●
「集まってくれて助かるぜ。今回はアポカリプスヘルでの依頼だ」
グリモア猟兵、茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)は集合した猟兵達に笑顔を向け、依頼の説明を始めていく。
「目的地は『ヴォーテックス・シティ』……ヴォーテックス一族とかいう奴らが築き上げた巨大都市だ。そこに囚われている奴隷を救出し、レイダー共もぶっ飛ばしてきて欲しい」
ヴォーテックス一族は多くのレイダー・キングを従え、世界各国を荒らしながら自分達の都市を繁栄させている。
このような都市はアポカリプスヘルのあちこちに点在しており、今回踏み込むことになるのはそのうちの一つになるようだ。
「まずは都市に乗り込んで奴隷を助けてやって欲しい。詳しいことは今から説明するな」
話を続けつつ、ひびきは猟兵達へと資料を配っていく。
「まずこの都市についてだな。主の名前は『ドクター・ドミレイオン』。特殊繊維を開発し、それで様々な悪事を働くレイダーだ。今回の都市はこいつの庭で……奴隷達はこいつの作った衣服を無理やり着せられている」
ドミレイオンの作る服には様々な効果があるようだが、どれもごく普通の人間が着ればおかしくなってしまう危険な代物のようだ。
特殊意繊維の服を着せられたある者は繊維に含まれる毒により苦しみながら死んでいき、またある者は繊維による洗脳に耐えきれず発狂した。
けれど今回実験対象とされている奴隷、ジェナという少女は――他の奴隷に比べ、特殊繊維への耐性が高かったらしい。
「ジェナは見た目も綺麗な女の子らしくてな。ドミレイオンは彼女のことをすっげー気に入ってて……だからこそ、とっておきのイベントでジェナを殺すつもりらしい」
ドミレイオンは他の奴隷達にも陰惨な光景を見せつけるべく、ジェナをモデルにした大掛かりなファッションショーを開催するつもりのようだ。
今回の依頼はそれを阻止するのが目的となるだろう。
「都市の内部に関しても説明しておくぜ」
次の資料を取り出しつつ、ひびきは更に説明を続けていく。
「ドミレイオンがファッションショーを行うのは都市の中心、巨大なステージみたいな場所だ」
ステージの周囲には都市が広がっており、中はそれなりに入り組んでいる。
だからこそ侵入できる経路や利用出来る物陰も多いだろう。それらを有効活用しながら進めば大丈夫だ。
「うまくジェナを救出できたらドミレイオンの部下が襲いかかってくるだろうな。敵は車で都市の中を爆走してくるらしいから、皆もそれに合わせて対抗してくれ」
幸いなことに都市の中には乗り捨てられた車が点在している。
それらを奪い取ってもよし、自前の乗り物――車にバイク、戦車にキャバリア等を使うもよし。
とにかくカーチェイスをしながら敵の数を減らしていくことが大切だ。
「雑魚をある程度倒したら、ドミレイオン本人が襲いかかってくるぜ。こいつもどでかいモンスターマシンで攻め込んでくるから、うまく戦ってくれよ」
ドミレイオン相手にもカーチェイスを挑んでもいいし、周囲に取り残された奴隷を救出しつつ戦ってもいい。
レイダーの主を倒すことが出来れば、悪徳の都市は消え奴隷達は解放されるはずだ。
「レイダーの根城に乗り込み、最後にはド派手にぶっ飛ばす。皆ならやってこれるって信じてるぜ」
転移の準備を進めつつ、ひびきは改めて猟兵達へと笑顔を向ける。
ここから向かうのは、狂った科学者の庭であり――破壊すべき悪徳の都市だ。
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
アポカリプスヘルです。
悪徳都市で行われる狂気のファッションショーを阻止し、奴隷を救いましょう。
名前が出てくるのはジェナだけですが、他にも多数の奴隷が都市の内部に存在しています。
そのため、大掛かりな破壊工作は奴隷も巻き込む危険性があります。ご注意下さい。
●一章「セーブ・ザ・スレイブ」
悪徳都市の中央にて、奴隷の少女・ジェナを殺すためのショーが行われます。
それを阻止しジェナを救うため都市を進んでいきましょう。
都市の中には見張りのレイダーもいますが、彼らの戦力は大したものではありません。けれど複数人に発見されればそれだけ不利になるでしょう。
●二章「集団戦」・三章「ボス戦」
戦闘パートでは敵は何かしらの車に乗り込んでいます。
自分達も乗り物に乗り込みつつ対処しましょう。
各章の頭に断章を記載し、そこで更に詳しい情報を出す予定です。
●
どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
それでは今回もよろしくお願いします。
第1章 冒険
『セーブ・ザ・スレイブ』
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POW : レイダーを腕力で成敗する
SPD : 逃走経路を探し、秘密裏に奴隷を逃がす
WIZ : 自身もあえて奴隷となり、現地に潜入する
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
悪徳都市の中央、ドクター・ドミレイオンの研究所にて。
金の髪が美しい少女・ジェナはぽろぽろと涙を零していた。
少し前にドミレイオンが告げた言葉のせいだ。
『今日はあなたのためのファッションショーを開催してあげる。私の最高傑作を着せてあげるのよ、喜びなさい?』
荒廃したこの世界には似つかわしくない言葉だが――ジェナはその真意を知っている。
ドミレイオンは自身の研究成果を使い、皆の前で私を殺すつもりだ。
一体ショーはいつ始まるのか。私はどんな酷い殺され方をするのだろうか。
考えれば考えるほど頭の中はぐちゃぐちゃになっていき、嗚咽と涙が溢れ続ける。
「誰か……誰か助けて……」
小さな呟きは、虚しく部屋の中に響いていた。
けれどその呟きは消え去らない。
転移を終えた猟兵達が都市へと降り立ち、行動を開始するからだ。
見張りのレイダーを薙ぎ倒しながら。
入り組んだ都市を駆け巡りながら。
敢えて奴隷に紛れつつ密かに行動しながら。
様々な手段で奥へと向かい、猟兵達はひたすら進んでいくだろう。
奴隷を助け出すため、そして悪の繁栄を止めるために。
東雲・深耶
さて、多くのレイダーに囲まれると流石に不利か……
私の閃空人奉流の一番の利点は距離や座標を無視出来ることでも相手の防御力を大体無視できることでもなく、「初見ではどういう理屈理論で発現している現象」であるか看破が至難であることだ。
そして、これは決闘ではなく殲滅だ。外道どもに正々堂々とは行かぬよ。
遠距離から狙撃の如く視界や認識の外から斬撃を空間を無視して放ち、目撃者を出さないようレイダーを始末していく。
死体は残すことで現場の混乱を誘発し、そこから単独行動をとったレイダーを始末しながらショー会場へと進んでいく。
●
悪徳都市の物陰で、荒廃した世界には似つかわしくない艷やかな黒髪が揺れる。
その正体は東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)。この都市から奴隷を救い悪を倒すためにたってきた猟兵の一人だ。
深耶の赤い瞳に映るのは乱雑に組み上げられた建物に、その隅で震える奴隷達。そして――この世界を腐らせている、たくさんのレイダーの姿。
一人一人は大した実力も持っていないだろう。深耶が彼らと戦えば一瞬で切り捨ててしまえるはずだ。
しかし道のりはまだ長い。やるべき事も山積みの状態で彼らに囲まれるのは好ましくないだろう。
「私の閃空人奉流と今の状況は噛み合っていないな。さて、どう動いたものか……」
愛刀『紫雨』を握りしめ、深耶は静かに目を伏せる。
彼女が扱う閃空人奉流は距離や座標を無視する時空間切断剣術。相手の装甲すらも無視できる一撃を放つことも出来るのだが、その最大の利点は相手と対峙した時にこそ発揮される。
深耶の剣術は並大抵の相手には看破されない、理屈理論を無視した現象なのだ。
だからこそ初見の相手ならば絶対的な優位に立つ事が可能なのだが……今のような状況ではそうも言っていられない。
「表で敵と切り合えば、ある程度こちらの手は割れてしまうだろうな。それに――これは決闘ではなく殲滅だ」
相手は弱い者を苦しめる外道達。わざわざこちらだけが正々堂々と戦う理由もないだろう。
深耶は開けた空間に視線を向け、そこに立っていたレイダーへと狙いを定める。
「――いくぞ、紫雨」
静かに呼吸を整え、まずは一閃。
放つは第一魔剣・幻も現も割する一振りの鋼にして空。実体ならば全て断ち切る剣技だ。
深耶が紫雨を振り下ろした瞬間、レイダーの背は二つに裂けた。
断末魔が周囲へと鳴り響けば、別のレイダー達は怒号を上げて犯人探しを始めていく。
彼らに分かるのは『突然仲間が切り裂かれたこと』だけだ。その攻撃の主が深耶であることには気づかないだろう。
「よし、最初の作戦は成功だ。どんどん行こう」
混乱が生じ始めたことを確認し、深耶は都市の内部を突き進む。
レイダー達に協調性なんてものはない。彼らはバラバラに敵の姿を探しているが……それも深耶の狙いの一つだ。相手が単独ならば切り捨てやすい。
道すがらレイダーを斬り伏せ、さらなる混乱を巻き起こしつつ深耶は駆ける。
目指すは都市の中央、ジェナが囚われている会場まで。
「私の剣でこの地の皆を救ってみせる……そのために来たんだ。待っていてくれ……!」
赤い瞳に信念の光を灯しつつ、剣道少女の足は力強く床を蹴っていくのであった。
成功
🔵🔵🔴
レテイシャ・マグナカルタ
●設定
一人でも多く早く救う為街に潜伏し活動中
レイダーからは目の敵にされ生け捕りにせよとの手配書も出回っている
生まれつき持つ膨大な魔力が身体能力を強化し尋常ならざる怪力を持つ
●行動
騒ぎを大きくするわけにはいかねぇな…マントで姿を隠して足早に中央に向かう
なるべく人通りの少ない所を進むが、絡まれた場合はそのまま路地裏で一発かまして眠っててもらう
見張りに関しても一人ずつ単独で倒していくぜ
隙を作る為なら顔も見せる。驚いた瞬間に口を塞いでそのまま腹に一発だ
酔った奴を引きずるフリしながら路地裏で適当な残骸を乗せて隠しておくぜ
見張りを減らしていけば皆も動きやすくなるだろ
「もう少しだぜ、待っててくれよ」
キャプテン・ハマーヘッジ
【SPD担当】(下らぬ欲望のために罪なき人々を犠牲にしようとは…このハマーヘッジ、ど許せぬ!絶対に救い出してみせるぞ!)
