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まだまだ行けるはもう危ない(作者 平岡祐樹
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#アポカリプスヘル  #ブラックジャック 


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#アポカリプスヘル
#ブラックジャック


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「ふざけんな! こんなの……こんなのイカサマだ!」
 目の前に置かれた札をめくった小太りの男はそう叫びながら、それを叩きつける。
 その様を金髪の男はにやけ面を見せながら眺めていた。
「おいおい、とんだいいがかりだな。何の証拠があってそんなことを?」
「当然だ、5回連続でバーストするなんて……ありえねぇ! お前が裏で操作してんだろ!」
「……自分の運の悪さを他人に責任転嫁か」
 そう呆れ混じりに呟かれた声は背後から聞こえ、異変を感じて振り返る前に小太りの男の頭はテーブルに勢いよく叩きつけられた。
 いつの間に対面から後ろに回っていたのか、金髪の男は小太りの男のおでこをテーブルに擦り付けながら眉間を険しくする。
「お前が引き際を見誤ったのが悪いんだよ。大人しくかけた分全部引き渡せや。……なぁ?」
「ひっ……!」
 同意を求めるように視線を向けられた小太りの男の連れが、恐怖からか荷物を抱え込んだまま奥の階段を駆け上がろうとする。しかしその背中を無慈悲な弾丸が何発も貫いた。
 段を踏み外して転がり落ちてきた者の体から赤い血が広がる。その下敷きになった荷物を、銃を撃った筋肉質な男はひったくると金髪の男に渡した。
 小太りの男の耳元で何かを呟き終わった金髪の男は荷物のチャックをおもむろに開き、中にあった缶詰のうちの一つを眺める。
「お、まだまだ期限に余裕がある上物じゃねぇか。紙の類じゃなくて良かったぜ、血が染み込んじまったら商品に使えねぇからな」
 小太りの男が椅子から崩れ落ちる。どうやら気絶してしまったらしい。
「……ああ、すぐにこいつとあの死体外に放り捨てておけ。このままじゃ次のカモ……客を呼び込めねぇからな」
 そう言って缶詰をポケットに突っ込んだ金髪の男は店の奥に消えていった。

「ブラックジャック、というゲームはご存知ですか?」
 ブラックジャック。
 プレイヤーとディーラーが1対1の勝負を行い、21を超えないように手持ちのカードの点数の合計を21に近づけ、その点数がディーラーを上回ることを目指すトランプゲームである。
 22以上の点数になってしまった場合強制的に敗北となり、ディーラーは合計点数が17以上になった段階で引くことは出来ない。
「アポカリプスヘルにて、それで遊ぶことが出来るカジノ施設があるそうです。そこではチップの代わりに様々な物資を賭け、勝つことでより多くの物資を得ることが出来るそうなんですが」
 しかしそこはレイダーが運営している施設だった。彼らは大量の物資を餌にして、無知な奪還者をカモにしていたのである。
「相手は数回こちらを勝たせて気分を良くさせた後か、客がいきなり大金をかけてきたタイミングで手札のイカサマを行ない、総取りしてくるそうです。もしこのことを知らずに順調に勝っていたら『今負けたのはたまたま、すぐ取り返せる』と勘違いしてしまうでしょうね」
 敗北を素直に受け入れた者は裸一貫の状態でも容赦なく外に放り出され、受け入れられなかった者は命ごと全てを失うことになる。
 一方で堅実にプレイしてきて、大勝を目指さずに手を引いた者達には商品を素直に渡して逃しているという。
 しかしそれはこのカジノの存在を良い印象で外に広めてもらい、馬鹿な手を打ってくる客をより多く引き込むための策だと予測される。
 しかもレイダー側のボスは相手の思考を自分に都合の良い風に塗り替える人心掌握術に長けており、大敗した客が自分の店の悪評を外に漏らさないようにしているらしい。
「そのため今現在もそのカジノは盛況なようです。悪い噂が聞こえてこないから、当然と言えば当然ではありますがね」
 美味い噂に乗っかってしまい引き際を誤った奪還者に関しては自業自得とは言えなくもないが、レイダーの勢力が強くなるのは非常によろしくない。
 だからこそルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)は猟兵達の手でその化けの皮を剥がしたいのだと主張する。
「今回はレイダー達が運営するカジノのイカサマを暴きつつ、偶然居合わせてしまった奪還者達を守りながらそこを壊滅させることが目的となります。目には目を歯には歯を、イカサマにはイカサマをぶつけてやりましょう」
 そう言ってルウはブラックジャックでは基本使わない道化師のカードを顔の前で振って見せた。





