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凍てつく『三つ目』の賭け闘技場

#グリードオーシャン #七大海嘯 #宿敵撃破 #スィーア島 #三つ目 #ギャンブル

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『勝者、チャンピオン・リュウガ――――!!』
 試合終了のゴングが鳴り響くなか、蒼氷の装甲を纏ったサイボーグは血塗れの剣闘士を踏みつけながら拳を天に突き上げた。
 歓声と悲鳴が飛び交う闘技場で、視界が声を張り上げる。
『これにて本日の試合は全て終了。チャンピオンの単独勝利に賭けた奴らは、賞金持って家に帰んな! そしてぇぇぇ、賭けに負けたクソ野郎どもは肥溜め行きだァァァァ!!』
「嫌だァァァ!?」「儲けたぜぇ!」「ヒャッハー!」「チクショウ!」「だから言ったんだ、リュウガに勝てる奴が現れるわけねえって……うわああああああ!!?」
 大金を手にして浮かれる者の後ろで、別の誰かが異空間から染み出した汚泥に飲まれて消えていく。
 狂喜と死が渦巻く観客席を見上げるサイボーグの額に、『三つ目』の刺青が煌めいた。


「みんな、七大海嘯のウワサは聞いてるかしら?」
 伊達メガネをクイと持ち上げて、田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)は切り出した。
「かなりの大物らしいんだけど、今回はその一角『三つ目』の縄張りになっている島を解放してほしいのよ。
 そう言って、ユウナは映写機を操作して資料映像を映し出す。
 名称はスィーア島。島全体が大きな賭博場となっており、昔から海賊や冒険商人たちが立ち寄ってはギャンブルに身を投じる、アポカリプスヘル由来らしい退廃的で享楽的な雰囲気の島だったそうだ。
「それが一変したのは、『三つ目』の配下が支配者になってからよ。名は『凍龍の支配者』リュウガ。ヤツは島で行えるギャンブルを、自身がチャンピオンとして出場する賭け闘技場の一つだけに限定し、島民の参加を義務付けた。しかも、『賭けに負けたら死刑』なんて無茶苦茶なルールを付けてね」
 当然、島民たちも抵抗した。
 何人もの戦士が闘技場に挑んだが、結果は惨敗。誰一人として、リュウガに傷一つ付けることはできなかったという。
 しかし猟兵ならば勝てるはず……と、いつもなら続くはずなのだが、今回のユウナは歯切れが悪かった。
「……今回ばかりは難しいわね。何体ものフォーミュラを倒してきた皆から見ても、ありえないほどに強すぎる。……ただ、何かしら違和感があるのよねぇ。強さの秘密さえ見破れれば、あるいは……」
 何やらブツブツ呟くユウナだが、未来視に映らない以上は考えても仕方がないと首を振って、猟兵たちを現地へとテレポートさせる準備に取りかかる。
「向こうに着いたら、鉄甲船を一隻用意してるから、それでスィーア島に乗り込んでちょうだい。敵の迎撃があるだろうけど、船を沈められないようにしっかり守ってね。それか、敵の船を奪うか……とにかく、味方が使える船を一隻以上確保しておくこと」


黒姫小旅
 どうも、黒姫小旅でございます。
 此度は七大海嘯『三つ目』の配下が相手となります。いったいどんな戦いが待ち受けていることやら、MSとしても楽しみです。

●一章
 集団戦『汚す者』
 敵の鉄甲船が近づいてくると、何処からともなく空間を割ってドロドロしたものが襲いかかってきます。【船を守るか、あるいは敵の船を奪う】といったプレイングには、判定ボーナスが加算されます。

●二章
 ボス戦『『凍龍の支配者』リュウガ』
 賭け闘技場のチャンピオンにして、島の支配者。
 普通に戦っても勝ち目はありませんが……?
 プレイングボーナスについては、章の始めを参照してください。

●三章
 冒険
 何やら、島民から猟兵の皆さんに頼みごとがあるようです。
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第1章 集団戦 『汚す者』

POW   :    穢れの一撃
【汚染の泥】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    冒涜する命の進撃
レベル×5体の、小型の戦闘用【死した動植物に感染した同族】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    汚染の連鎖
【自身が放つ球体の黒光】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を感染して汚し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミラン・アレイ
まずは船で島に乗り込むんだねー。
よーし、敵船を奪ってわたしたちの物にしちゃおー!

敵の船が見えたら、【空中浮遊】で空を飛んで、敵船に乗り込もうとするよ!
空中から、小白竜[エルマ]の【ブレス攻撃】で甲板にいる敵を攻撃して怯ませた所で、敵船に降りるね!
すぐさま、雷霆剣を抜き放って【なぎ払い】で敵を撃退しつつ、敵船の占拠を狙うよ!
敵の攻撃は【見切り】でかわしつつ、雷の竜の息吹、UC【轟雷竜哮】をたたきこむね!

絡み、アドリブ大歓迎です!


霧島・クロト
しっかし、なァ、とっても懐かしい名前を聞いたな。
数年前に居なくなったと思ったら……
こんなトコに辿り着いてやがったか。
――『迎え』に行ってやるぜ、リュウ。

【指定UC】を【高速詠唱】。
相手の鉄甲船を手早く制圧する方で行くぜ。
高速で飛び移りつつ、空間が割れた所を【見切り】、
先を取って【属性攻撃】【マヒ攻撃】【呪殺弾】の
氷属性の魔弾で撃ち落としてくぜ。
無論、船体には被せねぇようにな。

船が航行可能な状態で確保出来るならキープ、ダメなら次の船だ。
向こうが数で押してくるってんならその数を『奪えば』いい。
やることはシンプルにそんだけさ。
まぁ乗ってきた船は――誰か守ってるだろ、たぶん。

※アドリブ可




 青い海に白波立てて、猟兵たちを乗せた鉄甲船が進んでいく。
 行き先はスィーア島。『凍龍の支配者』リュウガに支配された賭博の島だ。
「……懐かしい名を聞いたもんだ。あれから何年だろうな。居なくなったと思ったら、こんなトコに辿り着いてやがったか」
 甲板で潮風に当たりながら、霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)は口元を緩めて空を見上げた。バイザーの奥に隠れた瞳には、果たして何が映っているのだろう。
「――″迎え″に行ってやるぜ、リュウ」
 一言では言い表せない、複雑だが真っ直ぐな決意を込めて呟いた、その時だった。
「敵襲ッ! 敵の船が来たよ!」
 舳先で見張りに立っていた竜神の少女、ミラン・アレイ(ドラゴンガール・f29182)が声を上げた。急いで駆けつければ、行く手から十あまりの鉄甲船が隊を組んでやってくるのが見える。
『進むのならば覚悟を決めよ。これより先は「七大海嘯」が一人、「三つ目」の縄張りである!』
 威圧的な声が響いたかと思うと、敵船の上空にパックリと裂け目が開いた。裂け目は一つだけにとどまらず、十、二十と立て続けに発生しては″向こう側″からドロドロした液状の物体『汚す者』が海へと流れ落ちる。
「うえー、ひっどいニオい」
「コイツは、長居して欲しくない相手だな。速攻で行くぜ!」
 汚染された海水が漂わせる悪臭に顔をしかめながら、クロトとミランは魔力を纏って甲板を蹴った。
「北天に座す、貪狼の疾さを――!」
「おいで、エルマ!」
 クロトは【氷戒装法『神速の貪狼』】を発動。氷の波動に身を包み、高速戦闘状態へと変身する。
 そしてミランは眷族たる小白竜[エルマ]をテレパシーで呼び寄せると、竜翼を並べて滞空しながら同時に肺を膨らませた。
「灼き尽くせ――! 【轟雷竜哮】!!」
 雷を司る神竜の息吹と、その眷族が吐く竜の火が、混ざり合って『汚す者』を覆った。紅炎に沸騰するヘドロを蒼雷が駆け巡り、高圧電力によって瘴気が分解されて、海は美しさを取り戻していく。
 ドラゴンブレスの合体攻撃によって汚染区域が浄化されたところに、氷風と化したサイボーグが突入した。
 単身敵船に乗り込んだクロトは、眼球に装着したデバイス『極天の導:貪狼』で空間の裂け目をロックオン。『凍滅の顎』と銘打った超大型拳銃を連射し、次々と裂け目を撃ち抜いては氷結の呪いを付与した魔弾でもってドロドロを根元から凍り付かせていく。
「一丁上がり……と言いたいところだが、そう簡単にもいかねえか」
 射程圏の裂け目をあらかた潰したクロトの前には、早くも新たな敵影が現れていた。
『うー』『あー』と言葉にならない呻き声を上げながら、『汚す者』に取り込まれて同化してしまった犠牲者たちが船体を這い上がってくる。さらに上へと目を向ければ、汚染を連鎖させる黒光を放つ球体がいくつも集まっていた。
「うひゃー、まだこんなに残ってるんだ。あんまり強くないけど、数だけは半端ないね」
「だったら、その数を”奪って”やるだけだ」
 小白竜とともに甲板に降り立ったミランが目を丸くすると、クロトは肩を竦めて両腕のガシェットから冷気を噴出する。
「さっさと制圧して、次の船に行くぞ!」
「そうだね。いくよエルマ、がーお!」
 神速で飛び出すクロトに続いて、ミランも雷霆剣を抜き、眷属を従えて怪物の群れに斬り込んでいく。二人と一匹が放つ氷炎雷の三大属性が敵船を蹂躙し、忌まわしき汚泥を消し飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御剣・刀也
ふふふ。強い相手がいる
血が騒ぐぜ。が、その前に片付けなきゃならない雑魚がいるか
いいぜ。かかって来いよ。行きがけの駄賃だ。みんなあの世に送ってやる

