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燃えよ恋、爆ぜろ愛

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●貴方の心に大文字チャンネル動画
 ――某所に住む兎キマイラのロミ子さん(仮)は、お嬢様だった。
 そんなモノローグから、とある動画は始まった。
 コツン、コツン。
 夕刻。門限を過ぎて部屋に戻ったロミ子さんの部屋の窓を、何かが叩く。
「何かしら――まぁ」
 その音に窓を開けてみたロミ子さんは、目を丸くした。そこにいたのは、ロミ子さんが現在交際中の狼キマイラ、ジュリ雄くん(仮)だったのだ。
「ああ、ジュリ雄さん。どうしたの? こんな時間に。私もう外出は――」
「判っているよ、ロミ子さん。君はただ、そこから見ていて欲しい」
「?」
 首を傾げるロミ子さんが見下ろす前で、ジュリ雄くんは何かを地面に並べる。
 あれは……木? いや、薪かな?
「ロミ子さん! どうしても言えずにいたけど――これが僕の気持ちだ!!!」
 シュボッとジュリ雄くんがマッチを刷って、薪の上にぽいっ。
 ボウッと燃え上がる薪。その炎は『大』の字を象っていた。
「まぁ! まぁ! あれはダイモンジ焼きね! 炎で文字を描いて気持ちを伝える、かつての人類の文化! そうでしょう、ジュリ雄さん」
「そうとも! 大好きです、ロミ子さん!」
 頬を染め窓から身を乗り出すロミ子さんに、ジュリ雄くんは膝を付き想いを告げる。
 と、ロミ子さん家のドアがバーンッと開いて、中からロミ子パパが出てきた。
 ああ、燃え上がった2人の恋も大人に引き裂かれてしまうのか――。
「ジュリ雄君、君の熱意は伝わった! 娘との交際を許そう!」
 引き裂かれなかったね。
 そしてロミ子さんが窓から飛び降り、ジュリ雄くんが受け止める。2人は熱い抱擁を交わし――ジュリ雄くんが、どこかへ向けてサムズアップするとカメラがぐいーんとロールして、画面外に居た人物がフレームインする。
 そこには、背中を向けてサムズアップした、爆弾頭の怪人が映っていた。

●だって今回ミステリじゃないし
「大体判ったと思うけど、コイツが犯人だから」
 集まった猟兵達にそう伝えながら、ルシル・フューラー(エルフのマジックナイト・f03676)はグリモアに映った『リア充どもは爆発しろ怪人』をバンバン叩いて示した。
 まさかの犯人いきなりネタバレ。
「今見て貰ったダイモンジ焼きの動画がさ。キマイラフューチャーで流行りつつあるみたいなんだよ」
 それもすべては怪人の計略。
「炎上を極めれば、行き着くのは爆発。炎上(物理)告白ブームを巻き起こせば、リア充が勝手に爆発すると思ってるのさ」
 まあそうそう爆発が起こる筈もなく、最終的には怪人自ら爆弾投げ込む未来が予知されてるんですけどね。
 だが、今の所は、怪人はブームに火がつくのを待って潜伏中。
「まあ爆発以前に、あの動画ほど過激でなくても炎上告白がブームとして続いちったら、火事とか普通に危ないから。ブーム止めて怪人も探して倒してきて? あ、それと――」
 まだ何かあるのか、と言う猟兵達の視線に、ルシルは頬を掻きながらこう返した。
「あの動画に出演してたキマイラカップルの2人が、行方不明。怪人に捕らえられているって予知も出たから――とりあえず助けておいて貰えるかな?」


泰月
 泰月(たいげつ)です。
 目を通して頂き、ありがとうございます。

 リア充ビッグバン、やってみたかったんだ。(爽)

 まずは1章で何かが間違ったダイモンジ焼き告白ブームを止めたり、怪人の行方も捜してみたり頂くとよい感じです。
 こんな感じの炎上告白を止めたい!と言う希望あれば、プレイングに書いて頂ければ大体そんな感じになると思います。もしかしたら、調子に乗って火力あげるかもしれません。

 2章も冒険です。ほら、誰かが捕らえられてるとか言ってましたね?
 3章は『リア充どもは爆発しろ怪人』との戦闘になります。
 名前長いので、プレイングに怪人のこと書く際は適当に縮めて良いですよ。

 ではでは、よろしければご参加下さい。
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第1章 冒険 『火遊びは危険です』

POW   :    火の危険さを体を張って証明する。火よりも熱く説得し諦めさせる。

SPD   :    素早く火を消して回る。火遊びを止めながら、言葉巧みに首謀者を聞き出す。

WIZ   :    ユーベルコードで火を消す。噂の広まり方を調べ、出所の怪人の居場所を推理する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

モッチ・モチ
【SPD】
リア充を爆発。なんて素敵な響きでしょう♪ですが、オブリビオンの仕業となれば話は別デス!
そんなオブリビオンは逆に爆破デス♪(普段より楽しげです。あわよくばリア充たちにひやっとするくらいの災いの火の粉がかかればいいのにくらいに考えてます)

とりあえずリア充を探しましょう♪発見したら様子を伺い、火をつけ始めたら危ないのですぐさまバケツの水で消化デス!
リア充のふたりに勢いあまって水がかかってしまっても仕方ないデスよね♪

その後、オブリビオンの情報をリア充の2人から聞き取り調査しマス
(アドリブ、共闘お任せです


高柳・零
この動画、不自然ですね。
普通なら恋人同士が盛り上がった所で、サバト服を着た集団が出て来て「リア充爆発しろ!」と言いながらカップルを爆破するはずですが(普通の感覚が狂ってる人)
後、リア充ビックバンと言ってるのは女性だった気が…。

大文字焼きをしようとしてる所に先回りし、配信用カメラを仕掛けて自分は火が燃え移りそうな場所に潜伏します。
自分の所に火が回って来たら「か、隠れんぼしてたら火に包まれました!」と叫びます。
火炎耐性で火に耐えつつ「幼い子供が火事に巻き込まれたら大変です。ダイモンジ焼きをしてはいけません!」と必死に訴えます(何しろ熱いので)
やばければ無敵城塞で鎮火するまで耐えます

アドリブ歓迎です


山梨・玄信
とりあえず突っ込んでおくぞい。
作戦の為にでもカップル成立させるなどRBとして失格じゃ!そこは爆破させる所じゃろ!

【SPDを使用】
情報収集、追跡を使用して、ダイモンジ焼きが行われる場所を特定するのじゃ。
付け火を見つけたらアースジャイアントを召喚し、範囲攻撃や衝撃波を使い燃える物の除去&鎮火を行うぞい。
付け火をした奴はアースジャイアントで捕らえて尋問するのじゃ。

「付け火は火炙りじゃぞ。止めるのじゃ!」
「類焼する物が無ければ、火は自然と消えるものじゃ」
「逃しはせんぞ。さて、何故こんな事をした?正直に答えんと、さっきの攻撃がお主に飛ぶが」

アドリブ、絡み歓迎じゃ。


鈴木・志乃
【POW】
(一応水は持参していく)
ほんとーはさー
雨の中の告白シーンがある映画を集めて特集組んで
バズらせるとか
そーゆー安全なのをさー
(盛大に火遊びしてる連中のとこにダッシュ)

ア ホ か お 前 ら!!
こんなに燃やしやがって
危ねーと思わねーのか!!
火は一旦燃え上がったら消すのすげー大変なんだぞ!!
万が一にでも燃え移ったらどーなるか分かってんのか!?

