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迷宮災厄戦⑱-19〜アカヨリアカイアクムノケモノ~

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #オブリビオン・フォーミュラ #オウガ・オリジン #悪夢獣

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●赤き獣は少女の中より出づる
 ――漆黒が支配する病棟、その手術室。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」

 歪んだ少女の悲鳴が上がる。
 ぐちゃりと音を立てて、壁に鮮血を飛び散らす。
 壁も、床も、鉄格子の窓も、ベッドも、カーテンも、自分の衣装も、何もかもが紅く染まった血の海で、少女は一人苦しんでいた。
 その漆黒の肌の細い腕から真っ赤な血を滝のように溢れさせながら、酷く息を切らしている。

「ぁ゛がッ!?!?いや、やだ、いたい、いたい、いたいいだいいだいいだいい゛だ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛あ゛あ゛ががががが!!!!」

 最早少女の声とは思えぬ醜い声を上げ、痛みに身体を仰け反らせる様はあまりにも滑稽で醜いと、それを見た誰もが思う程に悶え苦しみのたうち回る。
 痛い、痛い、痛い。
 なにかがわたしの中から出てこようとしている。
 やめて。出てこないで。もう痛いのは嫌、いや、イヤ――!

「あがぁああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」

 鮮血が再び噴水のように吹き上がると同時に醜く歪んだ悲鳴が響き渡る。
 べちゃりと床に降り立ったのは、真っ赤な真っ赤な獣のような"悪夢"だった――。

●悪夢が戦場化するということ
「手の空いている方は至急アリスラビリンスへ。オウガ・オリジンの新たな動きが見られました」

 そう猟兵たちに招集をかけるのは終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)。
 集まったところでモニターを操作し、アリスラビリンス内の新たな戦場を移す。
 あらゆる窓という窓に鉄格子が嵌められ、明かりもロクについていない非常に陰鬱な様相の病院――だが、そんな空間のありとあらゆるところに飛び散る鮮血、そして血の海は明かりの影響を受けず赤々と映っていた。
 まるでその存在を強調するかのように……。

「書架の王を撃破したしたことによりオウガ・オリジンにさらに力が戻ったようですが――どうやら現実改変ユーベルコードが奴の無意識にすら作用をし始めたようです」

 この空間はオウガ・オリジンの中に眠っていた"無意識の悪夢"を再現したものだという。
 オリジンの手首から鮮血と共に溢れ出る"悪夢獣"という獣が病院内を跋扈しており、それは奴の手首から次々と生まれて最早溢れかえっているらしい。
 モニターにも一角獣や狼、兎といった姿の鮮血に塗れた"悪夢獣"がところせましと病院内を駆け回っている姿が見える――とてつもない数だが、決して無限に湧き出るというワケではないらしい。

「オウガ・オリジンの力はこの空間内では全てこの生まれてくる悪夢獣に分け与えられている状態のようです。病院内を跋扈するこいつらを一掃すれば自然に力尽きて消滅するでしょう。本人が悪夢により酷く消耗していますしね」

 本人の無意識の悪夢――即ち、オウガ・オリジンが"アリスであった頃"、あるいは"アリスになる前"の記憶が掘り起こされたことでこの空間が生まれたのだろうと日明は推測している。
 故にオウガ・オリジン本人も酷く消耗しているのだろうということだそうで。
 恐らく猟兵たちを前にしても悪夢に悶え苦しむだけで何も反応はないしまともに戦うことはできないだろうが、悪夢獣を倒さない限りは決して消滅しないようだ。

「恐らくですが……オウガ・オリジンが力を取り戻せば取り戻す程このような戦場が増えるでしょう。本人ですら苦しむ無意識の悪夢を再現した場所が増えてしまえば、場合によっては僕たち猟兵ですら影響を受け、まともに戦えるかわからなくなる可能性も十二分に考えられます」

 病院の風景や悪夢等、気になるワードが出てきたがここで手を抜くワケにはいかない。
 もしこれ以上悪夢を具現した戦場が増えた場合、こちらが戦うにおいても深刻なデメリットがついて回る可能性も決して否定できないのだ。
 今までは何だかんだで特定の行動をすることにより突破口が開けていたが、それすらなくなる可能性も否定はできない――日明自身は自分の杞憂であって欲しいと前提した上で告げてはいるが――。
 どのみち、今のうちに叩くしかない。

「非常に生臭いことこの上ありませんが、この病棟ではオウガ・オリジンから溢れ出る鮮血を浴びることでいつも以上に能力を発揮できるようです。
 悪夢獣一匹一匹が奴に近い力を持っていますから、血を浴びぬままで戦おうとしても困難を極める可能性がありますのでお気をつけて。
 ……とは言っても非常に血の臭いというものはキツいですから。グリモアベース内の入浴・洗浄スペースを全開放しておきますので、帰ってきたら即効で洗い流してくださいね」

