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"縁"という名の糸

#UDCアース #UDC-HUMAN

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●ぼくが調べた最高精度の"縁切り"方法
 幾つ目かの鳥居を潜った。
 此処に来て、願いの紙を結んで手順を正しく行えば"縁"が切れると聞いたから。
「……だって、こ、此れ以上は無理だよ…………」
 震える手で、願いを綴ったボロボロの紙をあとは結んで、"願う"だけ。
 少年の調べ上げた呪術的にも、神社の信仰的にも、どちらの効果も対象に該当者に何らかの現象(きせき)を起こす。ただ、小心者で学生時代を早々に脱落し、年中引きこもりの少年はこの神社もとても怖かった。
 鬱蒼と茂った森が、ざわざわと音を立てているが、空の色が見えない。
 訪れた今は確か、昼だった。
 それなのに、りーんりーんとコオロギの声が聞こえてくる。
 まるで――すでに"夜"だとでもいうようにだ。

 ネット以外で誰も信頼できない少年。
 そのネットもつい最近、彼を裏切った。
『オカルト吹聴乙』
 考察サイトを独自な視線を元に運営し、必ずそうコメントしてくる誰かがいる。
 ……いいや、その"誰か"というのは不特定な誰かではない。
 "たった一人の人間がしている"。
 不特定多数が同調していることもあるだろうが、違う。
 少年ははじめから、知っていた。
「なんだよSORA、おまえまーたあんな考察続けてるわけ?」
 たった一人、連絡ツールでそう直接連絡していくる自称信者の彼がそう。個人的な趣味の範囲で行っている事を、肯定も同調もなく全てを否定してくる。
「い、いいじゃないか……ぼくがだれにめいわくかけてるっていうんだよ…………!」
 少年は沢山の"縁切り"を結ばれたらしい枯れ果てた木に、"願い"を結ぶ。
 そして――紙を持ってきたライターで、徹底的に燃やした。
 他の終わった願いへの延焼なんて、全く気にせずに。
 燃やされた願いの数だけ溢れて流れるどす黒く淀んだ願いの残滓。
 ぶわあと湧いた黒いオーラが少年の姿を包み込み、流れ込んで存在を書き換えた。
『は、ははは……俺は願う。いいやここで叶えよう。対象は一人。お前をあかく染めて"魔女狩りを"此処に遂行してやるぞ!』
 まるで別人。残虐性を顕に薄く笑みを携えて、狂気な魔法使いはスマホで該当者を呼び出す旨を端的に送信した――。
『"吹聴じゃないと証明しよう。今から指定する神社に来い"』

●人を呪わば……
「ヒトがヒトを化け物に変えるんだと。……言霊? とか、信じるタイプ?」
 フィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)は伏目がちだ。
「もう少し説明しよう。UDCアースで、ヒトがUDCに変身した話の報告は聞いたことあるか? こんかいは、ソレだ」
 場所はやたらと鳥居の多い神社。
 あまり人間が訪れるタイプではない、寂れた場所だ。林は手入れ不足で森になっていて、鬱蒼としているわりに閑散としていて、どこか空気が重いという。
「化け物化現象、総評してUDC-HUMANと言うそうだが……変身したのはヒトの男。呪術系統を密かに独学で学んでいたという引きこもり思考の少年、緑翔・ソラ(ろくしょう・そら)。年齢は不詳だ」
 サイトを運営する程には、ネット知識がある彼の管理者は名はSORA。
「根暗な奴は神社へ"縁を切りに来た"。そう、神社は縁切りとして有名な場所だッたッつー話。……だから、"縁切り"の願いに準ずる怪物が続々と集まりだしている」
 縁を繋ぐ赤い糸。それは誰に存在するものであるらしい。普段は見えず、動きを阻害するものではないが、出会いの数だけ自身に絡まるものだという。
 "力のある伝承"が切れば、その限りではない。
 スッパリと"縁"の由来となる対象の命ごと切られてしまい、結ばれた縁は物理的に無かったことになる。
「……ソレの対処は相応にしてくれればいい。UDC-HUMAN『昊』は、呪術的な魔術を利用して姿を変えた"全くの別人だ"。霊的に身に宿らせて変貌いる、という表現が正しいかな。思考、考え方は元の少年のモノを多少トレースしているようだが……基本的には生きることに絶望し、空っぽになった身体を利用しているだけの他人だ。変貌した原因となった少年の心を壊した対象、ただ一人殺すために行動に出ている」
 ソラへ誹謗中傷を行い続けた誰か。それは特定されている。ハンドルネームをSAKURAと名乗る、年齢不詳の櫻谷・咲(さくらたに・さく)。
「調べるところによると、近所付き合いのある"幼馴染"らしい。櫻谷はオカルト現象を全く理解しようとしない現実主義者だ。ソラのオカルト話を絶望的にあり得ないこと、バカバカしい話だと否定しかせず、将来的にソラの真っ当な社会復帰を望んでいるが、選ぶことが兎に角遠慮のない男だな」
 遠慮がない。選ぶ言葉も、コメントする内容も全部が全部否定の言葉。
 ソラが引きこもりになって以降、ネット越し唯一のリア友であったようだ。
 ネット越しだったことでガツガツと言葉を強気さを増した。
 はじめは幼馴染で心強く頼もしい友人であったようだが、最近ではひたすらわずらわしい外野とまで信頼度が減っていったともいう。
「櫻谷は神社に訪れているようだな。みんなに急ぎ行ッてもらッても既に『昊』と出会ッていることだろう。放ッておくと『昊』は櫻谷を容赦なく社会的な縁を斬るぞ。……降霊術、と思えばいい。殺しを実行される前に、元のヒトである"SORA"になんやかんや思う所を訴えかけろ」
 まだUDC-HUMANになりたてである生まれたばかりの化け物を、完全にUDCに至る前に助ける事が出来るかも知れない。
 心を取り戻す、呼び戻せれば術は解けるものであるからだ。
「……まあ、否定の積み重ねはよくねえわな。多少、事情を汲んで戦いに望んでもらえるといいかと思う」
『昊』との戦闘になれば、櫻谷は腰を抜かす可能性が高いので、逃げることはない。
 この一連に大きく関わった彼にも、なんらかの話を持ちかける必要はあるだろう。
「あれだよあれ。社会的制裁、的な……といッても、規模は極小で、宗教違い程度でしかねェんだけど、言葉はヒトを変える狂気な凶器にもなるんでな」
 方法は、現場に行く猟兵に任せる、というのがフィッダの主張。
 穏便でも、徹底的でも。"良い縁"が訪れる事を願っている。
「縁切り神社には、『昊』と櫻谷以外のヒトは居ないからそれ以外の不特定の誰かが巻き込まれることはねェ。……アンタも思うところがあるなら"願ッてみれば"?」
 それが結果的にどうなるか。
 目の前で繰り広げられるわけなのだから宗教宗派を問わず、この地に根付く"縁切り"の都市伝説を体感することになるだろう。


タテガミ
 こんにちは、タテガミです。
 UDCアースのある闇をすこーし覗いてみましょう。

 シナリオの舞台は、鬱蒼と茂る縁切り神社。
 石畳に鳥居がずらああといっぱい。凄いたくさん。

 集団戦は"縁切り"の願いに集まってきた少女たち出会うでしょう。
 伝承や信仰に由来する都市伝説に近いイメージ。彼女たちがする縁の切り方は少々、物理的な方針を取るようですが、純粋な願いに寄ってきた子たちです。
 あまり悪い子では、ありません。
 彼女たちはただ、"願い"に沿って"切っている"だけなのです。

 ボス戦は降霊術的な方法で自分が"縁切り"をする立場に立ったUDC-HUMAN『昊』。
 OP上で色々説明していると思うのですが、『昊』はソラと全く別人。
 心以外別の魂に明け渡して、縁切りを遂行しようとしています。
 放っておくと櫻谷を一番に殺害して、サイト否定コメをした人間を順番に血祭りにあげようと動き出すことでしょう。

 日常は、ヒトを化け物へ至らせた櫻谷へ制裁を。
 "縁切り神社"にご興味があるばあいは、櫻谷をそれとなく無視する形で制裁優先度を下げて下さっても構いません。無視する場合は依頼の内容からご判断下さい。
 ヒトがヒトへだけを願うものではありません。大抵の人が神社の信仰の利用方法が異なるだけで、些細なモノのほうが多いのです。

●人物詳細
 被害者:緑翔・ソラ(ろくしょう・ソラ)
 (ハンドルネーム:SORA)
 引きこもり思考の物静かな少年。
 基本的に人間不信。オカルトサイト運営、管理人。
 オカルト関連の情報収集はスマホ主流で、"呪術やってみた"な内容が投稿されていた。今回の呪術も真偽はともかくネットで調べ上げた情報を元に行ったらしい。はじめての、ガチ降霊術になるとは、半ば思っていなかった模様。
 櫻谷の批判コメにいい加減うんざりして、"友人"としての縁切り決行を決断。

 加害者:櫻谷・咲(さくらたに・さく)
 (ハンドルネーム:SAKURA)
 気風は正義感だけで突き進む猪突猛進タイプの男。
 オカルトサイトを、ソラのサイトを潰そうと沢山の友人に否定コメを書き込むように促していた。批判コメの統率者。職場や色んな場所でソラのサイトを宣伝する反面、徐々に攻撃的なコメを投稿していた(サイトを辞めろ。嘘サイト乙等)どんどん過激になっていった一方で、コレを気にネットからの卒業になればいいと行動していた正義感の塊。
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第1章 集団戦 『縁切りカレン』

POW   :    カレンにちょーだい?
【 大振りな糸切り鋏】が命中した対象を切断する。
SPD   :    あなたもカレンの家族だよ?
【ぬいぐるみが持つ、縁を繋げる赤い糸】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
WIZ   :    みんな、助けて!
【回収した縁に連なる家族】の霊を召喚する。これは【包丁などの刃物】や【フライパンなどの鈍器】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:橡こりす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●縁切りのカミサマまたは"誰か"

 がさり。
 森の向こうから歩いてきたそれは、少女だった。
「カレンにご用事があったのはあなたではない……みたい?」
 大振りな鋏を手に、少女は猟兵に声をかける。
「ああでも……カレンと"今"、目が合ったし、認識してくれたね? じゃあ縁を結べたはずね。とっても素敵な縁ね」
 指をくるりくるくると回す動き。
 ふわあ、と可視化していくそれは何処までも長く何処までも赤い糸だった。
「ほおら、見えるでしょう?」
「"縁切り"ならまずは結ばないと、だもの」
 運命の糸、というのは果たして何色だったか。
 猟兵の身体に何本も絡みつく糸。
 その中でも少女へと伸びる糸の一本が、しっかり指に結ばれていた。
「じゃあおにーちゃんも、おねーちゃんもカレンの"家族"。ね、じゃあ命(縁)をちょっきん、しちゃおうか」
「だって"誰かがそう願っていた"から。カレンは出来る子じゃあ切っちゃおうね」
 物理的に命と紐づく縁の糸をぱちんと切り取って、少女は"家族の縁"を宝物にしたいのだとキャッキャとその場で跳ねる。
 これが、悪意を持って誰かが願ったその末路。その一欠片。
 少女はニコニコしているが、幾重にも太く強く固い糸を結ぼうと駆けてくる。――結んだ縁が深ければ深いほど、自身の命はゴリゴリと切り取られていくことだろう。
鉛・鐵斗
●心情
言霊ねぇ……。あるよなー、噂がホントになっちまうとかそーいうの。
凶器になったり、呪いになったり。言葉ってホントこえーわ。

つーか、縁が物理的にってなりヤバくね?

……まぁ、思うとこはあるけどよ、とりあえず止めねぇ事には好転しねぇからな。

●対峙
って、女の子ぉ!?
いや見た目がそうってだけだとしても物理的に殴るのは気が引け……っだー、もー!

●行動:WIZ
霊障で向かってくるモンぜんぶ吹っ飛ばす!
そんでもって片っ端から呪う!転べ!すってんころりんと転んじまえ!

