗しても「生命力吸収」さえ出来ればかなりのダメージにはなるはず…

せめてもの手向けよ、一息で送ってあげるから……

他の猟兵やアドリブ等を歓迎です。



「少女に憑依して操っているって話だったけど……」
 まさか、ここまで小さな子だなんて。
 黒鎌を構える"ゼラの死髪黒衣"に向かってソモ・サン(闇夜の暗殺者・f13667)が、一歩踏み出す。
「操るとは人聞きの悪い。"私"として使っているだけだろう」
 少女の体に不釣り合いな女の声。理解ができないと言いたげに"ゼラの死髪黒衣"は首を傾げた。
「そう。でも、ごめんなさい。今回の仕事に貴女の生死まで含まれてないの」
 ソモは淡々と返し、昏い瞳でフードの下にある少女の顔を見つめる。憑依された少女の生死は不問。オブリビオンの討伐さえ成せば、この仕事は終わりだ。ソモの手にダガーが握られ、す、と片方の手首に刃が添えられる。
「我が血を代償に、よこせ! 鬼神の如き力!」
 夜の闇に銀が奔り、鮮血がその軌跡に追随する。庭園へと散るはずだった赤は、中空で何かに喰われたかのように掻き消えて――。
「!!」
 黒衣の少女が鎌を振り、暗殺者の一撃を受け止める。【降鬼顕彰】で己の肉体を蝕む事で発動する強化術。片手を伝い、地面へと垂れ続ける血が、ソモの払った代償を物語る。
 第六感で攻撃の機会を察知して放った神速の先制攻撃。それを受け止められた事を知った途端、反撃を貰う前にソモは夜闇へと姿を消していった。

「……驚いたな。この体が"何"か知って殺しに来るとは。……お前もそうか?」
 姿を消した暗殺者への警戒を解かず、少女は狙撃銃を携えるフェン・ラフカ(戦場傭兵な探索者・f03329)へと問いかける。
 ヴァンパイアの問いに、フェンは少しだけ顎を引くように頷いた。
「ええ、貴女に乗っ取られた"彼女"の生死は問わないと聞いていますから」
 淡々とした口調に黒衣の少女の唇が醜悪に歪み、温室で囚われの身となっている娘が息を呑む。
「とは言え……出来る事があるのに諦めるというのは、私の信念に反します」
 だが、それに続いたのは先に告げたものとは違い、己の道に嘘はつけないと宣言する言葉。狙撃銃を向けて、フェンは断言した。
「ですから、ゼラ。その子は返してもらいましょう」
「なんだ。……面白くないな」
 この体が死ねば、面白いものが見られただろうに。つまらなそうに溜息を吐いた少女の黒衣がはためき、大量の蝙蝠が裾から飛び立つ。向かう先は当然、困難な戦いを選択したフェンの下だ。
「まあ、そう言わずに。せっかくですし、一つ面白い話をしましょうか?」
 群がる蝙蝠をワイヤーで散らして、フェンは世間話を思わせる口調で切り出す。
 軽やかに語りながら、彼女はスムーズな動作でロキ・ストレェトから弾倉を取り外す。突如武装解除し始めたフェンに、黒衣の少女は怪訝な表情を浮かべた。
「私、気がついたら"敵"を確実に撃ち抜けるようになったんですよ」
 続いてボルトハンドルを引いて、銃内の弾丸も全て抜き取る。たった数秒の内に、銃という武器が奇妙な形状の鉄の塊へと成り下がった。
「このように、弾のない銃なんて只の鈍器なのですが……」
 銃という鈍器を薙いで蝙蝠を消し飛ばし、空に向かって引き金を引くフェン。何も発射されないのを見たゼラは、僅かに口角を持ち上げた。玩具を振り回すだけの女に用は無いと、黒衣の下より再び眷属を呼び出す。
「はは、猟兵と言えど奇行に走る事もあるのか。ああ、食い荒らしてこい。私は……!」
 大量の眷属をフェンにけしかけた少女は、背後へ振り向きざまに大鎌を一閃させた。その途中で耳障りな金属音が響き、白い火花が散る。
「……馬鹿め、警戒されていないと思っていたか」
 延髄を狙う一撃を防いだ少女が、襲撃者――ソモを嘲笑う。幾ら気配を消しても、戦場という特殊な状況下で暗殺を狙うのは、黒衣だけを狙う以上に困難な選択だったのかもしれない。しかし、攻撃を防がれたソモの顔には焦りも驚愕も、何も浮かんでいなかった。
「馬鹿ね。アタシが警戒されてないと思っていたの?」
「――ぐぅッ!?」
 不敵な言葉と同時に飛来したのは、予め放っていた手裏剣。死念と名付けられた暗器が、少女の右足を黒衣ごと裂いていく。肉体に感じた痛みに怯みかけた少女の表情が、憤怒へと変わった。
「よ、くも。よくも、よくも! 私の、体を……! 私を、傷つけたな……!」
 夜宴のために選んだ、とっておきの綺麗な体を傷付けられた怒り。その激情に任せて、呪われた大鎌が振り回される。【小さな十字架】と名付けられた、超高速かつ大威力の一撃。飛び退いて躱そうとしたソモは腕を斬り裂かれ、攻撃の余波で庭園の床を転がっていく。
 ゼラはそんなソモに追い打ちをかけようと、血を流す足で踏み出そうとするが、

