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迷宮災厄戦⑱-19〜赤い夢の向こう側

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #オブリビオン・フォーミュラ #オウガ・オリジン #悪夢獣

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 真っ暗な病院の中で小さな人影が蹲っていた。
 人影は手首を押さえ、荒い呼吸を続けている。
 なんで、どうして。
 どうしてわたしがこんな目に。
 小さな指の隙間から溢れるのは真っ赤な血。
 真っ赤な血は真っ赤な海に変わっていき、そこから飛び出すのは悪夢の獣。
 獣は獲物を待っている。美味しい獲物を待っている。

 病院の中に響くのは、少女の啜り泣きと獣の唸り声。
 悪夢はまだまだ広がり続ける。


「集合お疲れ様。今回は『オウガ・オリジン』――というより、彼女の悪夢を倒してきて欲しい」
 資料を確認しつつ、レン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)は静かに説明を始めていく。
「これから皆に向かってもらうのは病院のような不思議の国。窓には鉄格子が嵌められてるし、雰囲気も重くて厭な感じの場所だ。そこでオウガ・オリジンは悪夢を具現化し続けている」
 戦いが佳境に入った影響か、オウガ・オリジンは自身に眠る『無意識の悪夢』を現実へと変えているらしい。
 今回向かう国もそういった経緯で生み出された場所の一つだ。

「オウガ・オリジンは悪夢を噴き出し続けている。だからこの国の彼女には戦闘能力がないんだけど――代わりに具現化した悪夢が好き勝手暴れているんだよ」
 オリジンの悪夢は手首から溢れ出て、鮮血のような色をした『悪夢獣』として顕現している。
 悪夢獣達は名前の通り動物のような姿をしており、どの姿でも強力な敵として立ちはだかる。これらを全て殲滅すればオウガ・オリジンも倒す事が出来るはずだ。
「それから、悪夢獣を形成しているのはそれこそ血液のような物体だ。彼らと戦う以上、皆も血まみれになるのは覚悟しておいてね」
 自分の血とオウガ・オリジンの血に塗れながらの戦いは決して快適とはいえない。
 痛い思いも嫌な思いもするだろう。けれどそれを乗り越え、しっかりと戦い抜かなければならない。
「手当の準備や着替えは手配しておくよ。だから全力で戦ってきてね。それじゃあ、気をつけて」


ささかまかまだ

 プレイングボーナスの条件は「鮮血にまみれながら、悪夢獣と戦う」です。


 こんにちは、ささかまかまだです。
 このシナリオには流血や負傷、その他グロテスクな描写が出てくる可能性があります。

 シナリオの難易度が【やや難】となっているのでご注意下さい。
 内容はシンプルな集団戦ですが、それに加えて「血まみれになる」という要素があります。
 戦場は既にオウガ・オリジンから溢れ出る鮮血で真っ赤に染まり、そこを血液のような悪夢で構築された悪夢獣達が徘徊しています。
 血に濡れても大丈夫な工夫があるといいでしょう。

 また、今回はプレイングボーナスのために「判定結果に関わらず、負傷や流血をする」という前提のプレイングでも大丈夫です。
 全年齢の範囲にはなりますが、ド派手に怪我をしたい方はド派手に行くのも良いかなと思います。


 オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。断章の追加はありません。

 シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。

 それでは今回もよろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『『オウガ・オリジン』と悪夢のアサイラム』

POW   :    ナイトメア・パレード
【巨大な馬型悪夢獣の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【一角獣型悪夢獣】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    悪夢の群狼
【狼型悪夢獣の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    忠実なる兎は血を求む
【オウガ・オリジンに敵意】を向けた対象に、【鋭い前歯と刃の耳を持つ兎型悪夢獣】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:飴茶屋

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

隣・人
「あは――あっは。素敵な世界に愛らしい赤色。吐き気のする臭いに大好きな殺意――殺したり殺されたり嬉しいじゃないの。ねえ。アンタ」
血塗れ腸漏れたいへん良好。相手のユーベルコードを死なない程度に受ける。耐性だとか何だとか敢えて落として向かってあげよう。その無意識(悪夢)に飛び込んでやる
そうして『殺意』に塗れて『腕』を伸ばす。獣の数字は解せないが狂ったお茶会の飲み物は血液だ
「は、は――飲ませて。飲ませなさいよ。アンタの殺意と※※の殺意、どっちが汚いか勝負よ――ダメ。笑いが止まらない」
倒れるまで殴り合い。真っ向勝負。最後はバラの花が咲くでしょう
「ひっ……ひひ。欲しい。欲しいのよ。その忌々しい悪夢が」




