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燃ゆる絆

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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「殿下、一大事にございます」
「どうしたの?」
 クロムキャバリア世界。イズランサ地方に存在する小国家のひとつ、ユーシア公国。
 先王の崩御により若くして王の座に就いた第一王子ユーティアは、若干10歳の少年である。
 公国の城で政務をこなす彼のもとに、ひとつの知らせが届いた。
「はっ。領内にて開発されていた新式のキャバリアなのですが――これが、オブリビオン化したとのこと」
「なんだって!?」
 臣下の者の報告に、王子は驚愕する。
「当該のマシンは暴走状態にあり、市街地で破壊活動を行っているとのこと……」
「一大事じゃないか……。パイロットは誰?」
「はっ。近衛騎士のデッカード殿との報告を受けています」
「デッカードだって!?」
 近衛騎士デッカードは、ユーティア王子が最も信頼する騎士の一人である。幼少のみぎりから王子を護り、その心を支え続けてきた肉親同様の存在であった。
「すぐに助け出さないと……タクラム大臣、アクドイネン将軍。すぐにキャバリア隊を発進させて!領民たちの保護と、マシンの足止め。両方ともできるね?」
「グフフ……もちろんでございますよ、ユーティア殿下」
「ゲヒヒヒ……このアクドイネン、殿下と領民たちのため、粉骨砕身の覚悟で臨みましょう」
 王子の指示に、タクラム大臣とアクドイネン将軍が頷き、そして2人の間にアイコンタクトが交わされる。
 ――かくして、ユーシア公国領内において、ひとつの戦いが始まるのであった。

「――仕事の時間だ、お前たち」
 グリモア猟兵、イリス・シキモリ(f13325)は不愛想に告げた。
「クロムキャバリアに出向いてもらう。――ああ、新世界だ。これまでにない戦いになる。各自気を引き締めろ」
 イリスは端末を操作し、モニターに映像を映し出した。
「クロムキャバリアは『キャバリア』と呼ばれる5メートル級の戦闘マシンを主な戦力として用いる文明をもつ世界だ。当然ながら、そこでの仕事はマシンが絡んでくることになる」
 ――即ち、今回の案件においてはその『5メートル級の戦闘マシン』が相手になる。
「今回お前たちに行ってもらうのは、ユーシア公国という小国家だ。そこで開発中だった新型のキャバリアが突如暴走。オブリビオンマシンと化して市街地で暴れている」
 続けて画面に映し出されるのは、敵の戦闘マシンの情報である。
「敵のマシンのコクピットにはパイロットが取り残されている。現在は意識不明の状態らしいが……外部からの働きかけで何かしらできるかもしれない。やりたければやってみろ」
 言い添えたイリスは、続けて画面を切り替える。市街地の簡易的な地図情報だ。そこには展開したキャバリア部隊の情報なおも書き添えてある。
「この国の機動兵器部隊が既に出撃しているが、オブリビオンマシン相手では長くはもたないだろう。まずお前たちはそこの状況に介入し、敵の戦闘マシンを叩くのだ」
 転送後すぐに戦闘開始となる。準備はしっかり整えてゆけ、と、イリスは付け加えた。
「なお、ここの指揮官とは既に話を付けてある。必要に応じて、ユーシア公国の保有するキャバリアを借用することができるぞ。希望する場合はその旨を申し出ろ」
 ――勿論、自前のマシンがあるならそれでもよし。マシンなしでも戦えるなら、それもまたよし、というところだ。
「――ということで、説明は以上だ。要は、戦場に行って、敵を叩け。必要だったら戦闘マシンを借りて乗れ。ということだな」
 説明を終えたところで、イリスは一度言葉を切る。
「それから――これは私の個人的な勘だが。この国には……何か、裏がありそうだ。試作の新型が突然暴走、などというのも――怪しいのではないか、と睨んでいる」
 ひょっとしたら、何かしらの悪事を企んでいる者たちが国内に潜入しているのかもしれない。
 ――杞憂で済めばいいが、と最後に呟いてから、イリスはグリモアを掲げた。
「では、これより転送を開始する。各自、準備はいいな。――では、出撃せよ」
 そして、グリモアは輝く。


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
 新世界ですね。ロボットがすきです。
 この度も皆様とともに旅路を行けることに感謝いたします。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『モノアイ・ゴースト』

POW   :    バリアチャージ
【バリアを纏った】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【支援機】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    パルス・オーバーブースト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【オブリビオンマシン】から【光学兵器による一斉攻撃】を放つ。
WIZ   :    ゴーストスコードロン
自身が【敵意】を感じると、レベル×1体の【支援キャバリア】が召喚される。支援キャバリアは敵意を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 爆発。
 オブリビオンマシンが怪光線をそこらじゅうに撒き散らし、街を破壊しながら駆動する。
「くッ……!なんてパワーだ!このままじゃ近づけないぜ!」
「ジョー!一旦下がるんだ。体勢を立て直すぞ。ダイソン、シールドを展開してくれ。私たちで時間を稼ぐ」
「了解です、マクレーン隊長!」
 市街地に展開した公国の機動兵器部隊は既にオブリビオンマシンとの交戦を開始していた。3機のキャバリアが機動し、暴走するマシンに対峙する。
 ユーシア公国の機動兵器部隊は健闘していたが、しかし強力なオブリビオンマシンのパワーはそれを圧倒する出力であった。押し込まれるのも時間の問題だ。
『みんな!』
 通信機を介して、機動兵器部隊のパイロットたちのもとへとユーティア王子の声が届く。
「ボス!」
『マクレーン、みんなは無事?デッカードは?』
「領民の避難は別部隊が進行中。今のところ人的被害はないようですが……デッカードはコクピットに取り残されているようですが、呼び掛けても反応がありません」
『……そっか』
『ゲヒヒヒ……お任せください殿下。我々公国軍の制式キャバリア隊が必ずかのオブリビオンマシンを破壊してご覧に入れましょう』
 ここでアクドイネン将軍が通信に割り込んだ。続けざまにアクドイネン将軍は部隊全体へと攻撃の指令を下す。
『……うん。任せたよ。みんな、街の人たちとデッカードをお願い。それから、増援を手配してるんだ。すっごく頼りになる人たちだってきいてるよ。協力して作戦にあたって!』
「了解、ボス!」
ブラッドルファン・ディラィトゥオクア
ほぉん?ここがくろむきゃばりあ、っちゅう世界なん?新しゅう見つかりはっただけあって、ゼェんぜんよう分からんなぁ
んであのおっきい鉄の巨人が実はおぶりびおんやゆうて、暴れてはるんやろ?
せやかてあないに立派なんどうないするか思てたらこっちにも貸してもらえるんやなぁ、親切なこって
したらばこの子はぶぶ漬けどうどす号って事で宜しゅうな
ゆうてもこんな機械初めてやよって動かし方分からへんねやけど…
このすいっちや!でええ感じに動くもんなんやねぇ
この辺ちょいと力通せばいい感じに拡大もしてくれるみたいやし、便利なもんやぁ
なんやあちらさんも色々コマイの出しおったさかい、うちも数で対抗やね
さぁ、一勝負と行こうやないの!


桐原・剛将
アレンジ歓迎
連携可

「はぁー。せっかく別の世界へ行ったちゅうのにトンボ返りかいな。ま、ええわ。キャバリエ相手やったら慣れたもんや。ちゃちゃっと片付けたるわい!」
「機体ぃ? いらんいらん。他のやつに回しとき」

「へへ、鬼さんこちら」
市街地の建物を遮蔽物として利用して相手キャバリエへ接近する。
【残像】を利用して相手のバリアチャージを誘発して回避。
突進終了、バリア解除の隙を狙って、片手上段からの剣刃一閃で両腕両足をバラす。
「振り下ろして跳ね上げるっ! Vの字一閃や!!」
「胴体狙うとパイロット殺してまうからな。ダルマにするのが一番や」


キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

今度の新世界はずいぶんと賑やかな場所だな
フッ…戦場傭兵としての仕事にも事欠かなそうだ

まずは僚機のキャバリアに自分を敵支援機付近に投擲するようにマッキナ・シトロンを通じて要請をする

なに、別に自殺する訳じゃないさ
こっちの方が手っ取り早いのでね

支援機に近づいたらUCを発動
踏み付けて破壊しつつ、反動によるジャンプで移動
敵までの最適なルートを瞬間思考で見切り近づく
相手がバリアを纏ったら付近の支援機を踏み台にして回避し
突進が終わると同時にカウンターで蹴りを敵に撃ち込み、怯んだら更に追撃を行おう

狙うべきは腕か脚か…とにかく、行動不能に出来れば御の字だ
パイロットを死なせるわけにはいかないからな



「今度の新世界はずいぶんと賑やかな場所だな」
「ほぉん?ここがくろむきゃばりあ、っちゅう世界なん?」
 キリカ・リクサール(f03333)。そしてブラッドルファン・ディラィトゥオクア(f28496)は市街地の一区画に用意されたユーシア軍の陣地にいた。
 火薬の爆ぜる音。スラスターの駆動音。軋むマシンの躯体が鳴らす鉄の悲鳴――。鋼鉄に彩られた戦場の音楽が、猟兵たちを歓迎する。
「そうだ。ここがクロムキャバリア。巨大なマシン兵器を使った戦乱が続く世界……フッ、戦場傭兵としての仕事にも事欠かなそうだ」
「そちらさんはこなれてそうやねぇ。うちはこういうん、ゼェんぜんよう分からんなぁ……」
 慣れ親しんだ戦場の空気にキリカが笑みすら浮かべる一方、ブラッドルファンは目を瞬かせながら周囲の風景を見渡した。
 彼女の出身であるカクリヨとは大きく異なる、鉄と油、そして炎の匂い香る鋼鉄の世界。それがクロムキャバリアだ。
 ブラッドルファンは眉根にしわを寄せた。――妖怪と機械文明というのは、本来であればあまり相性がよくないのだ。現代文化に適合した『新しい妖怪』の類であれば得意分野かもしれないが、生憎とブラッドルはそうではない。
「はぁー。せっかく別の世界へ行ったちゅうのにトンボ返りかいな……」
 その一方で、桐原・剛将(f29916)は別の切り口から溜息を吐いた。
 剛将はクロムキャバリア出身の猟兵である。――しかし、彼は今日のこの日まで、クロムキャバリアを離れて暮らしていた。――ロボットはもうええかな、というのが彼の弁である。様々な事情から、彼はキャバリア乗りという仕事を離れていたのだ。
「思わぬ里帰り……ってとこやな。ま、ええわ。キャバリエ相手やったら慣れたもんや。ちゃちゃっと片付けたるわい!」
「おやぁ。そこのあんさん、ひょっとしてベテランさんやないの?」
 ここでブラッドルファンが剛将に呼びかける。
「ん……せやな。昔取った杵柄っちゅーか……」
「ほんなら、頼りにさせてもらいましょか。ウチ、こういうん乗るの初めてでしてなぁ」
「……」
 急に始まった関西弁と京言葉の応酬にキリカは一瞬困惑しかけたが、気を取り直して一度咳払い。なし崩し的に合流した3人の猟兵は、それからユーシア軍の兵士たちに話を通しに行く。
「あなた方が殿下のおっしゃっていた増援の方々ですね。お話はうかがっております」
 ユーシア兵は猟兵たちへと規律正しく敬礼の形をとった。
「ほんならさっそくお仕事といきますえ。んで、あのおっきい鉄の巨人が実はおぶりびおんやゆうて、暴れてはるんやろ?」
「せやな」
「せやかてあないに立派なんどうないするか思てたらこっちにも貸してもらえるんやなぁ、親切なこって」
「せやなぁ、景気のいいこっちゃで。ここじゃ珍しないもん言うてもキャバリエかてタダやあらへんし」
「……それで、現状は」
 キリカはユーシア兵に尋ね、状況の再確認を行う。
 オブリビオンマシンは現在ユーシア公国の市街地にて暴走中。接近する熱源全てを敵として認識し、周囲に対して激しい攻撃を行っている。パイロットとの通信は依然途絶したままだ。
 それを止めるべくユーシア軍のキャバリア隊が出動しているが、パワー負けは免れない、というところである。
「……ということになります」
「あちゃあ、こらあかんわ」
「とりあえず、あの暴れてはるおっきいのをお行儀ようさせればええんですね?」
 ブラッドルファンはモニターに表示されたオブリビオンマシンの様子を見ながら首を傾ぐ。
「了解した。それでは、直ちに状況を開始する。私は必要ないが、こちらの2人にキャバリアを融通してもらえるか」
「機体ぃ?いらんいらん。他のやつに回しとき。俺なら自前のやつがあんねん」
「ウチは一台お願いしますわぁ」
「了解しました。既に準備はできておりますので、このまま出撃をお願いします」
「了解」
 かくして、猟兵たちは戦場へと参入する。

「したらばこの子はぶぶ漬けどうどす号って事で宜しゅうな」
「えっ。あ、はい。では、『ぶぶ漬けどうどす号』、発進どうぞ」
 困惑するオペレータが手元のパネルを操作し、マシンハンガーの扉を開く。
「はいはい。そしたら行かせてもらいます。……ゆうてもこんな機械初めてやよって、動かし方分からへんねやけど」
 ブラッドルファンはペダルを踏み込みながら適当に操縦桿を倒し、これまた適当にスイッチを押した。反応するぶぶ漬け号が鉄の躯体を動かして前進する。
「おお、歩きはったわ。このすいっちや!でええ感じに動くもんなんやねぇ……」
「遊んどらんとちゃっちゃと行くで!すぐに終わらしたろやないかい」
 その横をすり抜けるように、剛将のキャバリアが通過した。巧みな機動で建造物の合間を潜り、素早く戦場へと向かう。
「あらまぁ。さすがベテランさんやなぁ。ほんなら、うちも遅れんようにせんと!」
 ブラッドルファンは操縦桿を前に倒す。ぶぶ漬け号が加速し、剛将のキャバリアを追うように戦場を目指した。
「よし。では、このまま投げてくれ」
「しかし……」
 ユーシア軍所属のエースパイロット部隊、『チーム・タイガー』隊長であるマクレーンは、その指示におおいに困惑していた。
「なに、別に自殺する訳じゃないさ。こっちの方が手っ取り早いのでね」
 それはキリカの指示である。一足先に戦場まで到着した彼女は、既に戦場に展開していた味方機と合流し、そして協力を要請していたのだ。
 ――しかして、生身の人間をキャバリア相手に投げ込めなどという命令、常識的に考えれば狂気の沙汰と言うほかない。
「……これがうわさに聞く猟兵の戦い、ということですか」
「そういうことさ。よろしく頼むぞ」
 だが、彼女はそれを有効な戦術として扱える力を持つ猟兵だ。マクレーンは自分を納得させ、そして操縦レバーを捻った。
「いきます――射出ッ!」
「よし――いくぞッ!」
 そして、キリカは宙を舞った。
『…………』
 オブリビオンマシンは、猟兵たちの接近を気取った。
 元となった機体を大きく歪めたそのマシンは、いびつな単眼で敵の姿を捉える。
『……』
 マシンを覆う青いオーラが、揺らめきながら燃え広がるように拡散した。【ゴースト・スコードロン】。その炎の中から、オブリビオンと同型の支援機体が無数に立ち上がる。
「なんやあちらさんも色々コマイの出しおって」
 戦場に至ったブラッドファンが、機体のカメラ越しにその様子を捉えた。
「ほんなら、うちも数で対抗やね。――先に仕掛けさせてもらいます」
「ああ、頼むで!」
 猟兵たちの存在を感知した支援機体の群れとオブリビオン本体が一斉に射撃を開始する。閃光。爆発。砕ける市街地。しかして崩れ落ちる瓦礫の中を潜り、剛将のマシンは先行し、敵機へと間合いを詰めてゆく。
「へへ、鬼さんこちら」
『……』
 敵の狙いは剛将が引きつけた。その間に余裕をもってブラッドファンは術式を構築し、そしてそのユーベルコード出力をキャバリア躯体へと通す。
「この辺ちょいと力通せばいい感じに拡大もしてくれるみたいやし、便利なもんやぁ」
 ぶぶ漬け号の躯体から光が迸る。放たれた光はすぐさま収束し、瞬く間に剣のかたちをとった。
「さぁ、一勝負と行こうやないの!」
 【ミセルコリディア・スパーダ】!術式が繰る弾幕剣舞。放たれた魔法剣の群れは戦場を翔けた。光剣の乱舞が敵の支援機体群に襲い掛かる!
『……』
 ざ、ッ!光剣の一振りが機体を貫いた。爆発!これで一機!
「はあッ!」
 その次の瞬間――着弾!支援機体のうち一体が続けざまに爆発する。
「次ッ!」
 それはキャバリアによって投擲されたキリカである。投射の勢いとブーツに織り込まれた強化術式によって威力と重量を増した強力な【サバット】で、支援機体を粉砕したのである。キリカは勢い留まらず反動を利用して更に次の支援機体へと蹴り足を叩き込んだ!爆発!
『……』
 一方、オブリビオンマシン本体は迎撃態勢に移行していた。機体表面にバリアを展開しつつ、市街地を移動開始――捉えた。ブースト加速!【バリアチャージ】!
「そうはいくかい!」
 熱源接近アラートに素早く対応した剛将は機体を側面に滑らせ、オブリビオンマシンの突進を回避。同時にブレードを抜き放つ。
「振り下ろして跳ね上げるっ!Vの字一閃や!!」
 閃ッ!突進後の隙に捻じ込むように、剛将の機体は刃をかざす!
『……』
 しかし、敵マシンは身を捻りながら回避機動をとった!
「こいつ!」
 ――だが、追い縋る。食らいつく!ブレードは確かに敵機を捉えていた。
 結果――片腕が、落ちる!
「両腕両足バラすつもりやったんやがな……!やるやんけ!」
「ならば追撃をかける」
 轟音!――オブリビオンマシンが回避機動をとったその先に、キリカが待ち受けていたのだ。強烈な蹴り足が敵機の脚部に叩き込まれ、装甲とフレームが悲鳴をあげる!
『……!』
 ごう、ッ!オブリビオンマシンはブーストを吹かしながら強引に機体をコントロールし加速。後退を開始する。
「いややわぁ、もうお帰りになりますの?」
 ブラッドルファンがそれを逃すまいと光剣を差し向けた。閃光と共に奔る刃が、マシンの装甲に次々を傷を穿つ!
『……』
 ――だが、それをも構わず敵のマシンは強引に突破をかけた。全身の装甲をずたずたにされながらも、オブリビオンマシンは戦域より後退してゆく。
「逃がしたらあかん!このまま追っかけるで!」
「ああ。早く捕獲しなくては……パイロットを死なせるわけにはいかないからな」
 猟兵たちは追撃へと移行する。――オブリビオンマシンとの戦いは、まだ始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

聖護院・カプラ
クロムキャバリア……成程、ウォーマシンの倍はありますか。
ですがそれが近衛騎士を殉職させてしまう言い訳にはなりません。
裏の事はさておいて、目の前の命という表を救う事に専念致しましょう。

この国の機動兵器部隊はよくやってくれていますが、私の知見によると敵マシンのユーベルコードは敵意を感知する事によって発動する物。
味方部隊の無数の敵意の前では取り押さえる事も困難を極めるでしょう。
『相殺』で食い止めますので、味方部隊に敵マシンが誘爆しない部位を確認して攻撃しながら敵マシン無力化に努めましょう。

王である少年が慕う近衛騎士よ、呼びかけにどうか応じて下さい。
貴方はここで倒れる運命にない。仏がそう言っています。


ミスト・ペルメオス
【POW】

聞こえるか、ユーシア軍。
こちらブラックバード。これより当機も加勢するッ!

異界に羽搏け、黒い鳥。
…というのはさておき、キャバリアではなく愛機たる機械鎧を駆って参戦。
デバイス等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
殲禍炎剣の介入を受けないよう高度や速度に注意しつつも、スラスターを駆使しての高速戦闘を仕掛ける。
まずは被害拡大を抑えるべく、敵を市街地から遠ざけるよう牽制攻撃を放って誘引。
接近戦は回避機動や防御でいなしつつ、試みが上手くいけば【オープンファイア】。
機体を無力化してパイロットを助けるべく、バラージ・デバイスでの出力を調整した弾幕射撃で削り切る!