「我らが往く道を阻む障害――」

 後方より聞こえる声。少女が咄嗟に振り返って見たのは、弾が出ないはずの銃口を向ける女の姿。
 脅威でも何でもない姿に、ゼラの中で警鐘がけたたましく鳴り響く。逃げを打とうと足に力を込めた少女の体が、ぐらりと大きく傾いだ。何故か足に力が入らない。先程手裏剣で付けられた傷は、行動に支障が出る程の痛みではないと認識していたゼラの思考に、困惑が生まれる。
(……暗殺が失敗した時の保険なんて、考えてあって当たり前よ)
 体勢を立て直したソモは、ふらつく少女を冷めた目で見遣り、再び夜の闇に紛れる。殺せないなら、次を狙うまで――あの手裏剣で付けた傷は、黒衣の少女の生命力を奪う事で行動を阻害し、次の攻撃で殺せる確率を上げるためのものだ。傷ついた腕が十分に動くほど治癒したのを確かめてから、ソモは次の機会を狙う事にした。
「仇なすモノを射抜く力と成れ!」
 フェンの叫びと共に、何も出ないはずの、只の鈍器へ成り果てた銃が吼える。【フレイ・カ・グル】――放たれた魔弾は、フェンを取り囲む蝙蝠を四散させて、その主へと迫った。
「あぅっ!?」
 つんのめって地を転がり、避けようとしたゼラの悲鳴が上がる。肉体は無事だ。しかし、ふわりと風をはらんで揺れた黒衣の裾は無事ではなかった。魔弾によって穿たれ、決して小さいとは言えない風穴が開けられる。
「何故だ、お前は先程弾を……!」
 鎌を支えにして立ち上がるゼラが驚愕の声を上げる。対するフェンは、その双眸に冷たい光を宿したまま、そっと口元に笑みを浮かべた。

「こうすると、撃てるんですよね? 私の弾丸は、貴女が何処にいようと――絶対に貴女だけを撃ち抜いてみせましょう」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
私はそこの姉妹をお救いするためにここに馳せ参じました
ゼラ、貴女のような襤褸布に用はありません。

姉妹の生存を最優先で行動

慟哭、眷属や大鎌を「武器受け」「盾受け」で対処しながら、脚部スラスターを点火、地面を「スライディング」しながらゼラに急速接近、武器を捨て片手は「優しさ」をもって少女と「手をつなぎ」、もう片手は「怪力」で黒衣を拘束します

ゼラに囚われた少女に「今、私達がお救いします」と励ましつつ、味方が黒衣を破壊しやすいよう動きを封じる役割を担いましょう

少女の慟哭を至近距離で受けることになるでしょうが騎士として退くわけにはいきません

姉の救助に向かう味方には遠隔「操縦」する機械馬で支援します


蛇塚・レモン
あの黒衣を引き剥がせばいいんだよねっ?
だったら、あたいの超霊力オーラの念動力にまっかせなさぁ~いっ!

敵の慟哭はこの際、オーラ防御+激痛耐性+勇気+気合いで堪える!
あっ、射程範囲があるっぽい?(学習力+戦闘知識
だったら念動力で空を飛んで(空中戦)射程外へ逃げよっと!
あたいのユーベルコードは遠距離からでも通用するから、空から発動!
スナイパー+念動力+衝撃波+マヒ攻撃で黒衣の動きを止めてからの、二回攻撃で黒衣をユーベルコードの鎖と蛇腹剣で切り裂いて中身の少女が脱げやすくしてみせるよっ!
なんなら、あたいのユーベルコードで中身の少女を黒衣から引っ張り上げてみようっと!
絶対助けるからねっ!(医術+優しさ)


須賀原・あすむ
さぁ 宴もフィナーレだ。ここで決着だよ!

