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灰の降る日に

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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●起動実験
「ウォッチャーよりバジリスク。調子はいかがですか、大尉」
「体調はいい。いつもと違うコクピットは落ちつかないけどな」
「それ、ただワクワクしてるだけなんでしょう?」
「言うなよ」
 その日は、初雪が降った肌寒い頃だった。
 色の剥げ落ちた廃墟都市がうっすらと雪化粧を施されていく中、指揮車である装甲トラックのモニターに映るその真紅の機体は、一層色鮮やかに見えた。
 機体コード『ブレイジング・バジリスク』。
 上半身に備え付けられた大型のバーニア・ユニットがトップヘビーな印象を抱かせる、高機動型のキャバリアだ。
 我が軍が開発した機体ではない。
 以前に敵国との抗争の折、動作不良か放棄されていた機体を鹵獲したものだ。
 解析と点検、修理を繰り返し、ようやくこの日、稼働試験にこぎつけたのだ。
 敵の兵器など、と思うものは、確かにいるのであろう。
 だが、プラントは資源を作ってはくれても、技術革新を提供はしてくれない。
 『知る』事は人間がやらなければいけないのだ。
 未知の技術に触れ、優れた点を知っていく。それもまた、我ら戦術試験中隊の重要な任務なのだと、指揮車の運転席に体重を預けながら、思う。
「第一、第二、第三小隊。すべて配置につきました。間もなく開始します、大尉。……大尉?」
 返事がない。
 どこか緩い雰囲気の彼でも、必要なやり取りは面倒臭がらずにやってくれるはずなのだが。
 通信機器の故障を疑い、モニターに目を走らせる。
 おかしい。
 機体同士の通信は問題なく開いている。自分の声はあの機体に届いている筈なのだが。
 もう一度声をかけようと口を開きかけた丁度その時、バジリスクの熱量が増大していくのを赤外線センサーが捉える。
 エンジンに火が入った。それも暖気運転の比ではない、戦闘用の出力で。
 重大な命令違反だ。それでも、命令違反よりも先に『暴走』の二文字が頭をよぎったのは、ひとえに大尉の人柄によるものなんだろうと、頭の片隅でそんなことを思う。
「各小隊!実験機に暴走の兆候あり!戦闘態勢に入れ!」
 考えるよりも先にオープンチャンネルを開く。叫ぶ。指揮者のミッションをバックギアに叩き込む。
 随伴機のオブシディアンが一斉にマシンガンを構えるのと、その肥大化した上半身からスラスター炎が噴き出るのは、ほぼ同時の事であった。

●戦乱の山へ
「搭乗者を狂わせる悪魔の兵器……我々以外に見分けがつかない、というのは厄介なものですね」
 グリモアベース。
 シャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)の後ろに映し出される景色は、発見されてまだ日が浅いクロムキャバリアのそれである。
「今回の任地は、クロムキャバリア北方の小国家……『アッシュフレーク』と呼ばれる場所です」
 国土の大半を、国名の由来であるアッシュフレーク山が占める山岳都市国家である。
 高原に市街地が点在し、山そのものを天然の要塞とした高峰に資源精製プラントを備えているのが見て取れる。
 事件はその麓の一区画、かつての戦乱で放棄されたらしい、廃墟都市区画で起こった。
「このあたりは、昔大規模な市街戦があったらしくて。大きな被害を被ったのち、現在はキャバリアの運用試験や模擬戦闘に使われているらしいです」
 この時も、アッシュフレーク国軍が擁する戦術試験中隊――新兵器の運用テストや戦術構築を主任務とする教導隊の一種らしい――が、キャバリアの稼働実験を行っていた。
 つまるところその機体がオブリビオンマシンだった……という事だ。
「現在、随伴していた量産型キャバリアが相手をしていますが……」
 それを語るシャルの表情は暗い。
 その様子から見ても、そう長くは持ちそうにないのは明白だろう。
「……まず、軍司令部の方へ転送します。必要なら現地でキャバリアを借りることもできますので、そちらで戦闘準備を整え次第、該当区画へ輸送を行う手筈になっています」
 無論、自前のキャバリアがあればそれを使用しても良いし、自信があるのなら生身での戦闘も行えるだろう。
 戦い方は、猟兵に一任される。
「以降は現場の指示に従ってください。……あまり猶予はありません。準備が出来た人から飛ばしますよ」
 緊迫した声と共に、グリモアの転送ゲートが開く……。


ふねこ
 身体は闘争を求めても闘争のままに動けるわけじゃない。
 はいどうも、この手のゲームは好きだけどへたっぴなふねこです。
 ロボット物スキーなのでちょっとテンション上がっております。
 例によって、更新タイミング等の大雑把な目安はマスター自己紹介にも随時書いていこうと思いますので、そちらもよろしければご確認くださいませ。
 以下、補足情報になります。

 各章とも、最初に断章を用意したのちプレイング募集となります。
 第一章では、アッシュフレーク山麓の廃墟市街地にてのボス戦となります。
 放棄されて久しい場所なので、民間人の被害は考えなくて大丈夫ですが、味方NPCが苦戦中です。

 また、本シナリオでは量産型キャバリアを借りて使用することができます。
 レンタル機体情報は下記の通り。

『オブシディアンMk-4』
 クロムキャバリア各地に普及している量産型キャバリア。
 本機はRS電磁マシンガン、RXキャバリアソードで武装しているほか、小型のEPシールドを左腕に装備しています。
 遮蔽や起伏の多い国土に応じて調整された、比較的軽装高機動の近~中距離戦仕様となっています。

 他、好みに応じてある程度の武装変更にも応じられますが、デフォルトでOKの場合は文字数削減にご利用ください。

 それでは、皆様のご参加お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『ブレイジング・バジリスク』

POW   :    ブレイジング・シュート
【ライフルの集中射撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    バジリスク・ランページ
【右腕のライフル】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    エンジンキラー
自身の【オブリビオンマシン】から【漆黒のオーラ】を放出し、戦場内全ての【エンジン】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●介入
 オブリビオンマシン。
 搭乗者を破滅へと誘い、周囲に破壊を振りまく災厄の機体。
 傍目には判別する事も叶わぬと言うそれと、それの破壊を専門に扱う、『猟兵』という不可思議な傭兵集団。
 眉唾な話ではあったが、現にクロムキャバリア各地で、突如としての暴走現象とそれを止める者たちの目撃情報は、外に目を向けていれば自然と入ってくる。
 そのおかげか、アッシュフレーク国防軍は猟兵の介入に驚きこそすれど、その介入を快く受け入れた。
「ストークアルファよりT3。現在、救援のため急行中。応答と状況報告を求む」
『こちらT3ウォッチャー、救援に感謝します』
 猟兵を連れた輸送用の装甲ヘリコプターが、編隊を組み雪のちらつく空を行く。
 輸送隊長の声と、通信先の緊張した声は、猟兵の耳にも無線越しに届いていることだろう。
『T101、102、202、303は大破。現在、残存する五機がバジリスクと交戦中です』
「脱出したパイロットは猟兵の降下後、こちらで拾う。ウォッチャー、引き続き管制は可能か?」
『了解。可能です』
「聞いての通りだ、イェーガー。情けない話だが、どうやら戦況は芳しくないらしい。苦労を掛けるが、よろしく頼む」
 時折微かな揺れを感じるのは、山風の影響か、或いは激しい戦闘の余波なのか。
 眼下に広がる色の薄い廃墟都市を縫って、紅の機影が奔る。
「電波状況が良くないが、戦闘区域内の通信ならウォッチャーが中継してくれる。互いの意思疎通に影響はないはずだ。降りた後は、彼の指示に従ってくれ」
『貴方達の噂は聞いています。申し訳ありませんが……、……!』
 通信士の息を呑む音が聞こえた。
 高速で突進したブレイジング・バジリスクが、一機のオブシディアンの首に掴みかかり、廃ビルの壁面に叩きつけたのだ。
『T103大破!第一小隊活動停止!』
「――待たせた!降下ポイント到着、降ろすぞ!」
 ヘリに吊るされたキャバリア固定用クレーンのロックが外れる。
 あるいは、パラシュートと共にその身を空に躍らせた猟兵もいただろうか。
 紅の悪鬼を狩るべく、猟兵達が廃墟都市へと降り立って行く――。
小和泉・佳奈恵
ウォッチャー、こちらは優誠警備保障所属、Sec-UNIT 31。
ポイント到達、降下開始。目標への誘導求む。
――ふー。"居らんくなった"正規操縦士みたいに出来とおかな。うん、手順も、やるべきこともわかる。
まずは弾薬は温存せんとね。センチネルは所詮贋物のキャバリアやし勝てるとは思わんとこう。

匍匐跳躍で廃墟を盾に視線を切って接近戦。
機関砲で気を引きながらアッシュフレーク軍の機体をフリーにするよ。
どうせぼくの機体の火力じゃ通用せんしね、被弾は盾受けして損害抑えて、死ぬ気でこっちに引きつけて、足を止めて正面からの撃ち合いばする。
Sec-UNIT 31よりアッシュフレーク軍各機、隙は充分かな。後は頼んだ。


ユーザリア・シン
量産型をひとつ借り受ける
操縦席に座ってワイズマンユニット接続
よきに計らうが良い、インカーナダイン
ユーハブコントロールぞ

――アイハブコントロール。オブシディアンMk-4機体制御、状態掌握
フレーム強度確認…長時間の『変身』は困難。問題ありません、Mk-4の性能は必要十分と判断
目標設定…最優先目標、味方人員救助
『ヴァンパイア』装備を一部招喚します
サイキックウエイブ起動、行動不能味方機の搭乗者を保護
ガンバッドビットを招喚し、要救助者を載せて安全領域まで搬送

『向こうがこちらを狙っておるぞ』

把握しています。シールド展開、牽制射撃
敵が高機動を発揮できない屋内へ逃げつつ、救助活動再開
『私』は目的を違えません


朱皇・ラヴィニア
紅の悪鬼か
君と同じだったりして
……冗談だよ。君は君だ
ゼルに軽口を叩きつつ機体の肉体改造
走り回って友軍を援護する為
持久力を上げつつ駆動性を向上させる
行くよゼル、持久走だ

147を大剣状に最大化
盾代わりに担いで突撃
交戦地帯に入ればそれを振り回し重量攻撃
目立ってこっちに気を向けさせる
暴れればエンジンを止めに掛かるだろう……その前に障壁展開
敵のユーベルコードを無効化し走り回って友軍の撤退を促す
そのままボクは敵との間に入ってひたすら妨害を
2機分の出力があるんだ
そうそう遅れは取らないよ