※他の方との共闘等、歓迎です


アレックス・エイト
民間人の避難は未だ継続中、もし万が一の事があれば…
いえ、そうさせないために私達はここへ来たのです
魔導スラスターで市街地の合間を高速移動しつつ、魔力弾での牽制による陽動
被害を少しでも抑えるために、避難が完了している区画へ機体を誘き寄せます

ウィザードハットから通信を送り声を掛け続け、
コクピット付近に非殺傷性の魔力弾を撃ち込み衝撃でパイロットの目を覚まさせましょう
支援機の動きを止めるだけでも構いません、どうか協力を
そして…歯を喰いしばっていて下さい
今以上の衝撃が来ますよ

敵の突進にランス突撃でカウンター
バリアごと頭部を吹き飛ばし機体に取り付き、コクピットハッチを抉じ開けます
助けに来ましたよ、御同輩



「行け行けぇィ!あのマシーンを完膚なきまでに破壊するのだァ!」
 鋭く響くアクドイネン将軍の攻撃指令!
「ケッケッケッ……ワルソーダ了解!」
「フフ、アクージョ機、承知いたしましてよ」
「ヒーレッツ了解!イヒヒ、デッカードよォ、すゥぐに楽にしてやるからなァ!」
 指令に応じ、アクドイネン将軍旗下の部隊が一斉に攻撃を仕掛けた。応戦するオブリビオン。閃光が飛び交い、戦場に火花が散る!
「――」
 漏れ聞こえてくる通信の中に、聖護院・カプラ(f00436)はたしかな違和感を覚えた。
 アクドイネン将軍指揮下のパイロットたちの放つ言葉の中に、カプラは微かな業を感じ取ったのだ。
「この事件……やはり、裏があるようですね」
 ――何者かが関与している可能性は十分に考えられる。
「ですが、裏のことはまずさて置きましょう。目の前の命という表を救うことに専念しなくてはなりません」
「同感です。民間人の非難は未だ継続中。残されたパイロットの方もそうですが、こちらももし万が一のことがあれば……」
 アレックス・エイト(f22485)もまたカプラとともに並び立ちながら、同じく命を救う使命にその電脳中枢を燃やす。電子頭脳がはじき出した最悪のシミュレートパターンを振り払うように一度かぶりを振って、アレックスは視線を上げた。
「いえ、そうさせないために私達はここへ来たのです」
「はい、その通りです。まずは何よりも人々を救いましょう」
 2機のウォーマシンは頷きあい、そして行動へと移る。鋼の聖者と魔法使いが、共に戦場へと進み出た。

「くそ……アクドイネンとこの連中、何考えてやがるんだ!」
「あれではデッカードも危険です!」
 アクドイネン将軍旗下の部隊による攻勢は苛烈であった。ビームやミサイルが乱れ飛び、保有する火力を徹底的に叩き込みにかかる。そこに一切の遠慮はなかった。
 その光景を前に、ユーシア軍所属のエースパイロット部隊、チーム・タイガーのパイロットたちは苛立つ。
「だが、彼らの気持ちもわかる。あのマシンは強力だ。あれだけの火力でも……」
 唯一平静を保っていた隊長のマクレーンは、冷静に状況を観察する。――彼我の戦力差であれば、救出を優先できるほどの余裕はないだろう。そう言われれば納得せざるを得ないのだ。
『――』
 その時である。爆炎の中から飛び出したオブリビオンマシンは、凄まじい加速度で宙を舞いながらビームガンを連射した。
「グアーッやられた!!ワルソーダ脱出!」
 爆散するキャバリアからアクドイネン将軍旗下のパイロットが脱出してゆく。――そう。一切の容赦をしない最大火力での制圧射撃でも、オブリビオンマシンはそれに対抗するほどの戦力を有するのである。
「……いくぞ、ジョー。ダイソン。あの機体を、止める」
 チーム・タイガーの3人はそれぞれのキャバリアを駆動させ、戦闘態勢へと移った。
「了解。ところで隊長、増援は?」
「間もなく来るとボスから通信があった。――見ろ、あれだ」
 3機のマシンが動き出したその瞬間である。空中にぱちぱちとプラズマが弾けた。グリモア猟兵による転送ゲートである。そこから姿を見せたのは――漆黒の躯体!翼を広げた鎧装である。
「聞こえるか、ユーシア軍」
 ミスト・ペルメオス(f05377)は通信機越しにユーシア軍のキャバリア部隊へとオープン回線で呼びかけた。
「こちらブラックバード。これより当機も加勢するッ!」
「こちらマクレーン。貴官の協力に感謝する!」
 ブラックバード改はスラスター出力を上昇し、更に機体を加速する。敵マシンの迎撃を掻い潜りながら、素早く空中を機動した!
「なんだありゃ……飛行型のキャバリア!?」
「しかし、我々のキャバリアの倍はありますよ」
 チーム・タイガーの2人が驚愕の声をあげる。殲禍炎剣の影響下にあるこの世界において、飛行能力を持つキャバリアの存在は限られている。更に、通常のキャバリアが5メートル級の機動兵器であるのに対しミストのブラックバードは全高9メートルにも達する。この世界のキャバリアに比すれば非常に大型なのだ。それを目にした彼らの驚きは想像に難くないだろう。
「ジョー!ダイソン!立ち止まっている暇はないぞ。このまま増援部隊と協力し、目標を制圧する!」
「「了解!」」
 そして、ブラックバードに続いて3機のキャバリアが前進を開始した。
「味方が到着しましたか」
「そのようですね」
 先行してオブリビオンマシンとの交戦距離に入っていたカプラとアレックスは、既に敵機を視覚センサーで直接捉える位置に到達していた。
『……』
 接近を感知したオブリビオンマシンがその矛先を猟兵たちへと向ける。ビームガンの連射がアレックスを襲った。
「まずは敵機を誘い出しましょう。避難完了区域まで移動すれば、被害を抑えられるはずです」
 アレックスは術式推進剤を吹かしながら高速機動。市街地の建造物を遮蔽物として利用して敵の砲火を躱しつつ、構えた機械杖レーヴァテインからの魔力弾で反撃する。
「ええ、それがよろしいかと思います」
 カプラもまた前進しつつ、敵機体の機動パターンを捉えた。
「我々で一旦敵の戦力を削ぐことといたしましょう。この国の機動兵器部隊はよくやってくれていますが、敵のマシンは強力です。現状の戦力差では取り押さえる事も困難を極めるでしょう」
「同感です」
「――はい、その作戦でいきましょう。こちらブラックバード、これより戦線に加わります」
 ここで黒翼が舞い降りる。ミストはブラックバードのコクピットでコンソールを叩き、そしてトリガーを引く。ビームアサルトライフルの銃口が光を放ち、オブリビオンマシンの装甲表面で爆ぜた。
『……!』
 装甲損傷。オブリビオンマシンの単眼が不気味に青白く光る。――オブリビオンマシンは、無言のままに敵意に満ちたプレッシャーを放った。猟兵たちを完全に敵と認識し、最優先の攻撃目標に切り替えたのである。
『……』
 ガオン、ッ!!オブリビオンマシンがバリアを纏う。青白い光の軌跡を残しながら、その躯体は急激に加速!強力な【バリアチャージ】だ!
「コンバットパターン……これで!」
 だが、ミストは巧みに機体を繰り回避機動を取る。躱した!ミストは更に操縦桿を押し込みながら機体を反転させる。ターゲット・インサイト。慣性に従って前進するオブリビオンマシンをブラックバードの照準器が捉える。即時射撃!【オープンファイア】!弾幕射撃がオブリビオンマシンの装甲を削り取る!
『……!!』
「続けていきます。歯を食いしばってください」
 ――更に追撃!ブースターが火を噴いて、加速するアレックスがオブリビオンマシンへと突貫する。【ナイト・オブ・ミーティア】!轟音とともに激突する躯体が、オブリビオンを揺るがした!
『…………!』
 だが、ここでオブリビオンマシンは踏みとどまる。受けたダメージは決して浅いものではなかったが、その躯体は未だ健在であった。そして敵意もまた膨れ上がり、その存在圧を増大させつつある。半壊した頭部で歪んだモノアイが青白く不気味に光った。
「敵機、出力上昇……ユーベルコード反応です。きますよ!」
 ブラックバードのモニターがアラートを示した。それは敵のユーベルコード出力の上昇を検知したものだ。マシンの纏う青白いエネルギーが拡散する!
「――では、私が対応いたしましょう」
 ざ、ッ。――そこで一歩進み出たのはカプラである。その背後で、徳高い後光が激しく輝いた。
『……!』
「王である少年が慕う近衛騎士よ、呼びかけにどうか応じて下さい」
 徳高くも眩い光が絶大な存在感を伴って放射される。それは【相殺】の輝き。強力な仏学的エネルギーを内包した浄化の光が、オブリビオンマシンのユーベルコード出力を抑え込みその発露を押し止めたのである。
「どうか目を覚ましてください。このような行い、あなたの本意ではないはずです」
 凄まじい存在感の圧力は物理的なプレッシャーとしてオブリビオンマシンの駆動を一時的に押し止めていた。圧倒的な徳高さがオブリビオンマシンそのものまで抑え込んだのだ。そしてカプラは呼びかける。
「そうです。あなたになら聞こえるはず。あなたを想う人々の声が」
 重ねるようにアレックスもまた通信回線を開いた。回線を通じて、アレックスの声がオブリビオンマシンの内部へと届けられる。
「我々は、あなたを助けに来たのです」
『――う、う…………』
 その時である。
 回線を通じて、僅かな声が届いた。――その声の主こそ、オブリビオンマシンに囚われた近衛騎士、デッカードである。
「聞こえますか、デッカードさん」
『わ、私は……』
「……無事なようですね。それでは、このまま救出に移りましょう。貴方はここで倒れる運命にない。仏がそう言っています」
 カプラは静かに頷くと、オブリビオンマシンへと距離を詰めた。
「では、コクピットハッチを抉じ開けます。少々荒っぽくなりますが――」
 更にアレックスが前進し、マシンに取り付きにかかる。――だが、しかし。その時である。
「……待ってください、皆さん!熱源が接近……攻撃です!」
 ブラックバードのコクピットでアラートが鳴った。――接近する熱源。それは――味方であるはずのユーシア軍からの攻撃だ!
「協力者の皆様……ゲヒヒ!ご助力に感謝いたしますぞ。ここからは我々が引き受けましょう。さあ退避なさってください!ゲヒヒヒヒ!」
 ――アクドイネン将軍による攻撃指令である!アクドイネン指揮下のキャバリア部隊が一斉に制圧射撃を開始する!降り注ぐ弾頭と光線が、無遠慮に降り注いだ!
『……ぐあ、ッ!』
 向けられた敵意にオブリビオンマシンが反応した。機体内部で急速にユーベルコード出力が増大!コクピット内で激しくスパークし、デッカードの意識を再び奪い取る!
「デッカード殿!」
「くそ、アクドイネンとこの連中め……いいとこだったのに、何考えてやがるんだ!」
 砲火に紛れて、オブリビオンマシンは再び後退を開始する。遠ざかる反応に、チーム・タイガーのパイロットたちが叫んだ。
「……いまの攻撃命令、どういうことでしょうか」
「指揮系統が混乱している……というわけではなさそうでしたが」
 不可解なユーシア軍――アクドイネン将軍の動きに、猟兵たちは奇妙な意図を感じ取っていた。
「……なるほど。この事件、やはり裏があるようですね」
 その状況は混迷を深めながら、オブリビオンマシンとの戦いは続く。 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

荒谷・つかさ
暴走キャバリアの制圧と、取り残されたパイロットの救助。
なるほど、了解したわ。任せて頂戴。

生身で登場しつつ【XGG00『機煌炎神』スルト】発動
彼らの目前で合身しつつ、敵へと突撃する
スルトの頭頂高は3m、この世界の一般的なキャバリアより二回りほど小さい
けれど、パワー(怪力)では負けてないわ
バリアはドリルユニットを装着した鉄拳を叩きつけて対抗し砕く
その後は本体へと取りつき、羽交い絞めにして抑え込む
味方キャバリアには巻き込みを気にせずに攻撃させる
小さくともスーパーロボット、パワーと装甲が売りだし平気よ

可能ならそのまま関節技をかけて関節部を破壊、更には四肢を捥いで動けなくしてハッチを剥がし救助する


ナイ・デス
キャバリア、お借りします!

地縛鎖を刺して【ハッキング】機体【情報収集】し【武器改造・肉体改造・激痛耐性】神経接続などして
ついでに、公国の機体なので裏を探るのに役立たないかと更なるハッキング準備もしますが

今は、人命救助を優先です!
『イグニッション』
キャバリアと一体化
『オーラ防御』展開、『勇気』充填
【念動力】を放って飛翔『空中戦ダッシュ』
上から攻め、上に撃たせて市街地被害が減るよう戦闘

『野生の勘で見切り』反応
完全回避は無理でもオーラ集中して『かばい』受け流しや
『誘導弾』で迎撃などして

接近戦で、パイロットは傷つけないように……!

『怪力』で組み付き【生命力吸収】燃料を吸収して、無力化狙います


白鳥・深菜
「……とりあえず、キャバリアは今はいいわ。崩しようはいくらでもあるもの」

私がここで狙うは「パーツの破壊」
直接的な破壊ではなく、その布石になる一手。それを全力で狙う。
味方のキャバリアの方に注意が向いている間に、
瓦礫に隠れながら、敵の背後を取る。

どんなに技術が進み、例え背中に眼があったとしても――
人が乗り込んで操作する以上は、正面に一番意識を回さざるを得ない。
人も、キャバリアも。基本的にそうであるのだろう。
故に、背後は死角となる。

魔力を込めた短剣を構え、狙うは支援機の召喚機構!
ただ一つのパーツ破壊に、全力を込める。
こんな酔狂な手という盲点に向けて――『青天白日の暗殺剣』!



「暴走キャバリアの制圧と、取り残されたパイロットの救助……ってことでいいのね?」
 荒谷・つかさ(f02032)は市街地に設けられたユーシア軍の拠点から戦場を見る。
「はい。必ず、助けましょう」
 ナイ・デス(f05727)もまた戦闘の準備を整えていた。手にしたキャバリアの操縦マニュアルに視線を落とし、同時に借り受ける機体のマシンスペックを把握する。
「……ところで、お二人は、借りない、ですか?」
 ふと顔を上げるナイは、つかさと白鳥・深菜(f04881)に問いかける。
「ええ、私にはスルトがいるから」
「……とりあえず、私も今はいいわ。崩しようはいくらでもあるもの」
 深菜は不敵に笑みを浮かべる。
「そう、ですか」
「それよりこの案件、どうも随分きな臭い感じがするわ。シンプルな“狩り”とはいかないかもしれないわね」
 呟きとともに深菜は戦場へと視線を向けた。今はアクドイネン将軍旗下の部隊がオブリビオンマシンに更なる攻勢をかけているところだ。
「きな臭い、ですか?」
「えーと……陰謀的な?」
「多分ね。……さて、そろそろ行きましょうか。狩猟(ワイルドハント)を始めましょう」
 立ち上がる深菜が戦域へと向かう。つかさもまたそれに同道し、一方でナイはユーシア軍のマシンハンガーへと向かった。

「ゲヒヒヒ!このまま叩き潰せ!」
 アクドイネン将軍が通信機へがなり立てる。将軍旗下の部隊は、オブリビオンマシンへと更なる攻撃を仕掛けた。
「アクージョ了解……フフ、デッカード、あなたもこれで終わり――」
「――こちら、ナイ・デス。ユーシア軍の、みなさん、聞こえますか」
 だが、それを遮るようにナイは通信を飛ばす。
「これより、前に出ます。人命救助を優先です!」
 広域回線で届けられたメッセージは、戦域に展開した部隊全体へと響いた。――その意思表示は牽制としてはたらく。
「ムウ……しょ、承知した。撃ち方止め!」
 アクドイネン将軍は渋々攻撃命令を一時中断する。何かたくらみがあったとしても、味方が前に出るのであれば、そこに堂々と火砲を叩き込むような真似はできまい。
 そして、砲撃の止んだ戦場へと猟兵たちは飛び込んだ。
『……』
「見え、ました……あれが、目標!」
 ナイはコクピットのモニター越しにオブリビオンマシンの機影を捉えた。彼の知覚は地縛鎖の電脳魔術的ハッキングツールによってマシンとほぼ一体化しており、接続された神経系は周囲の状況を彼の五感へと仔細に伝達する。
「こちら、ナイ……しかけ、ます!イグニッション!」
 【エクストリガー・ディリゲント】。ナイはユーベルコードを用いて更にマシンとの一体化を深める。フレームは既に彼の骨格となり、マニピュレーターもまた彼の指となる。機体の全てをナイは自分自身の身体の延長線上に置いた。
「こちら白鳥。了解したわ、そのまま引きつけておいてちょうだい」
「こちらつかさ了解。こっちもすぐに仕掛けるわ!」
『……』
 全身に傷を負いながらも未だ駆動し続けるオブリビオンマシンは、その手に握ったビームガンの筒先をナイのキャバリアへと向けた。迎撃射。光線がナイのマシンを迎え撃つ。
「く、ッ……!」
 ナイはマシンのスラスターを吹かし、空中を機動する。敵の狙いを躱しながら、付け入る隙を探った。
「顕現せよ、焔の鉄巨神」
 ――その一方。視認可能距離でオブリビオンマシンの躯体を捉えながら、つかさは唱える。
「紅き眼光、鐵の腕――その姿、神をも灼く刃也!」
 詠唱と共につかさは走った。それを追いかけるように、重たい足音。そこに顕現せしは、鉄と焔の化身である。
「合身!」
『おおっ!』
 つかさは瓦礫の大地を踏み切って跳んだ。背後から追いついた鋼の躯体が、それを抱きとめるように取り込む。
『機煌炎神、見参!』
 おお、見よ。そこに立つ鉄人こそ、つかさがここに呼び込んだ戦闘躯体。その名を【XGG00 『機煌炎神』スルト】!
『……!』
 スルトはそのまま加速した。オブリビオンマシンはナイのマシンへと意識を集中していたため、側面からの攻撃を予期していなかったのである。
『サイズはちょっと小さいけれど……』
 つかさと合体したスルトの体高はおよそ3メートル。この世界における一般的なキャバリアに比すれば二回りほど小型であり、質量では劣るだろう。
 しかし。
『パワーでは負けてないわ!』
 スルトはその拳にドリルユニットを展開した。高速で回転するドリルを伴って、拳をオブリビオンマシンへと叩き込む!
『……!!』
 ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!オブリビオンマシンは咄嗟にバリアを展開し受け止めた。しかし、スルトは強引にそれを突破しにかかる。拮抗するドリルとバリアフィールドの間で激しく火花が散った!
「それじゃ、私も仕事をしましょうか」
 ここで動いたのは深菜である。彼女は味方機が敵機の注意を引いている間に、静かに背後へと陣取っていたのだ。
「……」
 瓦礫の隙間から、狩人めいて深菜は敵の姿を捉える。その手の中で、握ったアサメイが輝いた。
「どんなに技術が進み、例え背中に眼があったとしても――人が乗り込んで操作する以上は、正面に一番意識を回さざるを得ない」
 ――戦闘マシンが、何故ヒトの形をしているのか。
 それは、ヒトが扱うからに他ならない。ヒトの形をしたキャバリアとは、どこまでいってもヒトの延長線上にあるものなのだ。――であるが故に、深菜の分析は正しいといえよう。
「故に、背後は死角となる――そうでしょう?」
 そして、深菜は飛び出した。
『……!』
 敵性の接近を感知したオブリビオンマシンは、振り返って迎撃姿勢を――
『逃がさないわ!』
 ――とれない!意識が逸れたその瞬間、スルトの拳がバリアを削り切ったのだ。ギャリギャリと音を立てながら、ドリルが装甲を穿つ!
「キャバリア相手に生身で奇襲だなんて――こんな酔狂な手、盲点だったでしょう?」
 深菜の握った剣は、かくしてマシンの背面へと届く。
「――狩る」
 【青天白日の暗殺剣/フェア・アサシネイション】。
 水晶のアサメイが、オブリビオンマシン背面に設置されていた部品を刺し貫いた。
『……』
 轟音。
 オブリビオンマシンが膝をついた。深菜は鮮やかな身のこなしで地面へと退避し、動きを止めたその躯体を見上げた。
 これまでの戦いの中で、その躯体が受けたダメージは甚大だ。既に満身創痍ともいえた。活動停止に至るのも、無理はあるまい。
『よし、止まったわね。このまま取り押さえるわよ!』
「はい。パイロットは傷つけないように……!」
 スルトとナイのキャバリアが、二機がかりでオブリビオンマシンを抑え込んだ。更にスルトはコクピットハッチに手をかけ、そして装甲を捥ぎ取る。
「……」
 その一方、機体に接触したナイはマシンを通じてオブリビオンマシンに記録されたデータにアクセスしていた。同じユーシア軍の機体であれば、通信規格は同型だ。ナイはほんの数秒、意識を電脳の中に沈めてマシンの内側を探る。
《ジェイバスター、起動しました。反応は良好。さすが最新鋭のマシンですね》
(これは……)
 オブリビオンマシンの電脳の中からナイが見つけたのは、このマシンが起動するときの音声記録の一部であり、いわばマシンの記憶の断片だった。
(デッカード、さんの、声……でしょうか)
《いえ、待ってください。動力部に異常……?仕様書にないパーツが組み込まれているようですが――なに、ッ!?》
《これは……侵食している!?まさか、オブリビオンマシンの……くっ、皆、このことを早く殿下に……》
《ぐああああああああっ!》
 ――そこで記録は途切れた。ナイの意識が本来の肉体の側へ復帰する。
「……やはり、そう、でしたか」
『何かわかった?』
「はい、あとで、皆さんにも――」
「……待って、何か変よ」
 ここで深菜が違和を覚える。
 それはスルトがコクピットへと手を伸ばしたその瞬間であった。
『……!』
 オブリビオンマシンが、突如として激しく振動を開始したのである。それと同時に――破損したはずの機体装甲が、大破したはずの腕部が、脚部が、再生を開始したのだ。
「ちょっと、これは聞いてないわよ……!」
「く……ッ!もう少し、だったんですが……!」
 そして、オブリビオンマシンは凄まじい出力でスルトとナイを振り払う!更にすぐさまブースターに点火し、加速。機体は再び後退を開始したのだ。
『悔しがっても仕方ないわ。やることはひとつ!追いかけて、追いついて、今度こそ狩るわよ!』
 つかさは視線を上げながら、視界の先に飛び去ろうとするオブリビオンマシンの機影を追った。
 頷きあう3人は、再び移動を開始する。
 ――ワイルドハントは、まだ終わっていない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神羅・アマミ
ここが鉄とシリコンの世界か!
そうは言っても権謀術数を巡らせる腹黒はどこにでもおるらしいのー!
いやー、此度の黒幕、皆目見当もつかんわー(棒)。

そんなわけで妾自身何処へ行ってもやるこた一緒!
ボスがバリアチャージで強襲してくるなら、妾はUC『板付』による一撃で相殺を試みるぞ。
じゃが、データによると奴は支援機でパワーアップし、そんな中で都合よく送り込まれる増援部隊…ここが何やら臭う!
なれば奴の突進の威力を削ぐのは勿論じゃが、本命は増援とボスを分断することにあり!
UCの副次的な地形破壊効果…これを【怪力】と【範囲攻撃】の【吹き飛ばし】でもって、他のデカブツがノコノコ入って来れんよう巨大な岩壁を形成する!


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
まずは王子さまを安心させてあげないとね!

クロムキャバリアを【操縦】してウィーリィくんと一緒にオブリビオンマシン相手に【空中戦】を挑む
【リミッター解除】+【ゴッドスピードライド】で周りを飛び回りながら【ロープワーク】でワイヤーを巻きつけて動きを封じて、【手をつなぐ】で接触回線でデッカードさんに呼び掛けて【鼓舞】して【勇気】を呼び覚ます
「聞こえないのデッカードさん?あなたを呼ぶみんなの、王子さまの声が!」
「聞こえてたら返事をして!あなたの力が必要なの!」

機体を制御できなくてもデッカードさんが無事だという事がわかれば王国のみんなの士気も上がるし、機体が暴走した原因もわかるかもしれない


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
あのマシンに乗ってる人はこの街を守ろうとしてたんだよな?
だったら守らなきゃな。
この街も、その想いも!

