レトロゲーとタイムアタックとなんやかんや
●レトロな街並みのレトロなゲームカフェにて
『質問者はお前か』
「えっアンタ誰?」
ピコピコとチップチューンをヘッドフォンに響かせながら、8bitなゲームを遊んでいたキマイラさん。
まるで"プライバシー保護のために音声を変えています"といった風の声に呼びかけられて振り向くと、そこにいたのはシルクハットにロングコートというの人物でした。その人は大きなシルクハットを目深に被っている上に、立てたコートの襟のために表情を覗い知ることはできません。
『コレの質問者はお前か』
差し出された端末に表示されていたのは某ゲーム攻略の掲示板でした。
そこに書き込んだ覚えのあるキマイラさんは答えます。
「ああ、最近見つかった新作の。どこになんて書いたっけ」
『やはりお前か』
そう言うと同時に手の平程の大きさの銀色の円盤がその人の周りに沢山出現しました。
円盤はレトロ風なゲーム機に次々と突き刺さり、粉々に破壊してしまいます。
周りにいた他のキマイラさんたちは驚いてカフェの外に逃げ出しました。
「ちょ、まだクリアしてないのに! ていうか突然なんなの!?」
何の説明もなく突然実行された蛮行に目を白黒させるキマイラさん。
『ゲハハハハ、こんなところも攻略できないなんてセンスがないんだよっ。今度の大会に出ても惨敗するだけだしな』
そう言ってシルクハットとロングコートの人物は飛ぶようにカフェから去っていきました。
「え、本当に一体何だったの……?」
ゲームカフェには呆然と佇むキマイラさんと、粉々になったゲーム機だけが取り残されていました。
●
「へいへーい、なんやかんやで集まってー。依頼の説明を始めるよ!」
カスタネットを高速で鳴らしながら赤星・緋色(バーチャルキャラクターのガジェッティア・f03675))は猟兵達に呼びかけていた。
「ほいほいっと。じゃあ雑に説明するね。行先はキマイラフューチャー! みんなにやってほしいのは最新のレトロゲームを使ってなんやかんやする怪人の退治かな」
最新のレトロゲームとは。集まった猟兵達は訝しんだ。
「旧人類の作ったレトロゲームに分類されるゲームで、コンコンして出る場所が最近見つかったんだ。だから最新のレトロゲーム。8bitとかなんとか」
なるほど、と頷く猟兵達。
「それでね、その最新のレトロゲームを扱っている攻略サイトの掲示板なんだけど。攻略の質問してきたキマイラさんたちの前に実際に現れて、ゲーム機を壊したり大会に参加しないように脅したりしているとかなんとか」
なぜ怪人はそんなことを。猟兵達は再び訝しんだ。
「そのゲームの大会が今度開催されるんだよ。その主催者が怪人。キマイラさんたちをゲームでフルボッコにして、勝利した動画を配信。旧人類の凄さをなんやかんやでアッピルしようと企んでいる感じ」
よくいるタイプの怪人の事件ですね。キマイラフューチャーの依頼に参加したことがある猟兵達は納得する。
一見実害はなさそうでも、オブリビオンの起こす事件は止めなければならない。
「それで攻略サイトとかで研究しているガチ勢を先に潰しておいて、招待参加の初心者だけを相手にして確実に勝とうと思っているみたい」
そして怪人のやる事が無駄に狡い。
「攻略サイトの掲示板でのなんやかんやを解決すると、その怪人は自分で開催したレトロゲー大会に出てきて優勝を攫おうとするよ。普通に勝負するだけならいいんだけど。その大会で怪人がチートを使って優勝して旧人類の凄さをなんやかんやアッピルしようとしているから止めてあげて。チートで負けたらキマイラさんたちかわいそうだし!」
「まとめると、やることは三つかな!」
作戦目標と書かれた画面に手書きで書きこんでいく。
「一つ目! 怪人が解決(物理)をするより早くキマイラの質問者さんたちの質問に答えてあげること」
びしっと鋭くも読みにくい字で書きこんでいく。
「二つ目! 怪人にゲームで勝つこと」
ささっと知恵の輪より歪んだ字で書きこんでいく。
「三つ目! 怪人を倒すこと」
「たぶんこんな感じ。説明おしまいっ」
緋色の手にホログラムの芋のような形をしたグリモアが出現する。そこからホログラムの蔦や葉が伸び、転送するための門を形成した。
「一応戦闘もあるから、死なない程度に頑張って解決してきてね。はい、しゅっぱーつ!」
再びカスタネットを高速で鳴らし始めると、無駄に元気に猟兵達を送り出した。
血染めの羊
猟兵の皆様、今日は。若しくは今晩は。或いはお早うございます。そしてほぼ漏れなく初めまして。
こちらはキマイラフューチャーを舞台にしたシナリオとなっています。
1章:冒険。キマイラさんたちの質問を怪人より先になんやかんやで解決します。
2章:冒険。アクションゲームのタイムアタックになんやかんやで勝利します。
3章:ボス戦。なんやかんやで倒します。
という構成で進みます。1つ目の質問については「こんな質問が来るはず」というものをプレイングに書いて頂けると本当に来ているかもしれません。質問の回答者は猟兵であることが分かる仕組みになっていますので、余程変なことでない限り「猟兵さんが言うなら」となんやかんやで納得してもらえるかもしれません。
第1章 冒険
『怪人の突撃☆アポなしお悩み解決!』
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POW : 気合や情熱が籠った言葉で解決。あるいは力が必要なら任せろ!
SPD : 的確なアドバイスで解決。もしくはスピード、器用さがいるならお任せ
WIZ : 精神的なケアで心を癒す。またはハッキング等で怪人のサイトに相談をできない様にしたり
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
その町はUDCアースでいうところの1980年代から90年代をモチーフにしたと思られる街並みだった。
コンコンして得られる物品もその年代に合わせたものが多く出現するという。
猟兵達に与えられた部屋の一室。
そこには周辺から集められた8bitな新作レトロゲームの数々と、掲示板アクセス用の端末が設置されていた。
猟兵達が端末から該当の攻略掲示板にアクセスすると、シンプルな文字のみのモノカラー攻略掲示板が表示された。
該当年代を意識したであろうツリー形式の掲示板は盛況のようで、既に多数の文字が並んでいる。
・ステージ5-2がクリアできません
・アイテムの場所教えてください!
・入口に入れなくなるバグ皆さんどうしてますか?
・さっぱりわかりません
等々。
事前に受けた説明によると、見た目はレトロなものの、サーバーや回線は最新の物が使用されているため多数のアクセスにも耐え得る仕様だという。
更に発言者が管理人であれば「(管)」が、猟兵であれば「(猟)」、怪人であるならば「(怪)」が名前の末尾に自動で付与されるという謎の新設設計なのだとか。
これもオブリビオンの蛮行を阻止するためと、猟兵達は早速質問への回答を開始するのだった。
佐藤・非正規雇用
質問掲示板だと?
ったく、最近のキマイラは根性ねえなぁ。
俺が若い頃は、ぶつぶつ……と文句を言いながら対応。
えーと、なになに
「ヒロインの1人、トルテちゃんを落とすにはどうすればいいですか?」
だと?
【POW】
バカヤロウ!! 毎日通え!!
おはようからおやすみまで見守るんだよォ!!
声を掛ければ掛けるほど好感度は上がるから!!
それから、お前が経済的に自立してるところを見せつけろ!!
そのためには蕪! そう、蕪を育てて毎日プレゼントしろ!!
野菜を渡されて靡かない女はいねェ!!
こうして僕はハーレムを作りました。
ゲームの中でな。
●ニセメガーヌ
「ふぅ」
一つため息をつき、天井を見上げる。
瞼を閉じてゲームクリアの余韻に浸る。
窓からは朝日が差し込み、反射した光で彼の鱗はキラキラと輝いていた。
「まさか最後の洞窟で親友が倒れ、支援者と太刀で切りあう羽目になるとはな」
彼はゲーム機のコントローラーを置いて一つ伸びをする。
そして椅子から立ち上がると、部屋の中央にある端末に向かって歩き出した。
彼は佐藤・非正規雇用(裏切りメガネ・f04277)、竜派ドラゴニアンの猟兵だ。
プレイしていたのはカラーズオブダンディ、通称CoDと呼ばれるタイトルで、キマイラフューチャーでは世界大会が年1回開かれるほどの人気シリーズ。ジャンルは恋愛fpsサバイバルADVに分類されている。
端末に辿り着くと件の掲示板を覗き込む。
「質問掲示板だと? ったく、最近のキマイラは根性ねえなぁ。俺が若い頃は……」
ぶつぶつ文句を呟きながらキーボードとブラウン管の位置を彼の身長に合うように位置調整していく。
そして目的の質問板を探し出し、まだ回答者が現れていない質問を見つけた。
「えーと、なになに『攻略対象の1人、トルテちゃんを落とすにはどうすればいいですか?』だと?」
とは言え、"幻の8bit版"と呼ばれる最近発見されたばかりの旧作。流通量はまだ少なく、攻略情報ともなると極めて少ない。
「トルテちゃんか。おまけモードで特定条件をクリアした時だけ出てくるキャラだな」
おまけモードでは主人公が総理大臣となり、ゾンビに囲まれた議事堂から意中の相手の元へと敵を薙ぎ倒しながら通い、親交を深めるという内容のものだった。
所謂隠しキャラとなれば攻略情報そのものを知っている者はいなかった。そう、完全攻略を成し遂げた彼を除いては。
非正規雇用は拳を強く握り、大きく息を吸い込むと、その魂をぶつけるために画面に向き合う。
「バカヤロウ!! 毎日通え!! おはようからおやすみまで見守るんだよォ!! 声を掛ければ掛けるほど好感度は上がるから!!」
思いの丈を叫びながらキーボードを叩く。彼の脳裏に攻略時の映像がフラッシュバックする。
減っていく残弾。
レッドゾーンでぎりぎり踏みとどまるライフ。
難所で何度も失敗してはセーブポイントからリスタートする。
選択肢を間違えていたことに気付いて序盤からやり直すこともあった。
「それから、お前が経済的に自立してるところを見せつけろ!! そのためには蕪! そう、蕪を育てて毎日プレゼントしろ!!」
叫ぶと共に再び攻略時の記憶がフラッシュバックする。
尽きる弾丸。
上がらない好感度。
貴重な水を使い、畑で蕪を育てる。
翌日ゾンビに踏み荒らされ、無残な姿を晒す畑。
諦めずに畑と対象の所へ通いつめ、資産が尽きたというところで迎えたエンディング。
「野菜を渡されて靡かない女はいねェ!!」
思いの丈を全てぶつけ終わった非正規雇用は端末から離れると、窓際まで歩いていった。
全身に光を浴び、一つ伸びをする。
清々しい朝日、ゲームクリアの達成感、そして掲示板質問者への回答を成し遂げたことにより、彼の心は晴れ晴れとしている。
「こうして僕はハーレムを作りました」
一つ呟くと自嘲気味に笑って振り返り、先程の端末を見やる。
(ゲームの中でな)
非正規雇用の活躍により、怪人が動くより先に攻略情報を提示することができた。
不幸になるキマイラを一人減らすことに成功したのだ。
大成功
🔵🔵🔵
百目鬼・明日多
昔のゲームの質問に答える、という事ですが
僕の知ってるゲームなら良いんですけど…あ、知ってました。
8bit時代の格闘ゲームですね。
ええっと、このゲームは最新の格ゲーと違ってコンボとか無いです。
あっても精々飛び込みから一発くらいですね。
なので、ひたすら触って覚えるのが大事なんですけど…
あ、ちょうど良いところに片桐さんが。
ちょっと僕と対戦つきあって貰えませんか?