……そーかそーか
ならあたしがとびこんでやる
いーか! 見てろよ!!
(火に入る。【第六感】【オーラ防御】急所は避けながら)

【グロ注意につきとても動画には出来ません】
UCで自己回復

……
なにか言うことは?(ニッコリ)


神羅・アマミ
ガソリンぶっかけて火を消すって歌詞の有名な曲もあるわけじゃし…知らない?そう。
さておき、案件を先んじて炎上通り越した爆発で消し炭にしてやればいいんじゃなかろかー。

まずは動画映えする手近なイケメンとかイケおじ猟兵をとっ捕まえる。アドリブとか共演とか歓迎しとるのが一人くらいはおるじゃろー。

そして人気のない採石場等で「ダイモンジヤキ告白やってみた」を配信!
「妾、其方のことが好k…」と言い終わらないうちにあらかじめ仕掛けておいた大量のダイナマイトが爆発!放送事故(物理)!視聴者ドン引き必須!

………ふぅ、妾たちが猟兵でなければ即死じゃったぜー(コード『緞帳』を保険でこっそり発動させておくのが姑息)。



●炎上と爆発と
「リア充を爆発。なんて素敵な響きでしょう♪」
「とりあえず突っ込んでおくぞい」
 バケツ片手に恍惚とした表情を見せるモッチ・モチ(ボス専門バスター・f09023)の隣で、山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)が険しい顔をしていた。
「作戦の為にでもカップル成立させるなどRBとして失格じゃ!」
「あ、そっちデスカ」
「おう、そこは爆破させる所じゃろ!」
 思わず真顔に戻ったモッチに、玄信が力強く頷く。
「と言いますか、この動画、不自然ですよ?」
 そんな2人のすぐ後ろで、グリモアベースでも見た動画をリピートしていた高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)がぽつりと告げる。
「不自然じゃないところあったか……?」
 鈴木・志乃(ブラック・f12101)が思わず入れたツッコミは、本来ならば至極真っ当な部類であっただろう。
「普通なら、恋人同士が盛り上がった所で、サバト服を着た集団が何処からともなく出て来てですね。『リア充爆発しろ!』と言いながらカップルを爆破する筈ですよ?」
「うむ。成立直前を狙ったRBはアリじゃな」
「成程。リア充爆発も、色々あるんデスネ」
「いやいや待て待て。何だその普通」
 零の普通がおかしい――とツッコミ入れたのはやっぱり志乃だけで、玄信もモッチもしみじみ頷ている。
 圧倒的に、ツッコミが足りない。
 まあツッコミは足りないが、情報は集まっていた。
「ライターに、薪、オイル。この辺のモノをコンコンして持って行ったのが2人いたことがわかったのじゃ」
 情報を得た玄信が追跡した結果、もう間もなくダイモンジ焼き告白が行われると判明した場所は2箇所。となれば、二手に別れるべきだろう。

(「そうです。何かが変だと思ってましたが、本来はリア充ビックバンと言ってるのは女性だった気が……」)
 改めて気づいた動画の中の違和感を胸中で呟きながら、零は公園の植え込みの中に身を潜めていた。
 情報通りなら、この公園でダイモンジ焼き告白が実行される筈である。
 零がなんでこんなところに潜伏してるのかは、その時が来れば判るだろう。
(「あの2人デスカネ? 決定的瞬間までは、様子を伺いマショウ」)
 心なしか楽しげに青い瞳をキラーンと輝かせ、モッチは公園に入っていく一組のキマイラカップルの様子を伺いながら、離れて後を尾けて行く。
 狙うは火をつけ始めた、その瞬間だ。

 ――話ってなんだ?
 ――そ、その。わ、私、君の――。

(「じれったいデスネ」)
 聞こえてくる初々しいと言うか甘酸っぱいと言うかな会話に、モッチがそんな物騒な事を胸中で呟いた時だった。
 パチパチと木々の爆ぜる音が鳴り出したのは。
 ボウッ、ボウッと火が地面に並べられた薪を伝って走っていき――ヒュボッ!
 零が潜んでいた茂みに、炎が燃え移った。
「うわぁっ!? か、隠れんぼしてたら火に包まれました!」
「「えぇぇぇぇぇぇっ」」
 炎に包まれた茂みから飛び出てきた零に驚く、キマイラカップル。特に火をつけた少女キマイラは、明らかに狼狽している。
「こんな筈じゃなかったのに……」
 並べてあった薪の位置が、ちょーっと変わっていたことには気づいてないようだ。
 と言うか、動転してて火を消そうって動く様子がない。
「あぶなーい!」
 満を持してバケツを構えて飛び出したモッチが、その中の水を勢い良くぶち撒けた。
 バシャッとかかった水が、植え込みで燃えていた火を煙に変えて、あとついでにちょっと勢い余った水がキマイラ達にかかっていたりしたけれど。
(「これも仕方ないデスよね♪」)
 モッチ、確信犯だった。
「いいですか! 幼い子供が火事に巻き込まれたら大変です。ダイモンジ焼きは、してはいけません!」
 一番ずぶ濡れてる零が、キマイラ達に必死に訴える。
 無敵城塞を使うまでもなく耐えられる炎だったが、熱いもんは熱かったのだ。
「「判りました……もうしません」」
 身を挺して炎の危なさを訴えられ、キマイラ達がしゅんとして頷く。
「さて。ところで――爆弾頭を知らないデスカ?」
 そんな2人に、モッチが聞き取りを開始した。

「付け火じゃぁ!」
 別の公園に、玄信の声が響き渡る。
「ア ホ か お 前 ら!!」
 燃え上がる炎を見た見た志乃が、そこにダッシュで駆け寄っていく。
 2人がそこに着いた時、既に炎は点いていた。
「こんなに燃やしやがって。危ねーと思わねーのか!!」
「付け火は火炙りじゃぞ。止めるじゃ!」
「火は一旦燃え上がったら、消すのすげー大変なんだぞ!! 万が一でも燃え移ったら、どーなるか分かってんのか!?」
 真剣な2人の説得は、ダイモンジ焼き告白真っ最中のキマイラ達に――。
「コイツは付け火じゃねーよ。ダイモンジ焼きって立派な文化だ!」
「愛の炎よ!」
 届かなかった。
「……そーかそーか。ならあたしが飛びこんでやる。いーか! 見てろよ!!」
 そんなキマイラ達に業を煮やして、志乃がオーラを薄く纏いながら炎の中に顔から突っ込んでいった。
 ――ヒュボッ!
 まず黒いニット帽が燃え上がり、あっと言う間に志乃が炎に包まれる。
「って、やっぱ熱い!」
 当然である。持って来ていた水を、慌てて被る志乃。だが、まだ火文字の一部の炎が消えずに残っている。
「来るのじゃ、アースジャイアント!」
 玄信の召喚に応えて、170センチほどの大地の巨人が現れた。
 さらに玄信が指示を送ると、巨人は握った拳を振り上げ、勢い良く振り下ろす。その衝撃で、残りの薪を含めて火の周りにあったものが吹っ飛ばされていった。
「これで良し。類焼する物が無ければ、火は自然と消えるものじゃ」
 その言葉通り、完成しつつあった火文字は、煙を上げて小さくなっていく。
「なにか言うことは?」
「じゃ、じゃあ俺達はこれで――」
 色々とチリチリ焦げてる志乃が、ニコリと2人に迫る。キマイラ達は、そそくさとその場を後にしようとして――。
「逃しはせんぞ」
 2人とも、玄信の巨人に捕まった。
「さて、何故こんな事をした? 正直に答えんと、さっきの攻撃がお主に飛ぶが」
「ど、動画を見たからだ! もうやらないから離して!」
 炎をモノともしない巨体にも、びびったのだろう。キマイラ達の口は軽い。
「その動画、何処で見たのじゃ?」
 玄信の取調べは、そう時間はかからなかった。

