2
まだまだ行けるはもう危ない

#アポカリプスヘル #ブラックジャック

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
#ブラックジャック


0




「ふざけんな! こんなの……こんなのイカサマだ!」
 目の前に置かれた札をめくった小太りの男はそう叫びながら、それを叩きつける。
 その様を金髪の男はにやけ面を見せながら眺めていた。
「おいおい、とんだいいがかりだな。何の証拠があってそんなことを?」
「当然だ、5回連続でバーストするなんて……ありえねぇ! お前が裏で操作してんだろ!」
「……自分の運の悪さを他人に責任転嫁か」
 そう呆れ混じりに呟かれた声は背後から聞こえ、異変を感じて振り返る前に小太りの男の頭はテーブルに勢いよく叩きつけられた。
 いつの間に対面から後ろに回っていたのか、金髪の男は小太りの男のおでこをテーブルに擦り付けながら眉間を険しくする。
「お前が引き際を見誤ったのが悪いんだよ。大人しくかけた分全部引き渡せや。……なぁ?」
「ひっ……!」
 同意を求めるように視線を向けられた小太りの男の連れが、恐怖からか荷物を抱え込んだまま奥の階段を駆け上がろうとする。しかしその背中を無慈悲な弾丸が何発も貫いた。
 段を踏み外して転がり落ちてきた者の体から赤い血が広がる。その下敷きになった荷物を、銃を撃った筋肉質な男はひったくると金髪の男に渡した。
 小太りの男の耳元で何かを呟き終わった金髪の男は荷物のチャックをおもむろに開き、中にあった缶詰のうちの一つを眺める。
「お、まだまだ期限に余裕がある上物じゃねぇか。紙の類じゃなくて良かったぜ、血が染み込んじまったら商品に使えねぇからな」
 小太りの男が椅子から崩れ落ちる。どうやら気絶してしまったらしい。
「……ああ、すぐにこいつとあの死体外に放り捨てておけ。このままじゃ次のカモ……客を呼び込めねぇからな」
 そう言って缶詰をポケットに突っ込んだ金髪の男は店の奥に消えていった。

「ブラックジャック、というゲームはご存知ですか?」
 ブラックジャック。
 プレイヤーとディーラーが1対1の勝負を行い、21を超えないように手持ちのカードの点数の合計を21に近づけ、その点数がディーラーを上回ることを目指すトランプゲームである。
 22以上の点数になってしまった場合強制的に敗北となり、ディーラーは合計点数が17以上になった段階で引くことは出来ない。
「アポカリプスヘルにて、それで遊ぶことが出来るカジノ施設があるそうです。そこではチップの代わりに様々な物資を賭け、勝つことでより多くの物資を得ることが出来るそうなんですが」
 しかしそこはレイダーが運営している施設だった。彼らは大量の物資を餌にして、無知な奪還者をカモにしていたのである。
「相手は数回こちらを勝たせて気分を良くさせた後か、客がいきなり大金をかけてきたタイミングで手札のイカサマを行ない、総取りしてくるそうです。もしこのことを知らずに順調に勝っていたら『今負けたのはたまたま、すぐ取り返せる』と勘違いしてしまうでしょうね」
 敗北を素直に受け入れた者は裸一貫の状態でも容赦なく外に放り出され、受け入れられなかった者は命ごと全てを失うことになる。
 一方で堅実にプレイしてきて、大勝を目指さずに手を引いた者達には商品を素直に渡して逃しているという。
 しかしそれはこのカジノの存在を良い印象で外に広めてもらい、馬鹿な手を打ってくる客をより多く引き込むための策だと予測される。
 しかもレイダー側のボスは相手の思考を自分に都合の良い風に塗り替える人心掌握術に長けており、大敗した客が自分の店の悪評を外に漏らさないようにしているらしい。
「そのため今現在もそのカジノは盛況なようです。悪い噂が聞こえてこないから、当然と言えば当然ではありますがね」
 美味い噂に乗っかってしまい引き際を誤った奪還者に関しては自業自得とは言えなくもないが、レイダーの勢力が強くなるのは非常によろしくない。
 だからこそルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)は猟兵達の手でその化けの皮を剥がしたいのだと主張する。
「今回はレイダー達が運営するカジノのイカサマを暴きつつ、偶然居合わせてしまった奪還者達を守りながらそこを壊滅させることが目的となります。目には目を歯には歯を、イカサマにはイカサマをぶつけてやりましょう」
 そう言ってルウはブラックジャックでは基本使わない道化師のカードを顔の前で振って見せた。


平岡祐樹
 過信は禁物。お疲れ様です、平岡祐樹です。

 今回はレイダー達が運営するカジノのイカサマを暴きつつ、そこを壊滅させることが目的となります。

 第1章では実際にブラックジャックで遊んでいただきますが、相手は数回こちらを勝たせて気分を良くさせたorいきなり大金をかけてきたタイミングで手札のイカサマを行なってくるようです。
 それに対する策が無ければ一文無しになる上に指摘も失敗、その前に撤退してしまえば相手の裏の顔を暴くことは出来ないのでご注意下さい。
90




第1章 冒険 『一か八かの大勝負』

POW   :    「バレバレなんだよ」 持ち前の運の良さで勝つ

SPD   :    「その手で本当にいいのかい?」 手先の器用さで勝つ

WIZ   :    「見えすいた手だね」 口先で相手の動揺を誘い勝つ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

トキワ・ホワード
【魔桜】

芙蓉、儲け話だ

何やら盛況している賭博場があるそうでな
金ではなく物資を賭けるらしい、賭けるものがなくて困っていてな
お前に付き合ってほしい

そう伝え同行の許可を得る


さて、この賭博場では賭けるものは物資なのだろう?
ならばこの世界で価値があるであろう女をベットする

俺は言っただろう
賭けるものがなくて困っている
付き合えと
安心しろ
お前にはそれだけの価値がある

席に着いた時点でゲーム台の下
見つかりにくい場所にメダルを貼り付けUCを発動
前半は勝ち続け一度負ける流れを演出
その後は21で勝ち続ける
どうせイカサマするのなら派手なくらいがいいだろう?

芙蓉すらも巻き込んでの一人勝ち
悪いがこの場は俺が掌握させてもらうぞ


芥子鴉・芙蓉
【魔桜】

儲け話を持ってきた、とトキワに賭場へ誘われたんじゃよ。
チップはわらわがもっておる幸せになれる薬物じゃ!

「バレバレなんじゃよ」(見当外れ)
「その手で本当にいいのかや?」(トキワに向かって)
「見え透いた手じゃな」(全然見え透いてない)

──ちょっと待つんじゃよ!ディーラー!こいつ(トキワのこと)絶対イカサマしておるぞ!そんなにブラックジャック続く訳ねーじゃろ!