第3章 ボス戦 『畏傾面のカガセオ』

POW ●奥義『禍閉吞』
【壁や地面への叩きつけ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD ●奥義『阿業喰』
命中した【妖しい波動】の【影響を受けた対象の精神】が【カガセオへの崇拝にも似た感情】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ ●奥義『拿狼堕鬼』
【敵の虚を突く背後からの拘束】が命中した対象に対し、高威力高命中の【抵抗する意志を奪う呪言】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフィランサ・ロセウスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


アリス・ラーヴァ
アドリブ・連携歓迎

あ、オーナーさん発見ー
(自分の事は棚上げモンスター(ガチ)客ムーブで)
イカサマを指摘されただけで急に暴力に訴えるなんて従業員の教育がなっていないのー
そんな悪質店舗は営業許可取り消しでーす!強制立ち退きを執行するのよー
妹達にお手伝いしてもらって『畏傾面のカガセオ』の足元を【トンネル掘り】で崩して隙を作るのよー
隙ができたら【ダッシュ】で駆け寄って、噛みついたら麻痺毒を流し込むのー
『禍閉吞』に対しては、こちらも対抗してオーナーを壁や地面に叩きつけるのよー
継戦能力には自信があるし痛覚にも耐性があるから我慢比べなら負けないのー
オーナーの体に毒が回りきるまで頑張りましょー


 部屋の奥へ駆け出していくディーラーと仲間の姿を追いかけてきたアリスは、目の前で閉じられた扉を吹っ飛ばして妹共々中に流れ込んだ。
(あ、オーナーさん発見ー)
 カチカチと鳴らされる牙の音と脳内に響く可愛らしい女の子の声に腰を抜かしているディーラーの顔が青褪める。
 そんなディーラーの左手首を金髪の男は踏み躙った。
(ねーねー、イカサマを指摘されただけで急に暴力に訴えるなんて従業員の教育がなっていないのー)
 目の前で起きている暴力と悲鳴を無視し、アリスは自分の事を棚に上げた苦情を寄せる。しかし金髪の男は肩をすくめて鼻で笑った。
「それはこちらのセリフですね。当店の従業員の手を食べようとする蛮族から守るのは当然の行為です。何より……当店のスタッフがどのようなイカサマをしたと? 証拠はどちらに?」
 金髪の男が脚を動かす度、潰されたディーラーの手の辺りから金属や紙の破片がこぼれ落ちる。物理的にカードを排出する機械を従業員の腕ごと揉み消したようだ。一応まだ無事な従業員は外に連行しているが、ここまで呼び戻すのは手間である。
(はー! そんな悪質店舗は営業許可取り消しでーす! 強制立ち退きを執行するのよー!)
 だからこそアリスは強硬突撃を選択した。
「ははっ、もうこの世には営業許可なんて必要ねぇんだよ!」
 被っていた礼儀正しい優男の仮面を剥ぎ、アリスの間近に迫った金髪の男はそのままアリスの頭部に手を当てると地面に押し付けた。
 細腕からは想像できない馬鹿力にアリスの脚は曲がり、頭が勢いよく赤いカーペットに叩きつけられる。
 そんな姉の窮地に散開していた妹達が糸を吹きかけ、強引に引っ張ると金髪の男は片足でケンケンしながら振り返り、ネバネバの糸を掴んで引っ張り返す。
 一対多にも関わらず互角の争いに、地面から頭を上げたアリスはギチギチ牙を擦り合わせた。
(よ……よくもやったねおかえしなのー!)
 その声とほぼ同時に金髪の男の足元にあった赤いカーペットが何かの牙によって破られ、その下にあった穴に右足が陥った。
「んなっ!」
 合わせて妹達も糸を切り離し、より深くはまってしまった金髪の男へアリスが怒りの突進をかける。
(つ・ぶ・れ・ちゃ・えー!)
 そして鋏角で挟んで引っこ抜くとそのままの勢いで天井に床に壁に次々と自分ごとぶつからせていく。
 普通のブラックジャック対決なら厳しかったが、痛覚に耐性があるアリスは我慢比べに自信がある。
「がっ……こ……虫け……」
 良いように振り回されながら叩きつけられ、頭から血を流しても悪態をつく金髪の男の体が鋏角から突然外れ飛ぶ。
 最初の不意の一撃が原因か、普段ならまだまだ健在なはずの鋏角の片方が突然折れたせいであった。
(あっ……アリスの牙が……)
「ま、ひ、毒か……! 小細工まで、混ぜやがって……!」
 金髪の男は再び立ち上がろうとするが、体が痺れて身動きが思うように取れない。
 目が回ったとは違う、体から訴えかけられる異常に、偶然近くにあったテーブルを支えに強引に立ち上がった金髪の男は憤怒の視線をアリスへ送った。
成功 🔵🔵🔴