 一方、その頃――。
「おお! 伸びてる伸びてる! さすが妾!」
 猟兵達が集合場所に決めていたとあるカフェで、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)はとある動画の再生数を確認していた。
「おお、皆、首尾はどうだったかの?」
 そこに4人が、それぞれキマイラ達を連れて戻ってきた。
「あー! これこれ!」
「そうそう、この動画に対抗するって言ってました!」
 そのキマイラ達が、アマミが見ていた動画を指差し声を上げる。
 その動画とは――。

 どこかの石切り場だろうか。
 荒涼とした殺風景な場所で、アマミが頬を染めてもじもじしている。
 その上から『ダイモンジヤキ告白やってみた』のテロップが入る。これはカメラ目線動画と言うやつか。
「妾、其方のことが好――」
 テロップが消えると同時に始まったアマミの演技。その最初の一言も言い終わらぬ内に画面の中が激しい爆発に包まれた。
 どうもカメラマンも一緒に吹っ飛んだみたいだ。
 景色がグルングルンと激しく回転して、やがて止まる。映った爆煙の中から、アマミがしれっと煤塗れの顔で出てきた。
「………ふぅ、妾たちが猟兵でなければ即死じゃったぜー」

 アマミの爽やかな笑顔で動画は終わる。
 先んじて炎上通り越した爆発動画で消し炭にしてやろうと言うアマミのアイディアで、先に作って配信しておいたのだ。
「……ちょっと火薬多すぎマシタ?」
「いや、こんなもんじゃろ」
「うむ。動画映えする爆発じゃったんじゃなかろか」
「結構吹っ飛ばされましたけどね」
 モッチと玄信が爆発の罠を仕掛けて即爆破。アマミを撮るカメラマンは無敵城塞で何とかなる零が担当していたのだ。
「これに対抗する爆発をとるんだーって言ってました」
「スタジアムを爆発させるんだって」
 以上、キマイラ達の証言でした。
「うーむ。視聴者をドン引きさせるつもりじゃったのだが、怪人の対抗意識に火をつけてしもうたみたいだのぅ」
 予想外の効果に、アマミの指が頬を掻く。
「まあ、良いじゃないですか。ついでにさっき自分が巻き込まれて焼かれた動画も配信しておきましょう」
「おお、任せるのじゃ!」
 アマミは零が仕掛けておいたカメラの映像を受け取ると、端末に取り込んでちょいと尺の調整だけして、ささっとアップしていく。
「いや、あのさー……雨の中の告白シーンがある映画を集めて特集組んで、バズらせるとかさー。そーゆー安全なのをさー……」
「何で告白成立させなきゃいけないんデスか?」
「やっぱり爆発じゃ」
 ツッコむ志乃の声に、モッチと玄信がさらりと返す。
(「おかしい……さっきの火に飛び込んだアレは、とても動画に出来ないと思ったあたしの方がおかしいのか?」)
 RBのプロ感がある面子の中の常識人枠となってしまい、志乃は葛藤していた。
 何はともあれ、ダイモンジ焼きの流行に歯止めをかける事は出来たし、怪人の次の行き先も見当がついたと言えるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『猟兵のホームランダービー』

POW   :    できらぁ! 打席に立ち、ピッチャー怪人と真っ向勝負。フルスイングでかっとばしてやるぜ!

SPD   :    ボールをよく視て、フォームを意識して打つ。死球には気をつけよう。

WIZ   :    はちみ……魔力等で身体能力や反応速度を高めて打席に立つ。怪人との勝負に正々堂々もあるものか

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●スタジアムにて
 キマイラフューチャーのとあるスタジアム。
 そちらに怪人が向かったと情報を得た猟兵達が踏み込んでみると、マウンドの上に何か白い丸い頭の怪人がいた。
『良く来たな……俺はピッチャー怪人』
 あなた、白いマスクでも被ったリア充どもは爆発しろ怪人では。
 導火線、見えてるよ?
 あと後ろの外野スタンドにでっかい爆弾もあるよ?
『ピッチャー怪人だ!』
 あ、はい。
『アレを見ろ!』
 と怪人がホームベースの向こうを指差す。そこには檻があり、中には2人のキマイラが囚われて――その2人、猟兵達は見覚えがあった。
 あ、グリモアベースで見せられた、ロミ子さん(仮)とジュリ雄くん(仮)だ!
『あの2人の檻は特別制でな。鍵はない!』
 なんだってー。
『お前達もスタンドの特性爆弾は気づいているだろう』
 後ろのそれですね。
『あの爆弾を爆発前に破壊すれば、檻は開くようになっている――というわけで、俺と野球勝負をして貰おう!』
 どうしてそうなった。
『11球も打ち返せれば、爆弾は壊せるぞ。まあ、打ち返せればだがな?』
 やるしかないようだ。

(11球=🔵11個、です。多く稼いだら3章がちょっと楽になるかもしれません)
●補足
(書き忘れてました。怪人が投げるので、猟兵の皆さんは、只管打ち返せばOKです。バットはそこら辺にありますし、好きな武器を使ってもOKです)
神羅・アマミ
なっ何ぃーッ!?リ爆人とは別に新たな怪人が登場じゃと!?
妾たちは想像していたより遥かに大きなヤマへ踏み込んでしまったかもしれんにゃー(棒)。

しかし球を打ち返すだけでいいのか?別にホームランにしろとは一言も言っとらんよな?サブタイ?は?なんのことじゃ?いくら妾といえど第四の壁は破れんぜ?

そんなわけで積極的にピッチャー返しによる物理ダメージを狙っていき、ポッと出の弱小怪人様にはご退場願おうかのー。
抗議が来たら「だったら最初から言えやボケー!」と逆ギレ。

できれば11球返したと同時に「あっゴメーン手が滑っちゃった☆」とすっとぼけてスッポ抜けたフリしてバットもついでに怪人目掛けてブン投げていきたい。


山梨・玄信
ほう、ホームランを打てとな。
その挑戦、受けて立つぞい。

【POWを使用】
怪人を挑発して、体の近くに球を投げさせるぞい。
それを大根切りで打ってホームラン…のように見えるように灰燼拳でスタンドまで飛ばすのじゃ。
ユベコは反則だと言われたら、次は外角の球を衝撃波でスタンドまで飛ばすぞい。ユベコではないからの。
3球目は第六感でコースを読み、見切りで球種を確認。本気でホームランを打つのじゃ。

「未熟なRB団員よ。カップル成立させる動画を作るなぞ話にもならん。そんな腰抜けの投げる球なぞ、顔面に当たってもそよ風程も感じんわ」
「ユーベルコードを使ってはいかんなどとは聞いてないぞい」

アドリブ、絡み歓迎じゃ。


高柳・零
何故ピッチャーになったのか全く不明ですが、怪人のやる事を気にしても仕方ないですね。

「自分は小さいのでハンデをもらえませんか?ホームランという事は1点入ればいいんですよね。1点取る毎に爆弾を1個退けるというルールでどうでしょう?」
OKならそのまま勝負。ダメなら後述の方法でホームランを狙います。

テレビウムのストライクゾーンは10cm程しかありません。ストライクを取るのは至難の業です。
「ピッチャー、ノーコンですね」

フォアボールで満塁になったら、ワンバンの球威が無い球を狙って打ちます。
「では、4点入ったので4個退けてもらいます。え、宇宙の法則で3個しか退けられない?仕方ないのでそれで勘弁してあげます」