 薄暗い病棟の中で、隣・人(ゲロイン・f13161)がゆっくりと歩を進めていた。
 足取りはふらついているものの、彼女の様子は楽しげで。天を仰いで笑い声を零しつつ、隣人はただ歩き続ける。
「あは――あっは」
 隣人が一歩踏み出すごとに靴は鮮血に塗れ、メイド服の裾も真っ赤に染まる。
 そして辿り着いたのは、蹲る小さな鬼の元だ。
「素敵な世界に愛らしい赤色。吐き気のする臭いに大好きな殺意――殺したり殺されたり嬉しいじゃないの。ねえ。アンタ」
「うる、さい。黙れ」
 オウガ・オジリンが掠れた声で怒りを表せば、彼女の周囲で悪夢獣が飛び跳ねる。
 ここにいるのは狼型の群れのようだ。彼らが大きな声で鳴いたのならば狩りの始まりだ。

 鋭い牙が、爪が、隣人の細い身体へ迫りくるが――彼女は避けたり身構えたりはしていない。
 当然の流れだと言わんばかりに狼の群れを受け入れて、隣人は更に笑い声をあげた。
「は、は、血塗れ腸漏れたいへん良好。好きなだけ飛び込んでやる」
 隣人はただ狼に蹂躙されている訳ではない。
 脇腹が熱く冷たくなれば、その痛みはオリジンの無意識を教えてくれる。
 右足があらぬ方向へと曲がったのなら、その不快感はオリジンの無意識を教えてくれる。
 そうだ、もっと教えろ。アンタの『現実』を魅せつけろ。
 その度に隣人の中に一つの感情が湧きあがり、それが彼女を突き動かすのだから。

「は、は――飲ませて。飲ませなさいよ。アンタの殺意と※※の殺意、どっちが汚いか勝負よ」
「……何?」
 オリジンが微かに顔をあげた瞬間、赤が弾けた。
 隣人が突き出した拳が悪夢獣をぶち抜いて、その身体を砕いたのだ。
「――ダメ。笑いが止まらない。あは、は、ああ、もう。殺したくて、めまいがする」
 隣人は殺意に酔う殺人鬼。
 オリジンの無意識を吸収すればするほど、彼女の殺意は噴き上がり全てを殺す力をくれる。
 それで眩暈がしようとも、更に身体から血液が流れても。殺意に酔いしれているのならば関係のないことだ。
「もっと殺しましょう。もっと殺されましょう。いいじゃない、こんなお茶会。飲み物は血液ね」
 悪夢獣の数字は解せずとも、目の前に広がる光景は楽しいお茶会に変わりない。
 たとえさらに牙が身体を苛んでも、それより強い殺意で撲ればいい。
 狼が可哀そうな鳴き声をあげるのなら、別れの挨拶代わりに腕を伸ばせばいい。
「ひっ……ひひ。欲しい。欲しいのよ。その忌々しい悪夢が」
 もっと悪夢を。もっと殺意を。
 子供のように滅茶苦茶に腕を振り回し、隣人は次々に目の前の悪夢を叩き潰す。
 最後に残る光景は、きっとハートの女王が望んだ真っ赤な世界だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

夕間暮・漁
悪夢に相応しい陰気さじゃ
趣味が悪うて悪うて…儂には丁度えい
さぁて存分に殺し合おうかえ

狼は無差別攻撃じゃろ
残像・フェイント、敵を盾にして躱し囲まれぬよう立ち回る
戦闘知識で見切りつつ鋼糸付けたダガーを投擲しては引き戻し
貫くついでに横から来た間抜けなヤツが引っ掛ったら儲けもんじゃ

ああ臭い
獣の血ィは特に生臭いのう…
惚けそうになった途端に嚙まれ咄嗟の一撃
チッ、激痛耐性でも痛いもんは痛い!
痛いが…お陰で目ェ覚めたわ!

床の血も乾かぬ内なら(地形)利用しスライディングで高速移動し
一気に【暇無】

ハ…馴染む場所じゃが
湿り気で煙草に火がつかんのが難点じゃな
元のトンチキな不思議の国で
美味いヤツを一服と、いきたいのう




 転移した先ですぐさま感じた鮮血の香りに夕間暮・漁(誰そ彼・f05693)は息を吐く。
 ここはまさに悪夢をそのまま持ってきたような、陰気臭くて悍ましい世界だ。
「……儂には丁度えい」
 この世界が悪趣味なのは百も承知、けれど漁にとってどこか馴染むのもまた事実で。
 それなら存分に殺し合おう。ゆっくりと近づいてくる悪夢獣の群れへ向け、漁は静かにダガーを構えた。

