迷宮災厄戦⑱-7〜オウガ・オリジン・バトル・ロワイヤル
●我こそは、最強のオウガ・オリジン
色彩豊かな花畑――そこに、オウガ・オリジンが一人。
否、二人、三人、四人、五人……いっぱい。
美しい景色の中に佇む大量のオウガ・オリジンの姿はある種異様な光景だ。
「これだけ『わたし』がいれば猟兵共も簡単に葬り去れるだろう」
「というか、『わたし』だけで十分だと思うがな」
「は? それを言うなら『わたし』が一番強いに決まっているだろ」
「聞き捨てならんな。 一番だと? 一番強いのはこの『わたし』だ!!」
「やんのか!?」
「やってやんぞ!?」
いっぱいのオウガ・オリジンは完全に大惨事の幕開けフラグであった――。
●グリモア猟兵は惨状から目を逸らした
「えっと……新たなオウガ・オリジンの出現を、予知……しました」
そう告げるグリモア猟兵薄荷・千夜子(陽花・f17474)の視線はどこかへ彷徨い、口調もなんだか歯切れが悪い。
「どうお伝えすればいいのやら、なのですが……此度のオウガ・オリジンは現実改変のユーベルコードによって無限増殖の力をしています」
打倒猟兵と意気込み大量の自分を用意したと言うわけだ。
自身を複製したと言うことで一体一体の力は本来のオウガ・オリジンに比べれば弱くはなっている。
しかし、オブリビオン・フォーミュラであることには違いなく個体それぞれが強いと言うことには変わりはなく、その性格もかつての忠臣を戯れに殺すような鬼畜で残虐なまま――容赦なくこちらにもその力をぶつけてくるだろう。
「ですが、完璧に同じ『オウガ・オリジン』が生み出されたことにより問題点と言いますか――ある意味こちらの勝機が見えてきたと言いますか」
言い澱みつつ千夜子が言葉を続けた。
「それぞれが『自身が最も強いオウガ・オリジン』と言い張り、お互いがお互いを敵視して同士討ちしています」
馬鹿なのかな?
誰かがとても正直な感想を呟いた、気がした。
千夜子は無言であったが、その無言が肯定の意になっていることはその場の空気が指し示していた。
「このまま同士討ちを続けていれば最後のオウガ・オリジンになると言うことはなく、無限増殖を続けているのでこのオリジンバトルは放置していても終わらないのですよね」
見守っていれば勝手に自滅ということはないらしい。
残念。
「ですので、皆さんにはうまくオウガ・オリジンの同士討ちを狙いながらその数を減らしていただきたいのです」
お互いが顔を合わせれば同士討ちを始めるので、うまく誘導したり挑発をして複数体のオウガ・オリジンをぶつけることができれば事は有利に運ぶだろう。
「なんだか酷い現場にお送りするような感じになってしまい申し訳ありませんが……アリス・ラビリンスを救う為もう一息お力をお貸し下さいませ」
鬼灯のグリモアが優しく輝き――オウガ・オリジン・バトル・ロワイヤルの幕が上るのであった。
酷いな?
天藤
前作で終わっていた方が綺麗に纏まった気がしている天藤です。
オリジンちゃんおかわりシナリオをお届けしますが割とシリアスブレイクしています。ご注意下さい。プレイングがシリアスで届いたらちゃんとシリアスでお届けしますがネタOKとかになったら割とオリジンちゃんの扱いやらが酷くなる可能性があります。ご注意下さい(大事な事なので二回言いました)
ネタっぽい雰囲気になりますが判定はやや難の難易度相当に判定しますのでできるだけ得意な能力値での参戦をオススメしております。
●プレイングボーナスについて
本シナリオでは、『オウガ・オリジンの性質を利用して、群れに対処する』事でプレイングボーナスが発生します。
うまくオリジンちゃんの相手をしてやってください。
●プレイング受付期間について
プレイングの受付は【8/23(日)8:31〜】の受付です。受付期間外に届いたプレイングはほぼ対応できないかと思われますので送信にはご注意下さい。
多分プレイング受付締切は8/26(水)21:00頃の見込みです。多分これで戦争シナリオ最後になるかと思うのでプレイング返却期限までに書ける範囲で書いていく感じになります。
なのでいい感じにプレイング送信日がばらけていると対応可能になる可能性もあります。私の作業時間がどれだけ確保できるか次第なので返却がありましたらごめんなさいな感じで見てもらえればと。
それでは、プレイングお待ちしております!