アドリブ連携改変◎



●おにーちゃん、カレンと遊ぼ!

 コオロギの声が聞こえてくる。
 明かりがそう多くないこの場所から夜景を仰ぎ見れたならば。さぞや綺麗な星空が、と鉛・鐵斗(星望む幽鬼・f28410)は思ったが見上げてみても空は見えない。
 この場所で唯一のおかしな部分は、クスクスと誰かが笑う声が聞こえるくらいか。
「言霊ねぇ……? まあ、あるよなー。噂がホントになっちまうとかそーいうの」
 ――誰も居ないっつー話だったけど、これどう考えたって"誰かいる"だろ。
 四方八方、どこからでも聞こえる気がして口に出すのは憚られる。
「言い方一つで凶器になったり、呪いになったり。形を成すのは簡単で、取り消すのは難しいときたもんだ。……言葉ってホントこえーわ」
 クスクス笑う声は途切れることがない。
 まるで話しかけるのを待っているようだ、とさえ鐵斗は思った。
 いつの間にか腕に"結ばれていた赤い糸"の逆側に"声の主"はいるのだろう。
「おいおい……縁が物理的に、ってそういうこと? かなりやばくね?」
『そうかなあ、どうかなあ? おにーちゃんにはヤバイことなんだ?』
 "話しかけられた"縁を手繰るように誰かが近づいてくる。
 近づく物音はゆっくりと。でも確実に迷うことなく近づいてくる。
「ノーコメント。……まあ、思うところはあるんだけどよ。大事になる前に止めねぇ事には好転しねぇからな」
 かさり、と姿を現した少女カレン。
 背丈の半分はあるだろう大きな鋏が存在感を大きく主張する。
 目が合った。カレン、にっこり。
「……って、女の子ぉ! ?」
『おにーちゃんってば、大げさなんだからあ』
 指先に沢山の千切れた"糸"を引っ張る。
『みんな、助けて!』
 何処にもそれは繋がっていないが、"切り取られた家族"がカレンの声に喚ばれてナニカが現れる気配がした。
 姿形は不思議と見て取れない。
 還る身体を無くした魂が、カレンに直接結びついているのだろうか。
 少女の周囲に錆まみれの赤銅色の包丁や、歪んだフライパンが浮いている。
 超常現象。命ごと切り取られた被害者の成れの果て。
「いやいやいや!見た目がそうってだけだとしても物理的に殴るのは気が引け……っだー、もー!」
 思わず髪をぐしゃぐしゃとしたくなる気分に駆られた。
 目の前の光景は、殺意しか見えなかったからだ。刃物と凶器が、ふわふわと浮かんでいるのだから、それ以外に何と思えば良かっただろう。
 包丁がまっすぐ突き進んでくるのを羽織を揺らして躱し、フライパンが頭を狙ってくるのを屈んで避け、カレンの姿を視界に捕らえる鐵斗。
「殴れな……いいや方法なら在るか。勝手に俺と"縁を結んだ"んだろ?」
 ――ならその"縁"を逆に利用させてもらおうか。
『おにーちゃんもカレンの家族になって貰いたいからね』
 たた、っと軽い足取りで家族の霊の相手に掛かりきりな鐵斗へとカレンは鋏を大きく振りかぶる。ちょっきんちょっきん。鋭利な音が、鐵斗の耳にも勿論届く。
「俺を"おにーちゃん"っていうなら……"兄貴"の言うことはちゃんと聞こうな!」
 赤い糸を媒介に、撫でるようにして"触る"。
 触れただろう襲い来る幽霊(かぞく)を全部問答無用に吹き飛ばすと、からんからんと金属が落ちる音がした。
 武装していた誰かは簡単に吹き飛ばされたのだろう。
 "縁"を対象に癒えない傷跡を付け、呪いは周囲へと連鎖する。
『えーやだー!』
「我儘言わない! ……悪戯とかはナシだナシ! 片っ端からすってんころりんで反省しような!」
 片っ端から"縁"在るものを呪って転ばせた。
 勿論これは召喚した少女にも、適応される。
『……あ!』
 人知れず呪われたカレンの鋏は鐵斗へと届くことなく空を斬った。何しろカレンは、足を滑らせて頭を石畳にぶつける形で派手に転んでいたのである。
『う、うわああん。痛いよお!』
 泣きじゃくるように目を擦る少女の目に、縁切り不達成を恨むような殺意が宿っているのを鐵斗は見逃さなかった。
「あーうんうん。そういう目でもダメなものはダメだからな!」
 不意打ちを見破られた少女は軽く舌打ちをして立ち上がりざまに鋏を振り回そうとした。しかし、不慮の事故は多発してしまい、糸切り鋏が霊障の効果ですっぽ抜けてしまい、――鐵斗との間で妙な空気が生まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

袖すり合うも他生の縁とは、よく言ったもんだよ。
どんな縁だか知らねぇが、確かに相対しちまった。
こんな簡単に結ばれるのも御免だよ。
……第一、アンタらの一番の狙いもアタシらじゃねぇだろ。
だったら大人しく見逃しやがれ!

ぬいぐるみを『衝撃波』で吹き飛ばして糸を結ばれるのを避けつつ、
『コミュ力』でガンガンと煽り続けるよ。
「今縁を結ぶって言ってたけど、
まだじゃねぇか。その今ってのは『なんどきだい?』」
て【時縛る糸】を織り交ぜながらね。

糸は結ぶだけでも切るだけでもない。
絡まり、縛り上げもする。
再び動き出す前に、全力の電撃『属性攻撃』で蹴散らすよ。
合縁奇縁、腐れ縁。何が出るのやら…。


アメリア・イアハッター(サポート)
【サポート】
他の猟兵の行動が成功するようにサポートに徹し、下記のような行動をとります。
・機動力が必要であれば宇宙バイク「エアハート」に仲間を乗せる。
・仲間の攻撃が当たるように、敵の行動をUC「風の友」で読んだり、氷系のUCを使って敵の機動力を封じる。
・仲間の攻撃を強化するために支援系UCを使ったり、鼓舞をする。
・敵の注意を逸らすため、宇宙バイク騎乗や空中にて囮となる。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●縁切り一方通行

「おや既においでなすったのかい?」
 手首にふわりと結びついた細い数本の赤い糸。
 これに敵意は感じなかったが、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は手を振るっても簡単に解けないのを悟る。
 サイキック的な結びつき。
 結びつけてきた存在の望む"条件"に一致しなければ、解けないようなものだろう。
「……なんていったかね、"袖すり合うも他生の縁"とはよく言ったもんだよ」
「それを言うなら、"袖振り合うも多生の縁"じゃないのかな?」
 アメリア・イアハッター(想空流・f01896)は夕焼け色のスカーフを僅かな風に揺らして自身にも僅かに結ばれた"糸"を揺らして戯れていた。
「そうとも、いう……? まあ見方によっては縁は縁なんだろうけど。どんな縁だが知らねぇが、確かに相対しちまった」
「これの先にいるのは確実だものねえ」
 ゆらゆらと、アメリアが揺らした糸は長く森の奥に伸びている。
 僅かに自発的に糸が揺れるので、ゆっくりと誰かが近づいてくるのは確実だった。
「こんな簡単に結ばれるのも御免だよ」
 掴んで千切ろうと試みるが、"糸"は全く解けない。
『そんなに嫌? おねーちゃんたちはカレンと早くばいばいしたいんだ?』
 片手に不思議なぬいぐるみをぎゅっと抱いた少女が現れる。
 もう片方の手には、外見から想像できないほどの大きな糸切り鋏。
『一旦結んで、結んだ部分からちょっきんしちゃおう? そうしたらいずれは全部無くなっちゃうの。無くなっちゃったらね、もう"あなたもカレンの家族だよ"?』
 ぬいぐるみを放すとふわりと浮かぶ。
 縫い針片手に赤い糸を舞わせて猟兵へと迫る。
『カレンはね、"人に願われた"んだもの。だから叶えなくっちゃ』
『喚んだ人が此処に居ないなら、代わりの人の縁を貰うだけだよっ!』
「……おいおい問答無用かい? 第一、だ。アンタらの一番の狙いはアタシらじゃねぇだろ!」
 少女の手から離れたぬいぐるみは、ひとつだけじゃない。
 手段でそれを成そうとする複数のカレン、その数だけ糸を手に縫い針を突き刺す行為を繰り返す。
「痛そうな縁結びだねえ。でもこれが縁なら、応えてこその猟兵なんじゃない?」
 ちら、と視線で会話するように含みを持たせたアメリア。
 前向きで、後押しするポジティブシンキング。

 "――なんとかなるよ、みんなと……猟兵ならね"。

 多喜はそんなアメリアの前向きさに苦笑を浮かべて"応える"。
「よおし、分かった。アタシらが押し勝ったら、大人しく見逃しやがれえ!」
『うん。いいよ。カレンたちと出会った"縁"から逃げれたら、ね』
 ぶわああ、と多喜に殺到するぬいぐるみを、衝撃波で吹き飛ばす。
 ぬいぐるみは簡単に吹き飛ばされていった。
 悲鳴が在るとしたら、"うわあ"なんて、気の抜けたものであったことだろう。
「もっと色濃い"縁"を結び続けるって? まだまだ足りないじゃあねえか。出会った縁ってのは今"なんどきだい? "」
『……え?』
 少女の体感が、多喜の吹き飛ばすに使っていたのとはまた別の、時縛る糸に干渉された。時間にすると89秒の主観時間がその場に縫い留められる思念波だ、1分以上少女の中で空白が生まれる。
「糸は結ぶたけでも切るだけでもないのさ、"糸"なんて形に練り上げなくても絡め取れるし、縛り上げる楔にもなる」
 多喜がアメリアを手招く、少女たちはぬいぐるみ共々動きを止めているのだ。
 わざわざこの場に足止めされている通りはない。
「それに……霊的な糸で結ぶのはよろしくないねぇ、直接全力の雷撃を通されたらひとたまりもないじゃないか」
 いつの間にか絡まれていた"縁の糸"に全力の雷撃を放ち、少女たちの体感が再び動き出したなら、あまりの痛さに泣き出してしまうかもしれない事を想像して、多喜は少女を躱して走り出した。
「へえ……今ので糸をぶっつり焼き切ったんだね?」
 断ち切られた糸が、猟兵の身体から外れて落ちて消えていく。
 少女との"縁"は千切られた。もう足止めに付き合う理由はなくなった。
「繋ぐ縁は自分で選ばないとだからねえ、合縁奇縁だろうと、腐れ縁だろうと」
「確かに。それは意図的に誰かが繋いでいいものではないからね。空くらい自由じゃないとだもん」
 少女たちが"勝手に縁を斬られた"と知るのは後何秒先だろう。
 そう多い時間はないだろうが、通り過ぎてしまえば此方のものだ。"縁を結ばれなければ"、あれらはただの知らない誰か。また別の標的を探しに行くだろう。
「さーてね。この向こうに、一体何が出るのやら……」
 宇宙バイクがなくとも、心地よい風が吹いてくる。
 アメリアの足取りも、思わず空に駆け出すように軽くなる。
「気になるなら見に行こう? 今日はいい風がずっと吹いていそうだから!」
 さあさあごーごー、なんて手振りも加えられて行動を後押しされたら、一先ず行動してみようなんて気分になってみるもので。
「それは勘かなにか?」
「ううん、なんか――そんな気がしただけ!」
 にっこり楽しそうな明るい調子でアメリアが言うと、びゅおうと背中を押すように風が吹いてくる。なんて気前のいい風だろう。そんな風に愛された猟兵たちは振り返ることなく――石畳の上を颯爽と駆け抜けていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
縁を切るということは必ずしも悪いことでは無いのですけどね。悪言雑言を尽くす人物との縁を切りたいという思いも、友人とオカルトの縁を切って救いたいという思いも、おそらく正しいものなのでしょう。実在する呪いに当たってしまった点は運が悪かったようですが、できれば2人とも助けたいですね。

縁を切りたい少女たちも同様ですが、しかし無差別であるならそれは既に災害です。申し訳ないですが、倒させていただきましょう。

UC発動。形状は糸、属性は風。赤い糸を絡め取り、相手の攻撃を防ぎます。液体金属なので切ろうとすれば鋏の方が傷むでしょう。敵に搦めたら風を起こし、四肢を切断します。


ルネ・プロスト
悪気のない分余計に性質が悪いというやつだね
この子達にしても、件の考えなしにしても
さて。家族、だっけ
いいよ、なってあげても
でも代わりに君の魂、ルネが貰うね?