クロムキャバリアに乗るのは初めてだけどシャーリーと一緒に暴走マシンを追い、彼女がマシン相手に空中戦を演じている間機体のシールドの【盾受け】で流れ弾から街を【かばう】
マシンがこっちに突進を仕掛けてきたら【カウンター】で【捨て身の一撃】の【料理の鉄刃】を繰り出してこっちが吹っ飛ばされるのを【覚悟】の上で【部位破壊】でマシンの動力部を狙い、機体を停止させる

機体を停止させた後も、もし増援がデッカードさんまで攻撃しようとしたらその攻撃から彼を【かばう】。
あの機体の暴走にも裏がありそうだしな。



「ここがクロムキャバリア……鉄とシリコンの世界か!うむうむ、愉快そーなとこではないか!」
 神羅・アマミ(f00889)は仁王立ちして戦場を見据える。
 鼻孔をくすぐる炎と煤の匂いに、アマミは口の端を歪め笑った。
『……あれ、アマミは乗らないのか?』
『ボクたちはもう借りてきたよー!』
 がしゃん。――その横で鳴る駆動音。アマミが見上げた先に立つのは2機のクロムキャバリア。そのコクピットには、ウィーリィ・チゥシャン(f04298)とシャーリー・ネィド(f02673)がそれぞれのマシンの操縦桿を握る。
「ええんじゃ。妾自身、何処へ行ってもやるこた一緒じゃからな!」
 いざとなれば、ローダーだのアマレンドラだの、大型兵器に対抗するテはあるんじゃし。アマミは肩を竦めてみせる。
「それよりのー、むしろ気にしておきたいのは裏の事情の方じゃな」
『……たしかに、そうかもしれない』
 ウィーリィは僅かに表情を険しくする。
 この戦場において、不可解な動きをする部隊が存在していたのは彼も把握していた。
『あの機体の暴走にも裏がありそうだしな』
「まぁ、権謀術数を巡らせる腹黒はどこにでもおるらしいのー!」
 ――いやあ、とはいえ此度の黒幕、皆目見当もつかんが。わざとらしく抑揚のない声でアマミは付け加える。
『どんな悪だくみがされてたって、ボクたちのやることは一緒だよ。まずは王子さまを安心させてあげないとね!』
 行こう、ウィーリィくん。促すように声をかけながら、シャーリーは機体を前進させた。
『ああ、そうだな……。あのマシンに乗ってる人も、この街を守ろうとしてたはずだ」
 シャーリー機に続いて、ウィーリィのキャバリアも前進を開始した。――オブリビオンマシンのレーダー反応を追って、2人は機体を加速させる!
『だったら守らなきゃな……この街も、その想いも!』
『うん。やろう!ボクたちならできるよ!』
 2機のキャバリアは推進剤を燃やして加速する。アマミはその軌跡を目で追い、短くため息をつく。
「うーむ……リア充しておる」
 そうしてアマミは胡乱な目で呟いてから、戦場へと向かうのである。

『――!』
『追いついたっ!』
『ああ!いくぞシャーリー!』
 後退を繰り返した末に、オブリビオンマシンは既に市街地を抜ける区域まで移動していた。ユーシア公国中央市街地を抜けた先は丘陵地帯だ。この先はかつて公国に名を遺した聖女の名からナナ=マーガリーの丘と呼ばれる場所になっている。
 2機がオブリビオンマシンに追いついた場所は、丁度市街地が途切れ、丘陵地帯との境目にあたる位置であった。
『まずはボクから!』
 シャーリーはレバーを押し込み、マシンの推進力を一気に上昇させた。一時的にエンジンリミッターを解除。カタログスペック以上の機動性を引き出しつつ、シャーリー機はオブリビオンマシンを翻弄するように飛び回る!【ゴッドスピードライド】――本来であれば宇宙バイクの操縦技術に由来するユーベルコードであるが、その技術をシャーリーはキャバリアの操縦へと応用する!
『……!』
 一方オブリビオンマシンは迎撃態勢をとり、ビームガンでの反撃を開始した。連射連射連射!引き金を引くたびに光線が2人へと襲い掛かる!
『おっと……危ない!』
 シャーリーが機動性で躱す一方で、ウィーリィ機はシールドを展開した。流れ弾による街への被害を軽減するつもりだ。ウィーリィは的確に射線を遮り、機体へのダメージを最小限に抑えながらオブリビオンマシンの攻勢に対抗する。
『……!』
 ヴォン――ッ。交錯の中で、オブリビオンマシンの単眼が青白く不気味に光った。
 ユーベルコード出力上昇。マシンが全身にエネルギーを纏い、バリアフィールドを展開する!【バリアチャージ】だ!
『……来たか!なら――』
「おおっとここは妾がもらうぞッ!」
 ――ここで戦場に到着したアマミが敵の目の前に飛び込んだ!生身で5メートル級の機動兵器に相対するのは常人の尺度で考えれば正気の沙汰ではあるまい。しかし、ここにいるのは猟兵である!アマミが固く握った拳にユーベルコード出力が乗る!【板付】!
『……!』
「しゃらくせー!死ねーッッ!」
 ステゴロ!アマミの拳がオブリビオンマシンの展開するバリアフィールドに真正面からぶつかっていく!激突!衝撃!その余波が周囲の空間を揺るがし、道路の建材を砕きながら撒き上げていく!
『!』
 打撃によって砕かれる防壁!オブリビオンマシンの躯体がたたらを踏み、そして揺らぐ!
『こいつも――くらえッ!!』
 追撃!更にそこへウィーリィのマシンが突っ込んでゆく!包丁めいた幅広のブレードを引き抜き、接近と共に一閃を叩き込んだ!【料理の鉄刃/ブレイドワーク・オブ・アイアンシェフ】が、オブリビオンマシンの装甲を抉り、深々と切り裂く!揺らぐ躯体!
『今だ!』
 そこにできた隙こそが好機だ。シャーリー機は空中から一気に加速し、オブリビオンマシンの懐へと迫った。そしてマニピュレーターでマシンの装甲を掴むと、接触回線を通じてシャーリーは通信機を起動する!
『聞いて、デッカードさん!』
『……』
 ザッ――。しかし、通信回線から聞こえるのは、砂嵐めいたノイズばかりだ。
『聞こえないので、デッカードさん?あなたをあなたを呼ぶみんなの、王子さまの声が!』
『――……』
 だが、シャーリーは諦めずに通信機へと叫ぶ。
『聞こえてたら返事をして!あなたの力が必要なの!』
 シャーリーは必死に呼びかけた。
『う――……』
 その時である。――ノイズに交じって、男の声がしたのだ。
『デッカードさん!?』
 その声こそ、コクピットに囚われたデッカードのものであった。
『お、王子に…………伝えて、くれ……動力炉に、細工が……おそらく、敵の……』
 通信回線を通じて、シャーリー機へと声が届く。しかし、だいぶ衰弱した様子だ。オブリビオンマシンの内部に囚われている状況がデッカードの身体に負荷をかけていることは明白であった。
『わかったよ。……大丈夫、心配しないで、デッカードさん。すぐにそこから――』
『――ゲヒヒヒヒ!どうやら好機のようですな!!』
 しかし。
 シャーリー機の通信回線を圧迫するように、広域回線で強力な通信が撒き散らされる。アクドイネン将軍が、戦場全域のキャバリアへ送っている攻撃指令であった。
『さあ、このままあの危険なオブリビオンマシーンを破壊するのだ!』
『アクージョ了解……今度こそ引導を渡してあげるよ、ボウヤ』
『ヒーレッツ了解!』
『ヤッチャナー機、これより攻撃に加わります!』
 アクドイネン将軍の攻撃指令に従って、旗下の部隊が動き出す。――またしてもこのタイミングで攻撃を仕掛けようというのだ!
「おーおー……予想通りじゃな、これは」
 聞こえた通信の声に、さして驚くこともなくアマミを目を細めた。
『やっぱり何か裏があるってことなんだろうな、これは……どうする、アマミ』
「多分アレじゃぞ。向こうの狙いはおそらくデカメロン氏の暗殺じゃ。ここで救出作業を続ければ必ず何かしらの理由をつけて邪魔してくるじゃろ」
『オブリビオンマシンだってまだ完全に停止できてないのに……!』
 マシンに接触しているシャーリーは、オブリビオンマシンの躯体が不気味に振動を始めているのを感じ取っていた。恐らく、再び機体を再生して逃走を図るつもりだ。
「ここは――敢えて逃がす!そんでもって、あとであのアクダイカンとかゆーのをアレしてからあたらめて救出作戦!で、どーじゃ!」
『なるほどな。ここまで来れば街に被害は出ないし……それに、この状況じゃキツいのも事実だ。シャーリー!』
『……わかった。そうするしかなさそうだね……それじゃあ、一度放すよ!』
『……!』
 シャーリー機はオブリビオンマシンから離れ、距離をとる。それとほとんど同時に、再起動したオブリビオンマシンはスラスターに点火し、空中へと飛び立った。
『ムウウーッ!何をしている!撃て!撃てッ!』
 戦域全体に、アクドイネン将軍の激昂する声が響き渡る。無数の閃光と砲火が迸り、そしてオブリビオンマシンを追った。
『一旦帰投して、作戦を立て直そう』
『そうだね……とりあえず、デッカードさんはまだ無事だって王子さまにも伝えなくちゃ』
「よし。それなら一時撤収じゃ。ゆくぞー!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アイ・リスパー
「なんだかどこかで聞いたことのある名前の皆さんですが……
ジェイ……いえ、デッカードさんは助け出してみせます!」

この世界のキャバリアに私のパワードスーツが通用するか、テストさせていただきます!
【強化外装】で『機動戦車オベイロン』をパワードスーツに変形させて乗り込みます。

「行きますよ、オベイロン!
私達の勇気、見せてあげましょう!」

レーザーガトリングを斉射しますが……
バリアに防がれてますっ!?

「くっ、ならばバリアを破る一撃を放つまで!
オベイロン、主砲チャージ!」

大型荷電粒子砲にエネルギーをチャージして敵を引きつけ……

「ゼロ距離から撃ち込みます!」

敵の突進のタイミングに合わせて主砲を叩き込みます!



「……」
 遠く聞こえる轟音。
 嗅覚センサーを震わせる、鉄と機械油の香り。
 アイ・リスパー(f07909)は、ユーシア公国軍の陣地において出撃の準備を整えながらここクロムキャバリア世界の空気を感じ取っていた。
 それはそれとして。
「なんだかどこかで聞いたことのある名前の皆さんですが……」
 ――アイは眉根にしわを寄せた。
 デッカード。マクレーン。ジョー。――どこか聞き覚えのある名前だ、と彼女は思った。
 しかし、いずれの名前にしても、多くの世界において使用される一般的な姓名だ。特にデッカードやマクレーンというネーミングについては、なにゆえか一部の世界におけるクライムサスペンスや警察をモチーフとしたアクション・ムーヴィーにおいて時折使用されるネーミングでもある。警察――刑事(デカ)だからデッカードなのか。そうした印象が彼女の脳に残っていたのだろう。
 だが、それは大した問題ではない。
「……そうですね、どれにせよ……デッカードさんは助け出してみせます!」
 諸々のことをさて置いて、アイは決意を固める。
「それに、この世界のキャバリアに私のパワードスーツが通用するか、テストさせていただかないとですからね!」
 アイは視線を戦場へと向けた。
 ――現状としては、目標であるオブリビオンマシンは近衛騎士デッカードをコクピットに閉じ込めたまま逃走中。猟兵たちの追撃やユーシア公国軍の攻撃を振り切って、尚も戦域からの離脱を試みている――といったところだ。市街地に設けられた公国軍の拠点ではいまだに兵士たちが慌ただしく走り回っている。
「よし!この状況を打破しなくてはいけませんね!では行きますよ、オベイロン!私達の勇気、見せてあげましょう!」
 混迷をきわめる中、アイは迷いなく自らの用意したマシンへと搭乗した。
 機動戦車オベイロン。水陸両用であるほか、自律型のAIまでもを備えたアイ自慢の機動兵器のひとつである。
 アイはオベイロンを駆動させ、そして戦場へと向かった。

『……』
「……むっ。もらっていた情報とだいぶ違いますね?」
 戦場へと到着したアイは、まず真っ先に違和感に気が付いた。
 そう。オベイロンのセンサーが捉えたオブリビオンマシンの姿は、事前にグリモア猟兵から提供されていたものと大きく異なっていたのだ。
「アレですかね……?その、オブリビオンマシン特有の自己再生・自己進化・自己増殖……的な?」
 ――半ば冗談めいて口に出した言葉であったが、アイの背筋には冷たいものが走った。
 このまま捨て置いてしまったら、実はとんでもない事態にまで発展してしまうのではないか?――それこそ、この世界全体を巻き込んでしまうような。
「杞憂だったらいいのですが!」
 アイは眉根に皺を寄せながら、自身の神経系とオベイロンに接続する。
 データリンク開始。電脳存在である自身の存在そのものを電解し、機動戦車を駆動させる電脳に接続し一体化させる。それと同時に、機動戦車オベイロンはその躯体を変形させた――四肢を持つ鉄の巨人の形へと。
「パワードスーツ形態への変形を確認……装着します!」
 【強化外装/パワードスーツ】!戦闘形態へと移行したオベイロンの躯体を繰りながら、アイは視覚センサーに捉えたオブリビオンマシンのもとへと接近を開始した。
『……!』
 その反応を捉えたオブリビオンマシンは、接近するアイに銃口を向け光線で迎え撃つ。
「むっ!そう簡単にはやられませんよ!」
 アイは咄嗟にマシンを駆動し、ビームガンによる迎撃を躱しながら搭載する火器を起動させる。レーザーガトリング。オベイロンの機体から延びたその方針がオブリビオンマシンを捉え、そして轟音と共に光弾を浴びせかける!
『……!』
「バリアですかっ!?防がれてます!?」
 しかし、そのレーザー光弾はオブリビオンマシンの装甲に達する前に爆ぜて散る。――展開されたバリアフィールドが、ガトリングの砲撃を防いだのだ。
「このくらいじゃパワー不足ってことですか……!」
『……』
 ――オブリビオンマシンの頭部で、歪んだ単眼が青白く不気味な光を湛える。
「それなら……バリアを破る出力で一撃を放つまでです!」
 オブリビオンマシンの視覚センサーと、アイの視線が交錯する。――空気が張り詰める一瞬。互いの躯体が熱を帯びた。
「オベイロン、主砲チャージ!」
『!』
 オベイロンの動力炉が出力を増し、その躯体が熱を帯びる。――しかし、それと同時にオブリビオンマシンも全身に光を纏った。【バリアチャージ】の構えである。
「――そう。来るがいいですよ……」
 刹那。スラスターを吹かして加速するオブリビオンマシンがオベイロンへと距離を詰めた。
「……そう。そうくると思っていました!ですから待っていたのです!」
 加速するオブリビオンマシンがオベイロンへと最接近し、そして激突するその瞬間――オベイロンは、光を放つ。
 それは本来であれば戦車であるオベイロンがもっていた、主砲の一撃であった。
 激突。衝撃。閃光。爆散。――ふたつの膨大なユーベルコード出力がぶつかり合う。
 そして。
『――』
「痛み分け、ですか……!!」
 結果として――アイのオベイロンには、激突の衝撃が決して無視できない威力のダメージとなっていた。
 だがその一方で、真正面のゼロ距離から主砲を浴びせられたオブリビオンマシンにも決して無視できない甚大な損傷が与えられていたのである。
「オベイロン……ッ!」
『――……』
 マシンを動かそうとするアイであったが、ダメージを受けたオベイロンのフレームは彼女の意に反して鈍い反応しか返すことができない。
 その様子をほんのわずかな一瞬ばかり見遣って、オブリビオンマシンは踵を返したのである。
 ブースターの出力を上昇させたマシンは、そのまま戦域を離脱するように飛翔していくのであった。
「くっ……!逃してしまいましたか……!」
 アイはオベイロンの操縦席で強く拳を握る。
『――こちら、ユーシア軍です。猟兵の方、聞こえますか』
 そこへ届けられたのは、ユーシア公国軍のパイロットからの通信である。その内容は――一時撤退し、態勢を立て直されよ、とのことであった。
「仕方ないですね……。ですが、諦めませんよ!」
 かくして。
 ――猟兵たちの健闘によって市街地への被害は抑えられたものの、オブリビオンマシンは戦域を離脱する。
 だが、それだけでも上等な結果だったと言えよう。
 なぜならば――このユーシア公国の中には、密かに悪しき計画を企てる何者かの影があり、そしてこの戦いの中においても、その邪悪の手の者たちの暗躍があったのだ。

 そう、今回の案件においては、猟兵たちの敵はオブリビオンだけではない。
 この国に潜んだ闇もまた、君たちの敵なのだ。
 かくして戦いは、次の段階へと移ってゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『諜報員捕縛』

POW   :    怪しい動きをする者を締め上げ、情報を吐かせる

SPD   :    怪しい動きをする者を見つけ、尾行する

WIZ   :    偽の情報を流し、容疑者をおびき出す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 市街地での戦いから一夜明け、ユーシア公国の宮殿は大きな騒ぎとなっていた。
「……デッカードを乗せたオブリビオンマシンは、ナナ=マーガリの丘で休眠中……だけど、近づくと攻撃を仕掛けてくる、ってことだね」
「然様でございます、殿下」
「ゲヒヒ……このアクドイネンに今一度攻撃のご指示を。今度こそあのマシーンを破壊してご覧に入れます」
 謁見の間において、玉座に座るユーティア王子と向き合うのは、大臣アクジオ・タクラムと将軍ゴッツ・アクドイネンである。
「少し待って。その前に、協力者のひとたちと打ち合わせをしておきたいんだ」
「ほう……あの者たちとですか」
「たしかに腕はたちますが……」
「うん。だから皆、下がってくれないかな。きっと彼らもいろいろあると思うんだ。あんまり大勢の人に聞かれたくない話とかもあるんじゃないかと思うし」
 王子は謁見の間の警備兵たちや世話役の官吏たち、そしてタクラム大臣とアクドイネン将軍へ、出ていくように命じた。
「しかし、彼らは得体のしれぬ新参者。殿下一人でお目通しするわけには……」
 だが、タクラム大臣はこれに反発した。
「大丈夫だよ。マクレーンたちを呼んであるからね」
 ここでユーティア王子も切り返す。それに応じるように、謁見の間にはチーム・タイガーの3人が訪れた。
「お呼びですか、ボス」
「……わかりました。我々は下がりましょう」
「うん。ありがとう」
 チーム・タイガーの3人と入れ替わるように、謁見の間にいた臣下たちは外に追い払われる。
 ――そうして人払いの済んだところで、猟兵たちは迎え入れられた。

「ありがとう、みんな。お陰で街は最小限の被害で済んだみたい。お礼を言うよ」
 玉座から立ち上がったユーティア王子は、礼儀正しくお辞儀をした。
「それで――実はみんなに来てもらったのは、こっちが本題なんだ」
 ここで、ユーティア王子は驚くべきことを口にしたのである。
 曰く――どうやら、このユーシア公国の中に、敵の諜報員が潜んでいるのではないか、と。ユーティア王子は疑っていた。
「私も同感です、ボス」
「ああ、きっとアクドイネンの奴だぜ。絶対なにか企んでやがるんだ」
 チーム・タイガーの3人が血気にはやる。ユーティア王子は鎮まるように命じてから、話の続きを始めた。
「……どうしてこのタイミングで、って思うかもしれないけど……。ひょっとして、誰かがデッカードを罠にはめたんじゃないか、って思うんだ。このままじゃ、オブリビオンマシンを止めるっていう口実でデッカードが殺されちゃうんじゃないか、って思ってさ」
「……」
「だから今なんだ。明日の朝、オブリビオンマシンの破壊作戦を始める予定になってる。そのときに邪魔が入らないように、敵の尻尾を掴んでほしい」
 すなわち。
 明日の朝までに、敵の諜報員を見つけだし、そして捕縛してもらいたい――ということだ。
「アクドイネン将軍はたしかに怪しいと思うんだけど、証拠がないんだ」
「ひょっとしたら、将軍旗下のパイロットたちが何か情報を持っているかもしれません。……だいたいは兵舎か、市街地のバーにたむろしているはずです」
 その中には、昨日の戦場に出撃していた者もいるはずだ。メッチャー・ワルソーダ、ビジンダガ・アクージョ、ヒーレッツ・ナワナハル、ワリー・ヤッチャナー……マクレーンがアクドイネン将軍旗下のパイロットたちの名簿を読み上げ、そして猟兵たちに情報を渡す。
「うん。彼らが手掛かりをもっていると思うんだ。……ああ、でも、あんまり手荒なことはしないであげてね」
 ――というわけで。
 ここで猟兵たちに課せられた新たな任務は、ユーシア公国に潜む悪を暴くことである。
聖護院・カプラ
なるほど、先程感じ取った裏とは人の悪意でしたか……。
人を嵌め害そうなど放っておくことはできません。
まだ改心の余地があるかもしれないからです。

私は兵舎にいつのまにか設置されたブッダスタチューを装い、
マクレーンが読み上げたアクドイネン将軍旗下のパイロットたちが通るまで自然に待機しておきます。

対象の人物が通りがかったら、偶然仏が語り掛けてきた風を装って対話を臨みましょう。
何か悩み事があるのですか、人に言えないような事をしているのですか、貴女の父と母は草葉の陰から泣いているのではないでしょうか、今ならまだ引き返せるとブッダは通告しましたと【説得】するのです。

聞き入れて貰えずとも、心に響けば或いは……。


キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

疑わしきは罰せず、まずは証拠を掴んでからか…
幼くとも、玉座に座る者としての心構えは出来ているようだな

では、オーダー通りに穏便な手で証拠を掴むとしようか
将軍旗下のパイロット達に話を聞いてもはぐらかされるだけだろう…
であれば、彼らが外に出ているタイミングを見計らって部屋に侵入
情報収集して証拠を見つけよう

UCを発動、ミントタブレットを舐めて集中し、くまなく部屋を調査すれば何か見つかる筈だ
マッキナ・シトロンを主に使い、情報端末の類いがあればハッキング
書類だった場合はカメラに保存
瞬間思考も駆使して素早く、後を残さずに証拠を集める