第1章 集団戦
『『オウガ・オリジン』と無限増殖』
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POW : トランプストーム
【鋭い刃のような縁を持つ無数のトランプ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : わたしをお前の血で癒せ
自身の身体部位ひとつを【ライオン型オウガ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : フラストレーション・トルーパーズ
自身が【苛立ち】を感じると、レベル×1体の【トランプ兵】が召喚される。トランプ兵は苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:飴茶屋
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
エル・クーゴー
●WIZ
躯体番号L-95
当機は煽動工作に高い適性を発揮します
(すまし顔で物陰に陣取って電脳世界をピコピコし始める)
・【ウイングキャット『マネギ』】MAX召喚、オリジンちゃん達がモメてる所あちこちへ送り込む
・各マネギは電脳っぽいエフェクトをピコピコ漂わせながらオリジンちゃん達をじーっと観察して、やがて戦闘能力の数値換算結果を腹に抱えた小判に映し出す(撮影+情報収集)
・なんか電脳に強そうな外野が数字で優劣を提示して(たぶん皆同じ数値だろう)、オリジンちゃん達の競争心をますます煽ったれという目論見
・苛立ち紛れにマネギがぶっ叩かれた所で、どうせ一撃で破壊される系の頭数沢山居るやつだしエルの腹は痛まない
吉備・狐珀
自身の複製なら強さは同じ、と思えないのでしょうね(この状況は…)
けれどお互い協力するのではなくいがみ合うのなら、この状況を利用しない手はないですね
ウカ、ウケ、月代、協力お願いします
まずはUC【百鬼夜行】使用
魑魅魍魎をオリジンに向かって一斉に放つ
数は多いけれど一撃でしとめるとこができるからオリジンには赤子の手をひねるようなものでしょう
そこで驚き怯えてみせます
こんなに簡単に倒されてしますなんて貴女はとてもお強いのですね…
子供とはいえ龍が貴女を見て怯えています
私の眷属の狐達も…
貴女はこの世界で最強のオウガ・オリジンですね
あえて周囲に聞こえるようにおだてて他のオリジンを煽り同士うちを狙い数を減らします
●演技派女優?と戦力カウンター
「良いか! オウガ・オリジンたる『わたし』が最も強い個体だ!!」
「よく見ろ『わたし(別個体)』!! これだけのトランプ兵を一気に呼び出せる『わたし』こそが最強のオウガ・オリジンぞ!!」
グリモア猟兵に送られてやってきたこの戦場。
話には聞いていたが――。
「すでに大惨事ですね……自身の複製なら強さは同じ、と思えないのでしょうね……」
吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)は悲しそうに呟いた。
事実、トランプ兵の召喚数で今競り合っているようだがトランプ兵の数はどちらも同じだけ呼び出している。
一切差はないはずなのに、どうして自分が一番だと信じて疑わないのか。
「複数分裂してしまった事で知能指数までも下がってしまったのでしょうか」
然もありなん。
元々苛烈な性格であるらしいが、それを抜きにしても行動が幼い子供か何かのそれである。
「けれど、お互い協力するのではなくいがみ合うのなら、この状況を利用しない手はないですね――ウカ、ウケ、月代、協力をお願いします」
狐珀の呼び声に応えてその場にぴょこっと現れたのは、黒狐のウカ、白狐のウケ、そして月白色をした仔竜の月代。
何をお手伝いすればいいのかな?と見上げる三匹にこそっと耳打ち。
「皆、一緒にお願いしますね」
狐珀の言葉に三匹揃って頷けば、これから一芝居の始まりだ。
――生と死の狭間に彷徨うものよ 我に呼応し集結せよ。
狐珀の元に集うは魑魅魍魎の百鬼夜行。
数多の鬼や妖怪を従え、狐珀はオウガ・オリジンへと立ち向かう。
「オウガ・オリジン! 貴女の好きにはさせませんよ!」
「ふん、現れたか猟兵!! そのような雑魚どもの数を揃えただけでこのわたしに勝てると思うなよ……!!」
無限増殖で数だけ増やした貴女がそれを言うのか、思わず出かけた言葉をグッと飲み込み狐珀は凛とした表情を続けてみせる。
「やってみなければわかりません! 皆、力を貸して下さい!」
その背に控えていた魑魅魍魎がぞわりと動き出しまるで一つの塊のように蠢きオウガ・オリジンへと迫る。
「甘くみられたものだな……!!」
その程度でわたしに傷を付けられると思ったか、咆哮と共にトランプ兵を放てば、容易く魑魅魍魎たちは霧散する。
「……そんなっ!! この百をも超える異形の者たちを、一撃で!?」
驚愕の表情と共に狐珀が一歩後ずさる。
「まさか、今のがお前の全力だとでも言うのではなかろうな?」
「くっ……!!」
そんな事あるわけもないのだが、狐珀は一切そのような素振りは見せず悔しさを滲ませる。
そんな狐珀に寄り添う三匹の使い魔たちだが、彼らも耳は伏せ身体は震え怯えた表情を見せる。
「やはりオブリビオン・フォーミュラ……圧倒的な強さですね。 子供とはいえ、竜であるこの子も私の眷属たちも貴女の強さに怯えています……」
そして、ここで狐珀は声を張り上げた。
「貴女は……いえ、貴女がこの世界で最強のオウガ・オリジンですね!!」
「「「「「誰が最強だって!!!!????」」」」」
そして、当然の如くその発言に待ったがかかる。
一斉に狐珀が対峙していたオウガ・オリジンに他のオウガ・オリジンの抗議が押し寄せる。
「聞き捨てならんな。 最強はこのわたしぞ」
「今のを見ていなかったのか? あれだけの敵を一気に討ち取れるのはわたしだからだぞ」
「それぐらいわたしだってできるわ!!」
やいのやいの始めたオウガ・オリジンたちのそばに羽を生やしたぽっちゃり猫……どことなく招き猫を彷彿とさせるような怪しげな機械が舞い降りる。
『ドゥルルルルルルル……チーン!! 戦力算出完了』
オウガ・オリジンたちの注目を集めるは――ウィングキャット『マネギ』――これらを操るは、エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)。
彼女はその場におらず、少し離れた物陰に潜み状況を見守っていた。
「躯体番号L-95――当機は煽動工作に高い適性を発揮します」
その宣言を聞き取れるものは周りにいないが、その言葉通り扇動工作として戦場各地に放たれたマネギが行動を開始する。
『アナタノ戦闘能力ハ……』
ででん!
