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カクリヨが我に更に輝けと啓示を下している

#カクリヨファンタズム #トンチキシナリオ

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#カクリヨファンタズム
#トンチキシナリオ


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●日刊世界の危機8月下旬号
「ううっ……左腕が疼く……っ、これは我が腕に宿りし白天使が俺に何かを示せと言っている……!?」

 いきなり左腕を抑え始めるグリモア猟兵、地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)。
 招集されたかと思いきやいきなりこんなん見せつけられた猟兵たちの心は一瞬にして無になった。

「ごめん、みんなにわかりやすく伝えるにはどうしたらいいかなと思って試しにやってみたんだがわからないよな」

 逆にわかったら凄いよ。
 予知した内容がこんな中がついて病で終わる奴に関係しているというのは確かに伝わったが。
 どう説明したら良いか陵也自身も困っている様子で歯切れが悪そうに概要を説明し始める。

「ここまでどう説明したらいいかわからない予知は初めてだ……まあ、お察しとは思うがカクリヨファンタズムでまたもやカタストロフが発生していてな。
 海の守護神であった鯨の妖怪が骸魂になり、配下であった人魚を飲み込んで祟りを齎すべく他の骸魂たちに自らを崇める為の場を作れ、とけしかけたんだが……」

 ますます歯切れが悪くなる陵也。
 ここまでであれば何かごく普通の世界の危機っぽいのだが、この歯切れの悪さからして相当何と言っていいかわからないという困惑っぷりが伝わってくる。

「まあ、崇めろっていうのはいわば畏怖心とかそういうのだな。それで満たせと大元のオブリビオンは命じたワケなんだが。
 ……何でかわからないが、他の骸魂たちが何か勘違いをしたのかその……「カクリヨが我に更に輝けと啓示を示した!」とか何か中二で伊達ワルな感じの言動をしながら決めポーズをしたりする、"伊達ワル中二心"で溢れかえったカクリヨファンタズムになってしまった」

 ぽか――――――ん。
 猟兵たちが皆一様に口を開けて何じゃそりゃ、といった無の顔になった。
 そうなるよなあ……と言いながらとりあえず陵也は説明を続ける。
 早い話、中二めいた言動の中に伊達ワルメンズのようなキャッチコピーを決めゼリフにして決めポーズ取りたがる"伊達ワル中二心"が溢れかえって別の意味で災厄寸前カタストロフになっているそうだ。
 何てこったい。
 ていうかそもそも伊達ワルっていう概念が今このご時世伝わるんですかね?という疑問もご尤もだが詳しい説明はこの場に置いてはかくかくしかじかで共有したものとする。

「何というか元凶自身もまさかこうなるとは思っていない辺りが何とも可哀想だと思うんだが、その伊達ワル中二心が信仰心も兼ねているのは確かで力が漲っているらしい」

 流石にオブリビオンが哀れになってくる現状である。

「で、例によってだがこのカタストロフにより引き起こされた事象は俺たち猟兵にも適応されてしまう為定期的に伊達ワル中二ズム前回のキャッチコピーと決めポーズを取りたくなってしまうようだ」

 猟兵が一瞬にして再び虚無顔に。
 あんな「俺はもう既に本物の堕天使と化しているのかもしれぬ」みたいな台詞を吐いてキザったらしくポーズ決めたがるとか黒歴史確定じゃないですかやだー!!という視線がグリモア猟兵に集中する。

「うん……うん……すまない……こんな予知をしてしまって本当にごめん……俺が責任持って向かうべきなんだろうけど行けないのが本当にすまない……」

 というがぶっちゃけ今回ばかりは無理やり引きずって連れてきても許されそう。
 まあとりあえず、心の傷を追う覚悟ができた猟兵は向かうと……いいんじゃないかな!


御巫咲絢
 このシナリオは!!!!!!!!
 ト ン チ キ シ ナ リ オ です!!!!!!!!
 こんにちはこんばんはあるいはおはようございます、初めましての方は初めまして新米MSの御巫咲絢(みかなぎさーや)です。
 当シナリオをご閲覧頂きありがとうございます!初めて御巫のシナリオに参加される方はお手数ですがMSページをご覧頂いた上で下記にお目通しをよろしくお願いします。

 迷宮災厄戦皆さん本当にお疲れ様でした!
 ご参加頂いた皆様のおかげでまさかの災厄追跡者29位を頂きました、改めてこの場を借りて御礼申し上げます。
 反動と言わんばかりに最高にトンチキなシナリオもってきてすみません、実は「山も積もればカタストロフ」よりも前に思いついたのが伊達ワルで溢れ返るカクファンだったので何とか形にしたいとうまく中二要素と絡めてみました(?)
 メ●ナク覚えてる人今どんだけいるんでしょうね?
 というワケで、伊達ワル中二心で溢れたカクリヨファンタズムを救ってください。
 尚グリモア猟兵については引きずって行きたい人はその旨を記述すれば引きずってこれるモノとします。決めポーズの犠牲にしたい人はどうぞ。

●各章概要
 第一章:『冒険』
 何故か何かしらのハプニングに見舞われる迷宮と化した館を進んで頂きます。
 どうやらこの館の地下にボスは鎮座しているようです、何でか伊達ワル中二ズムな行動により道が開けたりするので上手いこと使って切り抜けてください。
 尚遭遇するハプニングや仕掛けの内容は皆様で好きにお考えください。

 第二章:『集団戦』
 偉大なる海の守護者が信者としてけしかけた骸魂が乗り移った信者妖怪たちとのバトルです。
 主な元凶はこいつらについてる骸魂だけど悲しいかなボスを倒さないと終わらないんじゃ。

 第三章:『ボス戦』
 大元のボスである海の守護者とのバトルです。あらゆる水難を引き起こす災厄の力で戦います。
 めちゃくちゃ複雑な顔しながら猟兵たちに戦いを挑んできます、ある意味一番の被害者だけどオブリビオンなのよね。

●プレイング受付について
 プレイング受付は8/31(月)8:31から開始致します。
 それ以前に送られたプレイングは全て弾かせて頂きますのであしからずご了承くださいませ。
 なるべくそれまでに断章を挟めるよう頑張ります。

 それでは、皆様の伊達ワル中二ズム溢れるプレイングをお待ち致しております!
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第1章 冒険 『ハプニングは突然に』

POW   :    ハプニングを気合いで対応して攻略を目指す

SPD   :    ハプニングが起きる前に速く攻略を目指す

WIZ   :    ハプニングを事前に予想して攻略を目指す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ある意味地獄にも程がある
 ――というワケで、心の傷を厭わぬ勇敢な猟兵諸兄が現場に馳せ参じた。

「そこな伊達ワル信者よ。我は海神の加護を賜る為この幽世に顕現せし者。大いなる海神が眠りし偉大なる静謐なる棺が佇む神聖なる社は何処か?」
「大いなる海神の神聖なりし社――か。あの月光煌めく標にでも聞くが良い」

 伊達ワル信者という"力強き言霊(パワーワード)"。
 月光煌めく標、と言って何かヤケに格好良く決めポーズしながら信者が指さした先にあるのは案内板である。

 "大いなる海神が眠り給ふ神聖なる社 これより三町程先に顕現せり"

 一応説明しておくと、一町は大凡109mのことである。つまり三町なので327m先に海の守護神を奉る神社があるそうです。案外近い。
 というかめっっっちゃ説明が回りくどい。とにかく回りくどい!!こんな回りくどい書き方したら案内板の意味なんてないじゃねえか!!ってレベル。
 よく見たら看板も伊達ワルポーズ決めてる男性のシルエットをかたどった奴に張り紙が貼られてある。何でそんなとこまでこだわったんですか???

「大いなる海神の加護を賜りたくば、まずは聖域の入り口にて浄化の霧を散布している故そこで念入りに手を清め、互いの力が干渉し反発せぬ程度の距離を保つことだ。
 そしてその口から邪なる因子が飛ばぬよう、聖なる布にて口元を覆いその上で海神の眠りを護りし門番の試練を受けるが良い……海賊すらも食い殺す野生の力を認め中に入ることを許されるだろう……」

 意訳すると「神社に入るならまず入り口でしっかりとアルコール消毒してソーシャルディスタンスを保って、マスクをするかくしゃみや咳が出そうになったらハンカチで覆ってね」である。
 カクリヨファンタズムにも現在大流行しているかのウイルスによる病害がちらほら発生しているらしい。大変だあ。
 まあ妖怪なんで人間よりは丈夫だと思うけどね!

 「海神の社は魔を祓う為、信仰心ある者でなければ通れぬ術式を仕掛けた終わりなき迷路となっている。本尊を拝み給いたくば汝の伊達ワル中二心を示すようにな」

 早い話「中は迷路になってるから伊達ワル中二ズムパワー使わないと近道できないよ」と言いたいようだ。
 つまり進んでいくにはとにかく、とにかく!!定期的伊達ワルな言動や中二ズム溢れる言動する必要があるそうです。

 さあ猟兵たちよ、消えない心の傷を負う覚悟ができたならば進むのだ――!

【MSより】
 MSコメにも書きましたが仕掛けや迷路の構造は各自で好きにお考えください。
 選択肢通りに進んでもらってもいいですし選択肢ステータス問わない自由なプレイングでも全然OKです。
 トンチキシナリオだからね!!!