 血の臭いがつきまとうということ程気持ち悪いものはないのだ。


御巫咲絢
 血塗れになりながら戦うっていいよね。
 こんにちはこんばんはあるいはおはようございます、初めましての方は初めまして、新米MSの御巫咲絢(みかなぎさーや)です。
 この度は当シナリオのご閲覧ありがとうございます!
 御巫のシナリオに初めて参加する方はお手数ですがMSページをご覧頂いてから下記にお目通しをお願い致します。

 戦争もラストスパートですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
 熱中症にならないよう水分及び塩分補給はしっかりしましょうね!OS-1がおいしく感じるのは大分ヤバいという概念もっと広まるべき。
 そんな中非常に血生臭い戦争シナリオ8本目をお送りします。
 オウガ・オリジンが生み出した悪夢獣たちを一掃し、悪夢を一つ終わらせてくださいませ。
 このシナリオには以下のプレイングボーナスが存在しています。

●プレイングボーナス
 鮮血にまみれながら、悪夢獣と戦う。

●プレイング受付について
 OP承認後からプレイング受付しますが今回は「プレイングが6人集まった時点」で締め切らせて頂きます。
 プレイングが6人以上になった場合はプレイングを見て「リプレイ文章を思いつくのが早かった方」から採用します。
 不採用の可能性もございますので予めご了承の上プレイングを投げて頂きますようお願い致します。

 それでは、皆様のプレイングをお待ち致しております!
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第1章 集団戦 『『オウガ・オリジン』と悪夢のアサイラム』

POW   :    ナイトメア・パレード
【巨大な馬型悪夢獣の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【一角獣型悪夢獣】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    悪夢の群狼
【狼型悪夢獣の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    忠実なる兎は血を求む
【オウガ・オリジンに敵意】を向けた対象に、【鋭い前歯と刃の耳を持つ兎型悪夢獣】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:飴茶屋

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鈴木・志乃
知り合いだったら喜んで参加しそうな依頼だな。
彼女は血を欲しがるし、血を媒介にして戦うから……あーいけない、もう来ちゃったか。私は血が嫌いなんだけどなぁ。

単純に切った方が良いよね。
UC発動。魔法のトランプを早業念動力で動かし、一体ずつ確実に切断して行くよ。トランプは何束か持って来てるから数で圧殺も一応、出来るかな? 念の為高速詠唱でオーラ防御を展開。同時に複数相手したくはないので、位置どりには十分気を付ける。第六感で攻撃を回避し、必要があれば光の鎖で武器受けするよ。

遠距離の敵は高速詠唱で爆ぜさせるか銃でスナイパーみたいに狙撃して一体ずつ釣る。焦りは禁物。のんびり行こう。



●ブラッディ・カード
 暗く陰鬱とした閉鎖病棟。
 一切の生気を感じられない空間の中、生きている証である血の臭いだけが充満している。
 その臭い、そして血溜まりを作りながらべちょ、べちょ……と獣が跋扈する音だけが響くのはまさに悪夢を具現したかのよう――
 そんな中に鈴木・志乃(ブラック・f12101)は大きくため息をつきながらここに降り立った。

「(知り合いだったら喜んで参加しそうな依頼だな。彼女は血を欲しがるし、血を媒介にして戦うから……)」

 だがその知り合いの彼女とは違い、志乃は血が嫌いだ。
 とはいえそんなことも言っていられぬこの状況、動ける者が戦場に向かわねばならない。
 慎重に歩を進めようと前を見据えた――その先に、一匹の鮮血に染まった馬が立っていた。
 志乃を見るや否や、我を忘れたかのように勢いよくこちらに向かってくる。

「あーいけない、もうきちゃったか……私は血が嫌いなんだけどなぁ」

 懐から魔法のトランプを取り出し、念動力で周囲に展開させる。
 相手がこちらに向かってきているならば当てるは容易いが念の為に高速詠唱で術式を展開、オーラの結界を膜のように張って準備を念入りに。
 その間にも馬の悪夢獣はこちらへと突進――だが、まだ攻撃するには早いと志乃は限界まで引きつける。

「単純に切った方がいいよ、ねッ!」

 もう目と鼻の先にまでといったところで、突進のスピードに上乗せするかのように念動力でトランプを投擲する!

