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救いの道標

#ダークセイヴァー #異端の神々

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#ダークセイヴァー
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#異端の神々


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●辺境の果てに、救済の標を
 人々を救うことは、悪である。
 生きることは、悪である。
 苦しむことは、悪である。
 絶望することは、悪である。
 死ぬことさえも、悪である。

 暗闇の世界、辺境の果てで繰り返される歪な言葉。
 この地に足を踏み入れた者達は誰もが皆、狂わされる。

 生きることはもちろんのこと、死ぬことさえも悪であると決めつけられて。
 誰かに手を差し伸べることはどれも全てが悪であると決めつけられて。
 楽しむことも、喜ぶことも、悲しむことも、怒ることも悪であると決めつけられて。
 生も死も喜怒哀楽も悪であるなら、何が正しいのかと悩まされ続けて。
 そうして、正しさなどどこにも存在しないと、狂うことになって。

 受け入れてしまうのは、何もない、無の世界。
 それこそが、全てを悪と決めつけた神の、救いの道標。

●生きることは正しいこと
 グリモアベースにて、任務に向かう猟兵達を集めた男、木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)。彼は難しい顔をして見た内容を全て伝えた。なんてことはない、何もない辺境の地で奇妙な声を聞いたというだけだ。
「今回は……神々の一部が憑依したオブリビオンから、土地を解放する事が任務だ。敵は理性を持たないが、自分の信念は貫き通したいんだろうな。無の世界こそが救済であると言って、全く聞かないんだ」
 辺境の地を開拓したいのに、声を聞くと狂わされてしまうため開拓できないのが現状。もしこの土地を解放することが出来れば、世界に散らばるヴァンパイア達の支配から免れる土地が新たに誕生する。オブリビオンの驚異から解放出来て、人々の暮らしを支えることが出来る、まさに一石二鳥の任務だ。
 しかしそうは簡単にいかない。ヴァンパイアに無残にも殺されてオブリビオンになったとは言え、相手は神。その狂気の言葉は耳から入り、脳を揺らして神経をも犯しては壊してしまう強力なものだ。
 故に猟兵自身の身の安全を確保しつつ情報を集め、狂ったオブリビオンの討伐を行わなければならない。生を受け入れるか、死を受け入れるか、はたまた狂った無を受け入れるかの綱渡りの任務だ。
「何故狂っているのかを探り当てれば、ちょっとした弱点になり得るかも知れない。けれど無理せず、無事に戻ってくることを祈るよ」
 厄介な相手を引き受けさせることを心から詫びながらも、彼は猟兵達を速やかに辺境の地へと送り届けた。


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 今回のシナリオは「狂ったオブリビオンから辺境の土地を取り戻せ!」というシナリオです。
 MSページ、並びに以下の章説明をよくお読みください。

●第一章
 冒険シナリオ。
 奇妙な声が渦巻く中で、ボスとなるオブリビオンが狂った理由を探します。
 この章では毎回狂ったオブリビオンの声が猟兵達の耳に届きます。
 聴き続けると猟兵達の精神を狂わされるので、対処しましょう。

●第二章
 集団戦シナリオ。
 狂ったオブリビオンに狂わされた者達が猟兵達に襲いかかります。
 ここは殴るだけ。

●第三章
 ボス戦シナリオ。
 狂ったオブリビオンと戦います。
 第一章で手に入れた情報を元に、説得や利用するプレイングを行うとボーナスが入ります。

 以上3つのシナリオ。皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『血霧の不吉』

POW   :    肉体で耐える

SPD   :    迅速に避難をする

WIZ   :    異常の原因を探る

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大豪傑・麗刃
アドリブ歓迎

狂気ねえ。
今手元に狂気耐性ついた道具がない。わざわざ作ってもいいけどむちゃくちゃ★かかるし。★かかりすぎるのよこのゲーム。まあないものは仕方ない。

気合いで耐えることにするのだ。

だいたいこういうのは悲劇とかトラウマとかそういう関係なものがかかわっているというのがド定番なのだ。なのでそのあたり聞き込み。わたしの甘いマスク(自称)はこういう時に便利なのだ。コミュ力とか活かして地域住民にそういう伝説とか逸話とかないか聞き込むのだ。女性だったら誘惑(え?)とかも有効かも。女性は情報の宝庫らしいし。あとは書物とか資料?マンガ以外の本を読むと頭痛が痛くなるのだが(強調表現としての二重表現肯定派)



●気合で耐えよう、狂気の言葉
 ダークセイヴァーの辺境の果て、そこに佇むのは何もなく。ただ、不釣り合いな赤色の風が吹いているだけ。
 そんな中で立ち尽くしている男は大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)。この地にやって来た時には、狂気なんて冗談だろうと思っていた。
 だがこの土地にやってきて、しっかりと実感した。彼の耳にははっきりと聴こえてくるのだ。怨嗟の声とも等しい、狂気の声が。
『人々を救わなくてはならない』
『救いのための苦しみを与えなくては』
『希望を与えずして、何が救いなのだろうか』
 誰もいない中で繰り返される奇妙な言葉。それが耳から入って脳まで届いては、麗刃の頭がおかしくなりそうになっていた。
「気合、気合、気合……」
 麗刃はブツブツと繰り返し呟きながら、一旦この土地を離れて近くの村で聞き込みを開始する。早速自身のコミュ力を活かして聞き込みを開始すると、村人達からは大層驚かれてしまった。
 なんでもあの辺境の地は呪われた土地と言われているようで、人が足を踏み入れてはならないと言われている場所。一歩踏み入れれば最後、骨の髄まで狂わされ、喉を掻きむしって死に至るのだという。
 では、なぜそのような場所が存在しているのかと麗刃が尋ねれば、土地についての答えが返ってきた。
 その土地にいた神様は『人々を救うこと』が理念となっており、『救う』という行為であれば、人々に望まれることはなんでもしてきたのだという。例え悪意ある者だとしても、例え救われないような願いだとしても、その土地で願えば誰もが救われていた。
 ただ、その神に対して反発を唱える者がいた。神の根本的な理念が『救うこと』であり、救済となる場合であれば神様は殺すことも厭わなかった。そういった面を知った者達は、少しずつ、少しずつ、神へ暴力的な言葉を投げ続けていた。
『人々を救うことは、悪である』
『苦しむことは、救いではない』
『希望と思えたものは、全て絶望だ』
 救い続けた人々から投げかけられた神は絶望の言葉を投げられ、徐々に狂っていった。全てを悪だと決めつけて、己の理念さえも悪だと決めつけて。
 だが、それでもなお『神様として』存在していた間は、狂気に飲み込まれることはなかったのだ。
「ふむふむ。ということは、オブリビオンにやられて、食われてからああなったのだな」
 どこか納得の言ったような顔をする麗刃。残る情報は書物でも読んで確認しようかなと思ったのだが、先に聞いていた狂気の言葉を思い出してしまい、頭がひどく痛んだ。流石にこれ以上の散策は難しいだろうと判断し、彼は一旦休息を取ることに。

成功 🔵​🔵​🔴​

新山・陽
 気分はよろしくありませんが、そもそも相対しコトを構える立場です。貴方が決めた悪を私は呑みましょう。しかし、貴方にとっての悪しき隣人となろうとも、無は慎んでお断り申しあげます。
 無は無。そこには救済なんて意味合いも、当然含まれないでしょうに。

 さて、無の方がいっそマシだと思えるような、魂が捻じれるほどの無念がありましたか。人々を自らと同じ淵に立たせまいとする苦肉の策ですか。
 始める前に話を聞きますよ。骸の海から歪んでまでお越しで、何かありましたか?
 
