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東の黎明

#クロムキャバリア #東方同盟戦線

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#クロムキャバリア
#東方同盟戦線


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●敵は滅ぼさねばならない
『我々は隣国の侵攻によって団結し、しかし勝利は掴めなかった』
 プラントを背に立つ一機のサイキック・キャバリアが、手にした大剣を大きく振りかざし弁を振るう。
『今も尚、東の国境地帯では我々の兄弟が、父が、息子たちが不当な脅威に晒されながらも我々を守るため戦っている!』
 その機体が纏う光は美しく、まるで神の御使いの如く。情熱的で、しかし甘やかな女の声色は、見るものに熱狂と敬意を植え付ける。
『我々は今、この現状に甘んじてよいのか? 否、断じて否だろう! 国境で敵国とにらみ合い、君たちと過ごすべき時間を理不尽に奪われている家族を想え! そして怒れ!』
『なぜ我々の愛が引き裂かれねばならない? なぜ我々の家族が友人が危険で苦難に満ちた国境防衛などに征かねばならない?』
『答えは一つ。隣国があるからだ! 数十年の昔、不当にして自己中心的な理由で我らの土地を踏み荒らさんとした仇敵、あの国家が存在する限り我々は真の平穏を得られない!』
 鋼鉄仕掛けの天使の熱弁に浮かされたように、人々はそうだそうだと拳を突き挙げる。
 隣国を滅ぼせ。耳触りのよいシンプルな結論に人は熱狂する。
『だが、私達の戦力はあまりにも乏しい。国家指導部は弱腰で現状を良しとし、限りある生産力を怠惰のために浪費している』
 だから、我々は立つのだ。
 天使のキャバリアを護衛するように、重厚な黒鉄の量産型が立ち並ぶ。
『我々は此処に、当プラントの接収及び軍需物資生産ラインへの全転換を以て我が国が何者にも負けず、何者をも打ち倒す強い国家として新生すると宣言する!!』
 オブリビオンマシンに呑まれたカリスマある指揮官の言葉は人々の思考力を奪い、軟弱な政府に代わり隣国へ侵攻し勝利するという目的のために纏め上げる。
 それが終わりなき泥沼の戦争への呼び声だとしても、天使が呼んだ狂気の渦に飲み込まれた人々は気付けない。

●クーデターを制圧せよ
「皆よか? ごめんね、いきなりやけど新しい世界が見つかった話は聞いとろ?」
 訛りの入った言葉遣いで猟兵たちを呼び止めたのは、新人グリモア猟兵の佳奈恵だった。
 なれない手付きでグリモアを弄りながら、足を止めた猟兵達に彼女は言う。
「早速ばってん、仕事に行ってもらえんやろか」
 曰く。クロムキャバリアに存在する小国、イースタン・フロントにて軍部の有力な若手将校率いる部隊が蜂起。
 国家の生命線たるプラントの一つを占拠し、その生産力をすべて軍事に傾けた上で世論を扇動して隣国との開戦に踏み切ろうとしているのだという。
 かつて敵国だった隣国とは長きに渡り冷戦状態にあったイースタン・フロントだが、ここ最近になって僅かに関係改善、停戦の兆しが見えてきたところにこの事件である。
 もし将校のクーデターが成功すれば再び隣国との関係は悪化し、本来起こる必要のない戦争が起きるかもしれない。
 そうでなくても国家の生命線たるプラントが占拠され、食料や燃料など民間人の生存に不可欠な資材を生産しなくなったことは人々にとって死活問題である。
 クーデターが致命的な問題を齎す前に鎮圧せねばならない。だが、イースタン・フロント正規軍のキャバリア部隊は国境線に集中配備されているためプラント奪還作戦には間に合わない。
 ならば、どうするか。此処に誰よりも機動性に長けた遊撃戦力があるではないか。
「皆には傭兵っち事で現地に行ってもらおうと思っとうとよ。イースタン・フロント軍が予備のキャバリアを貸してくれるけん、それば使って反乱部隊を鎮圧してもらってよか?」
 クーデター部隊の主力もまたキャバリア。それも一線級の部隊だという。
 ならばこちらもキャバリアで対抗するのが正道だろう。あるいは猟兵であれば生身でキャバリアに拮抗することもできるかもしれないが。
 佳奈恵に見送られ、猟兵たちは未だ見ぬ鋼鉄と戦乱の世界へ飛び込んでゆく。


紅星ざーりゃ
 おはようございます、紅星ざーりゃです。
 身体が闘争を求める→クロムキャバリアのシナリオが出る、というわけで新世界の一本目はプラントを占拠した反乱軍の鎮圧ミッションでお送りします。
 一章は反乱軍指揮官に扇動された一般人の説得を。
 二章は反乱軍のキャバリア部隊との交戦が。
 三章で反乱軍指揮官機の撃破が目標となります。
 いずれにおいても元凶はオブリビオンマシン化したキャバリアであり、一般人やパイロットたちに悪意はありません。あくまで機体のみを排除し、正気に戻ってもらうことが目的です。
 また、機体に操られ妄執に囚われた彼ら彼女らに軍人としての誇りと理念を思い出させることで有利に戦えるでしょう。

 各章冒頭にてマスターシーンを挿入する予定です。
 プレイングはその後から募集とさせていただきます。
 それでは!
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第1章 冒険 『扇動者』

POW   :    真っ向から勢いと情熱で市民を説得する

SPD   :    破滅的な演説に疑問を持つ人々と接触し、彼らの疑問は正しいと伝える

WIZ   :    対抗演説を仕掛け、放送されている演説の不条理さを説く

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 イースタン・フロント。東方同盟戦線とも呼ばれるその国は、近代的ながらもどこか無機質な画一化された町並みが印象的な土地だった。
 何処までも続く碁盤の目のような道路。左右に並ぶのは美しくすらある、量産性にのみ特化した集合住宅。
 そのずっと先にはアパートメントの倍ほどの高さの塔とそれを取り巻くメカニカルな施設群――あれが占拠されたプラントなのだろう。
 イースタン・フロント当局がクーデター軍とこちら側を隔てるために封鎖線を敷く向こうでは、黒鉄のキャバリアがまるで門番のように立ち塞がり、外から来るであろう正規軍の奪還部隊を拒むべく睨みを利かす。
 猟兵たちが降り立ったのはそんな封鎖線の外側だ。まず軍からキャバリアを受け取る手筈になっていたはずだ――視線を巡らせた猟兵たちが見たのは、一触即発の気配を纏った群衆と彼らを封鎖線の内側に入れまいとする軍の歩兵部隊の姿。
「このプラントは不当に占拠、運用されている! 当局が反乱部隊を鎮圧するまで立ち入りは許可されない!」
『うるさい黙れ政府の走狗ども! そうやって俺たちに武器を渡さないつもりだろう!』
『"人民平等会議"に魂を売った売国奴め! 私たちはもう騙されない!』
『銃を手に! 東へ進め! だ!! 我々の魂はファーレンヒルト少佐と共に!』
 もはや敵国を滅ぼす意志を見せない政府ですら、扇動された群衆にとっては敵国に利するもう一つの敵に等しいのだろう。その意志の遂行者たる正規軍もまた然り。盾を構え隊列を組む当局の部隊に狂騒の熱に浮かされた人々が襲いかかるのも時間の問題だ。
「ただちに解散し帰宅せよ! 警告に従わない場合発砲も許可されている! その場で停止し、解散し、帰宅せよ!!」
 当局兵士の解散命令ももはや火に油を注ぐばかり。けれど、全ての人々がそうというわけではない。
 熱狂する人々を遠巻きに見守る不安げな人々が居る。アパートメントのベランダから、あるいは路端で立ち止まって、隣人や家族の豹変に首を傾げる人々が。
 群衆にとって敵と見做されている当局軍人の声が届かぬならば、部外者であり敵でも味方でもない猟兵の声ならば。もっと彼らに近い人々の声ならば、あるいは戦争の狂熱に心身を委ねようとしている彼らを引き止められるかもしれない。
 それになにより彼らを解散させねば、プラントに近寄ることすら出来ないだろう。
 猟兵たちは偽りの神託に否を突きつけるべく、人の群れに近づいてゆく。
イデアール・モラクス
ショータイムだ!

・説得ライブ
UC【専属執事団召喚】で呼び出した執事達に私は面倒でやりたくないステージ設営を超速で行わせ、私は魔術で華やかな和装スタイルを身に纏いステージへ。
「戦いなどくだらん!私の舞いを見るがいい!」
艶やかな姿とセクシーポーズで『存在感』を発揮し『誘惑』して注目を集め、そのまま鞘に収めた妖刀《紅魔刃》を用いたポールダンスを披露しつつ『無酸素詠唱・多重詠唱・高速詠唱』により【見る者の心を落ち着ける精神制御魔術】を『範囲攻撃』広域展開。
この魔術で群衆を落ち着ければ、後は追い討ちで説得する猟兵達が何とかするだろうさ…何ならステージはそのまま使えば良かろう。

※アドリブ大歓迎




「フン……くだらんな」
 銃を手に東へ進め。口々にスローガンを掲げた群衆が正規軍の治安部隊に詰め寄るのを、イデアールは冷たい瞳で見下ろしていた。
「他人に煽られた程度で沸き立つ戦意がまず薄っぺらだ。戦えば勝てるという根拠のない確信も愚かしい」
 兵隊としての最低限の価値すらない、彼らが仮に銃を手にしたとしてもそれは武装した暴徒でしかなく、このまま開戦したとしても隣国のキャバリアが出てきたならば戦争にすらならないだろう。
「戦いというのは殺し殺されるから愉しいのだ。一方的にやられるのが目に見えていて何故こうもやる気を出せるのだろうな」
 呆れたように肩を竦めて振り返ったイデアール。彼女の背後では美形の偉丈夫たちが汗した額をハンカチで優雅に拭いながら、主の求めた物を用意していた。
「うむ、ご苦労。あとでたっぷりと褒美をくれてやるぞ」
 忠実な執事たちの纏め役の顎先を指でついと擽って、イデアールは彼らの設営したステージの壇上に上がる。
「さて――」
 魔女が指を鳴らせば、身に纏うドレスが肌を大きく露出した扇情的なミニ丈の改造和服に変化した。肩から胸元、それに太腿の白い肌を赫の布地がよく引き立てている。
 そんな格好でイデアールはステージ中央に設置されたマイク――ではなく、腰に佩いた刀を鞘ごと外して握りしめる。
「聞け、愚民ども!! そして見ろ、私の舞いを!! 戦いなどくだらんということを思い出させてやる!」
 握りしめた刀をマイクのように扱いながら群衆に呼びかけるが、闘争の熱狂に囚われた彼らには言葉だけでは届かない。
 それでも、クーデター軍の直接の決起宣言ではなく合流しようとするデモ隊の言葉でこれに合流した人々――隊列の後方に位置する、まだ熱狂と言うほどの熱を帯びていない者たちだ――は、何事かとイデアールを振り返り仰ぎ見て、絶句した。
 だって、いつの間にか設営されていたステージの上ではやたらと露出度の高い格好をした妙齢の女がちょっと此処では書けないようなポージングで刀を挟んだり撫でたりしながら踊っていたのだ。
 女性陣は凍りつき、男性陣は前進を望む闘争への熱が勢いを失いながら別方向に流れていくような感覚を覚えて――結果的に、群衆全体のうちのごく一部とはいえ開戦を訴えるデモ行進への衝動を削ぎ落とされた人々の足が止まる。
 しかしそれは何もイデアールの格好と踊りがアレだったためだけではない。かの魔女の名誉のために説明するならば、彼女はその技量と魔力で以て己を視認した群衆の精神に枷を嵌めたのだ。
 衣装と踊りはあくまで視線を集めるための餌。相手がこちらを認識したその瞬間、本命の魔術が人々の闘争心を無理矢理に押さえつけ鎮めてゆく。
「あまりやりすぎても無気力な木偶を作ってしまうからな。効果は弱いがきっかけにはちょうど良かろう。さて、其処のお前とお前、それからお前」
 群衆の中でも術の掛かりが弱い、生来の耐性のような物をもった人間は居るものだ。そういう人間には個々に合わせて強度を調整した魔術を使うほかない。
 その相手がたまたまイデアール好みの顔をしていたというだけである。
「ちょっと裏まで来てもらおうか。なあに、少しダンスの相手をしてもらおうと、な」
 誘われるままイデアールに付いていった男たちは、その後人が変わったように穏やかな性格になって発見されたという。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィーナ・ステラガーデン
【PPP】
(大統領前座役)
うろたえるなああーー!聞きなさい愚民どもーー!!【気合】
ちょっと高い所で張り上げる大声と同時に杖の柄を地面に叩きつけてこっちを注目させるわ!
あんた達の不安はもっともよ!私はよくわかんないけど!
そんなあんた達にありがたい言葉をくれてやるわ!このバケ、大統領が!!

バケツが皆の前に出てくると同時に両サイドに【属性攻撃】にて火柱を立てて登場シーンを演出するわ!っていうかここからは私はめっきり裏方役よ!
盛り上がるシーンになれば小規模UCで花火を挙げ、何かバケツが声を挙げれば率先して「おおおーーー!」とか盛り上げ役を行うわ!
よくわかんないけど!!

(アレンジアドリブ大歓迎!)


アリシア・マクリントック
【PPP】
戦争には兵隊が必要です。武器があっても使う人がいりますから。
兵隊とは大変な仕事です。常に戦場を走り回り、生き残る方法を、敵を倒す方法を考え続けなければいけないのです。
なので……普段のみなさんよりも食料の質も量も必要になります。戦争となれば武器や弾薬の需要も増えます。
わかりやすく言えば、戦争にはお金がかかります。色んなものが必要になるのです。それもいつ終わるかわかりません。一ヶ月?一年?その間、みなさんは大金を負担し続けることになるのです。それだけの余裕がありますか?
本来軍隊とは備えることで拮抗を作り出し、戦わないことが任務です。彼らは任務を放棄すると声高に叫んでいるだけなのです。


ビードット・ワイワイ
【PPP】
アドリブアレンジ歓迎
諸君、我は大統領である
そのような破綻する政策は即刻否決すべき案件
貴様らは戦に勝つ為に霞を食って戦うつもりか!
飯の代わりに兵器を作り勝利すればそれでよい
敵の物資を奪えれば大いに喜べ
だが敵が物資を処分すればどうなる?
廃墟で鉄でも齧って戦うか?敵が己より愚かであるのを期待するな!
低迷する国力を増やす為の民需を知れ
兵器があればそれは力か?武力があればそれで無敵か?
不満を上の責任とし、思考を止めるは愚の骨頂
勝利の為の力を養え。豊かになるには惰弱にあらず
必定なりし敗北など敵にくれてやれ!栄光の勝利など夢見るな!
今は牙を研ぎ磨け!急速な軍拡は敵を刺激するだけと知れ


アイ・リスパー
【PPP】
「扇動された一般人たちですか、厄介ですね。
まとめて吹き飛ばすとかは……え、ダメ?」

実力行使を止められては仕方ありません。
ここはビードットさんの説得に期待しましょう。

私は【並列計算】で国中のコンピュータをハッキング……もとい、借用。
画面にビードットさんの演説を強制生配信して、視聴者の皆さんに呼びかけます。

「演説をお聞きになった皆さん、どうか戦争を起こそうなどという考えはやめてください。
力では何も解決しないのですから!」

願いが届いたら並列演算による演算能力を使って各家庭のセキュリティをハッキング。
ドアの電子ロックをかけたり、偽情報を流したり、敵陣営にクラッキングしたりします。(実力行使


シャルロット・シフファート
【PPP】
「暴力で排除は暴動の種になるわよアイ。ここはビードットの演説に耳を傾けさせる方針で行きましょう」

私としては裏でユーベルコードを使い裏の大衆への扇動用の演説とは別の目論見がないか、それとは別に仮にこの演説による戦争が確立したとして運用する軍主要部隊の勝算は客観的に見てどれくらいの者なのか学会の発表をするがごとく予測データを並べてどれだけ無謀な事をしているか数値化して民衆への熱を冷ます。

そして敵陣営によるこちら側の演説妨害を阻止するために電子機器をハック、指揮系統を混乱させて演説の時間を稼ぐわ。

演説が終わったら私のグレムリンで皆を乗り込ませて撤収するわ。




『銃を手に! 東へ進め!』
『あの時の雪辱を明日こそ晴らすんだ!』
『夫が、父が、息子が家に帰れる当たり前の明日を返せ!!』
 猟兵の介入で最前列の熱狂から切り離された後方の群衆だが、聞こえてくるスローガンや政府に不満ある人々の訴えがいつ彼らの心に再び火を灯すともしれない。
 その前に手早く解散させ、更に熱狂の度合いの深い前列に介入する足がかりを作らねば。
「……もうまとめて吹き飛ばしましょうよ」
 オブリビオンに扇動された一般人ほど厄介なものはない。排除しておしまいの敵と違って、彼らがこの国に、人々に残す溝は、禍根は、残り続けてしまうのだ。
 だったらもう治安擾乱の罪状で吹っ飛ばした後当局に引き渡しでもいいんじゃないだろうか。
 やさぐれた顔でアイが呟くのを、フィーナが「いいわねそれ採用!」とか言い出す前にシャルロットが止めた。
「暴力で排除したらそれこそ暴動が拡大するわよ。ここはビードットの秘策とやらを支援しましょ」
「う……そ、そうですね、ごめんなさい……」
 イースタン・フロントが如何に戦時体制の軍事国家だとしても、民主制を敷いている以上は軍とそれに与する傭兵が市民のデモを武力制圧したなどという事態が知れれば別の戦いを呼ぶ火種になりかねない。
 身勝手な物言いと軍人への敬意を感じられない態度に苛立っていたとはいえ、迂闊な発言だったとアイは俯いた。
「気を取り直して行きましょう。ビードットさんとフィーナさんに任せていては……ちょっとその、心配ですから。私達でしっかりフォローをしないと」
 アリシアに励まされ、アイは前を向き直す。封鎖線の向こう、こちらを睨みつけるクーデター軍の機体。あれらを支配するオブリビオンマシンこそが諸悪の根源であって、それを早急に排除することが彼らを正気に戻す唯一にして最速の手段なのだ。こんなところでまごついている場合ではない。
 なぜかちょうどいい感じに設営済みのステージを使うことを決めれば、アイとシャルロットは裏方として速やかに己の仕事を果たしてゆく。
 アイはそのハッキング能力を用いて国内の民間ネットワークに介入し、この一帯のあらゆる機器に来たるべきタイミングで言葉を伝えられるよう下準備を行い、シャルロットは軍用回線――特に正規軍のメインフレームから切り離されている、おそらくクーデター軍が奪取したそれらに介入して彼らの目的を、戦力を調査しつつアイの仕込んだ策を察知、妨害されぬよう防衛システムを組み上げる。
 そして。
「うろたえるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!」
 壇上にちっこいのがずだんずだんと足音高らかに現れるなり、マイクもないのによく響く大音声でぶち上げた。
 何事かと目を丸くする群衆に対して、背丈ほどの杖の尻でステージの床をガツガツと叩いた小柄な少女――フィーナはさらに思考の暇すら与えず言葉を継いだ。
「あんた達の不安はもっともよ! いや私はよくわかんないけど! だからそんなあんた達に今からこのバケ……大統領がありがたくて大事な話をするから聞きなさい愚民ども!! 耳の穴と目ン玉しっかりかっぽじるのよ!!」
 大統領、というワードに群衆がにわかにざわめく。まさか自分たちの行動が国家元首をこの場に引き出したのか。もしそうならば、直接人々の意志を指導部の人間に訴えるまたとない好機なのではないか。
 そんな期待は秒で破壊されたわけだけれども。
 現れたのはフォーマルなドレス姿の金髪の少女を引き連れ、扇子をパタパタと揺らしながら短い足で歩いてくる赤い毛玉であった。浴衣とか着ている。まかり間違ってもこんなのはイースタン・フロント大統領ではない。まだ隣の少女が大統領って言われたほうが許せるぞ。
 その毛玉の両脇を彩るようにステージ端で火柱が上がる。だからこれ大統領演説の演出じゃないって。金髪の少女ことアリシアの笑顔もちょっと引きつっている。フィーナの頑張りすぎだ。過剰演出にも程がある。
 しかしそのインパクトは民衆の勢いを完全に削ぎ落とした。大統領がやってきたという誤解からの落胆も大いに役立ったと言えよう。
「諸君、我は大統領である」
『もっとマシな嘘つけよお前!?』
「――我は大統領である」
 速攻否定されるが更に速攻返し、ビードットのユーベルコードがなんかよくわからない理屈で彼を大統領だと認識させる。ビードットが大統領だというんだから大統領なのだ。そして二回目の大統領宣言から、アイの手によってこの演説が地域のご家庭に無料で(強制的に)配信されてゆく。
『そうかな……そうかも……』
「では聞け。クーデター軍の掲げる指針、生産力の全てを軍需に回すなどという政策は即刻否決すべき案件。貴様らは戦に勝つために霞を喰って戦うつもりか!」
『飢える前に勝てばいいじゃないか!』
『そうだ! 足りなければ敵国から取り上げりゃいい、前の戦争でされたことをこっちがやり返す番だ!』
 なるほど、とビードットは頷く。確かに略奪アリなら一理あるな、と。うん、破滅ロボ的観点から見ても殲滅戦争はアリよりのアリだ。
 ちょっと考え始めた大統領をフォローすべく、補佐官ことアリシアが咳払いを挟んで口を開く。
「……こほん! 仮にあなた達の希望通りプラントの生産力を兵器の生産に特化したとして、それだけでは戦争は出来ません。兵器を扱う兵隊が必要でしょう」
『我々は戦うことを厭わない! 憂国の士、ファーレンヒルト少佐と共に血を流す覚悟があるぞ!』
「わかりました。ですが皆さんがこのまま戦場に出ても、訓練を積んだ隣国の軍隊を相手に戦うにはその倍は頑張る必要があります。敵の倍戦場を駆け回り、敵の倍勝つための方法を思考し続けなければなりません。なので普段の皆さん以上に、皆さん自身を動かすための食事の量と質が必要になります。兵器の数が揃っても、それを動かし続けるための燃料や弾薬の需要も増えます」
 大統領の言うように霞を食べて戦えるならば話は別だが、人間はそんな都合のいい生き物ではない。そしてそんな群衆――仮に民兵とする――全員を軍隊に抗し得る戦力として稼働させるための膨大な資源もまた、プラントでしか生み出し得ない。
「あなた達のプラントにはそこまでの生産力がありますか? 今日の倍の資源が消費される生活を戦いが終わるまでの期間……一ヶ月か、一年か。それで済めばいいでしょうがそうは行かないはずです。それだけの期間、あなた達はその負担を背負い続ける。その余裕がありますか?」
『そ、それは……いや、それも限界が来るより先に人民平等会議のプラントを奪えればいいんだ!』
 アリシアの説得に群衆の勢いが目に見えて削げ落ちてゆく。そこに破滅bot状態から復帰した大統領の喝が飛んだ。
「だが敵が物資を、プラントを処分したらどうなる?」
 敵とて人間。理性より感情を取り、イースタン・フロントに渡すくらいならばとこれらを破壊するかもしれない。
「廃墟で鉄でも齧りながら戦うか? 敵が己より愚かであるのを期待するな!」
『ぐっ……』
 確かに。もし敵軍が此処に迫ったならば、自分たちもプラントを明け渡すくらいならばとこの手で破壊する道を選ぶかもしれない。
 ビードットの推論を狂人の空想だと否定するだけの根拠は、他ならぬ彼ら自身の熱狂が否定している。
「勝ちたくば低迷する国力を増やすための民需を知れ。彼我の戦力差を正しく理解せよ」
 ビードットが手を出せば、ステージ脇の見えないところで調査に精を出していたシャルロットが纏めた資料をその手に渡す。
「イースタン・フロントの生産力と貴様らが敵と憎む人民平等会議の生産力はプラント数からの単純計算で四倍。軍の規模だけでも三倍近い差がある。これを埋めるのは兵器の数か? 武力があれば勝利できるか?」
『それは……』
「己が不満を上の責任とし思考を止めるは愚の骨頂。力を養い豊かになるは惰弱にあらず。勝利の栄光など夢見るな、急速な軍拡は敵を刺激するだけと知れ!」
「大統領のおっしゃるとおりです。軍とは本来備えることで拮抗を作り出し、戦わないことこそが最大の任務。プラントを占拠し開戦を訴えるファーレンヒルト少佐たちは、その最たる任務を放棄すると声高に叫んでいるだけなのです!」
『……俺たちは、勝てないのか……このままずっと……』
 突き付けられる現実に肩を落とし、項垂れる人々。その頭をガツンと殴るように、溌剌とした声が響いた。
「大統領は戦って勝てないなら勝てるようになってから戦えって言ったんじゃないかしら! よくわかんないけど!」
 厳密には隣国に戦おうと思わせないほど強かになれ、というニュアンスであったが、よくわかんないなら仕方がない。
 しかしそのよくわかんないなりの励ましは、熱狂から醒めた人々の胸に戻ってきた今日への不安を打ち消すだけの明るさがあった。
『そう、か……』
「そうだな。俺たちの代では厳しいかもしれない。でも子供の、孫の代では強いイースタン・フロントになるように頑張るべきか」
「戦争で勝っても家族を養えなくなっちゃ意味がないもんな!」
 三々五々に散っていく群衆だが、まだまだそれでもごく一部。オブリビオン・マシンに扇動されているとはいえ、それほどまでに人々の隣国への不信、怒り、憎しみ、そして政府への不満は燻っていたのだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ナイン・ダブルワン
【POW】
なんやけったいな集まりで邪魔やな……轢くわけにもいかんしなぁ。
大型トレーラーを止め「緊急車両が通りますやで」と丁寧にアナウンス、しかしこちらの都合なんてお構いなしにやいのやいのやってるのでついにブチ切れ、クラクションを連打後、スピーカーを手に取り窓から顔を出して一言。
おいィ!今から緊急車両が通るっつてんだろ!何をグッダグダとやっとるんや!道の邪魔だからどけぇや!

民衆の反論にクラクション連打で遮り【医術】の視点から一言
お前らが言ってることは人殺しするいうことや!向こうさんの友人家族の命を奪ういうことやぞ!その覚悟があるならウチが相手や!その熱に浮かされた頭をぶん殴って治したるわ!


鞍馬・景正
この熱狂――武士が良き敵に巡り合い、互いの武を競わんと渇望するそれとは別物ですな。

なれば、潮目を変えねばなりますまい。

◆説得
愛馬に【騎乗】して駆け付け、群衆の注目を集めましょう。
そして彼らの主張を聞き出しておきます。

即ち国境警備の任より家族を解放させる為、隣国を滅ぼすと――それは逆に、家族たちを死地に追い遣る事は承知されているか。

戦では敵も必死の抵抗をしてくる。
味方の損害が皆無とは参らぬでしょう。
そしてその≪損害≫が各々の親きょうだい、伴侶、自身……あるいはその全てとなる覚悟はお持ちか?

それよりも、和睦を急ぐよう政府の尻を叩く所から始めては如何か?
――血を流すばかりが戦に非ず、ですとも。




「直ちに解散せよ! これは最後通牒である!」
『道を開けろーッ! 国家の怠惰を許すなーッ!』
 まだ狂騒に染まりきっていない人々の説得は順調だが、軍を相手に一歩も退かないほどの強者ともなれば、そも猟兵が説得を試みていることすら眼中にない者も多い。
 そんな折、デモ隊の一人が何かに躓き膝を折る。が、後ろから押し寄せる群衆はそんなことなどお構いなしに敵――軍の人間だけを睨みつけ、最早個人の意志では止まらぬ前進を続けるものだから、転んだ市民は大勢の人間によって蹴飛ばされ、ボロボロになってデモ隊の列からはじき出される。
 明らかに骨が折れていた。様子見をしていた人々は呻きながら蹲る若い男が重傷を負っていることに気づいたが、あの狂騒に駆け寄ってまで助け出すほどの勇気を出せるものはそうは居なかった。
 その時である。白と赤に彩られた白赤のツートンカラーが眩い一台の大型車両がデモ隊を横切るように現れた。
「緊急車両が通りますやで。道を開けてください」
 車両外部に据え付けられたスピーカーが呼びかけるが、群衆は眼前の闘争に夢中で聞いていない。
 トレーラーの運転席でそんなバカの群れをどうにか掻き分けようと声を張り上げていたナインは、マイクのスイッチを切ると特大のため息を一つ。
「なんやこのけったいな集まり。邪魔やな……けど轢くわけにもいかんしなぁ」
 いっそ全員撥ね飛ばしてけが人扱いで後ろに山積み出来たら楽なのだろうが、ナインは医療に携わる者として自らけが人を増やすような真似を許せない。
 ということはやはり道を開けてもらうしかないのだが、群衆は怪我人のことも緊急車両のことも眼中にあらずといった雰囲気だ。
「こいつらホンマに非常識やな……なんやだんだん腹立ってきた……」
 緊急車両がやってきたら道を譲るのが常識であり人の道だ。そんな当たり前のことさえ出来ない連中が、いやそんな連中だからこそ戦争なんて怪我人と死人ばかりを増やす真似をしたがるのだろう。
 ぎり、と歯を噛み締めて瞑目したナインは、それから決意を込めた眼差しで群衆を睨み――
 鼓膜を強か殴りつけるような盛大なクラクションが群衆の熱狂に横合いから冷や水を浴びせかけた。
 それも一回や二回ではない。秒間十何連射といわん勢いで連打された喇叭の音響が群衆の頭蓋の中でくわんくわんと反響する。
『なにしやがる! 五月蝿いぞ!!』
 まるでこちらには非がない被害者です、とばかりに口角から泡を飛ばして怒る暴徒に対し、ナインは窓から顔を出して開口一番に怒鳴り返す。
「じゃかぁしい! 今から緊急車両が通るっつってんだろ! 何をグッダグダやっとるんや、道の邪魔だからどけぇや! それとも怪我人と救急車が見えとらんのかい! 目ン玉の病院まで運んだろか!!」
『なッ……コイツ本当に救急の人間なの!?』
『通れないなら迂回すればいいだろうが! 俺たちは今国民の尊厳を懸けた――』
 ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱーッ! 反論など許さぬクラクション連打! ナインの怒りが騒音となってデモ隊を黙らせる。
「全く何事かと思えばこの熱狂、武士が良き敵に巡り会い互いの武を競わんと渇望するそれとはまるで別物ですな」
 ナインのかき鳴らしたクラクションに誘われ、隆々たる騎馬に跨り竜胆色の若武者が現れた。
「さてどうしたものかと思っておりましたが、貴女の音でどうやら潮目が変わりそうだ」
 良くも悪くもナインのド派手な振る舞いはデモ隊の気を引いた。こちらを見さえすれば、言葉を届ける余地も生まれ出る。
「各々方の主張は相分かりました。即ち国境警備の任より家族を解放させるため、隣国を滅ぼす、と――それは逆に家族を死地に追いやることは承知されているか」
 家族だけを危険に晒せぬ。かくなる上は共に死ぬ覚悟で戦うというならば結構。武士らしい考えに文句はない。けれど、景政には群衆にそこまでの覚悟を持つ者は居ないように見えた。
「戦場では敵も必死の抵抗をしてくる。此方の損害ばかりが皆無とは参らぬでしょう。そしてその《損害》が各々の親兄弟、伴侶、自身、あるいはその全てとなる覚悟はお持ちか?」
 得てして煽動によって戦争に突き進む者たちは、根拠もなく自分だけは大丈夫だという空想を盲信している。
 我が国は負けない、じきに神風が吹く。我が家族だけは死なない、あの家は運が悪かったのだ可哀想に。自分だけは生き残る、だって私は特別なのだから。
 そんな信仰で戦争に勝利できるものではないということは、天下泰平の徳川の世で生まれ育った景政より他ならぬ戦乱世界であるこのクロムキャバリアの民、イースタン・フロント国民である彼らの方がよく理解しているはずなのに。
「そうやぞ! それにな、お前らが言ってるんは人殺しする、家族に人殺しさせるいうことや! 向こうさんの友人家族の命を奪ういうことやぞ!」
 景政の言葉にたじろいだ群衆にナインが繋ぐ。自分や家族が傷つき倒れるだけではない。仮に無事で帰って来れたとしても、その手は血に濡れ人を殺したという事実は一生付きまとう。隣国の国民に人殺し、仇として恨まれもしよう。
「その覚悟がお前らにあるんか! あるならまずウチが相手や! その熱に浮かされた頭ぶん殴って直したるわ!」
 真摯な怒りで吼えるナインに、誰からともなく群衆は道を譲るように割れた。
「それでええんや。緊急車両が通りますやで、轢かれんよう気をつけといてな」
 聖人の奇跡のように割れた人波を通り抜け、白赤のトレーラーは骨を折り痛みに喘ぐ青年を助け出す。
 その様子を見届けた景政が、道を譲った人々に向き直る。
「さて――とはいえいつまでも睨み合い皆に負担を強いるのもまた善政とは言い難い。然らば皆の熱意でもって開戦よりまず和睦を急ぐよう政府の尻を叩くところから初めては如何か?」
 血を流すばかりが戦に非ず。戦わぬことで勝ち取るものもあるのだと、景政はただ群衆の想いを否定するのではなくそれに寄り添い、彼らの根底にある親しい人を想う心に呼びかけた。
「……ああ、わかった。おれたちは危うく息子に人殺しをさせるところだったんだな」
 一人の老人が呟けば、それが波紋のように群衆に広がって――彼らは軍の指示に従うように、ゆっくりと引き返し解散してゆく。
 正気を失うほどの熱狂から解き放たれた人々は、しかし想いを遂げるべく決意した志を正しい方向に向けた力強い眼差しをしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎
●POW/勢い説得



やかましァ下民共!!


・騒ぎの現場へ【砂嵐の王・死霊大隊Ⅱ】でエントリー
・カルバリンを並べた空も飛んじゃう狩猟船の舳先に片足置いてふんぞり返り、マスケット担いだ骸骨共を従え一喝(恫喝)

・己の弁論を群衆にブッ刺せそうな緩急は、周囲を観察しつつ【野生の勘】を以って秒単位で計る


身内が戦場に縛られるのが否だってんで、自分らも銃を手に取って進めだァ?
『戦場行き』と『置いてかれて寂しい身内』の数が増えるだけでしょうわ
本末転倒じゃニャーですか

大体ンな戦争、おっぱじめたトコで終わらせられるのは何ヶ月後何年後見込みですよ?
リソースを軍需に一極集中させた日にゃ郷里の身内が飢えるようですわな、ええ?