「―――!」

 最早声ですらない歪んだ雄叫びと共に飛び散る鮮血。
 その僅か一瞬のタイミングを狙ったユーベルコードによるトランプの一撃は悪夢獣を見事に両断し、志乃に真っ赤な雨が降り注ぐ。
 オーラで防御しているおかげで汚れはしないが気持ちの良いものではない、辺りに更に充満する生温かい鉄の臭いに鼻がひん曲がりそうだ。
 だが確かに、血を浴びる前と浴びた後では身体を動かした時の感覚の違いを感じるので何とも言えない複雑な気持ちにもなる。

「(焦りは禁物……のんびり行こう)」

 とはいえ溢れる力を過信すれば返り討ちに遭うのは自分だ。
 ゆっくりと、慎重に……なるべく音を立てずに奥へ奥へと進んでいく。
 悪夢獣は元になった動物の特性もきちんと持っているようで、兎や狼の形をした悪夢獣はすぐに気づいてこちらへと向かってくる――
 が、先手必勝と言わんばかりに魔法のトランプの束を念動力で飛ばせばあっという間に沈黙、ただの血溜まりが遠くにあるといった光景が広がった。
 だが音を立てるか視認可能な距離に入らない限り動く気配はない。どうやら悪夢獣は夜目は効かない様子。
 狼の嗅覚は恐らくこれだけむせ返る程の血の臭いで満たされている空間故に機能がほぼほぼ死んでいると見ても良いだろう……となると、一匹一匹おびき寄せることも可能と見た。
 獣の死角になりそうな隠れられる場所を確保した上で、志乃は高速詠唱で魔法を紡ぐ。
 すると自身から一番距離が近い位置にいる悪夢の兎一匹が小さなエネルギーの渦に飲み込まれて爆ぜた。
 悪夢の獣たちがそれに気づき動き始めるが、爆発の音が響く間に志乃が物陰に隠れていたため見失いゆったりと跋扈するだけに戻る。
 オウガ・オリジンが悪夢に苦しんでいる影響か、獣の割には獲物を狩る能力が然程でもないのかもしれない。
 再び高速詠唱を紡ぎ、また一匹爆ぜさせる。
 ――と、見せかけて近くで小規模な爆発を起こすと同時に銃の引鉄を引くと狼が一匹眉間を貫かれその場に倒れ伏した。

「おっと」

 だが流石に三回目は許してもらえず兎が一匹背後にいるのを察知、飛びかかるのを回避して魔法のトランプで切断。
 直後、一角獣が接近しその角を志乃目掛けて振り下ろしてくるが光の鎖で受け止め、銃をゼロ距離で数発発砲し沈黙させる。
 おびき寄せながら、避けながら、敵の目を欺きながら、確実に志乃は悪夢獣を一匹一匹屠り去っていく――

 そして物が動く音が、気配が、全て消え去った。

「ふぅ……この辺りはこれで全部かな?」

 訪れた静寂の中、辺りに気配がないのを確認して志乃は病棟内のさらに奥へ。
 彼女が辿った足跡を残すかのように、悪夢獣だった血溜まりだけがそこに残された。

成功 🔵​🔵​🔴​

大豪傑・麗刃
正直こんなネタをさしはさむ余地もないような戦場は回れ右したい気持ちは山折り谷折りなのだ。頭痛が痛くなるのだ(強調表現としての二重表現肯定派)。でも、なんか逃げちゃいけない感じがしてしまったので。
いろいろな意味でフラ……ダンス?がたまってきたので、全部悪夢獣とやらに叩きつける事で吹き飛ばす事にするのだ。

わたしは怒ったのだー!!!!!!

(スーパー変態人発動!)

とりあえず時間稼ぎのために適当に走ってればすぐに血まみれになってくれるはずなのだ。
そしたら右手に刀2本!左手に脇差2本(と呼ぶには大きすぎるバスタード&ヒーローソード)!これを構えて真正面から突っ込み全力で斬りまくり全力で叩き潰すだけなのだ!



●それを言うなら
 大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)ははあ、とため息をつき頭を抱えながら病棟内を進んでいた。

「正直こんなネタをさしはさむ余地もないような戦場は回れ右したい気持ちは山折り谷折りなのだ……頭痛が痛くなるのだ」

 山あり谷ありって言いたいんでしょうかね?
 頭痛が痛くなるという二重表現を用いるぐらい麗刃はこの病棟の圧倒的陰鬱さに嫌気が差していた、だからこそ頭痛が痛いという言葉を用いたのだ。

「でもなんか逃げちゃいけない感じがしてしまったので」 

 そこまで嫌なら別の戦場に行けばよかったのでは――と第三者がいたら多分言われるであろう問いかけにもきちんと答えを用意した上でこの戦場にやってきている模様。
 これはアリスラビリンスの命運をかけた戦争故そのようなわがままを言っている場合ではないと判断したからなのか。
 それともネタを差し挟める世界にいる側の人間だからこそ、時にこのようなシリアスでダークな空気とも向き合うべきだと思ったからなのか。
 何故そう思ったかは麗刃のみぞ知る……というか多分この言いぶりからして多分第六感的に察知しただけで本人理解してなさそう。
 だがそれでもやはり相性の悪い場所にいると気分も良くなりはしないものであるワケで。
 何だか背筋がむずむずして息が詰まる感じの陰鬱さにもやもやとしたものが溜まり始めていた。