夜闇に紛れて隠密行動。
仲間たちがレイダー相手に大立ち回りを演じて目を引いてくれている内に、私は囚われた人々の捜索と救出に注力する。
助け出した人々からジェナの情報を聞き出して、奴隷に偽装して潜入している仲間に通信機で伝達しよう。
ジェナ発見までに救出した人々はできれば下水道などを使って先に脱出させておきたいが、不可能ならば脱出の途中で大型のトラックでも拝借して乗せるとしようか。
●
荒れ果てた都市の中で叫び声が響き渡る。
それは怒号だったり罵声だったりと様々だが――レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)にとっては状況の変化を知らせる吉報でもあった。
「いよいよ始まったみたいだな……」
この騒ぎは今までのものとは一味違う。他の猟兵が都市の内部へ潜入し、行動を開始したのだろう。
レイダー達が誰かを探したり、死体の片付けやバリケード作りに勤しんでいるのも見えた。都市は混乱の中にある。
外套で顔を隠しつつ、レテイシャは手早く周囲を見回した。
彼女はアポカリプスヘルの奪還者。数日前からヴォーテックス・シティに身を潜め、奴隷達を救うチャンスを窺っていたのだ。
その最中レイダー達に目をつけられ、『生け捕りにせよ』との手配書なんかも出回っているのが厄介ではあるのだが……今ならその事も活かせるだろう。
とにかく目指すべきは中央だ。今日はドクター・ドミレイオンがド派手なショーを行うと言っていた。そこに攻め込めば勝機はある。
レテイシャもショーの会場を目指して駆け出そうとしていたのだが――その瞬間、懐に忍ばせていた通信機に連絡が入る音がした。
「……もしもし、連絡をよこしたってことは猟兵か?」
「おお、繋がったか! ああ、私はキャプテン・ハマーヘッジ。君と同じく猟兵だ!」
通信機から聞こえてきたのは男性の声だった。
名乗りの通り、その主はキャプテン・ハマーヘッジ(宇宙紳士・f28272)。宇宙を駆ける正義の紳士で猟兵である。
「オレはレテイシャ・マグナカルタ。ここに潜伏していた奪還者だ。今から動こうとしていたところだが……そっちはどうだ?」
「私も今から行動を開始するところだ。この都市は広いようだし、よければ情報を共有したいと思っているのだよ」
「良い提案だと思うぜ。仲間は多い方が助かる」
二人はこれまでの状況や互いの目的を軽く伝え合い、今後の作戦を考えていく。
レテイシャはレイダーを倒しながら進み、ハマーヘッジは奴隷を救出しながら進む。
そして最後にはジェナを助け出す、という最終目標まで確認出来れば準備は万全。
「改めて連絡ありがとうな。それじゃあ、気をつけて」
「こちらこそ助かった。ジェナという子の元でまた会おう!」
締めの言葉も交わし、猟兵達は悪徳都市の影へと潜む。
この世界の悪を挫き、罪なき人々を助けるために。
●
事前に都市に潜伏していたレテイシャにとって、通りやすいルートを進むというのは容易いことであった。
なるべく人通りが少なく、かつ物陰も多い道。事前に覚えた地図を頭の中で思い返し、進む道を選択する。
狭い路地ならうろついているレイダーも大抵は単独だ。それなら相手取ることも簡単だった。
油断しているやつならそのままぶん殴ってやればいい。そうでないやつが相手でも――。
「邪魔だ、退いてもらうぜ」
「ん……お前は!?」
外套を外し顔を曝け出せば相手の隙を作ることも可能だ。
レテイシャは既に指名手配されている。その上彼女のような凛とした顔立ちの者はこの都市では珍しい。相手の気を引くのには充分だ。
驚く相手の後ろに身を滑り込ませ、口元を塞いでから腹に一発。
魔力によって強化されたレテイシャの拳は一瞬で相手の意識を刈り取った。
「さて、少しついてきてくれよ」
外套で再び顔を隠し、レテイシャは気絶したレイダーをずるずると引っ張っていく。
「ああ、こんな時に酒浸りなんて。勘弁してくれよな」
酔った仲間を引きずるフリをしつつ進んでいけば他のレイダーも遠巻きに見遣るだけだ。
邪魔する者は倒して利用し、レテイシャは少しずつ奥へと進んでいく。
この世界は彼女にとって大切な故郷。そこで行われる悪行は見過ごせない。
だからこそ誰かの嘆きは聞き逃したくなかった。誰かに向けて手を差し伸べたかった。
そんな彼女の思いが通じたのだろうか。目指す先からは――微かに誰かの泣き声が聞こえた気がした。
「……もう少しだぜ、待っててくれよ」
大丈夫、必ず助けるからな。
決意を胸に、奪還者は悪徳の都市を行く。
●
仲間とは別のルートで都市を進むハマーヘッジの胸にも、熱い決意が宿っていた。
薄暗い闇と混乱に包まれる都市の中でもその思いは曇らない。
都市の中には喧騒に怯える奴隷達が身を縮め、ひたすら助かることを祈っていた。
そんな彼らへ向け、ハマーヘッジは勇ましく声をかけていく。
「もう大丈夫だ。助けにきたぞ!」
「ほ、本当? ありがとう……!」
奴隷達を助ける最中、安全なルートや皆を匿えそうな大きな乗り物にも目をつけてきている。
そこへ彼らを案内しつつ、ハマーヘッジは言葉を紡ぐ。
「今日はジェナという少女がショーに出されると聞いているのだが、居所や特徴など知っているかね?」
「彼女はドクターのお気に入りだから……きっと会場の近くに幽閉されていると思います」
「金髪が綺麗な子なんです。見ればすぐに分かりますよ」
ジェナの居所も都市の中央で間違いなさそうだ。目指す地点はそちらで大丈夫だろう。
情報は通信機を利用して仲間にも渡すことを忘れない。宇宙を駆ける紳士だからこそ、情報と仲間の大切さは身に沁みている。
そして何より――彼の胸には、人々を助けたいという強い思いがあった。
「ありがとう、助かったよ。君達もジェナも必ず助ける。約束しよう!」
奴隷達へと笑顔を向け、ハマーヘッジは力強く宣言する。
下らぬ欲望のために罪なき人々を犠牲にする。この都市の、そして世界のあり方には強い憤りを感じていた。
だからこそハマーヘッジは進むのだ。正義と自由と冒険、己の掲げるものを果たすために。
こうして宇宙紳士は人々を助けつつ、悪の巣食う場所を目指していった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
サミュエル・ブラウニング
SPD
ミャオ、奴隷はジェナだけじゃないんだな
ドンパチも悪くないがここは隠密だ
UCを使って駆け足で歩きながら【情報収集】
【地形耐性】で迷わないようにして道を覚えていく
あとは【変装】でならず者らしくバンダナで顔を隠しておこう
ミャオ、こんな可愛い猫が敵なワケないだろ?
なんてな
ある程度地形を把握したら奴隷を逃すが…
軟禁場所を守ってるレイダーはジャンクナイフの【投擲】やロングボウで始末していこう
銃は音が大きい、見つかった場合の最終手段だ
回収地点はここだ、さあ逃げな!
覚えてる道を奴隷達に伝えて脱出を促す
見つかりそうならレイダーにダイナマイトを投げ、銃で撃って起爆だ!
好きだろ、火遊び
多少は大目に見てくれよ?