穢れの一撃で、泥を投げてきたら第六感、見切り、残像で避けてダッシュで一気に自分の距離に持ち込んで、捨て身の一撃で斬り捨てる
どこからともなく現れるとのことなので、物量で押されないよう、鉄甲船の上に陣取って、自分隊の船に攻撃してくるのを優先的に倒す
「スライムとも違うやつだな。まぁいい。リュウガとやりあうまでのつまみくらいにはなるだろう」


地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
ちっ、クソ汚え連中が出てきたな。人が乗る船をこんなんでドロドロにされちゃたまんねえっつーの!

【指定UC】を使って黒竜を召喚する。
こいつは対象にとっての"災厄"となりうるものを【おびき寄せ】る。
例えば放った泥が何故か蒸発する羽目になって乾いて意味がなくなるとか。
船を狙ったが海にぽしゃるとか、超局地的な渦潮でそいつらだけ飲み込まれたりとか……対象にとって、だから船を巻き込むことはねえハズだ。
それでもきたら泥被りながら【怪力】込めた【グラップル】の応用で投げ飛ばすなり何なりで海に突き落とすぜ。
ついでに俺も落ちそうだが、泥臭いよりは潮臭い方がマシだな……でもシャワー浴びてえ……!!


三池・悠仁
うぇ、素直に近づけさせてくれないのかよ
船を奪うか守るかかぁ~…
俺は奪うだけの突破力持ち合わせてないんだよな
奪ったり倒したりするのは、他の得意そうな方々に任せるって事で!
俺は船を守るのに徹するな

UC【紅ク染マッタ硝子】を使用
船に襲いかかってくる敵を対象に攻撃していく
これで1つぐらい敵の技を封殺だか相殺出来ればいいんだけど

所で本体のドロドロした気持悪いのは、あれ物理攻撃が利くのか疑問なんだけど
元々俺のUCだと決定打には欠けると思うから、《時間稼ぎ》にしかならないけどさ
触りたくないし近づきたくないな~って…うん




 ――カッ!
 空間に生じた裂け目から流れ出るドロドロが生み落とした球体が、冒涜的な黒光を放った。汚れを伝染させる光線が猟兵たちの鉄甲船へと殺到した、その時。
「紅い、赤い、朱い――【紅ク染マッタ硝子】」
 赤硝子の花が咲き乱れ、黒光を受け止めた。
「うぇ、気持ち悪い……」
 光線の当たった花弁にこびりついた汚れを見て、三池・悠仁(幻想世界の迷子・f20144)は胃液が逆流してきそうになる。
「あんなもん、触るどころか近寄るのも嫌なんだけど……ここは船を守って、時間稼ぎに徹するかな」
 そもそも攻めるの苦手だし、と言い訳がましく呟いてユーベルコードの操作に集中する。
 ネガティブな姿勢に反して、悠仁の防衛力は圧巻であった。半径58m以内を自在に飛び回る花弁を操り、敵群の動向と攻撃の予兆を見切って、たった一人で船を守り通す。
「……いや、なんかおかしい?」
 あまりに上手く行きすぎている、と悠仁は困惑した。
 汚泥の弾丸を受け止めた花弁が砕けたと思ったら、″たまたま″真下にいた別の敵に割れた破片が降り注ぐ。ガラスで反射させた黒光が、″偶然にも″進軍するオブリビオンに命中する。
 いくらなんでも此方に都合が良すぎるのではないか? この偏った展開はいったい……
「だれか、味方からの支援……幸運を司るユーベルコード?」
「惜しいが、似て非なるものだぜ!」
 考察する悠仁の頭上に、大きな影が掛かった。
 黒竜の背に乗って登場したのは、地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)。向こう一年の幸せな生活を代償に召喚した【【喰穢】黙示録の黒き竜】は、敵対するものにとっての″災厄″を呼び寄せる。支援ではなく妨害。不運を押し付けられたオブリビオンはまともに戦うこともできず、結果として猟兵たちの船は安全を保たれていた。
「んにしても、クソ汚え連中が出てきたもんだ。こんなんに俺らの船をドロドロにされちゃたまんねえっつーの!」
 流れてくる『汚す者』を見やって悪態をつく凌牙だが、まさかそれが聞こえたのだろうか。大量のドロドロが苛立つように波打つと、一塊に集まって巨人のごとくに伸び上がり、すべてまとめて押し潰しに掛かった。
「……マズイな。この量は、俺の【紅ク染マッタ硝子】でも防ぎきれない」
「いや、何とかする。そっちは船を頼んだ!」
 呻く悠仁に守りを託して、凌牙は黒竜を駆った。
 反り立つ汚泥の小山に自ら飛び込み、怪力に任せて捻転。回りながら竜翼を広げて粘り気のある泥をかき回し、こちらの動きに巻き込むようにして流動の方向を船から逸らす。
 ドドドドォォ――――!! と小山が一気に崩れ落ちた。凌牙は泥もろともに海中へと沈みながらも、こうなることを予期して残しておいた余力を振り絞って脱出して……
(ゴポポ……っ!? あれは!)