月山・カムイ(サポート)
すいません、少々遅れましたが援護に参りました

既に戦いに入っている猟兵達の援護に入る形で参戦
集団戦なら攻撃のきっかけになるように、縦横無尽に切り結び
ボス戦なら他の猟兵がトドメを刺す為のサポートを行う
武器を切り裂く、受け止めたり逃がすべき相手を空を跳んで抱えて逃したり
上記の様な行動で現在戦っている猟兵が活躍出来るよう動かしていただければありがたいです

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


「だが……自慢の牙はボロボロみてぇだな……! 今度こそ潰す!」
 頭から流れる血を拭ってから歯を食いしばった金髪の男は拳を握り直し、再びアリスへと突っ込んでいく。
 ただ先程みたく落とし穴にかかることを警戒したのか、カーペットの上を抜ける最短ルートではなくコンクリートが打ちっぱなしになっている遠回りのルートを選択していた。
 それによって僅かに生じた余分な時間と距離に赤メッシュを一房だけ入れた黒髪の男が割って入った。
「すいません、少々遅れましたが援護に参りました」
 どこからともなく突然現れた月山・カムイ(絶影・f01363)が突きつけた赤い刀身を前に金髪の男の足が止まる。
「邪魔だ、どけ!」
 だが代わりに金髪の男の腕は振り上げられ、常人なら避けられない高速かつ硬い装甲にもヒビを与えることが出来た一撃が放たれようとする。
『音も無く――――その身に刻め』
 しかしその手がカムイの頭を捉える前に服が裂け、露わとなった肌に一拍遅れて傷が生じていった。
 それらは総じて浅く、噴水のように血が噴き出すまでには至らなかったが、金髪の男は突然出来上がった傷を反射的に掻きむしろうとしてはその痛みに呻き声をあげて腰を折る。
「やはり所詮は裏方か。隙だらけだ」
 速いは速いがあまりに大振りな動きに、カムイの刃は易々と通すことが出来た。だがそこで深傷を負わせなかったのは彼独特の信念があったからこそである。
「ですが……ここはきちんとここで遊んだ方にケリをつけていただきましょうかね」
 そう言ってカムイは部屋に新たに流れ込んできた猟兵達を一瞥する。金髪の男はカムイの一連の行動に違和感を覚えられたらしく、復唱した。
「きちんと、あそ……んだ!?」
「ええ。僕はここで行われているイカサマなんて見てないしブラックジャックも何もやってませんからね。ただここのサポートをお願いされただけ」
 あくまで通りすがりを主張し、カムイは鞘に刀を納めて鼻で笑う。それはこれ以上自らの手を出す気はないという意思表示でもあった。
「ここであなたに分からせる権利があるのは実害を与えられた方々だけでしょう。……本当に与えられたかは知りませんがね」
成功 🔵🔵🔴

尾崎・ナオ
波動を目視で回避しつつ、もう一人のナオちゃんを召喚!
「ちょっと悪人レベル低いんじゃないですかぁ?」
質問は『その程度の悪知恵しかないの? 何か言う事ない?』