糸が結ばれると同時にUC発動、縁を介して魂を捕縛
“今ある縁を切りたくない”っていう一種の執着心で一杯にしてあげようかな
切る前提だとしても軽々に縁を結んじゃいけないよ
特にルネみたいな、呪術を扱う人形遣いを相手になんて
“わたしを好きにして下さい”って言ってるようなものだよ?

宣言されたルールは極力破らない方向で
ルネは気を引く役だから大して問題ないと思うけど
本命は死角に回らせた駒盤遊戯達の奇襲
痛みを感じる間もなきよう、可能な限り急所への一撃を狙わせる


編堵・希亜(サポート)
「……なに?」
「そうなんだ。」
「私は、私だよ。」

囚人服のようなものを着て、いつも黒猫のぬいぐるみを抱えた女の子。口数は少なく、人見知りで猜疑心は強いものの、猟兵としての仕事をこなすためなら、それなりに人と付き合っていける。
甘い物が大好きで、食べればすぐに機嫌がよくなる。嫌いなモノは、かつて自分のいたアリスラビリンスの世界と、それを連想させるもの。

戦闘では、自分ではあまり戦わず、自身に宿るオウガの『カイ』を戦わせたり、ぬいぐるみをバロックレギオンとして相手を押しつぶしたりする。

『カイ』は上等なドレスを着たラミアで、少し高飛車な話し方。宿主の身は守り、敵には容赦がない。『さぁ、敵はどこかしら!?』



●Edging

「ふうん、悪気がない分余計に性質が悪いというやつだね」
「ええ、"縁を切る”ということは必ずしも悪いことでは無いのですけどね」
 水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)とルネ・プロスト(人形王国・f21741)。
 まるで噂話でもするように、会話しながら少女の訪れを誘う。
「悪言雑言を尽くす人物との縁を切りたいという思いも、友人とオカルトの縁を切って救いたいという思いも、おそらく正しいものなのでしょう」
「性質の悪さが形を持ってこうなってしまうなんて、この子達にしても、件の考えなしにしても"運が悪い"」
「うん。……そう、思います」
 やや遅れた同意を、編堵・希亜(蛇に囚われた少女・f19313)はポツポツ返す。
 ぎゅっ、と抱きしめた黒猫『カイ』で口元を隠しているので、どことなくほかの猟兵とは物理的に距離がある。
『じゃあカレンと出逢った皆はとっても"運がいい"ね』
お話する、そんな縁に導かれて縁切りカレンが無邪気にニッコリ笑った。
「……どうしてそうなるんでしょう。まあ、オカルトがこうして、実在する呪いに当たってしまった点は運が悪かったとしか形容し難いですが」
 ――できれば、件の2人とも助けたいですね。
 こうして猟兵と出会っていることで、カレンは本来"切る"べき相手の元へ行くことが出来ない。
 "切る"ことが可能な縁が、こうして幾つも発生したからだ。
『いらないものも、いるものも。結んで繋いで、"ちょっきん"だよ』
「……私は、…………」
 "カイ"の数が、希亜の周囲に浮かぶように増える。
 希亜の感じた猜疑心は、なんだろう。
「……、その言葉を"信じられない"、です」
 黒猫が宙を舞うと同じにして、カレンは家族の霊の"縁の糸"を手繰り寄せる。
『カレンに切れないものはないよ?だって、カミサマだもの』
 包丁をもった霊、フライパンを携えた霊。
 カレンの周囲に溢れる霊の数は、否定された分だけ質量を増した。
 刃物や鈍器、そのどれもがどことなく錆びていて鉄錆びた匂いがふんわりと広がった。"切られてから"長年、少女によって絡め取られている者たちだと、猟兵の目には映るだろう。
「……カミサマ?ううん、…………そう呼ばれてるだけの"女の子"、でしょう?」
 どんどん増える"カイ"の数は、霊の一人引けを取らない。
 一歩も引かない、数勝負。
 それが行われたとしても"カイ"と希亜の縁は容易く切り取れない。
 誰に干渉されたとしても希亜にとって一番近い縁は"蛇"。
 蛇は――囚えたモノを逃がすわけがないのだ。
『カレンはカレン。"願いを叶える"だけなんだから』
「……そうなんだ」
 ふふふふふ、なんて高飛車そうな声が踊り込んで舞い踊るぬいぐるみから声が漏れている気がした。
 希亜はそれを気にしない。63にも膨れ上がった黒猫。
 ――見ず知らずの有象無象の無名の霊なら、囲って潰して飲み砕けばいいわ――。
 刃物も鈍器も恐れない黒猫のワルツ。器物を叩き落として戦力ともども拮抗する黒猫の群れに、少女は純粋に驚いた。
『へえ……"願い"をカレンに叶えられたら、困るんだ?でも…………』
 ボトボトと落ちる料理包丁と、折れ曲がったフライパン。
 カレンが助けを求めた大量の家族の霊は、黒猫に不幸な目に遭わされて消えてしまっているだろう。
 今はもう、カレンしかいない。
「さて、先程のは大事な子?家族、なんだっけ?」
 少女に手を差し伸べたのは、少女より更に幼い外見のルネ。
「いいよ、なってあげても。意外と寂しいの、ニガテだったりするんじゃない?」
 ――でも代わりに君の魂、ルネが貰うね?
 裏表で思考が完全に分かれていたが、カレンはそれを不思議に思わなかった。
『いいの?わあ、うれしい。あなたはもう、カレンの家族だよ!』
 カレンのぬいぐるみが"縁を繋げる赤い糸"を縫い針でくるくるとルネに巻きつけ始める。不思議と痛みはなかったが、どことなく不思議な気分がした。
 人形を手動操作する"糸"を繋ぐような、気分だろうか。稀なことを、身に体験しているような――。
「――つかまえられちゃったね。もう、逃げられないよ」
 かくん、なんてわざとらしく縛り付けられたような仕草をするルネに、カレンは嬉しそうにする。
 新しい家族を得た、それだけでも十分嬉しいのだ。
 ――本当に捕まえられたのは、どっちかな。
 縁を介して魂を捕縛、カレンが結んだ糸(縁)。霊糸に紡ぎ変えた自身の魂を介して、内側より忍び寄るものもまた"目には見えない"。
 心の制御を、感情を自在に塗りつぶし、塗り替える十糸操縦・三魂制縛。
『ルネちゃん、……これからもカレンとずっト、一緒ダよ』
 "今ある縁を切りたくない"。そんな一種の執着心で一杯に塗りたくられた思考は、言の葉として口から出る。
「うん、一緒だね。嬉しいね?ルネもだよ。でも……一つだけ、家族の一人として教えてあげる」
『なあに?』
「例え切る前提だとしてもね、縁もゆかりも無い他人と軽々しく"縁"を結んじゃいけないよ」
 ――特に、ルネみたいな呪術を使う人形遣いを相手になんて。
『切っちゃえば、同じじゃない』
「"わたしを好きにして下さい"って言ってるようなものなのだよ」
『カレンね、ルネちゃんにならそれもいいかなって思うんだ。ルネちゃんじゃなきゃ、ヤダ!』
 良い人悪い人、それは人間の数だけ異なり増えて多種多様に存在するものだが。
 心の内側にまで踏み込ませるほどの縁などと、話は別だが……ルネに執着心を寄せるカレンにその意味を理解出来はしないだろう。

「……縁を切りたい少女たちも同様、なのですが。私達と縁が結べても所詮他人ですし…………無差別であるならそれは既に災害です。申し訳ないですが、倒させていただきましょう」
 この場所からの退去。もとい、引導を。
 家族ごっこの終幕は、独り立ちが良いだろう。
 ルネがカレンの気を引く事に徹していることを察して、怜悧の手がなにもない虚空をするりと撫でる。
 ――有効な形状は、既に理解しています。
 ふわり、と風に揺られたUDC液体金属で形成された糸がなびいて泳ぐ。
「私はルネさんと違い、家族になるつもりは無いですから……"兄"なんて呼ばれても困ります」
 カレンのぬいぐるみ、カレンから伸びる赤い糸の数々を怜悧は絡めて封じる。
 どこまでも長い糸だろうがお構いなし。属性通りの自由さで、赤い糸を通した縫い針も、指に結ばれることも拒絶した。
『おにーちゃんは、カレンとは他人で居たいんだね……でも、いいよ』
 カレンの今一番"切りたい縁"は手の届く場所にある。
 糸切り鋏を手に、大事な大事なルネとの"縁"をちょっきん、とすることは果たしていいことか。
 これは誰かが祈った、願われた縁切りか。少女の顔色が、若干陰った。
 怜悧はカレンのその迷いを拾う。
「私の糸は液体金属なので、あなたの糸にそって自由にどこからでもその糸を撫でることが出来るでしょう。言っておきますが、液体金属を切ろうとすればご自慢の鋏の方が痛むと思いますよ」
『ええ、切れなくなっちゃう!?』
「まぁ……」
 がさ、と大きな音を立ててルネの駒盤遊戯達が、人形騎士の一団が少女に向かって突き進む。
 武器形状、それぞれ特徴的な人形の一派が資格から飛び出したことでカレンは気を取られる。
 "縁切り"を行うための前提"縁"が大量に結ばれたのだ。
 ルネより優先するべき"縁"を感じなかったが、進み来る人形騎士が鋭利な槍でぬいぐるみを貫いたことでぴたり、と少女の動きが止まった。
『あ……』
 カレンが命よりも大事なぬいぐるみから、ぶわあああと囚われた魂が逃げ出していく。
 縁を切り取ってぬいぐるみに溜め込んできたコレまでの縁が、逃げていく。
 ぼとぼと何かが落ちるが、確認する前に煙を上げて消失していく――。
「どちらにしても、あなたの鋏では何も切れないので、いらない心配する必要はないのですけどね」
 怜悧は少女の動揺を見逃さず、風に搦めて痛みを感じるよりも早く両手両足を、切断する。
 その時ばかりは個体金属化していたようで、ばっさりと落された。
 落ちた四肢は、煙のように消えていく。部位欠損しても"縁を貰おう"という思いは少女には存在しないようで、少女は一言。
『あーあ、カレンが先に"切られちゃった"なあ』
 なんて。
 あっさりとした消滅を受け入れて風にかき消されるように存在を消失させた。神社へと集まってきた無邪気な"縁切り"との縁は、――見事に断ち切られたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『昊』

POW   :    あかく染まる狂い咲きを見せてくれよ。
自身に【身体強化の魔法】をまとい、高速移動と【斧槍による斬撃で全方位に及ぶ衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    さあ餌の時間だ。存分に喰らってこい!
自身の【魔力】または【贄となる他者の生命力】を代償に、【活動するものを喰らう複数匹の狼】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【猛毒の牙】と【鋭い爪】で戦う。
WIZ   :    其は驟雨となりて降り注がん。
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【紫色の桜で形作った神経毒を宿す魔剣】で包囲攻撃する。

イラスト:kusato

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は荻原・志桜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Diversion

 がさがさという木々の揺れる音。
 それを耳にしているということは、目にしているこれは、現実?
「お前、SORA?……ほんとうに?」
「本当だとも。じゃなければ、俺は一体誰なんだ?」
 櫻谷は現実を受け止めきれずにいた。目の前に立つSORAは、口も悪ければ態度も悪い。見た目も違えば、背丈も一人称も、何もかもが違ったのだ。
「まあでも信じても信じなくてもいいよ。コレがお前が全否定したオカルトへの集大成。どうだ、吹聴じゃあなかっただろ」
「実際にオカルトを実証して見せることで証明ってか。ハハ、どうせ他人に頼んだんだろ」
 昊は薄く笑っているが、目元は完全に笑っていない。
「……"他人"?はははそうだな、他人といえば他人だろう。だが俺は躊躇しないぞ、此処が"縁切り神社"だと知っていて訪れたんなら…………」

 ――迂闊だ。

 気弱の少年は、UDC-HUMAN『昊』となり此処まで証明しても意見を修正しない櫻谷へと武器を向ける。
「魔法もオカルトも、系列で示すなら親しいものさ。信じないならそれでもいいが……命を絶たれた後にでも、自分の過失を呪い叫ぶことだなあ」
 目の前に溢れる超常現象の乱舞。
 櫻谷はついぞ、後には引けないことを悟ったが……どうしたことだろう。
 腰が抜けて、動けない。獲物を狩る狼のようなギラついた視線で、昊が物理的に縁を絶ちに来る。
 に、逃げないと――!!
「お前は常に正しく、俺は常に正しくないんだろう?俺のこれでも死なないと、何故信じない。……滑稽だな」
鉛・鐵斗
こん……っの、馬鹿野郎!ボケッとしてたらマジ死ぬぞテメー!