●打てばいいんだ
「なっ何ぃーッ!? 『リア充どもは爆発しろ怪人』略してリ爆人とは別に、新たな怪人が登場じゃと!?」
『ふっ、驚いたか』
 神羅・アマミのわざとらしい驚きように、白球頭の怪人は自慢げに頷いた。
「驚いた驚いた。妾たちは、想像していたより遥かに大きなヤマへ踏み込んでしまったかもしれんにゃー」
『引き返すなら今の内だな』
 アマミの棒読みを気にした風もなく、怪人はいい気になっているようだ。
 だが、猟兵達に引き下がる気などある筈がない。
「引き返す? 冗談じゃろう。その挑戦、受けて立つぞい」
 腕を組んだ山梨・玄信が、不敵に笑って告げる。
『ほう。自信があるようだな』
「打てばよいのじゃろう? 余裕じゃ」
「あ、ちょっと良いですか?」
 玄信と怪人が視線の火花を散らせるその下から、高柳・零が声を上げる。
「ご覧の通り、自分は小さいので。ハンデを貰えませんか? ホームランという事は1点入ればいいんですよね」
『ん? 点とはなんだ?』
「――はい?」
 予想外の怪人の反応に、零の方が目が点になりそうになる。
「いえ、ホームランなら点が入りますよね?」
『点? 野球って球を投げて打つだけじゃないのか?』
(「……道理で外野は愚かキャッチャーもいないわけですよ。何故ピッチャーになったのか、ますます判らなくなりましたが……」)
 怪人のやる事を気にしても仕方ないと自分に言い聞かせながら、零はかくかくしかじかと野球の点数ルールを説明する。
「どうせあのスタンドの爆弾以外も仕込んでるのでしょう? こちらが1点取る毎に、爆弾を1個退けるというルールで、どうでしょう?」
『うむむ……何故爆弾の事が……まあ良かろう』
 零に色々見破られ、怪人はその提案に悔しそうに頷いたのだった。

 まず打席でバットを構えたのが、アマミだ。
『では1球目――行くぞ!』
 そう宣言して、怪人が球を構えて、力いっぱい投げた。
 アマミの顔すれすれに。
「あっぶないのぅ。いきなり何してくれるのじゃ!」
 咄嗟に避けたアマミが、バットを構え直し怪人を見据えて言い放つ。
『お前の顔は覚えがあるぞ! この俺――じゃない、俺の友の動画を超える爆発告白動画を作っていただろう!』
 炎上告白ブームを鎮める為にアマミが作った動画、怪人も見てたようだ。
『見覚えのある顔だったから、ちょっと手が滑っただけだ。決してあの動画のお返しに球をぶつけてやろうとか思っていないぞ!』
「ほっほーう?」
 アマミの赤い瞳が、すっと細められる。
(「そっちがそのつもりなら、容赦はいらんのー」)
 実は元々、怪人に打球を当ててご退場願おうか、なんて考えていたアマミが、この仕打ちに黙っている筈もない。
 そんな事とは知らずに怪人が投げた球が、カーンッと打ち返されて――ドゴッ!
『ごばっ!?』
 ナイスピッチャー返し!
『い、痛いじゃないか! 次だ次!』
 そして第3球目。
「1発くらいは爆弾に当てとくかのぅ」
 カキーン!
 メギョッ!
 アマミが振るったバットが捉えた白球が、スタンドの爆弾をスコーンと叩いた。
 ん? 打球の音の後に響いた鈍い音はなんだろう?
『……』
 怪人は何故かうずくまって足を押さえていた。
 その傍には、なぜかバットが落ちている。
「あっ、ゴメーン。妾も手が滑っちゃった☆」
 手からすっぽ抜けたふりしてブン投げたバットを怪人の向こう脛――所謂弁慶の泣き所に直撃させたアマミは、しれっと交代するのだった。

「未熟なRB団員よ」
 次に打席に立った玄信は、何故かバットを持っていなかった。
「1つ言うとくと、わしもあの爆発告白動画には関わっておるのじゃ」
『ほぉう?』
 足の痛みにうずくまっていた怪人の目が、玄信の一言で蘇る。
「カップル成立させる動画を作るなぞ、話にもならん。そんな腰抜けの投げる球なぞ、仮に顔面に当たっても、そよ風程も感じんわ」
『そよ風かどうか、思い知らせてやろう』
 玄信の挑発に、まんまとかかる怪人。
 そして第4球――。
『くらぁぁぁぁえぇぇぇぇ!』
 何か怨嗟が篭ってそうな掛け声と共に、怪人が球を投げる。
「ふっ!」
 顔を目掛けて飛んでくる球を、玄信が振り下ろした拳が寸前で迎え打った。
 ――灰燼拳。
 いわゆる大根切りと呼ばれる打法の要領に近いだろうか。ともあれ、ひしゃげる威力で打ち返された球が、スタンドの爆弾に突き刺さった。
「ユーベルコードを使ってはいかんなどとは聞いてないぞい?」
『ぬぐぐ……ならば!』
 怪人は身長差を活かして、外角高めで球を投じようとする。
「はぁっ」
 球が怪人の手から離れたその瞬間、玄信がカウンターで衝撃波を放っていた。球にかかった運動ベクトルがまるっと反転して、ピューンとスタンドの爆弾に飛んでいく。
「次じゃ!」
『くっ、今度こそ!』
 今度はバットを構えて言い放つ玄信に、怪人も新たな球を手に構える。
(「困った挙句に直球……じゃろうな」)
 第六感が告げた通りのコースで、真っ直ぐに飛んでくる白球。
 その芯を見切った玄信が振るったバットが、カキーンッと良い音を立てて球をスタンドの爆弾へと打ち返す。
『なん……だと……』
「まあ、そよ風よりは手応えのある球だったぞい」
 呆然と見送るしかない怪人に、玄信が悠然と告げて打席を後にした。

 猟兵側の3人目の打者は零だ。
『いくぞ!』
 怪人が投げた球は、零のはるか頭上をひゅーんと通り過ぎて行った。
「ボールですよ」
『え?』
「やり直しです」
 ルールに厳しいのも、零の作戦である。
(「自分の身長なら、ストライクゾーンは10cm程しかありません。ストライクを取るのは至難の業です」)
 はたして、その通りになった。
 なにせ零の身長は、38.5cmである。
 ヒューン!
「ボールです」
 ビュンッ!
「ボールです」
『くそっ!』
 カキーン!
 偶に怪人が狙いすぎて1回バウンドした球は、零が見逃さずに打ち返し。
 気づけば、零の後ろにはボール扱いになった白球が幾つも転がっていた。
「ピッチャー、ノーコンですね」
『う、うるせー! ちっちゃくて当たりにくいとかずるいぞ!』
「当てる気なんですか」
 怪人の抗議をさらりと受け流し、零はバットを構え直して少し前に出る。
「野球だったら今頃、フォアボールの連続で満塁ですよ? 次に自分が打ったら、本来なら4点ですよ。でも今回は色々あれなので、退ける爆弾は3個で勘弁してあげます」
『え……お、おう! 減らしてくれるのか!』
 数が減った、と言う所に気を取り直した怪人が、球を投げる。
 その瞬間、零は打席ギリギリに下がった。球が目の前で地面にバウンドし、跳ね返ったところを狙ってバットを振るう。
 カッキーン!
「では、退ける爆弾は3つと言う事で」
『ちくしょぉぉぉぉぉ!』
 崩れ落ちる怪人の後ろで、キレイな弧を描いて飛んだ白球が、吸い込まれるように爆弾に当たった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