荒谷・ひかる
うわ……大分頭に血が上っているみたいですね。
ちょっと落ち着いてもらわないと……いきましょう、精霊さん達。

キャバリアは非武装でスピーカーを装備したタイプを借りる
まずは【精霊さんのくつろぎ空間】を群衆へ向けて発動
半強制的にリラックスさせることで、彼らの熱気を冷ましてお話をできる状態にまでもっていく
止まったならばコクピットハッチを解放、自身の身を晒して彼らを説得する

聞いてください。
知っていますか?今隣国との関係が僅かながら改善に向かっている事を。
まだ気は抜けませんが、停戦も不可能ではないところまで来ています。
どうか、落ち着いて。
あなた方の愛する人達が帰れる日は、すぐそこなんですから。




『なぁ、なんだあれ……』
『飛行船……? 軍の航空隊かな。いや、見たこと無い型だぞ……』
空を見上げてざわめく群衆。彼らの頭上に影を落とすのは、はるか昔の時代に大洋を駆けた帆船であった。
 科学と鋼鉄が理を支配するこのクロムキャバリアにあって、航空力学を全く無視した姿は人々に違和感と恐れを与えるに十分。
 たとえそれがキャバリアに対して有効な武装のように見えなくとも、これ見よがしに両舷からその頭を突き出した無数のカルバリン砲が放つプレッシャーは暴徒と化した群衆を黙らせるには事足りる。
 当局の治安部隊が携行する小銃のほうがよほど身近な脅威であろうが、それでも当たりどころによっては怪我で済む。それに当局軍人たちがまさか自国民をいきなり撃ち殺しはすまい、という驕りが人々にあったが、国籍不明の飛行帆船にそれを期待することはできない。
 封鎖線の背後、正規軍の走行車両や歩兵たちと睨み合うクーデター軍のキャバリアも一様に警戒を露わに銃を構える。
 その帆船はゆっくりと高度を下げると、群衆の眼前でその動きをひたりと止めた。舳先を人々に向け、舷側のカルバリンはぴたりとキャバリア部隊に突き付けられてその動きを牽制する。それどころか、これまた旧式のマスケット銃を掲げた骸骨の水兵がずらりと船縁に並んで暴徒とクーデター軍、そして正規軍のいずれもが暴発しないよう睨みを効かせる。
 さて――そうして場を整えれば、この状況を造り上げた百鬼夜行の死霊の王とそれに付き従う精霊の巫女が現れた。
 帆船の舳先に立つのは巫女の駆る異形のキャバリア。差し出されたその掌の上にどっかと胡座をかいた海賊衣装の青年は、眼帯で隠れた隻眼で群衆をじろりと一睨みして一喝する。
「やかましァ下民共!!」
『げ、下民!?』
 未だ封建主義を敷く、イースタン・フロントの人々に言わせれば"時代遅れ"な国でもなければ聞くことのない言葉に人々の困惑は最高潮に達する。
 自国の船ではない。が、国境を接する東西どちらの国でもこのような物言いをする人間とこのような懐古主義的な飛行船があるとは思えない。
 ならばこの船は何なのだろう。
 そんな困惑に付け入るように、青年をその手に乗せたキャバリアから風が吹く。
 草木や花の香りを伴った爽やかな風は、まるで鋼鉄の巨人から吹き出すにしては不似合いなものであったが、人々の精神を落ち着かせるには有効だ。
「大分頭に血が登っていたみたいですけど、落ち着いてもらえたでしょうか」
 キャバリアのコックピットで、その操縦士――ひかるが呟く。やや強引な手法ではあったが、物九郎の狂騒にこじ開けた穴からひかるが注いだ精霊の魔力は、群衆の不安や敵意を鎮めていった。
 そうして人々が少なくとも話を聞ける状態になったとみるや、物九郎は立ち上がりひかるのキャバリアの指先に片足を乗せてその姿を堂々晒す。
「手前ぇらの言い分は聞かせてもらいましたわ。身内が戦場に縛られるのが否だってんで、自分らも銃を手にとって進めだァ?」
『そ、そうだ! 我々は勝って家族を連れ帰るために!』
「手前ぇらは馬鹿ですかよ。『戦場行き』と『置いてかれて寂しい身内』の数が増えるだけでしょうわ。本末転倒じゃニャーですか」
 物九郎の指摘に黙り込む人々。自分のいちばん大切な誰かを取り戻すために戦うという題目は結構だが、それ以外に人と全く関わりを持たない人間など居はすまい。そして、その他の人々との関わりが須らく失っても良い無価値なものと断ずる事ができるような人間もそうそう居ないものだ。
 息子を取り戻すために戦う? 妻や友人はそのために切り捨てる程度の価値しかないのか。
 夫を取り戻すために戦う? 両親や姉妹は置き去りにしても気にならないほどどうでもよいのか。
 友を取り戻すために戦う? 国に残る人々は友ではないというのか。
 突き付けられた問いかけに、そうだとうなずける人間は居なかった。堂々と人間の価値に位をつける行いなど、それこそ民主国家の民には不慣れな、あるいは否定して然るべき価値観なのだから。
「大体ンな戦争、おっぱじめたトコで終わらせられるのは何時見込みですよ? それまでリソースを軍需に一極集中させた日にゃ郷里の身内が飢えるようですわな、ええ?」
『…………っ、では家族が戦争に取られていくのを黙って見ていろというのか?』
 絞り出すような抵抗の言葉に否を突き付けたのは、物九郎ではなくひかるであった。言うべきことを言い切った物九郎がキャバリアの手から飛び降りれば、キャバリアはその掌を腹のコックピットに添えるように動かし、跳ね上げられた上半身から顔を出した少女は凛とその手の上で立つ。
 風が美しい銀髪を靡かせる姿に、人々は思わず息を飲む。
「皆さんは知っていますか? 今まさに、隣国との関係が僅かながら改善に向かっていることを」
『……!』
 クーデター軍の機体がひかるの言葉を止めようと動きかけるが、物九郎が指揮する幽霊飛行船がその動きをいち早く牽制して封じ込める。
「もちろん今日明日に和平を結ぶようなものではありません。まだ気は抜けませんが、停戦も不可能ではないところまで来ています」
「今すぐ外務省に確認を取れ、事実ならこの暴動を止められるかもしれん!」
 正規軍の指揮官が部下に命じ、封鎖にあたっていた兵士たちが慌ただしく司令部や政府とのコンタクトを試み始めた。
「だからどうか、落ち着いて。あなた方の愛する人達が帰れる日は、すぐそこなんですから」
 ひかるがにこりと微笑む。
「――外務省より回答、本日人民平等会議の国家外交委員長と非公式の会談を実施したと。その結果を、この後の緊急会見で発表するとのこと!」
「聞いたか。聞いたな! 政府は君たちの主張するような無能ではないようだぞ! 暴動を起こすならば会見を見てからでも遅くはあるまい! 解散し帰宅せよ! 外務省の発表を待て!」
 ひかるの齎した情報を軍が肯定したことで、多くの市民が急速に敵意の熱を失っていく。
 本当は戦いたくなかった。戦うしか術がないと信じ込まされていたから。そうしなくとも愛する人が帰ってくるなら。
「……家に帰りましょう。それで、あの人達が帰ってくる日をカレンダーに書いておかなきゃ」
 待ち望んだ日の訪れを予感して、人々は涙すら浮かべて愛する人達の帰りを待つ家へと歩んでゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レッグ・ワート
そんじゃ逃がそうか。

迷彩起こしたドローンで近場をざっくり把握。端っこに成行きで居そうな奴がいたら、染まる前に肩叩いてジェスチャーで抜けようぜってそおっと抜いてくかな。……諸々で落ち着いてくようなら、遠巻きの知合いっぽいトコにちょこちょこ帰してくよ。熱からは離すかかばうに限る。

見咎められて一言置くか、離した連中と話すならそうだな。帰ってこなくなるように自分達から物騒の級上げてどうすんだろうなって、救護パックの水渡しながら言うかな。今より守り人期間が短く融通利くようになるかもしれないって時に不思議なもんだ。そこまで尖ってるようには見えなかったが、前の面々は話したり考えたりするのは嫌いな感じかい?




 群衆の大多数が解散したとはいえ、それが全員ではない。
 残ったのは国家に不満があるもの、隣国に憎しみを持つもの、あるいは蜂起した部隊の主義主張に賛同するもの。
 純粋な家族愛だけではない想いによって、平和より闘争を望む人々だ。
 それだけの集団ともなれば、外様に過ぎない猟兵達の言葉だけで叛意させるのは難しい。
 ぞろぞろと背を向け解散してゆく、ほんの数秒前まで同志だった隣人にまで悪態を吐くほどにクーデター軍の思想に染まった人々をどうやって解散させるべきか。猟兵たちが思案しているその時、レグはふと群衆の片隅に所在なさげに立っている女に気がついた。
 他の人間たちほど熱狂に身を委ねておらず、しかし解散する人々とともに帰ることもできない。
 隣で正規軍に罵声を浴びせる男をチラチラと伺っている辺り、友人か恋人かあるいは家族か、親しい彼に連れられ参加したものの、足抜けするタイミングを見失ったか彼を置いて帰れないか、ともかく群衆の主義主張には呑まれていないようである。
 そんな彼女の姿をドローンからの中継映像で捉えたレグが動く。
 あの手の暴徒連中はこのままヒートアップすれば間違いなく敵味方をより強固に分かちたがる。
 今はまだ賛同者と反対者という色分けだが、そのうちに賛同者とそれ以外で人を分かち始めると、乗り気になりきれていない身内にまでその牙が向けられることになるだろう。
「やれやれ、どうしてこう争いが好きかね。そんじゃ逃がそうか」
 故郷の帝国と解放軍の戦争も然り。人間の闘争本能へ今ひとつ及ばぬ理解に肩を竦め、そっと群衆に忍び寄り女性の肩をとんとんと叩く。
「っ!? あ、あなたは……?」
「いやな、お前さんがイマイチ乗れてないようだから気になってな。もし嫌々居るんならここらで抜けようぜ」
 しかしレグの言葉に女性は難色を示す。聞けば隣で兵士と怒鳴り合っている男は幼馴染で、クーデター軍の放送を聞いてデモに参加した彼を見捨てられずに此処まで付いてきたらしい。
 いよいよこの状況に至って理解し合うには遠い思想の隔たりがあることに気づいたが、今日のこの争乱が終わった後の友人関係を思うと彼一人を捨て置いて帰るのも気が引ける、と。
「まあそうよな。俺にはそういう人間関係の機微までどうこうフォローしてやれる性能は無いけども、参加してねえ友達だって居るんだろ?」
 こくりと頷く女性をなら、とレグは引き寄せて。
「そいつらのところまで送っていくよ。その幼馴染と最悪縁切りになっても、お前さんは一人ぼっちになるわけじゃあねえだろ?」
 このまま正規軍とぶつかれば纏めて逮捕、最悪銃殺されるかもしれない過激なデモ隊に身を置き続けるリスクと、幼馴染との関係を維持し続けるリターン。釣り合わないことも、自分がどちらを取りたいのかもわかっているはずだ。
「……ええ、彼には悪いけど私も帰るわ」
 レグの手をとって人混みから抜け出そうとする女性。しかしあと一歩というところで幼馴染の男に肩を掴まれてしまう。
『おいカティ、お前何処行くんだよ。まさかお前だけ逃げるつもりじゃねえよな?』
 据わった目で女性を睨む男。親友で幼馴染だった男の豹変に、女性は喉を引きつらせて息を飲む。
 だがレグは極めて冷静に男の指を一本ずつ女性の肩から外してやり、彼女をその背に隠して立った。
「おいおい、お前さんらの主張はめちゃくちゃだぜ。人を帰せって言いながら自分たちから物騒の級を上げてどうするよ。せっかく今より守り人期間が短く融通利くようになるかもしれないって時に不思議でならんね」
 真っ向から男に対峙しながら、レグは後ろ手に女性に行くよう示す。
 ドローンが彼女を先導し、無事に逃してくれることだろう。必要であれば警察当局の保護も要請しようと準備をしながら、男の返事を待てば返ってきたのはあまりにも期待はずれと言うか、中身のない言葉。
 曰く――クーデター軍の指導者、ファーレンヒルト少佐なら瞬く間に敵国を粉砕して戦争を終わらせてくれる。彼女のキャバリアの威力を前にすれば、自分たちが戦列に加わる頃には人民平等議会軍は戦わずして降伏するに違いない、と。
「なるほどな、お前さんらが話したり考えたりするのが苦手なのはよくわかった」
 ドローンから女性が無事に逃げ切ったことを告げる信号を受け取って、レグは己の仕事の完遂を認める。
 これ以上政治や信念に関する問答を繰り広げるのは奪還支援機の任務ではない。救護パックからよく冷えた人間用の飲料水ボトルを取り出し、男に放り渡してレグは背を向ける。
「冷たい水でも飲んでちった頭冷やしてみな。お前さん今相当滅茶苦茶言ってんぜ」
 ひらひらと手を振り立ち去るレグ。男はボトルの水を暫し見つめ、それから去ってゆく鉄の男の背に視線を向ける。
『わかってるさ。わかってるけど、政府が国を愛してないんじゃこうやって訴えるしかねえだろう……!』

成功 🔵​🔵​🔴​

リダン・ムグルエギ
へー
予想以上にどろどろ政治戦線なのね
このぐだぐだは国が千あるのも納得だわ

でも内乱さえ無ければここ、市場としては悪くなさそう

SPD
まずは情報収集よね
離れて訝しむ人々にインタビューを試みるわ
「ねえ、貴方はこの決起で戦って勝てると思う?

スマホで撮影させてもらい
お礼にロゴ入りシャツをプレゼント

「指導部と争って疲弊するのもったいなくね?」
「二派に分かれてる時点で勝ち目はない。まず両者が手を組んでから」
「戦うにしても侵略戦の練度が足りず失敗は確実だ。一度時間を取るべき」等の
一旦落ち着け、って意見を重視した動画編集を行うわ

さ、カウンターブームのお時間ね
大きめのテレビ等をハッキングで借りて放映よ
あ、CMも挟も




「へー、予想以上にどろどろ政治戦線なのね。このぐだぐだじゃ国が千あるのも納得だわ」
 思想、心情の違い。それは何処の世界にでも存在しうるものだが、ことクロムキャバリアにおいてはキャバリアという戦闘力が普及しているためか、それとも何時始まったともしれぬ戦いの歴史が故か、それが闘争に結びつきやすいような雰囲気をリダンは感じ取った。
 けれど、それと同時に彼女の経営者としての直感が訴える。
 これほどまでに市民ひとりひとりがエネルギーをもって自由に「活動」する世界は稀だ。それこそキマイラフューチャーに匹敵するやもしれない。
「内乱さえ無ければここ、市場としては悪くなさそう」
 GOATiaを売り込むには格好の世界に違いない。離断は商機をつかむべく、あるいは市民の自由な表現、経済活動を守るべく、戦いの芽の処理に取り掛かる。
「なにはともあれまずは情報収集よね。あれだけ説得されても解散しないってことは何か理由がありそうだし」
 そうと決まればインタビューだ。市民の生の声こそ、この状況を解きほぐす足がかりになる。スマホを取り出し、録画モードでカメラを立ち上げてインタビュー対象を探す。
 しかし直接デモ隊にインタビューはやめておくべきだろう。スマホを奪われ主義主張を一方的に叫ばれるのがいいとこだ。
 で、あるならば。
「あっちで見てる人たちの方に聞きましょうかね」
 コツコツとヒールのように蹄を打ち鳴らして、遠巻きにデモ隊を見つめる人々に歩み寄るリダン。
「ちょっといいかしら? ねえ、貴方はこの決起で戦って勝てると思う?」
 カメラで撮っていることをジェスチャーし、顔は映さないという約束でひとりの市民を捕まえたリダン。その問いかけに、市民は難しい顔で首を横に振った。
「国境線から正規軍のキャバリアが戻ってきたら決起軍はひとたまりも無いと思うよ。みたところ決起軍のキャバリアは数も多くないみたいだし」
 ――正規軍の鎮圧部隊にすら勝てないと?
「だろうね。ファーレンヒルト少佐はエースで鳴らした傑物だって聞くけど、国境防衛師団には前の戦争で戦ったベテランだって大勢いるんだ。むしろ僕は正規軍との戦闘で建物やプラントに被害が出ないか心配だよ。追い詰められた決起軍が盾にしたり、さ」
 ――ありがとうございました。国家指導部、正規軍との戦いすら分が悪いと評される戦力で、隣国との決戦の勝率は果たして如何ほどか……
「あ、これお礼ね」
 インタビューに協力してくれた男性にGOATiaのロゴ入りTシャツを渡して、次の相手にインタビューに向かうリダン。
 次にインタビューに答えてくれたのは隻腕の老人だ。
「この腕かい。これは前の戦争でな、人民平等会議のキャバリアが撃った榴弾の破片にやられたんじゃ。……ああやって開戦論をぶち上げる連中は今までも居ったが、連中はイースタン・フロントの力を過信しとる」
 ――過信、というと?
「前の戦争ではイースタン・フロント全軍で迎え撃っても歯が立たずに首都ギリギリまで攻め込まれたんじゃよ。西の経済連合が出した義勇軍が来てくれなきゃあ負けておった」
 ――つまり、イースタン・フロント軍は敵に劣るということですか?
「歯に衣着せずに言えばそうじゃな。国境防衛線を引き直すための募兵プロパガンダが効きすぎたんじゃろ、今の若者は軍の強さを過大に見ておるが」
 ――実際は独力では自国防衛すらやっと、と。なるほど、ありがとうございました。
「お爺ちゃんありがとうね。これお礼のTシャツ。いい布使ってるから着心地は保証するわよ」
 隻腕の老人にTシャツ入りの袋を手渡して。最後は封鎖線を敷く軍の兵士に突撃だ。
「あっ、ちょっと撮影は困るよ。録音? 音声は加工してくれるんだろうね」
 ――もちろんです。貴方はこの決起軍の行為をどう評しますか?
「そりゃあ馬鹿馬鹿しいの一言さ。イースタン・フロント軍はあくまで国防軍、国内での防衛戦に特化した軍隊だよ。侵略戦争の訓練なんてしたこともないし、そのための装備も足りないさ。敵国に攻め込んだ後の補給をどうするつもりなんだろうね、決起軍のやつら」
 ――準備時間が足りないと?
「本気で攻め込むならそうだね。補給線を維持するだけの物資や輸送能力を確保して、訓練をし直して……仮にプラントを一個まるごと軍用に使っても十年じゃ足りないよ」
 ――なるほど、貴重なお話ありがとうございました。
「粗品のTシャツは……」
「残念だけど受け取れないね。またの機会によろしく頼むよ、あ、くれぐれも音声のことは」
「はぁい、ちゃんと加工して流すから安心して頂戴な」

 そんな風に市民の意見を纏めたリダンは、サクサクと動画を編集してこれをハックした街角のモニターに映し出す。
「決起軍はひとたまりも無いと思うよ。国境防衛師団には前の戦争で戦ったベテランだって大勢いるんだ」
「全軍で迎え撃っても歯が立たずに首都ギリギリまで――経済連合が出した義勇軍が来てくれなきゃ負けておった」
「仮にプラントを一個まるごと軍用に使っても十年じゃ足りないよ」
 市民や前の戦争の経験者、そして正規軍人の正直な言葉はデモ隊のうちのまだ理性で物事を考えられる人々に今開戦することの愚かしさを伝えるには十分であった。
 リダンの挟んだGOATia製品のCMが流れる頃には、ぽつりぽつりと正規軍に投降し家に帰される者たちが出はじめる。
「これでよし、と。できればCMまで見てって欲しかったけど」
 それでもやるべきことは果たした。残っている人々も、理屈の上で勝てないことは承知しただろう。
 後は感情と信念に訴えることができれば。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

おっかねぇ事を考える奴らは、
どの世界にもいるのかねぇ……
いや、今回はオブリビオンに唆されてるっぽいか。
こういう情報の裏工作なら、任せときな。
そもそもがアタシはこういう方が慣れてるんでね!

プラントの作業員の服装に『変装』し、
何食わぬ顔でそこらを歩き回るよ。
そうして周囲の話を小耳に挟むように『情報収集』しながら、
【超感覚探知】のテレパスを広げる。

急激な軍拡への不安と困惑の思念を捉えたなら、そこからが本番さ。
そいつらの疑念に同調し、賛同してみせる。
ちょっと『催眠術』を応用した思考誘導も仕掛けるけどね。
そうして静かに、静かに『鼓舞』してサボタージュの下地を整えるよ!




「隣国を滅ぼせば安心、ねぇ。おっかねぇ事を考える奴らはどの世界にもいるのかねえ……」
 プラント職員の作業服に身を包んだ多喜は、門番のように立ち並ぶ黒鉄のキャバリアの隊列を見上げて呟く。
 彼らも軍人であるならば、隣国との戦力差は他の誰よりも承知しているはずだ。正面から侵攻して勝てる相手ではないと言うことは、これまでの猟兵達の情報収集と説得で知れている。
 それでも決起したということは、正規軍も知らぬ秘策を持つか、あるいは今起たねばならぬ理由があるか。
「いや……今回はオブリビオンに唆されてるっぽいか」
 この世界のオブリビオンは人間の正気を惑わし戦乱を呼び込む存在だという。であれば、この無謀な決起もオブリビオンの魔力が齎したものと考えるのが普通だろう。
「そういう情報の裏工作ならアタシの十八番さ、任せときな。そもそもこっちの方が慣れてるんでね」
 何食わぬ顔でさも本物のプラント職員のように封鎖された職場を案じる振る舞いをしながら歩き回る多喜。その耳には市民の不安が、クーデター軍への困惑が聞こえてくる。
 この決起には必ずしも大多数の市民が賛同してはいない。むしろ冷戦状態とはいえ血の流れないこの仮初の安定をこそ尊び、わざわざ開戦してまで敵を排除することまで望むような狂信的愛国主義者――とでも呼ぶべき極端な思想を持つものはごく一部に過ぎない。
 で、あるならば。マイノリティの暴走を鎮めうるのは政府の権威でも軍の武力でもなく、いつの世も黙して語らぬ大多数の声だ。
「なぁ、あんたもこの決起はおかしいって思うだろ?」
 同じプラント職員の服を着た男に語りかければ、多喜の声に男は頷く。
「まったくだよ。戦争だか何だかはやりたきゃ他所でやってくれってな。プラントまで止めやがって、俺たちの稼ぎは誰が保証してくれるんだ?」
 イースタン・フロントに限らず大抵の国でプラントは国家の所有物、そこで働く人々の給与もまた国が支払うものだ。それが国家の手を離れ、企業ならまだしも軍の一部隊が管理を掌握するとなれば、労働者の給与は何処から湧いて出るというのか。
 自分たち善良な小市民の生活を脅かしてまで戦うことに何の大義があるというのだろう。肩を竦めて皮肉に笑う男に多喜は同意の首肯で返す。
「連中、生産力を全部軍需に回すってんだろう? 給料代わりに砲弾貰っても生きていけねえよ」
「だろうねぇ。あそこで集まってる連中やクーデター軍の勇敢な兵隊さんらは砲弾齧って生きる生活でもいいんだろうけどさ」
 多喜は敢えて労働者とクーデター軍の間に溝を作るような言動を演じ、その狙い通りに労働者たちはクーデター軍のキャバリアに対して不信を膨らませてゆく。
 とはいえここで第三勢力を作り、クーデター軍に対して直接的に対抗するのでは意味がない。良くて暴動が三つ巴となって拡大し、悪ければクーデター軍の暴発で死者を出しかねない危うさがある。
「よし、ここはいっちょアタシらはサボタージュで対抗しようじゃないか。生産ラインをもとに戻すまでプラントを動かすことに協力しないって声明を出して、さ」
 だから抵抗は静かに、冷静に。多喜の提案に男はすぐに同意して仲間たちに連絡を取り始める。
 街角のモニターが映すニュースや、クーデター軍と政府がプロパガンダ合戦を繰り広げるラジオからプラント労働者組合のサボタージュ宣言が告げられたのはそれから程なくしてのこと。
 クーデター軍の掲げる方針の一つが遂行困難になったことで、彼らとその支持者は勢いを削がれてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

木霊・ウタ
心情
国境を守ってる人に
万が一命の危険がって心配は当然だ

そんな気持ちに付けこまれて
煽られちまったか

止めるぜ

行動
煽動されてない人々に頼んで
豹変しちまった人へ
そのような行動をする事の
疑念や懸念を伝えてもらう


兵士が国境を守ってるのは
この国を
あんたらを守るためだ

そのあんたらが争いを起こしたら
内乱が起こったら
守り人たちを悲しませる
そして家族や友達、隣人も悲しんでる

大切な人たちを悲しませるようなこと
しちゃダメだろ?

友や国を思う気持ちは皆同じだ
争う理由なんてない筈だ

少佐達のことは俺たちに任せてくれ
大丈夫だ
少佐や少佐の部下の
家族や友を絶対に悲しませやしない

東方同盟戦線の国家を爪弾き
皆の気持ちを一つに


フレティア・ハイマール
どうして皆、手を取り合うことでなく争い合うことを選ぶのか。
こうして、想いが歪められていたから…だったのね。
…うん。分かったからには、止めなきゃ。

スロゥマトについて来てもらいつつ、プラントを囲んでる人達を説得するの。
あなた達が銃を取る必要はないの、その為に皆の大切な人達が身体を張っているのでしょう?
それに、銃を取らなくたってあなた達は戦っているの。皆の大切な人達の帰る場所を守る、っていう戦いを。
立ち止まって、周りを見て。あなた達の守るべきものは何か、あなた達の本当の敵は誰か。もう一度考えてみて。
大丈夫――本当の敵は、わたし達が何とかするから。だから、ね?


トリテレイア・ゼロナイン
(遠巻きの群衆に)
如何されましたか? 成程、ご家族が…

このクーデター、背後にオブリビオンマシンの陰があります
大変勇気のいる事ですが、彼らを正気に戻す為ご協力頂けますか
騎士として、皆様をお守りいたします

ご婦人方の繋がり利用し人集め
彼ら彼女らをかばうよう引き連れ

(UCを使い自己●ハッキングでスピーカー音声大に)

お聞きください!

ファーレンヒルト少佐が主張する軍需物資生産のみのプラント利用
その影響を真っ先に被るのは弱者…次代を担う子供達です
国の根を全て腐らせての勝利など、真っ当な軍人の主張ではありません

では何故少佐は豹変したのか
オブリビオンの狂気です!

狂気の戦いを私達は許してはいけません!




 政府と正規軍は元よりこちらから敵として叩く相手。
 隣国との関係改善に向けた取り組みを経て世論は徐々に反戦の機運が高まっている。
 プラント労働組合はクーデターに反対の立場を表明し、デモ隊の参加者も一人また一人と治安当局の指示に従い解散しつつある。
 クーデターは、少なくとも市民によるデモ行進は失敗に終わるだろう。
 追い詰められた状況で、それでも踏みとどまるのは極端に振り切った愛国主義に染まった人々だ。
 普段は同志や家族に愚痴混じりに溢すだけだった攻撃的なまでの愛国心に、ファーレンヒルト少佐らクーデター軍が与えた具体的な方針と、正規軍キャバリア部隊の不在を突いた鮮やかなプラント占拠が彼らに行けるのではないかという希望を抱かせてしまった。
 これを打ち砕かねば、市民という生命の壁を挟んでクーデター軍を排除するという至難の戦いに挑まねばならない。
 だからこそ、トリテレイアは彼らの家族愛に。ウタは彼らの愛国の志に。フレティアは彼らの魂に呼びかけるべく、デモ隊の前に立つ。
 クーデター軍のキャバリアが構える銃口に背を向けて、両の腕を大に広げて群衆を進ませまいとするジャイアントキャバリア。その足元に立つフレティアは、幼い少女のようでいて、それでいて母や祖母のような懐かしさ、落ち着きを与える不思議な立ち居振る舞いで人々の足を止まらせた。
「あなた達がどうして皆、手を取り合うことでなく争い合うことを選ぶのか。こうして想いが歪められていたから……だったのね」
 背に突き付けられた巨大な銃口から感じる、醜く捻じ曲げられた愛国と忠誠の想い。これが弱くとも薄くとも人々に伝播した結果が、眼前のこの、これだ。
「……うん、わかったからには止めなきゃ」
『な、なんだ。キャバリアで脅そうったって、我々は死を恐れないぞ! 踏み潰されようが我らの屍が政府の横暴を示す動かぬ証拠になるだけだ!』
「いいえ、わたしはあなた達に危害を加えない。それにあなた達も、銃を取る必要はないの。そのためにあなた達の大切な人たちが身体を張っているのでしょう?」
 今日まで、冷戦状態にある隣国とは散発的な紛争はあったかもしれない。けれど国境防衛線が敷かれて以来、戦闘と呼べるような戦闘は起きていないし、国境守備軍の兵士に犠牲者も出ていないはずだ。
 それは国境守備軍の兵士たちが隣国の攻勢を許さぬべく真摯に国境防衛に励んでいるからであり、政府の外構努力の賜物でもあるはず。
『だが! 国境での任務はあまりにも過酷だ! 家族に苦難を強いて、自分は戦わずにいるなど……』
 訴え出たのは痩身の男だ。乾いた咳をしているあたり、政府の基準で軍役には耐えられないと判断された身体なのだろう。
「いいえ、あなた達も戦っているわ。皆の大切な人の帰る場所を守るっていう戦いを。――ねぇ、立ち止まって、周りを見て。あなた達の守るべきものは何か、もう一度考えてみて」
『私達が、戦っている……』
 ふと周囲を見回せば、家に置いてきたはずの家族が、恋人が、子供たちが、心配そうな目で自分たちを見ている。
「父さん、もうやめよう。政府が停戦してくれたら兄貴はきっと帰ってくるよ」
「あなた……あの子が手紙に書いて寄越したじゃない。もうじき帰るから、一緒にドライブに行きましょうって」
「きみのお父さんが帰ってきたら、結婚の許しを貰いに行こうって約束したよね。二人で一緒に……だから、もう少し待とう? 私は待てるから」
 口々に愛する家族を引き留める人々。その姿に、今の今まで忘れていた、手の届くすぐそこで守るべき存在を思い出した群衆の足が止まる。
 そして、彼ら家族を守るように大盾を携えた白い騎士が前に出て、フレティアに並ぶ。
 声高に、街中に響くほどの朗々とした声量で、白騎士――トリテレイアは彼らに問う。
「お聞きください! ファーレンヒルト少佐が主張する、軍需のみのプラント利用! それは確実に民間の皆様の下に貧困を齎すことでしょう! もしかしたら、今、貴方達の世代ならば乗り越えられる蓄えがあるのかもしれません」
 けれど、とトリテレイアは若い夫婦や恋人たちに視線を向け、それから老人たちにも真摯な眼差しで訴える。
「影響を受けるのは貴方達だけではない……何よりも大きな影響を真っ先に受けるのは弱者、次代を担う子供たちです。国が飢えれば子供たちを誰が養うのですか。大人たちが戦争に行けば、誰が子供たちを教育するのですか。彼らが病に臥せった時、誰が隣りにいて手を握ってやるのですか!」
 トリテレイアにはその実感を得ることは出来ないが、騎士として弱きを守るプログラムが彼の鋼鉄の魂を震わせる。
「国の根を全て腐らせての勝利など、真っ当な軍人の主張ではありません! では何故少佐がそのような主張を罷り通すような、愚かな指揮官に豹変したのか! それはオブリビオン・マシンが齎す狂気に他ならないのです!」
「けれど心配しないで。大丈夫――本当の敵は、少佐を狂気に貶めたオブリビオン・マシンは、わたし達がなんとかするから。だから、ね?」
 白騎士と少女に宥められ、最後に残った群衆からも狂気と煽動の熱が抜けてゆく。
「わかってくれたか。あんたらが争いを起こしたら、内乱が起こったら、あんたらの為に国境を守ってる兵士たちが悲しむだけだ。今だってあんたらの家族や友人、隣人が悲しんでる」
 ウタが人の群れを掻き分けながら、彼らの中心に進んでゆく。
「大切な人たちを悲しませるようなこと、しちゃダメだろ? 友達や国を思う気持ちはきっと皆同じだ。争う理由なんて無いはずだ。だから」
 ウタは静かに、人々の輪の中でギターを爪弾く。
 それは誰もが聞き慣れたメロディ。愛する人と共に生きてゆく場所、この国の――イースタン・フロントの国歌だった。

「「「「――我らの祖国は決して滅びない
    ――幾度畑を踏み固められ
    ――幾度家を打ち壊され
    ――幾度血と涙を流そうとも
    ――我らは必ず勝利する
    ――東から陽が昇るように
    ――我らは必ず勝利する

    ――我らの祖国は決して屈しない
    ――どんな悪意に晒されても
    ――どんな災いが降り注いでも
    ――どんなに辛い夜が訪れても
    ――我らは必ず立ち上がる
    ――東から陽が昇るように
    ――我らは必ず立ち上がる」」」」

 最初は正規軍の兵士たちが胸に手を当てて歌い出した。
 次にトリテレイアに連れられてきた家族たちが。
 そしてデモ隊の人々が加わって、猟兵たちも声高らかにそれに合流する。
 最後には町の区画まるごとひとつを飲み込んで、愛する国の平和を願う歌が天へと響く。
 もう、そこに敵意はなかった。
 国歌斉唱が終わるなり、誰からともなく抱きしめ合い、肩を叩いて、そして正規軍の兵士たちに促されて家に帰り、あるいは暴動の中で他者に危害を加えてしまった者たちも素直に当局に両手を差し出し逮捕を甘んじて受け入れてゆく。
「これで煽られちまった人たちは止められたかな」
 狂騒の去った路上で、余韻を残すように東方同盟戦線国歌《東の黎明》を奏で続けるウタ。
「ええ、お見事でした。歌で人々の心を一つに纏め上げるとは……」
 トリテレイアが見送る人々の背中は、政府への不満や己の不甲斐なさといった負の感情に満ちたデモ隊のそれではない。
 愛する祖国を銃以外の手段で守ろうとする、誇り高い国民の背中だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『オブシディアンMk4』

POW   :    ホークナパーム
【油脂焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【高温の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ピアシングショット
【スコープ照準】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【RSキャバリアライフル】で攻撃する。
WIZ   :    マイクロミサイルポッド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【誘導ミサイル】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 市民が解散したことで、場はしかしより一層の緊張感に満ちた。
 互いに市民への配慮をする必要が無くなったということでもあるのだ。相手が軍人であれば、一般人を撃つより心理的な負荷は軽い。
 そしてオブリビオンマシンの狂気に汚染されたクーデター軍のパイロットたちは、尚のこと抵抗感を感じることなく巨人の持つ砲の引金を引くだろう。
 どちらかが動けば武力衝突は避け得ない。そうなれば、キャバリア戦力の乏しい正規軍部隊は――
「――此方はイースタン・フロント陸軍第88航空機甲中隊だ。そこの君たちが猟兵だな? 反乱軍鎮圧への助力に感謝する。我々も共に戦わせてくれ」
 空を翳らせる巨人の影。ごく静かに国道上に降着し、クーデター軍の量産機と睨み合う機体はいくらか洗練されたフォルムのクロムキャバリア達だ。
 戦闘の意志はまだないと示すように武装をガンマウントに収めた彼らに、クーデター軍機も銃を向けこそすれロックオンはしない。
 そうして奇妙にかき乱された緊迫感の中、猟兵たちはプラント奪還に向けた準備のために新たに現れたキャバリア部隊の下へ集まるのだった。

「改めて、第88航空機甲中隊長のフロイド・ミュラー大尉だ。国家の一大事と聞いて国境防衛線から飛んできた。土産もあるぞ」
 まだ若い大尉は、そう言って笑いながら猟兵達に背後のトレーラーを示す。ゆっくりとハッチを開くカーゴの中身は量産型が主だが、クロムキャバリアやサイキックキャバリア、ジャイアントキャバリア、果ては長らく軍の格納庫で眠っていたのだろうスーパーロボットすら収まっていた。
「どいつもこいつも乗り手の付かないじゃじゃ馬お嬢さんたちだが、君たちであればあるいは、な。さて、我々が国境から急行できたということは君たちにも予想は付くかもしれんが、夕方の外務省会見で正式に東の人民平等会議との停戦が発表される。イースタン・フロント国防軍全軍は現在停戦ラインまで後退中だが、その最中にファーレンヒルト少佐の隊に妙な動きをされるわけにはいかない」
 少佐らが万が一にもプラント占拠を諦め、国境越えなど目指そうものならイースタン・フロント政府の停戦への意志を疑われ、せっかく結ばれた停戦合意が水泡に帰す可能性が高い。
 クーデター軍は国内で鎮圧しなければならないが、対応可能な全軍は停戦によって設けられた非武装地帯からの撤退のために臨戦態勢を解いている。頭上をファーレンヒルト少佐たちが飛び越えていっても、それを止めることは困難だろう。
「よって私達と君たちで、あの部隊をこの首都から出さずして制圧する必要がある。できればプラントと市街地も無傷で、な」
 いいや、と猟兵の誰かがミュラー大尉を遮る。クーデター軍の将兵も無傷で捕らえねばならないと。
「ふむ……彼らは国家反逆を企て、停戦をひっくり返しかねない危険な思想犯だ。自分の身を危険に晒してまで生け捕りに拘る理由は無いと思うが」
 だが、大尉の疑問に対する答えを猟兵たちは知っている。この世界で唯一猟兵だけがそれを見極める事ができるのだ。
 ファーレンヒルト少佐はオブリビオンマシンの狂気に囚われ暴走している。であれば、オブリビオンマシンと化した彼女のキャバリアさえ破壊すればこの馬鹿げたクーデターの思惑も潰え、クーデターに与する同胞イースタン・フロント軍の兵士たちも正気に返ることだろう。
「……なるほど、一考に値するな。私の部下にはあくまで自分の生命を最優先させるが、可能な限り不殺を心がけるよう通達しておく。だが、そう言ったからには猟兵。君たちに最前面に立ってもらうぞ」
 ミュラー大尉の言葉に力強く確りと頷いて、猟兵たちは自らの相棒を見定め、あるいは手に馴染んだ武器の調整のために一度解散してゆく。

 それから数十分後。トレーラーより順次出撃した猟兵達と、それを援護する正規軍第88中隊のキャバリアが封鎖線に向かって進攻を開始。
『アードラー09よりコマンドポスト、第88中隊及び所属不明の"友軍機"多数、プラントへの突入コースで接近。IFFレッド、敵機と識別す。迎撃許可を』
『許可する。全武装使用自由。各機は市街地およびプラントへの流れ弾に留意せよ。主敵を見誤り偽りの安寧に惰眠を貪る愚か者を首都から蹴り出してやれ!』
 クーデター軍司令部の号令一下、国道やプラント敷地内から路面を蹴飛ばし飛び立った量産型キャバリア、オブシディアンMk4の肩に描かれた双頭の鷹に、友軍キャバリアパイロットたちが息を飲む。
「中隊長より中隊及び傭兵部隊各位、敵は"双頭の鷲"だ! 教導団は手強いぞ、落とされるなよ!」
 ミュラー大尉の檄を受け、猟兵達の導きの下で進撃する連合部隊。これを迎え撃つはプラントを占拠したクーデター軍、アイリーン・ファーレンヒルト少佐率いる首都第3教導団《アードラー》大隊の精兵たち。
 市街地の真ん中で、激しい機動戦の火蓋が切って落とされようとしていた。
シャルロット・クリスティア
(隠れ身の外套を脱ぎ、ふぅと息をつきながら)
論戦に夢中なようで助かりました。あの大型兵器ならともかく、人一人程度なら忍び込むのは造作もありませんね。
(その場所は戦線奥深く、クーデター軍の後ろ側の物陰)
さて……そろそろ始まるようですね。

動くのは、猟兵側との戦闘が開始されたまさにその瞬間。
戦闘機動に入ろうとするクーデター軍のキャバリアを後方から狙撃します。
脚関節の装甲の隙間や推進器への燃料供給パイプ、レーダー、通信機等。
一撃で落とす火力は無くとも出足を挫くことは出来る。初動の遅れは致命的な隙となり得ます。

……さすがに敵将を獲るのは無理でしょうが。
味方の損耗を抑え、流れを傾けさせて頂きましょう。


白斑・物九郎
●WIZ



起きなさいや、ストームライダー
ワイルドハントの時間っスよ


・自キャバリア『ストームライダー』で参戦

・黒猫型四脚機獣
・人型でなく猫型の上下フレームから成るトンデモ機体
・操縦者も猫なのかと言わんばかりの、四脚を正しく獣の如く【操縦】しての運動性能と、レーダー情報を待たずに挙動してのける【野生の勘】による被照準察知/回避能力がウリ

・【推力移動&ダッシュ】で地表を豪速で低く滑るように機動
・民間人退避済の建造物を盾に誘導ミサイル群を凌がん

・機動ざま【砂嵐の王】によるモザイク模様をキャバリア経由で放散、辺りに撒きまくる
・モザイクを撒いた空間と地とを伝って機動し強化を得つつ、敵をネコパンチでノして回る




「敵機来るぞ! 数はあちらが上だ、囲まれないよう注意しろ!」
『敵機を迎え撃つ。機体性能はあちらが上だ、いつもどおり数的優位を維持して潰せ』
 彼我の距離が近づき、バーニアで増速を掛けた両軍のキャバリアが交錯する。
 正規軍は空中戦の流れ弾で市街地に被害を出さないよう、敢えて敵に優越するクロムキャバリアの機動性の優位を手放して、高度優勢を譲って地表面を滑走するように路面スレスレを飛翔し、クーデター軍は高度というアドバンテージを得つつも大義名分を守るため、こちらも誤射を避けるために闇雲な砲射撃戦を展開できず、戦闘ヘリのように正規軍機の頭を抑えながらじわじわと包囲を狭め必殺の機会を伺うしかない。
 つまり互いに状況と機体特性の有利を制限された状態での市街戦では、パイロット同士の技量こそが最後に物を言うということ。
『04、06、我に続け。友軍機が抑え込んだ敵を端から狩るぞ』
『『了解!』』
 正規軍機それぞれをクーデター軍のオブシディアンが二機分隊でマークし、その動きを逐一戦術データリンクで共有する。
 コマンドポスト――前線指揮所からリアルタイムで共有されるデータを元に、遊撃隊がそれらを各個撃破する。それが教導隊であるアードラー大隊の狩りであった。
 総勢五機からなる天地からの執拗な追撃であれば、いかに正規軍の送って寄越した新鋭クロムキャバリアとてひとたまりもない。演習でいくつもの部隊に苦い記憶を刻みつけてきた戦術を前に、88中隊のキャバリアは対応しきれまい。
 相手が88中隊の、正規軍のキャバリアだけであったならば。
「起きなさいや、ストームライダー。ワイルドハントの時間っスよ」
 其は嵐とともに現れる。
 嵐の王が、しなやかな四肢をもって地表を疾駆する狩人とともに――否、その心の臓腑にも等しいコックピットにその身を座して戦場に乱入した。
 キャバリアとは人型のみに依らない兵器である。例えば主脚歩行を放棄したような大型のホバータイプの下半身を持つものがあれば、不整地走破性や砲撃安定性を重視した装軌タイプや多脚タイプもまた、数多くとは言わないが少なからず見られる機体だ。
 その点では乱入した黒のキャバリアも多脚型の一種と言えよう。ただ一点、一般的キャバリアと決定的に異なる点があるならば。
『獣型だと……! 馬鹿げた機体をッ』
 狙った獲物に飛びかかる寸前、横合いから襲いかかった猛獣にクーデター軍のパイロットは舌打ちする。
 キャバリアなる兵器の長所は汎用性にこそあるのだ。その手が指を持つのは、あらゆる火器兵装を握り戦況に応じた柔軟性を発揮するため。だというのに眼前の黒いネコ科の機械獣は、武器を操る腕を持たない。背に火砲を搭載している様子もない。
 まさしく獣、爪牙こそが己が武器であると言わんばかりの割り切った構成は、その姿とともに異形のキャバリアとして映る。
『04はこのまま前進、予定通り友軍と合流して敵を叩け。06、俺とお前でこの黒豹を討つ』
『了解、ご武運を』
 一機が此方に目もくれずすり抜けていくのを、物九郎は深追いしない。ヘタに追えば眼前の二機が手痛い一撃をくれるであろうことは予想に難くないからだ。
 尤も、それを素直に受けてやるつもりは無いが、敢えて隙を作ってやる趣味もない。
「あー、聞こえますかよ? この辺の避難状況はどうなってんスか」
「コマンドポストより猟兵、避難状況だが……いや、誘導する。移動は可能か?」
 歯切れの悪い正規軍司令部の言葉に、物九郎は言わずとて言わんとすることを理解し得た。
 管制官も物九郎の意図を理解してこそ言い淀んだのであろう。物九郎が建物を利用して戦うつもりであること、そして必要とあらば建物への被害を許容しうること。軍としては建物も国民の財産、気にするなとは言い難いものもあろう。
 それどころか、この付近のアパートメントには人が残っている可能性すらある。身内同士の睨み合いでまさかキャバリア戦までは始まるまいと楽観したか、あるいは家を離れられぬやむにやまれぬ事情があってか、避難を拒んだ市民が居たとしても不思議はない。
「あーハイハイ了解っスよ、じゃあ避難済み間違いなしの区画を教えてもらいやしょうか」
 牽制のようにオブシディアンに二、三度飛びかかり、その度彼らの手にしたブレードを潜り抜けて反撃を躱し、代わりに有効打を与えることも断念した物九郎は、管制官の誘導に従って二機のオブシディアンを誘導する。
『……なんだあの機体は、ロックオンできん!』
『ECCMは正常に作動中、奴は電子的妨害ではなくこちらのFCSがロックするより先に回避機動を取っています!』
 それは人の及ばぬを為す機械すら超越する野生であった。
 オブシディアンのパイロットたちの殺気を読み、機体が敵機をロックオンするより先に回避機動を取る。
 必中の間合いを一度とて取らせることなく、物九郎は目的地に至る。
「ここなら遠慮も容赦もナシで相手できましょうや」
『我々を誘い込んだ、と。なるほどな――』
 ストームライダーのレーダーに感。眼前の二機とは別に、アパートメントの陰に潜んでいた二機が跳躍し頭上を取る。
『残念ながら包囲したのは我々だ。正規軍の国賊共に協力さえしなければこうはならなかっただろうにな』
 四つの視線全てを断ち切ることは物九郎にも至難。ロックオンアラートが鳴り響き、間髪入れずにミサイルが撒き散らされる。
「勝った気が早すぎなんスよ、おたくらは!」
 跳躍。アパートメントの壁面を蹴り飛ばし、洗濯物が干されたベランダを磨り潰しながらストームライダーは天地が90度傾いだ世界を駆け抜ける。
 後方、建物に次々着弾し破壊されていくアパートメントの居室。クーデター軍も流石に市街地戦を見越して火薬量を減らした弱装弾を用いていたか、威力はキャバリアを叩き落とすには十分でもアパートメントの崩壊にまでは至らない。
 そうしてミサイルを回避しきったストームライダー。みればその周囲にはノイズのようなモザイクが染み出し、パイロットたちの視覚を犯し黒猫のキャバリアの輪郭を乱してゆく。だがそれ以上に機体のシステムが既にストームライダーを認識せず、其処には何もいないという誤情報を以て火器のトリガーをロックしてしまう。
『FCSをカット、マニュアル照準で狙え!』
「遅ぇ!」
 モザイクを踏みしめ、猛獣が獲物を狩るようにオブシディアンに飛びかかったストームライダーが、強靭な前肢を振り下ろす。
 頭部を潰されたオブシディアンは地に叩き伏せられ、背面のスラスターをも損壊して戦闘から脱落する。
 それを一つ、二つ、三つと繰り返し――しかして四つ目のオブシディアンは頭上、跳躍では届かぬ高度へと離脱を果たそうとしていた。
 背にしたランチャーを展開し、下方のストームライダーに砲口を向ける機体。
『真なる独立、勝利のためだ。すまん……!』
 友軍機ごと敵を滅ぼそうという覚悟。それを阻むのは、一発の銃弾だ。

 アパートメントの非常階段を駆け上り、僅かに上がった息を肩を上下させながら落ち着けて、シャルロットは身を覆う外套をそっと脱いだ。
 奇しくも両軍の視線をデモ隊が引きつけてくれたお蔭で、封鎖線の警備の薄いところから内側に忍び込めたのは僥倖だった。これがクーデター軍との正面決戦を挑む心算でキャバリア部隊と共に行動しようと考えていたならば、こう上手く狙撃ポイントを得ることは出来なかっただろう。
 もう一つ彼女にとって幸運だったのは、正規軍指揮官が高度優勢をクーデター軍に譲るという判断を取ったこと。
 いくら戦場が見渡せる場所に陣取ったとは言え、背の高いコンクリートの建物は容易にキャバリアの姿を隠してしまう。だが、高度という優位性を得たクーデター軍は積極的に敵の頭上を取るべく高度を上げ、アパートメントを越えてその頭を覗かせていたのだ。
 直接的な火器の撃ち合いに至る前の、静かな頭上の奪い合い。まずは有利な状況を作ろうという両軍の機動に、第三の狩人が其処に居るという前提が介在する余地はない。
 つまり、シャルロットにとっては狙いやすい背中が無防備に晒されているも同然。
 機関銃のバイポッドを屋上の縁に立て掛け、片膝をついて狙撃姿勢を取る少女狙撃手。
 その視線の先、今まさに味方部隊と合流し正規軍機を狩ろうという一機のオブシディアンが居る。
 あくまで歩兵用の火器、機関銃とはいえ装甲目標を貫徹できる威力はなかろう。だがだからといって無力にはあらず。背面スラスターにつながる推進剤の供給パイプが僅かに露出する装甲の隙間をめがけて放たれた銃弾は、違わず数百メートル先を駆ける飛翔体の十数センチにも満たないパイプラインを射抜いて破る。
 推力のバランスを崩してアパートメントの向こうに姿を消した機体。数瞬遅れてキャバリア用ライフルの銃声が聞こえたということは、あの下に居た正規軍機がトドメをさせたのだろうか。
 戦果を確認することなく、次々に弾丸を送り出す。殆どは初弾のような大戦果には繋がらずとも、敵機の出足を挫き正規軍や猟兵達の付け入る隙を生み出したはずだ。
 そうしているうちに、シャルロットの潜むアパートメントのすぐ真下で戦闘が始まった。黒猫のような靭やかな四足獣型キャバリアが放出するモザイクには覚えがある。あれは猟団長、物九郎の機体だろう。
 それを取り囲む四機はたちまちに肉食獣の爪で制圧され――しかし一機が空へと逃げ延びる。
「逃しませんとも。味方の損耗を抑え、流れを此方に傾ける。既に役目は十分果たしましたが、私の目の前に出てきたからには――」
 機関銃を抱え、頭上に銃口を振りかざす。
 一発、二発、三発。放たれた弾丸ははじめに通信アンテナを砕き連絡を絶ち、次に続けざまにスラスターノズルを歪めて機体を大きくふらつかせる。
 予想外の伏兵の手で墜落と下降の二択を強いられやむを得ず高度を下げたオブシディアン目掛けて、黒猫の前肢が飛びかかる。
「アーハ、そんなところに居たんですかよシャルロット。ご苦労」
 狙撃手の正体を認めた物九郎が笑い、叩き落とした黒鉄の巨人を踏みつけにしてアパートメントを見上げれば、蒼いベレー帽の背中がふわりと外套を巻きつけ消えてゆくのが見えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
(ロシナンテⅣ搭乗)
教導団…精鋭ですが遅れをとる訳にはいきません
彼らも、漸く齎された停戦を護る為にも…

正規軍の皆様は援護を願います

ここは市街地
ナパームは撃たせたくありません
交戦の瞬間まで射線を避け
頭上注意し出会い頭のクロスレンジ戦闘を主体に

●瞬間思考力で接敵直後に頭部、肩部格納銃器とサブアームの二丁のライフルでの●乱れ撃ちスナイパー射撃…はせず【射線】での攻撃で敵の攻撃中断と回避行動誘発

その挙動●見切り●推力移動シールドバッシュで懐へ
対複数でも自機●ハッキング直結●操縦での細やかな挙動で狙い絞らせず接近
剣で上下フレーム接続部や武装両断

近接武装…私の領分です!

●武器受け盾受けで●武器落とし、制圧


鞍馬・景正
さて、本番はここからですね。

そして御厚意は有難いものの、こうした機械の扱いは不慣れ。
といって生身では分が悪いのも確か。

――あれに頼りますか。

◆戦闘
【羅刹天推陣】にて、銀河帝国との戦で奪った絡繰武者に搭乗。

機体に【索敵】させつつ、全速力の【推力移動】で敵に突進。
擦れ違いざまにコックピットを避けて【切断】。

焼夷弾は剣圧による【衝撃波】で切り払うか、動作を【見切り】回避運動を。

殲禍炎剣に補足されぬ程度の高度を確保して【空中戦】も仕掛けつつ、不殺での殲滅を目指しましょう。

しかしキャバリアとの格闘戦――駆け違い、旋回しながら切り結ぶなど、騎馬武者同士の戦と驚くほど共通点が多い。

ならば、遅れはとらじ。




 キャバリアにして三機分ほどの道幅の国道に進出したトリテレイアと彼の愛機、パイロットによく似た白い装甲の騎士型キャバリア『ロシナンテⅣ』を迎え撃つべく、二機のクーデター軍機が頭上に現れる。
「教導団……精鋭ですが遅れを取る訳にはいきません」
 相手はイースタン・フロント軍でも指折りの精鋭部隊であろう。軍全体の練度を高め、新戦術を研究する為の部隊――教導団所属というのは、ほんの一握りのエリートにのみ許される称号だ。おそらく機体の性能差を加味したとしても、後続の88中隊機より個々の戦闘力は上。
「それでも退くわけには行かないのです。貴方がたを、そして漸く齎された停戦を護るためにも……!」
 ライフルを構えて支援に入ろうとする正規軍のキャバリアを制し、トリテレイアは盾と剣を構えて前に出る。
「皆様は援護を願います。この場は私が」
『その意気やよし。しかし数の優位をすら投げ出すとは愚か! 戦術の基礎というものを教育してやろう!』
 獰猛なエンジン音とともに、バーニアからの噴射炎を青く輝かせ急激に近づく二機のオブシディアン。
 正規軍の機体が弾幕を張るべくライフルを構えるがもう遅い。ロシナンテを射線に挟み込み、同士討ちのリスクを生み出すことで後方の正規軍機を無力化してのけたクーデター軍の機体が背負った榴弾砲を展開し、その砲口を突きつける。
 一機ならば盾でなんとでも凌げただろう。あるいは敵が教導団でなければ付け入る隙もあっただろう。
 だが、敵は精鋭二機。防御も回避も巧みに封じ込める時間差でのロックオンに、トリテレイアは対応手段を封じられてしまう。
 しかしそれは、トリテレイアが単騎で前衛に立っていたならば、の話だ。
「なるほど、これがキャバリア。確かに生身で戦うには分が悪い」
 ならば。機動兵器の巻き上げた突風に着物の袖をはためかせ、鯉口を切った景政が出る。
「堤る、我が得具足の一太刀――今此時ぞ天に抛つ」
 呼び起こされしは身の丈12尺もの絡繰武者。その身中に収まって、それでも一回り巨大なオブシディアンに目掛けて跳躍からの白刃一閃。
「二対一は見過ごせぬ。まさか不意打ち卑怯とは言われまい」
 砲身を見事断ち切られたオブシディアンが、斬撃を浴びた衝撃で姿勢を崩して墜ちてゆく。さすがの精鋭、そのまま地に叩き伏せられることはなく見事な噴射姿勢制御で立て直し距離を取るが、その間に敵機とロシナンテの間に絡繰武者が滑り込んだ。
 一方のロシナンテ、トリテレイアも盾を突き出しナパームの砲身をかち上げる。
 天を仰いだ砲身は、そのまま撃てば無差別に炎を市街地に撒き散らすだろう。クーデター軍とてそれは本意ではない筈。読みどおりに発射を中止した敵機が退くのを、深追いはせずに睨み合う。
「蔵馬様、援護に感謝します。そちらの一機はおまかせしても?」
「相分かりました。本番はこれから、互いにこの局面を乗り切りましょう」
 騎士と武者が頷きあって互いの敵へと相対する。
『一騎討ちならば勝てるつもりか。双頭の鷲も舐められるようになったものだ』
 ロシナンテに対する機体は得意の銃を、絡繰武者に対する機体は肉厚の剣を構えてそれぞれに討つべき敵を睨みつけた。
 カメラアイ越しにも感じるその眼光に宿るのは、真摯すぎるほどの愛国と背負った隊章への誇り。
 まず戦局が動いたのはトリテレイアの側であった。
 元より砲撃戦には近すぎる距離。実戦経験も教導団に引けを取らない自信がある。数的優位だけが懸念であったが、それも景政の参戦で五分に引き戻された。ならば、武装の構成からもトリテレイアのほうが有利であろう。
 すぐさま機体の各部に内蔵された機銃と隠し腕めいたサブアームに構えた二丁のライフルを展開し、弾幕にてオブシディアンを制するべく照準を合わせるロシナンテ。
 対してオブシディアンは見事な機動でその射線から機体を抜け出させる。
『砲の数ばかりあろうと、我々を阻むには不足だ!』
「いいえ、貴方が回避機動をとれば十分」
 トリテレイアには元よりトリガーを引く心算などありはしない。これ見よがしのロックオンで敵に回避を強いればそれで銃器の役目は果たしたも同然。
 スラスターを最大で噴かし、アスファルトを焦がしながらオブシディアンの懐へ飛び込んでゆく。
 まさか射撃戦を仕掛けてくると踏んだ機体が肉薄してくるとは思いもよらず、しかし即座に対応してライフルを発砲する黒鉄のキャバリアに、盾ごとロシナンテがぶち当たる。
 弾丸が優美な装甲をいくらか砕いて削り取ったが致命傷ではない。被弾を訴えるアラートを無視して、剣を振り上げ――
「この距離は……私の領分です!」
 直剣の薙ぎ払いがオーバーフレームとコックピットブロックの隙間に滑り込み、火花を散らしてその上半身をもぎ取った。
 一方が鮮やかな奇策で勝利を勝ち取ったならば、もう一方は見事なまでの正道で勝利したと言えよう。
 絡繰武者ともう一機のオブシディアンはアパートメントの屋根を越え、空中にて激しく切り結ぶ。
 ともすれば殲禍炎剣に捕捉され、意識外からの一撃で焼滅されかねないリスクを負ってもなお、両者は速度と高度による剣戟の威力向上の利を選んだ。
 それほどまでに相手が油断ならぬ敵と判断してのこと。幾度目かの交錯で剣と刀が激しく激突し、火花を散らして鎬を削る。
「しかし――キャバリアとの格闘戦は騎馬武者同士の戦に似ている」
 高速で駆け抜け、すれ違いざまに、あるいは旋回しながら切り結ぶ。封建制度を色濃く残した国ではキャバリアパイロットを騎士と呼ぶこともあるというが、キャバリアが軍馬であり武者を代行する兵器と言うならばそれもまた然り。
 合点がいけばなお負ける気はしない。互角の武者を斬り伏せてこそ蔵馬の武者よ。
『異国のパイロット! 貴殿の腕は見事だが、機体のほうはもう持つまい! 次の一撃で決める!』
 高らかに宣言し、剣を再び構えるオブシディアン。
「――いざ!」
 刀を構え、それを待ち受ける絡繰武者。
 しかしてオブシディアンは背部キャノンの無事な一門より焼夷弾を撃つ。
 教導団だからこその、正々堂々などに絆されぬ確実な勝利への一手。卑怯卑劣と罵られようと、絶対強者の敵機を演じる為に磨いた戦術技巧こそが正義である。
 必勝を確信して肉薄するオブシディアンのパイロットが見た光景は、白刃が閃き両断される機体の姿。
 撃ち出した焼夷弾の炎を剣圧にて制圧し、その勢いのままオブシディアンの両腕両足が斬り落とされる。
『馬鹿な……!』
 手足を失い墜落してゆくオブシディアンのコックピットブロックを受け止め、トリテレイアが制圧した機体の隣に置いて正規軍に後の処理を委ねつつ、騎士と武者はこの争乱の根源を討つべくさらに奥、プラント施設へと駆けてゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月代・十六夜
機体はいいや、元々はこっちの機体なら相手の武装スペック見せてくんね?あと誰か肩貸して?
戦闘に入ったら【韋駄天足】で足場にしてた機体から【ジャンプ】して高速移動で一気に接近。
とはいえ相手も手練れ、生身の特攻もどきなんぞ撃ち落としてくるだろう。
なので、予め【情報収集】しておいた!
相手の狙いを付ける事前動作を【見切っ】て飛んでくる銃弾そのものを蹴って跳んで相手の機体に着地して更に【ジャンプ】。
おーにさんこっちら!と挑発しながら味方の攻撃を邪魔しないように【五感】で周囲を確認して【時間稼ぎ】に機体の間を跳び回るぜ。
相手の動きを【学習】してきたら銃弾を【韋駄天蹴】で蹴り返して別の機体にぶつけてやるか




「本当に大丈夫なの? 頼むから振り落とされないでね」
 此方を気遣うような声音は、真横にあるキャバリアの頭部スピーカーからのもの。
 若い女性パイロットが駆るクロムキャバリアの肩に腰掛けて、十六夜はクーデター軍が主力運用している量産型キャバリア、オブシディアンMkⅣの性能諸元をダウンロードしたタブレットを操作していた。
「大丈夫だって、落ちても自力でなんとかするよ。そっちも俺に気を使ってやられないでくれよ?」
 流石に国防の重要機密たるキャバリアの性能の全てを開示はできない。出撃前にミュラー大尉に告げられた言葉を思い出す。それでも最大限の誠意として渡されたこの情報は、最初にオブシディアンMkⅣを採用した国のメーカーが発表したカタログスペックだ。
 そこから各国に普及するうち、独自のカスタマイズを加えられ進化していったという量産型キャバリア。イースタン・フロント軍教導団の機体は厳密にはオブシディアンMkⅣ/Block21A2などと難解な型番が付いていると、この足代わりに乗せてくれた機体の女性パイロットが世間話程度に教えてくれた。であれば尚更にこの図面通りの性能と信じて戦えば足元を掬われることは間違いないだろう。
「その上相手は手練れ、油断できる要素は何処にもないな……」
「そういうこと。素直にキャバリアで出てくれた方が私も安心したんだけ――ロックオンアラート!? 上方、距離300! 低空で接近して急上昇、市街地でこんな上昇機動正気じゃないわ!」
 背の高いアパートを飛び越えて、降り注ぐ殲禍炎剣の光条をくるりと円を描くような軌跡ですり抜け現れたオブシディアン。
「来たか……援護は任せてくれ!」
「ちょっ……相手はキャバリアよ!? 教導団よ!? 正気!?」
 引き留める正規軍機の肩を蹴飛ばして、タブレットを懐に収めた十六夜が跳ぶ。
 キャバリアに比べれば1/3ほどの矮躯、人間はその的の小ささこそが強みだ。
 が、それも遮蔽物あっての話。市街地で対戦車兵器を有する歩兵ならばキャバリアにとっても脅威足りうるが、ほとんど無手の人間一人が空中に飛び出してくれば当てにくい的以外の何物でもない。
 そして教導団とは、米粒のような的にさえ正確に砲弾を送り込むような連中である。
「そうだよな、生身の特攻もどきなんぞ撃ち落とせるよな!」
 オブシディアンの機体性能ならば不可能ではない。それは初期モデルでも可能な芸当だ。改良型を駆るエースならば尚更。それを承知していたからこそ、十六夜は敵機が回避でも無視でもなく迎撃を選ぶと確信していた。
 手にしたアンチキャバリアライフルから発射された高速徹甲弾。十六夜を挽き肉に変えて、眼下の正規軍キャバリアをも貫くであろうその砲弾を十六夜は承知していたのだ。
「――ッ、よっと……ォ!」
 靴底が回転する砲弾でぞりりと削れ落ちる感覚と摩擦の熱が足裏から駆け上る。同時、踏みつけにした砲弾が弾道を見失いあらぬ方向に飛翔し路面のアスファルトを穿って砕く。
 水道管かなにかが破れ、泥に濁った水が吹き出すのを見下ろしもせず、砲弾を足場に二弾飛びという芸当を見せた十六夜は敵機に着地。
「よし! ……おーにさんこっちら! てーのなーるほーうへ!」
 頭部カメラアイの眼前で戯けるようなステップ。視線が十六夜を捉える。
 巫山戯るな、という怒気を感じると同時、十六夜を振り落とすようにオブシディアンが天地を入れ替える曲芸飛行。
 抵抗せず振り落とされる十六夜は、しかし笑って上昇するクロムキャバリアとすれ違う。
 十六夜を振り落とすため高度を僅かに下げたオブシディアン。その在処は殲禍炎剣の届かぬ領域まで至っている。
 憂いなし。そして敵機の注意が十六夜に向いているこの僅かな隙を、正規軍のパイロットは見逃さなかった。
「無茶をして――でも、お蔭でッ!」
 振り払われたビームの刃が、格上である教導団エースの機体を真二つに叩き割る。
 脱出装置も兼ねたコックピットブロックを空いた片手で握りしめ、ビーム刃の霧散した剣を投げ出したもう片手で落ち行く十六夜を受け止めて、正規軍の機体は地表に帰還する。
 そっとコックピットブロックを地に置いて、十六夜を肩に乗せたパイロットが大きく息を吐く。連動するようにキャバリアの肩がガクンと落ちて、十六夜は尻をぶつけてしまった。分厚い装甲と共にじんと響く痛みは、飛翔する砲弾を踏んだときより痛いくらいだ。
「っはーッ、生きた心地がしなかったわ! ホント! 猟兵って皆そうなの!?」
「まあな! いやどうだろ……とりあえずいい腕だったぜ!」
 はいはいお陰様で大金星ですよ、と無茶を無茶とも思わぬ十六夜に唇を尖らせたパイロットの様子を感じ取り、十六夜は苦笑しながら奮戦する友軍を救援するべく即席の相方と共に戦場を駆ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
街も、命も、可能な限り守らなくてはいけませんね。
行きましょう、みんな。

『Guardian Spirit』に搭乗し戦場へ
低空を浮遊、わざと機体を狙いやすい所へ曝すことでわたしに攻撃を集中させて囮になる
ミサイルのアラートを確認したら【闇の精霊さん】発動
回避行動は取らず、機体周辺に多数のマイクロブラックホールを生成しミサイルを吸い込んで無効化
この手の誘導ミサイルは動くと軌道が読みずらいですが、動かなければ「ここに来る」のは解ってますから簡単です

反撃は彼らの背後にマイクロブラックホールを生成し、吸い込んだミサイルをそのまま吐き出してお返しします

(この攻防の間、機体は浮いてるだけでほぼ動かない)


リダン・ムグルエギ
借りた放水用キャバリアに迷彩用催眠模様布を貼ってから
通信機でミュラーっちにコンタクト

さっきと同じ
現地民の意見を聴きたいのよ

生産拠点収奪型のストラテジーだと
軍需にパワー割いて生産拠点を奪うのは定石よね
強い国にする手段としては理解はできるけど
実際どうなの?

ただ、隣国攻め滅ぼしたらヤベー国認定されて
戦争相手以外の他の隣国達が一致団結して敵対しそうなんだけど…
境界線が広がってより悲しい事にならない?

指揮官の意見を色々聞いてみたいの

で、ソレを『敵機にも駄々洩れ』にする事で
『隣国を倒せば平和になる』という思想を砕くわ

投降してくれれば最高だけど
時間制限もあるし…
精彩を欠いた敵を他の人が止めてくれれば御の字ね




「街も、生命も、可能な限り守らなくてはいけませんね。行きましょう、リダンさん」
「そーね、時間制限もあることだし……でもちょっとだけ待って頂戴」
 クーデター軍が首都から離脱を図る前に制圧せねば、戦火は最早イースタン・フロント国内だけでは留まらぬだろう。
 急がねば、という焦りを感じていないと言えば嘘になるがそれでもリダンの量産型キャバリアと歩調を合わせて浮揚するGuardian Spirit――ひかるの機体はゆっくりと速度を緩める。
 リダンの機体は武装を撤去し、迷彩効果を持つ彼女独自の紋様を描いた布を貼り付けられた機体だ。生存性は上がっているとはいえ、敵機に発見されれば対抗手段は棒と鎮圧用の放水銃しかない。
 故にひかるは彼女を置き去りにせず、しっかりと護衛するように共に進んでいるのだ。
 でも、と彼女は思う。そんな機体では重武装のクーデター軍機には対抗し得まい。ひかるの機体のように特殊な性能を持つならばまだしも、リダンのキャバリアは正規軍から貸与された量産型なのだから。
 不安そうに此方を見つめる銀髪の少女にウインクを飛ばして、リダンは通信回線を開く。
 まずは第88中隊の指揮官機に。そしてそれを自機を介してオープンチャンネルで全域に。
「――どうした、猟兵。援護が必要なら戦力を回す……と言いたいところだが此方も手一杯でね。さすがの第3教導団、一筋縄では突破させてくれないようだ」
「大変なところゴメンねミュラーっち。ちょっと聞きたいことがあるのよ」
 旧友に接するようなフランクさで戦闘中のミュラー大尉に声をかければ、大尉は僚機に暫し戦線を預けて後退する。
 流石に指揮官機と分隊を組む機体のパイロットとなれば教導隊相手でも戦線を維持できはするが、長く時間を取れば撃墜されてしまうのも時間の問題だろう。
「手短に頼む。それで、聞きたいこととは?」
「いやね、さっきとおんなじ。現地の人の意見が聞きたいのよ。生産拠点収奪型のストラテジーだと軍需にパワーを割いて生産拠点を奪うのは定石よね」
 その点ではファーレンヒルト少佐らの戦略はまるっきり愚かな夢想論ではなく、ある一定の現実味をもって遂行しうる国家の軍事方針になりうる。
 上手く行けば隣国の生産力を切り取り、現状の豊かさを維持した上で国内生産力を丸ごと軍備に割けるようになるだろう。イースタン・フロントを強国足らしめるという目的に対する手段として、これはリダンにも理解できるし、事の善悪や国際的な良識を無視すれば十分"アリ"な判断だ。
「でも隣国と睨み合ってたミュラーっちの目から見て、これって実際どうなの?」
 国境守備軍の士官ともなれば、現場の視点で対外戦争の損得が見えているかもしれない。
 そんな問いかけに、ミュラー大尉は薄い顎髭をぞりりと指で撫でて思案する。
「可能か不可能かでいえば可能ではある、と思う。軍の規模でこそ人民平等会議軍は我が国の数倍になるが、彼らも全軍を対イースタン・フロントに割けるわけではない。私が見てきた限り、此処数年で我が国との国境に配置される部隊が減った実感もあるしね」
 それは停戦交渉が水面下で進行していた為であろうが、優位に立つ隣国が軍の数というアドバンテージを削いだ上に停戦を受け入れるということは、一つの仮説を生む。
「つまり、隣国もこっちの国よりやばい相手と火種が燻ってるかもしれない……とか、あるかしら」
「ある。もともとあの国は敵が多いからな、そっちがマズい状況になったんで我が国との関係改善で後顧の憂いを断ちたがっている可能性は十分に有り得る話だ」
 なるほどね、とリダンは頷いて。
「じゃあさ、隣国を攻め滅ぼしたらやべー国認定されて……戦争相手以外の他の隣国が一致団結して敵対する可能性に加えて、隣国がビビるくらい強い"新しいお隣さん"まで参戦してきそうなんだけど……」
 そうなったら戦線は拡大する一方。せっかく人民平等会議から奪った生産力をもってしても対応しきれない悲惨な戦況を招きかねないのではないか。
 その問いにもミュラー大尉は頷いた。
「その辺りは政治家の考えることだが、人民平等会議国内のレジスタンスを対処しつつ外敵に備える余力は我が軍にはなかろう。第三国に潰されて前進した国境線は引き直し、ならまだいい方。悪ければ十年単位で泥沼の戦時体制だ」
「――というわけよ。聞こえてたでしょう。隣国を倒せば平和になるなんて絵空事、実際は子供や孫の代まで戦争を引きずるわよ」
「君は、まさか今の会話を公開したのか!? まったく、迂闊なことは言えないな!」
 狼狽えたミュラー大尉にゴメンね、と許可なく事を為したことに舌を出して謝るリダン。
 だが今の会話で敵機の戦意が下がってくれれば。あわよくば投降してくれれば、仕事は随分やりやすくなる。
 繋いだ通信が中継するには、ミュラー大尉が戦線に戻ったタイミングで彼が指揮する部隊は敵機を無力化して制圧したようだが、全体としてはまだ苦戦中と言ったところか。
「流石に決起するような軍人さんたちは決意も固いのかしらね……」
『――其処に居たか、同志を惑わす女狐ッ!!』
 ため息を溢すリダンを襲う黒いキャバリアの急襲。すかさずひかるが敵機との間に割り込み庇うが、既に現れたオブシディアンはリダン機をロックオンしている。
「リダンさん逃げて!」
「狐じゃなくてヤギよアタシは!」
 ひかるが叫び、リダンは悪態混じりに操縦桿を握って機体を建物の陰に滑り込ませる。あくまでデザイナーであるリダンは戦闘機動の負荷に息も絶え絶え、機体を隠すが既に発射された誘導弾は執拗にその機体を追跡飛翔する。
「させません……! 闇の精霊さん、迎撃を!」
 無造作にばらまかれたミサイルであれば迎撃は至難であったろうが、都市を焼くことを嫌って誘導性に優れた機種を搭載していたことがひかるにとってもいい方向に作用した。
 リダン機を覆うように重力が異常値を示し、生じた空間の歪みがミサイルを飲み込んでゆく。
「来る場所がわかっていれば対処は簡単です!」
『ならば直接叩くッ!』
 複雑に螺旋を描くような流麗な機動を描き、迎撃も回避も行わずただその場に滞空するGuardian Spiritに迫るオブシディアン。そのブレードが振り上げられ――
「今です、精霊さん! 預かりものをお返ししてください!」
 瞬間、オブシディアンの背後に重力異常。開いた空間の亀裂から飛び出す弾頭はまさに先程彼自身が発射したミサイルだ。
『がッ……! 何処からの砲撃……ッ!?』
 背面に複数の直撃弾を受け、後ろ半分を粉々にされたオブシディアンが路面に墜落する。
 アスファルトで前面も削りながら、手足をばたつかせ飛び散らせて辺りに放り出したオブシディアンの残骸に、ちょうど墜落地点の側に退避していたリダンのキャバリアが放水銃を突き付けた。
「投降してくれると嬉しいんだけど、どう?」
 ベイルアウトしたパイロットは、忌々しげにリダンを見上げ――それから両手を挙げて座り込むのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イデアール・モラクス
ほう、これがキャバリアとやらか…なかなか面白い機構だ。
ならば私はこのサイキックキャバリアを選ぼう、魔術で全身を紅く塗装してやれば性能は変わらずとも私が纏うに値する機体にはなろう。

・キャバリア戦(魔術)
「クク…鋼の中にいるというのも存外に悪くない」
しかし行使するは魔術、魔導ビットを展開し『レーザー射撃・一斉発射』による『範囲攻撃・武器受け』にて敵機のミサイルを全弾迎撃、並行して『多重詠唱』を行い『魔力溜め』で威力を高めた【紅ノ螺旋】を『全力魔法』で照射、敵を『薙ぎ払い』『地形破壊』するほどの一撃で『蹂躙』する。
「我が魔術を増幅するこの機体…気に入ったぞ!
アーハッハッハ!」

※アドリブ歓迎


フレティア・ハイマール
あなた達は強い。そして気高い。
けれど、それも在り方を違えれば――悲劇を招くだけ。
今なら、まだ間に合う。わたしが――わたし達が。引き留めてみせる。

さあ、行きましょう、スロゥマト。そして、わたしの『子供達』。
(スロゥマトに搭乗。鉄火の軍勢発動、呼び出したキャバリア達と共に交戦開始)

スロゥマトの攻撃は基本、力任せの【暴力】。けれどコクピットを避け、手足への【部位破壊】を狙うように動いてもらうの。
そんな彼の援護をするように、呼び出したキャバリア達に援護射撃をしてもらう、って形で連携していく。

倒した相手がコクピットから出られないなら、スロゥマトにこじ開けてもらうの。
「大丈夫よ、貴方は悪い夢を見てただけ」




 超低空を駆け抜ける黒鉄の巨人。肩に双頭の鷲を描いた機体は、くるりと機体を反転させ背面飛行に映ると空に向けてライフルを速射する。
 その弾丸の向かう先に飛び込むように飛来した鋼鉄の飛翔体は徹甲弾に撃ち抜かれ、空に爆炎の華を描いて砕け散った。
 だがその炎を貫いてさらなる追撃。飛来する飛翔体がレーザーを放てば、着地急減速から蛇行するような機動で路面を滑るオブシディアンがそれらを回避してのける。
 肩部ミサイルランチャーが展開、頭上に向けて白く尾を引き飛翔する誘導弾が飛翔体を追跡爆破すれば、空にはそれ以上の敵影なし。
 ――直後、横合いの側道から浴びせかけられた徹甲弾の嵐に武装と片腕を抉り取られ、飛び出してきたジャイアントキャバリアの拳に頭部を叩き潰されたオブシディアンは沈黙する。
「これがキャバリアとやらか……中々面白い機構だ。性能には物足りんところもあるが、まあ及第点としてやろう」
 ふわりと空から降り立つ紅蓮のサイキックキャバリアのコックピットでイデアールが満足げにくつくつと喉を鳴らす。魔術を増幅する機械人形とは奇妙な兵器であるが、杖の変わり程度には役に立つらしい。射耗した魔導ビットユニットを再召喚してバインダーに接続し、新たな獲物を狩るべく走査術式を走らせるイデアール。
 一方でジャイアントキャバリア――スロゥマトに座するフレティアは、幼子の毛布を整えるような優しい手付きでオブシディアンのコックピットハッチをこじ開け、中で気絶しているパイロットを機体から救い出して建物の陰に横たえる。
「大丈夫よ、貴方は悪い夢を見てただけ」
 彼が戦闘に巻き込まれないよう、使役する量産型キャバリアの一機を護衛に残してさらなる敵機、救うべき人を見据えて。
「さぁ、行きましょうスロゥマト。そしてわたしの子供たち」
「クク……鋼の中に居るというのも存外に悪くない。我が魔術の新たなる形をモノにするためだ、相手になってもらうぞ」
 ずらりと並ぶ無人キャバリアを引き連れて。あるいは飛翔する鋼の眷属を従えて。二機のキャバリアが進撃する。
 しかしクーデター軍とてそれを放置などしてやるつもりもない。
『数ばかりだな! それで教導隊を落とせるつもりか!!』
 フレティアが子供たちと呼ぶキャバリアの一機がアウトレンジからの徹甲弾に貫かれて爆散する。
 愛しき我が子が墜ちたことに悲しみを覚えるフレティアを置き去りに、イデアールが飛び出した。
「次の相手は貴様か! さっきの奴より上手に踊ってくれよ!」
『信じる大義も持たない傭兵風情がァ!』
 ロックオンもなく連続発射されるミサイルは、直進する弾幕となってイデアールの行く手を阻む。如何にサイキックキャバリアの魔導障壁といえど、対キャバリア誘導弾の連鎖爆発を至近で受ければタダでは済むまい。
「素直に受けてやるとでも!? 甘いんだよ!」
 飛来するミサイルが空中で爆ぜる。ビットから放たれたレーザーがミサイルを迎え撃ち、誘爆によって全弾が空中で燃え尽きたのだ。
『撃ち落としてくれてありがとう! 目くらましだ!』
 その炎のカーテンを突破して肉薄するオブシディアン。振りかざすブレードはイデアール機の胴を薙ぐ構えだ。
 だがそれを振り抜く前に逆噴射制動を掛けたオブシディアンが飛び退る。フレティアの「子供たち」が弾幕を張り、イデアールの窮地を救ったのだ。
「フン、余計な真似を!」
「それでも、貴女が傷つく所は見たくなかったから」
 数で劣る戦い、無理に近づくのは自殺行為と見たか、オブシディアンは二人との距離を維持して引き撃ちに徹する機動に切り替えたようだ。
 イデアールのビットによる全周囲攻撃とフレティアの子供たちの物量による制圧を掻い潜り、ビットと無人キャバリアを射抜いて破壊していくパイロットの腕はまさに一級品。
「あなた達は強い……そして気高い」
 その機動は強者のそれだ。その高みに至るには、祖国の守り手を教え導くものとしての矜持が必要だったはずだ。
「けれど、それも在り方を違えれば悲劇を招くだけ。今ならまだ間に合う――」
『知った口を! こうせねばならぬ! さもなければ――』
「それがどうしたッ!」
 パイロットの舌を封じるイデアールの喝。
「政府に不満があるというならプラント占拠などと回りくどい手を使わず議会の爆破でも無断で進軍でも何でもすればいいだろうが! 無関係の民を飢えさす時点で物を言う資格など無いわ!」
 両の掌を翳した紅蓮のキャバリアの元に、膨大な魔力が収束してゆく。
 オブシディアンのセンサーでは正体不明の高エネルギーとしか捉えられないそれが渦を巻き、そしてほどなく強烈な威力のレーザーとなってオブシディアンを飲み込んだ。
 手足が末端から蒸発し、火器兵装が異常加熱して爆散する。
 頭が潰れ、外界を見る術が失われる。装甲が泡立ち沸騰する音が耳朶を打つ。
 あるいはこれも報いなのかもしれない。彼女の言う通り、無辜の民を戦乱から守るべく無辜の民をこそ傷つけ戦乱に駆り立てた我らへの報い。
 ならばここで死ぬのもまた、罪人に相応しき――
「いいえ、あなたは死なせない。わたしが、わたし達が引き留めてみせる」
 光の渦に飛び込んでゆくスロゥマト。イデアールの静止も聞かず、フレティアは光の中で泡立ち今にも消えてしまいそうなオブシディアンのコックピットブロックを愛し子のように抱きしめた。
 大丈夫、燃えたぎるような熱を孕むスロゥマトの機体は守りに徹すれば大出力レーザー兵器にも耐える。
 パイロットは、レーザーの中で焦熱が母の腕の中に在るような暖かさに変わっていくのを感じながら意識を手放した。
 ――レーザーの照射が終わる。
 融解し溶接されたようになったコックピットを優しく開き、パイロットを救い出すスロゥマト。
 クーデター軍の攻撃より、そのクーデター軍機を庇うために負ったダメージのほうが大きいように見えるその背中に、イデアールはフンと鼻を鳴らすのだった。
「これではまるで私が悪役ではないか。そう在る事自体は吝かではないが、こういうのはどうにも据わりが悪い……! ええい、他の連中も助けるんだろ! だったらさっさと行くぞ!」 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エイス・シノノメ
プラントはこの世界の人々全てを支えるもの、それを軍需品生産だけに振り分けるとは!
鉛玉だけでは腹は膨れない…誰しもが薄氷の如きバランスで何とか生活していると言いますのに
彼らの様な明らかに狂った突飛な輩が度々見受けられたのはオブリビオンキャバリアの影響とは!
この世界に何機在るかは判りませんが…敵ある限りこれを討つ!それが機獅道です!

折角なので量産機をお借りします
他国の機体に乗る事も良い経験です
キャノンフレームに換装、リロードタイムを犠牲にロングバレルで射程を延長しナパームのアウトレンジからの武装を狙った砲撃を試みます
コックピットさえ撃ち抜かなければ案外なんとかなるものですキャバリアには詳しいのです


セルマ・フロスト
アレンジ、共闘歓迎です

人類同士で争うのですね
これが世界に「カタストロフ」を招くオブリビオンマシンの力
いいえ、そうでなくとも人は相争うモノなのでしょうか

フロスト09、セルマ。猟兵として戦列に加わります
私の装備は間に合いませんでしたが
大丈夫、こういう時の戦い方は知っています
荒々しい戦い方を得意とした❄誰かのキオク
借り受けた射撃武器で牽制しながら接近
命中率を重視した格闘攻撃で敵機を捕らえます

たとえ炎そのものの延焼は防げるとしても
キャバリアを燃やす程の高熱を帯びたまま組み付かれるのは彼らにとっても危険な事でしょう
なら私は、ただ確実に接近すればいい
そのまま❄怪力で敵機を解体し、無力化します




「プラントはこの世界に生きる人全てを支えるもの。それを軍需生産のみに振り分けるとは!」
 義憤に燃える帝国の機獅エイスは、使い慣れた祖国のキャバリアではなく借り受けたイースタン・フロント軍の量産型のコックピットでその操縦桿を強く握りしめた。
「鉛玉では腹は膨れませぬ。誰しもが薄氷の如きバランスでなんとか生活していると言いますのに……!」
 軍人とは機獅道のもと民を守る存在で在らねばならぬ。まかり間違っても民を苦しめるような行いを、それも国家の意志に反して断行するべきではない。
 まさに凶行であると言えよう。それこそはオブリビオンマシンの齎す狂気がゆえ。ならば――
「この世に何機のオブリビオンマシンが在るやも知れませんが……敵ある限りこれを討つ! それが機獅道です!!」
 エイスが見得を切ると同時、無理を言って接続してもらった大型のアームキャノンが機体の火器管制システムとの同期を完了する。
 本来であればギムレウス級の重砲戦キャバリアで運用するべきそれを強引に接続された機体のバランスは劣悪も劣悪。歩くことすらままならず、まして給弾機構はトレーラーに待機する正規軍歩兵部隊が一発ずつ砲身後部から装弾するという急造仕様。
 一発でも砲撃を仕損じれば、流れ弾がプラントに大損害を齎すどころか逆襲を受ければ逃げることさえかなわず一方的に撃破されてしまうだろう。
 それほどのリスクを捧げることでオブシディアン級キャバリアの最大射程を遥かに上回る攻撃半径を得たとはいえ、歪な機体である。
 ならば機体の長所と短所を把握し、これを補うは戦友に委ね信じるもまた機獅道。万能機はたしかに強いが、そうでない一芸にのみ優れた機体で最大のパフォーマンスを発揮してみせるのも優秀な機獅たるの誉れであろう。
「頼みますよ、セルマさん!」
「――了解、フロスト09戦列に加わります」
 ごう、と風を切り裂いて、蒼白の肌の巨大な女神像が突出した。
 セルマ・フロスト、自我持つ巨人機兵である。
 イースタン・フロント軍制式のキャバリアライフルとソードを携え、アスファルトの舗装路を駆け抜ける靭やかな女性。
 だが一歩のごとに地が震えるそれは、如何に流麗たる女性型とて彼女がキャバリアであることの証左。
「人類同士で争う……これが世界にカタストロフを招くオブリビオンマシンの力」
 眼前で正規軍のクロムキャバリアが四機からなるクーデター軍機の編隊に囲まれ、嬲るように四肢を撃ち落とされて墜落してゆく。
 撃墜されたキャバリアからパイロットがコックピットブロックごとベイルアウトしたのが見えた。死んでいないことに安堵すると同時、味方同士だったはずの同じイースタン・フロント軍同士で相食むようなこの戦いは理解に苦しむ。オブリビオンマシンによる煽動があったとしても、あるいはヒトとは同じ群れの中でも相争うようなモノなのか。
「いいえ、人はそのようなものではないと私は信じます」
 今己が背中を預け、そして己を信じ前衛を委ねたエイスの輝くような瞳を思い出す。
 第88中隊の面々も、猟兵たちがオブリビオンマシンの影響を指摘した為にクーデター軍機を一機とて完全破壊していない。技量で劣る状況で、それでも必死に足掻き傷つきながらもパイロットは無傷で確保しようと苦心している。
 人の本性が醜いものであったとしても、それを飲み込んで高潔に戦うことはできるのだ。
「なら私は、その高潔に報いることこそ役割」
 脱出した機体のコックピットブロックに銃口を向けるオブシディアンの一機にフルオートで弾倉内の徹甲弾を浴びせ撃てば、散開した敵小隊はくるりひらりとその銃弾を回避して狙いを此方に向ける。
『アンノウン! 識別不明のジャイアントキャバリア、数1!』
『巫山戯た見た目を! 兵器に女の格好をさせるなどと!』
 焼き払ってやれ。背部キャノンを展開し、ナパーム弾頭弾を発射すれば、その粘性の油脂を込めた砲弾はセルマに直撃しキャバリアの装甲すら融解させる超高温の炎を霜の娘の肌に巻きつける。
 けれどセルマは怯まない。止まらない。炎を浴びて飴細工のように曲がった銃を路面に落とし、剣を携え更に前進する。
『パイロットは狂っているのか!? 次弾照準、外すなよ――撃』
 撃て、という小隊長の命令は最後まで続かなかった。
 火薬が弾け金属が激突するような轟音とともに、小隊長機の上半身が粉々に吹き飛んだのだ。
「まずは一機! コックピットさえ撃ち抜かなければ案外なんとかなるものですキャバリアには詳しいのです!」
 早口でまくしたてるエイス。果たして小隊長機は最早スクラップも同然の惨状だが、特に念入りな装甲に保護されたコックピットブロックは無事のように見える。
 パイロットが脱出しないのは被弾の衝撃で脳震盪でも起こしたか――中で死んでいないことを祈りつつ、セルマは残る三機に肉薄する。
 脳裏に蘇るのは、かつて自身を駆った人間のキオク。彼らの肉体がここに居なくとも、セルマに宿るキオクとしてパイロットたちはともにある。
 こと荒々しくも敵機を制圧することには人一倍長けたパイロットの機体制御を想起しながら、それをなぞるように剣を振るえば、教導隊のオブシディアンはその刃をブレードで受け止め――パワー負けしてそのまま押し込まれ、関節部から解体されてゆく。
『我々の邪魔をするか、化物め……ッ!』
 呪詛とともに燃え盛るセルマに組み付こうとした機体――自爆かなにかを試みたのだろう――は、間一髪でエイスの放った次弾に貫かれて五体を辺りに撒き散らす末路を辿った。
「戦闘終了、援護に感謝します」
「こちらこそ! 見事な機獅道でした!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チル・スケイル
要は、あの黒いキャバリアと交戦すればいいんですね
依頼を承りました。吉報をお待ちください。

氷の魔法を用いて即席の竜人型氷ゴーレムを製造。氷竜の霊を召喚し、動力兼操縦者になって頂きましょう
手頃な量産型キャバリアを核にすれば、素早くゴーレムを製造し出撃できるでしょうか。許されずとも、作戦は同じですが

誘導ミサイル…要は空飛ぶ爆弾ですね。ゴーレムの口から猛吹雪を放ち、まとめて冷凍しましょう。
そのままゴーレムが組み付き、敵機体の四肢を破壊し抵抗を封じ、次の敵に向かいます

私自身はゴーレムの肩に乗り、狙撃杖カシュパフィロを手に援護射撃します。
あの赤い光点が眼でしょうか。狙撃します。


ミリャ・ウィズ
巨大な敵と相対し、誰かを護らなくちゃいけない時。
ボクも巨大な友を呼ぶの。

左手のタブレットが光を放ち音声認証を促す。
「人々に安寧をもたらす星の守護者、星砦【スヴェル】よ。管理者ミリャ・ウィズの名により現出を承認する。我が元へ……お願いスヴェル。」
展開された魔法陣を右手で叩き巨人が空より降り立った。

スヴェルの肩に乗り前進
飛んでくる攻撃はO.Z.N.フィールドを展開し防御
近寄ってくる敵はそのまま殴り倒し、遠距離は【黄色の魔法・放つ】右指をパチンと鳴らし発動
コックピットは狙わず足や手を狙いたい


「……この方法は好きじゃないけど。少し叩けば元に戻るかな……?」

アドリブ連携歓迎




「喪われし命脈に、我が氷雪を巡らそう。吹雪を連れ、彼方より来たれ!」
「人々に安寧をもたらす星の守護者、星砦【スヴェル】よ。管理者ミリャ・ウィズの名により現出を承認する。我が元へ……お願いスヴェル」
 二人の乙女の願いに応じ、方や封鎖線に並べられた量産型キャバリアを形代に、方や虚空より舞い降りるが如く、二つの巨人が現れる。
 量産型キャバリアを覆うように凍てついた大気が氷の竜人像となり、幾重もの魔法陣を貫いて鋼鉄の巨人が地を踏みしめる。
 氷竜人の名は無い。主たる術者、チルの意のままに動くゴーレムである。
 鉄巨人の名はスヴェル。友たる魔女、ミリャのため戦う鋼鉄の英雄である。
 それぞれの巨人像は使役するものを肩に乗せ、ゆっくりとプラントに向け前進を開始する。
 チルは封鎖線を敷いていたイースタン・フロント軍の兵士との約束を想う。クーデター軍によって使役される黒いキャバリア、オブシディアン。あれを無力化するのが今回の依頼だ。国民の生活基盤たるプラントを反政府勢力の手から直ちに奪還せねばならない。されど、敵のパイロットを殺してはならない。猟兵の身ならばこそ分かる。彼らの暴走は文字通りの暴走、オブリビオンマシンによって肥大させられたナショナリズムの暴発が故。
 剣と魔法と竜と王国の世界に生きるチルには、この世界の政治や思想はわからぬ。けれどもその想いがオブリビオンによって歪められたものであるならば、いかなるものであっても正すのが猟兵の使命。
「吉報を持ち帰ると約束しました。ならば約束を果たすまでです」
「そうだね。一人でも多く助け出して、元凶を叩こう」
 ミリャはじっとプラントの偉容を見上げて頷いた。あれを奪還しなければ大勢の人々が飢えに苦しんでしまう。ぼんやりとした態度で勘違いされがちだが、ミリャは決して人との交流が嫌いな手合ではない。そんな彼女だから、普段どおりの寡黙なふるまいの裡に民を苦しめてまで主張を通そうとするクーデター軍への――それを煽るオブリビオンへの怒りもある。
「だからボクたちが止めるんだ。頼んだよ、スヴェル」
 そっと友の横顔に手を添えれば、鋼鉄の巨人はその想いを汲んで力強くさらなる一歩を踏み込んだ。
 その時である。天を覆うほどの殺意。ビルの向こうから垂直に打ち上げられた炎が、白煙を引き連れてその狙いを眼下の二体の巨人に合わせる。
「あれが話に聞く対キャバリア誘導ミサイル……要は空飛ぶ爆弾ですね」
 直撃すればキャバリアとて無事では済まぬ破壊の塊が音速に等しく迫ろうというのに、チルは落ち着き払っていた。
 慌てふためき怯えるような相手ではないと。ライフルのような杖を飛来するミサイルの群れに向けゴーレムに目標を指示すれば、その顎門から放たれた氷雪の嵐が誘導弾の赤外線誘導装置を瞬く間に凍結させ目を潰す。
 いいや、それだけに留まらず貼り付いた霜は氷塊となり、ミサイルに搭載された推進装置では飛翔すらままならぬような重みを与えてこれを余さず撃ち落としたのである。
 しかしこれ見よがしに放たれた垂直発射ミサイルは陽動だった。チルがその迎撃に意識を割かれた瞬間それを目くらましとして、二人を挟撃するように脇道から二機のオブシディアンがブーストダッシュで滑り出てきたのだ。
『まさか全弾迎撃されるとは!』
『何、これでケリが付いても面白くないでしょう。キャバリア戦はやはりこうでなければ!』
 チルの見せた芸当に驚いたふうの壮年の声と、戦闘に沸き立つような若い声。
 壮年のオブシディアンがライフルを乱射しながら中距離でチルとミリャを押さえ込めば、若者のオブシディアンは僚機の牽制に任せ、迎撃能力に優れたゴーレムの死角に滑り込み残してあったミサイルを水平発射。
「うん、やらせない」
 絡み合うミサイルの軌跡に、迎え撃つでもなくミリャはスヴェルの巨体を進み出させた。
「O.Z.N.フィールド全開。受け止めて、スヴェル」
 両腕を交差させミサイルに飛び込んだスヴェル。その腕から機体を覆うように防御フィールドが展開され、触れたミサイルは分解され起爆することなく消滅してゆく。
『馬鹿な! スーパーロボットというやつかよ、デタラメな』
 眼前の機体はミサイルコンテナをパージ、ブレードを引き抜き左右に機体を揺らす見事な機体制御でスヴェルを翻弄しながら肉薄する。ミサイルが通用しないならば、確実に重装甲を破壊しうる近接戦で防御フィールドの隙間を狙ってパイロットを叩く、なるほど正道だと言えよう。こと対スーパーロボット戦においては定石の戦術だ。
 叩きつけられたブレードが、ミリャをかばおうとしたスヴェルの重装甲の腕部に傷を刻む。
「……友を傷つけたね。この方法はあまり好きじゃなかったけど……」
 スヴェルの負ったダメージは軽いが、それでも傷は傷だ。スーパーロボットたるもの傷ついてこその勇姿ではあるが、友を傷つけられて平然とできるほどミリャは冷血ではない。
「……イエロー、リリース」
 右手の指を高らかに打ち鳴らせば、雷撃の矢が次々とオブシディアンを貫いた。
 重装甲に守られ、殲禍炎剣が蔓延る以前の大戦期には雷雲の中を飛行し戦ったとも言われるキャバリア。高圧電流の直撃で電装系を中心に麻痺こそすれ、これで墜ちることはない。が、わずかにも機体が硬直すればそれでミリャには十分だった。
「スヴェル、少し叩いて正気にもどしてあげて」
 鉄拳が振り下ろされる。アルミの缶を潰すように、オブシディアンの装甲ごと手足が拉げて千切れ飛んだ。
『がっ……うあああ!』
 コックピットブロックが揺さぶられるたびパイロットの悲鳴が聞こえたが、それが聞こえなくなったということは気絶したのだろう。
 目の前の敵を仕留めたミリャが振り返れば――

 ミリャがもう一機のオブシディアンと交戦しているその時、チルもまた敵機と相対していた。
『見たことのない機体、サイキックキャバリアの類か……? 面妖な術を使うようだが、高初速の高速徹甲弾までは落とせないようだな!』
 パイロットの勝ち誇った声音の通り、ゴーレムの吐き出す吹雪は飛来するライフル弾を凍らせこそするが、一瞬で彼我の距離を零に詰める弾丸を多少凍らせたとて地に落とすほどの重量を足す前にそれはゴーレムの氷の身体を貫き砕いてしまう。
 割れた側から修復してはいるが、ゴーレム単騎の戦闘力ではやや不利といったところであろう。
 されどもそれはゴーレムだけを戦力に勘定した場合の話だ。そう、この場における戦力はもうひとり。チルもまた、ゴーレムを使役するだけの存在ではない。一人の猟兵として場数を踏んだ冒険者なのだ。
「ゴーレムの能力は把握されたようですが、それだけです。問題ありません」
 杖を握り、肩に末端を押し当て、杖身に頬を当てて狙いを定める。
「あの赤い光点、あれが目でしょうか。狙撃します」
 ぱしゅ、とごく静かに放たれた凍結の魔法は、目まぐるしく機動しながらゴーレムの反撃を回避し銃弾を送り込むオブシディアンのカメラアイを正確無比に貫いた。
 いや、貫いたという表現は正確ではないだろう。元よりセンサー部分が弱点であることは設計者とて承知、小銃弾程度は耐えるように補強された其処を貫通はしなかったのだから。
 だが、命中すれば十分に効力を発揮するのが魔法という奇跡の技である。
 瞬く間に凍りついたカメラアイは、オブシディアンの視界を真っ白に染め上げる。そうしてパイロットがサブのセンサーに知覚を切り替えるほんの僅かの間、射撃が止まるその刹那に、ゴーレムはその身を躍らせオブシディアンに組み付いた。
 両の腕で手首を掴み上げ、のたうつ尾で両の足を纏めて絡め取る。
『しまったッ! ええい、だが格闘戦のパワーならばオブシディアンが上だ!』
 機械仕掛けの剛力で束縛を抜け出そうとしたオブシディアンは、だが脱出することは叶わなかった。
 捕縛された其処から真っ白に凍りついた四肢は、自ら脱出しようとする力に耐えきれず砕けて折れたのだ。
 ずん、と音を立てて地に沈む機体を見下ろし、それからもう一機を相手取るミリャを気にしてチルが振り向けば――

 同時に振り返った二人は、互いの無事を確認すると無言で再び進撃する。
 同じ目的のため戦う二人に言葉は無用だった。次なるクーデター軍の機体を制圧すべく、二体の異能の巨人が突き進む。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レナ・ヴァレンタイン
※アドリブ、他との絡み歓迎

さて機械の巨人相手ならこちらも、と言いたいところではあるが、私が扱うと確実に壊して返却することになるのでね。ただまあ、なるべく威力の高い手りゅう弾を束で寄越せ、あとは適当に囮をしてくれればそれで十分だ

見晴らしのいい屋上に潜伏待機
敵集団が見えたらユーベルコードで敵の頭~肩にかけての位置へ“跳ぶ”
スタンナイフの電撃をメインカメラに浴びせつつ『ギャラルホルン』を密着射撃して装甲を破壊
あとはその傷痕に手りゅう弾を挟み込んで別の目標に向かう
装甲貫徹が無理ならセンサーやカメラアイに仕込んで爆破
後は似たようなことを敵が無くなるまで続けるだけだ

いいものをあげよう、それも“沢山”だ


レッグ・ワート
了解。そんじゃ頑張ろ。

あちらさんの隊かプラント周り張ってた部隊に、二足以外のキャバリアがあったかどうかはきいとくよ。そんで宇宙バイクにドローン固定して、相手の武装や収めてる箇所、各部強度の情報収集。値集めてる間は逃げ足優先の運転で、誰か来るまでの時間稼ぎか撒くかってトコかな。鉄骨で小突いたり、武器受けできそうなら払いはするけども。
仕掛けるに問題無い値が揃ったら、見切り避けた際に間接部や近辺に鉄骨をぶちこんで動きを止めていく。複製すれば残数はあるしな。殴るか刺すかと怪力加減は状況に応じて。具体的には複製元の鉄骨の状態と相手の装甲強度と交戦速度と周りの建物。今回は敵側込みで怪我人が少ない方がいい。




「さて機械の巨人相手ならこちらも、と言いたいところではあるが……」
 レナは残念そうに肩を落とす。何しろ機体は貸与品、戦闘で損傷するのは已む無しとしても流石に大破させるのが確実だとわかって借りるのは気が引ける。
 とはいえ手持ちの武器では威力過多か逆に足りないか。キャバリアを中のパイロットが死なない程度に撃破、戦線離脱させる為に彼女が用意させたのが、旧式もいいところの対キャバリアグレネードだ。
 いわゆるポテトマッシャー型の柄付き手榴弾を数本束ねたような見た目のそれは、ずしりと手に感じる重みが威力を想像させる。一方で高速機動するキャバリアに有効打を与えるには装甲の隙間に突っ込むなり、ただ投げつけるだけでは足りぬであろう曲者ぶりも予想に難くない武器であったが。
 唯一とも言える対キャバリア戦用の兵器を片手に一つ、それからこれも借り受けたバッグにいくつも抱えて、レナは静かにアパートメントの屋上を渡る。
 画一的に同じ高さが続くビルの背は渡りやすい。工業都市様々である。自分が進んでいるという感覚を失わせるのだけは難点だが。

「二足型以外は無しか」
 展開した教導団にも第88中隊にも、標準仕様の二足歩行型キャバリエのみが配備されている。
 イースタン・フロントは小国だ。小国の軍は往々にして単一の機種であらゆる任務に耐えうる万能機を欲する傾向にあるのだから、全軍の装備として人型を崩した機体というのは珍しい。
 技術試験部隊が外国から輸入した機体を少数扱っているとか、国境線の砲兵がギムレウス級の重砲戦キャバリアを配備しているとか、そういう零れ話は聞けたものの、少なくとも首都近郊に配置された機体は全て二本の脚で歩行するタイプということである。
 通信での問い合わせに律儀に回答してくれた正規軍の指揮所に感謝の意を告げ、無線を切ったレグはバイクのアクセルを回す。
「了解、そんじゃ頑張ろ」
 射出したドローンのうち、高空を飛翔したものは遥か軌道上からのレーザー砲撃によって撃ち落とされ、低空を這わせたものは立ち並ぶ建物による遮蔽とクーデター軍機の電子的対抗手段によって制御を失い墜落したらしい。
「ま、大人しく偵察されてくれる連中じゃないよな」
 レグもこれは想定済みだ。いや、小さなドローンすら正確無比に撃墜してのける殲禍炎剣の精度にはやや驚かされたが。教導団がドローンを無視はすまいという予測の方は概ねその通りであったらしい。
「そりゃそうよな。位置バレすりゃ死活問題だ」
 追跡され包囲網を敷かれたり、あるいは――これは市街地では考えにくいが、砲兵にアウトレンジからピンポイントで射爆されたり。偵察機をスルーするだけで思いつくリスクはいくらでもある。
 これを確実に無力化してきたということは、敵は戦術の基礎に忠実かつそれを実践レベルで恙なく実行してみせる噂通りの精鋭部隊ということらしい。
 これもまたひとつの情報だ。犠牲によって得た情報を念頭に、レグは生き残ったドローンをバイクに接続固定してさらなる威力偵察に出る。
 ふわりと浮揚して市街地を駆けるレグの機体に教導団のオブシディアンが食い付いたのはそれからすぐだった。
 ドローンのアクティブレーダーが発する電波を感知したのだろう。三機からなる編隊飛行でビルの隙間を縫いながら迫る黒鉄の巨人機兵に対し、レグは決して振り切らず、しかし追いつかれることもなく絶妙な距離を保ってその先をゆく。
『チッ、なんて機動だ! あれをバイクと思うな、アンチビット戦のつもりでかかるぞ!』
 はじめのうちは風体からバイクや車両を相手取るつもりで攻めかかっていた教導団のパイロットたちも、レグの巧みな機体制御に砲弾を次々かわされるとすぐさま切り替えてくる。浮遊砲台を相手取る戦いは、彼ら第3教導団の最も得手とするものだ。
「ウッソだろ当ててくるのかよ!」
 ハンドルを片手で思い切り切って急旋回。横腹を向けた姿勢で抱え込んだ鉄骨を振り払えば、飛来した高速徹甲弾がそれを半ばから引き千切って持っていく。
 弾いたおかげで直撃は避けたが数少ない対抗手段の一つである鉄骨が一本失われたことに、レグは思わず悪態をつく。
「割に合わねえな!」
 なにしろこちらは積載量の都合鉄骨をそう何本も積んでは居ない。基本的には一本の鉄骨を都度コピーして使用するつもりでいたが、そのコピー元を初撃で盛大に破壊されてしまった。これではいつもどおりの使い方は出来ないが、そこらから引っこ抜こうにも首都と言うだけあって完成された町並み、建築途中の建物などそうそう見つからない。かと言ってまさかビルの壁に手を突っ込んで中からほじり出すわけにもいくまい。
 それでも、どうにか回避と防御を繰り返して彼は必要に足る情報を集めきる。
「よし、んじゃそろそろ仕掛けるかね」
 反転、高度を上げる。逃げの一手を打ち続けてきた敵機が急反転して襲いかかってきたのにも動じず迎撃を試みるオブシディアン小隊だが、そこに乱入者が現れたことでその弾幕は勢いを大きく削がれた。
 ――レナだ。
「やあ、ごきげんよう!」
 アパートメントの屋根からオブシディアンの肩に飛び降り、頭をノックして朗らかに挨拶を送る怪しげなコートの女に、パイロットは僅かに動揺した。
 その僅かの間に、此方を見つめるカメラアイの根本にスタンナイフを差し込み光学系のセンサーユニットを破壊。首もと、オーバーフレームの内側に一撃を叩き込むべく対装甲散弾砲を密着射撃。バターに指を突っ込んだように歪な穴を開けたオブシディアンの上半身の内側に、レナは譲り受けた集束手榴弾を突き刺して次へ跳ぶ。
 爆発。同時に散弾砲の二射目の轟音。手榴弾を放り込み、跳躍。
 三機目――
『そう同じ手を何度も食らうものか!』
 がちん、と散弾砲の砲口を押し当てれば、三機目のオブシディアンは機体を捻って装甲の避弾経始を作りこれを受け流す。無傷とは言えないが、手榴弾をねじ込めるだけの隙間は空いていない。
「チッ……!」
 舌打ち。機上で無防備を晒すレナに、オブシディアンのライフルが突き付けられる。幾ら猟兵、いくらミレナリィドールといえど徹甲弾の直撃には耐えられまい。
「いいや、いい目くらましだったぜ」
 がぎん、と金属が噛み合い砕ける音がする。一度ならず二度、三度、四度。
 その度にオブシディアンの関節部に折れた鉄骨が突き刺さり、それを叩き込んだレグのバイクが頭と同じ高さまで機体周囲を螺旋を描くようにしながら舞い上がる。
「ここなら墜ちても怪我人は出ないだろ。今回はそっち含め怪我人は少ないほうがいいからな」
 オブシディアンの首筋に突き刺した鉄骨を、てこの原理で思い切り押し込めば火花を散らして頭が飛んだ。
 其処へレナが手榴弾を放り込み、レグの後席に飛び降りる。
「いやあ助かったよ、いいタイミングだ!」
「はいよ、しかし無茶するねお前さんも。生身でアレ相手に接近戦かよ、ぞっとしないぜ」
 上半身を吹き飛ばされ、緊急ベイルアウトを実行しながら公園らしい広場に墜落してゆく三機のオブシディアンを背に、二人乗りのバイクは颯爽と駆け抜けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィーナ・ステラガーデン
【PPP】
皆して鉄に乗ってるわね!じゃあ私もとっておきを出すわ!
来いーーッ!ビードットーー!!(腕を高く挙げ指パッチン)
・・・あんた地面から出てくるなりしなさいよ!
まあいいわ!ビードットに乗り込むわ!なんかバケツのあたりに乗り口あるらしいわよ?中身がどうなってるかは知らないわ!!
そもそも外見えるのかしら?気合と勇気があれば何とかなるって聞いたことがあるわ!

ビードットの中で砲台にあわせてUCを発動するわ!
砲台の弾に呪血付与してナパーム発射よ!
減った血はとりあえず輸血パックでもちゅーちゅーして補充しとくわ!
ところで乗って気付いたけど、私別に操縦しなくていいわね!

(アレンジアドリブ大歓迎!)


アリシア・マクリントック
【PPP】
相手にきちんと指揮系統があるならこのサイズ差のまま戦うのは無茶ですね。
変身!扉よ開け!ティターニアアーマー!
機甲中隊のみなさん、装備をお借りしますよ!大型の剣と盾を手に中世の騎士のごとく戦いましょう。
盾の扱いには慣れていませんが……ティターニアアーマーでは飛び回って避けるというわけにもいきませんしね。やれるだけやってみます!目指すは一機当千、かつては戦場に存在できた英雄の戦い。合理主義の近代軍隊では「想定外」「規格外」には対応しにくいでしょう。
もちろん搭乗者を傷つけないようコクピットを避けて攻撃することも忘れずに。


シャルロット・シフファート
【PPP】
「来なさい――エレクトロスピリットキャバリア・『アティルト』!」
と、ホログラムが私の頭上に魔法陣の如く展開して私を包み込むように蒼と紅のカラーリングで構成されたサイキックキャバリアが展開される。
「実は、この世界の技術関係には興味深いところもあってね?サイキックキャバリアを専攻に魔導工学の研究を進めたいと思っているのよ」
そんなことを口ずさみながら出撃を開始する。

戦闘
「如何に幾何学的模様を描く軌道であってもミサイルなら無機物でしょう!」
UCの射程圏内に入ったミサイルをエーテル化しそれを【属性攻撃】で周りの敵機体をパイロットを死なせないように撃破していく。


ビードット・ワイワイ
【PPP】
アドリブアレンジ歓迎
フィーナ殿の呼び声に応じUC発動
空より来たるは我が機体。拾った機体だが性能抜群
立ち塞がる敵に容赦無し。有権者の諸君、刮目せよ!
陸 上 戦 艦 堂 々 降 臨
そして!これが!キャバリアとの!
   合  体   である!
ところでフィーナ殿。そこは乗り口では無いぞ
頭開かない。ここ結構大事

フィーナ殿を乗せエンジンふかして全速前進
立ちはだかる敵に砲撃を開始。火砲は全てを薙ぎ払う
なるべく施設に当たらぬよう気を配る
配るがそれはそれとして力を借り受け放つ砲弾による
範囲攻撃。アームによる捕縛零距離射撃
パイロットを殺さないよう気持ち手加減はする
それでは頑張って生き残ってくれ


アイ・リスパー
【PPP】
「緊迫した戦況になってきましたが……
フィーナさんとビードットさん、なに遊んでるんですか……?」

私は機動戦車オベイロンに乗り込み前線に進軍します。

「オベイロン、あなたの力をみせてあげましょう!」

ミサイルランチャーとロケットランチャーで敵キャバリアを攻撃です。
そして敵の防衛戦に近づいたら【強化外装】でオベイロンをパワードスーツ形態に変形し纏います。

「接近戦ができないと思ったら大間違いです!」

機動力を活かして敵に接近。
コックピットに当たらないようにプラズマブレードを一閃し、敵を斬り裂きます。

「ナパーム弾ごとき、このオベイロンには……
って、暑ーっ!?」

蒸し風呂になったコクピットで悶えます。




「来なさい――エレクトロスピリットキャバリア"アティルト"!」
 シャルロットの呼び声に応じ、電子の存在が物質世界へと顕現する。小柄な少女を包み込む立体映像が徐々に実体を得てゆき、そこに現れたのは蒼と紅に彩られたキャバリアであった。
 機種としてはサイキックキャバリアになるだろうか。兵器というよりは一種の芸術機械のようなシルエットの機体に取り込まれるようにしてコックピットに収まったシャルロットは、構築されたばかりの専用機のステータスをチェックする。相手は精鋭部隊、万に一つも不備があればそこを突かれて瞬く間に戦況を突き崩されてしまいかねない。用心をするに越したことはないのだ。
「ああっ、シャルロットさんいつの間にキャバリアを!」
 その姿に羨望の眼差しを向けるアイ。自分にはオベイロンやその他にも様々な兵器があるが、それはそれとして最新兵器には興味が湧くもの。ましてそれが"専用機"などという甘美な響きを伴うならば尚更に。
「で、でも私にはオベイロンが居ますから! 今の所はキャバリアに浮気するつもりはありません!」
 制御AIが臍を曲げそうな気配を感じ、そんな風に慌てて誤魔化すアイを微笑ましげに見守りながら、アリシアはティターニアアーマーにイースタン・フロント軍仕様の対艦バスタードソードと大型のシールドを装備していく――といっても火器兵装ではないのだ。五本の指でグリップを握りしめれば、後は振り回すだけ。
 機体に最適な斬撃動作をフィードバックするという最新鋭の機構と護拳の辺りで輝くそれ用のセンサーが無用になってしまったが、適合しない銃火器を無理に運用するよりは戦力として正しい判断だろう。そもそもアリシア自身も銃より剣の扱いを得意とするのだから。
「相手が単騎ならまだしも、きちんとした指揮系統のもとで連携して戦うのであれば生身で戦うのは無茶ですからね。さてと。此方の準備は完了です」
 さて――決して機械音痴ではないが、されど機械に詳しいとは言えないあの小柄な魔女はどうなったか。心配の種に視線を向ければ、
「何よこれ、何もしてないのに壊れたわ!!!!」
 予想を裏切らない姿がそこにある。むしろ逆に安心感すら覚えた。
「いやお嬢ちゃんねえ、いきなり脱出レバー引っ張るやつがあるか!!」
「こんなところに引っ張ってくださいみたいな顔で生えてるほうが悪いわ!!」
 瞬時に膨張したエアバッグの上で弾むコックピットブロックの中で喚くフィーナと、それに文句を言う正規兵。
 どうやら貸与されたキャバリアに乗り込むなり初手でイジェクトレバーを引いてベイルアウトしてしまったらしい。
「これだからよくわかんない機械は困るわ! 私はやっぱりこのとっておきを出すしかないわ!」
 コックピットブロックから飛び降り、エアバッグでぽよんと跳ねてきれいなフォームで着地。脚を肩幅に開き、腕を高らかに掲げ――
「来ォ――いッ! ビィィィィドットォォォォッ!!」
 ぱちん、と指を鳴らせばそいつはやってくる。
 空から現れた錆鉄色のキャバリア。殲禍炎剣の届かぬギリギリの高度を飛翔するそれに、赤色毛玉もとい大統領、いやビードットが跳躍して――その短足でどうやってあんな高度まで跳んだのかは誰にもわからない――合体!
「拾った機体だが性能抜群。立ち塞がる敵に容赦なし。有権者の諸君、刮目せよ!」
 まだ大統領設定続くのか。さておき、合体し変形したキャバリアはずしんと地を揺らして幅広の幹線道路を占領する。
 その姿は異形にして異様なる偉容。巨砲を携えし姿はまさに――
「陸 上 戦 艦 堂 々 降 臨」
「そして! これが! キャバリアとの! 合   体! である!」
 その中央、本来であれば艦橋構造物がそびえるはずのそこに、ビードットを模した――もといビードットと一体になったキャバリアの上半身が合体。半人半船の姿となって完成を見る。
「……あんたあの口上で呼ばれたんだから地面から出てくるなりしなさいよ! ……まあいいわ」
 あんたが私のキャバリアね! と強引に決定したフィーナがビードットの艦上を駆け上り、バケツ頭の根本にガッと指を掛ける。
「さっさと開けて乗せなさい! みんなもう戦ってるんだから私達も行くわよ!」
「うむ! ところでフィーナ殿、そこは乗り口ではないぞ。頭開かない。此処結構大――」
 めきょっ。
「あっ」「あっ」
 ビードットは開かないところが開いちゃったことに、フィーナは開けたところの中身がなんかうじゅるうじゅるしてたことに変な声を出してしまう。
「…………私は何も見てないわ! 行くわよビードット、アイ、アリシア、シャルロット!」
「…………だからそこは開かぬと言ったのに」

 先行するのはアリシアのティターニアアーマー、シャルロットのアティルト、アイのオベイロンと続いて最後尾にフィーナとビードット。
 完全に長距離砲戦仕様のビードットを本人の申告通り陸上艦と割り切って、その直掩に同じような武装構成のオベイロン。先行して哨戒するのがティターニアとアティルトという割り当ては至極妥当なものであった。
 アリシアは生来の生真面目さから入念にクーデター軍の伏撃を警戒し、シャルロットは雑談に興じつつもアティルトの特異なセンサー群をフル稼働して敵襲に備えている。
「実は私、この世界の技術関係に興味が在るのよ。サイキックキャバリア専攻で魔導工学の研究をしてみようと思っていて」
「なるほど、良い成果があったら私にも教えて下さいね! オベイロンやティターニアをもっと強化するヒントになるかもしれません!」
 わいわいと賑やかな女性陣。その姦しい声を遮ったのは、けたたましく鳴り響くミサイルアラート。
 数十発ものミサイルが空を覆い、大型目標であるビードット目掛けて飛来する。如何にビードットが重装甲の陸戦艦だとしてもこれだけのミサイルが全弾命中すれば大破必至、そうなれば過剰なほど搭載された火砲の弾薬に誘爆し都市区画まるごとが灰燼となりかねない。
「案ずるな、対空防御も――無いな」
 このビードット、満足に仰角を取れるのは背負った大型の三連装主砲くらいしかないのである! こんなモンを対空迎撃に使おうものなら流れ弾で大惨事は間違いない。
「なんか付けときなさいよこのおバカーっ!?」
 フィーナの絶叫も時既に遅し。ビードットにできることと言えばスモークを展開してミサイルの終末誘導を阻害する程度だが、それだってどこまで役にたつか。こんなことならば大艦巨砲主義に固執せずCIWSの一つや二つや十や百も積んでおくべきであったかもしれぬ。
 もはや被弾を受け入れ、キャバリア部分だけで離脱も考え始めたビードットを庇うようにアティルトの華奢な機体が割り込んだ。
「これだけの弾幕、回避はまず無理ね。けれどミサイルだと言うなら無機物でしょう!」
 アティルトから大気を揺らす波動が放たれ、それに触れたミサイル弾頭が純エーテルとなって崩壊してゆく。
「助かったわ! ナイスよシャルロット!」
 喝采をあげるフィーナだが、それをアリシアがまだだと制する。
 ミサイルが起爆しなかった以上、射手は次なる手段で猟兵を排除しにかかるはず。
 そうしてそれは来た。防衛ラインを展開するように幹線道路を横切るオブシディアンの隊伍。後衛機は背部キャノンを展開し、前衛機はライフルとブレードを携え一気に此方へと進攻する。
「来ます! 皆さん防御を!」
 同時、ティターニアアーマーの掲げたシールドに凄まじい重量と圧力を以てブレードが叩きつけられる。
 金属が圧潰する甲高い悲鳴を上げながらも、盾は刃の貫通を防ぐ。が、斬撃こそ通らずとも衝撃はアリシアの身をも打ち据える。
「盾の扱いがこうも上手く行かないとは……慣れが必要ですね!」
 受け止めるのではなく受け流す。それこそが盾の真髄とわかってはいても咄嗟にそれを為すのは難しい。反省は次に活かしつつ、すぐさまバスタードソードを薙ぎ払うが敵機はそれを跳躍して回避――視線が頭上を宙返りで飛び越えた敵機を追えば、防衛ラインに展開する敵からのナパーム弾の雨がアリシアとアイを襲う。
「そんなナパーム弾ごとき、このオベイロンには……って暑ーッ!?」
「くっ……ですがこの程度、鍛冶場の熱気にくらべればなんということもありません!」
 熱気に耐性のないアイは悲鳴を上げ、日頃から鍛冶場の熱に晒されているアリシアは歯を食いしばってその焦熱に耐える。
「アイさん、突破した敵は任せます! 私は砲列を!」
「わかりました! 気をつけて!」
 炎上するオベイロンの砲塔旋回を嘲笑うように高機動でその周囲をぐるぐると飛び回るオブシディアン。最大の武装である砲が役に立たぬと割り切ったアイは、もう一つの切り札を切る。
「このオベイロンが戦車だから接近戦が出来ないと思ったら大間違いです!」
 キャバリアに換装はできても、変形する機体は極稀である。ロボットヘッドや一部のスーパーロボットにはそういう機構もあるというが、対人戦に特化した軍の部隊にそのような物を見る機会はあまりない。
 が故に、アイの奇策に対応しきれる者は居なかった。戦車が人型に変形し、腕部に展開したプラズマの刃でオブシディアンを一閃、コックピットブロックとオーバーフレームを切り分ける。
「あなた達は軍隊の戦いにおいてはたしかに右に出るものの無い精鋭なのかもしれません!」
 次々着弾するナパーム弾がぶちまける油脂に、盾は完全に包まれ燃え盛り終いには融けつつある。
 ぼたりぼたりと滴る油混じりの夕日色の雫が、アスファルトを焦がしてじゅうと燻る鉄の礫になってゆく。そんなキャバリアでさえ耐えられぬような熱の地獄に落とされて、それでもアリシアは前進する。
「しかしだからこそ、一騎当千――想定外、規格外の存在との戦いには対応しきれないはず! 私はここにかつて戦場に存在できた英雄の戦いを再現してみせます!」
 それは神話のような。炎の巨人が迎撃を物ともせずに突き進み、砲列を巨大な炎剣で薙ぎ倒した。
 飛び散る炎がオブシディアンの制御システムを熱暴走させ、剣戟が齎す破壊によって戦闘力を奪われる。
 単騎駆けによる戦術的に愚策というしか無い奇襲、軍人として軍人と戦うために特化したがゆえそれを想定し得なかった教導隊に齎されたのは一方的蹂躙である。だが、高潔な刃は兵士を殺さない。
 斯くて防衛線が壊滅し、残存戦力は立て直しを図るべく後退を開始するが――
「逃がすわけ無いでしょ! やるわよビードット!」
「承知した。主砲、目標敵キャバリア部隊。照準良し」
 がこん、と装填された砲弾にフィーナがその手を伝う血を滴らせれば、弾の表面を鮮血が駆け巡りレースのような紅い紋様を刻みつける。
「なるべく施設への被害は最小限に気をつける。気をつけるが、それはそれとして――斉射、撃て!」
 がごごごん! 凄まじい音響、フィーナが吹き飛ばされそうになるほどの衝撃。放たれた砲弾はクーデター軍のキャバリアを粉々に破壊し、辛うじてベイルアウトしたコックピットブロックも着弾の衝撃波でゴロゴロと転がしてゆく。
「やったわねビードット! お見事よ!」
 流した血の消耗を輸血パックからの吸血で癒やしつつフィーナが労いの言葉をかければ、ビードットはいやいやフィーナ殿のおかげであるよと珍しく謙遜するようなことをいう。
 フィーナは素直にそう? そうよねえへへへへなどと笑っているが、傍らを飛ぶシャルロットは知っていた。
 さっきの砲撃、想定以上の威力が出たためにアパートメントが一棟巻き添えで崩壊していた。
 ビードットは戦果と一緒に戦後その辺りを追求された時のあれそれもフィーナに譲ったのではないか――と。
 流石は破滅を呼ぶ存在であった。恐ろしきかな。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

さぁて、キャバリア戦か。
アタシも借りた方が良いんだろうけど……
どうも相棒が張り切ってるんでね。
悪いね、気持ちだけ受け取っておくよ!

そうして【人機一体・雷】で飛び出してみたけれども……
なるほどね、そこまで高速で高空に居なければ大丈夫か。
……だから向こうさんのミサイルも飛んでくるのなっ!

『衝撃波』の『範囲攻撃』とSMGによる『弾幕』で、
誘導ミサイルを迎撃しつつその爆発で
『目潰し』しつつオブシディアンに肉薄する。
そうして至近距離で電撃の『属性攻撃』を叩き込み、
電装系をダウンさせてやるよ!

……しかしまぁ、なんだこの感覚。
何かと繋がりそうなのかコレ……?


夕凪・悠那
なるほどなるほど、こういう感じね
オッケー大体解った
にしてもこれ、こういう状況で使う機体じゃないよね絶対

クロムキャバリアを拝領
武装:RSキャバリアライフル*2
特筆すべきは大出力の推進ブースターと複数の制御用バーニアを装備した強襲・一撃離脱を旨とする高速戦闘機
市街戦に適しているとは言い難い機体だが、後述の裏技で運用

機体周囲の情報をリアルタイムで[ハッキング]して改竄
空気抵抗をゼロ、および慣性を制御することで埒外の機動を実現する(瞬間思考力+早業+操縦)
ついでに簡易FCSジャミング
ミスって建物に激突などしないよう【万象既知】を思考加速に使用
建物を遮蔽物とし、急襲して頭部や駆動系を破壊して沈黙させる




「さぁて、キャバリア戦か」
 キャバリアを正道で倒しうるのはキャバリアのみ。百年続く戦争の時代がこの世界の人々に刻みつけた理である。
 これを是とするならば、きっと己もきちんとした軍用キャバリアを借り受け対等の戦力でもってクーデター軍に相対するべきなのだろう。
 高速で、かつ地形にピタリと張り付くような正確さで頭上を取り続けるオブシディアンを見上げて、多喜はひとりごちる。
 身の丈三倍もある巨人が高速飛行しながら襲ってくる、なるほど生身で相対すれば心胆が寒くなる相手だ。手にした火器兵装の類だって人間相手には過剰も過剰な威力を発揮することだろう。
「けどね、今回は相棒がどうにも張り切ってるんだ」
 だから――
「アタシはアタシらしくやらせてもらうよ!」
 跳躍。そのまま飛翔。愛車と合一した人機一体の姿で、念動力による飛行によってオブシディアンに対抗する多喜。頭上を抑えたオブシディアンと上を奪い合うように上昇していくが、あるラインで敵機は高度優勢の取り合いから身を引いた。
 なるほど、と多喜は合点する。ここがレッドライン、これ以上高みを目指せば殲禍炎剣に捕捉されるリスクが出るのだろう。
 漏れ聞こえてくる正規軍や猟兵達の交戦状況に耳を澄ませば、殲禍炎剣を物ともせず回避しきって高度を奪う猛者も多いようだが、このパイロットは随分慎重派らしい。
「高度の優劣は無し、殲禍炎剣に制限された空ってのは思ったより融通が利くみたいだね。――だから向こうさんのミサイルも飛んでくるのなっ!」
 増速したことで生じたソニックブームがミサイルの第一波を叩き落とす。だがその速度に対応した第二波が迫れば、多喜は身を捩ってサブマシンガンでそれらを撃ち落とす。
 空にいくつもの炎の華が咲き、それがオブシディアンの視界を埋め尽くす――身を守るように丸めて炎の壁を突き破り、オブシディアンの視界からギリギリまで姿を隠せかつ最短直線距離での逆襲撃!
「そういうハイテクロボットは一皮剥けば繊細なもんさ! アンタもそうだと助かるんだけどね!」
 至近距離に肉薄、バックブーストで離脱しようとするオブシディアンを逃がすものかと抑え込み、触れた掌から高圧電流を叩き込む。
 ばちん、と何かが焼ききれる音とともに、オブシディアンが力を失い墜落し始めた。
「っ、なんだこの感覚……?」
 同時、多喜もまた奇妙な感覚を覚え、一瞬の忘我のままにオブシディアンと共に墜ちてゆく。まるで己が何か別の存在と繋がるような。そんな錯覚だ。

 その頃地上では、悠那が第88中隊のフォローに東奔西走していた。
 中隊と同じクロムキャバリア――大枠の機種が同じであって、型番まで同じではないが――を借り受けた悠那は、同一機種の強みとして教導隊に追い込まれた友軍機の救出のために駆け回っていたのだ。
 何しろ悠那の機体は無理矢理に推進器を増設したような超高速強襲専用機。
 本来は人民平等会議軍の高速装甲列車を迎撃するための機体だ。当然ながら障害物の多い市街地での運用など考慮の外。
 それをわざわざ選んだ悠那には秘策があった。ある種の頂点に近づいた電脳魔術士は、現実をも書き換える。悠那もその一人である。その異能をもって、機体を囲む環境から擬似的に空気抵抗を排除。機体の強すぎる推力が生む強烈なG負荷や慣性をも思うままに操り、まるでお気に入りのソファで寛ぐような気安さで軍ですら持て余す怪物を御してのける。
 そんな機体がFCSへの干渉とともに通り魔のように現れては両腕のライフルで此方の機体を破壊して去ってゆくのだ。クーデター軍のキャバリアたちはたまったものではない。
 あと一歩まで正規軍機を追い込んでおきながら、トドメを刺す機会を奪われるどころか戦線離脱をも強いられるのだから。
 そんな悠那だからこそ間に合った。敵機とともに墜落した多喜が何かと繋がる感覚に意識を集中していたその場を狙う狙撃手の影。
 対キャバリアライフルがひたりと狙い定めた彼女を助けるべく、悠那は最大加速で立ち並ぶビル群の間を疾駆する。
 機体の横幅ギリギリの路地を髪の毛一本ほどの隙間を残して掠めることなく切り抜け、道中接敵した敵部隊は迅速な射撃で頭部を粉砕しつつ位置情報を友軍機に共有。
 速度の怪物は教導隊にすら手のつけられない魔獣となって、縦横無尽に暴れまわりながら狙撃手をついに有効射程に収めた。
 悠那が二丁のライフルから弾丸を放つのと、狙撃手が一発の銃弾を撃ち出すのは同時。
 悠那の弾丸の一つが狙撃仕様のオブシディアンの頭部を粉々に爆砕するが、撃ち出されてしまった銃弾には射手の末路など関係ない。
 ――もはや何人の意志を持ってしても止める術はなく――だから悠那は最初から止めるつもりもなかった。
「そうさ、止まらないなら撃ち抜けばいいんだ」
 超音速で飛翔する銃弾を狙撃するという人外の芸当。事象に干渉する一流の電脳魔術士の力も加えて、万象を既知とする異能が導く銃弾の予想進路にこちらの弾丸を滑り込ませる。
 甲高い金属の破裂音。弾丸同士は激突し、そしてあらぬ方向に礫を飛ばして消え去った。
「っ、ふー……! 間に合ったぁ……!」
 悠那は結末を見れど止まらない。速度という優位を守るために、そして友軍部隊の損害を僅かでも抑えるために。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木霊・ウタ
心情
同じ思いなのに
銃口を向けあうなんて哀しすぎる
止めるぜ

機体
頑丈なスーパーロボット
Bアックス
他にも色々武装はあるっぽいけど、な

戦闘
市街地&プラントを守ることを第一に
流れ弾をカバー
スパロボだしイケるぜ

88隊&鷲双方の
操縦席直撃や機体誘爆しそうな攻撃は
撃ち落としたり庇う

獄炎纏う斧をブーメラン投擲
操縦席直撃は避ける

掠るだけでも御の字だ
そこから獄炎が延焼
機体を加熱
回路を焼き切り強制停止

接敵時は獄炎纏う斧で薙ぎ払い
同上だ

炎の壁を生み出し防御
ナパームの炎は獄炎が喰らい取り込む

双頭の鷲
あんたらの
国や国民を思う気持ちは本物だ
もうすぐ目が覚める
それまで休むといいぜ

事後
んじゃ少佐を助けに行こうぜ(ぐっ




「国を守りたい。人を守りたい。同じ思いなのに銃口を向け合うなんて哀しすぎる」
 クーデター軍の機体が死にものぐるいの肉薄によって両断され、射出されたコックピットブロックが流星のように町に墜ちる。
 正規軍の機体が四方八方からの十字砲火を受け、四肢をバラバラに撒き散らしながら墜落してゆく。
 どちらのパイロットもイースタン・フロントという国のために戦っている。求めるもの、目指すゴールが違いこそすれ、それは互いに歩み寄り手を取り合うことも不可能ではなかったはずなのに。
 クーデター軍の将校たちはは二度と争いの起こらぬ敵のない明日を願って。
 正規軍の士官たちは今傷つくものを生まない為の、一時の平和な今日を求めて。
 同じ平和を願うはずの、同じ祖国を仰ぐはずの軍人たちが相食む光景は哀しいと言わずしてなんというのだろう。
「……止めるぜ」
 ウタの想いに応えるように唸るスーパーロボット。両の腕に斧を携え、ウタの心を薪に炎を纏う巨人が進み出る。