●
混乱の最中にある都市を軽やかに駆け巡る影があった。
その正体はサミュエル・ブラウニング(ブラウン・キッド・f16740)、ケットシーの猟兵である。
「ミャオ、奴隷はジェナだけじゃないんだな」
時折身体を舐めて毛並みを整えつつ、サミュエルは都市の内部を見回していく。
デタラメに物を積み上げたようなこの都市は確かに入り組んではいるが、道が覚えられないという訳でもない。
見回りをするレイダー達に姿を見られないように気をつけつつ、サミュエルはひたすら都市を進む。
彼の目的はジェナを救出すること、そして他の奴隷達も助け出すことだ。
暗闇の中でも輝く瞳はバンダナで隠し、できるだけ分かりやすい道を覚えながらの進行。それを暫く続けたところで、いよいよ奴隷達の救出を決行だ。
「チッ、こんな時でも見張りは外さないって訳か……」
サミュエルが目をつけたのは複数の奴隷が軟禁されている建物だった。
これだけ騒ぎが起きているのだから、見張りも減っているかと思ったけれど――世の中そんなに甘くもない。
幸い相手は弱いオブリビオンだ。殺すことに抵抗はないが、それでも別の問題がある。
サミュエルは銃の使い手であるのだが、今の状況で発砲するのは危険だろう。他のレイダーを呼び寄せてしまう可能性がある。
それでもきっと対処はしきれる。けれど、奴隷はきっと守りきれない。
「ミャオ、しょうがない。ドンパチも悪くないがここは隠密だ」
そう呟きつつ取り出したのはジャンクナイフ。猫の瞳で狙いを定め、ナイフを一気に投擲すれば――見張りのレイダーは音もなく倒れ伏す。
相手が完全に倒れたことを確認し、サミュエルは建物の扉を開いた。
「俺は猟兵、あんた達を助けに来たぜ。さあ逃げな!」
「ほ、本当に? ありがとう……!」
奴隷達は次々と逃げ出し、サミュエルが調べておいたルートを通って逃げていく。
これで彼らは安全だが……危険はまだ残っている。
「あの野郎、奴隷共を逃しやがった!」
後方から聞こえるのはレイダーの怒号。異変を察知したやつらが集まってきているようだ。
けれどサミュエルは焦らない。奴隷達の安全が確保された今なら暴れ放題だ。
「おっと、あんた達って火遊び好きそうな顔してるよな? それなら……こいつをプレゼントだ!」
すぐさま懐からダイナマイトを取り出して、後方へと放り投げ――そして愛用のリボルバーで狙いを定めた。
流れるような動作で起爆された爆薬は一気にレイダー達を吹き飛ばし、さらなる混乱を巻き起こしていく。
「なかなか派手なことになっちまったな。ま、多少は大目に見てくれよ?」
爆炎の中を駆け抜け、サミュエルは再び走り出す。
一人でも囚われた人々を助け出すため、そしてこの都市を終わらせるために。
成功
🔵🔵🔴
化野・花鵺
「ファッション・ショウ?どんなせぇふくかなぁ」
話半分な狐、妄想誤変換した
「奴隷っぽい格好したらショウにまざれるよねぇ。楽しみぃ」
狐、自分の欲望を最優先した
「せぇふく♪せぇふく♪」
狐、化術で奴隷狩りにあった奴隷に化けて混じり自分がファッションショウに出る気満々で会場へ
「どしたの?せぇふく着たくないの?カヤが代わりに着てあげるぅ」
狐、他の奴隷の代わりに特殊線維の服着て会場へ
「なんかピリピリするぅ。おばさん?おじさん?才能ないんじゃないかなぁ」
狐、毒・呪詛・狂気耐性と医術、オーラ防御と使えそうなもの全て組み合わせダメージ軽減し煽る
ドクター&レイダーのみの場所見極めたら「フォックスファイア」ぶちこむ
●
グリモアベースで受けた説明を振り返りつつ、化野・花鵺(制服フェチの妖狐・f25740)は都市の入口で身を屈めていた。
「えーっと、ファッション・ショウをするんだっけ? それならどんなせぇふくがあるのかなぁ」
説明の内容を思い返す花鵺の表情は些かぽんやりとしている。
彼女の中で服飾といえばせぇふくなのだ。だから今回の依頼でも素敵なせぇふくを探すことが大切なのだ。
「奴隷もせぇふくを着たりするんだよね? それなら……カヤもそこに混ざればいいよねぇ。楽しみぃ」
更に笑顔をほわほわしたものへと変え、周囲を見回す花鵺。
彼女の目的は奴隷に紛れることだ。そうすれば都市の最深部にも行きやすいし、何より着たことのないせぇふくが着れるかもしれない。
自分の欲望を優先しつつ、得意なことや適切な作戦を考えられるのが花鵺のしっかりした部分だ。
そうして待ちわびているうちに――ちょうどレイダー達が複数の奴隷を連れ、都市の方へと向かってきている。
花鵺も化術で姿を変えて、連れ去られた奴隷達の列へと紛れ込んだ。
「おい、お前ら! この都市の主の命令だ、これに着替えろ!」
都市内部へと連れ去られた奴隷達は、すぐさま特殊繊維の衣服を押し付けられた。
幸いなことに最初に着せられる衣服はそれほど強力な効果でもないようで、奴隷達は少し体調を崩す程度で済んでいる。
けれど――今日は特別な日。レイダー達は奴隷の顔をまじまじと眺め、品定めをしている様子。
「そこの女二人、こっちへ来い」
指をさされたのは花鵺と、恐らく花鵺と同年代であろう少女だ。
二人は別の乗り物に乗せられて、都市の中央部へと連れて行かれていく。
「お前達には特別な役割をやろう。これに着替えて待機しているんだ」
適当な建物に押し込まれ、押し付けられたのは制服風の衣装。一見可愛らしい衣装だが……手にとった瞬間、花鵺の眉がしょんぼりと下がった。
「せぇふくだけど……こういうの良くないと思うんだぁ」
猟兵である花鵺だからこそ、この衣装に使われている繊維が危険であるのはすぐに分かった。
でもせぇふくであることに変わりはない。どうにかして着てみよう。
「キミのせぇふくも貸して。大丈夫、怖い人が戻ってきてもぶっ飛ばすからぁ」
「うん、ありがとう……」
奴隷の少女も花鵺が何かをするのを察し、黙って見守っているようだ。
花鵺は己の術を行使して、どうにか繊維に籠められたよくないものを軽減し始めた。
例え毒だろうと呪いだろうと、猟兵としての力を使えば――なんとか着ていても大丈夫なレベルにまでは改善できた。
「頑張ったけどやっぱりピリピリするぅ……作った人、才能ないんじゃないかなぁ」
尻尾がぞわぞわするのを我慢しつつ、花鵺は渡された衣装に着替えきった。
あとはこのまま時間が来るのを待つだけ。見張りのレイダーが戻ってきたらぶっ飛ばし、あとは会場へ乗り込むだけだ。
「デザインは可愛いんだから、ちゃんとした服を作ればいいのにぃ……」
ちょっとずれた方向に不服さを出しつつも、しっかりと仕事の準備は続ける花鵺であった。
成功
🔵🔵🔴
故無・屍
…フン、いい趣味をしてやがる。まあ、この街のモンとしちゃ似合いじゃあるな。
ガキの安否なんざ気にしたところで切りも無ェ。
だが、それが仕事だってんならやる。それだけだ。
アイテム『闇夜の衣』を装備しUCを発動し、UCによる技能に加え目立たない、偵察も併用しつつ
隠密にて救出に動く
情報収集、逃げ足の技能にて退路も確保し、
こちらに気付きそうな見張りは殺気の技能にて殺気を抑えつつ
暗殺、早業にて音を立てる事なく迅速に片付ける
暗所に入るようであれば暗視も使用
正義感だの義憤だのに駆られてるわけじゃ無ェ。
…誰かに重ねてるわけでも無ェ。
感謝も無用だ。そんなモンは他の猟兵に言っときゃいい。
その方がいくらか健全だろうよ。
●
都市内部の混乱は更に酷くなっていた。
猟兵達が動き回り、奴隷達が救出され、レイダーはひらすら喚き散らす。
それでも都市の中央には綺羅びやかなステージが組み上げられ、悍ましいショーが始まろうとしているようだ。
その様子を見下ろしつつ、故無・屍(ロスト・エクウェス・f29031)は顔を顰めている。
「……フン、いい趣味をしてやがる」
荒れ果てた悪徳の都市に飾られた見せかけの栄光。そしてそこに立たされるただの子供。
そいつを助ければいいんだっけか。依頼の主旨を思い返しつつも屍の表情は険しいままだった。
ガキの安否なんざ気にしても、この世界では――他の世界でも、きっと何も変わりはしない。
「だが、それが仕事だってんならやる。それだけだ」
誰に告げることもない言葉を呟き、屍は闇夜の衣を纏った。
闇に紛れることも、音もなく誰かを殺すことも苦ではない。
ステージ周辺の建物に潜り込み、屍は着実に歩を進める。
見張りのレイダーはちらほらと見えていたが、暗闇から奇襲すればあっさりと無力化していける。
建物の中も決して綺麗だとはいえなかった。
周囲に散らばっているのはドクター・ドミレイオンの作った衣装だろうか。見た目は美しいけれど、そこに籠められているのは他者を傷つける力。
「……気に食わねェな」
まるで見せかけの美しさと醜い実態を持ったこの都市のようで、それらを乱雑に蹴飛ばしつつ屍は進んだ。
ジェナが囚われているのは建物の最奥だった。
見張りをあっさりと暗殺し、そして勢いよく扉を開いて。中では確かに金髪の少女が怯えている。
彼女の頬には涙のあとが刻まれて、そして身体はずっと震えていた。そんな彼女の姿を見て――屍の胸の奥で何かが疼く。
あいつだってあの時。こんな風に震えて、待っていたんじゃないかって。
ジェナは恐る恐る顔を上げ、屍の顔をじぃと見つめる。