 鉄甲船を飲み込まんとしていた汚泥の津波は、直前で左へと曲がって海面に落ちた。水しぶきと一緒にヘドロが船へと飛ぶが、すかさず悠仁がガラスの花でもって防ぎ事なきを得る。
「……って、安心してる場合じゃねえ! 誰か、落ちた奴の救護を頼む!」
「それなら、俺が行こう」
 船を救った代わりに海へと消えた凌牙が浮かんでこないことに気付いて声を上げると、他所で一戦終えて戻ってきた御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が応えた。
「雑魚の相手をしてたせいで、さっきのデカブツを斬り損なったもんだから、気持ちを持て余してたところだ。ちょっくら行ってくるぜ」
 どこか楽しんでさえいるような声色で、刀也は甲板から身を投げた。慌てて悠仁が展開したガラスを足場に、戯れる飛燕のように残像を生む体捌きで宙を駆けながら、敵の生き残りが投げつけられる泥の塊を回避しつつ凌牙の気配を探る。
 ……。…………「がぼごぼっ!?」
「そこかっ!」
 沸き立つ泡沫にヒトの呼気を感じて急行。海面に浮かぶヘドロを日本刀で切断すると、その下から白髪黒鱗のドラゴニアンが顔を出す。
「よう、水も滴るいい男って感じだな?」
「ごほっ、げほっ! ……だあ、臭っせェェ!?」
 汚された海水にまみれた凌牙は悪臭に悶絶しながら、刀也の手を借りてガラス花によじ登り、飲んでしまった汚染水をひとしきり吐いてから顔を上げる。
「た、助かった……けど、ちょっと緊急事態だ」
 と、彼は海中で見た光景を告げた。
 それは、深い水底を進軍するオブリビオンの群れ。海上での激戦を隠れ蓑にして、見えない場所から船を襲おうとしている部隊の存在だった。
「奴らはすぐそこまで来てた。急いで対処しないと、船底に穴を開けられることになるぞ」
「ふうむ、なるほどな」
 話を聞いた刀也は何度も頷いて、ニヤと不敵にほくそ笑んだ。……そういう話であれば、自分の得意分野だ。
「せっかくの奇襲だったのに、事前に見つかっちまうとは”災難”だったな。海の中から上がってくる前にぶっ倒せばいいだけだ」
 そう言って振り上げたるは、不撓不屈の煌めきを宿す日本刀『獅子吼』。命すら捨てる覚悟を込めた一斬を、海面へと落とす。
「――【剣刃一閃】!」
 刃先が潮水に触れた瞬間、命中したあらゆる物を切断するユーベルコードが発動。物理法則すら切断する斬撃によって、前から後ろへ海面に一筋の線が引かれて斬割し――…………
 ――チャキ。納刀の鍔鳴りと同時に断面が元に戻る。左右へと分かたれた、気が遠くなるような水量が再び一つになり、その衝撃でとんでもない大渦潮が発生した。ミキサーの内部のごとく暴れ狂う海流にもまれて、海中のオブリビオンはバラバラに引き裂かれてしまう。
「一網打尽、っと。歯ごたえのない雑魚ばっかだが、量だけはなかなかだったな。本命のお相手、リョウガとやらに当たるまでのツマミくらいにゃなったかね」
 修羅の笑みを浮かべて、刀也は船の行く先に目を向ける。
 どうやら、他の猟兵たちの戦いも決着が近いようだ。後は、仲間が奪った船を引き連れて島に乗り込むだけである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『凍龍の支配者』リュウガ』

POW   :    凍龍牙呪『氷獄の苗床』
攻撃が命中した対象に【癒えない凍傷】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【対象の身体を突き破って生成される氷柱】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    凍龍牙陣『封絶の凍檻』
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【氷柱】で包囲攻撃する。
WIZ   :    凍龍飛翔『凍龍の暴虐』
全身を【凍て付く冷気】で覆い、自身の【解放した、メガリス『凍龍の神核』の力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は霧島・クロトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『汚す者』の襲来を退けた猟兵たちは、ついにスィーア島へとたどり着いた。
 無人の港に鉄甲船を停めて、次々に上陸していくと、島の中心部にドデンと構えている巨大な砦の門が開いて、黒服の人間が現れる。
「諸君! 海上での戦い、見事である。我らがチャンピオン・リュウガは、諸君らの戦い振りを見て、挑戦者としての資格ありとお認めになった。もし、命と名誉を懸けた戦いに挑む気概があるなら、ついてくるがいい!」
 …………。
 えらく上から目線であるが、目的のコンキスタドールと戦える場所まで連れていってくれるらしい。
 虎穴に入らずんば何とやら、猟兵たちが言われた通りに門をくぐると、案内役を申し出た一人の黒服がそっと身を寄せてきた。
「アンタら、本気でリュウガの野郎に勝つ気なら、いいこと教えてやる。……アイツの強さの秘密についてだ」
 時間がないから歩きながら話そう、と黒服は促して、周りを気にしながらヒソヒソと話し始める。
「原理は分からんが、野郎は【観客がリュウガの勝利に賭けることで強くなる】みたいなんだ。今じゃほぼ全員がリュウガに賭けるからな、まさに無敵だぜ」
 言葉の端々に、深い憎しみが滲んでいる。彼も内心ではリュウガの敗北を望んでいるのだろう。
 しかし、ではリュウガが負ける方に賭ければいいかというと、そう簡単な話ではない。
「賭けをハズせば死刑ってのが、今の島のルールだ。強化を抜きにしても、リュウガは強ぇ。どうしたって勝つんだから、命が惜しくてそっちに賭ける。結果、野郎はさらに強くなる。完全な悪循環だ。
 ……だが、アンタらなら! アンタらならリュウガに勝てると、観客に信じさせることができれば、無敵化を解除して勝ちの目を出せるかもしれねえ!」
 目を血走らせて懇願する黒服に、猟兵たちは必ず勝利してみせると頷き返した。


『さあ、盛り上がっていくぜ、テメエら! 本日のチャレンジャーは、無敵無敗のチャンピオン「凍龍の支配者」リュウガに挑むため、わざわざ海を越えてやってきた命知らずども、イェーガーだぁぁぁ!!』
 マイクを手に喚きちらす司会を横目に、猟兵たちは賭け闘技場のステージに上がった。
 先ほど黒服から教えられた勝利への条件が思い出される。
 ①、【観客に、猟兵が勝つ方に賭けさせる】こと。試合前の投票時間にアピールできるらしいので、そこで自分たちならリュウガに勝てると信じてもらう必要がある。
 ②、戦って勝つ!

『試合はチャンピオンV.S.挑戦者チームの一体多数、乱闘形式。武器でも魔法でも何でもあり、タイマン挑もうが徒党を組もうがOKの、ルール無用残虐バトルだ。
 最後に立っているのは我らがチャンピオンか、それとも挑戦者どもか! テメエら、どっちに賭けたらいいか分かってるよなぁぁぁぁ!?』
御剣・刀也
お前さんが大将か
まぁ、随分と下らん小細工してるみたいだな
どれ程の強者かと胸を踊らせたが、がっかりだよ

覇気を全開にして観客の気勢を削ぎ、こいつらならと思わせる
が、言葉では語らず闘志と日本刀で闘う姿を見せて自分達に賭けようと思わせる
凍龍牙呪『氷獄の苗床』は第六感、見切り、残像で避けつつ、勇気でダメージを恐れず、ダッシュで懐に飛び込んで捨て身の一撃で斬り捨てる
被弾して氷柱が生えても、怯むことなく気にせず闘志をむき出しにして斬りかかる
「強い奴と闘えると思って楽しみにしてたんだが、小細工を使わなきゃ強くなれんとは。肩透かしも良いところだ。孫な強さじゃ、俺の中の修羅は起きねぇよ」


地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
猟兵側が勝てばいいんだろ?俺のちからが役に立つハズだ。
【指定UC】で【鼓舞】しよう。

「宣言する!今のこの島はクソッタレだ!
賭けはスリルを楽しむもんだ、分の悪い賭けをして一か八かの刹那的な快楽を味わうからこそクセになる……だが今はどうだ!
命惜しさに楽しむこともできねえなんざそんなの最早賭けでも何でもねえだろうが!
約束するぜ、俺らが勝てば今のルールを撤廃する!今の環境から抜け出したい奴はついてこい!俺たちがお前らにその幸運を与えてやる!!」

これで賭けた連中の不運は喰った、あとはみんなが動きやすくなるよう戦闘では攻撃を【おびき寄せ】続けるぜ。
奴を倒すには相応しい奴がきてるしな。


三池・悠仁
俺決定打に欠けるっていってんだけど…
実況?のマイク掻っ攫って
嬉々として全力で観客煽ります

本日も盛り上がってんな!賭け闘技
今回完全無敗なチャンピオンに挑むのは
海を越え山も越え宇宙すらも駆け抜け、神すらその手でぶん殴る命知らずの馬鹿野郎共!
イェーガーだっ!!!
今回ちっぽけな島で胡坐かいてるチャンピオンの横っ面ぶん殴る気満々なんだよ!!
テメェらに愉快な面白ぇ番狂わせ見せてやんよ!瞬きしてる暇はねー!
さぁ、今賭けなきゃいつ賭けるってんだっテメェら
此処で日和るか?
ちげーだろ?なら判ってるよな、誰に賭ければいいかってよぉ

よし
後はリュウガ巻き込んでのUC【ガラスのラビリンス】発動
機動力は削いだんで、任せた


ミラン・アレイ
闘技場に入って、まずやることは客向けのデモンストレーション!