マネギがピコピコ音を鳴らしながらお腹の前に掲げた小判に数値が表示される。
『80』
「おい、低くないかそれ!?」
「ははは! 所詮お前がその程度だと言う事だな」
最大値や最低値について確認するようなオウガ・オリジンはいなかった。
「(さらなる追撃のようですね……今のうちに私たちは離れておきましょう)」
最初のきっかけを作った狐珀は、そっと使い魔たちと顔を見合わせそそっとその場から離れ様子を伺う。
『オマエモ80』
そんな中、嘲笑っていたオウガ・オリジンにもマネギは容赦なく判定値を提示していく。
わたしが同じ値になるわけないだろう!!と怒りを発露させるが――。
「本当にあの方々は自分たちが全く同じ能力で増殖していることを忘れているのでしょうか?」
エルのツッコミも残念ながらオウガ・オリジンには届かない。
自分が一番であるとそれぞれが自負している所為で起きているバグなのだろう。
「なんなのだ、このブサイクな機械は!!」
絶妙な数値を同列で見せることによりオウガ・オリジンのイライラはピークを越え、その苛立ちのままマネギを踏みつぶせば――。
チュドーーーーーン!!!!!
マネギが辺りのオウガ・オリジンも巻き込みながら盛大に爆発した。
「元々マネギは一撃で破壊される系の頭数沢山居るものですから」
どれだけ壊されようとエルの懐にダメージはない。
そして、どうせ壊されるのであれば盛大にかましてやろうと爆撃装置も仕込んでいたのだ。
「ふふふ、これが一石二鳥というやつですね……まずは一箇所殲滅、さて次は……」
木っ端微塵に吹っ飛ばされたオウガ・オリジンたちだが、この花畑のあちらこちらにまだ多数のオリジンがいるのだ。
「さぁ、マネギたち! 次のオウガ・オリジンたちの元へと向かうのです。 先ほどの女性の後について行くのが良いでしょう」
新たなオウガ・オリジンの元へと駆けた狐珀に続くようにマネギたちへ指示を出す。
彼女の演技と合わせてマネギの戦闘能力の数値掲示を続けていけばさらに守備よく進められるだろう。
「勢いよく、盛大に罵り合った末に爆発させてあげましょう」
何と言っても数だけはいるのだ。
次の獲物を目指し狐珀とエルもといマネギは戦場を駆けるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シャルロット・クリスティア
……馬鹿ですね。
自分の手で自軍の戦力をわざわざ削ぐことも無いでしょうに。
おかげでこちらは楽ですが。
早い話、敵同士をより狙いやすい位置に誘導してやればいいんでしょう。
いつもの狩りの応用です。
回避を誘発させる撃ち方、というのも心得ていますので。
こちらへの接近を阻むついでに、オウガ同士を一カ所に密集させるように撃って行きます。
乱戦が発生しているなら、そちらは放置。下手につついてこちらにヘイトを向ける必要はないですからね。
向こうがある程度は勝手に倒してくれると言うなら、こちらが倒す必要はありません。楽できるところは楽していきましょう。
ネーヴェ・ノアイユ
オリジン様の性格そのままに人数が増えてしまうと……。こうなりますよね……。
最初はアリスとして走り回ることで……。オリジン様(A)の気を引き、別のオリジン様(B)が居る場所へと誘導するように移動します。
オリジン様(A)の攻撃をオリジン様(B)を盾にするように動き……。仲間割れ……? を狙ってみようかと。
オリジン様同士で争いだしたら……。UCを展開してトランプ兵様の中を掻い潜り……。icicle scissorsにてオリジン様たちを刺していきますね。
あとはそれを繰り返したり……。アリスである身とUCを活かしてオリジン様同士を争わせながら戦っていきます。
❄私の言動も含めて……。ネタ大歓迎です……!
●アリスと狙撃手
「……馬鹿ですね。 自分の手で自軍の戦力をわざわざ削ぐことも無いでしょうに」
そう呟きながらも、その手に構えた大型の機関銃から正確な射撃を続けるのはシャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)だ。
ただただ、オウガ・オリジンを別のオウガ・オリジンの元へ誘導してやれば勝手に相手に戦闘をふっかけて行くだけ。
そして、自滅を狙うなり隙を突いて頭でも一発打ち抜いてしまえばいい――オブリビオン・フォーミュラ戦とは思えぬ簡単なお仕事である。
この広大な花畑で散り散りになったオウガ・オリジンたちをそれぞれが狙いやすい位置に誘導して行くことが今回のシャルロットの目的だ。
「いつもの狩りの応用です」
タン、タン、タンとオウガ・オリジンへ向けて弾を放つ。
「猟兵の仕業かッ!!」
シャルロットの放つ弾丸を避けるように後ろへ飛び退き――。
「ッ!? 貴様、わたしの邪魔をするなッ!!」
「飛び込んできたのはお前だろう!?」
オウガ・オリジン同士の背がぶつかれば諍いのゴングが鳴り響く。
どこからともなく弾丸を撃ち込んでくる猟兵より目の前の自分自身。
ギャーギャー喚きながら違いにその腕をライオンの頭部へと変形させお互いを喰らい合う。
「……本当に馬鹿ですね……おや?」
仕事が楽すぎて不安になる、そんなシャルロットの視線の先――お互いを倒すべく戦闘を繰り広げているオウガ・オリジンたちの側を白い影が駆け抜けた。
白い髪を靡かせ、オウガ・オリジンの背にそれぞれ氷の鋏を突き立てるはネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)。
「(どなたかは存じませんが……オウガ・オリジンたちの動きを上手く誘導してくださる方がおりますね……)」
