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迷宮災厄戦⑱-16〜進撃のトランプ巨人兵団

作者：Chirs

『ＷＡＲＮＩＮＧ！！
　ＤＥＴＥＣＴ　ＳＵＰＥＲ　ＨＵＧＥ　ＥＮＥＲＧＹ　ＲＥＡＣＴＩＯＮ．　ＤＥＣＩＤＥＤ　ＴＯ　ＢＥ　ＡＮ　ＩＭＰＯＲＴＡＮＴ　ＯＰＥＲＡＴＩＯＮ　ＴＡＲＧＥＴ，　”ＯＢＬＩＶＩＯＮ　ＦＯＲＭＵＬＡ”．　ＩＭＭＥＤＩＡＴＥＬＹ　ＡＴＴＡＣＨＥＤ　ＴＯ　ＢＡＴＴＬＥ　ＰＬＡＣＥＭＥＮＴ．－ＮＯ　ＲＥＦＵＧＥ－』

「ええい、休む暇もないな！　ブリーフィングを始める」
　グリモアベースに響き渡る重低音の警報！　赤文字で強調表示される警告文！
　（自称）レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット（厨二系姉キャラＳＴＧ狂・f03431）がホログラム表示された豪華な執務卓に得意げに手を組んで語り始める。
「今回の作戦目標も『オウガ・オリジン』！　引き続きラスボスを叩くぞ。戦力が多過ぎる！」
　ベースに表示される『オウガ・オリジン』とトランプ巨人団の立体映像。ただの映像だが狂気的な暴威を感じる。そして、その戦いを盛り上げるかのような重厚なＢＧＭも……いや、このＢＧＭはグリモア猟兵の趣味だな。関係ないので置いておこう。
「相手はフォーミュラではあるが、今回も先制攻撃はしてこない。戦場は見渡す限りの平原。そこに」
　『オウガ・オリジン』とトランプ巨人団の立体映像が、一挙に大量表示！
「まただ、また数で押して来た。しかも、今回は忠実なオウガであるトランプの巨人に変身した上で増殖している。前回の同士討ち狙いの策はもう使えん。今度は逆に一糸乱れぬ統率をしているからな……逆を言えば一つの集合意識であるとも言える。そこを突く、という手は使えるだろうが……巨人の名は伊達ではない。そして、単体の時ほどではないとは言え、フォーミュラとしての素の能力の高さもある。力押しで行くならそれ以上の何かが欲しい所だな」
　二本指でピンアウトしてトランプ巨人団の立体映像を縮小表示に切り替えると、角度を変えて頭上からの俯瞰図にして見せる。
「一糸乱れぬ矢じり状の陣形だ。これは突破力が非常に高い、厄介な陣形だ。この、三角形の先頭から攻撃を仕掛け、二列目三列目と人数を増やしながら追撃をする……まあ、ボウリングのピンの様な陣形だな。半端な攻撃は全く通らないぞ。だが、この陣形特有の弱点もある訳だ」
　立体表示される、球。それがごろごろと転がり……トランプ兵団を全てなぎ倒す！　ストライク！
「こういう事だ。先頭の一点に、強力な攻撃を集中させろ。攻撃の前に体勢を崩す等して弱体化を狙っても良いな。むやみな接近戦は控えた方がいい。ただ、これほどの巨体となると逆に小さい種族の猟兵は有利に運べるかもしれん」
　ふーっと、深くため息をつきながらレイリスは全ての表示物を消し、執務卓の前にゲートを開く。
「私は見えた事件を解説するだけだ……実際の対応は諸君に任せる」
　そして、眼前に転送用のゲートを開く。
「では、往くがよい」