 相手は一切の遠慮をしない凶暴な獣だ。だからこそ動きは見切りやすい。
 狼達が大口を開いて噛みつこうとするのなら、その動きはひらりと躱して。
 爪を振るってくるのなら敢えて引きつけて飛び込ませて。
 悪夢獣達は仲間を攻撃することすらお構いなしのようだ。彼らの牙や爪が互いを傷つける度に、床は赤黒く汚れていく。
「狩りの割には大雑把じゃな」
 相手の動きが読みやすいのなら攻勢にだって出やすい。
 できるだけ囲まれないように動き回りつつ、漁が投げるのは鋼糸を括り付けたダガーだ。
 的確に狙いを定めた刃は悪夢獣の身体を砕き、更には鋼糸が敵を引き裂く。
 ここが薄暗いからだろうか。それとも獣達が間抜けだからだろうか。彼らは鋼糸が張られていようとお構いなしで飛び込んできているようだ。

 しかし――獣達が砕ければ砕けるほど、鮮血の匂いは更に強まる。
 確かにこれは漁にとって馴染みのある匂い。けれど密閉された空間でこれだけの匂いを浴びるような事はあまりない。
「ああ臭い。獣の血ィは特に生臭いのう……」
 一瞬、意識がふらりと遠のく。ヒトの血とは異なる厭な匂いが頭の動きを鈍らせ、それこそ悪夢のような心地にさせてくる。
 その瞬間を獰猛な狩人達は見逃さなかった。一匹の狼が漁の元へと飛び込んで、彼の足に思い切り食らいついたのだ。
「ッ……チッ、痛いもんは痛いんじゃ!」
 痛みで意識を飛ばさないように歯を食いしばり、反射のようにダガーを振れば足元の狼はあっさり砕ける。
 けれどこの痛みこそが生きている証、自分をこの場に括り付けるもの。漁は青い瞳に殺意を滾らせ、悪夢獣達を睨みつけた。
「痛いが……お陰で目ェ覚めたわ!」
 足もまだ動く。まだやれる。
 痛みを堪えて地を蹴って、漁は身体を思い切り床へと滑らす。
 血のぬかるみも利用したスライディングは見事なものだ。一瞬で狼の群れへと接近すれば、漁の殺意は更に研ぎ澄まされていく。
「――芥の如く、散れ」
 情け容赦のないダガーの一閃が狼の群れを斬り裂いて、再び鮮血の匂いがあたりを覆い尽くした。

 これで周囲にいた集団は倒せたようだ。傷を軽く手当しつつ、漁は懐から煙草を取り出す。
 そして火をつけようと試みるが――この戦いで湿気ってしまったのだろうか。上手く行かない。
「ハ……馴染む場所じゃが煙草が吸えんのは難点じゃな。元のトンチキな不思議の国で美味いヤツを一服と、いきたいのう」
 血の匂いも馴染むけれど、それより馴染んだ香りを味わいたい。
 その『当たり前』に戻るため、漁は更に暗い病棟を進んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーノ・エスメラルダ
苦しみや悪夢は、誰かと分かち合うことで少しだけ楽になるのだと思うから
なので匂いもぬめりも嫌がらずに受けとめたいです


攻撃は『電脳ヒヨコさん』が
その足の爪はかんたんに滑りません
ユーノはヒヨコさんの【地形を利用】する努力を褒め、UCで【鼓舞】と回復で援護をしましょう
ユーノ自身は、猟兵なので例えざっくり斬られても死にはしません
そのための【覚悟】と【激痛耐性】もあるつもりです
『聖痕』の癒やしで治療しながヒヨコさんを応援します
そしてUCの言葉でオリジンさんの苦しみや血も弱まってくれたら良いな…
せめてこの戦いが苦しみを少しでも短くする一助となりますようにと【祈り】たいのです




 薄暗い空間、鼻をつく血の匂い、その中央で蹲る少女。
 転移先の景色を見つめ、ユーノ・エスメラルダ(深窓のお日様・f10751)は表情を強張らせた。
 けれど彼女はこの状況を拒絶しない。何故ならオウガ・オリジンは苦しんでいるのだから。
 苦しみも悪夢も誰かと分かち合えれば少しだけ楽になると信じているから。だからユーノは前へ踏み出す。
「……大丈夫、受け止めます」
 足元に伝わるぬるりとした感覚も、漂う悪臭も。それすら厭わず分かち合おう。
 決意と共に、ユーノは電脳空間を展開していく。