取り憑かれた少女の救出も視野に入れて行動します。
ドラゴニアンチェインを黒衣だけを狙って何度も撃ち込みます。少女の傷つき具合がひどいようなら攻撃をとめて鎖で引っ張り黒衣を剥がしにかかります。

また、まわりの猟兵さん達に逃げた黒衣がお姉さんに取り憑かないように避難を促し、逃げようとするなら黒衣に更にドラゴニアンチェインを撃ち込み自分と繋いで逃げられないようにします。



 庭園の片隅にある温室で、須賀原・あすむ(ファントムブラック・f03833)が屈み込んでいた。
「お姉さん、ちょっとじっとしててね!」
 手足を縛られた娘の傍にしゃがみ込み、黒剣を滑らせて彼女の拘束を解く。避難を促すだけのつもりだったが、縛り付けられた状態で『逃げろ』というのは難しいと判断したのだ。自由の身となった娘が自立しているのを確認してから、須賀原は温室のすぐ外で待っていた鋼鉄の白馬を呼び寄せた。
「よし、あとはこの子に乗って逃げて。ゼラが簡単に追いかけてこれないぐらい、結構遠くへ!」
 そう言って白馬へと乗るように促す須賀原。娘は頷いて同意を示すが、揺れる瞳で戦場を見つめて、そして須賀原へと視線を戻す。
「あの……」
「ん?」
 震える声で切り出され、須賀原は小首を傾げた。
「ミナは……私の妹は、どうなりますか? あの子は、助かりますか? 助かるのは、私だけ……なんですか?」
 恐怖よりもなお強い、自責と不安に満ちた縋り付くような声。吸血鬼に体を利用された妹は助からないのではという悲観。その問いに、心配要らないと須賀原は快活な笑顔を返して、娘の手を取った。
「大丈夫、妹さんの事はボク達に任せて! ボク達、あのヴァンパイアより、ずーっと強いんだ!」
 不安げな娘を元気つけるように、ぎゅっと両手を握ってから離した須賀原は、笑顔のまま両腕と翼を広げる。
「絶対に助け出すから、お姉さんはちょっと待っててね!」
 絶望という分厚い雲を払い、大地を照らす太陽を思わせる、明るい表情。そこに一筋の希望を感じ取った娘は、今度は期待と信頼を込めて、しっかりと頷く。
「わかり、ました。どうか……妹をよろしくお願いします」
 最後に深く頭を下げた娘が白馬にしがみつき、跳躍と共に去っていく姿を見届けてから、須賀原は竜翼を羽撃かせて夜の空へと飛び上がった。