第1章 集団戦 『『オウガ・オリジン』とトランプ巨人団』

POW   :    巨人の剣 単純で重い【剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。 SPD   :    トランプ兵団 レベル×1体の、【胴体になっているトランプのカード】に1と刻印された戦闘用【トランプ兵】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。 WIZ   :    バインドカード 【召喚した巨大なトランプのカード】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。 イラスト：はるまき 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●かくあれかし
「うぇ～もはやかわいくすらないなんてひどい！　過去最悪の態度だよキミ！　んもー……ハイストップ！シンキングターイムッ！」
　文句を言いながらロニ・グィー（神のバーバリアン・f19016）が軽く手を振っただけで『オウガ・オリジン』とトランプ巨人団が消滅してしまった。【神帝（ゴッド）】の能力だ。全知全能の力が敵を灰塵へと還す。
「え、アレ？　終わり……？」
　あまりにもあっさりと片付いてしまったのであっけにとられる猟兵達。
「いやいやいや、そんな訳ないよねー。コレはちょっとした時間稼ぎさ。ゴロゴロ作戦は不首尾だった、みんなの力を合わせよう！　なんかいい感じに！」
　しかし、その全能性は限られた時間だけ。時が過ぎれば全ては無かった事になる。だが、相手に妨害されない時間は作れる。
「おう、この場に居る全員で相談する時間が作れるってかァ？　そりゃァいい。おっぱじめる前に改めて相談しようぜ」
　玉ノ井・狐狛（代理賭博師・f20972）はいち早く状況を理解し、猟兵達を集める。
「『おかわり』のオーダーが早ぇよなァ。しかも大盛りトッピング付きときた」
「そうだな。だが前回とやり方が違っても結果は変わらん。俺たちの壁となる悪は、全て滅びるんだ」
　大門・有人（ヒーロー・ガンバレイにして怪人・トゲトゲドクロ男・f27748）は敵の姿が無いので自慢のリーゼントを整えている。
「同士討ちさせるって手は使えねぇ。前回の様に檻に閉じ込めてってなァ厳しいなァ」
「ふむ……敵は大型なうえに頑強かつ強靭……しかし、それ故に動きが大振りで単調になるだろう」
　叢雲・凪（断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072）は戦闘中と変わらぬ様子。
「すごい数、でも陣形攻略すればいいんっすな！」
　家綿・衣更着（綿狸忍者・f28451）は妖怪煙で小さなヤマタノオロチを掌に作り出す。
「コレで驚かせて体勢を崩すっす！　あ、もちろん本番は超ビックサイズッスよ？」
　驚かせるのはバケラーの本分だ。
「では、私のジャミングによる認識阻害を付け足しましょう。驚かし易くなるはずです」
　ミレア・ソリティス（軍団たる「私」・f26027）がその提案に乗り、策を付け足す。
「いいねェ、面白くなりそうだ。他は？」
「やっぱりストラーイク！　するのが一番だよね？」
　無邪気に巨大な丸型ティーポットを作り出すスミンテウス・マウスドール（だれかが視てる夢・f25171）。
「今日のお茶会はゲーム大会に変更。種目はボーリング。茶菓子はトランプ兵。ちょっと硬そうだけど」
「うん、まァそーだよなァ。どー見てもストライクしてくれって感じだもンな」
「よし、そのティーポットをボクの力で不壊不朽の武器に変えて進ぜよう！」
「そのティーポットを投げる役も必要だよなァ？　アタシに任せときな」
「了解した、最初の一撃は任せる。だが、これはボウリングではないから、ピンを倒すだけでは終わらない」
　テリブル・カトラリー（女人型ウォーマシン・f04808）の合成音声が告げる。
「巨体を使った押し潰しは、単純だが厄介だ。しかしそれも、勢いがあればこそ……挫かれれば、つけ込む隙も出来る」
「レイリスの言ってた通り、遠距離攻撃だな」
　木霊・ウタ（地獄が歌うは希望・f03893）が掌で炎を燃やす。
「他者に変じての分身か。ホントに無貌の存在なんだな。可哀そうなカンジがするぜ……海へ還してやろう」
「ウタ君はいつでも優しいな」
　キャプテン・ハマーヘッジ（宇宙紳士・f28272）は愛車のエンジンを吹かしながら言った。
「へぇ、おっさんもバイク乗りか。なら手伝ってくれよ。正面からずれたポイントに突撃して注意を逸らす」
「うむ、引き受けよう。どの道今は派手な攻撃とは無縁でね」
「では、派手な攻撃は俺が引き受けましょう」
　クロス・シュバルツ（血と昏闇・f04034）が口を開いた。
「単純に巨大なモノが群体で襲ってくるというのはそれだけで脅威。正面から戦いたい相手ではないですし」
「貯めれば貯める程威力が上がる系のアレだな？」
「ええ、俺は目立たないようにしていますので囮はお願いします」
「その後は高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変にって奴だな」
「陣形さえ崩せればソレで十分だろ。しかし、何人いるんだ？」
　狐狛は一人ずつひーふーみーと数え始めて、
「１１人か。多過ぎじゃね？」
「フォーミュラである事に違いはない。第一、それでも数の上では不利だ。無論、数の上だけの話だがね」
「違いねえっす。これだけの猟兵が集まればもう何でもできるっすよ」
「じゃあ、滅茶苦茶にしちまおうぜェ」
「よし！　始めよう。時を、巻き戻すよ！」