攻勢に転じたら147を大型刺突剣に変形し貫通攻撃
敵の残骸から銃を拾えるなら手に入れたいな
汚染された兵器は慣れてるから大丈夫さ



「ウォッチャー、こちらは優誠警備保障所属、Sec-UNIT 31。降下開始。目標への誘導求む」
『ウォッチャーよりSec-UNIT31、降下中の反応確認しました。地形データ、及び熱源反応のデータリンク、開始します。通信ポートは現状を維持してください』
「了解、データ受信中。完了次第行動を開始する」
 ディスプレイに映し出される地形データと、拘束で動き回る熱源反応。そしてその先で刻々と近付く地面を見やりながら、小和泉・佳奈恵(贋者・f29715)は、ふぅと一つ息を吐く。
 対大型邪神用人型陸戦機兵『Type-01J センチネル』。
 その操縦席に座る佳奈恵は、これの本来の操縦者ではない。本来ここに座すべき人は、既に"居なくなってしまった"。
「(正規操縦士みたいに出来とおかな)」
 応える者はおらずとも、やるべきこと、やるべき手順はわかる。
 だから、出来る。いや、やる。
「Sec-UNIT 31よりアッシュフレーク軍各機。状況は」
『各機とも、損傷が激しい。すまないが、これ以上の戦闘は……』
「了解、こっちでどうにか隙を作る」
 確かな振動と共に、眼下で土煙が上がる。
 着地成功。視線を走らせれば、その隣で一機の量産型キャバリア……オブシディアンが着地するのが見えた。
 右肩にはアッシュフレークの国章。だが、そこに乗っているのは佳奈恵と同じ、猟兵だ。
「大丈夫そうかな」
「問題ない」
 オブシディアンの搭乗者……ユーザリア・シン(伽藍の女王・f03153)の声に不安の色はない。
「よきに計らうが良い、インカーナダイン。ユーハブコントロールぞ」
『――アイハブコントロール。オブシディアンMk-4機体制御、状態掌握。フレーム強度確認……長時間の『変身』は困難。問題ありません、Mk-4の性能は必要十分と判断」
 オブシディアンのカメラアイに灯が点る。
 傍目には解らないが、その内部では、ユーザリアの守護騎である『ヴァンパイア・ザ・インカーナダイン』……その中枢ユニットが接続されている。
 つまりこの機体は既に、オブシディアンではありながら彼女の執鍵守護騎そのものでもあると言える。
「目標設定……最優先目標、味方人員救助」
「救難信号は捉えているね。そっちは任せるよ」
「了解」
 センチネルとオブシディアンが同時にスラスターを吹かす。
 センチネルは強大な熱源反応……即ち、オブリビオンマシンへ。
 オブシディアンは、各地に点在する救難信号……そちらはつまり、脱出した中隊のパイロットたち……の元へ。
 しかし、直接的な救助活動に目をつけたのか、あるいはただの気まぐれか。
 いずれにせよそのオブリビオンマシンは、先にユーザリアのオブシディアンに狙いを定めた。
『向こうがこちらを狙っておるぞ』
「把握しています」
 ユーザリアの声が響き、インカーナダインは即座に対応してみせる。
 推力をそのままに機体を百八十度反転。左腕のシールドを掲げ、マシンガンを引き撃ちする。
 高速で後退しながらのマシンガンの斉射は、威力も乗らなければ集弾も安定しない。
 あくまでも相手の接近を阻むため、牽制のばらまきだ。
 ひとまず逃げ切ればいい。インカーナダインは目的を違えない。
 己の最優先目標は、あくまでも救助活動だ。
 致命的な箇所だけを腕で庇いながら、なおも追いすがろうとするブレイジング・バジリスク。
 しかし、その横合いから飛び出る影がある。
「追わせない」
 佳奈恵が駆るセンチネルが、複合装甲防盾を正面に構えて体当たりをかける。
 クリーンヒットとは言わない。良くて掠めた程度だろう。
 だが、それでも姿勢を崩してインカーナダインを追うのを諦めさせることは叶った。
 その隙に、彼女のオブシディアンは建物の影へと消えていく。
「さて……!」
 佳奈恵にしては、ここからが本番。
 彼女の乗るセンチネルは、繰り返すがあくまでも対大型邪神用。キャバリアに酷似こそしてはいるが、贋作と言って良いものだ。
 本物のキャバリア、それもオブリビオン化したものと相対することは想定されていない。
 そんな機体で勝てるとは彼女自身、思ってもいない。
 友軍機が攻勢に出られるのならばよかったのだが、そこはそれ。
 攻勢に出るにしても撤退するにしても、隙は作らなければいけない。やることは一緒だ。
 センチネルの20mmガトリング砲が火を吹いた。
 即座に跳躍したバジリスクが建物の影に消え、自動照準で追った̠火線が壁面を削る。
 右。
 咄嗟に翳した防盾が、バジリスクからのライフル射撃で大きく凹む。
 二発、三発。
 どうにか致命弾を盾でいなしながら後退するセンチネルを、バジリスクが追う。
 射線を切り合い、お互いを視認した僅かな間隙で撃ち合う。
 だが、基礎スペックはバジリスクに分があるのは明らかだ。
 彼我の距離は次第に縮まり、射線を切れる時間は次第に短くなっていく。
「もう少し……!」
 友軍の撤退はまだ完了していない。なんとしてでも持たせなければ。
 ……そこに躍りかかる、一機の機影があった。
「……紅の悪鬼か」
 それは、奇しくもバジリスクと同じ真紅に彩られたキャバリアだった。
「君と同じだったりして。……冗談だよ。君は君だ」
 そのコクピット内で、朱皇・ラヴィニア(骸の虚・f29974)が苦笑する。
 なんとなく、相棒の駆動音が「一緒にするな」と怒っているような気がした。
 当の相棒……『シュラウゼル』。外骨格型のキャバリアを纏った紅い巨人が、巨大な刃を手に、バジリスクへと襲い掛かる。
 空を切った一撃が、建物のコンクリートを打ち砕いた。
 パラパラと瓦礫が崩れ落ちるのを後目に、二機の赤鬼が相対する。
「アッシュフレークの機体は離脱しつつある。十分時間は稼げたみたい」
『こちらインカーナダイン。こちらも要救助者の回収を完了。移送します』
 レーダーにも、高速で離脱する小型の反応がいくつも見て取れる。
 インカーナダインが用意した支援ユニットが、救助者を連れて離脱しているのだ。
「後はこっちで。そろそろ厳しいでしょ?」
「……ん。足止めは十分かな。後は頼んだ」
 スラスターを吹かす佳奈恵のセンチネル。
 追わせまいと、ラヴィニアのシュラウゼルが、大剣を盾代わりに掲げ、ライフル弾が一発、二発と刀身を叩く。
 高威力を誇るバジリスクの大型ライフル弾、直撃を喰らえば何発も耐えうるものではない。
 しかし、シュラウゼルの刃はナノマシンの集合体、群体である。
 自在に形を変え得るそれは、対弾性、耐久性の恩恵も齎すのだ。
 振り回す。
 果敢に攻め込み、こちらに注意を惹く。
 外骨格キャバリアと、それを着こんだジャイアントキャバリア。
 実質二機分と言って良いその出力は、相手がオブリビオンマシンと言えども、そうそう力負けするものではない。
 射撃機体と白兵機体、そうそう当たるものではないにせよ、当たればただでは済まない一撃は、決して無視を許さない。
 埒が明かぬと踏んだか。バジリスクから、黒い靄のような『何か』が噴き出てくる。
 オブリビオンマシンの放つオーラは、時として周囲の機体に不調を齎す。
 ここで時間を取られては、撤退を許してしまう。そうはさせぬと、バジリスクがその魔の手を伸ばし――。
「……いいや、それは効かない」
 しかし、その魔手は掴まれる。他ならぬ、眼前のもう一つの赤鬼に。
 撒くことができるなら、それを阻むことが出来ない道理が何処にあろう。
 奇しくも同じ、赤いオブリビオンマシン。シュラウゼルの障壁が、バジリスクのオーラを阻んでみせる。
 それは間違いなく、友軍の撤退を確実なものとする確かな一手だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

白斑・物九郎
●POW



イェーガー了解

それから――
俺めのコトは、猟団長と呼べ

『ストームライダー』、出まさ!


・黒猫型四脚機獣、自キャバリア『ストームライダー』を【操縦】しエントリー
・なまじ猫デザインなので、高高度からの降下&着地もクルッと身を捻ってスムーズにこなすよ

・コクピット内の電脳に【狩猟の魔眼】を秒でフルインストール
・自前の【野生の勘】による予見に加え、電脳魔術レベルの状況予測力をレーダー系にガッツリ受領しながら、敵機に照準されぬよう、廃屋を遮蔽に伝い高速で攪乱機動(推力移動)

・被弾しても態勢を崩さぬよう【狩猟の魔眼】は「防御力重視」で運用

・ライフルを掻い潜ってキャバリア格闘戦、ネコパンチをブチかまさん


チトセ・シロガネ
ボクは上から仕掛けるヨ、空中戦は得意だからネ!
上空から通常のキャバリアより一回り小さいジャイアントキャバリアが自由落下しながら接近。
UC【幻影乃型】で『BZファントム』を射撃モードにチェンジ、レーザ射撃の乱れ撃ちで奇襲を仕掛けて視線をこちらに向けるネ。
ここからはボクのショータイムの始まりネ! そこのオブシディアンたちは今のうちに体制を整えるとイイネ!