「あの黒衣を引き剥がせばいいんだよねっ? ふっふっふ~、だったらあたいの念動力にまっかせなさぁ~い!」
 元気いっぱいの宣言と共に、蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)は少女の黒衣へ指鉄砲を向けた。こういう精確さが求められる戦いなら、細かな操作を可能とする自分の念動力が有利なはずだ。
 弾として放たれ、黒衣だけを狙うように狙撃手の精度で放たれる霊力。それを避けながら、少女は黒衣の下から数匹の蝙蝠を放った。攻撃させるためではなく、蛇塚の視界を遮らせて、"少女"に誤射させるつもりだろう。肉体の損傷は吸血鬼の戦闘行動に直結する問題だが、使い物になる程度の怪我なら気にしないし、肉体が傷付けば猟兵が絶望する。悪辣な期待を込めた妨害行動。翼を広げてホバリングをしながら、蝙蝠は蛇塚に纏わり付いて、その視界を塞ぐ。
「甘い甘い、そのぐらいであたいの超霊力がヘマするなんて思わないでねっ!」
 だが、蛇塚は自信に満ちた表情を崩さない。群がる蝙蝠に構うこと無く、蛇塚は霊弾を連射する。視覚を封じられるなら、それに頼らない自身の第六感に頼る。絶対に自分は誤射しないという自信はそのまま霊力に宿り、撃ち出す弾は意志を持ったかのように黒衣の縁を付け狙いはじめた。
「ちっ……」
 蝙蝠での目眩ましが意味がないと悟り、少女は眷属を退散させて回避に専念する。威力の高い慟哭を放つ隙を伺いながら避ける少女の耳に、聞き慣れない駆動音が届いた。
 何事かと振り向いて見たのは――脚部スラスターを駆動させて、外見からは想像も付かない速度で地を滑りながら迫る、鋼鉄の騎士の姿。
 あまりの速度に、回避が間に合わないと悟った少女は、咄嗟に防御の姿勢を取る。回避が叶わないなら、せめて体当たりの衝撃を少しでも減らす魂胆だ。しかし、鋼鉄の騎士――トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が取った行動は、吸血鬼の予想の斜め上を行っていた。
「貴様、何のつもりだ……!」
 スライディングしながら接近してきた騎士は、その巨体で少女を跳ね飛ばすのではなく、少女の片手と自分の手を繋ぎ合わせたのだ。
 同時にもう片方の手で持っていた儀礼剣を投げ捨て、空いた手で黒衣の裾をしっかりと握りしめる。
「私は貴女たち姉妹をお救いするために、ここへ馳せ参じました。大丈夫ですよ、今お救いします」
 本気で掴めば、容易く粉砕できるだろう小さな手を優しく握り、トリテレイアは"少女"へ語りかける。そして、渾身の力を込めて握り締める黒衣の主には、冷ややかに告げた。
「ですから、ゼラ。貴女のような襤褸布に用はありません」
 己の思念が宿る黒衣を『襤褸布』呼ばわりされ、投げ捨てられた武器を目で追っていたゼラは、黒衣と肉体を拘束する騎士に凄惨な笑みを向ける。
「そうか。ならば――その"少女"に殺されるのが、似合いだな」
 ゼラがそう言い捨てると、殺意を帯びていた表情がみるみる内に恐怖へと塗り替わる。今まで抑え込んでいた少女の自我を一時的に解放したのだ。トリテレイアと、後ろで霊力を放とうとした蛇塚が身を固くする。
「あ、あ……あぁ……ァ……っ!」
 見開いた目から大粒の涙を溢れさせ、はくはくと口を開閉させる少女。がくがくと体が震え、閉じることのなくなった口から、凶器と化した絶望の叫びが響き渡る。

「――――――――――――――ッッッッッッッ!!!!」

 【囚われの慟哭】――ゼラに自我を塗り潰された少女が放つ、大気を揺るがす必殺の叫び。物理的な破壊力を持った慟哭に晒された温室が、中に置かれた椅子ごと瓦礫の山と化していく。