(無様に大負けしてカモになる事でディーラーの気をこちらにそらし、興奮して無意識に発動した【桜の癒やし】でディーラー以外の監視の目を眠らせ、トキワのイカサマの成功率をあげる。本人にそのつもりは一切なく、彼女はトキワとも勝負しているつもり)



 儲け話だ————
 トキワ・ホワード(旅する魔術師・f30747)にそう誘われた芥子鴉・芙蓉(ラリBBA・f24763)は薄暗く湿った通路にある、石を切り出して作られた段差を共に下りていた。
「金ではなく物資を賭けるらしい、賭けるものがなくて困っていてな」
「なるほどなるほど」
 お金は無いが物ならある、と芙蓉は何度もコクコクと頷く。その物も自分で使ってしまうのが問題だったりするのだが。
 降り切った先で待っていた燕尾服の男が礼をしてから奥にある鉄の扉を開く。すると赤を基調とした暗い室内に複数のテーブルが扇状に並べられていた。
 それぞれにディーラーが控えており、前説明通り行うゲームはどれもブラックジャックのようだ。
「……ボス本人といきなり、とはいかないか」
「オーナーとでしたら、ここで目に止まる成績を残せばお会いになってくださるかもしれませんね」
 ホワードの呟きを聞き逃さなかった燕尾服の男が親切にも耳元で囁くように答える。それを聞いたホワードは案内されたテーブルの前にある椅子を引いて座った。
「ならば、意地でも勝たねばな」
「そうじゃなそうじゃな! チップはわらわがもっておる幸せになれる薬物じゃ!」
 ウキウキで芙蓉は愛用のカバンから様々な包装に包まれた薬やキセルパイプをテーブルの上に並べた。燕尾服の男もディーラーも仕事中だからか、吸って確かめようとせず眺めるだけに留めて頷いた。
「かしこまりました。では、お連れのお客様は何を?」
「確かこの賭博場では賭けるものは物資なのだろう? ならばこの世界で価値があるであろう女をベットする」
 そう言ってホワードは親指で芙蓉を指した。突然の指名に芙蓉は目をひん剥いて叫んだ。
「はぁー!??」
「俺は言っただろう。『賭けるものがなくて困っている、付き合えと』。安心しろ、お前にはそれだけの価値がある」
「そーいう話じゃないんじゃがなー!?」
 ギャンギャン喚く芙蓉を無視し、ディーラーはチップの束を組むと2人の前に突き出した。
「では、チップをお渡しします。もし負けた場合は退席時にこの場でそちらを受け渡させていただきます」
「いや、店も断れ、わらわ客じゃぞ!? 所有物じゃないぞ!?」
 暴れまくって頭から花弁がハラハラ落ちている芙蓉の意見は完全に無視され、カードが配られていく。
 不服そうに口を尖らせながらもお金のために留まった芙蓉の前に揃った2枚の手札はバーストする可能性もあるが勝負手とするには少ない数字であったが……山札とディーラーを交互に見比べてから胸を張った。
「バレバレなんじゃよ。次はバーストになる札! スタンドじゃ!」
「それじゃあ俺はヒットで頼む」
 ホワードに配られた札……つまり芙蓉が次に引く予定だった札は、もし引いたとしてもバーストしない数字だった。
 うめき声をあげる芙蓉を無視してホワードは次の札を引いてからスタンドした。
「その手で本当にいいのかや?」
「お前と比べればまだ勝ち目がある」
 実際二の句を告げられない目の前の結果に唸るしかない芙蓉をよそにディーラーはショーダウンを宣言し、山札を引いていく。
 その結果は、ホワードのみが1点差で勝って2倍にチップを増やした。
「くそっ、次じゃ! 次こそ勝ってやる!」
 続けて配られた手札の内容に、前回の反省を生かして攻めに出てみる。
「見え透いた手じゃな。ダブルダウンじゃ!」
 そうしてやってきた絵札にバーストさせられた芙蓉はテーブルの上に沈没した。
 この後もお互いに勝ったり負けたり、大当たりを狙って掛け金を増やしたり流れが悪いとみて減らしたり……と駆け引きを続けた末に無様に大負けしてカモになった芙蓉は涙目でテーブルを叩いて立ち上がった。
「ちょっと待つんじゃよ!ディーラー!こいつ絶対イカサマしておるぞ!そんなにブラックジャック続く訳ねーじゃろ!」
 空っぽに近い芙蓉の手元と対比するように、ホワードの前には合計が21となった手札と大量のチップの山が出来上がっていた。
「い、いえ、ですが……」
 宥めるディーラーの語尾も弱々しい。ディーラーもディーラーでここまで勝たれることは予想外だったのか、ホワードのボディチェックを行ったりしきりに山札を切り直したり袖の辺りを気にする素振りをみせていたが……結果が変わる気配は無かったのだ。
「どうせイカサマするのなら派手なくらいがいいだろう?」
 先程の反省を生かし、自分だけに聞こえるようにホワードは呟く。ただ、それを聞き咎めるはずの燕尾服の男は仕事中にも関わらず船を漕ぎ始めていた。
 全ては席に着いた時点で始まっていた。
 座るのと同時にテーブルの真裏という見つかりにくい場所に蜃気楼のメダルを貼り付けることで、どれだけディーラーが足掻こうとこのテーブルでは必ずホワードの手札は21になり、相手の手札は21にならないように見えるよう、作り替えられていたのである。
「悪いがこの場は俺が掌握させてもらうぞ」
 仲間であるはずの芙蓉すらも巻き込んでの一人勝ちにホワードはほくそ笑みながらショーダウンを要求した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾崎・ナオ
「カジノ初めてなんですぅ。どのくらいから賭けるのが一般的なんですかぁ?」
美少女が満面の笑み! 大嘘吐きながら話しかけるよ!

数回遊んで【情報収集】
カードを切る癖やタイミングを確認。
袖か、テーブル裏か。
はてさてどこかにイカサマ隠してるかにゃー?

で、勝負!
【第六感】怪しいと思ったら【UC】発動。
「ねぇ~~アポカリプスヘルで1番可愛いのって誰~?」
ナオちゃんより可愛い奴っている? え、いないよね?
雑談のフリをしながら【恐怖を与え】つつ「勿論居ませんとも」という言葉を引き出そうか!

一時的に動きを封じた上【早業】【不意打ち】でイカサマカードを奪うよ。
世界で一番可愛いナオちゃんに何しようとしたのかにゃー?



「カジノ初めてなんですぅ。どのくらいから賭けるのが一般的なんですかぁ?」
 そんなことを宣いながら、尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)は両手を頬につけながら満面の笑みをディーラーへ向けていた。
 ちなみに言っていることは大嘘である。
「どうでしょうね。最初はやはり少量で様子を見て……慣れてきたらダブルダウンなり強気に出る、と言った方がよろしいかと」
 そんなこととはつゆ知らず、ディーラーは山札を混ぜながら尾崎の質問に答える。
 その間も尾崎は目を細めながら目敏くディーラーのカードを切る癖やタイミングを確認していた。
 カードか、袖か、テーブル裏か。はてさてどこにイカサマの種は隠されている?
 そのためにはまず、普通に遊ぶ必要があった。何も情報が無い状態で推理をしても、白か黒の区別がつくわけがない。
「6。21でブラックジャックです」
「うあ〜、やられたぁ〜」
「次もやられますか?」
「うん、やる〜」
 4ラウンド目で負けてしまい、頭を抱えて体を反らし、尾崎はうめき声をあげる。ディーラーが笑顔でかけられたチップを回収する中、体勢を戻した尾崎は不意に話しかけた。
「ねぇ~~アポカリプスヘルで1番可愛いのって誰~?」
 先程のラウンドで初めて、カードが山札から捲られたのではなく、袖からディーラーの手に滑り込んだように見えた。気のせいだと無視せず、これ以上無為に遊ぶ必要は無くなったと判断した尾崎の目に鈍い光が宿った。
「可愛い方、ですか?」
「そうそう。ナオちゃんより可愛い奴っている?」
「どうでしょうねぇ……お客様よりも」
「え、いないよね?」
 食い気味に進められる雑談のフリをしながらの脅迫にディーラーは苦笑いを浮かべながら自分の手番を迎える。
「ふふっ、勿論居ませんとも」
 ディーラーは捲った最初のカードを自分の前に並べる。そして2枚目を捲ろうとした瞬間に尾崎はテーブルに足をかけて踏み出るとディーラーの左手首をしっかりと掴んだ。
「……ねーえー、世界で一番可愛いナオちゃんに何しようとしたのかにゃー?」
 突然の客の暴挙に慄くディーラーの手首と尾崎の手の間には山札ではなく、燕尾服の袖の中から出て来たカードがしっかりと挟み込まれていた。
「騙し通せると思った? 私の可愛さに魅了されていつも通りの動きが出来ると思わないことだぜ?」
 先程まで浮かべていた笑みやぶりっ子の演技を完全に止めた尾崎は、冷たい視線を向けて詰め寄った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・ラーヴァ
アドリブ・連携歓迎