さて、動かぬ証拠を集めよう
大人しく尻尾を出してくれればいいが



「なるほど、先程感じ取った裏とは人の悪意でしたか……」
 聖護院・カプラ(f00436)は頷いた。
 先の戦闘の中でカプラが感じた違和感の正体は、何らかの陰謀によるものだったのだ。
「道理で妙な動きがあったわけだ。これで納得がいった」
 キリカ・リクサール(f03333)はカプラと並んで歩く。向かう先はユーシア軍の兵舎である。
「人を嵌め害そうなど……決していい行いではありません。彼らを放っておくことはできないでしょう」
「同感だ。仕事を引き受けた以上はきっちりやるとしよう」
「はい」
 ――道中で、2人はそれぞれの作戦を話し合う。
「私はチャペルで張り込む予定です」
 従軍牧師、という言葉がある。
 敵と戦い、時にその手を汚さなくてはならない軍人という仕事は、人心に大きな負担をかけるものだ。
 その中で、多くの軍人たちは心の拠り所として信仰を求めるのである。人類の歴史に学べば、戦争と宗教は密接な関係があるのだ。
 当然、ここクロムキャバリアにも信仰は存在する。例えばイズランサ地方でポピュラーなのは神祖トミノフストを祖とするムガンダ合衆国やオラバートラ聖国などで広くトミノフスト教であるし、他にもゴーナガイ・ゲッタールタをを開祖とするダイナミック・ブディズムなどがここクロムキャバリアでは有名だ。
 そして、多くの軍においては、それらの信仰に対応してそれぞれの宗教のために祈りを捧げるための器具を揃えた礼拝室が用意されているのである。
「なるほど。たしか……ワルソーダがダイナミックブディズムの信徒だったはずだな」
 キリカはマクレーンから受け取ったデータを確認する。――なるほど。それを利用すれば接触が可能というわけか。
「はい。そちらはどのように?」
「ああ。私は奴らの部屋を探ってみる。企みの証拠が見つかればいいのだが」
 一方、キリカはストレートな諜報活動を行う。物的証拠を上げることができれば、確かにアクドイネン将軍を追い詰めることができるだろう。
「なるほどわかりました。では、向こうの動きがわかりましたら適宜連絡を致します」
「助かる」
 かくして、2人は行動を開始した。

「――ハハハ」
「だからよォ」
「アクドイネンの旦那はさァ」
 アクドイネン指揮下のパイロットたちは、丁度連れ立って兵舎を抜け出し、バーへと向かおうというところであった。
「……おっと、ちょっと待った。オレはチャペルに寄ってからいくぜ。先に行っててくれ」
 その中で、兵士のうち一人メッチャー・ワルソーダは仲間たちから離れる。
 日に一度はダイナミックブディズムのメタルブッダの前で読経するのが彼のルーティンなのだ。
『……』
 ――そして、カプラの目論んだとおりにワルソーダはチャペルへと姿を現す。
 静かに沈黙するメタルブッダスタチューとして完全にチャペルの空気に溶け込んだカプラに姿にワルソーダは気づくことなく、カプラの前に座して読経を始めた。
「南無光子摩尽華 久蓮大座 真導羅言 導和御……」
『――メッチャーよ。メッチャー・ワルソーダよ……』
「……なに?」
 ここで、ワルソーダの耳に声が届いた。
「誰だ、読経の邪魔をするのは……」
『私です……今、貴方の前に居る者です……』
「なに……!?ま、まさか……メタルブッダ!?鉄仏様なのですか!」
 厳かなカプラの声は、敬虔なダイナミックブディズム信徒であるワルソーダにそれを御仏の声だと信じ込ませるのに不足なかったのである。
 神秘的かつ荘厳な体験に、ワルソーダは思わず襟を正す。
『そうです……。どうです、メッチャーよ……。よく生きていますか。悩み事はありませんか』
 そして、カプラはそのまま仏を装ってワルソーダへと語り掛ける。
「それは……」
 しかし、きまりが悪そうにワルソーダは顔をそむける。
『仏にも言えないようなことをしているのですか』
「し、しかし、鉄仏様……」
『……いけません。そのような行いをしていては、貴方の父と母は草葉の陰から泣いているのではないでしょうか』
 カプラは静かに【説得】する。
「うっ……お、親父と、おふくろ……」
 ワルソーダが揺らぐ。その表情は明らかに狼狽し、そして躊躇いと後悔の色を見せていた。
『……今ならまだ、引き返せるのではありませんか』
「……」
 ぎり、と音をたてて、ワルソーダは歯を噛み鳴らす。
 そして立ち上がり、一度カプラに向かって厳かなオジギをすると、逃げるように踵を返したのであった。
「……やはり、悩んでいらっしゃいましたね」
 カプラはその背を見送ってから、ブッダスタチューへと偽装を解いた。
「さて、キリカさん。彼らはバーに向かったようです。今でしたら十分に時間がとれるでしょう」
『……了解した』
 カプラからの通信を受け取って、キリカは動き出す。
「さて――。疑わしきは罰せず、まずは証拠を掴んでから、か」
 キリカは手袋を嵌めながら、猟兵たちに相対するユーティア王子の表情を思い出す。
「幼くとも、玉座に座る者としての心構えは出来ているようだな」
 幼いながらに、彼はよくやっているようだ。依頼主としても信用に足る存在だと思っていいだろう。
「では、オーダー通り穏便に。証拠を掴むとしようか」
 キリカはミントタブレットをひとつ取り出して口の中に放り込んだ。【パスティーユ・ド・ヴィッシー】。舌の上から味蕾を通じて広がるさわやかなミントのフレーバーが、キリカの神経系と頭脳を活性化させてゆく。
「……」
 兵舎は基本的に4人1室で共同使用するかたちになっている。キリカが忍び込んだのは、メッチャー・ワルソーダとヒーレッツ・ナワナハル、そしてワリー・ヤッチャナーの使用する部屋だ。それなりの広さの部屋に簡素な2段ベッドが2台とクローゼットが4台と4人掛けのテーブルセット。兵舎だけあって、物自体は少ない。
「くまなく調査すれば何か見つかる筈……」
 その中でキリカが目を付けたのはクローゼットであった。クローゼットは衣類掛けになっている上半分と、引出状になっている下半分に分かれている。その中に、鍵のかかる段があるのだ。
「……」
 キリカは予め準備していたピックツールを用いて鍵を開く――ビンゴ。ノートタイプの情報端末だ。
「よし――。この中に証拠があればいいが」
 引き出しから取り出した端末を起動し、キリカは腕にしたブレスを通じてハックする。マッキナ・シトロンはその機能を十全に発揮し、パスワードを抉じ開けて内部データの複製を開始した。メールボックスやチャットツールなどの通信記録や、データベース内の書類データは特に取りこぼしのないように探る。――収集完了。キリカは静かに端末を閉じる。
「……さて、あまり時間はかけられないな」
 一台目の端末から情報を吸い上げ終え、キリカは次のクローゼットに視線を移した。
「カプラ、そちらの様子はどうだ」
『まだ戻ってくる気配はありません。ですが、イシヴァース砲をメンテして撃つ、というスペースコトワザもあります。急いだほうがいいでしょう』
 通信機越しにカプラが答える。
 イシヴァース砲とはスペースシップワールドでも頑丈で故障しないことで有名な戦艦用ビーム兵装である。そうした信頼性のある機材でもメンテナンスを欠かさない、即ち油断せず慎重に事を運ぶことを美徳とするスペースコトワザだ。
「わかった。手短に済ませ、可及的速やかに撤収する」
『はい。よろしくお願いします』
「これで大人しく尻尾を出してくれればいいが」
『そうなるよう祈りましょう』
 ――かくして、猟兵たちの作戦は開始されたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桐原・剛将
「あんまこういう調査とかは苦手やねんけどな」
向かうはバーだ。
お決まりのセリフで追い返される前に先に言ってやるわ。
「ミルク。ジョッキでな」
もし絡んでくるようなのがいれば木刀でぼてくりこかすわ。
「ガキや思て舐めすぎちゃうか? それとも酒の飲みすぎってことにしといたほうがええか?」
後は牛乳でも飲みながらアクドイネンの愚痴をマスターに零すで。
そうしたら不満をもってる奴が愚痴で息抜きしに会話に混ざってくるやろうからいい感じに聞き出したろ。
今のデッカードの件に関わってないぽかったら「これは機密やけどな……」で切り出せばもっと口が滑るかもしれんしな。
おっと酒を奢るのも忘れたらあかんな。


アレックス・エイト
権謀渦巻く戦乱の世界、腹の探り合いは日常茶飯事でしょう
とはいえ、やはりこの空気はあまり好きではありませんね
…我らの城の大臣達の苦労が偲ばれます

さて…ヤッチャナー氏は先の戦闘では終盤まで攻撃に参加していなかったようですね
あまり乗り気ではなかった…?
将軍旗下の者達も一枚岩ではないのかもしれません
バーで飲んでいるらしいので、魔力補充がてら一度訪ねてみましょう

流石に真っ向から本題を切り出すのはリスクがありますね
労をねぎらいに来たという体で話し掛け、酒を奢りましょう
…振舞う酒は、度数が高い物を
酔わせて判断を鈍らせ、諜報員についての情報を聞き出していきます
…後で酔い覚ましの薬くらいは渡しておきましょうか


ミスト・ペルメオス
【WIZ】

得意とは言えませんがやれるだけやってみましょう。実力行使は最終手段、ですね。

良からぬことを考えている連中が、我々猟兵に対しても何らかの行動に出る可能性はある…と思います。
例えば我々に付け入る隙があるか、排除できるか。或いは条件次第で向こう側に取り込めるか…。

市街地のバーに赴き、「殿下に雇われた傭兵が気分転換にやってきた」風を装い情報収集を試みる。
少々浮いてしまうのは致し方ないが、目立つことで「向こう側」からの接触があれば良し。
人気の無い場所での密談となればより好都合。
排除または篭絡を仕掛けられれば、証拠を情報端末に記録した上で実力行使。
【サイキック・プレッシャー】。威圧し、拘束する。



「あんまこういう調査とかは苦手やねんけどな」
 桐原・剛将(f29916)の足は、市街地へと向けられていた。
 どこの世界に於いても、緊張感の中で生きる戦士や兵士の類が求めるのは娯楽――言ってしまえば、もっともプリミティブな文化活動である飲酒だ。であるが故に、上方を求めて剛将はバーへと向かう。
「私もこういった任務は得意とは言えませんが……やれるだけやってみましょう」
 そこに合流したミスト・ペルメオス(f05377)もまた、目指すところは同じであった。
「ですが、ここクロムキャバリアもまた権謀渦巻く戦乱の世界、腹の探り合いは日常茶飯事……ということでしょう」
 ――戦争、という文化を持つ社会であれば、ただ単純な火力の撃ち合いや殴り合いだけで話は済まない。アレックス・エイト(f22485)はそれをよく心得ている。
「とはいえ、やはりこの空気はあまり好きではありませんね」
 アレックスは騎士として己が仕える城と、その中で暮らす人々の顔を思い浮かべる。――彼の第二の故郷ともいえるアックスアンドウィザーズ世界もまたオブリビオンフォーミュラが討伐されたと言えど、王国を抱え、そしてその中に数多の戦いの火種を内包した世界だ。
「……我らの城の大臣達の苦労が偲ばれます」
「人間同士が出会えば必然的に戦いが生まれるのは真理ともいえますからね……」
 アレックスの呟きに、軍人として戦場を渡り歩くミストは頷いた。
「そういうもんなんかねえ。ようけわからんわ――おっと、そろそろ近づいてきたみたいやな。入る前に、ちょいちょい話しとこか」
 ここで一旦剛将が猟兵たちを制止した。――これより彼らは、アクドイネン将軍旗下のパイロットたちがたむろするというバーのうち一軒、『ワルヨイ』に潜入する予定となっている。
 それは即ち、潜入捜査なのだ。迂闊に飛び込んでしまえば、怪しまれて情報のひとつも得ることができない――というのは、想像に難くない。
「そうですね……それでは、作戦を決めましょう」
「了解しました。では――こう致しましょう。2人とも、お耳をお貸しください」

 ――ユーシア公国都市部、歓楽街。
 バー『ワルヨイ』は、どちらかと言えば治安の悪い方のバーだ。客層の多くは傭兵たちや地元の悪い大人。そして、軍属のパイロットたち。
「……」
「……」
 必然的に、そうした場へ少年とも言っていい年代の歳若い2人――剛将とミストが足を踏み入れたのであれば、その姿は客たちの注目を集めた。
「――いらっしゃい。はじめて見る顔だな」
「はい、私たちは……」
 バーテンダーが不審げに2人を睨む。ミストは努めて落ち着いた雰囲気を装い、挨拶の言葉を紡ぎ出そうとするが――
「イーッヒヒヒ!なんだ、どこの坊ちゃんだァ……?」
 先述の通り、いってしまえばここは『ガラの悪い』タイプの店だ。“そういう”タイプの客たちが、下品に嘲笑う。
「グフォフォフォフォフォ……キンダーガーテンと間違えて来たのかなア?ミルクでも飲ん」
「ああ、ミルクや。ジョッキでな」
 しかし、それを意に介することなく剛将は涼しい顔で注文を伝え、そしてカウンターの席についた。
「――はい、私もそれで」
「……あいよ」
 奇異と好奇の視線に晒されながらも、2人はバーのカウンター席へと足を進める。
「おいおいおい!おかしいじゃねえか……酒場だっつうのにガキがボグヘッ!!!」
 その最中、剛将の右腕が跳ねた。――その手の先が振るう木刀の一撃が、絡んできた悪党の意識を刈り取ったのだ。
「ガキや思て舐めすぎちゃうか?それとも酒の飲みすぎってことにしといたほうがええか?」
「剛将さん、そのくらいで」
 2人は何事もなかったかのようにカウンター席へと腰を下ろす。突然の状況に、店内の男たちはざわめき立った。
 ――“そういう”店である都合上、荒事や喧嘩は日常茶飯事だ。ざわめぐ客を置いて、店主は何も言わずジョッキを用意する。
「首尾は上々……といったところですか」
 その一方。剛将とミストが“目立つ”ことで、客たちの目を引きつけている間にアレックスは静かに店内へと足を踏み入れた。
「……ワリー・ヤッチャナー氏ですね」
 剛将とミストからは離れた席に、アレックスは位置取った。そして展開の様子を見渡した後、その視覚センサーに捉えた情報をデータと照らし合わせる。
「いやぁ、しかしや。しかしやで、マスター。聞いてくれんか。――あのアクドイネンとかゆーおっさん、よう好かんわ」
 その時、剛将が新たに行動を開始した。――わざとらしいほどに大きな声で、アクドイネン将軍について言及する。
「……なんだい、藪から棒に」
 バーテンダーはテーブル越しに表情を歪めた。――ここ『ワルヨイ』に来店する客の中で、アクドイネン将軍の息のかかったパイロットは少なくない。ヤッチャナーの他にも、アクドイネンの指揮系統下に入っているパイロットは多いのだ。
「そうですよ、剛将さん。……ああ、すみません、マスター。私たちはユーティア殿下に雇われたパイロットなのですが……」
「……殿下に?」
 ――バーテンダーの双眸が細まる。店内の空気が僅かに変わったのを、ミストは感じ取った。
「――にしてもなァ、あのおっさん。ありゃ絶対なんかあくどいこと企んどるで。例えば、そう……」
「「王位簒奪!」」
 その一方である。
 剛将が構わず続けていたアクドイネン将軍の悪評に、何人かの客が乗ってきたのだ。
「王位簒奪ゥ?なんや、急に話がおっきなったやんか」
 飛び出したあんまりにも物騒なワードに、剛将は訝しむ。
「いやいや、あのおっさんだぜ。そんくらいの野望あってもおかしくねーって」
「今回の事件、あのおっさんも案外喜んでるんじゃねえの?」
「『あのデッカードさえいなければ~~~ッ!!』……つって」
「おっ!今のメッチャ似てんじゃん!もっかいもっかい!」
「『あのデッカードさえいなければ~~~ッ!!』」
 ――その話題に、店内は急に活気づいた。
「……なんやなんや。どういうこっちゃ?」
「ああ。……アクドイネン将軍は、デッカードを目の敵にしていたからな」
 補足するように、バーテンダーがぽつぽつと口を開く。――曰く。日ごろからユーシア公国の実権を握ることを考えていたアクドイネン将軍は、その地位を押し上げるために様々な策を講じていたのだという。
 その中でも最も露骨だったのが、現在の最高指導者であるユーティア王子への接近だ。だが、それはユーティア王子の近衛騎士であるデッカードによって阻まれていたのである。
「……で、その恨み節がそれ、っちゅーわけか」
 剛将は眉根に皺を寄せた。
「まあまあ。ですが、我々は殿下やデッカードさんの人となりもまだよくは知らないわけですし……」
 そこにすかさずミストが発言し、中立的な立場を見せる――。
 そのようにしながら、2人は酒場の人々から次々と話を引き出していったのである。

「……なるほど。やはり将軍旗下の者達も全員が誠実に忠誠を誓っている……というわけではないようですね」
 アクドイネン将軍を揶揄するような――あるいは、コケにするような。そんな雰囲気を、アレックスは酒場の人々の中から感じ取っていた。
 真に忠誠を誓う部下たちを揃えていれば――それに足る人物であれば、このような空気は生まれまい。将軍旗下の者たちも、一枚岩ではないということなのだろう。
「では――こちらも動くと致しましょう」
 そして――アレックスは、不意にヤッチャナーの座す席の近くへと腰を下ろした。
「失礼」
「なんだ……!?」
「いえいえ……。私はアレックスと申します。先の戦闘、実にお見事でした。あなた方の尽力がなければ、街の被害はもっと大きくなっていたことでしょう」
 そして、矢継ぎ早に言葉を浴びせかける。――労をねぎらいに来た、という風情で、アレックスはヤッチャナーに語り掛けた。
「お、おう……」
「ぜひ、一杯おごらせてください。――マスター。テキーラを」
「あいよ」
 戸惑うヤッチャナーをよそに、アレックスは注文を通す。
「どうぞ」
「ああ……もらうぜ」
 アレックスはテーブルへと届いたグラスをヤッチャナーへとすすめ、そしてヤッチャナーはそれを受け取った。
「……しかし、なかなか好かれてはいないようですね、そちらの将軍殿は」
「まァ――そりゃ、しょうがねぇだろうさ」
 ヤッチャナーはグラスを傾けながら口の端を歪める。
「……と言うと?」
「さっきの連中が言ってただろ。『王位簒奪』……。アクドイネンの旦那ァ、本気だぜ」
 テキーラを飲み干して、ヤッチャナーは頷いた。
「……王位簒奪、ですか」
「アア。それに、デッカードのマシンがああなったのだって、旦那の――」
 からり。グラスが音を鳴らしてテーブルへと置かれる。そこでヤッチャナーは一度短く息を吐き出して、そして視線を上げた。
「いや、これ以上は言えねえ。旦那があんな計画を立ててたのだって、旦那のマシンのパーツが――……いや、ダメだダメだ。これ以上は言えねえ」
「なるほど。……はい、こちらも無理強いは致しません」
 アレックスは頷いた。
「では、失礼いたします」
 そうして、アレックスは席を立って店を後にする。――数分を置いて、それに続くように剛将とミストが店を出た。

「……いかがでしたか」
 2人を迎え入れ、アレックスが切り出した。
「せやな――あのおっさんが王子を狙っとるっちゅーんはわかったで。……そのために、デッカードが邪魔やったんやろうな」
「……十中八九、でしょうね」
 剛将とミストは頷きあう。
『――いやいや。お待ちください。ここは考え方を変えられては如何です?むしろアクドイネン様は国を救おうとしていると……』
 だが、その時である。――歩く猟兵たちの背に、突如として声が投げかけられた。
「誰です……?」
 反応するミストが、鋭く虚空を睨む。同時にアレックスと剛将も、周囲に警戒の視線を巡らせた。
 ――よもや、アクドイネン派の刺客か。ミストは眉根に皺を寄せる。
『あなた方のことは『ワルヨイ』にいる時から拝見しておりました……。我々はこの国をもっと“良くしたい”と願う者。ぜひ、あなた方の手を――』
「……熱源、二時の方向」
「そこかァ!」
 そして、“声”が台詞を言い終えるよりも早く剛将が奔った。その右手に握った木刀が閃く。サーマルセンサーによって敵性の存在を感知したアレックスが敵の位置を捉え、剛将がそれを追ったのである。
『む……ッ!随分と、喧嘩っ早い……まだ話は』
「いえ。その話でしたらお断りします」
 続けてミストが念動力を収束させる。生まれる思念エネルギーが不可視のサイキックウェーブとなって空間に押し寄せた。――【サイキック・プレッシャー】。
『ちょっと……!?あー!私の光学迷彩が!!』
 ばちっ!念動力の圧によってダメージを受けたガジェットが破損し、火花を散らした!更に刺客は凄まじい念動圧に身動きを封じられる!それを見逃すことなく、剛将が木刀を振り下ろした!
「おらあッ!」
『ギエーッ!』
 ――炸裂!轟音と共に、猟兵たちに迫っていた刺客が昏倒し、目を回しながら路上に倒れ込んだのである。
「……重要参考人、でしょうか」
 路上に仰向けになったその姿を見下ろして、ミストは首を傾げる。
「せやな。そんなら、このまま捕まえとこか」
「どれにせよ、有益な証言が得られる可能性もあります。先までの情報もあわせて統合すれば、将軍の喉元に迫れるかもしれません」
 剛将とアレックスは頷きあい、そして倒れた刺客の身体を抱えたのである。

 かくして――猟兵たちの作戦は続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神羅・アマミ
「手荒な真似はしないで」が「押すなよ!絶対押すなよ!」って意味か判別しかねるのー。
…まずは頑張って妙手を考えます!

そうじゃな…アクドイネン旗下の四人を疑心暗鬼に陥らせるというのはどうじゃ?
ロプクッミナイダ連合国とかスクッナイガ帝国とか捏ち上げて、「国家転覆のため二重・三重にスパイとして活動する凄腕の諜報部員がいるらしい」とかなんとか、各人それぞれが一人でいる時に吹き込むんじゃよ。

あとは真の姿・メカニカルスパイダーからUC『裏送』を発動、アクドイネン官邸内で張る!
痺れを切らしたボケナスが現れ、敵国諜報員であることをベラベラ自白してくれたら御の字じゃな。

それが無理なら…やっぱ手荒な真似行っちゃう?


白鳥・深菜
「よし、それじゃあ行ってくるわ。
あと、さっき話したキャバリアの件は次の作戦までには頼むわね」

調査はバーにでも行きましょうか。
バーの中に入ったら、調査対象に小細工なしで正面から接触。

「早速で悪いけど。
今回の件について色々お話ししてくれるかしら?
ああ、力技はやめておいた方がいいわよ。
私、自力でキャバリアを壊したし、それに――」

と、威圧的に情報を収集していくわ。

「最初から貴方を狩るつもりで、私はここいいるのよ。」

その為に、バー突入前に【叫び舞う禍福の羽】のレギオンで
バーの周囲をがっちり包囲して逃がさないようにしとくのだけど。

「さあ、とっとと私の知りたい事は全部吐きなさい。
――鳥葬に処すわよ」


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
情報を掴むために胃袋を掴む。

王子に頼んで許可をもらい、シャーリーと一緒に兵舎近くにラーメンの屋台を開く。
そしてパイロットに【料理】の腕を振るってラーメンを振る舞い、【華味三鎮】で安らぎの感情を与え、敵についての情報を聞き出す。
「ミッションお疲れさん。おかげで街の被害も最小限で食い止められたみたいだな」
彼らを労いながら世間話。
「すごいよな、みんな。この国を守るためにあんなマシン乗りこなして危険な戦いに身を投じてるんだから」
本当に愛国心を持っている人なら国を脅かすような悪事に加担したりしない。
だから、きっと俺達に力を貸してくれる。

もし将軍の配下が情報をくれたら王子に恩赦を申し出る。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ウィーリィくんのラーメン屋台を手伝いながら情報収集
確か昨日の将軍の通信に応答してたのはアクージョ、ヒーレッツ、ヤッチャイナー、だったっけ?
でも将軍の手先は他にいるかも知れないし、中には無理に従わされている人もいるかも知れない
ま、数撃ちゃ当たるよね!