 電脳空間から呼び出されたのは大きな『電脳ヒヨコさん』だ。
 この子の足はぬかるみの上だって平気。しっかりと踏みしめ進んでいける。
 ヒヨコの進路には兎型の悪夢獣達が陣取っていた。彼らを倒さなければ悪夢はきっと終わらない。
「ヒヨコさん、頑張って下さい。あなたの努力をユーノは応援します」
 ユーノが紡ぐ励ましの言葉は祈りへ変わり、応じるようにヒヨコも小さく鳴き声をあげた。
 ヒヨコさんの巨体は次々に獣達を蹴散らしていくが、如何せん敵の数が多いようだ。
 討ち漏らした個体はユーノの元へと跳ねていき、鋭い前歯や耳の刃が彼女の身体を切り裂いていく。
 けれどユーノの心は折れない。だって自分は猟兵なのだから、覚悟してここへやってきたのだ。
 痛みは歯を食いしばって耐えるけれど、全く感じないというのは不可能だ。思わず涙が溢れるけれど、これはただの生理的な反応ではなかった。

「……ヒヨコさんも、オリジンさんも、痛いですよね」
 ユーノが感じるのは世界を覆う悲痛な感情、そしてそれに対する祈りだ。その想いに応えるように、彼女の左手が淡く輝く。
 刻まれた聖痕がユーノとヒヨコを癒やしていくが、この光はオリジンにも届くだろうか。
「怖い夢を見て、痛い思いをして、それでもあなたはいっぱい頑張っています」
 励ましの言葉はヒヨコの背を優しく支え、戦う力を与えてくれる。
 ヒヨコが大きく鳴き声をあげれば、あの子は更に勇ましく前へと進むのだ。
 これは苦しいだけの戦いじゃない。悪夢を終わらせるための戦いだ。その想いはヒヨコさんも分かってくれているはず。
「あの子は勿論、オリジンさんだって。この悪夢が終わったら少し休みましょう。大丈夫、ユーノがついていますから」
「……貴様がそうしたいのなら、祈っていろ」
 オリジンが小さくユーノへ言葉を返すが、その声色にあまり刺々しい気配はない。
 きっと祈りの言葉も光も彼女へと届いているはずだ。
 それを示すように、ヒヨコさんがまた強く床を踏みしめ悪夢を蹴散らす。
 彼女達の戦いは悪夢の時間を短くする一助となっていくだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナイ・デス
血に塗れる、ですか
慣れたもの……ですね

血塗れの現実。私は『いつか壊れるその日まで』続ける、ですが
はじまりのオウガ……そして、はじまりのアリス
あなたの悪夢は、骸の海に、還しましょう

獣達の攻撃は、避けない
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】再生する私は
弱かった私は、ヤドリガミでなければ死んでいたという痛みに、慣れている
そう、痛みを無視して
手足が千切れかけでも【念動力】で動かして
【鎧無視攻撃】黒剣鎧からの刃で【カウンター】倒し、戦い続けられる程に

そうして自身の、獣の血に塗れながら
【生命力吸収】する光が、血を吸収消滅させて
輝きを増して【範囲攻撃】

悪夢をはらうように、光で敵を飲み込んで、消滅させていく




「血に塗れる、ですか」
 よく慣れた行為だ。事前に受けた説明を反芻し、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は呼吸を整える。
 戦場には無数の悪夢獣と蹲る少女の姿。この場所は悪夢を超えた血塗れの現実に支配されているようだ。
「はじまりのオウガ……そして、はじまりのアリス。あなたの悪夢は、骸の海に、還しましょう」
 ナイの決意を籠めた言葉に反応するように、鮮血の兎は跳ねていく。
 相手が向かってくるのなら応戦するのみ。ナイは身体を聖なる光で覆い尽くし、同じく前へと駆け出した。

 悪夢獣達は獰猛だ。なりふり構わず耳を振り回し、ナイの小さな身体へ前歯をたてる。
 その度にナイの身体から鮮血が溢れ、痛みが脳を揺するが――このくらい平気だ、大丈夫。
「私は、いつか壊れるその日まで、血塗れの現実を続ける、つもりです。でも、あなたには、そうさせない」
 聖なる光が傷を瞬時に修復し、更に煌めきを強めていく。
 ナイはヤドリガミだ。だから本体が無事である限り、彼の身体は不滅である。
 鋭い刃に身体を切り裂かれるのも、化物に手足の肉を噛みちぎられるのも、何度も何度も経験していた。
 嘗ての自分は弱かった。だから致死量の痛みだってたくさん味わってきている。
 その先にあるのは覚悟と慣れ。この程度の痛みに心を折られず、身体を突き動かす感覚を知っている。
「大丈夫、です。まだ、動かせる」
 傷が筋肉の動きを阻害するのなら別のもので動かせばいい。
 念動力で身体を手繰り、手足の黒剣鎧を起動すれば突き出す刃が悪夢を切り裂く。
 その度に獣は鮮血となって弾け、ナイの傷からも血が溢れる。
 けれどその赤色さえも聖なる光が飲み込んで、薄暗い病棟を照らし出していた。