「あ、あなたは……?」
「猟兵だ。あんたを助けにきた」
「ほ、本当ですか……!?」
ぱぁっと、ジェナの顔が綻んだ。それとは反対に、屍の奥で疼く感覚は更に強くなっていく。
「……俺は正義感だの義憤だの、そういうのに駆られてあんたを助ける訳じゃねェ」
誰かに重ねている訳でもない。だからそんな目で見ないでくれ。
屍はジェナに背を向けて、入ってきた扉を大きく開いた。
「だから……さっさと逃げな。他の猟兵もあんたを助けに来てるんだ」
「わ、分かりました」
ジェナはそれ以上何も言わず、ただ促されるまま扉へ向かう。
彼女が部屋を出る瞬間――屍が、もう一度口を開いた。
「感謝も無用だ。そんなモンは他の猟兵に言っときゃいい。その方がいくらか健全だろうよ」
「それでも……ありがとう、ございます」
ぽつり、言葉を紡いで少女は外へと逃げていく。
その様子を見守りつつ、屍は大きく息を吐いた。
まだ心はざわつくけれど、やるべきことは残っているから。
「……俺は俺の仕事をするだけだ」
自らの内側に染み込ませるように、屍は再び独り言を呟いた。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『改造屍人『ナブラヘッド』』
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POW : マスターキー
【高温に熱せられた斧】が命中した対象を切断する。
SPD : ダブルタップ
【戦闘補助プログラム】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【銃による連続射撃】で攻撃する。
WIZ : ナブラレーザー
【視線】を向けた対象に、【頭部から放たれるレーザー光線】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
※マスターより
断章は10月8日(木)夜に投稿予定です。
また、プレイングは10月9日(金)8:31~受付予定です。
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猟兵達の活躍により、ジェナを含めた多くの奴隷が救出された。
それは良い知らせなのだが――ドクター・ドミレイオンもその情報を耳に入れるとすぐさまレイダー達へと命令を下す。
「私の楽しみを邪魔するなんて……改造屍人を出しなさい! 猟兵も奴隷もただでは逃さないわ、こうなったら殺してやる!」
次の瞬間、悪徳都市の様々な場所からエンジンの音が鳴り響いた。
あちこちから改造バギーや無骨な飾りのつけられた戦車が飛び出し、都市の中を駆け巡りだしたのだ。
搭乗しているのは改造屍人『ナブラヘッド』。ゾンビを素体にした戦闘用のサイボーグ達だ。
彼らはドクター特性の衣服を着せられ、高度な運転テクニックを身に着けている。
猟兵達も相応の手段を使わなければ彼らに対抗できないだろう。
幸いなことに、都市の中にはレイダー達が乗り捨てていた車が転がっている。
大体の車には鍵も刺さったまま。そのままエンジンをかけて走り出すことも可能だろう。
もちろん自前の乗り物で敵に対抗してもいい。
とにかく車に乗った相手と戦い、相手の機動力に翻弄されないための手段が必要だ。
ここから先は苛烈なカーチェイスの時間。
風を切り悪徳都市を走り抜け、まずは雑兵達を蹴散らそう。
敵と戦い続けていれば――ドクター・ドミレイオンもきっと姿を現すはずだ。
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「車に搭乗しながら追いかけてくる敵に対抗する」ことが出来れば効果的でしょう。
試せそうな手段なら何でも試してみて下さい。
とにかく暴れましょう。
キャプテン・ハマーヘッジ
相棒の宇宙バイク“フューチャー号”にまたがり、救出した人々が乗る車輛に追いすがるナブラヘッド達を翻弄する。敵が高度な運転テクニックを持っているなら、こちらもUC【ゴッドスピードライド】を使用し全力で挑まねばなるまい。
「ハハハ、どうやら私の華麗なドライビングテクニックには敵わないようだな…!」「フフフ、免許を取ったばかりなのかね…!?」などと煽りつつ挑発するような走り方をし、注意を自分に引き付ける。そうすることで仲間の猟兵たちが追っ手を排除しやすくなるように誘導だ。
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いよいよドクター・ドミレイオンが動き出したことで、都市の混乱は最大のものとなったらしい。
それに乗じて奴隷達も脱出しようと試みているが――レイダーがそれを許しはしない。
奴隷が乗り込んだ車へ向け、屍人達が運転する改造車両も迫りくる。屍人達は安物の銃を構え、逃げる車のタイヤに狙いを定めるが――。
「待ちたまえ!」
突如、屍人の前方に橙色の流星が駆け抜けた。
その正体はキャプテン・ハマーヘッジと彼の相棒『フューチャー号』だ。
宇宙紳士の運転テクニックは宇宙だけでなく地上でも発揮される。フューチャー号は改造車両の動きを阻害するように駆け回り、その走路を塞いでいく。
そうなれば勿論屍人もフューチャー号へ狙いを定める。その様子を確認し、ハマーヘッジは大声で叫んだ。
「ここは私に任せてくれ、君達は早く都市の外へ!」
「ありがとう猟兵さん!」
奴隷達はすぐさまアクセルを踏み込み、一気に都市を抜けていく。
同時に拳銃の発砲音も聞こえたが――弾丸は何も撃ち抜けやしない。
屍人が狙いを定めた位置にフューチャー号の姿はなかった。神速で駆ける宇宙バイクはそう簡単に捕まらないのだ。
「ハハハ、どうやら私の華麗なドライビングテクニックには敵わないようだな……!」
屍人達を煽るようにハマーヘッジの走行は続いていく。
彼の堂々とした態度や煌めくフューチャー号は敵の注意を引きつけるのに最適だった。
屍人達から感情は見えないが、彼らの運転や銃撃は少しずつ荒々しくなっていく。それもまた宇宙紳士の狙いの一つだが、屍人がそれに気付くことはないだろう。
「そら、こういうのはどうかな!」
開けた道に辿りづけば、フューチャー号はその上をジグザグに駆け抜ける。
屍人もそれに合わせるようにハンドルを切るが、彼らのテクニックでは追いつける訳もない。一台の改造車両はスリップしたかと思えば、ガラクタの中に勢いよく突っ込んだ。
「フフ、なんだいその運転は。免許を取ったばかりなのかね……!?」
すぐさま聞こえてくるのはハマーヘッジの勝ち誇った声。それが更に屍人を煽り、彼らの制御をめちゃくちゃにし始めた。
こうしてカーチェイスを続けていけば――ハマーヘッジの言うように運転テクニックが明暗を分けていく。
ハマーヘッジは敵を煽りつつも常に冷静で居続けていた。
的確に走りやすい道、敵を追い詰めやすい道を選択し、必要に応じて危険なテクニックも披露する。そうして注意を引きつけ、敵の動きを混乱させ続けているのだ。
そうすれば自爆する車両も出てくるし、そうでなくても敵の動きを誘導し続けられる。
「私はまだまだ走り続けられるぞ。さあ、着いて来れるかな……!?」
ハマーヘッジの見事な走りは敵を足止めし、そして逃げる奴隷や猟兵達の動きを助けていく。
たとえここが宇宙でなくても、悪徳の都市だとしても。宇宙紳士は華麗に困難の上を駆け抜けるのだ。
成功
🔵🔵🔴
化野・花鵺
「さすがなぶら(魚群)ヘッドって名前だけあるねぇ。どんどんわいてくるぅ」
デルタ知らない狐、誤解した
「はーい、カヤ誰かの車に同乗したいぃ。乗せて乗せてぇ」
他の猟兵の車に同乗依頼
「1番追っかけられてるのはこの子ぉ?」
「鬼さんこちらぁ、手の鳴る方へ…あはは、さっすがなぶら、大漁だぁ」
狐、化術でジェナに変化
囮になって敵を引き付ける
「行っけぇ管狐!」
「狐の呪詛」使い術範囲に入った敵車両に不幸の連続プレゼント
突然ボンネットが開いて前が見えなくなり運転誤る
突然車のタイヤが吹っ飛び横転する
他から駆けつけた敵車両に突っ込まれる
勝手にブレーキがかかる
不法建築の倒壊に巻き込まれる等々
「カヤこういうの超得意ぃ♪」
白匣・覚醒(サポート)
怪奇人間の猟奇探偵×UDCエージェント、30歳の男です。
普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、演技時は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
存在が密室です。白い部屋です。
演技時の口調でお願い致します。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
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奴隷達は車を使って逃走を続けている。
改造屍人『ナブラヘッド』達も巨大な戦車やバギーを使って彼らを追いかけているようだ。
その騒がしさに耳を傾けつつ、化野・花鵺はこてんと首を傾げた。
「さすがなぶらヘッドって名前だけあるねぇ。どんどんわいてくるぅ」