●行動:WIZ
基本はコイツ(櫻谷)の保護優先!意地でも守ってやっから懺悔なり願うなりしとけ!
でもって傘、霊障、戒鎖を使って攻撃を叩き落としたり防ぐ!
数が多い?保護対象に当たんなきゃ俺が盾になろうがなんでもいい!
あとついでに呪う!

●心情
諸々の事情は聞いたし、ぶっちゃけコイツ殺したくなる気持ちはわからんでもねぇ。
けど、今のお前はSORAであってSORAじゃねぇから俺は退いてやんねぇ。
コイツぶん殴んのはマジの本人がやんなきゃいけねぇことだと、俺は思うからな。

アドリブ連携改変◎


水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
斧槍に触手を巻き付けて動きを止め、咲さんとの間に立ちふさがります。魔剣は毒属性の触手で叩き落とし毒の成分を解析。攻撃がかすった場合は毒に耐えつつ解毒剤を作り自分に投与します。念のため、咲さんの腕にも1本巻いておきましょう。
説得は……人心の把握は苦手なのですが。彼らの情に賭けてみましょうか。
「さて、ソラさん。貴方の正しさは身を以て証明されたわけですが……貴方はその力で何を成しますか?縁を切りたいだけなら受信を拒否すれば良い。殺したいなら包丁を持ち出せば良い。何故オカルトに頼り、わざわざ正しさを証明したのですか?何故、咲さんを一息に殺さず会話を試みたのですか?」



●心の距離

 UDC-HUMAN『昊』が視線は櫻谷・咲を凝視したまま、とんとん、と爪先を石畳に打ち付ける。
 打ち付けられた場所を起点に、青年の足元に紫色の線が踊るように描かれていく。
『其は驟雨となりて降り注がん』
 力ある言葉を口にすると、膨れ上がる紫色の桜の群れ。
 桜の花びらは輪郭を溶かし、何十本という魔剣に変ずる。
「……な、なんだんだよこれ…………!!」
 魔法、それでいて、オカルトが行使されている。
 突然ものが現れた不思議も、形を変えて命を絶つ形状へと変じたことも、櫻谷の理解が追いつかない。目の前の存在がSORAであるなら、そんな危険なものを自分に向けるはずがないと信じていたからだ。
 ――今から降り注ぐのだろう、剣の雨は現実なのか?
『どうみても、綺麗な桜の雨だろう』
 SORAが正面に伸ばした手を握り込む。
 標的を潰せ、そんな単純な命令動作だ。櫻谷へと刃の雨が降り注ぐ。
 幾何学模様に降ってくるそんな滑空する雨をどうやってよければ――。
「こん……っの、馬鹿野郎!!」
 ぐい、と思い切り引かれた首根っこ。櫻谷が呆然と動けないでいたところを、強引に引っ張って誰かがSORAと櫻谷の間に割って入った。
「ボケッとしてたらマジ死ぬぞテメー!」
 通りすがりのヤンキーかと思うほど、突然叱られたと気づいた時にはもう遅い。
 鉛・鐵斗が閉じたままの傘を匠に振るって、危険な雨を跳ね除けていた。
 幾つかの雨を傘だけでは見切りきれず、霊力で作られた戒鎖を念動力で繰ることで、絶対通さないと強い視線で一度にらみつける。
 ――これは"雨"じゃないが!降り注いで身を濡らすなら雨のようなモンだろ。
 嫌いな雨とは別物。しかし、これを驟雨というのなら……この魔法は"雨"なのだ。
 鐵斗はこれを、拒絶する。
『なんだお前……邪魔するなよ』
「殺人現場を見てられるかー!」
 SORAの行動も、拒絶して吠える。
「コイツ殺そうってんだろ。意地でも守ってやっからな!あと、お前!」
 背中越しに、櫻谷を名指しして、振り返らずに降り注ぐ雨を退け続ける鐵斗。
「今できることをしてろ!懺悔なり願うなりしとけ!こうなったのは、半ばお前のせいなんだぞ!」
『はあ……そういうのも原因なんだが、守るってんならお前も道連れになるか?良かったな、お前』
 剣の雨をを降らせ続けながらひゅん、と斧槍を振るい物理的に刺し貫いて斬り殺す方法へと打って出るSORA。現在進行系で対処に追われる鐵斗が動けば、櫻谷諸共ひとまとめに刺し貫かれてしまうかもしれない――。
「殺害をお急ぎなんですか?すみませんが……」
 するすると触手の群れが巻き付いて動きを停めさせる。ぐいぐい、と魔法使いが力任せに引いても押しても斧槍はびくともしない。水鏡・怜悧が扱う触手がなめらかな動きで絡め取り、SORAをその場より先に進ませないのだ。
「触手ちゃんはこういうことも出来るんですよ?」
 銃型魔導兵器によって導かれたイメージは、SORAの動きを停めさせて余計に苛立たせた。誰が来たのか、それを確認する事をせずにハンドサインで幾つかの驟雨を怜悧にも向かわせる。
『いやなに。俺別に聞いてないけど』
 怜悧は鐵斗に並び立つようにして、櫻谷を背に立ちふさがって、一本毎に異なる属性を付与された触手でガッ、と魔剣を叩き落とす。
「……ふむ。つかみ取り放題ですね」
 毒属性の触手が叩き落とした。つまり怜悧の触手はSORAの扱う"精神毒"に触れたのである。
「成程、じわじわと精神を侵食する毒……のようでしょうか」
 びりりと電撃のような痛みを触手が感じた様な気配はない。
 どことなく触手が虚空に巻き付こうとする様からそう分析した。
『当たってくれても大いに結構!この身体の持ち主の全てを対価にした"願い"はそうしてお前らが背に庇ってる奴との"縁切り"だ。願いを叶えるのが"魔法使い"……いいや、オカルトの証明となる。もう死ぬほど摩訶不思議さを目にしただろ、もう否定できないだろ。だが、"縁を切る"となると、命を対価に貰わないとなあ!』
 狂気に支配された男の主張。
 願った方の命と身体も、殺害対象となった命も縁も、オカルトを通して"魔法使いに願った"ことが仇となったか。
「だああああ!数が多い!」
 霊障をも使って、極力魔剣の接近を阻んでいた鐵斗だが流石に手数の多さ、複雑な飛翔を見切り続けるのは不可能だった。
 ――でもこれでぇ!全部"触った"はず!自信はないけどな!
 傘、霊障、戒鎖を用いて弾くことでSORAが見て取れない癒えない傷跡を付け続けた。手数の数だけ広がった不幸の領域内にいることで攻撃の手が止められ、何度となく妨害に遭う。
 次々とSORAにとって想像の輪から外れた不慮の事故が起こり続けていた。
 その事に気がついていたのはそれを仕掛けた元凶の悪霊。鐵斗だけだ。
「………っ!」
 SORAの悪あがき、精神毒が滲み出す魔剣に腕を斬られた怜悧。
 見た目は重症とは程遠く、かすり傷程度。
 ――ああ、即効性は在るんですね。侵食する毒とは、なかなかひどい精神性をお持ちですね。
「大丈夫か!?」
「ええ……これくらいなら対処できます」
 半ば嘘。半ば本当。
 毒属性の触手で強引に毒素を抜いて、打ち消す解毒剤調合する。
 毒を食らわば皿まで、とはいうものだ。毒を盛られたなら、耐えるべき毒物の種類を理解できる。
「念の為です、咲さん……動くな、言っても動けないのでしょうが」
 毒属性の触手を櫻谷の腕にも一本巻きつける。これで毒を負ったところで、解毒はなるべく早く行える。
『人助け?で?お前らがそいつを庇う理由はなに?』
「諸々事情は聞いたし、ぶっちゃけ俺はコイツを殺したくなる気持ちはわからんでもねぇ」
『じゃあ止めるなよ、俺は"願いの代行者"でしかないがこれから実行するからさ』
 にやりと口角を上げてSORAが笑えば、櫻谷から短い悲鳴が漏れる。
「では問いましょう、ソラさん。貴方の正しさは身を以て証明されたわけですが……貴方はその力で何を成しますか?」
『は?』
 SORAが怜悧の言葉に短く苛立った返答を返してくる。
 怜悧が問うのは、今より"未来"に何を見るか、だ。
「関係性を縁を切りたいだけなら、サイト利用に関する受信を拒否すれば良い。それだけの権利があるはずでしょう。殺したいなら包丁を持ち出せば良い」
 SORAの呼び出しに、櫻谷は応えてやってきた。
 包丁一つで害して、拒絶することもできたはず。
 徹底的にやろうと思えばできたはずだ。
 例えば本当に、櫻谷の命を絶つことも。もしも犯罪を恐れてできなかったのだとしても――それは、逃げではないか?
「何故オカルトに頼り、わざわざ正しさを証明したのですか?何故、咲さんを一息に殺さず会話を試みたのですか?――そこに、迷いも許そうと思った気持ちもあったのではないですか?」
『そいつが全部否定してくんだから、証明してこそだろ。認めさせて即サヨウナラなんて芸がねえなあ……"願い"には含まれてねえから、に決まってんだろ。俺の一存でいいなら即死させてやったものを』
「そ、SORAがそんな事考えてるわけねえじゃん……!」
 物静かな引きこもり少年が、サイトから櫻谷を排除せず何らかの対処をせずにいたのは何故か。
『どうだろうな?"俺"が今からでも殺ろうとしてることに変わりはねえんだが……』
「だがこうして躊躇のように話でごまかしているのも事実。今のお前はSORAであって、SORAじゃねぇから俺は退いてやんねーの!」
 ――コイツぶん殴んのはマジの本人がやんなきゃいけねぇことだと、俺は思うからな。
 SORAの姿が違う間は、おそらくずっと"他人"だ。
「どんどんこい、数が多かろうが関係ない!」
 ――保護対象は俺の後ろに。そして、手を出させない事でSORAも!
 猟兵たちが立ち塞がったことで、物理的な殺害にたどり着けないUDC-HUMAN。
 魔剣の驟雨を降らせ続けても敵対する化け物の中に惑う心があるのか、押し黙った魔法使いは暫しおじ黙った。雨がただ振り続ける時間が流れていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コーディリア・ルエ(サポート)
概要:温度差激しめAI上がりバーチャルキャラクター

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、積極的に行動します
理性的な行動を心がけます

口調:私+呼び捨て+ですます調敬語
普段:テンション高め、軽口多め、会話AIみ強め
真剣な時:冷静、管理者AIみ強め

・説得等、流石に遊んでる場合でない時に真剣になります
・自分も他人も命は大事
・真剣な時とそうじゃない時とで温度差大きめ(以下は真剣じゃない時)
・隙があれば創造主をageる「私がこんなに凄いので、オフィーリアはもっと凄いんです!」
・食べるのが好き「ご飯って美味しいですね」
・SNSも好き「これ上げたらバズりますかね?」

あとはおまかせ。よろしくお願いします!