 成長した光は次第に周囲を飲み込み始めた。
 ナイの光はただの聖者の光ではない。
 そこに宿すのは今に生る、在る為の力を奪い消滅させる力だ。
 光が獣を飲み込む度にその力はナイへと流れ、彼の傷を修復していく。
 何度も何度も繰り返される吸収と再生。それはナイの在り方を示しているようで。
「私は、まだ壊れない。まだ、死なない、死ねない、です」
 ナイの身体は更に輝き、小さな太陽のようになっていた。
 その光を届けたいのは――悪夢を見ている小さな少女だ。
「オリジンさんの悪夢を、はらいます。大丈夫、一緒につれて、いきますから」
 ナイがオリジンへと手を伸ばせば、更に光が周囲を照らす。
 その輝きは悪夢を次々に飲み込んで、ここではない場所へ連れて行く。
 ナイはその痛みも抱えて生きていくだろう。そして彼の祈りは確かにオリジンの悪夢を消していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナギ・ヌドゥー
良き香りだ……
この臭気はいつもオレを快楽の海へと誘ってくれる。
我が呪獣ソウルトーチャーよ、お前ももう堪え切れない様だな。
共に悪夢を喰らおうか

【ドーピング】により【リミッター解除】
極限まで高めたスピードで群狼に【先制攻撃・切り込み】
同時にソウルトーチャーを嗾ける【2回攻撃】
甘美なる鮮血の臭気はオレの【殺気】を際限なく昂らせる【限界突破】!
オレとオウガ・オリジンの血で周りが絶景と化したなぁ……本番はここからだ。
ソウルトーチャー、この血を啜り真価を見せよ!
UC「禍ツ肉蝕」発動
悪夢を捕え喰らうは我が呪獣の禍つの力【捕縛・捕食】
醒めぬ夢を終わらせてやろう




 骨肉の獣を連れ立って、ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)も病棟へと足を運ぶ。
 ナギの銀の瞳は既に昏い色へと輝いており、鼻孔は芳しい血の香りを捉えている。
「良き香りだ……」
 思わずため息が溢れた。この世界はなんと心地よく、なんと胸が躍るのだろう。
 ナギの高揚感に合わせるように傍らの呪獣『ソウルトーチャー』も荒々しい呼吸をしていた。
 けれど聞こえている獣の息遣いはそれだけではない。
 気がつくと彼らの周囲には悪夢獣の群れが現れ、更に血の匂いを濃く漂わせている。
「お前ももう堪え切れない様だな。共に悪夢を喰らおうか」
 ここからは楽しい殺戮の時間だ。好きなだけ暴れさせてもらおう。

 これからの出来事をより楽しむためにも、しっかりとした準備は必要不可欠。
 ドラッグケースを取り出し中身を一気に摂取すれば、ナギの感覚はより研ぎ澄まされていく。
「行くぞ、ソウルトーチャー」
 ナギと呪獣は一気にぬかるむ床を蹴り、悪夢獣達の元へと駆け抜けた。
 もちろん彼らも黙ってはいない。鮮血の狼は牙を剥いてナギの身体へ食らいつこうとしてきたが――先に動いたのはナギの方だ。
「――遅い!」
 瞬時に怨刃を握りしめ、まずは一閃。悪夢達は血液で構成されているためか、砕け散る時は一瞬だった。
 手応えのなさは残念だったが、弾ける血の香りは喜ばしい。ナギは更に獰猛な笑みを浮かべ、獣達を睨みつける。
 しかし相手の数も多い。別の個体がナギへと迫れば、今度は爪で彼の足元を切り裂いた。
 すぐにソウルトーチャーが飛びついてきたお陰で足が噛みちぎられるような事態は避けられたが……それでも傷が深そうだ。
 けれど、それがどうした?
 周囲に溢れる鬼の血も、自分の身体から流れる血も。すべてが甘美で、すべてが恍惚感を呼び起こす。
 それを感じる度にナギのリミッターは更に外れていき、彼の力を高めてくれていた。