「あっ、ぅう……っ! ――この、ぐらいっ、でぇえええええっ!」
 瞬時にオーラを展開した蛇塚の体が、大音響の衝撃波に押されて大きく後退する。全身を強かに打ちのめされるような激痛を、奮い立つ心と痛みへの耐性で堪えながら、蛇塚は自分の足元に霊力による爆発を起こして空へと逃れた。音による攻撃なら、必ず射程範囲があるはずだと思っての行動だったが、うまく行ったらしい。上空に行くほど薄れていく痛みに安堵の息を吐いて、蛇塚は地表を見下ろす。
 蛇塚は無事に逃げ果せたが、地上に残り続ける者もいるのだ。
「ぐゥオオオオオオ……ッ!!」
 至近距離から慟哭を浴びせられるトリテレイア。超重の金属でできた鎧が軋み、罅が入る。少女の手を取る以上、高威力の慟哭を受ける事は想定済みだったが、その威力は想定を大きく上回っていた。
 だからといって、少女の手を離して守りに転じるような、臆病な心は持ち合わせていない。"少女"のためにも、そして仲間のためにも、トリテレイアは誓いの言葉を唱えた。
「御伽噺に謳われる騎士たちよ。鋼のこの身、災禍を防ぐ守護の盾とならんことをここに誓わん……!」
 【機械人形は守護騎士たらんと希う】――自身の守護対象や仲間を守るために、敢えてノーガードで攻撃を受け止めるトリテレイアの行動に、このユーベルコードは正しく答えた。屈しかけた足に力が戻り、意図せず力が籠もりそうになった片手を制して、守護騎士は囚われた少女の慟哭に耐える。
 激しく泣き叫んで、自分が消える恐怖を訴える"少女"の手を優しく握って、叫びにかき消されながらも励ましの言葉をかけ続けるトリテレイア。これが正しい行動だと信じて、逃げる事なくその場に残り続ける。
「――何……?」
 唐突に絶叫を止めた少女は、頬に涙の筋を残したまま静かに驚愕する。鎧がひび割れる程の攻撃に晒されていたはず騎士が、少女の眼前で未だ立っているのだ。黒衣を掴む手は万力を思わせる力で、それでいて少女と繋いだ手は柔らかな力のままという正反対の力加減を保ち、彼は言い放つ。
「言ったでしょう。私は、"貴女"を救いに来たのです」
 己が傷ついても肉体として動かしているだけの"少女"を案じ続ける発言に、理解できないと愕然とするゼラ。その頭上から、元気のいい声が降り注ぐ。
「須賀原さん、準備はいい?」
「いつでもオッケー! やっちゃうよ!」
 動きを封じられた少女が、唯一自由に動く首を動かして真上を見る。彼女の頭上には、蛇腹剣を構えた蛇塚と、光り輝くオーラを携えた須賀原がいた。
 いつの間に。そう思う間もなく空から降り注ぐのは、夜空に輝くドラゴンオーラと、蛇の如く変形して迫る蛇腹の剣。少女が逃げようともがいても、片手と黒衣をしっかりと掴まれている状態ではどうしようもない。
「逃さないよ、これが宴のフィナーレだ!」
 須賀原の操る竜のオーラが少女の周囲で爆発を起こし、地面と黒衣を繋ぎ止める。大地と守護騎士に固定された体に蛇腹剣が纏わりつき、黒衣だけを巧みに切り裂いた。
「ありがと、須賀原さんっ! さあ、これが本当の蛇睨みだよっ!」
 蛇腹剣は蛇塚の手元に戻ることなく、更に黒衣の上を走る。もはや黒いローブというより黒い襤褸布を体に巻き付けている少女の片腕に巻き付いたのは、蛇塚の【蛇眼超霊力操術】で生成された見えない鎖。
「こっちにおいで! 絶対に、助けてあげるから!」
 ゼラが操る肉体に負担が掛からないようにうまく絡みついた鎖を引いて、少女の体だけを蛇塚が引っ張り上げる。劈くような耳障りな音と共に、地面に固定された黒衣が大きく引き裂かれた。同時に十数センチ程空に浮き上がる、少女の体。