おいしそうな匂いを漂わせて兵舎のパイロットたちを呼び込んで、世間話に乗じて【鼓舞】でおだてあげて【罠使い】で口を滑らせて今回の黒幕の悪巧みの尻尾を掴む
もし客の中に敵の手先がいて逃げようとしたら【ロープワーク】で縛り上げる
はーい、悪事の証拠一丁あがりっ☆


ブラッドルファン・ディラィトゥオクア
軍人さんて、あれやろ
基本上の命令に忠実、っちゅうお犬さんみたいなもんなんやろ?
きっとアクドイネンからのドサクサに紛れてこっくぴっと撃ち抜けとかなんとか極秘指示されとるんやろなぁ
せやったらそれ逆手に取ればええやんな
タムロってるばぁに目立たん格好で行ってますたぁにあちらのお客様からです言うて渡してもらおかな
やっぱここは極秘司令を装って山吹色のお菓子の菓子折りやわ
二重底で指示書やね
内容は計画が変更になった街外れに来られたし、ちゅう感じやわ
ほんで誘き出されたら姿見せん状態で話して
作戦内容聞き出せたらええけど
ダメでもこっくぴっと破壊禁止なったゆうて偽指示や
そないなら悪うても死なせんで済むかもしれへんしな



「『手荒な真似はしないで』が『押すなよ!絶対押すなよ!』って意味か判別しかねるのー」
「そうねえ……言葉の裏を読んだ、ってことにしておきましょうか?」
「まあまあ。剣呑やねえ」
神羅・アマミ(f00889)と白鳥・深菜(f04881)。そしてブラッドルファン・ディラィトゥオクア(f28496)は作戦行動に移る。
「みんなはどうするんだ?」
「ボクたちは兵舎の方に向かう予定だよ」
ウィーリィ・チゥシャン(f04298)とシャーリー・ネィド(f02673)は調理器具を抱える。2人はこれから兵舎の近くに屋台を出店し、そこで兵士たちを待ち受けるのだ。
「うちは『ばぁ』にいきますわ」
「そうね、私もそのつもりよ。小細工なく正面からね」
 ブラッドルファンと深菜は市街地方面を指した。
「ふーんなるほど……であれば二手に分かれるかたちじゃな」
 一方、アマミはウィーリィ組に同道する方針に決めた。
「それじゃ、何かあったときは連絡入れるわ」
「オッケー。お互い、いい成果が出るといいね」
 かくして猟兵たちの作戦は始められる。

「確か昨日の将軍の通信に応答してたのはアクージョ、ヒーレッツ、ヤッチャイナー、だったっけ?」
 ユーシア公国軍、兵舎付近。
 ウィーリィ、シャーリー、そしてアマミの3人は、屋台の出店を準備していた。
「あとなんか悪そうな奴おったろ。えーっと、なんじゃったか……」
「たしかワルソーダだったな」
「それじゃ」
「でも、将軍の手先は他にいるかも知れないし……無理に従わされている人もいるかも知れないよね」
「うむ。悪どい奴ならその程度のことは平気でやるじゃろうな」
「そういう人がいるなら助けてあげたいけど……」
「待て。そろそろ客が来たようじゃぞ」
「よーし!それじゃ開店だね!」
 近づく人の気配に、シャーリーはノレンを掲げる。
 ラーメン。
 雄々しいグレート・オスモウフォントで猛々しく描かれたその四文字が、その存在を大きく主張した。
「……なんだこりゃァ」
 通りすがった兵士たちが、困惑の声を漏らす。
 その中には、アクドイネン将軍旗下のパイロットたちの顔もいくらか見ることができた。メッチャー・ワルソーダやヒーレッツ・ナワナハルといった、先の戦場に出撃していた者たちもその中には含まれている。
「いらっしゃいませー!」
「どうぞどうぞ!!」
 シャーリーとアマミは精一杯の営業スマイルで兵士たちを迎え入れる。
「よう、ミッションお疲れさん。あんたたち、昨日のパイロットだろ。おかげで街の被害も最小限で食い止められたみたいだな」
 そして、ノレンを上げながらウィーリィがパイロットたちへと声をかけた。それと同時にふわりと広がる豚骨ベースのスープの香り。それは中華料理や日本料理文化のないクロムキャバリア世界人たちの嗅覚にとって、未知の刺激であった。匂いに誘引されるように、男たちがふらふらと屋台に並ぶ。
「こいつは……」
「ラーメン、っていう外国の食べものさ」
「今日は開店サービスにお主らへのねぎらいも兼ねてのー。通常の半額でよいぞ!」
「いいよ!」
 アマミとシャーリーが畳みかける。――結果、ワルソーダとヒーレッツをはじめとした数人の兵士たちが、屋台の椅子へと腰を下ろした。
「……なら、そのラーメンってやつを頼む」
「俺もだ」
「はーい!ウィーリィくん、ラーメン二丁!」
「あいよッ!」
 オーダーに応えるウィーリィが、手早く調理を開始した。UDCアース世界の中でもウィーリィが目利きした製麺所の中華麺に、アックスアンドウィザーズ世界で探した食肉家畜タブロックの肉を用いた叉焼と骨ガラ。スペースシップワールドの農耕船団マサイタ産のスペースナガネギ。様々な世界を巡る猟兵の料理人だからこそできた食材集めの成果である。それらはここでその結果を出す。
「なんだ、ありゃあ……見たことねえ料理じゃねえか……」
「塩味を強めたスープパスタかァ?……いや、それにしちゃア違う……」
「――へい、お待ちどう!」
 ――提供。ウィーリィが2つの丼をカウンターに提供する。
「……ほう」
「ううむ」
 ワルソーダとヒーレッツが同時に息を吐いた。
「食べてくれ。この一皿のために俺は料理人になったんだ」
「……」
 初見の料理である。2人は警戒の色を見せていた。――だが、目の前に出されたラーメンのたてる湯気と、それに混じって襲い掛かる濃厚かつ芳醇な『美味』の香りは2人を既に捕えている。
 ズズーッ――。――わずかな逡巡を経て、2人は麺を啜った。
「……旨い」
 メッチャー・ワルソーダは、滂沱した。
 それは彼にとって初めてであり――どこか懐かしさをおぼえる味わいだったのである。暖かくも優しくつつみこむような風味の豚骨ベースのスープは、貧しかった彼の幼少期に母が豚の骨ガラを煮立てて作ってくれた具のないスープのあの味とどこか似ていた。
「そう言ってもらえると、俺も鼻が高いぜ。……感謝してるんだよ、あんたたちには」
 そこを好機と見たウィーリィは、更に畳みかける。
「すごいよな、みんな。この国を守るためにさ。あんなマシン乗りこなして……危険な戦いに身を投じてるんだから」
「……」
 ウィーリィは、素直に彼らを称賛したのである。
「……う、っ。うう、ううううう……!」
 ワルソーダは更に涙を流した。
「……おい。おい!ワルソーダ!てめえ、どうしたってんだ!?さっきから様子が……」
 ――異様ですらあるその様子に、ヒーレッツが困惑の声をあげる。
「お、俺……俺は、さっき、メタルブッダに……メタルブッダに会ったんだ……ブ、ブッダにも言えないようなことをしてねえかって……お、親父とおふくろが、泣いてるんじゃねえかって……」
 メッチャー・ワルソーダは、先刻兵舎の中に設置された礼拝室において、『鉄仏』に邂逅したのである。敬虔なダイナミックブディストであるメッチャーは、純粋に労うウィーリィの言葉に良心の呵責が耐え切れなくなったのだ。
「……おい!」
 ここでヒーレッツは状況の異様さに感づいた。――すぐさま席を立ちあがり、素早く屋台からまろび出る。
「クソ……なんだ、何が起きてる!罠を張られたのか……!?俺たちが!?」
「フフフ……ようやく気付いたようじゃな」
 舌打ちするヒーレッツの背後で、アマミが嗤った。
「……!このガキ……!」
「知っておったか、お主」
 ヒーレッツが咄嗟に抜いたナイフをアマミは素早いハイキックで蹴り飛ばし、更に間合いを詰める。
「――お主らアクドイネン派の中にな、裏切り者がおるっちゅー話じゃよ。……くくく。もっと言えばお主は“売られた”んじゃ。どうもクミナイダ連合国だかスックナーイガ=トーリガ・カラ連邦だかからの二重三重スパイとゆーではないか」
「なに……!?」
 ヒーレッツは素早く身を躱し、再びアマミとの間合いを取った。
 ――尚、アマミの発言は一から十までそのすべてが適当なでっち上げである。彼らアクドイネン派のパイロットたちを疑心暗鬼に陥らせ、情報を吐かせやすくするための心理的テクニックだ!
「野郎……!事実無根だ、そんなこと!クソ!誰が裏切りやがった!?」
「どれにせよ、お主らはマークされとったっちゅーことよ!もー既に詰んでおるぞ卑劣マン!」
「ふざけるな――!クソ、クソ、クソ!俺はちゃんとやってただろうが!!アクドイネンのおっさんの指令だってちゃんと聞いて、デッカードのあのマシンにだって細工を……」
「――今なんて言った!?」
 しゅ、ッ!
 アマミの追跡から逃れようとしていたヒーレッツへと、括り縄が投げかけられる!そのロープを手繰るのは――シャーリーだ!
「ぐあ……ッ!」
「デッカードさんのマシンに細工、って……」
 引っかけた括り縄を引きながら、シャーリーが眉根に皺を刻む。
「あー。たしかに聞いたぞ。言うておった。――こいつは、ちと詳しく話を聞く必要がありそうじゃな?」
「グオ……!」
 引っ立てられたヒーレッツを、シャーリーが更に巧みなロープ捌きでぐるぐると巻いてゆく。悪事の証拠一丁あがり。これこそがアクドイネン将軍を追い詰める重要な一手に繋がることだろう。
「よし。そしたらこれで首尾は上々じゃな!ならお主らにあとは任せたぞ!妾はアクドイマンの屋敷で張り込むこととする!」
 そしてアマミは次なる行動へと移るのだ。――捕縛したヒーレッツをシャーリーに託し、ウィーリィへの挨拶もそこそこにアマミはアクドイネン邸へと向かった。
「う、うう……な、なあ、アンタ、聞いてくれ……。お、オレは……俺は、アクドイネン将軍の命令で、とんでもない悪事を……」
「そうか……つらかったんだな、お前も……」
 その一方で、屋台のウィーリィはメッチャー・ワルソーダの涙ながらの懺悔を聞いてやっていたのであった。

 一方、同時刻。――市街地のバー、『ワルヨイ』にて。
「――今日はどうも胸騒ぎがするわねぇ」
 ビジンダガ・アクージョは、グラスを傾けながら呟いた。
「……どういうことです?」
 ワリー・ヤッチャナーは、その言葉に首を傾げる。
「『風向き』が変わるかも――っていうことよ。おわかり?」
「……」
 2人はテーブル越しに睨みあうように視線を交錯させた。
 ――その時である。
「あちらのお客様からです」
「……?」
 アクージョとヤッチャナーの席へ、ひとつの箱が届けられたのだ。
「……」
 その様子を、やや離れた席から見つめるのはブラッドルファンである。
 ――彼女は、メッセンジャーを装っていたのである。
 軍属の人間とは即ち、しばしば猟犬に例えられるように上からの命令に忠実な――悪しように言ってしまえば、犬のようなものである。
 それは即ち、『指令には絶対に従う』――ということだ。
「せやったら、それ逆手に取ればええんやろ?」
 ――おそらくは、非公式の場でこのようにして極秘の指示を受け取っているはずだ、と推理したブラッドルファンは、自らを『連絡役』に偽装して彼らへの接触を試みたのである。
 『指令』とあらば、彼女たちもそのメッセージを無視することはできまい。例えアクドイネンからのものではないと看破されたとしても、何かしらの成果は得られるはずだ。
「……ふうん。いつもと違う顔じゃない」
「アクージョ」
「とりあえず、開けてみましょう。いきなり爆発――なんてことは、流石にしないでしょうしね?」
 アクージョは口の端に緩やかな笑みを浮かべながら、他の客に見えぬようにそっと箱を開ける。
「あらま」
「……?」
 ――それは、『山吹色のお菓子の菓子折り』であった。
 時代劇に縁のない読者諸君に説明するのであれば、それは即ち『賄賂』である。――イズランサ地方で流通する、神祖トミノフストが描かれた紙幣の束が、箱には詰まっていた。
「どう思う?」
「……ここでアクドイネンの旦那が追加報酬を出すとは思えない。どう考えても別の勢力からだろう」
「同感ね」
 アクージョとヤッチャナーは顔を見合わせた。
「それで、どうします?」
「……そうねぇ」
 言葉を交わしながら、アクージョは箱の底を叩いた。――そこに仕込まれた二重底の仕掛けに気づいたのである。
「アタシは行ってみるわ。“こういうの”がこっちにきてる時点で――先のこと、考えるべきじゃない?」
「……そうですか」
「ヤッチャナー。あなたは?」
 アクージョは箱を抱えたまま席を立つ。一瞥したヤッチャナーへと問いかけ、そして笑った。
「俺は――やめておきます」
「あら、そう。案外義理堅いのね、アナタ」
 そうして、さほど気にしてもいない様子で――アクージョは密やかに店を後にする。
「――失礼」
 深菜が店を訪れたのは、その数十秒後であった。
「今、ここにいるお客さんで――アクドイネン将軍と関係がある人は、全員手を上げてくれる?」
 そして、深菜は正面から挑んだのである。
「なんだァ、テメエ――ぶおごッ!」
「あら、ごめんなさいね?」
 因縁を付けようと手を伸ばした兵士を、深菜は鋭い蹴り足で沈めた。
 『ワルヨイ』の店内が、一斉に静まり返る。
「静かになってくれたわね。いいことよ」
 そして、何事もなかったかのように深菜は言葉をつづけた。
「早速で悪いけど――今回の件について色々お話ししてくれるかしら?」
「今回のって……」
「デッカード」
「……!」
 静かに紡がれたその一言が、店内の空気を更に冷たいものへと変えてゆく。
「こ、このアマ……」
「ああ、力技はやめておいた方がいいわよ」
 逆上しかけた男がナイフを手に席を立とうとしたが――深菜は、それを制止した。
「私、自力でキャバリアを壊したし」
「……自力で!?」
「な――本当か、こいつ!?」
 店内はにわかにざわめき立つ。困惑。畏怖。敵意。そうした感情がないまぜになった奇妙な雰囲気がその場を包み込み――
「それに――」
 そしてその空気を深菜は再び切り裂いた。
「最初から貴方を狩るつもりで、私はここにいるのよ。――わかってるわよね。ワリー・ヤッチャナー」
 視線が、男を鋭く射貫く。
 そして、にわかに店内へと赤い光が満ちた。――それは、店外に展開した深菜の戦闘用使い魔がターゲットサイトを開いたことを意味する。その数は――無数。照準を向けられていることに気づいた男たちが、一斉に総毛立った。
「……なるほど。たしかに、来る前に逃げるのが正解だったらしい」
 射すくめられた男――ワリー・ヤッチャナーは、肩を竦めて力なく笑った。
「逃げられないわよ、ヤッチャナー。さあ、とっとと私の知りたい事は全部吐きなさい」
 ――さもなくば、鳥葬に処すわよ。
 古典的なまでの威圧的手段で、深菜はヤッチャナーへと迫った。――彼我のパワーバランスを理解しているのであれば、それは全くもって過ちではない交渉手段だ。
 そして、ワリー・ヤッチャナーは、諦観とともにため息を吐き出した。

 ――その一方である。
「……来よったな」
 深菜が『ワルヨイ』へと突入する直前、店を出たアクージョを追ってブラッドルファンは市街地のはずれの人気のない場所へと訪れていた。
 ブラッドルファンがアクージョたちへと渡した箱には、二重底の仕掛けの中に指示書が仕込まれていたのだ。――『街外れに来られたし』と。
「……それで、ここに私を呼び出したのはどなた?……王子派?それともクミナイダ連合国?少なくとも、アクドイネンの旦那ではないのでしょう?」
 それに応じたかたちで、アクージョは街外れへと現れた。アクージョはビル陰に背をもたれかけ、煙草に火を付ける。
「……まあ。鋭いんやなあ」
 その視界に入らぬ位置から、ブラッドルファンは言葉を返す。
「フフ。こう見て修羅場は潜ってきてるのよ、私――それで、そっちの要求は?」
 視線を動かすこともなく、アクージョは空に向けて煙を吐き出す。
「……せやねぇ。『いま受けてる作戦内容』……要は情報を渡してほしいんと、もし、次の戦いで戦場に出るんでも……『デッカードのマシンのこっくぴっと破壊を禁止する』っちゅう感じやわ」
「ふうん」
 ブラッドルファンの要求に、アクージョは数秒間ほどの沈黙を見せた。
 そして。
「ええ、ええ、いいわ。――交換条件を呑んでくれるならね?」
「交換条件?」
「ええ。――私の身の安全と、それから……国外への逃亡の容認。その2つよ」
「なんや、案外こすいこと言いはりますなぁ」
「フフ……あなたに決定権がないなら、殿下に口添えしてくれる程度でも構わないんだけど?」
 アクージョは不敵な笑みとともに、ブラッドルファンへと問いかける。――ブラッドルファンが――ひいては、現在作戦行動を行っている猟兵たちが、おそらくユーティア王子の側に立っていることを見越しての言葉だ。
「まあ。食えへんお人ですこと」
「こっちも生き残っていくのに必死なのよ。――それじゃあ、『成立』でよろしいかしら?」
 互いにその姿を死角においたまま、2人は言葉を交わしてゆく。
 ――かくして、国外への亡命の黙認を条件として、アクージョは猟兵たちへの情報提供と協力を約束したのである。

 そして――猟兵たちは、こうして多くの情報を手にすることに成功したのである。
 それは、アクドイネン将軍のたくらみを暴き、そして追い詰めるに十分なものであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ナイ・デス
罠にはめた人は、正気で行ったのか……過去、オブリビオンマシンに乗って、今も狂っているから……なのか
マシンから降りても、マシンが無事なら狂ったままらしい、ですし
……正気で行ったとは、思いたくないところ、です。悪人もいるとは、知っていますが……

……私は、キャバリアを調べてみましょう
デッカードさんの機体と同じように、何か見つけられるかも、ですし
オブリビオンマシンなら破壊して、正気に戻し、色々と聞けるでしょうから

【迷彩】纏って【闇に紛れ忍び足ダッシュ】
こそこそっとキャバリアに地縛鎖刺して【ハッキング、情報収集】します

あと……ジェイバスターの仕様書も探りましょう
組み込まれたパーツがわかれば、救出に役立つ


アイ・リスパー
「近衛騎士デッカード……戦ってみて確信しました。
彼は悪人ではありません!」

なぜなら……デッカードさんやチームタイガーの皆さんは、名前がカッコいいからです!
かっこいいは正義!

「ここは私が事件の真相を推理しましょう!」

【チューリングの神託機械】で電脳空間の万能コンピュータに接続。
あらゆる情報を分析して黒幕を見つけ出しましょう!

「黒幕が分かりました……!
それは、タクラム大臣とアクドイネン将軍です!」

証拠ですか?
それは簡単なこと!

「なぜなら……名前が怪しいからです!
部下の皆さんも名前が怪しさ爆発ですし!
これこそ、動かぬ証拠!」

薄い胸を張って宣言しますが……
なんですか!?
その残念な子を見る目はっ!?