●スペースヒーローズｗｉｔｈどろんバケラー
　ロニ以外は全て転送直後と何も変わらない状況まで時は巻き戻された。
「はい、思い出して！」
　ロニはぱちんと指を弾くと、猟兵達は無かった事にされた相談内容を思い出す！
「やる事は変わらん。だが」
「手順は了解した！」
　先陣を切るのは有人、いや違う。
「産まれた時から覚悟は完了してる──変、身ッ……！」
　白の強化外骨格に身を包んだヒーロー、ガンバレイだ！　なんかグロい物が近くに落ちてるが気にしてはいけない。
　ガンバーバイクを声高々に唸らせ、右方から巨人兵団に迫る！
「敵は大地を揺るがす進撃の巨人兵団……相手にとって不足なし、だ！　この宇宙紳士キャプテン・ハマーヘッジの姿を見よ！！」
　並走するのは打ち捨てられていた古いマシンを徹底的にカスタムした宇宙バイク、フューチャー号とそれを駆る宇宙紳士キャプテン・ハマーヘッジ！
（無理無茶無謀は承知の上さ！　我々の役目は、あくまでも派手に目立つことによる撹乱と目くらましなのだ！　作戦の成功を祈るぞ凪、そして戦友（とも）達よ！！）
「牽制役だからって、甘く見るなよ！」
　通常筋力の人間ではリロード出来ない重さと頑丈さを兼ねた『回転弾倉式大型拳銃』と高出力カートリッジを装填した旧式のリボルバー式光線銃『コズミック・ハート80's』がトランプ巨人団を撃つ！　だが！
「「「ナンオラー！」」」
　まるで歯が立たない！
「ガンバレーダーとガンバレイ・メットによれば口の中が弱点だが」
「容易く当てさせてはくれないな」
　それでも構わないとばかりに弾倉内の銃弾を全て叩き込んで行く。効果無し！　だが、二人のバイクの排煙が矢じり陣形の先端を包み込む！
「速やかに任務を遂行します」
　その上空を切り裂く翼！　【コード・テンペスト】空戦・宙間戦用エアロバイク型ユニット『ヴィントシュトス』と合体した戦闘機のミレアが認識阻害ジャミングを仕掛けながら閃光弾と煙幕弾を投下！
「「「ア？」」」
　ほんの一瞬視界は奪われたが何ら支障は無し。この矢じり陣形に隙は無い。一糸乱れぬ動きで整然と行軍し、全てを叩き潰すのみ。
「思考が単純なのは、それでも問題無い強さがあるから」
　地上から広げられた排煙と、空から投下されたスモーク。
「と、でも思わせておけば騙し放題っすよ！」
　その全てが、瞬時にしてヤマタノオロチ、古事記に記されし大怪物へと変じる！　その巨大さは、巨体を誇るトランプ巨人団すらも一口で丸呑みにしてしまえる程！
「「「ドコカラハイッコラー！？」」」
　しかも、その気配はあからさまにオブリビオン、即ちオウガ・オリジンにとっては同族のオウガを、或いは猟書家を思い起こす！
「「「ドカマテッパダラー！」」」
　幻影のヤマタノオロチに向って次々と投擲される巨大トランプ！　命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる危険な物だが、当然幻に当てても何の効果も無い！
「細工は流々、仕上げを御覧じろってなァ！」
　突然生じた地割れ！　それはトランプ巨人団を挟み込む断崖と化し、その正面を高く盛り上げる！