 全てを脱がす事も、少女を完全に助け出す事も叶わなかったが――己の思念が宿った衣類の大半を引き裂かれた女の、絹を裂くような悲痛な叫びが上がった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リリィ・オディビエント
【イベリア・オディビエント(引っ込み思案な処刑人・f02463)】姉さんと同行。

力を温存しておいたかいがあったかな?ここからが本番だ。
私は姉さんの盾、何においてもそれは優先される。だけど、一人の少女を守れなくて何が騎士だ!
私は必ず、少女からゼラというやつを引きはがしてみせる!

盾を使った【かばう】は敵味方問わずに、危険ならば身を張る覚悟だ。私には残念ながらそれしか脳がない。

【騎士の誇り】というUcがある。これは不利な状況であらば自身を強化できるものだ。……この状況そのものが不利ではなかろうか。強化された私なら、やつの黒衣だけを狙えるかもしれない!

他の方との協力アドリブ歓迎だよ。


イベリア・オディビエント
妹のリリィ・オディビエントと同行
盾になってくれるのは心強いけど無理しないでね·····

黒衣だけを壊す·····難しい···
でもそうしないと女の子が死んじゃう·····何かいい方法を考えないと···
今回は首を狩っておしまいってわけじゃないから·····

女の子を傷付けないよう、気を付けて戦わないと。攻撃されたのなら身を守るために斧を振るって反撃を行う。
【早業】【2回攻撃】で対応するよ。
少しでも隙を見せたり疲れた様子があったら咎力封じを使って動きを抑制出来ないかな。
その間に黒衣を引き剥がせればいいけど·····

アドリブ歓迎
同行者がいたらよろしくね


クロウ・タツガミ
他猟兵と連携、アドリブ歓迎だ

【POW】

さて、その身体持ち主に返してもらいましょうかね

翼を出し空中を飛び、空中という【地形を利用】し【情報収集】をするつもりだ。他の猟兵に敵の動きを指示し、【戦闘知識】を用いサカホコ(長棒)を手に【怪力】による【2回攻撃】で戦うつもりだな。敵の物理攻撃はガンドレットによる【盾受け】で防御し、近くの猟兵への攻撃は極力【かばう】つもりだ