「そのような名前でしたでしょうか。魚群のようには見えますが」
花鵺の勘違いにゆるく突っ込みを入れながら、白匣・覚醒(密室探偵・f22856)も周囲を見やる。
ちょうどその時、奴隷達を乗せたトラクターが通りがかった。猟兵達は顔を見合わせ、奴隷達へと声をかける。
「はーい、カヤ達も乗せて乗せてぇ。だいじょうぶ、怪我とかはさせないよぉ」
「少し怖い目には遭うかもしれませんが……安全は保証しましょう。乗せていただいてもよろしいですか?」
奴隷達からすれば猟兵は命の恩人。特に断る理由もないだろう。
二人は奴隷達の車に乗り込み、共に都市を走り始めた。
逃走の最中、ふと花鵺が覚醒の上着を引っ張った。彼女の顔には悪戯っぽい笑みが浮かんでいる。
「ねぇねぇ、なぶらは誰を一番追いかけるかなぁ?」
「それなら……恐らくジェナという方でしょう」
「キミもそう思う? それなら……こうしちゃおう!」
揺れる荷台の上で、花鵺は堂々と立ち上がる。そして小さく呪文を唱えると――なんと彼女の姿はジェナのものへと変身したのだ。
妖狐ならばこの程度の化術は朝飯前。本物同然に輝く金髪は屍人の注目を集めるのに最適だった。
「あはは、分かりやすぅい。なぶらみたいに大漁だねぇ。鬼さんこちらぁ、手の鳴る方へ!」
にこにこ笑顔で手を振って、花鵺は次々に屍人を集めていく。
その様子に奴隷達は怯えているが、すかさず覚醒が彼らへと声をかけた。
「彼女が化けたように、私も少し変身します。恐ろしい光景を見せることになるでしょうが、この車は私が導くので」
「わ、分かった」
奴隷達が了承したのを確認すると、覚醒も荷台の上へと移動する。
そして呼吸を調え――。
「……君達は目覚めた。ここは真っ白な部屋だろう」
次の瞬間、世界は変質した。
乱雑に積み上げられたゴミや瓦礫、べったりとついた血や土の汚れ。都市を覆うそれらの要素は真っ白な密室に閉じ込められて消えてしまう。
代わりに姿を現したのは異世界の怪物達。彼らは次々に屍人の元へと集い暴れだす。
「い、一体何が……?」
戸惑う奴隷達の耳元から、覚醒の声が響く。しかし彼の姿はどこにもない――いいや、逆だ。この真っ白な部屋が覚醒自身なのだ。
「とにかく出口を目指せばいい。ここは私の密室ですから」
覚醒の正体は『怪奇・白い部屋人間』。彼自身が密室となり探索者を誘うならば、物語は恙無く進んでいくだろう。
しかし屍人達も諦めない。
未知の怪物に襲われつつも、ひたすらジェナに化けた花鵺を狙い続けているようだ。
「しつこいなぁ。それだったら……」
鬱陶しい化け物たちにはそれ相応の目に遭ってもらおう。花鵺は懐から竹筒を取り出すと、そこに呪力を籠めていく。
「狐の恐ろしさをとくと教えてやろう。行っけぇ管狐!」
ぽん、と竹筒が開いたのなら飛び出したのは管狐。彼らは怪物と共に屍人の元へと殺到し、鋭い牙でどんどん噛み跡をつけ始めた。
怪物達も抵抗すべく斧や頭部のレーザーで攻撃をしているようだ。それによって管狐は退散してしまうが――もう花鵺の目的は果たされている。
「どのくらい頑張れるかなぁ?」
花鵺が放っていたのは『狐の呪詛』だ。これに噛まれてしまってはもうお終い。特に車を運転している時は危険だろう。
例えば急にタイヤがパンクしたり、ボンネットが開いてしまったり、更にそこへとすかさず怪物が突っ込んできたり。
不幸の連鎖が屍人達を襲い始め、彼らは次々に自爆しているようだ。
「カヤこういうの超得意ぃ♪ すっごい楽しいぃ♪」
ジェナの姿のまま、花鵺はにこにこ笑顔で屍人達を眺めている。
その一方で奴隷達は必死だ。空間は知らない密室に、後ろでは追手の屍人達が自爆し続け、更には怪物が跋扈する。
けれど大丈夫。彼らを導くのはKP(覚醒)なのだから。
「まっすぐ、とにかくまっすぐに進んでください。前方に――何か見えませんか?」
導くような覚醒の声。それに従い前を確認してみれば、そこにあったのは巨大な扉だ。
しかしこのままでは激突してしまうのではないか。焦る奴隷達へ向け、今度は花鵺が声をかけた。
「扉の前で思いっきり曲がってぇ。そしたらだいじょぶだからぁ」
口調こそ緩いものの、その声色には確かな確信がある。奴隷達もそれを信じ、アクセルを踏み込み――そして一気に右へと曲がる!
それと同時に鳴り響いたのは爆発音。後方を走っていた屍人の車が次々にクラッシュし、扉の方へと雪崩込んだのだ。
衝撃によって扉は思い切り吹き飛ばされ、密室は密室としての役目を終えた。
気がつくと周囲の景色も悪徳都市へと戻っており、覚醒も荷台の上に乗っている。
「……これにて今回の探索は終了です。お疲れ様でした」
「あー、楽しかったぁ。なぶらもいっぱい減ったねぇ」
花鵺も元の姿へと戻り、ゆらゆらと尻尾を揺らしていた。
狐と怪奇人間が作り上げた探索は見事に功を奏し、奴隷の救出と敵の排除の両方を果たしていったのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
故無・屍
…死体を弄って着せ替え遊びたぁ大した悪趣味だ、
ここまで来ればいっそ感心するぜ。
それに付き合うつもりは無ェがな。
アイテム『アビスウォーカー』に搭乗し、運転の技能を用いてアイテム『黒影』を操作して運転、
自分は荷台に立ち、2回攻撃、怪力を併用してUCを発動、
複数体を一気に殲滅する
可能であれば体勢を崩すにて車体を狙い、転倒に他の敵も巻き込むように
敵の攻撃に対しては見切り、早業、カウンターを用いて
車体を破壊されることを防ぎつつ反撃を行う
周りに奴隷が居るようであればかばう、救助活動にて救出を
お前らがどんな奴でどんな死に方をしたかなんざ知らねェが…
意思も何も残ってねェってんなら、ここで潰れて休んどくんだな。
●
死した身体に不釣り合いな衣服を着せられ、屍人達は命令を遂行しようと行動し続けている。
その醜悪な様子を眺め、故無・屍は嫌悪感を顕にしていた。
「……死体を弄って着せ替え遊びたぁ大した悪趣味だ、ここまで来ればいっそ感心するぜ」
奴隷を特殊繊維で苦しめるだけでなく、配下も己の技術で縛り続ける。ドクターとはそういう女らしい。
そういう分かりやすさ自体は嫌いではないが、趣味の悪さにも付き合う義理はないだろう。
改造トラック『アビスウォーカー』のエンジンを起動してから、屍は堂々と荷台の上へと立ち上がった。
運転は己の影に任せればいい。自分が為すべきことは――安らかな眠りから叩き起こされた人々を休ませることだ。
「……お前らは俺とは違う。同じ故の無い屍だとしても……お前らは休むべきだ」
大剣『アビス・チェルナム』を担ぎ、屍は迫りくる屍人を睨む。
屍人達は標的が荷台の上に立っていることを確認し、そちらを狙って攻撃しようとしているようだ。
ある個体は運転を続け、その車体から別の個体がトラックの荷台へ張り付こうとしてきている。
そこへ向け、屍はすかさず刃を振るった。
「そんな風に動く頭はあるか。だがな……残念だけど降りてもらうぜ」
影を纏った刃はより大きく、そして昏く輝く。そこから放たれる一閃は屍人の身体をあっさりと両断していった。
更にもう一度刃を振るい、今度は影の衝撃波を前へと弾き出す。狙いは屍人の運転する車だ。
相手も慌ててハンドルを切ったようだが、もう遅い。影の刃がタイヤを見事に切り裂けば、車体は大きく横転し――周りの車も巻き込んでクラッシュしていく!
「ひっ……!」
激しい轟音に紛れつつ、屍の耳に届いたのは小さな悲鳴だ。どうやら逃げ遅れた奴隷がすぐ近くにいるらしい。
「黒影、助手席の扉を開けろ!」
主からの指示を受け、運転席の影が器用に扉を開け放つ。そのまま影の腕が伸びたと思えば、隠れていた奴隷を引っ張り上げてくれた。
「あ、ありがとうございます……」
「礼は要らねェ、大人しくしてろよ」
元々トラックは守り切るつもりだったが、救助対象を乗せたことでよりしっかりと車体を守る必要が生まれた。
それならばより早く、そしてしっかりと敵を殲滅していかなければ。
「それでも――纏めて潰しゃあそれで終いだ」
やるべきことは変わらない。アビス・チェルナムに再び力を籠めて、己の影を纏わせていけばより巨大な剣の出来上がり。
呼吸を調え、前を睨み、そして屍人達にしっかりと狙いを定めて。
彼らの顔はレーザー装置により窺えはしない。けれど彼らはその身が朽ちるまでドクターに利用され続けるのだろう。
あいつらがどんな人間だったのか、どんな死に方をしたのか。それすらもう分からないけれど――だからこそ、彼らにぶつけるべきは弔いの意志だ。
「お前らにもう何も残ってねェってんなら……ここで潰れて休んどくんだな」
その言葉と共に、一際大きな斬撃が振るわれる。
漆黒の刃は次々に屍人を切り裂き、彼らの身体を飲み込んでいった。彼らの身体はここで朽ちるが、これ以上尊厳が汚されることもないだろう。
「……起き続けるのは、俺みてェな屍だけで充分だ」
自嘲気味な屍の呟きは、エンジンの音にかき消され――彼の中だけに静かに響いていった。
大成功
🔵🔵🔵
サミュエル・ブラウニング
ミャオ、ガンマンと撃ち合いとは身の程知らずだぜ
これからしばらく西部劇の時間だ、頼むぞアル!