バジリスクから放たれる砲火は推力移動による早業でビルを蹴りつつアクロバティックな機動で回避するネ。ヒュー!いい火力してるヨ。

第二射に対して斬撃モードにチェンジ、飛んでくる弾丸に対して第六感を頼りに振り抜き、オーラ防御で撃ち返してやるネ。 



「撤収状況は?」
『スラスターをやられた機体が若干遅れているようだ。だが、先行したイェーガーが足止めをしてくれたおかげでそちらも間もなく完了する』
「ン。なら、好きに暴れて構いませんわな」
『あぁ。今はもう放棄された廃墟だ。それに元はこちらの尻拭いでもある。代わりと言っては何だが、好きにやってくれ』
「イェーガー了解。それから――」
『何だ?』
 ――俺めのコトは、猟団長と呼べ。
「懸架アーム、ロック解除!『ストームライダー』、出まさ!」
 輸送ヘリの操縦士に、はたしてその言葉は届いていたか。
 聞こえていなくても、まぁ構わない。彼を後に残して、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)が駆る黒いキャバリアが空へと解き放たれる。
 それは、端的に言って異形であった。
 コクピットブロックを中心に、上半身と下半身のパーツで構成される一般的なキャバリアと違い、物九郎のそれはコクピットから『前後』に胴体が伸びる。
 それは、まごう事なき四足獣。ワンオフの『黒猫型』キャバリアである。
「ザミエルシステム、インストール。エル、状況予測」
『対象、優先攻撃目標をこちらへ変更。対空迎撃来ます、HUDに弾道予測を表示』
 モニターに表示される幾条もの紅いライン。
 併記されたカウントがゼロになると同時、鋭い一撃が次々と撃ちあがってくる。
 流石にまだ距離がある分、命中弾には至らないが、この弾幕の中を自由落下するのは厳しいものがある。
「空中回避機動は」
『不可能です。推力不足』
「あーそうですかよ……!」
 知ってた。
 四足であるストームライダーは、当然その脚力を活かした機動性が最大の武器となるが、それは『足場』があってこそ機能するものである。
 何も踏み場が無い落下時は、いくらスラスターがあったとしても、空戦用の機体でもなければ対空攻撃への完璧な対処は難しい。
 ……最も、何も対策なしでこんな運任せのエントリーをしたわけではない。
 降りる伝手があるからこそ、こうして降りるのである。
「降りるまでは、出番譲ってやりまさ」
「はーいはい、任せといてネ!」
 並行して落下する、一回り小型なジャイアントキャバリア(語感的に違和感があるかもしれないが、カテゴリ上そうなるのでどうしようもない)が、スラスターを吹かし加速する。
 チトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)。駆る機体の名は『リントヴルム』。
 翼竜の名に偽り無し。空中戦はお手の物と、証明してみせよう。
 ブラストザンバーと称される可変光学兵装を射撃モードへと変更。
 敵機は他の猟兵を振り切って今はノーマーク。好都合だ。誤射の心配はない。
 そして、そのまま自由にさせるつもりも毛頭ない。
「ショータイムの始まりネ!」
 発射。
 矢継ぎ早に打ち出されるレーザーの光条が、次々と走る。
 当たらない。巧みにビル街の間を飛び回る敵機から、反撃のライフル弾が飛ぶ。
 いや、だが十分だ。狙いをこちらに向けさせ、釘付けにさせることには成功した。
「ヒュー!いい火力してるヨ!」
 ひときわ高い廃ビルの壁面を蹴り飛ばす。身を翻したリントヴルムの右肩スレスレを火線が走った。
 直撃したらただでは済まないであろう『圧』。背筋に走った冷えを、軽口と共に吐き出す。
「ヘイ、態勢は整ったかナ?」
「着地成功。……待たせたな、こっちも『狩り』を始めまさ」
 ストームライダーの脚部サスペンションが確りと衝撃を殺してみせれば、ここからはこちらの土俵だ。
 アスファルトに爪跡を残し、ストームライダーが駆ける。
『警告、敵機からのレーダー照射あり』
「射線表示。切る」
『了解』
 敵だって馬鹿ではない。遮蔽が多いなら、当然射線が途切れないように彼我の位置関係を常に変えてくる。
 あくまでも、計算ずくの動きではなく、物九郎の『勘』に頼ったものではあるが。
 建物の配置と、敵の位置、そして己の位置。それを見れば、相手が次にどう動いてくるかは予想がつく。
 本来ならば、それをどちらが先に取れるか、予想の上を行けるかであるが。
 このストームライダーならば、その予想を根底からひっくり返すことができる。
 後ろ足が壁面を蹴り、また別の建物のコンクリートに前足の爪を食い込ませる。
 衝撃で窓ガラスが砕け散るのを置き去りに、連続三角跳びで推力だけではありえない鋭角な高速機動を実現するのである。
 一方のリントヴルムも、推力と脚を使ったアクロバティックな軌道は簡単に被弾を許さない。
 しかし、射撃兵装を持つ空戦型としてストームライダーよりも優先順位を上げたか、バジリスクからのライフルの集中射撃は、次第にその軌道に追いつきつつあった。
 そしてついに。バジリスクの銃口が交錯の刹那、リントブルムの胴体を捉える。
 その弾丸は、真っ直ぐにコクピットブロックを撃ち抜くかに見えた。だが。
「ハーイ、残念!」
 一閃。斬撃モードへと切り替わったレーザー銃剣が、その弾丸を力場を以て真っ直ぐにはじき返す。
 飛来した軌道をそのままに逆再生するかのように返る弾丸。
 それでもなお回避してみせたのは、パイロットの腕か、あるいはオブリビオンの本能がそうさせたのか。
 だが、『回避した』のが精いっぱいだったのは言うまでもない。それほどの不意打ちだったのだ。
「射線切るのに低空飛んでたのが仇になりましたァな」
 そしてその場所は、ストームライダーの射程圏内でもあった。
「ネコパンチ、喰らわせてやりまさァ!」
 握り込まれた右前脚。
 最大出力で壁面を蹴り込み、速度と質量を乗せに乗せた一撃が、紅いキャバリアの右胸に叩き込まれた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レナ・ヴァレンタイン
※アドリブ、他猟兵との絡み歓迎

見た目からは一切異常がわからんのだから質が悪いなオブリビオンマシンとやらは…。
ああそこのオペレーター、敵にやられたキャバリアの残骸の位置を教えてくれ。なに、どうせジャンクなら活用させてもらうだけの話だ

さて、稼働可能なキャバリアの残骸をユーベルコードで再起動、遠隔操作
無事な下半身なら敵に向け特攻、腕が動くなら動くなりに武器を使って敵を撃て
倒した筈の残骸に対して雑に迎撃をしてくれれば御の字
私はその隙をついてサーフブレードを突撃させ、これを「本命の一撃」だと思わせつつ、私自身は戦車に据え付けた「ギャングウェイ」による狙撃を行う

武器ごと手足を吹っ飛ばせれば最高だがな


エミリア・ジェフティー
やー、空挺降下なんて久しぶりですね
いつもは陸路だったからなぁ…っと、見えてきましたね
起動シーケンス、クリア
発進します!

降下後、的を絞らせないようすぐに高速機動を開始
向こうも速いようですが、陸戦での速度と小回りはこっちも負けてませんよ
ヒットアンドアウェイで振り回してやります!

スローターの散弾で牽制しつつ、敵の攻撃から逃れるように廃ビル群へと身を隠して
…狙いは、撃たせてビルを崩落させること
3発目の発砲音と共に崩落の土煙に紛れて、リモートコントロールしたアンダーフレームだけをブースター全開で突っ込ませ囮にします

オーバーフレームはコックピットごと分離済み
念動力で飛ばして死角から奇襲を仕掛けます!



「やー、空挺降下なんて久しぶりですね」
『なんせ山国だからな。嬢ちゃんはあまり馴染みが無いかい?』
「そうなんですよ、普段は陸路だったから……っと、見えてきましたね」
 接触回線で輸送ヘリと他愛もない会話を交わす時間は、そう長くは与えられなかった。
 何せ、事は急を要する。正義感よりも興味が勝るエミリア・ジェフティー(AnotherAnswer・f30193)の身でも、それくらいの事は理解できる。
 命にかかわることだ。すぐさま思考を切り替え、センサーが齎す情報に目を走らせていく。
 相対距離、速度、高度、地形情報、味方機の配置。
 降下ルート、クリア。
 起動シーケンス、完了。エンジン出力、戦闘可能状態。
「エミリア・ジェフティー、セシャート発進します!」
 懸架アームが開くと同時に、身体を浮遊感が襲い、シートベルトが身体を座席に押し付ける。
 画面端に表示されている高度計が、見る見るうちにその数字を減らしていく。
「向こうも速いようですが……」
 着地。
 灰色の機体の膝が深く沈みこみ、衝撃を殺す。
「陸戦での速度と小回りは、こっちも負けてませんよ!」
 ターボローラー、展開。足首に畳まれていたホイールが設置すると同時、火花を散らしながら機体を前へと勢いよく押し出す。
 瞬間、今まさに機体があった場所へとライフル弾が二発、三発と叩き込まれ、アスファルトに穴をあけた。
「見た目からは一切異常がわからんのだから質が悪いな、オブリビオンマシンとやらは……」
 その様を、遠目に見やる猟兵が一人。
 キャバリアともまた違う、いうなれば『多脚戦車』とでも呼ぶべき兵器のハッチから上半身を乗り出し、レナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)はやれやれと溜息をついた。
 低空飛行で市街地を縫い、高威力のライフルで攻め立てていく紅いキャバリアと、散弾でそれをいなしながら通りを疾走する灰色のキャバリア。
 傍目から見れば、ただのキャバリア同士の戦闘だ。
 前提の情報が無ければ、それ以上の事を窺い知ることなど到底不可能だろう。
 ……だからこそ、猟兵の出番となる――いや、ならざるを得ない、と言うべきか。
「ああ、オペレーター。敵にやられたキャバリアの残骸の位置を教えてくれ」
『はい?わかりました、データを送りますが……いったい何を?』
「なに、どうせジャンクなら活用させてもらうだけの話だ」
 説明も程々に、レナは戦車の操縦席に潜り込んでハッチを締めた。
 なんだかんだでオペレーターはちゃんと指示に従ってくれたらしい。コンソールには、既に必要な情報が送り届けられていた。
 比較的近くに、コアを失った(=脱出済みの)オブシディアンが二機。
 よしと、多脚戦車の足をそちらに向けながら、レナは通信を切り替えた。
「そこの交戦中のキャバリア、聞こえるか」
「あっ、はいこちらセシャート!なんでしょう?」
「追わせているようだが、良い位置がある。情報送るが、誘い込めるかね」
「やってみます!」
 ビルの合間を駆け抜け、散弾である程度の距離を保ちながら致命傷を避けているエミリアのセシャートであるが、代わりにこちら側からも有効打を与えられずにいる。
 元々有利な地形へ誘い込むためのヒット&アウェイ戦術。お互いの意図が噛み合うならば連携しない手はない。
 爪先を軸に急ターンをかけ、踵のローラーがアスファルトを踏みしめ、加速する。
 遮蔽にしたビル壁をライフル弾が抉る。
 入り込んだのは、キャバリア1機が通るのがやっとなほどの裏路地。一見、回避が難しくなるだけのようにも見える。
 そこを走るセシャートへと、バジリスクが照準を向け……その瞬間、まったく違う方向から火線が走った。
 ……それは、心臓を失ったはずのオブシディアンの上半身。
 本来は動くはずもないそれが、『何らかの』命令を受信し、腕に残されたままのマシンガンを発砲したのである。
 それこそが、レナの策であり、能力であった。
 本来は操縦者不在で動かない筈の機械兵器を、遠隔操作で起動、一時的に操作してみせたのである。
 しかし、相手はそれでもなお残骸の不意の熱量増大に気付き、咄嗟に機体へ上昇の指示を飛ばしてみせる。
 的を外した弾丸が廃ビルに次々と叩き込まれ、既に戦闘で脆くなっていたビルはあまりにもあっけなく崩れ、轟音とともに土煙を上げた。
 ――飲み込まれたか?いや、誘っておいて自分で埋まる馬鹿はいない。
 『大尉』は……その意思が己のものであるのかは別として……センサーを一時的に赤外線感知へと切り替える。
 ――ほら来た。
 熱反応が二つ。煙に紛れての突撃なのだろうが。
 回避機動を取る。交錯。
 しかし、その刹那にセンサーが捉えたのは、射出された大型のサーフブレードと、スラスターを全開に突撃してきた、灰色のアンダーフレーム、それだけ。
「そいつも避けてみせるとは大したものだが……」
「本命はこっちですよっ!」
 瞬間、別方向から打ち込まれたスラグ弾と熱線砲に、紅の機体が空中で大きく傾いだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・ひかる
市街地戦闘で、なおかつ敵のキャバリアはエンジンに干渉する機構を装備ですか……
迂闊にキャバリアに搭乗したら逆に危なそうですね。

Guardian Spiritはヘリに預けたまま生身で降下
そのまま廃墟に隠れつつ、【氷の精霊さん】発動して総計455本の氷の槍を生成
ウォッチャーを通じNPC部隊や他猟兵と情報を共有、戦場となりうる廃墟都市の各所に十数本ずつ分散して配置
さながらロケットランチャーのブービートラップと言った所でしょうか(氷ですけど)
後は入ってきた情報や合図に応じて氷の槍を射出、皆さんを援護します
自在に操れるタイプなので、回避されても反転して襲い掛かりますよ


ユナ・アンダーソン
へー、これがキャバリアなんだ
貸して貰えるなら乗ってみようかな
こういうの1回乗ってみたかったのよね

オブシディアンMk-4を借りて戦闘
デフォルトでOK

最初はキャバリアに乗って戦闘します
常に一定の距離を保ちつつマシンガンをメインに戦闘
敵のUCでエンジンが止まったら脱出し
UCを使い大鎌を振り回し生身で戦います

えーと、こうして照準を敵にロックして……トリガーを引く
パイロットは殺しちゃいけないんだったよね
足とか腕やらを狙って……それッ!

あれ?システムダウン……え、嘘、機能停止!?
もー、もうちょっと乗り回していたかったけど仕方ない
大体、敵の動きも分かったし生身でもいける!
いくわよ、暴走キャバリア!