オウガ・オリジンたちがいたる場所に現れているため、単独で駆けるのは厳しいか――そう思っていたところどこからか放たれる弾丸により、オウガ・オリジンたちが一箇所に集められていることにネーヴェは気付きその隙をついた形だ。
「……同じように、オウガ・オリジンを追い込んでくださる方がいるのならば……!」
ネーヴェは、雪のように白い箒に跨り空へ舞う。
大きな声を出すことは得意ではないけれど、今は一番目立てるように――。
「……私は、アリスのネーヴェ……!! 始まりのアリスであり、始まりのオウガであるオウガ・オリジン様ならば……私を捕らえることなど容易いでしょう?」
「ッ!! アリス、アリスじゃないかッ!!」
「あのアリスを喰らって我が力とし、他のわたし<オウガ・オリジン>を圧倒してやろうじゃないかッ!!」
上空へと姿をネーヴェが姿を見せたことで辺りにいたオウガ・オリジンたちの狙いが一斉に彼女に向けられる。
「まさか自身を囮に使うとは……では、彼女の移動をサポートしつつオウガ・オリジン同士をぶつけるとしましょう」
その度胸買った――引き続きオウガ・オリジンの動きを牽制しつつネーヴェの援護をとシャルロットが銃を構え直す。
「(上手くオリジン様同士をぶつけられるように……)」
シャルロットの援護射撃を背に、花畑を箒で駆け巡る。
パッと氷壁を展開し、それを蹴ることで急旋回。
オウガ・オリジン同士をぶつけ――。
「アリス!! 捕まえ……!?」
「急に出てくるなッ!! わたしの邪魔をする気か!」
「や、やーい……! このおっちょこちょいー……!」
背後からネーヴェ渾身の煽り台詞(慣れていない)。
そして、次の瞬間には身を隠すようにユーベルコード六花の万華鏡を展開。
「貴様! 邪魔をするだけでなくわたしを馬鹿にするか!」
「はぁ!? わたしが何を言ったと!?」
ネーヴェの言葉すらも他のオウガ・オリジンが発したかと勘違いするほどの短気っぷり。
本当に頭が悪い。
「「死ねッ!!」」
お互いに向けて多数のトランプ兵を放ちそれぞれを攻撃し合う。
そっと展開していたユーベルコードでネーヴェはトランプ兵たちを弾きつつ次のオウガ・オリジンの元へと駆ける。
「上手くいきました……! この調子で……次はあちらのオリジン様たちのところへ……」
「いえ、あそこは勝手に自滅するでしょう」
ネーヴェが目指そうとしたのはすでに複数のオウガ・オリジンたちが乱戦を繰り広げているところ。
そこへシャルロットが駆けつけ、そっと別の場所を指差す。
「ある程度同士討ちを誘発できているのならば勝手に倒れてくれるでしょう。 すでにアリスとして貴女が目立ってくれています」
ですから、下手に突いて乱戦の規模を大きくするよりも少数のところを確実に攻めていきましょう――そんなシャルロットのアドバイスにネーヴェがコクリと頷いた。
「とても残念と言うべきか、感謝すべきか――本当にオウガ・オリジンは馬鹿なようです。 であるならば、楽できるところは楽していきましょう」
「……は、はい! あの性格そのままに人数が増えてしまった場合についてを考慮できていなかったということですからね……」
自身への理解が足りないのか、自己を過大評価しすぎてしまっている所為か――オウガ・オリジンは完全に猟兵たちの掌の上で踊らされている。
「引き続き援護は行います。 上手く誘導していきましょう!」
「……お任せ下さい……!」
それでは、それぞれの役目をと二人はまたオウガ・オリジンたちの元へと駆け出すのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
木常野・都月
同士討ち?
なんでそんな事に。
というか、オウガ・オリジンが増えたらそれだけ敵が増える…?
いや、これは考えたらダメなやつだな?
とりあえず、お互い殴り合って消耗しているんだから、全部燃やせば解決でいいよな。
お互い殴り合ってる中、水を刺すのも悪いから、俺はどこかでこっそり隠れておこう。
杖だけこっそり物陰から出して、UC【エレメンタル・ファンタジア】を炎の竜巻で攻撃したい。
俺は発動後は、物陰に隠れておこう。
そうだ、結果はどうあれ、全部倒せれば、任務終了のはず。
万が一隠れてるのがバレたら、全力で応戦したい。
[野生の勘、第六感]で敵の攻撃に[属性攻撃、カウンター]で対処しつつ、[範囲攻撃]で応戦したい。
●きつね は かんがえるのを やめた
「この『わたし』こそが最強だと言っているだろう、『わたし(これは別個体を差します)』!!」
「調子に乗るなよ、『わたし(これは先程発言していた個体のことです)』!!」
「やる気ならまずは貴様から殺してくれるッ!!」
「それはこちらの台詞だッ!! お前が死ねッ!!」
物陰からこそりと様子を伺う木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は、何が起こっているのだ……という表情でその光景を見ていた。
「同士討ち? なんでそんな事に……」
本当にな。
本来であれば猟兵たちを数で圧倒するための戦法だったはずだ。
それなのに当初の目的を忘れてオウガ・オリジン同士で諍いを始めている……。
「そうか、獣の縄張り争いみたいなものだな? でも、その相手は自分自身で?」
再度、都月の頭に大量のクエスチョンマークが現れる。
都月にはオウガ・オリジンの考えが理解できなかった――が、多分理解できるものはいないと思うの安心して欲しい、君は悪くない。
「というか、オウガ・オリジンが増えたらそれだけ敵が増える……? いや、増えるはずなんだが本体同士が敵になるな……?」
これは考えたらダメなやつだな?
正解です!