見て覚えるのも大事ですしね。
という訳で、片桐さんとの対戦を見せて色々覚えて貰って
その後に質問者さんとも実戦形式で教えていこうかと。
あと格ゲーで最も大事なのは「好きなキャラ」を使う事です。
対戦ゲームは自己表現。やりたいようにやるのが一番ですよ。
片桐・公明
(百目鬼・明日多(f00172)と同行)
テレビゲームかぁ。実はあんまりやったことないのよね。カードゲームやTRPGは父さんと結構やっていたんだけど。
しかもレトロゲームでしょ。うわ、本当に古い。本や動画サイトでしか動いているのを見たことがないやつばかりね。
ん?どうしたの、百目鬼君。…格闘ゲーム?キャラや動作はかっこいいと思うけどコンボが難しいんでしょ?
このゲームはそんなことない?それじゃあちょっとだけ。
あ、確かに動作がシンプルでやり易……ってちょちょ、少し手加減を。あ、負けちゃった。今のどうやったの?
こう、かな?あ、うまくいった。
あんまり勝てない…、でも面白いわね。じゃあ次はあなた(質問者)の番
●コインロール
グリモア猟兵の予知にも登場していたゲームカフェ。ここでは沢山のキマイラさんたちがそれぞれ好きなゲームタイトルを楽しんでいる。そのほとんどは8bitの初期のもので、一部には16bitのタイトルやゲーム機が混じっていた。
百目鬼・明日多(一枚のメダル・f00172)はゲームカフェを楽しそうに見て回っていた。世代が違うとはいえ、ゲーム好きの彼にとって居心地のいい空間なのだろう。
(昔のゲームの質問に答える、という事ですが……僕の知ってるゲームなら良いんですけど)
一つのゲームが目に留まる。
そこでは一対のドット絵のキャラが向かい合い、パンチやキックといった単純な格闘技を繰り出していた。
(……あ、知っているのがありました。8bit時代の格闘ゲームですね)
丁度目の前でプレイしているキマイラさんは苦戦しているようで。
「ああーっまた負けちゃった。攻略方法ってのってないかなぁ。確か攻略掲示板があったよね」
年の頃は明日多よりも2つか3つ下だろうか。彼はコントローラーを投げ出すと、デスクチェアで回転しながら携帯端末をいじり始めてしまった。
「ねえ、それで僕と対戦してもらってもいいかな」
同時刻同所。
片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)はゲームカフェの扉を開き、中へと入っていく。
「テレビゲームかぁ。実はあんまりやったことないのよね。カードゲームやTRPGは父さんと結構やっていたんだけど」
まだ新しそうなゲーム機とそれに繋がれたブラウン管のモニタ。その中ではドットで表現されたキャラクター達が動き回り、スピーカーからはピコピコ音が響き渡る。
「しかもレトロゲームでしょ。うわ、本当に古い。本や動画サイトでしか動いているのを見たことがないやつばかりね」
実際には見たことがないほど古い機種や機器たちが新品に近い状態(実際に新品として生産されており、対象個所をコンコンすると出てくる)で稼働しているという現状とのギャップに軽い眩暈を感じる。
その時、一人のキマイラさんが大きな声を上げながらデスクチェアでくるくる回っていた。
「ああ-ん、上手くいかないし勝てないし。おにーさん、CPU強いよ」
その隣には見知った顔が見えたため、彼女は声をかけることにした。
「百目鬼君もゲームカフェまで来てたんだね」
「あ、ちょうど良いところに片桐さんが。ちょっと僕と対戦つきあって貰えませんか?」
彼は今まで対戦していた相手のキマイラさんをちらと見る。
「見て覚えるのも大事ですしね。」
小さなキマイラさんと明日多の先にあるモニタでは二人のキャラが向かい合って戦うゲームが映っている。
「ん? どうしたの、百目鬼君。…格闘ゲーム?キャラや動作はかっこいいと思うけどコンボが難しいんでしょ?」
UDCアース現行の格闘ゲームでは勝敗を決する要素としてコンボが重要だ。操作の正確さはもちろん、規定フレーム数の範囲内で操作完了する速さとタイミングも求められる。
「ええっと、このゲームは最新の格ゲーと違ってコンボとか無いです。あっても精々飛び込みから一発くらいですね。なので、ひたすら触って覚えるのが大事なんですけど……」
「なるほど。このゲームはそんなことないのね。それじゃあ、ちょっとだけ」
彼女は十字型のキーとボタンが付いただけのシンプルな板状のコントローラーを受け取り、明日多の隣の椅子に腰を掛けた。
基本的な操作を教わり、実際に対戦がはじまる。
「あ、確かに動作がシンプルでやり易……ってちょちょ、少し手加減を」
コントローラーのキーの配置やキャラの動きと操作を確認しながらプレイする公明に対し、流れるような動作で攻撃を叩きこんでいく明日多のキャラクター。
彼女は反撃を試みるも逆転叶わず、あっさりと勝負は明日多の勝利で決着を迎える。
「あ、負けちゃった。今のどうやったの?」
レトロゲームは処理できる情報が少ない。それ故に操作は単純となるが、得てして操作性が悪い。更にこの時代のコントローラーはエルゴノミクスを考慮していないため、ちょっとした操作もミスしやすく手を滑らせてしまうこともある。
上級プレイヤーはその操作性の悪さや旧型機特有のラグを考慮してプレイしているため、並の相手では勝負にならないのだ。
「こう、かな? あ、うまくいった」
本格的なレクチャーのために棒立ちキャラを相手にした練習に移っていた。
公明が安定した操作をできるようになってきたところで、質問者の小さなキマイラさんに対戦を見せて色々覚えて貰うためCPU戦へと移行する。
「あんまり勝てない……」
「始めたばかりですし、」
トスしたメダルを指の間でキャッチし、一瞬眺めてから明日多は振り向き答える。
「あと格ゲーで最も大事なのは『好きなキャラ』を使う事です。対戦ゲームは自己表現。やりたいようにやるのが一番ですよ」
明日多のレクチャーが始まってから一刻の時が過ぎた。
「CPUにはそこそこ勝てるようになったけど、百目鬼君にはまだ無理か。でも面白いわね、じゃあ次はあなたの番……ん?」
そう言って振り向くと、そこには大量のキマイラさんたちがいた。猟兵自らが質問に答え攻略の手解きをしてくれるとあって、それを聞きつけた大量のキマイラさんたちが集まり囲まれてしまっていたのだ。
「ねえ、次はこっちの攻略方教えてよ!」
「今俺が教えてもらってるんだって」
「えー私が先だよ」
「並んだの俺が最初だから次は俺だろ!」
「その次はワシの番じゃよ。ワシの」
ここではもう攻略掲示板など必要なく、つまりは怪人の出番は無くなっていた。
回答者がすぐ目の前にいたのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
星磨・璃歩留
質問:このレースゲーム、8bitでいて擬似3Dしてるから画面見てるとスグに酔っちゃうの!この酔いをなんとかする方法、教えて!
(攻略云々以前の問題だよね可愛いなぁと苦笑しつつ)
んとね、オプションで画面の描写速度を○○に、
ウィンドウのカラーを△△に、ハンドルの揺れ幅を××にしたら、
そうでもなくなったっぽい?
あとはね…あとは!
愛車に魂を注ぐコト!一心同体、運命共同、一蓮托生、
すべてを愛車と分かちあえば、このレースはわたしたちのものだよ!
あぁ、事故った時だけ他人の車だと思えばダメージも少ないはず
ナゾの宇宙バイク乗りより
あぁ怪人対策だけど、UCでウィルスに監視させてるからご安心♪
※アドリブ絡み大歓迎です
星磨・璃歩留(スターリーセイラー・f15306)は宇宙バイク『ながれぼし2号』を駆るスターライダーだ。そんな彼女は当然の様にレースゲームをジャンルとして選び探していた。
そして攻略掲示板の中でまだ回答がついていない一つの気になる質問を見つけた。それはハンドル型のコントローラーを操作しレースを勝ち抜くことが目的の一人称タイプのレースゲームのものだった。
『このレースゲーム、8bitでいて擬似3Dしてるから画面見てるとスグに酔っちゃうの! この酔いをなんとかする方法、教えて!』
かわいらしい質問にクスリと笑ってしまう。
「攻略云々以前の問題だよね可愛いなぁ」
苦笑しつつ回答を探る。
3D酔いというのは詳しいメカニズムが明らかになっていないが、視覚情報と三半規管のズレによって発生するといわれている。この3D酔いというのは中々厄介で、発生するシチュエーションと症状の出方の個人差が大きい。人によっては同じ状況でも体調によって発生するしないというのがあるほどだ。
「んとね、オプションで画面の描写速度を……って設定できないゲームなんだ。ウィンドウのカラーも……設定出来ない? じゃあハンドルの揺れ幅を変えてみて……」
他には画面との距離を調整とか、周りを明るくするとか、体調を整えてから遊ぶとか、疲れる前に止めるとか、何度も遊んで慣れるとか。
「あとはね…あとは! 愛車に魂を注ぐコト! 一心同体、運命共同、一蓮托生、すべてを愛車と分かちあえば、このレースはわたしたちのものだよ! 」
愛情があれば乗り越えられないものはない、と力説する。
「あぁ、事故った時だけ他人の車だと思えばダメージも少ないはず」
レースゲームだとタイムはロスしちゃうんだけどね、とそこだけは心の中で付け加えておくとして。
最後に投稿者名を書き込んで送信。
『ナゾの宇宙バイク乗りより(猟)』
怪人の出現よりも先に質問へ回答することに成功したようだ。かわいらしい質問者へ心の中で頑張ってね、ともう一度エールを送ると、次の質問に回答するべく掲示板を探し始めた。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
ゲーマーの敵だな(ピキピキ)
RTA勢とTASさんの本当の怖さを知らんと見える
私はバトルゲーマーじゃないけど、すげームカついた!!!