「いろいろな意味でフラ……ダンス?がたまってきた。よし、全部悪夢獣とらやらに叩きつけることで吹き飛ばすことにするのだ!」

 フラストレーションね。
 とりあえずその溜まりに溜まったものをぶつけるべく、麗刃はユーベルコードを発動した。

「わたしは怒ったのだ―――――――!!!!!!」

 怒りの籠った気迫が麗刃の漆黒の髪を怒髪天を突くかのように逆立て、全身が黄金に輝き始める!
 それはまさにこの陰鬱な病棟に降臨したスーパー(版権的都合により検閲されています)。
 右手に刀2本を構え、そして左手には脇差2本――いやあの、どう見てもただのバスタードソードとヒーローソードなんですがこれを脇差扱いしちゃっていいんですかね?

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 とにかく、4つの刀を構えた四刀流のスーパー麗刃は病棟の扉を真正面から蹴破り悪夢獣たちへと立ち向かう!
 やることはシンプル、ただ全力で斬りまくって斬りまくって斬りまくって叩き潰すだけ。
 例え兎が背後から襲いかかってこようが狼がその首に食いつこうとしようが馬が突進してこようが、スーパーな麗刃がその4つの刀をぶおんぶおんと振り回すだけであっという間に細切れに。
 溜まりきったフラストレーションが爆発した今の彼を止めることは例えギャグ世界の法則の加護を受けた者であっても不可能だろう。
 それぐらいこの病院の陰鬱な空気は麗刃にとっては気分の良くないものだったのだ。
 4つの刃が作り上げる悪夢の獣たちの屍山渇河、その中心にいるスーパー麗刃は返り血を浴びに浴びきって黄金色から赤色へと変貌していた。
 例えるならこう、ギャグシチュエーションでよくあるペンキをどしゃっと頭からぶっかけられて目だけ無事なあんな感じ。
 こんな場所でストレス発散をしながらもコミカルな雰囲気を残さない辺り彼はそれ程までにギャグ世界の加護を受けているのだろうか――。

 とにかくそんな感じで病院の別区画は辺り一面が真っ赤っかになったのでありました。
 だが悪夢はまだ終わる様子はない、相当な数悪夢獣がうじゃうじゃしているようです。
 頑張れスーパー麗刃、負けるなスーパー麗刃!
 返り血を浴びに浴びきった今の君に敵はいないぞ!その刃で悪夢を終わらせてくれ!

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ
狼の群れが襲って来る、と言うのは恐ろしいですが……この戦場では都合が良いかも知れません。
刃物で戦う私です。
飛び掛かって来るであろう狼の血を浴びるにはお誂え向きですね。

まずは群れに囲まれない様に断続的に【ダッシュ】しながら戦います。
レイピアの突きで牽制し、十分接近してきた敵にダガーで【カウンター】を仕掛け、斬って行きます。
噛み付いてくるなら【武器受け】の要領で牙や顎を【部位破壊】します。
数に押される頃には体も服もボロボロでしょう。
そうなったら上着を脱ぎ捨て、傷は【激痛耐性】で耐えてユーベルコードによる加速で囲みを抜けながら敵を倒します。
【地形耐性】も用い、血で足を滑らさない様にしましょう。



●Totentanz
「(狼の群れが襲って来る、と言うのは恐ろしいですが……)」

 ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は物陰から目視で捕らえられる悪夢の狼の群れを観察していた。
 ダークセイヴァーは夜の闇に覆われた世界、常に月が昇っているとなると狼もより一層凶暴さを増し、素人が森に出ようなどとすれば命はない。
 だが――

「(この戦場では都合が良いかもしれませんね)」

 元よりこの戦場は鮮血を浴びれば浴びる程有利になる――となれば狼が襲いかかるということは血を浴びやすくなるということと同義と見て良いだろう。
 そしてハロは剣を以て戦う猟兵……飛びかかってくるであろう狼の血を浴びるにはまさにお誂え向きであった。
 となればやることはただ一つ、レイピアを構えてハロは悪夢の狼の群れに突進する。
 その足音を聞きつけ、狼共は一斉に彼女の方を向くと獲物を見つけたとばかりに勢いよく飛びかかってきた。
 決して囲まれぬよう定期的に移動を繰り返しながらレイピアの突きで牽制、回避を誘引することで狼の群れを分散させつつ一匹ずつ炙り出す。
 その内の一匹が目の前まで迫り、その獰猛な牙を突き立てんとする――ハロはその機会を狙っていた。
 隠し持っていたダガーをもう片方の手に握り、思い切り振り上げる!