 基本的には『鍵をかける力』を用い精神干渉を対処し、傾聴しすぎないよう【狂気耐性】や【落ち着き】を利用して注意深く語りかけ【情報収集】を試みます。



●聞き届けよう、その言葉
 辺境の果てに訪れた猟兵が、また一人。仕立ての良い高価なスーツに身を包み、狂気の言葉を聞き入れようと覚悟を決めてやってきた女性、新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)だ。辺境の土地を赤く染める風を身に受けながら、彼女は周囲に響き渡る狂気の言葉に耳を傾けた。
『人々を救わなくてはならない』
『救いのための苦しみを与えなくては』
『希望を与えずして、何が救いなのだろうか』
 いくつもの言葉が陽の耳を通り抜け、脳内に残される。しかし彼女は精神干渉ともなり得る力を、鍵をかける力を用いて防御。言葉の内容だけをしっかりと残し、それ以外は外へと追いやった。
「……骸の海から歪んでまでお越しで、何かありましたか? どうか、私にお聞かせください」
 ポツリと呟いた陽の言葉が、赤い風に溶ける。一際大きく吹いた風の中、彼女は何者かの言葉を耳にする。
『私は誰かを救わなければ、存在出来ない者』『救いを求める者に手を差し伸べ、希望を与える者』
『それなのに、それなのに』『ああ、私の行いは、悪だったのだろうか』
『私の行いで皆が狂う』『私の救いで皆が狂う』『私の言葉で皆が狂う』
『それならば、それならば』『私は無を救いとすれば良いのだろう』
 いくつも流れてきた言葉の波に身を委ね、陽はその言葉の内容から情報を収集する。鍵をかける力を用いたとは言え、重箱の隅をつつくような感覚が押し寄せてきては、彼女に狂気がねじ込まれようとしている。それでも彼女自身が狂気への耐性は高く、落ち着きを保っていた。
 そうして一つ、疑問が浮かんだ。彼女は狂気の言葉によって荒立つ心の波を鎮め、きちんと落ち着いてから声の主に語りかける。
「それではお尋ねします、希望与える者。貴方をそのように導いた者は、何者ですか?」
 数分ほどの沈黙の後、再び強く吹いた赤い風。それに合わせて陽の耳に言葉が届けられた。
『私を狂わせたのは救いを与えた者』
『私の行いを悪だと称したのも救いを与えた者』
 救いを与えた者という言葉に対し、陽は考え込む。もしこの土地に何らかの信仰があったとしたら、言葉の主は神にも等しい存在であって、救いを与えた者というのは土地に住まう人々だったのではないかと。
 だとすれば、この神が行った行為によって何らかの異常事態が発生し、人々が神に対して不信感を募らせていたのだとしたら。そしてそれによって人々が神に対して、悪意ある言葉を続けざまにぶつけていたのだとしたら。そうして集まった悪意によって、救いを主とする神が狂っていったのだとしたら。
 情報の中に、いくつかの疑問点は残るだろう。だが、それでもこの土地にいた神は人々に救いを与えたい為に、何らかの行為を行っていたという情報は得られた。きっとそれは、人々を心から愛していた証拠にも成り得るのかもしれない。
「……救い与える者。貴方の無念は、確かに聞き届けました」
 虚空に溶けた陽の言葉に返答するかのように、赤い風が小さく彼女の身体を撫でた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
"…人類に今一度の繁栄を。そして、この世界に救済を…"

…それが私が大切な人達から受け継いだ誓いだもの

…たとえ狂い果てた先にたどり着いた答えだとしても、
無の世界が救済だなんて、私は認めないわ

UCを発動し"飛翔、御使い、韋駄天、狂気避け、破魔、狩人、雨避け"の呪詛を付与
全身を●環境耐性を備えた●破魔の●オーラで防御して、
血霧や神の狂気を強化した●狂気耐性と気合いで受け流す

…辺境の解放、狂った神殺しは初めてじゃないもの

…出来る限りの準備を整えるのは当然の事よ

●サバイバルの知識を自身の戦闘知識に加え、
異端の神や何者かの痕跡が無いかを見切り、
●空中戦を行う"血の翼"を広げて●ダッシュして先に進む



●受け継いだ誓いは歪めない
「人類に今一度の繁栄を。そして、この世界に救済を……」
 大切な人達から受け継いだ誓いを口にして、辺境の地へとやってきたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)
。彼女の長い銀髪は赤い風によってなびいており、それに合わせるように狂気の言葉が頭に響く。
『人々を救わなくてはならない』
『救いのための苦しみを与えなくては』
『希望を与えずして、何が救いなのだろうか』
 恨み言のような、苦しみのような嘆き声。対策なしにはその土地へ入ることさえも、敵わないだろう。
 リーヴァルディはすぐさまユーベルコード『吸血鬼狩りの業・千変の型』を発動。自身を有利にする様々な呪詛を付与し、土地の環境に耐えれるように強化。更には破魔の力を纏って、狂気の言葉から流れる精神操作を耐える。
 そうして彼女は、トン、と地を蹴り、飛翔の呪詛を用いて血の翼を広げ、土地を空から見て回る。その間にも赤い風が通り抜け、リーヴァルディの耳にいくつもの声が届けられた。
『私は人を救うことでしか生きられぬ』
『救いを与えなければ、存在の理由がない』
『私の存在理由は無』
『無を救済とすれば、私の存在は確固たるものとなる』
 届けられた言葉は、声の主が狂い堕ちた時の過去の声のようだ。どうやらこの土地では同じ時間帯の言葉を繰り返し流しているようで、問いかけられない限りは、声の主を倒さない限りは、永遠に流れ続けるようだ。
「……この土地で、何があったのかしら」
 空から眺めているリーヴァルディは、ふと小さな祭壇のような石組みの台を見つける。周囲に敵の気配がないことを確認し、その祭壇へと駆け寄ってみる。祭壇は豪華なものでもなければ、装飾のない石で組まれたもの。燭台の代わりの石や、供え物を置くための台となる石のみで構成されているが、供え物を置くための台には大きくバツの傷がつけられていた。
 何が起こったのだろうと祭壇に手を触れると、再び強く風が吹く。赤い風が運んできた過去の言葉は、先ほどの声の主とは違った様々な人々の声が聞こえてきた。
『ああ、なんてこと! 神は私達を見放した!』
『神よ! 我々は貴方の怒りに触れてしまったのでしょうか!』
『違う、アレは神なんかじゃない!』
『神と称しただけの、タダの殺人鬼だ!』
 ぐちゃぐちゃに混ざった、おそらくはこの土地に住んでいたであろう村人たちの声。神に救いを求める者、神を偽物だと称する者、恐怖に怯える者、神を崇める者……様々な人間の声がリーヴァルディの耳に届けられた。
「……人々は心に恐れを抱いて、神を狂わせたのかもしれないわね……」
 ポツリと呟いた後、再び飛翔の呪詛を用いて空を舞い辺境の土地をくまなく探る。出来る限りの準備を整え、最終的に倒す狂った神への対処法を得るために。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハルア・ガーラント
狂ったオブリビオンは、優しい神様だったのかな

【WIZ】
ひとは欲深いです
幸せや救いを手にしても、更にその次を際限なく求めてしまう

狂気に中てられないよう[仄暗い炎の小瓶]を手に握りしめ[狂気耐性]で耐えながら声に耳を傾けてみます
余りにも影響が強そうならその時点でUCを発動、少しでも狂気を[浄化]します

神様が狂った理由をちゃんと知りたい
怖がってばかりじゃ駄目だ

あなたは全ての者達を救いたかったんでしょうか
時には救いとするため敢えて試練を与え
そうやって自分を維持していたんですか?