(棒を回転させ眷属を攻撃し)多少の怪我は後で謝るとするか

動きが鈍ったところを【偽剣偽戒】でレプリカに氷の属性を込めて【投擲】し動きを阻害し【力を溜め】て一撃を入れるつもりだ

そちらこそ生きて帰りたいなら、その身体から早々に逃げ出すことだな


犬曇・猫晴
ちょっと遅れちゃったかな
だからぼくは奪いも蹂躙もなーんもしてないよ?だから一発ぐらい殴られるの見逃してくんないかなぁ

【SPD】
あぁは言ったものの、あの体は罪もない女の子の身体なんだよねぇ……参った。
これはちまちまと衣服を斬っていくしかないみたいだ。
ちょっと恥ずかしいかもしんないけど、我慢してね。

もし完全に助け出すことが出来たら、近くにあるカーテンでも絨毯でもなんでも適当に切り抜いて羽織わせるよ

負傷、アドリブ歓迎



 黒衣を自ら千切る事で逃げた吸血鬼を、猟兵たちは更に追撃する。

「さて、その身体……持ち主に返してもらいましょうかね」
 ハルバートを手元で回転させて長棒に変えながら、クロウ・タツガミ(昼行灯・f06194)は夜空を翔ける。
 もはやこの戦場には、安定して戦える場所など殆ど存在しない。少女が放った絶叫で庭園は見る影もなく荒れ果て、遠くに見える別館も崩壊寸前のような有様だ。故にクロウは、荒れた戦場を分析し、戦闘に適した地形を見極める。
 綺麗に舗装されていたタイルが割れて、あちこち地面が剥き出しとなっている場所は、吸血鬼もだが自分達にも向かない。敷地の奥へ向かえば足場は安定するが、先程避難した娘がそこへ向かうのを見ている。慟哭による広い攻撃範囲を持ち、女性への憑依能力を持つ"ゼラの死髪黒衣"を近寄らせるわけにはいかない。
(戦えそうな場所は、崩れた温室周辺の広場か。比較的被害が少ないのは、あそこしかない。あとは――)
 ゼラが体勢を整えようと距離を取ろうとした結果入り込んでしまった、元は花壇だった一角。足に力を入れづらい柔らかな土の上にいることを見逃さず、クロウは背の翼を羽撃かせて急降下する。
「ちっ……!」
 逃げるところを邪魔される形になった少女は舌打ちと共に、穴の空いた外套の下から大量の蝙蝠を放つ。黒い渦と化して襲来する蝙蝠の群れをガントレットで弾き、サカホコで散らしながら、クロウは吸血鬼へと長棒を一回転させた。
「――!」
 蝙蝠を散らした長棒を切り返す動作で、先端を引っ掛けるようにして黒衣を引き裂く。その過程で掠ってしまったのだろう。裂かれた布の間から見える素肌に、血の滲む小さな擦り傷ができていた。
(多少の怪我は、後で謝るとするか……)
 そのためにも、少女は無事に生きて助け出さなければならない。空へと戻る途中で、地を奔る猟兵達へと呼びかけた。
「温室があった場所に向かってくれ。そこなら広く戦える……!」

 不安定な足場から逃れ、少しでも自分が有利に動けそうな場所を求めて移動しようとする少女の背後――崩れかけた館の二階、そこから一人の男が飛び出してくる。
「やあ、ぼくも混ぜてよ。ちょっと遅れちゃったけどね」
 砕けかかっていたガラスを割り、自身を強襲しようとした犬曇・猫晴(亡郷・f01003)に向かって、少女は大鎌を振り抜く。響く金属音は一瞬。弾かれた犬曇は剣鉈を手に、崩れ落ちた外壁を足場にして再び少女へと迫った。
「……新手の猟兵か」
「そういうことだね。あ、ぼくは奪いも蹂躙も、なーんにもしてないよ? だから、一発ぐらい殴られるの、見逃してくんないかなぁ」
「……。……何をほざくか」
 何をしようがしていまいが、この戦場に現れた以上、見逃すつもりはないとばかりに放たれる【小さな十字架】。間一髪のところで躱した犬曇は、片手の剣鉈を一閃させる。狙うのは、少女が鎌を持つ右腕だ。
「ちょっと恥ずかしいかもしんないけど、我慢してね?」
 剣鉈は黒衣と、少女が着ている衣服を軽く破くだけに留まる。先程ああは言ったが、肉体自体は罪のない少女のものだ。間違っても叩き斬るわけにはいかないし、傷をつけるのも好ましくないだろう。殴りつけるのも論外だ。故にこうして、衣類だけを巧みに破いていく。
「もっと深く斬っていっても、構わないが? 戦える程度の傷は歓迎するぞ?」
「あはは、それはないかな――っと!」
 肉体の損傷を誘う女の言葉を笑い飛ばし、上体を仰け反らせて鎌を回避する。少女の身で繰り出されているとは思えない、重さと速度が乗った攻撃。一歩でも間違えれば胴体を両断される攻撃の只中にいながらも、犬曇の【培った経験】は彼を生き残らせるために、最大限の効果を発揮していた。
 回避行動の流れから放たれた嘴が、複雑な軌跡を描いて斬撃を放てば、少女の纏う黒衣にまた一つ、決して小さいとは言えない穴が穿たれていく。
 ワイヤーを巻き取りながら、不安定な足場を飛ぶように移動していく犬曇。大鎌を振り回す少女は、徐々に温室があった広場へと自身が誘い込まれつつあることにも気付かず、ちまちまと傷を与えてくる男を追いかけていった。