「―――」

 動物のそれとは到底思えないノイズに塗れた歪んだ断末魔を上げ、バラバラになった躯体がべちゃりと床に落ちて血溜まりに変わり真っ赤な血がハロの服を染め上げる。
 その後ろからもう一匹が飛びかかるが、その牙をレイピアで受け止め、顎を思い切り蹴り上げ砕いて再起不能に。
 そして確実に仕留めるべくダガーをその脳髄に突き立てると、狼がまた一匹血溜まりに戻る。
 そうして一匹一匹確実に仕留めていくが、狼の数は圧倒的でいくら倒しても減りはしない。
 いつしかハロは数の暴力に圧倒されつつあった。服は破け、返り血とは別に自らが流した血も布を染め上げていく。
 傷も増え、そろそろ現状維持は難しそうだと判断したハロは、レイピアを投げ捨て自らの服を思い切り脱ぎ捨てた。
 ダガーを構え、改めて敵の群れを見据え――一気に加速。
 狼は何が起きたか理解することなくその生命を終え、溶け込むように血溜まりへ。
 痛みに動きを鈍らせぬよう、決して血溜まりで足を滑らせぬよう細心の注意を払いながらハロは狼の群れを斬り捨て続ける。

「(疾く――もっと疾く!捉えられない程疾くッ!!)」

 決して足を止めず、振るう腕も止めず、いくら傷口が開き血が滲もうとハロは止まらない。
 それはさながら死の戦場で舞い踊る舞踏――舞闘――家の如く。
 狼は少女という獣たちにとっての"不運"に踊らされ続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネーヴェ・ノアイユ
此度はまるでオリジン様も被害者のようですよね……。それともこの悪夢は最初の被害者(アリス)だったオリジン様の何かを表しているのでしょうか……。

気になることもありますが……。お馬様が現れましたので戦いに集中を。
まずはお馬様の突進を氷壁の盾受けにて防ぎつつ……。お馬様の力量を見極めます。
そこから推定して……。リボンの7割の魔力てUCの拳を作り出し……。残り3割と私の魔力は氷の拳の維持に使うように戦いを。
ある程度の被弾は覚悟のうえにて……。突撃してくるお馬様に合わせて拳を繰り出し……。撃退していきます。
返り血と自身の傷による血……。双方で赤く染まりながらも悪夢を砕くために拳を振るい続けましょう。


ユーノ・エスメラルダ
その苦しみが、どうか少しでも短くなりますように…
UCによる【祈り】で悪夢たちを倒しましょう
敵からの攻撃は受ける【覚悟】を持った上で『光のヴェール』による【オーラ防御】で軽減させたり【激痛耐性】で耐えたりなど
血に濡れることも構わず、自身が傷つくことも気にせず、ただ祈り、その光を強めていきます
味方の回復もできたなら幸いです

●心情
オブリビオンである以上、そしてフォーミュラーである以上、本当の意味で助けることは出来ないのでしょう
ならば、せめて
この戦いが苦しむ時間を短くする一助となることを【祈り】ます



●せめて終わらせることが
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!い゛だ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!がぁおああああああああああ!!!!!」

 悶え苦しむオウガ・オリジンの断末魔の如き悲鳴が響き渡る。
 悪夢獣を駆逐しながら進んでいく猟兵たちは、その悲鳴が聞こえる程にまで病棟の深部へと辿り着いていた。

「……此度はまるで、オリジン様も被害者のようですね……」

 今まで何度もオウガ・オリジンと刃を交えてきたが、ここまで悶え苦しむ様を見たことはない。
 アリスであるネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)としては正直に言うと胸中には複雑なものがあった。
 自らが散々苦しめられた相手が同じように苦しんでいる様を見てほくそ笑める程性根が腐っているワケではないが、それでもここまで悲痛な声がこのような場所で響くとなると色々と思わされるものはある。

「この悪夢は、最初の被害者(アリス)だったオリジン様の何かを表しているのでしょうか……」

 "はじまりのアリス"にして"はじまりのオウガ"――その所以である何かがここにはあるのかもしれない。
 この戦場に訪れた猟兵は皆そう思ったことだろう。だが、それを知ってもできることがあるかと問われれば、否だ。
 だがその推測に時間を当てることは許されない。
 丁度一匹の鮮血の馬が通りがかり、こちらの姿を認識するなりノイズに塗れた雄叫びを上げ――それに呼応するかのように次々と狼や兎たちが集まってくる。
 皆一様に鮮血に塗れ、歪んだ鳴き声を上げているのがオウガ・オリジンが苦しみに狂ってしまっていることを表現するかのようで、ユーノ・エスメラルダ(深窓のお日様・f10751)にはとても痛ましく思えた。

