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祈りが憎悪になった理由(作者 御巫咲絢
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●奇跡を"魔女の仕業"と断じられた時代
 ――かつて動乱の時代、奇跡を呼び起こした娘がいた。
 動乱を終わらせ、人々に救いを齎した聖女として人々から崇められていた娘。
 しかしそれが終わって間もなくして、娘は処刑台に上がることとなる。
 長きに渡る戦争の爪痕……神に仕える者たちですら最早疑念と狂信に支配されてしまっていた故に、人の身では起こせぬ程の奇跡を引き起こした娘は"魔女"としてその命を散らす運命を背負わされてしまったのだ。
 「聖女様」と親しげに声をかけていた者たちですらその疑念に飲み込まれ。
 娘を尚も慕い続け庇おうとした者たちは皆殺され。
 魔女を殺せと罵声が飛ぶ中で命を散らすその瞬間は、絶望と狂気に陥るには十分すぎた。

 ――ああ、ああ。
 最早何という"喜劇"だろう?

 ならば、私はなってやろうじゃないか。

 世界を呪う、本物の……!!

●そして最後の"奇跡"は成された
「……そうして彼女は魔女になった。
 骸の海より帰還したオブリビオンという魔女に――そして今、ダークセイヴァーのとある人類砦を襲おうとしています」

 淡々と語るグリモア猟兵、終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)。
 狙われている人類砦はかつて吸血鬼の支配から辛くも逃げ延びた人々によって作られたばかりの集落だそうで、大人手が非常に少ないという。
 予知したのは食糧が底を尽きかけており、確保に向かおうとした大人たちがオブリビオンに襲撃され、そのまま流れるように……という酷く惨たらしい光景のようだ。

「ここはまだできて間もなく、設備もロクに整っていません。この状態で襲撃を受ければ間違いなく壊滅します。
 かの聖女の境遇には同情しますが、最早狂気に呑まれ果て人々を無差別に襲う魔女となった以上、討伐するより他にないでしょう」

 魔女には異端の神の祝福を受けた異形共が彼女の配下としてついて回っており、尖兵としてそいつらがけしかけられているという。
 魔女として処刑されたかつての聖女に神の祝福を受けた異形が侍るというのは何とも皮肉なものだ。
 人類砦を襲うオブリビオンの全滅、これが今回の猟兵たちの任務となる。

「僕が迎えないのが心苦しいですが……状況は一刻を争います。一匹たりとて集落に近づけてはなりません、近づけたら最後、人々は成す術もなく皆殺されてしまうでしょう。
 どうか彼らの"日常"を護るべく、奴らを討伐してください。お願いします」

 戦いに赴く猟兵たちに、日明は深々と頭を下げた。





第2章 ボス戦 『堕ちた聖女』

POW ●慟哭の血涙
【天より無数に降り注ぐ炎の槍】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD ●怨嗟の絶叫
自身に【禍々しい怨念を帯びた鮮血で作られた翼】をまとい、高速移動と【呪力を帯び、任意の形状に変形する血液の刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ ●憎悪の鐫録
【生者への嫉妬と怨嗟に突き動かされる状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠イサナ・ノーマンズランドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【MSより】
第一章ご参加ありがとうございました!
第二章のプレイングは9/28(月)8:31より受付開始、執筆は9/30(水)より開始致します。
断章は明日中には投下予定です。
途中からの参加も歓迎ですので引き続き皆様の素敵なプレイングをお待ち致しております!
●嘆きと怒りの聖女
 異形共であった灰が、風に攫われていく。それに血に濡れた髪を靡かせながらその娘は猟兵たちを鋭く睨みつけていた。
 傷ついた素足で地に立ち、体中のあらゆる傷は塞がれることなく今も尚彼女の衣服をじわりじわりと赤く染め上げる。
 流れる血は魔女になったことを示すかのように翼として背中に形を成しながら滴り落ちては彼女の辿った足跡に小さな水たまりを造っていた。
 恐らく、魔女として処刑された当時と一切変わらぬ痛ましくボロボロな姿……されど瞳は憎悪と殺意の漆黒の炎で燃え滾る。

「ああ、ああ……何故。何故彼らは殺されねばならなかった」

 口から紡がれるは生前の記憶。
 最後まで彼女を聖女と信じ、疑心と狂気に塗れた信者共にその首を刎ねられた者らへの想い。

「私が魔女と断じられ処刑されるだけなら構わなかった……それが真の意味で動乱を終わらせ、これ以上の嘆きが消えるならば黙ってこの身を捧げるのも構わなかった!
 だけど、だけど何故彼らが、あの子たちが、殺されなければならなかったのだ!何の罪もない人々が何故意味もなく殺されなければならなかったのだ!!」

 聖女様と、最後まで慕ってくれた者たちは皆、一様に魔女の眷属として処刑された。
 老若男女問わず、子供ですらも容赦なく、無惨に晒し首となってしまった――聖女の怒りと憎悪を燃え上がらせるには十二分すぎる理由。

 彼女はきっと、"今も尚聖女であった"のだ。

「ああ、ああ!許せない、許さない!!
 罪無き人々を殺めその光を奪っておきながら裁かれず生き延びるなど……!!!
 奴らの血を全て根絶やしにしなければ私は眠ることなどできはしない!!邪魔をするな猟兵共!!
 貴様らも奴らに加担するというのならば私と同じ痛みを味わわせてくれる!!!!」

 だが、その募った憎悪はまさしく彼女を一種の"狂えるオブリビオン"たらしめてしまったのだろう。
 その血脈が今も生きているかわからず、その血筋の者であるかも判別がつかず。
 故に人類砦を狙って攻め入ってきたとなれば、最早その歩みを力ずくで止めねばなるまい。

 同情するなとは決して言えない、だが容赦はしてはならない。
 この悲しき聖女を、止めなければならないのだから。