アリス、カードゲームは(手に持てない意味で)苦手だけどがんばっちゃうのー
カードは幼い妹(幼虫)達に咥えて持ってもらってゲーム開始ー
まずはバーストしない事が大切だから、16以上はスタンドするのよー
Aが出たら少し強気でもいーかもー
数回勝ったらそろそろ仕掛けてくるかしらー?
でもアリスには秘策アリ!
【保護色】の【迷彩】で潜伏した妹たちがあらゆる方向からガン見しているのよー
イカサマをしたタイミングで【アリスの糸】を飛ばし【捕縛】ー
カードと手を固定してイカサマを指摘しましょー
ふっふっふー、見えすいた手なのー
悪い人は食べていー人だから、相手が抵抗したらそのまま齧って【捕食】しちゃいましょー



(アリス、カードゲームは苦手だけどがんばっちゃうのー)
 アポカリプスヘルには人語をぺらぺらと話す、突然変異の賢い哺乳類が一般的に生活している。
 故に、アリス・ラーヴァ(狂科学者の愛娘『貪食群体』・f24787)がこのカジノを訪れても驚く者はいなかった。
 しかし問題もあった。人間よりも小さい者の方が圧倒的に多いためアリスの大きさと重さに耐えられる椅子の用意がなかったのだ。
 そのためどれだけ体を上げてもテーブルの上を見る術が無かったアリスは妹にカードの確認を託した。
「……では、カードを配らせていただきます」
 慣れていないのか虫自体が苦手なのか、やや声を震わせながらディーラーはカードを配る。
 目の前に置かれたカードを確認した全長40cm程度の芋虫は大きな口を開け閉めさせて音を立てる。それを聞いたアリスは牙をカチカチと叩きながら思考を始めた。
(11かー。それなら1枚でバーストはありえないのー。でも絵札が出る確率の方が少ないからここは素直にヒットさせていただくのー)
 これ以外にも合計が16以上になったら冒険せずにスタンドし、1とも11とも扱えるAが出たら少し強気に攻めに出る……といった堅実な手でアリスはラウンドを進めていった。
 一進一退の攻防が続く中、アリスの札は限りなくブラックジャックに近い20となった。ここからディーラーが勝つには21を出すしかない。
「では、こちらのショーダウンと参ります」
 盤上に置かれた2枚のカードを表にし、ディーラーは3枚目のカードを捲ろうと手を伸ばす。
 しかし山札から引く前に、その手へ燕尾服の袖の下からカードが飛び出して握られようとした。
 だがそれが指につく前に粘着質な糸がそれを阻んで固定した。
(ふっふっふー、見えすいた手なのー)
 アリスが勝ち誇ると同時に、糸を吐いた成虫の妹が隠していた姿を現す。それに続いてあちこちから別の妹達も迷彩を解いた。
(こういうのは正々堂々が大事なのよー。アリスも妹もよく見えないからってイカサマをしたらめっ、なの)
 いつの間にか包囲されていたことに驚きつつ、ディーラーは貼り付いた糸を剥がそうと無事だった右手で引っ張る。しかし糸が千切れる気配はなく、むしろ右手も巻き込んで被害をさらに広げた。
 そんなディーラーの元にテーブルの上に居座っていた幼虫の妹が迫る。
(悪い人は食べていー人だから、そのまま齧っちゃっていーよー)
 アリスの許可を得た妹が両手をまとめて食べようと口を大きく開ける。
 しかしその牙が柔らかい肉を捉える前にテーブルは真っ二つになって倒れ、妹の体は宙に投げ出された。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『改造屍人『ナブラヘッド』』

POW   :    マスターキー
【高温に熱せられた斧】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ダブルタップ
【戦闘補助プログラム】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【銃による連続射撃】で攻撃する。
WIZ   :    ナブラレーザー
【視線】を向けた対象に、【頭部から放たれるレーザー光線】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……お客様、このカジノ内での荒事は禁止されております」
 三角の兜を被った筋骨隆々とした男はテーブルを叩き割って地面に刺さった手斧を抜き上げる。
「当店の職員に暴力を働いた者は規定により排除させていただきます。……ホワード様はオーナー様からの招待が届いております。暴徒達を排除し、安全が確認された後にVIPルームにご案内させていただきます」
 そう抑揚なく告げた男は、腰に提げていた銃も抜いて臨戦態勢を取った。
アリス・ラーヴァ
アドリブ・連携歓迎

ひどーい!急に襲い掛かってくるなんてー
暴力はんたーい
接客がなってないってオーナーに苦情を申し入れるのよー
でもまずはこの乱暴者を鎮圧しないとねー
ちょっと荒っぽくなりそーだから、まずは他に周囲の人達がいたら避難させましょー
妹達達を呼んで関係ない人達を外へ【運搬】するのよー
後顧の憂いがなくなったら改めて『ナブラヘッド』さんに攻撃ー
得意の【集団戦術】で一方からけん制、『高温に熱せられた斧』を【火炎耐性】のある前肢や甲殻で受け流しながら、他方の死角から爪や牙で切り裂くのよー
上手く噛みつけたら【マヒ攻撃】で動きを鈍らせちゃいましょー
この人も悪い人だから動けなくなったら食べていーのかなー?