多分これは考えるな、感じろとかそういう類のやつなのだ。
それもちょっと違う気がするけれど。
「うん。 とりあえず、お互い殴り合って消耗しているんだから……全部燃やせば解決でいいよな」
都月はそう結論付けた。
オウガ・オリジンは倒さねばならぬ相手であり、敵なのだ。
何か理解できない行動をしているけれど、ある意味隙だらけなのだから今がチャンスというやつである。
そうだ、燃やして行こう――何か某CMのようなフレーズが頭を過り、そっと手に握っていたエレメンタルロッドに力を込める。
「その程度のトランプ兵如きでわたしに敵うとでも!?」
「ハァァァ!? その言葉、そっくりそのままお返ししますけどー!?」
「(……トランプ兵の違い、全然分からないぞ……)」
実際のところ、彼女らの力は全くの同一。
同じ数のトランプ兵が飛び回り、互いを攻撃し、同じだけのダメージを与えていく。
違いが分からない都月が正しいのだ。
「そうだな、水を刺すのも悪いから……そっと燃やそう」
変に見つかると厄介(面倒)なことになりそうだという直感を信じ、物陰からそっと杖だけ出すと勢いよくファイヤー!と炎の竜巻を巻き起こす。
「「ギャァァァァァァァァ!!??」」
「うんうん、喧嘩両成敗というやつだな」
互いの攻撃でそれなりにダメージを負っていたオウガ・オリジンたちは都月の放つ炎がトドメとなり炎に焼かれて消えていく。
「よし、この調子で全部燃やしていけば任務遂行できそうだ」
また、少し離れた場所で盛大に乱戦を繰り広げているオウガ・オリジンを視界に捉え、都月は花の影に隠れながらそっと次の敵の傍へと近付いていくのであった。
成功
🔵🔵🔴
ヘスティア・イクテュス
【天花】
仲間同士で争うなんて醜い光景ね…
澪、ほら、突っ込んでいって自爆して諸共倒しなさい
オリジンの元へ向かう澪へはいい笑顔で手を振り
骨は拾ってあげるからね~(棒)
…そして起こった惨状に一言
澪…恐ろしい娘っ!
澪の黒い一言にはうん、そうねー(棒)
このサキュバス滅ぼした方がやっぱり世のためになるんじゃないかしら…?
OK、隙見てね!
いつも通りに澪を巻き込む感じで【範囲攻撃】
マルチ・ブラスター重力粒子拡散モードで!【鎧無視】
逃さないようプチヘス達にも『弾幕』の『援護射撃』を
(澪を)やったか!?
ええい、回避した澪をひっ捕まえてほっぺぐにぐにしてくれる
(ティターニアで『ダッシュ』し『追跡』【空中戦】)
栗花落・澪
【天花】
最強、ねぇ…
正直そんな1番に拘らなくても…って思っちゃうんだけど
万一の回避用に翼の【空中戦】でオリジンさん達の元へ
ねぇねぇ、貴方達ってそんなに強いんだ?
すごいなぁ、僕弱いから憧れるなぁ
一緒に戦ったら僕にもわかるかな?
でも全員とは流石に…
じゃあ、オリジンさん達の中で1番強い人と戦ってみたいな!
ね、ダメ?
本人はただの挑発のつもりで【指定UC】
僕のために争って作戦…が
無意識の【誘惑】のせいか異常に効果が出てしまい
思わずキョトンとしてヘスティアさんを見て
…なんかすごい張り切っちゃった
思ったより単純になってるのかな(悪気無し
あとは隙見てやっちゃって!
巻き込みは先読み回避
もう慣れたもんねー(べーっ
●戦いは終わっていなかった
「死んでしまえ、そこのわたしッ!!」
「その程度でわたしが倒せると思っているのか、わたしッ!!」
わたしがゲシュタルト崩壊しそうな光景を冷めた目線で見つめるのはヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)。
「仲間同士で争うなんて醜い光景ね……」
お前がそれを言うのか、そんなツッコミが飛んできそうな言葉をしれっと飛ばす。
敵ごと対艦ミサイルで爆撃しようとしたり(二回行っている)、分厚い本の角が当たるように思いっきり投げたり……どれもまさかの戦争中の出来事である。
すでにそんな大惨事な状況を三度も起こしていては説得力も皆無というものである。
「澪、ほら、突っ込んでいって自爆して諸共倒しないさい」
「だからなんで自爆前提なんだよー!!」
そして、三度それに巻き込まれているのがこちら――栗花落・澪(泡沫の花・f03165)である。
可哀想にね。
でも、一番可哀想なのまさかの四度目に巻き込まれているけどここにはいない誰かじゃないかな?という気もしますね、どうなのでしょう。
「僕が自爆しなくともオウガ・オリジン同士をぶつければ済む話でしょ!!」
「でもそれはそれとして、澪の自爆は必要じゃない? 私のために」
「必要じゃないよ!!」
このままだとオウガ・オリジンたちの争いとさして変わらぬ醜い争いが起きてしまう。
軌道を戻さなければ……!ツッコミを放棄し、澪が翼を広げて空へ舞った。
「最強、ねぇ……正直そんな一番に拘らなくても……って思っちゃうんだけど」
残念ながらオウガ・オリジンはそのようなタイプでなく、自身が誰よりも強いと信じておりその対象が自分であってもというさらに残念なことになっているのだ。
もうどうしようもない、というやつである。
とはいえ、オウガ・オリジンは倒さねばならぬ相手でありこの状況は猟兵たちにとって利用しやすいものであるのは確かだ。
そっと、オウガ・オリジンたちの元へと羽ばたくとキラキラと瞳を輝かせ――。
ねぇねぇ、貴女たちってそんなに強いんだ?