SPD
レトロゲーの悩みは何と言っても進め方が分からないこと
全部同じ場所に見えてきて、ダンジョンの途中でどこにいるんだか分からなくなる
とりあえず皆、自分でマッピングは必須だよ
紙とペンは絶対用意してね
他と違う箇所、キャラ、言葉があったらそれもメモ
そうして貰えると、私達も今どこまで進んでるのか分かるからさ
……あー、その行き止まりは石像の目に宝石を嵌め込むんだよ
敵キャラがドロップしなかった?
泣いてる目に青、吊り上がってる目に赤
プレイの度左右変わるから気を付けてね
●ブラックゴールド
「ゲーマーの敵だな」
まるでピキピキというような空間の何かが割れるような音や、ゴゴゴゴゴっとという音と共に溢れ出すオーラが見えそうな程の気迫が鈴木・志乃(ブラック・f12101)から醸し出されていた。
グリモア猟兵から聞いた怪人の横暴は彼女の許容範囲を軽く超えていた。
「RTA勢とTASさんの本当の怖さを知らんと見える。私はバトルゲーマーじゃないけど、すげームカついた!! 」
RTAはリアルタイムアタック、TASはツールアシステッドスピードランの略称で、それぞれ起動してから操作を終了するまでの時間を計測するものとツールを使用して実操作ではできないようなプレイをすることを意味している。どちらも彼女のような動画配信者には人気のジャンルだ。
怪人退治への気合は十分だが、今はまだその時ではない。漏れ出そうになるオーラやその他のなんやかんやを内側に押し込むと、攻略掲示板へと向かった。
実際にレトロゲームをプレイしたことのある人ならわかる事ではあるが、まずは……。
「レトロゲーの悩みは何と言っても進め方が分からないこと」
現在の多数のゲームのようにチュートリアルのような物も整備されていなければ、ゲーム中のヒントのようなものもない。場合によっては基本的な操作の重要部分さえ抜けている場合もあれば、難易度の極高いものではゲーム開始から何もできぬままキャラが突然死ぬこともある。大量のトライアンドエラーにデッドオアアライブを積み重ねてデータを蓄積し、初めてエンディングまでたどり着けるのだ。
彼女は先ず、RPGなどの謎解き系が多いジャンルについての質問を洗い出していった。これらはある程度攻略法が共通しているため、似たようなアドバイスで通用するからだ。
「とりあえず皆、自分でマッピングは必須だよ。紙とペンは絶対用意してね。他と違う箇所、キャラ、言葉があったらそれもメモ。そうすると今どこまで進んでるのか分かるからさ」
8bit級のレトロゲームは処理能力やデータ容量の削減のために、グラフィックの使いまわしや見た目上の違いが分からないような組み合わせが発生する場合がある。また、それをトリックとして利用している場合もあるのだ。その結果、全部同じ場所に見えてきてダンジョンの途中でどこにいるのか分からなくなる。トップビューやクオータービューのRPGはもちろん、3DダンジョンRPGであれば尚更迷いやすい。
彼女はこれらの似たような質問には同様の回答をまとめて投げていく。
更に個別に攻略が必要なものについては実際にプレイしながら攻略法を見つけ、回答していった。
「……あー、その行き止まりは石像の目に宝石を嵌め込むんだよ。敵キャラがドロップしなかった? 泣いてる目に青、吊り上がってる目に赤。プレイの度左右変わるから気を付けてね」
彼女は的確かつ高速な回答により多くの質問を解決していった。これなら怪人も手を出す余地がないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
ニノン・ノルニカ
今回対象となるサイト、初めて見た時はなんだか古くさい見た目だけど時代に合わせてレトロなデザインなんだ
遊んでる側は内容をまず知りたいわけだし、やっぱり流行のゴテゴテした装飾よりもこれくらいシンプルな方が見る人に優しいよねぇ
そんな感じで内容をどんどん見ていくね
あーらら、内容を見てくとなんだか感情的なものも多いね
私もついつい熱くなってくると似たような状態になるしわかるなー
とりあえず腕前に大きく関わるやつは置いといて、単純な見落とし系のやつとかを片づけていこうかな
とりあえず落ち着かせるように言葉を選びつつ、もう一度提示された内容を読み返すとか手持ちの構成でいけそうな案とか出して様子見しましょ!
●ノスタルジック
ニノン・ノルニカ(ノーティ・オブザーバー・f15262)が天井から垂れた紐を引くと、カチリという音と僅かなフリッカーを残し蛍光灯が点灯。続けてモニタのボタンを押すとブン、と小さな起動音を発し、僅かに遅れて明るくなったブラウン管が画像を表示された。
この街にあるものは、今回の攻略対象であるゲームを含めてレトロ風の物品であふれている。
「今回対象となるサイト、初めて見た時はなんだか古くさい見た目だけど時代に合わせてレトロなデザインなんだ」
彼女が今見ている攻略掲示板はその最たるもので、極シンプルな黒字に白の文字が並んでいた。
今いる街全体が特定の同一コンセプトで構成されていた。都市毎に出現する品物や食べ物までが統一されているのは全てがリゾート地であるキマイラフューチャーならではだろう。
「遊んでる側は内容をまず知りたいわけだし、やっぱり流行のゴテゴテした装飾よりもこれくらいシンプルな方が見る人に優しいよねぇ」
初期のものはデータ転送速度に制限があることもあり、総じてデータ量が軽いシンプルなもので構成されている。動画コンテンツが一般に普及したキマイラフューチャーでは何れも誤差レベルのデータ量で構築されている。
「内容をどんどん見ていきましょうかねぇ」
早速彼女は対象である攻略掲示板の内容を確認していった。
『5時間も狩ってるのにアイテムドロップしない! 確率5%とか嘘だろ』
『データが消えた!』
『こんなバグ放っておいてリリースするなんて』
「あーらら、内容を見てくとなんだか感情的なものも多いね」
難問を解けず行き詰まったり、運が歩く必要なアイテムが手に入らなかったりするとイライラしてしまうのはいつの世のどこの世界にもある訳で。他の質問者や回答者にあたってしまう者もいた。
「私もついつい熱くなってくると似たような状態になるしわかるなー。とりあえず腕前に大きく関わるやつは置いといて、単純な見落とし系のやつとかを片づけていこうかな」
意外とプレイした本人には『こんなの分かる訳ないだろう』と思うようなことでも他の人が容易く答えに辿り着いていることも、ままある。
電脳魔術士でありバトルゲーマーでもある彼女は簡易的なマクロを即興で組み上げ、プログラムによる検索をかけては回答可能な質問を高速で選別していった。
「とりあえず落ち着かせるように言葉を選びつつ、もう一度提示された内容を読み返すとか手持ちの構成でいけそうな案とか出して様子見しましょ!」
質問者自らが回答を得られるように誘導する方法は、荒れた質問者たちに平静を取り戻させるには有効な方法だった。現金なもので多少の負の感情は攻略を成功させたときの喜びが上回りでかき消されてしまうからだ。
彼女の活躍により荒れた掲示板は静穏を取り戻していった。猟兵達の活動により未回答として残っているのは一部の難問のみ。コレを解決することが出来れば怪人の活動を完全に抑止できるだろう。
成功
🔵🔵🔴
パフィン・ネクロニア
まるまるうまうまかくかくと。
まとめの字が芸術的過ぎて解読するのに手間取ったが、作戦目標は理解できた。なんやかんや行動開始じゃ。
うむ、予想通りアイテム関連の質問が多いのぅ。
こんな事もあろうかと用意しておいた秘密兵器攻略本が早速役に立ちそうじゃな。
えーと、あのレアアイテムは
あいつを倒すと極稀にドロップするから出るまで気合で頑張れ、と。
このレアアイテムは
あのステージを3分以内にクリアすると極々稀に入手できるので根性で頑張れ、と。
例のアイテムは
あのボスから小数点以下の確率で盗めるので祈りながら頑張れ、と。
こんな感じかの。
入手方法が解れば後は出るまでやるだけじゃ。頑張れ若人たちよー。
●バスター
パフィン・ネクロニア(ダンジョン商人・f08423)は大量の本を抱えて部屋に現れた。更に何度も往復してはどこからか大量の書籍を持ち込む。搬入が終わると彼女は手を突き上げ、宣言した。
「うむうむ。作戦目標は十二分に理解できた。なんやかんや行動開始じゃ!」
カチカチというマウスのクリック音とマウス内をボールが転がる音が部屋へと響く。
「うむ、予想通りアイテム関連の質問が多いのぅ。こんな事もあろうかと用意しておいた秘密兵器攻略本が早速役に立ちそうじゃな」
彼女が冒頭に持ち込んだそれらは所謂攻略本と言われるものだった。検索しやすいようにジャンル別タイトル別に分けて並べられている。
例え街並みがレトロで更にコンコンして得られる物品が街並みやコンセプトに合わせた物であったとしても、ここはキマイラフューチャー。最新鋭の端末が持ち込まれ、情報収集も電子データが主となっていた。
旧世代の紙媒体の攻略本というのは嵩張ることもあり、この町でもあまり見向きされるものではなかった。この攻略掲示板で取り交わされる情報は各ゲームタイトルのプレイヤーであるキマイラさんたちが独自に集めたものとなっている。その怪人やキマイラさんたちの盲点を突いた質問の回答方法をとったパフィンの作戦勝ちといえよう。
問題があるとすれば、攻略本は必ずしも正しい情報ばかりでなく、稀に混じる間違った情報は電子データと違い訂正が入らない限りはそのままという事だろうか。
彼女はまだ回答のついていない質問から攻略難度が高いと思われるものを優先的に回答していった。
「えーと、あのレアアイテムはあいつを倒すと極稀にドロップするから出るまで気合で頑張れ」
端末と本が大量に積まれたデスクとを往復し、必要な資料を持ち出しては質問に次々と回答していく。
「このレアアイテムはあのステージを3分以内にクリアすると極々稀に入手できるので根性で頑張れ」
回答を送信しては次のタイトルと対応する次の本へ。
「例のアイテムはあのボスから小数点以下の確率で盗めるので祈りながら頑張れ」
未使用の攻略本が減っていくと共に、攻略掲示板に残る難問たちも次々とその数を減らしていく。
「こんな感じかの。入手方法が解れば後は出るまでやるだけじゃ。頑張れ若人たちよー」
一仕事終えたのぅ、と端末を落としてから席を立ちあがると、心なしかひよこファイブ達も彼女をねぎらっているように見えた。
長期間放置されるような高難度の質問に端から回答をぶつけていった結果、もう答えられる質問そのものがなくなってしまっていた。質問がなくなるという事は、怪人の出番は無いということだ。
こうしてレトロゲーマーなキマイラさんたちとゲームカフェの平和は守られたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『ピコピコ大乱闘! ゲーム対決!』
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POW : ゴリ押しプレイで勝利をもぎ取る!