【天候操作】で雷雲を呼ぶこと!
それから雷霆剣を抜き放って、天高く掲げ、凛と通る大きな声で一言!

「天なる雷よ!我が雷霆剣に力を!」

で落雷を派手に何度も刃に落とし収束!
雷を操る神剣だからこそ、落雷を収束させて刃に纏わせるねー!

戦闘はUC【幻神】で自分の分身を創って、二人時間差で攻撃、【残像】も重ねて攪乱を狙うよ!
相手に隙を作って、味方の攻撃のチャンスを生むため!

さらに、わざと大ぶりの一撃を放って相手の大技を誘うよ-!
大技を【見切り】、相手の【体勢を崩した】所で、【カウンター】!
【怪力】で全力の【なぎ払い】を放つよ!

絡み、アドリブ大歓迎!




『勝つのはチャンピオン・リュウガか、チャレンジャーの猟兵どもか! さあ、賭けろ!』
「賭けろ、ったってなぁ」「どうせ、リュウガが勝つんだろ?」
 テンションの高い司会とは裏腹に、客席の方はいまひとつ盛り上がりに欠けていた。これまで幾度となく同じことを繰り返してきて、今回だって同じようにリュウガの一人勝ちで終わるものと決めつけてしまっている。
「んー、空気悪いなー」
 どこかシラケた雰囲気に、ミラン・アレイ(ドラゴンガール・f29182)は口を尖らせた。これでは猟兵たちがどんなパフォーマンスをしたところで、まともに見てくれるかも分からない。まずは観客の意識を変えなければ。なるべく、シンプルかつ派手に、
 ――バリバリバリバリバリッッ!!!
 眩い閃光とともに、空をぶち割らんばかりの轟音が落ちてきた。
 バリバリッ!! バリバリバリッッ!!
 二度、三度と立て続けに落雷。闘技場にいた全員が声を失い、稲妻を吸収して青白く帯電する雷霆剣に目を奪われた。
「ツカミはOK、ってやつだね!」
「ちっとは目を覚ましてくれたみたいだな」
 雷を操る神剣を掲げるミランの隣に、覇気を立ち上らせて御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が並ぶ。その圧倒的な存在感でもって、今回の挑戦者はこれまでと一線を画すのだと知らしめたところで、さあ次だ。
『――飛ばしていくぜ! 瞬きしてる間に乗り遅れんなよ、賭け闘技場!』
 突然、司会とは別人の声が響き渡った。
 いつの間に奪ったのやら、拡声器を片手に三池・悠仁(幻想世界の迷子・f20144)が声を張り上げる。
『完全無敗なチャンピオンに挑むのは、海を越え山を越え宇宙すらも駆け抜けて、神すらその手でぶん殴る命知らずの馬鹿野郎共! その名もイェーガーだっ!!! ちっぽけな島で胡坐かいてるチャンピオンの横っ面ぶん殴る気満々だぜ! テメェらに愉快な面白ぇ番狂わせ見せてやんよ!!』
 いまだ姿を見せぬチャンピオンの入場ゲートに中指を立てて挑発する悠仁に続いて、地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)がマイクを引き継ぐ。
『敢えて言おう、今のこの島はクソッたれであると!!』
 開口一番、カゲキな言葉で聴衆を引き付ける。もはや観客席には、諦観と退屈に沈んだ顔など一つもなかった。
『賭けってのは、スリルを楽しむもんだ。分の悪い賭けをして、一か八かの刹那的な快楽を味わうからこそクセになる。……だが、今はどうだ! 命惜しさに楽しむこともできねえなんざ、そんなの最早賭けでも何でもねえだろうが!』
「そうだそうだ!」「もっと言ってやれ!」「ギャンブラーばんざーい!」
 焚きつけられた観客たちが、熱に浮かされたように叫ぶ。ここが決め時と見て、凌牙と悠仁は拳を突き上げた。
『約束するぜ、俺らが勝てば今のルールを撤廃する! 今の環境から抜け出したい奴はついてこい! 俺たちがお前らにその幸運を与えてやる!!』
『さぁ、今賭けなきゃいつ賭けるってんだっテメェら。此処で日和るか? ちげーだろ? なら判ってるよな、誰に賭ければいいかってよぉ!』
 イェーガー! イェーガー! イェーガー!
 闘技場全体が合唱する。久しく忘れていた賭博士の魂を揺り起こされた観客たちは熱狂し、彼らの身体に吉兆の刻印が浮かび上がった。
 ユーベルコード【【喰穢】祝福の標】。凌牙の言霊に込められた黒竜の力が、聞き入れる者の不運を喰らって幸福を招き寄せるのだ。
「なんだか、ツキが向いてる気がするぜ!」「上等だァ、アンタらに乗ってやる!」「猟兵に賭けるぞ!」
 我先にと投票所へと駆けこんでいく観客たち。つぎ込まれる金貨の山と引きかえに、次々と受け取っていく賭け札に描かれているのは、すべてチャレンジャー側の勝利を示す紋様だ。チャンピオンに賭けようという者の姿は、一人も見当たらない。
 ……第一目標達成、である。
 これで、無敵と言われるほどの超パワーアップは解除されたはずと、猟兵たちが頷き合ったその時だった。

『…………ずいぶんと、好き勝手してくれたようだな』

 チャンピオンゲートの奥から、冷気を纏った青いサイボーグが姿を現わした。
 スィーア島の支配者にして賭け闘技場の絶対王者、『凍龍の支配者』リュウガは憎らしげに猟兵たちを睥睨する。
『まさか島民どもを言いくるめるとは驚いたが、無駄なことだ。貴様らを血祭りにあげて、賭ける対象を間違えた愚か者どもの前に晒してやる』
 猟兵たちと観客たちの命、そしてこの島の命運を賭けた戦いが幕を開けた。