●あと5球
 すでに怪人の精神は結構弱ってる気もするが、スタンドの爆弾はまだ健在。
 あと5発は当てる必要がありそうだ。
『さ、さあ、次は誰だ……俺はまだ本気を出していないぞ』
 明らかにわかる虚勢を張って、怪人はマウンドで立ち上がった。
モッチ・モチ
たとえ爆発しても案外あのカップル助かったりしませんか?しない?なら助けない訳にはいきまセンネ。残念デス♪

ホームラン、デスカ。バットじゃなくてこういうのでも良いんデスカ?(人の身の丈ほどもある食器ナイフ型グルメツール)
ユーベルコードのグッドナイス・ブレイヴァーで視聴者に対決の模様をお届け!召喚したドローンに向かって「頑張りマス♪」とウインクなんかを

ユーベルコードの効果で強化したナイフでボールを打ちます!
(打ったあと)「安心して下サイ、峰打ちデス♪」
(アドリブ、他キャラとの絡みお任せします)


高柳・零
おや、まだ立ちますか。そのまま倒れてた方が幸せだと思いますが…。

玄信さんに耳打ちします。
「あいつの気を何処かに引きつけてください。その隙に自分は爆弾を破壊します。方法はお任せします。出来るだけひど…派手な方法で」

玄信さんが気を逸らしたら、怪人が見てない方向の爆弾をジャッジメントクルセイドで破壊します。

怪人の疑問には
「通りすがりのカラスがつついたんじゃないですか?」
「ユーベルコード?ああ、無敵城塞を使いました。打球が飛んで来た時のために」
「一瞬明るくなった?通りすがりのUFOじゃないですか」
などと答えます。

アドリブ、絡み歓迎です。


山梨・玄信
「成る程。要は奴がスタンドを見れないようにすれば良いんじゃな。手段は問わないと。まあ、ここまでも何の遠慮もしとらんがのう」

【POWを使用】
では、バットを持って打席に立ち、4球目は空振りするぞい。代わりにバットがスタンドまで飛んで爆弾を直撃するのじゃ。

別のバットを持った5球目は範囲攻撃で打ち返すぞい。範囲攻撃なのでピッチャーも巻き込んで吹っ飛ばすかもしれんが、これは不幸な事故じゃ。

6球目はもう一度第六感と見切りで普通に打つぞい。打った直後にマウンドにアースジャイアントを召喚。怪人に抱きつかせるのじゃ。
「これは、マウンドの精霊…お主は野球の神に愛されているのじゃな(棒)」

アドリブ、絡み歓迎じゃ。


亜儀流野・珠
ふむ。とにかくボールを打って飛ばせばいいんだな?
その辺に置いてあるバットを借りて…さあ正々堂々勝負だ!

奥義「大薙ぎ」!バットを巨大化させ、「怪力」にて「薙ぎ払」う!
でかいから高くとも遠くとも当たるぞ!
どのような球でも「第六感」で「見切」って軽く吹き飛ばしてくれる!

しかし球が小さすぎて打ち応えが……ああ、あるじゃあないか、丁度良い大きさの白球が!
さあ頭をこちらに向けろシラタマ怪人よ!



●獅子搏兎
「おや、まだ立ちますか。そのまま倒れてた方が幸せだと思いますが……皆、ちょっとよろしいですか?」
 再び立ち上がる怪人を見て手招く零に、玄信とモッチ・モチが集まる。
「あいつの気を何処かに引きつけて――」
「成る程。要は奴が――手段は問わないと」
「ええ、出来るだけひど……派手な方法で」
「時間稼ぎならお任せくだサイ?」
「お。やってるやってる。何の相談だ?」
 そこに合流した亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)も加わり、猟兵達は怪人に聞こえないようにひそひそ作戦会議。
『~~~おいっ! いつまで相談している!』
「お待たせしマシタ!」
 待ってくれてた怪人が流石に痺れを切らしたところに、モッチが進み出た。
「始める前に、1つ聞きたいのデスガ」
 打席に入りながら、モッチが問いかける。
「爆発しても案外、あのカップル助かったりしまセンカ?」
『吹っ飛ばす。そこに慈悲はナイ』
「まあ、助けない訳にはいきまセンネ。残念デス♪」
 怪人の微妙な回答をそれ以上追及せず、モッチは動画撮影ドローンを召喚した。
「みんなー♪ 元気デスカ? 猟兵デス。今日は怪人とバッティング勝負デス」
 そしてドローンに笑顔でピースサインなんかしながら、打席に入る。
 モッチの手にあるのはバットではなく、薙刀と見紛う銀のナイフだった。形状は食器ナイフだが、サイズは身の丈ほどもある。
「バットじゃなくて、こういうのでも良いんデスカ?」
『え? それボール切れちゃうだろ?』
 それを見た怪人が、不安そうに言い返す。
「そこは安心して下サイ、峰打ちデス♪」
『ならば良し!』
 だが、モッチの一言であっさりと承諾が出た。ちょろいなー。
『では――』
「――頑張りマス♪」
 銀のナイフを構え、モッチはカメラに向かってウィンク1つ。
 すると銀のナイフが、次第に輝き光を放ち出した。
 此処はキマイラフューチャー。視聴者には事欠かない。
 そしてドローンを飛ばせば、怪人だって動画配信してんだろうなってくらいの見当はつくわけで。
『おおっと、手が滑った!』
 わざとらしい言葉と共に怪人が投げたボールは、モッチの顔面を狙ったストレート。
 だが、その球は空を切った。
「残像デス♪」
 いつの間にか向かいの打席に立っていたモッチが、ドローンカメラに向かってポーズを決めれば、ナイフの輝きがさらに強くなる。
『なん……だと……』
「さあ、どんどん来るデス!」
 カーン!
 カーンッ!
 そして輝く銀のナイフが立て続けに2球、爆弾へと打ち返した。

「もう一度勝負じゃ」
『いいだろう。二打席目をなしとは言わなかったしな――いくぞっ!』
 また打席に入った玄信に、怪人が鷹揚に頷き構える。
 怪人が投げたのは、速球ストレート。
 玄信のバットが空を切って、空を飛んで――スタンドの爆弾を直撃した。
「おっと。手が滑ったのじゃ」
『お前もかぁぁぁぁ!』
「疲れたかのう。バッター交代じゃ」
 怪人の抗議は無視して打席から離れた玄信に代わって、珠が打者となる。
「よし。とにかくボールを打って飛ばせばいいんだな?」
 珠はバットを手に取ると、ぶんっと1回素振りして感触を確かめる。
「さあ、正々堂々勝負だ! どんな球でも見切って軽く吹っ飛ばしてくれる!」
『望むところだ!』
 バットを突きつける珠に、怪人もボールを握った手を突きつけ返す。
 おお、野球っぽい。
『いくぞ――おりゃ!』
 そして怪人がボールを投げて――その時には珠のバットが巨大化していた。
『へ?』
「奥義『大薙ぎ』――吹き飛べ!」
 そして怪力でもって珠が振り抜いたバットは、怪人が投げたボールをカキーンッと打ち返し、驚く怪人も吹っ飛ばしていた。
「……あれ?」
 思わぬ手応えに、珠が目をぱちくり。
「でかくすれば、高くても遠くても当たるぞって思ったんだけど……」
 今の珠の大薙ぎが届く距離は、20mある。
 そしてピッチャーマウンドとバッターボックスの距離は、18.44mである。
 立ち位置で多少ずれるにせよ――20mあれば届いちゃうのだ。
「えーと……よし、頭をこちらに向けろシラタマ怪人よ!」
『何でそうなる!』
 倒れていた怪人が、珠の一言にガバッと跳ね起き抗議の声を上げる。
「いやさ。球が小さすぎて打ち応えがなかったんだけど……そっちの丁度良い大きさの白球は、良い手応えでな?」
『冗談じゃねえ!』
 珠の笑顔に危険なものを感じたか、怪人はマウンドから少し離れようと――ドンッ。
『ドン?』
 怪人が振り向いたそこには、玄信が召喚した大地の巨人が立っていた。
「それは、マウンドの精霊……お主は野球の神に愛されているのじゃな」
 ネクストバッターズサークルの中から、玄信が淡々と告げる。
 淡々とって言うか、棒読みだ。
『マウンドの精霊ってなんだー!? そんなの知るもんかー!』
 怪人の声はしれっとスルーして、玄信が腕を上げて降ろすと、巨人も同じように動いて怪人を押さえつけた。
(「自分の打席で使おうかと思っておったのじゃが……ここで使った方が、奴の注意を引けそうだしのう。我ながら酷い手じゃがまあ、今までも何の遠慮もしとらんしのう」)
 巨人に怪人を押さえつけさせたまま、玄信は胸中で呟く。
「えーと、巨人ごと打っちゃいそうだけど、いいのか?」
「マウンドの精霊じゃからな。オッケーじゃろう」
『オッケーじゃねーえぇぇぇぇ』
 怪人の抗議を珠も玄信もスルーして、容赦なくスコーンッ!