誰かの救いとなるものが、違う誰かには地獄への道をもたらすものなら
あなたはそうした事実や想いを全て受け止めて、狂っていったのかな



●狂った理由を、ちゃんと知りたい
「狂ったオブリビオンは、優しい神様だったのかな……」
 辺境の土地にて小さく呟いたのは、ハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)。土地に到着してすぐに狂気の言葉が彼女の耳に届けられ、内容から情報を精査したところ、この土地にいた神は元々は優しい神様だったと結論づけた。
 情報を精査している今もなお、彼女の耳には数多の狂気の言葉が届けられている。それでも彼女が狂気に耐えきれているのは、その手に握られている紺青色の炎が揺蕩う小瓶のおかげ。その温もりは狂気の風の中でも、ハルア・ガーラントという存在を確立させてくれた。
『人々を救わなくてはならない』
『救いのための苦しみを与えなくては』
『希望を与えずして、何が救いなのだろうか』
 赤い風とともに届けられる言葉は、同じ言葉の繰り返し。人を救うためにあらゆる願いを聞き届けていたという情報がはっきりとわかる。だが、これだけでは神が狂った原因を知ることはできない。
 そっと白の大地に指を触れるハルア。この土地の神に何が起こったのか、何が神を狂わせたのか。怖がらずに、ちゃんと全てを知りたいと彼女は願った。
 すると、彼女の願いに応えるように、赤の風が別の言葉を運んできてくれた。ハルアはその内容に耳を傾けようとするものの、先の言葉よりも侵入しようとする狂気が強く、意識や記憶へと割り込んできた。
「……っ!」
 介入の寸前、素早くユーベルコード『クレイドル・オブ・ライフ』を発動。周囲の石を天獄の植物群へと変化させて揺り籠を作り、狂気の力を緩和させる。流石に完全な浄化とまではいかないが、意識への介入を和らげるだけで先のように問題はなくなった。
 一瞬だけ慌ててしまったので、心臓の鼓動も早い音を鳴らしている。この状態ではまた狂気に囚われると判断したハルアは、小瓶を強く握り締め、大きく深呼吸してゆっくりと落ち着く。徐々に心臓の鼓動が落ち着きを取り戻したところで、再び新たに届けられた言葉に耳を傾けた。
『土地の開拓が上手く捗らないな。風が強いせいだろうか』
『神は息子を救おうとしてくださっているのだ』『ああ、助けて! 苦しい!』
『最近風が吹かないな。祈りが足りなかったか?』
『どうして娘が死ななきゃいけないのよ!』『娘を助けてと祈らなければ!』
『ああ、また旋風。最近頻繁に起こっているな』
『祭壇にはもう誰も近づかないほうがいい。アレは神は神でも、死神だ』
 時系列がバラバラな、この土地に住んでいた人々の声が聞こえてくる。悲鳴が入ったかと思えば、土地の開拓に頭を悩ませる声が響き、嘆きの声が聞こえたかと思えば、神に祈る人々の声が聞こえてきた。言葉を時系列順に並べるためハルアの頭を少しだけ悩ませたが、すぐに結論を出した。
「あなたにとっての救いが、人々にとっての救いとは限らなかった。だからこそ、あなたは人々の言葉をすべて受け入れて……事実を知って、狂ってしまったのかもしれませんね」
 赤い風に溶けたハルアの言葉。誰かが聴いてるわけでもないただの独り言だったが、それに答えるかのように赤い風は大きく彼女の身体を通り抜けていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

久瀬・了介
体内に埋め込まれた「呪珠」が、己の復讐の衝動を呪術的な力に換え、地に満ちる狂気への【狂気耐性】の防壁を作る。狂気をもって狂気に対抗。
声に耳を傾ける。人々の願い全てを叶えようとしたか。不可能に決まっている。必ず齟齬や矛盾が生じる。他人の幸せを妬み不幸を楽しむ欲望もある。憎い奴を殺して欲しいという願いすら叶えたか。
我が儘を言うなと叱れば良かった。そうすれば畏怖と敬意で秩序が生まれる。神とはそういうものだ。だが、優しすぎて怒れなかったか。全てを肯定するのが神とでも勘違いしたか。
プラスがマイナスに直結するなら全てをゼロにするしかない。自己肯定の為の自己否定。狂いもするだろう。
さて。どう対処するか。



●狂気を持って、狂気を耐える
 赤い風が吹き荒び、呪われた声を届ける。そうしてこの土地に訪れた人々は、声を聞き届けて狂ってしまう。そんな荒廃した辺境の地にまた一人。
 やってきた男の名は久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)。己の内に秘めた復讐の衝動を呪術的に変換させ、この土地に満ちた狂気を狂気の壁で耐えていた。
『人々を救わなくてはならない』
『救いのための苦しみを与えなくては』
『希望を与えずして、何が救いなのだろうか』
 風で運ばれてきた言葉に、耳を傾ける。この土地にいた神は、存在した人々の願いを叶えることで人々が救われると信じていたようだ。だがその願いの内容に含まれていた不幸や悪意に気づくことはなく、神は全てを叶えていた。
「憎い奴を殺して欲しいという願いすら、叶えたか……」
 ため息をつき、神の愚かさを噛み締める。この土地の神は何を以てそれを救いと決めていたのか。神という存在故に優しさが過ぎたのか。あるいは、全てを肯定することが神と勘違いしたか。言葉だけを聞いた了介の頭に浮かぶのは、ただ一つ。愚かな者だ、という感想だけ。
 ならばこの土地に住み着いた愚かな者、もといオブリビオンにどう対処を取るか。今一度対処法を決めるため、大きな風を待った。
 強く大きな赤い風が了介を包みこみ、更なる狂気を与えてくる。復讐の衝動を壁にして狂気を耐えているが、此度の風は先に流れていた風よりもはるかに強い狂気を運んできた。内に残る復讐の刃を全て変換させ、壁を強固にしつつ言葉に耳を傾ける。
『私の救いとは、無へ返すこと』
『神様へ救いを求めるときは、大きな風が吹いてる時に』
『無へ返せば人々は皆、何も考えなくて良い』
『風は私たちの言葉を届けてくれる』
『生きることも死ぬことも、全てが悪なのだから』
『けれど赤い風は狂気を届けるから、気をつけて』
 神とその神を信仰していた者達の声が交互に流れてくる。言葉を聞き届け終えた了介は、ふと周囲を見渡した。録音出来るような機構があるわけでもないのに、風が吹くだけで言葉が聞こえてくる仕組みを探ろうとしたようだ。
 しかし、その仕組みを見つけることは出来ずに断念。その代わりに彼は大きな風を待つことにした。自身の持つ復讐の念を、神……もとい、オブリビオンへと届けるために。
「……風で言葉が届くというのなら、貴様には俺の言葉も届いているはず。待っていろ、オブリビオン」
 了介は復讐の念を内に秘めながら、小さく呟く。しかしその言葉に対する返答は、言葉ではなく風の強さで返答が来た。どうやら現在の神は風に乗せられた言葉を聞いても、言葉を返す姿勢ではない様子。ならば自分の言葉は、風に乗せずに直接届ける方が良さそうだ。
 ひとまず風で運ばれて手に入れた情報を元に対策を考えつつ、了介は一度この土地を離れて消費された耐性を回復させることに集中した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『付き従う者共』

POW   :    主の為ならば、この身など惜しくはありません
自身の【心臓】を代償に、【従順な狼の群れ】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【鋭い牙と爪】で戦う。
SPD   :    主様からのご厚意、ありがたく受け取ってくださいね
【人間から絞った血液を混ぜた紅茶】を給仕している間、戦場にいる人間から絞った血液を混ぜた紅茶を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    貴方も、私達と共に仕えませんか?
【蠱惑的な声で、仕える主の素晴らしさ】を披露した指定の全対象に【死ぬまで主に仕えたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 我らが神は救いを与える。
 我らが神は全てに救いを与える。
 我らが神は全ての生きとし生けるものへ救いを与える。

 生きることは悪であり、死ぬことさえも悪である。
 神の御心のままに、全てを無へと返しましょう。

 言葉が風に乗せられ届けられる。
 それは神へ贈る言葉ではなく、猟兵達へ贈る言葉。
 神への反逆を行う者達への、怒りの言葉。

 従いなさい、我らが神に。
 従いなさい、我らが主に。

 従わないのならば、主への道を閉ざすまで。
大豪傑・麗刃
アドリブ歓迎

って!ダメでしょ心臓代償にしたら死んじゃうではないか!
ん?待てよ?きみたちが死んだら戦う相手もいなくなるわけだし。
勝ったッ!第2章完!

ダメだよね。うん知ってた。

仕方ない。
心臓代償にしてまだ生きてたらわたしの話を聞いてくれ。聞けなきゃ狼さんが聞いてくれ。
とりあえずきみたちが神様を信じていることはよーくわかった。心臓の件もだけど、何よりきみたちが呼び出したのが狼さんだからなあ。
なるほどきみの言わんとする意味がだいたい見当がつきました。きみはこう言いたいのでしょう。

おお!神ー!!