「犠牲ありきの平和など!」
 ミュラー大尉のクロムキャバリアがライフルの牽制射撃で抑え込む相手は、教導団でも特に動きのいいオブシディアンだ。
 副隊長の機体を瞬く間に行動不能に追い込んだ敵機の肩には、双頭の鷲に加えて02のナンバーが刻まれている。ファーレンヒルト少佐の副官がパイロットなのだろう。イースタン・フロント指折りのトップエースとバディを組むほどのパイロット、手強いのも道理か。
『流血に耐えねばいつか国は滅ぶ!』
 ライフル弾を回避し、あるいは寝かせたブレードの腹を盾代わりに防御して、オブシディアンはミサイルの残弾を一斉に吐き出す。
 同時に空っぽとなり重石以外の役割を失ったミサイルコンテナをパージ。急加速で彼我の距離を詰め、ミサイル回避のために機体を加速したところに肩からぶち当たってゆく。
『停戦で何を得た! 何も得られはしない! 非武装地帯などというハンデを押し付けられ、人民平等会議がその気になれば昨日より容易くこの国は滅ぶだろう!』
「だが戦えばそれこそ国がなくなるぞ!」
 タックルで弾き飛ばされながらもビームソードを抜き、切り払うミュラー大尉。敵機もそれを承知で既に回避機動に入り――置き土産にパージした榴弾砲を狙撃して空中で大爆発を引き起こす。
 それをミュラー大尉は防ぐ術が無い。巨大な爆発はもはや大尉のキャバリアを飲み込み焼き尽くすだろう。
 ――いいや、そうはならない。そうはさせない。
「お前ならイケるだろ!」
 炎を纏うスーパーロボットが、その身を盾に大尉を庇う。装甲を焼き焦がす熱量は、しかしウタの勇気と信念に呼応した機体に耐えられぬ熱さではない!
「大尉、あとは任せてくれ! あんたは部隊の指揮を!」
「……猟兵か! くっ……すまんが、此処は任せる!」
 あのエース級が大尉を抑え込んだお蔭で、猟兵が走り回って火消しして回る程に正規軍の連携は乱れ始めている。
 二対一ならば絶対の勝利を掴めただろうが、ここであの敵一機を倒す間に味方が全滅するのでは意味がない。
 ナパームの炎を喰らい、己が炎をより強く燃やすスーパーロボットとともに、ウタはこの国最強格の一人に挑む。
「はぁぁぁぁぁッ!」
 スーパーロボットの膂力に任せた燃える斧の薙ぎ払い。これをオブシディアンは最小限の力とブレードのみを用いて受け流す。
 炎ですら吹き散らす神速の反撃はウタの一撃を逸し、即座に至近距離からのライフル斉射が襲いかかる。
 咄嗟にもう一本の斧で身を守るが、その隙間から機体に直撃した徹甲弾がスーパーロボットの装甲に甚大な衝撃を叩きつける。
「くっ……!」
 至近距離での攻防。機体性能とパワーで圧倒するウタが一方的に攻めているように見えるが、しかし実態は技量と経験に勝るクーデター軍機がその殆どを防御し反撃で少しずつダメージを蓄積させてゆくのが現実。
 その戦いの中で、ウタの目は敵機の肩に描かれた双頭の鷲を捉えていた。
「双頭の鷲……あんたらの国や国民を思う気持ちは本物だ」
『ならば我らの決起を阻むな!』
 ウタの一撃を空振らせた直後、オブシディアンのブレードがスーパーロボットを強かに殴りつけて吹き飛ばす。
「いいや、気持ちは本物でも手段が間違ってる! だから俺はあんたらを止める! ここで絶対にだ!」
 ウタの叫びに呼応して、炎の翼が広がってゆく。
 燃える炎はより強く。斧の纏うそれもより熱く。
 その斧を、ウタは勢いよく投擲した。
『気迫ばかり立派だが!』
 しかし斧の投擲など直線的にして直情的な攻撃を処理できぬものは教導隊に居ない。投げつけられた斧をひらりと回避して、さらなる追撃を加えるべくブレードを振りかざすオブシディアン――その背中側に、まるでブーメランのように戻ってきた斧が突き刺さった。
『何……ッ!?』
 装甲が砕け、推進器が潰れ、オブシディアンが墜ちてゆく。
 機体の姿勢制御を試みようにも、炎が機体を包み込み熱が制御系を暴走させているせいで制動すらままならない。
 そのまま地に叩きつけられる寸前、急降下で追いついたウタが大破したオブシディアンを抱きとめた。
 機体を焼き尽くさんばかりに燃え盛る炎はスーパーロボットに燃え移り、オブシディアンは元の姿を取り戻す。
 けれど、機体はもう戦えまい。パイロットも被弾の衝撃のためか、あるいはオブリビオンマシンの狂気を伝播する子機たる機体が機能を停止したためか気を失ったようであった。
「もうすぐ元凶を倒すから。そうしたら目が覚める。それまで休むといいぜ」
 横たえた機体からそっと武器を外して、ウタはプラントを見上げる。
 戦況は猟兵および正規軍の優勢が決定的になりつつある。あとは――
「んじゃ、少佐を助けにいこうぜ!」
 握りこぶしを打ち付けあって、ウタは少佐の待ち構えるプラントへと機体を走らせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 次席指揮官たる副長の駆るオブシディアンが撃破され、これを相手に苦戦していたミュラー大尉が中隊指揮に復帰したことで第88中隊のキャバリアは一気に勢いを取り戻す。
 地を這うよう屈辱に甘んじていたクロムキャバリアが一気に高度を上げ、猟兵達の快進撃で穴だらけになったクーデター軍の防衛線を食い破り鷲を地に引きずり下ろす。
 数的優位は逆転し、黒鷲の群れは白鴉によって追い落とされた。
「これでェェェッ!!」
 最後まで抵抗していたオブシディアンが猟兵の攻撃を受け体勢を崩したところに、正規軍のキャバリアが三機がかりで光剣を突き立てる。
 アンダーフレームを溶断された機体は、コックピットブロックを吐き出した直後に爆散して小さな鉄片となって降り注ぐ。
「各小隊損害報告! 猟兵は……問題なさそうだな」
 ミュラー大尉の指揮官機を目印に集結した政府側の機体は、隊形を整えながらプラントに機首を向ける。猟兵の機体の殆どが損害軽微であるのに対して、正規軍機はいずれも大小の損傷を受け、あるいは出撃時より機体そのものの数も減っている。まさか戦死してはいないだろうが、それでもこの戦いが双方躊躇いなく引金を引かねばならぬ戦争に違いないのだという嫌な感覚が背筋を這い上がってくるようであった。
「第二小隊、大破一、小破三! 死者ありません」
「第三小隊、大破二、中破一。同じく死者なし」
「第四小隊、中破一、小破一。問題ありません」
 各部隊からの損害報告は猟兵にもリアルタイムで共有されていく。十数機で突入した正規軍の機体は三機――いや、何よりも激戦区で戦い抜いたミュラー大尉直率の第一小隊は最早大尉の機体以外は戦闘に耐えうる状態ではない――これを戦力外とするならば、六機もの戦闘不能機を出してしまっていた。
 猟兵がその戦闘力でクーデター軍の注意を引き、数を減らしていなければもっと多くの機体が此処まで残ることも出来ず撃墜されていただろう。
「よし、では隊を再編しプラントを奪還する。第二小隊は私の指揮下に入れ。第四小隊、お前たちが一番戦力を温存できている。先行して敵の抵抗を炙り出せ。対空砲陣地でも用意されていたらかなわん」
「了解!」
 最も損傷の少ない部隊が慎重にプラントに近づいていく。猟兵たちもそれに続こうとするが、ミュラー大尉がそれを制した。
「すまんな。君たちを信用していないなどとは口が裂けても言えないが、我が国の重要施設奪還という国家の大事に正規軍が傭兵の後ろで見ていただけなどと言われるわけにはいかんのだ」
 政治的な配慮だとか、そういうものなのだろう。イースタン・フロントとて一個の主権国家、好き好んでその面子を潰すこともないだろうと猟兵たちが臨戦態勢のまま偵察に出た小隊を注視していたその時、幾条もの光の柱が天へと立ち昇った。

『少佐、ご武運を』
 大隊司令部を設営したプラントの管制室から、司令部付き将校たちの敬礼に見送られて一人の女が出陣する。
 イースタン・フロント軍の軍服をこれ以上なく美しく端正に着熟し、しかしその精密さすら感じるような軍装の中に女性らしい柔和な印象を齎す豊かな胸元は略章のリボンに彩られている。
 年の頃は二十代半ばか、それより一つ二つほど上だろうか。艷やかな黒髪を一つに束ね、軍装のネクタイを緩めればその下からはキャバリアパイロットの証たる耐Gスーツのインナーが覗く。
『少佐ならば国家の魂を取り戻してくださると信じています』
 整備兵達の敬礼に頷き、インナーの上からプロテクターを身に着け――少佐は、クーデターの首謀者にして首都第3教導団をイースタン・フロント最強足らしめた黒鷲の女王、アイリーン・ファーレンヒルトは己の機体にその身を投じる。
『エンジェルビットの調整は?』
『右三番にコンマ06のラグが出ています。予想以上に正規軍の対応が早くて』
 己の仕事を最後まで全うできなかったことに歯噛みする整備兵に微笑みかけて、ファーレンヒルト少佐は頷いた。
『ラグがあると分かっていればそれなりの使い方ができる。この短い時間で貴官らは最大限私の要求に応えようとしてくれた、その献身に感謝こそすれ恨み言を言いはしないよ』
 感極まったように唇を噛み締め改めて敬礼する彼に柔らかな答礼で返し、コックピットハッチが閉じた。
 真っ暗な空間に計器類のランプが灯り、外界を映すモニターが瞼を開ければ、その光に照らされる少佐の顔は既に冷徹なる軍人のそれだ。
『セラフィム・リッパー出るぞ。祖国のために!』
『祖国のために! 少佐が出撃される! エンジン回せ――ッ!!』
 妖精のような光の翼を大きく広げ、プラントの搬入用ハッチから外界に飛び出したサイキックキャバリア。その眼前には今まさにプラントに取り付こうとする正規軍のクロムキャバリア小隊が居る。
『まずは四つ――』

 突如現れたビット兵器からのレーザーを浴び、第四小隊のキャバリアは四肢を焼き落とされて瞬く間に墜ちてゆく。
「メーデーメーデーメーデー! 我被弾せり! 敵は――」
 最後まで脱出を粘り、味方に少しでも多くの情報を残そうとした機体を下方から急速に上昇した半人半鳥、あるいは天使や妖精の如きキャバリアが斬艦刀で両断すれば、機体のセーフティが自動でコックピットブロックを強制排除しパイロットを死の危険から弾き出す。
「双頭の鷲の01……ファーレンヒルト少佐か!」
 第四小隊を一瞬で殲滅したビット群を一旦機体周囲に引き戻し、優雅さすら覚える泰然とした姿で空に君臨する敵機。
 そのパイロットこそ教導団の主、クーデター軍の首魁たるファーレンヒルト少佐であるならば。
 彼女が駆るあの機械天使こそがこの動乱を引き起こした元凶、骸の海より蘇りしオブリビオンマシンに相違あるまい。
『続いて二つ――!』
「舐めるなッ!! 私達だって貴女たち教導団にはさんざん扱かれたんだ!」
「アンチビット戦術機動、螺旋二型で迎え撃つぞ!」
 弾けるように飛来したビットが次に狙うは第三小隊。
 たった二機まで数を減らし、片方は損傷しているような機体で、しかし第三小隊のパイロットは背中合わせに旋回し螺旋を描くように全集防御を展開してビットに対抗する。
「隊長、猟兵! 今のうちに敵機を……」
「迂闊だ、高すぎる! 高度を落と――」
 ビットの猛追から逃れながらその全てをいなしていた二機のキャバリアは、しかし知らずの内に下方からの猛攻によって致死の高空へと追い込まれていた。
 大尉の制止も間にあわず天上から降り注いだたった二条の殲禍炎剣によって撃墜され、緊急脱出を強いられた機体。火達磨になって墜ちてゆく残骸の爆発を背に、セラフィム・リッパーは戦場の君主としてその威容を見せつける。
『君たちにも戦闘国家イースタン・フロントとなることこそが我が国の生き残る唯一の道だということを理解して頂きたい』
 女の声は冷ややかながらも甘く、カリスマを感じずには居られない。
 けれどその声音に潜む狂気を猟兵たちは鋭敏に感じ取った。
『隣国の気紛れな悪意、だれが始めたとも知れぬ戦争の火の粉から身を守るには全て国民が銃を取り戦う力を示さねばならない。イースタン・フロントは強国であり、攻めるには利益より損失が勝ると。――誰に? 世界にだ。そのために人民平等会議には見せしめになってもらう必要がある』
 けれど――光の翼を大きく広げ、機械天使は猟兵達を見下ろした。その青白いツイン・アイから射抜くような視線を感じる。
『その前に君たちを排除せねばならないらしい。自国の正規軍と傭兵……強い国家のアピールには弱いが、国民の意志を統べる為の見せしめにはなるだろう。済まないが祖国のため、最初に流れる血の一滴になってくれ』
 ずらりとセラフィム・リッパーを守護するように飛翔するビットの群れ。少佐自身の技量も超人的だが、あのビットの凄絶な機動から推測するにオブリビオンと化した機体の性能は本来のスペック以上に強大なものとなっているのだろう。
 イースタン・フロントの未来を賭けて、鷲の女王と猟兵たちが激突する。
シャルロット・クリスティア
世迷言を。
同胞を犠牲と切り捨てる、死を強いる指導者に真実があるものか。

……しかし。あのビットが厄介ですね。
互いに周辺への誤射を避けたがるこの状況下では、小回りの利き、本体と独立して射角を取れるあの兵器は強力なアドバンテージとなる。
であるならば、それを潰す。

この辺りの地形は頭に叩き込みました。
幸い、遮蔽には事欠かない……本体からのプラズマ砲から射線を切るくらいはできるでしょう。
後は……閃光弾の光条でビームの網を張る。キャバリアには狭くとも、ビットが通れる隙間は多い、利用ない筈がない。
最終的に交戦は上に逃がしておけば、市街地に被害が出ることも無いでしょう。

私の出番はこんなもの。後はお任せしますよ。


リダン・ムグルエギ
【ワイルドハント】
はいはーい、ぶっちーは踏み台役よろしくぅ

アタシが機体を動かし放水するのは事前に仕込んでおいたマーブルな色水よ
これを空へぶちまける事でモザイクカラーのぶっちーの迷彩を補佐するの
…黒猫ちゃん、ちゃんと水たまり踏んでったわね

もちろんただの水じゃないわ
ひかるちゃんの「水の精霊さん」の力の籠った色水だもの
「事前にお願いしておくことで、色水が自律的に動いて催眠模様の形になってくれる」なんて朝飯前だし、霧の発生も補佐できるわ
さて、この模様の上にいるアタシ達にその光の翼を正確に向ける事はできるかしら?

悪いけれどアナタの望む強い祖国、侵略させてもらうわよ
アタシ達の平和でね

商戦は次の機会、かしら


荒谷・ひかる
【ワイルドハント】

リダンさんの機体には水の精霊さんにお願いして常時水供給
これによりリダン機から発射される水も実質わたしの攻撃として扱える

引き続き囮・牽制役として行動
機体の二丁精霊銃から霧状水の散布と、超高圧水弾での牽制攻撃を行う
霧状水は乱反射や冷却による対プラズマビーム攪乱が目的
間断なく派手に撃ちまくって気を引き付ける

三機のうち何れかの「水」が敵本体に付着したら【本気の水の精霊さん】発動
ビット含む付着した敵機全てに水塊を付与、強制的に水没状態に
狙うは動力系、電装系、吸気系
基本的に水中専用のセッティングでなければ、これらの機械に水は致命的なはず
機能不全を起こさせて捕縛と行きましょう!


白斑・物九郎
【ワイルドハント】
●SPD


アレが噂の女将軍だかの機体っスか

手前拝見
行きますでよ、ワイルド三連星!(若干ノリノリ)


・【ストームライダー】を【操縦】しエントリー

・ひかる機による陽動/牽制の影で、リダン機の撒く「水」も獣型四脚に巻き取りつつ【バニシングドライブ】で機動
・自機より【モザイク状の空間】を散布、敵機からの視認性・命中率を下げる(迷彩)

・【野生の勘】も踏まえ「ラグ有り右3番」を特定
・看破完了次第、バニシングドライブ最高速解禁(推力移動)
・「ラグ有り右3番」を抜け穴と見做し接近経路として利用、ネコパンチを届かせる

・ネコパンチにて「水」を敵機に塗布次第、後はひかるに任せて近接戦レンジから離脱を




「アレが噂の女将軍だかの機体っスか」
「ああ、見ての通り手強い相手だ。数を頼みに押し込もうにも我々は……」
 ミュラー大尉率いる正規軍クロムキャバリア部隊は残り四機。そのいずれも損傷した機体ばかりである。
 この状況では正規軍が前面に立ったとてせいぜい数十秒の時間稼ぎにしかならないだろう。
「オッケ、なら後は俺たちに任せなさいや」
「……遺憾だが、そうするしかないらしい。君たちも無理はするなよ、あくまで我が国の問題だ。本来は君たち猟兵に血を流してもらう必要はないのだからな」
 後は任せろと前に出た物九郎のストームライダー。対して正規軍部隊は中距離射撃戦で牽制に徹するべく後退を開始する。
「いやぁねえ、もう此処まで首突っ込んじゃったんだもの、アタシたちは当事者よ」
「あの人もわたし達を見逃すつもりは無いようですし、ね」
 ストームライダーに続き、サイケデリックな迷彩布を被った量産型とGuardian Spiritがセラフィム・リッパーに対峙する。
 猟団長たる物九郎を筆頭に、リダンとひかる――ワイルドハントの面々の駆るキャバリアだ。
『君たちにいいようにやられたままでは私達の大義は成就できないからな。恨みは無いが相容れることもない、ということだ』
「はッ、話が早ェ輩は嫌いじゃニャーですよ、手前拝見! 行きますでよ、ワイルド三連星!!」
「やだもー、ぶっちーってばノリノリじゃない!」
 キャッキャッとはしゃぐリダンの量産型を置き去りに、ストームライダーが駆け抜ける。
『四足型! 奇妙な機体を使うな君は!』
 飛来するエンジェルビットがストームライダーを取り囲めば、物九郎はキャバリアに己のユーベルコードを纏わせ危地を置き去りにする。
「ザ・レフトハンド――」
 機体の各部に設けられた装甲の隙間からにじみ出るモザイクは、空間を歪ませ熱源、光学いずれの手段でも機体の捕捉を困難たらしめる。
 そのうえでの加速。ビットから放たれたレーザーが、ストームライダーの駆け抜けた後の空間に突き刺さり置き去りにされたモザイクを切り裂いた。
「遅ェ!」
『なるほど確かに捷いが!』
 狙撃は困難と判断したか、ビットが今度は先回りしてプラント施設の隙間に網を張るように展開してレーザーを照射する。
 ピンポイントでストームライダーを捉えられぬならば、ストームライダーの通る道に致命の罠を張ればよいのだ。
「ねーさん! ひかる!」
「はいはーい! 行くわよひかるちゃん!」
「了解しましたっ! 水の精霊さん、本気でお願い!」
 そのレーザーネットを激流が押し流す。リダンの量産機が放つ極彩色の混じり合う色水がビットを吹き飛ばしグラフィティな彩りをプラントの壁面に塗りつければ、あるいはGuardian Spiritの二丁精霊銃からの水弾がビットに回避を強いながら包囲を崩し、霧のように細やかな水滴を撒き散らす。
『そんな武装でよくもやるものだ!』
 実弾ではない。レーザーでもない。超高圧のウォーターカッターですらない。ただの水だ。リダンに押し流されたビットは鮮やかな色を塗りつけられながらも再び物九郎を追い、ひかるの銃撃を回避したものもレーザーネットを張り直す。
 しかし一瞬乱れればそれで十分、直接照準を阻むモザイクを隠れ蓑に物九郎は天使の罠をすり抜けた。
「猟団長さん、そのまま!」
「ここはひかるちゃんとアタシに任せなさい!」
 突破したストームライダーを追うビットをさらなる放水で妨害する二機のキャバリアに、少佐の視線が定められた。
 ビットを完全自律モードに切り替え、妖精の如き光の翼の基部を地上で放水活動に勤しむ二機のキャバリアに向ければ、飛行制御ユニットを転じたプラズマビームカノンが彼女たちのキャバリアを睨みつける。
 光の翼はつまりプラズマ化するほどの高熱で吹き出す推進剤の炎である。それを猛烈な勢いで噴射すれば、キャバリアの装甲をして無事では済むまい。
「精霊さん、水弾を噴霧モードに! リダンさん逃げて!」
 射線から逃れる機動でプラズマビームを減退させるべく霧状の水を撒き散らすGuardian Spiritに対し、リダンの量産型は動かない。
『よく考えたものね。けれどその程度の撹乱幕では!』
 プラズマの閃光が放たれる。
「リダンさん!!」
「そうねぇ、たしかに水中ならまだしも、霧程度じゃ気休めかもしれないわ」
 リダンは落ち着き払っていた。機体のタンク内に蓄えられた水は、ひかるの呼んだ精霊のお蔭で無尽蔵。
そして放水銃でセラフィム・リッパーに抵抗していた間、銃口から滴る雫は、風に乗って飛び散った飛沫は、機体とその周囲の地面を濡らしている。
 ずるりとその水の表面がうごめいた。極彩色が捻じれ溶け合い混ざり合って。それは見るものから平衡感覚や遠近感を奪う催眠迷彩となる。
「そんなものを果たして正確に狙えるかしら」
 リダンの言葉通り、プラズマビームは量産型キャバリアの手前の地面を焼き焦がす。
『ッ、小細工!』
 しかし相手もそれで諦めない。強引な機体制御で砲口をずらし、這うように空気すら燃やす高熱の光が迫りくる。
「悪いけれど。アナタの望む強い祖国とやらは侵略させてもらうわ」
 ――アタシ達の平和でね。
 ついにたどり着いたプラズマがリダン機の半身を吹き飛ばす。
 同時、リダンの最後に放った激流の如きペイント水がセラフィム・リッパーの機体を濡らす。
「ひかるちゃん今よ! …………商戦は次の機会、かしらね」
 後を頼れる仲間に託し、リダンの機体はコックピットブロックを射出した直後に爆散する。
「…………っ! わかりました、任せてください! 水の精霊さん、あの機体を飲み込んでしまいましょう!」
 リダンが作った最大の好機。ひかるはそれを逃さぬよう即座に水の精霊に最大級の魔力を委ねて術式を為す。
 水を触媒に水を喚ぶ。リダンが濡らした敵機に、戦場中に撒き散らされた水が寄り集まっていく。
「水中専用機でも無ければ!」
『キャバリアパイロットたるものこの程度で!』
 空中に発生した巨大な水の玉の中にセラフィム・リッパーは飲み込まれる。
 コックピットは完全気密だ。ファーレンヒルト少佐が溺れ死ぬことは無いだろう。
 だが、見るからに空戦機であるセラフィム・リッパーのプラズマ推進器はゴボゴボと真っ白い泡を吐き出すばかりで役に立つまい。
「猟団長さん!」
「二人ともよく頑張ったもんじゃニャーですか――【残像】、ON!」
 僅かに動きの止まった敵機に目掛けて黒の四足獣が駆け抜ける。
 本体が封じられたとはいえビットは健在、隊列を組んでその突撃を阻止しようとするが――
「一個だけ動きの悪いのが居やがんの、見えてんでスよ!」
 ほんの一瞬、一秒にも満たぬ僅かなタイムラグの生じるビットがひとつだけある。ファーレンヒルト少佐が手動操作していた時には他と遜色ない機動をしていたそれが、リダンとひかるによってビットを自律モードに引きずり落としたことでその弱点をさらけ出せば、それを突破するべく物九郎は加速してゆく。
 レーザーの網は果たしてストームライダーによってするりと通過される。かの黒猫が通り抜けた直後にその穴が遅れたビットによって塞がれ――
「――オイオイ、それも想定済みってことですかよ」
 網を突破した物九郎の眼前には、今まさに発射体制で銃口を此方に向ける新手のビット。
 回避機動を取るが、それはぴったりと物九郎に貼り付いて離れない。

「猟団長、そのまま直進、三つ目の分岐路を右へ」
 その様子をビルの陰、人がようやくすれ違えるかと言うような細い路地に潜むシャルロットは聴いていた。
 特徴的な四足の走行音と、教導団との戦闘中に頭に叩き込んだ周辺の地形を照らし合わせ、物九郎の現在位置を予測し自身の下に誘うのだ。
「アァン? シャルロットお前さんまだウロウロしてたんですかよ? よっしゃ、なんか策があるんでしょうや? 乗ってやりますよ!」
 本来であれば教導団の量産型を蹴散らす手伝いまでのつもりだった。だが、現れたファーレンヒルト少佐の物言いがどうしても気に入らなかったのだとシャルロットは胸中で独白する。
 同胞の流血を必要な犠牲と切り捨て、死すら強いる指導者に真実など、大義などありはしない。認めるわけには行かない。たとえこの世界ではある意味での、対極の位置にある正論、正義だとしても、それを世迷い言と斬って捨てねば私は私でいられない。
 来る。物九郎の速度であれば到達まで数秒だろうか。
 魔力を込め構築した反射術式を路地から大通りに投射し、そのうちの一つ、唯一路地から狙えるソレに銃口をぴたりとつける。
「キャバリアには狭くともビットが飛び回るには十分な地形、正規軍機を追い落とした時の機動。貴女のビット運用理論は猟犬を操るのに近い」
 獲物を追わせ、本命を母機たるセラフィム・リッパーが決める。あるいはそのまま撃ち落とすなり、殲禍炎剣に撃ち抜かれる高度まで追い詰めるなり――地上から出撃したというのを差し引いても、ビットは大抵の場合地上近く、敵より下方からの急襲を好んでいた。
 だから必ず市街地を経由してビットを飛ばす。建物に被害を出したくない正規軍の心理的な枷をも利用して、都市を盾に最小限まで撃ち落とされるリスクを抑える、合理的な軍人の戦術だ。
 だからこそ。
「エーテル圧縮、配置完了。ルーンバレット・レイ、ファイア!」
 銃口から放たれた魔導レーザーがリフレクター術式に吸い込まれる。
 ストームライダーがその脇を駆け抜け、引き込むような突風がシャルロットの外套を暴れさせた。
 反射するようにリフレクターから放たれたレーザーが別のリフレクターに当たり、それが繰り返され光速で網を張れば。
「貴女の得意技をそのままお返ししましょう。私の出番はこんなもの、後は――」
 ――後方、シャルロットが仕込んだレーザーネットに切り刻まれ爆散したビットを置き去りに、ストームライダーが跳ぶ。
「よくやった、後は俺めに任せな――」
 水球が斬艦刀で両断され、セラフィム・リッパーが自由を取り戻すようにプラズマの翼を二、三度灯して空中で姿勢制御を試みる――その正面から、ストームライダーが肉薄。
「必殺、ネコパンチ!!」
『く……ッ!』
 咄嗟盾に挟まれた斬艦刀の腹に、ストームライダーの前肢が叩きつけられる。
 キャバリアサイズの、しかも人型より四肢の出力に長ける獣型機体からの打撃。ダメージは削げても衝撃は殺しきれない。
 セラフィム・リッパーが吹き飛ばされるように高度を下げてゆく。路面に鉤爪で傷を刻むように着地した機体から、着地体勢で降下してゆくストームライダーへとプラズマカノンが向けられるが、
「猟団長さん、今ですっ!」
 ひかるの送って寄越した水の足場を蹴飛ばして、プラズマビームを跳び越える鋼鉄の黒猫。
 ビルの向こうに姿を消したその機体を、それ以上ファーレンヒルト少佐は追撃しない。
 さらなる新手が、猟兵の追撃が迫っていたからだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

フレティア・ハイマール
――怖いのね。
護るべき人達を、守るべき国を失うことが。
貴女が戦うべきは、わたし達でも、まして隣国でもない。貴女の心に巣食う『恐怖』。
――大丈夫。わたしが、手を貸してあげるから。

引き続きスロゥマトに搭乗。
まずは彼女に近づかないと。けど、きっと接近戦は避けようとするでしょう。
ヴァルキリヤ・フェザーの【レーザー射撃】で距離を取ろうとする動きを牽制しつつ接近していくわ。
ビームは【火炎耐性】で耐えれればと。

接近したら敵機を掴み【リミッター解除】で体表温度を上昇。
【怪力】で抑え込みつつ武装の【焼却】を狙う。

同時に慈母の博愛を乗せた説得を。
こんな事しなくても、貴女なら大丈夫。この国を守れる。そうでしょう?


セルマ・フロスト
オブリビオンマシンによってもたらされた結論が
たとえ狂気と言えるものであっても
彼女が本来持つ戦乱への憤りや嘆きは、尊ぶべき人の感情なのでしょう
だからこそ、私たちは彼女を止めなければならない

あの剣を受け切る事は容易ではない
借り受けた剣を犠牲に攻撃を凌いで、懐へと飛び込みます
長き戦乱の中で磨かれた彼女の❄戦闘知識は、私のかつてのパイロット達をも上回るものでしょう
❄誰かのキオクを元にした確実性(命中率)重視の戦術を以てしても、チャンスは恐らく一度切り
そのチャンスにFrostbite……両前腕部のチェーンソーを展開、密着格闘戦を仕掛けます
敵機を❄怪力で捉え、❄継続ダメージによる確実な❄切断を




 斬艦刀の分厚い刃が大気を切り裂き迫る。
 狙いは首筋、頭部を刎ね飛ばす太刀筋は正確無比の一言。
 空中戦で打撃を受け、降下したその瞬間を狙った奇襲のはずがさすがの教導団エースというべきかファーレンヒルト少佐は難なく対応してのけたのだ。
 これが通常仕様のキャバリアであれば、頭部を犠牲にしてでも強引に一太刀を送り込むことが出来たかもしれない。
 不運だったのは、セラフィム・リッパーを強襲した機体がフロスト09、意思あるジャイアントキャバリアそのものであるセルマであったこと。
 いくらキャバリアであっても、その重要区画の大部分を生体パーツが占める彼女にとって、頭部と胴体が分断されることは少なからぬダメージだ。落とされた首は予備部品と交換すれば良い、とはならない。
 女神像の顔を僅かに引き攣らせ、前進の為の踏み込みを反転、飛び退るべく脚に力を込めるが間に合わない。
 鋒は喉を裂き、生命維持用の循環液がプラントを染め上げることだろう。
「――大丈夫」
 それがもし、一対一の戦いであったならば。
「わたしが来たわ」
 横合いから現れたもう一機のジャイアントキャバリアが、フレティアのスロゥマトがセルマをかばうように斬艦刀の刃に横合いからぶちあたる。
 激しい衝突音に弾かれて、巨大な剣が跳ね上がる。
 大質量同士の激突だ。スロゥマトも装甲にダメージを負うが、それでもセルマが撃破されるのに比べれば遥かにマシな結末と言えよう。
『二機、か……数的優位を確保するのは常道、此処まではよし。さて君たちはこれをどこまで維持できるかな』
 まるで二人を試すように教導団らしい物言いで弾かれた刃を引き戻し、バックブーストで二機との距離を取る少佐。
 だが、二機のジャイアントキャバリアから向けられたのは武器ではなく言葉であった。
「――怖いのね。護るべき人達を、守るべき国を失うことが」
『何を? 舌戦で敵の心を惑わそうというのは下策だぞ』
 ファーレンヒルト少佐の声は固い。半分は口先勝負で有利を得ようとする――少なくともそう認識している――相手への失望。もう半分は彼女の指摘を最後まで聞くことへの拒否感。
「貴女が戦うべきはわたし達でも、まして隣国でもない。本当に戦うべき敵は……」
 フレティアの指摘を言わせまいと、あるいは敵前で悠長に言葉を交わす迂闊を窘めようと、セラフィム・リッパーは背部のプラズマカノンを展開する。
 この距離ならば大気による威力減衰も無視できる。チャージは不要だ。
『敵前で長々と語ればこうもなる!』
 強烈なプラズマビームが撃ち出され、高熱の奔流がスロゥマトを飲み込んだ。
「フレティア様……!」
 セルマが悲鳴を上げる。熱量を操る彼女の機体をしてすら近寄ることの憚られる焦熱。肌を焦がす熱気にじり、とたじろげば、青白い炎の中から微かにスロゥマトの姿が覗く。
 赤熱した装甲は微かに泡立ち、長時間浴び続ければ融けて無くなってしまうだろう。
 スロゥマトとて熱には強い機体だが、教導団との戦闘で強烈なレーザー照射を浴びてしまった損傷はまだ癒えていない。
 戦闘によって耐熱性を損なった部分からじわりじわりとダメージを受けているのだ。
 機体が加熱し続け、コックピットではとめどなくアラートが鳴り続ける。それでもフレティアは脱出せず真摯に告げるべき言葉を紡ぐのだ。
「貴女の心に巣食う恐怖、それこそが本当の敵でしょう。大丈夫、わたしが手を貸してあげるから」
 だから、本当の敵と戦いましょう。貴女ならきっと、こんな手段に訴えなくてもこの国を守ることができるのだから。
 頬を伝うのは汗か、あるいはコックピット内すら熱に融け、機材の何かが滴ってきたのか。それすらわからないような灼熱の中でも、フレティアは愛に満ちた微笑みを絶やさない。
 一歩、また一歩とセラフィム・リッパーに近づいてゆく。
『本当の敵というなら、それは人の悪意だ! 我が国を盾に血を流さず、戦争の甘い汁だけを啜る者たちをこそ討たねばならない! そのためにまず力を示す!』
「その志は、その嘆きは、尊ぶべき感情なのでしょう」
 フレティアに救われたセルマが、意を決してフレティアを救うべく駆ける。
 借り受けたキャバリアソードを携えた前進。プラズマ照射姿勢の今こそがセラフィム・リッパーに一撃を加える最大の好機。
「だからこそ私たちは貴女を止めなければならない」
 薙ぎ払うような斬艦刀の一閃。それに真っ向からキャバリアソードをぶつければ、構造と質量の差であっけなくセルマの剣はへし折れる。だが、その斬撃が為にプラズマビームの照射は中断した。まずは一つ達成だ。
 そのままかつてのパイロットのキオクを頼りに、斬艦刀を潜るように肉薄。
 きっとチャンスは一度きり。これを逃せば少佐はすぐに対応してくるだろう。次こそ首が刎ねられるに違いない。
 けれど怯めない、怯むわけにはいかない。
 両の前腕から飛び出した刃が唸りながら高速で回転し、その鋸歯でセラフィム・リッパーのビットを接続するバインダーの一つに噛み付いた。
「その人達を討つために、同胞や隣国に流血を強いる貴女が何を!」
 ぎゃりぎゃりと火花を散らして傷を刻みつけるチェーンソーだが、後ひと押しが足りない。
 そこへ真っ赤に燃える掌が伸び、バインダーをがしりと掴んで捻り上げる。スロゥマトが、もはや大破寸前までダメージを負った満身創痍でセルマを援護するべく駆けつけたのだ。
「その機体に頼らなくとも、貴女とこの国の人たちなら貴女の言う悪意にも立ち向かえる。そうでしょう?」
『――バインダー二番を強制排除、離脱する!』
 刻まれ、焼き潰されようとしているバインダーを自ら自切してセラフィム・リッパーは離脱してゆく。
 二人の言葉はきっと届いたのだ。けれど、少佐を真に呪縛から解放するには彼女の不安を、恐怖を打ち消さねばなるまい。
 イースタン・フロントが決して弱小の国家ではないという証明とともに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鞍馬・景正
まこと憂国の志による決起なら兎角は申さぬ。
が、その機体の魔性に毒されたなら別。