『見るがいい、我がメガリス「凍龍の神核」の力を!』
 ゴングと同時、リュウガは絶対零度の輝きに包まれて宙に舞い上がった。高速飛行モードに移行したリュウガは、眼下の猟兵たちを照準して続けざまにユーベルコードを高速詠唱。
『食い散らかせ、【凍龍牙陣『封絶の凍檻』】!』
 全身を包む冷気が鋭い形に凝固したかと思うと、無数の氷柱となって射出された。複雑軌道を描いて飛翔する氷柱は、牙獣の群れのように狙った獲物を取り囲んで逃がすことなく八つ裂きにするだろう。
「俺がやらせねぇけどな!」
『ぬっ!?』
 ――ギャンッ! と耳障りな音が響いて、リュウガは白一色に覆われた。
 悠仁の【ガラスのラビリンス】である。戦場全体をガラス製の迷宮に作り変えるユーベルコードによって、氷柱の群れは見えざる壁にぶつかって爆散。その衝撃で生まれたひび割れと冷気による霜のせいでガラスは真っ白に曇ってしまい、内側に囚われたリュウガは視界を封じられる。
「んでもって――解除!」
 ガラス迷宮の消失。残された霜や氷片がキラキラと舞う中、風を切って突っ込んでいく若き神竜の姿が。
「さあ、いくよ!」「わたしの動き、見切れるかな?」
『馬鹿にするな!』
 ユーベルコード【幻神】によって幻影を作り二人になったミランは、残像を生む飛行技能によって四人にも八人にも十六人にも増殖したように見せかけて敵の目を惑わせる。
 対してリュウガが選択した対処法は、しらみ潰し。残していた氷柱を全弾射出し、それが実体なのか残像なのかに構わず片っ端から撃ち落としにかかった。いくつもの氷柱が幾何学模様を描いて飛び回り、ミランの影を貫いては消し貫いては消して残像を減らしていく。
『ええい、残像ばかり……本物はどれだ!?』
「こっちだよ!」
 真下から声。
 目を向ければ、凍龍牙陣を抜けたミランがすぐ足元にまで迫ってきていた、
「あれだけ撃ちまくっておいて、一発もわたしの方に来ないって……いやあ、ツイてるよね」
『このッ!?』
 凌牙の吉兆印が刻まれた頬をニッと持ち上げながら斬りかかるミランを、リュウガはとっさに冷気を纏わせた足刀で払いのけた。火花を散らしながら雷霆剣が脇に流れたところへ逆足の前蹴り、無防備になった腹部へ爪先を突き刺す。
『まず、一人!』
 今度こそ間違いなく人肉を蹴り抜いた感触に、リュウガは残忍な笑みを浮かべて――ミランの体が消滅した。
『なっ、これも影だと!? 手応えは確かに……!?』
「わたしの【幻神】はね、実体のある幻を作るんだよ」
 驚愕するリュウガの頭上に回り込んだ、本物のミランが雷霆剣を振り上げた。攻撃直後の隙だらけな後頭部へ、ありったけの技能を駆使した一撃を打ち落とす。
『ガッ……ァ!?』
「ん? 首に当たったはずだけど、斬れなかった? 頑丈だねー」
 バレーボールのように地面へ叩き落されたリュウガを、ミランは小首をかしげて見送った。


『ガ、ぐグググ。お、おのれ、客どもが普段通りに賭けてさえいれば、この程度の連中に後れを取ることなどないというのに』
「おいおい、お前さん大将だろ? 情けないことを言うんじゃねえよ」
 異音を立てる首周りの駆動部を抱えながら毒づくリュウガに、刀也が呆れた声をかけながら歩み寄った。
 修羅を自負する剣士は期待外れとばかりにため息をつき、仲間と同じ刻印が浮かんだ肩を刀の峰でトントンと叩いてから、上段に構えを取る。天を衝くような雄々しい構えだ。刀也は満ちたぎる一撃必殺の気魄で敵を威圧しながら……いざ!
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」
『ぐぅ……【凍龍牙呪『氷獄の苗床』】!』
 放たれた矢のごとく瞬発すると同時に、リュウガも動いた。決して癒えることのない凍傷の呪詛を拳に宿して殴りつける……地面を。
「っ!?」
 対象としたのは刀也ではなく、闘技場のリングそのもの。凍龍のメガリスが生み出す呪力が一面に広がり、グラグラと揺れる地面を突き破って飛び出してきた氷柱が刀也に襲いかかった。
 予想外の攻撃。頭が真っ白に――ズルッ! 凍てついた地面に足が滑り、体が泳いで……――――

 気付いたら、氷柱の囲いをすり抜けていた。

 ……今のは!?
 足を滑らせ、転倒すまいとバランスを取りつつ、氷柱を回避しようとしたら体が勝手に動いた。偶然のハプニングと体に覚え込ませた武技とが合わさって実現した、形容しがたい足運びで一足飛びにリュウガへと肉薄した刀也は、全身全霊をもって刃を振り下ろす。
 よく見ておけ、博徒ども。お前たちが正しい方に賭けたことを証明してやる!
「――――【雲耀の太刀】!!!」
 持てる力のすべてを尽くした斬撃は、試合前に闘技場に落ちた雷を彷彿とさせて、無敵と謳われたコンキスタドールの装甲を切断した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧島・クロト
命が惜しいのはどれだって誰だって一緒だよ。
絶対な安全を選ぶのは当然。
だが、『鏡のように同じ存在がぶつかったら』。
どうなるかお前ら説明つくのか?
絶対が絶対じゃ無くなったら――
アイツは、お前らの命を保障してくれるって言うのか?

俺の戦いはまぁシンプルだ。攻撃を【見切り】、
氷の【属性攻撃】【怪力】【マヒ攻撃】【生命吸収】での格闘戦を
【フェイント】織り交ぜての【2回攻撃】ラッシュだ。
――ただ殴り飛ばすだけで『勝ち』にはいかねぇよ。
全て、【指定UC】での、力が宿ってるんだからな。
アイツ自身の言葉で、『終わらせる』んだよ。

――安心しろよ。リュウ。
迎えに来たんだから『帰る』に決まってんじゃねぇか。

※アドリブ可




 寄らば大樹、と古人も言っている。
 命の懸かった選択を強いられて、片方が絶対安全と言われれば、そちらを選ぶのは当然のことだろう。唯々諾々とリュウガに賭けようとしていた観客たちのことを、笑うことはできない。
 ――だが、絶対が絶対でなくなったとしたら?
 唯一最強であったチャンピオンと、『鏡映しのように同じ存在』が対峙したとき、真に命を預けるに値する相手とはどちらであろうか?

 その答えが今、出される。

『グ、ああ、ア…………』
 スィーア島に君臨し続けたコンキスタドールは、急所を絶たれて死を迎えようとしていた。すでに勝敗は決したことはリュウガ自身も理解しており、怨嗟を込めて猟兵たちを睨め上げる。
『おのれ、覚えているがいい。必ずや骸の海から蘇り、貴様らの息の根を止めてやる!』
「悪いが、それは聞けねえ相談だな」
『ッ、貴様は!?』
 進み出たのは紫黒のサイボーグ、霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)。色合いこそ違うものの、リュウガのそれと瓜二つなボディデザインに、瀕死のコンキスタドールは息を呑んだ。
「迎えにきたぜ、リュウ」
『ぐ、う……ウオオオオオオ!!』
 クロトが穏やかな表情で拳を握ると、リュウガは何かに突き動かされるようにして立ち上がった。
 兄弟ここに再会を果たし、巡り巡ってきた二人の因果が重なりあう。
「正しき標の光を――【氷戒装法『極星の光導』】」
『凍えて喰われろ――【凍龍牙呪『氷獄の苗床』】』
 片や相手の魔力に干渉する冷気を、片や決して癒えぬ氷呪を、それぞれ手甲に宿して殴りかかった。
 剛腕が唸りを上げる。軽妙なステップで相手の拳を躱し、逆にこちらの攻撃は見切られないようフェイントを交えてタイミングを狂わせる。
『シィッ!』
 蒼拳がクロトの頬を掠めた。たちどころに顔を凍傷が侵食して、皮膚を突き破る氷柱が白髪を赤く染める。
「ッラア!」
 カウンター気味にリュウガの肘をかち上げて、関節の駆動をマヒさせるとともに内部の魔術回路に干渉して流れる魔力を吸収する。
 猛然としたラッシュの応酬。周囲に氷風を巻き起こしながら、黒と蒼の閃光が交錯した。魔獣が互いを喰らいあうように二人のサイボーグが熱戦を繰り広げる様子に、観客たちは野次も忘れて見入っている。
「ラアアアアア!!」
『オオオオオオ!!』
 拳が交差して、ついに相手の真芯を捉えた。命中はまったくの同時。双方、拳を相手の胸部に打ち込んだ姿勢のまま静止して、一秒、二秒。
 ズシャア! とクロトの背から何本もの氷柱が生えた。血塊を吐くクロトに対してリュウガは無傷で……――――
 ――唐突に、呪わしき冷気が霧散した。
 クロトの【氷戒装法『極星の光導』】は、相手の肉体を傷つけることなく邪心のみを砕くユーベルコードだ。オブリビオンとしての『破壊の意志』を失ったリュウガの体から力が抜けて、クロトにもたれかかる。
『…………ク……ろ……』
「おう」
『ここ、は……暗いよ。……なにも、見えない。これから、何処へ行けば……?!』
「んなもん、決まってる」
 寄る辺ない迷子のようにすがり付くリュウガを、クロトはしかと抱きしめた。
「迎えに来たって言ったろ? ”帰る”に決まってんじゃねぇか」
 震える背中を叩きながら、安心させるように、寝かしつけるように囁きかけると、リュウガはかすかに口元を緩ませて、
『…………』
 唇が紡いだ声なき言葉は、クロトのみが知るところ。
 魔術回路が完全停止したことで、冷気の排出も止まったリョウガの躯体は徐々に温かみを取り戻していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『賭博場』