とわたしのギャグで相手の平常心が破壊されたところを人も狼も二刀流で斬る。

残念ながらこれがわたしのやり方なのだ。



●誰がうまいことを言えと言ったのか
 情報を携え、狂気溢れる未開の地を走る麗刃。今でも風は吹き荒び、神の言葉を麗刃へと届けていた。
 そんな彼の前に、いくつもの人の形が現れた。この土地の狂気を当てられ、付き従う者と成ったオブリビオンの姿。気品あるその姿は神の遣いと言っても間違いなさそうなほど、美しい。
 一瞬麗刃は現れたその姿に見惚れて動きを止めそうになったのだが、付き従う者達の次の行動に驚きの声を上げた。
 付き従う者達はその手を自らの胸に突き立て、心臓を抉り取る。抉り取られても動き続ける心臓は血飛沫を上げ、その肉を狼の姿へと変えたのだ。これには麗刃は慌てていたのだが、心臓を取り出したという行為で一つの疑問が浮かんだ。
「でも、きみたちが死んじゃうから戦う相手がいなくなるのか?」
 麗刃の疑問に答えるかのように狼達は唸り声を上げ、付き従う者達の指示で動き出した。どうやら、心臓を犠牲にするとしても狼が殺されない限り付き従う者達は生き続けるようだ。
 そうか、なるほど。と納得のいった様子の麗刃。二つの刀を構えては狼達の牙や爪の攻撃を受け流しつつ、狼や付き従う者達へ言葉を投げた。
「きみたちが神様を信じているのは、よーくわかった。そしてきみたちが呼び出したのは狼さんだ。つまりは、こう言いたいのだろう。おお!神ー!! とな」
 襲いかかってくる狼達をバックステップで避けつつ、全力で思いついたギャグを言い放った麗刃。そのギャグに対して付き従う者達も、狼達も、そして風に乗せられてやってきた神の言葉でさえも、動きを止めて平常心を取り乱してしまった。そんなギャグ、誰が予想していたというのだろうか。神さえも気づいていなかった様子だ。
 平常心を乱したところで麗刃は素早く狼と付き従う者達を二刀流で斬り落とす。卑怯だという声が付き従う者達から聞こえてきたが、麗刃にとってはなんのその。
「残念ながら、これがわたしのやり方なのだ」
 ふふん、と小さく笑った麗刃は再び走り出す。次なる相手にどんなギャグを投げてやろうかと、楽しみながら……。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハルア・ガーラント
神様によって狂わされたのだとしても、その言葉には従えないです

【WIZ】
彼女達への同情や悲しみはぐっと飲み込みます

蠱惑的な声が聞こえなければ敵の攻撃は無効になる筈
直ぐにUC発動、彼女達の音を奪いましょう
音を奪うのに失敗したら聖地化した大地の上で[セイクリッドデバイス]を最大出力に
でたらめな歌を[歌唱]して声を聞こえなくしちゃいます!

持ち前の[第六感と視力]で敵の攻撃動作を予測し捉え[咎人の鎖]で受けるか後方へ飛翔回避
[銀曜銃]の中の精霊さんにお願いし、反撃初手は閃光弾で目潰しを
次いで散弾モードの魔弾を連続で放ち数を減らします
オラトリオになり魔力が潤沢なこの身体、活用しなくちゃ

※連携・アドリブ歓迎



●狂う言葉は、無へ返す
 赤い風が届けた言葉を胸に、大地を蹴って走るハルア。狂わされた神の言葉を前にしても、彼女の『従わない』という決意は何よりも硬かった。
 その決意をねじ曲げようとする者も、当然のことながら現れる。神に付き従う者、あるいは、神の御言葉に従わぬ者を排除するために存在する者。幾人もの神に従う者達はハルアを取り囲み、言葉を投げかけた。
「我らの神の素晴らしさを、語りましょう」
「全ての苦悩を、全ての悪を、我らが神は無へ返す」
「無を至高とせよ。我らが神は無を所望とする」
 重ね重ねに届く悪意の言葉。ハルアが耳を塞いで防御しようにも、その声は無理矢理に脳髄へと届けられて頭の中を、心の中を狂わせようとしてくる。
 風で狂気の言葉が届けられると同時に聞こえる、付き従う者達の声。これ以上の狂気の言葉はハルアの身体にも精神にも負担がかかってしまう。そこでハルアはユーベルコード『ヴォイド・アンセム』を発動させ、音無き聖歌を準備する。
 彼女が今から歌う聖歌には、音がない。音がないということは、ユーベルコードの発動のタイミングを読ませないようにフェイントをかけることも出来るため、付き従う者達はユーベルコードの発動に気づくことがなかった。
 それは見る者から見れば、ただの口パク。だが本質は天使言語による音無しの歌であり、歌を聞いた者の音を無効化する。音無しの歌が言葉の上に重なり、付き従う者達の言葉は徐々に無へと返されていった。
「その音、世界に響かせる訳にはいきません。もちろん、この大地においても」
 音無しの歌は辺境の地に響き渡り、神の言葉を運ぶ赤い風を無力化させ、付き従う者達の言葉も止め、完全なる無音をこの土地にもたらした。
 言葉による精神攻撃が効かないと判断した付き従う者達は、その無音の言葉を止めろと言わんばかりに掴みかかろうとハルアに手を伸ばす。彼女は歌を歌いながらも素早く第六感と視力によって攻撃を回避し、翼に絡みつく咎人の鎖で付き従う者達の腕を絡めて攻撃の動きを鈍らせる。
「まだ、歌は終わってませんよ……っ!」
 聖歌の邪魔は許さないと言わんばかりに、銀曜銃の精霊と連携して目潰しの閃光弾を打ち付ける。閃光弾の明かりを直視した付き従う者達はすぐにその場でよろめき、姿勢を崩した。そこへ素早く魔力を込めた弾を装填、散弾モードを利用してその場にいた付き従う者達を全て撃ち抜いた。
 無音の聖歌が歌い終わると同時に、ハルアの周囲にいた付き従う者は全滅。赤い風も再び言葉を届けに、吹き始める。
「……元凶である者を倒さなければ、赤い風は止まらないのですね……」
 止めることが出来たとは言え、一時的なものではまるで意味がない。ハルアは再び大地を蹴って、狂わされた神の元へと走り始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新山・陽
wiz 『鍵をかける力』はそのまま、敵UCに対して『黒い蓮華』の【環境耐性】も使って耐え、御大でもない傘下どものオファーなど無粋だと感じ、気を悪くします。
 こういう類の下々が神を掲げ、狂気を良しとし増長させるのでしょうか。
 
 「聞けば御大が無を所望しているそうですが、それを体現しない従者が何を仰るおつもりですか。お引き取りを」
 
 人を救済することに終始した神は、終ぞ自らを救えずじまいで報われず……無念を聞いた私は、言葉を届けに参ります。
 ただ神に救済されたいだけの輩を相手に、遅れはとりませんよ。