●マッドティーパーティに出遅れがちの大喰らい
「何してるの？　お絵描き？」
「いやいや、ちょいと霊験あらたかなペンで落描きをすりゃ、呪文の代わりになるってな」
「やっぱり落書きなんだ。スミンも描きたい！」
「ボクもボクもー！」
「後で！　後でやらせてやっからスミンはそこ動くなよ。ロニの準備はいいんだろォな？」
「はーい」
「もちもちー」
　四人が前線で陽動を仕掛けているその後方。狐狛は迦楼羅天ゆかりの羽根ペンで地面に線を描く。
「んー、角度がわりィか……ちょいこっち、もーちょいこっち……そォーだ、その位置だ。ロニ、スミン、行くぞォ！」
「はーい」
「おっけー！」
　丸型ティーポットの中から、スミンが、その脇からロニが答えた。
「作るのはそう急でもねェ、なだらかな坂道だ」
　狐狛は最後の仕上げを描き入れる。
「普段なら何の障害にもなりゃしねェ。攻撃手段に使うにしてもちと雑だ」
　大地が割れる。ゆっくりと、トランプ巨人団を下に、自分達を上へと持ち上げていく。
「だが、今この瞬間は……コレ、やらなきゃ損ってもンだろ？」
　シーソーめいて高低差のある一本のレーンを作り上げる！
「ガーターだけは勘弁してくれよな？」
「まかせて！」
　そして、その坂道を。丸型のティーポットが……おお、なんと！　ボウリング玉めいて転がろうというのか！
「我が前に敵は無し！　レッツ、ゴー、ゴー、ゴー！」

　巨大なヤマタノオロチの幻影はこの大胆な仕掛けをも包み隠した。トランプ巨人団に気付かれる事なく地面の沈下を完了させる。
「「「ナッコラー？」」」
　それは時間にしてはそう長い間ではない。何枚かの巨大トランプを投げればそれが幻だとは気付かれる。何せ、何の手応えも無い。
　だが、ごろごろというあからさまに巨大な何かが転がる音が聞こえる頃にはもう手遅れ。
「「「ザッケンナコラー」」」
　突如として出現したボーリングレーンめいた坂道を転がる巨大円形ティーポットに何枚かのトランプが張り付いた。本来であれば、ユーベルコードを無力化するそれがティーポットに張り付けばユーベルコードの生成物であるティーポットは消滅する。
　だが、そうはならなかった。
「オリジンちゃんの攻撃を弾き寄せ付けない耐性！」
「ぐるぐるしすぎてちょっと吐きそう」
　それはロニによって付与された力！　十分な回転数を得て僅かな曲線を描いたティーポットは先頭の兵と右隣の兵の間に直撃！
「「「グアー！！！」」」
　下の方に当たり、横向きに低く倒されたトランプ兵は互いにドミノ倒しになり転倒！　スミンはぶつかる直前に油断なく脱出！
「ティーポットくんは犠牲になったのだ……」
「割れてないよ！」
「よかった、犠牲になったティーポット君は居なかったんだ」

●不絶驟雨（ブレイクレスチェイン）
「今だ」
　テリブルが空中浮遊する無敵騎乗砲台からサイレントスナイパーライフル『グレーズ』による狙撃！　その狙いは過たずに口内へと突き刺さる。
「ここで大勢を決める。出し惜しみは無しだ」
　携行浮遊砲台『アルタミラ』が展開し、ミサイルをバラ撒く！　無敵騎乗砲台からも対艦砲を展開！　次々と砲弾を叩き込む！
「ＦＯＸ３、航空支援を仕掛けます」
　上級で急速旋回したミレアが多数の誘導攻撃端末を展開！　トランプ巨人団に張り付き継続的な射撃！　ハンターフォーメーション！　さらに『FR-03 多目的リアランチャー』で重力弾頭の小型誘導ミサイルを発射！
「凪さん、ウタさん、キャプテンさん、合わせてっす！」
　衣更着が忍者手裏剣を超連続投擲！
「デカい的だ、目を瞑ってても当たるぜ！」
　ウタが獄炎纏う焔摩天を振る！　剣先から頭部を目掛け、炎の剣風を連射！
「これだけの猛攻だ、今度は耐えられまい！」
　キャプテン・ハマーヘッジがフューチャー号から高々と跳躍！　旧式のリボルバー式光線銃『コズミック・ハート80's』と骨董品と呼べるほど古い光線銃を抜き二丁連射！　正確に口内を撃ち抜く！
「場にこれだけの金属があるのならば」
　ジンライ・フォックスは黒雷外装『鳴雷』を……解く！
「ボクにとっては絶好の狩場だ！　イヤァーッ！」
　黒雷その物と化したジンライ・フォックスは手裏剣を、銃弾を、砲弾を、攻撃端末を、ミサイルを！　次々と伝って稲妻の速さでの超連続攻撃！
「ボクに構うな、避ける。撃て！」