戦車はなるべく先に潰しておきたいな…
会敵前にACアウトサイダーで【スナイパー、鎧無視攻撃】狙撃を試みる
その後はアルジャーノンに【騎乗】しながら屍人や戦車へ銃撃する
追われながら狩りをする気か? こっちを向きな!
左手のピストルは【制圧射撃、乱れ撃ち】し、近付く敵にはダイナマイトを【投擲】して【爆撃、焼却】だ
特に戦車は念入りに燃やすぜ
近寄られたら右手のリボルバーで【見切り、咄嗟の一撃、クイックドロウ、2回攻撃】のUCで対応する
ミャオ、よく来たな。歓迎するぜ
これだけすれば注意は引けるだろう
さあ、もうひと頑張りだ
●
迫りくる改造戦車やバギーを見遣り、サミュエル・ブラウニングはニヤリと笑う。
「ミャオ、ガンマンと撃ち合いとは身の程知らずだぜ」
相手が銃で挑んでくるというのなら、こちらも相応に応戦するだけ。
その場合、一番厄介なのは戦車だろうか。まずはあれから撃ち落とそう。
「アル、まずはあいつだ。狙えるな?」
機械仕掛けの灰馬『アルジャーノン』の身体を叩き、まずは共に戦車を睨む。
アルジャーノンの背に搭載された大型狙撃銃『ACアウトサイダー』の銃口が確りと戦車を捉えたのなら――放たれるのは挨拶代わりの無慈悲な狙撃。
キャバリアさえ撃ち抜くその一撃は改造戦車を容易く吹き飛ばし、周囲に凄まじい轟音が鳴り響いた。
しかし敵は戦車だけではない。バギー達は未だに速度を上げ続け、こちらへ向かってきているようだ。
搭乗した屍人達も銃に弾丸を装填し、戦いの準備を進めている。
「これからしばらく西部劇の時間だ、頼むぞアル!」
サミュエルも愛馬の背に飛び乗って、悪徳の都市を駆け始めた。
走行は全てアルジャーノンに任せればいい。
サミュエルは右手にリボルバー、左手にピストルを構えて後方の様子を窺っていた。
「追われながら狩りをする気か? なら……こっちを向きな!」
次の挨拶はピストルによる制圧射撃だ。
細かに放たれる弾丸は敵の車の動きを阻害し、彼らの足を鈍らせていく。
それでも近づいてくるような悪い子にはもっと過激な挨拶が必要だ。
「あんた達、よく燃えそうだな。こういうのはどうだ?」
サミュエルは懐に手を突っ込み、中から小さな筒を取り出していく。
その正体は肉球のついた可愛らしい手には不釣り合いな――特製のダイナマイトだ。
それらを軽く敵へと投げ込み、ピストルで撃ち抜き起爆したなら巻き起こるのは大爆発。
更に多くの敵が都市の中へと転がっていく。
しかし敵もまだまだしつこい。
相手は思考しない屍人だからだろうか。身体が焦げようと、仲間の車が横転しようと、しつこいやつらは更に迫ってきている。
「ミャオ、よく来たな。歓迎するぜ」
そんな彼らへ涼しい目線を向け、サミュエルはリボルバーを前に突き出す。
不審に思った屍人達もすぐに銃で応戦しようとしてきたが――ガンマンとしての実力はサミュエルの方が遥か上。
「ガンマン相手なら近づけば勝てるとでも? 迂闊なヤツだぜ」
あっさりとリボルバーの引き金が引かれれば、放たれた弾丸は屍人達を次々に撃ち抜いていく。
「俺と銃で勝負するならもうちょっと実力をつけてこい。来世で待ってるぜ」
リボルバーの煙を吹き消して、ブラウン・キッドは勝ち気に微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
レテイシャ・マグナカルタ
運転は他の奴に任せて、追尾してくる車をどうにかしてくるぜ
フック付きのロープで自分と車を繋いで置いて、後ろに向かって跳びだす
そのままの勢いでフロントガラスにドロップキック、魔力で強化された両足でぶち壊す!
そのまま車内に突撃しつつ両腕を広げて運転席と助手席の奴にエルボー
後部座席にもいるなら足を開いてそのまま顔面を仮面事陥没させる
車内を全滅させたら人気のなさそうな=誰かを巻き込まなそうなゴミ捨て場辺りに向けてハンドルをきって激突させる
オレ自身は直前で天上ぶち破って脱出し、ロープを伝って翼で滑空しながら戻る
他にも折ってくるならまた突撃だ!
●
状況は目まぐるしく変化し続けている。
レテイシャ・マグナカルタもその青い瞳で確りと周囲を見遣る。その最中に目が留まったのは一台の車だ。
中に乗り込んでいるのは数名の奴隷。彼らの後方からは、何台もの屍人の車が追尾してきているようだ。
「あの状況は……良くないな。今行くぞ!」
瞳と同じ青く輝く翼を広げ、レテイシャは奴隷達の車へと飛び乗った。
最初は奴隷達も驚いていたが、助けに来たのが指名手配されていた奪還者なのを確認すれば安心したようだ。
「お前達は運転に集中していてくれ、オレは後ろのやつらをどうにかしてくる!」
「すまん、頼む!」
奴隷達の声を背中で受け止めつつ、レテイシャはフック付きのロープを器用に手繰る。
ロープの片方は奴隷の車へ、もう片方は自分の身体へ。準備が整ったのなら――レテイシャは再び翼を広げ、一気に前へと躍り出た。
「でりゃぁぁァッ!」
勇ましい掛け声と共に、レテイシャが放ったのは渾身のドロップキックだ。
魔力によって力が増した彼女の足は、屍人が乗る車のフロントガラスを叩き割る!
破片が肌の上を掠めたって気にするものか。勢いを殺さないよう注意しつつ、レテイシャの身体は車の中へと滑り込んだ。
ついでに両腕を広げてやれば、弾丸のような勢いで放たれたエルボーが運転席の屍人を叩き潰した。
レテイシャの拳は一撃必殺。相手がどんな不気味な装置をつけていようと、特殊な繊維を着込んでいようと、一発でぶっ叩けば関係ないのだ。
「あとは……まだいやがるな」
油断せずに後部座席にも目をやれば、そこには斧を構えた屍人が見えた。
運転手を失った車はすぐにクラッシュするだろう。こいつも早急に片付けなくては。
「――らァッ!!」
先程までと姿勢を変えず、そのまま両足を開けば彼女の足は後部座席の屍人を捉える。
流れるような勢いで放たれる蹴りはそのまま屍人の頭を押し潰し、装着している不気味な仮面も叩き割った。
車内の敵が殲滅できたのなら、あとは車の処理だ。
運転席に座っていた屍人を押しのけ、すぐにハンドルを握りしめて。幸いなことに車を叩きつけても構わなさそうな場所はいくつか見えている。
「こんな車も化物共も、纏めてゴミ箱行きだ!」
巧みにハンドルを切ったのなら、屍人達が乗り込んでいた改造車両は無人のゴミ捨て場へと突っ込んでいく。
そして車が壁に激突する寸前――レテイシャは拳を突き上げ、車の天井をぶち抜いた。
すぐさま翼を広げて飛び立てば、眼下では車が轟音と共にクラッシュするのが見える。
これでひとまず安心だが、戦いはまだ終わらない。
「奪還者さん、大丈夫か!?」
「ああ、すぐ戻る!」
身体に結んだロープを伝い、レテイシャは再び奴隷の車の上に降り立つ。
屍人の数はかなり減ってきているようだ。それなら――そろそろ本命も出てくる頃合いか。
「これ以上レイダー共の好きにはさせるもんか。まだまだ行くぜ……!」
決意を新たに、奪還者の少女は敵の襲来を待つのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』』
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POW : ポリエスティア・スプラッシュ
【30メートル四方に広がる特殊繊維の生地】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を高濃度の薬物で汚染し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : ナイロニック・ショウタイム
【特殊繊維で編まれた、着た者を洗脳し操る服】を披露した指定の全対象に【「今見た服を着たい」という】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ : 人造絹糸の妖しき光
自身に【膂力を最大限強化する特殊繊維の白衣】をまとい、高速移動と【相手の服飾品を汚染し有害物質に変える薬品】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
イラスト:麻風
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「タリアルド・キャバルステッド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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悪徳都市の状況を確認し、ドクター・ドミレイオンは苛立たしげに壁を蹴った。