 勢いよく弧を描きながら飛んだ幼虫の妹を、偶然その先にいた成虫の妹が受け止めたのを見届けたアリスは犯人に向かって牙を鳴らした。
(ひどーい!急に襲い掛かってくるなんてー! 暴力はんたーい!)
「こちら正当防衛となっております。……当店の従業員を食おうとするような野蛮な獣には分からないでしょうがね」
(今野蛮な獣って言った!? ひどーい、接客がなってないってオーナーに苦情を申し入れるのよー!)
 ガチガチ牙を鳴らす姉の姿を見た妹達は糸で武器を持っていない従業員達の体を拘束する。
(でもまずはこの乱暴者を鎮圧しないとねー。ちょっと荒っぽくなりそーだから、まずは他に周囲の人達がいたら避難させましょー)
 そして複数体がかりで担ぎ上げて外へ避難していった。その様子を見た男は焦りの色を声に乗せた。
「なっ……誘拐まで!? これは早めにこの世からお引き取りしていただきましょうか!」
 テーブルを叩き割った手斧が赤く変色し、その周りにある空気が歪む。どうやらあの強烈な一撃も本気の物では無かったようだ。
(ガブっとしちゃえ~)
 アリスの号令を受け、店内に残っていた妹達はまずは糸による牽制から始める。先程の一撃から見て、腹部に受ければ確実に死ぬのが予想できたからだ。
 男は糸がついた腕を素早く自分に寄せ、斧で焼き切る。その勢いに負け、糸を吐いていた妹達は引っ張られて体勢を崩した。そこを畳み掛けようと男は起き上がろうとする妹達に狙いを取った。
 それを好機と見て、背後から別の妹が前脚を振り上げながら飛びかかる。しかし男は素早く振り返ると横薙ぎに斧を振るった。
 アリスだけでなく妹達の装甲も硬く耐熱性のある物だったが、手斧は止まることなく受け流そうとした妹の牙を簡単に切り裂く。
 悲痛な音をあげて顔を押さえる妹を踏み潰そうと男は足を上げるが、落とされる前に糸によるストップがかけられた。
「くそっ……中々にしぶとい奴め。警報を鳴らせ、増員が必要だ!」
「了解!」
 カジノ内にけたたましい音が鳴り響く中、満を辞してアリスが前に出る。
「こいつが親だろう……こいつを倒せば子供どもは混乱するはずだ!」
(アリスはママじゃなーい!)
 完全に怒髪天をついたアリスは斧が自分の体に触れる前に、それを振るう腕を前脚で払い退ける。攻撃を止められて後退った男の首元に新たな妹が飛びつくと、間も置かずにその首元に牙を突き立てた。
「ぐっ……くそ!」
 男は反射的に手を伸ばして胴体を潰そうとするが、それよりも前に妹は跳び立つ。直後、男は唐突によろめきだした。
「毒、かっ……! 獣めが……!」
(あなたも悪い人だから動けなくなったら食べていーのかなー?)
 尻餅をついた男にアリスはゆっくりとにじり寄る。男は満足に動けない脚で蹴り飛ばそうとしたが、逆に強靭な顎に捉えられてしまった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

トキワ・ホワード
【魔桜】
あいつは頭が少々足りないところがあると思っていたが…
真正の馬鹿だったのか?
まぁいい
あいつもじきに三角頭の連中の排除対象になるだろう
それで、あいつが連中を斃すのなら俺にとっても好都合だ

火事場泥棒を働く姿を静観
ああまで無様な生き様には興味すら沸いてくるな
さて…俺の標的だが
先程声をかけてきた男―奴は言っていた
『オーナーからの招待が届いている』と
…敵陣でそんな誘いに無防備に乗ってやるつもりもないが

例の男を見つければ、奴が手傷を負うまで静観
奴の銃を警戒し物陰に身を隠しながらUCを発動
「答えろ、俺を呼んだオーナーの目的はなんだ?」
忠告だ、狼達に食い殺される前に俺の満足いく詳細を答えるといい


芥子鴉・芙蓉
【魔桜】

なんぞ騒がしくなってきたと思えば、暴れた者がおるのか。
……わらわ巻き添えくらわぬよね?腹立たしい事実じゃがトキワのヤツがオーナーから招待もらっとるし、その掛け金扱いのわらわも安全じゃよね?

──ハッ!もしや、このドサクサに紛れて押収された薬物を取り戻せるのでは!?
そしてこの薬物を元手に、再び違う賭場で賭け事に興じる!
そこで大儲け!おお!なんてクレバーなアイディア!流石わらわ!
のーべる賞を授与される程のインテリジェンス!
そうと決まれば、やってやるんじゃよ!ぐへへ!

(漁夫の利を狙おうとしますが、すぐバレるので暴力に訴えかけます。UC【毒桜】で敵の動きを制限し、その隙に急所を狙って攻撃します)



「……わらわ巻き添えくらわぬよね? 腹立たしい事実じゃがトキワがオーナーから招待もらっとるし、その掛け金扱いのわらわも安全じゃよね?」
 虫の群れと招待を告知してきた男が激しくやり合い、その指示を受けた別の男によってつけられた警報がけたたましく鳴り響く中、芙蓉はオロオロと周りを見回しながら問いかける。
 しかしホワードは肩をすくめて踏ん反り返るだけで、ディーラーや燕尾服の男は虫に攫われ、奥からゾロゾロ現れる変な兜を被った半裸の軍人っぽい男達は虫に意識を向けていて話をしてくれる気配が無い。
 そんな孤立無援な状況に身を置かれた芙蓉の頭の中に突然、電流が流れた。
 もしや、このドサクサに紛れて押収された薬物を取り戻せるのでは!?
 そうすればこの薬物を元手に、再び違う賭場で賭け事に興じることが出来る。そこで大儲けをすることさえ出来れば……!
 おお、なんてクレバーなアイディアなことだろうか! 流石わらわ! のーべる賞を授与される程のインテリジェンス!
「そうと決まれば、やってやるんじゃよ!ぐへへ」
 下衆な笑みを浮かべ、芙蓉は抜き足差し足忍び足でテーブルをぐるりと回り、ディーラーのいた位置の奥にある、賭けた物が仕舞われた場所へと向かった。
「お客様、何をされるおつもりで?」
 しかしそう簡単に問屋がおろされることはなかった。後からやってきた軍人に金庫のダイアルをいじる様子を目撃されてしまったのだ。
「うわわわわ!? な、なんじゃろうなぁ、分からんなぁ?」
 吃りつつもしらばくれようとする芙蓉に軍人はにじり寄る。
「火事場泥棒とは、感心できませんな……。やるということは、やられる覚悟がお有りということでよろしいですな?」
 そう言い終わるや否や兜から放たれたレーザーが芙蓉の足元を焼く。
「い、いやじゃいやじゃ、死にたくない、死にたくないのじゃあああっ!!?」
 泣き喚きながら芙蓉はレーザーから逃げ惑う。その度に頭から桜の花弁が舞い落ちていく。
「あいつは頭が少々足りないところがあると思っていたが……真正の馬鹿だったのか?」
 その様をホワードは冷めた目で見つつ、大きなため息をついていた。
「まぁいい。あいつもじきに三角頭の連中の排除対象になるだろう。それで、あいつが連中を斃すのなら俺にとっても好都合だ」
「やめてなのじゃああああ!」
 大した距離を走っていないのに息切れを起こし始めた軍人の顎に向け、芙蓉の強烈なアッパーカットが入る。それをまともに受けてしまった軍人は浮かび上がることは無かったが、そのまま意識を失って床に倒れた。
 しかし結果的に堂々とカジノの中央で用心棒を倒してしまった形になってしまったが故に、芙蓉も軍人達の警戒を一身に受けることとなった。
「おい、別の客も暴れ出したぞ! 対処に回れ!」
「はっ、いや、これは、その……ごめんなさいなのじゃああああ!」
 次第に戦闘は激しさを増し、テーブルは倒され、トランプは舞う。
 流石にこのまま座り放しは色んな意味で不味いと、ホワードは渋々立ち上がって物陰に身を隠した。
 先程声をかけてきた男は言っていた。『ホワード様はオーナー様からの招待が届いております』と。
 そもそも自分から身分を明かすような物は出していない。芙蓉はしきりに「トキワ」と呼んでいたが苗字は口に出していない。なのになぜオーナーはフルネームを知っていたのか。
 本名では無いため、昔を知る者などではなさそうではあるが……それだけでもホワードの警戒を高めるには充分すぎた。
「……そもそも敵陣でそんな誘いに無防備に乗ってやるつもりもないが」
 それを聞ける人間はこの場には1人しかいない。
「はっ……はぁっ……」
 抉られた脚を引きずりながら、招待を告知してきた男がホワードの待つ物陰にやってくる。その体を引き込んだホワードは素早くハンドガンの銃口を男に押し当てた。
「答えろ、俺を呼んだオーナーの目的はなんだ?」
「し、知りません、私はただ、オーナーから『あの男……ホワードを呼べ』と言われただけで……!」
 ホワードの影から漆黒と白銀の毛を持つ2匹の狼が浮かび上がる。声も上げず、男をただ睨みつけるだけの狼達を背にホワードは改めて問いを投げかけた。
「忠告だ、狼達に食い殺される前に俺の満足いく詳細を答えるといい」
 ホワードの言葉に唸り声をあげた男は先程までの毒で鈍った動きから想像できないほどの俊敏さで腰に下げ直していた銃を取り出し、連射する。
 引き金を引かれる前にそれを止められなかったホワードは咄嗟に顔を逸らしたが、弾丸の1つが頬を掠めて血が滲む。
 男の行動が答えだと判断した2匹の狼は弾丸を喰らいながらも、強靭な爪や牙でその体を引き裂いて息の根を止めさせた。
「……分かっていたことだが、やはり直接話を聞かねばなるまいか」
 男の言ったことは本当であることは何となく察しがついていた。末端の部下に、指示した理由をわざわざ自分から伝える重役などいないに等しいからだ。
「いいいいいやあああああ!! レーザーを撃つのはもうやめてほしいのじゃああああ!!」
 悲鳴がこだまする中頬を拭ったホワードは舌打ちをして、今は骸となった男が初めに出てきた扉を見つめた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ダスク・ドーン(サポート)