●絶雨（ブレイキングチェイン）
「了解しました」
　急上昇からの急降下！　ミレアは推力をほぼ直角に偏向し、急上昇！　華麗なシャンデルを決め、急降下突撃！　その機体下部には対大型目標・要塞用ランチャー『ノヴァ・バスター』！
「これだけの時間を頂けたのですから、きっちりと仕留めさせていただきます」
　巨人の後方！　潜伏し、只管詠唱を続けていたクロスが真に力ある言葉を紡ぐ！
「相剋の果て……世界を喰らいし無限の蛇は此処に来たれり。終わりにしましょう、相克する蛇龍の咆哮ッ！！（ウロボロス・ロアー）」
　天より降り注ぐ光の柱と地を舐め貪る闇の蛇龍の十字砲火！　光は闇を際立たせ、敵を喰らい増殖し拡大する影の蛇の吐息を更に強化！　衝突寸前で水平飛行へとミレアはブレイク。
「「「ザッケ、ザッケ……」」」
　数多の射撃、数多の攻撃を受けたトランプ巨人団。
「「「ザッケンナコラー！！」」」
　大きく負傷！　しかし、誰一人として倒されてはいない。なんたるオブリビオンフォーミュラ耐久力か！

●決戦の狼煙（カーテンライザー）
「それでいい。打ち上げ花火だけで終わらせる気は毛頭無い」
　無敵騎乗砲台からブースタ急加速で飛び掛かるテリブル！　その両手には汎用機関銃『クロスグロウ』と大型散弾銃『マットショット』！
「グアー！」
　１マガジンが尽きるまで撃ち続けつつ接近！　両手の銃を放棄すると背負った無敵斬艦刀を抜刀！
「戦艦を斬る刀、デカ物なら、断てぬ道理なぞ無い」
　ブースター加速力を生かした螺旋殺戮薙ぎ払い！　両断された二体のトランプ巨人が爆発四散！
「終わっちまったらどうしようかと思ったぜ。暴れ足りねぇんだ」
　ウィリーガンバーバイク轢殺突撃！　そのまま跳躍しトランプ巨人の一体に取り付いたガンバレイは口に銃口を突っ込んで撃ち抜く！　頭部粉砕、爆発四散！　再び跳躍し、ガンバーバイクの上に復帰！
「怒りに燃える正義の心を、その身に刻め！」
　ドリフト遠心力を殺さずに再跳躍し、ドロップキック！　反動を利用し、別のトランプ巨人へとリバースムーンサルト踵落とし！　その反動で再跳躍！　トランプ巨人の頭に着地し、カワラ割りパンチ！　跳躍！　ボトルネックカットチョップを首に！　何たる常識的物理法則を軽々と凌駕する猟兵の圧倒的肉弾戦闘技術か！
　ガンバーバイクの上に垂直着地するとトランプ巨人二体が爆発四散！
「この戦争に、貴様らへの慈悲は無い」
　猟兵第六感をお持ちの猟兵諸君はこの一方的殺戮状況を訝しむだろう。しかし、その理由は当然ある。巨人たちの足元を駆け回るのはスミンだ！
「ドミノ倒したのしー！」
　巨大剣めいたティースプーンでトランプ巨人の足を打撃！　更にキラキラ光るコウモリさんたちがトランプ巨人の視界を塞ぐ！　体勢復帰不可能！
「ゴロゴロ作戦第二弾投下だー！」
　更に既につくられた巨大ボーリングレーンを忘れるべからず。その上方からロニが超重浮遊鉄球、餓鬼球、ドリルボールを次々と投下！　この地形効果を生かした追撃だ！　これでは陣形を回復する事は最早望めぬ。ミレアの上空火力支援も継続中。
「こんな物を浮かべて悦ぶぞ、変態技術者め！」
　ゴロゴロ転がる叡智の球が浮遊！　ビームを撃ち込む！
「決着を付けるぜ！」
　獄炎纏う焔摩天を手にしたウタがトランプ巨人の口内へ刺突！　吹き上がる炎が体内から焼き上げる！　焔摩天を抜き振り、炎の剣風と共に爆発炎上！　怯んだ巨人に袈裟斬りで斬りかかり、返す剣風で周囲を焼き払う！　五感を焼くが如き広範囲炎上攻撃！
「突撃陣形は後ろからの攻撃にも弱いっす！」
　背後に回り込んだ衣更着の手裏剣投擲も忘れるべきではない。その手裏剣を伝いジンライ・フォックスが奔る！
「速さを以って勝負すると決めたなら、百発の攻撃で仕留められぬ相手だからと言って一発の威力を求めるべからず」
　トランプ巨人の周囲で黒雷が爆ぜる！
「百発で駄目なら千発、千発で駄目なら一万発、それでも駄目なら」
　超高速の決断的迅雷カラテだ！　猟兵動体視力をお持ちの猟兵諸君なら目に出来る筈だ。その光の速さで繰り出されるツキを、ヒジを、ケリを、チョップを！　その全てに電撃的マヒ攻撃が仕組まれ、八艘飛び伝説めいて次々とトランプ巨人を攻撃！
「死ぬまで殴り続ければ良い！　イヤッァアアアッ！！」
　これはキツネ・ニンジャクランの奥義、キツネ・トビケリだ！　トランプ巨人の首が５６０度回転し千切れ飛ぶ！　爆発四散！
「よォ、やってるねぇ」
　軽い足取りで狐狛が現れる。
「敵の体勢は総崩れだ。後はもう、どうするか分かってるよなァ？」