「……こういうの、1回乗ってみたかったのよね」
 オブシディアンMk-4のコクピットに座り、操縦桿を握りしめながら、ユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)はどことなくテンションが上がっていた。
 まぁ、無理もないのかもしれない。
 人型兵器である。しかも搭乗型の巨大ロボである。
 故郷のダークセイヴァーはもちろん、数多の世界を渡ってきた猟兵でもそうそうお目にかかれるものではない。
 スペースシップワールドならワンチャン在るかもしれないが、精々そのくらいだろう。
 それに邂逅するどころか、こうして乗って戦うことができるなんて。
 その辺の浪漫は、年頃なら男子も女子もそんなに変わらないものなのである。
 たぶん。

 それはそれとして。
 キャバリアの操縦自体は、洗練された技術の結晶、ある程度の自動操作、操縦補助もあってそれほど難しいものではない。
 現に、本来ならキャバリアでの戦闘は素人同然のユナであっても、借り物のオブシディアンで戦闘行動が可能な程度に動かすことが出来る。
 機械で賄えない戦術、戦略に関しても、猟兵と言う身の上であれば『戦闘』そのものの経験で補える。
 その辺の雑兵よりは確実に戦力になるであろう。
 だが、お互いが相応の場数を踏んでいる場合は話が違う。
 ここに至れば、機体の性能差と、何よりもキャバリア慣れが物を言い始める。
 その中で相手を殺さず、機体だけを止める……というのは言葉にする以上に難しい。
 動きについて行くことは何とかできても、手足を狙って当てると言うのは、エースを相手に一朝一夕でできる芸当では決してないのだ。
 とは言え、相手の動きを見切り、致命傷を避けているだけでもユナはよくやっていると言うのも疑いようもない事ではあるのだが。
 状況としては、ユナの側が守勢とは言え膠着と言って良いところか。
 ……だが、その均衡はあっさりと破られることになる。
「あれ?システムダウン……え、嘘、機能停止!?」
 オブシディアンの出力が、急激に稼働不能状態にまで落ち込んだのである。
 原因は、オブリビオンマシンというものの特性にある。
 物にもよるが、オブリビオンマシンは搭乗者だけでなく周囲の機体にまで多かれ少なかれ影響を及ぼす。
 特にこの『ブレイジング・バジリスク』という機体は、周囲の機体のエンジンすらも一時的に機能不全に陥らせるほどの能力を有していた。
 コクピットにバジリスクの銃口が向けられる。
 ……その次の瞬間、横合いから何か鋭い物が飛んだ。
 装甲を貫徹する程のものではない。だが、照準を確かにずらしてみせたのは、巨大な氷の槍だった。
『今のうちに!』
「おっけー!」
 あらぬ方向へ飛んだライフル弾が建材を抉った隙に、ユナがコクピットから滑り降りる。
 そしてその氷の槍を放った――正確には、そこに配置しておいた――当人は、路地の影、崩れかけた廃墟の隙間からその様子を伺っていた。
「やっぱり、迂闊にキャバリアで挑んだら危ないところだったかも……」
 入り組んだ市街地、しかもエンジンに干渉する能力を保有する敵。
 その懸念があったからこそ、荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)はあえて生身での潜入を敢行し、事実それは功を奏した。
 動きを止めるエンジンが無ければ、止めようがない。単純な話である。
 もっとも、生身で5mの機械兵器を破壊するのにはそれなり以上の労力を要する。
 故に、ひかるが選んだのは物陰に隠れての援護、トラップの類であった。
 仲間との通信によって、地形や味方の位置は把握している。
 後は、それらの情報から奇襲に有効なポイントを割り出し、氷の精霊に仕掛けてもらうだけ。
 氷の強度はキャバリアの装甲を砕くにはいささか心もとなくとも、その質量を以てバランスを崩す程度の事なら造作もない。
 第二波、第三波と次々に叩き込む。
 支えも無い空中で回避も難しい飽和攻撃を叩き込まれれば、さしもの赤鬼も姿勢を保てず、高度を落とさざるを得ない。
 どうにか姿勢を立て直して、バジリスクの足がアスファルトを踏みしめる。
 そこへ、ユナが間髪入れずにその脚目掛けて跳びかかった。
「流石にすぐには飛べないでしょ!」
 キャバリアでの交戦も無駄ではなかった。
 鋼鉄の巨体を飛ばす推力があるにしても、ジャンプにしろホバリングにしろ、離陸にはそれなりのエネルギーを使う。実際に動かしてみてわかったことだ。
 そしてそれはつまり、着地した瞬間なら逃がさず仕掛けられると言う事。
 着地で生じた風圧に逆らいながら、振りかざすのは大鎌。
 尋常ならキャバリアの装甲を抜くには心許ないかもしれぬそれも、尋常ならざる力を得たものならば。
 超重力を宿したユナのその一撃は確かに、飛び立つ前のバジリスクの脚部装甲を深々と抉り取り、内部構造に間違いようのない傷をつけていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

支倉・錫華
いろんなところで暴走事故、起きてるんだね。
お仕事がなくならないのは戦争のせいだと思ってたけど、
その戦争がこういういう理由だと、ちょっとね。

ま、プラントの奪い合いがいいってわけではないけど。

武器は自前の【歌仙】を使うけど、キャバリアは貸してもらいたいな。
【脈動臨界チューニング】で移動力を5倍、装甲を半分にしていこう。

アミシアに動力とバランスの補正をお願いして、わたしは攻撃と回避に全力でいくよ。
装甲削った分、当たったらかなり危ないからね。

残り時間もあんまりないっぽいし、様子を見ている場合ではなさそうかな。

アミシア、フルブーストで一度打ち込んでみる。
着地と同時に全開いけるようによろしく。


秋山・小夜
アドリブ、絡み歓迎

相手が機械なら、遠慮はいりませんよね。あ、一応人がいるんでしたっけ。

まぁ、細かいことは気にせず、ちゃっちゃと破壊してしまうとしましょう。そのためにまず、UC【華麗なる大円舞曲】を発動、牽制用として、80cm超電磁加速投射砲グスタフ・ドーラの二門を展開、機体の破壊用に二〇式戦斧 金剛と七二式戦闘用パイルバンカー・震電改を展開し、主に関節部を狙っていくとしましょうか。可能なら、敵のセンサー類なんかも破壊しておきたいところです。

いやー、本気で潰しにかかれる相手は、楽でいいですね。


貴司・忍
アドリブ絡み歓迎
またえらくゲテモノだなぁおい…ま、あたしが言えた義理じゃないか
【六号開天】貴司・忍、出るぜ!

あたしのキャバリアを輸送してくれる運ちゃん…違った、パイロットに頼んで、できる限り降下地点から高度を取ってもらう
【集団戦術】のノウハウは多少ある
戦場を見下ろしつつ、味方に攻撃が向いた瞬間、降下
同時にコード発動
「そこの味方!避けろぉ―!!」

距離を取った分多段推進装置によってさらに加速し重く硬い機体に物を言わせた【重量攻撃】体当たりを見舞う
ライフルはEPシールドを、全損前提で防御に回して凌ぐ…人命優先!
体当たりでその辺の壁面に叩き付けば、後は胸部機関砲と腕部丸鋸で装甲をぶっ壊してやる!


アルナスル・アミューレンス
やれやれ、兵器周りはどこもクソッタレな職場だねぇ。
見て判別出来ないのは、とんだロシアンルーレットじゃないかい?

あー、キャバリアは大丈夫。
その剣だけ貸してちょーだいな。

さ、全部『轢殺(ツブス)』……のは駄目なんだっけ?
程々に壊しましょうか。

RXキャバリアソードに掴まり、クレーンで投下してもらうよ。
パラシュート?
遅くなるしいらないよ。

急降下しながら『轢殺』で偽神強化状態に。
勢いのまま、僚機から引き離すついでに腕辺り目掛けてソード振り下ろしますよ。
そこからは怪力でソードを肩に担いで走り、弾道を見切り回避しながら撹乱して合流・退避の時間稼ぎ。
肉薄して格闘戦に持ち込んで、四肢や武器を叩っ切りましょうか。



「お仕事がなくならないのは戦争のせいだと思ってたけど……」
『見て判別出来ないのは、とんだロシアンルーレットじゃないか兵器周りってのは、どこもクソッタレな職場だねぇ』
「確かに。こういういう理由だと、ちょっとね」
 それじゃ、お先に。
 そう通信を締めくくり、支倉・錫華(Gambenero・f29951)が戦場へと降りていく。
 彼女が駆るのは、アッシュフレーク所有のオブシディアンMk-4。
 ただしその装備は正規のブレードではなく、それより幾分細身の実体剣を携え、装甲は所々『意図的に』剥がされ、内部フレームが露出していた。
 最低限の防塵性能は確保しつつ、対弾性能を犠牲に重量を限界まで絞り、機動性能を上昇させた、即席の調整。
 一発の被弾が命取りとなりかねない、ハイリスクな改修は、ある種、『被弾などするものか』という自信の表れと言えるのかもしれない。
「アミシア、着地と同時に全開いけるようによろしく」
『了解』
 こんな機体で持久戦をやれるとは思っていない。早々に勝負をかけるしかないだろう。
 補助AIに機体バランス補正を任せ、着地と同時に錫華はオブシディアンのスラスターを全開にした。
 強烈なGに、身体がシートに沈む。
 ターゲット捕捉。剣を構え、オブシディアンが吶喊する。
 一方で、相対するブレイジング・バジリスクの本領は、中距離における高速射撃戦。
 至近距離での白兵では分が悪いことは、向こうとて当然承知している。
 損傷があるとはいえ、その機動力は健在。迎撃のライフルを打ち込みながら、退く。
 わかり切っていた推移だ。だからと言って、追うのをやめるわけにはいかない。
 一発の被弾も、地形への衝突も許されない、繊細な操縦を要求されながらも、錫華のオブシディアンがビル街を駆ける。
 それは言わば、追い込みだった。次なる一手へと繋げるための。
「またえらくゲテモノだなぁおい……」
 その高速の追走劇を上から眺めながら、貴司・忍(人間の量産型キャバリア・f30325)はそんなことを呟く。
 ……まぁ、人のことを言えた義理でもないか。
 ロックが外れ、空中に放り出された我が愛機。
 重厚な装甲と、それを無理矢理かっ飛ばす高推力。
 小回りを虚空へと投げ捨てた、突撃用を通り越した特攻用キャバリア、『六号開天』。それが彼女の武器だった。
 追い縋るオブシディアンと、逃げるオブリビオンマシン。
 流石の技量と機体性能だ。決して剣の間合いに入らせることがない。
 だが、それでもダメージの重なった機体では逃げに徹せざるを得ないのか。こちらが『狙いやすい場所』へと誘い込まれていることに相手は果たして気付いているのか。
 いずれにせよ、こちらとしては都合がいいわけだが。
 EPシールドを機体前面に。するが早いか、背部の多段ブースターに火を入れる。
 重力加速にさらに追加。二段目、もっと追加。
 速力に速力を重ね、弾丸じみた勢いで地表へと向かう。
「そこの味方!避けろ!!」
 追撃に走るオブシディアンに停止を命じれば、進路に残るのは、まんまと飛び込んできたバジリスクただ一機。
 さしものバジリスクも回避機動は間に合わないと見えた。代わりに飛んでくる数発の大口径弾が、シールドを吹き飛ばす。
 だが、それがどうした。その程度で、この特攻隊長が止まるものか。
 バジリスクの両肩を掴むような形で、地面へと。そしてさらに勢いを残すままに、適当な建物目掛けて叩きつける。
 轟音とともにコンクリートが砕け、埃と瓦礫を盛大にぶちまけた。
 振り払わんとするバジリスク、そうはさせぬと六号開天が胸部機関砲を叩き込む。
 壁際の力比べは、しかしバジリスクの勝利に終わる。
 オブリビオンマシンの特異な出力が、六号開天を押し出す。
 しかし、それに要した時間は、決して少なくはなかった。
 続いて降ってきた『それら』に対処する余裕までは無かった。
 ……だが、本来ならば振り払っただけで十分だと、その筈であったのだ。
 降ってきたのは武装。それを拾うものがいなければ無意味なものだと。
 しかし、その判断は誤りであったのだ。
「相手が機械なら、遠慮はいりませんよね」
「全部轢殺(ツブ)すのは駄目らしいけどねぇ」
「あ、一応人がいるんでしたっけ。まぁ細かいことは気にせず、程々に」
「程々に壊しましょうか」
 それが、生身の『人』を伴って降ってきたとは、常人では、否、オブリビオンであってもまず想像もするまい。
 80cmと言う超大口径砲。キャバリア用かと見紛うそれを、秋山・小夜(歩く武器庫・f15127)がバジリスクへと向ける。
 逃がしはせぬと、立ち上がろうとしたバジリスクの上部装甲を強かに叩き、その場に縫い付けてしまえば。
 同時に降ってきたキャバリア用ブレードが……正確には、それを軽々と担ぐと言う信じがたい芸当をやってのけているアルナスル・アミューレンス(ナイトシーカー・f24596)が、手に握られていたライフルを中ほどから断ち切る。
 襲い掛かるのがキャバリアであったのなら、或いは先のように力ずくで振り払う事も可能であったのだろう。
 だが、それが人(正確には人の枠を外れた者であったとしても)であったのなら。
 5mの巨人が、2mにも満たないそれを咄嗟に振り払うのは、少しばかり難しい。
 空を切った腕を、小夜の斧が肘関節から断ち切る。
 振り上げられた脚を潜ったアルナスルが、膝裏から切り落とす。
 人の身には有り余る牙を振りかざし、機動力を遂に殺された巨大なキャバリアを蹂躙していく二人の猟兵。
 その様は、自らより大きな獲物をも臆さず狩る、獰猛な肉食獣のそれにも似ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『地下進撃』

POW   :    多少の損害は無視して強行突破

SPD   :    最短ルートを突き進む

WIZ   :    状況を推理、考察しながら慎重に進軍する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵の猛攻により、四肢をもがれ、攻撃手段を失ったブレイジング・バジリスク。
 その機能停止は、もはや時間の問題と思われたとき、それは起こった。
 切断面から零れ落ちたのは、最初はオイルか何かだと思った者は少なくなかったことだろう。
 だが、溢れだした『瘴気』と形容するほかないものは、肉薄していた猟兵を強引に圧し戻し……そして、残存していた推進器を、爆発でもしたかのように最大稼働させて、機体を空へと舞い上がらせる。
『あの方角は……』
 ウォッチャーと呼ばれた通信士が息を呑む。
 半壊したオブリビオンマシンが飛び去った方角は、アッシュフレーク高峰の資源精製プラントなのだと言う。
 何をする気なのかはわからぬが、放っておいて良い道理はない。
『ウォッチャーよりイェーガーへ』
 追撃準備にかかろうとする猟兵達へ、通信士が声をかけた。
『プラント付近の地表には、強固な対空陣地が設営されています。オブリビオンマシンの侵入を許した以上、対空兵器が敵の制御下に置かれる可能性を考えれば、空路は使えません』
 当然、対空攻撃の届かないような高所は、今度はかの殲禍炎剣の餌食となってしまう事は想像に難くない。
 であるならばどうするか。
『地下の資材運搬路を使えば、エレベーターでプラント至近まで接近することが可能です』
 山の斜面に建国され、高所にプラントを備えるアッシュフレークには、山の中を蟻の巣のようにトンネルが張り巡らされている。
 そこを通じ、資源や人々が行き交う様は、この国が別名『鉱山国家』と呼ばれる所以となっているのだと言う。
 もちろん、山上の対空兵器と同じように、トンネル内……それも、最重要施設とも呼ぶべきプラントへ向かう道中には、タレットのような迎撃兵器はあるにはあるが、空路よりは遥かに確実だろう。
『トンネル内の情報は、同行して随時共有します。引き続き、よろしくお願いします』
 装甲トラックの先導の下、猟兵はアッシュフレーク山の内部へと足を踏み入れる……。
白斑・物九郎
●SPD



ったく、足ィもげてんのに逃げ足が速いとかどんな冗談ですかよ?

ま、イイですわ
逃げた獲物の巣穴を探るのも猟師の常ですしな


・自キャバリアを山裾らへんにそっと駐機

・コクピット内で、サーチドローン『茶斑の三毛』の手動操作に完全没入
・視覚情報を共有、いざ発進(撮影+偵察+情報収集)
・敵からの【索敵】を避けるべく、三毛に『モザイク状の空間』からなる超常の【迷彩】をガッツリ塗布した上で送り出す

・【野生の勘】コミで三毛を【操縦】、目的地までのルートを隠密裏に進ませる

・三毛がめぼしいエリアに到着出来次第、周辺状況を確認した上で【開門Ⅱ】発動
・三毛を「味方座標」として、自キャバリアと一緒に目的へ後追いワープ


エミリア・ジェフティー
おおう、追撃戦ですか
こんな事ならもうちょっと温存した戦いをすべきでしたね…
そこのヘリ!脚部を再接続したいのでちょっと吊るしてくださーい!

共有を受けるまでもなく、やろうと思えばこの辺の情報は丸裸に出来ますが…
プラント付近の地形情報って機密だったりしますからねぇ
下手に手を出して関係に亀裂を生むわけにもいきません
ここは共有情報を頼りに進むとしましょう

とりあえず進行ルートと、ルート上の迎撃装置の位置を教えてもらいましょうか
固定砲台の類であれば、座標さえ分かればサイコボールで一方的に攻撃出来ますからね
ボッコボコにしてやりますよ!
大丈夫、後で直しやすいように大破しない程度で勘弁してあげますから!
…多分!


支倉・錫華
ここは地下から行った方がよさそうかな。
アミシア、【脈動臨界チューニング】で坑道仕様に再チューンするよ。

移動力はそのまま5倍でいいけど、
装甲を戻して、射程を半分にしておいてくれるかな。

武装は【歌仙】と【天磐】でいくよ。
どうせ射戦は通らないだろうし、近接戦仕様で構わないと思うんだ。
相手の攻撃を盾で弾きながら、潰していくことにしよう。

……人、乗ってないよね?
コクピットがありそうなら、そこは避けて攻撃していくことにしよう。

それと、坑道内の地図、もらっておいて。
先導はあるみたいだけど、坑道の中に入ったら離脱してもらわないと危ないしね。

できれば相手が仕掛けてくる前に潰したいけど、待ち伏せされてるかなぁ?



「ったく、足ィもげてんのに逃げ足が速いとかどんな冗談ですかよ?」
 両腕を頭の後ろで組み、コクピットシートに体重を預けながら、物九郎がボヤく。
 推進器がついているとはいえ、キャバリアは人型(他ならぬ物九郎自身の機体が人型じゃないことはこの際置いておく)、陸戦兵器である。
 世の中には水陸両用や空戦用キャバリアなんてのもあるが、まぁ少数派だろう。
 それを、損傷してる状態であそこまでの推力でかっ飛ばすのは、決して生半可なことではない。
 それがオブリビオンのなせる業か、単に機体の性能かまではわからぬが。
「こちとら……」
 あんな苦労をしているというのに。
 モニター越しに物九郎が見た先には、コア付きの上半身をヘリに吊るされ、別れた下半身と再ドッキングをせんとする灰色の機体の姿があった。

「いやー、こんな事ならもうちょっと温存した戦いをすべきでしたね……」
「仕方ないよ、あれで逃げられるとは思わない」
 そんなことがありつつ、エミリアのセシャートと錫華のオブシディアンが、ウォッチャーの提供してくれたデータの下、トンネルを行く。
 ……やろうと思えば、セシャートの演算性能であれば、データを共有せずともわかると言えばわかるのだが、勝手に国家の重要情報をすっぱ抜くのも、あまり印象としてはよろしくない。
 提供されるデータは正規の最新のものであるし、いくらオブリビオンと言えど地形を丸ごと書き換えるような真似は流石に無理である。
 であれば貰ったデータで十分なのである。
「次は?」
「300m先の交差路を左。タレットが二基あるみたいだから気をつけて」
「了解」
 多目的シールドを前面に構えた錫華のオブシディアンが先導する。
 もう片方の手には先にも使った細身のブレード。
 剣盾の完全な白兵戦スタイルである。
 これもまた、トンネル内という状況を思えば、妥当な選択と言えるだろう。
 道は狭く、遮蔽も多い入り組んだ屋内。
 迎撃でも無ければ、射撃武器の最大の長所である『射程』は大幅に削がれることになる。
「……念のため聞くけど、人、乗ってないよね?」
『現在、配備中の兵とは問題なく連絡が取れています。無人機の誤作動の原因究明にあたると』
「だったら、遠慮なくボコボコにしちゃって大丈夫そうですね」
 少なくとも、有人兵器が襲ってくることは現状ではなさそうだ。
 無人機の誤作動は……オブリビオンが原因である以上、兵士とは言え常人に何とかできるものとは思えないが、そこはそれ。
 殺さないように加減する、という制約が無いのはそれだけで気が楽だ。
「……来たよ。座標データ」
「受け取りました!それじゃあ後は……!」
 壁に半ば埋まるように備え付けられていた対キャバリア機銃が火を吹き、シールドを強かに叩く。
 その射線と、オブシディアンのカメラが捉えた映像から割り出した、自動機銃の正確な位置を後方のエミリアに伝えれば、後は彼女の念動球で破壊するだけだ。
「……これ、大丈夫なの?」
「大丈夫、後で直しやすいように大破しない程度ですから!……多分」
「たぶん」
 砲身が半ばからひしゃげ、黒煙を吹く様が大丈夫かはちょっとわからないが。
 まぁ、仮に大破してても必要経費と思ってもらうしかあるまい。
「……にしても、トンネル内で待ち伏せしてる雰囲気じゃあニャさそうですな」
 その横を、三毛猫型の――上に念入りなユーベルコードの迷彩を施した――ドローンがプロペラ音とともに飛んでいく。
 その通信は、まさにそのドローンから飛ばされていた。
「そうみたい、となると地上のプラントのほうかしら。……でも、あなたはついてこないの?」
「ア?いいんすよ、見つけたら秒でそっち行ってやりまさ」
「「?」」
 ドローン……を、遠隔操縦している物九郎の妙に自信たっぷりな声に、思わず二人も己のコクピットで首を傾げる。
 嵐の王は神出鬼没。
 空間を捻じ曲げて、かの黒猫型キャバリアが戦場に降り立つのは、もう少し後の話である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

小和泉・佳奈恵
地下トンネルね。
こういう閉所は得意やけん、得意に見合った結果ば出さなんね。

ウォッチャーを護衛しつつ随行するよ。
少しばかり前に出て護衛配置。進路上に迎撃機構があれば盾で受け止めてなるべく壊さないように切り抜けよう。
今は敵に回っとうけど、これもアッシュフレーク軍の大事な装備。再利用できるに越したことはなか。
――再利用と言えばウォッチャー、一個よか?
この辺のタレットでさっきのオブリビオンマシンにも通用しそうなやつあるかな。
ごめん、それは壊すね。根本からなるだけ破損させんようにもぎ取って、センチネルの火器管制に繋ごう。多分できるはず。
こっちも打撃力が無かなら手も足も出んけんね。