煮るなり焼くなり。
人数穴埋めから不採用まで幅広くお使いください。
キャラの扱いはアドリブでも何でもお好きにお願いします。
口調は適当なので細かいとこは気にしない。

ただし、
他の猟兵に迷惑をかける行為や公序良俗に反する行動はしません。


『また日が沈むな』
人間のフォースナイト × スカイダンサー
年齢 27歳 男
特徴 面倒見がいい くーる 女性が好き とんでもない甘党
口調 やわらか(自分、相手の名前+ちゃん、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )


戦闘ならいずれかのフォースブレイドを使用。
シンプルな正面勝負を好む。

冒険や日常は……、
うむ、メンドウだな。
(テンション低くても仕事はきちんとやります)



「……ここか」
 ダスク・ドーン(人間のフォースナイト・f13904)は廃墟にしか見えないビルの中にある地下階段を見下ろす。しかし掃除されずに積もっていた土埃には確かに人が出入りした跡が残っていた。
「確かブラックジャックだったか? イカサマだが何だか知らねぇが……」
「く、くそっ、離せ!」
 そんな風に意気込んで降りようとすると、段差の奥から焦ったような声が聞こえてきた。何事かと止まって待っていると、下から燕尾服姿の男達を担いだ虫の群れが大量に駆け上がってきた。
 見た目だけ見ると虫に男達がどこかに攫われるようにしか見えない。
「あいつら、確かハロウィンの国で見たような無かったような……」
 だがその虫達の姿に見覚えのあったダスクは呆気に取られて呼び止めることなく、後ろ姿を見送るのみだった。
「待て!」
 そこから少し遅れて、三角錐の兜を被った男が駆け上がってきた。よっぽど急いでいるのか、ダスクにぶつかりそうになる。
「おい、どけ!」
 焦りからかそもそも自分も従業員という自覚がないのか、ここに来るのが客だという発想が湧かなかった男は紅く熱せられた斧を振り上げる。
「おいおい、会ってすぐに刃傷沙汰か? 普通だったらどこに逃げたか、だろう?」
 短絡的な男の行動に軽口を叩きながら、ダスクは盾にも見えるフォースセイバーの柄を構える。
 すると様々な色の刃が発現して重なり合い、斧と交錯する。切られる実体が無くても、切断することは出来るフォースの刃は斧を切り飛ばした。
『色は選ばせてやる。いい夢見ろよ!』
「ふ、ふざけるな!」
「希望無しか、なら大人しく埋まっとけ!」
 紫と黒が混ざったような色の刃が男の頭を捉え、地面に叩きつける。
 凄まじい音を上げて地面にめり込まされた男の手から棒だけになった斧がこぼれ落ちた。
「俺の剣で切れないとはな、だがこんくらい強く当てられてたらもう立てねぇだろうよ」
 男の痙攣した手は虚空を切りながら、遅れて地面に落ちた。

成功 🔵​🔵​🔴​

尾崎・ナオ
なんてこったい。
イカサマ指摘するもんかと思ってたが、これだんまりで良かったんだね。
いや~……、あのにーちゃん、コイン上手いな。勉強になる。

「はぁい、そこの人ぉ、テーブルの下にでも入っててねぇ」
一応声は掛けたから、ナオちゃんの中では守った条件をクリア☆

「サンカク頭さーん、超絶可愛いナオちゃんの前でぶっさいくな顔を隠したい気持ちは判るんですけどぉ、戦闘くらいは目ぇ開いてやったらー?」

UC発動、挑発80で相手を馬鹿にしながら自画自賛。
爆発的に増大したスピードと反応速度で銃の連射を回避。
フェイント594しながら飛びつくように接近。

「これかにゃー?」
早業67で、首と胴に繋がるコードを切断して回る。



「わーわーわーなんてこったい」
 イカサマを指摘するだけで良かったと思っていた尾崎は目の前で繰り広げられるレーザーや糸、桜の花びらが飛び交う大戦争に引き攣った笑いを浮かべていた。
「これだんまりで良かったんだね。いや~……、あのにーちゃん、コイン上手いな。勉強になる」
 戦闘の余波を受けないよう、机の下に貼りつけた謎のコインを回収しながら避難する男の場に積まれた大量のチップを眺めて現実逃避しているとガッチリ手首を掴み放しであったディーラーが逃げ出そうと暴れ出す。
 その振動で我に返った尾崎は人質にしようともせずパッと手放した。
 あまりの呆気なさに、ディーラーは体勢を崩して床に倒れ込む。
「はぁい、そこの人ぉ、テーブルの下にでも入っててねぇ」
 一応声は掛けたから、ナオちゃんの中では守った条件をクリア☆ と尾崎はディーラーへの意識を絶って、戦い続ける三角錐の被った男に声をかける。
「サンカク頭さーん、超絶可愛いナオちゃんの前でぶっさいくな顔を隠したい気持ちは判るんですけどぉ、戦闘くらいは目ぇ開いてやったらー?」
「あ?」
「目ぇ開いてないから、こんな超絶美少女のナオちゃんに気付けてないんでしょー? もったいないもったいないなぁー、人生半分……いや全部損してるよぉ。バッカだねー!」
 徹底的に煽って煽って煽り倒す尾崎に堪忍袋の尾が切れた男が初めて振り返る。鉄の外殻に隠れて見えないが、確実に顔を真っ赤にさせていることだろう。
 それを証明するように、男は腰に下げていた銃を引き抜いて尾崎に向けた。
「お、撃っちゃう? 撃っちゃうー? いいよ撃っちゃいなよー!」
 銃口が火を吹く。しかし穴が空いたのは尾崎の体ではなく、その後ろにあった椅子だった。
「ナオちゃんを本当に捉えられるならねぇ」
 ニヤける尾崎に、男は自棄になって引き金を連打する。避けるたびに尾崎は笑顔を維持したままポーズを取ってさらに煽っていく。
「くそっ、戦闘補助プログラム! ちゃんと補助しながれ全然当たらねぇじゃねえか!」
「へー、戦闘補助プログラムねぇ。そんな凄い物があるのに当てられないんだ逆にスゴイね!」
 避け続けていた尾崎は弾が切れて空砲となった瞬間に一気に男へ飛びつく。
「そのプログラムって、こ・れ・か・にゃー?」
 ナイフの一閃によって首と胴に繋がるコードを切断されて垂れ下がる。
「さあ役立たずのプログラムの補助は無くなったでしょ、今度こそ当ててみなー?」
 慌てて振り返った男の兜を足蹴にして跳んだ尾崎はテーブルに着地すると、その上に置かれ放しだったチップの山を蹴散らして歯を見せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