POW   :    ハイリスク・ハイリターンの賭けを行う。

SPD   :    テクニックやイカサマで勝利を引き寄せる。

WIZ   :    計算やカウンティングで確率を読む。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『凍龍の支配者』リュウガ、完全討伐!
 因果の鎖は絶たれ、かのコンキスタドールが復活することは二度とないだろう。
 永遠に続くかと思われていた圧政の終わりを目の当たりにして、観客たちが大騒ぎしている中、リュウガの秘密を伝えてくれた黒服の男が猟兵たち許にやってきた。
「アンタら、本当にやってくれたんだな! 何と礼を言っていいか分からねえぜ!」
 一人一人にキスでもして回りそうな勢いで、黒服は感謝の言葉をまくし立てる。そして少し落ち着いてきたところで、表情を引き締めた。
「大変な戦いだったろうし、ゆっくり休んでもらいたいところなんだが……実はもう一つだけ、急ぎで解決してもらいたい問題があるんだ」
 そう言って、黒服が猟兵たちを連れて向かった先は、砦の最上階。下での
喧騒がウソのように静まりかえった廊下を進み、やがて大きな扉の前で立ち止まる。
「ここは、かつてVIP用カジノルームとして使われてた部屋でな。島全体を見渡せる展望フロアがあるんだが、そこにリュウガの野郎が遺した『海賊旗のメガリス』が掲げられてるのよ。あの旗があると、リュウガの親分である『三つ目』から増援が送られてくるらしい。だから、一刻も早く燃やしちまいたいんだが……」
 と、黒服が苦虫を嚙み潰したような顔で扉を開けると、そこにはズラリと男たちが並んでポーズを決めていた。
『来やがったな猟兵ども!』
『俺たちはリョウガさん腹心の部下たちだ!』
『戦闘力はゴミだが、専用ユーベルコードによりギャンブル以外の勝負では倒せないんだぜ!』
『海賊旗のメガリスが欲しけりゃ、賭けで俺たちから奪い取るんだな!』
 ……。…………。
「とまあ、あんな感じでな。島の奴らは闘技場以外の賭博を長いこと禁じられてたんで、アンタらに頼みたいんだ。この世界の文明レベルーー『大航海時代』って言ったか?ーーで再現できるゲームなら何でも用意できるはずだから、好きにやってくれ」
 今までの死闘とは打って変わったテンションに戸惑いながらも、猟兵たちはカジノルームに入っていく。
 何はともあれ、自由賭博が解禁されたスィーア島で行われる最初のギャンブルだ。せいぜい楽しむといいだろう。

 ……さあ、何で遊ぶ? 何を賭ける?
御剣・刀也
POW行動

何か賭けろ?
そうだな。なら、俺は命を賭けよう
俺が腕相撲で負けたら、この命くれてやるよ
その代わり、お前らが負けたら、大杯の酒を飲んでもらう

腕相撲勝負をしつつ、相手の弱さに、思わず欠伸等が出てしまう
一対一だと時間がかかるので一人対多数で相手して、一気に相手の数を減らしていく
それでも、相手の弱さに思わず本気を出すことを躊躇いつつ、全力で捩じ伏せて自分に挑んでも勝ち目はないぞ。と悟らせ、それでも挑んでくる奴だけ相手する
「お前らごときが俺の命に届くとは思えないが、ちょうど良いハンデだろ?お前らみたいな雑魚には」




 カジノルームに入室した一人目の猟兵は、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)だ。
「勝負の方法だが、腕相撲でどうだ?」
『面白い、ならばオレ様たちが相手だ』
 テーブルに片肘を乗せて見せると、敵の中でも特に屈強そうな大男ばかりが集まってくる。
『で、何を賭ける?』
「そうだな。俺は命を賭けよう。その代わり、お前らが負けたら……」
 ドン! と傍らに置かれるのは、ラウンドシールドかと見紛うほどに巨大な酒杯。
「コイツに並々一杯、飲んでもらおうか」
『自分の命と、酒一杯だぁ? てめえ、シラフで言ってんのか?』
「これぐらいで丁度いいんだよ。お前らごときに力負けなんかしたら、どっちにしろ腹切りモンだしなぁ。…… 一対一じゃハンデが足りないか。時間の節約にもなるし、数人まとめて来いよ」
 不敵に笑って手招きなどする刀也に、大男たちはいたくプライドを傷つけられた様子でこめかみを引きつらせた。
『小生意気なガキがぁ!』『後悔しても知らねぇぞ!』『そこまで言うなら、まとめて相手してもらうぜ!』
 小振りなテーブルに三人並んで突き出してきた太腕を、刀也は笑みを浮かべたまま握り返す。
 ――握り方を確認、肘位置を調整、オールレディ……Fights!
『『『うおおおおおお!!』』』
 初っ端から全力全開。大男たちは三人の心を合わせてあらん限りの力を振り絞るが、刀也は手の甲に血管を浮き上がらせる程度でびくともせずに、
「フンッ!」
 ただの一息で捩じり伏せた。
「……なんだか、弱いものイジメした気分だぜ」
 あまりの呆気なさに罪悪感すら覚えながら、刀也は虫みたいにひっくり返った三人組に歩み寄ると、酒を満たした大杯を突き出す。
「勝負の内容はどうあれ、賭けは賭けだからな」
『ぐぐぐ』『……初戦に勝ったくらいでいい気になるなよ』『次に控えてる連中は、てめえの予想をはるかに超え……ガボボボボボッ!?』
「強敵が来るなら願ったり叶ったりだっての。んなことより、さあ飲んだ飲んだ」
 負け惜しみを吐く口に、容赦なく酒を流し込んでいく刀也。器用に足を使って相手の体を固定し、逃げることも許さずに一人ずつ順番に飲ませると、杯の縁を拭いながら振り返る……が、
「さて、次に相手してくれるのは…………あ?」
『うぅ、ぎぼぢわるい』『あ、頭痛ぇ』『Zzz……』
 対戦の順番を待っていた男たちが、死屍累々と横たわっていた。……まさか、酒のニオイだけで潰れたのか?
「……お前ら、そっちの方も弱いのかよ」
『だ、大丈夫。我ら、ギャンブル以外で斃れることは……オロロロロロ』
 かくして、ある意味予想外の展開で敵戦力を大いに削った刀也であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三池・悠仁
マジかよ
しゃーない、賭けるしかないのか
とりあえず事前にUC【小さき仲間】を使用しておきます
賭ける物は~…どうしよう?あっちが勝ったら、俺抜けとく?戦力減みたいな

カードで出来ればブラックジャックかなぁ
基本は親と自分のカードを覚えて山札内のカードの予想を立てての確率…
カウンティングっていうんだっけか?
記憶力勝負になるけど、戦闘よりは良いかな

ブラックジャック以外での勝負の時や、他のメンバーがやってる時は
小さき仲間で《情報収集》という名の盗み見でもしようかな!(
望まれたり、必要そうならメンバーと情報共有で!
リスキーなのよりは小当たり狙って行きますね


霧島・クロト
一旦リュウの身体を補修だけしてから、戻ってくんぜ。
今から行われるのは――部屋の中だけの秘密にしなきゃなァ。

そう、勝った奴が負けた奴を『好きにする』っての。
俺が勝ったら――てめぇら全員舎弟な。

やることはシンプルに腕相撲たけど、まぁこれ自体は単純。
勝てそう、って思わせるような各種【フェイント】かけた後【怪力】で速効で捻り潰すのさ。

で、どうしても駄々捏ねたり醜態晒すんなら【指定UC】。
リュウにも『ダメ押し』して貰お。

え、リュウ?
……そこにいるけどなんか言って欲しいかァ?