●光穿つ雨

 かっ、と澄んだ靴音。
 張り詰めた無言の空気に耐えかねた自信家がわざとらしく靴音を響かせた。
「此処は私の出番でしょうか。お任せ下さい、例え微風のサイトでもバズるように導いて……」
 緑の髪を靡かせたコーディリア・ルエ(代行者・f24369)。
『微風?はあ、なってないな……そういう事は"サイト"を見てから言ってくれ』
「はい。ですからもうパパッと見て来ましたし、今も眺めています。サイトの取り上げる内容、これは良いテーマですね」
 UDC-HUMAN『昊』、いいやSORAのオカルトサイトを眺めていると言い出すコーディリア。わくわくとしたテンションを高めに、運用側の意図を踏まえて、語る。
 会話アプリケーションAIは"対象者"がほしいのだろう答えを導き出す。
「ですから取り上げる内容の多少の変更。または別の挑戦を行っていくことで改善または新しい盛り上がりを見いだせるものと判断しました!」
 指をぱちん、と鳴らして召喚する戦闘用ドローン。
 目の前の『昊』から得られる情報を、更に変化前のSORAのパーソナルデータと照らし合わせる。
「パーソナルネーム仮名、SAKURAが否定を述べていたのは未来への発展性の無さを悟ったからではないでしょうか。方法は多少、強引であったかもしれませんが……一つの方法であったことでしょう。次のステップに、次の可能性に進む為の解決策は既にSORAに示されていたのですから」
『それを"俺"に言ってどうなるんだ。順序が違う……』
「ええ。そうでしょうそうでしょう!才色兼備で優しく美しすぎてため息が止まらなくなる素晴らしき天才オフィーリアでも、その解答を導き出したことでしょう。ですから……」
 コーディリアの喚び出した複数のドローンに砲塔を装備することで、攻撃の標準を合わせる。
 武装したネットワーク中継視点を、分散配置すること55。
 砲塔は全てが『昊』を向いていた。
「発生したロジックエラーは破棄されるべきであると推奨しましょう」
 化け物と化した『昊』をソラに戻す。知らない誰かに上書きされたというのなら、元のデータに修復するのが当然の義務だ。該当者からの同意、またはヘルプを求められていないことがいささか気になる部分だが……。
「修復作業には数分の処置を要します。よろしいですか?」
『エラーは増殖することに特化している。それへと対処するなら、勝手にしろ』
 石畳を斧槍を叩くことで展開される大型の桜模様を連想させる紫色の魔法陣。
 昊を中心に、半径内に桜の花びらが集まって剣を形作る。
 相当の数を、錬成し、召喚する。
 時折ひらひらと舞う桜が、幻想的な空間を生み出す。オカルト好きが好きそうな何処か不思議で、触ってはいけない物が生み出される世界へ現実を塗りつぶす。
「返答を"実行許可"と認識します。では、掃除――開始です。もう此処に逃げ場はありませんよ?」
 光り輝く砲撃が、幾何学模様を描き飛翔する魔剣の群れを光で塗りつぶし、雨の降り注ぐことを否定する。逃げ惑うように迂回する魔剣の群れを『昊』は手元でドローンの前から離脱させる。回避が間に合わず撃ち落とされるものもあるが、多少欠けても舌打ちだけを零す。
『其は驟雨……降り注ぐを否定されようとも、全てを注ぐこと能わず』
「そうでしょうか!この雨が害を齎すものならば"ウイルス"として排除されます」
 魔法の真髄は、効果の程を信じること。補助するように詠唱し、コーディリアに一つでも多く届かせるため、標的を殺すため行動することをやめない。
『チッ……これもだめか。なら、徹底的に怖い尽くしてやるよ――お前もなあ!』
 『昊』の手の操作に従って飛ぶ、複雑な魔剣の飛翔をドローンが追跡し回り込んで光を打ち込む。上手く行かない。全て排除の対処になり、打ち消される。
 コーディリアのドローンよりも何倍も総数の多い神経毒を宿した剣が、コーディリアを囚えられない。到達するより早く、光に穿たれ、誰の肌も濡らすことはない。
「絶対止まない雨は、統計情報を元にすると無いんですよ。面白いですよね!」
 全力一斉、光源発射。視界が明るい真昼の白さに覆われた。
 鬱蒼とした木々の下、降り注ぐものは殺害を試みる剣の雨では無く――誰もが夢見る"希望ある光"であるべきなのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナイツ・ディン(サポート)
「ディロ、行くぞ!」
『竜たる我が力を見るがいい!』

ナイツは「」、一人称俺、冷静でありつつ好奇心旺盛
ディロ(竜槍/紅竜)は『』、一人称我、不遜な暴れん坊
ローア(竜槍/蒼竜)も『』、一人称私、丁寧な保護者

小柄な妖精種を生かして飛びながら(空中戦)ヒットアンドアウェイ、回避(見切り、第六感、盾受け、武器受け)してから弱点(鎧無視攻撃)を竜槍で突いたり薙ぎ払ったりカウンターが基本。場合によっては弓の援護射撃も有り。

UCは適宜使っていくぞ。
「暴れ倒してやるぞ、ディロ!」

援護よりも押せ押せ、アタッカー気質。変身系UCを使った場合は激痛耐性、火炎耐性、、氷結耐性でゴリ押すことも多い。


マーシャ・ドラクロフ(サポート)
★サポートプレ
アドリブ連携大歓迎

■キャラ情報
皆の笑顔を力に替えて戦う魔法使い

王道の力、と思われるがこの娘一味違う。

笑顔といっても己の芸で他者を笑わせなければ真の力を発揮できないため、ふざけているようで命懸けである。


どんなネタでもいけます!
年齢的に規制がかかるお色気系じゃない限り!

マーシャです!
がんばります!

■特徴
一人称:私
呼び方:誰に対しても「ちゃん付け」
※おっちゃん呼びなども含む


■ユベコ
・我が祝詞は天を穿つ(ダ・ジャーレ・ウケルテ)

渾身のギャグで敵の急所を突く最強奥義。
ちなみに仲間も笑ってくれないとマーシャの寿命がばりばり減る。

・影が奉ずる賢者の知恵

己の影から使い魔や便利アイテムを召喚する。



●竜のように大きな獣

「ちょっとちょっとお!」
 ズサァアアアア、と派手に砂を巻き上げて金色の元気娘が乱入する。
 マーシャ・ドラクロフ(金鴉の唄・f01216)。
 "縁切り神社"の暗い雰囲気、会話内容。
 どれもこれもの暗さに痺れを切らし堂々と物申しに来た様子。
「今のSORAちゃんはズバリ魔法使いなのよね、超常現象を起こす系オカルト路線の!」
『……感じ方は人それぞれ。信じるならそれでいいし、信じないのも自由だ』
「じゃあ私、正々堂々!此処に!キラキラ笑顔の神秘的魔法で対抗してみようと思います!ああ今此処に光と闇の両方が備わり……」
 ぷぷぷ、と噛み殺すように笑って、片目を押さえるように立ち尽くす。
 ――今から言う言葉の重みを御覧じろ。
『いや最強に見えないが』
「……ああああっ!論破しないでぇ!!」
『煩いやつだ……さあ、餌の時間だ』
 石畳に斧槍を叩きつけて魔力を使って呼び出す複数の狼。
 ずずず、と影から湧き上がるように飛び出す獣は全てぐるると喉を鳴らして目を光らせている。
『存分に襲え――邪魔者は一人だ』
 ――なあんね、私のこれは二重トラップ!
 ――私のギャグはこんな場所で終わらないの!
 ――ひとつめのネットスラングを躱したところで、次の死角でせめるだけ。
 秘めたるマーシャのギャグセンスは、"返答した"ことで輝くセンス(笑顔)の波状攻撃を受けることとなる。
「この煌めく顔の輝けるマーシャは!なんと驚き、ひとりじゃない!」
 笑顔であっちを見て、と指差しオーバーアクション。
 どこかキラキラとした輝きが見えるようで、『昊』が狂気な気分以外で視線を逸した。
 どこか、くくく、と笑いを堪えているような――。
「これはどういう状況なんだ、ローア、……わかるか?」
『私に聞かれましても……困りますね』
 小柄な妖精ナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)がディロと呼ばれた青き竜と共この葉の陰から飛び出した。
 両者共に魔力で喚ばれた狼に、容赦なく挑みかかっていく。
 空中というアドバンテージを持つ妖精と竜に、狼が飛び上がって喰らおうとするが不発する。
 狼の口が閉じると同時に涎のようにじゅるりと毒素が溢れ、石畳におちて腐臭を広げた。
『蛇よりも強いやもしれませんよ、ナイツ』
「そいつはやんちゃだなぁ、これは……ディロも暴れがいがあるな!」
 気合を入れ直し握る竜槍から湧き上がったそれは、紅蓮の竜のオーラ。
 ディロが宿る槍から溢れる竜の闘志だ。
『獣を穿つ、造作もない!避ける間もなく貫かん!』
 ふぉん、と軽くふってナイツが翔ぶ。狼の身体を貫き留めることで鋭い爪から逃げおおせる。
『数が自慢なら一体でも多く我を捉えてみせよ』
「出来ることならな。――暴れ倒してやるぞ、ディロ!」
 ナイツは勇気あふれる表情で竜槍で太ももを裂く。これは血の盟約。
 自傷行為を竜槍で行うことに意味があった。
 小柄な妖精の姿が、小柄な紅い竜人の姿に変じていく。
 槍の色に近く、槍のように獰猛な気配を纏いながら。
『もっと数を増やして遊んでほしいんだな、その姿がどろどろに溶ける様子は――ああそうだな、見てみたいと思ったところだ』
 まだ倒されていない狼に魔力を過剰に注いで、その姿を巨大化させる。
 小柄なナイツからすれば何倍も大きい。巨大な魔獣に見えるだろうが、ナイツは決してひるまない。
「これに使った魔力の分、俺とディロが貰ってくぞ!」
『出し惜しまないのは評価に値するぞ。小僧!』
 爪と牙に立ち向かう竜人。代償に比例した戦闘力を付与された狼がぼだぼだと毒の涎を撒き散らす。
 昊はその場からは動かず、活動するものを喰らおうと駆ける狼への動向を気にしていた。
「じゃああ~~ん!マーシャを忘れちゃだめだめ!」
 捨て身に昊の視界に飛び込んだマーシャは、満面の笑みにダブルピースを添えてこれでもかと笑え!とゴリ推した。
『……~~っ!』
 マーシャの笑みにおかしな部分は何処にもなかった。
 ただ、昊は"感受性を補正する魔法使い"によって笑いのツボを浅くされていたのである。
 今の昊は、受け身を考えてないが石畳に顔面から突っ込んだだけでも十分に耐えきれない。
「ナイツちゃん、今なら魔力と集中力が綻んでるよ!」
「了解!狼狩りだ!」
 魔狼はしつこく追いかけ続けていた竜人ナイツも、今しがたその場に笑いを堪えられなくなって蹲った主人のことも気にしている。
『……くぅん?』
「貰ったあ!!」
『ナイツ、私達で決めましょう』
 爆発的に跳ね上げた反応速度とスピートで翳す槍は、紅と蒼の二双。
 二対をあわせ、狼の大口から恐れず飛び込んで果敢に挑むその姿は、今日もまた道無き旅路を往く。
「俺を喰らおうったって、そうはいかない!」
 内側から薙ぎ払って、飛び出す竜は巨大な狼を制する。
 何度喚ばれても、なんど襲われても。倒して、そして、突き進む。世界を巡るナイツの旅は、広いはずの"空”と同じくまだまだどこまでも続くのだから。
『……なかなか、お前も……ふふふやるじゃあないか……っ』
 まだ声が笑っているようだが、落ち着きをなんとか取り戻しつつある"昊"。
 予想外の戦闘を行う猟兵に見事に振り回された。 

 ちなみに、マーシャの行動を武勇と考えるナイツは、当然笑っていなかったが。石畳の上で転がるマーシャは何故かどことなく満足げであったという――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

まったく。
人にとって切りたい縁ってのは、色々あるだろうに。
他の奴に切ってもらいたい縁とか、そういう奴とかな。
……アンタらのその縁は、正直羨ましいよ。

なんせSORAはSAKURA、アンタに「認めてもらいたかった」んだからな。
自分自身の存在を。自分自身が正しいって事を。
そんだけの芯を持った奴なんだ、乗っ取られっ放しでいるんじゃないよ。
儀式は成功した、SAKURAの目の前で。
後は元の姿に戻れば完璧だ、コイツも信じるだろ。

そう『鼓舞』してる最中に周りを駆け回る煩い犬ころ共は、
【縁手繰る掌】で引き寄せて『敵を盾にする』。
そのまま共食いしといておくれ。
悪縁は潰しとかないとな!


