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きみのしっぽ(作者 七凪臣
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●祭
 肌も容姿も巌の如き妖怪が、手首を丸めて「にゃあ」と鳴く。
 薄っぺらくてひょろりと長い妖怪は、水を払う柴犬のように全身をぐるんぐるんとしならせる。
 美しい翼手を持った妖怪は、その翼手を頭上に立てて、鷲爪の足でぴょんぴょん跳ぶ。
「西山の、それはもしかして兎かね?」
「なんだ東川の。兎以外の何に見えるってんだい、失礼な。そういうテメェは――」
「おっと、いけない。今日の私は栗鼠だった」
 見知った顔を茶化したのはいいが、己が中途半端だったことに思い至った妖怪は、蛇の下半身をくるりと丸め、口いっぱいに木の実を放り込んで頬袋を膨らませた。
 表の山から裏の山へと続く路は、普段は獣しか通らないような細道であろうに、今日は数多の妖怪が奇怪な姿で行き交い、練り歩く。

●郷、或いは業
「変てこな祭だよ」
 陽気な妖気を連・希夜(いつかみたゆめ・f10190)はケラと笑うと、手にした団扇をつと見遣り、思い出したみたいに「めぇ」と羊の鳴き真似に興じて、また笑う。
「って、笑ってばっかじゃ話が先に進まないね。面白いのは確かだけど、この祭の主催者がオブリビオンなんだよ」
 祭と言っても、屋台や踊り舞台が整えられたような祭ではない。
 装束、仕草、或いは声で『獣』に扮する祭だ。
 ただの山間の道だったろうそこは、いつの間にやら巨大な祭会場として整えられ、数多の妖怪たちでごった返す。
「妖怪たちはお祭が放つ妖気に操られてる状態……っていうのが一番的確かな。当然、会場を用意したのもオブリビオン。とどのつまりがこの混沌――もとい、諸悪の根源がオブリビオンってこと」
 奇妙な祭と侮ることなかれ。主催が主催ゆえに、傍観を決め込むのは極めて危険。妖怪たちも真似事を続けていたら、やがて己が真実何者であったかを忘れてしまうやもしれない。
「まぁ、肩肘張らずに行ってもらえたら幸い。ほら、業に入っては業に従えとか言うじゃない?」
 ――正しくは『郷に入っては郷に従え』だが。音が同じのを良いことに、希夜はいつもの気楽さで猟兵たちをカクリヨファンタズムの然る地へ送り出すべくグリモアを発動させるのだった。





第3章 ボス戦 『魔童クシャ』

POW ●二徳とんで五徳捨て
自身に【炎】をまとい、高速移動と【爪の斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD ●類を真似て嫉みを喰う
【爪】による素早い一撃を放つ。また、【体の一部を猫化する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ ●其は極楽浄土の使者
【金棒】で武装した【人間】の幽霊をレベル✕5体乗せた【火車】を召喚する。
👑11

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は八榮・イサです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ゆめのしっぽ
「おお、あいつら全部いったにょか~」
 『彼』は朽ちかけの村から陽気な声と共に現れた。
「まったく、ずるいもんにゃ」
 空へ登る星のように消えて逝くねこまたすねこすり達の骸魂を手を翳して見送る彼の顔つきは、吐いた悪態に対して穏やかだ。
 まるでこの展開を望んでいたみたいに。
 ――いや、きっと望んでいたのだ。
 だって彼は朽ちかけの村に生まれた最後の子ども。
 賑わいから離れた地にあるが故に、捨てられ、忘れてゆく村で育ち、賑やかさに憧れた子ども。
 そんな子どもに、気紛れな骸魂が憑いたのが『彼』。
 別に良い事をしようなんて気はサラサラない。ただ奇妙な祭を催そうとする企みと、子どもの想いが偶然、一致しただけ。
 『彼』も子どもも、気分屋な猫であったのが、奇跡であり、運命であり、そして幸い。
「それじゃあ、おいらもそろそろ本気出すとするにゃ!」
 キラン。
 猟兵たちを前に、自慢の爪をキラリと立てたかと思うと『彼』――魔童クシャは朽ちかけた村に向かって踵を返す。
「お前さんらにゃんか、サックリやるにゃ!」
 すたこらさっさ。
 言動と行動が一致していない気がするが、おそらく物陰からサックリやるつもりなのだろう。
 斯くして最後の童と猟兵たちのおにごっこがはじまる。

 相手は童だ。
 強かに叩きのめす必要は、多分ない。
 追いついて、捕まえて、お仕置きを一発ずつ食らわせたなら、やがて還って逝くだろう。
 そして、もしかすると。追いかけっこの最中に、仮初のけもの心をくすぐるものや、思い出の欠片――かつての賑わいの面影であり、琴線に触れるもの――に出逢うこともあるかもしれない。