 8/31(月)8:31からプレイング受付を開始です。
 皆さんの素敵な伊達ワル中二ズム溢れるプレイングお待ちしております!!!
鈴木・志乃
アド連大歓迎
(グリモア猟兵の説明に首を傾けた後、改めて自前の情報端末で検索。結果、UC発動。黒の革ジャン、ジーンズ、腕にシルバー巻いてウルフヘアのウィッグ着用。男性に【変装】。アクセ除きほぼ黒一色。)

これがブラ男か……悪くない姿だ。
(※【歌唱、演技】の要領で声まで変更。コイツ羞恥心はないのか?)
別に名声も名誉もいらないな。救世の証を刻むだけさ。
(※「世界滅亡と黒歴史、天秤に賭けてどっちが大事よ???」)

仮初の人生を一時、現実のものとする俺に不可能は無い。
(※「普段から役者やってるから恥ずかしくないです」)
俺達しか辿り着けない領域がある、だろ?
(ポーズ取って開かない扉開錠)



●それは神の社という舞台(ステイジ)に上がる漆黒の主演俳優(シャオシュピーラー)
「…………?」

 これはグリモア猟兵から説明を受けた直後の鈴木・志乃(ブラック・f12101)。
 首を傾げてつまりどういうこっちゃ、となっている。
 まあそうですよね、何言ってるかわかりませんよねというか伊達ワルという単語を知っている人が猟兵の中に何人いるだろうか。
 わからないなら調べるが早いのが世の常、早速自前の情報端末で検索をかけるとパワーがありすぎる台詞とセットに確かにどっちかっていうとワルな方向性のファッション写真。
 ははあ、なる程……と思いながら転移陣を潜る前にユーベルコードを発動し、普段の装いから伊達ワル中二ズム溢れる舞台衣装を纏う。
 黒の革ジャンにジーンズ、腕にはシルバー巻くとかしてウルフヘアのウィッグをキメたその姿、まさに黒一色ブラックメン、略してブラ男である。

「――これがブラ男か……」

 発声テストがてら自身の姿を鏡で確認しながら男性らしさ溢れる低いトーンを響かせる志乃。
 元々パフォーマーであり役者としても心得がある彼女は恐らく過去にこういう役もやったことがあるのかもしれない……羞恥心が全く感じられない!

「悪くない姿だ」

 それは本気で言ってますか??
 いや一応ファッション雑誌に掲載されてる衣装なので確かに悪くないとは思うんですけどその、色々な意味で。

「別に名声も名誉もいらないな――救世の証を刻むだけさ」

 世界滅亡の危機と黒歴史を天秤にかけてどっちが重いかなんて一目瞭然でしょうが――と視線で語る志乃。
 全くもってご尤も。いくら日刊世界の危機で頻繁にカタストロフが起きるからってそんな黒歴史を一度でも重く見てしまったらカクリヨファンタズムは終わってしまうのだ。
 例えどんな心の傷を受けることになろうと、彼女たちは世界の滅亡に立ち向かわなければならないのだ。猟兵として――!
 というワケで意気揚々ときっちり消毒とソーシャルディスタンスと飛沫防止対策をきっちり行った上で意気揚々とお社の中へ。
 入り口から入った直後はごく普通の神社というか神殿というかそんな雰囲気の荘厳な感じだ。伊達ワル中二心で溢れているからといって守護神への畏怖の心や信仰を忘れたつくりをしているワケではないらしい。
 いやなら何で伊達ワル中二心で溢れ返る羽目になったんねや。
 今のところ見張りや他の信者がいる様子は見えない……もしかしたら地下で礼拝とかしている可能性もあるのだろうか。とにかく奥へ進み地下の扉を開けようとして――開かない。

 "海神の加護を賜りし者、汝が証を我が前に示せ"

 ――と書かれた、志乃が検索して出てきたファッション雑誌のモデルが取ってそうなポーズを取った男性の形の石碑が近くに置いてある。
 何で石碑の形までそれにしてしまったんだ。

「ふ……仮初の人生を一時現実のものとする俺に不可能は無い」

 役者だもんね、こういったパフォーマンスも頻繁に求められますよね。石碑を見ても一切動じることなく志乃はカッコつけたポーズを取る。

「――俺たちしか辿り着けない領域がある、だろ?」

 そして呪文を唱えるように囁けば、封印されし扉の封印が解き放たれごごご……と重たい音を響かせて迷宮への入り口が彼女を迎え入れる。
 なんともまあニッチな封印のし方である。伊達ワル中二ズムが溢れてなければ絶対に通用しないレベルの封印術式だ。
 伊達ワル中二心と勘違いした信者共であるが、神に迂闊に近寄らせぬようにする為の仕掛けはかなり徹底している様子な辺り、相当強い信仰心があることが伺える。

「さあ、行こうか――」

 そんな伊達ワル中二ズムをキープしつつ、志乃は優雅に、スタイリッシュに迷宮へと挑む――!

成功 🔵​🔵​🔴​

黒木・摩那
伊達ワル中二心って……もうこの世界、滅んでよくない?

そうは言ってもやっぱり滅んじゃうと色々と大変ですね。
ここはひと肌脱ぎましょう。

山と違って、迷路ならばお手軽に突破できますね。
ドローン『マリオネット』で上空から迷路の構造を把握して【情報収集】、出口を確認。
あとはそこを目指して、UC【胡蝶天翔】で迷路の壁を変換して、一直線です。

これをここの言葉で変換すると。

門番の試練など笑止。
我の前にはいかなる障害も無駄無駄無駄。
神を騙る者が例え岩戸の影に隠れようとも、それを破壊して突き進むのみ。

天は常にお前たちのことなど、まるっとお見通しなのだ。

ですかねー



●あまりにも軽率に起きるトンチキカタストロフ、流石に呆れ果てるのも許される件
「伊達ワル中二心って…………もうこの世界、滅んでよくない?」

 おっと黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)の口からとんでもない言葉が飛び出した!
 でも気持ちはわかる、わかるよ……ただでさえ軽率にカタストロフが発生するカクリヨファンタズムだからね。
 しかも原因になってるものがこんなトンチキなもの――一応言うと大元のオブリビオンからしたら予想外すぎるものでありある意味で被害者とも言えるのだが――とあっては、例え世界を護るのが使命である猟兵といえどげんなりするものだ。

「……と、そうは言ってもやっぱり滅んじゃうと色々大変ですね」

 そうですね、世界の一つが滅ぶのは大変なことですよ。
 というワケでいざ一肌脱がんと心の傷を恐れず先に向かった猟兵に続いて迷宮の入り口へと足を踏み入れる。
 扉の向こうはそれはまあ見事なまでに入り組んだ迷路らしい迷路である、だがかつて山登りを3つ行わねばならぬカタストロフに立ち向かった摩那からすれば。
 そう、山3つというとんでもない体力浪費確定ダンジョンを乗り越えた摩那からすれば迷路など可愛らしい以外の何者でもないのだ。
 本当にアレは大変でしたね。
 さあ、己の中の伊達ワル中二ズムを全開にいざ迷路へ――!

「ふっ……門番の試練など――笑止!」

 自分の見せられる最大級のドヤ顔と共に摩那が放つは、自らが操る索敵用ドローンの『マリオネット』。
 非常にステルス性の高いこのドローン、敵や仕掛けられているかもしれない罠に引っかかる確率はゼロに近い。
 このドローンは彼女がかけているスマートグラス型のHMDウェアブル端末『ガリレオ』と同期しており、リアルタイムでレンズ越しに情報が投影されるようになっている……つまり、ドローンで調べた結果を即反映し構造の把握と目的地の割り出しが可能になるのである。
 投影された情報を元に迷路の構造と出口の位置を確認すれば、あとはそこへ向かうのみ。
 もちろん、迷路なんて複雑なモノは丁寧な攻略の必要がなければショートカットしてしまっても良いだろう。

「我の前には如何なる障害も無駄無駄無駄!神を騙る者が例え岩戸の影に隠れようとも、それを破壊して突き進むのみ!」

 と決め台詞を放ち、摩那はユーベルコード【胡蝶天翔(パピヨン・ノワール)】を発動。
 彼女から溢れ出る魔力の波長が空気を伝わり半径89m圏内のあらゆる壁・障害物に浸透する――すると無機物であったそれらがみるみると黒い蝶の群れへと変化した。
 この迷路を照らす青いランプの光も相まって神秘的かつ幻想的な風景の中、摩那は『マリオネット』が調べた出口の位置めがけてまっすぐ、堂々と歩き出す。
 まさに自らを堕天使に魅入られたと主張もする、伊達ワルメンズの心を継承した堂々たる足取りで。
 彼女が通る度に目の前の壁という壁が黒い蝶として宙を舞い踊るその光景はまさに幻想よりいでし神に抗う戦士と言えよう――。

「ふっ……天は常にお前達のことなど、まるっとお見通しなのだ」

 さくっと辿り着いた出口を前にしての勝利宣言。
 最速最短、まっすぐ一直線の迷路攻略に敵う者はいないだろう――こうしてまた一人、海神の元へと叛逆の刃が向かっていったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

暗黒虚無神・パラミトログル
メン●ナックル?
違うな…オレは…
『神の拳(ファウスト・ゴッテス)』だ!