 獣との殺し合いは更に続き、辺り一面は完全に血の海と化す。
 ここが病院を模した世界だというのが信じられないような、ひたすらな赤、赤、赤。
「随分良い眺めになったなぁ……本番はここからだ」
 どこか子供のように楽しげに、けれど何よりも嗜虐的に。剥き出しの笑みを浮かべつつ、ナギは怨刃を自らの腕に押し当てる。
「我が血を喰らい禍つ力を示せ、ソウルトーチャー。この血を啜り真価を見せよ!!」
 勢いよく刃を引けば当然ながら鮮血が溢れる。そこへ呪獣が跳ねるように飛び込んだ。
 ナギの血を啜れば啜るほどソウルトーチャーの身体は大きくなっていき、腐臭のする触手と骨針が生えていく。
「悪夢を捕え喰らうは我が呪獣、醒めぬ夢を終わらせてやろう」
 血腥い悪夢すらナギからすれば喜ばしいものだろう。そしてそれを喰らい尽くす事が出来るのなら、それは何よりたまらない。
 彼の声に応えるように呪獣は触手を手繰り、針を飛ばす。
 二人の生み出す蹂躙は更に悪夢獣を壊し、砕き散らせていく。この場に残るのは限りのない悪夢の跡と――何よりも芳しい血の匂いだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

嘉納・日向
わぁ、超痛そう!
これは早く倒さないと……ていうか、寝かさないと?

(……でも、どうすんの。うちら殲滅向きじゃないでしょ)
まぁまぁ、あたしに任せなさいって!

◇裏人格:ひまり

わぁーお、すっごい血の臭い

視界確保のゴーグルと滑り止めの長靴準備しといたら、ちょっとは立ち回りやすくなるかなー?
UCで夜鷹を飛ばして物量戦
いっぱい巻き込めるように掃射してねー!
切り抜けてくるウサちゃんがいたらシャベルで〈なぎ払っ〉ちゃお

女子高生が躊躇いなくてびっくり?
伊達に自分の血を見て(殺されて)ないってこと!
〈覚悟〉はできてるよ〜?
……ああ大丈夫大丈夫、気にしてないからー!ひなちゃんヘコまないで!




 薄暗い病棟に悪夢を流し続けるオリジン。
 その光景を見つめ、嘉納・日向(ひまわりの君よ・f27753)――の背後に潜む『ひまり』は目を丸くした。
「わぁ、超痛そう! これは早く倒さないと……ていうか、寝かさないと?」
 状況の悲惨さは分かっているが、ひまりの声はどこか弾むような気配があった、
 その声に『日向』は呆れるように言葉を返す。
「……でも、どうすんの。うちら殲滅向きじゃないでしょ」
「まぁまぁ、あたしに任せなさいって!」
「……ひまりがそう言うなら、任せるけど」
 身体を完全に『ひまり』へと明け渡し、日向は心配そうに周囲を見つめる。
 兎の姿をした悪夢は既に彼女の周囲を飛び交っていた。どうにか切り抜けなければならないだろう。

「ちゃーんと準備もしてきたよ。ほら!」
 ひまりが着ているのは女学生らしい服装だが、装備はそれに似つかわしくない程しっかりしていた。
 視界を確保するためのゴーグルに、ぬかるみに足を取られないための長靴。これで兎達が飛び込んできても大丈夫だ。
 右手には錆がついたシャベルが握られ、左手には支給品の銃器『れいめい』を携えて。
「それじゃあ……物量戦だね!」
 ひまりが勇ましくれいめいを掲げれば、生み出されるのはその分離・自律機動体。
 夜鷹によく似たれいめい達は病棟の中を駆け抜けて、次々に悪夢へと狙いを定める。
「いっぱい巻き込めるように掃射してねー! あたしは大丈夫だから!」
 次の瞬間、銃弾の嵐が兎達を薙ぎ払った。
 弾ける血しぶきの合間を抜け、ひまりも自らの戦いへと備えていく。
 雨の中を潜り抜けて飛び込む悪いウサちゃんには、ひまり自ら手を下すのだ。
「大人しくしてた方がいいよー? 悪い子には……こう、だから!」
 ひまりが勢いよくシャベルを振るえば、その軌道にいた兎達はぐしゃりと潰れる。
 跳ね返る真っ赤な何かが彼女のブラウスを鮮やかに染め上げていた。