荒谷・ひかる
なるほど、地下トンネル。
殲禍炎剣で空路が使えない以上、こういう交通網の技術も発達するわけですね。
さて、それでは行きましょうか。

Guardian Spiritに搭乗し進む
ウォッチャーのナビゲートに従いつつ、並行して周辺の地形情報を大地の精霊さんにお願いして集めてもらう
(食い違う部分があればそこに罠があると推測できるため)

迎撃兵器はなるべく避けて通る
ただしトンネル内ということもあり制限も大きいので、避けられない場合は【闇の精霊さん】を発動
飛び道具を吸い込むブラックホールを敵方へ展開、疑似的な盾として突破を図る
破壊する必要があれば、吸い込んだ弾を吐き出してもらうか、機体に装備した二丁拳銃で攻撃



 複雑な網の目を描きながらも、しっかりと整備された地下通路を進みながら、ひかるが溜息を一つ。
『爆撃にも強いですし、複雑な地形は敵の侵入を許しても易々と突破させないようになっているんですよ』
「なるほど……殲禍炎剣で空路が使えない以上、こういう交通網の技術も発達するわけですね」
 リズミカルな足音と振動の中に、通信音声が混ざる。
 ひかるも自前のキャバリアを持ち出し、2~3機単位に分かれて複数のルートから、トンネルを進軍する。
 理由は主に二つ。
 オブリビオンが仮に通路を塞ぐような妨害を行っていたとしても、少なくとも一部は迅速に現場に向かうことができる事。
 もう一つは、単に大所帯だと狭い、という事。
「まぁ、こういう閉所は得意やけん。任せと」
 そのひかる機のやや後方、かつ通信士の装甲トラックよりも前。
 随伴しているのは、佳奈恵のセンチネルである。
 ひかるの機体……ガーディアン・スピリットと呼ばれるそれの死角を補いつつ、かつ彼女のカバーしきれない可能性のある、装甲トラックへの射線を切るように。
「今のところ、貰ったデータとの齟齬はなさそうですけど。……やっぱり、精霊さんが言うには、幾つか自動機銃が乗っ取られちゃってるみたいです」
「はー……スーパーロボットてのは……」
 そんなこともできるのか。
 ひかるが言うには、その機体も『操縦』などしておらず、『お願い』したうえで自律的に動いているというのだが。
 感覚的に言えば偵察用の子機に近いのだろうが、精霊が周辺の警戒も行うと言うのは、少々羨ましいような気も……ちょっとばかりする。
「なるべく避けたいところなんですけど」
「場所が場所けんね」
 閉所、しかも重要施設へ向かう道である以上、どうしても避けられない場所は存在する。
 しかも、一方向を防ぐにしても、別方向からも同時に射撃が可能なような配置になっている。
 流石に戦術的な配置は心得ているらしい。
 ……もっとも、一機で守り通せぬなら二機で防げばいいだけの事なのだが。
「……あぁ、そうだウォッチャー。一個よか?」
『どうされました?』
 一方向を精霊が展開した重力場(実質装備重量ゼロで強烈な力場を発生させているようなものだ。やっぱり羨ましい)で、もう一方向をセンチネルの装備する大盾で弾幕を防ぎながら、装甲トラックがその後ろを抜けていく様を見守りながら、藪から棒に佳奈恵が口を開く。
「この辺のタレットで、さっきのオブリビオンマシンにも通用しそうなやつ、あるかな」
『基本的に敷設されているタレット群は、対キャバリアを想定していますので。少なくともオブシディアンの装甲は抜けますし、あの機体にもそれなりにダメージは与えられるかと』
 まぁ、当然と言えば当然の話である。
 自国の兵器に通用しない武器を配備する馬鹿はいない。
 そうでなければ、万が一自国の兵器を奪取されるなどということがあったとき、その時点で打つ手がなくなってしまうからだ。
「じゃ、ごめん。一つ壊すね」
 返答を待たず、大盾で強引に接近して、その根本をチェーンソーで切断する。
 乗っ取られているとはいえ、大切な防衛兵器。可能な限り破壊は避けたいが故に、ひかるも佳奈恵も防御に専念していたわけなのだが。
『……非常事態ですから、多少の破壊は致し方ありませんが……一体どうするのです?』
「こっちも打撃力が無かなら手も足も出んけんね」
 もぎ取った砲塔。
 砲身と給弾機構には問題ない筈のそれをセンチネルが手に取り、火器管制システムにアクセスを命じる。
 解析――接続――認証。
 少々持ち方に工夫は要るが、これで撃てるはずだろう。
 センチネルの本来の武装では些か火力不足が否めない。対抗するには、火力が必要だった。
 進軍を阻む射線を排しつつ、オブリビオンを討つ力を手に入れつつ、猟兵は再び地下を進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユナ・アンダーソン
流石に素通りはさせて貰えないか
でも、ここで余計な消耗もしていられないよね

UCで影の追跡者を召喚し先行させます
五感を共有してタレットの位置を把握しつつ
仲間達と情報を共有しつつ一番被害が少なさそうなルートを走り抜けます
敵の攻撃はオーラ防御で味方を庇いつつ防御します
あんまり防衛施設を破壊しても後が大変だしね……流石に動き回る自立兵器は破壊させて貰うけど
決戦の時に横槍を入れられても困るからね!


チトセ・シロガネ
アイシー、電脳関連ならボクにオマカセネ。

UC【星屑従者】の支援ドローンをいくつか走らせて情報収集、各ポイントにあるであろう制御端末を探すネ。
オブリビオンに狂わされたタレットや無人兵器とはいえ、無用な戦いは避けるべきネ。だからハッキングで相手の電脳にお邪魔して交渉してみるヨ。

制御端末を見つけた場合、やることとしては……
メインは自立機械の味方識別を弄って道を譲ってもらうコト、あとは閉鎖しているゲートや搬出用エレベーターをオープンセサミするくらいカナ。

道中迎撃用マシーンに遭遇した場合は……
ドローンを介してハッキング、火器管制に一時ロックをかけて足止めをしてもらうネ。
何事もピースが一番ネ……。



 一方、また別のルート。
「おー、アイシーアイシー、電脳関連はボクにオマカセネ」
 うんうん頷きながら、チトセがふよふよとドローンを地下トンネルに解き放つ。
 探すのは、各所に設置されている自動砲台や自律兵器……の、制御端末だ。
 オブリビオンに乗っ取られているとはいえ、なにもそいつらが意思を持って襲い始めているわけでもあるまい。オブリビオンの制御下に置かれている……それも、すべてを個々で操ると言うのは流石に負担が大きいであろうことを思えば、制御システムが乗っ取られていると類推するのが自然な帰結ではあろう。
 とは言え。
 ただ制御を取り戻すのを待つだけでは時間がかかりすぎる。
 その間にも、歩みは進められるだけ進めておきたいところではある。
 ゆっくりと、それでも確実にジャイアントキャバリアを進ませるチトセの足元を、人影が駆けていくのが見えた。
 その存在を最初から知っているのでなければ、薄暗いトンネルでは特にそれを視認するのは難しかろう。
 さらに言えば、実体を持たない『影』であれば熱センサーにも引っかかることはない。
 まさしくそれは、ユーベルコード『影の追跡者』のそれであった。
「余計な消耗はしていられないものね」
 そこから数拍置いて、その影の追跡者をけしかけた本人であるユナが駆けていく。
 五感を共有するシャドウチェイサー。
 先行偵察にはもってこいの代物だ。
 電子上の情報は持っていても、万が一改竄されていてはたまらない。目視による確認も、決して疎かにしていいものではない。
 自分たちの余計な消耗を抑えると言う意味でも、本来は防衛兵器である兵器群の無駄な破壊を避けると言う意味でも、可能な限りは接触を避けていきたいものである。
 もっとも、極力ではあっても、どうしても避けきれぬものは出てきてしまうのは致し方のないところではあるのだが。
「貰った情報通り……ではあるのだけれど」
 シャドウチェイサーが寄越してくれた情報は、あらかじめ貰っている地形情報と照らし合わせても齟齬は無い。
 無いのだが、それは同時に避けては通れぬ迎撃兵器の存在も意味していた。
 生身のユナはともかく、キャバリアに乗ったチトセが死角を通り抜けていくのは少しばかり難しい。
「どうする?少しくらいなら庇えると思うけど」
「いーや、そろそろ近場のが……OK、見つけたネ」
 可能だとしても、リスクは少ない方が良い。
 丁度折よく、放ったドローンの一つが、付近の制御装置を一つ、見つけ出していた。
「それジャ、ちょいと失礼しましテ……」
 システム侵入。制御コード検索。攻撃対象差し替え。
 自機、及び把握している限りの味方機の反応を攻撃対象から外す。……完了。
「これでオッケーネ。何事もピースが一番ネ……」
 チトセのキャバリアが目の前を横切っても、自動砲台は沈黙を保っている。
 流石に、トンネル内のすべてのシステムを書き換えることは不可能だ。
 それこそ、こういう介入に備えて、制御システムは分散されているのが常だからである。
 それでも、自身が進む道くらいはこれで安全度は跳ね上がる。
 開けゴマ(オープン・セサミ)。
 勝手に閉じられていた隔壁も開きつつ、二人は目的地への最短距離を突き進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルナスル・アミューレンス
へー、成程ねぇ。
流石は山間部の基地、考えられてるねぇ。

侵入と来れば、いつものお仕事の様にいけるねぇ。
さぁて、何か面白い物は……
え、持ち帰っちゃダメ?
残念。

お借りしたキャバリアソードは置いていって、いつものように行きましょうか。
闇に紛れるようにしつつどんどんダッシュして、第六感働かせて索敵していきましょうかねぇ。
まぁ、侵入者を迎え撃つならここからっていうのがあるだろうし、
戦闘知識から割り出して場所見切って、片っ端から『射撃(ウガツ)』としましょうか。

まあ、必要なら怪力で強引にこじ開けたり、
異形で障壁捕食して道を開けて行きましょうか。


朱皇・ラヴィニア
WIZ
懐かしい……いや、ボクもこんな感じの所で生まれたから
太陽の光が届かない地下都市、存在しない筈の国家でね

トンネルを慎重に進みながらセンサをフル稼働
肉体改造でゼルのセンサ感度を底上げして
666の接続深度を最大にする
対空陣地があるという事は
恐らくそこでは膨大な電力の消費や大量の火薬があると思われる
風向き次第の所はあるけど、そういう匂いの痕跡を探すんだ
先導の情報と合わせれば、少しは時間短縮できるかもしれない

そして、迎撃の罠が多い所を抜けていけば目当てのモノはある筈
147を最大展張して盾代わりに罠を蹴散らしながら前進しよう
場合によっては先導への攻撃を庇って前に出る
大丈夫、この子はそこそこ頑丈だから