「……はて、何の御用でございましょうかな、殿下。私は明日の出撃の準備で多忙の身なのでございますが」
「うん、すまないね、アクドイネン将軍。でも、どうしても話しておかなくちゃいけないことがって呼んだんだ」
 ――ユーシア公国。王城の広間で、ユーティア王子が対峙する。
「……アクドイネン。君は」
「おおーっと!!ここで私の出番です!」
 バーン!!ここで乱入!口を開きかけた王子の言葉を遮って、アイ・リスパー(f07909)が力強く扉を開いて広間へと踏み込んだのである!
「貴公はたしか……」
 胡乱なものを見るように、アクドイネン将軍は眉間にしわを寄せながらアイに視線を遣った。
「ふっふっふ……ネタはすでにアガっているのです。ここで私が事件の真相を推理しましょう!」
 だが、それも意に介することなくアイは堂々と広間を歩いた。自身ありげな足取り。靴底が高らかに音をたてる。
「今回の案件が何者かによって仕組まれたものであることは、もはや!疑いようのない事実でしょう。……近衛騎士デッカード……私は彼と戦ってみて確信しました。彼は完全に潔白です!」
「……うん。それは僕もそう思ってる」
「はい!なにより……デッカードさんは名前がカッコいいですから!!」
 更に勢いづくアイは力強く論拠を示した。
「えっ」
「かっこいいは正義!あまねく宇宙に存在する普遍的な真理ですね」
「いや、あの」
 さすがの暴論に口を挟もうとしたユーティア王子とアクドイネン将軍の口出しを遮り、更にアイは畳みかける!
「――」
 電子音。アイの周囲に電脳領域が展開された。集積された情報を管理し、そして推論を重ね、万能の電脳を通して彼女は答えを導き出すのである。
 【チューリングの神託機械/チューリング・オラクル・マシン】。――これまでに収集された情報を統合したその結論を、アイは叫ぶ。
「この事件の黒幕が分かりました……!それは、タクラム大臣とアクドイネン将軍です!」
 び、ッ!――アイはその指先をアクドイネン将軍へと突き付けた。
「なんだと……!?なんのつもりですか!公国のために身を粉にして働き続けてきたこの私を逆賊扱いなどと……だいたい、証拠はあるのですか!」
 だが、ここでアクドイネン将軍は激昂し反論する!
「証拠ですか?――ふっ。簡単なことです」
 しかし、アイは涼しい顔でそれを受け流し、不敵に笑ってみせた。
「なぜあなたが黒幕とわかったか――簡単なことです」
「――」
 睨みあう2人。――そして、僅かな沈黙を破って、アイは再び口を開く。
「なぜなら……あなたは名前が怪しいからです!!」
「えっ」
「『悪どいねん』ですよ!!それのみならず、フルネームは『ごっつ悪どいねん』!!あまりにも胡散臭すぎです!!」
「あの」
 思わず制止の言葉をかけるユーティア王子。しかし、もはやヒートアップしたアイの推理は誰にも止められない。
「それのみにとどまらず、部下のみなさんも名前が怪しさ爆発ですし!『めっちゃ悪そう』だとか!『卑劣な罠張る』とか!『美人だが悪女』とか!『悪い奴やなぁ(わりぃやっちゃなあ)』なんて正気の沙汰じゃなくないです?」
「たしかに僕もそれは思ってたけど――」
「いやいやいやいや殿下それはあんまりではございませんか!」
「いいえ、これこそ動かぬ証拠!もはや言い逃れはできませんよ!」
 バーン!
 ――かくして、アイは薄い胸を張って高らかに宣言したのである!
「…………」
「…………」
 だが、そこに返るのはなんだか残念なものを見つめる胡乱気な視線であった。
「……な、なんですか!?その残念な子を見る目はっ!?」
「さすがに名前だけで悪人って決めつけるのは……」
 ここでとうとうユーティア王子もマジレスに入る。アクドイネン将軍もまた、静かに頷いていた。
「……それ、では。ここからは……真面目、に、いきましょう」
 だが、ここで新たな足音が広間に響く。
「……すこし、手荒な、手は、使いましたが……調べて、きました」
 ナイ・デス(f05727)である。
「アクドイネン、将軍。……あなたの、乗機は……オブリビオンマシン、ですね」
「……!」
 ナイの言葉に、アクドイネン将軍は双眸を見開いた。
「でも、安心して、ください――あれが、あなたを狂わせていたなら……破壊、しましたから」
 オブリビオンマシンのパイロットは、マシンに心を縛られ、狂気へと堕ちる。
 ――その影響を受けたのであれば、そのマシンを破壊することで、アクドイネン将軍もまた正気を取り戻す――はずなのだ。
 半ば祈るような心地で、ナイはアクドイネン将軍の姿を見据えた。
「破壊……!?破壊だと!私のマシンを!!」
 だが――激昂。
 ここにきて、アクドイネン将軍は激しい感情の揺らぎを見せたのだ。
 ――それが『元からそうであった』のか、『いまだオブリビオンマシンの影響下から脱せていない』のか――ナイは、それを咄嗟に判断することができなかった。
「往生際が悪いですよ!――とゆーか、もう既にちゃんとした証拠も集めてありますからね!言い逃れはできません!」
 しかし、その気勢を削ぐようにアイは声を張り上げた。展開した電脳領域に、様々なデータが投影される。
 それはアクドイネン将軍の指示によって旗下のパイロットたちへと送られたデータ送信記録であった。――パイロットの保管していた端末から見つかった文書は、以下のようなものである。
 『アクドイネン将軍のマシンの動力部の一部部品をテスト中の新型機へと組み込め』。
 『暴走した新型機をパブリックエネミー/オブリビオンマシン認定し、攻撃命令を下す。搭乗者を殺せ』――すなわち、『デッカードを抹殺せよ』。
 その指示の内容は、アクドイネン将軍旗下のパイロットたちの自白や証言によって裏付けを得られていた。
「……以上の証拠から!アクドイネン将軍がデッカードさんの暗殺をたくらんでいたことは間違いないといえます!」
 バーン!
 ――今度こそ、とばかりにアイが薄い胸を張り、声を張り上げた。
「なんだと……!?こ……ここまでの証拠を…………!小娘!貴様、ポンコツだったのでは!?」
「違いますよ!」
 とはいえ――その情報は、ここに至るまでに様々な作戦を展開してきた猟兵たち全員の手によるものだ。そして集められた証拠の数々が、今ここにおいてアクドイネンを追い詰めているのである!
「貴様ら……よくもこの私の計画を邪魔するつもりだな!」
 しかし、ここで激昂するアクドイネンは懐から銃を引き抜き、猟兵たちとユーティア王子へと向けて躊躇なく引き金を引いた。
「おのれ、おのれおのれ……!私のオブリビオンマシンのパーツを移植することであのにっくきデッカードの乗るマシンを侵食変異させオブリビオン化し、そこを国家の敵と認定して叩くことでデッカードを抹殺してその後釜に私が座りゆくゆくは王子を追い落として私が国家元首として君臨する計画が~ッ!」
「……ぜんぶ、自白……しましたね」
「えーっ!?そんな計画だったんですか!?」
 そうして――半ば呆れるような声を漏らすナイと驚くアイを尻目に、アクドイネン将軍はもはや見境なしに銃を撃ちながら広間からの逃走を図るのであった。
 ――更に。
 過程を飛ばして結果から言ってしまえば、アクドイネンはその場から逃れることに成功したのである。
「……」
 ユーティア王子は、彼の目の前で繰り広げられる展開に眉根を顰めた。
 そして。
「だいたいわかったよ」
 重々しく、口を開いたのである。 
「……たぶん、アクドイネンはナナ=マーガリーの丘に向かったはずだ。デッカードの乗ってるマシンがああなったのがアクドイネンのせいだっていうなら……きっと、アクドイネンもそこに現れる」
 その言葉の端々に、怒りの炎を垣間見せながら――ユーティア王子は、立ち上がった。
「みんな、ここまでありがとう。……とにかくこれで後ろから撃たれる心配はなくなった、って思っていいはずだよ。あとは――あのマシンをなんとかするだけだ」
 王子は猟兵たちへと視線を向け、そして一度会釈した。
「また君たちの力を貸してもらうことになる。……最後まで、よろしくね」
 かくして――公国の中に潜んでいた敵であるアクドイネンの勢力はその力を失ったのである。
 これで当面の問題はオブリビオンマシンのみ。
 間もなく、戦いは最終局面へと向かう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 そして、夜が明ける。

 ユーティア王子が指揮するユーシア公国軍は未明より進軍を開始。黎明と共に丘で休眠状態にあるオブリビオンマシンへと攻撃を仕掛ける手筈となっていた。
 ナナ=マーガリの丘は緩やかに起伏した地形であり、遮蔽や障害になり得るものは少ない。ほぼ平地と言っていい環境である。であるが故に、これより始まる戦闘は基本的には真っ向勝負になるだろう。
「戦力の逐次投入は愚策……って言ってたね。いくよ、みんな。夜明けと共に全力で攻撃をかけよう。僕も一緒に行く。……必ず、助け出すんだ!」
 そしてユーティア王子はその戦列に加わる。スーパータイプ・キャバリア、ファイヤーデュークを駆り、王子は戦場に向かった。

「グヌヌーッ……!おのれユーシア軍!おのれ猟兵!」
 一方。
 オブリビオンマシンのコクピットに無理矢理入り込んだ元将軍アクドイネンは、パイロットシートの後ろの空間から恨み節を奏でていた。
「ユーシア軍……」
 朦朧とした意識の中で、デッカードはモニター越しに周囲の状況を見る。
「そうだ、そうだぞデッカード!今やユーシア軍は悪の軍団と化し、貴様の敵となったのだ!故に!私がパワーアップを施したこのデビルジェイバスターで奴らを破壊するのだ!」
 煽るアクドイネン!オブリビオンマシンのよる精神支配に抗い続け消耗したデッカードは、そのあからさまな虚言を素直に聞き入れてしまう!
「敵を……倒す……」
「そうだ!行けい!」
 オブリビオンマシンが起動する。
 その躯体は先の戦闘の時より大きく姿を変えていた。オブリビオンマシンのもつ再生機構が最適化を繰り返した結果の変質である。
 展開するフォトン光子ウイングが機体を駆動させ、その腕にブレードを携える。そして、マシンは戦闘機動を開始した。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

フン…尻尾は掴めたか
ならば、此処でひっ捕らえて決着を付けるか

UCを発動
パワードスーツ「Conquérant」を装着して飛翔
ブースターを全開にして敵に肉薄する
此方に纏わりつくビットはレーザーブレード「黄泉返太刀」やレーザーガトリング砲「Étonnement」で全て破壊して対処する

フン…取り込まれたせいで妄執に耽っているのか、あるいは元から欲深なのか…
後者でないことを祈るばかりだな

ビットを破壊しつつグレネード付きビームライフル「Colère」も使い攻撃
コックピットを避けつつ敵機体を無力化させるべく損害を与える

さて、神妙に縛に就いてもらおうか
今ならばまだ陛下の温情も受けられるだろうよ


桐原・剛将
アレンジ歓迎
連携可

「要はあれやろ。3発殴って正気に戻せ!」
他のキャバリアや生身組に混じって出撃。
【残像】と強化服による【肉体改造】【限界突破】を駆使して攻撃を回避。
「こいつはええで。あんま狙う必要ないからな!」
射撃のセンスがマイナスの剛将にとってグレネードランチャーは相性がいい。
だが打ち出すのは情報撹乱煙幕だ。近づきながら発射して煙幕で視界を、【ジャミング】でセンサーを封じる。
その隙に近づいて【悪路走破】【足場習熟】で機体に登る。
狙うは頭部。
「きっついのいくで! 目ぇ覚ませや!」
グレネードランチャー付属のパイルバンカーを頭部へ【貫通攻撃】のヤクザショットで打ち込む。


アイ・リスパー
「アクドイネン元将軍!
諦めて投降してください!」

……どうやら力づくでいくしかないようですね!
ならば!

「オベイロン、ティターニアと合体です!」

【夏の夜の夢】で機動戦車オベイロンと小型宇宙戦艦ティターニアが合体した強化型パワードスーツに乗り込みます。

「このパワードスーツの力、見せてあげましょう!」

殲禍炎剣の対象にならない程度の低空を飛行し、敵キャバリアにビームガトリングとミサイルをばら撒きます。

「デッカードさんは返してもらいますよっ、アクドイネン元将軍っ!」

最大出力のプラズマブレードを構え、敵キャバリアの剣と正面から切り結びます!

コックピットは避けるように攻撃し、敵機体だけ無力化を図りましょう!



 地平線の先に、かすかな光明――黎明。日の出が始まったのである。
 そして、それが戦端を開く合図となった。先陣を切るキャバリアが、丘に立つオブリビオンマシン――デビルジェイバスターへと向かう。
「アクドイネン!デッカードを解放するんだ!」
「ほほう……これはこれは殿下自らご出陣とは。それほどまでにこの男が大事ですかな!」
 ――戦場において、ユーティア王子の駆るマシン、ファイヤーデュークが暴走を続けるデビルジェイバスターに対峙した。
「デッカードは僕に勇気と騎士道を教えてくれた……だから、僕もそれに応えるんだ!」
「う、ぅ、ウ……――!」
「ゲヒヒヒヒ!ですが聞こえていないようですなあ!行けぃ、デッカードよ!おまえ自身の手で奴を葬り絶望の炎を広げるのだ!」
 ガオンッ!オブリビオンマシン――デビルジェイバスターがブレードを抜き放ち、そして加速する!【断罪の剣】!
「フン……尻尾を掴まれて正体を現したか」
 キリカ・リクサール(f03333)は機動するマシン躯体を見上げながら、ユーベルコードを励起する。纏う戦衣はヴェートマ・ノクテルト。その上へと更に装甲を纏う。パワードスーツ・Conquérant。黒鉄の鎧がキリカの身を包んだ。
「こうなってしまえば、あとはあのマシンを止めるだけです――コール!オベイロン、ティターニア!」
 アイ・リスパー(f07909)もまた走る。前方に展開した空間投影スクリーンの表示をタップし、そして亜空間ストレージへとアクセスする。虚空を破ってゲートが開き、2台のマシンが飛び出した!
「せやな、やったろか!要はあれやろ。3発殴って正気に戻せ!」
 桐原・剛将(f29916)がそれに続いた。彼もまた強化戦闘服に身を包み戦場へと身を投じる。TDOL製B式スパルタクス。鉄の骨格がその身体を支え、戦闘機動を後押しする。その手に握った武器の感触を確かめながら、剛将は敵機を目指した。
「ムウウーッ!猟兵どもか!」
 猟兵たちの接近を気取り、アクドイネンが目を剥いた。その意識の先は猟兵たちへと向く。
「来ていないとでも思っていたか?――王子、ここは一旦我々に任せてもらおう」
「……わかった。それじゃ、お願い!」
 万全の状態のオブリビオンマシンが相手では、通常のキャバリアで対処するのは難しい。その判断から、キリカは一旦王子を下がらせた。
「はい!それではいきますよ!さあ、アクドイネン元将軍!諦めて投降してください!」
 そしてキリカが側面へと機動し、アイは正面から打って出る!
「馬鹿めが!キャバリアも使わず、このデビルジェイバスターに勝てるものか!やるのだ、デッカード!」
「う、あ――」
 迎撃!デビルジェイバスターはブレードを掲げ、そして薙ぐ!
「地を這う歩兵がこのマシーンに……」
「フ、ッ」
 だが――キリカはそれを躱す!
「私の手が届く場所が地上だけとは思わない事だ」
「なに……!?」
 纏う装甲の背面で、ブースターが火を噴いた。推進剤を燃やしながら加速。刃をすり抜け、舞うようにキリカは飛ぶ――【ヴォル・コンケラント】!
「小癪な!ならばこちらのマシーンを……!」
「投降する気はない、というわけですね……どうやら力づくでいくしかないようです!フォーメーション・ミッドサマー!」
 【夏の夜の夢/ナイト・ドリーム】!アイは呼び出した2台のマシンへと戦闘コードを送信する!立ち上がるオベイロン!ティターニアがその躯体を抱擁し、組み上がる鋼の戦闘躯体!カメラワークが切り替わり、脚・腕・肩・胸・頭部の順でアップになる合体バンクが挿入される!
「ビルドアップ!フェアリーズアーマー!」
 最後にアイはカメラ目線でポーズを決めて見得を切った!
「なに……!合体だと!?」
「戦闘マシンはクロムキャバリアの専売特許じゃありませんよ……このパワードスーツの力、見せてあげましょう!」
 ガァンッ!パワードスーツを繰るアイは、デビルジェイバスターの振りかざしたブレードを装甲で受け、そして弾いた。ダメージを最小限に抑えつつ、衝撃を受け流すように後退!
「デッカードさんは返してもらいますよっ、アクドイネン元将軍っ!」
「黙れ黙れ小娘がッ!デッカードよ!奴らこそ悪の枢軸!さあ、我が国のため叩きのめすのだ!」
「りょ、了解……」
 ぎゃり――ッ!地面を蹴立て、低空を飛ぶようにデビルジェイバスターが奔った。同時に展開する【エンジェルビット】!レーザー射撃機構を備えたドローン兵器だ!
「お――っと、そうはいかんで!」
 だが、デビルジェイバスターが加速を始めたその瞬間!その頭部が何かが爆ぜる。――弾けた榴弾は、炸裂すると同時に噴煙を展開した!ジャミングスモークだ!
「ムウウーッ!?煙幕か!なんと卑劣な!!」
「どの口が言うねん!」
 続けてトリガー!腕部にマウントするように設置されたグレネードランチャーが再び火を吹き、2発目のスモークが展開!デビルジェイバスターの視覚と熱源センサーを塞ぐ!
「グヌヌ……おのれ、おのれ!」
「こいつはええで、あんま狙う必要ないからな!」
 剛将は更に回避機動をとりながら次々に煙幕榴弾を放射し続ける!集中を乱され動きを止めるデビルジェイバスター!
「では――此処でひっ捕らえて決着を付けよう」
「賛成です!」
 閃光!ブースター機動で宙を舞うキリカがレーザーガトリングを向け、そして火線を向けたのだ。回避機動の遅れたオブリビオンマシンの装甲で、着弾するレーザー光が爆ぜる!同時にアイのパワードスーツからも火砲が向けられた!ビームガトリング!二門のガトリング光学兵器がデュエットを奏で、オブリビオンマシンを追い立ててゆく!
「グア……ッ!」
「おのれおのれーッ!デッカードよ、何をしている!……このままでは、私がこの国の最高権力を握ろうという作戦が水の泡ではないか!」
「まだそんなこと言ってんか!」
「フン……取り込まれたせいで妄執に耽っているのか、あるいは元から欲深なのか……」
 畳みかけるように剛将は更なる煙幕榴弾を叩き込む。同時に疾駆するキリカがライフルの照準を向け、トリガーを引いた。デビルジェイバスターの装甲が更に爆ぜる!
「後者でないことを祈るばかりだな」
「どれにせよ、もうおしまいにしなくちゃですよ!」
 ここでアイのパワードスーツが加速する!抜き放つプラズマブレードに出力を集中。一気に間合いを詰めながら、薙ぎ払うように一閃!
「う――あああッ!」
 だが、その攻撃にデッカードが反応した。操縦桿を巧みに捻り、ブレードを振り抜く!交錯する刃と刃!二つのブレードは打ち合い、離れ、そして再びぶつかり合って切り結ぶ!
「むッ……さすがの操縦技術です」
「ゲヒヒヒ!腐ってもこの男は公国の近衛騎士よ!そう簡単にやれると思うてか!やれ、デッカード!」
「了、解……」
 オブリビオンマシンの出力が増大する――パワーを高めたマシンが、そのブレードにエネルギーを込めたのだ。そして――
「そうはいかんで――って、さっき同じこと言うたわ」
 ――機体が、揺れる!
「なに……!?どうなっているのだ!?」
 操縦席に響くアラート!困惑するアクドイネン!
「よう。俺やで」
 接触通信――ではない!頭部集音センサーに直接話しかけているのだ。
「いやあ、揺れるわ跳ねるわでここまで登るんもしんどかったわぁ」
「登……まさか、貴様!?」
 そう。剛将はデビルジェイバスターがアイのパワードスーツと切り結んでいる間に機体頭部へと密かに登攀していたのだ。
「そんじゃ、今からきっついのいくで――目ぇ覚ませや!」
 ガオン、ッ!!杭打ちの衝撃が機体を貫いた!グレネードランチャー一体型、DDC-Gメジャー・コング。高威力パイルバンカーによるゼロ距離【ヤクザショット】だ!
「ぐ……ああああッ!!」
「ムウウーッ!おのれ、おのれおのれェ!」
 頭部に穴を穿たれたオブリビオンマシンはその衝撃に活動を停止した!がしょん、と音をたててマシンが膝をつく!
「……止まりましたか?」
「そのようだ。さて、神妙に縛に就いてもらおうか……今ならばまだ陛下の温情も受けられるだろうよ」
 膝を屈したマシンへと、アイとキリカが接近する。
「な……なめるなよ、猟兵どもめが……!」
 しかし――
「おっと――なんや、まだ動くんかいな!」
「この機体は並ではないのだ!デッカードよ、まだマシンは動くぞ!気合いだ!ガッツだ!さあ動かせ!さあ戦え!」
「う、うう……、ッ!」
 オブリビオンとしての存在力が、破損した電子系統を繋ぎなおす。穴を穿たれた頭部に自己再生めいて応急措置が施され、デビルジェイバスターが再び起動した!
「フォトンウイングだ、デッカード!」
「了、解……」
 そしてオブリビオンマシンは翼を広げる!膨大な出力が斥力めいて展開され、剛将は一時マシンの頭部から離脱する。
「おっと、すまんな!」
「いえいえ。それより敵を追わないとですよ!」
 丁度接近していたアイのパワードスーツを足場代わりに、剛将は着地した。――見上げた視界で、オブリビオンマシンが後退する姿が見える。仕切りなおそうとしているのだ。
「まったく、往生際の悪い……。このまま追撃をかけるぞ!」
 キリカの背中でブ―スターが火を吹いた。推進剤の燃える軌跡を残しながら、彼女の躯体は敵を追って宙を舞う。アイと剛将もそれに続いて、戦場を走った。

 ――かくして、決戦は始まったのである。 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

聖護院・カプラ
此度がデッカードさんを助ける最後の機会。
いえ――だからこそ、成功の目を出してみせましょう。

アクドイネンの言葉を聞き入れてしまうほど精神を損耗した彼ですが、
逆に言えば此方の声を届ける事さえできれば正気を繋げる筈。
それが最も親しい王子の言葉なら猶更です。

ファイヤーデュークの音声出力を私を通して【説得】を行い、
王子の声をデッカードに届けましょう!

それでも、もう一押しが足りないかもしれない。
ですが猟兵の行いによってユーシア軍のパイロット達も感じる物があったようですね。
元アクドイネン配下の方々まで……。

彼らの声も聞こえますか、デッカード!
貴方が手を繋ぐのは悪魔のマシンではなく、王子とこの国の未来です!


アレックス・エイト
マシンの影響による裏切りであれば、必ずや救い出す
自らの意志によるものであれば、生きてその罪を償わせる
いずれにせよ将軍にこれ以上の蛮行を許す訳にはいきません
何よりデッカード殿をこれ以上消耗させるのはあまりにも危険です
この一戦で、決着をつけましょう

例え救い出せたとしても、王子の身に何かあればデッカード殿の心に深い傷を残してしまうかもしれません
故に、私は王子の機体の援護を行います
射撃兵装による攻撃を魔力障壁によって防いで王子をかばい、
斬艦刀に魔力槍での突撃を叩き込んで、保持する腕ごと叩き壊す…!

騎士として戦う姿を見せれば、彼が真になすべき事をきっと思い出すはず
デッカード殿、目を覚まして下さい…!