「オブリビオンである以上……そしてフォーミュラである以上、本当の意味で助けることはできないのでしょう」

 だがそれでも、苦しむ者の為に祈りを捧ぐことは許されるハズだ――ユーノは手を組み天に祈る。
 せめてこの戦いが、苦しむ時間を短くする一助となることを……
 その祈りは聖なる光となり、彼女を包み込んでいく。
 目の前は馬、後方は狼と兎、完全に挟み撃ちとなったこの状況だが二人の覚悟は揺らがない。

「ユーノのことは気にしないでください。ネーヴェさんは前をお願いします」
「わかりました……ユーノ様、ご無理だけはなさらぬよう……」

 ネーヴェは氷壁を展開し、突進してくる馬を受け止める。
 ぴり、と肌に痺れが一瞬だけ通るような感覚――相当な力だ。

「(この厚さでも衝撃が伝わってくる……相当な力ですね……)」

 大凡の力量を図ったネーヴェは魔力の貯蔵タンク代わりにしているリボンから魔力を解き放つ。
 その魔力量、現在の蓄積量の凡そ7割程を解き放って生まれるユーベルコードの氷拳は7割でもなお通路の3分の2を塞いでしまえそうな程の大きさ……氷壁を解除すると同時にそれを思い切り振り抜き、馬を殴りつけた。
 その一撃は馬の躯体の骨格すらも簡単に砕いてしまう程の威力だったのか、あっという間に血溜まりに返り鮮血がネーヴェに飛び散っていく。
 それでも馬は次々とこちらに突進してくる――まるでそれしかやり方を知らぬかのように次々と。
 ここに皮肉屋が一人でもいたらまさに馬鹿の一つ覚えだな、とでも言いそうな光景であるが、一方的な手段しか用いてこないならば対策は簡単だ。
 次々と氷拳で悪夢獣を砕くネーヴェだが、全くの無傷というワケではない。
 突撃してくる馬に合わせ拳を繰り出すその隙を一角獣がをの鋭利な角を突き立てんと飛びかかってくるのを防ぎきれずに被弾もするのだ。

「く……ぅ」

 流石に痛みに顔が歪む。目の前の馬は止まらず突進を続けてくる、最優先で撃破しなければならないのはそちらだ。
 一角獣の横行を許すしかないのかと選択を迫られたところでネーヴェに襲いかかる一角獣を光の一撃が一瞬にして血溜まりに還す。
 ユーノが放ったものだ。彼女を包むユーベルコードによる祈りの光は、邪悪を消し飛ばすかのようにくるくると舞っては次々と自身の受け持つ先にいる狼や兎たちを屠っていくだけでなくネーヴェが受けた傷を包み込み、癒していく。

「ありがとうございます……ですが、ユーノ様も傷が……」
「大丈夫です。ネーヴェさんは前に集中してください!」

 ユーノ自身はいくつか被弾したのかその華奢な身体から血を流しているが、それでも祈りは止めない。
 光のヴェールで軽減したとはいえそれなりの痛みが襲ってくる、だがこの祈りは止めるワケにはいかない。
 この悪夢による苦しみを少しでも短くする為に――最初から被弾は覚悟の上だった。

「(命と引き換えでも構いません、どうかこの戦いが無事に終わりますように……その苦しみが、どうか少しでも短くなりますように……!)」

 強く祈りを天に捧げるユーノ。
 祈れば祈る程、光は輝きを増し激しく輝き――病棟全てを照らす程の眩い光が放たれる。
 まるで神が降り立ち、天の裁きを下しているかのようにこの場に残存する悪夢の獣たち、その躯体を構成する血液すらも蒸発させる程の強い光が降り注いだ。
 そして光が消える。
 自らが流した血、浴びた血はそのままに二人が受けていた傷は綺麗さっぱりなくなっていた。

「……終わった、のでしょうか……?」
「わかりません。でも少なくとも、今この辺りにいたのはユーノたちで倒しきったハズです」
「そうですね……気配を感じませんし……他の猟兵の皆様もいますから、これで大分数を減らせていたら良いのですが……」

 彼女たちの他にも猟兵たちがこの病棟の各地で悪夢獣を仕留めて回っている。
 まだ戦場の存在が揺らぐことはないようだが、彼らもいるのだからあと少しで悪夢は終わるだろう。
 ネーヴェとユーノは後を仲間たちに託すことに決めた。
 この悪夢が作られた根源が気になる気持ちもあるが――それはきっと自分たちよりもっと適任がいるハズだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

オリジンさんよぉ。
そうだよな、アンタも「アリス」だったんだよな。
アサイラムでのあれやこれや、
アタシもUDCアースじゃ色々見てきたさ。
今更その事をどうこう言うのが違うのは分かってる。
だけど。
その心と身体の痛みに寄り添う為。
アンタの過去、力ずくでも教えてもらうよ…!