※アドリブ可




「賭けで勝つしかないってマジかよ。……しゃーない、戦闘よりは楽だろうし、やりますか」
 面倒くさそうに頭を掻きながら、三池・悠仁(幻想世界の迷子・f20144)がテーブルに着くと、ディーラー風の男が対面に立つ。
『まずはゲームと賭ける物を決めな』
「そうだなぁ……カードゲーム、出来ればブラックジャックかな。賭けるのはこっちの戦力。負けたら俺抜けるわ」
『ほほう! ということは、勝ったらオレを仲間にしようという算段だな!』
「……別にいらないかなぁ」
 などと言っているうちに、トランプのデッキが運ばれてきた。
 箱を開け、イカサマが仕掛けられていないことを確かめてから、オブリビオン側が『親』になってゲーム開始だ。
 ブラックジャックのルールは至って簡単。まずプレイヤーである悠仁が適当に持ち点をベットすると、カードが配られる。プレイヤーは追加のカードを引くか否かを選択し、最終的に手札の数字の和をより21に近付けた方が勝利だ。21を超えてしまうとバストといって自動敗北になるため、何処までカードを引き続けるかが悩みどころとなる。
「……スタンド。この手札で勝負する」
『勝負。……親が18、プレイヤーは17。オレの勝ちだな』
 チップを回収しながらディーラーが鼻で笑うが、悠仁は構いもせずに手札を捨て場に放り込んで、次の賭け金を置いた。
 ……『3・7・8』と『3・4・Q(絵札は10として扱う)』か。
 脳内に描いた表に、今の勝負で使われたカードを書き込む。
 彼が行おうとしているのは、カウンティングと呼ばれるブラックジャックの必勝法だ。使用済のカードを暗記することで、山札に残されているカードの内訳を把握。次に引くであろう数字の確率を算出する。
 逐一カードを記憶しながら確率計算も並行するのは、かなりハードな頭脳労働だ。脳細胞が焼けつくほど回転し、その割に序盤はデータが少ないので勝敗に反映されずくじけそうになるが、山札が減ってくるにつれて徐々に効果が現れ始める。
「……手札12でスタンド」
『ビビりすぎだろ。オレの手札は13だから、負け確定だぞ。まあ、ルールで親は16越えるまで引かなきゃなんねえ……って10!? 21オーバーでまた負けかよ!?』
 ディーラー悲鳴を上げて、カードを投げ捨てた。
 悠仁の勝率が異様に上がり始めたのは、山札の高さが半分を切ったころからだった。比較的大きな数字が残っていることに気付いて、少なめの手札で勝負するようになった悠仁に対して、ディーラーはバストを連発。自動敗北させることで悠仁は順調に得点を稼いでいく。
 もう勝利は目前。あとは油断せず、手堅く最後まで駆け抜けるのみ。
「……さて、他のヒトは上手くやってるかな?」


 悠仁が舞台裏で召喚していた【小さき仲間】の仔猫たちは、猟兵たちの足下を駆けずり回っては興味津々と瞳を輝かせて賭けの行く末を見守っていた。
 こちらはその一人、霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)のテーブル。
「ブエーックショイ! 何だよこの猫、どっから入り込みやがった!?」
 涙と鼻水でグショグショだった。
「チクショウ、俺は猫アレルギーなんだ。これから腕相撲で勝負だってのに……」
 席に着いて早々、勝手に苦しみだしたクロトを見て、周りの男たちが活気づかないわけがない。つい今しがた別の猟兵に同じゲームで無双されたばかりだが、今度こそ勝てるに違いないと次々に参加を宣言する。
『ふっはっは! 何だか分かんねえが、チャンスだぜえ!』
『腕相撲に勝った方が、負けた奴を好きにする。テメエから言い出したことだぜ!』
『逃げようたって、もう遅いぜ。途中退席は負けと決まってんだ!』
「グズ、グズッ……わ、分かってら」
 やる前から勝ち誇った様子で突き出される手を、クロトは赤く腫らした目をこすりながら握り返し……
「うおおおおおお!!」
 連戦連勝である。
 いざ勝負が始まると、クロトは仮病用の鼻水セットを投げ捨ててフルスロットル。書類の山に判を押していく管理職よろしく、ベシンベシンと相手の手をテーブルに叩きつけていった。
『テメエ、猫被ってやがったな! 猫アレルギーだけに!』
「上手いこと言ってやったみたいな顔してねえで、次の奴出てこいやァ! 途中退席は負けなんだろう!?」
『うわああああ!?』『ぎゃああああ!?』『イヤだああああ!?』
 逃げることも許さず、蹂躙に次ぐ蹂躙。
 ものの数分で、辺りは死体(比喩)の山に埋め尽くされることとなった。クロトは殺虫剤でも浴びたように痙攣する男たちの傍に寄って、顔を覗き込む。
「俺の勝ちだな。約束通り、好きにさせてもらうぜ。――てめぇら全員、俺の舎弟だ!」
『しゃ、舎弟だと!?』『ぐぐ……』『オレたちにはリュウガさんという、心に決めたヒトが……』
「ったく、往生際の悪い連中だな」
 賭けに負けたというのに未練がましくウジウジしている男たちに、クロトは嘆息。ダメ押しするために、【氷戒龍装『七天導きし凍龍』】を発動すると、後ろの扉が開いて補修したばかりのリュウガが現れた。
『なっ、リュウガさん!?』
「リュウは俺の兄弟だ。今はこうして共に行動してる。……これでも、まだ文句あるか?」
『うぐぐ……』『そ、それは……』
 敬愛する大将の再臨に、男たちは動揺を隠せない。クロトと肩を並べるリュウガや、仲間たちの顔を見比べて、激しい葛藤の末……
『――よろしくお願いします、クロトの兄ィ!!』
 最後には、全員そろって頭を下げたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
畜生、普通の力比べなら自信持って勝負挑めるのに賭け勝負かよ!俺負け確だよここにくるまでどんだけ"穢れ"食ったと思ってやがる……!(ぶつぶつ)

だーもー、なるようになっちまえ!!
【指定UC】を発動した状態でポーカーだろうがルーレットだろうが何だってやってやる!!
確実に俺にツキはねえがそっちにツキも回ってこねえような事態にしてやる!
小規模の地震でロイヤルストレートフラッシュがなかったことになって引き直したらワンペアだったりノーペアだったりしちまえ!
ギリツーペア程度の運なら穢れに塗れようが引き寄せてみせるぜ……!