「――ようやくここまでこぎつけました」
「ええ、此度がデッカードさんを助ける最後の機会でしょう」
 戦場に並び立つ黒と白の躯体は、アレックス・エイト(f22485)と聖護院・カプラ(f00436)である。
 2人は駆動音とともに、戦場を駆け巡る敵機――いまだデッカードを乗せたまま暴走し続けるオブリビオンマシンを仰いだ。
「ここが分水領というわけですね」
「ええ――だからこそ、成功の目を出してみせましょう」
 そして2人は機動する。目指すその先に戦場を見据えて。
「救出しなくてはならないのは、デッカード殿だけではありません」
「そうですね――アクドイネン。彼もまたオブリビオンマシンに囚われているのかもしれません」
「オブリビオンマシンはパイロットの心を狂気に陥れるといいます。――これまでの悪行がマシンの影響によるものであれば、必ずや救い出します」
「同感です」
「……もし自らの意志によるものだったのであれば、それはそれとして生きてその罪を償わせなくてはならないでしょう」
「はい。いかなる悪人であったとしても、心を入れ替えていい行いができるようになれば――いずれ許される日もくることでしょう」
「いずれにせよ――」
 アレックスは彼我の距離を計測する。――交戦可能距離に到達するまで、残り10秒。電脳の内部でアレックスはカウントする。
「将軍にこれ以上の蛮行を許す訳にはいきません。何よりデッカード殿をこれ以上消耗させるのはあまりにも危険です」
「はい。参りましょう」
「ええ、この一戦で決着をつけましょう」
 そして、2人はデビルジェイバスターの姿を視覚センサに捉えた。

「くッ……!やめてよ、デッカード!」
「ゲヒヒヒ!そんな言葉は届きませんぞォ、王子!」
 ユーティア王子の駆るファイヤーデュークが掲げたヒートブレードを、オブリビオンマシンのブレードが打ち払う!オブリビオン化しているだけあって、そのパワーは通常のキャバリアを大きく凌駕しているのだ!このままでは押し負ける!
「デッカードよ!このまま打ち壊してしまえ!」
「う、あ……!」
 そして、デビルジェイバスターはブレードを再び振り下ろす!
「――いいえ、そのようにはなりません」
 衝撃!しかしオブリビオンマシンの振り下ろしたブレードは、ファイヤーデュークの装甲にぶつかる前に静止する――2機のキャバリアの間に滑り込んだアレックスが魔力防壁を展開し、攻撃を受け止めたのだ。
「あなたは……」
「ご無事ですか、王子」
 アレックスは防壁のエネルギーを反転させ、斥力場に転換する。反発する力場に押し込まれ、オブリビオンマシンが後退した。
「ヌウウーッ!猟兵……!どこまで邪魔立てするつもりだ!」
「あなたが悪事を続ける限りです。そして、これ以上は許しません。王子の身に何かあればデッカード殿に申し訳が立ちませんからね」
 そして、アレックスは杖を構えた。
「……デッカードさんはまだ目を覚まされないようですね」
 その一方で、カプラはファイヤーデュークの足元へと至り、そしてオブリビオンマシンの躯体を見上げる。
「では――彼の目が覚めるよう、声を届けましょう。王子、お力添えをお願いします」
 更に、カプラの座す台座がふわりと浮き上がった。ファイヤーデュークの操縦席のそばへと浮遊し、接触回線で王子へ通信する。
「力添え……って、手伝って、ってこと?」
「はい。あなたの声が、あなたの言葉が必要なのです」
 戸惑う王子へと、カプラはゆっくり頷く。
「叫べばいいのです。王子、あなたの想いを」
「……わかった。やってみるよ」
 王子は操縦席のコントロール・パネルを叩き、カプラの電脳へとマシンを接続した。
「なにをしているのだ、あのブッダは……いや、なんだかわからんが止めさせるのだ!」
 その動きを見やり、警戒心を露わにするアクドイネンが叫ぶ。オブリビオンマシンが再びブレードを掲げ、そして機動した。
「止めさせません――!」
 だが、その道筋をアレックスが阻む!収束された魔力を穂先とし、長槍状に変異させながらアレックスは杖を振るった。振り上げる一撃がオブリビオンマシンを阻む!
「こちらは引き受けました。そちらの作戦の続行を」
「ありがとうございます」
 アレックスがオブリビオンマシンを引き受ける間に、ファイヤーデュークとカプラは同期を完了させる。――これでカプラは、キャバリアの周辺機器のひとつと化したのだ。
「では、音声入力を確認しました。王子、あとはお願いします」
「うん」
 ユーティア王子は息を吸い、そして、吐く。――それから。
『デッカード!お願い、僕の声を聞いて!』
 叫んだ。
 ユーティア王子の声はキャバリアから接続したカプラの躯体を通して拡散する。
 カプラのボディは強力な仏学的エネルギーを内包した高密度の徳の塊とも言える仏的存在だ。その躯体を通すことにより、王子の【説得】の声は何物にも遮られることなく広がってゆく。
『父さんがいなくなった時、僕、すごく心細かったんだ……。でも、デッカードがいてくれたから……君が支えてくれたから、僕はここまで来れたんだよ!』
「――お、うじ」
 その時である――オブリビオンマシンの動きが、鈍ったのだ。
「ヌウ……ッ!?な、なにをしているデッカード!あれは敵だ!王子を騙りお前を騙そうとしているのだ!」
 明らかに反応をみせたデッカードを、アクドイネンが怒鳴りつける。
『帰ってきてよ、デッカード!』
『――王子の言う通りです、デッカード』
『ったく、手間かけさせやがって……さっさと戻ってこいよ!』
『猟兵の方々にもご尽力いただいているのです』
 だが、王子は更に声を張り上げた。――そこに、通信回線を通してチーム・タイガーの仲間たちや、ユーシア軍のパイロットたちが声を重ねる。
「これは……」
『悪かったよ、デッカード……俺、反省してんだ……』
『許してもらえることじゃねえが……』
『……それからアクドイネンのおっさん!あんたももう諦めなよ!』
 多くのパイロットたちが、デッカードへと呼びかける。その中には、アクドイネン配下であったパイロットたちの声もあった。
 彼らは自ら戦場に赴いた王子の姿と、ここに至るまでの猟兵たちの活躍に心動かされたのだ。そして、その想いを届けるべく、皆が通信機へ向けて必死に叫んでいるのである。
 声はカプラの躯体を通し、巨大な存在感を伴って戦場に響いてゆく。
「彼らの声も聞こえますか、デッカード!」
 畳みかけるように、カプラは叫んだ。
「貴方が手を繋ぐのは悪魔のマシンではなく、王子とこの国の未来です!」
「おう、じ……国の、……未来」
 操縦席のデッカードの双眸に、かすかな光が戻る。
 マシンに支配されつつあった自我が呼び覚まされつつあるのだ。それに伴い、デビルジェイバスターの戦闘機動は目に見えて鈍り始めていた。
「そうです、デッカード殿――」
 ――ランスチャージ!敵機の挙動が鈍ったその隙を逃さず、抱えるように保持した杖の穂先でアレックスはオブリビオンマシンに激突する!衝撃にマシンが揺らいだ!
「あなたはこの国を、そして王子を護る近衛騎士なのでしょう!」
「……そう、だ。私は……公国の、騎士……」
「目を覚ましてください……!あなたには、真に為すべきことがあるはずです!」
 【ナイト・オブ・ミーティア】。――アレックスの鉄の躯体の内に灯るのは、騎士としての誇りに燃える機械仕掛けの心臓の炎だ。ギアの回転が鼓動となり、その躯体には力が満ちる!
 一閃!振るわれる槍の穂先!かくて黒鉄の騎士はオブリビオンを穿つ!
「グヌヌヌヌーッ!!」
 衝突!ランスチャージの一撃がオブリビオンマシンの躯体を大きく揺るがせた。装甲が歪み、蓄積したダメージに電子系統がスパークする!
「……王子」
「ま、待て、待てデッカード!騙されてはいけない!これこそ奴らの卑劣な罠なのだ!」
 顔を上げたデッカードへと、焦燥するアクドイネンが叫んだ。
「……」
 操縦席のデッカードは、霞む視界と朦朧とした意識の中で操縦桿を握る。――そして、マシンを後退させた。
「そ、そうだ、それでいい、それでいいぞデッカード……ゲヒヒヒヒ……まだ終わってはおらぬ……!」
「く……っ、わ、私は……」
『デッカード!』
「……どうやら、まだデッカード殿の心はマシンに囚われているようですね」
「しかし、我々の声は間違いなく届いたはず……。このまま呼びかけ続けましょう。必ずや救い出せるはずです」
 王子たちの声は、たしかにデッカードの精神を覚醒へと近づけた。――だが、マシンに囚われていた時間が長かったがために、まだ完全にその影響下から脱せていないのだ。
 しかし、囚われた彼の魂が解放へと大きく近づいたこともまた事実である。

 戦いは、確実に決着の瞬間へと向かって進み続けていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神羅・アマミ
デッカードの精神は疲弊しきっておる…このままではオブリビオンマシンの狂気と負荷で死に追いやられてしまうかもしれぬ!
しかし…その生死の境にこそ活を見いだせるやもしれぬ!

引き続き真の姿・メカニカルスパイダーから放つUCは『出禁』!
蜘蛛糸・電撃・金属アームの【範囲攻撃】でもって、奴の放出するビットを尽く絡め取ってくれるわー!
複雑な挙動の操作など最早できる身体ではなかろう!
神妙にお縄につくがよい!

可能な限り戦力を削げたなら、それをユーティア王子の花道としたい。
王子と騎士、ていうかもしかしたらBL的な絆で結ばれた二人であれば、アクドイネンの口車やマシンの狂気をはねつけるような説得が心に刺さるやもしれぬ!


荒谷・つかさ
なるほど、話は聞かせてもらったわ。
諜報活動は苦手だから休ませてもらってたけれど……その分は、これからの働きで返させてもらうわね。

引き続きスルトに合身して戦闘
真っ向からの殴り合いを挑む……けれど、敵機は明らかに空戦型
飛行不能のスルトでは恐らく分が悪い
ある程度やりあって性能確認した所で【黄昏の鉄巨人】発動
レーヴァテインユニットを召喚、『スルト・ラグナロク』へ超合身
『黄昏を灼く焔の巨剣(レーヴァテイン)』をフルドライブさせ、その大剣ごと機体をぶった斬る
(勿論コクピット部は避ける)
そのまま可能な限り速やかにオーバーフレームを排除、二人を確保する

万一王子の機体に危機が及ぶようなら身を挺してでも庇う


白鳥・深菜
「これが一番素直な量産型のキャバリアなのね?分かったわ。
――装備?それは大丈夫よ。だって――」

【鉄騎携えし一振りの剣】で、自身の細剣を変形。
装甲を犠牲に移動力を増す、白銀のキャバリアソードに。
これをキャバリエに装備させ、勝負!

狙いは斬艦刀の攻略。
まず、斬艦刀を持たない側から仕掛ける。
斬艦刀に当たらないよう、機動力を生かしながら
斬艦刀を持つ側に立たないように、慎重に距離を詰めていく。

そして、こちらの剣の射程に入ったら
素早く敵の背後から逆側に回り込み
『貫通攻撃』で斬艦刀を持つ腕を切り崩す!

「白き翼と共に狩の舞踏を踊れ――灰被り(アシェンプテル)!」


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
飛行タイプのキャバリア『ソニック』を駆り、オブリビオンマシンの攻撃を【見切り】ながら【リミッター解除】させて暴走寸前の機体を【操縦】して回避し、【ゴッドスピードライド】でその周囲を飛び回って攪乱する
ウィーリィくんがマシンの動きを止めたら【ロープワーク】でワイヤーでマシンを拘束しながらワイヤー越しの接触回線でコクピット内のデッカードさんを【鼓舞】する
「思い出してデッカードさん! あなたが戦うのは『敵を倒す』ためじゃなくて『誰かを守る』ためだよね?」
「そして、デッカードさんが守りたいものは何なの?」
「戦って、一緒に!あなたが守ろうとしたこの国を守るために!」


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
親玉と救出対象がひとまとめってのもわかりやすくていいな。

パワータイプのキャバリア『アトラス』で真っ向から敵機を迎え撃ち、俺が時間を稼いでいる間にシャーリーにデッカードさんに呼び掛けてもらう。

もっとも、決して楽な仕事じゃないけどさ。
防御したシールドも両断され、ブレードの刀身も半分に折られ、装甲は片っ端から破壊されてフレームだけで原型を留めてる有様だ。
けど、シャーリーがデッカードさんに接触する事が出来ればそれで十分。
そして彼の抵抗で機体の動きが止まった一瞬を突いて【部位破壊】で元凶の動力炉を狙ってブレードに炎を纏わせて【捨て身の一撃】の【幻炎鎮魂斬】を叩き込み、機体を機能停止させる。



「敵の親玉と救出対象がひとまとめってのも、わかりやすくていいな」
「そうだね。変に別れられなくてよかったかも」
 ウィーリィ・チゥシャン(f04298)とシャーリー・ネィド(f02673)は、ユーシア軍から借り受けたキャバリアを繰りオブリビオンマシンのもとを目指す。
 ウィーリィが乗り込んだ機体は、エンジン出力と装甲を強化した陸戦機体『アトラス』タイプ。シャーリーの機体は機動性を重視した軽量型の空戦キャバリア『ソニック』だ。タイプの異なる2機で役割を分担していく作戦である。
「じゃが、楽な仕事っちゅーわけではないぞ!」
 ザッ。通信に割り込んだのは神羅・アマミ(f00889)の声である。2人がキャバリアを駆る一方で、アマミは自前のサポートマシンの上に立っていた。蜘蛛型マシンのオクタビアスくんは丘の緩やかな斜面を軽快に疾走する。
「デッカードの精神は疲弊しきっておる……このままではオブリビオンマシンの狂気と負荷で死に追いやられてしまうかもしれぬ!」
「……たしかに、デッカードさんがマシンに取り込まれてからもう丸二日近く経ってる。急がないと危険だな」
「そうだね……よし、捉えたよ!はやくデッカードさんを助け出そう!」
 先行するシャーリーの『ソニック』が、センサーにデビルジェイバスターの反応を捉えた。これより猟兵たちは交戦状況へと入る。

「なるほど、話は聞かせてもらったわ」
「ええ。よろしく頼むわね」
 一方、荒谷・つかさ(f02032)と白鳥・深菜(f04881)は丘のふもとに張られたユーシア軍の拠点にて、出撃準備を整えていた。
「休ませてもらってた分は、これからの働きで返させてもらうわね」
「ええ、終わらせにいきましょう。ここまでの落とし前もつけてもらわないと」
 2人は頷きあってから、丘の戦場を見やった。
 弾ける閃光。爆ぜる炎。戦いは未だ続いている。
「猟兵の方!こちら、機体の準備整いました!」
「ありがとう。それじゃ、ありがたく使わせてもらうわ」
 その最中、深菜へとユーシア軍の整備兵から声がかけられた。マシンの調整が終わったのだ。深菜はそのまま機体へと向かう。
「それじゃ、私は先に行ってるわ」
「ええ、すぐに追いつくから待たなくていいわよ」
「了解……さあ、行くわよ、スルト!」
 短く言葉を交わした直後、つかさは戦場へと向けて走り出した。――その真横の空間を破って、燃ゆる鋼がその姿を顕現する!合身!再び立ち上がるは機煌炎神スルトの威容!
「これが一番素直な量産型のキャバリアなのね?」
「はい、我々の主力機モルビスG型です」
 一方、深菜はあてがわれたマシンのコクピットへとその身を滑り込ませる。モルビスはイズランサ地方においてその名を轟かせる伝説的キャバリア設計士オーカラッハ・ニオのデザインしたマシンだ。彼の作品はイズランサ地方の多くの国々で活躍し続けている。
「わかったわ」
「それから、装備ですが……」
「ああ、そっちは大丈夫よ、だって――」
 携行武器の説明を行おうとした兵士を遮って、深菜は笑った。

「おのれ猟兵ども……!奴らの邪魔さえなければ今頃は……」
 後退するオブリビオンマシンのパイロットシート後部で、アクドイネンは怒りに拳を震わせた。
 オブリビオンマシン、デビルジェイバスターは現在ナナ=マーガリの丘を北上中。このままいけば国境に差し掛かるルートだ。取り逃すわけにはいかない。
「今頃は――なにかなッ!」
「ムウッ!」
 しゅ――ッ!高速で接近するキャバリアがデビルジェイバスターを抜き去った!武装を構えながら進路を塞ぐように降り立ったのはシャーリーの駆る『ソニック』だ!
「ええい、なんとしつこい奴らよ!どこまで追ってくるつもりだ!」
「そっちこそ、いい加減にあきらめたらどうだ!」
「――後ろか!」
 オブリビオンマシンの意識がシャーリーへと向いたその瞬間、一拍遅れて交戦距離へとたどり着いたウィーリィの『アトラス』が正面から勝負を挑む!しかし、オブリビオンマシンは咄嗟に回避機動をとった!
「こっちもいるわよッ!」
 だが次の瞬間である。戦場を焔が駆けた!つかさのスルトが到着したのだ。機動するスルトは、剣をかざしオブリビオンマシンへと斬りかかる!
「なに!迎え撃てデッカードよ!」
「ぐう……ッ!わ、私は……!」
 衝撃!ブレード同士がぶつかり合い、衝撃音が高く響き渡った。衝撃の反動で後退しながらオブリビオンマシンはプラズマウイングを展開。空中へと逃れる。
「おのれ、よってたかって数で攻めおって……ならばこうだ!」
 更に、ここでオブリビオンマシンが反撃に打って出た。レーザー攻撃機構を搭載したビット兵器を展開する!
「敵の数には手数で勝負……ってことか!」
「くッ……!上から一方的に撃ってくるつもり!?」
 上方からの攻撃に、陸戦型の『アトラス』とスルトは苦戦を余儀なくされる。制空権の確保はキャバリア戦闘においてそのまま優位性を意味するのだ。――だが!
「ワハハハハ!そのよーな玩具で妾たちをどうにかできるとでも思うたか!!」
「なに!?」
 電光!そこに割り込んだのはアマミである!大地を蹴立てたアマミのオクタビアスくんが、空中で放電したのである。更にオクタビアスくんは電光とともに無数の糸を吐き出した!電気を纏いながら広がる蜘蛛糸は、オブリビオンマシンの展開したビット兵装を絡め取ってゆく!【出禁】!
「こ、小癪な真似を……!」
「いー加減にあきらめよっつーとるじゃろーが!年貢の納め時じゃぞアクドイさん!神妙にお縄につくがよい!」
「おのれ……!だがまだビットが止められただけ……」
「それなら、こっちもだよ!」
 続けてシャーリーの『ソニック』が腕部に外付けされたワイヤーアンカーを射出する!
 射出されたワイヤーはオブリビオンマシンを絡め取った。シャーリーは更にマシンの出力を上昇させてワイヤーを引く!
「ムウウーッ!こちらの動きを封じるつもりか……だが甘いわ小娘ッ!やれ、デッカード!」
「ぐ……あッ」
 だが、ここでデビルジェイバスターはそれを逆手に取った!オブリビオンマシン躯体はブレードを掲げ、そしてウイングの推力で空中を翔ける!その軌道の先は――シャーリーだ!
「ゲヒヒヒヒ!このまま真っ二つにしてしまえい!」
「シャーリー!」
 ブレードを構えながら、デビルジェイバスターがシャーリー機へと一気に間合いを詰める!
 咄嗟にウィーリィはマシンのブースター出力を上昇させ、強引に空中へと飛び出した。前方にシールドを構え、庇うように経路を遮る!
「甘いわ小僧ォ!」
「く――ッ!!」
 しかし、オブリビオンマシンの出力はあまりにも強大だ。そのブレードが、アトラスのシールドを一撃で両断し、更に機体の装甲を抉り取る!
「ぐあああああああッ!!」
「ウィーリィくん!」
 轟音!衝撃に叩き落とされたウィーリィのマシンが地面に激突した!
「ゲヒヒヒ!とどめだ!」
 そして追撃とばかりにブレードを振り上げるデビルジェイバスター!アクドイネンの高笑いがこだまする中、その剣がウィーリィ機を――
「――そういう風には、ならないのよね?」
 ――断ち切るその寸前に、一機の機影が飛び込んだ!
「な――ッ!?」
「ワイルドハント。遊撃・兼・奇襲担当――白鳥・深菜。」
 交錯に割り込んだ白銀の機体――モルビスG型がその手に握ったブレードを振るう。コクピットにおいて、深菜は猛禽じみた狩猟者としての笑みを浮かべていた。
「な……なんだ!何が起こった!?」
「あら。まだ気づいてないのかしら?」
 剣――【鉄騎携えし一振りの剣/フェルシュング】。それは深菜自身の持つ武具をキャバリア用の兵器に変異させるユーベルコードだ。彼女はこれを用いることで彼女自身とキャバリア躯体を強くシンクロさせ、機体の性能を本来のスペック以上に引き出したのである。
 そして、猛禽の翼を得た白銀の機体は踊るように宙を舞う。
「――あなたはもう、獲物でしかない、ってことよ」
「ぐ、ぐぬぬ……!」
「ええ、その通りッ!」
「今度はなんだッ!?」
 続けて鋭く飛び込む声に困惑するアクドイネン!デビルジェイバスターのセンサーは接近する巨大な熱源を捉えたが――気づいたその時には、もはや遅い!
「ワイルドハント!斬り込み・兼・焼き肉担当……荒谷・つかさ!そして!」
 ヴォン、ッ。――つかさの繰るマシンが、その瞳を赤く光らせる。
「なに……!き、貴様!そのマシンは陸戦用では……」
「【黄昏の鉄巨神/スルト・ラグナロク】ッ!――ええ、飛べなかったわよ。さっきまではねッ!」
 剣を掲げるスルト・ラグナロクは、その背に大型の飛行翼を展開する。――『機煌炎神』スルトの出力を上昇させた強化形態だ。その躯体は空を翔け、そして炎を振りかざす!
「さあ、狩猟《ワイルドハント》の時間よ!」
 短いアイコンタクト。つかさと深菜はコクピット越しに頷きあい、そしてそれぞれのマシンを駆動させる!
「ええ――いくわよ!白き翼と共に狩の舞踏を踊れ――灰被り《アシェンプテル》!」
「黄昏を灼く《レーヴァ》………焔の巨剣《テイン》ッ!!」
「ヌオオオオ――――ッ!!」
 白く輝く機体が刃を振るう。同時に炎の翼が舞った。紅白の翼は踊るように剣と共に舞い、オブリビオンマシンの躯体へと斬閃を刻み込んでゆく!
「――ぐああッ!ば、バカな……!」
「ぐ……あ、ッ!」
 そして、重なる刃に穿たれたオブリビオンマシンは遂に地へと堕ちる。ズゥン――ッ。衝撃に大地が揺れた。
「はあ……はあ……ッ。な、何故だ……このデビルジェイバスターの出力は通常のキャバリアの十倍のエネルギーゲインがあるのだぞ!それがどうしてこうもしてやられる!」
「まだわからないっていうなら――教えてあげる!」
 態勢を立て直すべく立ち上がろうとするオブリビオンマシンへ、再びワイヤーアンカーが射出される!シャーリー機が再び接近を試みたのだ。
「そのマシンにはね……心がないんだよ!」
 そして、シャーリーは叫んだ。
「心だと……何をふざけたことを」
「アクドイネン!あなたは黙ってて!」
「ヌウ……」
「……」
 ワイヤーアンカーで繋いだ接触回線から、シャーリーは更にオブリビオンマシンのコクピットへ――そこに座すデッカードに向けて、更に呼びかけ続ける。
「思い出してデッカードさん! あなたが戦うのは『敵を倒す』ためじゃなくて『誰かを守る』ためだよね?」
「……守る」
 その声に、デッカードの瞳が再び光を取り戻し始める。
「うむ。そうじゃ。お主には守るべきものがあるはずじゃ!――なあ、そうじゃろ、王子よ!」
 ここでその中に割り込むように、アマミが通信を繋いだ。――そして、通信の中にもう一人ぶんの声が混じる。
『……そうだよ、デッカード。僕は……君から勇気をもらったんだ。だから、今度は僕が君に勇気をあげる番だ!』
 それはユーティア王子の声である。
 若き王子と、彼を支え続けていた近衛騎士。――彼らは、熱く燃ゆるBraveLyな絆で結ばれた2人だ。その声こそが、悪しき者の口車やマシンの狂気を跳ね除ける最大の力となるのである。
「王子……」
「そうだよ、デッカードさん!今ならわかるはず!あなたが守りたいものが何なのか!」
 更に、シャーリーが再び叫ぶ。
「戦って、一緒に!あなたが守ろうとしたこの国を守るために!」
「……」
 そして――僅かな、沈黙。
 数秒の空白を、置いて。
「……すまなかった、皆。そして……王子」
 通信機越しに猟兵たちに届くのは、正気を取り戻した近衛騎士デッカードの声である。
「私が至らないばかりに、皆には迷惑をかけてしまった……今こそ、この罪を贖おう。アクドイネン、私はもうお前の思い通りにはならないッ!」
「なんだと……!?デ、デッカード!貴様……!」
 困惑するアクドイネン!デビルジェイバスターの操縦スペースでは、正気を取り戻したデッカードがアクドイネンに対峙していた。
「そして手を貸してくれている皆さん!この機体は私が抑え込みます。今のうちにとどめを!」
「グヌヌヌ……デッカードめ、そうはいかんぞ!」
 ご、ッ――!打擲の音。激しく争う物音が響いて、オブリビオンマシンからの通信が途絶する。
 しかし、デビルジェイバスターの躯体は動きを止めたのだ。瘴気を取り戻したデッカードが、コクピット内でオブリビオンマシンの悪意へと抗っているのである!
「……今だよ、ウィーリィくん!」
「ああ!デッカードさんの想い……受け取ったぜ!」
 ウィーリィは操縦桿を握りしめた。彼の『アトラス』は先の交錯で大きなダメージを受けていたが――まだ、機体は動く。態勢を立て直すのに少々時間をかけてしまったが、最後の一撃を叩き込むくらいは十分に可能だ。
「出力全開……頼むぜ、アトラス」
 ヴォ、ッ。ウィーリィの呼びかけに、マシンのエンジンが鼓動めいたエンジン音を一際大きく響かせる。
 ユーベルコード出力を通じて、アトラスの握るブレードの刀身に炎が灯った。――そして、加速。推進剤を燃やし、軌跡を描いてウィーリィ機が奔る!
「極めた火工と刀工は、誰かの心を救うため……!これで決める!【幻炎鎮魂斬/セイヴァー・セイバー】――ッ!」
 一閃!
 炎を纏う刃が、デビルジェイバスターを貫いた。
『――――!!』
 悲鳴めいた金属音と共に、オブリビオンマシンが膝をつく。
 ここに至るまでに重ねた猟兵たちとの交錯が、機体全体に無視できないダメージを累積させていたのだ。その躯体に込められた邪悪な念を灼き尽くすように、ユーベルコードの炎が機体を焦がす。
「これで――」
「終わっ」
「あーーー待て待て待て!!それ言うたらいかんぞ!!フラグ立てるつもりか!!」
 『やったか』はやってない法則だ。決着がついたか、とみて息を吐きだそうとしたつかさと深菜へアマミが文句をつける!
「でもアマミさん、デッカードさんも正気に戻ったみたいだし――」
 そこにシャーリーがツッコミを入れようとした――その瞬間である!
「ゲヒヒヒヒヒ!ゲヒヒヒヒヒ!」
 通信機を通して猟兵たちに届くのは、アクドイネンの悪辣な哄笑だ!
「なに……!」
「愚かなデッカードめ!丸二日近く飲まず食わずでいた身体でこの私に勝てると思ったか!」
 ――そして、通信回線にオブリビオンマシンのコクピット内が映し出される。
 パイロットシートに身を預けているのは――アクドイネンだ!
「ゲヒヒヒヒ……回りくどい策など講じず、はじめからこうしていればよかったのだ。あとはこの私が!このマシーンのパワーでこの国を制圧する!」
 マシンの双眸が、再び禍々しく光った。
 再起動したオブリビオンマシンが立ち上がり、炎を振り払いながらその出力を上昇させてまたしても宙に浮かび始める!
「貴様らを全滅させた後で、にっくきデッカードの奴めと王子を公開処刑してくれるわ!」
 もはやなりふり構わなくなったアクドイネンが、マシンの操縦権を奪ったのである。
 しかし、オブリビオンマシンは既に自己再生が追いつかぬまでにダメージを負っており、アクドイネン自身もまたここまでの戦いで消耗を重ねた状態だ。
 決着の時はもはや間近まで近づいているといえるだろう。
 そして――戦いは、終局へと向かう!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ミスト・ペルメオス
【SPD】