 敵の攻撃など【見切り】で回避し、UC『凍えた液鋼』を発動【集団戦術】でぶつけ攻撃を試みます。



●御大でもない傘下のオファーはお引き取り願います
 無念の言葉を聞き届けた陽は、すぐに依頼人とも呼べる神―――オブリビオンの下へと走る。報われなかった者へ、言葉を届けに行くために。
 しかしそんな彼女の前に現れたのは、気品ある姿をした者達。幾人もの神に付き従う者達が、陽を取り囲み始めたのだ。
「神は救いを与えてくださいます。無は神から与えられる最高の贈り物」
「神の与える無こそ、我らの救いの道標」
 神に対して様々な賛美の言葉を述べる付き従う者達。しかしそれは陽に対して精神的な介入を行う、蠱惑の言葉。耳から入れば精神を操られ、神へ付き従いたくなる感覚を得るのだが……。
「御大は無を所望しているそうですが、それを体現しない従者が何を仰っているのですか。お引取りを」
 陽には、一切効いていない。それもその筈、彼女は情報収集の時から使用している鍵をかける力によって、未だに精神干渉を防いでいる。更には黒い蓮華によって強固な干渉耐性を得ているため、生半可な言葉では彼女を揺らすことは出来ない。
 それに気づくことのない付き従う者達は、これでもかと賛美の言葉を連ねる。同じ言葉の繰り返しで飽きてきたのか、陽は肩を竦めて煽りの言葉をぶつけた。
「ただ神に救済されたいだけの輩を相手に、遅れは取りませんよ」
 その言葉が発火材となったのか、付き従う者達の一部から腕が伸びてきた。捕まえてでも無理矢理に誘惑させようという魂胆のようだ。
 腕を見切り、次の攻撃行動を予測して素早くユーベルコード『凍えた液鋼』を発動。冷気をまとった小型の戦闘用鋼球が周囲を飛び交い、付き従う者達へ強烈な冷気を与えた。
 陽は付き従う者達の動きを確実に見るために、その場を動かぬまま鋼球へと的確な指示を与え、冷気の量を上手く調節する。集団で襲いかかってくる相手に対し、同じような集団をぶつけると逆に不利になる場合がある。そこで陽は各個体の冷気を調整し、付き従う者達の逃げ場を失わせながら最強レベルの冷気で敵を次々に凍死させた。
「……っ……」
 ほんのわずかだが、陽の顔に疲れが見えた。どんな時でも忍耐強く顔には表さない陽なのだが、このユーベルコードを使うときはどうしても連続した分隊指示を行うため、疲れが重なってしまうのだ。
 だが、彼女は止まることはない。唯一この土地で救いを受けられなかった者へ、救いの道標を指し示そうと誓ったのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

久瀬・了介
狂気にあてられたか。それとも元々下地があったか。
何にせよ、堕ちた以上容赦はしない。全て滅ぼす。

【雷人】発動。全身を電磁場で包み高速飛行状態になる。戦場全体に広がる放電で、狼の群れもろとも従者達を麻痺させ動きを止める。
その隙を突いて【早業】の突撃。狼の守りを潜り抜け、従者に肉薄する。心臓を抉り出しても生きていられるとは言え、召喚の代償としたのなら自身への負担は軽くはない筈。本体を狙う。
怨敵への【呪詛】を物質化した怨念武器を形成。長大な刃と化す。
ヴォルテックエンジンの【リミッターを解除】。全身に流した高圧電流で身体能力を【限界突破】させる。
縦横無尽の高速移動による【範囲攻撃】。纏めて切り払おう。



●オブリビオンは全て滅ぼす
 復讐の念を身体に纏い、狂気の言葉を跳ね飛ばしながら辺境の地を歩く了介。オブリビオンを必ず倒すという誓いの下、愚かな神へどう対処をとるかを考えていた。
 そんな中、風が運ぶ言葉とはまた違う言葉が了介の耳に届いた。了介の行く手を阻むのは神を崇め、称える言葉を投げる者達。神の御言葉によって狂気に堕ちた者達が彼の歩く道を閉ざしたのだ。
「狂気に当てられたか、それとも下地があったのか。……なんにせよ、堕ちた以上容赦はしない」
 ―――オブリビオンは、全て滅ぼす。それが了介の信念であり、この世に留まる理由だ。
 睨みを利かせ、了介は周囲の付き従う者達の人数を確認。範囲攻撃を持って全体を崩すために素早くユーベルコード『雷人』を発動させ、その身を黒い雷で覆い尽くす。その様子に付き従う者達はその心臓を捧げ、神への祈りの言葉を捧げながら血に濡れた狼を呼び出した。
 狼が了介に掴みかかった瞬間、スイッチを入れられたかのように黒い雷が付き従う者達と狼の身体に迸る。手足の先から内蔵を駆け巡り、骨の髄に染み渡って脳髄の中まで走った電流は了介以外の全ての者の神経を麻痺させ、動きを止めた。
 その一瞬のうちに了介は地を蹴り、『雷人』の力で大きく空を舞って敵の陣形を確認。これ以上の増援を呼ばれないために、一気に片付ける方針で瞬時に攻撃の準備を始める。
 ヴォルテックエンジンのリミッターを解除させ高圧電流を用いて身体能力を限界突破。更には呪詛を物質化した怨念武器を形成させて刃を生み出し、それを持って『雷人』の飛翔能力と高速移動を利用。相手の攻撃を受けぬよう、縦横無尽の範囲攻撃を行った。
 呪詛の刃は、最初に心臓を抜いた付き従う者達の肉体を真っ二つに切り裂く。次いで召喚されて弱体化している狼を断罪。最後に了介を取り囲んでいた肉壁にも近しい付き従う者達を全て切り裂いた。彼のオブリビオンへの強烈な呪詛は彼女達の身体を復活させることはなく、ただ塵へと返していった。
「……。」
 了介が地上へ降りると、その大地に残るものは何もない。最初にあったまっさらな土地だけ。付き従う者達がいたような形跡も無く、全てが塵となって風で運ばれていったようだ。
 一瞥の眼差しを白い大地に向けた後、了介はそのまま歩き出す。最後に残るオブリビオンを滅ぼすために、愚かな神への断罪を行うために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鴨嘴・ケンゴ(サポート)
戦闘をメインに活躍させて欲しいっす。
戦闘での行動は変形する偽神兵器を使って、カッコいい剣撃と銃撃、捕食による敵のデータ収集と偽神兵器の強化を行うっす(メタ的に言うとゲームのゴットイーターな感じ)
敵は絶対殺す又はデータ収集すると言う意思で戦う為に戦闘中は性格が変わったように攻撃的になります。
(口調 少年(おいら、~くん、~さん、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)
敵には 野生の感覚が蘇る(オレ、アンタ、言い捨て)っす。


岩永・勘十郎(サポート)
刀での攻撃なら時代劇の殺陣のように、華麗で確実に敵を始末する。相手の攻撃を十分に引き付けて攻撃する後の先を得意としていて、知念流を使うなら『人を守る剣』として活人剣を振るい、白老流なら『人斬りとしての本性』に忠実に戦います。弓での攻撃なら連射や曲射、ノールックショットなど弓で出来る様々な技を会得している。 基本は味方が攻撃しやすい場面を作る闘い方をし、メインの者に作戦があるなら、それに乗る。味方に危険があるなら援護もする(気付いていない背後の敵を矢で射抜く等)。戦闘のメリハリははっきりしていて、分が悪い場合は引きますし、攻める時は攻めます。 

勘十郎は基本、同情の余地が無い相手以外は斬ります。


アーサー・ツヴァイク(サポート)
※何でも歓迎!

『貴様らの悪事は、お天道様はもちろん…何より俺が許さねぇ!』

俺はアーサー、改造人間だ。
普段は寝てばっかりだが…事件が起きたら即覚醒! 悪い奴らを太陽の向こう側までぶっ飛ばす正義のヒーロー【ドーンブレイカー】になって大暴れ、だぜ!
苦手な事は頭を使う事、得意な事はオブリビオンをぶっ飛ばす事だ!

NG行為はないつもりだが…ヒーローらしい動きの方がやりやすいな。まあ、策を弄する頭が無いから問題もないけどな!

あと、武器やUCは好きに使っていいぜ。

んじゃ、宜しく頼むぜ!!