イカサマ使って金儲けって効率悪すぎ。
相手を選ぶ過程で時間をロスじゃん。

波動を喰らっても変わらないよ。
だってナオちゃん、親切心から言ってるもん。

こういうのは公平に、全員からちょっとずつちょろまかさなきゃ。
1人から10万奪うんじゃなく、1000人から100円徴収するのさ。
じゃないとこうやって調査入られる。相手に気付かれないよう詐欺るのさ。
以上、悪のカリスマ819のナオちゃんから助言でした☆

ちなみに満足いく答えは『さすがナオさま!』でっす☆


「うっわうっわー、エゲツないねぇ」
 部屋に入った尾崎の視線は金髪の男……ではなく、脂汗を浮かべながら左手首を押さえて蹲る見覚えのあるディーラーにまず送られた。
 あの分では単純ではなく複雑まで達していることだろう。だが、あんな大怪我を負ったのはこんなところに逃げ込んだのが悪い、と尾崎は一切後悔しなかった。
「でっもさー、ちょっと悪人レベル低いんじゃないですかぁ?」
「あ? なんだと……!」
 故に興味は金髪の男へとすぐに移る。致命傷は負ってなさそうだが、見た目は血だらけな彼こそ件の「オーナー様」だろう。
「イカサマ使って金儲けって効率悪すぎ。相手を選ぶ過程でもう時間をロスじゃん。悪名乗るなら自分から出張って拠点襲撃して強奪するとかしないとさー? その程度の悪知恵しかないの? 何か言う事ない?」
 来る前からずっと思っていた疑問を嘘偽りなくぶつけていく。すると金髪の男は薄ら笑いを浮かべながら否定した。
「はあ? なんでわざわざ俺が出向かなきゃならねえ、そんなことすれば燃料も車も今以上の武器も必要だ。それに、何よりもなぁ……儲かると思って来たバカどもが吠え面かく姿が見れねぇだろうが!」
 そう叫ぶと同時に金髪の男が纏う空気が変わり、逆風が吹き荒れて腕を組んで立っていた尾崎の髪やスーツがはためき出す。
「なるほどなるほど、でーもーさー」
 そんな中、金髪の男の後ろから何かがしだれかかる。金髪の男が目を見開いて振り返ると、そこには尾崎が立っていた。
 慌てて顔を正面に戻すが、元の場所にも確かに尾崎は立っている。何が起きているのか理解出来ていない金髪の男の首に両腕が巻きつけられた。
「こういうのは公平に、全員からちょっとずつちょろまかさなきゃ。1人から10万奪うんじゃなく、1000人から100円徴収するのさ。じゃないとこうやって調査入られる。相手に気付かれないよう詐欺るのさ」
「お前、なんで……!」
 アドバイスよりも、同一人物にしか見えない存在が2人いること、自分のことを何でも聞くようになるはずの相手が口ごたえをしていることに金髪の男の焦燥感が掻き立てられる。
 抱きついている尾崎は不満そうに口を尖らせて耳元で囁いた。
「波動を喰らっても変わらないよ。だってナオちゃん、親切心から言ってるもん」
 相手に聞く気があれば、相手に「負けさせられている」ではなく「運悪く負けた」と思わせて何回も通わせられれば、結果的に多額の負債を抱えさせるように出来ることまで言うつもりであったが……どうやらそこまでの器ではないらしい。
 ということを懇切丁寧に説明しつつ、抱きついているように見せかけて動きを邪魔してくれているナオちゃん2号に金髪の男の注目がいっている間に尾崎はスキップしながら目前にまで迫る。
「ち・な・み・に、満足いく答えは『さすがナオさま!』でっす☆」
 そして2号が拘束を解くと同時に金髪の男の左頬を殴り飛ばす。
「以上、悪のカリスマ・ナオちゃんから助言でした☆」
 地面に寝転がりながら頬を押さえ、色んな意味で困惑の極みにいる金髪の男に向けて2人の尾崎はウインクしながらピースサインを送った。
大成功 🔵🔵🔵