すごいなぁ、僕弱いから憧れるなぁ……。
貴女たちと戦ったら僕すぐに負けちゃいそうだよ……。
大袈裟とも言えるようなオーバーアクションとともに、褒め称えシュンと萎みながら自身の力の無さをアピールする。
そして、きゃるんと可愛らしく微笑みながら見下し(注:本来なら上目遣いを決めたいところだが、空から話しかけているのでこうなっているだけで女王様モードではないことをご留意頂きたい)トドメの一撃<おねがい♡>
「どうせ負けるなら……オリジンさんたちの中で『一番』強い人がいいなぁ……ダメ?」
「「「「いいともーーーーーーーー!!!!!!」」」」
番組が違うッ!!!!!!
と、オウガ・オリジンたちのテンションが一瞬おかしくなってしまったものの闘争の火が先程以上に着いてしまったのは明らかで。
無意識の誘惑(技能値254が十倍の効果を発揮)によるとてもヤバイ一言。
「あの者を倒す最強なるオウガ・オリジンはこのわたしだッ!!」
「ほざけッ!! わたしが一番だと言っているだろうが!死ねッ!!」
「その程度のトランプ兵しか出せぬくせによく言うわッ!!」
舞い散るトランプと血飛沫――悪化する醜い争い――。
そそっと巻き込まれぬようにその場から少し離れつつ、あれ?と小首を傾げてヘスティアを見つめる。
「……なんかすごい張り切っちゃった」
「これを無意識でやらかす……澪、恐ろしい娘(注:生物学的には男である)っ!!」
ズガビシャーン!!とヘスティアの作画が少女漫画的なあの顔になっているが澪はキョトンとしたまま。
「思ったより単純になってるのかなぁ?」
「ウン、ソウネー」
無意識が恐ろしいとはこのことである。
だから、胸がどうとか軽く言ってしまえるのだ許すまじ。
無意識な行動が何かを滅ぼす前にこのサキュバス滅した方がやっぱり世のためになるんじゃないかしら……?
ヘスティアは訝しんだ。
「まぁ、おかげで隙は狙いたい放題だし――ヘスティアさんやっちゃって!!」
「OK、任せて! いつも通りに(澪を巻き込む感じで)やってやるわ!! プチヘスたちも援護を頼むわよ!!」
オウガ・オリジンたちは己との戦い(ここの文言だけ見るとカッコよく見えるね)に勤しんでいるため詠唱時間はたんまりと。
邪魔されることなく詠唱を終え、マルチ・ブラスター重力粒子拡散モードで一斉に破壊光線を放つ。
もちろん、オウガ・オリジンたちの近くにいた澪も射程に捉え――。
「やったか!?」
ダメだ、ヘスティアさん!その台詞はフラグだ!!
「へへーん、もう何度目だと思ってるのさ! 慣れたもんねー」
澪はヘスティアの攻撃タイミングに合わせて一気に空中旋回しあっかんべーと余裕の表情。
「えぇい! ひっ捕まえてほっぺぐにぐにしてくれる!!」
「簡単には捕まらないよーだ!」
地上のオウガ・オリジンたちは綺麗に焼き払ったものの、次はまさかの空中で始まる仲間同士の戦い<醜い争い>――。
そう、戦争はまだ終わっていないのである……。
僕たちの戦いはまだ始まったばかりだ!!
☆――ヘスつゆ、次の戦争にご期待ください!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ライラック・エアルオウルズ
いやはや、醜い戦いだ
思わず静かに眸逸らせども
仲間割れは好都合だね
御機嫌よう、お嬢さん方
少うし質問して良いかい?
――ああ、待っておくれ
流石に全ての声は聞けないし
『代表者』を決めて欲しいな
我こそが、と云うひとをさ
何て、《言いくるめ》て誘導し
争う火種、ひとつ投げてみて
侭に高みの見物をしたくあるが
それなりと数が減ったのならば
もうひとつ、を問いと投げよう
決まらない?ならば、仕方ない
残った君たちに問うとしようか
『この中で一番強いのは誰?』
――その子と戦いたいのだけど
しっちゃかめっちゃかな答えに
好奇心が満たされる訳も無く
隙突いて放つ黒獣で喰らい
仲間割れな自滅も見守り乍ら
深く、深く、息を吐く
ああ、矢張り、醜い
●語る物もない
「おい、『わたし』! わたしの邪魔をするなッ!!」
「邪魔をしているのは『わたし』だろうがッ!!」
その言葉だけを聞くと一体何を言っているのかという状態である。
声も姿も全く同一の存在が、お互いに向けて罵声を投げつけている様を呆れ交じりに見つめるのはライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)である。
罵声がまるでサラウンドのように響き渡り耳障りも悪い――全くたまったものではない。
「いやはや……醜い戦いだ」
ある意味こちらの精神を削ってくるものではあるな、と小さく呟きながら視線を逸らすかの如く双瞼を一度閉じた。
「――しかし、仲間割れをしているというのは好都合」
それならば、その状況を利用させてもらうまで。
「ご機嫌よう、お嬢さん方」
相手がオウガ・オリジンでもライラックの態度は変わらず。高圧的にもならず、謙るわけでもなく、只々紳士的に問いかける。
「少うし質問して良いかい?」
しかし、それに応えるオウガ・オリジンは――。
「五月蝿いッ!!」
「邪魔をするか、猟兵ッ!!」
「まずは貴様から喰らってやろうかッ!?」
「おい、今わたしを無視したな!?」
「猟兵如き、わたしの力があれば――」
「わたしの方が強いとさっきから言っているだろうッ!?」
好き放題にそれぞれが声を発する。
もちろん協調性も何もなく、同じ声で違う言葉が矢継ぎ早に投げつけられ思わずライラックも顔を顰める。
「――あぁ、待っておくれ。 すまない、僕は『君たちのように優秀』ではないからね……流石に全ての声は聞けないし」
そして、穏やかなトーンのまま言葉を続ける。
「『代表者』を決めて欲しいな――『我こそが』と云うひとをさ」
言葉の火種をそっと投げ込む。
その言葉、一つ一つは大したものではない。
しかし、自己中心的でそれぞれが『己』こそが一番だと思っている彼女たちに新たな闘争心を芽生えさせるには十分なものであった。
「『君たち』だと!? 優秀なものはわたしだけに決まっているだろう!?」
「ほざけッ!! わたしこそが最優のオウガ・オリジンである!!」
「貴様に我々の代表者たる資格があると思うなッ!! 最も優れた力を持っているのはこのわたしだッ!!」
トランプ兵を撒き散らし、己の腕をライオンの頭部へと変化させればまるで共食いかのように互いを喰らい合う。
火種を落としたライラックの存在など、一瞬で視界から消してしまったかのように己自身であるはずの存在に敵意を向け容赦なく攻撃を仕掛ける。
しかし、同一の存在――同じようにダメージを喰らい、同じようにその力を癒していく。
「話をする代表者さえも決まらないのかい? ならば、仕方ない……問いを変えよう」
――この中で一番強いのは誰?