「……いい加減にしなさいな。奴隷も屍人も皆いなくなってるじゃない!」
積み上げてきた悪徳は全て崩れ落ち、目論んでいた最高のショーもめちゃくちゃにされた。
それなら後は、こちらから全部ぶち壊してやる。
恨みと怒りの籠もった瞳で前を睨み、ドミレイオンは大きく声をあげる。
「モンスターマシンを出しなさい! 私が出るわ!」
次の瞬間、今までとは比べ物にならない轟音が都市の中に鳴り響く。
同時に姿を現したのは――幾つもの棘で装飾された、超巨大な戦車だった。
ドクター・ドミレイオンは超巨大戦車に乗り込み、都市をデタラメに破壊しながら猟兵達を追いかける。
まずは超巨大戦車への対策が必要だろう。戦車そのものを壊すか、棘を掻い潜りドミレイオンを狙うか。それぞれがやりやすい手段で戦って欲しい。
また、この都市には未だに逃げ遅れた奴隷達が存在している。
彼らも必死に生き残ろうとはしているが、ドミレイオンが齎す破壊からは逃げ切れないだろう。彼らを助けるのもまた一つの作戦だ。
狂気の科学者さえ倒せば、彼女の気づいてきた悪徳都市も終わりを迎えるだろう。
そのための、最後の戦いが始まるのだ。
キャプテン・ハマーヘッジ
「狂気の科学者ドミレイオンよ!その戦車の美的センスの無さ、まるで君自身の醜い虚栄心と自尊心を表しているかのようだな…!」敢えて敵の目の前に身を晒し、挑発するような態度を取って注意をこちらに向ける。
敵が伸ばしてきた棘は両手に持った二丁の光線銃を撃ちまくって迎撃し、仲間たちがドミレイオンの元に辿り着き易いようにする。
勿論、攻撃をかわしながら巨大戦車を人が少ない方向に誘導するのも忘れる訳にはいかない。
「どうした?自分の街は壊せても、たった一人の紳士は殺せないのかね…!」
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都市に轟音が響き渡り、全てが強引に壊されていく。
その中央に立つのは元凶である女科学者だ。彼女を止めなければ、罪のない人々は傷つき続け悪は蔓延る。
だからこそ――この地に降り立つ男がいた。
「待ちたまえ、狂気の科学者ドミレイオンよ!」
フューチャー号のハンドルを巧みに切りつつ、宇宙紳士キャプテン・ハマーヘッジは朗々と叫ぶ。
ドクターも猟兵の姿を視認すれば、忌々しげに視線を投げかけているようだ。
「あなたが邪魔をしている猟兵ね? いいわ、さっさと轢き潰してあげる」
「その美的センスのかけらもない戦車で? そのデザイン、まるで君自身の醜い虚栄心と自尊心を表しているかのようだな……!」
ハマーヘッジの台詞はあからさまな挑発だ。そもそも巨大戦車の前に姿を晒すこと自体が誘導の意味を持ち、ドクターもそれを理解はしているだろう。
しかしそれでも、ハマーヘッジの行動は彼女から冷静さを奪うのに充分だった。
「……私のセンスを馬鹿にするの? 分かったわ、お前から殺してやる!」
ドクターは着ていた白衣を広げると、中から何本もの糸を取り出した。
糸は彼女の指に絡み、更に戦車の棘へと括り付けられる。すると……操り人形のように、数本の棘がうねり始めた。
同時に戦車が轟音と共に動き出し、少しずつハマーヘッジの方へと駆け出す。見た目よりもスピードはあるようだ、うかうかしていては危険だろう。
「やる気を出してくれたようだね。姿を晒した甲斐があったな!」
相手が動き出したことを確認し、ハマーヘッジは力強くアクセルを吹かす。
ここから先は待ったなしのカーチェイスだ。
幸いなことに、ここまでの戦いで都市の内部は確認できていた。
屍人との戦いがあった地点なら奴隷達も逃げているだろう。ハマーヘッジはそちらへ向けて、ひたすらにフューチャー号で駆け抜ける。
「待ちなさい!」
「待てと言われて待つ相手がいるのかね?」
ドクターも棘や糸を操って、ハマーヘッジの走行を妨害しようとしているようだ。
しかし所詮は人間技。相手が危険なオブリビオンと言えども、見きれないような攻撃ではない。
ハマーヘッジも光線銃とコズミック・ハート80'sを両手に構え、次々に障害物を撃ち抜いていく。
棘の方はただ危険なだけだが、繊維の方は不可思議な術もかけられている。長期間見つめていると、そちらへ向かいたくなってしまうのだ。
しかし宇宙紳士の心は揺れない。他者を傷つけるような、そんな衣服に魅力など感じる訳がないのだ。
「どうせならもっと素敵な衣装を作るんだな。センスは来世で磨くといいさ」
涼しげに言葉を投げかけるハマーヘッジに対し、ドクターは地団駄を踏み続けている。
それと相まって戦車の運転は更に大雑把に、都市もどんどん崩れていく。
「フフ、どうした? 自分の街は壊せても、たった一人の紳士は殺せないのかね……!」
「うるさい! あんたなんか……!」
ドクターの瞳が怒りの色に染まれば染まるほど、宇宙紳士の頭はクールになっていく。
こういう時に冷静になれる者が強いのだ。ハマーヘッジは身を以てそれを証明し、自らの痕跡を悪徳都市へと刻みつける。
「正義と自由と冒険のため、私は君のような者と戦い討ち倒していくのだ。覚えていくといい!」
轟音の中にあっても、フューチャー号のエンジン音とハマーヘッジの声は不思議と爽やかに響いていった。
大成功
🔵🔵🔵
化野・花鵺
「んー、じゃあやっぱり降りてもらった方がいいよねぇ。同じことの繰り返しになっちゃうけどぉ」
巨大戦車に「狐の呪詛」
棘が戦車に絡まって走行不能になったり
キャタピラが急に切れたり
電気回路が一斉に壊れて外が見えなくなったりする不幸を連続プレゼント
「戦車が鉄の棺桶になったら絶対出てくると思ったんだぁ。カヤあったまいぃ」
狐、自画自賛した
「せっかくのせぇふくにセンスないことする人はどんどん不幸になればいいと思うぅ」
降りたドミレイオンにも「狐の呪詛」
高速移動しようとして横から出てきた車両にぶつかったり
糸が引っ掛かって急制動がかかったり
有害物質が自分を汚染したり
不幸のオンパレードで味方の攻撃する隙を作り出す
●
傍迷惑な爆走を続けるモンスターマシンに向け、化野・花鵺はじとっとした視線を投げかけていた。
「んー、やっぱり降りてもらった方がいいよねぇ。同じことの繰り返しになっちゃうけどぉ」
再び竹筒を取り出せば、中から管狐達が姿を現す。
対象が無機物だろうと狐の呪いには関係ない。とにかく今はあの戦車を止めることが最優先だ。
「それじゃ、お願いぃ」
花鵺の命を受け、管狐達はモンスターマシンへと一気に殺到していく。
分厚い装甲に小さな歯型がつけば呪いは完了。あとは効果が出るまで見守るだけだ。
「さっき何かがうろちょろしていたような……ん、何かしら?」
ドミレイオンも管狐には気づいていたが、大したダメージはなさそうなので何も気にしていなかった。
それが大きな間違いだと気づくまで、それほど時間はかからなかったが。
そこから先は雪崩のように戦車へ不幸が舞い降り続けた。
装甲に括り付けられた棘が絡まり落下したと思えば、それをキャタピラが踏みしめ弾けてしまったり。
更にその衝撃で回路が壊れて走行自体が困難になったり。
こうなればどうしようもないだろう。ドミレイオンは戦車から飛び出して花鵺の姿を探し始めた。
「ちょっと、どういうことなの!?」
「思った通りぃ。戦車が鉄の棺桶になったら絶対出てくると思ったんだぁ。カヤあったまいぃ」
焦るドミレイオンを迎え入れたのは花鵺の得意げな表情だ。
勿論迎えはこれだけではない。管狐達が再び姿を現したと思えば、今度はドミレイオンへと噛み跡をつけていく。
「せっかくのせぇふくにセンスないことする人はどんどん不幸になればいいと思うぅ」
口調は緩いものの、花鵺の怒りは本物だ。
衣装や特殊な繊維を作る才能があるのなら、それを正しい方向に使えばいい。そうすればもっと素敵なせぇふくが生まれる機会だってあったはず。
それを無碍にするようなオブリビオンには相応の不幸がお似合いだ。
「訳の分からないことを……こうなったら私が直接殺してやる!」
花鵺の目論見はつゆ知らず、ドミレイオンは特殊な白衣を纏って走り出す。凄まじい膂力による走りはかなりのものだが――ここに不幸がプレゼントされれば、その結果だって悲惨なものになるだろう。
「カヤのとこまで来れるぅ?」
「うるさ……あっ!?」
花鵺の挑発に気を引かれたドミレイオンは、周囲の様子を観察しきれていなかった。
突如、鈍い音と共にドミレイオンの身体が大きく跳ねる。横から飛び出してきた奴隷の車が彼女を弾き飛ばしたのだ。
その衝撃で白衣は破れ、中に仕込んでいた劇薬がドミレイオンの身体を侵す。彼女の皮膚は焼け爛れ、膂力も完全に奪い去られていた。