「……迷わないのだな」
 戦いの様子を眺めていたのか、オリジンが小さな声をあげている。真っ黒な顔から表情は読み取れないが、不思議と視線は感じる事ができた。
「躊躇いなくてびっくり? 伊達に自分の血を見てないってこと!」
 にっこり笑みを浮かべ、晴れやかにひまりは答える。
 けれどこれはただ『戦いに慣れている』という意味ではない。
 ■■・ひまりは死んでいる。流れる自分の血を見ながら命を落としている。だから、こんな状況だって覚悟は出来ているのだ。
 ひまりの言葉に応えるように、身体の内側で『日向』がびくりと振るえた。
「……ああ大丈夫大丈夫、気にしてないからー! ひなちゃんヘコまないで!」
 からから笑って親友を励ます『ひまり』だが、その言葉も日向にはどう聞こえているものか。
「ほら、悪いウサちゃんだってちゃんと倒すから。元気出して?」
「……大丈夫、私こそ大丈夫だから」
 慰めの言葉と共にシャベルが振るわれて、ウサギが一羽ぐしゃりと潰れる。
 ゆうやけは再び赤く染まり、その赤が二人を包み込んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネーヴェ・ノアイユ
なんだかこう如何にもな病院ですね……。恐怖に呑まれる前に早く終わらせましょう……。

狼様を見つけ次第に氷の弓と弓矢を作り出して遠距離からの攻撃にて一体ずつ丁寧に数を減らしていきます。
群れにて距離を詰められましたら……。武器を氷の斧へと作り直して狼様の首を一撃にて切り落とすように叩きつけながら数を減らすように頑張ります。
その際に……。狼様の攻撃は可能なだけ氷壁の盾受けにて防ぎますが……。返り血を浴びた際の気持ち悪さなどで集中力が途切れお腹や腕。足などを噛まれたりしながら戦います。
痛みによる苦痛。返り血の気持ち悪さ。そういったものを我慢しながらひたすら斧を振ります。早く悪夢が覚めるようにと……。




「なんだかこう如何にもな病院ですね……」
 陰惨な空気を肌で感じつつ、ネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)はため息を零す。
 薄暗い景色、溢れる血の匂い。ここにずっといては気が滅入ってしまう。
 何より――自分自身もオウガ・オリジンの悪夢に呑まれてしまいそうだ。
「早く終わらせましょう……」
 ぽつりと呟きつつ、ネーヴェは自らの魔力を編み上げる。敵が獣ならば相応しい武器は弓矢だろう。
 氷で出来た弓と矢はネーヴェの手によく馴染んだ。これを携え悪夢を終わらせに行こう。

「相手は群れですから……囲まれないようにしなければいけませんね……」
 ここは元が病棟だったからか、大きな家具もいくつか転がっている。
 その一つに身を潜め、ネーヴェは静かに弓を構えた。
 視線の先には悪夢の狼達が群れを成し、今か今かと獲物を待ち受けているようだ。
 彼らに気づかれないよう――狙いを定めてまずは一匹。透明の矢は狼の頭を見事に射抜き、その身体を粉々に砕く。
 けれど他の狼達もすぐに異常には気付き、ネーヴェ目掛けて駆け出していた。
「こういう時こそ焦らずに……!」
 走りくる狼達にも狙いを定め、少しずつ敵の数を減らしていくが――数がどうにも多いようだ。
 弓で戦うのが困難な距離まで敵が迫れば、ネーヴェは別の武器を錬成していく。

「仕方ありません……」
 次に作り上げたのは氷の斧だ。接近してくる狼達へ勢いよく振り下ろせば、その刃は容易く彼らの身体を切り裂く。
 迫る牙には氷の盾で対応するが、それでも全ての個体に対処するのは難しいようだ。
 周囲に漂う濃厚な血の匂い。足を踏み出す度に感じる厭なぬかるみ。それらがネーヴェの脳を揺らした瞬間、狼達は容赦なく彼女へ牙を立てた。
「ッ……!」
 咄嗟に身体を捻って致命傷は避けたものの、足や脇腹からは鋭い熱を感じている。
 痛い、苦しい。呼吸が荒くなればなるほど、更に血の匂いが肺を満たす。
 凄まじい不快感の中でネーヴェが感じていたのは憐憫の気持ちだった。
「オリジン、様も……こんな悪夢を、見ていらっしゃるのですね……」
 痛くて苦しい。血の気配が気持ち悪い。こんな夢は早く終わって欲しい。
 オリジンがこんな気持ちを抱いているのなら。そして自分が終わらせられるのならば。
「……大丈夫、早く悪夢が覚めるようにと……私も、祈っていますから」
 氷の斧を杖に立ち上がり、ネーヴェは再び狼を見遣る。
 出来る事を全力で。大切なリボンから力を分けてもらいつつ、ネーヴェは強く斧を握りしめた。
「終わらせます……!」
 身体を奮い立たせ、更に斧を振るっていけばまた狼達は砕けていく。
 ネーヴェの祈りを籠めた戦いは、悪夢を醒ます優しい冷風として病棟の中を駆け抜けていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鬼桐・相馬
俺の場合傷は炎が補ってしまう、ならば浴びるのは敵の血だ