SPD : 巧みなプレイスキルで怪人を翻弄する
WIZ : 怪人のチートを暴こうと立ち回る
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ゲーム大会前日某所
猟兵達の活躍により、怪人の妨害工作は未遂で終わった。そのゲーム大会にはキマイラフューチャー各所からツワモノ共が集まる事だろう。そして当日は大会の様子が動画配信で行われる。
怪人は考えた。
ツワモノ揃いのキマイラたちに勝つよりも、猟兵達を圧倒すればより旧人類のすばらしさをアピールできるのではないか、と。
しかし露骨なチート行為では視聴者に直ぐバレてしまうだろう。
怪人は更に考えた。
怪人が練習したステージがランダムで『偶然』選ばれ続ければいいのではないか、と。
怪人は一生懸命考えた。
全部自分で戦うチーム戦なら有利に戦えるのではないか、と。
つまり分身して戦えばよいのだ、と。
翌日の大会はプログラムを変更して行われることになった。
変更点は予選と決勝の間にエキシビジョンマッチが開催されるということ。
そして、そのエキシビジョンマッチは猟兵チームと怪人チームによる対戦だと告知されたのだ。
だが怪人は重要な事実を見落としていた。
分身能力でその数が増えるほど能力が劣化するという事実を。
●追加情報
・怪人と猟兵のエキシビジョンマッチが行われます。
・使用するゲームは横スクロールのアクションゲームです。
・怪人チームと猟兵チームで一人ずつ対戦をして最終的に勝利ポイントの多いチームが勝ちです。
・ランダムで選ばれたステージを同時にスタートし、先にゴールしたほうが勝利です。
・勝った方のチームは1ポイント、負けた方のチームは0ポイント加算されます。
・全対戦終了時点で最速クリアタイムを出したメンバーのいるチームに2ポイントが加算されます。
・ゲーム大会は予選、エキシビジョンマッチ、決勝の順で行われます。
・エキシビジョンマッチが行われるまでにキマイラさんたちの予選プレイを見て予習することも可能です。
・予習の代わりに練習することもできます。
・怪人は主催兼MCのため予選中に行動を起こすことはありません。
星磨・璃歩留
あひん、アクション苦手!好きだけど!
故に予習は必須、練習より情報が欲しいんだよねー
ギミックとか敵の配置とかスマホで撮りつつ手書きメモ!
演出凝ってるなぁ…見入って死なないよう気をつけなきゃ
きっと怪人のチートに対して分が悪いから、
チートを暴かせてもらっちゃおう
UCでウィルス召喚、
ハッキングも併用して怪人のチートコードを追跡させるよ
チートを発見次第、証拠画像を拡散して怪人さよーならー♪
問題は…ただでさえ苦手なアクションなのに、
UCによるチート追跡に五感の半分を割かなきゃいけないコト…
さっさとチート暴かなきゃ負けちゃうよ!
でもチートが発覚すれば互角と見た
共に穴に落ち地形に潰されまくるのも一興でしょ♪
●
ワアアアアァァァァ!
会場に歓声が響く。
そこはドーム型の球場で、中央に百台ものゲーム機が四列になって並べられていた。バックスクリーン側にはエキシビジョンプレイ用と思われるステージと、その上にゲーム機とディスプレイが並べられている。
今は集まったキマイラたちによって予選が行われていた。
予選の様子は巨大ディスプレイ表示され、動画配信からも見ることが出来る。会場のメインステージではタキシードに身を包んだ怪人が軽快なMCトークで場を盛り上げていた。
「あひっ、随分な数のお客さんが入ってるね。ふへへ、ここで活躍すれば一気に人気者だね」
予想外の観客数に少し気圧されながらも、星磨・璃歩留(スターリーセイラー・f15306)は楽しそうに笑う。
その中にも問題があるとするならば。
(あひん、アクション苦手!好きだけど!)
猟兵達の控室はステージ横に設置されていた。人数分のゲーム機とディスプレイが並んでいる。更に中央のディスプレイでは予選のプレイを見ることが出来るようになっていた。
(予習は必須、練習より情報が欲しいんだよねー)
璃歩留はキマイラ達の予選プレイをじっくり観察しながら各ステージのギミック、敵の配置などを動画で保存しつつメモを加えていった。他の猟兵達と協力して攻略のポイントもまとめていく。
「演出、凝ってるなぁ……見入って死なないよう気をつけなきゃ」
ついつい動画中の画像に夢中になって脇道へ逸れそうになるものの、対策は順調に進んで行った。
(きっと怪人のチートに対して分が悪いから、チートを暴かせてもらっちゃおう)
配信サーバーを通したハッキングを仕掛けたものの、詳細まで確認することが出来なかった。こうなると直接ゲームのハードを確認するしかないが、肝心のエキシビジョンマッチに使用されるゲーム機はステージ上にあり、怪しい行動をとれば直ぐにバレてしまうだろう。控室からの調査は諦めざるを得なかった。
予選が四回戦まで終了し、休憩時間に入る。
「ステージの実機で練習してみたいんだけど、いいかな! 休憩時間中だけでいいよ! 」
『よし、休憩時間の間だけならいいだろう』
ダメ元で聞いてみたところ、あっさりと承諾をもらうことが出来た。
(チートを使ってくる割に圧倒的に……警戒心が足りない! さっさとチート暴いちゃうよ!)
ゲーム攻略とチートの解析を同時にやるのは厳しかったが、僅かな時間でもチート解析に専念することが出来る。
普通にゲームプレイをしているように見せかけながら猟兵側、怪人側双方のゲーム機、コントローラー、配信用サーバーをハッキングとユーベルコードを駆使して調査していった。
結果、チートの内容を解析することに成功した。ハードウェア的な部分は無理だったが、限られた時間でハッキングとウィルスによりゲーム本来の状態に戻すことと、更にチート証拠を抑えることが出来たのだ。
『レディースアンドジェントルマン、ボーイズアンドガールズ! お待ちかね、チーム怪人イリュージョンズとチーム猟兵のエキシビジョンマッチの開幕だ!』
怪人によりエキシビジョンマッチの開始が宣言され、一際大きな歓声が上がる。
(チートが無ければ互角と見た。共に穴に落ち地形に潰されまくるのも一興でしょ♪)
『んなあ、ステージ5-2だと……!? いや、問題ない。ゲハハハハ、猟兵など蹴散らしてくれるわ』
チートが封じられた混乱からか、または慣れないステージだからなのだろうか。ミスが多く精彩を欠く怪人のプレイ。その隙に璃歩留は無事勝利を収めることができた。
大成功
🔵🔵🔵
片桐・公明
(百目鬼・明日多(f00172)と同行)
ゲーム攻略の速度勝負でしょ。それなら大丈夫よ。
なんて言ったって、動画サイトで予習してきたもんね。
確かゲームだと、こうやるとすごい速度で移動して……ってあれ?うまくいかない。
あれ、ポーズ連打するんだっけ?判定の隙間、どこぉ?
ふえぇぇ。動画みたいにキャラが動かない。なんでぇ。
えぇぇ、敵がいないのに攻撃受けてる。どうしてぇ。
[ゲーム 最速攻略]で出て来たTASって人の真似をしたいのにぃ…
うぇぇ。百目鬼君助けてぇぇ。(彼に抱き着く)
…へ?TASさんのプレイは普通真似できない?
嘘、知らなかったわ。
でも百目鬼君はできるのね、すごいわ。私もできるようになるかしら。
百目鬼・明日多
片桐(f03969)さんと参加します。
まずゲームは…これなら『問題ない』ですね。
一応、予選を見ながらエアプレイで脳内確認。
…完全に覚えていますね。大丈夫です。
さて、先に片桐さんの番みたいですけど…あー、はい。
そこ参考にしちゃいましたか…そこは、まだちょっと早いですね。
さて、僕の番ですが…さっき片桐さんが真似しようとしたやつですけど
それは『普通は』手動でやるものじゃないですからね?
ですが、ゲームに対する十二分な理解と十二分な練習、
それと少し頑丈なデバイスさえあれば…
僕はTASより早くクリアして見せますよ。
…ま、実際にTASより早いかはTAS動画作成者より
ゲームを『理解』していた場合、ですけどね?
●
猟兵達の控室。
片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は練習用に与えられたゲーム機を前に自信満々で宣言した。
「ゲーム攻略の速度勝負でしょ。それなら大丈夫よ。なんて言ったって、動画サイトで予習してきたもんね」
本番が始まるまでに練習して確認しておこうとゲーム機のスイッチを入れ、モニタを点灯させる。コントローラーを手に取り、ゲームスタート。
「確かゲームだと、こうやるとすごい速度で移動して……」
記憶の中では敵を踏み台にしながら高速で移動するキャラクター。だが実際に同じ動作をしようとすると敵に接触し、途中で落とされてしまった。
「ってあれ?うまくいかない。」
リスタートで再度同じ動作を試みようとするも、今度はオーバーランで落とし穴に落ちてしまう。
スタートのダッシュが足りなかったのかと加速してみても、やはり途中でミス判定になってしまっていた。
「あれ、ポーズ連打するんだっけ?判定の隙間、どこぉ?」
「ふえぇぇ。動画みたいにキャラが動かない。なんでぇ」
「えぇぇ、敵がいないのに攻撃受けてる。どうしてぇ」
動画の真似をしようと何度もトライアンドエラーを繰り返した結果、真似するよりも普通にプレイしたほうが上手くいくという結論に到達してしまった。
「【ゲーム 最速攻略】で出て来たTASって人の真似をしたいのにぃ…」
動画を見て研究したことがほぼ全く役に立たないという事実が重くのしかかる。もう本番直前であるというのに。
何やら練習から騒がしくしている公明の様子を見に来たのは、攻略掲示板の時も共に行動した百目鬼・明日多(一枚のメダル・f00172)だった。
「うぇぇ。百目鬼君助けてぇぇ」
突然抱き着かれ、困ったような表情を浮かべる明日多だった。
事情を聴いてみると、公明はTASの動画を参考に練習していたという。
「あー、はい。そこ参考にしちゃいましたか…そこは、まだちょっと早いですね」
TASはツールアシステッドスピードランの略称で、ツールを使用して実操作ではできないようなプレイをすること。真似るのは不可能ではないが、難易度はとてもとても高い。そして追加するならば特定の誰かを指すような固有名詞でもなかった。
「片桐さんが真似しようとしたやつですけど、それは『普通は』手動でやるものじゃないですからね?」
「……へ? TASさんのプレイは普通真似できない? 嘘、知らなかったわ」
「ですが、ゲームに対する十二分な理解と十二分な練習、それと少し頑丈なデバイスさえあれば……。僕はTASより早くクリアして見せますよ」
(……ま、実際にTASより早いかはTAS動画作成者よりゲームを『理解』していた場合、ですけどね?)