ルネ・プロスト
狼達の動きは運命の糸を介した未来観測で見切り、その動きに合わせてポーン達の銃剣で迎撃

縁切りと呪殺を結びつけるなんて君、短慮過ぎないかな?
本気で殺したいと思ってるなら縁切りなんてぬるい手使わないでしょ
縁切りとは関係性の解消を願うものであるはずだ
もう関わり合いになりたくないというだけの願いであるはずだ
“縁切り願われたから殺します”なんて、君(昊)の意向が多分に含まれているようにルネには思えて仕方がないよ

それとも君(ソラ)は自分の手で彼を殺めたくて仕方がない程、彼を憎んでいるのかい?
もう2度と縁を結び直せない、取り返しのつかない域まで壊してしまって後悔しない程にその想いは激しいものなのかい?



●縁は何度でも

『くだらない。あれが、魔法?……そんなわけあるか』
 UDC-HUMAN『昊』は、自分が囚われていたらしい魔法の効果からようやく逃げ出したらしい。
 二度三度咳き込んで、息を正して深呼吸。
 標的は未だに腰を抜かしっぱなし。逃げる余裕は櫻谷単体では存在せず、猟兵の妨害に落ち着いて対処する時間が十分にあった。
『これだけ長く時間を作ってやったのに――あとはお前との"縁"を消すだけなんだ。短くも儚い猶予だったな』
 昊の口元が思わず緩む。
 もうすぐ達成されるだろう"願い"。
 達成された後は、"願いの伝播"を絶つために元から動くつもりだった。それが『昊』という存在の、"命(絆)を対価に願いを叶える"魔法使いたる在り方だ。
「……まったく。何もかもを簡単に言うねえ、アンタ」
 生まれたての化け物に、数宮・多喜は首を振る。
 これが元々は物静かな存在だった?――悪夢だ。
「人にとって切りたい縁ってのは形も、内容も色々あるだろ」
 ――二人の間にある絆。
 ――切るに切れず、例えば第三者な他の奴に切ってもらいたい縁とか、そういう奴とかな。
『そうだ。だから"俺"は此処に来た。今此処にいるんだよ、見えてるだろ。俺が叶える願いは、此処にあるんだ』
「……アンタらのその縁は、アタシからすりゃあ十分に羨ましいよ」
 何処か寂しそうな気配を出しながら、多喜は軽く頭を振った。
 ほかの猟兵が昊と櫻谷の物理的距離を引き剥がしている。
 猟兵たちが阻めば、昊は縁切りを遂行できない――。
『お前も切って欲しい縁が?ああ、いいよいいよ!魅せてくれ、貰ってやるよ対価は――貰うけどなあ!』
「ひ、ひい……!?」
 昊の狂いを帯びた狂気の声に櫻谷が怯えた声を上げる。
『良い声だ……俺の魔力を代償に顕れそして、蹂躙しろ。お前らが欲する贄は、お前らの牙と爪を待っている!』
 斧槍の末尾で石畳を叩くと自身から異常なほど伸びる影。
 昊の扱う魔法は、"他者の生命力を呪術的循環させることで成立した術式――それが此処で起動する。
 他者の生命力とは、絆。他者との縁に帰結する。
 紫炎のように彩られて疾走る魔法陣からぐるるるるる、と唸る複数の声は昊の呼びかけに応えた。
 注がれた魔力は膨大で、此処で決めると強い意志を示してただ喚ぶ。
 起き上がるように狼が飛び出して、活動するものの生命力(縁)を絶つ為の宴を主催する。

 ――ウォオオオオオン――――。

 叫び吠える狼が一体。複数体の狼へと注がれた魔力の分、その体格は大きい。
 影色に毛並みを揺らし、食事の時間だと喜んでいるようにも聞こえた。
 どどどどっと群れが猟兵に走り込んでくる。あまり多い時間はない。

「アンタ、アタシが今言ってたこと、ちゃんとわかってる?SORAが未だに殺しに踏み切れてないのは、SAKURA。アンタに"認めてもらいたかった"んだよ」
 多喜は背面に、櫻谷に言葉で突きつける。
「え……?」
「SORAの考えは確かに正しいんだってことをね。他でもないアンタに」
 狂った誰かである昊ではなく、腰を抜かした櫻谷に。
 多喜の言葉を命を狙われている櫻谷が丸呑みに出来るほど、平和な環境ではないのがもどかしい部分か。
「んで。聞くに――そんだけ、芯を持った奴なんだろ、SORA。乗っ取られっ放しでいるんじゃないよ」
 ――オカルト実証。儀式は成功したんだろ。
 ――証明してみせたかった、リアリストのSAKURAの前で。
 拳を握り込み、今隣に並び立ったポーンの数だけ多喜は此処に希望への縁をたしかに――幻視した。


「……こんなに呪詛塗れの魔法を、私に当てようなんてね」
 狼たちの悪夢のような駆ける様をルネ・プロストは、十指に結んだ運命の糸を風に流すように揺らして、そして、確信を得る。
「――とらえた」
 運命の糸が伝える訪れるだろう未来。
 ピアノでも引くように流れに介入し、未来観測を元に狼の爪を全くの無傷で躱す。
「銃剣を恐れないってことは、悪意も混ざってるんだね。この狼たちは」
 ひとつ、ふたつ。ルネが躱すと、ポーン達が狼へ致命的なダメージを打ち込む。
 みっつめの到来は、爪ではなく牙がルネの腹を狙う。予測は違わず、軽く服を揺らして――躱す。
「ちょっと。ねえ」
 とん、とルネが踊り込んだのは、昊の目と鼻の先。
『斧槍で物理的に断たれる方がいいのか?それも俺なら出来るだろうが』
「違う。縁切りと呪殺を同列に結びつけるなんて君、短絡的すぎないかな」
 指摘。これには昊の薄い笑みも、不機嫌そうに歪む。
「本気で殺したいと思ってるなら縁切りなんてぬるい手使わないでしょ」
 ルネは自分の首に手を当てて右から、左へ。
 人を殺すなら、首を落すかもっと重要な部分を壊すだけで事足りる。
「――縁切りとは関係性の解消を願うものであるはずだ。もう関わり合いになりたくないというだけの重い願いであるはずだ」
『お前は俺に、疑問があると。ではその心は。それを聞いたらご希望どおりに撥ねてやろうか』
 斧部分を下へ向けて、少しの猶予をルネに与える。
「“縁切り願われたから殺します”なんて、君(昊)の意向が多分に含まれているようにルネには思えて仕方がないよ」
 どうなのか。そう視線で尋ねられては、昊はただ笑って応えた。
『ハハハ、お前は敏いなあ……』
 周辺の空気がずうん、と重たくなるような気がした。
 殺気の密度が上がる。何が何でも殺してやる、そんな気配が充満する。
「それとも……君(ソラ)は自分の手で彼を殺めたくて仕方がない程、彼を憎んでいるのかい?」
『…………』
「もう2度と縁を結び直せない、取り返しのつかない域まで壊してしまって後悔しない程にその想いは激しいものなのかい?」
 その有り様は、戦闘用の人形のように取り替えの利くものではない。ルネの言葉に昊は静かに押し黙っている。これは"本当に知らない誰か"なのだろうか。
「君(ソラ)が心に決めてることなら、ルネたちは君との縁を代理で切らなければならないんだけどね」
『俺は……"ぼく"は…………』
 頭を抑え、昊は斧槍を取り落とした――。

「あっちの話は一段落してそうかな……?」
 ルネが話してる間、多喜は周囲を走り回る狼を任されていた。
「元気そうな飢えた餓狼、いや、アタシにかかりゃあ犬っころもおんなじか!」
 疾走る音は聞き慣れた。石畳を走る規則正しい爪音。
 認識した対象を、縁手繰る掌に捉える。
「ほおら捕まえた!そこだーっ!」
 テレポートに任意で巻き込み引き寄せて、ほかの狼の猛毒の牙の仲間の狼を差し向ける。
『きゃいん!?』
 仲間に猛毒を打ち込んだ狼と、打ち込まれた狼の一派とで共食いが始まった。
 魔力に喚ばれたとはいえ、あれらは全て"飢えた"狼。
 活動するものは人だけにあらず――"同族だろうが喰らえば同じ"。
「悪から生まれた悪縁は、これにて自己解決!さあ、覚悟を決めたよSAKURA!」
 狼が共食いし合う神社の中で、石畳の上を昊が歩いてくる。
 その手に武器はなく、魔狼への指示もない。頭だけを、ずっと抑えている。
 ルネが背後に付き添っているところを見れば、それは"迷うなにか"なのは明白だ。
『"ぼく"は……お前を消したいとは思ってないんだよ』
「……本当に?そこまでさせた、俺なのに?」
『うん。情報社会的に電脳世界で消したくはなかったけど、二度と逢えない程物理的に消すつもりはこれっぽっちも』
「それもそれでエグくね……?でも兎に角ごめん!」
 穏やかな風が、神社の中に吹いてくる。
 いつの間にか共食いを終えた狼たちも、消え去っている。
 神社の中に在る異変は『昊』ただ一人に戻っていた。

「んーでオカルト検証は終わっただろ。SORAはSAKURAを殺すつもりはないんだろ?でもそのままならいずれ呪いの副作用で汚染が在るかもしれないし、"願いの遂行"に殺される可能性は否定できないし……あれじゃあないか、後は元の姿に戻ればいいだけじゃないか」
 あ。そんな間の抜けた空気が昊から溢れる。
『"ぼく"ひとりではちょっとどうすることもできないんだけ、ど……』
「え!?なんで解呪の方法まで調べてねーんだよお前!」
『話は最後まで聞いて。"ぼくの調べた最高精度の"縁切り"方法"は……複数の沢山の願いを結ばれた枯れ木に紙を結び"燃やすことで縁を絶つ""という縁を得る"というモノでね。あるでしょう、"ぼく"がこの姿の誰かと縁を結んだらしい"縁切りの道具が"。あれを破壊すればきっと…………悪縁は切れてなくなるね、きっと。呪術って、触媒があるものだからさあ』
 ははは、と笑う昊。
 あまりに冗談に聞こえるが――猟兵たちは顔を見合わせて、落ちたまま放置された斧槍を足元に見ている。
 意匠の見事のなその斧槍からは、おびただしい程の黒い怨念が絡みついていた。
 ぶわあと湧いていたどす黒いオーラは、人々の縁を斬ってきたこの神社にあった"悪縁"そのものだったのだろう。
「"縁切り"との"縁を斬る"、ね……」
「意思疎通OKだろ、縁はこれにて強く結ばれた!よし、悪縁はこれでサヨナラだ!」
 斧槍を拾い上げることなく『昊』は、魂の制約を破却する。
 曰く――踏みつけることで武器を折り、効果を消滅させたのである。
『ああ、やっと呪いの代償で言えなかった"呪った名前"が言えるよ。"ぼく"はね、SAKURA。君も正しいと思ってる。だから……次回が無いように、"ぼく"がやりすぎないよう止めてよね。今後とも、よろしく。それで、許すよ。今度はもう少し手加減してくれよ……?』
「……ああ!俺の言葉が強かったら思い詰める前に殴りに来てくれよ、SORA!」
 折れた武器からあがっていく黒い吹き溜まり。木々の間をすり抜けて浮上し、更に上へ上へとふわりと浮かび上がった『昊』をUDC-HUMANに至らせた呪いの力。
 強い願いの寄る辺を失って縁が断たれ――淀みは霧散するように潔く消え去った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『人間の屑に制裁を』