 一方その頃。
 零は1人、打席を離れて外野の方にいた。
 打席周りに見えないと思ったら。
「さて、ここまでくれば充分でしょう」
 怪人の注意がこちらを向いていないかと、零は振り向き確認する。大地の巨人に組み付かれたままバットを避けるのに必死である。大丈夫そうだ。
「さっさと破壊してしまいましょう」
 呟き、零はスタンドの爆弾に指先を向けた。
 ジャッジメント・クルセイド――天から降り注いだ光が爆弾を撃ち抜く。
 そして――ボッコボコにへこみまくっていた爆弾は、大穴を空けられ、ぱかっと真っ二つに割れた。
 それを見届け、零は打席の方へゆっくりと戻っていく――。
『ちょっと待て!』
(「あー、流石に気づきますか」)
 大地の巨人を振り切った怪人に呼び止められて、零が胸中で呟いた。
 さて、どうしたものか。
『なんだ今の! 何か光っただろ!』
「光った? 通りすがりのUFOじゃないですか?」
 怪人の追及を、零はしれっとかわした時だった。
 打席の後ろの方で、ガシャッと音が聞こえたのは。
「――開いた、檻が開いたよロミ!」
「ああ、ジュリ! 私達助かったのね!」
 檻の外に出て、ひしっと抱き合うキマイラ2人。
(「やっぱり爆破しとけば良かったデショウカ」)
「「それじゃあ僕達(私達)はこれで」」
 モッチは顔には全く出していなかったが、身の危険を感じたのか、2人はそそくさとスタンドを離れていく。
 何はともあれ、猟兵達の活躍で、人質は無事に解放されたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『リア充どもは爆発しろ怪人』

POW   :    リア充は爆破する!
予め【リア充への爆破予告を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    リア充は爆破する!!
【リア充爆破大作戦】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    リア充は爆破する!!!
単純で重い【嫉妬の感情を込めて】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●リア充の定義
 キマイラカップルがそそくさ立ち去って――ほんの少し後だった。
 スタジアムに、多数の足音が聞こえてきたのは。
「ここか?」
「さっきすごい光が見えたから、間違いないって」
「あ、いたわ! 猟兵さんよ!」
 何かすごい人数のキマイラ達が、ワイワイガヤガヤと集まって来たのは。
 何しろ猟兵が動画配信してたのである。
 再生数は鰻上りだっただろうし『おk、場所特定した』『近所のヤツ集まれー!』ってコメントが流れてたりしたのかもしれない。
 何はともあれ、猟兵が怪人を倒す瞬間を一目見ようと、野次馬キマイラ達が集まってきたのだ。
 そして――この現象が、怪人の頭の導火線に火をつけた!
『爆発動画もすぐミリオン。炎上告白ブームも止め、誘拐したカップルも救う。マウンドの精霊や通りすがりのUFOまで味方につける。そしてこの集客力!
 間違いない、猟兵はリア充だ!
 お前達がなんと言おうと、俺はお前達をリア充だと認定したぞ!』
 何か言いたいことを言って、怪人の手が頭にかかる。
 顔を覆っていた白をビリィッと破り捨てると、出てくるのは黒光りする丸頭。
 そして何処からか取り出した赤いマントを、一瞬で羽織る。
 何だろうこの無駄な早着替え。技能かな。
『ピッチャー怪人とは仮の姿。これが俺の本当の姿!
 俺は、リア充どもは爆発しろ怪人! リア充を爆破するものだ!』
 リア充どもは爆発しろ怪人は、赤い文字で大きく『リア充爆破』と書かれた炎が燃えるマントを翻す。
『ピッチャー怪人に扮している間のダメージが想定よりも大きいが、爆破すべきリア充を前に退くわけには行かない! せめて1人は爆破してやる!』
 怪人の導火線の火花が、バチバチと爆ぜる。
 さあ、最後の決戦だ!

 それはそれとして、観客の野次馬キマイラの中にカップルもいるかもしれないぞ。
 (うっかり巻き込まれても、多分きっと吹っ飛ぶだけですよ)
神羅・アマミ
ゲーッ!まさかピッチャー怪人はオーバーボディで中からビッグ・ザ…違った、リ爆人が出てくるとは…こいつぁ閻魔様でも見抜けなかったぜ(棒)?
1人は爆破してやるじゃと?ならば妾をやってみやがれーッ!

というわけで何故かバットをそのまま担いで怪人目掛け突進。
でも「うわッぶねーッ!」とか言って直前になってコード『見切』を発動し回避行動を取る。
つられて突進してきた怪人は野次馬の群れへと雪崩れ込み、ピンポイントでカップルを爆発させます(確定ロール)。

フラグを無事回収できたなら背後からノコノコ近づきポコポコ殴って適当にダメージ与えられたら満足。

プレの字数余ったしやっぱ妾もついでに攻撃の衝撃で爆発してフッ飛ぶわ。


鈴木・志乃
あーあー、こんなに集まっちゃって……
今日の個人配信は中止だな
観客を守るので精一杯だ
(苦笑)

【戦闘】
そーゆーことならあたしが一番リア充かもなあ!
(マイク【パフォーマンス】【衝撃波】【誘惑】
敵の注意を惹き付けながら爆破予告を言わせない)
猟兵配信者のブラックだ!
これ以上の爆破予告は許さねーよ、怪人!

とにかく急接近しながら執拗に光の鎖を投擲
足元か口元狙って投げるわ
転倒させられれば尚良し
まあフェイントだけどね
接近次第UCぶちかます
可能なら重ねがけしたい!

一、戦闘中の爆破予告を禁ず
二、これ以上の爆破を禁ず
三、その頭の火を消せ

敵攻撃は【第六感】【見切り】
【武器受け】【オーラ防御】
しながら【カウンター】で返す


高柳・零
POW
リア充をうっかり巻き込んでも問題無い?玄信さん大喜びの状況じゃないですか!敵だけでなく、味方にも気をつけねば…。

「自分の何処がリア充ですか?六無斎も真っ青の何もないテレビウムですよ。どうやって生まれたかさえ不明ですし」
前衛に出て壁役になります。
盾受け、武器受け、オーラ防御、見切り、耐性と名の付く物全てを使って防御します。
かばうを使って味方への攻撃も防ぎます。味方のうっかりから観客もかばいます。

リア充への爆破予告は2回攻撃で滅多斬りにして邪魔します。序でに鎧砕きもしておきましょう。
客席に爆弾を投げようとしたら天斬りで斬ります。
「RBは骸の海でやってください」

アドリブ、絡み歓迎です。


亜儀流野・珠
以前戦ったチョコ頭もリア充爆破に執心していたな。
何が奴らをそんなに惹き付けるんだ…
…うむ、よくわからんな!
とにかく爆破は迷惑だから止める!それだけだ!