武器が使えりゃいいんだろうけど、
生憎アタシは徒手空拳だ。
両の手足に電撃の『属性攻撃』のサイキックを込めて、
当たるを幸い『グラップル』で狼どもを殴り飛ばし、『踏みつけ』る。
アタシが浴びてる血は返り血か?それともアタシの血?
混じりあってもう分からねぇな。
けれどこの血の繋がりを頼りに。
【過去に抗う腕】よ、届け……!


空葉・千種
アドリブ歓迎

苦しそうだとは思う
可能なら救ってあげたいとも思う
…でも、貴方は私たちの敵だから
せめて、少しでも早くこの悪夢が終わるように…私は全力で貴方達を倒すよ

天井ギリギリ…可能なら天井を突き破るまで【指定UC】を発動して悪夢獣の群れに接近
馬型悪夢獣の突撃を踏み潰しながら進んでいくよ
もし踏んだ後も息がある個体がいるようなら、念入りに踏みにじる
こうやって生き物を蹂躙するのはいい気分ではないけど…
でも、私はこの戦争に勝ちたいの

足に打ち身の痣が増えても、一角獣型悪夢獣の角が突き刺さっても、
私は戦いが終わるまでひたすら血に塗れた足を前に進め続けるよ



●その腕は何の残滓を掴むか
 ――悪夢の病棟、手術室前。
 悪夢獣たちが次々と開かれたその手術室の扉からぞろぞろと這い出てくる――そして、その奥に見える噴水のように湧き上がる鮮血、そして歪んだ少女の悲鳴。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……がぁああああああああ!!!」

 オウガ・オリジンは大きく身体を仰け反らせながらその手首より次々と悪夢を生み出していく。
 間違いなく、ここが最奥であり正念場だ。
 その悲痛な悲鳴を効いて、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は目を伏せる。

「オリジンさんよ……そうだよな、あんたもアリスだったんだよな」

 少女は"はじまりのオウガ"であると同時に"はじまりのアリス"でもあった。
 アリスは皆、アサイラムを経由してアリスラビリンスへと迷い込む――彼女が一番最初にアサイラムから呼ばれた"アリス"なのだ。
 多喜自身、UDCアースでではあるがアサイラムでのあれやこれやといった諸々の事情は目にしている故に、色々と考えさせられるものがある。

「……苦しそうだとは思う。可能なら、救ってあげたいとも思う」

 空葉・千種(新聞購読10社達成の改造人間・f16500)は多喜が今何を思っているのかを何となく察し、理解を示す返事を返す。
 確かに今ここにいるのはアリスラビリンスにおける諸悪の根源だが、例え敵であるからと苦しむ様を平然と放っておける程冷酷ではなかった。
 だが、自分たちは猟兵。そう、猟兵なのだ。オブリビオンを"救済"する為の手段は、著しく限られている。

「……でも、私たちの敵だから」
「――ああ、そうだね。今更その事をどうこう言うのは違う。わかってる……だけど」

 多喜は前を見据える。
 今尚も生まれ、跋扈する悪夢獣の群れ……それら全員が一様にこちらを向き、今にも襲いかからんとしていた。
 この悪夢を終わらせるには悪夢獣を全て仕留めれば良いとグリモア猟兵は言っていた、だがそれだけでは本当の意味で"終わらせる"ということにはならないのではないか……そう思う自分もいる。
 ならば、自分がやるべきことは決まっていた。

「あの子の心と身体の痛みに寄り添う為――過去を力ずくでも教えてもらわなきゃね……!」

 多喜は今までに多くのUDC、オブリビオン、オウガ……どんな敵であろうと可能な限りそれぞれの"痛み"に寄り添い続けてきた猟兵だ。
 どんな理由があろうと、どんなきっかけがあろうと、その戦いのスタイルは決して曲げられない。

「じゃあ、私は……せめて少しでも早くこの悪夢が終わるように全力でこいつらを倒すよ」

 千種もまた決意を新たにし、悪夢獣の群れを見据える。
 例え蹂躙と呼べるような光景を繰り広げることになるとしても、この戦争に勝たなければアリスラビリンスは消滅する。
 それだけは何としても止めなくてはならないのだ。