「でも百目鬼君はできるのね、すごいわ。私もできるようになるかしら」
明日多も席に着き、練習を開始した。
(まずゲームは……これなら『問題ない』ですね)
サブディスプレイに映されるキマイラ達の予選を見ながらエアプレイで脳内確認。
(……完全に覚えていますね。大丈夫です)
新作レトロゲームの一つではあるが、一度は全てのステージを攻略している。やり込まれていないゲームであるため、まだまだ詰める余地はあるだろうが、それは怪人側も同じ状況だ。
エキシビジョンマッチで選出されるステージはランダムで決定される。勝つためにはあらゆるステージを満遍なく攻略できるようにしなければならない。
すべてのステージを再確認するには時間が足りなかったが、その何割かは確認と練習をすることが出来た。
そして、時間が来た。
エキシビジョンマッチの開始がアナウンスされ、猟兵達はステージ上に上がる。
そしてエキシビジョンマッチが開始され、初戦は猟兵の勝利に終わった。どうやら怪人の使うチートの幾つかを封じるのに成功していたらしい。ここからはより実力勝負の色合いが強くなるだろう。
猟兵の勝利が告げられ、チームに勝利ポイントが付与された。猟兵チームの二番手としてMCから公明の名が告げられる。
「あ、次は私の番ね。あまり自信はないけど行ってくるわね、百目鬼君」
「頑張ってください片桐さん。大丈夫、勝てますよ」
選ばれたのはステージ1-1。最も単純で敵や障害も少なく、ここで勝利できればタイムアタックのベストタイムになる可能性が高い。
「片桐さん、ここは失敗を恐れずスピード重視で行きましょう」
「分かった。やってみるわ」
ステージ開始からスタートダッシュを決め、順調に攻略を進めていく。対する怪人は何故かスタートで出遅れていた。公明はステージ唯一の難所もミスなく乗り切ると、そのままのリードをキープして勝利を挙げた。
「やったわ百目鬼君! アドバイスのお陰ね」
公明の勝利により猟兵チームに更に勝利ポイントが加算された。
「次は僕の番ですね」
続いて明日多の名が呼ばれ、準備を開始した。
攻略するのはステージ10-4。一、二を争う高難易度ステージだ。
『ゲハハハハ、運が悪かったな。このステージ、取らせてもらうぞ』
偶然にもそれは事前に怪人がチートで指定していたステージが選ばれていた。特定のステージのみ出現するチートは破られたが、現在は完全ランダムでステージが選ばれるため、この様なことも起こり得るのだ。
カウントダウンからのゲームスタート。明日多の無駄のない動きに対し、怪人も同じ速度で攻略が進み、お互い横並びの状態を維持しながらでゲームが中盤へと差し掛かる。しかし途中、敵が大量に配置された部分で処理落ちが発生し、その時のラグが明日多側だけ僅かに大きく、その分だけ少しずつ離されてしまう。
そして迎えたゲーム終盤。ゴール直前に配置された敵は完全ランダムで動くため、ここだけは運が絡む。タイムロスを確実に防ぐため大きめの迂回ルートを通る怪人に対し、明日多は運に任せ一か八かの最短距離を突き進む。
そしてその結果は。
極僅かな差で明日多が先にゴール。このステージも猟兵チームの勝利で終わった。
「やったね百目鬼君! 華麗な逆転勝利だったよ」
「ありがとうございます、片桐さん。中々の強敵でしたね」
ハイタッチを交わしてお互いの勝利を労う。
これで猟兵チームの三勝。ベストスコアも獲得し、勝利まであと少しだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
佐藤・非正規雇用
タイムアタック勝負だと?
よかろう、ドラゴニアン界最速と言われた
この俺が相手になってやる
(SPD30なので、のろのろと席に着く)
【POW】
全ステージの練習は厳しいから
どこでも対応できるようにするしかないな
徹夜でやり込むぞ
この前、質問に回答してやったキマイラに
攻略法を聞き出そう。知らない?
バカヤロウ!知らないなら探して来い!!
そしてこのゲームはなァ!!スタート前に
連打することでロケットダッシュが
できるんだよッ!!
くっ、何だ!?相手の動きが良すぎる……
まるでステージを予め知っていたかのように
このままでは負けてしまう!
もはや手段を選んでいられまい……死ねい!!
と言って、相手の椅子を場外まで蹴り飛ばす
●
「タイムアタック勝負だと?」
にやりと口角を上げて笑い、椅子からゆっくりと立ち上がる。
見渡す限りキマイラで超満員のスタジアム。
佐藤・非正規雇用(ハイランダー・f04277)は怪人に向かって宣言する。
「よかろう、ドラゴニアン界最速と言われたこの俺が相手になってやる」
まるでオーラを纏い地響きを鳴らす伝説のドラゴンの如く悠々とした動作で席に向かう。
見渡す限りキマイラで超満員のスタジアム。
非正規雇用と怪人の対決が始まった。
前夜。
「全ステージの練習は厳しいからどこでも対応できるようにするしかないな。徹夜でやり込むぞ!」
用意されたエナジードリング、目薬、シップ。眠気や眼精疲労、腱鞘炎への対策は完ぺきだ。
時間は限られている。闇雲に練習を押してもできるようになるところは限られているだろう。ならばやる事は決まった。
「この前、質問に回答してやったキマイラに攻略法を聞き出そう」
先の掲示板を通し、対象のキマイラさんと連絡を取る。
「知らない? バカヤロウ!知らないなら探して来い!!」
攻略掲示板に質問を書き込むレベルだ。攻略法を知っている可能性の方が低かった。
何とか情報を集めてきてくれたキマイラさんだったが、配布開始から間もない新作レトロゲームの一つであるため、攻略情報が思いのほか少ない。
「ちっ、地道に練習するしかないか」
そして迎えた大会当日。
ステージではエキシビジョンマッチが始まった。ここまでは猟兵チームが三勝と、かなり有利に進んでいた。
勝負開始の時を報せるカウントダウン。非正規雇用はにやりと笑い。
「そしてこのゲームはなァ!!スタート前に連打することでロケットダッシュができるんだよッ!!」
ロケットスタートを決める非正規雇用と怪人のキャラクター。それは当然怪人も知っている知識であり、並んで加速していく。
徹夜の練習が功を奏し、序盤から中盤にかけてはほぼ横並びのデッドヒートが繰り広げられていた。そして終盤にさしかかり、ゴールが見えてきた。このまま階段を登り切り、穴を飛び越え、フラッグを先に取った方が勝利。
(くっ、何だ!?相手の動きが良すぎる……まるでステージを予め知っていたかのように。このままでは負けてしまう!)
「もはや手段を選んでいられまい……死ねい!!」
蹴り飛ばされた非正規雇用の椅子は狙い違わず怪人の椅子に命中し、その椅子共々をステージ場外まで吹き飛ばした。だが、怪人には何の影響も与えることはできなかった。何故ならば怪人は座っていなかった、と言うよりも宙に浮いていたのだ。
更に運の悪いことに椅子を蹴ることに意識を向けていたため椅子を蹴った瞬間手元が狂い、怪人との差がさらに開いてしまう。
『ゲハハハハ、間抜けめ。余所に注意を逸らしながら攻略できるほどこのゲームは甘くないぞ。勝利はもらっ……あ』
非正規雇用に向かって勝ち誇る怪人。それと地形に引っかかり、ゴール目前にして全くの横並びとなった。勝ち誇った態度を取って注意を僅かに逸らしたが故のミス。直前に怪人の宣言した通りで甘くはなかったのだ。
『負けるものか!』
「いけえ! うおおおぉぉぉぉぉ!!」
落とし穴を飛び越え、ほぼ同時と思われるタイミングでフラッグを取ってゴールした非正規雇用と怪人のキャラクター。
『ぐ。え、映像判定だ!』
二人のプレイが中央のスクリーンに映される。フレームごとにコマ送りで再生されるそれが、ゴールの瞬間を映し出す。
全くの同時だった。
非正規雇用と怪人の勝負は、なんやかんやで引き分けという形で幕を閉じた。
苦戦
🔵🔴🔴
●
怪人によるチート。
まず一つ目はゲーム機本体をオーバークロックするハードウェアチート。これによりレトロゲーム機特有の処理落ちを軽減できるため、接戦になった時は"偶然その差で"勝利することが出来る。
二つ目がゲームクロック調整。ゲームのクロック数が僅かに早くなっており、全く同じ完璧なプレイをしたとしても僅差で怪人が勝利することが出来るだろう。
三つめがマクロの組み込み。実際に操作していると見せかけて組まれたプログラム通りに動くため、何度やっても怪人のキャラは最速で攻略するだろう。
四つ目がプログラム書き換え。本来ならランダムで選出されるステージが特定ステージのみ選ばれるようになっていた。
つまり、怪人側の作戦は偶然に見せかけて選ばれた特定ステージをマクロで最速攻略し勝利する。もし猟兵が完璧なスーパープレイを見せても僅差で必ず勝てるというものだった。
パフィン・ネクロニア
エキシビジョンマッチと言われてもわしこのゲームやった事ないんじゃよね。と、初心者アッピルで油断させつつ
今更練習したところでどうにもならんし
事前に操作方法の確認と、キマイラさん達の予選プレイを見て予習だけはしておこうかのぅ。
ついで同じチームの猟兵さんと情報交換というか、有用なアドバイス貰えると嬉しいんじゃが。じゃが。
とまれ後はゴリ押しでなんやかんや勝つしかあるまい。
まあ最悪負けてもわし初心者じゃしー!
それはそれとて相手チームのメンバーが全員同じ奴に見えるんじゃが気のせいかのぅ?