【POW】
敵の姿が見え次第[冥府の槍]を構え即座に戦闘へ突入
俺の槍は突進する相手と好相性だ、腹の底で昂る嗜虐の欲求も抑えることなく利用しよう

どんな攻撃でも[ダッシュ]で敵へ接近、動きを[戦闘知識と視力で見切り、怪力を込めたカウンターで串刺し]に
敵の身体から溢れる鮮血を正面から存分に浴びるが、手元の血は滑り防止の為己の炎で焼く
靴裏の血は敵の死体を[踏みつけ]擦り付ける

病院という構造上死角もあるだろう、[野生の勘]を駆使して気配を察知
集団へはUC発動し[焼却]

病院内の鉄格子や無機質な様子に、以前自分がいた研究施設を思い出すが休むことなく殲滅を




 血の香りが漂う病棟へ、鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)も静かに足を踏み入れる。
 聞こえているのはぴしゃぴしゃという足音。その主は馬のような姿をした悪夢獣達だった。
 相手は猪突猛進にこちらへ向かってくるだろう。それなら冥府の槍の出番だ。
「……行くぞ」
 しっかりと槍を構え、相馬は走る。
 血の匂いとこれから起こる出来事に胸の内で何かが昂ぶるが、それすらも冥府の炎の糧にして進もう。
 青黒の炎を纏いつつ、一角鬼は更に加速していく。

 悪夢獣達は連携しながら戦うようだ。仲間の背を押し、時に獲物を挟み込みつつ突進を行うのが主な戦術。
 彼らの動きをよく見つつ、相馬は自らが取る行動を選択していく。
「――大丈夫だ、見えている」
 相馬も走り続けているが、彼の動きは悪夢獣達より身軽だった。
 ここは病棟、障害物になるものはたくさんある。狭い場所を駆け抜けるなら相馬が有利だ。
 相手の速度を上手くいなしつつ、お返しと言わんばかりに返すのは槍での刺突だ。
 槍の穂先はあっさりと獣達の胴を貫き、その身を弾けさせていく。その分返り血も凄まじいが――それでも相馬は怖気づかない。
「凄い量だな。それだけオウガ・オリジンの悪夢が広がっているという事か」
 手に付着した血だけを冥府の炎でさっと乾かし、相馬はしっかりと槍を握りしめる。
 顔や身体に付着した血も気になるけれど、拭ったとしてすぐに汚れる。それは諦めて次へと進もう。
 自分が血を流したとしても、それは炎がすぐに補うだろう。その分敵の血を浴びながらの戦いになるはずだ。
 足元も血塗れになっているが、それは倒れ伏した悪夢獣の死体で拭って。柔らかく生暖かい感触がどこか不気味だった。

 相馬は次々と敵を倒し、病院を奥へと進んでいく。
 その最中に見遣るのは周囲の景色。
 窓に嵌められた鉄格子。どこか無機質な壁や床。それは相馬にとってもどこか懐かしい景色で。
「皆は今、どこにいるのだろうか……」
 思い出すのは生まれ育った研究施設だ。そこに住んでいた人々は忽然と消えてしまい、今も行方は分からないまま。
 感傷的な気分が湧き上がってくるけれど、だからこそ足は止めない。
 消えた家族や仲間を探すためにも相馬は戦い続けなければならない。そのためには悪夢の世界に留まる訳にはいかないのだ。
 視線の先には馬達の集団。きっとこれが最後の悪夢獣だろう。
「悪夢は終わりだ。俺達はまだまだ先へと進む――だから、邪魔をするな」
 これからも戦い続けるという使命感。追い詰めた獣へと迫る嗜虐心。全く異なる感情を乗せて、相馬は槍を突き立てた。
 そこから噴き上がった青黒の炎は火柱と化して、全ての悪夢を飲み込んでいく。
 炎が消え去る頃には、苦しんでいたオウガ・オリジンも燃え尽きていた。

 これにて血腥い悪夢は終わり。
 顔の血を拭いつつ、相馬は病院を後にする。
 いつか家族と再会するその時を目指して。戦いも現実も続いていくのだ。


 血に塗れる事を厭わず戦った猟兵達。彼ら彼女らは確かに悪夢を砕いていった。
 少女の夢ももうおしまい。あとは目を醒ますだけ。
 赤い夢の向こう側に続くのは、それぞれが歩むべき現実の道だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月26日


挿絵イラスト