意外と頑丈な爆弾頭よ、覚悟だ!「千珠魂」…俺たち、召喚だ!
奴を囲むようにばらけてから突撃だ!皆で奴の体に張り付け!
…む、俺たちに張り付かれてる今のお前はリア充なのか?
それもよくわからんな!よし皆、奴を狐火で燃やしてしまえ!
その頭の爆弾はどれ程炙れば爆発するんだろうなあ?
最後は俺からの狐火もくれてやろう!

俺たちの一部は観客の護衛に回しておく。
何故か怪人以外にも何かの脅威を感じるからな。気のせいか?

※他の奴らの作戦が面白そうだったら積極的に混ざるぞ!


山梨・玄信
おお、獲物が沢山…ではなく、怪人にしっかりと正しいRBを叩き込んでやるのじゃ。

【SPD】
先ずは褌一丁になるのじゃ。観客の反応など気にせんぞ。
そして問う。リア充が羨ましいか、との。肯定したら未熟者と断じて、正しいRBを説くのじゃ。否定した場合は怪人のRBの定義を問うてみるのじゃ。
攻撃は最大速のシーブズギャンビットに鎧無視攻撃を乗せて斬りまくるのじゃ。意味もなく脱いだ訳ではないぞい。

反撃は見切りと第六感で予測し、シーブズギャンビットのスピードで躱すぞい。

「お主、リア充が羨ましいかの?」
「未熟者め!リア充に憧れる者は、皆リア充堕ちするのじゃ!」
「リア充とはおちょくって楽しむ存在じゃ」

アドリブ歓迎じゃ


モッチ・モチ
頭が弱点じゃないデスカネ?勘ですが
あ。あの導火線のところ切ってみるのもいいかもしれまセン

ユーベルコード「モッチモチフィールド」を自身の周りに展開!弾力のある念弾をいくつも作り出し、敵の攻撃をはじきマス!
そんな攻撃、効きまセンヨ!観客のリア充の方に弾いてしまったら、てへぺろして謝りマス

導火線はそうデスネ。ナイフを数本投擲して頭の導火線を狙ってみマス!
「そこが怪しいですね!てーい!」



●爆ぜたモノは
「あーあー、こんなに集まっちゃって……」
 野次馬の集まったスタンドを見回し、鈴木・志乃が苦笑を浮かべる。
 いつの間に着替えたのか。スタンド下のベンチから出てきたその姿は、パフォーマーとしての志乃の正装である黒スーツになっている。
「こりゃ、今日の個人配信は中止だな。観客守るので、精一杯になりそうだ」
 苦笑を浮かべたまま呟く志乃の目線の先には、空席がどんどん減っていく客席スタンドを見上げている2人がいた。
 リア充どもは爆発しろ怪人と、山梨・玄信である。
『……これだけ増えたら、リア充どっかにいそうだな?』
「おお、獲物が沢山……」
 怪人の漏らした呟きと、玄信の呟きが重なる。
(「こんなにギャラリー増えて……玄信さん大喜びしそうじゃですか! これは、敵だけでなく、味方にも気をつけねばならなくなりそうですかね……」)
 その様子に、高柳・零が胸中で呟いていた。
「おっと、いかん。獲物を物色してる場合ではなかったのう。今は、怪人に正しいRBを叩き込んでやるのじゃ」
 言うなり、玄信は上着を脱ぎ捨て、褌一丁になった。
(「本気ですか。これなら大丈夫そうですね」)
 その姿が玄信の本気の表れであると知る零が、胸中で安堵する。
 これで懸念は1つ消えた。残る問題は、怪人である。
「怪人よ。リア充が羨ましいかの?」
 スタンドの一部から聞こえて来る何やら黄色い悲鳴みたいなものは気にも止めず、玄信は怪人を指差し問い質す。
『……。羨ましさがない、と言えば嘘になるだろうな』
 少し考え、怪人はそう返した。
『リア充とは爆発させるもの。その根源に、嫉妬の感情があるのは事実。だからこそ、俺はお前達をリア充と認定した!』
「そこですよ」
 怪人の答えに、零が口を挟む。
「自分の何処がリア充ですか? 六無斎も真っ青の、何もないテレビウムですよ。どうやって生まれたかさえ不明ですし」
『六無斎? 何者か知らんが、お前は通りすがりのUFOを味方につけるリア充!』
 零の口にした名前に首を傾げながら、怪人はびしりと指差し言い返す。
(「あれを、そこまで信じてたんですか……」)
 でまかせを信じ込まれて、零はどうしたものかと少しだけ考えて――。
『リア充共よ、俺の嫉妬の感情の大きさを思い知れ!』
(「まあ、このままでもいいでしょう。どうせ倒す相手です」)
 怪人の頭上に巨大な爆弾が現れるのを見て、零は訂正するのをやめた。
『リア充は爆破する!!!』
 嫉妬の感情をたっぷり込めた巨大爆弾。怪人はその導火線を鎖の様に引っつかんで、巨大爆弾を鉄球の様に振り回している。
 今は、アレを何とかする方が大事だ。
「させません!」
 振り下ろされる巨大爆弾の前に、零が飛び出した。
 やたら分厚い魔道書にオーラを纏わせ盾代わりにし、受け止める瞬間を見切って、衝撃に耐えながら受け流す。
 巨大爆弾が叩いたのは、誰もいないスタジアムの地面だった。
 ドゴォンッ!
 次の瞬間、巨大爆弾が爆発した。
 その重さと爆発の衝撃で、周囲はクレーターと化している。
「言ってる事はわけわかんないけど、爆弾の威力はすごいな」
 その破壊痕に、亜儀流野・珠は、以前戦ったチョコ頭の事を思い出していた。
「チョコ頭も配下にコツコツ爆弾作らせて、リア充爆破に熱心にしていたな」
 その時の事を思い出し、珠が少し遠い目になる。
「一体、何が奴らをそんなに惹き付けるんだろう……」
『リア充爆破は手段ではない。それ自体が目的なのだ! リア充には判らんだろう!』
「よくわからんし、判りたくもないな!」
 判り合う気はまるでなさそうな怪人に、珠が迷わず言い返す。
「とにかく爆破は迷惑だから止める! それだけだ!」
『止められるもんなら、止めてみろ。俺はお前達を必ず爆破――』