…やりますか。
救うのは姫ではなく騎士ですが、なんて。

引き続き愛機たる機械鎧を駆って戦闘に臨む。
デバイス等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
高度・速度、また以前とは異なる敵機の機体特性に注意しつつもスラスターを活用した高速戦闘を挑む。

当初は戦闘機動をとりつつ中距離での射撃戦を展開。
遠隔操作兵装は適宜弾幕を張って迎撃、或いは回避機動やビームシールドで凌ぐ。

機を見て【シュラウド・ジャンプドライブ】。射撃戦の継続と見せかけて不意にサイキック・ジャンプゲートを展開。
ゲートを抜けて瞬時に肉薄、ビームブレードでの連撃。頭部や四肢を破壊することで戦闘力を奪う!

※他の方との共闘等、歓迎です


ブラッドルファン・ディラィトゥオクア
まぁまぁ、えろうつまらん馬脚の露わしかたしよってからに…
話早いよってまぁかまへんけどねぇ
今回の収穫はおぶりびおんましんに頭ヤラれてもうたお人は降りても影響出る場合がある、っちゅう事やろか?
アクドイネンはんもしかしたら正気に戻るかも知れへんけど…何か助けたならないのはなんでやろね
んな事よりデッカードはんは長い事抵抗してはったけかんなり憔悴しとるなぁ早よ楽にしてやらな
ぶぶ漬けどうどす号も悪うなかったんやけど妖怪たぁ対極やって得意のやり方やらせてもらいます
黒霧に変じ皆包み込んだるわ
ぴかぁ光る石も実体無き霧にゃ通じへんで
元々実体の曖昧な妖怪やもんで、物質の世界とは棲んでる世界が違うっちゅう恐怖感じてや


ナイ・デス
ジェイバスターに組み込まれた、オブリビオンマシンのパーツ
恐らくですが、そこも確りと破壊すれば……
今度こそ、救いましょう

『イグニッション』
真の姿である「光」となって。黒剣と融合
『リベレイション』
黒竜の彫像達と融合。鎧姿となって

デッカードさんの、人の精神を蝕んだオブリビオンマシン
破壊します!

【念動力】で【吹き飛ぶ】ような加速、低空を飛翔しての高速戦
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】攻撃受けても怯まず、刹那で再生【カウンター】
狙うはオブリビオンマシン化させたパーツ
操縦空間は避けて【鎧無視攻撃】刃を刺し【浄化、生命力吸収】する光を放つ
必要なら、パイロットとオマケだけを残して
ジェイバスターを完全に、骸の海へ



「ゲーッヒヒヒ!ゲヒヒヒ!このアクドイネンこそがこの国を支配し、クロムキャバリアの大地に覇道を敷く帝王となるのだァ!」
 妄執。狂乱。ユーシア公国軍元将軍、アクドイネンはオブリビオンマシンの中から狂気じみた哄笑を響かせた。
「まぁまぁ、えろうつまらん馬脚の露わしかたしよってからに……」
 ブラッドルファン・ディラィトゥオクア(f28496)は眉根を寄せる。
「どれにせよ、あれは止めなくてはいけないものです。行きましょう」
「はい……。今度こそ、救いましょう」
「ええ。……救うのは姫君ではなく騎士ですが」
 ミスト・ペルメオス(f05377)は、ほんのり冗談めかして口の端をわずかに上げた。ナイ・デス(f05727)は静かに頷き、出撃の準備を整える。
「せやねぇ。とにかくあちらさんに大人しゅうなってもらえればええんやろ?そんなら話早いよって、まぁかまへんけどねぇ」
 そして――猟兵たちは出撃する。燃えるような朝焼けに照らし出されたナナ=マーガリの丘で、オブリビオンマシンとの戦いに決着がつけられようとしていた。

「ゲヒヒヒ!素晴らしいパワーだ!やはり策を弄したのが間違いであったわ!デッカードよ、貴様もそう思うだろう!」
 機動!乗り手を変えたオブリビオンマシンがウイングを展開し、素早く丘の上を駆けた!巧みに振るうブレードが、それを止めよう立ちはだかったユーシア軍のキャバリア隊を打ち払う!
「やめるんだ、アクドイネン……!」
「ゲヒヒヒ……この私に命令できる立場ではないぞデッカード!」
 コクピット内の後部スペースに押し込まれたデッカードが弱々しくアクドイネンに抵抗する声をあげる。しかし、ここに至るまでに体力と精神を大きく消耗した彼の力ではアクドイネンの暴走を止めることはできないのだ。
「消耗しきった貴様をここで始末するのは容易いが……まずはこの私に歯向かう愚か者どもを全滅してやる!」
「そうはいきませんよ、アクドイネン!」
「――ぬうッ!何者!」
 疾駆!――丘を駆け抜ける一陣の黒い疾風!灯る赤色の視覚センサー。宙を舞う鋼鉄の躯体に刻まれし銘は――ブラックバード!
「こちらは“船団”所属――機体登録名ブラックバード!ミスト・ペルメオス少尉です!」
 ブラックバードの躯体は低空を巧みに飛行しながら、携行火器を抜き放つ。先制射!ビームアサルトライフルのトリガーを引き、ブラックバードが光を放つ!
「ムウッ!小癪な!」
 しかし、アクドイネンは操縦桿を傾け回避機動をとる!
「今のは警告です。直ちに機体を放棄し投降してください」
「ふざけるなよ、小僧!この私を将軍アクドイネンと知っての挑発かッ!」
 ミストの警告に猛反発するアクドイネンは精神を集中。そしてビット兵器を展開した!レーザー攻撃機構をそなえたビットの群れが、猟兵たちへと襲い掛かる。迸る閃光がナナ=マーガリの丘を灼いた!
「……すごい威力、ですね……あれが、オブリビオンマシンの、出力……」
 その凄まじい火力を目の当たりにしながら、ナイは目を細めた。
「せやねぇ、あれも相当なもんやな」
 その横に並び立つブラッドルファンもまた、燃える丘を目にしながら――しかして、口の端を歪める。
「とはいえ、慎重になりすぎても仕事になりまへん。ここは思い切って飛び込みましょ」
 そして、ブラッドルファンは堂々たる仕草で戦域へと足を向けるのだ。
「あのましんを止めれば、頭ヤラれてしもうたお人もその影響から抜けられる……そんでもって、万事解決で万々歳、っちゅうことやろ。ほんならぱーっといきましょ」
「……はい。そう、ですね……。いきましょう。デッカードさんと……あと、おまけのひとも、助けます」
「せやなぁ。デッカードはんは早よ楽にしてやらな、て思いますけど……アクドイネンはんの方は、何か助けたならないのはなんでやろね」
「自業自得……だから、でしょうか」
 神妙な顔で頷きながらも、ナイは戦場へと走る。
 それはそれとして、だ。
「いきます――『イグニッション』!」
 ナイはその身体を解いた。――自身の真なる姿である光へと、彼は変じる。
「つづけて……『リベレイション』、ッ!」
 【ブレンホルズ・ジヴィライゼーション】――!ナイの光は彼のもつ剣と黒龍の彫像へと宿る。それはぎりぎりと音を立てながら急激に質量を増して肥大化し、そして形を変えた。
 かくしてここに顕現するのは、キャバリアと同等のサイズに至る鎧の巨人の姿である!
「……いきます!」
「ほーほー……いろんなあぷろぉちの方法があるんやなあ」
 戦闘領域へと向けて跳ぶように駆け出したナイの躯体を見送って、ブラッドルファンは息を吐いた。
「そんなら、うちもうちらしくやらせてもらいましょか――」
 そうして、ブラッドルファンはその指先を掲げる。
「ぶぶ漬けどうどす号も悪うなかったんやけど……妖怪たぁ対極やって。うちの得意のやり方、やらせてもらいます」
 その瞬間である。
 ブラッドルファンの姿は、その末端から黒く染まり、解け始めたのである。
 【変幻基本セット『ヴァンパイア篇』】――妖怪としての力を、彼女は行使する。その身の内に内包した無数の西洋妖怪のうちひとつ、吸血種の権能だ。今や彼女の躯体は、月をも隠す漆黒の霧と化していた。
「なぁに、有り触れた術やさかい。面白みのうけどな――」
 嗤うような声音とともに、広がる黒霧が戦域へと至る。
「付きおうておくれやす」
「――な、なにッ!?なんだ、この霧は……このエネルギー反応は!?」
 黒霧――異常なエネルギー反応をもった正体不明の物質の接近を感知したアクドイネンが、コクピット内で困惑の声をあげた。
「これも猟兵どもの技か……!?ええい!撃て撃て!火力で圧殺するのだ!」
 アクドイネンは叫びながら機体を繰る。展開したビット兵器が一斉にレーザー光を放った!
「くッ――!」
「さすがに、やります……!」
 走り回るレーザー放射を躱しながら、ミストとナイは反撃の機会を伺う。
「――そんなら、ここは任せてもらいましょ」
 しかしてその最中、黒霧と化したブラッドルファンが前線へと辿り着いた。――展開する霧は、妖気を纏いながら周囲の空間を黒く染め上げてゆく!
「な、……なんだ、これは!なんなのだ!」
 困惑するアクドイネンは更にレーザー光による攻撃を重ねる。
「ぴかぁ光る石やってねぇ。いくら揃えたところで……実体無き霧にゃ通じへんで」
 ――だが、霧を払うことはできない。光条は霧の中にいくらかの穴を穿つが、それもすぐさま塞がれるのだ。
「お、おのれ……この霧はなんなのだ!?一体……き、貴様は!?」
 半ば恐慌するアクドイネンが叫んだ。――それもそのはずである。このクロムキャバリアという鉄と炎が支配する世界にあっては、『妖怪』などという人智を越えた存在概念はない。
「おやぁ、知らんかってん?うち、元々実体の曖昧な妖怪やもんで」
 囁くようにブラッドルファンはアクドイネンの機体の通信機へと声を届けた。――それと同時に、黒霧に満ちる妖気に中てられたビット兵器が爆散する。
「グ、グヌヌーッ!」
「今やで!よろしゅうな!」
 ――ここでバトンタッチだ。黒霧を晴らすように、ブラッドルファンは一旦変化を解いた。
 その瞬間である。
「はい!デッカードさんの……人の精神を蝕んだオブリビオンマシン!破壊します!」
「ええ。ここで決着を付けましょう!」
 飛び込んだのは、2機の黒き躯体である!片やミストのブラックバード。片やナイの変化した鎧の巨人!2機は同時にデビルジェイバスターへと斬り込んだ!
「――あのマシンの、動力部……それが、中枢のはず、です!」
 ナイはブラックバードへとデータを送信する。それはここに至るまでにナイが調査を行った結果だ。新型のキャバリアとして開発されていたジェイバスターは、別のオブリビオンマシンの部品を動力部に移植されることで内側から機体を侵食され、オブリビオン化させられたのである。
「なるほど……それが奴の核ということですね!」
「はい!」
 ナイとミストは同時に加速した。2つの機影はオブリビオンマシンの躯体へと一気に距離を詰める!
「ムウウッ!」
 だが、敵も一度は将軍の地位に上り詰めた戦士なのだ。熟達したその腕は多くのキャバリアパイロットを凌ぎ、そしてオブリビオンマシンの性能を十全に発揮する!振りかざすブレードがブラックバードの突進を受け止めて弾き、返す刃をナイへと振り下ろす!
「重い……!さすがに、出力が!」
 咄嗟に黒剣で受け止めたナイであったが、その膂力に押されてしまう!勢いに押され、僅かに後退!
「なら、もう一度これで――」
 ここでブラックバードが再びビームアサルトライフルを抜いた。その照準をデビルジェイバスターへと向ける!
「ゲヒヒヒ――そうはさせん!」
 しかし、素早く反応を示したアクドイネンがマシンを機動させる!ブレードを構えながら反転し、オブリビオンマシンは一気にブラックバードへと間合いを詰めにかかったのだ!
「……!」
「死ねーッ!!」
 ――デビルジェイバスターの掲げたブレードが、ブラックバードを捉える!接触まで――両断まで、あと数秒。絶体絶命の危機。ミストに死が訪れるまであと5秒。4,3,2……――1!
(…………アクセス!)
 ひゅ――ッ!
 そして、デビルジェイバスターのブレードが――――――――――空を切る!
 その刃が薙ぎ払ったのは、何一つ存在するもののない虚空であった!
「なに――ッ!?」
 困惑の叫び!バカな。間違いなく“斬れる”間合いだったはずだ!バランスを崩したオブリビオンマシンのコクピットで、アクドイネンが目を剥いた!
「い、今追い詰めていた敵のマシンは!?」
「――こっちですよ!」
 ざッ!空間を切り裂く音と共に、漆黒の躯体が虚空から飛び出した!――【シュラウド・ジャンプドライブ】!ミストのサイキック能力が可能にする、短距離空間転移の能力である!ミストは斬りかかれられたその瞬間に、機体の背後に開いたゲートにマシンを滑り込ませていたのだ。そうしてアクドイネンの凶刃を躱したのである!
「しまッ――」
「今度こそ……これで終わりです!」
 一閃!ブラックバードの腕部から展開するビームブレード。ミストは一気に間合いを詰め、デビルジェイバスターの腕を切り裂いた!
「ヌア――ッ!!ば、バカな!!」
「もう、逃げられません……!オブリビオン、マシン……骸の海へ、還ってください!」
 追撃!ブレード斬撃に怯むオブリビオンマシンへと向けて、更にナイが飛び込んだ!その腕の先から伸ばした黒剣がデビルジェイバスターの中枢部へと叩き込まれる!
「き、貴様……何を!」
「捉え、ました――――はああああああっ!」
 そして――光が、爆ぜた。
 ナイ・デスという猟兵は、勇者の意志とともにあり、世界を救う者と共にある存在であると自らを定義した存在だ。
 故に、その身体に内包せし光は――滅びをもたらすオブリビオンの邪悪を浄化し、骸の海へと還す!
「ば、バカな……わ、私の……このアクドイネンの計画がアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
 爆発的な閃光。
 ナイが放つ浄化の光の中で、オブリビオンマシンの躯体が解けるように滅び、消えてゆく――その内部にいたデッカードと、オマケにアクドイネンを残して。
「おっと……危ない!」
 機体が消滅したことで宙に投げ出されたデッカードとアクドイネンを、ブラックバードのマニピュレーターが受け止めた。
「バイタル確認……。こちらブラックバード。オブリビオンマシンは消滅。そしてパイロットは……2人とも無事です!」
 ブラックバードの通信機へと、ミストが叫ぶ。
 その報告を受け取って、ユーシア軍の兵士たちは快哉を叫んだ。
「……うんうん。うまくいったんやねぇ」
 通信機から漏れ聞こえる声に、ブラッドルファンは頷いた。
「なんやけったいな案件やったけど……今回の収穫は、おぶりびおんましんに頭ヤラれてもうたお人は降りても影響出る場合がある、っちゅう事やろか?」
 少なくとも、アクドイネンはオブリビオンマシンから降りたままでも、その影響を受けて今回の行動に出ていたのは間違いない。今回の案件で得られた知見は、決して無駄にはならないだろう。ブラッドルファンは静かに頷いた。
「まぁ、どれにしても……これで一件落着、っちゅうわけやな」
 ――かくして、ナナ=マーガリの丘に日は昇る。
 大地には激しい戦いの爪痕が残り、ユーシア公国軍のキャバリア部隊の中に生じた損害も決して少ないものではなかったが――それでも、人々は勝利を叫び、勝ち鬨をあげるのであった。

 そして、その日の夜のことである。
 ユーティア王子は猟兵たちを宮殿へと招待したのだ。
 王子は広間で猟兵たちを歓待し、そして感謝の言葉を口にしながら深々と頭を下げた。
「みんな、まずはお礼を言わせてほしい」
 顔を上げたユーティア王子は、朗らかな笑顔で猟兵たち一人一人に握手を求めた。
「みんなのお陰でデッカードは無事に帰ってくることができたよ。今は病院で療養中。それから……アクドイネンもね」
 王子曰く――アクドイネンは、全ての罪状を認め、おとなしく収監されたのだという。
 『マシンの影響を受けていたとはいえ、野心を抱いていたのは事実』と、本人が潔く認めたのだ。マシンの影響があったと見れば酌量の余地があるとは言え、本人は正しく裁かれることを望んでいるそうだ。
「こんど何かあったときは、僕らの力が及ぶ限り君達猟兵の活動を全面的に支援することを約束するよ」
 それから――またこんな迷惑をかけないように、国内の警備網をもっと手厚くする、と。王子は付け加えた。
「君達のお陰で……僕たちは、大事な絆をなくさずに済んだよ。……本当に、本当に、ありがとう」
 そうして、王子は屈託なく笑った。

 ――こうして。
 ユーシア公国において生じた事件は、猟兵たちの活躍によって終結したのである。
 守り抜かれた想いと絆はこれから先も尽きることなくこの国を照らす光となるだろう。
 かくして、ユーシア公国における猟兵たちの戦いはこれにて結末を迎える。
 

 余談であるが。
 ――アクジオ・タクラム大臣は今回の案件についての一切無関係であると主張しており、少なくとも今回に限っては実際に事件への関与は認められなかったため特に何かが変わったということはない。
 しかし、懸命な読者諸君であればお気づきであろう。タクラム大臣もまたアクドイネン将軍同様に野心を抱く者なのだ。いずれその邪心が牙を剥くときが来るやもしれない。
 その時はまた、猟兵たちの力が必要になることもあるだろう。――ユーシア公国における物語は、その際にまた語られるに違いない。
 それはともかくとして――此度の物語は、これにて幕を閉じるのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年10月15日


挿絵イラスト