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バッドラック・イニシアティブ(作者 やさしいせかい
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●それは最早福音となって
 ――夏だ! 海だ! 美女だ!!
「……なーんて、平和だった頃は言ってたんかねぇ」
 陽射しも強まった昼中。テラテラとした金髪の下でサングラスをかけた男は呑気にそんな事を呟いた。
 彼は粗製の匙を使い、カップに盛られた氷を砕いたモノを一口掬う。
 じゃりじゃりとした食感に混ざり舌を刺激する薬剤染みた合成酒の味が、彼に生を実感させる。
「ねーえ、もっと遊びましょう?」
「おいおいココの姉ちゃん達はお盛んだな、もっと余裕持とうぜ? 俺みたいにヨ」
 艶かしく顎を引く女の手をそっと戻して。男は両脇に抱えた水着姿の美女達から離れる。

 数日前に離れた『拠点』は果たしてどうなったのだろうか。
 そんな事を思いながらも、自称奪還者の男は欠伸混じりに周囲を見渡した。
(荒野にまさかこんなオアシスがあるとはなぁ、俺のツキもまだまだ捨てたもんじゃないってか)
 サングラスの下でニンマリと笑みを溢す。
 そこは。数十メートルに及ぶ巨大な浄水装置が佇んだ、汚染された湖を背にして壁が築き上げられたベースキャンプだった。
 かつてアポカリプスヘルにおいて貴重な水源を物にすべく集まった戦闘集団が、辛うじて日に数百リットルの精製水を作る事に成功した事で生まれた『拠点』である。その性質上、そして拠点の有する希少価値ゆえに外部からの移住者が増えなかった事で、現在の内部には殆ど戦える人間がいないという。
 自称奪還者の男がパッと見回してみても、ビーチリゾートのような雰囲気の拠点内にいる男はたった四人程度。
 彼が偶然辿り着いてからというものの歓迎振りを見るに、奪還者を名乗る彼より腕の立つ者はいないのだろう。
「へへっ、ここが俺様の新天地……ここが俺様の理想郷だぜ!」
「――た、大変です! 北西Eポイント2キロ先からレイダーと見られる集団の影が!」
 悲鳴のように近くのテントから飛び出して来た少女の声の後に、金髪の男は自身の首が軋むような音を立てたのが聴こえた。
「奪還者様っ! どうかお力をお貸しください!」
「……」
 男は周囲から向けられる視線を、その一身で全て受け止めながら顔を上げる。

「俺にィ!! まぁかしとけぇぇいッ!!」
 二分後彼は全力で逃げ出した。

●不運な者達へ
 シック・モルモット(人狼のバーバリアン・f13567)は猟兵達を招いた先で、卓上に何か似顔絵を描いていた。
「ん? あぁ、ごめん。そこ座って待っててくれ……ちょっとムカつく奴の顔思い出して描いてるだけだから」
 歪な作画だが、金髪のグラサンをした男がそこには描かれていた。
 暫しの後。
 ひとしきり絵を描き終えて満足したシックが事の詳細を話し始めた。
「場所はアポカリプスヘル……もうすっかり見慣れたよ。
 荒野に広がる渓谷から程近い場所にある、汚染された湖。そのすぐ傍に敷かれた『拠点』ラッドレイクをオブリビオンが襲うらしい。
 規模はちょっとした軍団か。あれは、多分元軍人か何かがオブリビオンになったんだと思うな」
 少女が視たのはベースを襲う、背にロケット推進剤を装着して飛び回るようなレイダー達の姿だったという。
 彼等は数と空中機動の利を活かした戦術によって、脆弱な拠点の防衛を突破・陥落させるに至った。特に、拠点内に常駐していた数少ない手練れすら為す術もなかったのは、信じ難いことに拠点『内側』に忍ばせた伏兵がロケットレイダーを引き連れて挟撃した事が主な原因となっていたのだ。
 その伏兵とは。

「……すんごいかわいい戦車が湖の中からざばーって出て来てた」





第3章 ボス戦 『クリッサ・マティア』

POW ●戦術パターン・アルファ
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【球体ドローンα 】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD ●戦術パターン・ベータ
【右眼に埋め込まれた照準システム 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【球体ドローンβが放つ高エネルギー砲】で攻撃する。
WIZ ●戦術パターン・オメガ
演説や説得を行い、同意した全ての対象(非戦闘員も含む)に、対象の戦闘力を増加する【と同時に自我を放棄させ、忠誠心と任務 】を与える。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はタリアルド・キャバルステッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 吹き飛び、一回転した大型バスの天井部が内側から剥がされる。
 空中へ飛び出した小さなシルエットは、軍服を纏う少年のものだ。
 しかしその両脇で控えるかのように浮かぶ金属の球体は妖しく光り、物理法則を無視した軌道を描いて少年を地上へ運んだのだった。

「やってくれたな――たかが数人で私の軍を全滅させるか」
 兵法もクソも無いな。と少年は忌々し気に猟兵達の方へ視線を巡らせる。
 浮遊する球体が右往左往する。
 それを見て、舌打ちした少年は軍服その裾を翻して猟兵達と向き合う。
「私は生産主義者だ! この世界がどうあろうと、私の身体がどうなろうが構わん。
 だが邪魔をしてくれるなよ。女は殺さん、男も可能な限り生かしてやる。全ては我が手足となり群を――私の軍を生む為の歯車として生き続けるのだ!
 邪魔をするなら殺す! 貴様等の大切な物、その全ての尊厳を轢き潰し壊し尽くしてくれる!」
 その怒気を声に乗せ。少年は荒野に叫ぶ。
 球体の片方が少年の頭上を舞い、閃光を――細い光線を放って。レイダー達の乗っていたクルマやロケットパックを解体して行く。
 次いで飛翔するもう一方の球体はそれら残骸へと向かい飛び込み、高密度のエネルギーと共に電磁波を流して金属パーツを吸収しだす。
「非生産的な快楽主義者どもめ……この私を怒らせたことを、後悔させてやる!!
 震えるがいい、この私! オーネ・ショタスキー大佐が貴様等を一端の軍人に仕立ててやる!!」

 エネルギーと電磁波に導かれ組み上がる、大型二足歩行ロボットが唸りを上げて頭部のドローン・コアを中心に妖しい光を放つ。
 拳銃を引き抜き、猟兵達へ銃口を向けたオーネ・ショタスキー大佐はその可憐で無垢にも思える顔を憎悪に歪ませて笑った。