●
「今更練習したところでどうにもならんし。事前に操作方法の確認と、キマイラさん達の予選プレイを見て予習だけはしておこうかのぅ」
パフィン・ネクロニア(ダンジョン商人・f08423)は開き直っていた。あえて何もしないことで気力と体力をキープし本番に臨む作戦だ。
「ついで同じチームの猟兵さんと情報交換というか、有用なアドバイス貰えると嬉しいんじゃが。じゃが!」
心配しなくても大丈夫。ちゃんと有用な攻略情報はもらえました。
猟兵達が控室からステージ上に移動すると、キマイラさんたちの声援が会場に響き渡った。あまりの声量にステージ全体がビリビリと共振している様子が肌で感じられる。
「うむ、すごい声援じゃのぅ」
レフトスタンド、三塁側内野席、バックネット裏、一塁側内野席、ライトスタンド。パフィンがぐるっと見回すと、超満員の観客たち。こんなにも多くのキマイラさんたちがエキシビジョンマッチを見に来ていたのかと改めて驚く。
「エキシビジョンマッチと言われても、わしこのゲームやった事ないんじゃよね」
わざとらしく大きな声で宣言したものの。
『それは丁度いい。貴様に勝利しベストタイムも頂く。そしてこちら側の劇的逆転劇で幕を閉じるのだ』
ニュービーアッピルで油断してくれるかもとの期待もあったが、怪人にはバッサリと切り捨てられてしまった。
(まあ向こうも背水の陣じゃし、仕方ないのぅ。それにベストタイムと勝利ポイントでも逆転にはならんのじゃが)
「それはそれとて相手チームのメンバーが全員同じ奴に見えるんじゃが気のせいかのぅ?」
まるでコピーされたかのように全く同じ背丈にシルクハットにタキシード姿で待機席に並ぶ怪人チームのメンバーの姿。そしてその中には何故か一人だけ影の薄いのがいた。比喩とかではなく実体がやや朧気で、影の濃さが明らかに他と比べて薄くなっている。
彼女のカンがコイツと戦えと囁いている。
「よし、わしの相手は君じゃ。選択肢はない」
『え?』
「君じゃ。列の一番後ろで『僕は控え選手です。チームの応援頑張ります』といった態度の君じゃよ。直接指名されて断るような無粋な真似はせんじゃろぅ?」
挑発しつつ駄々をこねる。すると。
『はい、分かりました。僕はあなたの挑戦を受けます』
あっさりと承諾された。しかも明らかに態度や話し方まで違う。
(とまれ後はゴリ押しでなんやかんや勝つしかあるまい。まあ最悪負けてもわし初心者じゃしー!)
ランダムでセレクトされたのは中盤の水中ステージ。難易度的には恐らく中レベル程度。一番の特徴は水中であるためスピードが出ないことだ。
(ふむ。最悪負けても最速タイムは取られんし、ポイントが逆転されることはないじゃろ)
ゲームスタート。予め教わっていたスタートダッシュを確実に決め、序盤戦に挑む。
ピョンポヨン、ボムッ、チャリーン、チャリチャリチャリーン、ピョンポヨン、ドム、ボン。
スピーカーから流れるチップチューンが会場に響き渡る。お行儀のよいキマイラさんたちが多いのか、プレイ中はスタジアム中が静まり返り、ゲームBGMとMCの声だけが聞こえてくる。
ここまでは順調。怪人の方はというと、敵に接触したり水流に流されて落とし穴に嵌りスタート地点に戻されたりしていた。
敢えて言うなら、他の怪人チームメンバーたちと比べて明らかに下手だった。
「どうやらアタリを引いたようじゃな。このまま決して焦らず急いでゴールして勝利じゃ!」
多少のミスはあったものの安全を優先して攻略を進め、怪人より先にゴールにたどり着くことが出来た。パフィンの勝利だ。
これで猟兵チームの四勝一分け。現在のベストレコードの二ポイントも含めて合計六ポイントとなった。
成功
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ニノン・ノルニカ
うーん、なんか試合を観てると妙に引っかかるような
ちょっとこれまでの録画を見直し……
何これ、普通起きそうもない処理落ちが起きてる上にフレーム単位でお互いの同期が取れてないし、
何より手元のアップと比較すると操作とキャラの動きがズレてる!
どう見てもゲーム機の挙動が怪しいのでゴーグル上の仮想端末から互いのハードにアクセスっと
……あぁ、やっぱり改ざんした痕跡が出てきたわ
ひとまず明らかにチートを仕込んだ部分のコピーを取りつつ、あえてアンチチートをこっちの機械に急いで用意しておかないと!
よし、これでオッケーっと
アクションならわたしもいけるし予習もしてきたから、後は本番でうまく作動してくれればいけるはず……!
●
「うーん、なんか試合を観てると妙に引っかかるような」
先行三人の対戦が終了したところで、ニノン・ノルニカ(ノーティ・オブザーバー・f15262)はゲームの挙動に違和感を覚えていた。
「ちょっとこれまでの録画を見直そう」
一番違和感の大きかった高難易度ステージを見返していたところでその正体に気付く。
「何これ、普通起きそうもない処理落ちが起きてる上にフレーム単位でお互いの同期が取れてないし、何より手元のアップと比較すると操作とキャラの動きがズレてる!」
先にハッキングを仕掛けた猟兵の情報によると、攻略ステージを特定のものに変更させるチートは解除したが、ゲーム機本体の処理速度そのもののハードウェアチートは解除できなかったとのこと。他にもまだ気づかれずに残っている仕込まれたチートがあるかもしれない。また、ゲーム機からは映像出力だけを抜き出しているため、スタンドアローンのゲーム機に外部からハッキングするのは難しいという。
チートを暴くにはエキシビジョンマッチで自分の番が来るまでに直接ゲーム機にアクセスし、バレないようにデータを書き換えるしかない。
「わたしの出番まであと二人かぁ。これは時間が厳しいね!」
チャンスはエキシビジョンマッチの中で発生した。ステージ外に落ちた椅子を回収、元の位置に戻すフリをしてこっそりとゲーム機に接触。ハッキング用の通信ツールを取り付けた。これでゲーム機の内部情報へのアクセスが行えるようになったはずだ。あとは怪人にバレないように事を進めるだけ。
待機場所に戻ると同時にゴーグル上の仮想端末から互いのハードにアクセス。レトロゲームだけあって総データ量は少なく、該当箇所はすぐに見つかった。
「……あぁ、やっぱり改ざんした痕跡が出てきたわ」
あとは電脳魔術士でありバトルゲーマーである彼女の腕の見せ所。時間との勝負だ。
(ひとまず明らかにチートを仕込んだ部分のコピーを取りつつ、あえてアンチチートをこっちの機械に急いで用意しておかないと!)
更に怪人側のゲーム挙動、特に処理落ちが通常のゲームと同様の速度をエミュレートするように改ざん。
これで通常のゲーム同士で勝負した時と同様に、互角の条件になったはずだ。
「よし、これでオッケーっと」
ニノンの見えない場所での戦いが終わると同時、MCから名前が呼ばれ、選手紹介が始まった。
「ふぅ、ギリギリ間に合ったねぇ。アクションならわたしもいけるし予習もしてきたから、後は本番でうまく作動してくれればいけるはず……!」
そして始まるゲーム対決。
チームとしての勝敗は既に決しているが、エキシビジョンマッチは全試合が行われるらしい。
タイムアタックを意識したニノンの攻めのスタイルに対し、マクロとチートを封じられた怪人のプレイは精彩を欠いている。
「うまく作動してくれているみたいだね。このまま勝負を決めるよ!」
勝敗はタイム差をつけてニノンの勝利で決着。
勝利ポイントを上乗せし、7-0で猟兵チームの勝利でエキシビジョンマッチは終了した。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『シーディーメーカー』
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POW : 人生一発逆転!
レベル×1体の、【背負った負債】に1と刻印された戦闘用【ヴァーチャルキャラクター】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD : レディースアンドジェントルマン!
予め【聴衆を盛り上げる司会進行を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ : ジャックポット!!
【大量のカジノコイン】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を覆う程の紙幣が舞い飛び】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ネミ・ミミーニーズ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●決戦
エキシビジョンマッチに敗れ、旧人類の凄さをなんやかんやアッピルすることに失敗した怪人。
『準備が台無しだ。だが、まだ。ここで貴様らを消せば--』
怪人が光に包まれ、タキシードが破れ飛ぶ。
その中から現れたのは……。
何もなかった。
そのタキシードは姿を偽るためのダミー。怪人の本体はシルクハットと蝶ネクタイ、白手袋で構成された怪人『シーディーメーカー』だったのだ。
銀色の円盤を操り、観客のキマイラさんたちをぐるりと見回すと大仰な動作で宣言した。
『レディースアンドジェントルマン、ボーイズアンドガールズ! これよりシーディーメーカー主催、猟兵殺戮ショウを開演します!』
佐藤・非正規雇用
何が殺戮ショーだクソッタレめ!
貴様は残機を失って、既に詰み(ゲームオーバー)
だということを教えてやる!
連コインなんかせずに、大人しく帰るんだな!!
【POW】
ユーベルコード"甘露"を使って、分身を生み出す。
敵はレベルの数だけヴァーチャルキャラクターを召喚するようだが
合体される前に物量で叩き潰すぜ!