「「「「「わたしに決まっているだろうッ!!!!!」」」」」
声が揃ったのはここまで。
しかし、声が揃った途端互いに顔を見合わせれば――。
「調子に乗るなッ!!」
「もう息も絶え絶えな奴が何をほざくッ!!」
「わたし以外の存在を最優などと認めるか!!」
「全てわたしの血肉となればいいだろう!?」
「えぇいッ!! わたしの邪魔をするなと言っている!!」
一体何のために自身を増やしたというのか。
それさえも考えられぬ程度の存在、整合性も理性も感じられぬ存在――せめて物語性の一つでもあればまだこの好奇心ぐらいは満たされただろうに。
「これ以上はとても見るに耐えない」
深く、深く、吐かれた息とともに開かれたライラックのメモ帳から現れるは――埋まらない空白――好奇心という黒き獣。
それは、大きく口を開き諍いを続けるオウガ・オリジンたちを喰らい尽くすために駆け出した。
――ああ、矢張り、醜い。
成功
🔵🔵🔴
本・三六
扱い自由・お好きに
深い溝を掘ろう!
味方のため細ーい警告テープを引き
武器改造で『鉄芥』を鋭く変形させ怪力で地形破壊
相棒たちも召喚しよう
手伝ってくれ!労働の汗だ、うん、ボクが働くのは珍しいよ
『道敷』を齧って回復しておく
やあ久しぶり……元気そうな君を見ると安心するなあ
里心的な安心感というか
君らし……
噛みつきに来たら【早業で躱し鼻っ面に『黒賽子』をカウンター】で放ち挑発
そうだね。よし遊ぼう。怖い顔だけどさ、君らしいよ
動きを学習しつつ溝へと誘導、全力ダッシュ
さて、黒賽子で足元を狙う
あの突進力じゃ止まるのは大変だ、追撃し溝に落とすよ
時間稼ぎの間に相棒たちと数を削る
道敷をまた一齧り。最後まで全力で付き合うよ
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
な、何か可哀想なことになっているような?
まあ、だからと言って遠慮はしないわけですが。
『FRS』の弾頭を『FCS』で『炸裂弾』に変換、適当な場所を狙い発射しますねぇ。
そして、爆発音に気づいたオリジンさん達が集まるまでの間に【燦華】を使用し全身を『光』に変換、何処かの隙間に隠れますぅ。
オリジンさん同士が鉢合わせて交戦開始してくれれば良し、始まらなければ、私が姿を見せ『トランプ』を使わせれば確実にお互いを巻込むでしょう。
私自身は『トランプ同士の隙間』を利用し『光速回避』、オリジンさん達同士での交戦に気を取られ、私への注意が逸れたら『FRS』の[爆撃]で[範囲攻撃]しますねぇ。
●地の底への誘い
オウガ・オリジンの怒号や、他の猟兵たちが放ったであろう攻撃の音をBGMに、メカ鈍器――鉄芥を振り下ろしザクザクと花畑に似つかわしくない深い溝をひたすらに掘り進めていた男がいた。
その男は本・三六(ぐーたらオーナー・f26725)、この戦地へと赴いてから相棒であるバトルキャラクターズと着々とその溝を掘っていたのである。
もちろん、他の猟兵たちが巻き込まれないようにしっかりと警告テープも引くという準備っぷりである。
「うんうん、皆が手伝ってくれたから進みが早いよ」
きらめく労働の汗を拭い、ボクが働くのは珍しいよと呟きながら道敷という名の魔法の果実を一齧り。
それは力と癒しを齎す、魔法の果実。
一仕事を終えた三六にはいつもより心なしか美味しく感じるその味を楽しんでいると、空から可愛らしい声が降り注いだ。
「あの〜……何をなさっているんですかぁ〜?」
「罠をね、準備しているんだ。 オウガ・オリジンは数が多いようだからね」
空から声をかけた少女の名は夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
FRSを起動し、溝に落ちぬよう対策を取りながら三六へと話しかけていた。
「なるほど〜。 ここにオウガ・オリジンを誘導する形ですね〜」
「その通り。 皆がそれぞれオウガ・オリジンを引き寄せたり倒したりしてくれているようだからね、おかげでここまで大きく溝を作れたよ」
バーチャルキャラクターズを梯子のように積み上げ、るこるにそう答えながら、よいしょと三六は溝から這い上がる。
「準備はできた……後はここまで引き込むだけだよ」
「わかりましたぁ、私もお手伝いさせていただきますねぇ」
警告テープを回収している三六に、まずは私に任せてくださいと告げてるこるが空を駆けた。
戦場全体が見渡せるように上空に舞い上がり、様子を伺えばあちらこちらでオウガ・オリジン同士が罵詈雑言で罵り合いながら互いを喰らい合う。