「馬は私に任せて」
「ああ。ならあたしは他をやろう」

 多喜は手足に電撃のサイキックパワーを絡め、臨戦態勢を取る。
 先陣を切るのは千種だ。ユーベルコードを使用し、天井を突き破る程度のサイズに自らを巨大化させ、迷わず悪夢獣の群れに接近し突進してくる悪夢の馬をぐしゃりと踏み潰す。
 巨大となった彼女の重量に耐えきれずぐしゃり、と馬は一瞬にして血溜まりへと帰るが千種はまだまだ止まらない。
 ぶつかってきた馬がいれば壁に蹴飛ばした上で念入りに踏みにじり、一角獣が角をその脚に突き立ててきたのなら、それを盾代わりとするかのように脚を動かし、馬にぶつけて共倒れさせてやる。
 それはまさしく命の蹂躙とも呼ぶべき光景。
 ちくちくと痛む心を鬼にして、千種は悪夢獣を踏み潰し続ける――全てはこの戦争に勝つ為に。
 足を止めるという選択肢は最初から用意されていないのだ。

 そして、千種による蹂躙を潜り抜けた狼や兎たちを相手するのが多喜の役割。
 狼がこちらの腕に噛みつこうとしたところを幸いとばかりに狙い、地面に叩きつけるように殴り飛ばす。
 踏みつけることでそのサイキックの電撃を存分に浴びせれば狼はあっという間に血溜まりに帰る。
 そうして一匹一匹、確実に倒して前へと進む。
 攻撃を受けながらも決してひるまず、鮮血をその身に浴びながら……
 ――ああ、今アタシが浴びている血は返り血か?それともアタシの血?

「(混じり合っててもうわからねえな)」

 ここまで清々しいまでに血に塗れているとどちらがどちらかわからなくなるのも当然かと思いながら千種と共に前へ。
 悪夢獣も最早あと数匹というところで馬が一気に数体多喜目掛けて襲いかかるが、それを千種が思い切り壁へ叩きつけるように蹴飛ばした。
 壁にヒビが入る音と共にぐしゃりと血に還る音がする。

「多喜さん、今のうちに!」
「ああ、すまないね……ッ!」

 最後の道は開けた。多喜は千種が切り開いてくれた道を突っ走り、手術室の中へ。
 今尚中央のベッドで悶え苦しむオウガ・オリジンの手首から、一匹の狼が生まれようとしている。

「(アタシが浴びた血、受けた血、そしてあんたが出しているその溢れる血――その繋がりを頼りに――!)」

 生まれ出ずる狼の口にサイキックを絡めた腕を突っ込んで炸裂させながら、ユーベルコードを発動する。

「【過去に抗う腕(カウンターパスト)】よ、届け――……ッ!!」「

 ユーベルコード【過去に抗う腕】。
 多喜が敵の痛みと過去へと寄り添う為の唯一にして最大の術……オウガ・オリジンの本質を、過去の記憶を、その思考回路を理解する為の思念波が炸裂し、彼女を根源へと導いていく――!


 ――ど■■て?どうして■■なわ■しがお■しいって■■の?
 ――ほら、■■にわ■しの"■■■■■"は■■よ?■■■も■■たちと■■■し■■って――

 ――■たしは■■じゃないよ!"■■■■■"は本当に■■んだもん!■■てよ!■■――

 ――あ■?ど■■た■、何■■か■いの?■■■■■なん■しょ?■■■■、■■

 ――ど■■■■■■■て■■■■■■■わた■■■じゃ■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 ――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――


 最早それはロクに言葉としてすら聞き取れない"ナニカ"だった。
 過去の光景すらすなあらしとモザイクとが混ざり合ってグロテスクな何かになったようなものしか過ぎらない。
 無意識の悪夢だからなのか、それとも――

「―――っは!!!はあっ……はあ……はっ……」

 頭に流れ込む記憶の濁流に精神が崩壊する前にと多喜は現実へ帰ってくる。
 あまりにものノイズが混ざりすぎたその記憶を完全に読み取ることはできなかった。
 だが、一つだけ確かなのは、彼女が"何かを求めていた"ことと"自分は違う"と訴えていたことだ。
 それだけは、確かに感じ取ることができたのだった。
 そして多喜が現実へと帰ってきたと同時に苦しんでいたオウガ・オリジンの身体がぴたりと苦しみに呻くのをやめ、人形のようにうなだれる。
 その後、手首から溢れる血液に飲み込まれて消えていった。
 手術室に残るのは多喜と、今までオウガ・オリジンがこの悪夢の地で流し続け生み出した血の海のみ。
 今の記憶を読み取ったことで寄り添うことができたのかどうかはわからない。

「(……けど、あんたが"痛み"と思っていたことは、確かに感じたよ)」

 その痛みを知ることができたことは決して無駄ではないと、多喜は確信していた。

「……終わった?」
「ああ。――帰ろうか、いつまでもこんなとこにゃいられないからね」

 戦いとは逆に、多喜が千種を先導しグリモアベースへと帰投する。
 一つの悪夢は確かに終わりを告げ、静かに改変された戦場は消えていった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月28日


挿絵イラスト