二條・心春(サポート)
『皆さんのお役に立てるよう、頑張ります!』
『助けに来ました。もう大丈夫ですよ』
UDCアースで学生をしながら猟兵の活動もしている、自分にちょっと自信がないけど心優しい普通の少女です。落ち着いて礼儀正しいですが、可愛いもの、特に動物を見るとテンションが上がります。基本的に誰にでも敬語で話します。
基本戦術としては、「UDC管理用タブレット端末」を使い、心を通わせたUDCの霊を召喚して「対UDC用量産型直槍」や「対UDC用特殊拳銃(試作型)」を使い一緒に戦います。また、一般人は優先して助けます。
戦闘以外では、タブレット端末を使って情報収集や探し物をしたり、聞き込みを行います。



 尾崎から解放されたディーラーは手足全てを使ってこの魔境から脱出しようと動く。
 その行き先は大量の虫が向かった出入口ではなく、オーナーからの伝言を受けた男がやって来た扉の方だった。確かに、そちらへ走れば出て行った虫と鉢合わせることはないだろう。
 しかしその背中をじっと見ていた者が1人いた。
「……お願いします」
 二條・心春(UDC召喚士・f11004)がタブレット端末に話しかけると、椅子に座る影が小さく伸びる。
 そしてそれは千切れると、薄暗いフロアを横断して這々の体で扉を押し開けたディーラーの足元についていった。
「さて……あとは気づかれないうちに私も追いましょうか」
 心春は隠し持っていたグレネードのピンを指先で抜くと転がすように地面に投じる。
 直後、凄まじい音と同時に煌めいた光が部屋を埋め尽くす。異常な音に視線を移してしまった男達は兜を被っているにも関わらず顔を覆いながら呻き声を上げた。
 そんな男達の間を縫って辿り着いた扉を体当たりで開けると、奥には幾重にも分かれた通路が伸びていた。
「おい、そこは関係者以外立ち入り禁止だ!」
 後ろから響いてくる男の声を無視して心春は迷いなく真っ直ぐ進んでいく。
「暴れてる客が止められない?」
 心春の耳に、いる場所とは別の場所の音が聞こえてくる。声の主は心底呆れたような溜め息をついた。
「……はっ、あんな高い金払っておいてこの程度の仕事しか出来ないのか。この一件が終わったら解雇だな」
「このままだと例の客がこちらに来てしまうのでは……すぐにお逃げになられた方が」
「はっ、それこそ望むところだ。……何よりも」
 マガジンが差し込まれる音がする。その後声の主がした行動に、ディーラーは狼狽した。
「お、オーナー!?」
「お前がここに飛び込んできた時点で居場所は割れちまってんだよ、脳無しが」
 銃口から火が噴かれ、命の灯火をかき消す鉄の物体が放たれる。しかしそれはディーラーの体に穴を開ける前に浮かび上がった影によって食い止められた。
「ほーら、俺の言う通りだ」
 しかしオーナーは大して驚いた様子もなく肩を竦めるだけに留めていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『畏傾面のカガセオ』

POW   :    奥義『禍閉吞』
【壁や地面への叩きつけ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    奥義『阿業喰』
命中した【妖しい波動】の【影響を受けた対象の精神】が【カガセオへの崇拝にも似た感情】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    奥義『拿狼堕鬼』
【敵の虚を突く背後からの拘束】が命中した対象に対し、高威力高命中の【抵抗する意志を奪う呪言】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフィランサ・ロセウスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリス・ラーヴァ
アドリブ・連携歓迎

あ、オーナーさん発見ー
(自分の事は棚上げモンスター(ガチ)客ムーブで)
イカサマを指摘されただけで急に暴力に訴えるなんて従業員の教育がなっていないのー
そんな悪質店舗は営業許可取り消しでーす!強制立ち退きを執行するのよー
妹達にお手伝いしてもらって『畏傾面のカガセオ』の足元を【トンネル掘り】で崩して隙を作るのよー
隙ができたら【ダッシュ】で駆け寄って、噛みついたら麻痺毒を流し込むのー
『禍閉吞』に対しては、こちらも対抗してオーナーを壁や地面に叩きつけるのよー
継戦能力には自信があるし痛覚にも耐性があるから我慢比べなら負けないのー
オーナーの体に毒が回りきるまで頑張りましょー



 部屋の奥へ駆け出していくディーラーと仲間の姿を追いかけてきたアリスは、目の前で閉じられた扉を吹っ飛ばして妹共々中に流れ込んだ。
(あ、オーナーさん発見ー)
 カチカチと鳴らされる牙の音と脳内に響く可愛らしい女の子の声に腰を抜かしているディーラーの顔が青褪める。
 そんなディーラーの左手首を金髪の男は踏み躙った。
(ねーねー、イカサマを指摘されただけで急に暴力に訴えるなんて従業員の教育がなっていないのー)
 目の前で起きている暴力と悲鳴を無視し、アリスは自分の事を棚に上げた苦情を寄せる。しかし金髪の男は肩をすくめて鼻で笑った。
「それはこちらのセリフですね。当店の従業員の手を食べようとする蛮族から守るのは当然の行為です。何より……当店のスタッフがどのようなイカサマをしたと? 証拠はどちらに?」
 金髪の男が脚を動かす度、潰されたディーラーの手の辺りから金属や紙の破片がこぼれ落ちる。物理的にカードを排出する機械を従業員の腕ごと揉み消したようだ。一応まだ無事な従業員は外に連行しているが、ここまで呼び戻すのは手間である。
(はー! そんな悪質店舗は営業許可取り消しでーす! 強制立ち退きを執行するのよー!)
 だからこそアリスは強硬突撃を選択した。
「ははっ、もうこの世には営業許可なんて必要ねぇんだよ!」
 被っていた礼儀正しい優男の仮面を剥ぎ、アリスの間近に迫った金髪の男はそのままアリスの頭部に手を当てると地面に押し付けた。
 細腕からは想像できない馬鹿力にアリスの脚は曲がり、頭が勢いよく赤いカーペットに叩きつけられる。
 そんな姉の窮地に散開していた妹達が糸を吹きかけ、強引に引っ張ると金髪の男は片足でケンケンしながら振り返り、ネバネバの糸を掴んで引っ張り返す。
 一対多にも関わらず互角の争いに、地面から頭を上げたアリスはギチギチ牙を擦り合わせた。
(よ……よくもやったねおかえしなのー!)
 その声とほぼ同時に金髪の男の足元にあった赤いカーペットが何かの牙によって破られ、その下にあった穴に右足が陥った。
「んなっ!」
 合わせて妹達も糸を切り離し、より深くはまってしまった金髪の男へアリスが怒りの突進をかける。
(つ・ぶ・れ・ちゃ・えー!)
 そして鋏角で挟んで引っこ抜くとそのままの勢いで天井に床に壁に次々と自分ごとぶつからせていく。
 普通のブラックジャック対決なら厳しかったが、痛覚に耐性があるアリスは我慢比べに自信がある。
「がっ……こ……虫け……」
 良いように振り回されながら叩きつけられ、頭から血を流しても悪態をつく金髪の男の体が鋏角から突然外れ飛ぶ。
 最初の不意の一撃が原因か、普段ならまだまだ健在なはずの鋏角の片方が突然折れたせいであった。
(あっ……アリスの牙が……)
「ま、ひ、毒か……! 小細工まで、混ぜやがって……!」
 金髪の男は再び立ち上がろうとするが、体が痺れて身動きが思うように取れない。
 目が回ったとは違う、体から訴えかけられる異常に、偶然近くにあったテーブルを支えに強引に立ち上がった金髪の男は憤怒の視線をアリスへ送った。