(口調も伊達ワル風になっています)
(以下勢いだけで意味のない言葉が続きます)

知ってるか?神の悪霊✕正義の味方は全ての伊達ワルの頂点に立つ

千のプレイングより残酷なオレという説得力

オレが何をしたいのか?
あの朧月(※背景)にでも聞いてくれ

ニヒリスティックに舞い、
バッドムーンに酔う

(ノリと勢いで突き進んでいたら道に迷う)
(立ち止まる)

暗黒虚無神(ニヒルダーク)だから言える真理がある

「世は悪に染まれ」

(なんかうまくいって正解ルートに辿り着く)
この瞬間、カクリヨのフォーミュラは間違いなくオレ

(終始羞恥心ゼロかつ自己陶酔)



●世界を救えって囁くのさ、俺の伊達って止まらないワル魂(ソウル)が!
 海神の社の迷路に一人の伊達ワルが舞い降りる。
 彼の名は暗黒虚無神・パラミトログル(ニヒルダーク・パラミトログル・f28033)。
 ざ、とこのカクリヨの地に降り立ち白いコートをブワサァ!!と靡かせ、自信に満ち溢れた笑みを浮かべ――

「メン●ナックル?違うな……俺は――

 『神の拳(ファウスト・ゴッテス)』だ!」

 ばばん、と決め台詞が華麗に決まるッ!!
 神の拳と名乗ることができるのは彼が暗黒虚無神(ニヒルダーク)であるからこそ、その堂々とした伊達ワル中二ズムは信者の皆さんがここにいたら「敬虔な信者だ!」と大喜び間違いなし。
 ご本尊がめちゃくちゃ複雑な顔をしそうだって?それは今この場では言ってはいけない。

「知ってるか?神の悪霊✕正義の味方は全ての伊達ワルの頂点に立つ。千のプレイングより残酷な、オレという説得力――」

 華麗な足取りで迷路を進むパラミトログル――いや、パラミトログル様。
 ここでは敬称をつけるべきな気がした。流石、千のプレイングよりも残酷だと言わしめる説得力を持つパラミトログル様である。
 何を言っているかわからないって?多分グリモア猟兵も首を傾げてます。

「ふっ、オレが何をしたいのか?あの朧月にでも聞いてくれ」

 と視線を向けず指先だけ向けるパラミトログル様であるがそこにあるのは壁、だが青くぼんやり光るランプの光がまるで朧月のようにその姿を佇ませている。
 恐らくその美しい様を称える為に言ったことであると思われる……流石暗黒虚無神(ニヒルダーク)、リスペクトも忘れないその心持ちはまさに伊達ワルだ。
 ニヒリスティックに舞い、バッドムーンに酔うバラミトログル様、ちゃくちゃくと迷路を進んでいるかのように思えますが――
 おーっと、ここで立ち止まったぞ!どうやら道に迷ったようです!
 だが決して焦る様子を見せぬのが暗黒虚無神(ニヒルダーク)、ふっと微笑んで余裕を見せる!

「暗黒虚無神(ニヒルダーク)だから言える心理がある――"世は悪に染まれ"」

 その時、パラトロミグル様の足元から術式が展開され、迷路中の壁が励起!ゴゴゴゴ、と大きな音を立てて道が開かれ出口への道が作り上げられる――!
 どうやら偶然にも伊達ワル中二ズム溢れる言葉を鍵にすることで迷路の構造が一時的に変わるスイッチがそこにあったようです。
 パラミトログル様程の伊達ワル中二ズム溢れるメンズとなればこのような偶然の幸運を引き寄せることができるようだ。
 凄いぞ、流石暗黒虚無神(ニヒルダーク)・パラミトログル様!

「ふっ……この瞬間、カクリヨのフォーミュラは間違いなくオレ!」

 ドヤ顔でスタイリッシュな歩きで出口へと向かうパラミトログル様でありました。
 その恥ずかしげもない振る舞い、陶酔する程の自身への絶対な信頼――まさに彼こそ伊達ワル中二ズムの申し子、『神の拳(ファウスト・ゴッテス)』と呼ぶに相応しい姿であった。
 信者の皆さんに完全に仲間認定されそう。そして御本尊には凄く「うわあ」って顔をされそう。
 ともあれ素晴らしい伊達ワル中二心だった故に文句なしの迷路クリアです。

成功 🔵​🔵​🔴​

天玲寺・夢彩
【アドリブなど何でもあり】
また変な事になってる‥カクリヨって面白可笑しな事ばっか起きてるねー。

何か書いてある…汝が魂をさらけ出し試練を乗り越えろ?

(刀で落ちたり飛んでくる罠は【武器受け】や【武器落とし】で防いで、足下の仕掛は早業で避けるよ。この扉…重くて硬い‥よし、壊しちゃおう。【UC】)

簡単に見せるほど安い魂でないが仕方ない。

闇黒の力により悪に変わり、深淵より来たり悪魔さえ魅入らせる私をこの程度で拒もうなど片腹痛い。

白き竜に導かれ、ここに現れし私を止められるモノなどありはしない!
(出来るだけ行動は格好よく)

※台詞・ポーズ参考:学友&アスモデウス
えへへ、似てたかな?



●アスモデウス「我は貴様にそのように映っているのか……」
「わー、また変なことになってる」

 さも他人事のような天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)の事件に対する第一声がこれである。

「カクリヨって面白可笑しなことばっか起きてるねー」

 山が大量発生したり何かがなくなったり何かが溢れたり、まさにピンからキリまであるカクリヨファンタズムのカタストロフ。
 こんなんが毎日発生する中妖怪たちが毎日を懸命に生きてると思うと何とも言えないものがある。いやあ、逞しいですねえ!
 と、今回もカクリヨの危機を救うべく馳せ参じた夢彩はそのままいつもの意気揚々とした足取りで海神の社を進みその途中で伊達ワルメンズを模した石碑を発見する。
 いやだから何で石碑そんな形なんだ、どこまでこだわるんだ信者たち。ご本尊はきっと泣いてる。

「何か書いてある……"汝が魂をさらけ出し試練を乗り越えろ"?」

 その石碑を読み上げた途端、天井からがら、と何かが開いたような音が響く。
 疑問符を浮かべて夢彩が上を見上げると、そこにはどう見ても矢を発射する砲台がその銃口(?)を夢彩に向けていた。
 つまり、こういった罠を切り抜けろということである――もちろん、伊達ワル中二ズム全開で。
 意図を把握した夢彩は腰に下げた桜霊刀の鞘を抜き、ふっ、と笑って構える。

「簡単に見せるほど安い魂でないが仕方ない……」

 砲台から放たれる矢を一振りで切り捨てる夢彩。
 桃色の髪が一薙ぎで発生した風になびき、青いランプの光に合わさって幻想的な風景を醸し出す。

「闇黒の力により悪に変わり、深淵より来たる悪魔さえ魅入らせるこの私をこの程度で拒もうなど――片腹痛いッ!!」

 次に壁から飛んでくる矢を刀で受けて弾き落とした後、壁の砲台を切り捨てながら声高に宣言。
 地面の仕掛けが動く音を感知すれば軽やかに鮮やかなバク宙で回避する。
 最早ウォーターカッターとも違わぬ出力の水の柱が夢彩がいた場所から吹き上がり、飛沫が青いランプに照らされる中のバク宙という実に絵になる光景、これには伊達ワル中二信者もきっと大喜び間違いなし。
 そんな感じで夢彩は次々と罠を斬り伏せては切り捨て、早業でくぐり抜け――着実に奥へと進む。
 次々と罠をくぐり抜け、辿り着いた先には大きな扉が侵入者を拒むかのように佇んでいた。
 まずは開けてみようと試みるが、とても重くて硬い。少なくとも常人の力で開けられるものでは到底ない――ならば、壊してしまえば良い。

「このような扉で阻もうなど……無駄だ。白き竜に導かれ、ここに現れし私を止められるものなどありはしない!」

 高らかに叫ぶと共にユーベルコードを発動、破魔の力を含んだ聖なる桜吹雪が夢彩の桜霊刀に纏われていく。
 刀の柄をしっかりと両手で握り――思い切り振り被った!
 金属が壊れる音が派手に響き、ずううん……と非常に重たい音を立てて扉だったものの残骸が散らばっていく――その重さは破片が地面に落ちただけで軽くヒビを入れる程。
 そりゃ女の子の手では到底動かせないワケですね。
 ふう、と夢彩は額の汗を拭って桜霊刀を再び鞘に収め、『ダイモンブック』を通して契約している悪魔アスモデウスに話しかける。

「えへへ、どうアスモくん。似てたかな?」

 アスモデウスは非常に複雑そうにため息を漏らす。
 夢彩の今までの言い振る舞いや動きは同じ學徒の友人らやアスモデウスを参考にしたものだったらしいが、出来栄えを直接聞く奴は普通いない。うん、普通はいない。
 もちろん彼女に悪気はないのである。無邪気さは時に残酷なのだ――まあ、故に悪魔が彼女に力を貸すのであるが。
 その嘆息を言葉にできないぐらい似ていたのだと好意的解釈をした夢彩はご機嫌そうな足取りで迷路からさらに奥へと足を踏み入れるのであった……

 おめでとうございます、第一関門クリアです。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『鴉威し』

POW   :    烏合
全身を【ぼんやりした銀色の光】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【負傷】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD   :    三様
戦闘力が増加する【大弓を持つ狩人】、飛翔力が増加する【風車を大量に背負った姿】、驚かせ力が増加する【巨大な目玉】のいずれかに変身する。
WIZ   :    追捕
攻撃が命中した対象に【黒い泥のようなマーキング】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【自動追尾するエネルギー弾】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●信者たちは皆一直線に海神の虜
 こうして無事心の傷に耐えながら――いや普通にだいたいノリノリでノーダメージな気がするな?
 ともあれ、迷路をくぐり抜けた猟兵一同を次に待ち構えるのは、どう見ても伊達ワル中二ズムとは程遠い姿をした鴉威しの信者たちであった。
 どうやらここは拝殿のようである。いやあの、何でわざわざ神社の拝殿前に迷路を設置したんですか貴方たち?
 伊達ワルとは程遠い鴉威しの姿をした妖怪――が骸魂に取り込まれた姿――しかいない上全員伊達ワルなポーズをキメている光景は祭礼というよりただの邪神召喚の儀にしか見えない。