「おっと、そこまでだ!」

 そこに響くマイクボイス。
 同時に光り輝く鎖が怪人の足元を打ち、その言葉を止めさせる。
「そーゆーことならあたしが一番リア充かもなあ!」
 マイクを通した志乃の声が、スタジアム中に響き渡った。
「猟兵配信者のブラックだ! これ以上の爆破予告は許さねーよ、怪人!」
 ――ワァァァァァァァッ!
 志乃の名乗りに会場が湧き上がるのも、これまでも『ブラック』として配信活動をしていたからこそ。そのマイクパフォーマンスと声の衝撃、振るわれる鎖に気を削がれ、怪人は爆破予告のタイミングを完全に失っていた。
 そしてそれ以上に、会場の湧きに怪人の嫉妬が燃え上がる。
『おのれ! だが爆破予告せずとも、纏めて爆破はできる!』
 怪人の真赤なリア充爆破マントが、ばさりと翻る。
 次の瞬間、奴の両手には大量の小型爆弾が現れていた。
『いくぞ――リア充爆破ァ大・作・戦!』
 そして怪人の手が、大量の小型爆弾を宙に投げ上げた。
「そんな攻撃、効きまセンヨ!」
 それを見たモッチ・モチが、広げた両手を爆弾の方に掲げる。
「モッチモチの沼へご招待デス♪」
 モッチの掌から、幾つもの念弾が放たれる。
 ただの念弾ではない。まるで餅の様に弾力のある自在念弾だ。
「これがモッチモチフィールド! そんな爆弾、モッチモチに弾いてあげマス!」
 その言葉通り、念弾に当たった爆弾がぽよんと弾き飛ばされる。
『くっ――ならば爆弾追加だぁ!』
「なんの。包み込んであげマショウ」
 怪人がさらに爆弾をばら撒けば、モッチは念弾を操り爆弾を包み込んでいく。
『ぐぅぅぅっ! ならば更に――』
「少し様子を見ておったが――未熟者め!」
 爆弾第三射を放とうと身構えた怪人を、玄信が一喝する。
「リア充に憧れる者は、皆リア充堕ちするのじゃ!」
 そして、まだ包まれていない爆弾の中に、真っ直ぐに突っ込んだ。
 残像すら残さない、彼が出せるほぼ限界の速度。その為の、褌一丁。
 残る爆弾の間を駆け抜け、一振りで数本の導火線を纏めて斬り落とし続け――。
「リア充とはおちょくって楽しむ存在じゃ」
 そのまま怪人にまで斬りつける。
『見解の相違だなっ!』
 怪人は、玄信の一撃に対して頭を庇うような素振りで防御した。
 それを見たモッチが、おや?と胸中で首を傾げる。
(「あの頭の導火線、弱点じゃないデスカネ?」)
 モッチの勘が、そう告げていた。
 ならば試してみるしかあるまい。
「そこが怪しいデスネ! てーい!」
 モッチが投げた銀のナイフは、怪人が首を傾けた事で、爆弾頭に当たった。
『痛いだろうが!? いきなり人の頭にナイフ! 俺じゃなかったら死ぬぞ!』
「無傷の方がショックデス……」
『無傷なもんか! ここ! ほら! 傷痕あるだろう!』
 しょんぼりしてみせるモッチに、怪人が頭の傷を指差す。
 見れば確かに、幾つもの切り傷や打撲痕みたいなものもあった。おかしいなぁ、いつ殴られたんだろうなぁ。
「成程。意外と頑丈な爆弾頭狙いか――俺たち、召喚だ! 千珠魂!」
 モッチの狙いに気づいた珠が、自身の小型の分身を呼び出す。
 現れた分身の数は、100を僅かに超えていた。
「ばらけて突撃! 皆で奴の体に貼り付け!」
「「おう!」」
 珠の指示で、小型の珠の群れが、わーっとスタジアムに散らばっていく。
『ぬ? ぬ? ぬ?』
 数で押す珠の作戦に、怪人は翻弄されていた。
 2,3体が怪人の一撃で叩き潰されたところで、戦闘用の分身は怯むことなく怪人に向かっていくのだ。ついには80体近くの分身が、怪人に取り付いた。
「なあ。俺達をリア充だと言ってたけど、だったら俺の分身たちに張り付かれてる今のお前は、リア充になるのか?」
『そんな事でリア充になるか! リア充は鎧ではない!』
「それも良く判らんな……ま、いいか! よし皆、奴を狐火で燃やしてしまえ!」
 あっさり納得して、珠は分身たちに指示を飛ばす。
「俺からも、いくぜ! その頭の爆弾、どれ程炙れば爆発するんだろうなあ?」
 至近距離からの小さいが無数の狐火に、珠自身も狐火を重ねる。
『や、やめ――ぐぉぁぁぁぁっ!?』
 ボウッと爆炎が立ち昇り――中から怪人がゴロゴロ転がって出て来た。
『危うく爆発するところだったぜ』
「何お主が爆発しかけとるんじゃ? 1人は爆破してやるんじゃなかったのかの?」
 そんな怪人に、神羅・アマミが挑発的に告げる。
『勿論そのつもりだ! お前から爆破してやろうか?』
「妾を? やれるもんなら、やってみやがれーッ!」
 言い返す怪人を更に挑発しながら、アマミは何故かまたバットを担いで怪人へ突っ込んでいった。
『良いだろう――くらえ、リア充爆破大作戦!!!』
 挑発に乗った怪人が、再び放り投げる大量の爆弾――そのひとつが突っ込むアマミの目の前に現れた。
「うわッぶねーッ! だが、妾には其方の攻撃が手に取るようにわかるのじゃ!」
 慌てたふりも一瞬。
 アマミが当てずっぽうで振ったバットが、カーンと爆弾を怪人に打ち返した。
『へ? ……い、いらんわい!』
 慌てて、アマミに爆弾を投げ返す怪人だったが、またすぐにカーンと打ち返される。
『いらんって!』
 カーン!
『言ってるだろうがぁ!』
 カーンッ!
 放っておいたら爆発するまで続きそうだが、アマミは打ち返しながら、徐々に客席の方に下がっていた。
 それに釣られて、怪人も前に出てきている。
『いい加減に――爆破されろ!』
「クハハハ! 見えておるぞ!」
 業を煮やした怪人が、今まで以上に力強く爆弾を放とうとした瞬間、アマミの姿が怪人の視界から忽然と消えた。
『何っ!?』
 驚く怪人だが、放たれそうな爆弾は止まらない。
「RBは骸の海でやってください!」
 そこに飛び出した零が、バスタードソードを一閃。天斬りの剣閃が、怪人の体を袈裟懸けに深々と斬り裂く。
 幾つかの爆弾が制御を失い客席に飛んで行ったが、それらは珠の分身やモッチの念弾で届く前に対処された。
『く、くそっ――うぉっ!』
 それを見て悔しげに呻く怪人の足を、光り輝く鎖が捉える。
 鎖がジャラリとなって、怪人をマウンドの方へ引き戻した。
「これ以上の狼藉、許されるわけないだろ!」
 鎖を手放した志乃が言い放つと同時に、その手から聖者のオーラが放たれる。
「戦闘中の爆破予告を禁ず!」
『ほう? 爆破予告をしたらどうなると言うのだ。お前を爆破してやるぐはぁっ!?』
 言ったそばから志乃の宣告したルールを破った怪人が、吐血した。
「そうなるんだよ。これ以上の爆破も禁ず」
『爆破はやめられんなガボハァッ!?』
 新たにオーラを放ちながら、志乃が告げた宣告に、再び秒で逆らう怪人。
「その頭の火を消せ――聞かないと、お前死ぬぞ?」
『構うものか。リア充爆破の火を消すのは、俺にとって死も同じ――此処で俺が散ってもリア充爆破の火が消えると思うな!』
 志乃の宣告にそう言い放ち、怪人は頭の導火線を寄り激しく明滅させる。
 そして、次の瞬間――。

 ドッカァァァァァァァン!

 猟兵達の目の前で、リア充どもは爆発しろ怪人は爆散したのだった。
 こうして、1つのリア充爆破ブームは猟兵達の手で食い止められた。
 もしかしたら、怪人の言い残した通りに、また新たなリア充爆破の種がどこかで燃えているのかもしれないが――今は、この勝利を祝おうではないか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月08日


挿絵イラスト