●辺境の神に付き従う者達
「そっち! 向かったっす!」
 偽神兵器を多様に操り付き従う者達の言葉を遮るのは、鴨嘴・ケンゴ(カモノハシのストームブレイド・f24488)。丁度集まった二名の猟兵と共に、溢れんばかりの付き従う者達をその手に握られた偽神兵器を用いて殲滅していた。
「ふむ、この数ならば……わしの敵ではないな」
 刀を振るい、ケンゴによって追い込まれた付き従う者達を切り伏せる岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)。付き従う者達へより良い一撃を与えるため、人を殺すために准絶対合金で作られた軍用刀剣・小銃兼正 (零號試作・改)を、一人一人に振るっていた。
「貴様らの悪事、お天道様はもちろん……そもそも俺が許さねぇ!!」
 改造人間でありながら、悪い奴を倒すことを生業とする正義のヒーロー……もとい、アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)。彼は頭を使うことが苦手なので、ケンゴや勘十郎よりも真っ先にブーストアームを用いて、突撃してくる付き従う者達を倒していた。
 赤い風で運ばれる狂気で歪んだ声を聞きながらも、付き従う者達の数は三人の手によって徐々に数を減らしていく。何度も風が大きく凪いでは狂気の言葉を三人に届けているのだが、戦闘状態で興奮中の三人の耳にはまったく届いている様子はなく。ただただ、耳障りな言葉だと跳ね除けては目の前の敵を屠り続けていた。
 ケンゴの偽神兵器による剣撃と銃撃が嵐のように飛び交い、アーサーの拳と光の射撃が幾重にも重なり、勘十郎の刀が風をも切り裂いて肉の壁を崩す。彼らの即席のコンビネーションには付き従う者達も上手く崩せないようだ。

 大地を埋め尽くすほどの付き従う者達。
 神の御言葉によって狂わされ、神が存在するこの大地に寄り添うように存在する者。
 彼女達は猟兵達に倒されながらも、皆一様に同じ言葉を告げる。

『神は救いを与えてくださいます』
『救いを受け入れぬ者は皆朽ち果てよ』
『神の御業によってこの世界は救われる』

 彼女達が口にする救いとは、無を受け入れること。
 神が与えてくれる救いとは、無を受け入れること。

 生も死も、希望も絶望も、夢も現実も。
 自由も束縛も、喜びも苦しみも、過去も未来も。
 彼女達にとっては全て救いではなく、悪。
 ただ一つの『無』こそが正義であり、救いであると信じている。

 だがそれは、本当に救いなのだろうか?

 その考えに対して、疑問に思った者はいない。
 いるとすれば、この地を『救うため』に現れた猟兵達だけだろうか。
 無論、彼らの救いはこの土地の神の言う救済とはまた違う。

 猟兵達なりの『救い』を、オブリビオンとなった神へ与えに行かなくてはならない。
 例え神が『救済』を与えに来たとしても、振り払いながら。

 ケンゴ達の一撃によって最後の付き従う者が倒れ、大地には幾人もの身体で埋め尽くされる。風が凪いだところで肉体は動くことはなく、ただただ無を貫いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ヘブンリーセイヴァー』

POW   :    全てを無に還す原初の楽園
全身を【溶かし原初の闇を広げ、戦場全体を虚無】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    終わる世界に現れる最後の救済
小さな【希望を見せ、人類を救える僅かな可能性】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【天国だが、自ら地獄に堕ちる覚悟を示す事】で、いつでも外に出られる。
WIZ   :    荘厳たる死を与える天国への道標
戦場全体に、【『天国』への扉が出口となる、神の光】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギ・ヌドゥーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 神と称されていたオブリビオンが、降臨する。
 この地に存在する者達へ、『救済』の道標となるために。

 歪な姿はもはや神のそれではなく。
 煌く無の姿は、悪意に満ちており。
 広げた無の翼は、善意に満ちている。

『無を受け入れること。それが、この世界における救いなのである』

 そんな言葉が、あたりに響き渡った。

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 プレイングボーナス
 「神への救済の言葉を告げること」
 「情報を利用する(言葉を告げる以外をする)こと」
久瀬・了介
神の生み出した天国とやらに敢えて踏み込む。
……悪くはないのかもしれない。だが俺には必要ない。例え地獄だろうと、それを作り出すのがオブリビオンなら喜んで堕ちよう。
覚悟を示し、脱出。人を救済したいというのが本気なのは分かった。
だが、少しばかりやり方を間違えたな。そういう事もある。
感張り過ぎだ。疲れただろう、少し休め。今殺してやる。
人間は救いを与えられなくても自分を救えるものだ。
【雷霆】発動。怒りでも憎しみでもなく、ヴォルテックエンジンに哀れみの衝動を込め高圧電流を発生させ、アンプリファイアで増幅。
極限まで強めた高圧電流による電撃で神を撃つ。



●人は救いを与えられなくても自分を救う
 辺境の土地の一部に、大きく風が吹いている。その風はまるで旋風、竜巻、台風……どう呼んでも、この土地に害をもたらすものであることは一目瞭然だ。
 そんな中、了介は敢えて踏み込んだ。神となったオブリビオンが作り出した天国に。それが例え人から地獄だと呼ばれようとも。それを作り出したのがオブリビオンならば、喜んで堕ちようと。
 風の中、神の狂った声が聞こえる。人を救うことを使命とし、無を受け入れることこそがこの世界における救済だと述べる神。その言葉には了介も言葉を返すことはない。ただただ、聞き流してはオブリビオンのその感情を受け入れるだけ。
「……だが、少しばかりやり方を間違えたな」
 彼は神の言葉から感情を受け入れ、覚悟を示すように雷を操り始める。オブリビオン、もとい神が人々を救済したいというのが本気であることがわかったからだ。
 だからといって、この神は見逃すわけには行かない。戦いに敗退し、肉体を奪われた時点でそれは神ではなく、了介が必ず殺すと誓う者……オブリビオンとなっているのだから。
 ユーベルコード『雷霆』を発動させて、ヴォルテックエンジンに哀れみの感情を込めて高圧電流を発生させる。その後首に取り付けられた電力増幅器、アンプリファイアによって高圧電流の電力を更に増幅させた。
 準備を終わらせた了介はすぐさま高速移動を操って残像を生み出し、神の視界内にいくつもの姿を残す。
『―――!』
 神は了介の行動範囲を把握した後、徐々に身体を溶かしてゆく。溶けた身体が地を這いずりながら原初の闇をじわりじわりと広げ、周囲を虚無へと染めてゆく。
「そうやって、人々を『救済』してきたわけか……」
 無数の残像の中から、自分が何処にいるか分からぬように雷を放つ。今度は神を救済しようと、思いっきり高威力の雷を打ち付けたのだが……。
 溶けゆく神の肉体は煌く姿をも虚無へとなじませ、ほとんどの攻撃を寄せ付けなかった。雷は狙ったはずの神の身体ではなく、虚無へと放たれるように誘導され、何もなかったように雷は虚空を迸る。
(効いていない? ……いや、効いているが極微量か)
 了介の目には、誘導された雷は虚無に流れ込んだように見えていた。だが虚無とは言えど、それは神の肉体が溶けて作り出したもので完全な無ではない。肉体という媒介がある以上、小さな綻びから僅かな攻撃が通るようだ。
 攻撃の浸透方法がわかったところで、一度了介は虚無の範囲の外へと脱する。その後、神へと進言するように足元に広がった闇へと声をかけた。
「いいか、救済の神。人間は救いを与えられなくても、自分で自分を救える。だからもう、お前は休め。今殺してやる」
 今一度高圧電流をその身体に流し、再び走る。
 永劫に働き続けた神へ、救いという名の休みを与えるために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハルア・ガーラント
あなたは無を受け入れる事が救いだと言うけれど
ならば、わたしの行動もあなたの救いになりますよね?

【WIZ】
天国へ続く迷路、生憎わたしは地獄でしか逢えなくなる予定の人がいるので遠慮しておきます!