成功 🔵​🔵​🔴​

月山・カムイ(サポート)
すいません、少々遅れましたが援護に参りました

既に戦いに入っている猟兵達の援護に入る形で参戦
集団戦なら攻撃のきっかけになるように、縦横無尽に切り結び
ボス戦なら他の猟兵がトドメを刺す為のサポートを行う
武器を切り裂く、受け止めたり逃がすべき相手を空を跳んで抱えて逃したり
上記の様な行動で現在戦っている猟兵が活躍出来るよう動かしていただければありがたいです

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「だが……自慢の牙はボロボロみてぇだな……! 今度こそ潰す!」
 頭から流れる血を拭ってから歯を食いしばった金髪の男は拳を握り直し、再びアリスへと突っ込んでいく。
 ただ先程みたく落とし穴にかかることを警戒したのか、カーペットの上を抜ける最短ルートではなくコンクリートが打ちっぱなしになっている遠回りのルートを選択していた。
 それによって僅かに生じた余分な時間と距離に赤メッシュを一房だけ入れた黒髪の男が割って入った。
「すいません、少々遅れましたが援護に参りました」
 どこからともなく突然現れた月山・カムイ(絶影・f01363)が突きつけた赤い刀身を前に金髪の男の足が止まる。
「邪魔だ、どけ!」
 だが代わりに金髪の男の腕は振り上げられ、常人なら避けられない高速かつ硬い装甲にもヒビを与えることが出来た一撃が放たれようとする。
『音も無く――――その身に刻め』
 しかしその手がカムイの頭を捉える前に服が裂け、露わとなった肌に一拍遅れて傷が生じていった。
 それらは総じて浅く、噴水のように血が噴き出すまでには至らなかったが、金髪の男は突然出来上がった傷を反射的に掻きむしろうとしてはその痛みに呻き声をあげて腰を折る。
「やはり所詮は裏方か。隙だらけだ」
 速いは速いがあまりに大振りな動きに、カムイの刃は易々と通すことが出来た。だがそこで深傷を負わせなかったのは彼独特の信念があったからこそである。
「ですが……ここはきちんとここで遊んだ方にケリをつけていただきましょうかね」
 そう言ってカムイは部屋に新たに流れ込んできた猟兵達を一瞥する。金髪の男はカムイの一連の行動に違和感を覚えられたらしく、復唱した。
「きちんと、あそ……んだ!?」
「ええ。僕はここで行われているイカサマなんて見てないしブラックジャックも何もやってませんからね。ただここのサポートをお願いされただけ」
 あくまで通りすがりを主張し、カムイは鞘に刀を納めて鼻で笑う。それはこれ以上自らの手を出す気はないという意思表示でもあった。
「ここであなたに分からせる権利があるのは実害を与えられた方々だけでしょう。……本当に与えられたかは知りませんがね」

成功 🔵​🔵​🔴​

尾崎・ナオ
波動を目視で回避しつつ、もう一人のナオちゃんを召喚!
「ちょっと悪人レベル低いんじゃないですかぁ?」
質問は『その程度の悪知恵しかないの? 何か言う事ない?』

イカサマ使って金儲けって効率悪すぎ。
相手を選ぶ過程で時間をロスじゃん。

波動を喰らっても変わらないよ。
だってナオちゃん、親切心から言ってるもん。

こういうのは公平に、全員からちょっとずつちょろまかさなきゃ。
1人から10万奪うんじゃなく、1000人から100円徴収するのさ。
じゃないとこうやって調査入られる。相手に気付かれないよう詐欺るのさ。
以上、悪のカリスマ819のナオちゃんから助言でした☆

ちなみに満足いく答えは『さすがナオさま!』でっす☆



「うっわうっわー、エゲツないねぇ」
 部屋に入った尾崎の視線は金髪の男……ではなく、脂汗を浮かべながら左手首を押さえて蹲る見覚えのあるディーラーにまず送られた。
 あの分では単純ではなく複雑まで達していることだろう。だが、あんな大怪我を負ったのはこんなところに逃げ込んだのが悪い、と尾崎は一切後悔しなかった。
「でっもさー、ちょっと悪人レベル低いんじゃないですかぁ?」
「あ? なんだと……!」
 故に興味は金髪の男へとすぐに移る。致命傷は負ってなさそうだが、見た目は血だらけな彼こそ件の「オーナー様」だろう。
「イカサマ使って金儲けって効率悪すぎ。相手を選ぶ過程でもう時間をロスじゃん。悪名乗るなら自分から出張って拠点襲撃して強奪するとかしないとさー? その程度の悪知恵しかないの? 何か言う事ない?」
 来る前からずっと思っていた疑問を嘘偽りなくぶつけていく。すると金髪の男は薄ら笑いを浮かべながら否定した。
「はあ? なんでわざわざ俺が出向かなきゃならねえ、そんなことすれば燃料も車も今以上の武器も必要だ。それに、何よりもなぁ……儲かると思って来たバカどもが吠え面かく姿が見れねぇだろうが!」
 そう叫ぶと同時に金髪の男が纏う空気が変わり、逆風が吹き荒れて腕を組んで立っていた尾崎の髪やスーツがはためき出す。
「なるほどなるほど、でーもーさー」
 そんな中、金髪の男の後ろから何かがしだれかかる。金髪の男が目を見開いて振り返ると、そこには尾崎が立っていた。
 慌てて顔を正面に戻すが、元の場所にも確かに尾崎は立っている。何が起きているのか理解出来ていない金髪の男の首に両腕が巻きつけられた。
「こういうのは公平に、全員からちょっとずつちょろまかさなきゃ。1人から10万奪うんじゃなく、1000人から100円徴収するのさ。じゃないとこうやって調査入られる。相手に気付かれないよう詐欺るのさ」
「お前、なんで……!」
 アドバイスよりも、同一人物にしか見えない存在が2人いること、自分のことを何でも聞くようになるはずの相手が口ごたえをしていることに金髪の男の焦燥感が掻き立てられる。
 抱きついている尾崎は不満そうに口を尖らせて耳元で囁いた。
「波動を喰らっても変わらないよ。だってナオちゃん、親切心から言ってるもん」
 相手に聞く気があれば、相手に「負けさせられている」ではなく「運悪く負けた」と思わせて何回も通わせられれば、結果的に多額の負債を抱えさせるように出来ることまで言うつもりであったが……どうやらそこまでの器ではないらしい。
 ということを懇切丁寧に説明しつつ、抱きついているように見せかけて動きを邪魔してくれているナオちゃん2号に金髪の男の注目がいっている間に尾崎はスキップしながら目前にまで迫る。
「ち・な・み・に、満足いく答えは『さすがナオさま!』でっす☆」
 そして2号が拘束を解くと同時に金髪の男の左頬を殴り飛ばす。
「以上、悪のカリスマ・ナオちゃんから助言でした☆」
 地面に寝転がりながら頬を押さえ、色んな意味で困惑の極みにいる金髪の男に向けて2人の尾崎はウインクしながらピースサインを送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレア・フォースフェンサー(サポート)
なるほどのう。
おぬしが言わんとすることも分からぬではない。
じゃが、だからと言って、今を生きる者達を虐げてよいということにはならぬであろう。
過去の者がしでかしたことは過去の者がただすのが道理じゃ。
わしが骸の海に還してやるゆえ、覚悟するがよい。

