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恋の成就は絶望と共に(作者 きみはる
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 陽の光が完全に落ちた頃――薄暗いる教室の中で、生徒たちは集まる。
 大多数の女生徒と、ごく一部の少年。
 一見ばらばらに見えるその集団の共通点は一つ――手に一冊の赤い本を持っているということ。
 勉強に使うには酷く分厚い、アンティークなテイストの本。
 それは恋を叶えてくれる、魔法の本。
 少なくとも……彼女らは、そう信じていた。

「どう、して……」
「嫌、嫌ァ!」
 小さな光だけが灯された薄暗い教室の中で、生徒たちの悲鳴が響き渡る。
 しかしそれも一分にも満たない僅かな時間……幾ばくかの時が流れれば、そこにあるのは物言わぬ肉の塊。

 締め切られたはずの部屋に一陣の風が吹けば、全ては闇の中。
 何かが蠢く音だけが、辺りに響く。


「皆、事件だよ」
 その白髪をたなびかせながら、中御門・千歳(死際の悪魔召喚師・f12285)はそう猟兵たちに語り掛ける。
 千歳によれば事件が起こるのはUDCアースに存在するとある学園。
 そこで邪教の教団が邪神を召喚しようとしているらしいのだ。

「どうやら敵とある魔導書を学園内で流行らせているらしいのさ――恋が叶う、魔法の本……なんて言ってね」
 恋が叶う、魔法の本――その正体は読んだ者の魂を喰らうという、魔導書だというのだ。
 邪教の教団はその魔導書を通じて学園の生徒たちの魂を集め、それを魔力に変えることで邪神召喚の儀式を行なおうしている……というのが予知の内容だ。
 その魔導書が出回る段階で既に数名の犠牲者が出ており、ここ数日で数名の生徒が意識不明となり救急搬送されたという事件も発生しているらしい。

「まずは生徒たちから魔導書を回収しておくれよ。その魔導書は写本みたいでね、けっこうな数が既に持ち込まれているみたいなんだよ」
 特別な時間に学園内で読むことで恋が成就するという魔法の本――その噂は出鱈目。
 だが、それを信じて持つ生徒たちからその魔導書を回収することは一筋縄ではいかないだろう。
 そもそも話を聞き出すことが難しい――何故なら色恋沙汰の話は、とてもナイーブな内容なのだから。
 もしも正面から回収するのであれば、生徒たちに心を開いて貰う必要があるのだ。
 場合によっては生徒たちが隠しそうな場所を探し当て、秘密裏に回収するというのも一つの手なのかもしれない。

「その魔導書を回収し終えたなら、一ヵ所に纏めて燃やしちまうとしようか。当然魔導書だって素直には燃やされちゃくれないだろうさ……戦闘になるだろうねぇ」
 魂を喰らうという魔導書……写本故に原典程の力を持たないものの、相対する猟兵たちに対し精神攻撃を行なうだけの力は持っているだろう。
 絶望の記憶を呼び起こされたり、魂を揺さぶられ混乱させられたり……それこそ、幻覚すら見せられるかもしれない。
 いずれにせよ相対する為には心を強く持つこと、それが重要なのだ。

「魂喰らいの魔導書を処分出来たなら一件落着……ってなれば良いんだけどね、既に蓄えられた魔力で不完全でも復活しちまうみたいだよ、邪神がさ」
 邪教の教団による召喚陣は既に完成しており、破壊も困難だと言うのだ。
 故に既に蓄えられている魔力で行なわれる召喚自体ついては、完全には阻止する術は無いだろう。
 しかし邪神とは言えあくまで不完全な状態で召喚されたもの――本来であれば立ち向かうことすら困難な強大な邪神であれ、見事魔導書を処分出来ているのならば正面から打ち倒すこととて可能なのだ。

「まずは上手いこと本を回収しておくれよ……それじゃあ、宜しく頼むねぇ」
 独特の笑い声をあげながら、グリモア猟兵は皆を送り出す。
 事件の無事の解決を祈りながら。





第3章 ボス戦 『アフスズルト』

POW ●強撃
【邪神の速度と剛力から繰り出される猛連撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD ●殲滅
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル✕10本の【蒼焔によって鍛え上げられた邪神武器】で包囲攻撃する。
WIZ ●創傷
攻撃が命中した対象に【この戦いに勝利しても消えない邪神の疵跡】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【魂をも灼き尽くす必滅の蒼焔】による追加攻撃を与え続ける。
👑11

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ムルヘルベル・アーキロギアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「やった、か?……」
 その言葉は誰のものだっただろうか。
 燃え上がった本は灰と消え、柔らかな残り火が風に揺らめく。
 しかし猟兵たちは理解していた――事件は未だ、解決していないのだと。

 揺れと共に、突如光り出す地面。
 刻まれた巨大な五芒星こそが、予知に聞く召喚の儀式なのだろう。
 頭が回りそう理解出来た頃には、地震は直ぐに収まっていた。
 しかし気を抜くことは出来ない。
 何故ならば猟兵たちは感じていたのだ――圧倒的なプレッシャーを。

 揺らめく蒼き焔と、見上げるほどの巨躯。
 その禍々しい異形こそが、件の邪神だ。

 鼓膜を引き裂くような、身を竦ませるような雄叫びが響く。
 今……事件は最後の山場を迎えようとしていた。