 懐かしい。
 点々と光る照明が奥へ奥へと続いていく、薄暗いトンネルを見やりながら、ラヴィニアはそんな事を思った。
 どこか、自らの生まれた場所を思い起こさせる。
 あそこも、ここのように、日の光の届かない場所であった。
 最も、ここと違って、国そのものが存在しないかのような場所であったのだが。
「しかしまぁ……」
 そんな彼女の懐郷を知ってか知らずか。
 その紅いジャイアントキャバリアの足元で、アルナスルが嘆息をついた。
 流石に山間の都市国家、その中に建設された基地と言った所か。
 複雑に張り巡らされた地下トンネルは空からの爆撃を容易に防ぎ、侵入を許したとしても、ナビゲートが無ければ迷子は必至だったことだろう。
 もっとも今回はそのナビゲートが確りと存在し、そうであれば、後は彼がアポカリプスヘルでいつもやっていることとそうそう変わらない。
 生きている施設に侵入すると言うのは、一度や二度の経験ではないのだから。
「さぁて、何か面白い物は……」
「こらこら、流石に国のものなんだから」
「残念」
 ああ、そうだ。一つ普段と違うところがあった。ちゃんと所有者が明確なところだ。
 いつものように戦利品を持ち帰る……という事は流石に出来ない。怒られる。
 それはそれとして。
「目星はついてるのかい?」
「だいたいはね」
 ラヴィニアが、愛機のセンサーを走らせる。
 地表にはプラントを守る対空陣地がある。
 当然、プラントに近ければ近いほどその厚みは増していくだろう。相応に電力消費も激しくなる。
 不要時は電源を落としている……なんてことは考えなくていい。こういうのは緊急に備えていつでも動けるようにしているのが常であるし、今がそもそも非常時なのだから。
 となれば、消費電力や熱反応が最も濃い方向が、目指すべき進行方向、ということになる。
 他ルートは幾つかあるだろうし、いや現実として他の猟兵もそれぞれのルートでプラントを目指しているわけだからそれは事実なのだが、それでも直接的にプラントへ向かうルートだからこそ、警備が厳重と言うのはわかる話なのである。
「……しかしまぁ、ずいぶんと強引だねぇ」
「大丈夫、この子はそこそこ頑丈だから」
 が、同時にそれは相手側の抵抗が激しいと言う事と同義でもあるわけで。
 ナノマシンによる可変式の大剣を、極力表面積を大きく取ることで盾代わりとし、迎撃タレットの射撃を浴びる。
 防御として成立しているのは良いが、流石に次々と襲い掛かる衝撃に、キャバリアの歩みは遅いし、反撃に転じるのも少しばかり難しい状態であった。
「……ま、そう言う時こそ僕の出番か」
 それこそいつも通りに。
 キャバリアの足の間を抜け、物陰に潜み、発射音と地形データから、迎撃兵器の位置を絞る。
 放たれた銃声は、フル稼働する迎撃兵器の音に掻き消されて、誰の耳にも届かない。
 ただ、タレットの沈黙がその成果を何よりも雄弁に語っていた。
「それじゃ、行きましょか」
「おっけー、急ごう」
 迎撃も厚くなければ押し通れる。
 一機と一人、目指す先はもうすぐそこに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●堕天
『敵反応は直上……エレベーター、起動します。どうか皆さん、お気をつけて』
 アッシュフレーク山、地下トンネルの最奥。
 そこにあったのは、高峻の資源プラントへとつながる、地表への巨大エレベーターだった。
 各々ここまでたどり着いた猟兵が全員乗り込んでも余裕がある程のそれは、重々しい駆動音を響かせたかと思うと、猟兵を運び地上へと向かっていく。
 しばらく振動と共に機械的な景色が続いたのち、日の光が差し込むのを見た。

 麓の都市部では初雪が降ったころであったが、標高の高いこの場所は雪がすっかり積もっており、岩肌と、整備されている筈のコンクリートを見事に覆い隠していた。
 銀色に染まった大広場の向こうに、重々しい巨大建造物――それがこの国の資源プラントであることは疑いようもないが――を臨み。
 そして広場の中心には、四肢をもがれた赤鬼が転がって……。……否。
 猟兵の到来を待っていたのか、はたまた今になってようやく準備が整ったのか。
 猟兵が戦闘態勢を整えるよりも幾分早く、その変化は訪れた。
 まるでそれは、羽化か、あるいは孵化のような。
 オブリビオンマシンの紅い装甲がぱっくりと裂け、中から眩いばかりの光が溢れだす。
 見ようによっては翼のような光の帯が揺らめき、その根元から、細身の上半身が這い出てくる。
 一つ、二つと羽ばたけば、後はすぐの事だった。飛び立つように中から現れ出でたそれは、五体満足のまったく異なるキャバリアであり、青墨色の細身の肢体に巨大な剣を携え、光の翼を背に宿したそれは、さながら裁きの天使を思わせた。
「イェー……ガー……」
 ノイズ交じりの声は、その天使から。
「イェーガー……ニ……サバキノ……ヤイバ……ヲ……」
 まだ若いであろう男の声は、まるで人の発声を真似するだけの機械であるかのように無機質であった。
エミリア・ジェフティー
まるで生き物のような変化…オブリビオン特有の力でしょうか
それともプラントの機能を利用して…?
なんにしても興味深いですね
早速、情報収集といきましょうか
交戦データくらいなら持って帰っても文句は言われないでしょう!

どんな世界でも活動可能とはいえ、セシャートの本領は陸戦
空戦機相手にまともにやりあっては分が悪いです
なので、ちょっとばかりズルをしますよ!

展開中の敵ビットに対してオウルアイから通信波を向けてアクセス
制御権を"略奪"して、私の"念動力"で操っちゃいます
ついでにビットの出力をちょちょいと上げて"武器改造"しちゃいましょう
コックピットには当たらないように…包囲攻撃、ぶち込みますよ!


貴司・忍
アドリブ絡み歓迎

…おいおい待て待て
機械が別の機械に化けやがったぞ
オブリビオンマシンってのは、ここまで常識外の存在なのか…?

なんにせよ中のパイロットを助けないことにはどうしようもねぇ
ちと荒っぽいがなんとかする!

噴進装置を最大出力に
広場中央、目標に向かってエレベーターから飛翔…ジャンプダッシュだ
上から強襲
無敵斬艦刀はチェーンソーによる【武器受け】で受け流す
高速回転する刃で滑らせるんだ
返す刀はこのでかい腕で相手の腕を【グラップル】
【怪力】で締め上げるぜ
チェーンソーはそのまま攻撃に使用
コード発動し、狙うはコクピット周りの装甲
どっちが罪深いか削りとれるまで耐久勝負と行こうじゃねぇか
ええ、もやし野郎!!



「……おいおい待て待て。機械が別の機械に化けやがったぞ」
 まるで天使のようなオブリビオンマシン、その『羽化』に、思わず忍は息を呑んでいた。
 オブリビオンとは言えキャバリア、つまりは機械兵器である。目の前で起こった光景は、その先入観を根底から覆すに余りあるものだった。
「まるで生き物のような変化……これがオブリビオン特有の力なんでしょうか」
 エミリアも忍も、キャバリアに慣れ親しんでそれなり以上に長い。
 つまりはプラントと言う存在も初めて見るなどと言う事はないわけだが、それでもこんな生物じみた変化をキャバリアに生じさせると言う話はついぞ聞いたことが無い(もっとも、食料から資材までありとあらゆるものを生産するプラントである。人知れぬところでこのような現象が起こっている可能性は完全に否定できるものでもないが)。
「オブリビオンマシンってのは、ここまで常識外の存在なのか……?」
「なんにしても興味深いですね。早速、情報収集といきましょうか」
 流石にこのような状況だ。交戦データくらいは持って帰っても罰は当たるまい。
 笑みを隠しきれないエミリアに、忍がやれやれと苦笑する。
 ……が、それも一瞬。データを持って帰るにしても、ここでやられては元も子もないと、二人揃って気を引き締め直す。
 翼を広げ、オブリビオンマシンの足先がふわりと雪から離れていく。
 エミリアのセシャートも、忍の六号開天も、異世界での活動も可能とは言え主戦場は陸戦である。
 元々の標高に加えて天空に殲禍炎剣が控えている以上、攻撃が届かないほどの高高度にまで逃げられることこそないであろうが、それでも敵の三次元機動力とは大きな隔たりがあるのは否定しようも無い。
 早い話、無策で接近するのは困難を極める。
「まぁ、流石に空戦機相手にまともにやりあっては分が悪いですね!」
 忍の機体は、推進力と装甲、パワーに偏重した重突撃タイプ。
 ちらりと横目で見やり、エミリアは思案する。
 接近さえ許されれば、やりようはそれなりにあるだろう。その最大の難題さえ何とかすることが出来れば。
「じゃあ、ちょっとばかりズルをしましょうか!」
 元より高性能のオブリビオンマシン相手にまともに戦う時点で分が悪いのだ。
 であれば、搦め手を利用しない理由は何処にもない。
 カーテンのように張り巡らされたレーザーの幕が、基地の床を積もった雪ごと焼いていく。
 縦横無尽に飛び交うビットから放たれるそれが、オブリビオンマシンへの接近を容易には許さない。
 であるならば。
「オウルアイ、最大稼働……ターゲットを敵ビットに設定、通信波解析……ジャミング展開!」
 レーザーのカーテンが消失する。
 いや、正確には、ビットがその砲口を、主であるはずのオブリビオンマシンへと向け始めた。
 エミリアがやってのけたのは、ビット制御の略奪である。本体からの命令信号を遮断し、孤立したビットたちを念動力でこちらで動かす。
 向こうだってこれに対して何の対策もしないわけはないだろう。恐らく制御を奪える時間はそう長くはない。
 だが、その一瞬でもビットによる包囲射撃がこちらの手の内に入れば、それは決して小さくはないアドバンテージと成り得る。
 接近を阻んでいたはずのレーザーの網が、逆に天使を追い立て始める。向かわせる先にはもちろん。
「ちと荒っぽいが……なんとかする!」
 スラスターを全開に、突撃をかける忍の六号開天がいた。
 振り下ろされるオブリビオンマシンの斬艦刀。
 受け止めるチェーンソーと、それを装着した右腕があまりの重量に悲鳴を上げる。
 その中でも回転を止めようとしない鋸刃が、強引に斬艦刀を外側に押し流した。
「まだまだぁ!!」
 斬艦刀とは逆側、オブリビオンの腕がコクピット目掛けて伸びるが、六号開天の左腕がそれを押し留め。
 忍は機体をさらに強引に押し込ませる。斬艦刀の攻撃半径の内側に機体を捻じ込む。
「耐久勝負と行くか、もやし野郎!!」
 細身とは言え、オブリビオンと化したキャバリアは外見以上の出力、戦闘力を誇る。
 掴みあいとなった左腕の指関節が異常を訴える。
 だが、その中でも引くことはない。せめて一撃入れるまでは。
 返す刃のチェーンソーが、肩口に叩き込まれる。
 ぎゃりぎゃりと耳障りな甲高い音を戦場に響かせ、青墨色の装甲片が山風に流されていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユナ・アンダーソン
……まるで生き物みたいな
いや、オブリビオンマシンに常識は通用しないけども
今度はきっちり倒しきってパイロットを救出するよ!