 クロウの指示を地上で受けたキマイラの姉妹が、肩を並べながら広場へと駆けていく。
「力を温存しておいたかいがあったかな? ……ここからが本番だ」
 少女の自我を乗っ取り、己の肉体として操る吸血鬼との戦い。宴を潰し、番犬達を掃討しても、ここで失敗しては何の意味もない。リリィ・オディビエント(パラディンナイト・f03512)は決意を胸に、少女のいる戦場を見据える。
「でも、難しいね……女の子が死なないように、何かいい方法を考えないと……」
 考え込むのは、姉のイベリア・オディビエント(引っ込み思案な処刑人・f02463)だ。今回ばかりはいつものように『首を刈って終わり』というわけにはいかない。処刑人の彼女にとって難しい状況だが、自分も姉として"妹"という存在を切り捨てるような事はしたくない。
 銀の耳をぺたりと伏せて悩む姉に、リリィは安心させるように笑みを浮かべる。
「たしかに大変な戦いだけど……大丈夫、きっとやれる。それに、もし危なくなったら、姉さんは私が守るしね」
「うん……わかった。……盾になってくれるのは、心強いけど……無理しないでね……?」
 救出対象である少女への心配とは別種の心配。それを向けられた妹は、姉を安心させるように微笑んだ。
「無理も無茶も絶対にしないよ。でも、私は騎士だから。姉さんもだけど……一人の女の子すら守れなくて、何が騎士なんだって話だよ」
「そう、だね。……じゃあ、リリィ……今回は、お願いする……ね……?」
「うん、任せてね」
 理不尽な理由で攫われて、今は戦いで酷使される女の子。そんな少女を助ける道があるなら、それを選び取るのが騎士というもの。最愛の姉だけでなく彼女も守り切ってみせると、片手を胸に当てて、リリィは誓いの言葉を唱えた。
「だから――私は誓おう。騎士とは弱きを守り、決して挫けぬ黄金の精神を持つ者だと!!」
 【騎士の誇り】――リリィの騎士としての誓いや誇りのために不利な行動を取る事で、身体能力を強化するユーベルコード。囚われた少女を助けるために、あえて困難な戦いを挑む。この状況そのものが、リリィの信念の為に取った不利な行動だ。
 彼女の傍らで、イベリアは斧を手に戦場へ切り込んでいく。その姿は普段オブリビオンを前にした時と変わらないものだが、今の彼女は普段と違う思いを抱いていた。処刑のためではなく、誰かを救うために、己の力を使うのだ。
 吸血鬼への殺意をあえて顕にして、わかりやすく急所を斬りつけようと斧を振りかざす。吸血鬼が防御する事を知って、その動作を引き出すための目眩ましの攻撃だ。
「あなたは……斬首……そう決めた……!」
「次々と……!」
 物騒な言葉と共に襲いかかれば、吸血鬼は更に増えた新手であるオディビエント姉妹へと忌々しげな呟きを漏らす。そして迎撃ついでに処刑人を仕留めようと、黒衣ごと首を断とうとする斧に向けて、【小さな十字架】が放たれた。十字を描く超高速の斬撃に、イベリアもまた葬儀屋の斧を操って、攻撃を受け止めて弾き返す。普段であれば返す刃で首を断つところだが、それはできない。代わりに斧を薙いで牽制して、吸血鬼から距離を取る。
「……何だ……? ……その斧は、飾りか何かか?」
 一撃で首を切り飛ばす動作で攻撃してきたのに、距離をとって追撃しようとしないイベリアに対して、少女があからさまな侮蔑を向ける。対するイベリアは無表情のまま、ゆるく首を横に振った。
「飾りじゃ……ないけど……適材適所、そういうこと……」
 少女を助けるのに、葬儀屋の斧は不向きだ。この斧が攻撃に用いられる状況は、今のところ発生していない。今は相手の攻撃に合わせて斧を操り、防御と仲間の援護に使用するぐらいだ。自分と誰かを護る為に斧を使うのがイベリアなら、彼女の代わりに攻撃に動くのは――
「さあ、その子を返してもらおう!」
 弱き者の守護者たらんと、騎士の誇りと誓いを心に宿したリリィだ。姉の後方から一気に間合いを詰めて、強化された膂力と速度で黒衣を剥がそうと手を伸ばす。
「っ! この……!!」
 咄嗟に飛び退って逃れようとするが、避けきれなかった黒衣の裾が音を立てて引き千切られる。徐々にみすぼらしくなっていく"自身"の姿に、いよいよ我慢ができなくなったゼラは、再び慟哭を放つために少女の意識を引き出そうとした。
 今なら至近距離にいるリリィと、イベリアが射程内にいる。鳥が啄むようなささやかな斬撃で牽制してくる犬曇も、ついでに巻き込まれる事になるだろう。三人の猟兵をまとめて片付けようとしたゼラの意識が沈みかけて、
「んふガァっ!?」
 少女の意識を掴みかけたところで、その小さな口に革の猿轡が押し込まれる。予想していなかった一撃に混乱する暇もなく、続いて手枷が嵌められ、ロープが胴体を雁字搦めに縛り上げていく。
「叫ばれたら……困る……だから、こうする……」
 【咎力封じ】。攻撃の寸前、予備動作の瞬間を狙ってイベリアが放った拘束具は、少女が上げる慟哭の妨害に成功していた。黒衣だけを付け狙う猟兵達に囲まれたこの状況で、身動きできないように縛り上げられるのは不味いと判断した少女は、ロープだけでもどうにかしようと藻掻く。そんな少女の黒衣の袖を、冷気を纏った暗器が貫いた。
「もう逃さんぞ。……此は偽剣、或は偽炎、其は偽戒、偽の偽は真と成りて」
 空より放たれたレプリカで空いた、黒衣の穴。穴を中心に【偽剣偽戒】による冷たい炎が少女を包み込む。熱を持たず、かといって凍える程の寒さもない、非殺傷の青白い炎は檻となって、少女の身動きすらも封じ込める。
「生きて帰りたいなら、早々にその体から抜け出す事だな。……ああ、もう遅いか?」
 翼を広げたクロウが再び飛来する。檻の中に突き入れた長棒に黒衣を絡みつかせて、手元で捻るように動かせば、その大半が千切れ飛んだ。
「借りたものは元の場所に。そろそろ退去のお時間だね」
 細いワイヤーと先端に付いた刃が、夜の闇に踊る。犬曇の巧みな技術によって生物のように動き回る糸が黒衣を裂いて、刃が穴を押し広げる。
「お前の悪趣味な楽しみは、ここで終わりだ……!」
 最後に、冷気の炎の中へと飛び込んだリリィが、少女の身体に纏わり付いていた黒衣を掴み、全て引っ剥がした。

 夜空が赤紫に染まりゆく明け方。
 猟兵達の手で引き剥がされた黒衣は、苦悶の叫びを上げるが如く、黒い泡に包まれて消えていく。
 後に残ったのは、誰も傷つける事のない炎に取り囲まれて、拘束された少女だけ。
 炎が消されて拘束を解かれても、なお意識を失ったままの少女。微かに上下する胸が、彼女が生きている事を示していた。

「女の子がこんな格好のままっていうのは、可愛そうだしね」
 ぼろぼろになった服の代わりにと、犬曇が館から拝借したカーテンを纏わせる。ついでにウエストポーチから取り出した救急セットで簡単な手当をすることも忘れない。
 体のあちこについた傷には深いものもあるが、ちゃんと手当を受けて安静にしていれば、そのうち問題なく治癒するだろう。

 そして猟兵達は、白い機馬と共に戻ってきた娘に向かって――それぞれの表情と言葉で、高らかに勝利を宣言した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト