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物資倉庫の静かなる攻防

作者：柚葵チハヤ

　そのシェルターでは、喧嘩が毎日のように繰り広げられていた。
「物資が足りな過ぎるんだよ！」
「その分、節約すればいいじゃないか！」
　いがみ合う人々の中に、一人。地味目な眼鏡の少女がいた。
「……地下にある物資を持ってくれば、いいのに……」
　先日、発見された富豪の倉庫。ただ、深い場所にあること、物資がありすぎて、運びきれないこと、などなどから、それは先送りされていた。
「いがみ合わずに……協力すればいいのに……」
　怠惰な住民達をやる気にさせるには、どうすればいいのか。
　けれど、その環境を打開するための『勇気と自信』が、少女には少し足りなかった。

「皆様、よく来てくださいました」
　ぺこりと頭を下げるのは、響納・リズ（オルテンシアの貴婦人・f13175）。
「今回、皆様にはアポカルプスヘルにある、とあるシェルターに向かっていただきます。そこで、未来のリーダーになる少女を奮い立たせて、シェルターの問題を解決していただきたいのです」
　リズの話によると、地味目な眼鏡少女がそのリーダーらしい。
「名前はカーナと言うそうですね。大きな瓶底眼鏡を付けて三つ編みという、地味な外見ですが、眼鏡をはずすと美少女です」
　え？　そんなベタな展開！？
「しかも強いです。主に麻雀が」
　え？　そういう話！？
「なので、皆様にはシェルターの片隅で眠っている雀卓を使って、彼女と麻雀対決をし……負けてください」
　え？　負けるの！？
「というのも、カーナ様は、ちょっと勇気と自信がないみたいなんです。なので、カーナ様の得意な麻雀で自信をつけさせ、勇気を与えてくださいませ。それと大事なことが一つ。丁度、麻雀勝負が終わった後に、シェルターの外からロケットを付けたちょっと陽気な方々が襲ってきますので、ついでに彼女の指揮の元、倒してくださいね」
　ちなみに必ず指揮をさせなくても良く、それっぽく見せれば、住民達も驚いて彼女の言うことを聞くことだろうと付け加えた。
「というわけで、皆様。困ったシェルターの人々を救うために、頑張って麻雀対決してきてくださいませ」
　リズはそういって、猟兵達を見送ったのだった。

第1章 冒険 『強きものは全てを得る！』

POW   :    ひたすら高目を目指して手を作っていく、盤外戦術として対戦相手を脅す事も辞さない SPD   :    上がり速度重視で手を作っていく、盤外戦術として積み込みも辞さない WIZ   :    牌効率重視で手を作っていく、盤外戦術として通しも辞さない 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「未来のリーダーを奮い立たせるために戦う……と言えば聞こえはいいが……。まさか麻雀で勝負しないといかんとはなあ……。というか、この世界には麻雀が残っていたのか……」
　内心、少し驚きながらも、シェルターにやってきたのは、Ａ＆Ｗ出身のドラゴニアン、エルヴィン・シュミット（竜の聖騎士・f25530）と。
「ええ、そうですわね。ですが、カーナ様の得意なことで自信をつけさせるのは良い方法だと思いますわ」
　夕焼け色の貴婦人、ローズ・ベルシュタイン（夕焼けの薔薇騎士・f04715）だ。
　……いや、それだけではない。
「フハハハハ！　十字神(クロス・ゴッド)降臨！　そこの眼鏡女神(グラシーズクイーン)よ！　我と共に台で踊る神々の遊戯をしようではないか！」
　雀卓を指さし、ばばーんとカーナを誘うのは、十文字・真（十字神（クロス・ゴッド）・f25150）だ。心の中では……。
（「美少女につられて来ちまったけど……俺、麻雀はほぼ漫画知識で、役とかわかんねぇぞ……どうせその眼鏡ちゃんは強いだろうし、普通に実力でやるか……」）
　と、ちょっとそわそわしている様子。
「……こんな時に麻雀？　……いいけど……」
　誘いに乗ったカーナが三人の元へやってくる。
　三人は思わず顔を見合わせ、こくりと頷いた。

　ジャラジャラと牌を混ぜ合わせ、綺麗に積み上げれば、バトルいや麻雀の開始である。
（「ま、引き受けたからにはちゃんと仕事しねえとな」）
　配られた牌を見ながら、エルヴィンは戦術を練る。
（「相手も麻雀の心得があるとすれば、ある程度は本気で掛かったほうがいいだろう。とはいえ、最終的には相手に華を持たせにゃならんとすれば……」）
　と考えたのが。
「リーチ」
「……はや」
　第六感に頼りながら役牌、立直のみの安い手で早上がりを狙っていく方法だった。後で、調子づいて露骨に大物手を狙り、カーナに振り込んでもらうつもりだ。
（「ま、そんな感じで行けば、多分上手くいくだろう」）
　エルヴィンはじっと、仲間やカーナの捨てていく牌を見つめながら。
（「本当はこういう勝負で負けるのは好きじゃないんだが、これも大事な仕事だ。
真面目にやりますかね……」）
　振り込まれるチャンスを窺うのであった。

　一方、ローズは。
（「カーナに良い牌が回ってくる様に、工作しておきましょう」）
　持ち前の器用さを使えば、牌をすり替えることは可能だ。だが、その牌をどれに変えればいいのか……それは彼女の野生の勘と読心術で、何とか補うことができた。
「ロン」
　カーナの言葉にローズは。
「まさか、こんなところで負けるとは思いませんでしたわ」
　ゲームが進めば進むほど、その効率は少しずつ上がっていった。

「ふははは！　狙いは一つ！　国士無双だ！」
　とは言っていたが、真は普通にチマチマやっていた。
「フハハハハ！　ロンだ！」
　と、あがろうとしたが。
「……それじゃあ、あがれない。１枚足りない」
　カーナに指摘され、真はあたふたと。
「し、知っておる……神は貴様を試したのだ……儀式に相応しいかどうかをな！」
　となんとかごまかした。ローズとエルヴィンには苦笑されてしまったが。
「そうなの……わかったわ」
　当のカーナは気にしていない様子。いや、ちょっと楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。
「……これで、私の勝ち」
　この一戦で、カーナが大勝した。それも三人……いや二人か？　彼らが頑張ったお陰だ。
「神を見事に負かすとは……やるな女神よ！」
「……女神じゃない」
　呟くカーナに、ローズがそっと寄り添う。
「流石ですわ。その洞察力と判断力があれば、貴女はここのリーダーにふさわしいと思いますわね」
「え？　私が……？」
　きょとんとするカーナにローズは続ける。
「麻雀楽しかったですわ、またいつか皆で一緒に遊びましょうね」
　と温かく微笑むのであった。

　どうやら、カーナを奮い立たせるためには、あともうひと勝負必要なようだ。
　新たなメンバーで、更なる麻雀対決が君を待っている！

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　次にやってきた猟兵達も幸いなことに３人。
「なんや、麻雀の依頼と聞いたけど、接待麻雀か。とりあえずは全力で勝負しようか」
　少し残念そうな口ぶりだが、加茂野・顕如（流れの雀士・f00967）は、手加減なしで挑むようだ。
「拠点のお手伝いと聞いて来ましたが、麻雀ですか？　他の世界でもこのゲームやってましたが、世界を跨いで有名なゲームでしょうか？」
　そう首をかしげるのは、メルフローレ・カノン（世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056）だ。
「麻雀で自信を付けさせる、っすか。まぁわざと負けるっていうのは相手に失礼ですが、どの程度の実力か確認してからにしますか」
　どうやら、久遠・翔（性別迷子・f00042）は相手の出方を見て、指すようだ。
「ともあれ、ルールは読んだので、卓を囲むだけならできます。まずはご挨拶と自己紹介してきますか。コミュニケーションが必要ですしね」
　そうして、３人はカーナに接触し、新たな勝負を挑むのであった。

「ねーちゃん。麻雀やけど、なにを賭ける？　まあ、こんな世界や、食料やろうかな。負けたら、明日食う飯もないと来たら真剣勝負ができるやろ」
「賭ける……？」
　さっそく、顕如が声をかける。
「ひりつくような勝負をしよや」
　その言葉を受けて、カーナも。
「……いいよ。なら、私も……今日１日分の食料を……賭ける」
　３つのレトルト食料を目の前に置いた。
「ほう……ええんか？　今日食えなくなるで？」
「それくらい、賭けないと……本気出せないんでしょ？」
　二人は顔を見合わせ、にやりと笑みを浮かべた。
「え、えっと……カーナさんの食料はこの台に置いておきますね？」
　メルフローレは、邪魔にならないよう、見やすい台のところに、カーナの食料を置いた。

　さあ、第２戦の始まりだ！！
「……なるほど、強いっすね」
　翔は、黙って聴牌する防御型で勝負を挑んでいたのだが。
「こちらの捨て牌から、役も予想してますし、何より読みも鋭い……」
「そうなんですか！？　凄いです」
「ええ筋してるわ」
　３人にそう言われて、カーナは僅かに頬を染めて、照れている様子。
「……ありがと。あ、メルフローレさんのでロン」
「ふえっ！！　またですかぁ～」
　涙目になるメルフローレに。
「嬢ちゃんはもうちょっと、警戒せんとあかんなぁ」
　顕如は苦笑を浮かべる。今回、猟兵達はあからさまなイカサマは行ってはいない。あるとすれば、牌を混ぜる際に、良い牌が当たるよう顕如が細工するくらいだろうか。ちなみにメルフローレは麻雀の入門本で勉強して、挑んでいるため、ちょっと他の３人から良いカモにになっていた。
「勝負勘、皆無で弱いです～」
　とはいえ、小さい役であがったりとはしているので、ちょっとずつ楽しくなってきているようだ。
　勝負はどんどんと進む。
（「なら、俺は相手の捨て牌で、必要な牌を鳴いてもらいますか」）
　翔はポンやチーを駆使して、次々と役を成立させていく。また、時々絶妙な牌が切られると「む……」と、声が漏れて、慌てて口を抑える動作も加えて、相手に知らせたりしていた。
「カーナちゃんは、彼氏とかおるん？」
「いっ……いないわよ！」
　顕如は、こんな風に時折、揺さぶりをかけながら、勝負を楽しんでいる。
（「リーダーになる人間や。真剣勝負で勝って、強くなってもらえたらええんやがな」）
　そんな願いも込めて、次の牌を手にする。

「……私の、勝ち……！」
　カーナの嬉しそうな声で、勝負が終わった。
「本当にカーナさん、強かったです……」
「嬢ちゃんは、もう少し練習が必要やな。けど、良い筋してたで」
　ぽんとメルフローレの肩を叩いて、カーナの元へ。
「ええ、打ち方見せてもろうたわ。いい勝負やったで」
「……ありがと」
「はい、あなたの食料っすよ。その洞察力と判断力があれば、どんな困難でも乗り越えられるだろう」
「……どんな困難でも……」
　そのときだった。
　激しい爆音が、天井から響いたのは。
　どうやら、次の客がやってきた様子。猟兵達は次の客を……この拠点を襲ってくる敵を向かい撃つ準備を始めるのであった。
　

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第2章 集団戦 『ロケット・レイダー』

POW   :    ガベッジボンバー 単純で重い【上空まで運んだ瓦礫やドラム缶 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。 SPD   :    バラッジアタック 【上空】から【短機関銃の掃射攻撃】を放ち、【頭上から降り注ぐ激しい弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。 WIZ   :    永遠ヒコウ宣言 【永遠にヒコウ（飛行/非行）を続ける宣言】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。 イラスト：もりさわともひろ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「み、皆っ……！！　落ち着いて……！！」
　カーナが呼びかけ、まずはシェルター内の安全を確保する。
　敵はまだ、シェルターの中には入ってきてはいない。しかし、相手はオブリビオン。いつ屋根を壊してやってくるかはわからないのだ。
「戦える人は、武器を持って応戦……そうでない人は、ここで待機してて……！！」
　テキパキと指示を出していくカーナに、ローズはリーダーの資質を見出していた。
「カーナ様も頑張っておられます。私も行きませんと」
　薔薇の彫刻が施されている赤い銃、プリンセス・ローズを手に、ロケット・レイダーのいるシェルターの屋根の上へと向かう。
「……ロケットで飛行しているのでしょうかね、いえ、非行でしょうか？　ともあれ、人々に危害を加えるなら倒すまでですわ」
　最前列で指示を出しているカーナに合わせる様に。
「さぁ、数多に咲き誇りなさい！」
　無数のオレンジ色の薔薇の花びらが、多数のロケット・レイダーを蹂躙していく。ロケット・レイダー達も、負けじと。
「なんだァ～？　てめぇらやる気か！！」
　永遠ヒコウ宣言をして、強化したところで、次々と攻撃を浴びせてきた。
「こっちも負けませんわよ」
　ローズもマヒ攻撃や気絶攻撃を織り交ぜて、相手の動きを阻害していく。
「……そうですわ」
　プリンセス・ローズを空飛ぶ敵の背中にあるロケット目掛けて、弾丸を放った。
「うおっ！？」
　ロケットを壊され、一人のロケット・レイダーが墜落していく。あまりダメージにはなっていないが、他の者より高くは飛べなくなったようだ。
「こんなところで大勢で飛び回ると、危ないですわよ」
　もう一度、銃を構えると、ローズは多数いる敵へと向かって、弾丸を撃っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　ローズ達が戦っている後方で、小さな影がふわりと飛んでいる。フェアリーのレイカ・ヴァンスタイン（銀光精・f00419）もこの戦場に駆けつけてきたようだ。
「変な人たちですの。お空の果てまでいきたいの？」
　やってくるロケット・レイダーに首を傾げつつも、攻撃が得意でないレイカは、後方支援に徹するつもりのようだ。
「まずは、お人形さん達、お願いしますの！」
　銃火器を持った人間サイズの人形を糸で操り、援護していく。
「お願い……怪我人をシェルター内へ……！！」
　カーナの声が響くと同時に、怪我したシェルターの人達が後方へとやってくる。
「諦めたらダメですの、みんなまだまだ戦えますの！」
　言霊之玉響（コトダマノタマユラ）を発動させ、その声に共感した怪我人達の傷が癒されていく。
「そうだ、まだ戦える！」
「戻るぞ！！」
　復活した人達が戦線へと戻り、活路を見出していく。
「カーナちゃん、皆の動きまで考えられる子ですの。やればできる子ですの」
　レイカは嬉しくなって、後方にやってくる人達を鼓舞させるように、何度も言霊之玉響を発動させて、怪我を癒したり、人形でシェルターの人達の攻撃支援を続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「おーおー、これまた世紀末剥き出しなバカ共のお出ましか。奴らを片付けるだけなら楽だが……あのお嬢ちゃんには、上に立つ人間らしさを見せて貰わないといけねえからな」
　エルヴィンは、仰ぎ見ながら、ロケット・レイダーの姿を確認すると。
「ちょいと仕込むとするか」
　カーナの側に行き、エルヴィンは彼女の肩を叩く。そう、発破をかけるようだ。
「アンタなら出来る。胸を張れ。とにかく叫べ。生き延びたいなら奴らを倒せ、とな！」
　……いや違う。その声色には催眠術が上乗せされていた。
「……わかった。やってみる……」
　そのエルヴィンの言葉に、カーナは胸を張って叫んだ。
「生き延びたいのなら、奴らを倒せっ！！」
　敵へと手をかざし、手に持っていた銃で応戦して見せる。
　その声に合わせる様に、エルヴィンは既に動いていた。
「我が騎士の誇りに懸けて！」
　白銀の鎧を纏い、愛剣のALUETTEに強化を施し、敵の群れへと突っ込んでいく。
「なかなか様になってたぜ、お嬢ちゃん」
　そう小さく呟き、重量を込めた剣を振るえば。
「そんなに飛び回っていたいなら……あの世の向こうまで飛んできな！」
　ロケット・レイダー達が次々と宙に飛んで行ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「ずいぶんと個性的な容姿と言動の敵ですね……。ともあれ、撃墜してシェルターを守らないといけませんね」
　シェルターを襲うロケット・レイダー達を見て、メルフローレは思わず呟いた。
「カーナさん、私はどちらを攻撃したらいいでしょう？」
　せっかくなので、カーナに攻撃先を指示してもらう。
「えっと……あなたはどんな攻撃をするつもり？」
　指示する前にメルフローレの攻撃がどんなものなのか、確認してきた。わからないときは尋ねるということができるのは、良いことでもある。
「そうですね。大体、７０メートル半径内の指定した全ての対象を攻撃できますよ」
「……え？　えっと、と、とにかく、凄い範囲内の敵を一気に倒せる……でいいかしら？　じゃあ、あそこをお願い」
　メルフローレの言葉に驚愕しながらも、カーナは的確に敵が多い所を指示してお願いする。
「承知しました。では、さっそく」
　愛用しているメイスを手にすると。
「神よ！　その奇跡の刃を……私にお貸しください！！」
　神の無限なる聖剣（カミノムゲンナルセイケン）を発動させ、メイスを振り回して無数の衝撃波をロケット・レイダー達へと浴びせ、その数を一気に減らしていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

（「あのロケット野郎どもが今回の……ついに来やがったか……とりあえずカーナちゃんの指示に従えばいいんだよな！　さっきは慣れない麻雀で変な所を見せちまったが、今度は良い所見せるぜ！」）
　心の中でやる気に満ちている真も戦線に加わる。
「司令女神（コマンダークイーン）！　我はあなたの使い魔となる……どうかご指示を……！！」
「コマ……な、なに？　指示すればいいの？」
　真の中二病なセリフに、カーナはちょっとたじろぎながらも。
「じゃあ……あっちの方をお願い」
　まだ居座っている残党らを指さすと、真は意気揚々と駆け出した。
「心得た！　美しき天使（エンジェル）よ！　共に行くぞ！」
　天使騎乗（エンジェルライド）で、羽を生やした美しい女性の天使を召喚士、その背に乗って、飛び上がった。
「くっそー、まだ来やがるか！！」
　ヒャッハーなロケット・レイダー達が、破れかぶれの瓦礫やドラム缶の攻撃を真へと仕掛けるが。
「こんな攻撃で、神たる我を攻撃できると……思っているのか！」
　見切りで避けて、避け切れない分は、愛用の十字剣（クロスブレード）ではねのけて見せた。その様子に焦るロケット・レイダー達に真は更に攻撃を重ねる。
「浅ましき飛行蛮族が……神の前にひれ伏すがいい！」
　黒炎を纏った剣を振るい、真は残っていたロケット・レイダー達を一気に仕留めていったのだった。
　

大成功 🔵​🔵​🔵​

第3章 日常 『元富豪の物資倉庫』

POW   :    食料や水などを中心に探し、運び出す SPD   :    補強材料や工材などを中心に探し、運び出す WIZ   :    情報や端末などを中心に探し、運び出す 👑5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　ロケット・レイダー達を無事、撃退した猟兵達。
　英雄たる猟兵達はもちろんのこと、それを指揮していたカーナにも、住民達の感謝の言葉が送られた。
　脅威は去った。
　しかし……まだこのシェルターの問題は終わっていない。
　そう、運びづらい奥底に、沢山の物資が眠っているのだ。
　シェルターの住民達と共に、カーナと共に、このまま一気に運び出してしまおう。

※マスターより
　住民達によりやる気を出させる行動をした方には、ボーナスが入ります。
　よければ、狙ってみて下さい。
　引き続き、皆様の参加をお待ちしています！


　最初に運搬を買って出たのは、小さいフェアリーのレイカだった。
　こんな小さいフェアリーがと止めようとする者もいたが、それを押しとどめて、資源のある地下倉庫へと向かう。
「運搬なら、この袋にお任せですの！」
　取り出したのは、小さな袋。しかし、それはタダの袋ではない。
「びっくりどっきりべろべろばぁ！」
　驚くほど、大きなものをしゅるんと、吸い込んでしまったではないか。
　そう、これは、レイカのユーベルコード、妖精手品（ヨウセイノイタズラ）で出した袋だったのだ。
「どんな物でも入って、出せるビックリ箱ですの。これならシェルターまで運ぶ前に、ウチに届けるか呼んでくれたら仕舞いますの」
　にっこりそう、レイカが笑えば、手伝いに来た人達も驚きつつも、必要なものを探して、レイカに手渡してくる。
　嫌々やってきた子供に関しては。
「皆で探せば、お菓子とかも見つかるかもですの」
　そうレイカは囁いてやる気を起こさせていた。
　けれど、荷物はまだまだあるようだ。その多さに驚きながらも、他の猟兵達も動き出す。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「さて、喧しいバカ共も片付けたし最後のお仕事と行きますか」
　エルヴィンもまた、一緒に荷物運びに加わった一人だ。
「俺一人でも大抵の荷物は運び出せそうだが……それじゃ、ここの連中の為にならんな」
　小さくそう呟いて、エルヴィンもまた、動き出す。
「おーい！　誰か荷物の反対側を持ってくれないか……！」
　大きな声で叫べば、やる気のある若者が手助けしに来てくれた。
（「ちゃんと手伝ってくれるじゃないか」）
　いい傾向だと金色の瞳を細めて、思わず笑みを零す。
「おい、カーナ！　これ、どこに運べばいい？」
　一緒に来ていたカーナに問うと。
「そうだね……まずはシェルターの所までお願い。その後は私達が分別して、所定の場所に収めるから」
「了解。青年、聞いていたか？　少々骨が折れるが、シェルターまで運ぶぞ、いいな？」
　エルヴィンの言葉に、ちょっと嫌そうな顔をしたが、青年は覚悟を決めて、一緒に運ぶことを決めた様子。
　それが呼び水になって、周りのやる気のあるシェルターの人々もまた、少しずつ手助けしてくれるようになった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「敵は片付けました。あとは……物資の運び出しですね」
　袖をまくって、メルフローレも荷物運びに加わる。
「こういうのは、皆で持てる分ずつで繰り返し持ち運んでいけば、意外と持ち出せるものです」
　さっそく、メルフローレは、物資を簡単に確認すると、大きなかさばる物資を、箱を開けて、中身だけを運ぶことによって、女子供でも運べるくらいに調整。
　両手では運びづらい小型の物に関しては、別の小さな箱に入れ直したり、背負子にしたりと、工夫していく。
　そうすることによって、手伝える者も少しずつ、増えていった。
「大きいものは……力自慢の人に頼みましょう」
　どうしても小さくならない物に関しては、力の強い者や、猟兵達が率先して運んでいく。もちろん、メルフローレも。
「私もお手伝いします」
　持っている怪力を使って、大きな荷物を持って見せて、人々に驚かれたりもしていた。さらにもう一つ。
「う、うわああ！！」
　落としそうになった荷物を。
「神よ、その奇跡の御手を、暫しお貸しください……」
　メルフローレの神の見えざる手（カミノミエザルテ）の力を発動させ、こっそりと見えない手でフォローし、目的の場所まで運ばせることに成功させたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「物資が沢山残っているみたいですわね。私一人だと大変ですので、住民の皆さんと協力して運びましょう」
　ローズもまた、荷物運びを手伝う一人となって、この倉庫まで来た。
　しかし、やる気のない者がまだいる様子。
「……そうですわ」
　思いついたローズがやったことは。
「お聞きなさい、私の奏でる旋律を！」
　愛用のヴァイオリンを奏で、薔薇園狂詩曲（ローズガーデン・ラプソディ）を発動させる。ローズの素晴らしい演奏にとたんに拍手が贈られた。
「無事に物資を運び終えたら、またお祝いに演奏会を開きましょう」
　そういって、鼓舞させるのを忘れない。ローズの演奏でやる気が出てきた者達も荷物運びに加わり、かなりの荷物が運び出された。
「皆様で力を合わせればすぐに終わると思いますわ、頑張りましょうね！」
　そう元気づけるローズの奥では、カーナが仲間と共に指示を出しながら、運ぶ様子が目に入る。
「カーナも、これで自信は付いたでしょうから、今後の事は安心して任せられますわ」
　密かにカーナの成長を喜びながらも、ローズもまた、荷物を運んでゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「俺は、まーじゃん、よく分からないけど、物資を運ぶなら出来そうだ」
　少し遅れてやってきた木常野・都月（妖狐の精霊術士・f21384）は、力も有り余ってるからと、やる気に満ちている。むんと、拳を握って、都月も気合を入れた。
「地の精霊様、手伝ってください」
　さっそく、地の精霊に手伝ってもらって、物資の底に電磁場を発生させて、重力操作し、荷物が軽くなるように働きかける。
「うお？　なんか急に荷物が軽くなった？」
　驚く人々に都月は、悪戯な笑みを浮かべる。
「いくよ、チィ」
　都月の声に呼応して、狐の姿の月の精霊・チィを召還した。
「チィを使って。俺は今回の任務で、戦闘もしていない。だから、魔力も妖力も満タンだ。どんどん使っていいぞ。大盤振る舞いだ」
　可愛らしさもあって、荷物を運ぶチィは、瞬く間に人気者になって、都月は驚くことになるのだが、それはまた別の話。
「カーナさん、だっけ？　割れ物とか、どこに運んで欲しいとか、教えて欲しい」
「それはこっちよ」
　リーダーらしくなったカーナを見て、都月も思わず笑みがこぼれる。
「これでシェルターの人達も、カーナさんも、暮らしやすくなればいいな」
　きっと、その都月の願いは叶うだろう。
　そう、猟兵達がカーナを奮い立たせ、よそ者を退治し、こうして、必要な物資を運ぶ手伝いをしたのだから。

　こうして、猟兵達は多くの人々に見送られながら、平和を取り戻したシェルターを後にしたのだった。　

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2020年09月07日