雑魚を処理してからボスを攻撃するのが基本だな。
俺の分身の一人に、2章で蹴り飛ばした椅子を拾わせて来て
その椅子で敵本体を全力で殴る。
「これが俺の"一発逆転"だぜ!! ようやく決まったな!!」
サッカー選手がゴールを決めたようなポーズを取る。
●
『レディースアンドジェントルマン、ボーイズアンドガールズ! これよりシーディーメーカー主催、猟兵殺戮ショウを開演します!』
「何が殺戮ショーだクソッタレめ!」
『へぶっ』
その声の主により振り下ろされたのは猟兵の待機室にあった会議机。本体であるシルクハットを強打された怪人シーディーメーカーはステージから弾き飛ばされていった。バウンドしながらステージ下へ落下していく怪人。落下時の衝撃で怪人は直ぐには動けずにいるようだった。
会議机を手にして現れたのは佐藤・非正規雇用(ハイランダー・f04277)。彼は今の一撃で拉げた会議机を投げ捨てると、ステージから怪人を見下ろし宣言した。
「貴様は残機を失って、既に詰み(ゲームオーバー)だということを教えてやる! 連コインなんかせずに、大人しく帰るんだな!!」
公平であるべき大会でチート、ツール使用という明らかな違反。更に連コインというマナー違反まではさせない。
そんなスポーツマンシップと正義感溢れる心の籠った彼の一撃が炸裂したのだ。正々堂々と気配を消して怪人の背後から忍び寄り、死角になるよう計算された角度からの凶器による急所への一撃、という奇襲攻撃が。
非正規雇用はステージから飛び降りると怪人へと歩み寄った。一歩、そしてまた一歩と歩く度に朧げなオーラが彼の姿を揺らめかせ、そしてその姿は三歩目で二つに分かたれた。彼のユーベルコード【甘露】だ。生み出された分身は更にダブル非正規雇用、トリプル非正規雇用、そしてクアッド非正規雇用へと進化を遂げる。
「敵はヴァーチャルキャラクターを召喚するようだが、合体される前に物量で叩き潰すぜ!」
黒と光の剣を二刀で構え、今起き上がろうとする怪人へと迫る非正規雇用。
『ゲハハハハ、不意打ちとはやってくれるな。パフォーマンスや変身合体シーンには手を出してはならないというルールを知らんのか? だが焦らなくてもショウタイムはここからだ!』
落下の衝撃から回復した怪人の周りにエキシビジョンマッチでも登場したヴァーチャルキャラクターの分裂体が出現。分裂体は続いて凶器となる銀の円盤を呼び出す。
しかし非正規雇用はその動きと位置を読んでいた。予め分身を出現位置に展開していたのだ。
「貴様は既に俺の間合いよ!!」
彼の分身は怪人の召喚体が戦闘態勢を取る前あるいは出現と同時に次々と叩き潰され、銀色の円盤を振り回す間もなく消滅していく怪人の召喚体。ここまでは非正規雇用の有利で戦闘が進んでいた。
『ぐぅ、召喚はやられたか。だがその代わり本体は隙だらけだ!』
振り下ろされた銀の円盤が非正規雇用を頭頂部から分断するが……。
『なっ……』
分断された非正規雇用それは五体目の分身だった。そして、それに怪人が気付いた時には非正規雇用は背後に回り込んでいた。その手に握られていたのは足跡のクッキリついた椅子。エキシビジョンマッチで蹴り上げたあの椅子だ。
「これが俺の"一発逆転"だぜ!!」
二度目の椅子による一撃は確実に怪人を捉えた。弧を描き、ステージの支柱に直撃する怪人。
観客席のキマイラさん達から歓声が上がり、彼はそれに手を挙げて誇らしげに答えた。
「ようやく決まったな!!」
成功
🔵🔵🔴
星磨・璃歩留
猟兵殺戮ショウとか誰も求めてないし
空気読めないとかキミ絶対司会者向いてないよ
滑ってるし、つまんないし、辞めちゃえばー?
と煽ってコッチに注意を向けられれば、それこそ司会者失格さ
挑発が済めばUC発動でこれ見よがしにステージをお掃除していくよ
星屑を散らし可愛いポーズでアッピルも忘れずに
キマフュっ子の嗜みだからね♫
辺りをわたしの有利なフィールドに塗り替えれば怪人はきっと乗ってくる
来なよ、ジャックポット!!
枯れるまでコインを吐き出させてあげようじゃないか
紙幣がステージを覆ってもお掃除で尽く上書きしてあげる
狙いは怪人を消耗させるコト
これでいい
止めを刺せなくても猟兵の皆に繋ぐのさ
※絡みやアドリブ大歓迎です!
●
星磨・璃歩留(スターリーセイラー・f15306)はステージの柱にめり込んだままの怪人に呼びかけていた。
「猟兵殺戮ショウとか誰も求めてないし。空気読めないとかキミ絶対司会者向いてないよ。滑ってるし、つまんないし、辞めちゃえばー?」
会場に設置されたスタンドマイクを片手に、怪人だけでなく会場のキマイラ達や配信先に向けてのマイクパフォーマンス。
(煽ってコッチに注意を向けられれば、それこそ司会者失格さ)
そんな効果を狙った挑発だったが、そのセリフを聞いた途端、怪人の動きがピタリと止まった。
シルクハットを俯かせ、フルフルと震え始める。
(あれー、この反応はクリティカルヒットかな?)
『#$%%^』
怪人は海賊不能の言葉を発しながら銀の円盤を振り回しカジノコインを乱れ撃ち。どうやら図星だった上に触れられたくない過去までありそうだ。
(もっと煽って注意を引いて。消耗させて仲間に繋いで。このまま必勝パターンに持ち込めそう!)
マイクパフォーマンスで追撃の煽りを入れようとするものの、そこへコインが大量のコインが飛来。寸でのところで回避するも掠めたコインにマイクスタンドが跳ね飛ばされてしまった。
「あふん。マイクも飛ばされて壊れちゃったし、これ以上煽ってる余裕はなさそう!」
怪人の放つコインと共に舞い散る紙幣。それに地面を埋め尽くせば、怪人が強化されてしまう。だが璃歩留にはそれに対抗する手段があるのだ。
「甲板掃除の時間だよ!」
ぱちん、とフィンガースナップの動作と共に渦巻く星の粒子の中から現れたのは璃歩留のメインウェポンほうき星1号。
「全てが星屑になるまで終わらないからね!」
怪人の戦闘力を強化する紙幣のフィールド。それを璃歩留は端からほうき星1号で掃き、分解し、次々と星屑の映像へと変換していく。
(狙いは怪人を消耗させるコト。これでいい。止めを刺せなくても猟兵の皆に繋ぐのさ)
今大会のアクションゲームのメインテーマを鼻歌に、ほうき星1号を滑らせ、紙幣で覆われたスタジアムを星屑の電脳空間へと上書きしていった。
合間には星屑を散らしての可愛いポーズで観客や配信用ドローンにアッピル!
それを見て盛り上がる観客キマイラさんたちに、伸び続ける配信数。
「キマフュっ子の嗜みだからね♫」
紙幣の面積は次第に減り、ついには星屑の面積が逆転する。
「来なよ、ジャックポット!! 枯れるまでコインを吐き出させてあげようじゃないか!」
辺りを有利なフィールドに塗り替えれば怪人はきっと乗ってくるはずだ。その予想を信じて怪人大見得を切る。
「紙幣がステージを覆ってもお掃除で尽く上書きしてあげる!」
スタジアム内を大量の紙幣と星屑が舞い飛ぶ。
紙幣の力で怪人はより力を高めることが出来るが、その紙幣は悉くモップ型のお掃除ツール絡め取られ、分解され、その姿を星屑へと変えられていった。
『ぐぬぬ、これ以上はカジノコインが……ハッ』
注意を逸らしたその一瞬。その隙を見逃さなかった璃歩留は、宇宙バイクの跳躍で怪人の背後に回り込んでいた。
「いらないデータも悪いヤツらも、みんなまとめて」
ほうき星1号が星屑と共に軌跡を描きながら振りかぶられ。
「星屑になーれっ!」
そして振り下ろされた。
成功
🔵🔵🔴
片桐・公明
(百目鬼君(f00172)と参戦)
先の一番難しいステージに挑戦している公明
「…ひゃう、失敗しちゃった。やっぱり彼のようにいかないわ。え、敵?ゴメン!今そっちに行く!!」
「ねぇ。百目鬼君。あなたのコインと私の銃撃でこんなことできないかな?」
敵の周囲に浮くコインに銃弾を当て、跳弾を利用して撹乱する
「結構いい感じ♪」
分「面白いことやってんじゃん。あたしも混ぜろよ。」
本「またあんたは勝手に出てきて。」
唐突に現れる分身
接敵してセイバーで攻撃
銃弾もコインも“何故か”当たらない
分「あ?ゲームでケリ着けんのか。んなの面白くねぇだろ。」
本(分身の首根っこを掴みつつ)「はいはいまた今度ね。百目鬼君、あと任せた!」
百目鬼・明日多
片桐(f03969)さんと参戦します。
…やっぱりチートしていましたか。妙な感じはしていましたが。
このままゲーム勝負で決着をつけたかったところですが
そうはさせてくれないなら、こちらも相応に行きますよ。
とりあえず敵のSPD行動に対しては、実況が始まる前もしくは
直後に先制攻撃で殴り飛ばします。
WIZ行動に対しては、『融合する刃貨』で対抗します。
ゲームメダルの操作なら僕も得意ですので…!
更に片桐さんとの連携攻撃で攻めにも転じていきましょう。
…さて、今からゲーム勝負に戻しても良いですよ?
ただし、次は僕も乱数調整を使わせて貰いますが。
本当に極めればチートなんて使わず技術だけでも
それくらいは可能なんですよ?