●Golden蹂躙する棘片手間の暴風レギオン：2α森羅万象ブレイズクイック綿ストール夜天の刃
「夢いっぱいの六月の花園」
　スミンテウス・マウスドールのGolden Afternoon（アタマオハナバタケ）！
　連続刺突されたダガーが次々と自我を持つ茨へと変化！　調子に乗った花たちも歌い出す！
「棘よ、俺の血を啜れ。さあ――罪茨よ、暴れ穿て」
　クロス・シュバルツの蹂躙する棘の鎖（ギルティチェーン・トランプル）！
　無数に分裂した鎖が茨の上からトランプ巨人を纏めて縛り付け、一か所に固める！
「纏めたら上からズシンだ、基本だろ？」
　玉ノ井・狐狛の片手間の大仕掛け（インスタント・ステージセット）！
　仕掛けで崩落させた断崖から大岩が落下！　纏めて縛られたトランプ巨人達を押し潰し動きを封じる！
「ビューっと吹いてバーッと過ぎ去るものってなーんだ？」
　ロニ・グィーの暴風の化身（ゴッドウィンド）！
　左腕を、関節ごと右回転！　右腕を、関節ごと左回転！　そのふたつの拳に生じる肉を殺ぎ骨を削り有形無形を粉砕する圧倒的破壊空間は、まさに歯車的砂嵐の小宇宙！
「命中確認……簡易機生成……完了！全機、追撃！」
「……ふぁいあ！」
　ミレア・ソリティスのコール・レギオン：2α！
　ほぼ衝突寸前の高度の水平飛行からの『LC-01　インパクトランス』による突撃！　急造された簡易型ミレア達が一斉射撃で追撃を加える！
「…………」
　テリブル・カトラリーの森羅万象断（ザンカントウ）！
　怪力で振るわれる無敵斬艦刀が横一直線に水平切断！
「焼き尽くし灰に還す。お前の、理不尽な未来も！」
　木霊・ウタのブレイズアッシュ！
　テリブルの斬撃に重ねて一閃した焔摩天がトランプ巨人団を大炎上させ、『オウガ・オリジン』の理不尽を焼き切る！
「終わりにしよう、そして戦友（とも）達よ！！」
　キャプテン・ハマーヘッジのクイックドロウ！
　『コズミック・ハート80's』と『年代物の光線銃』的確な二挺集中連射！
「打綿狸の本領発揮、纏めて串刺しにしまくるっすよ！」
　家綿・衣更着の綿ストール・本気モード（コレガオイラノホンキッス）！
　『打綿狸の綿ストール』が何度も深々と貫き通す！　何度も！
「やらせてもらう、分福茶釜だ！」
　ジンライ・フォックスの奥義：夜天九尾（ヤテンキュウビ）！
　ストールを通り、貫いた内側からの迅雷カラテ打撃！　内側からの衝撃で膨れ上がる！
「俺は正義の味方であって正義ではない。正義の執行者だ。震えろ、己の悪に」
　ガンバレイの断罪の刃（エグゼキューショナー）！
　怒りに燃える正義の一撃が膨れ上がったトランプ巨人団を貫く！
「「「サ・ヨ・ナ・ラ！！」」」

●迷宮災厄戦の決着は
　かくして『オウガ・オリジン』とトランプ巨人団は全て爆発四散した。後に残るのはウタの爪弾く鎮魂歌のみ。
　無限のように思えた『オウガ・オリジン』の戦力も残り僅かとなった。
　猟兵達の完全勝利の日も近い。今はただ、残された予兆に捉えた『オウガ・オリジン』を滅ぼすのみだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2020年08月27日