当方、鞍馬景正。武者として太刀打ちを所望致す。

◆戦闘
引き続き騎航武者にて戦闘。

遠間からの攻撃は旋回し躱すか、機体のバリアなる【結界術】で防御しつつ接近、剣戟に移行。

しかし猛禽が如き刀勢と苛烈な攻め筋……この将、剣の腕だけでも三厳並みか。
剰え絡繰同士の戦ではどう足掻いても不利。

なら一か八か、捨て身の特攻――と見せかけ、敵斬撃の瞬間に自機搭乗口を開放。

機体から跳躍し、己自ら【羅刹の太刀】で【怪力】の限りの一閃を。
狙いはコクピット以外、薙ぎ払える箇所を断つ。

機体を鞘に、己を居合の刃に見立てた変則抜刀――鞍影心流、≪天鎚≫


トリテレイア・ゼロナイン
教導団の練度に戦術機動…
その天稟と修練に心からの敬意を

故にこのような形での相対は残念でなりません、少佐
悪意を持つくせ、操縦者を求め歪める自己完結性無き寄生虫のような機械
その傀儡となった貴女に、騎士として狩られる訳にはいきません

ビット武装はSSWでも普及済み
敵の攻撃精度に左右されますが…接近戦が定石です

センサーでの●情報収集と●瞬間思考力でビット攻撃●見切り●武器受け盾受け防御
格納銃器とサブアームの二丁ライフルの●乱れ撃ちスナイパー射撃で●武器落とししつつ●推力移動

大盾●投擲し●目潰し接近
UC使用
攻撃動作と挙動に合わせ斬艦剣を切り落とし
返す剣でマニュピレーター損壊

その羽、捥がせていただきます




 これがまこと憂国の志による決起であったなら。
 是非はともかく、それはこの世界を生きる人々の心による争いだ。
 猟兵がその価値観で持って善悪を断じ兎角を言うのは筋が違おうというもの。
 だが、景正は知っている。その元凶はかの機械天使、セラフィム・リッパーなるキャバリアが宿す魔性が故。
 妖刀の類にも似た禍々しい気配を、一流の剣士である彼は人一倍鋭敏に感じ取る。
 果たしてあの機体は、隣国を滅ぼし、ファーレンヒルト少佐が言うところの敵を全て討ったとしても争いを止めぬであろう。
「ならば話は別。当方、鞍馬景正。武者として太刀打ちを所望致す」
 空を駆ける騎航武者が、下方のビル群から離脱してきた機械天使を認めて接近する。
『新手が来たか! エンジェルビット!』
 飛翔する浮遊砲台から降り注ぐ光芒――レーザーを旋回して回避し、あるいはどうしても躱せぬ――流石に教導団、指南役の長ともなれば抜け道など作らぬことなど容易いのだろう――ものに対しては結界術にて障壁を展開して損傷を最小限に。
 すれば剣の間合いに飛び込むは成った。景正は刀を振るうが、鋭い太刀筋に真っ向かち合わせるように斬艦刀がその刃を阻む。ともすれば刀を弾いて逆に切り込まれるか、というような猛攻に、若武者は騎体のうちで息を呑む。
 生身のやり取りであれば劣りはすまい。だが機械じかけの巨人武者を用いての攻防に於いては敵に一日の長があることは認めざるを得ない。おそらくは操縦桿と思念で操るあの天使に最適化した剣術は、景正の研鑽によって至った領域に及ぶか、あるいは年月で経た経験の分僅かに上回ってすらいるかも知れない。
「この猛禽がごとき刀勢と苛烈な攻め筋、将器に留まらず剣の腕も三厳並か!」
『誰かは知らないが褒め言葉として受け取らせてもらう!』
 渾身一刀、セラフィム・リッパーの振るう刃を刀で受ける。
 狙いは完璧、騎体にこそ損傷はなし。だが如何ともし難い馬力の差で景正の絡繰武者は弾き飛ばされ、そこにビットが襲来する。
『我が祖国のため、墜ちてもらう!』
 全方位からの包囲殲滅射撃。結界術をもってしても、その全てを耐えて凌ぐにはあまりに数が多すぎる。
 万事休すを覚悟した景正であったが、しかし。
「――お待たせしました。トリテレイア・ゼロナイン、ロシナンテⅣ……加勢致します!」
 ビットの半数がどこかからの銃撃で爆発する。
 それらを撃ち落とした白い機影が残り半数のうち更に半分からのレーザー照射を盾で受け止め、残りのビットは正規軍のキャバリア小隊がライフルの弾幕で破壊する。
「後ろは受け持つ、行け猟兵!」
 次々飛来するビット群をミュラー大尉らが牽制すれば、その迎撃を掻い潜って二人の猟兵に迫るものは一握り。
 それならば突破できる。景正は先程の経験から、トリテレイアは故郷たる世界の騎士と呼ばれたエース達の戦術から、それらを見切って肉薄する。
『いい連携だ、それならば私にだって刃は届くだろう! だが!』
 くるりと宙返りするように旋回したセラフィム・リッパーの鉤爪の脚がトリテレイアを襲う。大盾を構えてそれを受け止めるが、トリテレイアの突撃の勢いは完全に削がれ落下してしまう。
「教導団の練度に戦術機動……その天禀と修練には心からの敬意を示します。ですが、故にこのような形での相対は残念でなりません、少佐!」
 トリテレイアは盾を強制排除する。固定具が小さな破裂音とともにパージされ、自由になった盾を掴み取り――墜ちながら上空の機械天使に投擲。
「悪意を持つくせ、操縦者を求め歪める寄生虫のような機械! その傀儡となった貴女に狩られる訳には!」
 トリテレイア起死回生の投擲。しかし推進器もなければ誘導性も持たない盾を躱すことなど、ファーレンヒルト少佐にとっては簡単な所作だ。
 容易くシールドを回避した彼女は、トリテレイアの評価を一つ下げる。ビットへの対応、アンチビット戦の技能は優秀だが対キャバリア戦ではいまひとつ――そう断じた直後、躱したはずのシールドの陰から飛び出す小柄な機影が懐に飛び込んだ。
『――いまのは目隠しか!』
「トリテレイア殿、恩に着ます! このまま……!」
 シールドを遮蔽に、視線を切って肉薄した絡繰武者。だが、ファーレンヒルト少佐は驚愕しながらも冷静に機体を操り絡繰武者へと刃を振るう。
 脳天から股下まで真一文字に叩き切られ爆散する武者。景正もこれでは無事でいられまい。
 否! それこそかの竜胆色の若武者の狙い。両断の寸前、騎体を放棄し大空に身を投げ出した武者は、腰の太刀に手を掛ける。
「騎体を鞘に、己を刃に。変則抜刀――鞍影心流《天鎚》」
 落下の速度をも威力に加えた一撃が、斬艦刀を握るセラフィム・リッパーの指の幾つかを叩き斬る。
 だがそれと引き換えに景正を待つのは墜落だ。猟兵と言えども無事では済まない高空からの自由落下は最早不可避。
「鞍馬様――!」
 だが、騎士はそれを見逃さない。落ちゆく景正に手を差し伸べて急上昇。景正がその掌に見事着地すれば、その勢いを更に加速してセラフィム・リッパーに迫る。
「その羽根、捥がせていただきます!」
 電子頭脳が加熱する。関節が動かす度に火花と白煙を散らして悲鳴を上げる。
 そんな状態でセラフィム・リッパーとすれ違い、トリテレイアはおよそ通常の九倍にも至る高速の太刀筋で斬り上げた。
 天使の片腕に深く傷が刻みつけられ、ショートした回路から火花が噴き出る。
『……ッ、よくもやるッ!』
 上方に抜けたロシナンテの足先を斬艦刀が叩くが、指の落ちた上に腕部にも損傷を受けた状態では威力も速さも目に見えて落ちている。
 大した損傷を受けることもなく、景正を連れて後方に退いてゆくトリテレイア。自身も超高速駆動の負荷で戦闘継続は困難であるし、何より生身の景正をひとまず離脱させねばなるまい。
 追撃に送って寄越されたビットは正規軍が抑えてくれている。
 トリテレイアと景正は、互いに無言のまま視線で健闘を称え合いながら鷲の女王のテリトリーから無事に帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イデアール・モラクス
聞こえた、聞こえたぞ…あの機体の中にいるのは…イイ女だ!

・全力戦闘
UC【魔剣の女帝】を『高速詠唱』で行使、真の姿となり能力を『武器改造』でキャバリアへとフィードバック。
まずは『全力魔法』の力でサイズを増した魔剣を無尽蔵に召喚し『乱れ撃ち』や『一斉発射』で雨霰と射出、圧倒的弾幕の『範囲攻撃』と成して『制圧射撃』をかけビームの嵐を『武器受け』相殺。
「」
そして高速飛翔の『空中戦』で『切り込み』『属性攻撃』で炎を纏わせた魔剣で『薙ぎ払い』、敵の剣を弾いた隙に自身のキャバリアを捨てコクピットから飛び出して魔剣ドミナンスで敵機のコクピットハッチを『切断』し姿を拝みに行く。
「欲望こそ力なり!」

※アドリブ歓迎


夕凪・悠那
それ絶対ロクなことにならないと思うけど
まあいいや、ボスを墜とせばひとまず解決だ

二章で行った"裏技"は継続
第三小隊のおかげでここの殲禍炎剣の感知高度が判った
撃墜高度よりやや低めを上限として設定
高速機動に加え、相手の頭上を取って撃ち下ろすスタイルで優位をとる(空中戦)
ビットも大まかな位置が分かれば射線を見切って躱せるさ
教導隊のおかげでキャバリアの[操縦]勘も掴んだしね(戦闘知識+学習力)

秘策の一手:
不意を打って【Take Over】でセラフィム周囲にある幾つかのエンジェルビットの操作権を略奪
セラフィムにビームを叩き込ませる(ハッキング+早業)
たとえ撃墜までいかなくても、隙さえできればそこから詰める




「03弾薬残少、リロード!」
「04了解、フォローに入――ぐああっ!!」
 また一機、正規軍のキャバリアが火球となって墜ちてゆく。
 飛来するビットの群れを迎え撃ち、ライフルの弾倉を交換する僚機を援護するべく僅かにポジションを移動しようとしたその隙を的確に射抜くファーレンヒルト少佐の技量は疑いようもなくトップエースのそれだ。
 戦闘機乗りは五機も敵を撃ち落とせばエースとなる。キャバリア乗りにも当てはまるその計算式に則るならば、少佐はこの戦場だけで既に九機もの機体を撃墜したエースオブエース。
 まさしく怪物、国軍最強の一角が駆るオブリビオンマシンの性能とは斯くも恐ろしいものか。
 だが、猟兵は怯まない。彼らが屈する時、その時がイースタン・フロント滅亡のその第一歩であると認識しているからだ。
「キミさえ墜とせばひとまず解決なんだろう?」
『アンノウン……XCV-04!? フッケバインか、そんな機体まで持ち出して!』
 電脳魔術による現実世界への干渉を以て飛行速度を数段強化した高速強襲機を認め、少佐は驚きに声を上げる。
 理屈の上では確かに敵国の装甲列車に対抗しうる最高速を出しうる機体であったが、そも機体そのものの剛性も足りなければパイロットに掛かる凄まじいG負荷の解決も出来ぬまま国境守備隊の格納庫で肥やしになっていた高価な鉄クズであるはずの機体。
 教導団の任務として評価試験にも携わった身であるからこそ、その機体が眼前で、最大の性能を発揮して飛翔していることが信じられない。
『どういう手品を使ったか知らないが、フッケバインの機動ならば私とて心得ているッ!』
 しかして狼狽には至ることなく、正気を取り戻し凶鴉の名を冠する機体を迎え撃つ熾天使。二機が激突するならば、開発に携わった身として機体特性をよく承知しているファーレンヒルト少佐の方が一枚上手であろう。
 しかし、それは相手が同じ――この世界の常識に縛られたパイロットであったなら、の話だ。
 この世界の住人ではないパイロット、悠那には恐れがない。殲禍炎剣に撃ち抜かれる恐怖の為に、この世界のパイロットはいずれも無意識に高度を抑え、あるいは高空に近づくほどにいつ撃たれても生き延びられるよう回避機動に意識を割く。
 教導団ほどの腕前であれば、回避機動と並行して戦闘を行うこともできようが、それは凄まじく神経を削る行為だ。そう長時間続けられるものではない。
 だが、悠那は違う。彼女は殲禍炎剣の恐怖を知らない。いや、その脅威を認識した上で、だがそれが絶対の支配者として君臨する領域のギリギリを見定めて其処を狙うのだ。
『高高度空戦機動……自殺行為だ、パイロットは素人か……いや、殲禍炎剣が反応しない! よくも命知らずな真似をするものね!』
「第三小隊のおかげでここの殲禍炎剣の感知高度が判ったからね!」
 脳裏に蘇る、ビットに追い上げられ高度を上げてしまったがために殲禍炎剣によって撃墜された第三小隊のクロムキャバリア。
 あの時収集したデータのお蔭で、悠那は殲禍炎剣が此方を捕捉出来ない紙一重の高度まで上昇できたのだ。
 クロムキャバリア人にとっては狂気とも言える、致死領域寸前までの急上昇。
 そこから撃ち降ろされるライフル弾は、高度優勢の威力をもってセラフィム・リッパーを追い詰め、エンジェルビットの得意とする包囲殲滅を封じ込める。
 なにせ包囲しようにも悠那より高く飛んだ時点でビットすら撃ち落とされる。不完全な包囲ではいくらでも逃げる隙間はあるだろう。
「教導隊ってだけはあるね。キミらとの戦いはキャバリアの操縦訓練には丁度いいや」
『舐めるな……ッ!』
 高高度まで上昇しての近接戦闘は自殺行為、そもあの機体には追いつけない。
 ビットは前述の通り十全の性能を発揮できない。ならば正道、砲撃戦で決着をつけるまで。
 かの凶鴉の性能は速度一点特化、機動性そのものはあまりの高速故に不十分の猪も同然。
 ならばと構えたプラズマカノンは、少佐の戦闘経験と勘を頼りに悠那の未来位置を予測して砲口に青白い炎を蓄える。
 その背後から襲いかかり、セラフィム・リッパーの背中に傷を刻んだものがある。
 どこか禍々しい赤黒の刃。紅蓮のサイキックキャバリアが投射したそれは、次々と召喚されては天使を下方から狙い撃つ。
「ククク……鉄巨人ばかりで彩りが足りんと思っていたが聞こえたぞ……その声、貴様はイイ女だ!」
『戦場で何を!?』
 さすがのファーレンヒルト少佐といえども、オープン回線で堂々宣われた台詞には動揺した声音を出してしまう。
 同性の声だったからまだ良かったものの、こんな発言を戦闘中に聞かされればパイロットスーツに抑え込まれた素肌が粟立つような感覚すら覚える。
 上方から降り注ぐライフル弾の雨と下方から撃ち上げられる剣の嵐をそれぞれ巧みな回避機動と斬艦刀による切り払いで受け流しつつ、少佐はこの挟撃状態を回避するべくくるりと機体を転回、下方の紅いサイキックキャバリアに砲口を向けプラズマビームを放射。
「アーッハッハッハ! そうだ抵抗してみせろ! そういう女を手折るのが最高に燃えるのだ!」
『変態が…………ッ!!』
 プラズマビームをキャバリアサイズの魔剣で受け流し、ドロドロに融けた剣は紙くずをそこらに放るように投げ捨て新たな刃を掴んで急上昇する変態もといイデアールの紅いキャバリア。これには悠那もちょっとだけ少佐に援護射撃をしたくなるのをぐっと抑えて、少佐の注意が下方からの急襲に向いた隙に仮想キーボードを軽やかに叩き秘策を仕込む。
『戦場に薄汚い欲を持ち込むなど!!』
「貴様の愛国心だって欲だろうに! それになァ、ひとつ教えてやる!」
 炎を纏った魔剣が振りかざされれば、セラフィム・リッパーの周囲を漂うエンジェルビットが主を守るべく紅のサイキックキャバリアに砲口を向け――
「――掌握完了っと。間に合ったかな」
『何ッ!?』
 ぐるん、と機体をひっくり返してセラフィム・リッパーを撃つ。
 悠那の手で支配されたビットは、しかしすぐに操作権限を奪われてしまうだろう。ハッキングに気づかれると同時、猛然と侵入者を排除しにかかるセラフィム・リッパーにビットを奪い返される前に、ビット同士を相打ちさせて撃ち落とす。
 そうすれば、妨害なく至近まで接近した紅の機体が刃を振り下ろしそのままの勢いでセラフィム・リッパーへと激突する。
 ――その一連の動作のなかで、コックピットハッチを開放するという意味不明の所作を挟みながら。
「欲望こそ力なり! ということだ!!」
 魔剣の一撃で胸部を裂かれたセラフィム・リッパー。その亀裂から覗くパイロットの美貌を、コックピットを全開にしたまま組み付いた機体の内から超至近距離で拝んだイデアールは予想通りの怜悧な美貌の持ち主にほう、と息を漏らす。
「貴様がその機体の呪縛から逃れたならば、次は私が支配――」
「戦闘中に何馬鹿やってるのさ!?」
 そこを急降下した悠那の機体が紅蓮のサイキックキャバリアを引っ掛けて地表近くまで戻っていく。
 さもありなん。組み付いた機体の背中を狙うビットにイデアールは気づいていなかったのだから。
「覚えておくがいい! 貴様をモノにする女の名を! 私はイデアァァァァァァァァァァァ……」
 みるみるうちに地上のビル群に吸い込まれ姿を消した紅蓮のキャバリア。
『…………何なんだ、何なんだ彼らは!?』
 少佐の混乱も尤もであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィーナ・ステラガーデン
【PPP】
(引き続きビードットに乗ったまま)
いやあんた前口上だけでプレイング使い果たしてどーすんのよ!?

とりあえず最初は砲弾で弾幕を張って仲間猟兵に攻撃を任せて
敵が断罪の剣を使用してきたら動き鈍そうなビードットだと刻まれそうね!
というわけで奥の手よ!
UC発動してビードットを加速させて空飛ばせて体当たりさせるわ!
でっかくて早いんだからたぶん痛いんじゃないかしら!
なんかすごい勢いで動くから乗ってる私もひどい目にあいそうだし
衝撃に備えて【オーラ防御】的なもので衝撃を防ぐか
もしくは私置いてけぼりでビードットが飛んでいくのもいいわね!

(アレンジアドリブ大歓迎!)


ビードット・ワイワイ
【PPP】
アドリブアレンジ歓迎
此度は武芸百般及びEP兵装により対空防御

UCを発動し幽霊陸上戦艦を呼び出す
説明しよう!
幽霊陸上戦艦とは大戦後に妖怪化した陸上戦艦の事である。短時間霊体化と兵装生成能力を持つ。中でも『不餓駆』は高い戦闘能力を備える。
戸岩井 和人著『現代から見る怪奇兵器〜大戦編〜』
葉明都書房より引用
以上説明終わり。それではいくぞ

機械と怪奇が交わり混ざり!見せてなんぼの破滅道!
倒してなんぼの殲滅道!障害と常識吹き飛ばし!
新たな道を切り拓く!無限の砲声天下に響け!
超 合 体!
究 極 オ ブ リ ビ オ ン ビ ー ド ッ ト!

フィーナ殿のUCの機動力を得て一斉砲撃
色々と任せた


アリシア・マクリントック
【PPP】
ようやくこの姿での武器の扱いにも慣れてきましたね。これならあの技も使えるはず!
次はエース機、それも飛行可能なタイプですか……遠距離での対応はみなさんにお任せして、私は防御と迎撃を中心に立ち回りましょう。
重火砲で攻めていれば相手はそれを回避するために踏み込んでくるはず。そこを必殺の奥義で迎撃しましょう。
腰を落とし、脚底部のキャタピラを使って超信地旋回!
ブシドー奥義、一の太刀……姫秋桜・大輪(ブラキカム・ギガント)!
敵が距離を取るならみなさんへの攻撃を機体を盾に庇います。
機体の損傷が激しくなってきたら思い切って機体から脱出。ディアナアローへ変形させて撃ち落としてやります!


シャルロット・シフファート
【PPP】
「さぁ、覚悟なさい!この私たちがアンタを骸の海へと返してあげるんだから!!」
そういってユーベルコードを起動。
420体の武装ドローンが召喚されてセラフィム・リッパーの周囲を武装で攻撃していくわ。
無論、それをセラフィム・リッパーは撃墜するでしょうけど……

「かかったわね?」
と、嗜虐的な笑みを浮かべてその後の様子を見つめる――一体一体に破壊した者へ致命的な呪詛を還すドローンを破壊したセラフィム・リッパーへ。

「今がチャンスよ。畳みかけましょう!」
と、アティルトを駆動させて四大元素を複合させた魔導砲を放ちセラフィム・リッパーに叩き込むわ。


アイ・リスパー
【PPP】
「オブリビオンマシンの悪意に飲まれたパイロット……
必ず助け出してみせます!」

前線はアリシアさんとシャルロットさんにお任せして――
私は後方から必殺の一撃で狙い撃ちますっ!

「オベイロン、エネルギーラインを陸上戦艦と接続!
エネルギーを(勝手に)お借りします!」

ですが、まだですっ!
さらに【月世界旅行】で月面にマイクロ波送信施設を召喚。
機体のアンテナを展開し月からのマイクロ波給電を受けます!

「月が……見えましたっ!
皆さん、敵機の近くから退避をっ!」

主砲のキャパシティを超えるエネルギーをチャージしてコックピットに当たらないよう発射します!

「オベイロン、もってください……!
これで、終わりですっ!」




「敵はエース級、ならば此方は幽霊陸上戦艦を呼び出す」
 突然意味のわからない事を言いだした赤い毛玉に怪訝な顔をする一同。
 ちょっと誰か発言の意図を確認しなさいよ、とか。嫌ですよフィーナさん行ってくださいよ、とか。少女たちがお互いの脇腹を肘で小突き合うような雰囲気で毛玉から目を逸らす。
「――説明しよう!!」
 誰も訊かなくとも説明し始めた。誰も訊かなかったし、誰も聞いてない。
「幽霊陸上戦艦とは大戦後に妖怪化した陸上戦艦のことである」
 くどくど。くどくど。
「――さて、ようやくこの姿での武器の扱いにも慣れてきましたね。とはいえ次の相手は飛行型のキャバリアですか。遠距離の対応はお任せしても?」
「はいっ! 砲狙撃戦は私とオベイロンに任せてくださいっ!」
「牽制は私に任せて。アティルトの武装ならあの機体にも対応しきれるわ」
 自信満々のアイとシャルロットの頼もしい宣言に背中を預け、アリシアは剣を両手で握りしめる。
「まずは防御と迎撃に集中、攻めあぐねると判断したら敵は踏み込んでくるはず……行きます!」
「――短時間霊体化と兵装生成能力を持つ幽霊陸上戦艦は高い戦闘能力を持つが中でも『不餓駆』は突出した性能を備え――」
「さぁ覚悟なさい、私達がアンタを骸の海に還してあげるんだから!!」
 アティルトから射出された無数のドローンが頭上のセラフィム・リッパーを目指して飛翔する。単体の攻撃力は然程でもないが、数が数だ。レーダーを敵性の光点で埋め尽くすような物量攻めは正道の攻め手であろう。
 こうしてシャルロットが敵機を抑え込み、アイが必殺の狙撃を撃ち込む。そうすれば強力な火砲を持つとはいえど砲戦機ではないセラフィム・リッパー、決戦の為に高度を落とす筈。そこをアリシアが狙うのだ。
「この幽霊陸上戦艦が大戦果を上げたのがかの中ノ上会戦と言われ、敵の航空戦力を圧倒的な防空性能で――」
『なんて数のビット兵器! けれど多ければ良いというものではない!』
 飛来した無数のドローンに対し、ファーレンヒルト少佐は動じない。ビット兵器というものは照準しづらいな小型の砲台が、捕捉困難な高速高機動で飛翔するからこそ脅威なのである。空を埋め尽くすような数で飛ばされても満足に機動は出来ず、良いように狩られるのがオチ。ビット兵器の大量運用は却って損害を増やすというのは殊更に空が狭いクロムキャバリアでは暗黙のルールのようなものだ。
『戦術の基礎を知らないと見える! 個人の武功がいくら優れていたとしても、戦術を知らなければそれは愚かな暴力に過ぎない!』
 背部のプラズマカノンから噴出する高熱のビームが片端から飛来するドローンを焼き払い、空中に爆発の華が連鎖する。
 が、それこそシャルロットの狙い。
「かかったわね?」
 不敵に笑う彼女は決してキャバリアパイロットが本業ではないのだ。術士の組み込んだ呪詛を、その身が撃ち落とされることで解き放ったドローンの群れ。
 相手もサイキックキャバリア、素直にそれで破壊されてはくれないが、動きは止まる。
『くっ……なんだこの重圧はっ! まさか呪いなどというオカルトとでも言うのか!?』
「そのまさかよ。さあみんな、今がチャンスよ畳み掛けましょう!」
「ええ! エネルギーラインを陸上戦艦に接続!」
 ビードット級陸上戦艦(?)にケーブルを突き刺し勝手に盗電を開始するオベイロン。当のビードットはまだくどくどと謎兵器について語っている。文句を言われなかったのでヨシ!
「続けて月面に送電施設を召喚! マイクロ波……来ます!」
 夕の月がオベイロンを照らす。そこから送られてきた不可視の電波を電力に変換して、オーバーロード寸前の最大出力でオベイロンは主砲を構えた。
「金縛りになっている今なら! オベイロン、保ってください……これで、終わりです!!」
 そうして放たれた巨大な閃光。
『私は――私はまだ墜ちるわけには行かない! 祖国のために、同志の為に!』
 間一髪金縛りを解き回避機動に移ったセラフィム・リッパーだが、その肩をレーザーが掠めて吹き飛ばす。斬艦刀を握る腕が根本から消滅し、前腕の半ば程からがくるくると錐揉しながら落下していく。いや、腕だけではない。本体も急激な重量バランスの変化と大気を焼き払い天を衝く閃光が齎した真空が生み出す乱気流に揉まれて姿勢を崩したまま降下してきた。
「来ましたね――ブシドー奥義一の太刀……姫秋桜・大輪!!」
 落下予想地点に駆け込んだアリシアのティターニアアーマーが、足裏の無限軌道を左右で逆回転させその場で超信地旋回。超高速、大気を摩擦で燃やすほどの速度で振るわれた刃は――落ちゆく腕からもぎ取った、隻腕で繰る斬艦刀で受け止められる。
『見事な連携だが、あと一歩足りなかったな』
 プラズマビームの至近距離放射。味方を庇うべく回避しなかったティターニアアーマーが直撃に悲鳴を上げる。正面装甲は融けて歪み、長くは保たないだろう。
「つまり幽霊陸上戦艦とは斯様な能力を以て君臨する陸戦の王者なのである。戸岩井 和人著『現代から見る怪奇兵器~大戦編~』葉明都書房より引用」
「いやあんたが前口上やってる間にアリシアが超ピンチなんだけど!?」
 バケツヘッドをベシベシ叩くフィーナ。今の今まで語っとったんかい。
「うむ。以上で説明は終わりだ。それではいくぞ」
「機械と怪奇が交わり混ざり! 見せてなんぼの破滅道!」
「倒してなんぼの殲滅道! 障害と常識吹き飛ばし!」
「新たな道を切り拓く! 無限の砲声天下に響け!」
「超 合 体! 究 極 オ ブ リ ビ オ ン ビ ー ド ッ ト!」
 なんかそういう感じのアレになったビードットが、夕焼けの首都上空に君臨する。いや、陸上戦艦だったんとちゃうんかい。
「やっとね! やっと本気出したわねビードット! 偉い! さあ反撃するわよ撃ちまくるわよふっとばすわよ! ……なんで動かないのよ!?」
「うむ。前口上に尺を割きすぎて余力が尽きた。フィーナ殿後は任せる」
 ふっと灯の消えるビードットの三眼。こいつ。マジこいつ。フィーナはバケツ頭を蹴飛ばしたくなる衝動をぐっと堪え――切れずに強か蹴飛ばして。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? あんたそこで体力使い果たしてどーすんのよ!?」
「なんでもいいので退避するなり反撃するなりしてくださると嬉しいんですけれど!!」
 アリシアの悲痛な叫びが木霊する。とはいえフィーナにトンチキ空中陸上戦艦の運用などわかろうはずもなし。
「ええいもう飛んでってぶち当たんなさい! アリシア行くわよ! でっかいのが!!」
 果たしてフィーナの魔力推進で超高速を獲得し、公道をぎゃりぎゃりと削りながら突撃したトンチキな幽霊空中陸上戦艦は、不意打ち気味に少佐のキャバリアに衝突する。
 ただのキャバリアだったならば木っ端微塵になるところ、流石オブリビオンマシンは意地を見せた。斬艦刀でそれを両断し、されども破壊しきれず押し流され、損傷しながらも離脱してゆく。
 ダメージは与えた。しかし致命傷には未だ至らず。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

月代・十六夜
【アドリブ・連携自由】
国民に武器を持たせるために今武器を握ってる軍人減らしちゃ意味なくね?最新兵器に徴兵制って相性最悪よ、大丈夫?
んー【見た】感じ、介入するならビット減らしかな。なんかラグってるし。
この状況で生身のこっちには全機飛ばしてこないだろうし、【五感】で【情報収集】しながら回避に徹して【時間稼ぎ】しよう。数が少ないならいける行ける。
攻撃してこない奴をいつまでも相手せんだろうし、相手の弱みは結局一人だということにつきる。
こっちへの意識が緩んだ瞬間を【見切っ】て【ジャンプ】でビットに急速接近、【韋駄天蹴】で別のビットに蹴り飛ばして破壊していく。
ハッハー、ピンボール一丁上がりってな!


木霊・ウタ
心情
心を弄ぶ熾天使を海へ還すぜ

戦闘
さっきの戦いで分かった
一撃を喰らわせるには畳掛けなきゃな

双斧をブーメラン投擲し突撃

炎のプラズマ&避弾経始で
敵ビームを減弱
へへ覚えたぜ

炎斧と体当たり
片方が囮で片方が本命?

外れ

体当たりのまま
又すれ違いざま
至近距離でブレイズビィィィィィィーム!

読まれた?
けど注意は此方に向いた

戻った斧が光の翼の噴射口を破壊
延焼が内部を過熱
パワーダウンだ

防御される?
けど此処からだ
炎の翼で機体をマントの様に包みビーム
拡散した光条が不規則な軌道で敵&ビット襲う

そしてラスト!
視界焼いた閃光を突っ切り接敵
戻ってきた斧を掴み一撃

少佐
今を生きる命が未来を創る
命を尊び守る軍人の本分を思い出せ!