●
「……やっぱりチートしていましたか。妙な感じはしていましたが。このままゲーム勝負で決着をつけたかったところですが」
エキシビジョンマッチの特設ステージから飛び降りてきたのは百目鬼・明日多(一枚のメダル・f00172)。着地の衝撃で少しずれた眼鏡を一度直すと、怪人へと向き直り、メダルを構える。
星屑の山に埋もれていた怪人はそれらをまとめで跳ね飛ばすと、ボロボロになったシルクハットの位置を直し、蝶ネクタイを締めなおす。
『このエキシビジョンマッチ……大会終了時までに勝者不在となれば自動的に旧人類の勝利となるのだ!』
宣言と同時に怪人の背後に大量の銀の円盤が召喚され集まり始める。どうやら怪人はゲームでの勝負は完全に諦め、腕力による実力行使を選択したようだ。
「そうはさせてくれないなら、こちらも相応に行きますよ」
明日多のメダルが”投入”され、リアルと電子の海が接続される。
『レディースアンドジェントルマン、ボーイズアンドガールズ! 只今より……』
怪人が戦闘力を高めるために会場に向けて煽りを入れようとしたその瞬間、青年型アバターが割り込み殴り飛ばした。
明日多のユーベルコード、【電脳化身の拳】。
青年アバターは手を休めず、体勢を崩した怪人へアッパーカット。更に空中に打ち上げられた怪人へ自らも跳躍で追いかけジャブ、スマッシュ、ボディーブローと空中でのコンボを命中させ、続けてのフックで地面に叩き落す。
戦闘は先制攻撃を決めた明日多の有利で進んでいた。
一方、その頃。片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)はというと、先のアクションゲームで一番難しいステージに挑戦中だった。
猟兵達と怪人とのリアルファイトが始まっていたが、ゲームの攻略に夢中になっている彼女はそのことに気付いていない。
「……ひゃう、失敗しちゃった。やっぱり彼のようにいかないわ」
エキシビジョンマッチの行われていた中央ステージに僅かに振動が走り、それに驚いた公明は手元を狂わせミスしていた。
「……ぎ……さん……片桐さん!」
キマイラさんたちの歓声に紛れ、ステージの下からは自分の名を呼ぶ声が、明日多の声が聞こえる。
漸く気付いた時、ステージを見回すと既にそこには怪人や猟兵達の姿はなく、ステージ下からは交戦中を思わせる打撃音が連続して聞こえてくる。
「え、敵? ゴメン! 今そっちに行く!!」
彼女はゲーム機をどけると、急いでステージ端へと向かった。
公明がステージから降りると、そこには交戦中である仲間の猟兵達と怪人の姿。怪人の方はシルクハットや手袋が破れ、既に相当のダメージを負っていることが分かる。
「遅くなってゴメン! 援護するよ」
飛来した銀の幾重もの円盤を回避し、アバターと共に距離を取る明日多。その姿を見つけると、彼女はホルスターから二丁の拳銃を引き抜き牽制射撃。怪人の追撃を阻止したところで彼女は明日多に駆け寄り耳打ちした。
「ねぇ。百目鬼君。あなたのメダルと私の銃撃でこんなことできないかな?」
明日多の手から怪人の上方に向けて高く、宙へと高くメダルがばら撒かれた。
『また小細工を』
メダルを警戒した怪人は後方へ飛び少し距離を取った。続けてキマイラ達に向けてアピールし、戦闘力強化を図る。
『レディースアンドジェントルマン! ここからが見どころ。最終局面での逆転劇をお見せしましょう!』
手持ちのメダルを連続で宙へと放った明日多は公明へと目配せをした。
その合図と共に公明の二丁の拳銃から連続で放たれた弾丸。
怪人は回避動作を取るも、周囲のメダルに銃弾が当たり、弾はその軌道を変化させ、怪人のシルクハットに穴を空ける。
『これは……弾道をコントロールされた跳弾!?』
通常、至近距離で放たれた弾丸の軌道を大きく変えるにはメダルでは質量が足りない。だがこのメダルは特別性であり、その上で絶妙に制御されたメダル配置とサイコキネシスによる座標固定を併用すれば望んだ位置、方向へ銃弾を誘導することが出来るのだ。
怪人の防御を掻い潜り、時には回避に合わせて軌道を変え、吸い込まれるように怪人へと命中していった。
「結構いい感じ♪」
明日多の完璧なメダルコントロールと怪人の動きを先読みしたトスによってはじめて実現できるものだった。
やっぱり百目鬼はすごいね、との彼女の言葉に、しかしまだ戦闘中である明日多は素っ気なく返す。
「ゲームメダルの操作なら僕も得意ですので…!」
『まだ、まだ終わるわけにはいかな……!?』
その時、突如出現した人物の光剣が怪人を貫いた。
「面白いことやってんじゃん。あたしも混ぜろよ。」
振り向いたその姿は、公明と瓜二つ。
よく似た二人だが一点違うところがある。
その雰囲気だ。
それは実体化した彼女の邪悪なる別人格が実体化した者。
「またあんたは勝手に出てきて」
公明の抗議を受けながらの光剣の二撃目は怪人に防がれ、距離を取られる。
「あ? じゃあゲームでケリ着けんのか。んなの面白くねぇだろ?」
公明は不満そうな別人格を猫掴みで引き寄せると、後方へと離脱。
「はいはいまた今度ね。百目鬼君、あと任せた!」
起き上がった怪人へと青年アバターのダッシュ攻撃からの連撃が決まり、宙へと放り出される怪人。大きな弧を描いて落下してくる怪人に向け、明日多は語る。
「……さて、今からゲーム勝負に戻しても良いですよ? ただし、次は僕も乱数調整を使わせて貰いますが」
怪人が地面に激突する直前。
再び青年型アバターによるエリアルを受けた怪人が宙を舞い、地面へと落下する。
「本当に極めればチートなんて使わず技術だけでも、それくらいは可能なんですよ?」
突き出された彼のメダルのその先では満身創痍になりながらも再度浮き上がる怪人の姿があった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニノン・ノルニカ
ははぁ、やーっと正体を現したわね
あんたが改ざんした箇所見たけど、ちょっとバグりそうな所が多いんだよねぇ
多分大急ぎで書いたんだろうけど、わたしだったらもうちょいバレないようにするかなー
それじゃわたしも参戦しよっかな?
アクションも出来るけど実は格ゲーも少し齧っててね
UCで汎用キャラ像を召喚して全員合体!
この大きな子、わたしの動きに連動してるの
リアルファイトは嫌いだけど、襲ってくるなら魔力増幅したパンチにキックと容赦しないからよろしくね!
そうそう、まだ配信続いてる?
続いてたらカメラに向かってこんな感じに一言
「はいはい注目ー!大会とか問わずチート行為は絶対やっちゃ駄目!
正々堂々やるのが礼儀だからね!」
パフィン・ネクロニア
やだ、散々ずるした挙句に初心者のわしにすらゲームで勝てないからって腕力に訴えるだなんてカッコ悪い(執拗な初心者アッピル)
等とネガキャンで怪人叩きを煽ってる間に、リアルに叩かれて満身創痍になっておるとはまさに因果応報とかいうやつじゃな。
もはやわしがどうこうする間もなく勝敗は決した
悪あがきはやめておとなしく降伏せよ。今なら許してやらん事もない事もない
と、なんやかんや降伏勧告をしてこちらに注意を向けさせている間に
こっそりとひよこファイブに背後から攻撃をさせて隙を作り剣刃一閃で斬り捨ててくれる
目には目、卑怯な奴には卑怯攻撃が一番じゃ。
ところでこの怪人のカジノコインって換金はできるのかのぅ?(わくわく)
●
--配信用ドローンの映像--
にゅっと、ラブリーキュートな眼帯少女がフレームインし、そのご尊顔のアップが映し出された。
「やだ、散々ずるした挙句に初心者のわしにすらゲームで勝てないからって腕力に訴えるだなんてカッコ悪い」
『『『かっこわるぅーい』』』
彼女の執拗な初心者アッピルに対し、完璧なハモリで返す観客キマイラさんたち。このキマイラさんたち、何か特殊な訓練でも受けているのだろうか。
「はいはい注目ー!」
今度は反対側からミラーシェードと緑髪が印象的な非実在少女の顔が、これまたアップでフレームイン。
「大会とか問わずチート行為は絶対やっちゃ駄目! 正々堂々やるのが礼儀だからね!」
『『『はーい』』』
彼女のセリフにも見事なコールアンドレスポンスを返す観客キマイラさんたち。一拍のズレもない完璧な合いの手は最早職人技であり、プロの観客とでもいうべきレベルに達していた。このキマイラさんたち、いったい何者なのだろう。
「「では引き続きエキシビジョンマッチ第二幕、猟兵VS怪人のリアルファイトをお楽しみください!」」
パフィン・ネクロニア(ダンジョン商人・f08423)とニノン・ノルニカ(ノーティ・オブザーバー・f15262)の二人は一旦配信用ドローンの前から離れると、リアルファイトに参戦するべく怪人の元へと向かっていった。
「ははぁ、やーっと正体を現したわね」
ニノンの視界に入った怪人。そのシルクハットは所々へこんでおり、銃弾で穴だらけ。白手袋は破け、蝶ネクタイは千切れてぶら下がっている。正体を現したものの、既に猟兵達の攻勢により満身創痍であった。
「ネガキャンで怪人叩きを煽ってる間に、リアルに叩かれて満身創痍になっておるとはまさに因果応報とかいうやつじゃな」
怪人に憐みの目を向けるパフィン。
「もはやわしがどうこうする間もなく勝敗は決した。悪あがきはやめておとなしく降伏せよ。今なら許してやらん事もない事もない」
ニノンを制し一歩前に出た彼女。愛刀曇天を納刀し、更に言葉を続ける。既に勝負は決した。それは誰の目にも明らかであるのだが……。
『……旧人類の……素晴らしさを認めさせるまで……エンディングを……スタッフロールを流すわけにはいかないのだ!』
最後の力を振り絞りって召喚されたヴァーチャルキャラクター達がパフィン目掛けて襲い掛かる。
「ふむ、まだ諦めてないようじゃのぅ」
言うと同時、怪人の背後から色取り取りの影が連続して貫いた。怪人がバランスを崩したところへパフィンの居合抜きが決まり、銀の円盤、召喚されたヴァーチャルキャラクター、そして怪人の手袋諸共を両断した。
「目には目、卑怯な奴には卑怯攻撃が一番じゃ」
怪人に飛来したカラフルな影は彼女の秘密兵器、正義のひよこ戦隊ひよこファイブだ。降伏勧告をして時間を稼いでいる間に怪人の背後に回り込ませていたのだ。勝敗は大方決していたとしても、油断する人物はここにはいなかった。
「それじゃわたしも参戦しよっかな?」
ニノンは電脳ゴーグルとゲームデバイスを起動、バトルゲーマー流の臨戦体制へと移行。彼女の周りにいくつものワイヤーフレームが現れ、人型を形成し、更に粒子状の光が集まり、そして光はテクスチャとなり、ゲームキャラクターを形成した。
「アクションも出来るけど実は格ゲーも少し齧っててね」
出現したキャラクターはグラフィックが重なり合い、巨大な一つのキャラクターへと融合。
「この大きな子、わたしの動きに連動してるの」
キャラクターが彼女の動きを正確にトラッキングし、全く同じ動作を遅延なく実行したことを確認。
「リアルファイトは嫌いだけど、襲ってくるなら魔力増幅したパンチにキックと容赦しないからよろしくね!」
勝敗が判定されるまでゲーマーの戦いは終わらない。既に限界を超え喋る余裕もなくなっていた怪人へと容赦なく打撃が加えられた。耐久力を大きく超えるダメージを負った怪人は断末魔を上げる間もなく消滅。
「あんたが改ざんした箇所見たけど、ちょっとバグりそうな所が多いんだよねぇ。多分大急ぎで書いたんだろうけど、わたしだったらもうちょいバレないようにするかなー」
ゲームキャラクターの召喚を解除し、電脳ゴーグルを上げる。彼女の視線の先には砕けた銀の円盤と僅かに残ったコインのみが残されていた。
●
「ところでこの怪人のカジノコインって換金はできるのかのぅ?」
わくわくしながら怪人の残したカジノコインを拾い集めていくパフィンだったのだが。
「な、なんてことじゃ……」
コインはサラサラと崩れ、その手から零れ落ち、消滅していった。このコインも召喚されたまがい物だったのだ。
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怪人の脅威は去り、平和を取り戻したゲーム大会。
しかし、主催者である怪人の消滅により大会は中断。
猟兵達の計らいとスタッフキマイラさんたちの協力により何とか再開され、無事終了まで漕ぎ着けることができた。
レトロな街並みのレトロなゲームの事件はこうして幕を閉じた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