真の姿になりUC発動、敵付近に戦艦を召喚し攻撃を
[咎人の鎖にオーラを纏わせ防御]しながら飛翔し迷路をショートカット、敵を隔てた壁の前で[銀曜銃]に棲む光の精霊さんに言ってみます
神の光だなんてご馳走ですよ、この壁食べてしまいましょう!
力を奪われ薄くなった壁に鎖をオーラごとぶつけて破壊、その後は銃で攻撃し続けます

皆を救おうと力を尽くした神様の結末がこんなに悲しいものだなんて
どうかゆっくり休んでと[祈り]ます



●結末は悲しくとも、それが救いとなるのだから
 大きく風が吹きすさぶ。大きな翼が空をはためく。ハルアは今、旋風を巻き起こしている本人の元へとたどり着いていた。
 風で流れる言葉には、もはや同情の余地は無い。ここにいる神がもたらす無へ足を運ぶということは、天国にも地獄にも足を運べぬということ。すなわち、それはハルアにとっては天国や地獄でしか会えぬ者に会えなくなる方法である。それだけは、断固として拒否の意思を示していた。
「あなたは無を受け入れることが救いだと言うけれど、それならば、わたしの行動もあなたの救いになりますよね?」
 その言葉に対し、神は反応を示さない。それどころか怒りを示すように、土地全体に光の迷路を生み出した。ハルアをもその迷路へと閉じ込め、最終的には無へ至るための出口へ誘導するようだ。
 ここまで強大な力を使われては、ハルアも生半可な力で反抗するわけには行かないと判断。彼女の真の姿が解き放たれた。
 その翼はほんの僅かに赤く染まり、彼女に巻きつく咎人の鎖が更なる意思を得たように動き出す。普段は柔らかな笑顔を見せているが、ここは戦場と言わんばかりの鋭い眼が顕になった。
 動き出した咎人の鎖はわずかに光の壁に興味を示すものもいたが、ハルアの意思に従い防御体制を取った。淡い光に包まれた鎖は光の壁から発せられる熱を防御する壁となり、ハルアに一切の傷をつけさせない強固な鎧へと変化する。光の壁に手を触れ、痛みがないかを確認。鎧となった鎖の防御が確実に作用していることを証明した後、今度は銀曜銃を空に撃って天井がないことを確認。地を蹴り、その翼で空を舞う。
「そういえばこれは、神の光という認識になるのでしょうか?」
 土地に張り巡らされた光の迷路を隅々まで確認し、到達点である神の位置を確認しながら何かに気づいたハルア。確かにオブリビオンとなったとは言え、元々は神たる存在だ。神の光となれば、彼女の持つ銀曜銃の中に住まう光の精霊達の食事にもなり得るかもしれない。それならばと銀曜銃に住んでいる光の精霊に、ちょっとだけ声をかけてみる。
「神の光だなんてご馳走ですよ。この壁、食べてしまいましょう!」
 空から一気に到達点となる場所……それよりも少し壁を挟んだ迷路の中。そこでハルアは銀曜銃を構える。光の精霊が銃から飛び出ると、嬉しそうに周囲を走り回り光の壁を喰らい尽くす。
 神の光というだけあってか、光の精霊の力は相応に上がっていた。普段ならハルアの魔力や願いを使って光量や弾の種類が変化するのだが、今回は特別な力を得たことにより魔力の消費がほとんどなく、弾種も強力なものに切り替わった。
 しかしそんな中でも、ハルアは神への哀れみを忘れない。こうなるまでに至った経緯を考えれば、本来このように無差別に精霊に光を与える訳にはいかないのだから。
「皆を救おうと力を尽くした神の結末が、こんな悲しいものになるなんて……」
 その言葉が風に乗せられたからか、僅かに神の身体が揺れ動いた。彼女の哀れみが届いたからか、それとも光を食い尽くされたからなのか……それは誰にもわからない。
 最後の祈りとして与えられたハルアの鎖が迷路の壁を貫き、神への一撃を通したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

大豪傑・麗刃
どっシリアスは頭痛が痛いのだ(強調目的での二重表現肯定派)
今更ながらなんでわたしはこんな依頼に踏み込んじゃったんだろうなあ。
とはいえ、これは逃げちゃいけない戦場なのであろう。

風は吹いてるかね。わたしの言葉は届くかね。
思うにきみに必要だったのは

手抜き

わたしと違って生真面目一辺倒で、常に神経張り詰めさせて。なんかの拍子にそれが切れて。きみに必要なのは少し気をゆるめる事だった。もはやそれもできそうになく、ちょっと永めの休憩とるしかなさそうだけど。

せめて気をゆるめた気分だけでも味わってもらうのだ。

よろしい。無を受け入れよう。
無無無無無……むむむむむ

むん!!
(気合とともに放たれる変顔にかっこいいポーズ)



●必要だったのは、手抜き
 シリアスな流れに頭を痛める麗刃。ギャグを生きがいにした男がなぜこんな依頼に手を出したのかは、おそらく時を遡ってもわからないままだろう。
 最終目標である神の前にたどり着いた。ここからは逃げてはならないし、逃げることは敗北を意味する。麗刃はそれを心に刻んで前へと一歩踏み出す。
(風は……うむ、吹いてるのだ)
 先程から吹いてる風を今一度確認。既に目の前にいる神はただただ鎮座しているだけで、風から流れてきた言葉を発することはない。風はゆっくりと吹きすさぶと、麗刃の言葉を神へと届けた。
「きみはわたしと違って生真面目一辺倒で、常に神経張り詰めて……なんかの拍子にそれが切れちゃって。わたしが思うに、きみに必要だったのは『手抜き』だったと思うのだ」
 張り詰めすぎた気を緩めることもまた一つの仕事だと、麗刃は言葉を紡ぐ。しかしそれを聞いた神は、怒り狂うように無尽蔵に身体を振り回し始めた。それは求める答えではないと言わんばかりに、拒否するように。
 怒りの体現が収まると、今度は徐々に肉体を溶かし始めた。この怒りの感情をを解決する手段さえも無であると強調するように、溶けた身体が辺りを覆い尽くし、虚無へと変換する。麗刃は素早く虚無に飲み込まれないように距離をとったため、被害は一つもない。
「きみはもうどうにもできそうにないし、ちょっと長めの休憩をとるしかなさそうなのだ。せめて気を緩めた気分だけでも味わってもらおう!」
 敢えて麗刃は広がる虚無に足を踏み入れる。それに対して彼に痛みはなく、特に害はないようだ。虚無の海に害がないことを確認すると、お得意のギャグを披露するために気合を入れ始める。
「無、無無無むむむ…………」
 思いっきり唸り声を上げて、しっかりと自分に気合を入れる。神には彼が何をしているかなんてわかりはしない。わかる気さえも虚無へと返してしまっているのだから。
 そして、気合を解き放ったその瞬間、大きく風が吹いて神と麗刃の間を通り抜ける。
 放たれたのは、虚無の海に広がった麗刃の変顔とそれに見合わないかっこいいポーズ。シリアスな雰囲気が全て吹き飛ぶような風が、一度だけ吹いた。
 まったく持って不釣合いなその様子に、理解不能の動きを見せた神。わからないからこそ、逆に更にわからなくなっているようだ。
「ふっふっふ、これがわからないとはきみもまだまだ。よし、それなら休息を取るのはわたしのギャグを理解してからにしよう!」
 まだまだこれからだと言わんばかりに、麗刃のギャグは続く。神が休まるその時まで、何度でも、何回でも、繰り返し虚無の海のど真ん中でギャグ披露し、心に安らぎ(?)を届けるのみ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハルピュイア・フォスター(サポート)
絶望を与えるのがわたしの仕事…。
無表情で口調は事実を淡々と告げます

【暗殺】が得意です
また【迷彩】【目立たない】【闇に紛れる】【地形の利用】など使用して隠密にまた撹乱しながらサポート行動

回避は【残像】で、怪我は厭わず積極的に行動

武器;首にマフラーの様に巻いてある武器『零刀(未完)』は基本は両手ナイフだが鞭や大鎌など状況に合わせて形を変貌させ使用

他猟兵に迷惑をかける行為はしないが、デザート系は別問題…奪います

後はおまかせでよろしくおねがいします


ステラ・クロセ(サポート)
真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!
正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル!
スーパー純粋熱血、ハイパーテンプレ系ヒロイン、それがステラです。

一人称は「アタシ」ですが殆どの猟兵は先輩に相当するので話すときは「わたし、あなた」といった礼儀正しい振舞いとなります。
探索系はストレートな解決法を選び、
戦闘では正々堂々と敵の正面に立って攻撃を引き受け味方にチャンスを作る方が好みです。なお、近接戦闘派です。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
正義を大事にするので、他の猟兵の意図を阻害したり公序良俗に反する行動はしません。