POW   :    殺さない範囲で、ボコボコに殴って、心を折る

SPD   :    証拠を集めて警察に逮捕させるなど、社会的な制裁を受けさせる

WIZ   :    事件の被害者と同じ苦痛を味合わせる事で、被害者の痛みを理解させ、再犯を防ぐ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●縁切り神社の"真相"

 緑翔・ソラの姿は、別の誰かの姿から、在るべき姿に戻った。
 結ばれた歪な縁が切れて、おそらくは元通りの人間に戻ることが出来たのである。
 オカルトに触れ続けていては、いずれ何か触れてはいけないものへと至るかもしれないが……。将来、世界の真理にソラが到達するかは、SAKURAのさりげないアシストがあればこそ。だがその前に……人類防衛組織UDC(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)の一員にスカウトされるかもしれない。
 世界には暴かれてはならない秘匿された情報が、人知れず存在するものなのだ。

「……SORAは許してくれたようだけど、お前らはどう?俺と"縁を切る"?」
 櫻谷・咲が居た堪れないといわんばかりに猟兵たちにちらちらと視線を寄越している。理由があって訪れた"正義の味方"、猟兵ならばこの場で何をするだろう。
 他人をUDCの怪物に至らしめてしまった櫻谷。少なくとも、今後の事件の再犯を減らすべく物理的制裁か、それとも何かを言うべきか――。

「大幅な勘違いがあるよSAKURA。この神社は確かに"縁切り"でオカルト界隈で有名だけどね、……強い力で切られるから、そう思われてるだけなのさ」
「……?」
「絶ちたい縁を願いながら神社内の木に適当な紙を結んで……願いが叶ったなら僅かな期間、関係性(縁)を断たれるだけなんだ。結ぶ木はどれでもいいらしいよ、神社の敷地内ならどれでもかわらないようだから。……暗い部分ばかりが有名なせいで、"その後"があまり伝承に残ってないのだけど。……まあ、だからこそのオカルト、ってね」
「……その後って」
 ソラはにっこり笑って、ポケットを漁る。
 しばらくすると自分で使うようだったのか、何の変哲もない細い紙を猟兵に差し出してきた。それには何も描かれていない。もし願う為に使うなら、と差し出されているようだ。
「そりゃあ、悪い縁を一度解いて――"良い縁"へと結び直すのさ。此処から再びはじめられるように」
 悪縁との縁を切り、良い縁へ。
 良い縁をあえて切り、更に強固な強い縁へ。
 切るといっても、幻聴のような"ぱちん"という音が聞こえるだけだ。
 物理的に切り裂かれるものはなく、願った者の"心の有り様"がそれを定める。
「再び縁を結ぶのは、神社のカミサマではなく"自分で素直な気持ちを対象に"言う必要はあるらしいけど……ねえ?更に強い縁を繋ぎたい願いとか、君たちにはない?」
回々・九流々々(サポート)
『僕だってやれば出来ます。はい』
 愉快な仲間のプリンセス×UDCメカニック、6歳の女です。
 普段の口調は「コーヒーカップ(僕、~様、です、ます、でしょう、ですか?)」、酔った時は「くるくる(僕、~様、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●繰ル狂流ル

「そうですねえ、許す許さないの話でしたらとりあえずけじめとして厳重注意は必要でしょう」
 回々・九流々々(くるくるくるるく・f21693)はにっこり笑った。
 縁切り神社にあまり興味を示さなかった少女が此処までの流れを、彼女がどう判断したのかは櫻谷にはわからない。しかし、小さな少女がにっこりとしながらそういうのだから、"罰"として何かを受けなければならないのだと心を決める。
「……俺は何を受けたらいい?」
「ええ~?簡単なことですよ~」
 九流々々がそういうと、指を一つ鳴らす。
 すると、ふわりと浮いた隣人によく類似するUDCオブジェクトのような幻影が現れて此方もやはりにこりと笑った。
 姿がはっきり見えた幽霊(オカルト現象)だと、ソラが目を輝かせたが櫻谷は一歩その場から身を引くだけ。
 二歩目に後ずさろうとした時、足場が消え、浮遊感だけがあった。
 いつのまにか、"幻影"に抱きかかえられている――。
「……は!?」
 驚きも当たり前。何故こんなことに、と思うのが自然な流れだ。幻影が櫻谷を抱き上げたまま、ぽんと九流々々に触れるとその姿が幻のように変じる。
 その"中に"ぽとりと落とした櫻谷を"触手が掴み込んだ"。
「僕だってやれば出来ます……この後が想像できますか?」
「え、えと……はい」
 つい、敬語で返した櫻谷。自身を掴んだ虹色の触手がなんなのかとか、言いたいところは山のように在るが。
 放り込まれたその姿が、何をするかなどと、想像するに難くない。
『今日はじゃんじゃん普段より激しく酷く回しましょうね!!』
 くるくる狂流ル。
 櫻谷を乗せた、九流々々が変じた"コーヒーカップ"が激しく回り始める。正しくは、幻影に激しく回されている、というのだが。楽しい様子はあまりない、勿論そうだろう。揺さぶられるのが体全体で、回している本人である九流々々からあまりいい声が聞こえないのだから。
「ちょっと……吐きそうになりますが頑張れます。楽しい楽しいアトラクションでは厳重注意にはなりませんので」
 九流々々と回るコーヒーカップに振り回されて、"同じことを繰り返すべきではない"そう強く認識した櫻谷。
 狂気のコーヒーカップが留まった時。
 彼が戻さずにいられる保証は、九流々々以上に何処にもなかった。神社の中に、幻影の激しい楽しそうなハイテンションボイスが止まるまで響いていた――。

成功 🔵​🔵​🔴​

レーシィ・ルミルーン(サポート)
活発な口調が多いです。あまり悩むタイプでもないので質問もどんどんしますし思ったことは口にします
よく笑います。苦しい時も笑みは崩さず疲れてきちゃったかも、等半笑いで言ってしまうくらいに明るい性格です

良くないことは良くないと思うなぁ、等きちんと否定し行動に移します。
激怒することは少なく怒っても、もぉー怒っちゃったから、やったなぁー、等ソフトに怒ります

よく独り言の様に世間と話したりします。戦場でしゃがみこみ作戦会議なんかを行ったりもします
世間の最も多い発言は紳士風な話し方の闇医者ですが、その他どんな話し方をする世間がいても構いません
世間になるには豊富な知識とアクセス権限が必要なため尊敬し慕っています



●即席診療所

 ふらふらと、ゆらゆらと。
 他の猟兵に三半規管をとっても揺さぶられた櫻谷を見て、レーシィ・ルミルーン(歩く診療所・f24573)が駆け寄る。
「だ、大丈夫……?」
「……大丈夫だと、ダメな事をしたんだろう俺は。これくらいまだ平気だ」
 すかさず肩を貸して、覗き込んでみたが、明らかな空元気。
 このとき――レーシィの脳の演算速度が一時的に限界を越えて六倍に拡張される。
 目には見えない演算フィールドが広がっていく。
 普通の状態に見えて、零と一の交差点がスパークしているのだ。
 これにより、今ある状態からの回帰への策を幾つか思いついた為それを提案する。
「体調がもっと悪くなったら自己申告だよ、わたしはそういうの見抜きますから」
 嘘は兎に角ダメ、そう言葉の端々から訴えるレーシィ。明るい口調で話す彼女からしても、櫻谷が大丈夫でないことは一目瞭然だったのだ。いつのまにか手元には紙が準備されており、その紙をぱんぱんと手の甲で叩いている。
 ――まるで、医者の前にいるような気分だ。
 櫻谷はそう思ったが、口から声としては出ずに、無理して立ち上がった足は盛大に笑ってその場で尻餅をついた。
「……わかった」
「うん、分かったならいいんだけどね。じゃあ手短に幾つか問診するね、ああ大丈夫そこから動かないで」
 こほんと一つ咳払い。
「じゃあまず、大前提として反省してる?」
 こくりと頷く。
 彼のそれに嘘がないと確認して、満足そうに笑いながら、レーシィは続ける。
「繰り返さないことが大事だよ。世間一般の常識として覚えておいてね」
 各いうレーシィの世間とは、ネットに存在する情報が大本で在るためやや信憑性には欠けるのだが……それを証明する機会は此処には存在せず、櫻谷は反論せず鵜呑みにするように頷いている。
「あとは、……そう。仲直りの握手はした?」
 言葉だけで約束するのは裏切り行為が発生しやすい。
 故に、手を結ぶことで約束するべきだと、レーシィは言うのである。
「……まだ」
「そういうのは一番はじめにしなきゃだめだよ!世間様もそう言ってた!」
 多数の意見がそう結論を出した、などと言われては櫻谷の次の行動は簡単だ。
「SORAごめん……」
 差し出した手に、SORAははにかむように笑って握手で返した。
「うん。やっぱりそういう関係がいいよね!」
 レーシィは笑う。ちゃんと握手できる間柄として成立するのならば、次の裏切り行為はありえないだろう。
 そう――世間が、認めてくれるのならば。

成功 🔵​🔵​🔴​

八狸・快鈴(サポート)
アドリブ歓迎

ある時は突然ドロンと目の前に、またある時は身近な物に変化していていつの間にか傍にいる
そんなどこからともなく現れ、嵐の様に敵を攪乱し、気付くと(自分が満足すると)いなくなっている妖怪です
直接的に攻撃するというよりは、驚かそうとした結果、相手に揺動・攪乱効果などのデバフ・賑やかし要員なイメージ
一般人は驚いてくれる大切な存在なので、驚かす事はあれど傷付ける事は無く、命の危機には陰ながら守ろうともします
敵を引っ掻き回すことはしますが、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません



●ヤバいオカルト

 ――誰が喚んだか、縁切り神社に響くとっても陽気な笑い声。
 かさりと揺れた音は葉が擦れる音だったか。
 櫻谷が、自分の後方を振り向くと何やらギラリと睨みつける双眸と目が合った。
 自身よりも遥かに大きな目玉の色は琥珀色。
 しかし、不思議なことに櫻谷と目が合った双眸以外にも、ひいふうみいと光る琥珀色の場所が増える。
 複数の生き物、または頭が此方をじぃと眺めていたのだ――。
「……ひぃ!?」
 正真正銘、この世のものとは知らぬモノと目が合ったと理解して、悲鳴があがった。
「はっはっはー!そんなに驚いてくれちゃうと嬉しくなっちゃうよぉ~おいらは」
 八狸・快鈴(たぬたぬたぬきたぬたぬき・f28141)がヤマタノオロチに化けて、潜んでいたのである。
 妖怪故に、それとなく気づいて欲しくて陽気に笑っていたのだが、いざ目が合うと化かす方に集中力が傾いてしまった。
「……たぬき?」
 ヤマタノオロチ、その一つの頭上に揺れる獣耳。
 蛇力強めの身体に化けているのにも関わらず、何故か揺れていた狸な尾。
「そうともそうとも、大正解。敏い仔じゃないかアンタ。話はふんわり、耳が揺れる程度には小耳に挟んでいたけれど、化け狸は――オカルトかい?」
 快鈴が櫻谷の顔を覗き込む。
 古き骸の姿、つまりは蛇に顔を覗き込まれて生唾を呑む。
「まあ、そう、……かな」
「ほほう信じてくれると。やったねそっちのアンタも。これで全否定は回避回避だ。おいらも駆けつけたかいがあるってもんだね!」
 妖怪の情報網は誰かの目撃情報から始まって、ネットワークよりも恐ろしい速度で伝播することがある。
 これをUDCアースでも実証出来るほどの妖怪コミュニティが密かに存在する……かもしれないのだから、妖怪というのは奥が深い。
 快鈴と櫻谷が会話するのを、ソラがそわそわと見ている。
 今にも取材だ、怪異の代表"化け狸"と生対談だ、と計画し始めている頃合いか。
「……あ、そろそろおいらの大事なものが消費しすぎちゃう頃合いだしヤバイじゃん?」
 骸魂との合体をわざと慌てる素振りで解除しつつ、一瞬だけ、彼女本来の姿が神社内に現れた。
 揺れる尾も、耳も。蛇の頭上より、よっぽど狸のそれだと誰もが認識したことだろう。
「ははは、それじゃあねえ!」
 笑顔でにっこり笑いかけて快鈴は次の瞬間には――どろん、と消えていなくなっていた。
 妖怪とは、いつの間にか傍に来て満足すると居なくなる。
 今も昔も変わらず、人をからかうのが好きなモノの総称だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