味方を敵の攻撃から庇いながら前線で戦います
傷を負っても気にせず味方を庇い続けながら戦う
コクピット部分を攻撃しないように気をつけながら
UCを発動してエトワル・ボワ・ジュスティスを振り回し敵をなぎ払います
敵の光の翼の向きを気にしながら立ち回り
放たれたプラズマビームは回避が難しいなら
被弾前提でオーラ防御を用いて星者の光でしっかり防御


秋山・小夜
アドリブ、絡み歓迎

とりあえず、まずは相手の動きを鈍らせることを目指します。多少他の味方への援護になるでしょうからね。
二〇式戦斧 金剛を展開して、UC【華麗なる大円舞曲】を発動、高速で一撃離脱を繰り返しながら関節を狙い攻撃を加えていくとします。
まぁ、こういうところでしか速度を生かすことができませんからね。地味ですが、やらせていただきますよ。



 まるで生物だ。
 姿を変じさせたキャバリアを目の当たりにしたユナは、そんな事を思った。
 オブリビオン『マシン』という以上は機械であることには違いない筈だが、オブリビオンと言うのはそこまでに面妖な存在と言う事か。
「とりあえず、まずは相手の動きを鈍らせないことにはいけませんね」
 とまれ、考察は後でもできる。
 小夜の言葉に、ユナは思考を現実……この敵相手にどうすべきか……へと引き戻す。
 見る分には、敵は明らかな空戦機であれど、高高度を陣取っているわけではない。
 元々の標高、そこへさらに高度を稼いでしまえば、殲禍炎剣の射程圏内に自ら飛び込むことになる。
 オブリビオンと言えど流石に耐えきれぬのであろう、それを避けて常に低空を飛び回っている以上は、生身であるユナや小夜であっても、理論上攻撃が届かない、などということが無いのは幸いではあるが。
 ビットを織り交ぜた無数に連なる射撃の雨は、本体の機動力も合わせると接近するだけでも一苦労である。
 幾重にも束ねられた光条が、生身の人間を蒸発させるには充分な熱量を以て迫る。
 両手をかざすユナ。掌から放たれた聖者の光が、圧倒的な熱量を正面で受け止める。
「っ……大丈夫、何とか防げる……!上手く盾にして!」
「極力避けてはみますがね」
 砲撃が過ぎ去るや否や、小夜の足先が、雪の吹き飛び剥き出しになったコンクリート床を蹴った。
 たん、たんと。巨大な戦斧を担いでいるとは思えぬほどの、まるでステップを踏むかのような軽い音を響かせ二度、三度と跳べば、その速度は瞬く間に加速する。
 その速度は、空戦用キャバリアと比較しても決して劣るものではない。
 そして速度で負けるのなら、単純な的の小ささがたとえビットのオールレンジ射撃であろうともそうそう簡単な被弾を許さず、よしんば一発二発が小夜を捉えたとしても、ばら撒き弾程度であれば前に飛び出したユナが弾き返す。
「まぁ、こういうところでしか速度を生かすことができませんからね」
 絵面としては(小夜基準では)地味なところであるが。
 敵の足を削げば、他の猟兵も戦いやすかろう。このような開けた場所で、持ち前の機動力を活かすには、結局のところこれが一番なのである。
 叩き落とされた斬艦刀がコンクリートを割るのをひらりと捌き、視界の端に留めながら、がら空きとなった懐へ小夜が飛び込む。
 狙うは足首。装甲の隙間の、まさにアキレス腱へと戦斧が奔り、機械片が轟音と共に飛び散った。
「鮮血の代わりにオイルというのは……まぁ、仕方ないところですか。ともあれ、今ですよ」
 もっとも、猟兵にわざわざそれを言うまでも無かったかもしれないが。
 小夜の視線の先では、既にユナが、大きく体を傾がせたオブリビオンマシン目掛けて走り出していた。
 手には大鎌。纏うは超重力の刃。キャバリアの装甲だろうと、当たるのであれば食い破れる。
 そして、足元が崩れた今ならば、外す道理はない。
「当ると痛いじゃすまないわよ!」
 その刃は、確かにオブリビオンマシンの片脚の、脛から先を断ち落としていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎
●WIZ



なァにがサバキノヤイバですかよ
起きなさいや、縛り首だって怖かァねえ荒くれ共の死霊大隊!


・引き続き『ストームライダー』を【操縦】しエントリー

・敵機へ【推力移動+ダッシュ】で肉迫すると共【砂嵐の王・死霊大隊】発動
・銃手砲手を務める亡霊達を満載した「空飛ぶ小型空中艇」を召喚、自身の機動に追従させる

・最接近からの獣の肉弾戦(暴力+蹂躙)が『ストームライダー』のウリ
・「死霊大隊」からの火砲で敵機を牽制(威嚇射撃)しつつ、接近の隙をもぎ取らん

・敵攻撃の内、致命弾の到来は【野生の勘】で察知
・被弾危機時は、自機前方へ滑り出させた「死霊大隊」の船体側面を盾代わりにすると同時に艦載側砲を斉射させたりする


小和泉・佳奈恵
Sec-UNIT31、エンゲージオフェンシブ
国籍不明機をバンディットと認定、アッシュフレーク軍より要請を受けこれを迎撃
……姿形が変わったところで、やるべきことは変わらん
撃ち落とすよ、ここで。アッシュフレークの皆の為にパイロットを取り戻す

射撃戦の間合いを維持するために推力移動で後退機動戦を展開
敵の中長距離攻撃は盾受けでいなして機関砲とミサイルの弾幕で反撃する
そうやって相手がこっちを中距離射撃機と認識してくれればよか
相手が決めに来たときがぼくも覚悟を決めるときだ
――距離を詰めてきたなら外しはせん。必殺の"銀の弾丸"をありったけ叩き込む
ぼくの機体もやられるだろうけど、緊急脱出は間に合うはずだ


朱皇・ラヴィニア
成程、君も中にいたんだね
いいさ……裁けるものなら、やってごらん!
とは言え流石の火力だ。迂闊に近づけばバラバラだね

距離を取り射撃戦に持ち込ませて……矢張り、この得物じゃ辛いか
だったら奥の手だ。文字通り、深淵に還してあげる!

装甲が展開し無色の突風が――空間が歪んで
何かが戦場を覆う。僅かでいい、隙を稼ぐ事さえ出来れば
この骸の海で光の翼を掻き消してやろう

そのまま接近、肉体改造でゼルの駆動系をチューンして
一気に距離を詰め、間合いに入ったら147を長剣状にして格闘戦
狙いをつける暇なんて与えないよ。骸の海を解除しつつ
重量を乗せた攻撃で敵の動きを封じる
状況を見つつ味方の総攻撃の隙を作るんだ
叩くなら今の内だよ皆



「成程、君も中にいたんだね」
 ラヴィニアの声の中に篭った感情を推し量るのは難しい。
 地下深く、過去に沈んな故郷。記憶の中の景色と目の前のオブリビオンマシンの在り様が……あるいは、己を受け入れているこの紅い戦鬼とが、どこかダブって見えたのか。
 だから、どこか似た者な気もするそのオブリビオンには、こう返す。
「……裁けるものなら、やってごらん!」
「まったくでさ、なァにがサバキノヤイバですかよ」
 そのラヴィニアに同調する声は、キャバリアたちが交錯する戦場の真っ只中で。
 空間がぐにゃりと歪む。その奥底から、物理的距離を無視して、黒猫型の機獣がオブリビオン目掛けて爪を振りかざす。
 空中で身を翻すオブリビオンマシンを横目で追いながら、黒猫……物九郎の駆るストームライダーが、地面に爪跡を刻む。コクピットの中で、物九郎自身の舌打ちが嫌に大きく聞こえた。
 流石に速い。
 先の猟兵の攻撃で、足回りは大きく損傷している。
 床や障害物を蹴るような鋭角的な軌道はほぼ封じたと言って良い。だが、空戦を可能とする推力はまだ健在なのである。
 だが、それでもやらねばならない。
「Sec-UNIT31、エンゲージオフェンシブ」
「国籍不明機をバンディットと認定、アッシュフレーク軍より要請を受けこれを迎撃。記録者名……小和泉・佳奈恵」
 先と姿形は違えども、やるべきことは変わらない。
 国を荒らすオブリビオンを此処で撃ち落とし、中に囚われたパイロットを救出する事。
 センチネルの機関砲が吼える。
 弾丸を雨あられと叩き込みながら、一定の距離を保ち、プラズマ砲の射線上に入らないように。
 死角を縫うビット・レーザーは捌き切れぬものを盾でいなす。
「しかしまぁ流石の火力だ。迂闊に近づけばバラバラだね!」
 幾度目かのプラズマ光が目の前を掠め、地面に焦げ跡を残していくのを見やりながら、ラヴィニアが舌を巻く。
 ビットの射撃で牽制し、高出力のプラズマ砲で敵を焼き、それを掻い潜り近付こうものなら、斬艦刀の射程に入る。
 機動力と火力を併せ持った難敵であることには違いあるまい。
 だが、その中で、物九郎のストームライダーは果敢に砲火の中を駆ける。
「起きなさいや、死霊大隊」
 身は死しても剣持つ運命。
 裁きも縛り首ももはや恐れぬ荒くれ者共の小型空中艇を引き連れ、切り込んでいく。
 大振りの斬艦刀も、高出力のプラズマ砲も、簡単には捉えられてはやらない。
 動きを阻まんと飛び回るエンジェル・ビットは、後方のラヴィニアと佳奈恵から放たれる援護射撃を身に受け、時には追従する小型艇を盾にして相打ちにさせながら、壮絶な追い合いを繰り広げる。
 あと一歩。射程内に収める一手さえあれば、届かせられる。
「だったら……!行くよ、ゼル!」
 射撃戦を演じていたラヴィニアが、愛機に加速を命じる。
 地を蹴り、一気に距離を詰めに行く紅いキャバリア。同時、その機体から放たれる、無色で不可視のはずなのにどこかどす黒く感じられる波動。
 その瞬間、すべての射撃武装が機能不全を起こす。敵味方を問わず、そしてかの破壊天使の光の翼ですらも。
「今だよ!」
「ご苦労!」
 それは、敵と同質のオブリビオンマシンの干渉波。仮にも近しい相手、止められるのは一瞬だ。だが肉薄するにはそれで充分だった。
 厄介な干渉をしてくるのが、ラヴィニアのシュラウゼルであることを向こうも看破したのであろう、迎撃にと斬艦刀が振りかざされる。
 だが、そうはさせぬ。そちらに注意が逸れたその一瞬、ビットの牽制すらも無くなったその一瞬で、物九郎のストームライダーの前足が、オブリビオンマシンの背を強かに叩く。
 打ち込まれ、地に墜ちるオブリビオンマシン。
 だが、それでもなお僅かに浅かったか、火花を散らす推進器が墜落を辛うじて防ぎ、そのまま地面すれすれを低空を滑るように、強引に戦闘機動を継続してみせる。
 向かう先にいたのは……佳奈恵のセンチネルだ。
「(おおかた、一番御しやすいとでも思ったんだろうけど)」
 先ほどから距離を取っての支援射撃に徹していた。中距離射撃機、接近戦に持ち込めば……と思ったのかどうかは知らないが。
 勝負に来たと確信した。だからこちらも、虎の子で相手になる。
「――距離を詰めてきたなら」
 外さない。既に『切り札』は装填済み。あとは撃つだけ。
 トリガーを引く。機関銃が火を噴いたのは、斬艦刀がセンチネルのオーバーフレームを叩き割るほんの一瞬前の事だった。
 IHEIAP……焼夷徹甲弾。
 装甲を食い破り、内部構造を焼き砕く必殺の弾丸をありったけ。
 意識を持っていかれかねない勢いで射出されたセンチネルのコクピットブロックの中で、佳奈恵は粉々に砕け散る二機のキャバリアの上半身と、自分と同じように弾き飛ばされた一つのコアユニットの姿を確かに見ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月10日


挿絵イラスト