――といった感じで相手の立場や主張を一旦受け止めながらも、最終的には斬ります。

遠間の際は《光弓》を使いますが、基本的には《光剣》を用いて戦います。
相手の動きや攻撃を見切り、UCの力を込めた《光剣》でそれらを捌きつつ接近し、両断するのが基本的な戦い方です。
なお、敵が複数いるなど広範囲の状況を確認する必要がある場合には、周囲に《光珠》を展開します。



「だっ……ふざけんな、それは助言じゃなくてただの意見の押し付けじゃねえか!」
 頬を押さえ、金髪の男は足元をふらつかせながらもなんとか立ち上がる。そんな中、納得の声が聞こえてきた。
「なるほどのう。おぬしが言わんとすることも分からぬではない」
 声の主はクレア・フォースフェンサー(UDCエージェント・f09175)。若い見た目からは想像できない柔和な老婆口調の彼女は小さく何度も頷いていた。
「たしかに尾崎殿の言い分も正しい。しかし『気づいたら破滅を迎えていた』の形ではバレにくいがいかんせん時間がかかる。だが突然の高レートで叩き落とせばこのように表沙汰にはなりやすいが即席の絶望を見ることが出来る」
「ははっ、あんたはあのいけすかねぇ女と違って分かってくれるようだなぁ!」
 自分の主張していることをきちんと理解してくれているクレアの元へ金髪の男は上機嫌になりながら歩み寄る。おそらくこのまま同じ志を持つ者として共同戦線を張る気でもいたのだろう。
「じゃが、だからと言って絶望に叩き落とすことを是とは出来ん」
 しかしその言葉に足が止まった。
「生きるか死ぬかの瀬戸際で必死に足掻こうとする者達を食い物にする商売……いや、この場合は詐欺か。フェアではない戦いは、看過出来んな」
 理解は出来るが、賛同は出来ない。そう暗に告げたクレアはゆっくりと腰に提げていた剣の柄に手を伸ばす。それを抜かせたら不味いことになると、至近距離にまで迫ってしまっていた金髪の男は表情を変えながら慌てて手を伸ばした。
 だが、その手はクレアの元へ届く前に宙へ舞った。
「あっ……がぁぁぁああああっ!?」
 今までの傷とは違う、自らの体が損なわれた痛みに金髪の男は絶叫する。しかしそれをしでかした当人は何の感慨も持たずに鼻を鳴らし、自ら光輝く刃を鞘の中に戻していた。
「過去の者は過去の者らしく引っ込んどれ。そなたらが使い切れなかった資材は今を生きる者達が無駄なく使ってくれるじゃろうからな」
 大怪我さえしてなければ、金髪の男は過去の人扱いされたことに抗議していただろう。だが、今は骨と肉を露出させられた手首から発せられる痛みに耐えることで精一杯で、何の音も感じなくなっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神薙・焔(サポート)
●一言でいうと
元気なセーラー服ガジェッティア(帝都桜學府に編入) with ガトリングガン

●外見
燃えるような赤毛、猫っぽいよく動く緑の目、自身ありげ
クセのある髪を飾り気のないカチューシャで纏めている
セーラー服、スカートの下はスパッツ
小柄でスポーティ。ふとももが健康的、胸は巨

●性格
強気で自信家、理系女子。普段は見せないが寂しがり屋
動物好き、大食い。またゲーム好きで腕前もなかなか

一人称:二人称:三人称=あたし:あなた:〇〇ちゃん/くん/さん

●戦闘
ガトリングガンでの拠点防衛や援護、接近戦では焔を纏ったバルディッシュで戦う
重い一撃と範囲攻撃を使い分け、感情の昂ぶりで心臓の焔が燃え上がる



「うっわ、こんなに血ついたらもう使えないね。せいぜいマジックくらいかな?」
 テーブルの上にいつの間にか腰掛けていた神薙・焔(ガトリングガンスリンガー・f01122)は先程の斬撃で金髪の男の血が飛び散ったトランプをはためかせる。
 そんな焔の背中越しに、先程まで床の上で倒れていたはずの金髪の男が腕を伸ばし抱きしめ、耳元で懇願の声を出した。
「頼む……俺をここから逃がさせてくれ」
 突然抱きしめられたことに驚き、硬直した焔は振り返ることも振り解くことも出来ずに金髪の男の成すがままにされている。
「俺はこんなところで死ぬタマじゃねぇんだよ! なあ、頼むよ!」
 しかしそんな願いも虚しく冷たい筒がいくつも押しつけられる感覚が金髪の男の後頭部を襲った。その量と範囲に金髪の男は物理的に振り返ることを許されなかった。
「さっきまで強気だったくせに手が飛んだらいきなり下手に出て……しかも自分よりも明らか歳下な相手に頼む普通?」
 抱き抱えていたはずの焔の体が黒く染まり、ジュクジュクと形を崩して溶けていく。しかし声は背中越しにしっかりと聞こえてきていた。
「あたしさ、こういう裏カジノ? みたいなのをやってる人だったらこういうピンチな時でももっと堂々とドーン、と構えていて欲しかったなぁ、『我が人生に一片の悔いなし』みたいな? 今のあなた小物もいいとこだよ」
 血と汗と震えが止まらない金髪の男は銃の冷たさだけでなく、熱も感じていた。日光や暖房ではない、まるで間近に炎を近づけられているかのような。
「でも、そんなのでも一応ここのオーナーさんなんでしょ? なら……武士の情けで苦しまずに逝かせてあげるよ」
「だから俺は……!」
 死にたくない、という想いを吐露する前に金髪の男の頭は跡形も無く消し飛んだ。
 遅れて、抑えが無くなった首は血が出てきたが噴水の様に出ることはなくジワジワとジャケットとシャツに染み込んでいった。
「……よし、じゃあそこにいるオブリビオンではない一般ディーラーの方?」
 今回の仕事を終えた焔は、未だに骨折の痛みから立ち直れず床に転がったままのディーラーに銃口を向ける。
「ここにある物資、しっかりと周辺の街々に分配してもらうからね。あっ、もちろんあなた達が旅出来る程度の物資は残しといてあげるから」
 断りの言葉を許さない雰囲気に、ディーラーは冷や汗と脂汗でびしょ濡れになった顔を何度も上下させるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年01月27日


挿絵イラスト