え、俺のせいだって?いや地震なんて起こせるワケねえじゃん(すっとぼけ)




 地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)が身に宿すのは、不運不幸を喰らう黒竜の力。ここに至るまでの戦闘で何度も能力を発動してきた凌牙は、蓄積された″穢れ″を体にこびりつく黒い淀みとして視認する。
「もう全身真っ黒だよ! この状態で賭け勝負って、負け確じゃねえか!」
 せめて普通の力比べなら……などとブツクサ文句を垂れる凌牙。一応は腕相撲とかでもいけたみたいなのだが、筋肉系で挑もうとしたら青い顔で拒否された。何か、心を折られるようなことでもあったのだろうか?
「だーもー、なるようになれだ! どんなゲームでもかかって来やがれ!」
 頭を掻きむしって、凌牙は目の前にあったポーカー台に着いた。いかにもやけっぱちな様子に、ディーラーは鴨が葱を背負ってきたとばかりにほくそ笑む。
『そうカッカすんなよ、兄ちゃん。ツキがにげるぜ?』
「うるせー! 今の俺は運勢最悪なんだよ。初めからツキなんかあるわけがねえ」
 大人ぶった忠告にも耳を貸さず、テーブルにチップをぶちまけてゲーム開始を迫る。
「……こうなったら、てめえも道連れだ。俺と同じ地獄に引きずり込んでやる!」
 かくして、阿鼻叫喚のポーカーが幕を開けた。


「っしゃ、ワンペア!」
『……ノーペア。負けだぁ!』
「次だぜ。……どっちもノーペアか」
『役が同じ場合は、カードの数字が強い方の勝利。つまり、Kを持ってるオレの勝ちだ!』
 開始から二十分ほど、ずっとこんなんである。
 誇張でなく、まったくもって役が揃わない。ノーペアで当たり前、たまにワンペアでも出来れば喝采というしょっぱい戦いは、ドングリの背比べとしか言えなかった。
 そんなでもなんやかんや勝敗を決められるあたり、ポーカーってよく出来てるんだなぁ、と感心の至りであるが、ディーラーの男からすれば冗談ではない。魔の第三コーナーばりに事故が多発する手札に、ストレスは溜まっていく一方だ。
『こ、この……テメエは疫病神かなにかか!?』
「ひでえこと言うけど、アンタ三連勝してるじゃんか。……全部ノーペアだけど」
『こんな勝ち方スッキリしねえんだよぉぉぉ…………お?』
 ディーラーは嘆きながら新しい手札を配り、その中身を確かめた途端に顔色を変えた。
『来た、来たぜえええ!! 今までのクソ展開も、これで帳消しだ! とくと見やがれ、ポーカー最強の役、ロイヤルストレートフラッばあしゃぁぁぁ!?』
 よほど嬉しかったのか、ポーカーフェイスすら忘れて小躍りする男の姿が、突然テーブルの下に消えた。何に蹴つまずいたのか、悲鳴とともにカードが宙を舞い、さらに振動で盤上に置いてあった山札まで引っくり返ってしまう。
『う、痛てて……はっ! オレのロイヤルストレートフラッシュは!?』
「あー、派手にやっちまったな」
 テーブル越しに覗き込んで、凌牙は顔をしかめた。
「こりゃ、もう一回シャッフルして仕切り直しだな」
『は? そんな……オレのロイヤルストレートフラッシュ……』
 ディーラーは現実を受け入れられないように、呆然と床を見下ろした。奇跡的な大役の揃った手札は、散乱したカードに紛れて区別できなくなっていて……あ、逃げた。
『やってられっか、こんな糞ゲーム――ッ!!』
 走り去っていくディーラーは泣いていたような気がしたが、見なかったことにするのが武士の情けであろうか。
「……ともあれ、あれは棄権ってことでいいよな?」
 厳しい戦いだったがなんとか勝てた、と凌牙は達成感に満たされながら、椅子の背もたれに体重を預けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャロライン・メイ(サポート)
ダークセイヴァーの貧民街の生まれ。生きるため、悪事に手を染めてきた。ある日商人から一振りの剣を盗み出す。剣は呪われており、その邪悪な魔力によって、呪われし黒騎士へとその身を堕とす。その冷酷な様を人々はアイスドールと呼ぶ。

自身の半生に強いコンプレックスを持ち、心の中では常に自己を否定し続けている。死に場所を探しているかのような言動をとることがある。

ダーインスレイヴ~漆黒の魔剣による強力な一撃。
ライフドレイン~魔剣の血塗られた鉄鎖が無数の棘に変形し敵に突き刺さる。

「私は泥の中で生まれた。泥の中であがいて、泥の中で朽ちて消えるだけさ。」

エロやグロに巻き込まれなければ、どんな展開でも大丈夫です。




『……こいつはマズいな』
 猟兵たちがどんどん勝ち進んでいるのを見て、一人の男が密かに舞台裏へと姿を消した。男は人目を忍んで展望フロアへと出ると、風にはためく海賊旗をソロソロと下ろしていく。
『これを奪われたら、オレたちはおしまいだ。今のうちに……』
「景品の持ち逃げとは、感心しないな」
 涼やかな声が、男の背中に投げかけられた。
 無人だったはずの展望フロア、柱の影から歩み出てきたのは長い白髪の女だった。キャロライン・メイ(アイスドール・f23360)は、その称号が示す通りの冷酷な眼差しを男に向ける。
「貴様らのような手合いは、よく知っている。やはり、素直にメガリスを差し出すつもりはなかったか」
『くっ、う……ま、待て!』
 キャロラインから放たれる凍えるようなプレッシャーに、男は慄きながらも手で制止しようとする。
『こ、ここではギャンブルで勝負って話だったはずだ。だから、一つ賭けようじゃねえか。アンタが勝てばメガリスを渡す。その代わり、オレが勝ったら見逃してくれ』
「自分からルールを破っておいて、何を今さら……だが、まあいいだろう。乗ってやる」
『へへっ、そう来なくっちゃ』
 男は安堵の笑みを浮かべ、懐から何かを取り出すと放ってよこした。受け取ってみれば、何の変哲もない6面サイコロである。
『シンプルに行こう。一つずつダイスを振って、出目が大きい方が勝ち。一発勝負でどうだ?』
「分かった」
 頷いて、軽く手の中で転がしてからサイコロを投げる。二つの立方体は軽やかな音を立てて地面を転がり、コツンと角をぶつけ合って静止した。
 その結果は――――キャロラインが『3』、男が『6』。
『ヒャッハー! オレの勝ちだな。じゃ、約束通り見逃して――』
「……待て」
 意気揚々とサイコロを拾おうとした、男の手をキャロラインの靴が踏みつけた。
『痛ッ!? な、何すんだよ!?』
 抗議の声を無視して、キャロラインは男が投げた方のサイコロを摘まみ上げると、一面ずつ注意深く確かめていく。上を向いている『6』から順に『5』『4』――『4』『5』『6』。
 四五六賽! 出目を書き換えたイカサマサイコロである。
「フンッ、古い手を使う。さっきも言ったが、貴様のような手合いはよく知っていてな。まともに勝負する気はないだろうと思っていたら、案の定だ」
 鼻を鳴らして指に力を込めると、木製のサイコロはパキパキッと音を立てて握り潰された。風に飛ばされていく木片に、男の顔から血の気が引いていく。
「さて、イカサマが見破られた以上は、貴様の負けなわけだが、何か反論はあるか?」
『う、ぐぐぐ……うわああああああ!!?』
 敗北を突き付けられた男は、返す言葉もなく崩れ落ちた。頭を掻きむしりながら泣き喚くのを尻目に、キャロラインは『三つ目』の海賊旗を拾う。
「これを燃やせば、島は完全に解放されるんだったな。早く、中の連中にも知らせてやるか」
 戦利品を肩にかけ、カジノルームへと戻っていくキャロライン。ほどなくして、大きな歓声とともに一筋の黒煙か上がった。
【END】

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年09月28日
宿敵 『『凍龍の支配者』リュウガ』 を撃破!


挿絵イラスト