「国民に武器を持たせることの良し悪しは置いておいて」
 吹き飛ばされるように現れ、斬艦刀を杖のようについて姿勢を立て直すキャバリアをビルの上から見下ろして、十六夜はふとその操縦士に問いかける。
「今武器を握ってる軍人減らしちゃ意味なくね? 最新兵器に徴兵制って相性最悪よ?」
 十六夜の言はまさに正鵠を射る内容であった。なるほど小銃であれば確かに市民であっても多少の訓練で扱えよう。手榴弾や対戦車ロケットの類も、まあやれないことはないかもしれない。
 だが戦場の主役はキャバリアだ。キャバリアパイロットがパイロットたるに相応しい能力を得るまでには長い期間の訓練と膨大なコストが必要となる。
 内紛でそのキャバリアパイロットを疲弊させ、キャバリアの保有数すら削るクーデター軍の行為は強い国家を作り上げるという目的に逆行している。
 あるいは長期的な目で見て、今の国家の在り方を、国軍の形を変えることで軍拡を為すというならば、彼女らが言う「本当の敵」とやらがその間黙って見ていてくれるだろうか。
 矛盾である。クーデター軍の蛮行は、矛盾の上に立っている。
 無手生身の相手と然程に警戒せず、捨て置いた十六夜に指摘された内容にファーレンヒルト少佐も否定の言葉を返すことはしなかった。
 ただ一言、そうだなと呟いて。
 十六夜を取り囲むように、屋上の四方の縁から複数のビットが頭を覗かせた。砲口には既にレーザーの光。
「食い付いた……!」
 元より陽動。狙いにくい生身の人間にビットを向ければ、ごく一部とは言え対処能力をそちらに割かねばなるまい。
 それこそが狙い。本命は――
「おぉぉぉおおおっ! ツインホーク! ブーメランッ!」
 街路を駆け抜ける二本の手斧。それを投げつけたスーパーロボットもその後を追うように疾駆する。
『スーパーロボット型! ええい、厄介な相手に見つかったものね!』
 斬艦刀を引き抜き、されど隻腕でスーパーロボットと切り結ぶのは絶対的な不利と悟った少佐はすぐさまバックブースト、そのまま前面に向けた背部ユニットからプラズマビームを放つ。
『スーパーロボットの装甲を過信したな少年!』
「いいや、俺はあんたの部下の人から学んだのさ!」
 純粋な装甲強度では耐えられぬ攻撃であっても、装甲を傾け入射角を調整してやることで弾くことができる。
 どうやら避弾経始というらしいその技術は、人型であるキャバリアだからこそ柔軟に装甲の位置を、向きを変えることで再現することができる!
「燃えろ迦楼羅! 突っ切るぜ!」
 ブーメランの如く飛翔する斧の間をすり抜けてプラズマの火が奔る。
 相対するスーパーロボットは、黄金に燃える炎の翼を機体前方に伸ばし、機体を傾けこれを迎え撃つ。
 青白の炎は、よく似た性質の黄金の炎に同化し勢いを減衰する。そのうえで面を大きく取るように――これは正確には避弾経始ではなく熱をより広範な面に拡散させることで融解、貫通までの時間を稼いだわけだが――によって、大きく被撃墜までの時間を稼いでスーパーロボットを駆るウタは突き進んだ。
『斧は牽制、退路を塞いで体当たり? 機体性能任せのスーパーロボットらしい攻撃だな!』
 セラフィム・リッパーが跳躍する。斧を無視し、ウタを飛び越える――
「素直に当たってくれるとは思ってないさ……ブレイズビィィィィィィィム!!」
 スーパーロボットが身体を捻り、背中から道路に飛び込んだ。眼前には機体を飛び越えてゆくセラフィム・リッパー。それを目掛けてビームを撃ち返す。
『これは――機転も利く、判断を改めないといけないようね!』
 不慣れな素人パイロットという評価は変わらないが、しかし侮れる相手ではない。装甲の端を掠めたビームにそう判断した少佐は、そのまま背中で滑走する敵機に追撃を加えんとビットを引き戻す。――が、ズキリと脳髄に響く痛みと共に、ビットを手繰る思念が途絶える。
 ――十六夜だ。
「全部は飛ばしてこないと思ってたが、中々大盤振る舞いじゃないか。ま、このくらいならなんとか行ける行ける」
 ひょいひょいとビルの上を駆ける十六夜を追って、あるいは先回りして自律機動するビット群。市街地に被害を出さない射角を確保した上で正確にレーザーを送ってよこすのは、完全自律ではなく少佐が思念誘導を併用しているのだろう。
 しかしどちらともつかない中途半端な制御では十六夜を捉えることはできず、そしてセラフィム・リッパーの弱点の一つたる調整不足の右三番ビットの挙動の遅れを見抜かれるにまで至った。
「んー、見た感じあいつなんかラグってるな」
 ほんの十分の一秒にも満たない僅かな遅れが包囲網を乱している。常人であれば見切ることも出来ずに包囲殲滅されたであろうその綻びに十六夜は勝機を見出した。
 と、そこでビットが転進したのである。おそらくはあのスーパーロボットを撃破するための一手として、ビットの数が必要になったのであろう。
 ニヤリと笑って、十六夜は頷いた。
「そうだよな、攻撃してこないで逃げ回る生身をいつまでも相手せんだろうし。任せられる味方はもうやられちまってる。相手の弱みは結局もう独りしか居ないってことに尽きるわけだ」
 此方への注意が逸れた瞬間、十六夜が牙を剥く。動きの遅いビットに飛びかかり蹴脚。予想外の衝撃に加速を強いられたそれは、勢いよく先行するビットに激突し――そのスラスターに突き刺さり爆散する。飛び散った破片が周囲を飛ぶ別のビットに突き刺さり爆発、それが――と連鎖して数を減じてゆくビットの群れ。
「ハッハー! ピンボール一丁上がりってな!」
 爆炎を回避して飛び去っていくビットを見送って十六夜は笑った。あれだけ数を減らせば、向こうの味方も随分楽になることだろう。

「今だッ!」
 思念制御モードのビットが撃破された事で生じた負荷に少佐が表情を歪める。
 その瞬間をウタは逃さない。投げた斧は「ブーメラン」なのだ。つまり投げた位置まで旋回して戻る。
 刃がセラフィム・リッパーに食い込み、その姿勢を打ち崩す。
 其処へ身を守るように展開していた炎の翼がビームの砲口をも包み込み、高熱の光線を拡散させて機械天使を飲み込んだ。
 拡散ビームは威力こそ低下したものの、避け得ぬ照射範囲でもって天使を焼く。だが物理的な破壊よりも大きな戦果となったのは、
『くっ……! メインカメラが……!』
 視界封じ。頭部に直撃したビームがその閃光によって光学系のセンサを軒並みシャットダウンさせる。
 視界を失ったセラフィム・リッパーの背後に回ることは、ウタにとっても容易い。
「少佐、今を生きる生命が未来を創るんだろ! その生命を尊び守るのが軍人の本分じゃないのか! 思い出してくれよ、あんたの本当にやるべきことを!!」
 セラフィムの背に突き立った斧を掴んで引き抜き、その片翼を炎の巨人が斬り落とす。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミリャ・ウィズ
ここまで来たらもう止めるだけ。そちらの理想や理念などもはや知ったことではない。だけどこれだけは聞いておきたかった。
「……あなたが護りたいものは何?」
ボクは左手にタブレットを構える。

O.Z.N.フィールドを展開しビームやビットの攻撃を防ぐ。
バリアを張っていると判断したらおそらく近接兵器を使ってくるだろう。スヴェルの肩に乗っている生身のボクに向かって。
だからカウンターを狙う。
剣戟をよく見てかわすか慣性制御ユニットで逸らす。その後【黒の魔法・圧力】をスヴェルのパンチと共に全力で発動する。ボクも右手を突き出し展開した魔法陣を叩く。


「……自分に酔うのも大概にして。」いい迷惑だ。

アドリブ連携歓迎


チル・スケイル
氷竜様、ゴーレム操縦には慣れましたか?追加武装の希望は?
…四足歩行用の四肢ですね?わかりました
(大きな爪を持った手足を氷で作りゴーレムに装着)

…(氷竜様が操縦するゴーレムには敵の周囲を旋回していただき、光の翼を避ける)
…(製造した爪を使い獣めいて駆けることで、先程よりは素早く移動できる)
…(私はその背で狙撃を試みる。一発でも多く氷の魔法を打ち込みダメージを蓄積させる)
…(頭部を狙いたいが、こだわるべきではなさそうだ)

…(説得…やれるだけやろう)
つまりあなたの目的は、この国を守る事なのですね?ですが実際に破壊しているのは、他ならぬこの国の戦力。これでは自傷行為ではありませんか!




 満身創痍の機械天使。
 片腕と片翼が落ち、全身に傷が刻まれている。
 その機体から発せられるのは神々しさではなく、禍々しい狂気と怨念だ。
 天使というより亡霊。オブリビオンマシンの本性が現れたと言うべきだろうか。
 その能力が戦闘性能の補完に割かれるのに比例してパイロットへの支配は弱まってゆく。猟兵の言葉を受けて、アイリーン・ファーレンヒルトは僅かではあるが正気を取り戻す兆しを見せている。
「此処まで来たらもう止めるだけ。そちらの理想や理念など最早知ったことではない。だけど、これだけは聞かせて」
『……ええ、いいわよ』
 スヴェルの肩に立つミリャが問う。これだけは確かめなければならない。
「――あなたが護りたいものは何?」
 機械天使が絶叫する。残り少ないビット兵器を嵐のように荒れ狂わせて、片翼となった光の翼を大きく広げて、錆びついた金属が擦れ合うような耳触りな叫びでその問いを拒絶する。
 応えてはならぬ。答えてはならぬ。汝は国家の敵を討ち滅ぼし、国家とともに滅びゆくもの。守るべきものと再び向き合えば、狂気が揺らぐ。
「――答えて!!」
 狂乱する天使の猛攻を、降り注ぐプラズマビームとレーザーの雨をO.Z.N.フィールドを展開した両腕で受け止める。機体で防御できている部分はまだいいが、流れ弾で破壊された建物が崩れる破片が死角から飛来しミリャの頬を浅く傷つける。
 機械天使はそれを見逃さない。ああ、あの盾は完璧なものではないのだ。
 鋼の顔がニタリと厭らしく笑んだような、そんな錯覚。ならば。急降下したセラフィム・リッパーの、殺意をカタチにしたような斬艦刀が振りかざされる。
「氷竜様!!」
 その刃を横合いから弾く氷弾。
 氷の竜人像の肩に乗ったチルは、頬付けしていた杖を下ろして戦友の無事を確かめる。
「ミリャさん、ご無事ですか?」
「……ん、チル。ありがと」
 あと一歩で斬艦刀の一撃を阻まれたセラフィム・リッパーは恨めしげにチルを睨み、巨大な光翼を羽撃かせてそちらを狙う――が、今度はミリャがフィールドを張ったスヴェルの腕でそれを食い止める。片翼でなければもう一方を抑えきれなかっただろう強烈な一撃に、スヴェルが僅かに傾ぐ。
 だが防ぎきったのだ。ミリャが生み出したこの時間をチルは最大限に活用する。
「氷竜様、追加武装のご希望は? 四足歩行用の四肢ですか、わかりました」
 かの天使を屠るに必要なのは剣でも銃でもなく、巨大な鉤爪を持つ竜の四肢。
 竜人像はみるみる内にまさしく竜の姿となって、スヴェルと組み合う天使の後背に回り込む。
 ――セラフィム・リッパーが翼を掻き消し、新たに噴出させることで回り込んだチルを狙うが、四足の竜は氷の鉤爪でしかと地を噛み翼の薙ぎ払いを潜り、飛び越え、駆け抜けて置き去りにする。
 その尋常ならざる回避機動の中で、チルは正確無比な狙いでセラフィムに氷弾を撃ち込み傷を負った装甲を凍結させていく。
「本来ならば頭部を狙いたいところだけれど――」
 それをやった瞬間、良くて相打ち悪ければ一方的に討たれるという確信があった。
 それほどに今のセラフィム・リッパーは憎悪と殺意と悪意にまみれていた。曲がりなりにも国家のためを掲げ、決起した軍人の機体とは思えぬ豹変ぶり。
 だがその何処かで攻撃に躊躇いを感じるのも事実、ならば手遅れではないだろう。
「彼女が問いましたね、貴女は何を護りたいのですかと。目を開いて御覧なさい、貴女が破壊しているのは、今傷つけられているのはこの国の戦力、この国の施設、この国の人々! これではただの自傷行為ではありませんか! それで何を守るというのです!」
 大破し転がる正規軍のクロムキャバリアの焼け焦げたオーバーフレーム。
 撃墜された教導団のオブシディアンの、空っぽになったコックピットブロック。
 プラズマに溶断され崩れ落ちるアパートメント。破壊されたキャバリアのパイロットたちは、少なからず負傷もしていただろう。
 マシンの悪意に唆されるまま決起した結果がこれだと言うなら、少佐の信念はそれを許すのか?
 氷弾の一発がプラズマウィングの噴出口に命中し、その可動域を大きく妨げる。
 炎の熱ですぐにでも溶けるだろうが、その一瞬はチルにとって、そしてミリャにとっても千載一遇の好機であった。
「ミリャ様、剣を!」
「わかってる――」
 チルの放った連弾が斬艦刀に着弾し、刀身を白く凍らせる。
 そこへ、スヴェルの固く握りしめられた拳が叩きつけられる。召喚した黒の魔法陣を殴りつけた、ミリャの動きに合わせるように。
「あなたの決起はいい迷惑。機体に誑かされたにしても、自分に酔うのも大概にして」
 ひどく冷たく突き放すような、それでもこの国の人々を優しく想う――きっと少佐もその例外ではない――言葉とともに、白く凍りついた刀身を拳が叩く。
 みしりと氷に亀裂が走り、打撃面に展開した超圧力の術式がそれを深く広く拡大するように刀身を氷ごと捻じ曲げ――
 まるで呪縛を解き放つような、心地よい金属の破裂音とともに斬艦刀が半ばからへし折れる。
『――ああ、私は、この国を守りたい。だからキャバリアパイロットに志願したの』
 微かに聞こえたノイズ混じりの女の声。
 だが、漸く得た乗り手を、それも至上の逸品たるトップエースを失ってなるものかと狂乱の天使は二人の前から逃げるように飛び去ってゆく。
 あと一歩だ。もうすぐ、戦いは終わる。
 その確信が二人にはあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レナ・ヴァレンタイン
※アドリブ、他猟兵の絡み歓迎

主義主張は勝手だがね、素面でない相手の言質など聞いてやる道理もなし
――談判破裂して暴力の出番だ。その機体から引きずりだしてやるから、少し頭を冷やすといい

キャバリアも乗れる飛行型大剣。試作で終わった失敗作ということだが、中々どうして悪くない
ユーベルコードでの複製と遠隔操作で足場兼盾として使用

敵の遠隔武装に対しては大剣の腹で受け止め、同じく複製した「ギャングウェイ」の砲撃で反撃。狙いは翼と手足。戦闘力を奪うことを主眼に立ち回る
ビットそのものの体当たりは「ギャラルホルン」の散弾とフォースセイバーで払い落とす

鋼の軍勢vs一騎当千の英雄、といったところか
さあ、戦争を始めよう


レッグ・ワート
どういう発想の持ち主だったかは知らないが、難しいのはわかってたろうに。とまれオブリビオンとはいえ機体が元なら積る話は壊してからだ。被干渉経験者は活かさなきゃ嘘だろ?

しっかし良い使い手選んだなオブリビオンマシン。キャバリアのセーフティもマジ優秀。とそんじゃ俺は近くの伸された機体の武器借りにいこうか。デカくても怪力で何とかなれ。……巨人やキャバリアにとっちゃ俺小さいの新鮮。
ビットで狙われるなら転がってる機体を盾にしつつちまちま数減らしというか惹き付け。斬艦刀で来るなら、借りた武器手放しながら打ち合わせる。その際斬撃の延長外に潜って踏み込んで、出力中だか後だかの斬艦刀に横から触れるのを狙ってみるぜ。




「主義主張は勝手だがね」
 レグのバイクから跳躍し、飛来したキャバリア用の――それでも機体と同じかそれを上回るほどの巨大な刀身を持つ――大剣に飛び移るレナ。
 ごく一部の機体が使用する高機動飛翔補助ユニットにして近接白兵武装、サーフブレイドとカテゴライズされるそれは、敵機の装甲を打撃力にて叩き潰すべく異常進化した技術の徒花。
 飛翔兵器でありながら空戦キャバリアには扱えぬ程の重量。持つことは出来ても推進器を用いた加速斬撃を放とうものなら重量がもたらす尋常ならざる慣性に機体側が振り回されバラバラに自壊するような狂気の産物。では装甲と出力に余裕のある陸戦キャバリアならば使えるか、となるがそれならばより安価な大型キャバリアソードで事足りる。
 高性能を突き詰めた結果使い手を失ったモノ。試作三号型"破城剛剣"は、名の通り要塞をも破壊しうる戦術級の業物だ。
 それが剣として手に余るならば、キャバリア用の兵装ではなくそれそのものを一個の兵器区分として独立させてしまえ。
 斯くしてレナは使い手なき大剣をまるで剣の形をした戦闘機が如く操り、殲禍炎剣の目の届かぬ超低空のビルの間を飛翔する。
 そんな飛翔剣の背でレナは想うのだ。
「素面でない相手の言質など聞いてやる道理もなし。談判破裂して暴力の出番だ」
 ――そこから引きずり出してやる。その後であなた自身の言葉で語ってみたまえ、と。
「そういうこったな。オブリビオンとはいえ機体が大本なら積もる話は壊してからだ」
 巨大な刃に並走するレグが静かに同意した。機体さえ撃破すれば少佐は正気を取り戻すのだという。その時彼女の本当の想いを、願いを聞いてやろう。
 国軍最強格のエリート部隊の長に若くして上り詰めた女傑。きっとオブリビオンの狂気にさえ侵されていなければ、正しく武を以てこの国の平和を守り紡いでいく人材だろうに。
 ちら、と視界の端に映る撃墜されたオブシディアンの残骸。アレ以上のトップエースがアレを圧倒する高性能機を駆る。それはなんとも背筋のゾッとしない話だ。
 が――
「お前さんらの上司だろ、止めるのにちっと手を借りるぜ」
 文字通りの"手を借りる"。残骸から機体の指ごとブレードを引っこ抜いてレグは疾走る。
 レグの武装とも言えない武装――鉄骨やワイヤーロープその他で相手取るには強敵。今回こそは武器が必要だ。そしてそれを為すならば、正規軍のそれよりクーデター軍、教導団のものが相応しいようにレグは感じたのだ。
「でけぇな……俺小さいの新鮮」
「私達より大柄なあなた達ウォーマシンより巨大なキャバリアが当たり前に普及している、か。世界というのは様々なものだね」
 幾つかのビルをすり抜けた先、片翼と片腕を喪い半ばより折れた剣を携えた機械天使が現れる。
『――また敵が来る! 私達の祖国を侵させはしない!』
 猟兵たちの呼びかけと猛攻でセラフィム・リッパーの呪縛から少佐は自我を取り戻しつつあるという。だが、オブリビオンマシンはまだ死んでいない。蘇りし狂天使の呪いは、力を削がれてなお猟兵を侵略者と、正規軍を裏切り者と認識させる形で彼女を縛り、破壊と闘争に駆り立てる。
『――行け、エンジェルビット!』
 もはや数機しか残らぬビットがビル群の間を縫って飛来すれば、数が減った分一機あたりの機動に割くリソースが増えたのだと言わんばかりに縦横に機体を旋回しながらレーザーを放つ。
「おっと……鋼の軍勢VS一騎当千の英雄、といったところか。悪くないシチュエーションだね。ならばさあ、戦争を始めよう」
 レーザーに破城剛剣が破壊される寸前、複製を呼び出しそちらに飛び移るレナ。
 更に生成した複製を盾に、あるいは足場に、次々撃ち落とされる剣で道を切り開いてレナは駆け抜ける。そして彼女の切り開いた道はレグにとっても唯一安全な航路としてレーザーの網に回廊を形成する。
「ギャングウェイ! ギャラルホルン!」
『ビットマニューバ! シザース・エッジ!』
 上下左右を追走するビットが鋭角に先端を切り返し、レナ目掛けて包囲突撃を仕掛けるのを人形の貴婦人は大型のレーザー砲と実体散弾砲の連射で退け――
「さあ行きたまえ!」
「エスコートされる側ってのはちっと複雑だが……受け持ったぜ」
 オブシディアン用のブレードを軽々振り回し、レナが切り開いた突入ルートからセラフィム・リッパーに斬りかかるのはレグだ。
『小さいなりに凄いパワーね……けれど、キャバリアと同等程度なら!』
 折れた斬艦刀でブレードを受け止め、鉤爪の蹴脚を交えた連撃でその刃を天高く跳ね上げるセラフィム・リッパー。レグはしかしあまりにも潔く武器を手放す。
 くるくると回転しながらビルを越えて空に舞うブレード。
「通るとは思ってなかったが……」
 まさか数合打ち合うまでもなく武装解除させられるとは、予想できていたとはいえど、良い使い手を選んだものだ。
 道具としての機械の視点で、自己の性能を最大限に活かせる人間を手に入れた機械天使に僅かな羨望。が、レグはそれをおくびにも出さず、武器を失った素手のままさらに一歩間合いに踏み込んだ。
 レグの刃をかちあげた斬艦刀に、伸ばした指先が僅かに触れる。
「――演算始め」
 レグの装甲を覆う被膜が触れたものを切断する攻性外殻と化し、そして斬艦刀を引き裂き分解していく。
『――っ!』
 今度はそちらが武器を捨てる番だ。斬艦刀を手放したセラフィム・リッパーは、あと一歩遅ければ残ったもう片方の腕までもを切り刻まれ失っていただろう。
 だが間一髪間に合った。落ちてきたブレードを引っ掴んで、横薙ぎにレグを両断しようとする刃。
「それはさせられないな!」
 がぎん、と耳触りな激突音を立てて割り込んだ破城剛剣とブレードが衝突する。
 みしみしとヒビが入るのはブレードだ。無理攻めは更に武器を破壊されるだけと悟って退いてゆくセラフィム・リッパーを二人は追撃しなかった。
「武器を壊して、だけど奪われてしまったわけだ。差し引きゼロ、かな?」
「いや――」
 いくら撃墜された機体から回収したものとはいえ、いくら相手が常識の埒外の超大型剣とはいえ、キャバリア用の武装がああも簡単にひび割れるわけがない。
 予めブレードを握った――触れた時に刻んでおいた傷がある。正確に、本来持ち得た剛性を寸断するよう巧妙に刻みつけられた傷はあと一合も打ち合えば砕け散るだろう。
 そのとき、天使は決定的な隙を生み出すはずだ。ならばそれで戦果十分と言っても罰は当たるまい。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エイス・シノノメ
この戦いを戦意高揚に使うというのですか?
何て寝言を…
この世界は元より争いで溢れかえっています
誰もが戦わねば生きられぬ世界、しかも内戦ともあれば何を示せるというのですか!
硝煙棚引くこの世界でこんな当たり前に気付けないとはオブリビオンマシンの影響、度し難いですね!

しかし流石に大将首とあって機動性は目を見張るものがあります
このままでは如何ともし難い所でしたが…先日手配していたヘリ輸送が間に合いました
試運転も出来ておりませんが実践投入です
機獅道の教えにも『「こういう事もあろうかと」は種蒔きを怠らなかったものだけが言え』とあります
このPLASMA RIFLEであればあの翼に抗することできるでしょう!


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

……なんだ、この感覚……
カブが、コールサインを出してる?
まさか妙に調子が良かったのはこういう事かよ!
行くぜェ……サイキックチャネル解放、ロードオープン!
来やがれ、【心機一体】!!

力で頭ごなしに押し潰す奴らはなぁ、
より大きな力に押し潰されるんだろうが!?
第一!自分から暴れて味方の力を削いじゃ本末転倒だろうがよ!

そうオープン回線で喚き立てながら、
呼び出したアタシのキャバリア"Overd"の
『ジャミング』と『ハッキング』機能のサポートを合わせた『念動力』で奴のビットのコントロールを奪う!
全部は無理だろうけれど、獲ったビットを『操縦』し『弾幕』を張って、
『援護射撃』するよ!


ナイン・ダブルワン
さっきからけが人増やしよってに……。もう堪忍袋の緒がキレたで!
友軍機を守るように白いトレーラーが駆け抜ける。
が、案の定レーザーの狙い撃ちを受け、トレーラーが炎上。
しばらくの沈黙のあと……

【医療の神の名のもとに】!!ヴァイスファウスト、オペを開始するで!
炎の中から剛腕の巨人が立ち上がり、呼応するようにツインアイが光る。

なにが戦闘国家や!国民に血を流させる国なんてこちらからお断りや!
そんなレーザー、うちの【オーラ防御】で撃ち消したる!
両腕を前に出し、再び飛び交うレーザーを剛腕で受けきり【推力移動】で懐に飛び込むと同時に【医術】で装甲の脆いところへ【怪力】を込めたパンチをお見舞いしたる!




 もはやビットの数は片手の指で足りるほど。
 剣は刃こぼれし、焔の翼は片方が根本より失われている。
 片腕も無ければ、漸くその胎に収めた理想のパーツ――優れた戦闘経験と身体性能を持ち、狂気を伝播させるに足る地位にあった女――は正気を取り戻しかけている。
 オブリビオンとはいえど機動兵器、人に使役される存在である以上は物を言うことも無いが、しかしセラフィム・リッパーの宿す憎悪は明確に猟兵に向けて集束しつつある。
 大儀も理想も必要ない。それは眼前の敵を滅ぼしてから掲げ直せばよいのだ。だから今暫くはこの女には狂気に沈んでもらわねばならぬ。
『…………そうだ、勝利を。私は祖国のために――』
「否! この戦いを戦意高揚に使うなど寝言です。内戦で何を示せると言うのですか!」
 天使に刻まれた妄執をその虚ろに開いた唇から溢す少佐に否を唱えたのはエイスだ。
 祖国のためにと唱えて祖国の民を飢えさすプラントの占有を図り、国防を掲げて自国の軍に銃口を突きつける。そんな戦いに何の正義があって、何を訴えることができるというのか。
「この世界には元より争いが溢れかえっています。誰もが戦わねば生きられない。いいえ、生きるために戦っている。そんな当たり前すら忘れてしまうとは――度し難い!」
 エイスの怒りは少佐に向けられたものではない。同じこの世界に生きる一人の軍人を歪めこんな戦いを引き起こした機械仕掛けの天使への義憤だ。
『敵を全て討たなければ生きられない世界だってあるわ!』
 片翼隻腕だというのにそれを微塵も感じさせない高機動でエイスの長距離狙撃砲を回避し、空を踊るセラフィム。
『人民平等会議は虎視眈々と私達の父祖の地を狙っている!』
 高速徹甲弾が生み出す衝撃波が天使の装甲を削り、破壊された断面からパーツを撒き散らす。
『経済連合は私達を体の良い防波堤として使い潰すつもりで――』
 もはやかろうじてビットを吊り下げているような有様のバインダーからエンジェルビットが射出され、推進剤の残量を振り絞るような真っ直ぐで、しかし果敢な軌跡を描いてエイスの機体に襲いかかる。
『そんな世界の悪意に立ち向かうには、理想や美辞麗句では弱すぎるのよ!』
 重砲戦仕様の機体では回避は出来ぬ。エイスはだからこそ最後まで装填手を努めてくれていたイースタン・フロント正規軍の兵士たちに離れるよう叫び、被撃墜の直前まで懸命にその照星に機械天使の影を追う。
 だが、漸く照準に捉えたセラフィム・リッパーは片翼のプラズマカノンを既にエイスの機体にひたりと向けていた。
 天上からの閃光と同時、包囲を敷くビットもまたその殺意を解き放つ――

「……なんだ、この感覚」
 多喜は自らの愛車が今までにない反応を返していることに気づいていた。
 ともすればこの戦いでいつも以上に調子のよかったのは、この予兆であったのか。
 初めて感じる、しかし懐かしいサイキックエナジーの波動。識別サインはOverd。
「そうか、そういうことかよ! ――ならもうひとっ走り付き合ってくれるよな」
 相棒は黙して語らぬが、長い付き合いの多喜にはわかる。きっとコイツは今、頷いてくれていると。
「行くぜェ……サイキックチャネル開放! ロードオープン! 来やがれ、心機一体!!」
 愛車を中心に現れるヒトガタ。キャバリアに似たそれは果たしてキャバリアであるのか。ただ一つ確かなのは、その力を持ってすれば。
「この馬鹿げた戦いを終わらせられるかもしれねぇ! そういうことだろ!」
 Overdのハンドルを握りしめ、アクセルを回して疾駆する新たな姿を得た戦友と共に、多喜はまさにエイスが包囲殲滅されようとするその瞬間に割り込んだ。
「Overd! あの程度の数、お前なら余裕だろ!」
 応、とその眼差しを強く輝かせた機体は、多喜の念動力を増幅してセラフィムのビット制御に強制介入を試みる。
「力で頭ごなしに押し潰す奴らはなぁ! より大きな力に押し潰されるんだろうが!」
 セラフィム・リッパーの抵抗は僅か数瞬足らずでねじ伏せられ、ビットの支配は多喜の手に。だがその時にはもう発射は阻止できぬ――ならば!
「ちったあ勿体ないけど仕方ねえ!」
 僅かに砲口をずらし、エイス機から照準を外されたレーザーはビット同士を射抜いて破壊する。
 小さな火焔となって砕け散るビットの群れ。しかしセラフィム・リッパー本体のプラズマカノンを止めるすべはどちらにもなく――エイスは間一髪、多喜がビットを破壊したことで生じた空間に機体を飛び込ませる。
 掠めたプラズマがアームキャノンごと機体の片腕を破壊した。が、寸前で肩部のハードポイントから腕を切り離したエイスはそのダメージがキャバリア本体にまで及ぶ事態を回避してのける。
 至近距離で爆散した大型砲の衝撃に煽られ、コックピットのなにかの部品が外れ落ちて頭に当たる。ずきりと痛むのは傷ができたか。であれば頬を伝うのは汗ではなく血液なのかもしれない。
「大丈夫かい、エイスさん」
「ええ、この程度で折れるようでは機獅を名乗れません!」
 されど、心折れずとも剣は折れ矢弾も尽き果てた。
 エイス機はアームキャノンを破壊され、Overdは召喚直後で武装らしい武装と言えばサイコハッキング程度。それも奪えるビットは先の咄嗟の判断で全滅させてしまった。
 せめて奴に近づければ。
 あるいは――アレが間に合えば。
 二人の猟兵は、再チャージを開始したプラズマカノンに身構え――何処からか聞こえる場違いなサイレンの音に眉根を寄せた。

「さっきから怪我人増やしよってに……!」
 擦れ違う人影は誰もが傷ついている。
 夕暮れの、群青に染まる町並みを歩く正規軍のパイロット。教導団のパイロット。互いに手を取り合い、あるいはどこか確執を感じさせながらも共に帰るべき祖国へ向かって足を動かしている。
 人なのだ。誰も彼もが生きていて、傷ついて。狂気によって対立しても、根底にあった想いはきっと同じところに根ざしている。それは未だに囚われ、機械天使の代弁者たるを強いられている少佐も例外ではないはずだ。
 それらを傷つけ殺し合わせようとするオブリビオンを許せない。
 ナインのハンドルを握りしめる手に力が籠もる。
「もう堪忍袋の尾が切れたで! お前は――」
 多喜とエイスの前に割り込んだ大型のトレーラー。だが無情にも閃光はそれを貫き、白い車体は紅蓮の炎に飲み込まれる。
「おいアンタ、車でなんて無茶してんだ! 畜生!」
「くっ……罪のない人が傷つくのを見ているしか出来なかった……アタシは機獅として――」
 もはやあのトレーラーの主は助かるまい。嘆く二人だったが、しかし炎を切り裂いて一つの影が立ち上がる!
「医療の神の名のもとに!! ヴァイスファウスト、オペを開始するで!!」
 破壊されたトレーラーの残骸をしっかりと踏みしめ、炎を浴びて白の装甲をちろちろと照らして、白き豪腕の鉄巨人は飛ぶ。
『戦わねば国家は滅びゆくだけ! 戦うならば傷つき血が流れるのは当然の――』
「じゃかぁしい! 兵隊がお国のために血ィ流すんは百歩譲って認めたる! そのための怪我ならウチが何度だって治したるわ!」
 やけどな! 拳を握り、突き出して。低出力モードで絶え間なく浴びせかけられるプラズマの連射を纏うオーラで弾き、ヴァイスファウストは突き進む。
「けどな! 国民に血を流させる国はお断りや! 何が戦闘国家や、寝言も大概にしィ!!」
 渾身打撃がセラフィムの胴を穿つ! 拳が装甲を砕き、コックピットブロックをも貫いて背中から飛び出した。
 カウンターに振り下ろされたブレードはヴァイスファウストの装甲の隙間を確かに捉えたが、しかし最初からそうなるべく定められていたかのように直撃の瞬間刀身がひび割れ砕け散った。
 拳を引き抜いた白の巨人が地に降りれば、そっと握った手を開く。
 掌の上に気を失った黒髪の女。ファーレンヒルト少佐はオブリビオンマシンの呪詛の檻から解き放たれたのである。
『――――――!!』
 ――だが。だがしかし、だ。パイロットを失ったセラフィム・リッパーは、その存在が、狂気が残る僅かな余命を用いて最大にして最悪の報復を試みる。
 崩壊寸前のプラズマカノンが捉えるは、ヴァイスファウストでもなければOverdでもない。中破したエイスの機体でもない。
 ――イースタン・フロント首都の生産力の少なくない割合を占めるプラント施設そのものを照準し、消えゆく悪鬼は最後に足掻く。
 それを阻止する術は、最早――
「猟兵!! 届け物だ、待たせたな……ッ!」
 殲禍炎剣に撃ち落とされるリスクと紙一重、制限高度ギリギリを超高速で飛来する正規軍のクロムキャバリア。ミュラー大尉の機体は、見慣れぬ国籍の刻まれたコンテナを携えている。
 輸送しながらそれを強制開放し、中に眠るキャバリア用の火器を引き抜いて――ただ一機生き延びた僚機のパイロットと頷きあって、彼は機体の片腕をパージ。
「――機獅道の教えにもありましたね。「こういうこともあろうかと、は種蒔きを怠らなかった者だけが言え」――と」
「経済連合経由の最速便だ。ぶっつけ本番、パーツ同士の合わせも無しだが行けるか?」
 パージされたクロムキャバリアの片腕をエイス機に接続し、量産型では足りぬ出力は大尉とバディの、そしてヴァイスファウストの動力から供給し――運用試験もまだの新兵器を手に、エイスは任せろと胸を張る。
 傷の痛みが何するものぞ。
 背負うはイースタン・フロント幾万市民の未来である。
 急造機体であろうと充分。戦友の支えるこの機体、敵を射抜くに不足はない。
 ぶっつけ本番、初撃で完全な戦果を挙げねばならぬ。それも敵がプラントを吹き飛ばすまでのごく僅かな時間で。
 ――何の問題もありはしない! このような状況であろうと、いやだからこそ、機獅道とは
「――機獅道とは! 撃つ事と見つけたり!!」
 セラフィム・リッパーのそれより巨大なプラズマの火球が新兵器、プラズマライフルの銃口から放たれる。
 それは国家を道連れに滅びゆく天使を飲み込み、諸共に空で爆散する。
「見事なもんじゃないか! 後は任せな!」
 破壊され、炎上しながらプラント施設に降り注ぐ残骸。それらは多喜が念動力で掻き集めてプラントへの被害を最小限に抑えれば、イースタン・フロントに国家存亡、未曾有の戦乱を招こうとした機体は跡形もなく燃え尽きてゆく。
 それは陽が沈み、深い藍色に染まりゆく東の空に、朝日のごとく煌々と輝いていた。

 イースタン・フロントにおける教導団のクーデターは、その元凶たるオブリビオンマシン、セラフィム・リッパーの撃墜とそのパイロットであるアイリーン・ファーレンヒルト少佐の確保、救出をもって此処に終結した。
 プラントに立てこもっていた大隊司令部将校たちも、セラフィム・リッパーが破壊されたことで己が行為を自覚し、直ちに正規軍に投降したのである。
 猟兵の活躍によって最悪の事態が、市民ですら銃を取り自らが滅びるまで他者を滅ぼし続ける悪夢の国家が成立することは避けられたのだ。
 クーデターに参加した教導団の面々は事実の検証や――オブリビオンマシンがいつ、どこで首都配備の部隊に紛れ込んだのかなど、謎は多い――損耗した機体の補充や部隊の再編に奔走し、そして何よりオブリビオンの狂気に冒されていたとはいえ首都に動乱を齎してしまった責任を取らねばならないだろう。けれど、彼らは二度と狂気に屈することはないはずだ。
 そしてこの戦いを経て猟兵たちはイースタン・フロント軍に、この国の市民にその存在を認められた。国家の窮地を救いに現れた永遠の友として、同胞として。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月12日


挿絵イラスト