ジャスティス・ボトムズ(サポート)
★アドリブ大歓迎

正義を執行することに全力を注ぐぜ。
敵と認識した相手は叩き潰す。
それが俺の正義だ。

俺は闘争や探索などあらゆるものをシンプルに考えて行動するのを好む。
戦い方は武器での攻撃と素手での格闘を敵を見て使い分けている。

物事はシンプルに考えて動いた方が白黒ついて分かりやすくなるってもんさ。

正義を執行するという意志は俺にとって絶対だ。
何があっても絶対にこれだけは曲げないぜ。

やること決めたら後は全力で突っ込んでいくだけだぜ。

技能は怪力、鎧砕き、存在感を使って力で問題解決を目指す。
正義を執行するのにはパワーをフルで発揮するのが俺好みだぜ。

正義の力で敵を叩き潰して、優しさを持って民間人に接するぜ。



●壁は高く、脆い。
 猟兵達は戦う。この土地に存在する神、もといオブリビオンを討伐してダークセイヴァーに僅かな安寧の地を作るために。
 猟兵達は戦う。狂気に堕ちた神に、ささやかな安らぎと休息を与えて眠らせるために。
 猟兵達は戦う。神への救いの道標を指し示すために。

 三人の猟兵が辺境の土地にたどり着いた。煌く身体が地に流れ落ち、闇を広げている様子が伺えた。
「これが広がってる間は……無敵、ってことね……」
 ハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)が神が広げた闇に紛れる。ユーベルコード『Last memory』を利用して自身の姿を隠し、得意な暗殺を行えるように準備を行う。その本体の弱点を探りながら、首に巻いた暗殺武器『零刀(未完)』の変形を利用して様々な攻撃を行っている。神は無敵とは言え、ある種の弱点がある様子だ。
「ほらほら! アタシはこっちだ、オブリビオン!」
 ステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)はユーベルコード『紅蓮の灼翼』を発動させ、その体を業火のサイキックエナジーで包み込み、勇気を顕現させた翼が大きく広げる。舞い上がる真紅の火の粉は爛々と輝き、神の視線をハルピュイアから逸らすために。その手に握られた武器『新焔・関勝大刀』は纏われた炎に同調するように、鋭さを増した。
「クソッ、本当に効いてるのかわかんねぇな!」
 ジャスティス・ボトムズ(正義の執行者・f22965)は己の正義を示すように、素手で神に重い一撃を与えたあとに武器をいくつも取り出して拳以外の一撃も当ててゆく。『ジャスティスランス』は彼の正義感に呼応しその姿を進化させ、『ジャスティスブレード』は正義の執行のために大きく振るわれ、『ジャスティスソード』は正義の執行のために悪を貫いた。
 三人の動きは阻害されることはなく、ほとんどの攻撃を寄せ付けない無敵の身体は無言を貫き鎮座している。それがオブリビオンの防御行動なのか、神が限界を迎えているからなのかはわからない。ただ、風が吹くたびに何かを伝えなければという意思が残っているのだろうか、時折身体を揺れ動かす。
 言葉を伝えなければ。言葉を聞かなければ。民の死が訪れてしまう。民が苦しむ事になる。そういった元の肉体の感情が無意識に働いているのだろうか。それはもはや誰にもわからないこと。

 ……だが今、彼らにとっては目の前にいる者はただのオブリビオンであり、倒すべき敵。僅かでもダメージを与えることで、次にやってくる猟兵にバトンを渡すために戦っている。
 例え敵が無敵になろうと、考えつく限りの攻撃を放って有効な手段を探る。そのために、彼らはあらゆる攻撃を打ち付けていた。
 しかし、ハルピュイアの暗殺も、ステラの炎も、ジャスティスの多彩な攻撃も、オブリビオンへの有効手段ではない。それらは『攻撃だから』弾かれているのではなく、『受け入れるものがない』から弾いてるようにも見えた。

 それでもなお三人は攻撃を続ける。オブリビオンの足止めを行い、領地を広げさせないために。
 狂った思想の神を、辺境の土地の外へと出さぬように。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

新山・陽
 貴方は、人の願いに明暗があることを知りません。
 それでは遅かれ早かれ、人は満足の中で分別を失うでしょう。これは互いが領分を越え、すれ違った果てに至った双方にとっての悲劇です。貴方は否定されましたが、無という否定されないだけの救いを掲げては、かつての貴方の愛があまりにも救われません。 

 そんな歪んだモノに憑依するから妙な具合になるのです。
 UC『ラッシュ』を用い、【破魔】や【浄化】を乗せた体術で目を覚まさせようとします。

 この土地と人々に、できうる限りを尽くした。それが貴方の愛なのでしょう? その愛だけは決して悪ではありません。
 かつて、貴方の行いに救われ、希望を抱いた人々を思い出せますか? 



●終わる世界に現れる最後の救済
 広がっていた闇が急速に縮まってゆく。陽が足を運んだ時には、既にそこにいる神は煌く身体をはためかせているだけ。言葉もなく、動きもなく、ただただじっと『何か』を待っていた。
 陽にはわかっている。神が、救いという名の『言葉』を待っているのだと。
 高鳴る鼓動を抑える為に小さく深呼吸。息を整え、少しずつ神の前へと歩み始めた。
「……貴方は、人の願いに明暗があることを知りません。これは互いが領分を超え、すれ違った果てに至った双方にとっての悲劇なのです」
 その言葉は救いを与えるための、序章に過ぎない。この結末が悲劇であることを知らせるために、数多の風で届けられた言葉から導かれた答えを彼女は口にする。
 ―――民に十分な愛を届けていた者が、民に否定されたことで新たな標を作り出し、否定されないだけの救いを掲げてしまった。それではかつての神が救われないと。
 陽の語る言葉に、煌く身体が微かに瞬いた。陽の言葉が風に乗せられて届けられているのだろう、否定も肯定もなく、ただ感情が揺れ動いたことを示していた。
「そんな歪んだモノに憑依されてしまうから、妙な具合になってしまったのです」
 ギリギリまで近づいた陽は素早く構えを取り、ユーベルコード『ラッシュ』を発動させて、己の持つ能力を最大限に発揮。持てる限りの破魔の力と浄化の力を乗せた体術で、神を一発殴る。目を覚まして欲しいと願うその一撃は、神たるオブリビオンの身体を思いっきりめり込ませる。
 しかし、最後の最後で神は陽へ反撃の一手を与える。身体に触れた途端に陽に小さな希望が瞬き、それを使うことこそがこの神を救う手段だという声が脳裏に響き渡った。
「……いいえ、それは違う。私には、そんな優しい夢(うそ)は通用しませんよ」
 はっきりと拒否の意志を見せた陽は、再び構えを取った。ユーベルコードによる強化を更にもう一段階跳ね上げ、夢(うそ)を打ち砕く拳を振りかざした。
 その一撃は神の身体に消滅の痕を与えた。もう、既に神の身体は限界を超えているのだろう。数多の猟兵達によって負わされた傷が修復出来ていない。それどころか、自身が『救い』を受け入れようとしているようにも見えた。
 神が『救い』を受け入れる前にと、陽は『救い』を与えた。たとえ最期だとしても、聞き入れると信じて。
「この土地と人々に、貴方は出来うる限りを尽くした。それが貴方の愛なのでしょう?」
 過去に行っていたそれらの行為は、絶対に悪ではないと伝えたくて。その行為によって救われた人々も必ずいるのだと声を張り上げた。
 反する言葉がないことはわかりきっている。神にはもう、陽に攻撃することも、何かを与えることも出来ないことは重々承知済みだ。煌く身体は少しずつ闇色の空に溶け、陽の言葉も虚空へと消えているのだから。
「かつて、貴方の行いによって救われ、希望を抱いた人々のこと。この一瞬でもいいから、思い出してください。貴方にとっては無数の出来事でも、その人々にとっては大きな救いだったのですから!」
 神へと向けた最後の大声は、完全に空へと消えた。その大声に反応するように、辺境の土地に一陣の大きな風が吹き……やがて、風が止まる。神の消滅を知らせるように、この土地の脅威が無くなったことを伝えるように。
 風が止んだ辺境の土地にて、陽は一人空を見上げる。救いの手を差し伸べた神を忘れぬように、救われた人々の想いを忘れぬように。

 早々に土地を離れようと歩き出した陽の耳に、小さな言葉が届けられた。
 「ありがとう」という、たった一つの言葉が。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月02日


挿絵イラスト