「侵入者――?いや、新たな信者か。よくぞこの海神が眠りし静謐なる棺が佇む社に訪れた。
 ここまできたということは試練を乗り越えし敬虔なる信者であろう……くるが良い、大いなる海神の加護にてクレバーに包み込もうではないか」

 どう見ても見た目は鴉威しなのに言動や立ち振舞は伊達ワル中二メンズであった。
 ヤケにカッコつけて両腕を広げると、拝殿の最奥に位置する信仰すべき海神を模した伊達ワルメンズな決めポーズをした銅像が光る。
 恐らくここでは伊達ワル中二ズムな言動や振る舞いを信仰心としてエネルギーに転換し、奥にいるであろう海の守護神本体に送り届けているようだ。
 信者たちが伊達ワル中二ズムな言動をすればする程神様の力が高まり本当に世界に災厄を齎せる程の力を得てしまう――という仕組みと思われる。

 つまり何が言いたいかというと、こいつらこのままにしてたら本当にカタストロフを単独で引き起こせるだけのエネルギーを神が得てしまう可能性があるということである。
 ぽかんとしてる場合ではなかった。
 さあ猟兵たちよ、武器とユーベルコードを構え、自らの信じる伊達ワル中二ズムにてこの愚かな信者共の骸魂を浄化するのだ! 
鈴木・志乃
ふっ……昔の仲間のよしみだ。一瞬で落としてやるよ。
(※仲間だったことなんてない)

UC発動
【精神攻撃、毒使い、マヒ攻撃】
伊達ワルムーブアド連歓迎
これが真の伊達ワル魂というモノだよ、諸君。さあ、今宵は俺のキッチンで酔ってくれよ?
(訳「伊達ワルとか言ってるけどメシマズで強制ギャグ空間不可避」)

第六感で行動を見切り光の鎖で早業武器受けからのカウンターなぎ払い

凄いだろ?
猟兵すらも食い殺すワイルドさ!!
(訳「知り合い猟兵もメシマズの前に散っていった……。」)

あと高速詠唱(伊達ワル台詞)で燃やして凍らして吹っ飛ばしてパーンと。

パーンと。

敵UC? オーラ防御と高速詠唱でバリア張る。



●誰しもが酔いしれる蠱惑のキッチン
 クレバーに抱きしめようと両手を広げる鴉威したちに向け、鈴木・志乃(ブラック・f12101)は髪をかきあげ余裕の笑みを浮かべる。

「ふっ……昔の仲間のよしみだ。一瞬で落としてやるよ」

 いや仲間じゃないですよね、というツッコミは野暮である。
 何故ならここは伊達ワル中二ズムの聖域――伊達ワルの心を持つ者は皆同士なのだ。例えそれが敵と味方の関係に分かれるとしても、その胸に抱いた伊達ワル中二心が変わることはない。
 そう、己が信念を、己が伊達ワルをぶつけ合いどちらが正義かを示すのみ……!

「よかろう……それが汝が伊達ワル魂というならば、我らの伊達ワル魂を見せつけるのみ――!」

 ジ●ジ●立ちのようなポーズをする鴉威しの姿がみるみると変貌を遂げる――漆黒の衣装に漆黒の大弓を携えた、志乃と変わらぬブラ男の狩人へと。
 スタイリッシュに矢を番え放つが――それを志乃は華麗に数歩動くだけで難なく回避する。
 あらゆる角度から放たれる矢の軌道を全て見切り、ぱちんと指を鳴らせば現れる光の鎖という絶対の障壁。
 鎖が砕けて消えると同時に、それに絡め取られていた漆黒の矢もぱきん、と砕けて粉になる。
 
「……見事。我らの一撃を容易く回避するとは……流石選ばれし伊達ワルの民……!」
「ふっ……それが君たちの伊達ワル魂か――確かに受け取った。では、次はこちらの番だ」

 志乃は上空に手を翳しぱちん、と再び指を鳴らす。
 ――辺りを何かの香りが漂い始める。そう、何かやけに焦げたような、生煮えたような……

「はっ……!?」

 鴉威したちが気づいた時には、辺り一面が厨房とかしていた。
 無限に続く台所、そしてあらゆる壁に設置されたオーブンというオーブン、コンロというコンロ……そのどれもがとてつもない匂い、否最早臭いを醸している。

「これが真の伊達ワル魂というモノだよ、諸君。さあ――今宵は俺のキッチンで酔ってくれよ?」

 ちーん……オーブンの焼き終わった音が一斉に響き渡る。
 ぱか、とその扉を開けて姿を見せたのは――コテージパイ、だったであろうと思われる禍々しき黒い物体。
 そしてぐつぐつ煮えていた鍋から姿を見せるのは、コンソメスープであったハズの紫色の濁った液体。
 蓋を開けたことで充満する臭い、ぶっちゃけこれだけでもう吐きそう。一部の鴉威したちは口元を抑えている!
 そう、志乃の伊達ワル魂を証明する為に発動されたユーベルコード……それは失敗料理のみを永遠に食わせる恐怖の厨房迷宮(ラビリンス・オブ・キッチン)。
 その銘を【あの日味わった惨状を私は忘れない(ナンノヘンテツモナイキッチン)】と言う――……!
 伊達ワルどころかただのギャグ空間になってないかって?それは言ってはいけないお約束というものサ。

「さあ、召し上がれ」

 念動力で浮かび上がったナイフとフォーク、スプーンがそれぞれ丁寧にパイとスプーンをすくい上げて鴉威しの口に突撃!
 口を塞ごうとするがそれすらも念動力で無理矢理にこじ開けいざ一口!!

「コペッパッツァラlガジャッ!?!?!?」

 噛み応えが最早金属、スープの液体はどろどろとしているどころか口の中溶けてる感覚する――あのこれもう既に酸になってません??
 そんなあらゆる絶望のハーモニーを奏で上げた悲鳴が飛び出し、その場に卒倒!!
 骸魂がぺりっと剥がれて普通の妖怪に戻るのだが起きる気配はない、それどころか白目を向いて泡を吹いてすらいる。まあそりゃそんな飯食べたらそうなるわ。

「ふふ、凄いだろ?猟兵すらも食い殺すワイルドさ!!」

 そう言いながら志乃が思い浮かべるのは、知り合いの猟兵がそのメシマズに儚く散り行く様……
 一応彼女の名誉の為に言っておくと彼女の料理の腕前がメシマズというワケでは決して無い。
 彼女の仕事先のキッチンはどう足掻いてもこのようなモザイク料理を作り上げるという謎の仕様が付随しており、誰でも簡単にメシマズになれるという脅威のキッチンなのだ。
 志乃はユーベルコードを紡ぐに辺りそれを想起して概念を定着させているに過ぎない――いやその仕事場呪われてませんか??

「(メシマズの)もてなしに生き、(メシマズの)もてなしに死ぬ――それが孤高のファンタジスタ!」

 素早く紡がれる詠唱によりガスコンロから炎が吹き上がり、開いた冷蔵庫からは冷気が吹き荒れる。
 キッチンという魔の迷路からプラスとマイナスのエネルギーがぶつかりあい生まれる破壊のエネルギーがメシマズから逃げようとしている鴉威しの群れを襲い、その骸魂を跡形もなく消滅させた――

 祝え、伊達ワルたちよ。メシマズ✕伊達ワル=最強という方程式が成立した瞬間である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗黒虚無神・パラミトログル
アンタ達が『カタストロフ』か…
(わかってない)

オレは…
『終末の日(ドゥームズデイ)』だ!
(似た者同士だが自分の方が凄いと言いたい)

アンタ達を終末へと導いてやるよ…
このオレの手でな!

(あえて敵の攻撃を先に受ける)

甘いな…
やったか、と思った時、アンタらの終末は既に始まっているのさ
(やせがまん)

【神罰】の時間だ
地獄よ、歓喜に震えよ
食らうがいい!

エターナル・カース・ナイトメア ――†連鎖する呪い†――

次々と発生する不慮の事故…
例えばUCの誤射
予め別行動させている『毒蛇ワジョナ』の不意打ちなどあり得るが
一番の不幸はこのオレに遭ったことだ!
このオレの前ではアンタらの伊達ワルも霞んじまうのさ



●相手(の骸魂)は死ぬ
「アンタ達が『カタストロフ』か……」

 次に信者と相対するは暗黒虚無神・パラミトログル(ニヒルダーク・パラミトログル・f28033)。
 風なんて一切吹き抜けないこの拝殿内で、彼の衣服や髪だけがそよいでいる――それはその暗黒虚無神(ニヒルダーク)の纏う禍々しくも強い伊達ワルオーラの為せる業か。
 カタストロフがどういうことかわかっているのかという疑問については今はそっとしておこう。

「如何にも、我ら終焉(カタストロフ)を導きし大いなる海神の下僕なり。汝も我らと同じ伊達ワルの血を持つ者なれば」
「ふっ、違うな。オレは……

 『終末の日(ドゥームズデイ)』だ!」

 その高らかな宣言と共に天は叫び大地が震える――具体的に言うと声がいい感じに木霊した。
 ドゥームズデイとカタストロフ、一応語源的には同じだが違う言葉で宣言することでさらに特別感を得ることができて大変お得です(?)。
 ともあれ、猟兵としてオブリビオンと対峙するという使命を持つ以上決して相容れることはできないのだ。例えそれが同じ伊達ワル中二の心を抱く同胞(はらから)だとしても――

「アンタ達を終末へと導いてやるよ……このオレの手でな!」
「ふ、我らが海神に抗うとは……頭を垂れていれば世界が滅びし後も生きておれたものを!」

 べちゃっ――伊達ワル信者が放った黒い泥のようなものがパラミトログルの頬を掠めた。
 その程度か、と言おうとしたところで次々に黒い泥が飛んでくる。
 物理的にブラ男化不可避の暗黒虚無神(ニヒルダーク)だが攻撃はそれだけではない……どこからかエネルギー弾が急に発生し、一斉に飛ぶ。
 その一発がパラミトログルに命中、派手にぶっ飛び壁に背を打ち付ける、だがエネルギー弾は止まるどころか追いかけてくる。
 そう、それはもう執拗に。とことん徹底的に!その暗黒虚無神(ニヒルダーク)を屈服させんとする海神の伊達ワル信者の執念が如く、とことんエネルギー弾が飛んでくる!

「やったか……?」

 伊達ワル信者共が手応えを確認しようとする。
 収まった頃には泥もすっかり剥がれきる程のエネルギー弾をその身に浴びたパラミトログル、だが彼の――暗黒虚無神(ニヒルダーク)の闘志はこれで潰える程度の柔いものではなかった――!

「ふふっ……甘い、な……やったか、と思った時……アンタらの終末は既に始まっているのさ!」

 よろめきながらも立ち上がり、再びその身に纏うオーラが髪を、衣服を靡かせる。
 そしてそれらは再び拝殿をも振動させる程の強い風となって伊達ワル信者共を震撼させる!

「神罰の時間だ。地獄よ、歓喜に震えよ!喰らうがいい――

 エターナル・カース・ナイトメア ――†連鎖する呪い†――!!」

 風がユーベルコードとなって伊達ワル信者たちを風の刃で斬りつける!
 が、しかしかすった程度で痛くも痒くもない程度のダメージだった。例えるならついうっかりダンボールや紙で手を切ってしまったぐらい。
 人によっては相当痛いと思うが、伊達ワル信者共が揺らぐ程ではない。はっと鼻で笑い、再び黒い泥を放とうと構える。

「……これが永久なる悪夢の呪い(エターナル・カース・ナイトメア)?流石に笑わせてくれるではないか」
「そいつはどうかな?」
「何……っ?」

 べちゃっ。
 伊達ワル信者一人の頭に黒い泥が当たり、その衝撃で狙いがズレてその信者が放とうとした黒い泥がまた別の信者に当たる。
 それはさながらドミノの如く、一人誤射したらまた一人誤射……次々信者共が物理的にブラ男と化す

「ちょっと!気をつけなさいよ!これついたらアタシらに弾が飛び――あ」

 ぼぼぼぼぼぼぼ、と音を立ててエネルギー弾が泥のついた信者たちに殺到――!!
 あばばばばばば、と信者たちは次々に吹っ飛んでいく。

「うぎゃー!?おのれ貴様、何をしおったー!!」

 ふっ、とパラミトログルは髪をかきあげて笑う。
 そう、エターナル・カース・ナイトメア――もとい、ユーベルコード【連鎖する呪い】はその攻撃により癒えぬ傷跡を刻まれた者に延々と不慮の事故を発生させるという中々にえげつないものである。

「ふ、これが連鎖する呪い(エターナル・カース・ナイトメア)の力さ。
 予め別行動させている『毒蛇ワジョナ』の不意打ちなどあり得るが……一番の不幸はこのオレに遭ったことだ!」
「お、おのれ……ぐはぁッ!!」

 やがて伊達ワル信者共は自らの誤射が招いた自爆により骸魂を尽く引っ剥がされ、元の妖怪としてその場に倒れ伏していく。
 その信者共の屍(※元の妖怪はみんな生きている)が積み上がった後、彼はこう言った。

「このオレの前では、アンタらの伊達ワルも霞んじまうのさ」

 傷つきながらもニヒルに笑い、決して余裕を崩さぬ暗黒虚無神(ニヒルダーク)。
 敢えて相手に先手を許し、油断を招くことで一発逆転した彼の作戦勝ちであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
伊達ワル中ニズムも集まれば世界が滅びるものなんですねー(棒)。

しかし、これってやり出すと結構癖になってヤバいかも。
なんだか楽しいのは、きっと海の守護神の邪悪なパワーに影響されているに違いありません。

ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
ヨーヨーのワイヤーで敵を引っ張ったり、飛び込んだりして、【敵を盾にする】しながら。戦います。
敵を翻弄しつつ、密になってきたら、UC【風舞雷花】でソーシャルディスタンスします。

これを伊達ワル変換すると、

お前ら、こんな閉鎖空間で集まりやがって。
ここでそんな詠唱繰り返せば、どんなことになるか、知らないとは言わせないよ。
全員、許さねぇ!


天玲寺・夢彩
【アドリブ大歓迎】
信者?いや、違う。
私はまことの情熱を知らしめに来た…お前達に揺らがず立ち続ける覚悟はあるか?
(伊達ワル風に怪しく格好いいポーズ)

(攻撃は【武器受け】と【早業】で回避して、敵に【高速詠唱】の如き言葉や攻撃で【精神攻撃】/行動は全て伊達ワル)

やれやれ‥そんな物は私には当たらない。
なんだ、余裕が無くなってきたな?
お前達の伊達ワルのパッションはどうした‥そんな伊達ワルなぞ最早フェイク!
私との伊達ワル勝負を軽んじた罪は重いぞ。

(UC:【生命力吸収】【破魔】)

全員来るがいい…何処までもスマートに誘い染めてやろう。
さあ、目覚める事なき私のナイトメアに永久に酔うがいい。



●集団詠唱をする場合は必ずお買い物カート一台分の距離を開けて行いましょう。
「伊達ワル中二ズムも集まれば世界が滅びるものなんですねー」

 えらく棒読み気味に言うのは黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。
 そう、伊達ワル中二ズムでも集まれば世界を滅ぼす程の力となる――カクリヨファンタズムでなければ起こり得ないカタストロフではあるが。

「(しかし、これって……やり出すと結構癖になってヤバいかも)」

 何だかんだで伊達ワル中二ズムを行っていると楽しい、と思わずにはいられない自分もいた。
 恐らくこの信者共が崇め奉る海の守護神の邪悪なるパワーに影響されているせいだろう、いやそうだ、そうに違いない。
 ……海神本人はきっとめちゃくちゃ不服そうな顔をしている気がするが!

「おお……新たな信者か……?いいだろう、クレバーに包み込んでくれよう……!」

 まだまだ元気そうな伊達ワル信者たち。
 それに対し真っ向から返すのは天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)だ。

「信者?いや、違う。私はまことの情熱を知らしめにきた」
「まことの情熱、だと……?」
「そう……お前たちに揺らがず立ち続ける覚悟はあるか?」

 桜霊刀を構え、伊達ワル風の怪しくカッコいいポーズを決めれば伊達ワル信者たちからは感嘆の声が上がる。

「素晴らしい……信者でないのが実に惜しい!我らが情熱は我らが海神への祈りとして供物と捧ぐべきモノ、汝が情熱もきっと海神がお喜びになったであろうに……」

 恐らくこれを聞いた海神本人はグリモア猟兵の話を聞く限りは実に虚無な顔をしていると思われるが……まあそれがわかっていたらこんな世界にはなっていない。
 密集した状態でわらわら群れる鴉威しの伊達ワル信者共。そこに摩那も夢彩に続くように啖呵を切る如く強く言い放つ!

「お前ら、こんな閉鎖空間で集まりやがって……ここでそんな詠唱繰り返せばどんなことになるか、知らないとは言わせないよ!」

 入り口でしっかり手を消毒してマスクしてソーシャルディスタンスを保て、と言われたのにいざ拝殿に訪れてみればソーシャルディスタンスもクソもない並びである。
 至極全うな指摘が信者共のメンタルにCLITICAL HIT!!だがしかし伊達ワル信者は揺らがない、というより開き直り始めた!

「磨き上げた己に海神は裏切らない!つまり、かのウィルスも海神の加護さえあれば問題はない!」
「――全員、許さねぇ!」

 最早言葉は不要と判断した摩那、伊達ワル中二ズムに則った台詞で返しながら愛器の一つである超可変ヨーヨー『エクリプス』を構え先手必勝と言わんばかりに投げつける!
 ワイヤーで信者の一人がぐるぐると絡め取られ、壁に叩きつけられた。

「おのれ、不意打ちとは卑怯な!」
「バカを言ってくれる、先手必勝は戦人全てに許される権利!油断していたお前らの修行不足と心得よ!」

 今度はワイヤーを拝殿の骨組みである柱にくくりつけ、ロープ代わりにして遠心力をつけたドロップキックが華麗に決まる。
 信者が顔にもろに蹴りを食らって倒れた結果、他の信者たちも巻き込んで一部はドミノ状態に。
 ますますソーシャルディスタンスもクソもないが全て信者たちが密になっているのが悪いから仕方ないね。
 伊達ワル信者共はただやられっぱなしでいるものかと、大振りな動きの後には若干の硬直タイムが存在するのを狙い、黒い泥のようなものを一斉に放ってくる。
 しかしそれは猟兵相手に通用する程簡単ではない。
 摩那は即座にエクリプスを再び投げつけ、ドミノ状態に倒れている信者一人を引っ張り上げて盾にしようと試みた。
 べちゃべちゃべちゃっ――と、盾にされた信者が強制的にブラ男化する。

「あっ」

 信者共はそろってやっべえって顔。
 何故ならこの泥はマーキングの役割である、マーキングをした相手を永遠に追尾し続けるエネルギー弾が生成されるフィールドをユーベルコードにて展開しているのだ。
 つまり。

「あばばばあばばばばばばあばばばばばばばばばばばばあば―――――っ!?!?!?」

 強制ブラ男化した信者にエネルギー弾が全命中!
 ブラ男化信者の骸魂はしめやかに爆発四散、元の妖怪となってその場に倒れ伏した。
 そっとソーシャルディスタンスを保った距離が確保されている位置あたりにそのまま寝かせてあげて、摩那は再び硬直している信者の群れへと『エクリプス』を投げつける!

「励起!」

 そしてユーベルコード【風舞雷花(フルール・デ・フルール)】を発動。
 エクリプスが超高電圧を纏う七色に輝く花弁と化し信者共を直撃、先程やられたブラ男化信者と同じようにあばー!?と声を上げてふっ飛ばされていく。
 今度はドミノ状態になることなく、綺麗にソーシャルディスタンスを保った状態で地に伏せていく信者たち。
 流石に吹き飛ばされた後の距離感覚まで測って発動などはしていないが、恐らく彼女の鋭い第六感で丁度良い位置で吹き飛ぶような配置を作り上げたのだろう。
 こうして感染対策はしっかりとなされた状態で骸魂を引っ剥がすことに成功したのである。

 --------------

 一方、夢彩は残る伊達ワル信者共を圧倒する勢いで翻弄していた。

「……そんな物は私には当たらない」

 敵の攻撃は華麗に舞い避け、その桜霊刀で切り落とし――時々頭に生えた桜の花びらがふわりと舞う度どことなく幻想的な雰囲気を醸し出す。


「くっ……何という業前……っ、我々の攻撃がこうも歯牙にもかけられぬとは……!」

 ひたすら伊達ワル信者共は黒い泥をその体の一部にでも当てんと全力で投げつけるがかわされる一方である。
 焦りと消耗が狙いを定まらせまいと信者共を襲い、おかげで先程から当たる気配は微塵もない。
 やれやれ、と夢彩は肩を竦めてみせる。

「なんだ、余裕が無くなってきたな?」
「くっ、我ら海神の使徒を侮るでない……!」

 残る信者が一斉に、タイミングを合わせて黒い泥を放つが――桜霊刀の一閃の煌めきの前に散る。

「あ、ああ……!」

 最早成す術はないのかと信者たちの威勢が一気に削がれていくその様子に、夢彩は心底不服そうに桜霊刀の切っ先をつきつける。

「お前達の伊達ワルのパッションはどうした……!そんな伊達ワルなぞ最早フェイク!」
「な、何ィーッ!?」

 その言葉が信者共の伊達ワル中二心にぐっさりとCRITICAL HIT!!
 へなへなへなとその場に次々崩折れ、そんなバカなとうわ言を呟くその姿は確かに己が伊達ワルがフェイク――紛い物――と言われても仕方がない有様である。
 夢彩は呆れたようにため息をつく。

「私との伊達ワル勝負を軽んじた罪は重いぞ。全員来るがいい――何処までもスマートに誘い染めてやろう」

 そして発動されるユーベルコード。
 どこからともなく吹き抜ける桜吹雪が伊達ワル信者共を包み、眠りへと誘っていく。
 本来はこれにより治療を施すユーベルコードだが、夢彩は今回、それに破魔の術式と生命力吸収の術式を絡めて行使。

「さあ、目覚める事なき私のナイトメアに永久に酔うがいい――」

 つまりこれがもたらす結果とは、本人の言葉通り伊達ワル信者共は永遠に夢の中に囚われて終わるということ。
 寝ている間に骸魂のエネルギーは全て吸い取られ、自然に剥がれて元のカクリヨファンタズムの住人に戻るのだ。
 これで信者共は全員片付き、後は全ての元凶である海の守護神を討伐するのみ。
 
 ――ぴき、ぴき……

 拝殿の最奥にある海神の像に亀裂が入り、その時はまさに訪れようとしていた……

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『偉大なる海の守護者』

POW   :    深海の歌
【津波を呼ぶ歌】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    海の畏れ
【他の海にまつわる妖怪を吸収する】事で【鯨の鎧を強化した形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    災厄の泡
攻撃が命中した対象に【祟りを引き起こす泡】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【恐怖による精神ダメージと祟り】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はペイン・フィンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【MSより】
 第二章ご参加いただきありがとうございました!
 第三章の執筆は9/14(月)から開始予定の為、それに合わせてプレイングを投げて頂けますと幸いです。
 それまでに断章をなるべく挟めるようがんばります。
●胸中はマジで複雑
 拝殿の最奥に座する海神の像は、猟兵たちと伊達ワル信者たちの戦いの間も、その伊達ワル中二心を信仰心と――本人は不服ながらも――して取り込んでいた。
 神は信仰に比例して力を増す存在。その信仰によるエネルギーが今まさに、頂点にまで達したのである。
 結果、どうなったか。
 真の海神の降臨の贄として、それは粉々に砕かれ――その奥から発生する渦潮に飲み込まれていく。
 そして壁も壊れ、奥に続くは彼岸の砂浜、そして強く荒れる波。

 ――その中心に、海神はいた。
 それはもう、非常に複雑そうな心中を伺わせる面持ちで。

「……何故だ。私は……」

 わなわなと手を震わせ、切実そうに語る。

「私は偉大なる海の守護者にして海の災いをも統べる者……故に私を"畏怖せよ"と告げただけだというのに何故……

 ど う し て こ う な っ た の だ … … !」

 まあ……普通予想外ですよね。
 畏怖し崇めよ、と言ったら何で伊達ワル中二ズムと化すのか、多分誰も理解できない……というか、理解できたら多分その伊達ワル信者たちと同レベルなのでちょっと心配になる。
 しかしその振る舞いが実際に自らの力として還元されているので無碍にもできないから余計に複雑なのだろう。

「何なのだあの石碑は!石碑というものはもっとシンプルにかつ荘厳であるべきだ!それが何故あんなへんちくりんな姿格好振る舞いをした男の形になるのだ!
 神聖さの欠片もないではないか!!貴様ら、神が眠るべき社が何なのかわかっているのか!!!舐めているのか!?!?」

 猟兵たちに半ば八つ当たりで言ってくるがそんなこと言われても猟兵たちはこうなってるのを何とかする為にきたので何とも言いようがない。
 言うとしたら「ご愁傷さまです」としか言えないんですよね。
 本当に今回ばかりはオブリビオンもある意味被害者だし可哀想としか思えないのだが、それはそれでこれはこれ。
 この海神を倒さぬ限り伊達ワル中二ズムによる世界の崩壊は免れない。

「……ま、まあ。それでも私を崇めようとしてくれた行為は事実。その信仰には相応に報いねばならん……
 くるがいい、猟兵共よ。我は偉大なる海を司る者なれば、貴様らをこの雄大な腕にて呑み込んでくれる!」

 ちゃんと信者の信仰に応えるという誠実さを見せながら猟兵たちと相対する海神。
 いざ、彼岸の砂浜にて最終決戦が始まる――!

【MSより】
 ここから完全中ニモード脱出してくれてもいいし引き続き中二モードで挑んでくださっても構いません。
 皆さんのプレイングお待ち致しております。
暗黒虚無神・パラミトログル
どうしてこうなったのか?
簡単だ

神を信じる者は神にあやかる
あれが、あの者達なりの
『神』の姿だったのだ

神の姿は人の身には掴めぬもの
想像する他なし

信者達にとって『あれが汝だった』

……我は
ここまでは人の領域に留まっていた
『人の在り方』を学ぶためにな
だが、見せてやろう
ここからは『神の領域』だ!

我が名は――
ニヒルダーク・パラミトログル
悪を司り悪を戒める者なり

汝の為したい事を為すがよい
されど、悪には報いを
それが…世の理(トゥルース)…

汝を滅ぼすは我に非ず――汝の悪なり!
(UCを使用。龍に変身する)
暗黒神気を闇のブレスとして放射し攻撃する

汝が恐怖を与えるならば
我は汝を悪として報いを与えん…悪神の名の元に!



●神代の戦い
「ふ……貴様はどうやら"人の在り方"を知らぬ神のようだな」

 困惑ながらも戦闘態勢に入る海神に対し、少しだけ憐れむような視線を向ける暗黒虚無神・パラミトログル(ニヒルダーク・パラミトログル・f28033)。

「人の在り方……だと?」
「どうしてこうなったのか?簡単だ、神を信じるものは神にあやかる――あれが、あの者達なりの『神』の姿だったのだ」
「な、何……?」

 ええ……と引いた顔の海神であるが、パラミトログルの回答は正しく一つの"人にとっての神の捉え方"の例であった。
 そう、神の姿は人の身には掴めぬもの……故に想像するより他になし。
 神の姿は人の肉眼で早々捉えられるものではない――むしろ、捉えられた時はそれこそ人々の祈りが通じ、神がその地に降り立つ時のみ。

「つまり、信者たちにとって『あれが汝だった』のだ」

 ここまでパラミトログルが言ってることは全部正論である。全く以て的を射た発言であることに間違いはない。
 ないのだが――まあ、海神としてはあんな伊達ワルメンズの姿が信者たちにとっての自分の姿だなんて事実は突きつけられたくなかったワケで。

「そ、そんなバカな……!」

 バカな……!
  カな……!
   な……!

 3回ぐらいエコーを響かせながらショックで大きくうなだれた。
 そこまでショックだったのか、いやそれぐらいショックでなければそもそも何故こうなった、とかも言わないだろうが。
 彼岸の砂浜に押し寄せる波が海神の心境を反映するかのように弱々しくなる。
 そんな海神に語るかのように、パラミトログルは再び口を開いた。

「……我は、ここまでは人の領域に留まっていた。『人の在り方』を学ぶためにな。だが、見せてやろ――ここからは『神の領域』だ!」

 高らかな宣言と共に鳴り響く雷音。
 風は強く吹き荒れ、海は雄々しく波を打ち付けて。
 海神のメインフィールドとも言える海を制するかのように、パラミトログルの神域が干渉する!

「ば、バカな……我の神域がこのような子供にこうもいとも容易く奪われるだと!?」

 信じられない、といった表情を浮かべる海神。
 しかし、グリードオーシャンのある島に伝わるある神話の悪神であるパラミトログルにとって海など親しき友も同然であり干渉することなど然程難しいことではなかった。
 例えそれがカクリヨファンタズムに出現した彼岸の砂浜だとしても、暗黒虚無神にとっては些細な違いでしかない。

「我が名は――ニヒルダーク・パラミトログル。悪を司り、悪を戒める者なり」
「悪を司る……!?バカな、貴様のような子供が悪などという御しきれぬものを司る高位神だと……!!」
「汝の為したいことを為すが良い。されど、"悪には報いを"。それが……世の理(トゥルース)……!」

 ふわりとパラミドログルが宙に浮かぶ。
 雷音轟く天空を背に彼の体が徐々に巨大化し、翼を現出させ、鱗を纏い――

「汝を滅ぼすは悪に非ず――汝の悪なり!」

 蛇のような躯体から飛び出す、交差された幾多もの腕が広がると同時に現れるは獰猛な龍の顔。
 ユーベルコード【悪龍顕現(イヴィルパワー・ドラゴンフォーム)】。これは自らの『神としての姿』を解き放つものだ。
 今ここに、神話に伝わりし暗黒と虚無の悪神が降臨した。世界を滅ぼさんとする海神の悪に相応しき報いを与える為に……!
 その荘厳かつ禍々しい神体が放つ神気に気圧される海神だが、やられてなるものかと水で作り上げた槍に災いの泡を絡ませて放つことで対抗しようとするが、神気を濃縮させた闇の息吹はそれをいとも容易く飲み込んだ。
 骸魂として憑依せねば生きながらえることができぬ海神と、現在も顕現を続ける悪を司る暗黒虚無神。
 例え信仰を集めたとしても、その差は歴然といえるものだった。

「汝が恐怖を与えるならば、我は汝を悪として報いを与えん……悪神の名の元に!」

 再び息吹く闇のブレスが、彼岸の海を黒く染め上げた――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
よく大きな組織では、トップを思いを誤解して、現場が暴走するというお話はありますが、今回もまさにそんなパターンを感じますね……
ちょっと、気の毒な感じはしますけど、相手がオブリビオンじゃしかたないですね。
ここできっちり片を付けます。

しかし、あの反応速度は厄介ですね。
まずは捕まえなくてはいけません。

ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
相手のの動きをスマートグラスで観察【情報収集】。
パターンを読むことで次の出現地点を推測して、
UC【蒼鷹烈風】を使ったヨーヨーで捕らえます。

あなたの動きはまるっとお見通しです。
神殺しの称号はいただきます!



●かの称号は誰の手に
 悪神により神域の範囲を削られても、尚海神は健在である。
 今までの信仰により高まった力は神代の戦い一度だけで削りきれる程の軽いモノではないということだろう。

「く……悪神がいるとは想定の範囲外であったが、まだ我は立っているぞ。さあ猟兵共、貴様らの力はその程度ではなかろう!」

 ぱしん、と水面を叩けば海神に何かが取り込まれていく――恐らく、海にまつわる妖怪の一人であろうか。
 身に纏う鯨の鎧をより禍々しく光らせながら、海神は水中へ潜り、高速で飛び上がってはその波を刃と変えてけしかける。
 それらを第六感で回避しながら、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は敵の行動を観察していた。

「(よく大きな組織では、トップの思いを誤解して現場が暴走するというお話はありますが……)」

 と同時に、海神の置かれている環境についても軽く推察してもいた。
 彼女の見立てでは今回もまさにそのようなパターンであると感じざるを得なかった。
 トップ、即ちこの海神がどう思って動いたかを誤解した結果があの伊達ワル中二ズムである――そう思うと確かに少し気の毒ではあるだろう。
 だがこの海神はオブリビオンである。オブリビオンじゃ仕方ないね、猟兵には倒すしかできません。

「(ここできっちり片をつけたいですが……あの反応速度は厄介ですね……)」

 『ガリレオ』での予測による結果表示される反応速度、移動速度はどれも異常と言うに相応しい脅威の数値を表示している。
 ただ闇雲に攻撃するだけでは決して当たらないだろう……ならば、動きのパターンを導き出して推測し、先読みで捕獲するしかない。
 『マリオネット』を上空に忍ばせ、データを同期させる。
 速度は相変わらずのバカみたいな数値だが、よくよく見ると右回り気味の行動が目立つようにも思えるが……と、思考しているその間にも相手は攻撃を仕掛けてくる。
 回避しながらももうひとつの特徴がガリレオ内にデータとして投影された。
 どうやら飛び上がる直前、人間の耳には聞き取ることのできない周波数で声を発しているようだ。類似データとして表示されたのは鯨のクリックスというソナーに使用される音響信号に関する資料。
 恐らく人の耳には聞き取れぬ程度のソナーを使うことで、こちらの位置を読み攻撃を仕掛けているのかもしれない。
 ただ、そのソナーでこちらの動きを捉えられた可能性を偶然摩那の鋭い第六感が先読みしていたから回避ができていたのだろうか。
 と過程するならば、敢えて回避をせず相手が出てくるその瞬間を捉えるのがベストである可能性はある。

「"励起"」

 摩那はユーベルコードを起動し、再び海神の動きを探る。
 『マリオネット』の索敵はどれだけ高速な機動であろうと決して見逃さない。
 鯨の鎧からソナーが放たれ、水中を通り、地面へも浸透していき……そしてこちらへと向かってくる。

「"昇圧、目標を確認"」

 懸けるはこの一瞬。
 相手が飛び出し、波を刃として斬りつけるその瞬間を狙い――

「――"加速開始"!」

 ヨーヨー『エクリプス』を真正面に目掛けて放つ。
 【蒼鷹烈風(シュペール・サイクロン)】にて強化された『エクリプス』の性能は海神の高速機動にも十二分に張り合える程の速度を誇る。
 動きを読まれた海神はあっけなくそのワイヤーに雁字搦めにされてしまう。

「何!?く、まさか動きを読まれるとは……ぐうっ!?」

 ワイヤーから放たれる微細な電流に思わず埋めきの声を上げる海神。
 水は電気を通す、そして魚――否、水属性の的は総じて雷に弱い。それが例え些細微細なものであっても海の生き物であり、かつユーベルコードで強化されている今の『エクリプス』を使って攻撃すれば相応のダメージになるのである。

「あなたの動きはまるっとお見通しです。神殺しの称号は頂きます!」
「く……少し動きを抑えた程度、調子に乗るな猟兵如きが!!」

 信仰をその身に蓄えた海神はまだ戦う意思を見せているが、確実に摩那たち猟兵側に利は傾きつつある。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャスティス・ボトムズ(サポート)
★アドリブ大歓迎

正義を執行することに全力を注ぐぜ。
敵と認識した相手は叩き潰す。
それが俺の正義だ。

俺は闘争や探索などあらゆるものをシンプルに考えて行動するのを好む。
戦い方は武器での攻撃と素手での格闘を敵を見て使い分けている。

物事はシンプルに考えて動いた方が白黒ついて分かりやすくなるってもんさ。

正義を執行するという意志は俺にとって絶対だ。
何があっても絶対にこれだけは曲げないぜ。

やること決めたら後は全力で突っ込んでいくだけだぜ。

技能は怪力、鎧砕き、存在感を使って力で問題解決を目指す。
正義を執行するのにはパワーをフルで発揮するのが俺好みだぜ。

正義の力で敵を叩き潰して、優しさを持って民間人に接するぜ。



●モーゼの奇跡が如く
 海神の力は着実に衰えつつあるが、それでもまだ猟兵たちと渡り合うには十分なモノを残している。

「負けぬ……我はここで終わるワケには行かぬ……!ここで倒れては、あの頓珍漢とはいえ我を奉じた信者共に顔向けができぬのだ……!」

 それは神故の矜持か、それとも。
 自身が今自身である故に、海神はその強大な力を以て猟兵たちを飲み込まんと歌を紡ぐ。
 波が一斉に引いていく――人の身には理解できぬ言葉で紡がれるその歌は、彼岸の海を強く昂ぶらせ強大な津波とする災厄を呼び寄せる禁忌の歌。
 偉大なる海の守護者として、海に害為すものを屠る為の強大な力。
 だが、ジャスティス・ボトムズ(正義の執行者・f22965)は一切怖気づくことなく真っ向から立ち向かう。

「はっ!上等だ、俺の正義であんたのその波を押し返してやろうじゃねえか!!」

 ジャスティスは物事をシンプルに考えることを好む。
 今目の前にいる海神はオブリビオンである、それ即ち猟兵の敵。
 相手がどのような理由を掲げていようと、自身の正義は敵を叩き潰すこと――海神を倒すことはその証明に他ならない。
 津波が眼前に迫りながらも、ジャスティスはその場から一歩も引きはせず、むしろ力を溜めてすらいた。

「愚かな、自ら死を選ぶとは。そのまま海の藻屑となるがいい!」
「知ってるか?神ってのはな……海だって割れるんだぜッ!!」

 そう言い放ったジャスティスから放たれる膂力全てを込めて振り切った一撃……
 正義を執行する為の剣『ジャッジメントブレード』の一閃はその津波をも真っ二つに切り裂く。
 さながらそれは海という名の鎧を砕くかのように、海面をもぶった切り、海神が先程までいた海面はただの砂浜と化した。

「バカな……ッ!?」

 ただの人間がこれほどまでのことをできるのか、と信じられぬような顔を浮かべる海神だが、一つ勘違いしている。
 それはジャスティスも神であるということだ。同じ神性同士の対決なれば、海神は一つ圧倒的に不利なことがあった。
 ――"骸魂になった"ということ。骸魂はかつての妖怪や神の成れの果て……つまり、一度信仰が死に絶えてしまい力尽きた神であるということ。
 現在も神として存在しているジャスティスの方が、神性としては上回っているということになる。
 純粋な力と力のぶつかり合いであれば、より力のある方が勝つ――ジャスティスの好むシンプルな理論だ。
 そして自身の力と信念を信じて疑わぬ彼に、ユーベルコード【アリスナイト・イマジネイション】で紡ぎ上げた無敵の戦闘鎧が合わさることでその力をより高め、結果こうして海を割る程の一撃と化したのである。

「腹ァ括れよ――これがお前をぶっ潰す正義の一撃だッ!!」
「っ、しま……っ!!」

 信じられぬ出来事を目の当たりにした動揺が接近を許し、海神が鎧う鯨の装甲が、ジャスティスの渾身の拳によって粉々に打ち砕かれた――!

成功 🔵​🔵​🔴​

天玲寺・夢彩
【アドリブ連携大歓迎】
うん、一先ず御愁傷様お疲れ様です!
夢彩はやってて結構面白かったけど。

とりあえず…
ここで敢えて断言しよう。
お前の命運は既に尽きたと!!(ポーズ付【精神攻撃】)
なんてね‥さあ、ケルくんキミの出番だよう!

(UC発動。【早業】回避や幻覚で自分を隠したり偽物で翻弄しつつ、主に自分の【高速&多重詠唱】とクロケルの技で敵を凍らせて至近距離で死角や後ろを取れたら桜霊刀で切る)

【戦闘終了後】
大人数で勝利の伊達ワルポーズしたいけど出来るかな?
(予めカクリヨ来る前に、どうせやるならとグリモア猟兵を引きず‥強~くお願い(犠牲)したが…はたして?他にも参加してくれそうな猟兵や悪魔達を巻き込む。)



●春の大嵐少女と幻氷の悪魔
 鯨の鎧を砕かれたことにより海神の防御は著しく下がるどころか、その力をも大きく損なわせた。
 恐らくこの鎧を構成することに一番信仰心による力を使っていたのだろうか。
 ぜえ、ぜえと息を切らしながらも、海神はまだその闘志を折る気配がない。

「(一先ずご愁傷様お疲れ様です、って言葉をかける雰囲気じゃあなくなってきたねえ……)」

 流石にこの流れで空気を読まずにそう声をかける、という行為は天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)には憚られた。
 あの伊達ワル中二ズムは海神的に非常に困惑モノであったという流れを見てオブリビオンとはいえ労いの言葉の一つぐらいかけてあげたくなったのだが、戦闘に入った以上それは無粋であろうし海神の怒りを買うだろうと思ったのでやめておいた。
 とりあえずとかっこよく伊達ワルなポーズを決めながら海神に桜霊刀の切っ先を向ける。

「敢えて断言しよう。……お前の命運は既に尽きたと!」
「ぐああああやめろォそのポーズでつきつけてくるなァ―――――――ッ!!」

 海神のメンタルにCRITICAL HIT!

「えー、夢彩はやってて結構面白かったけど……」
「貴様が楽しく思うかどうかは我の知り及ぶところではないし管轄でもないッ!!!だがそのポーズを我に向けるな!!!!」

 心の奥底では伊達ワル中二心を信仰心として受け取って強化されてしまった自分に対して非常に複雑な気持ちを抱いているのかもしれない。
 その感情に呼応するかのように再び一つに戻った彼岸の海から放たれる水の刃。
 むー、と思いながらもオブリビオンはオブリビオン、倒すべき敵である。仕方ないと夢彩は『ダイモンブック』から一枚のタロットを取り出した。

「ケルくん、キミの出番だよう!」

 天に翳すと、青年が溜息をつくような息遣いと共に夢彩の姿がすぅ……と消える。
 先程までそこにいた少女に当てる為の水の刃は地面に当たって砂を濡らすだけに終わった。

「幻覚……!バカな、既に術中に嵌っていたとでもいうのか……!?」
『……私は"まだ"何もしていませんよ』
「何……?――む……っ!?」

 青年の声が響くと同時に、海神の足元の水面が次々と凍っていく。
 夢彩が召喚したのは幻覚や水、氷の術を操る悪魔クロケル。
 だが先程の回避はクロケルによる術の効果ではなく、夢彩自身の持ち得る早業の如き行動速度で自力回避したものだ。
 クロケルは呼び出す度に夢彩に対して大きく溜息をつくのだが、それを利用してクロケルが既に夢彩に術をかけたものだと思わせることで不意をつくある種の連携戦術だ。
 しかし、夢彩がそれを意図的に考えてやったかと言われるとそうではなく、偶然それらが噛み合ったことにより敵が勝手に勘違いしたという方が正しい。

「御愁傷様お疲れ様だけど、夢彩たちが倒さなきゃいけないなら全力するだけ!いっくよぉ――!」

 そして本物の夢彩は今まさにクロケルが凍らせた水面を走ってその桜霊刀を振るわんと飛び込んできていた。
 海神はすぐに再び水の刃を放ち、災厄の泡を吹き付けようとするが思い切りスライディングすることで回避。
 凍らせた水面の底から水柱をけしかけ、やったかと思えば今度は夢彩が二人に分裂した――もちろん片方はクロケルの幻覚で、水柱に呑まれたのもクロケルが生み出した夢彩の偽物である――。
 悪魔と春の大嵐少女の連携は海神に焦りを募らせ、判断も攻撃の筋も怒りで鈍らせていく。
 どちらが本物かわからぬならば同時にやれば良いとばかりに攻撃すれば、どちらも陽炎のように姿が揺らいで消えた。

「また幻覚……くっ、猪口才な真似をしてくれる……!」
『私のような悪魔は褒め言葉と受け取りますが……油断していて良いのです?』
「まだ小細工を仕掛けていると――何っ!?」

 そして気づいた頃には、海神の体は先程砕けた鯨の鎧の代わりに氷に包まれていた。
 一切の身動きが取れないどころか、その凍てつく冷気は海の化身である海神の力をも奪っていく。
 度重なるダメージによりほとんど身動きの取れなくなった海神。その背後から勢いよく本物の夢彩が滑り込む――!

「これで――おしまいッ!!」

 少女の握る桜霊刀の刃が大きく振り被られ、海神の体を氷ごと切り裂いた。
 海神の本体を形成していた骸魂が真っ二つになり、靄となってかき消えて、取り憑かれていた妖怪である人魚の女性がその場に倒れ込んだ――。

●最後に一回キメてみよう!
 時は少しだけ遡り、グリモア猟兵の説明を聞いてカクリヨファンタズムに赴く前。
 夢彩は今回のグリモア猟兵にある頼み事をしていた。

「……勝利の決めポーズがしたい?」
「そうそう!オブリビオン倒したらみんなで決めポーズしたいの!伊達ワルっぽく!今そういう感じなんでしょカクリヨって」
「まあ、あんたがそうしたいならそうしてくれたらいいんだが……決めポーズってどうしたらいいんだ?」
「そこはグリモア猟兵さんの好きにしたらいいんだよう!わかんなかったら周りに合わせてそれっぽくしてくれたらいいよう!じゃ、夢彩は他の猟兵さんにも声かけてくるねー!」

 ……そして、時は戻って現在。

「あ、グリモア猟兵さーん!待ってたようー!」
「ああ、待たせてしまったならすまない」

 何とまあこのグリモア猟兵、わざわざ頼みを聞き届けてくださったではありませんか。
 戦闘が終わった報告を受けてからみんなが戻るより先にやってきた彼の目の前には夢彩と、彼女の呼びかけに応じてくれた猟兵や悪魔たち数人が揃っている。

「よーし!じゃあみんないくよー!せーの!」

 \イェーガーstyleでモテ尽きろ!!/

 そんな掛け声と共に各々の信じる最高の伊達ワルポーズが、彼岸の砂浜で華麗に決まる。

 こうして今回の騒動は無事に幕を下ろしたのであった。
 相応の心の傷が猟兵たちに刻まれただろうが、良い思い出もきっと、増えたのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月18日


挿絵イラスト