「一体何のために無限増殖したのでしょうか……となる可哀想っぷりですね〜」
まぁ、だからと言って遠慮はしないのですが――と、両腕に装着したFRSの砲台を三六の仕掛けた溝の付近目掛けて炸裂弾を放つ。
「アリス・ラビリンスを守るため、その性格も利用させてもらいますよ〜」
休むことなく炸裂弾を連射。
我々はここにいる、それを示すかのように周囲に爆発音を響かせていく。
「猟兵かッ!?」
「調子に乗りおって……!! 纏めて仕留めてやるッ!!」
周囲にいたオウガ・オリジンたちがその音の場所へと向かいだす。
そこで待ち構える三六の姿を見て、るこるはまた別の場所へと飛んでいく。
「まずは一団、ですね……どんどん次を送って行きますよ〜」
地上からそんなるこるを見送り、三六は視線をこちらへと向かってくるオウガ・オリジンを出迎える。
こちらから動かずとも自ら仕掛けのある場所に向かってきてくれるのはありがたい。
「やあ久しぶり……元気そうな君を見ると安心するなあ。 里心的な安心感というか君らし……」
「貴様ッ!! 馬鹿にしているのかッ!?」
三六の言葉を遮るかのように、オウガ・オリジンはその腕をライオンの頭部へと変化させると頭から喰らうかのように大きく振り被る。
「おっと、危ないな……久しぶりの再会だと言うのに」
「お前のような奴は覚えがないなッ!!」
ギリギリの距離でオウガ・オリジンの攻撃を躱しながら紡がれる言葉の応酬。
「おやおや、残念だ。 ボクは何度か君に会っているのだけれど……君の記憶力はそこまでだ、と言うことだね?」
三六は既に何度かオウガ・オリジンと交戦している。
その都度の記憶がオウガ・オリジンに継承されているのかは知ったことではないのだが――彼女を下げる発言は確実に彼女の怒りを刺激する。
「貴様ァァァァ!!!! このわたしを馬鹿にするかッ!!??」
「そんなつもりはないけれど……どうだろう、そこの君はボクを覚えているかな?」
もう一人、三六に近付いていたオウガ・オリジンへと声をかける。
「………………ははッ! そこのが忘れていると言うのなら、最優であるわたしは覚えていると言うものよ!」
一瞬の間。
多分、このオウガ・オリジンも覚えていない。
ふふっと笑い、続け様に三六は調子に乗って隙を見せたオウガ・オリジンに黒賽子を放つ。
黒賽子から放たれるは一矢の光線――それは真っ直ぐにオウガ・オリジンの鼻っ面目掛けて飛んで行った。
「貴様ァァァァ!!!! このわたしを馬鹿にするかッ!!??」
「おや、どこかで聞いた台詞だね。 ほら、君たちは同一の存在――どちらの方が強いこともないんじゃないかな?」
「「貴様ァァァァァァ!!!!!!」」
重なる音声に、ほらねと三六が笑う。
「違うと言うなら証明してごらん。 その怖い顔もそっくりだ――とても君らしいよ」
おっと、同じ顔がもっともっとやってきたようだね。
るこるが誘導してきたらしいオウガ・オリジンたちをも煽りながら続け様に黒賽子を放つ。
「そちらのオウガ・オリジンさんがあなたを馬鹿にしているようですよ?」
「なんだと!? わたしこそが最強だと、なぜ分からぬッ!?」
「おい、今わたしに傷をつけたのはどいつだ!?」
「その先にいるオウガ・オリジンさんみたいです〜」
三六の元へ向かいながら、るこるはその身を光へと変換させ彼女らの隙間を縫いながら煽っていく。
そうして、互いが互いを気にするように――この先の仕掛けを気取られぬように手を回していく。
そして――互いを滅ぼすために飛び交うトランプ、自分自身を喰らい合うオウガ・オリジンたちの間を三六の黒賽子や、光と化したるこるの放つ爆撃が少しずつ少しずつデッドラインへと誘導していく。
「今だッ!!」
「お任せください!」
三六の言葉に従い、るこるが光の存在から人の姿へと戻り三六の手を取るなり空を駆け、一気にオウガ・オリジンたちの背後を取る。
「これで終わりだよ」
的確に、三六が狙うはオウガ・オリジンたちの足元。
一人が転べば、互いの足を引っ張るかのように雪崩れ込む。
バランスを崩した彼女たちを待つのは深く深く掘り下げられた大地の底。
「はい、これで一網打尽です〜。 最後は皆仲良くサヨナラしちゃいましょうねぇ」
溝へと落ちていくオウガ・オリジンたちへ向けて、るこるがFRSを最大火力で放つのであった。
互いを歪み合わずに立ち回れば数の力で圧倒できたであろうオウガ・オリジン。
己の力のみを過信したオブリビオン・フォーミュラは言葉通り足元を掬われその姿を消していった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