「このままじゃ埒が明かないわ……覚えてらっしゃい……!」
ドミレイオンは泣く泣く戦車へと戻っていくが、不幸のプレゼント自体は終わっていないだろう。
それはきっと彼女の命が終わるまで続くはずだ。そんなドミレイオンの背へ向けて、花鵺は朗らかに声をかけた。
「これがせぇふくを悪用する人へのお仕置きだからぁ。骸の海で反省してきてねぇ」
天狐の呪いは恐ろしい。私利私欲で他者と制服を傷つける者にはこのくらいお灸を据えてやらないといけないのだ、
花鵺は彼女なりの物差しで、そして正義感で己の役割を果たしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
東雲・深耶
「寝言を言うなよ...貴様は何一つとして得てなどいない。これは必然だ」
と、霊力かあふれでる神剣【純化神剣・アーベラント】を抜刀。
溢れる純化の権能が逃げる奴隷の心身を癒して、オブリビオンである『ドクター・ドレイミオン』の体を漂白するように浄滅していく。
「死ね--貴様には、時空間に存在を浪費する価値すらない」
と、純化の理を込めた斬撃を時空間座標・距離を無視してコックピットのオブリビオンに飛ばしていく。
敵がUCを使ったときは回避して汚染された土地に今の剣を触媒に第二魔剣を発動。
汚染の影響を断つだけでなく反転させ、浄化の大地を顕現させて生者を癒し、モンスターマシンごとオブリビオンを浄滅させていく。
●
命からがらドミレイオンは戦車へ戻り、再び都市を破壊していく。
瓦礫の側では逃げ遅れた奴隷が震え、築き上げられたあらゆる物体はただの瓦礫へと化していた。
「猟兵さえ殺せば私の都市は取り戻せるわ……また好きなだけ服を作るの……!」
ぶつぶつと言葉を呟く科学者の瞳から正気の色はとっくに消え失せている。
その様子を見遣り、東雲・深耶は鋭い声を響かせた。
「寝言を言うなよ……貴様は何一つとして得てなどいない。これは必然だ」
栄枯盛衰どころではない。この都市にあったのは虚栄の享楽だけだ。
そしてそれを断ち切るべく――深耶は静かに純化神剣・アーベラントを鞘から引き抜いた。
アーベラントは輝く白光を放ちながら、悪徳の都市を眩く照らす。
その光は太陽の如く。剣に宿る純化の理は正しき者を癒やし、悪しき者を滅する力を宿していた。
「あの光は……?」
「すごい、暖かい……」
光が奴隷達を包み込めば、彼らの心身はあっという間に癒やされていく。
それは深耶が彼らを助けたいと願い、純化の理がそれに応えたからだ。
「君達は早く逃げるんだ。後は任せてくれ」
深耶の呼びかけに応じるように奴隷達はすぐに逃げ出す。
しかし、ドミレイオンからすればそれは些細なことのようだ。彼女の視線は既に深耶へと釘付けとなっていた。
「その剣、不思議な力を持っているようだけれど……私の特殊繊維はそう簡単に切れないわよ?」
ドミレイオンがそう告げるや否や、戦車の砲台から轟音が響いた。
撃ち出されたのは特殊繊維の布で出来た砲弾。布は空中で大きく開き、深耶ごと包み込もうと飛来する。
あの布はただ切り裂くだけでは意味がない。剣に長ける深耶だからこそ、その危険性はすぐに理解できた。
布にはたっぷりと薬物が染み込ませてあり、仮に切り裂けたとしても毒素は飛び散ってしまうだろう。
それなら――汚染の影響を断てばいいのだ。
「……それは星を喰らう闇を光輪にて砕く」
深耶の詠唱に合わせ、アーベラントが更に激しく輝きを纏う。
純化の理に己の時空間切断術を合わせ、放つは必殺の一撃だ。
「――第二魔剣・星蝕を射つ日輪と月輪」
アーベラントが特殊繊維を切り裂けば、その性質は大きく変わる。
虚栄の毒は浄化の光へ、今を生きる者を正しき道へ導くならば……悪は浄滅させるだけ。
「死ね――貴様には、時空間に存在を浪費する価値すらない」
深耶の一際低い声に合わせ、更にアーベラントが振り下ろされる。
そこから生み出された光の衝撃波は、ドミレイオンの戦車を大きく傷つけ、ドミレイオン自身の存在も削り取っていく。
「何なの、この力……!?」
「私はただ、あらゆる存在の純度を高めただけ。この刃で貴様が苦しむというのなら、それはこの世界がそうなるように選択しただけだ」
狂気の科学者の苦悶にも、深耶は凛とした言葉を返す。
深耶の絶技は悪徳をも切り裂いて、これから流れる誰かの涙を拭ったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
レテイシャ・マグナカルタ
イカレ女は上手く誘導されてるらしい。それならオレのやるこた一つだな
今のうちに出来る限り奴隷を助ける!
瓦礫に囲まれて身動き取れない奴がいれば持ち上げて助け出し
今まさに降りかかりそうな奴がいれば飛び込んで片手で瓦礫を受け止める
レイダー共が近づいてくるならその瓦礫を文投げで道を塞ぐぜ
助けられた奴隷が数人なら抱きかかえていくが、多かった場合は
その辺に転がってる大型車に乗り込んでもらう
「うおおおぉぉぉっ!!!」
竜の翼が普段の倍以上に大きくなり蒼い光を放ち始める
羽ばたきは風だけじゃなく魔力を吹き出して、普段以上の飛行能力を発揮していく(真の姿の一部解放)
奴隷達が乗った車をしっかりと掴んで空を翔けるぜ
●
狂気の科学者が光に飲まれた時より、少し時間は遡る。
レテイシャ・マグナカルタは都市の中に響くエンジンの音を耳にしつつ、注意深く周囲を観察していた。
「あのイカレ女は……上手く誘導されてるみたいだな」
ならば自分がやるべきことは一つ。この地で育った奪還者ならば――ひとりでも多く、同じ世界で生きる人々を助けたい。
覚悟が決まれば駆け抜けるだけ。レテイシャの足は力強く地を蹴って、青い翼は崩れ行く都市の中で煌めくように羽ばたいていく。
ここまでの戦いでかなりの数の奴隷が脱出はしていたが、まだ都市の内部に残された人はいるだろう。
恐らく彼らは危機的な状況の中にいるはずだ。レテイシャは再び周囲を見回し、人々の影を探した。
そこで目に入ったのは瓦礫の山だ。周囲の建物は崩れ続け、轟音があらゆる音を飲み込んでいく。
けれど、レテイシャの耳には確かに聞こえた。
瓦礫の奥、微かに助けを呼ぶ声が。
「大丈夫か、今助けるぜ!」
魔力で四肢を強化しつつ、レテイシャは瓦礫の山をかき分けていく。
しばらく山を掘り続けていけば……奥に数人の奴隷が倒れ伏しているのが見えた。彼らは身体のどこかしらを負傷し、完全に身動きが取れないようだ。
「あなたは、指名手配されてた奪還者さん……?」
「ああ、そうだ。皆をこんな巫山戯た都市から奪い去るためにやってきたんだ」
最後の瓦礫を片付けながらの、少し悪戯っぽい言葉。それは奴隷たちを励ますのに充分だった。
助け出した奴隷は10人。全員を一気に抱えるのは難しいだろう。
こういう時は無茶するよりも着実な手段を探した方がいい。長年の奪還者としての経験が、レテイシャに的確な判断をさせてくれていた。
「あれなら使えるか……?」
青い瞳が捉えたのは一台のトラックだった。荷台の広さも充分で、これなら全員を乗せることが出来る。
しかし――困ったことに、車のエンジンは完全に壊れてしまっているようだ。
けれどレテイシャは諦めない。奴隷達を優しく抱えてトラックまで乗せてると、レテイシャは運転席を抱きしめるように掴んだ。
「全力で行くから振り落とされないように注意してくれ。オレが皆を外へと連れていく!」
「ど、どうやって……?」
不安げな表情を浮かべる奴隷達へ、レテイシャは花のような笑みを返す。
「大丈夫だ、オレに任せろ。行くぞ……うおおおぉぉぉっ!!!」
次の瞬間、凄まじい魔力が都市の中へと駆け抜ける。
レテイシャの青の翼がより大きく変化していき、更には青い輝きすらも纏い始めた。
この世界の人々を救う。レテイシャの強い意思は、猟兵としての真の力を呼び起こしたのだ。
車を抱え、レテイシャは都市の中を翔け抜ける。
翼が羽ばたく度に魔力の光が溢れ、その輝きは崩れた瓦礫を包み込む。
それはきっと、この都市で命を落とした人々への祈りだ。
けれど、ここには助けられた人がいる。この世界はまだ終わらない。
「……ああ、出口だ」
気がつけば都市の入口まで飛んできていた。これで奴隷達も一安心だろう。
青い流星が翔け抜けるのと、真白の光が悪徳の主を滅したのはほぼ同時だった。
●
こうして猟兵達は悪徳都市を終わらせ、囚われていた奴隷達も救出できた。
世界を蝕む悪は滅び、世界を育む人々はきっと再び立ち上がることが出来る。
この世界の未来のため、新たな一歩がここに刻まれていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