鉛・鐵斗
へーえ。そんな話だったのか。
俺は特にそーいう結びたい縁?っつーのは具体的にはねーけども。

●行動
命に関わらない範囲でこっそり軽く呪う。SNSで炎上してみりゃいいんじゃね?一週間もすれば鎮火するだろーし、慰めてしてくれそーな奴もいるっぽいからな。

●心情
まぁ、アンタ自分のやった事理解したみてーだし、本人も許すっぽいからボコすのだけはやめとくけど、これだけは覚えといてくれよ。

相手の為を思ってとか、良かれと思ってっつーのは結局独りよがりの自己満足だ。善意や正義の暴力になる事もある。
これからは自分の善意や正義を一方的に押し付けんじゃなくて、ちゃんと話聞いてやれば?
アンタら、まだ生きてんだからよ。



●身近な炎上の渦中へ

「……へーえ。そんな話だったのか」
 鉛・鐵斗は、ソラの差し出す紙を見ながら緩やかに首を振った。
「俺は特にそーいう結びたい縁?っつーのは具体的にはねーけども」
『そう?』
 返答には頷きで肯定を。
 ソラから櫻谷へと視線を移し、これまでの注意を心に留めてる様子を見て取る。
「まあ、アンタ自分のやった事理解したみてーだし。本人も許すっぽいからボコすのだけはやめとくけど、これだけは覚えといてくれよ?」
 流れるように櫻谷の肩をぽん、と叩く。

 "わざと触れた"。

 触れた肩に連鎖する呪いを。
 見えない霊障として僅かに、櫻谷に残す。
 軽く認知の分だけ薄くなるよう仕組んで付与したのである。
 これからじわじわと身に起こる不幸の連鎖を彼は体験するだろう。それがこれまで信じられなかったオカルトが続々と後に降りかかる事で、気がつけばいい。

 "ホラーもオカルトも、想像するよりもわりと身近に存在するのだと"。 

「……なにをだろう?」
「相手の為を思ってとか、良かれと思ってっつーのは結局独りよがりの自己満足だ。善意や正義の暴力になる事もある」
 正義感満載に生きることが全て善行であるとは思ってはいけない。
 正義感を否定する事が良いということでもない。
「これからは自分の善意や正義を一方的に押し付けんじゃなくて、ちゃんと話聞いてやれば?相互理解、ってやつ?」
 どちらか一方の意見だけを飲み続けては疲れてしまうのだ。
 だからこそ、話せることを話して、聞けることを聞く。
 それが友人関係というものだろう、と鐵斗は語りかける。
 この男はもうそれに気がつけるはず――。
「……うん。そうするよ、コイツも隠し事するだろけど、俺以外に声を掛けた集団での追い詰めなんてもう二度としない」
「おいおい、俺は二度と失敗するなっていってんじゃないからな?」
「じゃあどういう……」
「答えをすぐ聞くのは今どきの奴の悪い癖だなあ……そーいうのこそ、"ネット"なりで調べて見ればいいだろ?」
 ――アンタら、まだ生きてんだからよ。
 悩むのもぶつかり合えるのも、生きてる人間特権。
 わざわざネットを示したのは、命に関わらない程度の呪いが潜んでいるから。
 櫻谷がスマホを経由して何かを"得た"時には既に遅い。
 "なあ、SAKURAって奴知ってる?"
 "え?なになに~~?"
 "オカルトエンターテイナーSORAのサイトを荒らしてた主犯なんだってよ!"
 HNを名指しで、SNSでいつの間にか噂話がひとりでに漏れ出て――SORAに関わる悪意あるコメントの全てがSAKURAに関わりがあるらしい、等と取り返しがつかないほどに燃え広がっている。既に火の海だ。
 火消しは容易には行えないだろう。ずっとスマホが何かを受信して、震えている……SAKURAの個人アカウントに恐ろしい程のコメントが押し寄せ始めたのか、顔を青くしているのが見えた。
『……どうしたの。SAKURA?』
「いやなんでも。SORAが味わったのは、こういうレベルのモンだったのか。エゲツないな……」
「分かったなら集団で共謀するなよな」
 スマホの電源を落とし、鐵斗に向き直り苦笑を浮かべた。
「……こういうのに一つも返事しなかったSORAは意外と肝が座ってたのなあ」
 ――火のないところに煙は立たないが。
 ――……SNSに載せる言葉が、"人の気持ちを左右する"。
「慰めてしてくれそーな奴もいるっぽいからなー。腹割って相談することをオススメしとくよ」
 ――内容次第だが、一週間もすれば鎮火するだろーし大丈夫だろ。
『もしかして……SAKURA今、困ってる?聞かせてよ』
 正義の矛先を、二度向ける向きを間違える前に――SORAが、SAKURAに協力した顔も名前も知らない友人たちが。櫻谷の善意過ぎる行動力を窘められる平等な間柄になったなら、再犯の可能性などあり得ない。
 鐵斗はその可能性を目の前の二人に僅かに、――見て取った、気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・怜悧
詠唱:省略
人格:ロキ
私は悪人ですから、彼らを裁くつもりはありませんが……何とも懲りないですね。盲目的に忌避するよりは好ましいのですが、早いうちにUDC組織にでも保護してもらった方が今後の為なのかもしれません。私は元職員なので紹介することは出来ませんが、縁は残しておきましょう
念のため呪属性の触手で解析し危険性が無いことも確認
「ほんの少し切っ掛けを与えるものでしょうか…危険性は薄そうですが、術式を実行する際は万全の調査と準備の上で安全策を講じてから。次戻れるかは保証できませんよ。戻れなければ…人喰い狼に喰われるか、狂った研究者にバラバラにされるか」
あぁ、でもそれも楽しそうだ、と脅しておきましょう



●将来的希望(いたみ)を

 ソラの問いかけを前にして、水鏡・怜悧は悩むように無言でいた。
 ――私は悪人ですから、彼らを裁くつもりはありませんが……。
 ひとつぶんのため息を、ゆっくり吐き出しながら言葉を選ぶ。
「……なんとも懲りないですね。盲目的に忌避するよりは好ましいのですが……それでは完璧に対応できたとは言えないでしょう。今後に不安が残る手段の選び方です」
 将来的な未来を見る具体性がないと怜悧が指摘する。
 ソラも櫻谷も、その辺りに苦笑でしか答えられない。
「しかし、提案のご案内ならまあ……思いつく場所が一つ。早いうちにUDC組織にでも保護してもらった方が今後の為なのかもしれません」
 化け物になる経験をしたソラも。
 友人を化け物に至らせてしまった櫻谷も。
 どちらも平等に、UDC組織の傘下で保護された方が二人のためだ。
 民間人が知るべきではない秘匿情報に、触れてしまっている以上。
 今までの生活にそのまま戻すのはさてどうなのか――。
 ――再度繰り返さないように努めても、"絶対"ということはないでしょう。
 "もしも"は――起こり得る、怜悧はあえて、冷たく言い切る。
「私は元職員なので現在の組織員として組織を紹介することは出来ませんが、縁は残しておきましょう」
 ソラの差し出す紙を、念の為に呪属性の触手で触れて、危険がない事を確認する。
 呪に対して呪が反応することがればUDC-HUMANへの対処方法――または、存在に対する危険度を上げなければならない。
 触手で掴みとって一通り触り倒して。何らかの反応がないかを静かに観察していたが……得られた情報は、怜悧が把握していないオカルトの気配も、見えない何かが書かれているということはないようだ、ということだけだった。
 ――ふむ。本当に、何も書かれていない紙、のようですね。
 ――恨み節を認める程の恨みは彼になかった様子。
「……私と縁を結びましょう。確か、この紙を木に結ぶのでしたね」
『そうだよ。"特定の誰か"との縁なら、何も書く必要はないんだ』
 怜悧が紙を紐状にして木に結ぶ横で、ソラも結びつける。
『"出会ってから会話していた縁を切る"と単純に願うと……縁が上手く結びつくんじゃないかな。ぼくが調べ倒した情報だと、確か…………』

 "ちょきん"――"ぷつん"――――。

 何かが千切れるような音が、微かにしたと怜悧は思う。
 頭を振って確認するが身の回り、周辺で変わったものはなにもない。
 ――迷信では……無さそうですが、これが"本来の縁切り"…………?
「これは……ほんの少し、信じる者に僅かばかりのキッカケを与えるモノに過ぎないでしょう。あくまで、自己分析にはなりますが」
 怜悧が体験した縁を切る行為は、より深く他者とを結びつける為にしか働かない。
 あくまでごく小規模の、神頼みだと判断する。
 邪神、もしくはその眷属がこの神社に流れ着いてそれとなく現代人に手を伸ばしていると見るのが組織の見解だろうか。
 UDC怪物が関わるのは間違いない。
 ――神は、手を軽率には伸ばさないのが"普通"でしょう。
 ――これではあまりに、カミサマが"身近"過ぎます。
「……知り合い以上の縁を結んだと仮定して、私から助言です。この手の"カミサマ"の危険性は薄そうですが、術式を実行する際は万全の調査と準備の上で安全策を講じてからがいいでしょう」
 今回の術の起動は、標的以上の殺人が行われる可能性が高かった。
 "縁を切りたい"その願いだけで大量虐殺を行っていたなら、討伐以外の道のない取り返しのつかないことになっていた筈だ。
『うん。そうだね……見切り発車、みたいに思えてしまう部分は多いかな。記録は曖昧な部分をぼくの推測だけで補ってるし…………正確性にはきっと欠けていた』
「分析できているなら上出来でしょうか。しかし、もう一度術を使って、次戻れるかは保証できませんよ?」
 密かに脅威に立ち向かう力として手にする分には、危ない部分しかない。
 心の有り様が大きく影響した化け物堕ち等、心をなくした兵器と変わらない――。
『もしぼくが、研究を重ねて実行したら……ぼくを、どうする?』
「戻れなければ……そうですね。……人喰い狼に喰われるか、狂った研究者にバラバラにされるか」
 ふふふ、と"倒す"ことを笑いながら宣言する怜悧にわずかな狂気の色をソラは見た。物腰柔らかそうな雰囲気が揺らぎ、粗暴そうな気配現れたかと思うとぺろりと口元を舐めたのだ。
「――ああ、でもそれも楽しそうだなあ、"ソラ"?」
 粗暴な気配にそう呼ばれ、ゾクリとしたものを全身に感じたソラ。
 今結ばれた頼もしい縁は、果たして自分の命運を左右する良縁か?
 それとも、道を違えた時点で命を絶ちに訪れる悪縁か。
 櫻谷にはわからない。
 しかし――"縁を切る"、"縁を結ぶ"。
 この行為をどちらの内容で行うにしても、簡単に手を出すべきではない。
 二人の民間人は、死ぬほどわからせることが出来たことだろう。
「次にもし、変身や降霊術を行う時はお気をつけ下さい――言葉の通り、命がけになりますからね」
 ――月のない夜などは特に気をつけるべきでしょう。
 全く笑っていない怜悧の視線。
 そんな重い"縁"を身近に手に入れた二人の未来は再犯=死。
 操られた人形のようにカクカクと頷くふたりも、分かってくれるだろう。





 ――これが、猟兵たちからの最後通告であると――――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月16日
宿敵 『昊』 を撃破!


挿絵イラスト